(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(54)【発明の名称】糖減少溶液及びデンプンを含む果物調製物並びに他の甘いソース
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20220908BHJP
A23L 21/10 20160101ALI20220908BHJP
A23L 27/60 20160101ALI20220908BHJP
A23L 23/00 20160101ALI20220908BHJP
A23C 9/00 20060101ALI20220908BHJP
A23C 9/156 20060101ALI20220908BHJP
A23L 33/20 20160101ALI20220908BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20220908BHJP
A23L 29/212 20160101ALI20220908BHJP
【FI】
A23L5/00 N
A23L21/10
A23L27/60 A
A23L23/00
A23C9/00
A23C9/156
A23L33/20
A23L27/00 F
A23L29/212
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577887
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 US2020039377
(87)【国際公開番号】W WO2020263992
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】イコズ、ディデム
【テーマコード(参考)】
4B001
4B018
4B025
4B035
4B036
4B041
4B047
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【解決手段】 本明細書に記載されるのは、栄養甘味料の部分的又は完全な置換として、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液を含む、食品製品組成物である。本明細書に記載の組成物を含有する様々な食品製品及びそれらの作製方法も記載される。有益には、本明細書に記載の糖減少溶液を含む組成物は、シネレシスを呈さず、かつ/又はその中に含有されるデンプン含有量が、全糖デンプン含有製品と比較して減少することを可能にする、より安定した組成物である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品製品組成物であって、
希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液と、
デンプンと、
水と、を含み、
前記糖減少溶液が、
栄養甘味料の部分的又は完全な置換であり、前記デンプンが、粒状又は改質されたデンプンであり、前記食品製品が、安定であり、約5%未満の色のHunter Lスケール測定の増加によって測定される場合、少なくとも2週間にわたって冷蔵保存でシネレシスを呈さず、前記食品製品が、糖減少溶液によって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、糖、カロリー、及び/又はデンプンの減少を有する、食品製品組成物。
【請求項2】
前記糖減少溶液が、約5重量%~約90重量%の前記食品製品組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記希少糖が、アルロース又はタガトースである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルロースが、
少なくとも約85%のアルロース及び約15%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、少なくとも約90%のアルロース及び約10%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、又は少なくとも約95%のアルロース及び約5%の他の単糖類及び/若しくは二糖類を含む、液体シロップである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、
約40重量%未満の栄養甘味料、約35重量%未満の栄養甘味料、約30重量%未満の栄養甘味料、約25重量%未満の栄養甘味料、約20重量%未満の栄養甘味料、約15重量%未満の栄養甘味料、約10重量%未満の栄養甘味料、約5重量%未満の栄養甘味料、又は約1重量%未満の栄養甘味料を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記デンプンが、
コムギ、コメ、コーン、オートムギ、ライムギ、オオムギ、タピオカ、サゴ、アマランス、クズウコン、ソルガム、エンドウ、レンチル、バナナ、ジャガイモ、サツマイモ、及び/又はタピオカ源からの化学的又は物理的に改質されたデンプンであり、任意選択的に、前記組成物が、少なくとも1つの追加の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記食品製品が、
前記糖減少溶液によって置き換えられた前記栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも25%の糖減少、少なくとも50%の糖減少、少なくとも75%の糖減少、若しくは100%の糖減少を有し、かつ/又は、前記食品製品が、前記糖減少溶液によって置き換えられた前記栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも20%のカロリー減少、少なくとも30%のカロリー減少、少なくとも40%のカロリー減少、50%のカロリー減少、少なくとも60%のカロリー減少、少なくとも70%のカロリー減少、若しくは少なくとも80%のカロリー減少を有し、かつ/又は前記食品製品が、前記糖減少溶液によって置き換えられた前記栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも5%のデンプン減少を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記栄養
甘味料が、スクロース、グルコース、グルコースシロップ、イソグルコース、フルクトース、グルコース-フルクトースシロップ、マルトース、ラクトース、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、糖蜜、ハチミツ、アガーベ、又はそれらの混合物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物
【請求項9】
前記栄養甘味料が、スクロースである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、スクロースを含まないか、又はいかなる栄養甘味料も含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物
【請求項11】
前記組成物が、果物調製物、甘いソース、糖菓(例えば、ジャム及びゼリー)、又はドレッシング組成物である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の食品製品組成物を含む、食品製品又は甘味乳製品/非乳製品ヨーグルト。
【請求項13】
組成物中のシネレシスを減少させるための、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液の使用であって、食品製品中の栄養甘味料の少なくとも一部を、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む糖減少溶液と置き換えることと、約5%未満の色のHunter Lスケール測定の増加によって測定される場合、少なくとも2週間にわたって冷蔵保存条件下でシネレシスを呈さない、安定した食品製品組成物を形成することと、を含む、使用。
【請求項14】
組成物中のデンプン含有量を減少させるための、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液の使用であって、食品製品中の栄養甘味料の少なくとも一部を、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む糖減少溶液と置き換えることと、シネレシスを呈さず、より高く安定した粘度を維持する安定した食品製品を形成し、それによって前記組成物中に必要な重量%のデンプンを減少させることと、を含む、使用。
【請求項15】
前記希少糖が、アルロース又はタガトースである、請求項13又は14に記載の使用。
【請求項16】
前記糖減少溶液が、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、又は100%の前記栄養甘味料を置き換え、前記栄養甘味料が、スクロースを含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記デンプンが、コムギ、コメ、コーン、オートムギ、ライムギ、オオムギ、タピオカ、サゴ、アマランス、クズウコン、ソルガム、エンドウ、レンチル、バナナ、ジャガイモ、サツマイモ、又はタピオカ源からの粒状デンプン又は化学的若しくは物理的に改質されたデンプンであり、かつ/あるいは前記改質されたデンプンが、物理的に改質されたワックス状コーン又はタピオカデンプンである、請求項13~16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記食品製品が、
前記糖減少溶液によって置き換えられた前記栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも25%の糖減少、少なくとも50%の糖減少、少なくとも75%の糖減少、又は100%の糖減少を有し、前記食品製品が、前記糖減少溶液によって置き換えられた前記栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも20%のカロリー減少、少なくとも30%のカロリー減少、少なくとも40%のカロリー減少、少なくとも50%のカロリー減少、少なくとも60%のカロリー減少、少なくとも70%のカロリー減少、若しくは少なくとも80%のカロリー減少を有し、かつ/又は前記食品製品が、前記糖減少溶液によって置き換えられた前記栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも5%のデンプン減少を有する、請求項13~17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記食品製品組成物が、果物調製物、甘いソース、糖菓(例えば、ジャム及びゼリー)、又はドレッシング組成物である、請求項13~18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記果物調製組成物が、甘味乳製品又は非乳製品ヨーグルトに使用される、請求項19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/868,817号に対して、米国特許法第119条の下で優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に記載されるのは、栄養甘味料の部分的又は完全な置換として、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液を含む、果物調製物、甘いソース、及び他の食品製品組成物である。果物調製物、甘いソース、及び他の食品製品組成物を含有する様々な食品製品、並びにそれを作製する方法も本明細書に記載される。本明細書に記載される果物調製物、甘いソース、及び他の食品製品組成物は、追加の糖及びカロリー含有量を有益に減少する一方で、糖のかさ高さ、テクスチャ、味、及び他の機能的特性を構築することを含む、低糖製品又は減糖製品の配合制限を克服する。有益には、本明細書に記載の糖減少溶液を含む組成物は、シネレシスを呈さず、かつ/又はその中に含有されるデンプン含有量が、デンプンを含有する全糖製品と比較して減少することを可能にする、より安定した組成物である。
【背景技術】
【0003】
甘味料は一般に、食品製品に含まれる。栄養甘味料としては、スクロース、グルコース、フルクトース、コーンシロップ(高フルクトースコーンシロップを含む)、マルトース、ラクトース、糖蜜、ハチミツ、アガーベなどが挙げられ、カロリー含有量に寄与する。栄養甘味料及び糖という用語は、本明細書では互換的に使用される。天然甘味料及び合成甘味料(すなわち、人工甘味料)は、所望の味特性、加えて、著しくカロリー含有量の低い他の機能的性質を付与するため、栄養甘味料の代替物である。そのような代替甘味料としては、例えば、高効力又は高強度甘味料(例えば、Splenda)、糖アルコール又はポリオール(例えば、キシリトール、ソルビトールなど)、ステビア甘味料、希少糖、及び糖キシロースのポリマー(例えば、キシロオリゴ糖(「XOS」))が挙げられる。アルロース及びタガトースは、非常に少量で、自然界で見出されるため、希少糖の例である。アルロースは、D-アルロース、プシコース、又はD-プシコースとも称され、干しブドウ及びイチジクなどの特定の食品製品に自然に見出される非栄養甘味料である。アルロースは、わずか10%のカロリー(およそ0.4kcal/g)で、スクロースの甘さのおよそ70%を付与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
栄養甘味料の消費者摂取量を減少して、カロリー減少及び総/添加糖減少の両方を提供し、食品製品中の代替甘味料の使用を増加させるための継続的な主導権がある。結果として、代替の甘味料が、栄養甘味料により従来付与されてきた、所望のかさ高さ、甘み、及び機能的性質を示す食品製品を提供する試みにおいて、様々な食品製品に配合されている。例えば、国際公開第2015/075473号を参照のこと。しかしながら、栄養甘味料が代替甘味料によって置き換えられている配合物は、多くの場合、栄養甘味料とは異なって配合物中で挙動する代替甘味料の特性に適応するように調整されない。結果として、そのような配合物は、消費者及び食品製品製造業者が再配合食品製品を予想する特性を呈する低糖食品製品を提供しない。したがって、食品製品業界では、それらの全糖対応物と同じ又はそれより良好に実施する低糖食品製品の必要性が依然として存在する。意外に、驚くべきことに、本明細書に記載の1つ以上の糖減少溶液は、本明細書に記載の1つ以上の果物調製物、甘いソース、及び/又は他の食品製品組成物における全糖対照と同じぐらいに、又はそれより良好に実施し、糖及びカロリーの減少を超える利点を提供する。
【0005】
本明細書に開示されるのは、糖及びカロリー含有量を有益に減少させる一方で、糖と同様の機能的再構築特性を提供し、それによって、予想された外観、匂い、及び感触を有する製品を消費者に提供する一方で、予想外に、驚くほど、全糖対応物と比較して優れた安定性を呈する、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、1つ以上の糖減少溶液を含む、果物調製物、甘いソース、及び他の食品製品組成物である。
【0006】
一実施形態では、食品製品組成物は、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液と、デンプンと、水と、を含み、糖減少溶液は、栄養甘味料の部分的又は完全な置換であり、組成物は、安定であり、約5%未満の色のHunter Lスケール測定の増加によって測定される場合、少なくとも2週間にわたって冷蔵保存でシネレシスを呈さず、組成物は、糖減少溶液によって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品組成物と比較して、糖、カロリー、及びデンプンのうちの1つ以上の減少を有する。
【0007】
別の実施形態では、食品製品組成物は、アルロースと、デンプンと、水と、を含み、アルロースは、栄養甘味料の部分的又は完全な置換であり、食品製品は、安定であり、約5%未満の色のHunter Lスケール測定の増加によって測定される場合、少なくとも2週間にわたって冷蔵保存でシネレシスを呈さず、食品製品は、アルロースによって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、糖、カロリー、及び/又はデンプンの減少を有する。
【0008】
別の実施形態は、食品製品組成物中のシネレシスを減少させるための糖減少溶液であって、食品製品組成物中の栄養甘味料の少なくとも一部を、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む糖減少溶液と置き換えることと、約5%未満の色のHunter Lスケール測定の増加によって測定される場合、少なくとも2週間にわたって冷蔵保存条件下でシネレシスを呈さない、安定した食品製品組成物を形成することと、を含む、糖減少溶液を使用することを対象とする。
【0009】
更に別の実施形態は、組成物中のシネレシスを減少させるためのアルロース含有食品製品組成物であって、食品製品組成物中の栄養甘味料の少なくとも一部をアルロースと置き換えることと、約5%未満の色のHunter Lスケール測定の増加によって測定される場合、少なくとも2週間にわたって冷蔵保存条件下でシネレシスを呈さない、安定した食品製品組成物を形成することと、を含む、アルロース含有食品製品組成物を使用することを対象とする。
【0010】
更に別の実施形態は、組成物中のデンプン含有量を減少させるための糖減少溶液であって、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液の使用であって、食品製品組成物中の栄養甘味料の少なくとも一部を、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む糖減少溶液と置き換えることと、シネレシスを呈さず、より高くかつ/又は安定した粘度を維持する安定した組成物を形成し、それによって組成物中に必要な重量%のデンプンを減少させる機会を提供することと、を含む、糖減少溶液を使用することを対象とする。
【0011】
また更に別の実施形態は、組成物中のデンプン含有量を減少させるためのアルロース含有食品製品であって、栄養甘味料の少なくとも一部をアルロースと置き換えることと、シネレシスを呈さず、より高く安定した粘度を維持する安定した食品製品を形成し、それによって組成物中に必要な重量%のデンプンを減少させることと、を含む、アルロース含有食品製品を使用することを対象とする。
【0012】
本発明の種々の実施形態が、図面を参照して詳細に説明され、複数の図面を通して、同一の参照番号は同一の部分を表す。そして、複数の実施形態が本明細書で開示されるものの、更に他の実施形態が、例示的実施形態を示し説明する以下の詳細の説明から、当業者には明らかとなろう。結果的に、種々の実施形態への参照は、本発明の範囲を限定するものではない。更に、本明細書で示す図は、本発明に従った種々の実施形態の限定ではなく、本発明の例示的図解として示される。したがって、図面及び詳細の説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
特許又は出願ファイルは、色で実行される少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する本特許又は特許出願公開のコピーは、必要な料金の要求及び支払いによって、特許庁に提供される。
【
図1】
図1は、A~Dは、シネレシスについての実施例1で評価された配合の24時間後の、様々な糖含有量(アルロース有り及び無し)を含有する果物調製物の色画像を示す。
【
図2】
図2は、A~Dは、シネレシスについての実施例1で評価された配合の2週間後の、様々な糖含有量(アルロース有り及び無し)を含有する果物調製物の色画像を示す。
【
図3】
図3は、A~Dは、シネレシスについての実施例1で評価された配合の5週間後の、様々な糖含有量(アルロース有り及び無し)を含有する果物調製物の色画像を示す。
【
図4】
図4は、A~Dは、シネレシスについての実施例1で評価された配合の12週間後の、様々な糖含有量(アルロース有り及び無し)を含有する果物調製物の色画像を示す。
【
図5】
図5は、シネレシスについての実施例1で評価された、様々な糖含有量(アルロース有り及び無し)を含有する果物調製物の定量化可能な色測定値を経時的に示す。
【
図6】
図6は、実施例2で評価された、様々な糖含有量(アルロース有り及び無し)を含有する、室温で保存された果物調製物の粘度測定値を経時的に示す。
【
図7】
図7は、実施例2で評価された、様々な糖含有量(アルロース有り及び無し)を含有する、室温で保存された果物調製物の水活性測定値を経時的に示す。
【
図8】
図8は、実施例4に概説される配合中に様々な調理方法を含む果物調製物の色画像を示す。
【
図9A】
図9Aは、シネレシスについて実施例4で評価された配合の24時間後、2週間、5週間、及び12週間後の、様々なデンプン(アルロース有り及び無し)を含有する果物調製物の色画像を示す。
【
図9B】
図9Bは、シネレシスについて実施例4で評価された配合の24時間後、2週間、5週間、及び12週間後の、様々なデンプン(アルロース有り及び無し)を含有する果物調製物の色画像を示す。
【
図10】
図10は、シネレシスについての実施例6で評価された配合の24時間、2週間、5週間、及び12週間後の、アルロースと比較して様々な甘味料及び繊維を含有する果物調製物の色画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中で使用される全ての専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけのものであり、任意の様式又は範囲に限定するものとは意図されない。例えば、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、複数を含むことができる。更に、全ての単位、接頭辞、及び記号は、SIが認可したその形式で記載することができる。本明細書で引用される数値範囲は、画定される範囲内の数を含む。本開示全体を通して、種々の態様が範囲の形式で提示される。範囲の形式での記載は単に、便宜上、かつ簡便化のためと理解されるべきであり、本発明の範囲の、柔軟性を欠く限定と解釈してはならない。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された起こり得る全ての部分範囲、及びその範囲内の個別の数値を有するものと考えるべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0015】
本発明をより速やかに理解可能にするために、特定の用語をまず定義する。別様に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の実施形態が関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものに類似する、それから改変された、又はそれに等価な多くの方法及び材料を、実施形態の実施において、過度な実験をすることなく使用することができる。実施形態の説明及び特許請求において、以下の用語を、以下に説明する定義に従い使用することができる。
【0016】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、例えば、典型的な測定及び取扱い操作を通して、これらの操作における故意ではない誤りを通して、成分の製造、源、又は純度の違いなどを通して生じる可能性がある、数量の変化を意味する。「約」という用語による修飾に関わらず、特許請求の範囲には量の等価物が含まれる。
【0017】
本明細書で使用する場合、「不含」という用語は、構成成分を完全に欠く、又は、構成成分を、当該構成成分が組成物の性能に影響を及ぼさないような少量で有する、組成物を意味する。構成成分は、不純物として、又は混入物質として表すことができ、0.5重量%未満でなければならない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「シネレシス」という用語は、水からの分離を伴うゲルの形成を指し、少なくとも24時間、少なくとも72時間、少なくとも1週間、又は少なくとも2週間にわたって冷蔵保存後に少なくとも5%、少なくとも4.5%、少なくとも4%、又は少なくとも3.5%を超える色増加のHunter Lスケール測定によって定量化される。本明細書に記載されるように、アルロースでの部分的又は全糖含有量の置換は、シネレシスを排除し、安定した食品製品を提供する。
【0019】
本明細書で使用する場合、「重量%(「weight percent」、「wt-%」、「percent by weight」、「% by weight」)という用語、及びこれらの変形形態とは、組成物の総重量で除して100を掛けた、物質の重量としての、物質の濃度を意味する。本明細書で使用する場合、「パーセント」、「%」などは、「重量%(「weight percent」、「wt-%」)」などと同義であることが意図されると理解される。
【0020】
方法及び組成物は、本明細書に記載する構成成分及び成分、加えて、他の成分を含むことができる、これらから本質的になることができる、又はこれらからなることができる。本明細書で使用する場合、「から本質的になる」とは、方法及び組成物が追加の工程、構成成分、又は成分を、当該追加の工程、構成成分、又は成分が、特許請求した方法及び組成物の基本的、かつ新規の特徴を実質的に変更しない場合に限り、含むことができることを意味する。
【0021】
食品製品組成物
本明細書に記載の食品製品組成物としては、スクロースを含む栄養甘味料の完全又は部分的な置換として、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む糖減少溶液が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の食品製品組成物は、スクロースを含む、栄養甘味料の完全又は部分的な置換としてアルロースを含む。更なる実施形態では、食品製品組成物は、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液と、デンプンと、水と、を含む。更に他の実施形態では、食品製品組成物は、アルロース、デンプン、及び水を含む。他の実施形態では、食品製品組成物は、アルロースによって完全に置き換えられていない残りの栄養甘味料(すなわち、100%糖減少されていない生成物)、安定化剤、香味剤、及び/又は抽出物、及び/又は他の追加の成分を更に含み得る。例示的な食品製品組成物が表1に示される。
【0022】
【0023】
いくつかの実施形態では、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含むアルロース又は糖減少溶液は、食品製品組成物(例えば、果物調製物又は甘いソース)中の栄養甘味料の使用を置き換えるか、又は実質的に減少させ、これによって、その中に含有される栄養甘味料は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%減少する。例示的な栄養甘味料としては、スクロース、グルコース、フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、デキストロース、様々なDEコーンシロップ、ビート又はケーン糖、糖蜜、マルトース、ハチミツ、及びカエデ糖が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
有益には、栄養甘味料と、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含むアルロース又は糖減少溶液との置換は、安定した食品製品組成物を提供し、生成物は、シネレシスを呈しない。一実施形態では、少なくとも72時間(又はそれ以上)にわたって、冷蔵保存(およそ4℃)に供されたときに、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、アルロース又は糖減少溶液を含有する食品製品は、約5%未満、約4.5%未満、約4%未満、又は約3.5%未満の色のHunter Lスケール測定の測定された増加を有する。別の実施形態では、少なくとも72時間(又はそれ以上)にわたって、冷蔵保存(およそ4℃)に供されたときに、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、アルロース又は糖減少溶液を含有する食品製品は、約3.5%未満の色のHunter Lスケール測定の測定された増加を有する。
【0025】
追加の実施形態では、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含むアルロース又は糖減少溶液を含有する食品製品組成物は、栄養甘味料の少なくとも一部を、アルロース又は糖減少溶液と置き換えることによって、糖の少なくとも25%の減少を有益に提供する。追加の実施形態では、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、アルロース又は糖減少溶液は、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%の糖の減少を提供する。
【0026】
なお更なる実施形態では、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含むアルロース又は糖減少溶液を含有する食品製品組成物は、栄養甘味料の少なくとも一部をアルロース又は糖減少溶液に置き換えることによって、カロリー含有量の少なくとも50%の減少を有益に提供する。追加の実施形態では、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、アルロース又は糖減少溶液での栄養甘味料の置換は、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%のカロリーの減少を提供する。
【0027】
なお更なる実施形態では、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含むアルロース又は糖減少溶液を含有する食品製品組成物は、アルロース又は糖減少溶液によって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%のデンプンの減少を有益に提供する。有益には、デンプンの減少は、食品製造組成物中のデンプンの種類によって限定されない。食品製品組成物中の希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含むアルロース又は糖減少溶液の使用は、粒状デンプン又は改質デンプンを含む様々な種類のデンプンの減少に好適である。
【0028】
希少糖
本明細書に記載の果物調製組成物及び甘いソースを含む食品製品組成物は、希少糖を含み得る。例示的な希少糖としては、限定されないが、アルロース、タガトース、ソルボース(L-ソルボース)、アロース、及びアポイズ(apoise)が挙げられる。これらは、非常に少量で、自然界で見出されるため、例示的な「希少糖」である。例えば、アルロースは、わずか5%のカロリー(およそ0.2kcal/g)で、スクロースの甘さのおよそ70%を付与し、多くの場合、「ゼロカロリー」甘味料であると見なされる。
【0029】
D-タガトース
本明細書に記載される果物調製組成物及び甘いソースを含む食品製品組成物は、希少糖としてタガトース(D-タガトースとしても知られる)を含み得る。タガトースは、低カロリー単糖類、プ前生物的、低血糖希少糖である。D-タガトースは、以下の構造を有する市販の単糖類であり、
【0030】
【0031】
更なる実施形態では、D-タガトースは、食品製品組成物の約5重量%~約90重量%、食品製品組成物の約10重量%~約90重量%、食品製品組成物の約20重量%~約90重量%、又は食品製品組成物の約25重量%~約90重量%を占める。
【0032】
アルロース
果物調製組成物及び甘いソースを含む食品製品組成物は、希少糖としてアルロースを含むことができる。アルロースは、以下の構造を有する市販の単糖類であり、D-フルクトースのC3エピマーである。
【0033】
【0034】
アルロースは、結晶形態で、又は、アルロースを含むシロップの形態で入手可能である。シロップ形態は、様々な量の固形分割合(一般には約60重量%~約90重量%)でアルロースを含む。
【0035】
例示的なアルロース源は、ASTRAEA(登録商標)液体アルロースの商品名にて入手可能であり、95%の純度(乾燥固形分基準、ds又はDS)を有し、固形分は74%である。更なるアルロース源は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは少なくとも99.9%の純度、又は100%純粋なアルロース(アルロース源の総重量を基準として、アルロースの重量%として表現)を有することができる。更なるアルロース源は、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、又はそれ以上の純度割合を有し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、アルロース源は、アルロースの純度レベルに従い測定される、アルロースと、更なる単糖類及び二糖類との混合物である。いくつかの実施形態では、アルロース源は、アルロースと、1種以上の他の糖類、例えば、フルクトースとの混合物であってよい。いくつかの実施形態では、アルロース源は、シロップの乾燥物含有量を基準にして、約85重量%~約95重量%のアルロースと、約5重量%~約15重量%の単糖類及び二糖類と、を含むシロップである。
【0037】
アルロースは、食品製品組成物中の部分的又は完全な置換のいずれでも、栄養甘味料(例えば、スクロース)の単一成分代替物としての使用に好適である。いくつかの実施形態では、アルロースは、栄養甘味料が食品製品組成物中に残存しないような栄養甘味料の完全な置換であり、糖含有量の有益な減少、カロリーの減少、デンプン含有量の減少、及び食品製品組成物のシネレシスなしの安定性の利点を提供する。
【0038】
更なる実施形態では、アルロースは、食品製品組成物の約5重量%~約90重量%、食品製品組成物の約10重量%~約90重量%、食品製品組成物の約20重量%~約90重量%、又は食品製品組成物の約25重量%~約90重量%を占める。
【0039】
キシロオリゴ糖
果物調製組成物及び甘いソースを含む食品製品組成物は、キシロオリゴ糖を含み得る。キシロオリゴ糖としては、キシロトリオース、キシロビオースなどが挙げられる。それらは、糖キシロースのポリマーであり、以下の構造を有する。
【0040】
【0041】
式中、nは、可変数のキシロース単位である。
【0042】
更なる実施形態では、キシロオリゴ糖は、食品製品組成物の約5重量%~約90重量%、食品製品組成物の約10重量%~約90重量%、食品製品組成物の約20重量%~約90重量%、又は食品製品組成物の約25重量%~約90重量%を占める。
【0043】
デンプン
果物調製組成物及び甘いソースを含む食品製品組成物は、デンプンを含み得る。本明細書における「デンプン」の使用は、粒状、アルファ化、又は分散形態であるが、例えば、塊茎、種子、及び果物を含むがこれらに限定されないデンプンを含有する1つ以上の植物器官のうちのいずれかから解放される、アミロース、アミロペクチン、及びそれらの混合物を意味する。本明細書に開示される方法及び組成物において有用なデンプンは、湿式粉砕、乾式粉砕、植物器官の洗浄又は他の処理からの回収、及びそれらの混合を含むが、これらに限定されない、業界で一般的に使用される方法によって、植物器官から得られ得る。デンプンは、タンパク質、繊維などの不純物を含み得るが、食品製品用デンプンは一般に、98重量%超又は99重量%超のデンプンを有する。
【0044】
いずれかの実施形態では、本明細書に記載の食品製品組成物に有用なデンプンは、コーン、タピオカ、ジャガイモ、サツマイモ、サゴパーム、さや(エンドウ、レンチル、ヒヨコマメ、及びソラマメなど)、コメ、コムギ、オートムギ、ライムギ、オオムギ、サゴ、アマランス、クズウコン、ソルガム、及び/又はバナナを含むが、これらに限定されず、前述の高アミロース及び低アミロース変異体、並びにそれらの混合物を含む、任意の好適なデンプン源から得られる。デンプンはまた、ワックス状又は非ワックス状であり得る。
【0045】
「粒状デンプン」の使用は、そうでなければ物理的に、酵素的に、又は化学的に改質されていないデンプンを意味する。粒状デンプンはまた、天然デンプンと称され得る。一実施形態では、粒状デンプンは、アルロースを含有する食品製品組成物に含まれる。粒状デンプンは、デンプン中の分子に化学基を付着させる意図で、又はそのような分子を架橋する意図でデンプンを化学化合物と混合することによって、又は新しい共有結合を生成する同様の化学改質によって、化学的に改質されていないデンプンを含む。更に、粒状デンプンには、酵素的に改質されていないものが含まれ、デンプンの化学組成を改質するために酵素で処理されていることを意味する。本明細書で言及されるように、粒状デンプンは、水を用いて、又は水を用いずに加熱されたものを意味し得る。
【0046】
別の実施形態では、改質デンプンは、希少糖又はキシロオリゴ糖を含有する食品製品組成物に含まれる。「改質デンプン」の使用は、1つ以上の物理的、化学的、又は酵素的反応に供されたデンプンを意味する。例示的であるが非限定的な化学反応としては、ヒドロキシプロピルエーテル、アセテート、アジパート、ホスフェート、スクシネート、例えば、オクテニルコハク酸塩、三級及び四級アミンエーテルが挙げられるが、これらに限定されない、エーテル又はエステルを形成する反応が挙げられる。デンプンはまた、例えば、食品系の、エピクロロヒドリン、直鎖ジカルボン酸無水物、クエン酸アクロレイン、オキシ塩化リン、アジピン酸/酢酸混合酸無水物、及びトリメタリン酸塩を使用して化学的に架橋され得る。デンプンはまた、未改質デンプンよりも一般により短い重合度を有するデンプン誘導体を得るために変換され得る(そのような誘導体化デンプンは、流動性デンプン、又は薄沸点デンプン、又はゲル化デンプンとして特徴付けられ得る)。変換されたデンプンは、例えば、酸加水分解、酸化、酵素変換、熱及び剪断を使用して作製され得る。デンプンはまた、熱抑制(国際公開第95/04082号(1995年2月9日に公開された))、加熱水分処理、焼鈍、及び予備ゼラチン化によるものなどの物理的プロセスを使用して改質され得る。例示的な物理的に改質されたデンプンは、NOVATION PRIMA(登録商標)300デンプン及びNOVATION ENDURA(登録商標)0100デンプン(Ingredion Inc、Westchester,IL)として販売されているものなどの物理的に改質されたワックス状コーンデンプンである。
【0047】
有益なことに、様々な粒状及び改質デンプンは、栄養甘味料の少なくとも一部(例えば、スクロース)を置き換える、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、アルロース又は糖減少溶液として、食品製品組成物に含まれ得、様々な種類のデンプンを使用して製品におけるシネレシスによって測定される、少なくとも同等又は改善された安定性を提供する。特定の作用機構に限定されるものではないが、アルロース(スクロースと比較して)は、例えば、水に対してデンプンとより少なく競合し、それによって、デンプンがより完全に調理され(すなわち、より高い程度のデンプンゼラチン化)、組成物の粘度を高めることができる。
【0048】
更なる実施形態では、デンプンは、食品製品組成物の約0.1重量%~約10重量%、食品製品組成物の約0.5重量%~約10重量%、食品製品組成物の約1重量%~約5重量%を占める。本明細書に記載の実施形態では、食品製品組成物は、スクロース若しくは他の栄養甘味料を置き換え、かつアルロース又は糖減少溶液との置換の前の全糖食品組成物と比較して、増加した粘度を有する安定化組成物を提供する、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、アルロース又は糖減少溶液の結果として、減少した糖を有益に有し得る。特定の作用機構に限定されるものではないが、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含むアルロース又は糖減少溶液食品製品組成物を食品製品組成物に含むことは、より高い粘度を生成し、それによって、組成物に添加される必要のあるデンプンの量を減少する。
【0049】
水
本明細書に記載の食品製品組成物は、水を含有する。一実施形態では、水は、食品製品組成物の約5重量%~約60重量%、食品製品組成物の約10重量%~約60重量%、食品製品組成物の約10重量%~約50重量%、又は食品製品組成物の約15重量%~約50重量%を占める。
【0050】
追加の成分
食品製品組成物は、任意選択的に、追加の成分を含み得る。追加の成分の存在は、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含むアルロース又は糖減少溶液で置き換えられた栄養甘味料の一部又は全部を有する食品製品組成物の種類に基づいて変動するであろう。
【0051】
例示的な追加の成分としては、例えば、残りの栄養甘味料(希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、アルロース又は糖減少溶液によって完全に置き換えられていない任意の部分);非栄養甘味料、部分栄養甘味料、香味剤、抽出物(例えば、バニラ及び果物香味料)及び/又は香味液;増量剤(例えば、マルトデキストリン、ポリデキストロース、キサンタンガム、グアーガム、任意の種類のグルコースシロップ、任意の種類の可溶性繊維、イヌリン、ポリオールなど);着色添加剤、防腐剤、酸化防止剤、果物(全体、賽の目切り、すり潰し、ピューレ、濃縮物など)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、任意選択的な追加の成分は、使用される場合、食品製品組成物の40重量%、35重量%、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、又は5重量%を超えるものを集合的に構成しない。
【0052】
部分栄養甘味料及び繊維
食品製品組成物は、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含むアルロース又は糖減少溶液が、スクロースなどの栄養甘味料を完全に置き換えない実施形態における、糖置換システムとして、部分栄養(すなわち、低カロリーの)甘味料及び繊維を含み得る。部分栄養甘味料の例としては、スクロース、ショ糖、フルクトース、グルコース、グルコースーフルクトースシロップ、メープルシロップ、ハチミツ、糖蜜、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ロイクロース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン(例えば、a-シクロデキストリン、P-シクロデキストリン、及びy-シクロデキストリン)、リブロース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース又はイソマルツロース、エリスロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、ツラノース、セロビオース、グルコサミン、マンノサミン、フコース、フクロース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオースなど)、ガラクトオリゴ糖、ソルボース、ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン(dehydroxyacetone))、アルドトリオース(グリセルアルデヒド)、ニゲロ-オリゴ糖、フルクトオリゴ糖(ケストース、ニストースなど)、マルトテトラオース、マルトトリオール、四糖、マンナン-オリゴ糖、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなど)、デキストリン、ラクツロース、メリビオース、ラムノース、リボース、異性化された液糖(例えば、高フルクトースコーン/デンプンシロップ(HFCS/HFSS))(例えば、HFCS55、HFCS42、又はHFCS90)、カップリング糖、大豆オリゴ糖、グルコースシロップ、並びに前述のいずれかの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0053】
例示的な低カロリー甘味料としては、ポリオールが挙げられる。「ポリオール」という用語は、本明細書で使用する場合、2個以上のヒドロキシル基を含有する分子を指す。ポリオールは、それぞれ2個、3個、及び4個のヒドロキシル基を含有するジオール、トリオール、又はテトラオールであってもよい。ポリオールはまた、それぞれ5個、6個、又は7個のヒドロキシル基を含有するペンタオール、ヘキサオール、ヘプタオールなどの、5個以上のヒドロキシル基を含有してもよい。加えて、ポリオールはまた、糖アルコール、多価アルコール、又は炭水化物の還元形態であるポリアルコールであってもよく、カルボニル基(アルデヒド又はケトン、還元糖)は、一級又は二級ヒドロキシル基に還元されている。ポリオールの例としては、エリトリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、プロピレングリコール、グリセロール(グリセリン)、トレイトール、ガラクチトール、パラチノーゼ、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元マルトースシロップ、還元グルコースシロップ、及び糖アルコール、又は甘味料組成物の味に悪影響を及ぼさない還元可能な任意の他の炭水化物が挙げられる。
【0054】
非栄養甘味料
食品製品組成物は、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、アルロース又は糖減少溶液と組み合わせて、非栄養甘味料を任意選択的に含み得る。非栄養甘味料(例えば、高効力甘味料)は、食品製品組成物に含まれて、糖含有量の更なる有益な減少及びカロリー含有量の減少を提供することができる。例示的な非栄養甘味料(すなわち、ゼロカロリー甘味料)としては、高効力甘味料を含む天然及び人工甘味料が挙げられる。
【0055】
例示的な天然非栄養甘味料としては、生で、抽出されて、精製されて、又は任意の他の形態で(例えば、発酵、バイオ変換を介して)、単独で、又はそれらの組み合わせであり得、特徴的に、スクロース、フルクトース、又はグルコースよりも大きい甘味効力を有し得る、自然界において見出されるものが挙げられる。天然ゼロカロリー甘味料の非限定的な例としては、レバウジオシドA(Reb A)、レバウジオシドB(Reb B)、レバウジオシドC(Reb C)、レバウジオシドD(Reb D)、レバウジオシドD2(Reb D2)、レバウジオシドD4(Reb D4)、レバウジオシドE(Reb E)、レバウジオシドF(Reb F)、レバウジオシドG(Reb G)、レバウジオシドH(Reb H)、レバウジオシドI(Reb I)、レバウジオシドJ(Reb J)、レバウジオシドK(Reb K)、レバウジオシドL(Reb L)、レバウジオシドM2(Reb M2)、レバウジオシドM(Reb M)(REB Xとしても知られる)、レバウジオシドN(Reb N)、レバウジオシドO(Reb O)、レバウジオシドS(Reb S)、レバウジオシドT(Reb T)、レバウジオシドU(Reb U)、レバウジオシドV(Reb V)、レバウジオシドW(Reb W)、レバウジオシドZl(Reb Z1)、レバウジオシドZ2(Reb Z2)、及び酵素でグルコシル化されたステビオール・グリコシドを含む、ステビオール・グリコシド;アミノ酸、トリプトファン、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ドルコシドA、ズルコシドA、ズルコシドB、ステビア、ステビオシド、モグロシド、モグロシドIV、モグロシドV、モグロシドVI、イソモグロシドV、グロスモモシド、ネオモグロシド、シアメノシド、Luo Han Guo甘味料、羅漢果、シアメノシド、モナチン及びその塩類(モナチンSS、RR、RS、SR)(クルクリン、グリチルリジン酸及びその塩類)、ソウマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルシン、フィロズルチン、グリシフィリン、フロリドジン、トリロバチン、バイユノシド、オスラジン、ポロポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、ムクロジオシド、フロミソシドI、ペリアンドリンI、アブルソシドA、並びにシクロカリオシドIが挙げられる。天然高効力甘味料としては、改質天然高効力甘味料も挙げられる。
【0056】
追加の例示的な合成ゼロカロリー(すなわち、高効力)甘味料の非限定的な例としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、シクラメート、ネオテーム、アドバンテーム、N-[N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)プロピル]-L-a-アスパルチル]-LフェニルアラニンI-メチルエステル、N-[N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-3-メチルブチル]-L-a-アスパルチル]-LフェニルアラニンI-メチルエステル、N-[N-[3-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロピル]-L-a-アスパルチル]-LフェニルアラニンI-メチルエステル、これらの塩などが挙げられる。合成高効力甘味料はまた、改質された合成高効力甘味料を含む。
【0057】
食品製品
食品製品組成物は、糖及び/又はカロリー含有量の減少及びシネレシスの排除を必要とする食品製品に更に配合され得る。有益なことに、様々な食品製品は、スクロースを含む栄養甘味料の全て又は一部を置き換えるために、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含むアルロース又は糖減少溶液の使用から利益を得ることができる。更なる利点として、食品製品組成物は、追加の又は広範な処理工程なしで食品を作製するための既知のプロセスに容易に組み込まれ得る。例えば、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む水、デンプン、及びアルロース又は糖減少溶液は、デンプン含有食品製品を調理又は官能化するための従来の工程を使用して調理することができる。
【0058】
例示的な食品製品としては、例えば、果物調製物;甘いソース(例えば、BBQソース、ケチャップ、チョコレートソース);糖菓(ジャム及びゼリーを含む);ドレッシング;代替乳製品、ヨーグルト(例えば、ブレンドされたもの、底部にある果物、フリップ)、及び非乳製品(例えば、ヨーグルト)を含む乳製品などが挙げられる。一実施形態では、果物調製物は、ヨーグルトなどの乳製品に含有される。本明細書で言及されるように、乳製品は、クリーム、全乳、脱脂乳、乳固形物、加糖練乳、又はそれらの任意の組み合わせ、具体的にはクリームと脱脂乳の組み合わせを含む任意の種類の乳製品を含む。乳製品は、一般に、ある量の乳製品、例えば、ベータ-ラクトグロブリン、アルファ-ラクトアルブミン、又は血清アルブミンを含有するホエイタンパク質などを含む。いくつかの実施形態では、乳製品は、大豆乳、大豆タンパク質、アーモンドミルク、ココナツミルク、又はそれらの任意の組み合わせなどの量の非乳製品成分で置き換えられ得る。
【0059】
本開示によって企図される主題は、以下の付番した実施形態に記載される。
1. 食品製品組成物であって、アルロースと、デンプンと、水と、を含み、アルロースが、栄養甘味料の部分的又は完全な置換であり、食品製品が、安定であり、約5%未満の色のHunter Lスケール測定の増加によって測定される場合、少なくとも2週間にわたって冷蔵保存でシネレシスを呈さず、食品製品が、アルロースによって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、糖、カロリー、及び/又はデンプンの減少を有する、食品製品組成物。
【0060】
2. アルロースが、
少なくとも約85%のアルロース及び約15%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、少なくとも約90%のアルロース及び約10%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、又は少なくとも約95%のアルロース及び約5%の他の単糖類及び/若しくは二糖類を含む、液体シロップである、実施形態1に記載の組成物。
【0061】
3. 組成物が、
約40重量%未満の栄養甘味料、約35重量%未満の栄養甘味料、約30重量%未満の栄養甘味料、約25重量%未満の栄養甘味料、約20重量%未満の栄養甘味料、約15重量%未満の栄養甘味料、約10重量%未満の栄養甘味料、約5重量%未満の栄養甘味料、又は約1重量%未満の栄養甘味料を有する、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0062】
4. 組成物が、
スクロースを含まないか、又はいかなる栄養甘味料も含まない、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
【0063】
5. デンプンが、
コムギ、コメ、コーン、オートムギ、ライムギ、オオムギ、タピオカ、サゴ、アマランス、クズウコン、ソルガム、エンドウ、レンチル、バナナ、ジャガイモ、サツマイモ、及び/又はタピオカ源からの化学的又は物理的に改質されたデンプンである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【0064】
6. 改質デンプンが、物理的に
改質ワックス状コーンデンプンである、実施形態5に記載の組成物。
【0065】
7. 少なくとも
1つの追加の成分を更に含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
【0066】
8. 栄養
甘味料が、スクロース、グルコース、グルコースシロップ、イソグルコース、フルクトース、グルコース-フルクトースシロップ、マルトース、ラクトース、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、糖蜜、ハチミツ、アガーベ、又はそれらの混合物を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物。
【0067】
9. 栄養甘味料が、スクロースである、実施形態8に記載の組成物。
【0068】
10. 食品製品が、
アルロースによって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも25%の糖減少、少なくとも50%の糖減少、少なくとも75%の糖減少、又は100%の糖減少を有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物。
【0069】
11. 食品製品が、
アルロースによって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも20%のカロリー減少、少なくとも30%のカロリー減少、少なくとも40%のカロリー減少、50%のカロリー減少、少なくとも60%のカロリー減少、少なくとも70%のカロリー減少、又は少なくとも80%のカロリー減少を有する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物。
【0070】
12. 食品製品が、
アルロースによって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも5%のデンプン減少を有する、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組成物。
【0071】
13. 食品製品が、
果物調製物、甘いソース、糖菓(例えば、ジャム及びゼリー)、又はドレッシングである、実施形態1~12のいずれか1つに記載の組成物。
【0072】
14. 果物調製物が、甘味ヨーグルト(乳製品及び/又は非乳製品)に使用される、実施形態13に記載の組成物。
【0073】
15. 追加の非栄養又は部分的栄養甘味料を更に含む、実施形態13に記載の組成物。
【0074】
16. 組成物中のシネレシスを減少させるためのアルロース含有食品製品の使用であって、
食品製品中の栄養甘味料の少なくとも一部をアルロースと置き換えることと、約5%未満の色のHunter Lスケール測定の増加によって測定される場合、少なくとも2週間にわたって冷蔵保存条件下でシネレシスを呈さない、安定した食品製品組成物を形成することと、を含む、使用。
【0075】
17. 組成物中のデンプン含有量を減少させるためのアルロース含有食品製品の使用であって、
栄養甘味料の少なくとも一部をアルロースと置き換えることと、シネレシスを呈さず、より高く安定した粘度を維持する安定した食品製品を形成し、それによって組成物中に必要な重量%のデンプンを減少させることと、を含む、使用。
【0076】
18. アルロースが、
少なくとも約85%のアルロース及び約15%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、少なくとも約90%のアルロース及び約10%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、又は少なくとも約95%のアルロース及び約5%の他の単糖類及び/若しくは二糖類を含む、液体シロップである、実施形態16又は17に記載の使用。
【0077】
19. アルロースが、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、又は100%の栄養甘味料を置き換え、栄養甘味料が、スクロースを含む、実施形態16~18のいずれか1つに記載の使用。
【0078】
20. デンプンが、コムギ、コメ、コーン、オートムギ、ライムギ、オオムギ、タピオカ、サゴ、アマランス、クズウコン、ソルガム、エンドウ、レンチル、バナナ、ジャガイモ、サツマイモ、又はタピオカ源からの化学的又は物理的に改質されたデンプンである、実施形態16~19のいずれか1つに記載の使用。
【0079】
21. 改質デンプンが、物理的に
改質ワックス状コーンデンプンである、実施形態20に記載の使用。
【0080】
22. 食品製品が、アルロースによって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも25%の糖減少、少なくとも50%の糖減少、少なくとも75%の糖減少、又は100%の糖減少を有し、食品製品が、アルロースによって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも20%のカロリー減少、少なくとも30%のカロリー減少、少なくとも40%のカロリー減少、少なくとも50%のカロリー減少、少なくとも60%のカロリー減少、少なくとも70%のカロリー減少、又は少なくとも80%のカロリー減少を有する、実施形態16~21のいずれか1つに記載の使用。
【0081】
23. 食品製品が、アルロースによって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも5%のデンプン減少を有する、実施形態17~22のいずれか1つに記載の使用。
【0082】
24. 食品製品が、果物調製物、甘いソース、糖菓(例えば、ジャム及びゼリー)、又はドレッシングである、実施形態16~23のいずれか1つに記載の使用。
【0083】
25. 果物調製物が、甘味ヨーグルト(乳製品及び/又は非乳製品)に使用される、実施形態24に記載の使用。
【0084】
本開示によって更に企図される主題は、以下の付番した実施形態に記載される。
1. 食品製品組成物であって、
希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液と、
デンプンと、
水と、を含み、
糖減少溶液が、
栄養甘味料の部分的又は完全な置換であり、デンプンが、粒状又は改質されたデンプンであり、食品製品が、安定であり、約5%未満の色のHunter Lスケール測定の増加によって測定される場合、少なくとも2週間にわたって冷蔵保存でシネレシスを呈さず、食品製品が、糖減少溶液によって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、糖、カロリー、及び/又はデンプンの減少を有する、食品製品組成物。
【0085】
2. 糖減少溶液が、約5重量%~約90重量%の食品製品組成物を含む、実施形態1に記載の組成物。
【0086】
3. 希少糖が、アルロース又はタガトースである、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0087】
4. アルロースが、
少なくとも約85%のアルロース及び約15%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、少なくとも約90%のアルロース及び約10%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、又は少なくとも約95%のアルロース及び約5%の他の単糖類及び/若しくは二糖類を含む、液体シロップである、実施形態3に記載の組成物。
【0088】
5. 組成物が、約40重量%未満の栄養甘味料、約35重量%未満の栄養甘味料、約30重量%未満の栄養甘味料、約25重量%未満の栄養甘味料、約20重量%未満の栄養甘味料、約15重量%未満の栄養甘味料、約10重量%未満の栄養甘味料、約5重量%未満の栄養甘味料、又は約1重量%未満の栄養甘味料を有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【0089】
6. デンプンが、
コムギ、コメ、コーン、オートムギ、ライムギ、オオムギ、タピオカ、サゴ、アマランス、クズウコン、ソルガム、エンドウ、レンチル、バナナ、ジャガイモ、サツマイモ、及び/又はタピオカ源からの化学的又は物理的に改質されたデンプンであり、任意選択的に、組成物が、少なくとも1つの追加の成分を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【0090】
7. 食品製品が、糖減少溶液によって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも25%の糖減少、少なくとも50%の糖減少、少なくとも75%の糖減少、若しくは100%の糖減少を有し、かつ/又は食品製品が、糖減少溶液によって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも約20%のカロリー減少、少なくとも約30%のカロリー減少、少なくとも40%のカロリー減少、50%のカロリー減少、少なくとも60%のカロリー減少、少なくとも70%のカロリー減少、若しくは少なくとも80%のカロリー減少を有し、かつ/又は、食品製品が、糖減少溶液によって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも5%のデンプン減少を有する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
【0091】
8. 栄養
甘味料が、スクロース、グルコース、グルコースシロップ、イソグルコース、フルクトース、グルコース-フルクトースシロップ、マルトース、ラクトース、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、糖蜜、ハチミツ、アガーベ、又はそれらの混合物を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物
【0092】
9. 栄養甘味料が、スクロースである、実施形態8に記載の組成物。
【0093】
10. 組成物は、スクロースを含まないか、又はいかなる栄養甘味料も含まない、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物
【0094】
11. 該組成物が、果物調製物、甘いソース、糖菓(例えば、ジャム及びゼリー)、又はドレッシング組成物である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物。
【0095】
12. 実施形態1~11のいずれか1つに記載の食品製品組成物を含む、食品製品又は甘味乳製品/非乳製品ヨーグルト。
【0096】
13. 組成物中のシネレシスを減少させるための、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液の使用であって、食品製品中の栄養甘味料の少なくとも一部を、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む糖減少溶液と置き換えることと、約5%未満の色のHunter Lスケール測定の増加によって測定される場合、少なくとも2週間にわたって冷蔵保存条件下でシネレシスを呈さない、安定した食品製品組成物を形成することと、を含む、使用。
【0097】
14. 組成物中のデンプン含有量を減少させるための、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む、糖減少溶液の使用であって、食品製品中の栄養甘味料の少なくとも一部を、希少糖、キシロオリゴ糖、又はそれらの組み合わせを含む糖減少溶液と置き換えることと、シネレシスを呈さず、より高く安定した粘度を維持する安定した食品製品を形成し、それによって組成物中に必要な重量%のデンプンを減少させることと、を含む、使用。
【0098】
15. 希少糖が、
アルロース又はタガトースである、実施形態13又は14に記載の使用。
【0099】
16. 糖減少溶液が、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、又は100%の栄養甘味料を置き換え、栄養甘味料が、スクロースを含む、実施形態13~15のいずれか1つに記載の使用。
【0100】
17. デンプンが、
デンプンが、コムギ、コメ、コーン、オートムギ、ライムギ、オオムギ、タピオカ、サゴ、アマランス、クズウコン、ソルガム、エンドウ、レンチル、バナナ、ジャガイモ、サツマイモ、又はタピオカ源からの粒状デンプン又は化学的若しくは物理的に改質されたデンプンであり、かつ/あるいは改質されたデンプンが、物理的に改質されたワックス状コーン又はタピオカデンプンである、実施形態13~16のいずれか1つに記載の使用。
【0101】
18. 食品製品が、糖減少溶液によって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも25%の糖減少、少なくとも50%の糖減少、少なくとも75%の糖減少、又は100%の糖減少を有し、食品製品が、糖減少溶液によって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも20%のカロリー減少、少なくとも30%のカロリー減少、少なくとも40%のカロリー減少、少なくとも50%のカロリー減少、少なくとも60%のカロリー減少、少なくとも70%のカロリー減少、若しくは少なくとも80%のカロリー減少を有し、かつ/又は食品製品が、糖減少溶液によって置き換えられた栄養甘味料を有しない全糖食品製品と比較して、少なくとも5%のデンプン減少を有する、実施形態13~17のいずれか1つに記載の使用。
【0102】
19. 食品製品組成物が、果物調製物、甘いソース、糖菓(例えば、ジャム及びゼリー)、又はドレッシング組成物である、実施形態13~18のいずれか1つに記載の使用。
【0103】
20. 果物調製組成物が、甘味乳製品又は非乳製品ヨーグルトに使用される、実施形態19に記載の使用。
【実施例】
【0104】
上に記載した実施形態を、以下の非限定的実施例で更に定義する。これらの実施例は、本発明の様々な実施形態を記載するものの、例示の目的のみで提供されていることが理解されるべきである。上記議論及びこれらの実施例より、当業者は本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態を変更及び修正し、実施形態を種々の使用及び条件に適応させることができる。したがって、本明細書に記載の実施形態の種々の修正が、本明細書にて示し、かつ記載するものに加えて、前述の記載から当業者には明らかとなろう。そのような修正は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって包含されることも意図される。本明細書に記載の明細書及び実施例、又は以下の特許請求の範囲、又は添付図面に、具体的な形態で、又は開示した機能、若しくは開示した結果を得るための方法若しくはプロセスを適宜実施するための手段の観点から表現した特徴は、個別に、又はそのような特徴の任意の組み合わせで、様々な形態において、本発明を実現するために利用することができる。
【0105】
以下の実施例1~3で分析されたバニラ果物調製配合物を、表2に従って作製した。液体アルロース希少糖を有する3つの配合物を、50%、70%、及び100%の糖減少(SR)レベルで生成した(全糖対照と比較して)。配合物を、使用した液体アルロースの固形分%(純度95%及び固形分74%を使用した液体アルロース)を占めるように調整した。対照配合物は、50%のスクロース、及び5.25%のNOVATION PRIMA(登録商標)300の物理的に改質された天然デンプン(ワックス状コーンデンプン)を有した。デンプンのプロセス条件及び量は、デンプンを用いて良好な調理品質(すなわち、所望の粘度を提供する完全に膨潤したデンプン顆粒)を得るために設計された。バニラ果物調製配合物に使用されるデンプンは、凍結及び冷蔵食品製品に特に適した低温保存条件に対する非常に良好な凍結/解凍安定性及び耐性を有する。また、中性又は低pH条件での高温及び剪断食品加工にも好適である。
【0106】
【0107】
バニラ果物調製物の調製
最初に、バニラ果物調製配合物を、水、デンプン、及び半分の糖を調理し、続いてもう半分の糖を添加することによって調製した。減少糖果物調製配合物に液体アルロースを含めることにより、デンプン調理中に使用される水の総量は、全糖及び減少糖配合物間で異なり、デンプンの調理品質に影響を及ぼし、これにより、調製される果物調製物の粘度に影響を及ぼす。デンプン調理品質は、表4に記載される配合物1~4の各々において「良好な調理」が得られることを可能にするデンプン調理中に初期量の水を添加することによって標準化し、25.96%は、必要最小量の水であった。結果として、25.96%の水(初期水添加)、ソルビン酸カリウム、及びデンプンを、27分、185°F、及び1の剪断設定に設定したTHERMOMIX(登録商標)ミキサー(Vorwerk International AG、Wuppertal,Germany)中で調理した。糖(存在する場合、糖及び液体アルロースを含む)を大きなビーカーで組み合わせた。配合物に含まれる残りの水を温め、大きなビーカー中の糖に添加し、その後、更に1.5分間マイクロ波で穏やかに温めた。デンプンを調理し終えたとき、クエン酸をTHERMOMIX(登録商標)ミキサーに添加し、それを、温度設定なしで、かつ0.5の剪断設定で4分に設定した。糖/水混合物を、作動中のTHERMOMIX(登録商標)に非常にゆっくりと添加した。続いて得られた混合物を大きなボウルに注ぎ、バニラを添加し、30秒間穏やかに泡立てて滑らかな粘稠度を生成し、結果として得られた生成物を冷蔵した。
【0108】
実施例1
色変化及びシネレシスについての冷蔵保管下の希少糖アルロースを含有する果物調製物の特徴付け
表2の果物調製組成物は、色の変化について視覚的かつ定量的に評価された。目視観察を記録し、24時間、2週間、5週間、及び12週間で、果物調製組成物の写真を採取した(
図1A~
図1D(24時間)、
図2A~
図2D(2週間)、
図3A~
図3D(5週間)、及び
図4A~
図4D(12週間)に示されるように)。
図1A~
図1Dに示されるように、24時間でアルロースを含有する、全糖と糖減少(SR)果物調製物との間で、色の違いは観察されなかった。
図2A~
図2Dに示されるように、2週間冷蔵保存すると、全糖果物調製物(
図2A)は、わずかにより明るい色(シネレシスの指標として)を表示し始め、一方、SR果物調製物を含有するアルロースには色の変化は見られなかった(
図2B~
図2D)。
図3Aは、全糖果物調製物中の更なる色の変化(シネレシス)及び5週間の水分離を示し、
図4Aは、12週間で更に多くの色の変化及びゲル化及びより多くの水蓄積(シネレシス)を示したが、アルロースを用いたSR果物調製物は5週間で安定したままであった(
図3B~
図3D)及び12週間(
図4B~4D)。
【0109】
目視観察された色の変化は、定量的L、a、b色測定によって確認された(
図5及び表3)。定量分析は、ColorQuest XE(Hunter Lab)で実施し、試料を室温に平衡化した後に分析を完了した。「L」値は明度を表し、「a」は緑色/赤を表し、「b」は青色/黄色を表す。24時間において、全ての試料の定量的色に見られる差はない。2週間で、全糖果物調製物L値が増加し、b値が減少した。この効果は、シネレシスのために5週間継続した。有益には、SR果物調製物を含有する全てのアルロースは、12週間の期間にわたって色が安定したままであった。
【0110】
図5及び表3では、L値は、全糖対照の12週間の期間にわたって有意に増加し、試料の目視色変化及びシネレシスを示す。比較すると、アルロースを用いたSR果物調製物は、同じL値の増加を呈さなかった。アルロースを有する50%SR果物調製物のみが、12週間の期間にわたって3.3%のL値増加を呈した。シネレシス(L値増加)は、最初の2週間に生じなかった。全糖対照は、2週間の期間にわたって6.5%のL値増加を呈した。70%及び100%のSR果物調製物は、12週間全体にわたってL値の増加を示さず、糖含有量をアルロースと置き換えることは、シネレシスの減少又は排除をもたらすことを実証している。
【0111】
【0112】
実施例2
粘度、水活性、及びアルロース含有量についての冷蔵保存下の希少糖アルロースを含有する果物調製物の特徴付け
表2の果物調製組成物を、経時的な粘度及び組成物の水活性について分析した。最初に、冷蔵温度で保存されたバニラ果物調製物の粘度を、24時間、2週間、5週間、8週間、及び12週間で測定した。分析は、Spindle T-B、10RPMを使用してRV Brookfield粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.)で実施した。試料を室温に、30秒のマークで平衡化した後、データを収集した。全糖及びSR果物調製物の粘度が
図6及び表4に示される。
【0113】
【0114】
24時間で、アルロースによるSR果物調製物の粘度は、全糖果物調製物の粘度よりも高かった。5週目の全糖果物調製物は、有意なシネレシスを経験したため、粘度測定は、5週目を超えて実施できなかった。24時間~2週間の粘度の低下は、全糖対照試料における経時的なシネレシス発生によるものであろう。アルロースを有する100%及び70%のSR果物調製物の両方は、12週間の冷蔵保存にわたって安定したままであった。アルロースを含む50%SR果物調製物は、経時的にわずかな粘度減少を実証し、これもまた、L値の増加を有する実施例1で確認された、より少ない量で、全糖試料と同様のシネレシスを開始する傾向を有するであろうかなりの量の糖を含有した。
【0115】
SR果物調製組成物の更なる利益として、全糖対照と比較して、アルロース含有試料においてより高い粘度を有する同じデンプンレベルで、全糖対照の粘度を一致させるためのより少ないデンプンを配合する機会を提供する。全糖対照の粘度を一致させるための例示的な果物調製配合物は、全糖対照の粘度と一致するように、物理的に改質されたデンプンの4.875%のみ(全糖対照における5.25%とは対照的に)を必要とし、アルロース含有果物調製物で使用されるデンプンの少なくとも7%の減少を実証した。
【0116】
冷蔵温度で保存されたバニラ果物調製物の水活性もまた、24時間、2週間、5週間、8週間、及び12週間で測定した。試料を室温に平衡化した後、ROTRONIC(登録商標)Hygrolab水活性インジケータ(Rotronic Instrument Corp.)で分析を実施した。
図7及び表5は、果物調製物試料の水活性を示す。アルロース含有SR果物調製物は、全糖果物調製物と比較してわずかに低い水活性を有し、組成物の微生物安定性の利点も実証した。全体として、アルロースを含有する試料中の12週間の冷蔵保存にわたる水活性の顕著な変化はなかった。
【0117】
【0118】
アルロース含有試料は、全糖組成物と比較して安定した粘度及び低水活性の両方を実証し、より良好な水保持能力を実証する(すなわち、アルロース含有SR組成物において水分離が起こらない)。
【0119】
表6に示されるように、保存時間(12週間)にわたるアルロース含有量も監視した。試料のpHは4.7~4.8の範囲であり、12週間の研究の期間中にアルロース含有量の変化は観察されず、試験したpH条件でアルロースが安定していることを示している。
【0120】
【0121】
実施例3
希少糖アルロースを含有する果物調製物のカロリー及び糖減少
表7は、アルロース含有果物調製物のカロリー及び糖の減少率を示す。糖減少には、増加した/全糖含有量としてのアルロースを含めない。有益には、50~100%の糖減少レベルでアルロースを使用することにより、配合物中の最大81%のカロリー減少が提供される。
【0122】
【0123】
実施例4
色変化及びシネレシスについての冷蔵保管下の希少糖アルロース(100%糖再配置として)及び様々なデンプンを含有する果物調製物の特徴付け
実施例1~3は、アルロース含有試料が冷蔵保存条件下でシネレシスを呈さないが、全糖試料が同じ時間枠内で有意なシネレシスを呈したことを実証する。アルロースの固有のシネレシス利益が単一種類のデンプンに限定されないことを示すために、様々なデンプンの使用を評価するために追加の研究に着手した。ワックス状コーンデンプンNOVATION PRIMA(登録商標)300デンプンを含有する表2の果物調製組成物を改質して、表9のバニラ果物調製物における表8の追加のデンプンを評価した。異なる化学的及び阻害レベルのために、デンプンの使用レベルを調整し(5%~6%で評価して)、デンプンを適切に調理した。化学的に改質されたデンプンを5%で使用し、6%のより高い使用レベルを必要とするNOVATION(登録商標)8300(ワックス状米系)デンプンを除いて、全てのNOVATION(登録商標)型物理的改質デンプンを5.25%で使用した。
【0124】
【0125】
【0126】
物理的に改質されたワックス状コーンデンプンを使用して、実施例1~3について上記で概説したバニラ果物調製物を調製するための手順を修正した。実施例1~3では、デンプンを5.25%で使用し、185°F、剪断1.0で調理した。液体アルロースは、50%、70%、及び100%の糖減少レベルで使用されたため、使用される遊離水の量は、配合物中で全て異なっていた。デンプンの調理品質を標準化するために、システム内の利用可能な水の量が、デンプンの調理品質(特に、利用可能な水に対してデンプンと競合する糖及び他の成分の存在下で)に影響を及ぼすため、実施例1~3で利用されるデンプン(NOVATION PRIMA(登録商標)300デンプン)を、最初に一定量の遊離水で調理した。デンプンを完全に調理した後(同じ程度の調理)、全ての糖及び/又は液体アルロースを添加し、混合した。
【0127】
表9に示されるように、様々なデンプンを、アルロースを用いて100%の糖減少レベルで試験した。使用されるデンプンの異なる化学的性質及び改質レベルのために、手順のための異なる標準化が必要であった。例えば、化学的に改質されたデンプンは、より高いゼラチン化温度を有し、これにより、調理されたデンプンが少なくなり、シネレシスが生じる可能性がある。
【0128】
図7は、実施例の調製方法に様々な修正を概説する。1つの実証は、温度(195
°F)及び剪断(2.0)の両方を増加させ、配合物中の糖の半分の存在(25%)下でデンプンを調理することによって行われた。しかし、CLEARJEL(登録商標)デンプン(化学的改質デンプンである)を有する全糖対照は、完全に調理されないだろう。以下の写真に見られるように、良好に調理されていない場合、透明な果物調製物を得ることは不可能であり、次いで、そこから、シネレシスが急速に発生するであろう。糖は、25%の糖の存在から見られるように、デンプンゼラチン化中に水を競合するため、実施例について、糖量は、デンプン調理中に5%に減少した。重要な観察結果は、100%の糖減少レベルでアルロースであり、
図8(列A)と同じ調理条件で、十分に調理されたデンプン及び透明な果物調製物が得られたことである(
図8(列B)。これは、アルロースが糖と同様にデンプンと競合しなかったことを実証しており、デンプンが、成功裏にゼラチン化し、調理して、成功した果物調製物を形成することを可能にする。
【0129】
元の調理条件(185°F、剪断1.0)を使用して、5%の糖(又はアルロース、d.b.)の存在下でデンプンを調理することは、CLEARJEL(登録商標)デンプンが依然として完全に調理されず、フィッシュアイThermomix中に残したであろうことを示した(
図8(列C)。1.0の剪断、及び5%の糖添加を依然として維持しながら、温度を195
°Fに増加させることで、デンプンをより完全に調理した(
図8(列D)。同じ調理条件を使用してアルロースを評価すると、同様のデンプン調理
図8(列E)が得られた。この手順では、CLEARJEL(登録商標)デンプンのようなより高いゼラチン化温度を有するデンプンでさえも、適切に調理することができるであろうと定められた。使用されるデンプンに関係なく、よく調理された透明な果物調製物から始め、保存にわたる合成/ゲル形成を観察することで、保存安定性(シネレシスへの)糖とアルロースの効果の間の比較を行うことが可能となった。
【0130】
図8に示されるこれらの初期評価に基づいて、デンプンの変動のための改質された果物調製手順を以下に列挙し、本実施例及び以下の実施例におけるデンプン及び甘味料成分の両方の評価に使用した。改質果物調製手順:
1. ビーカー中の特定の量の初期水、ソルビン酸カリウム、及びデンプンを量り入れ、THERMOMIX(登録商標)ミキサー(すでにミキサー内に混合ブレードを有する)に移動した。この特定の量の水は、5%デンプンの場合、配合物全体の28.5%であり、5.25%デンプンの場合、28.3%、6%デンプンの場合、27.5%である。液体アルロース(74%固形分)を使用する場合、液体アルロースを介していくらかの量の水が含まれているため、遊離水量は、水の総量を28.5%になるように反映し(それは、アルロースなどの配合物の他の成分中の水分含有量に加えて、配合物に添加された遊離水を含み(5%デンプンの場合(表9の配合物中26.8%の水)))、水の総量を28.3%になるように反映し(5.25%のデンプンの場合(表9の配合物中26.5%の水))、水の総量を27.5%になるように反映した(6%のデンプンの場合(表9の配合物中25.8%の水))。デンプン調理部分中に存在する全水量をこの方法で標準化して、全水がデンプンの調理及びシネレシスに影響を与えるため、全糖とアルロース含有試料との間で成功したデンプンゼラチン化を得る。
【0131】
2. 5%の糖(又はアルロース、d.b.)を液体アルロースのTHERMOMIX(登録商標)ミキサーに添加し、THERMOMIX(登録商標)ミキサーに直接事前に計り入れた後、工程1でデンプンスラリーを添加する。
【0132】
3. THERMOMIX(登録商標)ミキサーパラメーターを27分、195°F、1.0の剪断設定に設定し、ミキサーを開始する。
【0133】
4. バニラ及びクエン酸を量り入れ、取っておく。
【0134】
5. 残りの量の糖(45%)(又はアルロース、d.b.)を大きなビーカーに量り入れ、取っておく。
【0135】
6. 全糖対照試料については、配合物中の残りの水(全糖対照のみ)をビーカーに量り入れ、取っておく。約5分残して、残りの水をマイクロ波で1分30秒間温め、ビーカーに糖を添加する。スパチュラで混合し、更に1分30秒間、マイクロ波中で穏やかに温め、混合する。
【0136】
7. アルロースを有する試料については、ビーカー中の残りの液体アルロースをマイクロ波で2分間温める。
【0137】
8. THERMOMIX(登録商標)ミキサー調理が完了するとき、蓋及びタップを除去して、水がTHERMOMIX(登録商標)ミキサーに入ることを可能にする。
【0138】
9. THERMOMIX(登録商標)ミキサーを4分、195°F、及び1.0の剪断設定に設定する。
【0139】
10. Thermomix(登録商標)ミキサーが作動するとき、糖/水混合物(又は液体アルロース)を非常にゆっくりと添加して、最初の1分以内に添加する。
【0140】
11. 4分後、クエン酸を添加し、60回転でスパチュラを有するThermomix(登録商標)ミキサー中に手でブレンドする。
【0141】
12. バニラ風味を添加し、60回転でスパチュラを有するTHERMOMIX(登録商標)ミキサー中に手でブレンドする。
【0142】
13. 果物調製物を2オンスのジャーにすくう。
【0143】
14. 将来の評価のため冷蔵する。
【0144】
試料を色の変化及びシネレシスについて目視評価した。
【0145】
目視観察を記録し、24時間、2週間、5週間、及び12週間で、果物調製組成物の写真を採取した(
図8(列において、24時間、2週間、5週間、及び12週間)に示されるように)。
図8に示されるように、2週間後、アルロースで調製された果物調製物は、COLFLO(登録商標)67デンプン及びNATIONAL(商標)465デンプンを除く全ての場合において、全糖対照に対してシネレシス利益を呈した(全糖対照はシネレシスを呈し、アルロースを有する試料は呈さなかったことを意味する)。全糖対照は、それらのアルロース対応物と比較して経時的に徐々に悪化した。5週間マークで、COLFLO(登録商標)67デンプン全糖対照は、シネレシスを呈し始めた一方で、COLFLO(登録商標)67デンプン+アルロース試料は、安定したままであった。12週間後に全糖対照においていかなるシネレシスも示されていない唯一のデンプンはNATIONAL(商標)465デンプンであった。それは、評価された他のものと比較して、より低いゼラチン化温度を有する。アルロース果物調製物は、2週間後のNOVATION(登録商標)3300デンプンを除いて、経時的に顕著に変化しなかった。ここで、アルロース試料においてもシネレシスのいくつかの兆候が観察された。それにもかかわらず、その全糖対照対応物は、依然として、シネレシス(24時間でも開始される)の条件が更に悪い条件にあったため、アルロースが有意なシネレシス利益を提供することを示す。
【0146】
次いで、表9の果物調製組成物を、冷蔵温度で保存し、24時間で測定したときに、経時的に粘度について分析した。分析は、Spindle T-B、10RPMを使用してRV Brookfield粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.)で実行した。試料を室温に、30秒のマークで平衡化した後、データを収集した。全糖及び100%のSR果物調製物の粘度が表10に示される。
【0147】
【0148】
表10に示されるように、CLEARJEL(登録商標)、COLFLO(登録商標)67、NOVATION(登録商標)2300、NOVATION PRIMA(登録商標)300、HOMECRAFT(登録商標)CREATE 335、NOVATION(登録商標)ENDURA、又はNOVATION(登録商標)8300デンプン及びアルロースを含有する果物調製物は、それらの全糖対照対応物に対してより高い粘度を呈した。NATIONAL(商標)465デンプンを有する全糖対照及びアルロース含有果物調製物の両方は、24時間で同等の粘度を呈した。これは、この特定のデンプンのより低いゼラチン化温度(すなわち、より調理し易い)に起因する可能性があり、したがって、糖又はアルロースのいずれかの存在によって影響を受けない。表9では、両方の試料も、5週間後でさえかなり安定であった。
【0149】
NOVATION(登録商標)3300デンプンを有する果物調製物はまた、全糖対照とアルロース対応物との間で同等の粘度を呈した。このデンプンは、高度に抑制されたデンプンであり、これらの2つの試料は、それらの目視観察において最も違いを示し、全糖対照は、24時間のマークでもシネレシスを呈し始めた。アルロース含有試料は、対応物を含有する他のデンプンとしても安定ではないが、それにもかかわらず、全糖対照よりも依然として比較的安定していた。アルロース試料を含有するNOVATION PRIMA(登録商標)600デンプン(わずかに抑制されたデンプンである)のみが、その全糖対照対応物に対してより低い粘度を呈し、このより抑制されていないデンプンの過剰剪断によるものであろう。粘度に関係なく、果物調製物を含有するアルロースは、その全糖対照対応物よりも安定していた。
【0150】
実施例5
100%の糖減少レベルで様々な糖減少溶液及びデンプンを含有する果物調製物の特徴付け
表11の様々な糖減少溶液を使用して、果物調製組成物を評価した。糖減少溶液の各々を、デンプンとしてNOVATION PRIMA(登録商標)300デンプンを用いて、果物調製配合物中の100%糖減少で評価した。
【0151】
【0152】
表12は、乾燥甘味料又は繊維、(例えば、タガトース、キシロオリゴ糖(XOS))、液体アルロース、マルチトールシロップ、及び液体オリゴフルクトース(ORAFTI(登録商標)L90オリゴフルクトース、Beneo GMBH、Mannhein,Germany)を使用した100%糖減少バニラ果物調製配合物を示す。試料の全てにおいて、水の量を標準化し、調理手順を実施例4に記載されるように標準化した。
【0153】
【0154】
実施例4に記載されているように、配合物中の5%の糖又は甘味料/繊維(乾燥ベース)のみが、デンプンゼラチン化を制御するために前もって添加された。初期水量(デンプン調理中に使用)を、配合物中28.3%で標準化した。甘味料/繊維が液体又は粉末形態であるかどうかに応じて、遊離水量を調整して、水の総量を28.3%に反映する。
【0155】
様々な糖減少溶液で調製された果物調製物のシネレシスの目視観察が
図10に示される。希少糖タガトース及びXOS(キシロオリゴ糖)のみが、全糖対照にわたる12週間の冷蔵保存後に、希少糖アルロースに同等の安定性を呈した。1つの追加の観察によると、タガトースで調製した果物調製物でさえ、12週間の冷蔵保存後にシネレシスを呈しなかったため、いくらかの結晶化を示すことが開始された。他の全ての試料は、有意なシネレシス(例えば、マルチトールシロップ、結晶ソルビトール)が全糖対照よりも類似又は悪いことを示し、又は甘味料/繊維(結晶性エリスリトールが非常に可溶かつ結晶化しない結晶性エリスリトール)の特性に起因して、成功した100%の糖減少果物調製物を調製した。LV110イヌリンを処理できなかった。ORAFTI(登録商標)HSIイヌリンゲル化(Beneo GMBH、Mannhein,Germany)、ORAFTI(登録商標)L90ゲル化オリゴフルクトース及びシネレシスは、経時的に自明であり、ポリデキストロース及び耐性マルトデキストリンは、この糖減少レベルでの成功する果物調製物ではなかった)。
【0156】
次いで、表12の果物調製組成物を、冷蔵温度で保存し、24時間で測定したときに、経時的に粘度について分析した。分析は、Spindle T-B、10RPMを使用してRV Brookfield粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.)で実行した。試料を室温に、30秒のマークで平衡化した後、データを収集した。果物調製物の粘度が表13に示される。
【0157】
【0158】
表13に示されるように、希少糖アルロース及びタガトース及びXOSの使用は、全糖対照と比較して、果物調製組成物の粘度を増加させた。これは、全糖対照と比較してより高い粘度を有する同じデンプンレベルで、全糖対照の粘度を一致させるためのより少ないデンプンを配合する機会を提供するSR果物調製組成物の更なる利益を提供することができる。
【国際調査報告】