(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(54)【発明の名称】UV硬化性軟質アクリル樹脂クリアフィルム用のアリル官能性熱可塑性添加剤
(51)【国際特許分類】
C08F 299/00 20060101AFI20220908BHJP
C08F 285/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
C08F299/00
C08F285/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577908
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 US2020035068
(87)【国際公開番号】W WO2020263497
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォ、ハイラン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルス、モリス
【テーマコード(参考)】
4J026
4J127
【Fターム(参考)】
4J026AA45
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4J127FA01
(57)【要約】
【解決手段】 多段階軟質アクリル樹脂と、1つ以上のモノエチレン性不飽和エステルモノマー、0.1~15重量パーセントの量の連鎖移動剤、および架橋剤の0.1~15重量パーセントの量の架橋剤を含む反応物の反応生成物である分岐ポリマーであって、重量パーセントは反応物の総量に基づくが、架橋剤の量が連鎖移動剤の量の+/-5重量パーセント以内であることを条件とし、架橋剤は、異なる反応性を有する少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を含む、分岐ポリマーと、それらのフィルムと、を含む、組成物が、開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
多段階軟質アクリル樹脂と、
1つ以上のモノエチレン性不飽和エステルモノマー、0.1~15重量パーセントの量の連鎖移動剤、および架橋剤の0.1~15重量パーセントの量の架橋剤を含む反応物の反応生成物である分岐ポリマーであって、重量パーセントは反応物の総量に基づくが、架橋剤の前記量が連鎖移動剤の前記量の+/-5重量パーセント以内であることを条件とし、前記架橋剤は、異なる反応性を有する少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を含む、分岐ポリマーと、を含む、組成物。
【請求項2】
前記分岐ポリマーが架橋されていない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記1つ以上のモノエチレン性不飽和エステルモノマーが、構造R’-C(O)O-Rを有し、Rが、1~12個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、式中、R’が、少なくとも2個または3個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和脂肪族基である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記連鎖移動剤が、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、アルキルチオグリコレート、メルカプトエタノール、メルカプトウンデカン酸、チオ乳酸、チオ酪酸、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオラクテート、ペンタエリスリトールテトラチオブチレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサチオグリコレート、トリペンタエリスリトールオクタ(3-メルカプトプロピオネート)、トリペンタエリスリトールオクタチオグリコレート、ブチル3-メルカプトプロピオアンテ(mercaptopropioante)、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記架橋剤が、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
架橋剤の前記量が、3~10重量パーセントである、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
連鎖移動剤の前記量が、3~10重量パーセントである、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
架橋剤の前記量が、連鎖移動剤の前記量の+/-3重量パーセント以内である、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記多段階軟質アクリル樹脂が、コアを形成する第1の段階の架橋アクリルポリマー組成物、1つ以上の中間層アクリルポリマー組成物、および外層アクリルポリマー組成物を含む、多段階連続ポリマー組成物であり、前記コアならびに前記中間層(複数可)および外層が、以下の点:異なるアクリレートモノマーに由来すること、架橋の程度、およびガラス遷移温度のうちの1つ以上において異なる、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのUV開始剤をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物の総重量に基づいて、50~99重量パーセントの前記多段階軟質アクリル樹脂と、1~50重量パーセントの前記分岐ポリマーと、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物の層を含む、フィルム。
【請求項13】
150ミクロン以下の厚さを有する、請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
透明であり、縦溝白化(crease whitening)を示さない、請求項12または13に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、軟質アクリル樹脂組成物およびそのような組成物から作製されたフィルムである。
【背景技術】
【0002】
様々な屋内用および屋外用製品は、柔軟で透明な耐候性のあるプラスチック材料を使用することにより恩恵を享受する。フッ素含有ポリマーおよび熱可塑性ポリウレタンは、これらの特徴を提供するが、多くの最終用途には高価すぎる。可塑剤を含むポリ塩化ビニルまたはポリエチレン樹脂などの低コストの樹脂は、すべての性能要件を満たしていない場合がある。これらのポリマーの一部は、望ましくない環境影響を与える可能性がある。
【0003】
様々なアクリル樹脂も提案されている。しかしながら、多くは、ある特定の最終用途には硬すぎるか、弾性率が高いか、または引き裂き抵抗が低い。1つの市販のアクリル樹脂は、アニオン重合によって生成されたポリ(メチルメタクリレート)とポリ(ブチルアクリレート)とのブロックコポリマーを含有する。これらの樹脂は、柔軟であり、耐白化性があるが、ある特定の用途では法外に高価である。多段階アクリルポリマーが代替として教示されてきた(例えば、米国特許第10,040,915号を参照されたい)。これらの材料は、高粘度である傾向があり(220℃、10kgで10g/10分の範囲のメルトフローインデックスまたは速度)、ある特定の用途での加工が困難である。
【0004】
分岐アクリルポリマーも、提案されている。例えば、Isaure et al.,J.Mater.Chem.,2003,13,2701-2710は、メチルメタクリレート(MMA)、連鎖移動剤(CTA)、およびエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を含む分岐コポリマーを開示する。これらの分岐アクリルコポリマーにおいて、Isaureは、EGDMAからのペンダント二重結合の最大4.5%が未反応のままであることを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多段階軟質アクリル樹脂と、1つ以上のモノエチレン性不飽和エステルモノマー、0.1~15重量パーセントの量の連鎖移動剤、および架橋剤の0.1~15重量パーセントの量の架橋剤を含む反応物の反応生成物である分岐ポリマーであって、重量パーセントは反応物の総量に基づくが、架橋剤の量が連鎖移動剤の量の+/-5重量パーセント以内であることを条件とし、架橋剤は、異なる反応性を有する少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を含む、分岐ポリマーと、を含む、組成物が、本明細書に開示される。分岐ポリマーは架橋されていない。
【0006】
また、上記の組成物の層を含むフィルムが本明細書に開示され、この層は、150ミクロン以下であり、透明であり、縦溝白化(crease whitening)を示さない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に開示されるのは、多段階軟質アクリル樹脂と、異なる反応性を有する少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する架橋剤を含む分岐ポリマーと、を含む組成物である。本発明者らは、多段階軟質アクリル樹脂の粘度が高すぎて、非常に薄いフィルムを押出することが所望される場合、またはある特定の射出成形用途などのある特定の用途に樹脂を使用できないことを見出した。加工温度を上げると、樹脂が劣化する可能性がある。低分子量の直鎖状添加剤の添加は、粘度を低下させる(メルトフローインデックスを増加させる)ことができるが、本発明者らは、結果として得られる生成物が、場合によっては、混合物の相分離を示し得る縦溝白化を示すことを見出した。驚くべきことに、本発明者らは、開示される分岐ポリマーが、望ましくない縦溝白化を示さずに粘度を低下させることを見出した。加えて、分岐ポリマー添加剤を有する組成物は、直鎖状添加剤を有する同様の組成物と比較して、改善された引張特性およびより広い加工ウィンドウを示し得る。本発明者らはまた、驚くべきことに、異なる反応性を有する少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する架橋剤を含む分岐ポリマーが、ペンダント二重結合の少なくとも80%が未反応のままである分岐アクリルコポリマーを生成できることを見出した。
【0008】
ある特定の実施形態によれば、多段階軟質アクリル樹脂は、コアを形成する第1の段階の架橋アクリルポリマー組成物、1つ以上の中間層アクリルポリマー組成物、および外層アクリルポリマー組成物を含む多段階連続ポリマー組成物を含み、コアならびに中間層(複数可)および外層は、以下の点:異なるアクリレートモノマーに由来すること、架橋の程度(中間層および外層は架橋されていてもいなくてもよい)、およびガラス遷移温度のうちの1つ以上において異なる。アクリルポリマー組成物は、1つ以上のヒドロカルビルアクリレートまたはヒドロカルビルメタクリレート、任意選択の架橋剤(いくつかの架橋剤がコアに必要とされることを除く)、任意選択の連鎖移動剤を含む反応混合物から形成される。ある特定の実施形態によれば、多段階軟質アクリル樹脂は、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートからなる群から選択される1つ以上のモノマーと、1つ以上の架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、またはそれらの組み合わせとの反応生成物である、第1の段階を含む。ある特定の実施形態によれば、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートモノマーに由来する単位の量は、第1の段階の95~99.9重量パーセントの範囲にあり、架橋性モノマーおよび/またはグラフト結合性モノマーに由来する単位の量は、0.1~5重量パーセントである。ある特定の実施形態によれば、この第1の段階は、-85~-10℃の範囲のTgで架橋される。第1の段階は、コアと呼ばれることもある。樹脂は、1つ以上の中間段階層を含む。中間層のそれぞれは、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する93~100重量パーセントの単位と、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、またはそれらの組み合わせに由来する0~5重量パーセントの単位と、任意選択で1つ以上の連鎖移動剤に由来する0~2.0重量パーセントの単位と、を含み、中間層の間に、Tgが中間領域の幅にわたって-30°Cから70°Cに遷移するような組成勾配がある。樹脂はさらに、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、およびスチレン系モノマー、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する98.5~100重量パーセントの単位、1つ以上の連鎖移動剤に由来する0~1.5重量パーセントの単位を含む外の段階または最外層を含み、40°C~110°CのTgを有する。
【0009】
架橋性コアは、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートモノマーからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する95超~99.9重量パーセントの単位を含む。95~99.9重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、1つ以上のアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートモノマーに由来する単位の量は、95、95.5、96、96.5、97、975、98、98.5、99、または99.5重量パーセントの下限から95.3、95.8、96.3、96.9、97.5、98、98.7、99.4、または99.9重量パーセントの上限であり得る。例えば、1つ以上のアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレートモノマーに由来する単位の量は、95~99.9重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上のアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレートモノマーに由来する単位の量は、95~97.5重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上のアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレートモノマーに由来する単位の量は、97.8~99.9重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上のアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレートモノマーに由来する単位の量は、96.5~97.9重量パーセントの範囲にあり得る。
【0010】
架橋性コアは、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、またはそれらの組み合わせに由来する0.1~5重量パーセントの単位を含む。0.1~5重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、またはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、0.1、0.7、1.2、1.9、2.6、3.1、3.7、4.4、または4.9重量パーセントの下限から0.2、0.8、1.4、2.1、2.7、3.3、3.8、4.5、または5重量パーセントの上限であり得る。例えば、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、0.1~5重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、0.5~2.5重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、1.0~4.0重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、0.3~3.5重量パーセントの範囲にあり得る。
【0011】
架橋性コアは、-85~-10℃のTgを有する。-70~-10℃のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、架橋性コアのTgは、-85、-80、-70、-60、-50、-40、-30、-20、または-15℃の下限から-75、-65、-55、-45、-35、-25、-17、または-10℃の上限であり得る。例えば、架橋性コアのTgは、-85~-10℃の範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性コアのTgは、-60~-40℃の範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性コアのTgは、-70~-50℃の範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性コアのTgは、-50~-30℃の範囲にあり得る。
【0012】
中間領域は、1つ以上の中間層を含む。1つ以上の中間層のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に開示され、本明細書に含まれる。例えば、中間領域は、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの中間層を含み得る。
【0013】
中間層のそれぞれは、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートモノマーからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する最大100重量パーセントの単位を含む。最大100重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、1つ以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する単位の量は、88.5、89.4、90.7、91.8、92.6、93.7、94、94.9、95.5、96、97.4、98.1、99.3、99.9、または100重量パーセントの下限からであり得る。例えば、1つ以上のアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレートモノマーに由来する単位の量は、88.5~100重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上のアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレートモノマーに由来する単位の量は、90.5~99.9重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上のアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレートモノマーに由来する単位の量は、88.5~94.9重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上のアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレートモノマーに由来する単位の量は、92.5~96重量パーセントの範囲にあり得る。
【0014】
中間層のそれぞれは、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、またはそれらの2つ以上の組み合わせに由来する0~5重量パーセントの単位を含む。すべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、またはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、または4.5重量パーセントの下限から、0.2、0.7、1.2、1.7、2.5、2.7、3.2、3.7、4.2、4.7、または5重量パーセントの上限であり得る。例えば、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの2つ以上の組み合わせに由来する単位の量は、0~5重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの2つ以上の組み合わせに由来する単位の量は、0~2.5重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの2つ以上の組み合わせに由来する単位の量は、2.5~5重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの2つ以上の組み合わせに由来する単位の量は、2~4重量パーセントの範囲にあり得る。
【0015】
中間層のそれぞれは、任意選択で、1つ以上の連鎖移動剤に由来する0~2.0重量パーセントの単位を含む。0~2.0重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、または2.0重量パーセントの下限から0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.1、1.3、1.7、または1.9重量パーセントの上限であり得る。例えば、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0~2.0重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0.75~2.0重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0~0.75重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0.5~1.0重量パーセントの範囲にあり得る。
【0016】
中間層の間に、Tgが、中間領域の幅にわたって、-30°Cから70°Cに遷移するような組成勾配がある。-30℃~70℃のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、Tgは、-30、-20、-10、0、10、20、30、40、50、または60℃の下限から-25、-15、-5、5、15、45、または70℃の上限に遷移し得る。例えば、Tgは、-30~70℃の範囲にわたって遷移し得るか、または代替的に、Tgは、-10~30℃の範囲にわたって遷移し得るか、または代替的に、Tgは、-30~-15℃の範囲にわたって遷移し得るか、または代替的に、Tgは、-25~0℃の範囲にわたって遷移し得るか、または代替的に、Tgは、0~15℃の範囲にわたって遷移し得るか、または代替的に、Tgは、-15~55℃の範囲にわたって遷移し得るか、または代替的に、Tgは、5~35℃の範囲にわたって遷移し得る。
【0017】
最外層は、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する98.5~100重量パーセントの単位を含む。98.5~100重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5、98.7、98.9、99.1、99.3、99.5、99.7、または99.9重量パーセントの下限から98.6、98.8、99、99.2、99.4、99.6、99.8、または100重量パーセントの上限であり得る。例えば、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5~100重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5~100重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、およびスチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5~100重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5~100重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5~99.6重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、96.5~100重量パーセントの範囲にあり得る。
【0018】
最外層は、1つ以上の連鎖移動剤に由来する0~1.5重量パーセントの単位を含む。0~1.5重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、または1.4重量パーセントの下限から0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.1、1.3、または1.5重量パーセントの上限であり得る。例えば、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0~1.5重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0~0.75重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0.75~1.5重量パーセントの範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0.3~1.2重量パーセントの範囲にあり得る。
【0019】
最外層は、40℃~110℃のTgを有する。50℃~110℃のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、最外層のTgは、40、43、45、50、60、70、80、90、または100℃の下限から55、65、75、85、95、105、または110℃の上限であり得る。例えば、最外層のTgは、40℃~110℃の範囲にあり得るか、または代替的に、最外層のTgは、45℃~80℃の範囲にあり得るか、または代替的に、最外層のTgは、75℃~110℃の範囲にあり得るか、または代替的に、最外層のTgは、65℃~95℃の範囲にあり得る。
【0020】
上記の場合、コポリマーのTgは、Fox等式[Bulletin of the American Physical Society 1,3 Page 123(1956)]によって以下のように計算され得る。
【数1】
【0021】
コポリマーについて、w1およびw2は、反応槽に充填されたモノマーの重量に基づいた2つのコモノマーの重量分率を指し、Tg(1)およびTg(2)は、ケルビン度の2つの対応するホモポリマーのガラス遷移温度を指す。3つ以上のモノマーを含むポリマーについては、追加の用語が加えられる(wn/Tg(n))。本発明の目的のためのホモポリマーのガラス遷移温度は、”Polymer Handbook”,edited by J.Brandrup and E.H.Immergut,Interscience Publishers,1966に報告されたものであるが、その出版物が特定のホモポリマーのTgを報告していない場合、ホモポリマーのTgは、示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。
【0022】
アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのアルキルは、1~12個の炭素原子を有する直鎖状または分岐アルキル基であり得る。例示的なモノマーには、含まれる、例示的な有用なアルキル基には、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびイソ-オクチルアクリレートが含まれる。
【0023】
架橋性コアおよび中間層で有用な架橋性および/またはグラフト結合性モノマーの例は、例えば、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルマレエート、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、それらのトリメチロールプロパントリメタクリレートブレンド、およびそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0024】
好ましくは、組成物は、多段階軟質アクリル樹脂を、組成物の総重量に基づいて、少なくとも15、20、30、40、50、60、70、75、または80重量パーセントかつ95または90重量パーセント以下の量で含む。
【0025】
ある特定の態様によれば、軟質アクリル樹脂は、別のポリマーとブレンドされ得る。そのようなポリマーの例は、ポリ(メチルメタクリレート)などのアクリレートまたはアクリルポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびポリ塩化ビニルなどの少なくとも20または少なくとも40重量パーセントのハロゲンを有するハロゲン化ポリオレフィンを含む。
【0026】
分岐ポリマーは、1つ以上のモノエチレン性不飽和エステルモノマー、0.1~15重量パーセントの量の連鎖移動剤、および架橋剤の0.1~15重量パーセントの量の架橋剤を含む反応物の反応生成物であり、重量パーセントは反応物の総量に基づく。
【0027】
好ましくは、連鎖移動剤は、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、または少なくとも3重量パーセントの量で存在する。好ましくは、連鎖移動剤は、14重量パーセント以下、13重量パーセント以下、12重量パーセント以下、11重量パーセント以下、または10重量パーセント以下の量で存在する。
【0028】
架橋剤は、異なる反応性を有する少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を含む多官能性不飽和モノマーである。好ましくは、架橋剤は、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される。アリル(メタ)アクリレートでは、アリル基はビニル基とは異なる反応性を有する。ジ(メタ)アクリレートなどの従来の架橋剤は、同一の反応性を有する炭素-炭素二重結合を有する。NMR分光法を使用して、本発明者らは、同一の反応性を有する架橋剤を使用するペンダント二重結合が、重合中にほぼ完全に反応して分岐点を形成することを見出した。本発明による架橋剤は、実質的に未反応のままであり、例えば、ペンダント二重結合の少なくとも80%は、重合後に未反応のままである。これらの未反応のペンダント二重結合は、さらにグラフト化するための追加の機会を提供する。
【0029】
分岐ポリマーは、架橋されていない。架橋を避けるために、架橋剤の量は、連鎖移動剤の量の+/-5重量パーセント以内である。好ましくは、架橋剤の量は、連鎖移動剤の量の+/-4重量パーセント以内である。より好ましくは、架橋剤の量は、連鎖移動剤の量の+/-3重量パーセント以内である。
【0030】
驚くべきことに、本発明者らは、架橋剤の量が、分岐ポリマーを形成しながら、連鎖移動剤の量を超える可能性があることを見出した。同様の活性を有する官能基を有する架橋剤は、モルでの架橋剤の量がモルでの連鎖移動剤の量を超える場合、架橋ポリマーを形成するであろう。本発明によれば、モルでの架橋剤の量は、架橋ポリマーを形成することなく連鎖移動剤の量を超えることができる。
【0031】
ある特定の実施形態による分岐ポリマーを作製するのに有用な好適なモノエチレン性不飽和エステルモノマーは、構造R’-C(O)O-Rを有することができ、式中、Rは、ヒドロカルビル基(例えば、アルキル基またはアリール基)であり、R’は、少なくとも2個または3個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和脂肪族基である。好ましくは、Rは、少なくとも1個または2個または3個の炭素原子のアルキル基である。ある特定の実施形態によれば、Rは、12個または10個または8個または6個または5個以下の炭素原子を有するアルキル基である。ある特定の実施形態によれば、Rは、6~12個の炭素原子のアリール基である。ある特定の実施形態によれば、R’は、6個以下の炭素原子を有する。好適なモノマーの例は、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチルメタクリレート、テトラヒドロフルフィルメタクリレート、およびベンジル(メタ)アクリレートを含む。好ましくは、モノエチレン性不飽和エステルモノマーは、メチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートから選択される。2つ以上のそのようなモノエチレン性不飽和エステルモノマーの組み合わせが、使用され得る。例えば、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの組み合わせが、使用され得る。例えば、メチルメタクリレートの量は、反応物の少なくとも20、30、40、50、60、70、または80重量パーセントであり得、例えば、反応物の99.8、99、98、97、96、95、90、または85重量パーセント未満であり得る。第2のモノエチレン性不飽和エステルモノマー(例えば、ブチルアクリレート)は、反応物の0または0、1、2、3、4、もしくは5重量パーセントを超え、かつ反応物の60、50、40、30、20、または10未満であり得る。ある特定の実施形態において、追加のモノエチレン性不飽和エステルモノマーが、使用され得る。そのような実施形態において一緒にされた第2のおよび追加のモノエチレン性不飽和モノマー(複数可)の組み合わせは、反応物の0、1、2、3、4、または5重量パーセントを超え、かつ反応物の60、50、40、30、20、または10未満である。
【0032】
ある特定の実施形態によれば、1つ以上の追加のモノ不飽和付加重合性(例えば、モノエチレン性不飽和)モノマーが、含まれ得る。例えば、スチレンまたはアクリロニトリルが、添加され得る。そのような追加のモノ不飽和付加重合性モノマーの量は、好ましくは、反応物の重量に基づいて10または5重量パーセント未満である。
【0033】
好ましくは、モノエチレン性不飽和エステルモノマーは、例えば、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセントなどの、分岐モノマーを形成する反応物の総重量に基づいて、少なくとも65重量パーセントの量で分岐モノマーに存在する。
【0034】
反応物は、連鎖移動剤(CTA)をさらに含む。連鎖移動剤は、アクリレートまたはメタクリレートモノマーの重合において連鎖移動剤として有用であることが知られているか、または見出されている任意の化合物であり得る。例えば、チオール連鎖移動剤が、使用され得る。そのようなチオールCTAの例は、単官能性および多官能性チオールを含む。単官能性チオールは、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、アルキルチオグリコレート、例えば、2-エチルヘキシルチオグリコレートまたはオクチルチオグリコレート、メルカプトエタノール、メルカプトウンデカン酸、チオ乳酸、およびチオ酪酸を含むが、これらに限定されない。多官能性チオールは、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)などの三官能性化合物、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオラクテート、ペンタエリスリトールテトラチオブチレートなどの四官能性化合物、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサチオグリコレートなどの六官能性化合物、トリペンタエリスリトールオクタ(3-メルカプトプロピオネート)、およびトリペンタエリスリトールオクタチオグリコレートなどの八官能性チオールを含む。多官能性チオールの使用は、ポリマーの分岐度を高めるための有用な方法である。任意選択で、連鎖移動剤は、2種類以上の化合物の混合物を含み得る。好ましくは、CTAは、以下のものである
【化1】
。
【0035】
代替の連鎖移動剤は、ビニルモノマーの従来のフリーラジカル重合において分子量を低下させることが知られている任意の種であり得る。例は、硫化物、二硫化物、ハロゲン含有種を含む。また、コバルト錯体などの触媒連鎖移動剤、例えば、コバルトポルフィリン化合物などのコバルト(II)キレートは、本発明にとって有用な連鎖移動剤である。好適なコバルトキレートは、当技術分野で知られており、WO98/04603に記載されている。特に好適な化合物は、CoBFとしても知られるビス(ボロンジフルオロジメチルグリオキシメート)コバルテート(II)である。触媒連鎖移動剤は、一般に、低濃度で非常に効果的であるため、従来のチオール連鎖移動剤と比較して比較的低濃度、例えば、<0.5重量%、好ましくは<0.1重量%(単官能性モノマーに基づく)で使用することができる。驚くべきことに、我々は、コバルト錯体に基づく触媒連鎖移動化合物は、可溶性分岐ポリマーを得るための本発明の重合方法において、単官能性モノマーに基づいて0.05重量%(500ppmw)未満、例えば、0.0001~0.01重量%(1~100ppmw)の濃度で非常に効果的に使用することができることを見出した。
【0036】
特定の実施形態によれば、架橋剤はアリルメタクリレート(ALMA)であり、連鎖移動剤はBMPであり、モノエチレン性不飽和エステルモノマーはメチルメタクリレート(MMA)またはブチルメタクリレート(BMA)である。好ましくは、MMAまたはBMAは80~98重量パーセントの量で存在し、ALMAの量は1または10重量パーセントの範囲にあり、ALMAの量はMMAまたはBMA、BMPおよびALMAの総重量に基づいて1~10重量パーセントの範囲にある。
【0037】
分岐ポリマーは、任意のフリーラジカル重合法を使用して作製され得、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、および塊状重合法は、すべて使用され得る。例えば、従来の乳化重合が、使用され得る。
【0038】
界面活性剤または乳化剤が、分岐ポリマーを形成するために使用され得る。乳化剤の例は、非イオン性、アニオン性、およびカチオン性の乳化剤を含む。
【0039】
好適な非イオン性乳化剤は、芳香脂肪族(araliphatic)または脂肪族非イオン性乳化剤であり、例は、エトキシル化モノ-、ジ-、およびトリアルキルフェノール(エトキシル化度:3~50、アルキルラジカル:C4-C10)、長鎖アルコールのエトキシレート(エトキシル化度:3~100、アルキルラジカル:C8-C36)、ならびにまたポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドホモポリマーおよびコポリマーを含む。これらは、ランダムな分布の、またはブロックの形態で共重合されたアルキレンオキシド単位を含み得る。例えば、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーが、非常に適している。長鎖アルカノールのエトキシレート(アルキルラジカルC1-C30、平均エトキシル化度5~100)を使用することが好ましく、これらの中でも、直鎖状C12-C20アルキルラジカルおよび10~50の平均エトキシル化度を有するもの、ならびにエトキシル化モノアルキルフェノールもまた特に好ましい。
【0040】
好適なアニオン性乳化剤は、例えば、アルキルサルフェート(アルキルラジカル:C8-C22)、エトキシル化アルカノール(エトキシル化度:2~50、アルキルラジカル:C12-C18)およびエトキシル化アルキルフェノール(エトキシル化度:3~50、アルキルラジカル:C4-C9)を有する硫酸モノエステル、アルキルスルホン酸(アルキルラジカル:C12-C18)、ならびにアルキルアリールスルホン酸(アルキルラジカル:C9-C18)のアルカリ金属およびアンモニウム塩である。さらに好適な乳化剤は、Houben-Weyl,Methoden der organischen Chemie,volume XIV/1,Makromolekulare Stoffe,Georg-Thieme-Verlag,Stuttgart,1961,pp.192-208に記載されている。また、アニオン性乳化剤として好適なものは、ビス(フェニルスルホン酸)エーテル、および一方または両方の芳香環にC4-C24アルキル基を有するそれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩である。例えば、米国特許第4,269,749号からのこれらの化合物は、周知であり、例えば、Dowfax(商標)2A1(Dow Chemical Company)の形態で市販されている。
【0041】
好適なカチオン性乳化剤は、好ましくは、四級アンモニウムハライド、例えば、トリメチルセチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、またはN-C6-C20-アルキルピリジン、-モルホリンもしくは-イミダゾールの四級化合物、例えば、N-ラウリルピリジニウムクロリドである。
【0042】
乳化剤(または界面活性剤)の量は、分岐ポリマーの形成において重合されるモノマーの量に基づいて、少なくとも0.01または0.1重量パーセント~10または5重量パーセントであり得る。
【0043】
開始剤は、分岐ポリマーを形成するために使用され得る。開始剤の例は、アゾ化合物、過酸化物、またはペルオキシエステルなどの熱開始剤の熱的に誘導された分解などによって、フリーラジカルを生成する任意の好適な方法によって開始され得る。したがって、重合混合物はまた、好ましくは、フリーラジカル重合反応において既知であり、かつ従来使用されているもののいずれかであり得る、重合開始剤を含有する。アゾ開始剤の例は、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4-シアノ吉草酸)を含む。過酸化物およびペルオキシ開始剤の例は、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジベンゾイルペルオキシド、クミルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシジエチルアセテート、およびtert-ブチルペルオキシベンゾエートを含む。追加の開始剤の例は、過硫酸アンモニウムおよび/またはアルカリ金属、過ホウ酸ナトリウム、過リン酸およびその塩、過マンガン酸カリウム、ならびにペルオキシ二硫酸のアンモニウムまたはアルカリ金属塩を含み、例は、ペルオキシ二硫酸アルカリ金属もしくはアンモニウム、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、スクシニルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルピバレート、tort-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルマレイネート(butyl permaleinate)、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルバメート、ビス(o-トルオイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルイソブチレート、tert-ブチルペルアセテート、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノ-プロパン)ジヒドロクロリド、または2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)である。これらの開始剤の混合物も適している。開始剤として、還元/酸化(すなわち、レドックス)開始剤系を使用することも可能である。レドックス開始剤系は、少なくとも1つの、通常は無機の還元剤、および1つの有機または無機の酸化剤から構成される。酸化成分は、例えば、すでに上で特定された乳化重合開始剤を含む。還元成分は、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの、亜硫酸のアルカリ金属塩、二亜硫酸ナトリウムなどの二亜硫酸のアルカリ金属塩、重亜硫酸アセトンなどの脂肪族アルデヒドおよびケトンの重亜硫酸塩付加化合物、またはヒドロキシメタンスルフィン酸およびその塩、もしくはアスコルビン酸などの、還元剤を含む。レドックス開始剤系は、その金属成分が複数の原子価状態で存在することができる可溶性金属化合物と共に使用され得る。典型的なレドックス開始剤系は、例えば、アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキソ二硫酸ナトリウム、tert-ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、tert-ブチルヒドロペルオキシド/Naヒドロキシメタンスルフィネートである。個々の成分、例えば、還元成分も混合物であってよく、例は、ヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩および二亜硫酸ナトリウムの混合物である。
【0044】
開始剤の量は、一般に、重合されるすべてのモノマーに基づいて、少なくとも0.01または0.05または0.01重量パーセント~10または5または3重量パーセントである。
【0045】
分岐ポリマーは架橋されていない。例えば、これは、テトラヒドロフランなどの溶媒におけるポリマーの溶解度を評価することによって示され得る。架橋性ポリマーは可溶性ではない。
【0046】
ある特定の実施形態による分岐ポリマーは、1、0.95、0.9、0.8未満のポリマー分岐比g’を特徴とし得る。いくつかの実施形態によれば、g’は、少なくとも0.5または0.6または0.7である。ポリマー分岐比(g’)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析において、各溶出体積増分で測定された分岐ポリマー([η]
分岐)の固有粘度を、同じ分子量(M)を有する直鎖状ポリマー([η]
直鎖状)の固有粘度と比較することによって計算される(等式1)。直鎖状ポリマーの場合、g’値は1に等しく、分岐ポリマーの場合、g’は1より小さい。
【数2】
【0047】
分子量分析:ポリマーの絶対分子量(M
w、M
n)、PMMA相対分子量(M
w_PMMA、M
n_PMMA)、固有粘度([η]
w、[η]
n)、および分岐比(g’)は、オンライン多角度光散乱(MALS)検出器、粘度計(VS)、および示差屈折率(dRI)検出器を用いてゲル浸透クロマトグラフィーによって測定され得る。例えば、GPC装置のセットアップは、Agilent 1200シリーズHPLCシステム(デガッサ、ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン)、Wyatt HELEOS II MALS検出器、Wyatt ViscoStar II粘度計、およびWyatt T-rEX dRI検出器を含み得る。ポリマー分離は、例えば、2つのPLgel混合B LSカラム(粒径10μm、長さ7.5×300mm)を有するカラムセットで、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を1mL/分の流速で使用して行うことができる。カラムオーブン温度は30℃に設定されている。10ポイントのPMMA標準(Agilent EasiCal PM-1)のセットを使用して、GPCカラムをキャリブレーションし、PMMA相対分子量を得る。絶対分子量は、Zimm形式を使用したMALS検出から得、固有粘度データは、粘度計から得る。高分子量画分データ(6500Daを超えるPMMA相対分子量)を使用して、平均g’値を計算する。g’計算の一貫性のために、Mark-Houwinkの等式(等式2、式中、表2の非BA含有試料についてはK=0.0383mL/gかつα=0.581、そして表2のBA含有ポリマーについてはK=0.03044mL/gかつα=0.615)からの線形PMMAモデルを使用して、MALS検出からのMデータを使用して等式1の([η]
直鎖状)を得る。
【数3】
【0048】
GPCによって測定される、分岐ポリマーの重量平均分子量Mwは、ある特定の実施形態によれば、少なくとも2,500または3,000または5,000または10,000または20,000または25,000g/molの範囲にある。ある特定の実施形態によれば、重量平均分子量は、75,000または50,000g/mol以下である。ある特定の実施形態によれば、GPCによって測定される、分岐ポリマーの数平均分子量Mnは、少なくとも1,250または1,500g/molである。ある特定の実施形態によれば、数平均分子量は、6,000または5,000または4,500g/mol以下である。
【0049】
ある特定の実施形態によれば、分岐構造は樹状構造である。
【0050】
ある特定の実施形態によれば、組成物中の分岐ポリマーの量は、少なくとも1または3または5または10重量パーセントである。組成物は、濃縮された形態にあり、次いで、軟質アクリル樹脂ポリマーと混合されて、加工される(例えば、押出、射出成形される)組成物中に所望の量の分岐ポリマーを得ることができる。濃縮された形態では、分岐ポリマーの量は、組成物のかなりの部分、例えば、最大60または50または40重量パーセントを構成し得る。加工で使用するために、より高いメルトフローインデックス(より低い粘度)の利点を得るために、組成物は、ある特定の実施形態によれば、最大30または25または20重量パーセントの量の分岐ポリマーを含み得る。分岐ポリマーは、組成物が透明であることが示されているように使用される量で軟質アクリル樹脂に可溶性(混和性)である。
【0051】
組成物は、成分をブレンドすることによって作製することができる。一実施形態によれば、成分は、コールドブレンドされ(例えば、2つの水性ラテックスを混合する)、次いで、凍結乾燥または凝固され得る。別の実施形態によれば、成分は、粉末形態で混合され得る。
【0052】
組成物は、メルトフローインデックスが好ましいため、押出、カレンダー、および射出成形用途に有用である。
【0053】
組成物は、UV開始剤を使用して架橋され得る。例えば、組成物は、UV開始剤を含み、フィルムを形成するために押し出され得る。次いで、得られたフィルムは、UV照射されて、組成物を架橋することができる。理論に束縛されることを望まないが、分岐ポリマー中の架橋剤の未反応のペンダント二重結合は、分岐ポリマーを可撓性アクリル樹脂にグラフト化し得ると考えられている。
【0054】
組成物は、最終製品に望まれる追加の添加剤をさらに含み得る。そのような添加剤の例は、UV光安定剤および酸化防止剤を含む。ある特定の実施形態によれば、添加剤は、組成物が透明のままであるように選択される。UV光安定剤の例は、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンゾオキサジノン、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、およびヒンダードベンゾエートを含む。市販のUVおよび光安定剤は、SolvayからのCyasorb光吸収剤および光安定剤、およびCyasorb Cynergy Solutions、BASFからのTINUVIN、ChemturaからのLowLite、PolyOneのOnCap、およびDelaware,U.S.A.のE.I.du Pont de Nemours and CompanyからのLight Stabilizer 210によって例示される。酸化防止剤の例は、フェノール系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤の亜リン酸塩、チオエーテル、または有機硫化物との組み合わせを含む。フェノール系酸化防止剤は、完全に立体障害のあるフェノールおよび部分的に障害のあるフェノール;ならびにテトラメチル-ピペリジン誘導体などの立体障害アミンを含む。好適なフェノール系酸化防止剤は、ビタミンE、およびBASFからのIRGANOX(商標)1010を含む。IRGANOX(商標)1010は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を含む。抗酸化剤の追加の例は、アセチルシステイン、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ポリペプチド、アスコルビルジパルミテート、アスコルビルメチルシラノールペクチネート、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、BHA、p-ヒドロキシアニソール、BHT、t-ブチルヒドロキノン、コーヒー酸、Camellia sinensis油、キトサンアスコルベート、キトサングリコレート、キトサンサリチレート、クロロゲン酸、システイン、システインHCI、デシルメルカプトメチルイミダゾール、エリソルビン酸、ジアミルヒドロキノン、ジ-t-ブチルヒドロキノン、ジセチルチオジプロピオネート、ジシクロペンタジエン/t-ブチルクレゾールコポリマー、ジガロイルトリオレエート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジオレイルトコフェリルメチルシラノール、イソクエルシトリン、ジオスミン、アスコルビル硫酸二ナトリウム、ルチニル二硫酸二ナトリウム、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ドデシルガラート、エチルフェルレート、フェルラ酸、ヒドロキノン、ヒドロキシルアミンHCI、硫酸ヒドロキシルアミン、イソオクチルチオグリコレート、コウジ酸、マデカシコシド(madecassicoside)、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸マグネシウム、メラトニン、メトキシ-PEG-7ルチニルスクシネート(methoxy-PEG-7 rutinyl succinate)、メチレンジ-t-ブチルクレゾール、メチルシラノールアスコルベート、ノルジヒドログアヤレト酸、オクチルガラート、フェニルチオグリコール酸、フロログルシノール、アスコルビルトコフェリルリン酸カリウム、チオジグリコールアミド、亜硫酸カリウム、プロピルガラート、ロスマリン酸、ルチン、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビル/コレステリルリン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、エリトルビン酸ナトリウム、メタ二硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ソルビチル(sorbityl)フルフラール、ティーツリー(Melaleuca aftemifolia)油、トコフェリルアセテート、テトラヘキシルデシルアスコルベート、テトラヒドロジフェルロイルメタン、トコフェリルリノレアート/オレアート、チオジグリコール、トコフェリルスクシネート、チオジグリコール酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、チオタウリン、レチノール、トコフェレス-5、トコフェレス10、トコフェレス-12、トコフェレス-18、トコフェレス-50、トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルリノレアート、トコフェリルニコチネート、トコキノン、o-トリルビグアニド、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ユビキノン、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、およびそれらの混合物である。ある特定の実施形態によれば、使用される添加剤(もしあれば)の総量は、組成物の総重量に基づいて10または5または3重量%パーセント未満である。
【0055】
ある特定の実施形態によれば、組成物は濁っていない。例えば、光透過率で測定された濁度は、好適な装置、例えば、BYKHazeGuard Plusを使用して、ASTMD1003に従って測定された場合、1%未満である。
【0056】
ある実施形態によれば、組成物は、押出され、薄いフィルムである。フィルムは、150または125または100ミクロン以下の厚さを有し得る。ある特定の実施形態によれば、厚さは少なくとも50ミクロンである。ある実施形態によれば、組成物は、多層フィルムの層として共押出される。層は、150または125または100ミクロン以下の厚さを有し得る。ある特定の実施形態によれば、層は、少なくとも10、20、30、または50ミクロンの厚さを有する。フィルムは透明である。フィルムは縦溝白化を示さない。
【実施例】
【0057】
分岐ポリマー添加剤の合成
分岐ポリマー添加剤を、乳化重合によって形成した。乳化重合を、メカニカルスターラー、加熱マントル、温度計、温度調節器、N2注入口を備えた5リットルの4つ口丸底フラスコで行った。反応器に、1530部の脱イオン水、54.55部のNa-ドデシルベンゼンスルホネート界面活性剤(DS-4、水中22%)、0.146部のFeSO4および0.16部の酢酸を充填した。反応器の内容物を、N2スイープで60℃に加熱した。モノマーエマルジョンを、234部の脱イオン水、18.18部のDS-4界面活性剤(水中22%)、53部のアリルメタクリレート(ALMA)、696部のメチルメタクリレート(MMA)、および52部のブチル3-メルカプトプロピオアンテ(mercaptopropioante)(BMP)を用いて別個の容器で調製した。乳化を行うために機械的攪拌を適用した。モノマーエマルジョンの合計は、1000部であった。レドックス開始剤系は、2つの別個の溶液からなる。1つ目は、水中のt-ブチルヒドロペルオキシド(t-BHP)の3%(重量)溶液(酸化剤)であり、2つ目は、水中のホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム(SFS)の3%(重量)溶液(還元剤)であり、両方とも53.33部の合計である。60℃の反応器で、t-BHPおよびSFS溶液の同時供給(時間ゼロ)を0.44部/分(両方とも120分の供給時間)で開始し、モノマーエマルジョンを16.67部/分(60分の供給時間)で開始した。重合プロセス全体を通して、反応器の温度を60℃に維持した。モノマー供給の終わり(時間ゼロからの総反応時間60分)で、t-BHPおよびSFSはさらに60分間続いた(時間ゼロからの総反応時間120分)。次いで、反応物を、40℃に冷却し、チーズクロスを通して濾過した。エマルジョン粒径は58nm(光散乱による)であり、固形分は30.5%(重量測定による)であり、残留BAおよびMMAモノマーは、両方とも10ppm未満(ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる)であった。形成されたポリマーは、以下の表1の実施例8として識別される。
【0058】
他の実施例を、上記と同じプロセスによって、架橋剤(ALMA)対連鎖移動剤(BMP)の比率を変えて調製した。℃でのガラス遷移温度を示差走査熱量測定(DSC)によって決定し、溶解度をテトラヒドロフラン(THF)で決定した。結果(それぞれ少なくとも2つの試料の平均)を、以下の表1に示す。表1では、DPは重合度、つまり各モノマーの単位数を示す。数平均分子量、M
nを、GPCによって決定した。
【表1】
【0059】
THFへのそれらの溶解度が低いことによって示されるように、実施例2、6、10、および11は、架橋されていると決定された。実施例1、3、4、8、9、および12は、THFにほぼ100%溶解した。
【0060】
NMR分光分析を実施例4、8、および12に対して実行して、未反応のペンダント二重結合の量を決定した。ポリマー組成を、
13C NMR積分に基づいて決定し、100%に正規化した。未反応のペンダント二重境界の量を、約132.0ppmでのその二重炭素によって計算した。分岐ALMA含量を、約65.0ppmのその側鎖-OCH
2エステル炭素に基づいて推定した。以下の表2に示すように、ペンダント二重結合の少なくとも80%は、未反応のままであった。
【表2】
【0061】
比較として、NMR分析を、5重量パーセントのBMP、2.5重量パーセントの1,4-ブタンジオールジメタクリレート(BGDMA)、5重量パーセントのブチルアクリレート(BA)、および87.5重量パーセントのMMAを含む分岐ポリマーに対して実行した。予想通り、ペンダント二重結合の約4%が、この比較試料において未反応であった。
【0062】
FARおよび分岐ポリマー添加剤で作製されたフィルム
フィルムを、Paraloid(商標)21308XP多段階軟質アクリル樹脂(FAR)の、87重量パーセントのMMA、6.5重量パーセントのBMP、および6.5重量パーセントのALMAを含む分岐ポリマーとのブレンドを含む組成物で作製した。組成物は、85重量パーセントのFARおよび15重量パーセントの分岐ポリマーを含んでいた。未反応のペンダント二重結合がUV硬化後に反応したかどうかを決定するために、試料をTHFで抽出し、ポリマーの膨潤比を決定した。両方ともIGMレジンから入手可能である2つの異なるUV開始剤、Esacure KIP150、オリゴマーアルファヒドロキシケトン、およびOmnirad 127D、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オンを、試験した。
【0063】
表3に示されるように、UV照射された試料の両方は、熱可塑性マトリックスポリマーの架橋および架橋相の膨潤比の増加を示した。照射前の可溶性画分は、FARの可溶性画分およびすべての添加剤を含む。
【表3】
【国際調査報告】