(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(54)【発明の名称】対象を追跡するための計算デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06V 40/20 20220101AFI20220908BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20220908BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20220908BHJP
【FI】
G06V40/20
G08B21/24
G06T7/20 300Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577969
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 SE2019050664
(87)【国際公開番号】W WO2021002788
(87)【国際公開日】2021-01-07
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【氏名又は名称】藤井 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【氏名又は名称】小梶 晴美
(72)【発明者】
【氏名】アーングレン, トミ
(72)【発明者】
【氏名】ペテション, ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】オークヴィスト, ペータル
【テーマコード(参考)】
5C086
5L096
【Fターム(参考)】
5C086CA06
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5L096CA04
5L096JA11
(57)【要約】
対象を追跡するための計算デバイス(110)が提供される。計算デバイスは、測位センサー(113)と、無線ネットワークインターフェース(114)と、計算デバイスを、計算デバイスを携行するユーザによって対象(120、130)が把持されていることを検出すること、対象を識別すること、および複数の計算デバイスによってアクセス可能なデータベース中の対象に関する情報を更新することを行うように動作可能にさせる処理回路(115)とを備える。情報は、対象に関連付けられた識別子と、ユーザに関連付けられた識別子と、対象をユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報とを含む。計算デバイスは、さらに、対象がユーザによって解放されたことを検出することと、それに応答して、対象がユーザによって解放されたときの計算デバイスの位置を用いてデータベース中の位置情報を更新することとを行うように動作可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象(120、130)を追跡するための計算デバイス(110)であって、
測位センサー(113)と、
無線ネットワークインターフェース(114)と、
処理回路(115)とを備え、前記処理回路(115)は、前記計算デバイスを、
前記計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出すること(311、331)、
前記対象を識別すること(312、332)、
複数の計算デバイス(110A、110B)によってアクセス可能なデータベース(150)中の前記対象に関する情報を更新すること(313、333)であって、前記情報が、前記対象に関連付けられた識別子と、前記ユーザに関連付けられた識別子と、前記対象を前記ユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報とを含む、情報を更新すること(313、333)、
前記対象が前記ユーザによって解放されたことを検出すること(314、334)、および
前記解放されたことを検出することに応答して、前記対象が前記ユーザによって解放されたときの前記計算デバイスの位置を用いて前記データベース中の前記位置情報を更新すること(315、335)
を行うように動作可能にさせる、
計算デバイス。
【請求項2】
対象を把持している前記計算デバイスを携行するユーザの手の特徴である、前記手の指の屈曲を検出することによって、前記ユーザによって対象が把持されていることを検出すること(311、331)を行うように動作可能な、請求項1に記載の計算デバイス。
【請求項3】
前記対象を把持している前記手の近くに装着されたセンサーデバイス(140)から受信されたセンサーデータに基づいて、前記指の屈曲を検出すること(311、331)を行うように動作可能な、請求項2に記載の計算デバイス。
【請求項4】
前記ユーザによって装着されたカメラ(112)によってキャプチャされた画像に対して画像分析を実行することによって、前記計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出すること(311、331)を行うように動作可能な、請求項1に記載の計算デバイス。
【請求項5】
対象によって送信された無線信号の強度を評価することによって、前記計算デバイスを携行するユーザによって前記対象が把持されていることを検出すること(311、331)を行うように動作可能な、請求項1に記載の計算デバイス。
【請求項6】
前記対象によって送信された無線信号の強度に関するデータに基づいて、前記無線信号の前記強度を評価することを行うように動作可能であり、前記データが、前記対象を把持している手の近くに装着され、前記無線信号を受信した受信機デバイス(140)から受信される、請求項5に記載の計算デバイス。
【請求項7】
前記ユーザによって装着されたカメラ(112)によってキャプチャされた画像に対して対象認識を実行することによって、前記対象を識別すること(312、332)を行うように動作可能な、請求項1から6のいずれか一項に記載の計算デバイス。
【請求項8】
前記対象によって送信された無線信号に基づいて前記対象を識別すること(312、332)を行うように動作可能な、請求項1から6のいずれか一項に記載の計算デバイス。
【請求項9】
前記計算デバイスの現在位置を用いて、前記対象を前記ユーザと同じ場所にあるとして識別する前記位置情報を繰り返し更新することによって、前記位置情報を更新すること(313、333)を行うように動作可能な、請求項1から8のいずれか一項に記載の計算デバイス。
【請求項10】
前記対象の位置を特定するための前記ユーザからの要求を受信すること(321、341)と、
前記対象の現在位置を取り出すこと(323、343)を行うために前記データベース(150)を照会すること(322、342)と、
前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内すること(324、344)と
を行うようにさらに動作可能な、請求項1から8のいずれか一項に記載の計算デバイス。
【請求項11】
前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内する1つまたは複数のキューを表示することによって、前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内すること(324、344)を行うように動作可能な、請求項10に記載の計算デバイス。
【請求項12】
前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内する可聴音を発することによって、前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内すること(324、344)を行うように動作可能な、請求項10に記載の計算デバイス。
【請求項13】
前記対象の前記現在位置が、別のユーザと同じ場所にあるとして示されている場合、現在、前記対象が前記別のユーザと同じ場所にあることを前記ユーザに通知することによって、前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内すること(324、344)を行うように動作可能な、請求項10に記載の計算デバイス。
【請求項14】
モバイルフォン、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、および拡張現実(AR)ヘッドセット(110)のいずれかである、請求項1から13のいずれか一項に記載の計算デバイス。
【請求項15】
計算デバイスによって実行される対象を追跡する方法(500)であって、
前記計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出すること(501)と、
前記対象を識別すること(502)と、
複数の計算デバイスによってアクセス可能なデータベース中の前記対象に関する情報を更新すること(503)であって、前記情報が、前記対象に関連付けられた識別子と、前記ユーザに関連付けられた識別子と、前記対象を前記ユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報とを含む、情報を更新すること(503)と、
前記対象が前記ユーザによって解放されたことを検出すること(504)と、
前記解放されたことを検出することに応答して、前記対象が前記ユーザによって解放されたときの前記計算デバイスの位置を用いて前記データベース中の前記位置情報を更新すること(505)と
を含む、方法。
【請求項16】
前記計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを前記検出すること(501)が、対象を把持している前記ユーザの手の特徴である、前記手の指の屈曲を検出することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記指の前記屈曲が、前記対象を把持している前記手の近くに装着されたセンサーデバイスから受信されたセンサーデータに基づいて検出される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを前記検出すること(501)が、前記ユーザによって装着されたカメラによってキャプチャされた画像に対して画像分析を実行することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを前記検出すること(501)が、前記対象によって送信された無線信号の強度を評価することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記対象によって送信された無線信号の前記強度が、前記無線信号の前記強度に関するデータに基づいて評価され、前記データが、前記対象を把持している手の近くに装着され、前記無線信号を受信した受信機デバイスから受信される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象を前記識別すること(502)が、前記ユーザによって装着されたカメラによってキャプチャされた画像に対して対象認識を実行することを含む、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、前記対象によって送信された無線信号に基づいて識別される(502)、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象を前記ユーザと同じ場所にあるとして識別する前記位置情報を前記更新すること(503)が、前記計算デバイスの現在位置を用いて前記位置情報を繰り返し更新することを含む、請求項15から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象の位置を特定するための前記ユーザからの要求を受信すること(506)と、
前記対象の現在位置を取り出すために前記データベースを照会すること(507)と、
前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内すること(508)と
をさらに含む、請求項15から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ユーザを前記対象の前記現在位置に前記案内すること(508)が、前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内する1つまたは複数のキューを表示することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ユーザを前記対象の前記現在位置に前記案内すること(508)が、前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内する可聴音を発することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記対象の前記現在位置が、別のユーザと同じ場所にあるとして示されている場合、前記ユーザを前記対象の前記現在位置に前記案内すること(508)は、現在、前記対象が前記別のユーザと同じ場所にあることを前記ユーザに通知することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
命令を含むコンピュータプログラム(404)であって、前記命令は、前記コンピュータプログラムが計算デバイス(110)中に含まれるプロセッサ(402)によって実行されたときに、前記計算デバイスに請求項15から27のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム(404)。
【請求項29】
請求項28に記載のコンピュータプログラム(404)を記憶している、コンピュータ可読記憶媒体(403)。
【請求項30】
請求項28に記載のコンピュータプログラム(404)を搬送する、データキャリア信号。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象を追跡するための計算デバイス、計算デバイスによって実行される対象を追跡する方法、対応するコンピュータプログラム、対応するコンピュータ可読記憶媒体、および対応するデータキャリア信号に関する。
【背景技術】
【0002】
人々は、使用する人(ユーザ)の手で持ち上げられ、すなわち、把持され、ユーザによって携行され、その後、潜在的に異なるロケーションにおいてユーザによって解放され得る、電子デバイス(たとえば、モバイルフォン、タブレットコンピュータなど)、時計、鍵、財布、リモートコントローラ、工具、または他のタイプの日用品全般などの対象を追跡することが困難になることがある。
【0003】
人々がなくなったまたは移動した対象を見つけるのを支援するための様々な解決策がある。たとえば、財布または鍵などの対象に取り付けられ得、短距離無線信号、たとえば、Bluetoothに基づく、バッテリー電源式追跡デバイスが知られている。さらに、インターネットに接続されたiOSデバイスから位置情報を取り出すことによってiOSデバイスの位置を特定するための、アップル社の「Find My iPhone」アプリが使用され得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上記の技法および従来技術に対する改善された代替物を提供することである。
【0005】
より詳細には、本発明の目的は、対象を使用する人(ユーザ)の手で持ち上げられ、すなわち、把持され、ユーザによって携行され、潜在的に異なるロケーションにおいてユーザによって解放され得る、電子デバイス(たとえば、モバイルフォン、タブレットコンピュータなど)、時計、鍵、財布、リモートコントローラ、工具、または他のタイプの日用品全般などの対象を追跡するための改善された解決策を提供することである。
【0006】
本発明のこれらおよび他の目的は、独立クレームによって定義されている、本発明の様々な態様によって達成される。本発明の実施形態は従属クレームによって特徴づけられる。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、対象を追跡するための計算デバイスが提供される。計算デバイスは、測位センサーと、無線ネットワークインターフェースと、処理回路とを備える。処理回路は、計算デバイスを、計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出することと、対象を識別することとを行うように動作可能にさせる。計算デバイスは、さらに、複数の計算デバイスによってアクセス可能なデータベース中の対象に関する情報を更新するように動作可能である。情報は、対象に関連付けられた識別子と、ユーザに関連付けられた識別子と、対象をユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報とを含む。計算デバイスは、さらに、対象がユーザによって解放されたことを検出することと、それに応答して、対象がユーザによって解放されたときの計算デバイスの位置を用いて位置情報を更新することとを行うように動作可能である。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、対象を追跡する方法が提供される。方法は、計算デバイスによって実行され、計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出することと、対象を識別することとを含む。方法は、複数の計算デバイスによってアクセス可能なデータベース中の対象に関する情報を更新することをさらに含む。情報は、対象に関連付けられた識別子と、ユーザに関連付けられた識別子と、対象をユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報とを含む。方法は、対象がユーザによって解放されたことを検出することと、それに応答して、対象がユーザによって解放されたときの計算デバイスの位置を用いてデータベース中の位置情報を更新することとをさらに含む。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、コンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムが、計算デバイス中に含まれるプロセッサによって実行されたときに、計算デバイスに本発明の第3の態様による方法を実行させる命令を含む。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータ可読記憶媒体は、本発明の第3の態様によるコンピュータプログラムを記憶している。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、データキャリア信号が提供される。データキャリア信号は、本発明の第3の態様によるコンピュータプログラムを搬送する。
【0012】
本発明は、計算デバイス、特に、モバイルフォン、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、または拡張現実(AR)ヘッドセットなどの、ユーザによって携行されるモバイル通信デバイスが、対象が現在位置するロケーションにおいてそれらのデバイスのユーザによって(対象を手で把持することによって)持ち上げられ、その後、潜在的に異なるロケーションにおいてユーザがそれらの対象を使い終えた後に解放される、対象を追跡するために使用され得るという理解を利用する。対象の現在ロケーション、すなわち、その位置についての情報は、複数の計算デバイスによってアクセス可能であるデータベース、すなわち、共有データベース中に保持される。
【0013】
これは、ユーザによって携行される複数の計算デバイスが、1つまたは複数の対象の現在位置についての情報を共有することができるので、ユーザは、見つけたいと思っており、別のユーザによって使用中であり得るか、または対象がそのユーザまたは別のユーザによって解放された位置に配置されている、対象の位置を特定することが可能になる点で、有利である。
【0014】
本発明の利点について、場合によっては、本発明の第1の態様の実施形態を参照しながら説明したが、対応する論法は本発明の他の態様の実施形態に当てはまる。
【0015】
本発明のさらなる目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示、図面、および添付の特許請求の範囲を研究すると明らかになろう。当業者には、以下で説明する実施形態以外の実施形態を生み出すために、本発明の異なる特徴が組み合わせられ得ることが理解されよう。
【0016】
本発明の上記ならびに追加の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態の以下の例示的で非限定的な詳細な説明によって、より良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による、ARヘッドセットを装着し、対象を把持しているユーザを示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による、ユーザによって装着されたカメラによってキャプチャされた画像を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による、1つまたは複数の計算デバイスを使用した対象の追跡を示すシーケンス図を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による、対象を追跡するために計算デバイス中に含まれた処理回路の実施形態を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による、計算デバイスによって実行される対象を追跡する方法を示すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
すべての図は、概略であり、必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らず、全体的に、本発明を解明するために必要である部分を示すにすぎず、他の部分は、省略されるか、または単に示唆され得る。
【0019】
次に、本発明のいくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、本発明について以下でより十分に説明する。本発明は、しかしながら、多くの異なる形態で実施され得、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、周到で完全になり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として与えられる。
【0020】
以下では、計算デバイス110が、ユーザの(1つまたは複数の)手で1つまたは複数の対象120および130を把持する彼/彼女によって装着されたARヘッドセットまたはHMDとして示されている、
図1を参照しながら、対象を追跡するための計算デバイス110の実施形態について説明する。
図1では、ユーザによって把持される対象は、工具、ユーザが左手で把持するアルコール水準器(spirit level)120、およびユーザが右手で把持しようとしているバッテリー電源式ドリル130として示されている。本発明の実施形態は、本開示全体にわたって説明される特定のタイプの対象に限定されず、計算デバイス110を携行するユーザの手で持ち上げられ、すなわち、把持され、その後ユーザによって解放され得る、電子デバイス(たとえば、モバイルフォン、タブレットコンピュータなど)、時計、鍵、財布、リモートコントローラ、工具、または他のタイプの日用品全般など、任意の種類の対象を追跡するために使用されることが想定され得ることが諒解されよう。対象が解放されたロケーション、すなわち、その位置は、ユーザが対象を持ち上げられた位置とは潜在的に異なり得る。したがって、ユーザが、それらのユーザまたは他のユーザが使用し、どこかに置いた対象の位置を特定するのを支援する必要が生じる。
【0021】
計算デバイス110は、測位センサー113と、無線ネットワークインターフェース114と、処理回路115とを備える。計算デバイスが、
図1に示されているように、光学ARヘッドセットまたはHMD110として実施される場合、計算デバイスは、ARヘッドセットを装着しているユーザがユーザの前方の現実世界シーン、すなわち、物質界を見ることができるようにするシースルーディスプレイ111と、ユーザの前方の現実世界シーンの画像をキャプチャするように動作可能であるカメラ112とをさらに備え得る。静止画像またはビデオシーケンスであり得るキャプチャされた画像は、ユーザの周りに物質界の3Dモデルを生成するために使用され得る。代替的に、計算デバイス110が非光学式HMDである場合、すなわち、カメラ112によってキャプチャされた画像は、(シースルーディスプレイ111の代わりに)計算デバイス110の内側に設けられたディスプレイ上でユーザに表示され得る。さらに、計算デバイス110は、ユーザが現実世界シーンを見ることと、スマートフォンによって表示される画像をユーザの目のほうへ投影することとを可能にする、ハーフシースルーミラーなどの追加の光学構成要素を備える構成を使用して、ユーザの頭部に固定されるモバイルフォンまたはスマートフォンとしても実施され得る。そのような構成の例は、HoloKitボール紙(cardboard)ヘッドセットである。
【0022】
測位センサー113は、計算デバイス110の現在位置、したがって、計算デバイス110を携行するそのユーザの現在位置を決定するように動作可能である。測位センサー113は、全地球測位システム(GPS)、グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)、中国のBeiDouナビゲーション衛星システム(BDS)、GLONASS、またはGalileoに基づき得るか、あるいは、たとえば、測位サーバから無線ネットワークインターフェース114を介して位置情報を受信し得る。位置情報は、たとえば、無線三角測量(radio triangulation)、無線フィンガープリンティング、または無線通信ネットワーク(たとえば、セルIDもしくはWLAN SSID)のアクセスポイントの既知の位置に関連付けられたクラウドソース識別子に基づき得る。計算デバイス110の現在位置は、たとえば、計算デバイス110のオペレーティングシステムによって与えられるアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して利用可能にされ得る。
【0023】
無線ネットワークインターフェース114は、無線通信ネットワークにアクセスするように動作可能であり、それにより、計算デバイス110が通信すること、すなわち、いずれかの方向(アップリンクまたはダウンリンク)においてデータを交換することを可能にする回路である。計算デバイスは、以下でさらに説明するように、たとえば、計算デバイス110と同様の他の計算デバイス、または複数の計算デバイス110によってアクセス可能であり、1つまたは複数の対象に関する情報を保持するように動作可能であるデータベース150とデータを交換し得る。さらなる代替として、無線ネットワークインターフェース114は、
図1に示されたスマートウォッチ140など、ユーザの1つまたは複数の他の通信デバイスとデータを交換するように動作可能であり得る。無線ネットワークインターフェース114は、セルラーモデム(たとえば、GSM、UMTS、LTE、5G、NR/NX)、WLAN/Wi-Fiモデム、Bluetoothモデム、近距離通信(NFC)モデムなどのうちの1つまたは複数を備え得る。
【0024】
次に、(集合的に計算デバイス110と呼ばれる)1つまたは複数の計算デバイス110Aおよび110Bを使用した対象の追跡を示すシーケンス
図300を示す、
図3をさらに参照しながら、計算デバイス110の実施形態について説明する。
【0025】
処理回路115は、アルコール水準器120またはドリル130などの計算デバイス110を、計算デバイス110を携行するユーザによって対象が把持されていることを検出する311/331ように動作可能にさせる。たとえば、計算デバイス110は、計算デバイス110を携行するユーザの手の指の屈曲を検出することによって、ユーザによって対象が把持されていることを検出する311/331ように動作可能であり得、指の屈曲は、対象を把持している手の特徴である。計算デバイス110は、たとえば、対象を把持している手の近くに装着されたセンサーデバイスから受信されたセンサーデータに基づいて、指の屈曲を検出するように動作可能であり得る。センサーデバイスは、たとえば、スマートウォッチ140、または、好ましくは手首の近くに装着され、指の屈曲を検出するように動作可能である触覚センサー(haptic sensor)、動きセンサー、および/もしくは超音波センサーを備える、他のウェアラブルデバイスであり得る。たとえば、McIntoshらは、超音波イメージングを使用してハンドジェスチャー認識を証明している(J.McIntosh、A.Marzo、M.Fraser、およびC.Philips、「EchoFlex: Hand Gesture Recognition using Ultrasound Imaging」、Proceedings of the 2017 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems、1923~1934ページ、ACM New York、2017年)。代替的に、センサーデバイスは、ユーザによって装着される触覚グローブ(haptic glove)であり得る。センサーデータは、計算デバイス110によってその無線ネットワークインターフェース114を介して受信され、センサーデバイス中に含まれる対応するネットワークインターフェース、たとえば、Bluetoothインターフェースを介してセンサーデバイスによって送信される。
【0026】
計算デバイス110は、代替的に、計算デバイス110を携行するユーザによって装着されたカメラによってキャプチャされた1つまたは複数の画像に対して画像分析を実行することによって、ユーザによって対象が把持されていることを検出する311/331ように動作可能であり得る。これは、
図1に示されているように、たとえば、計算デバイス110を実施するARヘッドセットまたはHMDに組み込まれたカメラ112であり得る。代替的に、カメラは、ユーザによって装着されるヘルメットに組み込まれるか、またはユーザの身体に固定される、たとえば、ボディカメラであり得る。ハンドジェスチャーの認識のためのこのタイプの画像分析は当技術分野で知られている。
図2では、
図1に示されたARヘッドセット110に組み込まれたカメラ112によってキャプチャされた画像200が例示されている。ユーザによって対象が把持されていることを検出する311/331ための画像分析に依拠する計算デバイス110のこの実施形態は、人々が、一般に、それらの人々が把持しようと思う対象を注視するという理解に基づく。したがって、
図2に示されているように、ドリル130などのユーザが把持しようと思う対象は、ユーザによって装着されたカメラ112によってキャプチャされた画像200中に見える可能性が高い。
【0027】
さらなる代替として、計算デバイス110は、対象によって送信された無線信号の強度を評価することによって、計算デバイス110を携行するユーザによって対象が把持されていることを検出する311/331ように動作可能であり得る。これは、無線周波数識別(RFID)ステッカー121が付けられているとしてアルコール水準器120を示す
図1に例示されている。無線信号は、代替的に、対象中に含まれるか、または対象に取り付けられ得る他のタイプの無線送信機によって送信され得る。好ましくは、無線信号は、BluetoothまたはNFCなど、短距離無線信号である。たとえば、車の鍵は、しばしば、車のロックを解除するために使用される無線送信機を組み込んでいる。対象によって送信された無線信号は、たとえば、無線ネットワークインターフェース114を介して計算デバイス110によって受信され得る。代替的に、計算デバイス110は、無線信号の強度に関するデータに基づいて、対象によって送信された無線信号の強度を評価するように動作可能であり得、そのデータは、対象を把持している手の近くに装着され、無線信号を受信した受信機デバイスから受信される。たとえば、これは、スマートウォッチ140、または、ユーザによって、好ましくは手首の近くに装着される任意の他のタイプのウェアラブル通信デバイスであり得る。ユーザによって対象が把持されていることを検出すること311/331は、(手および計算デバイス110または受信機デバイスと対象との間の距離が徐々に小さくなり、受信された信号強度がそれに応じて高くなるように、手および計算デバイス110または受信機デバイスが対象に接近することにより)受信された無線信号の信号強度が徐々に高くなり、次いで、実質的に一定になる(手が対象を把持しており、受信された信号強度と同様に、対象と計算デバイス110または受信機デバイスとの間の距離が実質的に一定である)場合に、対象が把持されていると結論付けることによって達成され得る。
【0028】
計算デバイス110は、さらに、ユーザによって把持されている311/331対象を識別する312/332ように動作可能である。計算デバイス110は、ユーザによって対象が把持されていることを検出することに関して上記で説明したことと同様に、たとえば、ユーザによって装着されたカメラによってキャプチャされた1つまたは複数の画像に対して対象認識を実行することによって、対象を識別する312/332ように動作可能であり得る。特に、カメラは、
図1に示されているように、計算デバイス110を実施するARヘッドセットまたはHMDに組み込まれたカメラ112であり得る。代替的に、カメラは、ユーザによって装着されるヘルメットに組み込まれるか、またはユーザの身体に固定される、たとえば、ボディカメラであり得る。対象認識に基づいて対象を識別すること312/332は、ユーザによって頻繁に使用され、および/またはユーザに知られている、対象の画像を分類することによってトレーニングされている機械学習モデルを使用して達成され得る。代替的に、対象の画像をもつ、計算デバイス110によってアクセスされるか、または取り出され得る、一般的な機械学習モデルまたは一般的なデータベースが使用され得る。またさらなる代替として、ユーザによって装着されたカメラによってキャプチャされた画像を分析することに基づいて対象を識別することはまた、対象の基準マーカー、たとえば、対象に取り付けられるステッカーまたはラベルに依拠し得る。そのような基準マーカーは、任意選択で、バーコードまたはQRコードなど、光可読コードを含み得る。
【0029】
計算デバイス110は、代替的に、ユーザによって対象が把持されていることを検出することに関して上記で説明したことと同様に、対象によって送信された無線信号に基づいて対象を識別する312/332ように動作可能であり得る。特に、対象には、RFIDステッカー121などのRFIDステッカー、あるいは、対象中に含まれるか、または対象に取り付けられ得、無線送信機もしくは対象に関連付けられたMACアドレスもしくは他の一意の識別子などの別個のコード、または別個の無線信号パターンを送信している、任意の他のタイプの無線送信機が付けられ得る。好ましくは、無線信号は、BluetoothまたはNFCなど、短距離無線信号である。
【0030】
計算デバイス110は、さらに、複数の計算デバイス110によってアクセス可能であるデータベース150中の対象に関する情報を更新する313/333ように動作可能である。共有データベースとも呼ばれるデータベース150は、たとえば、計算デバイス110がそれらの無線ネットワークインターフェース114を介して接続される1つまたは複数の無線通信ネットワークを介して、計算デバイス110によってアクセス可能であるアプリケーションサーバ、エッジサーバ、またはクラウドストレージ中に保持され得る。計算デバイス110は、好適なプロトコル、たとえば、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)スイート、制約付きアプリケーションプロトコル(CoAP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)などのうちの1つまたは複数を使用して、その無線ネットワークインターフェース114を介して情報を送信することによって、対象に関する情報を更新する313/333ように動作可能である。代替として、共有データベース150は、複数の計算デバイス110の各々のローカルデータストレージ、すなわち、メモリ中に保持され得、複数のローカルデータベースは、互いに、またはアプリケーションサーバ、エッジサーバ、もしくはクラウドストレージ中に保持されたマスタデータベースと連続的に同期させられる。同期は、上記で説明したように、好適なプロトコルを使用して、無線ネットワークインターフェース114を介して情報を送信および/または受信することによって達成される。
【0031】
データベース150中で更新される情報は、対象に関連付けられた識別子と、ユーザに関連付けられた識別子と、対象をユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報とを含む。対象に関連付けられた識別子は、好ましくは、対象が識別された312/332ときに取得される一意のコードまたは識別子に基づいて生成される。代替的に、対象に関連付けられた識別子は、特に、対象がまだデータベース150に記載されておらず、新しいデータベースエントリが作成される場合、データベース150によって生成され得る。ユーザに関連付けられた識別子は、たとえば、ユーザの名前、ユーザ名、アカウント名、またはログイン名であり得る。代替的に、ユーザに関連付けられた識別子は、ユーザの計算デバイス110に関連付けられた識別子、たとえば、計算デバイス110のMACアドレス、計算デバイス110に関連付けられた名前(たとえば、「ボブのiPhone」)などであり得る。対象をユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報は、たとえば、対象が、ユーザに関連付けられた識別子(たとえば、ブールフラグ)によって識別されるユーザと同じ場所にあることを示す、情報フィールドまたはフラグであり得る。代替的に、対象をユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報は、ユーザの計算デバイス(たとえば、「ボブのiPhone」)のユーザ(たとえば、「ボブ」)に関連付けられた識別子であり得る。任意選択で、計算デバイス110は、対象を把持しているユーザの計算デバイス110の現在位置を用いて、対象をユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報を繰り返し更新することによって、位置情報を更新する313/333ように動作可能であり得、この位置情報は測位センサー113から収集される。対象をユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報は、定期的に、または計算デバイスの位置、およびそれによりユーザの位置がしきい値距離超だけ変化したことを検出したことに応答して、更新され313/333得る。
【0032】
計算デバイス110は、さらに、対象がユーザによって解放されたことを検出する314/334ように動作可能である。これは、ユーザによって対象が把持されていることを検出することに関して上記で説明したのと同様の方法で、達成され得る。たとえば、計算デバイス110は、ユーザの手の指の屈曲を検出することによって、対象がユーザによって解放されたことを検出する314/334ように動作可能であり得、指の屈曲は、対象を解放する手の特徴である。計算デバイス110は、たとえば、スマートウォッチ140、または手首の近くに装着され、触覚センサー、動きセンサー、および/もしくは超音波センサーを備える他のウェアラブルデバイス、またはユーザによって装着される触覚グローブなど、対象を把持している手の近くに装着されたセンサーデバイスから受信されたセンサーデータに基づいて、指の屈曲を検出するように動作可能であり得る。計算デバイス110は、代替的に、ユーザによって装着されたカメラ、たとえば、
図1に示されているように、計算デバイス110を実施するARヘッドセットもしくはHMDに組み込まれたカメラ112、またはユーザによって装着されるヘルメットに組み込まれるか、もしくはユーザの身体に固定されるカメラ、たとえば、ボディカメラによってキャプチャされた1つまたは複数の画像に対して画像分析を実行することによって、対象がユーザによって解放されたことを検出する314/334ように動作可能であり得る。上記で説明したことと同様に、対象がユーザによって解放されたことを検出する314/334ための画像分析に依拠する計算デバイス110のこの実施形態は、人々が、一般に、それらの人々が解放しようとしている対象をテーブル、床、棚などの表面に配置することによって対象を注視するという理解に基づく。したがって、
図2に示された画像200と同様に、ユーザが解放しようとしている対象は、ユーザによって装着されたカメラによってキャプチャされた画像中に見える可能性が高い。さらなる代替として、計算デバイス110は、対象によって送信された無線信号の強度を評価することによって、対象がユーザによって解放されたことを検出する314/334ように動作可能であり得る。対象が解放されたことを検出すること314/334は、対象がユーザによって解放される際に、対象と計算デバイス110または受信機デバイスとの間の距離の急激な減少により、受信された無線信号の信号強度が急激に低下すると結論付けることによって達成され得る。またさらなる代替として、計算デバイス110は、計算デバイス110中に含まれるマイクロフォンによって、またはスマートウォッチ140、もしくはユーザによって装着される他のウェアラブル音声記録デバイス中に含まれるマイクロフォンによってキャプチャされた音声信号を分析することによって、対象がユーザによって解放されたことを検出する314/334ように動作可能であり得る。これは、トレーニングされた機械学習モデルを使用して、表面、特に硬い表面上に配置されている対象の特徴である音を検出することによって達成され得る。
【0033】
計算デバイス110は、さらに、対象がユーザによって解放されたことを検出したこと314/334に応答して、データベース150中の位置情報を更新する315/335ように動作可能である。データベース150中の位置情報は、対象がユーザによって解放されたときの計算デバイス110の位置を用いて更新される315/335。位置情報は測位センサー113から取得される。上記で説明したことと同様に、計算デバイス110は、好適なプロトコル、たとえば、HTTP、TCP/IP、CoAP、UDPなどのうちの1つまたは複数を使用して、その無線ネットワークインターフェース114を介してデータベース150に情報を送信することによって、位置情報を更新する315/335ように動作可能であり得る。代替として、データベース150が複数の計算デバイス110の各々のローカルデータストレージ中に保持される場合、ローカルデータベース150は、好適なプロトコルを使用して無線ネットワークインターフェース114を介して情報を送信することによって、互いに、またはアプリケーションサーバ、エッジサーバ、もしくはクラウドストレージ中に保持されたマスタデータベースと連続的に同期させられる。
【0034】
任意選択で、計算デバイス110は、さらに、対象の位置を特定するためのユーザからの要求を受信すること321/341と、対象の現在位置を取り出す323/343ためにデータベース150を照会すること322/342と、ユーザを対象の現在位置に案内すること324/344とを行うように動作可能であり得る。ユーザからの要求は、たとえば、計算デバイス110中に含まれるマイクロフォンによってキャプチャされ、音声認識にかけられる口頭命令(たとえば、「アルコール水準器を見つけなさい。」)として、または、ユーザが計算デバイス110と対話するのに用いるグラフィカルユーザインターフェースを介して受信され得る。たとえば、計算デバイス110は、計算デバイス110のディスプレイ上のデータベース150中に現在記載されている対象のリストを表示するように動作可能であり得、ユーザは、そのリストから、彼/彼女が位置を特定したいと思う対象を選択し得る。データベース150中に現在記載されている対象のリストは、無線ネットワークインターフェース114を介してデータベース150を照会することによって取り出され得る。
【0035】
図3を参照しながら、計算デバイス110Aおよび110Bなど、計算デバイスのユーザが対象の位置を特定したいと思うときに起こり得る、異なるシナリオについて説明する。たとえば、計算デバイス110Aのユーザ(「ユーザA」)は、彼/彼女が前に把持し311、解放した314対象の位置を特定するよう要求し341得る。これは、たとえば、ユーザAが、彼/彼女が対象をどこに置いたのかを忘れた場合に当てはまり得る。これはまた、ユーザAが対象の現在ロケーション(位置)に気づいていないような、対象がユーザAによって解放された314後に、計算デバイス110Bの別のユーザ(「ユーザB」)が対象を把持し331、その後解放した334場合に当てはまり得る。これはまた、対象が現在ユーザAによって使用中である、すなわち、ユーザAによって対象が把持されている311がまだ解放されて314おらず、ユーザBが対象の位置を特定するよう要求する321場合に当てはまり得る。
【0036】
計算デバイス110は、ユーザを対象の現在位置に案内する1つまたは複数のキューを表示することによって、ユーザを対象の現在位置に案内する324/344ように動作可能であり得る。たとえば、計算デバイス110が、
図1に示されているように、ARヘッドセットによって実施される場合、計算デバイス110は、特に、対象がARヘッドセットの視野中に見えない場合、すなわち、対象が現在、対象がユーザに見えない現実世界シーン中に位置する場合、シースルーディスプレイ111上に対象の現在位置の方向を指す矢印を表示するように動作可能であり得る。代替的に、対象がARヘッドセット110の視野内にある場合、対象は、たとえば、対象の周りに円を表示することによって、または対象の近くに任意の他のグラフィカルマーカーを表示することによってハイライトされ得る。
【0037】
代替的に、計算デバイス110は、ユーザを対象の現在位置に案内する可聴音を発することによって、ユーザを対象の現在位置に案内する324/344ように動作可能であり得る。特に、発された可聴音は、ユーザが対象の位置を特定するために動き回っている間、ユーザと対象の現在位置との間の距離を反映するように変動させられ得る。たとえば、可聴音の音量または周波数は距離の減少とともに大きくなり得る。可聴音が反復的なビープ音を含む場合、ビープ音間の持続時間は、金属探知機と同様に、距離の減少を反映するように短縮され得る。
【0038】
またさらなる代替として、計算デバイス110は、対象の現在位置が別のユーザと同じ場所にあるとして示されている場合、現在、対象が別のユーザと同じ場所にあることをユーザに通知することによって、ユーザを対象の現在位置に案内する324/344ように動作可能であり得る。これは、たとえばユーザに可聴命令(たとえば、「アルコール水準器はボブによって使用されている。」)を与えることによって、またはユーザに対応する情報(たとえば、「アルコール水準器はボブによって使用されている。」)を表示することによって達成され得る。上記で説明したことと同様に、計算デバイス110は、たとえば、1つまたは複数のキューを表示することによって、または対象を把持しているユーザに、対象の位置を特定するよう要求するユーザを案内する可聴音を発することによって、対象が別のユーザによって使用中である場合でも、ユーザをその現在位置にある対象に案内するように動作可能であり得る。
【0039】
計算デバイスの実施形態について、場合によっては、HMDとも呼ばれる、
図1に示されたARヘッドセット110を参照しながら説明したが、対象を追跡するための計算デバイスの代替実施形態が容易に想定され得る。たとえば、対象を追跡するための計算デバイスは、モバイルフォン、スマートフォン、タブレットコンピュータ、またはパーソナルデジタルアシスタント(PDA)であり得る。
【0040】
以下では、
図4を参照しながら、計算デバイス110など、対象を追跡するための計算デバイス中に含まれる処理回路115の実施形態について説明する。処理回路115は、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、特定用途向けプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、および画像プロセッサを含むデジタル信号プロセッサ(DSP)、またはそれらの組合せなど、1つまたは複数のプロセッサ402と、命令を含むコンピュータプログラム404を含むメモリ403とを備え得る。プロセッサ402によって実行されたとき、コンピュータプログラム404は、計算デバイス110に、本明細書で説明した本発明の実施形態に従って実行させる。メモリ403は、たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどであり得る。コンピュータプログラム404は、コンピュータプログラム404を搬送するデータキャリア信号として、無線ネットワークインターフェース114によってメモリ403にダウンロードされ得る。プロセッサ402は、コンピュータプログラム404と協働して、またはコンピュータプログラム404の代替物として、計算デバイス110を、本明細書で説明した本発明の実施形態に従って実行させるように動作可能である、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などをさらに備え得る。さらに、処理回路115は、ディスプレイ111、カメラ112、測位センサー113、無線ネットワークインターフェース114、および、たとえばマイクロフォン、ラウドスピーカーなど、計算デバイス110中に含まれる任意の追加の構成要素など、計算デバイス110中に含まれる他の構成要素からの情報を制御および/または受信するための1つまたは複数のインターフェース回路401(
図4では「I/O」)を備える。インターフェース401は、任意の種類の電子回路、たとえば、アナログ電子回路、デジタル電子回路、および好適なコンピュータプログラム、すなわちソフトウェアを実行する処理回路のうちのいずれか1つ、またはそれらの組合せによって実装され得る。
【0041】
以下では、
図5を参照しながら、対象を追跡する方法の実施形態について説明する。方法500は、計算デバイス110によって実行され、計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出すること501と、対象を識別すること502とを含む。方法500は、複数の計算デバイスによってアクセス可能なデータベース中の対象に関する情報を更新すること503をさらに含む。情報は、対象に関連付けられた識別子と、ユーザに関連付けられた識別子と、対象をユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報とを含む。方法500は、対象がユーザによって解放されたことを検出すること504と、解放されたことを検出することに応答して、対象がユーザによって解放されたときの計算デバイスの位置を用いてデータベース中の位置情報を更新すること505とをさらに含む。
【0042】
計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出すること501は、対象を把持しているユーザの手の特徴である、手の指の屈曲を検出することを含み得る。任意選択で、指の屈曲は、対象を把持している手の近くに装着されたセンサーデバイスから受信されたセンサーデータに基づいて検出される。
【0043】
計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出すること501は、代替的に、ユーザによって装着されたカメラによってキャプチャされた画像に対して画像分析を実行することを含み得る。
【0044】
計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出すること501は、代替的に、対象によって送信された無線信号の強度を評価することを含み得る。任意選択で、対象によって送信された無線信号の強度は、無線信号の強度に関するデータに基づいて評価され、このデータは、対象を把持している手の近くに装着され、無線信号を受信した受信機デバイスから受信される。
【0045】
対象を識別すること502は、ユーザによって装着されたカメラによってキャプチャされた画像に対して対象認識を実行することを含み得る。
【0046】
代替的に、対象は、対象によって送信された無線信号に基づいて識別され502得る。
【0047】
対象をユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報を更新すること503は、計算デバイスの現在位置を用いて位置情報を繰り返し更新することを含み得る。
【0048】
方法500は、対象の位置を特定するためのユーザからの要求を受信すること506と、対象の現在位置を取り出すためにデータベースを照会すること507と、ユーザを対象の現在位置に案内すること508とをさらに含み得る。ユーザを対象の現在位置に案内すること508は、ユーザを対象の現在位置に案内する1つまたは複数のキューを表示することを含み得る。ユーザを対象の現在位置に案内すること508は、代替的に、ユーザを対象の現在位置に案内する可聴音を発することを含み得る。対象の現在位置が別のユーザと同じ場所にあるとして示されている場合、ユーザを対象の現在位置に案内すること508は、代替的に、現在、対象が別のユーザと同じ場所にあることをユーザに通知することを含み得る。
【0049】
方法500は、本開示全体にわたって説明したことに従う、追加のステップ、代替のステップ、または改変されたステップを含み得ることが諒解されよう。方法500の一実施形態は、計算デバイス110中に含まれる1つまたは複数のプロセッサ402によって実行されたときに、計算デバイス110に、本明細書で説明した本発明の実施形態に従って実行させる命令を含むコンピュータプログラム404として実装され得る。
【0050】
当業者には、本発明が上記で説明した実施形態に決して限定されないことが理解されよう。むしろ、添付の特許請求の範囲の範囲内で、多くの改変および変形が可能である。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象(120、130)を追跡するための計算デバイス(110)であって、
測位センサー(113)と、
無線ネットワークインターフェース(114)と、
処理回路(115)とを備え、前記処理回路(115)は、前記計算デバイスを、
前記計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出すること(311、331)、
前記対象を識別すること(312、332)、
複数の計算デバイス(110A、110B)によってアクセス可能なデータベース(150)中の前記対象に関する情報を更新すること(313、333)であって、前記情報が、前記対象に関連付けられた識別子と、前記ユーザに関連付けられた識別子と、前記対象を前記ユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報とを含む、情報を更新すること(313、333)、
前記対象が前記ユーザによって解放されたことを検出すること(314、334)、および
前記解放されたことを検出することに応答して、前記対象が前記ユーザによって解放されたときの前記計算デバイスの位置を用いて前記データベース中の前記位置情報を更新すること(315、335)
を行うように動作可能にさせる、
計算デバイス。
【請求項2】
対象を把持している前記計算デバイスを携行するユーザの手の特徴である、前記手の指の屈曲を検出することによって、前記ユーザによって対象が把持されていることを検出すること(311、331)を行うように動作可能な、請求項1に記載の計算デバイス。
【請求項3】
前記対象を把持している前記手の近くに装着されたセンサーデバイス(140)から受信されたセンサーデータに基づいて、前記指の屈曲を検出すること(311、331)を行うように動作可能な、請求項2に記載の計算デバイス。
【請求項4】
前記ユーザによって装着されたカメラ(112)によってキャプチャされた画像に対して画像分析を実行することによって、前記計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出すること(311、331)を行うように動作可能な、請求項1に記載の計算デバイス。
【請求項5】
対象によって送信された無線信号の強度を評価することによって、前記計算デバイスを携行するユーザによって前記対象が把持されていることを検出すること(311、331)を行うように動作可能な、請求項1に記載の計算デバイス。
【請求項6】
前記対象によって送信された無線信号の強度に関するデータに基づいて、前記無線信号の前記強度を評価することを行うように動作可能であり、前記データが、前記対象を把持している手の近くに装着され、前記無線信号を受信した受信機デバイス(140)から受信される、請求項5に記載の計算デバイス。
【請求項7】
前記ユーザによって装着されたカメラ(112)によってキャプチャされた画像に対して対象認識を実行することによって、前記対象を識別すること(312、332)を行うように動作可能な、請求項1から6のいずれか一項に記載の計算デバイス。
【請求項8】
前記対象によって送信された無線信号に基づいて前記対象を識別すること(312、332)を行うように動作可能な、請求項1から6のいずれか一項に記載の計算デバイス。
【請求項9】
前記計算デバイスの現在位置を用いて、前記対象を前記ユーザと同じ場所にあるとして識別する前記位置情報を繰り返し更新することによって、前記位置情報を更新すること(313、333)を行うように動作可能な、請求項1から8のいずれか一項に記載の計算デバイス。
【請求項10】
前記対象の位置を特定するための前記ユーザからの要求を受信すること(321、341)と、
前記対象の現在位置を取り出すこと(323、343)を行うために前記データベース(150)を照会すること(322、342)と、
前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内すること(324、344)と
を行うようにさらに動作可能な、請求項1から8のいずれか一項に記載の計算デバイス。
【請求項11】
前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内する1つまたは複数のキューを表示することによって、前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内すること(324、344)を行うように動作可能な、請求項10に記載の計算デバイス。
【請求項12】
前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内する可聴音を発することによって、前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内すること(324、344)を行うように動作可能な、請求項10に記載の計算デバイス。
【請求項13】
前記対象の前記現在位置が、別のユーザと同じ場所にあるとして示されている場合、現在、前記対象が前記別のユーザと同じ場所にあることを前記ユーザに通知することによって、前記ユーザを前記対象の前記現在位置に案内すること(324、344)を行うように動作可能な、請求項10に記載の計算デバイス。
【請求項14】
モバイルフォン、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、および拡張現実(AR)ヘッドセット(110)のいずれかである、請求項1から13のいずれか一項に記載の計算デバイス。
【請求項15】
計算デバイスによって実行される対象を追跡する方法(500)であって、
前記計算デバイスを携行するユーザによって対象が把持されていることを検出すること(501)と、
前記対象を識別すること(502)と、
複数の計算デバイスによってアクセス可能なデータベース中の前記対象に関する情報を更新すること(503)であって、前記情報が、前記対象に関連付けられた識別子と、前記ユーザに関連付けられた識別子と、前記対象を前記ユーザと同じ場所にあるとして識別する位置情報とを含む、情報を更新すること(503)と、
前記対象が前記ユーザによって解放されたことを検出すること(504)と、
前記解放されたことを検出することに応答して、前記対象が前記ユーザによって解放されたときの前記計算デバイスの位置を用いて前記データベース中の前記位置情報を更新すること(505)と
を含む、方法。
【請求項16】
命令を含むコンピュータプログラム(404)であって、前記命令は、前記コンピュータプログラムが計算デバイス(110)中に含まれるプロセッサ(402)によって実行されたときに、前記計算デバイスに請求項
15に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム(404)。
【請求項17】
請求項
16に記載のコンピュータプログラム(404)を記憶している、コンピュータ可読記憶媒体(403)。
【国際調査報告】