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特表2022-5405288B10B PAM4エンコーディング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】8B10B PAM4エンコーディング
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/49 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
H04L25/49 L
H04L25/49 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522456
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 IB2020056614
(87)【国際公開番号】W WO2021009679
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】62/873,965
(32)【優先日】2019-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517247516
【氏名又は名称】ヴァレンス セミコンダクター リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレイス、イスラエル
(72)【発明者】
【氏名】リダ、アイラン
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029FF02
5K029FF09
5K029KK26
(57)【要約】
標準的な8b10b非ゼロ復帰ストリームのパワースペクトル密度(PSD)と同様のPSDを有するように、PAM4又はPAM8シンボルをエンコーディングする。1つの実施形態において、送信器は、オリジナルバイトストリームから分割された第1のストリーム及び第2のストリームを受信する第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダを備える。第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダは、それぞれ第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームを出力する。第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームは、第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームの線形結合を実行する2ビット結合器に送られる。そして、4レベルパルス振幅変調エンコーダ(PAM4エンコーダ)は、結合器から受信される各2ビットの線形結合をPAM4シンボルに変換する。PAM4シンボルの結果として得られるストリームは、標準的な8b10b非ゼロ復帰ストリームのPSDと同様のPSDを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナルバイトストリームから分割された第1のストリーム及び第2のストリームを受信するように構成されている第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダであって、それぞれ第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームを出力するように構成されている、第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダと、
前記第1の8b10bストリーム及び前記第2の8b10bストリームの線形結合を実行するように構成されている2ビット結合器と、
前記2ビット結合器から受信される各2ビットの前記線形結合をPAM4シンボルに変換するように構成されている4レベルパルス振幅変調エンコーダ(PAM4エンコーダ)と、
を備える、送信器。
【請求項2】
前記第1の8b10bエンコーダ及び前記第2の8b10bエンコーダは、それぞれ前記オリジナルバイトストリームの半分のレートを有するビットストリームを出力する、標準的な8b10bエンコーダである、請求項1に記載の送信器。
【請求項3】
前記PAM4シンボルは、約25%のオーバヘッドを伴って8b10b非ゼロ復帰ラインコード伝送パワースペクトル密度を維持する、請求項1又は2に記載の送信器。
【請求項4】
前記PAM4シンボルの結果として得られるストリームは、標準的な8b10b非ゼロ復帰ストリームのパワースペクトル密度(PSD)を維持し、これにより、前記送信器を含むトランシーバのダウンリンクチャネルとアップリンクチャネルとの間の帯域分離が可能になる、請求項1~3のいずれか一項に記載の送信器。
【請求項5】
前記帯域分離は、アップリンク受信器及びダウンリンク受信器の両方においてエコーキャンセルを実施する必要なく、前記トランシーバが前記アップリンクチャネル上で伝送することを可能にする、請求項4に記載の送信器。
【請求項6】
前記オリジナルバイトストリームからの前記分割は、前記オリジナルバイトストリームの奇数ビットが前記第1の8b10bエンコーダに送られ、前記オリジナルバイトストリームの偶数ビットが前記第2の8b10bエンコーダに送られるように実行される、請求項1~5のいずれか一項に記載の送信器。
【請求項7】
前記オリジナルバイトストリームからの前記分割は、前記オリジナルバイトストリームの連続する2ビットが前記第1の8b10bエンコーダに送られ、前記オリジナルバイトストリームの次の連続する2ビットが前記第2の8b10bエンコーダに送られ、このようにして続けて前記オリジナルバイトストリームを前記第1の8b10bエンコーダと前記第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせるように実行される、請求項1~5のいずれか一項に記載の送信器。
【請求項8】
前記オリジナルバイトストリームの連続する4ビットを前記第1の8b10bエンコーダに送り、前記オリジナルバイトストリームの次の連続する4ビットを前記第2の8b10bエンコーダに送り、このようにして続けて前記オリジナルバイトストリームを前記第1の8b10bエンコーダと第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせる、請求項1~5のいずれか一項に記載の送信器。
【請求項9】
各2ビットの前記線形結合の前記変換は、対(0,0)を1に変換し、対(0,1)を1/3に変換し、対(1,0)を-1/3に変換し、対(1,1)を-1に変換することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の送信器。
【請求項10】
第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダによってそれぞれ、オリジナルバイトストリームから分割された第1のストリーム及び第2のストリームを受信するとともに第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームを出力する段階と、
2ビット結合器によって、前記第1の8b10bストリーム及び前記第2の8b10bストリームの線形結合を実行する段階と、
前記2ビット結合器から受信される各2ビットの前記線形結合をPAM4シンボルに変換する段階と、
を含む、方法。
【請求項11】
前記PAM4シンボルの結果として得られるストリームは、標準的な8b10b非ゼロ復帰ストリームのパワースペクトル密度(PSD)を維持し、これにより、前記方法を実施するトランシーバのダウンリンクチャネルとアップリンクチャネルとの間の帯域分離が可能になる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記オリジナルバイトストリームからの前記分割は、前記オリジナルバイトストリームの奇数ビットが前記第1の8b10bエンコーダに送られ、前記オリジナルバイトストリームの偶数ビットが前記第2の8b10bエンコーダに送られるように実行される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記オリジナルバイトストリームからの前記分割は、前記オリジナルバイトストリームの連続する2ビットが前記第1の8b10bエンコーダに送られ、前記オリジナルバイトストリームの次の連続する2ビットが前記第2の8b10bエンコーダに送られ、このようにして続けて前記オリジナルバイトストリームを前記第1の8b10bエンコーダと前記第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせるように実行される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項14】
前記オリジナルバイトストリームの連続する4ビットを前記第1の8b10bエンコーダに送り、前記オリジナルバイトストリームの次の連続する4ビットを前記第2の8b10bエンコーダに送り、このようにして続けて前記オリジナルバイトストリームを前記第1の8b10bエンコーダと前記第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせる、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項15】
オリジナルバイトストリームから分割された第1のストリーム、第2のストリーム、及び第3のストリームを受信するように構成されている第1の8b10bエンコーダ、第2の8b10bエンコーダ、及び第3の8b10bエンコーダであって、それぞれ第1の8b10bストリーム、第2の8b10bストリーム、及び第3の8b10bストリームを出力するように構成されている、第1の8b10bエンコーダ、第2の8b10bエンコーダ、及び第3の8b10bエンコーダと、
前記第1の8b10bストリーム、前記第2の8b10bストリーム、及び前記第3の8b10bストリームの線形結合を実行するように構成されている3ビット結合器と、
前記3ビット結合器から受信される各3ビットの前記線形結合をPAM8シンボルに変換するように構成されている8レベルパルス振幅変調エンコーダ(PAM8エンコーダ)と、
を備える、送信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年7月14日に出願された米国仮特許出願第62/873,965号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
8b/10b(8b10bと称される)は、DCバランス及び制限付きディスパリティを実現するように8ビットワードを10ビットシンボルにマッピングするラインコードである。非ゼロ復帰(NRZ)ラインコードは、1が正電圧で表され、0が負電圧で表される、中立の条件を有しないバイナリコードである。8b10b NRZは、当技術分野において既知である固有のパワースペクトル密度(PSD)を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
8b10b NRZの特性との適合性を維持しながら伝送スループットを改善するために、4レベルパルス振幅変調(PAM4)で伝送しながら8b10b NRZパワースペクトル密度(PSD)を維持する必要がある。しかしながら、標準的なPAM4変調は、標準的な8b10b NRZ変調とは異なるパワースペクトル密度を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、1つの実施形態において、2つの8b10bエンコーダが、以下のように、標準的な8b10b NRZ変調のPSDと本質的に同じPSDを有するPAM4変調をもたらすように線型結合される。送信器は、オリジナルバイトストリームから分割された第1のストリーム及び第2のストリームを受信するように構成されている第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダを備える。第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダは、それぞれ第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームを出力するように構成されている。2ビット結合器は、第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームの線形結合を実行するように構成されている。そして、4レベルパルス振幅変調エンコーダ(PAM4エンコーダ)は、結合器から受信される各2ビットの線形結合をPAM4シンボルに変換するように構成されている。
【0005】
任意で、第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダは、それぞれオリジナルバイトストリームの半分のレートを有するビットストリームを出力する、標準的な8b10bエンコーダである。任意で、PAM4シンボルは、標準的な8b10bで約25%である、本質的に同じオーバヘッドを伴って、8b10b非ゼロ復帰ラインコード伝送パワースペクトル密度を維持する。1つの例において、実施は、標準的な8b10b NRZと近いが同一ではなくてよく、その場合、オーバヘッドは、最大35%オーバヘッド等のように、いくらかより高くてもよい。任意で、PAM4シンボルの結果として得られるストリームは、標準的な8b10b非ゼロ復帰ストリームのパワースペクトル密度(PSD)を維持し、これにより、送信器を含むトランシーバのダウンリンクチャネルとアップリンクチャネルとの間の帯域分離が可能になる。任意で、帯域分離は、アップリンク受信器及びダウンリンク受信器の両方においてエコーキャンセルを実施する必要なく、トランシーバがアップリンクチャネル上で伝送することを可能にする。任意で、オリジナルバイトストリームからの分割は、オリジナルバイトストリームの奇数ビットが第1の8b10bエンコーダに送られ、オリジナルバイトストリームの偶数ビットが第2の8b10bエンコーダに送られるように実行される。任意で、オリジナルバイトストリームからの分割は、オリジナルバイトストリームの連続する2ビットが第1の8b10bエンコーダに送られ、オリジナルバイトストリームの次の連続する2ビットが第2の8b10bエンコーダに送られ、このようにして続けてオリジナルバイトストリームを第1の8b10bエンコーダと第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせるように実行される。任意で、オリジナルバイトストリームの連続する4ビットを第1の8b10bエンコーダに送り、オリジナルバイトストリームの次の連続する4ビットを第2の8b10bエンコーダに送り、このようにして続けてオリジナルバイトストリームを第1の8b10bエンコーダと第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせる。そして、任意で、各2ビットの線形結合の変換は、対(0,0)を1に変換し、対(0,1)を1/3に変換し、対(1,0)を-1/3に変換し、対(1,1)を-1に変換することを含む。
【0006】
別の実施形態において、方法は、第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダによってそれぞれ、オリジナルバイトストリームから分割された第1のストリーム及び第2のストリームを受信するとともに第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームを出力する段階と、2ビット結合器によって、第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームの線形結合を実行する段階と、結合器から受信される各2ビットの線形結合をPAM4シンボルに変換する段階と、を含む。
【0007】
任意で、PAM4シンボルの結果として得られるストリームは、標準的な8b10b非ゼロ復帰ストリームのパワースペクトル密度(PSD)を維持し、これにより、方法を実施するトランシーバのダウンリンクチャネルとアップリンクチャネルとの間の帯域分離が可能になる。任意で、オリジナルバイトストリームからの分割は、オリジナルバイトストリームの奇数ビットが第1の8b10bエンコーダに送られ、オリジナルバイトストリームの偶数ビットが第2の8b10bエンコーダに送られるように実行される。任意で、オリジナルバイトストリームからの分割は、オリジナルバイトストリームの連続する2ビットが第1の8b10bエンコーダに送られ、オリジナルバイトストリームの次の連続する2ビットが第2の8b10bエンコーダに送られ、このようにして続けてオリジナルバイトストリームを第1の8b10bエンコーダと第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせるように実行される。任意で、オリジナルバイトストリームの連続する4ビットを第1の8b10bエンコーダに送り、オリジナルバイトストリームの次の連続する4ビットを第2の8b10bエンコーダに送り、このようにして続けてオリジナルバイトストリームを第1の8b10bエンコーダと第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせる。
【0008】
また別の実施形態において、送信器は、オリジナルバイトストリームから分割された第1のストリーム、第2のストリーム、及び第3のストリームを受信するように構成されている第1の8b10bエンコーダ、第2の8b10bエンコーダ、及び第3の8b10bエンコーダを備える。第1の8b10bエンコーダ、第2の8b10bエンコーダ、及び第3の8b10bエンコーダは、それぞれ第1の8b10bストリーム、第2の8b10bストリーム、及び第3の8b10bストリームを出力するように構成されている。3ビット結合器は、第1の8b10bストリーム、第2の8b10bストリーム、及び第3の8b10bストリームの線形結合を実行するように構成されている。そして、PAM8エンコーダは、3ビット結合器から受信される各3ビットの線形結合をPAM8シンボルに変換するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書では、添付の図面を参照しながら、単に例として実施形態が記載される。実施形態の基本的な理解のために必要であるよりも詳細に実施形態の構造的詳細を示すことは試みられていない。
【0010】
図1】8b10b NRZラインコード伝送PSDを維持するPAM4シンボルを出力するシステム50の1つの実施形態を示す図である。
【0011】
図2】様々な変調スキームの伝送パワースペクトル密度を比較するグラフを示す図である。
【0012】
図3】8b10b NRZラインコード伝送PSDを維持するPAM4シンボルを出力する方法の1つの実施形態を示す図である。
【0013】
図4】コンピュータの可能な実施形態の模式図である。
図5】コンピュータの可能な実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、8b10b非ゼロ復帰(NRZ)ラインコード伝送パワースペクトル密度(PSD)を、同様(例えば、25%)のオーバヘッドを伴って維持する4レベルパルス振幅変調(PAM4)シンボルを出力するシステム50の1つの実施形態を示している。システム50は、オリジナルバイトストリーム20から分割された第1のビットストリーム及び第2のビットストリームを受信する、第1の8b10bエンコーダ(22)及び第2の8b10bエンコーダ(24)を備える。オリジナルバイトストリームの第1のビットストリーム及び第2のビットストリームへの分割は、下記で論じるように、様々な形式を取り得る。第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダは、それぞれ第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームを出力する。第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームは、第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームの線形結合を実行する2ビット結合器26に送られる。対応する各2ビットの線形結合は、PAM4エンコーダ28によってPAM4シンボルに変換される。結合器26による第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームの線形結合に起因して、PAM4シンボル30の結果として得られるストリームは、標準的な8b10b NRZストリームのPSDと同様のPSDを有する。
【0015】
オリジナルバイトストリームの第1のストリーム及び第2のストリームへの分割は、(i)オリジナルバイトストリームの奇数ビットを第1の8b10bエンコーダに送り、オリジナルバイトストリームの偶数ビットを第2の8b10bエンコーダに送る、(ii)オリジナルバイトストリームの連続する2ビットを第1の8b10bエンコーダに送り、オリジナルバイトストリームの次の連続する2ビットを第2の8b10bエンコーダに送り、このようにして続けてオリジナルバイトストリームを第1の8b10bエンコーダと第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせる、又は、(iii)オリジナルバイトストリームの連続する4ビットを第1の8b10bエンコーダに送り、オリジナルバイトストリームの次の連続する4ビットを第2の8b10bエンコーダに送り、このようにして続けてオリジナルバイトストリームを第1の8b10bエンコーダと第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせる等、様々な形式を取り得る。
【0016】
1つの実施形態において、第1の8b10bエンコーダ(22)及び第2の8b10bエンコーダ(24)は、それぞれオリジナルバイトストリーム20の半分のレートを有するビットストリームを出力する、標準的な8b10bエンコーダである。
【0017】
1つの実施形態において、2ビット結合器26は、第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームからの対応するビットからビット対を生成することによって、第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームの線形結合を実行する。線形結合は、第1の8b10bストリームからのビットを上位ビットとして配し、第2の8b10bストリームからのビットを下位ビットとして配置するか、又は、第1の8b10bストリームからのビットを下位ビットとして配し、第2の8b10bストリームからのビットを上位ビットとして配し得る。
【0018】
PAM4エンコーダ28は、例えば、対(0,0)を1に変換し、対(0,1)を1/3に変換し、対(1,0)を-1/3に変換し、対(1,1)を-1に変換することによって、各ビット対をPAM4シンボルにマッピングする。PAM4シンボル30の結果として得られるストリームは、おそらくは結合器26によって実行される8b10bストリームの線形結合に起因して、標準的な8b10b NRZストリームのPSDと同様のPSDを有する。1つの例において、PAM4シンボルの結果として得られるストリームは、25%のオーバヘッド(標準的な8b10b NRZストリームのオーバヘッドと同様である)を伴うPSDを有する。
【0019】
1つの実施形態において、システム50は、グレイコード(交番2進コードとしても知られている)を使用しない。グレイコードは線型操作ではないので、(任意にPAM4エンコーダの後で)グレイコードを適用する同様のシステムによって生成されるPAM4シンボルのPSDは、グレイコードを使用しないシステム50によって生成されるPAM4シンボル30に比較して、次善の低周波数抑制を示すはずである。
【0020】
図2は、8b10b NRZの伝送PSD(8b10b NRZ500mVpp-3dB;60と称される)を、システム50によって生成されるPAM4シンボル30の伝送PSD(「8b10b PAM4」500mVpp;61と称される)と比較し、グレイコードを用いた8b10b PAM4 500mVppの伝送PSD62を標準的なPAM4 500mVppの伝送PSD63と比較するグラフを示している。
【0021】
図2に示すように、4GBaud(8Gbps)で500mVppの「8b10b PAM4」のPSD61は、同様の最大PSDを伴って4GBaud(4Gbps)でシステム50によって生成されるPAM4シンボル30の低周波数抑制(8b10b NRZ;60)に非常によく近似する。PAM4は、NRZよりも2.55dB低いRMSを有するので、フルAMPでのハーフレートPAM4は、フルAMP-3dBでのハーフレートNRZと同様の伝送PSDを生成する。
【0022】
依然として図2を参照すると、4GBaudでのグレイコードを用いた8b10b PAM4 500mVppのPSD62は、8b10b NRZのPSD60に対して次善の抑制(帯域分離)を示す。プレーンPAM4 500mVppのPSD63は、8b10b NRZのPSD60に比較した場合、グレイコードを用いた8b10b PAM4のPSD62よりもさらに悪い。
【0023】
1つの実施形態において、PAM4伝送において8b10b NRZ PSDを維持すると、低周波数エネルギーが抑制された状態に維持され、これにより、ダウンリンクチャネルとアップリンクチャネルとの間の帯域分離が可能になる。この帯域分離によって、アップリンク受信器及びダウンリンク受信器の両方においてエコーキャンセルを実施する必要なく、低ビットレートでこれらの低周波数でトランシーバがアップリンクチャネル上で伝送することが可能になる。
【0024】
別の実施形態において、8b10bコーディングは、そのエネルギーをナイキスト周波数とナイキスト/10周波数との間に集中させ、したがって、受信器において低パワー低複雑性アナログイコライザを用いてそのような信号を等化することが容易である。結果として、8b10bは、多くのPAM2ソリューションにおいて非常にポピュラーである。システムの1つの実施形態は、PAM4において8b10b NRZ PSDを維持することによって、8b10b NRZの利益を全て維持し、結果として、既存のPAM2ソリューション上により高ビットレートのモードの追加を所望する既存の8b10b PAM2ソリューションへの容易なアップグレードパスを可能にする。例えば、最大4Gbpsで伝送するPAM2実施形態を、本質的に同じ受信器を用いて、PAM4においてではあるが同じシンボルレートで最大8Gbpsを伝送するようにアップグレードできる。
【0025】
図3は、8b10b NRZラインコード伝送PSDを維持するPAM4シンボルを出力する方法の1つの実施形態を示している。方法は、以下のステップを含む。ステップ70にて、第1の8b10bエンコーダ及び第2の8b10bエンコーダによって、オリジナルバイトストリームから分割された第1のストリーム及び第2のストリームを受信し、それぞれ第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームを出力する。ステップ71にて、2ビット結合器によって、第1の8b10bストリーム及び第2の8b10bストリームの線形結合を実行する。そして、ステップ72にて、結合器から受信される各2ビットの線形結合をPAM4シンボルに変換する。
【0026】
依然として方法を参照すると、任意で、PAM4シンボルの結果として得られるストリームは、標準的な8b10b非ゼロ復帰ストリームのPSDを維持し、これにより、方法を実施するトランシーバのダウンリンクチャネルとアップリンクチャネルとの間の帯域分離が可能になる。任意で、オリジナルバイトストリームからの分割は、オリジナルバイトストリームの奇数ビットが第1の8b10bエンコーダに送られ、オリジナルバイトストリームの偶数ビットが第2の8b10bエンコーダに送られるように実行される。任意で、オリジナルバイトストリームからの分割は、オリジナルバイトストリームの連続する2ビットが第1の8b10bエンコーダに送られ、オリジナルバイトストリームの次の連続する2ビットが第2の8b10bエンコーダに送られ、このようにして続けてオリジナルバイトストリームを第1の8b10bエンコーダと第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせるように実行される。そして、任意で、オリジナルバイトストリームの連続する4ビットを第1の8b10bエンコーダに送り、オリジナルバイトストリームの次の連続する4ビットを第2の8b10bエンコーダに送り、このようにして続けてオリジナルバイトストリームを第1の8b10bエンコーダと第2の8b10bエンコーダとの間でトグルさせる。
【0027】
別の実施形態において、システムは、同様のオーバヘッドを伴って8b10b NRZラインコード伝送パワースペクトル密度(PSD)を維持する8レベルパルス振幅変調(PAM8)シンボルを出力する。システムは、オリジナルバイトストリームから分割された3つのストリームを受信する3つの8b10bエンコーダを備える。オリジナルバイトストリームの3つのビットストリームへの分割は、上記で提供された説明と同様に、様々な形式を取り得る。3つの8b10bエンコーダは、それぞれ3つの8b10bストリームを出力する。3つの8b10bストリームは、3つの8b10bストリームの線形結合を実行する3ビット結合器に送られる。対応する各3ビットの線形結合は、PAM8エンコーダによってPAM8シンボルに変換される。結合器による3つの8b10bストリームの線形結合に起因して、PAM8シンボルの結果として得られるストリームは、標準的な8b10b NRZストリームのPSDと同様のPSDを有する。同様に、更なる8b10bエンコーダを追加するとともに好適なPAMエンコーダを使用することによって、より高次のPAM変調(PAM16等)をもたらすことが可能である。
【0028】
実施形態によって使用される要素は、プロセッサを使用する等、様々なやり方で実施され得る。「プロセッサ」は、以下の構成要素:汎用処理装置、マイクロプロセッサ、中央処理装置、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又はネットワークプロセッサの1つ又は複数を指し得る。
【0029】
本明細書に記載されるシステムによって利用されるモジュール等の要素は、以下のハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェア要素:ASIC、FPGA、プロセッサ、メモリブロック、ディスクリート回路、集積回路、少なくとも1つのメモリブロックに格納されたコマンドを実行する少なくとも1つのプロセッサ、コンピューティング装置上で実行されると特定の動作をコンピューティング装置に実行させるコンピュータ実行可能命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体、命令が実行されるとプロセッサが特定の動作を実行する、プロセッサによって実行可能な命令のプログラムを含むプロセッサ及びコンピュータ可読記憶媒体、1つ又は複数の処理装置と、当該1つ又は複数の処理装置によって実行されるように構成されている、特定の動作の命令を含む1つ又は複数のプログラムを格納するメモリとを含むコンピュータシステム、データ処理装置と、データ処理装置によって実行可能な命令を格納し、そのような実行時、データ処理装置に特定の動作を実行させる非一時的コンピュータ可読媒体とを含むシステムの1つ又は複数を含む組み合わせを利用して実施され得る。バッファは、データを格納するのにメモリを用いて、また、パラレルバス又はシリアルバス等の通信チャネル上でデータにアクセスするためにプロセッサを用いて実施され得る。
【0030】
図4及び図5は、「コンピュータ」を含む、本明細書で論じられる実施形態の1つ又は複数を実現可能なコンピュータ(400、410)の可能な更なる又は代替的な実施形態の模式図である。コンピュータ(400、410)は、限定されないが、マイクロコントローラ、チップ上のコンピュータ、システムオンチップ(SoC)、システムオンモジュール(SoM)、必要な周辺機器を伴ったプロセッサ、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ、クラウドコンピュータ、ネットワークデバイス、通信デバイス、ハンドヘルドデバイス、ウェアラブルデバイス、及び/又はコンピュータ命令のセットを実行可能な任意の他のコンピュータ形式等の様々な方式で実施され得る。さらに、コンピュータ又はプロセッサへの言及は、コンピュータ命令の1つ又は複数のセットを個々に又は一緒に実行する(異なるロケーションにあり得る)1つ又は複数のコンピュータ及び/又はプロセッサの任意の集合を含む。これは、単数形の「コンピュータ」という用語が、「コンピュータ」に属する機能を一緒に実行する1つ又は複数のコンピュータを暗示することを意図していることを意味している。
【0031】
コンピュータ400は、以下の構成要素:プロセッサ401、メモリ402、コンピュータ可読媒体403、ユーザインタフェース404、通信インタフェース405、及びバス406の1つ又は複数を備える。コンピュータ410は、以下の構成要素:プロセッサ411、メモリ412、及び通信インタフェース413の1つ又は複数を備える。
【0032】
様々な実施形態の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実施され得る。少なくとも部分的にソフトウェアで実施される場合、機能の実施は、コンピュータ可読媒体上に格納又は伝送され、1つ又は複数のプロセッサによって実行される1つ又は複数の命令又はコードを含む、コンピュータプログラムを伴い得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体等の有形媒体に対応するコンピュータ可読記憶媒体、又は、或る場所から別の場所へのコンピュータプログラムの移動を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含んでよい。コンピュータ可読媒体は、記載の実施形態の実施に向けて命令、コード、データ、及び/又はデータ構造を取得するために1つ又は複数のコンピュータによってアクセスできる任意の媒体であってよい。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体を含んでよい。1つの例において、コンピュータ可読媒体403は、以下:RAM、ROM、EEPROM、光学記憶装置、磁気記憶装置、生物学的記憶装置、フラッシュメモリ、又はコンピュータ可読データを格納できる任意の他の媒体の1つ又は複数を含んでよい。
【0033】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、プログラムコード、又はコードとしても知られている)は、コンパイル型又はインタプリタ型言語、宣言型又は手続き型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で記述することができる。プログラムは、スタンドアロンプログラムとして、又は、モジュール、構成要素、サブルーチン、オブジェクト、又はコンピューティング環境において使用されるのに好適な別のユニットとしてのものを含む、任意の形態で展開することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応してよく、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部分に格納されてよく、及び/又は、プログラムに専用であり得る1つ又は複数のファイルに格納してよい。コンピュータプログラムは、通信ネットワークによって相互接続され得る1つ又は複数のサイトに配置されている1つ又は複数のコンピュータ上で実行されるように展開されてよい。
【0034】
コンピュータ可読媒体は、1つ又は複数の命令のセットを格納する単一の媒体及び/又は複数の媒体を含んでよい。様々な実施形態において、コンピュータプログラム及び/又はコンピュータプログラムの部分は、非一時的コンピュータ可読媒体上に格納されてよく、インターネット等の通信ネットワークを介してアップデート及び/又はダウンロードされてよい。本明細書に記載の方法の少なくとも一部は、プロセッサ(401、411)上で命令を実行することによってコンピュータ(400、410)等のコンピュータ上で実施される「コンピュータ実施方法」である。さらに、これらの命令の少なくともいくつかは、非一時的コンピュータ可読媒体上に格納され得る。
【0035】
本明細書に開示される方法が特定の順序で実行される特定のステップを参照しながら記載及び図示されているが、これらのステップは、実施形態の教示から逸脱することなく、等価な方法を形成するように組み合わせ、細分化、及び/又は順序変更されてよいことが理解される。したがって、本明細書において別途示されていない限り、ステップの順序及びグループ化は、実施形態の限定ではない。さらに、実施形態の方法及びメカニズムは、明瞭性のために単数形で表現される場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態は、別途注記されない限り、方法の複数回の反復又はメカニズムの複数のインスタンス化を含み得る。例えば、1つの実施形態においてプロセッサが開示される場合、実施形態の範囲は、複数のプロセッサの使用も包含することを意図している。明瞭性のために別個の実施形態の文脈で記載された場合のある実施形態の特定の特徴は、単一の実施形態において様々な組み合わせでも提供され得る。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で記載された場合のある実施形態の様々な特徴は、別個に又は任意の好適な部分的組み合わせでも提供され得る。特定の例に関して記載された実施形態は、限定ではなく例として提示されている。
【0036】
本明細書において、「1つの実施形態」への言及は、言及されている特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味している。また、本明細書における「1つの実施形態」又は「いくつかの実施形態」への別個の言及は、必ずしも同じ実施形態を指さない。さらに、「1つの実施形態」及び「別の実施形態」への言及は、必ずしも異なる実施形態を指さなくてもよく、時には一実施形態の異なる態様を示すのに使用される用語であり得る。
【0037】
実施形態は、本明細書に記載される実施形態の特徴の任意の多様な組み合わせ及び/又は統合を含み得る。いくつかの実施形態は、連番の動作を示している場合があるが、これらの実施形態は、並行に及び/又は示されているものとは異なる順序で特定の動作を実行してよい。また、本文書及び/又は図面において繰り返される参照符号及び/又は文字の使用は、簡潔さ及び明瞭性のためのものであり、論じられる様々な実施形態及び/又は構成間の関係を本質的に示すものではない。実施形態は、それらの用途が、明細書、図面又は実施例で設定された方法の動作のステップの順序又はシーケンスの詳細にも装置の実施の詳細にも限定されない。また、図に示されている個々のブロックは、機能的な性質のものであり得、したがって、必ずしも個別のハードウェア要素に対応しなくてよい。
【0038】
多数の代替形態、変更形態、及び変形形態が当業者には明らかであることは明白である。他の実施形態を利用することができ、実施形態の範囲から逸脱することなく構造の変更を行うことができることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】