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特表2022-540553カンナビノイド系ポリマーマトリックスの形態のデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】カンナビノイド系ポリマーマトリックスの形態のデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/353 20060101AFI20220909BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220909BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220909BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220909BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20220909BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220909BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220909BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220909BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220909BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
A61K31/353
A61P21/00
A61P19/02
A61P25/04
A61K9/00
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573392
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 FR2020000194
(87)【国際公開番号】W WO2020260777
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,253
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/016,374
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521540128
【氏名又は名称】エービー7 イノベーション エスエーエスユー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルバート,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】ルクレール,ソフィー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA99
4C076BB31
4C076CC01
4C076DD46
4C076DD47
4C076DD63
4C076EE07
4C076EE22
4C076EE53
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA63
4C086NA10
4C086ZA08
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB15
(57)【要約】
本発明は、カンナビノイドファミリーの少なくとも1つの活性成分を単独で、または他の活性成分との混合物として含有するポリマーマトリックスの形態での局所適用のためのデバイスに関する。本発明は、好ましくは、首輪の形態のデバイス、デバイスが適用される動物の健康および可動性を改善するためのその使用方法、ならびにデバイスを製造するためのプロセスに関する。
【選択図】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーが、エチレンビニルアセテートコポリマーおよびポリウレタンからなる群から選択されることを特徴とする単層ポリマーマトリックスから形成される局所適用のためのデバイスであって、前記マトリックスがまた、少なくとも1つのカンナビノイド誘導体と、前記マトリックスの総重量の0.5%~20%の精油または精油のモノテルペン誘導体と、を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記ポリマーが、非接着性であることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ポリマーが、エチレンビニルアセテートコポリマーであることを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ポリマーが、ポリウレタンであることを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記カンナビノイド誘導体が、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)を含まないカンナビジオール(CBD)であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記精油または精油のモノテルペン誘導体が、ラベンダー、ラバンジン、イタリアヘリクリサム、スギ、レモン、シトロネラ、ニンジン、ショウガ、ニアウリ、スイートオレンジ、クローブ、ユーカリシトリオドラ、ユーカリラジアータ、ペパーミント、ゼラニウム、バレリアン、ネペタカタリア、カモミール、イランイラン、クラリーセージ、マンダリン、サンダルウッド、ベルガモット、マージョラム、フランキンセンス、ゼラニウム、タイム、ジュニパー、またはそれらの混合物のリナロール、メンソール、または精油から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
有機起源の油、合成起源の油、鉱物起源の油、植物起源の油、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、およびアジピン酸エステル混合物などのエステル、オメガ3多価不飽和脂肪酸油、脂肪酸エステル、グリコールエーテル、スクアレンならびにスクアレン誘導体から選択されるベクター化化合物を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
ジフェニルリン酸エチルヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、またはそれらの混合物から選択される可塑化化合物を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
首輪、ブレスレット、メダリオンまたは織物コーティングの形態で提示されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記カンナビジオールが、CBD分離株またはCBD油の形態で存在することを特徴とする、請求項5~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
動物における疼痛またはストレスの緩和に使用するための活性成分を配合した、熱可塑性ポリマーマトリックスへの局所適用のためのデバイスであって、前記デバイスが、皮膚および/または毛皮と接触して配置され、前記ポリマーマトリックスが、ポリウレタンまたはエチレンビニルアセテートコポリマーから選択される少なくとも1つの非粘着性熱可塑性ポリマーを含み、前記活性成分が、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノールを含まない少なくとも1つのカンナビジオール分離株、またはTHCを含まないカンナビジオール油、および0.5%~20%p/pの少なくとも1つの精油もしくは精油の化合物を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項12】
腱炎、関節炎および関節症などのストレスまたは筋肉、関節もしくはリウマチ性疼痛の前記緩和に使用するための請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
ポリウレタンまたはエチレンビニルアセテートコポリマーから選択される少なくとも1つの非粘着性熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性ポリマーマトリックスからなるデバイスを製造する方法であって、活性成分が、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノールを含まない少なくとも1つのカンナビジオール分離株、またはデルタ-9-テトラヒドロカンナビノールを含まないカンナビジオール油、および0.5%~20%p/pの少なくとも1つの精油もしくは精油の化合物を含み、前記方法が、前記ポリマーを選択された温度に加熱するステップと、活性相を調製するステップと、前記活性相を前記ポリマーと混合するステップと、次に前記デバイスを成形するステップと、を含み、前記方法が、前記活性成分を前記ポリマーマトリックスに組み込むのを助けるための特定の賦形剤または粒子構造を添加するステップを含まないことを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項14に記載の方法により得られた生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疼痛またはストレスに関連する様々な症状を緩和するための治療の分野のものである。より具体的には、本発明は、カンナビノイドファミリーの少なくとも1つの活性成分を単独で、または他の活性成分との混合物として含有するポリマーマトリックスの形態での局所適用のためのデバイスに関する。本発明は、好ましくは、首輪の形態のデバイス、デバイスが適用される動物の健康および可動性を改善するためのその使用方法、ならびにデバイスを製造するためのプロセスに関する。
【0002】
薬にカンナビスを使用することは古くから知られている。現在知られているカンナビスの多くの治療効果は、カンナビス、カンナビノイド、および特にカンナビノール(CBN)、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)またはカンナビジオール(CBD)に存在する精神活性分子に起因する。THCは主に多幸感、向精神性を担い、カンナビスに薬物の状態を与える。ごく最近では、カンナビスの主要な活性化合物の一つであるカンナビジオール(CBD)(別名、ヘンプ)の投与が商品化されている。したがって、麻薬的性質を有しない(THCを有しない)ヘンプの品種は、次の3つの累積条件を条件として産業および商業目的に使用できる。
-認可されたヘンプの品種は、フランスの公衆衛生法に記載されている。
-種および繊維のみを使用できる。ただし、花の使用は禁止されている。
-植物はデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)の0.2%未満の含有量を有する必要がある。
-CBDベースの製品にTHCが含まれている場合は、どのような量であっても禁止されている。
【0003】
該THCを含まないカンナビノイドは、古くから、疼痛、ストレス、不安、てんかん、痙攣、関節炎、吐き気、または皮膚疾患などの状況に影響を受ける人々および動物にもたらす生活の質の向上のために使用されてきた。該カンナビノイドは、基本的に経口投与または舌下投与される。局所投与のために、カンナビジオール油は、半固形形態(軟膏、クリーム、ゲル)または液体形態(乳、乳剤、ローション)のいずれかで製剤化されている。上述の局所適用のためのガレニクスは、期待される全身効果を生み出すために、繰り返し適用を必要とする。さらに、獣医学分野では、係る局所製品の適用は、動物の毛皮を効果的に浸透させるため、または長期治療のために容易でも最適でもない。
【0004】
本発明の目的の1つは、経口方法の既知の全身副作用を制限しながら、より長期の治療に使用され得る、疼痛またはストレスの局所治療のためのより有利な局所投与方法を提案することである。本発明が関与する分野において、組成物が局所適用されるとき、成分の一部は、それらの揮発性、酸化分解性、紫外線曝露、または洗浄により消失し得ることが観察されている。この結果は、活性成分の利用可能な有効用量のうち、最大で40%が通過することになる。活性成分の生物学的利用能(bioavailability)は、最適ではなく、その結果、疼痛またはストレスの緩和におけるその有効性が低下する。
【0005】
上述の種々の欠点を克服し、活性成分の皮膚への通過を改善するために、出願人は、単独でまたは他の活性成分と組み合わせて、カンナビノイドの局所および/または経皮適用のためのビヒクルとしての固体ポリマーマトリックスを使用することを提案しており、該マトリックスにより、安定して組み込まれた活性成分を有する組成物を得ることができる。本発明による安定性は、デバイスの物理的安定性およびデバイス内の活性成分の化学的安定性として理解されるべきである。物理的安定性とは、活性相が正しく組み込まれていること、デバイスの機械的強度、特に最終使用に必要な変形、可撓性、または硬度への耐性を確認する滲出物がないことを意味する。化学的安定性とは、主な1つ以上の活性成分の分解がないことを意味し、該活性成分の分解は、デバイスに最初に導入された量の10%未満であり得る。本発明によるデバイスは、特に、浸出、使用中の提供、治療対象の活性成分の連続的で、制御され、効果的で、かつ段階的な放出を通じて、蒸発および損失のリスクに対して安定であり得る。
【0006】
本発明の目的の1つはまた、製造方法の実施が容易であり、産業規模に転用可能であるデバイスを提案することである。ポリマーの分野における従来技術では、該ポリマーに活性成分を組み込むことが困難であることが記載されている。これは、制御不能な放出または送達を避けて、活性成分をポリマーに完全かつ安定に組み込むことを可能とする必要があるためである。これらの問題に対応して、先行技術には、活性成分の組み込みを可能にするために多数の特定の成分を添加すること、または生成する複合体の程度が異なる粒子構造に活性成分を組み込むことを提案することなどの種々の解決策が記載されている。本発明によるデバイスの入手するための方法により、特定の成分を使用することなく、または活性成分を粒子状に組み込む必要なしに、マトリックスの構造ポリマー内に液体活性成分を組み込むことが可能となる。
【0007】
本発明によるデバイスは、局所適用として定義され得るものであり、該デバイスが治療される対象の皮膚または被膜に適用される局所使用のためのものである。本発明のデバイスは、経皮デバイスの当業者による定義を満たすこともでき、活性成分の支持体として使用されるポリマーマトリックスから形成され、活性成分がカンナビノイド受容体に到達できるように、該活性成分が治療対象への送達のために放出されることを可能にするために生成される。本出願の残りの部分では、「局所的」および「経皮的」という用語は、本発明によるデバイスに区別なく適用される。
【0008】
カンナビノイド誘導体を含有する経皮系は、従来技術に記載されている。しかしながら、これらは全て、少なくとも2つ、または多様な機能を有する異なる材料の複数の層で構成された、リザーバまたはマトリックスタイプのシステムを記載している。該経皮システムは、対象にデバイスを付着させるための少なくとも1つの接着剤層、搬送される1つ以上の活性成分を含有する貯蔵層、および不透過性外層から構成される。従来技術には、本発明で提案されているような、カンナビノイド活性成分が容易に組み込まれ、送達されることを可能にする非接着性単層系は記載されていない。さらに、記載されているシステムは、製造が複雑であり、毛皮で覆われた動物対象での使用には適していない。
【0009】
したがって、本発明では、出願人は、従来技術では記載されていない単層モノポリマーのポリマーマトリックス内の活性鎮静剤または抗ストレス剤として、単独で、または他の活性成分と関連付けて、少なくとも1つのカンナビノイドを使用することを提案する。本発明による単層ポリマーマトリックスは、従来技術で概して記載されている複数の層の並置ではなく、単一のポリマー層で構成されるマトリックスとして理解されるべきである。本発明に従うモノポリマーは、同一のポリマーからなるマトリックスとして理解されるべきである。該同一のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ホモポリマーは、単一の(実在的、暗黙的、または仮説的)モノマー種に由来するポリマーである。ホモポリマーの繰り返し単位は全て同じ化学的性質である。コポリマーは、コモノマーとして知られる少なくとも2つの異なるモノマーから由来するポリマーであり、少なくとも2つのタイプの繰り返し単位を含有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例10による本発明の一実施形態によるデバイスからのCBD放出動態を示す。
図2】実施例5および11による、本発明の実施形態によるデバイスからのCBD放出動態を示す。
【0011】
カンナビノイド、より具体的にはカンナビジオール(CBD)を分離株の形態で、またはヘンプに由来するカンナビノイドが豊富な油を唯一の活性成分として、または好ましくは本発明に記載の固体ポリマーマトリックス中に精油と組み合わせて組み込むことによって、結果は、安定した組成物となり、本発明によるデバイスによって治療されるヒトまたは動物の対象に現れる疼痛またはストレスを効果的に軽減することが見出された。したがって、疼痛またはストレスを軽減するのに役立ち、組成物の安定性を高めながら、該成分の生物学的利用能を確保して、より効果的な鎮痛またはストレス緩和効果および長期間の有効性を得ることができる本発明が求められている。
【0012】
したがって、本発明の第1の目的は、単独で、または他の活性成分と関連して、ヘンプ抽出物またカンナビスの油または分離株の形態でカンナビノイドによって形成される少なくとも第1の活性成分を含有する活性成分の組成物を含む固体ポリマーマトリックスを含むデバイスからなる。本発明によるカンナビノイド活性成分と関連して使用される活性成分は、鎮痛剤、抗炎症剤、鎮静剤または麻酔剤活性成分から選択され得る。一実施形態によれば、カンナビノイド活性成分はまた、殺虫性または害虫駆除活性成分と関連付けられ得る。
【0013】
本発明によれば、使用されるカンナビノイドは、好ましくは、粉末、液体、溶液、油もしくは分離株、またはヘンプ植物抽出物の形態で使用され得るカンナビジオール(CBD)である。CBD油は、好ましくは、ヘンプ遺伝子に同定された、より具体的にはフィトカンナビノイドおよびテルペンに富む、カンナビノイドに富む油として理解される。該油は特に、カンナビスサティバ、カンナビスインディカおよびカンナビスルデラリス植物に由来する油である。好ましくは、使用されるCBD油は、種々のテルペンに加えて、50%~95%のカンナビジオール(CBD)、好ましくは80%~90%のCBDを含有する。特定の医療処置が示される特定の実施形態において、本発明によって使用されるCBD油は、THC(フルスペクトルCBDとしても知られる)を含有し得る。しかしながら、本発明による好ましい実施形態において、使用される油は、広域スペクトル油として知られる油であり、そのTHC含有量は、0.2%未満であり、好ましくは、THCを含まず、依然として疼痛もしくはストレス、または任意の他の関連する病理を緩和するのに役立つ。本明細書の以降の部分では、「CBD油」または「CBD豊富なヘンプ油」という用語は、カンナビジオール(CBD)が豊富なヘンプから抽出された油の形態で、THC含有量が0.2%p/p未満のCBDを指すために無差別に使用される。本発明による組成物では、CBD油は、デバイスの総重量に対して0.01%~10%p/p、好ましくは0.1%~5%の量で存在する。カンナビジオールおよびテルペン精製および抽出システムは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2018/0333446号に特に記載されているように、デルタ-9-THC、ワックスおよびクロロフィル等の望ましくない化合物を含まない一方で、植物のテルペンおよび脂質を保存する特許技術に基づき得るが、これらに限定されない。
【0014】
特に好ましい方法では、使用されるCBDは、分離株の形態である。本発明による分離株は、特に、ヘンプ植物からの抽出によって得られ、CBD濃度が99%以上である結晶性粉末として理解されるべきである。好ましい実施形態において、組成物中で使用されるCBD分離株は、組成物の0.01%~10%p/p、好ましくは0.1%~5%p/p、より好ましくは0.5%~2.5%p/pの量で存在する。
【0015】
本発明による好ましい実施形態において、カンナビノイドと組み合わせて使用され得る活性成分は、精油、または精油のモノテルペン酸アルコール、アルデヒドもしくはエステル誘導体である。好ましくは、該活性成分は、ペパーミント、ラベンダー、ラバンジン、イタリアヘリクリサム、スギ、レモン、シトロネラ、ニンジン、ショウガ、ニアウリ、スイートオレンジ、クローブ、ユーカリシトリオドラ、ユーカリラジアータ、ゼラニウム、バレリアン、ネプテタカタリア、カモミール、イランイラン、クラリーセージ、マンダリン、サンダルウッド、ベルガモット、マージョラム、フランキンセンス、ゼラニウム、タイム、ジュニパー、またはこれらの混合物のリナロール、メンソール、または精油から選択される。好ましくは、CBD油またはCDB分離株は、メンソール、リナロール、ペパーミントの精油、ユーカリシトリオドラ、ラベンダー、ラバンジン、バレリアンまたはネペタカタリアと関連付けられる。より好ましくは、本発明による鎮静デバイスにおいて、活性成分は、CBD分離株またはCBD油とペパーミントまたはユーカリシトリオドラの精油であり、CBDの鎮静作用および/または鎮痛作用と組み合わされている。本発明によるデバイスでは、精油または精油の化合物の形態の活性成分は、デバイスの総重量に対して、0.5%~20%p/p、好ましくは0.5%~15%p/p、より好ましくは0.5%~6%の量で存在する。
【0016】
第1の変形例によれば、ポリマーマトリックスは、キャストポリウレタン、反応性シリコーン、およびエポキシ樹脂、好ましくはキャストポリウレタンから選択される、熱硬化性または熱硬化性ポリマーで構成される。本発明によるキャストポリウレタンマトリックスは、その全体として、参照により本明細書に組み込まれる仏国特許第2992325号に記載されている。
【0017】
本発明によるデバイスの第2の好ましい変形例によれば、固体マトリックスを形成するポリマーは、ポリオレフィンおよびその誘導体、エチレンブチルアクリレート、ポリアミド、コポリアミドおよびその誘導体、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(TPU)およびその誘導体、スチレンおよびその誘導体、加硫熱可塑性物質、農業ポリマーおよびその誘導体、ポリエステルおよびその誘導体からなる群から選択されるか、または単独でまたは混合物として選択される、生分解性であり得るか、または生分解性でない場合がある熱可塑性ポリマーから選択される。ポリオレフィンおよびその誘導体は、特に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンおよびビニルアセテートコポリマー(EVA)から選択することができる。スチレンおよびその誘導体は、特に、ポリスチレン-ポリ(エチレンブチレン)-ポリスチレンコポリマー(SEBS)、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレンコポリマー(SIS)、またはポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンコポリマー(SBS)から選択され得る。コポリアミドおよびその誘導体は、特に、エーテルブロックアミド(EBA)から選択されてもよい。アグロポリマーおよびその誘導体は、特に、多糖類、デンプン、セルロースおよび誘導体またはタンパク質から選択され得る。
【0018】
好ましくは、本発明によって使用され得る熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィンおよびその誘導体、またはポリウレタンおよびその誘導体から選択される。より好ましくは、本発明によるデバイスを形成するポリマーマトリックスは、エチレンおよびビニルアセテートコポリマー(EVA)またはポリエーテルまたはポリエステル単位ポリウレタン(TPU)からなる熱可塑性物質である。出願人は、これらの2つの好ましいポリマーが活性成分の最適な配合および放出特性を付与することを実証した。該2つのポリマーは、産業規模で容易に実装される方法を使用して、デバイスでの使用のために求められる弾性および硬度の機械的特性、ならびに活性成分の最適な組み込みおよび放出能力の両方を可能にする。好ましくは、透明、半透明の外観を有するデバイスの場合、TPUが好ましい。ポリマーはデバイスの40重量%~99重量%を表す。好ましくは、ポリマーマトリックスは、デバイスの組成物の100%(qs100%)を占めるのに十分な量である。
【0019】
特に好ましい実施形態によれば、デバイスが動物用の首輪である場合、本発明によって使用され得る熱可塑性ポリマーは非接着性である。これは、接着デバイスが動物の毛皮に適用するのに適していないためである。
【0020】
特に好ましい実施形態によれば、対象の長期治療のためのデバイスの安定性および完全性を維持する目的を満たすために、本発明によって使用され得る熱可塑性ポリマーは、水溶性ではない。
【0021】
さらに、ポリマー混合物および/またはポリマーの複数の層もしくは配列から形成された従来技術で見出されるポリマーマトリックスとは異なり、本発明によるデバイスを形成するマトリックスは、単層モノポリマーマトリックスのみであり、異なるポリマーの複数の配列の会合によって形成されないことが明記されている。
【0022】
本発明では、当業者は、デバイスの配合物に他の添加剤を添加してもよい。非網羅的な例として、製剤添加剤は、求められる効果に応じて、本発明による組成物に添加するための分散剤、溶媒、ベクタライザ、浸透促進剤、可塑剤、安定剤、着色剤、または香料であってもよい。
【0023】
分散剤、溶媒、ベクタライザ、またはプロペネトレーター、有機、合成、鉱物、または植物由来の油、コハク酸、グルタル酸、およびアジパートの混合物などのエステル、オメガ3多価不飽和脂肪酸、脂肪酸エステル、グリコールエーテル、またはスクアレンなどの油、ならびにそれらの誘導体の例として挙げられ得る。
【0024】
本発明によるデバイスの好ましい実施形態は、対象の皮膚または毛皮上の活性成分のベクター化および/または活性成分の経皮通過を促進し得るベクタライザまたは浸透促進剤を含む。好ましい実施形態において、該ベクタライザまたは浸透促進剤は、親油性化合物である。適応としては、トランスキュートールVの名称で市販されているココナッツ油、ホホバ油、ヘンプ油、マカダミア油、亜麻仁油、甘アーモンド油、クリル油、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、またはスクアレンの誘導体、好ましくは2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサン、別名ペルヒドロスクアレンまたはドデカヒドロスクアレンが、スクアレンの名称で市販されている。該成分は、デバイスの総重量に対して0.1~30%p/p、好ましくは0.5~15%p/p、より好ましくは1~6%の量で存在する。
【0025】
本発明によれば、本デバイスはまた、可塑化化合物を含む。これは、出願人が驚くべきことに、可塑剤がポリマーマトリックスからの活性成分の放出において役割を果たし、可塑剤の性質および濃度が活性成分の放出を調節することを可能にしたためである。本発明によるデバイスにおいて使用され得る可塑剤として、エチルヘキシルジフェニルリン酸塩、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、またはコハク酸ジメチルを単独で、または混合物として挙げられ得る。特定の実施形態によれば、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、およびコハク酸ジメチルからなる可塑剤混合物は、Coasolとして知られる商用混合物の形態で使用される。好ましくは、可塑剤はフタル酸エステルとは異なり、その使用はそれらの毒性のために物議を醸している。本発明による好ましい実施形態において、可塑剤または可塑剤混合物は、組成物の0重量%~50重量%、好ましくは5重量%~35重量%の量で存在する。さらに、可塑剤は、その使用のために求められる塑性特性をマトリックスに付与することを可能にする。本発明によれば、可塑剤はまた、デバイスに選択された可撓性または硬度を与えるために使用されるポリマー材料の軟化剤としての役割を有する。これは、好ましい実施形態として、本発明の目的の1つが、動物用の首輪の形態のデバイスであるためである。したがって、該首輪は、必要な形状および構造ならびに所望の活性成分放出特性を保持しながら、動物の首の形状に適合させるのに十分な可撓性を必要とする。本発明による特に好ましい実施形態によれば、特に、使用されるポリマーがTPUである場合、本発明によるポリマーマトリックスは、少なくとも1つの可塑剤を含む。
【0026】
特定の実施形態において、安定剤および/または抗酸化剤は、本発明によるデバイスの組成物に、組成物の0重量%~5重量%、好ましくは0重量%~1.5重量%の濃度で添加され得る。好ましい例として、ビタミンEまたはトコフェロールが挙げられてもよく、これは組成物の総重量に対して0.5%~1.5%で存在する。
【0027】
香料だけでなく、着色剤も組成物に添加され得る。着色剤は、液体または固体形態で存在し得る。香水の例として、該香水は、バニラ、グリーンレモン、ラベンダー、バイオレット、リンゴ、杏、パチョリ、またはグリーンバンブーリーフから選択され、適応症および使用者に適合され得る。
【0028】
当業者は、本発明による組成物に対して求められる特性を妨げないように、製剤添加剤が選択されることができる。
【0029】
変形例によれば、本発明によるデバイスは、デバイスの重量%として、
-0.01%~10%のCBD分離株またはCBD油の
-0.5%~20%の相補的活性成分、
-0.1%~30%のベクター化添加剤の
-0%~50%の可塑化添加剤、
-EVAまたはTPUから選択されるqs100重量%の固体ポリマーマトリックスとして構成される。
【0030】
特定の実施形態によれば、本発明によるデバイスは、デバイスの重量%として、
-0.01%~10%のCBD分離株またはCBD油の
-0.5%~20%の相補的活性成分、
-0.5~15%のベクター化添加剤、
-0%~1.5%の抗酸化添加物、
-qs100%重量の固体EVAポリマーマトリックスとして構成される。
【0031】
別の特定の実施形態によれば、本発明によるデバイスは、デバイスの重量%として、
-0.1%~5%のCBD分離株、
-0.5重量%~15重量%の、精油および/または精油化合物の形態の活性成分、
-0.5%~15%のベクター化添加剤、
-5%~35%の可塑化添加剤、
-qs100%重量のTPU固体ポリマーマトリックスとして構成される。
【0032】
より好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、デバイスの重量%として、
-0.1%~5%のCBD分離株、
-0.5重量%~15重量%の、精油および/または精油化合物の形態の活性成分、
-1%~6%のベクター化添加剤、
-5%~35%の可塑化添加剤、
-qs100%重量のTPU固体ポリマーマトリックスとして構成される。
【0033】
第2のより好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、デバイスの重量%として、
-0.1%~5%のCBD分離株、
-0.5重量%~15重量%の、精油および/または精油化合物、より好ましくはペパーミント精油の形態の活性成分、
-1%~6%のベクター化添加剤、より好ましくはスクワラン、
-5%~35%の可塑剤、好ましくはリン酸エチルヘキシルジフェニル、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルまたはグルタル酸ジメチルの混合物、
-TPUで構成されるqs100重量%の固体ポリマーマトリックスとして構成される。
【0034】
一実施形態によれば、デバイスは、首輪、ブレスレット、メダリオン、単層パッチまたは織物コーティングの形態で提示される。好ましくは、デバイスは、首輪またはブレスレットの形態で製造される。好ましい実施形態において、デバイスを入手するための方法は、射出成形法である。特に好ましい実施形態において、デバイスは、ペットのための首輪、特にイヌまたはネコのための首輪である。
【0035】
本発明の第2の目的は、ヒトまたは動物対象における疼痛またはストレスの治療または緩和に使用するための、少なくとも1つのCBD分離株またはCBD油を含有する活性成分の溶液を組み込んだ固体ポリマーマトリックスからなるデバイスである。より具体的には、本発明による他の1つ以上の活性成分と組み合わせたCBDの特性を考慮して、デバイスを適用することにより、免疫誘発の有無にかかわらず、特に炎症性障害によって引き起こされる疼痛を調節することができる。例として、デバイスは、ヒトまたは動物対象において、皮膚疼痛または痒み、筋肉痛、関節痛、腱炎および関節症または関節炎などのリウマチ性疼痛を調節することを可能にする。本発明によるデバイスは、ヒトまたは動物対象におけるストレスを調節するためにも使用され得る。
【0036】
したがって、本発明は、治療されるヒトまたは動物の疼痛またはストレスの緩和に使用するための、活性成分、特にカンナビジオールを配合した熱可塑性ポリマーマトリックスにおける局所/経皮適用のためのデバイスに関する。該デバイスは、皮膚および/または毛皮と接触して配置されることを特徴とする。好ましい実施形態によれば、該デバイスは、それが皮膚および/または毛皮と接触して首輪の形態で適用されることを特徴とする、動物における疼痛またはストレスの緩和を確実にするのに役立つ。したがって、活性成分は、首輪から放出され、局所適用によって皮膚に浸透し、特に皮脂によって輸送される。したがって、本発明は、対象、より具体的には、動物の可動性および健康を改善するために使用するためのデバイスに関する。
【0037】
本発明の別の目的は、カンナビジオールを投与するために使用する本発明によるデバイス、およびデバイスに組み込まれた任意の他の活性成分を経皮的に投与することである。したがって、この送達経路は、活性成分の経口投与中に従来得られた任意の代謝効果を低減し、活性化合物の生物学的利用能を増加させる利点を提供する。さらに、本発明による経皮デバイスの使用は、活性成分を徐々に、連続的に、測定された方法で、およびより長い期間にわたって送達する利点を有する。本発明によるデバイスに必要な適用時間は、迅速な効果のための30分から長期的な効果のための数ヶ月までである。好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、1日~60日間、好ましくは28日間(4週間)適用される。これは、好ましい実施形態によれば、必要に応じて、新たな適用の前に、ヒトまたは動物対象の疼痛またはストレスを治療するために、4週間の該時間が必要であり、十分であるためである。
【0038】
本発明の別の目的は、本発明によるデバイスの製造方法である。これは、驚くべきことに、プロセス、特に混合温度の選択により、ポリマーマトリックスへの活性成分の組み込みを補助するための特定の成分または粒子構造の添加に依存することなく、数ステップで製造プロセスを実施することが可能になるためである。
【0039】
本発明によれば、本発明によるデバイスの製造方法は、以下の4つの主要なステップ、すなわち、ポリマーを加熱することと、活性相を調製することと、活性相とポリマーを混合することと、デバイスを成形することと、を含む。
【0040】
したがって、方法の第1のステップは、ポリマーを、ポリマーの性質に応じて必要な温度まで予熱した反応器に配置することからなる。好ましい実施形態において、ポリマーは、該ポリマーの融点に達することなく活性成分の組み込みを促進するためにネットワークが開くことを可能にする構造をポリマーに付与するのに十分な温度まで、その融点よりも10~15℃低い温度まで加熱される。
【0041】
例として、使用されるポリマーがポリウレタン(TPU)である場合、本発明による特定のモードにおいて、反応器は、80~90℃、好ましくは90℃~95℃に加熱される。本発明による別の特定の実施形態において、使用されるポリマーがエチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)である場合、反応器は、45~90℃、好ましくは70℃~75℃に加熱される。次いで、反応器が攪拌される。
【0042】
本方法の第2のステップは、以下のプロトコル、すなわち、可塑化およびベクター化成分を計量および測定すること、ならびにリミッド混合物を得るために均質化するように攪拌することによって液体活性相を調製することからなる。次いで、活性成分を周囲温度で攪拌しながら、限界、半透明および均質な混合物が得られるまで添加する。
【0043】
本方法の第3のステップは、組み込むために選択された目標温度に達するまで、ポリマーに活性相を徐々に添加することからなる。活性成分がポリマー中に完全に組み込まれるまで、攪拌を維持する。これは、攪拌中に周囲温度に冷却される。着色剤または他の添加剤を反応器に添加する。次いで、反応器を空にし、次に、当業者に既知の射出成形方法によって、デバイスの所望の形状を得るために、第4のおよび最終射出成形ステップを実施する。
【0044】
本発明の別の目的は、上で定義した方法によって得られる生成物である。
【0045】
要約すると、本発明は、ポリマーが、エチレンビニルアセテートコポリマーおよびポリウレタンからなる群から選択されることを特徴とする単層ポリマーマトリックスから形成される局所適用のためのデバイスであって、該マトリックスはまた、少なくとも1つのカンナビノイド誘導体と、少なくとも1つの精油または精油のモノテルペン誘導体のマトリックスの総重量で0.5%~20%を含むことを特徴とする、デバイスに関する。
【0046】
本発明は、より具体的には、ポリマーが非接着性であることを特徴とするデバイスに関する。
【0047】
本発明は、より具体的には、ポリマーがエチレンビニルアセテートコポリマーまたはポリウレタンであることを特徴とするデバイスに関する。
【0048】
本発明は、カンナビノイド誘導体がカンナビジオールであり、好ましくはデルタ-9-テトラヒドロカンナビノールを含まないことを特徴とする、該デバイスに関する。より好ましくは、該デバイスは、カンナビジオールがCBD分離株またはCBD油の形態で存在し、該CBD分離株は少なくとも90%のCBDを含有し、該CBD油は80%~90%のCBDを含むことを特徴とする。
【0049】
本発明はまた、ラベンダー、ラバンジン、イタリアヘリクリサム、スギ、レモン、シトロネラ、ニンジン、ショウガ、ニアウリ、スイートオレンジ、クローブ、ユーカリシトリオドラ、ユーカリラジアータ、ペパーミント、ゼラニウム、バレリアン、ネペタカタリア、カモミール、イランイラン、クラリーセージ、マンダリン、サンダルウッド、ベルガモット、マージョラム、フランキンセンス、ゼラニウム、タイム、ジュニパー、またはそれらの混合物のリナロール、メンソール、または精油から選択される少なくとも1つの精油または精油のモノテルペン誘導体を含むことを特徴とする、上記デバイスに関する。
【0050】
本発明によるデバイスはまた、有機、合成、鉱物または植物由来の油、コハク酸、グルタル酸およびアジパートの混合物などのエステル、オメガ3多価不飽和脂肪酸などの油、脂肪酸エステル、グリコールエーテル、またはスクアレンおよびそれらの誘導体から選択されるベクター化化合物を含むことを特徴とする。
【0051】
特定のポリマーの場合、特に、使用するポリマーがTPUである場合、デバイスは、単独で、または混合物として、エチルヘキシルジフェニルリン酸塩、ジオクチルアジピン酸塩、ジイソオクチルアジピン酸塩、ジブチルアジピン酸塩、ジメチルアジピン酸塩、ジメチルグルタル酸塩、またはコハク酸ジメチルから選択される可塑化化合物も含むことを特徴とする。
【0052】
本発明によれば、デバイスはまた、首輪、ブレスレット、パッチ、メダリオン、または織物コーティングの形態、好ましくは首輪の形態で提示されることを特徴とする。
【0053】
より具体的には、本発明は、動物における疼痛またはストレスの軽減に使用するための活性成分が配合された、熱可塑性ポリマーマトリックスへの局所適用のためのデバイスであって、該デバイスが皮膚および/または毛皮と接触して配置され、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノールを含まない少なくとも1つのカンナビジオール分離株、少なくとも1つの精油または精油の化合物、およびポリウレタンまたはエチレンビニルアセテートコポリマーから選択される少なくとも1つの非粘着性熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする、デバイスに関する。
【0054】
本発明は、腱炎、関節炎、または関節症などのストレス、または筋肉、関節、またはリウマチ性疼痛の緩和に使用するために上で定義されたデバイスにも関係する。
【0055】
本発明はまた、局所的または経皮的に、ヒトまたは動物対象へのカンナビジオールの放出および送達を調節することを可能にすることを特徴とする、本発明によるデバイスの使用方法に関する。
【0056】
本発明はまた、ポリウレタンまたはエチレンビニルアセテートコポリマーから選択される少なくとも1つの非粘着性熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性ポリマーマトリックスからなるデバイスを製造する方法であって、活性成分が、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノールを含まない少なくとも1つのカンナビジオール分離株、またはデルタ-9-テトラヒドロカンナビノールを含まないカンナビジオール油、および0.5%~20%p/pの少なくとも1つの精油または精油の化合物を含み、該方法が、ポリマーを選択された温度に加熱することと、活性相を調製することと、活性相をポリマーと混合することと、次にデバイスを成形することと、を含み、該方法が、活性成分をポリマーマトリックスに組み込むのを助けるための特定の賦形剤または粒子構造を添加するステップを含まないことを特徴とする、デバイスの製造方法に関する。
【0057】
本発明は、上述の方法によって得られた生成物にも関係する。
【0058】
上記実施例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明を例示する役割を果たす。また、特定の形状(首輪、ブレスレットなど)で製造および定義され、以下の実施例の組成物は、異なる末端形態に適合されてもよい。最終的な射出成形方法のみが変更され、最終的な形状に応じて適応される。
【0059】
実施例1:鎮痛用首輪
CBD豊富なヘンプ油を配合したエチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)マトリックスとしての首輪の製造。
【表1】
【0060】
活性成分、すなわち、カンナビノイドおよびペパーミント油を豊富に含むヘンプ油は、周囲温度でビーカー内に置かれる。亜麻仁油を添加し、混合物を均質化し、次いで、トランスキュートールVを浸透促進剤として添加する。これを棒磁石を使用して穏やかに攪拌し、鎮痛活性成分溶液を形成する均質な混合物を得る。
【0061】
次に、円筒形ミキサーを油浴中で70℃に予熱する。EVAペレット(Alcudia(登録商標)PA-538)を、該ペレットで測定した温度が70℃に近くなるまで、穏やかに攪拌しながら、その中に配置する。次に、既に得られた溶液をミキサー内に入れ、依然として穏やかに攪拌する。これを、全ての液体がポリマーに完全に吸収されるまで攪拌した後、温度を25℃に下げる。ミキサーを空にし、このようにして得られた化合物を、空気および湿気を通さない密閉包装に保管する。「化合物」は、活性成分を配合したポリマーを指定するために当業者に周知の用語を指す。
【0062】
上記で得られた活性成分を配合したポリマーを、約41gの首輪としてノズル出口に75cmの長さで注入する。該首輪は、種々の関節症型の疼痛を緩和するために、イヌが首に巻くことを意図している。
【0063】
実施例2:鎮痛用首輪
【表2】

3つの活性成分、すなわち、ヘンプ油、リナロール、およびメンソールは、周囲温度でビーカー中に次々と配置される。精製された亜麻仁油を添加して活性成分をよりよく分散させ、次にミリスチン酸イソプロピルを浸透促進剤として加える。これを棒磁石を使用して穏やかに攪拌し、鎮痛活性成分の溶液を形成する均質な混合物を得る。
【0064】
次に、円筒形ミキサーを油浴中で70℃に予熱する。EVAペレット(Alcudia(登録商標)PA-538)を、該ペレットで測定した温度が70℃に近くなるまで穏やかに攪拌しながら導入する。次に、以前に得られた溶液をミキサーに入れ、さらに穏やかに攪拌する。これを、全ての液体がポリマーに完全に吸収されるまで攪拌した後、温度を25℃に下げる。ミキサーを空にし、得られた化合物を、空気および湿度を通さない密封包装に保管する。
【0065】
上記で得られた活性成分を配合したポリマーを、ノズル出口にて41gの首輪として75cmの長さで注入する。該首輪は、種々の関節症型の疼痛を緩和するために、イヌによって首に巻き付けることを意図している。
【0066】
実施例3:ストレス防止メダリオン
【表3】

活性成分、すなわち、カンナビノイドとバレリアン精油を豊富に含むヘンプ油を周囲温度でビーカー内に入れ、次にトランスキュートールVを浸透促進剤として添加する。これを棒磁石を使用して穏やかに攪拌し、リラックスする抗ストレス活性成分の溶液を形成する均質な混合物を得る。
【0067】
次に、円筒形ミキサーを油浴中で70℃に予熱する。EVAペレット(Alcudia(登録商標)PA-538)を、該ペレットで測定した温度が70℃に近くなるまで穏やかに攪拌しながら導入する。次に、以前に得られた活性成分の溶液をミキサーに入れ、さらに穏やかに攪拌する。これを、全ての液体がポリマーに完全に吸収されるまで攪拌した後、温度を25℃に下げる。ミキサーを空にし、得られた化合物を、空気および湿度を通さない密封包装に保管する。
【0068】
上記で得られた活性成分を配合したポリマーを、ノズル出口にて重量15gのメダリオンとして注入する。該メダリオンは、ストレスを生ずるおそれのある事態に備えて、該イヌを落ち着かせるためのイヌの首輪として着用することを目的とするものである。
【0069】
実施例4:鎮痛ブレスレット
【表4】

実施例4は、ブレスレットの形態で注入され得る活性モノポリマーマトリックスの調製である。製造方法は、上記実施例1~3と同様である。
【0070】
実施例5:鎮静用首輪
【表5】

ポリマーは、ポリマーの種類に応じて必要な温度(この場合、TPUの場合、約90℃~95℃)に予熱された反応器内に、活性成分をその中に組み込むためにネットワークが開くことを可能にする構造をポリマーに付与するのに十分な温度に配置する。穏やかに攪拌する。
【0071】
以下のプロトコルによって液体活性相を調製する。
-可塑化およびベクター化成分を秤量および混合し、均質化するように攪拌して、限界混合物を得る。
-周囲温度で攪拌しながら、第1の活性成分としてCBD分離株を添加し、限界の半透明混合物が得られるまで攪拌したままにする。
-共活性成分、この場合はペパーミント精油を添加し、均質化して均質な半透明の混合物を得る。
【0072】
ポリマーが目標温度に達したら、以前に調製した活性成分混合物を徐々に添加する。
【0073】
活性相がポリマー中に組み込まれるまで攪拌したままにする。
【0074】
周囲温度に冷却し、さらに攪拌する。
【0075】
着色料を添加し、混合物を均質化する。
【0076】
反応器を空にし、デバイスの目的の形状を得るために射出成形ステップを実行する。
【0077】
本発明による実施例は、上記適用において定義されるように、物理的および化学的安定性について試験される。本デバイスの結果は以下のとおりである。
【表6】

結果は、デバイスが安定であり、CBDを含む必要な活性成分を効果的に組み込むことを可能にしたことを示す。
【0078】
実施例6:鎮静ブレスレット
【表7】

ポリマーは、ポリマーの種類に応じて必要な温度(この場合、EVAの場合、約70℃)に予熱された反応器内に、活性成分をその中に組み込むためにネットワークが開くことを可能にする構造をポリマーに付与するのに十分な温度に配置する。穏やかに攪拌する。
【0079】
以下のプロトコルによって液体活性相を調製する。
-可塑化およびベクター化成分を秤量および混合し、均質化するように攪拌して、限界混合物を得る。
-周囲温度で攪拌しながら、第1の活性成分としてCBD分離株を添加し、限界の半透明混合物が得られるまで攪拌したままにする。
-共活性成分、この場合はペパーミント精油を添加し、均質化して均質な半透明の混合物を得る。
【0080】
ポリマーが目標温度に達したら、以前に調製した活性成分混合物を徐々に添加する。
【0081】
活性相がポリマー中に組み込まれるまで攪拌したままにする。
【0082】
攪拌しながら周囲温度に冷却する。
【0083】
着色料を添加し、混合物を均質化する。
【0084】
反応器を空にし、デバイスの目的の形状を得るために射出成形ステップを実行する。
【0085】
実施例7:鎮痛ブレスレット
【表8】

製造方法は、上記実施例6と同様である。
【0086】
実施例8:鎮痛ブレスレット
【表9】

製造方法は、上記実施例5と同様である。
【0087】
実施例9:鎮静用首輪
【表10】

製造方法は、上記実施例6と同様である。
【0088】
実施例10:鎮静用首輪
【表11】

製造方法は、上記実施例5と同様である。
【0089】
実施例11:鎮静用首輪
【表12】

製造方法は、上記実施例5と同様である。
【0090】
本デバイスの安定性結果は以下のとおりである。
【表13】

結果は、デバイスが安定であり、CBDを含む必要な活性成分を効果的に組み込むことを可能にしたことを示す。
【0091】
実施例12:本発明によるデバイスからのCBD放出の動態のインビトロ試験。
本発明によるデバイスに安定的に組み込まれた活性成分が、デバイスが適用される対象を治療するために、少なくとも4週間の期間にわたっても効果的に送達され得ることを検証することができるように、出願人によってインビトロ試験が開発された。
【0092】
油中の動態の選択は、対象を治療するために活性成分を放出することを可能にする皮膚または毛皮の皮脂とのデバイスの接触をシミュレートする。
【0093】
以前に上述の実施例によって製造したイヌ用の首輪の例を試験した。一部の試験は、本出願の出願日にはまだ進行中である。
【0094】
首輪の様々な例のこの分析の操作方法は次のとおりである。
1)首輪を使用前に巻き上げたままにするシートを取り外す。
2)首輪の初期重量を測量し、記録する。
3)首輪を250mlのフラスコに入れる。
4)首輪が完全に浸かるまでオリーブ油を添加し、測量する。
5)動態試験の間ずっと攪拌し続ける。
6)分析のために決定された各時間(例えば、D1、D3、D7、D10、D14、D21、D28)に、油の試料を採取する。
7)この試料の油から適切な溶媒を使用してCBDを抽出する。
8)HPLCを使用して抽出物を分析し、培地中に放出されたCBDの量を定量化する。ある量を、最初に組み込まれた量に対するmgまたはパーセンテージとして得た。分析は、認定されたCBD規格からの外部較正を使用して、逆相HPLCを使用して行われる。
9)経時的な油中CBD放出曲線をプロットする。
【0095】
結果は、試験した3つの同様のデバイスの値を平均することにより得られる。
【0096】
A)実施例10による首輪からのCBDの放出の結果:
【表14】

首輪の形態の実施例10に従う本発明によるデバイスは、CBDを含む必要な活性成分を効果的かつ安定的に組み込むことができた。上記の結果および図1の対応する曲線は、イヌなどの処置対象の長期処置のために、時間の経過とともにCDBが徐々に放出されることを示している。28日時点で、プラトーに到達しておらず、放出が継続されていることに留意されたい。
【0097】
B)実施例5による首輪からのCBDの放出の結果
【表15】

首輪の形態の実施例5に従う本発明によるデバイスは、CBDを含む必要な活性成分を効果的に組み込むことができた。上記の結果および図2における対応する曲線は、時間の経過とともにCDBが徐々に放出されることを示している。進行中の試験では、10日間にわたって放出を評価することができる。試験が継続されており、曲線の傾きは、経時的に継続的な放出について容易に推定できることを理解されたい。
【0098】
C)実施例11による首輪からのCBDの放出の結果
【表16】

首輪の形態の実施例11従う本発明によるデバイスは、CBDを含む必要な活性成分を効果的に組み込むことができた。上記の結果および図2における対応する曲線は、時間の経過とともにCDBが徐々に放出されることを示している。進行中の試験では、10日間にわたって放出を評価することができる。試験が継続されており、曲線の傾きは、経時的に継続的な放出について容易に推定できることを理解されたい。
【0099】
図2の曲線はまた、実施例5および11によるデバイスの放出動態を比較することを可能にする。本発明によるこれらの2つのデバイスは、組成物中の可塑剤の量のみが異なる。
【0100】
これらの結果は、組成物中の可塑化化合物のレベルが、本発明によるデバイスの活性成分放出動態を調節することを可能にすることを示している。
図1
図2
【国際調査報告】