(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】車両間、詳細には自動車両の車列間の機械連結デバイス
(51)【国際特許分類】
B60D 1/155 20060101AFI20220909BHJP
B62D 13/00 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
B60D1/155
B62D13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577423
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 IB2020056751
(87)【国際公開番号】W WO2021048647
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019000012120
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521565408
【氏名又は名称】ユニヴェルシタ’デグリ ステュディ ディ フィレンツェ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドリーニ,アドリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】チンニーニ,ファビオ
(57)【要約】
少なくとも2本の軸を伴う第1の車両(A)と、少なくとも2本の軸を伴う第2の車両(B)との間で想定され、第2の車両(B)に先行して配置された第1の車両(A)を伴うタイプの連結デバイス(10)であって、自動誘導車両の車列に特に好適である、連結デバイス(10)は、第1の車両(A)に関連付けられたヒンジ式連結セクション(20)、及び第2の車両(B)に関連付けられた引張棒セクション(30)を備え、関連の遠位セクションを介して回転可能に互いに接続される。引張棒セクション(30)は、第2の車両の右側から左側に延びるよう、第2の車両(B)の前で水平に配置された、弧状誘導部(40)と、弧状誘導部(40)に沿って摺動する摺動部(50)と、摺動部(50)の一方の端部に一体化され、かつ連結セクション(20)の他方の端部に回転可能に接続された、伸縮自在アーム(60)と、を備える。連結デバイス(10)は、弧状誘導部(40)に沿った摺動部(50)の位置に応じてステアリング角度を設定することによって、第2の車両(B)におけるステアリング部材(S)の冗長性に好適な、ステアリング補助機構(70)も、有利に備える。本発明の連結デバイスは、自動誘導システムが、デバイスを介した力の実質的ないかなる交換もなく、車両の位置及び軌道を制御するのを可能にする。本発明の連結デバイスは、自動誘導システムの動作に異常があったときに動作に入り、車列を安全に停止させることを可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本の軸を伴う第1の車両(A)と、少なくとも2本の軸を伴う第2の車両(B)との間で想定され、前記第2の車両(B)に先行して配置された前記第1の車両(A)を伴うステアリング部材(S)を備えるタイプの、連結デバイス(10)であって、
自動誘導車両の車列に特に好適であり、前記第1の車両(A)に関連付けられたヒンジ式連結セクション(20)、及び前記第2の車両(B)に関連付けられた引張棒セクション(30)を備え、前記セクションは各々、それぞれの前記車両に堅固に接続された近位部分、及び回転可能な遠位の相互接続部分を有し、
前記引張棒セクション(30)が、
前記第2の車両(B)に一体化された弧状誘導部(40)であって、前記第2の車両(B)の右側と左側との間を水平方向に延び、前記弧状誘導部(40)の曲率半径及び位置付けは、関連の前記曲率半径の中心が、前記第2の車両(B)の後部領域にあるように成される、弧状誘導部(40)と、
前記弧状誘導部(40)に沿って摺動するよう配置された、摺動部(50)と、
一方の端部において前記摺動部(50)に堅固に接続され、かつ他方の端部において前記連結セクション(20)に回転可能に接続され、前記第1の車両(A)と前記第2の車両(B)との間の最大距離及び最小距離それぞれを画定するよう、最大長さ及び最小長さを有する、伸縮自在接続アーム(60)と、を備えることを特徴とする、連結デバイス(10)。
【請求項2】
前記第2の車両(B)は、前記ステアリング部材(S)が設けられた前軸と、少なくとも1本の非ステアリング後軸とを備えた、連結デバイス(10)であって、前記弧状誘導部(40)の外形、及び前記第2の車両(B)のフレームに相対接続する方法は、前記摺動部(50)の運動、したがって前記弧状誘導部(40)に沿った前記伸縮自在アーム(60)の運動も追尾し、前記追尾車両(B)における力の作用点が、前記第2の車両(B)の前記少なくとも1本の後軸の中心線に維持されることを特徴とする、請求項1に記載の連結デバイス(10)。
【請求項3】
前記引張棒セクション(30)は、前記摺動器(50)及び前記第2の車両(B)における前記ステアリング部材(S)に関連付けられた、ステアリング補助機構(70)を備え、前記ステアリング補助機構(70)は、前記弧状誘導部(40)に沿った前記摺動部(50)の位置に応じて、前記第2の車両(B)のステアリング位置を維持する傾向となるように、前記ステアリング部材(S)に作用するよう構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の連結デバイス(10)。
【請求項4】
前記ステアリング補助機構(70)は、前記摺動部(50)に接続するための伸縮自在ロッド(71)と、前記ステアリング補助機構(70)を前記第2の車両(B)の前記ステアリング部材(S)に接続する、ハブキャリア接続ロッド(72、73)と、前記伸縮自在ロッド(71)を2本の前記ハブキャリア接続ロッド(72、73)に運動力学的に接続する作動機構(75)と、を備えることを特徴とする、請求項3に記載の連結デバイス(10)。
【請求項5】
前記作動機構(75)は、前記ハブキャリア接続ロッド(72、73)及び関節接合された平行四辺形機構(77)が接続された、偏心部材(76)を備え、前記平行四辺形機構(77)は、前記伸縮自在ロッド(71)を前記偏心部材(76)に接続し、それによって、前記弧状誘導部(40)に沿った前記摺動部(50)の運動の追尾を実行する、前記伸縮自在ロッド(71)の回転が、前記関節接合された平行四辺形機構(77)の位置及び外形を修正し、それが前記偏心部材(76)の位置及び向きを修正し、それが次に前記ハブキャリア接続ロッド(72、73)を押し出し、または引張ることによって、前記第2の車両(B)の前記ステアリング部材(S)を動作させることを特徴とする、請求項4に記載の連結デバイス(10)。
【請求項6】
前記引張棒セクション(30)は、中立構成に対して前記伸縮自在アーム(60)が伸長することに対抗するよう配置された、弾性部材(68)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の連結デバイス(10)。
【請求項7】
前記引張棒セクション(30)は、中立構成に対して前記伸縮自在アーム(60)が収縮することに対抗するよう配置された、弾性部材(67)を備えることを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の連結デバイス(10)。
【請求項8】
前記引張棒セクション(30)は、前記伸縮自在アーム(60)が前記最小長さに到達したときに、前記弧状誘導部(40)に沿った前記摺動部(50)の摺動を防止するよう配置された、係止部材(54)を備えることを特徴とする、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の連結デバイス(10)。
【請求項9】
前記伸縮自在接続アーム(60)は、牽引フック(61)を備え、前記牽引フック(61)は、一方の端部に前記連結セクション(20)に接続するために環状体(62)が設けられた、前記引張棒セクション(30)の遠位部を構築し、前記牽引フック(61)の反対側端部において、前記摺動部(50)に一体化された円筒形状要素(65)の中に伸縮自在に挿入された管状要素(64)が存在し、前記管状要素(64)は、長手方向の中間セクションにおいて肩部(66)を有し、前記肩部(66)と前記摺動部(50)との間で作用することによって、中立構成に対して前記伸縮自在アーム(60)が収縮することに対抗するよう配置された、弾性部材を構築する、第1の圧縮バネ(67)と、前記肩部(66)と前記円筒形状要素(65)との間に作用することによって、中立構成に対して前記伸縮自在アーム(60)が伸長することに対抗するよう配置された弾性部材を構築する、第2の圧縮バネ(68)と、のための当接要素を構築することを特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の連結デバイス(10)。
【請求項10】
前記肩部(66)は、前記管状要素(64)に取り外し可能に関連付けられた、締付リングから構成されることを特徴とする、請求項9に記載の連結デバイス(10)。
【請求項11】
前記管状要素(64)、及び前記摺動部(50)の前記沓部(54)は、前記管状要素(64)が、前記関連のストローク端部の近位に到達したときに、前記沓部(54)に作用して、前記沓部(54)を押し出し、前記弧状誘導部(40)に係合させ、それによって、前記摺動部(50)の前記弧状誘導部(40)に沿った摺動運動をブロックすることを特徴とする、請求項8に記載の連結デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2台の車両間、詳細には自動誘導車両の車列間の、機械連結デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の輸送分野におけるエレクトロニクスの発達は、路上車両の隊列を作ること、すなわち運転者に誘導されないか、またはせいぜい最初の1台のみが運転者によって誘導され、一方で他の車両は自動的に先頭車両を追尾する、何台かの車両が1列で構成された車列の構築を可能にしている。これらの車両は、情報交換の観点から、第1の車両と同時に減速及び加速し、それによって互いからの距離を同じに維持するのを可能にするよう、かつ追尾車両が同じ方向に進むが、同じ軌跡を辿れるように、先行車両に対して適切な位相遅れを伴うことを可能にするよう、接続される。
【0003】
現在の電子技術は、公共輸送のために使用される路上車両、及び商用車両の両方の隊列が、規制及び安全要求を可能にするために十分成熟しているが、車列の車両間における機械接続は必要である。
【0004】
先行車両に関連付けられたヒンジ式連結セクションと、追尾車両に関連付けられた引張棒セクションとを基本的に含んだ車両牽引デバイスが、暫くの間公知であった。これら2つのセクションは各々、それぞれの車両に堅固に接続された近位部分と、回転可能な遠位の相互接続部分と、を有する。このようなデバイスは、力を伝達することで牽引を可能にするよう意図される。これらのシステムは、実装するのが比較的容易であり、(単一の1軸回転運動とは別の)相対運動がないおかげで、流体用管及びエネルギー交換のための電気ソケットを、容易に関連付けることを可能にする。しかし、このタイプのデバイスは、牽引デバイスの2つのセクション間におけるヒンジ式接続部の垂直軸に対して、回転の単一の自由度で2台の車両を堅固に接続し、それによって先行車両と正確に同じ軌跡を移動するのを可能にするよう、自動誘導システムが追尾車両の誘導を管理することを可能にするには、全く好適ではない。さらに、回転の1つの自由度のみしか設けられていない、このような従来のシステムにおいて、交換された力の結果が正(先行車両が追尾車両よりも引張る)である場合、車列を安定させる傾向となる挙動が生じ、その一方で、負の結果の場合、車列は逸れる傾向があり、それによって各車両は、先行車両に対して反対方向に進む傾向となり、フックの破損をもたらし、まさに機能を制動するために重要である緊急事態をもたらす。
【0005】
車両間の独立したステアリングを可能にしながら、減少した曲率半径の維持を可能にすることを目的とした、引張棒セクションが細長いアームを含む連結デバイスも公知である。実際、2台の車両が曲線にある場合、車両の外形のために、先行車両の後部中心ゾーンと、追尾車両の前部中心ゾーンとの間の距離は、長くなる。
【0006】
例えば、欧州特許出願公開第0982161号明細書、米国特許第5725231号明細書、米国特許第5468007号明細書、及び英国特許出願公開第2219979号明細書に記載されている、公知の技術における他の連結デバイスは、アーチ型の誘導レールの存在を含み、それに沿って摺動部が摺動でき、2台の車両間で交換される力の作用点を移動できるよう、引張棒セクションのアームを保持する。これらにおいて、アーチ型レールは先行車両に一体化され、その外形は、追尾車両における車両間で交換される力の、特定の作用点を決定するようには設計されない。
【0007】
欧州特許出願公開第0765770号明細書は、機関車両を、ステアリング部材が装備されていないトレーラに連結するために有用な、連結デバイスを開示している。この書類は、追尾車両に一体化されたアーチ型誘導レールも含んでいる。この書類において、レールに沿って摺動する摺動部はピンであり、このピンに対して引張棒セクションのアームは、その中間セクションにおいて枢動可能に接続され、その一方でアームの端部は、トレーラ自体の軸に対して前に位置付けられたトレーラの固定点において、ヒンジ式に取り付けられる。
【0008】
さらに、公知の技術における機械連結デバイスは、追尾車両を制御するか、または少なくとも追尾車両の位置付けに影響を与えるための、追尾車両のステアリング手段に連結可能な運動学的部材を提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0982161号明細書
【特許文献2】米国特許第5725231号明細書
【特許文献3】米国特許第5468007号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第2219979号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0765770号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目標は、特定の安全間隔内で、2台の車両間における動きの完全な相対的自由を可能にし、特に自動誘導車両のための機械的に安全な接続を構築するために好適な、2台の車両間の機械連結デバイスを提案することである。
【0011】
本発明の別の目標は、相互距離の維持、及び自動誘導車両の車列を自動誘導することで課されるステアリング角度の設置における冗長性を作り出すのに好適な、2台の車両間の機械連結デバイスを提案することである。
【0012】
本発明の別の目標は、相互距離及びステアリング角度が、車列の自動誘導システムによって課されるべき特定の制限を越えて逸脱したときのみ、2台の車両間における相対運動の抑制を判断するために好適な、2台の車両間の機械連結デバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの態様によると、前述の目標は、請求項1による連結デバイスによって実現される。
【0014】
詳細には、一般に少なくとも2本の軸を伴う第1の車両と、少なくとも2本の軸を伴う第2の車両との間で想定され、かつ第2の車両に先行して配置される第1の車両を伴うステアリング部材を備えるタイプの機械連結デバイスは、第1の車両に関連付けられたヒンジ式連結セクションと、第2の車両に関連付けられた引張棒セクションと、を備え、これらのセクションは各々、それぞれの車両に堅固に接続された近位部分と、回転可能な遠位の相互接続部分と、を備える。
【0015】
本発明の特有の態様によると、デバイスの引張棒セクションは:
-第2の車両に一体化された弧状誘導部であって、第2の車両の右側と左側との間を水平方向に延び、この弧状誘導部の曲率半径及び位置付けが、関連の曲率半径の中心が、第2の車両の後部領域おける、実質的に第2の車両における後軸の中心線上にあるように成される、弧状誘導部と;
-上記の弧状誘導部に沿って摺動するよう配置された、摺動部と;
-一方の端部において上記の摺動部に堅固に接続され、かつ他方の端部において上記の連結セクションに回転可能に接続され、第1の車両と第2の車両との間の最大距離及び最小距離それぞれを画定するよう、最大長さ及び最小長さを有する、伸縮自在接続アームと、
を備える。
【0016】
上記で概説した機械連結デバイスは、自動誘導車両の車列への適用に、特に好適である。なぜなら、それは2台の車両を堅固に接続せず、自動誘導システムに車両の速度及び軌道を決定させるが、同時に、車両の挙動が、自動誘導システムを完璧に機能させることによって理想的に課せられた制限から、特定の制限を越えて逸脱する2台の車両間の、安全な抑制を構築するからである。
【0017】
有利には、引張棒セクションは、上記の摺動部、及び第2の車両のステアリング部材に関連付けられた、ステアリング補助機構を備える。このステアリング補助機構は、上記の誘導部に沿った摺動部の位置に応じて、第2の車両のステアリング位置を維持する傾向となるように、ステアリング部材に作用するよう構成される。
【0018】
ステアリング補助機構は、摺動部の位置に応じて、追尾車両のステアリング部材に影響を及ぼすことができ、それによって、完璧に機能する自動誘導システムによって課せられた理想的なステアリング角度と、実際のステアリング角度との間に、過剰な逸脱が存在する場合、ステアリング補助機構は、ステアリング部材を正しい軌道設定に戻すよう制御する傾向となる。
【0019】
本発明による機械連結デバイスの、別の有利な特徴は、従属請求項に記載される。
【0020】
本発明の、これら及び他の態様、ならびに利点は、添付の図面の補助と共に、非網羅的な例として提供される本発明の実施形態における以下の説明から理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】車列として接合され、本発明によるデバイスによって機械接続された、直線運動状態における2台の車両の概略上面図である。
【
図1B】車列として接合され、本発明によるデバイスによって機械接続された、ステアリング段階における2台の車両の概略上面図である。
【
図3】ラインIII-IIIに沿った、
図2のデバイスの断面図である。
【
図5】本発明によるデバイスの実施形態における、概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、番号10は全体的に連結デバイスを示し、2軸を伴うタイプの第1の車両Aと、やはり2軸を伴うタイプの第2の車両Bとの間において想定される。第1の車両Aは、第2の車両Bに先行して配置される。車両A及びBは、有利には、連続して配置された別の車両を含む車列の一部であり、個々の車両及び全体の車列は、車列の車両が、相互距離を変えずに実質的に維持しながら、全て同じ軌道を移動させるのを可能にするのに好適なタイプの自動誘導システムによって、誘導される。先行車両すなわち第1の車両A、及び追尾車両すなわち第2の車両Bには、少なくとも関連の前軸においてステアリングするのに好適な、それら自体のステアリングシステムSが装備される(
図5)。詳細には、
図1に示される実施形態において、第1及び第2の車両A及びBは、ステアリング前軸、及び非ステアリング後軸を有する。
【0023】
図2~
図4も参照すると、連結デバイス10は、第1の車両Aと安定して関連付けるために好適なヒンジ式連結セクション20と、第2の車両Bに安定して関連付けるために好適な引張棒セクション30と、を備える。これら2つのセクション20、30の各々は、それぞれの車両に堅固に接続された近位部分と、回転可能な遠位の相互接続部分と、を有する。2つのセクション20及び30の遠位部分は、垂直軸に対する相互の自由回転を有利に可能にし、互いに直交する2本の水平回転軸に対して、いくらかの回転の自由度(少なくとも数度)も可能にする。
【0024】
引張棒セクション30は:
-第2の車両Bに一体化された弧状誘導部40であって、第2の車両Bの右側と左側との間を水平方向に延び、関連の曲率半径の中心Cが、第2の車両Bにおける後軸Pの中心線上に実質的に載るよう、曲率半径を有し、かつ第2の車両Bに対して位置付けられた、弧状誘導部40と;
-上記の弧状誘導部40に沿って摺動するよう配置された、摺動部50と;
-一方の端部において上記の摺動部50に堅固に接続され、かつ他方の端部において上記の連結セクション20に回転可能に接続され、第1の車両Aと第2の車両Bとの間の最大距離及び最小距離それぞれを画定するよう、最大長さ及び最小長さを有する、伸縮自在接続アーム60と、
を備える。
【0025】
弧状誘導部40は、中心に分離隔壁42が設けられた、容器本体41と、2本の重複レール44を定めるカバー43と、を備える。誘導部40は、2つの補強フラップ45をさらに備える。補強フラップ45は、より大きい曲げ強度を与え、それによって弧状誘導部40は、第2の車両Bに繋ぎとめられる。弧状誘導部40の両端部において、それぞれ取り外し可能な側部カバー46が存在する。側部カバー46を取り外すことによって、摺動部50をレール44に組み込むことを可能にし、側部カバー46が一旦容器本体41に固定されると、摺動部50の摺動運動のためのストローク端部要素を構築する。
【0026】
摺動部50は、プレート51、及びカバー43のスロットの中に挿入される2つの支持部52を備え、それらの端部において、自由に枢動するピン53が取り付けられ、関連の転がり面上で転がるよう、レール44に収容される。沓部54は、プレート51とカバー43との間の摺動部50に関連付けられ、かつプレート51の他方の側で動作可能であり、伸縮自在アームが特定の最小長さに達したときに、弧状誘導部40に沿って摺動部50が摺動するのをブロックできる係止部材を構築するよう、カバー43に対して選択的に相互作用する。沓部54とカバー43の外面との間の相互作用は、有利には摩擦によるものであるが、代替として、沓部54及びカバー43の面を好適な歯状部に形成し、干渉によって生じ得る。
【0027】
伸縮自在接続アーム60は、牽引フック61を備える。牽引フック61は、連結セクション20との連結部材を構築する環状体62の一方の端部に設けられた、引張棒セクション30の遠位部分を構築する。牽引フック61の反対側端部において、フランジ63が存在し、そこに管状要素64が固定され、摺動部50と一体化された円錐形状要素65の中に伸縮自在に挿入される。管状要素64は、長手方向の中間セクションに肩部66を有し、それは2つの圧縮バネ67、68のための当接要素を構築する。第1の圧縮バネ67は、肩部66と摺動部50との間で作用し、それによって、中立構成に対して伸縮自在アーム60が収縮することに対抗するよう配置された、弾力性部材を構築する。第2の圧縮バネ68は、肩部66と円筒形状要素65との間で作用し、それによって、中立構成に対して伸縮自在アーム60が伸長することに対抗するよう配置された、弾力性部材を構築する。プレート51の外面が、円筒形状要素65に対する管状要素64の移動のための、ストローク端部要素を構築するので、伸縮自在アーム60の最大収縮ストロークは、管状要素64と肩部50との間の距離によって構築される。肩部66は、管状要素64に取り外し可能に関連付けられた、締付リングから有利に構成される。管状要素64及び摺動部50の沓部54は、管状要素64が、関連のストローク端部の近位に達したときに、沓部54に作用して、沓部54を押し出し、弧状誘導部40に係合させることによって、摺動部50の弧状誘導部40に沿った摺動運動をブロックするよう、構成かつ配置される。補強管69は、管状要素64の内側に同軸で配置され、円筒形状要素65の内側における伸縮自在の運動を誘導する。
【0028】
上記で説明した連結デバイス10は、以下の方法で機能する。自動誘導車両の車列の、通常動作の条件において、機械連結デバイス10は、2台の車両間の力を連続的に交換するためには使用されない。なぜなら、自動誘導システムは、2台の連続した車両間の距離を維持するため、及び正しい軌道を設定するための役割りを担うものであるからである。連結デバイス10の構成は、2台の車両A及びB間の接続アーム60が、弧状誘導部40に沿って摺動できるおかげで、自動誘導システムが、追尾車両Bのための正しい軌道を設定するのを可能にする。自動誘導システムが課すべき、2台の車両の理想的な相互位置付けと、実際の相互位置付けとの間が、小さく逸脱した場合、デバイス10を介して2台の車両間の力を交換する。これらの場合、2台の車両間の距離における小さい逸脱は、伸縮自在アーム60によって許容される。それは設けられた弾力性部材のおかげであり、2台の車両A及びB間で交換される力を、累進的に増加させるのを可能にする。追加として、弧状誘導部40の外形、及び追尾車両Bのフレームに対する関連の接続モードは、摺動部50の運動、したがって伸縮自在アーム60の弧状誘導部40に沿った運動も追尾し、追尾車両における力の作用点が、同じ第2の車両Bにおける後部の非ステアリング軸の中心線に維持される。この特性は、従来システムに対して挙動を逆転させ、2台の車両間で交換した力が正である(先行車両が追尾車両よりも大きく引張る)場合に挙動は逸脱し、その一方で結果が負である(先行車両が追尾車両よりも制動される)場合に挙動は収束する。自動誘導車両の車列において、自動誘導自体の能動的制御のおかげで、牽引の逸脱を管理することができる。なぜなら、牽引力がある場合、この全体システムは正確に機能しているものと想定されるからである。他の点では、自動誘導が機能しない場合、車列全体を強制的に停止させ、自動的に停止状態にして負の力をもたらし、車両の挙動を好適に収束させる、包括的な故障信号が生成される。さらに、2台の車両A及びB間の距離が、特定の制限を越えて減少した場合、伸縮自在アーム60はストローク端部に到達し、管状要素64は、弧状誘導部40に沿った摺動部50の摺動をブロックする沓部54を駆動する。
【0029】
図5を参照すると、本発明による機械連結デバイスの特に有利な実施形態は、摺動部50及び第2の車両Bのステアリング部材Sに関連付けられた、ステアリング補助機構70も想定する。ステアリング補助機構70は、弧状誘導部40に沿った摺動部50の位置に応じて、第2の車両Bのステアリング位置を維持する傾向となるよう、ステアリング部材Sに作用するように構成される。
【0030】
ステアリング補助機構70は、誘導部に沿った摺動部50の位置を、第2の車両Bのステアリング角度で機械的に接続し、その構成は、当然ながら第2の車両Bにおけるステアリングシステムの外形に依存する。
図5に示される実施形態において、ステアリング補助機構70は、摺動部50に接続するための伸縮自在ロッド71と、2つのハブキャリア接続ロッド72、73と、これらハブキャリア接続ロッド72、73が接続された偏心部材76、及び伸縮自在ロッド71を偏心部材76に接続するよう関節接合された平行四辺形機構77、を含んだ作動機構75と、を備える。弧状誘導部40に沿った摺動部50の運動を追って生じる、伸縮自在ロッド71の回転は、関節接合された平行四辺形機構77の位置及び外形を修正し、それが偏心部材76の位置及び向きを修正し、それが次にハブキャリア接続ロッド72及び73を押し出すか、または引張ることによって、第2の車両Bのステアリング部材Sを作動させる。有利には、ハブキャリア接続ロッド72、73は、弾性ショックアブソーバ78を有し、それは、ステアリング部材Sによって課せられたステアリング角度と、本発明の機械連結デバイスのステアリング補助機構70によって課せられたステアリング角度と、の間の僅かなずれを許容する。
【0031】
ステアリング補助機構70は、車両のステアリング部材Sに対する、冗長な機械ステアリング制御システムを構築する。ステアリング補助機構70は、伸縮自在アーム60及び車両の長手方向軸が成す角度αと、常に車両の長手方向軸に対するホイールの傾斜角度β及びγと、の間に存在する、線形比例の関係を利用する。
【0032】
第2の車両Bが、本発明のデバイスによって車列に接続された場合、弧状誘導部40に沿った摺動部50の位置は、ホイールが車両のステアリング部材Sを形成するときにもホイールのステアリング角度を冗長的に決定する。自動誘導システムが適切に動作する状況において、これは何の問題も作り出さない。なぜなら、車両のステアリング部材Sと、ステアリング補助機構70とは、同じステアリング角度を設定するからである。ステアリング補助機構70の弾性ショックアブソーバ78は、車両のステアリング部材Sによって設定されたステアリング角度と、ステアリング補助機構70によって設定されたステアリング角度との間のずれについて、特定の許容を可能にする。許容は動的理由のために必要となり、それは例えば異なる車両条件(タイヤのドリフト、ステアリング角度の適用に応答する際の遅れ、サスペンション部材、異なる積載荷重など)のため、車列を形成する車両の異なる挙動をもたらし得る。この許容を超過すると、それは自動誘導システムに故障があることを意味し、車両の列は停止しなければならない。このような条件において、機械連結デバイスを介して伝えられた力は常に負であり、このような状況における本発明のデバイスによって課せられた収束の傾向は、車列の安定、及びそれによる緊急条件における安全向上をもたらす。
【0033】
示され説明されたものと比較して、上記で表わしたような機械連結デバイスを作り出すコンセプトを常に適用するにもかかわらず、構築における変動が確実に存在する場合がある。詳細には、すでに強調したように、弧状誘導部40の外形及び弧状誘導部40を第2の車両Bに接続する方法は、当然ながら第2の車両B自体の構造及び寸法特性に応じ、同じことが、第2の車両Bにおけるステアリング部材Sの外形に依存する外形を持つステアリング補助機構70に当てはまる。
【0034】
本発明による、車両間の機械連結デバイスの、説明した実施形態の上記で記載した利点、詳細には自動誘導車両の車列の利点は、別の変化及び実施形態の存在においても保護される。実際、説明かつ提示した実施形態は、単なる例であり、限定ではない。したがって本発明によるデバイスは、以下の特許請求の範囲によって提供される保護の範囲内にありながら、実際の用途の性質における別の変更及び変形を提供し得る。
【国際調査報告】