(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】層状触媒物品および触媒物品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/63 20060101AFI20220909BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20220909BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20220909BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220909BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
B01J23/63 A
B01J37/08 ZAB
B01J37/02 101Z
B01J37/02 301C
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/28 301A
F01N3/28 301Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577644
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2020039109
(87)【国際公開番号】W WO2020263810
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】チョン,シヤオライ
(72)【発明者】
【氏名】ヴュノフ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ディーバ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スン,シヤン
(72)【発明者】
【氏名】トラン,パスカリン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AB03
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(57)【要約】
本発明は、層状触媒物品および排気システムを提供する。触媒物品は、白金、白金以外の第1の白金族金属成分、セリア-アルミナ複合材料、および酸素貯蔵成分を含む第1の層であって、白金が、セリア-アルミナ成分上に担持されており、白金族金属成分が、パラジウム、ロジウム、またはそれらの組み合わせから選択され、白金族金属成分が、酸素貯蔵成分上に担持されている、第1の層と、第2の白金族金属成分、および耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分またはそれらの組み合わせを含む第2の層であって、第2の白金族成分が、白金、パラジウム、ロジウム、またはそれらの組み合わせから選択される、第2の層と、基材と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である。本発明はまた、層状触媒物品を調製するためのプロセス、ならびに炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を浄化するための触媒物品および排気システムの使用も提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)白金、白金以外の第1の白金族金属成分、セリア-アルミナ複合材料、および酸素貯蔵成分を含む第1の層であって、白金が、セリア-アルミナ成分上に担持されており、前記第1の白金族金属成分が、パラジウム、ロジウム、またはそれらの組み合わせから選択され、前記第1の白金族金属成分が、前記酸素貯蔵成分上に担持されている、第1の層と、
b)第2の白金族金属成分、および耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分またはそれらの組み合わせを含む第2の層であって、前記第2の白金族成分が、白金、パラジウム、ロジウム、またはそれらの組み合わせから選択される、第2の層と、
c)基材と、を含む、層状触媒物品であって、
白金の量が、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である、層状触媒物品。
【請求項2】
前記白金の量が、白金、パラジウム、およびロジウムの前記総重量に基づいて、20~50重量%である、請求項1に記載の層状触媒物品。
【請求項3】
前記第1の層中の前記白金の量が、前記触媒物品中の白金の総重量に基づいて、50~100重量%である、請求項1に記載の層状触媒物品。
【請求項4】
前記第1の層が、ボトム層として前記基材上に堆積されており、前記第1の層が、前記セリア-アルミナ成分上に担持された白金、ならびにセリア-アルミナおよび酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムを含み、前記第2の層が、トップ層として前記第1の層上に堆積されており、前記第2の層が、前記セリア-アルミナ成分、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの任意の組み合わせの上に担持されたロジウム、および任意選択的に、酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムを含み、前記白金の量が、前記白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である、請求項1または2に記載の層状触媒物品。
【請求項5】
前記第2の層が、ボトム層として前記基材上に堆積されており、前記第2の層が、前記酸素貯蔵成分、耐火性アルミナ成分、またはそれらの組み合わせの上に担持されたパラジウムを含み、前記第1の層が、トップ層として前記第2の層上に堆積されており、前記第1の層が、前記酸素貯蔵成分上に担持されたロジウム、およびセリア-アルミナ成分上に担持された白金を含み、前記白金の量が、前記白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である、請求項1または2に記載の層状触媒物品。
【請求項6】
前記第1の層における白金とアルミニウムとの間の相関係数が、EPMAラインスキャン分析によって測定して、70%を超える、請求項1~5のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項7】
前記セリア-アルミナ成分が、セリア-アルミナ、セリア-イットリウム-アルミナ、セリア-シリカ-アルミナ、セリア-スズ-アルミナ、セリア-マンガンアルミナ、セリア-鉄-アルミナ、セリア-ニッケル-アルミナ、セリア-イリジウム-アルミナ、セリア-ルテニウム-アルミナ、セリア-インジウム-アルミナ、またはセリア-チタニアを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項8】
前記セリア-アルミナ成分のセリア含有量が、前記セリア-アルミナ成分の総重量に基づいて、1.0~75.0重量%の範囲にある、請求項1~7のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項9】
前記セリア-アルミナ成分の前記セリア含有量が、前記セリア-アルミナ成分の前記総重量に基づいて、5.0~50.0重量%の範囲にある、請求項1~8のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項10】
前記セリア-アルミナ成分の前記セリア含有量が、前記セリア-アルミナ成分の前記総重量に基づいて、5.0~30.0重量%の範囲にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項11】
前記第1の層中の前記白金の量が、前記触媒物品のウォッシュコートの総重量に基づいて、0.02~4.0重量%の範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項12】
前記触媒物品中のパラジウムの量が、前記触媒物品のウォッシュコートの総重量に基づいて、0.02~4.0重量%の範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項13】
前記触媒物品中のロジウムの量が、前記触媒物品のウォッシュコートの総重量に基づいて、0.02~4.0重量%の範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項14】
前記酸素貯蔵成分が、セリア、ジルコニア、およびランタナ、イットリア、ネオジミア(neodymia)、プラセオジミア(praseodimia)、ガドリニア、またはそれらの任意の組み合わせから選択される希土類金属酸化物を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項15】
前記酸素貯蔵成分が、前記酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~50.0重量%の量のセリアを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項16】
前記耐火性アルミナ成分が、アルミナと、任意選択的に、ランタナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ハフニア(hafnia)、マグネシア、カルシア、ストロンチア、バリア、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるドーパントと、を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項17】
前記第2の層が、白金を本質的に含まない、請求項1~16のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項18】
前記第2の層中の前記白金の量が、前記第2の層中に存在するパラジウムおよびロジウムの総重量に基づいて、0.001重量%未満である、請求項17に記載の層状触媒物品。
【請求項19】
前記第1の層および/または前記第2の層が、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化ランタン、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項20】
前記基材が、セラミック基材、金属基材、セラミックフォーム基材、ポリマーフォーム基材、および織物繊維基材から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項21】
前記白金が、前記セリア-アルミナ成分に熱的または化学的に固定されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の層状触媒物品を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、第1の層のスラリーを調製することと、基材上に前記第1の層のスラリーを堆積させて、ボトム層を得ることと、第2の層のスラリーを調製することと、前記ボトム層上に前記第2の層のスラリーを堆積させて、トップ層を得て、続いて、400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、ボトムコートスラリーまたはトップコートスラリーを調製するステップが、インシピエントウェットネス含浸、インシピエントウェットネス共含浸、および後添加から選択される技術を含む、プロセス。
【請求項23】
請求項1~21のいずれか一項に記載の層状触媒物品を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、第1の層のスラリーを調製することと、第2の層のスラリーを調製することと、基材上に前記第2の層のスラリーを堆積させて、ボトム層を得ることと、前記ボトム層上に前記第1の層のスラリーを堆積させて、トップ層を得て、続いて、400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、前記第1の層のスラリーまたは前記第2の層のスラリーを調製するステップが、インシピエントウェットネス(incipient wetness)含浸、インシピエントウェットネス共含浸、および後添加から選択される技術を含む、プロセス。
【請求項24】
内燃機関用の排気システムであって、前記システムが、請求項1~21のいずれか一項に記載の層状触媒物品を備える、排気システム。
【請求項25】
前記システムが、白金族金属系三元変換触媒物品と、請求項1~21のいずれか一項に記載の層状触媒物品と、を備え、前記白金族金属系三元変換触媒物品が、内燃機関の下流に位置しており、前記層状触媒物品が、前記白金族金属系三元変換触媒物品と流体連通して下流に位置している、請求項24に記載の排気システム。
【請求項26】
前記システムが、白金族金属系三元変換触媒物品と、請求項1~21のいずれか一項に記載の層状触媒物品と、を備え、前記層状触媒物品が、内燃機関の下流に位置しており、前記白金族金属系三元変換触媒物品が、前記三元変換触媒物品と流体連通して下流に位置している、請求項24に記載の排気システム。
【請求項27】
炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法であって、前記排気流を、請求項1~21のいずれか一項に記載の層状触媒物品または請求項24~26のいずれか一項に記載の排気システムと接触させることを含む、方法。
【請求項28】
ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法であって、前記ガス状排気流を、請求項1~21のいずれか一項に記載の層状触媒物品または請求項24~26のいずれか一項に記載の排気システムと接触させて、前記排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法。
【請求項29】
炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を浄化するための、請求項1~21のいずれか一項に記載の触媒物品または請求項24~26のいずれか一項に記載の排気システムの、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年6月27日に出願された米国仮出願第62/867353号および2019年7月17日に出願された欧州出願第19186665.6号に対する優先権の利益をそれらの全体について主張するものである。
【0002】
本発明は、自動車の排気ガスを処理してそれらの中に含有される汚染物質を低減するのに有用な層状触媒物品に関する。特に、本発明は、層状触媒物品、触媒物品を調製する方法、および排出制御触媒としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
三元変換(TWC)触媒(以下、三元変換触媒、三元触媒、TWC触媒、およびTWCと互換的に呼ぶ)は、内燃機関からの排気ガス流の処理において30年超にわたって利用されてきた。一般に、炭化水素、窒素酸化物、および一酸化炭素などの汚染物質を含有する排気ガスを処理または浄化するために、三元変換触媒を含有する触媒コンバータが内燃機関の排気ガスラインに使用される。三元変換触媒は、典型的には、未燃の炭化水素および一酸化炭素を酸化し、窒素酸化物を還元すると知られている。
【0004】
典型的には、市販のTWC触媒のほとんどは、主要な白金族金属成分としてパラジウムを含有し、より少ない量のロジウムとともに使用される。排気ガス汚染物質の量を低減するのに役立つ触媒コンバータの製造に大量のパラジウムが使用されるため、今後数年間で市場においてパラジウムの供給不足が発生する可能性がある。現在、パラジウムは白金よりもかなり高価である。同時に、白金需要の減少により、白金価格は下落すると予想される。その理由の1つは、ディーゼル車の生産量が減少していることであり得る。
【0005】
したがって、触媒のコストを大幅に削減するために、TWC触媒中のパラジウムの一部を白金で置き換える必要がある。白金は、ディーゼル燃料車の排出制御用のディーゼル酸化触媒(DOC)およびリーンNOxトラップ(LNT)で広く使用されているが、ガソリン燃料車におけるその使用は限定されている。パラジウムの一部を白金で置き換えるという提案されたアプローチは、触媒の所望の有効性を維持または改善する必要性によって複雑になり、パラジウムの一部を白金で単純に置き換えることによっては可能ではないだろう。その理由のうちの1つは、白金が長時間の高温エージング条件下で焼結する傾向にあることである。従来の耐火性アルミナ上に堆積された白金粒子は、確立されているオスワルド熟成メカニズムを介してサブミクロンサイズに成長し得ることが見出されている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、安定した白金、パラジウム、およびロジウム系TWC触媒であって、総PGM充填量に基づいて、約10~80重量%の白金が利用されており、個々のCO、HC、NOx変換レベルを比較することによって表される、市販のパラジウム-ロジウム系TWC触媒と比較して改善されたまたは同等の触媒性能と、大半の法域の規制機関による車両認証に必要な相応する累積テールパイプ排出量とをもたらす、安定した白金、パラジウム、およびロジウム系TWC触媒を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
本発明によると、
a)白金、白金以外の第1の白金族金属成分、セリア-アルミナ成分、および酸素貯蔵成分を含む第1の層であって、白金が、セリア-アルミナ成分上に担持されており、第1の白金族金属成分が、パラジウム、ロジウム、またはそれらの組み合わせから選択され、第1の白金族金属成分が、酸素貯蔵成分上に担持されている、第1の層と、
b)第2の白金族金属成分、および耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分またはそれらの組み合わせを含む第2の層であって、第2の白金族が、白金、パラジウム、ロジウム、および組み合わせから選択される、第2の層と、
c)基材と、を含む、層状触媒物品であって、
白金の量が、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である、層状触媒物品が提供される。
【0008】
一実施形態では、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、20~80重量%であり、パラジウムおよびロジウムの量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、20~80重量%である。
【0009】
本発明の別の態様によると、本発明による層状触媒物品を調製するためのプロセスが提供される。
【0010】
本発明の別の態様によると、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法であって、排気流を、本発明による層状触媒物品または排気システムと接触させることを含む、方法が提供される。
【0011】
本発明の別の態様によると、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法であって、ガス状排気流を、本発明による層状触媒物品または排気システムと接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法が提供される。
【0012】
本発明の別の態様によると、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を浄化するための、本発明による触媒物品または排気システムの使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施形態の理解を提供するために、添付図面が参照され、これらは、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、参照番号は、本発明の例示的な実施形態の成分を指す。図面は、単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本願で請求される本発明の上および他の特色、それらの性質、ならびに様々な利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになるであろう。
【0014】
【
図1】
図1Aおよび
図1Bは、参照触媒物品の設計の概略図であり、
図1Cおよび
図1Dは、本発明のいくつかの実施形態による例示的な構成での触媒物品の設計の概略図である。
【
図2】様々な粉末触媒のライトオフ温度の比較を例示する。
【
図3A】本発明の一実施形態による触媒組成物を含み得るハニカム型基材担体の斜視図である。
【
図3B】
図3Aと比較して拡大され、
図3Aの基材担体の端面に平行な平面に沿って取った部分断面図であり、
図3Aに示される複数のガス流路の拡大図を示す。
【
図4】
図3Aのハニカム型基材がウォールフローフィルタ基材モノリスを表す、
図3Aに対して拡大された断面の破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これより、以下で本発明をより十分に説明する。本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本発明が十分かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。本明細書中のいかなる言葉も、請求されていない要素を、開示された材料および方法の実施に必須であることを示すものと解釈されるべきではない。
【0016】
本明細書に考察される材料および方法を説明する文脈(特に以下の請求項の文脈)における「a」、「an」、「the」という用語、および同様の指示語の使用は、本明細書で別途指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。
【0017】
本明細書全体を通して使用される「約」という用語は、小さな変動を説明し、釈明するために使用される。例えば、「約」という用語は、±5%以下、例えば、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下を指す。すべての数値は、明示的に示されているか否かに関わらず、「約」という用語によって修飾される。もちろん、「約」という用語によって修飾される値には、特定の値が含まれる。例えば、「約5.0」には、5.0が含まれる必要がある。
【0018】
本明細書に記載のすべての方法は、本明細書で別途指示がない限り、またはそうでなければ文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意およびすべての例または例示的言語(例えば、「など」)の使用は、材料および方法をよりよく説明することのみを意図したものであり、別途請求されない限り、範囲を限定するものではない。
【0019】
本発明は、大量の白金が、パラジウムを実質的に置換するために使用され得る、3つの白金族金属(PGM)を含む三金属層状触媒物品を提供する。
【0020】
白金族金属(PGM)は、PGM(Ru、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、および/またはAu)を含む任意の成分を指す。例えば、PGMは、原子価がゼロの金属形態であってもよいか、またはPGMは、酸化物形態であってもよい。「PGM成分」についての言及は、任意の原子価状態でのPGMの存在を考慮に入れている。「白金(Pt)成分」、「ロジウム(Rh)成分」、「パラジウム(Pd)成分」、「イリジウム(Ir)成分」、「ルテニウム(Ru)成分」などの用語は、触媒の焼成または使用時に分解するか、さもなければ触媒活性形態、通常は金属または金属酸化物に変換する、それぞれの白金族金属化合物、錯体などを指す。
【0021】
「触媒」、「触媒物品(catalytic article)」、または「触媒物品(catalyst article)」という用語は、基材が、所望の反応を促進するために使用される触媒組成物でコーティングされた成分を指す。一実施形態では、触媒物品は、層状触媒物品である。層状触媒物品という用語は、基材が、PGM組成物で層状にコーティングされた触媒物品を指す。これらの組成物は、ウォッシュコートと称され得る。
【0022】
「NOx」という用語は、NOおよび/またはNO2などの窒素酸化物化合物を指す。
【0023】
本発明は、Pd/Rhの従来のTWC触媒におけるパラジウムの一部を白金で置き換える問題に対処しており、白金を安定化するための最適化された担体と一緒になった、Pt、Pd、およびRhを含む触媒を提供する。アルミナ上にドープした場合の白金焼結の問題は、セリアを担体として使用することによって特定のレベルで解決することができる。白金は、単分子層を形成し得て、多くの場合、PtO-CeO2の強い相互作用を理由に、セリア表面上で部分的または完全に酸化される。しかしながら、バルクセリア自体は、高温エージングの後に焼結し得る。
【0024】
したがって、本発明は、前述の問題に対処し、TWC触媒用の白金担体としてのセリア-アルミナ複合材料を提供する。白金は、セリア-アルミナ複合材料上に選択的に堆積され、それによって、最適な三元触媒性能が提供され、白金が他の触媒成分に移動することが防止される。PGM成分は、ガソリンエンジンにおける高温エージング後の三元変換触媒作用のために白金を最適に利用すべく、層状ウォッシュコート構造で割り当てられている。
【0025】
本発明は、a)白金、白金以外の第1の白金族金属成分、セリア-アルミナ複合材料、および酸素貯蔵成分を含む第1の層であって、白金が、セリア-アルミナ成分上に担持されており、第1の白金族金属成分が、パラジウム、ロジウム、またはそれらの組み合わせから選択され、第1の白金族金属が、酸素貯蔵成分上に担持されている、第1の層と、b)第2の白金族金属成分、および耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分またはそれらの組み合わせを含む第2の層であって、第2の白金族金属成分が、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせから選択され、白金の量が、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である、第2の層と、c)基材と、を含む、層状触媒物品を提供する。一実施形態では、約2~20重量%のパラジウムを、白金と一緒にセリア-アルミナ上に任意選択的に堆積させることができる。一実施形態では、第1の層中の白金の量は、触媒物品中の白金の総重量に基づいて、50~100重量%である。
【0026】
一実施形態では、本発明の層状触媒物品は、密結合または床下触媒として使用される。
【0027】
一実施形態では、第1の層は、ボトムコートとして基材上に堆積されており、白金族金属成分はパラジウムを含み、第2の層はトップコートとして第1の層上に堆積されており、白金族金属成分はロジウムを含む。
【0028】
例示的な一実施形態では、層状触媒物品は、ボトム層として基材上に堆積された第1の層であって、セリア-アルミナ成分上に担持された白金、ならびにセリア-アルミナおよび酸素貯蔵成分上のそれぞれに担持されたパラジウムを含む、第1の層と、トップ層として第1の層上に堆積された第2の層であって、酸素貯蔵成分上に担持されたロジウム、および任意選択的に、酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムを含む第2の層と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である。
【0029】
一実施形態では、パラジウムおよび白金は、耐火性アルミナ成分、セリア-アルミナ成分、および酸素貯蔵成分から選択される単一の担体上に担持されている。別の実施形態では、パラジウムおよび白金は、耐火性アルミナ成分、セリア-アルミナ成分、および酸素貯蔵成分から選択される別個の担体上に担持されている。
【0030】
一実施形態では、第2の層は、ボトムコートとして基材上に堆積されており、白金族金属成分はパラジウムを含み、第1の層はトップコートとして第2の層上に堆積されており、白金族金属成分はロジウムを含む。
【0031】
例示的な一実施形態では、層状触媒物品は、ボトム層として基材上に堆積された第2の層であって、酸素貯蔵成分、耐火性アルミナ成分、またはそれらの組み合わせの上に担持されたパラジウムを含む、第2の層と、トップ層として第2の層上に堆積された第1の層であって、酸素貯蔵成分上に担持されたロジウム、およびセリア-アルミナ成分上に担持された白金を含む、第1の層と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である。
【0032】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)セリア-アルミナ成分上に担持された白金、ならびに酸素貯蔵成分およびセリア-アルミナ成分上に担持されたパラジウムを含む第1の層(ボトムコート)と、b)酸素貯蔵成分上に担持されたロジウムを含む第2の層(トップコート)と、c)基材と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である。
【0033】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)セリア-アルミナ成分上に担持された白金、ならびに酸素貯蔵成分およびセリア-アルミナ成分上に担持されたパラジウムを含む第1の層(ボトムコート)と、b)酸素貯蔵成分上に担持されたロジウム、および酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムを含む第2の層(トップコート)と、c)基材と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である。
【0034】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせの上に担持されたパラジウムを含む第1の層(ボトムコート)と、b)セリア-アルミナ成分上に担持された白金、および酸素貯蔵成分上に担持されたロジウムを含む第2の層(トップコート)と、c)基材と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である。
【0035】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)セリア-アルミナ成分上に担持された白金、ならびに酸素貯蔵成分およびセリア-アルミナ成分上に担持されたパラジウムを含む第1の層(ボトムコート)と、b)酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウム、およびセリア-アルミナ成分、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの任意の組み合わせの上に担持されたロジウムを含む第2の層(トップコート)と、c)基材と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である。
【0036】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)セリア-アルミナ成分、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの任意の組み合わせの上に担持されたパラジウムおよびロジウムを含む第1の層(ボトムコート)と、b)セリア-アルミナ成分上に担持された白金、および酸素貯蔵成分上に担持されたロジウムを含む第2の層(トップコート)と、c)基材と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、10~80重量%である。
【0037】
例示的な一実施形態では、ボトムコート/層は、セリア-アルミナ成分上に担持された白金、ならびに任意選択的に、セリア-アルミナ成分および/または酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムを含み、トップコートは、安定化された耐火性アルミナ上に担持されたロジウム、および酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムを含む。別の例示的な実施形態では、ボトムコートは、安定化された耐火性アルミナおよび酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムを含み、トップコート/層は、酸素貯蔵成分上に担持されたロジウム、およびセリア-アルミナ成分上に担持された白金を含む。
【0038】
一実施形態では、第1の層における白金とアルミニウムとの間の相関係数は、EPMAラインスキャン分析によって測定して、70%を超える。
【0039】
本明細書で使用される場合、「EPMA」という用語は、「電子プローブマイクロ分析」または「電子マイクロプローブ分析」を指す。EPMAは、プローブされたスポット内の個々の元素の濃度を分析するラインスキャン技術を提供する。ピアソンの積モーメント相関係数は、ピアソンの相関または単に相関係数と呼ばれることもあり、以下に説明するように、2つの変数間の線形関係を測定するために使用される。
【数1】
をそれぞれ2つの確率変数XおよびYの標準偏差とすると、2つの変数間のピアソンの積モーメント相関係数は以下の通りであり、
【数2】
式中、E(.)は変数の期待値を示し、cov(.)は共分散を意味する。
【0040】
一実施形態では、セリア-アルミナ成分は、セリア-アルミナ、セリア-イットリウム-アルミナ、セリア-シリカ-アルミナ、セリア-スズ-アルミナ、セリア-マンガンアルミナ、セリア-鉄-アルミナ、セリア-ニッケル-アルミナ、セリア-イリジウム-アルミナ、セリア-ルテニウム-アルミナ、セリア-インジウム-アルミナ、またはセリア-チタニアを含む。一実施形態では、セリア-アルミナ成分のセリア含有量は、セリア-アルミナ成分の総重量に基づいて、1.0~75.0重量%の範囲にある。一実施形態では、セリア-アルミナ成分のセリア含有量は、セリア-アルミナ成分の総重量に基づいて、5.0~50.0重量%の範囲にある。一実施形態では、セリア-アルミナ成分のセリア含有量は、セリア-アルミナ成分の総重量に基づいて、5.0~30.0重量%の範囲にある。
【0041】
一実施形態では、第1の層中の白金の量は、触媒物品のウォッシュコートの総重量に基づいて、0.02~4.0重量%の範囲にある。一実施形態では、触媒物品中のパラジウムの量は、触媒物品のウォッシュコートの総重量に基づいて、0.02~4.0重量%の範囲にある。一実施形態では、触媒物品中のロジウムの量は、触媒物品のウォッシュコートの総重量に基づいて、0.02~4.0重量%の範囲にある。
【0042】
一実施形態では、酸素貯蔵化合物は、動作環境における酸素の分圧に応じて酸素を貯蔵および放出することによってその原子価を変化させる材料である。ガソリン車の場合、排気ガス処理システムにおける環境は、絶えず変化しており、1に相当するラムダ値を中心に変動している。ラムダ値は、COおよびHCの含有量の組み合わせに対する酸素含有量の比率によって定義され、ラムダセンサによって測定される。最新のガソリン車の構成では、2つのラムダセンサが使用されている。1つはTWC触媒の前に位置しており、1つは後に位置している。TWCの前にあるセンサによって検出されたラムダ値が1より大きい場合、これは、エンジンが、シリンダーチャンバ内のCOおよびHCの燃焼に必要であるよりも多くの酸素で動作していることを示し、このことは、CO/HC排出量の削減に良好である。TWCの前にあるセンサによって検出されたラムダ値が1未満である場合、これは、エンジンが、シリンダーチャンバ内のCOおよびHCの燃焼に必要であるよりも不十分な量の酸素で動作していることを意味し、このことは、NOx排出量の削減に良好である。全体的なCO/HC/NOx排出量のバランスを取るために、最新の車両は、約1の厳密なラムダ変動下で動作している。しかしながら、ラムダ値に大きな変動を引き起こし、触媒性能の低下をもたらす実際の走行条件で生じる加速およびストップゴーのシナリオに対応するには、そのような極端な走行条件中のラムダ変動を最小限に抑えるための酸素貯蔵化合物が必要である。セリアは、その良好な酸素貯蔵能力でよく知られているが、熱安定性は劣っている。現代の車両には、顧客に長期保証を提供するために、良好な長期耐久性を有する触媒が必要とされている。したがって、最新のTWC触媒のための高温エージング耐久性(>950℃)がOEMから求められている。この目的のために、これらの要件を満たす手段として、ジルコニウムで安定化されたセリアが導入された。
【0043】
「酸素貯蔵成分とは、酸素貯蔵能力を呈するものであり、多くの場合、多価酸化状態を有し、酸素が減少した環境で酸素を積極的に放出することができ、かつ酸素が豊富な環境で再酸化(酸素を回復)することができる実体である。好適な酸素貯蔵成分の例としては、セリアおよびプラセオジミア、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、OSCは、他の金属酸化物と組み合わせたセリアおよび/またはプラセオジミアを含む混合金属酸化物複合材料である。そのような混合金属酸化物に含めることができる特定の金属酸化物は、酸化ジルコニウム(ZrO2)、チタニア(TiO2)、イットリア(Y2O3)、ネオジミア(neodymia)(Nd2O3)、ランタナ(La2O3)、またはそれらの混合物である。例えば、「セリア-ジルコニア複合材料」とは、セリアおよびジルコニアを含む複合材料を意味する。いくつかの実施形態では、混合金属酸化物複合材料中のセリア含有量は、混合金属酸化物複合材料全体の約25重量%~約95重量%の範囲にある。
【0045】
いくつかの実施形態では、OSC中のセリアまたはプラセオジミア総含有量は、混合金属酸化物複合材料全体の約5重量%~約99.9重量%、好ましくは約5重量%~約70重量%、さらにより好ましくは約10重量%~約50重量%の範囲にある。
【0046】
一実施形態では、酸素貯蔵成分は、セリア、ジルコニア、およびランタナ、イットリア、ネオジミア、プラセオジミア(praseodimia)、ガドリニア、またはそれらの任意の組み合わせから選択される希土類金属酸化物を含む。一実施形態では、酸素貯蔵成分は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~50.0重量%の量のセリアを含む。
【0047】
一実施形態では、耐火性アルミナ成分は、アルミナと、任意選択的に、ランタナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ハフニア(hafnia)、マグネシア、カルシア、ストロンチア、バリア、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるドーパントと、を含む。
【0048】
一実施形態では、第2の層は、白金を本質的に含まない。本明細書で使用される場合、「白金を本質的に含まない」という用語は、第2の層中に外部から白金が添加されないことを指すが、白金は、任意選択的に<0.001重量%の端数として存在していてもよい。
【0049】
一実施形態では、第1の層および/または第2の層は、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化ランタン、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0050】
一実施形態では、白金は、セリア-アルミナ成分に熱的または化学的に固定されている。
【0051】
一実施形態では、触媒物品を製作するために利用される基材は、セラミック基材、金属基材、セラミックフォーム基材、ポリマーフォーム基材、および織物繊維基材から選択される。一実施形態では、基材はセラミック基材である。
【0052】
例示的な一実施形態では、層状触媒物品は、ボトム層として基材上に堆積された第1の層であって、セリア-アルミナ成分上に担持された白金、ならびにセリア-アルミナおよび酸素貯蔵成分上のそれぞれに担持されたパラジウムを含む、第1の層と、トップ層として第1の層上に堆積された第2の層であって、酸素貯蔵成分上に担持されたロジウム、および任意選択的に、酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムを含む第2の層と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、20~50重量%であり、セリア-アルミナ成分のセリア含有量は、セリア-アルミナ成分の総重量に基づいて、5.0~30.0重量%の範囲にあり、酸素貯蔵成分は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~50.0重量%の量のセリアを含み、第2の層は、白金を本質的に含まない。
【0053】
例示的な一実施形態では、層状触媒物品は、ボトム層として基材上に堆積された第2の層であって、酸素貯蔵成分、耐火性アルミナ成分、またはそれらの組み合わせの上に担持されたパラジウムを含む、第2の層と、トップ層として第2の層上に堆積された第1の層であって、酸素貯蔵成分上に担持されたロジウム、およびセリア-アルミナ成分上に担持された白金を含む第1の層と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、20~50重量%であり、セリア-アルミナ成分のセリア含有量は、セリア-アルミナ成分の総重量に基づいて、5.0~30.0重量%の範囲にあり、酸素貯蔵成分は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~50.0重量%の量のセリアを含み、第2の層は、白金を本質的に含まない。
【0054】
例示的な一実施形態では、層状触媒物品は、最下層として基材上に堆積された第1の層であって、セリア-アルミナ成分上に担持された白金、ならびにセリア-アルミナおよび酸素貯蔵成分上のそれぞれに担持されたパラジウムを含む、第1の層と、トップ層として第1の層上に堆積された第2の層であって、酸素貯蔵成分上に担持されたロジウム、および任意選択的に、酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウムを含む第2の層と、を含み、白金の量は、白金、パラジウム、およびロジウムの総重量に基づいて、20~50重量%であり、セリア-アルミナ成分のセリア含有量は、セリア-アルミナ成分の総重量に基づいて、5.0~30.0重量%の範囲にあり、
第1の層中の白金の量は、触媒物品のウォッシュコートの総重量に基づいて、0.02~4.0重量%の範囲にあり、
触媒物品中のパラジウムの量は、触媒物品のウォッシュコートの総重量に基づいて、0.02~4.0重量%の範囲にあり、
触媒物品中のロジウムの量は、触媒物品のウォッシュコートの総重量に基づいて、0.02~4.0重量%の範囲にあり、
第2の層は、白金を本質的に含まない。
【0055】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、典型的には、触媒組成物を含有する複数の粒子を含有するウォッシュコートの形態のモノリス材料を指し、モノリス材料上に触媒組成物が置かれている。
【0056】
「モノリス基材」、または「ハニカム基材」への言及は、入口から出口まで均質かつ連続的な単一構造を意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ウォッシュコート」という用語は、処理されるガス流の通過を可能にするのに十分に多孔性である、ハニカム型担体部材などの基材材料に適用される触媒または他の材料の薄い接着性のコーティングの技術分野におけるその通常の意味を有する。ウォッシュコートは、液体ビヒクル中のある特定の固体含有量(例えば、15~60重量%)の粒子を含有するスラリーを調製し、次いでこれを基材上にコーティングし、乾燥させてウォッシュコート層を提供することによって形成される。
【0058】
本明細書において使用され、Heck,Ronald,and Farrauto,Robert,Catalytic Air Pollution Control,New York:Wiley-Interscience,2002,pp.18-19に記載されているように、ウォッシュコート層は、モノリス基材または下側のウォッシュコート層の表面に配置された材料の、組成的に区別される層を含む。一実施形態では、基材は、1つ以上のウォッシュコート層を含有し、各ウォッシュコート層は、何らかの方式で異なる(例えば、粒径または結晶子相などの、例えば、その物理的特性において異なり得る)、および/または化学的触媒機能が異なり得る。
【0059】
触媒物品は、「未使用」であってもよく、これは、触媒物品が新しく、任意の熱または熱的ストレスに長期間の間曝露されていないことを意味する。「未使用」とはまた、触媒が最近調製され、任意の排気ガスまたは高温に曝露されていないことを意味し得る。同様に、「エージングした」触媒物品は、未使用ではなく、長期間(すなわち、3時間超)排気ガスおよび高温(すなわち、500℃超)に曝露されている。
【0060】
一実施形態によると、本触媒物品の基材は、自動車触媒を調製するために典型的に使用される任意の材料から構築され得て、典型的には、セラミックまたは金属モノリスハニカム構造を含む。一実施形態では、基材は、セラミック基材、金属基材、セラミックフォーム基材、ポリマーフォーム基材、または織物繊維基材である。
【0061】
基材は、典型的には、上記で本明細書に記載の触媒組成物を含むウォッシュコートが塗布および接着される複数の壁面を提供し、それにより触媒組成物用の担体として作用する。
【0062】
例示的な金属基材は、チタンおよびステンレス鋼ならびに鉄が実質的なまたは主な成分である他の合金などの耐熱性金属および金属合金を含む。そのような合金は、ニッケル、クロム、および/またはアルミニウムのうちの1つ以上を含有し得、これらの金属の総量は、有利には、合金の少なくとも15重量%、例えば、10~25重量%のクロム、3~8重量%のアルミニウム、および最大20重量%のニッケルを含み得る。合金はまた、マンガン、銅、バナジウム、およびチタンなどの、少量または微量の1つ以上の金属を含有し得る。金属基材の表面は、高温、例えば、1000℃以上で酸化されて、基材の表面上に酸化物層を形成し、合金の耐食性を改善し、金属表面へのウォッシュコート層の接着を容易にし得る。
【0063】
基材の構築に使用されるセラミック材料としては、任意の好適な耐火性材料、例えば、コーディエライト、ムライト、コーディエライト-アルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノシリケートなどを挙げることができる。
【0064】
通路が流体流に開放されるように、基材の入口から出口面まで延在する複数の微細で平行なガス流路を有するモノリスフロースルー基材などの、任意の好適な基材を用いることができる。入口から出口への本質的に直線の経路である通路は、通路を通して流れるガスが触媒材料と接触するように、触媒材料がウォッシュコートとしてコーティングされる壁によって画定される。モノリス基材の流路は、例えば、台形、長方形、正方形、正弦波形状、六角形、楕円形、および円形などの任意の好適な断面形状のものであり得る薄壁チャネルである。そのような構造は、断面の1平方インチ当たり約60~約1200以上のガス入口開口部(すなわち、「セル」)(cpsi)、より一般的には、約300~900cpsiを含有する。フロースルー基材の壁厚は、変動する可能性があり、典型的な範囲は、0.002~0.1インチである。代表的な市販のフロースルー基材は、400cpsiで6ミルの壁厚、または600cpsiで4ミルの壁厚を有するコーディエライト基材である。しかしながら、本発明は、特定の基材タイプ、材料、または幾何学的形状に限定されないことが理解されるであろう。代替的な実施形態では、基材は、各通路が、基材本体の一端で非細孔性プラグによって閉塞され、交互の通路が反対側の端面で閉塞されている、ウォールフロー基材であってもよい。これは、出口に到達するために、ガス流がウォールフロー基材の多孔質壁を通ることを必要とする。そのようなモノリス基材は、約100~400cpsi、より典型的には、約200~約300cpsiなどの、最大約700以上cpsiを含有し得る。セルの断面形状は、上記に説明されているように、変動する可能性がある。ウォールフロー基材は、典型的には、0.002~0.1インチの壁厚を有する。代表的な市販のウォールフロー基材は、多孔性コーディエライトから構築され、その例は、200cpsiおよび10ミルの壁厚、または8ミルの壁厚を有する300cpsi、ならびに45~65%の壁の多孔度を有する。チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、および窒化ケイ素などの他のセラミック材料もまた、ウォールフローフィルタ基材として使用される。しかしながら、本発明は、特定の基材タイプ、材料、または幾何学的形状には限定されないことが理解されるであろう。基材がウォールフロー基材である場合、触媒組成物は、壁の表面に配設されることに加えて、多孔質壁の細孔構造内に浸透し得る(すなわち、細孔開口部を部分的または完全に塞ぐ)ことに留意されたい。一実施形態において、基材は、フロースルーセラミックハニカム構造、ウォールフローセラミックハニカム構造、または金属ハニカム構造を有する。
【0065】
図3Aおよび
図3Bは、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたフロースルー基材の形態の例示的な基材2を例示する。
図3Aを参照すると、例示的な基材2は、円筒形状を有し、円筒外面4、上流端面6、および端面6と同一の対応する下流端面8を有する。基材2は、内部に形成された複数の微細で平行なガス流路10を有する。
図3Bに見られるように、流路10は、壁12によって形成され、基材2を通って上流端面6から下流端面8まで延在し、通路10は、遮られておらず、流体、例えば、ガス流が、そのガス流路10を介して基材2を通って長手方向に流れることを可能にする。
図3Bでより容易に見られるように、壁12は、ガス流路10が実質的に規則的な多角形形状を有するように寸法決めされ、構成される。示されるように、ウォッシュコート組成物は、必要に応じて、複数の区別される層で適用することができる。例示される実施形態において、ウォッシュコートは、基材部材の壁12に接着された別個の第1のウォッシュコート層14および第1のウォッシュコート層14の上にコーティングされた第2の別個のウォッシュコート層16からなる。一実施形態では、本発明はまた、2つ以上(例えば、3つまたは4つ)のウォッシュコート層で実施され、例示される二層の実施形態に限定されない。
【0066】
図4は、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたウォールフローフィルタ基材の形態の例示的な基材2を例示する。
図4に見られるように、例示的な基材2は、複数の通路52を有する。通路は、フィルタ基材の内壁53により管状に囲まれている。基材は、入口端54および出口端56を有する。交互の通路は、入口端で入口プラグ58により、出口端で出口プラグ60により塞がれて、入口54および出口56で逆となる市松模様を形成する。ガス流62は、塞がれていないチャネル入口64を通して入り、出口プラグ60によって止められ、(多孔性である)チャネル壁53を通して出口側66に拡散する。ガスは、入口プラグ58を理由に、壁の入口側に戻って通ることができない。本発明で使用される多孔質壁フィルタは、その上にまたはその中に1つ以上の触媒材料を有するかまたは含有する当該要素の壁に触媒作用を有する。触媒材料は、要素壁の入口側のみ、出口側のみ、入口側および出口側の両方に存在してもよく、または壁自体が、触媒材料からすべてまたは一部が構成されてもよい。本発明は、要素の入口壁および/または出口壁における1つ以上の触媒材料層の使用を含む。
【0067】
本発明の別の態様によると、本発明は、層状触媒物品を調製するためのプロセスを提供する。一実施形態では、このプロセスは、第1の層(ボトムコート)のスラリーを調製することと、基材上に第1のボトム層のスラリーを堆積させて、第1の層(ボトムコート)を得ることと、第2の層(トップコート)のスラリーを調製することと、ボトム層/コート上に第2の層(トップコート)のスラリーを堆積させて、トップ層/コートを得て、続いて、400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、ボトムコートスラリーまたはトップコートスラリーを調製するステップは、インシピエントウェットネス(incipient wetness)含浸、インシピエントウェットネス共含浸、および後添加から選択される技術を含む。一実施形態では、ボトムコートスラリーは、白金、白金以外の第1の白金族金属成分、セリア-アルミナ複合材料、および酸素貯蔵成分を含み、白金が、セリア-アルミナ成分上に担持されており、第1の白金族金属成分が、パラジウム、ロジウム、またはそれらの組み合わせから選択され、第1の白金族金属成分が、酸素貯蔵成分上に担持されており、トップコートスラリーは、第2の白金族金属成分、および耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分またはそれらの組み合わせを含み、第2の白金族金属成分が、白金、パラジウム、ロジウム、またはそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、ボトムコートスラリーは、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの任意の組み合わせの上に担持された白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせから選択される第2の白金族金属成分を含み、トップコートスラリーは、セリア-アルミナ成分上に担持された白金、および酸素貯蔵成分上に担持されたパラジウム、ロジウム、またはそれらの組み合わせから選択される第1の白金族金属成分を含む。
【0068】
一実施形態では、このプロセスは、白金および/またはパラジウムを担体上に熱的または化学的に固定する前ステップを伴う。熱的固定は、例えばインシピエントウェットネス含浸法を介して、白金および/またはパラジウムを担体上に堆積させ、続いて、得られた白金/担体混合物を熱によって焼成することを伴う。一例として、混合物は、1~25℃/分の傾斜速度で、400~700℃で1~3時間にわたって焼成される。化学的固定は、白金および/またはパラジウムを担体上に堆積させ、続いて、白金を化学的に変換するための追加の試薬を使用して固定することを伴う。
【0069】
毛細管含浸または乾式含浸とも称されるインシピエントウェットネス含浸技術は、一般的に、不均一材料、すなわち触媒の合成に使用される。典型的には、活性金属前駆体を水溶液または有機溶液に溶解させ、次いで触媒担体に金属含有溶液を添加し、触媒担体は、添加された溶液の体積と同じ細孔容積を含有する。毛細管現象により、溶液が担体の細孔に引き込まれる。担体の細孔容積を超えて添加された溶液により、溶液輸送が、毛細管現象プロセスから、はるかに遅い拡散プロセスに変わる。触媒を乾燥および焼成して、溶液内の揮発性成分を除去し、触媒担体の表面上に金属を堆積させる。含浸された材料の濃度プロファイルは、含浸および乾燥の間の細孔内の物質移動条件に依存する。適切に希釈した後、複数の活性金属前駆体を触媒担体に共含浸させてもよい。あるいは、活性金属前駆体は、スラリー調製のプロセス中に撹拌下で後添加を介してスラリーに導入される。
【0070】
担体粒子は、典型的には、溶液の実質的にすべてを吸収して、湿潤固体を形成するのに十分に乾燥している。典型的には、(ロジウムが活性金属である場合)塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、またはそれらの組み合わせ、および(パラジウムが活性金属である場合)硝酸パラジウム、パラジウムテトラアミン、酢酸パラジウム、またはそれらの組み合わせなどの活性金属の水溶性化合物または錯体の水溶液が利用される。活性金属溶液を用いた担体粒子の処理後、粒子は、高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、1~3時間)、粒子を熱処理などによって乾燥させ、次いで、活性金属をより触媒的に活性な形態に変換するために焼成される。例示的な焼成プロセスは、400~550℃の温度で、10分間~3時間、空気中での熱処理を含む。必要に応じて、含浸の手段によって上のプロセスを繰り返して、所望の活性金属の充填レベルに到達させることができる。
【0071】
上記の触媒組成物は、典型的には、上記のように触媒粒子の形態で調製される。これらの触媒粒子を水と混合して、ハニカム型基材などの触媒基材をコーティングする目的でスラリーを形成する。触媒粒子に加えて、スラリーは、任意選択的に、アルミナ、シリカ、酢酸ジルコニウム、ジルコニア、もしくは水酸化ジルコニウム、会合性増粘剤、および/または界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、もしくは両性の界面活性剤を含む)の形態の結合剤を含有してもよい。他の例示的な結合剤としては、ベーマイト、ガンマ-アルミナ、またはデルタ/シータアルミナ、ならびにシリカゾルが挙げられる。結合剤は、存在する場合、典型的には、約1.0~5.0重量%の量のウォッシュコート総充填量で使用される。スラリーに酸性または塩基性の種の添加を行って、pHを調整する。例えば、いくつかの実施形態では、スラリーのpHは、水酸化アンモニウム、硝酸水溶液、または酢酸の添加により調整される。スラリーの典型的なpH範囲は、約3~12である。
【0072】
スラリーを粉砕して、粒径を低減させ、粒子の混合を促進してもよい。粉砕は、ボールミル、連続ミル、または他の同様の機器で達成され、スラリーの固形分は、例えば、約20~60重量%、より具体的には、約20~40重量%であり得る。一実施形態では、粉砕後のスラリーは、約3~約40マイクロメートル、好ましくは10~約30マイクロメートル、より好ましくは約10~約15マイクロメートルのD90粒径によって特徴付けられる。D90は、専用の粒径分析装置を使用して決定される。この例で用いられている機器は、レーザー回折を使用して、少量のスラリーの粒径を測定する。典型的にはミクロン単位のD90は、粒子の数の90%が、引用値よりも小さな直径を有することを意味する。
【0073】
当該技術分野において知られている任意のウォッシュコート技術を使用して、スラリーを触媒基材上にコーティングする。一実施形態では、触媒基材は、スラリーに1回以上浸漬されるか、または別様にスラリーでコーティングされる。その後、コーティングされた基材は、高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、10分~3時間)乾燥させ、次いで、例えば、400~700℃で、典型的には、約10分~約3時間加熱することによって焼成される。乾燥および焼成後、最終的なウォッシュコートコーティング層は、本質的に溶媒を含まないと考えられる。焼成の後に、上記のウォッシュコート技術により得られる触媒充填量は、基材のコーティングされた重量とコーティングされていない重量の差を計算することにより求めることが可能である。当業者に明らかであるように、触媒充填量は、スラリーのレオロジーを変えることにより修正することが可能である。さらに、ウォッシュコートを生成するためのコーティング/乾燥/焼成プロセスを必要に応じて繰り返して、コーティングを所望の充填水準または厚さに構築することができ、すなわち2回以上のウォッシュコートを塗布してもよい。
【0074】
ある特定の実施形態では、コーティングされた基材は、コーティングされた基材に熱処理を施すことによってエージングされる。一実施形態では、エージングは、50~75時間の交互の炭化水素/空気供給下の10体積%の水分の環境において、約850℃~約1050℃の温度で、実施される。したがって、ある特定の実施形態では、老化した触媒物品が提供される。ある特定の実施形態では、特に有効な材料は、エージング時(例えば、約850℃~約1050℃で、交互の炭化水素/空気供給下の10体積%の水分、50~75時間のエージング)に、細孔容積の高いパーセンテージ(例えば、約95~100%)を維持する金属酸化物系担体(限定されるものではないが、実質的に100%のセリア担体を含む)を含む。
【0075】
本発明の別の態様によると、内燃機関用の排気システム(排気ガス処理システムとも呼ばれる)が提供される。排気システムは、本発明による層状触媒物品を備える。一実施形態では、排気システムは、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品と、本発明による層状触媒物品と、を備え、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品は、内燃機関の下流に位置しており、層状触媒物品は、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置している。一実施形態では、排気システムは、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品と、本発明による層状触媒物品と、を備え、層状触媒物品は、内燃機関の下流に位置しており、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品は、三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置している。
【0076】
本明細書で使用される場合、「流」という用語は、広義的には、固体または液体の微粒子状物質を含有し得る流動ガスの任意の組み合わせを指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」という用語は、エンジンからテールパイプに向かうエンジン排気ガス流の流れに応じた相対的な方向を指し、エンジンが上流位置にあり、テールパイプならびにフィルタおよび触媒などの任意の汚染物軽減物品は、エンジンの下流にある。
【0078】
本発明のさらなる別の態様によると、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法であって、排気流を、本発明による層状触媒物品または排気システムと接触させることを含む、方法が提供される。「排気流」、「エンジン排気流」、「排気ガス流」などの用語は、固体または液体の粒子状物質も含有し得る、流動するエンジン流出ガスの任意の組み合わせを指す。流れは、ガス状成分を含み、例えば、液滴、固体粒子などのようなある特定の非ガス状成分を含有し得るリーンバーンエンジンの排気である。リーンバーンエンジンの排気流は、典型的には、燃焼生成物、不完全燃焼生成物、窒素の酸化物、可燃性および/または炭素質微粒子状物質(煤)、ならびに未反応の酸素および/または窒素を含む。そのような用語は、本明細書に記載されるような1つ以上の他の触媒系成分の下流の流出物を同様に指す。
【0079】
本発明のさらなる別の態様によると、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法であって、ガス状排気流を、本発明による層状触媒物品または排気システムと接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法が提供される。
【0080】
さらなる別の態様によると、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を浄化するための、本発明による層状触媒物品または排気システムの使用が提供される。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する一酸化炭素、炭化水素、および窒素化合物の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、炭化水素を二酸化炭素および水に変換する。
【0081】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する炭化水素の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、窒素酸化物を窒素に変換する。
【0082】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する窒素酸化物の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する、組み合わされた炭化水素、二酸化炭素、および窒素酸化物の総量の少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。
【実施例】
【0083】
本発明の態様は、以下の実施例によってさらに完全に例示され、これらは、本発明のある特定の態様を例示するために記載されており、それを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0084】
実施例1A~H:異なる担体材料上に2重量%のPt/Pd(Pt/Pd=2/1)を有する様々な粉末触媒の調製。
【0085】
担持材料の組成を表1に列挙する。PGM前駆体として白金-アミン錯体および硝酸パラジウムを使用して、1.33重量%のPtおよび0.67重量%のPdをインシピエントウェットネス含浸の技術によって担体上に順次堆積させた。含浸させた湿潤粉末を、120℃で乾燥させ、次いで、空気中にて550℃で2時間にわたって焼成した。
【表1】
【0086】
実施例2:実施例1A~Hの触媒のエージングおよび試験
【0087】
実施例1A~HのPt/Pd堆積粉末触媒を、脱イオン水に個別に分散させて、約30%の固形分にした。得られたスラリーを粉砕し、次いで、撹拌しながら乾燥させた。乾燥させたスラリーを550℃で1時間にわたって焼成した。得られた粉末触媒を粉砕し、ハイスループット反応器での試験のために、ふるいにかけて250~500μmのサイズの粒子を回収した。
【0088】
エージングを、10%の蒸気の存在下にて周期的なリーン/リッチ条件下にて980℃で5時間にわたって実行した。リーン/リッチエージングサイクルは、5分の空気、5分のN2、5分のN2と平衡にある4%H2、および5分のN2を含んでいた。そのようなサイクルを、所望のエージング期間に達するまで繰り返した。
【0089】
触媒性能を、1秒のリーンガスおよび1秒のリッチガスの振動供給を伴うλ=1.000+/-0.025のハイスループット反応器で評価した。λ=1.025でのリーンガス:0.7%のCO、0.22%のH2、1.8%のO2、1500ppmのC1 C3H6、750ppmのC1 C3H8、750ppmのC1 イソ-C4H10、1500ppmのNO、14%のCO2、10%のH2O、および残分N2。λ=0.975でのリッチガス:2.33%のCO、0.77%のH2、0.7%のO2、1500ppmのC1 C3H6、750ppmのC1 C3H8、750ppmのC1 イソ-C4H10、1500ppmのNO、14%のCO2、10%のH2O、および残分N2。試料の量は、70L/hの流量で各ライナに対して100mgである。触媒変換率は、25℃間隔で250~550℃の一定の温度で測定した。
【0090】
実施例1A~HのHC、NOx、およびCOのライトオフ温度(T
50)を
図2にプロットする。
図1A~Cは、それぞれ、La
2O
3安定化Al
2O
3、La
2O
3安定化ZrO
2、およびLa
2O
3/Y
2O
3安定化CeO
2-ZrO
2を含む従来の担体上に堆積された2重量%のPt/Pdの試料である。1D~Hは、CeO
2とAl
2O
3との比を変えてCeO
2-Al
2O
3複合材料上に堆積された2重量%のPt/Pdの試料である。CeO
2-Al
2O
3担体を有する実施例1D~Hは、従来の担体を有する実施例1A~Cと比較して、かなりより低いHCおよびNOxのライトオフ温度を呈することが見出された。実施例1D~Hのより良好なライトオフ活性は、おそらく、表面上により高度なPt分散を提供する所望のPt-Ce相互作用に起因する。
【0091】
実施例3:80g/ft3のPGM充填量を有する参照Pd/Rh触媒物品の調製(Pt/Pd/Rh=0/76/4)。
【0092】
二層ウォッシュコート構造を、直径4.66インチ、長さ3.58インチ、セル密度600cpsi、および壁厚3.5ミルの円筒形モノリスコーディエライト基材上にコーティングした。詳細なプロセスを以下に記載する。
【0093】
ボトムコートの調製:硝酸パラジウムの形態の38g/ft3のPd(50重量%の総Pd)を耐火性アルミナ上に含浸させ、硝酸パラジウムの形態の38g/ft3のPd(50重量%の総Pd)を、約40重量%のセリアを有する安定化されたセリア-ジルコニア複合材料上に含浸させた。約35.2重量%の耐火性Al2O3、49.6重量%の安定化されたセリア-ジルコニア複合材料、11.6重量%のBaOを生成する酢酸バリウム、1.9重量%のZrO2を生成する酢酸ジルコニウム、および1.7重量%のPdを含有するスラリーを基材上にコーティングした。空気中にて550℃で1時間にわたって焼成した後に、ボトムコートのウォッシュコート充填量は、約2.59g/in3であった。
【0094】
トップコートの調製:硝酸ロジウムの形態の4g/ft
3のRh(100重量%の総Rh)を耐火性アルミナ上に含浸させた。約84.8重量%の耐火性Al
2O
3、約50重量%のセリアを有する15.0重量%のセリア-ジルコニア複合材料、および0.23重量%のRhを含有するスラリー混合物をボトムコート上にコーティングした。空気中にて550℃で1時間にわたって焼成した後に、トップコートのウォッシュコート充填量は、約1.00g/in
3であった。参照Pd/Rh触媒物品を
図1Aに例示する。
【0095】
実施例4:80g/ft3のPGM充填量を有するPt/Pd/Rh触媒物品(範囲外)の調製(Pt/Pd/Rh=38/38/4)。
【0096】
ボトムコートが38g/ft3のPtおよび38g/ft3のPdを含むことを除いて、実施例3と同じウォッシュコート材料およびプロセスを使用することによって、触媒物品を調製した。詳細なプロセスを以下に記載する。
【0097】
ボトムコートの調製:白金-アミン錯体の形態の19g/ft3のPt(50重量%の総Pt)および硝酸パラジウムの形態の19g/ft3のPd(50重量%の総Pd)を耐火性アルミナ上に含浸させた。白金-アミン錯体の形態の19g/ft3のPt(50重量%の総Pt)および硝酸パラジウムの形態の19g/ft3のPd(50重量%の総Pd)を、約40重量%のセリアを有する安定化されたセリア-ジルコニア複合材料上に含浸させた。約35.2重量%の耐火性Al2O3、49.6重量%の安定化されたセリア-ジルコニア複合材料、11.6重量%のBaOを生成する酢酸バリウム、1.9重量%のZrO2を生成する酢酸ジルコニウム、0.85重量%のPt、および0.85重量%のPdを含有するスラリーを基材上にコーティングした。空気中にて550℃で1時間にわたって焼成した後に、ボトムコートのウォッシュコート充填量は、約2.59g/in3であった。
【0098】
トップコートの調製:硝酸ロジウムの形態の4g/ft
3のRh(100重量%の総Rh)を耐火性アルミナ上に含浸させた。約84.8重量%の耐火性Al
2O
3、約50重量%のセリアを有する15.0重量%のセリア-ジルコニア複合材料、および0.23重量%のRhを含有するスラリー混合物をボトムコート上にコーティングした。空気中にて550℃で1時間にわたって焼成した後に、トップコートのウォッシュコート充填量は、約1.00g/in
3であった。参照Pt/Pd/Rh触媒物品を
図1Bに例示する。
【0099】
実施例5:80g/ft3のPGM充填量を有し、かつボトムコート中でセリア-アルミナ複合材料上に堆積されたPtを有するPt/Pd/Rh触媒物品の調製(Pt/Pd/Rh=38/38/4)。
【0100】
二層ウォッシュコート構造を、直径4.66インチ、長さ3.58インチ、セル密度600cpsi、および壁厚3.5ミルの円筒形モノリスコーディエライト基材上にコーティングした。詳細なプロセスを以下に記載する。
【0101】
ボトムコート(第1の層)の調製:白金-アミン錯体の形態の38g/ft3のPt(100重量%の総Pt)および硝酸パラジウムの形態の3.8g/ft3のPd(10重量%の総Pd)を、約10重量%のセリアを有する耐火性セリア-アルミナ複合材料上に順次含浸させた。Pt/Pdを含浸させたCeO2-Al2O3複合材料を550℃で2時間にわたって焼成した。硝酸パラジウムの形態の22.9g/ft3のPd(60重量%の総Pd)を、約40重量%のセリアを有する安定化されたセリア-ジルコニア複合材料上に含浸させた。約40.2重量%の耐火性CeO2-Al2O3複合材料、50.3重量%の安定化されたセリア-ジルコニア複合材料、4.0重量%のBaOを生成する酢酸バリウム、2.4重量%のZrO2を生成する酢酸ジルコニウム、1.6重量%のAl2O3を生成するコロイド状アルミナ分散液、0.88重量%のPt、および0.62重量%のPdを含有するスラリーを基材上にコーティングした。空気中にて550℃で1時間にわたって焼成した後に、ボトムコートのウォッシュコート充填量は、約2.49g/in3であった。
【0102】
トップコート(第2の層)の調製:硝酸ロジウムの形態の4g/ft
3のRh(100重量%の総Rh)を耐火性アルミナ上に含浸させた。硝酸パラジウムの形態の11.4g/ft
3のPd(30重量%の総Pd)を、約10重量%のセリアを有する安定化されたセリア-ジルコニア複合材料上に含浸させた。約38.5重量%の耐火性Al
2O
3、53.9重量%の安定化されたセリア-ジルコニア複合材料、3.8重量%のBaOを生成する酢酸バリウム、1.5重量%のZrO
2を生成する酢酸ジルコニウム、1.5重量%のAl
2O
3を生成するコロイド状アルミナ分散液、0.51重量%のPd、0.18重量%のRhを含有するスラリー混合物をボトムコート上にコーティングした。空気中にて550℃で1時間にわたって焼成した後に、トップコートのウォッシュコート充填量は、約1.30g/in
3であった。本発明のPt/Pd/Rh触媒物品を
図1Cに例示する。
【0103】
実施例6:80g/ft3のPGM充填量を有し、かつトップコート中でセリア-アルミナ複合材料上に堆積されたPtを有するPt/Pd/Rh触媒物品の調製(Pt/Pd/Rh=38/38/4)。
【0104】
二層ウォッシュコート構造を、直径4.66インチ、長さ3.58インチ、セル密度600cpsi、および壁厚3.5ミルの円筒形モノリスコーディエライト基材上にコーティングした。詳細なプロセスを以下に記載する。
【0105】
ボトムコート(第2の層)の調製:硝酸パラジウムの形態の9.5g/ft3のPd(25重量%の総Pd)を耐火性アルミナ複合材料上に含浸させ、硝酸パラジウムの形態の28.5g/ft3のPd(75重量%の総Pd)を、約40重量%のセリアを有する安定化されたセリア-ジルコニア複合材料上に含浸させた。約28.1重量%の耐火性Al2O3、58.6重量%の安定化されたセリア-ジルコニア複合材料、9.4重量%のBaOを生成する酢酸バリウム、1.9重量%のZrO2を生成する酢酸ジルコニウム、1.0重量%のAl2O3を生成するコロイド状アルミナ分散液、および1.0重量%のPdを含有するスラリーを基材上にコーティングした。空気中にて550℃で1時間にわたって焼成した後に、ボトムコートのウォッシュコート充填量は、約2.13g/in3であった。
【0106】
トップコート(第1の層)の調製:硝酸ロジウムの形態の4g/ft
3のRh(100重量%の総Rh)を、約10重量%のセリアを有するセリア-ジルコニア複合材料上に含浸させた。白金-アミン錯体の形態の38g/ft
3のPt(100重量%の総Pt)を、約10重量%のセリアを有する安定化されたセリア-アルミナ複合材料上に含浸させた。Ptを含浸させたCeO
2-Al
2O
3複合材料を550℃で2時間にわたって焼成した。約61.5重量%の耐火性CeO
2-Al
2O
3複合材料、30.8重量%の安定化されたセリア-ジルコニア複合材料、1.2重量%のBaOを生成する酢酸バリウム、2.5重量%のZrO
2を生成する酢酸ジルコニウム、2.5重量%のAl
2O
3を生成するコロイド状アルミナ分散液、1.4重量%のPt、0.14重量%のRhを含有するスラリー混合物をボトムコート上にコーティングした。空気中にて550℃で1時間にわたって焼成した後に、トップコートのウォッシュコート充填量は、約1.62g/in
3であった。本発明のPt/Pd/Rh触媒物品を
図1Dに例示する。
【0107】
実施例7:80g/ft3のPGM充填量を有するここで特許請求されているPt/Pd/Rh触媒物品の調製(Pt/Pd/Rh=38/38/4)。約30%のセリアを有する耐火性セリア-アルミナ複合材料をトップコート中でPtの担体として使用したことを除いて、実施例6と同じウォッシュコート材料およびプロセスを使用することによって、触媒物品を調製した。
【0108】
実施例8:80g/ft3のPGM充填量を有するPt/Pd/Rh触媒物品(範囲外)の調製(Pt/Pd/Rh=38/38/4)。耐火性セリアを含まないアルミナをトップコート中でPtの担体として使用したことを除いて、実施例6と同じウォッシュコート材料およびプロセスを使用することによって、実施例8を調製した。
【0109】
実施例9:実施例3~8のエージングおよび試験
【0110】
実施例3~8のフルサイズのモノリス触媒物品を、鋼製コンバータ缶に取り付け、燃料カットエージングサイクル下で動作されるガソリンエンジンの排気ラインにおいて密結合位置でエージングした。最高床温度は975℃であり、期間は50時間であった。エージングされた触媒を、認定された手順および公差に従って、US FTP-75走行サイクルで動作される1.8Lエンジン排気量のSULEV-30ガソリン試験車両で試験した。
【0111】
FTP-75試験でのHC、NOx、およびCOの排出量は、表2にまとめられている。
【表2】
【0112】
実施例4の触媒物品は、実施例3の参照触媒物品と比較して効果がより低いことが見出されている。したがって、単純にPdをPtに置き換えるだけでは、触媒性能が低くなり、すなわち、HC、NOx、およびCOの排出量が参照触媒製品と比較してより高いことが見出された。実施例5の触媒物品(これは、Pt/PdボトムコートおよびPd/Rhトップコートの設計を有し、かつボトムコート中でセリア-アルミナ複合材料上に堆積されたPtを有する、Pt/Pd/Rh系の二層TWCである)は、すべての排出物において、実施例3の参照触媒物品の触媒性能よりも比較的高い触媒性能を示した。実施例6および7の触媒物品(これは、PdボトムコートおよびPt/Rhトップコートの設計を有し、かつトップコート中でセリア-アルミナ複合材料上に堆積されたPtを有する、Pt/Pd/Rh系の二層触媒物品である)は、実施例3または4の参照触媒物品と比較して、より低いまたは著しくより低いNOx排出量をそれぞれ示した。実施例8の触媒物品(これは、セリア-アルミナ複合材料の代わりにセリア不含アルミナをPt担体として使用する)は、HC、NOx、およびCOの性能を著しく悪化させた。この発見は、活性Pt/Pd/Rh系TWCを製作するための重要な設計特色としてPt-セリアの相互作用を強く支持していた。本発明の触媒物品(実施例5~7)の全体的な性能は、排出制御用途のPd/Rh系触媒物品よりも改善されていること、および/またはこれと同等であることが見出されている。さらに、これらの本発明の触媒物品は、Ptがかなり使用されていることから、参照Pd/Rh系TWCよりもコスト面の利益がある。
【0113】
本明細書全体を通して「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「1つ以上の実施形態では」、「ある特定の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、または「実施形態では」などの句が本明細書全体の様々な箇所に出現することは、必ずしも本発明の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な方法で組み合わせることができる。本明細書に開示される様々な実施形態、態様、およびオプションのすべては、そのような特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされるかどうかに関係なく、すべてのバリエーションで組み合わせることができる。本発明は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、開示される発明の任意の分けることが可能な特徴または要素が、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、組み合わせ可能であることを意図すると考えるべきであると、全体として読み取られることが意図される。
【0114】
本明細書に開示される実施形態は、特定の実施形態を参照して説明されたが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の単なる例示であることを理解されたい。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の方法および装置に対して様々な修正および変更がなされ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある修正および変更を含むことが意図され、上記の実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示される。本明細書で引用されたすべての特許および公開物は、組み込まれた他の記述が具体的に提供されない限り、記載されたその特定の教示について参照によって本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】