(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】膣萎縮を治療するための装置
(51)【国際特許分類】
A61H 19/00 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
A61H19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501027
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2020069668
(87)【国際公開番号】W WO2021005240
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517393570
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティ オブ アイルランド ゴールウェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニューウェル ポウラ
(72)【発明者】
【氏名】イートン-イバンス ジミー
【テーマコード(参考)】
4C074
【Fターム(参考)】
4C074AA01
4C074BB05
4C074CC18
4C074DD01
4C074FF01
4C074GG01
4C074HH09
(57)【要約】
膣内への挿入用に構成され微小外傷モジュールを有する治療モジュール(2、21、101、201)を備える、膣萎縮を治療する装置(1、20、100、200)。微小外傷モジュールは、挿入されたときに陰圧機械的微小外傷療法を膣の壁に施すように構成される。微小外傷モジュールは、真空ポンプと流体接続する複数の開口(6、106、206)を備え、装置は、開口(6、106)に陰圧を生成するように構成される。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膣萎縮を治療するための装置(1、20、100、200)であって、膣内への挿入用に構成され、挿入されたときに陰圧機械的微小外傷療法を前記膣の壁に施すように構成された微小外傷モジュールを有する治療モジュール(2、21、101、201)を備え、前記微小外傷モジュールは、真空ポンプと流体接続する複数の開口(6、106、206)を備え、前記装置は、使用時に、前記開口(6、106)に陰圧を生成するように構成される、
膣萎縮を治療するための装置。
【請求項2】
前記微小外傷モジュールは、使用時に、微小外傷を施すために膣壁の組織を前記開口(6、106、206)内に引き込むように、および/または膣萎縮治療を提供するために前記膣壁の組織内の血管新生を刺激するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、前記開口において少なくとも50mmHgで好ましくは800mmHg未満の圧力、または100mmHgより大きく好ましくは800mmHg未満の圧力を生成するように構成される、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記開口において50mmHg~600mmHgの範囲の圧力を生成するように構成される、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、前記開口において200mmHg~600mmHgの範囲の圧力を生成するように構成される、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記開口において300mmHg~450mmHgの範囲の圧力を生成するように構成される、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記開口(6、106、206)は、前記治療モジュール(2、21、101、201)の外面(108)から延びる穴(110)によって形成される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記穴は、少なくとも1mmで好ましくは6mm未満の深さ、また2mmより大きく、好ましくは6mm未満の深さで延びる、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記穴は、3mm~4mmの範囲の深さ、さらにより好ましくは3.5mmの深さで延びる、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記穴は、最大断面の大きさが、少なくとも0.5mmで好ましくは4mm未満、または1.0mmより大きく好ましくは4mm未満である、
請求項7または請求項8または請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記穴は、最大断面の大きさが、2mm~3mmの範囲、さらにより好ましくは2.5mmである、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記膣への挿入に適合された前記治療モジュールの一部は、最大断面の大きさが20mm~30mmの範囲である、
請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記治療モジュール(2、21、101、201)は、
前記真空ポンプに流体的に結合された通路(228)の配列を備える支持部材(220)と、
前記治療モジュールの前記開口(206)を形成する複数の穴を備える外側先端部材(222)と、を備え、
前記外側先端部材(222)は、前記支持部材(222)の遠位部の周りに嵌合するように構成され、前記外側先端部材(222)および前記支持部材(220)は、かみ合い係合を形成するように構成され、それによって、前記支持部材(220)の前記通路は、前記外側先端部材(222)の前記穴に対して整列され、それらの間の流体接続を形成する、
請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
a)前記外側先端部材(222)はエラストマー材料から形成され、前記支持部材(220)は比較的剛性の高い材料から形成される、及び、
b)摩擦嵌合が、前記支持部材(220)と前記外側先端部材(222)との間に設けられる、
の一方または両方である、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
a)前記真空ポンプの上流に設けられ、前記開口を通して引き出される排液をトラップするように構成される液体トラップ(236)、および/または
b)前記開口を通して引き込まれる混入物が前記真空ポンプに到達することを遮断するように配置される疎水性フィルタ、
を備える、
請求項1から14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記治療モジュールは、近位ハンドル部分(7)と、使用中に膣内に挿入されるように適合された遠位治療部分(5)とを備え、前記開口は、前記治療部分に設けられる、
請求項1から15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記治療部分(105)は、前記開口のいずれも位置しない近位封止部(105a)と、前記開口が位置する開口部(105b)とを備え、前記開口部(105b)は、前記封止部(105a)の遠位に位置する、
請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記遠位治療部分(21)は、前記近位ハンドル部分(22)から取り外し可能であり、前記遠位治療部分は使い捨て可能である、
請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、前記治療モジュール(2)に動作可能に接続可能であり前記微小外傷モジュール用の前記真空ポンプを含む作動および/または制御手段を備える遠隔作動/コントローラモジュール(3)を備える、
請求項1から18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記治療モジュール(2)は、前記遠隔作動/コントローラモジュール(3)から取り外し可能であり、使い捨て可能である、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記治療モジュール(2)および前記作動/コントローラ(3)は、可撓性リード(4)によって連結されており、前記可撓性リードは前記作動/コントローラモジュールから取り外し可能であり前記可撓性リード(4)および前記治療モジュール(2)が前記作動/コントローラモジュール(3)から取り外し可能であり使い捨て可能な部分である、または、前記治療モジュール(2)は可撓性リード(4)から取り外し可能であり前記治療モジュール(2)が使い捨て可能な部分である、
請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記装置の使い捨て可能な部分と使い捨て不可能な部分との間の接続点に設けられた不正使用防止装置(4a)を更に備え、前記アクチュエータ/コントローラモジュール(3)は、
前記不正使用防止装置を感知し、前記不正使用防止装置に基づいて前記使い捨て可能な部分が初めて使用されるかどうかを決定し、
前記使い捨て可能な部分が再使用されていると決定された場合、前記真空ポンプの作動を防止する、
請求項21に記載の装置。
【請求項23】
a)前記不正使用防止装置は、固有の識別子を備え、前記装置は、前記固有の識別子を読み取るように構成されたセンサをさらに備え、前記作動/コントローラモジュール(3)は、前記固有の識別子に基づいて、前記可撓性リード(4)が初めて接続されるかどうかを決定するように構成される、または
b)前記不正使用防止装置は、初めての前記可撓性リード(4)の接続中に変更または除去されるように構成され、前記装置は、前記不正使用防止装置の存在または状態を感知するように構成されるセンサをさらに備え、前記作動/コントローラモジュール(3)は、前記不正使用防止装置の存在または状態に基づいて、前記可撓性リード(4)が初めて接続されるかどうかを決定するように構成される、
請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記作動/コントローラモジュール(3)は、グラフィカルユーザインターフェースを備える、
請求項19から23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記治療モジュールは水分センサを含む、
請求項1から24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記複数の小開口(6)は、前記微小外傷モジュールの周囲に円周方向に配列される、または前記複数の小開口(6)は、前記微小外傷モジュール上に別々の列に両側に配列される、
請求項1から25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記装置は、前記膣の前記壁に適用される前記陰圧療法の動作圧力を決定するように構成された圧力センサ(10)と、前記圧力センサから前記動作圧力に関するデータを受信し、検出された前記動作圧力を基準圧力と比較し、準最適動作圧力が検出されたときに目標圧力を達成するように前記動作圧力を修正するよう構成されたプロセッサ(11)と、を備える、
請求項1から26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記装置は、予め定めた治療期間の後に前記装置をオフにするように構成されたタイマーを備えるとともに、使用中に前記膣の前記壁を撮像するように構成されたカメラ及び照明システムをそれぞれ任意選択で備える、
請求項1から27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記装置は、データを携帯型のユーザ装置に中継し、前記療法の制御のために前記携帯型のユーザ装置から制御データを受信するように構成される、
請求項1から28のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膣萎縮を治療するための装置に関する。膣萎縮/乾燥を治療する方法も企図される。
【背景技術】
【0002】
外陰部および/または膣萎縮(VVA/VA)は、エストロゲンの減少または欠乏のため、慢性および進行性の状態である。膣萎縮(VA)は、生涯中のある時点でのホルモン変化のために女性の約80%が罹患する慢性かつ進行性の状態である。これは、膣および周囲組織を乾燥させ、薄くし、炎症を起こさせる、低下したエストロゲンレベルに起因する。症状としては、慢性乾燥、痒み、刺激および疼痛が挙げられる。研究は、それが女性の生活の質を損ない、密接な関係に影響を及ぼし、座ること、立つこと、運動すること、排尿すること、または作業することさえ不快にすることを示している。VAは蔓延している状態であり、閉経期年齢範囲の女性および乳癌生存者(BCS)において最もよく見られる。2020年までに、米国では閉経期の女性が5000万人おり、2025年までに、世界中ではVAに罹患している閉経期範囲の女性が11億人いると推定される。さらに、VAに罹患しているBCSが310万いる。現在、VAに対して、手頃で、安全で、非ホルモン性かつ有効な処置はない。本開示は、この臨床的必要性に対処しようとするものである。
【0003】
女性が閉経を経験すると、エストロゲン産生は70%減少する。VAでは、女性の膣の組織は、もはや正常な健康な方法で機能しない。膣の内層は収縮し始め、壁は薄くなり、乾燥し、女性の生活の質に影響を及ぼす不快な乾燥感覚をもたらす。膣上皮はより薄くなり、弾性が減少し、膣分泌物が減少し、血流が減少する。
【0004】
70%を超えるBCSは、化学療法および放射線治療後に閉経後となり、その結果、BCSはVAを経験する。化学療法および放射線は、エストロゲンの減少を引き起こし、したがって早期閉経を誘導する。加えて、女性が癌のない状態を保つためにとる癌遮断薬および内分泌薬は、膣領域周辺の痒み、疼痛および乾燥の症状を悪化させるこれらの療法のエストロゲン抑制効果により、VAの症状をさらに悪化させる。加えて、VAは、しばしば、アジュバント内分泌療法に対するBCSの最も対処しにくい副作用である。
【0005】
本発明の目的は、上述の問題の少なくとも1つを解消することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、副作用を伴わず、自己投与することができ、閉経後または乳癌生存者女性だけでなく全ての女性での使用に適した、膣萎縮の治療の必要性に対処し、膣上皮に不可逆的または重篤な損傷を引き起こすことなく適応症の根底にある原因に対処する。この解決策は、膣に挿入され、膣の壁に機械的微小外傷を引き起こすように作動されるよう構成された装置に基づく。機械的微小外傷は、炎症誘発血管新生を引き起こし、新しい内皮細胞の増殖および/またはコラーゲンマトリックスの生成を刺激するのに充分な、装置と壁との間の物理的相互作用による膣壁の小さな変形を指す。微小変形は、膣壁における微小断裂、穿刺、穴、伸張、および亀裂を含んでもよい。挿入可能な装置を使用して機械的微小外傷を膣の壁に適用する様々な方法が本明細書に記載される。
【0007】
第1の態様では、本出願は、膣への挿入用に構成され、挿入されたときに膣の壁に陰圧機械的微小外傷療法を施すように構成された微小外傷モジュールを有する治療モジュールを備える、膣萎縮を治療するための装置を提供し、微小外傷モジュールは、真空ポンプと流体接続する複数の開口を備え、この装置は、使用時に、開口に陰圧を生成するように構成される。
【0008】
装置は、VA治療を提供するために、微小外傷の列を膣の壁に施す。微小外傷により、陰圧を膣組織にかけるために真空を利用して生成される制御された機械的損傷が引き起こされる。吸引された組織は、圧力によって歪められ、微小外傷の列を引き起こし、次いで、膣組織における治癒応答をもたらす。このようにして生じた機械的微小外傷は、ヒアルロン酸(HA)の産生を刺激する炎症反応を生じる。
【0009】
既知の装置は、US2018/0296383A1に記載されているものを含み、これは、陰茎および膣の全体的な健康機能を改善するために超音波エネルギー、電気エネルギー、光、および真空を組み合わせる装置を開示している。US2018/0296383A1は、真空療法の使用が、本出願の装置によって提供されるように特に血管新生を刺激することによって有効なVA治療を提供するために使用できることを開示していない。US2018/0296383A1は、血流および感覚神経の刺激による健康機能の促進のみを開示している。US2018/0296383A1における圧力の使用は、単に膣の筋肉を物理的に運動させることであり(段落[0051])、本出願の意味の範囲内で微小外傷を提供せず、したがって有効なVAを提供することができない。
【0010】
陰圧療法は、Cipollaら(陰圧創傷療法:異常かつ革新的な用途。OPUS,2008,12,15-29)およびSaxenaら(真空補助閉鎖:創傷の微小変形と細胞増殖。プラスチックおよび再建手術,2004,114(5),1086-1096)によって創傷の治療として以前に示唆されている。本出願人らは、陰圧療法が、膣の壁に機械的微小外傷を引き起こす特に好適な方法であることを発見した。創傷治療のための陰圧療法がこの目的のために使用され得ることを示唆するものはこれまでない。本発明者らは、膣壁への陰圧の印加が、新しい内皮細胞およびコラーゲンマトリックスの増殖を刺激し、膣壁を肥厚させ、萎縮を低減し、血管新生を促進し、膣壁内の細胞の水分保持能力を改善し、乾燥を低減することを見出した。これは、特に、膣萎縮が認識される副作用である乳癌患者および閉経後の女性の療法として適用可能である。皮膚および組織の水分に関与する重要な分子は、水を保持する特有の能力を有するヒアルロン酸(HA)である。HAは天然多糖であり、膣組織の細胞外マトリックスの重要な部分を形成し、膣上皮に天然に存在する。これは、組織修復および再生のいくつかの態様を調節する。HAの合成は、膣組織に対する炎症または外傷に応答して増加する(すなわち、陰圧は、制御された有益な微小外傷を誘発する)。HAは、炎症性内皮細胞の活性化を含めた組織修復のいくつかの態様を調節して血管新生を増強し、既存の血管から新しい血管を形成し、損傷組織を治癒し、水和させる。HAの合成は、エストロゲン産生の減少に関連する加齢に伴って減少する。HAの合成は、エストロゲンレベルの低下により閉経後に減少する。本出願の装置は、膣の壁に微小外傷を施すことによってこの効果に対抗し、これは次に炎症応答をもたらし、HAの産生を擬態する。
【0011】
微小外傷モジュールは、使用時に、微小外傷を施すために膣壁の組織を開口内に引き込むように構成されてもよい。これは、VA療法に効果的な微小外傷を提供することが見出されている各開口に引き込まれた組織を歪ませることによって微小外傷を作り出すことを可能にする。微小外傷モジュールは、使用時に、膣壁の組織内の血管新生を刺激して膣萎縮治療を提供するように構成される。
【0012】
開口で生成される圧力は、少なくとも50mmHgで好ましくは100mmHgよりも大きくてもよい。この範囲よりも低い圧力は、過剰な組織損傷なしに効果的な治療を提供するのに不適切である。より具体的には、装置は、開口において50mmHg~800mmHg、または100mmHg~800mmHgの陰圧を生成するように構成されてもよい。
【0013】
より好ましくは、装置は、50mmHg~600mmHgの陰圧を生成するように構成されてもよい。好ましい実施形態では、装置は、200mmHg~600mmHgの陰圧を生成するように構成されてもよい。本発明者らによって実施された試験は、これが過剰な組織損傷を引き起こすことなく有効なVA治療を提供することを示している。
【0014】
さらにより好ましい実施形態では、装置は、開口において300mmHg~450mmHgの陰圧を生成するように構成されてもよい。これは、有効なVA治療のための最適な範囲を提供するために本発明者らによって実施された試験において見出された。
【0015】
本明細書で与えられる圧力および圧力範囲は、装置が使用されているとき、例えば、VA療法がポンプの作動によって適用されているときに生成される圧力であると理解されるべきである。開口において生成される圧力は、ポンプによって生成される圧力と同じであるとされる。
【0016】
開口は、治療モジュールの外面から延びる穴によって形成されてもよい。穴は、外面から少なくとも1mm(好ましくは6mm未満)の深さに延びてもよい。より好ましくは、穴は、2mmよりも大きい(好ましくは6mm未満)深さに延びてもよい。これにより有効な治療が提供されることが本発明者らによって見出された。穴の最小深さは、組織が穴の内端から延びるリスクを低減することによって過剰な組織損傷を回避する上で重要であることが見出された。
【0017】
穴は、3mm~4mmの範囲の深さに延びてもよい。これにより有効な微小外傷および組織損傷のリスクのさらに改善されたバランスを提供することが見出された。これにより過剰な組織損傷を引き起こすことなく、組織に好適なレベルの微小外傷が提供されることが見出された。深さがこの深さ未満である場合、組織は穴から広がり、治療モジュールの内面上のマッシュルームが組織損傷を引き起こす可能性がある。この範囲を上回る深さはまた、過剰な組織歪みをもたらし得る。穴は、3.5mmの深さに延びてもよい。これにより最適な治療が提供されることが見出された。
【0018】
穴は、最大断面の大きさが少なくとも0.5mm(好ましくは4mm未満)であってもよい。より好ましくは、穴は、最大断面の大きさが1.0mmよりも大きくても(好ましくは3.5mm未満)よい。これにより有効な治療が提供されることが本発明者らによって見出された。本発明者らは、穴は、適切な微小外傷および所望の治療効果をもたらすのに充分な組織を開口を通して引き込むために最小の大きさでなければならないことを見出した。
【0019】
穴は、最大断面の大きさが2mm~3mmの範囲であってもよい。これにより微小外傷および組織損傷のリスクのさらに改善されたバランスが提供されることが見出された。本発明者らは、これが過剰な組織損傷なしに適切なレベルの微小外傷を提供することを見出した。上記範囲未満の大きさの穴が使用される場合、穴直径が減少するにつれて増加する摩擦の影響により、穴の中に引き込まれる組織がより少なくなる。これは、VA療法を提供するために必要とされる微小外傷効果に不充分な結果をもたらし得る。上記範囲より大きい穴は、より低い摩擦力により、より多くの組織が各穴に進入する結果をもたらし得る。これは、望ましくない組織損傷につながるより大きい組織変形をもたらす。さらに、変形および関連微小外傷は、より大きな穴直径であまり集中せず、無効なVA治療につながる。穴は、最大断面の大きさが2.5mmであってもよい。これにより最適な治療効果が提供されることが見出された。
【0020】
膣の中への挿入のために適合される治療モジュールの一部は、最大断面の大きさが20mm~30mmの範囲であってもよい。これにより、挿入中の膣への伸張と、円周方向の応力によってさらなる微小外傷を提供することとの間の有利なバランスを提供する一方で、例えば、組織が変形し開口内に引き込まれることをより困難にすることによって、陰圧療法の提供が組織により過度に困難にされないことが見出されている。
【0021】
治療モジュールは、支持部材を備えてもよい。支持部材は、真空ポンプに流体結合される通路の構成を備えてもよい。治療モジュールはさらに、外側先端部材を備えてもよく、外側先端部材は、治療モジュールの開口を形成する複数の穴を備える。外側先端部材は、支持部材の遠位部の周りに嵌合するように構成されてもよい。外側先端部材および支持部材は、かみ合い係合を形成するように構成されてもよく(すなわち、それらは、相補的かみ合い形状を有する)、それによって、支持部材の通路は、外側先端部材の穴に対して整列され、それらの間の流体接続を形成する。これは、穴と通路との間の位置合わせを助け、組み立てを助ける。
【0022】
外側先端部材は、エラストマー材料から形成されてもよい。支持部材は、比較的剛性の高い材料から形成されてもよい。摩擦嵌合が、支持部材と外側先端部材との間に設けられてもよい。これは、溶接または糊が回避されることを可能にし、製造を助ける。圧力漏れを低減するために、外側先端部と支持部材との間にシールも設けられる。エラストマー材料は、液体シリコーンゴム(LSR)または熱可塑性エラストマー(TPE)であってもよい。支持部材は、比較的より剛性の高いポリマー材料から作られてもよい。支持部材を覆う外側先端部材の伸縮嵌合は、それらの間の封止および結合を助けるために設けられてもよい。
【0023】
VA装置は、液体(例えば、水)トラップをさらに備えてもよい。液体トラップは、真空ポンプの上流に設けられてもよい。液体トラップは、開口を通して引き込まれる排液をトラップするように構成されてもよい。液体トラップは、排水がポンプに到達する前に排水をトラップしてもよい。これは、ポンプへの損傷を低減するのに役立ち得る。
【0024】
VA装置は、疎水性フィルタをさらに備えてもよい。疎水性フィルタは、開口を通して引き込まれた混入物が真空ポンプに到達するのを遮断するように構成されてもよい。疎水性フィルタは、疎水性フィルタ膜(例えば、PTFE膜)を有するフィルタモジュールを備えてもよい。フィルタモジュールは、治療モジュール内に設けられてもよく、混入物が治療モジュールをポンプに接続する可撓性リードに沿って通過することを遮断するように構成されてもよい。疎水性フィルタは、液体トラップの代わりに設けられてもよい。
【0025】
治療モジュールは、近位ハンドル部分および遠位治療部分を備えてもよい。遠位治療部分は、使用中に膣内に挿入するように適合されてもよい。開口は、治療部分に設けられてもよい。
【0026】
治療部分は、開口のいずれも配置されてない近位封止部と、開口部が配置された開口部とを備えてもよい。開口部は、封止部の遠位に配置されてもよい。封止部は、使用中に挿入される領域であって、開口を有しない領域を提供し、使用中に全ての開口が膣管内にあるようにする。これは封止を提供し、使用中の真空漏れを防止する。
【0027】
第2の態様では、本出願は、膣への挿入用に構成され、挿入されたときに機械的微小外傷療法を膣の壁に施すように構成された微小外傷モジュールを有する治療モジュールを備える、膣萎縮を治療するための装置を提供する。
【0028】
一実施形態では、微小外傷モジュールは、膣の壁への陰圧、針穿刺、クランプ、加熱、冷却、摩擦、または回転から選択される、膣の壁への機械的微小外傷療法を施すように構成される。
【0029】
一実施形態では、微小外傷モジュールは、第1の態様に関連して上述したように、膣の壁に陰圧療法を施すように構成される。
【0030】
一実施形態では、第2の態様の微小外傷モジュールは、真空ポンプと流体接続している複数の小開口を備える。用いられる開口の数および大きさ、ならびに微小外傷モジュール上の開口の配置は変更可能である。例えば、開口は、最大寸法が1mm~6mmであってもよい。開口は、微小外傷モジュールの周囲に円周方向に配列されてもよく、または微小外傷モジュール上に別々の列に両側に配列されてもよい。任意の数の開口、例えば少なくとも10個、又は10~100個の開口を用いてもよい。
【0031】
概して、第2の態様の装置が陰圧療法によって機械的微小外傷療法を施すように構成される場合、装置は、微小外傷モジュールに動作可能に接続され、小開口を通して膣の壁に陰圧をかける真空ポンプを含む。真空ポンプは、使用中に50~800mmHgの陰圧を生成するように構成されてもよく、ユーザ調整のために構成されてもよい。
【0032】
以下の記述のいずれも、第1または第2の態様に適用することができる。
【0033】
一実施形態では、治療モジュールは、近位ハンドル部分および遠位治療部分(例えば、上記で紹介されたハンドルおよび治療部分)を備える。遠位治療部分は、膣内への挿入、および膣の壁への機械的微小外傷療法の施術のために寸法決めされる。近位ハンドル部分は、使用中にユーザによって保持されるように構成される。治療モジュールは、概して、治療モジュールの遠位治療部分が、任意選択で、近位ハンドル部分に対して(例えば、約2~45度)クランク回転される、細長い胴体である。
【0034】
一実施形態では、遠位治療部分は、近位ハンドル部分から取り外し可能である。これにより、複数回使用のハンドル部分を維持する一方で、遠位治療部分を単回使用のために構成し、使用後に処分することが可能になる。
【0035】
一実施形態では、装置は、膣の壁にかけられる陰圧療法の動作圧力を測定するように構成された圧力センサを備える。
【0036】
一実施形態では、装置は、作動/コントローラモジュールを備える。このモジュールは、微小外傷モジュールのための作動手段(例えば、陰圧療法の場合の真空ポンプ、または微小針の作動のためのモータ)を備えてもよい。このモジュールはまた、グラフィカルユーザインターフェース、プロセッサ、およびセンサのうちの1つ以上を含んでもよい。作動/コントローラモジュールは、微小外傷モジュール(例えば、ハンドル部分)内に配置されてもよく、または別個の基地局内に遠隔に配置されてもよい。
【0037】
一実施形態では、作動/コントローラモジュールは、真空ポンプと、陰圧センサと、プロセッサと、を備え、プロセッサは、
陰圧センサから動作圧力に関するデータを受信し、検出された動作圧力を基準圧力と比較し、
準最適動作圧力が検出されると、目標圧力を達成するように動作圧力を修正する。
【0038】
一実施形態では、装置は、作動/コントローラモジュールに動作可能に接続され、機械的微小外傷療法のパラメータ(例えば、かけられる陰圧、治療期間の長さ、治療期間の経過時間、治療期間の残り時間など)を視覚的に表示するように構成されたグラフィカルユーザインターフェースを備える。
【0039】
一実施形態では、装置は、事前に定められた治療期間の後に装置をオフにするように構成されたタイマを備える。
【0040】
別の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースは、ユーザ調節可能タイマインターフェースを備えてもよい。これは、ユーザが治療期間を設定することを可能にし得る。他の実施形態では、治療期間は予めプログラムされていてもよい。これは、必要とされるユーザ入力を低減し、使いやすさを助け得る。
【0041】
一実施形態では、治療モジュールは、撮像装置(例えば、ビデオまたはCCDカメラ)を含むとともに、任意選択で照明システムを含み、使用中に膣の壁を撮像するように構成される。装置は、グラフィカルユーザインターフェース上に撮像装置からの画像を表示するように構成されてもよい。
【0042】
一実施形態では、治療モジュールは、膣壁の水分を感知するように構成された水分センサを含む。一実施形態では、装置は、水分センサから水分データを受信し、データを処理または記憶するように構成されるプロセッサを備える。プロセッサは、装置の一部を形成するグラフィカルユーザインターフェース上に水分に関するデータを表示するように、またはデータを遠隔計算装置に無線で中継するように構成されてもよい。
【0043】
好ましい一実施形態では、作動/コントローラモジュールは、遠隔作動/コントローラモジュール(すなわち、遠隔基地局として提供される)であり、治療モジュールに動作可能に接続可能であり、微小外傷モジュールのための作動および/または制御手段を備える。作動/コントローラモジュールは、例えば、可撓性リードまたはチューブ/導管によって、治療モジュールに動作可能に接続されてもよい。一実施形態では、治療モジュールは、遠隔作動/コントローラモジュールから取り外し可能である。この構成は、使い捨て可能な治療モジュールの使用を可能にし、使い捨て可能な治療モジュールは、使用後に遠隔作動/コントローラモジュールから取り外すことができ、廃棄することができる。
【0044】
可撓性リードは、作動/コントローラモジュールから取り外し可能であり、可撓性リードおよび治療モジュールが作動/コントローラモジュールから取り外し可能で使い捨て可能な部分であってもよい。治療モジュールは、可撓性リードから取り外し可能であり、治療モジュールが使い捨て可能な部分であってもよい。これは、治療モジュールおよび可撓性リードの両方、又は治療モジュールのいずれかが、使用後に分離および処分され、その後の使用のために交換されることを可能にする。
【0045】
VA治療装置は、不正使用防止装置をさらに備えてもよい。不正使用防止装置は、装置の使い捨て可能な部分と使い捨て不可能な部分との間の接続点に(例えば、作動/コントローラモジュールに接続する可撓性リードの近位端に、または可撓性ケーブルに接続する治療モジュールに)設けることができる。アクチュエータ/コントローラモジュールは、不正使用防止装置を感知し、不正使用防止装置に基づいて使い捨て可能な部品が初めて使用されるかどうかを決定し、使い捨て可能な部品が再使用されていると決定された場合に真空ポンプの作動を防止するように構成されてもよい。VA治療装置は、不正使用防止装置を感知または読み取るのに適した位置に(例えば、作動コントローラモジュールに、又は可撓性ケーブルの遠位端に)配置されたセンサを備えてもよい。
【0046】
不正使用防止装置は、固有の識別子を備えてもよく、装置は、固有の識別子を読み取るように構成されたセンサをさらに備える。作動/コントローラモジュールは、固有の識別子に基づいて、可撓性リードが初めて接続されるかどうかを決定するように構成されてもよい。不正使用防止装置は、初めての可撓性リード線の接続中に変更または除去されるように構成されてもよい。それは、不正使用防止キャップ、シールまたは箔であってもよい。センサは、不正使用防止装置の存在または状態を感知するように構成されてもよく、作動/コントローラモジュールは、不正使用防止装置の存在または状態に基づいて、可撓性リードが初めて接続されるかどうかを決定するように構成される。
【0047】
一実施形態では、装置(例えば、プロセッサ)は、通信ネットワークを介して遠隔計算装置(例えば、携帯電話)にデータを無線で中継するための通信手段を含んでもよい。通信ネットワークは、インターネット、イントラネット、または任意の有線もしくは無線通信ネットワークとすることができる。例えば、通信ネットワークは、移動体通信のためのグローバルシステム(GSM)ネットワーク、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、第3世代パートナーシッププロジェクト(GPP)、インターネットプロトコル(IP)ネットワーク、ワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)ネットワーク、WiFiネットワーク、又はIEEE802.11標準ネットワークなどの移動体通信ネットワーク、及びこれらの様々な通信を含むことができる。他の従来のおよび/または後に開発される有線および無線ネットワークも使用されてもよい。
【0048】
一実施形態では、装置、特に治療モジュール、より具体的には遠位治療ヘッド(例えば、外側先端部材)は、軟質潤滑材料から形成される。
【0049】
別の態様では、本出願は、哺乳動物、特にヒトにおける膣萎縮の治療方法を提供し、機械的微小外傷を哺乳動物の膣の壁に施すステップを備えるとともに、任意選択で、機械的微小外傷療法を挿入時に膣の壁に施すように構成された微小外傷モジュールを備える挿入可能な装置を使用するステップを備える。一実施形態では、挿入可能な装置は、第1の態様もしくは第2の態様の装置、または本明細書で説明もしくは請求される任意の他の実施形態である。
【0050】
一実施形態では、本方法は、治療期間の間、膣の壁に機械的微小外傷療法を施すことを含む。治療期間の持続時間は、1~90分、1~60分、1~30分、5~90分、5~60分、または5~30分であってもよい。一実施形態では、哺乳動物は、1週間、2週間、又は月に1、2、3、4、5、6もしくは7日ごとに1回治療される。一実施形態では、哺乳動物は、膣萎縮に罹患している。一実施形態では、哺乳動物は、膣乾燥に罹患している。
【0051】
一実施形態では、本方法は、膣内の第1の位置に治療モジュールを位置決めするステップと、機械的微小外傷療法の第1の用量を適用するステップと、次いで、膣内の第2の位置に治療モジュールを再位置決めするステップと、機械的微小外傷療法の第2の用量を適用するステップと、を含む。一実施形態では、再位置決めは、長手方向軸を中心に装置を回転させることを含む。別の実施形態では、再位置決めは、装置の深さを調整することを含む。
【0052】
相互排他的である場合を除いて、上記の態様のいずれか1つに関して説明された特徴またはパラメータは、任意の他の態様に適用され得る。本明細書で使用するとき、「値Xから値Yまで」または「値Xと値Yとの間」などの範囲は、包括的な範囲を示し、XおよびYの境界値を含む。
【0053】
本発明の他の態様および好ましい実施形態は、以下に記載される他の特許請求の範囲において定義および記載される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】治療モジュールと、遠隔作動/コントローラモジュールと、治療モジュールと遠隔モジュールとの間の動作通信を提供するリード線と、を備える装置を示す。
【
図2】(A)は、本発明の装置の一実施形態の設計を示すブロック図であり、(B)は、吸引管類(可撓性リード)が再使用可能であり、治療モジュール内に設けられたフィルタによって保護される、部分(A)の代替構成を示す。
【
図3】真空療法治療モジュールの正面図(A)および平面図(B)を示す。
【
図4】真空療法治療モジュールの正面図であり、(A)では、小開口がモジュールの壁の両側に配置された列として設けられ、(B)では、小開口がモジュールの壁の周囲に円周方向に配置された単一の列として設けられ、(C)では、開口が孔の放射状の帯で設けられる(穴は、図示されたもの以外の様々な形状であってもよく、例えば、円形、楕円形または他の形状であってもよい)。
【
図5】膣および子宮の解剖学的構造を示し、拡大図は、内層(扁平上皮)、結合組織および筋肉層を示す。
【
図6】本出願の装置がどのように使用され得るかを示し、(A)では、装置の一部を形成する治療モジュールが膣に挿入され、機械的微小擦過傷療法が膣の壁の中への複数の針の展開によって施され、(B)では、治療モジュールが膣内にされ陰圧療法を膣の壁に適用することによって機械的微小擦過傷療法が施される。
【
図7A】作動/コントローラモジュールおよび電源がハンドル内に配置された装置の図である。
【
図7B】作動/コントローラモジュールおよび電源がハンドル内に配置された装置の図である。
【
図8】本出願の装置および携帯電話を備えるシステムの図である。
【
図9】ベッドの横のロッカー上に置かれた、本出願の装置および保管ケースを示す。
【
図10】可撓性リードがアクチュエータ/コントローラにどのように接続し得るかの1つの方法を示す。
【
図12】(A)~(C)は、LCD画面上に視覚的に示すことができる情報を示す。
【
図13】
図12の実施形態に類似したアクチュエータ/コントローラの実施形態を示す。
【
図14】本出願の別の実施形態による治療モジュールを平面図および断面図で示す。
【
図15】異なる形状および断面の大きさの治療部分を有する治療モジュールの実施形態の平面図、断面図および拡大図を示す。
【
図16】異なる形状および断面の大きさの治療部分を有する治療モジュールの実施形態の平面図、断面図および拡大図を示す。
【
図17】異なる形状および断面の大きさの治療部分を有する治療モジュールの実施形態の平面図、断面図および拡大図を示す。
【
図18A】丸みを帯びた角を有する開口を有する治療モジュールの実施形態の平面図および断面図を示す。
【
図18B】(A)は、
図18Aに示す実施形態の拡大図を示し、(B)は、鋭利な縁付き穴と比較した丸みを帯びた縁付き穴の使用を示す。
【
図21】
図20の治療モジュールの外側先端部材を示し、外側先端部材は、端面図、上面図、および側面図で示されている。
【
図22】
図20の治療モジュールの支持部材の第1および第2の部分を示し、第1および第2の部分はそれぞれ、正面図、上面図、背面図、および斜視図で示される。
【
図23】
図20の治療モジュールの支持部材の第1および第2の部分を示し、第1および第2の部分はそれぞれ、正面図、上面図、背面図、および斜視図で示される。
【
図24】
図19の装置の制御/作動モジュールを分解図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、特許出願および他の参考文献は、あたかも各個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示され、その内容が完全に列挙されているかのように、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0056】
定義および全般の設定
本明細書で使用される場合、他に具体的に示されない限り、以下の用語は、当該技術分野において用語が享受し得る任意のより広い(またはより狭い)意味に加えて、以下の意味を有することが意図される。
【0057】
文脈によって別段に必要とされない限り、本明細書における単数形の使用は、複数形を含むと解釈されるべきであり、逆もまた同様である。実在物に関連して使用される用語「a」または「an」は、その実在物の1つまたは複数を指すように解釈されるべきである。したがって、用語「a」(または「an」)、「1つまたは複数」、および「少なくとも1つ」は、本明細書では互換的に使用される。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「備える(comprise)」又はその変形、例えば「備える(comprises)」又は「備えている(comprising)」は、任意の列挙された完全体(例えば、特徴、要素、特性、特質、方法/プロセスのステップまたは制限)または完全体(例えば、特徴、要素、特性、特質、方法/プロセスのステップまたは制限)のグループの包含を示すが、任意の他の完全体又は完全体のグループの排除を示さないと解釈されるべきである。したがって、本明細書で使用される場合、用語「備えている(comprising)」は、包括的または非限定的であり、追加の列挙されていない完全体または方法/プロセスステップを除外しない。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「疾患」は、生理学的機能を損ない、特定の症状に関連する任意の異常状態を定義するために使用される。この用語は、病因の性質(または実際に、疾患の病因学的根拠が確立されているかどうか)に関係なく生理学的機能が損なわれる任意の障害、疾患、異常、病態、病態または症候群を包含するために広く使用される。したがって、感染、外傷、損傷、手術、放射線除去、中毒または栄養欠乏から生じる状態を包含する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「膣萎縮」という用語は、エストロゲンの減少または非存在によって引き起こされる慢性および進行性の状態を指す。これは、膣およびその近くの組織を乾燥させ、薄くし、炎症を起こさせる。膣萎縮は、閉経後の女性において広く見られるが、閉経後の乳癌生存者(BCS)においてより広く見られる。VAは、膣乾燥、刺激、疼痛および尿失禁を含む様々な症状を説明し、閉経期の女性の大部分に影響を及ぼす。この状態は、癌治療の結果として早期閉経を経験するBCSに不均衡に影響を及ぼす。全身性内分泌療法(例えば、アロマターゼ阻害剤およびタモキシフェン)を受けるBCSもまた、これらの療法のエストロゲン抑制効果により、より重篤なVA症状を経験する。本発明の装置および方法は、膣萎縮および膣乾燥を治療するためのものである。
【0061】
本明細書中で使用される場合、用語「治療」または「治療する」は、疾患の症状を治癒、改善もしくは軽減するか、またはその原因を除去する(またはその原因の影響を軽減する)介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、この用語は、用語「療法」と同義に使用される。治療は、原因的または対症的であってもよい。
【0062】
さらに、用語「治療」または「治療する」は、治療された集団内で疾患の発症もしくは進行を予防もしくは遅延させるか、またはその発生率を低下させる(または根絶する)介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、治療という用語は、用語「予防」と同義に使用される。
【0063】
本明細書で使用される場合、陰圧治療の有効量または治療有効量は、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、妥当な利益/リスク比に相応するが、所望の効果、例えば、対象の状態の永続的または一時的な改善によって現れる治療または予防を提供するのに充分な量で、対象に投与することができる量を定義する。量(治療の圧力および/または長さ)は、個々の年齢および全身状態、投与様式および他の因子に依存して、対象ごとに変動する。したがって、正確な有効量を特定することは不可能であるが、当業者は、日常的な実験およびバックグラウンドの一般知識を使用して、任意の個々の場合において適切な「有効」量を決定することができるであろう。この文脈における療法結果には、症状の根絶または軽減、疼痛または不快感の低減、生存の延長、可動性の改善および臨床的改善の他のマーカーが含まれる。療法結果は、完全な治癒である必要はない。
【0064】
上記で定義される治療および有効量の文脈において、対象(これは、文脈が許す場合、「個々」、「動物」、「患者」、または「哺乳動物」を含むと解釈されるべきである)という用語は、治療が指示される任意の対象、特に哺乳動物女性対象を定義する。哺乳動物対象には、ヒト、飼育動物、家畜、動物園の動物、スポーツ動物、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ(キャトル)、ウシ(カウ)などのペット動物、すなわち、類人猿、サル、オランウータンおよびチンパンジーなどの霊長類、イヌおよびオオカミなどのイヌ科動物、ネコ、ライオンおよびトラなどの動物、ウマ、ロバおよびゼブラなどのウマ類、ウシ、ブタおよびヒツジなどの食用動物、シカおよびキリンなどの有蹄類、ならびにマウス、ラット、ハムスターおよびモルモットなどのげっ歯類が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0065】
「治療モジュール」は、膣内への少なくとも部分的な挿入用に構成され、かつ挿入されたときに機械的微小外傷療法を膣の壁に施すための微小外傷モジュールを含む、本発明の装置の一部を指す。モジュール(または少なくとも膣に挿入される部分)は、概して、滑らかな非外傷性形状と、挿入されると膣の壁に当接するように構成される微小外傷モジュールを備える表面と、を有する。治療モジュールは、膣内への挿入用に構成された遠位(経膣)部分(「遠位治療部分」)と、使用中にユーザによって保持されるように構成された近位部分(「近位ハンドル部分」)と、を有してもよい。
【0066】
「微小外傷モジュール」は、治療モジュールが膣に挿入されたときに、機械的微小外傷療法を膣の壁に施すように構成された治療モジュールの部分を意味する。
【0067】
「機械的微小外傷」は、炎症誘発血管新生を引き起こし、新しい内皮細胞の増殖および/またはコラーゲンマトリックスの生成を刺激するのに充分である、微小外傷モジュールと壁との間の物理的相互作用による膣壁の小さな変形を指す。微小変形は、膣壁における微小断裂、穿刺、穴、伸張、および亀裂を含んでもよい。機械的微小外傷の実施形態は、以下により詳細に説明される陰圧療法を採用する。しかしながら、機械的微小外傷療法を膣の壁に施す他の方法も想定される。例えば、微小外傷モジュールは、使用中に展開して膣壁に微小擦過傷を作り出すように構成された針(またはより好ましくは微小針)を備えてもよい。微小針は、使用中に、装置内の後退施術位置から、微小針が膣の壁を貫通する展開位置まで展開するために作動されてもよい。別の実施形態では、微小外傷モジュールは、膣の壁を引き伸ばして壁に微小断裂または裂け目を作るための手段、例えば、セクションの各端部で壁のセクションを把持し、次いで壁を引き伸ばすための手段を備えてもよい。別の実施形態では、加熱または冷却の使用により、膣の壁に機械的微小外傷を生じさせてもよい。別の実施形態では、機械的微小外傷モジュールは、膣壁に摩擦または機械的変形(ローリング)を加えるための手段を備えてもよい。
【0068】
「陰圧療法」は、膣の壁への真空の適用によって膣の壁に微小変形を形成するプロセスを指し、微小変形は、新しい内皮細胞およびコラーゲンマトリックスの増殖を刺激するのに充分であり、膣壁を肥厚させ、萎縮を低減し、膣壁内の細胞の水分保持能力を改善し、乾燥を低減する。本発明の装置の一実施形態は、装置内の真空ポンプに流体的に接続される、複数の小開口、典型的には、小さく密に詰まった開口の列によって、膣の壁の領域に陰圧療法を適用する。創傷治癒への陰圧療法の適用は、文献、例えば、Cipollaら(陰圧創傷療法:異常かつ革新的な用途。OPUS,2008,12,15-29)およびSaxenaら(真空補助閉鎖:創傷の微小変形と細胞増殖。プラスチックおよび再建手術,2004,114(5),1086-1096)に記載されている。陰圧創傷療法は、血管新生、内皮増殖、毛細血管血流の速度を改善し、(とりわけ)間質浮腫を減少させることによって治癒を促進する。このアプローチは、同様の有益な微小外傷効果を引き起こす膣壁に適用可能である。陰圧は、膣壁に制御された有益な微小外傷を生じさせ、認識される分子経路である血管新生および新コラーゲン生成(コラーゲン再生)の有益な炎症カスケードを誘導する。陰圧療法は、膣壁を若返らせて膣萎縮に対処するために必要な作用機序である血管新生および内皮増殖を誘導する文献によって支持されている。膣潤滑は、弾性線維、血管、リンパ管および神経、ならびに粘液および漿液を分泌する腺を含有する固有層から生じる。萎縮性膣の固有層は、細胞外マトリックス成分を減少させ、血管新生および水分保持能力を減少させた。本発明の装置および方法は、固有層の血管新生を誘導して、微小血管新生および新しい血管形成をもたらす。これは次に、湿気および潤滑を生じ、同時に、膣壁の結合組織およびエラスチン繊維のコラーゲンリモデリングおよび膣粘膜の回復および膣壁の再水和を生じる。HAの合成は、膣組織に対する炎症または外傷に応答して増加する(すなわち、穿孔を有する先端は、制御された有益な微小外傷を誘発する)。HAは、炎症性内皮細胞の活性化を含む組織修復のいくつかの態様を調節して血管新生を増強し、既存の血管から新しい血管を形成する。HAの合成は、エストロゲン産生の減少に関連する加齢に伴って減少する。
【0069】
「小開口」は、膣の壁に有効な陰圧を施すのに充分に小さい穴を意味すると理解されるべきである。典型的には、穴は、最大直径が約1~3mm、2~3mm、または好ましくは約2.5mmである。典型的には、穴は円形または楕円形であるが、他の形状、例えば正方形または長方形の穴も、それらが充分に小さいという条件で用いてもよい。
【0070】
「遠隔作動/コントローラモジュール」は、治療モジュールから分離され、概して、接続リードによって接続される、作動/コントローラモジュールを指す。これは、本明細書では遠隔「基地局」とも呼ばれる。遠隔作動/コントローラモジュールは、概して、機械的微小外傷モジュールを作動させるための手段、例えば、ポンプ、モータ、ヒータ、グラフィカルユーザインターフェース、および治療モジュールの動作または治療に関するデータを受信するためのプロセッサを含む。
【0071】
例証
次に、具体的な実施例を参照して本発明を説明する。これらは単なる例示であり、例示のみを目的とし、これらは、請求される独占権の範囲または記載される発明に決して限定することを意図しない。これらの実施例は、本発明を実施するために現在企図されている最良の形態を構成する。
【0072】
図面を参照し、最初に
図1から
図3を参照すると、参照番号1によって全体的に示される本発明の装置の一実施形態が示されている。この実施形態では、装置は、陰圧療法による機械的微小擦過傷療法の実施用に構成される。装置1は、療法(または治療)モジュール2と、遠隔アクチュエータ/コントローラモジュール3と、療法モジュール2と遠隔モジュール3との間の動作通信を提供する可撓性リード4と、を備える。療法モジュール2は、湾曲した非外傷性形状を有する遠位治療部分5と、遠位部分の側壁の両側に配置された小開口6の2つの列の形態で設けられる微小外傷モジュールと、装置の使用中にユーザによって保持されるように構成される近位部分7と、を備える。作動/コントローラモジュール3は、リード4を介して小開口6の列および排気口9に流体接続される真空ポンプ8と、ポンプ8によって引き込まれる真空をリアルタイムで検出するように構成された圧力トランスデューサ10と、圧力トランスデューサ10から圧力データを受信するように構成されたプロセッサ11と、を備える。電源12は、プロセッサ、ポンプ、および圧力トランスデューサに動作可能に接続され、この電源は、主電源またはバッテリ(図示せず)であってもよい。プロセッサは、トランスデューサ10から圧力データを受信し、データを処理するように構成される。プロセッサは、あるレベルの陰圧療法を適用するように事前にプログラムされてもよく、圧力トランスデューサから受信した圧力読取値に従って圧力を調節するようにポンプを調整するように構成されてもよい。プロセッサは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)に動作可能に接続され、GUI上に圧力読取値を表示してもよい。
【0073】
本明細書で説明される任意の実施形態では、治療モジュール2の両方、または治療モジュール2と可撓性リード4の両方は、アクチュエータコントローラモジュール3から着脱可能であってもよい。治療モジュール2および可撓性リード4の一方または両方は、次いで、いったん取り外されると使い捨て可能であってもよい。
【0074】
図2の部分(A)に示す実施形態では、可撓性リード4は、作動/コントローラモジュール3から取り外し可能である。したがって、可撓性リード4および治療モジュール2は使い捨て可能であり、さらなる使用のために交換することができる(すなわち、それらは消耗品である)。
図2の部分(B)に示す実施形態では、可撓性リード4は、治療モジュール2から取り外し可能であり、治療モジュールのみが使い捨て可能である。この実施形態では、治療モジュール2は、可撓性リード4を通って引き込まれた混入物が真空ポンプ8に到達するのを遮断するように配置されたフィルタ5(例えば、後述する疎水性フィルタモジュール)を備える。
【0075】
本明細書で説明される任意の実施形態では、VA治療装置はさらに、使い捨て可能である任意の構成要素の反復使用を防止するように構成される、不正使用防止装置を備えてもよい。
図2の部分(A)の実施形態では、可撓性リード4の近位端(すなわち、作動/コントローラモジュール3に接続される)は、不正使用防止装置4aを有する。アクチュエータ/コントローラモジュールは、不正使用防止装置を感知して、可撓性リードが以前に使用されたかどうか、または可撓性リードが初めて使用されるかどうかを決定するように構成されたセンサ4bを備える。作動/コントローラモジュール3は、可撓性リード4が以前に接続されたと決定された場合に治療の作動を防止するように構成される。
【0076】
一実施形態では、不正使用防止装置4aは、作動/コントローラモジュール3に設けられたセンサ4bによって読み取ることができる固有の識別子を備える。作動/コントローラモジュール3は、固有の識別子に基づいて、可撓性リードが以前に使用されたかどうかを決定するように構成される。例えば、作動/コントローラモジュール3は、可撓性リード4が接続されると、固有の識別子をメモリに記録してもよい。次いで、作動/コントローラモジュール3は、可撓性リード/治療モジュールが再使用されるか、または初めて接続されるかを決定するために、後に読み取られた固有の識別子を、以前の使用中に読み取られた固有の識別子と比較してもよい。固有の識別子は、印刷されたIDコード(例えば、バーコード、QRコード(登録商標))の形態をとってもよく、またはチップもしくは磁気ストリップなどに記憶されてもよい。
【0077】
他の実施形態では、不正使用防止装置4aは、可撓性リード4の接続のプロセス中に変更または除去されるように構成される。例えば、不正使用防止装置4aは、可撓性リード4が初めて接続されるときに破壊/除去される不正使用防止キャップ、シール、または箔を備えてもよい。作動/コントローラモジュール3は、不正使用防止装置4aの存在または状態を感知して、接続点に設けられた適切なセンサを介して可撓性リード4が再使用されているかどうかを決定するように構成される。
【0078】
不正使用防止装置4aは、可撓性ケーブル4の近位端に示されているが、装置内の他の場所に設けられてもよい。例えば、不正使用防止装置4aは、可撓性リード4の端部のコネクタに設けられた対応するセンサと共に、治療モジュール3に設けられてもよい。この構成は、治療モジュールのみが使い捨て可能である場合に適している。
【0079】
図4は、治療モジュールの3つの実施形態を示し、(A)では小開口がモジュールの壁の両側に配置された列として設けられ、(B)では小開口がモジュールの壁の周囲に円周方向に配置された単一の列として設けられる。(C)は、穴が放射状に分散される実施形態を示す。小開口は、開口の複数の列を含む他の配置で設けられてもよいことが理解されるであろう。
【0080】
本発明の装置の使用は、
図5および6に示され、
図5は、女性ヒトの子宮および膣の解剖学的構造を図示し、
図6は、膣に挿入され、機械的微小外傷療法を行うように作動させられる、装置の治療モジュールの遠位治療部分を図示する。
図6(B)(右側の画像)では、装置は、陰圧療法を開口と接触している膣の壁に施すように構成された小開口の円周配列を備える。
図6(A)(左側の画像)では、装置は、膣の壁の中への展開用に構成される展開可能針25の列を備える。両方の場合において、治療は、血管新生を引き起こし、新しい内皮細胞の増殖および/またはコラーゲンマトリックスの生成を刺激するのに充分な膣の壁における微小変形の生成をもたらし、それによって膣萎縮を治療する。
【0081】
図7Aおよび7Bを参照すると、本発明の装置の代替実施形態が示されており、前述の実施形態を参照して識別される部分は、同じ参照番号が割り当てられる。参照番号20によって示されるこの実施形態では、装置は、開口5の列を有する遠位治療部分21と近位ハンドル部分22とを有する単一の細長い胴体として提供され、これらの部分は、取り外しのために構成される。ハンドル部分22は、真空ポンプと、プロセッサと、圧力センサと、バッテリ(図示せず)と、オン/オフボタン23とを含む。遠位治療部品は、単回使用で使い捨て可能な部品であり、使用後に廃棄することができる。装置のこの実施形態は、単一のハンドル部分と、いくつかの使い捨て可能な遠位治療部分とを備える、モジュール形式で提供されてもよい。
【0082】
図8を参照すると、前の実施形態を参照して識別される部品に同じ参照番号が割り当てられている本発明の装置が示されている。装置は、前述のように、リード4によって接続された治療モジュール2及び遠隔アクチュエータコントローラ3を備える。アクチュエータ/コントローラは、携帯電話30にデータを中継するように構成され、電話は、アクチュエータ/コントローラから受信したデータを受信および処理し、装置の動作および療法に関する情報を電話画面31に表示するように構成されたダウンロード可能なソフトウェア(すなわち、「アプリ」)を備える。図では、電話は、療法の状態(すなわち、進行中の治療)および残りの治療時間に関する情報を提供する。
【0083】
図9を参照すると、ベッドの横のロッカー上に載置された本発明の装置及び保管ケースが示されている。装置は、遠隔再使用可能アクチュエータ/コントローラと、使い捨て可能な治療モジュールと、可撓性リードとを備える。アクチュエータコントローラの保管ケースは、治療モジュールおよび可撓性リード用の保管ケースとともに提供される。
【0084】
図10を参照すると、摩擦嵌合の「クリック閉鎖」接続機構と、リードおよび作動コントローラの容易かつ迅速な分離を可能にするクイックリリース機構とを有し、可撓性リードをアクチュエータ/コントローラにどのように接続することができるかの1つの方法が示されている。
【0085】
図11を参照すると、可撓性リードの受け入れ用のポート、ポンプ排気口、および電源アダプタポートを有するアクチュエータ/コントローラの端面を示す、本発明の装置が示されている。また、リードの圧潰またはねじれを回避するのに役立つ編組シースを備える可撓性リードも示される。
【0086】
図12(A)~
図12(C)を参照すると、(A)治療期間に関する情報、(A)装置の動作状態に関する情報(B)、および装置のバッテリ残量に関する情報(C)を含む、LCD画面上に視覚的に示され得る情報が示されている。
【0087】
図13を参照すると、
図12の実施形態に類似したアクチュエータ/コントローラの実施形態が示されており、アクチュエータ/コントローラは、一目で装置状態を示すことができるアクチュエータの側面に配置されたグラフィックディスプレイ(この場合、照明ストリップ40)を備える。
【0088】
VA治療装置100の別の実施形態を
図14に示す。この実施形態では、治療装置100は、陰圧療法の形態の機械的微小外傷療法を膣の壁に施すように構成される。
【0089】
図14に見られるように、装置100は、膣内への挿入用に構成された治療モジュール101を備える。治療モジュール101は、膣内に挿入可能な遠位治療部分105と、本明細書に記載の他の実施形態と同様にユーザによって操作されてもよい近位ハンドル部分107とを有する。対応する参照番号は、説明を助けるために他の実施形態に共通の部分に対して使用されている。他の実施形態に関連して説明した特徴のいずれも、
図14の実施形態に適用することができる。
【0090】
治療モジュール101は、治療部分105の外面108の少なくとも一部を覆う列状の複数の開口106を備える。
図14に示す開口106は、治療部分105の全周にわたって均等に配置されている。他の実施形態では、開口106は、別々の列に配置されてもよく、不均一な分布を有してもよく、または円周の一部のみの周囲に配列されてもよい。
【0091】
治療モジュール101の遠位治療部分105は、使用中に膣に挿入される装置の部分の軸方向部分であるが開口106の列のいずれも含まない封止部105a(
図14に示される)を備える。開口は、封止部の遠位に配置される開口部105bのみに配置される。封止部は、示されるように治療部分の遠位端に配置される。開口を有さない領域を形成することによって、封止領域は、治療部分が挿入されるときに開口の全てが膣壁と接触すること、および真空圧力がかけられるときに使用中に膣管内に開口が存在しないために真空圧力の漏れが生じないことを確実にするのに役立つ。
【0092】
治療モジュール101は、非外傷性形状(これは、
図14および18に示すように直線であってもよい、または
図15~17に示すように湾曲していてもよい)を有する細長い中空部材を備える。細長い中空部材は、治療部105を形成する。
図14に示される断面に見られるように、開口106は、中空部材内の内部空洞114の中へ開口し治療モジュール101の壁112を通って延びる貫通穴110によって形成される。空洞114は、真空ポンプ(
図14に図示せず)と流体連通して、空洞114内および開口106において陰圧を生成する。この実施形態では、装置100は、他の実施形態に関して説明されるような作動/コントローラモジュール(
図14に図示せず)をさらに備える。真空ポンプは、作動モジュール内に配置され、
図1に関連して説明されるように、可撓性リードを介して治療モジュールに流体接続される。可撓性リードは、治療モジュールと作動/コントローラモジュールを接続する可撓性長さのチューブの形態をとる。しかしながら、真空ポンプを、
図7Aおよび7Bに関連して説明されるように、治療モジュール101内(例えば、ハンドル部分107内)に配置することができる。
【0093】
図14に示される実施形態のVA治療装置100は、組織を開口106の中へ引き込み通すことによって、機械的微小外傷療法を施すように構成される。使用時、開口106に提供される陰圧によって、治療モジュール101の外面108に近接または接触する隣接組織が開口106を通して引き抜かれ、組織が穴110内で伸長する。したがって、機械的微小外傷は、各開口106内に引き込まれる組織の歪みによって生成される。
【0094】
組織を開口に引き込むために、陰圧(すなわち、周囲大気圧未満の圧力)が真空ポンプによって開口で生成される。種々の実施形態では、開口においてポンプによって生成される圧力は、少なくとも約50mmHgで好ましくは800mmHg未満である。さらに他の実施形態では、約100mmHgよりも大きく好ましくは800mmHg未満である。いくつかの実施形態では、圧力は、50mmHg~600mmHgの範囲であってもよい。この段落の圧力範囲は、概して、膣組織に陰圧を提供するのに適しているが、組織損傷を引き起こさない。本明細書の他の場所で定義される他の圧力範囲が使用されてもよい。
【0095】
現在記載されている好ましい実施形態では、約200mmHg~600mmHgの圧力が使用中に生成される。この圧力は、膣壁にかけられたときに有利なレベルの組織微小外傷を提供ことが本発明者らによって見出され、有利なレベルの組織微小外傷は次いで所望のVA療法を提供するものである。
【0096】
本発明者らは、動作圧力が、装置100によって生成される微小外傷に有意な影響を及ぼすことを見出した。低い圧力では、膣組織の変形は制限され、したがって、最小限の歪みが生成される。この結果、小さな微小外傷が発生する。これは、所望の治癒応答および関連する膣組織の若返りを生じさせるほど有意ではない場合がある。高真空圧では、組織は各開口内に深く引き込まれる。これは、望ましくない断裂および/または出血を引き起こす組織の過剰な伸長をもたらし得る。さらに、組織が穴内で過度に細長い場合、組織は治療部分の内面上で膨らみ、マッシュルームのような効果を生み出す可能性がある。これは、再び、膣組織の断裂および/または出血をもたらし得る。断裂および出血は、瘢痕化または潰瘍形成を含む負の臨床転帰をもたらし得る。
【0097】
他の実施形態では、圧力は、300~450mmHgの範囲であってもよい。これは、さらにより最適な療法効果を提供することが見出された。
【0098】
現在説明されている実施形態では、穴は、
図14および18においてPと表示されている断面の大きさ(例えば、最大直径)を有する。本発明者らは、各穴に引き込まれる組織の挙動が、圧力および他の要因に加えて、穴の入口の大きさによってさらに影響を受けることを見出した。したがって、開口の断面の大きさは、微小外傷ならびに対応する臨床的有効性および安全性に有意な影響を及ぼす。様々な実施形態では、穴は、最大断面の大きさが少なくとも0.5mmで好ましくは4mm未満である。他の実施形態では、穴は、最大断面の大きさが1.0mmよりも大きく好ましくは4mm未満である。
【0099】
記載された好ましい実施形態では、穴の直径は、2mm~3mmの範囲である。これは、より最適な微小外傷を提供することが見出された。さらに他の実施形態では、約2.5mmの最適な直径を使用してもよい。これは、最適な治療を提供することが本発明者らによって見出された。本発明者らは、約2mm~3mmの範囲が、合併症、例えば組織の断裂および関連する出血のリスクを伴わずに微小外傷のレベルを最大にする最適な穴直径を提供することを見出した。上記範囲未満の大きさの穴を使用すると、穴の直径が減少するにつれて増加する摩擦の影響により、穴に引き込まれる組織が少なくなる可能性がある。これは、VA療法を提供するために必要とされる微小外傷効果に不充分な結果をもたらし得る。上記範囲より大きい穴は、より低い摩擦力により、より多くの組織が各穴に進入することをもたらし得る。これは、望ましくない組織損傷につながるより大きい組織変形をもたらす。さらに、変形および関連する微小外傷は、より大きな穴直径ではより集中しにくく、無効なVA治療につながる。穴の断面の大きさの範囲は、特に本明細書で定義される圧力範囲と組み合わせて、有利な結果を提供することが本発明者らによって見出された。
【0100】
図14に示す実施形態では、穴は、概して円筒形の形状であり、その長さに沿って一定の直径を有する。他の実施形態では、穴は他の形状を有してもよく、例えば、断面形状が楕円形であってもよい。他の実施形態では、穴の直径は、その長さに沿って変化してもよい。このような実施形態では、穴の直径は、開口の平面において測定される(すなわち、
図18に示されるように、治療部分の外壁における開口のいかなるより大きな部分または丸みを帯びた部分も含まない)。本明細書で与えられる開口について特定される断面の大きさは、開口の平面において
図18の挿入図に示されるように、開口を形成する穴またはチャネルについて測定される。
【0101】
図14にて挿入されて示される断面を参照すると、開口106を形成する穴110は、Lと表示された長さまたは深さを有し、それによって、それらは、治療モジュールの外面108から壁112を通って延びる。長さLは、治療部分105の壁112の外面108との点レベルから、穴110が内部空洞114に開口する壁112の内面との点レベルまで、穴の軸方向中心線に沿って測定される。様々な実施形態では、穴は、少なくとも約1mm(好ましくは6mm未満)の深さで延びる。他の実施形態では、穴は、約2mmよりも大きく(好ましくは6mm未満)の深さで延びる。本発明者らは、穴の深さもまた、生成される微小外傷に影響を及ぼすことを見出した。本発明者らは、孔の深さが上記範囲未満であると、中空部材の内面に組織が速やかに到達し、真空により組織を引き抜くことができ、内面にマッシュルーム効果が生じるおそれがあることを見出した。これは、膣組織の過度の変形および関連する合併症をもたらし得る。
【0102】
現在記載されている好ましい実施形態では、穴の深さは3mm~4mmである。本発明者らは、これが、VA治療に適した微小外傷のより最適化されたレベルを提供することを見出した。さらに他の実施形態では、3.5mmの穴深さが提供される。これは、最適な治療を提供することが本発明者らによって見出された。本発明者らは、穴深さが上記範囲より大きいと、過度の損傷、すなわち組織の断裂を引き起こす可能性があることを見出した。この段落および上記の段落で定義される穴深さの範囲は、特に本明細書で定義される圧力範囲と組み合わせて、有利な結果を提供することが本発明者らによって見出された。
【0103】
他の実施形態では、異なる穴形状が提供されてもよい。穴の深さは、収容された組織の伸長が生じ得る穴によって作り出されるチャネルの長さとして定義される。言い換えれば、穴深さは、組織が、穴の内壁によって(例えば、空洞の中に開口することによって)封じ込められなくなる前に、または穴の端壁と接触することによって封じ込められなくなる前に、外面110から延び得る距離である。
【0104】
図15~17は、治療部分105の様々な異なる形状を有する装置100の実施形態を示す。これらの実施形態では、治療部分105は、
図14に示される直線形状ではなく、湾曲形状を有する。
【0105】
図15~17には、治療部分105の様々な断面の大きさが示されている。治療部分の最大断面の大きさDは、20mm~30mmの範囲であってもよい。本発明者らは、大きい直径(例えば、30mmより大きい)が膣壁の円周方向の伸張を引き起こすことを見出した。これは、ひいては、組織を変形させそれを各開口の中に引き込み陰圧療法が適切に提供され得るようにすることをより困難にするであろう。しかしながら、より大きい直径は、組織が、拡張器として作用する治療モジュールによって円周方向に既に応力を受けることを意味し、したがって、あるレベルの外傷が、組織に既に施されるであろう。対応して、小さい直径(例えば、直径20mm未満)は、膣管を円周方向に充分に伸張せず、組織は、組織の引張からの抵抗がないので、各開口の中に容易に引き込まれるであろう。組織に張力がかかっていない場合、組織に抵抗するものがないので、組織は開口内により容易に引き込まれる。直径が狭すぎると、陰圧が組織表面に適切にかけられず、組織を全く開口に引き込むことができない場合がある。本発明者らは、20mm~30mmの範囲の断面の大きさが、これらの要因の有利なバランスを提供することを見出した(例えば、ヒト対象に対して)。しかしながら、他の用途のために他の大きさが企図されてもよい。
【0106】
図14~
図17に示す実施形態では、治療部分は断面が円形である。他の実施形態では、断面は非円形であってもよい。いくつかの実施形態では、断面の大きさ(または形状)は、
図16に示されるように、治療部分105の長さに沿って変化してもよい。治療部分105の断面の大きさは、挿入可能な先端セクションの長さ(例えば、使用中に挿入用に構成された治療部分の長さ)に沿った任意の点における最大断面の大きさであると解釈される。
【0107】
VA治療装置の別の実施形態を
図18A及び18Bに示す。この実施形態では、開口を形成する穴110は、治療部分の外面に接する、丸みを帯びた縁116を有する。図示の実施形態では、穴106への入口のすべてが丸みを帯びた縁を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、穴106のうちのいくつかのみが、開口を通して引き込まれたときに組織に引き起こされる損傷のより大きいリスクがある位置で丸みを帯びた縁を有してもよい。本発明者らは、治療部分105の外面108における穴のそれぞれの入口幾何学形状もまた、組織がどのように各穴の中に引き込まれるかに影響を及ぼすであろうことを見出した。各穴106への入口の丸みは、組織が穴106に引き込まれ、穴のチャネルで引き下げられるにつれて伸長するときの組織への機械的負荷を低減する。丸みを帯びた縁は、膣組織が穴縁を越えて引き込まれる際の膣組織における摩擦および歪みを低減するのに役立つ。これは、組織の断裂のリスクを低減する。本明細書において示される開口について特定される断面の大きさは、穴の丸みを帯びた縁を含むことなく、開口の平面において
図18の挿入図に示されるように、開口を形成する穴又はチャネルについて測定される。
【0108】
図14~17に示される実施形態は、丸みを帯びた縁のない穴を有するが、これは単なる例であり、好ましい実施形態では丸みを帯びた角が設けられることを理解されたい。本発明者らは、治療中に装置または患者が動く場合に外傷の潜在的な原因となるであろう穴上の鋭い角をなくすことが望ましいことを見出した。穴に対する丸みを帯びた縁の使用は、比較のために鋭い縁を有する穴の図と共に
図18(B)に示されている。図から分かるように、丸みを帯びた角は、組織損傷を回避するのに有利である。
【0109】
様々な実施形態では、治療部分の外面は、ショア硬度が40Aであることと、摺動摩擦係数は0.4以下であることとのいずれか1つ又は複数を有する材料から形成される。他の材料特質で構成されてもよい。
【0110】
本発明者らは、上述の圧力、穴深さ、開口直径、および治療モジュールの断面の範囲が、有利な療法効果を提供することを見出した。しかしながら、これらの要因の各々は、有利な効果を提供するために独立して使用されてもよく、所望の機械的微小外傷を提供するために全てが必須ではない。
【0111】
図19~24は、VA治療装置200の別の実施形態を示す。治療装置200は、治療モジュール201と、本明細書の他の実施形態に関連して説明されるように、可撓性リード204によって治療モジュール201に結合される作動/コントローラモジュール203とを備える。治療モジュールは、
図20~23により詳細に示され、作動/コントローラモジュール203は
図24に示される。治療モジュール201は、膣内に挿入可能な遠位治療部分205と、本明細書に記載の他の実施形態と同様にユーザによって操作されてもよい近位ハンドル部分207とを有する。治療部分は、本明細書に記載の他の実施形態と類似の複数の開口206を備え、作動/コントローラモジュール203内に設けられた真空源(例えば、ポンプ)に流体接続される。本明細書の他の場所で他の実施形態に関連して説明されるものはいずれも、
図19~24の実施形態にも適用され得る(例えば、
図14~
図18の実施形態に関連して上述した特徴は、圧力範囲および開口配置、大きさ、穴深さおよび幾何学的形状などの
図19~
図24の実施形態に適用され得る。)。
図20を参照すると、治療モジュール201は、支持部材220(例えば、支持フレーム/足場)と、外側先端部材222(例えば、外側の「ソック/スリーブ」)とを備える。本実施形態では、支持部材220は、第1部分221aと第2部分221bの2つの部分から形成されている。支持部材220の遠位部は、外側先端部材とともに遠位治療部分の内側部分を形成し、支持部材220の近位部は、ハンドル部分を形成する。外側先端部材222は、膣内への挿入用の非外傷性の細長い形状を有し、本明細書の任意の他の実施形態に関連して説明されるように成形されてもよい。外側先端部材222は、(
図21に見られるように)その軸方向長さに沿って延びる空洞を有し、空洞は、その近位端で開放している。外側先端部材222は、支持部材の遠位部に嵌合するように構成され、支持部材が空洞内に受け入れられる。
【0112】
摩擦嵌合が、外側先端部材222と支持部材220との間に設けられる。これは、構成要素を接合するために糊または溶接が必要とされないため、製造を助け得る。外側先端部材222は、液体シリコーンゴム(LSR)または熱可塑性エラストマー(TPE)などのエラストマー材料から形成される。他の好適なエラストマー材料を使用してもよい。エラストマー材料の使用は、緊密な嵌合が提供され得るため、カバー部材222と支持部材220との間の摩擦嵌合を改善し得る。いくつかの実施形態では、支持部材220を覆う外側先端部材222の伸縮嵌合が、それらの間の封止および結合を補助するように提供されてもよい。それらの間のシールはまた、圧力損失または液体進入を低減するためにエラストマー材料の使用によって提供されてもよい。支持部材220の遠位部は、外側先端部材222の形状に対応する形状を有し、使用中にその形状を維持する。支持部材220は、外側先端部材と比較してより剛性の高い材料から作られ、治療部分の構造強度を提供して挿入を可能にする。
【0113】
外側先端部材222は、
図21に別々に示されている。外側先端部材は、複数の開口206を備え、開口206を介して微小外傷治療が施される。開口は、外側先端部材の壁224を貫通する貫通穴によって形成される。穴は、本明細書の他の場所で説明されるような大きさ、形状、および深さのうちのいずれかを有してもよい。
【0114】
支持部材220は、
図22および23に別々に示されており、
図22および23は、支持部材の第1部分221aおよび第2部分221bをそれぞれ様々な図で示す。支持部材220は、使用中に膣管内への挿入用に適合された遠位部220aを備え、したがって、治療モジュールの治療部の一部分を形成する。支持部材220は、治療モジュールのハンドル部を形成する近位部220bをさらに備える。外側先端部材222は、
図20に示されるように、遠位部220aの上に嵌合する。本実施形態では、支持部材220は、長さCが約160mmである。他の大きさが、例としてのみ与えられたこの大きさとともに企図され得る。
【0115】
支持部材は内部空洞214を備える。空洞214は、支持部材220の遠位部220aを形成する壁によって画定される。空洞214は、コントローラ/作動モジュール203内に設けられた真空ポンプと流体連通しており、また、外側先端部材222の開口206を形成する穴とも流体連通している。内部空洞214と真空ポンプとの間の流体連通は、支持部材220の近位部220bを通って延びる内部導管226を介して提供される。内部導管226は、内部空洞214と可撓性リード204とを流体接続する。
【0116】
支持部材220は、開口206を形成する外側先端部材222の穴と内部空洞214を流体接続する通路228の構成をさらに備える。本実施形態では、通路228は、支持部材の壁を貫通する穴230(内部空洞214内に開口する)と、支持部材の外面に形成されたチャネルと、の組み合わせによって形成される。外側先端部材222が支持部材220上に嵌合されると、その内表面は、支持部材の外面の部分から離間され、その間にチャネルを画定する。本実施形態では、チャネルは、円周方向チャネル230aを画定する隆起232によって形成される。隆起部の切り欠き234は、装置の長さに沿って円周方向チャネルを相互接続する軸方向チャネルを画定し、各円周方向チャネルが対応する穴230を必要としない。支持部材220内に通路を形成するために、他の構造的構成が提供されてもよい。例えば、切り欠きは、各円周方向チャネルのために設けられる穴230を伴って、なくてもよい。
【0117】
支持部材220は、外側先端部材とかみ合い、外側先端部材の穴206が支持部材220の通路に対して配向され、それらの間に流体接続が提供されるように構成される。位置合わせおよび流体接続を確実にするために、キー付きかみ合い構成が設けられる。本実施形態では、外側先端部材222の穴は、支持部材の外面に形成されたチャネルと整列し、それらは流体接続される。これは、装置の構成要素の容易な組み立てを可能にする。
【0118】
治療モジュール201はさらに、使用中に開口を通して引き込まれ得る、膣からの排液(例えば、水)をトラップするように構成される液体トラップ236を備える。液体トラップ236は、ポンプ(ポンプと開口206との間の流体接続経路に沿って)の上流の位置に設けられ、液体がポンプに到達する前に開口206を通って引き込まれた液体をトラップする。本実施形態では、液体トラップ236は、支持部材220のハンドル部207内に配置され、空洞214と可撓性リード204との間の流体連通経路内にある(すなわち、導管226に沿った点に配置される)。他の実施形態では、液体トラップ236は、治療モジュール201内の他の場所に取り付けられてもよく、またはコントローラ作動モジュール203もしくはリード204内に設けられてもよい。さらに他の実施形態において、それはなくてもよい。
【0119】
種々の実施形態では、VA装置200は、疎水性フィルタを備えてもよい。液体トラップの代わりに疎水性フィルタを設けてもよい。疎水性フィルタは、開口206を通って引き込まれた混入物が真空ポンプに到達するのを遮断するように構成される。疎水性フィルタは、疎水性フィルタ膜(例えばPTFE膜)を有するフィルタモジュールを備える。フィルタモジュールは、治療モジュール内に設けられてもよく、混入物が治療モジュールをポンプに接続する可撓性リードまたは管に沿って通過することを遮断するように構成されてもよい。あるいは、フィルタモジュールは、ポンプの上流の流体接続経路上の任意の点に、例えば、可撓性リードとアクチュエータ/コントローラモジュールとの間の接続点に設けられてもよい。
【0120】
図24を参照すると、作動/コントローラモジュール203がより詳細に示されている。作動/コントローラモジュール203は、第1(または上部)部分250および第2(または下部)部分252によって形成されるハウジングを備える。ハウジングの第1及び第2部分は、ボルトの形態の接続手段254によって接続される。他の実施形態では、接着剤などの他の接続手段が使用されてもよい。コントローラ作動モジュール203は、ハウジング内に取り付けられた真空ポンプ256をさらに備え、真空ポンプは、チューブ258を介して可撓性リード204に流体接続される。真空ポンプは、上述のように開口に真空圧力を提供するように構成される。チューブ258は、Tコネクタの形態のコネクタ260を備える。Tコネクタは、ポンプの出力を、(例えば、可撓性リード204を介して)治療モジュールに接続する第1出力と、作動/コントローラモジュール内に設けられたセンサ(
図2に概略的に示すように、センサはコントローラ11に設けられる)に接続される第2出力とに分割するように構成される。第2出力およびセンサは、使用中に圧力を監視するためのフィードバックループを提供し、ポンプの動作がそれに応じて調整されることを可能にする。作動/コントローラモジュール203は、療法施術の制御を提供するためにポンプ256と動作可能に通信するマイクロコントローラ262をさらに備える。マイクロコントローラ262はさらに、主制御ボタン264およびLEDパネル266を備えるユーザインターフェースと動作可能に通信する。作動/コントローラモジュールは、電力を供給するためのバッテリ268および電力ポート270をさらに備える。種々のコネクタ272、274、276、278が、ハウジング内に構成要素を取り付けるために設けられる。コネクタは、図示のようにボルトの形態であってもよいが、他のタイプの構成要素または接続手段が設けられてもよい。
【0121】
実験試験結果
VA治療の安全性および有効性を実証するために、ex vivo組織およびin vivoの両方で一連の実験的試験を行った。ヒツジモデルにおける
図14、15、および16に示される実施形態による装置の前臨床試験は、微小外傷プロセスおよびその後の治癒が、膣壁の肥厚、血管新生(すなわち、血管成長)、および増強された毛細血管流動をもたらすことを示した。作用機序が小血管のみに「微小外傷」を引き起こすので、小膣血腫(ピン・プライック出血)は、いかなる有害な出血または放血も引き起こさないことが見出された。
【0122】
図25Aは、上述の
図14、15および16に示すタイプの装置を用いた療法施術後の膣壁(「(a)」と表示)を示す。
図25Aは、陰圧の印加下で組織を開口に引き込むことによってヒツジモジュールにおいて誘発された微小外傷(「(b)」と表示される)の列を示す。
図25Bは、膣組織が炎症誘発血管新生(表示「(c)」は、内皮細胞または再構築された毛細血管の増殖がないことを示す)に曝露されなかったことを実証する組織学的対照画像を示す。
図25Cは、治療の3週間後の膣壁における血管新生および治癒効果を示す組織学を用いて得られた画像を示す。表示「(d)」は、新しく再構築された毛細血管を示し、「(e)」は、内皮細胞の増殖を示す。
【0123】
特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な修正が当業者には明らかであろう。一実施形態に関連して開示される任意の特徴は、別の実施形態の特徴と組み合わせて使用されてもよい。添付の特許請求の範囲は、特徴の特定の組み合わせを対象とするが、本発明の開示の範囲はまた、いずれかの請求項において現在請求されているものと同じ発明に関連しようがしまいが、および本発明が軽減するのと同じ技術的問題のいずれかまたは全てを軽減しようがしまいが、明示的もしくは暗示的に本明細書に開示される任意の新規の特徴もしくは特徴の任意の新規の組み合わせ、またはそれらの任意の一般化を含むことを理解されたい。
【0124】
均等物
前述の説明は、本発明の現在好ましい実施形態を詳述している。これらの説明を考慮すれば、当業者には、その実施における多数の修正および変形が思い浮かぶことが予想される。これらの修正および変形は、本明細書に添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膣萎縮を治療するための装置(1、20、100、200)であって、膣内への挿入用に構成され、
少なくともその一部が、細長く滑らかな非外傷性形状、及び、挿入されると前記膣の壁に当接するように構成される外面を備え、挿入されたときに陰圧機械的微小外傷療法を前記
膣壁に施すように構成された微小外傷モジュールを有する治療モジュール(2、21、101、201)を備え、前記微小外傷モジュールは、
挿入されると前記膣壁に当接するように構成される前記治療モジュールの前記外面から延びる穴によって形成される複数の開口(6、106、206)を備え、
前記開口は、前記治療モジュールの前記外面の少なくとも一部を覆うように配列され、前記開口と接触する前記膣壁に陰圧療法を施すように構成され、前記開口は真空ポンプと流体接続され、前記装置は、使用時に、前記開口(6、106
、206)に
200mmHg~600mmHgの範囲の陰圧を生成
し、これにより前記微小外傷モジュールは、使用時に、前記微小外傷を施すために前記膣壁の組織を前記開口(6、106、206)内に引き込むように構成される、
膣萎縮を治療するための装置。
【請求項2】
前記装置は、前記開口において300mmHg~450mmHgの範囲の圧力を生成するように構成される、
請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記穴は、少なくとも1mmで好ましくは6mm未満の深さ、また2mmより大きく、好ましくは6mm未満の深さで延びる、
請求項
1または2記載の装置。
【請求項4】
前記穴は、3mm~4mmの範囲の深さ、さらにより好ましくは3.5mmの深さで延びる、
請求項
3に記載の装置。
【請求項5】
前記穴は、最大断面の大きさが、少なくとも0.5mmで好ましくは4mm未満、または1.0mmより大きく好ましくは4mm未満である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記穴は、最大断面の大きさが、2mm~3mmの範囲、さらにより好ましくは2.5mmである、
請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記膣への挿入に適合された前記治療モジュールの一部は、最大断面の大きさが20mm~30mmの範囲である、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記治療モジュール(2、21、101、201)は、
前記真空ポンプに流体的に結合された通路(228)の配列を備える支持部材(220)と、
前記治療モジュールの前記開口(206)を形成する複数の穴を備える外側先端部材(222)と、を備え、
前記外側先端部材(222)は、前記支持部材(
220)の遠位部の周りに嵌合するように構成され、前記外側先端部材(222)および前記支持部材(220)は、かみ合い係合を形成するように構成され、それによって、前記支持部材(220)の前記通路は、前記外側先端部材(222)の前記穴に対して整列され、それらの間の流体接続を形成
し、
任意選択で、
a)前記外側先端部材(222)はエラストマー材料から形成され、前記支持部材(220)は
前記外側先端部材(222)と比較
してより剛性の高い材料から形成される、及び、
b)摩擦嵌合が、前記支持部材(220)と前記外側先端部材(222)との間に設けられる、
の一方または両方である、
請求項
1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
a)前記真空ポンプの上流に設けられ、前記開口を通して引き出される排液をトラップするように構成される液体トラップ(236)、および/または
、
b)前記開口を通して引き込まれる混入物が前記真空ポンプに到達することを遮断するように配置される疎水性フィルタ、
を備える、
請求項1から
8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記治療モジュールは、近位ハンドル部分(7)と、使用中に膣内に挿入されるように適合された遠位治療部分(5)とを備え、前記開口は、前記治療部分に設けら
れ、
任意選択で、
a)前記治療部分(105)は、前記開口のいずれも位置しない近位封止部(105a)と、前記開口が位置する開口部(105b)とを備え、前記開口部(105b)は、前記封止部(105a)の遠位に位置する、
および/または、
b)前記遠位治療部分(21)は、前記近位ハンドル部分(22)から取り外し可能であり、前記遠位治療部分は使い捨て可能である、
請求項
1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、前記治療モジュール(2)に動作可能に接続可能であり前記微小外傷モジュール用の前記真空ポンプを含む作動および/または制御手段を備える遠隔作動/コントローラモジュール(3)を備える、
請求項1から
10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記治療モジュール(2)は、前記遠隔作動/コントローラモジュール(3)から取り外し可能であり、使い捨て可能である、
請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
前記治療モジュール(2)および前記作動/コントローラ(3)は、可撓性リード(4)によって連結されており、前記可撓性リードは前記作動/コントローラモジュールから取り外し可能であり前記可撓性リード(4)および前記治療モジュール(2)が前記作動/コントローラモジュール(3)から取り外し可能であり使い捨て可能な部分である、または、前記治療モジュール(2)は可撓性リード(4)から取り外し可能であり前記治療モジュール(2)が使い捨て可能な部分であ
り、
任意選択で、
前記装置は、前記装置の使い捨て可能な部分と使い捨て不可能な部分との間の接続点に設けられた不正使用防止装置(4a)を更に備え、前記
動作/コントローラモジュール(3)は、
前記不正使用防止装置を感知し、前記不正使用防止装置に基づいて前記使い捨て可能な部分が初めて使用されるかどうかを決定し、
前記使い捨て可能な部分が再使用されていると決定された場合、前記真空ポンプの作動を防止
し、
さらに任意選択で、
a)前記不正使用防止装置は、固有の識別子を備え、前記装置は、前記固有の識別子を読み取るように構成されたセンサをさらに備え、前記作動/コントローラモジュール(3)は、前記固有の識別子に基づいて、前記可撓性リード(4)が初めて接続されるかどうかを決定するように構成される、または
b)前記不正使用防止装置は、初めての前記可撓性リード(4)の接続中に変更または除去されるように構成され、前記装置は、前記不正使用防止装置の存在または状態を感知するように構成されるセンサをさらに備え、前記作動/コントローラモジュール(3)は、前記不正使用防止装置の存在または状態に基づいて、前記可撓性リード(4)が初めて接続されるかどうかを決定するように構成される、
請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記作動/コントローラモジュール(3)は、グラフィカルユーザインターフェースを備える、
請求項
11から
13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
a)前記治療モジュールは水分センサを含む、
b)前記複数
の開口(6)は、前記微小外傷モジュールの周囲に円周方向に配列される、または前記複数
の開口(6)は、前記微小外傷モジュール上に別々の列に両側に配列される、
c)前記装置は、前記膣の前記壁に適用される前記陰圧療法の動作圧力を決定するように構成された圧力センサ(10)と、前記圧力センサから前記動作圧力に関するデータを受信し、検出された前記動作圧力を基準圧力と比較し、準最適動作圧力が検出されたときに目標圧力を達成するように前記動作圧力を修正するよう構成されたプロセッサ(11)と、を備える、
d)前記装置は、予め定めた治療期間の後に前記装置をオフにするように構成されたタイマーを備えるとともに、使用中に前記膣の前記壁を撮像するように構成されたカメラ及び照明システムをそれぞれ任意選択で備える、
およびまたは、
e)前記装置は、データを携帯型のユーザ装置に中継し、前記療法の制御のために前記携帯型のユーザ装置から制御データを受信するように構成される、
の少なくとも1つの特徴を備える、請求項1から
14のいずれか1項に記載の装置。
【国際調査報告】