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特表2022-540606堆積装置の基材位置決め装置およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】堆積装置の基材位置決め装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501114
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020040044
(87)【国際公開番号】W WO2021007054
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】62/872,501
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513317345
【氏名又は名称】カティーバ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140833
【弁理士】
【氏名又は名称】岡東 保
(72)【発明者】
【氏名】カール マティア
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー ルー
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー チャン
(72)【発明者】
【氏名】マット オーデト
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン バカ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァディム マシェフスキー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ダロー
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065BB13
2F065BB27
2F065FF04
2F065GG04
2F065LL02
2F065MM03
2F065PP12
2F065TT02
(57)【要約】
本明細書に記載の実施形態によれば、基材支持部と、基材支持部にわたって配置されたレーザ撮像システムを備える堆積アセンブリとを備える、堆積装置が提供される。
また、基材上の特徴部を撮像する方法であって、レーザ光源と撮像部とを備えるレーザ撮像システムに対して基材を走査することと、特徴部の端部がレーザ光源の照明視野に到達する前に撮像部を作動させることと、特徴部の一部が照明視野に到達したときにレーザ光源を作動させることと、作動時間後にレーザ光源を停止することと、撮像時間後に撮像部を停止することとを含み、撮像時間は作動時間を含む、方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材支持部と、
前記基材支持部にわたって配置されたファイバ結合型レーザ撮像システムを備える堆積アセンブリと
を備える、堆積装置。
【請求項2】
前記堆積アセンブリは、前記基材支持部の両側に位置する支持体に取り付けられたレールと、前記レールに移動可能に接続されたディスペンサアセンブリとを備える、請求項1に記載の堆積装置。
【請求項3】
前記ディスペンサアセンブリは、前記レーザ撮像システムを収容する、請求項2に記載の堆積装置。
【請求項4】
前記レーザ撮像システムは、少なくとも600nmの発光波長を有するレーザ光源を備える、請求項1に記載の堆積装置。
【請求項5】
前記レーザ撮像システムは、前記レーザ光源の前記発光波長に適合した感度特性を有する撮像部をさらに備える、請求項4に記載の堆積装置。
【請求項6】
前記レーザ光源は、1マイクロ秒以下のパルス幅を有する、請求項5に記載の堆積装置。
【請求項7】
前記レーザ撮像システムに対して、前記基材支持部に配置された基材を走査し、前記撮像部を撮像時間中作動させ、前記レーザ光源を作動時間中作動させるように構成された制御部をさらに備え、
前記作動時間は前記撮像時間に含まれる、請求項6に記載の堆積装置。
【請求項8】
前記レーザ光源は、レーザダイオードである、請求項7に記載の堆積装置。
【請求項9】
前記レーザ撮像システムは、前記堆積アセンブリに接続された複数のレーザ撮像システムのうちの1台である、請求項1に記載の堆積装置。
【請求項10】
基材上の特徴部を撮像する方法であって、
レーザ光源と撮像部とを備えるレーザ撮像システムに対して前記基材を走査することと、
前記特徴部の端部が前記レーザ光源の照明視野に到達する前に前記撮像部を作動させることと、
前記特徴部の一部が前記照明視野に到達したときに前記レーザ光源を作動させることと、
作動時間後に前記レーザ光源を停止することと、
撮像時間後に前記撮像部を停止することと
を含み、前記撮像時間は前記作動時間を含む、方法。
【請求項11】
前記作動時間は、5マイクロ秒未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記撮像部は、前記レーザ光源の発光波長に適合した感度を有するカメラである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記特徴部の予想位置に基づいて、前記基材を前記レーザ撮像システムに対して位置決めすることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記撮像部によって取得された画像内の前記特徴部の境界を自動的に特定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記特徴部の位置誤差を自動的に特定することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記特徴部の回転誤差を自動的に特定することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記レーザ撮像システムは、第1レーザ撮像システムであり、
前記第1レーザ撮像システムを用いて前記特徴部の第1画像を取得することと、
第2レーザ撮像システムを用いて前記特徴部の第2画像を取得することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記第1レーザ撮像システムおよび前記第2レーザ撮像システムは、撮像のために前記基材を配置した基材支持部にわたって延在する支持体に接続されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
基材支持部と、
前記基材支持部にわたって配置されたレーザ撮像システムを備える堆積アセンブリと
を備える堆積装置であって、前記レーザ撮像システムは、
光学アセンブリに結合され、レーザ放射をレーザ光源から前記基材支持部に指向させるレーザ光源ファイバと、
前記光学アセンブリから反射したレーザ放射を撮像するように配置された撮像部と
を備える、堆積装置。
【請求項20】
前記レーザ撮像システムの位置決めを行う位置決め制御部をさらに備える、請求項19に記載の堆積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年7月10日出願の米国仮特許出願第62/872,501号の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、堆積装置に関する。具体的には、移動可能なサービスプラットフォームが装着された堆積装置について記載する。
【背景技術】
【0003】
インクジェットによる堆積は、オフィス用や家庭用のプリンタだけでなく、ディスプレイの製造、大量の印刷物における堆積、プリント回路基板等の製造物品への材料付着、組織等の生物学的物品の構築に使用される産業規模のプリンタにも一般に使用されている。商業用および産業用のインクジェット堆積装置、ならびに一部の消費者用プリンタでは、ディスペンサを用いて基材に材料を付着させる。ディスペンサにより、制御量の堆積材料を時間と速度を制御して基材に吐出させる。基材の目標位置に到達した堆積材料は、所望の寸法および形状のマークを形成する。
【0004】
ディスプレイ製造産業等では、ごく少量の材料を極めて精密な位置に堆積させることにより、非常に高精度の堆積が行われている。その堆積された領域の直径は場合によっては10μmであり、15μmのこともある。このような精度で基材上に材料を配置するには、基材の正確な位置決め、および/または基材位置の正確な把握が必要となる。通常はカメラを用いたビジョンシステムを使用して基材を撮影し、その位置を正確に把握するが、画像の取得や画像の処理には時間がかかる。インクジェット印刷を行うために基材位置を正確に求める方法の改善が求められている。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載の実施形態によれば、基材支持部と、基材支持部にわたって配置されたレーザ撮像システムを備える堆積アセンブリとを備える、堆積装置が提供される。
【0006】
本明細書に記載の他の実施形態によれば、基材上の特徴部を撮像する方法であって、レーザ光源と撮像部とを備えるレーザ撮像システムに対して基材を走査することと、特徴部の端部がレーザ光源の照明視野に到達する前に撮像部を作動させることと、特徴部の一部が照明視野に到達したときにレーザ光源を作動させることと、作動時間後にレーザ光源を停止することと、撮像時間後に撮像部を停止することとを含み、撮像時間は作動時間を含む、方法が提供される。
【0007】
本明細書に記載の他の実施形態によれば、基材支持部と、基材支持部にわたって配置されたレーザ撮像システムを備える堆積アセンブリとを備える堆積装置であって、レーザ撮像システムは、光学アセンブリに結合され、レーザ放射を基材支持部に指向させるレーザ光源ファイバと、光学アセンブリから反射したレーザ放射を撮像するように配置された撮像部とを備える、堆積装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上記特徴を詳細に理解できるように、概略を上記に示した本開示を、添付の図面に一部を示す実施形態を参照しながらより具体的に説明する。なお、添付の図面は例示的な実施形態を示すものにすぎず、その範囲を限定するものではなく、同様の効果を有する他の実施形態も可能である。
【0009】
図1】一実施形態に係る堆積装置の等角上面図である。
【0010】
図2】一実施形態に係る位置取得システムの立面図である。
【0011】
図3】一実施形態に係る撮像制御アルゴリズムのアルゴリズム図である。
【0012】
図4】一実施形態に係る方法のフローチャートである。
【0013】
図5】本明細書に記載の装置において使用できる方法およびその他の方法の概略を示すフローチャートである。
【0014】
図6】他の実施形態に係る堆積装置の等角上面図である。
【0015】
理解しやすいように、図面間で共通する要素は可能な限り同じ参照符号で示す。
【0016】
一実施形態の要素および特徴について、追加の記載なしに有益な形で他の実施形態に組み込むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書では、サービスプラットフォームを備える堆積装置について説明する。サービスプラットフォームは、堆積装置の作業面の上方に配置され、収納時には作業面の端部に隣接し、少なくとも一部が作業面の基準高さよりも低く収納され、したがって基材の出し入れが可能である。図1は、一実施形態に係る堆積装置100の等角上面図である。この堆積装置は、基材支持部102、堆積アセンブリ104、および堆積時に基材を操作するためのホルダアセンブリ106を有する。堆積装置100はベース108を含む。ベース108は、堆積装置100の動作部に伝達される振動を最小限に抑えるように、通常は重量物である。一例では、ベース108は花崗岩材である。堆積アセンブリ104は、ベース108の両側に設けられたスタンド120と、基材支持部102にわたってスタンド120間に延在するレールまたはビーム117とを備える堆積アセンブリ支持部116を含む。
【0018】
基材支持部102は、第1区画102Aと、第2区画102Bと、第1区画102Aと第2区画102Bとの間の第3区画102Cとを有する。第1区画102Aおよび第2区画102Bは、堆積装置100に出し入れされる基材の載置領域であり、第3区画102Cは、処理対象の基材を堆積アセンブリ支持部116に対して位置決めする作業領域である。基材支持部102は、作業面110と、作業面110を実質的に無摩擦にする手段とを有する。作業面110とは、基材を浮動させる気体クッション(例えば、空気、低酸素空気、乾燥空気、窒素、またはその他の適切な気体)が形成される気体クッションテーブルである。作業面110は、複数の孔(図示せず)を特徴とし、これらの孔から気体が噴出することで、作業面110上方の所望の高さに基材を維持する上向きの力が得られる。また、一部の孔によって、基材を浮動させる気体クッションから気体を除去するように制御し、基材の高さを局所的に正確に制御することができる。一実施形態では、第3区画102Cは、気体供給孔と気体除去孔とを有する。気体供給孔と気体除去孔により、気体クッションの気体を独立して制御することができ、したがって基材作業面110上方の基材浮動高さを制御することが可能である。
【0019】
堆積アセンブリ104は、ビーム117に接続されたディスペンサアセンブリ114を備える。ディスペンサアセンブリ114は、堆積キャリッジ122に接続されたディスペンサハウジング119を含む。堆積キャリッジ122はビーム117に沿って移動して、ディスペンサアセンブリ114を基材支持部102の第3区画102C上に配置された基材に対して位置決めする。ディスペンサハウジング119には、堆積アセンブリ104の下方に配置された基材支持部102上の基材に一定量の堆積材料を吐出する1つ以上のディスペンサ(図示せず)が収容されている。
【0020】
基材は、ホルダアセンブリ106によって堆積アセンブリ104の下方に配置される。ホルダアセンブリ106は、基材装填時に基材と確実に接触し、基材支持部102に沿って基材を移動させて、印刷材料が基材上に正確に吐出されるように堆積アセンブリ104に対して基材を位置決めする。この場合、ホルダアセンブリ106は、概ね基材支持部102に沿って第1方向に延在し、堆積中に基材を第1方向に平行移動させる。第1方向を図1の矢印124によって示す。ディスペンサアセンブリ114は、概ね第1方向に略垂直な第2方向に移動する。第2方向は実質的に第2方向に延在するビーム117によって規定され、図1の矢印126で示す。第2方向126を「x方向」、ビーム117を「xビーム」と称することがある。
【0021】
制御部132は、ホルダアセンブリ106および堆積アセンブリ104に動作可能に接続され、基材支持部上に配置された基材の移動および基材への堆積を制御する。制御部132は、ホルダアセンブリ106のアクチュエータおよび堆積アセンブリ104のアクチュエータを直接制御しても、ホルダアセンブリ106に接続されたホルダアセンブリ制御部および堆積アセンブリ104に接続された堆積アセンブリ制御部に動作可能に接続されてもよい。制御部132は、基材支持部102上に基材がある場合、その基材の移動と位置決めを制御する。また、制御部132は、ディスペンサアセンブリ114のビーム117に沿った移動およびディスペンサアセンブリ114からの基材への堆積材料の吐出を制御する。
【0022】
レーザ撮像システム150が、ディスペンサアセンブリ114に接続されている。レーザ撮像システム150は、レーザ光源152と撮像部154とを含む。レーザ光源152は、ディスペンサアセンブリ114の下方に配置された基材支持部102上の基材にレーザ放射を指向させる。撮像部154は、基材から反射したレーザ放射を検出する。撮像部154は、デジタルカメラや他の高精度撮像部品を含むことができる。撮像部154はまた、レーザ放射を撮像部品に集光させる光学系も含む。レーザ光源152と撮像部154は、レーザ光源152が撮像部154の撮像視野内にある基材に照明視野が形成されるように配置される。
【0023】
レーザ光源152は、堆積装置100の他の観点および堆積装置100が実施する処理への影響が最小限となるように選択されたレーザ放射を発し得る。例えば、堆積装置100を用いて基材に硬化性材料を堆積させることが多い。このような材料は通常、紫外線等の短波長の電磁放射を用いて硬化させることができる。これらの材料はまた、短波長の可視光線にも感度があり、長波長の可視光線にも軽微な感度を有することがある。ディスプレイ製造産業等では、高精度を実現するために均一な処理が重要となるため、堆積材料への影響が最小限となるように長波長のレーザ光源を選択することができる。この観点から、発光波長が650nm以上のレーザ光源が有用である。一例では、レーザ光源の発光波長は650nmである。別の例では、レーザ光源の発光波長は800nmである。レーザ光源は、レーザダイオード、またはレーザダイオードバー等のレーザダイオードの集合体とすることができる。また、レーザ光源と撮像部品の組合せは、レーザ光源が発する放射に対する撮像部品の感度が最大となるように選択することができる。例えば、Dalsa Nano M2020カメラの感度は、波長650nmでほぼ最大感度となる。シリコン系の近赤外撮像部では、最大感度が一般に800nm付近である。
【0024】
この場合、レーザ光源152は、基材付近に配置可能な発光面にレーザ発光を送るように結合されたファイバである。レーザ発光の拡散をこのように管理することで、所望の寸法の照明視野を形成することができる。ディスプレイ用途の多くでは、基材に認識マーク等の位置決め特徴部があり、これを用いて基材の位置を正確に校正することができる。マークの寸法は小さくてよく、例えば1mm~5mmでよい。このマークは十字形のこともある。ファイバ結合によって、マークの位置を確認するのに必要な視野全体、または大部分をカバーするスポットが放射拡散によって形成されるように放射発光面を配置することができる。
【0025】
レーザ撮像システム150は、基材とディスペンサアセンブリ114とが互いに相対移動する間に画像を取得するように構成されている。相対移動は、速度1m/秒の場合がある。撮像制御部158が、レーザ光源152および撮像部154に動作可能に接続され、相対移動実施時の画像取得を駆動する。本例では、レーザ光源は、少なくとも5マイクロ秒の短パルス特性を有する。すなわち、パルス開始時刻からパルス終了時刻までの持続時間として規定されたパルス幅が、放射視野の平均強度が増大し、パルス開始時刻で最大値の半値に達し、さらに平均強度が増大した後に減少し、パルス終了時刻で最大値の半値に達するまで約5マイクロ秒であることを意味する。少なくとも1マイクロ秒の短パルス特性のレーザ光源を使用することもある。撮像制御部158は、撮像部154に対して撮像の開始と停止を指示するとともに、レーザ光源152に対してスイッチオンとスイッチオフを指示し、あるいはパルス幅が規定されたパルスを交互に発する指示を通信するデジタル回路を含むプリント回路基板によって実現される。撮像制御部158は、制御部132および任意選択でホルダアセンブリ制御部やディスペンサアセンブリ制御部等の他の制御部に動作可能に接続される。撮像制御部158は、基材の撮像を制御するために使用される情報を表す信号を送受信する。撮像制御部158は、撮像部154によって取得された画像を表す信号を、解析のために制御部132に送信するように構成されている。また、撮像制御部158は、制御部132から受信した特徴部の予想位置や基材の移動速度等の情報に基づいて、位置決め特徴部等の基材の特徴部が撮像部154の視野内にあると予想される場合に画像を取得するよう撮像部154およびレーザ光源152を制御するように構成されている。
【0026】
図2は、一実施形態に係る位置取得システム200の立面図である。位置取得システム200はレーザ撮像システム150を備え、基材支持部102上に処理対象の基材202が配置される。レーザ撮像システム150は、撮像制御部158に動作可能に接続されており、この撮像制御部158は、上述のように、システム制御部132にさらに動作可能に接続されている。レーザ撮像システム150はまた、レーザ撮像システム150の位置を制御および調整することが可能な位置決め制御部204に動作可能に接続されてもよい。位置決め制御部204は、レーザ撮像システム150の位置を図1のディスペンサハウジング119のディスペンサに対して調整してもよい。
【0027】
この場合、レーザ撮像システム150は、レーザ光源206と撮像部208とを含む。光学アセンブリ210が、レーザ光源206と撮像部208を撮像対象の基材202に光学的に結合する。光学アセンブリは、基材202から反射した集束光を撮像部208に指向させるレンズおよびミラーを含んでもよい。光ファイバ212が、レーザ光源206によって発せられたレーザ放射を発光点214に送る。この発光点214は、基材支持部102から遠位の光学アセンブリ210の端部に位置していても、光学アセンブリ210の端部を越えて光学アセンブリ210の端部よりも基材支持部102に近い位置まで延在していても、光学アセンブリ210内に凹設されていてもよい。光ファイバ212は、発光点214の位置を維持する支持体216によって支持されている。レーザ放射は、発光点214で光ファイバ212から発せられ、発光点214と基材202との間の隙間を通過して、照明視野218を形成する。照明視野218の寸法は、発光点214の位置を基材202に対して制御することによって制御することができる。処理中、基材202は通常、矢印220で模式的に示すように、基材202の撮像部分を照明するように、レーザ撮像システム150に対して走査される。レーザ光源206は、相対走査を行う際に、基材202の撮像対象部分が部分的または完全に照明視野218内に存在するときに作動し、撮像対象領域全体について所望の画像を取得するのに十分な時間をかけて撮像対象部分が照明視野218を通過したときに停止する。これは、撮像対象領域の前端部分が照明視野218から出たとき、または撮像対象領域の後端部分が照明視野218から出たときであってもよい。
【0028】
図3は、一実施形態に係る撮像制御アルゴリズム300のアルゴリズム図である。撮像制御アルゴリズム300は、堆積装置100等の堆積装置において使用される。撮像制御アルゴリズム300は、基材202上の特徴部の撮像を撮像部に開始させるトリガと、照明部に照明を開始させるトリガとを生成する。照明部はレーザであってもよいが、照明視野内に短パルスの放射を発生させることができるものであればよい。パルス幅は約1マイクロ秒またはそれよりも短く、最大1m/秒までの相対速度で基材上の小さい特徴部を撮像することができる。
【0029】
撮像制御アルゴリズム300は、位置マーカを基材ホルダからの位置信号とともに用いて、撮像部が撮像を開始するタイミングと、レーザ光源が照明を開始するタイミングとを求める。一般的にこのアルゴリズムは、撮像制御アルゴリズム300実行時に制御部が使用するために規定された座標系を使用する。基材には原点302が規定されており、この原点302は、ホルダの定位置304(xH,yH)に対して既知の位置(xS,yS)に配置されており、このホルダの定位置も既知である。基材上の特徴部306の設計位置(xF,yF)は、基材の原点302に対して既知である。処理中に基材をy方向に移動させる実施形態では、ホルダ、基材の原点、および特徴部のy方向の位置をそれぞれyh、ys、およびyfとする。これらの位置は、それぞれの定位置からy方向に同一の距離308だけずれている。処理中にレーザ撮像システムを移動させると、任意の時点における照明視野310の位置はyiとなる。この特徴部の設計寸法は、ΔxFおよびΔyFである。レーザ撮像システムによって形成された照明視野310は、ホルダの定位置に対して既知の位置(xI,yI)となる。照明視野の寸法は、ΔxIおよびΔyIである。したがって、照明視野は、y方向において、yI-(1/2)ΔyIからyI+(1/2)ΔyIまで延在し、レーザ撮像システムを移動させると、yi-(1/2)ΔyIからyi+(1/2)ΔyIまで延在する。処理中のどの時点においても、ホルダのy方向の位置yhはアクチュエータの位置から分かる。
【0030】
様々な位置マーカに関する情報が、制御部132等の制御部に供給される。このアルゴリズムでは、特徴部の予想位置に基づいて、特徴部を撮像するために撮像部とレーザ光源とを作動させるタイミングを決定する。照明視野の寸法は、特徴部の予想位置と実際の位置とのずれが、特徴部全体が露光中に照明視野内に存在する範囲よりも小さい範囲に十分収まるように設定されている。
【0031】
基材とレーザ撮像システムのy方向への相対移動速度をv、パルス幅をtとする。このアルゴリズムによって、特徴部306を照明する照明オン事象を計算する。照明オン事象は、特徴部306全体が照明視野310内に存在するときに計算すればよい。この計算は、y方向において、yf-(1/2)ΔyF=yi-(1/2)ΔyIのときに実施される。ホルダの位置が基材の原点に対してy方向にyHSだけずれている場合、照明オン時のホルダの位置は、yi-(1/2)ΔyI-yf+(1/2)ΔyF+yS+yHSとなる。照明オン事象は、ホルダ位置、時間、または堆積ジョブのパラメータによって決まる他の任意のパラメータから計算できる。照明オン事象が時間として表現される場合、vt=yi-(1/2)ΔyI-yf+(1/2)ΔyFとなる時間である。
【0032】
画像の歪みを防ぐために、光の照明時間が最小限に抑えられる。撮像時に基材とレーザ撮像システムとを相対的に移動させてもよい。所望の画像を取得するために必要以上に照明すると、画像の鮮明度が損なわれることがある。このアルゴリズムでは、照明オン事象後、特徴部が照明視野を通過した時点で照明オフ事象を計算する。この計算は、y方向において、yf+(1/2)ΔyF=yi+(1/2)ΔyIのときに実施される。撮像制御アルゴリズム300は、照明オフ時のホルダの位置を、yi+(1/2)ΔyI-yf-(1/2)ΔyF+yS+yHSとして、またはvt=yi+(1/2)ΔyI-yf-(1/2)ΔyFとなる時間として計算することができる。パルス幅は、特徴部が照明視野を通過する時間となるように選択され、すなわちt=(1/v)(ΔyI-ΔyF)である。
【0033】
レーザ撮像システムを、照明視野のx位置が設計された特徴部のx位置と同じになるように位置決めする。
【0034】
図4は、基材上の位置特徴部の撮像方法400の概要を示すフローチャートである。402において、処理装置の基材支持部に基材を配置する。処理装置は通常、基材への材料の付着または材料の除去等の処理を実施するために使用される。基材の位置決め特徴部を用いてこの処理を誘導する。位置特徴部は、基材の位置決めのために特別に基材に追加されたマークや構造体等の特別な特徴部でも、他の目的で基材に追加された特徴部を基材の位置決めに使用してもよい。
【0035】
404において、レーザ撮像システムによって撮影するように基材を位置決めする。基材ホルダを用いて基材を移動させることにより、レーザ撮像システムに対して基材を定位置に移動させることができる。基材支持部は無摩擦の表面を含むことがあり、基材ホルダはほぼ抵抗なく基材を移動させることができる。また、レーザ撮像システムの方を移動させる場合もある。例えば、レールに接続された空気軸受を用いてレーザ撮像システムを位置決めシステム上に配置してもよい。レーザ撮像システムは、レーザ放射を撮像領域に指向させるレーザ光源を含む。撮像部は、基材から反射したレーザ放射を撮像するようにレーザ光源に近接して配置される。
【0036】
基材は、撮像のために、位置決め特徴部の予想位置によって求められた位置に配置される。位置決め特徴部の予想位置は、基材上の、位置決め特徴部があると予想される所定の位置である。レーザ撮像システムと基材は、予想位置がレーザ光源の照射視野付近となるように相互に位置決めされる。
【0037】
406において、レーザ撮像システムに対して相対的に基材を走査する。位置決め特徴部の予想位置は、レーザ光源の照射領域の縁部の方へと移動する。予想位置が照明視野の縁部から所定の距離になると、撮像部が作動して画像データの取得を開始する。この時点では、レーザ光源は作動していない。処理装置は通常、基材支持部およびレーザ撮像システムを隔離する筐体を備えるため、レーザ光源以外の光源が最小限に抑えられる。
【0038】
408において、位置決め特徴部の画像を撮像部で取得可能になると、レーザ光源を作動させる。レーザ光源は、位置決め特徴部の一部が照明ゾーンに入ったと予想されるとき、レーザ光源の照明視野内に存在する位置決め特徴部の割合が最大になったと予想されるとき、または位置決め特徴部全体が最初にレーザ光源の照明視野内に収まったと予想されるときに作動させてもよい。一例では、位置決め特徴部の前端が照明視野の縁部に到達したと予想されるときに、レーザ光源を作動させる。位置決め特徴部の予想位置は、位置決め特徴部の端部でもよいし、位置決め特徴部の中央部でもよい。位置決め特徴部の予想位置が端部にある場合、位置決め特徴部の予想位置が照明視野の縁部に到達したと予想されるときに、レーザ光源を作動させる。位置決め特徴部の予想位置が中央部にある場合、位置決め特徴部の既知の寸法を用いて位置決め特徴部の端部の予想位置を求めることができ、位置決め特徴部の端部の予想位置が照明ゾーンの縁部に到達したと予想されるときに、レーザ光源を作動させる。
【0039】
他の例では、位置決め特徴部またはその大部分が完全にレーザ光源の照射視野内に存在していると予想されるときに、レーザ光源を作動させる。この場合、レーザ光源は、位置決め特徴部の後端が照明ゾーンの縁部に到達したことが、位置決め特徴部の既知の形状および予想位置に基づいて予想されるときに作動させる。位置決め特徴部の最大部分すなわち全体がレーザ光源の照射領域内に収まるまで待ってからレーザ光源を作動させることで、撮像のための露光時間を最小限に抑えることができ、したがって撮像中の基材の移動を最小限に抑えることができる。撮像時の基材の移動を最小限に抑えることで、最も鮮明な画像が得られる。
【0040】
410において、位置決め特徴部またはその一部が通過時間中にレーザ光源の照明視野を通過するように基材とレーザ撮像システムとを互いに走査する。通過時間は様々に規定することができる。一例では、通過時間は、位置決め特徴部の前端がレーザ光源の照明視野に入ってから、位置決め特徴部の後端がレーザ光源の照明視野から出るまでの時間である。別の例では、通過時間は、位置決め特徴部の後端が照明視野に入り、位置決め特徴部には、その後に照明視野に入る他の端部がない状態から、位置決め特徴部の前端が照明視野から出るときまでの時間である。いずれの場合も、位置決め特徴部の全体または一部のみが照明視野を通過してもよい。通過時間は、1マイクロ秒程度である。通過時間は、照明視野の既知の寸法と通過速度とを用いて求めることができる。
【0041】
412において、レーザ光源を停止する。レーザ光源の作動時間とは、レーザ光源が作動してから停止するまでの時間として規定される。レーザ光源の作動時間は、通過時間と同じでも、異なってもよい。レーザ光源の作動時間は、通過時間と同時に開始し通過時間と同じ時間でも、通過時間と一部が重なっても、通過時間を含んでもよい。一例では、作動時間は通過時間と同時に開始し互いに重なり合う。別の例では、作動時間は通過時間と同時に終了し互いに重なり合う。さらに別の例では、作動時間は通過時間と同時並行であり、通過時間と一部重なっても、通過時間を含んでもよい。いずれにしても、作動時間と通過時間は、通過時間中の位置決め特徴部の所望部分の照明に関連する。
【0042】
位置決め特徴部全体の画像が必要であるが、例えば、レーザ光源の照明視野の寸法または撮像部の撮像視野の寸法によって1回の露光では全体画像を取得できない場合には、基材およびレーザ撮像システムを2回目の露光を行うように再度位置決めして、方法400と同様にして位置決め特徴部の追加部分を撮像することができる。
【0043】
414において、撮像部を停止する。撮像時間とは、撮像システムを作動させてから停止するまでの時間と規定することができる。短レーザパルスは、短時間露光で有効な露光を得るよりも簡易であるため、撮像時間はレーザ光源の作動時間よりも長くなる。本明細書に記載の実施形態では、位置決め特徴部の寸法が1μm程度、基材の走査速度が1m/秒程度の場合がある。したがって、本明細書に記載の方法および装置を用いて、1マイクロ秒の持続時間で撮像を行う。このような短時間露光は、1マイクロ秒の短いレーザ作動時間と1ミリ秒以上の長い撮像時間とを使用することで、より容易に実現可能である。
【0044】
方法400は、複数の位置決め特徴部を撮像するために繰り返してもよい。いずれの場合も、位置決め特徴部の予想位置が既知であり、その予想位置がレーザ光源の照射視野付近となるように、基材とレーザ撮像システムを位置決めする。なお、基材の配置ミス、レーザ撮像システムの配置ミス、位置決め特徴部の基材への付着ミス、熱による変位や歪み等があると、位置決め特徴部の予想位置を用いて取得した画像が、所望の画像を取得できていないことがあることに留意されたい。そのような場合、取得画像を解析して、適用可能な位置補正の程度と方向を求めることができる。その後、方法400の実施前または実施中に位置補正を適用しながら、方法400を繰り返すことができる。通常は、方法400を繰り返す前に、位置補正によって位置決め特徴部の予想位置を修正するが、位置決め特徴部の予想位置を修正することに加えて、またはその代わりに、基材および/またはレーザ撮像システムの位置にバイアスを適用することもできる。
【0045】
図5は、本明細書に記載の装置において使用できる方法500およびその他の方法の概略を示すフローチャートである。方法500は、レーザ照射画像から、基材の位置決め特徴部の位置と向きを求める方法である。502において、位置決め特徴部が含まれると予想される位置で、基材の領域の画像を取得する。この画像は、本明細書に記載のレーザ撮像システムを用いて取得する。
【0046】
504において、画像内で一組の格子点を規定する。格子点は、画像内の点を用いた共通座標系のx-y座標で規定される。すなわち、座標で規定された点に撮像システムを配置して画像を取得する。撮像システムの形状によって、座標系における画像の境界の座標が決まる。格子点は、画像の境界線の座標間で規定される。任意の数の格子点を使用してもよいが、位置決め特徴部がより複雑な形状である場合は、格子点が多い方が有効である。
【0047】
位置決め特徴部の予想される形状と寸法は通常、同じ座標系の座標によって規定される。例えば、多角形の位置決め特徴部の各頂点は、座標対の順序集合によって規定することができ、隣接する座標対は縁部で接続された各頂点の位置を規定する。輪郭が湾曲した非多角形の場合、各座標によって形状の縁部の輪郭上の隣接する各点を規定することができる。このような形状を規定するには、より多くの点を設けることで、隣接する点間の直線縁部を想定した場合の誤差を最小限に抑え、形状規定を改善することができる。
【0048】
506において、504で規定された各格子点について、その格子点を通る複数の線を規定する。これらの線は、そこに沿った画像の各画素を表す一組の座標対として規定することもできるし、これらの線を一組の端点として規定することもできる。これらの線の数は、撮像する形状の複雑さに基づいて予め決定され、方法500の1回目の実施で得られる画像内の位置決め特徴部の精細度が不十分な場合、その数を増やしてもよい。これらの線は一般に平面を一様に覆うように選択され、例えば、原点から等角の放射状に延びる線である。
【0049】
508において、506で規定された各線について、その線に沿った画像の画素間の輝度変化を求める。その線を規定する一組の座標対に属する線上の各画素P1(座標対(xP1,yP1))について、その画素の輝度BP1を求める。また、その線上において隣接する少なくとも1つの画素P2(座標(xP2,yP2))の輝度BP2も求める。この2つの輝度をBP2-BP1として減算して、画素P1の輝度の変化を求める。通常は絶対値が使用される。この種の輝度の変化は「順方向」の輝度変化である。また、画素P1を先行する画素P0と比較する「逆方向」の輝度変化や、P0からP1、P1からP2の平均輝度変化である「中央」の輝度変化を使用することもできる。
【0050】
輝度変化は一般に、画像における境界位置を示すために使用される。510において、輝度変化が最も高い画素、すなわち線に沿って輝度変化の程度が最も高い点を画像内の形状境界の候補として所定の数だけ記録する。各線を規定する工程506、線に沿った輝度変化を解析する工程508、最大輝度変化を記録する工程510を、画像について規定されたすべての格子点について繰り返す。この処理から、画像内の形状の縁部を規定する候補点を表す一組の点を取得する。
【0051】
512において、記録した点を解析して、位置決め特徴部の画像の境界上にある点を求める。任意の数の形状認識アルゴリズムを用いて、画像内の形状の境界縁部の位置を規定するために使用できる点を求める。アルゴリズムの選択は、位置決め特徴部の既知の形状に依存する。例えば、形状が円形またはほぼ円形であることが既知である場合、ある点からの距離が等しいことを検索条件とすることができる。より複雑な形状の場合は、マッチングアルゴリズムを用いて、距離に基づいた識別特性を計算することができる。例えば、位置決め特徴部の既知の形状と寸法で画定されたテスト形状を座標で規定し、テスト形状からの記録点の距離を求めることができる。そして、既知の形状と寸法の制約下で、距離統計量が最小となるテスト形状を求めることができる。この検索結果を統計的な外れ値を除外することで改善し、各テスト形状について「最良」スコアを求めることができる。総合的に最良のスコアを有するテスト形状を、画像内の形状を最もよく表現する形状として特定することができる。
【0052】
このようにして得られた最良のテスト形状から、さらに形状の改善を行うことができる。例えば、テスト形状が境界上の画素の座標対で規定された境界を有する場合、曲率メトリックを画素ごとに適用して、テスト形状が記録された各点に適合するように改善することができる。514において、512の解析に基づいて、画像内の位置決め特徴部の境界を表す一組の座標を規定する。
【0053】
画像内の位置決め特徴部の境界を座標で規定した後、画像内の位置決め特徴部の特性を求めることができる。516において、位置決め特徴部の境界を規定する座標の重心を、その特徴部の「中心」として計算する。この位置は、基材上の位置決め特徴部の実際の位置としてシステムに記録することができる。あるいは、最大または最小のx値と最大または最小のy値を位置決め特徴部の位置として使用することもできる。516で位置が規定されると、518において位置決め特徴部の位置誤差を求めることができる。位置誤差は、画像解析から規定された位置決め特徴部の座標と、位置決め特徴部の予想座標との差である。この位置誤差を用いて、基材の処理計画を調整することができる。
【0054】
520において、位置決め特徴部の回転誤差を規定することができる。画像内の位置決め特徴部の境界を規定する座標組に、回転変換を適用することができる。例えば、回転角度をラジアンで規定し、画像内の位置決め特徴部の境界を規定する座標組内の各画素のx-y方向のずれを、各画素の半径座標に基づいて規定することができる。回転変換の適用後、画像境界の回転後の座標組と位置決め特徴部の境界の予想座標組との差を計算する。この差が最小になる回転の程度を、画像の回転誤差とすることができる。回転誤差は、518で位置誤差が特定された場合にはその位置誤差を調整する前または後のいずれで計算してもよい。
【0055】
522において、位置決め特徴部の形状歪み誤差を規定することができる。形状歪み誤差は、位置決め特徴部の予想形状からの歪みを指す。この形状歪み誤差が検出され補正されていないと、位置決め特徴部が適切に成形されているという前提に基づくため、処理エラーが生じる可能性がある。例えば、正方形の位置決め特徴部の一角が誤って配置され、その結果位置決め特徴部が完全な正方形ではない場合、位置決め特徴部は認識され、位置特定され得るが、その位置は誤った形状に基づくため、処理システムに誤って記録されるおそれがある。形状歪み誤差は通常、位置誤差および回転誤差があればそれらを補正した上で求められる。位置と回転を補正した画像の画素ごとの誤差を計算し、形状歪み誤差として記録することができる。基材処理のための位置決め特徴部の記録位置は、特定された形状歪み誤差に基づいて調整することができる。
【0056】
方法500を用いて、基材の複数の位置決め特徴部の位置を特定し、規定することができる。複数の位置決め特徴部において検出された誤差を解析することで、処理システムにおける基材の配置や向きの系統誤差を特定することができる。例えば、複数の位置決め特徴部間で同様の回転または位置の誤差がある場合、基材の配置における全体的な回転または位置の誤差を示し得る。回転や位置の誤差に相違がある場合は、基材上の位置決め特徴部に歪みや位置ずれがあることを示し得る。方法500およびその変形例は、方法500で参照する様々な座標および計算を実行させる適切な命令でプログラミングされたデジタル処理システムを用いて実施される。デジタル処理システムは、画像を表すデータを撮像部から受け取り、画像内の位置決め特徴部の境界、および任意選択で画像内の位置決め特徴部の位置誤差、回転誤差、および形状歪み誤差を自動的に特定する。方法500の結果を利用し、例えば、図1の堆積装置100を用いて基材上への材料堆積を精密に制御することができる。
【0057】
図6は、他の実施形態に係る堆積装置の等角上面図である。図6の装置は、図1の装置と類似であるが、レーザ撮像システム150を含まない点が異なる。代わりに、第1レーザ撮像システム650が、堆積アセンブリ支持部616の一部である撮像レール604に移動可能に接続されている。堆積アセンブリ支持部616は、図1の堆積アセンブリ支持部116と同様にビームまたはレール117を含むが、この場合は堆積レールである。堆積アセンブリ支持部616は、第1撮像システム650および第2撮像システム652を支持する延長部620を含む。延長部620は、堆積レール117の第1端部624から延びる第1立上り部622と、第1端部624とは反対側の堆積レール117の第2端部628から延びる第2立上り部626とを備える。延長部620は、第1立上り部622から第2立上り部626まで延在する撮像レール604をさらに備え、この撮像レール604は、堆積レール117と略平行である。
【0058】
第1撮像システム650および第2撮像システム652の各々は、レーザ撮像システム150と実質的に同じである。第1撮像システム650は、第1撮像キャリッジ654によって撮像レール604に接続されている。第2撮像システム652は、第2撮像キャリッジ656によって撮像レール604に接続されている。ディスペンサハウジング119は、第1撮像システム650と第2撮像システム652との間に位置する。第1撮像キャリッジ654と第2撮像キャリッジ656の各々は、第1撮像システム650および第2撮像システム652を撮像レール604から間隔を空けて支持する側方延長部を有する。この間隔により、第1撮像システム650および第2撮像システム652の各々が、ディスペンサハウジング119の干渉を受けずに、撮像レール604のほぼ全長にわたって移動することが可能となる。
【0059】
装置600は、独立に移動可能な4台の撮像システムを有する。上述の2台の撮像システム650および652は、堆積アセンブリ支持部616の第1側面に配置されている。装置600は、第3撮像システム660と第4撮像システム662を有し、各々が撮像システム650および652と同様のレーザ撮像システムである。本例では、撮像レール604は第1撮像レールであり、第2撮像レール664は堆積アセンブリ支持部616の一部である。第1撮像レール604および第2撮像レール664は、この場合、いずれも2台の立上り部622および626上に配置され、2台の立上り部622と626との間で、それぞれ他方に対して平行に延在している。撮像システム660および662は、各々が撮像キャリッジによって第2撮像レール664に支持されている。具体的には、第3撮像キャリッジ674が第2撮像レール664と接続して第3撮像システム660を支持し、第4撮像キャリッジ676が第2撮像レール664と接続して第4撮像システム662を支持している。撮像レール604と撮像レール664との間の空間によって、第1撮像キャリッジ654および第2撮像キャリッジ656が、第3撮像キャリッジ674および第4撮像キャリッジ676からの干渉を受けずに、第1撮像レール604に沿って移動することが可能となる。このように、4台の撮像システムすべてを、堆積アセンブリ支持部616のほぼ全長にわたって配置することができる。複数の撮像システムを使用することで、大量の画像をより短時間で取得することができ、撮像に依存する処理を高速化することができる。
【0060】
このような装置では、本明細書に記載のレーザ撮像システムを任意の数だけ使用することができる。図6には4台の撮像システムを例示しているが、このような撮像システムを何台でも使用することができる。例えば、2本の撮像レールの一方で2台の撮像システムを使用しても、各撮像レールに1台ずつ、2台の撮像システムを使用してもよい。撮像システムのキャリッジを所望の撮像レールに配置するだけで、一方または両方の撮像レールに撮像システムを追加することができる。キャリッジは空気軸受を用いて撮像レールに接続される場合もある。したがって追加の撮像システムの空気軸受を作動させ、追加の撮像システムを選択した撮像レールに沿って移動させることができる。複数のレーザ撮像システムを配置することによって、レーザ放射による撮像精度を利用して複数の位置を同時に撮像することができ、基材の各部分の撮像速度を高速化することができる。また、複数の撮像装置を使用することにより、基材上の単一の場所について2枚以上の画像を取得して比較する場合には、撮像精度を向上させることができる。
【0061】
本発明の実施形態に関して上述したが、本開示の他の実施形態およびさらなる実施形態をその基本範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】