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特表2022-540626抗力の減少を促進するカテーテルシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】抗力の減少を促進するカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
A61M25/06 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501247
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 US2020041044
(87)【国際公開番号】W WO2021007231
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】62/873,088
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/921,494
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ スパタロ
(72)【発明者】
【氏名】エス.レイ アイザックソン
(72)【発明者】
【氏名】ジー ミン ジミー ヨン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA24
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB26
4C267BB31
4C267BB32
4C267BB37
4C267BB40
4C267CC08
4C267HH09
4C267HH14
(57)【要約】
カテーテルシステムは、カテーテルアダプタに結合されたニードルアセンブリを含むことができる。針アセンブリは、ハウジング、導入針、近位開口部、遠位開口部、および針先端シールド部を含むことができる。導入針の遠位先端は、第1の位置から、導入針の隆起部が接触し、近位開口部を通って移動することが防止される第2の位置へ近位方向に引き抜かれるように構成され得る。遠位先端の第2の位置から第3の位置への近位方向への引き抜きに応答して、ハウジングは近位方向へ移動することができ、針先端シールド部は、遠位開口部を塞ぐために解放され得る。遠位先端が第1の位置から第2の位置におよび第2の位置から第3の位置に近位方向へ移動するとき、針先端シールド部は導入針に接触せず、これにより、導入針に対する摩擦による抗力を減少させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と、近位端と、管腔を形成する壁と、を含むカテーテルアダプタであって、前記壁はスロットを含むカテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタの前記遠位端から遠位に延在するカテーテルと、
前記カテーテルアダプタに結合された針アセンブリであって、
導入針であって、遠位先端と突起部とを含み、前記遠位先端が、第1の位置で前記カテーテルより遠位に配置される、導入針と、
ハウジングであって、
遠位開口部と、
近位開口部であって、その径が前記突起部の外径よりも小さい近位開口部と、
側部開口部であって、その近位端が前記スロットの近位端より遠位である側部開口部と、を含むハウジングと、
前記ハウジング内に配置されるばねクリップであって、第1の端部および第2の端部を含み、前記第1の端部は前記スロット内に部分的に配置されるU字形部分を含み、前記側部開口部の前記近位端はU字形部分内に配置されて、当該U字形部分を外側に付勢し、前記U字形部分は前記導入針に接触せず、前記第1の位置から第2の位置に向かう近位への前記遠位先端の引き抜きに応答して、前記突起部が前記近位開口部に接触し、前記第2の位置から第3の位置に向かう近位への前記遠位先端の引き抜きに応答して、前記ハウジングおよび前記側部開口部の前記近位端は近位に移動し、前記U字形部分は解放されて内側に移動し、前記ばねクリップが前記遠位開口部を塞ぐ、ばねクリップと、を含む針アセンブリと、
を含む、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記ばねクリップの前記第1の端部は、前記側部開口部の前記近位端に隣接する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記ばねクリップの前記第1の端部はシールド部を含み、前記シールド部は、概してL字形であって前記U字形部分から延在し、前記第2の位置から第3の位置に向かう近位方向への前記遠位先端の引き抜きに応答して、前記シールド部は、前記遠位開口部を塞ぐ、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記ばねクリップの前記第1の端部は前記シールド部から近位に延在する縁を含み、前記シールド部は、前記縁と前記U字形部分との間に配置され、前記第2の位置から前記第3の位置に向かう近位方向への前記遠位先端の引き抜きに応答して、前記遠位先端は、前記縁と前記U字形部分との間に配置される、請求項3に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記ばねクリップは前記導入針に接触しない、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記ばねクリップは開口部を含み、前記導入針は、前記開口部を通って延在し、前記ばねクリップは、前記開口部から離間されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記ばねクリップは、概して、前記第1の端部と前記第2の端部の間でU字形である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記ハウジングは溝を含み、前記ばねクリップの前記第2の端部は、前記溝内に配置され、前記遠位先端を前記第2の位置から前記第3の位置への近位方向に引き抜くことに応答して、前記ハウジングおよび前記側部開口部の前記近位端が近位方向に移動し、前記第2の前記端部が前記溝の遠位端に近づくように移動する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
遠位端と、近位端と、管腔を形成する壁と、を含むカテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタの前記遠位端から遠位に延在するカテーテルと、
前記カテーテルアダプタに結合された針アセンブリであって、
導入針であって、遠位先端と突起部とを含み、前記遠位先端が、第1の位置で前記カテーテルより遠位に配置される、導入針と、
ハウジングであって、
遠位開口部と、
近位開口部であって、その径が前記突起部の外径よりも小さく、前記導入針は前記遠位開口部と前記近位開口部を通って延在する近位開口部と、
前記導入針の側方の支持棚と、を含むハウジングと、
接触面を含む針先端シールドと、
前記ハウジングおよび前記針先端シールドの周りに少なくとも部分的に配置される圧縮要素であって、前記接触面は支持棚と整列するとともに、前記圧縮要素は前記接触面を前記支持棚に対して押し付け、前記遠位先端の前記第1の位置から第2の位置に向かう近位方向への引き抜きに応答して、前記突起部は前記近位開口部と接触し、前記遠位先端の前記第2の位置から第3の位置に向かう近位方向への引き抜きに応答して、前記ハウジングは近位に移動するとともに、前記接触面は、前記圧縮要素が前記ハウジングおよび前記針先端シールドを移動させて前記針先端シールドが前記遠位開口部を塞ぐように、前記支持棚と整列しないようにする、圧縮要素と、を含む針アセンブリと、
を含む、カテーテルシステム。
【請求項10】
前記壁はスロットを含み、前記針先端シールドは、前記スロット内に配置された突起を含み、前記針先端の前記第2の位置から前記第3の位置へ向かう近位への引き抜きに応答して、前記ハウジングは近位に移動し、および前記接触面は、前記圧縮要素が前記ハウジングおよび前記針先端シールドを共に移動させかつ前記突起が前記スロットから取り除かれるように、前記支持棚と整列しない、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記突起が前記スロットから取り除かれることに応答して、前記カテーテルアダプタおよび前記針アセンブリの結合が外される、請求項10に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
前記針シールドは前記導入針に接触しない、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
遠位端と、近位端と、管腔を形成する壁と、を含むカテーテルアダプタであって、前記壁はスロットを含むカテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタの前記遠位端から遠位に延在するカテーテルと、
前記カテーテルアダプタに結合された針アセンブリであって、
導入針であって、遠位先端と突起部とを含み、前記遠位先端が、第1の位置で前記カテーテルより遠位に配置される、導入針と、
遠位開口部を含む外側ハウジングと、
前記外側ハウジング内に配置され、近位開口を含む付勢要素であって、前記近位開口部の径は前記隆起部の外径よりも小さく、前記導入針は、前記外側ハウジングの前記遠位開口部および前記付勢要素の前記近位開口部を通って延在する、付勢要素と、
前記外側ハウジング内に配置されるばねクリップであって、前記ばねクリップは、U字形部分と、前記U字形部分より遠位に延在するアームとを含み、前記アームは、前記カテーテルアダプタに係合され、前記付勢要素は、前記U字形部分に接触して、圧縮位置で前記ばねクリップを付勢し、前記遠位先端の前記第1の位置から第2の位置に向かう近位への引き抜きに応答して、前記隆起部は前記付勢要素の前記近位開口部に接触し、前記遠位先端の前記第2の位置から第3の位置に向かう近位への引き抜きに応答して、前記付勢要素は、前記U字形部分より近位へ移動して、前記U字形部分を前記圧縮位置から解放しおよび前記アームを前記カテーテルアダプタから解放する、ばねクリップと、を含む針アセンブリと、
を含む、カテーテルシステム。
【請求項14】
前記遠位先端の前記第2の位置から第3の位置に向かう近位への引き抜きに応答して、前記付勢要素は、前記U字形部分より近位へ移動して、前記U字形部分を前記圧縮位置から解放しおよび前記アームを前記カテーテルアダプタから解放し、また、前記U字形の部分は、前記導入針の前記遠位先端が前記遠位開口から出るのを防ぐように、前記遠位開口を塞ぐ、請求項13に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記導入針は、前記導入針の引き抜きの間前記ばねクリップと接触しない、請求項13に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
前記付勢要素は、内部ハウジングを含み、前記内部ハウジングは前記導入針を取り囲む、請求項13に記載のカテーテルシステム。
【請求項17】
前記付勢要素は、基部と、前記基部から遠位に延在する延長部とを含み、前記延長部は、前記U字形部分に接触して、前記圧縮位置で前記ばねクリップを付勢する、請求項13に記載のカテーテルシステム。
【請求項18】
前記延長部は、前記導入針から離間されている、請求項17に記載のカテーテルシステム。
【請求項19】
前記延長部はロッドを含む、請求項17に記載のカテーテルシステム。
【請求項20】
前記外側ハウジングは、内側支持壁を含み、前記延長部は前記内側支持壁を通って延在する、請求項17に記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
静脈内カテーテルは、一般的にはさまざまな注入治療に用いられる。例えば、静脈内カテーテルは、生理食塩水、さまざまな薬剤、および完全非経口栄養のような液体を患者に注入するために用いることができる。静脈内カテーテルは、患者から採血するためにも用いることができる。
【0002】
一般的なタイプの静脈内カテーテルは、末梢静脈カテーテル(”PIVC”)、末梢から中心静脈まで挿入したカテーテル(”PICC”)、および正中カテーテルである。静脈内カテーテルには、”套管針”カテーテルが含まれ得、これは鋭い遠位先端を有する針の上に取り付けられるものである。鋭利な遠位先端は、患者の皮膚や血管系を刺し通すのに用いることができる。血管系への静脈内カテーテルの挿入は、針による血管系の穿刺に続いて行うことができる。針および静脈内カテーテルは、一般に、針の斜角面を上にして患者の皮膚から離れる方向を向く状態で、患者の皮膚を通って血管系に浅い角度で挿入される。血管系内への針の配置が確認されると、ユーザーは、血管系内の流れを一時的に塞いで、針を引き抜き、その後の採血および/または液体注入のために静脈内カテーテルを留め置くことができる。
【0003】
針が静脈内カテーテルから引き抜かれるときの、臨床医の安全は主要な関心事である。針刺しによるけがのリスクがあるだけでなく、針による血液曝露を避けること臨床医の望むところである。安全性に関する臨床医の要望は、針を抜く間、患者の血管系内に静脈内カテーテルをそのままにしたいという要望と競合する。針が静脈内カテーテルから引き抜かれるときの摩擦による抗力は、挿入部位からのカテーテルの脱落の原因になることがある。摩擦による抗力のために、臨床医は、安全に針を引き抜こうとする間、静脈内カテーテルを適所にいく分ぎこちなく保つことがある。
【0004】
本明細書で特許請求される主題は、不都合を解決する実施形態、または上記で説明されるもののような所定の環境でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景技術は、本明細書で説明されるいくつかの実施例を実行し得る技術領域の一例を示すために提供されるにすぎない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、概して、カテーテルアセンブリ、並びに関連する装置、システムおよび方法に関する。実施形態では、カテーテルシステムはカテーテルアダプタを含み、このカテーテルアダプタは、遠位端、近位端、および管腔を形成する壁を含むことができる。実施形態では、壁はスロットを含むことができる。実施形態では、カテーテルシステムは、カテーテルアダプタの遠位端から遠位に延在するカテーテルを含むことができる。
【0006】
実施形態では、カテーテルシステムは、カテーテルアダプタに結合された針アセンブリを含むことができる。実施形態では、針アセンブリは導入針を含み、この針は、遠位先端および隆起部を含むことができる。実施形態では、遠位先端は、第1の位置でカテーテルより遠位に配置され得る。実施形態では、第1の位置は、患者の血管系への挿入の準備ができている挿入位置に対応する位置とすることができる。
【0007】
実施形態では、針アセンブリはハウジングを含み、このハウジングは、遠位開口部、近位開口部、および側部開口部を含む。実施形態では、近位開口部の径は、隆起部の外径よりも小さいものとできる。実施形態では、側部開口部の近位端は、スロットの近位端より遠位とすることができる。
【0008】
実施形態では、針アセンブリはばねクリップを含み、このばねクリップはハウジング内に配置される。実施形態では、ばねクリップは、第1の端部および第2の端部を含むことができる。実施形態では、第1の端部はU字形部分を含み、このU字形部分はスロット内に部分的に配置されることができる。実施形態では、側部開口部の近位端はU字形部分内に配置されて、U字形部分を外側に付勢することができる。実施形態では、ばねクリップのU字形部分および/またはばねクリップの全体は、導入針に接触しない場合があり、これにより、導入針が引き抜かれるときに、導入針に対する摩擦による抗力が減少させることできる。
【0009】
実施形態では、第1の位置から第2の位置に向かう近位への遠位先端の引き抜きに対応して、隆起部が近位開口部に接触することができる。実施形態では、第2の位置から第3の位置に向かう近位への遠位先端の引き抜きに対応して、ハウジングおよび側部開口部の近位端は近位に移動し、U字形部分は解放されて内側に移動し、また、ばねクリップが遠位開口部を塞ぐことができる。実施形態では、遠位開口部を塞ぐことによって、針刺しによるけがを防ぐことができる。実施形態では、ばねクリップの第1の端部は、側部開口部の近位端に隣接し、それによって、第2の位置から第3の位置に向かう遠位先端の近位方向への引き抜きに対応して、ばねクリップが遠位方向に移動するのを防止することができる。
【0010】
実施形態では、ばねクリップの第1の端部はシールド部を含むことができる。実施形態では、シールド部は、概してL字形であり、U字形部分から延在するものとすることができる。実施形態では、第2の位置から第3の位置に向かう近位方向への遠位先端の引き抜きに応答して、シールド部は、遠位開口部を塞ぐことができる。
【0011】
実施形態では、ばねクリップの第1の端部は縁を含み、この縁はシールド部から近位方向に延在するものとすることができる。実施形態では、シールド部は、縁とU字形部分との間に配置され得る。実施形態では、第2の位置から第3の位置に向かう近位方向への遠位先端の引き抜きに応答して、遠位先端は、縁とU字形部分との間に配置され得る。
【0012】
実施形態では、ばねクリップは、開口部を含み得る。実施形態では、導入針は、ばねクリップの開口部を通って延在することができる。実施形態では、ばねクリップは、開口部から離間されており、これにより、導入針が引き抜かれるときに、導入針に対する摩擦による抗力を減少させることができる。実施形態では、突起部の近位における導入針の外径は、導入針が近位開口部に接触しそれによって支持されるように、ハウジングの近位開口部よりもわずかに小さくすることができる。これらの実施形態では、導入針とハウジングの近位開口部との間の密着によって、ハウジングの近位開口部から血液が漏れるのを防ぐことができる。
【0013】
実施形態では、ばねクリップは、概して、第1の端部と第2の端部の間でU字形であるものとすることができる。実施形態では、ばねクリップの開口部は、第1の端部と第2の端部との間の概略U字形の口の中に配置されるものとすることができる。実施形態では、第1の端部と第2の端部との間の概略U字形の口は遠位方向を向いていてもよく、また、U字形部分の口は近位方向を向いていてもよい。
【0014】
実施形態では、ハウジングは溝を含むことができる。実施形態では、ばねクリップの第2の端部は、溝内に配置することができる。実施形態では、遠位先端を第2の位置から第3の位置への近位方向に引き抜くことに応答して、ハウジングおよび側部開口部の近位端が近位方向に移動し、ばねクリップの第2の端部が溝の遠位端に近づくように移動することができる。
【0015】
実施形態では、ハウジングは、1つまたは複数の支持棚を含むことができ、これは導入針の側方に配置される。実施形態では、針アセンブリは、針先端シールドを含むことができ、これは1つ以上の接触面を含む。実施形態では、針先端シールドは、細長い本体を含むことができ、この本体から1つまたは複数のアームが延在する。実施形態では、アームは接触面を含むことができる。実施形態では、針先端シールドは、導入針に接触しないようにでき、これにより、導入針が引き抜かれるときに、摩擦による導入針への抗力が減少させることができる。
【0016】
実施形態では、圧縮要素を、ハウジングおよび針先端シールドの周りに少なくとも部分的に配置することができる。実施形態では、接触面は支持棚と整列し、圧縮要素は接触面を支持棚に対して押し付けるようにすることができる。実施形態では、遠位先端の第2の位置から第3の位置への近位に向かう方向の引き抜きに応答して、ハウジングは近位に移動し、また、接触面は、圧縮要素がハウジングおよび針先端シールドを共に移動させ、針先端シールドが遠位開口部を塞ぐように、支持棚と整列しないようにすることができる。
【0017】
実施形態では、壁はスロットを含むことができる。実施形態では、針先端シールドは、スロット内に配置された突起を含むことができる。実施形態では、遠位先端の第2の位置から第3の位置への近位に向かう方向の引き抜きに応答して、ハウジングは近位に移動し、また、接触面は、圧縮要素がハウジングおよび針先端シールドを共に移動させ、突起がスロットから取り除かれるように、支持棚と整列しないようにすることができる。実施形態では、突起がスロットから取り除かれることに応答して、カテーテルアダプタおよび針アセンブリの結合が外されるようにすることができる。
【0018】
実施形態では、ハウジングは外側ハウジングを含むことができる。実施形態では、針アセンブリは、ハウジング内に配置された付勢要素を含むことができる。実施形態では、付勢要素は、隆起部の外径よりも小さい径を含む近位開口を含むことができる。実施形態では、導入針は、ハウジングの遠位開口部および付勢要素の近位開口部を通って延在することができる。
【0019】
実施形態では、針アセンブリは、他のばねクリップを含むことができ、このばねクリップはハウジング内に配置される。実施形態では、ばねクリップは、U字形部分と、U字形部分の遠位に延びるアームとを含むことができる。実施形態において、アームは、カテーテルアダプタに係合されるようにすることができる。実施形態では、付勢要素は、U字形部分に接触して、圧縮位置でばねクリップを付勢することができる。
【0020】
実施形態では、遠位先端は、第1の位置から、隆起部が付勢要素の近位開口部に接触する特定の第2の位置に向けて近位方向に引き抜かれるように構成することができる。実施形態では、第2の位置から特定の第3の位置に向かう近位への遠位先端の引き抜きに応答して、付勢要素は、U字形部分より近位へ移動して、U字形部分を圧縮位置から解放し、およびアームをカテーテルアダプタから解放し、また、U字形の部分は、導入針の先端が遠位開口から出るのを防ぐように、遠位開口を塞ぐことができる。
【0021】
実施形態では、付勢要素は、内部ハウジングを含むことができ、このハウジングは導入針を取り囲む。実施形態では、付勢要素は、基部と、基部から遠位に延在する延長部とを含むことができる。実施形態では、延長部は、U字形部分に接触して、圧縮位置でばねクリップを付勢することができる。実施形態では、基部は、付勢要素の近位開口部を含むことができる。実施形態では、延長部は、導入針から離間されている。実施形態では、延長部はロッドを含むことができる。実施形態では、ハウジングは、内側支持壁を含むことができる。実施形態では、延長部は、内側支持壁を通って延在し、また、内側支持壁を通ってスライド可能とすることができる。
【0022】
上述の概略の説明、および以下の詳細な説明は、例示であり、また、説明のためのものであり、特許請求された発明を限定するものではないことが理解されべきである。さまざまな実施形態は、図に示されている構成および手段に限定されないことが理解されるべきである。また、実施形態は、組み合わされてよいこと、または他の実施形態が用いられてよいこと、およびそのように特許請求されていない限り、本発明のさまざまな実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてよいことが理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
例示的な実施形態が、添付の図面を用いて、追加の特殊性および詳細とともに記載され、説明される。
図1A図1Aは、実施形態による、例示的なカテーテルシステムの上方斜視図である。
図1B図1Bは、実施形態による、例示的な第1の位置に例示的な遠位先端を含む例示的な導入針を示す、図1Aのカテーテルシステムの断面図である。
図1C図1Cは、実施形態による、例示的な針アセンブリを示す、図1Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図1D図1Dは、実施形態による、例示的な第2の位置にある遠位先端を示す、図1Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図1E図1Eは、実施形態による、例示的な第3の位置にある遠位先端を示す、図1Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図1F図1Fは、図1Aのカテーテルシステムの一部の断面図であり、第3の位置にある遠位先端と、実施形態による、第2の位置から第3の位置への遠位先端の移動に応答して、例示的なばねクリップが針アセンブリの遠位開口部を塞ぐことを示している。
図1G図1Gは、実施形態による、例示的なカテーテルアダプタから取り外された針アセンブリを示す、図1Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図1H図1Hは、実施形態による、針アセンブリの上面斜視図である。
図2A図2Aは、実施形態による、別の例示的なカテーテルシステムの上面斜視図である。
図2B図2Bは、実施形態による、例示的な第1の位置にある例示的な遠位先端を含む例示的な導入針を示す、図2Aのカテーテルシステムの断面図である。
図2C図2Cは、実施形態による、例示的な第2の位置にある遠位先端を示す、図2Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図2D図2Dは、実施形態による、第3の位置にある遠位先端を示す、図2Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図2E図2Eは、図2Aのカテーテルシステムの一部の断面図であり、第3の位置にある遠位先端と、実施形態による、第2の位置から第3の位置への遠位先端の移動に応答して、例示的な針先端シールドが例示的な針アセンブリの遠位開口部を塞ぐことを示している。
図2F図2Fは、実施形態による、例示的なカテーテルアダプタから取り外された針アセンブリを示す、図2Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図2G図2Gは、実施形態による、針アセンブリの上面斜視図である。
図3A図3Aは、実施形態による、例示的なバイアス要素と、例示的な第1の位置にある例示的な遠位先端を含む例示的な導入針を示す、別の例示的なカテーテルシステムの断面図である。
図3B図3Bは、実施形態による、例示的な第2の位置にある遠位先端を示す、図3Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図3C図3Cは、実施形態による、第3の位置にある遠位先端を示す、図3Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図3D図3Dは、実施形態による、例示的なカテーテルアダプタから取り外された針アセンブリを示す、図3Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図3E図3Eは、実施形態による、図3Aのカテーテルシステムの例示的なばねクリップの上面斜視図である。
図4A図4Aは、実施形態による、例示的な第1の位置にある遠位先端および別の例示的な付勢要素を示す、図3Aのカテーテルシステムの断面図である。
図4B図4Bは、実施形態による、第2の位置にある遠位先端および別の付勢要素を示す、図3Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図4C図4Cは、実施形態による、第3の位置にある遠位先端および別の付勢要素を示す、図3Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図4D図4Dは、実施形態による、別の付勢要素とカテーテルアダプタから取り外された針アセンブリを示す、図3Aのカテーテルシステムの一部の断面図である。
図5A図5Aは、実施形態による、引き抜き距離に対する構造起因の摩擦による抗力を示すグラフである。
図5B図5Bは、実施形態による、カテーテルシステムのより低い抗力を示す例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施形態では、本開示は、カテーテルアダプタに結合された針アセンブリを含むことができるカテーテルシステムに関する。針アセンブリは、ハウジング、導入針、近位開口部、遠位開口部、および針先端シールド機能部を含むことができる。導入針の遠位先端は、第1の位置から、導入針の隆起部が接触して近位開口部を通って移動することが防止される第2の位置へ、近位方向に引き抜かれるように構成され得る。遠位先端の第2の位置から第3の位置への近位方向への引き抜きに応答して、ハウジングは近位方向へ移動することができ、針先端シールド機能部は解放されて遠位開口部を塞ぐことができる。遠位先端が第1の位置から第2の位置へ、および第2の位置から第3の位置へ、近位方向へ移動するとき、針先端シールド機能部は導入針に接触せず、これにより、導入針に対する摩擦による抗力を減少させることができる。図1図4は、実施形態による、カテーテルシステムの例をさらに説明している。
【0025】
ここで、図1A図1Bを参照すると、実施形態による、カテーテルシステム10が示されている。実施形態では、カテーテルシステム10は、遠位端14、近位端16、及び、管腔20を形成する壁18を備え得るカテーテルアダプタ12を含むことができる。実施形態では、管腔20は、遠位端14及び近位端16を通って延在することができる。実施形態では、壁18はスロット21を含むことができる。実施形態では、スロット21は、壁18を通って延在する穴ないし溝を備えることができる。
【0026】
実施形態では、カテーテルシステム10は、カテーテルアダプタ12の遠位端14から遠位方向へ延在するカテーテル22を含むことができる。実施形態では、カテーテル22には、末梢静脈カテーテル(”PIVC”)、ミッドラインカテーテル、末梢挿入型中心静脈カテーテル(”PICC”)、または、他の適切なカテーテルを含むことができる。実施形態では、カテーテルシステム10は、任意の適切なカテーテルアダプタ12を含むことができる。実施形態では、カテーテルアダプタ12は、カテーテルアダプタ12の管腔20と流体連通している側部開口部を含むことができる。実施形態では、延長チューブは、側部開口部内で統合されて、延長セットの一部とすることができる。実施形態では、カテーテルアダプタ12は、ストレート型ないし非一体型とすることができ、延長チューブを含まなくてもよい。
【0027】
実施形態では、カテーテルシステム10は、カテーテルアダプタ12に結合された針アセンブリ24を含むことができる。実施形態では、針アセンブリ24は、遠位先端28および/または隆起部30を含む導入針26を含むことができる。実施形態では、導入針26は金属で構成され、遠位先端28は鋭利なものとすることができる。実施形態では、遠位先端28は、例えば、図1A図1Bに示されるように、第1の位置で、カテーテル22より遠位に配置することができる。実施形態では、第1の位置は、患者の血管系への挿入の準備ができている挿入位置とすることができる。
【0028】
実施形態では、針アセンブリ24はハウジング32を含み、このハウジングは、遠位開口部34、近位開口部36、および側部開口部38を含むことができる。実施形態において、近位開口部36の径は、隆起部30が近位開口部36を通過できないような、隆起部30の外径より小さいものとすることができる。実施形態では、隆起部30は、増大した外径を有する任意の適切な外形を含むものとすることができる。実施形態では、ハウジング32の近位端は、近位開口部36を含むワッシャーを含むことができる。
【0029】
実施形態では、側部開口部38の近位端40は、スロット21の近位端42より遠位とすることができる。実施形態では、針アセンブリ24は、ばねクリップ44を含むことができ、このばねクリップはハウジング32内に配置される。実施形態では、ばねクリップ44は、第1の端部46と第2の端部48を含むことができる。実施形態では、第1の端部46はU字形部分50を含むことができ、このU字形部分はスロット21内に一部が配置される。実施形態では、側部開口部38の近位端はU字形部分50内に配置されて、U字形部分50を外側に向けて付勢するとともに保持することができる。実施形態では、U字形部分50および/またはばねクリップ44の全体は、導入針26に接触しないようにすることができ、これにより、導入針26が引き抜かれるときに、導入針に対する、摩擦による抗力を減少させる。
【0030】
実施形態では、U字形部分50は、概してU字形とすることができ、これは、遠位先端28が第1の位置および第2の位置にあるときに、側部開口部38の近位端38を留めておくのに適切なV字形また他の屈曲形を含むことができる。実施形態では、U字形部分は、180°の屈曲を含むことができる。実施形態では、ばねクリップ44は、金属または他の適切な材料で構成することができる。実施形態では、ばねクリップ44は弾力性とすることができる。
【0031】
実施形態では、導入針26の近位端は、針ハブ51内に固定することができる。実施形態では、針ハブ51は、ハウジング32に近接したものとすることができる。実施形態では、針ハブ51は、1つ以上のグリップ機能部を含むことができ、これは、臨床医による針ハブ51の把持および近位方向への移動を容易にして、患者の血管系およびカテーテルから導入針を引き抜くことができる。
【0032】
図1Cを参照すると、遠位先端28は、第1の位置と第2の位置との間で示されている。図1Dを参照すると、実施形態では、例えば図1Cに示される第1の位置から第2の位置への近位の遠位先端28の引き抜きに応答して、隆起部30は近位開口36に接触する。
【0033】
図1Eを参照すると、実施形態では、例えば、図1Eに示される、第2の位置から第3の位置に向かう近位への遠位先端28の引き抜きに応答して、ハウジング32および側部開口部38の近位端40は近位に移動し、U字形部分50は解放されて内側に向けて移動し、また、ばねクリップ44が遠位開口部34を塞ぐことができる。実施形態では、ばねクリップ44の第1の端部46は、側部開口部38の近位端40に接し、それによって、第2の位置から第3の位置に向かう遠位先端28の近位方向への引き抜きに応答して、ばねクリップ44が遠位方向に動くのを防止することができる。実施形態では、遠位先端28およびハウジング32は、第1の位置と第2の位置との間で約1mmまたは他の適切な距離を移動することができ、これにより、遠位先端28の引き抜きおよび捕捉が容易になる。
【0034】
図1Fを参照すると、実施形態では、ばねクリップ44の第1の端部は、針先端シールド機能部ないしシールド部分52を含むことができる。実施形態では、シールド部52は、概略L字形であり、U字形部分50から延在するものとすることができる。実施形態では、第2の位置から第3の位置への近位方向の遠位先端28の引き抜きに応答して、シールド部52は、遠位先端28が遠位開口部34から出るのを防ぐように、遠位開口34部を遮断することができる。実施形態では、ばねクリップ44ないしシールド部分52はまた、血液が遠位開口部34から漏れるのを防ぐこともできる。
【0035】
実施形態では、ばねクリップ44の第1の端部46は縁54を含み、この縁はシールド部52から近位方向に延在するものとすることができる。実施形態では、シールド部52は、縁54とU字形部分50との間の配置とすることができる。実施形態では、第2の位置から第3の位置に向かう近位方向への遠位先端28の引き抜きに応答して、遠位先端28は、縁54とU字形部分50との間の位置とされる。これらの実施形態では、ばねクリップ44の第1の端部46は、カテーテルシステム10の縦軸56(図1A図1Bも参照)を横切ることができる。
【0036】
実施形態では、ばねクリップ44は、開口部58を含むことができる。実施形態では、導入針26は、ばねクリップ44の開口部58を通って延在することができる。実施形態では、ばねクリップ44は、開口部58からの隙間があり、これにより、導入針26が近位方向へ引き抜かれるときに、導入針26に対する摩擦による抗力を減少させることができる。実施形態では、突起部30より近位の導入針26の外径は、導入針が近位開口部36に接触しそれによって支持されるように、ハウジング32の近位開口部36よりもわずかに小さくすることができる。これらの実施形態では、導入針26とハウジング32の近位開口部36との間の精密嵌合によって、ハウジング32の近位開口部36を通って血液が漏れるのを防ぐことができる。
【0037】
実施形態では、ばねクリップ44は、概略、第1の端部46と第2の端部48の間でU字形のものとすることができる。実施形態では、ばねクリップ44の開口部58は、第1の端部46と第2の端部48との間の概略U字形の口内に配置することができる。実施形態では、第1の端部46と第2の端部48との間の概略U字形の口は遠位方向を向き、また、U字形部分50の口は近位方向を向くようにすることができる。
【0038】
実施形態では、ハウジング32は溝59を含むことができる。実施形態では、ばねクリップ44の第2の端部48は、溝59内に配置することができる。実施形態では、遠位先端28を第2の位置から第3の位置への近位方向に引き抜くことに応答して、ハウジング32および側部開口部38の近位端40が近位方向に移動し、ばねクリップ44の第2の端部48が溝59の遠位端に近づくように移動することができる。
【0039】
ここで図1G図1Hを参照すると、実施形態では、遠位先端28を第2の位置から第3の位置に近位方向への引き抜き、およびU字形部分の、側部開口部38の近位端40およびスロット21からの解放に応答して、針アセンブリ24をカテーテルアダプタ12から取り外すことができる。
【0040】
ここで、図2A図2Bを参照すると、実施形態による、カテーテルシステム60が示されている。実施形態では、カテーテルシステム60は、カテーテルシステム10を含むか、またはそれに対応するものとすることができる。実施形態では、カテーテルシステム60は、1つ以上の含まれる構成要素および/または動作の点で、図1A図1Hのカテーテルシステム10と類似しまたは同じものとすることができる。図2A図2Bは、実施形態による、第1の位置にある導入針26の遠位先端28を示している。
【0041】
実施形態では、カテーテルシステム60の針アセンブリ62は、図1A図1Hのハウジング32を含むかまたはそれに対応し得るハウジング64、および針先端シールド66を含むことができる。実施形態では、ハウジング64は、1つまたは複数の支持棚68を含むことができ、これは導入針26の側方に配置される。実施形態では、針先端シールド66は、1つまたは複数の接触面70を含むことができる。実施形態では、針先端シールド66は、細長い本体を含むことができ、この本体72から1つまたは複数のアーム74が延在する。実施形態では、アーム74は接触面70を含むことができる。実施形態では、アーム74は、導入針26の側方にあるが、導入針26に接触しないようにすることができる。実施形態では、針先端シールド66は、例えば、図2Bに示されるように、導入針26に接触しないようにでき、これにより、導入針26が引き抜かれるときに、導入針26への摩擦による抗力を減少させることができる。
【0042】
実施形態では、圧縮要素76を、ハウジング64および針先端シールド66の周りに少なくとも部分的に配置することができる。実施形態では、圧縮要素には、環状であるばねバンドを含むことができる。実施形態では、接触面70は支持棚68と整列し、圧縮要素76は接触面70を支持棚68に対して押し付けるようにすることができる。
【0043】
実施形態では、ハウジング64は、遠位開口部78および近位開口部80を含むことができる。実施形態において、近位開口部80の径は、隆起部30が近位開口部80を通過できないような、隆起部30の外径より小さいものとすることができる。実施形態では、ハウジング64の近位端は、近位開口部80を含むワッシャーを含むことができる。
【0044】
図2Cを参照すると、実施形態では、例えば図2Cに示される、第1の位置から第2の位置への近位方向の遠位先端28の引き抜きに応答して、隆起部30は近位開口80に接触する。
【0045】
ここで、図2D図2Eを参照すると、実施形態では、例えば、図2Dに示されている、第2の位置から第3の位置への遠位先端28の近位方向への引き抜きに応答して、ハウジング64は近位方向に移動し、接触面70は、支持棚68と整列しないようになる。それに応じて、例えば、図2Eに示されるように、圧縮要素76は、ハウジング64および針先端シールド66を一緒に動かし、針先端シールド66は、遠位開口部78を遮断し、および/または血液が遠位開口部78から漏れるのを防ぐことができる。
【0046】
実施形態では、カテーテルアダプタ12の壁18はスロット82を含むことができる。実施形態では、スロット82は、壁18を通って延在する穴ないし溝を含むことができる。実施形態では、針先端シールド66は、スロット82内に配置される突起84を含むことができる。実施形態では、遠位先端28の第2の位置から第3の位置に向かう近位への引き抜きに応答して、ハウジング64は近位に移動し、また、接触面70が支持棚68と整列しないようにし、それによって、圧縮要素76がハウジング64および針先端シールド66を共に移動させ、突起84がスロット82から取り外されるようにすることができる。
【0047】
ここで、図2F図2Gを参照すると、実施形態では、突起84がスロット82から取り外されることに応答して、カテーテルアダプタ12と針アセンブリ62を切り離すことができる。実施形態では、針アセンブリ62は、遠位先端28を第2の位置から第3の位置に近位方向に引き抜き、カテーテルアダプタ12と針アセンブリ62とを切り離すことに応じて、カテーテルアダプタ12から取り外すことができる。
【0048】
ここで、図3Aを参照すると、実施形態による、カテーテルシステム86が示されている。実施形態では、カテーテルシステム86は、カテーテルシステム10および/またはカテーテルシステム60を含むか、またはそれに対応し得るものである。実施形態では、カテーテルシステム86は、1つまたは複数の含まれる構成要素および/または操作に関して、図1A図1Hのカテーテルシステム10および/または図2A図2Gのカテーテルシステム60と類似しまたは同じものとすることができる。図3Aは、実施形態による、第1の位置にある導入針26の遠位先端28を示している。
【0049】
実施形態では、カテーテルシステム86は、図1A図1Hのハウジング32および/または図2A図2Gのハウジング64を含むかまたは対応する外部ハウジング88を含む針アセンブリ87を含むことができる。実施形態では、針アセンブリ87は、外側ハウジング88内に配置される付勢要素90を含むことができる。実施形態では、付勢要素90は近位開口部92を含むことができ、この開口部は、隆起部30が近位開口部92を通過しないように、隆起部30の外径よりも小さい径を含むことができる。実施形態では、導入針26は、外側ハウジング88の遠位開口部94および付勢要素90の近位開口部92を通って延在することができる。
【0050】
実施形態では、針アセンブリ87は、ばねクリップ96を含むことができ、このばねクリップは外側ハウジング88内に配置される。実施形態では、ばねクリップ96は、U字形部分98と、U字形部分98より遠位に延在するアーム100とを含むことができる。実施形態において、アーム100は、カテーテルアダプタ12に係合されるようにすることができる。実施形態では、アーム100の端部はフィンガを含むことができ、このフィンガはカテーテルアダプタ12の溝に配置される。実施形態では、付勢要素90は、例えば、図3A図3Bに示されるように、U字形部分98に接触して、圧縮位置でばねクリップ96を付勢することができる。
【0051】
図3Bを参照すると、実施形態では、遠位先端28は、第1の位置から、隆起部30が付勢要素90の近位開口部92に接触する第2の位置に向けて近位方向に引き抜かれるように構成することができる。
【0052】
ここで図3Cを参照すると、実施形態では、遠位先端28の第2の位置から第3の位置に向かう近位への引き抜きに応答して、付勢要素90はU字形部分98よりも近位へ移動して、U字形部分98を圧縮位置から解放し、また、アーム100をカテーテルアダプタ12から開放するとともに、U字形部分98は導入針26の遠位先端28が遠位開口部94から出ることおよび/または血液が遠位開口部94から漏れるのを防ぐことができる。
【0053】
図3A~3Dに示されるように、実施形態では、付勢要素90は、導入針26を取り囲む内部ハウジングを含むことができる。
【0054】
ここで図4A~4Dを参照すると、実施形態では、付勢要素90は、基部102と、基部102から遠位方向に延在する延長部104とを含むことができる。実施形態では、延長部104は、U字形部分98に接触して、ばねクリップ96を圧縮位置に付勢することができる。実施形態では、基部102は、付勢要素90の近位開口部92を含むことができる。実施形態では、延長部104は、導入針26との間に隙間を持つことができる。実施形態では、延長部104は、導入針26が引き抜かれるときに導入針26と干渉しないロッドまたは他の適切な形状とすることができる。実施形態では、外側ハウジング88は、内側支持壁106を含むことができる。実施形態では、延長部104は、内側支持壁106を通って延在し、また、内側支持壁106を通ってスライド可能とすることができる。
【0055】
実施形態では、遠位先端28が第1の位置および第2の位置にあるとき、ばねクリップ96は、延長部104に強い力を及ぼすことができる。したがって、実施形態では、ばねクリップ96を付勢し、U字形部分98を圧縮位置に保持するために、延長部104を導入針26の下に配置することができる。さらに詳細には、実施形態では、延長部104は、U字形部分98の口の反対側で、アーム100に向いて、導入針26の側部に配置され得る。実施形態では、遠位先端28を第2の位置から第3の位置へ近位に引き抜くことに応答して、延長部104はU字形部分98よりも近位へ移動して、U字形部分98を圧縮位置から解放することができる。
【0056】
図3Eに戻って参照すると、実施形態によれば、ばねクリップ96が示されている。実施形態では、ばねクリップ96は、任意の適切なばねクリップとすることができる。図3Eは、アーム100、アーム100に対して角度を付けられたフィンガ108、U字形部分98、およびカプラー部分108を示している。実施形態では、カプラー部分108は、外側ハウジング88の内面に結合することができる。実施形態では、ばねクリップ96は弾力性とすることができる。実施形態では、U字形部分は、概略U字形であり、これは、V字形または他の適切な曲げ形状を含むことができる。実施形態では、ばねクリップ96は、金属または他の適切な材料で構成することができる。
【0057】
ここで図4を参照すると、実施形態では、本開示に示される1つまたは複数のカテーテルシステムは、患者およびカテーテルアセンブリからの導入針の引き抜きの間の導入針に対する摩擦誘発抗力を低減するように構成することができる。実施形態では、減少した摩擦誘発抗力によって、臨床医が挿入部位および血管系からカテーテルを誤って外す可能性を減少させることができる。図4に示される距離と相対的な力の大きさの値は、説明のための例であり、限定するものではない。
【0058】
ここで図5Aを参照すると、カテーテルシステム10、カテーテルシステム60、およびカテーテルシステム86は、患者、およびカテーテルアダプタ12およびカテーテル22を含むカテーテルアセンブリから導入針26を引き抜く間の、導入針26に対する摩擦誘起抗力を低減するように構成することができる。実施形態では、図5Aのグラフは、カテーテルシステム10、カテーテルシステム60、およびカテーテルシステム86のうちの1つまたは複数に対応し得る。実施形態では、減少した摩擦誘起抗力は、臨床医が挿入部位および血管系からカテーテル22を誤って外す可能性を減少させることができる。図5A に示される距離と相対的な力の大きさの値は、説明のための例であり、限定するものではない。
【0059】
図5Bは、実施形態による、当技術分野で知られているカテーテルシステム(「標準16Ga」)に対する本開示の例示的なカテーテルシステム(「低抗力16g」)のより低い抗力を示すグラフである。図5Bに示されるように、カテーテルシステムへの負荷(「低抗力16g」)は、当技術分野で知られている他のカテーテルシステムと比較して、導入針の様々な伸張または引き抜き距離で低いままである。カテーテルシステムの負荷ないし抗力(「低抗力16g」)は平均して約0.1Nであり、一方、当技術分野で知られているカテーテルシステムは平均して約0.5から0.6Nの負荷ないし抗力である。実施形態では、カテーテルシステム(「低抗力16g」)は、図3~4のカテーテルシステム86を含むかまたはそれに対応し、患者からの導入針26の引き抜きの間の導入針26に対する摩擦誘発抗力を低減するように構成することができる。
【0060】
本明細書で記載されるすべての例及び条件付き文言は、本発明、および技術を促進するために発明者によって提供される概念を理解することの助けとなるような教育的目的を意図しており、その具体的に列挙されている例及び条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本発明の実施形態について詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換、及び、改変が本明細書にされ得ることを理解されたい。実施形態を組み合わせることができることを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
【国際調査報告】