(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】神経調節エネルギー適用技術
(51)【国際特許分類】
A61N 7/00 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
A61N7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502189
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020041879
(87)【国際公開番号】W WO2021015983
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】プレオ, クリストファー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アシェ, ジェフリー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ショウディ,デヴィッド アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】コテロ, ヴィクトリア ユージニア
(72)【発明者】
【氏名】サバティーニ, ジェームス エンリコ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ32
4C160JJ33
4C160JJ35
4C160JJ36
(57)【要約】
本開示の実施形態は、神経調節治療プロトコルのためのエネルギー適用デバイスの正確な位置決めのための技術に関する。一実施形態では、神経調節位置決めパッチが患者の皮膚に適用される。エネルギー適用デバイスは、神経調節位置決めパッチのフレームに連結して、開口部内部の治療位置で開口部内にエネルギー適用デバイスのトランスデューサを位置決めするように構成される。一実施形態では、フレームはまた、画像化プローブ用の取り外し可能なドックに連結するように構成され、取り外し可能なドックに連結されると、ひいては神経調節位置決めパッチのフレームは、開口部を介して画像データを取得して治療位置を特定または検証するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経調節エネルギー適用システムであって、
神経調節位置決めパッチであって、
対象の皮膚に適用されるように構成された適用面を含む適合可能な基板であって、前記適用面が接着部分を含み、前記適合可能な基板が、前記適合可能な基板が適用されたときに前記第1の開口部を通して前記対象の皮膚の一部を見ることを可能にする第1の開口部を形成する、適合可能な基板と、
前記第1の開口部を囲むように前記適合可能な基板に配置され、前記適合可能な基板の上面から突出する弾性フレームであって、前記上面が前記接着面に対向する弾性フレームと、
前記弾性フレームと取り外し可能に嵌合するように構成されたドックであって、第2の開口部で終端する成形通路を形成し、前記ドックが前記弾性フレームと嵌合すると、前記第2の開口部が前記第1の開口部内に位置する、ドックと
を含む神経調節位置決めパッチ、および
前記フレームの内部に嵌合または連結して、前記対象の皮膚の前記一部を介して内部組織の対象領域に神経調節エネルギーを適用するように構成された超音波治療プローブ
を含むシステム。
【請求項2】
前記成形通路は、超音波画像化プローブを収容するように構成され、前記超音波画像化プローブは、前記対象領域を特定するために前記成形通路の内部に配置されたときに超音波画像データを取得するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ドックは、複数のドックのうちの1つであり、前記複数のドックの各個々のドックは、それぞれ異なるタイプの超音波画像化プローブを収容するように構成された異なる成形通路を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記適用層が超音波ゲル部分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記フレームが、前記ドックまたは前記超音波治療プローブの1つまたは複数の相補的な特徴と可逆的に嵌合するように構成された1つまたは複数の嵌合特徴を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記超音波治療プローブが、超音波治療トランスデューサを支持し、前記1つまたは複数の相補的な特徴を有するハウジングを備え、前記ハウジングが、前記1つまたは複数の相補的な特徴を介して前記フレームと可逆的に嵌合して前記開口部を覆い、前記超音波治療トランスデューサを前記患者の皮膚に向けるように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記フレームの前記1つまたは複数の嵌合特徴が、唯一の向きで前記ハウジングの前記1つまたは複数の相補的な特徴と嵌合するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記唯一の向きが、前記フレームに嵌合された前記ドックに連結されたときに、前記フレーム内の前記超音波治療トランスデューサを超音波画像化プローブの画像化トランスデューサと同じ位置に位置決めする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記超音波治療プローブが無線プローブであり、1つまたは複数のバッテリが前記ハウジングの上または中に配置される、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記超音波治療プローブが、前記ハウジングから延びるケーブルを介して電源に連結された有線プローブである、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記超音波治療プローブが、前記フレームの前記1つまたは複数の相補的な特徴への連結を検出し、前記連結を示す信号を提示するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項12】
前記超音波治療プローブが、前記連結が検出されない場合、前記神経調節エネルギーの適用を停止するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記フレームまたは前記ドックが、前記機械的ロックが作動されたときに、前記プローブのトランスデューサを、前記対象に対する固定の接触圧力で保持する機械的ロックを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記フレームまたは前記ドックが、前記機械的ロックが作動したときに、前記プローブを前記対象に対しておよび/または前記神経調節位置決めパッチに対して固定された向きに保持する機械的ロックを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
方法であって、
対象の画像データを取得すること、
前記取得された画像データに基づいて対象領域を特定または検証すること、
前記対象領域に基づいて前記対象の前記皮膚の治療位置を決定すること、
神経調節位置決めパッチに形成された開口部が前記治療位置にまたはそれに亘って位置決めされるように、前記対象の前記皮膚に前記神経調節位置決めパッチを位置決めすること、
超音波治療プローブを前記神経調節位置決めパッチに連結して、前記超音波治療プローブの治療トランスデューサを前記開口部を通して前記治療位置に位置決めすること、および
前記超音波治療プローブから前記治療位置を通って前記対象領域の治療位置に超音波エネルギーを適用すること、を含む方法。
【請求項16】
神経調節位置決めパッチから前記超音波治療プローブを非連結にすること、および
前記超音波治療プローブから追加の超音波エネルギーを適用するために、前記超音波治療プローブを前記神経調節位置決めパッチに再連結することであって、前記追加の超音波エネルギーが、次の予定された投与量に関連付けられる、再連結することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
対象の画像データを取得することが、超音波画像化プローブを前記神経調節位置決めパッチの取り外し可能なドックに連結して、前記超音波画像化プローブの画像化トランスデューサをドック開口部と前記神経調節位置決めパッチの前記開口部の両方の内部に位置決めすることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記神経調節位置決めパッチのフレームから前記取り外し可能なドックを非連結にすることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波治療プローブを前記神経調節位置決めパッチに連結することが、前記超音波治療プローブの嵌合特徴を前記神経調節位置決めパッチの弾性フレームの相補的な嵌合特徴に連結することを含み、前記フレームが前記開口部の周囲に配置される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記対象の前記皮膚に神経調節位置決めパッチを位置決めすることが、前記神経調節位置決めパッチの適用層を前記対象の前記皮膚に接着することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
神経調節位置決めパッチであって、
前記適合可能な基板を通って延在する開口部を備える適合可能な基板と、
前記適合可能な基板の適用面に配置された接着剤と、
前記開口部の周囲の周りで前記基板に連結され、前記適合可能な基板の上面から突出する弾性フレームであって、1つまたは複数の嵌合特徴を備える弾性フレームと、
前記1つまたは複数の嵌合特徴に対する1つまたは複数の相補的な嵌合特徴を介して前記弾性フレームと取り外し可能に嵌合するように構成された超音波画像化プローブ用の少なくとも1つのドックであって、第2の開口部で終端する成形通路を形成し、前記第2の開口部は、前記ドックが前記弾性フレームと嵌合したときに前記第1の開口部内に位置する、ドックと
を含む、神経調節位置決めパッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、標的化されている生理学的転帰を引き起こすための神経調節エネルギーの適用を介して、対象における神経調節エネルギー投与量の適用を補助する技術に関する。特に、開示された技術は、反復投与プロトコル、自己適用プロトコル、および/または在宅神経調節治療プロトコルの一部であり得る。
【背景技術】
【0002】
神経調節は、様々な臨床症状の治療に使用されてきた。例えば、脊髄に沿った様々な場所での電気刺激は、慢性腰痛の治療に使用されてきた。しかし、電極を標的神経またはその近くに配置することは困難である。例えば、そのような技術は、エネルギーを送達する電極の外科的配置を含み得る。さらに、神経調節を介した特定の組織ターゲティングは困難である。特定の標的神経またはその近くに配置された電極は、神経線維の活動電位を誘発することによって神経調節を媒介し、その結果、ひいては神経シナプスでの神経伝達物質の放出と次の神経とのシナプス伝達が起こる。植込まれた電極の現在の実装は一度に多くの神経または軸索を刺激するので、そのような伝播は、所望よりも比較的大きいまたはより拡散した生理学的効果をもたらす可能性がある。神経経路は複雑で相互に関連しているため、より選択的でターゲットを絞った変調効果が、より臨床的に有用である可能性がある。しかし、特定の神経を選択的に標的にする有効性は、エネルギー適用デバイスの正確な位置決め次第である可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
特許請求された主題に範囲が見合った特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は、特許請求される主題の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ、これらの実施形態は、可能な実施形態の簡単な概要を提示することのみを意図する。実際、本開示は、以下に記載される実施形態と類似している、または異なる可能性がある様々な形態を包含し得る。
【0004】
一実施形態では、神経調節位置決めパッチを含む神経調節エネルギーの適用システムが提供される。神経調節位置決めパッチは、対象の皮膚に適用されるように構成された適用面を含む適合可能な基板であって、適用面が接着部分を含み、適合可能な基板が、適合可能な基板が適用されたときに第1の開口部を通して対象の皮膚の一部を見ることを可能にする第1の開口部を形成する、適合可能な基板を含む。神経調節位置決めパッチはまた、第1の開口部を囲むように適合可能な基板に配置され、適合可能な基板の上面から突出する弾性フレームであって、上面が接着面に対向する弾性フレームを含む。また、神経調節位置決めパッチは、弾性フレームと取り外し可能に嵌合するように構成されたドックであって、第2の開口部で終端する成形通路を形成し、ドックが弾性フレームと嵌合すると、第2の開口部が第1の開口部内に位置する、ドックを含む。神経調節エネルギーの適用システムはまた、フレームの内部に嵌合または連結して、対象の皮膚の一部を介して内部組織の対象領域に神経調節エネルギーを適用するように構成された超音波治療プローブを含む。
【0005】
別の実施形態では、方法であって、対象の画像データを取得すること、取得された画像データに基づいて対象領域を特定または検証すること、対象領域に基づいて対象の皮膚の治療位置を決定すること、神経調節位置決めパッチに形成された開口部が治療位置にまたはそれに亘って位置決めされるように、対象の皮膚に神経調節位置決めパッチを位置決めすること、超音波治療プローブを神経調節位置決めパッチに連結して、超音波治療プローブの治療トランスデューサを開口部を通して治療位置に位置決めすること、および超音波治療プローブから治療位置を通って対象領域の治療位置に超音波エネルギーを適用すること、というステップを含む方法が提供される。
【0006】
別の実施形態では、神経調節位置決めパッチであって、適合可能な基板を通って延在する開口部を備える適合可能な基板と、適合可能な基板の適用面に配置された接着剤と、開口部の周囲の周りで基板に連結され、適合可能な基板の上面から突出する弾性フレームであって、1つまたは複数の嵌合特徴を備える弾性フレームと、1つまたは複数の嵌合特徴に対する1つまたは複数の相補的な嵌合特徴を介して弾性フレームと取り外し可能に嵌合するように構成された超音波画像化プローブ用の少なくとも1つのドックであって、第2の開口部で終端する成形通路を形成し、第2の開口部は、ドックが弾性フレームと嵌合したときに第1の開口部内に位置する、ドックとを含む、神経調節位置決めパッチが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明が、図面全体にわたって同様の文字が同様の部分を表す添付の図面を参照して読まれるときに、よりよく理解されるであろう。
【
図1】本開示の実施形態による、パルス発生器および神経調節位置決めパッチを使用する神経調節システムを概略的に表したものである。
【
図2】本開示の実施形態による、非連結構成の神経調節位置決めパッチならびにドックおよび超音波画像化プローブを概略的に表したものである。
【
図3】本開示の実施形態による、神経調節位置決めパッチおよびドックを概略的に表したものである。
【
図4】本開示の実施形態による、プローブに連結された神経調節位置決めパッチおよびドックを概略的に表したものである。
【
図5】本開示の実施形態による、様々な構成のための異なるドックを含む神経調節位置決めパッチを概略的に表したものである。
【
図6】本開示の実施形態による、ドックを介して超音波画像化プローブに連結された神経調節位置決めパッチを概略的に表したものである。
【
図7】対象によって着用された空または連結されていない神経調節位置決めパッチを概略的に表したものである。
【
図8】本開示の実施形態による、非連結構成で神経調節位置決めパッチのフレームに連結するように構成された神経調節位置決めパッチおよび超音波治療プローブを概略的に表したものである。
【
図9】
図8の超音波治療プローブに連結された神経調節位置決めパッチの底面図である。
【
図10】
図8の超音波治療プローブに連結された神経調節位置決めパッチのフレームの底面図である。
【
図11】本開示の実施形態による、ロック特徴を有する神経調節位置決めパッチのフレームに連結するように構成された神経調節位置決めパッチおよび超音波治療プローブの構成要素の図である。
【
図12】本開示の実施形態による、超音波治療および画像化プローブを一体型で組み合わせた神経調節位置決めパッチの底面図である。
【
図13】本開示の実施形態による神経調節位置決めパッチを使用する神経調節技術の流れ図である。
【
図14】本開示の実施形態による神経調節システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1つまたは複数の特定の実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装のすべての特徴が本明細書に記載されているわけではない。任意のエンジニアリングまたは設計プロジェクトと同様に、このようないずれかの実際の実装の開発では、実装ごとに異なる場合がある、システム関連およびビジネス関連の制約への準拠など、開発者の特定の目標を達成するために、実装固有の多数の決定を行う必要があることを理解されたい。さらに、そのような開発努力は複雑で時間を要するものであるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとって、設計、製作、および製造の日常的な作業であることを理解されたい。
【0009】
本明細書に記載されているいずれの例または図は、それらが使用されるいずれか1つまたは複数の用語に対する制限、限定、または定義の明示のいずれかの様式とみなされるべきではない。代わりに、これらの例または図は、様々な特定の実施形態に関して説明されており、例示のみであるとみなされるべきである。当業者は、これらの例または図が利用される任意の1つまたは複数の用語が、共にまたは本明細書の他の場所で与えられる場合も与えられない場合もある他の実施形態を包含し、そのようなすべての実施形態が、その1つまたは複数の用語の範囲内に含まれることを意図していることを、理解されよう。そのような非限定的な例および図を呼称する文言は、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「例えば(such as)」、「例えば(e.g.)」、「含む(including)」、「特定の実施形態において(in certain embodiments)」、「いくつかの実施形態において(in some embodiments)」、および「(一)実施形態において(in one(an)embodiment)」を含むが、これらに限定されない。
【0010】
本明細書で提供されるのは、治療プロトコルの過程にわたる特定の1つまたは複数の対象領域への再現性のある信頼できるエネルギーの適用を可能にする、治療プロトコルの一部としての標的対象領域の非侵襲性の神経調節用の技術である。非侵襲性の神経調節は、患者の皮膚に位置決めされ、皮膚を通して対象領域に神経調節エネルギーを送達するエネルギー適用デバイス(例えば、治療プローブ、超音波治療プローブ)を介して適用することができる。特定の患者の場合、治療プロトコルは、患者の特定の臨床ニーズに応じた間隔で、標的化されている生理学的転帰に関連する投与量で、患者の対象領域へエネルギーを適用すること、例えば非侵襲的超音波または機械式のエネルギー適用が含まれる場合がある。エネルギーを適用する間隔の長さ(例えば、時間、日、または週の間隔)によっては、各治療時に患者の診療所または病院で神経調節エネルギーを浴びてもらうことが不便で面倒な場合がある。したがって、患者が自宅または不便な外来の設定での治療プロトコルに従って、自主的な送達を介して、または家族または介護者の助けを借りて、神経調節エネルギーを浴びることを可能にすることは有益であろう。ただし、患者は通常、医療機器の操作に関する技能をもっておらず、また訓練も受けていないため、自分の神経調節治療を管理するように患者を訓練するのが難しい場合がある。さらに、各患者の治療プロトコルは、標的化されている生理学的転帰を生成するために、パーソナライズされ、解剖学的構造、患者の臨床状態、およびエネルギーに対する患者の反応性の多様性に応じて、患者ごとに異なり得る。例えば、特定の障害を治療するための治療プロトコルは、特定の対象領域(例えば、肝臓、膵臓、または他の組織の領域)を標的とし得る。対象領域を標的とする神経調節エネルギーに関連する有効なエネルギー適用部位は、患者の解剖学的構造の違いのために、ある患者にはある部位にあっても、別の患者にはわずかに異なる部位にある可能性がある。そのような部位はまた、患者の背中または脇の領域を含み得る。これは、治療プローブを保持している間に到達することが困難であり、たとえ到達したとしても、患者が反復投与のために正確に標的とすることが困難である。さらに、対象領域へのエネルギー送達を達成するための所望の対象領域、および皮膚の関連する治療位置の特定は、広く利用可能であるわけではなく、複数回の投与治療プロトコルの各投与に時間を追加する複雑な画像化デバイスを含むことができる。
【0011】
本明細書に開示される神経調節技術は、エネルギー適用デバイス用の患者の皮膚の治療位置の特定、および治療位置またはその周囲への神経調節位置決めパッチの位置決めを容易にする。例えば、患者が数日または数週間にわたって行われる複数回投与の治療プロトコルを処方される場合、神経調節位置決めパッチは、治療プロトコルの開始時に患者に適用され得、治療プロトコルが完了するまで所定の位置に留まり、エネルギー適用デバイスの正しい位置決めを容易にすることができる。神経調節位置決めパッチは、エネルギー適用デバイス(例えば、治療プローブ)と可逆的に適合または嵌合し、神経調節エネルギーの適用による対象領域の正確な標的化のためにエネルギー適用デバイスを治療位置に位置決めする支持構造を含む。治療位置は、エネルギー適用デバイスが本明細書で提供されるように治療位置に位置決めされたときに、治療部位で(および治療部位を通して)適用されるエネルギーが標的化されている生理学的転帰を達成するために、患者の身体の所望の対象領域に影響を与える、患者の身体にある位置である。そのような技術は、患者および/またはその介護者が自身の治療を正確に行うように導くことができる。
【0012】
一実施形態では、神経調節位置決めパッチは、患者または介護者が圧力を加える必要がないように、または特定の実施形態では、治療プローブを正しい位置に維持するために治療プローブを保持する必要がないように、治療プローブを少なくとも部分的に支持および配向することができる。これは、異なる介護者が治療プローブを治療位置と位置がずれている、または部分的に位置合わせされた、わずかに異なる位置に向けるおよび/または位置決めする結果であり得る、投与量の適用の変動性を低減することができる。さらに、治療位置での皮膚に対するプローブの圧力の差もまた、適用される投与量の望ましくない変動性をもたらし得る。開示された技術のさらなる利点は、神経調節位置決めパッチが、患者の皮膚の対象領域および治療位置の1回での特定を可能にすることである。特定されると、神経調節位置決めパッチが定位置に位置決めされる。その後の投与量の適用で、対象領域の特定に関連する複雑な画像化を実行する必要がない。したがって、投与量の適用はより速く、複雑な画像化デバイスなしで家庭または外来環境で行うことができ、治療プロトコルに従って神経調節エネルギーを受け取るためのより大規模な柔軟性をもたらす。神経調節位置決めパッチは、多機能であってもよく、アダプタ構造を介して治療プローブならびに画像化プローブに連結するように構成されてもよい。
【0013】
その目的のために、開示された神経調節技術は、治療プロトコルの一部として神経調節エネルギーを投与するために使用されるように構成された神経調節システムと併せて使用され得る。
図1は、エネルギーの適用に応答した神経伝達物質の放出および/またはシナプスの構成要素(例えば、シナプス前細胞、シナプス後細胞)の活性化などの神経調節効果を達成するエネルギー適用デバイスを補助する神経調節位置決めパッチを使用するシステム10を概略的に表したものである。図示されたシステムは、エネルギー適用デバイス12(例えば、超音波治療プローブ)に連結されたパルス発生器14を含む。エネルギー適用デバイスは、対象の皮膚の所定の位置にあり、神経調節エネルギーを適用する間に治療位置でエネルギー適用デバイス12を保持または支持する神経調節位置決めパッチ16に連結される。エネルギー適用デバイス12は、例えば、リードまたはワイヤレス接続を介して、使用中、対象の内部組織または器官(例えば、末梢組織)の対象領域18に向けられ、その結果、順次標的化されている生理学的転帰をもたらすエネルギーパルスを受けるように構成される。図示の実施形態では、神経調節位置決めパッチ16は、対象の背中の届きにくい場所に配置される。しかし、神経調節位置決めパッチ16は、対象の臨床的必要性に応じて適切な治療部位と位置合わせするように適用され得ることを理解されたい。
【0014】
特定の実施形態では、エネルギー適用デバイス12および/またはパルス発生器14は、無線で、例えば、パルス発生器14に順次命令を与えることができるコントローラ20と通信することができる。他の実施形態では、パルス発生器14は、コントローラ20の内部に統合されてもよい。エネルギー適用デバイス12は、介護者によって操作され得、エネルギーパルスが所望の内部組織(例えば、1つまたは複数の末梢軸索終末を含む末梢組織)に経皮的に送達されるように、対象の皮膚またはその上方に、神経調節位置決めパッチ16を介して配置され得る。神経調節位置決めパッチ16との連結を介してエネルギーパルスを所望の部位に適用するように配置されると、システム10は、1つまたは複数の神経経路の神経調節を開始して、標的化されている生理学的転帰または臨床効果を達成することができる。
【0015】
特定の実施形態では、システム10は、コントローラ20に連結され、標的化されている生理学的転帰の調節が達成されたかどうかを示す、特性を評価する評価デバイス22を含み得る。一実施形態では、標的化された生理学的結果は局所的であり得る。例えば、1つまたは複数の神経経路の調節は、本明細書に開示されているように、組織構造の変化、特定の分子の濃度の局所的変化、組織の変位、流体移動の増加などの局所的組織または機能の変化をもたらし得る。標的化されている生理学的転帰は、治療プロトコルの目標であり得る。例として、標的化されている生理学的転帰は、ホルモン分泌(膵臓からのインスリンまたはGIからのグレリンの分泌など)、細胞の生存率、および/または細胞もしくはホルモンの安定性を含み得る。
【0016】
神経調節位置決めパッチ16は、本明細書で提供されるような神経調節治療プロトコルと共に使用することができる。標的化されている生理学的転帰を達成するための1つまたは複数の神経経路の神経調節は、全身的または非局所的変化をもたらす可能性があり、標的化されている生理学的転帰は、循環している分子の濃度の変化またはエネルギーが直接適用された対象領域を含まない組織の特性の変化に関連し得る。一例では、変位は、所望の変調の代理測定であり得、期待される変位の値に満たない変位の測定は、期待される変位の値が誘発されるまで、変調パラメータの修正をもたらし得る。したがって、評価デバイス22は、いくつかの実施形態において、濃度の変化を評価するように構成され得る。いくつかの実施形態では、評価デバイス22は、器官のサイズ、位置、および/または組織の特性の変化を評価するように構成された画像化デバイスであり得る。いくつかの実施形態では、評価デバイス22は、治療に関連する動脈抵抗率の変化を示す血圧の変化を監視する。別の実施形態では、評価デバイス22は、循環グルコースモニターであり得る。システム10の描写された要素は別々に示されているが、要素のいくつかまたはすべてを互いに組み合わせることができることを理解されたい。別の実施形態では、評価デバイスは、組織の局所的な温度上昇を評価することができ、これは、超音波エネルギー適用に構成された場合、別個の温度センサまたはエネルギー適用デバイス12からの超音波画像データを使用して検出され得る。音の速度の違いの評価は、治療前/治療中/治療後の画像化技術の違いによって検出できる。
【0017】
評価に基づいて、コントローラ20の調節パラメータは、有効な量のエネルギーが適用されるように変更され得る。例えば、所望の調節が、定義された時間枠(例えば、エネルギー適用の処置が開始されてから5分後、30分後)内、または処置の開始時のベースラインに対しての濃度(循環濃度、あるいは1つまたは複数の分子の組織濃度)の変化に関連する場合、パルス周波数または他のパラメータなどの調節パラメータの変化が望まれる場合があり、それは、操作者によって、または自動フィードバックループを介して、コントローラ20に順次提供でき、調節パラメータが有効な量のエネルギー適用に至るまで、パルス発生器14のエネルギー適用パラメータまたは調節パラメータを定めるまたは調整する。
【0018】
本明細書で提供されるシステム10は、有効量のエネルギーを適用するための治療プロトコルの一部として、様々な調節パラメータに従ってエネルギーパルスを提供することができる。例えば、調節パラメータは、連続的から断続的までの範囲の様々な刺激時間のパターンを含み得る。断続的な刺激では、エネルギーは信号がオンの時間に、特定の周波数で一定期間供給される。信号がオンの時間の後には、信号がオフの時間と言及される、エネルギーが供給されない期間が続く。変調パラメータはまた、刺激の適用の頻度、および持続時間を含み得る。適用頻度は、連続的であっても、または様々な期間、例えば、1日または1週間以内に送達されてもよい。さらに、治療プロトコルは、エネルギーを適用する時間、または食事もしくは他の活動に関連する時間を指定することができる。標的化されている生理学的転帰を引き起こすための治療期間は、数分から数時間までを含むがこれらに限定されない様々な期間続く可能性がある。特定の実施形態では、特定の刺激パターンによる治療期間は、1時間持続し得、例えば、72時間間隔で繰り返され得る。特定の実施形態では、エネルギーは、より短い持続時間、例えば30分の間、より高い頻度で、例えば3時間ごとに送達され得る。治療期間、周波数、および振幅などの調節パラメータに従って、エネルギーの適用を調整可能に制御して、所望の結果を達成することができる。
【0019】
エネルギー適用デバイス12は、体外非侵襲的デバイスとして構成され得る。エネルギー適用デバイス12は、体外の非侵襲的超音波治療プローブ、例えば超音波トランスデューサまたは機械式アクチュエータであり得る。例えば、エネルギー適用デバイス12は、ハンドヘルド式超音波プローブとして構成されてもよい。さらに、ハンドヘルド構成に加えて、エネルギー適用デバイス12は、コントローラ20からの命令に応答するステアリング機構を含み得る。ステアリング機構は、エネルギー適用デバイス12を対象領域18に向けるまたは方向付けることができ、次いで、コントローラ20は、エネルギーの適用を対象領域18に集束させることができる。
【0020】
動作中、神経調節位置決めパッチ16は、投与量の送達中にエネルギー適用デバイス12を保持または支持するように構成され得る。さらに、神経調節位置決めパッチ16は、所望の治療部位を特定または検証するために画像を取得するために、画像化プローブを保持または支持するように構成される。本明細書で提供されるように、画像化プローブは、システム10の一部であってもよく、エネルギー適用デバイス12を介したエネルギーの適用を制御する同じまたは同様の構成要素を使用して動作してもよい。すなわち、画像化プローブは、コントローラ20の制御下でパルス発生器14を使用することができる。一実施形態では、本明細書に開示される超音波治療トランスデューサおよび/または画像化トランスデューサは、容量性微小機械加工超音波トランスデューサなどのMEMSトランスデューサを含む。一実施形態では、治療トランスデューサおよび画像化トランスデューサは、一体型エネルギー適用デバイス12内に一体化されてもよい。しかし、他の実施形態では、エネルギー適用デバイス12および画像化プローブは別個のデバイスである。
【0021】
エネルギー適用デバイス12および画像化プローブは異なる構成を有し得るので、神経調節位置決めパッチ16は、両方のタイプのデバイスに連結するように神経調節位置決めパッチ16を適合させる特徴を含む。
図2は、対象に適用され、画像化プローブ28を受容するように構成された神経調節位置決めパッチ16の概略図である。神経調節位置決めパッチ16は、神経調節位置決めパッチ16が適所に適用される(例えば、接着される)ときに開口部32を通して患者の皮膚を見ることを可能にするために、適合可能な基板を通る開口部または開口部32を形成する適合可能な基板30を含む。適合可能な基板30は、布地、紙、または適合可能なポリマーから形成されてもよい。開口部32は、適合可能な基板30の上面36から突出する弾性フレーム34によって囲まれている。上面36は、患者の皮膚に適用される適合可能な基板32の表面に対向する。
【0022】
特定の実施態様では、神経調節位置決めパッチ16は、数日間にわたる摩耗を意図している。したがって、適合可能な基板32は、剛性基板よりも対象にとってより快適であり得る。しかし、特定の実施形態では、適合可能な基板32の一部は、より大きいまたはより重い連結するプローブの支持を促進するために、剛性要素で置き換えまたは強化させてもよい。
【0023】
画像化構成で動作している最中、弾性フレーム34は、取り外し可能なドック40に連結するように構成される。取り外し可能なドック40は、画像化プローブ28を収容する遠位開口部42で終端する通路を形成する。弾性フレーム34は、ドック40の遠位開口部42が開口部32内に配置されるように、取り外し可能なドック40に連結する。このようにすると、画像化プローブ28の画像化トランスデューサ46は、ドック40に連結されたときに、治療部位50に正確に位置決めされる。一実施形態では、ドック40は、弾性フレーム34に連結されたときに遠位開口部で患者の皮膚に直接接触するように構成される。画像化プローブ28の弾性フレーム34、ドック40、および/または画像化トランスデューサ46は、それぞれの連結を容易にする1つまたは複数の嵌合特徴を含むことができる。例えば、弾性フレーム34の内壁52は、ドック40の外壁68の相補的な特徴56に嵌合するように構成された、1つまたは複数の溝または突起54を含むことができる。同様に、画像化プローブのハウジング59の外壁58はまた、ドック40の内壁64の相補的な特徴62に嵌合するように構成された1つまたは複数の嵌合特徴60を含むことができる。弾性フレーム34、ドック40、および/または画像化トランスデューサ28は、10~50ショアDの硬度を有するポリマーなどの剛性または半剛性の材料から形成されてもよい。
【0024】
本明細書に開示されるように、嵌合特徴(例えば、嵌合特徴54、56、60、62)は、溝、凹部、突出部、ロック特徴、ねじ状特徴、スナップなどとして構成されてもよい。さらに、特定の構成要素は、追加的または代替的に、締まりばめ用に構成されてもよい。嵌合特徴はまた、それらの相補的な特徴と嵌合するとき、嵌合が成功したことを示す信号を生成または提供する1つまたは複数の信号発生器またはインジケータ(例えば、RFIDチップ57)を含むことができる。嵌合特徴は、互いに対して嵌合部品の1つの向きのみを可能にするように構成されてもよい。例えば、弾性フレーム34およびドック40は、一方向でのみ互いに嵌合することができる。さらに、ドック40はまた、画像化プローブ28を一方向のみに収容してもよい。そのような配置は、神経調節位置決めパッチ16の内部に、および治療部位50に対する画像化プローブ28の正しい配向を容易にすることができる。
【0025】
図示の構成では、弾性フレーム34は、上面36から距離70(例えば、3cm未満、1cm未満)だけ突出している。突出部は、対象から離れる方向にある。特定の実施形態では、弾性フレーム34が比較的薄型であり、経時的に対象に不快感をあまり引き起こさないことが望ましい。さらに、比較的大きな外形を有し得るドック40を、取り外し可能に構成することによって、神経調節位置決めパッチ16は、より高い外形(皮膚からの突出がより大きい)の画像化構成において、一時的にのみ構成され得る。他の実施形態では、弾性フレーム34は、弾性フレーム34がドッキング構成または動作構成に対してより低い外形を有するドッキング解除構成または空の構成の間で、切り替わることができるように、伸縮式または調整可能な高さの壁52を有するように構成することができる。
【0026】
患者に対する神経調節位置決めパッチ16の初期の位置決めは、画像化の技術者または医師によって実行され得る。操作者は、対象領域18を含む画像が取得されるまで画像を取得する。対象領域18の画像を取得した時の皮膚における画像化プローブ28の位置は、治療位置50に対応し得る。一実施形態では、マーク、一時的な刺青、またはステッカーなどのインジケータ74を、治療位置50に対する皮膚に付して、開口部32の正しい位置決めを治療位置50と位置合わせされるように、すなわち位置決めされるように、誘導することができる。さらに、インジケータ74は、神経調節位置決めパッチ16の正確な位置決めを補助するために開口部32と位置合わせするように成形させてもよい。一実施形態では、神経調節位置決めパッチ16は、インジケータ74を適用および/またはリフレッシュするように構成され得る。例えば、適合可能な基板30、弾性フレーム34、および/または取り外し可能なドック40は、神経調節位置決めパッチ16の適用時に対象をマークするように構成されたインクまたは他の転写可能な材料を含むことができる。神経調節位置決めパッチ16は、最終的に適所に接着される前にいくつかの位置を試すために対象に沿って移動され得るので、転写可能な材料は、ユーザの行動によって作動またはトリガされ得る。例えば、転写可能な材料は、感圧性であってもよく、十分な圧力が加えられたときに加えられてもよい。別の実施形態では、取り外し可能なドック40と弾性フレーム34との嵌合が成功すると、取り外し可能なドック40内のリザーバ、および転写可能な材料を含み神経調節位置決めパッチ16の患者接触側に開口する弾性フレーム34が、開く。別の実施形態では、ユーザがボタンまたはアクチュエータを押すと、転写可能な材料が放出される。このようにして、神経調節位置決めパッチ16の所望の位置は、先行の装置が交換される予定であるときに新しい神経調節位置決めパッチ16を対象に適用することができるようにマーキングされ得る。
【0027】
インジケータ74は、所望の治療部位50の特定後に神経調節位置決めパッチ16の好ましい位置をマークするために適用される。そのような特定は、対象または操作者が画像化データに基づいて神経調節位置決めパッチ16を正しい位置に接着することを可能にする第1のパス位置決めを構成し得る。しかし、治療位置50を検証するため、および/または治療プローブを微調整するための情報を取得するために、追加の画像化データが望ましい場合がある。すなわち、神経調節位置決めパッチ16によって治療部位50に支持された画像化プローブ28は、追加的または代替的に、画像化データを取得して、治療部位50を検証し、および/またはコントローラ20による超音波治療ビームの操縦のために治療プローブに提供することができる。本明細書で提供される治療位置50は、エネルギー適用デバイス12の角度、向き、および/またはポーズを含み得ることを理解されたい。位置情報には、対象への接触または圧力の評価も含まれる場合がある。
【0028】
特定の実施形態では、超音波画像化プローブ28は、対象領域18を含む標的組織の近くおよび周囲の内部組織の画像データを取得することができる任意の適切なプローブであり得る。神経調節位置決めパッチ16を最初に位置決めするために使用される第1のパス画像取得が成功した場合、より複雑度の低い超音波画像化プローブ28を、追加の検証またはビームステアリング画像データの取得に使用することができる。例えば、高解像度の第1のパスからの画像にアクセスし、質がより低い追加の画像データを補うために、使用することができる。したがって、介護者は、追加の画像データを取得するために利用可能な超音波画像プローブ28を選択するときに、画像分解能力における柔軟性を有することができる。したがって、より一般的に利用可能な、低い複雑度の超音波画像プローブ28が、適切であり得る。
【0029】
図3は、
図4の嵌合構成に示すように、画像化プローブ28などのプローブを受け入れる態勢が整っている、嵌合する取り外し可能なドック40を有する神経調節位置決めパッチ16を示す。プローブは、取り外し可能なドック28の近位開口部80を介して挿入される。
図4に示す実施形態は、嵌合する画像化プローブ28を示しているが、取り外し可能なドック40は、実施形態では、治療プローブを受け入れるように構成されてもよいことを理解されたい。さらに、画像化プローブ28および治療プローブが一体型デバイスとして実装される実施形態では、取り外し可能なドック40または異なる取り外し可能なドック40は、一体型デバイスを受け入れることができる。
【0030】
取り外し可能なドック40は、対象に対するプローブの所望の向きを維持するために、嵌合しているプローブ(例えば、画像化プローブ28)に弾性の支持を設ける。内壁64は、プローブハウジング59に直接接触して支持し、ハウジング59を通る所望の軸、例えば軸82に沿って配向を維持し、適用エネルギー84の方向と位置合わせさせる。プローブは、適用されたエネルギーがプローブの作動中に概ね安定した軸に沿っているように、傾斜(例えば、矢印86に沿って)を回避するよう維持されてもよい。さらに、ドックの嵌合特徴62はまた、プローブの位置決めを容易にするのに役立ち得る。ドック40の外壁68は、フレーム34が適合可能な基板から延びる距離70を超えて神経調節位置決めパッチ16のプロファイルを増加させる高さ81によって画定される。一実施形態では、ドック40は、弾性フレーム34と嵌合する遠位凹部または溝を有する。そのような実施形態では、嵌合しているドック40は弾性フレーム34と重なる。距離81は、フレーム34が適合可能な基板30から延びる距離70よりも大きい。実施形態では、ドック40の高さ81は、距離70の少なくとも2、2.5、または3倍である。本明細書で論じるように、嵌合しているドック40を有する神経調節位置決めパッチ16の外形の増加は一時的である。
【0031】
患者に対するパッチ16の位置決めおよび接着は、x-yの位置ならびにプローブのスピン(例えば、エネルギー適用デバイス12および/または画像化プローブ28)を設定する。別の実施形態では、ドック40またはフレーム34は、プローブの傾斜、揺動、および/または圧縮(皮膚への圧力)の微調整を可能にすることができる。例えば、ドック40またはフレーム34は、所望の配向が達成されるまでプローブ(例えば、矢印86に沿って)の角度付けを可能にする内壁64に配置された圧縮性発泡体またはパテを含むことができる。所望の向きは、取得された画像データの改善、および/または改善させた対象の皮膚との接触、または対象の皮膚に加えられる圧力と、関連付けることができる。パテまたは発泡体は、プローブを所望の向きに保持する。他の実施形態では、ドック40またはフレーム34は、圧縮性または形状記憶合金の壁など、プローブの配向の調整を可能にする他の特徴を含むことができる。別の例では、配向は、特に傾斜、揺動、および圧縮がある、調整可能な各次元の調整可能な機械的リンク機構をロックすることによって調整されてもよい。圧縮のために、プローブのZ位置を(例えば、軸82に沿って)設定することは、プローブがドックにロックされたときに、良好な接触を確実にするために、または特定の標的と接触する力を達成するために、プローブの面がウェアラブルパッチ16のフレーム34を越えて皮膚に押し込まれ得るように、調整され得る。フレーム34に対するプローブの位置決めは、軸82に沿ったいくつかの異なる位置スロットを可能にすることができる。一例では、フレーム34および/またはドック40は、Z軸に沿った異なる位置に、例えば溝などの2つ以上の内部嵌合特徴54、56を含むことができる。溝は、軸82に沿ったプローブの所望の位置が達成されるまで、ユーザが中程度の力で連続する嵌合特徴54、56を押すことができるように、少なくとも部分的に適合可能である(可撓性の縁部で形成される)ように構成することができる。別の例では、プローブ、フレーム34、および/またはドック40は、展開可能なロック特徴を含むことができる。例えば、プローブは、所望の位置に達するまで、ドック40またはフレーム34(ドック40のない実施形態では)の内部で、調整することができる。次いで、ユーザは、ドック40またはフレーム34のボタンを押すことにより、プローブハウジング、またはプローブの嵌合特徴に接触するプローブに向かってロック特徴を作動させて、プローブを定位置にロックすることができる。
【0032】
図5は、様々なタイプおよび/または構成の使用を容易にするために、超音波画像化プローブ28の異なる形状と嵌合する異なるドック40を含む神経調節位置決めパッチのキットを概略的に表したものである。一実施形態では、神経調節位置決めパッチ16は、利用可能な画像化モダリティに基づいて選択され得る異なる種類のドック40を備えたキットとして設け得る。介護者は、利用可能なまたは使い慣れた画像化デバイスを使用して、神経調節位置決めパッチ16の初期位置決めおよび/または位置決め後の位置の検証を可能にする画像データを取得することを望む場合がある。異なる成形通路87を含む交換可能なドック40を設けることにより、様々な利用可能な画像化プローブを使用することができる。図示の実施形態では、異なるドック40a、40b、40c、40dは、異なるドック40a、40b、40cの各々が弾性フレーム34と嵌合することを可能にするように、それらの外壁68が概ね同じであるように、成形することができる。実施形態では、外壁68の非嵌合部分は、異なるドック40間で、サイズおよび形状が異なり得る。さらに、異なるドック40a、40b、40c、40dの各々は、それらの外壁68に同一の嵌合特徴を含むことができる。代替的な実施形態では、異なるドック40a、40b、40c、40dのそれぞれは、弾性フレームと嵌合すると、特定の種類のドック40の特定信号の起動をトリガする固有の嵌合特徴56を含むことができ、それは、ひいては検証手順として超音波画像化プローブ28によってそのコントローラ(例えば、コントローラ20)に提供され得る。
【0033】
内部成形通路87a、87b、87c、87dは、特定のまたは特別なタイプの超音波画像化プローブ28のみが各々の個々のドック40の内部に適合し、一実施形態では、特定の向きにのみ適合するように構成される。内部成形通路87は、特定のタイプの超音波画像化プローブ28に関連する溝、ノッチ、または他の成形特徴を含むことができる。一実施形態では、キットはまた、複数のタイプの超音波画像化プローブ28の挿入を可能にする、より大きなまたは略環状の通路87を有するユニバーサルドック40を含むことができる。成形通路は、トランスデューサ46を所望の治療(または画像化)位置に位置決めするそれぞれの遠位開口部42で終端する。個々のドック40はまた、操作者が異なるプローブの角度または向きを試すことを可能にするようなサイズおよび形状にすることができる。例えば、特定の内部通路87は、保持されたプローブが対応して異なる角度に保持されるように、互いに対して異なる角度(例えば、内部通路87a対内部通路87d)に配向されてもよい。さらに、キットは、所望の位置に達するまで内部通路87内でのプローブの移動を可能にする、1つまたは複数の調整可能なドック40を含むことができる。例えば、特大または汎用サイズの内部通路87を備えたドック40には、プローブの内壁64とハウジング59との間のいずれかの隙間を埋め、プローブを所望の向きに維持するために内部通路87に挿入することができるシム、発泡体、ゲル、ロック機械的連結、または他の一時的安定化材料を設けることができる。
【0034】
キットはまた、例えば、異なる治療部位に適用するための異なるサイズおよび形状を有する複数の神経調節位置決めパッチ16を含み得る。さらに、キットの特定の構成要素が使い捨てであり得る(神経調節位置決めパッチ16)一方で、他の構成要素が再利用可能であってもよい(ドック40)ことを理解されたい。
【0035】
図6は、連結構成または画像化構成で、ドック40を介して超音波画像化プローブ28に連結された神経調節位置決めパッチ16を概略的に表したものである。連結構成では、超音波画像化プローブ28の画像化トランスデューサ46は、患者の皮膚の治療位置50と位置合わせされ、画像化エネルギーが適用され得る。図示のように、ドック40はまた、弾性フレーム34と嵌合するときに、超音波画像化プローブ28に支持をもたらして、画像データの取得中に、所望の圧力で、また治療部位50に対する所望の位置や向きで、超音波画像化プローブ28を保持することもできる。画像データの取得の完了後、ドック40および超音波画像化プローブ28は、損傷した場合に容易に交換することができるシステム10のより複雑でなく高価な構成要素のみを対象が継続的に着用することができるように、神経調節位置決めパッチ16から取り外され得る。
【0036】
図7は、対象によって着用された空または連結されていない神経調節位置決めパッチ16を概略的に表したものである。非連結構成では、神経調節位置決めパッチ16は、適合可能な基板30および弾性フレーム34のみを含んでもよい。本明細書で論じるように、適合可能な基板30は、対象の皮膚の神経調節位置決めパッチ16の位置決めの完全性を維持し、任意の嵌合構造を支持するために、1つまたは複数の剛性または半剛性の層または構造によって補強され得る。弾性フレーム34は、快適さのために比較的薄型であってもよく、丸みを帯びていてもよく、または圧縮時の不快感を防止するためにクッション層またはバンパを含んでもよい。上述したように、非連結構成では、神経調節位置決めパッチ16は、治療プロトコルの次のステップに応じて、超音波画像化プローブ28またはエネルギー適用デバイスのいずれかを受け入れる準備態勢になっている。パッチ16は、数日、数週間、数ヶ月、または数年にさえわたって生じるものなどの様々な治療プロトコルと組み合わせて使用され得ることを理解されたい。パッチ16は、必要に応じて交換されるように構成されてもよく、新しいパッチ16は、本明細書で提供される技術に従って、対象に適用されてもよい。さらに、処理の過程にわたる追加の画像取得を使用して、パッチ16の初期配置をスポットチェックすることができる。またさらに、パッチの配置が対象の生理機能の経時的な変化に応答することができるように、追加の画像を取得することができる。例えば、本明細書の技術による代謝障害の超音波治療は、体重の減少をもたらす可能性があり、これは皮膚に対する対象領域の深さを変更することによって、正しいパッチの配置に影響を及ぼす可能性がある。
【0037】
適合可能な基板30は、略環状の構成を有するものとして示されているが、細長い形状、長方形、不規則な形状などを含む他の形状も考えられることを理解されたい。例えば、特定の治療部位50は、所望の接着を達成するために適合可能な基板30の特定の形状に関連付けられてもよい。さらに、開口部32および弾性フレーム34は、略長方形であるように示されている。しかし、開口部32および弾性フレーム34は、治療部位50のサイズならびにエネルギー適用デバイス12ならびに超音波画像化プローブ28のサイズおよび形状に応じて、環状形状、細長い形状、長方形、不規則な形状などとして構成させてもよい。
【0038】
さらに、開口部32の周囲は、弾性フレーム34によって完全に境界付けられてもよく、またはほとんど境界付けられてもよい(例えば、少なくとも75%の境界)。適合可能な基板30および弾性フレーム34は、一実施形態では、エネルギー適用デバイス12および/または超音波画像化プローブ28を神経調節位置決めパッチ16に連結するための摺動運動を可能にするU字形を形成することができる。
【0039】
図8は、非連結構成で神経調節位置決めパッチ16の弾性フレーム34に連結するように構成された超音波治療プローブとして構成された神経調節位置決めパッチおよびエネルギー適用デバイス12を概略的に表したものである。
図9は、
図8のエネルギー適用デバイス12に連結された(すなわち、連結構成である)神経調節位置決めパッチ16の底面図である。
図10は、弾性フレーム34内のエネルギー適用デバイス12のトランスデューサ95の位置決めの底面図であり、それにおいてエネルギー適用デバイス12は、フレーム34によって形成された開口部32を満たすように嵌合する。連結は、やはりドック40に連結する弾性フレーム34の嵌合特徴54を介してもよく、その結果、嵌合特徴54は、ドック40の両方を受け入れて連結し、エネルギー適用デバイス12のハウジング内に形成された、またはハウジング91に配置された相補的な嵌合特徴90に連結するように構成される。連結はまた、弾性フレーム34のドック嵌合特徴とは区別可能(例えば、異なる位置で、異なるサイズまたは形状)であり、相補的な嵌合特徴90に連結するように構成された別個の専用の嵌合特徴を介してもよい。エネルギー適用デバイス12および弾性フレーム34の嵌合特徴の一方または両方は、連結によって作動し、連結の成功を示す信号を送信するコネクタ92およびコネクタ94などの信号要素を含むことができる。例えば、コネクタ92、94は、完了時に信号を送信するために作動される回路を完成させるために連結されるときに、直接接触することができる。連結時に、エネルギー適用デバイス12は、弾性フレーム34および適合可能な基板30によって少なくとも部分的に支持されて、エネルギーの適用中に開口部32内部の定位置に留まり、治療トランスデューサ95の底面96が患者の皮膚と接触するように治療トランスデューサ95を位置決めすることができる。
【0040】
神経調節位置決めパッチ16の適用層97は、適用層97を少なくとも部分的に覆うことができ、神経調節位置決めパッチ16を患者の皮膚に接着するように機能する接着剤99を含む。一実施形態では、接着剤は、適用層97の表面積の少なくとも50%に配置される。一実施形態では、適用層97は、適用層に配置された超音波ゲルを含む連結ゲル領域98を含む。超音波ゲルは、神経調節位置決めパッチ16の適用時に開口部32に押し込まれてもよい。したがって、特定の実施形態では、エネルギー適用デバイス12および/または画像化プローブ28は、患者の皮膚に直接接触することができる。本明細書で提供されるように、直接的な接触は、超音波ゲルの薄層を介して皮膚をプローブヘッドにつなげることを含み得ることを理解されたい。神経調節位置決めパッチ16はまた、保管中に、接着剤99および連結ゲル98を維持するために適用層97を覆う剥離層(図示せず)を含み得る。剥離層は、存在する場合、神経調節位置決めパッチ16の適用前に除かれる。
【0041】
図11は、超音波治療トランスデューサ95を含むエネルギー適用デバイス12に可逆的に連結するように構成された神経調節位置決めパッチ16の実施形態の分解図である。エネルギー適用デバイス12のハウジング91は、超音波治療トランスデューサ95と引張ばね100の両方を保持し、引張ばね100は、超音波治療トランスデューサ95の上面102と、ハウジング91の内面103との間に、配置される。このようにして、治療用トランスデューサ95の底面96は、エネルギー適用デバイスが神経調節位置決めパッチ16のフレーム34に連結されたときに、患者の皮膚に対して張力(例えば、軽い圧力)で保持され得る。
【0042】
連結は、突起などのエネルギー適用デバイス12のハウジング91の嵌合特徴90と、成形チャネル104などのフレーム34の相補的な特徴54と間で、ロックするように構成されてもよい。図示の実施形態では、連結は、エネルギー適用デバイス12をフレーム34の開口部32の内部に配置し、成形チャネル104のチャネル開口から離れるように延在するロック領域105の内部に突出部を配置するためのねじれロック構成であってもよい。しかし、他の連結構成(例えば、ねじ状の連結、スナップ嵌合など)も企図される。フレーム34はまた、超音波治療トランスデューサ95のケーブル108を収容するように構成された開口部を含むことができる。このようにして、超音波治療トランスデューサ95は、開口部106内部にケーブル108を配置し、相補的な嵌合特徴54、90を連結すると、フレーム34と適切に位置合わせすることができる。
【0043】
図12は、本開示の実施形態による、適用層97を示し、超音波治療用トランスデューサ95と画像化トランスデューサ46とを一体型で組み合わせた神経調節位置決めパッチ16の底面図である。本開示の特定の実施形態は、神経調節位置決めパッチ16の取り外し可能または交換可能な構成要素という文脈で論じられているが、神経調節位置決めパッチ16はまた、多機能であるオールインワンデバイスとして実装されてもよい。画像化トランスデューサ46は、標的組織内部の対象領域18の空間的選択、ならびに神経調節エネルギーを適用する治療トランスデューサ95の位置の検証に使用することができる。
【0044】
図13は、本開示の実施形態による神経調節位置決めパッチ16を使用する神経調節方法110の流れ図である。方法100は、治療部位50を特定するために使用される画像データを取得するステップを含むことができる。一実施形態では、画像データは、神経調節位置決めパッチ16と併せて取得される。しかし、他の実施形態では、画像データは、事前に取得されるか、または別個の処置の間に取得される。例えば、方法100は、治療位置50で患者の皮膚に神経調節位置決めパッチ16を適用するステップを含み得る(ブロック112)。本明細書で提供されるように、適用するステップは、神経調節位置決めパッチ16が一時的または非接着位置にある事前位置決めステップを含み得る。神経調節位置決めパッチ16は、皮膚に直接適用されるように構成され得るが、特定の実施形態では、神経調節位置決めパッチ16と皮膚との間に介在する構造体(例えば、薄い布地層)が存在し得ることも企図されている。本明細書で説明するように、最初の位置決めおよび皮膚への適用は、以前に取得された画像データに基づくことができる。別の実施形態では、取得された画像データを介して正しい治療位置50が特定されるまで、神経調節位置決めパッチ16を皮膚に一時的に位置決めする(すなわち、所定の位置に接着されない)ことができる。特定すると、神経調節位置決めパッチ16を所定の位置に接着することができる。治療位置を特定している最中、および/または処置の全過程にわたって発生する追加の画像データを取得している最中に、ドック40を弾性フレーム34に連結または嵌合させ得て(ブロック114)、超音波画像化プローブ28をドックに挿入して(ブロック116)、治療位置または潜在的な処置位置で画像データを取得する(ブロック118)ことができ、これにより、潜在可能性のある治療位置が治療位置50であるかどうかを判定するために、取得された画像データが評価される。一例では、神経調節位置決めパッチ16は接着されていない構成であり、画像化プローブ28は神経調節位置決めパッチ16の内部にドッキングされ、画像データを取得するために作動される。神経調節位置決めパッチ16は、対象の皮膚での位置を変更するように調整され、治療部位50が確認されるまで、かようにドッキングされた画像化プローブ28を移動させる。神経調節位置決めパッチ16が適所にあると、接着剤99を覆う剥離ライナーを除去して、神経調節位置決めパッチ16を適所に固定することができる。
【0045】
別の実施形態では、粗い位置調整を促進するために、画像化プローブ28を神経調節位置決めパッチ16なしで、第1の期間使用することができる。画像化プローブが治療部位50に近づくと、画像化プローブ28は取り外し可能なドック48および神経調節位置決めパッチ16に連結され得る。
【0046】
その後、画像化プローブ28およびドック40は、例えば、相補的な嵌合特徴を非連結にすることによって、または締まりばめを凌ぐ力を加えることによって、弾性フレーム34から取り外される(ブロック120)。次いで、空の弾性フレーム34をエネルギー適用デバイス12(例えば、超音波治療プローブ)に嵌合させて、治療トランスデューサを治療位置50に位置決めする(ブロック122)。嵌合されると、超音波治療エネルギー(神経調節エネルギー)が適用される(ブロック124)。
【0047】
図14は、システム10の特定の構成要素のブロック図である。本明細書で提供される場合、神経調節のためのシステム10は、対象の組織に適用するための複数のエネルギーパルスを生成するように適合されたパルス発生器14を含み得る。パルス発生器14は、別個であり得るか、またはコントローラ20などの外部デバイスに統合され得る。コントローラ20は、デバイスを制御するためのプロセッサ130を含む。ソフトウェアコードまたは命令は、デバイスの様々な構成要素を制御するためにプロセッサ130によって実行されるために、コントローラ20のメモリ132に格納される。コントローラ20および/またはパルス発生器14は、1つまたは複数のリード133を介して、または無線でエネルギー適用デバイス12に接続することができる。本明細書に開示されるように、エネルギー適用デバイス12の制御は、エネルギー適用デバイス12と神経調節位置決めパッチ16との成功裏の嵌合を検出するために、1つまたは複数の嵌合特徴92からの入力をさらに使用することができる。
【0048】
コントローラ20はまた、臨床医が変調プログラムに選択入力または変調パラメータを提示することを可能にするように適合された入力/出力回路134およびディスプレイ136を備えたユーザインターフェースを含む。各変調プログラムは、パルスの振幅、パルス幅、パルス周波数などを含む変調パラメータの1つまたは複数のセットを含み得る。パルス発生器14は、コントローラデバイス20からの制御信号に応答してその内部パラメータを変更して、リード133を介してエネルギー適用デバイス12が適用される対象に送信されるエネルギーパルスの刺激特性を変化させる。定電流、定電圧、複数の独立した電流または電圧源などを含むがこれらに限定されない、任意の適切なタイプのパルス生成回路を使用することができる。適用されるエネルギーは、電流の振幅とパルス幅の持続時間の関数である。コントローラ20は、調節パラメータを変更すること、および/または特定の時間にエネルギーの適用を開始すること、または特定の時間にエネルギーの適用をキャンセル/抑制することによって、エネルギーを調整可能に制御することを可能にする。一実施形態では、有効な量のエネルギーを適用するためのエネルギー適用デバイスの調整可能な制御は、対象内の1つまたは複数の分子(例えば、循環している分子)の濃度に関する情報に基づく。情報が評価デバイス22からのものである場合、フィードバックループが調整可能な制御を駆動することができる。例えば、診断は、神経調節に応答して、評価デバイス22によって測定される、循環しているグルコースの濃度に基づいて行われ得る。濃度が所定の閾値または範囲を超える場合、コントローラ20は、対象領域(例えば、肝臓)へのエネルギー適用の治療プロトコルを、循環グルコースの減少に関連する調節パラメータで開始することができる。治療プロトコルは、診断プロトコルで使用されるものとは異なる調節パラメータを使用する場合がある(例えば、より高いエネルギーレベル、より頻繁な適用)。
【0049】
一実施形態では、メモリ132は、操作者によって選択可能な異なる動作モードを格納する。例えば、記憶された動作モードは、肝臓、膵臓、胃腸管、脾臓の対象領域などの特定の治療部位に関連する一組の調節パラメータを実行するための命令を含み得る。部位が異なれば、関連する変調パラメータも異なる場合がある。操作者に手作業でモードを入力させるのではなく、コントローラ20は、選択に基づいて適切な命令を実行するように構成され得る。別の実施形態では、メモリ132は、様々なタイプの処置の動作モードを格納する。例えば、活性化は、組織機能の抑制または遮断に関連するものと比較して、異なる刺激圧力または周波数範囲に関連し得る。
【0050】
特定の例では、エネルギー適用デバイス12が超音波トランスデューサである場合、エネルギーの有効量は、対象領域に適用される所定の時間平均強度を含み得る。例えば、有効なエネルギー量には、時間平均電力(時間平均強度)、1mW/cm2~30,000mW/cm2(時間平均強度)、および0.1MPa~7MPa(ピーク圧力)の範囲のピーク陽圧が含まれる場合がある。一例では、熱損傷およびアブレーション/キャビテーションに関連するレベルを回避するために、対象領域において時間平均強度は35W/cm2未満である。別の特定の例では、エネルギー適用デバイスが機械式アクチュエータである場合、振動の振幅は0.1から10mmの範囲にある。選択される周波数は、エネルギー適用のモード、例えば、超音波または機械式アクチュエータに依存し得る。コントローラ20は、検証モードで動作して治療位置を取得することができ、治療位置は、エネルギー適用デバイス12が治療位置に位置するときに治療プロトコルを実行するように構成された治療動作モードの一部として実装され得る。
【0051】
システムはまた、エネルギー適用デバイス12の集束を促進する画像化デバイス(例えば、超音波画像化プローブ28)を含み得る。一実施形態では、画像化デバイスは、エネルギー適用デバイス12と統合されるか、または同じデバイスであり得、その結果、様々な超音波パラメータ(周波数、アパーチャ、またはエネルギー)が、対象領域を選択する(例えば、空間的に選択する)ためや、ターゲティングとその後の神経調節を行うべく選択した対象領域にエネルギーを集中させるために、適用される。別の実施形態では、メモリ132は、臓器または組織構造内の対象領域を空間的に選択するために使用される1つまたは複数のターゲティングまたは集束モードを格納する。空間的な選択は、対象領域に対応する器官のボリュームを特定するために器官のサブ領域を選択することを含み得る。空間的な選択は、本明細書で提供される画像データに依存し得る。空間的な選択に基づいて、エネルギー適用デバイス12は、対象領域に対応する選択されたボリュームにフォーカシングすることができる。例えば、エネルギー適用デバイス12は、最初に検証モードで動作して、対象領域のキャプチャに関連する治療位置を特定するために使用される画像データをキャプチャすることによって、治療位置を取得するように構成され得る。検証モードのエネルギーは、神経調節治療に適したレベルではない、および/または調節パラメータで適用されない。しかし、対象領域が特定されると、コントローラ20は、次に、標的化されている生理学的転帰の達成に関連する調節パラメータに従って、治療モードで動作することができる。
【0052】
コントローラ20はまた、変調パラメータの選択への入力として、標的化された生理学的結果に関連する入力を受信するように構成され得る。例えば、画像化のモダリティが組織の特性を評価するために使用される場合、コントローラ20は、特性の計算されたインデックスまたはパラメータを受信するように構成され得る。インデックスまたはパラメータが事前定義された閾値を上回っているか下回っているかに基づいて、診断が行え、診断の表示が(例えば、ディスプレイを介して)なされ得る。一実施形態では、パラメータは、罹患している組織の組織変位の測度、または罹患している組織の深さの測度であり得る。他のパラメータは、1つまたは複数の目的の分子の濃度を評価することを含み得る(例えば、閾値またはベースライン/対照に対する濃度の変化、変化率の1つまたは複数を評価すること、濃度が所望の範囲内にあるかどうかを判断すること)。さらに、エネルギー適用デバイス12(例えば、超音波トランスデューサ)は、コントローラ20の制御下で動作して、a)標的組織内の対象領域を空間的に選択するために使用できる組織の画像データを取得し、b)対象領域にエネルギー変調を適用し、c)画像を取得して、標的化されている生理学的転帰が発生したと判定する(例えば、変位測定を介して)ことができる。そのような実施形態では、画像化デバイス、評価デバイス22、およびエネルギー適用デバイス12は、同じデバイスであり得る。
【0053】
対象領域18(
図1を参照)を含む所望の標的組織は、軸索終末および非神経細胞のシナプスを含む内部組織または器官であり得る。シナプスは、標的組織の対象領域18に焦点を合わせた超音波治療トランスデューサ95の焦点領域または焦点ゾーン内にある軸索終末にエネルギーを直接適用することによって刺激されて、分子のシナプス空隙への放出を引き起こし得る。例えば、神経伝達物質の放出および/またはイオンチャネル活性の変化は、次に下流効果を引き起こす。対象領域18は、特定のタイプの軸索終末、例えば特定のニューロンのタイプの軸索終末および/または特定のタイプの非ニューロン細胞とシナプスを形成するものを含むように選択され得る。したがって、対象領域18は、所望の軸索終末(および関連する非神経細胞)を有する標的組織の一部に対応するように選択され得る。エネルギーの適用は、シナプス内の神経からの神経伝達物質などの1つまたは複数の分子の放出を優先的にトリガするか、直接エネルギー伝達(すなわち、機械式伝達または非神経細胞内の電圧活性化タンパク質)を介して非神経細胞自体を直接活性化する、または、望ましい生理学的効果を引き出す神経細胞と非神経細胞の両方での活性化を引き起こすように選択できる。対象領域18は、器官への神経の侵入部位として選択され得る。一実施形態では、肝臓の刺激または調節は、肝門またはそれに隣接する対象領域18の調節を指し得る。治療位置50の取得は、対象領域18の選択を含み得、それにより、動作中に対象領域18がエネルギー適用デバイス12の焦点ゾーン内にある患者の身体上の位置が治療位置50である。
【0054】
エネルギーは、対象領域18および内部組織の一部のみ、例えば、組織の総体積の約50%、25%、10%、または5%未満に集中または実質的に集中することができる。すなわち、対象領域18は、内部組織のサブ領域であり得る。一実施形態では、エネルギーは、標的組織の2つ以上の対象領域18に適用され得、2つ以上の対象領域18の総体積は、組織の総体積の約90%、50%、25%、10%、または5%未満であり得る。一実施形態では、エネルギーは、組織の総体積の約1%~50%のみ、組織の総体積の約1%~25%のみ、組織の総体積の約1%~10%のみ、または組織の総体積のわずか約1%~5%のみに適用される。特定の実施形態では、標的組織の対象領域18の軸索終末のみが、適用されたエネルギーを直接受け、神経伝達物質を放出するが、対象領域18の外側の刺激されていない軸索終末は、実質的なエネルギーを受けず、したがって、同じようには活性化/刺激されない。いくつかの実施形態では、エネルギーを直接受ける組織の部分の軸索終末は、変化した神経伝達物質の放出を誘発するであろう。このようにすると、組織のサブ領域は、粒状の方式で神経調節の標的とされ得る、例えば、1つまたは複数のサブ領域が選択され得る。いくつかの実施形態では、エネルギー適用パラメータは、エネルギーを直接受ける組織内の神経または非神経成分のいずれかの優先的な活性化を誘発して、所望の組み合わされた生理学的効果を誘発するように選択され得る。特定の実施形態では、エネルギーは、約25mm3未満の体積内に集束または集中され得る。特定の実施形態では、エネルギーは、約0.5mm3~50mm3の体積内に集束または集中され得る。しかし、所望の生理学的な結果に基づいて、他の焦点体積も考えられる。対象領域18の内部にエネルギーを集束または集中させるための集束体積および集束深度は、エネルギー適用デバイス12のサイズ/構成によって影響を受ける可能性がある。エネルギー適用の集束体積は、エネルギー適用デバイス12の焦点領域または集束ゾーンによって定めることができる。
【0055】
本明細書で提供されるように、エネルギーは、1つまたは複数の対象領域18にのみ実質的に適用されて、標的化されている生理学的転帰を達成するために標的にされてシナプスを優先的に活性化することができる。したがって、特定の実施形態では、組織内の複数の異なるタイプの軸索終末のサブセットのみが、直接的なエネルギーの適用に曝される。
【0056】
特定の実施形態では、対象領域18を含む標的組織は、末梢神経終末または末梢軸索終末を含む内部組織または器官である。企図される組織標的には、胃腸(GI)組織(胃、腸)、筋肉組織(心筋、平滑筋および骨格筋)、上皮組織(表皮、器官/GIの裏打ち)、結合組織、腺組織(外分泌腺/内分泌腺)などが含まれる。一例では、神経筋接合部でのエネルギーの集中的な適用は、上流の活動電位なしで神経筋接合部での神経伝達物質の放出を促進する。一実施形態では、調節のために企図される標的は、インスリンの放出の制御を司る膵臓の部分、またはグルコース/代謝産物の感知および/またはそれらの循環濃度の調節を司る肝臓の部分を含み得る。
【0057】
特定の実施形態が超音波エネルギーの適用の文脈で開示されているが、他のエネルギーのタイプ、例えば、機械的エネルギーが企図されることを理解されたい。したがって、エネルギー適用デバイス12は、神経調節エネルギーを適用するための機械的振動子として構成され得る。さらに、本開示の特定の実施形態は、超音波画像化データという文脈で説明されているが、システム10は、エネルギーの適用を対象領域18に導くために代替または追加のタイプの画像化データを取得するように実装されてもよい。
【0058】
この書面による説明は、例を使用して、最良のベストモードを含む特定の実施形態を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムの作成および使用、ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含め、いずれかの当業者が開示の実施形態を実施できるようにする。特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い浮かぶ他の例を含み得る。そのような他の例は、クレームの字義の文言と異ならない構造要素を有する場合、またはクレームの字義の文言と実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、クレームの範囲内にあることを意図している。
【国際調査報告】