(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】運動を制御された電子トンネリングによる生体ポリマーの配列決定
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20220909BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220909BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220909BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20220909BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20220909BHJP
【FI】
G01N27/00 Z
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
C12Q1/6869 Z
C12N15/09 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502461
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 US2020042188
(87)【国際公開番号】W WO2021011693
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521391748
【氏名又は名称】ユニバーサル シーケンシング テクノロジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ペイミン
(72)【発明者】
【氏名】レイ, ミン
(72)【発明者】
【氏名】チュン, キスプ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, シンユエ
(72)【発明者】
【氏名】デュアン, バレット
【テーマコード(参考)】
2G060
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G060AA05
2G060AA15
2G060AD06
2G060AF20
2G060AG03
2G060FA17
2G060JA07
2G060KA09
4B029AA23
4B029BB20
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS39
4B063QX04
(57)【要約】
本発明は、トンネリングナノギャップのナノポアを通ってトランスロケーションするポリマー分子の速度を制御して、その配列または構成要素を読み取るための運動制御機構を有するナノポアデバイスに関する。本発明は、生体ポリマー移動制御機構を用いた電子トンネリングによって生体ポリマー(例えば、DNAおよびRNA、タンパク質、糖など)を電子的に配列決定するためのシステム、デバイス、および方法を提供する。本開示は、種々の例示的実施形態においてDNA配列決定するためのこのタイプのデバイスの設計、製作、および使用を示す。同じデバイスおよび方法が、タンパク質、ペプチド、ポリサッカリド、および他の合成の化学機能性および生体機能性ポリマーの配列決定に適用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体ポリマーの電子識別および配列決定のためのシステムであって、前記システムは、
(a)cis空間とtrans空間との間に配置された基材であって、ここで前記基質は、少なくとも1つの導電層および少なくとも1つの絶縁層を含む、基材;
(b)前記基材におけるナノ開口部であって、ここで前記生体ポリマーのうちの少なくとも一部は、前記cis空間から前記trans空間へと通過し得る、ナノ開口部;
(c)前記ナノ開口部に埋め込まれた第1の電極および第2の電極によって形成されるナノギャップ;
(d)前記電極に付着された少なくとも1対の第1のリーダー分子および第2のリーダー分子であって、ここで前記第1のリーダー分子は、前記第1の電極に付着され、前記第2のリーダー分子は、前記第2の電極に付着され、そしてここで前記第1のリーダー分子および前記第2のリーダー分子の対は、電子トンネリング電流を伝導するために前記生体ポリマーと相互作用するように構成された、少なくとも1対の第1のリーダー分子および第2のリーダー分子;
(e)前記生体ポリマーの第1の末端に直接的または間接的に付着された、前記cis空間に位置したスキャンプレート;
(f)前記基材と前記スキャンプレートとの間の距離を制御し、その結果、前記距離が、ナノメートル精度で制御され得るようにするためのアクチュエーター;
(g)前記cis空間と前記trans空間との間にバイアス電圧を印加して、前記生体ポリマーの第2の末端が前記ナノ開口部に入るように方向付けるための第1のバイアス供給源;
(h)前記ナノ開口部に埋め込まれた前記ナノギャップにおいて、前記第1の電極と前記第2の電極との間にバイアス電圧を印加して、電子トンネリング測定を容易にするための第2のバイアス供給源;ならびに
(i)電子トンネリングシグナルまたは前記リーダー分子を介して検知された複数の電子シグナルに基づいて、前記生体ポリマーまたは前記生体ポリマーの塩基ユニットを識別するように構成されたソフトウェア、
を含む、システム。
【請求項2】
前記生体ポリマーは、天然の、改変された、または合成のいずれかの、DNA、RNA、XNA、PNA、タンパク質、炭水化物、糖、核酸オリゴ、ペプチド、ポリサッカリド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ナノ開口部は、天然の(生物学的な)、合成の、またはこれらの組み合わせのいずれかの、ナノポアまたはナノスリットのいずれかを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ナノポアは、約2nm~約50nmの直径を有する実質的に円形の形状であり、前記ナノスリットは、約5nm~約1マイクロメートルの長さおよび約2nm~約50nmの幅を有する実質的に矩形の形状である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ナノポアは、約2nm~約5nmの直径を有する、実質的に円形の形状であり、前記ナノスリットは、約20nm~約100nmの長さおよび約2nm~5nmの幅を有する実質的に矩形の形状である、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記ナノ開口部は、約100~約100万個のナノ開口部のアレイを含み、各ナノ開口部は、埋め込まれたナノギャップを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ナノギャップは、平面のナノギャップであり、前記第1の電極および前記第2の電極は、これら電極の末端表面が互いに面している前記ナノ開口部に曝されて同じ平面にあり、前記ナノ開口部のサイズに実質的に等しい距離だけ隔てられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ナノギャップは、垂直方向のナノギャップであり、前記第1の電極および前記第2の電極は、互いに間にある絶縁層と重なり合って異なる平面にあり、前記絶縁層の厚みは、約2nm~約5nm、好ましくは約3nm~約4nmの間であり、前記ナノ開口部は、前記電極および前記絶縁層の両方を貫通して切り取る、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
2つのナノギャップを形成する、前記ナノ開口部に埋め込まれた2対の電極を含み、ここで一方の対は、前記ナノ開口部の頂部近くにあり、もう一方の対は、前記ナノ開口部の底部近くにあり、絶縁スペーサー層がこれらの対を隔てている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記電極は、Au、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Al、Ag、Cr、またはCuを含む金属材料;TiNx、またはTaNxを含む導電性複合材料;ドーピングありまたはなしの酸化物化合物;およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含み;ここで前記絶縁層は、SiNx、SiOx、HfOx、またはAl
2O
3;およびこれらの組み合わせを含む誘電性絶縁材料からなる群より選択される材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
各電極上に複数のリーダー分子を含み、ここで一方の電極上の前記リーダー分子は、反対側の電極上のリーダー分子のうちのいずれにも物理的に触れない、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記リーダー分子は、
(a)1,8-ナフチリジン誘導体;
(b)イミダゾール-カルボキサミド誘導体;
(c)ベンズアミド;
(d)トリアゾール-カルボキサミド誘導体;
(e)ベンゾイミダゾール-2-カルボキサミド;
(f)ピレン誘導体;
(g)キサンチン;および
(h)上記のうちのいずれかの組み合わせ
からなる群より選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記リーダー分子は、天然の、改変されたまたは合成のいずれかのキサンチン;およびこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記リーダー分子は、リンカーおよびアンカーを含み、ここで前記アンカーは、前記リーダー分子を前記電極に付着させ、前記リンカーは、前記アンカーと前記リーダー分子の認識部分との間にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記スキャンプレートおよび前記基材は、実質的に平行であり、前記基材と前記スキャンプレートとの間の距離は、前記生体ポリマーの1塩基ユニットあたり約0.1ms~約100ms、または約0.005マイクロメートル/秒~約10マイクロメートル/秒の速度で調節され得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記スキャンプレートおよび前記基材は、実質的に平行であり、前記基材と前記スキャンプレートとの間の距離は、前記生体ポリマーの1塩基ユニットあたり1ms~5ms、または約0.1マイクロメートル/秒~約1マイクロメートル/秒の速度で調節され得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記アクチュエーターは、ナノメートルまたはナノメートル未満の精度で圧電性ドライブによって駆動される高精度直線運動ステージを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記スキャンプレートは、微小構造物もしくは微小パターン化領域、または微小構造物のアレイもしくは微小パターン化領域のアレイを含み、その上に直接的または間接的に、前記生体ポリマーの第1の末端が付着される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記微小構造物または前記微小パターン化領域は、約0.1マイクロメートル~約20マイクロメートルの直径または長さ/幅または同等の寸法などのサイズを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記微小構造物または前記微小パターン化領域は、パーマロイ、ニッケル-鉄-モリブデン合金、ニッケル-鉄合金、実質的に純粋なニッケル、実質的に純粋な鉄、ニッケル-コバルト合金、鉄-ニッケル-コバルト合金、および鉄-ケイ素合金、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される軟磁性材料を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
リンカー分子をさらに含み、前記リンカー分子は、一方の末端において前記生体ポリマーの第1の末端に付着され、他方の末端において前記スキャンプレートに付着される、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記リンカー分子は、天然の、改変されたまたは合成のいずれかの、1本鎖核酸、2本鎖核酸、ポリペプチド鎖、セルロース線維または任意の可撓性の直線状のポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記リンカー分子は、1本鎖または2本鎖の、天然の、改変されたまたは合成のいずれかのラムダDNA、およびこれらの組み合わせである、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
磁石および磁性ビーズをさらに含み、ここで前記リンカー分子は、一方の末端において前記生体ポリマーの第1の末端に付着され、他方の末端において前記磁性ビーズに付着され、前記磁石は、前記磁性ビーズを前記スキャンプレートに向けて引きつけ、前記磁性ビーズを前記スキャンプレートに対して保持し、その結果、前記磁性ビーズは前記スキャンプレートとともに移動し得るように構成され、ここで前記磁石は、電磁石、調節可能な永久磁石、磁石群、またはこれらの組み合わせを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記磁性ビーズのサイズは、直径が約50nm~約20マイクロメートル、好ましくは約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲に及ぶ、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
オリゴテールをさらに含み、ここで前記オリゴテールは、前記生体ポリマーの第2の末端に付着される、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記オリゴテールは、1本鎖DNAまたはRNA、2本鎖DNAまたはRNA、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記オリゴテールは、直線状のM13mp18 DNAまたは直線状のpUC19ベクターを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記リンカー分子および前記オリゴテールは、ライゲーションによって前記生体ポリマーに付着される、請求項21または26に記載のシステム。
【請求項30】
前記スキャンプレートへの前記生体ポリマーの付着、前記スキャンプレートおよび前記磁性ビーズへの前記リンカー分子の付着、ならびに前記電極への前記リーダー分子の付着は、共有結合的化学結合を介している、請求項1、18、21または24に記載のシステム。
【請求項31】
生体ポリマーの電子識別および配列決定のための方法であって、前記方法は、
(a)ナノ開口部、ならびに前記ナノ開口部に埋め込まれた第1の電極および第2の電極によって形成されるナノギャップを有する基材を提供する工程;
(b)少なくとも1対の第1のリーダー分子および第2のリーダー分子を、前記電極に付着させる工程であって、前記第1のリーダー分子は、前記第1の電極に付着され、前記第2のリーダー分子は、前記第2の電極に付着され、前記第1のリーダー分子および前記第2のリーダー分子は、電子トンネリング電流を伝導するために前記生体ポリマーと相互作用し得る、工程;
(c)cis空間とtrans空間との間に前記基材を配置する工程であって、ここで前記生体ポリマーのうちの少なくとも一部は、前記cis空間から前記trans空間へと前記ナノ開口部を通って通過し得る、工程;
(d)スキャンプレート、およびナノメートル精度を有するアクチュエーターを提供する工程;
(e)前記スキャンプレートを、前記基材に対して実質的に平行な前記cis空間の中に配置する工程;
(f)直接的または間接的に、前記生体ポリマーの第1の末端を前記スキャンプレートに付着させる工程;
(g)前記cis空間と前記trans空間との間にバイアス電圧を印加して、前記生体ポリマーの第2の末端が前記ナノ開口部に入るように方向付けるための第1のバイアス供給源を提供する工程;
(h)前記ナノ開口部に埋め込まれたナノギャップにおいて、前記第1の電極と前記第2の電極との間にバイアス電圧を印加して、電子トンネリング測定を容易にするための第2のバイアス供給源を提供する工程;
(i)前記基材もしくは前記スキャンプレートのいずれか、または両方をアクチュエーターで移動させることによって、前記基材と前記スキャンプレートとの間の距離を調節する工程であって;ここで前記生体ポリマーは、前記ナノギャップを通って移動し、前記リーダー分子と相互作用する、工程;
(j)電子トンネリングシグナルを、前記リーダー分子を介して記録する工程;
(k)前記シグナルに基づいて、前記生体ポリマーまたは前記生体ポリマーの塩基ユニットを識別する工程、
を包含する、方法。
【請求項32】
前記生体ポリマーは、天然の、改変された、または合成のいずれかの、DNA、RNA、XNA、PNA、タンパク質、炭水化物、糖、核酸オリゴ、ペプチド、ポリサッカリド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ナノ開口部は、天然の(生物学的な)、合成の、またはこれらの組み合わせのいずれかの、ナノポアまたはナノスリットのいずれかである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記ナノポアは、約2nm~約50nmの直径を有する実質的に円形の形状であり、前記ナノスリットは、約5nm~約1マイクロメートルの長さおよび約2nm~約50nmの幅を有する実質的に矩形の形状である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ナノポアは、約2nm~約5nmの直径を有する実質的に円形の形状であり、前記ナノスリットは、約20nm~約100nmの長さおよび約2nm~約5nmの幅を有する実質的に矩形の形状である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記ナノ開口部は、約100~約100万個のナノ開口部のアレイであり、各ナノ開口部は、埋め込まれたナノギャップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記ナノギャップは、平面のナノギャップであり、前記第1の電極および前記第2の電極は、これら電極の末端表面が互いに面している前記ナノ開口部に曝されて同じ平面にあり、前記ナノ開口部のサイズに実質的に等しい距離だけ隔てられている、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記ナノギャップは、垂直方向のナノギャップであり、前記第1の電極および前記第2の電極は、互いに間にある絶縁層と重なり合って異なる平面にあり、前記絶縁層の厚みは、約2nm~約5nm、好ましくは3nm~4nmの間であり、前記ナノ開口部は、前記電極および前記絶縁層の両方を貫通して切り取る、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
2つのナノギャップを形成する、前記ナノ開口部に埋め込まれた2対の電極を含み、一方の対は、前記ナノ開口部の頂部近くにあり、もう一方の対は、前記ナノ開口部の底部近くにあり、絶縁スペーサー層がこれらの対を隔てている、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記電極は、Au、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Al、Ag、Cr、またはCuを含む金属材料;TiNx、またはTaNxを含む導電性複合材料;ドーピングありまたはなしの酸化物化合物;およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含み;ここで前記絶縁層は、SiNx、SiOx、HfOx、またはAl
2O
3、およびこれらの組み合わせを含む誘電性絶縁材料からなる群より選択される材料を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
各電極に付着された複数のリーダー分子を含み、ここで一方の電極上のリーダー分子は、反対側の電極上のリーダー分子のうちのいずれにも物理的に触れない、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
前記リーダー分子は、
(a)1,8-ナフチリジン誘導体;
(b)イミダゾール-カルボキサミド誘導体;
(c)ベンズアミド;
(d)トリアゾール-カルボキサミド誘導体;
(e)ベンゾイミダゾール-2-カルボキサミド;
(f)ピレン誘導体;
(g)キサンチン;および
(h)上記のうちのいずれかの組み合わせ
からなる群より選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
前記リーダー分子は、天然の、改変されたまたは合成のいずれかのキサンチン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
前記リーダー分子は、リンカーおよびアンカーを含み、ここで前記アンカーは、前記リーダー分子を前記電極に付着させ、前記リンカーは、前記アンカーと前記リーダー分子の認識部分との間にある、請求項31に記載の方法。
【請求項45】
前記基材と前記スキャンプレートとの間の距離は、前記生体ポリマーの1塩基ユニットあたり約0.1ms~約100ms、または約0.005マイクロメートル/秒~約10マイクロメートル/秒の速度で調節され得る、請求項31に記載の方法。
【請求項46】
前記基材と前記スキャンプレートとの間の距離は、前記生体ポリマーの1塩基ユニットあたり約1ms~約5ms、または約0.1マイクロメートル/秒~約1マイクロメートル/秒の速度で調節され得る、請求項31に記載の方法。
【請求項47】
前記アクチュエーターは、ナノメートルまたはナノメートル未満の精度で圧電性ドライブによって駆動される高精度直線運動ステージを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項48】
前記スキャンプレートは、微小構造物もしくは微小パターン化領域、または微小構造物のアレイもしくは微小パターン化領域のアレイを含み、その上に直接的または間接的に、前記生体ポリマーの第1の末端が付着され得る、請求項31に記載の方法。
【請求項49】
前記微小構造物または前記微小パターン化領域は、約0.1マイクロメートル~約20マイクロメートルの直径または長さ/幅または同等の寸法などのサイズを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記微小構造物または前記微小パターン化領域は、パーマロイ、ニッケル-鉄-モリブデン合金、ニッケル-鉄合金、実質的に純粋なニッケル、実質的に純粋な鉄、ニッケル-コバルト合金、鉄-ニッケル-コバルト合金、鉄-ケイ素合金、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される軟磁性材料から作製される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
リンカー分子を提供する工程をさらに包含し、ここで前記リンカー分子は、一方の末端において前記生体ポリマーの第1の末端に付着され、他方の末端において前記スキャンプレートに付着される、請求項31に記載の方法。
【請求項52】
前記リンカー分子は、天然の、改変されたまたは合成のいずれかの、1本鎖核酸、2本鎖核酸、ポリペプチド鎖、セルロース線維または任意の可撓性の直線状のポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記リンカー分子は、1本鎖または2本鎖の、天然の、改変されたまたは合成のいずれかのラムダDNAである、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
磁石および磁性ビーズを提供する工程をさらに包含し、ここで前記リンカー分子は、一方の末端において前記生体ポリマーの第1の末端に付着され、他方の末端において前記磁性ビーズに付着され、前記磁石は、前記磁性ビーズをスキャンプレートに向けて引きつけ、前記磁性ビーズを前記スキャンプレートに対して保持し、その結果、前記磁性ビーズは前記スキャンプレートとともに移動し得るように構成され、ここで前記磁石は、電磁石、調節可能な永久磁石、磁石群、またはこれらの組み合わせを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記磁性ビーズのサイズは、直径が約50nm~20マイクロメートル、好ましくは1マイクロメートル~3マイクロメートルの範囲に及ぶ、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
オリゴテールを、前記生体ポリマーの第2の末端に付着させる工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項57】
前記オリゴテールは、1本鎖DNAまたはRNA、2本鎖DNAまたはRNA、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記オリゴテールは、直線状のM13mp18 DNAまたは直線状のpUC19ベクターである、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記リンカー分子および前記オリゴテールは、ライゲーションによって前記生体ポリマーに付着される、請求項51または56に記載の方法。
【請求項60】
前記スキャンプレートへの前記生体ポリマーの付着、前記スキャンプレートおよび前記磁性ビーズへの前記リンカー分子の付着、ならびに前記電極への前記リーダー分子の付着は、共有結合的化学結合を介している、請求項31、48、51または54に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年7月15日出願の米国仮特許出願第62/874,341号(その内容は、それら全体において本明細書に参考として援用される)の優先権を主張する。
【0002】
分野
本発明の実施形態は、電子的測定による生体ポリマーの識別および配列決定のための主題(matter)のシステム、方法、デバイス、および組成物に関する。より具体的には、本開示は、固体状態のナノポアまたはナノスリットに埋め込まれた電子トンネリングナノギャップ(electron tunneling nanogap)が、単一ユニットまたは単一塩基レベルにおいて電子的に生体ポリマーの検出を可能にする実施形態を含む。上記生体ポリマーは、直線状であるか、直線状の骨格を有するか、または直線状のキャリアを有するかのいずれかである。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景および先行技術
技術水準であるNGSシーケンサーに伴って、個々のヒトゲノムは、数日間でおよびおよそ1000ドルで配列決定され得る。しかし、古典的なSanger配列決定法(平均して約800塩基のリード長)1と比較すると、NGSは、DNAのリードがより遙かに短い2。この短いリードに関する欠点のうちの1つは、NGSが、その配列のうちの半分が、1~2塩基から数百万の塩基までのサイズを有する反復から構成される、ヒトゲノムにおける反復配列の長いブロックをカプセル化できないことである3。それは、ヒトゲノムのアセンブリに大きな難題を課す。一分子リアルタイム(SMRT)配列決定法は、第三世代配列決定法として公知であり(Pacific Biosciencesによって開発された)、>10kbpの平均リード長を有する配列を提供し4、大きなゲノム(例えば、ゴリラのゲノム)のデノボアセンブリを可能にする5。しかし、SMRTは、配列決定のエラー確率が遙かに高い(約15%)。高い配列決定カバレッジは、このエラー問題を克服し得るが、よりコストがかかる(例えば、30× ヒトゲノムにつきおよそ$10,000)。クリニックでの使用には、この配列決定コストは、おおよそ$100/ゲノム程度が理想的である6。
【0004】
ナノポア配列決定法は、イオン電流変動の測定に基づく技術であり、これは、30年前に概念化された7。ナノポアは、ナノメートルの直径を有する開口部であり、電圧バイアス下でナノポアを横断するイオンの流れを可能にする。1本鎖DNA(ssDNA)-ポリアニオン-が、導電性電解質で満たされた2つのチャンバを隔てる膜に埋め込まれたナノポアを通って電気泳動的にトランスロケーションされる場合、それは、一過性にイオン電流を遮断する。核酸塩基は区別可能なサイズを有することから、その遮断は、トランスロケーションが進むにつれて変動する。DNA配列は、イオン電流変動から推測され得る。市販のナノポアシーケンサーであるMinIONは、タンパク質ナノポアに基づいてOxford Nanopore Technologiesによって開発された(www.nanoporetech.com)。トランスロケーションに関してはDNAの長さに対する理論的限界はないことから、ナノポア配列決定法は、NGSに関連する短いリード問題を克服している。それは、デノボ配列決定および構造的バリエーションの分析に関する究極のツールであり得る。しかし、タンパク質ナノポア配列決定法は、一塩基分解能を達成するのは困難である。配列決定法の全体の正確度は、非常に低い(単一リードで85%8)。Gundlachおよび共同研究者らは、mycobacterium smegmatisのポリンA(MspAとしても公知)から構成されるタンパク質ナノポアにおける電流遮断が4ヌクレオチド(クアドロマー)の収集された事象であり、従って、かなりの数の冗長な電流レベルを及ぼす44(すなわち、256)の考えられるクアドロマーが存在することを示した9,10。イオン電流は、ナノポアの内側にあるヌクレオチドの他のヌクレオチドによって影響を及ぼされる11ことから、原子的に薄いナノポアですら、DNA配列決定法の単一ヌクレオチド分解能を達成することは考えられないかもしれない。
【0005】
Ventraらは、電子がこのような短いギャップ(ナノギャップといわれる)をトンネリングし得るナノメートルの距離によって隔てられる1対の電極を使用してDNAを配列決定することを提唱した12。それ以来、ナノギャップ電子トンネリングによる配列決定法に関する研究は、非常に進んだ13。電子トンネリングによる単一分子配列決定法に関しては、1つの構成は、トンネリングナノギャップを固体状態のナノポアに埋め込むことであり、よって、1本鎖DNAの配列は、分子がナノポアを通ってトランスロケーションする時にナノギャップによって逐次的に読みとられ得る。トンネリング電流が、ギャップサイズの変化(1本鎖DNAにおいて2つの隣り合う塩基の間の距離に匹敵するÅにつきおおよそ1桁)に対して高感度であることを考慮すると、トンネリング測定は、DNA配列決定のために単一ヌクレオチド分解能を達成する大きな可能性を有する。ヌクレオシドモノホスフェートおよびオリゴヌクレオチドは、小さなナノギャップ(<1nm)においてトンネリング電流を生成し得ることが示された。それは、このような小さなナノギャップを製造するために大きな難題を課す。先行技術は、パラジウム電極から構成される3ナノメートル未満のギャップを製作する方法を提供した(米国特許第9,128,078号)。その2つの電極が認識分子で官能化されている場合、そのトンネリング測定は、約2.5nmのギャップ距離において行われる14。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9,128,078号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Lagerqvist,J.ら、Nano Lett.(2006)6、779~782
【非特許文献2】Di Ventra,M.およびTaniguchi,M. Nat Nanotechnol(2016)11、117~126
【非特許文献3】Biswas,S.ら、ACS Nano 10(2016)11304~11316
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明は、生体ポリマー移動制御機構を用いた電子トンネリングによって生体ポリマー(例えば、DNAおよびRNA、タンパク質、糖など)を電子的に配列決定するためのシステム、デバイス、および方法を提供する。本開示は、種々の例示的実施形態においてDNA配列決定するためのこのタイプのデバイスの設計、製作、および使用を示す。同じデバイスおよび方法が、タンパク質、ペプチド、ポリサッカリド、および他の合成の化学機能性および生体機能性ポリマーの配列決定に適用可能である。
【0009】
本発明は、以前の出願(WO 2017/075620およびPCT/US18/32399)の拡張である。それは、上記デバイスおよび方法を使用して、電子トンネリング接合によってそれらの配列を読み取るために、ナノポアにおける生体ポリマーの運動を制御することである。この2件の以前の出願の全体は、本開示に参考として含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1-1】
図1は、種々の実施形態の下で、認識リーダー分子を用いる電子トンネリングナノギャップによって運動を制御されたナノポアDNA配列決定プロセスの模式図を示す:(a)平面の電子トンネリングナノギャップ、(b)積み重なった電子トンネリングナノギャップ、(c)ナノポアを通るDNA移動制御および配列決定のプロセス
【
図1-2】
図1は、種々の実施形態の下で、認識リーダー分子を用いる電子トンネリングナノギャップによって運動を制御されたナノポアDNA配列決定プロセスの模式図を示す:(a)平面の電子トンネリングナノギャップ、(b)積み重なった電子トンネリングナノギャップ、(c)ナノポアを通るDNA移動制御および配列決定のプロセス
【
図1-3】
図1は、種々の実施形態の下で、認識リーダー分子を用いる電子トンネリングナノギャップによって運動を制御されたナノポアDNA配列決定プロセスの模式図を示す:(a)平面の電子トンネリングナノギャップ、(b)積み重なった電子トンネリングナノギャップ、(c)ナノポアを通るDNA移動制御および配列決定のプロセス
【
図2-1】
図2は、2個の電極が絶縁スペーサーによって隔てられた異なる平面にある、ナノポアに埋め込まれた単一の積み重なった電子トンネリングナノギャップを製作するプロセスの模式図を示す。
【
図2-2】
図2は、2個の電極が絶縁スペーサーによって隔てられた異なる平面にある、ナノポアに埋め込まれた単一の積み重なった電子トンネリングナノギャップを製作するプロセスの模式図を示す。
【
図3-1】
図3は、2対の電極がトンネリング測定のために関わる、ナノポアに埋め込まれた2つ積み重なった電子トンネリングナノギャップを製作するプロセスの模式図を示す。
【
図3-2】
図3は、2対の電極がトンネリング測定のために関わる、ナノポアに埋め込まれた2つ積み重なった電子トンネリングナノギャップを製作するプロセスの模式図を示す。
【
図4】
図4は、ナノポアに埋め込まれた平面の電子トンネリングナノギャップを製作するプロセスの模式図を示す。
【
図5】
図5は、キサンチンベースのリーダー分子(分子力学エネルギー最小化に基づく、DNAヌクレオシドと相互作用するキサンチンの分子モデル)の合成のスキームを示す。
【
図6】
図6は、分子力学エネルギー最小化から計算された、DNAヌクレオシドと相互作用するキサンチンの分子モデルを示す。
【
図7】
図7は、キサンチンベースのリーダー分子の構造の一般的形態を示す。
【
図8】
図8は、キサンチンリーダー分子から導き出されたより小さなサイズを有するものの構造の一般的形態を示す。
【
図9】
図9は、サンプル構築物の一般的構造の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
電子トンネリングナノギャップは、3ナノメートル未満の距離によって隔てられた1対の電極から構成され、平面の様式(ギャップによって隔てられている。
図1aを参照のこと)または積み重なった様式(絶縁層によって隔てられている。
図1bを参照のこと)のいずれかで、ナノポアの中に構築され得る。DNA塩基検知分子(リーダー分子)は、向かい合った電極上のその分子が、互いに触れていないが、DNA塩基のサイズに等しいナノギャップによって隔てられているように、電極に付着される。1本鎖DNAがナノポアを通ってトランスロケーションする場合、個々の核酸塩基(117)は、電子トンネリングを促進する接合部を形成するように上記電極に付着されたリーダー分子によって捕捉され得、それらの認識に関する電気シグナルを作り出す。上記リーダー分子は、水性溶液中で比較的弱い非共有結合的結合(例えば、水素結合)を介して核酸塩基と相互作用する
15。生体ポリマー(例えば、DNA)の正確な塩基識別または配列決定は、上記ナノポアを通る分子の移動が遅く(ミリ秒レベル)かつ制御される(ナノメートル未満の精度で)ことを要求する。DNA分子が、制御なしにナノポアを通ってトランスロケーションする場合、それは速すぎ(マイクロ秒レベル)、よっていくつかの個々の核酸塩基は、リーダー分子が捕捉することができず、これは欠失エラーを生じる。また、DNAの速い移動は、塩基リード分子相互作用がその平衡に達するために十分な反応時間を与えず、これは、核酸塩基の配列決定において読み取りエラーを生じる。従って、電子トンネリング法を使用する生体ポリマーの成功裡の配列決定のためには、上記生体ポリマーの遅くかつ制御された移動は、必須のなくてはならない条件である。
【0012】
本発明は、ナノポアを通過する標的生体ポリマーの移動を遅くしかつ制御し、電子トンネリングを使用する上記生体ポリマーの配列決定を可能にする機構を有するシステムを提供する。概して、上記システム(
図1c)は、ピエゾアクチュエーター(100)、トンネリングナノギャップ(107)およびリーダー分子(110)が埋め込まれたナノポアチップ(140)、スキャンプレート(130)、cisチャンバ(151)およびtransチャンバ(152)、ビーズ(108)、リンカー分子(116)および標的DNA(109)から構成されるDNAサンプルシステム(120)、ならびに横断ナノポア電位のための電圧供給源(115)およびナノギャップ電位のための電圧供給源、ならびにシグナル測定機構(111)を装備した分析ステージから構成される。上記スキャンプレートは、上記ナノポアチップに対して実質的に平行に置かれる。分析ステージ設計および組成、スキャンプレート設計および製作、ならびにDNAサンプル構築法についての詳細な説明が、以前の特許出願、WO2017/075620、およびPCT/US18/32399(これは、それらの全体において本明細書に含まれる)に存在する。
【0013】
いくつかの実施形態(WO2017/075620を参照)において、上記生体ポリマーは、スキャンプレートに、化学結合(共有結合的または非共有結合的、可逆的または非可逆的のいずれか)を通じて、直接的に付着し、ここで上記化学結合は、ビオチン-ストレプトアビジン結合、アミド結合;ホスホジエステル結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミン結合、アルデヒド結合、水素結合、疎水性結合、およびこれらの組み合わせを含むリストから選択される。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記システムは、制御可能な磁石(電磁石もしくは調節可能な磁石、または磁石群(WO2017/075620を参照)のいずれか)をさらに含む。
図1c(A~C)において、上記ビーズは、常磁性、超常磁性、強磁性、または反磁性の材料から作製される磁性ビーズである。標的1本鎖DNA分子(ssDNA、109)の一方の末端は、磁性ビーズ(108)に、それらの間をリンカー分子(116)を介して付着する。ビーズおよびリンカー分子を有するDNAサンプル(120)は、cisチャンバ(151)の中に配置される。電圧供給源115を経るバイアス電位の下で、上記ssDNAサンプルの遊離末端は、電気泳動力によって、ナノポアチップ(140)上のナノポアへと引っ張られ、ナノポアを通ってtransチャンバ(152)の中へとトランスロケーションする一方で、他方の末端は、その付着した磁性ビーズによってナノポア入り口で停止される。外部の磁石を係合するかまたはオンにすることによって、上記磁性ビーズは、スキャンプレート(130)へと引きつけられる。強い磁力を印加することによるか、または化学結合もしくは他の方法を経るかのいずれかで、上記ビーズは、スキャンプレートへとしっかりと結合される。次いで、スキャンプレートを分析ステージ(100)とともにナノメートル未満の精度(0.1nm~1nm)で移動させると、DNA分子は、スキャンプレートと同じ速度で上記ナノポアを通って移動し、その塩基は、これらがナノギャップ(107)を通過するときに1つずつ、リーダー分子(110)によって読みとられ得る。トンネリング測定による正確な塩基検知のために、塩基-リーダー相互作用(滞留)時間は、1msまたはこれより長いことが要求される。滞留時間が長いほど、塩基検知はより正確であるが、配列決定スループットはより低くなる。よって、概して、好ましい時間は、1塩基ユニットあたり1ms~5msであり、それほど好ましくないのは、1塩基ユニットあたり0.1ms~100msである。ssDNAに関しては、上記塩基ユニットサイズは、約0.34nmであり、完全に伸ばした場合には0.7nmに及ぶ。これは、スキャンプレートが約0.1μm/秒~1μm/秒の速度で、あまり好ましくないのは、0.005μm/秒~10μm/秒の速度で移動されることを要求する。
【0015】
いくつかの実施形態(PCT/US18/32399を参照)において、強い限局的な磁力を達成して、磁性ビーズをスキャンプレート上にしっかりと保持するために、微小軟質磁性構造物(micro-soft magnetic structure)(102)の層を、スキャンプレート(101)の表面上に構築する(目立つ構造物またはパーマロイを満たしたパターン化した孔のいずれか)。上記軟質磁性構造物は、孤立構造物、グリッドアレイ、六角形アレイ、孤立ストリップ、一定面積にわたるストリップの直線状のアレイ、一群の構造物のパターン化アレイ、構造物の無作為パターンなどのレイアウトを有する。上記軟質磁性構造物は、円柱、楕円柱、矩形ブロック、多角円柱(polygonal cylinder)、角錐、反転させた角錐、円錐、反転させた円錐、細長い形状、不規則な粒子、環などのような形状を有し得る。サイズ(直径または幅または同等の寸法)は、100nm~20マイクロメートル、好ましくは1マイクロメートル~5マイクロメートルの範囲に及ぶ。中心間の距離(またはピッチ)は、通常、微小構造物サイズの1~2倍である。パーマロイを除いて、他のニッケルおよびイオン合金がまた、軟質磁性構造物(例えば、ニッケル-鉄-モリブデン合金、ニッケル-コバルト合金、鉄-ニッケル-コバルト合金、鉄-ケイ素合金、ニッケルおよび鉄の種々のパーセンテージ(0%~100%の間のいずれかの数字)を有するニッケルおよび鉄合金)のコアとして使用され得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記スキャンプレートは、標的DNA分子または他の生体ポリマーの付着のために、微小支柱もしくはパターン化領域または微小支柱もしくはパターン化領域のアレイを有する。上記微小支柱もしくはパターン化領域のアレイは、ナノチップ上のナノポアまたはナノスリットアレイと実質的に整列される(WO2017/075620を参照)。
【0017】
いくつかの実施形態において、標的ssDNA分子は、ビーズなしでリンカー分子を介する化学結合によってスキャンプレートに付着される。上記標的ssDNA分子は、上記リンカー分子にライゲーションされ、上記リンカー分子は、上記スキャンプレートに付着される。DNAを識別または配列決定するために、上記スキャンプレートは、上記標的ssDNAの遊離末端がナノポアに入り、上記ナノポアチップのcis側からtrans側へとトランスロケーションし、次いで、上記ナノポアから離れて移動することを可能にするように、最初に下げられる。上記標的DNAは、上記ssDNAが上記ナノポアに入る、および/または上記ssDNAが上記ナノポアを離れる場合に、配列決定され得る。それは、正確度を増大させることが必要とされる場合に、反復して配列決定され得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、天然の、改変されたまたは合成のいずれかの、2本鎖DNAもしくは1本鎖DNA、ポリペプチド鎖、セルロース線維または任意の可撓性の直線状のポリマー、あるいはこれらの組み合わせが、リンカー分子として使用され得る(WO2017/075620を参照)。天然のラムダDNA(これは、約48.5kb、16.5マイクロメートル長(2本鎖)または34マイクロメートル長さ(1本鎖)である)は、リンカー分子の良好な候補である。
【0019】
いくつかの実施形態において、リンカーノード(例えば、非磁性ビーズまたは粒子またはタンパク質)は、リンカー分子と標的DNA分子との間に配置され、上記リンカーノードは、上記リンカー分子が上記ナノポアに入るのを妨げて、整列手順を促進するように構成される(WO2017/075620を参照)。リンカーノードとして使用され得るタンパク質としては、抗体、酵素、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン、およびアビジンが挙げられるが、これらに限定されない。リンカーノードは、ポリマー複合体または粒子またはビーズ、その一部、およびこれらの組み合わせであり得る。
【0020】
別の実施形態において、上記ナノポアは、1~50nm、好ましくは2~20nm、最も好ましくは2~5nmの範囲の幅の寸法、および5nm~1μmまたはビーズサイズ以下の長さ、好ましくは10~500nm、最も好ましくは20~100nmの寸法を有するナノスリットである。上記平面のナノギャップは、上記ナノスリットの幅を横切って構築される。
【0021】
1つの実施形態において、本発明は、電子トンネリングナノポアの製作のための詳細なプロセスを提供する(
図2Aおよび2B)。膜層(
図2A、パネルA、202)は、ベース基材(
図2A、パネルA、201)上に堆積される。上記基材201は、任意の材料(例えば、Siベースの、III~V族の材料、またはガラス)であり得る。堆積後、上記基材は、裏面からエッチングされて、トンネリングナノポアデバイスのために、ウインドウ(
図2A、パネルB、203、および204)を有する支持構造を提供する。導電層(
図2A、パネルC、205)は、化学蒸着(CVD)、原子層堆積法(ALD)、物理蒸着法(PVD)、分子蒸着法(molecular vapor deposition)(MVD)、電気めっき、またはスピンコート法などが挙げられるが、これらに限定されない堆積法によって、上記202層上に底部電極として堆積される。上記層の材料としては、金属材料(例えば、Au、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Al、Ag、Cr、Cu)、または導電性複合材料(例えば、窒化物化合物(TiNx、TaNx))またはドーピングありもしくはなしの酸化物化合物が挙げられるが、これらに限定されない。副層(sub-layer)の種々の組み合わせは、多層電極として使用されて、接着を改善し得、電極の導電率を制御し得る。同様に、絶縁層(
図2A、パネルC、206)が、化学蒸着(CVD)、原子層堆積法(ALD)、物理蒸着法(PVD)、分子蒸着法(MVD)、電気めっき、またはスピンコート法などの技術によって堆積されるが、これらに限定されない。その材料は、任意の電気絶縁体(例えば、SiNx、SiOx、HfOx、Al
2O
3)および/または半導体産業において使用される誘電体であり得る。上記絶縁層は、2~5nm、好ましくは、3~4nmの厚みを有する。第2の導電層(
図2A、パネルC、207)は、層205と同じ方法によって頂部電極として堆積される。副層の種々の組み合わせは、多層電極として使用されて、接着を改善し得、電極の導電率を制御し得る。第2の電気絶縁層(
図2A、パネルC、208)は、キャップ層として導電層207の頂部に堆積されて、曝されたトンネリング接合を除いて、導電性溶液に曝される場合、上記デバイスが短絡するのを妨げ得る。パターン化エッチングマスクは、電子線レジスト上で電子線リソグラフィーまたは極端紫外線リソグラフィー(EUV)レジスト(これは、現像後にエッチングマスクとして働く)上でEUVを使用して、ナノポアに埋め込まれたトンネリング接合を製作するために調製される。上記レジストマスクは、最終パターン化エッチングマスクとして働く以下の多層化ハードマスクのためのパターン転写として使用される(
図2B、パネルD、209、210)。反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマドライエッチング、集束イオンビーム(FIB)、集束電子ビーム(FEB)、またはイオンビームエッチング(IBE)は、キャップ層(208)、頂部電極(207)、絶縁層(206)、底部電極(205)、および膜(202)を貫通してエッチングするように行われる。ナノポアに埋め込まれた積み重なったトンネリングナノギャップ(
図2B、パネルE、211)は、エッチング残渣およびエッチングマスクを除去した後に作製される。上記ナノポアは、1~50nm、好ましくは2~20nm、最も好ましくは2~5nmの直径を有するサイズにされる。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、ポリマー配列を反復して読むための、同じタイプまたは異なるタイプのリーダー分子がナノポアに埋め込まれた2つのトンネリングキャップ(4個の電極)を有するデバイスを製作するプロセスを提供する(
図3AおよびB)。これは、配列決定正確度を増大させる。上記トンネリングギャップは、スペーサー(
図3A、パネルC、308)によって隔てられる。上記スペーサーは、任意の電気絶縁材料(例えば、SiNx、SiOx、HfOx、Al
2O
3)および/または半導体産業において使用される誘電材料であり得る。上記スペーサーの堆積は、化学蒸着(CVD)、原子層堆積法(ALD)、物理蒸着法(PVD)、分子蒸着法(MVD)、電気めっき、またはスピンコート法などの技術で行われるが、これらに限定されない。上記デバイスの製作のための他のプロセスは、[0027]に記載されるものに従う。単一のトンネリングナノギャップと比較して、トンネリング接合のより高いアスペクト比を考慮するにあたって、[0027]において言及されるように、パターン転写マスクとしてパターン化レジストを使用する多層ハードマスクアプローチは好ましい。
【0023】
1つの実施形態において、本発明は、ナノポアに埋め込まれた平面のトンネリングナノギャップから構成されるデバイスの製作のための詳細なプロセスを提供する(
図4AおよびB)。絶縁層(
図4、パネルA、402)は、ベース基材(
図4、パネルA、401)上に堆積される。上記基材401は、任意の材料(例えば、Siベースの、III~V族、またはガラス)であり得る。堆積後、上記基材は、裏面からエッチングされて、トンネリングナノポアデバイスのための開いたウインドウ(
図4、パネルA、403、および404)を有する支持構造物を提供する。同様に、導電層(
図4、パネルA、405)は、絶縁層402上に堆積される。上記導電層は、接着を増強し、所望の導電率を制御するために、多層構造物であり得る。接着層は、第2の導電性電極または必要であれば絶縁/保護層(
図4、パネルA、409)のいずれかとして作用するように堆積される。反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマドライエッチング、集束イオンビーム(FIB)、集束電子ビーム(FEB)、またはイオンビームエッチング(IBE)は、ナノワイヤを製作するために行われる。エッチングし、レジスト残渣を除去し、基材を洗浄した後、電気絶縁材料(
図4、パネルA、406)は、キャップ層として堆積されて、ナノギャップ断面を除いて、導電性溶液に曝す場合に、上記電極を保護し得る。接着促進層としての非導電層(
図4、パネルA、410)は、必要であればフォトレジストのために堆積される。フォトレジスト(
図4、パネルA、407)は、電子線リソグラフィー(EBL)または極端紫外線リソグラフィー(EUV)を使用してパターン化されて、ナノワイヤを横断するナノギャップを規定し得る(
図4、パネルA、408)。このパターン化レジストは、直接エッチングマスクトとして作用し得るか、またはパターン転写のために使用されて、任意のハードマスクを製作し得る。ギャップパターンは、ナノワイヤパターンを横断している。犠牲層(410)またはキャップ絶縁層(406)の頂部は、ギャップの間に認められ得る。反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマドライエッチング、集束イオンビーム(FIB)、集束電子ビーム(FEB)、またはイオンビームエッチング(IBE)は、
図4Bに示されるように、埋め込まれたトンネリングナノギャップを有するナノポアを形成するために、上記層を貫通してエッチングするように行われる。剥離/洗浄後、最も頂部の層は、犠牲層(410)またはキャップ絶縁層(406)であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、リーダー分子は、トンネリングナノギャップを形成するそれら電極に付着されて、ポリマーの個々の塩基ユニットと、それらの識別のために相互作用する。上記相互作用は、水素結合相互作用、スタッキング相互作用、静電的相互作用、または他の非共有結合的相互作用である。
【0025】
いくつかの実施形態において、先行技術で開示されるリーダー分子(1,8-ナフチリジン誘導体(1.8-Napthyridine derivative)およびイミダゾール-カルボキサミド誘導体(US 8,628,649)、ベンズアミド(US 9,140,682)、トリアゾール-カルボキサミド誘導体(US 10,336,713)、ベンゾイミダゾール-2-カルボキサミド(US 2016/0108002)、ピレン誘導体(US 2019/0195856)が挙げられる)は、電子トンネリングによって生体ポリマーおよび合成ポリマーの塩基ユニットを読みとるために使用される。
【0026】
1つの実施形態において、本発明は、天然に存在する核酸、タンパク質、ペプチド、およびポリサッカリド、ならびにそれらの合成核酸(例えば、XNAおよび核酸アナログ(例えば、ペプチド核酸(PNA))、非天然アミノ酸で再設計された(re-engineered)タンパク質、改変されたペプチドを含む生体ポリマーの配列を読み取るためにリーダー分子としてキサンチン(
図5、503)を利用する。化合物503は、
図5に示されるように、8-ブロモキサンチン(501)から出発して、経路に従って合成される。
【0027】
1つの実施形態において、分子モデリングは、リーダー分子503が、DNA塩基と、水素結合を介して相互作用して、2個の硫黄原子が2.8nmの距離で固定された異なる三つ組複合体(
図6)を形成することを示すので、トンネリング電流は、これらの構造を通って異なって流れ、これは、個々のヌクレオシドのシグナチャーとして使用される。DNA分子が、トンネリングナノギャップを通ってトランスロケーションする場合、その配列は、トンネリングシグナチャーによって読みとられ得る。Au-S結合が2.156Åの長さを有する
16ことを考慮すると、約3.2nmのサイズを有するナノギャップは、トンネリング配列決定に実践的である。それは、およそ2.5nmのギャップサイズを有するそれらのトンネリング接合と比較して、トンネリングナノポアデバイスの製作に製造利点を提供する。
【0028】
いくつかの実施形態において、リーダー分子の構造は、
図7に表されるように、一般的な形態として記載され得る。それは、非共有結合的な力を通じてポリマーのモノマーと相互作用する認識部分および電極上の認識部分を固定するために使用されるアンカーから構成され、これらはともに、リンカー701、702、または703(これらは異なる電子トンネリングを可能にする)を通じて接続される。
【0029】
いくつかの実施形態において、本発明は、キサンチンリーダー分子に由来するより小さなサイズを有する一連のリーダー分子を提供する(
図8)。これらのリーダー分子は、トンネリングナノギャップに適しており、好ましくはそれらのサイズは、およそ2.5nmである。それらのリンカー801、802、または803は、それぞれ、それらの相当する701、702、または703に等しい。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明は、生体ポリマーサンプル構築物を、上記トンネリングナノポアデバイスによるその分析のために調製する方法を提供する。
図9に示されるように、上記構築物は、分子リンカー(902)を通じて磁性ビーズ(901)に付着されたポリマー標的(
図9、903)を有し、上記標的がナノポアから飛び出すのを防止するために、オリゴヌクレオチドのテールが付加されている。磁性ビーズのサイズは、50nm~20μm、好ましくは1μm~3μmの範囲に及び、分子リンカーは、生理学的条件下で、負に荷電したDNA(1本鎖または2本鎖のいずれか)およびRNA、中性のポリエチレングリコール(PEG)、または正に荷電したポリエチレンイミンを含むが、これらに限定されない。上記ポリマー標的は、天然に存在するDNA、RNA、タンパク質、ポリサッカリド、およびそれらの改変された人工の対応物である。上記オリゴテールは、生理学的条件下で、負に荷電したDNA(1本鎖または2本鎖のいずれか)およびRNA、中性のポリエチレングリコール(PEG)、または正に荷電したポリエチレンイミンから構成されるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明は、DNA構築物の調製の例を提供する。1つの例(
図9bに詳細に描かれる)は、DNA構築物である。最初に、l-DNA(これは、その一方の端部においてアミンで官能化され、リンカー分子として使用される)は、アミド化反応を介してカルボキシレートで官能化された磁性ビーズに付着される(工程A)
17。他の実施形態において、この工程は、異なる化学反応(例えば、アジド-アルキン付加環化、マレイミド-チオールカップリングなど)を使用する。並行して、DNA標的は、直線状のM13mp18 DNAテールに、T4 DNAリガーゼを介してライゲーションされる(工程B)
18。いくつかの実施形態において、この工程は、化学反応または他の酵素ライゲーション(例えば、T7、Taqなど)を介して終了される。次いで、上記標的-テール結合体は、T4 DNAライゲーションを通じて磁性ビーズに付着されたl-DNAリンカーに連結される(工程C)。いくつかの実施形態において、この工程は、別のリガーゼ(例えば、T7、Taqなど)または化学反応(例えば、アミン-カルボキシレート、チオール-マレイミド、またはクリックカップリングが挙げられるが、これらに限定されない)によって完了される
19,20。いくつかの実施形態において、上記サンプル構築物は、最初に、リンカー分子、標的分子、およびリンカー分子を接続して、リンカー-標的-テール結合体を形成することによって調製され、次いで、これは、磁性ビーズに付着される。
【0032】
別の例は、2本鎖DNAサンプルで出発して、テールとして直線状のpUC19ベクターを使用するDNA構築物の調製である(
図10)。最初に、l-DNAは、磁性ビーズに、アジド-アルキンクリック反応を介して付着される(工程A)。並行して、上記2本鎖DNA標的は、2本鎖DNAテールに、T4 DNAライゲーションを通じてライゲーションされる(工程B)。いくつかの実施形態において、異なるリガーゼ(例えば、T3、T7、Taq)が、ライゲーションされるべき標的に応じて使用される。次いで、上記標的-テール結合体は、磁性ビーズ上のl-DNAに結合体化される(工程C)。同様に、上記磁性ビーズ上の2本鎖DNA構築物は、l-エキソヌクレアーゼによって消化されて
21、上記磁性ビーズ上で1本鎖DNA構築物を得る(工程D)。別の実施形態において、上記ライゲーションされた2本鎖リンカー-標的-テール複合体は、磁性ビーズへの付着の前に、調製および消化される。
【0033】
いくつかの実施形態において、100~1億個の間、好ましくは1,000~100万個の間のナノポアのアレイを含むナノチップが、生体ポリマー検知または配列決定のスループット要件を満たすために作製される。
【0034】
いくつかの実施形態において、1個のチップ上のナノポアデバイスのアレイは、複数の領域またはモジュールに分けられ、シグナルが、シグナル記録ユニットのバンド幅およびサンプリング周波数限界を克服するために、別個のシグナル記録ユニットによって一方の領域から他方の領域まで別個に読みとられる。
【0035】
概論
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および他の文書は、それらの全体において参考として援用される。別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本発明は、種々の実施形態の記載によって例証されており、これらの実施形態はかなり詳細に記載されているが、出願人は、本出願の範囲を限定することも、いかなる方法においても限定することをも意図していない。さらなる利点および改変は、当業者に容易に明らかである。従って、そのより広い局面における本発明は、示され、記載される具体的な詳細、代表的なデバイス、装置および方法、ならびに説明例に限定されない。よって、出願人の一般的な発明の概念の趣旨から逸脱することなく、このような詳細から新しい試みが行われ得る。
参考文献
【0036】
【0037】
【国際調査報告】