(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】血栓の吸引のためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502884
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 US2020042827
(87)【国際公開番号】W WO2021016213
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507331221
【氏名又は名称】エリクシアー メディカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グエン, キム
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サーハン, モタシム
(72)【発明者】
【氏名】バート, ビナヤク
(72)【発明者】
【氏名】セルナ, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ, サミト
(72)【発明者】
【氏名】クライヤー, ブレット
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
(57)【要約】
血管から血塊を除去するための吸引カテーテルは、本体の遠位端から遠位に延在する足場を有する、カテーテル本体を含む。吸引管腔が、本体の遠位端から近位端まで延設され、足場内の中心血塊受容通路が、カテーテル本体の吸引管腔と隣接する。真空耐性膜が、足場を被覆し、吸引管腔の近位端に真空を印加することが、血塊を中心血塊受容通路の中に引き込み得るように、カテーテル本体内に足場の遠位端から吸引管腔の近位端まで血塊吸引経路を確立する。足場は、円錐形構成、円筒形構成、またはそれらの組み合わせを有し得、足場の少なくとも遠位部分は、送達構成から抽出構成まで半径方向に拡張可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管から血塊を除去するための吸引カテーテルであって、前記吸引カテーテルは、
近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する、カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端から遠位に延在し、前記カテーテル本体の吸引管腔と隣接する中心血塊受容通路を有する、足場と、
前記足場を被覆して、前記吸引管腔の近位端に真空を印加することが、血塊を前記中心血塊受容通路の中に引き込み得るように、前記カテーテル本体内に前記足場の遠位端から前記吸引管腔の近位端まで血塊吸引経路を確立する、真空耐性膜と
を備え、
前記足場の少なくとも遠位部分は、送達構成から抽出構成まで半径方向に拡張可能である、吸引カテーテル。
【請求項2】
前記足場の半径方向に拡張可能な遠位部分は、自己拡張式である、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項3】
半径方向に拘束された構成で前記半径方向に拡張可能な遠位部分を拘束するように構成される、シースをさらに備え、前記カテーテル本体に対する前記シースの平行移動は、前記拘束を解放し、前記半径方向に拡張可能な遠位部分が半径方向に拡張することを可能にする、請求項2に記載の吸引カテーテル。
【請求項4】
前記足場の半径方向に拡張可能な遠位部分は、半径方向に収縮された構成と半径方向に拡張された構成との間で逆に駆動されるように構成される、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項5】
前記半径方向に拡張された構成は、前記血管の内壁に係合するように構成される、略円筒形遠位領域と、前記円筒形遠位領域と前記カテーテル本体の遠位端との間のテーパ状遷移領域とを有し、前記円筒形遠位領域は、前記真空が前記吸引管腔の近位端に印加されるときに、前記中心血塊受容通路の中に血塊を指向するように構成される、開放遠位端を有する、請求項4に記載の吸引カテーテル。
【請求項6】
前記円筒形遠位領域は、2.2mm~5.5mmの範囲内の拡張されたときの直径と、1mm~150mmの範囲内の拡張されたときの長さとを有する、請求項5に記載の吸引カテーテル。
【請求項7】
前記半径方向に拡張された構成は、前記カテーテル本体の遠位端に取り付けられる近位に配向された頂点開口部と、前記真空が前記吸引管腔の近位端に印加されるときに、前記血管の内壁に係合し、前記中心血塊受容通路の中に血塊を指向するように構成される、遠位に配向された開放基部とを伴う、略円錐形領域を有する、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項8】
前記膜は、前記足場の内面を被覆する、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項9】
前記真空耐性膜の遠位端は、前記足場の被覆されていない遠位部分を残して、前記足場の遠位端の近位に位置する、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項10】
前記足場の被覆されていない遠位部分は、前記血塊を陥入させること、前記血塊を破壊すること、および前記血塊の抽出を促進することのうちの少なくとも1つを行うように構成される、請求項9に記載の吸引カテーテル。
【請求項11】
その抽出構成における前記足場の遠位先端の開放ポートは、固定直径カテーテル本体内の前記吸引管腔の開放ポート面積を1.5~10倍上回る面積を有する、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項12】
前記足場全体は、拡張可能な遠位区画を備える。請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項13】
前記真空耐性膜は、前記足場の少なくとも遠位部分に結合される、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項14】
前記足場の遠位部分の送達構成は、前記カテーテル本体の遠位端よりも小さい、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項15】
前記足場の遠位部分の内面は、潤滑材料でコーティングされる、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項16】
その抽出構成における前記足場は、前記血塊のサイズから脈管のサイズまでの範囲内のサイズに拡張可能である、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項17】
前記吸引管腔を通して延在し、前記シースの後退または前進を提供し、前記足場を前記拡張構成に展開する、カテーテルまたはワイヤをさらに備える、請求項3に記載の吸引カテーテル。
【請求項18】
前記抽出構成における前記足場の遠位部分は、前記真空が印加されるときに、前記血管の内壁に係合し、前記足場の近位の血液が前記血塊吸引経路に進入しないように実質的に防止する、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項19】
前記抽出構成における前記足場の近位部分は、前記真空が印加されるときに、前記血管の内壁に係合し、前記足場の近位の血液が前記血塊吸引経路に進入することを実質的に低減させる、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項20】
前記抽出構成における前記足場は、前記足場の遠位端が前記血塊の近位に設置され、真空が印加されるときに、前記血塊を前記中心血塊受容通路の中に引き込む、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項21】
前記足場の遠位部分は、前記遠位部分が前記吸引管腔の中への前記血塊の吸入を促進するように拡張されるときに、血塊に係合し、それを破壊するように構成される、請求項1に記載の吸引カテーテル。
【請求項22】
前記拡張可能な足場は、前記血塊の切断または把持を改良するための鋭縁、金属突出部、フィン、フック要素、およびスロットから成る群から選択される、1つ以上の特徴を備える、請求項21に記載の吸引カテーテル。
【請求項23】
前記足場の半径方向に拡張可能な遠位部分は、少なくとも1つの回転方向にトルクを付与され、前記足場の半径方向に拡張可能な少なくとも遠位部分を半径方向に開放または閉鎖するように構成される、少なくとも第1のコイルを備える、請求項4に記載の吸引カテーテル。
【請求項24】
前記真空耐性膜は、前記少なくとも第1のコイルを被覆し、前記中心血塊受容通路を封入し、前記吸引管腔から前記半径方向に遠位の拡張可能な区画の遠位端まで連続真空経路を生成する、拡張可能なスリーブを備える、請求項23に記載の吸引カテーテル。
【請求項25】
前記拡張可能なスリーブは、弾性区分、折畳区分、および巻上区分のうちの少なくとも1つを備える、請求項24に記載の吸引カテーテル。
【請求項26】
前記少なくとも第1のコイルは、両方の回転方向にトルクを付与され、前記足場の半径方向に拡張可能な部分を半径方向に開放および閉鎖するように構成される、請求項24に記載の吸引カテーテル。
【請求項27】
前記足場の円筒形遠位領域はさらに、回転可能な内側部材を備え、前記第1のコイルは、その近位端において前記カテーテル本体の遠位端に、その遠位端において前記内側部材の遠位端に固定され、前記内側部材の近位端の回転は、前記第1のコイルの遠位端を回転させる、請求項24に記載の吸引カテーテル。
【請求項28】
前記足場の円筒形遠位領域はさらに、回転可能な外側部材を備え、前記第1のコイルは、その近位端において前記カテーテル本体の遠位端に、その遠位端において前記外側部材の遠位端に固定され、前記外側部材の近位端の回転は、前記第1のコイルの遠位端を回転させる、請求項24に記載の吸引カテーテル。
【請求項29】
前記少なくとも第1のコイル内に回転可能かつ同軸上に搭載される、第2のコイルをさらに備え、前記少なくとも1つのコイルは、その近位端において前記カテーテル本体の遠位端に、その遠位端において前記第2のコイルの遠位端に固定され、前記第1および第2のコイルは、第1の方向への前記第2のコイルの近位端の回転が、前記第1および第2のコイルの両方を半径方向に拡張させるように、反対螺旋方向に巻装される、請求項24に記載の吸引カテーテル。
【請求項30】
少なくとも1つのコイルは、蛇行パターンでクラウンによって継合される支柱から形成される、螺旋状に巻装された伸長部材を備え、前記少なくとも1つのコイルの近位端の回転は、圧着構成から前記支柱を解放し、前記螺旋状に巻装された伸長部材が半径方向に拡張することを可能にする、請求項24-29のいずれか1項に記載の吸引カテーテル。
【請求項31】
その圧着構成で前記少なくとも1つのコイルを拘束する、シースまたはキャップをさらに備える、請求項30に記載の吸引カテーテル。
【請求項32】
前記足場の円錐形領域は、前記近位に配向された頂点開口部を中心として配置される近位端と、前記遠位に配向された開放基部を中心として配置される遠位端とを有する、複数の支柱を備える、請求項7に記載の吸引カテーテル。
【請求項33】
前記支柱は、前記真空耐性膜のみによって結合される遊離近位端を伴って個別に配列される、請求項32に記載の吸引カテーテル。
【請求項34】
前記支柱は、相互接続される、請求項32に記載の吸引カテーテル。
【請求項35】
前記支柱は、前記近位に配向された頂点開口部および前記遠位に配向された開放基部の両方を中心として配置される、クラウン領域を伴って蛇行パターンで配列される、請求項32に記載の吸引カテーテル。
【請求項36】
前記支柱は、拘束されていないときに、遠位方向へ半径方向外向きに分岐し、前記円錐形領域を画定する、請求項32に記載の吸引カテーテル。
【請求項37】
遠位に前進されて前記支柱を被覆および拘束し、近位に後退されて前記支柱を被覆解除および解放し、半径方向に拡張するように構成される、シースを備える、足場拘束および解放機構をさらに備える、請求項32-36のいずれか1項に記載の吸引カテーテル。
【請求項38】
第1の位置で前記支柱の遠位端を被覆および拘束し、第2の位置で前記支柱の遠位端を被覆解除および解放する、キャップを備える、足場拘束および解放機構をさらに備える、請求項32-36のいずれか1項に記載の吸引カテーテル。
【請求項39】
内側部材に取り付けられ、前記支柱の周囲に巻着する材料の長さを備える、足場拘束および解放機構をさらに備え、前記内側部材は、前記支柱から前記材料の長さを引動し、それらが自己拡張することを可能にするように構成される、請求項32-36のいずれか1項に記載の吸引カテーテル。
【請求項40】
内側部材を備える、足場拘束および解放機構をさらに備え、前記支柱は、最初に、自己拡張するように前記支柱を解放するために機械的に破壊され得る、易壊性材料を用いて前記内側部材に接合される、請求項32-36のいずれか1項に記載の吸引カテーテル。
【請求項41】
前記支柱の周囲に張力下で保持されるフィラメントを備える、足場拘束および解放機構をさらに備え、前記張力は、前記支柱が自己拡張することを可能にするように解放されることができる、請求項32-36のいずれか1項に記載の吸引カテーテル。
【請求項42】
前記支柱は、前記カテーテル本体の吸引管腔の内側で完全に折畳され、遠位に押動されて展開および開放するように構成される、請求項32-36のいずれか1項に記載の吸引カテーテル。
【請求項43】
前記足場は、単一の経路を辿り、円筒形または円錐形エンベロープを形成する要素を備える、前記請求項のいずれか1項に記載の吸引カテーテル。
【請求項44】
前記単一の経路は、閉ループである、請求項43に記載の吸引カテーテル。
【請求項45】
前記単一の経路は、開放している、請求項44に記載の吸引カテーテル。
【請求項46】
前記足場要素は、パターン化された構造を備える、請求項44-45のいずれか1項に記載の吸引カテーテル。
【請求項47】
血管から血塊を除去するための吸引カテーテルであって、前記吸引カテーテルは、
近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する、カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端から遠位に延在し、前記カテーテル本体の吸引管腔と隣接する中心血塊受容通路を有する、足場と、
前記足場を被覆して、血塊の近位の血液が前記吸引管腔に進入しないように実質的に防止しながら、前記吸引管腔の近位端に真空を印加することが、前記血塊を前記中心血塊受容通路の中に引き込み得るように、前記カテーテル本体内に前記足場の遠位端から前記管腔の近位端まで血塊吸引経路を確立する、膜と
を備え、
前記足場の少なくとも近位部分は、送達構成から抽出構成まで半径方向に拡張可能であり、前記半径方向に拡張された構成は、前記カテーテル本体の遠位端に取り付けられる遠位に配向された頂点開口部と、前記真空が前記吸引管腔の近位端に印加されるときに、前記血管の内壁に係合し、前記中心血塊受容通路の中に血塊を指向するように構成される、近位に配向された開放基部とを伴う、略円錐形領域を有する、吸引カテーテル。
【請求項48】
血管から血塊を抽出するための方法であって、前記方法は、
前記血塊の近位の血管内に吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分を位置付けることと、
前記血管内で前記吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分を半径方向に拡張し、前記吸引カテーテル内の吸引管腔と隣接する前記半径方向に拡張可能な遠位部分を通して拡大された中心血塊受容通路を形成することと、
真空を前記吸引管腔の近位部分に印加し、前記血管から前記吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分の中に血塊を引き込むことと
を含み、
前記吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分は、前記真空を印加しながら、前記中心血塊受容通路の開存性を維持するために十分な強度を伴う真空耐性膜で被覆される足場を備える、方法。
【請求項49】
前記半径方向に拡張可能な遠位部分の遠位端は、前記真空が印加されるときに、前記血塊に係合する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記半径方向に拡張可能な遠位部分の遠位端は、前記真空が印加されるときに、前記血塊の近位に離間される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記半径方向に拡張可能な遠位部分の遠位端は、前記血塊に対して係合され、前記真空が印加されることに先立って、またはその間に、前記血塊を少なくとも部分的に破壊するように操作される、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記半径方向に拡張可能な遠位部分の遠位端は、吸引カテーテルの前記遠位部分の近位に位置する血液が前記吸引管腔に進入しないように阻止する、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分は、自己拡張式であり、前記半径方向に拡張可能な遠位部分を半径方向に拡張することは、拘束シースから前記半径方向に遠位の拡張可能な区画を解放することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分を半径方向に拡張することは、前記吸引カテーテル上の構造を作動させ、前記中心血塊受容通路を開放することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記吸引カテーテル上の構造を作動させ、前記中心血塊受容通路を閉鎖し、前記血管内の前記吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に収縮させ、中心血塊受容通路を閉鎖することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
前記吸引カテーテル上の前記構造を作動させ、前記中心血塊受容通路を拡張する、または収縮させることは、第1の回転方向に少なくとも第1のコイルにトルクを付与し、前記半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第1のコイルは、前記吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拡張するように、第1の方向にトルクを付与され、前記吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拘束するように、第2の回転方向にトルクを付与される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記第1のコイルにトルクを付与することは、前記第1のコイルの遠位端に取り付けられた内側部材または外側部材を回転させることを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第1のコイルにトルクを付与することは、前記第1のコイルの遠位端に取り付けられた第2のコイルを回転させることを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記血塊は、実質的に無傷で抽出される、請求項48に記載の方法。
【請求項61】
前記血塊の近位部分は、実質的に無傷で抽出される、請求項48に記載の方法。
【請求項62】
実質的に全ての血塊は、第1の抽出試行で抽出される、請求項48に記載の方法。
【請求項63】
前記抽出された血塊は、硬質血塊から成る、請求項48に記載の方法。
【請求項64】
前記足場は、単一の経路を辿り、円筒形または円錐形エンベロープを形成する要素を備える、請求項48-63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記単一の経路は、閉ループである、請求項64に記載の吸引カテーテル。
【請求項66】
前記単一の経路は、開放している、請求項64に記載の吸引カテーテル。
【請求項67】
前記吸引カテーテルの遠位部分を半径方向に拡張することは、前記足場に取り付けられた内側部材を回転させることを含み、前記足場は、その近位端において前記カテーテル本体の遠位端に、その遠位端において前記内側部材の遠位端に固定される、第1のコイルを有する、円筒形遠位領域を備え、前記内側部材の近位端の回転は、前記第1のコイルの遠位端を回転させる、請求項48-63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記足場の円筒形遠位領域はさらに、回転可能な外側部材を備え、前記第1のコイルは、その近位端において前記カテーテル本体の遠位端に、その遠位端において前記外側部材の遠位端に固定され、前記外側部材の近位端の回転は、前記第1のコイルの遠位端を回転させる、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
管腔内補綴具であって、
軸に沿って配列される複数の円周方向リングを有する、足場を備え、前記リングは、クラウンによって継合され、非分解性材料からパターン化される支柱を備え、前記足場は、圧着構成から拡張構成まで拡張するように構成され、
前記円周方向リングのうちの少なくともいくつかは、円周方向に分離可能であり、円周方向に分離可能な軸方向リンクによって継合され、分離インターフェースに沿って円周方向に分離するように構成され、
前記円周方向リングの円周方向に分離可能な領域および前記軸方向リンクは、拡張の間に前記分離領域をともに保持し、生理学的環境内の前記足場の拡張後に、前記円周方向リングおよび前記軸方向リンクに少なくとも1つの不連続性を形成するように構成される、生分解性ポリマーおよび/または接着剤から成り、
前記足場は、全ての連続性が形成された後に1つの連続構造を形成するように構成される、管腔内補綴具。
【請求項70】
管腔内補綴具であって、
軸に沿って配列される複数の円周方向リングを有する、足場を備え、前記リングは、クラウンによって継合され、非分解性材料からパターン化される支柱を備え、前記足場は、圧着構成から拡張構成まで拡張するように構成され、
前記円周方向リングのうちの少なくともいくつかは、円周方向に分離され、円周方向に分離された軸方向リンクによって継合され、
前記足場は、生理学的環境内で前記圧着構成から拡張構成まで拡張可能であり、
前記足場は、身体管腔を支持するための十分な強度を前記拡張構成において提供する、1つの連続的なパターン化された構造から形成される、管腔内補綴具。
【請求項71】
血管から血塊を除去するための吸引カテーテルであって、前記吸引カテーテルは、
近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する、カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端から遠位に延在し、前記カテーテル本体の吸引管腔と隣接する中心血塊受容通路を有する、足場と、
前記足場を被覆して、前記吸引管腔の近位端に真空を印加することが、血塊を前記中心血塊受容通路の中に引き込み得るように、前記カテーテル本体内に前記足場の遠位端から前記管腔の近位端まで血塊吸引経路を確立する、弾性膜と
を備え、
前記足場の少なくとも遠位部分は、送達構成から抽出構成まで半径方向に拡張可能であり、前記足場は、2等分されたリングを接続する少なくとも1つの2等分された軸方向接続を伴う、2つ以上の円周方向の2等分されたリングを備える、吸引カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その開示全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2019年7月19日に出願された仮出願第62/876,376号(代理人整理番号32016-719.101)の利益を主張する。
【0002】
本願は、その開示全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2017年3月31日に出願された仮特許出願第62/480,121号(代理人整理番号32016-714.106)、2016年12月6日に出願された第62/430,843号(代理人整理番号32016-714.105)、2016年11月21日に出願された第62/424,994号(代理人整理番号32016-714.104)、2016年10月28日に出願された第62/414,593号(代理人整理番号32016-714.103)、2016年8月12日に出願された第62/374,689号(代理人整理番号32016-714.102)、および2016年5月16日に出願された第62/337,255号(代理人整理番号32016-714.101)の利益を主張する、2017年5月15日に出願されたPCT出願第PCT/US2017/032748号(代理人整理番号32016-714.601)の継続出願である、現在は米国特許第9,943,426号である、2017年5月25日に出願された米国特許出願第15/605,601号(代理人整理番号32016-714.301)の継続出願である、現在は米国特許第10,076,431号である、2018年3月14日に出願された米国特許出願第15/921,508号(代理人整理番号32016-714.302)の継続出願である、現在は米国特許第10,271,976号である、2018年7月18日に出願された米国特許出願第16/039,194号(代理人整理番号32016-714.303)の継続出願である、現在は米国特許第10,383,750号である、2019年3月18日に出願された米国特許出願第16/356,933号(代理人整理番号32016-714.304)の継続出願である、2019年7月22日に出願された米国特許出願第16/518,657号(代理人整理番号32016-714.305)の継続出願である、2020年2月10日に出願された米国特許出願第16/786,736号(代理人整理番号32016-714.306)の米国一部継続出願である。
【0003】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
毎年、世界中で何百万もの人々が、脳内の血塊によって引き起こされる脳卒中に罹患している。致命的ではないときでさえも、これらの血塊は、重度かつ恒久的な身体障害につながり得る。近年まで、閉塞性脳卒中の症状を呈する患者を治療する唯一の手段は、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)が血塊を溶解させ、脳内の血流を修復するように患者に静脈内で与えられる、薬剤であった。しかしながら、血管血栓(血塊)が、時間とともにより線維性になる、および/または固くなる傾向があるため、tPAのための有効性窓は、血塊が最初に形成された後のわずか数時間である。脳卒中を有し得る個人を認識し、個人を病院に搬送し、診断を実施し、治療を適用することに関与する時間を考慮すると、多くの患者の血塊は、成熟しすぎてtPAに応答することができないため、脳卒中犠牲者のおそらく3分の2が、薬剤治療によって有意に助けられなかった。
【0004】
医療技術の進歩は、血塊が脳から物理的に抽出される、種々の機械的血栓除去技法の開発につながった。機械的血栓除去術は、薬剤治療のための有効性窓が経過してから何時間後でも血塊を除去し、依然として、利益を患者に提供し得るという点で、薬剤治療に優る主要な利点を有する。
【0005】
患者特性および医師選好に応じて、独立して、または相互と組み合わせて使用され得る、機械的血栓除去術への2つの主要アプローチが存在する。第1は、直接吸引として公知である技法において、カテーテルを使用し、真空を血塊に印加することである。第2は、随意に、別個の吸引カテーテルを通して真空を血塊に印加することと組み合わせて、ステント回収器を使用し、血栓を捕らえて物理的に引き出すことである。
【0006】
両方の機械的血栓除去方法は、それらの限界を揺する。ステント回収器は、殆どの血塊にアクセスするために十分に小型かつ可撓性であるが、血塊を掴んで除去するそれらの能力は、変動する。ある場合には、血塊の一部のみが、除去されることができ、手技からの残渣が、下流に解放され、二次閉塞を引き起こし得る。ステント回収器はまた、それらとともに血塊を近位に引動して引き摺られるにつれて、脈管に外傷を誘発し得る。回収器の支柱は、脈管壁から内皮を削り取り、将来の閉塞をより発生させやすい面積を生成する。手技時間もまた、送達および抽出時間に加えて、典型的には、第1の除去試行が行われ得る前に、血塊の中に定着し、それを固着させるために有意な時間を要求するため、ステント回収器に関する問題である。血液が不足した脳組織の環境では、手技時間の差異は、成功した転帰について非常に臨床的に有意である。
【0007】
吸引カテーテルの有効性は、カテーテルの吸引管腔を通して血塊を真空で吸い込むカテーテルの能力に依存する。現在の吸引カテーテルは、吸引カテーテルを生体構造の中に導入するために医師によって使用される導入器シースおよび誘導カテーテルのサイズによって直径が限定される。殆どの血塊が吸引カテーテルサイズよりも有意に大きい傾向があるため、従来の吸引カテーテルの小さいサイズは、第1の真空試行で血塊を完全に吸引できないことに起因して、かつ血塊を破壊または断片化することを欠く場合に、成功した吸引への課題を表す。現在の吸引カテーテルはまた、嵩張り、これは、脳の蛇行性生体構造をナビゲートし、一般的な標的閉塞区画に到達するそのようなカテーテルの能力を限定する。そのようなカテーテルは、これらのカテーテルの嵩張るサイズおよび非常に蛇行性の神経血管生体構造に起因して、より遠位の血塊に到達することに成功することがさらにより少ない。より遠位の血塊にアクセスするように具体的に設計される、より小型の吸引カテーテルは、多くの場合、小さい先端面積に起因する先端における十分な吸引力の欠如に起因して、および/またはより小型のカテーテルの吸引管腔が狭すぎて血塊を吸収することができないため、血塊を抽出することができない。したがって、ステント回収器が、単独で、または吸引カテーテルと組み合わせて、そのような遠位閉塞脈管のためにより頻繁に利用される。ステント回収器および吸引カテーテルの一緒の複合使用にもかかわらず、完全または部分的に血塊を除去することができないことは、依然として、有意数の患者で起こり、手技の時間の長さは、延長され、その閉塞面積内の患者脳細胞を潜在的に侵害する。
【0008】
必要とされるものは、近位および遠位神経生体構造の両方において脳内の血塊に到達することが可能であるデバイス、血塊を断片化することなく、または実質的に断片化することなく、血塊を除去することが可能なデバイス、二次閉塞を引き起こすことなく、血塊を除去することが可能なデバイス、ステント回収器または他の補完的デバイスの使用を要求することなく、確実に血塊を除去することが可能なデバイス、閉塞に到達し、迅速に血塊を回収することが可能なデバイス、手技の間のいずれの時点においても脈管壁を擦らない、または別様に外傷を誘発しないデバイス、第1の吸引試行の間に血塊を回収することに成功するデバイス、および血塊を回収するためにより少ない真空圧を要求するデバイスである。本発明は、これらの必要性のうちの少なくともいくつかに対処するであろう。
(2.背景参考文献のリスト)
関連性がある特許および公開は、国際公開第WO1995/31149号、米国第2008/0086110号、および米国第5,403,334号を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第1995/31149号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0086110号公報
【特許文献3】米国特許第5,403,334号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要約)
本発明の第1の側面では、血管から血塊を除去するための吸引カテーテルは、近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する、カテーテル本体を備える。足場は、カテーテル本体の遠位端から遠位に延在し、カテーテル本体の吸引管腔と隣接する中心血塊受容通路を有する。足場を被覆する真空耐性膜は、吸引管腔の近位端に真空を印加することが、血塊を中心血塊受容通路の中に引き込み得るように、カテーテル本体内に足場の遠位端から吸引管腔の近位端まで血塊吸引経路を確立する。足場の少なくとも遠位部分は、送達構成から抽出構成まで半径方向に拡張可能であるように構成される。
【0011】
送達構成は、典型的には、患者の血管系、典型的には、神経血管系を通した前進を可能にするが、随意に、心臓および末梢血管系内の前進も可能にするための薄型構成である。抽出構成は、通常、真空が吸引管腔に印加されるときに、血塊、血栓、アテローム、および他の閉塞性物質に係合し、血管からそれを収集するように、足場の遠位端に開放ポートまたは通路を伴って半径方向に拡張もしくは拡大される。足場は、真空耐性膜が足場を通して真空を確立している間に、機械的支持体を提供する。
【0012】
いくつかの事例では、足場は、少なくとも部分的に自己拡張式であり、典型的には、形状または熱記憶金属もしくはプラスチック、例えば、ニッケルチタン合金等の弾性材料から全体的または部分的に形成されるであろう。シースは、そのような自己拡張式遠位部分を半径方向に拘束するように構成されてもよく、カテーテル本体に対するシースの平行移動は、拘束を解放し、足場の半径方向に拡張可能な遠位部分が半径方向に拡張することを可能にする。拘束フープ、縫合糸ループ、溶解性接着剤、および同等物等の他の形態の拘束もまた、自己拡張式足場を展開するために使用されてもよい。
【0013】
他の事例では、足場の半径方向に拡張可能な遠位部分は、半径方向に収縮された構成と半径方向に拡張された構成との間で逆に駆動されるように構成される。下記に説明されるように、そのような機構は、回転コイル、一対の逆回転コイル、または同等物を備えてもよい。
【0014】
その半径方向に拡張された構成時の足場は、血管の内壁に係合するように構成される、略円筒形遠位領域と、円筒形遠位領域とカテーテル本体の遠位端との間に配置されるテーパ状遷移領域とを有してもよい。円筒形遠位領域は、典型的には、真空が吸引管腔の近位端に印加されるときに、中心血塊受容通路の中に血塊を指向するように構成される、開放遠位端を有する。円筒形遠位領域は、2mm~6mm、典型的には、2.2mm~5.5mmの範囲内の拡張されたときの直径と、1mm~150mmの範囲内、好ましくは、2mm~100mmの範囲内、より好ましくは、3mm~50mmの範囲内の拡張されたときの長さとを有してもよい。
【0015】
代替として、半径方向に拡張された構成は、カテーテル本体の遠位端に取り付けられる近位に配向された頂点開口部、および真空が吸引管腔の近位端に印加されるときに、血管の内壁に係合し、中心血塊受容通路の中に血塊を指向するように構成される、遠位に配向された開放基部を伴う、略円錐形領域を有してもよい。遠位に配向された開放基部が、2mm~6mm、典型的には、2.2mm~5.5mmの範囲内の拡張されたときの直径を有してもよい一方、頂点端と開放基部との間の長さは、拡張されたときに、1mm~10mmの範囲内、好ましくは、2mm~5mmの範囲内、より好ましくは、3mm~4mmの範囲内である。
【0016】
他の事例では、吸引カテーテルの膜は、足場の内面の全体または一部を被覆してもよい。真空耐性膜の遠位端は、足場の被覆されていない遠位部分を残して、足場の遠位端の近位に位置してもよい。足場の遠位または他の部分は、被覆されておらず(真空耐性膜によって被覆されない)、血塊を陥入させること、血塊を破壊すること、および血塊の抽出を促進することのうちの少なくとも1つを行うように構成されてもよい。
【0017】
なおも他の事例では、その抽出構成時の足場の遠位先端の開放ポートは、足場がその送達構成であるときの開放ポート面積を1.5~10倍上回る面積を有してもよい。足場全体は、拡張可能な遠位区画を備えてもよい。真空耐性膜は、足場の少なくとも遠位部分に結合されてもよい。足場の遠位部分の送達構成は、カテーテル本体の遠位端よりも小さくあり得、足場の遠位部分の内面は、潤滑材料でコーティングされてもよい。
【0018】
さらなる事例では、その抽出構成時の足場は、血塊のものから脈管のものまでの範囲内のサイズから拡張されてもよい。カテーテルまたはワイヤが、吸引管腔を通して延在し、シースの後退または前進を提供し、足場を拡張構成に展開するように設置されてもよい。該抽出構成時の足場の遠位部分は、該真空が印加されるときに、血管の内壁に係合し、血塊の近位の血液が血塊吸引経路に進入しないように実質的に防止するように構成されてもよい、または該抽出構成時の足場の近位部分は、該真空が印加されるときに、血管の内壁に係合し、血塊の近位の血液が血塊吸引経路に進入することを実質的に低減させるように構成されてもよい。
【0019】
多くの事例では、抽出構成時の足場は、該足場の遠位端が血塊の近位に設置され、真空が印加されるときに、血塊を中心血塊受容通路の中に引き込むように構成される。加えて、足場の遠位部分は、該遠位部分が吸引管腔の中への該血塊の吸入を促進するように拡張されるときに、血塊に係合し、それを破壊するように構成されてもよい。例えば、拡張可能な足場は、血塊の切断または把持を改良するための鋭縁、金属突出部、フィン、フック要素、およびスロットから成る群から選択される、1つ以上の特徴を備えてもよい。
【0020】
別の実施例では、血管から閉塞性物質を除去するための血栓除去術用カテーテルは、カテーテル本体と、半径方向に拡張可能なセパレータ足場とを含む。カテーテル本体は、近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する。半径方向に拡張可能なセパレータ足場は、カテーテル本体の遠位端から遠位に延在し、中心血塊受容通路を画定する、螺旋状に配列された切断要素を含む。セパレータ足場は、血管内で半径方向に拡張され、血塊を切除するように回転および前進されてもよい。カテーテル本体の吸引管腔および半径方向に拡張可能なセパレータ足場の中心血塊受容通路は、セパレータ足場を回転させることによって切除される血塊が、真空を吸引管腔の近位端に印加することによってカテーテル本体の吸引管腔の中に吸引され得るように、一列に並んで配列される。
【0021】
足場が逆に駆動されるように構成される、それらの実施例では、足場の半径方向に拡張可能な遠位部分は、少なくとも1つの回転方向にトルクを付与され、足場の半径方向に拡張可能な少なくとも遠位部分を半径方向に開放または閉鎖するように構成される、少なくとも第1のコイルを備えてもよい。そのような場合において、真空耐性膜は、少なくとも第1のコイルを被覆し、中心血塊受容通路を封入し、吸引管腔から半径方向に遠位の拡張可能な区画の遠位端まで連続真空経路を生成する、拡張可能なスリーブを備えてもよい。例えば、拡張可能なスリーブは、弾性区分、折畳区分、および巻上区分のうちの少なくとも1つを備えてもよい。少なくとも第1のコイルは、両方の回転方向にトルクを付与され、足場の半径方向に拡張可能な部分を半径方向に開放および閉鎖するように構成されてもよい。足場の円筒形遠位領域はさらに、回転可能な内側部材を備えてもよく、第1のコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において内側部材の遠位端に固定される。このように、内側部材の近位端の回転は、第1のコイルの遠位端を回転させる。いくつかの事例では、足場の円筒形遠位領域はさらに、回転可能な外側部材を備えてもよく、第1のコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において外側部材の遠位端に固定され、外側部材の近位端の回転は、第1のコイルの遠位端を回転させる。足場は、依然としてさらに、少なくとも第1のコイル内に回転可能かつ同軸上に搭載される、第2のコイルを備えてもよく、少なくとも1つのコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において第2のコイルの遠位端に固定され、第1および第2のコイルは、第1の方向への第2のコイルの近位端の回転が、第1および第2のコイルの両方を半径方向に拡張させるように、反対螺旋方向に巻装される。
【0022】
そのようなコイル状実施例では、少なくとも1つのコイルは、蛇行パターンでクラウンによって継合される支柱から形成される、螺旋状に巻装された伸長部材を備えてもよく、少なくとも1つのコイルの近位端の回転は、圧着構成から該支柱を解放し、螺旋状に巻装された伸長部材が半径方向に拡張することを可能にする。
【0023】
随意に、足場が、コイル状であり、逆に駆動されるように構成されるときでさえも、吸引カテーテルは、依然として、その圧着構成で少なくとも1つのコイルを拘束する、シースまたはキャップを備えてもよい。足場の円錐形領域が、近位に配向された頂点開口部を中心として配置される近位端と、遠位に配向された開放基部を中心として配置される遠位端とを有する、複数の支柱を備える、それらの実施例では、そのような支柱は、真空耐性膜のみによって結合される遊離近位端を伴って個別に配列されてもよい。代替として、そのような支柱は、相互接続されてもよい。他の実施例では、支柱は、近位に配向された頂点開口部および遠位に配向された開放基部の両方を中心として配置される、クラウン領域を伴って蛇行パターンで配列されてもよい。なおも他の事例では、足場の支柱は、逆に駆動され、拘束されていないときに、遠位方向へ半径方向外向きに分岐し、円錐形領域を画定するように構成されてもよい。
【0024】
その抽出構成時の足場の遠位部分が、カテーテル本体の遠位端に取り付けられる遠位に配向された頂点開口部、および血管の内壁に係合するように構成される、近位に配向された開放基部を伴う、略円錐形領域を有し得る、それらの実施例では、シースを備える、足場拘束および解放機構は、遠位に前進されて支柱を被覆および拘束し、近位に後退されて支柱を被覆解除および解放し、半径方向に拡張するように構成されてもよい。代替として、または加えて、キャップを備える、足場拘束および解放機構は、第1の位置で支柱の遠位端を被覆および拘束し、第2の位置で支柱の遠位端を被覆解除および解放する。代替足場拘束および解放機構は、内側部材に取り付けられ、支柱の周囲に巻着する材料の長さを備えてもよく、内側部材は、支柱から材料の長さを引動し、それらが自己拡張することを可能にするように構成される。さらなる代替物は、内側部材を備える、足場拘束および解放機構を備えてもよく、支柱は、最初に、自己拡張するように支柱を解放するために機械的に破壊され得る、易壊性材料を用いて内側部材に接合される。なおもさらなる代替足場拘束および解放機構は、支柱の周囲に張力下で保持されるフィラメントを備えてもよく、張力は、支柱が自己拡張することを可能にするように解放されることができる。さらに他の実施例では、支柱は、カテーテル本体の吸引管腔の内側で完全に折畳されてもよく、遠位に押動され、展開および開放するように構成される。
【0025】
本発明の別の側面では、血管から血塊を除去するための吸引カテーテルであって、該吸引カテーテルは、近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する、カテーテル本体を備える。足場は、カテーテル本体の遠位端から遠位に延在し、カテーテル本体の吸引管腔と隣接する中心血塊受容通路を有する。膜は、足場を被覆して、血塊の近位の血液が吸引管腔に進入しないように実質的に防止しながら、吸引管腔の近位端に真空を印加することが、血塊を中心血塊受容通路の中に引き込み得るように、カテーテル本体内に足場の遠位端から管腔の近位端まで血塊吸引経路を確立する。足場の少なくとも近位部分は、送達構成から抽出構成まで半径方向に拡張可能であり、半径方向に拡張された構成は、カテーテル本体の遠位端に取り付けられる遠位に配向された頂点開口部、および真空が吸引管腔の近位端に印加されるときに、血管の内壁に係合し、中心血塊受容通路の中に血塊を指向するように構成される、近位に配向された開放基部を伴う、略円錐形領域を有する。
【0026】
本発明のなおもさらなる側面では、血管から血塊を抽出するための方法であって、該方法は、血塊の近位の血管内に吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分を位置付けることを含む。吸引カテーテルの遠位部分は、吸引カテーテル内の吸引管腔と隣接する半径方向に拡張可能な遠位部分を通して拡大された中心血塊受容通路を形成するように、血管内で半径方向に拡張される。真空が、血管から吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分の中に血塊を引き込むように、吸引管腔の近位部分に印加され、吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分は、真空を印加しながら、中心血塊受容通路の開存性を維持するために十分な強度を伴う真空耐性膜で被覆される足場を備える。
【0027】
そのような方法では、半径方向に拡張可能な遠位部分の遠位端は、真空が印加されるときに、血塊に係合してもよい。代替として、半径方向に拡張可能な遠位部分の遠位端は、真空が印加されるときに、血塊の近位に離間されてもよい。代替として、または加えて、半径方向に拡張可能な遠位部分の遠位端は、血塊に対して係合され、真空が印加されることに先立って、またはその間に、血塊を少なくとも部分的に破壊するように操作されてもよい。随意に、半径方向に拡張可能な遠位部分の遠位端は、吸引カテーテルの遠位部分の近位に位置する血液が吸引管腔に進入しないように阻止するように位置付けられてもよい。
【0028】
さらに、そのような方法に関して、吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分は、自己拡張式であってもよく、半径方向に拡張可能な遠位部分を半径方向に拡張することは、拘束シースから半径方向に遠位の拡張可能な区画を解放することを含む。多くの場合、吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位部分を半径方向に拡張することは、吸引カテーテル上の構造を作動させ、中心血塊受容通路を開放することを含む。例えば、構造は、血管内の吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に収縮させ、中心血塊受容通路を閉鎖するように作動されてもよい。吸引カテーテル上の構造を作動させ、中心血塊受容通路を拡張する、または収縮させることは、第1の回転方向に少なくとも第1のコイルにトルクを付与し、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖することを含んでもよい。第1のコイルは、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拡張するように、第1の方向にトルクを付与され、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拘束するように、第2の回転方向にトルクを付与されてもよい。第1のコイルにトルクを付与することは、第1のコイルの遠位端に取り付けられた内側部材または外側部材を回転させることを含んでもよく、随意に、第1のコイルの遠位端に取り付けられた第2のコイルを回転させることをさらに含む。
【0029】
本方法は、血塊を実質的に無傷で抽出させ得る、または他の事例では、血塊の近位部分を実質的に無傷で抽出させ得る。多くの場合、実質的に全ての血塊が、第1の抽出試行で抽出され得る。多くの場合、抽出された血塊は、硬質血塊から成る。
【0030】
本明細書の方法のなおもさらなる事例では、足場は、単一の経路を辿り、円筒形または円錐形エンベロープを形成する要素を備えてもよい。単一の経路は、閉ループ、開放経路のうちのいずれか1つ、またはその組み合わせを有してもよい。
【0031】
特定の事例では、吸引カテーテルの遠位部分を半径方向に拡張することは、足場に取り付けられた内側部材を回転させることを含み、足場は、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において内側部材の遠位端に固定される、第1のコイルを有する、円筒形遠位領域を備え、内側部材の近位端の回転は、第1のコイルの遠位端を回転させる。足場の円筒形遠位領域はさらに、回転可能な外側部材を備えてもよく、第1のコイルは、外側部材の近位端の回転が、第1のコイルの遠位端を回転させるように、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において外側部材の遠位端に固定される。
【0032】
本発明のさらに別の側面では、管腔内補綴具は、軸に沿って配列される複数の円周方向リングを有する、足場を備える。リングは、クラウンによって継合され、典型的には、非分解性材料からパターン化される支柱を備える。足場は、圧着構成から拡張構成まで拡張するように構成されてもよく、円周方向リングのうちの少なくともいくつかは、円周方向に分離可能であり、典型的には、円周方向に分離可能な軸方向リンクによって継合されてもよい。したがって、足場は、分離インターフェースに沿って円周方向に分離するように構成されてもよく、円周方向リングの円周方向に分離可能な領域および軸方向リンクは、多くの場合、拡張の間に該分離領域をともに保持するように、かつその後、生理学的環境内の足場の拡張後に円周方向リングおよび軸方向リンクに少なくとも1つの不連続性を形成するように構成される、生分解性ポリマーおよび/または接着剤から成る。特定の特徴として、足場は、全ての連続性が形成された後に、要素の長さに沿って無傷のままであろうように、1つの(単一の)連続構造から形成される。
【0033】
本発明のなおもさらなる側面では、管腔内補綴具は、軸に沿って配列される複数の円周方向リングを有する、足場を備える。リングは、クラウンによって継合される支柱を備え、典型的には、非分解性材料からパターン化される。足場は、典型的には、圧着構成から拡張構成まで拡張するように構成され、円周方向リングのうちの少なくともいくつかは、円周方向に分離され、多くの場合、足場が、生理学的環境内で圧着構成から拡張構成まで拡張可能であり得るように、円周方向に分離可能な軸方向リンクによって継合されてもよい。特定の特徴として、足場は、身体管腔を支持するように拡張構成時の強度を向上させる、1つの(単一の)連続的なパターン化された構造から形成される。
【0034】
本発明のさらに付加的側面では、血管から血塊を除去するための吸引カテーテルは、近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する、カテーテル本体を備える。足場は、カテーテル本体の遠位端から遠位に延在し、典型的には、カテーテル本体の吸引管腔と隣接する中心血塊受容通路を含む。足場を被覆する弾性膜が、吸引管腔の近位端に真空を印加することが、血塊を中心血塊受容通路の中に引き込み得るように、カテーテル本体内に足場の遠位端から管腔の近位端まで血塊吸引経路を確立し、足場の少なくとも遠位部分は、送達構成から抽出構成まで半径方向に拡張可能である。特定の特徴として、足場は、該2等分されたリングを接続する少なくとも1つの2等分された軸方向接続を伴う、2つ以上の円周方向の2等分されたリングを備える。
【0035】
本発明の一実施例では、本デバイスは、遠位区画と、近位区画とを備える、伸長管状本体を備え、遠位区画は、初期小型構成からより大型の構成まで、次いで、最終小型構成に戻るように拡張可能であり、最終小型構成は、より大型の構成よりも小さく、初期小型構成と等しい、またはそれよりも大きくあり得る。本実施例のデバイスでは、該遠位区画の遠位端は、血塊に係合するように、および/または血塊に隣接する脈管壁に実質的に係合するように構成され、伸長管状本体は、吸引管腔を備え、本デバイスは、吸引管腔を通して真空力を該遠位区画の遠位端に印加することによって、血塊を回収することが可能である。例示的実施例では、印加される真空力は、10mmHg~760mmHg、より好ましくは、10mmHg~380mmHg、より好ましくは、10mm~200mmHgである。本実施例のさらなる実施例では、伸長管状本体は、遠位区画と、中間または中央区画と、近位区画とを備える。別の実施例では、遠位区画は、実質的に伸長管状本体の全長に延在し、1cm~50cmに及ぶ長さを有し、好ましくは、2cm~20cmに及ぶ長さを有し、より好ましくは、3cm~15cmに及ぶ長さを有する。
【0036】
別の実施例では、近位区画の吸引管腔直径は、収縮構成時の遠位区画の吸引管腔直径よりも大きいが、拡張構成時の遠位区画の吸引管腔直径よりも小さい。
【0037】
例示的実施例では、遠位区画の小型構成は、以下のうちの1つ以上、すなわち、圧着構成、圧潰構成、収縮構成、非拡張構成、非開放構成、送達構成、もしくはその他を備える。別の例示的実施例では、遠位区画のより大型の構成は、以下のうちの1つ以上、すなわち、展開構成、拡張構成、吸引構成、もしくはその他を備える。
【0038】
例示的実施例では、遠位区画は、より小型の構成からより大型の構成まで制御可能に拡張可能であり、次いで、より小型の構成に制御可能に収縮可能である。別の実施例では、遠位区画は、身体管腔内の挿入に先立って、小型構成に制御可能に収縮可能または圧着可能であり、次いで、身体管腔内でより大型の構成に制御可能に拡張可能であり、次いで、身体管腔からの該遠位区画の抜去に先立って、より小型の構成に制御可能に収縮可能である。
【0039】
例示的実施例では、遠位区画は、遠位区画内で単一のコイル構造の各端部に取り付けられたトルク要素を捻転または回転させる手段によって、拡張可能および/または収縮可能であり、単一のコイル構造に取り付けられたトルク要素のうちの少なくとも1つに印加されるトルクは、単一のコイル構造を巻解させて直径を拡張させる、または巻装させて直径を収縮させる。
【0040】
別の例示的実施例では、遠位区画は、遠位区画内で2つ以上のコイル構造に取り付けられたトルク要素を捻転または回転させる手段によって、拡張可能および/または収縮可能であり、該2つ以上のコイル構造は、少なくとも該遠位区画の遠位端における1つの場所で相互に接続され、コイル構造の近位端は、該トルク要素に接続され、2つ以上のコイル構造のうちの少なくとも1つに印加される対向トルクは、それらを巻解させて直径を拡張させる、または巻装させて直径を収縮させる。
【0041】
別の例示的実施例では、遠位区画は、トルク要素を捻転もしくは回転させる、および/または遠位区画内の編組ワイヤ構造に接続される線形力要素を軸方向に圧縮する、もしくは張力を加える手段によって、拡張可能ならびに/もしくは収縮可能であり、編組のワイヤは、次いで、拡張または収縮を達成するために、相互に対して押進される。
【0042】
別の例示的実施例では、遠位区画は、遠位区画内の編組ワイヤ構造にわたって除去可能かつ置換可能なスリーブに接続される線形力要素を軸方向に圧縮する、もしくは張力を加える手段によって、拡張可能および/または収縮可能であり、編組は、シースによって拘束されていないときに自己拡張式であるように設計される。
【0043】
別の例示的実施例では、遠位区画は、スロット付き管または正弦リング構造を備える、遠位区画内の構造にわたって除去可能かつ置換可能なスリーブに接続される線形力要素を軸方向に圧縮する、もしくは張力を加える手段によって、拡張可能および/または収縮可能であり、スロット付き管または正弦ワイヤ構造は、シースによって拘束されていないときに自己拡張式であるように設計される。
【0044】
別の例示的実施例では、遠位区画は、圧縮を加えられると、それらを外向きに撓ませ、それによって、それらの外形を拡張し、張力を加えられると、それらをより平坦に伸張させ、それによって、それらの外形を収縮させる、3つ以上の縦方向に整合されたリブから成る、遠位区画内の構造に接続される線形力要素を軸方向に圧縮する、もしくは張力を加える手段によって、拡張可能および/または収縮可能である。本実施例の好ましい異型では、1つ以上のVリンクもしくは他の手段が、それらの円周方向整合を維持するために、リブを相互に取り付けるように使用される。
【0045】
例示的実施例では、遠位区画の拡張および収縮は、以下のうちの1つ以上、すなわち、ワイヤ、ロッド、管、もしくはその他から成る、トルク要素および/または線形力要素によって制御可能であり、トルク要素および/または線形力要素は、実質的に伸長管状本体の長さに沿って延在する。例示的実施例では、トルク要素および/または線形力要素は、金属、ポリマー、または複合材料から形成される。好ましい実施例では、少なくとも1つのトルク要素および/または線形力要素は、カテーテルシャフトを備える。
【0046】
例示的実施例では、コイル、編組ワイヤ、正弦リング、または縦方向リブ構造は、丸みを帯びたワイヤ、管状ワイヤ、平坦なリボン、輪郭リボン、または同等物のうちの1つ以上を備える。例示的実施例では、コイル、編組ワイヤ、正弦リング、または縦方向リブ構造は、ステンレス鋼、コバルトクロム、またはその他等の金属材料から形成される。例示的実施例では、コイル、編組ワイヤ、正弦リング、または縦方向リブ構造は、ニッケルチタン合金(「NiTi」)または同等物等の形状記憶材料から形成される。
【0047】
例示的実施例では、被覆スリーブが、伸長管状本体の遠位区画にわたって延在し、好ましくは、実質的に遠位区画の全長を被覆し、該被覆スリーブは、伸長管状本体の吸引管腔内で真空圧の完全性を機能的に維持しながら、遠位区画の拡張および収縮に適応する。例示的実施例では、被覆スリーブは、以下のうちの1つ以上、すなわち、スプレーコーティングされたスリーブ、浸漬コーティングされたスリーブ、弾性スリーブ、半径方向に拡張可能な弾性スリーブ、ポリマースリーブ、折畳可能なスリーブ、シリコーンベースの材料スリーブ、ポリウレタンベースのスリーブ、およびその他を備える。スリーブは、好ましくは、1つ以上の場所で遠位区画に取り付けられるが、代替として、取付を伴わずに遠位区画上に締まり嵌めされることができる。
【0048】
例示的実施例では、被覆スリーブは、遠位区画の遠位部分が、被覆されず、拡張/収縮構造が、血塊に直接係合することが可能であるように、伸長管状本体の遠位区画を部分的にのみ被覆する。関連付けられる使用方法は、被覆スリーブを伴わない遠位区画の一部の拡張が、被覆されていない構造を血塊に直接係合させ、それによって、改良された吸引のために血塊を破壊すること、または生体構造からの抜去のためにそれを捕らえることを補助するように、遠位区画の該部分が血塊内に入るまで本デバイスを前進させることである。本方法では、遠位区画はまた、そのような係合および効果を改良するように、手技の一部として直線的または回転可能に操作されてもよく、拡張構造の遠位の被覆されていない部分はさらに、より鋭い縁、金属突出部、フィン、フック要素、コイルリボン内のスロット、およびその他等の血塊の切断または把持を改良するための特徴を組み込んでもよい。
【0049】
例示的実施例では、伸長管状本体の近位および/または中間区画は、ポリマー材料内にある、もしくはそれに隣接する、ポリマーまたは金属コイルもしくは編組を含有する場合とそうではない場合がある、ポリマー材料から成る。
【0050】
例示的実施例では、遠位区画は、収縮構成から拡張構成まで拡張可能であり、該拡張構成時の遠位区画の外径または吸引管腔直径は、該拡張された遠位区画に隣接する脈管の非閉塞管腔直径と実質的に同一である。別の実施例では、遠位区画は、収縮構成から拡張構成まで制御可能に拡張可能であり、拡張構成時の遠位区画の外径または吸引管腔直径は、非閉塞脈管管腔直径の0.5倍から非閉塞脈管管腔直径の1.2倍に及び、好ましくは、拡張構成は、非閉塞脈管管腔直径の0.75倍から非閉塞脈管管腔直径の1.2倍に及び、より好ましくは、非閉塞脈管管腔の実質的に同一の直径である。
【0051】
別の実施例では、本発明は、完全圧潰状態時の0.5mm外径から完全拡張状態時の5.0mm外径に及ぶ直径の範囲に拡張するように構成される、遠位区画を有する、吸引カテーテルを備える。本デバイスは、閉塞脈管および/または血塊に到達するまで蛇行性血管系をナビゲートするように、小型圧潰状態時の遠位区画を伴って患者身体内で前進される。いったん遠位区画または先端の遠位端が血塊または血栓に隣接もしくは接触して位置付けられると、本デバイスの遠位区画は、その先端面積および真空有効性を増加させるように、より大きい直径まで拡張される。例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、脈管壁からの血塊分離および血塊除去を向上させるために、脈管壁に実質的に接触するまで拡張される。実質的に脈管サイズまでカテーテルの遠位区画または遠位端を拡張することの利点は、以下のうちの1つ以上、すなわち、脈管壁から血塊を分離すること、少量から中程度の吸引力を用いて血塊を回収することの容易性、実質的に無傷で、またはより少ない断片を伴って血塊を回収すること、実質的に第1の試行からの血塊の除去を含む。遠位区画は、脈管壁からの血塊分離および血塊除去をさらに向上させるために、脈管よりも大きく拡張されてもよい。いったんカテーテルの中への血塊回収が遂行されると、本デバイスは、次いで、生体構造からの吸引システムの抜去を補助し、血管外傷を最小限にするように、再びサイズを縮小される。
【0052】
別の実施例では、本デバイスは、全て単一デバイス治療アプローチを用いて、蛇行性生体構造内の改良された遠位アクセス、より優れた血管再生成功率、改良された初回通過血管再生率および即時血塊回収に起因する、より短い手技時間、ならびに遠位塞栓の危険性の低減を提供する。さらに、多くの場合、血塊は、低・中真空圧を使用して除去されることが可能であり、潜在的に脈管外傷をさらに低減させ得る。
【0053】
したがって、上記に記載されるような本発明の原理のうちの少なくともいくつかによると、血管から血塊を除去するための吸引カテーテルは、近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する、カテーテル本体を備え、中心血塊受容通路を有する、半径方向に遠位の拡張可能な区画が、カテーテル本体の遠位端から遠位に延在し、ある手段が、半径方向に拡張された構成と半径方向に収縮された構成との間で半径方向に遠位の拡張可能な区画を拡張する、および/または収縮させるためにカテーテル本体と統合される。カテーテル本体の吸引管腔および半径方向に遠位の拡張可能な区画の中心血塊受容通路は、吸引管腔の近位端に真空を印加することが、血塊を中心血塊受容通路の中に引き込み得るように、隣接している。
【0054】
半径方向に遠位の拡張可能な区画は、自己拡張式であってもよく、例えば、拡張手段は、半径方向に拘束された構成で半径方向に遠位の拡張可能な区画を拘束するように構成される、シースを備え、シースの後退は、半径方向に遠位の拡張可能な区画が半径方向に拡張することを可能にする。
【0055】
代替として、または加えて、拡張手段は、例えば、(1)少なくとも1つの回転方向にトルクを付与され、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖するように構成される、少なくとも第1のコイルと、(2)第1のコイルを被覆し、中心血塊受容通路を封入し、吸引管腔から半径方向に遠位の拡張可能な区画の遠位端まで連続真空経路を生成する、弾性スリーブとを備える、カテーテル本体と統合されてもよい。第1のコイルは、両方の回転方向にトルクを付与され、それぞれ、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放および半径方向に閉鎖するように構成されてもよい。第1の事例では、トルク付与は、回転可能な内側部材によって遂行されてもよく、第1のコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において内側部材の遠位端に固定され、内側部材の近位端の回転は、第1のコイルの遠位端を回転させる。第2の事例では、トルク付与は、少なくとも第1のコイル内に回転可能かつ同軸上に搭載される、第2のコイルによって遂行されてもよく、少なくとも1つのコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において第2のコイルの遠位端に固定され、第1および第2のコイルは、第1の方向への第2のコイルの近位端の回転が、第1および第2のコイルの両方を半径方向に拡張させるように、反対螺旋方向に巻装される。
【0056】
さらに、上記に記載されるような本発明の原理のうちの少なくともいくつかによると、血管から血塊を抽出するための方法は、血塊の近位の血管内に吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位区画を位置付けることを含む。吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画は、吸引カテーテル内の吸引管腔と隣接する拡大された中心血塊受容通路を形成するように、血管内で半径方向に拡張される。真空が、血管から拡大された中心血塊受容通路の中に血塊を引き込むように、吸引管腔の近位部分に印加される。吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位区画は、中心血塊受容通路を閉鎖するように血管内で半径方向に収縮され、半径方向に拡張するステップおよび半径方向に収縮させるステップのうちの少なくとも1つは、吸引カテーテル上の構造を作動させ、中心血塊受容通路を開放または閉鎖することを含む。
【0057】
これらの方法は、本装置に関して前述で説明された本発明の特徴のうちのいずれかを備えてもよい。例えば、半径方向に拡張可能な遠位区画は、自己拡張式であってもよく、半径方向に拡張可能な遠位区画を半径方向に拡張することは、拘束シースから半径方向に遠位の拡張可能な区画を解放することを含んでもよい。代替として、半径方向に拡張可能な遠位区画を半径方向に拡張する/収縮させることは、吸引カテーテル上の構造を作動させ、半径方向に拡張可能な遠位区画を半径方向に拡張する/収縮させることを含んでもよい。例えば、吸引カテーテル上の構造を作動させ、中心血塊受容通路を拡張する、または収縮させることは、第1の回転方向に少なくとも第1のコイルにトルクを付与し、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖することを含んでもよい。随意に、第1のコイルは、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拡張するように、第1の方向にトルクを付与され、さらに、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拘束するように、第2の回転方向にトルクを付与されてもよい。第1のコイルにトルクを付与することは、第1のコイルの遠位端に取り付けられた内側部材を回転させることを含んでもよい。代替として、第1のコイルにトルクを付与することは、第1のコイルの遠位端に取り付けられた第2のコイルを回転させることを含んでもよい。
【0058】
いくつかの事例では、自己拡張式の半径方向に拡張可能な遠位区画は、拘束シースからの解放によって拡張され、吸引カテーテル上の構造を作動させ、半径方向に拡張可能な遠位区画を半径方向に縮小させることによって収縮されてもよい。
【0059】
依然としてさらに、上記に記載されるような本発明の原理のうちの少なくともいくつかによると、血管から血塊を切除および吸引するためのカテーテルは、近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する、カテーテル本体を備える。中心血塊受容通路を有する、半径方向に拡張可能な足場が、カテーテル本体の遠位端から遠位に延在し、半径方向に拡張可能な足場の少なくとも遠位部分は、その中で半径方向に拡張されたときに、血塊の領域を崩壊させるように構成される。中心血塊受容通路は、真空が吸引管腔の近位端に印加されるときに、吸引管腔の中に崩壊された血塊を通過させるように構成される。
【0060】
本発明の血塊を切除および吸引するためのカテーテルはさらに、典型的には、遠位切除部分を被覆されていない状態で残して、半径方向に拡張可能な足場の少なくとも近位部分を被覆する、弾性スリーブを備えてもよい。弾性スリーブは、典型的には、中心血塊受容通路を被覆し、中心血塊受容通路を通して吸引管腔の遠位端の中に連続真空経路を生成し、したがって、切除された血塊が、中心血塊受容通路から直接、吸引カテーテル内の吸引管腔を通して外部真空収集レセプタクルまで吸引されることを可能にするように構成される。
【0061】
吸引カテーテル本体はさらに、半径方向に拡張された構成と半径方向に収縮された構成との間で半径方向に拡張可能な足場を拡張する、および/または収縮させるためのカテーテル本体と統合される手段を備えてもよい。例えば、半径方向に遠位の拡張可能な区画を拡張する、および/または収縮させるためのカテーテル本体と統合される手段は、少なくとも1つの回転方向にトルクを付与され、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖するように構成される、少なくとも第1のコイルを備えてもよく、第1のコイルは、典型的には、両方の回転方向にトルクを付与され、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放および閉鎖するように構成される。例えば、第1のコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において内側部材の遠位端に固定されてもよく、内側部材の近位端の回転は、第1のコイルの遠位端を回転させる。代替として、第2のコイルは、少なくとも第1のコイル内に回転可能かつ同軸上に搭載されてもよく、少なくとも1つのコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において第2のコイルの遠位端に固定される。第1および第2のコイルは、第1の方向への第2のコイルの近位端の回転が、第1および第2のコイルの両方を半径方向に拡張させるように、反対螺旋方向に巻装されてもよい。
【0062】
他の事例では、半径方向に拡張可能な足場は、自己拡張式であってもよく、カテーテルはさらに、半径方向に拘束された構成で半径方向に拡張可能な足場を拘束するように構成される、シースを備えてもよく、シースの後退は、半径方向に遠位の拡張可能な区画が半径方向に拡張することを可能にする。半径方向に拡張可能な足場は、閉鎖セル、蛇行リング、軸方向支柱を備えてもよい、または血管補綴具を構築する際に一般的に使用される種々の他の足場構築物のうちのいずれかを有してもよい。
【0063】
その上さらに、上記に記載されるような本発明の原理のうちの少なくともいくつかによると、血管から血塊を崩壊させて抽出するための方法は、血管内の血塊の領域内に吸引カテーテルの遠位端における半径方向に拡張可能な足場または拡張可能なコイルを位置付けることを含む。半径方向に拡張可能な足場または拡張可能なコイルは、血塊の領域内で半径方向に拡張され、崩壊された血塊は、吸引カテーテル内の吸引管腔と隣接する足場の中心血塊受容通路内で収集される。真空を吸引管腔の近位部分に印加することによって、崩壊された血塊は、中心血塊受容通路から管腔の中に抽出されてもよい。
【0064】
半径方向に遠位の拡張可能な区画は、自己拡張式であってもよく、吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位区画を拡張することは、拘束シースから半径方向に遠位の拡張可能な区画を解放することを含んでもよい。代替として、吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位区画を半径方向に拡張することは、吸引カテーテル上の構造を作動させ、半径方向に拡張可能な遠位区画を半径方向に拡張することを含んでもよい。例えば、吸引カテーテル上の構造を作動させ、中心血塊受容通路を拡張する、または収縮させることは、第1の回転方向に少なくとも第1のコイルにトルクを付与し、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖することを含んでもよい。第1のコイルは、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拡張するように、第1の方向にトルクを付与され、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拘束するように、第2の回転方向にトルクを付与されてもよい。第1のコイルにトルクを付与することは、第1のコイルの遠位端に取り付けられた内側部材を回転させることを含んでもよい。代替として、第1のコイルにトルクを付与することは、第1のコイルの遠位端に取り付けられた第2のコイルを回転させることを含んでもよい。
【0065】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、より小型の構成で拘束され、次いで、解放される、および/またはより大型の構成に自己拡張することを可能にされる、自己拡張式構造を備える。
【0066】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、拡張可能な遠位区画を部分的または完全に被覆する外側シースによって拘束される、自己拡張式構造を備え、外側シースは、拡張可能な遠位区画に対して近位に移動される、および/または拡張可能な遠位区画は、外側シースに対して遠位に移動され、それによって、拘束を解放し、自己拡張式構造が自己拡張することを可能にする。
【0067】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、拡張可能な遠位区画を部分的または完全に被覆する、その遠位端におけるシース(またはキャップ)によって拘束される、自己拡張式構造を備え、シースまたはキャップは、拡張可能な遠位区画に対して遠位に移動される、および/またはシースまたはキャップは、拡張可能な遠位区画に対して近位に移動される、ならびに/もしくは拡張可能な遠位区画は、シースまたはキャップに対して近位に移動され、それによって、拘束を解放し、自己拡張式構造が自己拡張することを可能にする。一実施例では、シース(またはキャップ)は、拡張可能な構造の内側で摺動可能に移動可能なワイヤもしくは管によって制御される。
【0068】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、それによって拡張可能な遠位区画が外側伸長管状本体の内側のワイヤまたは内側伸長管状本体によって内側から拘束される、支柱、タイン、フック、または他の手段を備える、自己拡張式構造を備え、ワイヤまたは内側伸長管状本体は、拘束を解放し、自己拡張式構造が自己拡張することを可能にするように、外側伸長管状本体内で近位に移動される。
【0069】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、その構造内に孔またはループを備える、自己拡張式構造を備え、拡張可能な遠位区画は、そのような孔またはループに係合するように成形される外側伸長管状本体の内側のワイヤまたは内側伸長管状本体によって、内側から拘束され、ワイヤまたは内側伸長管状本体は、拘束を解放し、自己拡張式構造が自己拡張することを可能にするように、外側伸長管状本体内で近位に移動される。
【0070】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、拡張可能な遠位区画の遠位部分にわたって拘束リングによって被覆される、自己拡張式構造を備え、リングは、拡張可能な遠位区画の遠位部分を部分的または完全に被覆解除し、それによって、自己拡張式構造が自己拡張することを可能にするように、近位に移動される。
【0071】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、自己拡張式構造がより大型の構成に自己拡張することを可能にする、摂氏約37度等の熱および/または身体水分等の水分に暴露されるまで、より小型の構成で自然にとどまる、自己拡張式構造を備える。
【0072】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、自己拡張式構造がより大型の構成に自己拡張することを可能にする、電流で充電されるまで、より小型の構成で自然にとどまる、自己拡張式構造を備える。
【0073】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、より大型の構成であるときに自然な状態であり、そこからより大型の構成に戻るように弾性的に拡張しようとする、より小型の構成に屈曲または圧縮されたときに弾性的に屈服する、線形要素もしくは軸方向タインを備える、自己拡張式構造を備える。
【0074】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、より大型の構成であるときに自然な状態であり、そこからより大型の構成に戻るように弾性的に拡張しようとする、より小型の構成に圧縮されたときに弾性的に屈服する、1つ以上の正弦リングを備える、自己拡張式構造を備える。
【0075】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、より大型の構成であるときに自然な状態であり、そこからより大型の構成に戻るように弾性的に拡張しようとする、より小型の構成に圧縮されたときに弾性的に屈服する、線形要素もしくは軸方向タインと、1つ以上の正弦リングとを備える、自己拡張式構造を備える。
【0076】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、本デバイスの中に組み込まれるワイヤ、ロッド、または管の押動、引動、もしくはトルク付与のうちの1つ以上の手段によって、空気圧もしくは油圧によって、または他の手段によって、より小型の構成からより大型の構成に機械的に操作され得る、拡張可能な構造を備える。
【0077】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、拘束手段(または拘束シース)と別個の拡張可能な遠位区画の一部もしくは全体を被覆する、スリーブを備える。本スリーブは、以下のうちの1つ以上、すなわち、吸引の間に真空を保持すること、吸引デバイスの中への血液の逆流を妨げること、圧力勾配を最大限にして血塊を吸引することを可能にする。
【0078】
例示的実施例では、拡張可能な遠位区画は、脈管壁に実質的に並置し、血塊を吸引する、または吸引カテーテルの中への血液の逆流を妨げるために十分に真空を保持する、より大型の構成に拡張される。本実施例では、脈管壁は、スリーブのように挙動し、真空の保持を提供する、血液が実質的に吸引カテーテルの中に入らないように防止する、および/または圧力勾配を最大限にして血塊を吸引する。一実施例では、拡張可能な遠位区画の実質的に全体が、脈管壁に並置する。
【0079】
例示的実施例では、圧着構成から拡張構成まで拡張する、実施例のうちのいずれかの拡張可能な遠位区画であって、該拡張可能な構成は、拘束手段構成よりも大きく、拡張可能な遠位端に隣接する脈管の構成よりも1.1倍小さい。好ましい実施例では、遠位端の拡張可能な構成は、拡張可能な遠位端に隣接するほぼ内側脈管構成に拡張される。別の実施例では、構成は、拡張可能な区画、脈管、および/またはシースの直径である。
【0080】
例示的実施例では、これらの実施例のうちのいずれかの拡張可能な遠位区画は、1つ以上の円周方向リングを備え、該1つ以上の円周方向リングは、圧着構成から拡張構成まで拡張可能である。一実施例では、円周方向リングは、クラウンによって継合される支柱を備える。別の実施例では、円周方向リングは、隣接するリングが1つ以上のリンクによって継合される、2つ以上のリングを備える。別の実施例では、円周方向リングは、隣接するリングが1つ以上の軸方向リンクによって継合される、2つ以上のリングを備える。別の実施例では、拡張可能な遠位区画は、典型的には、要素が軸方向に整合される円筒形構成と、軸方向要素が遠位方向に外向きに分岐する拡張構成との間で偏移可能な3つ以上の軸方向要素を備える、拡張可能な漏斗様構造を備える。別の実施例では、拡張可能な遠位区画は、圧着構成から拡張構成まで拡張可能な2つ以上の軸方向支柱を備える、傘様構造であり、1つ以上の拡張可能なリングは、該2つ以上の軸方向支柱を継合する。さらに別の実施例では、拡張可能な遠位区画は、1つ以上の円周方向リングを備え、リングは、圧着構成から拡張構成まで円周方向に拡張する。
【0081】
さらに別の実施例では、拡張可能な遠位区画は、1mm~150cmに及ぶ、好ましくは、2mm~20cmに及ぶ、より好ましくは、3mm~10cmに及ぶ、最も好ましくは、3~10mmに及ぶ長さで近位に延在する。
【0082】
さらに別の実施例では、拡張可能な遠位区画は、拡張された区画の遠位の血塊を吸引するように、圧着構成から拡張構成に展開され、次いで、該拡張された遠位区画は、随意に、さらなる吸引手技のために生体構造内に本デバイスを再度位置付けること、または吸引カテーテルシステムを引き出すことに先立って、より小型の構成に圧潰される。拡張可能な遠位区画を圧潰するための手段は、該拡張された区画をシースの中に引動または押動すること、引き紐型スレッドもしくはワイヤを引動すること、トルク部材を回転させ、コイルをより緊密な直径に巻装すること、および本明細書の他の場所に説明される他の手段を含む。
【0083】
別の実施例では、遠位の拡張可能な区画は、該区画が、脳内の封鎖された血管、脳内の封鎖された血管に隣接する場所、および脳内の封鎖された血管の近位の場所、多くの場合、中大脳動脈のうちの1つ以上に到達することを可能にするために十分な可撓性および屈曲可能性を有する。
【0084】
別の実施例では、遠位の拡張可能な区画は、遠位の拡張可能な区画が、脳内の封鎖された動脈、脳内の封鎖された動脈の隣接部、脳内の封鎖された動脈の近位部、中大脳動脈のうちの1つ以上に到達することを可能にするために十分な可撓性を有するように構成される。
【0085】
別の実施例では、遠位の拡張可能な区画は、全ての軸において可撓性を有するように構成され、該2つ以上の軸における該可撓性は、該区画が、脳内の封鎖された動脈、脳内の封鎖された動脈の隣接部、脳内の封鎖された動脈の近位部、中大脳動脈のうちの1つ以上に到達することを可能にするために十分である。
【0086】
さらに別の実施例では、拡張可能な遠位区画は、圧着構成時に略管状である。
【0087】
さらに別の実施例では、拡張可能な遠位区画は、圧着構成時に略管状であり、1つ以上の拡張可能な要素と、該拡張可能な要素を被覆するスリーブとを備える、漏斗形構造に拡張可能である。
【0088】
さらに別の実施例では、拡張可能な遠位区画は、圧着構成時に略管状であり、拡張可能な要素と、該拡張可能な要素を被覆するスリーブとを備える、漏斗形構造に拡張可能であり、該漏斗は、送達システムから100度~150度、または送達システムから10度~80度に及ぶ角度を有し、該漏斗角度は、50mmHg~760mmHgに及ぶ真空力が該漏斗の近位に印加されるときに、該漏斗の圧潰を阻止するように構成される。一実施例では、漏斗は、血塊に向かって遠位に拡張する。別の実施例では、漏斗は、血塊から離れるように近位に拡張する。
【0089】
さらに別の実施例では、拡張可能な遠位区画は、圧着構成時に略管状であり、1つ以上の拡張可能な要素と、該拡張可能な要素を被覆するスリーブとを備える、漏斗形構造に拡張可能であり、漏斗は、脈管壁と略平行であるように構成される、端区画を備える。
【0090】
好ましい実施例では、拡張可能な遠位区画は、血塊を除去するために十分な真空を可能にするように、隣接する脈管内側構成の0.7倍から隣接する内側脈管内側構成の1.1倍に及ぶ構成に拡張可能であり、好ましくは、血塊を除去するために十分な真空を可能にするように、ほぼ隣接する内側脈管構成に拡張可能である。
【0091】
別の実施例では、遠位の拡張可能な区画は、金属、金属合金、またはポリマー材料から形成され、該拡張可能な材料は、形状記憶合金または形状記憶ポリマー材料から成る。
【0092】
注記:用語「可撓性」および「剛性」は、医療デバイス、特に、治療部位に到達するために血管を通して追跡する必要がある本発明のようなものの性能を説明するときに、一般的に使用される。剛性は、最も一般的には、足場、シャフト、または他のデバイスコンポーネントの一部が、堅性固定具によってその縁上で支持される一方、アンビルが、支持体の間でコンポーネントの中心に対して押圧され、それを曲線になるように強制する、3点屈曲試験によって定量的に特性評価される。アンビルに取り付けられたロードセルまたは他の力測定ツールが、試験ユニットを屈曲するために要求される力を測定する。試験ユニットの剛性は、したがって、1ミリメートルあたりのニュートン等の距離あたりの力の観点から特性評価されることができる。デバイスの剛性は、時として、「距離あたり」の側面が全てに共通するように、試験設定が試験群の全てのサンプルに関して同一であるときに、単に、力、すなわち、0.6Nの観点から参照される。特定の3点屈曲試験設定の実施例として、6.5mmの平均曲率半径を伴う蛇行部において追跡されるように設計される製品が、屈曲を実質的に弾性範囲内で保ちながら、試験サンプルに完全に荷重するために、13mm離れた側面支持体および2mmのアンビル圧縮距離と3点屈曲試験固定具を併用する。そのような実施例では、0.6Nのピーク荷重が、0.3N/mmの平均剛性に対応するであろう。可撓性は、剛性の定性的逆数であり、それが比較されているあらゆるものよりも剛性であるデバイスは、あまり可撓性ではなく、逆も同様である。
【0093】
医療デバイスの急性送達性能を査定するために一般的に使用される他の方法は、追跡および押動試験を含む。追跡試験は、試験デバイスをロードセルに接続される固定具に締め付けることを伴い、これは、ロードセルを用いてそうするための力を測定しながら、蛇行部を通してカテーテルを前進させる。この場合、距離あたりの力の出力データは、増加する高度のピークを伴う一連の正弦曲線を形成する傾向があり、データにおける各上昇は、生体構造内の特定の曲線を通してデバイスを前進させるために要求される力に対応する。典型的には、データは、ピーク力、すなわち、固定具内の任意の点を通してデバイスを前進させるために要求される最大量の力の観点から分析される。データはまた、距離全体にわたる平均力、ある区分(特定の曲線の周囲等)に関する平均力、またはさらに、ある力の上限に達するまで前進される距離の観点から分析されることもできる。押動試験は、第2のロードセルが蛇行部のどこかに係留され、その先端が第2のロードセルと接触するまで試験デバイスが前進されることを除いて、概して類似する試験設定を使用する。試験デバイスは、次いで、さらに前進され、それによって、ロードセルの間でデバイスに圧縮を加え、近位から遠位のロードセルからの力伝達の効率が、判定される。例えば、近位ロードセルが、1.0Nの印加された力を読み取り、遠位ロードセルが、カテーテル先端において0.3Nを読み取る場合、押動伝達は、30%である。
【0094】
本明細書で請求される本発明は、以下の付番された付記においてさらに記載および説明される。
【0095】
付記1.血管から血塊を除去するための吸引カテーテルであって、近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する、カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端から遠位に延在する中心血塊受容通路を有する、半径方向に遠位の拡張可能な区画と、半径方向に拡張された構成と半径方向に収縮された構成との間で半径方向遠位に拡張可能な区画を拡張する、および/または収縮させるためのカテーテル本体と統合される手段とを備え、カテーテル本体の吸引管腔および半径方向に拡張可能なセパレータ足場の中心血塊受容通路は、吸引管腔の近位端に真空を印加することが、血塊を中心血塊受容通路の中に引き込み得るように、隣接している、吸引カテーテル。
【0096】
付記2.半径方向に遠位の拡張可能な区画は、自己拡張式である、付記1に記載の吸引カテーテル。
【0097】
付記3.半径方向に拘束された構成で半径方向に遠位の拡張可能な区画を拘束するように構成される、シースをさらに備え、シースの後退は、半径方向に遠位の拡張可能な区画が半径方向に拡張することを可能にする、付記2に記載の吸引カテーテル。
【0098】
付記4.半径方向に遠位の拡張可能な区画を拡張する、および/または収縮させるためのカテーテル本体と統合される手段は、(1)少なくとも1つの回転方向にトルクを付与され、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖するように構成される、少なくとも第1のコイルと、(2)第1のコイルを被覆し、中心血塊受容通路を封入し、吸引管腔から半径方向に遠位の拡張可能な区画の遠位端まで連続真空経路を生成する、弾性スリーブとを備える、付記1に記載の吸引カテーテル。
【0099】
付記5.第1のコイルは、両方の回転方向にトルクを付与され、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖するように構成される、付記4に記載の吸引カテーテル。
【0100】
付記6.回転可能な内側部材をさらに備え、第1のコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において内側部材の遠位端に固定され、内側部材の近位端の回転は、第1のコイルの遠位端を回転させる、付記4または5に記載の吸引カテーテル。
【0101】
付記7.少なくとも第1のコイル内に回転可能かつ同軸上に搭載される、第2のコイルをさらに備え、少なくとも1つのコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において第2のコイルの遠位端に固定され、第1および第2のコイルは、第1の方向への第2のコイルの近位端の回転が、第1および第2のコイルの両方を半径方向に拡張させるように、反対螺旋方向に巻装される、付記4または5に記載の吸引カテーテル。
【0102】
付記8.血管から血塊を抽出するための方法であって、血塊の近位の血管内に吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位区画を位置付けることと、血管内で吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拡張し、吸引カテーテル内の吸引管腔と隣接する拡大された中心血塊受容通路を形成することと、真空を吸引管腔の近位部分に印加し、血管から拡大された中心血塊受容通路の中に血塊を引き込むことと、血管内の吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に収縮させ、中心血塊受容通路を閉鎖することとを含み、吸引カテーテルの遠位区画を半径方向に拡張することおよび半径方向に収縮させることのうちの少なくとも1つは、吸引カテーテル上の構造を作動させ、中心血塊受容通路を開放または閉鎖することを含む、方法。
【0103】
付記9.半径方向に遠位の拡張可能な区画は、自己拡張式であり、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拡張することは、拘束シースから半径方向に遠位の拡張可能な区画を解放することを含む、付記8に記載の方法。
【0104】
付記10.吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位区画を半径方向に拡張することは、吸引カテーテル上の構造を作動させ、半径方向に拡張可能な遠位区画を半径方向に拡張することを含む、付記8に記載の方法。
【0105】
付記11.吸引カテーテル上の構造を作動させ、中心血塊受容通路を拡張する、または収縮させることは、第1の回転方向に少なくとも第1のコイルにトルクを付与し、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖することを含む、付記8に記載の方法。
【0106】
付記12.第1のコイルは、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拡張するように、第1の方向にトルクを付与され、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拘束するように、第2の回転方向にトルクを付与される、付記11に記載の方法。
【0107】
付記13.第1のコイルにトルクを付与することは、第1のコイルの遠位端に取り付けられた内側部材を回転させることを含む、付記11または12に記載の方法。
【0108】
付記14.第1のコイルにトルクを付与することは、第1のコイルの遠位端に取り付けられた第2のコイルを回転させることを含む、付記11または12に記載の方法。
【0109】
付記15.血管から血塊を切除および吸引するためのカテーテルであって、近位端と、遠位端と、その間の吸引管腔とを有する、カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端から遠位に延在する中心血塊受容通路を有する、半径方向に拡張可能な足場とを備え、半径方向に拡張可能な足場の少なくとも遠位部分は、その中で半径方向に拡張されたときに、血塊の領域を崩壊させるように構成され、中心血塊受容通路は、真空が吸引管腔の近位端に印加されるときに、吸引管腔の中に崩壊された血塊を通過させるように構成される、カテーテル。
【0110】
付記16.遠位切除部分を被覆されていない状態で残して、半径方向に拡張可能な足場の近位部分を被覆する、弾性スリーブをさらに備え、弾性スリーブは、中心血塊受容通路を通して吸引管腔の遠位端の中に連続真空経路を生成するように構成される、付記15に記載の吸引カテーテル。
【0111】
付記17.半径方向に拡張された構成と半径方向に収縮された構成との間で半径方向に拡張可能な足場を拡張する、および/または収縮させるためのカテーテル本体と統合される手段をさらに備える、付記15または16に記載の吸引カテーテル。
【0112】
付記18.半径方向に遠位の拡張可能な区画を拡張する、および/または収縮させるためのカテーテル本体と統合される手段は、少なくとも1つの回転方向にトルクを付与され、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖するように構成される、少なくとも第1のコイルを備える、付記17に記載の吸引カテーテル。
【0113】
付記19.第1のコイルは、両方の回転方向にトルクを付与され、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放および閉鎖するように構成される、付記18に記載の吸引カテーテル。
【0114】
付記20.回転可能な内側部材をさらに備え、第1のコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において内側部材の遠位端に固定され、内側部材の近位端の回転は、第1のコイルの遠位端を回転させる、付記19に記載の吸引カテーテル。
【0115】
付記21.少なくとも第1のコイル内に回転可能かつ同軸上に搭載される、第2のコイルをさらに備え、少なくとも1つのコイルは、その近位端においてカテーテル本体の遠位端に、その遠位端において第2のコイルの遠位端に固定され、第1および第2のコイルは、第1の方向への第2のコイルの近位端の回転が、第1および第2のコイルの両方を半径方向に拡張させるように、反対螺旋方向に巻装される、付記19に記載の吸引カテーテル。
【0116】
付記22.半径方向に拡張可能な足場は、自己拡張式であり、該カテーテルはさらに、半径方向に拘束された構成で半径方向に拡張可能な足場を拘束するように構成される、シースを備え、シースの後退は、半径方向に遠位の拡張可能な区画が半径方向に拡張することを可能にする、付記15に記載の吸引カテーテル。
【0117】
付記23.半径方向に拡張可能な足場は、閉鎖セルを備える、付記22に記載の吸引カテーテル。
【0118】
付記24.半径方向に拡張可能な足場は、蛇行リングを備える、付記22に記載の吸引カテーテル。
【0119】
付記25.半径方向に拡張可能な足場は、軸方向支柱を備える、付記22に記載の吸引カテーテル。
【0120】
付記26.血管から血塊を崩壊させて抽出するための方法であって、血管内の血塊の領域内に吸引カテーテルの遠位端における半径方向に拡張可能な足場を位置付けることと、血塊の領域内で半径方向に拡張可能な足場を半径方向に拡張し、吸引カテーテル内の吸引管腔と隣接する足場の中心血塊受容通路内で崩壊された血塊を収集することと、真空を吸引管腔の近位部分に印加し、中心血塊受容通路から管腔の中に崩壊された血塊を引き込むこととを含む、方法。
【0121】
付記27.半径方向に遠位の拡張可能な区画は、自己拡張式であり、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拡張することは、拘束シースから半径方向に遠位の拡張可能な区画を解放することを含む、付記26に記載の方法。
【0122】
付記28.吸引カテーテルの半径方向に拡張可能な遠位区画を半径方向に拡張することは、吸引カテーテル上の構造を作動させ、半径方向に拡張可能な遠位区画を半径方向に拡張することを含む、付記26に記載の方法。
【0123】
付記29.吸引カテーテル上の構造を作動させ、中心血塊受容通路を拡張する、または収縮させることは、第1の回転方向に少なくとも第1のコイルにトルクを付与し、半径方向に遠位の拡張可能な区画を半径方向に開放または閉鎖することを含む、付記28に記載の方法。
【0124】
付記30.第1のコイルは、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拡張するように、第1の方向にトルクを付与され、吸引カテーテルの半径方向に遠位の区画を半径方向に拘束するように、第2の回転方向にトルクを付与される、付記29に記載の方法。
【0125】
付記31.第1のコイルにトルクを付与することは、第1のコイルの遠位端に取り付けられた内側部材を回転させることを含む、付記29または30に記載の方法。
【0126】
付記32.第1のコイルにトルクを付与することは、第1のコイルの遠位端に取り付けられた第2のコイルを回転させることを含む、付記29または30に記載の方法。
【0127】
(参照による組み込み)
本明細書に述べられる全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照することによって組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
本発明の新規の特徴が、添付の請求項に詳細に記載される。本発明の特徴および利点のさらなる理解が、本発明の原理が利用される、例証的実施例を記載する以下の詳細な説明、および付随する図面を参照することによって、得られるであろう。
【0129】
【
図1】
図1Aおよび1Bは、それぞれ、半径方向に圧潰された構成および拡張構成時の遠位足場部分を有する、本発明の原理に従って構築された吸引カテーテルを示す。
【0130】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、
図1Aおよび1Bの吸引カテーテルで使用されるような螺旋足場の詳細図を示す。
【0131】
【
図3】
図3は、カテーテル外側シャフトの一実施例の接写を示す。
【0132】
【
図4】
図4は、固定されたハンドル本体40と、回転ハンドルノブ41とを備える、デバイスハンドルの一実施例の接写を示す。
【0133】
【
図5-1】
図5A-5Gは、使用時の本発明のデバイスの実施例を描写する。
【
図5-2】
図5A-5Gは、使用時の本発明のデバイスの実施例を描写する。
【0134】
【
図6A】
図6Aは、内側トルク部材が、反時計回りに回転されてコイルを圧潰し、時計回りに回転されてそれを拡張するであろうように、近位から遠位に視認される際に反時計回りの巻きを伴うリボンを備える、螺旋足場を示す。
【0135】
【
図6B】
図6Bは、内側トルク部材が、時計回りに回転されてコイルを圧潰し、反時計回りに回転されてそれを拡張するであろうように、近位から遠位に視認される際に時計回りの巻きを伴う
図6Aのものに類似するリボンを示す。
【0136】
【
図7】
図7は、その長さに沿って可変リボン幅を伴うコイルの実施例を示す。
【0137】
【0138】
【
図9】
図9は、リボンのコアに切り込まれたスロットを有する、第1のリボンおよび第2のリボンを伴う三重螺旋コイルの実施例を示す。
【0139】
【
図10】
図10Aおよび10Bは、レーザ切断された切り欠きおよび突起を特徴とする、それぞれ、圧潰されたコイルおよび拡張されたコイルを示す。
【0140】
【
図11A】
図11Aは、クラウンによって継合される支柱を備える、正弦リングリボンを伴うコイルの実施例を示す。
【0141】
【
図11B】
図11Bは、内側トルク部材および中間外側区画とともに正弦リングリボンを示す、拡張構成時の
図11Aのデバイスの遠位端の側面断面図を示す。
【0142】
【0143】
【
図12】
図12および13は、内側トルク部材の遠位部が、それぞれ、拡張および圧潰構成時に、外側コイルのものと反対の方向に巻装された第2の内側コイルと置換されている、本発明の好ましい実施例を図示する。
【
図13】
図12および13は、内側トルク部材の遠位部が、それぞれ、拡張および圧潰構成時に、外側コイルのものと反対の方向に巻装された第2の内側コイルと置換されている、本発明の好ましい実施例を図示する。
【0144】
【
図14】
図14は、スロットを伴う管状取付部が、直径変化を通してコイルリボンの一定の間隔を維持するために採用される、本発明の別の実施例を示す。
【0145】
【
図15】
図15は、共通円形基部153から遠位方向に放射状に広がる複数の支柱152を備える、遠位端および近位端を伴う自己拡張式円錐形足場の実施例を示す。
【0146】
【
図16】
図16は、支柱が屈曲部を有し、拡張された足場が、優れた真空シールのために、拡張状態時に脈管により良好に共形化することを可能にする、円錐形および円筒形区画を有する、自己拡張式足場を示す。
【0147】
【
図17】
図17は、支柱の丸みを帯びた先端が、前縁上に平坦な部分を有し、脈管外傷をさらに低減させる、および/または真空耐性膜に対して荷重をより良好に分配する、
図16の足場の異型を示す。
【0148】
【
図18】
図18は、2つ以上の支柱が、円弧によって隣接する支柱に接続され、それによって、ループを形成する、円錐形および円筒形区画を有する、別の自己拡張式足場を示す。
【0149】
【
図19】
図19は、支柱の近位端が、円弧によって接続され、正弦リングまたは蛇行構造を形成する、自己拡張式円錐形足場を示す。
【0150】
【
図20】
図20は、支柱が、クラウン先端の近傍に屈曲部を有し、拡張された足場が、優れた真空シールのために、拡張状態時に脈管により良好に共形化することを可能にする、
図19の自己拡張式円錐形足場の異型を示す。
【0151】
【
図21】
図21は、近位端が支柱によって足場基部に取り付けられる、正弦リング構造を形成するように両端において円弧によって接続される複数の支柱を備える、自己拡張式足場を示す。
【0152】
【
図22】
図22は、リンクが、全体として自己拡張式足場の可撓性を増加させるためのばね要素を含む、
図21に類似する自己拡張式円錐形足場を示す。
【0153】
【
図23】
図23は、遠位方向にある角度で半径方向外向きに拡張する、基部リングに取り付けられたテーパ状蛇行本体を伴って形成される、円錐形足場の実施例を示す。
【0154】
【
図24】
図24は、軸に対して第1の角度で配向される近位領域と、軸に対して第2の角度で配向される遠位領域とを有し、第1の角度が第2の角度を上回る、円錐形足場を示す。
【0155】
【
図25】
図25は、半径方向内向きに指し示す先端を伴う円錐形足場を示す。
【0156】
【
図26】
図26は、足場が、より徐々に曲線状の内向きに指し示す先端を有する、
図25の円錐形足場の異型を示す。
【0157】
【
図27】
図27は、遠位方向に配向される足場の半径方向に収束する頂点端および近位方向に配向される足場の半径方向に分岐する端部を伴って搭載される、自己拡張式足場を示す。
【0158】
【
図28】
図28は、外側伸長管状本体内に平行移動可能に受容される内側伸長管状本体に取り付けられた自己拡張式足場を備える、本発明の好ましい吸引カテーテルを示す。
【0159】
【
図29】
図29は、自己拡張式足場が、除去可能な内側伸長管状本体に取り付けられた遠位キャップによって半径方向に抑止される、吸引カテーテルを示す。
【0160】
【
図30】
図30は、外側伸長管状本体の遠位端に取り付けられ、自己拡張式足場の少なくとも遠位端の周囲に巻着されたワイヤ、フィラメント、またはリボンによって拘束される、自己拡張式足場を有する、吸引カテーテルを示す。
【0161】
【
図31】
図31は、外側伸長管状本体の遠位端に取り付けられ、易壊性材料によって拘束状態で保持される、自己拡張式足場を有する、吸引カテーテルを示す。
【0162】
【
図32A】
図32Aおよび32Bは、自己拡張式足場が、伸長管状本体321の遠位端に取り付けられ、引き紐フィラメントによって拘束状態である、吸引カテーテルを示す。
【
図32B】
図32Aおよび32Bは、自己拡張式足場が、伸長管状本体321の遠位端に取り付けられ、引き紐フィラメントによって拘束状態である、吸引カテーテルを示す。
【0163】
【
図33】
図33Aおよび33Bは、自己拡張式足場が、異なる長さの支柱331を含む、吸引カテーテルを示す。
【0164】
【
図34】
図34は、自己拡張式足場が、伸長管状本体の遠位端に取り付けられ、リングによって拘束状態である、吸引カテーテルを示す。
【0165】
【
図35】
図35Aおよび35Bは、自己拡張式足場が、固定直径吸引管腔の中に圧縮および折畳され(
図35A)、遠位前進に応じて拡張される(
図35B)、吸引カテーテルを示す。
【0166】
【
図36】
図36Aおよび36Bは、足場が吸引管腔内で拘束され得る、吸引カテーテルの側面および端面図である。
【0167】
【
図37】
図37は、膨潤性ポリマーから作製される正弦リングを備える、足場を有する、吸引カテーテルを示す。
【0168】
【
図38】
図38は、遠位拡張区画が、コイルまたはピグテール構造によってカテーテルシャフトに取り付けられ得る基部に結合される、可撓性接合部設計を示す。
【0169】
【
図39】
図39は、可撓性リンクによってカテーテルシャフトの遠位端に接続される遠位拡張構造を示す。
【0170】
【
図40】
図40は、ボール・ソケット型継手によって隣接するカテーテルに接続される拡張構造を示す。
【0171】
【
図41】
図41は、隣接するカテーテルシャフトから接続解除される遠位拡張構造を示す。
【0172】
【
図42】
図42は、カテーテルシャフトから外向きに広がる卵形編組構造を備える、遠位の拡張可能な区画を示す。
【0173】
【
図43】
図43は、外側カテーテルシャフトから延在する広がった編組構造を備える、遠位の拡張可能な区画を示す。
【0174】
【
図44】
図44Aおよび44Bは、それぞれ、縦方向リブ付き構造を備える、遠位の拡張可能な区画を示す、側面および端面図である。
【0175】
【
図45】
図45は、反対側でスパインに接続される複数のリングを備える、遠位の拡張可能な区画を示す。
【0176】
【
図46】
図46は、リングと、切り込みを伴う管状構造によって被覆される単一のスパインとを有する、遠位の拡張可能な区画を図示する。
【0177】
【
図47】
図47は、遠位の拡張可能な区画が、バルーンカテーテルが足場を拡張するように膨張され得る、外側伸長管状本体の端部上に搭載される塑性的に変形可能な足場を備える、吸引カテーテルを示す。
【0178】
【
図48】
図48は、遠位の拡張可能な区画が、コイル状ポリマー管類480から構築され、コイルループが、ともに接合される、本発明の別の実施例を示す。
【0179】
【
図49】
図49は、真空耐性膜が、カテーテルシャフトの端部からコイルの遠位端の略近位の点まで延在する、カテーテルシャフトに取り付けられたコイルを備える、遠位拡張区画を示す。
【0180】
【
図50】
図50は、真空耐性膜502が、カテーテルシャフトの端部から自己拡張式足場の遠位端の略近位の点まで延在する、カテーテルシャフトに取り付けられた自己拡張式足場を備える、遠位拡張区画を示す。
【0181】
【
図51】
図51A-51Cは、単一の波状要素から成る遠位の拡張可能な足場を示す。扁平(広げられた)状態時のパターンは、
図51Aに示され、巻回構成時のパターンは、
図51B(圧潰)および51C(拡張)に示される。
【0182】
【
図52】
図52Aおよび52Bは、足場が、タブ・スロット継手によって定位置で維持される、複数の連続波状要素を備える、単一の波状要素から成る遠位の拡張可能な足場の別の実施例を示す。
【0183】
【
図53】
図53は、吸引カテーテルの中間区画に取り付けられ、真空耐性膜で被覆された単一の波状要素から成る、遠位の拡張可能な足場の別の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0184】
(本発明の詳細な説明)
(実施例1:逆に拡張するコイル)
本発明の新規の特徴が、添付の請求項に詳細に記載される。本発明の特徴および利点のさらなる理解が、本発明の原理が利用される、例証的実施例を記載する以下の詳細な説明、および付随する図面を参照することによって、得られるであろう。
【0185】
図1Aは、本発明の原理に従って構築された吸引カテーテルを描写する。本デバイスは、遠位の拡張可能な区画1と、中間区画または中間シャフト2と、近位区画または近位シャフト3と、ハンドル4とを備える。シャフトは、接合部5において相互に、歪み緩和接合部6においてハンドルに継合される。ハンドルは、遠位ハンドル区分7と、回転中央ハンドル区分8と、近位ハンドル区分9とを備える。遠位ハンドル区分または近位ハンドル区分は、吸引ポート10を有する。本デバイスの近位端は、ガイドワイヤを受容するように構成される、および/または吸引のために使用され得る、管腔11を有する。中央ハンドル区分は、スイベル12の存在に起因して、ハンドルの他の部分に対して回転することができる。
図1Aは、身体の中に導入され、標的血管に送達されるであろうような圧潰状態時の遠位の拡張可能な区画を図示する一方、
図1Bは、血塊の吸引の間に使用されるであろうような拡張状態時の遠位の拡張可能な区画1を図示する。
図1Bはまた、それによって遠位の拡張可能な区画が拡張および圧潰される、内側トルク部材13と、連続真空経路を提供し、デバイス有効性を侵害し得る真空下の漏出を防止するために、遠位の拡張可能な区画を被覆し、本デバイスの非拡張可能区分に接続する、真空耐性膜14とを示す。
【0186】
遠位の拡張可能な区画1は、収縮状態では、優れた送達可能性のために薄型遠位区画外形を提供し、拡張状態では、改良された吸引のために遠位区分直径を増加させる、拡張可能かつ収縮可能な構造を備える。好ましい実施例では、遠位の拡張可能な区画は、2mmまたはそれ未満、好ましくは、1.5mmまたはそれ未満、最も好ましくは、1mmまたはそれ未満の送達構成時の外径を有し、好ましくは、また、それが取り付けられる中間区画2の外径未満である。遠位の拡張可能な区画は、血塊および/または血塊によって閉塞される脈管と等しい、もしくはそれよりも大きい直径まで拡張することが可能である。好ましい実施例では、足場は、真空が印加されるときに、血管の内壁に係合し、足場の端部を越えた血液漏出を防止する。足場は、拡張された足場の所望の部分のみが、脈管壁に係合し、所望に応じて、吸引性能および脈管外傷の危険性の平衡を保つように、拡張するように設計されてもよい。例えば、足場の遠位部分のみ、または近位部分のみ、もしくは中央区分のみが、脈管壁に係合してもよい。足場は、血塊に直接隣接して、またはその近位のある距離で拡張されることを意図し得る。真空圧の印加に応じて、血塊は、次いで、本デバイスの吸引管腔の中に引き込まれる。
【0187】
遠位の拡張可能な区画は、2~6mm、より好ましくは、3~5mm、最も好ましくは、4~4.5mmの直径まで拡張するように構成されてもよい。したがって、本発明のデバイスは、1.4~2.0mm範囲内の固定直径吸引管腔を伴う従来の吸引カテーテルよりも1.5倍~10倍大きい断面積を伴う拡張可能な区画内に吸引管腔を提供する。印加される真空力が、断面積を掛けた真空圧に等しいため、本発明のデバイスによって印加されることが可能な真空力は、並行して優れた血塊抽出能力を伴って、従来の吸引カテーテルによって提供されるものよりも1.5倍~10倍大きい。
【0188】
図1Aおよび1Bに示される実施例では、遠位の拡張可能な区画1は、単一のコイル構造から構築され、その近位端は、カテーテル中間区画2に取り付けられ、その遠位端は、単一のコイルの内側を通して延設され、ハンドル4に取り付けられた内側トルク部材13に取り付けられる。ハンドルを介した内側トルク部材の回転は、コイルをより緊密に巻着させ、それによって、(
図1Aに描写されるように)送達のためにその直径を減少させるか、または巻着解除させ、(
図1Bに描写されるように)吸引のためにその直径を増加させるかのいずれかである。
【0189】
内側トルク部材13は、中実ワイヤ、管、または埋め込みコイルもしくは編組を伴うポリマーシャフト等の複合構造、またはそれらの組み合わせであってもよい。これは、典型的には、より大型の内側部材が管腔内のさらなる空間を占有し、吸引効率に悪影響を及ぼし得るため、それが含有される吸引管腔の面積を最大限にするために、可能な限り小さいであろう。ステンレス鋼、ニッケルチタン、またはコバルトクロム合金の中実ワイヤもしくはマンドレルが、最大トルク対外形比を有することに起因して、本用途のために最も好適である。理想的には、そのような中実部材は、システム柔軟性への影響を最小限にするために、それらの遠位端に向かって直径が減少するであろう。しかしながら、内側トルク部材は、管状であり、ガイドワイヤが内側部材に隣接し、真空管腔を通して延設されることを要求するのではなく、ガイドワイヤを収容するように定寸されてもよい。優れたトルク伝達を維持しながら、可撓性のために壁厚を最小限にし、吸引管腔面積の閉塞を最小限にするために、管状内側トルク部材は、トルクを付与されたときにスプール解除を防止するための薄いポリマージャケットを伴う螺旋切断ハイポチューブであってもよい。内側トルク部材は、より近位に管状部材に接続する遠位区画内のテーパ状ワイヤ等の上記に説明される実施例のうちの1つを上回るものを備えてもよい。
【0190】
図2Aおよび2Bは、拡張状態(
図2A)および実質的に圧潰された状態(
図2B)で示されるような単一のコイル構造から成る、遠位の拡張可能な区画の接写を示す。単一のコイルは、コイルリボン20を備え、随意に、それぞれ、内側トルク部材およびカテーテル中間シャフトへの取付の容易性を改良するための遠位孔21および/または近位リング22を特徴としてもよい。
【0191】
コイル構造は、(i.)治療部位に送達し、(ii.)圧潰状態から拡張状態まで円滑に拡張し、(iii.)吸引のための真空の印加の間に管腔形状を維持し、圧潰力に抵抗し、(iv.)拡張状態から円滑に圧潰し、(v.)治療部位からデバイスを引き出すように、デバイスの機能的要件を達成するために、種々の方法で設計されてもよい。
【0192】
コイルリボン20は、丸みを帯びたワイヤまたは平坦なリボンから製造されてもよい。丸みを帯びたワイヤコイルは、典型的には、マンドレルの周囲にワイヤを巻着し、次いで、マンドレルを除去することによって作製されるであろう一方、平坦なリボンコイルは、典型的には、ハイポチューブをレーザ切断することによって作製されるであろう。平坦なリボンコイルはまた、平坦なリボンワイヤから巻装されてもよい。コイルは、用途のための十分な強度、可撓性、および生体適合性の任意の材料から製造されてもよい。例示的実施例では、コイルは、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニッケルチタン(NiTi)、またはチタン合金から作製される。同一の寸法に関して、ステンレス鋼およびコバルトクロムコイルは、ニッケルチタンよりも良好なトルク応答を提供するが、NiTiコイルは、優れた可撓性を有し、製造または使用の間に損傷される可能性が低い。コイルはまた、PEEK、ポリイミド、および厳選されたナイロン、ポリウレタン、ならびにPETを含む、高強度ポリマーから製造されてもよい。
【0193】
超弾性材料が、ねじれおよび破砕に対して非常に耐性があるため、また、NiTiコイルおよび形状記憶材料から作製されるその他が、所望の形状に熱固化されることができるため、ニッケルチタン(NiTi)合金が、特に、望ましい。コイルは、血塊係合および/またはコイル拡張動態を改良するために、円錐、広がった円錐、階段状形状、指数関数的テーパ、および他の形状に熱固化されてもよい。好ましい実施例では、コイルの遠位端は、形状が略円筒形であり、遠位の拡張可能な区画の近位端は、カテーテルシャフトまで円滑にテーパ化する。コイルはまた、遠位端において最も小さくなるように熱固化され、近位端まで次第により大きくなる、または遠位端において最も大きく、近位端まで次第により小さくなるように熱固化される、もしくはさらに、拡張状態では、より小さい端部を伴って中央で最も大きい、または中央が最も小さく、端部が最も大きい逆であるように、熱固化されてもよい。そのような熱固化幾何学形状は、コイル拡張において重要な役割を果たし、蛇行部において一貫した拡張性能を確実にするために、かつ拡張の間にコイルを被覆する真空耐性膜の捻転を防止するために、使用されることができる。熱固化プロセスはまた、(異なる直径のハイポチューブを使用することと同様に)コイルの中立状態を改変するために、かつコイルのループの間の間隔を制御するために、使用されることもできる。コイルはまた、円形管腔を維持するのではなく、(端面から視認されたときに)縦長または卵形断面に熱固化されてもよい。これは、拡張の間に真空耐性膜を断続的に持ち上げ、膜の潜在的密着および捻転を低減させる傾向を伴う可変外形のコイルをもたらす。
【0194】
例示的実施例では、コイルは、種々の設計属性が作用し始めるように、レーザ切断ハイポチューブから構築される。最初に、開始管直径は、コイルの中立性質を判定し、より大型の管は、拡張状態時にさらなる強度および一様性を伴うコイルをもたらすが、薄型外形に圧潰することがより困難であり得る。管、したがって、コイルリボン壁厚もまた、コイルの強度、可撓性、圧潰可能性、および放射線不透過性に有意に影響を及ぼす。本用途のために好適な管は、典型的には、0.0015インチ~0.004インチの壁厚を伴って1.0~3.5mm外径の範囲内である。0.008インチまでの壁厚のより厚い管もまた、特に、有意な材料が電解研磨等の処理の間に除去され得る場合、好適であり得る。設計された幾何学形状、レーザ角度、および電解研磨プロセス(該当する場合)に応じて、コイル断面幾何学形状は、円形、正方形、長方形、台形等であり得る。
【0195】
コイル構造、故に、遠位の拡張可能な区画の長さは、所望の通りであり得る。例示的実施例では、長さは、1mm程度と短い、または150mm程度と長くあり得る。より短い要素が、開放し、さらに依然として本発明の完全な増加した先端真空力を提供するために、より少ない回転を要求する一方、より長い遠位の拡張可能な区画は、無傷で引き出される必要がある、より大きい/より長い、かつより線維性の血塊を取り込んで保持するためのより大型のチャンバを生成する。遠位の拡張可能な区画の長さもまた、送達可能性に影響を及ぼし得る。
【0196】
図3は、遠位端30、中間外側シャフト31、近位外側シャフト32、および近位端33を伴う伸長管状本体を備える、カテーテル外側シャフトの一実施例の接写を示す。カテーテルシャフトの目的は、遠位の拡張可能な区画が、標的面積まで前進され、そこから引き出されることを可能にすること、遠位の拡張可能な区画が拡張および圧潰され得るように、トルクがハンドル機構から遠位の拡張可能な区画に伝達されることを可能にすること、ならびにそれを通して真空圧がデバイスの遠位端に印加され得る、流体不浸透性管腔を提供することである。例示的実施例では、カテーテルは、明確に異なる性質を伴う2つの区画、すなわち、中間シャフト(区画)および近位シャフト(区画)を備えるが、2つを上回るシャフト区分を伴う異型が、想定され、いくつかの用途のために優れ得る。
【0197】
一般に、本デバイスの近位外側シャフト32は、本デバイスの近位端上の(患者の身体の外側の)ユーザ動作型ハンドルから、大腿動脈アクセスポイントを通して大動脈まで、頸または椎骨動脈の基部の中に延設される。近位外側シャフトは、中間区画よりも堅固であり、トルクおよび/または線形力伝達のために最適化されるであろう。本デバイスの中間区画は、遠位区画および中間区画が、蛇行性頭蓋内神経血管生体構造を通して血塊の部位まで追跡され得るように、可撓性のために最適化されるであろう。中間区画は、十分なトルクおよび/または線形力伝達能力を留保し、遠位の拡張可能な区画が拡張および圧潰されることを可能にするはずである。
【0198】
業界内で周知である種々の金属およびポリマー技術が、カテーテルシャフトを製造するために使用されてもよい。例示的実施例では、近位外側シャフト32は、潤滑ポリマー内側ライナー34と、コア内の金属またはポリマー編組35と、より堅固なポリマー外側ジャケット36とを備える。内側ライナーは、典型的には、基礎的内側部材またはガイドワイヤが円滑に回転することを可能にするように、PTFE、FEP、HDPE、または別の潤滑ポリマーから作製され、編組は、強度、ねじれ抵抗、および効率的なトルク伝達を提供するように、ステンレス鋼またはニッケルチタン合金から作製され、外側ジャケットは、ポリエーテルブロックアミド(Pebax(R))、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリアミドから作製される。例示的実施例では、中間外側シャフトは、コア層が、管腔の完全性を維持し、緊密な角の周囲のねじれを防止しながら、シャフトの本部分の可撓性を最大限にするために、編組ではなく、埋め込み支持コイル37を含有するであろうことを除いて、近位外側シャフトに類似する構築物であろう。中間外側シャフトの外側ジャケットはまた、低デュロメータ(25D~55D)Pebaxまたは類似物のような、より軟質かつより可撓性の材料から製造されるであろう。埋め込み支持コイルは、コイルの隣接するループが、最大軸方向剛性、シャフト押動可能性、圧潰抵抗、および放射線不透過性を提供するために、相互と直接接触している、ばねガイドであってもよい。
【0199】
単一のコイルおよびいくつかの他のデバイス設計に関して、実施例では、最大管腔が吸引のために使用され、より小型の管腔が、ガイドワイヤ通過、造影剤注入のために、または内側トルク部材を隔離するために使用される、中間および/または近位区画内の多重管腔シャフト設計を使用することが有利であり得る。これは、その内側の1つ以上の物体によって部分的に閉塞される管腔よりも効果的に血塊を吸引し得る、連続的な閉塞していない吸引管腔を提供する。
【0200】
任意の伸長管状部材が、可撓性を増加させるようにアコーディオンまたは回旋状形態に成形されることができる。アコーディオンまたは回旋状形態はまた、表面接触を低減させ、システム内の異なる移動コンポーネントの間もしくは伸長管状部材と血管壁との間の表面摩擦を最小限にすることができる。
【0201】
図4は、固定ハンドル本体40と、回転ハンドルノブ41とを備える、デバイスハンドルの一実施例の接写を示す。カテーテルシャフト近位区画42が、固定ハンドル本体に取り付けられる一方、内側トルク部材43が、回転ハンドルノブに取り付けられる。ハンドルノブの円滑な回転は、玉軸受44によって促進される。ハンドル本体が、吸引ポート45を含有する一方、アセンブリ全体は、好ましくは、ガイドワイヤ通過のための内側管腔46を有する。
【0202】
ハンドル機構は、近位シャフトの内側および外側部材の両方に接続し、医師が一方を他方に対して回転させることを可能にし、それによって、トルクを中間区画および拡張可能な遠位区画に伝達する。例示的実施例では、外側部材は、固定され、内側部材のみが、外側部材が最小限の脈管外傷のために脈管壁と対比して定常であるように回転するが、両方のシャフトが同時に回転される、異型であるような、逆が、想定される。
【0203】
ハンドルは、内側および外側部材が、それらの間にスイベルを伴ってハンドルの異なる要素に接続し、完全性および整合を維持する、手動動作のために設計されてもよい。ハンドルは、拡張可能な遠位区画を拡張するために医師によって必要とされる旋回の数を削減するためのギヤボックス機構を含有してもよい。ハンドルはまた、手動操作の必要性を排除するモータを組み込んでもよい。いくつかの設計実施例では、近位端は、もしくは伸長管状部材および/またはトルク要素の近位端に向かって、単純な近位ハブにおいて終端し、医師にさらなる動作の自由を許容し得る。そのようなハブは、吸引のための側面アーム、デバイス前進および/または抜去の間に全ての部分を定位置で保つためのルアーロック、ならびに/もしくはガイドワイヤまたはマイクロカテーテルを係留するため、かつ手技の間の失血を最小限にするためのTuohy型止血弁を組み込んでもよい。
【0204】
別の実施例では、ハンドルは、コイルの遠位端に取り付けられた内側トルク要素が、固定されて保持され、外側シャフトが、トルクを付与され、コイルの近位端を回転させ、それによって、略近位から遠位方向にコイルを巻着解除および拡張する傾向があるように、設計される。本設計は、蛇行性生体構造において優れた拡張性能を提供し得る。
【0205】
別の実施例では、ハンドルはまた、コイルを回転させ、それを圧潰または拡張させる代わりに、もしくはそれに加えて、コイルの遠位端に取り付けられた内側トルク要素を遠位および近位に移動させる。内側部材の遠位移動が、コイルを延長させ、外形を圧潰させる一方、内側部材の近位移動は、コイルを短縮させ、外形を拡張させる。本アプローチは、蛇行性生体構造において優れた拡張性能を提供し、完全に圧潰されたデバイスの全体的なより薄型の外形を可能にし得る。
【0206】
図5A-5Gは、使用時の本発明のデバイスの実施例を描写する。
【0207】
図5Aは、血塊52によって閉塞される内側管腔51を伴う血管50から成る、患者が医師に提示するような生体構造を示す。
【0208】
図5Bは、ガイドワイヤ53が血管内側管腔を通して血塊を通して前進され、それによって、本発明のデバイスが前進され得るレールを提供する、手技における次のステップを示す。図では、その圧潰状態時の遠位拡張区画54と、中間区画55とを含む、本デバイスは、ガイドワイヤにわたって挿通され、血管生体構造の中に前進されている。
【0209】
図5Cは、圧潰された遠位拡張区画54が血塊に隣接し、ガイドワイヤが引き出されるまで、デバイスが前進されている、手技における次のステップを示す。
【0210】
図5Dは、拡張後および血塊を吸引するための真空圧の印加に先立った遠位拡張区画54を示す。
【0211】
図5Eは、血塊52が遠位拡張区画内で引動されている、吸引後の遠位拡張区画54を示す。理想的には、血塊は、吸引プロセスの間に破壊され、身体から完全に除去されるであろうが、熟成および/または線維性血塊は、並外れて粘着性があり得、示されるように、デバイスによって生体構造から物理的に引動される必要があり得る。
【0212】
図5Fは、デバイスを通して完全には吸引されなかった任意の血塊を捕捉するように再圧潰された後の遠位拡張区画54を示す。
【0213】
図5Gは、任意の残存血塊がその内側に捕捉されている状態で生体構造から引き出されている際のデバイスを示す。
【0214】
(コイル異型)
特定の生体構造におけるその性能を最適化するために、および/または内側トルク部材ならびに遠位スリーブ等のシステムの他の部分と併せて使用され得る、コイル設計の多数の側面が存在する。特に、コイルの性能は、コイル巻きの方向、リボン幅、ピッチ角度、リボンループの間の間隙、および巻きの中のリボンの数に依存するであろう。これらの設計属性は、改良された圧潰または拡張性質を提供するように、コイルの長さに沿って一定である、もしくは変動し得る。
【0215】
図6Aおよび6Bは、遠位端60、近位端61、リボン62、リボン間隙63、およびピッチ角度64を伴う標準コイルの実施例を示す。本実施例では、リボン幅、ピッチ角度、およびリボン間隙距離は、他の要因がない場合、コイルが、同時に、その長さに沿って一様に拡張する傾向があろうように、コイルの長さを通して一定である。リボン幅は、典型的には、0.008インチ~0.065インチに及ぶであろう。より広いリボンが、真空圧からの圧潰により良好に抵抗する、より頑丈なコイルをもたらすが、それらは、より狭いリボンよりも剛性であり、あまり送達可能ではない。コイルリボンの厚さもまた、これらの性質に影響を及ぼす。一実施例では、リボン幅は、約0.030インチであり、厚さは、約0.002インチであり、幅対厚さの15:1比をもたらす。
【0216】
コイル構造螺旋は、典型的には、縦軸から50°~85°の範囲内のピッチ角度64を有するであろう。より高いピッチ角度が、線形長さあたりより多くのループをもたらし、概して、コイルが拡張されるときに、より少ない間隙もたらすが、開放するためにより多くの回転を要求する。ピッチ角度は、レーザ切断において、またはNiTiコイルに関しては熱固化において判定されることができる。設計の一異型では、コイルの遠位ループは、脈管軸と垂直である吸引管腔口を提供するように、90°角度に熱固化される。そのようなループは、さらなる半径方向強度のためにスタックされることができ、圧潰状態であるときに重複する場合とそうではない場合がある。コイルループは、コイルが開放するにつれて、コイルとスリーブとの間の接触が変動するように、コイルの部分または全てにおいて逆の角度に切断もしくは熱固化されることができる。
【0217】
完全圧潰状態では、典型的には、リボンループの間にリボン間隙63が殆どまたは全く存在しない。リボン幅、拡張直径、および可能にされる長さ変化に応じて、拡張状態時のリボンループの間の間隙は、リボン幅未満である、またはリボン幅を最大数倍上回り得る。拡張状態時のより緊密な間隙は、典型的には、拡張可能な要素が拡張の間に短縮することを可能にする、設計に対応する。圧潰状態時のリボンループの間の間隙はまた、改良されたデバイス送達可能性のために可撓性を増加させる、および/または特に血管蛇行部における屈曲部の周囲にあるときに遠位スリーブの伸張もしくは折畳解除を助長することに関して、拡張に影響を及ぼすために使用されることもできる。
【0218】
図6Aは、内側トルク部材が、反時計回りに回転されてコイルを圧潰し、時計回りに回転されてそれを拡張するであろうように、近位から遠位に視認されるような反時計回りの巻きを伴うリボンを示す。
図6Bは、内側トルク部材が、時計回りに回転されてコイルを圧潰し、反時計回りに回転されてそれを拡張するであろうように、近位から遠位に視認されるような時計回りの巻きを伴うリボンを示す。回転の方向は、主に、手動動作型ハンドルのための直観的かつ人間工学的な側面から重要である。その右手でハンドルを動作させる医師にとって、ハンドルノブから内側トルク部材への直接接続が存在する場合、反時計回りのリボンが使用されるであろうように、ハンドルノブを時計回りに回転させ、遠位の拡張可能な区画を拡張することが、最も直観的である。ハンドルが、内側トルク部材をハンドルノブが旋回される方向と反対の方向に回転させる、ギヤリングを含有する場合、時計回りのリボン巻きが、デバイス拡張のための時計回りノブ回転を維持するために使用されるであろう。
【0219】
図7は、遠位端70、近位端71、リボン72、およびリボン間隙73を特徴とする、可変リボン幅を伴うコイルの実施例を示す。図示される実施例では、リボン幅は、近位端(0.002インチ管上の20:1幅対厚さ比)における0.040インチから遠位端(10:1比)における0.020インチまで減少する。リボン幅のピッチ角度が一定であるため、リボン間隙は、リボン幅が狭くなるにつれて近位から遠位に増加する。代替として、幅の増加は、近位から遠位端まで反対方向に進行し得る。コイルリボン幅の相違は、幅の増加または減少が、長さを辿ってより急速に、もしくはあまり急速ではなく生じるように、長さとともに線形または非線形であり得る。リボン幅のそのような相違は、特に、コイルピッチ角度および熱固化コイルへの任意のテーパと組み合わせて、コイル可撓性および拡張に有意に影響を及ぼし得る。別個に、またはともに使用されると、これらの特徴は、遠位から近位に、近位から遠位に、または均一に、コイル開放および/または再閉鎖を助長し、コイル拡張への遠位スリーブの存在の影響の平衡を保つために使用されてもよい。近位端よりも狭いリボンを有する、コイルの遠位端を伴って示される実施例では、本デバイスは、遠位端に向かって次第に増加する可撓性に起因して、生体構造を通してわずかにより追跡可能であり、また、最初に遠位端において拡張し、近位に伝搬しようとするであろう。他の要因に応じて、最終的な拡張されたコイルは、拡張状態時にわずかにテーパ状の形状を有し、遠位端においてより大きく、近位端においてより小さい傾向があろう。
【0220】
図8は、遠位端80、近位端81、第1のリボン82、および第2のリボン83を伴う、二重螺旋コイルの実施例を示す。従来のばね構造を伴うコイルは、螺旋状に中心軸の周囲の単一のリボン螺旋巻から成る一方、本図は、中心軸を中心とした2つの平行リボン82および83螺旋巻を伴う二重螺旋構造(すなわち、DNAのような)を図示する。他の実施例は、3つ以上の螺旋を有する。一般に、より多くの螺旋は、ピッチ螺旋角度(軸と対比した)が減少され、潜在的に減少した可撓性を犠牲にして、所与の長さのために必要なより少ない巻き、およびコイルを拡張/圧潰するために必要とされる遠位端におけるより少ない回転をもたらすように、さらなる被覆を提供する。
【0221】
図9は、全てのリボンが、リボンのコアに切り込まれたスロット95を特徴とし、それによって、コイル状はしご型構造を生成する、遠位端90、近位端91、第1のリボン92、第2のリボン93、および第3のリボン94を伴う三重螺旋コイルの実施例を示す。スロットを任意のコイルのリボンに追加することは、改良された拡張のために遠位スリーブに対して種々の接触面積を提供し得る。リボンへのはしご型構造はまた、圧着状態時に可撓性のままであろうが、軸方向伸長および回転歪曲に対してより耐性があろう、より広いリボンを伴うコイルを可能にし、より浅いピッチ角度およびより多くの螺旋を伴う設計を潜在的に可能にし、コイルを拡張するために必要とされる回転の数を削減する。
【0222】
図10Aおよび10Bは、レーザ切断された切り欠き102および突起103を特徴とする、圧潰されたコイル100および拡張されたコイル101の実施例を示す。コイルリボンの縁は、波、突起、切り欠き、または他の幾何学的特徴等の輪郭にレーザ切断されてもよい。コイルが拡張し、ループが相互を越えて回転するにつれて、これらの特徴は、遠位スリーブに対して種々の接触面積を提供し、捻転する、かつ拡張の一様性を向上させるスリーブの傾向を低減させる。
【0223】
別の実施例では、コイルは、カテーテル本体の遠位端から遠位に延在する、半径方向に拡張可能なセパレータ足場であり、中心血塊受容通路を画定する、螺旋状に配列された切断要素を含む。セパレータ足場は、平滑リボン外形、または
図10Aおよび10Bに示されるタイプの輪郭縁を特徴としてもよい。セパレータ足場は、血管内で半径方向に拡張され、血塊を切除するように回転および前進されてもよい。カテーテル本体の吸引管腔および半径方向に拡張可能なセパレータ足場の中心血塊受容通路は、セパレータ足場を回転させることによって切除される血塊が、真空を吸引管腔の近位端に印加することによって、カテーテル本体の吸引管腔の中に吸引され得るように、同軸上に配列される。セパレータ足場はまた、吸引に先立って、またはその間に、血塊を破壊するために望ましくあり得るように、脈管壁に対して血塊を押圧する、および/またはコイル内でそれを圧搾するために使用されてもよい。
【0224】
図11Aは、クラウン112によって継合される支柱111を備える、正弦リングリボン110を伴うコイルの実施例を示す。
図11Aは、独立型コイルの斜位図を示す。
図11Bは、内側トルク部材113および中間外側区画114とともに正弦リングリボン110を示す、拡張構成時のデバイスの遠位端の側面断面図を示す。
図11Cは、拘束スリーブ115の存在を含む、圧潰構成時のデバイスの遠位端の側面断面図を示す。(
図11Bおよび11Cでは、通常、中間外側シャフトのコイルおよび遠位端を被覆するであろう真空耐性膜は、明確にするために省略されている)。
【0225】
本実施例の主要な利点は、コイルを拡張/圧潰するための従来の巻装/巻解に加えて、本実施例の正弦リング自体が、その長さを拡張させ、構造の拡張を支援し得ることである。正弦コイルのリボンの効果的により広い幅はまた、真空印加の間に遠位スリーブを支持することに関して、利益を提供し得る。
【0226】
一実施例では、正弦リングリボン110は、正弦パターンに切断され、デバイスが圧潰状態に圧縮されるときに、正弦曲線が閉鎖位置に押し込まれるように、正弦曲線が開放し、コイルリボンが拡張位置にある状態で熱固化される、ニッケルチタンまたは他の形状記憶材料から作製される。コイルは、次いで、シースを付けられる、キャップを付けられる、または別様に拘束状態で捕捉される。治療部位への送達後に、シースまたはキャップは、除去され、正弦曲線が開放することを可能にし、拡張可能な区画の直径を増加させ、その後、コイルは、次いで、通常、付加的直径制御を提供するようにトルクを付与されることができる。別の実施例では、正弦リングコイルは、水分および/または熱に暴露されたときに拡張しようとする、ポリマーから作製される。そのような材料は、典型的には、コイルの端部におけるトルク制御を通したもの以外に拘束方法が必要とされないように、完全に拡張するために数分を要する。本実施例のデバイスは、治療部位まで前進され、次いで、コイルは、脈管に接触するようにそれを拡張するためにトルクを付与され、次いで、材料がさらに暖かくなり、水和するにつれて、さらに拡張しようとし、脈管に対するシールを改良し、吸引の間の血液漏出を防止するであろう。吸引後、正弦リボンコイルは、非正弦コイル設計を用いて前述で説明されたようにトルクをそれらに印加することによって、完全または部分的に圧潰される。
【0227】
図12および13は、内側トルク部材の遠位部が、外側コイル121、131のものと反対の方向に巻装された第2の内側コイル120、130と置換されている、本発明の好ましい実施例を図示する。
図12は、拡張状態時の二重コイルシステムを示し、
図13は、圧潰状態時の二重コイルシステムを示す。2つのコイルは、それらの遠位端122において継合され、故に、一斉に作用する。二重コイル設計における2つのコイルは、溶接、圧着、ストラップまたはワイヤを用いて巻着する/縛ること、リベット、もしくはタブ・スロットインターフェースを用いたものを含む、種々の技法を使用して、相互に取り付けられてもよい。本構成では、一方のコイルが、他方に対して(通常、外側に対して内側に)トルクを付与し、両方のコイルを開放させる。中立状態では、外側コイルは、内側コイルよりも大きい直径であり、2つの間の最適な遊隙が、円滑な回転および所望の直径変化を達成するように維持される。
【0228】
カテーテルの残りの部分は、内側トルク部材123、133が、中間区画のほぼ端部において終端し、そこで、次いで、内側コイルの近位端に接合されることを除いて、前述で説明されたものと実質的に同一である。(中間および近位シャフトの両方の)内側トルク部材は、典型的には、内側に位置し、任意のガイドワイヤまたは補完的デバイスが追跡されるであろう、真空管腔面積を最大限にするために、可能な限り大きいであろう。近位および中間内側部材のサイズは、外側部材124、134の内径、および遠位の拡張可能な区画の円滑な回転および拡張ならびに圧潰を可能にするために2つの間で必要とされる遊隙によって限定されるであろう。
【0229】
単一コイル実施例は、製造の単純性、潜在的に最も薄型の外形、および(特に、トルク要素が管状であり、それに沿ってデバイスが追跡され得るガイドワイヤに適応するように定寸される場合)送達を補助し得る圧潰状態時の遠位頑健性の増加という利点を有するが、トルク要素は、吸引管腔内の空間を占め、有効先端表面積および印加され得る真空力を低減させる。内側トルク要素の剛性に応じて、単一コイル実施例はまた、あまり送達可能ではなくあり得る。比較して、二重コイル実施例の主要な利点は、その中の任意の中実ワイヤまたは管状要素の非存在、および拡張状態時の最大先端面積に起因して、遠位の拡張可能な区画内の最大可撓性である。
【0230】
二重コイルシステム内のコイルは、好ましくは、その優れた頑健性に起因して、また、NiTiが熱処理可能であり、テーパ状コイルを取得する製造しやすい手段を提供するため、NiTiから作製される。テーパ状コイルは、内側コイルと外側コイルとの間に理想的な間隔を達成し、遠位区画の円滑な拡張/収縮を確実にすることに有益であり得る。二重コイル設計の例示的実施例では、内側および外側コイルは両方とも、コイルの遠位端が約1.5:1比によって近位端よりも直径が大きい、テーパ状または円錐形状を付与するように熱固化される。典型的には、そのような二重コイル設計の外側コイルおよび内側コイルは、拡張の間の2つの間の間隔および摩擦を制御することを意図している、異なるテーパに熱固化される。
【0231】
2つのコイルシステム内のコイルは、コイルリボン厚さ、リボン幅、ピッチ角度、リボン間隙等に関して異なり得、いずれか一方または両方のコイルは、可変リボン幅、複数の螺旋、縁輪郭、正弦リング等の前述で説明された他の特徴および異型のうちのいずれかを利用してもよい。
【0232】
図13はまた、遠位の拡張可能な区画がその圧潰および拘束状態であるときに、固定直径吸引管腔を伴う中間区画よりも有意に小さい外形であり、それによって、より少ない脈管外傷を伴って改良された送達可能性を可能にし得るという、本発明の設計の主要な利点も図示する。
【0233】
図14は、スロット141を伴う管状取付部140が、直径変化を通してコイルリボン142の一定の間隔を維持するために採用される、本発明の別の実施例を示す。スロットは、コイルリボンの幅に適合するために十分な幅を有する。スロットは、各管内に180度離して位置付けられ、コイル螺旋を半径方向に自由に進入および退出させるように設計される。完全に閉鎖されたとき、コイルは、管直径にきつく巻着する。完全に開放しているとき、コイル螺旋直径は、増加するが、ループの間の間隔は、管取付部によって維持される。代替として、単一のスロット付き管が、拡張されたコイルのループ間隔をさらに制御するように追加されることができる。
【0234】
本発明のコイル設計の代替実施例では、コイルの遠位端は、コイルの外側に位置するワイヤ、管、他の部材に取り付けられ、コイルの近位端は、カテーテルシャフトに取り付けられる。外側部材は、外側部材の近位端に印加されるトルクが、コイルの遠位端に伝達され、それによって、それを回転させ、拡張または圧潰させるように、デバイスの長さに延設される。外側部材が、管状である場合、造影剤注入、ガイドワイヤ通路、または他の目的のための二次管腔としての役割を果たすことができる。
【0235】
本発明のコイル設計の代替実施例では、ワイヤ、管、他の部材は、コイルの外側に位置し、本部材の遠位端は、コイルの遠位端に取り付けられ、本部材の近位端は、中間区画の遠位端に取り付けられる。コイルの近位端は、次いで、遠位端が固定されて保持されている間に、コイルがその近位端から回転されるように、中間区画の外側部材の内側の回転管状トルク要素に取り付けられる。本配列は、緊密な蛇行部におけるコイル拡張を助長し、さらに、コイルの外側に延設されるワイヤ、管、または他の部材は、真空耐性膜のためのアンカを提供する。設計が、コイルの外側に延設される管状部材を特徴とする場合、管状部材は、デバイスの近位端まで延在し、造影剤注入、ガイドワイヤ通路、または他の目的のための二次管腔としての役割を果たすことができる。
【0236】
本発明の単一コイル設計の別の実施例では、デバイスシャフトは、デバイスの長さに延設される、3つの伸長管状部材を備える。最内伸長管状部材は、コイルの遠位端に取り付けられ、最外伸長管状部材は、コイルの近位端に取り付けられ、他の2つの管状部材の間の伸長管状部材は、コイルの中央のいずれかの場所で単一のコイルに取り付けられる。本付加的シャフトおよび取付点は、コイルの遠位および近位区分が、別個に拡張および圧潰されること、脈管ならびに血塊性質に最良に適した可変拡張直径を提供すること、および/または捻転することなく遠位スリーブ拡張を支援することを可能にする。同一のシャフト設定を利用する代替実施例では、コイルの遠位および近位区分は、それぞれ、コイルの遠位および近位端に取り付けられた最内および最外伸長管状部材が、固定されて保持されている間に、コイルの中心に取り付けられた中央部材を回転させることによって、コイルが完全に拡張および圧潰され得るように、反対の巻きを有する。
【0237】
(実施例2:自己拡張式足場を備える、遠位の拡張可能な区画)
本発明の好ましい実施例では、遠位の拡張可能な区画は、自己拡張式足場を備える。設計の一異型では、自己拡張式足場は、完全に拡張されたときに中立状態であり、圧潰状態に弾性的に圧縮され、次いで、拘束され、拘束の除去に応じて、拡張状態に再開放する。設計の別の異型では、足場は、拘束を伴わずに自然に圧潰状態に留まり、熱、水分、電気等の外部刺激の印加に応じてのみ拡張する。
【0238】
図15は、共通円形基部153から遠位方向に放射状に広がる複数の支柱152を備える、遠位端150および近位端151を伴う自己拡張式足場の実施例を示す。基部153は、カテーテルシャフトの伸長管状本体に取り付けられる。足場は、中間区画のより小さい管腔の中に血塊を円滑に送るためのテーパを提供する、近位に配向された頂点を伴って外形が略円錐形である。
【0239】
足場は、3~20本の線形支柱152、より好ましくは、5~12本の支柱、最も好ましくは、6~8本の支柱を含有してもよい。支柱の幅は、足場内の全ての支柱に関して同一である、または足場の外形性質に影響を及ぼすように設計されると、支柱の間もしくは支柱内で変動し得る。本実施例の1つのバージョンでは、支柱の幅は、管の円周を包囲するように設計されることができる。例えば、1.8mmの外径を伴う管から切断され、それによって、5.65mmの外周を有する、足場に関して、足場は、それぞれ0.94mm幅の6本の支柱を有してもよい。本実施例の別のバージョンでは、支柱は、自己拡張式足場内の支柱が、そこから足場が切断される管の直径よりも小さい圧着構成に圧潰することを可能にするために、管の円周によって可能にされる最大未満の幅を有することができる。自己拡張式足場が線形支柱または支柱を備える、本発明の好ましい実施例では、標的圧着外形は、直径が1mmである。同等の幅の6本の線形支柱を伴う自己拡張式足場では、各支柱の幅は、約0.5mmであろう。
【0240】
自己拡張式足場は、1~10mm、より好ましくは、1~5mm、最も好ましくは、2~3mmの長さであってもよい。より短い長さの足場が、蛇行性脈管を通してより追跡可能である一方、より長い長さの足場は、より低い開放角を有し、吸引管腔の中により容易に血塊を注ぎ込むであろう。
【0241】
自己拡張式足場は、それが治療することを意図している脈管直径に等しい、またはそれよりも大きい直径まで拡張するであろうように、製造される。足場は、2~6mm、より好ましくは、3~5mm、最も好ましくは、4~4.5mmの直径まで拡張するように構成されてもよい。1つの好ましい実施例では、拡張可能な足場は、非拡張可能区画の1.1倍~3倍に及ぶ、送達システムの隣接する非拡張可能区画よりも大きい直径まで拡張し、より好ましくは、非拡張可能区画の直径の1.2倍~2倍に拡張する。したがって、本発明のデバイスは、1.4~2.0mm範囲内の固定直径吸引管腔を伴う従来の吸引カテーテルよりも1.5倍~10倍大きい断面積を伴う拡張可能な区画内の吸引管腔を提供する。印加される真空力が、断面積を掛けた真空圧に等しいため、本発明のデバイスによって印加される真空力は、並行して優れた血塊抽出能力を伴って、従来の吸引カテーテルによって提供されるものよりも1.5倍~10倍大きい。
【0242】
別の実施例では、自己拡張式足場は、所望の生体構造における最大性能のために輪郭形成される。自己拡張式足場は、形状が円錐形、半球形、または略円筒形であり得る、もしくは説明されるシャフトの組み合わせであってもよい。さらに、自己拡張式足場の遠位縁は、拡張直径を増加させ、脈管シールを補助するための広がりを伴って、またはデバイスの前進もしくは抜去の間の脈管外傷を最小限にするためのテーパを伴って、さらに輪郭形成されてもよい。
【0243】
図16は、支柱162が屈曲部163を有し、拡張された足場が、優れた真空シールのために、拡張状態時に脈管により良好に共形化することを可能にする、遠位端160および近位端161を伴う自己拡張式足場の実施例を示す。支柱はまた、脈管外傷を最小限にする、および/または膜取付のためのより大きい表面積を提供するために、丸みを帯びた先端164を有する。丸みを帯びた先端の曲率半径は、支柱が半円において終端するように、支柱の幅の半分であってもよい、または曲率半径は、支柱が特大の丸みを帯びた先端において終端するように、より大きくあり得る。別の実施例では、自己拡張式足場は、長円形端部を有する、支柱を備える。好ましい実施例では、支柱は、支柱の幅の約1.5倍~2倍の直径の特大の丸みを帯びた先端において終端する。
【0244】
図17は、支柱の丸みを帯びた先端が、前縁上に平坦部170を有し、脈管外傷をさらに低減させる、および/または真空耐性膜に対して荷重をより良好に分配する、上記の実施例の異型を示す。代替実施例では、平坦部は、より緊密な圧着を可能にするために、先端の片側または両側にある。好ましい実施例では、平坦な縁の長さは、丸みを帯びた先端の直径の約1/4~1/3である。
【0245】
図18は、複数の支柱180を備え、2つ以上の支柱が、円弧181によって隣接する支柱に接続され、それによって、ループを形成する、自己拡張式足場の実施例を示す。例えば、12本の支柱を含有する自己拡張式足場は、6つの独立したループ、またはそれぞれ3本の接続された支柱の4つのウィング、それぞれ6本の接続された支柱の2つのウィング等に形成され得る。接続された円弧角は、支柱が軸と平行なままであるように、180度と同等の接線半円であり得る。代替として、ループの接続円弧は、各ループを形成するために使用される線形支柱が、相互または軸ともはや平行ではなくなるように、180度と異なる円弧角を伴って設計される。より小さい円弧は、足場が、遠位端においてより薄型の外形に圧着し得るように、ともに線形支柱の先端を引き寄せるであろう、またはより大きい円弧(示される)は、より大きい開始遠位外形、可能性として、改良された拡張および血塊係合を提供するであろう。自己拡張式足場システム内の各ループの幅およびループの総数は、(支柱/ループ重複がない場合に)接触するように押圧されたときの最終圧着外形を判定するように使用されることができる。例えば、0.6mm外側ループ幅を伴う6つの等しいループを伴う自己拡張式足場は、1.2mm圧着外形が獲得されることを可能にするであろう。
【0246】
図19は、支柱190の近位端もまた、円弧191によって接続され、それによって、正弦リングまたは蛇行構造を形成する、上記の実施例の異型を示す。本実施例では、正弦リング構造の曲線状端部または「クラウン」は、基部192に直接接続される。正弦リング構造は、3~12個のクラウン、より好ましくは、4~8個のクラウン、最も好ましくは、4~6個のクラウンを含有してもよい。正弦リング内の支柱の幅は、0.005インチ~0.020インチ、より好ましくは、0.006インチ~0.014インチ、最も好ましくは、0.008インチ~0.012インチであってもよい。したがって、リング支柱幅対線形支柱幅(後者が存在するとき)の比は、約0.5:1から2:1まで変動し得る。平坦な支柱は、屈曲応力を圧縮応力に変換し、正弦リングの破砕抵抗を向上させるために、正弦リング特徴の各クラウン頂点に追加されてもよい。別の実施例では、足場の遠位端におけるクラウンは、拡張された足場の支柱が、シャフトまでより徐々にテーパ化するように、足場の近位端におけるクラウンよりも大きい曲率半径を有する。
【0247】
図20は、支柱200が、クラウン先端の近傍に屈曲部201有し、拡張された足場が、優れた真空シールのために、拡張状態時に脈管により良好に共形化することを可能にする、上記の実施例の異型を示す。
【0248】
図21は、リングの近位端が線形支柱リンク213によって足場基部212に取り付けられる、正弦リング構造を形成するように両端において円弧211によって接続される複数の支柱210を備える、自己拡張式足場の実施例を示す。本設計は、正弦リングが、遠位クラウンと近位クラウンとの間で圧縮荷重をより均一に共有することを可能にし、それによって、拡張力および真空圧潰に対する抵抗を増加させる。さらに、正弦リングは、吸引管腔への円形入口を維持することを補助する。
【0249】
正弦リングの軸方向長さは、全足場長さの30%~60%、より好ましくは、全足場長さの40%~50%であってもよい。例えば、自己拡張式足場の全長が、5mmである場合、正弦リングは、2mmであってもよく、それを伸長管状本体に接続する線形支柱は、3mmであってもよい。
【0250】
好ましい実施例では、正弦リング足場内の各近位に向いたクラウン先端は、係留されていないクラウン先端がシース前進に干渉しないように、または拡張状態時のデバイス引き戻しの間に潜在的に脈管外傷を誘発しないように防止するために、線形支柱リンクによって係留される。別の実施例では、正弦リング足場は、線形支柱が存在するよりも多くのクラウンを有し、患者内のデバイス送達のためにさらなる足場可撓性を可能にする。代替実施例では、リンクは、正弦リング内の支柱の中央に、または近位クラウンではなく遠位端クラウンに接続する。
【0251】
別の実施例では、リンクは、伸長管状本体の中心線と同軸ではなく、螺旋構成で巻着し、蛇行性生体構造における拡張のシステム可撓性および均一性を改良する。例えば、リンクの基部は、隣接するリングクラウンにリング取付部を伴って正弦リングの1つのクラウンに整合されることができる。代替として、巻着角は、次の隣接するリングクラウンへのリンク取付部をさらにオフセットすることによって、増加される。別の実施例では、正弦リングを足場基部に取り付けるリンクのうちの1つ以上は、軸方向長さを通して分割され、複数のクラウン部材を有する、正弦リングを生産する。本構成は、自己拡張式足場の堅性を低減させ、追跡および拡張の間の脈管共形化可能性を補助する。
【0252】
本発明の代替実施例では、足場は、相互および/またはカテーテルシャフトに直接、ならびに/もしくは直線、曲線、または関節運動型リンクを用いて取り付けられる、1つを上回る正弦リングから成ってもよい。製造の容易性に非常に適している平行設計では、管が、当業者に周知のパターンで、拡張状態時の結合蛇行リングの構造を生成するために、交互のスロットを伴って切断される。
【0253】
図22は、リンク220が、全体として線形支柱および自己拡張式足場の可撓性を増加させるために、「U字」、「M字」、「Z字」、または「S字」、もしくは類似幾何学形状221を含む、上記の実施例の異型を示す。可撓性を増加させる幾何学形状は、線形支柱の中央にある、または線形支柱の近位端のより近傍に(伸長管状本体の近傍に)、もしくは適用可能である場合、取り付けられた正弦リングの近くで線形支柱の遠位端のより近傍に位置付けられてもよい。線形支柱の可撓性を増加させる幾何学形状の支柱幅は、線形支柱の直線区分のものと同一であり得る、またはそれらは、より薄くあり得る。好ましい実施例では、線形支柱の可撓性を増加させる幾何学形状の支柱幅は、線形支柱の直線区分のものの約半分である。
【0254】
(自己拡張式足場幾何学形状の効果)
自己拡張式足場の長さ、直径、および輪郭の組み合わせは、デバイスの送達、拡張、吸引、および再圧潰(適用可能である場合)性能を判定することに重要である。デバイスの拡張可能な足場部分が、典型的には、任意のガイドワイヤおよび/または隣接するデバイスコンポーネントよりも剛性である場合、拡張可能な足場の長さは、送達可能性に影響を及ぼし得る。より短い足場は、蛇行性脈管を通して、より長い足場よりも容易に関節運動することができる。吸引の間に、印加された真空が、足場の外側の周囲血圧と足場の内側の真空下のより低い血圧との間の圧力差をもたらすため、より短い長さもまた、吸引の間の圧潰に抵抗することにより良く適している。本圧力差は、圧着状態に戻るように足場を再圧潰しようとする。より短い長さは、足場に印加される、より少ない合力(圧力が作用するためのより少ない面積)、およびそれに対して力が印加される、より短いレバーアームの両方を提供する。しかしながら、より短い足場は、適切なシールおよび吸引のために脈管壁に接触するために、より広く拡張する必要があり、これは、血塊吸引効率を減少させ得る。拡張の幅は、拡張された足場の「内包角」によって特徴付けられることができる。
【0255】
図23は、遠位方向にある角度231で半径方向外向きに拡張する、基部リングに取り付けられたテーパ状蛇行本体を伴って形成される、円錐形足場230の実施例を示す。(足場がカテーテルの軸と垂直な円板に拡張した)180°の内包角が、脈管をシールし、従来の吸引カテーテルよりも優れて機能するであろうため、機能的かつ実行可能であろうが、そのような構成ならびによりテーパ状の入口を伴う設計は、血塊を吸引管腔の中に注ぎ込まないであろう。好ましくは、自己拡張式足場は、圧潰を回避するために十分な真空抵抗を維持しながら、送達可能性および血塊吸引の最良の平衡を提供するために、20°~120°、より好ましくは、30°~90°、最も好ましくは、40°~60°の内包角を有する。好ましい実施例では、拡張可能な足場は、圧着状態時に長さが2~3mmであり、拘束されていないときに、4~5mm直径まで拡張し、これは、足場の近位端における吸引管腔の内径に応じて、40°~60°の拡張状態時の内包角を生じさせる。
【0256】
いくつかの足場輪郭は、脈管とのより穏やかで潜在的にあまり外傷性ではない接触をもたらし、および/または吸引効率に良い影響を及ぼし得る、足場内の1つを上回る角度をもたらす。典型的には、足場の遠位部分が、より浅い角度を可能にするであろう一方、足場の近位部分は、より急な角度を有するであろう。
図24は、第1のより急な近位領域内包角241および第2のより浅い遠位領域内包角242を伴う、円錐形足場240の実施例を示す。
【0257】
足場が、半球または類似曲線状形状で製造された場合、角度は、足場の長さに沿って円滑に増加するであろう。本発明の別の実施例では、足場の遠位端は、逆の角度を有し、拡張状態では、先端は、拡張された足場が管腔内で前進された場合、足場の先端が脈管に沿ってそれを誘導することに役立つであろうように、管腔の中を指し示す。
図25は、内包角252を伴う近位足場領域および逆内包角253を伴う遠位足場領域をもたらす、内向きに指し示す先端251を伴う円錐形足場250の実施例を示す。
図26は、足場260が、より徐々に曲線状で有意に内向きに指し示す先端261を有し、内包角262を伴う近位足場領域およびより急な逆内包角263を伴う遠位足場領域をもたらす、上記の実施例の異型を示す。
【0258】
図27は、自己拡張式足場270が、遠位に足場271の頂点端および近位に最大拡張直径端272を伴って搭載される、本発明の別の実施例を示す。本実施例は、本明細書の他の場所に説明される自己拡張式足場設計のうちのいずれか、ならびに下記に議論される拘束技法の殆どを利用してもよい。本種類の逆足場を使用することの1つの利点は、吸引の間に、拡張された足場の近位の周囲血圧とその遠位の真空領域との間の圧力勾配が、足場をさらに開放し、それを脈管壁に押し込もうとし、それによって、デバイスと脈管との間に優れたシールを提供し、真空レベルおよび吸引効率を最大限にする。別の利点は、デバイスが、血塊に押し込むために、または最初に吸引されていないより遠位の断片を捕捉するために、吸引の間でさえも、脈管の中により深く容易に前進され得ることである。好ましい実施例では、本システムは、引き紐設計を使用し、吸引後に、かつ生体構造からの抜去に先立って、拡張された傘の圧潰を促進する。
【0259】
(自己拡張式足場のための拘束および解放の手段)
自己拡張式足場が、治療部位までの血管系を通した送達の間に拘束され、その後、拡張され得、ある場合には、随意に、吸引治療が完了した後に圧潰され得る、複数の手段が存在する。
【0260】
図28は、本デバイスが、一方が他方に対して遠位および/または近位に移動することを可能にするために内側伸長管状本体と外側伸長管状本体との間に十分な遊隙を伴って、外側伸長管状本体282の内側に位置する内側伸長管状本体281に取り付けられた自己拡張式足場280を備える、好ましい実施例を示す。製造されると、血塊までの血管系を通した送達の間に、足場は、外側伸長管状本体によって圧潰状態でシースを付けられた状態で保たれる。本実施例では、2つの管状本体は、治療部位までともに前進され、次いで、外側本体は、内側本体に対して近位に移動される、または内側本体は、外側本体に対して遠位に移動され、それによって、自己拡張式足場を被覆解除し、それが治療のためにより大型の構成まで拡張することを可能にする。代替として、医師は、そのようなものが送達可能性または他の利益を提供し得る場合、内側管状本体と別個に外側管状本体を前進させ、次いで、二次ステップとして、外側管状本体内で自己拡張式足場とともに内側管状本体を前進させることを選んでもよい。
【0261】
好ましい実施例では、外側管状本体は、それが内側管状本体に対して引き戻されることを可能にし、自己拡張式足場が拡張することを可能にするともに、吸引後に再び前進され、自己拡張式足場を閉鎖することを可能にするために十分な軸方向堅性を有する。別の実施例では、外側管状本体は、外側管状本体が引き戻されること、かつ自己拡張式足場を解放して拡張することを可能にする、張力を受けて使用されることのみを意図しているが、シースが、吸引の完了に応じて、それが前進されて自己拡張式足場を再圧潰することを可能にするために十分な圧縮強度および座屈抵抗を要求する、圧縮を受けて使用されることを意図していない。本実施例は、最小外形および/または最大吸引管腔サイズが、吸引が完了した後に自己拡張式足場を圧着状態に戻す能力よりも望ましいときに、好ましくあり得る。カテーテル中間区画および/または近位区画にわたる外側管状本体の一部は、引張強度および剛性を有意に侵害することなく、可撓性を増加させるように、穿孔される、切り欠き付きである、スロット付きである、もしくは別様に切断されてもよい。
【0262】
代替実施例では、拘束シースは、足場、可能性として、カテーテルシャフトの一部のみを被覆し、デバイスの吸引管腔を通して延設し、シースに取り付けられる、ワイヤまたはカテーテルを使用して操作される。ワイヤまたはカテーテルは、足場遠位先端を通して、もしくはデバイス外側部材の側面に本目的のために作製されたポートを通して、吸引管腔の遠位端から退出してもよい。
【0263】
図29は、自己拡張式足場290が、外側伸長管状本体291の遠位端に取り付けられ、除去可能な内側伸長管状本体293に取り付けられた遠位キャップ292によって拘束状態で保たれる、好ましい実施例を示す。本実施例では、2つの伸長管状本体は、治療部位までともに前進され、次いで、外側伸長管状本体は、内側伸長管状本体に対して近位に移動される、または内側伸長管状本体は、外側伸長管状本体に対して遠位に移動され、それによって、自己拡張式足場を被覆解除し、それがより大型の構成まで拡張することを可能にする。遠位キャップを伴う内側伸長管状本体は、次いで、外側伸長管状本体の管腔を通して引き出され、デバイスおよび患者の身体から除去され、それによって、閉塞されていない吸引管腔を可能にする。
【0264】
図30は、自己拡張式足場300が、外側伸長管状本体301の遠位端に取り付けられ、自己拡張式足場の少なくとも遠位端に巻着され、除去可能な内側伸長管状本体303に取り付けられたワイヤ、フィラメント、またはリボン302によって拘束状態で保たれる、好ましい実施例を示す。ワイヤ、フィラメント、またはリボンは、自己拡張式足場にわたってそれ自体にわたって巻着し、それによって、除去可能な伸長管状本体に取り付けられていないワイヤ、フィラメント、またはリボンの端部を固着させるが、ワイヤ、フィラメント、またはリボン上の遠位張力は、それを容易に巻着解除させ、自己拡張式足場から離れさせる。一実施例では、ワイヤは、十分な引張強度および生体適合性のステンレス鋼、ニチノール、コバルトクロム合金、チタン、もしくは他の金属から作製される。別の実施例では、フィラメントは、十分な引張強度および生体適合性のナイロン、PTFE、FEP、ePTFE、縫合材料、または他のポリマーから作製される。別の実施例では、ワイヤまたはフィラメントは、材料がロッドよりもリボンに類似するように、略扁平断面である。拘束する巻着ワイヤ、フィラメント、またはリボンを特徴とする、本実施例では、2つの伸長管状本体は、治療部位までともに前進され、次いで、外側伸長管状本体は、内側伸長管状本体に対して近位に移動される、または内側伸長管状本体は、外側伸長管状本体に対して遠位に移動され、それによって、自己拡張式足場からワイヤ、フィラメント、またはリボンを被覆解除し、それがより大型の構成まで拡張することを可能にする。ワイヤ、フィラメント、またはリボンを伴う内側伸長管状本体は、次いで、外側伸長管状本体の管腔を通して引き出され、デバイスおよび患者の身体から除去され、それによって、閉塞されていない吸引管腔を可能にする。キャップを特徴とする実施例と対比した本実施例の相対的利点は、巻着されると、ワイヤ、フィラメント、またはリボンが、最小限の剛性をシステムに追加し、また、いったん巻着解除されると、自己拡張式足場およびカテーテルシャフトを通して容易に引き出され得ることである。
【0265】
図31は、自己拡張式足場310が外側伸長管状本体311の遠位端に取り付けられ、自己拡張式足場の少なくとも遠位端を除去可能な内側部材313にシールする、易壊性材料312によって拘束状態で保たれる、実施例を示す。易壊性材料は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム塩結晶のような水溶性固体、PLLA等の生分解性ポリマー、もしくは接着ゲルであってもよい。これはまた、除去可能な内側部材にしっかりと取り付けられ、自己拡張式足場の支柱を被覆してそれを拘束する、それを解放するように離脱され得るループまたはタブを有する、ポリマーもしくは金属から作製される固体足場であってもよい。2つの伸長管状本体は、治療部位までともに前進され、次いで、外側伸長管状本体は、内側伸長管状本体に対して近位に移動される、または内側伸長管状本体は、外側伸長管状本体に対して遠位に移動され、それによって、自己拡張式足場を易壊性材料から解放させ、それがより大型の構成まで拡張することを可能にする。内側伸長管状本体および任意の残存易壊性材料は、次いで、外側伸長管状本体の管腔を通して引き出され、デバイスおよび患者の身体から除去され、それによって、閉塞されていない吸引管腔を可能にする。
【0266】
図32Aおよび32Bは、自己拡張式足場320が、伸長管状本体321の遠位端に取り付けられ、引き紐フィラメント322によって拘束状態で保たれる、本発明の別の好ましい実施例を示す。
図32Bは、それを通してフィラメントが挿通される、足場の遠位端における円形孔323を特徴とする、自己拡張式足場の接写を示す。フィラメント上で張力を引動することが、足場のアームをともに引き寄せ、それを圧潰状態に縮小する一方、張力を解放することは、自己拡張式足場が再開放することを可能にする。フィラメントを特徴とする、本発明の別の実施例では、自己拡張式足場は、最初に、本明細書に説明される別の拘束方法によって拘束され、フィラメントは、主に、解放および拡張後に足場の再圧潰を可能にするために使用される。これは、足場展開が特徴を通して摺動するフィラメントの摩擦によって妨げられないため、より緊密な最初に圧潰される外形、また、より容易な拡張も可能にし得る。
【0267】
孔の代わりに、自己拡張式足場は、それを通してフィラメントが挿通される円形孔の代わりに、スロット、ループ、リング、またはフック等の特徴を含有してもよい、もしくはフィラメントは、自己拡張式足場内の支柱、クラウン、または他の支柱の周囲に直接巻装されてもよい。代替実施例では、第2のフィラメントが、自己拡張式足場の周界の周囲に巻着し、上記に説明されるもののような足場内の特徴を通して、または足場パターンにおける自然間隙の間に突出してもよく、一次フィラメントのみが、周界フィラメントを通して進み、それを引動する。本アプローチへの利点は、フィラメントが足場の複数の支柱を通して直接挿通される必要がない、および/または周界フィラメントのみと界面接触し、アセンブリにおけるより少ない摩擦ならびにより円滑/容易な動作をもたらす。
【0268】
一実施例では、フィラメントは、ハンドル上のスライダまたは他の機構までカテーテル本体の長さに延設され、これは、医師が、それに張力を加え、または該張力を解放することを可能にし、それによって、足場を拡張もしくは圧潰する。別の実施例では、フィラメントは、カテーテル本体の長さに延設される、ねじれ堅性を伴うワイヤ、管、または他のコンポーネントに取り付けられ、本ねじれコンポーネントは、その周囲のフィラメントを巻装または巻解し、それによって、その上の張力を引動する、もしくはそのような張力を解放するように、回転される。そのようなトルク要素配列を使用することの利点は、シャフトの長さに沿って張力を加えられているフィラメントにおいていずれの伸張も省略し、また、シャフトを偏向させるフィラメント張力のいずれの傾向も排除することである。
【0269】
フィラメントは、ナイロン、PEEK、FEP、PTFE、ePTFE、またはUHMWPEフィラメントもしくはリボン等のポリマー材料、ステンレス鋼、NiTi、コバルトクロム合金、またはチタンワイヤもしくはリボン等の金属、または同様に十分な引張強度および生体適合性を提供する任意の材料から作製されてもよい。フィラメントは、例えば、伸長管状本体の近位部分に沿って延設される、より剛性かつより軸方向に堅性のコンポーネント、ならびにデバイスのより遠位部分で使用される、より可撓性および/または低摩擦の材料を伴って、2つ以上のコンポーネントから作製されてもよい。フィラメントは、デバイスの吸引管腔の内側に、実質的に伸長管状本体の壁内の別個のチャネル内に、および/または取り付けられたチャネル内の伸長管状本体の直接外側に延設されてもよい。
【0270】
設計が、トルク要素を使用し、フィラメントを巻装または巻解する場合、この場合、トルク要素が、完全または部分的に吸引管腔の外側に延設され、いずれの場合も自由に浮動するか、またはその独自のチャネル内にあるかのいずれかであることを除いて、そのようなトルク要素の構造は、コイル遠位区画設計のために使用される内側トルク部材に関して前述で説明された通りであろう。
【0271】
図33Aおよび33Bは、自己拡張式足場330が、異なる長さの支柱331を特徴とし、それによって、フィラメント333が自己拡張式足場内の第1の接触位置に係合する角度332を低減させ、動作の摩擦を低減させる、上記の実施例の異型を示す。別の実施例では、2つ以上のフィラメントが、各フィラメントの接触点の量および動作の摩擦を低減させるために使用される。
図33Aはまた、1つの専用吸引管腔335および1つの専用フィラメント管腔336を伴う多重管腔カテーテルシャフト334の使用も描写する。
【0272】
図34は、自己拡張式足場340が、伸長管状本体341の遠位端に取り付けられ、自己拡張式足場の外側のリング342によって拘束状態で保たれ、リングがより遠位位置にあるときに、自己拡張式足場が圧潰状態で保たれ、リングがより近位位置にあるときに、自己拡張式足場が拡張することが可能であるように、リングが部分的または完全に自己拡張式足場に沿って摺動し得るように、2つが設計される、本発明の別の実施例を示す。リングは、金属、ポリマー、または他の材料から作製されてもよい。自己拡張式足場上のその位置は、デバイス近位端まで連続的に延在する、ワイヤ、ロッド、または管状内側部材343によって、デバイスの近位端から制御される。リングは、制御ワイヤ、ロッド、または管状内側部材に直接補正される、もしくは、例えば、拘束リング342を内側部材に接続するリンク344を含む、構造の一部であってもよい。近位制御の方法は、ワイヤ、ロッド、および/または伸長管状部材であるかどうかにかかわらず、自己拡張式支柱が取り付けられる伸長管状部材の内側もしくは外側に位置付けられてもよい。好ましい実施例では、拘束リングは、ニッケルチタン合金からレーザ切断され、自己拡張式支柱が取り付けられる外側伸長管状部材の内側に乗設する、伸長内側部材に接合される第2のリングにそれを接続する、支柱を組み込む。本設計の1つの主要な利点は、吸引の完了に応じて、拘束リングが、患者からの抜去の間の最小脈管外傷のために自己拡張式支柱を再圧潰するように前進され得ることである。
【0273】
図35Aおよび35Bは、自己拡張式足場350が、カテーテルシャフト352の遠位端の固定直径吸引管腔351の中に圧縮および折畳されることが可能であり、そこで、管腔または他のコンポーネントに対する摩擦によって保定される、本発明の実施例を示す。拡張可能な区画は、本目的のために吸引管腔の内側のプランジャワイヤまたは管を使用して、それを押動して管腔から解放することによって展開される、または内側部材が、使用されることができる。示される実施例では、自己拡張式足場は、正弦リング足場が、より小さい円筒形に圧着され、カテーテルシャフト352の内側に挿入され、本質的にスリーブの内側を外に出し得るように、上に重なる真空耐性膜353によってその遠位端においてデバイスの残りの部分のみに取り付けられる、正弦リング足場を備える。本実施例は、自己拡張式正弦リング足場が、外向きに押圧し続け、ガイドワイヤ、マイクロカテーテル、および同等物の通過のために実質的に障害物のない管腔も維持しながら、カテーテルシャフトの内側の定位置でそれを堅く保つであろうという利点を有する。
【0274】
図36Aおよび36Bは、足場が吸引管腔内で拘束される、概念の別の実施例を示す。本実施例では、自己拡張式足場360は、吸引管腔362を囲繞する、外側カテーテルシャフト361に取り付けられる。足場は、円形に押圧され、次いで、花弁のように吸引管腔を横断し、わずかにその中に折畳される、吸引管腔362のものよりもわずかに小さい外周のループ支柱363を備える。拡張状態では、各ループは、位置364にあり、折畳されたとき、各ループは、位置365にある。吸引管腔の内側に折畳された後、ループは、あまり円形ではない状態に戻り、それによって、吸引管腔の内側に対して押圧し、吸引管腔内のプランジャワイヤ、管、または内側部材によって自由に押圧されるまで、圧潰状態に留まろうとするであろう。
【0275】
本発明の別の実施例では、自己拡張式足場は、外側伸長管状本体の遠位端に取り付けられ、それら自体が自己拡張式足場の内側から拘束され、それによって、拘束状態で自己拡張式足場全体を保持する、支柱、タイン、フック、線形または曲線状支柱、フレア、もしくは足場への他の物理的追加または改変等の自己拡張式足場上の特徴によって拘束状態で保たれる。好ましい実施例では、拘束を可能にする特徴は、自己拡張式足場の遠位端に取り付けられた線形支柱から成り、それは、次いで、内側伸長管状本体内で捕捉される。本実施例では、2つの伸長管状本体は、治療部位までともに前進され、次いで、外側伸長管状本体は、内側伸長管状本体に対して遠位に移動される、または内側伸長管状本体は、外側伸長管状本体に対して近位に移動され、それによって、線形支柱を解放し、自己拡張式足場がより大型の構成まで拡張することを可能にする。内側伸長管状本体は、次いで、外側伸長管状本体の管腔を通して引き出され、デバイスおよび患者の身体から除去され、それによって、閉塞されていない吸引管腔を可能にする。別の実施例では、線形支柱は、デバイスの組立を補助するための異なる長さである。
【0276】
本発明の別の実施例では、自己拡張式足場は、外側伸長管状本体の遠位端に取り付けられ、伸長内側部材上の補完的幾何学形状と界面接触し、それによって、拘束状態で自己拡張式足場全体を保持する、孔、ループ、または線形支柱もしくは正弦リング内の曲線等の自己拡張式足場上の捕捉特徴によって、拘束状態で保たれる。好ましい実施例では、捕捉特徴は、自己拡張式足場の設計内のループから成り、補完的幾何学形状は、内側伸長管状本体に接合される、または切り込まれるクラウン形構造である。自己拡張式足場が、圧潰状態であるとき、クラウン形構造の頂点は、自己拡張式足場内のループに掛止し、それによって、圧潰状態でシステムを保持する。本実施例では、2つの伸長管状本体は、治療部位までともに前進され、次いで、外側伸長管状本体は、内側伸長管状本体に対して遠位に移動される、または内側伸長管状本体は、外側伸長管状本体に対して近位に移動され、それによって、より大型の構成まで拡張し得るように、自己拡張式足場から伸長管状内側部材の遠位端におけるクラウン形幾何学形状を接続解除する。内側伸長管状本体は、次いで、外側伸長管状本体の管腔を通して引き出され、デバイスおよび患者の身体から除去され、閉塞されていない吸引管腔を提供する。別の実施例では、自己拡張式足場は、自己拡張式足場内の捕捉特徴の中に掛止される、またはそれを通してループ化される、内側部材に取り付けられた1つ以上のワイヤ、もしくはフック状または曲線状ロッドによって、拘束状態で保持される。代替として、伸長管状内側部材は、省略されることができ、捕捉クラウン形構造、ワイヤ、フック状または曲線状ロッド、もしくは他の捕捉手段は、自己拡張式足場上の拘束を解放し、それが展開することを可能にするためにユーザによって操作され得るように、デバイスの近位端まで直接延在する。
【0277】
自己拡張式遠位足場を拘束および展開するために使用され得る、伸長管状部材は、円筒形ポリマー管から製造される。管は、ナイロン、Pebax、ポリウレタン、シリコーン、ポリエチレン、PET、PTFE、FEP、PEEK、ポリイミド、または他の材料から製造されることができる。管の単一壁厚は、0.001インチ~0.020インチ、好ましくは、0.002インチ~0.010インチ、最も好ましくは、0.003インチ~0.008インチであろう。ポリマー管コンポーネントの材料硬度は、50A~80Dであろう。伸長管状部材は、単一のポリマー押出から構築される、またはともに接合される種々の壁厚および剛性の複数の部品から組み立てられることができる。複数の部品は、接着剤、レーザ、RF、超音波、または温風熱接合を使用して、ともに接合される、相互と合体するようにオーブン内で溶融される、もしくは業界で広く公知である他の方法を使用して接合され得る。任意の伸長管状部材は、拘束された自己拡張式足場を解放するために、機械的性質、特に、軸方向剛性を改良し、デバイス先端への効率的な押動力伝達を提供するように、金属もしくはポリマーのコイルおよび/または編組によって補強されてもよい。そのような補強材料は、限定ではないが、ステンレス鋼の種々の合金、コバルトクロム、ニッケルチタン、白金および白金イリジウム、PEEK、ポリイミド、ケブラー、ならびにUHMWPEを含んでもよい。任意のコイルは、コイルの隣接するループが、最大軸方向剛性、シャフト押動、圧潰抵抗、および放射線不透過性を提供するために、相互と直接接触している、ばねガイドであってもよい。自己拡張式足場が管からレーザ切断される、本発明の実施例では、自己拡張式足場のために使用されていない該管の付加的部分が、自己拡張式足場を隣接するカテーテルシャフトに取り付けることを補助するように、および/またはそのようなシャフトの構築のための基礎を補強もしくは提供するように、非拡張コイル、リング、スパイン、編組、ならびに/もしくは他の幾何学形状に切断されることができる。特に、軸方向スパインを伴う設計は、デバイスの長さに沿って、改良された軸方向剛性および押動ならびに引動力伝達を提供する。
【0278】
本発明の別の実施例では、遠位の拡張可能な区画は、水分および/または熱に暴露されたときのみ拡張しようとする。そのような条件への暴露は、拡張可能な足場内の支柱を、幅および/または長さにおいて膨張させ、これは、足場の設計に起因し、それによって、足場全体を開放させる。スロット付き管または正弦リングタイプ足場が、本種類の設計のために最も好適であろう。
図37は、水分に暴露されたときに膨張するポリマーから作製される正弦リング371から成る、足場370の実施例を示す。圧着状態で身体の中に導入されたとき、患者の血液内の水分は、ポリマーの中に引き込まれ、折畳されたクラウン372の内側の応力を、折畳されたクラウン373の外側の応力を増加させるよりも増加させ、それによって、クラウンを折畳解除させ、足場を拡張させる。本種類の設計では、拡張可能な遠位区画は、自己拡張式足場を拘束するための本明細書に説明される特徴、方法、または技法のうちのいずれかによって拘束されてもよい、もしくは拡張可能な遠位区画は、非拘束のままであってもよく、本デバイスは、生体内で適切な率において拡張するように設計されてもよい。
【0279】
水分に暴露されたときに膨張する自己拡張式足場として使用するために好適なポリマー実施例は、グラフトポリマー、ブロックポリマー、酸性または親水性タイプ等の特殊官能基もしくは末端基群を伴うポリマー、もしくは2つ以上のポリマーの混成物を含む。ポリマー材料実施例は、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(L/D-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(D-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリジオキサノン、ポリ(トリメチルカーボネート)、ポリグリコリド、ポリ(L-乳酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(L/D-乳酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(L/DL-乳酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(カプロラクトン-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート-co-ジオキサノン)、またはそれらの混成物、コポリマー、もしくは組み合わせのうちの1つ以上から成る。本発明におけるポリマー材料は、ポリ(カプロラクトン)、ポリグリコリド、ポリジオキサノン、ポリ(トリメチルカーボネート)、または同等物と混成される、ポリラクチド、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D-ラクチド)、ポリ(L/Dラクチド)等の2つ以上のホモポリマーの混成物であり得る。
【0280】
体温まで加熱されたときに形状を変化させる自己拡張式足場として使用するために好適なポリマーは、ポリ(メタクリレート)、ポリアクリレート、ポリウレタン、およびポリウレタンならびにポリ塩化ビニルの混成物、t-ブチルアクリレート-co-ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(tBA-co-PEGDMA)ポリマー、それらの組み合わせ、または同等物を含む。これらのポリマーは、形状記憶性質を呈し、体温において位相変換を受け、事前確立された状態に戻ろうとする。
【0281】
水分および/または熱に暴露されたときに、遠位の拡張可能な区画が拡張する、本発明の別の実施例では、足場の一部のみが、そのような刺激に敏感であるが、足場内の他の非感受性部分に作用し、開放するように足場全体を誘導する、材料もしくは支柱から成る。
【0282】
本発明の別の実施例では、遠位の拡張可能な区画は、電流で充電されたときのみ拡張する。電流の印加に応じて、拡張可能な構造内の要素は、短縮または延長のいずれかを行おうとし、これは、構造の設計に起因し、それによって、構造全体を開放させる。
【0283】
(遠位区画取付の方法)
遠位の拡張可能な区画が中間区画の伸長管状本体に取り付けられる手段は、特に、コイル設計よりも剛性である傾向がある自己拡張式足場設計を用いて、外形、可撓性、送達可能性、および吸引に関してデバイスの性能に有意に影響を及ぼし得る。最も単純な構成では、遠位拡張区画は、隣接するシャフトとほぼ同一の直径のリングにおいて近位に終端し、シャフトに突き合わせ継合される、またはシャフトの内側もしくは外側に重ね継合されることを意図している(実施例に関しては
図32A参照)。リングは、それが伸張され、シャフトにわたって圧着する、または圧縮されてその内側で圧搾することを可能にする、切り欠きもしくはスリットを有してもよい。製造することが単純であり、張力または圧縮を受けて頑健性であるが、本取付アプローチは、局所的に剛性の接合部をもたらし得る。より可撓性の接合部が、拡張構造を含むデバイスの遠位部分が、容易に旋回し、ガイドワイヤを辿り、血管蛇行部を通して追跡することを可能にするため、望ましい。これは、治療部位への送達の容易性を補助する。さらに、可撓性接合部が、遠位区画が拡張されるとき、接合部において撓曲または旋回し、脈管と自己整合するであろうため、望ましい。これは、特に、蛇行部において、脈管シールおよび血塊吸引を補助する。
【0284】
図38は、遠位拡張区画380が、コイルまたはピグテール構造382によってカテーテルシャフト381に取り付けられた基部から取り外される、可撓性接合部設計の実施例を示す。コイルまたはピグテール構造は、容易に撓曲して、圧着および拡張状態の両方で脈管に共形化する遠位構造の能力を改良することができる一方、真空耐性膜の延在は、本システムが真空の完全性を維持することを可能にする。張力または圧縮を受けた軸方向移動が望ましない、および/または捻転が拡張コイル設計の一部として抵抗される必要がある場合、コイルのループは、可撓性に有意に影響を及ぼすことなく、これを制限するようにリンクによって継合されることができる。全てのそのようなリンクが、直線状である場合、スパインおよびループ構造を形成する、または代替として、1つ以上の「M字」、「S字」、「U字」、「W字」、もしくは他のそのような曲線状リンクが、採用されることができる。代替として、または加えて、ポリマー層が、軸方向移動に対してそれを補強する、および/または真空抵抗を提供するように、ピグテールにわたって、もしくはその中に接合されることができる。自己拡張式足場の支柱またはクラウン383の近位端のうちの1つ以上は、それら自体が直接接続されるか、もしくはリンク384を通して間接的に接続されるかのいずれかである、隣接する支柱または正弦曲線を通すことを除いて、自由に浮動し、ピグテール構造に接続されなくてもよい。
【0285】
図39は、遠位拡張構造390が、1つ以上の「S字」、「M字」、「U字」、「W字」、または他のそのような可撓性リンク392を使用して、隣接するカテーテルシャフト391に接続される、本発明の別の実施例を示す。
【0286】
図40は、遠位拡張構造400が、1つ以上のボール・ソケット型継手402を使用して、隣接するカテーテルシャフト401に接続される、本発明の別の実施例を示す。そのような継手は、実質的に、本質的に2次元または3次元であり得る。
【0287】
図41は、遠位拡張構造410が、真空耐性膜412による場合を除いて、隣接するカテーテルシャフト411から完全に接続解除される、本発明の別の実施例を示す。遠位拡張構造は、単一の一様な構造である、もしくは膜のみによって結合される遊離遠位および/または近位端を伴う複数の独立した要素を備えてもよい。
【0288】
(遠位の拡張可能な区画のための代替設計および機構)
前述で説明された種々のコイルおよび自己拡張式足場設計に加えて、プッシュロッド、プルワイヤ、トルクシャフト、または動水力等の機械力によって作用されたときに拡張および圧潰する、圧着/圧潰/開放もしくは折畳/折畳解除構造を有する設計を利用して、逆に駆動される遠位の拡張可能な区画を生成するいくつかの代替手段が存在する。
【0289】
図42は、遠位の拡張可能な区画が、カテーテルシャフト421から意図された最大拡張直径422まで外向きに広がり、次いで、その遠位端423における内側部材に接続するまでテーパ化する、編組構造420を備える、本発明の実施例を示す。内側部材は、遠位の拡張可能な区画を開放および閉鎖するように、トルクを付与される、および/または押動ならびに引動される。真空耐性膜424が、ほぼその最大直径の点まで編組構造を被覆する一方、その遠位で、本構造は、それを通して血塊が吸引され得る、開放メッシュである。好ましい実施例では、編組は、可能な限り開放しているメッシュを提供し、血塊吸引を妨害しないように、細いワイヤおよび/またはより少数のワイヤを使用する、ならびに/もしくは編組ワイヤが遠位区画の拡張の間に広がり、それによって、より集中したワイヤを伴う遠位面積、および実質的に開放し、妨害されていない血塊吸引により適している面積を残すように、設計される。
【0290】
図43は、遠位の拡張可能な区画が、その遠位端432において、内側カテーテルシャフトに取り付けられ、そこから外向きに広がる第2の内側編組構造に接続する、外側カテーテルシャフト431に取り付けられ、そこから外向きに広がる編組構造430を備える、本発明の実施例を示す。
図12および13に示される2つのコイルシステムのものに類似する動作の様式では、内側部材および内側編組は、外側カテーテルおよび編組に対して回転され、2つの編組を相互に対して押動させ、拡張させる。
【0291】
図44Aおよび44Bは、遠位の拡張可能な区画が、カテーテルシャフト441から意図された最大拡張直径442まで外向きに広がり、次いで、その遠位端443における内側部材に接続するまでテーパ化する、縦方向リブ付き構造440を備える、本発明の実施例を示す。内側部材が、引動されるとき、リブは、それらを外向きに撓ませ、それによって、それらの外形を拡張する、圧縮を加えられ、内側部材が、押動されるとき、リブは、それらをより平坦に伸張させ、それによって、それらの外形を収縮させる、張力を加えられる。本実施例の好ましい異型では、1つ以上のVリンクもしくは他の手段が、それらの円周方向整合を維持するために、リブを相互に取り付けるように使用される。真空耐性膜444は、ほぼその最大直径の点までリブ付き構造を被覆する一方、その遠位で、リブは、開放しており、それを通して血塊が吸引され得る。
【0292】
図45は、反対側でスパイン451に接続される複数のリング450を備える、遠位の拡張可能な区画の実施例を示す。一方のスパインは、他方のスパインを押動または引動することが、リングを折畳させて開放し、それによって、構造を拡張するように、中間区画のカテーテル外側部材に取り付けられる。リングは、円形である必要はなく、圧潰状態時の外形を最小限にするためにシースまたは他の拘束によってさらに圧搾されることが可能であり得る。最適には、本種類の設計は、単一の頑健性であるが機能的な構造を生成するために、NiTi管からレーザ切断されるであろう。
【0293】
図46は、リング460および単一のスパインから成る構造が、スパインが管状構造の中に近位に引動されるにつれて、拡張可能な遠位区画のリングが、管状構造内の切り込みによって圧潰位置まで押進され、同様に、スパインが前進されるときに、リングが拘束されなくなり、拡張するように、切り込み462を伴う管状構造461によって被覆されるスパインを有する、上記の実施例の異型を図示する。
【0294】
図47は、遠位の拡張可能な区画が、その内側に足場を拡張するように膨張されるバルーンカテーテル472がある、外側伸長管状本体471の端部上に搭載される、スロット付き管、正弦リング、リブを伴う脊椎、または他の塑性的に変形可能な足場470を備える、本発明の別の実施例を示す。足場が拡張された後、バルーンカテーテルは、収縮され、次いで、外側伸長管状本体の管腔を通して引き出され、デバイスおよび患者の身体から除去され、それによって、閉塞されていない吸引管腔を可能にする。
【0295】
図48は、遠位の拡張可能な区画が、コイル状ポリマー管類480から構築され、コイルループが、ともに接合される、本発明の別の実施例を示す。コイルが構築されるポリマー管類内の管腔481の加圧は、材料を弾性的および/または塑性的に伸張させ、ならびに/もしくは材料内の任意の折畳を折畳解除させ、それによって、遠位の拡張可能な要素を拡張させる、または圧着構成から折畳解除させるように構築される。そのような圧力の除去は、材料を少なくとも部分的に圧潰された状態に戻るように弛緩させる。
【0296】
(真空耐性膜)
遠位の拡張可能な区画にわたって真空管腔の完全性を確実にするために、真空耐性膜が、足場に取り付けられる。膜は、構造のリボンと支柱との間にフィルムを形成するように、足場の上に位置する、内面に接合される、または足場にわたってコーティングされてもよい。好ましい実施例では、膜は、足場の近位の中間区画に取り付けられ、また、1つ以上の点において足場の要素に取り付けられる、もしくはそれらから独立して自由に移動してもよい。代替実施例では、膜は、少なくとも足場の遠位部分に取り付けられる。足場が拡張するにつれて、膜は、それとともに伸張または折畳解除し、足場の直径にほぼ合致する。コイルが拡張するように巻解されるコイル遠位区画を伴う設計では、真空耐性膜は、コイルに密着し、ユニットが拡張するにつれて捻転し、コイルの拡張およびデバイスの機能性を潜在的に侵害し得る。本発明の主要な意図は、それによってそのような膜捻転が軽減または回避され得る、いくつかの技法を開示することである。
【0297】
例えば、膜は、コイルとともに回転する一方で、後者が拡張するように、コイルの遠位端のみにおいて堅く取り付けられる、および/またはコイルが拡張するが、近位または遠位に移動しないにつれて、膜がシャフトに対して回転することを可能にする様式で、近位端において係留されることができる。典型的には、そのような配列は、カテーテルシャフトの遠位端の周囲の2つの円周方向リングまたは隆起、および2つの間に嵌合する膜の近位端の内側の互換性があるリングまたはリブを伴う。代替として、真空耐性膜の近位端が、次いで、取り付けられる、そのようなリングまたはリブを伴う別個のより構造的に頑健性の要素が、使用されてもよい。
【0298】
別の実施例では、真空耐性膜は、それぞれコイルに取り付けられ、相互から独立して回転し得るが、実質的に真空密構造を提供するように吸引下でともに引動される、一連の重複スカート内のいくつかの独立した材料から成ってもよい。本概念の延長において、真空耐性膜は、ポリマーリボンが、拡張状態で隣接するコイルループに重複するためにコイルリボンよりも十分に広く、それによって、吸引下で実質的に真空密構造を提供する、コイルリボンの全長に接合されるポリマーリボンを備えてもよい。
【0299】
真空耐性膜を生成する多くの手段が存在する。膜は、完全に弾性であり、圧潰状態で足場上に密着して嵌合してもよい。足場が拡張するにつれて、膜は、増加した直径に適応するように伸張し、次いで、足場が、再び圧潰されるとき、弾性膜は、小さい直径に戻るように弛緩する。
【0300】
膜はまた、半弾性または非弾性であり、それらの自然な非応力状態では、脈管サイズに類似するか、または便宜的な中間寸法であるかのいずれかである、完全に圧潰された足場のものよりも大きい直径であってもよい。膜は、次いで、圧潰状態時の足場の外形に合致し、デバイス送達可能性を補助するように、捻転される、巻着される、折畳される、巻上される、または別様に外形を縮小される。熱固化が、本種類の膜を縮小された外形に保つことに役立つために使用されてもよい、および/または非常に細い弾性管もしくはバンドが、折畳された膜にわたって設置されてもよい。本タイプの非弾性膜は、単に、足場が拡張されるにつれて折畳解除し、次いで、足場が圧潰されるにつれて自然に再折畳する、または圧潰された足場の周囲で緩く非閉塞性のままである。典型的には、足場は、血塊が抽出された後のみ圧潰され、その場合、吸引は、能動的となり、真空は、膜を再折畳することに役立つであろう。
【0301】
弾性膜は、シリコーン、ポリウレタン、およびポリアミド族の中の種々の軟質ポリマーから作製されてもよい。実施例は、C-flex(シリコーン)、フルオロシリコーン、Tecothane(ポリウレタン)、およびPebax(ポリアミド)を含んだ。概して、上記のポリマー族のうちの1つ以上に該当する、本用途のために好適ないくつかの有名ブランドポリマーは、Chronoflex、Chronoprene、およびPolyblendを含む。ショア50A~40デュロメータの硬度範囲内の膜が、最良に機能する。本スケールの上端において、膜伸張の一部は、塑性的であり、弾性ではないが、そのうちの十分な部分が、復元必要性を満たすために弾性である。
【0302】
非弾性膜は、弾性膜のために使用される材料のうちのいずれかから、より大きい直径においてちょうどちょうど製造される、または50~80デュロメータ硬度範囲内のより堅固な材料から作製されてもよい。実施例は、種々のポリウレタン、Pebax 55D、63D、70D、および72D、ナイロン12、PTFE、FEP、ならびにHDPEを含んだ。薄い金属箔または箔ポリマー積層もまた、低摩擦で潜在的に放射線不透過性の膜を提供する、真空耐性膜のために使用されてもよい。ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)は、軟質かつ可撓性であり、優れた真空耐性膜を作製するが、わずかに多孔質であり、これは、真空力印加を侵害し得る。ePTFE膜は、多孔性を排除するように別の材料の薄い層でコーティングまたは被覆されることができる。典型的には、本二次材料は、上記に説明される弾性膜のために使用されるものと同一の材料および機械的性質であろう。他のわずかに多孔質のメッシュも、付加的多孔性排除層の有無を問わず、真空耐性膜と類似する有用性を見出し得る。
【0303】
本発明の別の実施例では、真空耐性膜は、水分を吸収する、および/または暖められたときに弛緩する傾向がある、ポリマー材料から作製されてもよい。折畳解除膜設計のために特に有用であり、これらの材料の使用は、膜が遠位の拡張可能な区画とともに容易に拡張することに役立ち得る。そのような水分および感熱性材料はまた、ePTFEまたは他の膜材料にわたってコーティングされ、連続的なコーティングされた層として、またはストライプもしくは区画内のいずれかで、後者の拡張を助長し得る。水分に暴露されたときに膨張する真空耐性膜として使用するために好適なポリマーは、グラフトポリマー、ブロックポリマー、酸性または親水性タイプ等の特殊官能基もしくは末端基群を伴うポリマー、もしくはポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(L/D-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(D-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリジオキサノン、ポリ(トリメチルカーボネート)、ポリグリコリド、ポリ(L-乳酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(L/D-乳酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(L/DL-乳酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(カプロラクトン-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート-co-ジオキサノン)のうちの2つ以上の混成物、またはそれらの混成物、コポリマー、もしくは組み合わせを含む。本発明におけるポリマー材料は、ポリ(カプロラクトン)、ポリグリコリド、ポリジオキサノン、ポリ(トリメチルカーボネート)、または同等物と混成される、ポリラクチド、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D-ラクチド)、ポリ(L/Dラクチド)等の2つ以上のホモポリマーの混成物であり得る。体温まで加熱されたときに形状を変化させる真空耐性膜として使用するために好適なポリマーは、ポリ(メタクリレート)、ポリアクリレート、ポリウレタン、およびポリウレタンならびにポリ塩化ビニルの混成物、t-ブチルアクリレート-co-ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(tBA-co-PEGDMA)ポリマー、それらの組み合わせ、または同等物を含む。これらのポリマーは、形状記憶性質を呈し、体温において位相変換を受け、事前確立された状態に戻ろうとする。
【0304】
膜は、押出される、マンドレル上に浸漬コーティングされる、マンドレルにわたって噴霧される、エレクトロスピンされる、または業界で一般的な他の手段を使用して製造されてもよい。膜は、「現状のまま」使用される、または所望の寸法および性質を達成するように、さらに縮径化される、伸張される、もしくはブロー成型されてもよい。壁厚は、理想的には、0.0005インチ~0.005インチに及ぶ薄型デバイス外形を維持するように薄い。膜は、円滑に捻転することなく拡張し、所望に応じて機能するために好ましいような円筒形、テーパ状、逆テーパ状、凸状外形、凹状外形、または他の形状で構成されてもよい。
【0305】
膜は、接着剤、熱収縮管類取込、熱接合、スエージ加工された金属バンドの下で機械的に圧着すること、結束、またはリベット打ち等を含む、業界で一般的に使用されている手段のうちのいずれかによって、カテーテルシャフトおよび足場支柱に取り付けられてもよい。
【0306】
膜の外側は、生体構造の中への送達可能性を補助するように潤滑コーティングでコーティングされてもよい。ある場合には、膜は、遠位区画内のコイルまたは他の回転足場が外形を拡張または圧潰されるにつれて、捻転する傾向があり得る。捻転が望ましくない場合、足場の外側および/または膜の内側は、膜の内側の足場の自由な移動を補助するように潤滑化されてもよい。好ましい潤滑剤は、業界で公知である化学性質の親水性コーティング、シリコーン油、およびPTFEスプレーコーティングを含む。膜はまた、ワイヤまたは編組を組み込み、捻転に抵抗するように設計されることもできる。
【0307】
コイルにわたって膜の捻転を軽減または排除するため、より円形の遠位端を吸引管に提供するため、および別様に遠位区画の拡張動態に影響を及ぼすための別の実施例は、その内側でコイル足場が自由に回転し得る、NiTiワイヤ編組またはPTFEスロット付き管等のコイル足場と膜との間の拡張可能/圧潰可能な構造を設置することである。1つを上回るそのような構造は、単一の構造と比較して改良された性能を提供し得る。好ましい実施例では、ライナーとも称される、拡張可能/圧潰可能な構造は、拡張するために最小の力を同時に要求しながら、捻転に抵抗するように設計される。本用途のための好適な材料は、PTFE、FEP、HPDE、および他の低摩擦ポリマーを含む。水分に暴露されたときに膨張する、および/または(前述で説明された)熱とともに形状を変化させる、ニッケルチタン合金ならびに種々のポリマー等の自己拡張式材料もまた、それらの自己拡張力が、弾性真空耐性膜によって及ぼされる任意の圧縮力に実質的に対抗するように、もしくは折畳真空耐性膜設計の開放を助長するように調整され得るため、ライナーとして使用するために好適である。そのようなライナーは、典型的には、好ましくは、可撓性を補助するための螺旋側面を伴って、連続トルク抵抗パターンを維持しながら、管からスロット付き管パターンにレーザ切断される。ライナーはまた、類似拡張可能性質を伴うポリマーメッシュまたはフィルタ材料から作製されることもできる。ライナーは、厚さが0.0005インチ~0.008インチ、より好ましくは、0.001インチ~0.005インチ、最も好ましくは、約0.003インチに及んでもよい。ライナーの外側および/または内側は、コンポーネントが、遠位区画の拡張および収縮の間に相互を越えて自由に摺動することを可能にすることを補助するように、親水性コーティング、シリコーン油、PTFEスプレー、または他の潤滑剤でコーティングされてもよい。代替として、ライナーの1つ以上の表面は、有利である場合、別のコンポーネントへの1つのコンポーネントの接着を助長し、例えば、複合構成が2つの個々の部分の総和よりも捻転に対して耐性があるように、膜がライナーに粘着することに役立つために、サンドペーパ、マイクロブラスティング、または他の手段を使用して、粗度を増加されてもよい。
【0308】
ライナー概念の別の実施例では、ライナーは、膜よりも短く、選択的に位置付けられる。例えば、膜の遠位端における長さ2~3mmのライナーが、追跡の間に膜の頑健性を補助し、円形で圧潰抵抗性の吸引管腔を助長し得る。別の実施例では、遠位の拡張可能な区画の中央のライナーが、膜を選択的に補強し、その面積内の拡張を助長する、または遅延させるために使用される。
【0309】
代替実施例では、1つ以上の自由圧延ワイヤが、コイルと真空耐性膜との間に位置付けられ、針軸受のものに類似する様式で、膜がコイルに密着し、捻転しないように防止するために使用される。そのようなワイヤは、典型的には、直径が0.001インチ~0.005インチの範囲内であり、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニッケルチタン、ポリイミドロッド、または任意の他の十分に頑健性の材料から作製されてもよい。
【0310】
本発明のさらなる実施例では、真空耐性膜は、デバイスの最外伸長管状部材の外側でシースに取り付けられ、シースは、真空耐性膜の近位端からカテーテルの近位端まで延在し、そこで、ハンドルに統合される。本外側シースは、遠位区画の拡張の間に張力および/または反トルク力を真空耐性膜に提供し、膜の集群もしくは捻転を防止するために使用される。カテーテル中間区画および/または近位区画にわたるシースの一部は、引張および/または回転強度ならびに剛性を有意に侵害することなく、可撓性を増加させるように、穿孔される、切り欠き付きである、スロット付きである、もしくは別様に切断されてもよい。
【0311】
また、足場が膜の遠位端の遠位に延在するように、真空耐性膜が足場の一部のみを被覆することも有利であり得る。
【0312】
図49は、真空耐性膜492が、カテーテルシャフトの端部からコイルの遠位端の略近位の点まで延在する、カテーテルシャフト491に取り付けられたコイル490を備える、遠位拡張区画の実施例を示す。
【0313】
図50は、真空耐性膜502が、カテーテルシャフトの端部から自己拡張式足場の遠位端の略近位の点まで延在する、カテーテルシャフト501に取り付けられた自己拡張式足場500を備える、遠位拡張区画の実施例を示す。
【0314】
足場の遠位部分が膜によって被覆されていない構成の1つの潜在的利点は、足場が拡張されるときに、血塊を崩壊させ、身体からの吸引および除去を補助するように、その圧潰状態時の足場の被覆されていない部分が、血塊に貫通するために使用され得ることである。拡張足場は、リボンまたは支柱が血塊を通して押進されるにつれて血塊を破壊してもよい、またはデバイスが引き出されるときに、血塊がより良好な吸引のために陥入される、もしくは別様に足場にうまく係留され、真空力が血塊を無傷で引き出すことを支援するように、リングの中に血塊を伸張させてもよい。設計の一実施例では、足場は、血塊の切断または把持を改良する役割を果たす、鋭縁、金属突出部、フィン、フック要素、およびスロット等の拡張の間に血塊を機械的に崩壊させることを支援するように設計される特徴を備える。
【0315】
(単一の連続要素を備える足場)
本発明の別の実施例では、遠位の拡張可能な区画は、略正弦または蛇行リング設計の自己拡張式足場を備え、足場の構造は、単一の連続波状要素または支柱によって提供される。
図51Aは、足場が縦方向に2等分され、広げられた場合のように、扁平状態時の単一の波状要素510のパターンを示す。要素は、縦方向に直線状の区分511と、角度付き区分512と、曲線状区分またはクラウン513とを含有する。
図51Bは、圧潰状態514時の足場を示し、
図51Cは、拡張状態515時の足場を示す。
【0316】
本設計の主要な利点は、足場が、パターン内に複数の連続正弦リングおよび/または複数の接続点を伴う従来の正弦リング足場設計と比較して、屈曲、張力、圧縮、およびねじれにおいて優れた可撓性を有することである。優れた可撓性は、蛇行性生体構造内のより容易な送達、拡張状態時の脈管へのより良好な共形化、吸引の間の改良された脈管シールおよびより少ない血液漏出、ならびに脈管外傷の低減を可能にする。同時に、本実施例の足場は、類似材料および寸法の従来の足場と実質的に同等の半径方向強度、ならびに脈管を支持し、真空圧縮に抵抗する能力を維持する。
【0317】
図52Aおよび52Bは、足場が、相互と連続的ではないが、タブ・スロット継手521によって定位置で維持される、複数の連続波状要素520を備える、本発明の別の実施例を示す。
図52Aは、圧潰状態522時の足場を示し、
図52Bは、拡張状態523時の足場を示す。
代替として、継手は、少なくとも1つの方向への複数の要素の移動を制限するが、他の方向への移動を可能にし、それによって、接合部に金属材料連続性を伴う足場と比較して、増加した可撓性を足場に与える、ボール・ソケット、フックおよび孔、オス型およびメス型、入れ子式「S字」曲線、または他の設計であってもよい。1つ以上の継手は、拡張の間に複数の連続波状要素のうちの1つ以上をともに保持し、かつその後、生理学的環境内の足場の拡張後に円周方向リングおよび軸方向リンクに少なくとも1つの不連続性を形成するように構成される、ポリマーまたはエラストマ材料を用いて接合されてもよい。好ましい実施例では、任意のそのような接合材料は、生分解性ポリマーおよび/または接着剤である。
【0318】
図53は、本発明の吸引カテーテルの中間区画531に取り付けられ、真空耐性膜532で被覆されるような単一の連続波状要素を特徴とする、遠位拡張区画足場530の実施例を示す。足場は、拘束除去後の拡張状態で示される。従来の正弦リング構造を伴う自己拡張式足場設計を特徴とする、吸引カテーテル特徴と比較して、
図53の吸引カテーテルの遠位区画は、送達の間により可撓性となり、拡張後に脈管壁により共形化可能となり、脈管とのシールを改良し、吸引の間の足場の縁の周囲の漏出を最小限にするであろう。
【0319】
図51A-53に描写されるような1つ以上の連続波状要素を伴う足場を特徴とする、本発明の好ましい実施例では、足場は、NiTiハイポチューブからレーザ切断され、清掃および研磨後、拡張状態で所望の構成に熱固化される。カテーテルシャフト上への組立後、足場は、次いで、圧潰状態に押し込まれ、シース、キャップ、または自己拡張式足場に関して前述で説明されたような他の手段で拘束される。代替実施例では、足場は、別個の拘束が不要であるように、水分、熱、および/または電気に暴露されたときに自己拡張する材料から作製されることができる。支柱幅および厚さ、拡張直径、直線状およびテーパ状外形、カテーテル構造、ならびに自己拡張式足場の他の特徴は、正弦リングを備える自己拡張式足場設計に関して前述で説明されたものと別様に同一である。
【0320】
図51A-53に描写されるような1つ以上の連続波状要素を伴う足場を特徴とする、本発明の別の実施例では、足場は、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン、または他の非超弾性材料から作製され、
図47に描写されるようなバルーンを使用して拡張される。
【0321】
(製造および組立の方法-双コイル遠位拡張可能区画のための実施例1)
例示的二重コイル実施例では、ニッケルチタンハイポチューブが、遠位の拡張可能な要素で使用されるコイルを生成するようにレーザ切断される。コイルは、次いで、化学的および/または機械的にスラグ除去され、次いで、電解研磨される。電解研磨プロセスは、コイルの表面を平滑化し、縁を丸くし、リボンの断面幾何学形状をより円形にさせる。より円形の断面は、外側コイルと内側コイルとの間により小さい接触面積を有し、これは、2つの間の摩擦を低減させ、圧潰および拡張を補助する。
【0322】
コイルは、次いで、ステンレス鋼ロッドまたはハイポチューブにわたって設置され、所望の中立状態を設定するように、酸化アルミニウム砂で充填された流動温度槽内で熱処理される。それらは、次いで、槽から除去され、水中で急冷される。熱処理プロセスは、コイルが、幾何学形状の変化に起因して、さらなる直径拡張に適応することを可能にする。
【0323】
種々のカテーテルシャフトは、長さに切断され、レーザ接合または温風ノズル等の従来の手段を使用して、相互に熱接合される。材料が、化学的に不適合である場合、接着剤が、使用されてもよい。カテーテル外側部材は、以下のように構築される。最初に、PTFEライナーが、鋼鉄マンドレルにわたって伸張される。次に、内層付きマンドレルの近位部分(最終的に近位シャフト区画を形成する)が、ステンレス鋼編組を用いて編組される。次いで、内層付きマンドレルの遠位部分が、コイルを用いて巻装される(最終的に中間シャフト区画を形成する)。適切な長さおよび壁厚のポリマー区分が、アセンブリの編組およびコイル状部分にわたって摺動され、次いで、アセンブリ全体が、熱収縮管類で被覆される。アセンブリは、ポリマー外側ジャケットを溶融させ、編組およびコイルの周囲に流動させ、それによって、熱収縮管類が除去された後に頑健性の凝集構造を形成するように、160℃のオーブン内に約10分にわたって設置される。カテーテル内側部材は、上記の外側部材に関して説明されるものと同一の様式で形成される。
【0324】
外側コイルは、次いで、接着剤、熱溶融、上に重なる熱収縮、または他の方法を使用して、カテーテル外側管状部材に接合される。典型的には、外側コイルの近位端は、ハイポチューブスタブが接合の前に所望の直径まで圧着されることを可能にする、スロットまたは他の間隙を伴って設計され、接合を補助するための軸方向に整合された脚部を有してもよい。コイルは、内側で、外側で、または突き合わせ継手において隣接するシャフトと接合されてもよい。代替として、コンポーネントは、コイルの一部分が、拡張可能な遠位区画になり、コイルの別の部分が、上記に説明されるような中間区画を形成するように覆われて接合されるポリマーである、単一の部品からレーザ切断されることができ、それによって、別個の遠位区画・中間区画接合の必要性を省く。
【0325】
内側コイルは、外側管状部材の内側で回転し得る、カテーテル内側管状部材に同様に接合される。内側コイルアセンブリは、外側および内側コイルの遠位端が整合するまで、外側コイルアセンブリを通して挿通され、次いで、コイルは、ワイヤ、タブ、または溶接を使用して、ともに取り付けられる。
【0326】
カテーテル外側および内側管状部材の近位端は、長さに切り揃えられ、ハンドル機構内のそれらの個別の部分に接合される。ハンドル機構は、次いで、コイルが所望のサイズに圧潰されるように、外側管状部材内で同心状にカテーテル内側管状部材を回転させるために使用される。本時点で、真空耐性膜は、コイルにわたって摺動され、完全な拡張可能な遠位区画を形成するようにカテーテルシャフトの遠位端に接合される。非弾性膜が、使用される場合、これは、デバイスへの取付の前または後のいずれかで折畳形状に熱固化されてもよい。
【0327】
血管と接触するであろうデバイスの一部は、生体内のデバイス送達を補助するように親水性コーティングまたは他の潤滑コーティングでコーティングされるであろう。潤滑コーティングまたは材料もまた、ガイドワイヤおよびマイクロカテーテルにわたってデバイスの円滑な移動を促進するため、かつ急速な血塊吸引を助長するために、カテーテルシャフトの足場および/または吸引管腔の内側表面に適用されてもよい。完成したデバイスは、次いで、包装および滅菌される。
【0328】
単一コイル実施例の構造は、1つだけのコイルが存在し、カテーテル管状内側部材が単一のコイルの先端まで延在するであろうことを除いて、概して、類似する。本発明のデバイスを組み立てる種々の代替手段が、想定される。例えば、コイルは、別個に巻着され、特殊固定具を使用して、完全に圧潰された状態で固着されてもよく、組立の順序は、変動し得る。
【0329】
(製造および組立の方法-自己拡張式足場のための実施例2)
自己拡張式構造は、超弾性ニッケルチタン合金から作製される管からレーザ切断され、これは、その後、所望の拡張形状に熱固化される。好ましい方法では、拡張プロセスは、各ステップにおいて増加する直径を伴う種々のマンドレルを使用して、複数の熱固化ステップで実施される。
【0330】
熱固化足場は、次いで、平滑な表面仕上げを提供するように電解研磨される。カテーテルシャフトは、上記のコイル設計に関して説明されるものと同一の様式で構築される。成型ポリマースリーブの短い区分が、内側部材の遠位端に接合される。足場は、次いで、上記のコイル設計に関して説明されるものと同一の様式でカテーテルシャフトに接合される。真空耐性膜は、上記のコイル設計に関して説明されるものと同一の様式で足場に取り付けられる。内側部材は、外側部材および足場を通して挿入される。
【0331】
圧着固定具が、足場および膜を圧潰状態に押圧するために使用され、それに応じて、内側部材は、圧潰された足場および膜が、内側部材の遠位端上のポリマースリーブの中に挿入され、それによって、拘束キャップを形成するように、引き戻される。カテーテル外側および内側管状部材の近位端は、長さに切り揃えられ、ハンドル機構内のそれらの個別の部分に接合される。血管と接触するであろうデバイスの一部は、生体内のデバイス送達を補助するように親水性コーティングまたは他の潤滑コーティングでコーティングされるであろう。潤滑コーティングまたは材料もまた、ガイドワイヤおよびマイクロカテーテルにわたってデバイスの円滑な移動を促進するため、かつ急速な血塊吸引を助長するために、カテーテルシャフトの足場および/または吸引管腔の内側表面に適用されてもよい。完成したデバイスは、次いで、包装および滅菌される。
【国際調査報告】