(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(54)【発明の名称】インターフェロンの有害作用を減少させる方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/496 20060101AFI20220909BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220909BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220909BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20220909BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20220909BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20220909BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20220909BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220909BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20220909BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220909BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20220909BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220909BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220909BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20220909BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220909BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220909BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220909BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P29/00
A61P25/04
A61P25/06
A61P31/20
A61K38/21
A61P31/22
A61P31/12
A61P31/14
A61P35/00
A61P31/18
A61P35/02
A61P27/02
A61P7/02
A61P1/04
A61P25/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502975
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2020070240
(87)【国際公開番号】W WO2021009332
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520299784
【氏名又は名称】ウエヌイグレックオ・ファーマ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャッキー・フォンダーシャー
(72)【発明者】
【氏名】エリーズ・ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・ダルテール
(72)【発明者】
【氏名】ピエトロ・スカルファロ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA01
4C084AA02
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4C086MA04
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA07
4C086ZA01
4C086ZA07
4C086ZA08
4C086ZA33
4C086ZA54
4C086ZA68
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、インターフェロンの有害作用を減少させる方法並びに新規の組成物及び処置方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェロン(IFN)を用いた処置に起因する有害作用を対象において減少させるための使用のためのEYP001又はそれを含む薬学的組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のEYP001又はそれを含む薬学的組成物であって、前記インターフェロンが、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IFN-λ及びそれらのペグ形態からなる群から選択される、好ましくはIFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a、IFN-α2b、IFN-β1a、IFN-β1b、IFN-γ1b、IFN-λ1a及びそれらのペグ形態からなる群から選択される、EYP001又はそれを含む薬学的組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のEYP001又はそれを含む薬学的組成物であって、有害作用がインフルエンザ様症候群、特に発熱、脱力、筋肉痛(muscle pain)、頭痛、背部痛又は下肢痛、骨痛又は筋肉痛(muscles aches)、筋肉痛(myalgia)、及び疲労、好ましくは発熱、筋肉痛(muscle pain)、頭痛及び疲労である、EYP001又はそれを含む薬学的組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のEYP001又はそれを含む薬学的組成物であって、前記インターフェロンがIFN-α及びその任意のペグ形態である、EYP001又はそれを含む薬学的組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のEYP001又はそれを含む薬学的組成物であって、前記インターフェロンがIFN-α2a及びその任意のペグ形態である、EYP001又はそれを含む薬学的組成物。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のEYP001又はそれを含む薬学的組成物であって、前記インターフェロンがペグIFN-α、好ましくはペグIFN-α2aである、EYP001又はそれを含む薬学的組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のEYP001又はそれを含む薬学的組成物であって、前記対象がB型肝炎ウイルスに感染している、好ましくは前記対象が慢性B型肝炎を患っている、EYP001又はそれを含む薬学的組成物。
【請求項8】
同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットがIFN及びEYP001を含み、前記IFNが、IFN-α1a、IFN-α1b及びそれらのペグ形態;IFN-β、好ましくはIFN-β1、例えばIFN-β1a及びIFN-β1b、又はそれらのペグ形態;IFN-γ1、特にIFN-γ1b又はそれらのペグ形態;並びにIFN-λ又はIFN-λ又はそのペグ形態からなる群から選択される、薬学的組成物又はキット。
【請求項9】
請求項8に記載の薬学的組成物又はキットであって、B型肝炎ウイルス感染を処置するための使用のための、薬学的組成物又はキット。
【請求項10】
同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス(HPV)(例えば、尖圭コンジローマ)、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)及びライノウイルスの中から選択されるウイルスによる感染;がん、特に、好ましくはエイズ関連カポジ肉腫、白血病、例えばヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病及び非ホジキン白血病、リンパ腫、例えば濾胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫及び成人T細胞白血病リンパ腫、カルチノイド腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、腎細胞癌並びに神経内分泌腫瘍の中から選択される固形がん又は造血器がん;並びに他の疾患、例えば加齢性黄斑変性、血管腫症、ベーチェット症候群、血小板血症、真性多血症、原発性骨髄線維症、チャーグ・ストラウス症候群、炎症性腸疾患及びマイコバクテリア感染、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-α及びEYP001を含む薬学的組成物又はキット。
【請求項11】
請求項10に記載の薬学的組成物又はキットであって、IFN-αが、好ましくはIFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a及びIFN-α2b又はそれらのペグ形態からなる群から選択されるIFN-α1若しくはIFN-α2又はそれらのペグ形態である、薬学的組成物又はキット。
【請求項12】
同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、リウマチ性関節炎及びがん、特に固形がん又は造血器がん、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-β及びEYP001を含む薬学的組成物又はキット。
【請求項13】
請求項12に記載の薬学的組成物又はキットであって、IFN-βが、好ましくはIFN-β1a及びIFN-β1b又はそれらのペグ形態からなる群から選択されるIFN-β1又はそのペグ形態である、薬学的組成物又はキット。
【請求項14】
同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、細菌感染、具体的にはマイコバクテリア感染、線維症、例えば特発性線維化性肺胞炎、リーシュマニア症、骨粗鬆症及びがん、特に固形がん又は造血器がん、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-γ及びEYP001を含む薬学的組成物又はキット。
【請求項15】
同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、線維症及びD型肝炎ウイルス感染からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-λ及びEYP001を含む薬学的組成物又はキット。
【請求項16】
EYP001が1日に1回投与されることになる、請求項1から7のいずれか一項に記載のEYP001、或いは請求項8から15のいずれか一項に記載の薬学的組成物又はキット。
【請求項17】
EYP001が1日に2回投与されることになる、請求項1から7のいずれか一項に記載のFXRアゴニスト、或いは請求項8から15のいずれか一項に記載の薬学的組成物又はキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品の分野、特に疾患又は障害を処置するためのインターフェロンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェロン(IFN)は、ウイルス、細菌及び寄生虫等のいくつかの病原体の存在にだけではなく、腫瘍細胞の存在にも応答して細胞から放出されるサイトカインの一種である。
【0003】
IFNは、異なる形態、例えば野生型のサイトカイン又はペグ形態のもとでの薬物療法として開発及び販売されてきた。更に、IFNのバリアント及びIFNの徐放性投与形態が開発中である。
【0004】
IFNは、様々な治療領域における治療に使用される。IFNは、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、ヘルペスウイルス及びパピローマウイルス(HPV)等のウイルス感染、特に慢性ウイルス感染を処置するために使用される。更に、それらは、特に造血器がん、例えば多発性骨髄腫、リンパ腫及び白血病等に対する、又は固形腫瘍、例えば悪性黒色腫、腎細胞癌及び骨肉腫等に対するがんの処置のために使用される。IFNα2aはウイルス感染を処置するために使用され、IFN-β1a及びIFN-β1bは多発性硬化症を処置及び管理するために使用される。IFN-γは、免疫疾患である慢性肉芽腫症を処置するために使用される。
【0005】
しかし、インターフェロンを用いた処置は多くの場合「インフルエンザ様症候群」又は「インフルエンザ様疾患」と呼ばれる有害作用と関連づけられることも周知であり、前記作用には発熱、筋肉痛、頭痛及び疲労が含まれることも周知である。例えば、IFN(すなわち、IFN-α、IFN-β及びIFN-γ)を用いた処置は、これら有害作用の、非常に高い発生率、具体的には患者の25%超、それどころか患者の約50%又はそれを超える発生率に関連づけられる。
【0006】
有害作用は、IFNを用いた長期治療が必要な場合に問題となる。かなりの数の患者がこれらの有害作用のせいで治療を途中で停止したと報告されている。同様に、IFNを用いた高用量での治療の毒性のために試験は、低用量で実施されてきたが、治療効果が失われるか顕著に低下した。その結果、その有害作用により、研究者らはIFN治療が効果的であると実証されてきた疾患の新規な治療法を見出すことを促された。加えて、これらの有害作用がIFNベースの臨床治療のさらなる開発の大きな妨げとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 03/016288
【特許文献2】米国特許第6,005,086号
【特許文献3】米国特許第5,382,657号
【特許文献4】米国特許第5,951,974号
【特許文献5】米国特許第5,981,709号
【特許文献6】WO2013107791
【特許文献7】WO2010030671
【特許文献8】WO2008124086
【特許文献9】WO2015007520
【特許文献10】WO2013059885
【特許文献11】WO18077893
【特許文献12】WO18064574
【特許文献13】EP1392714
【特許文献14】EP1568706
【特許文献15】JP2005281155
【特許文献16】US20030203939
【特許文献17】US2005080064
【特許文献18】US2006128764
【特許文献19】US20070015796
【特許文献20】US20080038435
【特許文献21】US20100184809
【特許文献22】US20110105475
【特許文献23】US6,984,560
【特許文献24】WO2000037077
【特許文献25】WO200040965
【特許文献26】WO200076523
【特許文献27】WO2003015771
【特許文献28】WO2003015777
【特許文献29】WO2003016280
【特許文献30】WO2003016288
【特許文献31】WO2003030612
【特許文献32】WO2003080803
【特許文献33】WO2003090745
【特許文献34】WO2004007521
【特許文献35】WO2004048349
【特許文献36】WO2004046162
【特許文献37】WO2005082925
【特許文献38】WO2005092328
【特許文献39】WO2005097097
【特許文献40】WO2007076260
【特許文献41】WO2007092751
【特許文献42】WO2007140174
【特許文献43】WO2007140183
【特許文献44】WO2008002573
【特許文献45】WO2008025539
【特許文献46】WO2008025540
【特許文献47】WO200802573
【特許文献48】WO2008051942
【特許文献49】WO2008073825
【特許文献50】WO2008157270
【特許文献51】WO2009005998
【特許文献52】WO2009012125
【特許文献53】WO2009027264
【特許文献54】WO2009080555
【特許文献55】WO2009127321
【特許文献56】WO2009149795
【特許文献57】WO2010028981
【特許文献58】WO2010034649
【特許文献59】WO2010034657
【特許文献60】WO2017218330
【特許文献61】WO2017218379
【特許文献62】WO2017201155
【特許文献63】WO2017201152
【特許文献64】WO2017201150
【特許文献65】WO2017189652
【特許文献66】WO2017189651
【特許文献67】WO2017189663
【特許文献68】WO2017147137
【特許文献69】WO2017147159
【特許文献70】WO2017147174
【特許文献71】WO2017145031
【特許文献72】WO2017145040
【特許文献73】WO2017145041
【特許文献74】WO2017133521
【特許文献75】WO2017129125
【特許文献76】WO2017128896
【特許文献77】WO2017118294
【特許文献78】WO2017049172
【特許文献79】WO2017049176
【特許文献80】WO2017049173
【特許文献81】WO2017049177
【特許文献82】WO2016173397
【特許文献83】WO2016173493
【特許文献84】WO2016168553
【特許文献85】WO2016161003
【特許文献86】WO2016149111
【特許文献87】WO2016131414
【特許文献88】WO2016130809
【特許文献89】WO2016097933
【特許文献90】WO2016096115
【特許文献91】WO2016096116
【特許文献92】WO2016086115
【特許文献93】WO2016073767
【特許文献94】WO2015138986
【特許文献95】WO2018152171
【特許文献96】WO2018170165
【特許文献97】WO2018170166
【特許文献98】WO2018170173
【特許文献99】WO2018170182
【特許文献100】WO2018170167
【特許文献101】WO2017078928
【特許文献102】WO2014184271
【特許文献103】WO2013007387
【特許文献104】WO2012087519
【特許文献105】WO2011020615
【特許文献106】WO2010069604
【特許文献107】WO2013037482
【特許文献108】US2017275256
【特許文献109】WO2005080064
【特許文献110】WO2018190643
【特許文献111】WO2018215070
【特許文献112】WO2018215610
【特許文献113】WO2018214959
【特許文献114】WO2018081285
【特許文献115】WO2018067704
【特許文献116】WO2019007418
【特許文献117】WO2018059314
【特許文献118】WO2017218337
【特許文献119】WO2017/049172
【特許文献120】WO2017/049176
【特許文献121】WO2017/049173
【特許文献122】WO2017/049177
【特許文献123】WO2018/170165
【特許文献124】WO2018/170166
【特許文献125】WO2018/170173
【特許文献126】WO2018/170182
【特許文献127】WO2018/170167
【特許文献128】PCT公開第WO 00/37077号
【特許文献129】WO18115199
【特許文献130】WO17143253
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Takahashi、JMAJ、2004、47、60~63頁
【非特許文献2】Pattiら、J Neurol、2020、267、1812~1823頁
【非特許文献3】Vlachoyiannopoulosら、Ann Rheum Dis、1996、55、761~768頁
【非特許文献4】Prescrire Int、2006、15、179~180頁
【非特許文献5】Windbichlerら、Br J Cancer、2000、82、1138~1144頁
【非特許文献6】Formanら、Cell、1995、81、687~693頁
【非特許文献7】Maloneyら、J. Med. Chem. 2000、43:2971~2974頁
【非特許文献8】J. Med. Chem. 2009, 52, 904~907頁
【非特許文献9】Piehlerら、2000、J Biol Chem、275、40425~33頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、IFN処置に関連する有害作用を減少させるための新たな治療上の解決策が強く求められている。それにより、高用量でのIFN治療の検討が可能となり、新たな治療指標に対するその開発の促進が可能となり、現行の処置が患者によりよく許容されるものとなり得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、IFN治療の有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させるFXRアゴニストの驚くべき能力の発見によるものである。その結果、FXRアゴニストにより、IFNを用いた処置に対する対象の耐性が高められる。
【0011】
従って、本発明は、インターフェロンを用いた処置に起因する有害作用を減少させるための使用のためのFXRアゴニストに関する。本発明はまた、インターフェロンを用いた処置に起因する有害作用を減少させるための使用のためのFXRアゴニストを含む薬学的組成物にも関する。本発明は更に、インターフェロンを用いた処置に起因する有害作用を減少させるための使用のための医薬の製造のためのFXRアゴニストの使用に関する。本発明は、IFNを用いた処置を受けた対象においてIFN治療の有害作用を減少させる方法であって、前記対象に効果的な量のFXRアゴニストを投与すること及び治療有効量のIFNを投与することを含み、それによってIFNを用いた処置に起因する有害作用を減少させる方法に関する。
【0012】
一態様では、インターフェロンは、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IFN-λ及びそれらのペグ形態からなる群から、より具体的にはIFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a、IFN-α2b、IFN-β1a、IFN-β1b、IFN-γ1b、IFN-λ1a及びそれらのペグ形態からなる群から選択される。特定の態様では、インターフェロンはIFN-α2又はそのペグ形態、特にIFN-α2a、IFN-α2b又はそれらのペグ形態である。具体的な態様では、インターフェロンはIFN-α2a又はそのペグ形態である。
【0013】
一態様では、FXRアゴニストはTable 1(表1)に開示されているFXRアゴニストからなる群から選択される。具体的な態様では、FXRアゴニストはEYP001である。例えば、FXRアゴニストは1日に1回投与することができる。FXRアゴニストは1日に2回投与することもできる。より具体的には、IFNを用いた処置が実施される限りFXRアゴニストは投与される。具体的には、FXRアゴニストはIFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。
【0014】
一態様では、有害作用はインフルエンザ様症候群、特に発熱、脱力、筋肉痛(muscle pain)、頭痛、背部痛又は下肢痛、骨痛又は筋肉痛(muscles aches)、筋肉痛(myalgia)、及び疲労である。
【0015】
別の態様では、本発明はまた、同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットがIFN及びFXRアゴニストを含み、IFNが、IFN-α1a、IFN-α1b及びそれらのペグ形態;IFN-β、好ましくはIFN-β1、例えばIFN-β1a及びIFN-β1b等、又はそれらのペグ形態;IFN-γ1、特にIFN-γ1b、又はそれらのペグ形態;並びにIFN-λ又はIFN-λ若しくはそのペグ形態からなる群から選択される薬学的組成物又はキットにも関する。本薬学的組成物又はキットは、B型肝炎ウイルス感染を処置するための使用のためのものである。更に本発明は、B型肝炎ウイルス感染を処置するための医薬の製造のための本薬学的組成物又はキットの使用に関する。本発明は更に、対象においてB型肝炎ウイルス感染を処置する方法であって、治療有効量の本薬学的組成物を投与することを含むか、又は治療有効量の上記で規定されたIFN及び治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、それによってIFNを用いた処置に起因する有害作用を減少させる方法に関する。FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されているFXRアゴニストからなる群から選択することができる。具体的な態様では、FXRアゴニストはEYP001である。例えば、FXRアゴニストは1日に1回投与することができる。FXRアゴニストは1日に2回投与することもできる。より具体的には、IFNを用いた処置を実施する限りFXRアゴニストは投与される。具体的には、FXRアゴニストはIFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。一態様では、IFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群を減少させることに対して且つB型肝炎ウイルス感染の複製を減少させることに対して有効な治療量において、FXRアゴニストは投与される。
【0016】
別の態様では、本発明はまた、同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス(HPV)(例えば、尖圭コンジローマ(condylomata acuminate))、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)及びライノウイルスの中から選択されるウイルスによる感染;がん、特に、好ましくはエイズ関連カポジ肉腫、白血病、例えばヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病及び非ホジキン白血病等、リンパ腫、例えば濾胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫及び成人T細胞白血病リンパ腫等、カルチノイド腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、腎細胞癌並びに神経内分泌腫瘍の中から選択される固形がん又は造血器がん;並びに他の疾患、例えば加齢性黄斑変性、血管腫症、ベーチェット症候群、血小板血症、真性多血症、原発性骨髄線維症、チャーグ・ストラウス症候群、炎症性腸疾患及びマイコバクテリア感染(mycobacterial infection)等、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-α及びFXRアゴニストを含む薬学的組成物又はキットにも関する。更に本発明は、上記で規定された疾患を処置するための医薬の製造のための本薬学的組成物又はキットの使用に関する。本発明は更に、対象において上記で規定された疾患を処置する方法であって、治療有効量の本薬学的組成物を投与することを含むか、又は治療有効量のIFN-α及び治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、それによってIFNを用いた処置に起因する有害作用を減少させる方法に関する。FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されているFXRアゴニストからなる群から選択することができる。IFN-αは、好ましくはIFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a及びIFN-α2b又はそれらのペグ形態からなる群から選択されるIFN-α1若しくはIFN-α2又はそれらのペグ形態であり得る。具体的な態様では、インターフェロンはIFN-α2a又はそのペグ形態である。FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されているFXRアゴニストからなる群から選択することができる。具体的な態様では、FXRアゴニストはEYP001である。例えば、FXRアゴニストは1日に1回投与することができる。FXRアゴニストは1日に2回投与することもできる。より具体的には、IFNを用いた処置を実施する限りFXRアゴニストは投与される。具体的には、FXRアゴニストはIFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。一態様では、IFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群を減少させることに対して且つ上記で規定された疾患の1つに治療効果を与えることに対して有効な治療量においてFXRアゴニストは投与される。
【0017】
別の態様では、本発明はまた、同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、リウマチ性関節炎及びがん、特に固形がん又は造血器がん、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-β及びFXRアゴニストを含む薬学的組成物又はキットにも関する。更に、本発明は、上記で規定された疾患を処置するための医薬の製造のための、本薬学的組成物又はキットの使用に関する。本発明は更に、対象において上記で規定された疾患を処置する方法であって、治療有効量の本薬学的組成物を投与することを含むか、又は治療有効量のIFN-β及び治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、それによってIFNを用いた処置に起因する有害作用を減少させる方法に関する。IFN-βは、好ましくはIFN-β1又はそのペグ形態であり、より好ましくはIFN-β1a及びIFN-β1b又はそれらのペグ形態からなる群から選択される。FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されているFXRアゴニストからなる群から選択することができる。具体的な態様では、FXRアゴニストはEYP001である。例えば、FXRアゴニストは1日に1回投与することができる。FXRアゴニストは1日に2回投与することもできる。より具体的には、IFNを用いた処置が実施される限りFXRアゴニストは投与される。具体的には、FXRアゴニストはIFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。一態様では、IFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して且つ上記で規定された疾患の1つに治療効果を与えることに対して有効な治療量において、FXRアゴニストは投与される。
【0018】
別の態様では、本発明はまた、同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、細菌感染、具体的にはマイコバクテリア感染、特発性線維化性肺胞炎等の線維症、リーシュマニア症、骨粗鬆症及びがん、特に固形がん又は造血器がん、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-γ及びFXRアゴニストを含む薬学的組成物又はキットにも関する。更に、本発明は、上記で規定された疾患を処置するための医薬の製造のための、本薬学的組成物又はキットの使用に関する。本発明は更に、対象において上記で規定された疾患を処置する方法であって、治療有効量の本薬学的組成物を投与することを含むか、又は治療有効量のIFN-γ及び治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、それによってIFNを用いた処置に起因する有害作用を減少させる方法に関する。FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されているFXRアゴニストからなる群から選択することができる。具体的な態様では、FXRアゴニストはEYP001である。例えば、FXRアゴニストは1日に1回投与することができる。FXRアゴニストは1日に2回投与することもできる。より具体的には、IFNを用いた処置が実施される限りFXRアゴニストは投与される。具体的には、FXRアゴニストはIFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。一態様では、IFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群を減少させることに対して且つ上記で規定された疾患の1つに治療効果を与えることに対して有効な治療量において、FXRアゴニストは投与される。
【0019】
別の態様では、本発明はまた、同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、線維症及びD型肝炎ウイルス感染からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-λ及びFXRアゴニストを含む薬学的組成物又はキットにも関する。更に、本発明は、上記で規定された疾患を処置するための医薬の製造のための、本薬学的組成物又はキットの使用に関する。本発明は更に、対象において上記で規定された疾患を処置する方法であって、治療有効量の本薬学的組成物を投与することを含むか、又は治療有効量のIFN-λ及び治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、それによってIFNを用いた処置に起因する有害作用を減少させる方法に関する。FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されているFXRアゴニストからなる群から選択することができる。具体的な態様では、FXRアゴニストはEYP001である。例えば、FXRアゴニストは1日に1回投与することができる。FXRアゴニストは1日に2回投与することもできる。より具体的には、IFNを用いた処置が実施される限りFXRアゴニストは投与される。具体的には、FXRアゴニストはIFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。一態様では、IFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して且つ上記で規定された疾患の1つに治療効果を与えることに対して有効な治療量において、FXRアゴニストは投与される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明はIFN治療の有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させるFXRアゴニストの驚くべき能力の発見によるものである。実験的証拠はペグIFNαの副作用、特にインフルエンザ様症候群に対して、FXRアゴニストのEYP001で提供されてきた。第一に、インターフェロンによって処置される疾患が、インターフェロンを用いた処置の結果として観察される副作用に影響を与えることはない。副作用は処置される疾患とは無関係である。確かに、インフルエンザ様症候群はHBV感染のIFNαによる処置の間に観察されてきたが、それは他の疾患のIFNα治療の間にも観察されてきたものである。従って、本開示は、処置される対象の疾患が何であろうと、IFN治療の副作用に対するFXRアゴニストの効果を支持する。第二に、インフルエンザ様症候群はIFN-αに特有ではなく、他のインターフェロン、例えばIFN-β(Takahashi、JMAJ、2004、47、60~63頁;Pattiら、J Neurol、2020、267、1812~1823頁)及びIFN-γ(Vlachoyiannopoulosら、Ann Rheum Dis、1996、55、761~768頁;Prescrire Int、2006、15、179~180頁;Windbichlerら、Br J Cancer、2000、82、1138~1144頁)でも観察されている。従って、FXRアゴニストが他のインターフェロンに関連する副作用を減少し得ることはかなり確実である。同様に、インフルエンザ様症候群はペグインターフェロンに特有ではない。そのため、FXRアゴニストは、インターフェロンがペグ化されていようがいまいが、その副作用を減少させることができる。従って、本申請は、インターフェロンの副作用を減少させるためのEYP001の使用を完全に支持する。最後に、EYP001の効果は、代替のFXRアゴニスト、特に選択的FXRアゴニストでも得ることができると考えられている。
【0021】
本発明はインターフェロンを用いた処置に起因する有害作用を減少させるための使用のためのFXRアゴニスト又はそれを含む薬学的組成物に関する。従って、本発明はまた、インターフェロンを用いた処置に対する対象の耐容性を高めるための使用のためのFXRアゴニスト又はそれを含む薬学的組成物にも関する。
【0022】
本発明は更に、インターフェロンを用いた処置に起因する有害作用を減少させるための医薬の調製のためのFXRアゴニスト又はそれを含む薬学的組成物の使用に関する。
【0023】
更に、本発明は、インターフェロンを用いた処置に起因する有害作用を減少させる方法であって、患者に治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、それによって有害作用を減少させる方法に関する。より具体的には、本方法は、治療有効量のインターフェロン及び治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含む。FXRアゴニストの治療有効量とは、インターフェロンの有害作用を減少させるために必要な量のことである。
【0024】
本発明は、最終的に、インターフェロンを用いた処置の間のインターフェロンの有害作用を減少させるための、同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としてのインターフェロン及びFXRアゴニストを含むキットに関する。
【0025】
より具体的には、インターフェロンの有害作用はインフルエンザ様症候群である。本症候群には、発熱、脱力、筋肉痛(muscle pain)、頭痛、背部痛又は下肢痛、骨痛又は筋肉痛(muscles aches)、筋肉痛(myalgia)及び疲労が含まれる。FXRアゴニストは、インフルエンザ様症候群の少なくとも1つの態様、例えば発熱、筋肉痛(muscle pain)、頭痛及び疲労の中から選択される態様を減少させる。好ましくは、FXRアゴニストはインフルエンザ様症候群のいくつかの態様、例えば2つ又は3つの態様を減少させる。
【0026】
有害作用を減少させることによって、処置される患者若しくは処置される患者の集団における有害作用の発生頻度を減少させること、及び/又は有害作用の強度を減少させること、及び/又は有害作用の出現を遅らせることが意図される。具体的には、減少は、少なくとも10、20、30、40又は50%の減少である。
【0027】
インターフェロンを用いた処置の間に、インターフェロンの有害作用を減少させるために必要な量でFXRアゴニストを投与しなければならない。第1の態様では、治療指標に対する推奨用量でインターフェロンを使用しなければならない。或いは、有害作用を増加させることなくより高用量のインターフェロンが使用できるように、FXRアゴニストを使用してもよい。例えば、FXRアゴニストと組み合わせて使用する場合、インターフェロンの用量を10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100%増加させることを検討することができる。
【0028】
インターフェロンは、ウイルス感染又はがんを処置するための使用のためのものであり得る。一態様では、ウイルス感染は、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス(HPV)(例えば、尖圭コンジローマ)、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)又はライノウイルスである。特定の一実施形態では、ウイルス感染はB型肝炎ウイルスによる感染ではない。別の態様では、がんは固形がん又は造血器がん、好ましくはエイズ関連カポジ肉腫、白血病、例えばヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病及び非ホジキン白血病等、リンパ腫、例えば濾胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫及び成人T細胞白血病リンパ腫等、カルチノイド腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、腎細胞癌並びに神経内分泌腫瘍である。さらなる態様では、インターフェロンは、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、リウマチ性関節炎、加齢性黄斑変性、血管腫症、ベーチェット症候群、血小板血症、真性多血症、原発性骨髄線維症、チャーグ・ストラウス症候群、炎症性腸疾患、マイコバクテリア感染等の細菌感染、線維症、リーシュマニア症及び骨粗鬆症からなる群から選択される他の疾患を処置するための使用のためのものである。
【0029】
定義
用語「FXR」は、ファルネソイドX受容体を意味し、それは超生理的レベルのファルネソールによって活性化される核内受容体である(Formanら、Cell、1995、81、687~693頁)。FXRは、NR1H4、レチノイドX受容体結合タンパク質14(retinoid X receptor-interacting protein 14)(RIP14)及び胆汁酸受容体(BAR)としても知られている。保存されたDNA結合ドメイン(DBD)及びC末端のリガンド結合ドメイン(LBD)を含有するFXRは、一次胆汁酸であるケノデオキシコール酸(CDCA)並びにそのタウリン及びグリシン抱合体を含む天然に存在する種々の胆汁酸(BA)に結合し、それらによって活性化される。活性化されると、FXR-RXRヘテロ二量体が標的遺伝子のプロモーター領域に結合し、胆汁酸のホメオスタシスに関与する複数の遺伝子の発現を制御する。肝臓のFXR標的遺伝子は、2つの主要なグループに分類される。第1のグループは、排出を高めそれらの合成を減少させることによって肝臓の胆汁酸濃度を減少させる働きをする。リン脂質輸送タンパク質PLTP及びアポリポタンパク質等のFXR標的遺伝子の第2のグループは、血清中のリポ蛋白質レベルを調節し、血漿トリグリセリド濃度を減少させる。FXR制御遺伝子のより詳細なリストについては、例えばWO 03/016288、22~23頁を参照のこと。米国特許第6,005,086号には、哺乳動物のFXRタンパク質に対する核酸配列コーディングが開示されている。FXRのヒトのポリペプチド配列を、NM_005123、Q96RI1、NP_005114、AAM53551、AAM53550、AAK60271の受託番号で、ヌクレオチド及びタンパク質データベースに寄託する。
【0030】
本明細書においては、用語「FXRアゴニスト」は当分野における一般的な意味を有し、具体的には、ファルネソイドX受容体(FXR)を標的としてそれに結合することにより機能する、Maloneyら(J. Med. Chem. 2000、43:2971~2974頁)において記載されているアッセイにおいて少なくともバックグラウンドの40%超でFXRを活性化する化合物を意味する。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明のFXRアゴニストは選択的FXRアゴニストである。本明細書で使用される場合、用語「選択的FXRアゴニスト」は、LXRα、LXRβ、PPARα、PPARγ、PPARδ、RXRα、RARγ、VDR、PXR、ERα、ERβ、GR、AR、MR及びPRからなる核内受容体のパネルの1つ又は複数、理想的には実質的にすべてに対して顕著な交差反応性を示さないFXRアゴニストを意味する。顕著な交差反応性を測定する方法は、J. Med. Chem. 2009, 52, 904~907頁において記載されている。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「処置」、「処置する」又は「処置している」は、患者の健康状態の改善を意図する任意の行為、例えば疾患の治療、予防(prevention)、予防(prophylaxis)及び抑制を意味する。特定の実施形態では、そのような用語は、疾患、又はそれに関連する症状の改善又は根絶を意味する。他の実施形態では、本用語は、疾患を有する対象への1つ又は複数の治療薬の投与の結果、そのような疾患の広がり又は悪化を最小化することを意味する。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「対象」、「個体」又は「患者」は交換可能であり、成人、子供、新生児を含むヒト及び出生前段階のヒトを意味する。或いは、動物、具体的には愛玩動物又は農場若しくは動物園の動物も「対象」、「個体」又は「患者」としてみなすことができる。
【0034】
用語「量(quantity)」、「量(amount)」及び「用量」は本明細書では区別なく使用され、分子の絶対量を意味し得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「治療効果」は、疾患又は障害の出現又は発症を予防する又は遅らせることができる、或いは疾患又は障害の影響を治癒する又は弱めることができる、有効成分又は本発明による薬学的組成物によって誘導される効果を意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」は、疾患、特に感染症の有害な影響を予防する、取り除く、又は低減する有効成分の量又は薬学的組成物の量を意味する。処置される対象、疾患の性質等に応じて投与する量を当業者が適合できることは明らかである。具体的には、投与の用量及び計画は、処置される疾患の性質、病期及び重症度、並びに処置される対象の体重、年齢及び全体的な健康状態、並びに医師の判断、によって変化し得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「賦形剤又は薬学的に許容される担体」は、薬学的組成物中に存在する、有効成分以外の任意の成分を意味する。その添加は、最終製品に特定の粘度又は他の物理的特性若しくは味覚特性を与えることを目的とし得る。賦形剤又は薬学的に許容される担体は、有効成分とのいかなる相互作用、特に化学的相互作用も欠くものでなければならない。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「ペグ形態」はペグインターフェロンを意味する。
【0039】
インターフェロン
インターフェロンは、どのIFNであってもよい。
【0040】
一態様では、IFNは、I型IFN、II型IFN及びIII型IFNから選択される。
【0041】
I型IFNは、IFN-α/β受容体に結合する。I型IFNには、IFN-α(アルファ)、IFN-β(ベータ)、IFN-κ(カッパ)、IFN-δ(デルタ)、IFN-ε(イプシロン)、IFN-τ(タウ)、IFN-ω(オメガ)及びIFN-ζ(ゼータ)が含まれる。好ましくは、I型IFNはIFN-α又はIFN-βである。IFN-αは、13個のサブタイプ(IFN-α1、IFN-α2、IFN-α4、IFN-α5、IFN-α6、IFN-α7、IFN-α8、IFN-α10、IFN-α13、IFN-α14、IFN-α16、IFN-α17、IFN-α21で表される)を含有する。これらサブタイプは種々のサブサブタイプ、例えばIFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a、IFN-α2b等に分類することができる。同様に、IFN-βは複数のサブタイプ、例えばIFN-β1及びIFN-β3等を含有し、それらはサブサブタイプ、例えばIFN-β1a、IFN-β1b等に分類される。
【0042】
II型IFNにはIFN-γが含まれる。具体的には、IFN-γはIFN-γ1、特にIFN-γ1bであり得る。
【0043】
III型IFNにはIFN-λが含まれる。IFN-λには、網羅されてはいないが、IFN-λ1、IFN-λ2、IFN-λ3及びIFN-λ4が含まれる。
【0044】
IFNは、塩、機能的誘導体、バリアント、変異タンパク質、融合タンパク質、アナログ及びそれらの活性断片を包含しており、前記IFNは野生型IFNと同じ機能的効果を有する。或いは、IFNはIFNの誘導体形態、特にその半減期を増加させるための誘導体形態であり得る。従って、IFNは水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(すなわちペグIFN)等で誘導体化することができる。そのようなペグIFNは、米国特許第5,382,657号、第5,951,974号及び第5,981,709号(それらの開示を参照により組み込む)に記載されている。IFNのバリアントは当分野において周知であり、例えばIFN-αについては、WO2013107791、Piehlerら(2000、J Biol Chem、275、40425~33頁)、WO2010030671、WO2008124086、WO2015007520、WO2013059885を参照のこと、IFN-γについては、WO18077893、WO18064574を参照のこと。
【0045】
一態様では、IFNはペグIFNであり、より具体的にはペグI型IFNであり、特にペグIFN-α、例えばペグIFN-α2a若しくはペグIFN-α2bを含むペグIFN-α2、ペグIFN-β(例えば、IFN-β1a若しくはIFN-β1b)又はペグIFN-γである。
【0046】
一態様では、IFNは、コンセンサスIFN-α(例えば、INFERGEN(登録商標)、Locteron(登録商標))、IFN-α1b(例えば、HAPGEN(登録商標))、IFN-α2a(Roferon-A(登録商標)、MOR-22、Inter 2A、Inmutag、Inferon)、ペグIFN-α2a(例えば、PEGASYS(登録商標)、YPEG-IFNα-2a、PEG-INTRON(登録商標)、Pegaferon)、IFN-α2b(例えば、INTRON A(登録商標)、Alfarona、Bioferon、Inter 2B、citpheron、Zavinex、Ganapar等)、ペグIFN-α2b(例えば、Pegintron(登録商標)、Albuferon、AOP2014/P1101、Algeron、Pai Ge Bin)、IFN-α2c(例えば、Berofor Alpha)、IFN-β1a(例えば、REBIF(登録商標)、AVONEX(登録商標))、ペグIFN-β1a(例えばPlegridy)、IFN-β1b(例えば、Betaseron(登録商標))、IFN-γ(例えば、Ingaron)、ペグIFN-γ(例えば、Ingaron)、及びIFN様タンパク質(例えば、Novaferon、HSA-IFN-α2a融合タンパク質、HSA-IFN-α2b融合タンパク質)からなる群から選択される。
【0047】
IFNは、毎日、週に1回、或いは週に2回、3回、4回、5回又は6回、投与することができる。処置期間は一般に長期であり、例えば2週間から数カ月である。例えば、期間は3~4カ月から最大24カ月である。用量は、100万ユニットから2000万ユニットまで変化させることができ、例えば200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800又は1900万ユニットである。IFNは、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、又は腫瘍内投与によって、好ましくは皮下又は筋肉内投与によって投与することができる。
【0048】
特定の態様では、IFNはIFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態であり、それを皮下に週に1回、例えば1μgから500μg、好ましくは10μgから500μg、より好ましくは100μgから250μgまでの様々な用量、例えば、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200μg等の用量において、2~4カ月から最大24カ月の間投与する。非常に具体的な態様では、処置は12から52週間、好ましくは45から52週間、例えば48週間継続する。より具体的な態様では、IFNはIFNα2a又はそのペグ形態である。
【0049】
FXRアゴニスト
FXRアゴニストは当業者に周知である。
【0050】
例えば、当業者は、以下の文献(その開示を参照により本明細書に組み込む)から容易にFXRアゴニストを識別することができる。
Abenavoli L, et al. Pharmaceuticals (Basel). 2018 Oct 11;11(4). pii: E104. doi: 10.3390/ph11040104. Review.
Adorini L, et al. Drug Discov Today. 2012 Sep;17(17-18):988-97. doi: 10.1016/j.drudis.2012.05.012. Epub 2012 May 29. Review.
Akwabi-Ameyaw A, et al. Bioorg Med Chem Lett. 2009 Aug 15;19(16):4733-9. doi: 10.1016/j.bmcl.2009.06.062. Epub 2009 Jun 21.
Akwabi-Ameyaw A, et al. Bioorg Med Chem Lett. 2008 Aug 1;18(15):4339-43. doi: 10.1016/j.bmcl.2008.06.073. Epub 2008 Jun 28.
Akwabi-Ameyaw A, et al. Bioorg Med Chem Lett. 2011 Oct 15;21(20):6154-60. doi: 10.1016/j.bmcl.2011.08.034. Epub 2011 Aug 11.
Baghdasaryan A, et al. Hepatology. 2011 Oct;54(4):1303-12. doi: 10.1002/hep.24537.
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【0051】
典型的には、FXRアゴニストには、ステロイド系のFXRアゴニスト及び非ステロイド系のFXRアゴニストのクラスが含まれる。
【0052】
本発明の特定の実施形態では、FXRアゴニストは、その開示が参照により本明細書に組み込まれている以下の公開: EP1392714、EP1568706、JP2005281155、US20030203939、US2005080064、US2006128764、US20070015796、US20080038435、US20100184809、US20110105475、US6,984,560、WO2000037077、WO200040965、WO200076523、WO2003015771、WO2003015777、WO2003016280、WO2003016288、WO2003030612、WO2003016288、WO2003080803、WO2003090745、WO2004007521、WO2004048349、WO2004046162、WO2004048349、WO2005082925、WO2005092328、WO2005097097、WO2007076260、WO2007092751、WO2007140174、WO2007140183、WO2008002573、WO2008025539、WO2008025540、WO200802573、WO2008051942、WO2008073825、WO2008157270、WO2009005998、WO2009012125、WO2009027264、WO2009080555、WO2009127321、WO2009149795、WO2010028981、WO2010034649、WO2010034657、WO2017218330、WO2017218379、WO2017201155、WO2017201152、WO2017201150、WO2017189652、WO2017189651、WO2017189663、WO2017147137、WO2017147159、WO2017147174、WO2017145031、WO2017145040、WO2017145041、WO2017133521、WO2017129125、WO2017128896、WO2017118294、WO2017049172、WO2017049176、WO2017049173、WO2017049177、WO2016173397、WO2016173493、WO2016168553、WO2016161003、WO2016149111、WO2016131414、WO2016130809、WO2016097933、WO2016096115、WO2016096116、WO2016086115、WO2016073767、WO2015138986、WO2018152171、WO2018170165、WO2018170166、WO2018170173、WO2018170182、WO2018170167、WO2017078928、WO2014184271、WO2013007387、WO2012087519、WO2011020615、WO2010069604、WO2013037482、US2017275256、WO2005080064、WO2018190643、WO2018215070、WO2018215610、WO2018214959、WO2018081285、WO2018067704、WO2019007418、WO2018059314、WO2017218337において開示されている、FXRモジュレーターとして作用する低分子化合物から選択される。
【0053】
一態様では、FXRアゴニストは、以下の特許出願:WO2017/049172、WO2017/049176、WO2017/049173、WO2017/049177、WO2018/170165、WO2018/170166、WO2018/170173、WO2018/170182、及びWO2018/170167において開示されている任意のFXRアゴニストであり得る。
【0054】
FXRアゴニストの具体例としては、EYP001、GW4064(PCT公開第WO 00/37077号又はUS2007/0015796において開示されている)、6-エチル-ケノデオキシコール酸、特にINT-747とも称される3α,7α-ジヒドロキシ 7α-ジヒドロキシ-6α-エチル-5β-コラン-24-酸;INT-777;6-エチル-ウルソデオキシコール酸、INT-1103、UPF-987、WAY-362450、MFA-1、GW9662、T0901317、フェキサラミン、3β-アジド-6α-エチル-7α-ヒドロキシ-5β-コラン-24-酸、トロピフェクサー(LJN452)、フェキサラミン-3(Fex-3)、BAR502、BAR704、PX20606、PX20350、3α,7α,11β-トリヒドロキシ-6α-エチル-5β-コラン-24-酸(TC-100)、6-(4-{[5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル]メトキシ}ピペリジン-1-イル)-1-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸、3,6-ジメチル-1-(2-メチルフェニル)-4-(4-フェノキシフェニル)-4,8-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-e][1,4]チアゼピン-7-オン;オベチコール酸、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロジヒドロフシジン酸塩、タウロデオキシコール酸、コール酸塩、グリココール酸塩、デオキシコール酸塩、タウロコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、7-B-メチルコール酸(7-B-methyl cholic Acid)、リトコール酸メチル、GSK-8062(CAS番号943549-47-1)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、天然の胆汁酸、好ましくはケノデオキシコール酸(CDCA)又はタウリン若しくはグリシン抱合されたCDCA(タウロ-CDCA若しくはグリコ-CDCA)、及び天然の胆汁酸の合成誘導体、好ましくは6-エチル-CDCA又はタウリン若しくはグリシン抱合された6-エチル-CDCA、天然の非ステロイド系アゴニスト、好ましくはカフェストール及びカーウェオール等のジテルペノイド、或いは合成非ステロイド系FXRアゴニスト、から選択される。
【0055】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、オベチコール酸(Intercept Pharma社)、コール酸(CT-RS社);GS-9674(シロフェクサール(Cilofexor))(Phenex Pharmaceuticals AG社)、Tropifezor(LJN452)(Novartis Pharmaceuticals社)、EYP001、EDP-305、ステロイド系非カルボン酸FXRアゴニスト(Enanta Pharmaceuticals社)、ツロフェキソラートイソプロピル(Pfizer社)、INT-767(Intercept Pharmaceuticals社)、LY-2562175(Lilly社)、AGN-242266(以前はAKN-083、Allergan社)、EP-024297(Enanta Pharmaceuticals社)、M-480(Metacrine社)、MET-409(Metacrine社)、RDX-023(Ardelyx社)、GW6046、カフェストール、フェキサラミン、及びCAS番号1192171-69-9で識別される化合物PXL007(EYP001又はEYP001aとも名付けられている)(WO 2009127321に記載されている)からなる群から選択される。特定の実施形態では、FXRアゴニストは、INT-747、ステロイド系非カルボン酸FXRアゴニストのEDP-305(Enanta Pharmaceuticals社)で識別される化合物及びCAS番号1192171-69-9で識別される化合物(WO 2009127321において記載されている)からなる群から選択される。
【0056】
特定の態様では、FXRアゴニストは、LJN452(Tropifezor)、GS-9674(シロフェクサール)、LMB763(ニデュフェクサー(Nidufexor))、OCA(オカリバ)、EDP-305、TERN-001及びPXL007(EYP001とも名付けられている)からなる群から選択される。
【0057】
特定の態様では、FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されている化合物及び薬学的に許容されるそれらの任意の塩からなる群から選択される。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
本発明の好ましい態様では、FXRアゴニストはEYP001である。
【0064】
FXRアゴニストは、食物の有無にかかわらず(すなわち、摂食条件下又は絶食条件下のそれぞれで)投与することができる。FXRアゴニストは、1日に1回、2回又は3回、好ましくは1回又は2回、例えば朝(例えば、午前6時から10時の間)に、又は夕方(evening)(例えば、午後6時から10時の間)に投与することができる。一態様では、FXRアゴニストは1日に1回投与される。別の態様では、FXRアゴニストは1日に2回投与される。FXRアゴニストは、好ましくは毎日投与される。しかし、2、3、4、5、6又は7日毎の投与も検討することができる。FXRアゴニストの1日分の投与量は、1成人あたり1日あたりに0.01から1,000mg、特には1成人あたり1日あたりに1から1,000mg、好ましくは1成人あたり1日あたりに50から800mg、より好ましくは1成人あたり1日あたりに100から600mg、更により好ましくは1成人あたり1日あたりに150から400mg又は1成人あたり1日あたりに200から400mgの広範囲にわたり変化させることができる。好ましくは、組成物は5、10、15、25、50、75、100、150、200、300、400又は500mgのFXRアゴニストを含有する。医薬は、典型的には約0.05mgから約500mgのFXRアゴニスト、好ましくは1日あたり約5mgから約500mgのFXRアゴニスト、好ましくは50mgから約500mgのFXRアゴニストを含有する。FXRアゴニストは、経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所又は直腸内投与によって、好ましくは経口投与によって投与することができる。
【0065】
薬学的組成物及びキット
本開示の一態様は、IFN及びFXRアゴニストを含む薬学的組成物に関する。
【0066】
具体的には、IFNはIFN-α、好ましくはIFN-α1又はIFN-α2、例えばIFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a及びIFN-α2b等、又はそれらのペグ形態である。或いは、IFNはIFN-β、好ましくはIFN-β1、例えばIFN-β1a及びIFN-β1b等、又はそれらのペグ形態である。IFNはまた、IFN-γ1、特にIFN-γ1b、又はそれらのペグ形態であってもよい。IFNはIFN-λ又はIFN-λ若しくはそのペグ形態でもあってもよい。
【0067】
本開示はFXRアゴニスト及びIFNを含む薬学的組成物に関し、IFNはIFN-α1a、IFN-α1b及びそれらのペグ形態;IFN-β、好ましくはIFN-β1、例えばIFN-β1a及びIFN-β1b等、又はそれらのペグ形態;IFN-γ1、特にIFN-γ1b又はそれらのペグ形態;並びにIFN-λ又はIFN-λ若しくはそのペグ形態からなる群から選択される。好ましくは、FXRアゴニストはTable 1(表1)に開示されている群から選択される。一態様では、FXRアゴニストはEYP001である。
【0068】
さらなる態様では、本開示は同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としてのINF及びFXRアゴニストを含むキットに関し、IFNはIFN-α1a、IFN-α1b及びそれらのペグ形態;IFN-β、好ましくはIFN-β1、例えばIFN-β1a及びIFN-β1b等、又はそれらのペグ形態;IFN-γ1、特にIFN-γ1b又はそれらのペグ形態;並びにIFN-λ又はIFN-λ若しくはそのペグ形態からなる群から選択される。好ましくは、FXRアゴニストはTable 1(表1)に開示される群から選択される。一態様では、FXRアゴニストはEYP001である。
【0069】
具体的には、FXRアゴニスト及びIFNは同じ経路で投与されない。例えば、FXRアゴニストは経口経路で投与される一方で、IFNは皮下又は筋肉内経路で投与される。或いは、FXRアゴニスト及びIFNを同じ投与経路で投与することを検討することができる。
【0070】
上記に開示されている薬学的組成物又はキットは、特にウイルスの複製に対しての、B型肝炎ウイルス感染を処置するための、例えば慢性B型肝炎を処置するための使用のためのものである。本開示の一態様は、
- 特にウイルスの複製に対しての、B型肝炎ウイルス感染を処置するための、例えば慢性B型肝炎を処置するための医薬の調製のための、上記に開示されている前記薬学的組成物又はキットの使用、
- 好ましくはTable 1(表1)に開示されている群から選択されるFXRアゴニスト、特にEYP001と組み合わせた、特にウイルスの複製に対しての、B型肝炎ウイルス感染を処置するための、例えば慢性B型肝炎を処置するための使用のための、IFN-α1a、IFN-α1b又はそれらのペグ形態;IFN-β、好ましくはIFN-β1、例えばIFN-β1a及びIFN-β1b等、又はそれらのペグ形態;IFN-γ1、特にIFN-γ1b又はそれらのペグ形態;並びにIFN-λ又はIFN-λ若しくはそのペグ形態からなる群から選択されるIFN、
- IFN-α1a、IFN-α1b又はそれらのペグ形態;IFN-β、好ましくはIFN-β1、例えばIFN-β1a及びIFN-β1b等、又はそれらのペグ形態;IFN-γ1、特にIFN-γ1b又はそれらのペグ形態;並びにIFN-λ又はIFN-λ若しくはそのペグ形態からなる群から選択されるIFNと組み合わせた、特にウイルスの複製に対しての、B型肝炎ウイルス感染を処置するための、例えば慢性B型肝炎を処置するための使用のための、好ましくはTable 1(表1)に開示されている群、特にEYP001、から選択されるFXRアゴニスト、
に関する。
【0071】
本開示は、B型肝炎ウイルスに感染した対象を処置する方法、特に患者における慢性B型肝炎を処置する方法であって、前記方法が、治療有効量のFXRアゴニスト、好ましくはTable 1(表1)に開示されている群から選択されるFXRアゴニスト、特にEYP001を投与すること;及びIFN-α1a、及びIFN-α1b又はそれらのペグ形態;IFN-β、好ましくはIFN-β1、例えばIFN-β1a及びIFN-β1b等、又はそれらのペグ形態;IFN-γ1、特にIFN-γ1b又はそれらのペグ形態;並びにIFN-λ又はIFN-λ若しくはそのペグ形態からなる群から選択される治療有効量のIFNを投与することを含み、それによってIFNの有害作用を減少させる方法に関する。具体的には、FXRアゴニストはIFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。場合により、IFNの有害作用、特にインフルエンザ様症候群を減少させることに対して有効且つB型肝炎ウイルス感染の複製を減少させることに対して有効な治療量において、FXRアゴニストを投与してもよい。
【0072】
非常に具体的な実施形態では、本開示は、B型肝炎ウイルスに感染した対象を処置する方法、特に患者における慢性B型肝炎を処置する方法であって、前記方法が治療有効量のEYP001を投与すること、及び治療有効量のIFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態を投与することを含み;
- EYP001が、IFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態の有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において、より好ましくはIFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態の有害作用を減少させ且つHBVの複製を減少させることに対して有効な治療量において、より具体的には、1成人あたり1日あたりに50から800mg、好ましくは100から600、更により好ましくは1成人あたり1日あたりに150から400mg又は1成人あたり1日あたりに200から400mgの1日分の用量において、例えば1成人あたり1日あたりに約300mgにおいて投与され、場合によって1日に1回又は2回、好ましくは経口的に投与され、且つ
- IFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態が皮下経路によって週に1回、例えば1μgから500μg、好ましくは10μgから500μg、より好ましくは100μgから250μgまでの様々な用量、例えば100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200μg等において投与され、
それによってIFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態の有害作用を減少させる方法に関する。場合により、処置は2~4カ月から最大24カ月、例えば2から24カ月の間又は2から12カ月の間、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24カ月継続してもよい。
【0073】
HBV複製を減少させることに関しては、EYP001非存在下でのHBV複製と比べてHBV複製を10分の1以下又は100分の1に減少させることを意味する。HBV複製は、HBeAgレベル、HBsAgレベル、HBcrAgレベル、プレゲノムRNA(HBV pgRNA)レベル、プレコアRNAレベル、弛緩した環状DNA(HBV rcDNA)レベル、HBV cccDNAレベル又はHBV DNAレベルのうちの少なくとも1つのレベルを測定することによって評価することができる。例えば、HBV複製は、HBV DNAレベルを測定することによって評価することができ、このレベルは、EYP001非存在下でのHBV複製と比べて、10分の1以下又は100分の1に減少する。或いは、HBV cccDNAレベルは、非処置と比べて少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45又は50%減少する。
【0074】
本実施形態では、本開示は、B型肝炎ウイルスに感染した対象を処置するための使用のための、特には慢性B型肝炎を処置するための使用のためのEYP001を含む薬学的組成物であって、前記薬学的組成物がIFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態と組み合わせて使用され、EYP001がIFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態の有害作用を減少させることに対して有効な治療量において投与されることになる薬学的組成物に関する。本開示はまた、B型肝炎ウイルスに感染した対象を処置するための使用のための、特には慢性B型肝炎を処置するための使用のための、医薬の製造のためのEYP001を含む薬学的組成物の使用であって、前記薬学的組成物がIFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態と組み合わせて使用され、EYP001がIFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態の有害作用を減少させることに対して有効な治療量において投与されることになる薬学的組成物の使用に関する。好ましくは、投与される治療量は、IFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態の有害作用を減少させることに対して且つHBVの複製を減少させることに対して効果的である。例えば、EYP001の1日の用量は、1成人あたり1日あたりに50から800mg、好ましくは1成人あたり1日あたりに100から600mg、更により好ましくは1成人あたり1日あたりに150から400mg又は1成人あたり1日あたりに200から400mgであり、例えば1成人あたり1日あたりに約300mgであり、それを1日に1回又は2回、好ましくは経口的に投与することができる。好ましくは、IFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態が皮下経路によって週に1回、例えば1μgから500μg、好ましくは10μgから500μg、より好ましくは100μgから250μgまでの様々な用量、例えば100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200μg等において投与されることになる。場合により、処置は2~4カ月から最大24カ月、例えば2から24カ月の間又は2から12カ月の間、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24カ月継続してもよい。より具体的には、IFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態を用いた処置が実施される限り、EYP001は投与される。
【0075】
本開示は更に、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス(HPV)(例えば、尖圭コンジローマ)、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)及びライノウイルスの中から選択されるウイルスによる感染;がん、特に、好ましくはエイズ関連カポジ肉腫、白血病、例えばヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病及び非ホジキン白血病等、リンパ腫、例えば濾胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫及び成人T細胞白血病リンパ腫等、カルチノイド腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、腎細胞癌並びに神経内分泌腫瘍の中から選択される固形がん又は造血器がん;並びに他の疾患、例えば加齢性黄斑変性、血管腫症、ベーチェット症候群、血小板血症、真性多血症、原発性骨髄線維症、チャーグ・ストラウス症候群、炎症性腸疾患及びマイコバクテリア感染等、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-α及びFXRアゴニストを含む、同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットに関する。本開示は更に、そのような疾患を処置するための医薬の調製のためのIFN-α及びFXRアゴニストの使用に関し、そのような疾患を処置するためのFXRアゴニストと組み合わせた使用のためのIFN-αに関し、そのような疾患を処置するためのIFN-αと組み合わせた使用のためのFXRアゴニストに関し、患者においてそのような疾患を処置する方法であって、治療有効量のFXRアゴニスト及び治療有効量のIFN-αを投与することを含み、それによってIFN-αを用いた処置に起因する有害作用を減少させる方法に関する。IFN-αは、IFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a及びIFN-α2b又はそれらのペグ形態からなる群から選択することができる。FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されている群、特にEYP001から選択することができる。非常に具体的な態様では、IFN-αはIFN-α2a又はそのペグ形態であり且つFXRアゴニストはEYP001である。より具体的には、IFN-αを用いた処置が実施される限りFXRアゴニストは投与される。具体的には、FXRアゴニストはIFN-αの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。一態様では、IFN-αの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効且つ上記で規定された疾患の1つに治療効果を与えることに対して有効な治療量において、FXRアゴニストは投与される。例えば、EYP001の1日の用量は、1成人あたり1日あたりに50から800mg、好ましくは1成人あたり1日あたりに100から600mg、更により好ましくは1成人あたり1日あたりに150から400mg又は1成人あたり1日あたりに200から400mgであり、例えば1成人あたり1日あたりに約300mgであり、それを1日に1回又は2回,、好ましくは経口的に投与することができる。好ましくは、IFNα2a、IFNα2b又はそれらのペグ形態が皮下経路によって週に1回、例えば1μgから500μg、好ましくは10μgから500μg、より好ましくは100μgから250μgまでの様々な用量において、例えば100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200μg等において投与されることになる。場合により、処置は2~4カ月から最大24カ月、例えば2から24カ月の間又は2から12カ月の間、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24カ月継続してもよい。
【0076】
本開示は更に、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、リウマチ性関節炎及びがん、特に固形がん又は造血器がん、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-β及びFXRアゴニストを含む、同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットに関する。本開示は更に、そのような疾患を処置するための医薬の調製のためのIFN-β及びFXRアゴニストの使用に関し、そのような疾患を処置するためのFXRアゴニストと組み合わせた使用のためのIFN-βに関し、そのような疾患を処置するためのIFN-βと組み合わせた使用のためのFXRアゴニストに関し、患者においてそのような疾患を処置する方法であって、治療有効量のFXRアゴニスト及び治療有効量のIFN-βを投与することを含み、それによってIFN-βを用いた処置に起因する有害作用を減少させる方法に関する。IFN-βは、IFN-β1、例えばIFN-β1a及びIFN-β1b等、又はそれらのペグ形態であってもよい。FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されている群から選択することができる。非常に具体的な態様では、FXRアゴニストはEYP001である。より具体的には、IFN-βを用いた処置が実施される限りFXRアゴニストは投与される。具体的には、FXRアゴニストはIFN-βの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。一態様では、IFN-βの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効且つ上記で規定された疾患の1つに治療効果を与えることに対して有効な治療量において、FXRアゴニストは投与される。
【0077】
本開示は更に、細菌感染、具体的にはマイコバクテリア感染、特発性線維化性肺胞炎等の線維症、リーシュマニア症、骨粗鬆症及びがん、特に固形がん又は造血器がん、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-γ及びFXRアゴニストを含む、同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットに関する。本開示は更に、そのような疾患を処置するための医薬の調製のためのIFN-γ及びFXRアゴニストの使用に関し、そのような疾患を処置するためのFXRアゴニストと組み合わせた使用のためのIFN-γに関し、そのような疾患を処置するためのIFN-γと組み合わせた使用のためのFXRアゴニストに関し、患者においてそのような疾患を処置する方法であって、治療有効量のFXRアゴニスト及び治療有効量のIFN-γを投与することを含み、それによってIFN-γを用いた処置に起因する有害作用を減少させる方法に関する。IFN-γはIFN-γ1、特にIFN-γ1b又はそのペグ形態であってもよい。FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されている群から選択することができる。非常に具体的な態様では、FXRアゴニストはEYP001である。より具体的には、IFN-γを用いた処置が実施される限りFXRアゴニストは投与される。具体的には、FXRアゴニストはIFN-γの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。一態様では、IFN-γの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効且つ上記で規定された疾患の1つに治療効果を与える事に対して有効な治療量において、FXRアゴニストは投与される。
【0078】
本開示は更に、線維症(WO18115199)及びD型肝炎ウイルス感染(WO17143253)からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-λ及びFXRアゴニストを含む、同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットに関する。本開示は更に、線維症又はD型肝炎ウイルス感染を処置するための医薬の調製のためのIFN-λ及びFXRアゴニストの使用に関し、線維症又はD型肝炎ウイルス感染を処置するためのFXRアゴニストと組み合わせた使用のためのIFN-λに関し、線維症又はD型肝炎ウイルス感染を処置するためのIFN-λと組み合わせた使用のためのFXRアゴニストに関し、治療有効量のFXRアゴニスト及び治療有効量のIFN-λを投与することを含み、それによってIFN-λを用いた処置に起因する有害作用を減少させる、患者において線維症又はD型肝炎ウイルス感染を処置する方法に関する。IFN-λは、IFN-λ又はそのペグ形態であってもよい。FXRアゴニストは、Table 1(表1)に開示されている群から選択することができる。非常に具体的な態様では、FXRアゴニストはEYP001である。より具体的には、IFN-λを用いた処置が実施される限りFXRアゴニストは投与される。具体的には、FXRアゴニストはIFN-λの有害作用、特にインフルエンザ様症候群、を減少させることに対して有効な治療量において投与される。一態様では、IFN-λの有害作用、特にインフルエンザ様症候群を減少させることに対して有効且つ線維症又はD型肝炎ウイルス感染に治療効果を与える事に対して有効な治療量において、FXRアゴニストは投与される。
【0079】
IFNは単独で又は他の治療薬と組み合わせて使用することができる。他の治療薬は、例えば抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、抗菌剤、抗炎症剤、免疫抑制分子であってもよい。IFNと組み合わせて使用することができる治療薬のリストには、網羅されてはいないが、タモキシフェン;酢酸メゲストロール;アントラサイクリン、例えばエピルビシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ネモルビシン(nemorubicin)、ピクサントロン、サバルビシン(sabarubicin)及びバルルビシン;ロニダミン;代謝拮抗薬、例えば5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、シタラビン(Ara-C(登録商標))、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ヒドロキシカルバミド、メトトレキサート、ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、ビンブラスチン;シスプラチン、カルボプラチン又はジシクロプラチン;サイトカイン/ホルモン、例えばIL-2、TNF-α、オクトレオチド;ナイトロジェンマスタードアルキル化剤、例えばシクロホスファミド又はメルファラン;レチノイド、例えばアシトレチン;抗ウイルス薬、例えばリバビリン、タリバビリン、シメプレビル、ソホスブビル、ジドブジン、ロピナビル;抗生物質、例えばミノサイクリン、が含まれる。
【0080】
例えば、治療薬の特定の組み合わせは、網羅されてはいないが、IFN-γ+TNF-α+ナイトロジェンマスタードアルキル化剤、例えばシクロホスファミド又はメルファラン;IFN-α+リバビリン;IFN-α+IL-2;IFN-α+ジドブジン;IFN-α+ビンブラスチン;IFN-α+オクトレオチド;IFN-α+TNF-α;IFN-β+ミノサイクリン;IFN-β+ロピナビル+リトナビル;IFN-β+メチルプレドニゾロン;等のリストにおいて選択することができる。
【0081】
特定の態様では、FXRアゴニスト、特にTable 1(表1)のFXRアゴニスト、より具体的にはEYP001、及びIFN-α又はそのペグ形態を、少なくとも1つのさらなる有効成分と組み合わせて使用することができる。好ましくは、さらなる有効成分は抗ウイルス薬、より具体的にはHBVに対する活性を有する抗ウイルス薬である。この状況においては、FXRアゴニスト及びIFNの組み合わせは、HBV感染、具体的には慢性HBVを処置するために使用される。好ましい態様では、少なくとも1つのさらなる有効成分は、L-ヌクレオシド、デオキシグアノシンアナログ及びヌクレオシドホスホネートからなる群から選択されるポリメラーゼ阻害剤である。非常に具体的な態様では、少なくとも1つのさらなる有効成分が、ラミブジン、テルビブジン、エムトリシタビン、エンテカビル、アデホビル及びテノホビルからなる群から選択される。
【0082】
本発明のさらなる態様及び利点が以下の実施例において記載されることになるが、これらは例示的であり限定的ではないとみなされるべきである。
【実施例】
【0083】
HBVに慢性的に感染した25患者に、IFN(ペグIFNα2a、PEG-IFN、の週に1回の皮下注射)と、毎日の経口でのFXRアゴニストEYP001a又はプラセボとを組み合わせた4週間の処置を施行した。全体で21患者(84%)が、IFNと関連するインフルエンザ様の有害事象:発熱、脱力、筋肉痛(muscle pain)、頭痛、背部痛又は下肢痛、骨痛又は筋肉痛(muscles aches)、筋肉痛(myalgia)、及び疲労を発症した。IFN処置をEYP001(Table 2(表2))と組み合わせた場合、インフルエンザ様AEの頻度は、最低3分の1にまで、顕著な差で、予想外に低下した。患者の特徴(Table 3(表3)及びTable 4(表4))は処置群間で異なっておらず、IFNが関連するインフルエンザ様AEにおける低減を説明するものではなかった(Table 2(表2))。患者の特徴及びHBV感染のパラメータの概要を、Table 3(表3)及びTable 4(表4)中にそれぞれ提供する。
【0084】
【0085】
【0086】
【手続補正書】
【提出日】2022-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェロン(IFN)を用いた処置に起因する有害作用を対象において減少させるための使用のための
、EYP00
1を含む薬学的組成物。
【請求項2】
請求項1に記載
の薬学的組成物であって、前記インターフェロンが、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IFN-λ及びそれらのペグ形態からなる群から選択される、好ましくはIFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a、IFN-α2b、IFN-β1a、IFN-β1b、IFN-γ1b、IFN-λ1a及びそれらのペグ形態からなる群から選択される
、薬学的組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載
の薬学的組成物であって、有害作用がインフルエンザ様症候群、特に発熱、脱力、筋肉痛(muscle pain)、頭痛、背部痛又は下肢痛、骨痛又は筋肉痛(muscles aches)、筋肉痛(myalgia)、及び疲労、好ましくは発熱、筋肉痛(muscle pain)、頭痛及び疲労である
、薬学的組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載
の薬学的組成物であって、前記インターフェロンがIFN-α及びその任意のペグ形態である
、薬学的組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載
の薬学的組成物であって、前記インターフェロンがIFN-α2a及びその任意のペグ形態である
、薬学的組成物。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載
の薬学的組成物であって、前記インターフェロンがペグIFN-α、好ましくはペグIFN-α2aである
、薬学的組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載
の薬学的組成物であって、前記対象がB型肝炎ウイルスに感染している、好ましくは前記対象が慢性B型肝炎を患っている
、薬学的組成物。
【請求項8】
同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットがIFN及びEYP001を含み、前記IFNが、IFN-α1a、IFN-α1b及びそれらのペグ形態;IFN-β、好ましくはIFN-β1、例えばIFN-β1a及びIFN-β1b、又はそれらのペグ形態;IFN-γ1、特にIFN-γ1b又はそれらのペグ形態;並びにIFN-λ又はIFN-λ又はそのペグ形態からなる群から選択される、薬学的組成物又はキット。
【請求項9】
請求項8に記載の薬学的組成物又はキットであって、B型肝炎ウイルス感染を処置するための使用のための、薬学的組成物又はキット。
【請求項10】
同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス(HPV)(例えば、尖圭コンジローマ)、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)及びライノウイルスの中から選択されるウイルスによる感染;がん、特に、好ましくはエイズ関連カポジ肉腫、白血病、例えばヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病及び非ホジキン白血病、リンパ腫、例えば濾胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫及び成人T細胞白血病リンパ腫、カルチノイド腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、腎細胞癌並びに神経内分泌腫瘍の中から選択される固形がん又は造血器がん;並びに他の疾患、例えば加齢性黄斑変性、血管腫症、ベーチェット症候群、血小板血症、真性多血症、原発性骨髄線維症、チャーグ・ストラウス症候群、炎症性腸疾患及びマイコバクテリア感染、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-α及びEYP001を含む薬学的組成物又はキット。
【請求項11】
請求項10に記載の薬学的組成物又はキットであって、IFN-αが、好ましくはIFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a及びIFN-α2b又はそれらのペグ形態からなる群から選択されるIFN-α1若しくはIFN-α2又はそれらのペグ形態である、薬学的組成物又はキット。
【請求項12】
同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、リウマチ性関節炎及びがん、特に固形がん又は造血器がん、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-β及びEYP001を含む薬学的組成物又はキット。
【請求項13】
請求項12に記載の薬学的組成物又はキットであって、IFN-βが、好ましくはIFN-β1a及びIFN-β1b又はそれらのペグ形態からなる群から選択されるIFN-β1又はそのペグ形態である、薬学的組成物又はキット。
【請求項14】
同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、細菌感染、具体的にはマイコバクテリア感染、線維症、例えば特発性線維化性肺胞炎、リーシュマニア症、骨粗鬆症及びがん、特に固形がん又は造血器がん、からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-γ及びEYP001を含む薬学的組成物又はキット。
【請求項15】
同時使用、個別使用又は逐次使用のための複合製剤としての薬学的組成物又はキットであって、前記薬学的組成物又はキットが、線維症及びD型肝炎ウイルス感染からなる群から選択される疾患を処置するための使用のためのIFN-λ及びEYP001を含む薬学的組成物又はキット。
【請求項16】
EYP001が1日に1回投与されることになる
、請求
項1から15のいずれか一項に記載の薬学的組成物又はキット。
【請求項17】
EYP001が1日に2回投与されることになる
、請求
項1から15のいずれか一項に記載の薬学的組成物又はキット。
【国際調査報告】