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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】核酸検出カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20220912BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12M1/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549907
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 CN2020096723
(87)【国際公開番号】W WO2021248531
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】202010522831.0
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521375450
【氏名又は名称】ベイジン バイケア バイオテクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baicare Biotechnology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】146 Room, 1st Floor, No. 15 Commercial Building, Chuangke Town, Hot Spring Town, Haidian District, Beijing 100089, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ワン フー
(72)【発明者】
【氏名】リー ヨンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン シンジィェン
(72)【発明者】
【氏名】フー ザイビン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン グゥォハオ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029BB20
4B029FA12
4B029FA15
(57)【要約】
【課題】核酸検出カートリッジを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は核酸検出カートリッジを提供する。核酸検出カートリッジは、基板と、液体貯蔵アセンブリと、固体試薬貯蔵アセンブリと、増幅反応領域と、を備え、前記基板が前記増幅反応領域と連結し、前記液体貯蔵アセンブリ、固体試薬貯蔵アセンブリが前記基板に各々設けられ、前記液体貯蔵アセンブリと前記固体試薬貯蔵アセンブリがマイクロ流路を介して連通し、前記固体試薬貯蔵アセンブリと前記増幅反応領域がとマイクロ流路を介して連通する。本発明の有利な効果として、液体試薬を液体貯蔵アセンブリに貯蔵し、乾燥粉末状の試薬を固体試薬貯蔵アセンブリに貯蔵することができるため、使用者が試料を加えるだけで済み、操作が極めて簡単で、エンドユーザーの使用に最適である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸検出カートリッジであって、基板と、液体貯蔵アセンブリと、固体試薬貯蔵アセンブリと、増幅反応領域と、を備え、前記基板が前記増幅反応領域と連結し、前記液体貯蔵アセンブリ、前記固体試薬貯蔵アセンブリが前記基板に各々設けられ、前記液体貯蔵アセンブリと前記固体試薬貯蔵アセンブリがマイクロ流路を介して連通し、前記固体試薬貯蔵アセンブリと前記増幅反応領域がマイクロ流路を介して連通することを特徴とする、核酸検出カートリッジ。
【請求項2】
前記液体貯蔵アセンブリは、試料貯蔵アセンブリと、抽出試薬貯蔵アセンブリと、廃液固定チャンバーと、を備え、前記基板に核酸固定抽出反応セルが設けられ、前記試料貯蔵アセンブリ、前記抽出試薬貯蔵アセンブリの出力側が前記マイクロ流路を介して前記核酸固定抽出反応セルの入力側と各々連通し、前記核酸固定抽出反応セルの出力側が前記マイクロ流路を介して前記固体試薬貯蔵アセンブリ、前記廃液固定チャンバーと各々連通することを特徴とする、請求項1に記載の核酸検出カートリッジ。
【請求項3】
前記抽出試薬貯蔵アセンブリは、複数の独立したコンパートメントを備え、前記コンパートメントが管壁と、プランジャーと、ダイヤフラムと、を備え、前記プランジャーが前記管壁の上方に設けられ、前記ダイヤフラムが前記管壁の下方に設けられ、前記管壁と前記プランジャーと前記ダイヤフラムで液体試薬貯蔵チャンバーを画成し、前記基板に前記コンパートメントと一対一で対応する先鋭突起が設けられ、前記先鋭突起が前記ダイヤフラムの下方に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の核酸検出カートリッジ。
【請求項4】
前記コンパートメントは、結合液を貯蔵するための第1コンパートメントと、すすぎ液を貯蔵するための第2コンパートメントと、溶離液を貯蔵するための第3コンパートメントと、を少なくとも備え、前記第1コンパートメントが前記マイクロ流路を介して前記試料貯蔵アセンブリと連通し、前記試料貯蔵アセンブリと前記核酸固定抽出反応セルとの間の前記マイクロ流路に第1流体ダイヤフラムバルブが設けられ、前記第2コンパートメントと前記核酸固定抽出反応セルとの間の前記マイクロ流路に第2流体ダイヤフラムバルブが設けられ、前記第3コンパートメントと前記核酸固定抽出反応セルとの間の前記マイクロ流路に第3流体ダイヤフラムバルブが設けられ、前記核酸固定抽出反応セルと前記固体試薬貯蔵アセンブリとの間の前記マイクロ流路に第4流体ダイヤフラムバルブが設けられ、前記核酸固定抽出反応セルと前記廃液固定チャンバーとの間の前記マイクロ流路に第5流体ダイヤフラムバルブが設けられ、前記固体試薬貯蔵アセンブリと前記増幅反応領域との間の前記マイクロ流路に第6流体ダイヤフラムバルブが設けられることを特徴とする、請求項3に記載の核酸検出カートリッジ。
【請求項5】
前記コンパートメントは、前増幅試薬を貯蔵するための前増幅試薬コンパートメントをさらに備え、前記前増幅試薬コンパートメントが前記マイクロ流路を介して前記核酸固定抽出反応セルと連通し、前記前増幅試薬コンパートメントと前記核酸固定抽出反応セルとの間の前記マイクロ流路に第7流体ダイヤフラムバルブが設けられることを特徴とする、請求項4に記載の核酸検出カートリッジ。
【請求項6】
前記廃液固定チャンバーに開閉を独立して制御できる第1空気通路接続口及び開閉を独立して制御できる第2空気通路接続口が設けられ、前記試料貯蔵アセンブリは、前記第1空気通路接続口と連通し、前記第3コンパートメント又は前記前増幅試薬コンパートメントが前記第2空気通路接続口と連通することを特徴とする、請求項5に記載の核酸検出カートリッジ。
【請求項7】
前記基板に互いに連通される複数の溝が設けられ、前記基板にカバープレートが貼合され、前記カバープレートが前記溝を取り囲んで前記マイクロ流路を形成し、前記基板に複数の弁座構造が設けられ、複数の前記弁座構造に前記第1流体ダイヤフラムバルブ、前記第2流体ダイヤフラムバルブ、前記第3流体ダイヤフラムバルブ、前記第4流体ダイヤフラムバルブ、前記第5流体ダイヤフラムバルブ、前記第6流体ダイヤフラムバルブがそれぞれ設置されていることを特徴とする、請求項4に記載の核酸検出カートリッジ。
【請求項8】
前記試料貯蔵アセンブリ内に第1磁気ロータが設けられ、前記核酸固定抽出反応セル内に第2磁気ロータが設けられ、前記試料貯蔵アセンブリに前記第1磁気ロータの回転を駆動するための第1磁石回転機構が取り付けられ、前記核酸固定抽出反応セルに前記第2磁気ロータの回転を駆動するための第2磁石回転機構が取り付けられ、前記核酸固定抽出反応セルに第1加熱モジュールが取り付けられ、前記増幅反応領域に第2加熱モジュールが取り付けられていることを特徴とする、請求項2に記載の核酸検出カートリッジ。
【請求項9】
前記試料貯蔵アセンブリは、主にチャンバーとカバーで構成され、前記試料貯蔵アセンブリの前記チャンバー内部に核酸抽出プロセス中に必要な核酸捕捉用磁気ビーズが事前に格納され、前記廃液固定チャンバー内には多孔質の吸水性材料を含むことを特徴とする、請求項2に記載の核酸検出カートリッジ。
【請求項10】
前記増幅反応領域は、主に複数の反応ウェルと前記反応ウェルを接続するパイプで構成され、前記増幅反応領域が接続部材を通じて前記基板と接続し、前記増幅反応領域の上方に蛍光イメージング処理モジュールが取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の核酸検出カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸検出カセット分野に関し、特に、核酸検出カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の核酸検出カセットの統合性は、低く、使用に当たっても複雑で、使用者が手作業で一部試薬を加える必要もあるため、頻繁な誤操作が生じたことで、不正確な検出結果につながり、エンドユーザーの使用に適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術内の問題点を解決するため、本発明は、核酸検出カートリッジを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によって提供される核酸検出カートリッジは、基板と、液体貯蔵アセンブリと、固体試薬貯蔵アセンブリと、増幅反応領域と、を備え、前記基板が前記増幅反応領域と連結し、前記液体貯蔵アセンブリ、固体試薬貯蔵アセンブリが前記基板に各々設けられ、前記液体貯蔵アセンブリと前記固体試薬貯蔵アセンブリがマイクロ流路を介して連通し、前記固体試薬貯蔵アセンブリと前記増幅反応領域がマイクロ流路を介して連通する。
【0005】
本発明のさらなる改善形態として、前記液体貯蔵アセンブリは、試料貯蔵アセンブリと、抽出試薬貯蔵アセンブリと、廃液固定チャンバーと、を備え、前記基板に核酸固定抽出反応セルが設けられ、前記試料貯蔵アセンブリ、抽出試薬貯蔵アセンブリの出力側がマイクロ流路を介して前記核酸固定抽出反応セルの入力側と各々連通し、前記核酸固定抽出反応セルの出力側がマイクロ流路を介して前記固体試薬貯蔵アセンブリ、廃液固定チャンバーと各々連通する。
【0006】
本発明のさらなる改善形態として、前記抽出試薬貯蔵アセンブリは、複数の独立したコンパートメントを備え、前記コンパートメントが管壁と、プランジャーと、ダイヤフラムと、を備え、前記プランジャーが前記管壁の上に設けられ、前記ダイヤフラムが前記管壁の下に設けられ、前記管壁とプランジャーとダイヤフラムで液体試薬貯蔵チャンバーを画成し、前記基板に前記コンパートメントと一対一で対応する先鋭突起が設けられ、前記先鋭突起が前記ダイヤフラムの下に設けられる。
【0007】
本発明のさらなる改善形態として、前記コンパートメントは、結合液を貯蔵するための第1コンパートメントと、すすぎ液を貯蔵するための第2コンパートメントと、溶離液を貯蔵するための第3コンパートメントと、を少なくとも備え、前記第1コンパートメントがマイクロ流路を介して前記試料貯蔵アセンブリと連通し、前記試料貯蔵アセンブリと前記核酸固定抽出反応セルとの間のマイクロ流路に第1流体ダイヤフラムバルブが設けられ、前記第2コンパートメントと前記核酸固定抽出反応セルとの間のマイクロ流路に第2流体ダイヤフラムバルブが設けられ、前記第3コンパートメントと前記核酸固定抽出反応セルとの間のマイクロ流路に第3流体ダイヤフラムバルブが設けられ、前記核酸固定抽出反応セルと前記固体試薬貯蔵アセンブリとの間のマイクロ流路に第4流体ダイヤフラムバルブが設けられ、前記核酸固定抽出反応セルと前記廃液固定チャンバーとの間のマイクロ流路に第5流体ダイヤフラムバルブが設けられ、前記固体試薬貯蔵アセンブリと前記増幅反応領域との間のマイクロ流路に第6流体ダイヤフラムバルブが設けられる。
【0008】
本発明のさらなる改善形態として、前記コンパートメントは、前増幅試薬を貯蔵するための前増幅試薬コンパートメントをさらに備え、前記前増幅試薬コンパートメントがマイクロ流路を介して前記核酸固定抽出反応セルと連通し、前記前増幅試薬コンパートメントと前記核酸固定抽出反応セルとの間のマイクロ流路に第7流体ダイヤフラムバルブが設けられる。
【0009】
本発明のさらなる改善形態として、前記基板に互いに連通される複数の溝が設けられ、前記基板にカバープレートが貼合され、前記カバープレートが前記溝を取り囲んでマイクロ流路を形成し、前記基板に複数の弁座構造が設けられ、複数の前記弁座構造に第1流体ダイヤフラムバルブ、第2流体ダイヤフラムバルブ、第3流体ダイヤフラムバルブ、第4流体ダイヤフラムバルブ、第5流体ダイヤフラムバルブ、第6流体ダイヤフラムバルブがそれぞれ設置されている。
【0010】
本発明のさらなる改善形態として、前記廃液固定チャンバーに開閉を独立して制御できる第1空気通路接続口及び開閉を独立して制御できる第2空気通路接続口が設けられ、前記試料貯蔵アセンブリは、前記第1空気通路接続口と連通し、前記第3コンパートメント又は前増幅試薬コンパートメントが前記第2空気通路接続口と連通する。
【0011】
本発明のさらなる改善形態として、前記試料貯蔵アセンブリ内に第1磁気ロータが設けられ、前記核酸固定抽出反応セル内に第2磁気ロータが設けられ、前記試料貯蔵アセンブリに前記第1磁気ロータの回転を駆動するための第1磁石回転機構が取り付けられ、前記核酸固定抽出反応セルに前記第2磁気ロータの回転を駆動するための第2磁石回転機構が取り付けられ、前記核酸固定抽出反応セルに第1加熱モジュールが取り付けられ、前記増幅反応領域に第2加熱モジュールが取り付けられている。
【0012】
本発明のさらなる改善形態として、前記試料貯蔵アセンブリは、主にチャンバーとカバーで構成され、前記試料貯蔵アセンブリのチャンバー内部に核酸抽出プロセス中に必要な核酸捕捉用磁気ビーズが事前に格納される。
【0013】
本発明のさらなる改善形態として、前記廃液固定チャンバー内には、多孔質の吸水性材料を含む。
【0014】
本発明のさらなる改善形態として、前記増幅反応領域は、主に複数の反応ウェルと反応ウェルを接続するパイプで構成され、前記増幅反応領域が接続部材を通じて前記基板と接続し、前記増幅反応領域の上に蛍光イメージング処理モジュールが取り付けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有利な効果として、上記の技術的手段を通じて、核酸の抽出と増幅に必要な全ての試薬を統合化カートリッジに内蔵し、液体試薬を液体貯蔵アセンブリに貯蔵し、乾燥粉末状の試薬を固体試薬貯蔵アセンブリに貯蔵することができるため、使用者が試料を加えるだけで済み、操作が極めて簡単で、エンドユーザーの使用に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の核酸検出カートリッジの全体構成図である。
図2】本発明の核酸検出カートリッジの概略図である。
図3】本発明の核酸検出カートリッジのコンパートメントの概略構成式図である。
図4】前増幅試薬コンパートメントを追加した本発明の核酸検出カートリッジの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面及び具体的実施形態を参照しつつ本発明をさらに説明する。
【0018】
図1乃至図4に示すように、本発明は、統合化カートリッジである核酸検出カートリッジを提供する。核酸検出カートリッジは、基板1と、液体貯蔵アセンブリ2と、固体試薬貯蔵アセンブリ3と、増幅反応領域4と、カバープレート5と、ロータ部品6と、流体ダイヤフラムバルブ7と、筐体と、を備える。上記の構成要素が組み立てと貼合を経た後、複数の相互連通領域で構成された密閉の統合化カートリッジを形成する。前記基板1は、前記増幅反応領域4と接続し、前記液体貯蔵アセンブリ2、固体試薬貯蔵アセンブリ3が前記基板1に各々設けられ、前記液体貯蔵アセンブリ2と前記固体試薬貯蔵アセンブリ3がマイクロ流路を介して連通し、前記固体試薬貯蔵アセンブリ3と前記増幅反応領域4がマイクロ流路を介して連通する。
【0019】
図1乃至図4に示すように、前記液体貯蔵アセンブリ2は、試料貯蔵アセンブリ201と、抽出試薬貯蔵アセンブリ202と、廃液固定チャンバー203と、を備え、前記基板1に核酸固定抽出反応セル102が設けられ、前記試料貯蔵アセンブリ201、抽出試薬貯蔵アセンブリ202の出力側がマイクロ流路を介して前記核酸固定抽出反応セル102の入力側と各々連通し、前記核酸固定抽出反応セル102の出力側がマイクロ流路を介して前記固体試薬貯蔵アセンブリ3、廃液固定チャンバー203と各々連通する。
【0020】
図1乃至図4に示すように、固体試薬貯蔵アセンブリ3は、貯蔵筒301と、連結構造と、を備え、固体試薬貯蔵アセンブリ3が例えばdNTP、Taqポリメラーゼ等の核酸増幅用の試薬を含み、乾燥粉末の形で貯蔵筒301内に事前に格納されている。
【0021】
図1乃至図4に示すように、前記抽出試薬貯蔵アセンブリ202は、複数の独立したコンパートメントを備え、前記コンパートメントが管壁2021と、プランジャー2022と、ダイヤフラム2023と、を備え、前記プランジャー2022が前記管壁2021の上に設けられ、前記ダイヤフラム2023が前記管壁2021の下に設けられ、前記管壁2021とプランジャー2022とダイヤフラム2023で液体試薬貯蔵チャンバーを画成し、前記基板1に前記コンパートメントと一対一で対応する先鋭突起103が設けられ、前記先鋭突起103が前記ダイヤフラム2023の下に設けられ、ダイヤフラム2023を突き刺して、液体試薬貯蔵チャンバー内の液体試薬を放出するために用いられる。
【0022】
図1乃至図4に示すように、前記コンパートメントは、結合液を貯蔵するための第1コンパートメント202aと、すすぎ液を貯蔵するための第2コンパートメント202bと、溶離液を貯蔵するための第3コンパートメント202cと、を少なくとも備え、前記第1コンパートメント202aがマイクロ流路を介して前記試料貯蔵アセンブリ201と連通し、前記試料貯蔵アセンブリ201と前記核酸固定抽出反応セル102との間のマイクロ流路に第1流体ダイヤフラムバルブ701が設けられ、前記第2コンパートメント202bと前記核酸固定抽出反応セル102との間のマイクロ流路に第2流体ダイヤフラムバルブ702が設けられ、前記第3コンパートメント202cと前記核酸固定抽出反応セル102との間のマイクロ流路に第3流体ダイヤフラムバルブ703が設けられ、前記核酸固定抽出反応セル102と前記固体試薬貯蔵アセンブリ3との間のマイクロ流路に第4流体ダイヤフラムバルブ704が設けられ、前記核酸固定抽出反応セル102と前記廃液固定チャンバー203との間のマイクロ流路に第5流体ダイヤフラムバルブ705が設けられ、前記固体試薬貯蔵アセンブリ3と前記増幅反応領域4との間のマイクロ流路に第6流体ダイヤフラムバルブ706が設けられる。
【0023】
図1乃至図4に示すように、前記コンパートメントは、前増幅試薬を貯蔵するための前増幅試薬コンパートメント202dをさらに備え、前記前増幅試薬コンパートメント202dがマイクロ流路を介して前記核酸固定抽出反応セル102と連通し、前記前増幅試薬コンパートメント202dと前記核酸固定抽出反応セル102との間のマイクロ流路に第7流体ダイヤフラムバルブ707が設けられ、試験プロセスに基づき、前記前増幅試薬コンパートメント202dを追加して他の必要な液体試薬を事前に格納することもでき、例えば入れ子式増幅のステップ1の増幅時に使用される核酸増幅試薬が、ターゲットプローブ、特異的なプライマー、dNTP、Taqポリメラーゼ、反応バッファー等が挙げられる。
【0024】
図1乃至図4に示すように、前記基板1に互いに連通される複数の溝101が設けられ、前記基板1にカバープレートが貼合され、前記カバープレートが前記溝101を取り囲んでマイクロ流路を形成し、カバープレート5と基板1の両側が貼合された後、密閉された複数の相互連通パイプとチャンバーが形成され、前記基板1に複数の弁座構造105が設けられ、複数の前記弁座構造105に複数の流体ダイヤフラムバルブ7が各々取り付けられる。
【0025】
図1乃至図4に示すように、前記廃液固定チャンバー203に開閉を独立して制御できる第1空気通路接続口1071及び開閉を独立して制御できる第2空気通路接続口1072が設けられ、前記試料貯蔵アセンブリ201は、前記第1空気通路接続口1071と連通し、前記第3コンパートメント202c又は前増幅試薬コンパートメント202dが前記第2空気通路接続口1072と連通する。
【0026】
図1乃至図4に示すように、ロータ部品6は、第1磁気ロータ601と、第2磁気ロータ602と、を備え、前記試料貯蔵アセンブリ201内に第1磁気ロータ601が設けられ、前記核酸固定抽出反応セル102内に第2磁気ロータ602が設けられ、前記試料貯蔵アセンブリ201に前記第1磁気ロータ601の回転を駆動するための第1磁石回転機構が取り付けられ、前記核酸固定抽出反応セル102に前記第2磁気ロータ602の回転を駆動するための第2磁石回転機構が取り付けられ、第1磁気ロータ601が混合セルのロータで、第2磁気ロータ602が固定抽出反応セルのロータであり、前記核酸固定抽出反応セル102に第1加熱モジュールが取り付けられ、前記増幅反応領域4に第2加熱モジュールが取り付けられている。
【0027】
図1乃至図4に示すように、前記試料貯蔵アセンブリ201は、主にチャンバー2011とカバーで構成され、前記試料貯蔵アセンブリ201のチャンバー2011内部に核酸抽出プロセス中に必要な核酸捕捉用磁気ビーズが事前に格納される。
【0028】
図1乃至図4に示すように、前記廃液固定チャンバー203内には、例えばスポンジ及び/又は吸水紙等の一組の多孔質の吸水性材料及び1つの廃液出口を含む。
【0029】
図1乃至図4に示すように、前記増幅反応領域4は、主に複数の反応ウェル401と反応ウェル401を接続するパイプ402で構成され、前記増幅反応領域4が接続部材を通じて前記基板1と接続し、前記増幅反応領域4の上に蛍光イメージング処理モジュールが取り付けられる。
【0030】
図1乃至図4に示すように、基板1と液体貯蔵アセンブリ2、固体試薬貯蔵アセンブリ3、カバープレート5とは、スナップフィット、接着剤、ホットプレス等の方法のうちの1種又は複数種を使用して、一緒に貼合される。
【0031】
図1乃至図4に示すように、増幅反応領域4内の反応ウェル401は、乾燥形態で核酸を増幅するためのターゲットプローブ又はプライマーが事前に格納される。
【0032】
図1乃至図4に示すように、基板1、液体貯蔵アセンブリ2、固体試薬貯蔵アセンブリ3、増幅反応領域4、カバープレート5は、主にポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、環状オレフィンコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのうちの1種又は複数であり得る、高分子ポリマーで構成される。
【0033】
図1乃至図4に示すように、流体ダイヤフラムバルブ7は、天然ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴムのうちの1種又は複数であり得る、シール性が良好な弾性材料で構成される。
【0034】
図1乃至図4に示すように、筐体は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、環状オレフィンコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体うちの1種又は複数であり得る、高分子ポリマーで構成される。
【0035】
本発明によって提供される核酸検出カートリッジの使用実施例1は、次の通りとする。
【0036】
(実施例1--抽出と増幅の統合)
1.本発明に記載の核酸を自動的に抽出及び検出する統合化カートリッジの実施形態を次の通り説明する。
【0037】
2.液体試料(唾液、液化された喀痰、血液、スワブリンス液等)を試料貯蔵アセンブリ201のチャンバー2011内に加えてからカバー(図示せず)を閉じて、補助的な外部装置内に入れると、自動化した核酸抽出及び検出を開始できる。
【0038】
3.外部装置は、開閉を独立して制御できる2つの空気通路接続口(第1空気通路接続口1071、第2空気通路接続口1072)、10個の下押しロッド、2個の局所的加熱モジュール、2個の磁石を備えた回転機構(第1磁石回転機構、第2磁石回転機構)及び1つの蛍光イメージング処理モジュールを少なくとも含み、各流体ダイヤフラムバルブ7に開閉を制御する1個の下押しロッドが対応して取り付けられ、各コンパートメントのプランジャー2022に押下を制御する1つの下押しロッドが対応して取り付けられる。
【0039】
4.被験試料を含む統合化カートリッジが機器に入れられた後、複数の下押しロッドは第1流体ダイヤフラムバルブ701、第2流体ダイヤフラムバルブ702、第3流体ダイヤフラムバルブ703、第4流体ダイヤフラムバルブ704をそれぞれ閉じ、第1空気通路接続口1071も閉じられ、この時チャンバー2011が独立した密閉空間を形成する。外部装置上のチャンバー2011の下にある第1磁石回転機構をオンにすると、試料と事前に入れられた試薬の十分な混合反応を実現できる。この工程は、試料内の検出すべき核酸を放出させることを目的とする。
【0040】
5.混合が完了した後、第1空気通路接続口1071が開かれ、第1コンパートメント202aにある下押しロッドが下降され、プランジャー2022を押してダイヤフラム2023を押して付け膨張変形させ、基板1上の先鋭突起103に突き刺され、第1コンパートメント202a内の核酸結合液を放出する。
【0041】
6.第1磁石回転機構を動かし続け、第1磁気ロータ601は放出された核酸、磁気ビーズ及び結合液を十分に混合させ、そして第1流体ダイヤフラムバルブ701を開くと共に空気源が第1空気通路接続口1071を通じてチャンバー2011内に正圧を提供して上記の混合液体を押して、「チャンバー2011-第1流体ダイヤフラムバルブ701(開)-核酸固定抽出反応セル102-第4流体ダイヤフラムバルブ704(閉)-第5流体ダイヤフラムバルブ705(開)-廃液固定チャンバー203」の順で流れる。
【0042】
7.この過程で磁気ビーズ粒子が液体とともに核酸固定抽出反応セル102に流れる時、核酸固定抽出反応セル102の下にある第2磁石の回転機構を静止したままで、磁気作用において、磁気ビーズ粒子が核酸固定抽出反応セル102内に固定され、液体は最終的に廃液固定チャンバー203に入る。
【0043】
8.その後下押しロッドの位置を調整し、第1流体ダイヤフラムバルブ701を閉じ、第2流体ダイヤフラムバルブ702を開く。同時に第2コンパートメント202bにある下押しロッドが下降され、プランジャー2022を押してダイヤフラム2023を押し付けて膨張変形させ、基板1にある先鋭突起103に突き刺され、第2コンパートメント202b内の核酸のすすぎ液を放出する。ここで言及すべき点は、この過程で下押しロッドは、コンパートメント内の液体を一度に押し出すことができるか、下降高さを制御することにより、液体を定量的かつ回数に分けて放出して、数回すすぐこともできる。
【0044】
9.第2コンパートメント202bから放出された核酸のすすぎ液は、第2流体ダイヤフラムバルブ702を経由して核酸固定抽出反応セル102に入り、核酸固定抽出反応セル102が低アスペクト比のチャンバーであり、投影形状が円形、菱形、楕円形、ひょうたん形等であり得、上述の各種形状により液体がチャンバーを充満できるのを保証する。核酸固定抽出反応セル102にすすぎ液が充満された後、下にある第2磁石回転機構が動き始め、第2磁気ロータ602を駆動させて前工程のチャンバー内に固定されている磁気ビーズをすすぎ液と十分に混合させる。
【0045】
10.そして第2磁石回転機構の動きが停止し、磁気作用において、一定時間静置した後、チャンバー内に浮遊している磁性ビーズ粒子が再び核酸固定抽出反応セル102内に固定される。
【0046】
11.磁気ビーズが固定された後、第2空気通路接続口1072及び第3流体ダイヤフラムバルブ703を開き、外部空気源の作用において、核酸固定抽出反応セル102内のすすぎ液が廃液固定チャンバー203に押し込まれる。
【0047】
12.すすぎ工程が完了した後、第3流体ダイヤフラムバルブ703を開いたままにし、第3コンパートメント202cにある下押しロッドが下降され、プランジャー2022を押してダイヤフラム2023を押し付けて膨張変形させ、基板1上の先鋭突起103に突き刺され、第3コンパートメント202c内の核酸溶離液を放出する。
【0048】
13.第3コンパートメント202cから放出された核酸溶離液は、第3流体ダイヤフラムバルブ703を経由して核酸固定抽出反応セル102に入る。核酸固定抽出反応セル102に溶離液が充満された後、下にある第2磁石回転機構が動き始め、第2磁気ロータ602を駆動させて前工程のチャンバー内に固定されている磁気ビーズを溶離液と十分に混合させ、同時に核酸固定抽出反応セル102の下にある第1加熱モジュールをオンにする。「混合+加熱」の温度を50~80℃の範囲に制御し、時間を180~600秒の範囲に制御することで、効果が最も高い。
【0049】
14.上述の操作が完了した後、第4流体ダイヤフラムバルブ704を開き、第5流体ダイヤフラムバルブ705を閉じ、外部空気源の作用において、溶離液は核酸固定抽出反応セル102から固体試薬貯蔵アセンブリ3の貯蔵筒301に入り、中の試薬と混合される。
【0050】
15.貯蔵筒301の上にある下押しロッドが下降され、混合後の試薬を増幅反応領域4内の反応ウェル401に押し込む。
【0051】
16.そして下押しロッドの下降を介して第6流体ダイヤフラムバルブ706を閉じ、各反応ウェル401が外部から隔離され、増幅反応領域4の下にある第2加熱モジュールをオンにし、増幅反応領域4の上にある蛍光イメージング処理モジュールをオンにする。反応温度を制御し、各独立した反応ウェルが核酸増幅反応を開始し、蛍光イメージング処理モジュールが反応ウェルの光信号に基づき、標的遺伝子を検出する。
【0052】
(実施例2--核酸抽出と入れ子式増幅の統合)
1.本発明に記載の核酸を自動的に抽出及び検出する統合化カートリッジの別の実施形態を次の通り説明する。
【0053】
2.この実施例の第1段階の操作は、実施例1の工程1~13と同じであり、すなわち第3コンパートメント202c内の核酸溶離液を核酸固定抽出反応セル102内に注入するが、対応するプランジャー2032の下降距離を制御することにより、溶離液が核酸固定抽出反応セル102を完全に充満されない。
【0054】
3.核酸の溶離が完了した後、第1流体ダイヤフラムバルブ701、第2流体ダイヤフラムバルブ702、第3流体ダイヤフラムバルブ703、第4流体ダイヤフラムバルブ704を閉じたままにし、第5流体ダイヤフラムバルブ705、第7流体ダイヤフラムバルブ707を開きままにし、前増幅試薬コンパートメント202dの上にあるプランジャー2032を押し下げ、一定量の前増幅試薬を核酸固定抽出反応セル102に放出し、下の第2磁石回転機構が動き、第2磁気ロータ602を駆動して前行程の溶離された核酸を前増幅試薬と十分に混合させ、混合時間を5~60秒に制御すると、効果が最も高い。
【0055】
4.混合した後、流体ダイヤフラムバルブの第1流体ダイヤフラムバルブ701、第2流体ダイヤフラムバルブ702、第3流体ダイヤフラムバルブ703、第4流体ダイヤフラムバルブ704、第5流体ダイヤフラムバルブ705、第7流体ダイヤフラムバルブ707を閉じ、核酸固定抽出反応セル102の下にある第1加熱モジュールをオンにし、核酸の前増幅反応をさせる。この増幅反応は、等温核酸増幅であり得、温度可変核酸増幅でもよい。
【0056】
5.前増幅が完了した後、第5流体ダイヤフラムバルブ705、第7流体ダイヤフラムバルブ707を開き、外部空気源の流量を制御することにより、一部の増幅産物を第4流体ダイヤフラムバルブ704、第5流体ダイヤフラムバルブ705を経由して廃液固定チャンバー203に入らせる。残存量は、核酸固定抽出反応セル102の全体の1/10~1/100であり得、実際の増幅反応に必要となる他の適切な比率でもよい。
【0057】
6.第3流体ダイヤフラムバルブ703を開き、第4流体ダイヤフラムバルブ704を閉じ、第3コンパートメント202cの上にあるプランジャー2032を押し下げ、核酸溶離液を放出して核酸固定抽出反応セル102に入って充満させ、この時核酸溶離液は前増幅産物を希釈する役割を果たす。下にある第2磁石回転機構が動き、第2磁気ロータ602を駆動して前工程の前増幅産物を希釈液と十分に混合させ、混合時間を5~60秒に制御すると、効果が最も高い。
【0058】
7.上述の操作が完了した後、第4流体ダイヤフラムバルブ704を開き、第5流体ダイヤフラムバルブ705を閉じ、外部空気源の作用において、希釈された前増幅産物は核酸固定抽出反応セル102から固体試薬貯蔵アセンブリ3の貯蔵筒301に入り、中の試薬と混合される。
【0059】
8.以降の操作は、基本的に実施例1における工程15~16と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によって提供される核酸検出カートリッジは、以下の利点を有する。
【0061】
1.核酸の抽出と増幅に必要な全ての試薬は、統合化カートリッジ(すなわち、チップ)上に内蔵され、液体試薬、乾燥粉末状の試薬を含み、使用者が試料を加えるだけで済み、操作が極めて簡単で、エンドユーザーの使用に最適である。
【0062】
2.入れ子式増幅をすることで、感度が大幅に向上できる。
【0063】
3.各構成要素は、医療産業で一般的に使用される材質とプロセスを用いるため、コストが大幅に削減される。
【0064】
上述の詳細な説明は、本発明を好ましい実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何ら限定されるものではない。当業者であれば、本発明の技術的思想から逸脱することなく好ましい実施例に多くの推論又は置換を加えることができ、かかる推論又は置換は本発明の保護範囲に含めると見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】