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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】無線周波数発生器
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
H05H1/46 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568175
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020064279
(87)【国際公開番号】W WO2020234453
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】1907306.3
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509337160
【氏名又は名称】コメット アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】グリューナー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】グリデ,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェルグ,ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】ラバンク,アントン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォー デム ブローク,マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】シュリエフ,ローランド
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084DD53
2G084HH05
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH25
2G084HH27
2G084HH28
2G084HH33
2G084HH37
2G084HH43
2G084HH52
2G084HH57
(57)【要約】
少なくとも1つの電力増幅器を備える電力増幅器モジュールと、少なくとも1つのピックアップ信号を生成するために、前記少なくとも1つの電力増幅器の出力に接続された少なくとも1つのピックアップモジュールと、少なくとも1つの増幅器のそれぞれの出力に接続されるように構成され、少なくとも1つの無線周波数出力信号を出力するように構成された少なくとも1つの出力とを備える、無線周波数発生器について説明する。無線周波数発生器は、少なくとも1つのピックアップ信号を受信し、少なくとも1つのピックアップ信号に基づいて少なくとも1つの測定信号を生成するように構成された測定モジュールと、異なる周波数の2つ以上のキャリア信号を生成し、電力増幅器モジュールへの入力として少なくとも1つの駆動信号を供給するように構成された無線周波数信号生成モジュールと、少なくとも1つの測定信号を受信し、少なくとも1つの測定信号に基づいて少なくとも1つの無線信号出力信号の電力を調整するように構成された調整モジュールと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電力増幅器を備える電力増幅器モジュールと、
少なくとも1つのピックアップ信号を生成するために、前記少なくとも1つの電力増幅器の出力に接続された少なくとも1つのピックアップモジュールと、
前記少なくとも1つの増幅器のそれぞれの出力に接続され、少なくとも1つの無線周波数出力信号を出力するように構成された少なくとも1つの出力と、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記少なくとも1つのピックアップ信号を受信し、当該少なくとも1つのピックアップ信号に基づいて少なくとも1つの測定信号を生成するように構成された測定モジュールと、
異なる周波数の2つ以上のキャリア信号を生成し、前記電力増幅器モジュールへの入力として少なくとも1つの駆動信号を供給するように構成された無線周波数信号生成モジュールと、
前記少なくとも1つの測定信号を受信し、前記少なくとも1つの測定信号に基づいて、前記少なくとも1つの無線周波数出力信号の電力を調整するように構成された調整モジュールと、を備える、無線周波数発生器。
【請求項2】
前記コントローラは、前記測定信号に基づいて、前記2つ以上のキャリア信号のうちの振幅及び/又は位相を調整することにより、前記少なくとも1つの無線周波数出力信号の電力を調整するように構成される、請求項1に記載の無線周波数発生器。
【請求項3】
前記調整モジュールは、前記無線周波数信号生成モジュールによって生成された2つ以上のキャリア信号の振幅及び/又は位相を調整することにより、前記少なくとも1つの無線周波数出力信号の電力を調整するように構成される、請求項1に記載の無線周波数発生器。
【請求項4】
前記電力増幅器モジュールは、少なくとも第2電力増幅器をさらに備える、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項5】
前記調整モジュールは、少なくとも2つの独立した調整ループで動作するように構成されている、請求項4に記載の無線周波数発生器。
【請求項6】
前記電力増幅器モジュールの少なくとも2つの電力増幅器は、共通のDC電源電圧で動作するように構成されている、請求項4に記載の無線周波数発生器。
【請求項7】
前記電力増幅器モジュールの少なくとも2つの電力増幅器は、別々のDC電源電圧で動作するように構成されている、請求項4に記載の無線周波数発生器。
【請求項8】
前記電力増幅器モジュール、前記少なくとも1つのピックアップモジュール、及び前記コントローラは、共通の筐体内に実装されている、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項9】
第1の筐体と、前記第1の筐体から物理的に分離された第2の筐体とをさらに備え、前記第1の筐体は、少なくとも2つの電力増幅器のうちの第1電力増幅器を構成し、前記第2の筐体は、少なくとも2つの電力増幅器のうちの第2電力増幅器を構成する、請求項4乃至8のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項10】
前記コントローラは、前記電力増幅器モジュールの少なくとも1つの電力増幅器のDC電源電圧を調整するようにさらに構成される、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項11】
前記無線周波数信号生成モジュールで生成されるキャリア信号の数は、前記無線周波数発生器の出力の数に対応する、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項12】
前記無線周波数信号生成モジュールで生成されるキャリア信号の数は、前記ピックアップモジュールの数に対応する、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項13】
前記無線周波数信号生成モジュールで生成されるキャリア信号の数は、前記電源増幅モジュールの電源増幅器の数に対応する、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項14】
前記電力増幅器モジュールの少なくとも1つの電源増幅器は、前記無線周波数信号生成モジュールで生成された少なくとも2つのキャリアで構成されるマルチキャリア駆動信号で駆動されるように構成されたブロードバンド又はマルチバンドの電力増幅器である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項15】
前記コントローラは、前記2つ以上のキャリア信号の位相を同期させる手段をさらに備える、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項16】
前記無線周波数発生器の少なくとも1つの出力における前記無線周波数出力電力を、他のDC及び/又は他の中周波数及び/又は他の無線周波数発生器と同期させるための外部インタフェースをさらに備える、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項17】
共通のAC入力回路をさらに備える、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項18】
前記少なくとも1つの無線周波数出力信号は、少なくとも100W、又は少なくとも200W、又は少なくとも250Wの電力を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項19】
前記少なくとも1つの無線周波数出力信号は、0.1MHz~200MHzの範囲の周波数を備える、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項20】
前記無線周波数発生器の少なくとも1つの出力は、プラズマ処理システムに接続されている、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項21】
前記コントローラは、前記RF出力の少なくとも1つにおける障害事象を検出し、前記ピックアップモジュールにおける前記障害事象の検出に基づいて、前記出力信号の1つ以上を調整するように構成されている、先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器。
【請求項22】
前記障害事象は、アーク事象である、請求項21に記載の無線周波数発生器。
【請求項23】
先行する請求項のいずれか一項に記載の無線周波数発生器と、
前記無線周波数発生器からのRF出力信号を受信するように構成された半導体処理装置と、を備える、プラズマ処理システム。
【請求項24】
無線周波数生成モジュールを用いて異なる周波数の少なくとも2つのキャリア信号を発生させ、電力増幅器モジュールに少なくとも1つの駆動信号を供給し、
少なくとも1つの無線周波数出力信号を測定し、少なくとも1つのピックアップモジュールから少なくとも1つのピックアップ信号を受信するように構成されたコントローラの測定モジュールを使用して、当該少なくとも1つのピックアップ信号に基づいて、少なくとも1つの測定信号を生成し、
前記測定モジュールから少なくとも1つの測定信号を受信するように構成された調整モジュールを使用して、少なくとも1つの無線周波数出力信号の電力を調整する、無線周波数発生器コントローラを動作させる方法。
【請求項25】
プロセッサによって実行されると、請求項24に記載の方法を実行する命令を含む、コンピュータプログラム要素。
【請求項26】
請求項25に記載のコンピュータプログラム要素を含む、コンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、無線周波数発生器、及びその無線周波数発生器を備えたプラズマ処理システムに関するものである。また、本開示は、発生器コントローラを動作するための方法、及び関連するコンピュータプログラム要素、及びコンピュータ読み取り可能媒体である。
【背景技術】
【0002】
高出力の無線周波数(RF)発生器は、よく知られており、例えば、半導体プラズマ処理用途に使用されている。この発電器によって供給される電力は、例えば、真空チャンバ内の処理ガスをイオン化するために使用され、生成されたプラズマを用いて、半導体製造のための様々な処理工程を実行することができる。
【0003】
無線周波数発生器は、半導体製造装置(プラズマによる薄膜の成膜、エッチング、改質など)だけでなく、医療機器(電気外科装置、磁気共鳴画像診断装置などの医療画像診断装置)、食品包装、工業用表面改質、コーティングなど、様々な用途に電力を供給するのに有用である。無線周波数電力を発生する発電器は、前述の各用途に有用である。ここで、無線周波数とは、20キロヘルツから300ギガヘルツの範囲の周波数を指す。
【0004】
文献「Power supply and impedance matching to drive technological radio-frequency plasma with customized voltage waveforms」(Franek et. al, AIP Review of Scientific Instruments 86, 053504 (2015); doi 10.1063/1.4921399)では、例えば、3つの連続した高調波に対応するマルチ周波数RF電源とインピーダンスマッチングについて述べている。これにより、マルチバンドRF信号を用いて、プラズマを生成することができる。
【0005】
US 2008/0251207 A1では、コントローラによって制御される複数のRF信号発生器を有するプラズマ製造システム用のRF発生器について述べている。RF信号発生器の出力は、結合される。結合されたRF信号は、プラズマ処理チャンバに適用する前にフィルタリングされる。それぞれのRF信号発生器を起動又は停止することで、プラズマ処理チャンバに印加される波形を制御することができる。
【0006】
US 2013/0214682 A1では、マルチRF発生システムをチューニングする方法について述べている。特に、低周波及び無線周波数のRF発生器は、「学習」段階の間に比較的長い時間をかけてチューニングされる。製造段階では、学習段階で学習したパラメータを使用して、学習段階がない場合と比較してはるかに高速に、製造中の低周波及び高周波のRF発生器の動作周波数を正確に設定することができる。
【0007】
US 2014/0320013 A1では、2つのスタンドアローンRF電源がマスター/スレーブモードで、周波数及び位相が制御されるプラズマエッチングシステム用のRF発生器について述べている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前述の文献に記載されているシステムは、さらに改良することが可能である。
【0009】
したがって、マルチRF周波数をより効率的に制御することができるRF発生器制御アプローチを提供することが望まれる。さらに、本発明の他の望ましい特徴及び特性は、添付の図面及び本発明の背景と合わせて考慮した、本発明の後続の詳細な説明及び添付の請求項から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、無線周波数発生器が提供され、以下の構成を備える。
少なくとも1つの電力増幅器を含む電力増幅器モジュールと、少なくとも1つのピックアップ信号を生成するために、前記少なくとも1つの電力増幅器の出力に接続された少なくとも1つのピックアップモジュールと、少なくとも1つの増幅器のそれぞれの出力に接続され、少なくとも1つの無線周波数出力信号を出力するように構成された少なくとも1つの出力と、コントローラと、を備える。
コントローラは、少なくとも1つのピックアップ信号を受信し、当該少なくとも1つのピックアップ信号に基づいて少なくとも1つの測定信号を生成するように構成された測定モジュールと、異なる周波数の2つ以上のキャリア信号を生成し、電力増幅器モジュールへの入力として少なくとも1つの駆動信号を供給するように構成された無線周波数信号生成モジュールと、少なくとも1つの測定信号を受信し、少なくとも1つの測定信号に基づいて、少なくとも1つの無線周波数出力信号の電力を調整するように構成された調整モジュールと、を備える。
【0011】
このように、スタンドアローン型の発生器ユニットに複数のコントローラを分散して配置するのではなく、発生器の単一のコントローラを使用して、最終用途にマルチ周波数RF電力を出力することができる(スタンドアローンとは、発生器が独立した筐体に別ユニットとして提供され、例えば、独立した電源、外部インタフェース、及び制御配置をもつことを意味する)。これにより、AC回路(AC主電源から増幅器モジュールへのDC供給電圧を生成するため)、外部通信インタフェース、筐体の重複が避けられるため、RF発生器のコスト削減が可能となる。
【0012】
さらに、マルチ周波数RF電力を同一のRF発生器内で共通に制御できるため、同期が必要な複数の信号を迅速かつ効率的に同期させることができる。これは、例えば、高速のフィードバックループを必要とする信号(例えば、出力電力に影響を与えるアーク抑制やその他の障害状態の抑制)に有利である。後に説明するように、この利点は主に、スタンドアローン型の発生器を使用した場合よりも通信プロトコルが速くなることに起因する。従来、マルチ周波数を供給するスタンアローン型の無線周波数発生器は、例えば、「PROFIBUS」(登録商標)インタフェースで制御されていたが、このようなプロトコルの通信遅延では、無線周波数用途で発生し得るアーク制御やその他の障害などの不具合を迅速に対策することができないことを意味する。
【0013】
好ましくは、調整モジュールは、少なくとも1つの測定信号に基づいて、2つ以上のキャリア信号のうちの少なくとも1つの振幅及び/又は位相を調整することにより、少なくとも1つの無線周波数出力信号の電力を調整するように構成される。
【0014】
このように、異なる周波数の信号が1つのコントローラで生成されるため、単一のコントローラは、より正確で必要に応じて同期した信号制御を行うことができる。
【0015】
好ましくは、電力増幅器モジュールは、少なくとも第2電力増幅器をさらに備える。
【0016】
好ましくは、2つ以上の電力増幅器は、共通のDC共通電圧で動作するように構成される。
【0017】
したがって、AC主電源から必要なDC供給電圧を生成することは、複数のDC供給電圧を生成する場合よりも複雑ではない。
【0018】
好ましくは、2つ以上の電力増幅器は、別々のDC供給電圧で動作するように構成される。
【0019】
したがって、各電力増幅器に、より高い又はより低いDC電源電圧を供給することができる。これにより、無線周波数発生器の各電力増幅器の出力電力を余分に制御することができる。
【0020】
好ましくは、調整モジュールは、少なくとも2つの独立した調整ループで動作するように構成される。
【0021】
好ましくは、コントローラは、調整モジュールからの少なくとも1つの測定信号に基づいて、少なくとも1つの電力増幅器のDC供給電圧を調整するように構成される。
【0022】
好ましくは、少なくとも1つの電力増幅器は、ブロードバンド電力増幅器であり、無線周波数信号生成モジュールは、2つ以上のキャリア信号をマルチキャリア駆動信号として生成するようにさらに構成される。
【0023】
好ましくは、少なくとも1つの電力増幅器は、マルチバンド電力増幅器であり、無線周波数信号生成モジュールはさらに、2つ以上のキャリア信号をマルチキャリア信号として生成するように構成されている。
【0024】
好ましくは、電力増幅器モジュールは、少なくとも1つのピックアップモジュール及びコントローラは、共通の筐体の中に実装されている。
【0025】
好ましくは、無線周波数発生機器は、少なくとも2つの電力増幅器のうちの第1電力増幅器を構成する第1筐体と、少なくとも2つの電力増幅器のうちの第2電力増幅器を構成する第1筐体から物理的に分離された第2筐体とを備える。
【0026】
好ましくは、無線周波数信号生成モジュールで生成されるキャリア信号の数は、無線周波数発生器の出力の数に対応する。
【0027】
好ましくは、無線周波数信号生成モジュールで生成されるキャリア信号の数は、ピックアップモジュールの出力の数に対応する。
【0028】
好ましくは、無線周波数信号生成モジュールで生成されるキャリア信号の数は、電力増幅器モジュールの電力増幅器の数に対応する。
【0029】
好ましくは、無線周波数生成モジュールは、他の無線周波数発生器又はDC発生器又は中周波発生器のうちの1つ又は複数を含むことができる他の発生器と無線周波数出力電力を同期させるための外部インタフェースをさらに備える。
【0030】
したがって、様々な信号を、移送、周波数、又は電力で同期させることができる。
【0031】
好ましくは、無線周波数発生器は、共通のAC入力回路をさらに備える。
【0032】
好ましくは、無線周波数発生器は、少なくとも100Wの出力信号を有する。
【0033】
好ましくは、無線周波数発生器は、少なくとも200Wの出力信号を有する。
【0034】
好ましくは、無線周波数発生器は、少なくとも250Wの出力信号を有する。
【0035】
好ましくは、無線周波数出力信号は、0.1MHz~200MHzの範囲の周波数を有し、好ましくは、1MHz~100MHzの範囲の周波数を有し、より好ましくは5MHz~85MHzの範囲の周波数を有している。
【0036】
好ましくは、無線周波数発生器は、プラズマ処理システムに電力を出力するのに適している。
【0037】
好ましくは、コントローラは、RF出力の少なくとも1つにおける障害事象を検出し、障害事象の検出に基づいて、1つ又は複数のRF出力信号を調整するように構成される。
【0038】
好ましくは、障害事象は、プラズマシステムにおけるアーク事象である。
【0039】
第2の態様によれば、前の態様又はその実施形態による無線周波数発生器と、発生器からRF信号を受信するように構成された半導体処理装置とを備えるプラズマ処理システムが提供される。
【0040】
第3の態様によれば、無線周波数発生器及び/又はRF発生器コントローラを動作させる方法であって、以下を含む方法が提供される。
無線周波数生成モジュールを用いて異なる周波数の少なくとも2つのキャリア信号を発生させ、電力増幅器モジュールに少なくとも1つの駆動信号を供給し、
少なくとも1つの無線周波数出力信号を測定し、少なくとも1つのピックアップモジュールから少なくとも1つのピックアップ信号を受信するように構成されたコントローラの測定モジュールを使用して、当該少なくとも1つのピックアップ信号に基づいて、少なくとも1つの測定信号を生成し、
前記測定モジュールから少なくとも1つの測定信号を受信するように構成された調整モジュールを使用して、少なくとも1つの無線周波数出力信号の電力を調整する、無線周波数発生器コントローラを動作させる。
【0041】
第4の態様によれば、プロセッサによって実行されると、第3の態様の方法を実行する命令を含むコンピュータプログラム要素が提供される。
【0042】
第5の態様によれば、第4の態様のコンピュータプログラム要素を含むコンピュータ読み取り媒体が提供される。
【0043】
典型的には、電力増幅器は、目標動作周波数又はその近傍で動作するように最適化される。この周波数又はその近傍では、電力増幅器の効率が最適化される。このような目標動作周波数は、例えば、2MHz、又は6.78MHz、又は13.56MHz、又は27.12MHz、又は40.68MHz、又は電力増幅器を構成するRF発生器の正確な用途に応じた他の任意の周波数であってもよい。目標動作周波数から離れた周波数で動作すると電力増幅器の効率が低下するため、電力増幅器はデフォルトで(つまり、適切な設計上の措置を取らない限り)「ナローバンド電力増幅器」となる。しかしながら、一部の用途によっては、広い周波数範囲で効率が大きく低下しない電力増幅器があると有利である。このような電力増幅器は、「ブロードバンド電力増幅器」と呼ばれる。例えば、10.2MHz~16.8MHzまでの周波数の範囲で電力増幅器を動作させても、この周波数範囲全体で効率が大きく低下することなく有利な場合がある。さらに他の用途では、2つ以上の周波数で良好な効率で動作可能であるが、周波数間の大部分の周波数範囲は、あまり関連性がない電力増幅器を有することが有利である可能性がある。例えば、13.56MHz付近、2MHz付近、40.68MHZ付近で良好であるが、例えば10.2MHzでも16.8MHzでも特に効率は要求されない電力増幅器が望ましい場合がある。
【0044】
以下の用途において、「ブロードバンド電力増幅器」という用語は、40%以上の相対的な帯域幅に亘って動作するRF電力増幅器を指すと理解され、ここで、相対的な帯域幅は、公称電力における効率低下が10%未満である(中心周波数に正規化された)周波数範囲として定義される。
【0045】
以下の用途において、「マルチバンド電力増幅器」という用語は、2つ以上の周波数で同時に動作し、周波数値のうちの少なくとも2つの間の比が1.2を超えるRF電力増幅器を指すと理解される。
【0046】
以下の用途において、「駆動信号」という用語は、電力増幅器を駆動している信号を指す。したがって、駆動信号は、本質的に同じ周波数スペクトルを有するより高い電力信号に増幅されるために、電力増幅器に供給される小さな(低電力の)信号である。このような駆動信号は、シングルキャリア信号(単一の周波数成分を持つ)であっても、マルチキャリア信号(マルチ周波数成分が明確に存在する)であってもよい。したがって、駆動信号は、1つまたは複数(の算術的組み合わせ)のキャリア信号で構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
以下、本発明を以下の図面図と併せて説明するが、同様の数字は同様の要素を示す。
【0048】
図1】複数のスタンドアローン発電器からなる従来の発電器システムのブロック図である。
図2】様々な実施形態に係る電力増幅器を有する発電器のブロック図である。
図3】様々な実施形態に係る電力増幅器を有する発電器のブロック図である。
図4】さらなる様々な実施形態に係る複数の電力増幅器を有する発生器のブロック図である。
図5】第2の態様に係るプラズマ処理システムのブロック図である。
図6】第3の態様に係る方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示的なものであり、本発明又は本発明の適用及び使用を制限することを意図しない。さらに前述した背景又は以下の詳細な説明で提示されたいかなる理論にも拘束される意図はない。
【0050】
既存のプラズマ処理システムは、プラズマ処理チャンバにマルチ周波数を適用するように任意で構成されているが、これはチャンバ内のイオン種を細かく制御することができるため、プラズマ処理(プラズマエッチング、又はプラズマ蒸着など)の制御性が向上するためである。例えば、従来のマルチ周波数によるプラズマ処理では、2MHz、13.56MHz、27.12MHz、60MHzのナローバンド周波数、又はよりより広い周波数の範囲でカスタマイズされたスペクトルを持つブロードバンド信号を適用することができる。従来は、プラズマ処理チャンバに適用する周波数チャンネルごとに個別の(スタンドアローンの)無線周波数(RF)発生器が設けられていた。
【0051】
図1は、第1従来型RF発生器10、第2従来型RF発生器32、及び第3従来型RF発生器34を備える従来型マルチ周波数供給配置を示している。第1従来型RF発生器10は、外部通信インタフェースEXT、AC供給インタフェースS、及びRF出力インタフェースRFOUT1を備える。
【0052】
外部通信インタフェースEXTは、任意に双方向又は単方向であり、例えば、第1従来型RF発生器10の構成を調整するために、プラズマ処理の制御システム(図示せず)から制御信号を受信し、任意に第1RF発生器のパラメータフィードバックを制御システムに返送するように構成されている。供給インタフェースSは、例えば、AC230ボルトの主電源に接続される。このようなAC入力回路12は、AC主電源を安定化されたDC供給電圧に変換するための整流器及び他の回路で構成することができる。以下において、「AC回路」という用語は、当業者によく知られているこのようなAC入力回路12を説明する。結果として得られる安定化されたDC電源電圧は、その後、RF発生器の様々な要素、特に増幅器によって使用することができる。RF出力インタフェースRFOUT1は、例えば、N型コネクタに接続された高出力50オームの伝送線を介して、プラズマ反応室にRF電力を伝送することを可能にする。
【0053】
特に、外部通信インタフェースEXTは、RS232、「PROFIBUS」(登録商標)、「CANBUS」(登録商標)、または「FIELDBUS」(登録商標)などの産業機器制御規格のいずれかを使用するように構成されており、または、任意に、独自のデジタルまたはアナログ制御規格、イーサネットなどを使用するように構成されていてもよい。このように、第1従来型RF発生器10は、信号EXTを受信し、その信号を用いて第1従来型RF発生器10を構成するように構成された外部通信インタフェース回路24aを備えている。
【0054】
第1従来型RF発生器10は、例えば、半導体プラズマ蒸着またはエッチングプロセスに有用な周波数でRF信号(低電力の小信号)を発生させるように構成された信号発生器30を有するコントローラ22を備える。信号発生器30は、アナログまたはデジタルの発振器として提供され、任意に、安定性を高めるために位相ロックループ及び/又はブロードバンド信号源を組み込むことができる。信号発生器の出力は、小信号をプラズマ処理に有用な高電力レベルにまで増幅することができる第1電力増幅器14に供給される。第1電力増幅器14の出力は、第1RF出力RFOUT1に接続されている。第1電力増幅器14は、小信号を、例えば、50W~1000Wの範囲のRF電力信号に増幅することができる。任意で、第1電力増幅器14は、可変利得を有する。
【0055】
第1電力増幅器14の出力は、第1電力増幅器14の出力における信号振幅及び/又は電流を監視することができる第1ピックアップモジュール16に接続されている。例えば、ピックアップモジュール16は、方向性結合器、または電圧-電流プローブである。基本的には、第1電力増幅器14の出力をサンプリングするために、信号情報をピックアップする。ピックアップモジュール16の出力20は、同じくコントローラ22に設けられた測定ユニット26に提供される。したがって、測定ユニット26は、第1電力増幅器14の出力における電圧及び/又は電流レベルを監視することができ、監視された信号を調整モジュール28に供給する。
【0056】
調整モジュール28は、監視された信号に基づいて、第1従来型RF発生器10のコントローラ22に変更を加えるべきか否かを計算することができるデジタル及び/又はアナログ回路である。例えば、調整モジュール28は、無線周波数信号生成モジュール30の周波数、振幅、位相シフト、または任意のフィルタ特性を調整してもよい。さらに、調整モジュール28は、例えば、第1電力増幅器のゲイン18を調整してもよい。
【0057】
図1は、さらに2つのRF発生器32及び34を示している。これらのRF発生器は、同じ設計またはモデルであってもよいし、異なる設計またはモデルであってもよい。しかしながら、図示された従来例の更なるRF発生器は、完全に別個のスタンドアローンのRF発生器として提供される。言い換えれば、発生器10は、発生器32および発生器34とは別のラックマウントユニットなどの別の筐体に設けられている。発生器は、供給インタフェースSおよびSに接続されている。さらに、第1RF発生器10は、外部インタフェース24aを有する。第2RF発生器は、外部インタフェース24bを有する。第3RF発生器は、外部インタフェース24cを有する。
【0058】
RF発生器10、32、34は、それぞれの外部インタフェース24a、24b、24cを介して、同じ制御システムに接続されてもよい。しかし、当業者であれば、「PROFIBUS」(登録商標)などのインタフェースシステムにおけるアドレス指定または競合要件に起因する内蔵のタイミング制約のために、通信プロトコルが数ms(数千分の1秒)から約0.1秒のオーダーの時間を必要とするため、プラズマ処理システムの状況において問題となる3つのRF発生器の間で、大幅な遅延および時間同期の問題が発生し得ることを理解するであろう。
【0059】
この問題の一例は、複数の電源を使用して励起されるプラズマで発生し得るアーク事象を制御して対処することである。アーク事象は、通常、msよりもはるかに短い時間スケールで発生する。第1RF発生器10の調整モジュール28がアーク事象を検出し、改善措置(第1電力増幅器14のゲインを調整して信号RFOUT1の振幅を変化させることや、無線周波数信号生成モジュール30からの信号を調整することなど)をとった場合、外部インタフェースEXTおよびEXTを介して第2RF発生器32および第3RF発生器34に通信するための十分な時間がなく、アーク事象を処理する際の連携が取れないことになる。
【0060】
さらに、マルチ周波数RF発生器システムにおいて、多くの異なる別個のRF発生器を共同配置させることは、依然として、AC入力回路、外部入力インタフェース回路、ハウジングおよび冷却システムなどの重複をもたらす。
【0061】
図2は、第1の態様によるRF発生器を示す図である。
【0062】
そこで、第1の態様によれば、図2に示されるように、少なくとも1つの電力増幅器42からなる電力増幅器モジュール41を備えた無線周波数発生器40を提供することが提案される。また、無線周波数発生装置は、電力増幅器モジュール41の少なくとも1つの電力増幅器42の出力に接続された少なくとも1つのピックアップモジュール44と、少なくとも1つの無線周波数電力信号を出力するように構成された少なくとも1つの増幅器42の出力に接続された少なくとも1つのRF出力RFOUT1と、マルチ周波数からなる2つ以上のキャリア信号を生成し、これらのキャリア信号に基づく駆動信号を電力増幅器42に供給して少なくとも1つの無線周波数電力信号に増幅させるように構成された無線周波数生成モジュール48を含むコントローラ46とを備える。また、コントローラは、ピックアップモジュール44から少なくとも1つのピックアップ信号を受信し、少なくとも1つのピックアップ信号に基づいて少なくとも1つの測定信号52を生成するように構成された測定モジュール50を備え、さらに、測定モジュールから少なくとも1つの測定信号を受信し、無線周波数出力信号の電力を調整するように構成された調整モジュール54を備える。コントローラ46は、電力増幅器42を駆動するためのキャリア信号を生成するように、無線周波数生成モジュールを調整するように構成されている。好ましくは、少なくとも1つの電力増幅器42は、マルチバンド電力増幅器である。好ましくは、少なくとも1つの電力増幅器42は、ブロードバンド電力増幅器である。
【0063】
発生器は、AC入力回路60と、外部通信インタフェース回路58とから構成されている。図2の実施形態では、電力増幅器42は、ブロードバンド、又はマルチバンド電力増幅器であり、無線周波数信号生成モジュール48は、複数のn個のキャリア信号周波数を生成し、n個のキャリア信号を算術的に結合することによって、電力増幅器42に駆動信号を提供するように構成されている。言い換えれば、n個の異なるスタンドアローンユニットを用いてn個の異なる周波数でRF電力を供給する代わりに、1つのスタンドアローンユニットを用いてn個のRF周波数が供給される。電力増幅器42の出力からRF発生器のRF出力RFOUT1に供給されたn個の周波数成分からなる増幅されたRF(電力)信号のモニタリングは、ピックアップモジュール44(例えば、ピックアップモジュールは、電力RF信号の特性をピックアップするための十分な数(最大n個)のサンプリング素子(V/Iプローブや方向性結合器などの素子)で構成される)によって行われる。これらのピックアップ信号は、前述の測定モジュール50に供給される。このような態様により、RF電力発生器の出力に供給されるRF電力信号の生成に制御ループを設けることができ、これらの制御ループを用いてRF電力信号の出力特性を最適化することができる。負荷の電気的特性が変化した場合(これは例えばプラズマ処理では非常に一般的である)、無線周波数発生器の出力をリアルタイムで(あるいは少なくとも可能な限りわずかな遅延で)最適化する必要がある。
【0064】
有利なことに、測定モジュール50によって障害状態(アーク状態など)が検出された場合、調整モジュール54は、影響を受ける周波数成分を調整することができる(例えば、対応する周波数fのキャリア信号の振幅を小さくする)。すべての周波数成分が同じコントローラ46によって監視されるため、同一のコントローラのキャリア信号を使用する場合、(Profibus(登録商標)など)n個の外部インタフェースを介して通信する場合の反応時間と比較して、障害状態(アークなど)を抑制するための反応時間が大幅に短縮される。言い換えれば、RF発生器のアプリケーションにおける障害状態を、外部インタフェースを介した長時間の通信を行うことなく抑制することができる。
【0065】
好ましくは、測定モジュール50は、アーク検出器(図示せず)を備える。アーク検出器は、1つまたは複数のピックアップ信号を監視して、アーク状態を判定してもよい。例えば、アーク状態は、ピックアップモジュール44におけるRF電流および電圧を、RF発生器の動作モードにおいて予想される状態と比較することによって検出されてもよい。任意で、アーク状態は、ピックアップモジュールの1つまたは複数の信号の信号処理を用いて検出してもよい。任意で、1つまたは複数のピックアップモジュールを設置して、順方向電力および/または反射電力を監視してもよい。
【0066】
好ましくは、そのようなアーク検出器は、FPGA(field programmable gate array)または高速割り込みを備えたリアルタイムプロセッサなどの高速カスタムロジックで実装することができる。任意で、アーク検出器は高速アナログ回路である。
【0067】
したがって、一実施形態は、複数のキャリア信号を生成し、それに基づいて駆動信号を提供して、少なくとも1つのRF増幅器42を駆動する少なくとも共通の制御回路に関する。駆動信号は、少なくとも2つのキャリア信号(2つの周波数成分)、または2つ以上のキャリア信号、または2つ以上のキャリア信号の演算で構成することができる。これにより、マルチピックアップ測定システムとともに、RF発生器の出力に提供されるRFパワー信号を最適化するための複数の制御ループの実装することが可能となる。
【0068】
好ましくは、1つまたは複数の電力増幅器は、有利にはマルチバンド電力増幅器として実装されてもよい。
【0069】
好ましくは、1つまたは複数の電力増幅器は、有利には、ブロードバンド電力増幅器として実装されてもよい。
【0070】
好ましくは、電力増幅器は、共通のDC電圧供給によって供給されてもよい。
【0071】
好ましくは、電力増幅器は、主電源に接続された共通のAC供給回路60から得られる異なるDC電圧供給によって供給されてもよい。
【0072】
好ましくは、サーキットブレーカ、コネクタ、および/または外部通信インタフェース58などの補助回路部品は、単一のコントローラ46を介して、測定モジュール、無線周波数生成モジュール48、および調整モジュール54によって共有することができる。
【0073】
好ましくは、調整モジュール54は、複数の制御素子54a、54b、54cから構成されている。第1制御素子54aは、ピックアップモジュール44を介してRF出力からピックアップされた周波数fの信号成分を有する測定信号52を受信するように構成される。第1制御素子は、周波数fの信号成分を、期待される値または値の範囲と比較する。測定信号52の状態(大きさ、位相シフト、周波数オフセット、高調波成分、変化率)が予想される場合、第1制御素子は、無線周波数生成モジュール48によって提供される(周波数fの)対応するキャリア信号を調整しない(修正しない)。第1測定信号52の状態が予想されない場合、第1制御素子は、周波数fの対応するキャリア信号を変化させることによって、無線周波数生成モジュール48を調整する。この変化は、例えば、大きさ、位相、または周波数オフセットの変化であってもよい。
【0074】
換言すれば、ピックアップモジュール44から測定モジュール50、調整モジュール54、無線周波数信号生成モジュール48、第1電力増幅器42を経由したループは、無線周波数電力発生器の第1周波数の制御ループを形成する。コントローラ46の制御ループは、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、および/またはFPGAな又は他のプログラマブルロジックなどのデジタル処理要素として実装されてもよいし、アナログ制御回路として実装されてもよい。
【0075】
好ましくは、調整モジュールの制御ループは、例えば、第1周波数fでピックアップモジュール44でピックアップされた一時的な障害状態(半導体処理チャンバ内のアーキング状態など)を識別し、先に説明したように、第1電力増幅器42の駆動信号に寄与する対応する周波数fのキャリア信号を調整するように機能する。このフィードバックループにより、例えば、出力電力を低減することによって、一時的な障害状態に対抗する手段を実施することができる。
【0076】
好ましくは、コントローラ46は、第2周波数fで第2の一時的な障害状態を識別して修正するための第2制御素子54bを備える。識別される障害状態の数には制限はない。図2は、異なる周波数の障害状態を検出して対処するための離散的な数の制御素子54a、54b、54cを示している。図2では、電力増幅器モジュール41は1つの電力増幅器42のみで構成されており、その例では、2つのキャリア信号のみが無線周波数信号生成モジュールによって生成されている。この実施形態は、1つの単一のコントローラ、および1つの単一の電力増幅器(マルチバンドにすることができる)を使用して、安価な2つの周波数の無線周波数電力発生器を提供するのに特に有利である。無線周波数発生器RFOUT1の出力における電力RF信号は、基本的に2つの異なる周波数におる2つの寄与からなる。
【0077】
好ましくは、コントローラ46は、測定モジュール50からの測定信号に基づいてキャリア信号を調整することによって、第1電力増幅器42の無線周波数出力の出力電力を調整するように構成される。代替的にまたは組み合わせて、コントローラ46は、測定モジュールからの測定信号に基づいて、第1電力増幅器のDC電圧供給55を調整するように構成される。例えば、測定モジュールが壊滅的な障害状態を検出した場合(これは、例えば、図2に示されていないプラズマ処理チャンバへの電源接続ケーブルにおける絶縁不良であり得る)、調整モジュール54は、電力増幅器42のDC電圧供給55を遮断することによって、電力を迅速にゼロに調整する。
【0078】
図2に図示されているものによる無線周波数発生器は、このように、複数のキャリア信号(2つが図示されているf、f)を発生させ、第1電力増幅器42に駆動信号を提供し、発生器の出力における電力を調整することができる。デュアル周波数発生器は、単一周波数の無線周波数発生器と比較して、プラズマ処理アプリケーションのための第2制御ノブを追加することになり、2つの独立した無線周波数発生器を使用するよりも、よりシンプルで、より安価で、よりかさばらない。さらに、共通コントローラ46は、プラズマの不安定性または電気負荷の任意の障害状態へのより早い応答を可能にするので、プラズマ処理に追加の制御機能をもたらす。
【0079】
図3は、2つの電力増幅器42a、42bを有する電力増幅器モジュール41と、無線周波数生成モジュール48によって生成された3つのキャリア信号f、f、fと、2つの電力増幅器を駆動する2つの駆動信号(電力増幅器42a、42bの入力に各矢印で示す)とを有する無線周波数発生器40の実施形態のブロック図である。なお、図示の例では、電力増幅器42aを駆動する信号は1つのキャリア信号fに基づいているのに対し、電力増幅器42bを駆動する信号は2つのキャリア信号f、fに基づいている。また、図3において、図2の特徴と共通して説明した特徴には、同様の参照数字が付されていることに留意されたい。
【0080】
第1電力増幅器および第2電力増幅器は、ナローバンド電力増幅器であってもよいし、ナローバンド電力増幅器(図3の42a)およびマルチバンド電力増幅器(図3の42b)の組み合わせであってもよい。ピックアップモジュール44aは、第1RF出力信号RFOUT1における信号の表現を取得し、その表現を測定モジュール50の第1チャネルCに参照するように構成される。ピックアップモジュール44bは、第2RF出力信号RFOUT2における信号の表現を取得し、その表現を測定モジュール50の第2チャネルCに参照するように構成される。
【0081】
コントローラ46の調整モジュール54は、第1および第2のピックアップモジュール44aおよび44bの表現を含む測定モジュール50から測定信号52を受信するように構成される。
【0082】
コントローラはまた、ピックアップモジュール44aから少なくとも1つのピックアップ信号を受信し、少なくとも1つのピックアップ信号に基づいて少なくとも1つの測定信号52を生成するように構成された測定モジュール50を備え、測定モジュールから少なくとも1つの測定信号を受信し、無線周波数出力信号の電力を調整するように構成された調整モジュール54をさらに備える。コントローラ46は、信号56によって無線周波数生成モジュールを調整して、電力増幅器42a、42bに駆動信号を提供するためのキャリア信号f、f、fを発生させるように構成されている。好ましくは、少なくとも1つの電力増幅器(例えば42b)は、マルチバンド電力増幅器である。好ましくは、少なくとも1つの電力増幅器(例えば42a)は、ブロードバンド電力増幅器である。
【0083】
好ましくは、調整モジュール54は、複数の制御素子54a、54b、54cを備える。第1制御素子54aは、第1ピックアップモジュール44aによって生成されたピックアップ信号に基づく測定信号52を受信するように構成されている。第1制御素子は、ピックアップ信号を、期待される値または値の範囲と比較する。測定信号52の状態(大きさ、位相シフト、周波数オフセット、高調波コンテンツ、変化率)が予想される場合、第1制御素子54aは、対応するキャリア信号(複数可)を調整しない(変更しない)。
【0084】
第1測定信号52の状態が予想されない場合、第1制御素子は、対応するキャリア信号fまたはキャリア信号fおよびfを変化させることによって、信号発生器48を調整する。この変化は、例えば、大きさ、位相、または周波数オフセットの変化であってもよい。キャリア信号の変化に伴い、第1電力増幅器42aおよび/または第2電力増幅器42bを駆動する駆動信号が変化し、RF電力RFOUT1またはRFOUT2の出力が変化することになる。RFOUT1とRFOUT2は異なる周波数の電力信号に対応しているので、無線周波数発生器は選択された周波数で、または拡張された周波数範囲で調整することができる。例えば、マルチバンド電力増幅器42bとナローバンド電力増幅器42aの組み合わせで、無線周波数発生器の周波数スペクトルと電力レベルを有利に調整することができる。
【0085】
図3の実施形態では、1つの駆動信号は、2つ以上のナローバンドキャリア信号fおよびfを含む。
【0086】
図2を用いて説明した態様と同様に、図3の無線周波数発生器を用いて制御ループを実装することができる。コントローラ46の制御ループは、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイなどのプログラマブルロジックなどのデジタル処理素子、またはアナログ制御回路として実装することができる。
【0087】
さらに多くの電力増幅器を使用すれば、無線周波数発生器の出力周波数スペクトルの選択肢が増えるため、アプローチは図示した2つの電力増幅器に限定されない。電力増幅器の数が多ければ、プラズマ処理チャンバまたは他の無線周波数用途のための出力電力(電力および周波数の)をより細かく制御することができる。
【0088】
図4は、マルチ増幅器RF発生器40のさらなる実施形態を示している。図4において、図2または図3のものと共通して説明される特徴は、同様の参照数字を有する。
【0089】
図4は、第1の42a、第2の42b、および第mの42mの電力増幅器をさらに含む電力増幅器モジュール41を含む、マルチ増幅器RF発生器40の実施形態を示す。任意で、電力増幅器の1つ以上は、無線周波数生成モジュール48によって生成された2つ以上のキャリア信号からなる駆動信号によって駆動されるマルチバンド電力増幅器である。
【0090】
あるいは、各電力増幅器はナローバンドであり、例えば、第1電力増幅器42aは、13.56MHzの中心周波数に最適化され、第2電力増幅器42bは、27.12MHzの中心周波数に最適化され、第3電力増幅器は60MHzの中心周波数に最適化されている。このような周波数値は指標であり、当業者であれば、異なるRF発生器の用途に応じて異なるものを使用することができるであろう。
【0091】
図4の実施形態では、各電力増幅器は、それぞれ個別のDC電源55a、55b、・・・、55mによって供給される。あるいは、電力増幅器の1つまたは複数が、共有のDC電源から供給される。
【0092】
コントローラ46が、マイクロコントローラ、またはデジタルシグナルプロセッサ、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイなどのプログラマブルロジックなどのデジタル処理素子として実装される上述の実施形態では、コントローラが実行する処理を定義するために、コンピュータコードまたはフィールドプログラマブルゲートアレイの論理定義が使用されてもよい。コンピュータコードは、コントローラが上述の制御機能を実行するように構成されるように、RF発生器の起動時にそれぞれのデジタル処理要素にロードされる。
【0093】
上述の実施形態で論じたコントローラ46の信号発生器48は、信号をネイティブに生成してもよい。あるいは、信号発生器48は、信号発生器48がアナログ信号発生器を制御するように、1つまたは複数のアナログ信号発生器回路(図示せず)に接続されていてもよい。
【0094】
このように、第4の態様によれば、コントローラ46を制御するためのコンピュータプログラム要素が提供される。
【0095】
第5の態様によれば、第4の態様のコンピュータプログラム要素を含むコンピュータ読み取り可能媒体が提供される。
【0096】
一般に、上述の実施形態は、1つの増幅器からm数の増幅器(mはnと等しいか小さい)の間に分配される2つ以上(最大n)のキャリア信号を生成する無線周波数信号生成モジュール48を有する1つのコントローラ46を有するRF発生器に関する。増幅された各信号は無線周波数発生器の出力に供給され、各信号は対応するピックアップモジュール44(方向性結合器、V/Iプローブなど)に接続される。コントローラ46は、マルチチャンネル測定モジュール50、無線周波数生成モジュール48、および調整モジュール54から構成され、個々の電力増幅器を駆動するためのキャリア信号を生成することにより、複数の電力増幅器の電力を調整する。制御ループは、無線周波数発生器の出力で最適な電力と周波数スペクトルを提供するために実装される。
【0097】
各信号は、周波数、振幅、および位相で定義される。電力増幅器は、ナローバンド、マルチ、またはブロードバンド増幅器を指すことができる。
【0098】
各電力増幅器44は、個別のDC電圧供給55を供給するか、電力増幅器のサブセットとDC電圧供給を共有することができ、必要なDC電圧供給の数、およびAC電源からDC電圧供給を得るために(必要な)AC回路の数を節約することができる。
【0099】
好ましくは、電力増幅器の出力電力の制御は、(i)各電力増幅器に電力を供給するDC電圧の制御、(ii)各電力増幅器を駆動するために使用されるキャリア信号の周波数、位相および/または振幅の制御、または(iii)(i)および(ii)の両方の組み合わせによって達成される。
【0100】
要約すると、実施形態の組み合わせは、例示的な目的のためだけに提供される少なくとも以下の任意のケースを含む。
【0101】
少なくとも第1および第2駆動信号がナローバンド信号であるため、無線周波数発生器のコントローラの無線周波数生成モジュールによって生成された個々のキャリア信号を用いて生成することができる無線周波数発生器。
【0102】
1つの駆動信号が1つのパワーアンプに供給される無線周波数発生器であって、駆動信号は、無線周波数発生器のコントローラの無線周波数発生モジュールによって生成された2つのキャリア信号の算術的な組み合わせである。
【0103】
駆動信号が、広い周波数範囲に様々なキャリア信号からなるブロードバンド信号を提供し、電力増幅器モジュールのブロードバンド電力増幅器によって増幅される無線周波数発生器。
【0104】
第1ナローバンド駆動信号が第1ナローバンド電力増幅器によって増幅され、第2のマルチバンド駆動信号が第2マルチバンド電力増幅器によって増幅される無線周波数発生器。
【0105】
第1ナローバンド駆動信号が第1ナローバンド電力増幅器チャネルで増幅され、第2ブロードバンド駆動信号が第2ブロードバンド増幅器で増幅される無線周波数発生器。
【0106】
第1マルチバンド駆動信号、第2ブロードバンド駆動信号、第3ナローバンド駆動信号が以下のように増幅される無線周波数発生器であって、第1マルチバンド駆動信号は、第1マルチバンド増幅器で増幅される。第2ブロードバンド駆動信号は、ブロードバンド増幅器で増幅され、第3ナローバンド駆動信号は、第3ナローバンド増幅器で増幅される。
【0107】
発生器は、多くの異なる方法で出力を組み合わせてもよい。例えば、発生器は、2つのナローバンドRF電力信号を結合された出力に同時に適用するように構成されてもよい。あるいは、発生器は、ナローバンド電力信号の適用を交互に行うように構成されてもよい。
【0108】
図5は、上述した実施形態による発生器70と、発生器から2つ以上のRF信号を受信するように構成された半導体処理モジュール72とを備えるプラズマ処理システム68を示している。
【0109】
半導体処理モジュールは、例えば、シリコンウェハをプラズマ処理(プラズマエッチング、またはプラズマ蒸着)するためのプラズマチャンバ72を備えている。したがって、プラズマチャンバは、シリコンウェハの近傍に処理ガスを封入することができるガス密閉型のモジュールである。プラズマチャンバには、ウェハ搬送装置と嵌合可能な密閉式の開口部が設けられている。適当な位置に第1及び第2の電極を設ける。第1及び第2の電極は、発生器70に接続されている。発生器は、例えば高出力同軸コネクタを介してRF発生器に接続されている。高出力RF信号は、第1電極と第2電極との間に急速に変化する電界を誘導し、これにより、適切な処理ガスの存在下で、処理プラズマを形成することが可能となる。
【0110】
図6は、第3の態様による発生器コントローラを動作させる方法を示す。この方法は、以下を含む。
【0111】
無線周波数生成モジュールを使用して、異なる周波数の少なくとも2つのキャリア信号80を生成し、電力増幅器モジュールに少なくとも1つの駆動信号を供給80すること。
【0112】
少なくとも1つの無線周波数出力信号を測定82し、少なくとも1つのピックアップモジュールから少なくとも1つのピックアップ信号を受信するように構成されたコントローラの測定モジュールを使用して、少なくとも1つのピックアップ信号に基づいて少なくとも1つの測定信号を生成すること。
【0113】
測定モジュールから少なくとも1つの測定信号を受信するように構成された規制モジュールを使用して、少なくとも1つの無線周波数出力信号のパワーを調整84すること。
【0114】
好ましくは、コントローラの調節モジュールは、コントローラの測定モジュールから少なくとも1つの測定信号を受信し、無線周波数信号生成モジュールを調整して、少なくとも1つの測定信号に基づいて、2つ以上のキャリア信号のうちの少なくとも1つの振幅、位相、および/または周波数を変更する。
【0115】
好ましくは、コントローラは、測定モジュールから少なくとも1つの測定信号を受信し、少なくとも1つの測定信号に基づいて、少なくとも1つの電力増幅器のゲインを調整する。
【0116】
好ましくは、コントローラは、測定モジュールから少なくとも1つの測定信号を受信し、少なくとも1つの電力増幅器のDC供給電圧を調整する。
【0117】
好ましくは、無線周波数信号生成モジュールは、2つ以上のキャリア信号を生成し、マルチバンドまたはブロードバンド電力増幅器である少なくとも1つの電力増幅器にマルチキャリア駆動信号を供給するようにさらに構成される。
【0118】
好ましくは、電力増幅器モジュールは、発生器のRF出力の総数に対応する総数の電力増幅器をさらに備える。
【0119】
好ましくは、少なくとも1つの電力増幅器は、ブロードバンド電力増幅器であり、第2電力増幅器は、ナローバンド電力増幅器であり、無線周波数信号生成モジュールは、複数のキャリア信号およびこれらのキャリア信号の複数の駆動信号を生成し、少なくとも1つの駆動信号は、マルチキャリアであり、少なくとも1つの駆動信号は、シングルキャリアである。
【0120】
好ましくは、少なくとも1つの電力増幅器および第2電力増幅器は、共通の供給電圧を共有する。
【0121】
好ましくは、少なくとも1つの電力増幅器および第2電力増幅器は、それぞれ、第1および第2供給電圧によって電力供給される。
【0122】
好ましくは、発生器の外部インタフェースは、少なくとも1つのピックアップモジュールによって得られた値からなるデータを出力する。
【0123】
好ましくは、コントローラは、少なくとも2つのキャリア信号間の時間同期を制御する。
【0124】
特に、少なくとも2つのRF出力に供給される2つのRF電力信号の2つの位相は、位相ロックすることができる。
【0125】
好ましくは、コントローラは、少なくとも2つのキャリア信号間の周波数同期を制御する。
【0126】
好ましくは、コントローラは、第1ピックアップモジュールの障害事象を検出し、障害事象の検出に基づいて、第1RF出力信号の電力を調整する。
【0127】
好ましくは、障害事象は、プラズマシステムにおけるアーク事象である。
【0128】
本発明の前述の詳細な説明において少なくとも1つの例示的な態様が提示されたが、膨大な数の変形例が存在することが理解されるべきである。特に、電力増幅器は、単一の増幅器段、直列の複数の増幅器、および/または並列の複数の増幅器から構成されると考えることができる。また、例示的な態様または例示的な態様は例示に過ぎず、本発明の範囲、適用性、または構成をいかなる方法でも限定することを意図していないことを理解すべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、本発明の例示的な態様を実施するための便利なロードマップを当業者に提供するものである。添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な側面に記載された要素の機能および配置に様々な変更を加えることができることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】