(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】制御機構の動きを制限するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
A61B1/00 711
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573346
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 US2020041000
(87)【国際公開番号】W WO2021007204
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】グレイブリー、アンドリュー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】コルデロ ムニョス、アナ マルセラ
(72)【発明者】
【氏名】シャーウッド、レスリー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】オストランダー、グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF12
4C161FF32
4C161HH34
4C161JJ11
(57)【要約】
アセンブリは軸を有する。軸の回転は医療装置の一部の偏向を生じさせる。コレットは開口部を有する。軸は長手方向の開口部を通って延在する。作動器はコレットと相互作用するように構成される。コレットの第1の形態は、コレットに対して相対的な軸の回転を許容し、コレットの第2の形態は、コレットに対して相対的な軸の回転を妨げることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸であって、前記軸の回転が医療装置の一部の偏向を生じさせる、軸と、
開口部を有するコレットであって、前記軸が長手方向の前記開口部を通って延在する、コレットと、
前記コレットと相互作用するように構成された作動器とを備え、
前記コレットの第1の形態は、前記コレットに対して相対的な前記軸の回転を許容し、前記コレットの第2の形態は、前記コレットに対して相対的な前記軸の回転を妨げる、アセンブリ。
【請求項2】
前記作動器は突出部を備え、前記コレットはタブを備え、前記突出部が前記タブと相互作用して、前記コレットを第1の形態から第2の形態に移行させる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記突出部は第1の突出部であり、前記作動器は第2の突出部及び第3の突出部をさらに備え、前記タブは第1のタブであり、前記コレットは第2のタブ及び第3のタブをさらに備え、第2の突出部及び第3の突出部が第2のタブ及び第3のタブとそれぞれ相互作用して、前記コレットを第1の形態から第2の形態に移行させる、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記コレットにおける切欠きが、前記タブの隣り合う部分と比較して短縮した長さを有するタブの部分を画定する、請求項2又は3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記タブは第1の部分及び第2の部分を有し、第1の部分は第2の部分よりも可撓性が小さい、請求項2~4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
第1の形態では、前記突出部は第1の部分と相互作用し、第2の形態では、前記突出部は第2の部分と相互作用する、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
第2の部分は、半径方向に沿って第1の部分よりも大きな厚さを有する、請求項5又は6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記コレットが第1の形態にあるとき、前記タブの半径方向内側表面が、前記コレットの隣り合う部分と半径方向に整合されるか、又は前記コレットの隣り合う部分から半径方向外側に突出するように、前記タブは休止位置に偏っている、請求項2~7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記コレットは、前記作動器の回転によって、第1の形態から第2の形態に移行される、請求項1~8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記作動器はレバーを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記作動器はワッシャ状部分を備え、前記レバーは前記ワッシャ状部分から半径方向外側に延在する、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記コレットは、スリーブと、前記スリーブの少なくとも一部のまわりに周方向に延びるフランジとを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記コレットは停止部を備え、前記停止部は、前記作動器の一部が前記停止部を通り越して移動するのを防止するように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記作動器は前記コレットの半径方向外側に位置し、前記作動器の回転は、前記コレットを第1の形態から第2の形態に移行させる、請求項1~13のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記コレットが第2の形態にあるとき、前記コレットの可撓性タブが前記軸に対して摩擦力を加える、請求項14のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御機構の動きを制限するためのシステム一般に関する。より詳細には、本発明は、例えば、内視鏡の関節運動制御ノブをロックするための装置などの医療装置用のロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡などの医療装置のハンドルは、ノブなどの制御機構を備え得る。そのような制御機構は、例えば、医療装置のシースを関節運動させるために用いられ得る。処置中に、操作者がシースの関節運動の制限を所望する場合がある。例えば、シースが患者へ挿入されるとき、又は処置が実施されている最中に、操作者が関節運動の制限を所望する場合がある。従って、ロック機構の必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
アセンブリは軸を有し得る。軸の回転は医療装置の一部の偏向を生じさせ得る。コレットは開口部を有し得る。軸は長手方向の開口部を通って延在し得る。作動器はコレットと相互作用するように構成され得る。コレットの第1の形態は、コレットに対して相対的な軸の回転を許容し得、コレットの第2の形態は、コレットに対して相対的な軸の回転を妨げ得る。
【0004】
本明細書に記載するアセンブリのいずれも、以下の特徴のうちのいずれを有してもよい。作動器は突出部を備え得る。コレットはタブを備え得る。突出部がタブと相互作用して、コレットを第1の形態から第2の形態に移行させ得る。上記突出部は第1の突出部であり得る。作動器は第2の突出部及び第3の突出部をさらに備え得る。上記タブは第1のタブであり得る。コレットは第2のタブ及び第3のタブをさらに備え得る。第2の突出部及び第3の突出部が第2のタブ及び第3のタブとそれぞれ相互作用して、コレットを第1の形態から第2の形態に移行させ得る。コレットにおける切欠きが、タブの隣り合う部分と比較して短縮した長さを有するタブの部分を画定し得る。タブは第1の部分及び第2の部分を有し得る。第1の部分は第2の部分よりも可撓性が小さい場合がある。第1の形態では、突出部は第1の部分と相互作用し得る。第2の形態では、突出部は第2の部分と相互作用し得る。第2の部分は、半径方向に沿って第1の部分よりも大きな厚さを有し得る。コレットが第1の形態にあるとき、タブは休止位置に偏っていてもよい。タブの半径方向内側表面は、コレットの隣り合う部分と半径方向に整合され得るか、又はコレットの隣り合う部分から半径方向外側に突出し得る。コレットは、作動器の回転によって、第1の形態から第2の形態に移行され得る。作動器はレバーを備え得る。作動器はワッシャ状部分を備え得る。レバーはワッシャ状部分から半径方向外側に延在し得る。コレットは、スリーブと、スリーブの少なくとも一部のまわりに周方向に延びるフランジとを備え得る。コレットは停止部を備えることができ、停止部は作動器の一部が停止部を通り越して移動するのを防止するように構成されている。作動器はコレットの半径方向外側に位置し得る。作動器の回転はコレットを第1の形態から第2の形態に移行させ得る。コレットが第2の形態にあるとき、コレットの可撓性タブが軸に対して摩擦力を加え得る。
【0005】
別の例では、アセンブリは、可撓性タブを有するコレットと、作動器とを備えることができ、作動器は作動器の表面から半径方向内側に延びる突出部を有する。突出部がタブと相互作用して、コレットを第1の形態から第2の形態に移行させ得る。コレットの第1の形態では、軸は医療装置の一部を偏向させるために回転可能であり得る。コレットの第2の形態では、軸は、タブから軸に加えられる摩擦力により、回転可能でなくなり得る。
【0006】
本明細書に記載するアセンブリのいずれも、以下の特徴のうちのいずれを含んでもよい。作動器はワッシャ状部分を備え得る。突出部はワッシャ状部分の内側表面から延び得る。タブは、コレットの隣り合う部分と半径方向に整合されるか、又はコレットの隣り合う部分から半径方向外側に突出する休止位置に偏っていてもよい。
【0007】
別の例において、アセンブリは、軸を備え得る。軸の回転は医療装置のシースの偏向を生じさせ得る。コレットはスリーブ部分を有し得る。軸はスリーブ部分の中央開口部を通って延在し得る。スリーブ部分は可撓性タブを有し得る。作動器は、スリーブ部分の半径方向外側にワッシャ状部分を有し得る。作動器は、ワッシャ状部分の内側表面から半径方向内側に延びる突出部を備え得る。突出部はタブの少なくとも一部に隣り合い得る。
【0008】
本明細書に記載するアセンブリのいずれも、以下の特徴のうちのいずれを有してもよい。作動器は、コレットに対して相対的に回転することができ、その結果、突出部がタブに半径方向内向きの力を加える。
【0009】
前述の概要及び以下の詳細な説明の双方は、例示であり、説明のためのものに過ぎず、権利請求される本発明を限定するものではないことが理解され得る。本明細書において、「備える(comprises)」、「備えた(comprising)」という用語又はそれらの他の変形物は、要素の列挙を含むプロセス、方法、物品又は装置がそれらの要素のみを含むのではなく、明らかに列記されていないか又はそのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の他の要素を含むように、非排他的な包含を網羅することが意図される。「例示的」という用語は、「理想」ではなく、「例」という意味に用いられる。「約」又は「ほぼ」という用語は、+/-10%の範囲を指すものと理解され得る。本明細書において、「近位(の)」という用語は操作者により近い方向を意味し、「遠位(の)」という用語は操作者からより遠い方向を意味する。本明細書では内視鏡が参照されるが、内視鏡又は内視鏡検査に対する言及は、開示されるロック機構及び他の態様の可能な応用を限定するものと解釈されるべきではない。例えば、開示される態様は、十二指腸内視鏡、気管支鏡、胃内視鏡、尿管鏡、大腸鏡、カテーテル、診断用若しくは治療用のツール若しくは装置、又は他の種類の医療装置と共に用いられてもよい。
【0010】
この明細書の一部に組み込まれて、それを構成する添付図面は、本開示の例を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】例示的なロック機構の例示的なコレットの斜視図。
【
図4】第1の形態にある例示的なロック機構を示す図。
【
図5】第2の形態にある例示的なロック機構を示す図。
【
図6A】それぞれ第1の形態及び第2の形態にある例示的なロック機構の拡大図。
【
図6B】それぞれ第1の形態及び第2の形態にある例示的なロック機構の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
内視鏡又は他の医療装置のハンドル(例えば内視鏡の操作部分)は、内視鏡で処置を実施するときに操作者によって用いられる構成要素を含み得る。上述したように、処置中に、医療専門家は、複雑なロック機構又は付加的な装置によって内視鏡の遠位端部の関節運動を制限することを所望する場合がある。既知の医療装置は、シースの関節運動を防止して、医療装置の遠位端部の位置又は向きを維持するためのロック機構を備え得る。そのようなロック機構は多数の部品を含む可能性があり、これは医療装置の製造コストが高くなる一因となり得る。多部品のロック機構の組み立てに関する問題はまた、製造後及び流通前に不適切に組み立てられた医療装置の廃棄を生じる可能性があり、廃棄物の一因となる。
【0013】
ここで
図1を参照すると、内視鏡200のハンドル210は、内視鏡200のシース220の遠位端部222を偏向させるために用いられ得る操縦構成要素又はアセンブリを備え得る。操縦構成要素は、ノブ、レバー又は操縦アセンブリを制御するために用いられる他の機構を含み得る。例えば、1つ以上の操縦ノブ230又はレバーは、シース220を上/下方向や左/右方向に関節運動させるために用いられ得る。内視鏡ハンドルはまた、(例えば、挿入中、又は医療処置の他の部分の間に)シースの望ましくない関節運動を防止又は制限するための機構も備え得る。例えば、ハンドルは、シースの関節運動を防止するか、又は他の場合には制限する1つ以上のブレーキアセンブリ10(
図2参照)を備え得る。ブレーキアセンブリ10は、レバー32などの作動器を備え得る。ブレーキアセンブリ10は、例えば軸41上において、ノブ230と同軸を有し得る。レバー32は、成型プラスチック材料、又は金属若しくは材料の組み合わせなどの他の材料から製造され得る。ブレーキアセンブリ10はまた、レバーと相互作用し得るコレットも備え得る。ロックの第1の形態では、操縦アセンブリの軸は、コレットに対して相対的に自由に回転し得る。ロックの第2の形態では、軸がコレットに対して相対的に回転することができないように、又は回転させるための力の量の増大、例えば、装置の使用者によって通常の過程では及ぼされないであろう力の量などを必要とするように、コレットは軸の周りに締め付けられ得る。これに代わり、軸の周りにおけるコレットの締め付けにより、軸の周りにおける回転を依然として可能にしながら、軸を回転させるのに必要とされる力の量を増大させてもよい(関節運動に対する抵抗を増大させる)。
【0014】
図2は例示的なブレーキアセンブリ10を示している。ブレーキアセンブリ10は、作動器12とコレット14とを備え得る。2つの構成要素のアセンブリを形成することで、内視鏡のためのロック機構を単純化することができ、これにより製造及び/又は組み立てのコスト及び複雑さが低減され得る。作動器12は、内側表面22と外側表面24とを有し得るワッシャ状部分又はワッシャ20を備え得る。外側表面24は滑らかな環状形を有してもよいし、又は任意の他の適当な形状を有してもよい。内側表面22は、内側表面22の隣り合う部分よりもより半径方向内側に位置する1つ以上の突出部30を有し得る。
図2~
図5に示すように、内側表面22は3つの突出部30を有し得る。代わりに、内部表面22は、任意の適当な数の突出部30を有してもよい。より多くの突出部30を用いることで、制動面をより大きくできる可能性がある。突出部の数は、以下に記載するコレット14の対応する特徴部に一致し得る。突出部30は湾曲した凹面形状を有する半径方向最も内側の表面を有し得る。代わりに、突出部30は、平坦であってもよく、尖っていてもよく、凸状に湾曲していてもよく、又は他の形状を有してもよく、後述するようにコレット14に合わせられ(keyed to)得る。
【0015】
レバー32は、ワッシャ20の外側表面24から半径方向外側に延在し得る。レバー32は、作動器12を回転させるために内視鏡の使用者によって接触されるように構成され得る。
図2に示すように、レバー32は、レバー32の半径方向最も外側の部分34がワッシャ20によって画定される平面から軸線方向に変位され得るように片持ち支持され得る。レバー32の片持ち形状は、使用者がレバー32に力を及ぼすことにより、作動器12の回転を容易にし得る。レバー32は、代わりに、ノブ、回転機構、スライダ、スクリュー、又は他の機構などの別の種類の作動機構であってもよい。
【0016】
コレット14は、スリーブ40とフランジ42とを有し得る。スリーブ40は、円形断面、又は楕円形断面などの異なる形状を有する断面を有し得る。スリーブ40の形状は、操縦アセンブリの軸41の形状に相補的なものすることができ、スリーブ40は軸41の周りに延在する。コレット14は、プラスチックなどの圧縮性材料から構成され得る。圧縮性材料の使用は、公差が低い場合、又は摩擦を制限するために、有用であり得る。加えて又は代わりに、タブ50が以下でさらに詳述するように弾性変形され、形状記憶機能を有するように、コレット14は可撓性材料から構成され得る。
【0017】
フランジ42は、
図2~
図3に示すように、スリーブ40の外周面のまわりの一部分のみに延在し得る。例えば、フランジ42は、スリーブ40の外周面のまわりの半分又は約半分に延在し得る。フランジ42は、フランジ42の半径方向外側の周縁部において隆起部44を備え得る。隆起部44は、操縦アセンブリの1つ以上の構成要素(図示せず)を拘束するのに役立ち得る。隆起部44は1つ以上の孔46を備えることができ、孔46は、コレット14が内視鏡のハンドル部分に対して相対的に回転できないように、コレット14を内視鏡のハンドル又は操縦アセンブリの一部に固定するために用いられ得る。コレット14は、ハンドルに直接的又は間接的に固定され得る。
【0018】
スリーブ40は、コレット14の軸線方向内側の表面からコレット14の軸線方向外側の表面まで延びる長手方向の開口部48を備え得る。本明細書では、コレット14の軸線方向内側方向はフランジ42に近づく方向とすることができる。コレット14の軸線方向外側方向は、フランジ42から遠ざかる方向とすることができる。特に
図3を参照すると、スリーブ40は1つ以上のタブ50を備え得る。
【0019】
タブ50は、コレット14の外側表面52に対して半径方向内側に置かれ(radially inset)得る。例えば、
図1~
図4に示すように、コレット14は3つのタブ50を有し得る。タブ50は、特に
図3~
図5に示すように、コレット14上において切欠き54又は切り抜きによって形成され得る。例えば、切欠き54は、軸線方向構成要素と周方向構成要素とを有するL字形とすることができる。タブ50の数は、作動器12の突出部30の数に等しくされ得る。タブ50の一部(切欠き54によって境界付けられたタブ50の側面、及び軸線方向最も外側の側面など)は、コレット14の残部に直接接続されていなくてもよく、自由端を画定し得る。代わりに、タブ50は、切欠き54を有することなく形成されてもよいが、相対的により薄い壁及び相対的により厚い壁を有するコレット14の複数の部分によって画定され得る。タブ50の他の部分(タブ50の他の側面など)は、コレット14の残部に直接固定され得、固定端を画定し得る。特に
図3に関して示されるように、タブ50は軸線方向外側自由端60及び半径方向自由端62を含む少なくとも2つの自由端を有し得る。軸線方向外側自由端60は、コレット14の軸線方向最も外側の側面であり得る。半径方向自由端62は、スリーブ40の長手軸線と平行であり得る。タブ50は半径方向固定端64を有し得る。タブ50の第4の、軸線方向内側端66は固定部分68と自由部分66とを有し得る。タブ50は切欠き72を有し得る。切欠き72は、タブ50/コレット14の軸線方向最も外側の表面上における溝又は刻み目であり得る。切欠き72は、半径方向自由端62と半径方向固定端64とのほぼ中間にあり得る。固定部分64に最も近い切欠き72の部分は、固定部分68と自由部分66との合流地点と周方向に整合され得る。
【0020】
自由端/側面部分、並びに切欠き72及びタブ50の材料は、開口部48に向かって及び開口部48から離れて半径方向内側及び半径方向外側に動くための可撓性をタブ50に与え得る。切欠き72に隣り合うタブ50の部分は、タブ50の他の部分と比較して増大した可撓性を有し得る。例えば、半径方向自由端62に近接したタブ50の部分に及ぼされる半径方向内向きの力は、切欠き72により、切欠き72が存在しない場合にその力が有するであろうよりもより大きな影響をタブ50に対して有し得る。タブ50は、半径方向自由端62に近い程、より容易に変位され、半径方向固定端64に近い程、可撓性が小さくなり得る。特に、タブ50は、固定部分68付近のタブ50の領域では可撓性が小さくなり得る。
【0021】
タブ50は、タブ50の半径方向自由端62がスリーブ40の内側表面80から半径方向外側へ突出する形態にタブ50が偏るように構成され得る。タブ50は、
図4に示す休止位置に半径方向外側に偏っているが、半径方向内側方向に圧縮可能である。例えば、タブ50の内側表面は、スリーブ40の内側表面80の隣り合う部分に対して相対的に半径方向外側に突出し得る。代わりに、タブ50は、休止位置において、タブ50の内側表面が内側表面80と整合されるか、又はほぼ整合されるように偏っていてもよく、かつタブ50は半径方向内側方向に圧縮可能であり得る。
【0022】
図2、
図4及び
図5に示すように、ワッシャ20の内周面は、スリーブ40の外側表面52に対して相補的な形状を有し得る。作動器12の突出部30は、後述するように、コレット14のタブ50と相互作用し得る。
【0023】
図4は、第1のロック解除形態にあるブレーキアセンブリ10を示している。第1の形態では、突出部30は、半径方向固定端64の近くのタブ50の第1の部分90に隣り合い、かつその半径方向外側に位置し得る。
図6Aは、第1のロック解除形態におけるブレーキアセンブリ10の一部の詳細な拡大斜視図を示している。従って、突出部30は、半径方向自由端62の近くのタブ50の第2の部分92とは相互作用することができず、例えばタブ50の湾曲、すなわち固有の偏りにより、第2の部分92が休止位置に半径方向外側に突き出ることが可能となる。代わりに、第2の部分92は、第1の形態においてスリーブ40の内側表面80と整合されていてもよい。第1の部分90は半径方向固定端64に近接しているので、突出部30は、第1の部分90を押して軸41と摩擦干渉させるのに十分な力を第1の部分90に対して及ぼすことはできない。例えば、
図6Aは、第2の部分92と軸41との間に隙間を示している。軸線方向内側端66の固定部分68は、第1の形態において突出部30による第1の部分90の半径方向内向きの変位を妨げ得る。第1の形態では、突出部30がタブ50を介して軸41に半径方向内向きの力を及ぼしていないので、軸41はコレット14に対して相対的に自由に回転可能であり得る。
【0024】
図5及び
図6Bは、第2のロック形態にあるブレーキアセンブリ10を示している。第2の形態では、突出部30は第2の部分92と相互作用し得る。第2の部分92は、第2の形態において突出部30との相互作用を容易にするように、コレット14の半径方向に沿ってタブ50の他の部分よりもより厚くなっていることが可能である。第2の部分92が3つの自由側面、すなわち、タブ50の軸線方向外側自由端60、半径方向自由端62、及び軸線方向内側端66の自由部分66を有するため、及びコレット14の材料のために、突出部30は、第2の部分92を半径方向内側に変位させるように力を及ぼすことができる。例えば、突出部30は(例えばブレーキアセンブリ10の構成要素がポリカーボネートで形成される場合)、タブ50との、0.025~0.18ミリメートル(0.001~0.007インチ)の干渉を含む0.0025~0.38ミリメートル(0.0001~0.015インチ)の干渉を有し得る。休止位置では、半径方向自由端62は、突出部30の半径方向内側端を半径方向外側に通り越して延在し得る。例えば、半径方向自由端は、0.051~0.51ミリメートル(0.002インチ~0.020インチ)を含む0.025~1.3ミリメートル(0.001インチ~0.050インチ)突出し得る。半径方向自由端62の突出は、突出部30(及び/又は作動器12の全体)が動かないように又はがたつかないように、ブレーキアセンブリ10が第1の形態にあるときに突出部30(及び/又は作動器12の全体)を望ましい位置に保持するのに役立ち得る。上記の数値は例示的なものに過ぎず、ブレーキアセンブリ10の構成要素を形成するために使用される材料によって変化し得る。
【0025】
こうして第2の形態では、突出部30は、タブ50に対して半径方向内向きの力をもたらす。タブ50の可撓性により、第2の部分92は、第2の部分92がスリーブ40の内側表面80の半径方向内側に位置するように、曲げられるか、又は変位され得る。第1の部分90の位置は、第1の形態及び第2の形態において、同一又はほぼ同一であり得る。代わりに、第1の部分90もまた、第2の形態において第1の形態に対して相対的に、例えば半径方向内側に、変位されてもよい。第2の形態では、各タブ50の第2の部分92は軸41に対して圧迫され得る。作動器12(例えば作動器12の突出部30)、タブ50、及び軸41の間の干渉は、摩擦を生じ得る。タブ50と軸41との間の摩擦力は、軸41がコレット14に対して相対的に回転することを妨げ得る。発生した摩擦はまた、作動器12をブレーキアセンブリ10の第2の形態に保持し得る。タブ50は、摩擦力を増大させるような材料から形成され得る。例えば、タブ50は表面積を増大させるためのテクスチャ表面を有してもよいし、かつ/又は摩擦力を増大するためのコーティングを備えてもよい。加えて又は代わりに、軸41の表面が、摩擦を増大するように、テクスチャを施されてもよいし、又はコーティングを備えてもよい。
【0026】
作動器12は、レバー32によって第1の形態と第2の形態との間で回転可能に可動であり得る。例えば、ブレーキアセンブリ10が第1の形態にあるとき、作動器12は、反時計回り方向に動かされて、ブレーキアセンブリ10を第2の形態に移行させ得る。ブレーキアセンブリ10が第2の形態にあるとき、アクチュエータ12は、時計回り方向に動かされて、ブレーキアセンブリ10を第1の形態に移行させ得る。タブ50は弾性的に可撓性であり得る。ブレーキアセンブリ10が第2の形態から第1の形態に移行されると、タブ50は休止形態に移行する(内側表面80から半径方向外側に突き出るか又は内側表面80と整合される)ことができ、その結果、コレット14は軸41の回転を妨げなくなる。
【0027】
コレット14及び作動器12の材料は、コレット14を第1の形態から第2の形態に移行させる際に操作者によってレバー32に及ぼされるべき力を最小限にするように選択され得る。タブ50の可撓性、コレット14の材料の圧縮性、作動器12/レバー32の弾性、コレット14と作動器12との間の干渉の量、及び/又はタブ50の半径方向に突き出る距離はすべて、レバー32を作動させるのに必要な力に影響を与える。例えば、コレット14及び作動器12の双方は、高強度プラスチック及び/又はポリカーボネート材料から構成され得る。コレット14及び/又は作動器12は、成形、付加製造又は他の製造方法によって形成され得る。
【0028】
スリーブ40は、タブ50の1つの半径方向側面上に第1のステップ100と、タブ50の別の半径方向側面上に第2のステップ102とを備え得る。例えば、第1のステップ100は半径方向固定端64に隣り合うことができ、第2のステップ102は半径方向自由端62及び/又は切欠き54に隣り合うことができる。第2のステップ102は、切欠き54の半径方向自由端62とは反対の側で切欠き54に隣り合い得る。第1のステップ100及び第2のステップ102は、望ましい動きの範囲を超える作動器12の動きを制限するように作用し得る。ブレーキアセンブリ10が第1の形態から第2の形態に移行されるとき、第2のステップ102は、突出部30が第2のステップ102を通り越して移動するのを防止するための停止部として作用することができ、その結果、突出部30は第2の部分92と係合する。ブレーキアセンブリが第2の形態から第1の形態に移行されるとき、第1のステップ100は、突出部30が第1のステップ100を通り越して移動するのを防止するための停止部として作用することができ、その結果、突出部30は第1の部分90に隣り合う。
【0029】
コレット14は、ブレーキアセンブリ10が第1の形態にあるときに使用者回転ノブ230に対して抵抗を与える表面特徴部などの干渉特徴部を有し得る。干渉特徴部は、ブレーキアセンブリ10が第2の形態にあるとき、増大した干渉を与え得る。干渉特徴部は、ノブ230がどれくらい迅速に回転され得るか、従って遠位端部222がどれくらい速く真っ直ぐな形態に戻るかに影響を及ぼし得る。干渉特徴部には、コレット14上における隆起部、突出部、突起部分、又は他の適当な特徴部が含まれ得る。代わりに、そのような干渉特徴部は作動器12の一部に配置されてもよい。
【0030】
上記の要素は例示的なものに過ぎないことが理解されよう。例えば、上述したように、様々な数の突出部30が用いられてもよい。コレット14と作動器12との間の移動を妨げるために摩擦関係を利用することに加えて又はその代わりに、1つ以上の機械的特徴部を用いることができる。例えば、コレット14及び作動器12は、コレット14及び作動器12を選択した位置で整合させる噛み合い特徴部(mating feature)を有し得る。そのような特徴部により、使用者がブレーキアセンブリ10を選択した位置で又は選択した増分で係合させることが可能となり得る。
【0031】
図7は、作動器12と共に用いられ得る別のコレット100を示している。コレット100は、上述したコレット14の特徴のうちのいずれを有していてもよい。コレット100は、軸線方向に延びる1つ以上のタブ150を有し得る。切欠き172は、タブ150の端を画定し得る。切欠き172は、切欠き72の特徴のうちのいずれを有してもよい。切欠き72はタブ50を軸線方向に通って一部分のみに延在し得るが、切欠き172は、タブ150の軸線方向に近位の部分から軸線方向に遠位の部分までタブ150の全体に沿って延在し得る。コレット100及び/又はコレット14は、タブ50及び/又はタブ150の組み合わせを用いてもよい。タブ150は、3つの自由端と、1つの固定端とを有し得る。例えば、タブ150は、第1の自由半径方向固定端152、第2の自由半径方向端154及び自由軸線方向端156を有し得る。自由軸線方向端156はコレット100の軸線方向最遠位端であり得る。タブ50は半径方向固定端160を有し得る。タブ150の向きは別として、コレット100は、
図1~
図6に関して上述したようなコレット14と同様に機能し得る。
【0032】
本開示の原理は、本明細書では特定用途のための例示的な例に関連して記載されているが、本開示がそれらに限定されないことを理解すべきである。本明細書に提供される教示を利用できる当業者は、付加的な変更、応用、態様、及び均等物の置換がすべて本明細書に記載した例の範囲内にあることを認識するであろう。従って、本発明は前述の記載によって限定されると見なされるべきではない。
【国際調査報告】