(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】光学要素の超音波サブ口径研磨
(51)【国際特許分類】
B24B 1/04 20060101AFI20220912BHJP
B24B 13/00 20060101ALI20220912BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B24B1/04 B
B24B13/00 Z
B24B49/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573610
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 US2020041293
(87)【国際公開番号】W WO2021011271
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ソン, アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
3C034
3C049
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB93
3C034CA22
3C034CA26
3C034CB13
3C034CB18
3C034CB20
3C034DD20
3C049AA02
3C049AA09
3C049AA12
3C049AA13
3C049AA16
3C049BA02
3C049BA04
3C049BA05
3C049BA07
3C049BB02
3C049BB06
3C049BB08
3C049BC02
3C049CA01
3C049CA06
3C049CA07
3C049CB01
3C049CB10
(57)【要約】
超音波研磨システムの態様は、超音波アクチュエータと、研磨アームと、を含む。超音波アクチュエータは、超音波振動を発生させるように構成され、研磨アームは、超音波アクチュエータに結合されている。研磨アームは、ホーンと、研磨ボールと、を含む。ホーンは、近位端部と、遠位端部と、を有する。近位端部は、超音波振動を受け取るように結合され、ホーンは、近位端部から遠位端部まで超音波振動を伝播するように構成されている。研磨ボールは、ホーンの遠位端部に取り付けられており、この場合、研磨ボールは、光学要素の表面を研磨する超音波振動に応答して振動する。研磨ボールは、光学要素の口径よりも小さい光学要素の表面上の研磨領域を提供するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学要素を研磨するための超音波研磨システムであって、
超音波振動を発生させるように構成された超音波アクチュエータと、
前記超音波アクチュエータに結合された研磨アームと、を備え、前記研磨アームは、
前記超音波振動を受け取るように結合された近位端部を有するホーンであって、前記ホーンの前記近位端部から遠位端部まで前記超音波振動を伝播するように構成されている、ホーンと、
前記ホーンの前記遠位端部に取り付けられた研磨ボールであって、前記光学要素の表面を研磨する前記超音波振動に応答して振動するように構成され、前記光学要素の口径よりも小さい前記光学要素の前記表面上の研磨領域を提供するように構成されている、研磨ボールと、
を含む、超音波研磨システム。
【請求項2】
前記研磨領域は、10マイクロメートル以下の直径を有し、及び/又は、好ましくは、前記光学要素の前記口径が3ミリメートル以下であり、及び/又は、好ましくは、前記研磨ボールが球面形状を有する、請求項1に記載の超音波研磨システム。
【請求項3】
前記研磨ボールは、サファイアを含む、請求項1又は2に記載の超音波研磨システム。
【請求項4】
前記研磨アームは、前記超音波振動の振動数に合致する固有振動数を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波研磨システム。
【請求項5】
前記超音波振動の振動数は、20kHz以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波研磨システム。
【請求項6】
前記超音波振動の振動数は、20kHzから40kHzである、請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波研磨システム。
【請求項7】
前記光学要素の前記表面に対する前記研磨ボールの位置を変えるように前記研磨アームに結合されたコンピュータ数値制御(CNC)ポジショナを更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の超音波研磨システム。
【請求項8】
コンピューティングデバイスを更に備え、
前記コンピューティングデバイスは、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合された少なくとも1つのメモリと、を含み、前記少なくとも1つのメモリは、命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、
前記光学要素の前記表面に対する前記研磨ボールの前記位置を変えるように前記CNCポジショナを誘導する1つ又は複数の制御信号を生成するように前記コンピューティングデバイスを誘導する、請求項7に記載の超音波研磨システム。
【請求項9】
前記研磨ボールの前記位置を変えるように前記CNCポジショナを誘導する前記1つ又は複数の制御信号を生成する前記命令は、前記光学要素の前記表面上の研磨経路に沿って前記研磨ボールを誘導する命令を含み、好ましくは、前記研磨経路に沿って前記研磨ボールを誘導する前記命令は、前記研磨経路に沿った1つ又は複数の位置において前記光学要素の前記表面から除去される材料の量を調整するために、(a)前記研磨アームに加えられる荷重、又は(b)前記研磨経路に沿った前記研磨ボールの速度、のうちの少なくとも1つを変える命令を含み、及び/又は、好ましくは、
前記光学要素の1つ又は複数の表面測定値を取得するように配設された干渉計を更に備え、前記少なくとも1つのメモリは、前記表面測定値に基づいて前記光学要素の表面エラーマップを生成するように前記コンピューティングデバイスを誘導する命令を更に含み、前記荷重又は速度を変える前記命令は、前記表面エラーマップに応答したものである、請求項8に記載の超音波研磨システム。
【請求項10】
前記超音波アクチュエータは、磁歪アクチュエータを含み、前記研磨ボールは、前記磁歪アクチュエータによって発生させられた前記超音波振動に応答して前記光学要素の前記表面上の楕円行程経路に沿って振動するように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の超音波研磨システム。
【請求項11】
前記超音波アクチュエータは、圧電アクチュエータを含み、前記研磨ボールは、前記圧電アクチュエータによって発生させられた前記超音波振動に応答して前記光学要素の前記表面上の線形行程経路に沿って振動するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の超音波研磨システム。
【請求項12】
光学要素の超音波サブ口径研磨の方法であって、
超音波アクチュエータが超音波振動を発生させるのを可能にすることと、
前記光学要素の表面に対する研磨アームの位置を変えるようにコンピュータ数値制御(CNC)ポジショナを誘導する1つ又は複数の制御信号を生成することと、を含み、前記研磨アームは、
前記超音波アクチュエータによって発生させられた前記超音波振動を受け取るように結合された近位端部を有するホーンであって、前記ホーンの前記近位端部から遠位端部まで前記超音波振動を伝播するように構成されている、ホーンと、
前記ホーンの前記遠位端部に取り付けられた研磨ボールであって、前記光学要素の前記表面を研磨する前記超音波振動に応答して振動するように構成され、前記光学要素の口径よりも小さい前記光学要素の前記表面上の研磨領域を提供するように構成されている、研磨ボールと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記研磨ボールの前記位置を変えることは、前記光学要素の前記表面上の研磨経路に沿って前記研磨ボールを誘導することを含み、前記方法は、
前記研磨経路に沿った1つ又は複数の位置において前記光学要素の前記表面から除去される材料の量を調整するために、(a)前記研磨アームに加えられる荷重、又は(b)前記研磨経路に沿った前記研磨ボールの速度、のうちの少なくとも1つを変えるように前記CNCポジショナを誘導する1つ又は複数の追加の制御信号を生成することを更に含み、好ましくは、
前記光学要素の1つ又は複数の表面測定値を受け取ることと、
前記表面測定値に基づいて前記光学要素の表面エラーマップを生成することであって、前記荷重又は速度を変えることは、前記表面エラーマップに応答したものである、前記光学要素の表面エラーマップを生成することと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
超音波アクチュエータが超音波振動を発生させるのを可能にすることと、
光学要素の表面に対する研磨アームの位置を変えるようにコンピュータ数値制御(CNC)ポジショナを誘導する1つ又は複数の制御信号を生成することと、
を含む方法によって研磨される光学要素であって、前記研磨アームは、
前記超音波アクチュエータによって発生させられた前記超音波振動を受け取るように結合された近位端部を有するホーンであって、前記ホーンの前記近位端部から遠位端部まで前記超音波振動を伝播するように構成されている、ホーンと、
前記ホーンの前記遠位端部に取り付けられた研磨ボールであって、前記光学要素の前記表面を研磨する前記超音波振動に応答して振動するように構成され、前記光学要素の口径よりも小さい前記光学要素の前記表面上の研磨領域を提供するように構成されている、研磨ボールと、
を含む、光学要素。
【請求項15】
前記光学要素の1つ又は複数の表面測定値を受け取ることと、
前記表面測定値に基づいて前記光学要素の表面エラーマップを生成することと、
研磨経路に沿った前記研磨アームの1つ又は複数の位置において前記光学要素の前記表面から除去される材料の量を調整するために、(a)前記研磨アームに加えられる荷重、又は(b)前記研磨経路に沿った前記研磨ボールの速度、のうちの少なくとも1つを変えるように前記CNCポジショナを誘導する前記表面エラーマップに応答して1つ又は複数の追加の制御信号を生成することと、
を更に含む、請求項14に記載の方法によって研磨される光学要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、概して、光学要素のサブ口径研磨に関し、特に、光学要素の超音波サブ口径研磨に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、典型的にはユーザの頭部に装着される表示装置である。HMDは、ゲーム、航空、エンジニアリング、医療、娯楽等の様々な用途において用いられて、ユーザに人工現実コンテンツを提供することができる。人工現実は、ユーザへの提示前になんらかの方法で調整されている形式の現実であって、例えば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、又はそれらのなんらかの組み合わせ及び/又は派生を含んでもよい。
【0003】
レンズ、偏光子、波長板等の、HMDに含まれる様々な光学要素の精度は、特定の用途に依存する場合がある。例えば、いくつかのHMDは、ユーザの眼球運動を追跡する一体型カメラを含む視標追跡システムを組み込むことがある。したがって、視標追跡システムについての要件及び精度が増大するにつれて、視標追跡システムによって用いられる様々な光学要素を製造する際に必要な精度もまた増大する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、光学要素を研磨する超音波研磨システムが提供され、システムは、超音波振動を発生させるように構成された超音波アクチュエータと、超音波アクチュエータに結合された研磨アームと、を備え、研磨アームは、超音波振動を受け取るように結合された近位端部を有するホーンであって、ホーンの近位端部から遠位端部まで超音波振動を伝播するように構成されている、ホーンと、ホーンの遠位端部に取り付けられた研磨ボールであって、光学要素の表面を研磨する超音波振動に応答して振動するように構成され、光学要素の口径よりも小さい光学要素の表面上の研磨領域を提供するように構成されている、研磨ボールと、を備えている。
【0005】
いくつかの実施形態では、光学要素の口径は、3ミリメートル以下である。
【0006】
いくつかの実施形態では、研磨領域は、10マイクロメートル以下の直径を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、研磨ボールは、球面形状を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、研磨ボールは、サファイアを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、研磨アームは、超音波振動の振動数に合致する固有振動数を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、超音波振動の振動数は、20kHz以上である。
【0011】
いくつかの実施形態では、超音波振動の振動数は、20kHzから40kHzである。
【0012】
いくつかの実施形態では、超音波研磨システムは、光学要素の表面に対する研磨ボールの位置を変えるように研磨アームに結合されたコンピュータ数値制御(CNC)ポジショナを更に備えている。
【0013】
いくつかの実施形態では、超音波研磨システムは、コンピューティングデバイスを更に備え、コンピューティングデバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに結合された少なくとも1つのメモリと、を含み、少なくとも1つのメモリは、命令が記憶されており、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、光学要素の表面に対する研磨ボールの位置を変えるようにCNCポジショナを誘導する1つ又は複数の制御信号を生成するようにコンピューティングデバイスを誘導する。
【0014】
いくつかの実施形態では、研磨ボールの位置を変えるようにCNCポジショナを誘導する1つ又は複数の制御信号を生成する命令は、光学要素の表面上の研磨経路に沿って研磨ボールを誘導する命令を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、研磨経路に沿って研磨ボールを誘導する命令は、研磨経路に沿った1つ又は複数の位置において光学要素の表面から除去される材料の量を調整するために、(a)研磨アームに加えられる荷重、又は(b)研磨経路に沿った研磨ボールの速度、のうちの少なくとも1つを変える命令を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、超音波研磨システムは、光学要素の1つ又は複数の表面測定値を取得するように配設された干渉計を更に備え、少なくとも1つのメモリは、表面測定値に基づいて光学要素の表面エラーマップを生成するようにコンピューティングデバイスを誘導する命令を更に含み、荷重又は速度を変える命令は、表面エラーマップに応答したものである。
【0017】
いくつかの実施形態では、超音波アクチュエータは、磁歪アクチュエータを含み、研磨ボールは、磁歪アクチュエータによって発生させられた超音波振動に応答して、光学要素の表面上の楕円行程経路に沿って振動するように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、超音波アクチュエータは、圧電アクチュエータを含み、研磨ボールは、圧電アクチュエータによって発生させられた超音波振動に応答して、光学要素の表面上の線形行程経路に沿って振動するように構成されている。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、光学要素の超音波サブ口径研磨の方法が提供され、方法は、超音波アクチュエータが超音波振動を発生させるのを可能にすることと、光学要素の表面に対する研磨アームの位置を変えるようにコンピュータ数値制御(CNC)ポジショナを誘導する1つ又は複数の制御信号を生成することと、を含み、研磨アームは、超音波アクチュエータによって発生させられた超音波振動を受け取るように結合された近位端部を有するホーンであって、ホーンの近位端部から遠位端部まで超音波振動を伝播するように構成されている、ホーンと、ホーンの遠位端部に取り付けられた研磨ボールであって、光学要素の表面を研磨する超音波振動に応答して振動するように構成され、光学要素の口径よりも小さい光学要素の表面上の研磨領域を提供するように構成されている、研磨ボールと、を備えている。
【0020】
いくつかの実施形態では、研磨ボールの位置を変えることは、光学要素の表面上の研磨経路に沿って研磨ボールを誘導することを含み、方法は、研磨経路に沿った1つ又は複数の位置において光学要素の表面から除去される材料の量を調整するために、(a)研磨アームに加えられる荷重、又は(b)研磨経路に沿った研磨ボールの速度、のうちの少なくとも1つを変えるようにCNCポジショナを誘導する1つ又は複数の追加の制御信号を生成することを更に含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、光学要素の1つ又は複数の表面測定値を受け取ることと、表面測定値に基づいて光学要素の表面エラーマップを生成することであって、荷重又は速度を変えることが表面エラーマップに応答したものである、光学要素の表面エラーマップを生成することと、を更に含む。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、超音波アクチュエータが超音波振動を発生させるのを可能にすることと、光学要素の表面に対する研磨アームの位置を変えるようにコンピュータ数値制御(CNC)ポジショナを誘導する1つ又は複数の制御信号を生成することと、を含む方法によって研磨される光学要素が提供され、研磨アームは、超音波アクチュエータによって発生させられた超音波振動を受け取るように結合された近位端部を有するホーンであって、ホーンの近位端部から遠位端部まで超音波振動を伝播するように構成されている、ホーンと、ホーンの遠位端部に取り付けられた研磨ボールであって、光学要素の表面を研磨する超音波振動に応答して振動するように構成され、光学要素の口径よりも小さい光学要素の表面上の研磨領域を提供するように構成されている、研磨ボールと、を備えている。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は、光学要素の1つ又は複数の表面測定値を受け取ることと、表面測定値に基づいて光学要素の表面エラーマップを生成することと、研磨経路に沿った研磨アームの1つ又は複数の位置において光学要素の表面から除去される材料の量を調整するために、(a)研磨アームに加えられる荷重、又は(b)研磨経路に沿った研磨ボールの速度、のうちの少なくとも1つを変えるようにCNCポジショナを誘導する表面エラーマップに応じて1つ又は複数の追加の制御信号を生成することと、を更に含む。
【0024】
本発明の態様又は実施形態への組み込みに適していると本明細書において説明されたいずれかの特徴が、本開示の全ての態様及び実施形態にわたって一般化可能であることが意図されていることを理解されたい。
【0025】
本開示の非限定的及び非包括的な態様が以下の図を参照して説明され、類似の参照番号が、特に明記しない限り、様々な図全体にわたって類似の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の態様による、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を示す図である。
【
図2】本開示の態様による、例示的な超音波研磨システムを示す図である。
【
図3】本開示の態様による、別の例示的な超音波研磨システムを示す図である。
【
図4】本開示の態様による、研磨ボールの研磨経路を示す図である。
【
図5A-5C】本開示の態様による、様々な行程経路、接触領域及び研磨ボールの対応する研磨領域を示す図である。
【
図6】本開示の態様による、超音波研磨システムと共に用いる例示的なコンピューティングデバイスを示す図である。
【
図7】本開示の態様による、光学要素の超音波サブ口径研磨のための例示的なプロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
様々な態様及び実施形態が、光学要素の超音波サブ口径研磨に関する特定の例を示すために、以下の説明及び関連する図面において開示される。代替の態様及び実施形態が、本開示を読むと、当業者に明らかになるであろう。そして、特許請求項の範囲から逸脱することなく構成及び実施され得る。その上、周知の要素は、本明細書で開示された態様及び実施形態の関連する詳細を不明瞭にしないように、詳細には説明されず、又は省略される場合もある。
【0028】
図1は、本開示の態様による、HMD100を示す。HMD100の示された例は、視覚構造140と、最上部固定構造141と、側面固定構造142と、背面固定構造143と、前面剛体144を含むように示されている。いくつかの例では、HMD100は、HMD100のユーザの頭部に装着されるように構成されており、この場合、最上部固定構造141、側面固定構造142及び/又は背面固定構造143は、HMD100をユーザの頭部に固定する弾性及び1つ又は複数の剛性構造(例えば、プラスチックの)を含むファブリックストラップを含んでもよい。HMD100は、音声をHMD100のユーザの片方又は両方の耳に送る1つ又は複数のイヤホーン120を任意選択で含んでもよい。
【0029】
HMD100の示された例は、また、HMD100のユーザの顔と接触する界面膜118を含み、この場合、界面膜118は、少なくともいくらかの環境光がHMD100のユーザの眼に届くことを阻止するように機能する。
【0030】
例示的なHMD100が、また、HMD100の視覚構造140のハードウェアを支持するシャシ(
図1に明示的に示されていないシャシ及びハードウェア)を含んでもよい。視覚構造140のハードウェアは、処理論理回路、データを送受信する有線及び/又は無線データインタフェース、グラフィックスプロセッサ、並びにデータ及びコンピュータ実行可能命令を記憶する1つ又は複数のメモリのうちのいずれかを含んでもよい。一例では、視覚構造140は、有線電力を受け取るように構成されてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のバッテリによって電力を供給されるように構成されてもよい。それに加えて、視覚構造140は、ビデオデータを含む有線及び/又は無線データを受信するように構成されてもよい。
【0031】
視覚構造140は、HMD100のユーザの片方又は両方の眼に光を誘導する1つ又は複数の電子ディスプレイを有するディスプレイシステムを含んでもよい。ディスプレイシステムは、LCD、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、又は光(例えば、コンテンツ、画像、ビデオ等)をHMD100のユーザに放出するマイクロLEDディスプレイのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0032】
いくつかの例では、センサ145が、視覚構造140に含まれてもよい。いくつかの態様では、センサ145は、視標追跡動作のためのHMD100のユーザの眼の画像をキャプチャするカメラである。別の態様では、センサ145は、ユーザ及び/又はHMD100を囲む環境をマッピングする光学センサ、距離計、ライダーセンサ、ソナーセンサ等のSimultaneous Localization and Mapping(SLAM)センサである。
【0033】
いくつかの態様では、センサ145は、レンズ、偏光子、導波管、反射器、波長板等の1つ又は複数の小径光学要素を含んでもよい。いくつかの態様では、「小径」光学要素は、3ミリメートル以下の直径(例えば、口径)を有する光学要素を指す。上記のように、HMDの様々なシステム(例えば、視標追跡システム又はSLAMシステム)についての要件及び精度が増大するにつれて、様々な小径光学要素を製造する際に必要とされる精度もまた増大する。
【0034】
従来の光学要素の製造は、典型的には、ダイヤモンド旋削、ブランクの研削、又はモールド内で光学要素を形成することによる光学要素の粗形の生成から始まる。その後に、光学要素又はそのモールドを最終形態にまで研磨して所望の形状及び/又は表面仕上げを達成してもよい。一例では、研磨を用いて、光学表面上の「高い箇所」が除去されてもよい。従来の研磨手法は、光学表面に適用される回転パッド又はスピニングホイールを利用することを含む。しかし、小径の光学要素(例えば、3mm未満の口径を有するレンズ)については、回転パッド又はスピニングホイールを用いて所望の精度を達成することは困難である。
【0035】
したがって、本開示の態様は、様々な光学要素を形成するために用いられるモールドの表面、及び/又は光学要素自体の表面等の光学表面のサブ口径研磨を目的とする。いくつかの態様では、高振動数(例えば、超音波(>20kHz))アクチュエータが、様々な光学要素のサブ口径研磨に利用される。例えば、以下に説明するように、高振動数アクチュエータが、ホーンの端部に取り付けられた研磨ボールを含む研磨アームを振動させるように構成されてもよい。光学要素の研磨は、本明細書で説明された態様によれば、直径が10ミクロン未満の研磨領域を提供してもよい。
【0036】
図2は、本開示の態様による、超音波研磨システムを示す。超音波研磨システム200の示された例は、ハウジング202と、超音波アクチュエータ204と、研磨アーム206と、を含むように示されている。例示的な研磨アーム206は、ホーン208と、研磨ボール210と、を含むように示されている。
図2は、また光学要素212A及び212Bを示す。
図2に示すように、光学要素212Aは、光学表面205A及び口径213Aを有するレンズとして示され、一方、光学要素212Bは、表面205B及び口径213Bを有するモールドとして示されている。
【0037】
超音波アクチュエータ204は、ハウジング202内に含まれているように示されており、超音波振動を発生させるように構成されている。一例では、超音波振動の振動数は、20kHzよりも大きい。別の例では、超音波振動の振動数は、20kHzから40kHzの範囲内にある。いくつかの実装形態では、超音波アクチュエータ204は、磁歪アクチュエータを含む。磁歪アクチュエータは、強磁性材料に印加された磁場に応答して超音波振動を発生する強磁性材料を含んでもよい。別の実装形態では、超音波アクチュエータ204は、圧電アクチュエータを含む。圧電アクチュエータは、固体材料に印加された電界に応答して超音波振動を発生する固体材料(例えば、結晶、セラミック等)を含んでもよい。
【0038】
図2に示すように、研磨アームは、ハウジングに結合されて、超音波アクチュエータ204によって発生させられた超音波振動を受け取る。特に、ホーン208の近位端部207は、超音波アクチュエータ204に結合されることにより、超音波振動を受け取る。動作中に、ホーン208は、ホーン208の近位端部207から遠位端部209まで超音波振動を伝播するように構成されている。いくつかの例では、ホーン208は、ステンレス鋼合金等の金属でできていてもよい。更に、
図2は、湾曲形状を有するようなホーン208を示しているけれども、他の実装形態では、ホーン208は、直線形状又は複数の曲線を伴う形状等の様々な形状を有してもよい。
【0039】
ホーン208の遠位端部209に、研磨ボール210が取り付けられている。いくつかの例では、研磨ボール210は、にかわ、エポキシ、又は他の接着剤によってホーン208の遠位端部209に取り付けられている。いくつかの例では、研磨ボール210は、遠位端部209にはんだ付けされている。更に別の例では、研磨ボール210は、それを遠位端部209に固定するねじ付き空洞を含んでもよい。
【0040】
研磨ボール210は、サファイア、セラミックス又はポリマー等の様々な材料からできていてもよい。
図2に示すように、研磨ボール210は、球面形状を有してもよい。いくつかの例では、研磨ボール210は、3ミリメートル以下である直径を有してもよい。一実施形態では、研磨ボール210は、0.5ミリメートルから3ミリメートルの範囲内の直径を有する。
【0041】
動作中に、研磨ボール210は、超音波振動に応答して振動するように構成されている。
図2に示すように、研磨ボール210は、ホーン208の遠位端部209まで伝播された超音波振動に応答して横方向振動211(すなわち、x-y平面に沿った)を提供するように構成されている。いくつかの例では、ホーン208及び研磨ボール210を含む研磨アーム206は、超音波アクチュエータ204によって発生させられた超音波振動の振動数に合致する固有振動数を有する。いくつかの実施形態では、ホーン208と研磨ボール210との複合質量は、超音波振動の振動数に合致する研磨アーム206の固有振動数を提供するように構成されている。他の例では、超音波アクチュエータ204によって発生させられた超音波振動の振動数は、研磨アーム206の固有振動数に合致するように同調される。
【0042】
図4及び5を参照して以下でより詳細に説明するように、研磨ボール210自体は、光学要素の口径よりも小さい光学要素の表面上の研磨領域を提供するように構成されている。例えば、上記のように、光学要素212Aは、口径213Aを有するレンズとして
図2に示されている。したがって、研磨ボール210が表面205Aに当てられることにより、口径213Aよりも小さい研磨領域を提供してもよい。いくつかの例では、光学要素212Aは、ガラス又はポリマーであってもよい。別の例として、光学要素212Bは、レンズ等の様々な小径光学系を形成するために用いられるモールドとして
図2に示されている。光学要素212Bは、口径(すなわち、直径)213Bを含むように示されている。したがって、研磨ボール210が表面205Bに当てられることにより、口径213Bよりも小さい研磨領域を提供してもよい。いくつかの例では、口径213A/213Bは、3ミリメートル以下であり、研磨ボール210によって提供される研磨領域は、10マイクロメートル以下の直径を有する。
【0043】
図3は、本開示の態様による、超音波研磨システム300を示す。超音波研磨システム300の示されている例は、コンピュータ数値制御(CNC)ポジショナ302と、超音波アクチュエータ304と、研磨アーム306と、コンピューティングデバイス314と、干渉計316と、を含むように示されている。研磨アーム306は、ホーン308と、研磨ボール310と、を含むように示されている。
図3に、光学要素312も示されている。
【0044】
超音波アクチュエータ304、研磨アーム306、ホーン308及び研磨ボール310は、
図2を参照して上記で説明された対応する構成要素204、206、208及び210と同様に構成されている。
図3に示すように、超音波アクチュエータ304及び研磨アーム306は、CNCポジショナ302に取り付けられるか又は組み込まれることにより、光学要素312の表面311に対する研磨ボール310の位置を変えてもよい。
【0045】
一態様では、CNCポジショナ302は、コンピューティングデバイス314によって生成された1つ又は複数の制御信号315によって制御される動力付き操縦可能プラットフォームである。いくつかの例では、CNCポジショナ302は、研磨アーム306及び/又は光学要素312を様々な場所及び/又は深さに移動させるように構成されているCNCミルである。いくつかの実施形態では、CNCポジショナ302は、1つ又は複数の直接駆動ステッパモータ又はサーボモータを含み、それにより、複数の軸(例えば、X、Y及びZ軸)に沿った、研磨アーム306、したがって研磨ボール310の高い精度の動きを提供してもよい。
【0046】
いくつかの態様では、コンピューティングデバイス314は、研磨ボール310及び/又は光学要素312の位置を変えるようにCNCポジショナ302を誘導する制御信号315を生成することにより、研磨ボール310を光学要素312の表面311上の研磨経路に沿って誘導するように構成されている。例として、
図4は、本開示の態様による、光学要素312の表面311に沿った研磨ボール310の研磨経路404についての平面図を示す。いくつかの態様では、CNCポジショナ302は、研磨ボール310を研磨経路404に沿って誘導して、表面311の全体を連続方式で研磨するように構成されている。したがって、
図4は、螺旋状パターンを有するような研磨経路404を示している。しかし、研磨経路404のためのラスタ又は準ランダム蛇行等の様々な他のパターンが、表面311を研磨するために利用されてもよい。
【0047】
図4は、CNCポジショナ302が研磨経路404に沿って研磨ボール310を誘導するときの、研磨ボール310の様々な位置(例えば、位置406A及び位置406B)を示している。上記のように、研磨ボール310は、超音波アクチュエータによって発生させられた超音波振動に応答して横方向に振動してもよい。したがって、動作中に、研磨ボール310は、研磨ボールが研磨経路404に沿って誘導されるとき、行程経路408上で振動してもよい(例えば、横方向振動に起因して)。位置406Aにあるとき、研磨ボール310は、行程経路408に沿って振動して、研磨領域410Aを提供してもよい。上記のように、研磨領域410Aは、10マイクロメートル以下の直径を有してもよい。
【0048】
いくつかの例では、CNCポジショナ302は、コンピューティングデバイス314によって誘導されて、研磨ボール310が研磨経路404に沿って誘導されるように1つ又は複数のパラメータを変更することにより、1つ又は複数の位置で表面311から除去される材料の量を調整してもよい。一態様では、CNCポジショナ302は、研磨ボール310が研磨経路404に沿って誘導される速度を調整してもよい。例として、CNCポジショナ302は、研磨ボール310が位置406Aを通過するように、研磨ボール310を第1の速度412Aで動かしてもよい。しかし、速度は、研磨ボール310が位置406Bを通過するように、第2の速度412Bに調整されてもよい。一例では、CNCポジショナ302は、研磨ボール310の速度を低下させて、研磨ボール310が表面311の領域にわたって残留する時間を増加させることにより、表面311から除去される材料の量を増加させてもよい。
【0049】
ここで
図3を参照すると、CNCポジショナ302は、また、研磨ボール310によって表面311に加えられる荷重322を変えるように構成されてもよい。いくつかの態様では、荷重322は、CNCポジショナ302によって研磨アーム306に加えられる下向きの機械力である。いくつかの例では、CNCポジショナ302は、制御信号315に応答して荷重322を調整することにより、研磨領域(例えば、
図4の研磨領域410A及び/又は410B)のサイズを調整してもよい。一態様では、CNCポジショナ302は、荷重322を増加させることにより、研磨ボール310によって提供される研磨領域のサイズを増加させてもよい。別の態様では、CNCポジショナ302は、研磨経路に沿った1つ又は複数の位置での荷重322を増加させることにより、表面311から除去される材料の量を増加させてもよい。
【0050】
上述のように、コンピューティングデバイス314は、制御信号315を生成してCNCポジショナ302を誘導することにより、研磨経路(例えば、
図4の研磨経路404)に沿った研磨ボール310の位置を変えるように構成されている。それに加えて、コンピューティングデバイス314は、CNCポジショナ302の1つ又は複数のパラメータ(例えば、速度及び/又は荷重)を変えることにより、研磨経路404に沿った様々な位置で研磨ボール310によって除去される材料の量を調整するように構成されてもよい。いくつかの例では、コンピューティングデバイス314は、光学要素312の表面エラーマップに基づいて、1つ又は複数のパラメータを変えるように構成されている。一態様では、表面エラーマップは、光学要素312の現在の表面311を表したものであり、表面311における1つ又は複数の高い箇所及び/又は低い箇所を識別することができる。別の態様では、表面エラーマップは、光学要素312の所望の形状から逸脱している、表面311における1つ又は複数の場所を識別してもよい。
【0051】
したがって、いくつかの例では、超音波研磨システム300は、光学要素312の1つ又は複数の表面測定値(すなわち、測定値317)を取得するように配設されている干渉計316を含んでもよい。一態様では、干渉計316は、光学要素312の小さい変位、屈折率変化、及び/又は表面凹凸を測定するように構成されている。例として、干渉計316は、光学要素312の様々な場所において単一の光源318を生成してもよい。単一の光源318は、異なる光学経路を走行する2つのビームに分割され得、この2つのビームは、次いで結合されて干渉を生じさせる。干渉は、次いで分析されて測定値317を生成し得る。測定値317を受け取ったことに応答して、コンピューティングデバイス314は、表面エラーマップを生成してもよく、コンピューティングデバイスは、次いで表面エラーマップを用いて除去マップを生成する。いくつかの態様では、1つ又は複数の制御信号315が、除去マップに基づいてコンピューティングデバイス314によって生成される。
【0052】
上記のように、研磨ボール(例えば、
図3の研磨ボール310)が研磨経路に沿って誘導されるとき、研磨ボールも行程経路(例えば、横方向振動に起因する)に追従してもよい。したがって、
図5A~5Cは、本開示の態様による、様々な行程経路(例えば、行程経路504A、504B及び504C)と、接触領域(例えば、接触領域502)と、研磨ボールの対応する研磨領域(例えば、研磨領域506A、506B及び506C)と、を示す。
【0053】
図5Aは、例示的な接触領域502を示す。いくつかの態様では、接触領域502は、研磨ボールと光学要素の表面との間の接触領域を表す。接触領域502のサイズ自体は、研磨ボールに加えられる荷重、研磨ボールの直径、並びに研磨ボール及び/又は光学要素の材料特性等の様々な因子に依存してもよい。動作中に、研磨ボールは、超音波振動に応答して振動することにより、有効研磨領域506Aをもたらす行程経路504Aを提供してもよい。研磨領域506Aは、10マイクロメートル未満である直径を有してもよい。
【0054】
図5Aに示すように、行程経路504Aは、超音波振動に応答してY軸に沿った研磨ボールの移動を提供する線形行程経路である。一例では、線形行程経路は、超音波アクチュエータ(例えば、
図3の超音波アクチュエータ304)に含まれてもよい圧電アクチュエータによって発生させられる超音波振動に応答して提供される。
【0055】
図5Bは、別の線形行程経路である行程経路504Bを示しているけれども、X軸に沿った研磨ボールの移動を提供する。示すように、行程経路504Bに沿った研磨ボールの移動は、有効研磨領域506Bを提供する。上記の行程経路504Aと同様に、
図5Bの行程経路504Bは、圧電アクチュエータによって発生させられた超音波振動に応答して生成されてもよい。
【0056】
図5Cは、例示的な楕円行程経路504Cを示す。
図5Cに示すように、楕円行程経路504Cは、研磨ボールをX-Y平面上で楕円移動させて有効研磨領域506Cを提供する。一例では、楕円行程経路504Cは、超音波アクチュエータ(例えば、
図3の超音波アクチュエータ304)に含まれてもよい磁歪アクチュエータによって発生させられた超音波振動に応答して提供される。
【0057】
図6は、本開示の態様による、超音波研磨システムと共に用いる例示的なコンピューティングデバイス602を示す。コンピューティングデバイス602の示された例は、通信インタフェース604と、1つ又は複数のプロセッサ606と、ハードウェア608と、メモリ610と、を含むように示されている。コンピューティングデバイス602は、
図3のコンピューティングデバイス314の1つの可能な実装形態である。
【0058】
通信インタフェース604は、無線及び/又は有線通信構成要素を含んでもよく、この通信構成要素は、コンピューティングデバイス602が、
図3のCNCポジショナ302等の他のデバイスにデータを送り、それからデータを受け取ることを可能にする。ハードウェア608は、追加のハードウェアインタフェース、データ通信、又はデータ記憶ハードウェアを含んでもよい。例えば、ハードウェアインタフェースは、データ出力デバイス(例えば、電子ディスプレイ、オーディオスピーカ)、並びに1つ又は複数のデータ入力デバイスを含んでもよい。
【0059】
メモリ610は、コンピュータ記憶媒体等のコンピュータ可読媒体を用いて実装されてもよい。いくつかの態様では、コンピュータ可読媒体は、揮発性及び/又は不揮発性の、着脱可能な及び/又は着脱不可能な媒体を含んでもよく、この媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ等の情報を記憶する任意の方法又は技術において実装される。コンピュータ可読媒体としては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル汎用ディスク(DVD)、高精細マルチメディア/データ記憶ディスク、又は他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、或いはコンピューティングデバイスによるアクセスのための情報を記憶するのに使用可能な任意の他の非伝送媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
コンピューティングデバイス602のプロセッサ606及びメモリ610は、表面エラーマップ及び除去モジュール612並びにCNC制御モジュール614を実装してもよい。表面エラーマップ及び除去モジュール612並びにCNC制御モジュール614は、特定のタスクを実行する或いは特定の抽象データタイプを実施するルーチン、プログラム命令、オブジェクト、及び/又はデータ構造を含んでもよい。メモリ610はまた、表面エラーマップ及び除去モジュール612並びに/又はCNC制御モジュール614によって用いられるデータストア(図示せず)を含んでもよい。
【0061】
表面エラーマップ及び除去モジュール612は、光学要素(例えば、
図3の光学要素312)の表面エラーマップ及び除去マップを生成するように構成されてもよい。一例では、表面エラーマップ及び除去モジュール612は、干渉計(例えば、
図3の干渉計316によって生成された測定値317)から取得された1つ又は複数の測定値に応答して、表面エラーマップを生成してもよい。他の例では、表面エラーマップ及び除去モジュール612は、直接表面プロファイリング(例えば、粗面計による)等の1つ又は複数の他の光学測定技術に基づいて、表面エラーマップを生成してもよい。
【0062】
CNC制御モジュール614は、光学要素の表面(例えば、光学要素312の表面311)に対する研磨アーム(例えば、研磨アーム306)の位置を変えるために、CNCポジショナ(例えば、
図3のCNCポジショナ302)を誘導する1つ又は複数の制御信号(例えば、
図3の制御信号315)を生成するように構成されている。いくつかの例では、CNC制御モジュール614は、表面エラーマップ及び除去モジュール612によって生成された除去マップに基づいて制御信号を生成するように構成されている。例えば、除去マップは、高い領域、又は追加の材料が除去される必要がある領域である、光学要素312の表面311における1つ又は複数の領域を識別してもよい。したがって、CNC制御モジュール614は、研磨ボールが光学要素の識別された高い領域に対応する位置にあるときに、研磨ボールが光学要素の表面から除去される材料の量を増加するように研磨経路に沿って誘導されるように、研磨ボールの荷重及び/又は速度を変える制御信号を生成してもよい。
【0063】
図7は、本開示の態様による、光学要素の超音波サブ口径研磨のための例示的プロセス700を示す流れ図である。プロセス700は、
図3のコンピューティングデバイス314及び/又は
図6のコンピューティングデバイス602によって実行されてもよい1つの例示的プロセスである。
【0064】
プロセスブロック702において、超音波アクチュエータ(例えば、超音波アクチュエータ304)は、超音波振動を発生させるのを可能にされる。一態様では、CNC制御モジュール614は、通信インタフェース604を介して1つ又は複数の制御信号315を生成することによって超音波アクチュエータを使用可能にしてもよい。次に、プロセスブロック704において、CNC制御モジュール614は、光学要素の表面に対する研磨アームの位置を変えるために、研磨アーム(例えば、
図3の研磨アーム306)の位置を変えるように制御信号(例えば、制御信号315)のうちの1つ又は複数を生成する。
【0065】
上記のように、ある例では、CNC制御モジュール614は、光学要素の表面エラーマップに基づいて研磨アームの荷重及び/又は速度等のパラメータを変える制御信号を生成してもよい。したがって、プロセス700は、表面エラーマップ及び除去モジュール612を更に含んでもよく、これらは、1つ又は複数の表面測定値(例えば、
図3の測定値317)を受け取って、表面測定値に基づいて光学要素の表面エラーマップを生成する。CNC制御モジュール614は、次いで、光学経路に沿った研磨ボールの様々な位置における荷重及び/又は速度を変えるための1つ又は複数の追加の制御信号を生成して、光学要素の表面から除去される材料の量を調整してもよい。
【0066】
本発明の実施形態は、人工現実システムの作成を含んでもよく、又は人工現実システムの作成に関連して実装されてもよい。人工現実とは、ユーザへの提示の前に何らかの方式で調整された現実の形式であり、この形式は、例えば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、或いはこれらの何らかの組み合わせ及び/又は派生を含んでもよい。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ又はキャプチャされた(例えば、現実世界)コンテンツと組み合わされた生成されたコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、触覚フィードバック又はそれらのなんらかの組み合わせを含んでもよく、それらのうちのいずれかは、単一のチャネル又は複数のチャネル(視聴者への3次元効果を生成するステレオビデオ等)で提示されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、例えば、人工現実内のコンテンツを作成するために使用される、及び/又は人工現実内で別途使用される(例えば、活動を実行するために使用される)アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、又はそれらのいくつかの組み合わせに人工現実を関連付けることもできる。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、様々なプラットフォーム上に実装されてもよく、このプラットフォームは、ホストコンピュータシステムに接続されたヘッドマウントディスプレイ(HMD)、独立型HMD、モバイルデバイス又はコンピューティングデバイス、或いは1人又は複数の視聴者に人工現実コンテンツを提供することができる任意の他のハードウェアプラットフォームを含む。
【0067】
要約に記載されているものを含む、本発明の例示的実施形態についての上記説明は、網羅的であることを意図するものではなく、又は開示されたまさにその形式に本発明を限定することを意図するものではない。本発明の特定の実施形態及びそれについての例が、例示目的のために本明細書に記載されているけれども、当業者であれば、様々な修正が本発明の範囲内で可能であることを認識するであろう。
【0068】
これらの修正は、上記の詳細な説明を考慮して本発明に対してなされ得る。以下の特許請求項において用いられる用語は、本明細書で開示された特定の実施形態に本発明を限定するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求項によって全面的に決定されるべきであり、これは、クレーム解釈についての確立された原則に従って解釈されるべきである。
【国際調査報告】