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特表2022-540774外耳道フォトバイオモジュレーション装置
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  • 特表-外耳道フォトバイオモジュレーション装置 図1A
  • 特表-外耳道フォトバイオモジュレーション装置 図1B
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  • 特表-外耳道フォトバイオモジュレーション装置 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】外耳道フォトバイオモジュレーション装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20220912BHJP
   A61N 1/02 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576915
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2020039040
(87)【国際公開番号】W WO2020263767
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,763
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520414505
【氏名又は名称】ニュアラクシス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,クリストファー・アール
(72)【発明者】
【氏名】フォルツ,マーク・ティー
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA02
4C082PC04
4C082PC10
4C082PE10
4C082PJ11
(57)【要約】
フォトバイオモジュレーション装置は、ヒトの耳の外耳道に挿入されるように構成されたハウジングと、ハウジングに結合された少なくとも1つの照射源であって、当該少なくとも1つの照射源の放射線放出面の少なくとも一部が、少なくとも1つの脳神経の動脈枝および末梢神経枝の少なくとも1つが下に位置している耳の外耳道の真皮の少なくとも一部に面する、少なくとも1つの照射源と、ハウジングに収容された電気回路であって、耳の外耳道の真皮の少なくとも一部を通して少なくとも1つの頭蓋神経の動脈枝および末梢神経枝の少なくとも1つを照射するように少なくとも1つの放射線源を制御するための電気回路と、を含み得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの耳の外耳道に挿入されるように構成された第1の部分と、第2の部分と、を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記第1の部分に結合された少なくとも1つの照射源であって、当該少なくとも1つの照射源の放射線放出面の少なくとも一部が、少なくとも1つの脳神経の動脈枝および末梢神経枝の少なくとも1つが下に位置している前記外耳道の真皮の少なくとも一部に面する、少なくとも1つの照射源と、
前記ハウジングの前記第2の部分に収容されて前記少なくとも1つの照射源に電気的に接続された電気回路であって、前記外耳道の前記真皮の少なくとも一部を通して前記少なくとも1つの脳神経の前記動脈枝および前記末梢神経枝の少なくとも1つを照射するように前記少なくとも1つの照射源を制御するための少なくとも1つの回路構成要素を含む電気回路と、
を備えるフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項2】
前記ハウジングの前記第1の部分が第1のハウジングを備え、前記ハウジングの前記第2の部分が前記第1のハウジングとは別の第2のハウジングを備え、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとは互いに結合されている、
請求項1に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項3】
前記ハウジングが単一構造である、請求項1に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項4】
前記ハウジングの前記第1の部分は、湾曲した外縁を有する、請求項1から3のいずれかに1項に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの照射源は、前記湾曲した外縁の周りに放射状に配置された2つ以上の照射源を含み、当該2つ以上の照射源は、それぞれの放射線放出面の少なくとも一部が、異なる脳神経における少なくとも1つの末梢神経枝が下に位置している前記外耳道の真皮の異なる部分に面する、請求項4に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項6】
前記2つ以上の照射源は、4つの照射源であってそれぞれが当該4つの照射源のうちの隣接するものからほぼ等距離に配置された4つの照射源を含む、請求項5に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの照射源が、可視赤色光の範囲の周波数で放射線を生成するように、または可視赤色光周波数の範囲で放射線を生成するように構成される、請求項1から6のいずれか1項に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの照射源は、約630nmの波長で可視赤色光を生成するように構成される、請求項1から7のいずれか1項に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの照射源は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を備える、請求項1から8のいずれか1項に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項10】
前記ハウジングの前記第2の部分によって収容された電力源をさらに備える、請求項1から9のいずれか1項に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項11】
前記電力源が、少なくとも1つの充電式または非充電式のバッテリを含む、請求項10に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの回路構成要素は、少なくとも1つのスイッチと、前記少なくとも1つの照射装置に動作可能に結合されたタイマー回路と、を含み、前記タイマー回路は、前記スイッチを制御して前記少なくとも1つの照射装置をオンおよびオフに律動させるように構成される、請求項1から11のいずれか1項に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項13】
前記タイマー回路は、前記スイッチを制御して、前記少なくとも1つの照射装置を予め定められたまたは選択可能なパルスレートでオンおよびオフに律動させるように構成される、請求項12に記載のフォトバイオモジュレーション装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項のフォトバイオモジュレーション装置であって、前記少なくとも1つの回路構成要素が無線通信回路を含むフォトバイオモジュレーション装置と、
前記フォトバイオモジュレーション装置の前記無線通信回路と無線通信するように構成された無線通信回路を含むモバイル通信装置であって、動作指令を無線通信することにより前記フォトバイオモジュレーション装置の動作を制御するようにプログラムされたプロセッサをさらに備える、モバイル通信装置と、
を備えるフォトバイオモジュレーションシステム。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1項に記載のフォトバイオモジュレーション装置と、
前記フォトバイオモジュレーション装置に結線接続可能であるモバイル通信装置であって、前記フォトバイオモジュレーション装置に結線接続された前記モバイル通信装置によって前記フォトバイオモジュレーション装置の前記少なくとも1つの回路に動作指令を通信することにより、前記フォトバイオモジュレーション装置の動作を制御するようにプログラムされたプロセッサを含む、モバイル通信装置と、
を備えるフォトバイオモジュレーションシステム。
【請求項16】
ヒトの一方の耳の外耳道に挿入されるように構成された第1のハウジングを有する第1のフォトバイオモジュレーション装置と、
前記第1のハウジングに結合された少なくとも1つの第1の照射源であって、当該第1の照射源の放射線放出面の少なくとも一部が、少なくとも1つの脳神経の動脈枝および末梢神経枝の少なくとも1つが下に位置している前記一方の耳の前記外耳道の真皮の少なくとも一部に面する少なくとも1つの第1の照射源と、
前記第1のハウジングに収容され、前記一方の耳の前記外耳道の前記真皮の少なくとも一部を通して前記少なくとも1つの脳神経の前記動脈枝および前記末梢神経枝の少なくとも1つを照射するように前記少なくとも第1の放射線源を制御するための第1の電気回路と、
を備えるフォトバイオモジュレーション機器。
【請求項17】
前記第1の電気回路が無線通信回路を含み、
前記機器は、前記第1のフォトバイオモジュレーション装置のそれぞれの前記無線通信回路と無線で通信するように構成された無線通信回路を含むモバイル通信装置をさらに備え、前記モバイル通信装置は、動作指令を無線通信することにより前記第1のフォトバイオモジュレーション装置の動作を制御するようにプログラムされたプロセッサをさらに備える、
請求項16に記載の光生体変調機器。
【請求項18】
前記機器は、前記第1のフォトバイオモジュレーション装置に結線接続可能なモバイル通信装置をさらに備え、前記モバイル通信装置は、動作指令を前記第1のフォトバイオモジュレーション装置に結線接続された前記第1の電気回路へ通信制御することにより前記第1のフォトバイオモジュレーション装置の動作を制御するようにプログラムされたプロセッサを備える、請求項16に記載のフォトバイオモジュレーション機器。
【請求項19】
前記第1のハウジングに収容され、前記少なくとも第1の照射源に動作可能に結合された第1の電力源をさらに備える、請求項17または請求項18に記載のフォトバイオモジュレーション機器。
【請求項20】
前記モバイル通信装置は、電力源をさらに含み、前記第1のフォトバイオモジュレーション装置は、電力源を含まず、
前記モバイル通信は、前記第1のフォトバイオモジュレーションに結線接続されている前記モバイル通信装置を通じて、前記電力源から前記第1のフォトバイオモジュレーション装置の前記第1の電気回路に電力を供給する、
請求項18に記載のフォトバイオモジュレーション機器。
【請求項21】
前記ヒトのもう一方の耳の外耳道に挿入されるように構成された第2のハウジングを有する第2のフォトバイオモジュレーション装置と、
前記第2のハウジングに結合された少なくとも1つの第2の照射源であって、当該第2の照射源の放射線放出面の少なくとも一部が、少なくとも1つの脳神経の動脈枝および末梢神経枝の少なくとも1つが下に位置している前記もう一方の耳の前記外耳道の真皮の少なくとも一部に面する少なくとも1つの第2の照射源と、
前記第2のハウジングによって収容され、前記もう一方の耳の前記外耳道の前記真皮の少なくとも一部を通して前記少なくとも1つの脳神経の前記動脈枝および前記末梢神経枝の少なくとも1つを照射するように前記少なくとも第2の放射線源を制御するための第2の電気回路と、
を備える請求項16から20のいずれか1項に記載のフォトバイオモジュレーション機器。
【請求項22】
前記第2の電気回路が無線通信回路を含み、
前記モバイル通信の前記無線通信回路は、前記第2のフォトバイオモジュレーション装置の前記無線通信回路と無線通信するように構成され、前記モバイル通信回路の前記プロセッサは、動作指令を無線通信することによって前記第2のフォトバイオモジュレーション装置の動作を制御するようにプログラムされる、
請求項21に記載のフォトバイオモジュレーション機器。
【請求項23】
前記モバイル通信装置は、前記第2のフォトバイオモジュレーション装置に結線接続可能であり、
前記モバイル通信装置の前記プロセッサは、前記第2のフォトバイオモジュレーション装置に結線接続された前記モバイル通信装置によって第2の電気回路に動作命令を通信することにより、前記第2のフォトバイオモジュレーション装置の動作を制御するようにプログラムされる、
請求項21に記載のフォトバイオモジュレーション機器。
【請求項24】
前記第2のハウジングによって収容されて前記少なくとも1つの第2の照射源に動作可能に結合された第2の電力源をさらに備える、請求項22または23に記載のフォトバイオモジュレーション機器。
【請求項25】
前記第2のフォトバイオモジュレーション装置が電力源を含まず、
前記モバイル通信は、前記第2のフォトバイオモジュレーションに結線接続されている前記モバイル通信装置を通じて、前記電力源から前記第2のフォトバイオモジュレーション装置の前記第2の電気回路に電力を供給する、
請求項23に記載のフォトバイオモジュレーション機器。
【請求項26】
前記第1および第2のハウジングはそれぞれ、湾曲した外縁を有し、
前記少なくとも1つの第1の照射源は、前記第1のハウジングの前記湾曲した外縁の周りに放射状に配置された2つ以上の照射源を含み、当該2つ以上の照射源は、それぞれの放射線放出面の少なくとも一部が、異なる脳神経における少なくとも1つの末梢神経枝が下に位置している前記一方の耳の前記外耳道の真皮の異なる部分に面し、
前記少なくとも1つの第2の照射源は、前記第2のハウジングの前記湾曲した外縁の周りに放射状に配置された2つ以上の照射源を含み、当該2つ以上の照射源は、それぞれの放射線放出面の少なくとも一部が、異なる脳神経における少なくとも1つの末梢神経枝が下に位置している前記もう一方の耳の前記外耳道の真皮の異なる部分に面する、
請求項21から25のいずれか1項に記載のフォトバイオモジュレーション機器。
【請求項27】
前記少なくとも1つの第1の照射源と前記少なくとも1つの第2の放射線源とは、可視赤色光の範囲の周波数で放射線を生成するように、または可視赤色光周波数の範囲で放射線を生成するように構成される、請求項21から26のいずれか1項に記載のフォトバイオモジュレーション機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年6月26日に出願された米国仮特許出願第62/866,763号明細書の利益、および同明細書に対する優先権を主張し、その開示全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
[0002]本開示は、概して、フォトバイオモジュレーション装置、より具体的には、ヒトまたは動物の少なくとも1つの耳の外耳道(外聴道としても知られる)に挿入されるように構成された装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]パルス近赤外フォトバイオモジュレーション(PNIP)は、放射光エネルギーを使用して生物学的システムを改変し、治療効果をもたらす技術である。PNIPは、頭蓋動脈、神経、頭蓋灌流圧に影響を及ぼし、経頭蓋および鼻腔内の両方に送達されると神経振動を変調することが知られている。定常または静的放射ではなく、パルス放射は、隣接する組織の潜在的な過熱を低減すると考えられている。
【0004】
[0004]発色団は、赤外線および近赤外線領域の光を吸収するヘムおよび銅中心の両方を含む。光子は、抑制性-酸化窒素を分離し、電子伝達、ミトコンドリア膜電位、ATP生成の増加をもたらし、同時に光感受性イオンチャネルを活性化して、最初の光子吸収がシグナル伝達経路を活性化した後、カルシウムが細胞に入るのを可能にするという仮説が立てられている。これは血管拡張剤として作用し、リンパの流れを増加させる。結果として、PNIPの上記の初期の有益な治療効果は、脳血流(CBF)の増加、酸素消費量、酸素の利用可能性、およびミトコンドリアのATP活性の増加という結果になる可能性がある。光刺激が除去された直後に血管拡張が逆行するが、光への曝露後の変化は、数日、数週間、または数ヶ月さえ続くことが知られている。長期的な効果は、ミトコンドリアの活性化または血流の刺激だけでは説明できず、タンパク質発現を変化させるシグナル伝達経路および転写因子の活性化の結果であると仮定されている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示は、添付の特許請求の範囲に記載されている特徴の1つまたは複数、および/または以下の特徴およびそれらの組み合わせの1つまたは複数を含み得る。一態様では、フォトバイオモジュレーション装置は、ヒトの耳の外耳道に挿入されるように構成された第1の部分と、第2の部分と、を有するハウジングと、前記ハウジングの前記第1の部分に結合された少なくとも1つの照射源であって、当該少なくとも1つの照射源の放射線放出面の少なくとも一部が、少なくとも1つの脳神経の動脈枝および末梢神経枝の少なくとも1つが下に位置している前記外耳道の真皮の少なくとも一部に面する、少なくとも1つの照射源と、前記ハウジングの前記第2の部分に収容されて前記少なくとも1つの照射源に電気的に接続された電気回路であって、前記外耳道の前記真皮の少なくとも一部を通して前記少なくとも1つの脳神経の前記動脈枝および前記末梢神経枝の少なくとも1つを照射するように前記少なくとも1つの照射源を制御するための少なくとも1つの回路構成要素を含む電気回路と、を備え得る。
【0006】
[0006]別の態様では、フォトバイオモジュレーションシステムは、上記したフォトバイオモジュレーションであって、少なくとも1つの回路構成要素が無線通信回路を含むフォトバイオモジュレーション装置と、少なくとも1つの回路構成要素が無線通信回路を含み、無線通信と無線通信するように構成された無線通信回路を含む移動通信装置とを含む、前項に記載の光生体変調装置を含み得る。光生体変調装置の回路、移動通信装置は、動作命令を無線で通信することによって光生体変調装置の動作を制御するようにプログラムされたプロセッサをさらに備える。
【0007】
[0007]さらに別の態様では、光生体変調システムは、[0005]に記載のフォトバイオモジュレーション装置と、フォトバイオモジュレーション装置に結線接続可能であるモバイル通信装置であって、フォトバイオモジュレーション装置に結線接続されたモバイル通信装置によって前記フォトバイオモジュレーション装置の少なくとも1つの回路に動作指令を通信することにより、フォトバイオモジュレーション装置の動作を制御するようにプログラムされたプロセッサを含む、モバイル通信装置とを備え得る。
【0008】
[0008]さらなる態様では、フォトバイオモジュレーション機器は、ヒトの一方の耳の外耳道に挿入されるように構成された第1のハウジングを有する第1のフォトバイオモジュレーション装置と、前記第1のハウジングに結合された少なくとも1つの第1の照射源であって、当該第1の照射源の放射線放出面の少なくとも一部が、少なくとも1つの脳神経の動脈枝および末梢神経枝の少なくとも1つが下に位置している前記一方の耳の前記外耳道の真皮の少なくとも一部に面する少なくとも1つの第1の照射源と、前記第1のハウジングに収容され、前記一方の耳の前記外耳道の前記真皮の少なくとも一部を通して前記少なくとも1つの脳神経の前記動脈枝および前記末梢神経枝の少なくとも1つを照射するように前記少なくとも第1の放射線源を制御するための第1の電気回路と、を備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】[0009]図1Aは、外耳道の外部入口の内部およびその周辺の耳介神経支配を示す人間の耳の斜視図である。
図1B】[0010]図1Bは、図1Aの断面線1B-1Bに沿って見た人間の耳の部分断面図であり、少なくとも部分的に外耳道内に延びる外耳道の外部入口の周りの脳神経V(*)、VII(#)、IX(●)、X(X)、及び動脈枝の分布を示す。
図2】[0011]図2は、図2A図2Dを含み、外耳道フォトバイオモジュレーション装置の実施形態の様々な図を示す。
図3】[0012]図3は、図2A-2Dの外耳道フォトバイオモジュレーション装置の部分的な組み立て図であり、装置のハウジング内の電源および制御回路の配置を示す。
図4】[0013]図4は、図3に示される外耳道フォトバイオモジュレーション装置の制御回路の実施形態の上面図である。
図5】[0014]図5は、図2A-2Dに示されるものと同様の、外耳道フォトバイオモジュレーション装置の別の例を示すフォトバイオモジュレーションシステムの実施形態の簡略図であり、装置は、人間の耳の外耳道と経皮接触して配置され、モバイル通信装置によって実行されるソフトウェアアプリケーションによってワイヤレスで制御される。
図6】[0015]図6は、図5のモバイル通信装置の簡略化された概略ブロック図である。
図7】[0016]図7は、図2A-2Dに示されるものと同様の、一対の外耳道フォトバイオモジュレーション装置を示すフォトバイオモジュレーションシステムの別の実施形態の簡略図であり、それぞれ、一対の人間の耳の一方の外耳道と経皮接触して配置され、有線接続を介してモバイル通信装置に接続され、フォトバイオモジュレーション装置は、モバイル通信装置によって実行されるソフトウェアアプリケーションによって制御される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0017]本開示の原理の理解を促進する目的で、添付の図面に示されるいくつかの例示的な実施形態を参照し、特定の言語を使用してそれを説明する。
【0011】
[0018]本開示は、外耳道の真皮の下に解剖学的に位置した、少なくとも1つの脳神経の末梢枝を刺激すること、および/または少なくとも1つの動脈枝を刺激することを目的として、ヒトまたは動物の耳の外耳道の少なくとも一部を照射するための装置および技術に関する。一例として、図1Aおよび1Bを参照すると、ヒトの耳10が示され、耳介12および、入口開口部14と鼓膜20との間に画定されて延びる外耳道18への入口開口部14が示される。図1Aおよび1Bに例示されるように、いくつかの脳神経16の末梢枝は、入口開口部14の周辺周りに、そして少なくとも部分的に真皮22の下の外耳道18内に延びる。特に、図1Aおよび図1Bでは「*」で示される三叉神経の末梢枝(「V」と呼称することもある)は、入口開口部14の弧状の前部分に沿って、少なくとも部分的に外耳道18に延在する。同様に、図1Aおよび図1Bでは「X」として示される迷走神経の末梢枝(「X」と呼称することもある)は、入口開口部14の弧状の後部分に沿って、少なくとも部分的に外耳道18内に延在する。図1Aおよび図1Bでは「#」として示される顔面神経の上部および下部末梢枝(「VII」と呼称することもある)は、三叉神経V(*)の反対の弧状端部に続く入口開口部14の上部および下部に沿って延在し、図1Aおよび図1Bでは「●」として示されるグロソファレンジ神経の上部および下部末梢枝(「IX」と呼称することもある)は、迷走神経X(X)の反対の弓形端部に続くと共に顔面神経VII(#)のそれぞれの上部および下部末梢枝に続く入口開口部14の上部および下部に沿って延在する。図1Bに例示されているように、顔面神経枝VII(#)とグロソファレンジ神経枝IX(●)とは両方とも入口開口部14から外耳道18内に少なくとも部分的に延在するが、三叉神経枝V(*)および迷走神経枝のそれぞれは、比較すると、外耳道18内の実質的に更に内側まで延在する。また、図1Bに示された動脈枝24は。脳神経16を含む領域内および/または隣接する外耳道18の周りに少なくとも部分的に延在する。
【0012】
[0019]ここで、図2A図2Dを参照し、ヒトの耳10の外耳道18とその外部開口部14で経皮接触して配置され、1つまたは複数の脳神経16および/または入口開口部14の周囲に延在して少なくとも部分的に真皮の下の外耳道18に延びる1つまたは複数の動脈枝24の末梢枝の少なくとも1つを照射するように制御されるように構成されたフォトバイオモジュレーション装置50の実施形態が示されている。いくつかの実施形態では、単一のそうした装置50が実装されているが、他の実施形態では、ユーザーの各耳に挿入される2つのそうした装置50が実装されている。図示の実施形態では、装置50は、従来の「イヤフォン」と同様の形態で実装された外耳道挿入部分50Aと、電源ならびに制御および無線通信電子機器を含む制御部分50Bと、を含む。後者の例は、図3および図4に示され、下記で詳細に説明される。
【0013】
[0020]外耳道挿入部分50Aは、例示的に、開放端52Aと、その反対側の端部52Bに向かって断面が下向きに先細になる湾曲した外面とを有する、概して湾曲した、例えばドーム型のハウジング52を含む。ハウジング52は、概して、端部52Bで、入口開口部14を通って、少なくとも部分的にヒトの耳10の外耳道18内に通じて受け入れられるように寸法決め及び構成されている。いくつかの実施形態では、概してハウジング52と同様の形状であり、その中にハウジング52が受け入れられる可撓性のイヤチップまたやイヤキャップ54が設けられる。そのような実施形態では、耳の先端またはキャップ54は、例示的に、イヤチップまたはキャップ54と、入口開口部14の周りおよび隣接する外耳道18に沿って周方向に延びる組織層と、の摩擦経皮係合を容易にするように構成されたシリコーンまたは他の材料で形成され得る。装置50を耳10に解放可能に取り付けるまたは固定するために他の従来構造が設けられたいくつかの代替の実施形態では、イヤチップまたはキャップ54は省略され得る。いずれの場合も、そのような実施形態における外耳道挿入部分50Aは、入口開口部14およびそれに隣接する外耳道18の少なくとも一部に受け入れられるが、必ずしも係合する必要はない寸法にされ得る。いくつかのそのような実施形態では、外耳道挿入部分50Aは、入口開口部14および/またはそれに隣接する外耳道18の少なくとも一部に接触するが、摩擦係合することはなく、他のそのような実施形態では、装置50は、外耳道挿入部分50Aが、開口部14を通って少なくとも部分的に外耳道18に挿入可能であるものの、入口開口部14および/またはそれに隣接する外耳道18とは接触しないように設計され得る。
【0014】
[0021]ハウジング52およびイヤチップまたはキャップ54(イヤチップまたはキャップ54を含む実施形態において)は、対応した多数の照射源の1つがそれぞれ受け入れられるように寸法決めされた多数の開口を画定し、多数の放射減のそれぞれの放射線放出面が、入口開口部14のそれぞれの部分および/またはそれに隣接する外耳道18の少なくとも一部に面する。代替の実施形態では、ハウジング52およびイヤチップまたはキャップ54(イヤチップまたはキャップ54を含む実施形態において)は、それぞれの照射源が受け取られる開口自体を画定することはなく、代わりに、それぞれの照射源が搭載される部位を画定してもよい。そのような実施形態では、ハウジング52および/またはイヤチップまたはキャップ54は、1つまたは複数の光透過部分または窓を画定してもよく、それを通して、照射源のそれぞれによって生成された放射線は、1つまたは複数の脳神経16の末梢枝に、および/または1つまたは複数の動脈枝24に向けて集束または他の方法で伝達され得る。いずれの場合でも、多数の照射源のそれぞれは、例示的に、それによって生成される放射線を、1つまたは複数の脳神経16の末梢枝のそれぞれの1つまたは複数に向ける、および/または入口開口部14の周辺周りに、そして少なくとも部分的に真皮22の下の外耳道18内に延びる1つまたは複数の動脈枝24に向ける。
【0015】
[0022]図示の実施形態では、4つのそうした開口部56A~56Dは、例えば、互いに等距離で、ハウジング52およびイヤチップまたはキャップ54の周りに半径方向に間隔を置いて配置され、4つの対応する照射源58A~58Dは、例えば、それぞれ、発光ダイオード(LED)の形態において、開口部56A~56Dのそれぞれの1つにそれぞれが挿入されて設けられる。この実施形態では、装置50は、例示的に、各照射源58A~58Dを、それぞれの少なくとも1つの脳神経16および/またはそれぞれの少なくとも1つの脳神経16を含む領域内またはその領域に隣接する動脈枝の反対側に、そしてそれらに面して配置するように方向付けすることができる。例えば、装置50は、照射源58Aが外耳道18の上部にある脳神経VII(#)およびIX(●)の末梢枝の反対側にあり、照射源58Bが外耳道18の下部にある脳神経VII(#)およびIX(●)の末梢枝の反対側にあり、照射源58Cが外耳道18の前部にある脳神経V(*)の末梢枝の反対側にあり、照射源58Dが外耳道18の後部にある脳神経X(X)の末梢枝の反対側にあるように、外耳道18に対して例示的に配置可能である(例えば、図5を参照)。そのように配置された1つまたは複数の照射源58A~58Dは、それぞれの脳神経16を含む外耳道18の様々な領域内またはそれに隣接する1つまたは複数の動脈枝24をさらに照射することができる。
【0016】
[0023]装置50の上記の配置は、一例としてのみ提供され、外部開口部14および/またはそこに隣接する外耳道18の少なくとも一部に対する装置50の他の位置または向きが、本開示の範囲内に入ることが意図されているものと理解されよう。また、図2A図2Dに示される実施形態は、ハウジング52の周りに半径方向に等間隔に配置された4つの照射源58A~58Dを含むが、代替の実施形態は、半径方向に等間隔または不等間隔に配置された、または他の方法でハウジング52の周りに配置された、より多い又はより少ない照射源を含み得る。
【0017】
[0024]耳介動脈枝および神経束は、赤色可視光の周波数範囲の放射線を吸収し、青および緑の周波数範囲の放射線を反射すると考えられている。したがって、一例の実施形態では、照射源58A~58Dはそれぞれ、赤色可視光の周波数で、または赤色可視光の周波数範囲で放射線を生成するように構成される。1つの特定の実施形態では、照射源58A~58Dはそれぞれ、630nmで放射線を生成するように例示的に構成される。しかしながら、1つまたは複数の照射源58A~58Dは、代替的に、赤色可視光の周波数範囲内の任意の周波数で放射線を生成するように構成され得るか、あるいは、可視またはその他の周波数範囲の任意の周波数範囲における任意の周波数で放射線を生成するように構成され得る。照射源58A~58Dは、一実施形態ではLEDの形態で実施されるものとして説明されるが、1つまたは複数の照射源58A~58Dは、代替的に、任意の単一周波数または任意の周波数範囲で放射線を生成するように構成された他の従来の照射源の1つまたは任意の組み合わせの形態で提供され得ることがさらに理解されよう。
【0018】
[0025]図示の実施形態では、イヤチップまたはキャップ54は、例えば、イヤチップまたはキャップ54の柔軟性を促進するため、および/または外耳道挿入部分50Aの外入口開口部14およびまたは耳10の外耳道18の少なくとも隣接する部分への摩擦フィッティングを容易にするために、イヤチップまたはキャップ54を通る軸方向開口部56Eを例示的に含む。いくつかの実施形態では、図2Cおよび2Dに示されるように、開口部56Eは、ハウジング52のドーム型端部52Bを露出させる。代替の実施形態では、ハウジング52は、スピーカー、例えば、ボイスコイル、磁石および音響チャンバ、または他の従来のスピーカーおよび/または1つまたは複数の他の音響装置を含んでもよく、開口部56Eは、そうしたスピーカーを外耳道18に曝してもよい。そのような実施形態では、装置50は、スピーカーおよび/または1つまたは複数の他の音響装置、例えば音楽、スピーチ、および/または他のオーディオコンテンツを介して音を再生するように構成された適切な電子機器を含み得る。ハウジング52が1つまたは複数の音響装置を含むいくつかのそうした実施形態では、任意のそのような1つまたは複数の音響装置は、ヒトまたは他の動物によって、意識的および/または無意識的に、聞こえ、感じられ、および/または他の方法で知覚され得る任意の周波数または周波数範囲で電磁放射を増幅および/または送信するための任意の装置であってもよいし、またはそれらを含んでもよいことが理解されよう。他の非限定的な例では、そのような周波数範囲は20Hz~20kHzであり得るが、20Hz未満の1つまたは複数の周波数および/または20kHzを超える1つまたは複数の周波数を含んでもよく、概して、振動、音、超音波、および/または超低周波音の1つまたは複数の周波数が含まれてもよい。
【0019】
[0026]装置50の制御部分50Bは、例示的に、外耳道挿入部分50Aのハウジング52の開放端52Aに結合された開放端60Aを有するハウジング60と、端部60Aから離間された別の開放端60Bとを含む。ハウジング60は、例示的に、その開放端60Bに取り外し可能に結合された回路基板キャリアスリーブ62と、キャリアスリーブ62に取り外し可能に結合されたカバー64とを含む。ハウジング60は、図3に例示的に示すように、開放端60Bを介して電源70を受け入れるように寸法決めされたキャビティを内部に画定する。
【0020】
[0027]一実施形態では、電源70は、従来のバッテリの形態で実施される。いくつかのそのような実施形態では、バッテリ70は再充電可能であり得、そのような実施形態では、ハウジング60は、図2Dに例示的に示されるように、バッテリ充電端子66A、66Bにアクセスしてバッテリ70を充電することができるように、その下側に開口部を画定してもよい。代替の実施形態では、バッテリ70は再充電不可であってもよい。さらに他の実施形態では、電源70は、バッテリ以外の、またはバッテリに加えて、1つまたは複数の他の従来の電力源70の形態で実施されてもよい。電源70が従来の充電式バッテリの形態で提供される1つの特定の実施形態では、そのようなバッテリ70は、3.7ボルト、フラットパック、50mah(ミリアンペア時間)リチウムバッテリの形態で提供され得るが、そのような特定の実装は例としてのみ説明されており、バッテリ70は、より多いまたはより少ない電圧、より多いまたはより少ないエネルギー容量を生成するように、および/または他の活性元素および/または化合物から形成されて構成されてもよい。装置50が電子制御装置に結線接続されているいくつかの代替の実施形態では、例えば、図7に一例として示され、下記で説明されるように、電力は、電子制御装置によって装置50に供給されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、電源70は省略され得る。
【0021】
[0028]再び図3を参照し、電気回路80は、例示的に、回路基板キャリアスリーブ62内に取り付けられ、その後に、ハウジング60が電力の電源70および電気回路80を収容するように、カバー64がスリーブ62に取り付けられる。いくつかの実施形態では、ハウジング52およびハウジング60は、上記のように一緒に取り付けられ、接続され、または他の方法で結合された別個の構成要素である。代替の実施形態では、ハウジング52、60は、単一のハウジングに統合され得る。いずれの場合も、ハウジング52は、例示的に、耳10の外耳道18に挿入されるように構成された1つのハウジング部分を表し、ハウジング60は、電源70および電気回路80を収容するように構成された別のハウジング部分を表す。
【0022】
[0029]ここで図4を参照すると、電気回路80の実施形態が示されている。図示の実施形態では、電気回路80は、多数の様々な回路構成要素が搭載された回路基板82を含む。回路基板82は、例示的に、回路部品の表面実装および/またはスルーホール取り付け用に構成された従来の硬い、半屈曲性の、または可撓性の回路基板であり得る。例えば、回路基板82は、例示的に、電力リード線またはワイヤを接続するように構成された電気端子またはパッド84を含む。図3に示される実施形態では、例えば、電源70の正(+)および負(または接地)(-)端子は、回路基板キャリアスリーブ62を通って端子またはパッド84との電気接続に延びる適切なワイヤに接続される。回路基板86は、照射源のリード線またはワイヤを接続するように構成された照射源の端子86またはパッドをさらに含む。図3に示される実施形態では、例えば、照射源58A~58Dの異なるそれぞれの1つに接続された4本のワイヤのそれぞれが、外耳道挿入部分50Aのハウジング52の開放端52Aを通って、ハウジング60の開放端60A内に延び、そして、回路基板キャリアスリーブ62を通り、端子またはパッド86との電気的接続へ延びる。
【0023】
[0030]4つの抵抗器88が回路基板82に実装され、それぞれの一端がノーマルオフスイッチ90を介して電力端子84に電気的に結合され、それぞれの他端が端子またはパッド86を介してから4つの照射源58A~58Bのうちの異なるそれぞれの1つに電気的に接続される。スイッチ90は、下記で説明するように、抵抗器88を介して電源70を照射源58A~58Dに電気的に接続して、照射源58A~58Dに放射線を放出させるために、オン位置に制御可能である。電源70が上記の3.7ボルトのバッテリである例示的な実施形態では、照射源58A~58Dはそれぞれ、240mcd(ミリカンデラ)の輝度強度および120度の視野角を有する630nm、2ボルト、20mA、0.06ワットのLEDの形態で実施され、この実施形態では、抵抗器88のそれぞれは、60オーム、0.25ワット、±1%の許容誤差、金属皮膜抵抗器の形態で実装される。しかしながら、照射源58A~58Dおよび抵抗器88のそのような実施は、例としてのみ提供され、他の照射源58A~58D、および/または照射源58A~58Dおよび/または抵抗器88の他の値および/または他の仕様が代替的に使用されてもよい。
【0024】
[0031]電気回路80は、例示的に、回路基板82に取り付けられたいくつかの集積回路92をさらに含む。いくつかの実施形態では、集積回路92の少なくとも1つは、スイッチ90に電気的に接続され、予め決められたまたはプログラム可能なスイッチングレートでオン状態とオフ状態とにスイッチ90を制御するように構成される。限定と見なされるべきではない一例の実施形態では、スイッチングレートは約40Hzであるが、他のスイッチングレート、または様々なスイッチングレートを代替的に使用することができる。いくつかのそのような実施形態では、スイッチングレートのデューティサイクルは約50%であるが、他の実施形態では、デューティサイクルは50%より大きくても小さくてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の集積回路92がデューティサイクルを制御することができ、いくつかのそのような実施形態では、デューティサイクルはプログラム可能または可変であり得る。いくつかの実施形態では、集積回路92の少なくとも1つは、電源70、スイッチ90、および/または抵抗器88に動作可能に結合される従来の駆動回路であり、電力を供給するように動作可能であり、いくつかの実施形態では、電源70から照射源58A~58Dへの電圧および/または電流を調整する。
【0025】
[0032]電気回路80は、さらに例示的に、回路基板82に搭載されたオン/オフスイッチ94を含む。装置50が自己制御されるいくつかの実施形態では、ハウジング60の外部に、アクセス可能で手動選択可能なアクチュエータが動作可能にスイッチ94に結合され、装置50は、そのようなアクチュエータの手動作動を介して電源をオンおよびオフすることができる。他の実施形態では、装置50は、例えば、図7に例示的に示されるように、遠隔に配置された制御装置、例えば、モバイルまたは固定式の電子制御装置に配線接続されてもよく、そのような実施形態では、スイッチ94、および場合によっては集積回路92の1つまたは複数は、制御装置に電気的に接続されて、装置50に接続された制御装置が、装置50の動作を制御してもよい。上記のように、いくつかのそのような実施形態では、電力は、結線接続を介して制御装置によって装置50に供給されてもよく、そのような実施形態では、電源70は、装置50から省略されてもよい(または省略されなくてもよい)。遠隔位置にある制御装置の例には、ラップトップ、タブレットまたはパーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートウォッチなどのようなモバイル通信装置、または他のモバイルまたは固定式の電子制御装置またはシステムが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0026】
[0033]さらに他の実施形態では、装置50は、無線で接続された制御装置によって無線で制御されるように構成され、そのような実施形態では、無線通信回路が、回路基板82に搭載されて少なくともスイッチ94に電気的に接続され得る。そのような実施形態は、例示的に図4に示され、無線通信制御回路96が回路基板82に搭載されてスイッチ94に電気的に接続され(直接的に、または1つまたは複数の集積回路92を介して)、また、無線通信アンテナ98が、回路基板82および無線通信回路96に電気的に接続されている。そのような一実施形態では、無線通信回路96は、例示的に、公知のブルートゥース(登録商標)コントローラの形態で実施され、アンテナ98は、公知のブルートゥース(登録商標)アンテナアレイであり、Bluetooth(登録商標)コントローラ96は、公知の方法で動作可能であり、公知のブルートゥース(登録商標)通信プロトコルに従って情報を受信し、いくつかの実施形態では送信する。しかしながら、ブルートゥース(登録商標)は、装置50に実装され得る一例の無線通信プロトコルを示しているにすぎず、代替の実施形態では、無線通信制御回路96およびアンテナ98は、1つまたは複数の他の公知の無線通信プロトコルに従って無線通信のために構成され得ることが理解されよう。
【0027】
[0034]電気回路80が図4に例示的に示されるような無線通信回路を含む実施形態では、上記で説明したように、モバイル通信装置(MCD)が例示的に設けられ、無線で通信される指令を介してフォトバイオモジュレーション装置50の動作を制御するようにプログラムされる。また、そのようなプログラムされたMCDは、装置50がMCDに結線接続されている実施形態において、フォトバイオモジュレーション装置50の動作を制御するために使用され得る。
【0028】
[0035]図5を参照すると、無線通信機能を備えたモバイル通信装置(MCD)102が構成されている、つまり、少なくとも1つのフォトバイオモジュレーション装置50の動作を制御するようにプログラムされている、無線制御フォトバイオモジュレーションシステム100の実施形態が示されている。図2Aおよび図3に示される装置50の外耳道挿入部分50Aは、上記のようにヒトの耳10の外耳道と経皮接触して配置され、電気回路80を収容する装置50の制御部分50Bは、示されるように耳10から外向きに向いている。MCD102は、図5にグラフで示されているように、装置50に収容される電気回路80と無線で通信するように動作可能である。一実施形態では、MCD102は、公知の携帯電話、例えば、いわゆるスマートフォンであり得るが、代替の実施形態では、MCD102は、他の従来型またはアプリケーション固有の無線通信装置の形態で提供され得る。そのような装置の例には、公知の携帯情報端末(PDA)、タブレットコンピュータ、キーフォブ、スマートウォッチ、例えば、スタンドアロン装置または携帯電話に通信可能に結合されたもの、公知の無線遠隔制御装置などが含まれるが、これらに限定されない。図5に示された実施形態では、装置50は図2Aおよび図3に示されたものと例示的に異なり、図5に示された装置50は、制御部分50Bから概して下向きに延びる公知のステム72を含む。ステム72は、いくつかの実施形態では、開放端であり得、他の実施形態では、ステム72の自由端は、例えば、蓋をされて閉鎖され得る。ステム72を含むいくつかの実施形態では、図4に示されて回路基板82に搭載されたアンテナ98が、少なくとも部分的にステム72内に延びてもよい。あるいは、または加えて、ステム72は、1つまたは複数の公知の電子部品を収容してもよく、その例には、1つまたは複数のマイク、1つまたは複数の力センサー、1つ又は複数のバッテリ、および/または他の電源、または他の電気的および/または電気機械的装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
[0036]ここで図6を参照すると、I/Oサブシステム106に動作可能に結合され、順に、メモリ108、データストレージ112、いくつかの周辺装置114、および通信回路122に結合された公知のプロセッサ104を例示的に含む、MCD102の実施形態が示されている。メモリ108は、例示的に、フォトバイオモジュレーション装置50の動作を制御するためにプロセッサ104によって実行可能な指令の形態でフォトバイオモジュレーション装置(PBMD)アプリケーション110をその中に記憶している。データストレージ112は、MCD102のユーザーに関連するデータおよび/または装置50の動作に関連するデータが格納される1つまたは複数の公知のメモリデバイスの形態で例示的に実施される。
【0030】
[0037]周辺機器114は、説明したタイプのモバイル通信装置102に典型的に含まれる任意の公知の周辺機器を含むことができる。例には、公知の表示画面116、例えばタッチ制御または他の方法のもの、公知のマイク118および公知のGPSモジュール(例えば、公知のGPS受信機および関連するアンテナを含む)が含まれるが、これらに限定されない。当業者は、周辺装置114に含まれ得る他の公知の装置を認識し、そのような他の従来の装置は、本開示の範囲内に含まれることが意図されていることが理解されよう。
【0031】
[0038]通信回路122は、例示的に、無線通信回路124を含み、無線通信回路124は、例示的に、それぞれが特定の通信プロトコルに従って無線通信を実行するように構成された任意の数の無線通信モジュールを含み得る。例としては、Wi-Fi/インターネット通信、セルラー通信、近距離無線通信などがあるすが、これらに限定されない。図6に示される実施形態では、無線通信回路124は、これに代えて又は加えて、例えば、図5に例示されるような公知のブルートゥース(登録商標)アンテナ128に電気的に接続される、例えば公知のブルートゥース(登録商標)コントローラの形態のブルートゥース(登録商標)モジュール126を含む。したがって、MCD102は、公知のブルートゥース(登録商標)通信プロトコルに従って、フォトバイオモジュレーション装置50と無線通信を行うように構成される。いくつかの実施形態では、そのような無線通信は一方向であり得、MCD102は、情報をフォトバイオモジュレーション装置50にのみ無線で送信することができ、フォトバイオモジュレーション装置50は、MCD102によって無線で送信される情報を受信だけすることができ、またはその逆であり、他の実施形態では、そのような無線通信は双方向であり得、MCD102およびフォトバイオモジュレーション装置50は、両方とも、他方に無線で情報を送信し、他方によって無線で送信された情報を受信することができてもよい。
【0032】
[0039]フォトバイオモジュレーション装置50が上記のような無線(または有線)通信機能を含むいくつかの実施形態では、MCD102のプロセッサ104は、メモリに記憶されたPBMDアプリケーション110を実行することによって装置50の動作を制御するように動作可能である。一実施形態では、例えば、装置50の回路基板82に搭載された集積回路92の少なくとも1つは、スイッチ90に結合された公知のタイマー回路であり、PBMDアプリケーション110は、例示的に指令を含み、プロセッサ104によって実行されると、プロセッサ104は無線通信回路126、128を制御して、1つまたは複数の信号を装置50に無線送信し、装置50は、タイマー回路をアクティブにしてタイマー回路を所定のパルスレート、例えば40Hzでスイッチ90をオンおよびオフにする指令を実行する。次に、装置50に搭載されたブルートゥース(登録商標)コントローラ96は、そうした指令を受信し、いま説明したように動作するようタイマー回路を制御するように動作可能である。タイマー回路のパルスレートがプログラム可能である他の実施形態では、PBMDアプリケーション110は、例示的に指令を含み、プロセッサ104によって実行されると、プロセッサ104が無線通信回路126、128を制御して1つまたは複数信号を装置50に無線送信し、装置50は、タイマー回路をアクティブにしてタイマー回路を選択されたパルスレートでスイッチ90をオンおよびオフにする指令を実行する。いくつかの実施形態では、タイマー回路のデューティサイクルは、固定、例えば、50%であってもよく、他の実施形態では、デューティサイクルは、パルスレートに関して説明したように、プログラム可能および設定可能であり得る。
【0033】
[0040]他の実施形態では、装置50の回路基板82に搭載された集積回路92の少なくとも1つは、メモリおよびスイッチ90に結合された、またはそれらを含む公知のプロセッサであり得、そのようなメモリは、装置50のプロセッサによって実行することができ、スイッチ90の動作をプロセッサに制御させるための指令を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、照射源58A~58Dのパルスレートおよび/またはデューティサイクルは固定であり得、他の実施形態では、上記のように選択可能であり得る。
【0034】
[0041]いずれの場合でも、PBMDアプリケーション108は、例示的に、ユーザーが選択的に、つまり、画面16に表示されるタッチ選択可能インターフェースとの手動相互作用を介して、および/またはMCD102のボタン、スイッチ、またはキーの手動選択を介して、表示画面116上にユーザーインターフェースを提示する。装置50の制御動作は、例えば15分の使用間隔などの使用期間を含む。また、いくつかの実施形態では、PBMDアプリケーション108は、使用データ、例えば、暦日、時刻、使用期間、使用場所(例えば、GPSデータを介して)などの自動取り込み、個人データのユーザー入力、例えば、名前、年齢、使用中のユーザークティビティレベル、ユーザーの生理学的および/または心理的状態、例えば、暑い、寒い、穏やかな、神経質な、不安ななど、および/または装置50の動作に関連する診断データ(例えば、装置50がそのようなデータをMCD102に無線で送信するように構成される実施形態において)を提供してもよい。
【0035】
[0042]ここで図7を参照すると、モバイル通信装置(MCD)102が、ワイヤリングハーネス160を介して2つのフォトバイオモジュレーション装置501、502に結線接続される別の実施形態におけるフォトバイオモジュレーションシステム100’が示されている。装置50は、片方の耳10、たとえばヒトの頭152の右側の耳に挿入可能であり、装置50は、他方の耳10、例えばヒトの頭142の左側の耳に挿入可能である。図示の実施形態では、フォトバイオモジュレーション装置50は、ワイヤリングハーネス160のワイヤアセンブリ162の一端に動作可能に接続され、フォトバイオモジュレーション装置50は、ワイヤリングハーネス160の別のワイヤアセンブリ162の一端に動作可能に接続され、ワイヤアセンブリ162および162の反対側の端部は、一緒に統合されて、MCD102上およびMCD102内において画定された対応して構成されたポート166との機械的および電気的係合で受け取られるように構成された公知の電気コネクタ164に動作可能に接続される。いくつかの実施形態では、MCD102は、例えば、上記のように、フォトバイオモジュレーション装置50、50の動作を制御するようにプログラムされる。いくつかの代替の実施形態では、フォトバイオモジュレーション装置50、50のいずれかまたは両方(または上記の無線フォトバイオモジュレーション装置50のいずれか)は、上記のようにそれらを操作するために必要な回路の一部またはすべてを含み得る。2つのフォトバイオモジュレーション装置50、50が、図7のMCD102に結線接続されて示されているが、ワイヤリングハーネス160が、より多くのまたはより少ないフォトバイオモジュレーション装置をMCD102に動作可能に結合するように構成される代替の実施形態が企図されることが理解されよう。
【0036】
[0043]添付の図に示され、本明細書に記載されるフォトバイオモジュレーション装置50の使用は、片方の耳または両方の耳10で使用され、多数の様々な生理学的および/または心理的状態のいずれかに苦しむ個人に治療的利益を提供し得る。いくつかのそのような生理学的および/または心理的状態の例には、認知症、アルツハイマー病、一般的な運動障害(例えば、パーキンソン病、および他の運動障害)、末梢炎症性障害、肺浮腫、刺激性腸、障害、吐き気、嘔吐、呼吸器疾患および関連する状態、耳鳴り、めまい、片頭痛、筋肉緊張型頭痛、顎関節機能障害(TMJ)(TMJの痛み、炎症、浮腫、および支持構造を含むがこれらに限定されない)、不安、うつ病、弛緩、歯ぎしり、歯の食いしばり、落ち着きのない脚症候群、不眠症、および/または睡眠の補助として、急性の痛みの状態などが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
[0044]本開示は、前述の図面および記載において詳細に例示および説明されているが、これは、例示的であり、性質を限定するものではないと考えられるべきであり、その例示的な実施形態のみが示され、説明されており、この開示の精神の範囲内にある変更および修正は保護されることが望まれていると理解されよう。例えば、図3および図4に示される例示的なフォトバイオモジュレーション装置50は、回路基板82に搭載されて照射源58A~58Dに動作可能に結合された電気回路80を含むものとして示され、電気回路80は、照射源58A~58Dの動作を制御するための回路構成要素を含んでいるが、電気回路80の一部または全部が省略されている代替の実施形態が企図されることが理解されよう。1つの非限定的な実施形態において、例えば、フォトバイオモジュレーション装置50が、遠隔の、可動式または固定式の電子制御装置に配線接続されるように構成される場合、電気回路80は、その全体が省略され得、可動式または固定式の電子制御装置は、結線接続を介して照射源58A~58Dに直接電気的に結合されて、可動式または固定式の装置は、上記と同じ方法で照射源58A~58Dの動作を直接制御してもよい。あるいは、または加えて、そのような実施形態の電気回路80は、照射源58A~58Dに電気的に接続されると共に結線接続を介して可動式または固定式の装置に直接的に電気的に接続された1つ又は複数の駆動回路を含み、可動式または固定式の装置は、1つまたは複数の駆動回路の直接制御を介して照射源58A~58Dの動作を制御してもよい。そのような例示的な実施形態のいずれかにおいて、フォトバイオモジュレーション装置50は、1つまたは複数の電力源を含んでもよいし、あるいは代わりに、結線接続を介して可動または固定装置から電力を受け取ってもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】