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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】冷却衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
A41D13/005 106
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576916
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 NL2020050415
(87)【国際公開番号】W WO2020263090
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】2023381
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】521562795
【氏名又は名称】ティエスニッチュ ビヘール ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ティエスニッチュ,ヨハネス イスブランド
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AC01
(57)【要約】
本発明は、着用者の胴体を冷却するための冷却衣服に関するものであり、この冷却衣服は、首用開口部を間に備えた前パネルと後パネルとを備え、前パネルと後パネルは一緒になって、間に吸水層が挟まれた2つの外層からなる単一の冷却セクションを含む。2つの外層は、それらの縁部に沿って互いにシールされて、水を貯蔵するための単一の区画を形成し、その区画の前パネルおよび後パネルにある部分は、肩を介して互いに流体連通している。両方の外層は、水は透過しないが、水蒸気は透過する。冷却衣服は、外層のうちの1つにある注入口を介して区画に水を充填することによってアクティベートさせることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の胴体を冷却するための冷却衣服(1)であって、首用開口部(5)を間に備えた前パネルおよび後パネル(3、4)を含み、
-前記前パネルと前記後パネル(3、4)は、前記前パネル(3)の少なくとも一部および前記後パネル(4)の少なくとも一部を形成する単一の冷却セクション(2)を備え、前記冷却セクション(2)は、
・前記冷却衣服の前記首用開口部(5)と一致する首用開口部(5)であって、首用開口部表面積(SA首用開口部)を画定する、首用開口部(5)と、
・冷却表面積(SA冷却)と、
・周縁部(6a)および首用縁部(6b)と、を備え、
-前記冷却セクション(2)は、
・液体の水を透過しない2つの外層であって、前記外層のうちの少なくとも1つは水蒸気を透過する、2つの外層と、
・両方の外層の間に囲まれた吸水層と、を含む冷却材料でできており、
-前記2つの外層は、前記周縁部(6a)と前記首用縁部(6b)に沿って互いにシールされて、水を貯蔵するための単一の区画(7)を形成し、前記区画(7)は、前記前パネル(3)に第1の部分(7a)、および前記後パネル(4)に第2の部分(7b)を有し、両方の部分が互いに流体連通しており、
-前記区画(7)は、水の注入口(8)を備えている、冷却衣服(1)。
【請求項2】
前記冷却セクション(2)は、流体が通過することができるベントホール(9)を含み、
-前記ベントホール(9)は、前記2つの層のベントホール縁部(6c)を一致させることによって画定され、
-前記外層は前記ベントホール縁部(6c)に沿って互いにシールされて、シール表面積(SAベントホールシール)を持つ各ベントホール(9)の周りにシールを形成し、
-前記ベントホール(9)は、開口表面積(SAベントホール)を画定する、請求項1に記載の冷却衣服(1)。
【請求項3】
前記ベントホール(9)は、円形、楕円形、三角形、四角、および他の多角形の群から選択される形状を有する、請求項2に記載の冷却衣服(1)。
【請求項4】
冷却表面積(SA冷却)と開口表面積(SA開口)との比が80:20~98:2.0の範囲内にあり、特に、前記比は、90:10~95:5.0の範囲内にあり、前記開口表面積(SA開口)は、前記首用開口部表面積(SA首用開口部)と前記ベントホール表面積(SAベントホール)との合計である、請求項2または3に記載の冷却衣服(1)。
【請求項5】
各ベントホール(9)の周りの前記シールが1~10mmの範囲内、特に2~5mmの範囲内の幅を有する、請求項2~4のいずれか一項に記載の冷却衣服(1)。
【請求項6】
前記ベントホール(9)が1~10cmの範囲内、特に1~5cmの範囲内の最大断面寸法を有する、請求項2~5のいずれか一項に記載の冷却衣服(1)。
【請求項7】
ベントホール(9)の数が10~100の範囲内、好ましくは20~50の範囲内にある、請求項2~6のいずれか一項に記載の冷却衣服(1)。
【請求項8】
-前記前パネルの前記周縁部の第1のセクションを、前記後パネルの前記周縁部の第1のセクションと接続することができる第1の接続手段(12a)と、
-前記前パネルの前記周縁部の第2のセクションを、前記後パネルの前記周縁部の第2のセクションと接続することができる第2の接続手段(12b)と、を含み、
前記第1の接続手段(12a)で実現される前記接続は、前記衣服の第1の腕ホールを画定し、前記第2の接続手段(12b)で実現される前記接続は、前記衣服の第2の腕ホールを画定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の冷却衣服(1)。
【請求項9】
実現された接続の一方または両方が、ジッパ、ベルクロ、またはボタンなどの解放可能な接続手段によって行われる、請求項8に記載の冷却衣服(1)。
【請求項10】
前記前パネル(3)が、前記首用開口部(5)から前記周縁部(6a)まで延びる線(11)に沿って、第1のパート(3a)と第2のパート(3b)とに分割されており、前記区画(7)の前記第1の部分(7a)もまた、2つのパート(7a1、7a2)に分割され、各パート(7a1、7a2)は、前記冷却セクション(2)の前記区画(7)の前記第2の部分(7b)と流体連通している、請求項1~9のいずれか一項に記載の冷却衣服(1)。
【請求項11】
前記前パネルの前記第1のパートおよび前記第2のパートは、例えばジッパ、ベルクロまたはボタンによって、前記首用開口部から前記周縁部まで延びる前記線に沿って互いに取り付けることができる、請求項10に記載の冷却衣服(1)。
【請求項12】
前記外層が、アクリレートポリマー、アクリレートコポリマー、メタクリレートポリマー、メタクリレートコポリマー、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ(エーテル-エステル)エラストマー、ポリ(酢酸ビニル)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ビニルエステルポリマー、およびそれらの混合物の群から選択される熱可塑性材料を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の冷却衣服(1)。
【請求項13】
前記吸水層がサポート材料および超吸収性ポリマーを含み、好ましくは前記サポート材料が前記吸水層の25~95重量%を構成する、請求項1~12のいずれか一項に記載の冷却衣服(1)。
【請求項14】
前記サポート材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンの(ランダム)コポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)、およびそれらの混合物の群から選択される熱可塑性材料である、請求項13に記載の冷却衣服(1)。
【請求項15】
両方の外層が水蒸気を透過する、請求項1~14のいずれか一項に記載の冷却衣服(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の胴体を冷却するための冷却衣服に関する。
【0002】
人および動物は、皮膚の水、つまり汗の形で分泌される水を蒸発させることで体温を下げることがある。蒸発冷却のこの原理は、身体の自然冷却をサポートするための技術的手段、例えば冷却衣服にも使用できる。そこで、水が、セルロースまたはおむつおよび女性用ナプキンに存在するタイプの超吸収性ポリマーなどの好適な吸水性物質によって衣服に含められる。後者は、その重量の最大300倍の水を保持できることが知られている。
【0003】
吸水性物質は、通常、衣服を構成する生地の2つの外層の間に挟まれている。そのような層は(液体および/または蒸気としての)水を透過し、これにより吸水性物質から衣服の外面への水の移送が可能となる。水が蒸発すると、衣服から熱が奪われ、冷却効果が現れる。
【0004】
例えば、WO2012/156067A1は、2つの外層が透水性である冷却衣服を記載している。そのような衣服が水と接触すると(例えば、水没することによって)、衣服内の吸水性物質が外層を通して水を吸収する。これにより、衣服がアクティブになり、使用できるようになる。
【0005】
透水性のある外層の欠点は、内部に吸収された水が液体として外面に到達するため、衣服の使用中に空気との界面の表面が湿気を帯びることである。これは、例えば衣服の着用中に衣服に圧力がかかる場合に特にそうである。湿気の多い表面は、そのような衣服の着用者に不快感を与えることがよくある。一方、外層が液体の水を透過しない場合、衣服を水に浸すだけではアクティベートできなくなる。
【0006】
したがって、本発明の目的は、衣服の使用中に衣服の表面が湿気を帯びない冷却衣服を提供することである。そのような衣服が容易にアクティベートされ得ること、すなわち、吸水性物質への水の供給が便利で再現可能であることも目的である。
【0007】
これらの目的は、着用者の胴体を冷却するための冷却衣服によって達成することができ、間に首用開口部を備えた前部および後パネルを含み、
-前パネルおよび後パネルは、前パネルの少なくとも一部および後パネルの少なくとも一部を形成する単一の冷却セクションを含み、冷却セクションは、
・冷却衣服の首用開口部と一致する首用開口部であって、首用開口部(5)は首用開口部表面積(SA首用開口部)を画定する、首用開口部と、
・冷却表面積(SA冷却)と、
・周縁部と首用縁部と、を備え、
-冷却セクションは、
・液体の水を透過しない2つの外層であって、外層のうちの少なくとも1つは水蒸気を透過する、2つの外層と、
・両方の外層の間に囲まれた吸水層と、を含む冷却材料でできており、
-2つの外層は、周縁部と首用縁部に沿って互いにシールされて、水を貯蔵するための単一の区画を形成し、その区画は、前パネルに第1の部分、後パネルに第2の部分を有し、両方の部分が互いに流体連通しており、
-区画は水の注入口を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】平面上に広げられた、本発明による第1の冷却衣服の上面図を示す。
図2】平面上に広げられた、本発明による第2の冷却衣服の上面図を示す。
図3】平面上に広げられた、本発明による第3の冷却衣服の上面図を示す。
【0009】
図中の要素は、単純さと明確さのために示されているものであり、必ずしも一定の比率で描かれているわけではない。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本発明の様々な例示的な実施形態の理解を改善するのを助けるために、他の要素に比べて誇張されている場合もある。さらに、本明細書における「第1」、「第2」などの用語は、もしあれば、一般に、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的または時系列の順序を説明するために使用されるわけではない。
【0010】
本発明の冷却衣服の前パネルおよび後パネルは合わせて、両方のパネルの間に首用開口部を備えた1枚続きを形成する。本発明の冷却衣服を人が着用すると、その衣服は、首用開口部が首の周りに存在し、衣服が人の肩に載るようにして、人の首の周りに載置される。次に、衣服の前パネルは人の胸の上に延在し、後パネルは人の背中の上に延在する。衣服の冷却セクションは、実際の冷却能力を持つ衣服のパートを構成する。また、それは、1枚続きであり、衣服の首用開口部を構成する。冷却セクションの第1の部分は、冷却衣服の前パネルに存在し、冷却セクションの第2の部分は、冷却衣服の後パネルに存在する。冷却セクションは、好ましくは着用者の腰まで届かないが、多かれ少なかれ着用者の胸郭に限定される。これは、腹部ならびに腎臓および胃などの臓器の冷却が通常不快に感じられるためである。それでも、冷却衣服自体の前パネルと後パネルは、着用者の腰に届く場合もある。これは、(従来の)生地を冷却能力のない冷却セクションに接続することによって実現されるため、前パネルおよび/または後パネルは、一部が冷却セクションによって形成され、一部が非冷却生地によって形成される。
【0011】
本発明の冷却衣服は、腕などの首以外の身体の部位のための穴を含み得る。ただし、冷却セクション自体には首用の穴(首用開口部)のみが含まれ、他の身体の部位用の穴はない(以下で考察するように、冷却セクションには任意選択で換気用の追加の穴(ベントホール)が含まれるが、これらは衣服の着用中に腕などの体の部位を収容するには好適ではない)。腕の開口部がないため、冷却セクションは、着用者の腕の下で前パネルから後パネルまで延在していない。結果として、冷却セクションは、冷却セクションの輪郭に1つの連続した周縁部を備える。冷却セクションの他の縁部は、冷却セクションの穴を画定する縁部のみである。特に、首用開口部は首用縁部を備え、任意選択のベントホールはベントホール縁部を備える。
【0012】
冷却セクションは、水(蒸発時に冷却を提供する水)を貯蔵するための区画を備えている。区画は、液体の水を透過しない2つの外層で形成され、外層のうちの少なくとも1つは水蒸気を透過する。区画が形成されるように、両方の層はそれらの縁部で互いにシールされる。層がシールされる縁部は、周縁部と、両方の層に存在する1つ以上の開口部の縁部、すなわち首用開口部と任意選択のベントホールの縁部である。縁部のシールにより、外層の特定の表面積が水蒸気の伝達に利用できなくなる。なぜなら、表面積のそのパートは、反対側の外層に接続されており、よって、その区画を囲まないからである。よって、このいわゆる「シール表面積」(SAシール)は、冷却能力が不足している冷却セクションの表面の一部である。冷却セクションのシールされた縁部は、通常、1~10mmの範囲内、特に2~5mmの範囲内の幅を有する。
【0013】
首用開口部は、各層の穴によって形成され、両方の穴は、両方の層のシール時に整列するように配置される。同じことが、冷却セクションに任意選択で存在するベントホールにも当てはまる。
【0014】
上で紹介したように、本発明の衣服の冷却セクションは、ベントホールを含み得る。これらは、流体が通過する可能性のある穴であり、
-ベントホールは、2つのレイヤーのベントホール縁部を一致させることによって画定され、
-外層はベントホールの縁部に沿って互いにシールされて、シール表面積を持つ各ベントホールの周りにシールを形成し(SAベントホールシール)、
-ベントホールは、開口表面積を画定する(SAベントホール)。
【0015】
本出願では、流体という用語は、液体および気体を含む物質の相を示すために使用される。本発明のアクティベートされた衣服が着用されたときに通常ベントホールを通過する流体は、蒸発した汗を伴う空気である。各ベントホールは、特定の表面積を持つウィンドウである。すべてのベントホールが一緒になって流体の通過に使用できる冷却セクションの全領域を画定する。本発明では、この全領域は、冷却衣服の冷却セクションの「ベントホール表面積」(SAベントホール)と呼ばれる。さらに、首用開口部も特定の表面積を持つ窓である。この領域は「首用開口部表面積」(SA首用開口部)と呼ばれる。
【0016】
冷却セクションは「冷却表面積」(SA冷却)で構成されている。これは、冷却が可能な、すなわち冷却能力がある冷却セクションの表面積である。この表面積は、水蒸気を区画から区画外の大気に伝達することができる外層の表面のパートによって形成される。したがって、冷却装置の首用開口部、シール表面積、およびベントホールは、冷却表面積(SA冷却)の一部ではない。
【0017】
冷却表面積(SA冷却)と上記で説明した他の表面積との関係も、次の式(I)の形式で表すことができる。
SA冷却=SA冷却セクション-SA開口-SAシール (I)
式中、
1)SA冷却セクションは、穴および開口部などの不連続性を考慮せずに、冷却セクション全体の表面として画定される。
2)SA開口=SA首用開口部+SAベントホール
3)SAシール=SA円周シール+SA首用シール+SAベントホールシール
【0018】
冷却表面積(SA冷却)は、区画の外側の大気に面する外層の表面のみを指す。これには、着用者の胴体に面する外層の表面は含まれない。
【0019】
両方の外層の間に吸水性材料の層が挟まれている(吸水層)。この層は、区画の最下部への水のたるみを防ぎ、冷却セクションで水を均等な分配する。さらに、この層は、水を吸い上げて他の領域から水を移送することにより、水が蒸発した区画内の領域を効果的に補充する。この目的のために、吸水性材料は、好ましくは、超吸収性ポリマーである。
【0020】
上記のように、吸水層は両方の外層の間に存在する。吸水層は、シール内を含め、両方の外層の間のどこにでも存在し得る。ただし、シールから除外されている可能性もある。これは、それが水の貯蔵のための実際の区画にのみ存在することを意味する。
【0021】
吸収層がシールに含まれている(共シールされている)場合、吸水能力は実質的に失われる。さらに、特にシールがヒートシールによって作られている場合、両方の外層は本質的に水蒸気に対する透過性を失っている。したがって、シールされた領域は、吸収層を構成している場合でも、大きな冷却能力を提供しない。
【0022】
吸水層がシール内にない場合は、水を貯蔵するための区画にのみ存在するように整形する必要がある。これは、冷却衣服の製造中に、例えば、シールが行われるすべての場所を吸水層から切除することによって達成することができる。製造工程の公差(シールを行う場所の公差など)に対応するために、安全マージンを持って切除を行う必要があるため、単位冷却表面積当たりの吸水性材料の総量(SA冷却)は、吸水層がシールに含まれる場合よりも小さくなる(後者の場合、吸水層が、安全マージンのために他の方法では存在しない場所に存在するため)。そのため、吸水能力が失われる。より厚い吸水層を提供することによるこの損失の補償は、これが冷却衣服の表面レリーフをより大きくするため、望ましくない。
【0023】
吸水能力が失われると、人が冷却衣服を着用したときに、区画内の水が冷却セクションの下部に重力によって蓄積されやすくなる。水が溜まった冷却セクションの場所に圧力がかかると(例えば、衣服を着ている人が椅子の後ろに背(すなわち、後パネル)を向けて座っているとき)、シールが崩れたり壊れたりすることがある。したがって、外層の間の吸水層をシールすることにより、シールの破損の可能性が減少する。
【0024】
単位冷却表面積当たりの吸水性材料の削減(SA冷却)の別の効果は、有効冷却表面積自体も減少するため、冷却能力が失われることである。結局のところ、外層は、シールに沿った安全マージンの位置で吸水層によって裏打ちされておらず、有効冷却表面積の減少につながる。より厚い吸水層を提供することによるこの冷却能力の損失の補償は、有効な冷却表面を増加させないため、効果的ではない(シールに沿った安全マージンは依然として吸水性材料を欠いている)。
【0025】
別の重要な効果は、冷却セクションにベントホールが存在する場合に現れる。それらの存在には、シール表面積の大幅に増加(SAベントホールシール)が伴い、安全マージンに失われる吸水層の総表面を不釣り合いに大きくする。
【0026】
シールに吸水層を含めることの別の利点(同時シーリング)は、吸水層自体が所定の位置に留まるということである。吸水層の縁部がシールに含まれている場合、外層に対するその横方向の動きは厳しく制限される。例えば、2つの外層によって形成された区画内で折りたたむことはできない。これにより、最終的に区画の特定の領域に吸水性材料が蓄積する可能性がある。吸水層の固定はまた、重力によって層が区画の底にたるむのを防ぐ。これは、特に層が(高度に)水で満たされている場合に発生する可能性がある。したがって、自由に横たわる吸水層の問題は、それが折れ、堆積、および/またはたるみを起こしやすいことである。これは、吸水層が2つの外層と同時シールされている本発明の冷却衣服では起こらないであろう。
【0027】
自由に横たわる(すなわち、固定されていない)吸水層のさらに別の問題は、その縁部が安全マージンを十分に橋渡しし、したがって、例えば、人が冷却衣服を着用しているとき、特に人が彼の/彼女の身体を動かすとき、シールに到達する可能性があることである。吸水層とシールが繰り返し接触すると、一方または両方の外層が摩耗し、最終的には漏れが発生して、冷却セクションから液体の水が染み出す可能性がある。非固定吸水層に関するこの問題は、上記の安全マージンがない場合だけでなく、安全マージンが存在する場合にも発生する。シールに吸水層を固定することで、摩耗および漏れを防ぎ、この問題を解決する。
【0028】
好ましくは、冷却表面積全体(SA冷却)は、吸水層で裏打ちされている。このようにして、冷却装置の冷却表面積全体(SA冷却)を使用して、蒸発した水を伝達することができる。すなわち、冷却衣服は最高の冷却能力を備えている。実際には、上で詳述したように、吸水層は、互いにシールされている縁部に当接していないが、それらからわずかな距離(安全マージン)、例えば数ミリメートルに留まっている可能性もある。そのような実施形態の不利な点は上に概説されている。
【0029】
すでに上で述べたように、冷却セクションの第1のパートは前パネルに存在し、冷却セクションの第2のパートは冷却衣服の後パネルに存在する。同じことが冷却セクションの区画にも当てはまる。これは、本質的に、前パネルに存在する区画のパートが後パネルに存在する区画のパートと流体連通していることを意味する。区画は脇の下まで延在していない(すなわち、胴体の胸郭の周りには伸びていない)ため、流体連通は一方または両方の肩(すなわち、首用開口部の両側に沿って)で行われる。ただし、両肩に流体連通があることが非常に好ましい。本出願において、流体連通とは、冷却セクションの異なるパートまたは領域が互いに接続されているか、または互いに近接していて、同じ流体を保持または取り囲んでいることを意味する。
【0030】
両肩での流体連通の重要な利点は、両肩での冷却が可能になることである。この冷却は、(胸などで提供される冷却に加えて)本質的に首全体で行われる。首用開口部の周りを直接含む(好ましくは首のシールと互いにシールされた)区画全体に吸水層が存在する場合、肩と胸から首に伸びる着用者の筋肉と血管は快適に冷却される。特定の利点は、頸動脈もこの方法で冷却されることである。首周りの組織を冷却することは、首および頭の温度をコントロールするために重要であるだけでなく、「身体が冷えている」という感覚が大きく加わるため、着用者の心理的なプラス効果も大きい。
【0031】
したがって、冷却セクションの区画は、液体の水を透過しない材料で完全に囲まれている。これにより、冷却セクションが「発汗」するのを防ぐ、すなわち、液体の水を排出しないため、空気中の冷却セクションの表面が湿気を感じることはない。代わりに、水が区画内で蒸発すると、冷却セクションの外層のうちの少なくとも1つが水蒸気を透過するため、水は水蒸気として冷却セクションから逃げる可能性がある。両方の外層が水蒸気を透過する可能性もある。
【0032】
外層の水不透過性は、発汗を防ぐだけでなく、冷却衣服のアクティベートに必要な水の注入口も防ぐ。したがって、衣服を水に浸すだけではアクティベートすることはできない。したがって、冷却セクションの外層のうちの1つに水の注入口が存在する。これは通常、外層のうちの1つ、好ましくは衣服の着用者の身体に面していない層の開口部である。水注入口は、原則として、冷却要素の表面のどこにでも配置できる。しかしながら、これは衣服の着用者にとって最も快適である可能性が高いことから、好ましくは、それは衣服の背面パネルに存在する。注入口は、水が水注入口を介して区画から出るのを防ぐ閉鎖要素を備えていることが好ましい。例えば、注入口はジッパで閉じることができる。
【0033】
前パネルと後パネルにまたがって延在する1つの区画が存在することには、そのような区画を満たすために必要な水注入口が1つだけであるという利点がある。衣服をアクティブにするプロセスは簡単である。水注入口から適切な量の水を加えた後、衣服は原則として使用できる状態になる。区画内の水の均等な広がりは、衣服を着用する前に、衣服を振ったり、振ったり、ひっくり返したりすることにより、支援される場合がある。
【0034】
アクティベートされた冷却衣服を着ていても、身体が発汗する可能性がある。本発明の衣服の冷却セクションは水蒸気を透過しないため、衣服の冷却セクションが汗を吸収することはできない。したがって、本発明の冷却衣服は、蒸発した汗が逃げることができるベントホールを含むことが好ましい。好ましくは、ベントホールは、衣服の下の胴体が最も密度の高い汗腺を有する冷却衣服のそれらの位置に存在する。穴が完全に開いているので、冷却衣服を着ている人によって生成された放射(特に赤外線)も穴から放出される可能性がある。
【0035】
ベントホールは、原則として任意の形状にすることができる。それらは、チンクのような細長い形状である可能性がある。それらはまた、円形、楕円形、三角形、四角、および他の多角形の群から選択される形状を有することができる。好ましくは、ベントホールは、凸形状、特に凸多角形、または円弧または非円弧を含む凸形状である。凸形状とは、形状の任意の2点を結ぶ線分が形状または形状の縁部に含まれる形状を意味する。本発明の冷却衣服の凸状ベントホールは、特に、1.0~10cmの範囲内、特に1.0~5.0cmの範囲内の最大の断面を有する。最大の断面は、2.0~8.0cmの範囲内または3.0~6.0cmの範囲内にある場合もある。それらのアスペクト比は通常、1~5の範囲内または2~4の範囲内である。また、1.0~4.0の範囲内または1.5~3.0の範囲内であってもよい。本発明の衣服の冷却セクションのベントホールの総数は、通常、8~100の範囲内である。好ましくは、ベントホールの総数は、10~50の範囲内にあり、より好ましくは、ベントホールの総数は10~40の範囲内にある。
【0036】
ベントホールの存在は冷却表面積(SA冷却)を犠牲にしているが、驚くべきことに、ベントホールを備えた本発明の冷却衣服は、衣服と着用者の胴体との間の汗の蓄積を防いだだけではなく、衣服の着用者に効果的な冷却効果を与え、着用者に快適な体験を提供したことが見出された。これは特に、開口表面積(SA開口)に対する冷却表面積(SA冷却)の比率は、特に90:10~95:5.0の範囲内にある場合、80:10~98:2.0の範囲内にある。この比率は、84:16~97:3.0の範囲内、または88:12~96:4.0の範囲内でもよい。
【0037】
シール表面積(SAシール)は、冷却セクションの冷却能力にも(水の蒸発ができないので)、冷却セクションの換気能力にも(ベントホールのように開口していないので)寄与しないので、できるだけ小さいことが好ましい。言い換えれば、開口表面積(SA開口)とシール表面積(SAシール)との比は、可能な限り高いほうが好ましく、例えば、少なくとも60:40、少なくとも70:30、少なくとも80:20、少なくとも85:15、少なくとも90:10、少なくとも95:5、または少なくとも98:2である。
【0038】
しかしながら、単純な数学的関係は、ベントホールの開口表面積が減少すると、ベントホールのシール表面積に対する開口表面積の比が減少することを規定している。したがって、多数の小さなベントホールが存在すると、シールの表面積(SAシール)が大きくなり、冷却セクション全体の冷却能力が低くなる。一方、ベントホールの数が厳しく制限されていて、サイズがはるかに大きい場合、冷却衣服の機能も低下する。例えば、衣服はその構造的完全性を失い、着用者の胴体が最も密度の高い汗腺を有する場所にベントホールを適切に配置することは困難である。ベントホールの開口表面積とシール表面積の比が少なくとも60:40、特に少なくとも70:30、より少なくとも80:20、さらに特に少なくとも90:10である場合、十分な中型のベントホールを十分な冷却能力とともに実現できることがわかった。
【0039】
例えば、冷却セクションは、1)シール幅が0.1~0.5cmの範囲内である、2)8~16cmの範囲内の開口表面積を有する、3)アスペクト比が1.0~5.0の範囲内である、4)10~30の範囲内の数のベントホールを有する。そのような冷却セクションは、1)シール表面積(SAシール)に対する開口表面積(SA開口)の十分に高い比率、2)開口表面積(SA開口)に対する冷却表面積(SA冷却)の十分に高い比率、3)ベントホールを所望の位置に集中させることができる有利な寸法(大きすぎず、小さすぎない)を有するベントホールを有している。
【0040】
通常、本発明の冷却衣服は、冷却セクション、特に冷却セクションの周縁部に取り付けられた非冷却生地を含む。そのような(従来の)生地は、特に伸縮性生地、典型的にはニット生地である。このような生地の機能は、多くの場合、衣服のより魅力的な外観に達すること、および/または着用者の胴体の周りの冷却セクションのタイトなフィット感を得ることである。タイトにフィットすると、胴体から衣服への熱伝達が向上し、より効果的な冷却衣服になる。
【0041】
上で説明したように、本発明の冷却衣服は、着用者の腕のくぼみの下に延在しない冷却セクションを含む。わきの下の下で前パネルと後パネルの間の接続が必要な場合、これは、冷却セクションに接続されている別の材料、多くの場合(従来の)生地で実現する必要がある。
【0042】
したがって、本発明の冷却衣服は、
-前パネルの周縁部の第1のセクションが後パネルの周縁部の第1のセクションに接続されている第1の接続と、
-前パネルの周縁部の第2のセクションが後パネルの周縁部の第2のセクションに接続されている第2の接続と、を含み、
第1の接続は、衣服の第1の腕ホールを画定し、第2の接続は、衣服の第2の腕ホールを画定してもよい。
【0043】
前パネルと後パネルの間の接続は、永続的または解放可能である可能性がある。例えば、第1および/または第2の接続は、ジッパ、ベルクロまたはボタンなどの解放可能な固定手段を含み得る。
【0044】
解放可能な接続の場合、前パネルと後パネルにベルクロなどの解放可能な固定手段を提供することにより、着用者の胴体に合わせて冷却衣服のサイズを調整することが可能である。本発明の衣服の利点は、広範囲の胴体寸法に対応するために利用可能である必要があるのはほんのわずかなサイズであるということである。これは、胴体全体の周りに冷却セクションがある衣服では不可能である。
【0045】
本発明の冷却衣服の別の利点は、外層が生地のロールから効率的に切り取られるので、わずかな切り抜きの端切れしか生成されないことである。これは、外層の成形にわきの下の下に達するパートが含まれる状況とは対照的である。これらのパートは、前パネルと後パネルにほぼ垂直な先端である。また、前パネルと後パネルは1枚続きで作られているため(各外層は1枚で作られている)、衣服の異なるパネルを接続する必要はない。パネルの接続はまた、パネル間の流体連通が実現されることを必要とするので、これは衣服の製造を非常に複雑にするであろう。
【0046】
外層の材料は、好ましくは熱可塑性材料である。熱可塑性とは、材料(通常はポリマー)の特性を意味し、加熱すると柔らかくなり、冷却すると硬くなる。両方の層が熱可塑性材料を含んでいれば、これは、ボット層間のシーリングが熱融着によって得られるときに有利である。
【0047】
2つの外層は、互いに独立して、アクリレートポリマー、アクリレートコポリマー、メタクリレートポリマー(ポリ(メチルメタクリレート)など)、メタクリレートコポリマー、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレンおよびポリブチレンなど)、ポリウレタン、ポリ(エーテル-エステル)エラストマー、ポリ(酢酸ビニル)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ビニルエステルポリマー、およびそれらの混合物の群から選択される熱可塑性材料を含み得る。
【0048】
2つの外層の材料は同じであることがよくある。これは通常、両方の層間で最良の、特に最強のシールを提供する。ただし、可融性であるためには、両方の外層の材料が必ずしも同じである必要はない。例えば、同等の分子構造と類似したガラス転移温度を持つ2つの材料も互いに融合する可能性がある。当業者は、どの異なる材料が可融性であるか、または少なくとも日常的な実験によって、発明の努力をすることなくそのような材料を提供することができるであろうことを知っている。両方の外層が異なる材料である場合、これは、多くの場合、本発明の多層生地の着心地および/または視覚的外観の理由による。
【0049】
好ましい実施形態では、前パネルは、首用開口部から周縁部まで延びる線に沿って、第1のパートと第2のパートとに分割される。このような構成では、冷却衣服は、区画を2つの区画に分割することなく、左フラップと右フラップを備えた通常のジャケットとして前パネルで開くことができる。これは、各フラップが区画の第2の部分(すなわち、首用開口部の反対側の部分)と流体連通しているためである。この流体連通は、首用開口部の片側に沿って発生する。すなわち、衣服を着用したときに片方の肩の上の各フラップに対して発生する。したがって、本発明の冷却衣服において、前パネルは、首用開口部から周縁部まで延びる線に沿って第1のパートと第2のパートに分割することができ、冷却セクションの区画の第1の部分は、また、2つのパートに分割され、各パートは冷却セクションの区画の第2の部分と流体連通している。したがって、前パネルの第1のパートは、区画の第1の部分の1つのパートを含み、前パネルの第2のパートは、区画の第1の部分の別のパートを含む。
【0050】
通常、前パネルの第1部と第2部への分割を画定する線は、人が衣服を着用するときに、首用開口部から腹を越えて腰まで延びる。したがって、そのような線は、衣服を着ている人の両肩を結ぶ(想像上の)線に垂直である。
【0051】
前パネルの第1のパートと第2のパートは、首用開口部から周縁部まで延びる線に沿って互いに取り付けることができる。取り付けは、ジッパ、ベルクロ、またはボタンを使用して実行できる。
【0052】
したがって、本発明の冷却衣服は、それが前パネル上に延在する水の区画を有さない従来のベストであるかのように、首用開口部から腰までずっとジッパを装備できるという利点を有する。ジッパは、冷却特性と冷却衣服の快適さを犠牲にすることなく導入できる。ジッパと平行に延在するシールを導入することを除いて、冷却セクションのレイアウトに変更は必要ない(結局のところ、ジッパ付きの冷却衣服は依然として水用の単一の区画を含み、そのすべての部分が互いに流体連通している)。
【0053】
分割が前パネルではなく後パネルに設けること、および後パネルが第1のパートおよび第2のパートを含み、両方のパートを、冷却衣服を着ている人の後ろに存在するジッパ、ベルクロまたはボタンによって取り付けられるようにすることも可能である。
【0054】
吸水層は、層内に吸水性ポリマーが存在することにより、水を吸収することができる。このポリマーは、セルロースなどの天然ポリマー、またはいわゆる超吸収性ポリマー(SAP)などの非天然ポリマーでもよい。本発明の冷却衣服において、吸水性ポリマーは、好ましくはSAPである。吸水層は本質的にSAPで構成されている場合もあるが、SAPのサポートとして機能する追加の材料を含んでいる場合もある。したがって、吸水層は、サポート材料および超吸収性ポリマーを含んでいてもよい。
【0055】
超吸収性ポリマーとは、水中でその重量の少なくとも20倍を吸収することができる水膨潤性ポリマーを意味する。本発明の多層生地における超吸収性ポリマーとしての使用に好適なポリマーは、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、エチレン-マレイン酸無水物コポリマー、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルモルホリノン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン、およびポリビニルピロリドンの群から選択される合成超吸収性ポリマーでもよい。
【0056】
サポート材料は、原則として、外層の材料と同じ材料でよい。すなわち、原則として、外層の可能な材料について上記のリストから選択することができる。サポート材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、およびポリプロピレンとポリエチレンの(ランダム)コポリマーの群から選択されるポリエステルまたはポリオレフィンである。好適なポリエチレンには、線状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンが含まれる。好ましくは、サポート材料は、(細断された)ポリエステルを含むか、または実質的に(細断された)ポリエステルからなる。
【0057】
サポート材料とSAPは、原則として任意の重量比で存在できる。サポート材料は通常、吸水層の最大95重量%を構成する。それはまた、吸水層の10~95重量%または25~90重量%を構成し得る。好ましくは、それは、吸水層の30~85重量%、より好ましくは40~80重量%を構成する。SAPは通常、それが吸水層の少なくとも2重量%を構成するような量で存在する。それはまた、吸水層の少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%を構成し得る。吸水層が融合物に含まれる場合、SAPは、好ましくは、適度な量、例えば、最大40重量%、最大35重量%、最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、または最大10重量%まで存在する。記載されているすべての内容は、吸収された水がない場合の吸収性材料に基づいている。
【0058】
吸水層内のサポート材料は、繊維、例えば、少なくとも10、より好ましくは少なくとも25のアスペクト比を有する粒子として存在し得る。アスペクト比はまた、少なくとも50または少なくとも100でもよい。繊維のアスペクト比とは、繊維の長さと繊維の幅の比率を意味する(ここで、幅は、繊維の長さに垂直な繊維の最大断面である)。繊維の幅は通常1.0~500μmの範囲内である。特に、それは5.0~200μmの範囲内にあり、より具体的には10~100μmの範囲内にある。
【0059】
サポート材料が繊維として存在する場合、繊維をSAPと混合することによって生じる吸収層はより強力であり、冷却装置の製造中に管理しやすくなる(例えば、容易に破壊または変形することはない)。
【0060】
SAPはビーズとしてだけでなく、繊維としても存在する場合がある。繊維状SAPの利点は、サポート材料中のSAPの均一な分布に到達するのがより容易であり、特に、サポート材料が繊維としても存在すれば、それはサポート材料と容易に混合する。SAPがビーズとして存在する場合(例えば、最大寸法が最小寸法の5倍以下、3倍以下、または2倍以下の粒子)、サポート材料からのSAPの分離が容易に発生し、これは、サポート資料でのSAPの不均一な分布につながる。
【0061】
SAPの繊維のアスペクト比は、存在する場合、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも25である。アスペクト比はまた、少なくとも50または少なくとも100でもよい。繊維のアスペクト比とは、繊維の長さと繊維の幅の比率を意味する(ここで、幅は、繊維の長さに垂直な繊維の最大断面である)。繊維の幅は通常1.0~500μmの範囲内である。特に、それは4.0~250μmの範囲内にあり、より具体的には6.0~100μmの範囲内にあり、さらに特に10~50μmの範囲内にある。
【0062】
本発明はさらに、水が上記のように冷却衣服の区画に含まれ、その結果、水が吸収層によって吸収され、区画で蒸発した後、一方または両方の外層を通って蒸気として透過することができる、アクティベートされた冷却衣服に関する。
【0063】
本発明はさらに、アクティベートされた冷却衣服を身体または物体と接触させることを含む、身体または物体を冷却するための方法に関する。
図1
図2
図3
【国際調査報告】