(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】ユーグレナ(Euglena)のタンパク質抽出および下流処理の方法
(51)【国際特許分類】
A23J 3/20 20060101AFI20220912BHJP
A23J 3/22 20060101ALI20220912BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20220912BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20220912BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20220912BHJP
A23L 33/195 20160101ALI20220912BHJP
A23J 1/00 20060101ALI20220912BHJP
C12N 1/00 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
A23J3/20
A23J3/22
A23L5/00 K
A23L2/00 F
A23L2/38 F
A23L5/00 A
A23L33/195
A23J1/00 Z
C12N1/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577239
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 IB2020056137
(87)【国際公開番号】W WO2020261245
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521000666
【氏名又は名称】ノーブルジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ノーブル アダム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】サボウリ ソメイエ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク チャールズ ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】スウェイン アンジェラ
(72)【発明者】
【氏名】カバーリー マイケル ロバート ランドル
(72)【発明者】
【氏名】マヘシュワリ ピーユシュ
(72)【発明者】
【氏名】カークウッド ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】チャン チョンガン
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン ローレン エリザベス
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B065
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB01
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(57)【要約】
本明細書の態様は、微細藻類バイオマスを調製するための方法および微細藻類バイオマスを含有する組成物に関する。例えば、微細藻類を培養することと、微細藻類を微細藻類バイオマススラッジへと濃縮することと、微細藻類バイオマススラッジを洗浄することと、微細藻類バイオマススラッジのpHを調整することと、微細藻類の粉を製造するために微細藻類バイオマススラッジを乾燥させることとを含む、微細藻類の粉を調製する方法が本明細書に記載されている。例えば、微細藻類の粉、タンパク質濃縮物、またはタンパク質単離物を含む、微細藻類バイオマスが補充された食品も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約5%~約100%のユーグレナ(Euglena)バイオマスを含む、組成物。
【請求項2】
前記ユーグレナバイオマスが、乾燥重量で約10%~約75%のタンパク質である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ユーグレナバイオマスが、従属栄養的に培養されたユーグレナに由来した、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記ユーグレナバイオマスが主に無傷のユーグレナ細胞である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記ユーグレナバイオマスが微細藻類の粉である、請求項5記載の組成物。
【請求項6】
前記ユーグレナバイオマスからタンパク質濃縮物が単離される、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記ユーグレナバイオマスからまたは前記タンパク質濃縮物からタンパク質単離物が単離される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記ユーグレナバイオマスから油が抽出される、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記ユーグレナバイオマスが食品に添加される、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
約0.1%~約100%のユーグレナバイオマスと、食用成分とを含む、食品。
【請求項11】
前記ユーグレナバイオマスが、微細藻類の粉、タンパク質濃縮物、およびタンパク質単離物からなる群から選択される、請求項10記載の食品。
【請求項12】
前記タンパク質濃縮物または前記タンパク質単離物が少なくとも40%のタンパク質である、請求項11記載の食品。
【請求項13】
ソース、茶、キャンディ、クッキー、シリアル、パン、フルーツミックス、フルーツサラダ、サラダ、スナックバー、プロテインバー、フルーツレザー、ヨーグルト、ヘルスバー、グラノーラ、スムージー、スープ、ジュース、ケーキ、パイ、シェイク、アイスクリーム、タンパク質飲料、栄養飲料、動物類似物、および健康ドリンクからなる群から選択される、請求項10記載の食品。
【請求項14】
チーズ、ヨーグルト、ミルク、カゼイン代替品、ホイップクリーム、プロテインドリンク、非乳製品クリーマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される非乳製品である、請求項10記載の食品。
【請求項15】
動物類似物である、請求項10記載の食品。
【請求項16】
前記動物類似物が、肉類似物、ソーセージ類似物、ペパロニ/保存肉類似物、鶏肉類似物、七面鳥肉類似物、豚肉類似物、ベーコン類似物、牛肉類似物、豆腐代替物、牛ひき肉類似物、ジャーキー類似物、卵類似物、卵代替物、固ゆで卵代替物、粉末卵代替物、液状卵代替物、冷凍卵代替物、サラダドレッシング、マヨネーズ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15記載の食品。
【請求項17】
プロテインクリスプ、クラッカー、バー、プレッツェル、海藻様スナック、シリアル、パスタ、クリスプ、パフ、オートミール、クッキー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される押出製品である、請求項10記載の食品。
【請求項18】
栄養飲料である、請求項10記載の食品。
【請求項19】
プロテインバーである、請求項10記載の食品。
【請求項20】
液体形態である、請求項10~19のいずれか一項記載の食品。
【請求項21】
乾燥形態または粉末化された形態である、請求項10~19のいずれか一項記載の食品。
【請求項22】
ユーグレナを培養することと、
ユーグレナを微細藻類のバイオマスへと濃縮することと、
微細藻類のバイオマスを洗浄することと、
微細藻類のバイオマスのpHを調整することと、
微細藻類の粉を製造するために、微細藻類のバイオマスを乾燥させることと
を含む、微細藻類の粉を調製するための方法。
【請求項23】
前記微細藻類のバイオマスが約25%~約99%の無傷の細胞からなる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
微細藻類の粉が、乾燥重量で約25%~約55%のタンパク質である、請求項22記載の方法。
【請求項25】
ユーグレナを培養することと、
バイオマスを形成するために、培養物を約1%~約30%の固形分にすることと、
バイオマスを約3~約11のpHに調整することと、
バイオマスをホモジナイズすることと、
ホモジネートを遠心分離することと、
ホモジネートを3つまたはそれより多くの層に分離することであって、該層はペレット、水性中間層、および最上部脂質濃縮層である、分離することと
を含む、タンパク質濃縮物を調製するための方法であって、
前記水性中間層は、可溶性タンパク質を含有する、
方法。
【請求項26】
前記ペレットが、水性および不溶性成分から物理的に分離されているタンパク質濃縮物スラッジの別個の層を含有する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記水性中間層のpHが約3.5~約5.5に調整される、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記水性中間層が22℃で少なくとも1時間インキュベートされる、請求項27記載の方法。
【請求項29】
タンパク質濃縮物スラッジを生成するために、前記水性中間層がさらに遠心分離される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
タンパク質濃縮物スラリーを作るために、前記タンパク質濃縮物スラッジが、等しい重量の水で希釈される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記タンパク質濃縮物スラッジまたはタンパク質濃縮物スラリーが、約5.5~約8.5のpHに調整される、請求項29~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
前記タンパク質濃縮物スラリーが噴霧乾燥されて前記タンパク質濃縮物を生成する、請求項30~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
前記タンパク質濃縮物が、少なくとも40%のタンパク質であるタンパク質濃度を有する、請求項25記載の方法。
【請求項34】
ユーグレナを培養することと、
バイオマスを形成するために、培養物を約1%~約30%の固形分にすることと、
バイオマスを約6~約11のpHに調整することと、
バイオマスをホモジナイズすることと、
ホモジネートを遠心分離することと、
ホモジネートを3つまたはそれより多くの層に分離することであって、該層はペレット、水性中間層、および最上部脂質濃縮層である、分離することと
を含む、タンパク質単離物を調製するための方法であって、
前記水性中間層は、可溶性タンパク質を含有する、
方法。
【請求項35】
前記水性中間層が約3.5~約5.5のpHに調整される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記水性中間層が22℃で少なくとも1時間インキュベートされる、請求項35記載の方法。
【請求項37】
タンパク質濃縮物スラッジを生成するために、前記水性中間層がさらに遠心分離される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
タンパク質濃縮物スラリーを作るために、前記タンパク質濃縮物スラッジが、等しい重量の水で希釈される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記タンパク質濃縮物スラリーが、(a)遠心分離され、かつ(b)水に再懸濁され、(a)および(b)が任意で一回またはそれより多くの回数繰り返される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記タンパク質濃縮物スラッジまたはタンパク質濃縮物スラリーが、約5.5~約8.5のpHに調整される、請求項37~39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
前記タンパク質濃縮物スラリーが噴霧乾燥され、それによって前記タンパク質単離物を生成する、請求項38~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
前記タンパク質濃縮物が有機溶媒を使用して脱脂され、それによって前記タンパク質含量を80%超まで増加させる、請求項25~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
前記有機溶媒が、アセトン、ベンジルアルコール、1,3-ブチレングリコール、二酸化炭素、ヒマシ油、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル、酢酸エチル、エチルアルコール(エタノール)、メタノールで変性されたエチルアルコール、グリセロール(グリセリン)、二酢酸グリセリル、三酢酸グリセリル(トリアセチン)、三酪酸グリセリル(トリブチリン)、ヘキサン、イソプロピルアルコール(イソプロパノール)、メチルアルコール(メタノール)、メチルエチルケトン(2-ブタノン)、塩化メチレン(ジクロロメタン)、モノグリセリドおよびジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、1,2-プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、脂肪形成脂肪酸のプロピレングリコールモノエステルおよびジエステル、クエン酸トリエチル、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記タンパク質単離物が、少なくとも80%のタンパク質であるタンパク質濃度を有する、請求項41記載の方法。
【請求項45】
前記ペレットが、95%を超えるβグルカンである、請求項34~44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
前記ユーグレナが、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)、ユーグレナ・サングイネア(Euglena sanguinea)、ユーグレナ・デセス(Euglena deses)、ユーグレナ・ムタビリス(Euglena mutabilis)、ユーグレナ・アクス(Euglena acus)、ユーグレナ・ビリディス(Euglena viridis)、ユーグレナ・アナバエナ(Euglena anabaena)、ユーグレナ・ゲニクラタ(Euglena geniculata)、ユーグレナ・オキシウリス(Euglena oxyuris)、ユーグレナ・プロキシマ(Euglena proxima)、ユーグレナ・トリプテリス(Euglena tripteris)、ユーグレナ・クラミドフォラ(Euglena chlamydophora)、ユーグレナ・スプレンデンス(Euglena splendens)、ユーグレナ・テクスタ(Euglena texta)、ユーグレナ・インターメディア(Euglena intermedia)、ユーグレナ・ポリモルファ(Euglena polymorpha)、ユーグレナ・エレンベルギ(Euglena ehrenbergii)、ユーグレナ・アドハエレンス(Euglena adhaerens)、ユーグレナ・クララ(Euglena clara)、ユーグレナ・エロンガタ(Euglena elongata)、ユーグレナ・エラスチカ(Euglena elastica)、ユーグレナ・オブロンガ(Euglena oblonga)、ユーグレナ・ピスキフォルミス(Euglena pisciformis)、ユーグレナ・カンタブリカ(Euglena cantabrica)、ユーグレナ・グラニュラタ(Euglena granulata)、ユーグレナ・オブツサ(Euglena obtusa)、ユーグレナ・リムノフィラ(Euglena limnophila)、ユーグレナ・ヘミクロマタ(Euglena hemichromata)、ユーグレナ・バリアビリス(Euglena variabilis)、ユーグレナ・カウダタ(Euglena caudata)、ユーグレナ・ミニマ(Euglena minima)、ユーグレナ・コミュニス(Euglena communis)、ユーグレナ・マグニフィカ(Euglena magnifica)、ユーグレナ・テリコラ(Euglena terricola)、ユーグレナ・ベラタ(Euglena velata)、ユーグレナ・レプルサンス(Euglena repulsans)、ユーグレナ・クラバタ(Euglena clavata)、ユーグレナ・ラタ(Euglena lata)、ユーグレナ・ツベルクラタ(Euglena tuberculata)、ユーグレナ・コンタブリカ(Euglena contabrica)、ユーグレナ・アスカスフォルミス(Euglena ascusformis)、ユーグレナ・オステンデンシス(Euglena ostendensis)またはこれらの組み合わせから選択される、請求項1~9のいずれか一項記載の組成物、請求項10~21のいずれか一項記載の食品、または請求項22~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
前記ユーグレナバイオマスが、乾燥されたユーグレナバイオマスである、請求項9記載の組成物または請求項10記載の食品。
【請求項48】
前記ユーグレナバイオマスが、湿潤ユーグレナバイオマスである、請求項9記載の組成物または請求項10記載の食品。
【請求項49】
香味料、マスキング剤、および/または追加の成分をさらに含む、請求項1記載の組成物または請求項10記載の食品。
【請求項50】
香味料、マスキング剤、および/または追加の成分を、前記培養しているユーグレナおよび/または前記バイオマスに適用することをさらに含む、請求項22、請求項25、または請求項34記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月28日に出願された米国仮出願第62/868,569号の恩典を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
概要
本明細書に記載されている態様は、微細藻類の粉を調製する方法であって、微細藻類を培養することと、前記微細藻類を微細藻類バイオマススラッジへと濃縮することと、前記微細藻類バイオマススラッジを洗浄することと、前記微細藻類バイオマススラッジのpHを調整することと、前記微細藻類の粉を製造するために前記微細藻類バイオマススラッジを乾燥させることとを含む、方法を対象とする。
【0003】
本明細書に記載されている態様において、タンパク質濃縮物を製造する方法は、微細藻類を培養することと、培養物を約3%~約30%の固形分、任意で約10%~約30%の固形分、任意で約5%~約15%の固形分にすることと、培養物を約6~約11のpHに調整することと、培養物をホモジナイズすることと、ホモジネートを遠心分離することと、ホモジネートを3つの層、ペレット、中間層および最上層に分離することとを含み、中間層は可溶性タンパク質である。中間層は、約3.5~約5.5、任意で約4~約5のpHを調整することによって沈殿され、任意で約22℃で少なくとも1時間インキュベートされ、遠心分離されて、タンパク質濃縮物スラッジ(タンパク質スラッジ)から作られた重い相と、ホエイと呼ばれる、酸可溶性細胞材料および非沈殿タンパク質を含有する軽い相とを与える。任意で、タンパク質濃縮物スラッジは、水、任意で等しい重量の水で希釈されて、タンパク質スラリーを作る。タンパク質スラリーのpHは、約5.5~約8.5、任意で約6~約8に調整される。タンパク質スラリーは噴霧乾燥され得る。
【0004】
本明細書に記載されている態様において、タンパク質単離物を製造する方法は、微細藻類を培養することと、培養物を約3%~約30%の固形分、任意で約10%~約30%の固形分、任意で約5%~約15%の固形分にすることと、培養物を約6~約11のpHに調整することと、培養物をホモジナイズすることと、ホモジネートを遠心分離することと、ホモジネートを3つの層、ペレット、中間層および最上層に分離することとを含む。中間層は、約3.5~約5.5、任意で約4~約5のpHまで酸を添加することによって沈殿され、任意で約22℃で少なくとも1時間インキュベートされ、遠心分離されて、タンパク質濃縮物スラッジ(タンパク質スラリー)から作られた重い相と、ホエイと呼ばれる、酸可溶性細胞材料および非沈殿タンパク質を含有する軽い相とを与える。沈殿したタンパク質濃縮物スラリーは、タンパク質単離物中のタンパク質含有量をさらに増加させるために、洗浄および濾過され得る。任意で、タンパク質濃縮物スラッジは、水、任意で等しい重量の水で希釈されて、タンパク質スラリーを作る。任意で、タンパク質スラリーは(a)遠心分離され、かつ(b)水に再懸濁され、(a)および(b)は任意で1またはそれより多い回数繰り返される。タンパク質スラッジまたはスラリーのpHは、約5.5~約8.5、任意で約6~約8に調整される。タンパク質スラリーは噴霧乾燥され得る。
【0005】
本明細書に記載の態様は、約5%~約100%の微細藻類バイオマスを含む組成物を対象とする。
【0006】
本明細書に記載の態様は、約0.1%~約100%の微細藻類バイオマスと食用成分とを含む食品を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】溶媒抽出されたユーグレナ(Euglena)タンパク質濃縮物を図示し、左から右に、全脂肪タンパク質濃縮物、ヘキサンで脱脂されたタンパク質濃縮物、イソプロパノールで脱脂されたタンパク質濃縮物、エタノールで脱脂されたタンパク質濃縮物である。
【
図2】溶媒抽出されたユーグレナタンパク質粉を図示し、左から右に、全脂肪タンパク質粉、ヘキサンで脱脂されたタンパク質粉、イソプロパノールで脱脂されたタンパク質粉、エタノールで脱脂されたタンパク質粉である。
【
図3】ココナツ柑橘類プロテインバーの画像を示す。
【
図4】ダークチョコレート、アーモンド、およびクランベリープロテインバーの画像を示す。
【
図5】ユーグレナ粉を含有するローラーで伸ばされたパスタ生地を示し、上から下に、0%ユーグレナ粉の対照、10%ユーグレナ粉、20%ユーグレナ粉および30%ユーグレナ粉である。
【
図6】ユーグレナ粉を有するローラーで伸ばされたグルテンフリーパスタ生地を示し、上から下に、0%ユーグレナ粉の対照、10%ユーグレナ粉および20%ユーグレナ粉である。
【
図7】ローラーで伸ばされたユーグレナ粉を含み、卵を含まないパスタ生地を示し、上:0%ユーグレナ粉の対照、下:20%のユーグレナ粉である。
【
図8】タンパク質に富むユーグレナ粉およびエンドウ豆タンパク質を含む押出製品のバージョン1~3を示す。Aは、押出製品のバージョン1配合物を示し、Bはバージョン2であり、Cはバージョン3である。
【
図9】タンパク質に富むユーグレナ粉、エンドウ豆タンパク質およびマスキング物質(masker)を含む押出製品のバージョン4~6を示す。Aは、押出製品のバージョン4配合物を示し、Bはバージョン5であり、Cはバージョン6である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
文明社会として、この先何年かのうちに我々は大きな課題に直面する。今後数十年にわたって予想される人口増加によって、世界人口は2050年までに約97億人となり、深刻な食料不足を引き起こすであろう。栄養失調は主な死因であり、年間約350万人が死亡している。世界的な森林破壊は、我々が現在依存している食品、すなわちパーム油のかなりの部分を失わせる。我々が現在利用している資源は持続不可能であり、2050年までに予想される人口を支えるには、2つの惑星に相当する資源が必要となる。したがって、持続可能な代替案を見出す多大な必要性が存在する。例えば、改善された機能性、より高い栄養価、最小限の廃棄の流れ、水使用量の削減および二酸化炭素排出量の削減を提供することができる食品源である。
【0009】
微細藻類は、タンパク質、食物繊維、必須脂肪酸、ビタミンおよびミネラルの豊富な供給源である。脂質除去後、残留バイオマスはさらに高濃度のタンパク質およびその他の栄養素を含有する。微細藻類は長鎖多価不飽和脂肪酸(「PUFA」)の優れた供給源であり、食事のω-3 PUFAを豊富にするために使用されてきた。とりわけ、刺激の強い化学物質または溶媒を使用せずに、従属栄養的に増殖された微細藻類、例えばユーグレナから様々な成分を抽出するための新規な技術が本明細書に記載されている。
【0010】
ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)と命名された藻類の特定の種(以下、ユーグレナ)は、実験室研究および技術的応用の候補種としてしばしば使用される単細胞微細藻類の群に属する。ユーグレナは、ミトコンドリア、核およびリソソームなどの真核細胞に典型的な代表的特徴を有する。ユーグレナは、その長い鞭毛および大きな赤い眼点によってさらに特徴付けることができる。植物と同様に自身の栄養を産生することができる(独立栄養)他、動物のように外部の食物源を食べて消化することができる(従属栄養)ので、ユーグレナは極めて独特である。ユーグレナは、実証された多面的な研究用モデル生物である。栄養の単独または双方の態様を使用する自然の能力を最適化することを通じて、ユーグレナは、生産過程における重要な動作パラメータを調整することによって目標化合物を生産するように誘導することができる。微生物の自然の機構を強化し、迅速な増殖および廃棄物の生成がほとんどない価値ある生産物への効率的な変換を促進するために、これらの重要な調整を使用することができる。
【0011】
細胞から脂質、タンパク質および炭水化物を抽出するために使用される様々な方法が存在する。微細藻類から脂質を抽出することに関して、いくつかの方法として、有機溶媒抽出(ソックスレー装置を使用する/使用しない)、超臨界流体抽出、超音波もしくはマイクロ波支援抽出、機械的(すなわち、プレス、摩砕)、浸透圧ショックまたは酵素ベースの抽出が挙げられる。細胞構成の組成のために、微細藻類に対して、抽出過程を最適化する必要がある。しかしながら、有毒な溶媒(ヘキサンなど)を使用する過程は、最も安全で最も環境に優しい方法で材料を抽出するという目的を損なう。溶媒残留物を製品中に残存させる可能性もあり、消費者が消費する前に溶媒残留物を除去する必要がある。可溶性タンパク質抽出に関しては、微細藻類細胞を破壊するために機械的(ビーズ摩砕)、pH、温度または酵素消化が使用されており、続いて放出されたタンパク質を精製する。
【0012】
便宜のため、本明細書、実施例および特許請求の範囲において使用される特定の用語をここに集める。別段の定義がなければ、本開示において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野における当業者によって一般に理解されているものと同一の意味を有する。
【0013】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間にあるそれぞれの介在する値、およびその記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在する値が本開示内に包含されることが意図される。例えば、1ml~8mlという範囲が記載されている場合、2ml、3ml、4ml、5ml、6mlおよび7ml、ならびに1mlを超えるまたは1mlに等しい値の範囲および8ml未満または8mlに等しい値の範囲も明示的に開示されることが意図される。
【0014】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明確に反対を表さなければ、複数表記を含む。したがって、例えば、一つの(a)「細胞」という表記は、単一の細胞の他に、同一のまたは異なる細胞の2つまたはそれより多くを含む。
【0015】
数値の直前に位置する場合の「約」という単語は、本開示の文脈が特に指示しない限り、またはかかる解釈と矛盾しない限り、その値のプラスまたはマイナス5%の範囲を意味し、例えば、「約50」は45~55を意味し、「約25,000」は22,500~27,500を意味するなどである。例えば、「約49、約50、約55」などの数値のリストでは、「約50」は、先行値および後続値との間の間隔の半分未満に及ぶ範囲、例えば49.5超~52.5未満を意味する。さらに、「約値未満」または「約値より大きい」という語句は、本明細書で提供される用語「約」の定義に照らして理解されるべきである。
【0016】
「バッチ」培養という用語は、成長が停止するまで、典型的には約2日間、細胞に培地のすべてを消費させる培養を指す。
【0017】
「焼いた食品(baked good)」とは、オーブンを使用することによって調製され、通常は膨張剤を含有する、パン・菓子類に典型的に見られる食品を意味する。焼いた食品としては、ブラウニー、クッキー、パイ、ケーキおよびペストリーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
「バイオリアクタ」および「発酵槽」は、その中において細胞が典型的には懸濁状態で培養される、発酵タンクまたは容器などの収納容器(enclosure)または部分的な収納容器を意味する。
【0019】
「パン」は、小麦粉、液体、および通常は膨張剤を含有する食品を意味する。パンは、通常、オーブンで焼くことによって調製されるが、他の調理方法も許容され得る。膨張剤は、性質的に化学的または有機/生物学的であり得る。典型的には、有機膨張剤は酵母である。膨張剤が性質的に化学的である(ベーキングパウダーおよび/または重曹など)場合、これらの食品は「速成パン」と呼ばれる。クラッカーおよび他のクラッカー様製品は、膨張剤を含有しないパンの例である。
【0020】
「含む(comprising)」という移行句は、「含む(including)」、「含有する」または「特徴とする」と同義であり、包括的または非限定的であって、列挙されていない追加の要素または方法工程を排除しない。対照的に、「からなる」という移行句は、特許請求の範囲で指定されていない一切の要素、工程または成分を除外する。「~から本質的になる」という移行句は、請求項の範囲を、特許請求された発明の指定された材料または工程、「および基本的かつ新規な(1つまたは複数の)特徴に実質的に影響を及ぼさないもの」に限定する。用語「含む(comprising)」が移行句として使用される態様または特許請求の範囲において、そのような態様は、用語「含む(comprising)」を用語「からなる」または「から本質的になる」で置き換えることによっても想定され得る。
【0021】
「調理された製品」とは、ある期間、例えばオーブン内で加熱された食品を意味する。
【0022】
「クリーミーなサラダドレッシング」は、高い粘度および遅い注入速度を有する安定した分散物であるサラダドレッシングを意味する。一般に、クリーミーなサラダドレッシングは不透明である。
【0023】
「培養する(cultivate)」、「培養する(culture)」および「発酵させる」という動詞ならびにその変形は、培養条件の使用による1つまたはそれより多くの細胞、典型的には微細藻類の成長および/または増殖(propagation)の意図的な促進を意味する。意図された条件には、(直接的なヒトの介入のない)自然での微生物の成長および/または増殖(propagation)は含まれない。用語「培養された」およびその変形は、意図された培養条件の使用による1つまたはそれより多くの細胞の成長(細胞サイズ、細胞内容物および/または細胞活性の増加)および/または増殖(propagation)(有糸分裂を介した細胞数の増加)の意図的な促進を指す。成長と増殖(propagation)の両方の組み合わせは、増殖(proliferation)という用語で呼ばれ得る。1つまたはそれより多くの細胞は、微細藻類などの微生物の細胞であり得る。意図される条件の例には、組成が明らかな培地(pH、イオン強度および炭素源などの公知の特性を有する)の使用、指定された温度、酸素分圧、二酸化炭素レベル、およびバイオリアクタ内での成長が含まれる。
【0024】
本明細書で使用される「培養物」という名詞は、微細藻類のバイオマスおよび任意で液体(例えば、培養培地または水)を含む組成物を指す。例えば、培養物は、微細藻類のバイオマスの組成物を指し得、培養物は、微細藻類のバイオマスおよび液体培地および/または水の組成物も指し得る。
【0025】
「分散」とは、液体または気体を含む媒体全体にほぼ均一に粒子が分布していることを指す。分散の1つの一般的な形態は、油および水などの2つまたはそれより多くの不混和性液体の混合物で構成されたエマルジョンである。
【0026】
「乾燥重量」および「乾燥細胞重量」は、水の相対的非存在下で測定された重量を意味する。例えば、乾燥重量で特定の成分の指定されたパーセンテージを含むとして微細藻類のバイオマスを表記することは、そのパーセンテージが、実質的にすべての水が除去された後のバイオマスの重量に基づいて計算されることを意味する。
【0027】
本開示で使用される場合、「乳化する」、「エマルジョン」という用語またはこれらの派生語は、パラミロンなどの物質または食品添加物が、通常は油と水の二相系が存在していた単相混合物として食品組成物または食品中に存在することを指す。したがって、エマルジョンは、通常は不混和性の2つの液体の速度論的に安定な混合物を指す。一般的な例は、油が水中に分散されているマヨネーズである。いくつかの他の食品では、水が油中に分散されている。
【0028】
「食用成分」は、食べるのに適した任意の物質または組成物を意味する。「食用成分」には、穀物、果実、野菜、タンパク質、ハーブ、スパイス、炭水化物および脂肪が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
「最終食品」および「最終食品成分」は、そのまま包装、使用または消費できる食品組成物を意味する。例えば、「最終食品」は調理されていてもよく、または「最終食品」を構成する成分は互いに混合もしくはその他統合されていてもよい。「最終食品成分」は、典型的には、食品を形成するために他の成分と組み合わせて使用される。
【0030】
本明細書で使用される「機能性食品」という用語は、新しい成分または既存の成分のより多くを添加することによって追加の機能を与えられた食品を指す。例えば、ホエイタンパク質は、食品に食感、保水能力または栄養上の補助を与えるために食品に添加される。
【0031】
「食物(food)」、「食品組成物(food composition)」、「食品(food product)」および「食料品(foodstuff)」は、栄養源および/またはカロリー源としてヒトによって摂取されることが意図されるまたは予想される任意の組成物を意味する。食品組成物は、主に炭水化物、脂肪、水および/またはタンパク質から構成され、人間の毎日のカロリー摂取の実質的にすべてを構成する。「食品組成物」は、典型的な錠剤またはカプセルの重量の少なくとも10倍の最小重量を有することができる(典型的な錠剤/カプセルの重量範囲は、100mg未満または100mgから最大1500mgまでである)。「食品組成物」は、錠剤剤形中に封入または配合されない。
【0032】
本明細書で使用される用語「ゲル化物(gelling)」、「ゲル化体(gelificate)」またはこれらの派生語は、ゼラチン状形態の食品組成物または食品を指す。ゼラチン状形態は、固体および液体を均一な三次元半固体構造中に組み込むことによって作り出される。例えば、ゼリーおよびジャム、ナッツバター(例えば、ナッツのみのバージョン(just nuts versions))、ゼリー様製品ならびにフォンダンに見られるように、その引張強度が500g/cm2~1000g/cm2の範囲内にある場合、ゼラチン状食品は軟質ゲルと見なされる。例えば、グミキャンディ、菓子ゲル(すなわち、クッキーの詰め物)、フルーツゲルバーおよびフルーツスナックに見られるように、その引張強度が1000g/cm2~3000g/cm2の範囲内にある場合、ゼラチン状食品は硬質ゲルと見なされる。
【0033】
本明細書で使用される「発泡性」は、泡立てまたは発泡中に気液界面上に迅速に吸着し、分子間相互作用によって凝集性の粘弾性フィルムを形成するタンパク質などの材料の能力を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、本発明の「配合された」組成物は、例えば、適切な賦形剤、安定剤、結合剤などを含む(脱脂された)微細藻類を含む組成物であって、食事もしくは栄養の補助食品としてまたは食品添加物として、経口摂取に適した安定な微細藻類含有組成物の製造を補助する組成物を意味する。例えば、本発明の組成物は、固体、粉末、または液体の形態に配合することができる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「食品添加物として配合された」とは、組成物を食品添加物として食品に添加するのを容易にするために、固体形態(例えば、粉末、錠剤、ペレットなど)または液体形態(例えば、懸濁液、エマルジョン、混合物など)に配合されたことを意味する。例えば、製造中に組成物を食品もしくは液体に添加することが望ましい場合があり得、または消費者がスナックもしくは食事を準備および/もしくは摂取するときに組成物を添加することが望ましい場合があり得る。したがって、配合物の具体的な様式は、組成物が添加される食品および組成物が添加される時点に依存する。
【0036】
「現行医薬品適正製造基準」および「CGMP」は、連邦規則集タイトル21パート110(ヒトの食品)およびパート111(栄養補助食品)に記載されている規制または米国外の場所において確立された同等の規制スキームによって確立された条件を意味する。米国の規制は、ヒトが摂取する食品および栄養補助食品の製造業者、加工業者および包装業者を規制するために、連邦食品医薬品化粧品法の権限の下で米国食品医薬品局によって公布されている。本明細書に記載されている過程のすべては、CGMPまたは同等の規制に従って実行することができる。米国では、ヒト食品の製造、包装または保有に関するCGMPの規制は、米国連邦規則集タイトル21パート110に成文で定められている。これらの規定およびこれらの規定で参照される補助規定は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国におけるCGMP条件および他の管轄区域における同等の条件は、食品が粗悪でないかどうか(食品に適さないような条件下で食品が製造されているか)、または食品が汚染されている可能性もしくはその他健康に対して有害になっている可能性があるような非衛生的条件下で、食品が調製、包装もしくは保有されているかどうかを判定する際に適用される。CGMP条件は、疾患管理;職員の清潔性および訓練;建築物および施設の保守管理および衛生上の作業;適切な衛生設備および収容設備の提供;機器および器具の設計、構造、保守管理および清潔性;あらゆる汚染源からの汚染を防止するための適切な衛生原則に従って、食品の受領、検査、輸送、隔離、調製、製造、包装および貯蔵においてすべての合理的な予防措置が講じられることを確保するための適切な品質管理手順の提供;ならびに物理的、化学的、または望ましくない微生物の汚染からおよび食品および容器の劣化から食品を保護する条件下での最終食品の貯蔵および輸送について規定する規則を遵守することを含むことができる。
【0037】
「成長」は、固定された炭素源の細胞内成分への変換による細胞重量の増加を含む、細胞サイズ、総細胞内容物、細胞分裂による数、および/または個々の細胞の細胞質量もしくは重量の増加を意味する。
【0038】
本明細書で使用される「従属栄養」または「従属栄養環境」という用語は、炭水化物、脂質、アルコール、カルボン酸、糖アルコール、タンパク質またはこれらの組み合わせなどの有機炭素の外来源から実質的に完全に栄養素およびエネルギーを得るような条件下にある、ユーグレナを含む、微細藻類または微生物などの生物を指す。例えば、ユーグレナは、実質的に光が存在しない環境に存在する従属栄養生物である。
【0039】
本明細書で使用される用語「光栄養性」または派生語は、エネルギーを獲得するために光子捕捉を実行することができる条件下にその生物が存在する場合の、ユーグレナを含む微生物などの生物を指す。例えば、生物が光栄養性である場合、エネルギーを産生するために、生物は光合成を行う。
【0040】
「ホモジネート」は、物理的に破壊されたバイオマスを意味する。ホモジナイゼーションは、粒子をより小さく、より均一なサイズに細分化し、さらなる処理に供され得る分散液を形成することを含む流体機械的過程である。ホモジナイゼーションは、安定性、貯蔵寿命、消化および味を改善するために、いくつかの食品および乳製品の処理において使用される。「ホモジナイズする」とは、2つまたはそれより多くの物質を均質なまたは均一な混合物へとブレンドすることを意味する。いくつかの態様では、ホモジネートが作製される。他の態様では、バイオマスは主に無傷であるが、混合物全体に均質に分布している。
【0041】
本明細書で使用される場合、「親水コロイド」という用語は、水中で粘性のある溶液またはゲルを形成する炭水化物(すなわち多糖類)またはタンパク質のいずれかの長鎖ポリマーを指す。
【0042】
「増加した脂質収量」は、例えば、培養物1リットル当たりの細胞の乾燥重量を増加させること、脂質を含有する細胞のパーセンテージを増加させること、および/または単位時間当たりの培養体積1リットル当たりの脂質の総量を増加させることによって達成することができる微細藻類の培養物の脂質/油生産性の増加を意味する。
【0043】
「可溶化液」は、溶解された細胞の内容物を含有する溶液を意味する。
【0044】
「溶解」は、少なくともいくらかの細胞内内容物を放出するのに十分な微生物の形質膜および任意で細胞壁の破壊を意味し、これは、その完全性を損なう機械的または浸透圧的機序によって達成されることが多い。
【0045】
「溶解する」とは、少なくともいくつかの細胞内内容物を放出するのに十分な、生物学的生命体または細胞の細胞膜および任意で細胞壁を破壊することを意味する。
【0046】
「微細藻類のバイオマス」、「藻類のバイオマス」および「バイオマス」は、微細藻類の細胞の成長および/または増殖(propagation)によって産生される材料を意味する。バイオマスは、細胞および/または細胞内内容物ならびに細胞外物質を含有し得る。細胞外物質には、細胞によって分泌される化合物が含まれるが、これに限定されない。
【0047】
「微細藻類の粉」は、微細藻類、例えばユーグレナの細胞を含む、ヒトによる摂取に適した乾燥した粒子状組成物である。
【0048】
「微細藻類の油」および「藻類の油」は、トリアシルグリセロール(「TAG」)を含む、微細藻類の細胞によって産生される脂質成分のいずれをも意味する。
【0049】
「栄養補助食品」とは、バルクカロリー(bulk calories)ではなく特定の栄養素を提供することによって食事を補うことを意図した組成物を意味する。栄養補助食品は、以下の成分:ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸、必須脂肪酸および他の物質のいずれか1つまたはそれより多くを含有し得る。栄養補助食品は、典型的には錠剤化またはカプセル化される。単一の錠剤化またはカプセル化された栄養補助食品は、典型的には、1日当たり15グラム以下のレベルで摂取される。栄養補助食品は、食事を補うためにヨーグルトまたは「スムージー」などの食品組成物と混合することができ、典型的には1日当たり25グラム以下のレベルで摂取される、直ちに混合できる袋(ready-to-mix sachets)の中に提供することができる。
【0050】
「油」は、微細藻類、他の植物および/または動物を含む生物によって産生される任意のトリアシルグリセリド(またはトリグリセリド)を意味する。「脂肪」と区別される「油」は、特に明記しない限り、通常の室温および圧力で一般に液体である脂質を指す。例えば、「油」には、大豆、菜種、キャノーラ、パーム、パーム核、ココナツ、トウモロコシ、オリーブ、ヒマワリ、綿実、クフェア、落花生、カメリナ・サティバ(camelina sativa)、カラシ種子、カシューナッツ、オート麦、ルピナス、ケナフ、キンセンカ、ヘンプ、コーヒー、アマニ、ヘーゼルナッツ、ユーフォルビア、カボチャ種子、コリアンダー、ツバキ、ゴマ、ベニバナ、イネ、アブラギリ、カカオ、コプラ、ケシ、トウゴマの実、ピーカン、ホホバ、ヤトロファ、マカダミア、ブラジルナッツおよびアボガドならびにこれらの組み合わせに由来する油を含むが、これらに限定されない、植物に由来する野菜または種子油が含まれる。
【0051】
「低温殺菌」は、食品中の微生物の成長を遅らせることを意図した加熱の過程を意味する。典型的には、低温殺菌は、高温(但し、沸騰未満)で短時間行われる。本明細書に記載されるように、低温殺菌は、食品中の望ましくない微生物の数を減らすことができるだけでなく、食品中に存在するある特定の酵素を不活性化することもできる。
【0052】
「主に無傷の細胞」および「主に無傷のバイオマス」は、40%を超える、しばしば75%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%および99%を超える無傷の細胞を含む細胞の集団を意味する。この文脈における「無傷の」とは、細胞の細胞内成分を取り囲む細胞膜および/または細胞壁の物理的連続性が、培養中の細胞膜の透過性を超える程度まで、細胞の細胞内成分を放出するいかなる様式でも破壊されていないことを意味する。
【0053】
「主に溶解された」とは、細胞の細胞内成分がもはや細胞膜内に完全には封入されていないように、細胞の50%超、典型的には75%~90%超が破壊された細胞の集団を意味する。
【0054】
「増殖(proliferation)」は、成長と増殖(propagation)の両方の組み合わせを意味する。
【0055】
「増殖(propagation)」は、有糸分裂またはその他の細胞分裂による細胞数の増加を意味する。
【0056】
本明細書で使用される「振盪」という用語は、上下または左右の、急速な、強制的な、または動いたり止まったりする運動での試料の動きを指す。これは、手動でまたは機械で行われ得る。
【0057】
「スラッジ」という用語は、液体中に分散され、自由流動しない均一な組成物を形成する固体を指す。スラッジと呼ばれる組成物は、典型的には、20%を超える総固形分を含有する。
【0058】
「スラリー」という用語は、自由流動性の組成物を指す。スラリーと呼ばれる組成物は、典型的には、20%未満の総固形分を含有する。
【0059】
本明細書で使用される「溶液」という用語は、重力のみによっては分離することができない、液体媒体(溶媒)全体に分散した物質(溶質)の均質な混合物を指す。
【0060】
本明細書で使用される「実質的に含まない」という用語は、光または構成要素の完全なまたはほぼ完全な欠如を指す。例えば、水を「実質的に含まない」組成物は、水を完全に欠如するか、または水をほぼ完全に欠如して、水を完全に欠如したかのように効果が同じである。
【0061】
本明細書で使用される場合、「安定性」という用語およびその派生語は、熱安定性、凍結融解安定性、光安定性、エマルジョン安定性または貯蔵安定性を指す。熱安定性は、単一の設定された期間または曝露時間のサイクルの間、高熱への曝露後に同じ特性を保持する製品または材料の能力である。凍結融解安定性は、凍結され、続いて解凍された後に同じ特性を保持する製品または材料の能力であり、凍結融解は多数の凍結融解サイクルを通じて繰り返すことができる。光安定性は、単一の設定期間または曝露時間のサイクルの間、太陽光または室内光などの光への曝露後に同じ特性を保持する製品または材料の能力である。エマルジョン安定性は、長期にわたって、エマルジョンを保持し、分離することを防止する製品または材料の能力である。さらに、「安定剤」という用語は、製品または別の材料に添加された場合に本明細書に記載の安定性を付与する材料に関する。例えば、安定剤は、安定剤の非存在下では維持されない食品の構造および官能特性を長期的に保つ、最終食品配合物中に組み込まれる成分であり得る。
【0062】
本明細書で使用される「溶解度」という用語は、通常は特定の量で溶液に完全に溶解することができる物質の最大量を指す。
【0063】
「ヒトの摂取に適している」とは、組成物が健康への悪影響なしに食事摂取としてヒトによって摂取されることができ、消化管内での消化された物質の取り込みによって有意なカロリー摂取を提供することができることを意味する。
【0064】
「調理されていない製品」は、加熱に供されたことがない組成物を意味するが、以前に加熱に供された1つまたはそれより多くの成分を含み得る。
【0065】
体積による割合に関する「V/V」または「v/v」は、組成物の総体積に対する組成物中の1つの物質の体積の比を意味する。例えば、5%v/vの微細藻類の油を含む組成物という表記は、組成物の体積の5%が微細藻類の油で構成され(例えば、100mm3の体積を有するような組成物は、5mm3の微細藻類の油を含有するであろう)、組成物の体積の残り(例えば、この例では95mm3)が他の成分で構成されることを意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「粘度」という用語は、流動しようとするときの流体の抵抗を指し、流体摩擦の尺度と考えられ得る。
【0067】
重量による割合に関する「W/W」または「w/w」は、組成物の重量に対する組成物中の1つの物質の重量の比を意味する。例えば、5%w/wの微細藻類のバイオマスを含む組成物という表記は、組成物の重量の5%が微細藻類のバイオマスで構成され(例えば、100mgの重量を有するような組成物は、5mgの微細藻類のバイオマスを含有するであろう)、組成物の重量の残り(例えば、この例では95mg)が他の成分で構成されることを意味する。
【0068】
「W/V」または「w/v」は、組成物の総体積に対する組成物中の1つの物質の重量の比を意味する。例えば、5%w/vの微細藻類のバイオマスを含む組成物という表記は、5gの微細藻類のバイオマスが100mLの水溶液の最終体積中に溶解されていることを意味する。
【0069】
本明細書で使用される「泡立てる」という用語は、空気を迅速に取り込み、膨張を生じさせるために、泡立て器またはミキサーを使用して試料を強くかき混ぜるという動作を指す。
【0070】
食品組成物または製品に関して本明細書で使用される「保水能力」もしくはWHCという用語またはこれらの派生語は、力、押圧、遠心分離または熱を加えている間に食品自体の水および添加された水を保持する能力を指す。WHCは、物理的特性として、例えば、例えばゲルの三次元構造から水が放出されるのを防ぐ食品構造の能力としても記述され得る。
【0071】
ここで、様々な局面について、以下でより詳細に説明する。しかしながら、そのような局面は、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載されている態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示が十分かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
【0072】
微細藻類のバイオマスを調製するための方法
本明細書に記載されている態様は、脂質および/またはタンパク質成分を含む栄養素が豊富な、ヒトの摂取に適した微細藻類のバイオマスを調製するための方法、該微細藻類のバイオマスを食用成分と組み合わせる方法および該微細藻類のバイオマスを含有する食品組成物を提供する。微細藻類のバイオマスは高いタンパク質含有量および/または優れた機能性で調製することができ、得られたバイオマスは、バイオマスの油および/またはタンパク質含有量が従来の食品中に存在する油および/または脂肪および/またはタンパク質の全部または一部を置換することができる食品中に取り込まれ、すべての必須アミノ酸を高度に消化可能な形態で提供する。主に一価不飽和油を含み得る微細藻類の油は、従来の食品中にしばしば見られる飽和脂肪、硬化脂肪(トランス脂肪)および多価不飽和脂肪と比較して健康上の利益を与える。微細藻類のバイオマスは、油および/またはタンパク質に加えて、藻類由来食物繊維(可溶性および不溶性炭水化物の両方)、リン脂質、糖タンパク質、植物ステロール、トコフェロール、トコトリエノールおよびセレンなどのいくつかの有益な微量栄養素も提供する。本明細書に記載されている態様において、微細藻類のバイオマスは、経口投与用に配合された固体、粉末または液体の形態である。本明細書に記載されている態様において、微細藻類のバイオマスは食品添加物として配合される。本明細書に記載されている態様において、微細藻類のバイオマスは微細藻類の粉に加工される。本明細書に記載されている態様において、タンパク質濃縮物は藻類のバイオマスから抽出される。本明細書に記載されている態様において、タンパク質単離物は微細藻類のバイオマスから抽出される。
【0073】
微細藻類のための培地および培養条件
微細藻類は、本発明の方法に従って微細藻類のバイオマスを増やすために、液体培地中で培養される。本発明の方法において、微細藻類の種は、1つまたはそれより多くの炭素源、1つまたはそれより多くの窒素源および1つまたはそれより多くの塩を含有する培養培地中にて、光の非存在下で約2.0~約4.0のpHを維持しながら、従属栄養的に増殖される。微細藻類のいくつかの種では、例えば、限られた窒素条件下での10~15日またはそれを超える日数などの長期間にわたる従属栄養成長は、細胞中に高い脂質含有量の蓄積をもたらす。タンパク質細胞含有量は、増殖培地の炭素:窒素(C:N)比によって変化させることができる。高いC:N比は、βグルカンまたは炭水化物生合成に好適である。より低いC:N比は、タンパク質蓄積に好適である。生産規模では、C:N比を制御するために、炭素と窒素はタンク中に別々に供給される。範囲は、約6:1~約80:1のC:N比を含む。7.2:1、7.34:1および9.56:1の比は、バイオマス中により高いパーセンテージのタンパク質(約32%~約49%)を生成するのに対して、12:1、20:1、40:1および80:1の比は、より低いレベルのタンパク質(約16.7%~約38.4%)を生成する。
【0074】
複数の態様において、微細藻類は、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)、ユーグレナ・サングイネア(Euglena sanguinea)、ユーグレナ・デセス(Euglena deses)、ユーグレナ・ムタビリス(Euglena mutabilis)、ユーグレナ・アクス(Euglena acus)、ユーグレナ・ビリディス(Euglena viridis)、ユーグレナ・アナバエナ(Euglena anabaena)、ユーグレナ・ゲニクラタ(Euglena geniculata)、ユーグレナ・オキシウリス(Euglena oxyuris)、ユーグレナ・プロキシマ(Euglena proxima)、ユーグレナ・トリプテリス(Euglena tripteris)、ユーグレナ・クラミドフォラ(Euglena chlamydophora)、ユーグレナ・スプレンデンス(Euglena splendens)、ユーグレナ・テクスタ(Euglena texta)、ユーグレナ・インターメディア(Euglena intermedia)、ユーグレナ・ポリモルファ(Euglena polymorpha)、ユーグレナ・エレンベルギ(Euglena ehrenbergii)、ユーグレナ・アドハエレンス(Euglena adhaerens)、ユーグレナ・クララ(Euglena clara)、ユーグレナ・エロンガタ(Euglena elongata)、ユーグレナ・エラスチカ(Euglena elastica)、ユーグレナ・オブロンガ(Euglena oblonga)、ユーグレナ・ピスキフォルミス(Euglena pisciformis)、ユーグレナ・カンタブリカ(Euglena cantabrica)、ユーグレナ・グラニュラタ(Euglena granulata)、ユーグレナ・オブツサ(Euglena obtusa)、ユーグレナ・リムノフィラ(Euglena limnophila)、ユーグレナ・ヘミクロマタ(Euglena hemichromata)、ユーグレナ・バリアビリス(Euglena variabilis)、ユーグレナ・カウダタ(Euglena caudata)、ユーグレナ・ミニマ(Euglena minima)、ユーグレナ・コミュニス(Euglena communis)、ユーグレナ・マグニフィカ(Euglena magnifica)、ユーグレナ・テリコラ(Euglena terricola)、ユーグレナ・ベラタ(Euglena velata)、ユーグレナ・レプルサンス(Euglena repulsans)、ユーグレナ・クラバタ(Euglena clavata)、ユーグレナ・ラタ(Euglena lata)、ユーグレナ・ツベルクラタ(Euglena tuberculata)、ユーグレナ・コンタブリカ(Euglena contabrica)、ユーグレナ・アスカスフォルミス(Euglena ascusformis)、ユーグレナ・オステンデンシス(Euglena ostendensis)、クロレラ・アウトトロフィカ(Chlorella autotrophica)、クロレラ・コロニアレス(Chlorella coloniales)、クロレラ・レウィニイ(Chlorella lewinii)、クロレラ・ミヌチシマ(Chlorella minutissima)、クロレラ・ピチュイタ(Chlorella pituita)、クロレラ・プルケロイデス(Chlorella pulchelloides)、クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)、クロレラ・ロタンダ(Chlorella rotunda)、クロレラ・シングラリス(Chlorella singularis)、クロレラ・ソロキニアナ(Chlorella sorokiniana)、クロレラ・バリアビリス(Chlorella variabilis)、クロレラ・ボルティス(Chlorella volutis)、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、シゾキトリウム・アグレガタム(Schizochytrium aggregatum)、シゾキトリウム・リマシナム(Schizochytrium limacinum)、シゾキトリウム・ミヌタム(Schizochytrium minutum)およびこれらの組み合わせから選択される藻の種によって置き換えられ得る。ある特定の態様において、微細藻類はユーグレナ・グラシリスである。
【0075】
本明細書に記載されている態様は、炭素源、窒素源および塩の組み合わせを含有する培養培地を利用して微細藻類を従属栄養的に培養する方法を対象とする。記載された培養培地は、好気性代謝および嫌気性代謝の両方を含む微細藻類の代謝能のすべてを利用する。油、糖、アルコール、有機窒素および無機窒素源の組み合わせは、入力から出力へのより高い変換および微生物のより速い成長をもたらす。
【0076】
いくつかの態様において、増殖培地は、炭水化物、脂質、アルコール、カルボン酸、糖アルコール、タンパク質、窒素、金属、ビタミン、ミネラルまたはこれらの組み合わせなどの外因性栄養素および/または添加剤も含み得る。
【0077】
複数の態様において、炭素源は、油、糖、またはアルコール、カルボン酸、ジャガイモ煮汁(potato liquor)、フェルラ酸およびこれらの組み合わせから選択される。複数の態様において、油は、大豆、菜種、キャノーラ、パーム、パーム核、ココナツ、トウモロコシ、オリーブ、ヒマワリ、綿実、クフェア、落花生、カメリナ・サティバ、カラシ種子、カシューナッツ、オート麦、ルピナス、ケナフ、キンセンカ、ヘンプ、コーヒー、アマニ、ヘーゼルナッツ、ユーフォルビア、カボチャ種子、コリアンダー、ツバキ、ゴマ、ベニバナ、イネ、アブラギリ、カカオ、コプラ、ケシ、トウゴマの実、ピーカン、ホホバ、ヤトロファ、マカダミア、ブラジルナッツまたはアボガドおよびこれらの組み合わせに由来する油である。一態様において、油は、キャノーラ油、植物油、大豆油、ココナツ油、オリーブ油、落花生油、魚油、アボガド油、パーム油、亜麻油、トウモロコシ油、綿実油、キャノーラ油、菜種油、ヒマワリ油、ゴマ油、ブドウ種子油、ベニバナ油、米ぬか油、プロピオナートおよびこれらの組み合わせである。糖は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、スクロース、糖蜜、グリセロール、キシロース、デキストロース、ハチミツ、コーンシロップおよびこれらの組み合わせから選択され得る。アルコールは、エタノール、メタノール、イソプロパノールおよびこれらの組み合わせから選択され得る。ある特定の態様において、炭素源はグルコースである。カルボン酸は、クエン酸、シトラート、フマル酸、フマラート、リンゴ酸、マラート、ピルビン酸、ピルバート、コハク酸、スクシナート、酢酸、アセタート、乳酸、ラクタートおよびこれらの組み合わせから選択され得る。
【0078】
複数の態様において、炭素源の濃度は、約5g/L~約50g/L、約10g/L~約45g/L、約15g/L~約40g/L、約20g/L~約35g/L、約5g/L~約20g/L、約5g/L~約15g/L、約5g/L~約10g/Lの濃度である。複数の態様において、炭素源の濃度は、約15g/Lの濃度である。複数の態様において、炭素源の濃度は、約10g/Lの濃度である。
【0079】
複数の態様において、窒素源は、酵母抽出物、硫酸アンモニウム、グリシン、尿素、アラニン、アスパラギン、コーンスティープ、肝臓抽出物、ラボ・レムコ、ペプトン、脱脂乳、豆乳、トリプトン、牛肉抽出物、トリシン、植物源ペプトン、エンドウ豆タンパク質、玄米タンパク質、大豆ペプトン、グルタミン酸一ナトリウム(MSG)、アスパラギン酸、アルギニン、ジャガイモ煮汁およびこれらの組み合わせから選択される。ある特定の態様において、窒素源は酵母抽出物である。ある特定の態様において、窒素源は硫酸アンモニウムである。ある特定の態様において、窒素源は、酵母抽出物と硫酸アンモニウムの組み合わせである。
【0080】
複数の態様において、窒素源の濃度は、約1g/L~約15g/L、約1.5g/L~約12.5g/L、約2g/L~約10g/L、約2.5g/L~約8.5g/L、約3g/L~約8g/L、約3.5g/L~約7.5g/L、約4g/L~約7g/L、約4.5g/L~約6.5g/Lまたは約5g/L~約6g/Lの濃度である。複数の態様において、窒素源の濃度は、約10g/Lの濃度である。複数の態様において、窒素源の濃度は、約5g/Lの濃度である。複数の態様において、窒素源の濃度は、約2g/Lの濃度である。
【0081】
複数の態様において、塩は、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム七水和物、塩化カルシウム、塩化カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、リン酸二アンモニウム、リン酸二カリウムおよびこれらの組み合わせから選択される。ある特定の態様において、塩は、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムである。
【0082】
複数の態様において、塩源の濃度は、約0.01g/L~約5.0g/L、約0.1g/L~約4.5g/L、約1.0g/L~約4.0g/L、約1.5g/L~約3.5g/Lまたは約2.0g/L~約3.0g/Lの濃度である。複数の態様において、塩源の濃度は、約0.1g/Lの濃度である。複数の態様において、塩源の濃度は、約1.0g/Lの濃度である。
【0083】
複数の態様において、培養培地は金属をさらに含む。金属は、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硫酸第一鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、塩化コバルト、モリブデン酸ナトリウム、塩化亜鉛、ホウ酸、塩化銅、硫酸銅、七モリブデン酸アンモニウムおよびこれらの組み合わせから選択される。
【0084】
複数の態様において、培養培地はビタミン混合物をさらに含む。ビタミン混合物は、以下のものの組み合わせを含有する:ビオチン(ビタミンB7)、チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸(ビタミンB5)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンKおよびこれらの組み合わせ。
【0085】
本明細書に記載されている微細藻類を培養する方法によって生産された細胞および/または生成物は、誘導期、指数期/対数期、定常期または死滅期に収集される。一態様において、生産された細胞および/または生成物は、誘導期、指数期、定常期または死滅期に採取または収集される。別の態様において、生産された細胞および/または生成物は、誘導期に採取または収集される。別の態様において、生産された細胞および/または生成物は、対数期に採取または収集される。別の態様において、生産された細胞および/または生成物は、定常期に採取または収集される。別の態様において、生産された細胞および/または生成物は、死滅期に採取または収集される。
【0086】
微細藻類培養物が定常期に達すると、培養物中の微生物の濃度は飽和に達する。飽和は、光学密度、湿潤細胞重量、乾燥細胞重量、細胞数および/または時間を含む多数の測定によって決定される。
【0087】
一態様において、約600nmの光学密度、湿潤細胞重量、乾燥細胞重量または細胞数として測定される飽和まで微細藻類を成長させる。一態様において、光学密度によって測定される飽和は、約2~約10である。一態様において、湿潤細胞重量によって測定される飽和は、約10g/L~約100g/Lである。一態様において、乾燥細胞重量によって測定される飽和は、約2g/L~約50g/Lである。一態様において、細胞数によって測定される飽和は、約2.0×106細胞/mL~約10.0×107細胞/mLである。一態様において、約48時間~約350時間、または最大約75日間、微生物を成長させる。
【0088】
一般に、細胞培養は、バッチ、フェドバッチ、半連続および連続培養の4つの培養形式に分類することができる。バッチ培養では、大量の栄養素(培地)が細胞の集団に添加される。次いで、培地中の投入物が枯渇し、細胞の所望の濃度に達するまで、および/または所望の生成物が産生されるまで、細胞を成長させる。この時点で、細胞を採取し、この過程を繰り返す。フェドバッチ培養では、培地は一定速度で添加されるか、または細胞集団を維持するために必要に応じて成分が添加される。最大値に達するか、または生成物形成に達すると、細胞の大部分が採取され、次いで次のサイクルを開始するために残りの細胞が使用される。フェドバッチは、増殖発酵槽がまだ満杯になっていないときに、培養物を目標密度にするために培地が供給される。満杯になり、目標密度に達したら、連続採取が始まり、その目標は、満杯の目標密度培養を維持することである。半連続培養中には、測定を行うためにおよび/または培養成分を採取するために一定体積の試料が一定の時間間隔で取り出され、等体積の新鮮な培地が直ちに培養物に添加され、それによって栄養素濃度を即時に高め、細胞濃度を希釈する。連続培養では、培地への添加および培地からの取り出しが長期間にわたって行われ得る条件下で、細胞が培地中で培養される。したがって、栄養素、成長因子および空間は使い果たされない。
【0089】
一態様において、微生物を従属栄養的に培養する方法は、バッチ式、フェドバッチ式、半連続式または連続式である。別の態様において、微生物を従属栄養的に培養する方法はバッチ式である。別の態様において、微生物を従属栄養的に培養する方法はフェドバッチ式である。別の態様において、微生物を従属栄養的に培養する方法は半連続式である。別の態様において、微生物を従属栄養的に培養する方法は連続式である。
【0090】
半連続および連続培養では、新鮮な培地が供給され、培養物は培養容器から取り出される。培養物は、誘導期、指数期または定常期に取り出すことができる。一態様において、培養物は、誘導期、指数期または定常期に培養容器から取り出される。別の態様において、培養物は、誘導期に培養容器から取り出される。別の態様において、培養物は、指数期に培養容器から取り出される。別の態様において、培養物は、定常期に培養容器から取り出される。
【0091】
半連続および連続培養では、時間間隔に基づいて培養容器から培養物を取り出すこともできる。一態様において、培養物は、培養もしくは培養のサイクルの開始からまたは以前の培地添加から、約1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、168、172、176、180、184、188、もしくは192時間、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、168、172、176、180、184、188、もしくは192時間で取り出される。半連続および連続培養では、サイクルは、タンクまたはバイオリアクタのターンオーバーとして定義される。タンクまたはバイオリアクタ内では、成長に関する様々なパラメータが監視および制御される。これらには、温度、pH、溶存酸素レベルおよび撹拌が含まれる。バイオリアクタまたはタンクは、例えば、3L~2万Lとすることができる。例えば、バイオリアクタまたはタンクは、3L~8L、36L、100Lおよび最大2万Lであり得る。10万Lまたはそれより大きいなど、より大きなタンクも可能である。一態様において、タンクは、少なくとも100L、1,000L、1万L、または10万Lである。別の態様において、タンクは、最大1万L、10万L、20万L、50万Lまたは100万Lである。ターンオーバーは、第1の培地などの1つの液体の容器を空にすること、および第2の培地などの第2の液体によって容器を充填することと定義される。その後空にして、充填することはそれぞれ、別のターンオーバーに相当する。例えば、2回のターンオーバー、2回ターンオーバーすること、または2回ターンオーバーするとは、タンクが、2回、空にされて充填されたことを示す。連続培養中には、実質的に等しい培養物の除去と源培地の添加が存在する。連続培養における1ターンオーバーは、容器の体積が除去され、容器内に補充されたときである。一態様において、本方法は、タンクまたはバイオリアクタ内での半連続または連続培養である。別の態様において、本方法は、最大1万L、最大10万L、最大20万L、最大50万Lまたは最大100万Lのタンク内での半連続または連続培養である。別の態様において、本方法は、最大3L、最大5L、最大8L、最大10L、最大20L、最大30L、最大35L、最大36L、最大40Lまたは最大50Lのバイオリアクタ内での半連続または連続培養である。別の態様において、培地は、タンクまたはバイオリアクタ内で1日に1回、2回、3回または4回ターンオーバーする。別の態様において、培地は、75日間で最大300回ターンオーバーする。別の態様において、培地は、75日間で少なくとも75回、少なくとも150回、少なくとも225回または少なくとも300回ターンオーバーする。別の態様において、本方法は、タンクまたはバイオリアクタ中での連続培養であり、最長約75日間、微生物を成長させる。別の態様において、本方法は、タンクまたはバイオリアクタ中での連続培養であり、最長約75日間、微生物を成長させ、培地は300回ターンオーバーする。特定の態様において、本方法はタンク中での連続培養であり、微生物ユーグレナ・グラシリスを最長約75日間成長させ、培地は300回ターンオーバーする。
【0092】
フェドバッチ、半連続および連続培養では、培地は培養物に添加される。培地は、誘導期、指数期または定常期に添加することができる。一態様において、培地は、誘導期、指数期または定常期に培養物に添加される。別の態様において、培地は誘導期に培養物に添加される。別の態様において、培地は指数期に培養物に添加される。別の態様において、培地は定常期に培養物に添加される。
【0093】
フェドバッチ、半連続および連続培養では、時間間隔に基づいて培地を培養物に添加することもできる。一態様において、培地は、培養もしくは培養のサイクルの開始から、または以前の培地除去から、約8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、168、172、176、180、184、188、もしくは192時間、または少なくとも8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、168、172、176、180、184、188、もしくは192時間で添加される。別の態様において、培地は、培養もしくは培養のサイクルの開始から、または以前の培地除去から、約10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、もしくは8時間、または多くとも10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、もしくは8時間で添加される。別の態様において、培地は、培地が培養によって除去されるのと概ね同じに添加される。このような追加の培地は、培養培地、フィード培地、再利用される培養培地、使用済み培地、補充された培地およびこれらの組み合わせであり得る。
【0094】
培養培地(増殖培地としても知られる)は、本明細書に記載の細胞を増殖または培養するために必要とされる成分を含む培地である。フィード培地は、栄養素を補充するために培養物に添加される成分を含む培地である。フィード培地は、作業濃度である、または培養物の希釈を制限するために成分の濃縮されたレベルである。フィード培地は、栄養素を補充するために培養物に添加される成分を含む培地である。フィード培地は、作業濃度である、または培養物の希釈を制限するために成分の濃縮されたレベルである。使用済み培地は、細胞培養のために使用されたことがある培地、すなわち培養の開始時より低いレベルの成長成分をその中に有する培養培地である。
【0095】
使用済み培地は、細胞を培養するために使用された後の培地中の炭水化物の含有量によっても決定される。例えば、使用済み培地は、約50、40、30、20、15、10、8、7、6、5、4、3、2.5、2、1.5、1、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1g/L未満である、総炭水化物、個々の炭水化物(例えば、グルコース)または個々の炭水化物成分の任意の組み合わせ(例えば、グルコースおよびマルトース)を含有することができる。使用済み培地中の炭水化物の減少は、培養または培養サイクルの開始時の炭水化物の出発量のパーセンテージとして表すことができる。一態様において、使用済み培地は、培養または培養のサイクルの開始時の量から約15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001%未満の総炭水化物を含む。炭水化物に加えて、カルボン酸は、微生物によって利用される別の炭素である。有用なカルボン酸としては、クエン酸、シトラート、フマル酸、フマラート、リンゴ酸、マラート、ピルビン酸、ピルバート、コハク酸、スクシナート、酢酸、アセタート、乳酸およびラクタートが挙げられる。一態様において、使用済み培地、再利用される培養培地またはハイブリッド培養培地は、約20、10、5、4、3、2、1、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1g/L未満のカルボン酸を含む。
【0096】
再利用される培養培地は、別の継代、サイクルのために細胞を培養するために、または異なる培養物、ロットもしくは株由来の細胞を培養するために使用される使用済み培地である。再利用される培養培地は、再利用される培養培地を源培養培地から分離することによって得られ、源培養培地は誘導期、指数期または定常期である。再利用される培養培地は専ら使用済み培地であり得る、または再利用される培養培地は、培養培地(新鮮な増殖培地)と混合され得、もしくは使用済み培地において枯渇している1つまたはそれより多くの成分を補充され得る。再利用される培養培地は、再利用される培養培地を源培養培地から分離することによって得ることができ、源培養培地は誘導期、指数期または定常期である。
【0097】
ハイブリッド培養培地は、新鮮な培地および再利用される培養培地と混合される培養培地である。
【0098】
複数の態様において、微細藻類は、細胞中のタンパク質の濃度を増加させるために増殖される。タンパク質細胞含有量は、増殖培地のC:N比によって変化させることができる。高いC:N比は、βグルカンまたは炭水化物生合成に好適である。より低いC:N比は、タンパク質蓄積に好適である。生産規模では、C:N比を制御するために、炭素と窒素はタンク中に別々に供給される。C:Nは、6:1~約80:1の範囲である。約7.2:1、約7.34:1および約9.56:1のC:N比は、バイオマス中により高いパーセンテージのタンパク質(約32%~約49%)を生成するのに対して、約12:1、約20:1、約40:1および約80:1のより高いC:N比は、より低いレベルのタンパク質(約16.7%~約38.4%)を生成する。細胞成長の誘導期の間、培養前に炭素を除去することはタンパク質を増加させることができる。pHはユーグレナにおけるタンパク質蓄積において役割を果たす。酸性pH(約1~約5)では、ユーグレナ中のタンパク質濃度は高い。中性(neural)pH(約5~約8)では、タンパク質濃度の増加が存在するpH7を除いて、タンパク質濃度は中間レベルである。塩基性pH(約9~約14)では、タンパク質濃度は最も低い。
【0099】
藻類由来の高タンパク質バイオマスは、食品に含めるための有利な材料である。本発明の方法は、約20%~約90%、約25%~約85%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約60%、約45%~約55%、約60%~約90%および約60%~約80%からなる群から選択される乾燥細胞重量の%によって測定されたタンパク質の量を有するバイオマスも提供することができる。
【0100】
一態様において、バイオマスのクロロフィル含有量は200ppm未満である。従属栄養成長は、(オープンポンドまたは閉鎖された光バイオリアクタ系などの光栄養系と比較して)比較的低いクロロフィル含量をもたらす。低下したクロロフィル含量は、一般に、微細藻類の官能的特性を改善し、したがって、より多くの藻類バイオマスを食品に組み込むことを可能にする。従属栄養的に増殖された微細藻類中に見られるクロロフィル含量の低下はまた、光栄養的に増殖された微細藻類と比較してバイオマス中の緑色を低下させる。したがって、低下したクロロフィル含量は、光栄養的に増殖された微細藻類を含有する食品に伴う多くの場合望ましくない緑色の着色を回避し、食品中への藻類バイオマスの組み込みまたは増加した組み込みを可能にする。
【0101】
発酵後の微細藻類の採取または濃縮
本明細書に記載されている方法に従って生成された微細藻類の培養物は、発酵ブロス/培地中に微細藻類のバイオマスを生じる。食品組成物として使用するためのバイオマスを調製するために、バイオマスは発酵培地から濃縮または採取される。発酵培地から微細藻類のバイオマスを採取する時点で、バイオマスは、水性培養培地中に懸濁された主に無傷の細胞を含む。
【0102】
バイオマスを濃縮するために、脱水工程が行われる。脱水は、スラッジを作製するために、発酵ブロスまたはその他の液体培地からバイオマスを分離することを指す。本明細書に記載されている態様においては、脱水中に、デカンテーション、遠心分離、濾過またはこれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって、培養培地がバイオマスから除去され得る。脱水の過程は、バイオマスを約1%~約15%または約10%~約30%の固形分に濃縮する。一態様において、微生物の採取は、細胞を沈降させることによって完了する。より大規模には、細胞を源培地から分離するために、微生物をタンクの底部に静置する。次いで、タンクの底部から微生物を取り出し、残りの使用済み培地をタンク内に残す。次いで、タンクには、新鮮な増殖培地、再利用される培養培地またはこれらの混合物が補充され得る。
【0103】
微生物の採取は、遠心分離などの機械的方法によっても確立することができる。遠心分離は、混合物を分離するための遠心力の使用を含む。遠心分離中、混合物のより高密度の成分は遠心分離機の軸から離れるように移動し、一方、混合物のより低密度の成分は軸に向かって移動する。有効重力を増加させることによって(すなわち、遠心分離速度、またはロータアームの長さを増加させることによって)、固体などのより高密度の材料は液体などのより低密度の材料から分離し、したがって密度に従って分離する。遠心分離過程は、床置型遠心分離機を使用するバッチモードまたは連続式遠心分離機による連続モードのいずれかで行うことができる。バイオマスおよびブロスまたは他の水溶液の遠心分離は、主に微細藻類の細胞を含む濃縮されたスラッジを形成する。
【0104】
膜濾過も脱水のために使用することができる。本発明に適した膜濾過の一例は、クロスフロー濾過としても知られるタンジェンシャルフロー濾過(TFF)である。タンジェンシャルフロー濾過は、膜系および流れ力を使用して、フィルターエレメントの公称孔径より大きい粒子の選択的排除に基づいて固体を液体から分離する分離技術である。
【0105】
バイオマスを脱水するのに十分であるが、細胞の顕著な溶解を引き起こさないように、液体発酵ブロスを微細藻類のバイオマスから分離するために、バイオマスに直接加えられる機械的圧力を用いて、脱水を行うこともできる。微細藻類のバイオマスを脱水するための機械的圧力は、例えば、ベルトフィルタープレスを使用して加えることができる。
【0106】
本明細書に記載されている態様において、脱水された微細藻類のバイオマスは、主に無傷の細胞からなる。複数の態様において、脱水された微細藻類のバイオマス中の無傷の細胞の含有量は、約25%~約99%、約30%~約99%、約35%~約99%、約40%~約99%、約45%~約99%、約50%~約99%、約55%~約99%、約60%~約99%、約65%~約99%、約70%~約99%、約75%~約99%、約80%~約99%、約85%~約99%、約90%~約99%または約95%~約99%である。
【0107】
培養物中の微生物の採取は、全体的にまたは部分的に行われ得る。一態様において、培養物中の採取された微生物は、総源培養物の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約100%である。
【0108】
濃縮後、本明細書に記載されるように、脱水された微細藻類のバイオマスは、微細藻類の粉、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物を産生するために、さらに処理することができる。あるいは、微細藻類のバイオマスは、後で利用または処理するために一時的に冷蔵または冷凍することができる。
【0109】
微細藻類のバイオマスは、本明細書に記載されている食品の調製において利用することができる。例えば、本明細書に記載されている任意の微細藻類のバイオマスは、食品を形成するために、本明細書に記載されている他の成分と組み合わせされ得る。例えば、(例えば、本明細書に記載されている乾燥に供されていない)湿潤した微細藻類のバイオマスは、単独でまたは他の成分と組み合わせて、本明細書に記載されている食品として、または本明細書に記載されている食品を調製するために使用され得る。
【0110】
微細藻類の粉を調製する方法
本明細書に記載されている態様において、微細藻類の粉を調製するための方法は、微細藻類を培養することと、前記微細藻類を微細藻類バイオマススラッジへと濃縮することと、前記微細藻類バイオマススラッジを洗浄することと、前記微細藻類バイオマススラッジのpHを調整することと、前記微細藻類の粉を製造するために前記微細藻類バイオマススラッジを乾燥させることとを含む。いくつかの態様において、微細藻類はユーグレナである。
【0111】
本明細書に記載されている態様において、微細藻類の粉を調製するための方法は、微細藻類を培養することと、前記微細藻類を微細藻類バイオマススラッジへと濃縮することと、前記微細藻類バイオマススラッジを洗浄することとを含む。複数の態様において、微細藻類バイオマススラッジは、約1回~約3回、任意で約2回洗浄される。複数の態様において、微細藻類バイオマススラッジは、スラッジの約1倍~約4倍、任意で約2.5倍の体積で洗浄される。
【0112】
本明細書に記載されている態様において、微細藻類の粉を調製するための方法は、微細藻類バイオマススラッジのpHを調整することをさらに含む。複数の態様において、微細藻類バイオマススラッジのpHは、約9~約11、約7~約10または約6.5~約7.5に調整される。複数の態様において、微細藻類バイオマススラッジのpHは約7に調整される。
【0113】
本明細書に記載されている態様において、タンパク質に富む粉を製造するために、微細藻類バイオマススラッジは乾燥される。微細藻類バイオマススラッジは、主に無傷の細胞からなる。複数の態様において、微細藻類バイオマススラッジ中の無傷の細胞の含有量は、約25%~約99%、約30%~約99%、約35%~約99%、約40%~約99%、約45%~約99%、約50%~約99%、約55%~約99%、約60%~約99%、約65%~約99%、約70%~約99%、約75%~約99%、約80%~約99%、約85%~約99%、約90%~約99%または約95%~約99%である。
【0114】
複数の態様において、藻類のフレークを製造するために、濃縮された微細藻類バイオマススラッジはフレーク形態にドラム乾燥される。別の態様において、主に無傷の細胞を含有する粉末を形成させてタンパク質に富む粉を製造するために、濃縮された微細藻類バイオマススラッジは噴霧乾燥または気流乾燥される。ドラム乾燥は、湿潤材料を非常に薄いフィルムの形態で乾燥させることができる過程である。この乾燥過程は、典型的には水平軸に取り付けられ、様々な制御された速度で回転することができるシリンダまたはドラムを利用する。ドラムは蒸気によって内部で加熱され、蒸気は内側表面上で凝縮し、それによってドラム内部の熱から金属壁を通って外側表面上の材料の薄層への伝達を介して乾燥効果を生み出す。ドラムの内圧は、典型的には、約200kPa~約500kPaの範囲であり、外部ドラム温度は約120℃~約155℃に達する。乾燥したら、微細藻類の粉、フレークまたは粉末は、ブレードを用いてドラムの表面から除去される。この過程は、典型的には、スープ、インスタントマッシュポテト、予め調理されたシリアルおよび低等級の粉乳およびその他の薄い粉末化された材料などの、但しこれらに限定されない様々な食品の製造に使用される。
【0115】
複数の態様において、微細藻類の粉、フレークまたは粉末は、乾燥後に、重量で、15%もしくはそれ未満、10%もしくはそれ未満、5%もしくはそれ未満、2%~6%または3%~5%の水分である。
【0116】
本明細書に記載されている態様において、微細藻類の粉、フレークまたは粉末中のタンパク質の量は、乾燥重量で約25%~約55%、約30%~約50%または約35%~約45%からなる群から選択される。
【0117】
タンパク質濃縮物およびタンパク質単離物を調製する方法
本明細書に記載されている態様において、タンパク質濃縮物を製造する方法は、微細藻類を培養することと、バイオマスを形成するために、培養物を約1%~約30%の固形分、任意で約10%~約30%の固形分、任意で約5%~約15%の固形分にすることと、バイオマスを約3~約11のpHに調整することと、バイオマスをホモジナイズすることと、ホモジネートを遠心分離することと、ホモジネートを3つまたはそれより多くの層、例えば、ペレット、水性中間層および最上部脂質濃縮層に分離することとを含み、水性中間層は可溶性タンパク質を含有する。ペレットは、水性成分および不溶性成分から物理的に分離された1つより多くの層を含有し得る。可溶性タンパク質は、約3.5~約5.5、任意で約4~約5にpHを調整するために酸を添加することによって任意で沈殿され、任意で約22℃で少なくとも1時間インキュベートされ、遠心分離されて、タンパク質濃縮物スラッジ(タンパク質スラッジ)から作られた重い相と、ホエイと呼ばれる、酸可溶性細胞材料および非沈殿タンパク質を含有する軽い相とを与える。任意で、ホモジネートを遠心分離することもでき、ペレットの成分としてのタンパク質濃縮物スラッジとして可溶性タンパク質が直接得られる。任意で、ペレット化されたタンパク質濃縮物スラッジは、ペレットの他の成分から物理的に分離される。タンパク質濃縮物スラリーを作製するために、任意で、タンパク質濃縮物スラッジは水、任意で等しい重量の水で希釈される。タンパク質濃縮物スラッジまたはタンパク質濃縮物スラリーのpHは、約5.5~約8.5、任意で約6~約8に調整される。タンパク質濃縮物スラリーは噴霧乾燥され得る。いくつかの態様において、微細藻類はユーグレナである。
【0118】
複数の態様において、タンパク質濃縮物は、乾燥重量で、約40%~約85%、約45%~約80%、約50%~約75%、約50%、約70%、約55%~約65%または約70%のタンパク質濃度を有する。
【0119】
複数の態様において、ペレットは、約80%~約95%、任意で95%超のβグルカン濃度を有する。
【0120】
複数の態様において、タンパク質濃縮物は有機溶媒を使用して脱脂され、それによってタンパク質含量を80%超まで増加させる。複数の態様において、有機溶媒は、アセトン、ベンジルアルコール、1,3-ブチレングリコール、二酸化炭素、ヒマシ油、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル、酢酸エチル、エチルアルコール(エタノール)、メタノールで変性されたエチルアルコール、グリセロール(グリセリン)、二酢酸グリセリル、三酢酸グリセリル(トリアセチン)、三酪酸グリセリル(トリブチリン)、ヘキサン、イソプロピルアルコール(イソプロパノール)、メチルアルコール(メタノール)、メチルエチルケトン(2-ブタノン)、塩化メチレン(ジクロロメタン)、モノグリセリドおよびジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、1,2-プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、脂肪形成脂肪酸のプロピレングリコールモノエステルおよびジエステル、クエン酸トリエチルならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0121】
本明細書に記載されている態様において、タンパク質単離物を製造する方法は、微細藻類を培養することと、培養物を約1%~約30%の固形分、任意で約10%~約30%の固形分、任意で約5%~約15%の固形分にすることと、培養物を約6~約11のpHに調整することと、培養物をホモジナイズすることと、ホモジネートを遠心分離することと、ホモジネートを3つの層、ペレット、中間層および最上層に分離することとを含む。中間層は、約3.5~約5.5、任意で約4~約5のpHまで酸を添加することによって沈殿され、任意で約22℃で少なくとも1時間インキュベートされ、遠心分離されて、タンパク質濃縮物スラッジ(タンパク質スラッジ)から作られた重い相と、ホエイと呼ばれる、酸可溶性細胞材料および非沈殿タンパク質を含有する軽い相とを与える。沈殿したタンパク質濃縮物スラッジは、タンパク質単離物中のタンパク質含有量をさらに増加させるために、洗浄および濾過され得る。任意で、タンパク質濃縮物スラッジは、水、任意で等しい重量の水で希釈されて、タンパク質スラリーを作る。任意で、タンパク質スラリーは(a)遠心分離され、かつ(b)水に再懸濁され、(a)および(b)は任意で1またはそれより多い回数繰り返される。タンパク質スラッジまたはスラリーのpHは、約5.5~約8.5、任意で約6~約8に調整される。タンパク質スラリーは噴霧乾燥され得る。いくつかの態様において、微細藻類はユーグレナである。
【0122】
複数の態様において、タンパク質単離物は、タンパク質濃縮物スラッジまたは粉末から調製される。任意で、タンパク質単離物は、溶媒を使用してタンパク質濃縮物から脂質を抽出することによって調製される。任意で、溶媒は、アセトン、ベンジルアルコール、1,3-ブチレングリコール、二酸化炭素、ヒマシ油、酢酸エチル、エチルアルコール、グリセロール、二酢酸グリセリル、三酪酸グリセリル、ヘキサン、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、メチルエチルケトン、塩化メチレン、2-ニトロプロパン、1,2-プロピレングリコール、プロピレングリコールモノ-およびジ-エステル、クエン酸トリエチルならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。任意で、使用される溶媒は、ヘキサン、エタノールまたはイソプロパノールである。任意で、使用される溶媒はイソプロパノールである。任意で、溶媒はタンパク質単離物から除去される。
【0123】
複数の態様において、タンパク質単離物は、乾燥重量で少なくとも40%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のタンパク質濃度を有する。
【0124】
複数の態様において、ペレットは、約80%~約95%、任意で95%超のβグルカン濃度を有する。
【0125】
本明細書に記載されている態様において、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物を調製するための方法は、本明細書に記載されている微細藻類を培養することを含む。
【0126】
本明細書に記載されている態様において、培養物をあるパーセントの固形分にすることは、例えば、以前に培養された微細藻類のバイオマス(例えば、ユーグレナ)を再構成することを含み得る。いくつかの態様において、以前に培養された微細藻類のバイオマスを再構成することは、以前に培養され、乾燥された微細藻類のバイオマスを液体、例えば水に再懸濁することを含む。いくつかの態様において、以前に培養された微細藻類のバイオマスを再構成することは、以前に培養され、凍結されたバイオマスを解凍すること、および解凍されたバイオマスを任意で液体、例えば水に再懸濁することを含む。
【0127】
本明細書に記載されている態様において、微細藻類のバイオマスは、バイオマス濃度を約5%~約15%、約3%~約8%、約3.5%~約7.5%、約4%~約7%、約4.5%~約6.5%または約5%の固形分からなる群から選択される量にするための量の水に再懸濁される。
【0128】
本明細書に記載されている態様において、培養物をあるパーセントの固形分にすることは、例えば、新たに培養された微細藻類(例えば、ユーグレナ)を液体(例えば、水)で濃縮または希釈することを含み得る。
【0129】
本明細書に記載されている態様において、培養物のpHは、約6~約11、約7~約10、約6.5~約7.5、約7、約8、約9、約9.5、約10、約10.5、約11または約11.5からなる群から選択される量に調整される。ある特定の態様において、pHは水酸化ナトリウムで調整される。
【0130】
本明細書に記載されている態様において、培養物はホモジナイズされる。ある特定の態様において、ホモジナイゼーションは、約10,000psi~約15,000psi、約10,500psi~約14,500psi、約11,000psi~約14,000psi、約11,500psi~約13,500psi、約12,000psi~約13,000psiまたは約12,500psiで行われる。ある特定の態様において、ホモジナイゼーションは、約2,000psi~約5,000psi、約2,000psi~約2,500psi、約3,000psi~約3,500psi、約4,000psi~約4,500psiまたは約5,000psi~約5,500psiで行われる。ある特定の態様において、ホモジナイゼーションは、約50psiなどのはるかに低い圧力で行われる。ある特定の態様において、ホモジナイゼーションは複数回のパスで行われる。
【0131】
本明細書に記載されている態様において、ホモジナイゼーションまたは細胞溶解は、以下の機械的技術の1つ:高圧ホモジナイゼーション、ビーズミリング、高剪断混合、加圧型細胞破砕装置、超音波処理を使用して、または酵素的に誘導される溶解を含むがこれに限定されない化学的過程を使用して行われる。ホモジナイゼーションは、液体、例えば、水、溶媒または緩衝化された溶媒の存在下で行うことができる。ホモジナイゼーションは、ホモジナイザ、例えばPolytron PTA-7およびOMNI GLH-01を用いて行うことができる。ホモジナイザは、高圧ホモジナイザであり得る。いくつかの態様において、再懸濁されたバイオマスは、高圧ホモジナイザを用いて、12,500psiで、約20℃~約27℃でホモジナイズされる。ホモジナイゼーション時間は、機器能力、すなわち24L/hに依存する。収集されたホモジネートは、5,000rpmで5分間(または3,500rpmで10分間)、約20℃~約27℃で遠心分離される。
【0132】
本明細書に記載されている態様において、ホモジネートは、バケット遠心分離機を使用して、約3,000rpm~約6,000rpm、約3,100rpm~約5,900rpm、約3,200rpm~約5,800rpm、約3,300rpm~約5,700rpm、約3,400rpm~約5,600rpm、約3,500rpm~約5,500rpm、約3,600rpm~約5,400rpm、約3,700rpm~約5,300rpm、約3,800rpm~約5,200rpm、約3,900rpm~約5,100rpm、約4,000rpm~約5,000rpm、約4,100rpm~約4,900rpm、約4,200rpm~約4,800rpm、約4,300rpm~約4,700rpmまたは約4,400rpm~約4,600rpmからなる群から選択される速度で遠心分離される。いくつかの態様において、遠心分離は、デカンター、分離板型遠心分離機またはスパイラルディスク遠心分離機を使用して実施され得る。
【0133】
本明細書に記載されている態様において、遠心分離は、重力の約250倍(xg)~約16,000xgのgの力の範囲で行われる。本明細書に記載されている態様において、遠心分離は、約250×g~約16,000×g、約500×g~約16,000×g、約1000×g~約16,000×g、約1,000×g~約15,000×g、約1,000×g~約14,000×g、約1,000×g~約13,000×g、約1,000×g~約12,000×g、約1,000×g~約11,000×g、約1,000×g~約10,000×g、約1,000×g~約9,000×g、約1,000×g~約8,000×g、約1,000×g~約7,000×g、約1,000×g~約6,000×g、約1,000×g~約5,000×g、約1,000×g~約4,000×g、約1,000×g~約3,000×gまたは約1,000×g~約2,000×gの範囲で行われる。
【0134】
本明細書に記載されている態様において、ホモジネートは、約5分間~約30分間、約10分間~約20分間、約13分間または約15分間遠心分離される。
【0135】
本明細書に記載されている態様において、遠心分離されたホモジネートは、3つの層:ペレット、中間水性層および最上部脂質濃縮層に分離される。ペレットは、βグルカン(パラミロン)であり、白色/ベージュ色を有する。中間水性層は、タンパク質スキム(protein skim)と呼ばれる可溶性タンパク質液体を含有する。最上層は、ワックス状エマルジョンの形態の油である。3つの層は分離され、別々に処理される。
【0136】
本明細書に記載されている態様において、中間の可溶性タンパク質液体またはタンパク質スキムは、タンパク質濃縮物および/または単離物を生成するために使用される。
【0137】
本明細書に記載されている態様において、タンパク質スキムのpHは、約3.5~約5.5、約4~約5、約3~約5、約3.5、約4、約4.5または約5に調整される。
【0138】
本明細書に記載されている態様において、pH調整されたタンパク質スキムは、22℃で、少なくとも1時間、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、約1時間~約6時間、約1時間~約4時間または約1時間~約2時間インキュベートされる。複数の態様において、pH調製されたタンパク質スキムは、インキュベーション中に撹拌される。
【0139】
本明細書に記載されている態様において、インキュベートされ、pH調整されたタンパク質スキムは遠心分離される。本明細書に記載されている態様において、遠心分離は、約3,000rpm~約6,000rpm、約3,100rpm~約5,900rpm、約3,200rpm~約5,800rpm、約3,300rpm~約5,700rpm、約3,400rpm~約5,600rpm、約3,500rpm~約5,500rpm、約3,600rpm~約5,400rpm、約3,700rpm~約5,300rpm、約3,800rpm~約5,200rpm、約3,900rpm~約5,100rpm、約4,000rpm~約5,000rpm、約4,100rpm~約4,900rpm、約4,200rpm~約4,800rpm、約4,300rpm~約4,700rpmまたは約4,400rpm~約4,600rpmからなる群から選択される速度である。本明細書に記載されている態様において、遠心分離は、約5分間~約30分間、約10分間~約20分間、約13分間または約15分間である。
【0140】
本明細書に記載されている態様において、インキュベートされ、pH調整されたタンパク質スキムは、濾過を使用して分離される。
【0141】
本明細書に記載されている態様において、タンパク質濃縮物を作製する方法は、遠心分離工程からのタンパク質スラッジを保存し、上清を廃棄することをさらに含む。
【0142】
本明細書に記載されている態様において、タンパク質濃縮物を作製する方法は、タンパク質スラッジを等しい重量の水に再懸濁してタンパク質スラリーを生成することをさらに含む。
【0143】
本明細書に記載されている態様において、タンパク質濃縮物を作製する方法は、タンパク質スラリーのpHを、約5.5~約8.5、約6~約8、約6.5~約7.5または約7からなる群から選択される量に調整することをさらに含む。ある特定の態様において、pHは、適切な酸または塩基を使用して調整される。ある特定の態様において、酸は、塩化水素、塩化カリウム、酢酸、アジピン酸、炭酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、塩酸、乳酸、リンゴ酸、メタ酒石酸、リン酸、硫酸、酒石酸またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。ある特定の態様において、塩基は、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウムまたはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0144】
本明細書に記載されている態様において、タンパク質濃縮物を作製する方法は、pH調整されたタンパク質スラリーを噴霧乾燥することをさらに含む。本明細書に記載されている態様において、噴霧乾燥は、高圧噴霧器、二流体噴霧器または遠心力噴霧器のいずれかを備えた噴霧乾燥機を使用して達成することができる。あるいは、乾燥は、凍結乾燥、ドラム乾燥またはパルス燃焼乾燥を用いて達成され得る。
【0145】
微細藻類のバイオマスの化学組成
本明細書に記載されている培養方法によって生成された微細藻類のバイオマスは、微細藻類の油および/またはタンパク質、ならびに微細藻類によって生成された、または発酵中に培養培地から微細藻類によって取り込まれた他の構成成分を含む。
【0146】
本明細書に記載されている態様において、本発明は、主に無傷の細胞を含有する全細胞(whole-cell)微細藻類のバイオマスである、または主にもしくは完全に溶解された細胞を含有する微細藻類のバイオマスのホモジネートである微細藻類の粉を提供する。ある特定の態様において、微細藻類の粉は粉末の形態であり、微細藻類のバイオマスは、乾燥重量で少なくとも40%のタンパク質と乾燥重量で20%未満のトリグリセリド(油)とを含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、乾燥重量で少なくとも20%の炭水化物を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、重量で少なくとも10%の食物繊維を含む。いくつかの態様において、タンパク質は、少なくとも30%~約45%の消化可能な未精製タンパク質である。
【0147】
いくつかの態様において、粒子の平均サイズは、約100μm~約200μmである。いくつかの態様において、粉末中の粒子の平均サイズは180μmである。いくつかの態様において、粒子の平均サイズは100μm未満である。いくつかの態様において、粉末中の粒子の平均サイズは約40μmである。
【0148】
いくつかの態様において、粉末は、微細藻類のバイオマスを微粉化してエマルジョンを形成し、エマルジョンを乾燥させることによって形成される。いくつかの態様において、微細藻類の粉は、重量で10%またはそれ未満の水分含有量を有する。
【0149】
いくつかの態様において、微細藻類の粉は、食品適合性防腐剤をさらに含む。いくつかの態様において、微細藻類の粉は、食品適合性酸化防止剤をさらに含む。
【0150】
本明細書に記載されている態様において、組成物は、ヒトの摂取に適した少なくとも1つの他のタンパク質製品と組み合わせされた上記微細藻類の粉を含む食品成分を提供し、食品成分は、乾燥重量で少なくとも50%のタンパク質を含有する。いくつかの態様において、少なくとも1つの他のタンパク質産物は、植物源に由来する。いくつかの事例において、植物源は、大豆、エンドウ豆、豆、乳、ホエイ、米、レンズ豆、空豆、ヒヨコ豆および小麦からなる群から選択される。
【0151】
本明細書に記載されている態様において、組成物は、乾燥重量で少なくとも40%のタンパク質および乾燥重量で20%未満のトリグリセリド(油)を含む微細藻類のバイオマスと、少なくとも1つの他の食用成分とを組み合わせることによって形成された食品組成物を提供する。いくつかの態様において、少なくとも1つの他の食用成分は肉製品である。いくつかの態様において、食品組成物は調理されていない製品である。いくつかの態様において、食品組成物は調理された製品である。
【0152】
本明細書に記載されている態様において、組成物は、重量で少なくとも13%の総食物繊維を含む微細藻類のバイオマスと少なくとも1つの食用成分とを組み合わせることによって形成された食品組成物を提供する。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、重量で約13%~約35%の総食物繊維を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、約4%~約10%の可溶性繊維を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、約5%~約25%の不溶性繊維を含む。
【0153】
いくつかの態様において、食品は、光栄養的に増殖された微細藻類と比較して、低下したクロロフィル含量の従属栄養的に増殖された微細藻類を含有する。いくつかの態様において、微細藻類の粉のクロロフィル含有量は、5ppm未満、2ppm未満または1ppm未満である。
【0154】
高タンパク質な微細藻類のバイオマスは、異なる培養方法を使用して生成されてきた。タンパク質含有量のより高いパーセンテージを有する微細藻類のバイオマスは、本明細書に記載されている態様に従って有用である。本明細書に記載されている培養方法によって生成された微細藻類のバイオマスは、典型的には乾燥細胞重量で少なくとも30%のタンパク質を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、乾燥細胞重量で少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%またはそれを超えるタンパク質を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、乾燥細胞重量で30%~75%のタンパク質または乾燥細胞重量で40%~60%のタンパク質を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマス中のタンパク質は、少なくとも40%の消化可能な未精製タンパク質を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマス中のタンパク質は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の消化可能な未精製タンパク質を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマス中のタンパク質は、40%~90%の消化可能な未精製タンパク質、50%~80%の消化可能な未精製タンパク質または60%~75%の消化可能な未精製タンパク質を含む。
【0155】
いくつかの態様において、バイオマスは、0.01mg/100g未満のセレンを含む。いくつかの態様において、バイオマスは、約20%w/w~約50%w/wの藻類の多糖類を含む。いくつかの態様において、バイオマスは、少なくとも15%w/wの藻類の糖タンパク質を含む。いくつかの態様において、バイオマスまたはバイオマス由来の油は、0mcg/g~200mcg/g、0mcg/g~115mcg/gまたは50mcg/g~115mcg/gの総カロテノイドを含み、特定の態様において、総カロテノイド含有量1g当たり20mcg~70mcgまたは50mcg~60mcgがルテインである。いくつかの態様において、バイオマスは、少なくとも0.5%~約10%の藻類のリン脂質を含む。いくつかの態様において、藻類のバイオマスに由来するバイオマスまたは油は、少なくとも0.10mg/g、0.02mg/g~0.5mg/gまたは0.05mg/g~0.3mg/gの総トコトリエノールを含有し、特定の態様において、0.05mg/g~0.25mg/gがαトコトリエノールである。いくつかの態様において、藻類のバイオマスに由来するバイオマスまたは油は、0.125mg/g~0.35mg/gの総トコトリエノールを含有する。いくつかの態様において、藻類のバイオマス由来の油は、少なくとも5.0mg/100g、1mg/100g~8mg/100g、2mg/100g~6mg/100gまたは3mg/100g~5mg/100gの総トコフェロール、例えばビタミンEを含有し、特定の態様において、2mg/100g~6mg/100gがαトコフェロールである。いくつかの態様において、藻類のバイオマス由来の油は、5.0mg/100g~10mg/100gのトコフェロールを含有する。いくつかの態様において、バイオマスは、100mg~1000mgのγアミノ酪酸(GABA)を含有する。
【0156】
いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、乾燥重量で20%~50%の炭水化物を含む。他の態様において、バイオマスは、乾燥重量で25%~40%または30~35%の炭水化物を含む。炭水化物は、食物繊維ならびにスクロースおよびグルコースなどの遊離の糖であり得る。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマス中の遊離の糖は、乾燥重量で1%~10%、2%~8%または3%~6%である。ある特定の態様において、遊離の糖成分はスクロースを含む。
【0157】
いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、少なくとも10%の可溶性繊維を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、少なくとも20%~25%の可溶性繊維を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、少なくとも30%の不溶性繊維を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、少なくとも50%~少なくとも70%の不溶性繊維を含む。総食物繊維は、可溶性繊維と不溶性繊維の合計である。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、少なくとも40%の総食物繊維を含む。他の態様において、微細藻類のバイオマスは、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%~少なくとも95%の総食物繊維を含む。
【0158】
微細藻類のバイオマスを最終食品成分に加工する
本明細書に記載されている方法に従って生産された濃縮された微細藻類のバイオマスは、それ自体が最終食品成分であり、さらに改変することなく、または最小限の改変のみで食料品において使用され得る。例えば、微細藻類のバイオマスは真空パックまたは凍結することができる。あるいは、微細藻類のバイオマスは、真空が適用される凍結乾燥チャンバ内でバイオマスが凍結される「凍結乾燥」過程である凍結乾燥によって乾燥され得る。凍結乾燥チャンバへの真空の適用は、バイオマスからの水の昇華(一次乾燥)および脱着(二次乾燥)をもたらす。しかしながら、本開示は、増強された特性を有する様々な、微細藻類由来の最終食品成分を提供する。
【0159】
本明細書に記載されている微細藻類のバイオマス、微細藻類の粉、タンパク質濃縮物およびタンパク質単離物は、従来の植物タンパク質より改善された機能性を提供し、微細藻類のバイオマスは、微細藻類のバイオマスが添加または配合される食品の粘度を増加させない。いくつかの態様において、食品は、25℃で、約1mPa・s~約2000mPa・sの粘度を有する。
【0160】
本明細書に記載されている微細藻類のバイオマス、微細藻類の粉、タンパク質濃縮物およびタンパク質単離物は、良好な発泡性を有する。
【0161】
いくつかの態様において、組成物は、嚥下可能、咀嚼可能または溶解可能な経口剤形に配合される。嚥下可能な組成物は当技術分野で周知であり、口に入れたときに直ちに溶解せず、一切咀嚼せずに全体を嚥下し得る組成物である。
【0162】
嚥下可能な組成物を調製するために、微細藻類のバイオマス(湿潤または乾燥)は、従来の配合技術に従って適切な担体(例えば、賦形剤、安定剤、結合剤など)と組み合わせされ得る。いくつかの態様において、嚥下可能な組成物は、ポリマーフィルムでコーティングされ得る。このようなフィルムコーティングは、いくつかの有益な効果を有する。第1に、このようなフィルムコーティングは口の内面への組成物の接着を減少させ、それによって組成物を嚥下する能力を増加させる。第2に、フィルムは、ある種の成分の不快な味を覆い隠すのに役立ち得る。第3に、フィルムコーティングは、本発明の組成物を大気分解から保護し得る。嚥下可能な組成物を調製する際に使用され得るポリマーフィルムとしては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよびアセタートなどのビニルポリマー、メチルおよびエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース、アクリラートおよびメタクリラート、ビニル-マレイン酸およびスチレン-マレイン酸型などのコポリマー、ならびにゼイン、ゼラチン、シェラックおよびアラビアガムなどの天然ガムおよび樹脂が挙げられる。
【0163】
咀嚼可能な組成物は、口当たりのよい味および食感を有し、比較的柔らかく、実質的に溶液として嚥下されるように、咀嚼後に急速により小さな片に分解し、溶解し始める組成物である。
【0164】
咀嚼可能な組成物を作製するためには、直前に記載した属性を達成するために特定の成分を含めるべきである。例えば、咀嚼可能な組成物は、心地よい風味と口当たりを作り出し、口の中での相対的な柔らかさおよび溶解性を促進する成分を含むべきである。以下の記載は、これらの特徴を達成するのに役立ち得る成分を記載する。
【0165】
咀嚼可能な組成物は、当該組成物が実質的に溶液として嚥下され得るように、咀嚼が開始した直後に口の中で分解し、溶解し始めるべきである。咀嚼可能な組成物の溶解プロファイルは、急速に水に溶解する、充填剤および賦形剤を含めることによって増強され得る。急速に水に溶解する、充填剤および賦形剤は、好ましくは、唾液で濡れてから約60秒以内に溶解する。実際には、本発明の組成物中に十分な水溶性賦形剤が含まれていれば、組成物は咀嚼可能な組成物形態ではなく溶解可能になり得ると考えられる。本発明との使用に適した急速に水に溶解する充填剤の例としては、例として、限定されないが、糖類、アミノ酸などが挙げられる。溶解を促進するために、崩壊剤も本発明の組成物中に含められ得る。透過処理剤および導水型崩壊剤(wicking agent)を含む崩壊剤は、水または唾液を組成物中に引き込むことができ、これにより、組成物の内側および外側からの溶解が促進される。本発明において使用され得るこのような崩壊剤、透過処理剤および/または導水型崩壊剤としては、例として、デンプン、例えばコーンスターチ、ジャガイモデンプン、これらのアルファ化されたおよび修飾されたデンプン、セルロース性作用物質、例えばAc-di-sol、モンモリロナイト粘土、架橋されたPVP、甘味料、ベントナイト、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、アルギナート、デンプングリコール酸ナトリウム、ガム、例えば寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、アラビア、キサンタンおよびトラガカント、水性溶媒に対して高い親和性を有するシリカ、例えばコロイド状シリカ、沈降シリカ、マルトデキストリン、β-シクロデキストリン、ポリマー、例えばカルボポール、ならびにセルロース性作用物質、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
本明細書に記載されている態様において、微細藻類のバイオマス組成物は、液体ゼラチンカプセルの形態に配合され得る。これは、一般にグリセリンまたはソルビトールなどの可塑剤とともにゼラチンを含むゼラチンシェル中に封入された適切な液体ビヒクル中に懸濁、溶解または含有された微細藻類のバイオマスを含み得る。充填剤材料は、例えば、ポリエチレングリコールを含み得る。
【0167】
微細藻類の粉
微細藻類の粉のタンパク質含有量は、微細藻類のバイオマスのパーセントタンパク質に応じて変動し得る。微細藻類の粉は、様々なタンパク質含有量の微細藻類のバイオマスから生産することができる。ある特定の態様において、微細藻類の粉は、同じタンパク質含有量の微細藻類のバイオマスから生産される。いくつかの態様において、微細藻類の粉は、異なるタンパク質含有量の微細藻類のバイオマスから生産される。後者の場合、様々なタンパク質含有量の微細藻類のバイオマスを組み合わせ、次いでホモジナイゼーション工程を行うことができる。他の態様において、最終的な所望のタンパク質含有量を含有する微細藻類の粉製品を達成するために、様々なタンパク質含有量の微細藻類の粉が最初に生産され、次いで様々な割合で一緒にブレンドされる。ある特定の態様において、微細藻類の粉を生産するために、異なるタンパク質プロファイルの微細藻類のバイオマスを一緒に組み合わせ、次いでホモジナイズすることができる。別の態様において、最終的な所望のタンパク質プロファイルを含有する微細藻類の粉製品を達成するために、異なるタンパク質プロファイルの微細藻類の粉が最初に生産され、次いで様々な割合で一緒にブレンドされる。
【0168】
本明細書に記載されている微細藻類の粉は、広範囲の食品調製物に有用である。タンパク質含有量、繊維含有量および微粉化された粒子のために、微細藻類の粉は多機能食品成分である。微細藻類の粉は、焼いた食品、速成パン、酵母生地製品、卵製品、ドレッシング、ソース、栄養飲料、藻類の乳(algal milk)、パスタおよびグルテンフリー製品に使用することができる。グルテンフリー製品は、微細藻類の粉と、アマランス粉、クズウコン粉、ソバ粉、米粉、ヒヨコ豆粉、コーンミール、トウモロコシ(maize)粉、雑穀(millet)粉、ジャガイモ粉、ジャガイモデンプン粉、キノア粉、モロコシ粉、大豆粉、豆(bean)粉、マメ科植物(legume)粉、タピオカ(キャッサバ)粉、テフ粉、アーティチョーク粉、アーモンド粉、ドングリ粉、ココナツ粉、栗粉、コーン(corn)粉、タロイモ粉などの別のグルテンフリー製品を使用して製造することができる。他のグルテンフリー成分と組み合わせた微細藻類の粉は、焼いた食品(ケーキ、クッキー、ブラウニーおよびケーキ様製品(例えば、マフィン))、パン、シリアル、クラッカーおよびパスタなどのグルテンフリー食品を製造する上で有用である。これらの食品などに微細藻類の粉を配合することのさらなる詳細は、以下の実施例に記載されている。
【0169】
微細藻類の粉は、従来のタンパク質源(例えば、ナッツ、肉製品または豆)および卵の代わりに焼いた食品で使用することができる。焼いた食品およびグルテンフリー製品は、優れた水分含有量およびバターと卵で作られた従来の焼いた食品と区別できないパン状(crumb)構造を有する。優れた水分含有量のために、これらの焼いた食品は、微細藻類の粉なしで生産される従来の焼いた食品より長い貯蔵寿命を有し、これらの焼いた食品の元来の食感をより長く保持する。
【0170】
食品の水分活性(Aw)は、調理済み食品における貯蔵寿命保持の指標となり得る。水分活性(0~1の範囲)は、食品中に存在する水が化学反応または物理反応にどの程度効率的に関与し得るかの尺度である。Awのスペクトルを表すいくつかの一般的な食品の水分活性は、新鮮な果実/肉/乳(1.0~0.95);チーズ(0.95~0.90);マーガリン(0.9~0.85);ナッツ(0.75~0.65);蜂蜜(0.65~0.60);塩漬け肉(0.85~0.80);ジャム(0.8~7.5);パスタ(0.5);クッキー(0.3);および乾燥された野菜/クラッカー(0.2)である。ほとんどの細菌は、0.91未満の水分活性では増殖しない。0.80未満ではほとんどのカビは成長することができず、0.60未満では微生物の成長は不可能である。水分活性を測定することにより、潜在的な腐敗源を予測することが可能である。水分活性は、食品の色、味および香りに大きな影響を及ぼし得る食品中の酵素およびビタミンの活性を決定する上で重要な役割を果たすこともできる。
【0171】
微細藻類の粉は、スムージー、ソースまたはドレッシングにおいて使用するためのタンパク質サプリメントとしても作用することができる。
【0172】
微細藻類の粉は、通例、飲食物提供サービス状況で出される粉末卵または液状卵に添加することもできる。粉末卵製品と微細藻類の粉の組み合わせはそれ自体粉末であり、食用の液体またはその他の食用成分と組み合わせることができ、典型的にはその後調理して食品を形成することができる。いくつかの態様において、微細藻類の粉は、粉末化された食品成分(例えば、粉末化された卵、粉末化されたソースミックス、粉末化されたスープミックスなど)を形成するために次いで噴霧乾燥される液体製品と組み合わせることができる。このような場合には、スラリーまたは分散液であるように、ホモジナイゼーション後であるが、乾燥前に微細藻類の粉を液体製品と組み合わせ、次いで組み合わせを噴霧乾燥して粉末化された食品成分を形成することが有利である。この共乾燥過程は、2つの成分の乾燥された形態を一緒に混合することと比較して、粉末化された食品成分の均一性を増大させる。微細藻類の粉の添加は、調理された卵がスチームテーブル上に保持されている場合であっても、粉末卵および液状卵の外観、食感および口当たりを改善し、改善された外観、食感および口当たりを長期間延長する。
【0173】
微細藻類の粉は、微細藻類の粉を1つまたはそれより多くの食用成分および液体、例えば水と組み合わせることによって、再構成される食品を配合するために使用することができる。再構成される食品は、飲料、ドレッシング(サラダドレッシングなど)、ソース(チーズソースなど)、またはその後に焼くことができる生地などの中間物であり得る。いくつかの態様において、再構成される食品は、次いで、圧力破壊またはホモジナイゼーションなどの剪断力を受ける。再構成される食品中の好ましい微細藻類の粉の粒径は、平均1~15マイクロメートルである。
【0174】
微細藻類のバイオマスまたは該バイオマス由来の材料を他の食品成分と組み合わせること
微細藻類のバイオマスを含有する本明細書に記載の組成物は、例えば、食事、栄養または栄養補助食品として消費するために配合される。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスを含む組成物は、固体、粉末または液体の形態であり、経口投与用に配合される。別の局面において、微細藻類のバイオマスを含む組成物は、食品添加物として配合される。
【0175】
いくつかの態様において、組成物は、食品添加物として配合され、食品に添加される。例えば、限定されないが、組成物は、ソース、茶、キャンディ、クッキー、シリアル、パン、フルーツミックス、フルーツサラダ、サラダ、スナックバー、プロテインバー、フルーツレザー、ヨーグルト、ヘルスバー、グラノーラ、スムージー、スープ、ジュース、ケーキ、パイ、シェイク、アイスクリーム、タンパク質飲料、栄養飲料、栄養飲料サプリメント、動物類似物および健康ドリンクに添加され得る。食品添加物として配合された組成物は、経口投与配合物について上述した添加物のいずれをも有し得る。
【0176】
いくつかの態様において、組成物は、チーズまたはヨーグルトなどの非乳製品として配合される。
【0177】
いくつかの態様において、組成物は動物類似物として配合される。複数の態様において、動物類似物は肉類似物である。いくつかの態様において、動物類似物は卵類似物である。いくつかの態様において、卵類似物は液体形態である。いくつかの態様において、卵類似物は乾燥したまたは粉末化された形態である。いくつかの態様において、動物類似物は、肉類似物、ソーセージ類似物、ペパロニ/保存肉類似物、鶏肉類似物、七面鳥肉類似物、豚肉類似物、ベーコン類似物、牛肉類似物、豆腐代替物、牛ひき肉類似物、ジャーキー類似物、卵類似物、卵代替物、固ゆで卵代替物、粉末卵代替物、液状卵代替物、冷凍卵代替物、サラダドレッシング、マヨネーズおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0178】
いくつかの態様において、組成物は、プロテインクリスプなどの押出製品として配合される。
【0179】
いくつかの態様において、組成物は、栄養飲料または栄養飲料サプリメントとして配合される。いくつかの態様において、栄養飲料は液体形態である。いくつかの態様において、栄養飲料は粉末化された形態である。
【0180】
いくつかの態様において、組成物は、プロテインバーとして配合される。
【0181】
本明細書に記載されている組成物のいずれも、食品として配合することもできる。
【0182】
いくつかの態様において、組成物は液体形態である。いくつかの態様において、組成物は粉末化された形態である。
【0183】
いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、他の成分(例えば、マスキング物質、香味料および/または他の追加の成分)と組み合わせされる。このような他の成分は、微細藻類のバイオマスの培養もしくは加工する任意の時点で添加され得、または最終もしくは中間食品に直接添加され得る。例えば、このような他の成分は、培養中に、乾燥(例えば、噴霧乾燥)前の湿潤バイオマスに、乾燥(例えば、噴霧乾燥)中に、湿潤バイオマスに、噴霧乾燥中に、噴霧乾燥された材料に、最終食品に、またはこれらの任意の組み合わせに適用され得る。本明細書で論述されているように、湿潤バイオマスは、食品の調製において直接使用され得る。したがって、いくつかの態様による組成物および食品は、香味剤、マスキング剤および/または追加の成分を含む追加の成分を含む。いくつかの態様による方法は、培養している微細藻類および/または微細藻類バイオマスに香味料、マスキング剤および/または追加成分を適用することを含む。
【0184】
典型的には、組成物は、約0.01%~約100%、約0.01%~約99%、約0.01%~約95%、約0.01%~約80%、約0.01%~約75%、約0.1%~約100%、約0.1%~約99%、約0.1%~約95%、約0.1%~約80%、約0.1%~約75%、約1%~約100%、約1%~約99%、約1%~約95%、約1%~約80%、約1%~約75%、約5%~約100%、約5%~約99%、約5%~約95%、約5%~約80%、約5%~約75%、約10%~約100%、約10%~約99%、約10%~約95%、約10%~約80%、約10%~約75%の微細藻類のバイオマスを含有する。
【0185】
いくつかの態様において、食品組成物は、少なくとも0.1%w/wの微細藻類のバイオマスと1つまたはそれより多くの他の食用成分とを含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスを含む食品組成物は、乾燥重量で少なくとも10%のタンパク質を含む。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、乾燥重量で、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%または60%のタンパク質を含有する。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、乾燥重量で、10%~90%、10%~75%、25%~75%、40%~75%または50%~70%のタンパク質を含有する。好ましい態様において、微細藻類のバイオマスは従属栄養条件下で増殖され、低下した緑色の色素沈着を有する。
【0186】
本明細書に記載されている態様において、食品組成物は、少なくとも0.1%w/wの微細藻類のバイオマスと1つまたはそれより多くの他の食用成分とを含み、微細藻類のバイオマスは、乾燥重量で少なくとも30%のタンパク質、乾燥重量で少なくとも40%のタンパク質、乾燥重量で少なくとも45%のタンパク質、乾燥重量で少なくとも50%のタンパク質、乾燥重量で少なくとも55%のタンパク質、乾燥重量で少なくとも60%のタンパク質または乾燥重量で少なくとも75%のタンパク質を含む。いくつかの態様において、藻類のバイオマスは、乾燥重量で30%~75%または40%~60%のタンパク質を含有する。いくつかの態様において、未精製タンパク質の少なくとも40%は消化可能であり、未精製タンパク質の少なくとも50%は消化可能であり、未精製タンパク質の少なくとも60%は消化可能であり、未精製タンパク質の少なくとも70%は消化可能であり、未精製タンパク質の少なくとも80%は消化可能であり、または未精製タンパク質の少なくとも90%は消化可能である。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは従属栄養条件下で増殖される。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、窒素が豊富な条件下で増殖される。
【0187】
本明細書に記載されている態様において、微細藻類のバイオマスは、主に無傷の細胞を含む。いくつかの態様において、食品組成物は、微細藻類のバイオマスの細胞内に主にまたは完全に封入された油を含む。いくつかの態様において、食品組成物は、主に無傷の微細藻類の細胞を含む。いくつかの態様において、微細藻類の油は主にバイオマスの細胞中に封入されている。いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスは、主に溶解された細胞(例えば、ホモジネート)を含む。上述のように、このようなホモジネートは、スラリー、フレーク、粉末または粉として提供することができる。
【0188】
本明細書に記載されている態様において、食品組成物は、穀物、果実、野菜、タンパク質、脂質、ハーブおよび/またはスパイス成分を含むがこれらに限定されない1つまたはそれより多くの他の食用成分と組み合わせされた微細藻類のバイオマスを含む。いくつかの態様において、食品組成物は、サラダドレッシング、卵製品、焼いた食品、パン、バー、パスタ、ソース、スープ飲料、飲料、冷菓、バターまたはスプレッドである。いくつかの態様において、食品組成物は丸剤または粉末ではない。いくつかの態様において、食品組成物の重量は、少なくとも50g、または少なくとも100gである。
【0189】
微細藻類のバイオマスは、食品を製造するために、1つまたはそれより多くの他の食用成分と組み合わせることができる。微細藻類のバイオマスは、単一の藻類源(例えば、株)または複数の源(例えば、異なる株)からの微細藻類のバイオマスであり得る。バイオマスはまた、単一の藻類種に由来し得るが、異なる組成プロファイルを有する。例えば、製造業者は、最終食品において所望される正確な油およびタンパク質含有量になるように、油含有量が高い微細藻類をタンパク質含有量が高い微細藻類とブレンドすることができる。組み合わせは、小売または飲食物提供サービス用の完成品を製造するために食品製造業者によって実行されることができる。あるいは、製造業者は、製品として微細藻類のバイオマスを販売することができ、消費者は、例えば、従来のレシピの改変によって、微細藻類のバイオマスを食品中に組み込むことができる。いずれの場合も、藻類のバイオマスは、典型的には、多くの従来の食品において使用されるタンパク質、油、脂肪、卵などの全部または一部を置き換えるために使用される。
【0190】
いくつかの態様において、微細藻類のバイオマスおよび/またはそれに由来する生成物、すなわち微細藻類の粉、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物の組み合わせによって形成される食品組成物は、少なくとも0.1%w/wもしくはv/v、少なくとも0.5%w/wもしくはv/v、少なくとも1%w/wもしくはv/v、少なくとも5%w/wもしくはv/v、少なくとも10%w/wもしくはv/v、少なくとも25%w/wもしくはv/vまたは少なくとも50%w/wもしくはv/vの微細藻類バイオマスを含む。いくつかの態様において、形成された食品組成物は、少なくとも2%w/w、少なくとも5%w/w、少なくとも10%w/w、少なくとも25%w/w、少なくとも50%w/w、少なくとも75%w/w、少なくとも90%w/wまたは少なくとも95%w/wの微細藻類のバイオマスまたはそれに由来する生成物を含む。いくつかの事例において、食品組成物は、重量または体積で、5%~50%、10%~40%、または15%~35%の藻類のバイオマスまたはそれに由来する生成物を含む。
【0191】
微細藻類の粉、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物を含む微細藻類のバイオマスは、実質的に任意の食品組成物中に組み込むことができる。いくつかの例には、ケーキ、ブラウニー、イエローケーキ、ブリオッシュを含むパン、シュガークッキーを含むクッキー、ビスケットおよびパイなどの焼いた食品が含まれる。他の例としては、しばしば乾燥された形態で提供される製品、例えばパスタまたは粉末化されたドレッシング、乾燥されたクリーマー、ひき肉および肉代替物が挙げられる。このような製品中に結合剤および/または増量剤として主に無傷の微細藻類のバイオマスを組み込むことにより、主に無傷のバイオマスの水結合能力により水和を改善し、収量を増加させることができる。乾燥粉末卵から作られたスクランブルエッグなどの再水和される食品も、改善された食感および栄養プロファイルを有し得る。他の例には、ソース、スープ、ドレッシング(そのまま食べられる)、クリーマー、ミルク飲料、ジュース飲料、スムージー、クリーマーなどの液体食品が含まれる。他の液体食品には、食事代替品(meal replacement)または藻類乳として機能する栄養飲料が含まれる。他の食品には、ショートニング、マーガリン/スプレッド、ナッツバターおよびナチョソースなどのチーズ製品を含むバターまたはチーズなどが含まれる。他の食品には、エナジーバー、チョコレート菓子-レシチン代替品、食事代替バー、グラノーラバー型製品が含まれる。別の種類の食品は、バッターおよび衣(coating)である。食品を取り囲む油の層を提供することにより、主に無傷のバイオマスまたはホモジネートは、調理媒体からの追加の油をはじいて食品に浸透しないようにする。したがって、食品は、あまり望ましくない油(例えば、トランス脂肪、飽和脂肪および調理油からの副産物)を拾い上げることなく、衣の高い一価不飽和油含有量という利点を保持することができる。バイオマスの衣は、調理油およびその副産物の吸収がより少ないため、食品に望ましい(例えば、カリカリした(crunchy))食感およびよりさっぱりした(clean)風味を提供することもできる。
【0192】
ある特定の態様において、プロテインフードバー(protein food bar)は、所望の食感が達成されるまで、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%でユーグレナ粉を含む。
【0193】
ある特定の態様において、プロテインフードバーは、所望の食感が達成されるまで、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%のユーグレナβグルカン単離物を含む。
【0194】
ある特定の態様において、プロテインバーまたは食品は、約20%~約35%のデーツ(dates)、約10%~約15%のアガベ(agave)、約5%~約15%の天然ピーナッツバター、約1%~約5%のココナツ油、約5%~約15%を含む押しオート麦、約5%~約15%のアーモンド、および約5%~約40%のユーグレナ粉および約0%~約10%のβグルカン単離物を含む。
【0195】
ある特定の態様において、プロテインバーまたは食品は、アーモンド、デーツ、アガベ、天然ピーナッツバター、ココナツ油、押しオート麦、ユーグレナ粉、メープルシロップ、βグルカン単離物(BGI)、レディ・トゥ・ゲル(RTG;Ready-to-gel)、βグルカン粉末、RTG湿潤ゲル、タピオカシロップ、アガベシロップ、ゴールデンストラップ糖蜜(Golden strap Molasses)、風味マスキング、シロップおよびこれらの組み合わせを含む。
【0196】
ある特定の態様において、プロテインバー食品の形成において必要とされる材料は、料理用のはかり、スパチュラ、スプーン、フードプロセッサ、調理用レンジ、湯煎用二重鍋(double boiler)、ミキシングボウル、パラフィン紙、バー型(bar mould)およびこれらの組み合わせを含む。
【0197】
ある特定の態様において、調理用レンジは、約330°F~約380°Fに加熱される。物品は、柔軟な生地を作るように組み合わせされる。生地が形成されたら、適切な調理装置を使用して、生地の一部を所望のレベルで型に押し込む。型が充填されたら、食品保存材料で製品を包み、冷蔵庫に入れて固める。
【0198】
未調理食品では、微細藻類のバイオマス中のほとんどの藻類の細胞は無傷のままである。これは、藻類の油を酸化から保護して、長い貯蔵寿命を与え、他の成分との有害な相互作用を最小限に抑えるという利点を有する。食品の性質に応じて、細胞によって付与される保護は、冷蔵、真空包装などの必要性を低減または回避し得る。細胞を無傷のままにすると、油と消費者の口の間での直接的な接触も妨げられ、望ましくない場合があり得る油または脂肪の感覚が減少する。油が栄養補助食品としてより多く使用される食品では、これは製品の官能的特性を改善する上で利点となり得る。したがって、主に無傷の微細藻類のバイオマスは、このような製品での使用に適している。しかしながら、油が(例えば、酢などの水溶液とのエマルジョンとして)所望の口当たりを与えるサラダドレッシングなどの調理されていない製品では、精製された藻類の油または微粉化されたバイオマスの使用が好ましい。調理された食品では、元の無傷の微細藻類のバイオマスの一部の藻類細胞は溶解され得るが、他の藻類細胞は無傷のままであり得る。溶解された細胞と無傷の細胞との比は、調理過程の温度および期間に依存する。味、食感および/または外観のために、他の成分との均一な態様での油の分散が望まれる調理された食品(例えば、焼いた食品)では、微粉化されたバイオマスまたは精製された藻類の油の使用が好ましい。調理された食品では、食感ではなく主にバイオマスの栄養的価値またはカロリー的価値のため、油および/またはタンパク質および他の栄養素を供給するために微細藻類のバイオマスが使用される。
【0199】
微細藻類の粉、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物を含む微細藻類のバイオマスは、栄養または食事補助食品に製造することもできる。例えば、微細藻類の粉、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物は、他の栄養補助食品と同様の方法で消化可能なカプセル中に封入することができる。このようなカプセルは、瓶の中に梱包され、毎日(例えば、1日当たり1~4個のカプセルまたは錠剤)服用され得る。カプセルは、単位用量の微細藻類の粉、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物を含有することができる。同様に、微細藻類のバイオマスは、任意で、医薬またはその他の賦形剤とともに圧縮して錠剤にすることができる。錠剤は、例えば瓶またはブリスターパック中に梱包され、例えば1日1~4錠の用量で毎日服用することができる。いくつかの事例では、錠剤または他の投与配合物は、単位用量の微細藻類の粉、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物を含む。カプセルおよび錠剤製品および他の補助食品の製造は、好ましくは、米国連邦規則集タイトル21パート111または外国管轄により制定された同等の規制に成文で定められている栄養補助食品に適したGMP条件下で行われる。微細藻類の粉、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物は、他の粉末と混合され、(例えば、水、ジュース、ミルクまたは他の液体と)直ちに混合できる(ready-to-mix)材料として小袋に入れて提供することができる。藻類のバイオマスは、ヨーグルトなどの製品中に混合することもできる。
【0200】
微細藻類の粉、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物を含む微細藻類のバイオマスは、他の乾燥成分(例えば、砂糖、粉、ドライフルーツ、香味料)と組み合わせされた形態で包装され、最終製品での均一性を確保するために個別包装(portioned pack)することもできる。次いで、単に水または乳などの液体を添加し、任意で混合し、および/または油もしくは脂肪を添加せずに調理することによって、混合物は、消費者または飲食物提供サービス会社によって食品に変換され得る。いくつかの態様において、乾燥された微細藻類のバイオマス組成物を再構成するために、液体が添加される。調理は、電子レンジ、対流式オーブン、従来のオーブンを使用して、または調理台上で任意で行うことができる。このような混合物は、ケーキ、パン、パンケーキ、ワッフル、飲料、ソースなどを作るために使用することができる。このような混合物は、消費者にとっての利便性および冷蔵なしでの長い貯蔵寿命という利点を有する。このような混合物は、典型的には、混合物を食品に変換するために液体を添加するための説明書を有する密封容器中に包装される。
【実施例】
【0201】
実施例1:タンパク質含有量の調節
タンパク質含有量は、主にC:N比によって制御される。より低いC:N比は、より高いタンパク質含有量をもたらす。脂質含有量の調節は、反応器の溶存酸素含有量に焦点を置く。低酸素/嫌気性条件下で、ユーグレナはパラミロンをワックスエステルに変換する。表1は、培養培地中の異なるC:N比下で産生されたタンパク質またはβグルカンの量を与える。
【0202】
(表1)タンパク質またはβグルカンに焦点を当てたバイオマスのC:N比
【0203】
実施例2:ユーグレナの栄養素含有量
公に入手可能な報告の研究に基づいて、ユーグレナの報告された栄養素の最大59の栄養素含有量が本明細書に提供される。ユーグレナの栄養の複雑さは、「健康によい」または「総合的栄養ケア」の観点から考えることができ、個々の成分の代わりに粉がこの全体的な利点を提供する。ユーグレナ粉の栄養価は環境条件に依存する。
【0204】
近似およびその他の栄養素が以下の表2に示されている。コレステロールレベルは検出限界未満であった。GABAに関しては、ユーグレナタンパク質粉は417mg/100gのGABAを含有する。これは、一部の不安症薬の投与量範囲内であり、タンパク質が濃縮されたユーグレナの乾燥されたバイオマスは、基本的な多量栄養素だけでなくさらなる健康特性を有することを意味する。
【0205】
(表2)100gのユーグレナタンパク質粉からの栄養素プロファイル。NDは、検出されなかったことを表す。
【0206】
100gのユーグレナタンパク質粉試料において測定された6.1%の脂肪についての脂肪酸プロファイルを以下の表3に示す。注目すべきことに、トランス脂肪酸は検出限界未満であった。また、脂肪酸の約半分は飽和脂肪酸であった。約20%の多価不飽和脂肪酸、例えばω3、5および9もバイオマス中に存在した。これは、高脂肪製品であることなしに、粉にいくつかの栄養特性を与える。
【0207】
(表3)ユーグレナタンパク質粉の脂肪酸プロファイル
脂肪酸は、粉中の脂肪酸(FA)のパーセンテージ、総脂質中のFAのパーセンテージ、および総粉100g当たりのmgでの質量で報告されている。
【0208】
タンパク質粉のアミノ酸プロファイルを以下の表4に示す。100gサービングのユーグレナタンパク質粉には、合計で27.4gのタンパク質が含まれる。
【0209】
(表4)100gのユーグレナタンパク質粉中のアミノ酸プロファイル
【0210】
ミネラル(表5)およびビタミン(表6)はいずれも、100gの粉中に、1日摂取量の10%超を有する。これは、ユーグレナタンパク質粉を組み込んだ製品にさらなる栄養を与える。
【0211】
(表5)100gのユーグレナタンパク質粉中のミネラルプロファイル
【0212】
(表6)100gのユーグレナタンパク質粉中のビタミンプロファイル
N/Aは、該当なしを表す。
【0213】
実施例3:ユーグレナタンパク質濃縮物の方法および例
事例1:二相タンパク質産生(HSタンパク質濃縮物およびLSタンパク質濃縮物)
採取物からの凍結バイオマスを解凍し、市販のブレンダーで10分間ブレンドした。バイオマスを水で約5%の固形分に希釈した。次いで、希釈したバイオマスを1.5モル濃度の水酸化ナトリウムで中和し、次いでSPX APV 1000 Lab Series Homogenizer中、12,000psiで、シングルパスでホモジナイズした。ホモジネートを遠心分離(4700rpmで13分間)して、HSスキム相と呼ばれる希薄高溶解度(HS)タンパク質の軽相と、LS/PMスラッジと呼ばれるパラミロン(PM)と混合した低溶解度(LS)タンパク質の重相スラッジとの二相系を得た。
【0214】
デカンテーションによってHSスキムを収集し、次いで、水中50%w/wクエン酸でスキムをpH4.5に調整し、続いて1時間穏やかに断続的に撹拌した後、4,700rpmで13分間遠心分離した。HSスキム沈殿から、HSホエイと呼ばれる軽い相(酸の下で沈殿しなかった可溶性細胞成分)およびHSスラッジという2つの相が得られた。次いで、等質量の水でHSスラッジを希釈し、1.5 M NaOHで中和し、次いで凍結乾燥して、粉末化されたHSタンパク質濃縮物を得た。HSホエイは廃棄した。凍結乾燥後、SGS Mississaugaでの近似分析によってHSタンパク質濃縮物粉末を分析した。
【0215】
LSタンパク質濃縮物粉末を得るために、LS/PMスラッジを等量の水で希釈し、市販のブレンダーで約10分間ブレンドしながら、1.5M NaOHでpH10に調整した。このアルカリ可溶化工程に続いて、混合物を4,700rpmで13分間遠心分離して、可溶化された低溶解度タンパク質(LSスキム)からなる軽い相およびパラミロンスラッジからなる重い相の二相を得た。50%w/wクエン酸水溶液でpHを4.5に調整することによって、タンパク質の沈殿前にLSスキムをデカントした。穏やかに撹拌しながらpH4.5で1時間後、LSスキムを4,700rpmで13分間遠心分離して、酸可溶性細胞材料(LSホエイ)の軽い相およびLSスラッジと呼ばれる低溶解度タンパク質の沈殿物を得た。LSスラッジを等質量の水で希釈した後、1.5M NaOHで中和し、凍結乾燥してLSタンパク質濃縮物粉末を得て、これも表7に示すように近似分析に供された。
【0216】
【0217】
事例2:ホモジナイゼーション後のアルカリ分離
採取物からの凍結バイオマスを解凍し、市販のブレンダーで10分間ブレンドした。バイオマスを水で約5%の固形分に水で希釈した。次いで、希釈したバイオマスを1.5モル濃度の水酸化ナトリウムで中和し、次いでSPX APV 1000 Lab Series Homogenizer中、12,000psiで、シングルパスでホモジナイズした。直ちに1.5M NaOHでホモジネートをpH10に調整した。これらの条件下で得られる最大のタンパク質可溶化を確保するために、pH調整されたホモジネートを1時間穏やかに撹拌した。撹拌後、ホモジネートを4,700rpmで13分間遠心分離した。
【0218】
遠心分離後、大部分がパラミロン(PMスラッジ)からなる重い相と、溶解したタンパク質および任意の他の弱アルカリ性可溶性細胞成分(PCスキム)を含有する軽い相の2つの相のみが得られた。次いで、50%w/wクエン酸水溶液を用いてPCスキム相をpH4.5に調整した。pH調整後、混合物を穏やかに一晩(約16時間)撹拌した後、4,700rpmで13分間遠心分離した。この分離により、アルカリおよび酸可溶性細胞成分(PCホエイ)からなる軽い相ならびに沈殿したタンパク質(PCスラッジ)を含有する重スラッジ相が得られた。次いで、PCスラッジを等質量の水で希釈し、1.5M NaOHで中和し、次いで、LabPlant SD-06噴霧乾燥機を使用して、160Cの入口温度、約10mL/分の供給速度で噴霧乾燥した。得られた粉末化タンパク質濃縮物は、表8に示すように、SGS-Mississaugaでの近似分析に送られた。
【0219】
(表8)事例2のホモジナイゼーション後アルカリ分離からの近似データ
【0220】
事例3:ホモジナイゼーション前アルカリ抽出
2つの採取物からのTK4300バイオマスを凍結から解凍し、合わせ、水で5%固形分に希釈した。次いで、希釈したバイオマスブレンドを撹拌されたケトル内で15分間混合した。再懸濁および混合後、1.5M NaOHを用いてバイオマスをpH10に調整した。次いで、pH調整後、バイオマスをSPX APV 1000 Lab Seriesホモジナイザ中で、12,000 psiでホモジナイズした。次いで、得られたホモジネートを4,700rpmで13分間遠心分離して、可溶化されたタンパク質および他のアルカリ可溶性細胞成分(PCスキム)を含有する軽い相と主にパラミロン(PMスラッジ)からなる重い相の2つの相を得た。85%w/wリン酸を使用してPCスキムをpH4.5に調整し、続いて1時間穏やかに撹拌して沈殿を完了させた。沈殿反応後、PCスキムを4,700rpmで13分間遠心分離して、酸性およびアルカリ性可溶性成分(ホエイ)からなる軽い相と沈殿されたタンパク質(PCスラッジ)からなる重い相の二相を得た。
【0221】
PCスラッジを10%固形分に希釈し、1.5M NaOHを用いてpH7に調整し、250Cの入口温度および70~75Cの出口温度を維持するための可変流量で、35インチWild Horse International Spray Dryer、S/S、Model LPG-5を用いて噴霧乾燥した。得られたタンパク質濃縮物粉末は、表9に示すように、SGS Mississaugaでの近似分析のために送られた。
【0222】
(表9)事例3のホモジナイゼーション前アルカリ抽出からの近似データ
【0223】
事例4:酸性ホモジナイゼーション過程
2つの採取物からのTK4300バイオマスを凍結から解凍し、合わせ、水で5%固形分に希釈した。次いで、希釈したバイオマスブレンドを撹拌されたケトル内で15分間混合した。希釈したバイオマスを、1.5M NaOHを用いてpH4.7に調整した(pH 3.3から開始)。次いで、SPX APV 1000 Lab Series Homogenizer中で、バイオマスを12,000psiでホモジナイズした。ホモジネートを4℃の冷蔵庫で一晩保存した。翌日、ホモジネートを4,700rpmで13分間遠心分離し、3相混合物を得た。最も軽い相は酸可溶性細胞成分(ホエイ)を含有し、得られたスラッジは、沈殿したタンパク質(PCスラッジ)から主に構成される上部と、より高密度なパラミロン(PMスラッジ)から主になる下部とを分離する水平線を有する2つのやや分離した相を形成した。ホエイをデカンテーションし、廃棄した。次いで、遠心ボトル内の手工具を用いて、PMスラッジからPCスラッジを手作業で除去し、回収した。PMスラッジを別々に処理してβグルカン単離物とした。
【0224】
次いで、PCスラッジを10%固形分に希釈し、pH7に調整し、250Cの入口温度および70~75Cの出口温度を維持するための可変流量で、35インチWild Horse International Spray Dryer、S/S、Model LPG-5を用いて噴霧乾燥した。タンパク質濃縮物粉末が収集され、表10に示すように、SGS Mississaugaでの近似分析のために送られた。
【0225】
(表10)実施例4の酸性ホモジナイゼーション過程からの近似データ
【0226】
事例5:タンパク質濃縮物および単離物のための過程内での将来の(future)最適化の例
上記の例は、さらに最適化することができる複数の鍵となる単位操作に依存している。さらなる最適化を保証する操作には、ホモジナイゼーション、沈殿、相分離および乾燥が含まれるが、これらに限定されない。
【0227】
ホモジナイゼーション(および代替の細胞溶解技術):
ホモジナイゼーション単位操作は、バイオマスの固形分含量、ホモジナイゼーションの温度、パスの数、ホモジナイゼーション圧力およびホモジナイゼーションバルブの形状および段階の数を含むがこれらに限定されない、まだ完全には最適化されていない複数のパラメータを有する。例えば、ホモジナイゼーションの固形分含量を改変することは、溶解の有効性およびある生体分子が濃度依存的に会合するかどうか(すなわち、タンパク質および脂質)の両方に影響を及ぼし得る。温度を最適化することは、生体分子分離の熱力学にさらに影響を及ぼすのみならず、タンパク質の熱変性を潜在的に制限して、より高度に機能的な濃縮物および単離物をもたらす。過剰なホモジナイゼーションは、タンパク質および脂質の分離に劇的に悪影響を与える乳化をもたらすので、圧力および幾何学的形状としてのホモジナイザのパス数はすべて、脂質からのタンパク質の分離に直接影響を及ぼす。より穏やかな溶解によって脂質乳化を最小限に抑えることにより、より高いタンパク質含有量の濃縮物および/または単離物が得られると予想される。さらに、同じ効果を達成するために、酵素的溶解、超音波による溶解、化学的溶解または摩砕(milling)を含むがこれらに限定されない代替の細胞溶解技術も利用され得る。
【0228】
沈殿:
沈殿操作は、使用される酸またはその他の沈殿剤の選択、調整のために使用される酸および塩基の濃度、撹拌機構および速度、反応のために使用される温度および時間によって影響され得る。異なる酸は、異なる化学構造によって、タンパク質と異なって相互作用し、タンパク質の構造、したがって溶解度および機能性を改変することができる。さらなる研究は、異なる酸の他、硫酸アンモニウムまたは溶液からタンパク質を塩析するために使用することができる、ホフマイスター系列に属する食品に使用しても安全な他の塩などの他の非酸沈殿剤を検討するであろう。撹拌機構および速度は、これらが空気を導入するか否かによってタンパク質の溶解度に著しい影響を及ぼし得る。空気の導入は、空気-液体界面を生成し、この界面において、タンパク質は、その構造を変化させざるを得ず、構造の変化が、回収時におけるタンパク質の最終的な機能特性を最終的に変化させ得る。最適な撹拌機構は、天然のタンパク質構造を乱さず、最適な機能性を維持するように選択される。反応の時間は、その後の単位操作中に一緒に精製される夾雑物の収率および量を決定する。あるいは、乾燥過程の前に、タンパク質または不純物のいずれかを選択的に吸着するクロマトグラフィー技術を使用して、脂質および炭水化物などの他の夾雑物を選択的に除去することによって、沈殿を回避し得る。
【0229】
等電点沈殿:
清澄化された生成物は、pH、温度および撹拌制御センサを備えたタンクに移送され得る。pHは、制御された条件下(例えば、タンパク質濃度、撹拌時間、温度および剪断速度)で等電点沈殿を促進するように調整され得る。等電点沈殿は、遠心分離液から最大の可溶性タンパク質を沈殿させるために、異なる段階で実施することができる。さらに、沈殿過程を加速するために、熱処理が適用され得る。その後、所望の固形分含量を達成するために最適化された操作過程パラメータ(g力、フィード流量(feed flow rate)逆圧および排出時間(discharge time))を用いる連続遠心分離(分離板型遠心分離)によって、沈殿物が回収され得る。
【0230】
あるいは、沈殿物は、沈降タンク中での沈降過程を通じて分離することもできる。さらに、食品等級の凝集剤を使用することによって、沈殿過程を加速させることができる。
【0231】
相分離:
相分離操作は、遠心分離機技術(分離板型(disc-stack)、デカンター型、円筒型(tubular bowl)など)、遠心分離機のパラメータ(フィード速度(feed rate)、速度、堰(weir)の深さなど)の修正など、将来の最適化のための多くの選択肢を提示する。異なる遠心分離機および操作パラメータは、周囲の水性環境からの沈殿したタンパク質の機械的分離に影響を及ぼす加えられた力の修正を可能にし、これは最終的に、脂質および炭水化物などの夾雑物のより良好な排除によって生成された濃縮物中のより高いタンパク質含有量をもたらす。あるいは、限外濾過および化学的に誘導された相分配を含むがこれらに限定されない、遠心分離とは別の様々な相分離技術が試験されるであろう。限外濾過は、可溶化液からタンパク質を濃縮するために使用され得、沈殿剤の使用を全く必要としないことがあり得、これにより、濃縮物中でより高いタンパク質含有量が達成されるのみならず、最終生成物の機能性が改善され得る。化学的相分配は、ポリエチレングリコールなどの水溶性ポリマーを系に添加することによって実施することができ、これにより多相水性混合物が形成され、ポリマーが豊富な相とポリマーが少ない相が存在する。新たに形成された相の単純なデカンテーションまたは加速された機械的分離によってタンパク質が次いで他の細胞成分から分離され得、その後ポリマーからタンパク質が分離されるように、タンパク質もこれらの相に選択的に分配される。
【0232】
膜濾過:
膜濾過は、生物学的処理において広く使用されている分離技術である。膜の多孔度に応じて、膜濾過は、精密濾過または限外濾過過程に分類することができる。精密濾過膜は、一般に、清澄化、滅菌および微粒子の除去のために、または細胞分離のために使用される。限外濾過膜は、一般に、溶解した分子(タンパク質、ペプチド、核酸など)の濃縮および脱塩、緩衝液交換および分画のために使用される。膜過程操作の2つの一般的な様式は、デッドエンド(全量濾過)およびクロスフロー(タンジェンシャルフロー濾過)濾過モードである。クロスフロー濾過モードでは、濾過を要する流体は、膜を横切る圧力差により、高分子量分子を保持し、濾過生成物中に水および低分子量溶質を通過させるために膜表面に平行に流れる。クロスフローは濾過ケークの形成を減少させて濾過ケークを低レベルに保つ。2つの主要な変数である膜透過圧力TMPおよびクロスフロー流量またはフィード流量は、UF/DF操作時にすべてのタンジェンシャルフロー装置において制御される。
【0233】
限外濾過は、遠心分離液から可溶性タンパク質を濃縮するために使用され得る。最大タンパク質を保持するために使用される正しい分子量カットオフ(MWCO)膜は、スクリーニング実験に基づいて選択され得る。次いで、最大流動を達成するために、操作過程パラメータを最適化することができる。さらに、より高いタンパク質含有量を達成するためにまたはタンパク質単離物を作製するために、透析濾過の回数を行うことができる。
【0234】
乾燥:
乾燥操作は、タンパク質濃縮物および/または単離物の純度ならびに機能性の両方を最適化するための別の機会を提供する。純度は、乾燥機と同時に空気浮上分離または摩擦電気分離を使用することによって影響を受けることがあり得、これらは、それぞれ密度および電荷に基づいてタンパク質を他の成分から分離することができる。最終生成物の機能性は乾燥技術によって著しい影響を受け、この操作の最適化は高度に機能的なタンパク質生成物にとって不可欠である。タンパク質は容易に熱変性し、タンパク質の環境からの熱に応答してタンパク質の構造の変化をもたらす。ほとんどの乾燥技術は熱を利用し、したがってタンパク質の構造および機能に対する直接的な課題を提示する。乾燥技術を慎重に最適化することにより、例えば、噴霧乾燥機内で可能な限り低い入口温度を使用し、これにより十分に低い水分の生成物を与えることによって、生成物に対して加えられる熱の量を最小限にすることが可能になる。タンパク質にさらに少ない熱を導入する可能性があり、タンパク質の天然構造をよりよく維持し、最終的には食品系におけるタンパク質の機能性をよりよく維持する凍結乾燥または真空オーブン乾燥などの代替乾燥方法を選択し、最適化し得る。
【0235】
沈殿を通じてまたは膜濾過法によって生成されたタンパク質濃縮物またはタンパク質単離物スラリーは、タンパク質濃縮物またはタンパク質単離物の乾燥された粉末を得るために噴霧乾燥することができる。噴霧乾燥は、粉末の所望の含水量を達成するために、最適化された重要な操作過程パラメータ(総固形分、フィード流量、微粉化空気圧、入口温度および出口温度)でスラリーを噴霧乾燥機に通過させることによって行うことができる。
【0236】
実施例4:タンパク質濃縮物および粉の脱脂ならびにタンパク質単離物に対するその使用
序論:
本実施例の目的は、タンパク質粉および濃縮物の脱脂において最も有望な、食品として許容され得る溶媒を決定することである。3つの一般的な食品等級の有機溶媒:エタノール、イソプロパノールおよびヘキサンを試験する。脱脂の成功度および得られた最終タンパク質濃度を決定するために、タンパク質および脂質含量について最終生成物を測定する。
【0237】
方法:
4グラムの試料タンパク質濃縮物(PC)およびタンパク質に富むユーグレナ粉(PF)を40 mLの溶媒(ヘキサン、イソプロパノール、エタノール)中にて、撹拌プレート上で室温にて24時間混合した。次いで、試料を遠心分離した(3500rpm、5分)。上清を新しい50mLチューブ中にデカントした。ペレットを40mLのそれぞれの溶媒中に再懸濁し、20秒間渦巻き撹拌して混合した。試料を再度遠心分離した(3500rpm、5分)。上清を別の50mLチューブ中に保持した。GeneVac EZ-2蒸発器を使用して、ペレットおよび上清チューブを蒸発させた。出発材料および脱脂されたペレットの試料は、トレント大学の水質センターでの全窒素分析のために送付された。脂質を抽出および溶解するための単相溶媒系を形成するためにクロロホルムおよびメタノールに依存するGC分析法のための内部脂質抽出法を使用して、脱脂された試料および出発試料に対して総脂質抽出を行った。
【0238】
結果/考察:
最初の主要な結果は、SGSによって行われた粗脂肪分析は、内部で使用される総脂質抽出法より著しく低い値(10~14%低い)をもたらしたという観察であった。これらの2つの抽出間での大きな差は、これらの試料中のユーグレナ脂質の大部分がエーテル中に可溶性ではなく(粗脂肪)、総脂質分析のために使用される2クロロホルム:2メタノール:1.8水抽出混合物中に可溶性であったことを示唆している。この例において最も可能性の高い理由は、比較的非極性のエーテル中に限られた溶解度しか有さないリン脂質などの高度の極性脂質が存在することである。
【0239】
タンパク質濃縮物は、試験した溶媒のいずれで脱脂した後にも32.2%から約20%の脂質含有量になった粉よりも容易に脱脂され、試験した溶媒のいずれで脱脂した後にも48.4%の総脂質から約20%になることが明らかとなった。これらの結果は、濃縮物がその脂質の75%を除去されたのに対して、粉はその脂質の約50%を除去されたに過ぎないことを示す。タンパク質濃縮物はホモジナイズされており、したがって、粉の中に存在する半ば無傷の細胞と比較して、溶媒はより楽に脂質成分を溶解するという意味で、これらの結果は論理的である。これらの結果は、表11および12の両方で支持される。
【0240】
【0241】
【0242】
表13および14の結果は、この脱脂実験において、脂質とともに、大量のタンパク質が試験した様々な有機溶媒中に抽出されたことを示している。これ故、おそらくは試料中に存在する多量のリポタンパク質複合体のために、脂質抽出物自体は純粋に脂質である可能性は低い。さらなる研究は、蒸発された脂質濃縮物のタンパク質含有量を調べるべきである。タンパク質溶解度は、タンパク質濃縮物と粉のいずれにおいても、エタノールで最も高いことが明らかとなった。例えば、エタノール抽出により、タンパク質に富む粉からN含有量(この実験におけるタンパク質の代用物)の87.4%が溶媒に失われた。タンパク質がこれらの溶媒中でこのような高い溶解度を有することは予想外であり、おそらくは、不溶性タンパク質成分の再捕捉には遠心分離が不十分であった。あるいは、ユーグレナの脂質は、異常に高いN含有量を有し(例えば、ホスファチジルコリン)、物質収支にこの偏りを引き起こすことがあり得る。しかしながら、有機溶媒に高度に可溶性であるユーグレナタンパク質の極めて興味深い機能性を明らかにする可能性があるので、これは、さらに探究されなければならない。懸濁された不溶性タンパク質を再捕捉するための選択肢は、重力または真空濾過など、遠心分離のみではなく遠心分離と濾過を利用することであり得る。将来の研究は、脂質とタンパク質間の相互作用を破壊し、これにより脂質抽出物中にタンパク質が持ち越されることを防止し得る、抽出時におけるより高い温度の使用を調査することも可能であろう。
【0243】
【0244】
【0245】
実施例3での研究から、イソプロパノール抽出による脂質の75%の減少、および17.5%のタンパク質の損失が存在することが観察された。49.3%のタンパク質、48.4の脂質、および2.3%のその他(灰分および炭水化物など)の出発バイオマスを見ると、同じ論理を適用すれば、本発明者らは、21.97%の脂質、および4.13%のその他を含む73.9%の最終タンパク質パーセンテージが存在すると仮定する。修飾を通じて溶媒中でのタンパク質の損失が存在しないと仮定すると、タンパク質のパーセンテージは77.4%にもなり得る。
【0246】
脱脂は、タンパク質濃縮物(
図1)とタンパク質粉(
図2)の両方において、色の制御に有用であることが明らかとなった。これらの結果から、ユーグレナ粉末の色(黄色/橙色)は、カロテノイドなどの脂溶性成分によるものであることが示唆される。製品用途にとって色が重要である場合、タンパク質の色属性の中性を増大させるために、溶媒脱脂が利用され得る。
【0247】
タンパク質試料から脂質を除去するために使用することができる他の溶媒には、アセトン、ベンジルアルコール、1,3-ブチレングリコール、二酸化炭素、ヒマシ油、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル、酢酸エチル、エチルアルコール(エタノール)、メタノールで変性されたエチルアルコール、グリセロール(グリセリン)、二酢酸グリセリル、三酢酸グリセリル(トリアセチン)、三酪酸グリセリル(トリブチリン)、ヘキサン、イソプロピルアルコール(イソプロパノール)、メチルアルコール(メタノール)、メチルエチルケトン(2-ブタノン)、塩化メチレン(ジクロロメタン)、モノグリセリドおよびジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、1,2-プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、脂肪形成脂肪酸のプロピレングリコールモノエステルおよびジエステル、ならびにクエン酸トリエチルが含まれる。
【0248】
結論:
エタノール、イソプロパノールおよびヘキサンを使用して、タンパク質濃縮物および粉が脱脂された。タンパク質濃縮物は、タンパク質粉より容易に脱脂された。窒素が脂質抽出物中に持ち越されて、結果を妨害した可能性があり、タンパク質の損失、またはユーグレナ脂質中の高度の窒素含有量が示唆された。脱脂された残渣の色は、出発物質よりもはるかに中性であった。次の段階としては、脂質抽出物のタンパク質含有量を調査すること、粗脂肪抽出物(石油エーテル)をこれらの実験で調製された抽出物と比較すること、および脂質抽出に対する温度の影響を調査することが挙げられる。
【0249】
ユーグレナタンパク質単離物に関して導き出された結論:
本研究は、タンパク質濃縮物試料中の脂肪の75%を除去できることを示す。本研究は、平均して、いかなる修飾もなしに、脂質抽出溶媒中に17.5%~36.2%のタンパク質(窒素)損失が存在し、これは使用される溶媒に基づいて変動することも示す。ここで試験した3つのうち、イソプロパノールは17.5%で、最も低いタンパク質損失を有していた。これに基づいて、実施例3で観察されたような、溶媒抽出による脱脂を伴う、より高い出発タンパク質パーセンテージを有する材料であれば、80%を超えるタンパク質を有するユーグレナタンパク質単離物を取得することができると推測することができる。例えば、実施例3からの近似データを見たが、ここで表15に再掲した。
【0250】
(表15)事例3のホモジナイゼーション前アルカリ抽出からの近似データ
【0251】
タンパク質濃縮物粉末は、70.4%のタンパク質、21.9%の脂質、少量の炭水化物およびいくらかの灰分である。以下の計算に示されているように、以下の仮定が存在し、このバイオマスがイソプロパノール溶媒抽出によって脱脂されたとすれば、タンパク質単離物は平均して81.5%のタンパク質含有量を有すると予想される。
【0252】
これらの計算に関しては、ユーグレナタンパク質濃縮物粉末の100g試料が使用され、近似データが表15に示されている。
【0253】
イソプロパノールを使用すると、75%の脂質除去が予想され、21.9g(0.75)=16.4gの脂質が除去され、5.5gの脂質が残る。イソプロパノールが使用される場合、平均17.5%のタンパク質損失を有すると予想される。そのため、元の70.4gのタンパク質のうち:70.4g(0.175)=12.32gのタンパク質が失われ、58.1gのタンパク質が残存する。この例では、溶媒抽出での炭水化物または灰分の損失が存在しないことも仮定されており、0.5gの炭水化物および7.2gの灰分がなお存在することを意味する。このため、新たな総質量は以下のとおりである:58.1gのタンパク質+5.5gの脂質+7.2gの灰分+0.5gの炭水化物=71.3gの総質量。
【0254】
これらの仮定に基づいて、71.3gの試料中に58.1gのタンパク質が存在する、すなわち試料は81.5%のタンパク質を含有すると仮定される。次いで、新たな脂質含有量も7.7%となり、炭水化物含有量は0.7%となり、新たな灰分含有量は10.1%となる。このまとめは、タンパク質および脂質含有量の変化を強調する以下の表16に見出される。したがって、本実施例では、タンパク質単離物は81.5%のタンパク質含有量を有する。理論的には、真空濾過などの溶媒抽出におけるタンパク質の損失を最小限に抑えるために溶媒法が改善されれば、タンパク質含有量は84.2%にもなり得る。イソプロパノールと同じ論理を使用して実施例3、表8のユーグレナタンパク質濃縮物が脱脂されたとすれば、溶媒中のタンパク質損失を仮定すると82.9%のタンパク質含有量、または溶媒中のタンパク質損失を防ぐために方法が改善されたとすると85.4%のタンパク質含有量を有するタンパク質単離物が生成される。
【0255】
(表16)イソプロパノール溶媒抽出による、タンパク質濃縮物からタンパク質単離物への変化のまとめの表。数字は、パーセント乾燥ベースとして与えられている。
【0256】
実施例5:タンパク質粉およびタンパク質濃縮物のアミノ酸プロファイル、消化吸収率、およびPDCAASスコア
本研究では、ユーグレナタンパク質粉およびタンパク質濃縮物の異なる試料について、アミノ酸プロファイル、総タンパク質、およびPDCAAS(タンパク質消化吸収率補正アミノ酸スコア)値を調査した。試料中に存在するアミノ酸のパーセンテージ、総タンパク質、およびPDCAAS数を決定するために、第三者の分析研究室に試料を送付した。
【0257】
アミノ酸プロファイル、PDCAAS(タンパク質消化吸収率補正アミノ酸スコア)および消化吸収率が、タンパク質濃縮物およびタンパク質粉について表17に報告されている。総タンパク質は、タンパク質濃縮物試料(n=2)については33%~48%、タンパク質に富む粉(n=4)については18%~38%の間で変動した。予想通り、総タンパク質は、タンパク質に富む粉と比較して、タンパク質濃縮物試料において平均してより高かった。
【0258】
タンパク質濃縮物については、PDCAASスコアは0.96および0.73であった。1の値は完全な参照タンパク質を表し、したがって0.96は非常に高いスコアであり、0.73はなおタンパク質の質の良好な指標である。タンパク質に富む粉に関しては、PDCAAS値は0.93から1.21まで変動した。1より大きいPDCAASスコアは、これらの試料がより高いレベルの必須アミノ酸を有することを示す。タンパク質が濃縮されたユーグレナ粉中のタンパク質は1に近いかまたは1を超えるので、これは、タンパク質が濃縮されたユーグレナ粉中のタンパク質が高い品質かつ高い消化吸収率であることを示している。1を超えるPDCAASスコアは、許容されるスコアとして1に切り捨てられる。
【0259】
(表17)タンパク質濃縮物およびタンパク質粉のアミノ酸プロファイル、消化吸収率、およびPDCAASスコア
アスタリスクは9つの必須アミノ酸を表す。アミノ酸値は、パーセンテージとして与えられている。
【0260】
実施例6:ユーグレナタンパク質粉、βグルカン単離物、およびレディ・トゥ・ゲル粉末を含む卵代替品
市場には、2つの異なる卵代替製品戦略が存在し、1つは製パン用途を対象とする。その用途では、主な成分は、いくつかのタンパク質とともに、製パン用途での卵白の膨張機能を補うために膨張剤を伴ったデンプンおよびガム(結合剤および調質剤として使用される)である。
【0261】
卵代替物の他の用途は、スクランブルエッグまたはオムレツとして使用するためにスクランブルにすることができる粉末卵または液状卵代替品である。スクランブルエッグ代替品の場合、主な成分には、(本物の卵の栄養を模倣するための)植物タンパク質、ならびに調理した際の結合剤および食感生成剤(texture developer)としての異なるガム/親水コロイドの混合物が含まれる。
【0262】
本研究では、エンドウ豆タンパク質濃縮物とユーグレナタンパク質粉の組み合わせを主なタンパク質源として使用した。結合剤/調質剤として作用させるために、βグルカンレディ・トゥ・ゲル(RTG)粉末を唯一の親水コロイド源として使用した。βグルカンRTG粉末は、3.75%クエン酸を含むゲルの形態にされ、次いで、粉末を形成するために凍結乾燥される1M NaOH中の可溶化されたβグルカンである。粉末を水に戻すと、濃度に応じて、増粘した溶液またはゲルを直ちに形成する。ユーグレナタンパク質粉と組み合わせてβグルカン単離物を添加すると、スクランブルエッグの期待される黄色を卵スクランブルに与える、すなわち、これらの用途では着色剤が必要とされない。さらに、βグルカン単離物の添加は、βグルカン単離物を含まない対照混合物と比較して、ユーグレナタンパク質粉の違和感(off-note)に対するマスキング効果も示した。ユーグレナ粉は黄色であり、これもスクランブルエッグの期待される黄色を増加させる。
【0263】
この配合物には香味剤または香味マスキング物質は使用されておらず、それでもパネリストはタンパク質源(ユーグレナ粉とエンドウ豆タンパク質の組み合わせ)に起因する旨味様の味を知覚することができた。
【0264】
方法および材料:
卵スクランブルに対して本研究で使用された配合物は、表18に記載されており、粉中のタンパク質が約30%のユーグレナタンパク質粉、ユーグレナからのβグルカン単離物、および親水コロイド源として作用するためのレディ・トゥ・ゲルβグルカン粉末を含んだ。乾燥成分を一緒に混合し、次いで、水を添加し、混合する。混合物を1分間泡立てる。スクランブル様特性を試験するために、中程度の熱(約170℃)に設定され、大さじ1杯の温めた油(すなわち、野菜、100グラムの液状卵代替品当たり大さじ1杯)を加えたフライパン中に、泡立てられた混合物を注ぐ。泡立てられた混合物は、スクランブルエッグの稠度を得るために、1分~2分毎のスクランブル作用とともに約7分~約9分間油で揚げられる。混合物は、内部の味覚パネリストによって分析された。
【0265】
【0266】
結果および考察:
ユーグレナをベースとする液状スクランブルエッグ代替品は、対照スクランブルエッグと同様の黄色を有していた。この事例では、この配合物には香味剤または他の公知の香味マスキング剤を添加しなかった。このように、この配合物では、味覚パネリストは、ユーグレナタンパク質粉およびエンドウ豆タンパク質のタンパク質源に起因する旨味様の味を検出することができた。タマネギ粉末もしくは塩、ニンニク粉末もしくは塩、および/または栄養酵母粉末は、ユーグレナ液状卵代替品の味を改善するために添加される香味剤であり得る。
【0267】
実施例7:液状卵代替品に関するさらなる研究
本研究では、親水コロイド調質剤/結合剤としてのジェランガム、香味剤としてのタマネギ粉末、およびより高含有量のタンパク質が濃縮されたユーグレナ粉の効果を調査した。
【0268】
材料および方法:
ユーグレナ液状卵代替品を表19に示す。ユーグレナタンパク質粉について、より高いタンパク質を含有する粉の効果を決定するために、37%のタンパク質および48%のタンパク質を含む粉を調査した。この配合物では、マスキング物質/白色剤としてβグルカン単離物を使用しなかった。また、親水コロイドとしてRTGβグルカン粉末を使用しなかった。代わりに、親水コロイドのジェランガムを加えた。最終製品の味を改善するために、タマネギ粉末の香味剤も添加される。
【0269】
混合物を形成するために、ジェランガムを含むすべての乾燥成分を混合し、続いて水を添加し、混合した。混合物を80℃に1時間加熱し、ジェランガムが水和およびゲル化するために、最長2時間加熱した。中程度の熱(約170℃)に設定され、大さじ1杯の温めた油(すなわち、野菜、100グラムの液状卵代替品当たり大さじ1杯)を加えたフライパン中に、混合物を注ぐ。混合物は、スクランブルエッグの稠度を得るために、1分~2分毎のスクランブル作用とともに約7分~約9分間油で揚げられる。混合物は、内部の味覚パネリストによって分析された。結果を確認するために、実験を再度繰り返した。
【0270】
【0271】
結果および考察:
より低含有量のユーグレナタンパク質粉卵試作品(37%のタンパク質含有量)の1時間の熱処理後に、ジェランガムの存在は、液状卵に似た濃厚なゲル様の稠度を作り出し、調理時にスクランブルエッグの所望の食感を補助する。同じ熱処理条件下で1時間および約2時間後でさえ、より高いユーグレナタンパク質含有量(47%)を有する試作品では、期待されたゲル様の濃厚な稠度は得られず、混合物は熱処理前とほぼ同じ稠度であったか、またはわずかに濃厚であったに過ぎず、調理には薄すぎて水のようであった。この効果は、実験の反復のいずれにおいても観察された。
【0272】
結論:
理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書で観察された結果は、粉中でより高い濃度のタンパク質を利用し、その結果、タンパク質とジェランガム間の相互作用が、ガムが水和するのを妨げた。これは、タンパク質-ガム相互作用が水-ガム相互作用の形成を妨げ、マトリックス中でのガムの水和およびガムの増粘/ゲル化効果を妨げたことを意味する。
【0273】
実施例8:そのまま飲める飲料
本研究では、タンパク質源としてユーグレナタンパク質粉を使用して、少数のきれいな(clean)成分を加えた栄養価の高い飲料を配合することが目的である。
【0274】
方法および材料:
チョコレート飲料配合物を開発し、唯一のタンパク質源として、異なるパーセンテージ(3%w/w、5%w/w、7%w/w、9%w/w最終生成物)のユーグレナタンパク質粉を試験し、飲料の官能プロファイル(香り、味、口当たり)を評価した。
【0275】
すべての乾燥成分(タンパク質粉、ココア粉)および液体成分(メープルシロップおよび水)を秤量し、しっかり閉まる蓋が付いたガラス容器中に混ぜ合わせる(表20参照)。すべての乾燥成分が分散され、塊が観察されなくなるまで、約2分間撹拌棒を用いて混合物を渦巻き撹拌または撹拌する。飲料は、ハンドヘルド(スタンド)ホモジナイザ(すなわち、OMNI International GLH-01)を用いて、25万rpmに相当する速度設定6で2分間ホモジナイズされる。次いで、ホモジナイズされた飲料を、80℃の水浴中で12分間加熱する。この時間-温度組み合わせは、飲料を含有するガラス容器が15秒間72℃に達する(ミルク低温殺菌基準)ための適切な組み合わせを特定するために、数回の試行の後に達成された。次いで、飲料を3時間冷却し、官能プロファイルについて試験する。
【0276】
【0277】
結果および考察:
ユーグレナ製品を含む上記の飲料配合物は、5.8グラムのユーグレナタンパク質/一杯分、一杯分当たり1.7%のユーグレナ油、および一杯分当たり20.8のβグルカンを有する。一杯分のサイズは200mLまたは250mLである。
【0278】
味プロファイルに関して、上記濃度のユーグレナタンパク質粉では、微かな海洋性の味の違和感が生じるが、より高い濃度からは違和感はそれ程目立たない。その免疫増強効果のために、配合物では、ユーグレナβグルカン単離物を使用した。粘度、口当たりおよび安定性を付与するために飲料製品において一般的に使用されるガムを含めることに代えて、ユーグレナβグルカン単離物RTGを配合物に使用した。
【0279】
実施例9:粉末化された飲料
粉末化された飲料の概要:
本研究では、タンパク質源としてユーグレナタンパク質粉を使用して、きれいな成分を加えた栄養価の高い粉末化された飲料を配合することが目的である。
【0280】
粉末化された飲料の問題および解決策
凝集塊:
ユーグレナタンパク質飲料は、エンドウ豆タンパク質、ユーグレナ粉、アルファ化デンプン、マスキング物質、香料および糖を含有する。このブレンドは、冷水に添加すると大きな塊を形成する。表21および表22は、凝集塊なしで(現在市場に出ている)粉末化された飲料レベルの粘度を達成するために配合物に添加されるアルファ化デンプンおよびTicaloid 620(TICからのローカストビーンガムおよびキサンタンガム混合物)の低下したレベルを有する。
【0281】
海洋風味のマスキング:
粉末化された飲料の開発全体を通じて、様々な天然の香味マスキング剤および香料を試験した。表21および22は、あらゆる海洋風味を除去するのに最も適した香料およびマスキング物質を示している。
【0282】
(表21)マンゴー風味の粉末化されたタンパク質飲料の含有物
【0283】
(表22)チョコレート風味の粉末化されたタンパク質飲料の含有物
【0284】
方法および提供の提案
消費者方法:
消費者は、複数杯分と一杯分の匙とを備える予め混合された包み(premixed package)を受け取る。次いで、消費者は表23に従って調製する。
【0285】
【0286】
提供の仕方の提案/将来の用途:
表21および22は、オーツミルクおよび2%ミルクを用いて試験されており、結果はより濃厚で、より嗜好される(more indulgent)調製飲料であった。したがって、粉末化された飲料の汎用性および将来の粉末化された飲料の研究中に考えられるその他の用途(スムージー、ベーキングなど)の可能性が示される。飲料に適し、消費者試験中に試験される他のミルクまたは乳製品代替物としては、豆乳、豆乳ブレンド、アーモンドミルク、ラクトース不含乳、ココナツミルク、カシューミルクなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0287】
結論および将来の取り組み:
Noblegenの現在の粉末化された飲料は、食感および風味の障害を克服した。現在の風味および配合は、現在の市場製品に対して実際の競合相手となり得る。一杯分は、調製が容易な用途において、一杯分当たり12.6g~14.5gのタンパク質を提供する。砂糖の量を減らし、現行の2つに追加の風味を付加するために、今後、粉末化された飲料への取り組みが為されるであろう。液体飲料に対する研究も検討される。
【0288】
実施例10:ユーグレナをベースとするプロテインバー
本研究の目的は、タンパク質源の一部を置き換えるために、およびバーに栄養プロファイルを与えるために、バー配合物中にユーグレナタンパク質粉を含めることであった(表24参照)。
【0289】
(表24)ユーグレナタンパク質粉バー配合物の成分リスト
【0290】
ユーグレナバーを作製するために、オーブンを350°Fに加熱してアーモンドおよびオート麦を10分間またはちょうど黄金色になるまで焼き、冷却する。冷却後、フードプロセッサ内でアーモンドを粗挽きにし、混合ボウル内に乾燥成分を合わせ、混ぜ合わせるために撹拌して、取り置く。フードプロセッサ中で、約1分、生地ボールの稠度が形成されるまでデーツを処理する。小型の湯煎用二重鍋の中に湿った成分(アガベシロップ、ピーナッツバター、ココナツ油、デーツ)を一緒に合わせ、デーツが湿潤物中に容易に組み込まれるまで加熱し、熱から取り出す。よく混ざり合うまで、スパチュラを用いて湿った成分を乾燥成分中に加える。パラフィン紙を敷いた適切な大きさのバーの型の中に混合物を移し、均一に分布して平らになるまで、スパチュラを使用して、生地をしっかりと型の中に押し込む。バーをパラフィン紙で包み、冷蔵庫に入れて固める。
【0291】
結果および考察:
本配合物は、6.25%のユーグレナ粉および6.25%のβグルカン単離物を最初に試験することによって開発された。各々のパーセンテージを8%および8.5%にそれぞれ増加し、続いてそれぞれ10%および7%に増加した。βグルカン単離物をレシピから除外し、ユーグレナ粉を12.5% 15%、20%、25%および30%に増加させた配合物も試験した。5%および25%ユーグレナ粉のバー内の水分保持能力を試験するために、βグルカン単離物を再度導入した。
【0292】
以下に、以前の配合物試験:メープルシロップ、アガベシロップ、タピオカおよびゴールデンストラップ(Golden Strap)糖蜜、アガベおよびタピオカシロップ、βグルカン単離物、レディ・トゥ・ゲル(RTG)-湿潤ゲル、および香味マスキングを記載する。
【0293】
メープルシロップ:
メープルシロップは、元のレシピに由来するバー内で使用された最初の結合剤/甘味料であった。メープルシロップは良好に機能し、バーに十分な水分を提供し、甘味を伴うよい風味を与えたが、理想的な結合剤ではなかった。また、貯蔵寿命が短かった。メープルシロップは、すべてのユーグレナ粉配合物(上に列記されている、6.25%~30%)において使用された。
【0294】
アガベシロップ:
メープルシロップより高い粘度を有し、より優れた結合特性を有する可能性があるため、アガベシロップを使用した。これは事実であることが観察された。さらに、アガベシロップはメープルシロップより低い血糖指数を有し、エネルギーの持続のために増加した栄養価を与える。このバーには、15%、20%、25%および30%のユーグレナ粉が含まれていた。
【0295】
タピオカおよびゴールデンストラップ糖蜜:
このバーは、30%ユーグレナ粉を含んでいた。タピオカとゴールデンストラップ糖蜜ミックスを結合剤として試験し、結合剤として作用しながら水分を増加させることが予想された。等量のタピオカおよびゴールデンストラップ糖蜜を使用した場合、配合中の水分含有量が低すぎたため、これは起こらなかった。乾燥成分の保湿が不十分であり、得られた食感はゴツゴツしており、取り扱いが困難であり、風味が悪かった。このバーには、30%のユーグレナ粉が含まれていた。
【0296】
アガベおよびタピオカシロップ:
50:50の比のアガベおよびタピオカシロップ混合物を使用した。湿潤物および乾燥物をブレンドしている間、混合物はアガベ単独を使用するより実質的に乾燥していることが認められた。これは、タピオカシロップが極めて粘稠であり、多くの水分を含まないという事実によるものである可能性が高かった。バーを合わせる前に、配合を60:40のアガベ:タピオカの分配に調整した。バーを作る前に新しい比率を均一に分配するために、すべての成分をフードプロセッサに添加した。細断された成分をより多く表面に含むため、フードプロセッサでブレンドされたバーは、元の押し固められた(packed)バーと比較して、より崩れやすかった。このバーには、30%のユーグレナ粉が含まれていた。
【0297】
βグルカン単離物(BGI):
それぞれ6.25%のBGIおよびユーグレナ粉を利用して、最初のバーを作製した。BGIのパーセンテージを増加させ、上に列挙した割合のすべてを試みたが、ほとんど変化は認められなかった。最終のバーはBGIを省略して混ぜ合わせたが、顕著な差は存在しなかった(すなわち、口当たり、味)。バー配合物中でより高いタンパク質含有量を得るために、ユーグレナ粉のパーセンテージを増加させた。ごく最近では、バー内に水分をより長く保持して貯蔵寿命を増大させるのに役立つかどうかを決定するために、バー配合物にBGIが添加される。これは、結合剤としてアガベシロップを加えて、5%BGIおよび25%ユーグレナ粉を利用して行われた。
【0298】
レディ・トゥ・ゲル(RTG)-湿潤ゲル:
レディ・トゥ・ゲル(RTG)バーは、最初、3.29%のRTG、30%のユーグレナ粉、および結合剤としてメープルシロップを使用して作製された。バーの水分含有量の補助を試みるために、RTGは湿潤形態で含められた。理想的には、バーは、60:40の湿潤対乾燥成分を必要とする。RTGは、バーの湿潤:乾燥成分の水分比を全体に増加させる他、水分を添加して貯蔵寿命を増加させると考えられる。しかしながら、バーは見た目がより乾燥しており、切断時によりもろく、薄片が剥がれることが認められた。RTG湿潤ゲルは、見た目から予想されるように水分を保持しなかったが、水分含有量を増加させ、バーの口当たりを改善したようであった。
【0299】
追加の配合物は、望ましくないユーグレナの風味を低減するための様々な天然由来の香味マスキング剤、水分含有量、稠度および風味を最適化するための、玄米シロップ、大麦麦芽シロップ、麦芽抽出物およびオート麦抽出物ブレンドなどの様々な結合剤、ならびにバーの貯蔵寿命を増大させるための保存剤、例えば、ソルビン酸カリウムを試験するであろう。
【0300】
実施例11:ユーグレナをベースとするプロテインバーのさらなる例
概要:
高タンパク質甘味用途でのユーグレナの見本とするために、バー試作品を作製した。バーは、1サービングあたり10グラムまたはそれを超え、5グラムがユーグレナに由来し、ヴィーガン、グルテンフリー、タンパク質含有量未満または同量の糖含有量(タンパク質に富むバーの多くでは一般的ではない)、ユーグレナが最高の包含パーセンテージを有する、を有する/であるべきである。
【0301】
バー中のすべての成分は、その栄養プロファイル、食感/口当たり特性、風味および/またはこれらの特性の組み合わせのいずれかのために選択された。
【0302】
課題および障害:
バーに対する研究の大部分は、風味および口当たりを完璧にすることに費やされた。最初のいくつかの配合は、魅力的でないユーグレナの風味および粉末状の口当たりを有していた。配合に添加された場合にユーグレナの風味を軽減する天然香料および低い糖結合剤。これら2つの添加と合わせて、成分の包含%のいくつかの変更が、表25~表30に見られる現在のバーの配合を形成するのに役立った。
【0303】
現在のバーの配合:
ココナツ柑橘類バー(
図3):
以下は、ココナツ柑橘類バーの製造に関与する成分および過程の例であり、甘味プロテインバー用途におけるユーグレナタンパク質粉の例を与える。柑橘類は、ユーグレナのあらゆる違和感を自然に抑制する(tones done)ので、ユーグレナをベースとしたバーにとって理想的な香料である。
【0304】
【0305】
【0306】
このバーの用途では、16.8%のユーグレナタンパク質粉が含まれており、これにより、5.22gのタンパク質、2.2gのβグルカンがバーに加えられる。バー中の総タンパク質含有量は10.95gであり、総糖含有量は10.56gである。
【0307】
ダークチョコレート、アーモンド、およびクランベリープロテインバー(
図4)
【0308】
(表27)ダークチョコレート、アーモンド、およびクランベリープロテインバーの含有物
【0309】
以下は、ダークチョコレート、アーモンド、およびクランベリープロテインバーの製造に関与する成分および過程の例である。ダークチョコレートに由来する苦味は、ユーグレナの後味に由来し得る苦味の量を低減させるのに役立つ。ユーグレナ風味を打ち消すのを補助するために、少量の天然のレモン風味を配合に加えた。
【0310】
(表28)ダークチョコレート・アーモンド・クランベリーバーの説明書
【0311】
このバーの用途では、15.90%のユーグレナタンパク質粉が含まれており、これにより、4.92gのタンパク質、2.40gのβグルカンがバーに加えられる。バーの総タンパク質含有量は11.20gであり、総糖含有量は10.96gである。
【0312】
ピーナッツバター・チョコレートチップクッキー生地バー
以下は、ユーグレナ粉を使用したピーナッツバターチョコレートチップバーの製造に関与する成分および過程の例である。これは、味がよく、高タンパク質で、表示内容がより明確なプロテインバーの例を提供する。
【0313】
(表29)ピーナッツバター・チョコレートチップクッキー生地バーの含有物
【0314】
(表30)ピーナッツバター・チョコレートチップクッキー生地バーの説明書
【0315】
将来の研究:
今日まで、ユーグレナは主に圧縮されたバー(pressed bar)の形態で使用されてきたが、バーのカテゴリーが、焼いたバー(Baked bar)、グラノーラバー、エナジーボールおよびクリスプバーを含むように、研究は拡大し続けるであろう。
【0316】
ユーグレナは、焼いた食品の中に既に組み込まれており、焼いたバー市場にとって非常に有望である。今後、現行のバーおよびあらゆる圧縮されたバーの糖含有量を減少させ、タンパク質含有量を増加させるための研究も行われるであろう。
【0317】
実施例12:生麺
序論:
麺およびパスタの研究は、タンパク質に富むユーグレナ麺を作ることに焦点を絞ってきた。開発中の麺の種類は、基本のパスタ、グルテンフリーパスタ、ヴィーガンパスタ、そば(そば麺)、30%ヴィーガンユーグレナ麺(なお研究段階)である。
【0318】
現在の配合
以下の表31~表34は、各生地の現在の配合である。Kitchen-Aidスタンドミキサーおよびパスタローラーアッタチメントを備えた消費者スタイルのキッチンで試験を行った。各生地をレベル4の厚さに延ばし、リングイネに切った。
試験は、以下の麺種のそれぞれに対して対照配合を確立することによって行った。次に、生地に応じて、主要な(1つまたは複数の)粉の種類を5%~30%段階的に減らし、理想的な含有パーセンテージが見出されるまで、タンパク質に富むユーグレナ粉と交換した。
【0319】
基本の卵パスタ生地
【0320】
【0321】
20%の含有では、生地を練り、延ばすのは若干より困難であったが、それでも手作業で作業可能であった。市販の機器の使用は、この問題をエレメントするのに役立つ。調理時間は対照と同様の4分であり、ユーグレナの風味は顕著であったが、不快感を生じさせるものではなかった。調理された食感は、対照より濃厚であったが、依然として口当たりが良かった。
図5は、伸ばされた卵生地を示しており、図から明らかなように、ユーグレナのレベルが高いほど、生地はより乾燥し(dryer)、より繊細になる。
【0322】
グルテンフリーパスタ生地
【0323】
【0324】
10%の含有が、グルテンフリー粉を用いて達成可能な最高の含有率であった。対照と比較して生の生地の食感に差は認められず、対照と同じ時間の5分以内に調理にも成功した。調理された生地は、ユーグレナの後味をわずかに有する対照と極めて類似した食感を有していた。
図6から明らかなように、グルテンフリーの生地は本来より密であり、ユーグレナの作業可能な最高含有量は20%であった。
【0325】
卵を含まないパスタ生地
【0326】
【0327】
20%の含有率が、卵を含まないパスタ生地にとって理想的であった。基本の卵パスタ生地(表31)と同様に、ユーグレナをより多く含むにつれて、卵を含まないパスタ生地は次第に伸ばしにくくなったが、市販のパスタ装置を用いれば、これはあまり問題にならないであろう。対照と比較して、この配合は調理するために1分余分にかかり、低~中程度のユーグレナ風味を有していた。調理された質感は対照より密であったが、わずかでしかなく、これはわずかに長い調理時間で修正することができた。
図7が示すように、卵を含まない配合に20%のユーグレナを含めると、対照と比較して密であるが、縁が裂けるだけでなお伸ばされる。
【0328】
そば/そば麺
【0329】
【0330】
そば麺は、本来、中力粉ベースの麺より密である。このため、手で作業可能なユーグレナの最大含有量は10%である。10%を超えるものはすべて、パスタローラーを通して供給されたときに裂ける。調理時間は対照と異ならなかった。全体的な風味および食感は対照と同様であった。そばの天然の風味は、ユーグレナ風味の特徴の多くを除去するのに役立った。
【0331】
将来の研究:
今後、ペースト/麺の焦点は、20gのタンパク質を保ちながら30%ユーグレナの麺とすべきである。ユーグレナの風味を低減するために、天然のマスキング物質を使用することができる。試験過程からの重要な発見は、ユーグレナ粉がより密な生地を生成することであった。30%ユーグレナ配合および他の食感最適化成分を用いて作業するためには、さらなる機器が必要とされることがあり得る。表34(そば/ユーグレナ麺)は、ショウガ、ニンニクおよびみそであえてから試験した。ユーグレナの後味は存在しなかったが、この麺は独特の風味を生み出し、ユーグレナには麺市場の大きな将来性が存在することを証明している。
【0332】
さらなる試験および機器により、ユーグレナ麺は、様々な異なる形状(ペンネ、ロティーニ、スパゲティ)に首尾よく形成され得るか、または詰め物をしたパスタ料理(ラビオリ、カネローニ)に使用され得る。
【0333】
また、うどん、ラーメン、春雨、焼きそばなど、様々なタイプの麺にユーグレナを使用できる可能性も存在する。
【0334】
実施例13:MACおよびチーズ
現在、ユーグレナマカロニおよびチーズの試作品が開発段階にある。目的は、高タンパク質、ヴィーガンおよびグルテンフリー製品を作製することである。これは、予め測定された分量の乾燥麺および粉末化ソースの包みを含有する箱の中に梱包される。消費者は、パスタを調理し、水または消費者が選択したミルク(乳製品または乳製品を含まない)のいずれかでソースを水和させることを担当する。タンパク質の目標は、一食分当たり12グラム~15グラムのタンパク質であり、その半分はユーグレナ由来とすべきである。
【0335】
課題:
味および質感は、この試作品に対する研究の間に対処されている2つの主要な課題である。
【0336】
味:
ユーグレナ粉の天然の風味は香りのよい特徴(savoury note)を有しており、ユーグレナを補完し、本発明者らが得ようと努めている「チーズのような」風味を発するように働く他の香料を使用することによって、本発明者らが不快な風味を軽減するのに役立つであろう。
【0337】
食感:
完成したソースに対して理想的な食感を得るのを補助するために、安定剤およびテクスチャを使用することができる。
【0338】
表35は、古典的な「チェダーチーズマカロニおよびチーズ」に対して行われている作業の例である。
【0339】
【0340】
実施例14:ユーグレナ押出の例
序論:
押出製品は、パスタ、シリアル、パン、食感を整えるように加工された植物性タンパク質(TVP;textured vegetable protein)およびインスタントスナックなどの様々な異なる食品を作るために使用される大量食品加工の一形態である。使用される過程に応じて、インスタントスナックのように製品を膨化させることができ、および/またはTVPのように製品に食感を与えることができる。本実施例では、異なる比率のエンドウ豆タンパク質、米粉とともに、およびマスキング物質を使用してまたは使用せずに、ユーグレナタンパク質粉を押し出した。これは、可能性のある成分代替品として、または押出のための機能性成分として、ユーグレナ粉を際立たせる。
【0341】
材料および方法:
成分としてユーグレナ粉を使用するいくつかの異なる配合物を試験し、ユーグレナ粉、エンドウ豆タンパク質の含有レベルおよびマスキング物質の使用を変化させた(表36)。新鮮さを保つために混合されたトコフェロールを添加しながら、混合物を一緒に結合させるのを補助するために米粉を添加する。最終製品に対してより中性の風味プロファイルを生成するのを補助するために、2つの異なるマスキング物質も配合物中で試験した。
【0342】
乾式押出のための標準的な方法を使用して、0.5分間の滞留時間で生成物を押し出したが、3分まで押し出すことができる。最終生成物は、0.3g/cc~0.4g/ccの膨張比を有する。
【0343】
(表36)試験された押出製品配合物。異なるバージョンにおいて、エンドウ豆タンパク質、ユーグレナタンパク質、およびマスキング物質含有量を変化させた。
【0344】
結果および考察:
押出製品は、外側がカリカリとして、内側がしっかりとした小さなサクサクしたパフをもたらした。マスキング物質ありまたはなしで、同様の結果が異なる比率の間で見られた(
図8および
図9)。これにより、ユーグレナタンパク質粉との混合物の良好な押出しおよびパフが実証された。
【0345】
マスキング物質の効果は、まず製品品質のために使用される。マスキング物質の含有率が最も高いバージョン6は、ユーグレナのマリーナ(marina)風味を取り除いた。おそらくは混合物中の揮発性化合物を中和することによって、貯蔵時間が経過するにつれて、マスキング物質が違和感を減少させることが示された。
【0346】
結論:
本試験では、小さな丸いパフが生成された。将来の配合物は、タンパク質としてのユーグレナ粉の含有率を100%まで、すなわち配合物中の最大75%~80%に変更することができる。エンドウ豆タンパク質を置き換えるために、および/または配合物中のユーグレナ粉を置き換えるために、ユーグレナタンパク質濃縮物および/またはユーグレナタンパク質単離物を使用することができる。ユーグレナのタンパク質に富む粉、濃縮物および単離物の混合物を含む、すべてユーグレナタンパク質をベースとする配合物を得ることが可能である。
【0347】
配合物が別のタンパク質と混合される場合、エンドウ豆以外の他のタンパク質単離物を使用することができる。そのような例としては、大豆、トウモロコシ、小麦、稲、豆、種子、ナッツ、すなわち、アーモンドタンパク質、落花生タンパク質、セイタン、レンズ豆、ヒヨコ豆、亜麻仁、野生の稲、クオーン、チアシード、キヌア、オート麦、空豆、そば、ブルグア、雑穀、微細藻類、イエローピー、緑豆、麻、ヒマワリタンパク質、マメ類が挙げられる。
【0348】
さらに、タピオカデンプン、米デンプン、エンドウデンプン、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、大麦デンプン、モロコシデンプン、バレイショデンプン、サツマイモデンプン、ウコンデンプン、ショウガデンプン、ヤマノイモ属デンプン、ヒシデンプン、クズウコンデンプン、オーツ麦デンプン、バナナデンプン、レンズ豆デンプン、イエローピーデンプン、ヒヨコ豆デンプン、緑豆デンプンおよびアマランスデンプンなどの米粉以外の他のデンプンを使用することもできる。
【0349】
押し出されたパフは、シリアルとして、シリアルバー、グラノーラバー中に、サラダトッピングとしてサラダでの優れたタンパク質源として加えるのがよく、焼いた食品中には組み込まれる。押し出されたパフの用途として適しているのは、パフスナックであり、出来合いの食品スナックとして食べるために粉末状香味料に覆われることができる。
【0350】
湿式押出が使用された場合、湿式押出はさらに製品に食感を与え、パスタ、食感を整えるように加工された(textured)ユーグレナタンパク質、植物をベースとする筋肉類似物、および細かくほぐされた肉(pulled meat)の代替物などの他のものに製品リストを拡張することができる。湿式押出では、膨張によって製品を膨化する代わりに、目的は、異なる標準的な製造方法を通じて混合物に食感を整えることである。1つ注目されるのは、様々なサイズのクランブル(crumble)、または1/4インチ~1インチの大きさのプルドポークもしくはチキンのような材料を用いて、ユーグレナタンパク質をベースとするTVP製品を生成することであり得る。ユーグレナをベースとするソイカール(soy curl)を生成するために使用することもできる。肉代替物の目標は、あらゆる牛肉、豚肉、鶏肉および海産物食品ベースの製品の代替物を生成することである。海産物食品に関しては、カニ/ロブスター、エビ、クラム(clam)、イタヤガイ(scallop)、イカ(calamari)、燻製魚、乾燥海藻スナックおよび肉代替物などのいくつかの異なる海産物食品用途を生成するために、海藻と組み合わせることができる。
【0351】
結論として、膨化した押出製品を作製する上でバージョンが成功し、さらに最適化すると、ユーグレナタンパク質に富む粉またはユーグレナタンパク質の増加が可能である。マスキング物質は、長期にわたって製品の味を安定させるのに役立った。
【0352】
実施例15:様々な食品中でのユーグレナタンパク質の粉(Flour)、濃縮物(Concentrate)、および単離物(Isolate)の含有率(表37)
【0353】
(表37)食品表。点は、食品の種類において使用される可能性が最も高い形態を表すが、パーセンテージの値から明らかなように、前記形態に限定されるものではない。
【0354】
(表38)ユーグレナタンパク質の粉、濃縮物、および単離物を用いた将来の研究のさらなる例
【0355】
表37および38は、ユーグレナからのタンパク質粉、タンパク質濃縮物およびタンパク質単離物の様々な機能的用途を強調している。以下では、品質管理の様々な方法ならびに表37および38に挙げられているような技術について説明する。
【0356】
乳化活性
ユーグレナ粉粉末の5mLの5%懸濁液にキャノーラなどの5mLの油を添加し、混合物を3分間ホモジナイズした。エマルジョンを500rpmで5分間遠心分離した。エマルジョン層の高さは、遠心チューブ上の目盛りを使用して測定した。
【0357】
エマルジョン安定性:
乳化活性と同じ手順であるが、遠心分離の前に試料を水浴中で30分間80℃に加熱した。次いで、試料を冷たい流水下で15分間保持した。
【0358】
発泡能力:
20mLの5%懸濁液を1600rpmで5分間泡立てた。混合物を100mLメスシリンダーに注ぎ、泡の体積を記録した。
【0359】
発泡安定性:
20mLの5%懸濁液を1600rpmで5分間泡立てた。混合物を100mLのメスシリンダーに注ぎ、30秒~60分の範囲の異なる時間間隔後に泡の体積を記録した。
【0360】
見かけの粘度:
三つ組のユーグレナ粉懸濁液(45.0+/-0.05g/255ml蒸留水)を500mlのPyrexビーカー中で作製し、Servodyneミックスコントローラーを使用して、800rpmでのServodyneミキサーヘッドによって20秒間混合し、続いて5分間水和した。各混合物を400mlのトールビーカーに注ぎ、1番または2番のディスクスピンドルを備えたBrookfield Model LVデジタル粘度計を用いて、23Cおよび60rpmで粘度を決定した。スピンドルが正確に10秒間回転した後、粘度の読み取り値を取得した。
【0361】
PDI分析(Ba10-65、AOCS1990):
25℃および1℃の300mlの蒸留水中に各試料を20gずつ2つ組で分散させる。分散液を8,500rpmで10分間ブレンドし、600mlのビーカーに注ぎ、5分間沈降させた。液体の上層を50mlガラス遠心管中にデカントし、2900rpmで10分間遠心分離した。LECO燃焼分析装置を使用して、250mgの上清(%水分散性タンパク質)および250mgの元のユーグレナ粉(%総タンパク質)中のタンパク質含有量を決定した。LECO装置は、高温での純粋な酸素中での燃焼によって試料から窒素を放出する。遊離した窒素は、熱伝導率検出器によって測定され、係数6.25を乗じてパーセントタンパク質に変換される。%PDIは、以下のように計算した。
【0362】
水の吸収:
13mlのSarstedt目盛り付きプラスチック試験管中の0.5gのタンパク質に10mLの水を加えた。5の出力設定で混合物を30秒間超音波処理して、試料を分散させた。混合物を24℃で30分間保持し、次いで、2000rpmで25分間遠心分離した。遊離水の体積を測定し、保持された水を計算し、粉1g当たりの吸収された水のml(+/-0.1ml)として報告した。
【0363】
脂肪の吸収:
落花生油の3ml分量を、13mlの目盛り付きプラスチック試験管中の0.5gのタンパク質に添加した。5の出力設定で内容物を1分間超音波処理して、試料を分散させた。24℃で30分間そのままにした後、チューブを2000rpmで25分間遠心分離した。遊離した油の体積を測定し、粉1g当たりの吸収されたml(+/-0.1ml)として、粉ペレット中に保持された油を表した。
【0364】
ゲル強度:
「ねじり試験」は、ゲル強度を評価するために使用される一般的な試験である。ゲルが破断するかまたは裂けるまで、適切な大きさおよび形状のゲルがレオメータ内でねじられる。次いで、断面を裂いた力の量が計算され、他の官能結果に対して測定することができる。
【0365】
ゲルの強度は、温度、pHおよび食品中のタンパク質誘導体の量によって影響を受ける。タンパク質粉、タンパク質濃縮物および/またはタンパク質単離物を含む食品のゲル強度は、張力計によって測定することができる。圧縮および引張データを通じて、引張強度、すなわちゼラチン状または「ゲル化した」食品を破断点まで引っ張るために必要とされる力の測定値を含む多数の物理的特性を測定することができる、TA.XT ExpressまたはTA.XTPlus(Texture Technologies)、FTC Texture Analyzer(Food Technology Corporation)およびLFRAテクスチャアナライザ(Brookfield Engineering)などのテクスチャアナライザによって、ゲル強度を測定することもできる。テクスチャアナライザは、動物性クラッカーからズッキーニまで、多くのより小さなもののサクサク感(crunchiness)、粘着性(gumminess)、接着性、噛み応え(chewiness)および一般的な食感も試験する。テクスチャアナライザは、材料の引張強度(すなわち、ポンド/インチ2またはpsiで)および圧縮強度(すなわち、psiまたはMPa)を測定する。テクスチャ測定システムの原理は、制御された態様で試験試料を物理的に変形させ、その応答を測定することである。力応答の特性は、特定の官能テクスチャ属性に相関する試料の機械的特性の結果である。テクスチャアナライザは、この手順を自動的に実行し、結果をデジタル数値ディスプレイまたはスクリーン上に視覚的に表示することによってこの原理を適用する。
【0366】
溶解度:
多くの溶解度試験は、緩衝溶液中に公知量のタンパク質を懸濁および撹拌し、続いて遠心分離して不溶性成分を除去し、その後上清のタンパク質分析(比色分析またはケルダール)を行うことに基づいている。
【0367】
保水能力を試験する方法:
遠心分離機:
急速に回転する装置が、力分離のために構成成分に遠心力を加える。したがって、固体から液体が分離されるように、異なる密度の流体が分離される。
【0368】
押圧法:
食品の保水能力は、物質が押圧された後の物質の重量に基づいて計算される。
【0369】
近赤外線分光法は、バルク高水分試料を非破壊的に分析する。
【0370】
SERS(表面増強ラマン分光法)は、食品中の有害または有毒な化合物の存在を検出するために利用されるであろう。
【0371】
滴定装置は、食品中の酸性度および塩を試験するために使用されるであろう。
【0372】
粘度計は、開発された食品の粘度を試験するために使用され、口当たり、温度変化への製品の反応の仕方および製品の広がる能力(spread ability)に関連する結果を効果的に伝える。
【0373】
Bostwick Consistometerは、食品の稠度に関する結果を提供する。
【0374】
本明細書で引用されるすべての各特許、特許出願、刊行物および受託番号の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0375】
本発明の所与の局面、特徴、態様またはパラメータに対する選好および選択は、文脈上別段の指示がない限り、本発明の他のすべての局面、特徴、態様およびパラメータに対するすべての選好および選択と組み合わせて開示されていると見なされるべきである。
【0376】
本開示は様々な態様を参照して開示されているが、本開示の真の精神および範囲から逸脱することなく、他の態様およびこれらの変形が当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような態様および均等な変形を含むと解釈されることが意図される。
【国際調査報告】