(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】低インピーダンス電極構造
(51)【国際特許分類】
A61B 5/287 20210101AFI20220912BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
A61B5/287 200
A61B18/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577526
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 IB2020056234
(87)【国際公開番号】W WO2021001772
(87)【国際公開日】2021-01-07
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リシ マンダ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ペダーセン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ケー. オルソン
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127LL08
4C127LL22
4C160KK03
4C160KK13
4C160KK17
4C160KK36
4C160KK38
4C160MM38
(57)【要約】
電気生理学的測定のためのカテーテルは、近位端及び遠位端を含むカテーテルシャフトを含んでよい。導電体が、カテーテルに取り付けられてよい。いくつかの実施例において、カテーテル先端部は、カテーテルシャフトの遠位端に位置してよい。カテーテル先端部は、導電体及び電極を含んでよい。いくつかの実施例において、導電体は、フレキシブル回路に沿ったトレースであってよい。導電体は、ECUに通信可能に接続されるように構成されてよく、電極は、導電体上に配置されてよい。様々な実施例において、電極の接触面領域は、インピーダンス低減層を含んでよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的測定用のカテーテルであって、
近位端及び遠位端を含むカテーテルシャフトと、
前記カテーテルに取り付けられているとともに、電子制御ユニット(ECU)に通信可能に接続されるように構成された導電体と、
前記導電体上に配置された電極と、
を備え、
前記電極の接触面領域は、インピーダンス低減層を含む、
カテーテル。
【請求項2】
前記導電体は、フレキシブル回路に沿って配置されたトレースである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記インピーダンス低減層は、白金コーティングである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記白金コーティングは、白金イリジウムコーティングである、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記導電体の銅層と前記インピーダンス低減層との間に配置された金層をさらに備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記インピーダンス低減層は、前記インピーダンス低減層を有さない類似サイズの電極と比較して、前記電極におけるインピーダンスを少なくとも50パーセント低減するように構成されている、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記インピーダンス低減層は、1μm~30μmの間の厚さを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記インピーダンス低減層は、前記電極の生体適合性を高めるように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記インピーダンス低減層の前記接触面領域は、1.0mm
2以下である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記インピーダンス低減層の前記接触面領域は、0.5mm
2以下である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記インピーダンス低減層は、1μm~30μmの間の表面粗さを有する表面テクスチャを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
低インピーダンス電極を含むカテーテルを作製する方法であって、
電子制御ユニット(ECU)に通信可能に接続されるように構成された導電体を前記カテーテルに取り付けることと、
前記導電体上にインピーダンス低減層を配置することであって、前記インピーダンス低減層は、組織と接触するための電極として構成される接触面領域を含むとともに、白金又は白金イリジウムを含む群から選択される材料を含む、前記インピーダンス低減層を配置することと、を備える方法。
【請求項13】
フレキシブル回路は、前記導電体の銅層と前記インピーダンス低減層との間に配置された金層を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記インピーダンス低減層は、1μm~30μmの間の厚さを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記接触面領域が、1.0mm
2以下である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記インピーダンス低減層に表面テクスチャを付与することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記表面テクスチャは、1μm~30μmの間の表面粗さを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
レーザを使用して、前記表面テクスチャを付与することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記導電体を前記カテーテルに取り付けることは、前記導電体を含むフレキシブル回路を前記カテーテルに取り付けることをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記導電体を前記カテーテルに取り付けることは、前記導電体をバスケットカテーテルのスパインに取り付けることを備える、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カテーテルに関し、例えば様々な医学的状態の診断又は治療のためのカテーテルなどに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、長年、心臓の医療処置に使用されてきた。カテーテルは、例えば、より侵襲的な処置でなければアクセス不可能である体内の特定の位置に配置されている間に、心臓不整脈を診断及び治療するために使用され得る。一般に、マッピングカテーテルは、電気生理学的診断をし、体内の組織の三次元モデルを生成するために使用され得る。アブレーションカテーテルなどの他のカテーテルは、心臓不整脈の治療に使用され得る。カテーテルには、マッピング機能とアブレーション機能の両方を実行するように構成されているものもある。マッピングカテーテルに関して、カテーテルの先端部は、組織内の電気生理学的信号(例えば、生体信号)を測定するための1つ又は複数の電極を有することが多い。マッピングカテーテルには、様々な構成が存在する。電気生理学的測定を行うための単一の電極を有するマッピングカテーテルもあれば、電極アレイなど、組織に沿った様々な位置で同時に測定値を収集するための複数の電極を含むマッピングカテーテルもある。より大量の測定データを収集するために、カテーテル上の電極の数を増加させることが望ましい場合がある。場合によっては、同時データの収集は、マッピング及び診断の目的でも有利であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
体内の幾何学的な限界のせいで、電極の配置及びカテーテル上の電極の数を増やして使用することの両方が、課題を引き起こし得る。電極のサイズ及び電極の間隔を縮小させることにより、カテーテル上の電極の数及び密度を増加させることができる。しかしながら、電極のサイズを縮小すると、それに応じて、電気生理学的測定値を収集するための電極の表面積も縮小してしまう。電極のサイズ縮小に伴い、場合によっては、電極の電気的性能が影響を受ける可能性がある。前述の議論は、本発明の分野を説明することのみを意図しており、特許請求の範囲を否定するものとして解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、高密度のマッピングカテーテル先端と、例えば、高周波(RF)アブレーションを使用して心臓不整脈を診断及び治療するためのマップアブレーションカテーテル先端と、に関する。特に、本開示は、可撓性を有する高密度のマッピングカテーテル先端、及び高密度のマッピング電極を搭載し得る可撓性を有するアブレーションカテーテル先端に関する。いくつかの実施形態において、カテーテルは潅注を含んでもよい。
【0005】
一実施例において、電気生理学的測定のためのカテーテルは、近位端及び遠位端を含むカテーテルシャフトを含んでよい。カテーテルに取り付けられた導電体。一実施例において、カテーテル先端部は、カテーテルシャフトの遠位端に配置されてよい。カテーテル先端部は、導電体及び電極を含んでよい。いくつかの実施例において、導電体は、フレキシブル回路に沿ったトレースであってよい。導電体は、電子制御ユニット(ECU)に通信可能に接続されるように構成されてよい。電極は、導電体上に配置されてよい。電極の接触面領域は、インピーダンス低減層を含んでよい。
【0006】
様々な実施例において、インピーダンス低減層は、白金コーティング又は白金イリジウムコーティングであってよい。いくつかの実施例において、インピーダンス低減層の厚さは、1μm~5μmの間、又は1μm~30μmの間(両端を含む)であってよい。電極の接触面領域又はインピーダンス低減層は、1.0mm2、0.5mm2、又はより小さい面積を含んでよいが、これらに限定されない。一実施例において、インピーダンス低減層は、インピーダンス低減層を有さない類似サイズの電極と比較して、電極におけるインピーダンスを少なくとも50%低減するように構成されてよい。別の実施例において、インピーダンス低減層は、例えば、金でコーティングされた接触面領域を含む電極と比較して、電極の生体適合性を高めるように構成されてよい。中間層(例えば、金層)が、導電体の銅層とインピーダンス低減層との間に配置されてよい。さらなる実施例において、インピーダンス低減層は、例えば1μm~30μmの間の表面粗さなどの表面粗さを有する表面テクスチャを含んでよい。
【0007】
別の実施例において、低インピーダンス電極を含むカテーテルを作製する方法は、カテーテルの遠位端に位置するカテーテル先端部に導電体を取り付けるなど、カテーテルに導電体を取り付けることを含んでよい。導電体は、電子制御ユニット(ECU)に通信可能に接続されるように構成されてよい。さらなる実施例において、本方法は、導電体上にインピーダンス低減層を配置することを含んでよい。一実施例において、この方法は、フレキシブル回路をカテーテルに取り付けることを含んでよく、該フレキシブル回路は、導電体及びインピーダンス低減層を含む。導電体は、フレキシブル回路の誘電層に沿って配置されてよく、インピーダンス低減層は、導電体上に配置されてよい。さらなる実施例において、フレキシブル回路をカテーテルに取り付けることは、フレキシブル回路をバスケットカテーテルのスパインに取り付けることを含んでよい。
【0008】
一実施例において、インピーダンス低減層は、組織と接触する電極として構成された接触面領域を含んでよい。さらなる実施例において、インピーダンス低減層は、白金又は白金イリジウムを含む群から選択される材料を含んでよい。
【0009】
一実施例において、インピーダンス低減層は、1~5μmの間、又は1~30μmの間(両端を含む)の厚さを含んでよい。いくつかの実施例において、接触面領域の大きさは、1.0mm2未満又は0.5mm2未満を含んでよいが、これらに限定されない。様々な実施例では、フレキシブル回路は、導電体の銅層とインピーダンス低減層との間に金層を含んでよい。場合によっては、インピーダンス低減層は、表面テクスチャを含んでよい。例えば、表面テクスチャは、1μm~30μmの間の表面粗さを含んでよい。表面テクスチャは、レーザを使用して形成されるなど、様々な手段によって付与されてよい。
【0010】
本開示の前述及び他の態様、特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読むこと、ならびに添付の図面を検討することから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】体内で医療デバイスをナビゲートし、操作するためのシステムの一例を示す。
【
図2】バスケットカテーテルの少なくとも1つのスパインに沿った1つ又は複数の電極の一例を示す。
【
図3】1つ又は複数の電極を含むフレキシブル回路の平面図の一例を示す。
【
図4】インピーダンス低減層を有する少なくとも1つの電極を含むカテーテルの部分断面の一例を示す。
【
図5】インピーダンス低減層を有する少なくとも1つの電極を含むカテーテルの部分断面の別の実施例を示す。
【
図6】小型電極の可撓性アレイを含むカテーテルの先端部の一例を示す。
【
図7】表面テクスチャを含むインピーダンス低減層の一例を示す。
【
図8】表面テクスチャを含むインピーダンス低減層の別の実施例を示す。
【
図9】表面テクスチャを含むインピーダンス低減層のさらなる例を示す。
【
図10】インピーダンス低減層を有する複数の電極を有するフレキシブル回路を含むアブレーションカテーテルの一例を示す。
【
図11】種々の電極の実施例におけるインピーダンス測定値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
可撓性を有する高密度のマッピングカテーテル、マップアブレートカテーテル、ならびにアブレーション治療カテーテルのための電極などの、電極のいくつかの実施形態が本明細書で開示される。一般に、これらの種々のカテーテルの先端部は、患者の電気生理学的信号を測定するための、又は患者の組織にアブレーション治療を行うための、1つ又は複数の電極を備える。電極のサイズ及び間隔を小さくすると、先端部に沿って電極の数及び密度を増やすことができ、先端部自体のサイズを小さくすることができ、製造コストを低減することができる。しかしながら、電極のサイズ縮小に伴い、電極の表面積の縮小に起因して、電極と電極に接触している組織との間のインピーダンスは大きくなる。本発明の発明者らは、白金又は白金イリジウム(PtIr)の表面コーティングなどのインピーダンス低減コーティングを有する電極は、電極と電極に接触する組織との間のインピーダンスを低減できることに気づいた。本開示の様々な実施形態の詳細は、特定の図面を参照して以下に記載される。
【0013】
図1は、体112内で医療デバイスをナビゲートし、操作するためのシステム100の一実施例を示す。図示の実施例では、医療装置は、アブレーションカテーテルなどのカテーテル102を備える。カテーテル102は、体112から分解されて図示されている心臓(例えば、組織116)に入っているところを概略的に示されている。本実施例では、カテーテル102は、マッピングカテーテルとして描かれている。しかしながら、システム100は、診断又は治療のために体112の内部で使用される多種多様な医療デバイスに関連して用途を見出すことができることを理解されたい。さらに、システム100は、心臓組織116以外の体112の部分の診断又は治療に使用される医療装置をナビゲートするために使用可能であることが理解されるべきである。システム及び要素のさらなる説明は、2013年3月15日に出願された米国特許出願第13/839,963号に含まれ、これは、本明細書に完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
カテーテル102は、ハンドル124と、ハンドル124の近位端にあるケーブルコネクタ又はインターフェース126と、シャフト104(本明細書ではカテーテルシャフトとも呼ばれる)とを含んでよい。シャフト104は、近位端130、遠位端132を含んでよい。先端部106は、遠位端132に配置されてよい。ハンドル124は、医師がカテーテル102を保持するための場所を提供し、さらに、体112内でシャフト104を操作又は案内するための手段を提供してよい。例えば、ハンドル124は、ハンドル124からシャフト104の遠位端132までカテーテル102を通って延びる1つ又は複数のプルワイヤの長さを変化させる手段を含んでもよい。ハンドル124の構成は、変更することができる。
【0015】
シャフト104は、ポリウレタンなどの従来の材料から作製されてよく、導電体156、流体、又は外科用工具を収容及び/又は移送するように構成された1つ又は複数の管腔を画定してよい。シャフト104は、従来のイントロデューサを介して、ボディ112内の血管又は他の構造に導入されてよい。次いで、シャフト104は、ガイドワイヤ、プルワイヤ、又は遠隔制御誘導システムを含む当技術分野で公知の他の手段を使用して、組織116などの所望の位置へと体112内で操作又は誘導されてよい。シャフト104はまた、流体(潅注流体及び体液を含む)、薬剤、及び/又は外科用工具もしくは器具の移送、送達、及び/又は除去を可能にしてよい。シャフト104を体112内の領域に導入するために、様々な方法を使用してもよいことに留意されたい。これには、イントロデューサ、シース、ガイドシース、ガイド部材、ガイドワイヤ、又は他の類似の装置が含まれ得る。説明を容易にするために、全体を通して、「イントロデューサ」という語を使用することとする。
【0016】
いくつかの実施例では、システム100は、位置決めシステムと、ディスプレイ140と、電子制御ユニット(ECU)142とを含んでよい。ECU142は、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)などを含んでよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、ECUは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、及び電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)などのメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、フラッシュメモリなどを含んでよい。
【0017】
電界ベースの位置決めシステム136又は磁界ベースの位置決めシステム138などの位置決めシステムは、カテーテル102、先端部106、及び体112内の類似装置の位置及び向きを特定するために提供される。例えば、先端部106の位置又は向きは、先端部106の1つ又は複数の電極(例えば、位置電極134など)の基準又は位置に基づいてよい。いくつかの実施例では、位置電極134は、
図1の実施例に示すようなリング電極を含んでよい。システム136は、例えば、ミネソタ州セントポールのAbbott Laboratoriesによって販売されるEnSite(商標) NavX(商標)システムを備えてよく、これは、例えば、「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location Mapping in the Heart」という名称の米国特許第7263397号に記載されており、その開示全体は、参照によって本明細書に完全に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。システム136及びシステム138は、例えば、ミネソタ州セントポールのAbbott Laboratoriesによって販売されているEnSite Precision(商標)システムを備えてよい。システム136は、低振幅電気信号が胸郭を通過するときに体112が分圧器(又はポテンショメータ又はレオスタット)として作用して、カテーテル102上の1つ又は複数の電極(例えば、位置電極134)で測定された電位又は電界強度が、オームの法則及び基準電極(例えば、冠状静脈洞内にある)の相対位置を用いて、一対の外部パッチ電極に対するカテーテル102の位置を特定するために使用されるという原理に基づいて動作する。
【0018】
図1に示す構成では、電界ベースの位置決めシステム136は、3次元座標系146内でカテーテル102の位置を特定する際に使用される電気信号を生成するために設けられた3対のパッチ電極144をさらに含む。パッチ電極144は、組織116に関する電気生理学的(EP)データ(例えば、電気生理学的信号)を生成するためにも使用されてよい。体112内で軸特有の電界を生成するために、パッチ電極は、体112の対向する表面(例えば、胸部及び背部、胸部の左側及び右側、ならびに首及び脚)に配置され、ほぼ直交するX軸、Y軸、及びZ軸を形成する。基準電極は、通常、胃の近くに配置され、基準値を提供し、ナビゲーションシステムの座標系146の原点として機能する。
【0019】
図1に示すこの例示的な電界ベースの位置決めシステム136によれば、パッチ電極は、右側パッチ144X1、左側パッチ144X2、首パッチ144Y1、脚パッチ144Y2、胸部パッチ144Z1、及び背部パッチ144Z2を含み、各々のパッチ電極は、スイッチ148(例えば、多重スイッチ)と信号発生器150に接続される。パッチ電極144X1、144X2は、第1(X)軸に沿って配置され、パッチ電極144Y1、144Y2は、第2(Y)軸に沿って配置され、パッチ電極144Z1、144Z2は、第3(Z)軸に沿って配置される。各パッチ電極対に正弦波電流が流され、カテーテル102に関連する1つ又は複数の位置センサ(例えば、位置電極134)の電圧の測定値が取得される。測定された電圧は、パッチ電極から位置センサまでの距離の関数である。測定された電圧は、基準電極における電位と比較され、ナビゲーションシステムの座標系146内で位置センサの位置が特定される。
【0020】
本実施例における磁界ベースの位置決めシステム138は、磁界を使用して、体112内のカテーテル102の位置及び向きを検出する。システム138は、MediGuide Ltd.によって入手可能にされているGMPSシステムを含んでよく、このGMPSシステムは、例えば、「Medical Imaging and Navigation System」という名称の米国特許第7,386,339号に一般的に示されて記載されており、その開示全体は、参照によって、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。このようなシステムでは、体112内に磁界を生成し、磁界の強度、向き、及び周波数を制御するために直交して配置された3つのコイル(図示せず)を有する磁界発生器152を採用してよい。磁界発生器152は、患者より上又は患者より下(例えば、患者テーブルの下)、又は別の適切な位置に配置されてよい。コイルによって磁界が生じ、カテーテル102に関連する1つ又は複数の位置センサの電流又は電圧の測定値が得られる。測定された電流又は電圧は、コイルからセンサまでの距離に比例するので、システム138の座標系154内でセンサの位置を特定することができる。
【0021】
カテーテル102が体112内および電界ベースの位置決めシステム136によって生成された電界内で移動すると、位置電極134からの電圧読み取り値が変わり、それによってシステム136によって確立された電界内及び座標系146内のカテーテル102の位置が示される。位置電極134は、位置信号をECU142に伝えるように適応されてよい。
【0022】
カテーテル102は、治療ならびにジオメトリモデリング又は電気生理学的マッピングを行うように構成されてよい。いくつかの実施例では、カテーテル102は、組織からの電気生理学的信号を検出するように構成された、又は組織をアブレーションするためのエネルギーを提供するように構成された少なくとも1つの電極108を含んでよい。一実施形態では、電極108は、アブレーションエネルギーを電極108に供給するように適応された電気信号の送達のために、アブレーションジェネレータ122に通信可能に接続されてよい。いくつかの実施例では、カテーテル102は、ポンプ120を通して生理食塩水などの生体適合性潅注流体を送達するために、流体源118に任意で接続されてよい。ポンプ120は、図示のように、流体源118からの重力送り供給を有する固定速度ローラポンプ又は可変容量シリンジポンプを含んでよい。コネクタ126は、ポンプ120及びアブレーションジェネレータ122から延びる導管又はケーブルのための機械的、流体的、及び電気的接続を提供する。カテーテル102はまた、温度センサ、追加の電極、及び対応する導体又はリード線など、本明細書に図示されていない他の従来要素を含んでよい。
【0023】
ECU142は、カテーテル102、アブレーションジェネレータ122、及び磁界ベースの位置決めシステム138の磁界発生器152を含む、システム100の種々の要素の操作を制御するための手段を提供する。ECU142はまた、組織116の電気生理学的特性(例えば、信号)の特定、組織116及び体112に対するカテーテル102の位置及び向きの特定、組織116のアブレーションの制御、又はこれらの任意の組み合わせための手段を提供してよい。ECU142はまた、ディスプレイ140を制御するために使用されるディスプレイ信号を生成するための手段を提供する。
【0024】
ディスプレイ140は、診断及び治療を補助する目的で、医師に情報を伝達するために提供される。ディスプレイ140は、1つ又は複数の従来のコンピュータモニタ又は他のディスプレイ装置を備えてよい。ディスプレイ140は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を医師に提示してよい。GUIは、例えば、組織116のジオメトリの画像、組織116に関連する電気生理学的データ(例えば、電極108からの信号のマップ)、様々な位置電極134についての経時的な電圧レベルを示すグラフ、およびカテーテル102及び他の医療装置の画像、並びに組織116に対するカテーテル102の位置及び他の装置の位置を示す関連情報、を含む様々な情報を含んでよい。
【0025】
図2は、バスケットカテーテルなどのカテーテル202の先端部206の一実施例を示し、バスケットカテーテルの少なくとも1つのスパイン203に沿って1つ又は複数の電極208を含む。
図2の実施例では、カテーテル202は、
図1で前述したように、患者の心臓内の電気生理学的信号をマッピングするために使用可能なマッピングカテーテルであってよい。様々な実施例において、カテーテル202は、マッピングカテーテル、アブレーションカテーテル、電気生理学的信号を感知するためのカテーテル、又は他の種類のカテーテルであってよい。
【0026】
図2の実施例では、カテーテル202は、スパイン203に沿って分布された複数の電極208を含んでよい。いくつかの実施例では、電極208の密度を高くすることによって、カテーテル202(例えば、カテーテルの先端部206)に沿って電極208の数を増加させること、組織内(及び、状況に応じて、組織の電気生理学的マップ内)の電気生理学的信号の測定の解像度を上げること、又はこれらの組み合わせ、を提供することができる。電極208の密度は、電極208の間隔を縮小すること、電極208の接触面領域A1を縮小すること、又はこれらの両方によって、高めることができる。電極208の接触面領域A1を縮小する場合、それに伴って、組織と組織に接触している電極208との間のインピーダンスが大きくなり得る。例えば、電気生理学的信号のインピーダンスは、抵抗成分及びリアクタンス成分を含み得る。抵抗成分及びリアクタンス成分は、電極208の接触面領域A1の縮小に応じて大きくなり得る。別の実施例では、リアクタンス成分は、電気生理学的信号の周波数が減少するにつれて、抵抗成分よりも速い速度で大きくなり得る。さらなる実施例において、リアクタンス成分は、接触面領域A1が縮小するにつれて、抵抗成分よりも速い速度で大きくなり得る。したがって、接触面領域A1の縮小、電気生理学的信号の周波数の減少、又はこれらの組み合わせに応じて、リアクタンス成分が大きくなり得る。
図2~
図10の実施例では、電極は小型電極であってよい。本明細書で議論するように、小型電極は、1平方ミリメートル未満の接触面領域A1を有してよい。電極208は、一般に、電極のインピーダンスを低減するため、またいくつかの実施例では、小サイズ電極の大きいインピーダンスを軽減するために、インピーダンス低減コーティング(
図4及び
図5の実施例に示され、本明細書でさらに説明される)を含んでよい。
【0027】
いくつかの実施例では、1つ又は複数の電極208は、フレキシブル回路210上に配置されてよい。フレキシブル回路210は、カテーテル202のシャフト204に取り付けられてよい。例えば、
図2の実施例に示すように、フレキシブル回路210は、フレキシブル回路210をシャフト204のジオメトリに合わせるための相補的な形状を含んでよい。
【0028】
図3は、
図2の実施例に示されるフレキシブル回路210などのフレキシブル回路210の平面詳細図の一例を示す。フレキシブル回路210は、複数の電極208(例えば、本明細書でさらに示され、記載される電極)を含んでよい。例えば、フレキシブル回路210は、誘電層312と、電極208と、複数の導電体314とを含んでよい。フレキシブル回路、誘電層、電極、及び導電体のさらなる実施例は、
図4及び
図5に示され、説明される。導電体は、ECU(
図1に示され、本明細書で説明される)にそれぞれの電極208を通信可能に接続してよい。誘電層312は、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、様々なフルオロポリマー、コポリマー、又は他の適切な可撓性基材といった電気絶縁性ポリマーを含んでよい。電極208は、誘電層312の第1の面に沿って配置されてよい。一実施例では、接着剤(
図4及び
図5の実施例に示す)で、誘電層の第2の面を、スパイン203(
図2の実施例に図示される)、カテーテル302の基材、又はカテーテル302のシャフトに取り付けてよい。他の実施例では、フレキシブル回路310は、熱かしめ、インサート成形、アディティブマニュファクチャリング、超音波溶接、機械的締結などの様々な他の手段によって、カテーテル302に取り付けられてもよい。
【0029】
図3の実施例では、フレキシブル回路210の形状(外形)は、カテーテルのジオメトリに合うように構成されている。フレキシブル回路210は、電気生理学、アブレーション療法、又は他の医学的診断や治療のために利用可能な任意の形状及びサイズであってよい。電極208は、フレキシブル回路210に沿って、例えば、千鳥状パターン、円状パターン、グリッドパターン、ダイヤモンドパターン、又は他のパターンといった様々なパターンで配置されてよい。一実施例では、電極208の接触面領域A2は、丸形状、卵形状(
図2及び
図3の実施例に示す)、リング形状、長方形状、細長形状、又は他の形状などの様々な形状であってよい。
図3に示すように、フレキシブル回路210の形状は、フレキシブル回路210に沿って配置される電極208のパターンを収容してよい。いくつかの実施例では、電極208などの電極は、
図4に示され本明細書で説明されるように、インピーダンス低減層を含んでよい。他の実施例では、電極は、
図5の実施例に示され本明細書で説明されるように、インピーダンス低減層及び中間層を含んでよい。
【0030】
図4は、カテーテル402の部分断面の一例を示し、カテーテル402は、その上に配置された少なくとも1つの電極408を含む。
図4の実施例では、電極408はインピーダンス低減層418を含む。図示されるように、電極408は、フレキシブル回路410に含まれてよい。フレキシブル回路410は、スパイン203又はカテーテルシャフト204(
図2~
図3に図示される)などのカテーテル402の基材404に取り付けられてよい。一実施例では、フレキシブル回路410を基材404に取り付けるために、誘電体層412と基材404との間に接着剤423が配置されてよい。フレキシブル回路410は、
図4の実施例に示すような単層フレキシブル回路であってもよいし、又は多層フレキシブル回路であってもよい。
図4の実施例では、フレキシブル回路410は、第1誘電層412と、導電体414と、第2誘電層416と、インピーダンス低減層418を含む電極408とを含んでよい。前述のように、誘電層412又は誘電層416といった誘電層は、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、様々なフルオロポリマー、コポリマー、又は他の適切な可撓性基材などの電気絶縁性ポリマーを含んでよい。導電層を第1誘電層412上に配置して、導電体414を形成してもよい。導電体414は、銅、銅ニッケル合金、インコネル、銀充填型エポキシ、カーボン、アルミニウム、金、銀、白金などを含む材料から構成されてよいが、これらに限定されない。様々な実施例では、導電体414は、接着材を用いて第1誘電層412に貼り付けられる金属膜であってもよいし、あるいは誘電層142に電着されてもよい。一実施例では、導電層をエッチングして、導電体414を形成してよく、例えば、電極408とECUとの間で電気信号を送るための電気トレースのジオメトリを形成してよい。導電体414は、10μm~125μmの間、好ましくは25μm~125μmの間(両端を含む)の厚さT1を含んでよい。
【0031】
さらなる実施例では、導電体414は、カテーテル402のスパイン(例えば、スパイン203)、シャフト(例えば、シャフト104)、又は先端部(例えば、先端部206)などのカテーテル402の基材404に直接取り付けられてよい。一実施例では、導電体414は、接着材で基材404につけられる金属フィルムであってよい。他の様々な実施例では、導電体414は、電着、エアロゾルジェット、蒸着、化学蒸着などを使用して基材404に適用されてよい。
【0032】
インピーダンス低減層418は、導電体414上に配置されてよい。インピーダンス低減層418は、組織と導電体414との間のインピーダンスを低減することができる。本明細書でさらに議論されるように、インピーダンス低減層418は、白金(Pt)、白金イリジウム(PtIr)などを含んでよい。インピーダンス低減層418が白金又は白金イリジウムを含む場合、インピーダンス低減層418は、金メッキされた接触面領域を含む電極と比較して、電極の生体適合性を高めることができる。いくつかの実施例では、インピーダンス低減層418は、表面テクスチャであってもよいし、又は組織と電極408との間のインピーダンスを低減するように構成された表面テクスチャと組み合わされてもよい。インピーダンス低減層418は、例えば、電着、蒸着、化学蒸着、エアロゾルジェット、箔の貼り付け、又はインピーダンス低減層を適用する他の種類の方法を含む1つ又は複数の手段によって、導電体414上に配置されてよいが、これらの手段に限定されない。インピーダンス低減層418は、1μm~30μmの間、好ましくは1μm~5μmの間(両端を含む)の厚さT2を含んでよい。さらなる実施例では、導電体414は、カテーテル402のスパイン(例えば、スパイン203)、シャフト(例えば、シャフト104)、又は先端部(例えば、先端部206)などのカテーテル402の基材404に直接取り付けられてよい。
【0033】
第2誘電層416は、導電体414を電気的に絶縁して保護するために、導電体414を覆うように配置されてよい。第2誘電層416は、体内組織に接触する接触面領域を提供するために電極408を露出させるための、1つ又は複数の開口420を含んでよい。いくつかの実施例では、開口420は、レーザ切断、パンチング、エッチングなどによって形成されてよい。
図4の実施例では、電極408の接触面領域は、開口420を通って延在してよい。他の実施例では、第2誘電層416は、導電体414だけでなく、電極408(例えば、インピーダンス低減層418)の一部を覆うように配置されてよい。従って、第2誘電層416は、導電体414、第1誘電層412、又はこれらの組み合わせといったフレキシブル回路410への電極408の取り付け強度を高めることができる。第1誘電層412、第2誘電層416、又はこれらの両方は、25μm~125μmの間、好ましくは25μm~50μmの間(両端を含む)の厚さを含んでよい。
【0034】
図5は、カテーテル502の部分断面の一例を示し、カテーテル502は、その上に配置された少なくとも1つの電極508を含む。
図5の実施例では、電極508は、インピーダンス低減層518及び中間層522を含む。一実施例では、導電体514は、カテーテル502のスパイン(例えば、スパイン203)又はシャフト(例えば、シャフト104)などのカテーテル502の基材504に直接取り付けられてよい。電極508は、導電体514に電気的に接続されてよく、例えば、導電体514上に配置されてよい。基材504上(例えば、カテーテル先端部上、スパイン上、又はシャフト上)に導電体514を配置する1つ又は複数の手段は、電着、蒸着、化学蒸着、エアロゾルジェット、箔の貼り付け、又は中間金属層を適用する他の方法を含んでよいが、これらの手段に限定されない。
【0035】
さらなる実施例では、カテーテル502のシャフト、スパイン、又はアームなどといったカテーテル502に、フレキシブル回路510が取り付けられてよい。本明細書で論じられるように、フレキシブル回路510は、単一層フレキシブル回路であってもよいし、又は多層フレキシブル回路であってもよい。
図5に示されるように、フレキシブル回路510は、第1誘電層512と、導電体514と、第2誘電層516と、電極508(インピーダンス低減層518及び中間層522を含む)とを含んでもよい。前述のように、誘電層512又は誘電層516といった誘電層は、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、様々なフルオロポリマー、コポリマー、又は他の適切な可撓性基材などの電気絶縁性ポリマーを含んでよい。一実施例では、フレキシブル回路510を基材504に取り付けるために、接着材523が、誘電層512と基材504との間に配置されてよい。導電体514を形成するために、第1誘電層512上に導電層が配置されてよく、導電体514を電気的に絶縁し保護するために、第2誘電層516は導電体514を覆うように配置されてよい。
【0036】
中間層522は、導電体514上に配置されてよく、インピーダンス低減層518は、中間層522上に配置されてよい。従って、中間層522は、導電体514とインピーダンス低減層518との間に配置されてよい。一実施形態では、中間層522は、導電体514の材料及びインピーダンス低減層518の材料と相性の良い材料を含んでよい。例えば、中間層522は、導電体514とインピーダンス低減層518との間の接着を容易にしてよい。一実施例において、中間層522は、金又は金合金を含んでよい。さらなる実施例において、中間層522は、無電解ニッケル浸漬金(ENIG)又は無電解ニッケル無電解パラジウム浸漬金(ENEPIG)を含んでよい。さらなる実施例において、中間層は、白金(Pt)層を含んでよく、インピーダンス低減層は、白金イリジウム(PtIr)層を含んでよい。中間層522を導電体514上に配置する1つ又は複数の手段は、電着、蒸着、化学蒸着、エアロゾルジェット、箔の貼り付け、又は中間金属層を適用する他の方法を含んでよいが、これらの方法に限定されない。いくつかの実施例において、中間層522は、1μm~25μmの間(両端を含む)、好ましくは5μm~15μmの間(両端を含む)、又はより好ましくは10μmの厚さT3を含んでよい。
【0037】
インピーダンス低減層518は、組織と導電体514との間のインピーダンスを低減することができる。本明細書で議論するように、インピーダンス低減層518は、白金(Pt)、白金イリジウム(PtIr)などを含んでよい。いくつかの実施例において、インピーダンス低減層518は、表面テクスチャであってよく、又は組織と電極508との間のインピーダンスを低減するように構成された表面テクスチャと組み合わせられてもよい。インピーダンス低減層518は、例えば、電着、蒸着、化学蒸着、エアロゾルジェット、箔(本明細書に記載されるようなインピーダンス低減材料を含む)の張り付け、又はインピーダンス低減層518を適用する他の方法を含む1つ又は複数の手段によって、中間層522上に堆積されてよいが、これらの手段に限定されない。インピーダンス低減層518は、1μm~30μmの間、好ましくは1μm~5μmの間(両端を含む)の厚さT4を含んでよい。
【0038】
第2誘電層516は、導電体514を絶縁し保護するために、導電体514を覆うように配置されてよい。第2誘電層516は、体内組織に接触する接触面領域を提供するために電極508を露出させるための、1つ又は複数の開口520を含んでよい。いくつかの実施例において、開口520は、レーザ切断、パンチング、エッチングなどによって形成されてよい。
図5の実施例において、電極508の接触面領域は、開口520を通って延在してよい。他の実施例において、第2誘電層516は、導電体514だけでなく、電極508(例えば、インピーダンス低減層518)の一部も覆うように配置されてよい。従って、第2誘電層516は、導電体514、第1誘電層512、又はこれらの組み合わせといったフレキシブル回路510への電極508の取り付け強度を増大させることができる。第1誘電層512、第2誘電層516、又はこれらの両方は、25μm~125μmの間、好ましくは25μm~50μmの間(両端を含む)の厚さを含んでよい。
【0039】
図6は、小型電極のフレキシブルアレイを含むカテーテル602の先端部606の一例を示す。
図6の実施例では、アレイは、可撓性フレームワークを形成する隣り合って長手方向に延在する4つのアーム624A~Dを含む小型電極の平面アレイ(又は「パドル」構成)であり、複数の電極が可撓性フレームワークに沿って結合されている。例えば、一実施例において、アレイは、長さ1.0mm×直径0.8mmの32個のリング電極608を含んでよい。他の実施例では、電極608は、1.0mm
2未満(例えば、0.5mm
2)の接触面領域、又は0.3mm
2~1.0mm
2の間の接触面領域を含んでよい。
図6に示すように、アームは、第1外側アーム624Aと、第2外側アーム624Dと、第1内側アーム624Bと、第2内側アーム624Cとを含んでよい。これらのアーム624A~Dは、互いに横方向に離間されている(例えば、約3.3mmだけ離間されている)。4つのアーム624A~Dの各々は、それぞれのアーム624A~Dの長さに沿って間隔を空けて配置された8つの電極608を担持している。図示の実施例では、これらの電極は、互いに約1.0mmだけ長手方向に離間されている。
図6には、4つのアーム624A~Dが示されているが、アレイに含まれるアームは、4つより多くてもよいし、4つより少なくてもよい。
【0040】
図6の実施例では、電極608は、フレキシブル回路610A~Dなどの1つ又は複数のフレキシブル回路上に配置されてよい。フレキシブル回路610A~Dは、
図2~
図5の実施例に示され本明細書で説明されるフレキシブル回路210~510に関して本明細書で示され説明される特徴のうちの1つ又は複数を含んでよい。フレキシブル回路610A~Dは、それぞれのアーム624A~Dに取り付けられてよい。例えば、
図6の実施例に示すように、フレキシブル回路610A~Dは、フレキシブル回路610A~Dをアーム624A~Dのジオメトリに適合させる相補的な形状を含んでよい。
【0041】
いくつかの実施例において、これらの電極のいくつかは、わずかに長くてもよい。例えば、第1外側アーム624A上の最も遠位にある電極608は、第2外側アーム624D上の最も近位にある電極608と同様に、わずかに大きくてよい。これらのわずかに大きい電極は、例えば、マッピング及びナビゲーションシステムにおけるフレキシブルアレイのより正確な位置特定のために使用されてよい。必要であれば、バイポーラアブレーションの目的で、これらの大電極間にアブレーション電流を流すことも可能であり、あるいは、これらの大電極の一方又は両方と、例えば、患者(例えば、患者の背中)に配置されたパッチ電極と、の間に、ユニポーラモードでアブレーション電流を流すことも可能である。同様に、電極(当該パドルカテーテル上、又は他のパドルカテーテル上の電極)は、ユニポーラアブレーション又はバイポーラアブレーションを実施するために使用可能である。代えて又は加えて、電流は、大電極の1つ又は複数と、電極608のいずれか1つ又は全てとの間を流れてよい。このユニポーラアブレーション又はバイポーラアブレーションは、特定の病変のライン又はパターンを作り出すことができる。
【0042】
さらなる実施例において、カテーテル602の先端部606は、「FLEXIBLE HIGH-DENSITY MAPPING CATHETER TIPS AND FLEXIBLE ABLATION CATHETER TIPS WITH ONBOARD HIGH-DENSITY MAPPING ELECTRODES」と題された米国特許出願公開第2015/0374252号の平面アレイ及びカテーテル先端部と組み合わされてよく、その開示全体は、参照により本明細書に完全に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0043】
図7~
図9は、表面テクスチャ726、826、926をそれぞれ含むインピーダンス低減層718、818、918の例を示す。表面テクスチャ726、826、926は、電極の接触面領域に付与されてよい。いくつかの実施例では、表面テクスチャ726、826、926は、電極のインピーダンス低減層に付与されてよい。
【0044】
表面テクスチャ726、826、926は、接触面領域を大きくし、それに応じて電極におけるインピーダンスを低減するように構成されてよい。表面テクスチャは、電極におけるインピーダンスを低減するために、それ単独で、又はインピーダンス低減層と組み合わせて使用されてよい。表面テクスチャ726は、1~30μm(この範囲に限定されない)を含む高さを有するプルーム(plume)状のパターンを含む。別の実施例では、表面テクスチャ826は、1~30μmの間の深さ又は高さを含む線状のパターンを含んでよい。さらなる例では、表面テクスチャ926は、1~30μmの間の深さを含むディンプル状のパターンであってよい。
【0045】
図10は、アブレーションカテーテルなどのカテーテル1002の一例を示す。カテーテル1002は、カテーテル1002のシャフト1004に固定的に取り付けられた1つ又は複数のフレキシブル回路1010を含んでよい。例えば、フレキシブル回路は、接着材を使用してシャフト1004に取り付けられてよい。
図10の実施例では、カテーテル1002は、4つのフレキシブル回路1010を含んでよい。フレキシブル回路は、シャフト1004の外径に沿って放射状に互いに90度で配置されてよい。フレキシブル回路1010は、その上に間隔を空けて配置された複数の電極1008を含んでよい。電極は、本明細書でさらに説明するように、インピーダンス低減層を含んでよい。さらなる実施例では、フレキシブル回路1010は、前述のように中間層を含んでよい。カテーテル1002は、シャフト1004の遠位端にアブレーション電極1028を含んでよい。したがって、アブレーション電極は、組織にアブレーション治療を提供することができ、電極1008は、アブレーション部位の診断、マッピング、又は特定の目的で、組織内の電気生理学的信号を測定するために使用することができる。
【0046】
図11は、各種電極E1、E2、E3、E4のインピーダンス1130(オーム)の一例を示すグラフである。グラフは、縦軸1132上にインピーダンス1130を含む。横軸1134は、電極サンプルE1、E2、E3、及びE4を示す。E1の例は、2.5mm
2の接触面領域を含む電極であってよい。例えば、E1は、いくつかの実施例では、リング電極であってよい。電極E2は、1.0mm
2の接触面領域を有する電極であってよい。いくつかの実施例では、電極E2は、リング電極又は他の種類の電極であってよい。さらなる実施例では、電極E1及びE2は、
図6に示されるアレイと同様のアレイに沿ったリング電極であってよい。電極E3は、本明細書に示され説明される
図2~
図6又は
図10の実施例のいずれかに示されるフレキシブル回路などの、フレキシブル回路の電極であってよい。電極E3は、0.5mm
2の接触面領域を含んでよい。電極E1、E2、及びE3は、本明細書に記載されるようなインピーダンス低減層を含まない。例えば、電極E1、E2、及びE3は、銅の導電体上に金層を含んでよく、この金層は、接触面領域に沿って露出されている。
【0047】
電極E4は、0.5mm
2の接触面領域を含む。一実施例では、電極E4は、本明細書に示され説明されるように、フレキシブル回路に沿って配置される。電極E4は、
図2~9の実施例のように、本明細書に記載されるインピーダンス低減層を含む。
図11の実施例に示すように、電極E4は、金の中間層の上に配置された白金イリジウム層を含む。
【0048】
図11に示すように、電極E1、E2、及びE3におけるインピーダンス1130は、電極の接触面領域が小さくなる(例えば、電極E1~E3の例では、2.5mm
2から0.5mm
2まで)につれて、大きくなる。いくつかの実施例では、インピーダンス1130の抵抗成分及びリアクタンス成分は、電極の接触面領域の縮小に応じて大きくなり得る。前述のように、電極におけるインピーダンスは、信号(例えば、電気生理学的信号)の周波数に依存する。例えば、電気生理学的信号の周波数が減少するにつれて、インピーダンスは大きくなり得る。電気生理学的信号の周波数が減少するにつれて、リアクタンス成分は、抵抗成分よりも速い速度で大きくなり得る。さらに、接触面領域が縮小するにつれて、リアクタンス成分は、抵抗成分よりも速い速度で大きくなり得る。したがって、インピーダンスに占めるリアクタンス成分の割合は、接触面領域の縮小、電気生理学的信号の周波数の減少、又はこれらの組み合わせに対応して大きくなる。
【0049】
図11の実施例では、電極E4は、小サイズの電極であってよく、本明細書に示され説明されるインピーダンス低減層を含んでよい。
図11に描かれているように、電極E4におけるインピーダンスは、インピーダンス低減層を有さず、同一の接触面領域を有する電極E3におけるインピーダンスと比較して、低減される。
図11にさらに示されるように、電極E4(インピーダンス低減層を含む)におけるインピーダンスは、1.0mm
2の接触面領域を有し、インピーダンス低減層を有さない、より大きな電極(例えば、電極E2)のインピーダンスと比較して、低減される。さらに、電極E4におけるインピーダンスは、2.5mm
2の接触面領域を有し、インピーダンス低減層を有さない電極(例えば、電極E1)と同様であり得る。
【0050】
一実施例では、抵抗成分、リアクタンス成分、又はこれらの両方は、電極上にインピーダンス低減コーティングを含めることによって低減されてよい。別の実施例では、抵抗成分、リアクタンス成分、又はこれらの組み合わせは、ある範囲の周波数(例えば、1~20,000Hz)にわたって、インピーダンス低減層を含めることによって低減されてよい。インピーダンス低減層は、一般に、電極のインピーダンスを低減するために使用されてよく、いくつかの実施例では、小サイズの電極の大きいインピーダンスを緩和するために使用されてよい。電極におけるインピーダンスを低減させることにより、電気生理学的信号測定の忠実度を高めることができる。
【0051】
いくつかの実施形態が、ある程度の詳細に上記で説明されてきたが、当業者は、本開示の精神から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を行うことができる。上記の説明に含まれるか、又は添付の図面に示されるすべての事項は、例示的なものにすぎず、限定的なものではないと解釈されるべきであることが意図される。本教示から逸脱することなく、詳細又は構造の変更を行ってよい。前述の説明及び以下の特許請求の範囲は、そのようなすべての変更及び変形を網羅することを意図している。
【0052】
様々な装置、システム、及び方法の様々な実施形態(実施例)が、本明細書で説明される。本明細書に記載され、添付の図面に示されるような実施形態の全体的な構造、機能、製造、及び利用の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、実施形態は、そのような特定の詳細なしに実施されてもよいことが、当業者によって理解されるであろう。他の実施例では、周知の操作、部品、及び要素は、本明細書で説明される実施形態を曖昧にしないように、詳細には説明されていない。当業者は、本明細書に記載され図示された実施形態が非限定的な例であることを理解し、したがって、本明細書に開示された特定の構造及び機能の詳細は、代表的なものであってもよく、必ずしも実施形態の範囲を限定するものではなく、その範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解することができる。
【0053】
本明細書全体を通して「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの実施形態」、「実施形態」などと言及することは、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味し、したがって、本明細書全体を通して所々に見られる「様々な実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「1つの実施形態において」、「1つの実施形態において」などの語句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適当な方法で組み合わせられてよい。したがって、1つの実施形態に関連して図示又は説明された特定の特徴、構造、又は特性は、限定なしに、1つ又は複数の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と、全体的に又は部分的に組み合わせることができる。
【0054】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書全体にわたって、患者を治療するために使用される器具の臨床医が操作する一端に関して使用されてもよいことが理解されるであろう。「近位」という用語は、臨床医に最も近い器具の部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から最も遠くに位置する部分を指す。簡潔さ及び明瞭さのために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間に関する用語が、図示された実施形態に関して本明細書で使用されてもよいことがさらに理解されるであろう。しかしながら、外科用器具は、様々な向き及び位置で使用され得るので、これらの用語は、限定的かつ絶対的であることを意図していない。
【0055】
参照により全体又は一部が本明細書に組み込まれると言われている特許、出版物、又は他の開示物は、組み込まれた資料物が、本開示に記載されている既存の定義、ステートメント、又は他の開示物と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれる。したがって、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれる矛盾する任意の資料に取って代わる。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に記載されている既存の定義、ステートメント、又は他の開示物と矛盾する任意の資料又はその一部は、組み込まれた資料と既存の開示物との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的測定用のカテーテルであって、
近位端及び遠位端を含むカテーテルシャフトと、
前記カテーテルに取り付けられているとともに、電子制御ユニット(ECU)に通信可能に接続されるように構成された導電体と、
前記導電体上に配置された電極と、
を備え、
前記電極の接触面領域は、インピーダンス低減層を含む、
カテーテル。
【請求項2】
前記導電体は、フレキシブル回路に沿って配置されたトレースである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記インピーダンス低減層は、白金コーティングである、請求項1
又は2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記白金コーティングは、白金イリジウムコーティングである、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記導電体の銅層と前記インピーダンス低減層との間に配置された金層をさらに備える、請求項1
~4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記インピーダンス低減層は、前記インピーダンス低減層を有さない類似サイズの電極と比較して、前記電極におけるインピーダンスを少なくとも50パーセント低減するように構成されている、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記インピーダンス低減層は、1μm~30μmの間の厚さを有する、請求項1
~6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記インピーダンス低減層は、前記電極の生体適合性を高めるように構成されている、請求項1
~7のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記インピーダンス低減層の前記接触面領域は、1.0mm
2以下である、請求項1
~8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記インピーダンス低減層の前記接触面領域は、0.5mm
2以下である、請求項1
~8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記インピーダンス低減層は、1μm~30μmの間の表面粗さを有する表面テクスチャを含む、請求項1
~10のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項12】
低インピーダンス電極を含むカテーテルを作製する方法であって、
電子制御ユニット(ECU)に通信可能に接続されるように構成された導電体を前記カテーテルに取り付けることと、
前記導電体上にインピーダンス低減層を配置することであって、前記インピーダンス低減層は、組織と接触するための電極として構成される接触面領域を含むとともに、白金又は白金イリジウムを含む群から選択される材料を含む、前記インピーダンス低減層を配置することと、を備える方法。
【請求項13】
フレキシブル回路は、前記導電体の銅層と前記インピーダンス低減層との間に配置された金層を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記インピーダンス低減層は、1μm~30μmの間の厚さを有する、請求項12
又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記接触面領域が、1.0mm
2以下である、請求項12
~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記インピーダンス低減層に表面テクスチャを付与することをさらに含む、請求項12
~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記表面テクスチャは、1μm~30μmの間の表面粗さを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
レーザを使用して、前記表面テクスチャを付与することをさらに含む、請求項16
又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記導電体を前記カテーテルに取り付けることは、前記導電体を含むフレキシブル回路を前記カテーテルに取り付けることをさらに備える、請求項12
~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記導電体を前記カテーテルに取り付けることは、前記導電体をバスケットカテーテルのスパインに取り付けることを備える、請求項12
~19に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
参照により全体又は一部が本明細書に組み込まれると言われている特許、出版物、又は他の開示物は、組み込まれた資料物が、本開示に記載されている既存の定義、ステートメント、又は他の開示物と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれる。したがって、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれる矛盾する任意の資料に取って代わる。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に記載されている既存の定義、ステートメント、又は他の開示物と矛盾する任意の資料又はその一部は、組み込まれた資料と既存の開示物との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
電気生理学的測定用のカテーテルであって、
近位端及び遠位端を含むカテーテルシャフトと、
前記カテーテルに取り付けられているとともに、電子制御ユニット(ECU)に通信可能に接続されるように構成された導電体と、
前記導電体上に配置された電極と、
を備え、
前記電極の接触面領域は、インピーダンス低減層を含む、
カテーテル。
(項目2)
前記導電体は、フレキシブル回路に沿って配置されたトレースである、項目1に記載のカテーテル。
(項目3)
前記インピーダンス低減層は、白金コーティングである、項目1に記載のカテーテル。
(項目4)
前記白金コーティングは、白金イリジウムコーティングである、項目3に記載のカテーテル。
(項目5)
前記導電体の銅層と前記インピーダンス低減層との間に配置された金層をさらに備える、項目1に記載のカテーテル。
(項目6)
前記インピーダンス低減層は、前記インピーダンス低減層を有さない類似サイズの電極と比較して、前記電極におけるインピーダンスを少なくとも50パーセント低減するように構成されている、項目5に記載のカテーテル。
(項目7)
前記インピーダンス低減層は、1μm~30μmの間の厚さを有する、項目1に記載のカテーテル。
(項目8)
前記インピーダンス低減層は、前記電極の生体適合性を高めるように構成されている、項目1に記載のカテーテル。
(項目9)
前記インピーダンス低減層の前記接触面領域は、1.0mm2以下である、項目1に記載のカテーテル。
(項目10)
前記インピーダンス低減層の前記接触面領域は、0.5mm2以下である、項目1に記載のカテーテル。
(項目11)
前記インピーダンス低減層は、1μm~30μmの間の表面粗さを有する表面テクスチャを含む、項目1に記載のカテーテル。
(項目12)
低インピーダンス電極を含むカテーテルを作製する方法であって、
電子制御ユニット(ECU)に通信可能に接続されるように構成された導電体を前記カテーテルに取り付けることと、
前記導電体上にインピーダンス低減層を配置することであって、前記インピーダンス低減層は、組織と接触するための電極として構成される接触面領域を含むとともに、白金又は白金イリジウムを含む群から選択される材料を含む、前記インピーダンス低減層を配置することと、を備える方法。
(項目13)
フレキシブル回路は、前記導電体の銅層と前記インピーダンス低減層との間に配置された金層を含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記インピーダンス低減層は、1μm~30μmの間の厚さを有する、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記接触面領域が、1.0mm2以下である、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記インピーダンス低減層に表面テクスチャを付与することをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目17)
前記表面テクスチャは、1μm~30μmの間の表面粗さを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
レーザを使用して、前記表面テクスチャを付与することをさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記導電体を前記カテーテルに取り付けることは、前記導電体を含むフレキシブル回路を前記カテーテルに取り付けることをさらに備える、項目12に記載の方法。
(項目20)
前記導電体を前記カテーテルに取り付けることは、前記導電体をバスケットカテーテルのスパインに取り付けることを備える、項目12に記載の方法。
【国際調査報告】