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特表2022-540799他の血清中蛋白質レベルは影響されないままにしながら血漿中コレステロールを低下させるロドスピリルム・ルブルム細胞
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】他の血清中蛋白質レベルは影響されないままにしながら血漿中コレステロールを低下させるロドスピリルム・ルブルム細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20220912BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20220912BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220912BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220912BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20220912BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20220912BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20220912BHJP
   C12R 1/01 20060101ALN20220912BHJP
【FI】
C12N1/20 E
A61K35/74 Z
A61P3/06
A61K9/48
A61K9/16
A61K45/00
A61P43/00 121
C12N1/20 C
C12N1/20 B
C12N1/00 P
C12N1/00 N
A23L33/135
A23L5/00 Z
C12R1:01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577656
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 NL2020050389
(87)【国際公開番号】W WO2020263078
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】2023371
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2024271
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519442896
【氏名又は名称】エズコル ビー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラット,ヨーハム
(72)【発明者】
【氏名】メンシンク,ロナルド ピーター
(72)【発明者】
【氏名】スーターズ,ロバータス クリスチアアン ジョセフス
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B065
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD85
4B018ME01
4B018ME04
4B018MF06
4B035LC06
4B035LC07
4B035LE01
4B035LE11
4B035LG50
4B035LP24
4B035LP46
4B065AA01X
4B065AC20
4B065BA30
4B065BC48
4B065BD10
4B065CA41
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA31
4C076AA58
4C076BB01
4C076CC21
4C076CC40
4C076FF70
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZC33
4C084ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC54
4C087MA37
4C087MA41
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZC33
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明は、ヒト対象の腸からのコレステロールの取り込みを阻害するための方法への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞を含む組成物に関し、その結果、前記ヒト対象の血漿中LDLコレステロールレベルが低下させられ、腎臓機能、肝臓機能、および/または心臓機能に関する血液中蛋白質の濃度は本質的に変わらない。加えて、本発明は、対象の血漿中LDLコレステロールレベルを低下させる非治療的方法に関し、方法は、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む組成物を対象に投与することを含み、血漿中LDLコレステロールレベルの低下は、前記ヒト対象の腸からのコレステロールの取り込みの阻害である。さらにその上、本発明は、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含み、かつ腸コレステロール取り込み阻害特性に関する血漿中LDLコレステロールレベル低下特性を有する食物製品、飼料製品、食料、およびダイエタリーサプリメントに関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度の低下のための方法への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項2】
方法が、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物をヒト対象に経口投与することを含む、
ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度を低下させる非治療的方法。
【請求項3】
前記ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの少なくとも1つの濃度が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間にALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの前記少なくとも1つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定のままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る、
請求項1に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞または請求項2に記載の非治療的方法。
【請求項4】
前記ヒト対象の拡張期血圧および/または収縮期血圧が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記血圧(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る、
請求項1もしくは3に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞または請求項2もしくは3に記載の非治療的方法。
【請求項5】
前記ヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定されるHDLコレステロール濃度と比較して、ロドスピリルム・ルブルム細胞の投与、好ましくは毎日1回または2回の投与の過程において、変わらないままに残るか、または増大するかもしくは増大させられる、
請求項1、3、もしくは4のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞または請求項2~4のいずれか1項に記載の非治療的方法。
【請求項6】
前記ヒト対象が、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の前および/または開始においておよび/または爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に、1.5mM~16.0mM、好ましくは2.0mM~12.0mM、より好ましくは3.0mM~10.0mM、最も好ましくは5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベルを有する、
請求項1、3~5のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または請求項2~5のいずれか1項に記載の非治療的方法。
【請求項7】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が前記ヒト対象に経口投与される、
請求項1、3~6のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または請求項2~6のいずれか1項に記載の非治療的方法。
【請求項8】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が、健康なヒト対象、好ましくは前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に少なくとも2.0mM、例えば3.0mM~14.0mMまたは5.0mM~8.0mMという血液中の総コレステロール濃度を有する健康なヒト対象に投与される、
請求項1、3~7のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または請求項2~7のいずれか1項に記載の非治療的方法。
【請求項9】
ロドスピリルム・ルブルム細胞を前記ヒト対象に投与することが、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与に先立つ血漿中LDLコレステロール濃度に基づいて、好ましくは少なくとも1%、好ましくは少なくとも3%、より好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも8%、最も好ましくは少なくとも20%による前記ヒト対象の血漿中のLDLコレステロール濃度の減少をもたらし、
任意に、血漿中HDLコレステロール濃度が本質的に変わらないままに残るかもしくは血漿中LDLコレステロール濃度の減少よりも小さい程度に減少するか、または血漿中HDLコレステロール濃度が増大し、好ましくは、血漿中HDLコレステロール濃度が、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与に先立つ血漿中HDLコレステロール濃度に基づいて、本質的に変わらないままに残るかまたは増大する、
請求項1、3~8のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または請求項2~8のいずれか1項に記載の非治療的方法。
【請求項10】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が、細胞、好ましくは新鮮培養された細胞を、乾燥、好ましくは55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは60℃~70℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞の顆粒化物、好ましくは、ゼラチンカプセルなどのカプセルとして提供または分包として提供される顆粒化物として製剤される、
請求項1、3~9のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または請求項2~9のいずれか1項に記載の非治療的方法。
【請求項11】
前記ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが、少なくとも1.0g、例えば少なくとも3.0g、好ましくは1.0~100g、より好ましくは2.0~50g、最も好ましくは4.0~20g、例えば5.0グラムである、
請求項1、3~10のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または請求項2~10のいずれか1項に記載の非治療的方法。
【請求項12】
ヒト対象の血液の血漿中のLDLコレステロールの低下のための方法への使用のための、薬学的有効量のロドスピリルム・ルブルム細胞および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項13】
前記ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの少なくとも1つの濃度が、好ましくは医薬組成物の初回投与の開始の前および/または医薬組成物の爾後の1つ以上のさらなる投与の間にALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの前記少なくとも1つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象への医薬組成物の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定のままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る、
請求項12に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項14】
前記ヒト対象の拡張期血圧および/または収縮期血圧が、好ましくは医薬組成物の初回投与の開始の前および/または医薬組成物の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記血圧(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象への医薬組成物の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る、
請求項12または13に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項15】
前記ヒト対象が、前記ヒト対象への医薬組成物の初回投与の前および/または開始においておよび/または爾後の投与(単数または複数)の間に、1.5mM~16.0mM、好ましくは2.0mM~12.0mM、より好ましくは3.0mM~10.0mM、最も好ましくは5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベルを有する、
請求項12~14のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項16】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が前記医薬組成物中の唯一の医薬活性成分である、
請求項12~15のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項17】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が、代替治療、例えばスタチンおよび/もしくはエゼチミブを代替する治療として前記ヒト対象に投与されるか、または医薬組成物の投与を開始する前の前記ヒト対象に投与されるかかるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)のドーズよりも低いドーズの前記ヒト対象に投与されるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)との組み合わせで前記ヒト対象に投与される、
請求項12~16のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項18】
医薬組成物中のロドスピリルム・ルブルム細胞が請求項1~11のいずれか1項に記載のロドスピリルム・ルブルム細胞である、
請求項12~17のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項19】
医薬組成物の1日ドーズが、少なくとも1.0gのロドスピリルム・ルブルム細胞、例えば少なくとも2.0gまたは3.0g、好ましくは1.0~100g、より好ましくは2.0~50g、最も好ましくは4.0~20g、例えば5.0~10.0グラムを含有する、
請求項12~18のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項20】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が、ロドスピリルム・ルブルム細胞、好ましくは新鮮培養された細胞を、乾燥、好ましくは55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒であり、好ましくは、ゼラチンカプセルなどのカプセルとしてまたは分包として提供されるロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒である、
ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む、ヒト対象によって経口摂取されるときにコレステロール低下特性を有するダイエタリーサプリメント。
【請求項21】
請求項20に記載のダイエタリーサプリメントを含む食料。
【請求項22】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が、請求項1~11のいずれか1項に記載のロドスピリルム・ルブルム細胞である、
請求項20に記載のダイエタリーサプリメントまたは請求項21に記載の食料。
【請求項23】
キットであって、
- 請求項1~11のいずれか1項に記載のロドスピリルム・ルブルム細胞または請求項12~19のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物または請求項20もしくは22に記載のダイエタリーサプリメントまたは請求項21もしくは22に記載の食料を含有する容器と;
- ヒト対象による使用のための説明書と;
- 任意に、液体、好ましくは水または飲み物を有する容器と(液体はヒト対象による摂取前に容器中において提供されるロドスピリルム・ルブルム細胞を混合するためであるか、または液体はヒト対象によるロドスピリルム・ルブルム細胞との逐次的なもしくは同時的な摂取のためである);
を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト対象の腸からのコレステロールの取り込みを阻害するための方法への使用のための、ロドスピリルム・ルブルム(R.ルブルム)細胞を含む組成物に関し、その結果、前記ヒト対象の血漿中LDLコレステロールレベルが低下させられる。本発明は、それを必要とするヒト対象のLDLコレステロールを低下させるための方法への使用のための、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む組成物にもまた関する。加えて、本発明は、対象の血漿中LDLコレステロールレベルを低下させる非治療的方法に関し、方法は、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む組成物を対象に投与することを含み、血漿中LDLコレステロールレベルの低下は、前記ヒト対象の腸からのコレステロールの取り込みの阻害である。さらにその上、本発明は、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含み、かつ腸コレステロール取り込み阻害特性に関する血漿中LDLコレステロールレベル低下特性を有する食物製品、飼料製品、食料、およびダイエタリーサプリメントに関する。本発明は、それを必要とするヒト対象の腸からのコレステロールの取り込みの阻害のためのまたはそれを必要とするヒト患者のLDLコレステロールの血漿中レベルの低下のための、医薬またはダイエタリーサプリメントの製造へのリフラクティブ乾燥によって得られる乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞の使用にもまた関する。最後に、本発明はヒト対象をロドスピリルム・ルブルム細胞によって処置するための方法に関し、ヒト対象は任意に心血管疾患を患い、方法は:前記ヒト対象のLDLコレステロールの血漿中レベルを1)ヒト対象から血液サンプルを得ることまたは得ておくことによって決定するステップと;2)患者が少なくとも70mg/dL(1.8mmol/L)のLDLコレステロール濃度を有するかどうかを決定するために、血液サンプルのLDLコレステロール濃度決定アッセイを行うかまたは行っておくステップと;3)ヒト対象が少なくとも70mg/dL(1.8mmol/L)のLDLコレステロール濃度を有する場合には、ロドスピリルム・ルブルム細胞を患者に内的に投与するステップとを含む。
【背景技術】
【0002】
コレステロールは、哺乳類の生命、例えばヒトの生命にとって、細胞膜の構造的コンポーネントとして必須であり、膜の構成、それによって膜特性に影響を及ぼす。コレステロールはステロイドホルモンの前駆体分子でもまたあり、よって代謝コントロールにとって必須である。肝臓では、コレステロールは胆汁酸塩に変換され、これは定量的な意味でのコレステロール代謝の主要な経路である。胆汁酸塩は小腸における食事中コレステロール、脂肪、および脂溶性ビタミンの吸収を容易化する両親媒性分子である。コレステロールは細胞のおよび全身の生理の鍵のコンポーネントであり、コレステロールホメオスタシスは種々のレベルできつく制御されている。
【0003】
体内のコレステロールホメオスタシスの維持は、食事中コレステロール摂取の(大きい)変動に充分に対処するためにデノボコレステロール合成およびターンオーバーを支配するプロセス間の正確な代謝クロストークを要求する。不均衡は、上昇した血漿中コレステロールレベル、例えば高い低密度リポ蛋白質コレステロールレベルと、西洋社会における死亡の主な原因の心血管疾患(CVD)の増大したリスクとに至り得る。高い血漿中低密度リポ蛋白質(LDL)コレステロールとCVDのリスクとの間には直接的なリンクがある。CVDは年当たり1730万超の死亡を担い、世界保健機関に従うと世界の死亡の主立った原因である。CVDは心臓の疾患、脳の血管性疾患、および血管の疾患を包含する。CVDの異なる型は:虚血性心疾患または冠状動脈疾患(例えば心臓発作)であるアテローム性動脈硬化を原因とするCVD;脳血管疾患(例えば卒中);高血圧および末梢血管性疾患を包含する大動脈および動脈の疾患、ならびに他のCVD、すなわち先天性心疾患;リウマチ性心疾患;心筋症;および不整脈である。
CVDはいくつもの相乗的な因子によって引き起こされ、最も重要なのは高すぎる血液中コレステロールレベルである。前記の通り、それは細胞膜のコンポーネントであるので、コレステロールは動物およびヒト細胞にとって必須のビルディングブロックである。ヒト細胞はそれら自身のコレステロールを合成し得るが、コレステロールは例えば食物からもまた同化吸収される。両方のプロセスはコレステロール代謝において重要なパートを演ずる。
【0004】
細胞膜のビルディングブロックとしてのその必須の生物学的役割とは別に、心血管疾患(例えば、例えば心筋梗塞、卒中、および末梢血管性疾患)の原因として、コレステロールは実際にはヒトの健康に対する負の効果をもまた有し、より具体的には血管壁のアテローム性動脈硬化病変の発生に関する。上昇した血漿中コレステロールレベルは心血管疾患およびアテローム性動脈硬化の発生の最も重要なリスク予測因子である。
【0005】
血液の血漿中において、コレステロールはリポ蛋白質として輸送され、これらはそれらの直径および比重に基づいていくつもの異なるクラスに細分され得る。超低密度リポ蛋白質(VLDL)、中間密度リポ蛋白質(IDL)、低密度リポ蛋白質(LDL)、および高密度リポ蛋白質(HDL)はリポ蛋白質の最も重要なクラスを構成する。
【0006】
実験研究および臨床研究は、リポ蛋白質のVLDL、IDL、およびLDLクラスとして輸送されるコレステロール(アテローム誘発性コレステロール;「悪玉」コレステロール)の量が心血管疾患の発生のリスク因子であるということを示している。対照的に、HDL粒子として輸送されるコレステロールは心血管疾患の発達からの保護をする(抗アテローム性コレステロール;「善玉」コレステロール)。
【0007】
ランダム化比較のプラセボ対照前向き臨床研究は、特に血漿中LDLコレステロールレベルが縮減されるときには、血漿中コレステロールを低下させることが、心血管疾患の発生率および死亡率に対する好ましい効果を有するということを実証している。ただし、よって、前提条件は、コレステロールの縮減が圧倒的にまたは実質的にLDL中に存在するアテローム誘発性コレステロールの縮減を原因とするべきであり、抗アテローム性コレステロール(HDLコレステロール)のレベルは好ましくは本質的に変わらないままにするということである。
加えて、研究は、高リスクのリポ蛋白質プロファイル、すなわち高いLDLコレステロール血漿中レベルが、より高い安静時心拍数に関連するということを示している。これは翻って心血管疾患のより高いリスクに関連する。他方で、HDLコレステロールのより高い(相対的)レベルは安静時心拍数に対する正の効果を有する。
【0008】
よって、心血管疾患の処置および防止のためには、アテローム誘発性(悪玉)コレステロール、例えばLDLコレステロールのレベルを縮減し、絶対的なまたは相対的な比率で抗アテローム性(善玉)コレステロールのHDLコレステロールを増大させることが要件である。
【0009】
血漿中コレステロールを縮減するためのいくつものアプローチが利用可能である。最も重要なのは:
コレステロール生合成を阻害すること;
組織から腸ルーメンへのコレステロール(および/またはその代謝物、特に胆汁酸)の除去を増大させること;
消化管からのコレステロールおよび胆汁酸の吸収を縮減すること;
である。
【0010】
コレステロール合成を阻害するために用いられる薬物は、多くの場合には、コレステロール合成経路の律速酵素のヒドロキシメチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ(HMGCoAレダクターゼ)酵素の阻害剤である。これらの「スタチン」は酵素作用を阻害する分子である。これらのスタチンまたはHMG-CoAレダクターゼ阻害剤は、心血管疾患の高いリスクがある者において罹患および死亡率を縮減する脂質低下薬のクラスである。例はシンバスタチン、プラバスタチン、およびアトルバスタチンである。一般的には、スタチンは天然に発生する真菌代謝物の化学合成誘導体である。多年に渡って、高い血漿中コレステロールの処置はかかるスタチンの適用によるコレステロール合成への干渉にフォーカスしている。しかしながら、高コレステロール血症患者の相対的多数はスタチン治療に充分に応答しないか、またはLDLコレステロールの実質的な縮減にもかかわらずCVDのリスクがあるままに残る。スタチンの副作用は、筋肉痛、糖尿病の増大したリスク、および肝臓酵素の異常な血液中レベルを包含する。加えて、スタチンは、稀だが重篤な有害作用、特に筋損傷を有する。
【0011】
帰結として、代替的な戦略、特に高密度リポ蛋白質(HDL)上昇アプローチが現行では積極的に追及されている。疫学的研究からのデータはHDLコレステロールの毎1mg/dLの増大がCVDリスクを2%~3%縮減するということを指示しているので、これらのアプローチは特に有望だと考えられる。
【0012】
徐放性ナイアシンはLDLコレステロールを17%低下させることが報告されている。フェノフィブラートはLDLコレステロールレベルを約20%低下させることが報告されている。エゼチミブは腸コレステロール吸収阻害剤であり、これはLDLコレステロールを18%縮減する。エゼチミブは小腸からのコレステロールの吸収を阻害し、肝臓細胞にとって正常で利用可能なコレステロールの量を減少させ、肝臓細胞が循環からより多くを吸収することに至り、それゆえに循環中コレステロールのレベルを低下させる。エゼチミブは、コレステロール吸収の重大なメディエータのニーマン・ピックC1様1蛋白質を消化管上皮細胞上においておよび肝細胞においてブロックする;それはアミノペプチダーゼNをブロックし、コレステロールをトラフィッキングすることに関わるカベオリン1-アネキシンA2複合体を妨害する。コレセベラムは胆汁酸捕捉剤であり、これはLDLコレステロールを18%縮減する。ミポメルセンはアポリポ蛋白質B-100合成の阻害剤であり、ホモ接合性家族性高コレステロール血症を有する患者においてLDLコレステロールレベルを約25%縮減することが示された(報告された有害事象:肝損傷)。ロミタピドは、例えばホモ接合性家族性高コレステロール血症を有する患者の処置のためのミクロソームトリグリセリド輸送蛋白質の阻害剤である(副作用:肝臓の脂肪蓄積)。ロミタピドはそれらの患者においてLDLコレステロールレベルを50%縮減した。プロ蛋白質コンベルターゼサブチリシン/ケキシン9型阻害剤(PCSK9阻害剤)分子および遺伝子サイレンシングアプローチが開発中である。対象のPCSK9の阻害はスタチンのLDLコレステロール低下活性を向上させ得る。PCSK9に対する抗体(REGN727/SAR236553)およびスタチンのアトルバスタチンによる対象の組み合わせ処置は、約39%から61%というLDLコレステロールレベルの縮減をもたらした。低分子ETC-1002はアデノシン三リン酸-クエン酸リアーゼおよびアデノシン一リン酸活性化蛋白質キナーゼを調節する。高コレステロール血症を患う患者では(130~220mg/dLのLDLコレステロールレベル)、ETC-1002の増大していくドーズによって処置されたときに、LDLコレステロールレベルは約18%から約27%縮減された。コレステリルエステル転送蛋白質(CETP)阻害剤はHDLコレステロールレベルを上昇させ、LDLコレステロールレベルを減少させる。かかるCETP阻害剤の例はアナセトラピブおよびエバセトラピブである。アナセトラピブおよびエバセトラピブは、ヒト対象による治験において、HDLコレステロールレベルをそれぞれ約138%および約129%増大させることとLDLコレステロールレベルをそれぞれ約40%および約36%低下させることとが示されている。しかしながら、心血管系事象を防止することが考えられるときに、これらのCETP阻害剤のいくつかは、LDLコレステロールレベルを低下させながらも利益を提供することができなかった。ヒトの治験の間に中止されたCETP阻害剤の例はエバセトラピブであり、これは心血管系事象の縮減を示せなかった。WAY-252623は肝臓X受容体のベータアイソフォームの活性化因子である。非ヒト霊長類では、WAY-252623はLDLコレステロールを70%~77%に縮減した。
【0013】
いくつかの研究から、アトルバスタチンを包含するいくつかのスタチンが肝毒性(hepatoxicity)に至るということが公知である。これは例えばAST、ALT、およびγGTの血清中レベルの有意な用量依存的増大によって示される。さらにその上、腎毒性もまたスタチン投与に関して観察されている。アトルバスタチンは急性腎障害(AKI)を引き起こすことが観察された。既に心血管系事象におけるより高いリスクを有する患者の群にアトルバスタチンを用いるときには、NT-ProBNPレベルのさらなる増大が観察される。これはアトルバスタチンがエゼチミブと組み合わせられたときにもまた観察された。スタチンは健康なヒト対象の安静時心拍数を増大させることもまた示されている;より高い安静時心拍数はCVDのより高いリスクに関連し、よって正常では望ましくない。フェノフィブラートは、正常な腎臓機能を有する患者のクレアチニンレベルを増大させる。これは、継続したフェノフィブラート処置が腎臓機能の問題に至り得るということを示している。
【0014】
プラセボと比較したときの高リスク患者における増大した高血圧の観察を原因として、エバセトラピブの開発は中止された。プラセボ群では観察されなかったhs-CRPの増大が見られた。これはエバセトラピブ患者群における高血圧有病率の観察される増大に関係する。
【0015】
肝臓は全身のコレステロールホメオスタシスの維持のための体の主要なコントロールセンターと考えられる。肝臓はデノボコレステロール合成の主な部位であり、コレステロール含有カイロミクロンレムナントおよびLDL粒子を血漿からクリアランスし、高密度リポ蛋白質(HDL;善玉コレステロール)形成の主要な寄与因子である。末梢由来のコレステロールをリポ蛋白質粒子から取り込むこと、次に胆汁酸への変換または大便による最終的な除去のための胆汁中へのその直接的分泌によって、肝臓はコレステロール逆輸送経路の古典的定義において中心的位置を有する。コレステロール除去を増大させるためには、胆汁酸吸着樹脂が用いられ得る(例えばコレスチラミン)。樹脂への胆汁酸の吸着ゆえに、便へのそれらの分泌が増大させられ、腸管から血液中へのそれらの再吸収が縮減され、体からの胆汁酸の相対的喪失をもたらす。帰結として、肝臓はコレステロールから胆汁酸への変換を増大させ、体からのコレステロール(代謝物)の分泌の正味の増大をもたらす。胆汁酸は(コレステロールを可溶化することによって)ルーメンから腸組織へのコレステロールの取り込みにとって必須であるので、腸ルーメンにおける胆汁酸含量の縮減は減少したコレステロール取り込みをもまた、もたらすであろう。
【0016】
前記の通り、コレステロールホメオスタシスの維持は健康な状態にとって不可欠であり、コレステロール合成、吸収、代謝、および消失に関わる遺伝子からなる制御ネットワークによって達成される。環境的および遺伝学的因子の結果としてのコレステロールレベルの不均衡は、アテローム性動脈硬化(すなわち動脈の固くなることまたは詰まること)ならびに関連する冠状動脈性および脳血管疾患の圧倒的なリスク因子の高コレステロール血症に至る。高コレステロール血症およびその関連する心血管疾患は、我々が今直面している最も多大な世界的な経済的、社会的、および医学的課題の1つである。
【0017】
コレステロール合成を阻害するスタチンのように血液中コレステロールをコントロールするための治療薬物の広い使用にもかかわらず、米国の人口の50%よりも多くはボーダーラインレベルのコレステロールレベルを有することが推定されるという事実が残っている。加えて、コレステロールレベルをコントロールするための治療薬物に関連する有害作用、例えばミオパチー、肝損傷、および可能性としての薬物-薬物相互作用が報告されている。よって、コレステロールレベルをコントロールするための追加の治療の開発は、とりわけ、より良い安全性プロファイルを有するものについては正当性がある。
【0018】
特許文献1は、ロドスピリルム・ルブルム死細胞またはフリーズドライされたロドスピリルム・ルブルム細胞の調製物を開示している。フリーズドライされた細胞はラットおよびマウスの血漿中コレステロールの低下について試験された。類似に、特許文献2は、新鮮培養されたロドスピリルム・ルブルム(R.ルブルム)細胞から回収され、マウスの血漿中コレステロールの低下について試験された石油エーテル抽出物を開示している。この20年に、非ヒト動物のコレステロールホメオスタシスに対するフリーズドライされたR.ルブルム細胞または新鮮培養された細胞からのR.ルブルム抽出物を消費することの効果について、鋭意の研究が実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】欧州特許第1569667号明細書
【特許文献2】国際公開第2018/229223号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特に、それを必要とするヒト対象における血漿中LDLコレステロール濃度の低下への安全な使用のための、安全な「悪玉」コレステロール低下方法ならびにLDLコレステロール低下化合物および組成物、特に、許容されるおよび/または改善された安全性プロファイルを有する有効な方法ならびに組成物または化合物の必要が存在する。
【0021】
非ヒト哺乳動物の血漿中コレステロールレベルに対するR.ルブルム細胞の効果が研究されている長い期間にもかかわらず、「ゴールド・スタンダード」に従って実施されたランダム化比較の二重盲検の治験によって得られる(健康な)ヒト対象のコレステロールホメオスタシスに対するR.ルブルム細胞の効果についてのエビデンスに基づくデータおよび知見は、今日まで、例えばより少ない副作用を行使し、例えばまだ不充分に処置されたヒト対象またはさらには無処置のヒト対象、例えば、例えばコレステロール、例えばLDLコレステロールのボーダーラインレベルを有するさもなければ健康なヒト対象におけるCVDのリスクを縮減するために適用可能な、それを必要とするヒト対象の血液中のLDLコレステロールレベルをコントロールおよび低下させるための改善された方法を提供するためには、ヘルスケアプロフェッショナルおよびライフスタイル介入プロフェッショナルにとって利用可能ではない。
【0022】
よって、特に、それを必要とするヒト対象における血漿中LDLコレステロール濃度の低下への安全なかつ有効な使用のための、改善された安全性プロファイルを有するLDLコレステロール低下方法、化合物、および組成物を提供することが本発明のゴールである。
【0023】
本発明は特定の実施形態について記載されるが、本発明はそれらにではなく請求項のみによって限定される。
【0024】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、別様に規定されない限り、組み合わせでおよび協力して作動し得る。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明のある態様は、ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度の低下のための方法への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞に関する。
【0026】
本発明のある態様は、ヒト対象の心血管疾患の処置または予防への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞に関する。
【0027】
本発明のある態様は、ヒト対象のアテローム性動脈硬化、脂質異常症、動脈硬化症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症、少なくとも70mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLの血漿中総コレステロールレベル、5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベル、少なくとも14mg/dLの血漿中Lp(a)レベル、虚血の処置または予防への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞に関する。
【0028】
本発明のある態様は、ヒト対象の腸からのコレステロールの吸収の阻害への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞に関し、その結果、前記ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度が減少するかまたは減少させられる。本発明者は、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することが、血液中LDLコレステロールを低下させる効果が関係するときに有益であり、その上、安全、かつ副作用なしであるということを確立した。細胞が毎日2回経口投与されたヒト対象は、前記毎日の摂取に関して、いずれかの副作用またはそれらの健康もしくはウェルビーイングに対する負のインパクトを経験しなかった。その上、ヒト対象によるロドスピリルム・ルブルム細胞の毎日2回の経口摂取の前、間、および後のグルコース、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの血液中濃度を評価することは、これらの濃度が、処置、すなわち細胞の投与の間および後に本質的に変わらないかつ影響されないままに残るということを明らかにした。さらに、これらの血液中濃度は、標準的な正常なかつ健康な値として受け入れられるパラメータ範囲の限界内のままに残った。ヒト対象によるロドスピリルム・ルブルム細胞の毎日2回の経口摂取の前、間、および後のSBPおよびDBPを評価することもまた、これらの血圧が、処置、すなわち細胞の投与の間および後に本質的に変わらないかつ影響されないままに残るということを明らかにした。さらに、これらの血圧は、標準的な正常なかつ健康な値として受け入れられるパラメータ範囲の限界内のままに残った。
【0029】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、ヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度が変わらないままに残るか、または増大するかもしくは増大させられる。
【0030】
本発明のある態様は、ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度を低下させる非治療的方法に関し、方法は、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を投与することを含む。
【0031】
本発明のある態様は、ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度を低下させる非治療的方法に関し、方法は、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を経口投与することを含む。
【0032】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの少なくとも1つの濃度が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間にALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの前記少なくとも1つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定の(前記標準的な正常範囲の)ままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る。
【0033】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ヒト対象の拡張期血圧および/または収縮期血圧が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記血圧(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る。
【0034】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ヒト対象の安静時心拍数が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記安静時心拍数と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残る(すなわち、10歳以上のさもなければ健康なヒト対象、および成人では、分当たり60~100拍)および/または本質的に一定のままに残る。
【0035】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定されるHDLコレステロール濃度と比較して、ロドスピリルム・ルブルム細胞の投与、好ましくは毎日1回または2回の投与の過程において、変わらないままに残るかまたは増大するかもしくは増大させられる。
【0036】
本発明のある態様は、ヒト対象の心血管疾患を処置または防止する非治療的方法に関し、方法は、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を投与することを含む。
【0037】
本発明のある態様は、ヒト対象において、アテローム性動脈硬化、脂質異常症、動脈硬化症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症、ホモ接合性シトステロール血症、少なくとも70mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLの血漿中総コレステロールレベル、5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベル、少なくとも14mg/dLの血漿中Lp(a)レベル、虚血を処置または防止する非治療的方法に関し、方法は、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を投与することを含む。
【0038】
ある実施形態は、本発明に従う非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物のヒト対象への投与が、ヒト対象の腸からのコレステロールの吸収を阻害し、その結果、前記ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度が減少するかまたは減少させられ、好ましくは、その結果、ヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度は変わらないままに残るかまたは増大するかもしくは増大させられる。
【0039】
複数の実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、少なくとも1.8mmol/L(70mg/dL)、または少なくとも2.59mmol/L(100mg/dL)、または少なくとも3.34mmol/L(129mg/dL)、または少なくとも4.0mmol/L、例えば少なくとも5.2mmol/L(200mg/dL)、または5.0mMおよび8.0mMの間の血漿中のLDLコレステロールレベルを有するヒト対象に投与される。
【0040】
本発明のある態様は、特に、それを必要とするヒト対象の血漿中LDLコレステロール濃度の低下への安全なかつ有効な使用のための、改善された安全性プロファイルを有するLDLコレステロール低下方法、LDLコレステロール低下化合物、およびLDLコレステロール低下組成物に関し、前記ヒト対象において、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、(血漿)グルコース、hsCRPから選択される少なくとも1つの健康に関するパラメータの血清中レベルが、標準的な正常範囲内のままに残り、および/あるいはSBPもしくはDBPまたは両方が標準的な正常範囲内に留まり、および/あるいは安静時心拍数が標準的な正常範囲、すなわち60~100bpm内に留まる。
【0041】
ある実施形態は、本発明に従うLDLコレステロール低下方法、LDLコレステロール低下化合物、およびLDLコレステロール低下組成物であり、化合物または組成物がそれを必要とするヒト患者に投与されるときに、前記ヒト対象において、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPの2つ以上の血清中レベルが標準的な正常範囲内のままに残り、および/あるいはSBPもしくはDBPまたは両方が標準的な正常範囲内に留まり、および/あるいは安静時心拍数が標準的な正常範囲内に留まり、好ましくは、前記ヒト対象において、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPの全ての血清中レベルが標準的な正常範囲内のままに残り、および/あるいはSBPもしくはDBPまたは両方が標準的な正常範囲内に留まり、および/あるいは安静時心拍数が標準的な正常範囲内に留まる。
【0042】
本発明のある態様は、特に、それを必要とするヒト対象の血漿中LDLコレステロール濃度の低下への安全なかつ有効な使用のための、改善された安全性プロファイルを有するLDLコレステロール低下方法、LDLコレステロール低下化合物、およびLDLコレステロール低下組成物に関し、化合物または組成物がそれを必要とするヒト患者に投与されるときに、前記ヒト対象において、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPから選択される少なくとも1つの健康に関するパラメータの血清中レベルが、本質的に変わらないままに残り、および/あるいはSBPもしくはDBPまたは両方が本質的に変わらないままに残り、および/あるいは安静時心拍数が本質的に変わらないままに残る。
【0043】
ある実施形態は、本発明に従うLDLコレステロール低下方法、LDLコレステロール低下化合物、およびLDLコレステロール低下組成物であり、化合物または組成物がそれを必要とするヒト患者に投与されるときに、前記ヒト対象において、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPの2つ以上の血清中レベルは本質的に変わらないままに残り、および/あるいはSBPもしくはDBPまたは両方は本質的に変わらないままに残り、および/あるいは安静時心拍数は本質的に変わらないままに残り、前記ヒト対象において、好ましくはALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPの全ての血清中レベルは本質的に変わらないままに残り、および/あるいは好ましくはSBPもしくはDBPまたは両方は本質的に変わらないままに残り、および/あるいは好ましくは安静時心拍数は本質的に変わらないままに残る。
【0044】
本発明者は、ゴールド・スタンダードに従う治験、すなわち5.0mmol/Lおよび8.0mmol/Lの間の処置の開始における血液中総コレステロール濃度を有する健康なヒト対象による二重盲検のランダム化比較治験を実施することによって確立される通り、ロドスピリルム・ルブルム細胞が投与されるヒト対象の血液中のLDLコレステロール低下効果を初めて実証する。本発明者は、5.0mmol/Lおよび8.0mmol/Lの間の処置の開始における血液中総コレステロール濃度を有する健康なヒト対象で確立される通り、前記ヒト対象において、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPから選択される少なくとも1つの健康に関するパラメータの血清中レベルが、本質的に変わらないままに残りながら、SBPおよびDBPが本質的に変わらないままに残りながら、安静時心拍数が本質的に変わらないままに残りながら、ロドスピリルム・ルブルム細胞が投与されるヒト対象の血液中のLDLコレステロール低下効果をもまた初めて実証する。本発明者は、さらにその上、LDLコレステロール低下効果が、ヒト対象の腸からのコレステロールの阻害された吸収の結果および帰結であるということを確立した。それゆえに、ヒト対象が(経口的に)ロドスピリルム・ルブルム細胞を取るときに、食事中コレステロールおよび胆汁中コレステロールはより低い程度に腸から循環中へと吸収および移入される。ロドスピリルム・ルブルム細胞は乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞であり、新鮮培養されたロドスピリルム・ルブルム細胞をリフラクション乾燥機を用いるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる。ロドスピリルム・ルブルム細胞が投与されたヒト対象は、さもなければロドスピリルム・ルブルム細胞の毎日の摂取に帰せられ得るかまたは関係し得るいずれかの副作用または有害反応または有害事象を患わなかった。R.ルブルム細胞が投与されたヒト対象について、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPの血清中レベルは本質的に変わらないままに残った。さらにその上、実施された第2相治験においてR.ルブルム細胞が投与されたヒト対象について、SBPおよびDBPは本質的に変わらないままに残り、正常な健康な限界内に留まった。加えて、第2相治験に包含された健康なヒト対象では、安静時心拍数もまた本質的に変わらないままに残り、正常範囲内に留まった。それゆえに、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することは、随伴する有害事象および副作用なしである。(健康な)ヒト対象によるロドスピリルム・ルブルム細胞の毎日の摂取は血液中の総コレステロールレベルの用量依存的なかつ線形的な減少をもたらし、この減少はLDLコレステロール(「悪玉」コレステロール)の減少した濃度に完全に関係していた。総コレステロール/HDLコレステロール比(TC/HDL比)はロドスピリルム・ルブルム細胞の摂取によって減少した。これは、総コレステロールがR.ルブルム細胞の摂取の前よりも多いHDLコレステロールおよび少ないLDLコレステロールから作り上げられているということを示している。ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPのレベルと類似に、かつSBPおよびDBPならびに安静時心拍数の測定値と類似に、HDLコレステロールのレベルは変わらなかった。それゆえに、TC/HDL比の減少はLDLコレステロールの減少に帰せられるということが結論づけられる。
【0045】
血漿中LDLコレステロール濃度は部分的には腸のコレステロール吸収の効率によって決定づけられる。本発明者は、実施された治験の間に、ヒト対象へのR.ルブルム細胞の毎日2回の投与が血液中LDLコレステロール濃度の減少をもたらしながら、HDLコレステロール濃度は変わらないままに残り、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPの血清中レベルは本質的に変わらないままに残り、SBPおよびDBPは本質的に健康な(標準的な正常な)範囲内のままに残りかつ本質的に変わらないままに残り、安静時心拍数は本質的に変わらずにかつ正常範囲内のままに残るということを確立した。R.ルブルム細胞(リフラクティブ乾燥から得られた乾燥された細胞を含有するゼラチンカプセル)の毎日の摂取は、いずれかの有害反応、副作用、愁訴、面倒な消費(つかえた嚥下など)なしであった。R.ルブルム細胞は腸からのコレステロールの吸収を防止することによってLDLコレステロール低下活性を行使する。本発明者は、分画された新鮮に収穫されたR.ルブルム細胞の活性画分中の化合物が、カロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン、(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およびバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体であるということを確立した。R.ルブルム細胞によって処置されたヒト対象の血液中の減少したレベルによって確認される通り、エゼチミブの作用機構について確立されたのと同じく、R.ルブルム細胞もまた腸からの非コレステロールステロールのカンペステロールおよびシトステロールの吸収を阻害する。エゼチミブ治療に関連する普通の有害薬物反応(≧1%の患者)は頭痛および/または下痢を包含する。低頻度の有害作用(0.1~1%の患者)は、筋痛症および/または上昇した肝臓機能試験(アミノトランスフェラーゼ(またはアラニンアミノトランスフェラーゼ)対アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ比;ALT/AST)結果を包含する。稀に(<0.1の患者)、過敏症反応(発疹、血管性浮腫)またはミオパチーが発生する。筋肉の問題(筋痛症および横紋筋融解症)のケースが報告されており、エゼチミブの表示上に警告として包含される。スタチンおよびコレステロール吸収阻害剤エゼチミブを用いる組み合わせ治療は、一般集団における高コレステロール血症の処置の一つのアプローチである。R.ルブルム治療はいずれかの有害な反応に関連しないので、R.ルブルム細胞はエゼチミブが考えられるときの代替治療に好適であるか、または少なくとも部分的な代替治療に好適である:R.ルブルム細胞のドーズが治療レジメンに追加されるときには、エゼチミブのドーズは低下させられる。R.ルブルム細胞の投与は、ダイエタリーサプリメントとしてもしくは食料中の食物成分として、または医薬組成物中の活性組成物としてどちらかである。
【0046】
冠状動脈性アテローム性動脈硬化および冠状動脈性事象と血漿中コレステロール濃度との間には強い関係性がある。この関係性の詳細な研究は、35~57歳の範囲の361,662人の男性が関わる多重リスク因子介入トライアル(MRFIT)であった。このおよび類似のトライアルからのデータは、9021人の都市部中国人の研究の結果と一緒になって、自立集団では、CHDからの死亡の率と150mg/dLおよび300mg/dLのレベルの間の血漿中総コレステロール濃度との間に、本質的に線形的な関係性があるということを示した。約150mg/dLよりも下の濃度においてのみ、CHDからの死亡率はゼロに向かい始める。ヒトでは、血漿中のコレステロールのバルクはLDLによって運ばれる。CHDのリスク因子としての上昇した血漿中LDLコレステロールレベルの重要性は、疫学的研究からのみならず、脂質低下薬物の使用が関わる鋭意の治験の結果からもまた明らかである。スタチンは最も広く用いられるコレステロール低下薬物のうちの一つである。しかしながら、スタチン処置を受けているヒト対象の有意な比率は、CHDの発生率がゼロに向かう範囲よりも上である血漿中コレステロールレベルを継続して有する。
【0047】
LDLによって運ばれるコレステロールは、体内の全てのコレステロールのように、究極的には食事におよび組織におけるデノボ合成に起源を発する。典型的な西洋食事を消費する成人ヒト対象では、約1100mgのコレステロールが毎日体内プールに入る。1100mgのコレステロールの約四分の一(300mg)は食事から来る。残り(800mg)は体によって合成される。バルクコレステロール合成は主要な肝外臓器においてである。定常状態条件下では、体によって排泄されるコレステロールの量は食事および合成からの入力に等しく、その結果、場合に応じてアテローム性動脈硬化プラークによって進行的に捕捉される微量以外には体内のコレステロールの正味の蓄積はない。コレステロール入力およびコレステロール出力の間のバランスには複数の複雑な生合成、輸送、異化、および排泄経路の相互影響が関わる。本質的には、各日に、未代謝のコレステロールとしてまたはコレステロールの筆頭の分解産物である胆汁酸としてどちらかで、約800mgのコレステロールが胆汁による排泄のために末梢から肝臓に戻されるので、このバランスが達成される。
【0048】
小腸のルーメンにおいて、胆汁中コレステロールは食事中コレステロールと混合する。このルーメンのコレステロールのある部分は爾後に腸粘液を通してリンパへと吸収され、カイロミクロンによって血漿中へと運ばれる。循環中においては、カイロミクロンはリポ蛋白質リパーゼによって加水分解されてレムナント粒子を形成し、これらはそれから肝臓によって迅速に取り込まれる。胆汁中および食事中コレステロールのこの腸肝の動きは、全身のコレステロールバランスおよび究極的には(ultimately of)血漿中のLDLコレステロールの濃度を決定づける上で根本的重要性がある。各日に、食事からの約300mgと比較して、約1000mgの胆汁中コレステロールが小腸のルーメンに入る。よって、食事中コレステロール摂取が半分にされる場合であっても、これは可能性として吸収され得る腸ルーメン内のコレステロールの量をわずかに減少させるのみであろう。それゆえに、かかる食事改善は、蓋然的には、血漿中LDLコレステロール濃度を縮減する上ではそこそこの利益があるのみであろう。しかしながら、胆汁中および食事中コレステロールの吸収効率が薬理学的にまたはダイエタリーサプリメントによってある程度まで縮減される場合には、体に入るコレステロールの量の縮減の大きさおよび血漿中LDLコレステロールレベルの縮減の大きさはより有意である。
【0049】
肝臓はデノボコレステロール合成の主要な部位ではないが、それは血漿中LDLコレステロールレベルを制御することに中心的役割を演ずる。これは、肝臓が、LDLの産生と血漿からのその受容体によって媒介されるクリアランスと両方の筆頭の部位であるので発生する。カイロミクロンおよび血漿リポ蛋白質の取り込みから肝臓に入るコレステロールは、肝細胞内で合成されるコレステロールと一緒になって、共通の制御プールとして混合する。このプールからのステロールはいくつかの経路に利用される。これらの1つには新生の超低密度リポ蛋白質の産生が関わり、これらは循環中のLDLのほとんどの前駆体である。肝臓は、LDLRによって媒介される経路によって血漿からLDLを除去するための定量的に最も重要な臓器でもまたある。それゆえに、肝臓によるLDLの産生および/またはクリアランスの速度を変化させることによって、血漿中LDL-C濃度は幅広い範囲に渡って調節され得る。肝LDL代謝のこれらの側面の両方は、腸ルーメンから吸収され、カイロミクロンのレムナントによって肝臓に運ばれるコレステロールの量の変化に対して高度に応答性である。それゆえに、肝臓へのカイロミクロンコレステロールの送達を増大させることはLDL産生を駆動し、LDLR活性を抑圧し、血漿中LDLコレステロールレベルを上昇させるが、コレステロール吸収(腸から)を阻害することは逆の効果を有する。腸からのコレステロール吸収は主として十二指腸および近位空腸において発生する。植物ステロールは、コレステロールと構造的には類似だが、一般的には不良に吸収されるかまたは全く吸収されないかどちらかなので、吸収プロセスは大きくはコレステロールに特異的である。典型的な西洋食事を消費するヒトでは、小腸のルーメンに入るコレステロールの約四分の一のみが食事からである;ルーメンにおけるコレステロールのバルクは腸上皮から流出する胆汁および細胞から直接的に来る。コレステロール吸収の2つの主なフェーズがある。第1はルーメンにおいて起こり、食事中脂質の消化および加水分解、次に胆汁酸およびリン脂質を含有する混合ミセルによるコレステロールの可溶化が関わる。この可溶化は、ルーメンのバルク相からエンテロサイトの表面へのコレステロールの動きを容易化する。第2のフェーズでは、コレステロールは、ニーマン・ピックC1様1蛋白質(NPC1L1)の影響下において容易化された拡散によって粘膜細胞の膜を横断する。NPC1L1は腸のコレステロール取り込みおよび吸収プロセスの必須蛋白質である。NPC1L1は小腸の吸収性のエンテロサイトの刷子縁膜に局在する。NPC1L1の腸発現は高いレベルのコレステロールおよびトリグリセリドを含有する食事によって下方制御される。過去30~50年に渡る研究は、植物ステロールおよびそれらの誘導体に当てはまるように見えるミセル可溶化ステップの遮断によって、またはエステル化酵素のアシル補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼの阻害剤によって例示される吸収プロセスの細胞内フェーズに関わるステップの1つの阻害によってどちらかで、コレステロール吸収をブロックする合成および天然産物に至った。これらの薬剤の多くは、著しいコレステロール低下作用を動物モデルにおいて行使するが、ほとんどはヒトにおいてより有効でないことが判明している。ヒトに控えめに有効であるコレステロール吸収の阻害剤は、通常は毎日グラム数量で取られることを必要とする。これはいくつかのケースでは患者の忍容性およびコンプライアンスを制限する。ここで、本発明者は、乾燥されたR.ルブルム細胞に関するLDLコレステロール低下ダイエタリーサプリメントまたは(医薬)組成物を提供する。ヒト対象へのR.ルブルム細胞の使用はいずれかの副作用または有害反応なしに確立され、重量パーセンテージとして表現される活性成分(単数または複数)の量はR.ルブルム細胞の乾燥質量の最大で約1.5%であり、毎日2つの等しいドーズに分割されてヒト対象に毎日投与されるR.ルブルム全細胞によって3.75mg~15mg活性成分(単数または複数)まで蓄積した。
【0050】
複数の実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞がヒト対象に投与され、これに、少なくとも1つの医薬活性成分、例えば、スタチン、ナイアシン、フェノフィブラート、エゼチミブ、コレセベラム、ミポメルセン、ロミタピド、PCSK9阻害剤、アリロクマブ、エボロクマブ、ETC-1002、CETP阻害剤、アナセトラピブ、エバセトラピブ、WAY-252623、血圧低下化合物、ヒドロクロロチアジド、好ましくはスタチン、例えばアトルバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、および/またはエゼチミブから選択される少なくとも1つの医薬活性成分が(同時)投与される。例えば、ロドスピリルム・ルブルム細胞を投与することの開始において、スタチンおよび/またはエゼチミブがヒト対象に先に投与されているときには、ロドスピリルム・ルブルム細胞はスタチンおよび/もしくはエゼチミブを代替する。または、これらの医薬活性化合物は、ロドスピリルム・ルブルム細胞がヒト対象に投与されなかったときに適用されるドーズ(単数または複数)と比較して、ロドスピリルム・ルブルム細胞と同時投与されるときには、より低いドーズで用いられるかどちらかである。
【0051】
複数の実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することは、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与に先立つ血漿中LDLコレステロール濃度に基づいて少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも6%、より好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも20%による前記対象の血漿中LDLコレステロール濃度の減少をもたらす。好ましくは、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することは、前記対象の血漿中LDLコレステロール濃度の減少をもたらしながら、HDLコレステロールの濃度は本質的に変わらないままに残るかまたは増大する。好ましくは、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することは、前記対象の血漿中LDLコレステロール濃度の減少をもたらしながら、前記対象の血清(グルコースでは血漿)中のALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPのいずれか1つ以上の濃度は、本質的に変わらないままに残るかまたは(標準的な)正常なかつ健康な値内に留まる。好ましくは、前記対象の血清(グルコースでは血漿)中の全てのこれらのパラメータALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPについて、濃度は本質的に変わらないかまたは(標準的な正常な)健康な限界内のままに残る。ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与し、前記対象の血漿中LDLコレステロール濃度の減少をもたらしながら、前記対象では、SBPおよびDBPの1つまたは両方は本質的に変わらないままに残るかまたは(標準的な)正常な健康な限界内に留まることもまた好ましい。ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与し、前記対象の血漿中LDLコレステロール濃度の減少をもたらしながら、安静時心拍数は前記対象では本質的に変わらないままに残るかまたは(標準的な)正常な健康な限界内に留まることもまた好ましい。好ましくは、ヒト対象は、さもなければ健康な対象、例えば、ボーダーラインの血漿中コレステロールまたは血漿中LDLコレステロールレベル、例えば5mM~8mMを有するヒト対象である。より好ましくは、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することは、前記対象の血漿中LDLコレステロール濃度の減少をもたらしながら、前記対象の血清中の濃度は、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPでは本質的に標準的な正常な値内のままに残り、SBPおよびDBPは本質的に変わらないままに残るかまたは健康なかつ標準的な正常な限界内に留まるかどちらかであり、安静時心拍数は本質的に変わらないままに残るかまたは健康なかつ標準的な正常範囲内に留まる。
【0052】
複数の実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞は、顆粒化物、好ましくはゼラチンカプセルなどのカプセルとしてまたは分包として提供される顆粒化物として製剤される。細胞、好ましくは新鮮培養された細胞を、乾燥、例えばリフラクション乾燥機を用いる55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは80℃~100℃、例えば55℃~70℃または58℃~65℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒が好ましい。
【0053】
複数の実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う非治療的方法であり、ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが少なくとも1.0g、例えば少なくとも5.0g、好ましくは1.0~100g、より好ましくは1.0~50g、最も好ましくは5.0~20gである。ロドスピリルム・ルブルム細胞が日当たり0.1gおよび50gの間の量のロドスピリルム・ルブルム細胞を提供するように投与される本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う非治療的方法が好ましい。
【0054】
複数の実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う非治療的方法であり、ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが、それぞれが1日ドーズの半分を含む2つの半1日ドーズであり、好ましくは、第1の半1日ドーズが、ヒト対象によって取られる昼食の1~2時間前に、昼食の1~2時間後に、または昼食中に投与され、第2の半1日ドーズが、ヒト対象によって取られる夕食の1~2時間前に、夕食の1~2時間後に、または夕食中に、好ましくは昼食中におよび夕食中に投与される。
本発明のある態様は、ヒト対象の血液の血漿中のLDLコレステロールの低下のための方法への使用のための、薬学的有効量のロドスピリルム・ルブルム細胞および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0055】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの少なくとも1つの濃度が、好ましくは医薬組成物の初回投与の開始の前および/または医薬組成物の爾後の1つ以上のさらなる投与の間にALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの前記少なくとも1つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象への医薬組成物の投与によって標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定のままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る。
【0056】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ヒト対象の拡張期血圧および/または収縮期血圧が、好ましくは医薬組成物の初回投与の開始の前および/または医薬組成物の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記血圧(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象への医薬組成物の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る。
【0057】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ヒト対象の安静時心拍数が、好ましくは医薬組成物の初回投与の開始の前および/または医薬組成物の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記安静時心拍数と比較して、前記ヒト対象への医薬組成物の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る。
【0058】
本発明のある態様は、心血管疾患、アテローム性動脈硬化、脂質異常症、動脈硬化症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症、ホモ接合性シトステロール血症、少なくとも70mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLの血漿中総コレステロールレベル、少なくとも5.0mM、例えば5.0mMおよび8.0mMの間の血液中の総血漿中濃度、少なくとも14mg/dLのLp(a)レベル、炎症、炎症性疾患、虚血、感染のいずれか1つ以上の処置または予防のための方法への使用のための、薬学的有効量のロドスピリルム・ルブルム細胞および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0059】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、代替治療、例えばスタチンおよび/もしくはエゼチミブを代替する治療としてヒト対象に投与されるか、またはロドスピリルム・ルブルム細胞の投与が開始する前にヒト対象に投与されるかかるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)のドーズよりも低いドーズのヒト対象に投与されるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)との組み合わせでヒト対象に投与され、LDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)は好ましくはスタチン、エゼチミブである。
【0060】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞は本発明の実施形態のいずれかのロドスピリルム・ルブルム細胞である。
【0061】
本発明のある態様は、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むヒト対象によって経口摂取されるときにコレステロール低下特性を有するダイエタリーサプリメントに関し、ロドスピリルム・ルブルム細胞は、細胞、例えば新鮮培養された細胞を、乾燥、好ましくは55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは80℃~100℃、例えば55℃~76℃、57℃~72℃、59℃~68℃、または60℃~65℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒である。
【0062】
本発明のある態様は、本発明に従うダイエタリーサプリメントを含む食料に関する。
【0063】
複数の実施形態は本発明のダイエタリーサプリメントまたは本発明の食料であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞は本発明の実施形態のいずれかのロドスピリルム・ルブルム細胞である。
【0064】
本発明のある態様は、(i)本発明の実施形態のいずれか1つのロドスピリルム・ルブルム細胞、好ましくは乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒、または本発明のダイエタリーサプリメント、または本発明の食料を含有する容器と;(ii)ヒト対象による使用のための説明書と;(iii)任意に、本発明の実施形態の医薬活性成分のいずれか、好ましくはスタチンおよび/またはエゼチミブを含む少なくとも1つの医薬組成物と;(iv)任意に、液体、好ましくは水または飲み物を有する容器と(液体はヒト対象による摂取前に容器中において提供されるロドスピリルム・ルブルム細胞を混合するためであるか、または液体はヒト対象によるロドスピリルム・ルブルム細胞との逐次的なもしくは同時的な摂取のためである);を含むキットに関する。
【0065】
本発明のある態様は:
- 本発明のロドスピリルム・ルブルム細胞または本発明に従う使用のための医薬組成物または本発明のダイエタリーサプリメントまたは本発明の食料を含有する容器と;
- ヒト対象による使用のための説明書と;
- 任意に、液体、好ましくは水または飲み物を有する容器と(液体はヒト対象による摂取前に容器中において提供されるロドスピリルム・ルブルム細胞を混合するためであるか、または液体はヒト対象によるロドスピリルム・ルブルム細胞との逐次的なもしくは同時的な摂取のためである);
を含むキットに関する。
【0066】
本発明のさらなる態様は、本発明に従うロドスピリルム・ルブルム細胞、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むダイエタリーサプリメント、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む食料、またはロドスピリルム・ルブルム細胞を含む医薬組成物に関し、それを必要とするヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与後に、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPから選択される少なくとも1つの(健康に関する)パラメータの血清中濃度が、本質的に変わらないままに残るかもしくは(標準的な)正常範囲内のままに残り、ならびに/またはSBPおよびDBPが本質的に変わらないかもしくは健康な正常な限界内のままに残り、ならびに/または安静時心拍数が本質的に変わらないままに残るかもしくは(標準的な)正常範囲内のままに残り、好ましくは、前記健康に関するパラメータの全ての血清(血漿)値、血圧、および安静時心拍数が、(標準的な)正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に変わらないままに残る。このときに、値および血圧は、細胞をヒト対象に投与することの開始前におよび細胞の毎日の投与の過程において決定および比較される。ならびに/または、このときに、値は、それを必要とするヒト対象への細胞の毎日の投与の過程の第1日に、および毎日の投与の前記過程の第2日に決定および比較される。本明細書において定義されるパラメータの血清中濃度(グルコースでは血漿中濃度)の(標準的な)正常な(健康な)範囲は、ASTでは8U/Lおよび33U/Lの間、ALTでは4U/Lおよび36U/Lの間、γGTでは5U/Lおよび40U/Lの間、クレアチニンでは男性は約61.9μmol/Lおよび114.9μmol/Lの間、女性は53μmol/Lおよび97.2μmol/Lの間、NT-ProBNPでは75歳よりも下のヒト対象は125pg/mL未満、75歳よりも上のヒト対象は450pg/mL未満、vWFでは50U/Lおよび200U/dLの間、c-トロポニンTでは52ng/mL未満、血漿中グルコースでは空腹時には4.0mmol/Lおよび5.9mmol/Lの間、hsCRPでは3.0mg/L未満である。血圧の標準的な正常範囲は、SBPでは90mmHGおよび139mmHGの間、DBPでは60mmHGおよび89mmHGの間である。さもなければ健康なヒト対象、すなわち成人または10歳以上の対象では、安静時心拍数の標準的な正常範囲は分当たり60から100拍の間である。
本発明は付属の図面および図を参照して下でより詳細に論じられる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1はWO2004/052380A1の図2の範囲を提示する。WO2004/052380A1の例5に詳細に説明されている通り、通常のチャウ食事(「コントロール」)を給餌されたウィスターラットのおよび10%(w/w)R.ルブルムを含有するチャウ食事を給餌されたウィスターラット(「10%R.rub」)からの血漿中のリポ蛋白質パターンを提示している。消費されたR.ルブルム細胞の影響下において、ラットの血漿中LDLコレステロールレベルは減少したが、血漿中HDLコレステロールレベルは本質的に変わらないままに残った。
図2図2はWO2004/052380A1の図5の範囲を提示する。WO2004/052380A1の例7に詳細に概説されている通り、高コレステロール血症「西洋型」食事および10%(w/w)R.ルブルムを含有する高コレステロール血症「西洋型」食事を給餌されたC57BI/6マウスの血漿中のリポ蛋白質パターンを示している。消費されたR.ルブルム細胞の影響下において、マウスの血漿中LDLコレステロールレベルは減少したが、血漿中HDLコレステロールレベルは本質的に変わらないままに残った。
図3図3はWO2004/052380A1の図1の範囲を提示する。WO2004/052380A1の例5に詳細に概説されている通り、ラットチャウ(「コントロール」)、または加えてラットチャウおよびR.ルブルム細胞の総重量に基づいて10%のフリーズドライされたR.ルブルム細胞を含有するラットチャウを給餌された雄ウィスターラットの血漿中の総コレステロール含量を示している。消費されたR.ルブルム細胞の影響下において、R.ルブルム細胞を給餌されなかったコントロールラットと比較して、雄ウィスターラットの血漿中の総コレステロール含量は減少した。
図4図4はWO2004/052380A1の図9の範囲を示す。R.ルブルム細胞を欠く同じ食事を給餌されたコントロールマウスの群と比較して、2週給餌された後の血漿中コレステロールレベルおよびβ-シトステロールレベルに対するマウスの「西洋型」食事中の5%(w/w)および10%(w/w)のR.ルブルムの効果を示している(示されているデータは平均±s.d.である)。
図5図5は同じ発明者による国際特許出願WO2018/229223A1の図2の範囲を示す。ロドスピリルム・ルブルム細胞の石油エーテル抽出物「l.1」のMaldi-TOF分析を示している。
図6図6は国際特許出願WO2018/229223A1の図1の範囲を示す。インビボマウスモデルのLDLコレステロールについて、血漿中コレステロール低下効果を示しながら、HDLコレステロールレベルおよび総コレステロールレベルはマウスの処置によっては本質的に変わらないままに残る。マウスは、コントロール飼料(「コントロール」)またはカロテノイド、キノン、ユビキノン、ユビキノール、ユビキノン、およびバクテリオフェオフィチンを含むロドスピリルム・ルブルム細菌の抽出物に富む飼料(「抽出物l.1/画分l.1」)を給餌された。
図7図7はマウスの本質的に等しい毎週の食物摂取を示し、これらは通常の高脂肪飼料を第1に給餌され、爾後に比較研究に付された。これにおいては、マウスの「コントロール」群は飼料の総重量に基づいて10%の通常の食事を補充された通常の高脂肪食事を給餌されることを継続したが、マウスの「処置」群は飼料の総重量に基づいて10%のR.ルブルム細胞を補充された通常の高脂肪食事を給餌された。
図8図8は、マウスの血漿中総コレステロールレベルが考えられたときの図7の概説において参照される比較研究の結果を示す。研究においては、マウスの「コントロール」群は飼料の総重量に基づいて10%の通常の食事を補充された通常の高脂肪食事を給餌され、マウスの「処置」群は飼料の総重量に基づいて10%のR.ルブルム細胞を補充された通常の高脂肪食事を給餌された。
図9図9は、治験のゴールド・スタンダードに従うランダム化二重盲検のプラセボ対照治験の実験デザインを示す。若干上昇した空腹時血清中総コレステロール濃度(5.0~8.0mmol/lの間;dL当たり193~309mgコレステロール)を有する82人の健康な男性ヒト対象を包含する。対象は、日当たり0.25グラムの乾燥されたR.ルブルム細胞(0.125グラムを含む2つのカプセル、毎日)もしくは0.50グラムもしくは1.0グラムまたはプラセボ(食事中にR.ルブルム細胞なし)を含有するカプセルを消費した(群当たりn=20)。
図10図10は、治験のゴールド・スタンダードに従う第2のランダム化二重盲検のプラセボ対照治験の実験デザインを示す。若干上昇した空腹時血清中総コレステロール濃度(5.0~8.0mmol/lの間;dL当たり193~309mgのコレステロール)を有する健康な男性ヒト対象が、日当たり1.0、2.0、3.0、4.0、および5.0グラムの乾燥されたR.ルブルム細胞またはプラセボを含有するカプセルを消費する。
【発明を実施するための形態】
【0068】
定義および標準
明細書および請求項中の用語の第1、第2、第3、および同類は、必ずしもシークエンス的なまたは時間的な順序を記載するためではなく、類似の要素を見分けるために用いられる。用語は適当な状況では交換可能であり、本発明の実施形態は本明細書において記載または例解される以外のシークエンスで作動し得る。
【0069】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、別様に規定されない限り、組み合わせでおよび協力して作動し得る。
【0070】
さらにその上、種々の実施形態は、「好ましい」または「例えば(e.g.)」または「例えば(for example)」または「特に」と言われるが、本発明の範囲を限定するよりはむしろ本発明が実装され得る例示的な様式で解釈されるべきである。
【0071】
請求項に用いられる用語「含む」は、その後に挙げられている要素またはステップに制限されると解釈されるべきではない;それは他の要素またはステップを除外しない。それは、参照される書かれている特徴、もの、ステップ、またはコンポーネントの存在を規定していると解釈されることを必要とするが、1つ以上の他の特徴、もの、ステップ、もしくはコンポーネント、またはそれらの群の存在または追加を排除しない。それゆえに、表現「AおよびBを含む組成物」の範囲は化合物AおよびBのみからなる組成物に限定されるべきではなく、むしろ本発明については、組成物の列挙されたのみの化合物がAおよびBであり、さらに、請求項はそれらの化合物の同等物を包含すると解釈されるべきである。
【0072】
コレステロール低下特性は、本明細書においては、対象の体、例えば動物対象、例えばそれを必要とする(健康な)ヒト対象に(経口)投与されるときに、前記対象の血液または血漿または血清中のコレステロールまたはLDLコレステロールレベルを低下させる、化合物または組成物、例えば乾燥されたR.ルブルム細胞、またはリフラクティブ乾燥によって得られた(55~100℃、好ましくは60~100℃、より好ましくは80~100℃、例えば53℃~73℃、56℃~68℃、58℃~63℃における当分野で公知のリフラクション乾燥機によって乾燥された)オーブン乾燥されたR.ルブルム細胞、医薬組成物、調製物、ダイエタリーサプリメント、または食料もしくは動物の飼料(産物)の能力として定義される。血液および血漿および血清中のコレステロールのレベルを測定するための方法は当業者には公知である。
【0073】
本明細書において、用語「60℃および80℃の間の沸点を有する石油エーテル」は、その通常の科学的意味を有し、ここでは、脂肪族炭化水素からなり、かつ60℃および80℃の間の範囲で沸騰する石油画分を言う。
【0074】
用語「急性腎障害」はその通常の科学的意味を有し、「腎臓病:グローバルアウトカム改善」(KDIGO)2012ガイドラインによって、48時間以内のベースラインからのクレアチニンの絶対的な≧0.3mg/dL上昇として定義される。
【0075】
用語「LDLコレステロールレベル」および用語「LDLコレステロール濃度」は明細書および請求項においてそれらの通常の科学的意味を有し、ここでは、対象、例えば(健康な)ヒト対象の体内においてLDLと会合するかまたはそれによって輸送されるmmol/Lまたはmg/dLによるコレステロールの量を言う。LDLコレステロールレベルは例えば、例の項に概説されている通り直接的に測定される。指示されているところでは、LDLコレステロール濃度は、ヒト対象の血漿サンプルなどのサンプルの測定された総コレステロール濃度、測定されたHDLコレステロール濃度、および測定されたトリアシルグリセロール濃度から計算され、これらの測定データに基づいて、LDLコレステロールレベルが計算される。
【0076】
「第IIa相治験」はその通常の科学的意味を有し、ここでは、ヒト対象による治験のためのゴールド・スタンダードに従う治験を言う。細菌細胞をヒト対象に投与することの安全性を初めて調べる目的で、かつヒトにおける乾燥されたロドスピリルム・ルブルムのLDLコレステロール低下効果を評価するために、治験薬、ここではオーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細菌細胞((55~100℃、好ましくは60~100℃、より好ましくは80~100℃、例えば56℃~90℃、58℃~80℃、60℃~70℃、および62℃~68℃における)当分野で公知のリフラクション乾燥機を用いるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞)、またはプラセボが投与される健康なヒト男性対象を包含する。第II相トライアルでは、細菌細胞は、血漿中LDLコレステロールレベルの縮減、すなわち少なくとも5.0mMおよび最大で8.0mMの血漿中LDLコレステロールレベルを必要とするヒト対象において、それらの有効性および安全性について評価される。第II相トライアルはプラセボ対照トライアルである。第IIa相トライアルの目的は薬物(またはダイエタリーサプリメント)の短期的安全性を評価することであるが、薬物の有効性もまたかかるトライアルの間にモニタリングされる。
【0077】
用語「R.ルブルム」、「R.ルブルム細胞」、および「R.ルブルム細菌細胞」はそれらの通常の科学的意味を有し、ここでは、グラム陰性光合成紅色細菌ロドスピリルム・ルブルムを言う。
【0078】
用語「ホメオスタシス」は生物学におけるその通常の科学的意味を有し、生体システムによって維持される内的な物理的および化学的条件の定常状態を言う。この動的な平衡状態は生物の最適な機能の条件であり、多くの変数、例えば体温および体液バランスがある種のプリセットされた限度(ホメオスタシス範囲)内に保たれることを包含する。他の変数は細胞外液のpH、ナトリウム、カリウム、およびカルシウムイオンの濃度、ならびに血糖レベルのそれを包含し、これらは環境、食事、または活動のレベルの変化にかかわらず制御されることを必要とする。これらの変数のそれぞれは1つ以上の制御因子またはホメオスタシスメカニズムによってコントロールされ、これらは一緒になって生命を維持する。本発明の文脈において、血漿中LDLコレステロールレベルが考えられるおよび/または総コレステロールレベルが考えられるときに、用語ホメオスタシス、すなわち動的な平衡状態は、(健康な)ヒト対象などの対象の最適な機能の条件を言う。
【0079】
ASTは肝臓炎症の指標である。ASTの増大したレベルは多くの場合には肝臓疾患の徴であるが、心臓発作、筋疾患または外傷、膵炎、および重篤な熱傷をもまた指示する。MEDLINE(登録商標)に従うと(NIH-NLM(アメリカ国立医学図書館)、USA.govの公式ウェブサイト、最新レビュー:2019年6月4日;2019年10月30日にアクセス;www.nim.nih.gov)、ASTの正常範囲はヒト対象では8から33U/Lの間である。ASTは分光測色法アッセイを用いて測定され得る。好ましくは、分光測色法アッセイはCobas8000(ロシュ・ダイアグノスティックス・システム)によってされる(下の実施例の項を見よ)。
【0080】
ALTは肝機能検査においては普通に測定される。ALTは肝臓疾患の共通の指標でもまたある。ALTの有意に上昇したレベルは、多くの場合には、ウイルス肝炎、糖尿病、うっ血性心不全、肝損傷、胆管の問題、伝染性単核球症、またはミオパチーなどの医学的問題の存在を示唆する。ALTレベルは一日の過程において若干変動し得るが、MEDLINE(登録商標)に従うと、ヒトの正常範囲は4から36U/Lの間である。ALTは分光測色法アッセイを用いて測定され得る。好ましくは、分光測色法アッセイはCobas8000(ロシュ・ダイアグノスティックス・システム)によってされる(下の実施例の項を見よ)。
【0081】
γGTもまた肝臓疾患の診断マーカーである。上昇した血清中γGT活性は肝臓、胆道系、および膵臓の疾患において見出され得る。加えて、γGTの若干上昇したレベルは心血管疾患の指標でもまたあるということが見出されている。ヒトにおけるγGTの参照範囲はMEDLINE(登録商標)に従うと5から40U/Lの間である。γGTは分光測色法アッセイを用いて測定され得る。好ましくは、分光測色法アッセイはCobas8000(ロシュ・ダイアグノスティックス・システム)によってされる(下の実施例の項を見よ)。
【0082】
クレアチニンは腎機能の最も普通に用いられる指標である。クレアチニンの上昇したレベルは尿路閉塞、腎臓の問題、脱水、または横紋筋融解症(筋線維の崩壊)を原因とし得る。血清中クレアチニンのMEDLINE(登録商標)に従う典型的なヒト参照範囲は、男性では0.7mg/dLから1.3mg/dL(約61.9μmol/Lから114.9μmol/L)、女性では0.6mg/dLから1.1mg/dL(53μmol/Lから97.2μmol/L)である。クレアチニンは分光測色法アッセイを用いて測定され得る。好ましくは、分光測色法アッセイはCobas8000(ロシュ・ダイアグノスティックス・システム)によってされる(下の実施例の項を見よ)。
【0083】
NT-ProBNPは急性うっ血性心不全のスクリーニングおよび診断に用いられ、心不全の予後を確立するために有用であり得る。典型的には、NT-ProBNPは心不全のより悪いアウトカムを有する患者および無症候性または症候性左室機能不全を有する患者において上昇している。加えて、それは冠状動脈疾患および心筋虚血に関連する。NT-ProBNPの許容される値は年齢によって変化し、このマーカーに関連する全ての健康問題を正確に予測するNT-ProBNPのレベルはない。しかしながら、ハンドブック「検査データ解釈の基本技術」第10章220頁(第4版、メアリー・リー著、米国病院薬剤師会、ベセスダ、メリーランド(USA))に従うと、ヘッダー「N末端ProBNP(NT-proBNP)」の下に、75歳よりも下のヒト対象はNT-ProBNPのそれらのレベルが125pg/mLを超える場合にはうっ血性心不全のより高いリスクを有し、75歳超のヒト対象では、これは450pg/mLよりも多いということが書かれている。NT-ProBNPはイムノアッセイを用いて測定され得る。好ましくは、イムノアッセイはCobas8000(ロシュ・ダイアグノスティックス・システム)によってされる(下の実施例の項を見よ)。
【0084】
vWFは止血に関わる血液中糖蛋白質である。vWFの増大した血漿中レベルが心血管系、新生、および結合組織疾患において観察されており、これらは内皮の有害な変化から生起することが推量されている。最近、上昇したvWFは冠状動脈疾患のリスク因子でもまたあるということが発見された。ヒトにおけるvWFの正常な参照範囲は国立心臓・肺・血液研究所に従うと50および200U/dLの間である(USA.gov、「フォン・ヴィレブランド病の診断、評価、およびマネージメント:フルレポート」、11月4日にアクセス。www.nhlbi.nih.gov)。vWFはELISAを用いて測定され得る。
【0085】
c-トロポニンTは、心筋の損傷が発生するときに血流中に放出されるので、心臓発作の検査診断にとりわけ有用である。Medscapeに従うと(reference.medscape.com、医師およびヘルスケアプロフェッショナルのためのポイントオブケア医学リファレンス、例えばアルバート・アインシュタイン・メディカルセンター、イェール大学医学部とパートナーシップ、更新:2015年1月14日、2019年11月4日にアクセス)、c-トロポニンTの正常レベルは14ng/mL未満である。しかしながら、14~52ng/mLはボーダーラインであり、c-トロポニンTの真に上昇したレベルは52ng/mLよりも多くにおいて開始する。c-トロポニンTはイムノアッセイを用いて評価され得る。好ましくは、イムノアッセイはCobas8000(ロシュ・ダイアグノスティックス・システム)によってされる(下の実施例の項を見よ)。
【0086】
血漿中グルコース濃度はいくつかの臨床的な異常の良い指標である。第1に、高い血漿中グルコースレベルは心疾患、癌、腎損傷、眼損傷、および神経損傷などの問題を引き起こし得、低い血漿中グルコースは倦怠、損なわれた精神機能;易刺激性;震え、痙攣、四肢筋力低下;青白い顔色;発汗;意識の喪失を引き起こす。低い血漿中グルコースが適時に処置されない場合には、深刻な帰結、例えば意識の喪失、痙攣発作、および臓器機能の喪失が発生し得る。非糖尿のヒトにおける正常な血漿中グルコースレベルは、英国国立医療技術評価機構公衆衛生ガイドライン38に従うと、食前の4.0~5.9mmol/Lから最高で食後の7.8mmol/mLの間の範囲である(UK、www.nice.org.uk/guidance/ph38、最新レビュー2017年9月、2019年11月4日にアクセス)。
【0087】
hsCRPは主に炎症の指標として用いられる。CRPの高い循環中レベルは継続的な全身炎症の存在を示す。それは肝不全、糖尿病、および心血管疾患の発達の予測因子でもまたある。健康な成人のヒトでは、hsCRPの正常な濃度は様々である。しかしながら、アメリカ心臓協会およびアメリカ疾病予防管理センターによって(labtestsonline.org/tests/high-sensitivity-c-reactive-protein-hs-crp、最新レビュー2018年10月23日、2019年11月4日にアクセス)、1.0mg/L未満のhsCRPを有する個人は心血管疾患の低いリスクを有し、3.0mg/L超を有する者は心血管疾患の高いリスクを有するということが見出されている。hsCRPは免疫比濁法アッセイによって測定され得る。
【0088】
SBPおよびDBPは心血管疾患のリスクを予測する尺度である。高い血圧および低い血圧は両方とも循環系に関係するいくつかの深刻な状態に関連する。欧州心臓病学会(ESC)および欧州高血圧学会(ESH)の動脈高血圧マネージメントタスクフォースは(動脈高血圧のマネージメントのための2018年ESC/ESHガイドライン、www.eshonline.org/guidelines/arterial-hypertension、2019年11月4日にアクセス)、高血圧のリスクに関係する血圧の分類を確立した。最適と考えられるSBPは120mmHGよりも低い。しかしながら、最高で139mmHGまではヒトではなお正常であると考えられる。最適には、DBPは80mmHGよりも低い。しかしながら、最高で89mmHGまでは、それはヒトではなお正常であると考えられる。低「すぎる」血圧の受け入れられた診断の標準はないが、普通には、90mmHGよりも低いSBPおよび60mmHGよりも低いDBPはヒト成人では低すぎるということが受け入れられている。好ましくは、DBPおよびSBPはオムロンM7(オムロンヘルスケア株式会社、京都、日本)を用いて測定される。下の実施例の項を見よ。
【0089】
安静時心拍数は心臓の健康状態の指標である。ヒト対象の通常よりも一貫して高いかまたは低い安静時心拍数は、心臓に関係する問題を示し得る。MEDLINE(登録商標)に従うと、正常な健康な安静時心拍数は60~100bpm(分当たりの拍;10歳以上のさもなければ健康なヒト成人)の間に在る。しかしながら、単一の対象について「正常」と考えられるものは、いくつかの因子、例えば総合体力および年齢に基づいて様々である。例えば、高頻度で運動する者またはプロフェッショナルアスリートは40bpmほども低い安静時心拍数を有し得る。研究は、60~100の範囲の上側に近い安静時心拍数が心血管疾患のリスクを増大させ得るということを示している。より高い安静時心拍数は、より低い体力ならびにより高い血圧、体重、および循環血液中脂肪のレベルにもまた関連する。分当たり100拍超の安静時心拍数は頻拍と呼ばれる状態であり、これは敗血症、甲状腺機能亢進症、および心筋症などのいくつかの疾患の1つ以上を示す。60bpmよりも低い安静時心拍数は、一般的には、徐脈と呼ばれる状態である。徐脈は例えば甲状腺機能低下症および心ブロックの存在を示し得る。
【0090】
まとめると:本明細書において定義される標準的な正常な(健康な)範囲は、ASTでは8U/Lおよび33U/Lの間、ALTでは4U/Lおよび36U/Lの間、γGTでは5U/Lおよび40U/Lの間、クレアチニンでは男性は約61.9μmol/Lおよび114.9μmol/Lの間、女性は53μmol/Lおよび97.2μmol/Lの間、NT-ProBNPでは75歳よりも下のヒト対象は125pg/mL未満、75歳よりも上のヒト対象は450pg/mL未満、vWFでは50U/Lおよび200U/dLの間、c-トロポニンTでは52ng/mL未満、血漿中グルコースでは空腹時には4.0mmol/Lおよび5.9mmol/Lの間、hsCRPでは3.0mg/L未満、SBPでは90mmHGおよび139mmHGの間、DBPでは60mmHGおよび89mmHGの間、安静時心拍数では60~100bpmの間である。
【0091】
ヒト対象による治験の文脈における用語「ゴールド・スタンダード」はその通常のかつ普通の科学的意味を有し、ここでは二重盲検のランダム化比較治験を言う(または二重盲検のランダム化対照治験;DBRCCT)。DBRCCTは、新たな処置の有効さを試験するときにある種のバイアス源を縮減することを狙う科学的に適切な医学的実験の型である;これは、ヒト対象を2つ以上の処置/プラセボ群にランダムに割り付けることと、各別々の群の対象を異なって処置することと、それから、測定された応答について、プラセボによる処置を包含する異なる処置のある種のあらかじめ決定された結果およびアウトカムを比較することとによって達成される。ヒト対象の少なくとも1つの群の実験群は、評価されようとする介入を有し、通常はコントロール群(プラセボ、または処置なし)と呼ばれるヒト対象の少なくとも1つの他の群は、代替的な条件、例えばプラセボまたは介入なしを有する。群は、実験介入がいかに有効だったかを見るためのトライアルデザインの条件下においてフォローされる。処置の有効性がコントロールと比較して評価される。1つよりも多くの処置群または1つよりも多くのコントロール群があり得る。トライアルは、ランダム化比較治験に包含されるヒト対象はそれらがいずれの群に割り当てられたかを知らない一重盲検であり得るか、または、ヒト対象も処置を投与する個人もこの情報を有さない二重盲検であり得る。これは、全てのヒト対象に対して可能な程度まで厳密に同じ手続きを行うことによって達成される。いずれかの差は、比較されようとする処置に固有であるはずである(例えば、試験化合物または組成物を投与すること対プラセボカウンターパートを投与すること)。群へのヒト対象の割り当てにおけるランダムさは、処置の割り当てにおける選択バイアスおよび割り付けバイアスを縮減し、公知のおよび未知の予後因子両方の釣り合いをとる。盲検化は他の形態の実験者および対象バイアスを縮減する。二重盲検RCCTは治験のゴールド・スタンダードと考えられる。それは医療的介入および非医療的介入の有効性を試験するために普通に用いられ(例えば、ライフスタイル介入を試験し、ダイエタリーサプリメントの効果を試験する)、加えて、試験される処置の有害作用、例えば薬物反応、ダイエタリーサプリメント反応についての情報を提供する。
【0092】
ロドスピリルムはロドスピリルム目およびアルファプロテオバクテリア綱の紅色非硫黄細菌の科のロドスピリルム科の属である。ロドスピリルム科は、他の特性の中でも、光栄養性であることと光をエネルギー源として用いて好気的におよび嫌気的に両方で育つこととを特徴とする。その目的で、細菌はクロロフィルbを含有する。ロドスピリルム属内では、3つの種、例えばロドスピリルム・ルブルム(R.ルブルム)、ロドスピリルム・センテナム、およびロドスピリルム・フォトメトリカムが見分けられる。加えて、4つの種、つまりロドスピリルム・サレキシゲンス、ロドスピリルム・サリナルム、ロドスピリルム・ソドメンス、およびロドスピリルム・テヌエは公認されていない。ロドスピリルム科の別のメンバーのフェオスピリルム属では、2つの種:フェオスピリルム・フルバムおよびフェオスピリルム・モリスキアヌムが包含される。本発明に従う使用のための細菌細胞の調製物は、非常に良くロドスピリルム属からの1つの種からなり得るが、異なるロドスピリルムspp.の混合物、例えばロドスピリルム・ルブルム、ロドスピリルム・センテナム、ロドスピリルム・テヌエ、ロドスピリルム・フォトメトリカム、ロドスピリルム・サレキシゲンス、ロドスピリルム・サリナルム、および/またはロドスピリルム・ソドメンス、またはフェオスピリルムspp.の混合物、例えばフェオスピリルム・フルバムおよびフェオスピリルム・モリスキアヌムもまた用いられ得る。ロドスピリルムspp.およびフェオスピリルムspp.の組み合わせもまた本発明に包摂される。好ましくは、ロドスピリルムspp.および/またはフェオスピリルムspp.の調製物は、ロドスピリルム・ルブルムおよび/またはフェオスピリルム・モリスキアヌム、なおより好ましくはタイプ種ロドスピリルム・ルブルム株ATCC11170(株DSM467)もしくは株ATCC25903および/またはフェオスピリルム・モリスキアヌム株DSM120(ATCC、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション;DSMZ、ドイツ微生物・細胞培養コレクション)を含む。
【0093】
ロドスピリルム・ルブルムのATCC25903株は動物において可能性としての食物源として欧州宇宙機関によって試験されている。それらは、R.ルブルム培養物は毒素を産生しないので最終的には補完的な食物源として用いられ得る可食バイオマスだと考えられ得るということを主張している。
【0094】
用いられる略語
ALT/ALAT、アラニントランスアミナーゼ;AST/ASAT、アスパラギン酸トランスアミナーゼ;BMI、ボディマス指数;BP、血圧;bpm、分当たりの拍;CCMO、ヒト対象研究中央委員会;CRP、C反応性蛋白質;CVD、心血管疾患;DBP、拡張期血圧;γGT/GGT、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ;HDL、高密度リポ蛋白質コレステロール;h-FABP、心臓型脂肪酸結合蛋白質;hsCRP、高感度C反応性蛋白質;LDL、低密度リポ蛋白質コレステロール;METC、医学研究倫理委員会;オランダ語:Medisch Ethische Toetsing Commissie);MUMC+、マーストリヒト大学メディカルセンター+;NT-ProBNP、脳性ナトリウム利尿ペプチドのN末端プロホルモン;vWF、フォン・ヴィレブランド因子;POC、概念実証研究;MRUM、マーストリヒト代謝研究ユニット;(S)AE、(重篤な)有害事象;SBP、収縮期血圧;TAG、トリアシルグリセロール;TC、総コレステロール;WMO、ヒト対象医学研究法;オランダ語:Wet Medisch-wetenschappelijk Onderzoek met Mensen。
【0095】
実施形態の記載
本発明は特定の実施形態について記載されるが、本発明はそれらにではなく請求項のみによって限定される。
【0096】
物質または組成物が投与されるそれを必要とする対象において血漿中LDLコレステロール低下活性を有する活性(医薬)成分を含む物質もしくは組成物、または活性成分を含むダイエタリーサプリメントもしくは医薬組成物もしくは食料を提供することが本発明のゴールである。理想的には、物質などは、(例えば、ヒト対象が少なくとも1.8mMのLDLコレステロールの血漿中レベルを有するので)LDLコレステロール血漿中レベル低下介入を必要とするかまたは(例えば、ヒト対象が3.0mM未満、例えば2.5mM未満、または最大で1.8mMのLDLコレステロールの血漿中レベルを有するので)LDLコレステロール血漿中レベルコントロールおよび維持介入を必要とするヒト対象の血漿中の善玉コレステロール(HDLコレステロール)レベルに影響を及ぼさない。典型的には、ヒト対象は18歳以上である。
【0097】
化合物または前記化合物を含む組成物を提供し、これが、化合物または化合物を含む組成物がそれを必要とするヒト対象に投与されるときに、i)それを必要とするヒト対象に投与することに好適なドーズにおいて安全であり、「安全」は、仮に発生する場合であっても、化合物または組成物が投与されるヒト対象、例えば70mg/dL以上の血漿中LDLコレステロールレベルを有する(健康な)ヒト対象における有害な副事象の許容される程度を言うこと、ii)ヒト対象の血漿中LDLコレステロールレベルを低下させることが考えられるときに活性であること、およびiii)血漿中HDLコレステロールを本質的に変わらずに維持することまたは血漿中LDLコレステロールレベルと比較されるときに血漿中のHDLコレステロール濃度を絶対的様式もしくは相対的様式で増大させることができること、の1つ以上であることが本発明の目的である。
【0098】
加えて、化合物または前記化合物を含む組成物を提供し、これが安全であり、これが、ヒトの体の不可欠な機能状態、例えば心臓機能、肝臓機能、および腎臓機能を評価するために普通に測定される(健康に関する)パラメータの血清値(濃度)に対する負の効果を有さないことが本発明の目的である。健康に関するパラメータのこれらの値は、ヒト対象の血液の血清または血漿中のAST、ALT、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、hsCRP、および血漿中グルコースレベルの値/濃度、ならびにDBP、SBP、および安静時心拍数である。
【0099】
上の目的の少なくとも1つは、好ましくは18歳以上のヒト対象の腸から循環中へのコレステロールの吸収の低下のための方法への使用のためのR.ルブルム細胞を提供することによって達成され、その結果、前記ヒト対象の血漿中のLDLコレステロールのレベルが縮減され、前記ヒト対象の血漿中のHDLコレステロールのレベルは本質的に変わらないままに残り、それによって、方法に付されるヒト対象の心血管疾患の発生のリスクを縮減する。典型的には、提供されるR.ルブルム細胞は乾燥された細菌細胞であり、細胞、好ましくは新鮮培養されたR.ルブルム細胞の乾燥、例えば、例えば100℃または100℃未満、例えば55~100℃、好ましくは60~100℃、より好ましくは80~100℃、例えば56~90℃、58~85℃、60~75℃、および65~70℃の温度における当分野で公知のリフラクション乾燥機を用いるリフラクティブ乾燥を適用することによって得られ、その結果、活性分子の損傷(のリスク)は限定されるかまたはさらには完全に防止される(例えば、R.ルブルム細胞が噴霧乾燥、凍結乾燥、フリーズドライ、ドラム乾燥などに付されるときに典型的に発生する活性分子の損傷未満の程度まで)。当分野において公知のリフラクション乾燥機を用いるリフラクティブ乾燥によって得られるR.ルブルム細胞は、本質的に水分なしであるか、または乾燥された細胞の総重量に基づいて1%の水分を含み得、その結果、リフラクティブ乾燥後のオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞の乾燥質量は細胞の重量に基づいて99~100%である。典型的には、R.ルブルム細胞は、ダイエタリーサプリメントとしておよび/または食物添加物として、例えば、ヒト対象が食事、軽食などを消費するすぐ前に、またはすぐ後に、または間に、例えば朝食、昼食、夕食、間食の軽食などにおいて摂取される錠剤またはカプセルとして提供される。ここによって、目的の1つは、コレステロール低下戦略による組成物または細胞調製物または機能的な食物成分の提供によって達成される。
【0100】
医薬活性成分および医薬品ならびに食物成分、ニュートラシューティカルズ、ダイエタリーサプリメント、食料、動物飼料、食物、および飼料製品の安全性プロファイルは、かかる医薬活性成分または医薬品などの影響下におけるヒト対象の血液、血漿、および/または血清中のいくつかの健康に関するパラメータの値または濃度の評価などによって測定され得、かかる測定は当業者には公知である。これらのパラメータは、ヒト対象の血液中のAST、ALT、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、hsCRP、および血漿中グルコースレベルを包含するが、これらに限定されない。さらにその上、DBP、SBP、および安静時心拍数が、それを必要とするヒト対象(例えば、5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールを有するヒト対象)へのR.ルブルム細胞の投与の前および間における評価のために選択される。本発明に従うR.ルブルム細胞による治療または処置が、処置されたヒト対象の血液、血漿、および/または血清の標準的な正常範囲内において、上で言及されているパラメータの値または濃度を本質的に安定にかつ変わらずに保つ場合は、有益である。本発明に従うR.ルブルム細胞による治療または処置が、処置されたヒト対象の血液、血漿、および/または血清において、安定なかつ本質的に変わらないままに残る上記のパラメータの値または濃度によって随伴される場合もまた有益である。
【0101】
それゆえに、例えばR.ルブルム細胞または本発明の医薬組成物または本発明に従う食物製品によって血漿中コレステロールレベルを低下させることを必要とするヒト対象および患者の処置が、AST、ALT、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、およびhsCRPのいずれか1つ以上、好ましくは全ての血清または血漿中レベルの増大を防止するときが特に有益である。加えて、R.ルブルム細胞またはR.ルブルム細胞を含む組成物が投与されるヒト対象の健康にとって、本発明の、すなわち(乾燥された)R.ルブルム細胞からなる(consisting)かまたはそれを含むLDLコレステロール低下組成物または化合物による処置の後および間に、vWfおよびc-トロポニンの血液の血清値ならびに血漿中グルコース濃度が標準的な正常範囲内のままに残るということもまた有益である。さらにその上、ヒト対象の健康にとって、DBP、SBP、および安静時心拍数が、本発明のLDLコレステロール低下組成物または化合物による処置の間または後に、標準的な正常範囲内のままに残り、実際には本質的に変わらないままに残るということが有益である。
【0102】
本発明のある態様は、ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度の低下のための方法への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞に関する。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、AST、ALT、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、およびhsCRPの1つ以上の値が、前記ヒト対象の血液中において本質的に変わらないままに残る。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、AST、ALT、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、およびhsCRPの1つ以上の値が、本質的に、前記ヒト対象の血液中において正常なまたは健康な限界内のままに残る。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、前記対象について、SBPおよび/またはDBPの値が本質的に変わらないままに残るかまたは正常な健康な限界内のままに残る。このときに、SBPおよびDBPは前記ヒト対象への細胞の投与の前および間に決定および比較され、ならびに/またはこのときにSBPおよびDBPは細胞が前記ヒト対象に投与される第1日におよび細胞が前記ヒト対象に投与される第2日に決定および比較される。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、前記対象について、安静時心拍数の値は本質的に変わらないままに残るかまたは正常な健康な限界内のままに残る。このときに、安静時心拍数は前記ヒト対象への細胞の投与の前および間に決定および比較され、ならびに/またはこのときに安静時心拍数は細胞が前記ヒト対象に投与される第1日におよび細胞が前記ヒト対象に投与される第2日に決定および比較される。
【0103】
本発明のある態様は、ヒト対象の心血管疾患の処置または予防への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞に関する。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、AST、ALT、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、およびhsCRPの1つ以上の値が前記ヒト対象の血液中において本質的に変わらないままに残る。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、AST、ALT、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、およびhsCRPの1つ以上の値が前記ヒト対象の血液中において本質的に正常なまたは健康な限界内のままに残る。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、SBPおよび/またはDBPの値が前記対象について本質的に変わらないままに残るかまたは正常な健康な限界内のままに残る。このときに、SBPおよびDBPは前記ヒト対象への細胞の投与の前および間に決定および比較され、ならびに/またはこのときにSBPおよびDBPは細胞が前記ヒト対象に投与される第1日におよび細胞が前記ヒト対象に投与される第2日に決定および比較される。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、前記対象について、安静時心拍数の値が本質的に変わらないままに残るかまたは正常な健康な限界内のままに残る。このときに、安静時心拍数は前記ヒト対象への細胞の投与の前および間に決定および比較され、ならびに/またはこのときに安静時心拍数は細胞が前記ヒト対象に投与される第1日におよび細胞が前記ヒト対象に投与される第2日に決定および比較される。
【0104】
本発明のある態様は、ヒト対象におけるアテローム性動脈硬化、脂質異常症、動脈硬化症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症、少なくとも70mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLの血漿中総コレステロールレベル、5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベル、少なくとも14mg/dLの血漿中Lp(a)レベル、虚血の処置または予防への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞に関する。
【0105】
本発明のある態様は、ヒト対象の腸からのコレステロールの吸収の阻害への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞に関し、その結果、前記ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度が減少するかまたは減少させられる。
【0106】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、ヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度が変わらないままに残るかまたは増大するかもしくは増大させられる。
【0107】
本発明のある態様は、ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度を低下させる非治療的方法に関し、方法は、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を投与することを含む。
【0108】
本発明のある態様は、ヒト対象の心血管疾患を処置または防止する非治療的方法に関し、方法は、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を投与することを含む。
【0109】
本発明のある態様は、ヒト対象におけるアテローム性動脈硬化、脂質異常症、動脈硬化症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症、ホモ接合性シトステロール血症、少なくとも70mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLの血漿中総コレステロールレベル、5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベル、少なくとも14mg/dLの血漿中Lp(a)レベル、虚血を処置または防止する非治療的方法に関し、方法は、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を投与することを含む。
【0110】
ある実施形態は本発明に従う非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物のヒト対象への投与は、ヒト対象の腸からのコレステロールの吸収を阻害し、その結果、前記ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度が減少するかまたは減少させられ、好ましくは、その結果、ヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度は変わらないままに残るかまたは増大するかもしくは増大させられる。
本発明のある態様は、ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度を低下させる非治療的方法に関し、方法は、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を経口投与することを含む。
【0111】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの少なくとも1つの濃度が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間の開始の前にALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの前記少なくとも1つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定のままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る。
【0112】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ヒト対象の拡張期血圧および/または収縮期血圧が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記血圧(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る。
【0113】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ヒト対象の安静時心拍数が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記安静時心拍数と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る。
【0114】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定されるHDLコレステロール濃度と比較して、ロドスピリルム・ルブルム細胞の投与、好ましくは毎日1回または2回の投与の過程において、変わらないままに残るかまたは増大するかもしくは増大させられる。
【0115】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ヒト対象は、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の前および/または開始においておよび/または爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に、1.5mM~16.0mM、好ましくは2.0mM~12.0mM、より好ましくは3.0mM~10.0mM、最も好ましくは5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベルを有する。
【0116】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞がヒト対象に経口投与される。
【0117】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、健康なヒト対象、好ましくは、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に少なくとも2.0mM、例えば3.0mM~14.0mM、または5.0mM~8.0mMという血液中の総コレステロール濃度を有する健康なヒト対象に投与される。
【0118】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することが、好ましくは前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与に先立つ血漿中LDLコレステロール濃度に基づいて少なくとも1%、好ましくは少なくとも3%、より好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも8%、最も好ましくは少なくとも20%による前記ヒト対象の血漿中のLDLコレステロール濃度の減少をもたらし、任意に、血漿中HDLコレステロール濃度が本質的に変わらないままに残るかもしくは血漿中LDLコレステロール濃度の減少よりも小さい程度に減少し、または前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与に先立つ血漿中HDLコレステロール濃度に基づいて、血漿中HDLコレステロール濃度が増大し、好ましくは血漿中HDLコレステロール濃度が本質的に変わらないままに残るかもしくは増大する。
【0119】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、細胞、好ましくは新鮮培養された細胞を、乾燥、好ましくは55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは80℃~100℃、例えば56~98℃、57~90℃、58~85℃、59~80℃、60~75℃、および61~69℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞の顆粒化物、好ましくはゼラチンカプセルなどのカプセルとして提供または分包として提供される顆粒化物として製剤される。
【0120】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非治療的方法であり、ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが、少なくとも1.0g、例えば少なくとも2.0gまたは3.0g、好ましくは1.0~100g、より好ましくは2.0~50g、最も好ましくは4.0~20g、例えば5.0グラムである。
【0121】
複数の実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、少なくとも1.8mmol/L(70mg/dL)、または少なくとも2.59mmol/L(100mg/dL)、または少なくとも3.34mmol/L(129mg/dL)、または少なくとも4.0mmol/L、例えば少なくとも5.2mmol/L(200mg/dL)、または5.0mMおよび8.0mMの間の血漿中のLDLコレステロールレベルを有するヒト対象に投与される。
【0122】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞がヒト対象に投与され、これに、少なくとも1つの医薬活性成分、例えばスタチン、ナイアシン、フェノフィブラート、エゼチミブ、コレセベラム、ミポメルセン、ロミタピド、PCSK9阻害剤、アリロクマブ、エボロクマブ、ETC-1002、CETP阻害剤、アナセトラピブ、エバセトラピブ、WAY-252623、血圧低下化合物、ヒドロクロロチアジド、好ましくはスタチン、例えばアトルバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、および/またはエゼチミブから選択される少なくとも1つの医薬活性成分が(同時)投与される。
【0123】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、スタチンおよび/またはエゼチミブは、スタチンまたはエゼチミブによる標準治療処置における1日ドーズと比較して、ロドスピリルム・ルブルム細胞と同時投与されるときには、より低い1日総ドーズで対象に投与される。
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞がヒト対象に経口投与される。
【0124】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、健康なヒト対象、好ましくは少なくとも5.0mM、例えば5.0mM~8.0mMというロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与前の血液中の総コレステロール濃度を有する健康なヒト対象に投与される。
【0125】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することが、好ましくは3.34mmol/L未満、好ましくは2.59mmol/L未満の血漿中濃度までの、より好ましくは1.8mmol/L未満の血漿中LDLコレステロール濃度までの、血漿中LDLコレステロール濃度の低下をもたらす。
【0126】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することが前記ヒト対象の血漿中のLDLコレステロール濃度の減少をもたらし、血漿中HDLコレステロール濃度が本質的に変わらないままに残るかもしくは血漿中LDLコレステロール濃度の減少よりも小さい程度に減少し、または血漿中HDLコレステロール濃度が増大し、好ましくは血漿中HDLコレステロール濃度が本質的に変わらないままに残るかもしくは増大する。
【0127】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することが、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与に先立つ血漿中LDLコレステロール濃度に基づいて少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも6%、より好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも20%による、前記対象の血漿中LDLコレステロール濃度の減少をもたらす。
【0128】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞を対象に投与することが、200mg/dL未満、または159mg/dL未満、または129mg/dL未満、好ましくは100mg/dL未満、例えば70mg/dLまたは未満の血漿中LDLコレステロール濃度への血漿中LDLコレステロール濃度の減少または血漿中LDLコレステロール濃度の維持をもたらす。
【0129】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、経口剤形、好ましくは固体経口剤形または液体経口剤形、好ましくは油または飲み物を含む液体経口剤形として製剤される。
【0130】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、顆粒化物、好ましくはゼラチンカプセルなどのカプセルとしてまたは分包として提供される顆粒化物として製剤される。
【0131】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒であり、新鮮培養された細胞を55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは80℃~100℃、例えば57~67℃、および58~62℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる。
【0132】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが、日当たり100mg~50g、好ましくは日当たり200mg~25g、より好ましくは日当たり500mg~10g、最も好ましくは日当たり1g~5g、例えば0.25g、0.50g、1.0g、2.0g、3.0g、4.0g、5.0g、7.5g、15g、20g、30g、または40gである。
【0133】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが、少なくとも1.0g、例えば少なくとも5.0g、好ましくは1.0~100g、より好ましくは1.0~50g、最も好ましくは5.0~20gである。
【0134】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、日当たり0.1gおよび50gの間のロドスピリルム・ルブルム細胞の量を提供するように投与される。
【0135】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが、それぞれが1日ドーズの半分を含む2つの半1日ドーズであり、好ましくは、第1の半1日ドーズが、ヒト対象によって取られる昼食の1~2時間前に、昼食の1~2時間後に、または昼食中に投与され、第2の半1日ドーズが、ヒト対象によって取られる夕食の1~2時間前に、夕食の1~2時間後に、または夕食中に、好ましくは昼食中におよび夕食中に投与される。
【0136】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う(according)非治療的方法であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞を対象に投与することが、対象の血漿中のLDLコレステロール濃度を159mg/dL未満、好ましくは129mg/dL未満、より好ましくは100mg/dL未満、最も好ましくは70mg/dLまたは未満、例えば50mg/dLおよび159mg/dLの間のレベルに維持する。
【0137】
本発明者の目的にとって有益には、R.ルブルム培養物は毒素を産生しない。よって、本発明者は、R.ルブルム細胞およびR.ルブルム細胞を含む組成物、またはそれらに由来する画分、抽出物、化合物を、ヒト対象にとっての(また、加えて、動物、例えばブタ、家禽、例えば肉用鶏、ブロイラー、卵用鶏、哺乳動物、脊椎動物、肉食動物、飼育動物、畜産動物、イヌ、ネコ、魚にとっての)補完的な食物源としての使用に好適である可食バイオマスと考える。
【0138】
血漿中コレステロールは単一の心血管系リスク因子である。よって、このリスク因子を標的化する薬物またはダイエタリーサプリメントは有功であろう。3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素Aレダクターゼを阻害し、それによってコレステロール合成の律速ステップをブロックするスタチンとして普通に公知の薬剤は、最も広く処方される薬剤である。心血管系リスク因子マネージメントのほとんどいずれかの背景におけるこれらの薬剤の使用が罹患率および死亡率を縮減し得るというエビデンスにもかかわらず、コンプライアンスおよびゴール達成は許容される標準よりも下のままに残っている。これの理由は、スタチンのより高いまたはより高力価のドーズを用いる必要であり、増大したドーズに関係する副作用プロファイル、例えば筋痛症、筋炎、薬物-薬物相互作用によって随伴される。
【0139】
コレスチラミンおよびコレセベラム(colesevalam)などの樹脂は胆汁酸を結合し、ミセルへのその可溶化を防止することによって腸のコレステロールの吸収を防止する。加えて、これらの化合物は胆汁酸の喪失を引き起こし、胆汁酸の各分子は肝臓によってコレステロールの分子から生成されており、それゆえにコレステロールの体内プールの枯渇を引き起こす。これらの化合物はかなりの消化器愁訴を引き起こし得、同時に、同時投与されるいずれかの他の薬物のバイオアベイラビリティを縮減し得るので、これらの化合物の使用は限定される。
【0140】
部分的には便による胆汁酸の喪失を増大させることによって、天然繊維もまた血液中のコレステロール濃度を低下させ得る。ミセル中への可溶化についてコレステロールと競合する植物ステロールまたはそれらの代謝物によるマーガリンの強化は、血漿中コレステロールレベルを低下させるために利用可能である。一般的に、コレステロール吸収を低下させるようにまたは増大した糞便による喪失を誘導するように作動するこれらの薬剤の全ては控えめに有効であり、質量作用効果によって作用するグラムドーズで用いられることを必要とする。対照的に、ここで、本発明者は、ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度を低下させることが考えられるときに、0.25g/毎日~毎日1.0gほども低い量のR.ルブルム細胞が夕食時間中にドーズの半分、昼食時間中にドーズの半分をヒト対象に投与されるときに、既に用量反応が達成されるということを確立した。
【0141】
アテローム性動脈硬化のマウスモデル、すなわちアポリポ蛋白質(Apo)Eノックアウトマウスでは、エゼチミブの投与は、コントロールと比較してこれらの動物の大動脈における脂質を抱えたプラークの有意な縮減に至った。それゆえに、この動物モデルにおいて食事中コレステロールをブロックすることは、アテローム性動脈硬化プラーク形成に対する有意な利益を有した。よって、処置されたヒト対象の腸において、胆汁中コレステロールの吸収を阻害することと一緒に食事中コレステロールの吸収を阻害することによって、R.ルブルム細胞単独治療は脂質を抱えたプラークに対する効果をもまた有し、すなわちかかるプラークを縮減するということが予期される。
【0142】
本発明者は、R.ルブルム細胞による単独治療が、血漿中低密度リポ蛋白質(LDL)コレステロールを少なくとも約2~6%低下させることに有効であり、処置されたヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度の維持をもたらすということを確立した。
【0143】
正常な健康な個人によって吸収されるコレステロールの平均パーセンテージは約55%であり、この平均についてはガウス分布を有する。よって、R.ルブルム細胞によるヒト対象の処置は、処置がスタチン薬物との組み合わせであるときには改善的に有効であろうということが予期される。比較のために、プラセボ対照研究において、開始ドーズのスタチンとの10mgのエゼチミブの組み合わせは血液中のLDLコレステロール低下をもたらし、これはスタチン単独の最大ドーズを用いることの同等物であった。この組み合わせはスタチン節約効果をもたらすように見え、この相乗的な効果のベースは肝臓によるLDLコレステロール粒子のより多大なクリアランスであることが蓋然的であるという仮説が立てられた。エゼチミブおよびスタチンの組み合わせによるヒト対象の処置のこの相乗的な効果は、試験されたスタチンの全てで見られ(シンバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン)、一般的には、血液中のさらなる21%から23%のLDLコレステロール低下をもたらした。ここで、R.ルブルム細胞単独治療は、腸におけるコレステロール吸収を阻害することによって有効なLDLコレステロール低下組成物であると本発明者によって既に証明されている。蓋然的には、R.ルブルム細胞を例えば相対的に低いドーズのスタチンおよび/またはエゼチミブと組み合わせることによる組み合わせ治療は、LDLコレステロール血液中レベルのさらなる低下さえもたらすであろう。
【0144】
エゼチミブおよびフィブラートの組み合わせと類似に、フィブラートとのR.ルブルム細胞の組み合わせでは、スタチンがR.ルブルムなしで用いられるときの準最適ドーズのスタチン、もしくはエゼチミブ、またはスタチンおよびエゼチミブ両方どちらかとのR.ルブルム細胞の組み合わせと類似に、相乗作用が予期される。なぜなら、R.ルブルム細胞およびスタチンは別々の経路を標的化するからである(エゼチミブと類似にR.ルブルム細胞では腸のコレステロール吸収に対して、フィブラートではペルオキシソーム増殖剤活性化受容体aによって媒介される遺伝子発現変化)。本発明者は、R.ルブルムの活性な石油エーテル画分(ここの下の例5を見よ)が乾燥されたR.ルブルム細胞の総重量に基づいて約1.5%乾燥質量からなり、それによって、これらの1.5%は腸におけるコレステロール吸収に対する阻害効果のベースにあるR.ルブルムの活性化合物(単数または複数)を含有するということを確立した。この1.5%画分は、ヒト対象の腸における阻害効果の背後にあると推測される一連のカロテノイドを含有する。
【0145】
本発明のある態様は、ヒト対象の血液の血漿中のLDLコレステロールの低下のための方法への使用のための、薬学的有効量のロドスピリルム・ルブルム細胞および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0146】
本発明のさらなる態様は、心血管疾患、アテローム性動脈硬化、脂質異常症、動脈硬化症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症、ホモ接合性シトステロール血症、少なくとも70mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLの血漿中総コレステロールレベル、少なくとも5.0mM、例えば5.0mMおよび8.0mMの間の血液中の総血漿中濃度、少なくとも14mg/dLのLp(a)レベル、炎症、炎症性疾患、虚血、感染のいずれか1つ以上の処置または予防のための方法への使用のための、薬学的有効量のロドスピリルム・ルブルム細胞および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0147】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの少なくとも1つの濃度が、好ましくは医薬組成物の初回投与の開始の前および/または医薬組成物の爾後の1つ以上のさらなる投与の間にALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、およびhsCRPの前記少なくとも1つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象への医薬組成物の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定のままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る。
【0148】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ヒト対象の拡張期血圧および/または収縮期血圧が、好ましくは医薬組成物の初回投与の開始の前および/または医薬組成物の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記血圧(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象への医薬組成物の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る。
【0149】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ヒト対象の安静時心拍数が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記安静時心拍数と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る。
【0150】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ヒト対象は、前記ヒト対象への医薬組成物の初回投与および/または爾後のさらなる投与(単数または複数)の間の開始においておよび/またはその前に、1.5mM~16.0mM、好ましくは2.0mM~12.0mM、より好ましくは3.0mM~10.0mM、最も好ましくは5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベルを有する。
【0151】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞は前記医薬組成物中の唯一の医薬活性成分である。
【0152】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、代替治療、例えばスタチンおよび/もしくはエゼチミブを代替する治療としてヒト対象に投与されるか、または医薬組成物の投与を開始する前のヒト対象に投与されるかかるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)のドーズよりも低いドーズのヒト対象に投与されるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)との組み合わせでヒト対象に投与される。
【0153】
ある実施形態は本発明に従う使用のための医薬組成物であり、医薬組成物中のロドスピリルム・ルブルム細胞は、先の実施形態のいずれか1つのロドスピリルム・ルブルム細胞である。
【0154】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、医薬組成物の1日ドーズが、少なくとも1.0gのロドスピリルム・ルブルム細胞、例えば少なくとも2.0g、または少なくとも3.0g、好ましくは1.0~100g、より好ましくは2.0~50g、最も好ましくは4.0~20g、例えば5.0~10.0グラムを含有する。
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が前記医薬組成物中の唯一の医薬活性成分である。
【0155】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、医薬組成物が対象に投与され、これに、少なくとも1つのさらなる医薬活性成分、例えば、スタチン、ナイアシン、フェノフィブラート、エゼチミブ、コレセベラム、ミポメルセン、ロミタピド、PCSK9阻害剤、アリロクマブ、エボロクマブ、ETC-1002、CETP阻害剤、アナセトラピブ、エバセトラピブ、WAY-252623、血圧低下化合物、ヒドロクロロチアジド、またはそれらのいずれかの組み合わせ、例えばスタチンおよびPCSK9阻害剤もしくはスタチンおよびエゼチミブ、好ましくはスタチン、例えばアトルバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、および/またはエゼチミブから選択される医薬活性成分が投与される。
【0156】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、代替治療、例えばスタチンおよび/もしくはエゼチミブを代替する治療としてヒト対象に投与されるか、またはロドスピリルム・ルブルム細胞の投与を開始する前のヒト対象に投与されるかかるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)のドーズよりも低いドーズのヒト対象に投与されるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)との組み合わせでヒト対象に投与される。
【0157】
ある実施形態は、本発明に従う使用のための医薬組成物であり、医薬組成物が、70mg/dLよりも高いLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも5.0mM、例えば5.0mM~8.0mMの血液中の総コレステロール濃度、心血管疾患、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化を患うヒト対象に投与される。
【0158】
ある実施形態は本発明に従う使用のための医薬組成物であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が本発明の先の実施形態のいずれか1つのロドスピリルム・ルブルム細胞である。
【0159】
肝臓におけるコレステロール合成は、カイロミクロンレムナント経路によって腸から肝臓に達する(食事中)コレステロールの量に高度に敏感である。西洋型のヒトの食事は日当たりおよそ400mgのコレステロールを提供する。この上に、肝臓は日当たりおよそ1グラムのコレステロールを胆汁中に分泌する。ヒトにおける腸のコレステロール吸収効率は高度に可変であり、健康な対象では15%から85%の範囲である。エンテロサイトによる取り込み後に、コレステロールはトリグリセリドと共にカイロミクロンに詰められ、リンパ中へと分泌される。循環中において、トリグリセリドは迅速に加水分解され、遊離の脂肪酸が末梢組織によって取り込まれる。コレステロールに富むカイロミクロンレムナントは爾後に肝臓によってクリアランスされる。カイロミクロンレムナントは腸から吸収されようとするコレステロールのほとんどを含有し、肝臓によって迅速に取り込まれるので、吸収プロセスへの干渉は肝コレステロール合成に直接的に影響を及ぼす。
【0160】
ここで、本発明者は、血液、例えばヒト対象の血漿/血清中のLDLコレステロールレベルを低下させることが、消化管からのコレステロールおよび/またはコレステロールエステルの吸収の阻害の帰結であり得るということを確立した。体内のおよび循環中のコレステロールのある部分は食事摂取に起源を発し、加えて、対象に存在するコレステロールのある部分は、他よりもかつ圧倒的に肝臓におけるデノボ合成に起源を発する。肝臓で生合成されたコレステロールは胆汁によって部分的に胆嚢に輸送および貯蔵される。要求されるときには、すなわち対象が脂肪に富む食物製品を消費するときなどには、コレステロールを有する胆汁は消化管に排泄される。胆汁コレステロールの大部分は大便によって排泄され、胆汁コレステロールの残りは食事中コレステロールのある部分と一緒に腸から取り込まれるということが公知である。他の脂溶性化合物のうち、食物摂取からのトリアシルグリセリドおよびコレステロールは、胆汁によって胆嚢から腸に移入されるコレステロールと一緒に、第1にエマルション粒子として、それから胆汁酸塩ミセルとして可溶化される。爾後に、腸粘膜細胞(エンテロサイト)はコレステロールを含む混合された胆汁酸塩ミセルを吸収する。それから、コレステロールは、カイロミクロンの一部として、また、超低密度リポ蛋白質(VLDL)の一部として、リンパ循環中へと移入され、これらは血液循環へと移入される。コレステロールを含む粒子の移動および移入は受動的な単純拡散に基づき、および/または例えばスカベンジャー受容体B1および/もしくはCD36の関わりによるスカベンジャー受容体によって媒介される移入に基づき得るが、これらの受容体の関わりは議論されている。血流中において、コレステロールを積載したカイロミクロンは、コレステロールを運ぶカイロミクロンレムナント中に(部分的に)移入され、これらは肝臓によって循環から取り込まれる。VLDLコレステロール粒子は、コレステロールを含む中間密度リポ蛋白質(IDL)へ、さらに、トリアシルグリセロール分子をIDL粒子から捨てることによって低密度リポ蛋白質コレステロールへと分解される。LDLコレステロール粒子は肝臓などの臓器細胞の表面上のLDL受容体分子によって結合される。結合によって、LDLコレステロールはこれらのLDL受容体を運ぶ細胞によって取り込まれる。
【0161】
肝臓細胞によって取り込まれるコレステロールは部分的に胆嚢に移動させられ、食物摂取後に腸へと分泌されるべき貯蔵された胆汁の一部になる。肝臓細胞によって取り込まれるコレステロールは、部分的には、コレステロールを含むVLDL粒子の組み立ての間に小胞体にもまた移入される。VLDLコレステロール粒子中のコレステロールは、部分的には肝臓細胞によるデノボコレステロール合成に、対象の食事に存在する場合には部分的には食事中コレステロールに起源を発する。肝臓細胞はVLDLコレステロールを血液循環中へと排泄する。血液循環中において、VLDLコレステロールはIDLコレステロールに変換され、これは(部分的に)さらにLDLコレステロールに変換する。
【0162】
ここで、本発明者は、R.ルブルム細胞のLDL低下効果が、腸から循環中への食事からのコレステロール取り込みの阻害という次の原理に基づくということを確立した。腸において、R.ルブルム細胞(の化合物)は脂質エマルションの形成のプロセスの間にコレステロールと競合し、その結果、脂質エマルションによるコレステロールの取り込みが、脂質エマルションによるR.ルブルム細胞(の化合物)の増大した取り込みと引き換えに阻害される。帰結として、胆汁におよび食事の一部の場合には食物などに起源を発するより少ないコレステロールが、リンパ系および血液循環中への究極的な放出のために要求される胆汁酸塩ミセルに移入可能である。帰結として、肝細胞はより多くの循環中LDLコレステロールを取り込み、それによってLDLコレステロールの血漿中レベルの低下に寄与する。加えて、かついずれかの理論によって拘束されようとすることなしに、対照的に、R.ルブルム細胞に由来する化合物はカイロミクロンおよびVLDL粒子の一部として循環に送達される。肝臓は、カイロミクロンに起源を発するこれらの化合物を含むカイロミクロンレムナントを取り込み、それによって、化合物は、肝臓細胞によってデノボ合成されたコレステロールおよび肝臓細胞によって取り込まれたコレステロールと一緒に、肝臓細胞に存在するおよび貯蔵される脂溶性化合物のプールの一部になる。肝臓細胞では、VLDLコレステロール粒子の組み立てが発生する。化合物はVLDLに組み込まれるべき脂溶性化合物のプールにもまた存在するので、化合物(単数または複数)はVLDL粒子への組み込みについて再びコレステロールと競合し得る。帰結として、より少ないコレステロールがVLDLによって血液循環中へと分泌される。さらに、また、より少ないIDLコレステロール、それからより少ないLDLコレステロールもまたVLDLから形成され得る。実際に、R.ルブルム細胞に存在する化合物、例えば極性カロテノイドはヒト対象の血液の血漿中においてLDL粒子の一部として特定される。さらにその上、腸における極性カロテノイドの存在による腸からのコレステロール取り込みの阻害を原因とする血液中のより低いカイロミクロンコレステロールレベルは、肝細胞上のLDL受容体の上方制御を誘導する。これは、結果として、肝臓細胞による循環中LDLコレステロールの取り込みを増大させる。加えて、肝細胞によるLDLコレステロールの増大した取り込みは血液中LDLコレステロールのより低いレベルに寄与する。コレステロール吸収阻害活性については、作用機構は少なくとも部分的にはエゼチミブの作用機構に似ている。加えてまたは代替的に、R.ルブルム細胞のおよび従ってそれに存在する化合物(単数または複数)の阻害活性の一部として、LDLコレステロールの血漿中レベルを低下させることが考えられるときには、R.ルブルム細胞に存在する化合物によるニーマン・ピックC1様1、ATP結合カセット輸送体、例えばABCG5およびABCG8、ならびに3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAレダクターゼなどのコレステロール合成ならびに輸送に関わる酵素ならびに蛋白質の阻害もまた(または専ら)発生し得、特に、ニーマン・ピックC1様1の生物学における干渉が発生し得、腸からのコレステロール取り込みの低下と、それによってLDLコレステロールの血漿中レベルの低下とをもたらし、HDLコレステロールの血漿中レベルは本質的に変わらないままにする。
【0163】
エンテロサイトによるコレステロール取り込みに関わる決定的分子としてのニーマン・ピックC1様1(NPC1L1)蛋白質の同定と(腸)コレステロール排出輸送体としてのAbcg5およびAbcg8蛋白質の同定とは、コレステロール吸収が蛋白質によって媒介される選択的なかつ能動的なプロセスであるという確定的証拠を提供した。NPC1L1の同定はコレステロール吸収阻害剤「エゼチミブ」(IUPAC名:(3R,4S)-1-(4-フルオロフェニル)-3-[(3S)-3-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]-4-(4-ヒドロキシフェニル)アゼチジン-2-オン)の発見によって容易化された。エゼチミブはヒトにおいて食事によって誘導される高コレステロール血症を縮減するステロール吸収阻害剤である。NPC1L1蛋白質は腸細胞のコレステロール輸送体である。NPC1L1は腸において刷子縁膜に発現され、Npc1l1欠損マウスは分画コレステロール吸収の69%縮減を示す。活性分子の化合物エゼチミブグルクロニドはNPC1L1を発現する細胞に結合する。
【0164】
好適には、本発明のR.ルブルム細胞は、血液中コレステロール低下薬としてアテローム性動脈硬化の処置および防止に有用であることが証明されているヒドロキシ置換アゼチジノンと、ならびにアテローム性動脈硬化の処置および防止のためのかかるヒドロキシ置換アゼチジノンおよびコレステロール生合成阻害剤の組み合わせと同時投与される。典型的には、ヒドロキシ置換アゼチジノンはエゼチミブであり、典型的には、コレステロール生合成阻害剤はスタチンである。R.ルブルム細胞がスタチンによる先の処置および/またはエゼチミブによる先の処置を部分的にまたは完全に代替する、血液中のLDLコレステロールを低下させるための治療処置レジメンまたは食事介入に適用される本発明のR.ルブルム細胞は等しく好ましい。
【0165】
本発明のある態様は、アテローム性動脈硬化の処置もしくは防止のためのまたは血漿中コレステロールレベルの縮減のための医薬組成物に関し、有効量のR.ルブルム細胞を、単独でまたはコレステロール生合成阻害剤との組み合わせでおよび/もしくはエゼチミブとの組み合わせで、薬学的に許容される担体中に含む。
【0166】
本発明のある態様は、ヒト対象におけるアテローム性動脈硬化の処置もしくは防止のためのまたは血漿中コレステロールレベルの縮減のための、医薬の製造のためのR.ルブルム細胞の使用に関する。
【0167】
本発明のある態様は本発明の医薬組成物の調製のためのプロセスに関し、これが、本発明の実施形態のいずれかにおいて定義されるR.ルブルム細胞を薬学的に許容される担体と混ぜ合わせることを含む。
【0168】
ある態様は、本発明の医薬組成物を調製するためのプロセスであり、本発明のR.ルブルム細胞をコレステロール生合成阻害剤および/またはエゼチミブならびに薬学的に許容される担体と混ぜ合わせることを含む。
【0169】
本発明のある態様は、アテローム性動脈硬化の処置もしくは防止へのコレステロール生合成阻害剤および/もしくはエゼチミブとの組み合わせ使用のための、または血漿中コレステロールレベル、好ましくはLDLコレステロールレベルの縮減のための、医薬の製造のための実施形態のいずれかに従うR.ルブルム細胞の使用に関する。
【0170】
本発明のある態様は、アテローム性動脈硬化の処置もしくは防止への本発明の実施形態のいずれかに従うR.ルブルム細胞との組み合わせ使用のための、または血漿中コレステロールレベルの縮減のための、医薬の製造のためのコレステロール生合成阻害剤の使用に関する。
【0171】
ある実施形態は本発明の医薬組成物であり、コレステロール生合成阻害剤が、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、およびスクアレンエポキシダーゼ阻害剤からなる群から選択される。
【0172】
ある実施形態は本発明の医薬組成物であり、コレステロール生合成阻害剤が、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、CI-981、DMP-565、L-659,699、スクアレスタチン1、およびNB-55598からなる群から選択される。
【0173】
ある実施形態は本発明の使用であり、コレステロール生合成阻害剤が、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、およびスクアレンエポキシダーゼ阻害剤からなる群から選択されるか、またはロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、CI-981、DMP-565、L-659,699、スクアレスタチン1、およびNB-55598からなる群から選択される。
【0174】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明の非医療的方法であり、ヒト対象が、ロドスピリルム・ルブルム細胞を:
rel-3(R)-(2(R)-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-4(R)-(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2-アゼチジノン;
rel-3(R)-(2(R)-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-4(S)-(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2-アゼチジノン;
3(S)-(1(S)-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)-4(S)-(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2-アゼチジノン;
3(S)-(1(R)-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)-4(S)-(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2-アゼチジノン;
3(R)-(1(R)-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)-4(S)-(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2-アゼチジノン;
rel-3(R)-[(S)-ヒドロキシ-(2-ナフタレニル)メチル]-4(S)-(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2-アゼチジノン;
rel-3(R)-[(R)-ヒドロキシ-(2-ナフタレニル)メチル]-4(S)-(4-メトキシフェニル)-1-フェニル-2-アゼチジノン;
3(R)-(3(R)-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)-1,4(S)-ビス-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチジノン;
3(R)-(3(S)-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)-1,4(S)-ビス-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチジノン;
4(S)-(4-ヒドロキシフェニル)-3(R)-(3(R)-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)-1-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチジノン;
4(S)-(4-ヒドロキシフェニル)-3(R)-(3(S)-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)-1-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチジノン;
rel-3(R)-[3(RS)-ヒドロキシ-3-[4-(メトキシメトキシ)-フェニル]プロピル]-1,4(S)-ビス-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチジノン;
1-(4-フルオロフェニル)-3(R)-[3(S)-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)]-4(S)-(4-ヒドロキシフェニル)-2-アゼチジノン;
1-(4-フルオロフェニル)-3(R)-[3(R)-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)]-4(S)-(4-ヒドロキシフェニル)-2-アゼチジノン;
4(S)-[4-(アセチルオキシ)フェニル]-3(R)-(3(R)-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)-1-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチジノン;
4(S)-[4-(アセチルオキシ)フェニル]-3(R)-(3(S)-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)-1-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチジノン;
1-(4-フルオロフェニル)-3(R)-[3(S)-(4-フルオロフェニル))-3-ヒドロキシプロピル)]-4(S)-[4-(フェニルメトキシ)フェニル]-2-アゼチジノン;
3(R)-[3(R)-アセチルオキシ)-3-フェニルプロピル]-1,4(S)-ビス-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチジノン;
3(R)-[3(S)-アセチルオキシ)-3-フェニルプロピル]-1,4(S)-ビス-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチジノン;
3(R)-[3(R)-(アセチルオキシ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピル]-4(S)-[4-(アセチルオキシ)フェニル]-1-(4-フルオロフェニル)-2-アゼチジノン;
3(R)-[3(S)-(アセチルオキシ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピル]-4(S)-[4-(アセチルオキシ)フェニル]-1-(4-フルオロフェニル)-2-アゼチジノン;
3(R)-[3(R)-(アセチルオキシ)-3-(4-クロロフェニル)プロピル]-4(S)-[4-(アセチルオキシ)フェニル]-1-(4-クロロフェニル)-2-アゼチジノン;
3(R)-[3(S)-(アセチルオキシ)-3-(4-クロロフェニル)プロピル]-4(S)-[4-(アセチルオキシ)フェニル]-1-(4-クロロフェニル)-2-アゼチジノン;および
rel-1-(4-フルオロフェニル)-4(S)-(4-ヒドロキシフェニル)-3(R)-(1(R)-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)-2-アゼチジノン;
のいずれか1つとの組み合わせで投与される。
【0175】
典型的には、これらの化合物のいずれか1つ以上は同時投与または逐次的投与のためにロドスピリルム・ルブルム細胞と組み合わせられ、その結果、かかる化合物の1日ドーズは1mgおよび50mgの間である。典型的には、非医療的方法に用いられるときにまたは治療レジメンに用いられるときに、かかる化合物は約12.5%および60%の間の血清中総コレステロール濃度の低下を誘導する。かかる化合物、例えばエゼチミブと一緒のロドスピリルム・ルブルム細胞の処置の相乗的な効果は、発生することが蓋然的である。
【0176】
本発明のある態様は、LDLコレステロール低下特性を有するダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントに関し、R.ルブルム細胞、好ましくは、好ましくは例えば約55~100℃、好ましくは約60~100℃、より好ましくは約80~100℃、例えば56~90℃、57~85℃、58~80℃、59~75℃、60~70℃、および61~66℃の温度において当分野で公知のリフラクション乾燥機を用いるリフラクティブ乾燥によって得られる乾燥されたR.ルブルム細胞を含む。
【0177】
本発明のある態様は、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むヒト対象によって摂取されるときにコレステロール低下特性を有するダイエタリーサプリメントに関し、ロドスピリルム・ルブルム細胞が乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒であり、新鮮培養された細胞を55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは80℃~100℃、または55℃~65℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる。
【0178】
本発明のある態様は、本発明に従うダイエタリーサプリメントを含む食料に関する。
複数の実施形態は本発明のダイエタリーサプリメントまたは本発明の食料であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞が本発明の実施形態のいずれかのロドスピリルム・ルブルム細胞である。
【0179】
本発明のある態様は、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むヒト対象によって経口摂取されるときにコレステロール低下特性を有するダイエタリーサプリメントに関し、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、ロドスピリルム・ルブルム細胞、好ましくは新鮮培養された細胞を、乾燥、好ましくは55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは80℃~100℃、例えば56~68℃、57~66℃、58~64℃、59~63℃、60~70℃、および55~71℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒、好ましくは、ゼラチンカプセルなどのカプセルとしてまたは分包として提供されるロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒である。
【0180】
本発明のある態様は本発明に従うダイエタリーサプリメントを含む食料に関する。
【0181】
ある実施形態は、本発明のダイエタリーサプリメントまたは本発明の食料であり、ロドスピリルム・ルブルム細胞は先の実施形態のいずれか1つのロドスピリルム・ルブルム細胞である。
【0182】
本発明では、ダイエタリーサプリメントおよび飼料サプリメントは、通常の食事に加えて消費され、かつ通常の食事中に発生しないかまたは低い量もしくは不十分な量で発生する化合物またはコンポーネントを含有する製剤として定義され、これらのコンポーネントの十分なまたは増大した消費が望まれる。好ましくは、本発明に従うダイエタリーサプリメントは、それがヒト消費にとって好適であるようにして構成される。帰結として、本発明において定義されるダイエタリーサプリメントは、好ましくは、サプリメントをヒトの消費にとって好適にする食感、味、および匂い、また、栄養価を有するべきである。
【0183】
好ましくは、本発明に従う飼料サプリメントは、それが動物消費、例えば家禽、例えば卵用鶏、肉用鶏、ウシ、ブタ、ヤギ、馬、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギなどによる消費にとって好適であるようにして構成される。帰結として、本発明において定義される飼料サプリメントは、好ましくは、サプリメントを動物消費にとって好適にする食感、味、および匂い、また、栄養価を有するべきである。
【0184】
本発明の実施形態では、コレステロール低下特性を有するダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントはR.ルブルム細胞を含む。
本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは、好ましくは、ダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントの総重量に基づいて、重量によって0.01%および99.9%(w/w)の間のR.ルブルム細胞、例えば0.05%~50%を含有する。好ましくは、ダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは10%および90%(w/w)の間のまたは30%および75%(w/w)の間のR.ルブルム細胞の調製物を含有する。
【0185】
消費にとって好適なR.ルブルム細胞を含むダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントを作るためには、好ましくは、例えば食感、味、または匂いを改善するためのコンポーネントが追加される。
【0186】
帰結として、本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは好ましくは蛋白質、炭水化物、および脂肪、ならびにビタミン、ミネラル、電解質、微量元素、および他の好適なコンポーネントの(追加の)ソースを含み、その結果、ダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントそれ自体が滋養食物としての使用にとって好適である。
【0187】
蛋白質のソースとしては、栄養製剤への使用に好適であるあらゆる蛋白質およびこれらの混合物は、本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントに好ましく用いられる。例えば、蛋白質のこの型は、動物蛋白質、例えばホエイ蛋白質、ホエイ蛋白質濃縮物、ホエイ粉末、卵蛋白質、卵アルブミン、カゼイン、または牛乳アルブミン、および植物蛋白質、例えば大豆蛋白質、大豆ミール、または豆乳からの蛋白質を包摂する。用いられるべき蛋白質のソースを選ぶためには、蛋白質の生物価は重要な基準を構成し得る。例えば、それらは大きい比率の必須アミノ酸を含有するので、カゼインカルシウムを包含するカゼイン塩、また、ホエイ、牛乳アルブミン、卵アルブミン、および全卵蛋白質は、非常に高い生物価を有する蛋白質である。
【0188】
本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントに用いられるべき好適な炭水化物は、例えば、好ましくは単純短鎖炭水化物、例えば一および二糖、また、多糖、または両方の組み合わせである。本発明に従うと、炭水化物は好ましくはその好適な官能特性ゆえに選択される。好ましくは、複合炭水化物が本発明に従って食物繊維として好適に用いられる。
【0189】
本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは、好ましくは、いくつかの実施形態において、単純および複合炭水化物両方の組み合わせを含有する。本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは、好ましくは、いくつかの実施形態において、全ての可食油および可食脂肪から選択される脂肪を含有する。
【0190】
ビタミンおよびミネラルは、好ましくは、保健規制当局の規則に従って本発明に従う調製物に追加され、好ましくは、上の当局によって承認された全てのビタミンおよびミネラル、例えばビタミンA、B1、B2、B12、C、D、B、およびK、ならびに葉酸、ナイアシン、パントテン酸、およびビオチンを包摂する。ミネラルとしては、例えば鉄、亜鉛、ヨウ素、カルシウム、マグネシウム、クロム、およびセレンが好ましくは本発明に従う調製物に追加される。
【0191】
電解質、例えばナトリウム、カリウム、および塩化物のイオン、ならびに微量元素および他の添加物もまた、好ましくは、本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントの一部を形成する。かかるコンポーネントは、存在する場合には、好ましくは推奨濃度で用いられる。加えて、本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは、好ましくは、その食感、色味、および香味を改善するコンポーネント、芳香物質、スパイス、フィラー、乳化剤、安定化化合物、保存料、抗酸化剤、繊維、および他のサプリメント、例えばアミノ酸、コリン、レシチン、脂肪酸などを含有する。かかるコンポーネントの選び方は製剤、デザイン、および嗜好に依存する。本発明のダイエタリーサプリメントが考えられるときに、追加されるかかるコンポーネントの量は当業者には公知であり、追加されるべき量の選び方は、好ましくは、例えば児童および成人についての毎日の推奨量(RDA)を考えることによってガイドされる。
【0192】
好ましくは、乳化剤が本発明の最終産物を安定化するために追加される。本発明に従うと、許容される乳化剤の例は、レシチン(例えば大豆または卵に由来する)ならびに/またはモノおよびジグリセリドである。安定化剤としては、例えばキャロブ、グアー、またはカラギーナンが本発明に従って好ましく用いられる。
【0193】
好ましくは、保存料が本発明の産物の有効期限を増大させるために追加される。
【0194】
好ましくは、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、またはEDTA二ナトリウムカルシウムなどの保存料が本発明の調製物に用いられる。
【0195】
上で言及されている炭水化物に加えて、天然または合成の甘味料、例えば糖、シクラメート、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、および/またはソルビトールが好ましくは本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントに追加される。
【0196】
消費されるべき本発明のダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントの量は、サイズが様々であり、推奨用量で言及されている投与量には必ずしも制限されない。用語「ダイエタリーサプリメント」は規定の重量または規定のドーズのダイエタリーサプリメントに制限されることを意味されない。用語「飼料サプリメント」は規定の重量または規定のドーズの飼料サプリメントに制限されることを意味されない。
【0197】
本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントの組成物は、原理的には、本発明に従ってヒトまたは動物消費にとって好適であるいずれかの形態を取る。
【0198】
本発明の好ましい実施形態では、ダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは、水溶液、例えば水、牛乳、コーヒー、茶、スープ、およびフルーツジュース中に懸濁、分散、または乳化されるために好適である乾燥粉末である。そのためには、本発明に従うと、粉末は好ましくはディスペンサーによって供給される。
【0199】
本発明の代替的な好ましい実施形態では、ダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは、乾燥粉末から出発して、錠剤としてまたは顆粒化物として製剤される。このためには、好ましくは、本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントの組成物は、好適には、フィラー、例えば微結晶セルロース(MCC)およびマンニトール、結合剤、例えばヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)、滑剤、例えばステアリン酸、ならびに他の賦形剤を供給される。
【0200】
本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは1つの実施形態では好ましくは流体として供給され、この中に固体のコンポーネントが懸濁、分散、または乳化されている。本発明のかかる組成物は好ましくは直接的に食料もしくは飼料材に混合されるか、または好ましくは例えば顆粒もしくは他の形態に押し出しおよびフォーマットされる。
本発明の代替的な実施形態では、ダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは好ましくは固体形態、例えばバー、ビスケット、またはロールとして製剤される。
【0201】
本発明のダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは、好ましくは、経口消費のために、好ましくは、許容される担体との組み合わせ、例えばカプセル、錠剤、顆粒化物、水和性粉末、または投与を許容される別の形態で製剤される。代替的には、本発明のダイエタリーサプリメントは好ましくは本発明に従って食料に加工される。代替的には、本発明の飼料サプリメントは好ましくは本発明に従って飼料材に加工される。
【0202】
本発明の1つの態様は本発明に従うダイエタリーサプリメントを含む食料に関する。ダイエタリーサプリメントはR.ルブルム細胞を含む。本発明の1つの態様は本発明に従う飼料サプリメントを含む飼料材に関する。飼料サプリメントはR.ルブルム細胞を含む。
【0203】
ダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントは、対象において、腸のコレステロール吸収を縮減し、それゆえに血液の血漿のコレステロールレベル、特に血漿中LDLコレステロール濃度を縮減しながら、好ましくはHDLコレステロール濃度を本質的に変わらないままにするかまたは血漿中HDLコレステロール濃度を上昇させるために好適に用いられ得、その結果、HDLコレステロールの血漿中レベルが絶対的意味でまたは血漿中LDLコレステロール濃度に対して相対的に増大する。対象はヒト対象または動物対象、例えば肉用鶏または卵用鶏である。本発明はコレステロール低下特性を有するダイエタリーサプリメントに関し、R.ルブルム細胞、例えば、新鮮培養されたR.ルブルム細胞のリフラクティブ乾燥によって得られる乾燥されたR.ルブルム細胞を含む。
【0204】
動物、例えばブロイラー、雌鳥、ブタ、乳牛、アヒル、ヤギ、ガチョウ、七面鳥、子牛、ヒツジ、特にブタ、ブロイラー、および卵用鶏に、飼料サプリメントまたは飼料サプリメントを含む飼料材を給餌することは、前記動物の血液の血清(血漿)中のコレステロールレベルの低下、ならびに/あるいは前記動物の肉および/または前記動物に由来する他の一部もしくは産物中のコレステロール含量の低下、ならびに/あるいは例えば肉用鶏、アヒル、ガチョウ、七面鳥などによって産まれる卵のコレステロール含量の低下をもたらす。コレステロール含量、特にLDLコレステロール含量のこの低下は、例えば、ヒト消費にとって好適な、かつより低い含量のコレステロール、特にLDLコレステロールを含む肉、卵などを提供する。それによって、ヒト対象による消費される肉および/または卵が本発明の飼料サプリメントまたは飼料材を給餌された動物に由来するときには、ヒトの食事はより少ないコレステロール、特により少ないLDLコレステロールを含む。帰結として、より少ないコレステロールがヒト対象の腸から血液循環、肝臓、およびさらなる臓器へと輸送される。
【0205】
ある実施形態では、本発明のダイエタリーサプリメントはコレステロール低下特性を有する食料に適用される。ある実施形態では、本発明の飼料サプリメントはコレステロール低下特性を有する飼料材に適用される。
【0206】
本発明のコレステロール低下食料または飼料材を調製するための方法には、本発明に従うダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントを組み込むそれぞれ食料または飼料材の産生が関わる。かかる方法には、好ましくは、食料または飼料材が通常のやり方で第1に調製されるステップ、次に、調製された食料または飼料材への(乾燥された)R.ルブルム細胞(リフラクション乾燥機に新鮮培養された細胞を適用することによって、リフラクティブ乾燥によって得られる)の追加が関わる。(乾燥された)R.ルブルム細胞を食料または飼料材にその産生の間に追加することもまた可能である。
【0207】
本発明に従うコレステロール低下特性を有する食料または本発明に従うコレステロール低下特性を有する飼料材は、典型的には0.1%および20%(w/w)の間、好ましくは1%および10%(w/w)の間の本発明に従うかつ上に記載されているダイエタリーサプリメントまたは飼料サプリメントを含有する。飼料材は例えば肉用鶏飼料または卵用鶏の飼料である。本発明はダイエタリーサプリメントを含む食料に関し、ダイエタリーサプリメントはコレステロール低下特性を有し、(乾燥された)R.ルブルム細胞を含み、細胞は好ましくは新鮮に育てられた細菌細胞のリフラクティブ乾燥を用いて得られる。
【0208】
前記の通り、アテローム性動脈硬化性の冠状動脈性心疾患(CHD)は西洋世界における死亡および心血管系罹患率の主要な原因である。アテローム性動脈硬化性の冠状動脈性心疾患のリスク因子は高血圧、糖尿病、家族歴、男性の性、煙草の煙、および血清中コレステロールを包含する。225~250mg/dlを超える総コレステロールレベルはCHDのリスクの有意な上昇に関連する。
【0209】
コレステリルエステルは、アテローム性動脈硬化病変の主要なコンポーネント、かつ動脈壁細胞におけるコレステロールの主要な貯蔵形態である。コレステリルエステルの形成は食事中コレステロールの腸吸収の鍵のステップでもまたある。それゆえに、コレステリルエステル形成の阻害および血清中コレステロールの縮減は、アテローム性動脈硬化病変形成の進行を阻害すること、動脈壁におけるコレステリルエステルの蓄積を減少させること、および食事中コレステロールの腸吸収をブロックすることが蓋然的である。
【0210】
ヒト対象における全身のコレステロールホメオスタシスの制御には、食事中コレステロールの制御、ならびにコレステロール生合成、胆汁酸生合成、およびコレステロール含有血漿中リポ蛋白質の異化の調節が関わる。肝臓はコレステロール生合成および異化を担う主要な臓器であり、この理由から、それは血漿中コレステロールレベルの最上位の決定因子である。肝臓は超低密度リポ蛋白質(VLDL)の合成および分泌の部位であり、これらは爾後に循環中において低密度リポ蛋白質(LDL)に代謝される。LDLは血漿中の圧倒的なコレステロールを運ぶリポ蛋白質であり、それらの濃度の増大は増大したアテローム性動脈硬化と相関する。
【0211】
腸コレステロール吸収が何らかの手段によって縮減されるときには、帰結として、より少ないコレステロールが肝臓に送達される。この作用の帰結は、減少した肝臓リポ蛋白質(VLDL)産生、およびほとんどLDLとしての血漿中コレステロールの肝クリアランスの増大である。それゆえに、腸コレステロール吸収を阻害することの正味の効果は血漿中コレステロールレベルの減少である。本発明者は、乾燥されたR.ルブルム細胞の作用機構が厳密にこれであるということを確立した:腸において吸収されるコレステロールの量を限定し、その結果、ヒト対象の血液中のLDLコレステロールレベルが減少する。
【0212】
3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)レダクターゼ(EC1.1.1.34)阻害剤によるコレステロール生合成の阻害は、血漿中コレステロールを縮減するための有効なやり方であり、ヒト対象をかかる阻害剤によって処置することは、アテローム性動脈硬化を少なくともいくらかの程度まで縮減する。HMG-CoAレダクターゼ阻害剤および胆汁酸捕捉剤の組み合わせ治療は単独治療のどちらかの薬剤よりもヒト高脂血症患者に有効である。
【0213】
R.ルブルム細胞の血液中コレステロール低下の1日ドーズは、約0.1gから約60g、または腸におけるコレステロール吸収を阻害することによってLDLコレステロール低下活性を担うR.ルブルムの約1mgから約100mgの活性化合物(単数または複数)、または日当たり体重のkg当たり約3mgのR.ルブルム細胞から日当たり体重のkg当たり約300mgのR.ルブルム細胞、好ましくは日当たり約6mg/体重のkgから約150mg/kg、より好ましくは日当たりkg体重当たり約12~75mgのR.ルブルム細胞であり、シングルドーズとして毎日1回提供されるか、またはマルチドーズとして一日の1つよりも多くのタイムポイントにおいて提供されるかどちらかである。70kgの平均体重では、投与量レベルは、日当たり約50mgのR.ルブルム細胞から約120gであり、シングルドーズまたは2~4つの分割されたドーズ、好ましくは昼食時間中に取られるおよび夕食時間中に取られる2つの分割されたドーズで与えられる。しかしながら、厳密なドーズは受持医によって決定され、投与されるR.ルブルムの力価、ヒト対象の年齢、体重、状態、およびR.ルブルム細胞の摂取に対する(健康な)ヒト対象の応答に依存する。
【0214】
R.ルブルム細胞がコレステロール生合成阻害剤および/またはエゼチミブとの組み合わせで投与される本発明の組み合わせでは、コレステロール生合成阻害剤の典型的な1日ドーズは日当たり0.1から80mg/哺乳類体重のkgであり、単一のまたは分割された投与量で、通常は1日1回または2回投与される:例えばHMG-CoAレダクターゼ阻害剤では、ドーズ当たり約10mgから約40mgが1日に1から2回与えられ、日当たり約10mgから80mgの1日総ドーズを与える。
【0215】
R.ルブルム細胞およびさらなる活性成分の組み合わせのコンポーネントが別々に投与されるところでは、日当たり与えられる各コンポーネントのドーズ数は必ずしも同じでなくてもよい。例えば、ここで、1つのコンポーネントはより多大な活性持続期間を有し得、よって、より高頻度でなく投与されることを必要とするであろう。
【0216】
本発明はR.ルブルム細胞単独による処置または活性成分の組み合わせによる処置によるLDLコレステロールレベルの縮減に関し、前記活性成分は別々に投与され得るので、本発明は別々の医薬組成物をキット形態で組み合わせることにもまた関する。つまり、2つの別々の単位:R.ルブルム細胞ならびにコレステロール生合成阻害剤医薬組成物および/またはヒドロキシ置換アゼチジノンコレステロール吸収阻害剤医薬組成物が組み合わせられるキットが企図され、ヒドロキシ置換アゼチジノンコレステロール吸収阻害剤は好ましくはエゼチミブである。キットは好ましくは別々のコンポーネントの投与のための指示書を包含する。キット形態は、別々のコンポーネントが異なる剤形(例えば経口および非経口)で投与されなければならないかまたは異なる投与間隔で投与されるときに特に有利である。
【0217】
本発明の第12の態様は:(i)本発明の実施形態のいずれか1つのロドスピリルム・ルブルム細胞、好ましくは乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒、または本発明のダイエタリーサプリメント、または本発明の食料を含有する容器と;(ii)ヒト対象による使用のための説明書と;(iii)任意に、本発明の実施形態の医薬活性成分のいずれか、好ましくはスタチンおよび/またはエゼチミブを含む少なくとも1つの医薬組成物と;(iv)任意に、液体、好ましくは水または飲み物を有する容器と(液体はヒト対象による摂取前に容器中において提供されるロドスピリルム・ルブルム細胞を混合するためであるか、または液体はヒト対象によるロドスピリルム・ルブルム細胞との逐次的なもしくは同時的な摂取のためである);を含むキットに関する。
【0218】
本発明のある態様は、アテローム性動脈硬化を処置もしくは防止するためのまたは血漿中LDLコレステロールレベルを縮減するための組み合わせでの使用のための医薬組成物を別々の容器中に個包装で含むキットに関し、これが、第1の容器には、薬学的に許容される担体中の有効量のコレステロール生合成阻害剤、好ましくはスタチンを含む医薬組成物を、第2の容器には、薬学的に許容される担体中の有効量のR.ルブルム細胞または本発明の実施形態のいずれかに従う乾燥されたR.ルブルム細胞顆粒を含む医薬組成物を含む。
【0219】
本発明のある態様は:
- 本発明のここの上で概説されている実施形態のいずれか1つのロドスピリルム・ルブルム細胞、または本発明に従う使用のための医薬組成物、または本発明のダイエタリーサプリメント、または本発明の食料を含有する容器と;
- ヒト対象による使用のための説明書と;
- 任意に、液体、好ましくは水または飲み物を有する容器と(液体はヒト対象による摂取前に容器中において提供されるロドスピリルム・ルブルム細胞を混合するためであるか、または液体はヒト対象によるロドスピリルム・ルブルム細胞との逐次的なもしくは同時的な摂取のためである);
を含むキットに関する。
【0220】
本発明のさらなる態様は、本発明に従うロドスピリルム・ルブルム細胞、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むダイエタリーサプリメント、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む食料、またはロドスピリルム・ルブルム細胞を含む医薬組成物に関し、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPから選択される少なくとも1つの健康に関するパラメータの血清中濃度、ならびに/またはSBPおよび/もしくはDBPおよび/もしくは安静時心拍数の値が、それを必要とするヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞または前記細胞を含む組成物の投与後に、標準的な正常な(健康な)範囲内のままに残り、好ましくは、血圧および安静時心拍数を包含する全ての健康に関するパラメータが標準的な正常範囲内のままに残る。このときに(when compared to)、ヒト対象への細胞の初回投与の前の血清中濃度(グルコースでは血漿中濃度)、血圧(単数または複数)、および安静時心拍数が細胞の爾後の投与の後/間の血清中濃度、血圧(単数または複数)、または安静時心拍数と比較され、ならびに/あるいはこのときに細胞がヒト対象に投与される第1日の血清/血漿中濃度、血圧(単数または複数)、および安静時心拍数が、細胞がヒト対象に投与される爾後の後日に決定される血清/血漿中濃度、血圧(単数または複数)、または安静時心拍数と比較される。
【0221】
本発明のさらなる態様は、本発明に従うロドスピリルム・ルブルム細胞、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むダイエタリーサプリメント、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む食料、またはロドスピリルム・ルブルム細胞を含む医薬組成物に関し、血漿中グルコース濃度および/またはALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、hsCRPから選択される少なくとも1つの健康に関するパラメータの血清中濃度が、それを必要とするヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞(を含む組成物)の投与後に、標準的な正常な(健康な)範囲内のままに残り、好ましくは、全ての健康に関するパラメータが標準的な正常範囲内のままに残る。このときに(when compared to)、ヒト対象への細胞の初回投与前の血清もしくは血漿中濃度が細胞の初回もしくは爾後の投与後の血清/血漿中濃度と比較され、および/またはこのときに細胞がヒト対象に投与される第1日の血清/血漿中濃度が、細胞がヒト対象に投与される爾後の後日の血清/血漿中濃度と比較される。
【0222】
本発明のさらなる態様は、本発明に従うロドスピリルム・ルブルム細胞、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むダイエタリーサプリメント、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む食料、またはロドスピリルム・ルブルム細胞を含む医薬組成物に関し、SBPおよび/またはDBPの値が、それを必要とするヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の(初回のまたは爾後の)投与後に、標準的な正常な(健康な)範囲内のままに残り、好ましくは、SBPおよび/またはDBPの値は本質的に変わらないままに残る。このときに、ヒト対象への細胞の初回投与前の血圧(単数または複数)が細胞の初回投与後の血圧(単数または複数)と比較され、および/またはこのときに細胞がヒト対象に投与される第1日の血圧(単数または複数)が、細胞がヒト対象に投与される爾後の後日に決定される血圧(単数または複数)と比較される。
【0223】
本発明のさらなる態様は、本発明に従うロドスピリルム・ルブルム細胞、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むダイエタリーサプリメント、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む食料、またはロドスピリルム・ルブルム細胞を含む医薬組成物に関し、安静時心拍数の値が、それを必要とするヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の(初回のまたは爾後の)投与後に、標準的な正常な(健康な)範囲内のままに残り、好ましくは安静時心拍数の値は本質的に変わらないままに残る。このときに、ヒト対象への細胞の初回投与前の安静時心拍数が細胞の初回投与後の安静時心拍数と比較され、および/またはこのときに細胞がヒト対象に投与される第1日の安静時心拍数が、細胞がヒト対象に投与される爾後の後日に決定される安静時心拍数と比較される。
【0224】
ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、AST、ALT、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、およびhsCRPの1つ以上の血清値が前記ヒト対象の血液の血清中において本質的に変わらないままに残る。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、AST、ALT、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、およびhsCRPの1つ以上の血清中濃度が、前記ヒト対象の血液の血清中において、本質的に標準的な正常なまたは健康な限界内のままに残る。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、SBPおよび/またはDBPの値が前記対象について本質的に変わらないままに残るかまたは標準的な正常な健康な限界内のままに残る。このときに、SBPおよびDBPは前記ヒト対象への細胞の投与の前および間に決定および比較され、ならびに/またはこのときにSBPおよびDBPは細胞が前記ヒト対象に投与される第1日におよび細胞が前記ヒト対象に投与される第2日に決定および比較される。ある実施形態は、本発明に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であり、前記対象について、安静時心拍数の値が本質的に変わらないままに残るかまたは標準的な正常な健康な限界内のままに残る。このときに、安静時心拍数は前記ヒト対象への細胞の投与の前および間に決定および比較され、ならびに/またはこのときに安静時心拍数は細胞が前記ヒト対象に投与される第1日におよび細胞が前記ヒト対象に投与される第2日に決定および比較される。
【0225】
本発明の実施形態
実施形態1:ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度の低下のための方法への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【0226】
実施形態2:ヒト対象の心血管疾患の処置または予防への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【0227】
実施形態3:ヒト対象におけるアテローム性動脈硬化、脂質異常症、動脈硬化症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症、少なくとも70mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLの血漿中総コレステロールレベル、5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベル、少なくとも14mg/dLの血漿中Lp(a)レベル、虚血の処置または予防への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【0228】
実施形態4:ヒト対象の腸からのコレステロールの吸収の阻害への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であって、その結果、前記ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度が減少するかまたは減少させられる。
【0229】
実施形態5:実施形態4に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞であって、ヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度が変わらないままに残るかまたは増大するかもしくは増大させられる。
【0230】
実施形態6:ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度を低下させる非治療的方法であって、方法が、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を投与することを含む。
【0231】
実施形態7:ヒト対象の心血管疾患を処置または防止する非治療的方法であって、方法が、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を投与することを含む。
【0232】
実施形態8:ヒト対象におけるアテローム性動脈硬化、脂質異常症、動脈硬化症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症、ホモ接合性シトステロール血症、少なくとも70mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLの血漿中総コレステロールレベル、5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベル、少なくとも14mg/dLの血漿中Lp(a)レベル、虚血を処置または防止する非治療的方法であって、方法が、ヒト対象にロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物を投与することを含む。
【0233】
実施形態9:実施形態6~8のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物のヒト対象への投与がヒト対象の腸からのコレステロールの吸収を阻害し、その結果、前記ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度が減少するかまたは減少させられ、好ましくは、その結果、ヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度は変わらないままに残るかまたは増大するかもしくは増大させられる。
【0234】
実施形態10:実施形態1~5のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞または実施形態6~9のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、少なくとも1.8mmol/L(70mg/dL)、または少なくとも2.59mmol/L(100mg/dL)、または少なくとも3.34mmol/L(129mg/dL)、または少なくとも4.0mmol/L、例えば少なくとも5.2mmol/L(200mg/dL)、または5.0mMおよび8.0mMの間の血漿中のLDLコレステロールレベルを有するヒト対象に投与される。
【0235】
実施形態11:実施形態1~5、10のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~10のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞がヒト対象に投与され、これに、少なくとも1つの医薬活性成分、例えばスタチン、ナイアシン、フェノフィブラート、エゼチミブ、コレセベラム、ミポメルセン、ロミタピド、PCSK9阻害剤、アリロクマブ、エボロクマブ、ETC-1002、CETP阻害剤、アナセトラピブ、エバセトラピブ、WAY-252623、血圧低下化合物、ヒドロクロロチアジド、好ましくはスタチン、例えばアトルバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、および/またはエゼチミブから選択される少なくとも1つの医薬活性成分が(同時)投与される。
【0236】
実施形態12:実施形態11に従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態11に従う非治療的方法であって、スタチンおよび/またはエゼチミブが、スタチンまたはエゼチミブによる標準治療処置の1日ドーズと比較して、ロドスピリルム・ルブルム細胞と同時投与されるときにより低い1日総ドーズで対象に投与される。
【0237】
実施形態13:実施形態1~5、10~12のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~12のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞がヒト対象に経口投与される。
【0238】
実施形態14:実施形態1~5、10~13のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~13のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、健康なヒト対象、好ましくは、少なくとも5.0mM、例えば5.0mM~8.0mMというロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与前の血液中の総コレステロール濃度を有する健康なヒト対象に投与される。
【0239】
実施形態15:実施形態1~5、10~14のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~14のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することが、好ましくは3.34mmol/L未満、好ましくは2.59mmol/L未満の血漿中濃度、より好ましくは1.8mmol/L未満の血漿中LDLコレステロール濃度までの、血漿中LDLコレステロール濃度の低下をもたらす。
【0240】
実施形態16:実施形態1~5、10~15のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~15のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することが、前記ヒト対象の血漿中のLDLコレステロール濃度の減少をもたらし、血漿中HDLコレステロール濃度は、本質的に変わらないままに残るかもしくは血漿中LDLコレステロール濃度の減少よりも小さい程度に減少し、または血漿中HDLコレステロール濃度が増大し、好ましくは血漿中HDLコレステロール濃度は本質的に変わらないままに残るかもしくは増大する。
【0241】
実施形態17:実施形態1~5、10~16のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~16のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞をヒト対象に投与することが、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与に先立つ血漿中LDLコレステロール濃度に基づいて少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも6%、より好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも20%による、前記対象の血漿中LDLコレステロール濃度の減少をもたらす。
【0242】
実施形態18:実施形態1~5、10~17のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~17のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞を対象に投与することが、200mg/dL未満、または159mg/dL未満、または129mg/dL未満、好ましくは100mg/dL未満、例えば70mg/dLまたは未満の血漿中LDLコレステロール濃度への血漿中LDLコレステロール濃度の減少または血漿中LDLコレステロール濃度の維持をもたらす。
【0243】
実施形態19:実施形態1~5、10~18のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~18のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、経口剤形、好ましくは固体経口剤形または液体経口剤形、好ましくは油または飲み物を含む液体経口剤形として製剤される。
【0244】
実施形態20:実施形態1~5、10~19のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~19のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、顆粒化物、好ましくはゼラチンカプセルなどのカプセルとしてまたは分包として提供される顆粒化物として製剤される。
【0245】
実施形態21:実施形態1~5、10~20のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~20のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒であり、新鮮培養された細胞を、55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは80℃~100℃、例えば56~95℃、57~90℃、58~85℃、59~80℃、60~75℃、および61~70℃、60~70℃、62~69℃、および63~68℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる。
【0246】
実施形態22:実施形態1~5、10~21のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~21のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが、日当たり100mg~50g、好ましくは日当たり200mg~25g、より好ましくは日当たり500mg~10g、最も好ましくは日当たり1g~5g、例えば0.25g、0.50g、1.0g、2.0g、3.0g、4.0g、5.0g、7.5g、15g、20g、30g、または40gである。
【0247】
実施形態23:実施形態1~5、10~22のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~22のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが、少なくとも1.0g、例えば少なくとも5.0g、好ましくは1.0~100g、より好ましくは1.0~50g、最も好ましくは5.0~20gである。
【0248】
実施形態24:実施形態1~5、10~23のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~23のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、日当たり0.1gおよび50gの間の量のロドスピリルム・ルブルム細胞を提供するように投与される。
【0249】
実施形態25:実施形態1~5、10~24のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~24のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが、それぞれが1日ドーズの半分を含む2つの半1日ドーズであり、好ましくは、第1の半1日ドーズが、ヒト対象によって取られる昼食の1~2時間前に、昼食の1~2時間後に、または昼食中に投与され、第2の半1日ドーズが、ヒト対象によって取られる夕食の1~2時間前に、夕食の1~2時間後に、または夕食中に、好ましくは昼食中におよび夕食中に投与される。
【0250】
実施形態26:実施形態1~5、10~25のいずれか1つに従う使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞、または実施形態6~25のいずれか1つに従う非治療的方法であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞を対象に投与することが、対象の血漿中のLDLコレステロール濃度を159mg/dL未満、好ましくは129mg/dL未満、より好ましくは100mg/dL未満、最も好ましくは70mg/dLまたは未満、例えば50mg/dLおよび159mg/dLの間のレベルに維持する。
【0251】
実施形態27:ヒト対象の血液の血漿中のLDLコレステロールの低下のための方法への使用のための、薬学的有効量のロドスピリルム・ルブルム細胞および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【0252】
実施形態28:心血管疾患、アテローム性動脈硬化、脂質異常症、動脈硬化症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症、ホモ接合性シトステロール血症、少なくとも70mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLの血漿中総コレステロールレベル、少なくとも5.0mM、例えば5.0mMおよび8.0mMの間の血液中の総血漿中濃度、少なくとも14mg/dLのLp(a)レベル、炎症、炎症性疾患、虚血、感染のいずれか1つ以上の処置または予防のための方法への使用のための、薬学的有効量のロドスピリルム・ルブルム細胞および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【0253】
実施形態29:実施形態27または28に従う使用のための医薬組成物であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が前記医薬組成物中の唯一の医薬活性成分である。
【0254】
実施形態30:実施形態27または28に従う使用のための医薬組成物であって、医薬組成物が対象に投与され、これに、少なくとも1つのさらなる医薬活性成分、例えば、スタチン、ナイアシン、フェノフィブラート、エゼチミブ、コレセベラム、ミポメルセン、ロミタピド、PCSK9阻害剤、アリロクマブ、エボロクマブ、ETC-1002、CETP阻害剤、アナセトラピブ、エバセトラピブ、WAY-252623、血圧低下化合物、ヒドロクロロチアジド、またはそれらのいずれかの組み合わせ、例えばスタチンおよびPCSK9阻害剤もしくはスタチンおよびエゼチミブ、好ましくはスタチン、例えばアトルバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、および/またはエゼチミブから選択される医薬活性成分が投与される。
【0255】
実施形態31:実施形態27~30のいずれか1つに従う使用のための医薬組成物であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、代替治療、例えばスタチンおよび/もしくはエゼチミブを代替する治療としてヒト対象に投与されるか、またはロドスピリルム・ルブルム細胞の投与を開始する前のヒト対象に投与されるかかるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)のドーズよりも低いドーズのヒト対象に投与されるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)との組み合わせでヒト対象に投与される。
【0256】
実施形態32:実施形態27~31のいずれか1つに従う使用のための医薬組成物であって、医薬組成物が、70mg/dLよりも高いLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも100mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも140mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも200mg/dLのLDLコレステロール血漿中レベル、少なくとも5.0mM、例えば5.0mM~8.0mMの血液中の総コレステロール濃度、心血管疾患、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化を患うヒト対象に投与される。
【0257】
実施形態33:実施形態27~32のいずれか1つに従う使用のための医薬組成物であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、実施形態13、20~25のいずれか1つのロドスピリルム・ルブルム細胞である。
【0258】
実施形態34:ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む、ヒト対象によって摂取されるときにコレステロール低下特性を有するダイエタリーサプリメントであって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒であり、新鮮培養された細胞を55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは60℃~80℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる。
【0259】
実施形態35:実施形態34に従うダイエタリーサプリメントを含む食料。
【0260】
実施形態36:実施形態34のダイエタリーサプリメントまたは実施形態35の食料であって、ロドスピリルム・ルブルム細胞が、実施形態13、20~25のいずれか1つのロドスピリルム・ルブルム細胞である。
【0261】
実施形態37:キットであって:
- 実施形態13、20~25のいずれか1つのロドスピリルム・ルブルム細胞、好ましくは乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒、または実施形態34のダイエタリーサプリメント、または実施形態35の食料を含有する容器と;
- ヒト対象による使用のための説明書と;
- 任意に、実施形態11、12、30、31の医薬活性成分のいずれか1つ、好ましくはスタチンおよび/またはエゼチミブを含む少なくとも1つの医薬組成物と;
- 任意に、液体、好ましくは水または飲み物を有する容器と(液体はヒト対象による摂取前に容器中において提供されるロドスピリルム・ルブルム細胞を混合するためであるか、または液体はヒト対象によるロドスピリルム・ルブルム細胞との逐次的なもしくは同時的な摂取のためである);
を含む。
【0262】
実施形態38:実施形態13、20~25のいずれか1つに従うロドスピリルム・ルブルム細胞、実施形態27もしくは29に従う医薬組成物、実施形態34に従うダイエタリーサプリメント、または実施形態35に従う食料であって、ALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRPから選択される少なくとも1つのパラメータの値が、細胞が投与されるヒト対象の血清中において、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与の後にまたは毎日の投与の間に、正常範囲内のままに残り、好ましくは、前記パラメータの全ての値は正常範囲内のままに残り、より好ましくは本質的に変わらないままに残る。
ALT、AST、γGT、およびクレアチニンは好ましくは分光測色法アッセイを用いて測定される。c-トロポニンTおよびNT-PRoBNPは好ましくはイムノアッセイを用いて測定される。vWFは好ましくはELISAを用いて測定される。hsCRPは好ましくは免疫比濁法アッセイを用いて測定される。
【0263】
実施形態39:実施形態13、20~25のいずれか1つに従うロドスピリルム・ルブルム細胞、実施形態27もしくは29に従う医薬組成物、実施形態34に従うダイエタリーサプリメント、または実施形態35に従う食料であって、DBPおよび/またはSBPが、細胞が投与されるヒト対象について、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与の後にまたは毎日の投与の間に、正常範囲内であり、好ましくはDBPおよび/またはSBPは本質的に変わらないままに残る。
DBPおよびSBPは好ましくはオムロンM7(オムロンヘルスケア株式会社、京都、日本)を用いて測定される(ここの上、例の項を見よ)。
【0264】
実施形態40:実施形態13、20~25のいずれか1つに従うロドスピリルム・ルブルム細胞、実施形態27もしくは29に従う医薬組成物、実施形態34に従うダイエタリーサプリメント、または実施形態35に従う食料であって、安静時心拍数が、細胞が投与されるヒト対象について、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与の後にまたは毎日の投与の間に、正常範囲内であり、好ましくは、安静時心拍数は本質的に変わらないままに残る。
安静時心拍数は好ましくはオムロンM7(オムロンヘルスケア株式会社、京都、日本)を用いて測定される(ここの上、例の項を見よ)。
【0265】
本発明は、上で、図面に示されるいくつもの例示的な実施形態を参照して記載された。いくつかの一部または要素の改変および代替的な実装が可能であり、添付の請求項において定義される保護の範囲に包含される。
【実施例
【0266】
コレステロールレベルの測定
総コレステロールアッセイ - マウス血漿
マウス血漿の血漿中総コレステロールの測定は、ベックマン・コールターAUアナライザーによる血清、EDTA血漿、ヘパリン処理血漿中のコレステロール濃度の定量的決定を意図するベックマン・コールターネーデルラントB.V.からのインビトロキット「コレステロール」を用いて実施した(ウールデン、オランダ、09-2011、コードBAOSR6x16.02からのデータシート;カタログNo.OSR6116)。ベックマン・コールター試薬キットによって提供される通り用いられるプロトコールに参照がなされる。
コレステロールの測定は、主として、血液中の過剰なコレステロールが関わる障害ならびに脂質およびリポ蛋白質代謝障害の診断ならびに処置に用いられる。
総血清中または血漿中コレステロール分析は高リポ蛋白血症、アテローム性動脈硬化、肝および甲状腺疾患の診断に有用だと判明している。総およびHDLコレステロールは、トリグリセリド決定と併せて、冠状動脈性心疾患の予測のための貴重な情報を提供する。
【0267】
方法&材料
マウス血漿を用いた。
キットのシステム試薬(OSR6116/OSR6216/OSR6516)はベックマン・コールターネーデルラントB.V.から得られ、
リン酸緩衝液(pH6.5) - 103mmol/L
コレステロールエステラーゼ(カンジダ/膵臓) - ≧0.2kU/L(3.3μkat/L)
4-アミノアンチピリン - 0.31mmol/L
コレステロールオキシダーゼ(ブレビバクテリウム) - ≧0.2kU/L(3.3μkat/L)
フェノール - 5.2mmol/L
ペルオキシダーゼ(セイヨウワサビ) - ≧10.0kU/L(166.7μkat/L)
保存料
からなる。
コレステロール試薬は即時使用可能である。調製は要求されなかった。
【0268】
方法論
試薬をベックマン・コールターアナライザー上で血漿と接触させる。これは血清中のコレステロールエステルがコレステロールエステラーゼ(CHE)によって加水分解されることを引き起こす。この反応で産生された遊離のコレステロールはコレステロールオキシダーゼ(CHO)によってコレスタ-4-エン-3-オンへと酸化され、過酸化水素(H)の同時産生を有する。これは4-アミノアンチピリンおよびフェノールをペルオキシダーゼの存在下において酸化的にカップリングしてクロモフォアを生み出す。この反応によって形成される赤いキノンイミン色素は、540/600nmにおいて吸光度の増大として分光測色法測定され得る。
ヒト対象が考えられるときに、典型的に得られる測定はこれらのリスクカテゴリーに収まる:
<200mg/dL - 正常な総コレステロールレベル
200~239mg/dL - 高い総コレステロールレベルのボーダー
>240mg/dL - 高い総コレステロールレベル
【0269】
トリグリセリドアッセイ - マウス血漿
マウス血漿の血漿中トリグリセリドレベルの測定は、ベックマン・コールターAUアナライザーによるヒト血清、EDTA、またはヘパリン処理血漿サンプル中のトリグリセリド濃度の定量的決定を意図するベックマン・コールターネーデルラントB.V.からのインビトロキット「トリグリセリド」を用いて実施した(ウールデン、オランダ、11-2010、コードBAOSR6x118.02からのデータシート;カタログNo.OSR60118)。ベックマン・コールター試薬キットによって提供される通り用いられるプロトコールに参照がなされる。
トリグリセリドは天然に見出される脂肪の主要な形態であり、それらの一次的な機能は細胞のエネルギーを提供することである。トリグリセリドの測定は、糖尿病、ネフローゼ、肝臓閉塞、脂質代謝が関わる他の疾患、または種々の内分泌障害を有する患者の診断および処置に用いられる。臨床的には、トリグリセリドアッセイは、種々の遺伝学的および代謝的リポ蛋白質障害を分類することを助けるために、ならびにアテローム性動脈硬化および冠状動脈疾患のリスク因子の評価に用いられる。
【0270】
方法&材料
マウス血漿を用いた。
キットのシステム試薬(OSR60118/OSR61118/OSR66118)はベックマン・コールターネーデルラントB.V.から得られ、
PIPES緩衝液(pH7.5)- 50mmol/L
リパーゼ(シュードモナス)- ≧1.5kU/L(25μkat/L)
グリセロールキナーゼ(バシラス・ステアロサーモフィラス) - ≧0.5kU/L(8.3μkat/L)
グリセロールリン酸オキシダーゼ(シュードモナス) - ≧1.5kU/L(25μkat/L)
アスコルビン酸オキシダーゼ(クルクビタ種) - ≧1.5kU/L(25μkat/L)
ペルオキシダーゼ(セイヨウワサビ) - ≧0.98kU/L(16.3μkat/L)
ATP - 1.4mmol/L
4-アミノアンチピリン - 0.50mmol/L
酢酸マグネシウム - 4.6mmol/L
MADB - 0.25mmol/L
保存料
からなる。
OSR60118およびOSR61118では、トリグリセリド試薬は即時使用可能である。調製は要求されなかった。OSR66118では、アナライザーへの使用前に、供給されるパイプが180mL試薬バイアルに挿入されなければならなかった。パイプは単回使用のためのみであった。
【0271】
方法論
このトリグリセリド手続きは一連の共役酵素反応に基づく。サンプル中のトリグリセリドは微生物リパーゼの組み合わせによって加水分解されて、グリセロールおよび脂肪酸を与える。グリセロールはグリセロールキナーゼ(GK)の存在下においてアデノシン三リン酸(ATP)によってリン酸化されて、グリセロール-3-リン酸を産生する。グリセロール-3-リン酸はGPO(グリセロールリン酸オキシダーゼ)の存在下において分子酸素によって酸化されて、過酸化水素(H)およびジヒドロキシアセトンリン酸を産生する。形成されたHはペルオキシダーゼ(POD)の存在下において4-アミノフェナゾンおよびN,N-ビス(4-スルホブチル)-3,5-ジメチルアニリン二ナトリウム塩(MADB)と反応して、クロモフォアを産生し、これは660/800nmで読み取られる。660/800nmにおける吸光度の増大はサンプルのトリグリセリド含量に比例する。
ヒト対象が考えられるときに、典型的に得られる測定はこれらのリスクカテゴリーに収まる:
<150mg/dL - 正常
150~199mg/dL - ボーダーラインの高
200~499mg/dL - 高
≧500mg/dL - 非常に高
【0272】
LDLコレステロールアッセイ - マウス血漿
マウス血漿の血漿中LDLコレステロールの測定は、ベックマン・コールターAUアナライザーによるヒト血清、EDTA、またはヘパリン処理血漿サンプル中のLDLコレステロール濃度の定量的決定を意図するベックマン・コールターネーデルラントB.V.からのインビトロキット「LDLコレステロール」を用いて実施した(ウールデン、オランダ、08-2009、コードBAOSR6x96.01からのデータシート;カタログNo.OSR6196)。ベックマン・コールター試薬キットによって提供される通り用いられるプロトコールに参照がなされる。
コレステロールの測定は、主として、血液中の過剰なコレステロールが関わる障害、ならびに脂質およびリポ蛋白質代謝疾患の診断ならびに処置に用いられる。LDLコレステロールは冠状動脈性心疾患(CHD)の発達に原因としての役割を演ずる。1988年に、米国コレステロール教育プログラム成人処置パネル(NCEP-ATP)は、高コレステロール血症を有する患者の診断および処置についての推奨を策定した。これらの推奨はLDLコレステロールを治療の一次標的として定義した。これらのガイドラインの2001年アップデート(NCEP-ATPIII)は、より良いリスク同定およびより積極的なコレステロール低下処置をさらに強調している。
【0273】
方法&材料
マウス血漿を用いた。
キットのシステム試薬(OSR6196/OSR6296)はベックマン・コールターネーデルラントB.V.から得られ、
MES緩衝液(pH6.3)
コレステロールエステラーゼ(シュードモナス) - 1875U/L
コレステロールオキシダーゼ(ノカルジア) - 1125U/L
ペルオキシダーゼ(セイヨウワサビ) - 975U/L
界面活性剤1 - 0.75%
界面活性剤2 - 0.25%
DSBmT - 0.25mmol/L
4-アミノアンチピリン - 0.375mmol/L
アスコルビン酸オキシダーゼ - 2250U/L
保存料
からなる。
コレステロール試薬は即時使用可能である。調製は要求されなかった。
【0274】
方法論
LDLコレステロール試験は2試薬均一系である。アッセイは2つの別個のフェーズから構成される。第1フェーズでは、特殊な界面活性剤がコレステロールを非LDLリポ蛋白質粒子から可溶化する。このコレステロールはコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、および4-アミノアンチピリンによって消費されて、無色の最終産物を生成する。
第2フェーズでは、試薬中の第2の界面活性剤がLDLリポ蛋白質からコレステロールを放出する。このコレステロールはコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、およびクロモゲン系と反応して、青色の錯体を生み出し、これは540/660nmで二色測定され得る。吸光度のもたらされる増大はサンプル中のLDL-C濃度に直接的に比例する。
ヒト対象が考えられるときに、ガイドライン(NCEP-ATPIII)はLDLコレステロールレベルを次の通り分類している:
1. <100mg/dL - 最適
2. 100~129mg/dL - 最適に近い/最適よりも上
3. 131~159mg/dL - ボーダーラインの高
4. 160~189mg/dL - 高
5. ≧190mg/dL - 非常に高
【0275】
HDLコレステロールアッセイ - マウス血漿
マウス血漿の血漿中HDLコレステロールの測定は、ベックマン・コールターAUアナライザーによるヒト血清、EDTA、またはヘパリン処理血漿サンプル中のHDLコレステロール濃度の定量的決定を意図するベックマン・コールターネーデルラントB.V.からのインビトロキット「HDLコレステロール」を用いて実施した(ウールデン、オランダ、08-2009、コードBAOSR6x95.01からのデータシート;カタログNo.OSR6195)。ベックマン・コールター試薬キットによって提供される通り用いられるプロトコールに参照がなされる。
コレステロールの測定は、血液中の過剰なコレステロールが関わる障害、ならびに脂質およびリポ蛋白質代謝障害の診断および処置に主として用いられる。
多くの疫学的研究は、HDLコレステロールおよび冠状動脈疾患のリスクの間の強いかつ独立した逆の関連を実証している。HDL粒子は、末梢組織から肝臓へのコレステロールの取り込みおよび輸送によって(コレステロール逆輸送)、アテローム性プラークの発達からの保護をするということが提案されている。米国コレステロール教育プログラム成人処置パネル2(NCEP-ATP2)によって発行されたガイドラインによると、HDLコレステロールおよび総コレステロール両方が高コレステロール血症の初期スクリーニングにおいて測定されるべきであるということが推奨される。
【0276】
方法&材料
マウス血漿を用いた。
キットのシステム試薬(OSR6195/OSR6295)はベックマン・コールターネーデルラントB.V.から得られ、
グッド緩衝液(pH6.0)
コレステロールエステラーゼ(シュードモナス) - 375U/L
コレステロールオキシダーゼ(E.coli) - 750U/L
ペルオキシダーゼ(セイヨウワサビ) - 975U/L
アスコルビン酸オキシダーゼ(クルクビタsp.) - 2250U/L
DSBmT - 0.75mmol/L
4-アミノアンチピリン - 0.25mmol/L
界面活性剤 - 0.375%
保存料 - 0.05%
からなる。
コレステロール試薬は即時使用可能である。調製は要求されなかった。
【0277】
方法論
HDLコレステロール試験は、他のリポ蛋白質粒子の存在下における血清または血漿中HDLコレステロールの選択的測定のための2試薬均一系である。アッセイは2つの別個のフェーズから構成される。第1フェーズでは、非HDLリポ蛋白質の遊離のコレステロールが可溶化され、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、およびDSBmTによって消費されて、無色の最終産物を生成する。
第2フェーズでは、特殊な界面活性剤がHDLリポ蛋白質を選択的に可溶化する。HDLコレステロールはコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、およびクロモゲン系との反応のために放出されて、青色の錯体を生み出し、これは600/700nmで二色測定され得る。吸光度のもたらされる増大はサンプル中のHDL-C濃度に直接的に比例する。
ヒト対象が考えられるときに、ガイドライン(NCEP-ATP2)はHDL-Cレベルを次の通り分類している:
1.冠状動脈性心疾患の主要なリスク因子の指示として<40mg/dL。
2.冠状動脈性心疾患の負のリスク因子として>60mg/dL。
【0278】
例1
マウスにおけるフリーズドライされたR.ルブルム細胞の血漿中LDLコレステロール低下活性
乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細菌25gをAlgosourceテクノロジーズ(サンナゼール、フランス)から購入し、使用まで4℃で貯蔵した。
8週齢の雄マウス(21~27g)は、高脂肪(いわゆる西洋)食事に対する暴露によるそれらの高いコレステロールレベルが周知であるC57BL/6J系統であった。マウスはチャールズ・リバー・ラボラトリーズ(フランス)から得た。
マウスの飼料はAltrominシュペツィアルフッターGmbH(ラーゲ、ドイツ)から得られた。ハイドロゲルはClearH20(ウェストブルック、USA)から得られ、およそ65グラムの97%水をゲル中に含有した。65gのハイドロゲルを30分に渡って70℃で加熱し、それから、1.5gのコントロール食事(プレテスト食事およびコントロール群の食事)または1.5gの乾燥された細菌(処置群の食事)をスパチュラによって液化ハイドロゲルに穏やかに混合した。爾後に、13.5gの高脂肪食事をもまたハイドロゲルに混合した。混合は滑らかな均一な産物が得られるまで継続した。ハイドロゲルを、食事との混合の前および後に、ならびに動物ケージ内に置くことにすぐに先立ってもまた秤量した。ハイドロゲル食事は最大で3日に渡って使用まで4℃で暗所に貯蔵された。
マウスをメッシュの下側に砂を有するケージ内に置いた。エンリッチメントをポリマーシェルターおよび一枚のペーパータオルの形態で提供した。マウスにはそれらの唯一の食物および水のソースとしてハイドロゲル食事カップを提供した。
サプライヤからの受取後に、マウスを7日に渡って一緒に検疫した。個々に収容した後に、マウスに、60grのハイドロゲル、13.5grの高脂肪食事、および1.5gのコントロール食事を含有するカップの飼料ハイドロゲルミックスを7日に渡って提供した。飼料-ハイドロゲル産物はその期間に3回交換した。
7日後に、2つの群を形成した:13.5gの高脂肪食事および1.5gの乾燥されたR.ルブルム細菌を含有するカップの飼料ハイドロゲルミックスを7日に渡って受ける処置群(n=4)、ならびに13.5gの高脂肪食事および1.5gのコントロール食事を含有するカップの飼料ハイドロゲルミックスを7日に渡って受けるコントロール群(n=4)である。再び、ハイドロゲル食事産物はその期間に3回交換した。
2日毎に、マウスおよび残りのハイドロゲル食事カップを秤量して、マウスの体重の発達およびそれらの食物消費に対する2つの飼料の効果を評価した。
第2週の終わりに、マウスを秤量し、0.05mlの200mg/mlネンブタール(Kela、ロット26344A13)によって麻酔した。十分な鎮静後に、胸腔を開き、血液を1mlシリンジ上の24G針(両方ともヘパリン処置された)によって取り、氷上の2mlバキュテナーEDTAチューブ中に貯蔵した。
血液を10分に渡って1500rpmで4℃において遠心して、血漿から細胞を分離した。血漿は4℃で一晩貯蔵された。
血漿中のコレステロールはSynLab社(モンス、ベルギー)によって測定された。この研究では、サブコントラクターSynLabを選んで、ELISAに基づく方法を用いてコレステロール分析を行った。これはより少ない血漿をそれらの測定のために要求した。
統計的有意性はマイクロソフトExcelによってスチューデントのt検定(対応なし、等しいサイズ、等しい分散)で検定した。
【0279】
結果
ゴールは、マウスの血液中コレステロールレベルに対するロドスピリルム・ルブルム(GEPEA/Algosolis)を投与することの効果を調べることであった。飼料をハイドロゲルに混合し、自由に供した。全てのマウスはプレテストに含まれる(n=8)。1週後に、マウスをコントロール群(プレテストと同じ飼料、n=4)および処置群(R.ルブルム細菌細胞による飼料、n=4)に分割し、1週に渡ってこれらのそれぞれの飼料に保った。
1匹のマウス(no.6)では、十分な血液が得られず、爾後に十分な血漿がもたらされなかった。
第2週の後に、処置群(n=4)は1.75g(±0.35g)という若干の体重増加を示し、コントロール群(n=4)-1.5g(±1.37g)は体重喪失を示した(p=0.0018)。この差は第2週(処置週)後に発生したが、第1週(プレテスト:全ての8匹のマウス)後には存在しなかった。
マウスによる毎週の食物消費は、第2週の群の消費の間において、または第1週(プレテスト:全ての8匹のマウス)と比較して、差を示さなかった。
R.ルブルム細胞を投与された処置マウスの血漿中総コレステロールレベルは、0.047のp値で、コントロール群のものよりも6%低かった(統計的に有意;対応するコントロールパラメータと比較されるときに0.05よりも下のp値)。
R.ルブルム細胞を投与された処置マウスのLDLコレステロールレベルは、0.044のp値で、コントロール群のものよりも39%低かった(統計的に有意;対応するコントロールパラメータと比較されるときに0.05よりも下のp値)。
処置マウスの非HDLコレステロールレベル(ほとんどLDLおよびVLDLからなる)は、0.053のp値で、コントロール群のものよりも32%低かった。
結論として、GEPEA/Algosolisによって産生されたロドスピリルム・ルブルム細菌細胞を含む飼料をマウスに給餌することは、高脂肪食事に置かれたC57BL/6Jマウスの血漿中総コレステロールレベル(-6%)およびLDLコレステロールレベル(-39%)に対する統計的に有意な縮減効果を有した。
細菌の種はロドスピリルム属からであるか、または例えばロドスピリルム・ルブルム、ロドスピリルム・センテナム、ロドスピリルム・フォトメトリカム、ロドスピリルム・オリゼ、ロドスピリルム・スルフレキシゲンス、ロドスピリルム・サレキシゲンス、ロドスピリルム・サリナルム、ロドスピリルム・ソドメンス、およびロドスピリルム・テヌエから選択される異なるロドスピリルムspp.の混合物である。例えば、ロドスピリルムはロドスピリルム・ルブルムである。
【0280】
例2 - チャウを給餌されたラットに対するフリーズドライされたR.ルブルム細胞の効果.
栄養要件に合った半合成ラットチャウを雄ウィスターラットに給餌した(ホープファームズ、ウールデン、オランダ)。8匹のラットの1つの群にはこの基本チャウを与えた。8匹のラットの第2の群には、同じだがここでは加えて10%(w/w)のフリーズドライされたR.ルブルム細胞(ショ糖の代わりに)を含有するチャウを与えた。両方の群はおよそ同じ量の食物を消費し(31±7グラム/日)、経時的に体重の同じ増大を示した。8週後に、測定された全ての臨床化学パラメータ(血漿中グルコース、尿酸、尿素、クレアチニン、GOT、GPT、ヘマトクリット、およびヘモグロビン、ならびに尿中グルコースおよび蛋白質)は、血漿中コレステロール(図3)および血漿中トリグリセリドを例外として両方の群において類似であった。血漿中コレステロールはR.ルブルム含有食事を給餌された群では有意に低く(1.2±0.1mmol/L対1.6±0.1mmol/L;t検定p<0.0001)(図3)、血漿中トリグリセリドも同様であった(0.5±0.1mmol/L対1.4±0.6mmol/L;p<0.001)。蛋白質高速液体クロマトグラフィー(fplc、ファルマシア・アマシャムのAKTAシステム)による血漿中リポ蛋白質の分離は、R.ルブルムを給餌された動物では、コレステロールおよびトリグリセリドの減少が血漿LDL画分の減少を原因とし、HDL画分は未変化のままに残るということを示した。それゆえに、血漿中コレステロールのR.ルブルムによって誘導される減少は特にLDLコレステロールの減少を原因とした。
【0281】
例3 「西洋型」食事を給餌されたマウスにおけるフリーズドライされたR.ルブルムの効果.
10匹のC57ブラック/6マウスに、半合成食事、いわゆる「西洋型」食事、15%(w/w)脂肪および0.25%(w/w)コレステロールを含有する食事を3週に渡って給餌した。爾後に、5匹のマウスに同じ食事を7日に渡って給餌し、別の5匹のマウスには、同じだが加えて10%(w/w)R.ルブルムを含有する食事を給餌した(この食事にはいくらかのコレステロールを追加して、そのコレステロール含量を0.25%に保った)。これらの7日後に、コントロール群のコレステロールレベルは3.07±0.18mmol/Lであったが、R.ルブルムを含有する食事を給餌された群では、コレステロールレベルは2.26±0.21mmol/Lであった(t検定、p=0.0003)(図4)。血漿中トリグリセリドは減少しなかった。FPLCによるリポ蛋白質の分離は、LDLコレステロールがR.ルブルムを含有する西洋型食事を給餌されたマウスの血漿中には事実上見えなくなるが、HDLコレステロールは群間の差を示さないということを示した(図2)。
【0282】
例4 「西洋型」食事を給餌されたトランスジェニックAPOE*3ライデンマウスにおけるフリーズドライされたR.ルブルムの効果.
この実験では、アポリポ蛋白質E3のいわゆるライデン変異(APOE*3ライデン)のヒト遺伝子がトランスジェネシスによって組み込まれたマウスを用いた。このトランスジェニック変化ゆえに、これらのいわゆるAPOE*ライデンマウスはヒト化されたリポ蛋白質プロファイルを有し、リポ蛋白質代謝に対する化合物の効果を研究することにとって極めて好適である。
研究デザインは次の通りであった:マウスの群に、0.25%(w/w)コレステロールを含有する「西洋型」食事(上を見よ)を5週に渡って給餌した。この食事はそれらの血漿中コレステロールレベルを13~14mmol/Lまで増大させた。爾後に、それらの血漿中コレステロールレベルに基づいて、マウスを各6匹のマウスの群にランダム化した。これらの群には、同じだが加えて0、0.625、1.25、2.5、5、または10%(w/w)のフリーズドライされたR.ルブルムを含有する食事を与えた。食事のコレステロール含量は要求されるコレステロールを追加することによって0.25%に保たれた。
実験の間に、体重および食物摂取をモニタリングした。食事変更後に、血液を毎週取って、血漿中コレステロールおよびトリグリセリドレベルを決定した。また、プールされたサンプル中の血漿中リポ蛋白質パターンを群毎にFPLCによって決定した。加えて、大便を群ベースで毎週収集した。3週後に、VLDL分泌を0%および10%R.ルブルムを給餌された群において測定した(屠殺実験)。それから、0.625%R.ルブルムを給餌された群を0%R.ルブルムを含有する食事に、2.5%R.ルブルムを給餌された群を5%R.ルブルムに、5%R.ルブルムを給餌された群を10%R.ルブルムに変更して、殺された2つの群を代替した。もう一週後に、4つの残りの群から再び血液を取った。
【0283】
結果は次の通りまとめられ得る:
・ 血漿中コレステロールレベルは5%または10%のR.ルブルムを給餌された群では有意に縮減された
・ コレステロール低下は、10%R.ルブルム群の1週後に(p<0.0001)および5%R.ルブルム群の2週後にもまた(p<0.001)既に非常に有意であり、3週の期間に渡ってそのままに残った
・ このより低いコレステロールレベルはVLDLおよびLDL画分のコレステロールの低下を原因とし、HDL画分中のコレステロールの量は変化しなかった
【0284】
植物のみにおいて発生し、それゆえにマウスの腸からの取り込み後にのみ血漿中に存在し得る2つのステロールのカンペステロール(camposterol)およびβ-シトステロールの血漿中レベルは、5%または10%のR.ルブルムどちらかを給餌されたマウス群においては有意に減少した(図4)。β-シトステロール対コレステロールの血漿中濃度の比は有意に変化せず(ANOVA、p=0.26)、血漿中カンペステロール(camposterol)対コレステロールの比も変化しなかった(ANOVA、p=0.98)。
コレステロールの血漿中濃度はその合成速度および腸からのその吸収速度によって決定されるので、これらの比が類似のままに残ったという事実は(コレステロール対カンペステロール(camposterol)、β-シトステロール)、血漿中コレステロール濃度の減少がコレステロール合成の減少を原因とし得ず、むしろマウスの腸ルーメンからのステロールの減少した吸収に帰せられなければならないということを実証している。
【0285】
まとめると:
これらの実験は、マウスの「西洋型」食事に5%(w/w)または10%(w/w)のR.ルブルム細胞を追加することがAPOE*3ライデンマウスにおいて血漿中コレステロールレベルを有意に縮減するということを示している。この減少は、
1.(アテローム誘発性)VLDLおよびLDL粒子によって運ばれるコレステロールの減少に帰せられ、(抗アテローム性)HDLコレステロールは未変化のままに残る;
2.コレステロール合成の減少によっては引き起こされない。なぜなら、血漿中ラトステロールレベルは変化せず、肝臓によるVLDLの合成/分泌もまた未変化であるということが観察されたからである;
3.胆汁酸の増大した排泄を原因としない。これ(which this)は若干増大しているのみである;
4.よって、観察された大便中のコレステロールの増大した排泄と血漿中カンペステロール(camposterol)およびβ-シトステロール濃度の減少とによって反映される通り、腸からのステロールの減少した吸収を原因とする。
【0286】
コレステロール低下効果はR.ルブルムの少なくとも2つの異なる株(ATCC25903およびDSM467)によって引き起こされる。
【0287】
例5 マウスの血漿中LDLコレステロールレベルに対するカロテノイド、フェオフィチン、および/または(ユビ)キノール/(ユビ)キノンの効果
実験手続き
ロドスピリルム・ルブルム株S1Hは10%w/wショ糖-0.85%w/w食塩水溶液によって液体窒素中で貯蔵した。株を育てなおすために、細胞を液体窒素から取り出し、30分に渡って室温で解凍した。細胞をシストロムコハク酸寒天プレートおよびルリア・ベルターニ(LB)リッチ培地上にストリークして、コロニー形成単位を育てた。寒天プレートを30℃で暗所かつ好気条件において最高で4日に渡ってインキュベーションした。
4日後に、10個のシングルコロニーを拾い、2mLのシストロムコハク酸液体培地を有する10個のチューブに移入し、30℃において150rpmでの暗所の好気的な旋回振盪によってインキュベーションした。4~5日後に、細胞は育ち、OD680=0.5~0.6に達した。培養物の純粋性をチェックするために、細胞をシストロムコハク酸寒天プレートおよびLBリッチ培地寒天プレート上にストリークし、最高で1週までインキュベーションして、従属栄養性コンタミナントを探した。純粋性チェックが認められたときに、2mL培養物を15mLのシストロムコハク酸液体培地に移入し、150rpmでの暗所の好気的な旋回振盪によって30℃でインキュベーションした。4~5日後に、細胞は育ち、OD680=0.5~0.6に達した。それから、15mL培養物を100mLのシストロムコハク酸液体培地に移入し、100rpmでの暗所の好気的な旋回振盪によって30℃でインキュベーションした。4~5日後に、細胞は育ち、OD680=0.5~0.6に達した。ひとたび純粋性がシストロムコハク酸およびLB培地上でチェックされると、これらの細胞は接種材料の培養物を構成した。
【0288】
細胞培養
培養条件
バイオリアクター
嫌気的な明条件をロドスピリルム・ルブルム株S1H細胞を培養するために適用した。10個の純粋な接種材料の培養物を10分の5000*gでの遠心によってペレット化した。上清を捨て、ペレットを酢酸を炭素源とする25mLのメリッサ液体培地によってプールして、濃接種材料を構成した。
バイオリアクターをオートクレーブによる121℃および1.2barでの20分の水蒸気暴露の湿熱滅菌によって滅菌した。滅菌後に、バイオリアクターを閉じた。エフルエントのためのメリッサ培地、1MのHSOを有するボトルを層流型キャビネット(LAF)内で無菌的に連結した。
【0289】
抽出プロトコール
30gのロドスピリルム・ルブルム株S1H細胞の細菌ペレットを、石油エーテル(沸点60~80℃)およびメタノール性食塩水の440mlの二相混合物を用いて2hに渡って室温で混合した(二相混合物:20mlの0.3質量%NaClおよび200mlのメタノールを含有する220ml+220mlの石油エーテル(沸点60~80℃))。室温における20分の5000RPMでの遠心後に、上相(石油エーテル相)を取り出し、室温で貯蔵した。下相(メタノール性食塩水溶液)を任意に室温における2hの追加の220mlの石油エーテルによる第2の抽出に付した。第2の上相を第1のものと混合し、ロータリーエバポレータシステムを用いて乾燥した。もたらされた粘性液体を図5および6では「画分l.1」または「fl.1」または「抽出物l.1」と名付けた。
【0290】
質量分析のための材料および方法
MALDI-ToF
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI-ToF)質量スペクトルは、50Hzの出力周波数で355nmにおいて作動するNd:YAGレーザーを備えたQToFプレミア質量分析計を用いて記録した。飛行時間型質量分析はリフレクションモードで約10.000の解像度で行った。fl.1のサンプルは(DCTB)トランス-2-[3-(4-tertブチルフェニル)-2-メチルプロパ-2-エニリデン]マロノニトリルを用いて分析した。このマトリックスはCHCl中の40mg/mL溶液として調製した。マトリックス溶液(1mg/mL)をステンレス鋼ターゲットに塗布し、風乾した。サンプルをTHF中に溶解し、この溶液の1マイクロリットルアリコートを既にマトリックス結晶を担持したターゲット領域に塗布し、風乾した。シングルステージMSスペクトルの記録のためには、四重極(rfオンリーモード)を200から2500Thのイオンを通すようにセットし、全てのイオンを飛行時間型アナライザーのプッシャー領域に送り、ここでそれらは1sインテグレーションタイムで質量分析された。
【0291】
QToF(5600ABSCIEX)-ナノESI-MS
fl.1のサンプルをアセトニトリル中の0.1%蟻酸によって希釈し、室温において13.000RPMで5min遠心し、上清を直接的に質量分析計(流量:89マイクロリットル/時間)にナノesi源を用いて注入した。取り込みパラメータは:イオン源ガス1:4;カーテンガス15;イオンスプレー電圧フローティング2.300、ヒーター温度150℃;極性:ポジティブ;ToF質量範囲:100~2.000であった。
【0292】
イオントラップ(HCTウルトラブルカー)-ナノESI-MS
fl.1のサンプルをアセトニトリル中の0.1%蟻酸によって希釈し、室温において5分間13.000RPMで遠心し、上清を直接的に質量分析計(流量:89マイクロリットル/時間)にナノesi源を用いて注入した。取り込みパラメータは:キャピラリー1.900ボルト;乾燥ガス:6l/min;乾燥温度:250℃;極性:ポジティブ;スキャンモード:標準-エンハンスド;スキャン範囲:100~2.000;スマートターゲット20.000;最大取り込み時間:200msであった。
【0293】
結果
fl.1のMALDI-ToF分析によって、fl.1中のカロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン、ならびに(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およびバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体の存在が決定された(それぞれ、M+H+値として指示される分子イオンは、ロドビブリンでは585.5;1-ヒドロキシ-スピリロキサンチンでは583.5;3,4-デヒドロ-ロドピンでは587.5;クロロキサンチンでは557.5;ロドピンでは555.4;スピリロキサンチンでは597.4;3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチンでは599.5;ユビキノール-10では865.7;ユビキノン-9では795.6;ユビキノン-10では848.7;ロドキノン-10では863.7;ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンaでは883.5;フィチルバクテリオフェオフィチンaでは889.5であった)(図5)。カロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン、ならびに(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およびバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体は、ナノESI-QToF分析を適用したときにもまたfl.1抽出物中に同定された。10μlの画分l.1をマトリックスの存在下において乾燥した。
【0294】
QToF(5600ABSCIEX)-ナノESI-MSを用いるfl.1抽出物の分析は、fl.1中に存在するカロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン、ならびに(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およびバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体の存在を確認した。画分l.1のNanoESI-MSスペクトルは、有機溶媒としてアセトニトリル99%、1%HCOOCを用いるトリプルtof質量分析計(ABSCIEX)によって得た。
カロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン、ならびに(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およびバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体を有するfl.1のQToF(5600ABSCIEX)-ナノESI-MSスペクトルでは、ピークが次のm/z値において明らかにされた(括弧内におよその相対強度):647.6(2.5);651.6(3.3);881.5(2);927.5(1)。
画分l.1のナノESI-MSスペクトルはアセトニトリル中の1%HCOOCを用いるイオントラップ質量分析計(ブルカー)によって得られる。
【0295】
マウス試験 - 血漿中コレステロールレベルに対する、カロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン、ならびに(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およびバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体を有するR.ルブルム細胞の石油エーテル画分「fl.1」を投与することの効果
【0296】
血漿中コレステロールレベルに対するカロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン、ならびに(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体を有するfl.1を含む食事の影響を試験するためのマウス試験を、SCK・CENアニマラリウム(BE)において、40匹のC57BL/6雄マウスの2週の馴化後に行った。食物およびマウスの初期秤量後に、それらを個別換気式ケージ内に置いた。食物消費を毎日チェックし、ハイドロゲルを2日毎に秤量した。先に行われた予備的な嗜好性試験に基づいて、細菌抽出物をひまわり油中に再懸濁し、5%白糖をチャウに追加して(カフェテリア食)、高い嗜好性を保証した。
【0297】
第1週に、マウスの第1群はカフェテリア食+R.ルブルム抽出物fl.1を代替するひまわり油を自由に受け、マウスの第2群はカフェテリア食+R.ルブルム抽出物fl.1を代替するコントロール食事を自由に受けた。
【0298】
第2週に、コントロール群は同じ食事を継続し、3つの実験群はカフェテリア食+ひまわり油中の10%のfl.1抽出物どちらかを受けた。それゆえに、マウスの1つの群はロドスピリルム・ルブルムのfl.1石油エーテル抽出物を含む飼料を給餌され、マウスの第2群のコントロール群はロドスピリルム・ルブルムの抽出物なしの飼料を給餌された。
コントロール飼料、またはカロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン、ならびに(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およびバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体を含むfl.1を含む飼料を給餌することの血漿中のコレステロールレベルに対する効果を、下に詳述する。
【0299】
マウス試験の終わり
2週の試験後に、マウスを(where)秤量し、解剖に先立って腹腔内ペントバルビタール注射を用いて安楽死させた。全血をEDTAチューブに取り出し、血漿を得るために遠心し、さらなる分析のために4℃に置いた。
【0300】
マウスの体重
第1週および第2週の後に、群間の差は検出されなかった。
【0301】
血液分析
総コレステロール、HDL、およびLDL画分
図6は、処置マウスの血液中のコレステロール、HDL、およびLDL分析の結果を示す。
カロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン、ならびに(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およびバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体を含む抽出物l.1(これは画分l.1、fl.1である)は、マウスの血漿中LDLコレステロール濃度に対する有意な効果を有する。なぜなら、抽出物l.1は、マウスの血漿中LDLコレステロールレベルをマウスのコントロール群と比較して40%よりも多く、すなわち約46%で減少させながら(p<0.001)、血漿中総コレステロールレベルは本質的に未変化に留まったからである。図6を見よ。さらにその上、fl.1画分を給餌されたマウス群のHDLコレステロールレベルは実験期間後にもまた本質的に変わらずに留まった。それぞれ、血漿中の総コレステロールはコントロール群の4.46μg/μlと比較してマウスのfl.1群では4.39μg/μlであり、HDLコレステロールはfl.1群では2.93μg/μl、コントロール群では2.72μg/μlであり、LDLコレステロールはfl.1群では0.36μg/μl(p<0.001)、コントロール群では0.67μg/μlであった。
【0302】
結論
カロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン、ならびに(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およびバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体を含むR.ルブルムS1H抽出物fl.1を用いるこのマウス試験からは、石油エーテル抽出物fl.1が、抽出物が経口投与されるときに、マウスのLDLコレステロールレベルを大きい程度に低下させることに対する有益な効果を有しながら、同時に、HDLコレステロールレベルを本質的に変わらずに保つということが決定される。
【0303】
例6 - オーブン乾燥されたR.ルブルム細胞のコレステロール低下活性を試験する
乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細菌150gをAWファン・ベネコムVOF(オランダ)から購入し、使用まで4℃で貯蔵した。細菌細胞はオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞であり、ここの下で詳述される実験においてマウスに給餌される前にリフラクティブ乾燥(60℃~100℃、好ましくは60℃~85℃、例えば約60℃)によって得られた。
【0304】
材料
この実験のために選ばれた6週齢の雄マウス(21~27g)は、高脂肪(いわゆる西洋)食事に対する暴露によるそれらの高いコレステロールレベルが周知であるC57BL/6J系統であった。マウスはチャールズ・リバー・ラボラトリーズ(フランス)から得た。食物はAltrominシュペツィアルフッターGmbH&Co.KG(ラーゲ、ドイツ)から得た。ハイドロゲルはClearH20(ウェストブルック、USA)から得られ、65グラムの97%水をゲル中に含有した。コレステロールキット(ab65390)はVWRインターナショナル(ハースローデ、ベルギー)を介してAbcamから得た。他の材料はVWRインターナショナル(ハースローデ、ベルギー)から得た。
【0305】
方法
65ハイドロゲルを1hrに渡って50℃で加熱し、それから、13.5gの高脂肪食事をスパチュラによって液化ハイドロゲルに穏やかに混合した。爾後に、1.5gのコントロール食事(プレテストの食事およびコントロール群の食事)または1.5g細菌抽出物(処置群の食事)をもまたハイドロゲルに混合した。混合は滑らかな均一な産物が得られるまで継続した。ハイドロゲルを、食事との混合の前および後に、ならびに動物ケージ内に置くことにすぐに先立ってもまた秤量した。ハイドロゲル食事は最大で3日に渡って4℃で貯蔵された。マウスをメッシュの下側に砂を有するケージ内に置いた。エンリッチメントをポリマー管およびペーパータオルの形態で提供した。マウスには食物および水のソースとしてハイドロゲル食事カップのみを提供した。サプライヤからの受取後に、マウスを7日に渡って一緒に検疫した。マウスを個々に収容した後に、それらは60grハイドロゲル、13.5gr高脂肪食事、および1.5gのコントロール食事を含有するハイドロゲル食事を7日に渡って提供された。事実、ハイドロゲル食事産物はその期間に3回交換した。7日後に、マウスをランダム化し、2つの群を形成した:13.5gの高脂肪食事および1.5gの細菌抽出物を含有するハイドロゲルを7日に渡って受ける処置群、ならびに13.5gの高脂肪食事および1.5gのコントロール食事を含有するハイドロゲルを7日に渡って受けるコントロール群(n=5)である。再び、ハイドロゲル食事産物はその期間に3回交換した。2日毎に、マウスおよび残りのハイドロゲル食事を秤量して、細菌抽出物(すなわち、60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞(R.ルブルム細胞のリフラクティブ乾燥は、リフラクション乾燥機において55~100℃の温度、好ましくは60~100℃、より好ましくは80~100℃において好適である))のマウスの体重の発達およびそれらの食物消費に対する効果を評価した。
【0306】
第2週の終わりに、マウスを秤量し、0.1mlのネンブタールによって麻酔した。十分な鎮静後に、胸腔を開き、血液を1mlシリンジ上の21G針(両方ともヘパリン処置された)によって取り、氷上の2mlバキュテナーEDTAチューブ中に貯蔵した。血液を10minに渡って1500rpmで4℃において遠心して、血漿から細胞を分離した。血漿中のコレステロールをAbcamのab65390キットの手続きに従って測定した。残りの血漿は-20℃で貯蔵した。統計的有意性はマイクロソフトExcelによってスチューデントのt検定(対応なし、等しいサイズ、等しい分散)で検定した。
【0307】
結果
この実験のゴールは、マウスにおいて、オーブン乾燥されたR.ルブルム細胞(60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞の血液中コレステロールレベルに対する効果を調べることであった。血漿中総コレステロールレベルを分析キットに記載されている手続きに従って測定し、線形的な標準曲線を得た。実験バイアスを避けるために、次のシークエンスで、マウスを処置群間でランダム化した:処置2、コントロール2、処置2、コントロール2、処置1、コントロール1。マウスの毎週の食物消費は、処置群(5匹のマウス)またはコントロール群(5匹のマウス)について第1週(プレテスト:全ての10匹のマウス)または第2週の消費の間で差を示さなかった(図7)。群間における体重増加の有意な差は観察されなかった(処置では1.0+/-1.4グラム、コントロール群では1.6+/-0.5グラム)。処置マウスの血漿中総コレステロールレベルは0.0083のp値でコントロール群のものよりも47%低かった(図8)。
【0308】
結論
オーブン乾燥されたR.ルブルム細胞(60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞の細菌産物によるマウスの処置は、高脂肪食事に置かれたC57BL/6Jマウスの血漿中総コレステロールレベルに対する統計的に有意な縮減効果(47%)を有した。体重増加または食物消費に対する有意な効果は観察されなかったので、産物は内在的なコレステロール管理に対する生理学的効果を有するということが結論された。
オーブン乾燥されたR.ルブルム細胞のバッチ(60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞が、ここの下に記載される治験に用いられる:半1日ドーズで毎日2回取られる(take)0.25g、0.50g、または1.00gのオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞という1日ドーズによる健康なヒト男性対象の処置(図9に概説されている処置プロトコール)。細胞は、60℃におけるリフラクション乾燥機を用いるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞であった。
【0309】
例7 - 二重盲検のランダム化比較治験によって試験されるヒト対象のコレステロールホメオスタシスに対する効果を評価するためのR.ルブルム細胞の提供
オーブン乾燥されたR.ルブルム細胞の物理的/化学的特性
接種材料を特にロドスピリルム・ルブルムの産生のために選択されたLEDランプを用いて育てた。狙いは、淡水藻類の栽培に用いられる水中の同化吸収照明および栽培のテクノロジーをロドスピリルム・ルブルム産生のための技術的解決法にトランスレーションすることであった。結果は、ロドスピリルム・ルブルムが850nm赤外LEDランプによって育てられ得るということを証明した。加えて、動物モデル(ラット、マウス)におけるコレステロール低下活性と一致する色素濃度は、ロドスピリルム・ルブルムにおいてはこれらの赤外LEDランプを用いるときにより高く見える。産生プロトコールでは、フェーズステップアプローチを用いた:
第1フェーズ、10Lスケールでの小量のロドスピリルム・ルブルムの産生;
第2フェーズ、最適化およびスケーリング。
【0310】
ロドスピリルム・ルブルム培養を、内的なランプ、濁度センサー、ならびに凝集剤および濾過を用いる30mg/L/日のバッチ産生によって、滅菌可能な1リットルボトルで開始した。フォローアップステップとして、4×500ml遠心機を収穫前に置き、それによって1リットル反応器の生産性を100mg/L/日まで増大させた。これらの結果に基づいて、センサー、内的なランプ、およびインキュベータ(stericult)を有する10リットル反応器の産生が、前培養をより安定にするために用いられている。2つの培養系を前培養のために用いた。第1の方法は10リットルボトルからなり、内的なおよび外的なLED照明を有した。第2の方法はプラスチックホイルバッグを培養容器とするシェーカーテーブルに関係し、外的な照明を用いた。両方のシステム(内的に暴露されるボトルまたは外的な暴露されるバッグ)は、10リットルスケールでのロドスピリルム・ルブルムバイオマスの安定な産生にとって好適である。これらのシステムは小量の材料の産生に好適である(典型的には1から100グラム/週)。
【0311】
継続的プロセスへのスケールアップ - 10リットル反応器の結果に基づいて、122mg/L/日という再現性ある生産性が達成される。これに基づいて、100リットルスケールでの産生が行われる。
【0312】
産生を増大させるためのシェーカーテーブルを産生プロセスに実装する。シェーカーテーブルは遠心のための十分な培地を得るための産生向上目的で働き、ロドスピリルム・ルブルムは培地から抽出され得る。シェーカーテーブルは毎分に上下の動きをなし、赤外LEDライトが培養物の上に位置する。
【0313】
ロドスピリルム・ルブルム産生を200リットルスケールにスケールアップした。バッチ産生の典型的な最終密度は700mg/Lおよび1200mg/Lの間の乾燥質量であり、これは栽培の持続期間に依存する。mg/L培養物による乾燥質量が考えられるときの日当たりの収量は、7日以上に渡って培養されるR.ルブルム細胞培養物で最適である。10L培養および200リットルスケール培養の結果に基づいて、ロドスピリルム・ルブルム培養を1,000リットルおよび10,000リットルにスケールアップすることが好適である。
【0314】
凝集を用いる細胞収穫方法を適用した。方法はロバストかつスケーラブルである。ロドスピリルム・ルブルムバイオマスの乾燥のためには、当分野で公知のリフラクション乾燥機を用いる当分野で公知のリフラクティブ乾燥方法が適用され、用いられている。これは低い温度で作動し、R.ルブルム細胞バイオマスを加熱するための熱水と蒸発した水を捨てるための空気流とを用い、その結果、R.ルブルム細胞バイオマスは乾燥される。乾燥は大気圧で行われる。熱水は、典型的には沸点に近いかまたはいくぶん下の温度、例えば55~100℃、60~100℃、または80~100℃、例えば55~99℃、58~98℃、80~99.5℃、または80~90℃、ここでは典型的には約55~65℃、例えば60℃、または80~100℃、例えば約95℃を有する。フリーズドライ、噴霧乾燥、およびドラム乾燥のような従来の乾燥方法と比較して、リフラクティブ乾燥(リフラクション乾燥機を用いるオーブン乾燥)は優れたレベルの栄養素保持、色、フレーバー、およびアロマを示す。実際に、リフラクティブ乾燥法は異なる実験のための、すなわちDBRCCTのための安定なバイオマスを提供する。15kgの量のオーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞材料が産生されている。典型的な収量は7日培養サイクルでリットル当たり0.7から1.0グラムの乾燥質量であった。リフラクション乾燥機によるオーブン乾燥後に、細かく顆粒化された粉末のR.ルブルム材料(リフラクティブ乾燥(例えば約60°)によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞)が得られる。粉末は明赤褐色を有し、挽いたコーヒーに似ている硬さおよび食感を有する。オーブン乾燥されたバイオマスを収穫後に気密封止し、冷蔵庫に+4℃で貯蔵した。薬剤の安定性および継続的有効性を確認するために、ここの上の例6に詳述される実験の概説に従うインビボの小スケールマウス試験を行った。実際に、再び、オーブン乾燥されたR.ルブルム細胞は、R.ルブルム細胞(飼料の総重量に基づいて10%)を含む食事を給餌されたマウスにおいて少なくとも30~40%で血漿中LDLコレステロールを低下させた。
【0315】
例8 - 乾燥されたR.ルブルム細胞によって処置された健康なヒト対象による治験
血漿中コレステロールレベルに対する乾燥されたR.ルブルム細胞の効果を評価するヒトにおける初めてのトライアル - リフラクション乾燥機によって乾燥されたR.ルブルム細胞がヒト対象において血漿中コレステロール低下活性を有するかどうかを初めて研究するための概念実証研究
【0316】
概要
理論:心血管疾患はなお現代の西洋社会における罹患率および死亡率の主立った原因である。高いLDLコレステロールは原因として心血管系リスクに関係するので、血清中LDLコレステロール濃度を低下させることを狙う食事介入は重要である。10%の血清中LDLコレステロール濃度の縮減は将来的なCVDリスクを20%低下させる。
【0317】
目的:提案される研究の一次目的は、ヒトにおいて、オーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム(60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞のLDLコレステロール低下効果を初めて調べることである。二次的な目的は、他のCVDリスクパラメータ:総コレステロール、トリアシルグリセロール、HDL-C、グルコース、血圧、および安静時心拍数に対する効果を研究することである。最後に、我々は、肝臓(ALT、AST、γGT)および腎臓機能(クレアチニン)および心臓機能(NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT)のマーカーからなるエンドポイントのパネルの毎週の測定によって、安全性パラメータをモニタリングする。
【0318】
研究デザイン:提案される研究は、並行デザインによる4週のランダム化された二重盲検のプラセボ対照トライアルであり、3つのドーズのオーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム(60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞)を用いる。
【0319】
研究集団:若干上昇した空腹時血清中総コレステロール濃度(5.0~8.0mmol/lの間)を有する18~75歳の八十二人の(n=82)健康な男性を研究に登録した。トータルで六人の(n=6)男性は、オーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム摂取に関係しない事情を原因として、トライアルを終了しなかった。
【0320】
介入:4週の介入期間に、男性は、プラセボ、または日当たり0.25gr、0.5gr、または1.0grのオーブン乾燥された(60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞)ロドスピリルム・ルブルムを含有するカプセルどちらかを受けるであろう。
【0321】
主な研究パラメータ/エンドポイント:一次エンドポイントは、3つのドーズの乾燥されたR.ルブルム細胞またはプラセボから判断される血清中LDLコレステロール濃度の変化である。例えば年齢群に基づくかまたは介入の開始において相対的に低い総コレステロール濃度を有する男性(例えば5.0~6.5mM)対介入の開始において相対的に高い総コレステロール濃度を有する男性(>6.5mM)に基づく層化などもまたトライアル後データ分析の一部である。
【0322】
男性における初めてのヒト治験第IIa相の導入および理論
心血管疾患(CVD)はなお現代の西洋社会における罹患率および死亡率の主立った原因である。特定の患者の群における薬理学的処置は、CVDの主要なリスク因子の血清中LDLコレステロール濃度を低下させることに非常に有功である。10%の血清中LDLコレステロールの各縮減が将来的なCVDリスクを20%低下させるということは受け入れられている。しかしながら、人口の大きい比率は薬物処置の基準を満たさず、これらの対象はそれらの代謝プロファイルを改善するための予防戦略としてそれらのライフスタイルを改めることを奨励されるのみである。CVDについては、(食事)予防プログラムは主にLDLコレステロールを低下させることにフォーカスしている。
【0323】
種々の動物モデルにおけるいくつかの有功な実験は、ロドスピリルム・ルブルムの一部である構造化合物の混合物が、コレステロール代謝を有益に調節し得る興味深い成分であるという認識を作り出している。異なるモデルにおいて、ロドスピリルム・ルブルムが血清中LDLコレステロール濃度を低下させるということが示されている。これは、アテローム性動脈硬化プラーク形成におけるLDLコレステロールの周知の原因としての役割からして、細胞がそれを必要とするヒト対象に投与されるときにもまたこれらの効果が発生するときには、縮減された心血管系リスクへとトランスレーションされ得る。重要な問題は、例えばラットおよびマウスで見られる血清中LDLコレステロール濃度に対する縮減効果が、ヒトでもまた見出されるということを示すことである。よって、本発明者は、ヒトにおけるゴールド・スタンダードすなわちDBRCCTに従う初めての概念実証(POC)研究を実施した。一次目的は、オーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム(60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞)が血清中LDLコレステロール濃度を低下させるということを示すことであった。このPOCトライアルの第2の狙いは、若干上昇した血清中コレステロール濃度を有する見かけ上健康な男性において、LDLコレステロールに対するこれらの効果が用量依存的であるということと、オーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルムが良く忍容されるということとを示すことである。よって、本発明者の目的は、オーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム消費および血清中LDLコレステロール濃度の間の用量反応関係性を若干高コレステロール血症の男性において調べることであった。さらなる目的は、総コレステロール、トリアシルグリセロール(TAG)、HDLコレステロール、グルコース、およびhsCRPの循環中濃度、ならびに収縮期(SBP)および拡張期血圧(DBP)、ならびに安静時心拍数のような追加のCVDリスクマーカーに対するオーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム消費の効果を、若干高コレステロール血症の男性において調べることであった。加えて、ある目的は、肝臓機能(ALT、AST、γGT)および腎臓(クレアチニン)機能ならびに心臓機能(NTProBNP、vWF、c-トロポニンT)のマーカーに対するオーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム消費の効果を、若干高コレステロール血症の男性において評価することであった。
【0324】
研究デザイン
4週のランダム化された二重盲検のプラセボ対照の用量反応トライアルを、並行デザインで、若干高コレステロール血症の男性において執り行った。
【0325】
スクリーニング
スクリーニング前に、男性には研究の手続きについて告知し、インフォームドコンセントを得た。スクリーニング来院後に、全ての選択基準を満たした研究参加者は参加するよう依頼された。男性は、人体計測学的尺度(体重、身長、ボディマス指数)、SBPおよびDBP、安静時心拍数、血清中総コレステロールおよびトリアシルグリセロール濃度を包含するそれらのスクリーニング結果について告知された。さらにその上、肝臓(ALT、AST、γGT)および腎臓(クレアチニン)機能を決定した。オランダ家庭医学会(NHG)の心血管系リスクマネージメント標準に従って薬物またはライフスタイル介入による処置が勧められるときには、研究対象はそれらの家庭医に相談するように勧められた。スクリーニングは最終的な総数で82人の男性がトライアルに参加することをもたらした。
【0326】
試験日
採血に先行する日々に、男性はいずれかの激しい身体運動を行わないようまたはアルコールを消費しないよう依頼された。採血の朝には、12hrの一晩空腹後に(8.00PMから)、男性は一杯の水を飲むことのみを許された。男性は試験日に先立ってそれらのいつもの食事を変更しないようにもまた依頼された。最後に、男性は、可能な限り測定を標準化するために(徒歩またはバイクではなく)公共輸送または自動車によってマーストリヒト代謝研究ユニット(MRUM、オランダ)に来るよう依頼された。全ての男性は4つの処置アームの1つにランダムに割り付けられた。このやり方で、時間による変数の遷移を原因とする変動は消失した。トータルの研究は8週かかり、2週の前観察期、4週の実験期間、および2週の研究後ウォッシュアウト期間を包含した。男性は常に朝にMRUM試験施設に常に空腹状態で来着した。全ての試験日は人体計測学的測定(体重、身長、ウエストおよびヒップ周り)から開始した。それから、SBP、DBP、および安静時心拍数を決定した。最後に、血液サンプルを取って、一連のCVDリスクマーカーならびに肝臓、腎臓、および心臓機能のマーカーを測定した。
【0327】
介入
研究の実験デザインは図9に示されている。研究はランダム化比較の二重盲検のプラセボ対照の並行デザインを有し、2週の前観察期、4週の実験期間、および2週のウォッシュアウト期間を有した。前観察期に、全ての男性は研究手続きに慣れるためのプラセボカプセルを受けた。4週の実験期間は、血清中脂質およびリポ蛋白質濃度の新たな定常状態に達するために十分長かった。男性が前観察期のように再びプラセボカプセルを提供されるウォッシュアウト期間を用いて、処置後の血清中脂質およびリポ蛋白質濃度が介入の中止後に処置前の値に戻るかどうかをチェックした。各20人の男性の4つの研究群が包含された。1つの群はコントロールとして働き、他の3つの群は増大していくドーズのオーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルムを受けた(0.25、0.5、および1.0g/日)。よって、この研究は、(i)オーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム(60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞)が若干高コレステロール血症の男性の血清中LDLコレステロール濃度を低下させるかどうか、および(ii)用量反応関係性が存在するかどうかの情報を提供した。2週の前観察期および2週の研究後ウォッシュアウト期間の間に、全ての男性は不活性な充填材料微結晶セルロースを含有するプラセボカプセルを受けた。4週の介入期間に、男性は、同じ不活性な充填材料微結晶セルロースを含有する毎日の実験カプセル(コントロール群)またはオーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルムを含有するカプセルどちらかを受けた。男性は4つのアームの1つにランダムに割り付けられた。試験産物は参加者番号のみを有する閉じたボトルによって分配されたので、研究者およびボランティアは両方とも盲検化された。カプセルを有するボトルの内容は、参加者番号が研究産物の型につながれた表にのみ見出され得た。研究コードを有するこのファイルは研究の終わりに全ての(統計)分析が完了した後にのみ解除された。
【0328】
一次アウトカムパラメータは血清中LDLコレステロール濃度の変化である。このためには、前観察期の始まりに1回(第0日)、前観察期の終わり/実験期間の開始に2回(第11および14日)、実験期間に4回(第21、28、39、42日)、研究後ウォッシュアウト期間の終わりに2回(第49および56日)採血した。このトライアルはヒトにおける初めての原理証明研究であったので、血液サンプルは肝臓機能(ALT、AST、γGT)および腎臓機能(クレアチニン)および心臓機能(NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT)のマーカーのような「安全性」パラメータのパネルについて毎週分析された。研究はGCPの下で執り行われた。植物ステロールおよびスタノールなどのコレステロール低下化合物によるいくつかの先の研究は、血清中LDLコレステロール濃度が4週の消費の間に縮減され得るということを報告している。このコレステロール低下効果は、若干高コレステロール血症の対象を包含するいくつかの集団群において示されている。
【0329】
研究集団
集団
若干上昇した空腹時血清中総コレステロール濃度(5.0~8.0mmol/lの間)を有する八十二人の(n=82)健康な男性をリクルートした。七十二人の(n=76)男性が研究を完了した。
【0330】
スクリーニング来院
男性はスクリーニング来院に招かれ、この来院は:
- 体重
- 身長
- 血圧:拡張期および収縮期
- 血清中総コレステロールおよびトリアシルグリセロール濃度
- 血清中ALT、AST、γGT、およびクレアチニン濃度
- 薬の使用
- (その時における)現行の疾患および疾患の既往
の記録を包含した。
【0331】
全ての男性はスクリーニング来院のために代謝研究施設(MRUM)に来訪した。この来院の間に、人体計測学的測定(体重、身長、ウエストおよびヒップ周り、ボディマス指数)を行い、血圧(BP)(SBPおよびDBP)を四重で決定した(第1の測定は捨て、最後の3つの測定を平均した)。加えて、静脈血サンプル(5.0mL)を血清中総コレステロール、トリアシルグリセロール、ALT、AST、γGT、およびクレアチニン濃度の分析のために抜いた。研究参加者が献血者であったケースでは、それらは、それらが研究の開始の8週前から、研究中に、かつ研究の完了後の4週に渡って献血し得ないということを告げられた。スクリーニングされた男性が全ての選択基準を満たしたときには、それらは研究に入ることを許された。
【0332】
選択基準
選択基準は:
- 18~75歳の間;
- 男性;
- 最小で80kgの体重;
- 5.0~8.0mmol/Lの間の血清中総コレステロール(オランダ家庭医学会[NHG]の心血管系リスクマネージメント標準に従って、過度の高脂血症[血清中総コレステロール≧8.0mmol/L]では、さらなる検査が推奨された);
- 血清中トリアシルグリセロール濃度<4.5mmol/L;
- 肝臓および/または腎臓機能不全の徴なし;
- 非糖尿患者;
- 家族性高コレステロール血症なし;
- 薬物の乱用なし;
- 日当たり4回よりも多くないアルコール消費、週当たり最大で21回;
- 安定な体重(過去3ヶ月に体重増加または喪失<3kg);
- 血圧、脂質、またはグルコース代謝を処置するための公知の薬の使用なし;
- 先の1ヶ月以内に別の生物医学的介入トライアルにおける治験薬の使用なし;
- 研究に干渉し得る重篤な医学的状態、例えばてんかん、喘息、腎不全または腎機能不全、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、自己炎症性疾患、および関節リウマチなし;
- うっ血性心不全または心血管系事象のような活動的な心血管疾患、例えば急性心筋梗塞または脳血管障害なし;
- 研究の開始の8週前から、研究中に、かつ研究の完了後の4週に渡って献血者であることをあきらめるという意思;
- スクリーニング来院中に立証される困難な静脈穿刺なし;
- 研究中に研究プロトコールを守る意思;
- インフォームドコンセントにサイン;
であった。
【0333】
除外基準
除外基準は:
- 血清中総コレステロール<5.0mmol/Lまたは≧8.0mmol/L;
- 血清中トリアシルグリセロール濃度≧4.5mmol/L;
- 肝臓および/または腎臓機能不全の徴;
- 糖尿患者;
- 家族性高コレステロール血症;
- 薬物の乱用;
- 日当たり4回よりも多いアルコール消費または週当たり21回よりも多い;
- 不安定な体重(過去3ヶ月に体重増加または喪失>3kg);
- 血圧、脂質、またはグルコース代謝を処置するための公知の薬の使用;
- 先の1ヶ月以内に別の生物医学的介入トライアルにおける治験薬の使用;
- 研究に干渉し得る重篤な医学的状態、例えばてんかん、喘息、腎不全または腎機能不全、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、自己炎症性疾患、および関節リウマチ;
- うっ血性心不全または心血管系事象のような活動的な心血管疾患、例えば急性心筋梗塞または脳血管障害;
- 研究の開始の8週前から、研究中に、かつ研究の完了後の4週に渡って献血者であることをあきらめるという意思がない;
- スクリーニング来院中に立証される、静脈穿刺できずまたは困難;
- 筆頭研究者によって判定されるべき研究測定に干渉し得る市販および処方薬またはサプリメントの使用;
- 研究の開始に先立つ40日以下における経口抗生物質の使用;
- 研究の開始前の過去3ヶ月における献血;
- 研究中に研究プロトコールを守るまたはインフォームドコンセントにサインする意思がない;
であった。
【0334】
サンプルサイズ計算
この研究の一次アウトカムパラメータは血清中LDLコレステロールであった。サンプルサイズ計算は次の基準に基づいた:0.05の有意水準アルファ(両側)、0.80の検定力、1/3の割り付け比、オーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム材料を受ける3つの群の血清中LDL-Cの0.41mmol/L(10%)の平均の予期される縮減、および0.45mmol/Lの推定される対象内SD。オーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルムを受ける3つの群の効果が平均されるので、介入群における対象内SDは0.45mmol/Lの代わりに0.65mmol/Lであろうということが予期される。これらの基準に基づくと、3つの介入群は60人の対象を、コントロール群は20人の対象を包含するはずである(G-powerを用いる)。よって、研究はそれぞれが研究を完了する20人の男性の4つの群によって実施された。
【0335】
対象の処置
ランダム化、盲検化、および処置割り付け
男性はコンピューター生成した乱数表に基づいて4つの実験条件の1つにランダムに割り付けられた。これのために、論理順のカテゴリーリストが独立した人間によって作り出された。同じ家庭からの対象は同じ処置に割り付けた。それから、ランダム化コードは全ての分析が完了した後にのみ解除された。
【0336】
治験薬
この介入に用いられたカプセルはヘンドリック・イド・アンバハト(オランダ)のAmbiPack-BVによってGCP原則に従って産生された。AmbiPack-BVは研究目的のカプセルを産生する資格を有する。カプセルに充填するために用いられた材料、すなわち不活性なプラセボ材料の微結晶セルロース(MCC)またはオーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム材料は、指示された量においてはヒト消費にとって安全である。MCCおよびゼラチンカプセルはAmbiPack-BVによって提供された。プラセボカプセルは250mgのMCCを含有した。オーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム材料はアルヘンクウィケレイジAWファン・ベネコム、スカルクウェイク(オランダ)(ここの上の例7を見よ)によって無菌の産生ラインで産生された。ロドスピリルム・ルブルム材料は、AlgoSolis-R&D(サンナゼール、フランス)によって、ロドスピリルム・ルブルム細胞を60℃の温度で風乾してバイオマスを得ることによってもまた産生され得る。それから、オーブン乾燥されたバイオマスはProPharラボラトリーズ(アンジェ、フランス)によってカプセルに詰められる。カプセルは常に一週分ずつ詰められ、対象はカプセルを冷蔵庫(+4℃)に貯蔵するよう依頼された。第1に、それぞれが前観察期(14日)をカバーする28カプセルを有する2つのボトルによって、カプセルが提供され、2つのカプセルを昼食中に、2つのカプセルを夕食中に用いるように表示された(4カプセル/日)。次に、男性は特定の指図と共に実験日(28日)のカプセルの新たなボトルを渡された。第1群は毎日の4つの白カプセル(プラセボカプセル)、第2群は4つの青カプセル(R.ルブルムカプセル、1.00g群)、第3群は2つの白および2つの青(0.50g群)、最後の群は3つの白および1つの青カプセル(0.25g群)を用いるように指図を渡された。再び、対象は、2つのカプセルを昼食に、2つのカプセルを夕食に取るように指図をされた。0.50g群は1つの青および1つの白カプセルを昼食および夕食に取るように指図された。0.25g群は、2つの白カプセルを昼食に、1つの青および1つの白カプセルを夕食に取るように指図された。最後に、それらは前観察期のものに同一の研究後ウォッシュアウト期間をカバーする28カプセルの2つのボトルを再び渡された。カプセルおよび指図は白いビンによって盲検研究者に分配された。ボトル毎に、3つの異なる期間の終わりに戻されたカプセルの量を再度計数することによってカプセルの実際の摂取を積極的にモニタリングすることができるように、余分としてのいくつかのカプセルがあった。オーブン乾燥されたロドスピリルム・ルブルム材料(60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞)のさらなる特性はここの上で例7に詳述されている。
【0337】
先に実施された動物研究(マウス、ラット)を分析すると、LDLコレステロールに対する効果は用量依存的であるように見え(最高で40~50%縮減)、縮減された腸のコレステロール吸収にリンクしているように見えた。凍結乾燥されたそのままの生物を用いるとき(例1~4)、また、新鮮培養された細胞の石油エーテル画分l.1(例5)が本発明者によって用いられたときには、効果が存在した。これらの動物では、観察される副作用はなかった。
【0338】
フリーズドライされた細胞、細胞画分を適用する先の齧歯類研究に用いられた、およびオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞(60℃におけるリフラクティブ乾燥によって得られるオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞)を適用するここでオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞(例6、7)の新たなバッチの反復的なLDLコレステロール低下活性を確立するためのマウス研究に用いられたドーズ(10%w/w)に基づいて、これらの濃度をヒトの状況にトランスレーションするための次の理論をフォローした。計算は(若い)ラットの体重に基づいた。若いラットの食物中のロドスピリルム・ルブルム(10%)の濃度をヒト対象の1日ドーズに換算するときには、亜急性研究の0.12の換算係数(EFSA文書)を用いた。
【0339】
ラットにおける投与量:
10%w/wロドスピリルム・ルブルムは飼料中の100.000mg/kgに等しく;100.000mg/kg*0.12=12.000mg/kg体重=12g/kg体重である。1つのドーズのみが試験されたので、12g/kgは最小毒性量(LOAEL)と考えられる。無毒性量(NOAEL)は投与量を10によって除算することによって得られた:1.2g/kg体重である。この投与量をヒトの同等ドーズに換算するために、EFSA科学委員会は、動態についての化学物質特異的データが欠けているときには100の不確実性因子を用いることを提案している:種間のばらつきが10、ヒト間のばらつきが10である。
【0340】
ヒトにおける投与量:
1.2g/若いラットのkg体重(NOAEL)/100=0.0012g/kg体重;0.0012g/kg体重=12mg/kg体重。
80kgの男性では、12mg/kg体重の投与量は日当たり0.96グラムの量になるであろう。よって、DBRCCTのための本研究のプロトコールで試験された最も高いドーズレベルは日当たり1.0グラムであった。これは、0.25、0.5、および1.0グラム/日の効果がプラセボと比較して評価されたこの研究において、80kgという最小体重が研究のための選択基準の1つであった理由である。投与量の理論はEFSA文書に基づいた。対象はR.ルブルム細胞培養物のオーブン乾燥された死んだバイオマスを含有するカプセルを提供された。加えて、安全性マーカーの一般的なパネル(肝臓機能、腎臓機能、vWF、およびhsCRP)の次に、N末端断片B型ナトリウム利尿ペプチド(NT-ProBNP)およびc-トロポニンTのようないくつもの追加のパラメータもまた心臓に対する可能性としての効果をモニタリングするために測定された。
【0341】
方法
スクリーニングの間の手続き
男性はスクリーニング来院のために代謝研究施設(MRUM)に来訪した。スクリーニング来院の間に、人体計測学的測定(体重、身長、ボディマス指数)を行い、BP(SBPおよびDBP)および安静時心拍数を四重で決定した(第1の測定は捨て、最後の3つの測定を平均した)。加えて、血清中総コレステロール、HDLコレステロール、トリアシルグリセロール、ALT、AST、γGT、およびクレアチニン濃度の分析のための静脈血サンプル(5.0mL)を抜いた。
【0342】
研究の間の採血
実験デザインに図示されている通り(図9)、空腹時血液を前観察期の始まりに1回(第0日)、前観察期の終わりに2回(第11および14日)、実験期間中に4回(第21、28、39、および42日)、研究後ウォッシュアウト期間の終わりに2回(第49および56日)サンプリングした。脂質、リポ蛋白質、およびグルコース代謝に関する種々の生化学的パラメータの分析のために、空腹時血液を収集した。全ての静脈穿刺および他の測定は、可能な限り同じ研究者によって同じ場所でかつ一日の同じ時間に行われた。血清または血漿は低速遠心によって得られ、適宜貯蔵された。1つの対象からのサンプルは厳しい品質管理下において研究の終わりに一度に分析された。抜かれた血液の量は研究全体でトータルで230mLであった(スクリーニング来院中に1回に5.0mL、研究中に9×25ml)。
【0343】
空腹時血清サンプルおよび血漿サンプルの分析
- 血清中TC、HDL-C、およびTAG濃度を研究の間に取られた全てのサンプルにおいて測定し、LDL-C濃度を計算した
- 血漿(NaF)中グルコース濃度を研究の間に取られた全てのサンプルにおいて測定した
- 肝臓および腎臓機能を反映するパラメータ(ALT、AST、γGT、およびクレアチニン)ならびにNT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRP濃度は、研究の間に取られた全てのサンプルの血清において、一般的な「安全性」の尺度として測定された。ALT、AST、γGT、およびクレアチニンは分光測色法アッセイによって評価した(Cobas8000、ロシュ・ダイアグノスティック・システム)。c-トロポニンTおよびNT-ProBNPはイムノアッセイによって評価された(Cobas8000、ロシュ・ダイアグノスティック・システム)。vWFはELISAを用いて測定された(シグマアルドリッチ、ダルムシュタット、ドイツ)。hsCRPは免疫比濁法アッセイによって評価された(ホリバABX)。収縮期および拡張期血圧ならびに心拍数はオムロンM7(オムロンヘルスケア株式会社、京都、日本)を用いて測定した。
【0344】
脂質、リポ蛋白質、およびグルコース代謝に関する全ての分析は研究の終わりにされた。しかしながら、これはヒトにおける初めての原理証明研究であったので、血液サンプルは肝臓機能、腎臓機能、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPのような「安全性」パラメータのパネルについてはサンプリングの直後に分析した。安全性データは盲検化した独立した医師によってトライアルのいくつかの所定のタイムポイントにおいてモニタリングされた。
【0345】
人体計測学的測定
各来院において、靴および重衣料なしの人体計測学的測定(体重、身長、ウエストおよびヒップ周り)を測定した。
【0346】
血圧
血圧(SBPおよびDBP)は毎来院において四重で決定された(第1の測定は捨て、最後の3つの測定を平均した)。
【0347】
安静時心拍数
安静時心拍数は毎来院において座位での5分の休息後に測定された。測定は四重でされ、常に、最後の3つの測定をデータ分析のために平均した。
【0348】
AE、SAE
有害事象(AE)
有害事象は、研究の間に対象に発生するいずれかの望ましくない経験として定義され、治験薬に関係すると考えられるか否かにかかわらない。対象によって自発的に報告されたかまたは研究者もしくは彼のスタッフによって観察された全ての何らかの有害事象は記録されたであろう。注意:有害事象、重篤な有害事象、愁訴、健康問題などなどは、治験を開始しかつ終了した80人の健康なヒト対象のいずれかによって報告されなかった。
【0349】
重篤な有害事象(SAE)
重篤な有害事象は、
- 死亡をもたらすか;
- 生命を脅かすか(事象の時間において);
- 患者の入院もしくは既存の入院患者の入院の延長を要求するか;
- 遷延するかもしくは有意な障害もしくは無能力をもたらすか;
- 先天異常もしくは出生異常であるか;または
- いずれかの他の重要な医学的事象であって、医学的もしくは外科的介入を原因として、上に挙げられているアウトカムのいずれかをもたらさなかったが、研究者による適当な判定に基づき得た;
いずれかの予想外の医療上の出来事または効果である。
【0350】
ロドスピリルム・ルブルムの使用に関して有害事象は報告されなかった。
【0351】
統計分析
記述統計学
正規分布のパラメータについては、データは平均値プラス標準偏差として提出される。正規分布でないパラメータは中央値(範囲)として提出される。
【0352】
統計分析
データは視覚化され、生物学的妥当性または可能性としての技術的困難についてチェックされる。正規分布が正しいかまたはヒストグラムおよび適当な正規性チェックを用いるその変換が要求されるかどうかが決定される。正規分布のパラメータについては、データは平均値プラス標準偏差として提出される。正規分布でないパラメータは中央値(範囲)として提出される。介入の開始および介入期間の終わりの値は統計的比較がなされる前に平均された。3つの介入群における平均の効果が、対応のないT検定を用いてコントロール群(プラセボ)における効果と比較される。さらにその上、二次目的として用量反応効果について検定するために、各介入群(プラセボ群を例外とする)の変化が単変量分散分析(ANOVA)を用いて先の投与量からの変化と比較された。コントロールおよびロドスピリルム・ルブルム群の間のベースライン特性の差を単変量分散分析(ANOVA)を用いて検定する。ベースライン特性に有意な差のケースでは、これらの特性は共変量として分析に包含されたであろう。適宜ノンパラメトリック検定を用いた。P<0.05のときに、差は統計的に有意であると考えられた。統計分析はMac用SPSS25.0(SPSSインコーポレーテッド、シカゴ、IL、USA)を用いて行われた。欠けているデータは推定値によって代替されなかった。脱落した男性は統計分析から除外した。
【0353】
ヒトにおける初めての治験第II相の結果
合計で76人の男性がトライアルを完了した。過度の体重変化(n=3)、代謝不安定性(n=1)、トライアル中の喫煙(n=1)、および全トライアルに渡る上昇したTC濃度(n=1)を原因として、6人のさらなる対象のデータを統計分析から除去した。それゆえに、70人の対象のデータが統計分析のために包含された。まとめると、治験薬処置群の男性は研究の過程で0.15~0.17mmol/L減少する総コレステロール値を示した。総コレステロールの減少は専らLDLコレステロールのレベルの減少に帰せられた。R.ルブルム細胞がLDLコレステロールを低下させながらHDLコレステロールには影響しないという証明もまた、総コレステロール/HDLコレステロール比に見出され得る。表2では、全ての群の総コレステロール/HDLコレステロール比(TC/HDL比)が見出され得る。この表から見られ得る通り、実験群は4週後により低いTC/HDL比を有したが、プラセボ群はより高いTC/HDL比を有した。これは、R.ルブルム細胞が総コレステロールのLDL画分を低下させることができるが、HDLは影響されないかまたは増大するかどちらかであるということを意味する。プラセボ群はLDLコレステロールレベルの減少を(増大も)示さなかった。リフラクティブ乾燥されたR.ルブルム細胞によって処置された男性では、LDLコレステロール濃度は、治験の開始におけるLDLコレステロールレベルと比較して4週の処置期間の終わりには2%~6%低かった。全ての群について、HDLコレステロール濃度は治験の過程において本質的に一定のままに残った。それゆえに、R.ルブルム細胞の毎日の摂取はHDLコレステロールの血液中レベルに影響を及ぼさない。日当たり0.25グラムのR.ルブルム細胞(毎日1回0.25グラム)、日当たり0.50グラムのR.ルブルム細胞(毎日2回0.25グラム)、または日当たり1.0グラムのR.ルブルム細胞(毎日2回0.50グラム)を受けたヒト対象の群を比較すると、最も高いドーズは処置期間の過程においてLDLコレステロール濃度の最も高い減少をもたらした。LDLコレステロール濃度に対する3つのドーズの効果が考えられたときには、用量反応効果が明らかであった。3つの処置群のそれぞれについて、4週の処置期間におけるLDLコレステロール(および総コレステロール)濃度の線形的な減少が決定される。それゆえに、総コレステロールのパーセンテージ変化およびロドスピリルム・ルブルムのドーズの間の線形的な関係性が指示される。R.ルブルム細胞のあるドーズを受けた3つの群の血液中の非コレステロールステロールのカンペステロールおよびシトステロールの濃度は、4週の処置期間の過程において減少した。さらにその上、用量反応効果が明らかであった:0.25グラムのR.ルブルム細胞によって処置された群は、2つのより高いドーズによって処置された群よりも低い2つの非コレステロールステロールの血液中レベルの減少を示し、1.0グラムのR.ルブルム細胞によって処置された群は、カンペステロールおよびシトステロールの血液中レベルの最も大きい減少を示した。これらの2つの非コレステロールステロールの血液中レベルおよび血液中レベルの変化は、腸から血液循環中へのコレステロールの吸収のマーカーである。ここによって、健康なヒト対象をオーブン乾燥されたR.ルブルム細胞によって処置することのLDLコレステロール低下効果は、腸から血液循環中へのコレステロールの取り込みに対するR.ルブルム細胞の阻害活性によって確立されるということが確認される。腸の前記コレステロールは治験参加者によって摂取される食事に起源を発し、胆汁中コレステロールに起源を発する。
【0354】
本発明者は、R.ルブルム細胞の血漿中LDLコレステロール低下活性が、一連のキサントフィル(カロテノイドのロドビブリン、1-ヒドロキシスピリロキサンチン、3,4-ジデヒドロ-ロドピン、クロロキサンチン、ロドピン、スピリロキサンチン、および3,4-ジヒドロ-スピリロキサンチン)、ならびに(ユビ)キノンおよび(ユビ)キノールのユビキノール-10、ユビキノン-9、ユビキノン-10、およびロドキノン-10、ならびにバクテリオフェオフィチンa、ゲラニルゲラニルバクテリオフェオフィチンa、およびバクテリオフェオフィチンaのフィチル誘導体を含む石油エーテル画分l.1中に濃縮されているということを確立した(例5)。新鮮培養されたR.ルブルム細胞に由来するこの画分l.1は、(乾燥質量ベースで)石油エーテル画分が由来するR.ルブルム細胞の総質量に1.5%寄与する。よって、R.ルブルム細胞の総乾燥重量に基づく約1.5%のR.ルブルム画分は、血漿中LDLコレステロール低下活性が考えられるときの活性画分を含む。それゆえに、これらの量を現行の治験と相関させると、オーブン乾燥されたR.ルブルム全細胞によって処置された群は最大で0.25グラム、0.50グラム、1.0グラムの1.5%の活性化合物(単数または複数)を受けた:それぞれ3.75mg、7.5mg、15mgの活性化合物(単数または複数)である。最も蓋然的には、画分l.1はさらに不活性な化合物を含み得るので、活性化合物(単数または複数)の真のドーズはより低い。これらの活性化合物(単数または複数)は、同定されたカロテノイドの1つ以上および/または(ユビ)キノン/(ユビ)キノールの1つ以上および/またはバクテリオフェオフィチンaの1つもしくは両方を含む。比較のために、3グラムのフィトステロールのヒトによる毎日の消費は8%~10%という血漿中の総コレステロールの減少をもたらす。よって、例えば最も高い現行のドーズのR.ルブルム細胞(1.0グラム中に最大で15mg)によって確立される効果は、質量ベースで約200倍低いドーズの活性化合物(単数または複数)によって行使される。
【0355】
R.ルブルム細胞の3つのドーズによる最終的な縮減された血漿中LDLコレステロールレベルを比較すると、線形的な用量反応が観察される。よって、毎日1.0グラムのR.ルブルム細胞よりも高いドーズは、高度に蓋然的に、R.ルブルム細胞の毎日の摂取の開始における濃度と比較して、さらに低いLDLコレステロールレベルをもたらすであろう。
【0356】
人体計測学的測定はR.ルブルム細胞の摂取によって影響されなかった。体重の変化はプラセボ群では0.0±0.7kg、0.25グラム群では-0.1±0.9kg、0.50グラム群では0.0±0.8kg、1.00グラム群では-0.4±0.5kgであった。加えて、ウエスト周りおよびウエスト・ヒップ周り比の変化もまた群間において有意には異ならなかった。それゆえに、R.ルブルム細胞の摂取は対象の人体計測学に負に影響しない。
【0357】
幸い、おそらくR.ルブルム細胞の毎日の摂取に関係し得るかまたは帰せられ得る有害作用、健康問題、愁訴などなどは1つも、R.ルブルム細胞を受けた3つの処置群の60人の男性のいずれかによって報告されていない(プラセボ群でも同じ:報告および観察された有害事象ゼロ)。表1、2、3、および4は、測定された健康に関するパラメータAST、ALT、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、血漿中グルコース、hsCRP、収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)、ならびに安静時心拍数の有意な変化が観察されなかったということを提示している。最も重要なことにかつ驚くべきことに、パラメータのいずれも、それらが健康な個人の「正常」と考えられる範囲の外側にある度合いまでは変動しなかった。よって、R.ルブルム細胞の毎日の摂取は便利なかつ安全な処置レジメンを提供するということが包含される。
【0358】
【表1】
【0359】
【表2】
【0360】
【表3】
【0361】
【表4】
【0362】
例9 - ヒト対象による治験 - R.ルブルム細胞の増大した1日ドーズ
処置されたヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度の低下が考えられるときに、かつ一連の血液パラメータならびにSBPおよびDBPの本質的に変わらない値が考えられるときに、毎日0.25グラムの乾燥されたR.ルブルム細胞、毎日0.5グラム、および毎日1.0グラムの毎日の投与の観察された用量反応効果をさらに確立するために、例8に概説されている治験と類似の二重盲検のランダム化比較の治験を実施する。ここでは、健康なヒト対象の群が1.0、2.0、3.0、4.0、または5.0グラムのR.ルブルム細胞の1日ドーズを受けるという差を有する。この研究のデザインは図10に概説されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの少なくとも1つの濃度が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間にALT、AST、γGT、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの前記少なくとも1つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定のままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る、
ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度の低下のための方法への使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項2】
前記ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの少なくとも2つの濃度が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間にALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの前記少なくとも2つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定のままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る、
請求項1に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項3】
前記ヒト対象の拡張期血圧および/または収縮期血圧が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記血圧(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る、
請求項1または2に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項4】
前記ヒト対象の血液中のHDLコレステロール濃度が、好ましくはロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の開始の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定されるHDLコレステロール濃度と比較して、ロドスピリルム・ルブルム細胞の投与、好ましくは毎日1回または2回の投与の過程において、変わらないままに残るか、または増大するかもしくは増大させられる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項5】
前記ヒト対象が、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の前および/または開始においておよび/または爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に、1.5mM~16.0mM、好ましくは2.0mM~12.0mM、より好ましくは3.0mM~10.0mM、最も好ましくは5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベルを有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項6】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が前記ヒト対象に経口投与される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項7】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が、健康なヒト対象、好ましくは、少なくとも2.0mM、例えば3.0mM~14.0mMまたは5.0mM~8.0mMという前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与の前および/またはロドスピリルム・ルブルム細胞の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間血液中の総コレステロール濃度を有する健康なヒト対象に投与される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項8】
ロドスピリルム・ルブルム細胞を前記ヒト対象に投与することが、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与に先立つ血漿中LDLコレステロール濃度に基づいて、好ましくは少なくとも1%、好ましくは少なくとも3%、より好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも8%、最も好ましくは少なくとも20%による前記ヒト対象の血漿中のLDLコレステロール濃度の減少をもたらし、
任意に、前記ヒト対象へのロドスピリルム・ルブルム細胞の初回投与に先立つ血漿中HDLコレステロール濃度に基づいて、血漿中HDLコレステロール濃度が本質的に変わらないままに残るかもしくは血漿中LDLコレステロール濃度の減少よりも小さい程度まで減少するか、または血漿中HDLコレステロール濃度が増大し、好ましくは、血漿中HDLコレステロール濃度が本質的に変わらないままに残るかもしくは増大する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項9】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が、細胞、好ましくは新鮮培養された細胞を、乾燥、好ましくは55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは60℃~70℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞の顆粒化物、好ましくは、ゼラチンカプセルなどのカプセルとして提供または分包として提供される顆粒化物として製剤される、
請求項1~8のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項10】
前記ヒト対象に投与されるべきロドスピリルム・ルブルム細胞の1日ドーズが、少なくとも1.0g、例えば少なくとも3.0g、好ましくは1.0~100g、より好ましくは2.0~50g、最も好ましくは4.0~20g、例えば5.0グラムである、
請求項1~9のいずれか1項に記載の使用のためのロドスピリルム・ルブルム細胞。
【請求項11】
ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの少なくとも1つの濃度が、好ましくは医薬組成物の初回投与の開始の前および/または医薬組成物の爾後の1つ以上のさらなる投与の間にALT、AST、γGT、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの前記少なくとも1つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象への医薬組成物の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定のままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る、
前記ヒト対象の血液の血漿中のLDLコレステロールの低下のための方法への使用のための、薬学的有効量のロドスピリルム・ルブルム細胞および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項12】
前記ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの少なくとも2つの濃度が、好ましくは医薬組成物の初回投与の開始の前および/または医薬組成物の爾後の1つ以上のさらなる投与の間にALT、AST、γGT、クレアチニン、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの前記少なくとも2つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象への医薬組成物の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定のままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る、
請求項11に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項13】
前記ヒト対象の拡張期血圧および/または収縮期血圧が、好ましくは医薬組成物の初回投与の開始の前および/または医薬組成物の爾後のさらなる投与(単数または複数)の間に決定される前記血圧(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象への医薬組成物の投与によって、標準的な正常範囲内のままに残るおよび/または本質的に一定のままに残る、
請求項11または12に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項14】
前記ヒト対象が、前記ヒト対象への医薬組成物の初回投与の前および/または開始においておよび/または爾後の投与(単数または複数)の間に、1.5mM~16.0mM、好ましくは2.0mM~12.0mM、より好ましくは3.0mM~10.0mM、最も好ましくは5.0mM~8.0mMの血漿中総コレステロールレベルを有する、
請求項1113のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項15】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が前記医薬組成物中の唯一の医薬活性成分である、
請求項1114のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項16】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が、タチンおよび/もしくはエゼチミブを代替する治療などの代替治療として前記ヒト対象に投与されるか、または医薬組成物の投与を開始する前の前記ヒト対象に投与されるかかるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)のドーズよりも低いドーズの前記ヒト対象に投与されるLDLコレステロール低下医薬化合物(単数または複数)との組み合わせで前記ヒト対象に投与される、
請求項1115のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項17】
医薬組成物中のロドスピリルム・ルブルム細胞が請求項1~10のいずれか1項に記載のロドスピリルム・ルブルム細胞である、
請求項1116のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項18】
医薬組成物の1日ドーズが、少なくとも1.0gのロドスピリルム・ルブルム細胞、例えば少なくとも2.0gまたは3.0g、好ましくは1.0~100g、より好ましくは2.0~50g、最も好ましくは4.0~20g、例えば5.0~10.0グラムを含有する、
請求項1117のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項19】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が、ロドスピリルム・ルブルム細胞、好ましくは新鮮培養された細胞を、乾燥、好ましくは55℃~100℃、好ましくは60℃~100℃におけるリフラクティブ乾燥に付すことによって得られる乾燥されたロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒であり、好ましくはゼラチンカプセルなどのカプセルまたは分包として提供されるロドスピリルム・ルブルム細胞顆粒であり、
ヒト対象の血清および/または血漿中のALT、AST、γGT、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの少なくとも1つの濃度が、好ましくはダイエタリーサプリメントの初回投与の開始の前および/またはダイエタリーサプリメントの爾後の1つ以上のさらなる投与の間にALT、AST、γGT、NT-ProBNP、vWF、c-トロポニンT、およびhsCRPの前記少なくとも1つについて決定される濃度(単数または複数)と比較して、前記ヒト対象へのダイエタリーサプリメントの投与によって、標準的な正常範囲内のままに残りおよび/または本質的に一定のままに残り、好ましくは、全ての濃度が本質的に一定のままに残るおよび/または標準的な正常範囲内のままに残る、
ロドスピリルム・ルブルム細胞を含む、ヒト対象によって経口摂取されるときにコレステロール低下特性を有するダイエタリーサプリメント。
【請求項20】
請求項19に記載のダイエタリーサプリメントを含む食料。
【請求項21】
ロドスピリルム・ルブルム細胞が請求項1~10のいずれか1項に記載のロドスピリルム・ルブルム細胞である、
請求項19に記載のダイエタリーサプリメントまたは請求項20に記載の食料。
【請求項22】
キットであって、
- 請求項1~10のいずれか1項に記載のロドスピリルム・ルブルム細胞、または請求項1118のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、または請求項19もしくは21に記載のダイエタリーサプリメント、または請求項20もしくは21に記載の食料を含有する容器と;
- ヒト対象による使用のための説明書と;
- 任意に、液体、好ましくは水または飲み物を有する容器と(液体はヒト対象による摂取前に容器中において提供されるロドスピリルム・ルブルム細胞を混合するためであるか、または液体はヒト対象によるロドスピリルム・ルブルム細胞との逐次的なもしくは同時的な摂取のためである);
を含むキット。
【請求項23】
方法が、ロドスピリルム・ルブルム細胞を含むかまたはそれからなる組成物をヒト対象に経口投与することを含む、
ヒト対象の血液中のLDLコレステロール濃度を低下させる非治療的方法。
【国際調査報告】