(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】原子炉のためのエネルギー格納容器構造
(51)【国際特許分類】
G21C 15/18 20060101AFI20220912BHJP
G21C 9/012 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
G21C15/18 A
G21C15/18 M
G21C9/012
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500991
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 US2020041024
(87)【国際公開番号】W WO2021007219
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521219442
【氏名又は名称】ウェスティングハウス エレクトリック カンパニー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WESTINGHOUSE ELECTRIC COMPANY LLC
【住所又は居所原語表記】1000 Westinghouse Drive, Suite 141, Cranberry Township, Pennsylvania 16066 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コリー エー. スタンスバリー
【テーマコード(参考)】
2G002
【Fターム(参考)】
2G002BA01
2G002CA08
2G002DA03
2G002EA05
(57)【要約】
複数のアセンブリであって、それぞれが、複数の、好ましくは円筒状の、チューブを含む複数のアセンブリを備えるエネルギー吸収装置が開示されている。複数のチューブのそれぞれは、カルバミン酸アンモニウム等の吸熱材料を含む。複数のアセンブリは、原子炉格納容器構造の周囲を囲み、保管室に配置されている複数の細長いバスケット内に支持される。エネルギー吸収装置は、設計ベースの事故が起きた場合に放出される過剰なエネルギーを吸収する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉格納容器構造でエネルギーを吸収するための装置であって、
複数の細長いチューブを備える少なくとも1つのアセンブリと、
前記複数の細長いチューブのそれぞれに収容され、前記複数の細長いチューブのそれぞれの大部分を占有する吸熱材料と、を備え、
前記吸熱材料は、前記複数の細長いチューブ内で吸熱反応を起こすように構成されている、装置。
【請求項2】
前記装置は、さらに、
前記複数の細長いチューブを保持するための支持構造を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の細長いチューブは、あるアセンブリを別のアセンブリに積層させる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の細長いチューブのそれぞれは、さらに、前記吸熱材料によって占有されない自由空間であって、前記吸熱材料の化学反応によって使用時に生成されるガスを収容するための前記自由空間を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の細長いチューブはシールされる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の細長いチューブはベントされ、
前記複数の細長いチューブは、さらに、圧力解放バルブを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記吸熱材料は、カルバミン酸アンモニウムである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の細長いチューブがベントされ、
カルバミン酸アンモニウム反応生成物は、格納容器構造内におけるサンプ水の緩衝剤としてのベント作用で解放される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記吸熱材料は、スラリーの形態である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記スラリーは、カルバミン酸アンモニウムと混合された液体を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記液体は、溶媒である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記液体は、水、アルコール、エチレングリコール、及び、プロピレングリコールで構成されたグループから選択される、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の細長いチューブの少なくとも1つは円柱形状である、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の細長いチューブの少なくとも1つは非円柱形状である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記複数の細長いチューブのそれぞれは、3/100インチ未満から1/100インチまでの範囲の厚さを有する壁を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記吸熱材料の量は、事故から生じる初期エネルギー解放で格納容器構造からエネルギーを除去し、燃料減少の間に後に熱除去するのに十分である、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記複数の細長いチューブは、フィンを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の細長いチューブは、凝縮性能を向上させるための非線形構成を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
原子炉格納容器構造でエネルギーを吸収するための装置であって、
複数の細長いチューブを備える少なくとも1つのアセンブリと、
前記複数の細長いチューブ内で熱分解を受けるように構成された化合物と、を備え、
前記複数の細長いチューブは、前記化合物によって少なくとも部分的に占有されている、装置。
【請求項20】
前記装置は、さらに、
前記複数の細長いチューブを保持するための支持構造を備える、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本非仮出願は、米国特許法第119条(e)の下、2019年7月9日出願の「アイスコンデンサ格納容器での吸熱材料の使用」と題する米国仮特許出願番号第62/871,898号の利益を請求し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本出願は、原子炉での安全機構に関し、より具体的には、事故が起きた場合のエネルギー格納容器のための吸熱材料に関する。
【0003】
原子力は、放射性材料の漏れを可能にする格納されない事故が無いという前提で、待望のクリーンエネルギーの確立された形態である。当該事故を回避するために、原子力産業は、可能性のある様々な事故シナリオの下、安全を向上させるためのシステム、及び、方法に相当な努力を費やしてきた。一例は、冷却材喪失事故(LOCA)または蒸気ライン破断(SLB)中に解放される相当なエネルギーをアイスが吸収することを可能にする1965年のアイスコンデンサ格納容器の開発である。アイスコンデンサ吸収材の採用は、最終的に、より低い圧力定格(10-15psig vs.~50-60psig)で、より小さく、より薄い格納容器を可能にした。そのときのシミュレーションは、格納容器条件の達成で、パイプでの破断に続く典型的な挙動の加速を示し、それは、そのときより前には乾式格納容器で約2時間を要し、アイスコンデンサを使用して約5分に低減された。
【0004】
図1~
図4を参照すると、様々な格納容器設計を備える原子炉が開示されている。
図1は、外周壁12及び内壁14、並びに、内部にアクセスするためのハッチドア44を有する格納容器構造10を含む例示的な既存の原子炉を示す。原子炉16は、内壁14内に収容されている。原子炉は、冷却材、典型的には水が充填され、取り外し可能なスラブ28で覆われた原子炉キャビティ64、及び、燃料交換キャビティ22に取り囲まれている。様々な態様において、
図2に示すような格納容器構造は、格納容器の残りの部分、即ち、上方及び下方の区画から、高エネルギーシステムとして、蒸気発生器20及び原子炉16を分離するディバイダ26を含む。さらに、冷却材ポンプ36は、原子炉16内の核燃料の上のエリアから蒸気発生器20に熱水を汲み上げる。上方及び下方のスプレーシステム40、42のそれぞれは、壁14内の空気から蒸気を除去することによって、格納容器構造10内の圧力を低下させるための能動的手段を提供する。
【0005】
様々な態様において、パイプ38は、原子炉キャビティ64を貫通し、熱交換器として機能する蒸気生成器20に原子炉16を接続している。
【0006】
アイスバスケットアセンブリ56は、アイス保管室18に収容されている。アイス保管室18は、格納容器構造10の主要部の周囲に配置された内壁14内の周囲に配置されている。
図2に示すような保管室の下方の部分は、再循環サンプ30と、アキュムレータ32と、パイプ環34と、を含む。アイス保管室18は、すべての圧力保持機器が下方の区画に配置された状態において、上方及び下方の区画を分離する。1次圧力境界(例えば、約2250絶対圧の下での原子炉容器、蒸気生成器、冷却材ポンプ、及び、対応付けられたパイプ)、又は、2次圧力境界(例えば、約1250絶対圧以下における蒸気パイプ、給水パイプ、及び、他の構成要素)での破断が生じた場合、全ての蒸気は、アイスを経由し、これにより、構造内のエネルギーの大部分が除去される。
【0007】
アイスコンデンサシステム内には、蒸気が下方及び上方の区画間のその道のりを通らなければならない多数の「ドア」がある。アイスの下に位置する下方の断熱インレットドア50は、下方の区画の熱気がアイスコンデンサに達するのを防ぐ。アイスの真上に配置された断熱された中間断熱デッキドア52は、台形形状のばね荷重式パネルであり、アイス保管室18における大気が上方の区画と交換されるのを防ぎ、これにより、昇華を低減し、再び熱負荷を低減する。中間デッキドア52は、多くの場合、例えば、追加コスト(例えば、保守/人員コスト)等、アイスコンデンサに対応付けられた問題の原因である。上デッキドア54は、典型的には、強化されたキャンバスで作られており、単に、中間デッキドア52と格納容器構造10の上方の区画との間に分離空気層を追加するのに役立つ。特に、この領域における空気は、アイス区画(それ自体は27°F±5)よりも~2°Fだけ暖かい。
【0008】
アイスバスケットアセンブリ56は、アイスバスケット60に収納される~2.6Mポンドのアイスを含む。これらのバスケットは、典型的には、高さ48フィート、直径12インチである。
図3、
図4に示すように、バスケット60は、24個のアイス保管室18に収容されており、各保管室は、81個のバスケット60を保持し、格納容器構造10における計1944個のバスケットについて支持アライメントグリッド62によって分離されている。バスケット60は、4つの12フィートのセクションを含む。
図5に示すアイスコンデンサシステムの上部プレナム46は、アイスバスケットアセンブリ56の上の空間に沿って延在し、バスケット60へのアクセスを提供する。上部プレナム46は、バスケット、空気処理ユニット58、及び、ダクト構造(図示省略)を持ち上げるためのクレーン48と、通路と、原子力産業の当業者に既知の他の機構と、を含む。
【0009】
格納容器構造10における192個の中間のデッキドア52の保守は、適切な動作のために、毎週少なくとも1回確認されなければならない。原子炉の停止中、バスケット60も検査され、アイスは、各象限でのバスケットのサブセットの計量に基づく統計的プロセスを使用して計量される。特定の核プラントは、アイスがブロックへと溶け、アイスの表面積が減少し、これにより、予想される性能を経験してきた。場所によって、一部のアイスバスケット60は、比較的、アクセス、及び、検査しやすい。しかしながら、残りは、アクセスするのに一部の分解を必要とする。
【0010】
アイス自体は、薄片形状であり、一旦溶けると中性子吸収材を兼ねることができるようにホウ酸塩処理され、産業用アイスマシンによって生成される。大型の冷却機器は、壁でのダクトで送られる空気、及び、構造10の床でプレートを通じて延在するチューブ11を介して流れる冷蔵した水/グリコールの組合せを使用して、空間を冷たく維持することが必要とされる。格納容器構造における各象限は、多孔性の分離コンクリートの上に取り付けられ、次いで、構築中に注入されるプレート/グリコールチューブアセンブリで作られる。これは、維持及び給電するための多くの追加の機器を表す。
【0011】
アイスコンデンサシステムを使用する核施設は、経済的であることを証明してきたが、作業者は、「従来の」プラントに存在しない追加の機器及び冷却要件による多数の課題及び長期保守コストを有する。
【発明の概要】
【0012】
以下の概要は、開示される実施形態に特有の革新的な機構の一部の理解を容易にするために提供されるのであって、完全な説明であることを意図したものではない。実施形態の様々な態様は、明細書全体、特許請求の範囲、要約書、及び、図面を全体的に理解することによって完全に理解され得る。
【0013】
コンセプトは、アイスを密閉、又は、ベントされる吸熱吸収材に置き換え、数多くの厄介な構成要素、及び、機器の要求を除去することを可能にする。コンセプトは、新しい原子炉設計でも実装されることができる。
【0014】
例えば、冷却材喪失、又は、蒸気ライン破断が起きた場合に、原子炉格納容器構造でエネルギーを吸収するための装置は、複数の細長いチューブを備える少なくとも1つのアセンブリと、各チューブの大部分に収容され、各チューブの大部分を占有するカルバミン酸アンモニウムなどの吸熱材料と、を含む。
【0015】
吸熱材料の量は、好ましくは、事故から生じる初期エネルギー解放で、格納容器構造からエネルギーを除去し、格納容器構造の構造的保全性を維持し、他の核安全システムと一緒に、ブローダウンに続く後の期間に、燃料減少の間に後に熱除去するのに十分である。
【0016】
装置は、さらに、複数のチューブを保持するための複数の支持構造を含んでもよい。複数のチューブは、あるアセンブリを別のアセンブリ上に積層してもよい。
【0017】
装置は、複数の細長いバスケットを含んでもよい。各バスケットは、1つのアセンブリを保持する。さらに、各バスケットは、バスケットに対して軸方向にアセンブリ内に複数のチューブを整列させるためのグリッドを含んでもよい。
【0018】
複数のチューブ、及び、アセンブリは、バスケットよりも高さが低くてもよい。各バスケットにおいて、1つのアセンブリを別のアセンブリ上に積層させる複数のチューブが存在してもよい。特定の態様では、チューブ、及び、アセンブリの高さは、バスケットと実質的に同じ高さであってもよい。各チューブは、さらに、吸熱材料の化学反応によって使用時に生成されるガスを収容するために、吸熱材料によって占有されない自由空間を含んでもよい。
【0019】
様々な態様において、複数のチューブはシールされる。様々な態様において、複数のチューブはベントされ、チューブカバー等のチューブの一部に流体接続された圧力解放バルブを含む。様々な態様において、吸熱材料がカルバミン酸アンモニウムであり、複数のチューブがベントされると、ベントで解放されるカルバミン酸アンモニウム反応生成物は、格納容器構造内において、サンプ水の緩衝剤として機能する。
【0020】
吸熱材料は、吸熱材料と混合された液体から作られたスラリーの形態であってもよい。液体は、溶媒であってもよい。様々な態様において、液体は、水、アルコール、エチレングリコール、及び、プロピレングリコール、並びに、他の溶媒で構成されたグループから選択されてもよい。
【0021】
様々な態様において、各チューブは円柱形である。様々な代替的な態様において、各チューブは非円柱形である。様々な態様において、各チューブは、3/100インチ未満から1/100インチまでの範囲の厚さを有する壁を有する。各チューブは、線形であってもよいし、非線形であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書で記載される実施形態の様々な機構は、具体的には、添付の特許請求の範囲で記載される。しかしながら、構成及び動作の方法についての様々な実施形態は、その利点と一緒に、次のように添付の図面と共に理解される以下の説明に従って理解され得る。
【0023】
【
図1】フィンランドで建造され、水平配向生成器を有する従来技術の格納容器構造の断面図であり、原子炉を取り囲むアイスコンデンサを示す。
【0024】
【
図2】米国のいくつかの場所で建造された従来技術の加圧水型炉格納容器構造の顔面図であり、原子炉、垂直配向蒸気生成器、アイスコンデンサ、及び、従来の加圧水型炉の関連する構成要素の配置を示す。
【0025】
【
図3】コンデンサに収容される代表的なアイスバスケットを示す。
【0026】
【
図4】24個の保管室、及び、機器区画を示す例示的な格納容器構造の上断面図である。
【0027】
【
図5】中間デッキドア、及び、上部デッキドア、並びに、アイスバスケットを示すアイスコンデンサの上部プレナムを示す。
【0028】
【
図6】吸熱材料が充填されることができるチューブの円柱形の束を含む例示的な核燃料アセンブリの図である。
【0029】
【
図7】任意選択的に穴が開いたハウジングを示す吸熱材料が充填されることができるチューブの円柱形の束を含む例示的な核燃料アセンブリの図である。
【0030】
対応する参照文字は、いくつかの図を通じて対応する部分を示す。本明細書で述べられる例示は、1つの形態で本発明の様々な実施形態を示し、当該例示は、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の様々な態様を詳細に説明する前に、説明の例は、用途または使用において、添付の図面、及び、説明で示される部分の構造、及び、配置の詳細に限定されないことに留意されたい。説明の例は、他の態様、変形、及び、修正において実装、又は、組み込まれてもおよいし、様々な方法で実施、又は、実行されてもよい。さらに、特に示さない限り、本明細書で採用される用語、及び、表現は、読者の便宜のために説明の例を記載する目的で選択されており、その限定の目的ではない。また、下記の態様、態様の表現、及び/又は、例のうちの1つ又はそれ以上は、他の下記の態様、態様の表現、及び/又は、例のうちのいずれか1つ又はそれ以上と組み合わされることができることが理解されるであろう。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「a」、「an」、及び、「the」の単一の形態は、文脈でそうでないことが明確に定められない限り、複数の参照を含む。
【0033】
例えば、限定的ではない、上、底、左、右、下方、上方、前、後、及び、その変形等の本明細書で使用される方向の語句は、添付の図面に示す要素の配向に関し、そうでないことが明記されていない限り、特許請求の範囲の限定ではない。
【0034】
本開示で使用されるような「約」又は「略」という用語は、特に規定されていない限り、当業者によって決定されるような特定の値についての許容可能な誤差を意味し、それは、値が測定、又は、決定される方法に部分的に依存する。特定の実施形態では、「約」、又は、「略」という用語は、標準偏差1、2、3、又は、4以内を意味する。特定の実施形態では、「約」、又は、「略」という用語は、所与の値、又は、は範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は、0.05%以内を意味する。
【0035】
本明細書で列挙される任意の数値範囲は、それに包含されるすべてのサブ範囲を含むことが意図される。例えば、「1から10」の範囲は、列挙された最小値の1と、列挙された最大値の10との間(それらを含む)、即ち、1以上の最小値、及び、10以下の最大値を有するすべてのサブ範囲を含むことが意図される。
【0036】
ここでは、冷却材喪失事故、又は、蒸気ライン破断事故等の設計ベースの事故が起きた場合にエネルギー吸収材としてアイスを使用することについての問題に対処するために、当該事故条件下で、より経済的でより維持しやすいエネルギーを吸収する手段が記載される。本明細書で使用されるような設計ベースの事故は、「核施設が、公衆衛生、及び、安全を確保するために必要なシステム、構造、及び、構成要素への損失無く耐えるように設計され作られなければならない、想定される事故」として、アメリカ合衆国原子力規制委員会によって定義される。
【0037】
提案されたエネルギー吸収材は、好ましくは円柱形の複数のチューブ70のアセンブリ100を備え、その各々は、吸熱材料を含む。アセンブリ100は、複数のチューブ70を一緒に固定するための例示的な手段としてチューブ支持構造76を含み得る。チューブ70のアセンブリは、既存のバスケット60に適合し得る。多くの場合、特に既存のアイスシステムが吸熱エネルギー吸収アセンブリによって置き換えられる場合、同じバスケット60が使用され得る。代替的に、バスケット60は、既存のアライメントグリッド構造62に固定するように設計されたチューブ束によって置き換えられ得る。チューブ70を所定位置に保持するための任意の好適な支持構造で十分である。エネルギー吸収材アセンブリ100は、多くのエネルギー解放の間にエネルギーを吸収する際の既存のアイスの機能を完全に置換する。中間デッキドア52、並びに、全ての冷却、冷蔵、及び、空気処理機器は除去され、構造が単純化される。
【0038】
図6、及び、
図7を参照すると、例示的なアセンブリ100が示されている。
図6を参照すると、チューブ70は、支持構造のスポーク78に沿ってグループ化されており、安定化グリッド72を含み得る。
図7では、各チューブ70は、支持構造76で保持されており、多数の支持構造76が、周囲のホルダ80に接続された異なる設計の安定化グリッド72によって接合されている。特定の態様において、チューブは、既存のバスケット60に配置され得る。特定の態様において、既存のバスケットは穴が開いたハウジング74に置き換えられ得るし、支持構造76、及び、チューブ70は、穴66を有するハウジング74に含まれ得る。チューブ70は、シールされ得るし、又は、任意の好適な圧力解放バルブ68でベントされ得る(いくつかだけが説明の目的でブラックボックスの形態で示されている)。当業者は、チューブの全て、若しくは、一部がベントのための任意の好適な手段でベントされ得るか、又は、どのチューブもベントされ得ないこと、及び、ベント口または解放バルブがチューブ70上の他の場所に配置され得ることを認識するであろう。特定の例では、チューブ70のうちの1つまたはそれ以上は、バーストディスクを含む。
【0039】
円柱形のチューブ70は、任意の所望の材料で製造され、(外部及び内部の両方で)圧力下でその強度を維持し、熱伝達の用途で十分に理解されているため、好ましい。しかしながら、当業者は、チューブ70についての他の構成が、具体的には、事故シナリオ下で、原子炉で使用中に予想される圧力、及び、温度曝露に適応するような材料、及び、寸法に適切に調整して使用され得ることを理解するであろう。同様に、ハウジング74は、円柱形であってもよいし、又は、格納容器構造10での所望のエネルギー吸収材アセンブリ100で多数のチューブ70を収容する任意の他の断面構成を有していてもよい。チューブ70は、炭素鋼、ステンレス鋼、又は、設計要件を満たす十分な熱伝達及び耐腐食性を有する他の核認定材料から形成され得る。様々な態様において、チューブ70は、表面処理と、フィン24と、凝縮性能を向上させる非線形設計と、を含み得る。
【0040】
チューブ70の束は、バスケットの上からバスケット60内に軸方向にロードされ得る。チューブ70は、高さがバスケット60の高さよりも低い。様々な態様において、チューブ70は、複数のチューブ70がバスケット60内で積層されて、あるチューブが別のチューブの上にあることを可能にするような寸法であり得る。代替的に、チューブ70は、バスケット60と実質的に同じ高さであってもよく、
図6に示すように、スポーク78がアセンブリ100の頂部または端に取り付けられ得るように、ある空間が、バスケット開口内に位置し、バスケット開口の上に延在しないことを可能にする。特定の態様において、チューブ70は、
図7に示すように、バスケットの開口を超えて延在し得る。様々な態様において、チューブ70は、チューブ、又は、アライメントグリッド62への損傷を回避することが必要とされるスタッキング、及び、他の負荷に構造的に耐えるように設計されている。
【0041】
吸熱材料は、チューブ70の内側に配置される。化学反応速度が圧力によって影響を受けるため、製造において、チューブ材料の初期充填体積、自由体積、及び、圧力耐性等の因子に対して検討がなされる。初期計算は、アイスに対する格納容器構造10での総エネルギー除去のために必要とされる吸熱材料の量は、初期ブローダウン過渡エネルギー吸収要件に一致するために必要とされる量未満である可能性が高いことを示す。
【0042】
動作中のチューブ70内の予想される圧力は、重要でない。チューブ壁厚は、チューブ内の化学反応の圧力に耐えるのに十分厚くすべきであるが、熱がチューブを通過することを可能にするのに十分薄くすべきである。このとき、圧力がどれくらい高くまで達するかを正確に示すことはできないが、10台から100台前半のpsiである可能性が高いと考えられる。そのように、(例えば、3/100インチ未満から約1/100インチの厚みの)薄壁チューブは、有用であり得る。少なくとも一例では、薄壁チューブは、例えば、2/100インチから約5/1000インチの範囲、又は、例えば、5/100インチから約1/1000インチの範囲から選択される厚さを備える。薄壁のチューブ70は、チューブでの吸熱材料の体積を増加させることを可能にし、構造的重量、チューブコスト、及び、壁を通じた温度損失を減らすため、有益である。温度は、熱を吸熱材料内に移動させ反応を駆動する際に重要な因子である。
【0043】
既存の原子力プラントでは、アイスコンデンサプラントは、事故の間に大量の水を溶融する。このホウ酸塩処理された溶融水は、サンプ容積の一部になる。本明細書で記載されるエネルギー吸収材アセンブリ100は、水を解放しない。従って、燃料交換水貯蔵タンク(事故の初期の間に水を供給するように設計された格納容器構造の外側に典型的に配置された大タンク(図示省略))の容積、及び、燃料交換水貯蔵タンクから水源としてのサンプ30への注入ポンプの切り替えのタイミングに対する適切な変更は、様々な態様で変更され得る。様々な態様において、より大きいか、又は、追加の燃料交換水貯蔵タンク、及び、ホウ素吸収材の酸性を打ち消すための化学緩衝剤の源のうちの一方、又は、両方が提供され得る。現在、四ホウ酸ナトリウムは、アイスで使用されるホウ素形態であって、本質的に緩衝される。しかしながら、燃料交換水貯蔵タンク水は、このホウ素形態を使用せず、ある手段の緩衝剤が提供されなければならない。
【0044】
様々な態様において、チューブ70で使用される吸熱材料は、熱分解を受けることができる化合物を含む。様々な態様において、チューブ70で使用される吸熱材料は、比較的安価であって、事故が起きた場合に多量のエネルギーを除去することができ、動作上の格納容器温度で安定したままであって、十分安全で、(反応物及び生成物の両方として)核材料に適合し、エネルギー吸収機能の動作を可能にするために必要とされる所望の温度で動作する化学物質から選択される。
【0045】
例示的な吸熱材料は、カルバミン酸アンモニウム(NH4(H2NCO2))(AC)である。ACは、吸熱化学反応を通じて、アイスコンデンサの保管室での凝縮に有用である温度の範囲(圧力に関連して、略10~60°)でエネルギーを吸収する。その容積エネルギー除去は、略2760MJ/m3であり、それは、アイスの略9倍である。反応のその生成物は、二酸化炭素(CO2)及びアンモニア(NH3)であり、そのどちらも有害ではなく、その両方がすでに、炉16及び格納容器構造10の1次側内に存在しており、材料の安全性及び適合要件を満たす。
【0046】
ACが加熱されると、圧力との温度の関数としての固体との平衡状態でCO2及びNH3ガスが形成される。蒸気が格納容器内に解放されると、ACホルダを通じて加熱され、蒸気を凝縮しながら、ホルダ内側でACの分解が開始される。チューブのベントがない実施形態では、CO2、及び、NH3ガスは、チューブに残ったままである。圧力増加は、チューブで任意の漏れをもたらすのに十分ではない。
【0047】
このとき、カルバミン酸アンモニウムは、好ましい吸熱材料である。それは、十分な性能を有すると思われ、比較的安価であり、良好な反応生成物を有し、80~120°Fの所望の温度範囲で安定にされ得、容易に調達される。所望の品質を有し、エネルギー吸収能力、通常の動作条件の間の安定性、及び、安全であることが最も重要な他の好適な吸熱材料が使用され得る。
【0048】
吸熱材料でチューブを充填することは、スラリーの使用によって容易にされ得る。様々な態様において、カルバミン酸アンモニウムのスラリーは、液体と混合される。液体についての候補は、プロピレングリコール、又は、エチレングリコール、アルコール、及び、水を含み得る。スラリーは、すべてではないが各チューブ70での空間の大部分を充填するために使用される。一部の自由空間は、充填後、使用時に生成されるガスを収容するために残り得る。充填された、又は、部分的に充填されたチューブ70内の圧力は、アルゴン等の非反応性ガスでチューブを充填し戻すか、又は、逆に真空引きすることによって調整され得る。その後、チューブ70は覆われる。様々な態様において、覆われたチューブ70は、任意の漏れに対してシールされる。様々な態様において、覆われたチューブ70は、例えば、好適な既知の方法でチューブカバーに接続され得る圧力リリーフバルブの手段によってベントされ得る。
【0049】
吸熱材料の化学反応速度論ではなく、チューブ70の表面積が、凝縮性能の駆動因子であると思われる。チューブと吸熱化学作用との間の結合関係は、性能推定を実行するために理解されなければならない。チューブ直径、数、壁厚、及び、想定される自由体積割合は、最終的に、収容される化学物質の体積を定める。しかしながら、化学物質体積、チューブ直径、反応する量、及び、温度は、化学反応速度論、したがって、チューブ面積ごとに除去されるエネルギーに影響を与える。これらのパラメータは、チューブの長さに沿って、過渡事象の間の時間で変わる。これらの複雑な相互作用は、所与の構成によって達成されるコンデンサ性能を推定するために、ノード法で2段階の流れの計算と共にモデル化され得る。核安全コードGOTHICは、これらの計算に有用であり得る。GOTHICを使用したこれまでの成果は、吸熱材料の量が、アイスが除去することができるエネルギーの量と単純に一致するために必要とされる量の3~4倍であり得ることを示す。300~400%の除去される総エネルギーの増加が実現され得る。これらの計算は、カルバミン酸アンモニウム化学作用が十分な性能であることを示し、充填を容易にするためにスラリーの多数の利益を強化した。
【0050】
様々な態様において、本明細書で記載されるエネルギー吸収材アセンブリは、既存のアイスコンデンサ設計と比較して、アイスをカルバミン酸アンモニウムなどの吸熱化学エネルギー吸収材に置き換え、及び/又は、(例えば、1.25~1.5倍の三角ピッチで内径が0.25~0.625インチの範囲の)吸熱材料エネルギー吸収材を含む薄い壁のチューブ70の円柱形のアセンブリにアイス、又は、アイス、及び、アイスバスケット60を直接置き換える。様々な態様において、本明細書で記載されるエネルギー吸収材アセンブリは、一部の自由体積を有する密閉されたチューブ70を使用して、化学性能を調整し、以前に分析された安全機構/システムの妨げになる化学生成物に関連する懸念を著しく単純化する。様々な態様において、本明細書で記載されるエネルギー吸収材アセンブリは、性能を増加させチューブ充填を容易にするための手段として化学スラリーを使用する。様々な態様において、本明細書で記載されるエネルギー吸収材アセンブリは、電力プラント内の冷却及びアイス作製システムの除去を可能にし、及び/又は、中間デッキドアの除去を可能にする。
【0051】
様々な態様において、本明細書で記載されるエネルギー吸収材アセンブリは、元のアイスに対してエネルギー吸収を向上させ、設計ベースの条件を超えて耐えるプラントの能力に安全限界を追加する。特定の態様において、アイス溶融を通じて生成されないサンプ水は、安全ポンプについての燃料交換水貯蔵タンクとサンプとの間の切り替え時間の変更、(追加のタンクを定め得る)燃料交換水貯蔵タンクでの追加の技術仕様体積要件、並びに/又は、四ホウ酸ナトリウム、及び/若しくは、好適な緩衝剤/ホウ素形態を届けて、望ましいサンプ化学作用を維持するための可能性のある追加の手段を使用することによって置き換えられる。
【0052】
本明細書で記載されるエネルギー吸収材アセンブリの採用は、例えば、追加のキャビティ冷却の必要性、したがって、システムの除去、アイス保管室床を冷却し、専用の冷却器を有するグリコールシステムの除去、停止(重要な停止動作)中の昇華、及び、アイス計量/再充填の必要性の除去、中間のデッキドアの除去、中間のデッキドアを検査するための給電時の毎週の格納容器侵入の除去(より低ドーズ)、停止作業コスト、期間、及び人員の必要性の最小化、一部のプラントでのアイス溶融の懸念の除去、並びに、設計ベースの事象を超える安全限界の向上等の既存のアイスコンデンサ電力プラントに対する1つ又はそれ以上の利益となる。
【0053】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の実施例に示されている。
【0054】
(例1)-原子炉格納容器構造でエネルギーを吸収するための装置であって、複数の細長いチューブを備える少なくとも1つのアセンブリと、前記複数の細長いチューブのそれぞれに収容され、前記複数の細長いチューブのそれぞれの大部分を占有する吸熱材料と、を備え、前記吸熱材料は、前記複数の細長いチューブ内で吸熱反応を起こすように構成されている、装置。
【0055】
(例2)-前記装置は、さらに、前記複数の細長いチューブを保持するための支持構造を備える、例1に記載の装置。
【0056】
(例3)-前記複数の細長いチューブは、あるアセンブリを別のアセンブリに積層させる、例1又は例2に記載の装置。
【0057】
(例4)-前記複数の細長いチューブのそれぞれは、さらに、前記吸熱材料によって占有されない自由空間であって、前記吸熱材料の化学反応によって使用時に生成されるガスを収容するための前記自由空間を備える、例1から例3の何れかの例に記載の装置。
【0058】
(例5)-前記複数の細長いチューブはシールされる、例1から例4の何れかの例に記載の装置。
【0059】
(例6)-前記複数の細長いチューブはベントされ、記複数の細長いチューブは、さらに、圧力解放バルブを備える、例1から例4の何れかの例に記載の装置。
【0060】
(例7)-前記吸熱材料は、カルバミン酸アンモニウムである、例1から例4の何れかの例に記載の装置。
【0061】
(例8)-前記複数の細長いチューブがベントされ、カルバミン酸アンモニウム反応生成物は、格納容器構造内におけるサンプ水の緩衝剤としてのベント作用で解放される、例7に記載の装置。
【0062】
(例9)-前記吸熱材料は、スラリーの形態である、例1から例8の何れかの例に記載の装置。
【0063】
(例10)-前記スラリーは、カルバミン酸アンモニウムと混合された液体を含む、例9に記載の装置。
【0064】
(例11)-前記液体は、溶媒である、例10に記載の装置。
【0065】
(例12)-前記液体は、水、アルコール、エチレングリコール、及び、プロピレングリコールで構成されたグループから選択される、例10又は例11に記載の装置。
【0066】
(例13)-前記複数の細長いチューブの少なくとも1つは円柱形状である、例1から例12の何れかの例に記載の装置。
【0067】
(例14)-前記複数の細長いチューブの少なくとも1つは非円柱形状である、例1から例13の何れかの例に記載の装置。
【0068】
(例15)-前記複数の細長いチューブのそれぞれは、3/100インチ未満から1/100インチまでの範囲の厚さを有する壁を有する、例1から例14の何れかの例に記載の装置。
【0069】
(例16)-前記吸熱材料の量は、事故から生じる初期エネルギー解放で格納容器構造からエネルギーを除去し、燃料減少の間に後に熱除去するのに十分である、例1から例15の何れかの例に記載の装置。
【0070】
(例17)-前記複数の細長いチューブは、フィンを有する、例1から例16の何れかの例に記載の装置。
【0071】
(例18)-前記複数の細長いチューブは、凝縮性能を向上させるための非線形構成を有している、例1から例17の何れかの例に記載の装置。
【0072】
(例19)-原子炉格納容器構造でエネルギーを吸収するための装置であって、複数の細長いチューブを備える少なくとも1つのアセンブリと、前記複数の細長いチューブ内で熱分解を受けるように構成された化合物と、を備え、前記複数の細長いチューブは、前記化合物によって少なくとも部分的に占有されている、装置。
【0073】
(例20)-前記装置は、さらに、前記複数の細長いチューブを保持するための支持構造を備える、例19に記載の装置。
【0074】
当業者が認識するであろうこととして、一般に、本明細書で使用され、特に、添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図される(例えば、「含んでいる(including)」という用語は、「~を含んでいるが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有している(having)」という用語は、「~を少なくとも有している(having at least)」と解釈されるべきであり、「含んでいる(includes)」という用語は、「~を含んでいるが、それらに限定されない(includes but not limited to)」と解釈されるべきである、等)。当業者によってさらに理解されるであろうこととして、導入された請求項記載事項において具体的な数が意図される場合、このような意図は、請求項内に明示的に記載され、このような記載事項がない場合は、このような意図は存在しない。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」という導入句の用法を、請求項記載事項を導入するために包含していることがある。しかしながら、このような句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞により請求項記載事項を導入した場合に、たとえ同じ請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」という導入句及び「a」又は「an」といった不定冠詞が含まれている場合であっても、このような導入された請求項記載事項を包含するいかなる特定の請求項も、このような記載事項を1つのみ包含する請求項に限定することを示唆するものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は、典型的には、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。同じことが、請求項記載事項を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。
【0075】
加えて、導入された請求項記載事項において具体的な数が明示的に記載されている場合でも、当業者が認識するであろうこととして、このような記載事項は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきである(例えば、他に修飾語を有さない、「2つの記載事項(two recitations)」という無修飾の記載事項の場合、典型的には、少なくとも2つの記載事項、又は、2つ以上の記載事項を意味する)。さらに、「A、B、及びC等のうちの少なくとも1つ(at least one of A, B, and C, etc.)」に近似する表記が使用される例では、一般に、このような構文は、当業者がこの表記を理解するであろう意味合いで意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有しているシステム(a system having at least one of A, B, and C)」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの両方、A及びCの両方、B及びCの両方、並びに/又は、A、B、及びCの全て、等を有するシステムを含むが、それらに限定されない)。「A、B、又はC等のうちの少なくとも1つ(at least one of A, B, or C, etc.)」に近似する表記が使用される例では、一般に、このような構文は、当業者がこの表記を理解するであろう意味合いで意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有しているシステム(a system having at least one of A, B, or C)」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの両方、A及びCの両方、B及びCの両方、並びに/又は、A、B、及びCの全て、等を有するシステムを含むが、それらに限定されない)。さらに、当業者によって理解されるであろうこととして、典型的には、いずれかを選ぶべき2つ以上の用語を提示している選言的な語及び/又は句は、文脈上特段求められる場合を除き、説明の中であっても、特許請求の範囲の中であっても、又は、図面の中であっても、それらの用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又は、それらの用語の両方、を含む可能性を企図すると理解されるべきである。例えば、「A又はB(A or B)」という句は、典型的には、「A」か、「B」か、又は、「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0076】
添付の特許請求の範囲について、当業者が認識するであろうこととして、本明細書における記載された動作は、概して、任意の順序で実施されてよい。また、様々な動作フロー図がシーケンスで提示されているが、理解されるべきこととして、様々な動作は、例示された以外の順序で実施されてよく、又は、並行して実施されてよい。このような代替の順序付けの例には、文脈上特段求められる場合を除き、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、漸進的、予備的、補足的、同時、逆、又は、他の変形例の順序付けが含まれ得る。さらに、「~に応答する(responsive to)」、「~に関連する(related to)」等の用語、又は、他の過去時制の形容詞は、概して、文脈上特段求められる場合を除き、このような変形例を除外することが意図されるものではない。
【0077】
留意する価値のあることとして、「1つの態様(one aspect)」、「一態様(an aspect)」、「一例示(an exemplification)」、「1つの例示(one exemplification)」等についての言及はいずれも、その態様に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれていることを意味する。よって、この明細書全体にわたり、様々な場所に出現する「1つの態様において(in one aspect)」、「一態様において(in an aspect)」、「一例示において(in an exemplification)」、及び「1つの例示において(in one exemplification)」という句は、必ずしも全てが同じ態様について言及している訳ではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、任意の好適な様式で1つ以上の態様に組み合わされてよい。
【0078】
この明細書において参照された、及び/又は、任意の出願データシートに列挙された、特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示材料はいずれも、組み込まれた材料が本明細書と矛盾しない程度で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また、必要な程度で、本明細書に明示的に記述された開示は、参照により本明細書に組み込まれる、相克するあらゆる材料に優先する。参照により本明細書に組み込まれるとされているものの、本明細書に記述される、既存の定義、言明、又は他の開示材料と相克する、あらゆる材料又はその部分は、組み込まれた材料と既存の開示材料との間に相克が生じない程度においてのみ、組み込まれる。
【0079】
「備えている(comprise)」(また、任意の形のcomprise、例として、「備えている(comprises)」と「備えている(comprising)」)、「有している(have)」(また、任意の形のhave、例として、「有している(has)」と「有している(having)」)、「含んでいる(include)」(また、任意の形のinclude、例として、「含んでいる(includes)」と「含んでいる(including)」)、及び、「包含している(contain)」(また、任意の形のcontain、例として、「包含している(contains)」と「包含している(containing)」)という用語は、オープンエンドの連結動詞である。その結果、1つ以上の要素を「備えている」か、「有している」か、「含んでいる」か、又は「包含している」システムは、それら1つ以上の要素を所有しているものの、それら1つ以上の要素のみを所有していることに限定されない。同様に、1つ以上の特徴を「備えている」か、「有している」か、「含んでいる」か、又は「包含している」システム、デバイス、又は装置の要素は、それら1つ以上の特徴を所有しているものの、それら1つ以上の特徴のみを所有していることに限定されない。
【0080】
要約すると、本明細書に記載した概念を用いる結果として生じる、数々の利益が記載されてきた。1つ以上の形の前述の記載は、例示及び説明を目的として提示されている。この記載は、網羅的であることも、開示された厳密な形に限定することも、意図されていない。上記の教示内容に照らして、改変又は変形が可能である。1つ以上の形が選択され記載されているが、その目的は、原理及び実際の用途について例示し、それによって、様々な形を様々な改変例と共に、企図される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするためである。本明細書と共に提出される特許請求の範囲が、全体的な範囲を定義することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉格納容器構造でエネルギーを吸収するための装置であって、
複数の細長いチューブを備える少なくとも1つのアセンブリと、
前記複数の細長いチューブのそれぞれに収容され、前記複数の細長いチューブのそれぞれの大部分を占有する吸熱材料と、を備え、
前記吸熱材料は、前記複数の細長いチューブ内で吸熱反応を起こすように構成されている、装置。
【請求項2】
前記装置は、さらに、
前記複数の細長いチューブを保持するための支持構造を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の細長いチューブは、あるアセンブリを別のアセンブリに積層させる、請求項
1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の細長いチューブのそれぞれは、さらに、前記吸熱材料によって占有されない自由空間であって、前記吸熱材料の化学反応によって使用時に生成されるガスを収容するための前記自由空間を備える、請求項1
から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の細長いチューブはシールされる、請求項1
から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の細長いチューブはベントされ、
前記複数の細長いチューブは、さらに、圧力解放バルブを備える、請求項1
から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記吸熱材料は、カルバミン酸アンモニウムである、請求項1
から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の細長いチューブがベントされ、
カルバミン酸アンモニウム反応生成物は、格納容器構造内におけるサンプ水の緩衝剤としてのベント作用で解放される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記吸熱材料は、スラリーの形態である、請求項1
から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記スラリーは、カルバミン酸アンモニウムと混合された液体を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記液体は、溶媒である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記液体は、水、アルコール、エチレングリコール、及び、プロピレングリコールで構成されたグループから選択される、請求項10
又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の細長いチューブの少なくとも1つは円柱形状である、請求項1
から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の細長いチューブの少なくとも1つは非円柱形状である、請求項1
から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記複数の細長いチューブのそれぞれは、3/100インチ未満から1/100インチまでの範囲の厚さを有する壁を有する、請求項1
から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記吸熱材料の量は、事故から生じる初期エネルギー解放で格納容器構造からエネルギーを除去し、燃料減少の間に後に熱除去するのに十分である、請求項1
から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記複数の細長いチューブは、フィンを有する、請求項1
から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の細長いチューブは、凝縮性能を向上させるための非線形構成を有している、請求項1
から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
原子炉格納容器構造でエネルギーを吸収するための装置であって、
複数の細長いチューブを備える少なくとも1つのアセンブリと、
前記複数の細長いチューブ内で熱分解を受けるように構成された化合物と、を備え、
前記複数の細長いチューブは、前記化合物によって少なくとも部分的に占有されている、装置。
【請求項20】
前記装置は、さらに、
前記複数の細長いチューブを保持するための支持構造を備える、請求項19に記載の装置。
【国際調査報告】