(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】洗浄装置の洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成するための組成物およびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 31/22 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
G01N31/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501220
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2020069257
(87)【国際公開番号】W WO2021005111
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】102019210089.9
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503003108
【氏名又は名称】マイコ マシーネンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Meiko Maschinenbau GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ホファー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ジムンディク,マリオ
【テーマコード(参考)】
2G042
【Fターム(参考)】
2G042AA03
(57)【要約】
本発明は、乾燥形態で次の成分:(a)ニグロシン、(b)小麦粉、および(c)全卵を含む、組成物に関する。本発明はまた、洗浄装置の洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成するための、本発明の組成物を使用する方法に関する。ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成する方法であって、本発明の組成物を水性媒体に溶解させる工程を含む、方法も提供する。本発明は、本発明の組成物の成分を水性媒体中に含む試験用汚れ、および洗浄装置の洗浄作用を評価するためにそれを使用する方法に関する。最後に、本発明は、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥形態で次の成分:(a)ニグロシン、(b)小麦粉、および(c)全卵を含む、組成物。
【請求項2】
ニグロシンおよび全卵が粉末形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記成分が、各場合において、加えられる250mlの体積の水性溶媒に対して、次の量:(a)ニグロシン0.8g~1.2g、好ましくは1.0g、(b)小麦粉30g~40g、好ましくは35g、および(c)全卵17g~21g、好ましくは19gで組成物中に存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
追加の成分として乾燥ジャガイモフレークを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記乾燥ジャガイモフレークが、加えられる250mlの体積の水性溶媒に対して、35g~45g、好ましくは40gの量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
分配単位、好ましくは分配パック、または別の形態の包装、例えば、バッグ、サシェ、チューブ、カップ、カートンに分配された単位の形態を取る、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
包装が、グラフィックコードおよび/またはRFIDタグを含むラベルとともに提供される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ヒト排泄物用の尿瓶を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成するために、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物を使用する方法。
【請求項9】
ヒト排泄物用の差し込み便器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成するために、請求項4または5に記載の組成物を使用する方法。
【請求項10】
前記試験用汚れが、前記組成物を水性媒体に溶解させることによって生成される、請求項8または9に記載の使用する方法。
【請求項11】
ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成する方法であって、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物を水性媒体に溶解させる工程を含む、方法。
【請求項12】
前記水性媒体が、水または水性緩衝液を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価するための試験用汚れであって、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物の成分を水性媒体、好ましくは水中に含む、または請求項11もしくは12に記載の方法によって得られる、試験用汚れ。
【請求項14】
ヒト排泄物用の尿瓶または差し込み便器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価するために、請求項13に記載の試験用汚れを使用する方法。
【請求項15】
試験用汚れが、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物の成分を水性媒体、好ましくは水中に含み、ヒト排泄物用の尿瓶を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価する、請求項14に記載の使用する方法。
【請求項16】
試験用汚れが、請求項4または5に記載の組成物の成分を水性媒体、好ましくは水中に含み、ヒト排泄物用の差し込み便器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価する、請求項14に記載の使用する方法。
【請求項17】
ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価する方法であって、
(a)請求項11または12に記載の方法によって試験用汚れを生成する工程、
(b)工程(a)において生成した試験用汚れを、ヒト排泄物用の容器、詳細には差し込み便器または尿瓶に塗布する工程、
(c)工程(c)からの容器を、評価する洗浄装置によって洗浄する工程、および
(d)存在するかまたは除去された試験用汚れの量によって、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価する工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥形態で次の成分:(a)ニグロシン、(b)小麦粉、および(c)全卵を含む、組成物に関する。本発明はまた、洗浄装置の洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成するための、本発明の組成物を使用する方法に関する。ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成する方法であって、本発明の特許請求に係る組成物を水性媒体に溶解させる工程を含む、方法も提供する。本発明は、本発明の組成物の成分を水性媒体中に含む試験用汚れ、および洗浄装置の洗浄作用を評価するためにそれを使用する方法に関する。最後に、本発明は、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術には、ヒト排泄物を保持するための容器、例えば差し込み便器または尿瓶を処理するための、多数の洗浄装置および洗浄方法が含まれる。処理される容器は、通常洗浄中に始末しなければならない、比較的多量の液体または固体廃棄物を含有しうる。しかも、このような容器は、感染性廃棄物を含有することもあり、いくらかの他の方法で汚染されていることもあるため、空にするばかりではなく、通常消毒も要求される。したがって、ヒト排泄物用の容器を処理するためのこのような洗浄装置は、洗浄および消毒装置、他にはウォッシャーディスインフェクター(WD)ともしばしば呼ばれる。中でも、多くの場合、差し込み便器が洗浄される品目であるため、このような装置は、差し込み便器洗浄器ともしばしば呼ばれる。このような洗浄装置に関する要求は、基本的には、ISO規格シリーズ15883に記載されている。
【0003】
洗浄および消毒装置の可能な例については、例として、ドイツ特許出願公開第102004056052(A1)号明細書(特許文献1)、ドイツ特許出願公開第10348344(A1)号明細書(特許文献2)、欧州特許第1824373(B1)号明細書(特許文献3)、欧州特許第2755695(B1)号明細書(特許文献4)、ドイツ特許出願公開第102013203342(A1)号明細書(特許文献5)、またはドイツ特許出願公開第102013208060(A1)号明細書(特許文献6)が参照されうる。これらに記載される洗浄および消毒装置も、本発明の文脈における例として使用できる。
【0004】
洗浄および消毒装置の構築および操作に関する重大な懸案は、洗浄作用および消毒作用の保証という懸案である。この点において、数多くの規格、仕様、および勧告が存在する。例えば、DIN EN ISO 15883-6には、全体的に、WDについての要求および試験方法が記載されている。
【0005】
熱消毒作用の保証ばかりではなく、汚れから十分に解放されていることが、特に保証されるべきである。例えば、Deutsche Gesellschaft fuer Krankenhaushygiene[German Society for Hospital Hygiene]は、目に見える残留汚損を確認するために、試験用汚れを使用することを勧告している。
【0006】
予備規格CEN ISO/TS 15883-5では、ISO規格シリーズ15883に従ったWDの洗浄有効性についての有効な証拠は、複数の国において現在使用されている試験用汚れおよび方法であると述べており、国ごとの試験用汚れが列挙されている。例えば、ドイツにおける差し込み便器および尿瓶については、ウシアルブミン、ムチン、トウモロコシでんぷん、およびE.faeciumの混合物が公知である。オーストリアにおいては、KMNE試験用汚れと呼ばれる、ジャガイモフレーク、穀粉、ニグロシン、および卵を含有する試験用汚れが差し込み便器に使用され、MNE試験用汚れと呼ばれる、穀粉、ニグロシン、および卵の混合物が尿瓶に使用される。加えて、試験用汚れの生成およびその保管についての仕様が提供される。これには、当初は別々に生成し、ニグロシンの懸濁液と小麦粉とを、沸騰させることで混合することが伴う。使用する直前に、雌鶏の卵を加え、混合物を加熱する。加えて、適当な場合には、要求される粘稠度に達するまで、乾燥ジャガイモフレークを加える。次いで、このような試験用汚れを使用して、差し込み便器または尿瓶の形態の試験片に、規定の量で充填し、試験用汚れを試験供試体中に分散させる。続いて、WDに汚れた試験供試体を十分に装填し、適当な洗浄サイクルを実施する。続いて、視覚試験を行うが、合格するための基準は、試験用汚れの目に見える残留物が、もはや試験供試体上にあってはならないことである。
【0007】
実際の懸案は、このような試験用汚れを生成することが複雑なことである。試験用汚れは3日以下の間、冷蔵庫に保管してもよいが、原則的にはその生成の直後に使用するべきである。しかしながら、メンテナンス作業および点検は一般に、洗浄装置の設置場所において行われるべきである。しかしながら、特にそこでは、試験用汚れの生成のために必要な装置が、しばしば利用できない。更に、このような試験用汚れの生成には時間がかかり、しばしば試験の継続時間についての極めて重要な工程を構成要素とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102004056052(A1)号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第10348344(A1)号明細書
【特許文献3】欧州特許第1824373(B1)号明細書
【特許文献4】欧州特許第2755695(B1)号明細書
【特許文献5】ドイツ特許出願公開第102013203342(A1)号明細書
【特許文献6】ドイツ特許出願公開第102013208060(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、公知の特定のタイプの試験用汚れおよび方法の欠点がほとんど回避される、試験用汚れおよびヒト排泄物のための洗浄装置の洗浄作用を評価する方法を提供することが望ましい。より詳細には、試験用汚れの提供に伴う複雑さ、および方法全体を実行することに伴う複雑さが低減されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、独立請求項による実施形態によって対処される。従属請求項においては、個々に、または任意の所望の組合せにおいて実現可能な、有利な改良が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】KMNE(Koller)による試験用汚れ(A)、および本発明による試験用汚れ(B)の目視比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の文章において、「有する」、「含む(comprise)」、もしくは「含む(include)」という用語、またはこれらの任意の文法的変化は、非制限的に使用される。したがって、このような表現は、このような表現によって導入される特性に加えて、さらなる特性が提供されない状況、または1つもしくは複数のさらなる特性が提供される状況の両方を指しうる。例えば、「AはBを有する」、「AはBを含む(comprise)」、または「AはBを含む(include)」という表現は、Bを別として、Aにさらなる要素がない状況(すなわち、AがもっぱらBからなる状況)と、Bに加えて、Aに1つまたは複数のさらなる要素、例えば、要素C、要素CおよびD、またはさらなる要素さえもある状況との両方に関しうる。
【0013】
1つまたは複数の要素または特性に関して使用され、要素または特性が単一でまたは複数で提供されうることを表現することが意図される、「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」という表現、ならびにこのような表現の文法的変化は、一般に、例えば特性または要素が初めて導入される場合に、1回のみ使用されることがさらに指摘される。特性または要素が後で再び言及される場合、対応する「少なくとも1つ」または「1つもしくは複数」という表現は、一般に、もはや使用されず、特性または要素が単一でまたは複数で提供されうる可能性は制限されない。
【0014】
その上、「好ましくは」、「特に」、「例えば」という表現、または同様の表現は、以降では、任意の特性に関して使用され、代替実施形態はこれによって制限されない。したがって、このような表現によって導入される特性は任意の特性であり、このような特性を介して請求項、特に独立請求項の保護の範囲を制限することは意図されない。したがって、当業者は認識しているであろうが、本発明は、他の構成を使用して実施することもできる。同様に、「本発明の一実施形態では」または「本発明の一実施例では」によって導入される特性は、任意の特性であると理解されるべきであり、これは、代替構成または独立請求項の保護の範囲を制限することを意図していない。その上、本明細書によって導入される特性と他の特性との組合せのすべての可能性は、これらが任意の特性であろうと任意でない特性であろうと、このような導入表現による影響を受けずに存続することが意図される。
【0015】
本発明は、乾燥形態で次の成分:(a)ニグロシン、(b)小麦粉、および(c)全卵を含む、組成物に関する。
【0016】
「組成物」という表現は、2種以上の成分の混合物を記載する。成分同士は、異なる割合において存在してもよい。成分は、好ましくは、本発明の組成物中で乾燥形態である。成分は、任意の乾燥形態であってよい。成分次第で、結晶形態であっても、アモルファス形態であってもよい。成分は、組成物中で結晶粉末またはアモルファス粉末の形態であってもよく、例えば、微粉末、顆粒状材料、またはペレットとして、別の好適な形態であってもよい。通常、本発明による組成物は、自由に流動する固体である。
【0017】
本発明によれば、「乾燥形態」という用語は、本発明の組成物が包含するべき成分が、本質的に液体不含である、詳細には水性溶媒不含であるべきことを意味するものと理解される。「本質的に液体不含」とは、ここでは、本発明に従って提供される組成物中の残留液体が、成分を溶解させるのに不十分であるため、組成物中の成分がそれ自体、固体形態でも存在しうることと理解される。
【0018】
残留液体の含有量は、成分に応じて異なりうる。小麦粉の場合、残留液体含有量は、組成物に使用される成分の総質量に対して、好ましくは、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、またはより好ましくは2質量%以下である。全卵粉末の場合、残留液体含有量は、組成物に使用される成分の総質量に対して、好ましくは、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、またはより好ましくは2質量%以下である。ニグロシン粉末は、好ましくは、検出可能な組み込まれた残留液体を不含である。水が組み込まれている場合、水は結晶の結合水である。
【0019】
ここで使用される「ニグロシン」という用語は、水溶性であるジアミノフェナジン化合物の群由来の青-黒アニオン性染料を指す。水溶性ニグロシンばかりではなく、アルコール溶解性または油解性であるニグロシンもある。本発明の文脈では、CAS番号8005-03-6を有する水溶性ニグロシンが好ましい。ニグロシンは、市販されている。ニグロシンは、ニトロベンゼン、アニリン、およびアニリン塩酸塩を、金属鉄および塩化鉄(III)とともに加熱することによって得ることができる。特に好ましいニグロシンは、実施例に詳細に記載する。
【0020】
「小麦粉」という用語は、小麦粒を挽くことで形成される粉末である。ここで使用される用語は、スペルト、エンマー、またはアインコーンの亜種を含めた、すべてのタイプの小麦の穀粉を包含する。小麦粉は、ケーキング特性、細末度、すなわち粒子サイズ、灰分、およびタンパク質含有量に応じて類型化される。小麦粉は、好ましくは、細挽き、中粗挽き、または粗挽きの小麦粉でありうる。本発明に従って使用される穀粉は、好ましくは、タイプ405小麦粉である。同様に使用されうる他のタイプは、タイプ550、812、1050、または1600である。特に好ましい小麦粉は、実施例に詳細に記載する。
【0021】
ここで使用される「全卵」という用語は、卵の成分(卵黄および卵白)を本質的に含む製造物を指す。より詳細には、この製造物は、卵由来のタンパク質、脂質、および炭水化物を包含するはずである。本発明に従って好ましくは、卵は鶏卵であるが、他の卵、詳細には家禽の卵、例えばウズラの卵またはダチョウの卵を使用することもできる。本発明によれば、全卵の成分は、同様に本質的に乾燥形態である。この目的のために、全卵を好適な方法によって乾燥させることができる。好適な方法としては、例えば、乾燥凍結法が挙げられる。本発明によれば、この用語は、全卵代替物、例えば、ベジタリアン全卵もしくはヴィーガン全卵、または全卵の成分を含む人工組成物も包含する。より好ましくは、本発明の文脈における全卵は、鶏卵粉末である。特に好ましい全卵は、実施例に詳細に記載する。
【0022】
本発明の組成物は、水または水性緩衝液などの水性溶媒に溶解させてもよい。この目的のために、組成物は、好適な量の水性溶媒に溶解させる。溶解操作は、ここでは、好適な処置、例えば自動または手動の撹拌によって補助することができる。次いで、溶解させた組成物は、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置の洗浄性能を評価するために、試験用汚れとして使用されうる。組成物に応じて、差し込み便器または尿瓶についての洗浄性能を評価することができる。好適な方法は、同様に、本明細書の他のところに記載する。
【0023】
本発明の組成物は、成分の既成混合物として提供されてもよい。この目的のために、組成物の成分同士を、好適な、本質的に乾燥形態で、例えば粉末として、好ましくは成分の均一混合物を生じるように、互いに混合することができる。次いで、これを好適な包装に提供することができる。ここでの包装は、組成物が濡れることを防止し、そのため、成分の不用な溶解の発生が防止されるはずである。あるいは、本発明の組成物の成分はまた、好適な包装で、例えばいわゆるキットとして、個々に提供されてもよい。この場合、組成物は、試験用汚れの生成前、または生成中の個々の成分から提供される。通常、成分はここでは所定の量で提供され、成分から組成物の提供には、成分の測定が必要ではなく、包装された乾燥状態の個々の成分を単純に混合することによって、または水性溶媒に直接溶解させることによって達成することができる。
【0024】
有利なことに、当然、本質的に乾燥した成分からなる本発明の組成物は、長期間にわたって保管することができる。現在使用されている試験用汚点は液体全卵を含み、したがって、水性組成物として限定された貯蔵寿命を有するに過ぎない。本発明の組成物では、加えて、組成物の成分が、規定の量の水性溶媒中で良好な可溶性を有するため、規格化された試験用汚れの提供が可能となる。したがって、液体全卵を使用する場合に起こりうる、溶解操作におけるばらつきまたは問題を、非常に大きく回避することができる。
【0025】
本発明の組成物は、好ましくは、分配単位の形態で提供されうる。本発明の文脈における「分配単位」は、好ましくは、特定の量の組成物を意味するものと理解されうる。より好ましくは、「分配単位」としては、加えられる250mlの体積の水性溶媒に対して要求される量の組成物が挙げられる。最も好ましくは、分配単位は、47.8g~62.2g、最も好ましくは55gの量の組成物を含有する。
【0026】
分配単位では、必要な量の試験用汚れを使用者が秤量する必要がないため、有利でありうる。したがって、試験用汚れの取り扱いおよび使用を、さらに単純化することができる。
【0027】
分配単位を、好適な方法で包装してもよい。特に好適な包装の形態は分配パック、または別の形態の包装、例えば、バッグ、サシェ、チューブ、カップ、カートンに分配された単位である。したがって、本発明の組成物は、詳細には分配単位、好ましくは分配パックの形態を取ってもよい。
【0028】
上述の好適な形態の包装は、グラフィックコードおよび/またはRFIDタグを含む識別情報、例えば、重ね刷り、タグ、ステッカーまたはラベルとともに提供されうる。グラフィックコードは、例えば、一次元バーコードまたは2次元QRコードであってもよい。このコードは、例えば、スマートフォンまたは別のモバイル端末で読み取られると、ウェブサイトなどのインターネットサイトに誘導してもよく、そこで試験用汚れの使用および試験の実行についての指示を、使用者に表示することができる。RFIDタグも、例えば、スマートフォンまたは別のモバイル端末で読み取られると、どのように試験用汚れを塗布するべきか、および/またはどのように試験を実施するかに関する指示を、使用者に与えることができる。これによって、試験用汚れの取り扱いおよび使用を、さらに単純化することができる。
【0029】
本発明の組成物の好ましい実施形態を、以降に記載する。
【0030】
ニグロシンおよび全卵は、好ましくは粉末形態である。より好ましくは、成分は、各場合において、加えられる250mlの体積の水性溶媒に対して、次の量:(a)ニグロシン0.8g~1.2g、好ましくは1.0g、(b)小麦粉30g~40g、好ましくは35g、および(c)全卵17g~21g、好ましくは19gで組成物中に存在する。したがって、組成物は、47.8g~62.2g、好ましくは55gの総質量を有する。したがって、好ましい実施形態では、ニグロシンの割合は約1.8質量%であり、小麦粉の割合は約63.6質量%であり、全卵の割合は約34.6質量%である。本発明による組成物は、任意の体積の水性溶媒について、相応に加工してもよく、ここでは小麦粉の定義における上記を参照されたい。
【0031】
組成物は、好ましくは、追加の成分として乾燥ジャガイモフレークを含む。通常、乾燥ジャガイモフレークは、加えられる250mlの体積の水性溶媒に対して、35g~45g、好ましくは40gの量で存在する。その場合、本発明のこの組成物は、82.8g~107.2g、好ましくは95gの総質量を有する。したがって、好ましい実施形態では、ニグロシンの割合は約1.0質量%であり、小麦粉の割合は約36.9質量%であり、全卵の割合は20質量%であり、乾燥ジャガイモフレークの割合は42.1質量%である。
【0032】
ここで使用される「乾燥ジャガイモフレーク」という用語は、本質的に乾燥ジャガイモ細胞から構成される凝結体を指す。乾燥ジャガイモフレークは市販されており、当技術分野において公知の加工によって生成される。通常、この目的のために、ジャガイモを茹でてスラリーに加工する。このスラリーをロールドライヤー上で乾燥させて薄層にして、所望のサイズのフレークに粉砕する。加工技術によって、異なる割合のジャガイモ細胞を破壊することができる。このようにして、でんぷん含有量を異なるように調整することもできる。特に好ましい乾燥ジャガイモフレークは、実施例に詳細に記載する。しかし、この用語はジャガイモ粉末も含む。
【0033】
本発明はまた、乾燥形態で次の成分:(a)ニグロシン、(b)小麦粉、および(c)全卵を含む、上記組成物を使用する方法であって、ヒト排泄物用の尿瓶を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成するための、使用する方法に関する。
【0034】
ここで、本発明の組成物を水性溶媒に溶解させることによって、試験用汚れをまず提供しなければならないことは明らかであろう。これは、本明細書に記載する方法によって達成することができる。試験用汚れは、好ましくは、組成物を水性媒体に溶解させることによって生成され、より好ましくは、ここでの水性溶媒は、水または水性緩衝液である。次いで、試験用汚れを使用して、洗浄装置の洗浄作用を評価する。この目的のために、試験用汚れを尿瓶に塗布する。これは、尿瓶の内表面および/または外表面に均一に、または点状に行うことができる。試験用汚れを塗布する方法は、当業者には公知である。
【0035】
ここで使用される「洗浄装置」という表現は、広い表現であるが、当業者が理解する通常の標準的な意味に属するべきである。この表現は、詳細な、または適合する意味に制限されない。この表現は、限定するものではないが、特に、洗浄する材料を汚染物質から解放するように設定された装置を指しうる。洗浄装置は、詳細には、洗浄する材料を収容するための少なくとも1個の洗浄チャンバと、洗浄する材料を少なくとも1種の洗浄流体、例えば少なくとも1種の洗浄液体および/または蒸気と接触させる接触装置とを含んでもよい。可能な洗浄装置の例として、上に引用した先行技術を参照してもよい。
【0036】
本発明の文脈における、可能な洗浄する材料としては、当業者が慣習上理解するすべての物品が挙げられる。この表現は、詳細な、または適合する意味に制限されない。この表現は、制限するものではないが、特に、例えば、病院またはケア部門において使用されうる、かつ例えば、少なくとも100mlの量、詳細には200mlまたはさらには500mlの量の、固体または液体排泄物を保持することができる容器に関しうる。より特定的には、これらの容器は、差し込み便器および/または尿瓶であってもよい。
【0037】
したがって、洗浄装置は詳細には、例えば、ISO規格シリーズ15883 Washer-disinfectors-Part 1:General requirements,terms and definitions and testsの範囲内のウォッシャーディスインフェクターとして構成してもよい。
【0038】
ここで使用される「試験用汚れ」という表現は、広い表現であるが、当業者が理解する通常の標準的な意味に属するべきである。本発明の文脈における試験用汚れは、本発明の組成物を、本明細書に記載する溶解形態で含む。試験用汚れは、試験供試体を濡らすのに好適である。加えて、評価する洗浄方法による、または評価する洗浄装置による試験供試体からの試験用汚れの除去が、検出可能である。試験用汚れは、詳細には、ヒトの目に見えるペースト状集合体として構成してもよい。
【0039】
ここで使用される「試験供試体」という表現は、広い表現であるが、当業者が理解する通常の標準的な意味に属するべきである。この表現は、詳細な、または適合する意味に制限されない。この用語は、制限するものではないが、特に、洗浄方法に供することができ、かつ洗浄の前に試験用汚れが塗布されうる、洗浄方法中に洗浄される少なくとも1個の表面を有する、装置または要素に関しうる。特に、試験供試体は、ヒト排泄物を保持するための容器、詳細には差し込み便器および/または尿瓶であってもよい。したがって、試験供試体は、詳細には、予備規格DIN ISO/TS 15883-5,Washer-disinfectors-Part 5:Test soils and methods for demonstrating cleaning efficacyの範囲内の試験供試体であってもよい。
【0040】
本発明はさらに、乾燥形態で次の成分:(a)ニグロシン、(b)小麦粉、および(c)全卵、ならびに追加の成分として乾燥ジャガイモフレークを含む、上記組成物を使用する方法であって、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成するための、使用する方法に関する。
【0041】
本発明はまた、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成する方法であって、本発明の組成物を水性媒体に溶解させる工程を含む、方法に関する。
【0042】
水性媒体は、好ましくは、水または水性緩衝液である。本発明の組成物を、水性媒体に導入し、溶解させる。溶解操作は、ここでは、物理的方法によって補助してもよい。この目的のために、本発明の組成物の成分の溶解は、手動または自動の撹拌によって実施することができる。本発明の文脈における溶解操作に好適な、手動撹拌と自動撹拌装置との両方が、当業者に公知である。溶解は、溶解中に溶液を加熱することによって、または加熱された水性媒体を溶媒として使用することによって、加えて促進することができる。通常、ここでの溶液または溶媒は、20℃~40℃の範囲内、好ましくは35℃未満、より好ましくは25℃、28℃、30℃、または35℃の温度に加熱する。
【0043】
本発明はさらに、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価するための試験用汚れであって、本発明の組成物の成分を、水性媒体、好ましくは水中に含む、または本発明の方法によって得られる、試験用汚れに関する。
【0044】
本発明は、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価するための、本発明の試験用汚れを使用する方法に関する。
【0045】
試験用汚れは、本発明の組成物の成分、(a)ニグロシン、(b)小麦粉、および(c)全卵を、水性媒体、好ましくは水中に含みうる。この試験用汚れによって、尿瓶を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用が、好ましく評価される。
【0046】
試験用汚れは、本発明の組成物の成分、(a)ニグロシン、(b)小麦粉、および(c)全卵、ならびに追加で乾燥ジャガイモフレークを、水性媒体、好ましくは水中に含みうる。この試験用汚れによって、差し込み便器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用が、好ましく評価される。
【0047】
本発明はまた、最後に、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価する方法であって、
(a)上記本発明の方法によって試験用汚れを生成する工程、
(b)工程(a)において生成した試験用汚れを、ヒト排泄物用の容器、詳細には差し込み便器または尿瓶に塗布する工程、
(c)工程(c)からの容器を、評価する洗浄装置によって洗浄する工程、および
(d)存在する、または除去された試験用汚れの量によって、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価する工程
を含む、方法に関する。
【0048】
洗浄装置の洗浄作用を評価するための本発明の方法は、好ましくは、ここでは、ヒト排泄物に対する、差し込み便器および/または尿瓶についての洗浄作用を評価するために使用されうる。排泄物のタイプ、または洗浄するアイテムのタイプ(差し込み便器もしくは尿瓶)次第で、それに応じて、本発明の好適な組成物を選択することができる。尿瓶用には、乾燥ジャガイモフレークを含まない組成物、差し込み便器用には、乾燥ジャガイモフレークを含む組成物を使用することが好ましい。
【0049】
まず、それに応じて選んだ本発明の組成物を使用して、本明細書に記載するように水性媒体に組成物を溶解させることによって、試験用汚れを生成する。
【0050】
この試験用汚れを、それぞれの試験供試体に塗布して、乾燥させて付ける。ここで、塗布は、1つまたは複数の内表面および/または外表面に均一に、または点状に行うことができる。試験用汚れは、好ましくは約5~10分、より好ましくは5~7分乾燥させて付ける。この状態において、試験用汚れは好ましくは、試験供試体の表面と、強固な結合であるが、洗浄操作によって戻せる結合を結ぶ。
【0051】
このようにして生成した試験供試体を、評価する洗浄装置において、好適な洗浄プログラムを用いて洗浄する。
【0052】
次いで、洗浄した試験供試体を、使用した洗浄装置または洗浄プログラムの洗浄性能に関して評価する。この目的のために、好ましくは、試験供試体上に存在する、または除去された試験用汚れの量を決定し、参照と比較する。使用する参照は、試験用汚れのない試験供試体、または試験用汚れを有する未洗浄試験供試体でありうる。あるいは、参照はまた、試験供試体について定義される状態であってもよい。ここでの比較は、試験用汚れの存在または非存在の指標である測定パラメータの検査によって、または比較、好ましくは自動的な比較によってなされうる。ここでの好適なパラメータは、画像データまたは光学測定の評価からのパラメータでありうる。適当な方法は、当業者に周知である。
【0053】
除去された試験用汚れの量を使用して、洗浄性能を評価することができる。除去された量は、ここでは、洗浄性能についての評価指標としての役割を果たすことができ、除去された試験用汚れが多量であると、良好な洗浄性能の指標であり、除去された試験用汚れが少量であると、不良な洗浄性能の指標である。この目的のために、除去された試験用汚れの量に応じて、洗浄性能を様々なカテゴリに分類する、採点システムを使用することができる。
【0054】
さらに可能な構成を限定するものではないが、要約して、次の実施形態を特に記載する。
【0055】
実施形態1:乾燥形態で次の成分:(a)ニグロシン、(b)小麦粉、および(c)全卵を含む、組成物。
【0056】
実施形態2:ニグロシンおよび全卵が粉末形態である、実施形態1に記載の組成物。
【0057】
実施形態3:成分が、各場合において、加えられる250mlの体積の水性溶媒に対して、次の量:(a)ニグロシン0.8g~1.2g、好ましくは1.0g、(b)小麦粉30g~40g、好ましくは35g、および(c)全卵17g~21g、好ましくは19gで組成物中に存在する、実施形態1または2に記載の組成物。
【0058】
実施形態4:追加の成分として乾燥ジャガイモフレークを含む、実施形態1から3のいずれかに記載の組成物。
【0059】
実施形態5:乾燥ジャガイモフレークが、加えられる250mlの体積の水性溶媒に対して、35g~45g、好ましくは40gの量で存在する、実施形態4に記載の組成物。
【0060】
実施形態6:分配単位、好ましくは分配パック、または別の形態の包装、例えば、バッグ、サシェ、チューブ、カップ、カートンに分配された単位の形態を取る、実施形態1から5のいずれかに記載の組成物。
【0061】
実施形態7:包装が、グラフィックコードおよび/またはRFIDタグを含むラベルとともに提供される、実施形態6に記載の組成物。
【0062】
実施形態8:ヒト排泄物用の尿瓶を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成するための、実施形態1から3のいずれかに記載の組成物を使用する方法。
【0063】
実施形態9:ヒト排泄物用の差し込み便器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成するための、実施形態4または5に記載の組成物を使用する方法。
【0064】
実施形態10:試験用汚れが、組成物を水性媒体に溶解させることによって生成する、実施形態8または9に記載の使用する方法。
【0065】
実施形態11:ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価するための試験用汚れを生成する方法であって、実施形態1から5のいずれかに記載の組成物を水性媒体に溶解させる工程を含む、方法。
【0066】
実施形態12:水性媒体が、水または水性緩衝液を含む、実施形態11に記載の方法。
【0067】
実施形態13:ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価するための試験用汚れであって、実施形態1から5のいずれかに記載の組成物の成分を、水性媒体、好ましくは水中に含む、または実施形態11もしくは12に記載の方法によって得られる、試験用汚れ。
【0068】
実施形態14:ヒト排泄物用の尿瓶または差し込み便器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価するための、実施形態13に記載の試験用汚れを使用する方法。
【0069】
実施形態15:試験用汚れが、実施形態1から3のいずれかに記載の組成物の成分を、水性媒体、好ましくは水中に含み、ヒト排泄物用の尿瓶を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価する、実施形態14に記載の使用する方法。
【0070】
実施形態16:試験用汚れが、実施形態4または5に記載の組成物の成分を、水性媒体、好ましくは水中に含み、ヒト排泄物用の差し込み便器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価する、実施形態14に記載の使用する方法。
【0071】
実施形態17:ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置、詳細にはウォッシャーディスインフェクターの洗浄作用を評価する方法であって、
(a)実施形態11または12に記載の方法によって試験用汚れを生成する工程、
(b)工程(a)において生成した試験用汚れを、ヒト排泄物用の容器、詳細には差し込み便器または尿瓶に塗布する工程、
(c)工程(c)からの容器を、評価する洗浄装置によって洗浄する工程、および
(d)存在する、または除去された試験用汚れの量によって、ヒト排泄物用の容器を洗浄するための洗浄装置の洗浄作用を評価する工程
を含む、方法。
【実施例】
【0072】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図している。これらは決して、保護の範囲を制限するものではない。
【0073】
[実施例1]
差し込み便器のための試験用汚れ
差し込み便器のための試験用汚れ:1.0gのニグロシン粉末(C.I.50420、水溶性、顕微鏡用)、35gのタイプ405小麦粉、40gの乾燥ジャガイモフレーク(ジャガイモピューレ)、19gの乾燥全卵粉末(噴霧乾燥):よく混合し、これを約12カ月間、気密包装中で保管し、使用することができる。使用する前に、混合物をポットに加え、250mlのぬるい水とともに、卵撹拌器を用いて2~3分撹拌する。集合体の粘稠度を試験するために、まず卵撹拌器のループを集合体に十分に浸漬させ、次いで、集合体の外に引き戻す。混合物が適度な粘稠度を有している場合、卵撹拌器のループを徐々に流れ落ち、5~10秒後、卵撹拌器に残る混合物の塊は、40~50mmの直径を有する。1~2個の差し込み便器または室内便器用の汚れとして十分である。指示される通りに、集合体を差し込み便器または室内便器に塗布する。塗布後、集合体を5~7分乾燥させて付ける。この製造された集合体は、3~4時間以内に使用すべきである。
【0074】
[実施例2]
尿瓶のための試験用汚れ
尿瓶のための試験用汚れ:1.0gのニグロシン粉末(C.I.50420、水溶性、顕微鏡用)、35gのタイプ405小麦粉、19gの乾燥全卵粉末(噴霧乾燥):よく混合し、これを約12カ月間、気密包装中で保管し、使用することができる。使用する前に、混合物をポットに加え、250mlのぬるい水とともに、卵撹拌器を用いて2~3分撹拌する。指示される通りに、集合体を尿瓶内/上に塗布する。塗布後、集合体を5~7分乾燥させて付ける。この製造された集合体は、3~4時間以内に使用すべきである。
【0075】
[実施例3]
洗浄作用の試験
実施例1および2に記載した通りに試験用汚れを生成し、差し込み便器または尿瓶に塗布し、乾燥させて付ける。試験供試体をこのように製造し、洗浄装置において好適な方法で、洗浄および消毒方法に供する。試験供試体上に残った試験用汚れを使用すると(前後比較)、洗浄性能を評価することができる。
【0076】
[実施例4]
Kollerによる差し込み便器を用いた試験用汚れの比較
洗浄および消毒の試験のためのKMNE保護のための調合(Koller):
1.ニグロシン溶液:6gのニグロシン粉末を、276mlの手を入れられる程度の熱さの水に入れて撹拌する。
2.穀粉ペースト:53gの粗挽き小麦粉を、369mlの冷水に入れて撹拌し、約3分沸騰させる。
3.溶液とペーストとをよく混合し、室温(約35°)に冷却する。
4.3個の泡立てた新鮮な卵を集合体に入れて混合し、次いで、100gのジャガイモ練粉フレークに少しずつ入れて撹拌する。
【0077】
便代替物としての最終的な粘稠度:卵撹拌器を浸漬させた場合(7cmの深さ~)、直径4~5cmの塊が、5~10秒、ぶら下がったままになるべきである。
【0078】
この集合体を、実施例1に記載した通りに生成した集合体と比較した。結果を
図1に示す。試験のための適合性の特性に関して、有意差はない。
【国際調査報告】