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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】グレージングセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01H 11/08 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
G01H11/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501363
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2020070089
(87)【国際公開番号】W WO2021013673
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】19187269.6
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】コリニョン, マクシム
(72)【発明者】
【氏名】イセレンタント, アルノー
(72)【発明者】
【氏名】アヨウブ, パトリック
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA14
2G064AB02
2G064BA02
2G064BA08
2G064BD18
2G064CC02
(57)【要約】
自動車グレージングの振動を検出するためのグレージングセンサ(100)。グレージングセンサ(100)は、少なくとも1つの振動センサ(110)と通信モジュール(120)とを含む。振動センサ(110)は、振動を電気信号に変換しそして電気信号の特徴情報を含む信号を送信するように適合化されている。グレージングセンサ(100)は、加速度センサ(130)をさらに含む。グレージングセンサ(100)は、加速が所定期間中に検出されないと自身をスリープモードに置くように、そして加速が検出されると自身を能動モードに置くように適合化されており、スリープモードではグレージングセンサの機能性は能動モードにおける機能性と比較して低減される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの振動センサ(110)と通信モジュール(120)とを含む、自動車グレージングの振動を検出するためのグレージングセンサ(100)であって、
前記振動センサ(110)は前記ガラスの振動を電気信号へ変換するように適合化されており、
前記通信モジュール(120)は、前記電気信号の特徴情報を含む信号を送信するように適合化されており、
前記グレージングセンサ(100)は、加速度センサ(130)をさらに含み、
前記グレージングセンサ(100)は、加速が所定期間中に検出されないと自身をスリープモードに置くように、そして加速が検出されると自身を能動モードに置くように適合化されており、
スリープモードでは、前記グレージングセンサの機能性が能動モードにおける機能性と比較して低減される、グレージングセンサ(100)。
【請求項2】
前記グレージングセンサ(100)は、前記加速度センサ(130)を一定間隔で読み出すように、そして加速が所定数の間隔中に検出されなければ前記グレージングセンサ(100)をスリープモードに置くよう適合化されている、請求項1に記載のグレージングセンサ(100)。
【請求項3】
前記グレージングセンサ(100)は、加速を検出するための割り込みを前記加速度センサから受信するように適合化されている、請求項1~2のいずれか一項に記載のグレージングセンサ(100)。
【請求項4】
前記グレージングセンサ(100)は、前記グレージングセンサの少なくとも1つの電子部品の電力消費量を管理するように適合化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のグレージングセンサ(100)。
【請求項5】
前記振動センサ(110)は、圧電センサである、請求項1~4のいずれか一項に記載のグレージングセンサ(100)。
【請求項6】
前記グレージングセンサ(100)は、前記振動センサ(110)からの前記電気信号をデジタル信号に変換するためのアナログデジタル変換器(140)をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のグレージングセンサ(100)。
【請求項7】
前記グレージングセンサ(100)は、処理された信号を前記通信モジュールにより送信する前に前記デジタル信号を処理するように適合化された処理モジュール(150)を含む、請求項6に記載のグレージングセンサ(100)。
【請求項8】
前記処理モジュール(150)は、所定署名と前記デジタル信号とを比較するように適合化されているか、又は前記処理モジュールは、前記電気信号の特徴情報を取得するための機械学習モデルを使用することができる、請求項7に記載のグレージングセンサ(100)。
【請求項9】
前記グレージングセンサ(100)は、少なくとも2つの振動センサ(110)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のグレージングセンサ(100)。
【請求項10】
前記通信モジュール(120)は、前記電気信号の前記特徴情報を含む信号を無線で送信するように適合化されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のグレージングセンサ(100)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のグレージングセンサ(100)とゲートウェイ(210)とを含むグレージングパッケージ(200)であって、前記ゲートウェイ(210)は、前記通信モジュール(120)からの前記電気信号の特徴情報を受信するように、そして前記受信された特徴情報を中継するように適合化されている、グレージングパッケージ(200)。
【請求項12】
請求項11に記載のグレージングパッケージ(200)とコンピュータ装置(310)とを含むグレージングシステム(300)であって、前記コンピュータ装置(310)は、前記電気信号の前記中継された特徴情報を受信し、そして前記電気信号の前記受信された特徴情報を記憶及び処理するように適合化されている、グレージングシステム(300)。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのグレージングセンサ(100)を含む自動車グレージング(500)であって、前記少なくとも1つのグレージングセンサ(100)は、前記自動車グレージング(500)の境界に取り付けられている、自動車グレージング(500)。
【請求項14】
前記自動車グレージング(500)は、車両内に取り付けられ、少なくとも1つのグレージングセンサ(100)が前記車両の内部の前記グレージング上に取り付けられている、請求項13に記載の自動車グレージング(500)。
【請求項15】
前記自動車グレージング(500)は、車両内に取り付けられ、少なくとも1つのグレージングセンサが前記車両のフードの下の前記車両の外側の前記グレージング上に取り付けられている、請求項13に記載の自動車グレージング(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレージング(glazing)センサの分野に関する。具体的には、本発明は、車両のグレージング上の振動(グレージングへの衝撃などグレージングに影響を与える外的事象により引き起こされる)を検出するように適合化されるグレージングセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、グレージングへの衝撃などグレージングに影響を与える外的事象の影響を推定することができるグレージングセンサ(例えば国際公開第2019101884号パンフレットを参照)の必要性がある。このような衝撃は、修理可能なグレージングの欠陥を生じることがある又はグレージングの交換を必要とするグレージングの欠陥を生じることがある。
【0003】
いずれの場合も、グレージングの保守に責任がある人は、衝撃の結果について承知しており、そしてどの方策がとられるべきかをそれから導出することができるということが重要である。したがって、衝撃後のグレージングを修理するためにどの方策がとられるべきかを判断することを可能にする衝撃の特徴情報を伝達することができるセンサの必要性がある。この情報は自動化されたやり方で好適に伝達される。
【0004】
グレージングセンサは好適には、電力の観点で自律的である。グレージングセンサは好適には、センサを給電するための車両からの配線を必要としない。有利には、センサは、車両タイプと無関係に容易に設置されることができ、そして破壊されたグレージングから新しいグレージングへ容易に移動されることができる。したがって、長寿命を達成するためにはグレージングセンサの電力消費量は好適には小さくあるべきである。
【0005】
したがって、ガラス振動を検出するためのグレージングセンサ(低減された電力消費量を有する)の必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態の目的は、自動車グレージングの振動を検出するための良好なグレージングセンサを提供することと、このようなグレージングセンサを含む自動車グレージングを提供することである。グレージングセンサの電力消費量が制御されることが本発明の実施形態の利点である。
【0007】
上記目的は、本発明による方法及び装置により達成される。
【0008】
第1の態様では、本発明の実施形態は、自動車グレージングの振動を検出するためのグレージングセンサに関する。グレージングセンサは少なくとも1つの振動センサと通信モジュールとを含む。振動センサは、ガラスの振動を電気信号へ変換するように適合化されており、通信モジュールは、電気信号の特徴情報を含む信号を送信するように適合化されている。グレージングセンサはさらに、加速度センサを含む。グレージングセンサは、加速が所定期間中に検出されないと自身をスリープモードに置くように、そして加速が検出されると自身を能動モードに置くように適合化されており、スリープモードでは、グレージングセンサの機能性は、能動モードにおける機能性と比較して低減される。
【0009】
ガラス振動が本発明の実施形態によるグレージングセンサを使用することにより測定されることができるということは有利である。振動センサは、ガラス振動の測度である電気信号を生成する。電気信号の特徴情報は、通信モジュールにより送信される。この取得された特徴情報は、電気信号自体、又は濾過された電気信号及び/又はデジタル化電気信号、及び/又は処理された電気信号であることができる。電気信号のこの特徴情報は、外的事象がグレージングに及ぼした影響を判断することを可能にする。この外的事象は、例えばグレージング上の物体の衝撃又は装着されたグレージングワイパの摩擦であることができる。電気信号のこの特徴情報に基づき、例えば破損状況/非破損状況を判断することが可能かもしれない。
【0010】
スリープモードでは、グレージングセンサの機能性は能動モードにおける機能性と比較して低減されるということが本発明の実施形態の利点である。これは、能動モードにおけるグレージングセンサの電力消費量と比較してスリープモードにおけるグレージングセンサの低減された電力消費量を生じることになる。本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは、スリープモードでは信号が送信されないように適合化されることができる。
【0011】
車両が一定速度で移動していても車両の方向の変化、又は不均一支持範囲(これは例えば車、トラック又はバスの道路面、列車のレール面であることができる)に起因する加速がグレージングセンサの加速を生じることになるということが本発明から分かる。したがって、車両が移動しているかどうかを加速度センサの信号から判断することが可能である。車両が移動していなければ、グレージングセンサの電力消費量はその機能性の少なくとも一部が必要とされないので低減されることができる。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは、加速度センサを一定間隔で読み出すように、そして加速が所定数の間隔中に検出されなければグレージングセンサをスリープモードに置くように、適合化される。
【0013】
加速度センサは定期的間隔においてだけ照査されるということが本発明の実施形態の利点である。したがって、電力消費量はさらに低減されることができる。これにより規則的間隔×所定数のタイムスタンプが所定期間に対応する。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは、加速を検出するための割り込みを加速度センサから受信するように適合化される。
【0015】
自身を能動モードにするための割り込みが生成されるということが本発明の実施形態の利点である。したがって、割り込まれた後に能動モードに在るグレージングセンサであって割り込みが所定期間中に生成されなければスリープモードに在るグレージングセンサが取得されることができる。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサはグレージングセンサの少なくとも1つの電子部品の電力消費量を管理するように適合化される。
【0017】
グレージングセンサは、例えば通信モジュール及び/又は振動センサの電力消費量を制御するように適合化されることができる。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサの電力消費量は、例えばセンサの一部をスイッチオフにすることにより制御される。例えば、通信モジュール及び/又は振動センサは部分的に又は完全にスイッチオフされることができる。この機能性は、車両が移動していない場合には必要とされず、したがってスイッチオフされることができるか又はその機能性が低減されることができ、低減された電力消費量を生じる。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、振動センサは、圧電センサである。
【0020】
受動振動センサを使用するということが本発明の実施形態の利点である。なぜなら、受動振動センサは、機械的振動を電気信号へ変換するための簡単なやり方を提供するからである。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは、振動センサからの電気信号をデジタル信号に変換するためのアナログデジタル変換器を含むことができる。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサはさらに、処理された信号を通信モジュールにより送信する前にデジタル信号を処理するように適合化される処理モジュールを含む。
【0023】
処理モジュールは、例えばマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイであることができる。
【0024】
グレージングセンサの処理モジュールによるデジタル信号の前処理のためにより少ないデータしか送信される必要がないので、通信モジュールの帯域が低減されることができるということが本発明の実施形態の利点である。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは、処理モジュールを低減電力モードに切り替えることにより低減電力モードに置かれることができる。これは、低減電力モードに置かれる1つ又は複数のモジュールのうちの1つモジュールであることができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、処理モジュールは、所定署名とデジタル信号とを比較するように適合化されるか、又は処理モジュールは、電気信号の特徴情報を取得するための機械学習モデルを使用することができる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、機械学習モデルは、機械学習アルゴリズムを使用することにより取得されることができる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、処理モジュールは、解析アルゴリズムを使用することにより特徴情報を判断するように適合化される。デジタル信号は、所定署名と比較されることができる。これは、例えば外的事象の重大度を判断するための閾値であることができる。別の署名は、例えば破壊ガラスにより誘起されるデジタル信号の形であることができる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは、少なくとも2つの振動センサを含むことができる。
【0030】
2つの電気信号(振動センサ毎に1つ)が取得されるということが本発明の実施形態の利点である。したがって冗長電気信号が取得されることができる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、振動センサは、様々な場所に配置されることができる。グレージング上の外的事象の位置を推定することが可能であるということがこれらの実施形態の利点である。これは、グレージングセンサが様々な場所において少なくとも2つの振動センサを含むことによって可能にされる。なぜなら、両センサ間の信号の差が外的事象の位置の指示であるからである。本発明のいくつかの実施形態では、2つの振動センサからの2つの信号の1つは、冗長性を提供することができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、通信モジュールは、電気信号の特徴情報を含む信号を無線で送信するように適合化される。
【0033】
グレージングセンサは配線を必要としないスタンドアロンセンサであるということが本発明の実施形態の利点である。
【0034】
第2の態様では、本発明の実施形態は、本発明の実施形態によるグレージングセンサを含むグレージングパッケージに関する。グレージングパッケージはさらに、通信モジュールからの電気信号の特徴情報を受信しそして受信された特徴情報を中継するように適合化されたゲートウェイを含む。
【0035】
第3の態様では、本発明の実施形態は、本発明の実施形態によるグレージングパッケージを含むグレージングシステムに関する。グレージングパッケージはさらに、電気信号の中継された特徴情報を受信しそして電気信号の受信された特徴情報を記憶及び処理するように適合化されたコンピュータ装置を含む。
【0036】
第4の態様では。本発明のいくつかの実施形態は、本発明の実施形態によるグレージングと少なくとも1つのグレージングセンサとを含む自動車グレージングに関する。少なくとも1つのグレージングセンサは、自動車グレージングの境界に取り付けられる。
【0037】
グレージングセンサは自動車グレージングの境界に取り付けられるということが本発明の実施形態の利点である。これは、グレージングセンサが運転手の視野外にあるということを意味する。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、自動車グレージングは、車両内に取り付けられ、少なくとも1つのグレージングセンサが車両の内部のグレージング上に取り付けられる。
【0039】
グレージングセンサは、雨及び風に対して保護されるということが本発明の実施形態の利点である。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、自動車グレージングは、車両内に取り付けられ、そして少なくとも1つのグレージングセンサが車両のフードの下の車両の外側のグレージング上に取り付けられる。
【0041】
グレージングセンサは、グレージングの外側に対して依然として取り付けられる一方で雨及び風の直接的影響に対して保護されるということが本発明の実施形態の利点である。グレージングの外側に取り付けられることは、外側センサにより感知される振動が、内部センサにより感知される振動より少なく減衰されるという特別の利点を有する。
【0042】
本発明の特定及び好適な形態は添付独立請求項及び従属請求項に記載される。従属請求項からの特徴は、特許請求の範囲において明示的に記載されるだけでなく、独立請求項の特徴と必要に応じて他の従属請求項の特徴と組み合わせられることができる。
【0043】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明される実施形態(群)から明らかになりそしてそれらを参照して解明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の実施形態によるグレージングセンサの基本ビルディングブロックを概略的に示す。
図2】本発明の実施形態によるグレージングパッケージ及びグレージングシステムの概略図を概略的に示す。
図3図1と比較して追加ビルディングブロックを含む本発明の実施形態によるグレージングセンサを概略的に示す。
図4】本発明の実施形態によるグレージングセンサの概略図を示す。
図5】本発明の実施形態によるグレージングセンサの底面図の概略図を示す。
図6】本発明の実施形態による自動車グレージングの様々な構成を示す。
【0045】
特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も特許請求の範囲を制限するものと解釈されないものとする。様々な図では、同じ参照符号は同じ又は類似要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は特定実施形態に関してそしていくつかの図面を参照して説明されることになるが本発明はそれらに制限されるのではなく、特許請求の範囲だけにより制限される。説明される添付図面は単に例示的であり、非限定的である。添付図面では、要素のうちのいくつかの要素の寸法は例示目的のために誇張されることがあり、原寸に比例して描かれないことがある。寸法及び相対的寸法は本発明を実行するための寸法の実際の低減に対応しない。
【0047】
さらに、本明細書内及び特許請求の範囲内の用語「上」、「下」などは、説明目的のために使用されるのであって、相対位置を必ずしも説明するために使用されるのではない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であるということ、そして本明細書に記載の本発明の実施形態が例えば本明細書において説明される又は示されるもの以外の配向で動作可能であるということを理解すべきである。
【0048】
特許請求の範囲において使用される用語「含む」は、その後に列挙される手段に限定されると解釈されるべきでないということに留意すべきである:すなわち、用語「含む」は他の要素又は工程を除外しない。したがって、これらの用語は、明示される特徴、整数、工程、又は参照される部品の有無を規定するものと解釈されるべきであるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、工程、又は部品、又はこれらのグループの存在又は追加を排除しない。したがって、表現「部品A及びBを含む装置」の範囲は部品A及びBだけからなる装置に限定されるべきでない。このことは、本発明に関して装置の唯一の重要な部品はA及びBであるということを意味する。
【0049】
本明細書全体にわたる「一実施形態」又は「実施形態」への参照は、当該実施形態に関連して説明される特定の機能、構造、又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所における語句「一実施形態では」又は「実施形態では」の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照するとは限らないが同じ実施形態を参照することができる。さらに、特定の機能、構造又は特徴は、1つ又は複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかになるだろう任意の好適なやり方で組み合わせられることができる。
【0050】
同様に、本発明の例示的実施形態の説明では、本発明の様々な特徴は本開示を合理化するという目的及び様々な独創的態様のうちの1つ又は複数の理解を支援するという目的のためにその単一実施形態、図、又はその説明内で時々一緒にグループ化されるということを理解すべきである。しかし、本開示の方法は、特許請求の範囲に記載される発明が各請求項に明確に列挙されているものより多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されてはならない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明態様は、単一の前述の開示された態様のすべての特徴よりも少ない特徴に在る。したがって、[発明を実施するための形態]に続く特許請求の範囲は、本明細書では[発明を実施するための形態]へ明示的に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の実施形態として自立している。
【0051】
さらに、本明細書に記載のいくつかの実施形態は他の実施形態に含まれる特徴のいくつかを含むが他の特徴は含まない一方で、様々な実施形態の特徴の組合せは、当業者により理解されるように、本発明の範囲に入りそして様々な実施形態を形成するように意図されている。例えば、以下の特許請求の範囲では、請求される実施形態の任意のものが任意の組合せで使用されることができる。
【0052】
本明細書において提供される説明では多くの特定の詳細について述べる。しかし、本発明の実施形態はこれらの特定の詳細無しに実行されることができるということが理解される。別の事例では、周知の方法、構造、及び技術は、本明細書の理解を不明瞭にしないために、詳細には示されなかった。
【0053】
第1の態様では、本発明のいくつかの実施形態は自動車グレージングの振動を検出するためのグレージングセンサ100に関する。これは例えばフロントガラスセンサであることができる。グレージングセンサ100は少なくとも1つの振動センサ110と通信モジュール120とを含む。
【0054】
振動センサ110はガラスの振動を電気信号へ変換するように適合化され、通信モジュール120は電気信号の特徴情報を含む信号を送信するように適合化される。電気信号の特徴情報は、例えば電気信号自体、デジタル化された電気信号、デジタル又はアナログ領域における濾過された電気信号、増幅された電気信号、デジタル化された電気信号の高速フーリエ変換(FFT)、その結果が例えばガラスの破壊/非破壊を指示する解析された電気信号であることができる。グレージングセンサは、電気信号の特徴情報を送信する前に電気信号の特徴情報を取得する工程を実行するように適合化されることができる。したがって、グレージングセンサは例えば処理ユニットを含むことができる。
【0055】
グレージングセンサ100はさらに加速度センサ130を含む。様々なタイプの加速度センサが使用されることができる。加速度センサは例えば1、2、又は3方向に測定するように適合化される。本発明のいくつかの実施形態では、ジャイロスコープが加速度センサとして使用されることができる。このようなジャイロスコープは例えば角速度を測定することにより回転加速を測定することを可能にすることができる。
【0056】
グレージングセンサ100は、加速が所定期間中に検出されないと自身をスリープモードに置くように、そして加速が検出されると自身を能動モードに置くように適合化される。スリープモードでは、グレージングセンサの機能性は能動モードにおける機能性と比較して低減され、逆も同様である。これは、能動モードにおける電力消費量と比較してスリープモードにおけるグレージングセンサ100の低減された電力消費量を、そしてスリープモードにおける電力消費量と比較して能動モードにおける増加された電力消費量をもたらす。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは複数の期間中に加速が検出されなければスリープモードに置かれることができる。グレージングシステムは、加速度センサ130を一定間隔で読み出すように、そして加速が所定数の間隔中に検出されなければグレージングセンサをスリープモードに置くよう適合化されることができる。いくつかの実施形態では、加速を検出すると割り込みが生成されることができる。割り込みが所定期間中に受信されない場合、グレージングセンサはスリープモードに置かれる。割り込み又は一連の割り込みを受信すると、グレージングセンサは能動モードに置かれる。
【0058】
本発明の実施態様によると、加速度センサを読み出す方法による加速の検出と加速度センサからの割り込みによる加速の検出とは組み合わせられることができる。
【0059】
様々な部品の電力消費量がグレージングセンサにより管理されることができる。例えば、通信モジュールの電力消費量はグレージングセンサにより管理されることができる。通信モジュールは他の装置と通信するための無線技術として例えばBluetooth Low Energy(BLE)を使用することができる。
【0060】
通信モジュールは、例えばセルラネットワークを使用することにより、グレージングセンサがサーバ/クラウドインフラストラクチャと直接通信することを可能にすることができる。上述のように、通信モジュールはBluetooth Low Energyなどの短距離通信技術を使用することができる。この場合、グレージングセンサはそのメッセージをサーバ/クラウドインフラストラクチャへ中継するために別の装置を必要とする。この追加装置はこの文書を通してゲートウェイ210と呼ばれる。この追加装置は、一方ではグレージングセンサとの短距離通信(例えばBLEを介した)そして他方ではサーバ/クラウドインフラストラクチャとの長距離通信(例えばセルラ通信を介した)を可能にする1つ又は複数の通信モジュールを特徴とする。
【0061】
ゲートウェイ210は車両により給電されることができる(車の場合、このような装置はシガーライタアダプタ上のオンボード診断(OBD:on-board diagnostics)ポート又はUSBポートへ接続されることができる)。ゲートウェイは車両がオフにされると給電されない可能性が最も高くなる(これらのポートは通常、車両がオンにされる場合だけ給電される)。これは、車がオンにされなければグレージングセンサ100はゲートウェイと通信することができないということを意味する。好適な実施形態では、グレージングセンサ100は電源の観点で自律的であり、そして無線技術を使用することにより通信する。したがって、グレージングセンサ100は車両がオン又はオフされるかを検出することができない。しかし、加速度センサ130を介し、グレージングセンサ100は、車が移動しているかどうかを検出し、そしてこの情報を車がオンにされるというヒントとゲートウェイが給電されることができるというヒントとして使用する可能性がある。
【0062】
ゲートウェイ210はまた、運転手のスマートフォン上のアプリケーションを介し実装されることができる。運転手が車内に存在しなければ、グレージングセンサ100はゲートウェイと通信することができない。再び、グレージングセンサ100は、運転手が存在するかどうかを直接検出することができない。しかし、グレージングセンサ100は、車が移動しているということと、運転手が確実に存在しているということと、ゲートウェイが通信のために利用可能であるということとを検出するために加速度センサ130からの情報に再び依存することができる。
【0063】
上述のことから、単純な規則として、グレージングセンサ100は車両が移動していない場合にその通信モジュール(例えばBLE advertisement)を無効にすることができるか、又はグレージングセンサ100はオフすることができるか、又はその通信モジュール(例えばBluetoothモジュール)をスリープモード又は低電力モードに置くことができるということが推論されることができる。
【0064】
通信モジュールはエネルギーを消費する。したがって特にゲートウェイ210が存在しない又は給電されないかのいずれかの理由のためにゲートウェイ210が周囲における通信のために利用可能ではないという可能性が高い場合にそのエネルギー消費を可能な限り制限することが重要である。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは、グレージングセンサが配置されている車両が移動しているということを判断することを可能にする加速度計を備える。これにより「車が移動しているとオンにされ、そしてゲートウェイ装置210は通信モジュールからの信号を受信するためにすぐそばに在る」ということが想定される。したがって、この情報は、通信すべきゲートウェイ装置の潜在的可用性に関するヒントとしてグレージングセンサにより使用される。加速度計が移動を検出すると、グレージングセンサは、この移動は車両がオンにされることから発生するということを想定して、能動モードに設定される。これにより、本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサはゲートウェイが通信のために利用可能かもしれないと想定する。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは、グレージングに影響を与える外的事象の場合、ゲートウェイが通信のために存在し且つ利用可能であるということを想定すれば、通信のためにその通信モジュールを有効にすることになる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサ100は加速度センサ130の出力を検証することにより車が移動し続けるかどうかを定期的に照査することができる。本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは、加速が連続で数回検出されなかった後、グレージングセンサは車両がもはや移動していないと想定し、そしてグレージングセンサがスリープモードに置かれるように、適応化されることができる。スリープモードでは、グレージングセンサの機能性の少なくともいくつかは低減される。これは例えば、グレージングセンサがスリープモードに在るときにグレージングに影響を与える外的事象の場合に通信モジュールを有効にしないことにより実現されることができる。これにより、通信モジュールを不必要にオンにすることが回避される。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサはグレージングセンサの少なくとも1つの電子部品の電力消費量を管理するように適合化される。加速度センサ130は、グレージングセンサ100が概してその電力を管理するためにその通信モジュールの寿命サイクルをインテリジェントに管理することを可能にする。この振る舞いは1つの通信モジュールに限定されない。この振る舞いは、追加の通信モジュールが存在すれば他の通信モジュールへ拡張されることができる。いくつかの実施形態では、この振る舞いはまた、例えばその定期的ウエィクアップの頻度を変更することによりマイクロコントローラ自体の寿命サイクルを適合化するために使用されることができる。
【0068】
本発明の実施形態によるグレージングシステムは車バッテリからケーブルにより給電されることができる。
【0069】
代替実施態様では、最先端技術電力ケーブルを接続することを可能にする外部インターフェースが存在することができる。外部インターフェースは例えばグレージングセンサのPCB上に取り付けられることができる。外部インターフェースは、最先端技術電力ケーブルがPCBへ接続されることを可能にするマイクロUSBポートであることができる。このようなケーブルは、車バッテリへ必ずしも接続される必要はないが、その代りに車内のUSBポート又は1つ又は複数のUSBポートを提供するシガーライタアダプタへ接続されることができる。
【0070】
好適な実施形態では、エネルギー収集(energy harvesting)技術がグレージングセンサを給電するために使用される。したがって、自律的グレージングセンサが取得されることができる。エネルギー消費は特にスリープモードにおいて最小値まで低減されることができるということが本発明の実施形態の利点である。この場合、電力消費量は例えばわずか1mW(さらには100未満μW)であることができる。小さな太陽電池及びバッテリが、センサへのいかなるケーブル布線も回避するために使用されることができる。好適な実施形態では、グレージングセンサは太陽電池と1つ又は複数のスーパーキャパシタとを含む。特定実施形態では、次の2つのスーパーキャパシタの組み合わせが使用される:
-完全に放電されると、光が光起電力電池上に再び受信された後数分以内(通常5分未満)に高速に充電してシステムを利用可能にする小さなスーパーキャパシタ;
-ゆっくり充電するがその代りに大容量及びより長い自律性を提供するより大きなスーパーキャパシタ。
【0071】
図1は本発明の実施形態によるグレージングセンサ100の基本ビルディングブロックを概略的に示す。振動センサ110、通信モジュール120、及び加速度センサ130が示される。追加のビルディングブロックが、本明細書において後で論述されるように存在することができる。
【0072】
本発明の実施形態によるグレージングセンサ100は、自動車グレージングの表面に対して取り付けられることができ、そして前記グレージングにおいて発生する構造起因振動を監視するために使用されることができる。これらは、グレージングへの衝撃又は装着されたグレージングワイパ(例えばフロントガラスワイパー)の摩擦などグレージングに影響を与える外的事象により引き起こされることがある。外的事象の場合、捕捉された電気信号(グレージングと接触するセンサの振動から生じる)の解析は外的事象の重大度を判断することを可能にする。これは、例えば外的事象がガラスを実際に損傷したかどうかの結論に到ることができる。本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサは複数の振動センサ110を含む。このような装置は、例えば外的事象の位置を判断することを可能にする及び/又は測定結果を改善するために使用されることができる。
【0073】
電気信号の処理は、グレージングセンサ上で局所的に行われることができるか、又は別のコンピュータ装置上で遠隔的に行われることができるか、又は処理の一部が局所的に行われることができ、そして処理の一部は遠隔的に行われることができる。
【0074】
1つ又は複数の前処理工程が、電気信号の特徴情報を含む信号を送信する前に電気信号に対し行われることができる。図3は本発明の実施形態によるグレージングセンサ内に存在してもよいし存在しなくても良い様々な追加のビルディングブロックを概略的に示す。振動センサ110の電気信号を増幅及び/又は濾過するためのフィルタ及び/又は増幅器160が存在することができる。濾過及び/又は増幅された電気信号はA/D変換器140によりデジタル信号に変換されることができる。デジタルフィルタ170はA/D変換器のデジタル信号を濾過することができる。グレージングセンサは、処理された信号を通信モジュールにより送信する前にデジタル信号を処理するように適合化された処理モジュール150を含むことができる。処理モジュール150は例えばマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイなどであることができる。通信モジュール120は電気信号の特徴情報を含む信号を送信するように適合化される。通信モジュール120は例えばこの信号を処理モジュール150から受信することができる。
【0075】
フィルタ160は例えば振動センサ110からの電気信号へ適用される高域通過フィルタであることができる。これは、望ましくない影響に関係する低周波雑音を削除することを可能にする。車両が車、バス又はトラックである場合、この雑音は例えばエンジン雑音、車輪及び道路雑音、音楽などであることができる。
【0076】
追加ビルディングブロック160は電気信号を増幅するように適合化されることができる。この増幅は、信号レベルを例えば数十又は数百ミリボルトから典型的には0~5Vの標準アナログデジタル変換段と適合性があるレベルまで増加する。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態では、複数の増幅が同じ信号へ適用されることができ、これにより様々な増幅レベルを有する同じ信号の複数の複製を生成する。これは、衝撃などの外的事象がセンサの位置からどれくらい遠くで発生したかに依存して可変振幅を有する信号を振動センサが感知することになるということに対処することを可能にする。信号へ適用される様々な利得により、信号の少なくとも1つの複製が少なくとも検出されそしてクリップされないという可能性がより高い。
【0078】
追加ビルディングブロックは、正信号によってだけ働くことを目的としたADC(アナログデジタル変換器)により信号の正変動及び負変動の両方が捕捉されることができるように電気信号に対しオフセットを適用するように適合化されることができる。このオフセットは電気信号を増幅する前後に適用されることができる。
【0079】
処理モジュール150は、電気基板上の機能を管理するために電気基板114上に取り付けられるマイクロコントローラを含むことができる。マイクロコントローラは通常、アナログ信号をマイクロコントローラ及び他の電子システムによりさらに処理されることができるデジタル信号に変えることになるA/D変換器140を含む。
【0080】
本発明の実施形態によるグレージングセンサは、外部制御ユニットと通信するための複数の部品及びプロトコル(LTEチップ、Bluetoothチップ、Simカードリーダ、アンテナなどのような)を含むことができる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態では、電気信号の特徴情報は閾値レベルを導入することにより導出されることができる。このような閾値レベルは関連信号の状況を捕捉することを可能にする。振動センサ(又は振動センサ群)の信号は閾値レベル未満の場合は無視され、そして様々なシステム(増幅器、比較器、マイクロコントローラ、通信チャネルなど)は、消費電力を低減するためにスリープモードへ設定されることができる。本発明のいくつかの実施形態では、これはまた、加速が所定期間中に検出されない場合に行われることができる。
【0082】
加速が検出されるとシステムは能動モードに再び置かれる。能動モードに在る場合、信号がいくつかのレベルへ到達するかどうかを判断するためにいくつかの異なる閾値が使用されることができる。特定実施形態では、2つの閾値が、使用され、そして「ウィンドウ」比較器を形成する。信号がウィンドウの境界内に留まる間、システムはスリープし続けることができる。信号が境界のいずれかを横切れば(すなわち、上閾値より大きくなれば又は下閾値未満になれば)、システムは覚醒し(wake up)、信号を捕捉し始めることになる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態では、閾値は衝撃などの外的事象が発生すると横切られることができる。この閾値を横切ると、様々なシステムが覚醒されることができる。本発明のいくつかの実施形態では、すべてのセンサの記録は外的事象後約50ms、好適には5~10msの所定時間の間に作製されることができる。これらの信号は「トレース」と呼ばれる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態では、電子信号(例えばトレース)は処理モジュールを使用することにより(例えば、PCB上のマイクロコントローラを使用することにより)局所的に処理されることができる。特徴情報を抽出するためのアルゴリズムが使用されることができる。特徴情報の可能な例は次のものである:外的事象(例えば衝撃)発生、破壊又は非破壊外的事象、外的事象/破損のX及びY位置。認識をトレーニングするためのサポートベクトルマシン(SVM: support-vector machine)、ランダムフォレスト(Random Forest)などのような典型的アルゴリズムが使用されることができる。出力は通信モジュールを使用することにより(例えばLTE、Bluetoothなどを用いて)ユーザ及び/又は制御システムへ送信される。
【0085】
別の実施形態では、生のセンサ信号(又は部分的にだけ処理された信号)が、通信モジュールを使用することにより(例えばLTE、Bluetoothなどを用いて)別のコンピュータ装置(例えば、クラウド内に常在することができる記憶及び処理ユニット)へ送信される。この場合、アルゴリズム又はその一部はこのコンピュータ装置(例えば記憶及び処理ユニット)において実行される。次に、関連情報がユーザ又は制御システムへ転送される。このようなシステムの利点は、アルゴリズムを更新/改善することがより簡単であるということである。
【0086】
第2の態様によると、本発明のいくつかの実施形態は、本発明の実施形態によるグレージングセンサ100とゲートウェイ210とを含むグレージングパッケージ200に関する。ゲートウェイ210は通信モジュール120からの信号を受信するように、そして受信された信号を中継するように適合化される。
【0087】
第3の態様によると、本発明のいくつかの実施形態はグレージングパッケージ200及びコンピュータ装置310を含むグレージングシステム300に関し、コンピュータ装置310は中継された信号を通信モジュール120から受信しそして受信された信号を記憶し処理するように適合化される。
【0088】
本発明の実施形態によるグレージングパッケージ200及びグレージングシステム300の概略図が図2に概略的に示される。この例では、グレージングシステム300は次の3つの部品を含む:
-グレージングセンサ100、
-コンピュータ装置310、及び
-ゲートウェイ210。
【0089】
コンピュータ装置310はインターネット上で利用可能なサーバ/クラウドインフラストラクチャ(データを解析するために十分な計算リソースを提供しそしてデータのための記憶装置を提供する)であることができる。
【0090】
ゲートウェイ210は通信モジュール120からの信号(例えばデータ)をコンピュータ装置310へ中継するように適応化される。したがって、ゲートウェイ装置210は、Bluetooth通信リンクなどの無線通信リンクを介しデータを通信モジュール210から受信することができる。ゲートウェイ210は通常、インターネットへアクセスする(通常はモバイル通信モジュールを介し)。ゲートウェイ210は、長距離通信技術上で、又はGSMネットワーク、EDGEネットワーク、3Gネットワーク又はLTEネットワークなどのセルラ通信ネットワーク上でデータをコンピュータ装置310へ送信することができる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングパッケージは車に埋め込まれることができる。したがって、グレージングセンサは、フロントガラスの境界に取り付けられ、ゲートウェイは車内のどこかに在る。両者は、例えばBluetooth low energy(BLE)なの短距離通信技術を使用することにより互いに通信するように適応化されることができる。
【0092】
ゲートウェイ210は車内に埋め込まれることができるが、ゲートウェイ210はまた、運転手のスマートフォン上のアプリケーションの形式で実装される可能性がある。車へ「取り付けられる」ゲートウェイ210とスマートフォン上の「ポータブル」ゲートウェイとのこの区別は、重要ではなくそして説明したようにグレージングパッケージ200の振る舞いに影響を与えない。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態では、振動センサ110はグレージングの振動及び/又は音響学的痕跡を測定するように適応化されるセンサであることができる。これは加速度計、マイクロホン又は圧電センサであることができる。センサの一例は例えば株式会社村田製作所の圧電センサ(例えば7BB-20-6L0)であることができる。
【0094】
本発明の実施形態によるグレージングセンサ100の概略図を図4に示す。グレージングセンサ100はセンサ毎に振動センサ110及び発泡体112を含む。発泡体112は、ブラケットが窓に対して取り付けられる(例えば、両面テープを使用することにより又は接着剤を使用することにより、又は他の手段により)ようにブラケット116内に取り付けられる。振動センサ110は発泡体112により(発泡体のバネ効果により)ガラス上に押し付けられる。これにより、振動センサ110とガラスとの良好な接触が保証される。図4のグレージングセンサは電気基板114(例えばPCB)を含む。振動センサ110は電気基板114へ電気的に接続される。電気基板114及びブラケット116はカバーボックス118内に取り付けられる。カバーボックス又は筐体118は車内のより良い集積化を可能にするように設計されることができる。筐体118は例えばプラスチック/複合材料で作製される。カバーボックス118は、熱を排出するためにいくつかの穴を含むことができる。カバーボックス118はまた、PCB上のいくつかのLEDがPCBの活動又は状態の可視指示を提供することを可能にする光パイプを備えた穴を含むことができる。カバーボックス118は例えば、機械的手段(ボルト、接着剤など)を介し又は例えば磁気手段を介し電気基板114へ取り付けられることができる。
【0095】
図5は本発明の実施形態によるグレージングセンサ100の底面図の概略図を示す。図5は振動センサ110がその中に取り付けられたブラケット116を示す。図5の例では、接着テープ119がブラケット116上に接着される。様々な材料が、グレージングセンサ及びその1つ又は複数の振動センサをガラスへ固定するために使用されることができる。一実施形態では、両面接着テープ又は感圧両面テープ又は整復可能(repositionable)両面テープが使用されることができる。下接着側は装置の複数の設置/設置解除を可能にすることができる。したがって、この下接着側はグレージングセンサが設置されるとガラスに接する側である。この下接着側はセンサの性能を劣化しないように選択されることができる。この下接着側は摩耗すれば恐らく置換されることができる。このテープは、70°Cより高い温度(理想的には最大120°C)に対し耐性があり且つUV光に対し耐性があるように選択されることができる。このようなテープの例は3Mから入手可能である。
【0096】
テープは、筐体の後部の全表面を覆うことができるが、1つの特定実施形態では、テープは、筐体の後部の側面上に(例えば振動センサの縁と筐体の縁との間の1cm幅エリア上に)だけ配置される(図5を参照)。これは、ガラスからの装置のより簡単な除去を可能にする。別の実施形態では、テープの下接着側はマイクロ吸着テープにより置換されることができ、反対側は古典的接着テープである。これは、装置の複数の設置/設置解除を可能にする。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサ100は単一振動センサ110を含むことができる。このようなグレージングセンサはモノセンサ装置とも呼ばれることができる。本発明のいくつかの実施形態では、モノセンサ装置は、外的事象(例えば衝撃)を検出しそして破損状況/非破損状況を判別するように適合化されることができる。その利点はその小サイズである。好適な実施形態では、モノセンサモジュールサイズは1cm×1cm~6cm×6cmである又は1cm~6cmの円直径を有する。
【0098】
本発明の別の実施形態では、グレージングセンサ100は2つの振動センサ110を含む。このようなグレージングセンサ100は双センサ装置とも呼ばれることができる。本発明のいくつかの実施形態による双センサ装置は、外的事象(例えば衝撃)を検出しそして破損状況/非破損状況を判別するように適合化されることができる。本発明の実施形態による双センサ装置はまた、グレージング上の外的事象(例えば衝撃)の位置を推定するように適応化されることができる。これは、例えば両信号間の遅延を取得するために両振動センサからの信号を自動相関付けすることにより又は例えば機械学習モデルを使用することにより実現されることができる。双センサ装置は、外的事象がグレージング(例えばフロントガラス)の左側又は右側に在ったかを指示するように適合化されることができる。本発明の実施形態による双センサ装置は例えば約3cm×11cmのサイズを有することができる。双センサ装置はさらに広くてもよい。したがって、振動センサ間の間隔を増加することにより外的事象の位置のより精確な判断が達成されることができることが有利である。双センサ装置はまたさらに背が高くてもよい。したがって、より大きなセンサが使用されることが有利である。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態では、グレージングセンサ100は3個以上の振動センサを含むことができる。例えば、3~10個又は好適には3~6個の振動センサ110が1つのグレージングセンサ内に存在することができる。グレージングセンサは例えば4つの振動センサを含むことができる。本発明のいくつかの実施形態によるこのようなマルチセンサ装置は、外的事象を検出する及び/又は破損状況/非破損状況を判別するように適合化されることができる。本発明の実施形態によるマルチセンサ装置は、グレージング上の外的事象の位置をより精確に推定するように適合化されることができる。例えば、X位置(グレージング上の水平位置)は1つ又は2つの振動センサだけが使用される場合より精確に推定されることができる。本発明のいくつかの実施形態では、様々な振動センサが別個のPCB又は同じPCB上に置かれることができる。本発明の実施形態によるグレージングセンサは、有線又は無線接続を使用することにより他のセンサと接続されることができる。
【0100】
グレージングセンサ100はグレージング510に対して取り付けられ、したがって本発明の第4の態様による自動車グレージング500が取得される。図6において、本発明の実施形態による自動車グレージング500の様々な構成が示される。この例では、グレージングは車のフロントガラスである。しかし、本発明はそれに限定されない。また、バス、トラック、列車、飛行機、船などの任意の他のタイプの車両のグレージングが可能である。グレージングセンサ100は、過酷な環境から保護するために、運転手の視野に可能な限り影響を与えないフロントガラス上の或る位置における車の内側の内面上のグレージング上に設置される。好適には、フロントガラスの上又は下の位置が選択される。様々な可能位置が図6に示される。グレージングセンサは、モノセンサ(図内の円により表される)、双センサ(図内の長方形により表される)、及びマルチセンサ(図では2つの円と接続された長方形により表される)であることができる。1つ又は複数のグレージングセンサが存在することができ、グレージングセンサは1つ又は複数の周辺センサと接続されることができる。これらのグレージングセンサ及び周辺センサは運転手の視野の外側に配置されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】