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特表2022-540918ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質及びその医薬組成物並びに用途
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  • 特表-ETA抗体及びTGF-β  Trapの融合タンパク質及びその医薬組成物並びに用途 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質及びその医薬組成物並びに用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20220912BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220912BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220912BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220912BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220912BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220912BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220912BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220912BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20220912BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220912BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220912BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20220912BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220912BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C07K16/28
C07K14/705
C07K19/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P11/00
A61P9/12
A61P43/00 105
A61P9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502538
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 CN2020101857
(87)【国際公開番号】W WO2021008519
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】201910645466.X
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516029492
【氏名又は名称】ジーエムエーエックス バイオファーム エルエルシー.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】チェング ズハング
(72)【発明者】
【氏名】チェンジアング ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】フア ズハング
(72)【発明者】
【氏名】クイアオフェング ワング
(72)【発明者】
【氏名】シュキアン ジング
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085BB31
4C085CC02
4C085DD62
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質が提供される。ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の医薬組成物も提供される。ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を使用することによって、肺動脈高血圧症、肺高血圧症、肺線維症、又は心血管線維症の1つ又は複数の症状を処置、予防又は改善するための方法がさらに提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質であって、前記融合タンパク質がETA抗体及びTGF-β Trapフラグメントを含むことを構造的特徴とする融合タンパク質。
【請求項2】
前記ETA抗体が、1、2、3、4、5又は6つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、及び配列番号30;
b.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、及び配列番号48;
c.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、及び配列番号205;
d.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、及び配列番号90;
e.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、及び配列番号114;及び
f.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、及び配列番号136
から選択される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記ETA抗体が、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、及び配列番号30;及び
b.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、及び配列番号90
から選択される、請求項1又は請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記ETA抗体が、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、及び配列番号48;及び
b.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、及び配列番号114
から選択される、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記ETA抗体が、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、及び配列番号205;及び
b.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、及び配列番号136
から選択される、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
前記ETA抗体が、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:配列番号8、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、及び配列番号205から選択される、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
前記ETA抗体が、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:配列番号70、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、及び配列番号136から選択される、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
前記ETA抗体が、以下のリスト:配列番号50及び配列番号116、配列番号50及び配列番号205、配列番号62及び配列番号128、配列番号62及び配列番号130、配列番号64及び配列番号132、配列番号66及び配列番号134、及び配列番号68及び配列番号136から独立して選択される軽鎖及び重鎖CDR3アミノ酸配列の組合せを含む、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
前記ETA抗体が、
(a)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50又は配列番号205;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116;
(b)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号10;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号34;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号52;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号72;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号94;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号118;
(c)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号12;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号36;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号54;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号74;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号96;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号120;
(d)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号14;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号38;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号56;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号76;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号98;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号122;
(e)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号16;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号40;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号58;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号78;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号100;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号124;
(f)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号18;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号42;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号60;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号80;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号102;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号126;
(g)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号20又は配列番号22;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号44;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号62;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号82;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号104又は配列番号106;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号128;
(h)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号24;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号44;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号62;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号84;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号108;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号130;
(i)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号26;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号46;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号64;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号86;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号110;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号132;
(j)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号28;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号46;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号66;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号88;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号112;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号134;or
(k)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号30;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号48;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号68;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号90;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号114;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号136
を含む、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
前記ETA抗体が、
軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号28;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号46;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号66;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号88;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号112;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号134
を含む、請求項9に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
前記ETA抗体が、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖可変ドメインアミノ酸配列:配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、及び配列番号164;及び
b.重鎖可変ドメインアミノ酸配列:配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182、配列番号184、配列番号186、配列番号188、配列番号190、及び配列番号192
から選択される、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
前記ETA抗体のポリヌクレオチドコード配列が、1又は2つのポリヌクレオチド配列を含み、ここで、各ポリヌクレオチド配列が、独立して、以下に列挙されるポリヌクレオチド配列:
a.軽鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列:配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号161、及び配列番号163;
b.重鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列:配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、及び配列番号191
から選択される、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
前記ETA抗体が、以下のリスト:配列番号138及び配列番号166、配列番号140及び配列番号168、配列番号142及び配列番号170、配列番号144及び配列番号172、配列番号146及び配列番号174、配列番号148及び配列番号176、配列番号150及び配列番号178、配列番号152及び配列番号180、配列番号154及び配列番号182、配列番号156及び配列番号184、配列番号158及び配列番号186、配列番号160及び配列番号188、配列番号162及び配列番号190、及び配列番号164及び配列番号192から独立して選択されるアミノ酸配列の組合せを含む、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
前記ETA抗体が、以下のリスト:配列番号138、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、及び配列番号164から独立して選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
前記ETA抗体が、以下のリスト:配列番号166、配列番号178、配列番号180、配列番号182、配列番号184、配列番号186、配列番号188、配列番号190、及び配列番号192から独立して選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
前記ETA抗体が、以下のリスト:配列番号138及び配列番号166、配列番号150及び配列番号178、配列番号152及び配列番号180、配列番号154及び配列番号182、配列番号156及び配列番号184、配列番号158及び配列番号186、配列番号160及び配列番号188、配列番号162及び配列番号190、及び配列番号164及び配列番号192から独立して選択される軽鎖及び重鎖可変領域アミノ酸配列の組合せを含む、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
前記ETA抗体が、アミノ酸配列の配列番号138又は配列番号166を含む、請求項16に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
前記ETA抗体が、アミノ酸配列の配列番号138及び配列番号166の組合せを含む、請求項16に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
前記ETA抗体が、アミノ酸配列の配列番号162又は配列番号190を含む、請求項16に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
前記ETA抗体が、アミノ酸配列の配列番号162及び配列番号190の組合せを含む、請求項16に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
前記ETA抗体が、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖定常領域アミノ酸配列:配列番号194及び配列番号196;
b.重鎖定常領域アミノ酸配列:配列番号198及び配列番号206
から選択される、請求項1~請求項20のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
前記ETA抗体が、1つ又は複数の以下の特性:
a.ヒトエンドセリン受容体ETAに結合する際に、参照ETA抗体と同じか又はそれより良好なKを提供すること;
b.エンドセリンによるヒトエンドセリン受容体ETAの活性化を阻害する際に、参照ETA抗体と同じか又はそれより良好なIC50を提供すること;及び
c.ヒトエンドセリン受容体ETAに対する参照ETA抗体との結合に交差競合すること
を有する、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
前記ETA抗体が、ヒトエンドセリン受容体ETAに対する参照ETA抗体との結合に交差競合する、請求項22に記載の融合タンパク質。
【請求項24】
前記参照ETA抗体が、請求項1~請求項21のいずれか一項に記載の抗体を含む、請求項22又は請求項23に記載の融合タンパク質。
【請求項25】
前記参照ETA抗体が、軽鎖可変ドメインアミノ酸配列の配列番号138及び重鎖可変ドメインアミノ酸配列の配列番号166の組合せ、又は軽鎖可変ドメインアミノ酸配列の配列番号162及び重鎖可変ドメインアミノ酸配列の配列番号190の組合せを含む、請求項24に記載の融合タンパク質。
【請求項26】
前記ETA抗体が、マウスETA抗体又はヒト化ETA抗体を含む、請求項1~請求項25のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項27】
前記ETA抗体が、ETAモノクローナル抗体を含む、請求項1~請求項26のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項28】
前記ETA抗体が、ヒトエンドセリンシグナル伝達を軽減する際に、約1nM~200nM又は10nM~100nMのIC50値を有する、請求項1~請求項27のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項29】
前記融合タンパク質が、ETA抗体、1、2、3、4、5、6、7又は8つのTGF-β Trap及びペプチドリンカー(リンカー)を含み;前記融合タンパク質が、TGF-β Trapのアミノ末端を、前記ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結し、又は前記融合タンパク質が、TGF-β Trapのカルボキシル末端を、前記ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結する、請求項1~請求項28のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項30】
前記融合タンパク質が、ETA抗体、1、2、3又は4つのTGF-β Trap、及びペプチドリンカー(リンカー)を含む、請求項29に記載の融合タンパク質。
【請求項31】
前記融合タンパク質が、ETA抗体、2つのTGF-β Trap、及び2つのペプチドリンカー(リンカー)を含む、請求項29に記載の融合タンパク質。
【請求項32】
前記融合タンパク質が、ETA抗体、TGF-β Trap、及びペプチドリンカー(リンカー)を含む、請求項29に記載の融合タンパク質。
【請求項33】
前記融合タンパク質が、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結する、請求項29~請求項32のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項34】
前記融合タンパク質が、TGF-β Trapのアミノ末端を、前記ETA抗体の重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結する、請求項29~請求項33のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項35】
前記融合タンパク質が、以下のアミノ酸配列:配列番号8、配列番号32、配列番号50、配列番号205、配列番号70、配列番号92、及び配列番号116を含む、請求項29~請求項34のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項36】
前記融合タンパク質が、以下のアミノ酸配列:配列番号162、配列番号190、配列番号207、及び配列番号210を含む、請求項29~請求項35のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項37】
前記ETA抗体、TGF-β Trap及びペプチドリンカー配列が、以下の方法:
(1)ペプチドリンカー配列を介して、TGF-β Trapのアミノ末端が、前記ETA抗体の重鎖/軽鎖のカルボキシル末端と連結される:N’-R-リンカー-TGF-β Trap-C’;及び
(2)ペプチドリンカー配列を介して、TGF-β Trapのカルボキシル末端が、前記ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と連結される:N’-TGF-β Trap-リンカー-R-C’
のうちの1つで、融合されて、融合タンパク質を形成し;
ここで、N’が、ポリペプチド鎖のアミノ末端を表し、C’が、ポリペプチド鎖のカルボキシル末端を表し、TGF-β Trapが、TGF-β Trapフラグメントを表し、Rが、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ酸配列であり、リンカーが、ペプチドリンカーを表す、請求項29~請求項36のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項38】
前記TGF-β Trapが、アミノ酸配列:配列番号207を含む、請求項1~請求項37のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項39】
前記ペプチドリンカー(リンカー)配列がそれぞれ、独立して、以下のアミノ酸配列:配列番号208、配列番号209、及び配列番号210のうちの1つを含む、請求項29~請求項38のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項40】
前記ペプチドリンカー(リンカー)配列が、アミノ酸配列の配列番号210を含む、請求項39に記載の融合タンパク質。
【請求項41】
請求項1~請求項40のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【請求項42】
請求項41に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項43】
請求項42に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項44】
請求項1~請求項40のいずれか一項に記載の融合タンパク質と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項45】
肺動脈高血圧症を予防、改善、又は処置するための薬剤の調製における、請求項1~請求項40のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む医薬組成物の使用。
【請求項46】
肺高血圧症を予防、改善、又は処置するための薬剤の調製における、請求項1~請求項40のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む医薬組成物の使用。
【請求項47】
肺線維症を予防、改善、又は処置するための薬剤の調製における、請求項1~請求項40のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む医薬組成物の使用。
【請求項48】
心血管線維症を予防、改善、又は処置するための薬剤の調製における、請求項1~請求項40のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む医薬組成物の使用。
【請求項49】
肺動脈高血圧症、肺高血圧症、肺線維症又は心血管線維症のうちの2つ以上の疾患を予防、改善、又は処置するための薬剤の調製における、請求項1~請求項40のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む医薬組成物の使用。
【請求項50】
前記薬剤が、静脈内に又は皮下に注入される、請求項45~請求項49のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質が、本明細書において提供される。ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の医薬組成物も、本明細書において提供される。ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を使用することによって、肺動脈高血圧症、肺高血圧症、又は肺線維症の1つ又は複数の症状を処置、予防、又は改善するための方法が、本明細書においてさらに提供される。
【背景技術】
【0002】
肺動脈高血圧症(PAH)は、肺動脈血圧の著しい上昇を特徴とする希少な進行性の疾患である。肺動脈高血圧症は、人の健康を脅かす重要な疾患になっている。データは、世界の様々なタイプの肺動脈高血圧症の年間発生率が、100万人当たり約2.4~7.6人であり、その有病率は、100万人当たり約15~26人であることを示す。肺動脈高血圧症は、虚血性心疾患及び高血圧症の後でのみ、3番目によく見られる心血管疾患になっている。肺動脈高血圧症の原因は、まだ完全に理解されていない。その潜行性発症のため、ほとんどの患者は、既に、肺動脈高血圧症の心機能のグレードIII~IVにある。肺動脈高血圧症の随伴症状は、通常、(特に運動時の)息切れ、胸痛、断続的な失神などを含む。さらに、この状態が続くにつれて、連続的な高い肺動脈圧により、右心室が肺に血液を連続的に供給することができなくなり、これが、最終的に右心不全を引き起こす。心不全は、肺動脈高血圧症を有する患者の最も多い死因である。
【0003】
現在のところ、肺動脈高血圧症には治療法がなく、薬物療法が、肺動脈高血圧症の維持療法の第1選択肢である。肺動脈高血圧症の治療のためにFDAによって承認される薬物は、血管拡張剤であり、これは、機序に応じて、カルシウムチャネル遮断薬、プロスタサイクリン受容体作用薬、ホスホジエステラーゼタイプ5(PDE5)阻害剤、エンドセリン受容体阻害剤などに分けられ得る。
【0004】
肺動脈高血圧症は、肺への心臓の血液供給が、肺における又は肺に関連する血管収縮により不十分である後、肺への心臓の血液供給の圧力の代償性増加によって引き起こされる。その微視的兆候は、肺細動脈の内膜の肥厚、及び血栓症によって引き起こされる血管収縮、リモデリング、硬化又は局所的閉塞を含み、それによって、肺血液循環に対する血管の抵抗を増大する(Simonneau et al.,2004,J.Am.Coll.Cardiol.43:5S-12S;Barst et al.,2004,J.Am.Coll.Cardiol.43:40S-47S)。
【0005】
エンドセリン受容体(例えば、エンドセリン受容体A(ETA又はETR))阻害剤は、エンドセリンによって引き起こされる血管圧の上昇を効果的に阻止して、肺動脈高血圧症の症状を軽減し、患者の運動能力及び血行動態を改善することができる(Serasli et al.,2010,Recent Pat.Cardiovasc.Drug Discov.5:184-95)。
【0006】
いくつかの試験が、形質転換成長因子β1(TGF-β1)が、様々な条件で、特に、心血管疾患において重要な役割を果たすことを示した。TGF-β1は、細胞増殖、分化、遊走及びアポトーシスなどのプロセスに関与し、複数のシグナル経路を調節し、それによって、肺動脈高血圧症の発生及び進行を誘導することによって、平滑筋細胞増殖、細胞外基質の堆積及び内皮間葉移行(EndMT)などのプロセスを促進する(Yan et al.,2016,Int.J.Cardiol.,222:368-374;Graham et al.,2013,Circulation,128:1354-1364;Liu et al.,2016,Int.J.Biochem.Cell.Biol.,77:141-154)。肺線維症の治療のための承認薬としてのピルフェニドンは、TGF-βの発現を阻害し、線維芽細胞の増殖を減少させ、TGF-βによって誘導されるα-平滑筋アクチン(α-SMA)のmRNA及びタンパク質レベルを減衰することができる。
【0007】
TGF-β Trapは、TGF-β2型受容体の細胞外末端から構成され、TGF-β1又はTGF-β3に結合し、それによって、肺動脈高血圧症の過程における血管平滑筋細胞増殖及び分化、細胞外基質の堆積及び上皮間葉移行などのTGF-β媒介性プロセスを効果的に阻止することができる。TGF-β Trapは、肺細動脈の線維症及びリモデリングを軽減し、それによって、肺血液循環の抵抗を減少させ、右心の機能を改善することができる(Goumans et al.,2018,Cold Spring Harb.Perspect.Biol.,10:a022210;Yung et al.,2016,Am.J.Respir.Crit.Care Med.,194:1140-1151)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ETA阻害性抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質が、本明細書において提供される。一方では、ETA阻害性抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、ETAシグナル伝達経路を阻止し、肺循環に対する血管の抵抗を減少させることができ;他方では、それは、TGF-βシグナル伝達経路を阻止し、肺細動脈の線維症及びリモデリングを軽減することができる。肺動脈高血圧症を処置し、右心の機能を改善する目的は、二重作用機序によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質が、本明細書において提供される。融合タンパク質を使用することによって、肺動脈高血圧症、肺高血圧症、肺線維症及び心血管線維症の1つ又は複数の症状を処置、予防、又は改善するための方法も、本明細書において提供される。
【0010】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質であって、融合タンパク質がETA抗体及びTGF-β Trapフラグメントを含むことを構造的特徴とする融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0011】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質であって、融合タンパク質が、ETA抗体、1、2、3、4、5、6、7又は8つのTGF-β Trap及び対応する数のペプチドリンカー(リンカー)を含み;融合タンパク質が、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー(リンカー)配列を介して連結し、又は融合タンパク質が、TGF-β Trapのカルボキシル末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と、ペプチドリンカー(リンカー)配列を介して連結することを構造的特徴とする融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0012】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質であって、融合タンパク質が、ETA抗体、1、2、3又は4つのTGF-β Trap及び対応する数のペプチドリンカー(リンカー)を含み;融合タンパク質が、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー(リンカー)配列を介して連結し、又は融合タンパク質が、TGF-β Trapのカルボキシル末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と、ペプチドリンカー(リンカー)配列を介して連結することを構造的特徴とする融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0013】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質であって、融合タンパク質が、ETA抗体、2つのTGF-β Trap及び2つのペプチドリンカー(リンカー)を含み;融合タンパク質が、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー(リンカー)配列を介して連結し、又は融合タンパク質が、TGF-β Trapのカルボキシル末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と、ペプチドリンカー(リンカー)配列を介して連結することを構造的特徴とする融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0014】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質であって、融合タンパク質が、ETA抗体、TGF-β Trap及びペプチドリンカー(リンカー)を含み;融合タンパク質が、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー(リンカー)配列を介して連結し、又は融合タンパク質が、TGF-β Trapのカルボキシル末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と、ペプチドリンカー(リンカー)配列を介して連結することを構造的特徴とする融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0015】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質であって、ETA抗体、TGF-β Trap及びペプチドリンカー配列が、以下の方法:
(1)ペプチドリンカー(リンカー)配列を介して、TGF-β Trapのアミノ末端が、ETA抗体の重鎖/軽鎖のカルボキシル末端と連結される:N’-R-リンカー-TGF-β Trap-C’;及び
(2)ペプチドリンカー(リンカー)配列を介して、TGF-β Trapのカルボキシル末端が、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と連結される:N’-TGF-β Trap-リンカー-R-C’
のうちの1つで、融合されて、融合タンパク質を形成することを構造的特徴とし;
ここで、N’が、ポリペプチド鎖のアミノ末端を表し、C’が、ポリペプチド鎖のカルボキシル末端を表し、TGF-β Trapが、TGF-β Trapフラグメントを表し、Rが、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ酸配列であり、リンカーが、ペプチドリンカーを表す、融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0016】
本明細書に記載されるETA抗体をコードするポリヌクレオチド及びTGF-β Trapの融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0017】
本明細書に記載されるETA抗体をコードするポリヌクレオチド及びTGF-β Trapの融合タンパク質を含むベクターが、本明細書において提供される。
【0018】
本明細書に記載されるベクターを含む宿主細胞が、本明細書において提供される。
【0019】
本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が、本明細書において提供される。
【0020】
肺動脈高血圧症及び肺動脈高血圧症関連疾患の1つ又は複数の症状を処置、予防又は改善するための薬剤の調製における、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の使用が、本明細書において提供される。
【0021】
肺高血圧症及び肺高血圧症関連疾患の1つ又は複数の症状を処置、予防又は改善するための薬剤の調製における、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の使用が、本明細書において提供される。
【0022】
肺線維症及び肺線維症関連疾患の1つ又は複数の症状を処置、予防又は改善するための薬剤の調製における、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の使用が、本明細書において提供される。
【0023】
心血管線維症及び心血管線維症関連疾患の1つ又は複数の症状を処置、予防又は改善するための薬剤の調製における、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の使用が、本明細書において提供される。
【0024】
肺動脈高血圧症、肺高血圧症、肺線維症又は心血管線維症のうちの2つ以上の疾患の1つ又は複数の症状を同時に処置、予防又は改善するための薬剤の調製における、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の使用が、本明細書において提供される。
【0025】
肺動脈高血圧症及び肺動脈高血圧症関連疾患の1つ又は複数の症状を処置、予防又は改善するための方法であって、治療的に有効な用量の本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を被験体に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0026】
肺高血圧症及び肺高血圧症関連疾患の1つ又は複数の症状を処置、予防又は改善するための方法であって、治療的に有効な用量の本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を被験体に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0027】
肺線維症及び肺線維症関連疾患の1つ又は複数の症状を処置、予防又は改善するための方法であって、治療的に有効な用量の本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を被験体に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0028】
心血管線維症及び心血管線維症関連疾患の1つ又は複数の症状を処置、予防又は改善するための方法であって、治療的に有効な用量の本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を被験体に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0029】
肺動脈高血圧症、肺高血圧症、肺線維症又は心血管線維症のうちの2つ以上の疾患の1つ又は複数の症状を処置、予防又は改善するための方法であって、治療的に有効な用量の本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を被験体に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ヒトETAによって媒介されるCa2+変化を阻害する、ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質h15F3-(GS)-TGF-β Trap(配列番号162、配列番号190、配列番号207、及び配列番号210を含む)の結果を示す。
図2】TGF-β1受容体を活性化することからTGF-β1をブロックする、ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質h15F3-(GS)-TGF-β Trapの結果を示す。
図3】ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質h15F3-(GS)-TGF-β Trapが、肺線維症に対する有意に改善された効果を与えることを示す。
図4】ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質h15F3-(GS)-TGF-β Trapが、肺線維症を有するマウスの生存率/生存期間を有意に改善し得ることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
本明細書において特に定義されない限り、科学用語及び技術用語は、当業者によって理解される意味を有するものとする。一般に、薬理学、生物学、生化学、細胞及び組織培養、生物学、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学及びタンパク質核酸化学並びにハイブリダイゼーションに関連する命名法及び技術は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。
【0032】
ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列を示すために標準的な一文字又は三文字略語が本明細書において使用される。特に規定されない限り、ポリペプチド配列のアミノ末端は、左側にあり、そのカルボキシル末端は、右側にあり、一本鎖及び二本鎖核酸配列の上鎖(upstream chain)の5’末端が左側にあり、それらの3’末端が右側にある。ポリペプチドの特定の部分は、アミノ酸80~130などのアミノ酸残基数によって表されるか、又はLys80~Lys130などの、その部位の実際の残基によって表され得る。特定のポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、参照配列とのその相違を示すことによって表すこともできる。
【0033】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、ペプチド結合によって互いに結合された2つ以上のアミノ酸を含む分子を指す。これらの用語は、例えば、天然及び人工タンパク質、タンパク質フラグメント及びタンパク質配列のポリペプチド類似体(突然変異タンパク質、変異体及び融合タンパク質など)並びに翻訳後、或いは共有結合的に又は非共有結合的に修飾されたタンパク質を包含する。ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、モノマー又はポリマーであり得る。
【0034】
「ポリペプチドフラグメント」という用語は、対応する完全長タンパク質からのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端欠失を有するポリペプチドを指す。例えば、フラグメント長さは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、70、80、90、100、150、又は200アミノ酸であり得る。フラグメント長さは、例えば、最大で1000、750、500、250、200、175、150、125、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、14、13、12、11、又は10アミノ酸であり得る。フラグメントは、一方の末端又は両方において1つ又は複数のさらなるアミノ酸、例えば、異なる天然タンパク質からのアミノ酸配列(例えば、Fc又はロイシンジッパードメイン)又は人工アミノ酸配列(例えば、人工結合配列)をさらに含み得る。
【0035】
本明細書におけるポリペプチドは、任意の理由で及び任意の手段によって、例えば、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させ、(2)酸化に対する感受性を低下させ、(3)タンパク質複合体を形成するように親和性を改変し、(4)結合親和性を改変し、(4)他の物理化学的又は機能的特性を与えるか又は調節するように修飾されたポリペプチドを含む。類似体は、ポリペプチドの突然変異タンパク質を含む。例えば、単一又は複数のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)は、天然配列中で行われ得る(例えば、分子内接触を形成するポリペプチドのドメインの外部)。「保存的アミノ酸置換」は、親配列の構造的特徴を実質的に変化させないものである(例えば、アミノ酸の置換は、親配列に存在するヘリックスを破壊すべきでなく、又は親配列に特性を与えるか又はその機能のために必要である他の二次的な構造タイプに干渉すべきでない)。
【0036】
ポリペプチドの「変異体」は、別のポリペプチド配列と比べてアミノ酸配列中の1つ又は複数のアミノ酸残基が挿入、欠失、及び/又は置換されたアミノ酸配列を含む。本明細書における変異体は、融合タンパク質を含む。
【0037】
ポリペプチドの「誘導体」は、ポリエチレングリコール、アルブミン(ヒト血清アルブミンなど)、リン酸化、及びグリコシル化などの、例えば他の化学部分への結合によって化学修飾されたポリペプチドである。
【0038】
特に記載しない限り、「抗体」という用語は、2つの完全長重鎖及び2つの完全長軽鎖を含む抗体、並びにそれらの誘導体、変異体、フラグメント、及び突然変異タンパク質を含み、その例は後述される。
【0039】
「抗体」という用語は、抗原結合部分、及び任意選択的に、抗原への抗体の結合を促進する立体配座を抗原結合部分が取るのを可能にする足場又はフレームワーク部分を含むタンパク質である。抗体の例としては、インタクトな抗体、抗体フラグメント(抗体の抗原結合部分など)、抗体誘導体、及び抗体類似体が挙げられる。例えば、抗体は、グラフトされたCDR又はCDRの誘導体を含む、代替的なタンパク質足場又は人工足場を含み得る。足場としては、限定はされないが、導入される抗体由来の足場、例えば、抗体の三次元構造を安定させるもの、及び例えば、生体適合性ポリマーのための完全に合成の足場が挙げられる。例えば、Korndorfer et al.,2003,Proteins:Structure,Function and Bioinformatics 53:121-129;Roque et al.,2004,Biotechnol.Prog.20:639-654を参照されたい。さらに、足場としてフィブリンリガンドを使用する、ペプチド抗体模倣体(「PAM」)及びこの抗体模倣体に基づく足場が使用され得る。
【0040】
抗体は、例えば、天然免疫グロブリンの構造を有し得る。「免疫グロブリン」は、四量体分子である。天然免疫グロブリンにおいて、各四量体は、2つの同一のポリペプチド鎖対からなり、各対は、「軽」鎖(約25kDa)及び「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端は、主に抗原認識に関連している約100~110又はそれ以上のアミノ酸の可変ドメインを含む。各鎖のカルボキシル末端は、主にエフェクターの効果に関連している定常領域を画定する。ヒト抗体軽鎖は、κ及びλ軽鎖に分類される。重鎖は、μ、δ、α、又はε重鎖に分類され、IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEなどの抗原のアイソタイプを画定する。軽鎖及び重鎖内で、可変及び定常領域は、約12以上のアミノ酸の「J」領域によって結合され、重鎖は、約10以上のアミノ酸の「D」領域も含む。Fundamental Immunology Ch.7(edited by Paul,2nd edition,Raven Press,1989)(この開示内容は、あらゆる目的のために、全体が参照により本明細書に援用される)を参照されたい。各軽/重鎖対の可変領域は、インタクトな免疫グロブリンが2つの結合部位を有するように抗体結合部位を形成する。
【0041】
天然免疫グロブリン鎖は、相補性決定領域又はCDRとしても知られている、3つの超可変領域によって結合された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ基本構造を示す。N末端からC末端へと、軽鎖及び重鎖は、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。各ドメイン中のアミノ酸の割り当ては、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edition,US Dept.of Health and Human Services,PHS,NIH,NIH Publication No.91-3242,1991中の定義と一致している。
【0042】
特に規定されない限り、「抗体」は、インタクトな免疫グロブリン、又は特異的結合についてインタクトな抗体と競合し得る、その抗原結合部分のいずれかを意味する。抗原結合部分は、組み換えDNA技術、又はインタクトな抗体の酵素的若しくは化学的切断によって産生され得る。抗原結合部分としては、特に、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体(dAb)、相補性決定領域(CDR)を含むフラグメント、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、二重鎖抗体、三重鎖抗体、四重鎖抗体、及びポリペプチドに対する特異的抗原結合を与えるのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含むポリペプチドを含む。
【0043】
Fabフラグメントは、V、V、C、及びCH1ドメインを有する一価フラグメントであり;F(ab’)フラグメントは、ヒンジ領域においてジスルフィド結合によって連結された2つのFabフラグメントを有する二価フラグメントであり;Fdフラグメントは、V又はVドメインを有し;dAbフラグメントは、Vドメイン、Vドメイン、又はV若しくはVドメインの抗原結合フラグメントを有する(米国特許第6,846,634号明細書及び米国特許第6,696,245号明細書;米国特許出願公開第2005/0202512号明細書、米国特許出願公開第2004/0202995号明細書、米国特許出願公開第2004/0038291号明細書、米国特許出願公開第2004/0009507号明細書、及び米国特許出願公開第2003/0039958号明細書;Ward et al.,1989,Nature 341:544-546)。
【0044】
一本鎖抗体(scFv)は、V及びV領域がリンカー(例えば、合成アミノ酸残基配列)を介して結合されて、連続タンパク質を形成する抗体であり、ここで、リンカーは、タンパク質鎖がそれ自体で折り畳まれて、一価抗原結合部位を形成するのを可能にするのに十分に長い(例えば、Bird et al.,1988,Science 242:423-26;及びHuston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-83を参照)。
【0045】
二重鎖抗体は、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体であり、ポリペプチド鎖はそれぞれ、同じ鎖上の2つのドメインの対形成を可能にしないほど短いリンカーによって結合されたV及びVドメインを含む。したがって、各ドメインが、別のポリペプチド鎖上の相補的ドメインと対形成するのを可能にする(例えば、Holliger et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-48;及びPoljak et al.,1994,Structure 2:1121-23を参照)。二重鎖抗体が、2つの同一のポリペプチド鎖を有する場合、2つの同一のポリペプチド鎖の対形成から生じる二重鎖抗体は、同じ抗原結合部位を有する。異なる配列を有するポリペプチド鎖を用いて、異なる抗原結合部位を有する二重鎖抗体を作製することができる。同様に、三重鎖抗体及び四重鎖抗体は、それぞれ3つ及び4つのポリペプチド鎖を含む抗体であり、同じか又は異なり得る、それぞれ3つ及び4つの抗原結合部位を形成する。
【0046】
Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edition,US Dept.of Health and Human Services,PHS,NIH,NIH Publication No.91-3242,1991に記載される方法を用いて、所与の抗体の相補性決定領域(CDR)及びフレームワーク領域(FR)を同定することができる。1つ又は複数のCDRを、共有結合的又は非共有結合的に分子中に組み込んで、それを抗体にし得る。抗体は、より大きいポリペプチド鎖をCDRに組み込むことができる。CDRは、別のポリペプチド鎖に共有結合することができ、又はそれに非共有結合的に組み込むことができる。CDRは、抗体が、該当する特定の抗原に特異的に結合するのを可能にする。
【0047】
抗体は、1つ又は複数の結合部位を有し得る。2つ以上の結合部位がある場合、結合部位は、互いに同一であっても又は異なっていてもよい。例えば、天然ヒト免疫グロブリンは、通常、2つの同一の結合部位を有する一方、「二重特異性」又は「二機能性」抗体は、2つの異なる結合部位を有する。
【0048】
「マウス抗体」という用語は、マウス免疫グロブリン配列に由来する1つ又は複数の可変及び定常領域を有する抗体を含む。
【0049】
「ヒト化抗体」という用語は、マウス抗体分子の相補性決定領域の配列を、ヒト抗体可変領域のフレームワークにグラフトすることによって作製される抗体である。
【0050】
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、又は「抗原結合部位」という用語は、抗原と相互作用し、抗原に対する抗体の特異性及び親和性に寄与するアミノ酸残基(又は他の部分)を含む抗体の部分である。それらの抗原に特異的に結合する抗体については、これは、CDRドメインの少なくとも1つの少なくとも一部を含む。
【0051】
「エピトープ」という用語は、(例えば、抗体によって)抗体に結合する分子の部分である。エピトープは、分子の非隣接部分(例えば、ポリペプチドにおいて、ポリペプチドの一次配列において隣接していないが、ポリペプチドの三次及び四次構造において、抗体によって互いに結合されるのに十分に近いアミノ酸残基)を含み得る。
【0052】
2つのポリヌクレオチド又は2つのポリペプチド配列の「同一性パーセント」は、GAPコンピュータプログラム(GCG Wisconsin Package;version 10.3(Accelrys,San Diego,CA)の一部)デフォルトパラメータ比較配列を用いて決定される。
【0053】
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、全文を通して同義的に使用され、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類似体(例えば、ペプチド核酸及び非天然ヌクレオチド類似体)を用いて生成されるDNA又はRNA類似体並びにそれらのハイブリッドを含み得る。核酸分子は、一本鎖又は二本鎖であり得る。一実施形態において、本明細書における核酸分子は、本明細書において提供される抗体又はそのフラグメント、誘導体、突然変異タンパク質、若しくは変異体をコードする隣接オープンリーディングフレームを含む。
【0054】
2つの一本鎖ポリヌクレオチドの配列が逆平行に配置され得る場合、2つの一本鎖ポリヌクレオチドは、互いに「相補的」であり、一方のポリヌクレオチド中の各ヌクレオチドが、別のポリヌクレオチド中の相補的ヌクレオチドと反対であり、ギャップが導入されず、各配列の5’又は3’末端に対形成しないヌクレオチドが見られないようになっている。2つのポリヌクレオチドが、中程度にストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズし得る場合、一方のポリヌクレオチドは、別のポリヌクレオチドと「相補的」である。したがって、一方のポリヌクレオチドは、別のポリヌクレオチドに相補的であり得るが、その相補配列でない。
【0055】
「ベクター」という用語は、それに連結された別の核酸を細胞内に導入するのに使用され得る核酸である。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、さらなる核酸セグメントに結合可能な直鎖状又は環状二本鎖DNA分子を指す。ベクターの別のタイプは、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノウイルス随伴ウイルス)であり、ここで、さらなるDNAセグメントが、ウイルスゲノム内に導入され得る。一部のベクターは、それらが導入された宿主細胞において自己複製可能である(例えば、細菌複製起点を含む細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞内に導入されると宿主細胞ゲノム内に組み込まれ、それによって、宿主ゲノムとともに複製される。
【0056】
「発現ベクター」は、選択されたポリヌクレオチドの発現を指令し得るベクターのタイプである。
【0057】
制御配列がヌクレオチド配列の発現(例えば、発現のレベル、時間、又は部位)に影響を及ぼす場合、ヌクレオチド配列は、制御配列に「操作可能に連結される」。「制御配列」は、それが操作可能に連結される核酸の発現(例えば、発現のレベル、時間、又は部位)に影響を及ぼす核酸である。制御遺伝子は、例えば、制御される核酸に対して直接、又は1つ又は複数の他の分子(例えば、制御配列及び/又は核酸に結合するポリヌクレオチド)を介して作用する。制御配列の例としては、プロモータ、エンハンサー、及び他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)が挙げられる。制御配列のさらなる例が、Goeddel,1990,Gene Expression Technology Technology:Methods in Enzymology,Volume 185,Academic Press,San Diego,CA;及びBaron et al.,1995,Nucleic Acids Res.23:3605-06などに記載され得る。
【0058】
「宿主細胞」という用語は、本明細書において提供されるものなどの核酸を発現するのに使用される細胞を指す。宿主細胞は、原核生物、例えば、大腸菌(E.coli)であり得るか、又はそれは、真核生物、例えば、単細胞真核生物(例えば、酵母又は他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコ又はトマト植物細胞)、動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞又は昆虫細胞)又はハイブリドーマであり得る。通常、宿主細胞は、宿主細胞において後に発現され得るペプチドコード核酸で形質転換又はトランスフェクトされ得る培養細胞である。「組み換え宿主細胞」という語句は、予測される発現の核酸で形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞を示すのに使用され得る。宿主細胞はまた、核酸を含むが、制御配列が、核酸と操作可能に連結されるように宿主細胞中に導入されない限り、所望のレベルでその核酸を発現しない細胞であり得る。「宿主細胞」という用語が、特定の被験体の細胞だけでなく、その細胞の子孫又は潜在的な子孫も指すことが理解されるべきである。続く世代で起こる特定の修飾、例えば、突然変異又は環境的影響のため、このような子孫は、実際に、親細胞と異なり得るが、なお、本明細書において使用されるこの用語の範囲内に含まれる。
【0059】
エンドセリン受容体
エンドセリン受容体(ETA)は、ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)を介して1つ又は複数の細胞内シグナル伝達経路に結合される7-膜貫通受容体ファミリーのAサブファミリーに属する(Jelinek et al.,1993,Science 259:1614-1616,及びSegre et al.,1993,Trends Endocrinol.Metab.4:309-314)。本明細書において使用される際、「エンドセリン受容体」及び「ETA」又は「ETR」は、同義的に使用され得る。
【0060】
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、細胞において発現される膜結合エンドセリン受容体に結合し、エンドセリン受容体を介してエンドセリンシグナル伝達を阻害又は阻止するように選択され得る。一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ヒトエンドセリン受容体に特異的に結合する。さらなる実施形態において、ヒトエンドセリン受容体に結合する抗体はまた、他の種、例えば、ラットのエンドセリン受容体に結合し得る。以下の実施例は、ヒト膜結合エンドセリン受容体に結合するマウス抗体の生成を提供し、さらなる実施形態において、マウス抗体はまた、他の種のエンドセリン受容体に結合する。
【0061】
いくつかの種のエンドセリン受容体のポリヌクレオチド及びポリペプチド配列が知られている。配列番号1~配列番号6は、ヒト、サル及びラットの配列を示す。配列データは、米国国立生物工学情報センター(US National Center for Biotechnology Information)のGenBankデータベースから入手した。
【0062】
エンドセリン受容体A(ETA)の配列情報は、以下のとおりである:
ヒト(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))ポリヌクレオチド(配列番号1);受託番号:S63938;
ヒト(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))アミノ酸(配列番号2);受託番号:AAB20278;
サル(カニクイザル)ポリヌクレオチド(配列番号3);受託番号:JV635771;
サル(カニクイザル)アミノ酸(配列番号4);受託番号:AFJ71111;
ラット(ドブネズミ(Rattus norvegicus))ポリヌクレオチド(配列番号5);受託番号:M60786;
ラット(ドブネズミ(Rattus norvegicus))アミノ酸(配列番号6);受託番号:AAA41114。
【0063】
エンドセリン受容体A(ETA)抗体
一実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、1、2、3、4、5又は6つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、及び配列番号30;
b.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、及び配列番号48;
c.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、及び配列番号205;
d.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、及び配列番号90;
e.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、及び配列番号114;及び
f.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、及び配列番号136
から選択される。
【0064】
表1は、本明細書に記載されるETA抗体の軽鎖CDRアミノ酸配列、並びにそれらの対応するポリヌクレオチドコード配列を列挙している。表2は、本明細書に記載されるETA抗体の重鎖CDRアミノ酸配列、並びにそれらの対応するポリヌクレオチドコード配列を列挙している。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、5、4、3、2又は1つのアミノ酸付加、置換、及び/又は欠失が、表1及び2に列挙されるCDRアミノ酸配列の1つと異なる配列を含む。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、4、3、2又は1つのアミノ酸付加、置換、及び/又は欠失が、表1及び2に列挙されるCDRアミノ酸配列の1つと異なる配列を含む。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、3、2又は1つのアミノ酸付加、置換、及び/又は欠失が、表1及び2に列挙されるCDRアミノ酸配列の1つと異なる配列を含む。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、2又は1つのアミノ酸付加、置換、及び/又は欠失が、表1及び2に列挙されるCDRアミノ酸配列の1つと異なる配列を含む。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、1つのアミノ酸付加、置換、及び/又は欠失が、表1及び2に列挙されるCDRアミノ酸配列のものと異なる配列を含む。
【0068】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体(ETA-1抗体)は、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、及び配列番号30;及び
b.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、及び配列番号90
から選択される。
【0069】
一態様において、ETA-1抗体は、1又は2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、及び配列番号48;及び
b.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、及び配列番号114
から選択される。
【0070】
別の態様において、ETA-1抗体は、1又は2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、及び配列番号205;及び
b.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、及び配列番号136
から選択される。
【0071】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体(ETA-2抗体)は、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、及び配列番号48;及び
b.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、及び配列番号114
から選択される。
【0072】
一態様において、ETA-2抗体は、1又は2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、及び配列番号30;及び
b.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、及び配列番号90
から選択される。
【0073】
別の態様において、ETA-2抗体は、1又は2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、及び配列番号205;及び
b.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、及び配列番号136
から選択される。
【0074】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体(ETA-3抗体)は、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、及び配列番号205;及び
b.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、及び配列番号136
から選択される。
【0075】
一態様において、ETA-3抗体は、1又は2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、及び配列番号30;及び
b.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、及び配列番号90
から選択される。
【0076】
別の態様において、ETA-3抗体は、1又は2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、及び配列番号48;及び
b.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、及び配列番号114
から選択される。
【0077】
一実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、a.以下のリスト:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、及び配列番号30から独立して選択される軽鎖CDR1アミノ酸配列;
b.以下のリスト:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、及び配列番号48から独立して選択される軽鎖CDR2アミノ酸配列;
c.以下のリスト:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、及び配列番号68から独立して選択される軽鎖CDR3アミノ酸配列;
d.以下のリスト:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、及び配列番号90から独立して選択される重鎖CDR1アミノ酸配列;
e.以下のリスト:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、及び配列番号114から独立して選択される重鎖CDR2アミノ酸配列;及び
f.以下のリスト:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、及び配列番号136から独立して選択される重鎖CDR3アミノ酸配列
を含む。
【0078】
一実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、以下のリスト:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、及び配列番号205から独立して選択される軽鎖CDR3アミノ酸配列を含む。別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、以下のリスト:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、及び配列番号136から独立して選択される重鎖CDR3アミノ酸配列を含む。
【0079】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、以下のリスト:配列番号50及び配列番号116、配列番号50及び配列番号205、配列番号62及び配列番号128、配列番号62及び配列番号130、配列番号64及び配列番号132、配列番号66及び配列番号134、及び配列番号68及び配列番号136から独立して選択される軽鎖及び重鎖CDR3アミノ酸配列の組合せを含む。
【0080】
一実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、
(a)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50又は配列番号205;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116;
(b)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号10;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号34;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号52;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号72;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号94;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号118;
(c)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号12;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号36;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号54;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号74;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号96;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号120;
(d)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号14;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号38;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号56;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号76;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号98;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号122;
(e)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号16;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号40;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号58;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号78;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号100;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号124;
(f)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号18;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号42;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号60;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号80;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号102;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号126;
(g)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号20又は配列番号22;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号44;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号62;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号82;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号104又は106;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号128;
(h)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号24;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号44;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号62;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号84;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号108;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号130;
(i)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号26;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号46;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号64;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号86;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号110;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号132;
(j)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号28;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号46;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号66;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号88;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号112;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号134;又は
(k)軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号30;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号48;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号68;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号90;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号114;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号136
を含む。
【0081】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、
軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号28;
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号46;
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号66;
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号88;
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号112;及び
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号134
を含む。
【0082】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、1又は2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖可変ドメインアミノ酸配列:配列番号138(L1)、配列番号140(L2)、配列番号142(L3)、配列番号144(L4)、配列番号146(L5)、配列番号148(L6)、配列番号150(L7)、配列番号152(L8)、配列番号154(L9)、配列番号156(L10)、配列番号158(L11)、配列番号160(L12)、配列番号162(L13)、及び配列番号164(L14)、及びそれらと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;並びに
b.重鎖可変ドメインアミノ酸配列:配列番号166(H1)、配列番号168(H2)、配列番号170(H3)、配列番号172(H4)、配列番号174(H5)、配列番号176(H6)、配列番号178(H7)、配列番号180(H8)、配列番号182(H9)、配列番号184(H10)、配列番号186(H11)、配列番号188(H12)、配列番号190(H13)、及び配列番号192(H14)、及びそれらと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列
から選択される。
【0083】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体のポリヌクレオチドコード配列は、1又は2つのポリヌクレオチド配列を含み、ここで、各ポリヌクレオチド配列が、独立して、以下に列挙されるポリヌクレオチド配列:
a.軽鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列:配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号161、及び配列番号163、及びそれらと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%同一であるポリヌクレオチド配列;並びに
b.重鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列:配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、及び配列番号191、及びそれらと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%同一であるポリヌクレオチド配列
から選択される。
【0084】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、
a.以下のリスト:配列番号138(L1)、配列番号140(L2)、配列番号142(L3)、配列番号144(L4)、配列番号146(L5)、配列番号148(L6)、配列番号150(L7)、配列番号152(L8)、配列番号154(L9)、配列番号156(L10)、配列番号158(L11)、配列番号160(L12)、配列番号162(L13)、及び配列番号164(L14)から独立して選択される軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、並びにそれらと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;並びに
b.以下のリスト:配列番号166(H1)、配列番号168(H2)、配列番号170(H3)、配列番号172(H4)、配列番号174(H5)、配列番号176(H6)、配列番号178(H7)、配列番号180(H8)、配列番号182(H9)、配列番号184(H10)、配列番号186(H11)、配列番号188(H12)、配列番号190(H13)、及び配列番号192(H14)から独立して選択される重鎖可変ドメインアミノ酸配列、並びにそれらと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0085】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、
a.以下のリスト:配列番号138(L1)、配列番号140(L2)、配列番号142(L3)、配列番号144(L4)、配列番号146(L5)、配列番号148(L6)、配列番号150(L7)、配列番号152(L8)、配列番号154(L9)、配列番号156(L10)、配列番号158(L11)、配列番号160(L12)、配列番号162(L13)、及び配列番号164(L14)から独立して選択される軽鎖可変ドメインアミノ酸配列;並びに
b.以下のリスト:配列番号166(H1)、配列番号168(H2)、配列番号170(H3)、配列番号172(H4)、配列番号174(H5)、配列番号176(H6)、配列番号178(H7)、配列番号180(H8)、配列番号182(H9)、配列番号184(H10)、配列番号186(H11)、配列番号188(H12)、配列番号190(H13)、及び配列番号192(H14)から独立して選択される重鎖可変ドメインアミノ酸配列
を含む。
【0086】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、以下のリスト:配列番号138及び配列番号166(L1H1)、配列番号140及び配列番号168(L2H2)、配列番号142及び配列番号170(L3H3)、配列番号144及び配列番号172(L4H4)、配列番号146及び配列番号174(L5H5)、配列番号148及び配列番号176(L6H6)、配列番号150及び配列番号178(L7H7)、配列番号152及び配列番号180(L8H8)、配列番号154及び配列番号182(L9H9)、配列番号156及び配列番号184(L10H10)、配列番号158及び配列番号186(L11H11)、配列番号160及び配列番号188(L12H12)、配列番号162及び配列番号190(L13H13)、及び配列番号164及び配列番号192(L14H14)から独立して選択される軽鎖及び重鎖可変ドメインアミノ酸配列の組合せを含む。別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、軽鎖及び重鎖可変ドメインアミノ酸配列:配列番号162及び配列番号190(L13H13)の組合せを含む。
【0087】
「LxHy」という記号を用いて、本明細書に記載されるETA抗体を示すこともでき、ここで、「x」が、軽鎖可変領域に対応し、「y」が、重鎖可変領域に対応する。例えば、L2H1は、アミノ酸配列の配列番号140(L2)を含む軽鎖可変領域及びアミノ酸配列の配列番号166(H1)を含む重鎖可変領域を有する抗体を指す。
【0088】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、L1~L14から選択される軽鎖可変領域又はH1~H14から選択される重鎖可変領域、及びそのフラグメント、誘導体、突然変異タンパク質、若しくは変異体を含む。
【0089】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、以下のリスト:配列番号138及び配列番号166、配列番号150及び配列番号178、配列番号152及び配列番号180、配列番号154及び配列番号182、配列番号156及び配列番号184、配列番号158及び配列番号186、配列番号160及び配列番号188、配列番号162及び配列番号190、及び配列番号164及び配列番号192から独立して選択される軽鎖及び重鎖CDR3アミノ酸配列の組合せを含む。
【0090】
一実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、軽鎖可変ドメインアミノ酸配列の配列番号138又は重鎖可変ドメインアミノ酸配列の配列番号166を含む。別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、軽鎖可変ドメインアミノ酸配列の配列番号138及び重鎖可変ドメインアミノ酸配列の配列番号166の組合せを含む。別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、定常アミノ酸配列をさらに含み、ここで、各定常アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:a.軽鎖定常アミノ酸配列:配列番号194及び配列番号196;並びにb.重鎖定常アミノ酸配列:配列番号198及び配列番号206から選択される。
【0091】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、定常アミノ酸配列をさらに含み、ここで、各定常アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙される軽鎖及び重鎖定常アミノ酸配列の組合せ:
a.軽鎖定常アミノ酸配列の配列番号194及び重鎖定常アミノ酸配列の配列番号198の組合せ;
b.軽鎖定常アミノ酸配列の配列番号194及び重鎖定常アミノ酸配列の配列番号206の組合せ;
c.軽鎖定常アミノ酸配列の配列番号196及び重鎖定常アミノ酸配列の配列番号198の組合せ;
d.軽鎖定常アミノ酸配列の配列番号196及び重鎖定常アミノ酸配列の配列番号206の組合せ
から選択される。
【0092】
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、本明細書に列挙される軽鎖及び重鎖CDR及びFR(フレームワーク)アミノ酸配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書に列挙される軽鎖CDR2配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書に列挙される軽鎖CDR3配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書に列挙される重鎖CDR1配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書に列挙される重鎖CDR2配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書に列挙される重鎖CDR3配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書における軽鎖FR1配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書における軽鎖FR2配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書における軽鎖FR3配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書における軽鎖FR4配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書における重鎖FR1配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書における重鎖FR2配列を含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書における重鎖FR3配列を含む。さらなる実施形態において、抗体は、本明細書における重鎖FR4配列を含む。
【0093】
一実施形態において、抗体のCDR3配列は、6、5、4、3、2又は1つ以下のアミノ酸付加、置換及び/又は欠失が、本明細書に列挙される軽鎖及び重鎖CDR3アミノ酸配列の配列番号50及び配列番号116の組合せと異なる。別の実施形態において、抗体の軽鎖CDR3配列は、6、5、4、3、2又は1つ以下のアミノ酸付加、置換及び/又は欠失が、本明細書に列挙される軽鎖CDR3アミノ酸配列の配列番号50と異なる。別の実施形態において、抗体の軽鎖CDR3配列は、6、5、4、3、2又は1つ以下のアミノ酸付加、置換及び/又は欠失が、本明細書に列挙される軽鎖CDR3アミノ酸配列の配列番号50と異なり、抗体の重鎖CDR3配列は、6、5、4、3、2又は1つ以下のアミノ酸付加、置換及び/又は欠失が、本明細書に列挙される重鎖CDR3アミノ酸配列の配列番号116又は配列番号118と異なる。別の実施形態において、抗体は、本明細書に列挙される軽鎖及び重鎖CDR配列の1、2、3、4、5又は6つの組合せをさらに含む。別の実施形態において、抗体は、軽鎖及び重鎖CDR配列の1、2、3、4、5又は6つの組合せをさらに含み、各配列は、単独で、6、5、4、3、2又は1つ以下のアミノ酸が、本明細書に列挙される軽鎖及び重鎖CDR3アミノ酸配列の配列番号50及び配列番号116の組合せと異なる。別の実施形態において、抗体は、本明細書に列挙される軽鎖可変領域CDR及び重鎖可変領域CDRを含む。別の実施形態において、抗体は、本明細書に列挙される軽鎖及び重鎖CDR配列の1、2、3、4、5及び/又は6つの組合せを含む。
【0094】
一実施形態において、抗体(例えば、抗体又は抗体フラグメント)は、本明細書に列挙されるL1軽鎖可変ドメイン配列を含む。一実施形態において、軽鎖可変ドメインは、L1軽鎖可変ドメイン配列との15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1つのアミノ酸の相違を有するアミノ酸配列を含み、ここで、各配列の相違が、独立して、アミノ酸残基の欠失、挿入又は置換である。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインは、L1軽鎖可変ドメイン配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列は、L1ポリヌクレオチドコード配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%同一であるヌクレオチドコード配列を含む。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列は、L1軽鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列の相補配列と中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列は、L1軽鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む。
【0095】
一実施形態において、抗体(例えば、抗体又は抗体フラグメント)は、本明細書に列挙されるH1重鎖可変ドメイン配列を含む。別の実施形態において、可変ドメインは、H1重鎖可変ドメイン配列との15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1つのアミノ酸の相違を有するアミノ酸配列を含み、ここで、各配列の相違が、独立して、アミノ酸残基の欠失、挿入又は置換である。別の実施形態において、重鎖可変ドメインは、H1重鎖可変ドメイン配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、重鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列は、H1ポリヌクレオチドコード配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%同一であるヌクレオチドコード配列を含む。別の実施形態において、重鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列は、H1重鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列の相補配列と中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、重鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列は、H1重鎖可変ドメインポリヌクレオチドコード配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む。
【0096】
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、又はL14H14、又はその所望の表現型(例えば、IgA、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、IgE、及びIgD)、又はそのFab若しくはF(ab’)フラグメントの組合せを含む抗体を含む。
【0097】
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、L1H1、又はそのクラススイッチを有する抗体(例えば、IgA、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、IgE、及びIgD)、又はそのFab若しくはF(ab’)フラグメントの組合せを含む抗体を含む。
【0098】
本明細書に記載される抗体(例えば、抗体、抗体フラグメント、及び抗体誘導体)は、当該技術分野において公知の定常領域のいずれかを含み得る。軽鎖定常領域は、例えば、κ又はλ軽鎖定常領域、例えば、マウスκ又はλ軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、α、δ、ε、γ、又はμ重鎖定常領域、例えば、マウスα、δ、ε、γ、又はμ重鎖定常領域であり得る。一実施形態において、軽鎖又は重鎖定常領域は、天然定常領域のフラグメント、誘導体、変異体、又は突然変異タンパク質である。
【0099】
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、軽鎖κ又はλ定常ドメイン又はそのフラグメントをさらに含む。軽鎖定常領域配列及びそのポリヌクレオチドコード配列は、以下のように提供される:ポリヌクレオチド(κ)、(配列番号193);アミノ酸(κ)、(配列番号194);ポリヌクレオチド(λ)、(配列番号195);アミノ酸(λ)、(配列番号196)。
【0100】
別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、重鎖定常ドメイン又はそのフラグメントをさらに含む。重鎖定常領域配列及びそのポリヌクレオチドコード配列は、以下のように提供される:ポリヌクレオチド(IgG4)、(配列番号197);アミノ酸(IgG4)、(配列番号198)。
【0101】
一実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、マウス抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、抗原結合抗体フラグメント、一本鎖抗体、二重鎖抗体、トリアボディ、テトラボディ、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ドメイン抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgGl抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、及びIgG4抗体から選択される。別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、ETAモノクローナル抗体である。別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、マウスETA抗体である。本明細書に記載されるETA抗体は、ヒト化ETA抗体である。
【0102】
一実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、モノクローナル抗体A-1(配列番号138及び配列番号166を含む)、A-7(配列番号150及び配列番号178を含む)、A-8(配列番号152及び配列番号180を含む)、A-9(配列番号154及び配列番号182を含む)、A-10(配列番号156及び配列番号184を含む)、A-11(配列番号158及び配列番号186を含む)、A-12(配列番号160及び配列番号188を含む)、A-13(配列番号162及び配列番号190を含む)、又はA-14(配列番号164及び配列番号192を含む)である。
【0103】
抗体及び抗体フラグメント
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、インタクト抗体(完全長重鎖及び/又は軽鎖を有するポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含む)である。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、抗体フラグメント、例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、Fv、Fc、又はFdフラグメントであり、単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、マキシボディ(maxibodies)、ミニボディ(minibodies)、イントラボディ(intrabodies)、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、v-NAR及びビス-scFvに組み込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson,2005,Nature Biotechnology,23:1126-1136を参照)。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、フィブロネクチンポリペプチドモノクローナル抗体を含む、(米国特許第6,703,199号明細書)に開示されるものなどの抗体ポリペプチドも含む。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、一本鎖ポリペプチドである、(米国特許出願公開第2005/0238646号明細書)に開示される他の抗体ポリペプチドも含む。
【0104】
一実施形態において、ハイブリドーマ中の関連するモノクローナル抗体を発現する遺伝子の可変領域は、ヌクレオチドプライマーを用いて増幅される。これらのプライマーは、当業者によって合成され得るか、又は商業的供給源から購入され得(例えば、Stratagene,La Jolla,and Californiaを参照)、これらの供給業者は、VHa、VHb、VHc、VHd、CH1、V、及びC領域プライマーを含むマウス及びヒト可変領域プライマーを販売する。これらのプライマーは、それぞれIMMUNOZAPTMH又はILLLFFLUNOZAPTML(Stratagene)などのベクターに後に挿入され得る重鎖又は軽鎖可変領域を増幅するのに使用され得る。次に、これらのベクターは、大腸菌(E.coli)、酵母、又は哺乳動物に基づく発現系に導入され得る。V及びVドメインを含む大量の融合一本鎖タンパク質が、これらの方法を用いて産生され得る(Bird et al.,1988,Science 242:423-426を参照)。
【0105】
本出願に係る抗体産生細胞が、上記の免疫付与及び他の技術のいずれかを用いて得られた後、特定の抗体の遺伝子が、本明細書に記載される標準的な方法にしたがってそれから遺伝子を単離し、DNA又はmRNAを増幅することによってクローニングされ得る。それから産生された抗体は、配列を決定され得、CDRが同定される。CDRをコードするDNAが、本明細書に記載される他の抗体を産生するように、上述されるように操作され得る。
【0106】
本明細書に記載される抗体は、好ましくは、本明細書に記載される細胞に基づくアッセイ及び/又は本明細書に記載されるインビボアッセイにおいて、エンドセリンシグナル伝達を調節し、及び/又は本出願に記載される抗体の1つの結合をクロスブロックし(cross-block)及び/又は本出願に記載される抗体の1つによるETAとの結合によってクロスブロックされ得る。したがって、本明細書に記載されるアッセイは、このような結合剤を同定するように使用され得る。
【0107】
ある実施形態において、抗体は、本明細書に記載される細胞に基づく及び/又はインビボアッセイにおいて、ETAを過剰発現する細胞に結合し、及び/又は中和し、及び/又は本出願に記載される抗体をクロスブロックし、及び/又は本出願に記載される抗体の1つによって、ETAとの結合によってクロスブロックされる抗体をまず同定することによって生成される。
【0108】
抗体などの特定のタンパク質が、様々な翻訳後修飾を受けることができることが、当業者によって理解されるべきである。これらの修飾のタイプ及び程度は、タンパク質を発現するのに使用される宿主細胞系並びに培養条件に左右される。このような修飾は、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペリジン(diketopiperizine)形成、アスパラギン酸塩異性化及びアスパラギン脱アミド化の変化を含む。カルボキシペプチダーゼの作用による高頻度の修飾は、カルボキシ末端塩基性残基(リジン又はアルギニンなど)の損失をもたらした(Harris,1995,Journal of Chromatography 705:129-134に記載されるように)。
【0109】
マウスモノクローナル抗体の産生のための代替的な方法は、モノクローナル抗体を含有する腹水の形成を促進するように処理された(例えば、プリスタン初回免疫(pristane primary immunization))同種マウス、例えば、マウスの腹腔内にハイブリドーマ細胞を注入することである。モノクローナル抗体は、様々な確立した技術によって単離及び精製され得る。このような単離技術としては、プロテイン-Aセファロースを用いたアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、及びイオン交換クロマトグラフィーが挙げられる(例えば、Coligan at pages 2.7.1-2.7.12 and pages 2.9.1-2.9.3;及びBaines et al.,“Purification of Immunoglobulin G(IgG)”,Methods in Molecular Biology,Vol.10,pages 79-104(The Humana Press,Inc.1992)を参照)。モノクローナル抗体は、抗体の特定の特性(例えば、重鎖又は軽鎖アイソタイプ、結合特異性など)に基づいて選択される適切なリガンドを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製され得る。固体担体上に固定される好適なリガンドの例としては、プロテインA、プロテインG、抗定常領域(軽鎖又は重鎖)抗体、抗イディオタイプ抗体、及びTGF-β結合タンパク質、又はそのフラグメント若しくは変異体が挙げられる。
【0110】
Schier et al.,1996,J.Mol.Biol.263:551-567に記載されるように、抗体結合部位の中心における相補性決定領域(CDR)の分子進化は、増加した親和性を有する抗体、例えば、c-erbB-2に対する増加した親和性を有する抗体を単離するのに使用されている。したがって、このような技術は、ヒトエンドセリン受容体に対する抗体を調製するのに有用である。ヒトエンドセリン受容体に対する抗体が、例えば、インビトロ又はインビボのいずれかで、エンドセリン受容体の存在を検出するアッセイにおいて使用され得る。
【0111】
抗体はまた、従来の技術のいずれかによって調製され得る。例えば、これらの抗体は、それらを天然で発現する細胞から精製され得るか(例えば、抗体は、それを産生するハイブリドーマから精製され得る)又は当該技術分野において公知の任意の技術を用いて組み換え発現系において産生され得る。例えば、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Kennet et al.(eds.),Plenum Press,(1980);及びAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Land(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)を参照されたい。これは、以下の核酸の節において説明されている。
【0112】
抗体は、任意の従来の技術によって、調製され、所望の特性についてスクリーニングされ得る。いくつかの技術は、関連する抗体(例えば、抗エンドセリン受容体抗体)のポリペプチド鎖(又はその部分)をコードする核酸の単離及び組み換えDNA技術による核酸の操作に関連する。核酸は、別の関連する核酸と融合されるか、又は1つ又は複数のアミノ酸残基を付加、削除又は置換するように(例えば、誘発突然変異又は他の従来の技術によって)修飾され得る。
【0113】
上述されるCDRの1つ又は複数を含有する本発明に係る抗体の親和性を向上させることが必要とされる場合、CDRの維持(Yang et al.,1995,J.Mol.Biol.,254:392-403)、鎖シャッフリング(Marks et al.,1992,Bio/Technology,10:779-783)、大腸菌(E.coli)の突然変異株の使用(Low et al.,1996,J.Mol.Biol.,250:350-368)、DNA再構成(Patten et al.,1997,Curr.Opin.Biotechnol.,8:724-733)、ファージディスプレイ(Thompson et al.,1996,J.Mol.Biol.,256:7-88)及びさらなるPCR技術(Crameri et al.,1998,Nature,391:288-291)を含む、いくつかの親和性成熟プロトコルが使用され得る。これらの親和性成熟方法の全ては、Vaughan et al.,1998,Nature Biotechnology,16:535-539に記載されている。
【0114】
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、抗エンドセリン受容体フラグメントである。フラグメントは、全体的に抗体由来配列からなり得、又はさらなる配列を含有し得る。抗原結合フラグメントの例としては、Fab、F(ab’)2、一本鎖抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、及びドメイン抗体が挙げられる。他の例が、Lunde et al.,2002,Biochem.Soc.Trans.30:500-06において提供されている。
【0115】
一本鎖抗体は、単一ポリペプチド鎖を生じるように、アミノ酸架橋(短ペプチドリンカー)によって重鎖及び軽鎖可変ドメイン(Fv領域)フラグメントを連結することによって形成され得る。このような一本鎖Fv(scFv)は、2つの可変ドメインポリペプチド(VL及びVH)をコードするDNA間のペプチドリンカーをコードする融合DNAによって調製されている。得られるポリペプチドは、それ自体で折り畳まれて、抗原結合モノマーを形成し得るか、又はそれらは、2つの可変ドメイン間のフレキシブルリンカーの長さに応じて、ポリマー(例えば、二量体、三量体、又は四量体)を形成し得る(Kortt et al.,1997,Prot.Eng.10:423;及びKortt et al.,2001,Biomol.Eng.18:95-108)。様々なVL及びVH含有ポリペプチドを組み合わせることによって、様々な表現型に結合するポリマーscFvが形成され得る(Kriangkum et al.,2001,Biomol.Eng.18:31-40)。一本鎖抗体の産生のために開発された技術としては、
米国特許第4,946,778号明細書;Bird,1988,Science 242:423;Huston et al.,1988,PNAS USA 85:5879-5883;Ward et al.,1989,Nature 334:544-546;de Graaf et al.,2002,Methods Mol.Biol.178:379-87に記載されるものが挙げられる。限定はされないが、可変ドメイン組合せL1H1を含むscFvを含む、本明細書に記載される抗体に由来する一本鎖抗体が、本明細書の範囲に包含される。
【0116】
抗体に由来する抗原結合フラグメントはまた、従来の方法にしたがって、抗体のタンパク質分解的加水分解、例えば、インタクトな抗体のペプシン又はパパイン消化によって得られる。例として、抗体フラグメントは、F(ab’)と呼ばれるSSフラグメントを生じる、ペプシンによる抗体の酵素的切断によって、生成され得る。このフラグメントは、スルフヒドリル還元剤を用いてさらに切断されて、3.5S Fab’一価フラグメントを生じ得る。任意のスキームは、スルフヒドリル保護基との切断反応を行って、ジスルフィド結合の切断を得ることであり;さらに、パパインを用いた酵素的切断により、2つの一価Fabフラグメント及びFcフラグメントを直接生成する。これらの方法は、例えば、Goldenbergらの米国特許第4,331,647号明細書、Nisonoffet et al.,1960,Arch.Biochem.Biophys.89:230;Porter,1959,Biochem.J.73:119;Edelman et al.,Methods in Enzymology 1:422(Academic Press 1967);及びAndrews and Titus,J.A.in Current Protocols in Immunology(Coligan,et al.,(eds)),John Wiley & Sons,2003),pages 2.8.1-2.8.10 and 2.10A.1-2.10A.5によって記載されている。重鎖を調製して一価重鎖及び軽鎖フラグメント(Fd)を形成するなどの、抗体を切断するための他の方法、フラグメントの他の切断、又は他の酵素的、化学的、又は遺伝子学的技術も、フラグメントがインタクトな抗体によって認識される抗原に結合する限り、使用され得る。
【0117】
抗体フラグメントの別の形態は、抗体の1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)を含むペプチドである。CDRは、関連するCDRをコードするポリヌクレオチドを構築することによって得られる。このようなポリヌクレオチドは、例えば、鋳型として抗体産生細胞のmRNAを用いて可変領域を合成するポリメラーゼ連鎖反応を用いることによって調製され得る(例えば、Larrick et al.,1991,Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:106;Courtenay-Luck,“Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies”,in Monoclonal Antibodies:Production,Engineering and Clinical Application,Ritter et al.(eds.),page 166(Cambridge University Press 1995);Ward et al.,“Genetic Manipulation and Expression of Antibodies”,in Monoclonal Antibodies:Principles and Applications,Birch et al.,(eds.),page 137(Wiley-Liss,Inc.1995を参照)。抗体フラグメントは、本明細書に記載される抗体の少なくとも1つの可変ドメインをさらに含み得る。したがって、例えば、V領域ドメインは、モノマー及びV又はVドメインであり得、これは、独立して、後述されるように少なくとも1×10-7M以下の又は親和性でエンドセリン受容体に結合し得る。
【0118】
可変領域ドメインは、任意の天然可変ドメイン又はその遺伝子学的に操作された形態であり得る。遺伝子学的に操作された形態とは、組み換えDNA操作技術により生成された可変領域ドメインを意味する。このような遺伝子学的に操作された形態は、例えば、特定の抗体のアミノ酸配列における又はそれに対する挿入、欠失、又は変化によって、特定の抗体可変領域から生成されるものを含む。具体的な例は、1つの抗体からの唯一のCDR及び任意選択的に1つ又は複数のフレームワークアミノ酸を含有する遺伝子学的に操作された可変領域ドメイン、及び別の抗体からの可変領域ドメインの残りの部分を含む。
【0119】
可変領域ドメインは、C末端アミノ酸において、少なくとも1つの他の抗体ドメイン又はそのフラグメントに共有結合され得る。したがって、例えば、可変領域ドメイン中に存在するVドメインは、免疫グロブリンCH1ドメイン又はそのフラグメントに連結され得る。同様に、Vドメインは、Cドメイン又はそのフラグメントに連結され得る。このように、例えば、抗体は、Fabフラグメントであり得、ここで、抗原結合ドメインは、そのC末端において、それぞれCH1及びCκドメインに共有結合的に連結される組み合わせたV及びVドメインを含有する。CH1ドメインは、さらなるアミノ酸で拡張されて、例えば、Fab’フラグメントに見られるようなヒンジ領域又はヒンジ領域ドメインの部分を生じるか、又は抗体CH2及びCH3ドメインなどのさらなるドメインを生じ得る。
【0120】
抗体の誘導体及び変異体
アミノ酸配列A-1をコードするヌクレオチド配列L1及びH1が、例えば、ランダム突然変異誘発によって又は部位特異的突然変異誘発(例えば、オリゴヌクレオチド誘導性部位特異的突然変異誘発)によって改変されて、非突然変異ポリヌクレオチドと比較して、1つ又は複数の特定のヌクレオチド置換、欠失、又は挿入を含む改変ポリヌクレオチドを生成し得る。このような改変を行うための技術の例が、Walder et al.,1986,Gene 42:133;Bauer et al.,1985,Gene 37:73;Craik,1985,BioTechniques,3:12-19;Smith et al.,1981,Genetic Engineering:Principles and Methods,Plenum Press;並びに米国特許第4,518,584号明細書及び米国特許第4,737,462号明細書に記載されている。これらの及び他の方法が、非誘導体化抗体と比較して、所望の特性、例えば、エンドセリン受容体に対する親和性、アビディティ(avidity)若しくは特異性の向上、インビボ若しくはインビトロ活性又は安定性の向上、又は生体内副作用の減少を有する、例えば、抗エンドセリン受容体抗体の誘導体を作製するのに使用され得る。
【0121】
当該技術分野における抗エンドセリン受容体抗体の他の誘導体は、他のタンパク質又はポリペプチドとともに、例えば、抗エンドセリン受容体抗体ポリペプチドのN末端又はC末端に融合された異種ポリペプチドを含む組み換え融合タンパク質の発現によって、抗エンドセリン受容体抗体又はそのフラグメントの共有結合的又は凝集性コンジュゲートを含む。例えば、共役ペプチドは、異種シグナル(又はリーダー)ポリペプチド、例えば、酵母α-因子リーダーペプチド又はエピトープタグペプチドであり得る。融合タンパク質を含有する抗体は、抗体(例えば、ポリ-His)の精製又は同定を促進するために加えられるペプチドを含み得る。抗体はまた、Hopp et al.,1988,Bio/Technology 6:1204、及び米国特許第5,011,912号明細書に記載されるように、FLAGペプチドに連結され得る。FLAGペプチドは、高度に抗原性であり、特異的モノクローナル抗体(mAb)によって可逆的に結合されるエピトープを提供し、発現された組み換えタンパク質の迅速なアッセイ及び容易な精製を可能にする。FLAGペプチドが所与のポリペプチドに融合された融合タンパク質を調製するのに有用な試薬は市販されている(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)。別の実施形態において、1つ又は複数の抗体を含有するオリゴマーが、エンドセリン受容体拮抗薬又はより高次のオリゴマーとして用いられ得る。オリゴマーは、共有結合的に連結された又は非共有結合的に連結された二量体、三量体、又はより高次のオリゴマーの形態であり得る。2つ以上の抗体を含むオリゴマーの使用が想定され、一例はホモ二量体である。他のオリゴマーとしては、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体などが挙げられる。
【0122】
一実施形態は、抗体に融合されたペプチド部分間の共有結合的又は非共有相互作用を介して結合された複数の抗体を含むオリゴマーに関する。このようなペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサ)、又はオリゴマー形成を促進する特性を有するペプチドであり得る。ロイシンジッパー及び抗体に由来する特定のポリペプチドは、以下により詳細に記載されるように、抗体のオリゴマー形成を促進し得るペプチドである。
【0123】
特定の実施形態において、オリゴマーは、2~4つの抗体を含む。オリゴマーの抗体は、上述される形態のいずれか、例えば、変異体又はフラグメントなどの任意の形態であり得る。好ましくは、オリゴマーは、エンドセリン受容体を有する抗体を含む。
【0124】
一実施形態において、オリゴマーは、免疫グロブリンに由来するポリペプチドを用いて調製される。抗体由来ポリペプチドの様々な部分(Fcドメインを含む)に融合された特定の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の調製が、例えば、Ashkenazi et al.,1991,PNAS USA 88:10535;Byrn et al.,1990,Nature 344:677;及びHollenbaugh et al.,Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins,Current Protocols in Immunology,Suppl.4,pages 10.19.1-10.19.11に記載されている。本明細書における一実施形態は、抗エンドセリン受容体抗体のエンドセリン結合フラグメントを、抗体のFc領域に融合することによって生成される2つの融合タンパク質を含む二量体に関する。二量体は、以下の方法で調製され得る:例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合を、適切な発現ベクターに挿入し、組み換え発現ベクターを用いて形質転換された融合遺伝子を発現させ、発現された融合タンパク質によく似た抗体分子を組み立てさせることによって作製され得、その直後に、Fc部分間の鎖間ジスルフィド結合が、二量体を形成する。
【0125】
本明細書において使用される際の「Fcポリペプチド」という用語は、抗体のFc領域に由来する天然タンパク質及び突然変異タンパク質の形態のポリペプチドを含む。二量化を促進するヒンジ領域を含有するこのようなポリペプチドの切断形態も含まれる。Fc部分(及びそれから形成されたオリゴマー)を含む融合タンパク質は、プロテインA又はプロテインGカラム上でのアフィニティークロマトグラフィーによる容易な精製の利点を提供する。
【0126】
PCT出願国際公開第93/10151号パンフレット(参照により本明細書に援用される)に記載される好適なFcポリペプチドは、ヒトIgG1抗体のN末端ヒンジ領域からFc領域の天然C末端まで伸びる一本鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許第5,457,035号明細書及びBaum et al.,1994,EMBO J.13:3992-4001に記載されるFc突然変異タンパク質である。この突然変異タンパク質のアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに変化されており、アミノ酸20がLeuからGluに変化されており、アミノ酸22がGlyからAlaに変化されていることを除いて、国際公開第93/10151号パンフレットに示される天然Fc配列のものと同一である。突然変異タンパク質は、Fc受容体に対する低下した親和性を示す。他の実施形態において、抗エンドセリン受容体抗体の重鎖及び/又は軽鎖は、その重鎖及び/又は軽鎖の可変部分と置換され得る。
【0127】
或いは、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサペプチド)を伴うか又は伴わずに複数の抗体を含む融合タンパク質である。好適なペプチドリンカーの中には、米国特許第4,751,180号明細書及び米国特許第4,935,233号明細書に記載されるものがある。
【0128】
オリゴマー抗体を調製するための別の方法は、ロイシンジッパーの使用を含む。ロイシンジッパードメインは、それらが見られるタンパク質のオリゴマー形成を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、元々、いくつかのDNA結合タンパク質において同定され(Landschulz et al.,1988,Science 240:1759)、その後、様々な異なるタンパク質において見出されている。公知のロイシンジッパーの中には、二量化又は三量化し得る天然ペプチド又はその誘導体がある。可溶性オリゴマータンパク質を産生するのに好適なロイシンジッパードメインの例が、PCT出願国際公開第94/10308号パンフレットに記載され、肺表面活性剤タンパク質D(SPD)に由来するロイシンジッパーは、Hoppe et al.,1994,FEBS Letters 344:191(参照により本明細書に援用される)に記載される。それに融合された異種タンパク質の安定した三量化を可能にする修飾ロイシンジッパーの使用が、Fanslow et al.,1994,Semin.Immunol.6:267-78に記載される。一方法において、ロイシンジッパーペプチドに融合された抗エンドセリン受容体抗体フラグメント又はその誘導体を含む組み換え融合タンパク質が、好適な宿主細胞において発現され、可溶性オリゴマー抗エンドセリン受容体抗体フラグメント又はその誘導体が、培養上清から回収される。
【0129】
別の実施形態において、抗体誘導体は、本明細書に開示されるCDRの少なくとも1つを含み得る。例えば、1つ又は複数のCDRは、公知の抗体フレームワーク領域(IgG1、IgG2など)に組み込まれるか、又はその半減期を増加させるために好適なビヒクルに共役され得る。好適なビヒクルとしては、限定はされないが、Fc、アルブミン、トランスフェリンなどが挙げられる。これらの及び他の好適なビヒクルは、当該技術分野において公知である。このようなCDR共役ペプチドは、モノマー、二量体、四量体、又は他の形態であり得る。一実施形態において、1つ又は複数の水溶性ポリマーが、1つ又は複数の特定の位置で、例えば、結合剤のアミノ末端で結合される。一例において、抗体誘導体は、限定はされないが、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、又はポリプロピレングリコールを含む、1つ又は複数の水溶性ポリマー結合を含む。例えば、米国特許第4,640,835号明細書、米国特許第4,496,689号明細書、米国特許第4,301,144号明細書、米国特許第4,670,417号明細書、米国特許第4,791,192号明細書、及び米国特許第4,179,337号明細書を参照されたい。いくつかの実施形態において、誘導体は、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、又は他の炭水化物ベースのポリマー、ポリ-(N-ビニルピロリドン)-ポリエチレングリコール、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)及びポリビニルアルコール、並びにこのようなポリマーの混合物のうちの1つ又は複数を含む。ある実施形態において、1つ又は複数の水溶性ポリマーは、1つ又は複数の側鎖にランダムに結合される。ある実施形態において、PEGは、抗体などの結合剤の治療効果を向上させるように働き得る。いくつかのこのような方法が、例えば、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される米国特許第6,133,426号明細書に記載されている。
【0130】
抗体が結合特異性を保持する限り、本明細書に記載される抗体が、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得ることが理解されよう。したがって、抗体構造への修飾が、本明細書に記載される範囲内に包含される。これらの修飾は、抗体のエンドセリン受容体結合能を破壊しない、保存的又は非保存的であり得るアミノ酸置換を含み得る。保存的アミノ酸置換は、生物系における合成ではなく化学的ペプチド合成によって典型的に組み込まれる非天然アミノ酸残基を包含し得る。これらのアミノ酸残基は、アミノ酸部分のペプチド模倣薬及び他の逆又は反転形態を含む。保存的アミノ酸置換はまた、その位置においてアミノ酸残基の極性又は電荷に対する影響がほとんど又は全くないように、非天然残基による天然アミノ酸残基を置換することを含み得る。非保存的置換は、アミノ酸又はアミノ酸類似体のあるクラスのメンバーを、異なる物理的特性(例えば、サイズ、極性、疎水性、及び電荷)を有する別のクラスからのメンバーと交換することを含み得る。
【0131】
さらに、当業者は、各所望のアミノ酸残基において1つのアミノ酸置換を含む、試験される変異体を生成し得る。変異体は、当業者に公知の活性アッセイを用いてスクリーニングされ得る。このような変異体は、好適な変異体についての情報を収集するのに使用され得る。例えば、特定のアミノ酸残基への変化が、破壊された、望ましくないほど低下した、又は不適切な活性をもたらすことが発見された場合、このような変化を有する変異体は、回避され得る。言い換えると、このような日常的な実験から収集される情報に基づいて、当業者は、さらなる置換が、単独で又は他の突然変異と組み合わせて回避されるべきであるアミノ酸を容易に決定することができる。
【0132】
当業者は、周知の技術を用いて、本明細書に記載されるポリペプチドの好適な変異体を決定することができる。いくつかの実施形態において、当業者は、活性にとって重要でない領域を標的にすることによって、活性を破壊せずに変化され得る分子の好適な領域を特定し得る。ある実施形態において、類似のポリペプチドの中で、残基又は保存される分子の部分を特定することができる。ある実施形態において、生物学的活性又は構造にとって重要である領域でも、生物学的活性を破壊せずに、又はポリペプチド構造に悪影響を与えずに保存的アミノ酸置換に供され得る。さらに、当業者は、活性又は構造にとって重要である、類似のポリペプチドにおける残基を特定する構造-機能試験を検討することができる。このような比較を考慮して、類似のタンパク質における活性又は構造にとって重要であるアミノ酸残基に対応する、タンパク質におけるアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、このような予測される重要なアミノ酸残基の代わりに化学的に類似したアミノ酸置換を選択し得る。
【0133】
当業者は、類似のポリペプチドにおける該当する構造に関連する三次元構造及びアミノ酸配列を分析することもできる。このような情報を考慮して、当業者は、その三次元構造に関して抗体のアミノ酸残基のアライメントを予測し得る。いくつかの実施形態において、当業者は、タンパク質の表面にあることが予測されるアミノ酸残基に根本的な変更を行わないことを選択してもよく、これは、このような残基が、他の分子との重要な相互作用に関与し得るためである。いくつかの科学出版物が、二次構造の予測をテーマにしている。Moult,1996,Curr.Op.Biotech.7:422-427;Chou et al.,1974,Biochemistry 13:222-245;Chou et al.,1974,Biochemistry 113:211-222;Chou et al.,1978,Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.47:45-148;Chou et al.,1979,Ann.Rev.Biochem.47:251-276及びChou et al.,Biophys.J.26:367-384を参照されたい。さらに、二次構造を予測するのを支援するコンピュータプログラムが、現在入手可能である。例えば、30%超の配列同一性、又は40%超の類似性を有する2つのポリペプチド又はタンパク質は、類似の高レベルの構造を有することが多い。タンパク質データバンク(PDB)の最近の成長は、ポリペプチド又はタンパク質の構造内の折り畳みの潜在的な数を含む、二次構造の向上した予測可能性を提供した。Holm et al.,1999,Nucl.Acid.Res.27:244-247を参照されたい。所与のポリペプチド又はタンパク質中に限られた数の折り畳みがあること、及び臨界数の構造が決定された後、構造予測が著しく正確になることが示唆されている(Brenner et al.,1997,Curr.Op.Struct.Biol.7:369-376)。二次構造を予測するさらなる方法としては、「スレッディング(threading)」(Jones,1997,Curr.Opin.Struct.Biol.7:377-87;及びSippl et al.,1996,Structure 4:15-19);「プロファイル分析」(Bowie et al.,1991,Science 253:164-170;Gribskov et al.,1990,Meth.Enzym.183:146-159;及びGribskov et al.,1987,PNAS USA 84:4355-4358、及び「進化学的関連性(evolutionary linkage)」(Holm、上記(1999)、及びBrenner、上記(1997)を参照)が挙げられる。ある実施形態において、抗体の変異体は、グリコシル化変異体を含み、ここで、グリコシル化部位の数及び/又はタイプが、親ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して改変されている。ある実施形態において、変異体は、天然タンパク質より多い又は少ない数のN-結合グリコシル化部位を含む。或いは、置換によるこのような配列の除去は、存在するN-結合炭水化物鎖を除去する。N-結合炭水化物鎖の再配列も提供され、ここで、1つ又は複数のN-結合炭水化物鎖部位(典型的に、天然に存在するもの)が削除され、1つ又は複数の新しいN-結合部位が生成される。さらなる好ましい抗体変異体は、システイン変異体を含み、ここで、1つ又は複数のシステイン残基は、親アミノ酸配列と比較して、欠失されるか、又は別のアミノ酸(例えば、セリン)で置換される。システイン変異体は、抗体が、(例えば、可溶性封入体の単離の後)生物学的に活性な立体配座に再度折り畳まれなければならない場合に有用であり得る。システイン変異体は、一般に、天然タンパク質より少ないシステイン残基を有し、典型的に、不対システインから生じる相互作用を最小限に抑えるために偶数のシステインを有する。
【0134】
(保存的か又は非保存的かにかかわらず)所望のアミノ酸置換が、このような置換が所望されるときに当業者によって決定され得る。ある実施形態において、アミノ酸置換は、ヒトエンドセリン受容体抗体の重要な残基を同定するため、又は本明細書に記載されるヒトエンドセリン受容体抗体の親和性を増大若しくは低下させるために使用され得る。ある実施形態によれば、好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させ、(2)酸化に対する感受性を低下させ、(3)タンパク質複合体を形成するために結合親和性を改変し、(4)結合親和性を改変し、及び/又は(4)このようなポリペプチドにおける他の物理化学的又は機能的特性を与えるか又は調節するものである。ある実施形態によれば、単一又は複数のアミノ酸置換(ある実施形態において、保存的アミノ酸置換)は、天然配列中で行われ得る(ある実施形態において、分子間接触を形成するドメインの外部のポリペプチドの部分において)。ある実施形態において、保存的アミノ酸置換は、典型的に、親配列の構造的特徴を実質的に変更することができない(例えば、アミノ酸の置換は、親配列に存在するヘリックスを破壊すべきでなく、又は親配列を特徴付ける他のタイプの二次構造に干渉するべきではない)。当該技術分野において認識されているポリペプチドの二次及び三次構造の例が、Proteins,Structures and Molecular Principles,Creighton,ed.,W.H.Freeman and Company,(1984);Introduction to Protein Structure,Branden and Tooze,eds.,Garl and Publishing,(1991);及びThornton et al.,1991,Nature 354:105に記載され、これらのそれぞれが、参照により本明細書に援用される。
【0135】
ある実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ポリマー、脂質、又は他の部分と化学結合され得る。抗原-結合剤は、生体適合性フレームワーク構造に組み込まれる本明細書に記載されるCDRの少なくとも1つを含み得る。一例において、生体適合性フレームワーク構造は、局在化した表面領域における抗原(例えば、CDR、可変領域など)に結合する1つ又は複数のアミノ酸配列を提示することができる、立体配座的に安定した構造的支持体、又はフレームワーク、又は足場を形成するのに十分なポリペプチド又はその部分を含む。このような構造は、天然ポリペプチド又はポリペプチド「折り畳み」(構造モチーフ)であり得るか、又は天然ポリペプチド又は折り畳みと比べて、アミノ酸の付加、欠失又は置換などの1つ又は複数の修飾を有し得る。これらの足場は、ヒト、他の哺乳動物、他の脊椎動物、無脊椎動物、細菌又はウイルスなどの任意の種の(又は2つ以上の種の)ポリペプチドに由来し得る。典型的に、生体適合性フレームワーク構造は、免疫グロブリンドメイン以外のタンパク質足場又は骨格に基づいている。例として、フィブロネクチン、アンキリン、リポカリン、ネオカルジノスタチン、シトクロムb、CP1ジンクフィンガータンパク質、PST1、コイルドコイルタンパク質、LACI-D1、Zドメイン及びテンダミスタットドメインに基づくそれらのタンパク質足場が使用され得る(例えば、Nygren and Uhlen,1997,Current Opinion in Structural Biology 7:463-469を参照)。
【0136】
さらに、当業者は、好適な結合剤が、本明細書に具体的に開示される重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3のうちの1つ又は複数などの、これらの抗体の部分を含むことを認識するであろう。重鎖CDR1、CDR2、CDR3、軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3領域の少なくとも1つは、抗体が非置換CDRの結合特異性を保持する限り、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。抗体の非CDR部分は、非タンパク分子であり得、ここで、結合剤は、ヒトETAに対する本明細書に開示される抗体の結合をクロスブロックし、及び/又は受容体を介したエンドセリンシグナル伝達の活性を阻害する。抗体の非CDR部分は、非タンパク分子であり得、ここで、抗体は、競合結合アッセイにおいて、ヒトETAペプチドへの抗体A-1/A-2の少なくとも1つのものと類似の結合タイプを示し、及び/又はエンドセリンの活性を中和する。抗体の非CDR部分は、アミノ酸から構成され得、ここで、抗体は、組み換え結合タンパク質又は合成ペプチドであり、組み換え結合タンパク質は、ヒトETAへの本明細書に開示される抗体の結合をクロスブロックし、及び/又はインビトロ又はインビボでエンドセリン活性を中和する。抗体の非CDR部分は、アミノ酸から構成され得、ここで、抗体は、組み換え抗体であり、組み換え抗体は、競合結合アッセイにおいて、ヒトETAペプチドへの抗体A-1/A-2の少なくとも1つのものと類似の結合タイプを示し、及び/又はエンドセリンシグナル伝達を中和する。
【0137】
核酸
一態様において、単離核酸分子が、本明細書において提供される。核酸分子は、例えば、抗体の全て又は部分、例えば、本明細書に記載される抗体、又はそのフラグメント、誘導体、突然変異タンパク質、若しくは変異体の一方又は両方の鎖をコードするポリヌクレオチド;ハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに十分なポリヌクレオチド;ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、分析し、突然変異させ、又は増幅するためのPCRプライマー又はシーケンシングプライマー;ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、及びそれらの相補配列を含む。核酸は、任意の長さであり得る。核酸は、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1000、1500、3000、5000又はそれ以上のヌクレオチド長であり得、及び/又は1つ又は複数のさらなる配列、例えば、制御配列を含み得、及び/又はより大きい核酸、例えば、ベクターの一部であり得る。核酸は、一本鎖又は二本鎖であり得、RNA及び/又はDNAヌクレオチド、及びその人工変異体(例えば、ペプチド核酸)を含み得る。
【0138】
抗体ポリペプチド(例えば、重鎖又は軽鎖、可変ドメインのみ、又は完全長)をコードする核酸は、ETA抗原で免疫付与されたマウスのB細胞から単離され得る。核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの従来の方法によって単離され得る。
【0139】
重鎖及び軽鎖の可変領域をコードする核酸配列が上に示される。当業者は、遺伝暗号の縮重により、本明細書に開示されるポリペプチド配列のそれぞれが、多数の他の核酸配列によってコードされ得ることを理解するであろう。本明細書に記載される抗体をコードする各縮重ヌクレオチド配列を本明細書において提供する。
【0140】
特定のハイブリダイゼーション条件下で他の核酸(例えば、A-1/A-2のいずれかのヌクレオチド配列を含む核酸)にハイブリダイズする核酸を本明細書においてさらに提供する。核酸をハイブリダイズさせるための方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6を参照されたい。本明細書において定義されるように、例えば、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、5×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)、約50%のホルムアミドのハイブリダイゼーション緩衝液、6×SSCを含有する予洗(prewashing)溶液、55℃のハイブリダイゼーション温度(又は42℃のハイブリダイゼーション温度で、約50%のホルムアミドを含有する溶液などの他の類似のハイブリダイゼーション溶液)、及び0.5×SSC及び0.1%のSDS中で60℃の溶離条件を使用する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、45℃で6×SSC中でハイブリダイズし、続いて、68℃で0.1×SSC及び0.2%のSDSで1回以上洗浄する。さらに、当業者は、互いに少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%類似であるヌクレオチド配列を含む核酸が、典型的に、互いにハイブリダイズされたままであるように、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増大又は低下させるように、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件を操作することができる。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を与える基本的パラメータ及び好適な条件を考案するための指針は、例えば、Sambrook,Fritsch and Maniatis 1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,chapters 9 and 11;及びCurrent Protocols in Molecular Biology,1995,Ausubel et al.,Eds.,John Wiley & Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3-6.4に記載されており、例えば、DNAの長さ及び/又は塩基組成に基づいて、当業者によって容易に決定され得る。変化が、突然変異によって、核酸に導入され得、それによって、それがコードするポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質)のアミノ酸配列の変化をもたらす。突然変異が、当該技術分野において公知の任意の技術を用いて導入され得る。一実施形態において、1つ又は複数の特定のアミノ酸残基が、例えば、部位特異的突然変異誘発プロトコルを用いて変化される。別の実施形態において、1つ又は複数のランダムに選択された残基が、例えば、ランダム突然変異誘発プロトコルを用いて変化される。それがいかに作製されても、突然変異体ポリペプチドは、発現され、所望の特性についてスクリーニングされ得る。
【0141】
突然変異が、それがコードするポリペプチドの生物学的活性をそれほど変更せずに、核酸に導入され得る。例えば、非必須アミノ酸残基におけるアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換が行われ得る。一実施形態において、L-1~L-2及びH-1~H-2について本明細書において提供されるヌクレオチド配列、又はそのフラグメント、変異体、若しくは誘導体は、それがコードするアミノ酸配列が、本明細書に示されるL-1~L-2及びH-1~H-2によってコードされるものと比較して、2つ以上の異なる残基を有する配列を生じるように、アミノ酸残基の1つ又は複数の欠失又は置換を含むように突然変異される。別の実施形態において、突然変異誘発は、2つ以上の異なる残基を有する配列を生じるように、本明細書に示されるL-1~L-2及びH-1~H-2の1つ又は複数のアミノ酸残基に隣接するアミノ酸を挿入する。或いは、1つ又は複数の突然変異が、核酸に導入され得、それがコードするポリペプチドの生物学的活性(例えば、ETAへの結合)を選択的に変化させる。例えば、突然変異が、生物学的活性を定量的に又は定性的に変化させ得る。定量的変化の例は、活性を増大させ、低下させ、又はなくすことを含む。定性的変化の例は、抗体の抗原特異性を変化させることを含む。
【0142】
別の態様において、本明細書における核酸配列の検出のためのプライマー又はハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに好適な核酸分子が、本明細書において提供される。本明細書における核酸分子は、本明細書における完全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部のみ、例えば、プローブ若しくはプライマーとして使用され得るフラグメント又は本明細書におけるポリペプチドの活性部分(例えば、ETA結合部分)をコードするフラグメントを含み得る。本明細書における核酸配列に基づくプローブを用いて、核酸又は類似の核酸、例えば、本明細書におけるポリペプチドをコードする転写産物を検出することができる。プローブは、標識基、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、又は酵素補因子を含み得る。このようなプローブを用いて、ポリペプチドを発現する細胞を同定することができる。
【0143】
別の態様において、本明細書におけるポリペプチド又はその一部をコードする核酸を含むベクターが、本明細書において提供される。ベクターの例としては、限定はされないが、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳動物ベクター及び発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターが挙げられる。本明細書における組み換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に好適な形態の本明細書における核酸を含み得る。組み換え発現ベクターは、予め発現される核酸配列に操作可能に連結される、発現に使用される宿主細胞に基づいてスクリーニングされる1つ又は複数の制御配列を含む。制御配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指令するもの(例えば、SV40初期遺伝子エンハンサー、ラウス肉腫ウイルスプロモータ及びサイトメガロウイルスプロモータ)、特定の宿主細胞のみにおいてヌクレオチド配列の発現を指令するもの(例えば、組織特異的制御配列、Voss et al.,1986,Trends Biochem.Sci.11:287、及びManiatis et al.,1987,Science 236:1237を参照、これらのそれぞれの開示内容は、全体が参照により本明細書に援用される)、及び特定の処理又は条件に応答して、ヌクレオチド配列の誘導性発現を指令するもの(例えば、哺乳類細胞におけるメタロチオネインプロモータ、及び原核生物細胞系及び真核生物細胞系の両方におけるtet-応答性及び/又はストレプトマイシン応答性プロモータ(上記参照)を含む。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、及び所望のタンパク質の発現のレベルなどの要因に左右され得ることが、当業者によって理解されるべきである。本明細書における発現ベクターは、宿主細胞に導入され、それによって、本明細書に記載される核酸によってコードされる融合タンパク質又はペプチドを含む、タンパク質又はペプチドを産生し得る。
【0144】
別の態様において、発現ベクターが導入され得る宿主細胞を本明細書で提供する。宿主細胞は、任意の原核生物又は真核生物細胞であり得る。原核生物宿主細胞は、グラム陰性又はグラム陽性菌、例えば、大腸菌(E.coli)又はバシラス属(bacilli)を含む。より高等な真核細胞は、昆虫細胞、酵母細胞、及び哺乳動物由来の樹立細胞系を含む。好適な哺乳動物宿主細胞系の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はVeggie CHOなどのそれらの誘導体及び無血清培地中で増殖する関連する細胞系(Rasmussen et al.,1998,Cytotechnology 28:31を参照)又はDHFRが欠乏したCHO株DXB-11(Urlaub et al.,1980,PNAS USA 77:4216-20を参照)を含む。さらなるCHO細胞系は、CHO-K1(ATCC#CCL-61)、EM9(ATCC# CRL-1861)、及びUV20(ATCC# CRL-1862)を含む。さらなる宿主細胞は、サル腎臓COS-7細胞系(ATCC# CRL-1651)(Gluzman et al.,1981,Cell 23:175を参照)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCCCCL-163)、AM-1/D細胞(米国特許第6,210,924号明細書に記載される)、HeLa細胞、BHK(ATCCCRL-10)細胞系、アフリカミドリザル腎臓細胞系CV1に由来するCV1/EBNA細胞系(ATCCCCL-70)(McMahan et al.,1991,EMBO J.10:2821を参照)、293、293EBNA又はMSR293などのヒト胚腎臓細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトC010205細胞、他の形質転換された霊長類細胞系、正常な2倍体細胞、初代組織、初代移植のインビトロ培養物に由来する細胞株、HL-60、U937、HaK又はJurkat細胞を含む。細菌、真菌、酵母、及び哺乳動物細胞宿主とともに使用するための適切なクローニング及び発現ベクターが、Pouwelsら(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,1985)によって記載されている。
【0145】
ベクターDNAは、従来の形質転換又はトランスフェクション技術によって、原核生物又は真核生物細胞に導入され得る。哺乳動物細胞の安定したトランスフェクションについて、使用される発現ベクター及びトランスフェクション技術に応じて、細胞のごく一部のみが、外来性DNAをそれらのゲノムに組み込み得ることが知られている。これらの成分を同定し、スクリーニングするために、(例えば、抗生物質に対する耐性のために)選択可能なマーカーをコードする遺伝子が、一般に、該当する遺伝子とともに宿主細胞に導入される。好ましい選択可能なマーカーは、G418、ハイグロマイシン及びメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を与えるものを含む。導入された核酸が安定にトランスフェクトされた細胞が、他の方法の中でも特に、薬剤スクリーニングによって同定され得る(例えば、選択可能な遺伝子を組み込んだ細胞は、生存するであろうが、他の細胞は死亡する)。
【0146】
形質転換された細胞は、ポリペプチドの発現を促進する条件下で培養され得、ポリペプチドは、従来のタンパク質精製方法によって回収され得る。1つのこのような精製方法が、以下の実施例に記載されている。本明細書において使用することが想定されたポリペプチドは、汚染性内因性物質を実質的に含まない実質的に均一な組み換え哺乳動物抗エンドセリン受容体抗体ポリペプチドを含む。
【0147】
抗体の活性
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、エンドセリン受容体に特異的に結合し、シグナル伝達を阻害し、治療的生物学的効果、例えば、動物モデルにおける肺動脈高血圧症の軽減を示す。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ヒトエンドセリン受容体に特異的に結合し得るマウス抗体又はヒト化抗体である。このような抗体は、エンドセリンシグナル伝達を低減又は中和し得る拮抗又は中和抗体を含む。
【0148】
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ヒトエンドセリン受容体ETAに結合する際に、約0.01nM~1000nM、0.1nM~500nM、0.5nM~200nM、1nM~200nM、又は10nM~100nMのK値を有する。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ヒトエンドセリン受容体ETAに結合する際に、約1nM~200nMのK値を有する。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ヒトエンドセリン受容体ETAに結合する際に、約10nM~100nMのK値を有する。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ヒトエンドセリン受容体ETAに結合する際に、約1nM、2nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、又は100nMのK値を有する。
【0149】
一実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ヒトエンドセリンシグナル伝達を低減する際に、約0.01nM~500nM、0.1nM~200nM、0.5nM~200nM、1nM~200nM、又は10nM~100nMのIC50値を有する。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ヒトエンドセリンシグナル伝達を低減する際に、約1nM~200nMのIC50値を有する。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ヒトエンドセリンシグナル伝達を低減する際に、約10nM~100nMのIC50値を有する。別の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、ヒトエンドセリンシグナル伝達を低減する際に、約1nM、2nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、又は100nMのIC50値を有する。
【0150】
一実施形態において、ETA抗体は、1つ又は複数の以下の特性を有する:
a.ヒトエンドセリン受容体ETAに結合する際に、参照抗体と同じか又はそれより良好なKを提供すること;
b.エンドセリンによるヒトエンドセリン受容体ETAの活性化を阻害する際に、参照抗体と同じか又はそれより良好なIC50を提供すること;及び
c.ヒトエンドセリン受容体ETAに対する参照抗体との結合に交差競合すること。
【0151】
別の実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、以下の特性の1つ又は複数を有する抗体である:
a.ヒトエンドセリン受容体ETAに結合する際に、参照ETA抗体と同じか又はそれより良好なKを提供すること;
b.エンドセリンによるヒトエンドセリン受容体ETAの活性化を阻害する際に、参照ETA抗体と同じか又はそれより良好なIC50を提供すること;及び
c.ヒトエンドセリン受容体ETAに対する参照ETA抗体との結合に交差競合すること。
【0152】
一態様において、参照抗体は、軽鎖可変ドメインアミノ酸配列の配列番号138及び重鎖可変ドメインアミノ酸配列の配列番号166の組合せを含む。別の態様において、参照抗体は、モノクローナル抗体A-1、A-2、A-7、A-9、又はA-12である。本明細書において、「実質的に同様」という用語は、本明細書に記載される抗体のIC50又はK値が、参照抗体のものと同等であるか、又は参照抗体のものと約200%、180%、160%、150%、140%、120%、110%、100%、99%、98%、97%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、又は50%であることを意味する。一実施形態において、参照抗体は、例えば、重鎖及び軽鎖組合せL1H1又はL2H2を有する抗体を含む。別の実施形態において、参照抗体は、ETA抗体A-1を含む。一実施形態において、本明細書に記載されるETA抗体は、ヒトエンドセリン受容体に特異的に結合し得、動物モデルにおいて肺動脈高血圧症を軽減し得る。一実施形態において、肺動脈高血圧症は、非処置動物と比較して2%軽減される。別の実施形態において、肺動脈高血圧症は、非処置動物と比較して約5%軽減される。別の実施形態において、肺動脈高血圧症は、非処置動物と比較して約10%軽減される。別の実施形態において、肺動脈高血圧症は、非処置動物と比較して約15%軽減される。別の実施形態において、肺動脈高血圧症は、非処置動物と比較して約20%軽減される。別の実施形態において、肺動脈高血圧症は、非処置動物と比較して約25%軽減される。肺動脈高血圧症の軽減の量は、用量によって制御される。動物又はヒト患者のための、治療的に有効な用量は、肺動脈高血圧症を正常範囲に低下させる用量である。
【0153】
TGF-β Trap
一実施形態において、本明細書に記載されるTGF-β Trapは、TGF-βの機能を阻止し得るタンパク質である。別の実施形態において、本明細書に記載されるTGF-β Trapは、アミノ酸配列:配列番号207を含む。別の実施形態において、本明細書に記載されるTGF-β Trapのアミノ酸配列は、配列番号207である。
【0154】
ペプチドリンカー(リンカー)
一実施形態において、本明細書に記載されるペプチドリンカー(リンカー)は、以下:配列番号208、配列番号209、及び配列番号210のうちの1つからそれぞれ独立して選択されるアミノ酸配列を含む。
【0155】
一実施形態において、本明細書に記載されるペプチドリンカーのアミノ酸配列は、配列番号208である。別の実施形態において、本明細書に記載されるペプチドリンカーのアミノ酸配列は、配列番号209である。別の実施形態において、本明細書に記載されるペプチドリンカーのアミノ酸配列は、配列番号210である。
【0156】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質
一実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapフラグメントを含む。
【0157】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、本明細書に記載されるETA抗体、1、2、3、4、5、6、7又は8つのTGF-β Trap及び同数のペプチドリンカー(リンカー)を含み;融合タンパク質は、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結し、又は融合タンパク質は、TGF-β Trapのカルボキシル末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結する。
【0158】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、本明細書に記載されるETA抗体、1、2、3又は4つのTGF-β Trap及び同数のペプチドリンカー(リンカー)を含み;融合タンパク質は、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結し、又は融合タンパク質は、TGF-β Trapのカルボキシル末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結する。
【0159】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、本明細書に記載されるETA抗体、1又は2つのTGF-β Trap及び同数のペプチドリンカー(リンカー)を含み;融合タンパク質は、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結し、又は融合タンパク質は、TGF-β Trapのカルボキシル末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結する。
【0160】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、本明細書に記載されるETA抗体、2つのTGF-β Trap及び2つのペプチドリンカー(リンカー)を含み;融合タンパク質は、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結し、又は融合タンパク質は、TGF-β Trapのカルボキシル末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結する。
【0161】
一実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結する。別の実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の軽鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結する。別の実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、TGF-β Trapのアミノ末端を、ETA抗体の重鎖のカルボキシル末端と、ペプチドリンカー配列を介して連結する。
【0162】
一実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、アミノ酸配列:配列番号162、配列番号190、配列番号207、及び配列番号210を含む。
【0163】
一実施形態において、ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質が、本明細書において提供され、ここで、ETA抗体、TGF-β Trap及びペプチドリンカー配列が、以下の方法:
(3)ペプチドリンカー配列を介して、TGF-β Trapのアミノ末端が、ETA抗体の重鎖/軽鎖のカルボキシル末端と連結される:N’-R-リンカー-TGF-β Trap-C’;及び
(4)ペプチドリンカー配列を介して、TGF-β Trapのカルボキシル末端が、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ末端と連結される:N’-TGF-β Trap-リンカー-R-C’
のうちの1つで、融合されて、融合タンパク質を形成し;
ここで、N’が、ポリペプチド鎖のアミノ末端を表し、C’が、ポリペプチド鎖のカルボキシル末端を表し、TGF-β Trapが、TGF-β Trapフラグメントを表し、Rが、ETA抗体の軽鎖又は重鎖のアミノ酸配列であり、リンカーが、ペプチドリンカーを表す。
【0164】
一実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、アミノ酸配列:配列番号211又は配列番号212を含む。別の実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、アミノ酸配列:配列番号211及び配列番号212を含む。
【0165】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の生物学的活性
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の生物学的活性は、TGF-β Trapの生物学的活性及びETA抗体の生物学的活性を含む。ETAの抗体阻害剤は、エンドセリンによって引き起こされる血管圧の上昇を有効に阻止して、肺動脈高血圧症の症状を軽減し、患者の運動能力及び血行動態を改善し得る。「TGF-β Trapの生物学的活性」は、ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質がTGF-βにインビボで結合し、それによって引き起こされる細胞ストレス反応を阻止し、肺動脈高血圧症、肺高血圧症及び肺線維症の他の関連する症状などに対する治療効果の生物学的活性を示すことを意味する。上記の細胞ストレス反応としては、限定はされないが、肺動脈圧の低下、大動脈圧の低下、及び心血管及び肺血管リモデリングの関連する変化が挙げられる。TGF-β Trap及びETA抗体の生物学的活性を組み合わせることにより、本明細書に記載されるTGF-β Trap融合タンパク質を用いて、TGF-β及びETAに関連する様々な病態及び疾患を処置することができる。融合タンパク質は、TGF-β及び/又はETAに作用することによってその生物学的効果を発揮するため、本明細書に記載されるTGF-β Trap融合タンパク質を用いて、「TGF-β刺激の低減」又は「ETA刺激の低減」に好都合に反応する病態及び疾患を有する被験体を処置することができる。これらの被験体は、「TGF-β刺激を低減する必要がある」又は「ETA刺激を低減する必要がある」被験体と呼ばれる。肺動脈高血圧症、肺高血圧症、肺線維症及び心血管線維症の他の関連する症状が含まれる。
【0166】
一実施形態において、ETA抗体又はTGF-β Trapの融合タンパク質の生物学的活性の変化は、ETAを阻害し、TGF-βをインビトロで阻止するETA抗体又はTGF-β Trapの融合タンパク質の機能を定量するために、カルシウム流試験及びレポーター遺伝子検出方法によって検出される。
【0167】
医薬組成物
一実施形態において、本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質と、1つ又は複数の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が、本明細書において提供される。
【0168】
一実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、静脈内に又は皮下に注射される。
【0169】
処置方法
一実施形態において、肺動脈高血圧症及び肺動脈高血圧症関連疾患を処置、予防又は改善するための薬剤の調製における、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の使用が、本明細書において提供される。
【0170】
別の実施形態において、肺高血圧症及び肺高血圧症関連疾患を処置、予防又は改善するための薬剤の調製における、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の使用が、本明細書において提供される。
【0171】
別の実施形態において、肺線維症及び肺線維症関連疾患を処置、予防又は改善するための薬剤の調製における、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の使用が、本明細書において提供される。
【0172】
別の実施形態において、心血管線維症及び心血管線維症関連疾患を処置、予防又は改善するための薬剤の調製における、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の使用が、本明細書において提供される。
【0173】
さらなる実施形態において、肺動脈高血圧症、肺高血圧症、肺線維症又は心血管線維症のうちの2つ以上の疾患を同時に処置、予防又は改善するための薬剤の調製における、本明細書に記載されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の使用が、本明細書において提供される。
【0174】
本明細書において、「被験体」という用語は、ヒトを含む哺乳動物を指し、「患者」という用語と同義的に使用される。
【0175】
「処置」という用語は、疾患の少なくとも1つの症状又は他の側面の軽減、又は疾患重症度の軽減を含む。本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、有効な治療剤であるために、完治を提供し、又は疾患の全ての症状又は兆候を根絶する必要はない。関連分野において認識されるように、治療剤としての薬剤を用いて、所与の病態の重症度を低下させ得るが、有効な治療剤と見なされるために、疾患の全ての兆候をなくす必要はない。同様に、予防的投与処置は、有効な予防薬であるために、症状の発生を予防するのに完全に有効である必要はない。疾患の影響を低減すること(例えば、その症状の数若しくは重症度を低減することによって、又は別の治療効果を増加させることによって、又は別の有効な効果を生じることによって)、又は疾患が被験体において発生又は悪化する可能性を低下させることで十分である。本明細書における一実施形態は、特定の疾患の重症度を反映する指標のベースラインレベルを超える持続的改善を誘発するのに十分な量及び時間でETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を患者に投与することを含む方法に関する。
【0176】
ETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の医薬組成物は、限定はされないが、非経口、局所又は吸入による投与を含む任意の好適な技術によって投与され得る。注入される場合、医薬組成物は、例えば、関節内、静脈内、筋肉内、病巣内、腹腔内又は皮下経路によって、急速注入又は持続注入として投与され得る。例えば、経皮投与及び埋め込み型製剤(implant)の持続放出投与などの疾患又は損傷部位における局部的な投与が考えられる。吸入による投与としては、例えば、経鼻又は経口吸入、スプレー、エアロゾル形態の抗体の吸入などが挙げられる。他の代替例としては、錠剤、シロップ又はトローチ剤を含む経口製剤が挙げられる。
【0177】
生理学的に許容できる担体、賦形剤又は希釈剤などの1つ又は複数の他の成分を含む組成物の形態で本明細書において提供されるETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を投与することが有利である。組成物は、任意に、後述される1つ又は複数の生理学的に活性な薬剤をさらに含み得る。様々な特定の実施形態において、組成物は、本明細書において提供される抗体(マウス抗体又はヒト化抗体など)及びTGF-βの1つ又は複数の融合タンパク質以外の1、2、3、4、5又は6つの生理学的に活性な薬剤を含む。
【0178】
一実施形態において、医薬組成物は、本明細書において提供されるマウス抗体又はヒト化抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質、及び以下のものから選択される1つ又は複数の物質:抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質に好適なpHを有する緩衝液、アスコルビン酸などの酸化防止剤、低分子量ポリペプチド(10個未満のアミノ酸を含むポリペプチドなど)、タンパク質、アミノ酸、デキストリンなどの炭水化物、EDTAなどの複合剤、グルタチオン、安定剤及び賦形剤を含む。適切な業界標準にしたがって、防腐剤も加えられ得る。組成物は、希釈剤として好適な賦形剤溶液を用いて、凍結乾燥粉末へと製剤化され得る。適切な成分は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに無害である。医薬製剤に用いられ得る成分のさらなる例が、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition(1980)and 20th edition(2000)に記載されている。Mack Publishing Companyは、医師による使用のためのキットを提供し、キットは、本明細書において提供される抗体及びTGF-β Trapの1つ又は複数の融合タンパク質、及びタグ又は本明細書に記載される疾患のいずれかを処置するための他の説明書を含む。一実施形態において、キットは、上記の組成物の形態で、1つ又は複数の管型瓶中の抗体及びTGF-β Trapの1つ又は複数の融合タンパク質の滅菌製剤を含む。
【0179】
投与量及び投与の頻度は、以下の要因:投与経路、用いられる具体的な抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質、処置される疾患の性質及び重症度、症状が急性か慢性か、並びに患者の大きさ及び全身状態に応じて変化し得る。適切な用量は、当該技術分野において周知の方法、例えば、臨床試験における用量漸増試験によって決定され得る。
【0180】
本明細書において提供される抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、所定の期間にわたって一定の間隔で、例えば、1回又は数回投与され得る。特定の実施形態において、マウス抗体又はヒト化抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、少なくとも1ヶ月又はそれ以上の期間で1回、例えば、1、2、又は3ヶ月間にわたって、或いは無期限に投与される。慢性症状を処置するために、長期処置が、通常、最も有効である。しかしながら、急性症状を処置するために、例えば、1~6週間の短い期間にわたる投与で、十分である。一般に、ヒト抗体は、選択された兆候又は指標についてベースラインレベルを超える医学的に関連する改善が患者に見られるまで投与される。
【0181】
本明細書において提供される処置計画の一例は、肺動脈高血圧症、肺高血圧症、肺線維症及び心血管線維症の症状を処置するために、適切な用量で、1週間又はそれ以上につき1回の、抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の皮下注入を含む。抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、所望の結果が得られるまで、例えば、患者の症状が治まるまで、週に1回又は月に1回投与され得る。処置は、必要に応じて再開してもよく、或いは、維持量が投与され得る。
【0182】
患者の肺動脈圧は、圧力の変化を検出するために、抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質による処置の前、その間、及び/又はその後にモニターされ得る。いくつかの疾患については、肺動脈圧の変化は、疾患の進行などの要因により変化し得る。肺動脈圧は、公知の技術を用いて決定され得る。
【0183】
本明細書において提供される方法及び組成物の特定の実施形態は、例えば、抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質及び1つ又は複数のエンドセリンアンタゴニスト、本明細書において提供される抗体及びTGF-β Trapの2つ以上の融合タンパク質、又は本明細書において提供される抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質及び1つ又は複数の他のエンドセリンアンタゴニストの使用を含む。さらなる実施形態において、本明細書において提供される抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は、単独で、患者が罹患している症状を処置するための他の薬剤と組み合わせて投与される。これらの薬剤の例は、タンパク質及び非タンパク質薬剤を含む。複数の薬剤が組み合わせて投与される場合、その投与量は、当該技術分野において周知であるように、それ相応に調整されるべきである。「併用投与」併用療法は、同時投与に限定されず、少なくとも1つの他の治療剤を患者に投与することを含む処置の過程の間に抗原及びタンパク質が少なくとも1回投与される処置計画も含む。
【0184】
別の態様において、肺動脈高血圧症、肺高血圧症、及び肺線維症の症状を処置するための方法であって、上記の疾患の関連疾患の処置のために本明細書において提供される抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質及び薬学的に許容できる賦形剤の混合物を使用することを含む方法が、本明細書において提供される。薬剤の調製方法は、上述されるとおりである。
【0185】
ヒトETA及びTGF-β Trapに特異的に結合し得る抗体の融合タンパク質に関連する組成物、キット及び方法が、本明細書においてさらに提供される。ヒトETA結合抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の全て又は一部をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸配列並びにその誘導体及びフラグメント、例えば、ヒトETA結合抗体、抗体フラグメント、抗体誘導体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の全て又は一部をコードする核酸配列が提供される。核酸配列を含むベクター、並びに核酸及び/又はベクターを含む細胞が、本明細書においてさらに提供される。提供される方法は、例えば、ヒトETA結合抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を調製、同定又は単離するための方法であって、ヒトETA結合抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質がETAに依然として結合し得るかどうかを決定するための方法、ヒトETA結合抗体及びTGF-βをブロックするTGF-βの融合タンパク質によって引き起こされるシグナル伝達を決定するための方法、及び生物学的活性をインビボで測定するために、ヒトETA結合抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質をモデル動物に投与するための方法を含む。
【0186】
本明細書に記載される技術的解決法をさらに例示するために、以下の具体的な実施例が使用される。
【0187】
本明細書において、特に規定されない限り、使用される原料、機器などは全て、市販されているか、又は当該技術分野において一般的に使用されるものである。以下の実施例における方法は全て、特に規定されない限り、当該技術分野における従来の方法である。
【実施例
【0188】
1.抗体遺伝子のクローニング及びサブクローニング
抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を収集し、QIAGEN mRNA抽出キットの製造業者のプロトコルにしたがって抽出し、ハイブリドーマ細胞のmRNAを抽出する。次に、抽出されたmRNAを、cDNAに逆転写する。逆転写プライマーは、マウスの軽鎖及び重鎖定常領域に対して特異的なプライマーであり、重鎖逆転写プライマーは、(5’-TTTGGRGGGAAGATGAAGAC-3’)(配列番号199)であり、軽鎖逆転写プライマーは、(5’-TTAACACTCTCCCCTGTTGAA-3’)(配列番号200)及び(5’-TTAACACTCATTCCTGTTGAA-3’)(配列番号201)である。RT-PCRの反応条件は、以下のとおりである:25℃、5分;50℃、60分;70℃、15分。逆転写されたcDNAを、500μLになるまで0.1mMのTEで希釈し、限外ろ過遠心分離管(Amicon Ultra-0.5)に加え、10分間にわたって2000gで遠心分離し;ろ液を除去し、500μLの0.1mMのTEを加え、10分間にわたって2000gで遠心分離し;ろ液を除去し、調製管を、新しい遠心分離管に逆さに入れ、10分間にわたって2000gで遠心分離して、精製されたcDNAを得て;10μLの精製されたcDNAを鋳型として取り、4μLの5倍のテーリングバッファー(Promega、市販されている)、4μLのdATP(1mM)及び10U末端トランスフェラーゼ(Promega、市販されている)を加え、十分に混合し、37℃で5分間、次に65℃で5分間インキュベートし;次に、ポリAテイルを有するcDNAを、鋳型として使用し、PCRによって抗体の軽鎖及び重鎖可変領域の遺伝子を増幅する。上流プライマーは全て、OligodTであり、重鎖下流プライマーは、(5’-TGGACAGGGATCCAGAGTTCC-3’)(配列番号202)及び(5’-TGGACAGGGCTCCATAGTTCC-3’)(配列番号203)であり、軽鎖下流プライマーは、(5’-ACTCGTCCTTGGTCAACGTG-3’)(配列番号204)である。PCRの反応条件は、以下のとおりである:95℃、5分;95℃、30秒、56℃、30秒、72℃、1分、40サイクル;72℃、7分。PCR産物を、PMD 18-Tベクター(Takara Bio、市販されている)に連結し、次に配列決定する。クローニングされた抗体のCDR配列が、表1及び表2に示される。
【0189】
PCRプライマーは、抗体の配列決定されたDNA配列に基づいて設計され、したがって、完全な軽鎖及び重鎖シグナルペプチド及び可変ドメイン及びマウスIgG1定常領域が、発現ベクターpTM5と連結される。
【0190】
2.抗体融合タンパク質の遺伝子のための発現プラスミドの調製
ヒトTGF-β Trap(hTGF-β Trap)遺伝子配列を、オーバーラッピングPCR方法によって、抗ETA抗体の重鎖のC末端に融合する。Nhe1制限酵素部位を、融合タンパク質の重鎖可変領域の5’末端に加え、Not1制限酵素部位を、PCRプライマーによって融合タンパク質の3’末端に加え、完全な重鎖及びhTGF-β Trap融合タンパク質遺伝子が発現ベクターpTM5にロードされるようにし;同様に、Nhe1制限酵素部位を、軽鎖可変領域の5’末端に加え、Bsiw1制限酵素部位を、その3’末端に加え、完全な軽鎖可変領域配列が、軽鎖定常領域がロードされた発現ベクターpTM5に連結されるようにする。
【0191】
3.抗体融合タンパク質の一過性発現
5×10個/mLの懸濁HEK293又はCHO発現細胞株を、振とうフラスコに接種し、37℃で24時間にわたって及び5%のCOで、1×10個/mLの密度を達するまで回転下で培養し、次に、トランスフェクションに使用する。トランスフェクションプロセス中、ポリエチレンイミン(PEI)を、トランスフェクション培地として使用し、DNA(DNAの量は、1×10個の細胞当たり0.5μgであり、ここで、抗体の軽鎖対重鎖の比率は、3:2である)と混合し、ここで、PEI対DNAの好ましい比率は、3:1である。これら2つの混合物を、15分間の静置インキュベーションの後、細胞培養物に加える。PEI及びDNAの混合物を受け取った後、細胞を、37℃で24時間にわたって及び5%のCOで、回転下で培養し、次に、0.5%のトリプトンを、発現のために必要とされる添加剤として細胞培養物溶液に加え、最後に、細胞上清を、発現の完了(96時間超)後、抗体の精製及び分離のために収集する。
【0192】
4.抗体融合タンパク質の精製及び分離
収集された細胞上清を、高速(8000rpm、15分)で遠心分離して、細胞及び細胞残屑を除去し、次に、0.45μmのフィルタ膜を用いて、ろ過し、清澄化する。清澄化された上清を、精製に使用する。精製プロセスを、クロマトグラフによって完了させる。上清が、まず、プロテインGアフィニティークロマトグラフィーカラムを通って流れ、その間、上清に含まれる抗体は、プロテインGアフィニティークロマトグラフィーカラムのリガンドに結合し、カラム内に保持される。次に、低いpH値(3.0以下)を有する溶出緩衝液を用いてクロマトグラフィーカラムを洗浄して、それに結合された抗体を解離させ、低いpH値を有する収集された抗体溶離液を、1Mのトリス-HClで直ぐに中和して、抗体を活性化から保護する。得られた抗体融合タンパク質溶離液を、16時間の透析後にPBS緩衝系と取り換える。
【0193】
5.カルシウム流試験が、ETAをインビトロで阻止するETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質の生物学的活性を検出する
hETA-イクオリンを共発現するCHO-DHFR細胞を、ウェル当たり25000個の細胞で、黒色の96ウェル細胞培養プレートに接種し、37℃で一晩培養する。翌日、細胞上清を除去し、50μlの基質セレンテランジンh(Promega、市販されている)を加え、暗所で2時間インキュベートし、次に、50μlの精製された抗体又は融合タンパク質を加え、30分間インキュベートする。オートサンプラを用いて、Molecular DevicesのSpectraMax Lマイクロプレートリーダーにおいてエンドセリン1をかん流させる。即座のカルシウム流変化が、40秒以内に検出され、ピーク時間及びピーク値を記録する。図1に示されるように、ETA抗体及びETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質は両方とも、ヒトETAによって媒介される細胞内Ca2+変化を有効に阻害することができる。
【0194】
6.レポーター遺伝子実験が、TGF-βシグナル伝達経路をインビトロで阻止するETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を検出する
SBE-ルシフェラーゼを安定的に発現する4T1細胞を、ウェル当たり34000個の細胞で、96ウェル細胞培養プレートに接種し、37℃で一晩培養する。2日目に、3ng/mlのTGF-β1及び段階的に希釈されたETA抗体及びTGF-β Trapの融合タンパク質を、室温で30分間にわたって等体積でプレインキュベートする。プレインキュベーション期間の間、培地上清を、96ウェル細胞培養プレートから除去し、細胞表面を、無血清培地で2回洗浄し、残りの液体を吸引する。100μLの予め反応された反応溶液を、96ウェル細胞培養プレートに加え、混合物を37℃で6時間インキュベートする。インキュベーションの後、100μLのBright Glo化学発光基質(Promega)を加え、最後に、細胞溶解物を白色の96ウェルプレートに移し、相対蛍光強度を、SpectraMax Lマイクロプレートリーダー(Molecular Devices)において読み取る。図2は、ETA抗体及びTGF-β1受容体の活性化からTGF-β1をブロックするTGF-β Trapの融合タンパク質を検出するレポーター遺伝子実験の阻害曲線を示す。
【0195】
7.C57BL/6マウスにおけるブレオマイシン誘導性肺線維症における抗体融合タンパク質のインビボ活性
ブレオマイシン(BLM)を、気管を介して投与して、正常C57BL/6マウス肺線維症モデル(BPF)を誘導し、これを用いて、このモデルの肺線維症の処置におけるh15F3-(GS)-TGF-β Trapの腹腔内注入の効果を評価する。マウスを、2%のイソフルランで麻酔し、仰臥位で実験台に固定し、留置針管を、その気管に迅速に挿入する。100μLのマイクロシリンジを、体重に応じて特定の量の生理食塩水溶液(正常な対照群)又はブレオマイシン溶液(2.5mg/kg)を抜き取るために入れ、留置針管を通して軟骨の環状腔に挿入して、医療用溶液を、50μL/20gの用量で気管にゆっくりと注入する。注入の後、マウスを迅速に直立させ、回転させて、医療用溶液を、肺内で均一に分配させる。動物を、その体重に応じて、ランダムに分け、正常群に12匹、モデル群に20匹、及びh15F3-(GS)-TGF-β Trap低用量及び高用量群にそれぞれ14匹である。h15F3-(GS)-TGF-β Trap又はブランク製剤を、モデリングの1日後にプロトコルにしたがって投与し、3週間にわたって連続投与する。薬剤の有効性を、動物の生存及び肺の病変などの指標によって評価する。図3に示されるように、モデル群において、肺病変のMasson染色によれば、胞状構造のほとんどが消失し、肺胞中隔が拡大し、大量の膠原線維が堆積し、これは、ブレオマイシンの気管投与が正常C57BL/6マウスにおいて肺線維症を上首尾に誘導することを示し;h15F3-(GS)-TGF-β Trap低用量及び高用量群は、上記の肺線維症指標で有意な改善効果を示し、用量-効果の関係が明らかである。さらに、図4に示されるように、h15F3-(GS)-TGF-β Trap処置は、マウスの生存期間を延長することができ、これは、この薬剤が肺線維症のプロセスを阻害し得ることを示している。
【0196】
上記の実施形態は、本発明の好ましい解決策であるに過ぎず、これは、本発明を限定するものと決して解釈されるものではなく、特許請求の範囲に規定される技術的解決策の範囲を逸脱しない限り、他の変形及び変更が存在する。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2022540918000001.app
【国際調査報告】