(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】PWM制御誘導性負荷を通って流れている電流を測定する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20220912BHJP
H02P 6/34 20160101ALI20220912BHJP
【FI】
G01R19/00 A
H02P6/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502596
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2020069818
(87)【国際公開番号】W WO2021009147
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102019210566.1
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Sieboldstrasse 19, D-90411 Nuernberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ ヨース
(72)【発明者】
【氏名】エルヴィーン ケスラー
【テーマコード(参考)】
2G035
5H560
【Fターム(参考)】
2G035AA03
2G035AB04
2G035AC00
2G035AC03
2G035AD00
2G035AD03
2G035AD10
2G035AD13
2G035AD20
2G035AD47
5H560BB03
5H560DA02
5H560DC05
5H560DC12
5H560SS01
5H560TT11
5H560TT15
5H560UA05
5H560XA12
(57)【要約】
本発明は、少なくとも2つの半導体スイッチ(T1、T2)を有するハーフブリッジ回路(HB)によって通電された誘導性負荷(M)を通って流れている電流を測定するための装置(10)であって、半導体スイッチ(T1、T2)は、PWMプロセスに従って相補的な形でオン及びオフが切り替えられる、装置に関する。本発明による装置(10)は、少なくとも2つの半導体スイッチ(T1、T2)のうちの少なくとも1つの半導体スイッチ(T1)のスイッチオン状態及びスイッチオフ状態を判定するための監視デバイス(12)と、監視デバイス(12)によって制御される同期測定増幅器(A2)であって、半導体スイッチ(T1)がスイッチオン状態にあると判定された場合に、半導体スイッチ(T1)に印加された電圧降下(U1)を測定し、電圧降下を増倍させて増倍電圧(U2)を形成するための、同期測定増幅器(A2)と、誘導性負荷(M)における電流の特徴を示す電圧信号(OUT)を生成するための、監視デバイス(12)によって制御される同期電圧フォロワ(A3)であって、この電圧信号は、半導体スイッチ(T1)がスイッチオン状態にある場合、増倍電圧(U2)に追随し、半導体スイッチ(T1)がスイッチオフ状態にある場合、実質的に一定のままであるか又は予め定められた曲線に従って減少する、同期電圧フォロワ(A3)と、を備える。本発明は更に、対応する電流測定方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの半導体スイッチ(T1、T2)を有するハーフブリッジ回路(HB)によって通電されている誘導性負荷(M)を通って流れている電流を測定するための装置(10)であって、前記半導体スイッチ(T1、T2)は、PWM法に従って相補的な形でオン及びオフが切り替えられ、
前記装置(10)は、
前記少なくとも2つの半導体スイッチ(T1、T2)のうちの少なくとも1つ半導体スイッチ(T1)の、スイッチオン状態及びスイッチオフ状態を判定するように設計された監視デバイス(12)と、
同期測定増幅器(A2)であって、前記監視デバイス(12)により制御され、前記半導体スイッチ(T1)の判定された前記スイッチオン状態の間に、前記半導体スイッチ(T1)に存在する電圧降下(U1)を測定し、前記電圧降下を増倍させて増倍電圧(U2)を形成するように設計されている、同期測定増幅器(A2)と、
前記監視デバイス(12)により制御されて電圧信号(OUT)を生成する同期電圧フォロワ(A3)であって、前記電圧信号(OUT)は、前記誘導性負荷(M)における前記電流の特徴を示し、前記半導体スイッチ(T1)の前記スイッチオン状態では前記増倍電圧(U2)に追随し、前記半導体スイッチ(T1)の前記スイッチオフ状態では実質的に一定のままであるか又は予め定められたプロファイルに従って減少する、同期電圧フォロワ(A3)と、を有することを特徴とする、装置(10)。
【請求項2】
前記同期電圧フォロワ(A3、CA)は、前記半導体スイッチ(T1)の前記スイッチオフ状態の間に、前記電圧信号(OUT)を実質的に一定に保つように設計されている、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記同期電圧フォロワ(A3、CA、CS)は、前記半導体スイッチ(T1)の前記スイッチオフ状態の間に、前記電圧信号(OUT)を予め定められたプロファイルに従って減少させるように設計されている、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記半導体スイッチ(T1)の前記スイッチオフ状態の間の前記予め定められたプロファイルは前記誘導性負荷(M)における予想される電流減少を近似する、及び/又は前記予め定められたプロファイルは構成可能なように設計されてプログラミングインタフェースを介して定めることができる、請求項3に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記誘導性負荷(M)は、電気DCモータにより形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記半導体スイッチ(T1)の温度を検出するための温度検出デバイスと、前記電圧信号(OUT)及び前記半導体スイッチ(T1)の検出された温度に基づいて、前記誘導性負荷(M)を通って流れている前記電流を決定する評価デバイスと、を更に有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記誘導性負荷(M)を通って流れている測定された前記電流を所定の閾値と比較する比較デバイスを更に有し、前記閾値を超過した場合に、前記超過を示す過負荷信号を生成する評価デバイスを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記ハーフブリッジ回路は複数のハーフブリッジ(HB1、HB2)を有し、前記ハーフブリッジ(HB1、HB2)の各々が、2つの半導体スイッチ(T11、T21、T12、T22)を有し、前記装置(10)は制御可能選択デバイス(32)を更に有し、前記誘導性負荷(M)を通って流れている前記電流を測定するために、前記制御可能選択デバイス(32)を用いて、複数の前記半導体スイッチ(T11、T21、T12、T22)のうちの1つの半導体スイッチ(T11、T12)が選択され得る、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
誘導性負荷(M)に通電するために使用されるハーフブリッジ回路(HB1、HB2)を制御するための、及び前記誘導性負荷(M)を通って流れている電流を測定するための集積回路(30)であって、前記ハーフブリッジ回路(HB1、HB2)は、2つの第1の半導体スイッチ(T11、T21)を有する少なくとも1つの第1のハーフブリッジ(HB1)と、2つの第2の半導体スイッチ(T12、T22)を有する第2のハーフブリッジ(HB2)とを有し、
前記集積回路(30)は、
前記ハーフブリッジ回路(HB1、HB2)の前記半導体スイッチ(T11、T21、T12、T22)を、PWM法に従って、相補的な形でオン及びオフを切り替えるためのPWM制御デバイス(CTL1、CTL2)と、
前記2つの第1の半導体スイッチ(T11、T21)のうちの少なくとも1つの第1の半導体スイッチ(T11)に接続している、請求項1~8のいずれか一項に記載の第1の装置(12-1、A2-1、A3-1)と、
前記2つの第2の半導体スイッチ(T12、T22)のうちの少なくとも1つの第2の半導体スイッチ(T12)に接続している、請求項1~8のいずれか一項に記載の第2の装置(12-2、A2-2、A3-2)と、
制御デバイス(32)であって、前記誘導性負荷(M)を通って流れている前記電流を測定するために、前記制御デバイス(32)を用いて、前記第1の装置(12-1、A2-1、A3-1)又は前記第2の装置(12-2、A2-2、A3-2)が選択され得る、制御デバイス(32)と、を有する、集積回路(30)。
【請求項10】
少なくとも2つの半導体スイッチ(T1、T2)を有するハーフブリッジ回路(HB)によって通電されている誘導性負荷(M)を通って流れている電流を測定するための方法であって、前記半導体スイッチ(T1、T2)は、PWM法に従って相補的な形でオン及びオフが切り替えられ、
前記方法は、
前記少なくとも2つの半導体スイッチ(T1、T2)のうちの少なくとも1つの半導体スイッチ(T1)のスイッチオン状態及びスイッチオフ状態を判定するために、前記少なくとも2つの半導体スイッチ(T1、T2)のうちの前記少なくとも1つの半導体スイッチ(T1)を監視するステップと、
前記半導体スイッチ(T1)の判定された前記スイッチオン状態の間に、前記半導体スイッチ(T1)に存在する電圧降下(U1)を測定するステップと、
前記半導体スイッチ(T1)の判定された前記スイッチオン状態の間に、前記半導体スイッチ(T1)において測定された前記電圧降下(U1)を同期的に増倍させて増倍電圧(U2)を形成するステップと、
電圧信号(OUT)を生成するステップであって、前記電圧信号(OUT)は、前記誘導性負荷(M)における前記電流の特徴を示し、前記半導体スイッチ(T1)の前記スイッチオン状態において前記増倍電圧(U2)に追随し、前記半導体スイッチ(T1)の前記スイッチオフ状態において実質的に一定のままであるか又は予め定められたプロファイルに従って減少する、ステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記電圧信号(OUT)は、同期電圧フォロワ(A3)によって生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記半導体スイッチ(T1)の電気抵抗が温度依存性を有し、前記方法は、
前記半導体スイッチ(T1)の温度を検出するステップと、
前記電圧信号(OUT)と前記半導体スイッチ(T1)の検出された前記温度とに基づき、前記誘導性負荷(M)を通って流れている前記電流を決定するステップと、を更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
前記誘導性負荷(M)を通って流れている測定された前記電流を所定の閾値と比較するステップと、
測定された前記電流が前記閾値を超過した場合、前記閾値を超過したことを示す過負荷信号を生成するステップと、を更に含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記半導体スイッチ(T1)の前記スイッチオフ状態において、前記電圧信号(OUT)は、予め定められたプロファイルに従って減少する、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記半導体スイッチ(T1)の前記スイッチオフ状態の間の前記予め定められたプロファイルは前記誘導性負荷(M)における予想される電流減少を近似する、及び/又は前記予め定められたプロファイルは構成可能なように設計されてプログラミングインタフェースを介して定めることができる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記誘導性負荷(M)は、電気DCモータにより形成される、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ハーフブリッジ回路は複数のハーフブリッジ(HB1、HB2)を有し、前記ハーフブリッジの各々が、2つの半導体スイッチ(T11、T21、T12、T22)を有し、前記方法は、前記誘導性負荷(M)を通って流れている前記電流を測定するために、複数の半導体スイッチ(T11、T21、T12、T22)のうちの1つの半導体スイッチ(T11、T12)を選択するステップを更に含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの半導体スイッチを有するハーフブリッジ回路によって通電されている誘導性負荷を通って流れている電流を測定するための装置であって、半導体スイッチは、PWM(パルス幅変調法)に従って相補的な形でオン及びオフが切り替えられる、装置に関する。本発明は、そのような電流を測定する方法に更に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータなどの誘導性負荷を、例えばPWM法を用いて動作させる場合、誘導性負荷を現在流れている電流を測定することが、すなわち、例えばこの電流の特徴を示す測定信号を生成することが、多くの場合に必要である。そのとき、モータ動作の場合、この測定信号は、例えば、モータ制御における調整又は制御のために、又は、例えばロータの角度位置を決定するために有利に使用できる。
【0003】
例えば、従来技術は、このための方法を開示しており、その方法では、電気モータと直列に配置された測定抵抗体の電圧降下が測定され、好適な測定信号が形成されるように増幅される。この方法の不利な点は、電力分岐において追加の電圧降下が存在し、これがシステムの効率を低下させることである。加えて、このソリューションは追加費用をもたらし、測定抵抗体のための追加の設置空間を必要とする。
【0004】
従来技術から公知の他の方法は、例えば、磁気トランスフォーマ又は磁気結合トランスフォーマを使用する。しかしながら、このようなトランスミッタ又はトランスフォーマも、高い追加費用をもたらす結果となり、また一体化又は小型化が困難である。
【0005】
磁気的方法は、最も幅広い意味ではホールセンサの使用を含み、誘導性負荷を通って流れている電流によって生じる磁気強度は、ホールセンサを使用して測定信号(例えばアナログ電圧信号)に変換される。不利な点は、とりわけ、機械的位置ずれに対する、ホールセンサの配置の限定された精度、そして更に感度である。
【0006】
更には、多くの場合に「スマートドライバ(SmartDrivers)」と呼ばれる集積回路、又は「センスFET(SenseFET)」技術として知られる技術を使用する集積回路が、特に電気モータに通電するために知られている。この場合、パワートランジスタのある部分が分離され、実際の出力電流に比例した電流成分がパワートランジスタに流れるように調整される。この技術は、電力回路において追加の電圧降下がないという利点を有する。しかしながら、特定の回路遮断器が必要である。したがって、これらの方法は、(例えば、いかなるFETなど)いかなる半導体スイッチによっても実現できない。更なる不利な点は、測定増幅器に課される高い要求及び測定値の限定された精度である。
【0007】
更には、従来技術はまた、回路遮断器における電圧降下を測定することにより、スイッチオンされた回路遮断器を通って流れている電流の測定を実施する方法を説明している。独国特許出願公開第4338714A1号明細書では、例えば、スイッチの好適なスイッチオフ状態を判定し、したがってスイッチモード電源において調整を実施するために、回路遮断器のスイッチオン状態において電流が測定される。
【0008】
更には、例えば、オーディオ増幅器に関する国際公開第2008/075306A1号パンフレットから、半導体スイッチにおける電圧降下を使用して電流を測定することが知られている。
【0009】
これらの周知の配置は、多くの場合に望ましい、又は例えば多くのデジタル制御又は調整デバイスによって必要とされる、連続測定信号をもたらすことがない。
【0010】
独国特許出願公開第19803040A1号明細書は、電力回路における極性反転保護スイッチの電流を測定する方法を記載している。しかしながら、このスイッチ自体は位相合わせされておらず、したがって、電流は労力を殆ど要することなく測定できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、冒頭で述べたタイプの電流測定を実施すること、すなわち、複数のPWM位相合わせされた半導体スイッチを有するハーフブリッジ回路により、誘導性負荷を通るように駆動される電流を測定することであり、この測定は、損失が殆どなく、比較的少ない労力の程度で、同時に良好な精度で実現されることが意図されている。
【0012】
特に、本発明は、誘導性負荷の電流、特に、例えば電気モータの電流が、ハーフブリッジ回路のパルス幅変調回路遮断器において測定され、連続的電流測定信号として出力され得る装置及び方法を特定することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によると、この目的は請求項1に記載の装置により達成される。従属請求項は、本発明の有利な発展形態に関する。本発明の装置は、
少なくとも2つの半導体スイッチのうちの少なくとも1つの、スイッチオン状態及びスイッチオフ状態を判定するように設計された監視デバイスと、
同期測定増幅器であって、監視デバイスにより制御されて、半導体スイッチの判定されたスイッチオン状態の間に、半導体スイッチに存在する電圧降下を測定し、電圧降下を増倍させて増倍電圧を形成するように設計されている、同期測定増幅器と、
監視デバイスにより制御されて電圧信号を生成する同期電圧フォロワであって、電圧信号は、誘導性負荷における電流の特徴を示し、半導体スイッチのスイッチオン状態では増倍電圧に追随し、半導体スイッチのスイッチオフ状態では実質的に一定のままであるか又は予め定められたプロファイルに従って減少する、同期電圧フォロワと、を有する。
【0014】
問題の半導体スイッチがパルス幅変調方式で制御される(オン及びオフが切り替えられる)場合であっても、同期電圧フォロワは好都合にも、誘導性負荷における電流の特徴を示す連続信号を生成する。特に、同期電圧フォロワによって生成される電圧信号は、誘導性負荷における電流に比例し得る。本発明による電流測定は、(少なくとも)1つの半導体スイッチにおける電圧降下の測定及び処理に基づくので、特定の測定抵抗体を使用する場合のような損失が生じることはない。
【0015】
本発明の装置は、PWM制御ハーフブリッジ回路に関連する使用のために提供されるので、装置の監視デバイスは、例えば入力を有して、入力にハーフブリッジ回路を制御するためにいずれにしろ必要なPWM制御信号が供給されてもよい。
【0016】
代わりに又は加えて、監視デバイスは制御信号が供給される入力を有することができ、この制御信号は、問題の半導体スイッチの制御入力(例えばFETのゲート)から枝分かれしている。
【0017】
最後に、これらの可能性に替えて又は加えて、電圧信号が供給される入力を監視デバイスが有することが可能であり、この電圧信号は、問題の半導体スイッチに接続されている誘導性負荷の接続部から得られる。
【0018】
上述した信号の全てが、監視デバイスが少なくとも1つの半導体スイッチのスイッチオン状態及びスイッチオフ状態を判定することを可能にする。
【0019】
一実施形態では、監視デバイスは、デジタルコンピュータデバイスとして、特に、例えばプログラム制御デジタルコンピュータデバイス(例えばマイクロコントローラ)として実装されるか、又はこのようなコンピュータデバイスの部分的な機能を表す。
【0020】
同期測定増幅器は、例えば、非反転増幅器として又は反転増幅器として2つの抵抗体により配線された、例えば、適切に配線された演算増幅器により実装され得る。
【0021】
同期電圧フォロワは、例えば、適切に配線された演算増幅器(負帰還演算増幅器)により実装され得る。
【0022】
しかしながら、本発明の範囲内で、同期測定増幅器と同期電圧フォロワとは、問題の半導体スイッチのスイッチオン及びスイッチオフ過程と同期をとって動作することが可能でなければならない。この目的のため、監視デバイスに基づいて、対応する制御信号を入力するか又は適用することが可能となるように、これらの構成要素には、対応する制御入力を与えることができ、この制御信号は、例えば、半導体スイッチのスイッチオン状態では、測定増幅器及び電圧フォロワの両方をスイッチオンし、半導体スイッチのスイッチオフ状態では、これらの2つの構成要素を再びスイッチオフする。
【0023】
可能な限り歪みが少ないスイッチオン及びスイッチオフを実現するために、同期測定増幅器は、特に有利には、例えば、いわゆる相互コンダクタンス増幅器(電圧制御電流源)として設計され得る、又はこれを含み得る。例えば、これは、測定増幅器に設けられた制御ループの過渡的過程の間の不利なオーバーシュートを防止でき、したがって結果として生じる誤差を最小化できる。
【0024】
一実施形態では、同期電圧フォロワは、半導体スイッチのスイッチオフ状態の間に、電圧信号を実質的に一定に保つように設計されている。
【0025】
一実施形態では、これはコンデンサを使用して実現され、コンデンサは、したがって、上述したように、電圧フォロワによって生成された電圧信号を一定に保つために電圧フォロワの出力に配置される。そのとき、一定の電圧信号は、問題の半導体スイッチがスイッチオン状態であった以前のフェーズの終了時に存在したその電圧フォロワ出力信号に対応する。
【0026】
他の実施形態では、同期電圧フォロワは、半導体スイッチのスイッチオフ状態の間に、電圧信号を予め定められたプロファイルに従って減少させるように設計されている。
【0027】
これも、例えば、電圧フォロワの出力に配置されたコンデンサを使用して行うことができ、この場合は加えて、スイッチオフ状態の間のコンデンサの予め定められた放電のためのデバイスが設けられる。最も単純なケースでは、このような放電デバイスは、コンデンサと並列の(例えばオーミックの)受動抵抗体により形成され得る。別の実施形態では、放電は、コンデンサと並列に構成され監視ユニットにより制御される制御可能電流源を介して生じる。
【0028】
一発展形態では、半導体スイッチのスイッチオフ状態の間の予め定められたプロファイルは誘導性負荷における予想される電流減少を近似する、及び/又は予め定められたプロファイルは構成可能なように設計されてプログラミングインタフェースを介して定めることができる。
【0029】
これは、好都合にも、電流測定の精度を改善できる。
【0030】
上述したプログラミングインタフェースは、監視デバイスを形成するか又は少なくとも監視デバイスを含むプログラム制御コンピュータデバイスに設けられ得る。
【0031】
本発明の特に有利な実施形態又は使用では、誘導性負荷は、電気モータにより、特に例えばDCモータにより形成される。
【0032】
特にこの場合、監視デバイスは、場合によっては同期測定増幅器及び同期電圧フォロワも、有利には、PWMモータ制御デバイスと一緒に集積回路内に組み合わせることができる。
【0033】
一実施形態は、車両における電気モータに関し、例えば車両座席又はその構成要素を調節するための、又は車両の閉鎖要素(例えば、ウィンドウ、サンルーフカバー、フードなど)を調節するための、例えば調節可能な車両構成要素を作動させるためのモータに関する。代替形態として、車両内のモータは、例えば流体ポンプを駆動するために提供され得る。
【0034】
一実施形態では、装置は、半導体スイッチの温度を検出するための温度検出デバイスと、(電圧フォロワによって生成される)電圧信号及び半導体スイッチの検出温度に基づいて、誘導性負荷を通って流れている電流を決定する評価デバイスと、を更に有する。
【0035】
特に、この場合、温度検出の結果を使用して、スイッチオン状態にある問題の半導体スイッチの抵抗を決定するようにできる(例えば、測定された温度に、対応する抵抗を割り当てるために、格納されたルックアップテーブル等を使用して)。スイッチオン抵抗の温度依存補正により、そうしない場合に温度依存から生じる系統的測定誤差を、好都合にも削減することが可能になる。
【0036】
構成の絶対的誤差(例えば、半導体スイッチのスイッチオン抵抗に関して、同期測定増幅器及び同期電圧フォロワからなる信号処理構成のオフセット及び利得)が較正され、決定された電流値を補正するために使用される場合、測定精度の改善が同様に実現され得る。(場合によっては、温度に依存して検出された)このために好適な補正パラメータが、電圧フォロワによって生成される電圧信号の(より正確な)評価の目的で(場合によっては、測定された温度も考慮して)、例えば監視デバイスに保存され、装置の動作中に使用できる。
【0037】
一実施形態では、装置は更に、誘導性負荷を通って流れている測定電流を所定の閾値と比較する比較デバイスと、閾値を超過した場合に超過を示す過負荷信号を生成する評価デバイスと、を有する。
【0038】
比較デバイスは、例えば、電圧比較器によって形成することができ、電圧比較器には、一方では電圧フォロワによって生成された電圧信号が、他方では既定の(例えば、固定された、又は例えば評価デバイスにより規定された)参照電圧が入力される。
【0039】
評価デバイスは、例えば、特に例えばプログラム制御された1つの又は上述したデジタル式の、デジタルコンピュータデバイスにより形成でき、これらはまた、特に、例えば監視デバイスを形成できる。
【0040】
「短絡の監視」が、好都合にも本実施形態を使用して実装できる。
【0041】
一実施形態では、ハーフブリッジ回路は、複数のハーフブリッジを有し、ハーフブリッジの各々が、2つの半導体スイッチを有し、装置は、制御可能選択デバイスを更に有し、誘導性負荷を通って流れている電流を測定するために、制御可能選択デバイスを用いて、複数の半導体スイッチのうちの1つが選択され得る。
【0042】
この実施形態の第1の変形形態によれば、装置は、(既に説明したように)同期測定増幅器と、この下流に配置された同期電圧フォロワとを備え、選択された半導体スイッチのスイッチオン状態の間に、選択デバイスにより、同期測定増幅器の入力が半導体スイッチの様々なスイッチに可変に順番に接続されて、半導体スイッチにおける電圧降下が測定され増倍され、下流に配置された同期電圧フォロワの入力に供給され得る。
【0043】
この実施形態の第2の変形形態によれば、装置は、(対応する半導体スイッチに接続された)同期測定増幅器のそれぞれの配置と、半導体スイッチの様々なスイッチのために下流に配置された同期電圧フォロワとを備え、複数の電圧フォロワのうちの1つ又はその出力が選択デバイスにより可変に選択され、誘導性負荷における電流を特徴付ける電圧信号が選択デバイスの出力において得られ(例えば、更なる評価のために)再使用される。
【0044】
両方の変形形態において、選択デバイスは、例えば、デジタルコンピュータデバイスにより又は前述したデジタルコンピュータデバイスにより形成及び制御できる。モータ制御を使用する場合、コンピュータデバイスは、例えば、デジタルバスシステムを介して、(同様にコンピュータデバイスとして設計された)「モータ管理」デバイス(例えばマイクロコントローラ)に接続され得る。これにより、例えば、モータ管理の仕様を選択デバイスに送信することが可能になる。
【0045】
本発明の更なる態様では、誘導性負荷(例えば電気DCモータ)に通電するために使用されるハーフブリッジ回路を制御するための、そして誘導性負荷を通って流れている電流を測定するための、集積回路が提案され、ハーフブリッジ回路は、2つの第1の半導体スイッチを有する少なくとも1つの第1のハーフブリッジと、2つの第2の半導体スイッチを有する第2のハーフブリッジとを有し、集積回路は、
ハーフブリッジ回路の半導体スイッチを、PWM法に従って(例えば、供給されるPWM制御信号に基づき)、相補的な形でオン及びオフを切り替えるためのPWM制御デバイスと、
前述の請求項のうちの1つに記載される第1の装置であって、2つの第1の半導体スイッチのうちの少なくとも1つに接続している、第1の装置と、
前述の請求項のうちの1つに記載される第2の装置であって、2つの第2の半導体スイッチのうちの少なくとも1つに接続している、第2の装置と、
制御デバイスであって、誘導性負荷を流れる電流の測定のために、制御デバイスを用いて第1の装置又は第2の装置が選択され得る、制御デバイスと、を有する。
【0046】
非常に一般的な用語として、本発明の範囲内では「ハーフブリッジ回路」という用語は、1つ以上のハーフブリッジを有する回路を示す。「ハーフブリッジ」という用語は、ここでは、2つの制御可能な半導体スイッチの直列接続を意味し、半導体スイッチは、特に、例えば、例えばMOSFETなどのFET(電界効果トランジスタ)である。使用状況では、この直列回路は供給電圧に接続され、誘導性負荷の1つの接続部が2つの半導体スイッチ間のタップ(「中央タップ」)に接続される。
【0047】
例えば、(単一の)電気モータを制御し、この場合は(単一の)ハーフブリッジを制御するために、上述した集積回路を設けることができ、ハーフブリッジの中央タップはモータの1つの接続部に接続しているのに対して、モータの他の接続部は、例えば固定電位(例えば電気接地又は電源電位)に接続している。
【0048】
代替として、例えば(単一の)モータを制御するために、2つのハーフブリッジを有するハーフブリッジ回路を使用することもでき、(対応する半導体スイッチ間の)その中央タップは、モータの2つの接続部のうちの1つに接続される。
【0049】
一発展形態では、複数の誘導性負荷を、特に、例えば複数の電気モータを制御するために、上述した集積回路が設けられ、そしてこの場合、好適な複数のハーフブリッジを有する。
【0050】
例として、第1、第2、及び第3のハーフブリッジは、第1及び第2のモータを制御するために使用することができ、第1のモータは第1及び第2のハーフブリッジの中央タップに接続し、第2のモータは第2及び第3のハーフブリッジの中央タップに接続している。
【0051】
代替形態として、例えば、第1のモータは、第1及び第2のハーフブリッジの中央タップに接続されることができ、第2のモータは、第1の及び第3のハーフブリッジの中央タップに接続されることができる。
【0052】
これらの原則によれば、集積回路は、制御されるモータの数をnで示すときに、「n個の」モータを制御するように設計でき、そのとき、ここで使用されるハーフブリッジ回路は、集積回路により制御される、例えばトータルで「n+1個の」ハーフブリッジを有し得る。
【0053】
本発明の更なる態様によれば、少なくとも2つの半導体スイッチを有するハーフブリッジ回路によって通電されている誘導性負荷(例えば電気モータ)を通って流れている電流を測定するための方法が提案され、半導体スイッチは、PWM法に従って相補的な形でオン及びオフが切り替えられ、本方法は、
少なくとも2つの半導体スイッチのうちの少なくとも1つのスイッチオン状態及びスイッチオフ状態を判定するために、少なくとも2つの半導体スイッチのうちの少なくとも1つを監視するステップと、
半導体スイッチの判定されたスイッチオン状態の間、半導体スイッチに存在する電圧降下を測定するステップと、
半導体スイッチの判定されたスイッチオン状態の間に、半導体スイッチにおいて測定された電圧降下を同期的に増倍させて増倍電圧を形成するステップと、
電圧信号を生成するステップであって、電圧信号は、誘導性負荷における電流の特徴を示し、半導体スイッチのスイッチオン状態において増倍電圧に追随し、半導体スイッチのスイッチオフ状態において実質的に一定のままであるか又は予め定められたプロファイルに従って減少する、ステップと、を含む。
【0054】
本明細書に記載されるそのような方法又は装置の本発明の範囲内での好ましい使用は、電気モータ、特に、例えば(既に上述したような)車両構成要素の制御可能な動作(例えば調節)のために車両において使用されるDCモータ、を通って流れる電流の測定である。
【0055】
本発明による集積回路の有利な使用は、複数の電気モータ、特にDCモータの通電と、例えば車両における複数の車両構成要素の制御可能な動作(例えば調節)のための(現在通電されているモータの)対応するモータ電流の測定とである。
【0056】
本明細書において本発明による装置又は本発明による集積回路について説明している実施形態及び特定の構成(及び/又はこれとの関連で説明されているハーフブリッジ回路の特徴)を、個別に又は任意の組み合わせで、本発明による方法(又は本発明による使用)の実施形態又は特定の構成としてアナログの形態で提供することもでき、その逆も可能である。
【0057】
方法の一実施形態では、例えば、電圧信号は同期電圧フォロワによって生成される。この目的のため、既に上記で更に説明しているタイプの電圧フォロワを本方法で使用できる。
【0058】
一実施形態では、半導体スイッチの電気抵抗が温度依存性を有し、本方法は、
半導体スイッチの温度を検出するステップと、
電圧信号と半導体スイッチの検出された温度とに基づき、誘導性負荷を通って流れている電流を決定するステップと、を更に含む。
【0059】
関連する半導体スイッチに特に配置された温度センサを、温度を検出するために使用できる。代わりに又は加えて、既に温度センサを有する半導体スイッチと、温度の特徴を示す信号を提供する、対応する信号出力との使用が提供され得る。
【0060】
いずれにしろ生成される特性電圧信号が、このように単純に使用されることがない場合は、電流を、特に、例えばプログラム制御方法で決定できる(例えば上述したタイプの測定された温度及び/又は修正パラメータも考慮して)。
【0061】
一実施形態では、本方法は、
誘導性負荷を通って流れている測定された電流を所定の閾値と比較するステップと、
測定された電流が閾値を超過した場合、閾値を超過したことを示す過負荷信号を生成するステップと、を更に含む。
【0062】
特に、固定された所定の閾値の代わりに可変の閾値が提供される場合は、電流と閾値との比較は、プログラム制御方法で事前に規定された閾値を伴い得る。
【0063】
過負荷信号もまた、必要に応じて、例えばプログラム制御方法で生成され得る。
【0064】
一実施形態では、半導体スイッチのスイッチオフ状態において、電圧信号は、予め定められたプロファイルに従って減少する。
【0065】
この目的のため、生成された特性電圧信号が、問題の半導体スイッチのスイッチオン状態の間に印加されるコンデンサが、好ましくは、このコンデンサの放電のためにコンデンサに並列に配置された電流源と共に使用される。最も単純な場合では、電流源はオーミック抵抗体により形成でき、オーミック抵抗体は、コンデンサの現在の充電電圧に比例する放電電流を提供する。代替として、例えば、制御可能電源を使用してコンデンサを放電させることができる。
【0066】
一実施形態では、予め定められたプロファイルは、半導体スイッチのスイッチオフ状態の間に、誘導性負荷における予想される電流減少を近似するように提供され、及び/又は、予め定められたプロファイルは、構成可能なように設計されてプログラミングインタフェースを介して定めることができるように提供される。
【0067】
この目的のため、例えば、コンデンサと抵抗体の上述した並列構成の容量値と抵抗値が適切に、すなわちスイッチオフ状態の間の誘導性負荷における電流減少の予想される時間プロファイルに即して、測定され得る、又はコンデンサに並列に配置された電流源が適切に制御され得る。
【0068】
一実施形態では、誘導性負荷は、電気モータ、特にDCモータにより形成される。
【0069】
特定の用途において、DCモータの回転方向の反転が必要とされない場合、モータは、例えば、相補的な形でオン及びオフが切り替えられる2つの半導体スイッチを有するハーフブリッジを1つだけ有するハーフブリッジ回路によって通電され得る。この場合、ハーフブリッジに接続されていないモータの接続部は、例えば、固定電位(例えば電気接地又は電源電位)に接続され得る。しかしながら、変形形態として、各々が2つの半導体スイッチを有する2つのハーフブリッジを有するハーフブリッジ回路がこの用途で使用され得る。
【0070】
一実施形態では、ハーフブリッジ回路は、各々が2つの半導体スイッチを有する複数のハーフブリッジを有するように提供され、方法が提供され、方法は、誘導性負荷を通って流れている電流を測定するために、複数の半導体スイッチのうちの1つを選択するステップを更に含む。
【0071】
第1の変形形態によれば、電圧降下を測定し更に測定信号を処理するために使用されるデバイスに、この半導体スイッチが接続されるように、半導体スイッチが選択されるのに対し、第2の変形形態によれば、(複数の選択可能な半導体スイッチに対応する)提供される複数のそのような測定及び処理デバイスから(1つの)デバイスが選択されるように、半導体スイッチが選択され、そのとき、そのデバイスの(誘導性負荷における電流の特徴を示す)提供された電圧信号は、電流測定のために使用されるか、又は(場合によっては、評価後に)受け取られる。
【0072】
本発明の有利な設計において、装置は一体化モータ制御モジュールに一体化され、それを使用して、モータの様々な動作条件に対して電気モータの電流を検出することができる。
【0073】
本発明が、添付図面を参照して、例示的実施形態に基づき、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】例示的実施形態による、モータを通って流れている電流を測定するための装置を備える、電気モータを制御するための回路構成の基本的な回路図である。
【
図2】
図1の装置の動作中に生じる様々な電圧の時間プロファイルを例として示す。
【
図3】修正された例示的実施形態による、電流測定装置を有する回路構成の基本的な回路図である。
【
図4】更なる例示的実施形態による、モータを通って流れている電流を測定するための装置を備える、電気モータを制御するための回路構成の基本的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、電気モータM(一般には誘導性負荷、この場合はDCモータ)のPWM(パルス幅変調)制御のための回路構成を、モータMを通って流れている電流を測定するための装置10と共に示す。
【0076】
図示する実施例では、モータMはハーフブリッジ回路により通電され、ハーフブリッジ回路は、2つの制御可能な半導体スイッチT1及びT2の直列回路から形成される(少なくとも)1つのハーフブリッジHBを備える。
【0077】
例示する実施例では、2つのスイッチT1及びT2はそれぞれ、MOSFETとして設計されている。しかしながら、これから逸脱して、例えば、特に、電子機械を制御するためのハーフブリッジの従来技術から「回路遮断器」として知られているものなどの、半導体スイッチの他の実施形態が考慮される。
【0078】
図1では、ハーフブリッジ回路は、一方が電源電位VSに、他方が電気接地GNDに接続している。
【0079】
モータMの2つの接続部のうちの一方(
図1の左側)は、(T1とT2との間の)ハーフブリッジHBの中央タップに接続し、モータMの2つの接続部のうちの他方(
図1の右側)は、例えば、固定電位、例えば電源電位VSなどに接続している。
【0080】
これから逸脱して、モータMの右側の接続部はまた、特に、例えば図示したタイプの更なるハーフブリッジの中央タップに接続され得る(これに関して
図4の実施例も参照)。
【0081】
モータMのPWM制御は2つのスイッチT1及びT2を介して実施され、2つのスイッチは、対応するゲートドライバGS1及びGD2を介して、PWM制御信号「PWM」に基づいて相補的な形で制御される。
【0082】
信号PWMは、例えば、アナログ又はデジタル信号(例えばデータ信号)であってもよく、モータ制御のための所望のPWMデューティサイクルを定める。信号PWMは、PWM制御デバイスCTLに供給され、PWM制御デバイスCTLは、信号PWMを使用して、ゲートドライバGD1、GD2を制御するための相補的な制御信号を生成し、次にゲートドライバは、スイッチT1、T2のゲート(一般に、制御接続部)のための制御電位を生成し、この制御電位は、相補的な形でのスイッチT1、T2の低損失のオン及びオフの切り替えのために好適である。
【0083】
ハーフブリッジHBの中央タップの電位は、
図1ではU1で示される。ハーフブリッジHBのPWM制御に応じて、回路構成が動作中のとき、U1は電位GNDとVSとの間を往復して変化する。
【0084】
本発明の範囲内で有利な、PWM制御のPWM期間は、例えば1ms~10μsの範囲であってもよい。
【0085】
図示される例示的実施形態に従い、本発明の電流測定装置10は、以下の構成要素:
スイッチ(この場合、MOSFET)T1及びT2のスイッチオン状態及びスイッチオフ状態を判定するように設計された監視デバイス12と、
同期測定増幅器A2であって、監視デバイス12により制御されて、スイッチT1の判定されたスイッチオン状態の間に、スイッチT1に存在する電圧降下(この場合、U1-GND)を測定し、電圧降下を増倍させて増倍電圧U2を形成するように設計されている、同期測定増幅器A2と、
監視デバイス12により制御されて電圧信号OUTを生成する同期電圧フォロワA3であって、電圧信号OUTは、モータ電流の特徴を示し、スイッチT1のスイッチオン状態では増倍電圧U2に追随し、スイッチT1のスイッチオフ状態では実質的に一定のままである、同期電圧フォロワA3と、を有する。
【0086】
モータMにおける電流を決定するために、スイッチオンフェーズにあるスイッチT1の両端にわたる電圧降下が評価される。
【0087】
図2は、装置10が動作中であるときに、PWM制御の期間中(この場合は、例えば100μs)の、追随する電圧の例示的なプロファイルを時間tの関数として示す。
U1:ハーフブリッジHBの中央タップにおけるハーフブリッジ電圧、
U2:同期測定増幅器A2の出力における増倍電圧、
OUT:同期電圧フォロワA3の出力における特性電圧信号。
【0088】
スイッチT1のスイッチオンフェーズ又はスイッチオン状態は、PWM制御信号PWMを介して監視デバイス12において判定され、PWM制御信号PWMは、この目的のために監視デバイス12にも供給されるか、又は
図1に示すように、PWM制御デバイスCTLによって監視デバイス12に送られる。
【0089】
代わりに又は加えて、監視デバイス12は、
図1にも示すように、スイッチT1のゲートにおける電位(一般に、制御入力)、及び/又はハーフブリッジ電位U1などの関連する信号を直接、スイッチT1において得ることができる。
【0090】
スイッチT1のスイッチオン状態では、同期測定増幅器A2及び同期電圧フォロワA3は、監視デバイス12によって生成された同期信号「オン/オフ」によってスイッチオンされ、ハーフブリッジ電位U1に対応する、スイッチT1における電圧降下は増倍されて、増倍電圧U2が形成され、同期電圧フォロワA3を介して特性電圧信号OUTとして出力される。
【0091】
スイッチT1のスイッチオフ状態では、同期測定増幅器A2及び同期電圧フォロワA3は、スイッチオフされている。そのとき、同期電圧フォロワA3の出力におけるコンデンサCAが、スイッチT1が次にスイッチオン状態になるまで、その状態(電圧信号OUT)を一定に保つ。
【0092】
装置10の利点の1つは、その出力において連続出力信号(OUT)が提供されることであり、たとえ問題の半導体スイッチ(この場合は、スイッチT1)がパルス幅変調によって制御されていても、実施例では、この出力信号は、測定増幅器A2の図示した構成に起因して、誘導性負荷(この場合は、モータM)の(ピーク)電流に比例する。
【0093】
可能な限り歪みが少ないスイッチオン及びスイッチオフを実現するために、同期測定増幅器A2は、(電圧入力及び電流出力を有する)相互コンダクタンス増幅器として設計される。
【0094】
装置10の出力電圧、すなわち特性電圧信号OUTは、この実施例では、スイッチT1のスイッチオン状態のピーク電流に比例し(オームの法則)、連続的に利用できる。
【0095】
図示した実施例では、PWM制御デバイスCTL及び監視デバイス12は、制御及び監視デバイス20に構造的に組み合わされ、例えば集積回路として実装され得る。
【0096】
図1の図示にも関わらず、このような集積回路では、例えば、加えて、ゲートドライバGD1、GD2、及び/又は測定増幅器A2、及び/又は電圧フォロワA3が一体化され得る。
【0097】
換言すれば、装置10はしたがって、有利には、ハーフブリッジドライバの制御モジュールに少なくとも部分的に又は完全に一体化され得る。その結果として、誘導性負荷における電流は、実際には最小の追加の労力で制御モジュールにおいて測定でき、モータ制御の適用において、例えば、モータ管理用に利用可能となり得る。
【0098】
図1の実施例では、モータ電流は「ローサイド」MOSFET T1を介して測定されるが、装置10は、しかしながら、これから逸脱して、「ハイサイド」経路における測定に、すなわちスイッチT2での電圧降下を測定して更に処理するように適合され得る。この目的のため、例えば、アナログ「レベルシフタ」を設けて、必要な制御信号を供給し、出力信号(OUT)をデカップルすることができ、これを、例えば、制御及び監視デバイス20に一体化することができる。
【0099】
更なる例示的実施形態の以下の説明では、同じ効果を有する構成要素については、同じ参照符号が使用される。この場合は基本的に、既に記載されている例示的実施形態との違いだけがここで述べられ、そうでない場合は、以前の例示的実施形態の説明を参照することが述べられる。
【0100】
図3は、電流測定装置10が、
図1の電流測定装置と比較して僅かに修正された回路構成を示す。
【0101】
図3の例示的実施形態では、問題のスイッチ(T1)のスイッチオフ状態において、モータM(一般に、誘導性負荷)における電流プロファイルは、出力コンデンサCAの制御された放電によりシミュレートされ得る。
【0102】
この目的のため、装置10は加えて、スイッチオフ状態の間のコンデンサCAの制御可能な放電のために制御可能電流源CSを有する。この場合、電流源CSは、
図3に示すように、いずれにしろ提供される同期信号オン/オフ(又はそれを反転した形態)を使用して監視デバイス12によって制御され得る。
【0103】
したがって、装置10の出力信号、すなわち特性電圧信号OUTは、有利には、例えば誘導性負荷の平均電流に比例して提供され得る。
【0104】
図4は、各々がそれぞれ2つのスイッチT11、T21及びT12、T22を有する2つのハーフブリッジHB1及びHB2を備えるPWM制御ハーフブリッジ回路によってモータMが通電される例示的実施形態を示す。
【0105】
この実施例では、モータMは2つのハーフブリッジHB1及びHB2のブリッジ分岐に配置され、その結果、トータルで4つのスイッチT11、T21、T12、T22の制御可能性に起因して、より多様なPWM戦略が可能になる。
【0106】
この実施例では、2つのハーフブリッジHB1、HB2の数に対応して、モータMのPWM制御のために2つのPWM制御デバイスCTL1及びCTL2が設けられ、それぞれに関連付けられたスイッチT11、T21及びT12、T22を切り替えるための制御信号を生成し、この制御信号を制御入力(ゲート)に印加するために、この制御デバイスにはPWM制御信号PWMが供給される。
【0107】
この実施例では、モータMを通って流れる電流を測定するための装置10が、
図1~
図3を参照して既に説明したタイプ(配置「12、A2、A3に対応する」)2つの電流測定装置12-1、A2-1、A3-1及び12-2、A2-2、A3-2を備え、これは、
図4に示すように、ハーフブリッジHB1及びHB2のそれぞれのローサイドスイッチT11又はT12に割り当てられている。
【0108】
装置10は選択及び評価デバイス32を更に備える。
【0109】
実施例では、一方で、2つの電流測定装置12-1、A2-1、A3-1、及び12-2、A2-2、A3-2の動作は、選択及び評価デバイス32により制御され得る。この目的のため、
図4に示すように、例えば、PWM制御信号PWMは、選択及び評価デバイス32を介して、2つの電流測定装置又はそれに含まれる監視デバイス12-1及び12-2に供給されることもでき、この電流測定装置は、既に説明した形態で、同期測定増幅器A2-1又はA2-2、及び同期電圧フォロワA3-1又はA3-2のそれぞれに割り当てられた配置を同期する、すなわち、例えば同時にスイッチオン及びオフする。
【0110】
しかしながら、これからは逸脱するが、既に説明したように、切り替え状態を監視するために、監視デバイス12-1及び12-2は、スイッチT11及びT12において直接得られる関連信号を受けることもできる。
【0111】
2つの電流測定装置12-1、A2-1、A3-1、及び12-2、A2-2、A3-2により提供される出力信号OUT1、OUT2はまた、任意選択で、評価デバイス32により選択され、装置10の出力において出力信号OUTとして提供される。
【0112】
したがって、この例示的実施形態では、2つのスイッチT11及びT12のうちの1つが、好都合にも、モータMを通って流れている電流を測定するために選択され得る。
【0113】
この選択は、例えば、「モータ管理」のためのデバイス(図示せず)の対応する仕様に応じて制御でき、このようなモータ管理デバイスはまた、例えば、PWM制御のために必要とされる信号PWMを生成することもできる。
【0114】
図4の例示的な実施例では、言及したモータ管理の仕様は、プログラム信号「prog」としてプログラミングデバイス(例えばデジタルインタフェース)を介して制御モジュール30に伝達されることができ、制御モジュールは、PWM制御デバイスCTL1、CTL2、並びに選択及び評価デバイス32を含み、
図4の図面から逸脱して、加えて電流測定装置12-1、A2-1、A3-1、及び12-2、A2-2、A3-2を含むことができる。
【0115】
例えば、複合デバイスのように機能する、デジタルバスシステム並びに選択及び評価デバイス32を介して供給される、プログラム信号「prog」により、利用可能なスイッチのうちの1つ(この場合、T11及びT12)が電流測定のために選択でき、選択された電流測定の結果(この場合、信号OUT)は、高レベル制御デバイスに、例えば、特に前述のモータ管理デバイスに伝達できる。異なる電流測定装置のプログラム可能な選択を通じて、特に柔軟なモータ管理が好都合にも実現され得る。
【0116】
一般に、少なくとも1つの電流測定装置が、又は
図4にて示すように複数の(この場合、2つの)電流測定装置が1つのモジュール(この場合、制御モジュール30)に一体化されていると有利であり、モジュールはまた、問題のスイッチ(この場合、T11、T21、T12、T22)を制御するために提供されるデバイス(この場合、CTL1、CTL2)も含む。
【0117】
例えば図示した制御モジュール30などのそのようなモジュールは、有利には、誘導性負荷に通電するために使用されるハーフブリッジ回路を制御するための、及び誘導性負荷を通って流れている電流を測定するための、集積回路として実装され得る。ハーフブリッジ回路は、この場合は特に、例えば
図4に示すように、2つの第1の半導体スイッチを有する少なくとも1つの第1のハーフブリッジと、2つの第2の半導体スイッチを有する第2のハーフブリッジとを有し得る。
【0118】
図1及び
図3の電流測定装置10の、又は、
図4の2つの電流測定装置の測定誤差を減らすために、上述した例示的実施形態の全ては、そのようなスイッチのスイッチオン抵抗を決定するために、又は(温度に依存する)スイッチオン抵抗を温度に依存する形態で補正するために、問題のスイッチの(電流測定に使用される)温度を測定することを考慮している。
【0119】
本発明との関係において、そのとき、信号OUT、又は例えば複数のこのような信号(例えば、
図4におけるOUT1、OUT2)のうちの1つが、便宜上、電流測定の「決定変数」として直接使用されることはないが、この決定変数は、測定された温度も考慮しながら、信号OUTの評価を介してのみ形成される。実施例では、評価は、例えば、(適切に設計された)制御及び監視デバイス20(
図1及び
図3)において、又は制御モジュール30(
図4)において実施され得る。
図4では、例えば、この目的のために、最初にそれぞれの選択された信号OUT1又はOUT2を、測定された温度に応じて更に処理するために、次いで、この信号を「温度補正された」信号OUTとして出力するために、スイッチT11、T12によって得られた温度測定信号が制御モジュール30に供給される。
【0120】
特に、本発明は、任意の半導体スイッチ、特にFET又はMOSFETなどの標準的な電源スイッチを通って流れるモータ電流を、ハーフブリッジ回路を用いて実装されたPWMモータ制御の一部として測定できる装置及び方法を提供するために使用される。好都合にも、ここで連続測定信号が提供され得る。測定そのものは、電力回路にいかなる追加の損失も与えない。測定電子回路は、好都合にもPWMモータ制御用の制御モジュールに一体化され得る。
【国際調査報告】