(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】変色が低減した複合物品、および複合物品における色変化を促進または低減する方法
(51)【国際特許分類】
C08J 5/04 20060101AFI20220912BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
C08J5/04 CES
B32B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502930
(86)(22)【出願日】2020-07-18
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020042693
(87)【国際公開番号】W WO2021011932
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514102858
【氏名又は名称】ハンファ アズデル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ポン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ホンユィ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,リチン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ルオミアオ
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA08
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4F100JN28B
(57)【要約】
変色または色変化に抵抗することができる複合物品が記載される。いくつかの場合では、複合物品は、酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと変化する抗酸化物質を実質的に含まない混合型材料を含むことができる。複合物品は、難燃剤であってもよく、音の低減も提供し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤を含む環境への曝露時に、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法であって、前記方法が、強化繊維、第1の熱可塑性材料、および第2の熱可塑性材料と混合された難燃剤を含む混合型材料を合わせることによって、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造することを含み、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記混合型材料が、前記酸化剤を含む前記環境への曝露時に第1の色から第2の色へと切り替わる抗酸化物質を実質的に含まない、方法。
【請求項2】
前記混合型材料が、フェノール系抗酸化物質を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の熱可塑性材料が、本質的にポリオレフィンからなる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の熱可塑性材料が、ポリオレフィンからなる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層が、前記第1の色から前記第2の色へと切り替わることなく、前記酸化剤を含む前記環境中で少なくとも24時間保存される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の熱可塑性材料が、ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記強化繊維が、ガラス繊維を含み、前記第1の熱可塑性材料の前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記難燃剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、前記第2の熱可塑性材料が、ポリオレフィンを含み、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を低減する方法であって、前記方法が、強化繊維、第1の熱可塑性材料、および第2の熱可塑性材料と混合された難燃剤を含む混合型材料を合わせることによって、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造することを含み、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記混合型材料が、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと変わる抗酸化物質を含み、前記抗酸化物質が、前記第1の濃度より低い第2の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に、前記第2の色から前記第1の色に戻るように変わり、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを前記第1の色に維持するために、前記第2の濃度で、または前記第2の濃度未満で存在する酸化剤を含む前記環境中に保存される、方法。
【請求項12】
前記抗酸化物質が、フェノール系抗酸化物質を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の熱可塑性材料が、本質的にポリオレフィンからなる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の熱可塑性材料が、ポリオレフィンからなる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の濃度で存在するNO
Xを含む環境中に前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を少なくとも24時間保存して、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の前記抗酸化物質を前記第1の色から前記第2の色に変えることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の濃度で存在するNO
Xを含む前記環境から前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を除去することと、前記第2の濃度で、または前記第2の濃度未満でNO
Xを含む前記環境中に前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を保存して、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の前記抗酸化物質を前記第2の色から前記第1の色に変えることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の熱可塑性材料が、ポリプロピレンを含み、前記強化繊維が、ガラス繊維を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記難燃剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、前記第2の熱可塑性材料が、ポリオレフィンを含み、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
抗酸化物質を含む混合型材料を含む難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法であって、前記方法が、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの周囲の環境における酸化剤への曝露から前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを遮蔽して、前記酸化剤を含む前記環境への曝露時に前記抗酸化物質が第1の色から第2の色へと変化することを防止することを含む、方法。
【請求項22】
前記遮蔽することが、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、前記酸化剤が前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の前記抗酸化物質と反応することを防止するための材料で包むことを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記遮蔽することが、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、実質的に気密性の容器中に封入し、前記酸化剤が前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の前記抗酸化物質と反応することを防止することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、前記熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記多孔質コアが、第1の表面上にコーティングを含み、前記酸化剤が前記多孔質コア内へと拡散するのを防止する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、前記熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記多孔質コアが、各表面で密封されて、前記酸化剤が前記多孔質コア内へと拡散するのを防止する、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの熱可塑性材料が、ポリオレフィンを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記抗酸化物質が、フェノール系抗酸化物質である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記熱可塑性繊維強化多孔質コアの強化繊維が、ガラス繊維を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、前記第2の熱可塑性材料が、ポリオレフィンを含み、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色を変更する方法であって、前記方法が、強化繊維、第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤、抗酸化物質および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を合わせることによって前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを形成して、ウェブを形成することと、形成された前記ウェブを、酸化剤を含む環境に曝露して、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層中の前記抗酸化物質の色を第1の色から第2の色へと変更することと、を含む、方法。
【請求項32】
前記ウェブが、前記ウェブを圧縮する前に前記酸化剤を含む前記環境に曝露される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ウェブが、前記ウェブを圧縮した後に前記酸化剤を含む前記環境に曝露される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記ウェブが、前記ウェブ上にスキンを配置する前に、2ppmより多い酸化剤を含む前記環境に曝露される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記ウェブが、前記ウェブ上に多孔質スキンを配置した後に、2ppmより多い酸化剤を含む前記環境に曝露される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの前記第1の熱可塑性材料が、ポリオレフィンを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗酸化物質が、フェノール系抗酸化物質である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記熱可塑性繊維強化多孔質コアの強化繊維が、ガラス繊維を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記難燃剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、前記第2の熱可塑性材料が、ポリオレフィンを含み、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
強化繊維、第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記混合型材料が、酸化剤への曝露時に色が変わる抗酸化物質を実質的に含まず、前記多孔質コアが、前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含む、熱可塑性複合物品。
【請求項42】
前記第2の熱可塑性材料が、本質的にポリオレフィンからなる、請求項41に記載の熱可塑性複合体。
【請求項43】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項42に記載の熱可塑性複合体。
【請求項44】
前記第2の熱可塑性材料が、ポリオレフィンからなる、請求項41に記載の熱可塑性複合体。
【請求項45】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項44に記載の熱可塑性複合体。
【請求項46】
前記難燃剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、前記第2の熱可塑性材料が、ポリオレフィンを含み、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす、請求項41に記載の熱可塑性複合体。
【請求項47】
前記強化繊維が、ガラス繊維を含み、前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンを含む、請求項46に記載の熱可塑性複合体。
【請求項48】
前記多孔質コアの第1の表面上に配置された第1のスキンをさらに含む、請求項41に記載の熱可塑性複合体。
【請求項49】
前記混合型材料が、フェノール系抗酸化物質を含まない、請求項41に記載の熱可塑性複合体。
【請求項50】
前記多孔質コア中に非フェノール系抗酸化物質をさらに含む、請求項41に記載の熱可塑性複合体。
【請求項51】
強化繊維、混合型材料、および抗酸化物質を含む第1の熱可塑性材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記混合型材料が、金属水酸化物難燃剤および第2の熱可塑性材料を含み、前記混合型材料が、フェノール系抗酸化物質を含まず、前記多孔質コアが、前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含む、熱可塑性複合物品。
【請求項52】
前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料の各々が、ポリオレフィンを含む、請求項51に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項53】
前記強化繊維が、ガラス繊維を含む、請求項52に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項54】
前記金属水酸化物難燃剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムまたはその両方を含む、請求項53に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項55】
前記第1の熱可塑性材料中に存在する前記抗酸化物質が、フェノール系抗酸化物質を含み、前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料の各々が、ポリプロピレンを含み、前記強化繊維が、ガラス繊維を含み、前記金属水酸化物難燃剤が、水酸化マグネシウムを含む、請求項51に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項56】
前記フェノール系抗酸化物質が、前記酸化剤への曝露時に桃色に変わる、請求項55に記載の熱可塑性複合物品
。
【請求項57】
前記第1の熱可塑性材料中に存在する前記抗酸化物質が、フェノール系抗酸化物質を含み、前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料の各々が、ポリプロピレンを含み、前記強化繊維が、ガラス繊維を含み、前記金属水酸化物難燃剤が、水酸化アルミニウムを含む、請求項51に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項58】
前記フェノール系抗酸化物質が、前記酸化剤への曝露時に桃色に変わる、請求項57に記載の熱可塑性複合物品
。
【請求項59】
前記多孔質コアの第1の表面上に配置された第1のスキンと、前記多孔質コアの第2の表面上に配置された任意選択の第2のスキンとをさらに含む、請求項51~58のいずれか一項に記載の熱可塑性物品。
【請求項60】
前記多孔質コアの色変化を防止するための、前記抗酸化物質または酸化剤と反応する添加剤をさらに含む、請求項51に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項61】
強化繊維、ポリオレフィンおよび抗酸化物質を含む第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記混合型材料が、酸化剤への曝露時に色が変わる抗酸化物質を実質的に含まず、前記多孔質コアが、前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記多孔質コアが、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす、熱可塑性複合物品。
【請求項62】
強化繊維、ポリオレフィンおよび抗酸化物質を含む第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記混合型材料が、酸化剤への曝露時に色が変わる抗酸化物質を実質的に含まず、前記多孔質コアが、前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記多孔質コアが、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含む、熱可塑性複合物品。
【請求項63】
強化繊維、ポリオレフィンおよび抗酸化物質を含む第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記混合型材料が、酸化剤への曝露時に色が変わる抗酸化物質を実質的に含まず、前記多孔質コアが、前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記多孔質コアが、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含み、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす、熱可塑性複合物品。
【請求項64】
強化繊維、ポリオレフィンおよび抗酸化物質を含む第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記混合型材料が、酸化剤への曝露時に色が変わる抗酸化物質を実質的に含まず、前記多孔質コアが、前記第1の熱可塑性材料および前記第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記多孔質コアが、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含み、ASTM E84,Class Aの仕様を満たし、2015年付けのTest Method AATCC 23を使用して72時間試験される場合、実質的に一定の変色値(デルタE)を提供する、熱可塑性複合物品。
【請求項65】
酸化剤を含む環境への曝露時に、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法であって、前記方法が、強化繊維、難燃剤、および熱可塑性材料を合わせることによって、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造して、前記熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維を含むウェブを形成することを含み、前記熱可塑性材料が、前記酸化剤を含む前記環境への曝露時に第1の色から第2の色へと切り替わる抗酸化物質を実質的に含まない、方法。
【請求項66】
難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を低減する方法であって、強化繊維、難燃剤および熱可塑性材料を合わせることによって、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造して、前記熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維を含むウェブを形成することを含み、前記熱可塑性材料が、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと変わる抗酸化物質を含み、前記抗酸化物質が、前記第1の濃度より低い第2の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に、前記第2の色から前記第1の色に戻るように変わり、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを前記第1の色に維持するために、前記第2の濃度で、または前記第2の濃度未満で存在する酸化剤を含む前記環境中に保存される、方法。
【請求項67】
抗酸化物質を含む難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法であって、前記方法が、前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの周囲の環境における酸化剤への曝露から前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを遮蔽して、前記酸化剤を含む環境への曝露時に前記抗酸化物質が第1の色から第2の色へと変化することを防止することを含む、方法。
【請求項68】
難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色を変更する方法であって、前記方法が、強化繊維、難燃剤および熱可塑性材料を合わせることによって前記難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを形成して、ウェブを形成することと、形成された前記ウェブを、酸化剤を含む環境に曝露して、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層中の抗酸化物質の色を第1の色から第2の色へと変更することと、を含む、方法。
【請求項69】
強化繊維、難燃性材料、および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記多孔質コアが、前記熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記熱可塑性材料が、酸化剤への曝露時に桃色に変わる抗酸化物質を実質的に含まない、熱可塑性複合物品。
【請求項70】
強化繊維および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記多孔質コアが、金属水酸化物難燃剤および抗酸化物質をさらに含み、前記多孔質コアが、前記熱可塑性材料によって所定の位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記金属水酸化物難燃剤を含む前記多孔質コア中の前記抗酸化物質が、酸化剤に曝露されると、色が第1の色から第2の色へと変化し、前記酸化剤が除去されると、色を前記第2の色から前記第1の色へと変化させる、熱可塑性複合物品。
【請求項71】
強化繊維、難燃性材料、および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記多孔質コアが、前記熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記熱可塑性材料が、酸化剤への曝露時に桃色に変わる抗酸化物質を実質的に含まず、前記多孔質コアが、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす、熱可塑性複合物品。
【請求項72】
強化繊維、難燃性材料、および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記多孔質コアが、前記熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記熱可塑性材料が、酸化剤への曝露時に桃色に変わる抗酸化物質を実質的に含まず、前記多孔質コアが、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含む、熱可塑性複合物品。
【請求項73】
強化繊維、難燃性材料、および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記多孔質コアが、前記熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記熱可塑性材料が、酸化剤への曝露時に桃色に変わる抗酸化物質を実質的に含まず、前記多孔質コアが、ASTM E84,Class Aの仕様を満たし、前記多孔質コアが、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含む、熱可塑性複合物品。
【請求項74】
強化繊維、難燃性材料、および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含む熱可塑性複合物品であって、前記多孔質コアが、前記熱可塑性材料によって所定位置に保持された前記強化繊維から形成されたウェブを含み、前記熱可塑性材料が、酸化剤への曝露時に桃色に変わる抗酸化物質を実質的に含まず、前記多孔質コアが、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含み、ASTM E84、Class Aの仕様を満たし、2015年付けのTest Method AATCC 23を使用して72時間試験される場合、実質的に一定の変色値(デルタE)を提供する、熱可塑性複合物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先出願
本出願は、2019年7月18日に出願された米国特許出願第62/875,891号に関するものであり、これに対する優先権および利益を主張するものであり、その開示全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
特定の実施形態は、変色が低減した複合物品を対象とする。いくつかの例では、複合物品は、色変化を抑止するか、または色変化を促進する1つ以上の材料を含み得る。
【背景技術】
【0003】
背景技術
複合物品は、複合物品の最終用途に応じて様々な異なる性能要件を有する。環境条件または他の要因は、複合物品において望ましくない色変化を引き起こす場合がある。
【発明の概要】
【0004】
特定の態様は、変色に抵抗するように、または色変化を促進するように設計され得る複合物品について以下に記載される。複合物品に使用される正確な材料は、物品の所望な色および最終用途に応じて変化し得る。
【0005】
ある態様では、酸化剤を含む環境への曝露時に、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法は、強化繊維、第1の熱可塑性材料、および第2の熱可塑性材料と混合された難燃剤を含む混合型材料を合わせることによって、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造することを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、混合型材料が、酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと切り替わる抗酸化物質を実質的に含まない。
【0006】
特定の実施形態では、混合型材料は、フェノール系抗酸化物質を実質的に含まない。他の実施形態では、第2の熱可塑性材料は、本質的にポリオレフィンからなる。いくつかの例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。いくつかの構成では、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンからなる。追加の例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。いくつかの例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層は、第1の色から第2の色へと切り替わることなく、酸化剤を含む環境中で少なくとも24時間保存される。特定の例では、第1の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。他の例では、強化繊維は、ガラス繊維を含み、第1の熱可塑性材料のポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。追加の実施形態では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0007】
別の態様では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を低減する方法は、強化繊維、第1の熱可塑性材料、および第2の熱可塑性材料と混合された難燃剤を含む混合型材料を合わせることによって、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造することを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、混合型材料が、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと変わる抗酸化物質を含み、抗酸化物質が、第1の濃度より低い第2の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に、第2の色から第1の色に戻るように変わり、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアが、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを第1の色に維持するために、第2の濃度で、または第2の濃度未満で存在する酸化剤を含む環境中に保存される。
【0008】
特定の例では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質を含む。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性材料は、本質的にポリオレフィンからなる。特定の例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。他の実施形態では、第1の熱可塑性材料は、ポリオレフィンからなる。特定の実施形態では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。他の実施形態では、本方法は、第1の濃度で存在するNOXを含む環境中に難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を少なくとも24時間保存し、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質が第1の色から第2の色に変わることを含む。いくつかの例では、本方法は、第1の濃度で存在するNOXを含む環境から難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を除去することと、第2の濃度で、または第2の濃度未満でNOXを含む環境中に難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を保存し、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質が第2の色から第1の色に変わることを含む。いくつかの構成では、第1の熱可塑性材料は、ポリプロピレンを含み、強化繊維は、ガラス繊維を含む。他の構成では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0009】
追加の態様では、抗酸化物質を含む混合型材料を含む難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法が記載される。特定の実施形態では、本方法は、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの周囲の環境における酸化剤への曝露から難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを遮蔽して、酸化剤を含む環境への曝露時に抗酸化物質が第1の色から第2の色へと変化することを防止することを含む。
【0010】
特定の例では、遮蔽することは、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、酸化剤が難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質と反応することを防止するための材料で包むことを含む。他の例では、遮蔽することは、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、実質的に気密性の容器中に封入し、酸化剤が難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質と反応することを防止する。いくつかの実施形態では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアが、第1の表面上にコーティングを含み、酸化剤が多孔質コア内へと拡散することを防止する。他の実施形態では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、各表面で密封されて、酸化剤が多孔質コア内へと拡散することを防止する。特定の実施形態では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。いくつかの場合では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。他の例では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質である。いくつかの実施形態では、熱可塑性繊維強化多孔質コアの強化繊維は、ガラス繊維を含む。特定の例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0011】
別の態様では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色を変更する方法が記載されている。特定の実施形態では、本方法は、強化繊維、第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤、抗酸化物質および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を合わせることによって難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを形成して、ウェブを形成することと、形成されたウェブを、酸化剤を含む環境に曝露して、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層中の抗酸化物質の色を第1の色から第2の色へと変更することと、を含む。
【0012】
特定の構成では、ウェブは、ウェブを圧縮する前に酸化剤を含む環境に曝露される。他の例では、ウェブは、ウェブを圧縮した後に酸化剤を含む環境に曝露される。いくつかの実施形態では、ウェブは、ウェブ上にスキンを配置する前に、2ppmより多い酸化剤を含む環境に曝露される。特定の場合では、ウェブは、ウェブ上に多孔質スキンを配置した後に、2ppmより多い酸化剤を含む環境に曝露される。他の実施形態では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの第1の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。いくつかの例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。他の例では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質である。特定の実施形態では、熱可塑性繊維強化多孔質コアの強化繊維は、ガラス繊維を含む。いくつかの例では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0013】
追加の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を含む多孔質コアを含み、混合型材料は、酸化剤への曝露時に色が変わる抗酸化物質を実質的に含まず、多孔質コアは、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含む。
【0014】
特定の例では、第2の熱可塑性材料は、本質的にポリオレフィンからなる。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。他の実施形態では、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンからなる。いくつかの場合では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。他の実施形態では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。特定の例では、強化繊維は、ガラス繊維を含み、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。他の例では、複合体は、多孔質コアの第1の表面上に配置された第1のスキンをさらに含む。特定の例では、混合型材料は、フェノール系抗酸化物質を含まない。他の例では、複合体は、多孔質コア中に非フェノール系抗酸化物質を含む。
【0015】
別の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、混合型材料、および抗酸化物質を含む第1の熱可塑性材料を含む多孔質コアを含み、混合型材料は、金属水酸化物難燃剤および第2の熱可塑性材料を含み、混合型材料は、フェノール系抗酸化物質を含まず、多孔質コアは、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含む。
【0016】
特定の実施形態では、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料の各々は、ポリオレフィンを含む。他の実施形態では、強化繊維は、ガラス繊維を含む。いくつかの例では、金属水酸化物難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムまたはその両方を含む。他の例では、第1の熱可塑性材料中に存在する抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質を含み、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料の各々は、ポリプロピレンを含み、強化繊維は、ガラス繊維を含み、金属水酸化物難燃剤は、水酸化マグネシウムを含む。いくつかの実施形態では、フェノール系抗酸化物質は、酸化剤への曝露時に桃色に変わる。特定の実施形態では、第1の熱可塑性材料中に存在する抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質を含み、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料の各々は、ポリプロピレンを含み、強化繊維は、ガラス繊維を含み、金属水酸化物難燃剤は、水酸化アルミニウムを含む。特定の例では、フェノール系抗酸化物質は、酸化剤への曝露時に桃色に変わる。いくつかの実施形態では、物品は、多孔質コアの第1の表面上に配置された第1のスキンと、多孔質コアの第2の表面上に配置された任意選択の第2のスキンとを含む。いくつかの例では、物品は、多孔質コアの色変化を防止するための、抗酸化物質または酸化剤と反応する添加剤を含む。
【0017】
別の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、ポリオレフィンおよび抗酸化物質を含む第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を含む多孔質コアを含み、混合型材料は、酸化剤への曝露時に色が変わる抗酸化物質を実質的に含まず、多孔質コアは、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0018】
追加の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、ポリオレフィンおよび抗酸化物質を含む第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を含む多孔質コアを含み、混合型材料は、酸化剤への曝露時に色が変わる抗酸化物質を実質的に含まず、多孔質コアは、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含む。
【0019】
別の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、ポリオレフィンおよび抗酸化物質を含む第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を含む多孔質コアを含み、混合型材料は、酸化剤への曝露時に色が変わる抗酸化物質を実質的に含まず、多孔質コアは、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含み、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0020】
追加の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、ポリオレフィンおよび抗酸化物質を含む第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を含む多孔質コアを含み、混合型材料は、酸化剤への曝露時に色が変わる抗酸化物質を実質的に含まず、多孔質コアは、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含み、ASTM E84,Class Aの仕様を満たし、2015年付けのTest Method AATCC 23を使用して72時間試験される場合、実質的に一定の変色値(デルタE)を提供する。
【0021】
別の態様では、酸化剤を含む環境への曝露時に、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法は、強化繊維、難燃剤、および熱可塑性材料を合わせることによって、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造して、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維を含むウェブを形成することを含み、熱可塑性材料は、酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと切り替わる抗酸化物質を実質的に含まない。
【0022】
特定の実施形態では、熱可塑性材料は、フェノール系抗酸化物質を実質的に含まない。他の実施形態では、熱可塑性材料は、本質的にポリオレフィンからなる。いくつかの例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。他の実施形態では、熱可塑性材料は、ポリオレフィンからなる。いくつかの例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。他の例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層は、第1の色から第2の色へと切り替わることなく、酸化剤を含む環境中で少なくとも24時間保存される。いくつかの例では、熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。他の例では、強化繊維は、ガラス繊維を含み、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。いくつかの構成では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0023】
別の態様では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を低減する方法は、強化繊維、難燃剤および熱可塑性材料を合わせることによって、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造して、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維を含むウェブを形成することを含み、熱可塑性材料は、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと変わる抗酸化物質を含み、抗酸化物質は、第1の濃度より低い第2の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に、第2の色から第1の色に戻るように変わり、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを第1の色に維持するために、第2の濃度で、または第2の濃度未満で存在する酸化剤を含む環境中に保存される。
【0024】
特定の実施形態では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質を含む。他の実施形態では、熱可塑性材料は、本質的にポリオレフィンからなる。いくつかの例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。追加の例では、熱可塑性材料は、ポリオレフィンからなる。いくつかの例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。特定の実施形態では、本方法は、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境中に難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を少なくとも24時間保存し、抗酸化物質が第1の色から第2の色に変わることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境から難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を除去することと、第2の濃度で、または第2の濃度未満で酸化剤を含む環境中に難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を保存し、抗酸化物質が第2の色から第1の色に変わることを含む。いくつかの場合では、熱可塑性材料は、ポリプロピレンを含み、強化繊維は、ガラス繊維を含む。他の例では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0025】
追加の態様では、抗酸化物質を含む難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法が記載される。いくつかの実施形態では、本方法は、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの周囲の環境における酸化剤への曝露から難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを遮蔽して、酸化剤を含む環境への曝露時に抗酸化物質が第1の色から第2の色へと変化することを防止することを含む。
【0026】
特定の例では、遮蔽することは、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、酸化剤が難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質と反応することを防止するための材料で包むことを含む。他の例では、遮蔽することは、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、実質的に気密性の容器中に封入し、酸化剤が難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質と反応することを防止することを含む。いくつかの実施形態では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、第1の表面上にコーティングを含み、酸化剤が多孔質コア内へと拡散することを防止する。特定の実施形態では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、各表面で密封されて、酸化剤が多孔質コア内へと拡散することを防止する。他の実施形態では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。いくつかの例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。特定の実施形態では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質である。他の実施形態では、熱可塑性繊維強化多孔質コアの強化繊維は、ガラス繊維を含む。いくつかの例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0027】
別の態様では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色を変更する方法は、強化繊維、難燃剤および熱可塑性材料を合わせることによって難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを形成して、ウェブを形成することと、形成されたウェブを、酸化剤を含む環境に曝露して、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層中の抗酸化物質の色を第1の色から第2の色へと変更することと、を含む。
【0028】
特定の実施形態では、ウェブは、ウェブを圧縮する前に酸化剤を含む環境に曝露される。いくつかの実施形態では、ウェブは、ウェブを圧縮した後に酸化剤を含む環境に曝露される。特定の例では、ウェブは、ウェブ上にスキンを配置する前に、2ppmより多い酸化剤を含む環境に曝露される。他の例では、ウェブは、ウェブ上に多孔質スキンを配置した後に、2ppmより多い酸化剤を含む環境に曝露される。追加の例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。特定の実施形態では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質である。他の実施形態では、熱可塑性繊維強化多孔質コアの強化繊維は、ガラス繊維を含む。いくつかの場合では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0029】
追加の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、難燃性材料、および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含み、多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、熱可塑性材料は、酸化剤への曝露時に桃色に変わる抗酸化物質を実質的に含まない。
【0030】
特定の例では、熱可塑性材料は、本質的にポリオレフィンからなり、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。いくつかの例では、熱可塑性材料は、ポリオレフィンからなり、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。いくつかの実施形態では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。他の実施形態では、強化繊維は、ガラス繊維を含み、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。他の実施形態では、複合体は、多孔質コアの第1の表面上に配置された第1のスキンをさらに含む。いくつかの実施形態では、多孔質コア層は、フェノール系抗酸化物質を含まない。他の例では、複合体は、多孔質コア中に非フェノール系抗酸化物質を含む。
【0031】
別の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含み、多孔質コアは、金属水酸化物難燃剤および抗酸化物質をさらに含み、多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定の位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、金属水酸化物難燃剤を含む多孔質コア中の抗酸化物質は、酸化剤に曝露されると、色が第1の色から第2の色へと変化し、酸化剤が除去されると、色を第2の色から第1の色へと変化させる。
【0032】
特定の実施形態では、熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。いくつかの例では、強化繊維は、ガラス繊維を含む。他の例では、金属水酸化物難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含む。いくつかの場合では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質を含み、熱可塑性材料は、ポリプロピレンを含み、強化繊維は、ガラス繊維を含み、金属水酸化物難燃剤は、水酸化マグネシウムを含む。いくつかの例では、フェノール系抗酸化物質は、酸化剤への曝露時に桃色に変わる。他の例では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質を含み、熱可塑性材料は、ポリプロピレンを含み、強化繊維は、ガラス繊維を含み、金属水酸化物難燃剤は、水酸化アルミニウムを含む。いくつかの例では、フェノール系抗酸化物質は、酸化剤への曝露時に桃色に変わる。他の例では、物品は、多孔質コアの第1の表面上に配置された第1のスキンと、多孔質コアの第2の表面上に配置された任意要素の第2のスキンとを含む。いくつかの例では、物品は、桃色の形成を防止するために抗酸化物質と反応する添加剤を含む。
【0033】
別の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、難燃性材料、および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含み、多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、熱可塑性材料は、酸化剤への曝露時に桃色に変わる抗酸化物質を実質的に含まず、多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0034】
別の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、難燃性材料、および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含み、多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、熱可塑性材料は、酸化剤への曝露時に桃色に変わる抗酸化物質を実質的に含まず、多孔質コアは、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含む。
【0035】
別の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、難燃性材料、および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含み、多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、熱可塑性材料は、酸化剤への曝露時に桃色に変わる抗酸化物質を実質的に含まず、多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たし、多孔質コアは、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含む。
【0036】
追加の態様では、熱可塑性複合物品は、強化繊維、難燃性材料、および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含み、多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、熱可塑性材料は、酸化剤への曝露時に桃色に変わる抗酸化物質を実質的に含まず、多孔質コアは、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含み、ASTM E84,Class Aの仕様を満たし、2015年付けのTest Method AATCC 23を使用して72時間試験される場合、実質的に一定の変色値(デルタE)を提供する。
【0037】
追加の態様、実施形態、実施例、構成、および特徴は、以下でより詳細に説明される。
図面の簡単な説明
添付の図を参照して、複合物品および方法の特定の具体的な構成が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による、酸化剤がフェノール系抗酸化物質と反応し得る反応を示す。
【
図2A】
図2Aは、特定の例による、コア層を含む複合物品の例示である。
【
図2B】
図2Bは、特定の例による、コア層とスキンとを含む複合物品の例示である。
【
図2C】
図2Cは、特定の例による、コア層と、コア層の各表面にスキンとを含む複合物品の例示である。
【
図2D】
図2Dは、特定の例による、コア層と、スキンと、スキンの上に化粧層とを含む複合物品の例示である。
【
図2E】
図2Eは、特定の例による、コア層と、コア層の各表面にスキンと、スキンの各々の上に化粧層とを含む複合物品の例示である。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、互いに連結された2つのコア層の例示である。
【
図4】
図4は、いくつかの例による、下にあるコア層を酸化剤への曝露から保護するように密封された複合物品の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示の利点を考慮すれば、図に示される層および他の特徴は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが当業者によって認識されるであろう。特定の厚さ、寸法、または順序は、その特定の図または実施形態の説明から明確でない限り、暗示されることを意図しない。
【0040】
発明を実施するための形態
変色に抵抗するように(または特定の色の形成を促進するように)構成され得る複合物品のいくつかの構成の例が記載されている。様々な層が図に示され、以下に説明されるが、異なる層の厚さ、サイズ、および幾何形状は、同じである必要はなく、図に示されるもの以外の厚さ、サイズ、および幾何形状であってもよい。さらに、構成要素の正確な配置または層形成は、変更されてもよく、または中間層(例えば、接着層)が、図に示される例示的な層の間に存在していてもよい。
【0041】
特定の実施形態では、本明細書に記載の物品の強化材料、第1の熱可塑性材料、および混合型難燃性材料は、一般的に、プリプレグまたはコア層中に存在する。プリプレグは、完全に形成されていないコア層であってもよく、最終コア層を形成するために処理される材料を含んでいてもよい。例えば、プリプレグは、強化繊維および混合型難燃性材料と組み合わせて熱可塑性材料を含んでいてもよいが、完全に形成されていなくてもよく、または熱を加えることによって軟化状態で存在していてもよい。プリプレグを所望の形状にプレスするか、圧縮するか、または成形して、コア層を提供してもよい。プリプレグ層に連結された他の層を、コアを完全に形成する前に、またはコアを完全に形成した後に付加してもよい。他の層を、接着剤を使用してプリプレグまたはコア層に連結することができ、またはいくつかの場合では、プリプレグまたはコア層を、プリプレグまたはコア層と他の層との間に接着材料を使用することなく、他の層に直接的に連結することができる。
【0042】
特定の例では、プリプレグまたはコア層を、軽量強化熱可塑性(LWRT)物品に使用することができる。LWRTは、限定されないが、高い剛性対重量比、低い部品重量、単純かつ低コストの部品形成プロセス、低い熱膨張係数、リサイクル可能性などを含む、特定の望ましい属性を提供することができる。LWRT物品は、内装用途および外装用途両方のための様々な種類のソフトトリムを含め、自動車産業において幅広い用途を有している。レクリエーション用車両、商用トラックトレーラー、および同様の用途は、LWRT物品の幅広い用途の別のカテゴリーを表す。天井用タイル、オフィス用パネル、キュービクルパネル、ならびに建築建設産業も、本明細書に記載のLWRT物品を使用し得る。
【0043】
第1の熱可塑性材料、混合型難燃剤、および強化材料を含む特定の複合物品が、本明細書に記載される。以下でより詳細に考察されるように、混合型難燃剤、熱可塑性材料または強化材料中に存在し得る1つ以上の添加剤は、コア層の変色またはある程度の色変化を促進し得る。例えば、特定の条件下で、例えば、複合物品が色を変化し得る酸化剤または酸化物質の存在下で、色変化(例えば、白色から桃色、白色から黄色、または白色から別の色へ)を誘発し得る材料が存在してもよい。酸化剤と反応する材料を省くことによって、複合物品の選択された色を保持することができる。代替的に、複合物品中に色変化を誘発し得る材料が存在することを有利に利用して、特定の環境条件下で色変化を促進することができる。加えて、複合物品を、選択された環境条件に供し、所望なように変色を回避または促進してもよい。いくつかの場合では、抗酸化物質を、混合型難燃性材料から省いてもよいが、コア層中に依然として存在していてもよく、例えば、第1の熱可塑性材料が、抗酸化物質を含んでいてもよい。例えば、以下でより詳細に考察されるように、特定の難燃剤が存在する場合、条件は、混合型難燃性材料の色変化を促進し得る。いくつかの場合では、フェノール系抗酸化物質を含まない混合型難燃性材料を使用することによって、抗酸化物質は、色変化を生じさせることなく、依然として最終コア層に存在し得る。
【0044】
特定の実施形態では、混合型難燃性材料は、典型的には、別の材料(例えば、第2の熱可塑性材料)と混合された難燃性材料を含む。既存の混合型難燃性材料では、混合型難燃性材料の全組成物はまた、典型的には、混合プロセスの間および/または後に熱可塑性材料の酸化を防止するための抗酸化物質(AO)も含む。AOは、酸化剤、例えば、オゾン、酸素、空気、窒素酸化物などと反応して、桃色の化合物または黄色の化合物を提供する場合があり、コア層に全体的に望ましくない色を付与する場合がある。反応の1つの例示を
図1に示し、フェノール系AO反応剤(参照のために100とラベル付けされている)が、NO
X化合物(一酸化窒素、二酸化窒素または他の窒素酸化物)と反応して、存在する特定のフェノール系AOに応じて桃色または黄色の生成物(参照のために110とラベル付けされている)を製造するように示されている。
図1に示す「R」基は、典型的には、1個から最大約8個までの炭素原子を含む炭化水素基であるが、窒素、酸素、およびヒドロキシル基などの非炭素基も存在し得る。この反応は可逆的であり、少なくとも部分的には、湿度、熱、紫外線、および他の要因に依存し得る。いくつかの例では、製造されたフェノール系メチド(例えば、キノンメチド)は、これらを日光/UVに曝露するか、または湿度条件を変更するか、またはその両方によって、逆方向に反応させることができる。例えば、生成物110を好適な環境条件に供することによって、生成物110を反応剤100へと戻させることが可能である。他の場合では、水酸化アルミニウム(ATH)もしくは水酸化マグネシウム(MDH)などのアルカリ性難燃剤、または他の金属水酸化物の存在は、フェノール系メチド生成物の形成を促進し、桃色または黄色の着色を増強する場合がある。アルカリ性環境は、平衡を生成物110の形成に有利なようにシフトすることによって、生成物110から反応剤100への逆反応を不利にする可能性がある。
【0045】
本明細書に記載される特定の例では、混合型難燃性材料として使用される正確な材料は、プリプレグまたはコアの所望な全体的な特性および/またはプリプレグまたはコアを製造するために使用される方法に応じて変化し得る。混合型難燃性材料は、典型的には、別の材料(例えば、ポリマー材料)と混合された難燃性薬剤または材料を含む。例えば、混合型難燃性材料は、1つ以上の熱可塑性材料または熱硬化性材料と混合された難燃性薬剤を含み得る。いくつかの場合では、熱可塑性材料または熱硬化性材料は、空気、酸化剤、高湿度、例えば50%を超える相対湿度、UV曝露、または他の環境条件のうちの1つ以上への曝露時にコア層の色変化を引き起こし得る抗酸化物質を含まないか、または実質的に含まない。プリプレグまたはコアが、強化繊維と組み合わせて熱可塑性材料を含む場合、混合型難燃性材料中に存在する1つの材料も、熱可塑性材料であってもよい。プリプレグまたはコア中のバージン熱可塑性材料は、混合型難燃性材料中に存在する熱可塑性材料と同じであってもよく、または異なっていてもよい。熱可塑性材料が、混合型難燃性材料中に存在するいくつかの場合では、混合型難燃性材料の熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロラート、およびポリ塩化ビニルのうちの1つ以上を含んでいてもよく、可塑化されているものと可塑化されていないものの両方を含んでいてもよく、これらの材料の互いのブレンド、または他のポリマー材料とのブレンドを含んでいてもよい。混合型難燃性材料に使用するための他の好適な熱可塑性材料としては、限定されないが、ポリアリーレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリル-アクリル酸ブチル-スチレンポリマー、非晶質ナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマー、PARMAX(登録商標)として知られている商業的なポリ(1,4フェニレン)化合物、BayerのAPEC(登録商標)PCなどの高温用ポリカーボネート、高温用ナイロン、およびシリコーン、ならびにこれらの材料と互いのアロイおよびブレンド、または他のポリマー材料とのアロイおよびブレンドが挙げられる。難燃性材料と混合された熱可塑性材料を含む混合型難燃性材料は、本明細書で特定の場合では、混合型難燃性熱可塑性材料と称される。
【0046】
特定の実施形態では、混合型難燃性材料に使用される難燃性薬剤は、有機および無機の難燃性材料を含む、多くの異なる材料を含み得る。いくつかの場合では、これらの難燃性材料は、特定の環境条件または材料、例えば、酸化剤への曝露時に色が変化しない。特定の構成では、混合型難燃性材料の難燃性薬剤は、無機材料または無機塩を含み得る。例えば、有害物質(RoHS)に対する制限により、任意のハロゲン化物を実質的に含まない(または含まない)無機塩として難燃性材料を選択することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、難燃性材料は、II族金属またはIII族金属を1つ以上のアニオンと組み合わせて含んでいてもよい。例えば、混合型難燃性材料の難燃性薬剤は、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、または他のII族金属塩を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、混合型難燃性材料のII族金属は、水酸化物材料として存在してもよい。例えば、難燃性材料は、水酸化ベリリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、または他のII族金属水酸化物として存在してもよい。他の場合では、混合型難燃性材料の難燃性薬剤は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、または他のIII族金属塩を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、混合型難燃性材料のIII族金属は、水酸化物材料として存在してもよい。例えば、難燃性材料は、水酸化アルミニウムまたは水酸化ガリウム、または他のIII族金属水酸化物として存在してもよい。
【0047】
他の構成では、難燃性材料として存在する無機材料は、難燃性材料として機能し得る1つ以上の遷移金属塩を含んでいてもよい。例えば、溶液中で二価カチオンを形成することができる遷移金属を、1つ以上のアニオンと組み合わせて、難燃性薬剤として使用してもよい。いくつかの場合では、遷移金属塩は、プリプレグまたはコアが燃焼する場合の毒性気体の放出を回避するために、非ハロゲン化物形態で存在してもよく、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物の塩として存在しなくてもよい。特定の構成では、遷移金属塩は、例えば、水酸化物として存在してもよい。
【0048】
特定の実施形態では、プリプレグまたはコアに使用される混合型難燃性材料の正確な量は、どの他の材料が存在するかに応じて変化し得るが、混合型難燃性材料は、典型的には、プリプレグまたはコアの主要な量より少ない重量パーセントで存在し、例えば、混合型難燃性材料は、典型的には、プリプレグまたはコアの重量に基づいて50重量%以下で存在する。特定の場合では、混合型難燃性材料は、プリプレグまたはコアに難燃性を提供するための最小量を超えて存在する。例えば、混合型難燃性材料は、プリプレグまたはコアの重量に基づいて30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、またはさらに45重量%以上で存在してもよい。例示的な混合型難燃性材料は、多くの異なる供給業者から市販されている。例えば、難燃性材料(例えば、II族金属水酸化物)を、押出成形プロセスを使用して、別の材料(例えば、熱可塑性材料)と混合することができる。いくつかの場合では、熱可塑性材料は、押出成形機に添加され、溶融される。本明細書に示されるように、混合型難燃性材料の溶融した熱可塑性材料は、酸化剤への曝露時に色が変わり得るフェノール系抗酸化物質を含まないことが望ましい場合がある。溶融したポリマーを、バレルへと押し出すか、または噴射することができ、その場所に、次いで、難燃性材料が添加される。得られた混合物は、前方に噴射され、難燃性材料を、色が変化し得るフェノール系AOを含まない溶融した熱可塑性材料に混合するように作用する。次いで、得られた混合物を冷却して、粒子、繊維、またはペレットなどの固体材料を形成してもよい。混合型難燃性材料中にAOが存在しない場合では、熱可塑性材料の酸化を回避するために不活性状件下で、例えば、真空下、または混合型難燃性材料が空気、UV、もしくは混合型難燃性材料のポリマー構成要素の劣化が生じ得る他の外的要因に混合型難燃性材料が曝露されない他の条件下で、混合型難燃性材料を保存することが望ましい場合がある。いくつかの例では、混合型難燃性材料は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)と混合されたII族またはIII族金属塩を含んでいてもよい。例えば、II族金属水酸化物またはIII族金属水酸化物は、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはそれらのコポリマーと混合することができ、例えば、MDHまたはATHは、ポリプロピレンまたはポリエチレンと混合することができる。
【0049】
特定の実施形態では、混合型難燃性材料中の熱可塑性材料に対する難燃性材料の特定の比率は、変化し得る。例えば、混合型難燃性材料中の難燃性材料:熱可塑性材料比は、1:1、2:1、3:1、4:1:5:1、1:5、1:4、1:3、または1:2から変化し得る。混合型難燃性材料が、第2の熱可塑性材料と組み合わせて無機難燃性塩を含む場合では、無機塩は、典型的には、混合型難燃性材料中に、より高い量で存在する。例えば、無機塩:熱可塑性材料の比率は、約2:1、3:1、3:2、5:2、7:2、4:3、5:3、7:3、8:3、5:4、7:4、9:4、11:4、6:5、7:5、8:5、9:5、11:5、13:5、または他の比率であり得る。しかしながら、所望な場合、第2の熱可塑性材料は、混合型難燃性材料中に等しい量/重量で存在していてもよく、または難燃性材料よりも多い量/重量で混合型難燃性材料中に存在していてもよい。
【0050】
プリプレグまたはコアを製造するために使用される特定のプロセスに応じて、混合型難燃性材料は、プリプレグまたはコアの他の材料に添加する前に、研磨され、濾過され、サイズ調整され、または他の方法で加工され得る。第1の熱可塑性粒子がプリプレグまたはコアで使用されるいくつかの場合では、混合型難燃性材料の平均粒径は、第1の熱可塑性材料の平均粒径とほぼ同じであってもよい。他の構成では、混合型難燃性材料の平均粒径は、プリプレグまたはコアに使用される第1の熱可塑性材料の平均粒径より小さくてもよく、または大きくてもよい。
【0051】
特定の実施形態では、コア層の第1の熱可塑性材料を、繊維形態、粒子形態、樹脂形態、または他の適切な形態でプリプレグまたはコアに使用してもよい。いくつかの例では、第1の熱可塑性材料は、ポリオレフィンまたは他の熱可塑性材料を含んでいてもよい。例えば、第1の熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロラート、およびポリ塩化ビニルのうちの1つ以上を含んでいてもよく、可塑化されているものと可塑化されていないものの両方を含んでいてもよく、これらの材料の互いのブレンド、または他のポリマー材料とのブレンドを含んでいてもよい。他の好適な熱可塑性物質としては、限定されないが、ポリアリーレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリル-アクリル酸ブチル-スチレンポリマー、非晶質ナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマー、PARMAX(登録商標)として知られている商業的なポリ(1,4フェニレン)化合物、BayerのAPEC(登録商標)PCなどの高温用ポリカーボネート、高温用ナイロン、およびシリコーン、ならびにこれらの材料と互いのアロイおよびブレンド、または他のポリマー材料とのアロイおよびブレンドが挙げられる。特定の構成では、コア層の熱可塑性材料(例えば、第1の熱可塑性材料)は、所望な場合、任意選択で抗酸化物質を含んでいてもよい。混合型難燃性材料中に存在する任意の塩基性難燃性材料から抗酸化物質を分離することによって、最終的に形成されたコア層において変色を低減または回避することができる。他の場合では、第1の熱可塑性材料は、酸化剤への曝露時に色が変化する抗酸化物質材料も含まなくてもよく、または実質的に含まなくてもよい。種々の形態での例示的な熱可塑性材料は、本明細書に記載されており、米国公開第20130244528号および米国公開第US20120065283号にも記載されている。プリプレグまたはコア中に存在する熱可塑性材料の正確な量は、変化し得るものであり、例示的な量は、約10重量%~約90重量%、例えば、約20重量%~約80重量%、または約30重量%~約70重量%、または約40重量%~約60重量%の範囲である。
【0052】
特定の実施形態では、プリプレグまたはコア層中に存在する強化材料は、繊維、粒子、ウィスカーまたは他の形態で存在し得る。例えば、強化繊維は、熱可塑性材料および難燃剤と共に存在し、熱可塑性材料によって所定位置に保持され得る強化繊維のウェブを形成し得る。いくつかの例では、強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、合成有機繊維、特に高弾性有機繊維、例えば、パラアラミド繊維およびメタアラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、または繊維としての使用に適した本明細書に記載の高メルトフローインデックス樹脂のいずれか、麻、サイザル麻、ジュート、亜麻、コイア、ケナフおよびセルロース繊維などの天然繊維、玄武岩、岩綿(例えば、ロックウールまたはスラグウール)、珪灰石、アルミナ、シリカなどの鉱物繊維、またはこれらの混合物、金属繊維、金属化天然繊維および/もしくは合成繊維、セラミック繊維、糸繊維、またはそれらの混合物などを含み得る。いくつかの実施形態では、前述の繊維のいずれかを使用前に化学的に処理して、所望な官能基を提供するか、または繊維に他の物理的特性を付与することができ、例えば、それらが熱可塑性材料、混合型難燃性材料、またはその両方と反応することができるように化学的に処理されてもよい。代替的に、難燃性材料を、プリプレグまたはコアの熱可塑性材料と反応させて、誘導体化された熱可塑性材料を提供することができ、次いでこれを繊維と混合する。プリプレグまたはコア中の強化材料含量は、プリプレグまたはコアの約10重量%から約90重量%、例えば、約20重量%から約80重量%、より特定的には、プリプレグまたはコアの約30重量%から約70重量%、またはプリプレグまたはコアの約40重量%~約60重量%であり得る。典型的には、強化繊維が使用される場合、プリプレグまたはコアを含む複合物品の繊維含量は、約20重量%~約90重量%、より特定的には約30重量%~約80重量%、例えば、複合体の約40重量%~約70重量%で変化する。使用される繊維の特定のサイズおよび/または配向は、少なくとも部分的には、使用されるポリマー材料および/または得られるプリプレグまたはコアの所望の特性に依存し得る。適切な追加の種類の繊維、繊維サイズおよび量は、本開示の利点を考慮すると、当業者によって容易に選択されるであろう。1つの非限定的な例示では、プリプレグまたはコアを提供するために熱可塑性材料内に分散された繊維は、一般的に、約5ミクロンより大きな直径、より特定的には、約5ミクロン~約22ミクロン、約5mm~約200mmの長さを有し、より特定的には、繊維直径は、約ミクロン~約22ミクロンであってもよく、繊維長は、約5mm~約75mmであってもよい。いくつかの構成では、混合型難燃性材料に使用される難燃性材料も、繊維形態で存在してもよい。例えば、プリプレグ、コア、または複合体は、熱可塑性材料、強化繊維、および混合型難燃性材料を含む繊維を含んでもよい。混合型難燃性材料繊維は、本明細書に記載の難燃性材料のうちの任意の1つ以上(例えば、金属水酸化物材料と混合されたポリプロピレン繊維)を含んでいてもよく、次いで、これを適切なダイおよび/または他のデバイスを使用して押出成形し、繊維へと切断する。
【0053】
いくつかの構成では、プリプレグまたはコアは、特定の用途のために有害物質の要件に関する制限を満たすために、実質的にハロゲンを含まないか、またはハロゲンを含まないプリプレグまたはコアであってもよい。他の場合では、プリプレグまたはコアは、例えば、ハロゲン化難燃性薬剤(難燃性材料中に存在していてもよく、または難燃性材料に加えて添加されてもよい)、例えば、F、Cl、Br、I、およびAtのうちの多くの1つを含むハロゲン化難燃剤、またはこのようなハロゲンを含む化合物、例えば、テトラブロモビスフェノール-Aポリカーボネート、またはモノハロ-、ジハロ-、トリハロ-もしくはテトラハロ-ポリカーボネートを含み得る。いくつかの場合では、プリプレグおよびコアに使用される熱可塑性材料は、別の難燃性薬剤を添加することなく、ある程度の難燃性を付与するために1つ以上のハロゲンを含んでいてもよい。例えば、混合型難燃性材料の熱可塑性材料は、難燃性材料と混合されることに加えて、ハロゲン化されていてもよく、またはバージン熱可塑性材料が、ハロゲン化されていてもよい。ハロゲン化難燃剤が存在する場合、難燃剤は、望ましくは、難燃剤の量で存在し、この量は、存在する他の構成要素に応じて変化し得る。例えば、ハロゲン化難燃剤は、混合型難燃性材料に加えて存在する場合、約0.1重量%~約15重量%(プリプレグまたはコアの重量に基づく)、より特定的には、約1重量%~約13重量%、例えば、約5重量%~約13重量%で存在し得る。所望な場合、2つの異なるハロゲン化難燃剤をプリプレグまたはコアに添加してもよい。他の場合では、非ハロゲン化難燃剤、例えば、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、およびTeのうちの1つ以上を含む難燃性薬剤を添加することができる。いくつかの実施形態では、非ハロゲン化難燃剤は、プリプレグが環境により優しいものであり得るように、リン酸化材料を含んでいてもよい。非ハロゲン化難燃剤または実質的にハロゲンを含まない難燃剤が存在する場合、難燃剤は、望ましくは、難燃剤の量で存在し、この量は、存在する他の構成要素に応じて変化し得る。例えば、実質的にハロゲンを含まない難燃剤は、約0.1重量%~約15重量%(プリプレグまたはコアの重量に基づく)、より特定的には、プリプレグまたはコアの重量に基づいて約1重量%~約13重量%、例えば、約5重量%~約13重量%で存在し得る。所望な場合、2つの異なる実質的にハロゲンを含まない難燃剤をプリプレグまたはコアに添加してもよい。特定の場合では、本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、1つ以上の実質的にハロゲンを含まない難燃剤と組み合わせて、1つ以上のハロゲン化難燃剤を含み得る。2つの異なる難燃剤が存在する場合、2つの難燃剤の組み合わせは、難燃剤の量で存在し、この量は、存在する他の構成要素に応じて変化し得る。例えば、存在する難燃剤(任意の混合型難燃性材料を除く)の総重量は、約0.1重量%~約20重量%(プリプレグまたはコアの重量に基づく)、より特定的には、プリプレグまたはコアの重量に基づいて約1重量%~約15重量%、例えば、約2重量%~約14重量%であってもよい。本明細書に記載のプリプレグまたはコアに使用される難燃性薬剤は、(ワイヤスクリーンまたは他の処理構成要素上で混合物を廃棄する前に)熱可塑性材料および繊維を含む混合物に添加することができ、またはプリプレグまたはコアが形成された後に添加することができる。
【0054】
特定の実施形態では、本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、一般的に、空隙がプリプレグ中に存在するように、かなりの量のオープンセル構造を含む。例えば、プリプレグまたはコアは、0~30%、10~40%、20~50%、30~60%、40~70%、50~80%、60~90%、0~40%、0~50%、0~60%、0~70%、0~80%、0~90%、10~50%、10~60%、10~70%、10~80%、10~90%、10~95%、20~60%、20~70%、20~80%、20~90%、20~95%、30~70%、30~80%、30~90%、30~95%、40~80%、40~90%、40~95%、50~90%、50~95%、60~95%、70~80%、70~90%、70~95%、80~90%、80~95%、またはこれらの例示的な範囲内の任意の例示的な値の空隙含量または多孔性を含んでもよい。いくつかの場合では、プリプレグまたはコアは、0%より大きく(例えば、完全に一体化されていない)、最大約95%の多孔性または空隙含量を含む。特に断りがない限り、特定の空隙含量または多孔性を含むプリプレグまたはコアとの言及は、プリプレグまたはコアの全体積に基づくものであり、必ずしもプリプレグまたはコアの全体積にプリプレグまたはコアに連結された任意の他の材料または層を加えたものに基づくものではない。
【0055】
ここで、
図2Aを参照すると、コア層210を含む複合物品200が示されている。コア層210は、第1の熱可塑性材料と、強化材料と、典型的には第2の熱可塑性材料と混合された難燃性材料を含む混合型難燃性材料とを含む。この材料は、合わせて、コア層210が高度に多孔質であるように、オープンセル構造のウェブを形成する。この高い多孔性は、コア層210の全重量を減少させるが、酸化剤がコアに浸透することを許してしまい、潜在的にコア層210の変色を可能にする。いくつかの構成では、混合型難燃性材料中に抗酸化物質が存在することなくコア層210を構成することによって、変色または色変化を回避することができる。他の場合では、コア層210全体が、抗酸化物質を含んでいなくてもよく、または実質的に含んでいなくてもよい。必須というわけではないが、混合型難燃性材料中に存在する難燃性材料は、プリプレグまたはコア210全体に分散され得る。例えば、コア210は、プリプレグまたはコア210のほぼ全体に分散された難燃性材料を含む。いくつかの場合では、難燃性材料の分散物は、プリプレグまたはコア210の第1の表面から第2の表面まで、実質的に均質または実質的に均一であり得る。本明細書でより詳細に説明されるように、プリプレグまたはコア210中の難燃性材料のこのような実質的に均質または実質的に均一な分布を達成するために、プリプレグまたはコアを形成する前に、コアの構成要素を一緒に混合して分散物を形成することができる。分散物が、分散物中に難燃性材料、熱可塑性材料、および繊維の実質的に均質または実質的に均一な混合物を含むまで、混合を行うことができる。次いで、プリプレグまたはコアは、本明細書に記載されるように、例えば、適切な層形成プロセスを使用してワイヤスクリーン上に分散物を配置し、その後、プリプレグの熱可塑性材料を圧縮および/または硬化させ、コアを提供することによって形成され得る。他の構成では、プリプレグまたはコアの一方の表面からプリプレグまたはコアの他方の表面まで、難燃性材料の勾配分布を提供することが望ましい場合がある。いくつかの構成では、難燃性材料の実質的に均一な分布が、プリプレグまたはコア中に存在し、次いで、追加の難燃性材料を、プリプレグまたはコアの一方の側に添加し、勾配分布を提供する。かかる追加の難燃性材料を、例えば、噴霧もしくはコーティングによって、または難燃性材料を含む溶液を使用することによって、プリプレグもしくはコアに直接的に添加することができ、あるいはスキン、追加のプリプレグもしくはコア、または難燃性材料を含む他の構成要素をプリプレグまたはコアに連結させることによって添加することができる。例えば、複合物品を提供するための、第1のプリプレグまたはコア、および第1のプリプレグまたはコアの上に配置された第2のプリプレグまたはコア。プリプレグまたはコアの各々は、難燃性材料の実質的に均一な分布を含んでいてもよいが、2つのプリプレグまたはコア中の難燃性材料の量および/または種類は、異なっていてもよく、例えば、組み込み率が異なっていてもよく、または難燃性材料自体が異なっていてもよい。しかしながら、所望な場合、プリプレグまたはコアのうちの一方のみが、難燃性材料を含んでいてもよく、他方のプリプレグまたはコアは、熱可塑性材料および強化繊維以外の材料を含んでいなくてもよい。プリプレグまたはコアの熱可塑性材料を溶融して、2つのプリプレグまたはコアからの材料を含む単一の組み合わせられたプリプレグまたはコアを提供することができる。プリプレグまたはコアの溶融の結果は、難燃性材料の勾配分布を有する複合体コアである。他の構成では、プリプレグまたはコア中の難燃性材料の分布は、スキンまたは難燃性材料を含む他の材料をプリプレグまたはコアに連結することによって提供することができる。他の場合では、スキンをプリプレグまたはコア内で溶融させ、スキンとプリプレグまたはコアとを連結し、何らかの実質的な界面なく連結されたスキン/コア複合材料を残すことができる。所望な場合、また、以下でより詳細に説明するように、追加のスキンは、難燃性材料を含んでいてもよく、または含んでいなくてもよいが、第1のスキンから反対側のプリプレグまたはコアに連結することもできる。
【0056】
他の場合では、コア層210は、抗酸化物質を含んでいてもよいが、抗酸化物質は、混合型難燃性材料中には存在しない。例えば、コア層210の第1の熱可塑性材料は、抗酸化物質を含んでいてもよく、またはコア層210の強化材料は、抗酸化物質を含んでいてもよいが、混合型難燃性材料は、色変化の可能性を回付するか、または低減するために、抗酸化物質を含まなくてもよく、または実質的に含まなくてもよい。代替的に、所望な場合に、形成中または形成後にコア層に別個の抗酸化物質を添加し得る。
【0057】
他の実施形態では、複合物品は、プリプレグまたはコア層の表面上に配置された1つ以上のスキンも含み得る。例えば、
図2Bおよび
図2Cを参照すると、コア210の第1の表面上に配置された第1のスキン220が示されており(
図2Bを参照されたい)、任意選択の第2のスキン230が、コア210の第2の表面上に配置されていてもよい(
図2Cを参照されたい)。スキン220、230は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。例えば、スキン220、230は、独立して、オープンセル構造またはクローズドセル構造を含み得る。特定の構成では、スキン220、230の各々は、独立して、例えば、フィルム(例えば、熱可塑性フィルムもしくはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維系スクリム)、箔、織布、不織布を含んでいてもよく、またはプリプレグもしくはコア210上に配置された無機コーティング、有機コーティング、もしくは熱硬化性コーティングとして存在してもよい。他の場合では、スキン220、230の各々は、独立して、1996年付けのISO 4589に従って測定されるような、約22より大きな限界酸素指数を含み得る。熱可塑性フィルムが、スキン220、230のうちの1つまたは両方として(またはその一部として)存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、およびシリコーンのうちの少なくとも1つを含み得る。繊維系スクリムが、スキン220、230のうちの1つまたは両方として(またはその一部として)存在する場合、繊維系スクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化合成繊維、および金属化無機繊維のうちの少なくとも1つを含み得る。熱硬化性コーティングが、スキン220、230のうちの1つまたは両方として(またはその一部として)存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール樹脂、およびエポキシのうちの少なくとも1つを含み得る。無機コーティングが、スキン220、230のうちの1つまたは両方として(またはその一部として)存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、TiおよびAlから選択されるカチオンを含有する鉱物を含んでいてもよく、または石膏、炭酸カルシウム、およびモルタルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。不織布が、スキン220、230のうちの1つまたは両方として(またはその一部として)存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性結合剤、無機繊維、金属繊維、金属化無機繊維、および金属化合成繊維を含んでいてもよい。所望な場合、スキン220、230の一方または両方は、膨張可能なグラファイト材料および/または混合型難燃性材料を含んでいてもよい。
【0058】
特定の構成では、複合物品はまた、スキンのうちの1つの上に配置された1つ以上の化粧層も含み得る。
図2Dは、スキン220の上に配置された第1の化粧層240を示し、
図2Eは、スキン250の上に配置された第2の化粧層250を示す。図示されていないが、化粧層は、
図2Aでスキン220が配置されている表面とは反対側に、コア210の上に直接的に配置され得る。化粧層240、250は、独立して、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性フィルムであり得る。化粧層240、250は、独立して、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどから形成されたフォームコアを含む多層構造であり得る。布は、フォームコア、例えば、天然繊維および合成繊維から作製された織布、ニードルパンチングなどの後の有機繊維不織布、起毛布、編み製品、フロック布、または他のこのような材料に結合していてもよい。布はまた、ポリアミド、修飾ポリオレフィン、ウレタン、およびポリオレフィンなどの感圧接着剤およびホットメルト接着剤を含む熱可塑性接着剤でフォームコアに結合されてもよい。化粧層240、250は、独立して、スパンボンド、熱接着、スパンレース、溶融吹き付け、湿式レイドプロセス、および/または乾式レイドプロセスを使用して製造することができる。いくつかの構成では、化粧層240、250は、独立して、オープンセル構造またはクローズドセル構造を含み得る。化粧層240、250は、所望なように同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、2つ以上のプリプレグまたはコア層は、
図3に示されるように互いに連結し得る。複合物品300は、第2のプリプレグまたはコア層320に連結された第1のプリプレグまたはコア層310を含む。層310、320は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。いくつかの例では、層310は、抗酸化物質を実質的に含まない混合型難燃性材料を含んでいてもよく、層315は、抗酸化物質が存在する混合型難燃性材料を含んでいてもよい。抗酸化物質を含まない層310を外側表面上に配置することによって、外側層310の変色を回避することができる。内側層315が変色した場合であっても、その層が層310の下に配置され、一般的には、物品300の色の全体的な変更が起こらない場合がある。図示されていないが、複合物品は、所望な場合、
図2B~2Eに示されるスキンおよび/または化粧層の構成のいずれかを含み得る。
【0060】
特定の実施形態では、本明細書に記載のLWRT物品は、所望のレベルの難燃性および音響吸収またはノイズ低減を提供することができる。例えば、本明細書に記載の特定の物品は、FMVSS 302試験またはSAE J369試験基準のいずれかを満たすことができる。これらの試験は、一般的に同等であり、これらを使用して、燃焼速度測定を決定する。簡単に説明すると、この試験は、水平火炎チャンバーと、ヒュームフードと、長さが約12インチの標本を取り扱うのに十分な大きさのトートと、水源と、タイマーと、ライターと、定規とを使用する。標本サイズは、典型的には、約4インチ×約12インチであり、5個以上の標本が典型的には試験される。標本の接着側が、典型的には炎に供される。FMVSS 302試験のために、ヒュームフードは、典型的には、約150立方フィート/分の空気流を提供するのに十分に開放される。SAE J369試験のために、例えば、ヒュームフードは、同じ空気流を提供するために開放されていてもよく、または常に開放されていてもよい。本明細書に別段の記載がない限り、FMVSS 302試験は、SAE J369試験と相互に交換することができる。これらの試験の結果は、DNI、SE/0、SE/NBR、SE/B、B、およびRBを含むいくつかの方法で分類することができる。DNIは、15秒間の点火期間の間またはその後に燃焼を助けない材料、および/または選択された距離までいずれかの表面を横切って火炎面を伝達しない材料を指す。SE/0は、表面に点火するが、炎自体は選択された距離に移動する前に消える材料を指す。SE/NBRは、開始時から60秒間燃焼する前に燃焼が止まり、開始時の点から約50mmを超えて燃焼しない材料を指す。SE/Bは、選択された距離を進むが、第2の距離に達する前に消える火炎先端面を指す。Bは、全距離を燃焼する材料を指す。RBは、燃焼速度を計測することができないほど急速に燃焼する材料を指す。燃焼距離、燃焼時間、燃焼速度、および材料が自己消火性であるかどうかのうちの1つ以上も測定され得る。標本は、炎が約102mm/分より少なく移動する場合、FMVSS 302試験またはSAE J369試験を「満たす」または「合格する」とみなされ得る。標本は、102mm/分より速く燃焼する場合、その試験に不合格であろう。
【0061】
本明細書に記載のいくつかの構成では、熱可塑性プリプレグまたは熱可塑性コア中に混合型難燃性材料が存在すると、プリプレグまたはコアに、少なくともある程度までの難燃性を提供することが可能である。例えば、プリプレグまたはコア(およびプリプレグまたはコア層を含む複合物品)は、2009年付けの「Standard Test Method for Surface Burning Characteristics of Building Materials」という名称のASTM E84のClass A基準を満たしていてもよい。コア層に使用するために選択された特定の難燃性材料は、製造時の物品において、例えば、なんら成形することなく、または所望な場合、成形された物品において、ASTM E84のclass Aまたはclass Bの要件を満たす物品を提供し得る。class A物品は、class A物品が、約0~25の展炎指数(FSI)を有するのに対し、class B物品が、26~75の展炎指数を有するという点で、class B物品とは異なる。いくつかの場合では、プリプレグまたはコアが、2009年付けのASTM E84試験の下でClass A基準を満たすように、最終的なプリプレグまたはコア中に、十分な混合型難燃性材料が存在する。
【0062】
特定の例では、本明細書に記載のLWRT物品は、難燃剤であることに加えて、音響吸収またはノイズ低減も提供し得る。「Standard Test Method for Sound Absorption and Sound Absorption Coefficients by the Reverberation Room Method」という名称のASTM C423-17を含む、種々の異なる音響測定試験を実施して、ノイズ低減を評価することができる。例えば、音吸収平均(SAA)値を、周波数のセットでの吸収に基づいて測定することができる。また、SAAと同様に、NRC(ノイズ低減係数)も、周波数のセットに基づいている。音吸収平均(SAA)は、200~2500Hz(末端を含む)の12と3分の1オクターブ帯域についての材料の音吸収係数の最も近い0.01に丸められた単一のナンバーレーティング(平均)として定義される。ノイズ低減係数(NRC)は、この同じ試験方法の従来の態様から、250、500、1000、および2000Hzにおける係数の平均として定義され、0.05の最も近い整数倍として表される。NRC/SAA試験では、標本取り付け方法も指定されており、ASTM E795-16 Type E 400取り付け方法に記載されている。いくつかの場合では、本明細書に記載の複合物品は、難燃剤である場合があり(例えば、E84,Class Aの仕様を満たし)、ASTM C423-17によって試験される場合、少なくとも0.25、または少なくとも0.4、または少なくとも0.5の音吸収係数を含み得る。
【0063】
抗酸化物質が混合型難燃性材料中に存在しない本明細書に記載の物品の特定の構成では、物品は、難燃性およびノイズ低減の両方を提供し得る。当業者は、本開示の利点を考慮すれば、難燃性およびノイズ低減の正確なレベルが、複合物品で使用される材料、ならびにそれらの入射音波および/または潜在的な熱源または炎源に対するそれらの配置および配向に依存し得ることを認識するであろう。
【0064】
酸化剤への曝露時に色が変化する抗酸化物質を含まないか、または実質的に含まない混合型難燃剤を含む種々のプリプレグ、コアおよび複合物品が記載されているが、酸化剤への曝露時に色が変化しない抗酸化物質を使用してもよい。例えば、トコフェロール、フォスファイト、ホスフェートもしくはリン酸化材料、Cyanox(登録商標)1790もしくは他のCyanox(登録商標)材料、または混合型難燃性材料中に存在する熱可塑性材料の酸化を防止することができる他の化合物を、フェノール系抗酸化材料の代わりに使用することができる。いくつかの実施形態では、非フェノール系抗酸化物質は、酸化剤が周囲環境中に存在する場合であっても、複合物品に対する全体的な色変化を引き起こさない。
【0065】
他の場合では、プリプレグまたはコアは、1つ以上の酸スカベンジャーを含み得る。例示的な酸スカベンジャーとしては、限定されないが、金属ステアリン酸塩および金属酸化物、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、乳酸カルシウムまたはジヒドロタルサイトが挙げられる。これらまたは他の好適な酸スカベンジャーは、本明細書に記載されるプリプレグおよびコアの変色を抑止するために使用することができる。代替的に、変色が望ましい場合、プリプレグまたはコアは、酸スカベンジャーを含まなくてもよく、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、または乳酸カルシウムなどの金属ステアリン酸塩および金属酸化物を含まなくてもよく、または実質的に含まなくてもよい。
【0066】
いくつかの場合では、フェノール系抗酸化物質が存在し、これを使用して、複合物品の色を操作してもよい。例えば、熱可塑性複合物品は、強化繊維および熱可塑性材料を含む多孔質コアを含んでいてもよく、多孔質コアは、金属水酸化物難燃剤および抗酸化物質をさらに含み、多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定の位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、金属水酸化物難燃剤を含む多孔質コア中の抗酸化物質は、酸化剤に曝露されると、色が第1の色から第2の色へと変化し、酸化剤が除去されると、色を第2の色から第1の色へと変化させる。フェノール系抗酸化物質が色を変化させる反応は逆方向に進めることができるため、存在する特定の環境条件に応じて色を好ましくするか、または抑止することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、プリプレグおよびコアは、所望の物理的特性または化学的特性を付与するための追加の材料または添加剤を含み得る。全体的な組成物および環境条件に応じて、非着色物品または着色物品を製造することができることは、本明細書に記載の難燃性材料を使用する実質的な属性である。非着色物品が製造される場合、この物品を、次いで着色または染色し、所望の色、質感、パターンなどを提供してもよい。例えば、1つ以上の染料、質感改良剤、着色剤、粘度改変剤、煙抑制剤、相乗性材料、ロフティング剤(lofting agent)、粒子、粉末、殺菌剤、フォーム、または他の材料を、プリプレグまたはコアと混合するか、またはプリプレグまたはコアに添加し、所望の色、質感、または特性を付与することができる。いくつかの場合では、プリプレグまたはコアは、約0.2重量%~約10重量%の量で1つ以上の煙抑制剤組成物を含み得る。例示的な煙抑制剤組成物としては、限定されないが、スズ酸塩、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、モリブデン酸カルシウム亜鉛、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、およびこれらの混合物が挙げられる。所望な場合、相乗性材料が存在し、プリプレグまたはコアの物理的特性を増強することができる。例えば、難燃性を増強する相乗性物が存在し得る。
【0068】
他の場合では、本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、所望な量で、例えば、プリプレグまたはコアの総重量に基づいて約50重量%未満の少ない量で熱硬化性材料を含み、所望な特性をコアに付与し得る。熱硬化性材料を、熱可塑性材料と混合してもよく、またはプリプレグまたはコアの1つ以上の表面上にコーティングとして添加されてもよい。
【0069】
特定の実施形態では、本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、ガラスマット熱可塑性複合体(GMT)または軽量強化熱可塑性物(LWRT)として構成され得る(または使用され得る)。かかるLWRTの1つは、HANWHA AZDEL,Inc.によって調製され、SUPERLITE(登録商標)材料の商標で販売されている。難燃性材料が組み込まれたSUPERLITE(登録商標)マットは、例えば、難燃性および増強された処理能力を含む望ましい属性を提供することができる。かかるGMTまたはLWRTの面密度は、GMTまたはLWRTの1平方メートル当たりのグラム数(gsm)が約300グラム~約4000gsmの範囲であってもよいが、面密度は、特定の用途の需要に応じて、300gsm未満より小さくてもよく、または4000gsmより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、上側密度は、約4000gsmより小さくてもよい。特定の場合では、GMTまたはLWRTは、多孔性GMTまたはLWRTの空隙中に、および/またはGMTまたはLWRTの繊維上に配置されるか、または存在するII族またはIII族金属水酸化物、混合型難燃性材料などと組み合わせて、難燃性材料、例えば、EG材料を含み得る。GMTまたはLWRTのプリプレグまたはコアが難燃性材料と組み合わせて使用される場合、GMTまたはLWRTの坪量は、例えば、適切な難燃剤特性を依然として提供しつつ、800gsm未満、600gsm未満、または400gsm未満まで低減することができる。いくつかの例では、GMTまたはLWRTの全体的な厚さは、ロフティング後に約35mm以下、ロフティング後に20mm以下、ロフティング前に3mmより大きいか、またはロフティング前に6mmより大きくてもよい。いくつかの場合では、ロフティング前の厚さは、約3mm~約7mmであってもよく、ロフティング後の厚さは、約10mm~約25mmであってもよい。
【0070】
本明細書に記載のプリプレグおよびコアを製造する際には、湿式レイドプロセスを使用することが望ましい場合がある。例えば、任意選択で本明細書に記載の任意の1つ以上の添加剤(例えば、他の難燃性薬剤)と共に、分散した材料、例えば、熱可塑性材料、繊維、および混合型難燃性材料などを含む液体または流体媒体を、気体、例えば、空気または他の気体の存在下で撹拌してもよく、または機械撹拌してもよい。次いで、分散物を支持体、例えばワイヤスクリーンまたは他の支持材料上に配置し、レイドダウン材料において難燃性材料の実質的に均一な分布を提供し得る。難燃性材料の分散および/または均一性を増加させるために、撹拌された分散物は、1つ以上の活性薬剤、例えば、アニオン性、カチオン性、または非イオン性、例えば、Industrial Soaps Ltd.によってACEリキッドの名称で販売されるもの、Glover Chemicals Ltd.によってTEXOFOR(登録商標)FN 15材料として販売されるもの、ならびにFloat-Ore Ltd.によってAMINE Fb 19材料として販売されるものを含み得る。これらの薬剤は、液体分散物中の空気の分散を補助することができる。これらの構成要素を、空気の存在下、混合タンク、浮遊セル、または他の適切なデバイスに添加して、分散物を提供することができる。望ましくは水性分散物が使用されるが、分散を補助し、流体の粘度を変更し、あるいは分散物またはプリプレグ、コアまたは物品にその他の所望な物理的特性または化学的特性を付与するために、1つ以上の非水性流体も存在していてもよい。
【0071】
特定の場合では、分散物を十分な期間混合した後に、懸濁した材料を含む流体を、スクリーン、移動するワイヤ、または他の適切な支持構造上に配置し、レイドダウン材料のウェブを提供することができる。吸引または減圧をウェブに提供し、レイドダウン材料から任意の液体を除去し、存在する熱可塑性材料、難燃性材料および任意の他の材料、例えば、繊維、添加剤などを残してもよい。得られたウェブを乾燥させ、所望なプリプレグまたはコアを提供するために完全に形成する前に、任意選択で一体化するか、または所望な厚さまでプレスし得る。湿式配置プロセスを使用してもよいが、存在する熱可塑性材料、難燃性材料および他の材料の性質に応じて、その代わりにエアレイドプロセス、乾式ブレンドプロセス、カーディング、およびニードルプロセス、または不織製品を作製するために使用される他の既知のプロセスを使用することが望ましい場合がある。いくつかの場合では、プリプレグまたはコア表面に対して約90度の角度で難燃性材料を噴霧するように構成された複数のコーティングジェットの下にボードを通すことによってプリプレグまたはコアをある程度まで硬化させた後、追加の難燃性材料を、プリプレグまたはコアの表面上に噴霧することができる。加えて、1つ以上のスキンをコアに付加して、物品1180を提供してもよい。
【0072】
いくつかの構成では、本明細書に記載のプリプレグおよびコアは、水溶液またはフォーム中、界面活性剤の存在下で、熱可塑性材料、繊維、混合型難燃性材料などを合わせることによって製造することができる。組み合わされた構成要素を、種々の材料を分散させ、材料の実質的に均質な水性混合物を提供するのに十分な時間、混合または機械撹拌することができる。次に、分散した混合物を、任意の適切な支持構造、例えば、ワイヤメッシュまたは他のメッシュ、または所望な多孔性を有する支持体の上に配置する。次いで、水を、ワイヤメッシュを通して排出し、ウェブを形成することができる。ウェブを乾燥させ、熱可塑性粉末の軟化温度より高い温度まで加熱する。次いで、ウェブを冷却し、所定の厚さにプレスして、約1%~約95%の空隙含量を有する複合シートを製造する。代替の実施形態では、水性フォームは、結合剤材料も含む。
【0073】
物品を製造する他のプロセスでは、混合型難燃性材料は、ウェブの形成後にプリプレグ上にコーティングまたは噴霧することもできる。熱可塑性材料と混合された難燃性材料を含む混合型難燃性材料が使用される場合、混合型難燃性材料を加熱プリプレグに噴霧またはコーティングして、混合型難燃性材料の熱可塑性材料の溶融および難燃性材料を含むプリプレグの組み込みを得ることができる。
【0074】
特定の例では、多孔質GMT形態のプリプレグまたはコアを製造することができる。特定の場合では、GMTは、一般的に、切断したガラス繊維、熱可塑性材料、混合型難燃性材料、および任意選択の熱可塑性ポリマーフィルムもしくは複数のフィルム、および/またはガラス繊維または熱可塑性樹脂繊維、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、PC/PBTのブレンド、またはPC/PETのブレンドを用いて作製される織布もしくは不織布を使用して調製することができる。いくつかの実施形態では、PP、PBT、PET、PC/PETブレンド、またはPC/PBTブレンドを、熱可塑性材料として使用することができる。ガラスマットを製造するために、熱可塑性材料、強化材料、難燃性材料、および/または他の添加剤を、インペラを取り付けたオープントップ混合タンクに含まれる分散フォームに添加するか、または計量することができる。いずれかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、フォームの空気の閉じ込められたトラップの存在によって、ガラス繊維、熱可塑性材料、および難燃性材料の分散を補助することができる。いくつかの例では、ガラスおよび樹脂の分散した混合物を、分配マニホールドを介して、紙機械のワイヤーセクションの上に位置するヘッドボックスへと圧送することができる。次いで、分散した混合物を、真空を使用して移動するワイヤスクリーンに提供するため、ガラス繊維、難燃性材料または熱可塑性材料ではなく、フォームを除去することができ、連続して均一な線維状の濡れたウェブを製造する。濡れたウェブを、適切な温度で乾燥機に通過させ、水分含量を低減し、熱可塑性材料を溶融または軟化させることができる。熱いウェブが乾燥機を出るとき、加熱した一連のローラーのニップを介して、ガラス繊維、難燃性材料、熱可塑性材料およびフィルムのウェブを通過させることによって、例えばフィルムなどの表面層をウェブ上で積層させてもよい。所望な場合、追加の層、例えば、不織布および/または織布層も、フィルムと共にウェブの片側または両側に接続させ、ガラス繊維強化マットの取扱いの容易さを促進し得る。次いで、複合体をテンションロールに通し、後で最終製品物品に形成するために、所望のサイズに連続的に切断(ギロチン加工)することができる。かかる複合体の形成に使用される好適な材料および加工条件を含む、かかるGMT複合体の調製に関するさらなる情報は、例えば、米国特許第6,923,494号、第4,978,489号、第4,944,843号、第4,964,935号、第4,734,321号、第5,053,449号、第4,925,615号、第5,609,966、および米国特許出願公開第US 2005/0082881号、第US2005/0228108号、第US 2005/0217932号、第US 2005/0215698号、第US 2005/0164023号、および第US 2005/0161865号に記載される。
【0075】
特定の実施形態では、酸化剤を含む環境への曝露時に、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法は、強化繊維、第1の熱可塑性材料、および第2の熱可塑性材料と混合された難燃剤を含む混合型材料を合わせることによって、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造することを含む。難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含む。混合型材料は、酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと切り替わる抗酸化物質を実質的に含まなくてもよい。いくつかの例では、混合型材料は、フェノール系抗酸化物質を実質的に含まない。他の例では、第2の熱可塑性材料は、本質的にポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレン)からなる。他の場合では、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンからなる。追加の例では、混合型材料は、ポリオレフィンと混合された難燃性材料からなる。いくつかの例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層は、第1の色から第2の色へと切り替わることなく、酸化剤を含む環境中で少なくとも24時間保存することができる。
【0076】
いくつかの例では、第1の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。他の例では、強化繊維は、ガラス繊維を含み、第1の熱可塑性材料のポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。いくつかの例では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0077】
他の場合では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を低減する方法は、強化繊維、第1の熱可塑性材料、および第2の熱可塑性材料と混合された難燃剤を含む混合型材料を合わせることによって、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造することを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含む。混合型材料は、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと変わる抗酸化物質を含む。抗酸化物質は、第1の濃度より低い第2の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に、第2の色から第1の色に戻るように変わる。本方法は、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを第1の色に維持するために、第2の濃度で、または第2の濃度未満で存在する酸化剤を含む環境中で保存することを含み得る。いくつかの例では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質を含む。他の場合では、第1の熱可塑性材料は、本質的にポリオレフィンからなる。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。他の実施形態では、第1の熱可塑性材料は、ポリオレフィンからなり、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。追加の例では、混合型材料は、ポリオレフィンと混合された難燃性材料からなる。
【0078】
特定の例では、本方法は、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境中に難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を少なくとも24時間保存し、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質が第1の色から第2の色に変わることを含む。いくつかの場合では、本方法は、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境から難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を除去することと、第2の濃度で、または第2の濃度未満で酸化剤を含む環境中に難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を保存し、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質が第2の色から第1の色に変わることを含む。
【0079】
いくつかの例では、第1の熱可塑性材料は、ポリプロピレンを含み、強化繊維は、ガラス繊維を含む。他の例では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0080】
他の場合では、抗酸化物質を含む混合型材料を含む難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法は、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの周囲の環境における酸化剤への曝露から難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを遮蔽して、酸化剤を含む環境への曝露時に抗酸化物質が第1の色から第2の色へと変化することを防止することを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、遮蔽する方法は、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、酸化剤が難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質と反応することを防止するための材料で包むことを含む。他の実施形態では、遮蔽する方法は、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、実質的に気密性の容器中に封入し、酸化剤が難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質と反応することを防止することを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、第1の表面上にコーティングを含み、酸化剤が多孔質コア内へと拡散することを防止する。他の例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、各表面で密封されて、酸化剤が多孔質コア内へと拡散することを防止する。例えば、
図4を参照すると、コア層410が2つのスキン420、430の間に密封されているものとして示されている例示が示されている。スキン420、430は、気体および/または液体に対して実質的に不透過性であるように選択することができる。この構成は、酸化剤が下にあるコア層410に到達して、その色を変更することを防止することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。特定の場合では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。他の例では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質である。いくつかの実施形態では、熱可塑性繊維強化多孔質コアの強化繊維は、ガラス繊維を含む。いくつかの実施形態では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0084】
いくつかの例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色を変更する方法は、強化繊維、第1の熱可塑性材料、ならびに難燃剤、抗酸化物質および第2の熱可塑性材料を含む混合型材料を合わせることによって難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを形成して、ウェブを形成することを含むことを含む。形成されたウェブを、酸化剤を含む環境に曝露して、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層中の抗酸化物質の色を第1の色から第2の色へと変更することができる。いくつかの場合では、ウェブは、ウェブを圧縮する前に酸化剤を含む環境に曝露される。他の例では、ウェブは、ウェブを圧縮した後に酸化剤を含む環境に曝露される。いくつかの例では、ウェブは、ウェブ上にスキンを配置する前に、2ppmより多い酸化剤を含む環境に曝露される。他の例では、ウェブは、ウェブ上に多孔質スキンを配置した後に、2ppmより多い酸化剤を含む環境に曝露される。いくつかの例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの第1の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。他の例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。さらなる例では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質である。追加の例では、熱可塑性繊維強化多孔質コアの強化繊維は、ガラス繊維を含む。いくつかの実施形態では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、第2の熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0085】
他の実施形態では、酸化剤を含む環境への曝露時に、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法は、強化繊維、難燃剤、および熱可塑性材料を合わせることによって、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造して、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維を含むウェブを形成することを含み、熱可塑性材料は、酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと変化する抗酸化物質を実質的に含まない。いくつかの例では、熱可塑性材料は、フェノール系抗酸化物質を実質的に含まないが、任意選択で、非フェノール系抗酸化物質を含み得る。いくつかの実施形態では、熱可塑性材料は、本質的にポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレン)からなるか、またはポリオレフィンからなる。特定の実施形態では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層は、第1の色から第2の色へと変化することなく、酸化剤を含む環境中で少なくとも24時間保存される。他の例では、熱可塑性材料は、ポリオレフィンを含む。いくつかの実施形態では、強化繊維は、ガラス繊維を含み、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。他の例では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0086】
他の例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を低減する方法は、強化繊維、難燃剤および熱可塑性材料を合わせることによって、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを製造して、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維を含むウェブを形成することを含み、熱可塑性材料は、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に第1の色から第2の色へと変化する抗酸化物質を含む。抗酸化物質は、第1の濃度より低い第2の濃度で存在する酸化剤を含む環境への曝露時に、第2の色から第1の色に戻るように変化することもできる。難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを第1の色に維持するために、第2の濃度で、または第2の濃度未満で存在する酸化剤を含む環境中で保存することができる。いくつかの例では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質を含むが、非フェノール系抗酸化物質も存在し得る。いくつかの実施形態では、熱可塑性材料は、本質的にポリオレフィンからなるか、またはポリオレフィンからなり、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。特定の実施形態では、本方法は、第1の濃度で存在する酸化剤(例えば、NOX)を含む環境中に難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を少なくとも24時間保存し、抗酸化物質が第1の色から第2の色に変わることを含む。他の例では、本方法は、第1の濃度で存在する酸化剤を含む環境から難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を除去することと、第2の濃度で、または第2の濃度未満で酸化剤を含む環境中に難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層を保存し、抗酸化物質が第2の色から第1の色に変わることを含む。他の場合では、熱可塑性材料は、ポリプロピレンを含み、強化繊維は、ガラス繊維を含む。特定の例では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0087】
別の実施形態では、抗酸化物質を含む難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色変化を防止する方法は、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの周囲の環境における酸化剤への曝露から難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを遮蔽して、酸化剤を含む環境への曝露時に抗酸化物質が第1の色から第2の色へと変化することを防止することを含む。いくつかの例では、遮蔽することは、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、酸化剤が難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質と反応することを防止するための材料で包むことを含む。他の実施形態では、遮蔽することは、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを、実質的に気密性の容器中に封入し、酸化剤が難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア中の抗酸化物質と反応することを防止することを含む。いくつかの例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、第1の表面上にコーティングを含み、酸化剤が多孔質コア内へと拡散することを防止する。追加の例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、熱可塑性材料によって所定位置に保持された強化繊維から形成されたウェブを含み、多孔質コアは、各表面で密封されて、酸化剤が多孔質コア内へと拡散するのを防止する。他の例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの熱可塑性材料は、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレン)を含む。特定の場合では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質であるが、非フェノール系抗酸化物質も存在し得る。いくつかの例では、熱可塑性繊維強化多孔質コアの強化繊維は、ガラス繊維を含む。他の例では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0088】
特定の例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの色を変更する方法は、強化繊維、難燃剤および熱可塑性材料を合わせることによって難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアを形成して、ウェブを形成することと、形成されたウェブを、酸化剤を含む環境に曝露して、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コア層中の抗酸化物質の色を第1の色から第2の色へと変更することと、を含む。いくつかの場合では、ウェブは、ウェブを圧縮する前に酸化剤を含む環境に曝露される。他の例では、ウェブは、ウェブを圧縮した後に酸化剤を含む環境に曝露される。さらなる実施形態では、ウェブは、ウェブ上にスキンを配置する前に、2ppmより多い酸化剤を含む環境に曝露される。追加の例では、ウェブは、ウェブ上に多孔質スキンを配置した後に、2ppmより多い酸化剤を含む環境に曝露される。いくつかの例では、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアの熱可塑性材料は、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレン)を含む。他の例では、抗酸化物質は、フェノール系抗酸化物質であるが、非フェノール系抗酸化物質も存在し得る。いくつかの例では、熱可塑性繊維強化多孔質コアの強化繊維は、ガラス繊維を含む。他の例では、難燃剤は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、またはその両方を含み、難燃性熱可塑性繊維強化多孔質コアは、ASTM E84,Class Aの仕様を満たす。
【0089】
いくつかの例では、複合物品の色変化を判定するために、2015年付けのTest Method AATCC 23と同様の比色分析試験方法を実施することができる。特に、1.5インチ×4インチの標本を、天然ガスの燃焼に由来するような窒素の大気酸化物に曝露することができる。このプロセスにより、NOX濃度は2ppm以上になる。この試験は、60℃の温度、60~65%の相対湿度、72時間の曝露時間で実施することができる。退色対照布(試験条件下で色が変化しない)を参照として使用して、難燃性熱可塑性複合物品の色変化を比較することができる。次いで、比色計を使用して、対照と試料との間の色差を測定することができる。比色計の出力を、「L」、「a」および「b」の値に変換する。「L」は、明度を表し、100(白色)から0(黒色)まで変化する。「a」値は、赤(正の値)、グレー/ニュートラル(0値)、または緑(負の値)を測定する。「b」値は、黄(正の値)、グレー/ニュートラル(0値)、および青(負の値)を測定する。ColorFlex Colorimeter(Hunter Labs)を使用して、色を測定することができる。全体的な色差または変色(ΔE)は、以下の式に従って、色立体中の2点間のベクトル差として計算される。
【0090】
【0091】
式中、Lo、ao、boは、第1の点での値であり、L1、a1およびb1は、第2の点での値である。
【0092】
いくつかの場合では、本明細書に記載の複合材料を、酸化物質または酸化剤の存在についての系外センサーとして使用することができる。例えば、材料片を環境中に配置し、色変化について監視することができる。センサー自体は、リアルタイムセンサーでない場合があるが、これを使用して、大気中に存在する酸化剤(例えばNOX)または他の種の長期的な存在を監視することができる。ストリップセンサーの単純かつ安価な性質により、電子センサーが適していない可能性がある広範囲にわたる用途での使用が可能になる。
【0093】
特定の具体例は、本明細書に記載される技術の新規かつ独創的な態様のいくつかをさらに例示するために記載される。
【実施例】
【0094】
実施例1
金属水酸化物難燃剤(MDH)、ポリプロピレン(PP)、およびフェノール系抗酸化物質を含む混合型難燃性材料がコア層中に存在するときに色変化が生じるかどうかを判定するために、いくつかの試験コア層を調製した。試料中の材料の重量パーセントを以下の表1に提供する。混合型材料は、約70重量%のMDHを含んでいた。ガラス繊維およびポリプロピレン樹脂を、湿式レイプロセスで混合型難燃性材料と共に使用して、コア層を形成した。
【0095】
【0096】
製造されたコア層の難燃性を、ASTM E84プロトコルに従って測定した。展炎指数(FSI)および煙密度指数(SDI)の結果を以下の表2に示す。全てのコア層は、FSI値が25以下であったため、Class A,E84規格を満たしていた。
【0097】
【0098】
各コア層の変色は、2015年付けのTest Method AATCC 23に従って測定された。24時間、48時間、72時間、96時間、および120時間の異なる曝露期間後の結果を以下の表3に示す。
【0099】
【0100】
変色結果は、コア層の桃色化が経時的に増加し、約96時間の環境曝露後に安定化することを示している。
【0101】
実施例2
フェノール系抗酸化物質を欠いた混合型難燃性材料からコア層を調製した。試料中の材料の重量パーセントを以下の表4に提供する。混合型材料は、約70重量%のMDHを含んでおり、フェノール系抗酸化物質を含まなかった。ガラス繊維およびポリプロピレン樹脂を、湿式レイプロセスで混合型難燃性材料と共に使用して、コア層を形成した。
【0102】
【0103】
製造されたコア層の難燃性を、ASTM E84プロトコルに従って測定した。展炎指数(FSI)および煙密度指数(SDI)の結果を以下の表2に示す。
【0104】
製造されたコア層の難燃性を、コア層の1つについてASTM E84プロトコルに従って測定した。展炎指数(FSI)および煙密度指数(SDI)の結果を以下の表5に示す。
【0105】
【0106】
PL0263-2試料のE84試験は、依然としてClass A E84性能基準を満たしているコア層と一致している。
【0107】
PL0263-2コア層の変色は、2015年付けのTest Method AATCC 23に従って測定された。コア層を環境に72時間曝露した後、3.8のデルタE値を得た。この値は、24時間以下の曝露時間での対照試料の値と類似している。この結果は、桃色化を回避する混合難燃性材料からの抗酸化物質の除去とも一致している。
【0108】
本明細書に開示される例の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、要素のうちの1つ以上が存在することを意味することが意図される。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、非限定的であることが意図され、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。当業者であれば、本開示の利点を考慮すれば、実施例の様々な構成要素が、他の実施例における様々な構成要素と交換または置換され得ることを認識するであろう。
【0109】
特定の態様、実施例および実施形態が上述されてきたが、本開示の利益を考慮すれば、開示される例示的な態様、実施例および実施形態の追加、置換、修正、および変更が可能であることが当業者に認識されるであろう。
【国際調査報告】