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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ドリルビット
(51)【国際特許分類】
   E21B 10/36 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
E21B10/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500013
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2020068753
(87)【国際公開番号】W WO2021004909
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】19184793.8
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520344785
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション ツールズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハンマルグレン, ジョン
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129GA21
2D129GB03
(57)【要約】
本発明は、軸線Aに沿って延在するように意図され、かつ、前面(105)を備えるドリルビット本体(101)であって、前記前面が、軸線Aに対して横方向及び同軸に配置された第1の円形領域(110)と、前記第1の領域面(110)を取り囲む第2の領域面(111)であって、軸線Aを横断する平面に対して角度αで延在する前記第2の領域面(111)と、前記第2の領域面(111)を取り囲む第3の領域面(112)であって、前記前面(105)が実質的に凸状の形状を有するように、軸線Aを横断する平面に対して角度βで延在する前記第3の領域面(112)と、を備える、ドリルビット本体(101)と、前記第2の領域面(111)及び第3の領域面(112)に配置されたいくつか(n個)のボタン(200)であって、前記ボタン(200)が、軸線Bに沿って延在するボタン本体(201)及び軸線Bに沿った長さLを有し、前記ボタン本体(201)が、軸線Bを横断する円形断面形状、後端面(203)及び前端面(204)を有する、いくつか(n個)のボタン(200)と、を備える打撃掘削用のドリルビット(100)に関し、前記角度αが5~15°の範囲内であり、前記角度βが30~45°の範囲内であり、前記ボタン200が、前記第2の面(111)及び第3の領域面(112)から前記ドリルビット本体(101)内に実質的に横方向に延在する円形凹部(120)内に配置され、前記凹部(120)は、前記ボタン本体半径(Rb)に対応する半径及び前記ボタン本体(201)の前記長さLに対応する深さを有し、それにより、前記ボタン本体(201)は、前記前端面(204)が前記第2の領域面(111)及び第3の領域面(112)で露出した状態で前記ドリルビット本体(101)内に嵌合される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃掘削用のドリルビット(100)であって、前記ドリルビットは、
軸線Aに沿って延在するように意図され、かつ、前面(105)を備えるドリルビット本体(101)であって、前記前面が、軸線Aに対して横方向及び同軸に配置された第1の円形領域面(110)と、前記第1の領域(110)を取り囲む第2の領域面(111)であって、軸線Aを横断する平面に対して角度αで延在する前記第2の領域面(111)と、前記第2の領域面(111)を取り囲む第3の領域面(112)であって、前記前面(105)が実質的に凸状の形状を有するように、軸線Aを横断する平面に対して角度βで延在する前記第3の領域面(112)と、を備える、ドリルビット本体(101)と、
前記第2の領域面(111)及び第3の領域面(112)に配置されたいくつか(n個)のボタン(200)であって、前記ボタン(200)が、軸線Bに沿って延在するボタン本体(201)及び軸線Bに沿った長さLを有し、前記ボタン本体(201)が、軸線Bを横断する円形断面形状、後端面(203)及び前端面(204)を有する、いくつか(n個)のボタン(200)と、
を備え、
前記角度αが5~15°の範囲内であり、前記角度βが30~45°の範囲内であり、前記ボタン(200)は、前記第2の領域面(111)及び第3の領域面(112)から前記ドリルビット本体(101)内に実質的に横方向に延在する円形凹部(120)内に配置され、前記凹部(120)は、前記ボタン本体半径(Rb)に対応する半径及び前記ボタン本体(201)の前記長さLに対応する深さを有し、それにより、前記ボタン本体(201)は、前記前端面(204)が前記第2の領域面(111)及び第3の領域面(112)で露出した状態で前記ドリルビット本体(101)内に嵌合される、ドリルビット(100)。
【請求項2】
前記第1の円形領域面(110)は、第1の半径(R1)を有し、前記第2の領域面(111)は、前記第1の領域面(110)の周縁部から第2の半径(R2)まで延在し、前記第3の領域面(112)は、前記第2の領域面(111)の周縁部から第3の半径(R3)まで延在し、前記第1の半径(R1)は、前記第3の半径(R3)の25~65%の範囲内であり、前記第2の半径(R2)は、前記第3の半径(R3)の60~80%の範囲内である、請求項1に記載のドリルビット(100)。
【請求項3】
前記第3の半径(R3)が30~65mmの範囲内である、請求項2に記載のドリルビット(100)。
【請求項4】
前記第3の領域面(112)に配置された前記ボタン(200)が、前記第2の領域面(111)に配置された前記ボタンの前記ボタン本体半径(Rb2)よりも大きいボタン本体半径(Rb3)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のドリルビット(100)。
【請求項5】
前記ボタン本体(201)が、前記ドリルビット本体(101)の前記凹部(120)内に配置されるように意図された円筒部(202)を備え、前記ボタン本体(201)の前記長さLが、軸線Bに沿って、前記端面(203)から、前記ドリルビット本体の前記円筒部(202)の前記反対側の端部に配置された軸線Bを横断する平面まで測定される、請求項1から4のいずれか一項に記載のドリルビット(100)。
【請求項6】
前記ボタン(200)の前記前端面(204)は、前記前端面(204)が前記ドリルビット本体(101)の前記第2の領域面(111)及び前記第3の領域面(112)から延在するように、半球状又は凸状の形状を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のドリルビット(100)。
【請求項7】
前記第3の領域に配置されたボタン(200)の数(n3)が、8~12の範囲内、好ましくは9~11の範囲内である、請求項1から6のいずれか一項に記載のドリルビット(100)。
【請求項8】
前記第3の領域面(112)の前記ボタン(200)が、5~9mmの範囲内、好ましくは6~8mmの範囲内のボタン本体半径(Rb3)を有する、請求項7に記載のドリルビット(100)。
【請求項9】
前記第3の半径(R3)と、前記第3の領域に配置されたボタンの数(n3)*(前記第3の領域(Rb3)の前記ボタンのボタン本体半径)との比が、0.6~0.8の範囲内であり、すなわち、比=R3/(n3*Rb3)が、0.6~0.8の範囲内である、請求項7又は8に記載のドリルビット(100)。
【請求項10】
前記第2の領域に配置されたボタンの数(n2)が、5~10の範囲内である、請求項1から7のいずれか一項に記載のドリルビット(100)。
【請求項11】
前記第3の領域の前記ボタンの前記ボタン本体の長さ(L3)と前記ボタン本体半径(Rb3)との比、すなわち、比=L3/Rb3、及び、前記第2の領域の前記ボタンの前記ボタン本体の長さ(L2)と前記ボタン本体半径(Rb2)との比、すなわち、比=L2/Rb2は、両方とも1.8~2.2の範囲内である、請求項4から10のいずれか一項に記載のドリルビット(100)。
【請求項12】
前記第3の領域の前記円形凹部及び前記第2の領域の前記円形凹部が、隣接する円形凹部の前記内端部間の距離が少なくとも2.5mmであるように配置される、請求項4から11のいずれか一項に記載のドリルビット(100)。
【請求項13】
少なくとも2つのフラッシング媒体出口(130)が前記前面(105)に配置され、前記それぞれの出口(130)からは、軸線Aから実質的に半径方向外向きに延在する凹部(132)が前記前面(105)に形成される、請求項1から12のいずれか一項に記載のドリルビット(100)。
【請求項14】
前記フラッシング媒体出口(130)が、前記第1の領域(110)及び/又は第2の領域面(111)に配置される、請求項11に記載のドリルビット(100)。
【請求項15】
前記第3の領域面(112)内の前記ボタン(200)が、軸線Aから実質的に同じ距離に、かつ前記第3の領域面(112)の周りで互いに実質的に一定の距離に配置される、請求項1から14のいずれか一項に記載のドリルビット(100)。
【請求項16】
前記ドリルビット本体(101)が、前記前面(105)の周縁部から前記ドリルビット(100)の後端部に向かって延在する外周側面(115)を備え、いくつかの溝(134)が前記外周側面(115)及び前記前面(105)に形成され、前記溝(134)が、前記第3の領域面(112)内の隣接するボタン(200)の間に配置され、軸線Aに実質的に平行な前記第3の領域面(112)から前記ドリルビットの前記後端部に向かって延在する、請求項1から15のいずれか一項に記載のドリルビット(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、打撃掘削用のドリルビット、及び前記ドリルビットを備えるドリル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設作業部門及び鉱業界において、打撃掘削、すなわちトップハンマー掘削は、細長いドリルストリング又はケーブルの前端部にドリルビットを配置して垂直ボアホールを掘削するために確立された方法である。掘削中、油圧駆動ピストンからの打撃衝撃がドリルストリングに作用して、岩石を破壊してボアホールを形成するのに必要な力を及ぼす。
【0003】
様々な種類の岩石に所望のボアホールを作成するように適合されたいくつかの異なるサイズ及び種類のドリルビットがある。しかしながら、掘削性能を向上することが常に求められ、それはドリルビットの改良によって行われ得る。
【発明の概要】
【0004】
上述の必要性の少なくとも一部を満たすドリルビットを実現することは、有利であろう。これらの懸念の1つ又は複数にうまく対処するために、独立請求項に定義されるようなドリルビットが提供される。ドリルビットの好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0005】
本発明による打撃掘削用のドリルビットは、
軸線Aに沿って延在するように意図され、かつ、前面を備えるドリルビット本体であって、前記前面が、軸線Aに対して横方向及び同軸に配置された第1の円形領域面と、前記第1の領域面を取り囲む第2の領域面であって、軸線Aを横断する平面に対して角度αで延在する第2の領域面と、前記第2の領域面を取り囲む第3の領域面であって、前記第2の領域面が、前記前面が実質的に凸状の形状を有するように、軸線Aを横断する平面に対して角度βで延在する第3の領域面とを備える、ドリルビット本体と、
前記第2及び第3の領域面に配置されたいくつか(n個)のボタンであって、前記ボタンが、軸線Bに沿って延在するボタン本体及び軸線Bに沿った長さLを有し、前記ボタン本体が、軸線Bを横断する円形断面形状、後端面及び前端面を有する、いくつか(n個)のボタンと、
を備え、
前記角度αが5~15°の範囲内であり、前記角度βが30~45°の範囲内であり、前記ボタンは、前記第2及び第3の領域面から前記ドリルビット本体内に実質的に横方向に延在する円形凹部内に配置され、前記凹部は、前記ボタン本体半径に対応する半径及び前記ボタン本体の前記長さLに対応する深さを有し、それにより、前記ボタン本体が前記ドリルビット本体内に嵌合する。
【0006】
本発明によるドリルビットの前面の特徴的なデザインは、第2及び第3の領域面の角度によって、ボタンが嵌めこまれる凹部の内端部間の距離が増えるので、非常に有利である。距離が増えると、ドリルビットの強度が向上し、掘削中に、ドリルビット本体の破損によってボタンがドリルビットから誤って外れるのを防ぐ。
【0007】
あるいは、本発明によるドリルビットは、ドリルビットの強度を低下させることなく、第2及び第3の領域面に配置されたボタンの数及び/又は半径を増加させるために使用することができ、このことは、掘削性能に良い影響を及ぼし、ドリルビットの寿命を延ばすことになる。
【0008】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、第1の円形領域面は、第1の半径を有し、第2の領域面は、第1の領域面の周縁部から第2の半径まで延在し、第3の領域面は、第2の領域面の周縁部から第3の半径まで延在し、前記第1の半径は、第3の半径の25~65%の範囲内であり、前記第2の半径は、第3の半径の60~80%の範囲内である。このような比率のドリルビット前面により、第2及び第3の領域に所望の数のボタンを嵌めこむことができ、隣接する凹部の間の距離を所望のように増加させることができる。
【0009】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、第3の半径は30~65mmの範囲内である。
【0010】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、第3の領域面に配置されたボタンは、第2の領域面に配置されたボタンのボタン本体半径よりも大きいボタン本体半径を有する。軸線Aからより大きな距離に配置されたボタンが高速で回転し、摩耗を増加させるので、第3の領域面のボタンがより大きいのは好都合である。より大きい半径がもたらす効果は、第2及び第3の層のボタンがほぼ同時に摩耗し、その結果、ドリルビットの寿命が延長されること、又は最適化されることである。
【0011】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、ドリルビット本体は、ドリルビット本体の凹部内に配置されるように意図された円筒部を備え、ドリルビット本体の長さLは、軸線Bに沿って、端面から、ドリルビット本体の円筒部の反対側の端部に配置された軸線Bを横断する平面まで測定される。
【0012】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、ボタンの前端面は、前端面がドリルビット本体の第2の領域面及び第3の領域面から延在するように、半球状又は凸状の形状を有する。
【0013】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、第3の領域面に配置されたボタンの数は、8~12の範囲内、好ましくは9~11の範囲内である。このドリルビットの構成により、優れた掘削特性が与えられ、第1及び第2の領域のボタンの摩耗がほぼ同じになる。
【0014】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、第3の領域面のボタンは、5~9mmの範囲内、好ましくは6~8mmの範囲内のボタン本体半径を有する。このドリルビットの構成により、優れた掘削特性が与えられ、第1及び第2の領域面のボタンの摩耗がほぼ同じになる。
【0015】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、第3の半径と、第3の領域面に配置されたボタンの数*第3の領域面のボタンのボタン本体半径との比は、0.6~0.8の範囲内であり、すなわち、比=R3/(n3*Rb3)は、0.6~0.8の範囲内である。このドリルビットの構成により、優れた掘削特性が与えられる。
【0016】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、第2の領域面に配置されたボタンの数は、5~10の範囲内である。
【0017】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、第3の領域面のボタンのボタン本体の長さとボタン本体半径との比、すなわち、比=L3/Rb3、及び、第2の領域面のボタンのボタン本体の長さとボタン本体半径との比、すなわち、比=L2/Rb2は、両方とも1.8~2.2の範囲内である。
【0018】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、第3の領域面の円形凹部及び第2の領域面の円形凹部は、隣接する円形凹部の内端部間の距離が、互いに最も近い隣接した異なる凹部上の対応する2点で外径から少なくとも2.5mmの測定値であるように配置される。ドリルビット前面の特徴的なデザインにより、第2及び第3の領域の隣接する孔間の距離が増え、隣接する凹部の間に常に少なくとも2.5mmの距離を有することが可能になる。
【0019】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、少なくとも2つのフラッシング媒体出口が前面に配置され、それぞれの出口からは、軸線Aから実質的に半径方向外向きに延在する溝が、前面に形成される。フラッシング媒体出口を介してフラッシング媒体を流すことにより、掘削中に除去される粒子及び砂利は掘削領域から洗い流される。これにより、ドリルビットの摩耗が減少し、ドリルビットと岩石との間の良好な接触が可能になり、したがって掘削性能が最適化される。
【0020】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、フラッシング媒体出口は、第1及び/又は第2の領域面に配置される。
【0021】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、第3の領域面内のボタンは、軸線Aから実質的に同じ距離に、かつ第3の領域面の周りで互いに実質的に一定の距離に配置される。第3の領域面におけるボタンの対称的な配置により、長期間にわたる確実な掘削が保証される。
【0022】
本発明によるドリルビットの一実施形態では、ドリルビット本体は、前面の周縁部からドリルビットの後端部に向かって延在する外周側面を備え、いくつかの溝が外周側面及び前面に形成され、前記溝は、第3の領域面内の隣接するボタンの間に配置され、軸線Aに実質的に平行な第3の領域面からドリルビットの後端部に向かって延在する。溝により、掘削領域からの遊離粒子及び砂利の搬送が容易になる。
【0023】
本発明は、添付の図面を参照して、好ましい実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明によって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ドリルストリングロッドとドリルビットとを備えるドリル装置の斜視図である。
図2】本発明によるドリルビットの斜視図である。
図3】本発明によるドリルビットの側面図である。
図4】前面の特徴的なデザインをより明確に示すためのドリルビットの概略側面図である。
図5】軸線Aに沿ったドリルビット及びドリルストリングの前端部の断面図である。
図6図5の線Z-Zに沿ったドリルビットの断面図である。
図7図5の線Y-Yに沿ったドリルビットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
すべての図は概略図であり、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、本発明を明らかにするのに必要な部分のみを示しており、他の部分は省略されてもよいし、示唆されるだけでもよい。
【0026】
図1には、打撃掘削のためのドリル装置の斜視図が示されている。ドリル装置は、ドリルストリングロッド10とドリルビット100とを備える。ドリルストリングロッド10は、(図2図4、及び図5に示されているような)長手方向の軸線Aに沿って延在する細長い中間部11を含む。図示の実施形態では、雄継手12が中間部11の一端に配置され、雌継手13が反対側の端部に配置される。雄継手及び雌継手は、ドリルストリングロッド10の前端部のドリルビット100を連結することを可能にするように意図されており、ドリルストリングロッドの後端部の雌継手は、所望の長さを有するドリルストリングを形成するために、同じドリルストリングロッドの雄継手を、隣接するドリルストリングロッドの雌継手に連結することによって、さらなるドリルストリングロッドを連結するように意図されている。掘削中、ボアホールの深さが増すにつれて、さらなるドリルストリングロッド10が連結され、ドリルストリング10の長さが長くなる。図示の実施形態では、雄/雌継手が示されているが、他の継手方式を使用して、様々なニーズに合わせて装置を適応させることができる。
【0027】
掘削中、ドリルストリング10の後端部は、打撃掘削を行うために、ドリルストリング、ガイドアダプタ、及びドリルビットの所望の軸力及び回転を提供するように配置された、図示されていない油圧駆動ピストンに連結される。ドリルストリングロッド、ガイドアダプタ、及びドリルビットのデザインは、様々な種類の岩石材料及び掘削される所望のボアホールの直径に応じて特定のニーズに適応する。掘削中の負荷に確実に耐えることができるように、ボアホールの直径が大きいほど、様々な構成要素の寸法を大きくする必要がある。ドリルストリングロッドは、様々な方法で具現化することができ、例えば、中間部11は、必要な強度が確保される限り、円形、長方形、五角形又は六角形の断面形状を有することができる。中間部は、ドリルストリングロッドの中を通って中間部の中心に延びる通路を含み、掘削中にボアホールから粒子及び砂利を除去するために、ドリルストリングの前端部に配置されたドリルビットに、ドリルストリングを通してフラッシング媒体を導く。フラッシング媒体は、例えば、空気、水、又は空気と水の混合物である。
【0028】
図2及び図3は、本発明によるドリルビット100の斜視図及び側面図を示す。ドリルビットは、軸線Aに沿って延びるように意図されたドリルビット本体101を備える。ドリルビット本体は、軸線Aを横断する円形断面を有する実質的に円筒の形状を有する。
【0029】
ドリルビット100の前端部102には、わずかに大きい半径を有する前方本体部103が前面105を支持するように配置され、後端部106では、ドリルビット本体は実質的に平坦な後面107によって終端される。後面107には、ドリルビット本体101内の軸線Aと同軸に延びる雌継手108が配置されている。雌継手108は、図2又は図3では見えないが、図5に示されている。
【0030】
前面105は、非常に特徴的なデザインを有し、軸線Aに対して横方向及び同軸に配置された第1の円形領域面110を備える。第1の円形領域は第1の半径R1を有する。第1の領域面110は、第1の領域の周縁部から第2の半径R2まで軸線Aを横断する平面に対して角度αで延在する第2の領域面111によって取り囲まれている。さらに、前面は、前記第2の領域を取り囲む第3の領域面112を備える。第3の領域面112は、軸線Aを横断する平面に対して角度βで第2の領域面111の周縁部から第3の半径R3まで延在している。第1の領域面110、第2の領域面111及び第3の領域面112は、前面105が実質的に凸状の形状を有するように互いに同軸である。
【0031】
ドリルビットの所望の特性を実現するために、角度αは5~15°の範囲内であり、6°、8°、10°、12°又は14°などの間の特定の角度とすることができる。また、角度βは、30~45°の範囲内であり、32°、34°、36°、38°、40°、42°又は44°などの間の特定の角度とすることができる。
【0032】
さらに、第1の半径R1は、第3の半径R3の25~65%の範囲内であり、28%、32%、36%、40%、44%、48%、52%、56%、60%又は63%などの間の特定の量であり得る。また、前記第2の半径R2は、第3の半径R3の60~80%の範囲内であり、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%又は78%などの間の特定の量であり得る。これにより、第2及び第3の領域のボタンの数を確実に確保できるようになる。
【0033】
本発明によるドリルビット100は、様々なサイズで具現化することができるが、第3の半径R3は、ドリルビット本体の最大半径を画定し、ドリルビット100の好ましい実施形態では、30~65mmの範囲内であり、32mm、36mm、40mm、44mm、48mm、52mm、56mm、60mm又は63mmなどの間の特定の範囲であり得る。
【0034】
ドリルビットの前面105には、n個のボタン200が配置されている。ボタン200は、岩石にボアホールを形成するように意図されており、長期間にわたって所望の掘削動作が確実にできるように、耐摩耗性の材料で作られている。
【0035】
ボタン200は、様々な方法で具現化することができ、ボタンの例は、図2図7の様々な図に示されている。すべての実施形態は、軸線Bに沿って延在するように意図されたボタン本体201を備える。ボタン本体201(図6及び図7で参照される)は、ボタン本体、すなわち円筒部202に沿って実質的に一定の半径Rbを有する、軸線Bを横断する円形断面形状を有する。ボタン本体201は、後端面203と前端面204とを有する。後端面203は、実質的に平坦であるか、又は図5図7に示すボタンのように凸状であり、前端面204は、半球状又は凸状の形状を有する。半球状又は凸状の形状によって、前端面204がドリルビット本体101の前面105から確実に延びるようになり、その結果、前端面204が、ドリルビット本体の前面105の代わりにボアホールの底部と接触する。凹部の内端部は、凹部に配置されたボタンの後端面203に対応する。
【0036】
第3の領域面112に配置されたボタン200は、ボタンの前端面が第3の半径R3と少なくとも同じ半径方向伸張部を有し、好ましくは、ボタン200がボアホールを形成し、ドリルビット本体101の周縁部がボアホールの側壁と接触するのを確実に防止するために、第3の半径R3の半径方向伸張部を超えるように選択された前端面の形状及び寸法を有する。
【0037】
ボタン本体の長さLは、軸線Bに沿って測定され、ボタンと組み合わせて使用することが意図されているドリルビットのサイズによって決まる。ボタン本体の長さは、後端面203から、ボタン本体の円筒部の反対側の端部に配置された軸線Bを横断する平面まで測定され、ドリルビットの前面の第1、第2又は第3の領域と実質的に一直線に配置されるように意図されている。第2の領域面111及び第3の領域面112に配置されたボタンの長さL2及びL3は、それぞれ図6及び図7にその長さを示している。
【0038】
ボタンの円筒部は、ドリルビット100の前面105内で対応する凹部120に嵌合される。凹部120は、ドリルビットの前面105内でそれぞれの位置から実質的に横方向に、すなわち第1の領域面110、第2の領域面111又は第3の領域面112からドリルビット本体内へ横方向に延在する。凹部120は、ボタン本体の円形部がドリルビット本体内に嵌合され、ドリルビット本体内に確実に固定されるように、ボタン本体半径に対応する半径と、ボタン本体の長さLに対応する深さとを有する。
【0039】
凹部120の中心は、好ましくは、第3又は第2の領域面の中心に近接して配置され、すなわち、それぞれの領域面の凹部120及びボタン220は、軸線Aから実質的に同じ距離に配置され、それにより、ボタンがドリルビット本体に固定されるのに十分な強度を確保するために、ドリルビット本体材料が凹部の周りに十分に残る。
【0040】
ボタン200、ひいてはドリルビット本体に形成された凹部120は、すべてのボタン取付具の同じ強度及び特性を確保するために、第3の領域面112及び第2の領域面111の周りに互いに実質的に一定の距離で配置される。
【0041】
本発明によるドリルビットの一般的な概念は、掘削中に発生する高い負荷に耐えることができるドリルビットを提供することであるため、第2の領域面の円形凹部は、第3の領域面112の円形凹部間の実質的に中心に配置され、隣接する凹部間の最大距離が実現されることを確実にする。本発明によるドリルビットでは、隣接する円形凹部の内端部間の距離は、少なくとも2.5mmである。
【0042】
好ましくは、第3の領域面112に配置されたボタン200は、掘削中に、より高速で回転している第3の領域内のボタンの寿命を延ばすために、第2の領域に配置されたボタンのボタン本体半径Rb2よりも大きいボタン本体半径Rb3を有する。ドリルビットの好ましい実施形態では、第3の領域のボタンは、5~9mmの範囲内、好ましくは6~8mmの範囲内のボタン本体半径Rb3を有し、7mmであってもよい。
【0043】
ドリルビットの前面のボタンの数nは、ドリルビットのサイズによって決まる。ドリルビットの好ましい実施形態では、第3の領域に配置されたボタンの数n3は、8~12、好ましくは9、10又は11の範囲内であり、第2の領域に配置されたボタンの数n2は、5~10、好ましくは6、7、8又は9の範囲内である。
【0044】
上述したように、本発明によるドリルビット100は、ドリルビットのすべての好ましい実施形態について多くの異なる方法で具現化することができ、第3の半径R3と、第3の領域に配置されたボタンの数(n3)*(第3の領域のボタンのボタン本体半径(Rb3))との比は、0.6~0.8の範囲内であり、すなわち、比=R3/(n3*Rb3)は、0.6~0.8の範囲内であり、好ましくは0.65、0.70又は0.75である。
【0045】
さらに、上述したように、第3の領域面112のボタンは、第2の領域のボタンよりも大きい半径を有するが、第3の領域のボタンのボタン本体の長さL3とボタン本体半径Rb3との比、すなわち、比=L3/Rb3、及び、第2の領域のボタンのボタン本体の長さL2とボタン本体半径Rb2との比、すなわち、比=L2/Rb2は、両方とも1.8~2.2の範囲内であり、好ましくは1.9、2.0又は2.1である。
【0046】
図示のドリルビットは、第1の領域面に配置された、いくつかのボタン200をさらに備える。第1の領域面110のボタンは、軸線Aに近い位置にある結果、掘削中に、より低速で動くため、第2の領域面111に配置されたボタンと同じ寸法を有することが好ましい。第1の領域面110に配置されたボタンは、第2の領域面111及び第3の領域面112のボタンと同じデザインを有し、第1の領域からドリルビット本体内へ実質的に垂直に延びる第1の領域の対応する凹部内に嵌合される。第1の領域内のボタンの数は、ドリルビットのサイズに適合されるが、好ましくは2~5の数の範囲内である。第1の領域面内のボタンは、ドリルビットが回転するときに第1の領域の前に配置されたボアホールの全領域が覆われるように、第1の領域内の選択された位置に配置される。これは、ボタンが第1の領域上に非対称に配置され得ることを意味する。
【0047】
ドリルビットは、前面105内に配置された少なくとも2つのフラッシング媒体出口130をさらに備える。ボアホールから残留物及び砂利を洗い流し、掘削中に所望の掘削性能を維持するために、フラッシング媒体がドリルストリング10を介してドリルビット100に提供される。図示のフラッシング媒体出口130は、第1の領域110及び/又は第2の領域面111に配置され、それぞれの出口130からは、フラッシング媒体及び洗浄された材料をドリルビット前面105から離れる方へ導くために、軸線Aから実質的に半径方向外向きに延在する凹部132が前面105に形成される。
【0048】
ドリルビット本体101は、前面105の第3の領域面112の周縁部から延在する外周側面115をさらに備え、いくつかの溝134が外周側面115及び前面105に形成されている。溝134は、第3の領域面112内の隣接するボタン200の間に配置され、軸線Aに実質的に平行な第3の領域からドリルビットの後端部に向かって延びて、ボアホールの掘削領域からの残留物及び粒子と共にフラッシング材料の搬送を容易にする。
【0049】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例証及び説明されているが、そのような例証及び説明は、例証的又は例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。当業者は、添付の特許請求の範囲に定義される範囲内で多くの修正、変形及び変更が考えられることを理解する。
【0050】
さらに、開示された実施形態に対する変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解及び達成され得る。特許請求の範囲において、「comprising」という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実だけでは、これらの手段の組合せを有利に使用することができないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】