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特表2022-541013肝臓X受容体アゴニストでマイボーム腺機能不全を治療するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(54)【発明の名称】肝臓X受容体アゴニストでマイボーム腺機能不全を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20220913BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/405 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/195 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/18 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/136 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/416 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P27/04
A61P27/02
A61K45/06
A61P43/00 121
A61K31/405
A61K31/454
A61K31/195
A61K31/506
A61K31/497
A61K31/18
A61K31/415
A61K31/4164
A61K31/136
A61K31/495
A61K31/416
A61K31/4545
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502212
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 IB2020056584
(87)【国際公開番号】W WO2021009664
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】62/874,433
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/939,138
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,クリストファー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ファン,チャン
(72)【発明者】
【氏名】テイゼイラ,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】チボドー,ブレット
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084AA19
4C084MA17
4C084MA58
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA33
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC14
4C086BC21
4C086BC36
4C086BC37
4C086BC38
4C086BC48
4C086BC50
4C086BC79
4C086CB05
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA58
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA21
4C206FA31
4C206JA13
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA78
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA33
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、肝臓X受容体(LXR)アゴニストを使用してマイボーム腺機能不全を治療するための方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象におけるマイボーム腺機能不全(MGD)を治療する方法であって、有効量の肝臓X受容体(LXR)アゴニストを前記対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記LXRアゴニストが、
2-(4-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)-1H-インドール-1-イル)酢酸;
1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;
(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;
(R)-(2-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-(メチルスルホニル)フェニル)-2-イソプロピルピペラジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)メタノール;
2-(5-(メチル(3-((7-プロピル-3-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソキサゾール-6-イル)オキシ)プロピル)アミノ)ピラジン-2-イル)酢酸;
N-(4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ベンゼンスルホンアミド;
2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;
2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)フェニル)酢酸;
2-(2-(2-(2,6-ジクロロフェニル)プロパン-2-イル)-1-(3,3’-ジフルオロ-4’-(ヒドロキシメチル)-5’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)プロパン-2-オール;
2-(4-(ベンジル(エチル)アミノ)-3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール;
2-クロロ-4-(5-シアノ-6-(4-(2-メチル-2-フェニルプロパノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
2-(2-クロロ-4-フルオロベンジル)-3-(4-フルオロフェニル)-7-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾール;
2-クロロ-4-(1’-((2-クロロフェニル)スルホニル)-[4,4’-ビピペリジン]-1-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール;
その塩、エステル、又は共結晶
である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
約0.001mg~約50mgの前記LXRアゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記LXRアゴニストが、前記対象の眼に投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記LXRアゴニストが、薬学的に許容される製剤に製剤化される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記薬学的に許容される製剤中の前記LXRアゴニストの濃度が、約0.01%w/w~約10%w/w、又は約0.01%w/w~約5%w/w、又は約0.05%~約3%w/w、又は約0.05%w/w~約0.5%w/w、又は約0.15%w/w、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1.0%w/w、約1.5%w/w、約2.0%w/w、約2.5%w/w、約3.0%w/w、約3.5%w/w、約4.0%w/w、約4.5%w/w、約5.0%w/w、約5.5%w/w、又は約6.0%w/wである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記投与が、前記対象におけるマイバムの不飽和指数の増大をもたらす、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記投与が、前記対象におけるマイバムの融解温度の低下をもたらす、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象が、ドライアイ疾患と診断される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記投与が、ドライアイ疾患の徴候及び/又は症状を軽減させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象に追加の治療薬を投与することをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
マイボーム腺機能不全(MGD)を患う対象におけるステアロイル-CoAデサチュラーゼ1(SCD1)を上方調節する方法であって、前記対象に肝臓X受容体(LXR)アゴニストを投与することを含む方法。
【請求項13】
前記対象に約0.001mg~約50mgの前記LXRアゴニストを投与することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記LXRアゴニストが、前記対象の眼に投与される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記投与が、前記対象におけるマイバムの不飽和指数の増大をもたらす、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記投与が、前記対象におけるマイバムの融解温度の低下をもたらす、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、ドライアイ疾患と診断される、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象に追加の治療薬を投与することをさらに含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
それを必要とする対象におけるマイボーム腺機能不全(MGD)の症状を低減させる方法であって、有効量の肝臓X受容体(LXR)アゴニストを前記対象に投与することを含む方法。
【請求項20】
前記LXRアゴニストが、前記対象の眼に投与される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、肝臓X受容体(LXR)アゴニストを使用して、マイボーム腺機能不全又は眼疾患若しくは障害を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
涙は、3つの層から構成される。粘液層は、涙液膜が目と付着することができるように、角膜を覆って土台を形成する。中間の水性層は、水分を提供し、角膜に酸素及び他の重要な栄養を供給する。外側の脂質層は、涙液膜を目に密着させて、下の層の蒸発を防止するのを助ける、油性の膜である。
【0003】
マイボーム腺(眼瞼縁に位置する)は、主として脂質産生を担い、マイボーム腺からの異常な分泌は、涙液膜中の不健康な脂質層をもたらす可能性がある。マイボーム腺によって分泌された脂質はまた、前眼球表面からの蒸発を遅らせ、涙の表面張力を低下させ、涙の眼瞼縁からの溢流を防止し、皮脂腺脂質による涙液膜の汚染を防止し、眼瞼縁の皮膚への損傷を防止する。
【0004】
マイボーム腺の機能不全は、脂質不足をもたらし、これが涙液膜を不安定化させて涙液膜破壊時間の低下及び蒸発性ドライアイを引き起こす可能性がある(例えば、Sullivan et al.,Ann.NY Acad.Sci.,966,211-222,2002を参照のこと)。マイボーム腺機能不全はまた、脂質の凝固及びマイボーム腺分泌の妨害を引き起こす、脂質の融点上昇によって特徴付けることができる。これは、嚢胞、感染症、及び涙液中の脂質含量の低下をもたらす可能性がある。
【0005】
マイボーム腺機能不全を治療するための一般に使用される治療には、眼瞼縁への温罨法、マイボーム管の機械的プロービング、涙液脂質融解及び分泌を誘発するために眼瞼縁に赤外線装置又は化学薬品を使用することが含まれる。炎症については、糖質コルチコイドを使用することができる。細菌成分が存在するならば、ペニシリン、ドキシサイクリン、及びテトラサイクリンのような抗生物質を使用することができる。しかし、これらの治療法は、長期の使用には適していない。脂質の質及び涙液膜を改善することができる、マイボーム腺機能不全の治療のための、安全な有効な治療の長年の切実な対処されていない必要性が存在する。
【0006】
肝臓X受容体(LXR)は、Willy,P.J.,et al.,“LXR,a nuclear receptor that defines a distinct retinoid response pathway,”Genes & Development 9:1033-1045(Cold Spring Harbor Laboratory Press)によって最初に記載された。
【0007】
肝臓X受容体(LXRアルファ及びLXRベータ)は、表皮において高度に発現される。LXRの活性化は、表皮脂質合成を刺激すること、ラメラ体の形成及び分泌を増大させること、及び角質層における脂質の細胞外プロセシングに必要とされる酵素の活性を増大させること(透過性障壁の機能を媒介する層状の膜の形成をもたらす)を含めたいくつかの機構によって、透過性障壁の恒常性を改善することが公知である。
【0008】
いくつかのLXRアゴニストが、文献において公知であり、様々な障害の治療について研究されている。
【0009】
本発明者らは、肝臓X受容体のアゴニストの使用が、皮膚細胞におけるステアロイル-CoAデサチュラーゼ-1(SCD-1)を上方調節し、驚いたことにマイボーム腺の分泌物の融点を低下させ、それによって、マイボーム腺機能不全を潜在的に緩和することを発見した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする対象におけるマイボーム腺機能不全(MGD)を治療する方法であって、有効量の肝臓X受容体(LXR)アゴニストを対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは:
2-(4-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)-1H-インドール-1-イル)酢酸;
1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;
(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;
(R)-(2-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-(メチルスルホニル)フェニル)-2-イソプロピルピペラジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)メタノール;
2-(5-(メチル(3-((7-プロピル-3-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソキサゾール-6-イル)オキシ)プロピル)アミノ)ピラジン-2-イル)酢酸;
N-(4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ベンゼンスルホンアミド;
2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;
2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)フェニル)酢酸;
2-(2-(2-(2,6-ジクロロフェニル)プロパン-2-イル)-1-(3,3’-ジフルオロ-4’-(ヒドロキシメチル)-5’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)プロパン-2-オール;
2-(4-(ベンジル(エチル)アミノ)-3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール;
2-クロロ-4-(5-シアノ-6-(4-(2-メチル-2-フェニルプロパノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
2-(2-クロロ-4-フルオロベンジル)-3-(4-フルオロフェニル)-7-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾール;
2-クロロ-4-(1’-((2-クロロフェニル)スルホニル)-[4,4’-ビピペリジン]-1-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール;又は
その塩、エステル、若しくは共結晶
である。
【0011】
特定の実施形態では、LXRアゴニストは、1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール、又はその塩、エステル、若しくは共結晶である。
【0012】
本明細書に記載された方法のいくつかの実施形態では、本発明は、約0.001mg~約50mgのLXRアゴニストを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、対象の眼に投与される。特定の実施形態では、眼投与は、対象の眼瞼、例えば、眼瞼皮膚又は眼瞼縁に対するものである。さらなる実施形態では、眼投与は、対象の眼表面、例えば、角膜及び/又は結膜に対するものである。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、LXRアゴニストの投与は、本明細書に記載した通りにインビトロで測定された場合に、約10%~約200%、約10%~約150%、約10%~約100%の、ヒト皮脂腺細胞株(SZ95)細胞によって産生される非極性脂質の不飽和指数の増大をもたらす。特定の実施形態では、不飽和指数は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、又は約200%増大される。
【0014】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストの投与は、対象におけるマイバムの融解温度の低下をもたらす。特定の実施形態では、マイバムの融解温度は、約5、約4、約3、約2、又は約1摂氏度低下する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、対象は、マイボーム腺機能不全又はドライアイ疾患又は眼表面疾患と診断される。いくつかの実施形態では、投与は、マイボーム腺機能不全又はドライアイ疾患又は眼表面疾患の徴候及び/又は症状を軽減させる。特定の実施形態では、LXRアゴニストの投与は、次のもの(又は同様の若しくは等価な検査)のうちの1つ以上をもたらす:
少なくとも約2、3、4、又は5秒の涙液膜破壊時間の延長;
1若しくは2若しくは3等級のマイボーム腺圧出(expression)等級付けの向上;
少なくとも約10%の涙液メニスカスの増大;
少なくとも約10%の角膜フルオレセイン染色の低下、又は
少なくとも約2mmのシルマーテストスコアの増大。
【0016】
特定の実施形態では、投与は、次の徴候及び/又は症状(又は同様の若しくは等価な徴候及び/又は症状)のうちの1つ以上における少なくとも約10%の発生頻度低下をもたらす:眼球乾燥、眼部不快感又は眼痛、目のかゆみ、霧視、瞼の重さ(heavy eye)若しくは目の疲労、涙目、眼充血、眼球の焼けるような又は刺すような痛み、ごろごろ感又は異物感、又は羞明若しくは光敏感性、目ヤニのある(crusty)若しくは赤い若しくは腫脹した眼瞼若しくは眼瞼縁、風若しくは低湿度などの環境因子に対する敏感性、又はコンタクトレンズ使用に対する忍容性の喪失。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト又は眼科用ステロイドである。特定の実施形態では、RXRアゴニストは、ビタミンA、レチノイン酸、フィタン酸、リトコール酸、ベキサロテン、ドコサヘキサエン酸、又はフルロベキサロテン(flurobexarotene)である。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト又は眼科用ステロイドである。特定の実施形態では、RXRアゴニストは、ビタミンA、レチノイン酸、フィタン酸、リトコール酸、ベキサロテン、ドコサヘキサエン酸、フルロベキサロテン(flurobexarotene)、又はその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態では、眼科用ステロイドは、デキサメタゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メドリゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リメキソロン、又はその薬学的に許容される塩である。こうした追加の治療薬のさらなる非限定的な例には、Xiidra(登録商標)(リフィテグラスト)、Restasis(登録商標)(シクロスポリン)、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、又は他のテトラサイクリン抗生物質が含まれる。他の例には、二硫化セレン、サリチル酸、グリコール酸などの角質溶解薬、又はその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明は、マイボーム腺機能不全(MGD)を患う対象におけるステアロイル-CoAデサチュラーゼ1(SCD1)を上方調節する方法であって、対象に肝臓X受容体(LXR)アゴニストを投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは:
2-(4-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)-1H-インドール-1-イル)酢酸;
1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;
(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;
(R)-(2-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-(メチルスルホニル)フェニル)-2-イソプロピルピペラジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)メタノール;
2-(5-(メチル(3-((7-プロピル-3-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソキサゾール-6-イル)オキシ)プロピル)アミノ)ピラジン-2-イル)酢酸;
N-(4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ベンゼンスルホンアミド;
2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;
2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)フェニル)酢酸;
2-(2-(2-(2,6-ジクロロフェニル)プロパン-2-イル)-1-(3,3’-ジフルオロ-4’-(ヒドロキシメチル)-5’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)プロパン-2-オール;
2-(4-(ベンジル(エチル)アミノ)-3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール;
2-クロロ-4-(5-シアノ-6-(4-(2-メチル-2-フェニルプロパノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
2-(2-クロロ-4-フルオロベンジル)-3-(4-フルオロフェニル)-7-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾール;
2-クロロ-4-(1’-((2-クロロフェニル)スルホニル)-[4,4’-ビピペリジン]-1-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール;
その塩、エステル、又は共結晶
である。
【0019】
特定の実施形態では、LXRアゴニストは、1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール、又はその塩、エステル、若しくは共結晶である。
【0020】
本発明の方法のいくつかの実施形態では、本方法は、約0.001mg~約50mgのLXRアゴニストを対象に投与することを含む。特定の実施形態では、LXRアゴニストは、対象の眼に投与される。さらに特定の実施形態では、眼投与は、対象の眼瞼、例えば、眼瞼皮膚又は眼瞼縁に対するものである。さらなる実施形態では、眼投与は、対象の眼表面、例えば、角膜及び/又は結膜に対するものである。
【0021】
本明細書に主張される方法のいくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、薬学的に許容される製剤に製剤化される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、薬学的に許容される製剤に製剤化される。特定の実施形態では、薬学的に許容される製剤は、液剤、懸濁剤、ゲル、クリーム、軟膏、リポソーム、又は眼内挿入物である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される製剤中のLXRアゴニストの濃度は、約0.01%w/w~約10%w/w、又は約0.01%w/w~約5%w/w、又は約0.05%~約3%w/w、又は約0.05%w/w~約0.5%w/w、又は約0.15%w/w、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1.0%w/w、約1.5%w/w、約2.0%w/w、約2.5%w/w、約3.0%w/w、約3.5%w/w、約4.0%w/w、約4.5%w/w、約5.0%w/w、約5.5%w/w、又は約6.0%w/wである。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、LXRアゴニストの投与は、本明細書に記載した通りにインビトロで測定された場合に、約10%~約200%、約10%~約150%、約10%~約100%の、ヒト皮脂腺細胞株(SZ95)細胞によって産生される非極性脂質の不飽和指数の増大をもたらす。特定の実施形態では、不飽和指数は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、又は約200%増大される。
【0024】
いくつかの実施形態では、投与は、対象におけるマイバムの融解温度の低下をもたらす。特定の実施形態では、マイバムの融解温度は、約5、約4、約3、約2、又は約1摂氏度低下する。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、対象は、マイボーム腺機能不全又はドライアイ疾患又は眼表面疾患と診断される。いくつかの実施形態では、投与は、マイボーム腺機能不全又はドライアイ疾患又は眼表面疾患の徴候及び/又は症状を軽減させる。特定の実施形態では、投与は、次のもの(又は同様の若しくは等価な検査)のうちの1つ以上をもたらす:
少なくとも約2、3、4、又は5秒の涙液膜破壊時間の延長;
1若しくは2若しくは3等級のマイボーム腺圧出等級付けの向上;
少なくとも約10%の涙液メニスカスの増大;
少なくとも約10%の角膜フルオレセイン染色の低下、又は
少なくとも約2mmのシルマーテストスコアの増大。
【0026】
特定の実施形態では、投与は、次の徴候及び/又は症状(又は同様の若しくは等価な徴候及び/又は症状)のうちの1つ以上における少なくとも約10%の発生頻度低下をもたらす:眼球乾燥、眼部不快感又は眼痛、目のかゆみ、霧視、瞼の重さ若しくは目の疲労、涙目、眼充血、眼球の焼けるような又は刺すような痛み、ごろごろ感又は異物感、又は羞明若しくは光敏感性、目ヤニのある若しくは赤い若しくは腫脹した眼瞼若しくは眼瞼縁、風若しくは低湿度などの環境因子に対する敏感性、又はコンタクトレンズ使用に対する忍容性の喪失。
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト又は眼科用ステロイドである。特定の実施形態では、RXRアゴニストは、ビタミンA、レチノイン酸、フィタン酸、リトコール酸、ベキサロテン、ドコサヘキサエン酸、フルロベキサロテン(flurobexarotene)、又はその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態では、眼科用ステロイドは、デキサメタゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メドリゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リメキソロン、又はその薬学的に許容される塩である。こうした追加の治療薬のさらなる非限定的な例には、Xiidra(登録商標)(リフィテグラスト)、Restasis(登録商標)(シクロスポリン)、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、又は他のテトラサイクリン抗生物質が含まれる。他の例には、二硫化セレン、サリチル酸、グリコール酸などの角質溶解薬、又はその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする対象におけるマイボーム腺機能不全(MGD)の症状を低減させる方法であって、有効量の肝臓X受容体(LXR)アゴニストを対象に投与することを含む方法を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは:
2-(4-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)-1H-インドール-1-イル)酢酸;
1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;
(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;
(R)-(2-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-(メチルスルホニル)フェニル)-2-イソプロピルピペラジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)メタノール;
2-(5-(メチル(3-((7-プロピル-3-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソキサゾール-6-イル)オキシ)プロピル)アミノ)ピラジン-2-イル)酢酸;
N-(4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ベンゼンスルホンアミド;
2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;
2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)フェニル)酢酸;
2-(2-(2-(2,6-ジクロロフェニル)プロパン-2-イル)-1-(3,3’-ジフルオロ-4’-(ヒドロキシメチル)-5’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)プロパン-2-オール;
2-(4-(ベンジル(エチル)アミノ)-3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール;
2-クロロ-4-(5-シアノ-6-(4-(2-メチル-2-フェニルプロパノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
2-(2-クロロ-4-フルオロベンジル)-3-(4-フルオロフェニル)-7-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾール;
2-クロロ-4-(1’-((2-クロロフェニル)スルホニル)-[4,4’-ビピペリジン]-1-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール;
その塩、エステル、又は共結晶
である。
【0030】
特定の実施形態では、LXRアゴニストは、1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール、又はその塩、エステル、若しくは共結晶である。
【0031】
特定の実施形態では、本方法は、約0.001mg~約50mgのLXRアゴニストを対象に投与することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、対象の眼に投与される。特定の実施形態では、眼投与は、対象の眼瞼、例えば、眼瞼皮膚又は眼瞼縁に対するものである。さらなる特定の実施形態では、眼投与は、対象の眼表面、例えば、角膜及び/又は結膜に対するものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】1%の濃度での例示的化合物(化合物B)のラットの目への投与時に測定された、賦形剤との比較におけるマイバム融解温度の低下を示す。
図2】1%の濃度での例示的化合物(化合物C)のラットの目への投与時に測定された、賦形剤との比較におけるマイバム融解温度の低下を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書に記載した化合物の「有効量」という言葉は、哺乳類内でその意図される機能を実施するのに必要又は十分な治療化合物の量を指す。治療化合物の有効量は、その哺乳類に既に存在する原因となる薬剤の量、その哺乳類の年齢、性別、及び体重、並びにその哺乳類において本開示の治療化合物が眼表面障害及び/又はその症状を治療する能力などの因子に従って変動する可能性がある。
【0035】
表現「眼科的に適合性のある」は、妥当なベネフィット/リスク比に見合う、過剰な毒性、刺激性、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を有しない、ヒト及び動物の眼組織と接触して使用するのに適した製剤、ポリマー、及び他の物質、及び/又は剤形を指す。
【0036】
本明細書で使用する場合、用語「治療すること」は、対象における状態の少なくとも1つの症状を緩和する、和らげる、遅延させる、低減させる、逆行させる、又は改善することを意味する。用語「治療すること」は、異常なマイボーム腺分泌、マイボーム腺機能不全、ドライアイ、マイボーム腺分泌、眼瞼縁の赤み、対象の目における焼けるような痛み及び/又はそう痒、眼部不快感、角膜上皮びらん、眼及び結膜染色から選択される少なくとも1つの症状を緩和する、和らげる、遅らせる、低減させる、逆行させる、又は改善すること、及び霧視及び/又はかすみ目を低減させることを指す。用語「治療すること」はまた、停止させる、開始(すなわち、疾患の臨床徴候までの期間)を遅らせる、及び/又は状態を発症又は悪化させるリスクを低下させることを意味することができる。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「対象」又は「患者」は、限定はされないが霊長類、ウサギ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、及びウシを含めた、ヒト及び非ヒト哺乳類を指す。特定の実施形態では、対象又は患者は、ヒトである。いくつかの実施形態では、用語「患者」又は「対象」は、本明細書に記載した状態(すなわち、疾患又は障害)に罹患した、且つ治療から恩恵を受けるであろうヒトを指す。本明細書で使用する場合、対象は、こうした対象(患者)が、こうした治療から生物学的に、医学的に、又は生活の質において恩恵を受けるであろうならば、治療「を必要とする」。特定の実施形態では、対象は、少なくとも約18歳の成人のヒトである。特定の実施形態では、対象は、約18~約75歳の成人のヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、約18歳までのヒト小児である。
【0038】
本明細書で使用する場合、「眼表面」は、角膜(上皮、ボーマン層、実質、デスメ膜、内皮を含む)、結膜、及び角膜強膜移行部、すなわち輪部を解剖学的に含む、目の外側表面を指す。
【0039】
本明細書で使用する場合、「肝臓X受容体」又は「LXR」は、コレステロール生合成に関与する核内受容体を指す。本明細書で使用する場合、用語LXRは、LXRαとLXRβの両方(哺乳類に見られる2つの形態のタンパク質)、その断片又はアイソフォームを指す。
【0040】
本明細書で使用する場合、用語「ステアロイル-CoAデサチュラーゼ-1」又は「SCD-1」は、不飽和脂肪酸の合成における律速段階を触媒する酵素を指す。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「不飽和指数」は、本明細書に記載した通りに、例えばSZ95細胞においてインビトロで指標(sentinel)脂質アッセイを使用して測定される場合の、SCD酵素についての、飽和脂肪酸及びエステルに対する不飽和脂肪酸及びエステルの割合を指す。
【0042】
本明細書で使用する場合、眼充血は、眼表面の赤みを指す。眼充血は、炎症及び/又は眼への刺激についての臨床マーカーであり得る。眼充血は、標準の写真に基づいて、0~5の値のMcMonniesスケールを使用して測定することができる。
【0043】
本明細書で使用する場合、「マイボーム腺圧出等級付け」は、例えば、Tomlinson,Alan,et al..(2011),“The International Workshop on meibomian Gland Dysfunction:Report of the Diagnosis Subcommittee,”Investigative Ophthalmology & Visual Science,vol.52,no.4,pp.2006-2049に記載された通りの、マイボーム腺機能不全の重症度を評価するための尺度を指す。
【0044】
本明細書で使用する場合、「プラセボ」は、投与される薬物組成物の、薬物以外のすべての構成成分を含む眼科用製剤を指す。
【0045】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、指定された値の+10%の範囲の値を指す。
【0046】
本明細書で使用する場合、医薬組成物は、医薬用途に適した組成物である。医薬用途に適した組成物は、無菌の、均質な、及び/又は等張性であり得る。医薬組成物は、ある種の実施形態では、水性形態で、例えば、薬剤充填済み注射器又は他の単回若しくは複数回投与用容器中に調製することができる。本発明のある種の実施形態では、医薬組成物は、眼科的に適合性のあるものであり、例えば局所又は他の公知の送達方法による、ヒト対象への眼科的投与に適している。
【0047】
本明細書で与えられたあらゆる化学式はまた、標識されていない形態並びに同位体標識された形態の化合物に相当することが意図される。同位体標識された化合物は、1つ以上の原子が選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられることを除いて、本明細書で与えられた式によって表される構造を有する。本開示の化合物に組み込むことができる同位体には、例えば、水素、炭素、窒素、及び酸素の同位体、例えば、H、11C、13C、14C、及び15Nなどが含まれる。したがって、本発明の方法は、例えばH及び14Cなどの放射性同位体を含めた先に言及した同位体、又はH及び13Cなどの非放射性同位体が存在するもののいずれかのうちの1つ以上を組み込んだ化合物を含むことができる又は含む可能性があることが理解されるべきである。こうした同位体標識された化合物は、(14Cを用いる)代謝研究、(例えばH又はHを用いる)反応速度論研究、検出又は画像化技術、例えば陽電子放出断層撮影(PET)又は単一光子放射断層撮影(SPECT)(薬物又は基質の組織分布アッセイが含まれる)において、又は患者の放射線治療において有用である。同位体標識された化合物は、一般に、当業者に公知の従来の技術によって、例えば、以前に用いられていた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用することによって、調製することができる。
【0048】
本発明は、本明細書で提供される発明による有用な化合物のすべての薬学的に許容される塩を含む実施形態を包含する。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、開示される化合物の誘導体(ここでは、親化合物は、存在する酸又は塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される)を指す。薬学的に許容される塩の例には、限定はされないが、アミンなどの塩基性残基の鉱酸又は有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ又は有機塩;などが含まれる。薬学的に許容される塩には、例えば非毒性の無機又は有機酸から形成される、親化合物の通常の非毒性の塩が含まれる。薬学的に許容される塩は、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から、通常の化学的方法によって合成することができる。一般に、こうした塩は、遊離の酸又は塩基形態のこれらの化合物を、水中若しくは有機溶媒中、又は2つの混合物中で(一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい)、化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製することができる。適切な塩のリストは、それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)において参照される。例えば、好ましい薬学的に許容される塩には、限定はされないが、アミンなどの塩基性残基の鉱酸又は有機酸塩が含まれる。例えば、塩は、塩酸塩であり得る。適切な塩の他の例は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第8,349,852号明細書において参照することができる。
【0049】
本明細書で用いられる表現「薬学的に許容される」は、妥当なベネフィット/リスク比に見合う、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適している、化合物、物質、組成物、及び/又は剤形を指す。
【0050】
本発明者らは、例示的LXRアゴニストのインビボ投与が、驚いたことにマイボーム腺の分泌物の融点を低下させ、それによって、マイボーム腺機能不全及び他の眼疾患若しくは障害(例えば、ドライアイ疾患)の症状を治療する又は緩和する又は低減させる可能性を有することを発見した。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明は、有効量のLXRアゴニストを投与することによって、マイボーム腺機能不全を治療する方法を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明は、次の表中の有効量の1種以上の次の化合物、又はその塩、エステル、若しくは共結晶を投与することによって、マイボーム腺機能不全を治療する方法を含む。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2005/023196号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2006/073363号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2003/082802号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2016/022521号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0178398号明細書に記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2000/054759号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2013/130892号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2002/024632号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2010/138598号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2006/000323号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2017/083216号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/030612号明細書に記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2017/083219号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2013/138568号パンフレットに記載されている化合物のうちの1つ以上であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、約0.001mg~約50mgのLXRアゴニストを、対象に投与することができる。特定の実施形態では、1日あたり、約0.001~約50mgの総用量のLXRアゴニストを、対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、1日あたり1、2、3、4、又は5回の分割用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、LXRアゴニストは、1、2、3、4、5、6、又は7日に1回、対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、少なくとも1週間、4週間、又はそれよりも長い間投与することができる。特定の実施形態では、LXRアゴニストは、最大約12週間、又は約12週よりも長い間投与することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、対象の目に投与される。目への投与には、角膜、結膜、及び角膜強膜移行部、すなわち輪部などの眼表面のすべての部分を含めた目のすべての部分への投与が含まれる。いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、対象の眼瞼に投与される。眼瞼への投与には、上若しくは下眼瞼、眼瞼皮膚若しくは眼瞼縁、又はその両方、それぞれへの投与が含まれる。
【0071】
いくつかの実施形態では、治療されることとなる対象は、マイボーム腺機能不全を患っている。マイボーム腺は、マイバム、すなわち目の涙液膜の蒸発を防げる油性物質の供給を担う、瞼板内の、眼瞼の縁の、全分泌型の外分泌腺である。マイボーム腺炎、後部眼瞼炎、又はマイボーム腺の炎症としても公知であるマイボーム腺機能不全(MGD)は、管末端部の閉塞及び/又は腺分泌の質的/量的変化を一般に特徴とする、マイボーム腺の慢性のびまん性の異常である(Nelson JD,et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci 2011;52:1930-7)。これは、涙液膜の変化、目の過敏性の症状、臨床的に明らかな炎症、及び眼表面疾患をもたらす可能性がある。MGDは、しばしば、ドライアイを引き起こし、また、眼瞼炎をもたらす可能性がある。ある種の場合では、ステロイド外用薬及び局所用/経口用抗生物質がまた、炎症を低減させるために処方される。腺を圧出するために熱及び圧力を適用する高強度パルス光(IPL)治療又は他の機械的治療(例えば、LipiFlow)も、患者における炎症を低減させる及び腺機能を改善することが示されている。
【0072】
いくつかの実施形態では、治療されることとなる対象は、眼瞼炎を患っている。眼瞼炎は、眼瞼縁の炎症状態であり、これは、表層角膜症、角膜血管新生、及び潰瘍形成による、眼瞼縁の永久的な変化又は視力喪失をもたらす可能性がある。解剖学的位置に従って、眼瞼炎は、前部及び後部に分類することができる。前部眼瞼炎は、眼瞼皮膚、睫毛の根元、及び睫毛毛包に罹患し、従来の分類のブドウ球菌性及び脂漏性眼瞼炎が含まれる。後部眼瞼炎は、マイボーム腺及び腺開口部に罹患し、その主要な原因は、マイボーム腺機能不全である。慢性眼瞼炎の症状には、赤み、灼熱感、過敏性、涙、眼瞼の目ヤニ(crusting)及び癒着、並びに羞明及び霧視などの視覚の問題が含まれ得る。症状の長期の管理には、眼瞼清浄の日課、及び感染症及び炎症を低減させる治療薬の使用が含まれ得る。治療には、局所用又は全身用抗生物質、例えば、バシトラシン又はエリスロマイシン;経口用抗生物質、例えば、テトラサイクリン(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン)又はマクロライド(エリスロマイシン、アジスロマイシン);ステロイド外用薬、例えば、副腎皮質ステロイド、例えば、エタボン酸ロテプレドノール、フルオロメトロン;抗生物質と副腎皮質ステロイドとの局所用の組み合わせ(トブラマイシン/デキサメタゾン又はトブラマイシン/ロテプレドノールなど);局所用シクロスポリン0.05%が含まれる。
【0073】
いくつかの実施形態では、患者の症状は、患者に一連の質問をすることによって評価される。質問票によって、眼部不快感に関連する様々な症状の評価が可能になる。いくつかの実施形態では、質問票は、SPEED質問票である。SPEED質問票は、患者のドライアイ症状の頻度及び重症度を評価する。これは、当日、過去72時間、及び過去3か月の症状の発生を調査する。SPEEDスコアは、質問に対する患者の回答に基づいて総計されて、患者の症状の重症度の範囲を与える。SPEED質問票には、次のものなどの質問が含まれる:1)あなたが経験したのはどんなドライアイ症状ですか?また、それが起こったのはいつですか? 2)あなたはどのぐらい頻繁に目に乾燥、ごろごろ感、又は痒み(scratchiness)を経験しましたか? 3)あなたはどのぐらいの頻度で目のヒリヒリ感又は過敏性を経験しましたか? 4)あなたはどのぐらいの頻度で目の焼けるような痛み又は流涙を経験しましたか? 5)あなたはどのぐらいの頻度で目の疲労を経験しましたか?及び6)それらの症状はどのぐらい深刻ですか?。いくつかの実施形態では、質問票は、本明細書に記載したSPEED質問票と類似であるIDEEL質問票である。
【0074】
マイボーム腺圧出性(expressibility)は、マイボーム腺機能を評価するために任意選択的に決定される。正常な患者では、マイバムは、透明ないし淡黄色の油である。マイバムは、指圧で腺を押した時に、腺から排出される。マイボーム腺圧出性の変化は、MGDの1つの潜在的指標である。いくつかの実施形態では、圧出中、圧出中に適用される物理的な力の量を定量化することが、脂質体積及び脂質量を評価することに加えてモニタリングされる。
【0075】
涙液安定性破壊時間(TBUT)は、涙液安定性についての代替マーカーである。涙液膜不安定性は、ドライアイ及びMGDにおける中心機構である。低いTBUTは、脂質層が損なわれること及びMGDの可能性を暗示する。TBUTは、まばたき後の涙液膜の最初の破壊までの時間と定義されるフルオレセイン破壊時間を調査することによって任意選択的に測定される。フルオレセインは、市販品として入手可能なフルオレセイン含侵条片を生理食塩水で湿らせることによって、任意選択的に適用され、下結膜円蓋又は眼球結膜に適用される。次いで、患者は、数回まばたきし、目を動かすように求められる。次いで、細隙灯、コバルトブルーフィルター、及び4mmのビーム幅を用いて破壊を分析する。患者は、まばたきするように指示され、最後のまばたきの上昇から、最初の涙液膜破壊又はドライスポット形成までの時間を、測定値として記録する。
【0076】
MGDの徴候及び/又は症状を評価するための他の方法には、限定はされないが:シルマーテスト、眼表面染色、まぶた形態分析、マイボグラフィ、マイボメトリー(meibometry)、干渉検査、蒸発量測定(evaporimetry)、涙液脂質組成分析、蛍光測定検査、メニスカス検査、脂質層厚、マイバム不飽和指数、マイボーム腺モル浸透圧濃度低下分析、涙液膜動態の指数、読書速度、蒸発、及び涙液ターンオーバーが含まれる。MGDの徴候及び/又は症状の分析は、当業者に公知の一般に理解されている方法によって実施される。
【0077】
ある種の実施形態では、マイボーム腺機能不全は、1つ以上の眼疾患又は障害、例えばドライアイ疾患、眼表面疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春期角結膜炎、アレルギー性結膜炎が含まれる)、アカントアメーバ、線維筋痛症、甲状腺眼症、酒さ、眼瞼下垂、円錐角膜、眼痛症候群、スティーブン・ジョンソン(Steven-Johnson’s)症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘発性角膜神経障害が含まれる)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーが含まれる)、地図状-点状-指紋状型ジストロフィー(Map-Dot-Fingerprint Dystrophy)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは擦過傷(再発性角膜びらん若しくは擦過傷が含まれる)、眼瞼炎(前部、後部、ニキビダニ(Demodex mite))、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(ヘルペス性角膜症、糸状角膜症、帯状若しくは水疱性角膜症、兎眼性角膜症が含まれる)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎が含まれる)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生、翼状片、麦粒腫(内麦粒腫若しくは外麦粒腫)、霰粒腫(stye)、神経痛と;又は神経栄養性角膜炎から回復中の患者と関連する。
【0078】
本明細書に記載された方法のいくつかの実施形態では、LXRアゴニストの投与は、マイボーム腺機能不全の徴候及び/又は症状を低減させる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、次の徴候及び/又は症状(又は同様の若しくは等価な徴候及び/又は症状)のうちの1つ以上を含めたドライアイ疾患の症状の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、又は少なくとも約30%の軽減をもたらす:眼球乾燥、眼部不快感又は眼痛、目のかゆみ、霧視、瞼の重さ若しくは目の疲労、涙目、眼充血、眼球の焼けるような又は刺すような痛み、ごろごろ感又は異物感、又は羞明若しくは光敏感性、目ヤニのある若しくは赤い若しくは腫脹した眼瞼若しくは眼瞼縁、風若しくは低湿度などの環境因子に対する敏感性、又はコンタクトレンズ使用に対する忍容性の喪失。
【0079】
本明細書に記載した方法のいくつかの実施形態では、LXRアゴニストの投与は、プラセボと比較して、最高矯正視力、細隙灯生体顕微鏡検査、瞳孔拡張検査(dilated eye exam)、眼内圧力のうちの1つ以上の(例えば、5%未満の差、4%未満の差、又は3%未満の差の)変化をもたらさない。
【0080】
医薬組成物
本明細書に記載したLXRアゴニストは、単独で、又は製剤の活性成分として投与することができる。したがって、本発明はまた、例えば1種以上の薬学的に許容される担体を含有する、本明細書に記載した化合物の医薬組成物又は医薬生成物の投与を含む。種々の製剤を調製する方法は、当業者に公知であり、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association(最新版);Pharmaceutical Dosage Forms Tablets(Lieberman、Lachman、及びSchwartz編)、最新版、Marcel Dekker,Inc.刊、並びにRemington’s Pharmaceutical Sciences(Arthur Osol編),1553-1593(最新版)に記載され得る。
【0081】
投与様式及び剤形は、所与の治療用途にとって望ましい及び効果的である化合物又は組成物の治療量と密接に関連する。剤形には、限定はされないが、経口、直腸内、舌下、粘膜、経鼻、眼科用、皮下、筋肉内、局所、静脈内、経皮、脊髄、髄腔内、関節内、動脈内、くも膜下、気管支、リンパ、及び子宮内投与、並びに活性成分の全身送達のための他の剤形が含まれる。特定の実施形態では、剤形は、眼投与に適している。医薬剤形を調製するために、活性成分を、従来の医薬化合物配合技術に従って、医薬担体と混合することができる。担体は、投与のために所望される調製物の形態に応じて、非常に様々な形をとることができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、製剤をマイボーム腺に送達するために、液剤、懸濁剤、ゲル、クリーム、軟膏、リポソーム、若しくは眼内挿入物、又はある種の実施形態において眼表面、角膜、眼瞼、目の縁、睫毛、及び/又は眼瞼縁への局所投与に適した他の剤形として製剤化される。ある種の実施形態では、液体の(水性又は非水性)溶液を使用することができる。製剤の適用は、製剤をマイボーム腺に送達するために、患者の指、Weck-Cel(登録商標)、Q-tip、又は製剤を眼瞼、睫毛、及び/又は眼瞼縁に送達することが可能な他の装置などの、アプリケーターを用いて実施することができる。製剤は、適用の部位、用量、薬物の溶解度、及び当業者によって考慮される様々な他の因子に応じて、粘性又は半粘性;液体、固体、又は半固体;水性又は非水性であり得る。
【0083】
様々な担体のいずれかを、本発明で使用される製剤に使用することができる。一実施形態では、担体は、約50cps~約1000cps、約50cps~約500cps、約50cps~約200cps、又は約60cps~約120cpsの範囲の粘度を有する、非水性の担体(例えば、油、又は油混合物)である。ある種の実施形態では、非水性の担体は、油、例えば、植物油、シリコーン油、鉱油、又はそのあらゆる組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、担体は、流動パラフィン、白色ワセリン、精製ラノリン、ゲル化炭化水素、ポリエチレングリコール、親水性軟膏基剤、白色軟膏基剤、吸水軟膏基剤、マクロゴール軟膏基剤、単軟膏基剤などであり得る。ある種の実施形態では、製剤は、単量体ポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、及びエチレングリコールなど、重合体ポリオール、例えばポリエチレングリコール、セルロースエステル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びヒドロキシプロピルセルロースなど;デキストラン、例えばデキストラン70;水溶性タンパク質、例えばゼラチン、ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びポビドンなど;カルボマー、例えばカルボマー934P、カルボマー941、カルボマー940、及びカルボマー974Pなど;並びにガム、例えばHPグアーを含むことができる。
【0084】
本発明の製剤中に、任意選択的に、追加の賦形剤を含めることができる。追加の賦形剤の例には、例えば、張度増強剤、保存剤、可溶化剤、非毒性の賦形剤、粘滑薬、金属イオン封鎖剤、pH調節剤、共溶媒、増粘剤(viscosity building agent)、及びその組み合わせが含まれる。
【0085】
例えば生理学的pHへの、pHの調節のために、緩衝液を使用することができる。ある種の実施形態では、製剤のpHは、約4.0~約8.0、例えば約4.0~約6.0など、例えば約6.5~約7.8の範囲内に維持される。例えば、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸、炭酸水素ナトリウム、TRIS、及び種々の混合されたリン酸緩衝液(NaHPO、NaH2PO、及びKHPOの組み合わせが含まれる)、並びにそれらの混合物などの、好適な緩衝液を添加することができる。一般に、緩衝液は、約0.05~約2.5重量パーセント、例えば、約0.1~約1.5重量パーセントの範囲の量で使用することができる。
【0086】
張度は、必要ならば、張度を増強する薬剤の使用によって調節することができる。こうした薬剤は、例えば、イオン及び/又は非イオン型のものであり得る。イオン性の張度増強剤の例には、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物、例えば、CaCl、KBr、KCl、LiCl、NaI、NaBr若しくはNaCl、NaSO、又はホウ酸などが含まれる。非イオン性の張度を増強する薬剤には、例えば、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、又はデキストロースが含まれる。一実施形態では、製剤は、約225~約400mOsm/kgの重量モル浸透圧濃度を有することができる。一実施形態では、約280~約320mOsmの重量モル浸透圧濃度が得られる。
【0087】
さらなる実施形態では、局所用製剤は、保存剤をさらに含むことができる。保存剤は、典型的には、第四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、又は塩化ベンゾキソニウム(例えば、塩化N-ベンジル-N-(C~C18ジメチルアンモニウム)などから選択することができる。
【0088】
第四級アンモニウム塩とは異なる保存剤の例には、例えば、チオサリチル酸のアルキル水銀塩、例えば、チオメルサール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、若しくはホウ酸フェニル水銀など、過ホウ酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、パラベン、例えば、メチルパラベン若しくはプロピルパラベンなど、アルコール、例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコール若しくはフェニルエタノールなど、グアニジン誘導体、例えば、クロルヘキシジン(chlorohexidine)若しくはポリヘキサメチレンビグアナイドなど、過ホウ酸ナトリウム、又はソルビン酸が含まれる。
【0089】
適切な場合には、十分な量の保存剤を、眼科用組成物に添加して、細菌及び真菌菌類によって引き起こされる使用中の二次汚染からの防御を確実にすることができる。
【0090】
別の実施形態では、製剤は、保存剤を含まない。
【0091】
本明細書に記載した製剤は、可溶化剤をさらに含むことができる。適切な可溶化剤には、限定はされないが、チロキサポール、脂肪酸グリセロールポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテル、又はシクロデキストリンが含まれる。
【0092】
製剤は、非毒性の賦形剤、例えば、乳化剤、湿潤剤、又は充填剤など、例えば、200、300、400、及び600で表されるポリエチレングリコール、又は1000、1500、4000、6000、及び10000で表されるCarbowaxなどをさらに含むことができる。添加される賦形剤の量及び種類は、個別の必要性に従うものであり、一般に、およそ0.0001~およそ90重量%の範囲内である。担体の粘度を調節する(例えば、増大させる)ために、本発明の製剤に、他の化合物も添加することができる。増粘剤の例には、限定はされないが、多糖、例えばヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、デキストラン、セルロース系統の種々のポリマー;ビニルポリマー;並びにアクリル酸ポリマーが含まれる。
【0093】
いくつかの実施形態では、製剤は、LXRアゴニストを含む。本発明のいくつかの実施形態では、LXRアゴニストは:
2-(4-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)-1H-インドール-1-イル)酢酸(化合物A);
1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン(化合物B);
(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸(化合物C);
(R)-(2-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-(メチルスルホニル)フェニル)-2-イソプロピルピペラジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)メタノール(化合物D);
2-(5-(メチル(3-((7-プロピル-3-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソキサゾール-6-イル)オキシ)プロピル)アミノ)ピラジン-2-イル)酢酸(化合物E);
N-(4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ベンゼンスルホンアミド(化合物F);
2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル(化合物G);
2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)フェニル)酢酸(化合物H);
2-(2-(2-(2,6-ジクロロフェニル)プロパン-2-イル)-1-(3,3’-ジフルオロ-4’-(ヒドロキシメチル)-5’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)プロパン-2-オール(化合物I);
2-(4-(ベンジル(エチル)アミノ)-3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール(化合物J);
2-クロロ-4-(5-シアノ-6-(4-(2-メチル-2-フェニルプロパノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物K);
2-(2-クロロ-4-フルオロベンジル)-3-(4-フルオロフェニル)-7-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾール(化合物L);
2-クロロ-4-(1’-((2-クロロフェニル)スルホニル)-[4,4’-ビピペリジン]-1-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物M);
(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール(化合物N)、
又はその塩、エステル、若しくは共結晶
の少なくとも1つである。
【0094】
いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、約0.01%w/w~約10%w/w、又は約0.01%w/w~約5%w/w、又は約0.05%~約3%w/w、又は約0.05%w/w~約0.5%w/w、又は約0.15%w/w、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1.0%w/w、約1.5%w/w、又は約2.0%w/wの濃度で製剤中に存在する。
【0095】
特定の実施形態では、製剤は、約0.05%w/w、約0.15%w/w、又は1.0%w/wの濃度で、1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール、又はその塩、エステル、若しくは共結晶を含む。
【0096】
特定の実施形態では、LXRアゴニストを含む製剤は、ゲル、軟膏、又は熱ゲル化製剤である。
【0097】
LXRアゴニストは、通常、約0.1%~約10.0%w/wの量で、これらの製剤に含有されることとなる。いくつかの実施形態では、投与のためのLXRアゴニストの濃度は、約0.5%~約1.5%w/w、約0.5%~約2.5%w/w、約0.5%~約3.5%w/w、約0.5%~約3.0%w/w、約1.0%~約2.5%w/w、約1.5%~約6.0%w/w、約0.5%~約5.0%w/wの範囲である。いくつかの実施形態では、局所使用のための製剤中のLXRアゴニストの濃度は、少なくとも約0.5%w/w、少なくとも約1.0%w/w、少なくとも約1.5%w/w、少なくとも約2.0%w/w、少なくとも約2.5%w/w、約3.0%w/w、約3.5%w/w、約4.0%w/w、約4.5%w/w、約5.0%w/w、約5.5%w/w、又は約6.0%w/wである。いくつかの実施形態では、局所使用のための製剤中のLXRアゴニストの濃度は、多くとも約6.0%w/w、多くとも約4.5%w/w、多くとも約4.0%w/w、多くとも約3.5%w/w、又は多くとも約3.0%w/wである。特定の実施形態では、局所使用のための製剤中のLXRアゴニストの濃度は、約0.5%w/w、約1.0%w/w、約1.5%w/w、約2.0%w/w、約2.5%w/w、約3.0%w/w、約3.5%w/w、約4.0%w/w、約4.5%w/w、約5.0%w/w、約5.5%w/w、又は約6.0%w/wである。
【0098】
いくつかの実施形態では、製剤は、熟練の医師の慣例的裁量に応じて、1日に1~6回、目の表面に送達される。いくつかの実施形態では、製剤は、1日に1、2、3、又は4回投与される。
【0099】
別段の指定がない限り、LXRアゴニストについて本明細書で言及される重量又は投薬量は、その塩又はプロドラッグの重量又は投薬量ではなく、化合物それ自体の重量又は投薬量であり、これは、意図される治療効果を達成するためのものとは異なる可能性がある。例えば、本明細書に開示された方法、組成物、又は組み合わせに適した化合物の対応する塩の重量又は投薬量は、塩と化合物それ自体との分子量の比に基づいて算出することができる。
【0100】
LXRアゴニスト及び/又はその薬学的に許容される塩は、目への送達のための眼科的に適合性のある製剤に組み込むことができる。化合物は、眼科的に許容される保存剤、界面活性剤、粘度増強剤、浸透増強剤、緩衝液、塩化ナトリウム、及び水と組み合わせて、水性の無菌の眼科用懸濁剤又は液剤を形成することができる。
【0101】
医薬製剤は、LXRアゴニストに加えて、追加の治療薬を含むことができる。さらなる治療薬には、例えば、眼障害を治療するのに有用な他の化合物及び抗体が含まれ得る。こうした薬剤の非限定的なリストには、レチノイドX受容体アゴニスト、例えばビタミンA、レチノイン酸、フィタン酸、リトコール酸、ベキサロテン、ドコサヘキサエン酸、又はフルロベキサロテン(flurobexarotene)が含まれる。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト、又は眼科用ステロイドである。特定の実施形態では、RXRアゴニストは、ビタミンA、レチノイン酸、フィタン酸、リトコール酸、ベキサロテン、ドコサヘキサエン酸、フルロベキサロテン(flurobexarotene)、又はその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態では、眼科用ステロイドは、デキサメタゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メドリゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リメキソロン、又はその薬学的に許容される塩である。医薬組成物に含めることができるこうした追加の治療薬のさらなる非限定的な例には、Xiidra(登録商標)(リフィテグラスト)、Restasis(登録商標)(シクロスポリン)、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、又は他のテトラサイクリン抗生物質が含まれる。他の例には、角質溶解薬、例えば二硫化セレン、サリチル酸、グリコール酸など、又はその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明は、約0.5%w/w~約6.0%w/wの濃度の、眼科的に適合性のある製剤での、それを必要とする対象へのLXRアゴニストの投与を提供する。いくつかの実施形態では、投与のための濃度は、約0.5%~約3.5%w/w、約0.5%~約2.5%w/w、約0.5%~約1.5%w/w、約0.5%~約3.0%w/w、約1.0%~約2.5%w/w、約1.5%~約3.0%w/w、約0.5%~約2.5%w/wの範囲である。特定の実施形態では、局所使用のための製剤中のLXRアゴニストの濃度は、約0.5%w/w、約1.0%w/w、約1.5%w/w、約2.0%w/w、約2.5%w/w、約3.0%w/w、約3.5%w/w、約4.0%w/w、約4.5%w/w、約5.0%w/w、約5.5%w/w、又は約6.0%w/wである。いくつかの実施形態では、LXRアゴニストは、1日に1~6回、例えば、1日に1、2、3、又は4回、対象に投与される。
【実施例
【0103】
本発明の非限定的な実施形態を示すために、次の実施例が含められる。
【0104】
実施例1.SZ95-SCD1-HiBit細胞におけるSCD1発現の測定
SZ95-SCD1-HiBit細胞を、3000細胞/30μlの密度で、384ウェル細胞培養白色プレートに播種した。蒸発を防止するために、エッジウェルに水を添加した。5%COを含む加湿インキュベーター中で、37℃で一晩、細胞をインキュベートした。被験化合物を、Agilent BRAVO Automated Liquid Handling Platformを使用して1:3の比で希釈し、18μMから最終濃度で細胞に添加した。化合物Hは、各プレートにおいて、基準化合物として使用した。このアッセイプレート中の細胞を、5%COを含む加湿インキュベーター中で、37℃で48時間、インキュベートした。
【0105】
アッセイプレートを、インキュベーターから取り出し、室温に対して平衡化させた。このアッセイプレートに、各ウェルに、細胞培養培地と等しい体積のNano-Glo(登録商標)HiBiT検出試薬(Promega;Nano-Glo HiBiT検出緩衝液と、Nano-Glo HiBiT検出基質と、LgBiTタンパク質との混合物)を添加した。プレートを、室温で10分間、300~600rpmの速度のオービタルシェーカーに乗せ、1秒の読み取り時間を用いて、発光検出を使用して、EnVisionプレートリーダーで読み取った。
【0106】
このアッセイは、インビトロでのSCD1タンパク質産生の増大を測定する。結果を、下の表1に示す。Amaxは、基準化合物に対する被験化合物のEC50(%)を指す。
【0107】
【表3】
【0108】
実施例2.指標脂質アッセイ
SZ95(不死化ヒト皮脂腺細胞)細胞を、10細胞/135μlの密度で、50μg/mlヒト血漿フィブロネクチン(Thermo Fisher Scientific)であらかじめ処理したGreiner bio-one 96ウェルポリプロピレンプレートに播種した。5%COを含む加湿インキュベーター中で、37℃で一晩、細胞をインキュベートした。試験化合物を、1:3の比で希釈し、10μMから最終濃度で細胞に添加した。化合物Hは、各プレートにおいて、正の対照基準化合物として使用した。このアッセイプレート中の細胞を、5%COを含む加湿インキュベーター中で、37℃で72時間、インキュベートした。
【0109】
細胞から培養培地を除去し、培養プレート中の細胞を、氷冷リン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄した。プレートをヒートシーリングし、指標脂質アッセイまで-80℃の冷凍庫で保管した。
【0110】
指標脂質アッセイ:指標脂質アッセイを使用して、LXRアゴニスト化合物の投与時の、SZ95脂腺細胞における全般的な不飽和指数の変化を定量化した。このアッセイは、細胞中の飽和脂質と不飽和脂質との両方の集団の全般的変化をモデル化するであろう、マイバム中の脂質分析物のより小さい分画(「指標脂質」と名付ける)を測定する。このより小さい分画の脂質を定義するために、完全な脂質プロフィールを、化合物A~Nの用量反応曲線(4nM~10uMの8段階)で記録した。エラスティックネット回帰モデルを、飽和脂質と不飽和脂質の両方に別々に適用して、脂質の総集団を適切にモデル化するために使用することができる係数及び分析物の最小の組み合わせを決定した。エラスティックネットモデルは、425種の脂質の挙動を11種の脂質に減少させることができ、脂質の完全集合を使用して観察される不飽和指数と、11種の指標脂質からのものとの間の相関は、0.96であった。
【0111】
この減少させた指標脂質の集合を使用して、ミディアムスループットアッセイを作成した。1つの回分は、3つの独自のプレートの3つ組の例と定義される(すなわち、細胞の1つの回分は、LC-MSMS分析のための9つのプレートを作成するために使用される)。脂質は、脂質存在量を定量化するための内部標準として使用される10nMの重水素化標準のトリグリセリドを含有する塩化メチレン/メタノールの1:1混合物を使用して、細胞から抽出した。脂質を分離した後、5分のHPLCグラジエントを使用する質量分析を行った。指標脂質及び内部標準の存在量を、トリプル四重極質量分析計で、多重反応モニタリングモード(multiple reaction monitor mode)(MRM)を使用して測定する。データを、全イオン電流からナノモル/10細胞に変換し、これにエラスティックネットモデルからの係数を掛けて、有効な不飽和及び飽和含有量、及びその時の投与を受けた細胞の不飽和指数を決定した。複数の回分からの化合物を互いに比較するために、測定された生の不飽和指数を、DMSO投与を受けた細胞の不飽和指数で割ることによって規準化し、すべてのデータを、その化合物が不飽和指数を1よりも大きく増大させた割合として評価した。指標脂質アッセイからの結果を、表2に示す。Amax値は、基準化合物に対する被験化合物のEC50(%)を指す。
【0112】
【表4】
【0113】
実施例3.例示的化合物の眼瞼薬物動態
好適な賦形剤中の懸濁液としての1%化合物Gの製剤を、次の通りにウサギに投与した。動物に、鎮静剤を投与し、両方のまぶたの上の、睫毛及び両方の目の上の毛を、できるだけ短く刈り取った。30マイクロリットルの1%化合物Gを、ピペットに吸引し、動物の眼瞼全体の周囲に、物質の目自体への漏出を防止するようにまぶたの縁から数ミリメートル後方に、慎重にピペッティングした。適用後、綿棒又はアイスピアを使用して、物質を皮膚に穏やかに試し、揉み込んだ。適切な時点で、動物を安楽死させ、マイボーム腺を取り除き、マイボーム腺中の化合物の濃度を測定した。実験は3連で行い、下の結果は、平均濃度(nM)を示す。
【0114】
【表5】
【0115】
上の表で分かる通り、マイボーム腺への取り込みが示された化合物Gは、少なくとも6時間維持された。
【0116】
実施例4.低下されるマイバム融解温度のインビボ測定
特定の化合物:化合物B及び化合物Cについて、ラットマイバム融解温度の低下を、野生型のスプラーグドーリー(Sprague Dawley)ラットにおいて測定した。試験動物に、賦形剤又は化合物B若しくは化合物Cを投与し、化合物の投与時に収集されたマイバムを、示差走査熱量測定によって分析して、融点を測定した。化合物B又は化合物Cを投与されたラットにおけるマイバム融点の低下を、賦形剤と比較した。
【0117】
TA Discovery Q5000(ThermoAnalytical)で記録される示差走査熱量測定サーモグラムを使用して、マイバムの融解特性を得た。試料を、標準の40μlアルミニウムパンに密閉し、加熱-冷却-加熱サイクルにかけた(融解温度は、第2加熱ランプで記録される)。試料は、30K/分で150℃まで第1加熱を行い、次いで、30K/分で-30℃まで冷却した。次に、2K/分の基本の加熱速度、60秒の変調期間、及び1℃の温度変調振幅を用いて、試料を75℃まで加熱した。測定中、50mL/分の流速の乾燥Nガスを使用して、DSC装置をパージした。融解の開始及びピーク温度を、融点と見積もられるピーク温度と共に記録した。
【0118】
このアッセイからの結果を、表3に、及び図1及び2に示す。結果を、Welchの補正を用いる独立t検定を使用して解析した。
【0119】
【表6】
【0120】
本明細書に与えられる結果において見られる通り、例示的LXRアゴニストは、インビボでマイバム融解温度を低下させる、且つインビトロでマイバム不飽和指数を増大させることが可能であった。
【0121】
実施形態の列挙
第1の態様では、本発明は、それを必要とする対象におけるマイボーム腺機能不全(MGD)を治療する方法であって、有効量の肝臓X受容体(LXR)アゴニストを対象に投与することを含む方法を提供する。
【0122】
第1の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは:
2-(4-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)-1H-インドール-1-イル)酢酸;
1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;
(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;
(R)-(2-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-(メチルスルホニル)フェニル)-2-イソプロピルピペラジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)メタノール;
2-(5-(メチル(3-((7-プロピル-3-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソキサゾール-6-イル)オキシ)プロピル)アミノ)ピラジン-2-イル)酢酸;
N-(4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ベンゼンスルホンアミド;
2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸塩エチル;
2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)フェニル)酢酸;
2-(2-(2-(2,6-ジクロロフェニル)プロパン-2-イル)-1-(3,3’-ジフルオロ-4’-(ヒドロキシメチル)-5’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)プロパン-2-オール;
2-(4-(ベンジル(エチル)アミノ)-3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール;
2-クロロ-4-(5-シアノ-6-(4-(2-メチル-2-フェニルプロパノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
2-(2-クロロ-4-フルオロベンジル)-3-(4-フルオロフェニル)-7-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾール;
2-クロロ-4-(1’-((2-クロロフェニル)スルホニル)-[4,4’-ビピペリジン]-1-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール;
その塩、エステル、又は共結晶
である。
【0123】
第1の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは、1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール、又はその塩、エステル、若しくは共結晶である。
【0124】
第1の態様の一実施形態では、この方法は、約0.001mg~約50mgのLXRアゴニストを対象に投与することを含む。
【0125】
第1の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは、対象の眼に投与される。
【0126】
一実施形態では、眼投与は、対象の眼瞼に対するものである。
【0127】
一実施形態では、眼投与は、対象の眼表面に対するものである。
【0128】
第1の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは、薬学的に許容される製剤に製剤化される。一実施形態では、薬学的に許容される製剤は、液剤、懸濁剤、ゲル、クリーム、軟膏、リポソーム、又は眼内挿入物である。
【0129】
一実施形態では、薬学的に許容される製剤中のLXRアゴニストの濃度は、約0.01%w/w~約10%w/w、又は約0.01%w/w~約5%w/w、又は約0.05%~約3%w/w、又は約0.05%w/w~約0.5%w/w、又は約0.15%w/w、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1.0%w/w、約1.5%w/w、約2.0%w/w、約2.5%w/w、約3.0%w/w、約3.5%w/w、約4.0%w/w、約4.5%w/w、約5.0%w/w、約5.5%w/w、又は約6.0%w/wである。
【0130】
第1の態様の一実施形態では、投与は、対象におけるマイバムの不飽和指数の増大をもたらす。
【0131】
一実施形態では、ヒト皮脂腺細胞株(SZ95)細胞によって産生される非極性脂質の不飽和指数は、インビトロで測定された場合に、約10%~約200%、約10%~約150%、又は約10%~約100%増大される。
【0132】
第1の態様の一実施形態では、投与は、対象におけるマイバムの融解温度の低下をもたらす。一実施形態では、マイバムの融解温度は、約5、約4、約3、約2、又は約1摂氏度低下する。
【0133】
一実施形態では、対象は、ドライアイ疾患と診断される。一実施形態では、投与は、ドライアイ疾患の徴候及び/又は症状を軽減させる。
【0134】
一実施形態では、LXRアゴニストの投与は、以下のうちの1つ以上をもたらす:
少なくとも約2、3、4、又は5秒の涙液膜破壊時間の延長;
1若しくは2若しくは3等級のマイボーム腺圧出等級付けの向上;
少なくとも約10%の涙液メニスカスの増大;
少なくとも約2、3、4、又は5秒の涙液膜破壊時間の延長;
少なくとも約10%の角膜フルオレセイン染色の低下、又は
少なくとも約2mmのシルマーテストスコアの増大。
【0135】
一実施形態では、投与は、眼球乾燥、眼部不快感又は眼痛、目のかゆみ、霧視、瞼の重さ若しくは目の疲労、涙目、眼充血、眼球の焼けるような又は刺すような痛み、ごろごろ感又は異物感、又は羞明若しくは光敏感性、目ヤニのある若しくは赤い若しくは腫脹した眼瞼若しくは眼瞼縁、風若しくは低湿度などの環境因子に対する敏感性、コンタクトレンズ使用に対する忍容性の喪失のうちの1つ以上における少なくとも約10%の発生頻度低下をもたらす。
【0136】
第1の態様の一実施形態では、この方法は、追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。一実施形態では、追加の治療薬は、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト、眼科用ステロイド、角質溶解薬、ドライアイ薬、又はテトラサイクリン抗生物質である。特定の実施形態では、RXRアゴニストは、ビタミンA、レチノイン酸、フィタン酸、リトコール酸、ベキサロテン、ドコサヘキサエン酸、フルロベキサロテン(flurobexarotene)、又はその薬学的に許容される塩であるか;
眼科用ステロイドは、デキサメタゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メドリゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リメキソロン、又はその薬学的に許容される塩であるか;
ドライアイ薬は、リフィテグラスト又はシクロスポリンであるか;又は
角質溶解薬は、二硫化セレン、サリチル酸、グリコール酸、又はその薬学的に許容される塩である。
【0137】
第2の態様では、本発明は、マイボーム腺機能不全(MGD)を患う対象におけるステアロイル-CoAデサチュラーゼ1(SCD1)を上方調節する方法であって、対象に肝臓X受容体(LXR)アゴニストを投与することを含む方法を提供する。
【0138】
第2の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは:
2-(4-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)-1H-インドール-1-イル)酢酸;
1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;
(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;
(R)-(2-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-(メチルスルホニル)フェニル)-2-イソプロピルピペラジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)メタノール;
2-(5-(メチル(3-((7-プロピル-3-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソキサゾール-6-イル)オキシ)プロピル)アミノ)ピラジン-2-イル)酢酸;
N-(4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ベンゼンスルホンアミド;
2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;
2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)フェニル)酢酸;
2-(2-(2-(2,6-ジクロロフェニル)プロパン-2-イル)-1-(3,3’-ジフルオロ-4’-(ヒドロキシメチル)-5’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)プロパン-2-オール;
2-(4-(ベンジル(エチル)アミノ)-3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール;
2-クロロ-4-(5-シアノ-6-(4-(2-メチル-2-フェニルプロパノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
2-(2-クロロ-4-フルオロベンジル)-3-(4-フルオロフェニル)-7-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾール;
2-クロロ-4-(1’-((2-クロロフェニル)スルホニル)-[4,4’-ビピペリジン]-1-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール、
その塩、エステル、又は共結晶
である。
【0139】
第2の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは、1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール、又はその塩、エステル、若しくは共結晶である。
【0140】
第2の態様の一実施形態では、この方法は、約0.001mg~約50mgのLXRアゴニストを対象に投与することを含む。
【0141】
第2の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは、対象の眼に投与される。一実施形態では、眼投与は、対象の眼瞼に対するものである。一実施形態では、眼投与は、対象の眼表面に対するものである。
【0142】
第2の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは、薬学的に許容される製剤に製剤化される。
【0143】
第2の態様の一実施形態では、薬学的に許容される製剤は、液剤、懸濁剤、ゲル、クリーム、軟膏、リポソーム、又は眼内挿入物である。一実施形態では、薬学的に許容される製剤中のLXRアゴニストの濃度は、約0.01%w/w~約10%w/w、又は約0.01%w/w~約5%w/w、又は約0.05%~約3%w/w、又は約0.05%w/w~約0.5%w/w、又は約0.15%w/w、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1.0%w/w、約1.5%w/w、約2.0%w/w、約2.5%w/w、約3.0%w/w、約3.5%w/w、約4.0%w/w、約4.5%w/w、約5.0%w/w、約5.5%w/w、又は約6.0%w/wである。
【0144】
第2の態様の一実施形態では、投与は、対象におけるマイバムの不飽和指数の増大をもたらす。一実施形態では、ヒト皮脂腺細胞株(SZ95)細胞によって産生される非極性脂質の不飽和指数は、インビトロで測定された場合に、約10%~約200%、約10%~約150%、又は約10%~約100%増大される。
【0145】
第2の態様の一実施形態では、投与は、対象におけるマイバムの融解温度の低下をもたらす。
【0146】
第2の態様の一実施形態では、マイバムの融解温度は、約5、約4、約3、約2、又は約1摂氏度低下する。
【0147】
第2の態様の一実施形態では、対象は、ドライアイ疾患と診断される。一実施形態では、投与は、ドライアイ疾患の徴候及び/又は症状を軽減させる。
【0148】
第2の態様の一実施形態では、投与は、以下のうちの1つ以上をもたらす:
少なくとも約2、3、4、又は5秒の涙液膜破壊時間の延長;
1若しくは2若しくは3等級のマイボーム腺圧出等級付けの向上;
少なくとも約10%の涙液メニスカスの増大;
少なくとも約2、3、4、又は5秒の涙液膜破壊時間の延長;
少なくとも約10%の角膜フルオレセイン染色の低下、又は
少なくとも約2mmのシルマーテストスコアの増大。
【0149】
第2の態様の一実施形態では、投与は、眼球乾燥、眼部不快感又は眼痛、目のかゆみ、霧視、瞼の重さ若しくは目の疲労、涙目、眼充血、眼球の焼けるような又は刺すような痛み、ごろごろ感又は異物感、又は羞明若しくは光敏感性、目ヤニのある若しくは赤い若しくは腫脹した眼瞼若しくは眼瞼縁、風若しくは低湿度などの環境因子に対する敏感性、コンタクトレンズ使用に対する忍容性の喪失のうちの1つ以上における少なくとも約10%の発生頻度低下をもたらす。
【0150】
第2の態様の一実施形態では、この方法は、追加の治療薬を対象に投与することを含む。一実施形態では、追加の治療薬は、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト、眼科用ステロイド、角質溶解薬、ドライアイ薬、又はテトラサイクリン抗生物質である。一実施形態では、RXRアゴニストは、ビタミンA、レチノイン酸、フィタン酸、リトコール酸、ベキサロテン、ドコサヘキサエン酸、フルロベキサロテン(flurobexarotene)、又はその薬学的に許容される塩であるか;
眼科用ステロイドは、デキサメタゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メドリゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リメキソロン、又はその薬学的に許容される塩であるか;
ドライアイ薬は、リフィテグラスト又はシクロスポリンであるか;又は
角質溶解薬は、二硫化セレン、サリチル酸、グリコール酸、又はその薬学的に許容される塩である。
【0151】
第3の態様では、本発明は、それを必要とする対象におけるマイボーム腺機能不全(MGD)の症状を低減させる方法であって、有効量の肝臓X受容体(LXR)アゴニストを対象に投与することを含む方法を提供する。
【0152】
第3の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは:
2-(4-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)-1H-インドール-1-イル)酢酸;
1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;
(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;
(R)-(2-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-(メチルスルホニル)フェニル)-2-イソプロピルピペラジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)メタノール;
2-(5-(メチル(3-((7-プロピル-3-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソキサゾール-6-イル)オキシ)プロピル)アミノ)ピラジン-2-イル)酢酸;
N-(4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ベンゼンスルホンアミド;
2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;
2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)プロポキシ)フェニル)酢酸;
2-(2-(2-(2,6-ジクロロフェニル)プロパン-2-イル)-1-(3,3’-ジフルオロ-4’-(ヒドロキシメチル)-5’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)プロパン-2-オール;
2-(4-(ベンジル(エチル)アミノ)-3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール;
2-クロロ-4-(5-シアノ-6-(4-(2-メチル-2-フェニルプロパノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
2-(2-クロロ-4-フルオロベンジル)-3-(4-フルオロフェニル)-7-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾール;
2-クロロ-4-(1’-((2-クロロフェニル)スルホニル)-[4,4’-ビピペリジン]-1-イル)-N,N-ジメチルベンズアミド;
(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール、
その塩、エステル、又は共結晶
である。
【0153】
第3の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは、1,1-二酸化2-(tert-ブチル)-5-フェニル-4-((4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)アミノ)イソチアゾール-3(2H)-オン;(R)-2-(3-(3-((2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)(2,2-ジフェニルエチル)アミノ)ブトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン酸;2-(5-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル;(R)-2-(2-(8-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-7-(メチルスルホニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)プロパン-2-オール、又はその塩、エステル、若しくは共結晶である。
【0154】
第3の態様の一実施形態では、この方法は、約0.001mg~約50mgのLXRアゴニストを対象に投与することを含む。
【0155】
第3の態様の一実施形態では、LXRアゴニストは、対象の眼に投与される。一実施形態では、眼投与は、対象の眼瞼に対するものである。
【0156】
一実施形態では、眼投与は、対象の眼表面に対するものである。
【0157】
本明細書に引用したすべての刊行物及び特許文献を、まるで、こうした各刊行物又は文献が参照によって本明細書に組み込まれることが具体的に且つ個々に示されるかのように、参照によって本明細書に組み込む。本発明及びその実施形態を、詳細に説明してきた。しかし、本発明の範囲は、本明細書に記載されるあらゆるプロセス、製造、物質組成、化合物、手段、方法、及び/又はステップの特定の実施形態に限定されることは意図されない。本発明の趣旨及び/又は基本的特徴特性を逸脱せずに、開示された物質に対して様々な改変、置換、及び変更を行うことができる。したがって、当業者は、本明細書に記載した実施形態と実質的に同じ機能を果たす又は実質的に同じ結果を達成するその後の改変、置換、及び/又は変更を、本発明のこうした関連する実施形態に従って利用できることを、本発明から容易に理解することとなる。このように、次の特許請求の範囲は、その範囲内に、本明細書に開示されるプロセス、製造、物質組成、化合物、手段、方法、及び/又はステップに対する改変、置換、及び変更を包含することが意図される。特許請求の範囲は、その影響に対する記述がない限り、記載された順序又は要素に限定されると読み取られるべきではない。添付の特許請求の範囲の範囲を逸脱せずに、形態及び細部の様々な変化を施すことができることが理解されよう。
図1
図2
【国際調査報告】