(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(54)【発明の名称】チェーン移送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 17/26 20060101AFI20220913BHJP
B23Q 3/155 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B65G17/26 B
B23Q3/155 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502842
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2020068553
(87)【国際公開番号】W WO2021008873
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102019004954.3
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522018701
【氏名又は名称】ヘドリッヒ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ、ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】マイス、ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】バウフ、カール
【テーマコード(参考)】
3C002
【Fターム(参考)】
3C002AA04
(57)【要約】
【課題】フレキシブルな移送システムを創作する。
【解決手段】本発明は、部品及び工具を移送及び駆動するための方法及び装置に関し、同時に部品支持器(2)の支承、駆動、及び位置決めが、部品支持器(2)と固定結合された少なくとも2つのチェーンホイール(3)により行われ、これらのチェーンホイール(3)は、特に被駆動式の4つのチェーンに係合し、これらのチェーンを用い、部品支持器(2)及び工具が移動され、回転され、及び僅かに旋回されることにより特徴付けられている。上側チェーン(6)と下側チェーン(7)が同じ速度で反対の運動方向の場合には、部品支持器(2)は、その場で回転し、それらの両方のチェーンが同じ速度で同じ運動方向の場合には、部品支持器(2)は、回転することなくチェーン速度で同じ運動方向に運動し、それらのチェーンが異なる速度で同じ運動方向又は異なる運動方向の場合には、回転方向、運動方向、移送速度、及び回転数の様々な組み合わせが実現可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品及び工具を移送及び駆動するための方法であって、
部品支持器(2)の支承、駆動、及び位置決めが、部品支持器(2)と固定結合された少なくとも2つのホイール、特にチェーンホイール(3)により行われ、これらのホイールは、特に被駆動式の4つのチェーンに係合し、これらのチェーンを用い、部品支持器及び工具が移動され、回転され、及び僅かに旋回されること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
特に両方の上側チェーン(6)及び両方の下側チェーン(7)のための駆動ホイールは、それぞれ1つの軸上に設けられており、それぞれ固有の駆動部を有し、これらの駆動部は、上側チェーン(6)及び下側チェーン(7)のために異なる回転方向と速度をもつことができ、
部品支持器(2)は、上側チェーン(6)と下側チェーン(7)が(部品支持器(2)のチェーンホイール(3)との各係合の際)、同じ速度で反対の運動方向の場合には、その場で回転し、上側チェーン(6)と下側チェーン(7)が同じ速度で同じ運動方向の場合には、部品支持器(2)は、回転することなくチェーン速度で(同じ)運動方向に移送され、上側チェーン(6)と下側チェーン(7)が異なる速度で同じ運動方向又は異なる運動方向の場合には、(部品支持器(2)の)回転方向、運動方向、移送速度、及び回転数の様々な組み合わせが実行されること、
を特徴とする、請求項1に記載の部品及び工具を移送及び駆動するための方法。
【請求項3】
部品及び工具は、組み合わせられて、予め選択可能な間隔で、同じ区間を進み、それにより部品は、移送中に、ゲル化プロセス及び硬化プロセス中に、並びに冷却中に、クリーニングされ、コーティングされ、又は加工されること、
を特徴とする、請求項1及び2に記載の部品及び工具を移送及び駆動するための方法。
【請求項4】
請求項1~3の少なくとも一項に記載の、主に持続的な回転のもと、部品、特にステータ及びロータ、をフレキシブルに移送するための装置であって、
部品支持器(2)が、間隔をおいて互いに固定的に位置決めされた少なくとも2つのチェーンホイール(3)の形式の支承箇所及び駆動要素を有し、各チェーンホイール(3)は、上側チェーン(6)及び下側チェーン(7)に係合すること、
を特徴とする装置。
【請求項5】
上側チェーン(6)は、下側チェーン(7)と同様に、1つの共通の駆動軸及び別々の駆動部を有し、複数の移送ユニット(1)の上側チェーン(6)は、下側チェーン(7)と同様に、選択的に1つの駆動部と接続されており、これらのチェーンのガイド要素として、好ましくはガイドレール(8)及び二重チェーンホイール(4)が使用されていること、
を特徴とする、請求項4に記載の、主に持続的な回転のもと、部品、特にステータ及びロータ、をフレキシブルに移送するための装置。
【請求項6】
取り出し箇所及び送り込み箇所は、上側チェーン(6)及び/又は下側チェーン(7)におけるチェーン長補償機能を備えた手動式で又は自動式で操作されるチェーン位置決め装置を有し、又は、取り出し箇所及び送り込み箇所は、移送ユニット(1)の開始部及び終端部に位置決めされていること、
を特徴とする、請求項4及び5の少なくとも一項に記載の、主に持続的な回転のもと、部品、特にステータ及びロータ、をフレキシブルに移送するための装置。
【請求項7】
互いに依存しないモジュール構造の複数の移送ユニット(1)から装置が構成されており、それらの移送ユニット(1)は、部品支持器(2)が通過可能であり、下側チェーン(7)における移行部は、上側チェーン(6)における移行部に対して好ましくはずらされて配設されており、一方のチェーンから他方のチェーンへの移行箇所には、スライドレール(9)を移行要素として固定することが提案されていること、
を特徴とする、請求項4~6の少なくとも一項に記載の、主に持続的な回転のもと、部品、特にステータ及びロータ、をフレキシブルに移送するための装置。
【請求項8】
チェーンは、好ましくは三重ローラチェーンであり、駆動ホイール及び方向転換ホイールは、好ましくは二重チェーンホイール(4)により外側の軌道に係合し、部品支持器(2)上のチェーンホイール(3)は、中央の軌道に係合し、外側のローラ軌道は、好ましくはガイド軌道内で支持レール上を走行し、三重チェーン(5)は、オプションとして外側リンクの代わりにディスクと固定要素のみを有すること、
を特徴とする、請求項4~7の少なくとも一項に記載の、主に持続的な回転のもと、部品、特にステータ及びロータ、をフレキシブルに移送するための装置。
【請求項9】
チェーンは、一軌道式のチェーン、特にローラチェーン又は丸鋼チェーンであり、少なくとも方向転換ホイール又は部品支持器(2)上のチェーンホイール(3)は、ポケットホイールとして形成されていること、
を特徴とする、請求項4~8の少なくとも一項に記載の、主に持続的な回転のもと、部品、特にステータ及びロータ、をフレキシブルに移送するための装置。
【請求項10】
チェーンは、ベルトと交換され、特に二重歯付きベルトと交換され、チェーンホイール(3)は、ベルトホイールと交換されており、又は、チェーンは、ケーブルで置き換えられ、チェーンホイール(3)は、ケーブルホイールで置き換えられていること、
を特徴とする、請求項4~9の少なくとも一項に記載の、主に持続的な回転のもと、部品、特にステータ及びロータ、をフレキシブルに移送するための装置。
【請求項11】
部品支持器(2)は、手動式の又は自動式の操作機構を備えた少なくとも1つの位置決め装置及び/又は引張装置を有し、該引張装置は、好ましくは、ばねの形式のエネルギー蓄積器を有すること、
を特徴とする、請求項4~10の少なくとも一項に記載の、主に持続的な回転のもと、部品、特にステータ及びロータ、をフレキシブルに移送するための装置。
【請求項12】
部品支持器(2)は、自動式の又は手動式の工具連結箇所を備えており、又は工具で置き換えられており、該工具上には、チェーンホイール(3)が固定されていること、
を特徴とする、請求項4~11の少なくとも一項に記載の、主に持続的な回転のもと、部品、特にステータ及びロータ、をフレキシブルに移送するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーン軌道又はベルト軌道に沿って部品又は工具を特に回転して移送するための方法、及び例示の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータやロータのコイルを含浸するためには、これらのコイルに含浸樹脂がかけられ又はこれらのコイルが含浸樹脂内に浸漬される。含浸樹脂が全周部にわたって均等に配分されたままで且つ滴下しないためには、新たに含浸された部品は、適切に回転され、その後、熱のもとでゲル化されて硬化される。通常、部品(コンポーネント)は、均等な熱分布とその後の均等な冷却を実現し且つそれにより不必要な応力を回避するために、含浸材料の固化後にも回転される、部品の移送は、連続的又は段階的な送り運動により行われる。移送時には、部品ができるだけポイントとしてのみ移送装置ないし部品支持器と接触状態になることが考慮されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-117640号
【特許文献2】独国特許出願公開第2514792号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転する部品を含浸するための既存の装置において、移送は、通常、温度負荷とアグレッシブな蒸気とが原因で堅固なチェーンにより行われ、その回転点には、部品支持器として、特に締付マンドレル、内部チャック、又は類似の締付要素が固定的に又は取り外し可能に嵌め込まれている。部品支持器は、チェーンに回転可能に支承されており、少なくとも1つのチェーンホイール(スプロケット)を有し、該チェーンホイールを使い、これらの部品支持器は、駆動チェーンを用いて回転される。部品支持器が交換可能でなければならない場合には、回転支承された締付マンドレルに代わり、追加的な連結箇所と固定装置を備えた支承式のスリーブがチェーンの回転点に取り付けられる。既知の解決策は、この構造形式と、それにより予め定められた移送方法が原因で、フレキシブルではなく、加工品(ワークピース)の間に異なる間隔は許されず、従って連続炉及び冷却区間内で異なる滞留時間も許されない。既知の機能方式は、装置ごとに1つの連続チェーンだけを可能にし、又はこれらの装置の可能なモジュール構造を困難にする。更に樹脂蒸気と樹脂滴は、支承部と連結箇所にとって特に問題であり、故障をもたらすことになる。また堅固なチェーンの構造上の手間と費用は相当なものである。
【0005】
部品を連続的に回転させる生産機械については、上記特許文献1(JP 2000-117640A)により円形の部品の移送システムが紹介されており、該移送システムでは、部品を予め定められた回転のもと直線的に移送することができる。しかし上記特許文献1は、特定の形に制限されない(unfoermig)部品のための解決策を紹介しているわけではなく、そのような(特定の形の)部品は、部品支持器を用いてのみ、移送中に回転することができ、支承されており、そして正確に位置決めされる。
【0006】
更に上記特許文献2(DE 25 14 792 A1)が参照され、上記特許文献2は、部品又は梱包物を個別化するための移送システムを記載している。紹介された解決策において、移動方向に関して自由に選択可能な移送、さらに移送すべき部品の可変の回転は、移送軌道に対する非接触の運動と回転のための部品の支承機構と同様に、殆ど不可能である。
【0007】
従って本発明の目的(課題)は、フレキシブルな移送システムを創作することであり、該移送システムは、両方向において段階的な移送と連続的な移送の双方を可能にし、この際、速度と回転方向には依存していない。また新しいシステムは、チェーンと締付マンドレルの間の支承部を有さず、連結箇所を用いずに部品を送り込みないし取り出すことができるべきである。締付マンドレルの間の間隔は、フレキシブルであり、部品サイズに適合され得るべきである。移送システムは、モジュール式であるべきであり、このことは、一方の装置部分の移送チェーンから他方の装置部分の移送チェーンに、部品支持器を移行すること、従って部品を移行することが、連続的な回転時にもできるべきであることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明により、請求項1に記載の方法により、及び請求項4に記載の装置により解決される。それぞれに後続の請求項は、更なる構成形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
本発明による方法では、部品支持器、多くの場合は、電気モータのステータ及びロータのための締付装置又は固定装置が、2つのチェーンホイールと固定的に結合されている。両方のチェーンホイールの各々は、向かい合った2つのチェーンに係合する。この際、両方のチェーンホイールに接する上側チェーンは、好ましくは駆動チェーンホイール(複数)により駆動され、これらの駆動チェーンホイールは、1つの駆動軸上に固定的に設けられている。同じことが下側チェーンにも該当する。提案された方法は、この構造に基づき、下側チェーンを上側チェーンに対して他の速度と運動方向で動かせることを可能にする。それにより次の可能性を有する移送方法が得られる:
【0011】
下側チェーンと上側チェーンが(部品支持器のチェーンホイールとの係合の際)同じ運動方向で同じ速度の場合には、部品支持器は、両方のチェーンホイールを用い、回転することなくチェーンのそれぞれの運動方向に移送される。
【0012】
下側チェーンと上側チェーンが(部品支持器のチェーンホイールとの係合の際)反対の運動方向で同じ速度の場合には、部品支持器は、その位置を離れることなく回転する。回転方向は、(下側チェーンと上側チェーンの)チェーン運動方向を逆にすることにより逆転される。
【0013】
下側チェーンと上側チェーンが異なる速さで運動し、また選択的に(部品支持器のチェーンホイールとの係合の際)同じ方向又は異なる方向に運動するのであれば、それにより前進運動と回転の全ての組み合わせを発生させることができる。従って、加工品(即ち、部品支持器)の回転方向、その速度、移送の方向、移送速度は、どの時点でも変更可能である。
【0014】
部品支持器は、移送のためにも回転のためにも所謂支承部(ベアリング)を必要としない。(部品支持器の)チェーンホイール自体が、同時に駆動部であり支承機構である。
【0015】
この新しい方法は、例えば上側チェーンと下側チェーンの間の間隔を変更することにより、連結箇所を用いることなく、加工品を備えた(と共に)部品支持器(複数)の送り込みと取り出しを可能にする。回転する部品支持器は、従前の解決策におけるように固定的にチェーンに組み込まれているわけではないので、部品支持器から部品支持器までの間隔を、加工品サイズとチェーンホイールサイズを考慮して任意に変更することができる。従って様々な部品支持器と加工品サイズへの適合が可能である。
【0016】
また対応の構造を有する提案された方法は、部品を備えた回転する部品支持器を、回転を中断することなく、一方のチェーン駆動機構から他方のチェーン駆動機構に移行させ、そのようにして移送システム全体を構成することを可能にする。更に、連続的な回転のもとで製造すべき部品の場合には、装置をモジュール構造とすることが可能であり、なぜなら、各モジュールが、回転する加工品のためにその固有の移送装置を有することができるためである。
【0017】
チェーンとチェーンホイールに基づいて説明される本方法は、同様に、ベルト、特に歯付きベルトと、ベルトホイール(プーリ)を用いても可能である。またケーブル(ないしロープ)とケーブルホイール(ないしロープホイール)も排除すべきではない。
【0018】
本方法を実行するための装置は、チェーンとチェーンホイールに基づいて記載される。なぜなら、これらの要素は、耐熱性で化学的に抵抗力のある材料から良好に製造され、従って炉と化学的な材料に特に適しているためである。長い耐用年数を有し且つ潤滑剤の使用を伴うことなく稼働されるチェーンが特に提案される。高い要求には特にトリプレックスチェーンが提案され、トリプレックスチェーンは、幅方向(ローラの軸方向)に分配された3つのローラとそれらの間に取り付けられた連結要素とを備え、例えば1/2”、3/4”、1”(”はインチ)の通常のピッチを有する三重チェーンに関するものである。また部品支持器のチェーンホイールは、中央のチェーン列で走行され、駆動チェーンホイール並びに方向転換チェーンホイールは、二重チェーンホイールとして対応の外側のチェーン列(複数)に係合されることが提案される。外側のチェーン列(複数)上のチェーンローラは、代替的に方向転換半径部及びガイドレールへの力導入のためにも用いられる。チェーン外側で幅狭の連結要素だけが使用されるのであれば、外側の軌道(複数)のローラは、例えばガイドレールにおいてチェーンを案内するための支承部として用いられる。軌道(複数)の分割により、可動の部品支持器と、固定的な駆動要素及びガイド要素との相互の干渉がもたらされることはない。
【0019】
移送ラインが蛇行状(ジグザグ状ないしメアンダ状)の延在経過を有する場合、従ってチェーンが蛇行状の延在経過を有する場合には、部品支持器のチェーンホイールに作用する両方(一対)のチェーンの間の間隔が常に同じであることに注意しなくてはならない。このことは、特に水平方向の延在経過における直線的な区間では、サポートレール又はガイドレールにより支援可能である。湾曲部(カーブ部)では、内側のチェーンは、チェーンホイールにより案内され、外側のチェーンは、対応の半径を有するガイドレールにより案内される。
【0020】
一方の移送ユニットから他方の移送ユニットにチェーンホイールを備えた部品支持器を制御して移行させるためには、部品支持器のチェーンホイールを常に係合状態とするために、二重チェーンホイールをできるだけ小さく選択すべきである。また上側チェーンから上側チェーンへの移行部と、下側チェーンから下側チェーンへの移行部とを、移行幅分だけずらすことが提案される。それに加え、移行部には、チェーンの間の部品支持器の位置を移行部においても確保するスライドレールを取り付けることが推奨される。
【0021】
上側チェーンと下側チェーンは、別個に駆動される。駆動部(複数)は、好ましくは搬送区間の終端部に設けられている。チェーン引張器が提案され、該チェーン引張器は、対ごとにそれぞれチェーンのたるみ側(Lostrum)に作用する。
【0022】
(蛇行状のチェーン延在経過を実現する場合に、より良い空間的な利用のためには、垂直方向の延在経過が水平方向の延在経過よりも優先する。なぜなら、部品支持器の質量と加工品の重量、並びにそれから生じるモーメントが実質的に引張力としてチェーンに作用し、曲げ力としてチェーンに作用することはないためである。)
【0023】
部品支持器は、好ましくは、外側に適切な間隔で2つのチェーンホイールが固定されている管部材(パイプ部材)から成る。内側には、片側で突出する固定装置が位置決めされており、該固定装置は、好ましくは反対側から操作される。またオプションとして部品支持器の両端部に固定装置が固定されており、このことは、部品支持器とチェーンの均等な負荷をもたらし且つ二倍の移送容量をもたらす。
【0024】
また提案された方法及び装置は、一軌道式のローラチェーンと、丸鋼チェーンと、ベルトと、特に歯付きベルトとを用いて実現することもできる。丸鋼チェーンの場合には、ポケットホイールが駆動ホイール及び方向転換ホイールとして使用され、それに対し、部品支持器上には、丸鋼チェーンの環部(リング部)に嵌り合う(ないし環部を受容・係合する凹部を有する)ホイールが設けられている。
【0025】
部品を用いる代わりに、少なくとも幾つかの部品支持器は、ブラシ、研磨要素、又はノズルのような工具を装備し、回転駆動が可能であることに基づき、区間に沿った作業(ないし加工処理)を行うことができる。つまり部品を例えば連続炉内の加熱中に同時にブラッシングすることができる。部品支持器自体も工具として構成されていることが可能である。
【0026】
本発明の更なる目的、利点、特徴、並びに適用可能性は、図面に基づく実施例の以下の説明から読みとれる。この際、本明細書に記載された全ての特徴及び/又は本図面に図示された全ての特徴は、それら自体で又はそれらの任意の有意義な組み合わせとして、請求項又は請求項の従属関係におけるそれらの関連付けに依存せずとも、本発明の対象を構成するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】複数の移送ユニットから成る簡素化された一移送システムを主要図として示す図である。
【
図2】簡素化された一移送システムを側面図として示す図である。
【
図3】例示の一部品支持器を、装着された部品とともに示す図である。
【
図4】三重チェーンを有する2つの移送ユニットの間の上側チェーンと下側チェーンのずらされた移行部を示す図である。
【実施例】
【0028】
以下、本発明による方法と、例示の本発明による一装置を、
図1から
図4に基づいて説明する。
【0029】
従来、液状の樹脂の滴下又は不均等な配分を防止するために、樹脂を用いた含浸中及びそれに続くゲル化と硬化の際に連続的に回転される部品(加工品)、特に電気モータのステータやロータは、ころがり支承された又は滑り支承された固定装置を用い、連続的に又は段階的に一方のステーションから他方のステーションに動かされ、この際、追加的なチェーン駆動部により回転されていた。
【0030】
連続的な回転のもとで部品支持器2を用いて部品を移送するための新しい方法は、初めて、そのための支承部を用いることなく両方の機能(移送と回転)を満たすことを可能にする。それに加え、従来、交換可能な部品支持器を用いた解決策のためには、交換用に連結と連結解除のための特殊な継手機構と操作機構、及び連結用に追加的な操作装置が必要であった。この機能も、新しい方法を用い、少なくとも2つのチェーンホイール3と固定結合された部品支持器2が4つのチェーン(ループ状チェーン、ないし無端チェーン)、好ましくは4つの三重チェーン5の間に位置し、搬送区間の終端部で又はチェーン間隔を広げることで(チェーンの間に)入る又は(チェーンの間から)出ることができることにより簡単に与えられている。部品支持器2に作用するすべての力とモーメント(トルク)は、部品支持器2を位置決めするそれらの4つの三重チェーン5により吸収される。この新しい方法は、別々に駆動される2つのチェーン対(チェーンペア)、即ちチェーンホイール3の一方の側の2つの上側チェーン6と、他方の側の2つの下側チェーン7により、可変の総数の部品支持器2を受容し、移送し、駆動することを可能にする。このことは、あくまでも部品支持器2(複数)の間の可変の間隔が可能であることによって、機能する。
【0031】
三重チェーン(Dreifachketten)5の使用により、部品支持器又は工具の(可動の)チェーンホイールと、定置の駆動ホイール及び方向転換(反転)ホイール並びにガイドレールとの間の衝突を回避することができるが、このことは、駆動ホイール及び方向転換ホイールは、二重チェーンホイール4であり、これらの二重チェーンホイール4は、(三重チェーンの)外側の軌道(複数)に係合し、部品支持器2上のチェーンホイール3は、(三重チェーンの)中央の軌道に係合することによる。
【0032】
一軌道式の上側チェーン6と下側チェーン7を用いて走行される場合には、部品支持器2が通過する駆動ホイール及び方向転換ホイールか、又は部品支持器2上に固定されたチェーンホイール3が、定置のホイールと可動のホイールとの接触を排除するために、ポケットホイール(Taschenraeder 即ち、例えばチェーンのローラないし丸鋼チェーンの環部を受容するポケットを外周部に有するチェーンホイール)として構成される。
【0033】
提案されたチェーン移送システムの特殊な構造に基づく提案された方法は、上側チェーン6と下側チェーン7の異なる運動方向と速度により、部品支持器2の以下の運動、又は対応して導入される工具(ないし部品)の以下の運動を可能にする。
【0034】
上側チェーン6と下側チェーン7が(部品支持器2のチェーンホイール3に係合する際)、同じ方向に同じ速度で運動する。それにより部品支持器2の移送は、回転を伴わずにチェーンの運動方向にチェーン速度で行われる。或いは、上側チェーン6と下側チェーン7が、反対の方向に同じ速度で運動する。それにより部品支持器2の更なる移送を伴うことなく部品支持器2の純粋な回転が行われる。
【0035】
上側チェーン6と下側チェーン7が(部品支持器2のチェーンホイール3に係合する際)、反対の方向に異なる速度で運動する。その速度差から部品支持器2の移送速度が得られる。(チェーンの)運動方向及び、上側チェーン6がより速く走行するか又は下側チェーン7がより速く走行するかの結果として(部品支持器2の)運動方向が得られる。より遅いチェーンの速度から、部品支持器2上のチェーンホイール3の直径に依存し、(部品支持器2の)回転数が得られ、該運動方向からその回転方向が得られる。
【0036】
上側チェーン6と下側チェーン7が(部品支持器2のチェーンホイール3に係合する際)、同じ方向に異なる速度で運動する。その速度差から、部品支持器2上のチェーンホイール3の直径に依存し、(部品支持器2の)回転数が得られる。チェーンの運動方向の結果として部品支持器2の運動方向が得られる。部品支持器2の速度は、より遅いチェーンの速度にπで割った上側チェーン6と下側チェーン7の差動速度を加算して得られる。
【0037】
提案された方法と構造方式は、分離箇所及び連結箇所を伴わないで、部品支持器2、工具、及び部品の送り込みと取り出しを可能にする。後続して又は同時に次のチェーンシステムに入りながら1つのチェーンシステムから単純に出ていくことにより1つの移送ユニット1から次の移送ユニット1に部品支持器2を移行する可能性は、様々な装置部分ないし複数の移送ユニット1にわたり、ロボットのようなハンドリング装置を用いることのない連続的な部品移送を可能にする。従って連続的に回転する部品又は工具を伴うチェーン搬送機能を有する装置のモジュール構造が初めて可能である。
【0038】
支承部を用いない、部品支持器2に作用する力とモーメントの吸収は、両方の上側チェーン6と両方の下側チェーン7との間の間隔をもって部品支持器2と2つのチェーンホイール3とを固定結合することにより可能であり、それらのチェーンホイール3は、チェーンホイール3の有効円の間隔をもって向かい合った上側チェーン6と下側チェーン7(の各係合部分)に係合する。
【0039】
部品支持器2の僅かな傾き位置は、持続的には、部品支持器2上の両方(一対)のチェーンホイール3のずらされた歯部配向により達成することができ、このことは、一時的には(部品から見て)後側の上側チェーン6と下側チェーン7を前側の上側チェーン6と下側チェーン7に対して僅かにシフトすることにより可能である。
【0040】
部品支持器2の制限された傾斜(チルト)は、例えば(部品から見て)後側のチェーンを僅かに上げ、前側のチェーンをそれに応じて下げることにより実現可能である。
【0041】
チェーン駆動部を備えた一方の移送ユニット1から、固有のチェーンシステムを備えた他方の移送ユニット1への移行において中断のない駆動が保証されるためには、まだ上流側の移送ユニット1のチェーンから係合状態を離れる前に、後続する移送ユニット1のチェーンと係合状態になるよう、方向転換ホイールと、部品支持器2上に設けられたチェーンホイール3との間の正しいサイズ比率が必要である。スムーズな移行は、下側チェーン(複数)7に対する上側チェーン(複数)6の間の移行部のずれにより可能とされ、及び/又は、部品支持器2をコース上に保持するスライドレール9の追加的な導入により可能とされる。
【0042】
チェーンの好ましい垂直方向の延在経過に際しては、方向転換部において、チェーンホイール及びアーチ形状のスライドレール9の形式の方向転換要素だけが必要である。チェーンの水平方向の延在経過に際しては、規則的な間隔をおいてチェーンホイールを使用すること、又はチェーン位置決めのためのガイドレールを使用することが推奨される。
【符号の説明】
【0043】
1 移送ユニット
2 部品支持器
3 チェーンホイール
4 二重チェーンホイール
5 三重チェーン
6 上側チェーン
7 下側チェーン
8 ガイドレール
9 スライドレール
【国際調査報告】