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特表2022-541095航空部品を機械加工するための装置、インサート及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】航空部品を機械加工するための装置、インサート及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23D 3/02 20060101AFI20220914BHJP
   B23B 27/10 20060101ALI20220914BHJP
   B23D 13/00 20060101ALI20220914BHJP
   B23B 27/14 20060101ALI20220914BHJP
   B23B 27/16 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B23D3/02
B23B27/10
B23D13/00
B23B27/14 C
B23B27/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569362
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2020064575
(87)【国際公開番号】W WO2020239765
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】1907516.7
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521508793
【氏名又は名称】ゲーコーエン エアロスペース スウェーデン アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル フェルト
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス ダールシュトレム
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリック ヘーグシュトレム
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク ヨハンスゾン
【テーマコード(参考)】
3C046
3C050
【Fターム(参考)】
3C046AA08
3C046BB07
3C046CC03
3C046EE01
3C046KK01
3C050AA00
3C050AB02
3C050AC02
3C050AD00
(57)【要約】
航空部品200に少なくとも1つのスプライン205を機械加工するための装置及び対応する方法。装置は、軸方向を画定するホルダ15であって軸方向の周りを移動可能なホルダ15と、ホルダ15に取付け可能な切削インサート20とを備える。装置は、更に、ホルダの軸方向に対して直交する第2方向の周りで切削インサート20をホルダ15に取り付けるためのカップリングを備える。切削インサート20は、少なくとも1つの切削刃55を備え、各切削刃55は、切削エッジ60を備える。切削インサート20は各切削エッジ60からそれぞれ予め設定された間隔SIだけ離間する第1データム面64を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための装置であって、前記装置が、軸方向を画定するホルダであって前記軸方向の周りで前記ホルダが移動可能であるホルダと、前記ホルダに取付け可能な切削インサートと、を備え、前記装置が、更に、前記ホルダの前記軸方向に対して直交する第2方向の周りで前記切削インサートを前記ホルダに取り付けるためのカップリングを備え、
前記切削インサートが少なくとも1つの切削刃を備え、各切削刃が切削エッジを備え、
前記切削インサートが、各切削エッジからそれぞれ予め設定された間隔だけ離間する第1データム面を備える、
装置。
【請求項2】
前記第1データム面が、前記切削インサート上の平坦外面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カップリングが、前記第2方向に延びかつ前記切削インサート及び前記ホルダの一方を貫通するスロットと、前記切削インサート及び前記ホルダの他方に接続された細長部材と、を備え、前記細長部材が、前記切削インサートを前記ホルダに取り付けるために前記スロットを前記第2方向に通り抜け可能である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、前記ホルダに対して単一向きに前記切削インサートを配向するための第1整列形体を備える、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1整列形体が、前記ホルダに凹部を備え、前記切削インサートが前記ホルダに取り付けられるとき、前記切削インサートが前記凹部の中に配置される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1整列形体が、前記ホルダに第1ショルダを備え、前記切削インサートが前記ホルダに取り付けられるとき、前記切削インサートが前記第1ショルダに接して配置される、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1整列形体が、前記ホルダに第2ショルダを備え、前記切削インサートが前記ホルダに取り付けられるとき、前記切削インサートが前記第2ショルダに接して配置され、前記第2ショルダが前記第1ショルダに対して直交する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ホルダが、前記ホルダから前記航空部品へ向かってクーラント液が通過するための複数のクーラント排出口を備え、前記切削インサートが、前記カップリングを介して前記ホルダに取り付けられたとき、前記複数のクーラント排出口のうち第1クーラント排出口と第2クーラント排出口との間に位置する、請求項1~7のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの切削刃が前記切削インサートに機械加工される、請求項1~8ののうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
各切削エッジが、前記切削インサートの長さ方向に沿って延び、前記第2方向が前記切削インサートの前記長さ方向に対して直交する、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの切削刃が複数の切削刃を含む、請求項1~10のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記ホルダが、第1軸端と、前記第1軸端の反対側の第2軸端とを含み、前記切削インサートが、前記ホルダに取り付けられたとき前記第1軸端と前記第2軸端との間に位置する、請求項1~11のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記ホルダが、前記第1軸端から前記第2軸端へ向かって延びる細幅部分を備え、前記細幅部分における前記ホルダの最大幅が前記第2軸端から前記第1軸端へ向かって減少し、前記切削インサートが、前記ホルダに取り付けられたとき前記ホルダの前記細幅部分に位置し、前記ホルダの幅方向が、前記ホルダの前記軸方向に対して直交する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、更に、前記ホルダに取り付けられる回転部材を備え、前記回転部材が、第1回転軸の周りで回転可能でありかつ前記第1回転軸に対して平行ではない第2回転軸の周りで回転可能である、請求項1~13のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が、更に、前記回転部材に対して単一向きに前記ホルダを配向するために前記回転部材と前記ホルダとの間に第2整列形体を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が、前記切削インサートが前記ホルダに取り付けられたとき前記切削インサートを4、5または6つの移動軸の少なくとも1つの周りで移動できるように構成される、請求項1~15のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
更に、前記カップリングを介して前記ホルダに取り付けられた前記切削インサートを備える、請求項1~16のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための装置であって、前記装置が、ホルダと、ホルダに取付け可能な切削インサートと、を備え、前記装置が、更に、前記切削インサートを前記ホルダに取り付けるためのカップリングを備え、前記ホルダが、前記ホルダに対して単一向きに前記切削インサートを配向するための第1整列形体を備え、
前記切削インサートが、少なくとも1つの切削刃を備え、各切削刃が切削エッジを備え、
各切削インサートが、各切削エッジからそれぞれ予め設定された間隔だけ離間する第1データム面を備える、
装置。
【請求項19】
前記装置が、更に縁取り工具を備える、請求項1~18のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記装置がスプライン加工装置である、請求項1~19のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための切削インサートであって、前記切削インサートが少なくとも1つの切削刃を備え、各切削刃が、前記切削インサートの長さ方向に沿って延びる切削エッジを備え、前記切削インサートが、前記切削インサートの幅方向の周りに延びる少なくとも1つのカップリングを備え、前記幅方向が前記長さ方向に対して直交し、前記カップリングが、前記航空部品に前記少なくとも1つのスプラインを機械加工するために前記切削インサートを保持し移動するための装置に前記切削インサートを解除可能に取り付けるように構成され、
各切削刃が切削エッジを備え、
前記切削インサートが、各切削エッジからそれぞれ予め設定された間隔だけ離間する第1データム面を備える、
切削インサート。
【請求項22】
請求項21に記載の前記切削インサートと、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するために前記切削インサートを保持し移動するための装置のホルダと、を備える、方法であって、前記方法が、
前記切削インサートを前記ホルダに取り付けることと、
予め設定された基準位置に対する前記切削インサート上の前記第1データム面の少なくとも1つの位置を測定することと、
前記予め設定された基準位置に対する前記第1データム面の前記少なくとも1つの位置の差を補正することと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記予め設定された基準位置に対する前記第1データム面の前記少なくとも1つの位置の差を補正することが、前記航空部品に対する前記装置及び前記切削インサートの前記位置を調節することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記航空部品に対する前記装置及び前記切削インサートの前記位置を調節することが、前記装置を移動するが前記航空部品を移動しないことを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、さらに、前記航空部品に前記少なくとも1つのスプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して前記航空部品から材料の第1部分を切削するために、前記航空部品に対して前記ホルダに取り付けられた前記切削インサートを備える前記装置を移動することを含む、請求項22~24のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのスプラインが、前記航空部品の内歯スプラインである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つのスプラインが、前記航空部品の円周の周りに延びる複数のスプラインを含み、前記少なくとも1つのスプラインを生成するために前記少なくとも1つの切削刃を使用して前記航空部品から材料の第1部分を切削するために前記航空部品に対して前記装置を移動することが、
前記複数のスプラインのうち第1スプラインを生成するために前記少なくとも1つの切削刃を使用して前記航空部品を切削することと、
前記複数のスプラインのうち第2スプラインを生成するために前記少なくとも1つの切削刃を使用して前記航空部品を切削することと、
前記複数のスプラインのうち第3スプラインを生成するために前記少なくとも1つの切削刃を使用して前記航空部品を切削することと、
を含み、
前記複数のスプラインのうち前記第3スプラインが、前記第1スプラインと前記第2スプラインとの間に位置し、前記第1スプライン及び前記第2スプラインの生成後に生成される、
請求項25又は26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空部品を機械加工するための装置及び方法、特に航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための装置及び方法に関する。
【0002】
歯車又はその他の噛合い部品などの航空部品にスプラインを形成する際、このようなスプラインが要求する寸法公差は狭い。この点に関し、寸法公差は、少なくともANSIB92.1クラス4が認める狭い公差の範囲内でなければならない。このような狭い寸法公差を満たすために、現在、航空部品のスプラインは、オーダーメイドの歯車成形及び/又はホブ盤を使用して形成される。このような機械は、上記の比較的狭い公差に合わせてスプラインを形成できるが、比較的動作が遅く、高額でもある。
【0003】
このような機械を使用することの更なる不利点は、形成されるスプラインの縁取りを実施できないことである。スプラインの縁は鋭い縁があればこれを除去するために平縁/面取り加工される。その結果、このような機械を使用して形成されたスプラインは、縁取りステップを実施するために別個の機械で事後処理しなければならない。
【0004】
本明細書において説明する発明の発明者は、このようなスプライン付きの航空部品を製造するために、歯車成形及びホブ盤の使用を避けて複雑かつ正確なスプラインを形成できるようにする、基本的に異なる方式を発明した。
【発明の概要】
【0005】
本発明の形態は、請求項に記載されている。
【0006】
本明細書において説明する発明の第1形態から、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための装置であって、軸方向を画定しその周りでホルダが移動可能なホルダと、ホルダに取付け可能な切削インサートと、を備え、装置は、更にホルダの軸方向に対して直交する第2方向の周りで切削インサートをホルダに取り付けるためのカップリングを備える、装置が提供される。
【0007】
ホルダの軸方向に対して直交する第2方向の周りで切削インサートをホルダに取り付けることによって、この整列が切削インサートを緩みにくくして装置の使用中にホルダに対して移動しにくくするので(このような切削インサートの移動は生成された切削の精度を減少する)、切削インサートがより微細な公差で切削を行えるようにすることが見出された。このように切削インサートがより微細な公差で切削できることを考慮すると、装置は航空部品にスプラインを機械加工する際に使用するのに適するものとなる。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、切削インサートは、少なくとも1つの切削刃を備えてもよく、各切削刃は、切削エッジを備え、切削インサートは、各切削エッジからそれぞれ予め設定された間隔だけ離間する第1データム面を備える。このような実施形態において、第1データム面(1つ又は複数の第1データム点を備えてもよい)は、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する際に使用する前に、装置上で各切削エッジをより正確に位置付けられるように構成できる。この点に関して、予め設定された基準位置に対して切削インサートの第1データム面の少なくとも1つの位置を測定し、その後、予め設定された基準位置に対する第1データム面の少なくとも1つの位置の差を補正することによって、部品にスプラインを機械加工する前に、第1データム面(及び各切削エッジ)を、部品に対してより正確な位置に位置付けし配向できるようにする。このように、第1データム面を与えることは、機械加工中の部品に対する各切削エッジの配置の改良を容易にし、ANSI B92.1クラス4が認める狭い公差内でスプラインを形成する際に有利である。
【0009】
第1データム面が存在するこのような実施形態において、そのいくつかの特定の実施形態において、第1データム面は、切削インサート上の平坦外面を含むことができる。
【0010】
予め設定された基準位置に対して切削インサートからの第1データム面の位置を測定する際の精度を更に改良するために、いくつかの実施形態において、第1データム面を研磨できる。
【0011】
いくつかの実施形態において、カップリングは、第2方向に延びるスロットであって、切削インサート及びホルダの一方を貫通するスロットと、切削インサート及びホルダの他方に接続された細長部材と、を備え、細長部材は、切削インサートをホルダに取り付けるためにスロットを第2方向に通り抜け可能である。
【0012】
いくつかの実施形態においてその細長軸線が第2方向に対して平行である細長部材(ボルト又はスクリューなど)と一緒に円筒形又は円形断面を有するスロットが存在することは、切削インサートとホルダとの間に便利で効果的な結合を与える。
【0013】
いくつかの実施形態において、切削インサート及びホルダの少なくとも一方は、ホルダに対して単一向きに切削インサートを配向するための第1整列形体を備える。切削インサートがホルダに対して単一向きに挿入されるようにすることによって、切削インサートが不正確に即ちホルダに対して不正確な向きに挿入されることによって生じる製造エラーを軽減する。いくつかの実施形態において、第1整列形体は、所与の切削インサート(又は、逆にホルダ)について、この切削インサート(ホルダ)を、異なる形状およびサイズを有する複数の異なるホルダ(切削インサート)と使用できるようにし、これと適切に整列できるように作用できる。このように製造エラー及び不整列を軽減することによって、装置は、更に、製造公差が狭い航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する際に使用するのに効果的になる。
【0014】
第1整列形体が存在する場合、第1整列形体は、ホルダにおける凹部を含むことができ、切削インサートは、切削インサートがホルダに取り付けられるときこの中に配置される。
【0015】
第1整列形体は、ホルダに第1ショルダを含むことができ、切削インサートは、切削インサートがホルダに取り付けられるとき第1ショルダに接して配置される。このような実施形態において、第1整列形体は、ホルダに第2ショルダを含むことができ、切削インサートは、切削インサートがホルダに取り付けられるとき第2ショルダに接して配置される。第2ショルダは、第1ショルダに対して直交する。
【0016】
上記の事例において、第1整列形体の各ショルダ及び/又は凹部は、各々、切削インサートが不正確に挿入される又は不整列になるのを軽減するのに役立つので、装置が航空部品に要求される規格に合わせてスプラインを機械加工し易くする。
【0017】
いくつかの実施形態において、ホルダは、ホルダから航空部品へ向かってクーラント液が通過するための複数のクーラント排出口を備えることができ、切削インサートは、カップリングを介してホルダに取り付けられたとき、複数のクーラント排出口のうち第1クーラント排出口と第2クーラント排出口との間に位置する。切削インサートの両側にクーラント排出口を配置することによって、部品が機械加工される間、工作物/機械加工部品(特に、航空業界で一般的に使用されるチタンで作られたもの)及び切削インサートが正確な温度に維持されるようにし、同時に、発生した切り屑が、機械加工が行われているエリアから効果的に除去されるようにする。これらを合わせると、これらの技術的な効果は、更に機械加工部品を航空部品に要求される公差に合わせて製造できるようにするのを助ける。
【0018】
切削インサートは、少なくとも1つの切削刃を備えることができ、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの切削刃は、複数の切削刃を含む。切削インサートが持つ切削刃の数は、機械加工対象の部品及び複数の刃での同時の機械加工に耐える機械加工部品の強さに応じて変更できる。この点に関し、複数の刃が存在する場合、これは名目上同時に複数のスプラインの生成を可能にし、したがって、航空部品をより迅速に製造できるようにする。複数の刃が存在する場合、いくつかの実施形態において、各刃は、異なる形状を持つことができ、これは、名目上、特定の複雑な形状を有するスプラインを生成できるようにする。いくつかの実施形態において、切削インサートに複数の切削刃が存在することは、例えば、他の刃を使用する間1つの刃を冷却できるようにすることによって、機械加工プロセスにおいて異なる時点で異なる刃を使用できる可能性を与えることができる。これは、所与の機械加工部品を航空用に要求される公差に合わせて製造できるようにするのを更に助けることができる。
【0019】
各切削刃は、切削インサートの長さ方向に沿って延びる切削エッジを備えることができ、第2方向は、切削インサートの長さ方向に対して直交する。
【0020】
切削インサートに存在する各切削刃について、いくつかの実施形態において、切削刃が切削インサートに機械加工されることが想定される。このような機械加工は、いくつかの特定の実施形態において、各切削刃を切削インサートに機械加工するための切削インサートのパンチング、プレス加工及び/又は切削の少なくとも1つを含むことができる。
【0021】
ホルダは、第1軸端と、第1軸端の反対側の第2軸端と、を備えることができ、切削インサートは、ホルダに取り付けられたとき、第1軸端と第2軸端との間に位置する。切削インサートがホルダの第1軸端と第2軸端との間に位置することは、特に従来と異なるが、切削インサートの両側に位置するクーラント排出口へクーラントを供給し易くすることが判明している。
【0022】
このような実施形態において、ホルダは、第1軸端から第2軸端へ向かって延びる細幅部分を含むことができ、細幅部分におけるホルダの最大幅は、第2軸端から第1軸端へ向かって減少し、切削インサートは、ホルダに取り付けられたとき、ホルダの細幅部分に位置し、ホルダの幅方向は、ホルダの軸方向に対して直交する。細幅部分に切削インサートが位置することによって、切削インサートが、機械加工対象の部品の(例えば部品の内面の)より小さい部分をより狭い空間内でより良く機械加工できるようにする。
【0023】
装置は、更に、ホルダに取り付けられる回転部材を備えることができ、回転部材は、第1回転軸の周りで回転可能であり、かつ第1回転軸に対して平行ではない第2回転軸の周りで回転可能である。このような実施形態において、装置は、更に、回転部材に対して単一向きにホルダを配向するために回転部材とホルダとの間に第2整列形体を備えることができる。各回転部材の存在は、機械加工中の部品に対して切削インサートを容易に配向できるようにするので、切削インサートは、要求される各スプラインの形状をより容易に生成できる。
【0024】
いくつかの実施形態において、装置は、切削インサートがホルダに取り付けられたとき切削インサートを4、5又は6つの移動軸の少なくとも1つの周りで移動できるように構成される。5つの移動軸の場合、これらの軸線は、デカルト座標系における移動例えば直交するX、YおよびZ直線軸に沿った移動及び相互に平行ではない第1及び第2回転軸の周りでの回転移動を含むことができる。都合の良いことに、これらの5つの移動軸があることにより、切削インサートはどの方向からでも加工物に接近できるので、装置を使用して、所与のスプラインをより容易に生成できる。6つの移動軸の場合、いくつかの実施形態において、第1又は第2回転軸のいずれに対しても平行ではない付加的な第3回転軸を備えることができる。
【0025】
装置は、更に、カップリングを介してホルダに取り付けられた切削インサートを備えることができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、切削インサートは、CBN切削インサートとすることができる。
【0027】
本明細書において説明する発明の第2形態から、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための装置が提供され、装置は、ホルダと、ホルダに取付け可能な切削インサートとを備え、装置は、更に、切削インサートをホルダに取り付けるためのカップリングを備え、ホルダは、ホルダに対して単一向きに切削インサートを配向するための第1整列形体を備える。上述のように、切削インサートがホルダに対して単一向きに挿入されるようにすることは、切削インサートが不正確に挿入されることによって生じる製造エラーを軽減することになり、これは、機械加工部品を航空用に要求される公差に合わせて製造できるようにするのを助ける。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、上述のように、切削インサートは、少なくとも1つの切削刃を備えることができ、各切削刃は、切削エッジを備え、切削インサートは、各切削エッジからそれぞれ予め設定された間隔だけ離間する第1データム面を備える。このような実施形態において、第1データム面(1つ又は複数の第1データム点を含むことができる)は、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する際に使用する前に、装置に各切削エッジをより正確に位置付けできるように構成できる。
【0029】
いくつかの実施形態において、上記の装置の各々は、具体的には、スプライン加工装置とすることができる。
【0030】
本明細書において説明する発明の第3形態から、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための切削インサートが提供され、切削インサートは、少なくとも1つの切削刃を備え、各切削刃は、切削インサートの長さ方向に沿って延びる切削エッジを備える。切削インサートは、切削インサートの幅方向の周りに延びる少なくとも1つのカップリングを備え、幅方向は長さ方向に対して直交し、カップリングは、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するために切削インサートを保持し移動するための装置に切削インサートを解除可能に取り付けるように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、各切削刃は切削エッジを備えることができ、切削インサートは、各切削エッジからそれぞれ予め設定された間隔だけ離間する第1データム面を備える。このような実施形態において、上述のように、第1データム面は、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する際に使用する前に各切削エッジを正確に位置付けられるようにするために使用できる。この点に関して、予め設定された基準位置に対する切削インサート上の第1データム面の少なくとも1つの位置を測定し、その後、予め設定された基準位置に対する第1データム面の少なくとも1つ位置の差を補正できるので、第1データム面(したがって、各切削エッジ)が、航空部品にスプラインを機械加工する前により正確な位置に位置付けられ配向されるようにする。
【0032】
切削インサートが第1データム面を備える上記の実施形態において、そのいくつかの実施形態において、切削インサートと、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するために切削インサートを保持し移動するための装置のホルダと、を含む方法が提供され、方法は、
切削インサートをホルダに取り付けることと、
予め設定された基準位置に対する切削インサート上の第1データム面の少なくとも1つの位置を測定することと、
予め設定された基準位置に対する第1データム面の少なくとも1つの位置の差を補正することと、
を、含む。
【0033】
上記の方法において、いくつかの実施形態によれば、予め設定された基準位置に対して第1データム面の少なくとも1つの位置の差を補正することは、航空部品に対する装置及び切削インサートの位置を調節することを含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、航空部品に対して装置及び切削インサートの位置をこのように調節することは、装置及び航空部品の一方を移動するが、装置及び航空部品の他方を移動しないことを含むことができる。
【0035】
上記の方法において、予め設定された基準位置に対して第1データム面の少なくとも1つの位置の差を補正することが要求通りに実施されたら、方法は、いくつかの実施形態において、更に、航空部品に少なくとも1つのスプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品から材料の第1部分を切削するために、ホルダに取り付けられた切削インサートを備える装置を部品に対して移動することを含むことができる。
【0036】
本明細書において説明する発明の第4形態から、本発明の第1又は第2形態に従った装置を使用して航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する方法が提供される。
【0037】
本明細書において説明する発明の第5形態から、本発明の第3形態の切削インサートを使用して航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する方法が提供される。
【0038】
本明細書において説明する発明の第6形態から、ホルダを備える装置とホルダに取り付けられた切削インサートとを使用して航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する方法が提供され、切削インサートは、航空部品から材料を切削するための少なくとも1つの切削刃を備え、方法は、
少なくとも1つのスプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品から材料の第1部分を切削するために航空部品に対して装置を移動することと、
少なくとも1つのスプラインの縁に平縁又は面取りを生成するために航空部品に対して装置を移動して航空部品から材料の第2部分を切削することと、
を、含む。
【0039】
上記の方法において、少なくとも1つのスプラインの生成及びその後の各スプラインに対して実施される縁取りは、同じ作動の中で行われるので、部品の製造プロセスを迅速にし、前記のステップが別の装置で実施される場合に部品が別の位置に保持される(したがって別個に機械加工される)ことによって生じる製造エラーを減少する。
【0040】
上記の方法のいくつかの実施形態において、各スプラインに実施される縁取りは、装置の縁取り工具で実施できる。いくつかの特定の実施形態において、縁取り工具は、切削インサートとは別個のものとすることができる。
【0041】
上記の方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1つのスプラインは、航空部品の内歯スプライン又は外歯スプラインとすることができる。装置の性質上、機械は、所与の部品の任意の数及び組合せの内歯及び/又は外歯スプラインを生成するために適合させることができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスプラインは、航空部品の円周の周りに延びる複数のスプラインを含むことができ、少なくとも1つのスプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品から材料の第1部分を切削するために航空部品に対して装置を移動することは、更に、
複数のスプラインのうち第1スプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品を切削することと、
複数のスプラインのうち第2スプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品を切削することと、
複数のスプラインのうち第3スプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品を切削することと、
を含み、
複数のスプラインのうち第3スプラインは、第1スプラインと第2スプラインとの間に位置し、第1スプライン及び第2スプラインが生成された後に生成される。
【0043】
第1スプライン後に直ちに第2スプラインを生成しないことによって、機械加工されるときの部品の温度をより均等な温度にすることができ、特に薄壁で細長い部品において、隣り合うスプラインが連続的に生成される部品に比べて、要求される公差に合わせてスプラインを生成するためのより効果的方式であることが判明している。
【0044】
本明細書において説明する発明の第7形態から、多軸切削機用のツールホルダを備えるスプライン形成装置が提供され、前記ツールホルダは、使用時に切削インサートを受け入れるように配列されたカップリングを備え、切削インサートは、所望のスプライン形状に対応する切削面形状を有する。
【0045】
いくつかの実施形態において、切削インサートは、1対の隣り合うスプラインに対応する切削面形状を備えることができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、多軸切削機は、5軸コンピュータ数値制御フライス盤とすることができる。都合の良いことに、このように5つの移動軸を備えることは、切削インサートがどの方向からも所与の加工品へ接近できるようにするので、スプライン形成装置を使用して、所与のスプラインがより容易に形成できる。
【0047】
本明細書において説明する発明の第8形態から、本発明の第7形態に従った任意の実施形態において主張する装置を備える多軸フライス盤が提供される。
【0048】
本明細書において説明する発明の第9形態から、本発明の第8形態において主張する多軸フライス盤を作動する方法が提供され、方法は、
(A)機械加工対象の部品に1つ又は複数のスプラインを形成するために機械の1つの軸線に沿ってツールホルダ及び切削インサートを往復させるステップと、
(B)多軸フライス盤に対して予め設定された角度で機械加工対象の部品を回転させるステップと、
(C)予め設定された数のスプラインが部品の周りに形成されるまでステップ(A)及び(B)を反復するステップと、
を含む。
【0049】
本発明の1つ又は複数の実施形態について、下記の図面を参照しながら単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための装置の概略図である。
図2A図1の装置に使用するためのホルダ及び切削インサートの斜視図である。
図2B】ホルダの第1軸端から見た、図2Aのホルダ及び切削インサートの端面図である。
図3A】航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための第1位置にあるときの図1の装置と同様の装置を示す。
図3B】航空部品に少なくとも1つのスプリアンを機械加工するための第2位置にあるときの図3Aの装置を示す。
図3C】航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための第3位置にあるときの図3Aの装置を示す。
図4図1の装置に使用するためのホルダの一部分及び切削インサートの斜視図である。
図5】航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための方法論の一部として使用される際の、第1データム面を含む切削インサートの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本明細書における先行技術文献への言及は、この先行技術がその分野で周知である又は一般知識の一部を成すことを認めるものとは見なされないものとする。本明細書において使用されるとき、「備える(含む)」及びこれに類似する語句は、排他的又は網羅的意味で解釈されないものとする。言い換えると、これらの語句は、「~を含むが、これに限定されない」を意味することを意図する。本発明については、更に、下記の実施例を参照して説明する。主張される発明は、これらの実施例に限定されることを意図しないことが分かるであろう。又、本発明が個別の実施形態だけではなく本明細書において説明する実施形態の組合せも包括することが分かるであろう。
【0052】
本明細書において説明する様々な実施形態は、単に、主張される特徴の理解及び教示を助けるために提示する。これらの実施形態は、実施形態の代表的見本としてのみ提示し、網羅的及び/又は排他的ではない。本明細書において説明する利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造及び/又はその他の形態は、請求項によって画定される本発明の範囲の限定又は請求項の同等物への限定と見なされるものではなく、主張される発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用でき、修正を加えることができると、理解すべきである。本発明の様々な実施形態は、開示する要素、構成成分、特徴、部品、ステップ、手段などの本明細書において具体的に説明する以外の適切な組合せを、適切に含み、これらから構成され又は基本的にこれらから構成できる。更に、本開示は、現在主張されていないが将来主張される可能性のある他の発明を含むことができる。更に、本明細書において説明する発明の形態の特徴は、便利に交換可能に任意の適切な組み合わせで使用できることが分かるであろう。
【0053】
図1及び2A~2Bを参照すると、航空部品200に少なくとも1つのスプライン205を機械加工するための装置10が示される。装置(具体的には、スプライン加工装置とすることができる)は、軸方向A1を画定するホルダ15であって、この軸方向の周りでホルダ15が移動可能である、ホルダ15と、ホルダ15に取付け可能な切削インサート20と、を備える。いくつかの実施形態において、切削インサート20は、CBN切削インサート20とすることができる。装置は、更に、ホルダ15の軸方向A1に対して直交する第2方向A2の周りで切削インサート20をホルダ15に取り付けるためのカップリング25を備える。
【0054】
図1及び2A~2Bに示す実施形態において、カップリング25は、第2方向A2に延びかつ切削インサート20を貫通して延びるスロット30と、延長軸を画定しホルダ15に接続される細長部材(図示せず)と、を備えるものとして示される。このようにして、細長部材は、切削インサート20をホルダ15に取り付けるためにスロット30を第2方向A2に通り抜け可能なので、延長軸は第2方向A2に対して平行である。他の実施形態においては、スロット30は、代わりにホルダを貫通でき、細長部材は切削インサートに接続できることが分かるであろう。
【0055】
1つの特定の実施形態において、スロット30は、細長部材が受け入れられる貫通孔の形式をとることができ、細長部材は、ホルダ15の一部分にネジ入れられるスクリュー又はボルトの形式をとることができるので、スクリュー/ボルトの頭とスクリュー/ボルトがネジ入れられるホルダ15の部分との間にホルダ15を固着できる。このような実施形態において、スクリュー/ボルトの延長軸は、第2方向A2に対して平行である。
【0056】
ホルダに対して切削インサートをより良く整列するために、ホルダ15は、ホルダ15に対して単一向きに切削インサート20を配向するための第1整列形体を備えることができる。いくつかの実施形態において、第1整列形体は、ホルダに凹部35を含むことができ、切削インサート20がホルダ15に取り付けられるとき、切削インサート20はこの中に配置される。第1整列形体は、いくつかの実施形態において、ホルダに第1ショルダ40を含むことができ、切削インサートは、切削インサートがホルダに取り付けられるとき、第1ショルダに接して配置される。第1整列形体は、又、ホルダに第2ショルダ45を備えることができ、切削インサートがホルダに取り付けられるとき、切削インサートは第2ショルダに接して配置され、第2ショルダ45は第1ショルダ40に対して直交する。
【0057】
部品が機械加工されるとき部品200及び切削インサート20が正確な温度に維持されるようにするために、ホルダ15は、いくつかの実施形態において、ホルダから航空部品へ向かってクーラント液が通過するための複数のクーラント排出口50を備えることができ、切削インサート20は、カップリングを介してホルダ15に取り付けられたとき、複数のクーラント排出口50のうち第1クーラント排出口51と第2クーラント排出口52との間に位置する。
【0058】
切削インサート20については、切削インサートは少なくとも1つの切削刃55を備えるものとして示される。図2A~2Bに示す実施形態において、切削インサート20は、複数の切削刃、即ち2つの切削刃を備えるものとして示される。各切削刃55は、切削インサートの長さ方向A3に沿って延びる切削エッジ60を備え、第2方向A2は、切削インサートの長さ方向A3に対して直交する。
【0059】
図に示す実施形態において、ホルダ15は、第1軸端15Aと、第1軸端15Aの反対側の第2軸端15Bとを備えるものとして示される。切削インサートは、ホルダに取り付けられたとき、第1軸端15Aと第2軸端15Bとの間に位置する。いくつかの特定の実施形態において、ホルダ15は、第1軸端15Aから第2軸端15Bへ向かって延びる細幅部分65を備えることができ、細幅部分におけるホルダの最大幅Wは、第2軸端15Bから第1軸端15Aへ向かって減少する。ホルダの幅方向W1は、ホルダの軸方向A1に対して直交する。このような実施形態において、切削インサートは、ホルダに取り付けられたとき、ホルダの細幅部分に位置できる。
【0060】
図3A~3Cを参照すると、装置は、更にホルダに取り付けられる回転部材100を備えることができ、回転部材は、第1回転軸R1の周りで回転可能であり、かつ第1回転軸R1に対して平行ではない第2回転軸R2の周りで回転可能である。回転部材100へのホルダ15の取付けを助けるために、回転部材100に対して単一向きにホルダ15を配向するための第2整列形体を、回転部材100とホルダ15との間に設置できる。図3A~3Bの実施形態において、第2整列形体は、各々、第2軸端15Bへ向かって位置するホルダ15の外面の一部分の周りに延びる2つの溝70として示される。溝70は、回転部材100の内面のそれぞれの突出部と係合する。但し、第2整列形体の正確な形状及び位置付けは、回転部材100とホルダ15を相互に対して単一向きに適切に配向できる限り、必要に応じて変更できることが分かるであろう。
【0061】
回転部材100は、好ましくは、図3Aにおいて強調されるように、デカルト座標系の周りで移動するように(例えば、X、Y及びZ直線軸の周りでの移動)も構成される。このように付加的な3つの移動軸を持つので、図3A~3Cの装置は、切削インサート20がホルダ15に取り付けられたとき、切削インサートを5つの移動軸の周りで移動(即ち、軸線X、Y及びZの周りでの並進移動及び軸線R1及びR2の周りでの回転移動)できるように、構成される。他の実施形態において、異なる数の移動軸を与えることができる(例えば、4又は6つの移動軸)ことが分かるであろう。これは、例えば第1又は第2回転軸R1及びR2のいずれに対しても平行ではない付加的な第3回転軸を加えることによって、1つ又は複数の更なる移動軸を装置に加えることによって可能になる。又は、いくつかの実施形態において、X、Y及びZ軸及び/又は回転軸R1又はR2のうち任意の数を取り除いて、5つ未満の移動軸を与えることができる(例えば、4つの移動軸を与えるために軸線の1つを取り除く)。
【0062】
本明細書において説明する装置の作動に関しては、作動の例は、航空部品200に内歯スプライン205を生成するために使用される装置を示す図3A~3Cに関連して示される。スプライン205を生成するために、切削インサート20(たとえば、CBN切削インサート20)は、カップリングを介してホルダ15に取り付けられる。これに関して、ホルダ15の凹部35内における位置付け、及び第1及び第2ショルダ40、45に対する切削インサート20の位置付け、又はより概略的には第1整列形体を介した切削インサート20の位置付けは、切削インサート20が正確にかつホルダに対して正確な向きに位置付けられるようにする。
【0063】
次に、ホルダ15は、ホルダ15の第2軸端15Bへ向かって位置する溝70を介して回転部材100に取り付けられる。回転部材100の内面からのそれぞれの突出部における溝70の整列は、ホルダ15(したがって、切削インサート20)が、回転部材100及び機械加工中の部品に対して正確に配向されるようにし、このことは、航空部品に許容される狭い寸法公差に留意すると、航空部品にスプラインを形成する上で重要である。
【0064】
装置は、その後、装置10に接続されて航空部品200にスプライン205を生成するために5つの移動軸の周りで移動するように装置10を作動するコンピュータ(図示せず)からの予め設定されたコマンドに基づいて、作動される。航空部品200は、機械加工プロセス中固定具に配置される。図3A~3Cに示されるように移動する場合、装置10は、主にZ軸の周りで下向き方向に移動するように示される。装置10がこのZ軸の周りで降下するとき、航空部品200の内面に内歯スプラインを機械加工するために、切削具/インサート20は、航空部品200の内部から材料を除去する。
【0065】
第1スプライン205が生成されたら、装置10は、航空部品に別のスプライン205を生成するためにコンピュータからのコマンドに基づいて移動してもよい。このプロセスは、航空部品に必要な数のスプラインを作るために必要に応じて反復してもよい。
【0066】
図3A~3Cから分かるように、装置10の作動中、クーラント液53がクーラント排出口50から出て、切削具及び機械加工中の航空部品に充分な潤滑及び冷却作用を与える。これは、航空部品を機械加工する際、航空部品が許容される狭い寸法公差の範囲内で生成されるようにするのを助けるために重要である。
【0067】
航空部品に複数のスプラインを生成する際、いくつかの実施形態において、航空部品から隣り合うスプラインは順次機械加工されない。その代わりに、第1スプラインが生成された後に、次に生成される(第2)スプラインは、生成済みの第1スプラインからある程度離れて位置しており、例えば、航空部品において第1スプラインに対して直径方向に反対側に位置する。第2スプラインが生成されたら、第2スプラインよりも第1スプラインに対して近い(第1スプラインに隣接する可能性がある)第3スプラインを生成できる。第2スプラインを第1スプラインの直後に生成しないことによって、部品が加工されるとき部品においてより均等の温度分布が可能になり、隣り合うスプラインが連続的に生成される対応する部品に比べて、特に薄壁の細長い部品において、要求される公差に合わせてスプラインをより効果的に生成する方式であることが判明している。
【0068】
いくつかの実施形態において、航空部品200にスプライン205を生成するのを助けるために、切削インサート20の切削面形状は、スプライン205の所望のスプライン形状に対応し、かつ/又は航空部品200の隣り合う1対のスプライン205に対応することができる。
【0069】
航空部品200に必要な全てのスプライン205が切削インサート20を使用して機械加工/生成されたら、装置10は、次に、装置10と通信しこれを制御するコンピュータから送られた予め設定されたコマンドに基づいてスプライン205の縁取りを実施するために使用してもよい。いくつかの実施形態においては装置10の縁取り工具(図示せず。切削インサート20とは別個のものとすることができる)を使用して実施できかつ/又は装置10の切削インサート20を使用して実施できる縁取りステップが完了したら、即ち、必要な平縁又は面取りが各スプラインの縁に施されたら、航空部品200は、これが保持される固定具から取り外してもよい。
【0070】
したがって、切削具20に対して適切に配置されたクーラント排出口の存在、第1及び第2整列形体、ホルダ15と切削具20との間のカップリング及び複数のスプラインを生成する順番は、全て、本明細書において説明する装置を、この種の部品に要求される狭い寸法公差の範囲内で(例えば、ANSI B92.1クラス4が許容する公差の範囲内で)航空部品にスプラインを加工する(CNC)機械加工プロセスの使用に適するものにする。
【0071】
図4を参照すると、いくつかの実施形態によれば、切削インサート20は、各切削エッジ60からそれぞれ予め設定された間隔S1だけ離間するデータム面64を備えることができる。このような実施形態において、第1データム面64は、後に説明するように、航空部品200に少なくとも1つのスプライン205を機械加工する際に使用するとき、装置10上に各切削エッジ60をより良く正確に配置できるようにするために使用されるように構成される。いくつかの実施形態において、第1データム面64は、1つ又は複数の第1データム点66を含むことが想定され、それぞれの予め設定された間隔S1はこれに基づいてもよい。このような第1データム点は、例えば、第1データム面64のコーナー点とするか又は第1データム面64の中央の点とすることができる。同様に、各切削エッジ60は、1つ又は複数のデータム点68を含むことが想定され、それぞれの予め設定された間隔S1はこれに基づくことができる。このような切削エッジ60上の1つ又は複数のデータム点68は、例えば、切削エッジ60のいずれかの端点、又は切削エッジ60の中央の点を含むことができる。図4に示す特定の実施形態において、予め設定された間隔S1は、第1データム面64の中央に位置する第1データム点66と切削エッジ60の中央に位置する第2データム点68との間の間隔として示される。言い換えると、予め設定された間隔S1は、第1データム面64上の点/位置と切削エッジ60上の点/位置との間をつなぐ予め設定されたベクトルとして画定できる。このようにして、第1データム面64に対する各切削エッジ60の位置は、第1データム面64と各切削エッジ60が切削インサート20の生成において同じ機械加工プロセスの一部として形成されることに留意すると、切削エッジ60(したがって第1データム面64)が切削インサート20の機械加工プロセス中に不正確な位置及び/又は向きに形成されるか否かに関わりなく、常に分かっている。
【0072】
第1データム面64(及びその第1データム点66の任意の1つ又はそれ以上)は、航空部品200に少なくとも1つのスプライン205を機械加工するためのプロセスにおいて、各切削エッジ60が機械加工中の部品200に対して正確な位置にあることをより良く保証するために使用できる。この点に関して、切削インサート20がホルダ15に取り付けられたら、部品200を機械加工する前に、予め設定された基準位置P0に対する切削インサート20上の第1データム面64の少なくとも1つの位置P1n(例えば、P1a、P1b...P1n)を測定し、次に予め設定された基準位置P0に対する第1データム面64の少なくとも1つの位置P1nの差を補正することを含む方法論を提示できる。
【0073】
予め設定された基準位置P0は、機械加工対象の部品200上の予め設定された位置P2からの既知の間隔に関係付けるように構成される。いくつかの実施形態において、予め設定された基準点P0は、座標系の既知の点又は「ゼロ」点に関係付けられ、切削インサート20がホルダ15に取り付けられたときこの周りで移動でき、ここから、部品200上の予め設定された位置P2も導出できる。
【0074】
第1データム面64の少なくとも1つの位置P1nに関しては、図5の実施形態に示すように、第1データム面64の1つ又は複数の第1データム点66の位置に関係付けてもよい。
【0075】
予め設定された基準位置P0に対する切削インサート20上の第1データム面64の位置P1nが測定されたら(第1データム面64の各位置P1nと予め設定された基準位置P0との間の間隔S1n(例えば、S1a、S1b...S1n)の計算を含むことができる)、次に、方法論は、予め設定された基準位置P0が部品200上の予め設定された位置P2からの既知の間隔S2に基づくことに留意して、第1データム面64(したがって、各切削エッジ60の位置)が機械加工対象の部品200に対して正確に位置付け/離間されているか否かを計算できる。
【0076】
不正確な位置又は具体的には第1データム面64の各位置P1nと予め設定された基準位置P0との間の不正確な間隔S1n(例えば、S1a、S1b...S1n)は、この場合、装置10が作動されるとき部品200に不正確な位置及び/又は向きにスプライン205を生成することを意味する。言い換えると、不正確な位置/間隔は、各切削エッジ60が機械加工プロセスの出発点において部品200に対して誤った位置及び/向きに位置することを示す。
【0077】
切削インサート上の第1データム面64の少なくとも1つの位置P1nが予め設定された基準位置P0に対して正確な間隔又は位置に在ると測定された場合、方法は、予め設定された基準位置P0に対する第1データム面64の少なくとも1つの位置の差の補正を要求しない。しかし、切削インサート20上の第1データム面64の少なくとも1つの位置P1nが予め設定された基準位置P0に対して不正確であると測定された場合(例えば、切削エッジ60及び第1データム面64が切削インサート20の機械加工プロセス中僅かに不正確な位置及び/又は向きに形成されたことにより)、部品200上に誤った位置/又は向きにスプライン205が生成されることを防止するために、方法論は、予め設定された基準位置P0に対して第1データム面64の各位置P1nを正確に離間するために、予め設定された基準位置P0に対する第1データム面の少なくとも1つの位置P1nの差を補正することを含むことができる。このようにして、この補正後、少なくとも1つのスプライン205が部品200に機械加工されるとき、各スプライン205は、部品200上で正確な位置及び向きになる。
【0078】
方法論が予め設定された基準位置P0に対する第1データム面64の少なくとも1つの位置P1nの差をどのように補正できるかについては、このような補正が、たとえば、第1データム面64の各位置P1nと予め設定された基準位置P0との間の間隔S1n(例えば、S1a、S1b...S1n)を調節することによって、切削インサート20上の第1データム面64の少なくとも1つの位置P1nが予め設定された基準位置P0に対して正確に離間するように部品200に対して装置10及び/又は切削インサート20の位置を調節することを含むことができることが分かるであろう。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、このように部品200に対して装置10(及び切削インサート20)の位置を調節することは、装置10及び部品200の少なくとも一方を移動することを含むことができる。特定の実施形態において、部品200は、所定の位置に固定できるので、予め設定された基準位置P0に対する第1データム面64の少なくとも1つの位置P1nの差を補正するための移動は、装置10の初期位置及び/又は向きを単に変更するだけで実施できる。
【0080】
予め設定された基準位置P0に対する第1データム面64の少なくとも1つの位置P1nの差の補正に関して要求される補正が実施されたら、方法は、更に、装置10を航空部品200に対して移動すること、航空部品200に少なくとも1つのスプライン205を生成するために少なくとも切削刃55を使用して航空部品200から材料の第1部分を切削するために、ホルダ15に取り付けられた切削インサート20を備えることを含むことができる。
【0081】
したがって、上記の実施形態によれば、それぞれ正確な予め設定された間隔S1だけ各切削エッジ60(又はそのデータム点68)から離間する第1データム面64(又はそのデータム点66)を持つ切削インサート20を形成することによって、第1データム面64を設けることは、より正確な位置及び向きに部品200にスプライン205を生成するための上記の方法論を容易にする。
【0082】
データム面64の形状に関しては、予め設定された基準位置P0からの間隔S1n(例えば、S1a、S1b...S1n)の計測を行う際のデータム面64として使用できる限り、必要に応じて、データム面64は多様な形状を成すことができることが分かるであろう。この点に関して、図4及び5に示す実施例において、第1データム面64は、切削インサート20上の平坦外面を含むことができる。
【0083】
同様に、いくつかの実施形態によれば、第1データム面64(又はその1つ又は複数のデータム点66P1A;P1B)と予め設定された基準位置P0との間の間隔S1A;S1Bを計測する際の精度を更に改良するために、第1データム面64を研磨して、より滑らかな仕上げを与えことができる。
【0084】
いかなる疑念も避けるために、複数の切削刃55(したがって複数の切削エッジ60)が切削インサート20に存在する実施形態においては、第1データム面64と各切削エッジ60との間のそれぞれの予め設定された間隔S1は、切削インサート20上の全ての切削エッジ60について同じではなくても良いことが分かるであろう。したがって、切削インサート20の1つの切削エッジ60についての予め設定された間隔S1は、切削インサート20の別の切削エッジ60についての予め設定された間隔S1とは異なる場合がある。
【0085】
任意の所与の間隔S1;S1a;S1b...S1n;S2をどのように計測又は測定できるかについては、装置に設置された光学手段(例えば、レーザー計測システム)又は工具(例えば、キャリパ)を使用することによってなど(但しこれらに限定されない)必要に応じて多様な方式で実施できることが分かるであろう。
【0086】
航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための装置について説明した。装置は、その周りで移動可能である軸方向を画定するホルダと、ホルダに取付け可能な切削インサートとを備え、装置は、更に、ホルダの軸方向に対して直交する第2方向の周りで切削インサートをホルダに取り付けるためのカップリングを備える。
【0087】
また、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための装置について説明した。装置はホルダとホルダに取付け可能な切削インサートとを備え、装置は更に切削インサートをホルダに取り付けるためのカップリングを備え、装置は、ホルダに対して単一向きに切削インサートを配向するための第1整列形体を備える。
【0088】
また、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための切削インサートについても説明したように、切削インサートは、少なくとも1つの切削刃を備え、各切削刃は、切削インサートの長さ方向に沿って延びる切削エッジを備え、切削インサートは、切削インサートの幅方向の周りに延びる少なくとも1つのカップリングを備え、幅方向は長さ方向に対して直交し、カップリングは、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するために切削インサートを保持しこれを移動するための装置に切削インサートを解除可能に取り付けるように構成される。
【0089】
また、ホルダを備える装置とホルダに取り付けられた切削インサートとを使用して航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する方法も開示した。切削インサートは、航空部品から材料を切削するための少なくとも1つの切削刃を備え、前記方法は、
少なくとも1つのスプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品から材料の第1部分を切削するために航空部品に対して装置を移動することと、
少なくとも1つのスプラインの縁に平縁又は面取りを生成するために、航空部品に対して装置を移動して航空部品から材料の第2部分を切削することと、
を含む。
【0090】
このような方法において、少なくとも1つのスプラインは、航空部品の内歯スプライン又は外歯スプラインであってもよい。
【0091】
このような方法において、少なくとも1つのスプラインは、航空部品の円周の周りに延びる複数のスプラインを含むことができ、少なくとも1つのスプラインを生成するために 少なくとも切削刃を使用して航空部品から材料の第1部分を切削するために航空部品に対して装置を移動することは、更に、
複数のスプラインのうち第1スプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品を切削することと、
複数のスプラインのうち第2スプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品を切削することと、
複数のスプラインのうち第3スプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品を切削することと、
を含み、
複数のスプラインのうち第3スプラインは、第1スプラインと第2スプラインとの間に位置し、第1スプライン及び第2スプラインの生成後に生成される。
【0092】
多軸切削機用のツールホルダを備えるスプライン形成装置も開示した。前記ツールホルダは、切削インサートを受け入れるために使用するように配列されたカップリングを備え、切削インサートは、所望のスプライン形状に対応する切削面形状を有する。
【0093】
本明細書においては、以下の節に示す実施形態についても説明する。
【0094】
第1項-航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための装置であって、装置が、軸方向を画定するホルダであってその周りでホルダが移動可能であるホルダと、ホルダに取付け可能な切削インサートと、を備え、装置が、更に、ホルダの軸方向に対して直交する第2方向の周りで切削インサートをホルダに取り付けるためのカップリングを備える、装置。
【0095】
第2項-カップリングが、第2方向に延びかつ切削インサート及びホルダの一方を貫通するスロットと、切削インサート及びホルダの他方に接続された細長部材と、を備え、細長部材が、切削インサートをホルダに取り付けるためにスロットを第2方向に通り抜け可能である、第1項に記載の装置。
【0096】
第3項-装置が、ホルダに対して単一向きに切削インサートを配向するための第1整列形体を備える、第1項又は2項に記載の装置。
【0097】
第4項-第1整列形体が、ホルダに凹部を備え、切削インサートがホルダに取り付けられるとき、切削インサートが凹部の中に配置される、第3項に記載の装置。
【0098】
第5項-第1整列形体が、ホルダに第1ショルダを備え、切削インサートがホルダに取り付けられるとき、切削インサートが第1ショルダに接して配置される、第3項又は4項に記載の装置。
【0099】
第6項-第1整列形体が、ホルダに第2ショルダを備え、切削インサートがホルダに取り付けられるとき、切削インサートが第2ショルダに接して配置され、第2ショルダが第1ショルダに対して直交する、第5項に記載の装置。
【0100】
第7項-ホルダが、ホルダから航空部品へ向かってクーラント液が通過するための複数のクーラント排出口を備え、切削インサートがカップリングを介してホルダに取り付けられたとき、切削インサートが、複数のクーラント排出口のうち第1クーラント排出口と第2クーラント排出口との間に位置する、第1~6項のいずれかに記載の装置。
【0101】
第8項-切削インサートが少なくとも1つの切削刃を備える、第1~7項のいずれかに記載の装置。
【0102】
第9項-各切削刃が、切削インサートの長さ方向に沿って延びる切削エッジを備え、第2方向が切削インサートの長さ方向に対して直交する、第8項に記載の装置。
【0103】
第10項-少なくとも1つの切削刃が複数の切削刃を含む、第8項又は9項に記載の切削インサート。
【0104】
第11項-ホルダが、第1軸端と、第1軸端の反対側の第2軸端とを含み、切削インサートが、ホルダに取り付けられたとき、第1軸端と第2軸端との間に位置する、第1~10項のいずれかに記載の装置。
【0105】
第12項-ホルダが、第1軸端から第2軸端へ向かって延びる細幅部分を備え、細幅部分におけるホルダの最大幅が第2軸端から第1軸端へ向かって減少し、切削インサートが、ホルダに取り付けられたときホルダの細幅部分に位置し、ホルダの幅方向が、ホルダの軸方向に対して直交する、第11項に記載の装置。
【0106】
第13項-装置が、更にホルダに取り付けられる回転部材を備え、回転部材が、第1回転軸の周りで回転可能でありかつ第1回転軸に対して平行ではない第2回転軸の周りで回転可能である、第1~12項のいずれかに記載の装置。
【0107】
第14項-装置が、更に、回転部材に対して単一向きにホルダを配向するために回転部材とホルダとの間に第2整列形体を備える、第13項に記載の装置。
【0108】
第15項-装置が、切削インサートがホルダに取り付けられたとき切削インサートを5つの移動軸の周りで移動できるように構成される、第1~14項のいずれかに記載の装置。
【0109】
第16項-更に、カップリングを介してホルダに取り付けられた切削インサートを備える、第1~15項のいずれかに記載の装置。
【0110】
第17項-航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための装置であって、装置が、ホルダと、ホルダに取付け可能な切削インサートと、を備え、装置が、更に、切削インサートをホルダに取り付けるためのカップリングを備え、ホルダが、ホルダに対して単一向きに切削インサートを配向するための第1整列形体を備える、装置。
【0111】
第18項-装置が、更に縁取り工具を備える、第1~17項のいずれかに記載の装置。
【0112】
第19項-装置がスプライン加工装置である、第1~18項のいずれかに記載の装置。
【0113】
第20項-航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するための切削インサートであって、切削インサートが少なくとも1つの切削刃を備え、各切削刃が、切削インサートの長さ方向に沿って延びる切削エッジを備え、切削インサートが、切削インサートの幅方向の周りに延びる少なくとも1つのカップリングを備え、幅方向が長さ方向に対して直交し、カップリングが、航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工するために切削インサートを保持し移動するための装置に切削インサートを解除可能に取り付けるように構成される、切削インサート。
【0114】
第21項-第1~19項のいずれかに記載の装置を使用して航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する方法。
【0115】
第22項-第20項の切削インサートを使用して航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する方法。
【0116】
第23項-ホルダを備える装置とホルダに取付けられた切削インサートとを使用して航空部品に少なくとも1つのスプラインを機械加工する方法であって、切削インサートが、航空部品から材料を切削するための少なくとも1つの切削刃を備え、方法が、
少なくとも1つのスプラインを生成するために少なくとも切削刃を使用して航空部品から材料の第1部分を切削するために航空部品に対して装置を移動することと、
少なくとも1つのスプラインの縁に平縁又は面取りを生成するために、航空部品に対して装置を移動して、航空部品から材料の第2部分を切削することと、
を含む。
【0117】
第24項-少なくとも1つのスプラインが、航空部品の内歯スプラインである、第23項に記載の方法。
【0118】
第25項-少なくとも1つのスプラインが、航空部品の円周の周りに延びる複数のスプラインを含み、少なくとも1つのスプラインを生成するために少なくとも1つの切削刃を使用して航空部品から材料の第1部分を切削するために航空部品に対して装置を移動することが、更に、
複数のスプラインのうち第1スプラインを生成するために少なくとも1つの切削刃を使用して航空部品を切削することと、
複数のスプラインのうち第2スプラインを生成するために少なくとも1つの切削刃を使用して航空部品を切削することと、
複数のスプラインのうち第3スプラインを生成するために少なくとも1つの切削刃を使用して航空部品を切削することと、
を含み、
複数のスプラインのうち第3スプラインが第1スプラインと第2スプラインとの間に位置し、第1スプライン及び第2スプラインの生成後に生成される、第23又は第24に記載の方法。
【0119】
第26項-多軸切削機用のツールホルダを備えるスプライン形成装置であって、前記ツールホルダが、使用時に切削インサートを受け入れるために配列されたカップリングを備え、切削インサートが所望のスプライン形状に対応する切削面形状を有する、装置。
【0120】
第27項-切削インサートが、1対の隣り合うスプラインに対応する切削面形状を備える、第26項に記載の装置。
【0121】
第28項-多軸切削機が、5軸のコンピュータ数値制御されたフライス盤である、第26又は27に記載の装置。
【0122】
第29項-第26~28のいずれかに記載の装置を備える多軸フライス盤。
【0123】
第30項-第29項に記載の多軸フライス盤を作動する方法であって、前記方法が、
(A)機械加工対象の部品に1つ又は複数のスプラインを形成するためにフライス盤の軸線に沿ってツールホルダ及び切削インサートを往復させるステップと、
(B)予め設定された角度だけ多軸フライス盤に対して機械加工対象の部品を回転させるステップと、
(C)部品の周りに予め設定された数のスプラインが形成されるまで、ステップ(A)及び(B)を反復するステップと、
を含む、方法。
【0124】
本明細書において説明する装置及び方法に関して、当業者には分かるように多数の修正を加えることができる。
【0125】
例えば、装置及び方法を、航空部品にスプライン(これは狭い寸法公差が要求される)を生成する際に使用するものとして説明したが、装置及び方法は、他の任意の部品及び/又はその形体を生成するために同様に使用できる。考えられる部品としては、自動車又は船舶部品又は歯車組立体に使用される部品がある。
【0126】
更に、装置10は、上に概説した理由によりホルダ15の軸方向A1に対して直交する第2方向A2の周りで切削インサート20をホルダ15に取り付けるためのカップリング25を備えることが好ましいが、他の更なる概略的実施形態において、第2方向A2は、軸方向A1に対して直交しなくても良い。このような実施形態において、第2方向A2は、軸方向A1に対して任意の角度を向くか、又は他の実施形態においては、軸方向A1に対して平行ではないように配向できる。
図1
図2A
図2B
図3A-3C】
図4
図5
【国際調査報告】