(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】成形ポリウレタンヒドロゲル
(51)【国際特許分類】
C08J 3/075 20060101AFI20220914BHJP
A61F 6/04 20060101ALI20220914BHJP
A61K 9/06 20060101ALN20220914BHJP
【FI】
C08J3/075 CFF
A61F6/04
A61K9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577931
(86)(22)【出願日】2020-06-27
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 AU2020050671
(87)【国際公開番号】W WO2020257880
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521567767
【氏名又は名称】ユーデモン テクノロジーズ プロプライアタリー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ゴーキン ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】サイモン クック
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド シェパード
【テーマコード(参考)】
4C076
4C098
4F070
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076EE22
4C076GG11
4C098AA05
4C098DD23
4C098EE11
4F070AA53
4F070AC12
4F070AC36
4F070AC72
4F070AE09
4F070AE10
4F070AE28
4F070AE30
4F070CA03
4F070CB02
4F070CB14
(57)【要約】
本技術は、成形ポリウレタンヒドロゲル、例えば、コンドームを形成する方法に関する。当該方法は、約40000~約500000の間の分子量を有する少なくとも1つのポリウレタンの、約40%(v/v)未満の水を含む水:有機極性溶媒中の溶液を形成すること;当該溶液の層を型に適用すること;第1溶液の層を乾燥してポリウレタンフィルムを型上に形成すること;及びポリウレタンフィルムを、当該フィルムが約1%~約95%の間の膨張剤含有率を有するポリウレタンヒドロゲルを形成する条件下で膨張剤と接触させることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形ポリウレタンヒドロゲルを製造する方法であって:
約40%(v/v)未満の水を含む水:有機極性溶媒中の、約40000~約500000の間の分子量を有する少なくとも1つのポリウレタンの第1溶液を形成すること;
前記第1溶液の層を型に適用すること;
前記第1溶液の前記層を乾燥してポリウレタンフィルムを前記型上に形成すること;及び
前記ポリウレタンフィルムを、前記フィルムが約1%~約95%の間の膨張剤含有率を有するポリウレタンヒドロゲルを形成する条件下で膨張剤と接触させること
を含む方法。
【請求項2】
前記ポリウレタンの分子量が、約40000~約200000、約150000~約350000、又は約300000~約500000である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリウレタンが、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの重合に由来する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリウレタンが、ポリエーテル系又はポリエステル系ポリウレタンである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリエーテル系ポリウレタンが、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリエーテルの重合に由来する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリエーテルが、1~35個のエチルエーテル基を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリエステル系ポリウレタンが、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリエステルの重合に由来する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリエステルが、1~35個のエチルエステル基を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記有機極性溶媒が、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記有機極性溶媒が、エタノールである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
水:有機極性溶媒の比が、約5:95、約10:90、約15:85、約20:80、約25:75、約30:70、約35:65、又は約40:60から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
水:有機極性溶媒の比が、約10:90である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
膨張剤が、水、グリコール溶液、ヒドロキシエチルセルロース溶液、パラベン系溶液、グリコール系溶液、グリセリン系溶液、油系溶液、又はシリコーン系溶液のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記膨張剤が、殺精子剤、潤滑剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗菌剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス、微生物叢改善薬、フレーバー化合物、芳香化合物、感覚改善剤、滅菌剤、又は殺菌剤のうちの1つ以上を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ポリウレタンフィルムが、周囲温度で少なくとも1秒間、前記膨張剤と接触する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
約40%(v/v)未満の水を含む水:有機極性溶媒中の、約40000~約200000、約150000~約350000、又は約300000~約500000の分子量を有する少なくとも1つのポリウレタンの第2溶液を形成すること;
前記第2溶液の層を前記型上の前記ポリウレタンフィルムに適用すること;
前記第2溶液の前記層を乾燥し、これらの層により、型上にポリウレタンフィルムを形成すること;及び
前記ポリウレタンフィルムを、前記フィルムが約1%~約95%の間の膨張剤含有率を有するポリウレタンヒドロゲルを形成する条件下で膨張剤と接触させること
をさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリウレタンが、-CH
2-(CH
2-O-CH
2)
n-CH
2-[O-OCHN(C
6H
10)CH
2(C
6H
10)NHCO-O-(CH
2CH
2-O-CH
2CH
2)-O-OCHN(C
6H
10)CH
2(C
6H
10)NHCO-NH-(C
6H
10)CH
2(C
6H
10)NHCO-O-CH
2CH
2-O-CH
2CH
2-O-OCHN(C
6H
10)CH
2(C
6H
10)NHCO-O]
m-CH
2-(CH
2-O-CH
2)
n-CH
2を含み
nが1~35の任意の数から独立して選択される平均であり;
mが15~500の任意の数から独立して選択される平均である、
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記n:mの比が約1:0.1~約1:75である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2溶液中の前記少なくとも1つのポリウレタンが、前記第1溶液中の前記少なくとも1つのポリウレタンと同じでない、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1又は第2溶液の後続層を前記型上の前記ポリウレタンフィルムに適用して、前記ポリウレタンフィルムの厚さを増加させる又はその特定の特徴を作り出すことをさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1又は第2溶液の後続層を前記型上の前記ポリウレタンフィルムの一部分に適用して、前記ポリウレタンフィルムの一部分の厚さを増加させる又は前記ポリウレタンフィルムの一部分に特定の特徴を作り出すことをさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記後続層から形成される前記の特定の特徴は、前記後続層が適用される層から形成されるヒドロゲルとは異なるモジュラス、引張強度、及び/又は線膨張範囲を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1溶液中の前記少なくとも1つのポリウレタンの分子量及びn:m比のいずれか又は両方が、前記第2溶液中の前記少なくとも1つのポリウレタンの分子量及びn:m比と異なる、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
さらなる後続層が適用されて、厚さを所定の値まで増加させる、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記成形ポリウレタンヒドロゲルが、約1%~約100%の線膨張範囲を有する、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記成形ポリウレタンヒドロゲルが、約1MPa~約100MPa;約1MPa~約20MPa、約20MPa~約60MPa、約60MPa~約80MPa、又は約60MPa~約80MPaの引張強度を有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記成形ポリウレタンヒドロゲルが、約200%~約2000%の破断伸び範囲を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記成形ポリウレタンヒドロゲルが、約80kPa~約15MPaの50%モジュラス、約200kPa~約15MPaの100%モジュラス、及び約700kPa~約15MPaの300%モジュラスのうちの少なくとも1つを有する、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか一項に記載の方法によって製造される成形ポリウレタンヒドロゲルコンドーム。
【請求項30】
成形ポリウレタンヒドロゲルコンドームであって、ポリウレタンヒドロゲルが、約40000~約500000の間の分子量を有するポリウレタン、及び約40%~約70%の間の膨張剤含有率を有する、前記コンドーム。
【請求項31】
約1%~約100%の線膨張範囲、約1MPa~約40MPaの引張強度、約200%~約750%の破断伸び範囲のうちの1つ以上、並びに、約80kPa~約15MPaの50%モジュラス、約200kPa~約15MPaの100%モジュラス、及び約700kPa~約15MPaの300%モジュラスのうちの少なくとも1つを有する、請求項30に記載の成形ポリウレタンヒドロゲルコンドーム。
【請求項32】
30nm以上の平均直径を有する生物学的因子を実質的に通さない、請求項30~31のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項33】
大気圧~約5キロパスカルの模擬使用圧力下で、30nm以上の平均直径を有する生物学的因子を実質的に通さない、請求項30~32のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項34】
約5L~約50Lの空気破裂体積を有する、請求項30~33のいずれか一項に記載の成形ポリウレタンヒドロゲルコンドーム。
【請求項35】
前記空気破裂体積が5L~40Lである、請求項34に記載の成形ポリウレタンヒドロゲルコンドーム。
【請求項36】
約0.75kPa~約5kPaの空気破裂圧を有する、請求項30~35のいずれか一項に記載の成形ポリウレタンヒドロゲルコンドーム。
【請求項37】
前記空気破裂圧が1.6kPa~3.6kPaである、請求項36に記載の成形ポリウレタンヒドロゲルコンドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ポリエーテル系及びポリエステル系ポリウレタンヒドロゲル並びにコンドームにおけるこれらの使用に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
この出願は、全体が相互参照により援用されるオーストラリア仮特許出願第2019902307号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
コンドームは、多くの場合、避妊デバイスとして見なされているが、物理的バリアとしてのこれらの作用もまた、性感染症、例えば、ヘルペス、クラミジア、梅毒、淋病、肝炎、ヒトパピローマウイルス(HPV)、トリコモナス症、及び、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる後天性免疫不全症候群(AIDS)を低減又は防止することによって、価値のある衛生機能を果たす。
【0004】
コンドームは、他の材料、例えば、ニトリル、ニトリルゴム、ポリウレタン、AT-10樹脂(ポリエチレン樹脂)、及びポリイソプレンも使用されるが、一般的には、ラテックスから製造される。ラテックスコンドーム及び手袋の不利点は、材料への特有のアレルギー反応、並びに、不具合及び病気の伝播を引き起こす可能性がある、油系潤滑剤に対するラテックスゴムの感受性である。さらに、ラテックスは、他の一般的に使用されている材料と同様に、高い摩擦係数を有しており、使用の際の感覚の損失の報告を生じている。このことは、コンドームの使用の低減に寄与し、病気の伝播の可能性を増加させる。ポリウレタンは、油系潤滑剤と共に使用することができ、ラテックスよりもアレルギーが少なく、臭いを有さないという点においてラテックスよりもいくつかの利点を有する。しかし、ポリウレタンコンドームは、ラテックスよりも弾性が低く、より滑り又は破れ易く、その形状を失い又は束になってしまう。
【0005】
保護手袋は、ラテックスゴム、ニトリル又はニトリルゴム(アクリロニトリル及びブタジエンの合成コポリマー)、ポリビニルアルコール及びポリクロロプレンから典型的には製造される。これらの材料は、有機溶媒、無機化合物及び他の有害な材料などの材料に対して様々な保護を与えるが、付与する熱的及び物理的保護は限定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、生物学的因子を実質的に通さず、バリアデバイス、例えば、コンドーム及び手袋の製造に有用である充分な強度及び耐久性を有する成形ポリウレタンヒドロゲルを製造するための方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様において、成形ポリウレタンヒドロゲルを製造する方法であって:
約40%(v/v)未満の水を含む水:有機極性溶媒中の、約40000~約500000の間の分子量を有する少なくとも1つのポリウレタンの第1溶液を形成すること;
前記第1溶液の層を型に適用すること;
前記第1溶液の前記層を乾燥してポリウレタンフィルムを前記型上に形成すること;及び
前記ポリウレタンフィルムを、前記フィルムが約1%~約95%の間の膨張剤含有率を有するポリウレタンヒドロゲルを形成する条件下で膨張剤と接触させること
を含む方法が提供される。
【0008】
実施形態において、ポリウレタンの分子量は、約40000~約50000、又は50000~約75000、又は75000~約100000、又は100000~約125000、約125000~約150000、約150000~約175000、約175000~約200000、約200000~約225000、約225000~約250000、約250000~約275000、約275000~約300000、約300000~約3250000、約325000~約350000、約350000~約375000、約375000~約400000、約400000~約425000、約4250000~約450000、約450000~約475000、又は約475000~約500000である。
【0009】
好ましい実施形態において、ポリウレタンの分子量は、約150000~約350000である。
【0010】
実施形態において、ポリウレタンは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの重合に由来する。
【0011】
実施形態において、ポリウレタンは、ポリエーテル系又はポリエステル系ポリウレタンである。
【0012】
実施形態において、ポリエーテル系ポリウレタンは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリエーテルの重合に由来する。
【0013】
実施形態において、ポリエーテルは、1~35個のエチルエーテル基を含む。
【0014】
実施形態において、ポリエステル系ポリウレタンは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリエステルの重合に由来する。
【0015】
実施形態において、ポリエステルは、1~35個のエチルエステル基を含む。
【0016】
実施形態において、ポリウレタンは、メチル及び/又はヒドロキシル末端基を有していてよい。
【0017】
実施形態において、有機極性溶媒は、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0018】
実施形態において、有機極性溶媒は、エタノールである。
【0019】
実施形態において、水:有機極性溶媒の比は、約5:95、約10:90、約15:85、約20:80、約25:75、約30:70、約35:65、又は約40:60から選択される。
【0020】
実施形態において、水:有機極性溶媒の比は、約10:90である。
【0021】
実施形態において、膨張剤は、水、グリコール溶液、ヒドロキシエチルセルロース溶液、パラベン系溶液、グリコール系溶液、グリセリン系溶液、油系溶液、又はシリコーン系溶液のうちの少なくとも1つから選択される。
【0022】
実施形態において、膨張剤は、殺精子剤、潤滑剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗菌剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス、微生物叢改善薬、フレーバー化合物、芳香化合物、感覚改善剤、滅菌剤、又は殺菌剤のうちの1つ以上を含む。
【0023】
実施形態において、ポリウレタンフィルムは、約1~約30秒間、膨張剤と接触する。いくつかの実施形態において、ポリウレタンフィルムは、最大24時間、例えば、約15分、約30分、約45分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間、膨張剤と接触する。
【0024】
実施形態において、膨張溶液の温度は、約20℃(293.15K)~約90℃(363.15K)である。例えば、当該温度は、約20℃(293.15K)、約25℃(298.15K)、約30℃(303.15K)、約35℃(308.15K)、約40℃(313.15K)、約45℃(318.15K)、約50℃(323.15K)、約55℃(328.15K)、約60℃(333.15K)、約65℃(338.15K)、約70℃(343.15K)、約75℃(348.15K)、約80℃(353.15K)、約85℃(358.15K)、又は約90℃(363.15K)であってよい。
【0025】
実施形態において、上記方法は:
約40%(v/v)未満の水を含む水:有機極性溶媒中の、約40000~約50000、又は50000~約75000、又は75000~約100000、又は100000~約125000、約125000~約150000、約150000~約175000、約175000~約200000、約200000~約225000、約225000~約250000、約250000~約275000、約275000~約300000、約300000~約3250000、約325000~約350000、約350000~約375000、約375000~約400000、約400000~約425000、約4250000~約450000、約450000~約475000、又は約475000~約500000の間の分子量を有するポリウレタンの第2溶液を形成すること;
第2溶液の層を型上のポリウレタンフィルムに適用すること;
第2溶液の層を乾燥し、これらの層により、型上にポリウレタンフィルムを形成すること;及び
ポリウレタンフィルムを、当該フィルムが約1%~約95%の間の膨張剤含有率を有するポリウレタンヒドロゲルを形成する条件下で膨張剤と接触させること
をさらに含む。
【0026】
一実施形態において、ポリウレタンは、-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-[O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-(CH2CH2-O-CH2CH2)-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-NH-(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O]m-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2を含み、
nは1~35の任意の数から独立して選択される平均であり;
mは15~500の任意の数から独立して選択される平均である。
【0027】
いくつかの実施形態において、nとmとの間の関係は、比であってよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、n:mの比は、約1:0.1~約1:75であってよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、第2溶液中の少なくとも1つのポリウレタンが、第1溶液中の少なくとも1つのポリウレタンと同じでなくてよい。
【0030】
実施形態において、上記方法は、第1又は第2溶液の後続層を型上のポリウレタンフィルムに適用して、ポリウレタンフィルムの厚さを増加させる又はその特定の特徴を作り出すことをさらに含む。
【0031】
実施形態において、上記方法は、第1又は第2溶液の後続層を型上のポリウレタンフィルムの一部分に適用して、ポリウレタンフィルムの一部分の厚さを増加させる又はその特定の特徴を作り出すことをさらに含む。
【0032】
後続層から形成される特定の特徴は、後続層が適用される層から形成されるヒドロゲルとは異なるモジュラス、引張強度、及び/又は線膨張範囲を有していてよい。
【0033】
実施形態において、第1溶液中の少なくとも1つのポリウレタンの分子量及びn:m比のいずれか又は両方が、第2溶液の少なくとも1つのポリウレタンの分子量及び/又はn:m比と異なる。
【0034】
実施形態において、さらなる後続層が適用されて、厚さを所定の値まで増加させる。
【0035】
実施形態において、成形ポリウレタンヒドロゲルは、約1%~約100%の線膨張範囲を有する。
【0036】
実施形態において、成形ポリウレタンヒドロゲルは、約1MPa~約20MPa、約20MPa~40MPa、約40MPa~約60MPa、又は約80MPa~約100MPaの引張強度を有する。
【0037】
好ましい実施形態において、成形ポリウレタンヒドロゲルは、約20MPa~40MPa、例えば、20MPa、22MPa、24MPa、26MPa、28MPa、30MPa、32MPa、34MPa、36MPa、38MPa、又は約40MPaの引張強度を有する。
【0038】
実施形態において、成形ポリウレタンヒドロゲルは、約200%~約2000%の破断伸び範囲を有する。
【0039】
実施形態において、成形ポリウレタンヒドロゲルは、約80kPa~約15MPaの50%モジュラス、約200kPa~約15MPaの100%モジュラス及び約700kPa~約15MPaの300%モジュラスのせん断モジュラスを有する。
【0040】
第2態様において、第1態様によって製造される成形ポリウレタンヒドロゲルコンドームが提供される。
【0041】
第3態様において、成形ポリウレタンヒドロゲルコンドームであって、ポリウレタンヒドロゲルが、約40000~約500000の間の分子量有する1つ以上のポリウレタン及び約1%~約95%の間の膨張剤含有率を含む、上記コンドームが提供される。
【0042】
実施形態において、ポリウレタンの分子量は、約40000~約50000、又は50000~約75000、又は75000~約100000、又は100000~約125000、約125000~約150000、約150000~約175000、約175000~約200000、約200000~約225000、約225000~約250000、約250000~約275000、約275000~約300000、約300000~約3250000、約325000~約350000、約350000~約375000、約375000~約400000、約400000~約425000、約4250000~約450000、約450000~約475000、又は約475000~約500000である。
【0043】
実施形態において、ポリウレタンは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの重合に由来する。
【0044】
実施形態において、ポリウレタンは、ポリエーテル系又はポリエステル系ポリウレタンである。
【0045】
実施形態において、ポリエーテル系ポリウレタンは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリエーテルの重合に由来する。
【0046】
実施形態において、ポリエーテルは、1~35個のエチルエーテル基を含む。
【0047】
実施形態において、ポリエステル系ポリウレタンは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリエステルの重合に由来する。
【0048】
実施形態において、ポリエステルは、1~35個のエチルエステル基を含む。
【0049】
実施形態において、成形ポリウレタンヒドロゲルコンドームは、約1%~約100%の線膨張範囲、約1MPa~約100MPaの引張強度、約200%~約2000%の破断伸び範囲のうちの1つ以上、並びに、約80kPa~約15MPaの50%モジュラス、約200kPa~約15MPaの100%モジュラス、及び約700kPa~約15MPaの300%モジュラスのうちの少なくとも1つを有する。
【0050】
実施形態において、コンドームは、30nm以上の平均直径を有する生物学的因子を実質的に通さない。
【0051】
実施形態において、コンドームは、最大約10キロパスカルのシミュレーションされた使用圧力がコンドームに適用されている下で、30nm以上の平均直径を有する生物学的因子を実質的に通さず、例えば、当該使用圧力は、最大約1kPa、最大約2kPa、最大約3kPa、最大約4kPa、最大約5kPa、最大約6kPa、最大約7kPa、最大約8kPa、最大約9kPa、又は最大約10kPaであってよい。
【0052】
実施形態において、コンドームは、約5L~約50Lの空気破裂体積を有する。
【0053】
実施形態において、コンドームは、約1kPa~約5kPa、例えば、1.3kPa~約3.6kPaの空気破裂圧を有する。
【0054】
定義
本明細書全体を通して、文脈が他に明確に必要としない限り、語「含む(comprise)」、又は変形、例えば、「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」は、記述されている要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の包含を示唆することが理解されるが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の排除を示唆していない。
【0055】
本明細書全体を通して、用語「からなる(consisting of)」は、それのみからなることを意味する。
【0056】
本明細書に含まれている、文献、作用、材料、デバイス、物品又は同種のもののいずれの考察も、単に、本技術に関する状況を提供することを目的としている。これらの事項のいずれも又は全てが、本明細書のそれぞれの特許請求の範囲の優先日よりも前に存在していたとして、先行技術の基礎の部分を形成する、又は、本技術に関連する分野における共通の一般常識であったという承認として取られてはならない。
【0057】
文脈が別途必要としない限り又は逆のことを具体的に記述していない限り、単数の整数、ステップ又は要素として本明細書において列挙されている本技術の整数、ステップ又は要素は、列挙されている整数、ステップ又は要素の単数及び複数両方の形態を明確に包含する。
【0058】
本明細書の文脈において、用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、物品の文法上の対象物の1つ又は1つを超えること(すなわち、少なくとも1つ)を指すのに使用される。例として、「1つの(an)要素」への言及は、1つの要素、又は1を超える要素を意味する。
【0059】
本明細書の文脈において、用語「約」は、数字又は値への言及が、絶対的な数字又は値として取られてはならず、誤差又は機器限界の典型的なマージン以内であることを含めて、当業者が当該分野にしたがって理解することと一致している数字又は値より上又は下の変動のマージンを含むことを意味する。換言すると、用語「約」の使用は、当業者が、同じ機能又は結果を達成するという文脈において列挙されている値と等価であるとみなし得る範囲又は近似を指すことが理解される。
【0060】
当業者は、本明細書に記載されている技術が、具体的に記載されているもの以外の変形及び変更をし易いことを理解するであろう。本技術は、全てのかかる変形及び変更を含むことが理解されるべきである。誤解を避けるために、本技術はまた、個々に又は集合的に、本明細書において参照されている又は示されているステップ、特徴、及び化合物の全て、並びに、当該ステップ、特徴及び化合物のいずれか2つ以上のありとあらゆる組み合わせも含む。
【0061】
本技術がより明確に理解され得るように、好ましい実施形態を、以下の図及び例を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、ポリマーAを含むポリマーによって製造されるヒドロゲルの負荷対伸び曲線の例である。コンドームは、0.125mmの二重壁厚さ、58mmの幅を有する。サンプルリング幅は20mmである。
【
図2】
図2は、ポリマーBを含むポリマーによって製造されるヒドロゲルの負荷対伸び曲線の例である。コンドームは、0.148mmの二重壁厚さ、53mmの幅を有する。サンプルリング幅は20mmである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明は、成形ポリウレタンヒドロゲル(ポリエーテル系又はポリエステル系のいずれか)を製造するための方法に基づいている。当該方法によって製造されるヒドロゲルは、多くの特性、例えば、線膨張、引張強度、破断伸び範囲、モジュラス、及び生物学的因子への不透過性を有しており、これらの特性は、個々に又は組み合わせられて、バリアデバイス、例えば、コンドーム及び手袋におけるハイドロゲルの使用を好適にする。
【0064】
本明細書に開示されている方法は、水:有機極性溶媒中のポリウレタンの溶液の形成を必要とする。溶液の層は、次いで、例えば、型を溶液に浸漬することによって、型に適用される。層は、一旦適用されたら、乾燥されて、型上にポリウレタンフィルムを形成する。上記溶液、又は異なる溶液(例えば異なるポリウレタンを使用する)のさらなる層(複数可)が次いで適用され得る。層が一旦乾燥されると、フィルムが、次いで、膨張剤、例えば、緩衝剤、塩及び/又は防腐剤を含有していてよい水溶液と接触し得る。膨張剤は、ポリウレタンヒドロゲルが形成されるようにフィルムに浸透し、ヒドロゲルは、典型的には約1%~約95%の間の膨張剤含有率を有するが、典型的には、水系膨張剤では30~90%付近である。油又はシリコーン系膨張剤では、ヒドロゲルは、典型的には、約0.1%~約30%の間、例えば、膨張剤との24時間の接触後では約0.1%~約10%の間の膨張剤含有率を有する。
【0065】
ポリウレタン
本明細書において使用されているとき、用語「ポリウレタン」は、イソシアネート及びアルコールの反応から得られるポリマーを指し、イソシアネートは、2つ以上のイソシアネート官能基を含有する。
【0066】
多数のポリウレタンが、本明細書に記載されている方法において有用である。好適なポリウレタンとして:4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリエーテル;4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリエステル、又はこれらの任意の組み合わせの重合に由来するものが挙げられる。
【0067】
実施形態において、ポリウレタンは、親水性ポリウレタンブロックコポリマー、例えば、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを含む親水性ポリウレタンブロックコポリマーである。親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、繰り返しエチルエーテル基を含んでいてよく、例えば、親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、少なくとも1~50個の繰り返しエチルエーテル基を含む。
【0068】
別の実施形態において、親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、ポリエーテル系ポリウレタンである。例えば、親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びエチルエーテルを含む。親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び繰り返しエチルエーテル基、例えば、少なくとも4つの繰り返しエチルエーテル基を含んでいてよい。別の実施形態において、親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1~35個の繰り返しエチルエーテル基を含む。
【0069】
親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、繰り返しエチルエステル基を含んでいてよく、例えば、親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、少なくとも1~35個の繰り返しエチルエステル基を含んでいてよい。
【0070】
別の実施形態において、親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、ポリエステル系ポリウレタンである。例えば、親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びエチルエステルを含む。親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び繰り返しエチルエステル基、例えば、少なくとも4つの繰り返しエチルエステル基を含んでいてよい。別の実施形態において、親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1~35個の繰り返しエチルエステル基を含む。
【0071】
実施形態において、ポリウレタンは、約40000~約500000の間の分子量を有し、例えば、分子量は、約40000~約50000、又は50000~約75000、又は75000~約100000、又は100000~約125000、約125000~約150000、約150000~約175000、約175000~約200000、約200000~約225000、約225000~約250000、約250000~約275000、約275000~約300000、約300000~約3250000、約325000~約350000、約350000~約375000、約375000~約400000、約400000~約425000、約4250000~約450000、約450000~約475000、又は約475000~約500000であり得る。
【0072】
実施形態において、親水性ポリウレタンブロックコポリマーは、約40000~約50000、又は50000~約75000、又は75000~約100000、又は100000~約125000、約125000~約150000、約150000~約175000、約175000~約200000、約200000~約225000、約225000~約250000、約250000~約275000、約275000~約300000、約300000~約3250000、約325000~約350000、約350000~約375000、約375000~約400000、約400000~約425000、約4250000~約450000、約450000~約475000、又は約475000~約500000の分子量を有する。
【0073】
実施形態において、ポリエステル系ポリウレタンは、約40000~約50000、又は50000~約75000、又は75000~約100000、又は100000~約125000、約125000~約150000、約150000~約175000、約175000~約200000、約200000~約225000、約225000~約250000、約250000~約275000、約275000~約300000、約300000~約3250000、約325000~約350000、約350000~約375000、約375000~約400000、約400000~約425000、約4250000~約450000、約450000~約475000、又は約475000~約500000の分子量を有する。
【0074】
実施形態において、ポリエーテル系ポリウレタンは、約40000~約50000、又は50000~約75000、又は75000~約100000、又は100000~約125000、約125000~約150000、約150000~約175000、約175000~約200000、約200000~約225000、約225000~約250000、約250000~約275000、約275000~約300000、約300000~約3250000、約325000~約350000、約350000~約375000、約375000~約400000、約400000~約425000、約4250000~約450000、約450000~約475000、又は約475000~約500000の分子量を有する。
【0075】
実施形態において、ポリウレタンは:CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-[O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-(CH2CH2-O-CH2CH2)-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-NH-(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O]m-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-を含み、nは、1~35からの任意の数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、32、32、33、34、又は35から独立して選択され;mは、15~500からの任意の数、例えば、15、25、50、75、100、125、150、175、200、225、25、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500から独立して選択される。
【0076】
いくつかの実施形態において、n及びmのいずれか又は両方が平均である。
【0077】
一実施形態において、nは、平均1.5であり、mは、10~20、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20である。一実施形態において、mは、15である。
【0078】
一実施形態において、nは、平均4であり、mは、平均100~120、例えば、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120である。一実施形態において、mは、108である。
【0079】
一実施形態において、nは、平均5であり、mは、平均105~130、例えば、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、又は130である。一実施形態において、mは、110である。
【0080】
一実施形態において、nは、平均34であり、mは、平均75~85、例えば、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、又は85である。一実施形態において、mは、80である。
【0081】
一実施形態において、nは、平均4であり、mは、平均180~220、例えば、180、182、184、186、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、又は220である。
【0082】
一実施形態において、nは、平均30.5であり、mは、平均140~160、例えば、140、142、148、150、152、154、156、158、又は160である。
【0083】
一実施形態において、nは、平均7であり、mは、平均200~240、例えば、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、又は240である。
【0084】
一実施形態において、ポリウレタンの末端基は、メチル及びヒドロキシルから独立して選択される。
【0085】
水:有機極性溶媒(水-有機極性溶媒)
本明細書に開示されている方法は、ポリウレタンの水:有機極性溶媒溶液の形成を必要とする。ポリウレタンは、水の添加の前に溶媒に可溶化され得、又は、ポリウレタンは、水:有機極性溶媒に可溶化され得る。
【0086】
極性溶媒は、プロトン性であっても非プロトン性であってもよい。溶媒は、いずれの低級脂肪族アルコール又は塩素化溶媒であってもよい。例えば、溶媒は、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル及びこれらの任意の組み合わせを含む群から選択されてよい。
【0087】
水:有機溶媒の比は、約5:95、約10:90、約15:85、約20:80、約25:75、約30:70、約35:65、又は約40:60であってよい。
【0088】
ポリウレタンの溶液を調製するのに使用される水:有機溶媒は、例えば、約25℃(298.15K)~約60℃(333.15K)の間の室温又は高温であってよく、例えば、水:有機溶媒溶液は、約25℃(298.15K)、約30℃(303.15K)、約35℃(308.15K)、約40℃(313.15K)、約45℃(318.15K)、約50℃(323.15K)、約55℃(328.15K)又は約60℃(333.15K)に加熱されてよい。
【0089】
水:有機極性溶媒中のポリウレタンの濃度は、約1%~約20%(w/v)の間であり、例えば、当該濃度は、約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3%(w/v)、約4%(w/v)、約5%(w/v)、約6%(w/v)、約7%(w/v)、約8%(w/v)、約9%(w/v)、約10%(w/v)、約11%(w/v)、約12%(w/v)、約13%(w/v)、約14%(w/v)、約15%(w/v)、約16%(w/v)、約17%(w/v)、約18%(w/v)、約19%(w/v)、又は約20%(w/v)であってよい。一実施形態において、ポリウレタンは、約6%(w/v)の濃度を有する。
【0090】
型
本明細書に開示されている方法は、ポリウレタン溶液の、型への適用を必要とする。任意の型形状が、物品、例えば、コンドーム、手袋、フィルム、又は他の型及びデバイスを作製するために使用されてよい。いくつかの実施形態において、既存のデバイス(例えば、コンドーム)が、型として使用され得る。
【0091】
例えば、型は、マンドレル、鋳型、プレート又はシートであり得る。コンドームが製造される実施形態において、型は、円筒形又は陰茎であり得る。
【0092】
いくつかの実施形態において、金型は、ガラス、セラミック(例えば、TiN)、プラスチック、金属、又は、材料若しくはコーティングの組み合わせである。
【0093】
実施形態において、型が加熱される。例えば、型は、対流、赤外線、電磁誘導又は伝導を使用して最大約90℃(363.15K)のいずれの温度まで加熱されてもよい。
【0094】
ポリウレタン溶液は、型の少なくとも一部分にわたって溶液の層を形成するように型に適用される。このことは、例えば、型を溶液中に浸漬することによって、又は溶液を型上若しくは内に噴霧する、注ぐ、注入する、ブラシをかける、若しくは転がすことによって、或いはこれらの方法の任意の組み合わせによって達成され得る。
【0095】
ポリウレタン溶液は、室温で型に適用されてよく、又は、型への適用前に加熱されてよい。例えば、ポリウレタン溶液は、型への適用前に(撹拌しながら又は撹拌することなく)約37℃(310.15K)の温度に加熱されてよい。
【0096】
いくつかの実施形態において、型は、溶液が適用されるとき、固定されている。他の実施形態において、型は、ポリウレタン溶液が適用されるとき、動作中である。
【0097】
実施形態において、型は、約1mm/s~約1000mm/sの速度でポリウレタン溶液に浸漬される。例えば、浸漬速度は、約1mm/s、約50mm/s、約100mm/s、約200mm/s、約300mm/s、約400mm/s、約500mm/s、約600mm/s、約700mm/s、約800mm/s、約900mm/s、又は約1000mm/sであってよい。
【0098】
実施形態において、型は、1mm/s~約1000mm/sの速度でポリウレタン溶液から引き抜かれる。例えば、引き抜き速度は、約1mm/s、約50mm/s、約100mm/s、約200mm/s、約300mm/s、約400mm/s、約500mm/s、約600mm/s、約700mm/s、約800mm/s、約900mm/s、又は約1000mm/sであってよい。
【0099】
浸漬及び/又は引き抜きの速度の変動は、ポリウレタンフィルムの厚さを制御するために使用され得る。
【0100】
ポリウレタン溶液の層が型に適用された後、溶液が乾燥されて型上にフィルムを形成する。乾燥は、開放雰囲気における、又はオーブン若しくは蒸発器における蒸発によって達成されてよい。
【0101】
いくつかの実施形態において、乾燥は、型が固定されながら行われてよい。他の実施形態において、乾燥は、型が動作しながら行われてよい。
【0102】
いくつかの実施形態において、型は、乾燥を容易にするために加熱される。例えば、型は、対流、赤外線、電磁誘導又は伝導を使用して最大約90℃(363.15K)のいずれの温度まで加熱されてもよい。
【0103】
ポリウレタン溶液は、室温又は高温、例えば、約25℃(298.15K)~約90℃(363.15K)で乾燥されてよい。高温は、約25℃(298.15K)、約30℃(303.15K)、約35℃(308.15K)、約37℃(310.15K)、約40℃(313.15K)、約45℃(318.15K)、約55℃(328.15K)、約60℃(333.15K)、約65℃(338.15K)、約70℃(343.15K)、約75℃(348.15K)、約80℃(353.15K)、約85℃(358.15K)、又は約90℃(363.15K)であってよい。
【0104】
一旦フィルムが型上で形成されたら、ポリウレタン溶液のさらなる適用がなされてよい。いくつかの実施形態において、複数のポリウレタン溶液が利用されてよい。例えば、第1ポリウレタン溶液(例えば、約40000~約500000の間の分子量を有するポリウレタンを使用する)が適用されてよい。同じ溶液又は異なる溶液(約40000~約500000の間の分子量を有するポリウレタンを使用する)のいずれかを使用して第2適用が実施されてよい。ポリウレタン溶液のさらなる適用が実施されてよい。例えば、ポリウレタン溶液を適用して溶液を乾燥するサイクルが2、3、4、5、6サイクル又はそれを超えていてよい。このように、任意の数の開示されているポリウレタン溶液が、型上に多層ポリウレタンフィルムを調製するために使用されてよい。
【0105】
いくつかの実施形態において、ポリウレタン溶液は、型の全て又は一部分に適用されてよい。例えば、ポリウレタン溶液は、型の部分にわたってフィルムの厚さを増加させるために、又は、型の一部分若しくは型上のポリウレタンフィルムにおいて特定の特徴、例えば、畝織り模様を作り出すために、型の一部分に、又は型上のポリウレタンフィルムの一部分に適用されてよい。
【0106】
多層ポリウレタンフィルムの各層は、異なる物性を有していてよい。例えば、それ自体では例えば弱すぎてコンドームを作製できないが、望ましい性質例えば皮膚様の感触を有しているポリウレタン溶液を、1つ以上の他のポリウレタン溶液との組み合わせで使用し、それによって、型上に多層ポリウレタンフィルムを調製することができる。1つ以上の層により、引張強度、線膨張及びモジュラスのうちの少なくとも1つを提供することができ、他の層により、例えば、皮膚様の感触又は湿った皮膚様の感触を提供する。
【0107】
一実施形態において、コンドームは、例えば、異なるポリウレタンの内層及び外層を形成するために、少なくとも2つの異なるポリウレタン溶液から形成されている。この実施形態において、各層は、コンドームのどちらかの側において異なる感触を付与する特性を有する。例えば、異なるポリウレタンは、異なるモジュラス、引張強度、線膨張範囲、及び/又は破断伸びを有し得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、異なるポリマー溶液の使用は、層間の接着を必要とし得る。この接着は、乾燥したフィルムの一部分が可溶化になるように又は適用された溶液が乾燥したフィルムに拡散するように、乾燥したフィルムにポリウレタン溶液を適用することによって達成され得る。代替的には、接着剤が、さらなるポリウレタン溶液の適用の前にフィルムに適用されてよい。
【0109】
いくつかの実施形態において、ポリマー溶液は、構造及び/又は特徴のための層としての非ヒドロゲル材に成形され得る。例えば、ポリマー溶液は、ラテックス、ポリイソプレン、非水和ポリウレタン、及び、コンドームを含めたデバイスのための他の典型的又は非典型的材料に成形されてよい。
【0110】
ポリマー溶液は、非ヒドロゲル材料の内又は外部、例えば、デバイス、例えば、コンドームの内側、内部、又は外部の全部又は一部に適用されてよい。
【0111】
初期のポリマーフィルム又は多層フィルムは、後のポリウレタン溶液の適用の前に乾燥されてよい。代替的には、後の量のポリウレタン溶液の適用は、先の適用の乾燥をすることなくなされてよい。
【0112】
いくつかの実施形態において、ポリウレタン溶液の繰り返し適用は、所定の厚さ、例えば、約50~約200ミクロンのポリウレタンフィルムを製造するのに使用され得る。所定の厚さは、約10ミクロン、約20ミクロン、約30ミクロン、約40ミクロン、約50ミクロン、約60ミクロン、約70ミクロン、約80ミクロン、約90ミクロン、約100ミクロン、約110ミクロン、約120ミクロン、約130ミクロン、約140ミクロン、約150ミクロン、約160ミクロン、約170ミクロン、約180ミクロン、約190ミクロン、又は約200ミクロンであってよい。いくつかの実施形態において、所定の厚さは、約70ミクロン~約80ミクロンである。
【0113】
膨張剤
本明細書に開示されている方法は、ポリウレタンフィルム又は多層ポリウレタンフィルムを、当該フィルムがポリウレタンヒドロゲルを形成する条件下で膨張剤と接触させることを必要とする。
【0114】
膨張剤は、水を含んでいても水からなっていてもよい。他の実施形態において、膨張剤は、水溶液、ヒドロキシエチルセルロース溶液、パラベン系溶液、グリコール系溶液、グリセリン系溶液、油系溶液、又はシリコーン系溶液のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態において、膨張剤は、溶液のうちの1つ以上であってよい。
【0115】
一実施形態において、膨張剤は、水である。
【0116】
膨張剤は、殺精子剤、潤滑剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗菌剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス、微生物叢改善薬、フレーバー化合物、芳香化合物、感覚改善剤、滅菌剤、又は殺菌剤から構成されていてよい。
【0117】
ポリマーフィルムは、膨張剤中に浸漬されて直ちに引き抜かれてよい。代替的には、ポリマーフィルム又は材料を、膨張剤中に浸漬し、引き抜かれるまでのしばらくの間、膨張剤と接触して存在させてよい。ポリマーフィルム又は材料は、上記剤と接触しながら型上に残存していてよく、代替的には、ポリマーフィルムは、膨張剤との接触の前に型から除去されてよい。
【0118】
いくつかの実施形態において、ポリウレタンフィルムは、約1~約60秒間、膨張剤と接触する。この後に、直ちに又は後のいずれかで、膨張剤とのさらなる接触が続いてよい。
【0119】
他の実施形態において、ポリウレタンフィルムは、最大約24時間の一晩中、膨張剤と接触する。例えば、ポリウレタンフィルムは、約15分、約30分、約45分、約1時間、約2、時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間、膨張剤と接触する。
【0120】
いくつかの実施形態において、ポリウレタンフィルムは、ポリウレタンヒドロゲルの最大の膨張が達成されるまで膨張剤と接触する。いくつかの場合において、これには、24時間超かかり得る。
【0121】
実施形態において、膨張剤の温度は、室温、又は約20℃(293.15K)~約90℃(363.15K)である。膨張剤の温度を増加させることにより、ポリウレタンフィルムをポリウレタンヒドロゲルになるまで膨張するのに必要とされる時間を低減し得る。したがって、膨張剤の温度は、約20℃(293.15K)、約25℃(298.15K)、約30℃(303.15K)、約35℃(308.15K)、約40℃(313.15K)、約45℃(318.15K)、約50℃(323.15K)、約55℃(328.15K)、約60℃(333.15K)、約65℃(338.15K)、約70℃(343.15K)、約75℃(348.15K)、約80℃(353.15K)、約85℃(358.15K)、又は約90℃(363.15K)であってよい。
【0122】
ポリウレタンヒドロゲル
ポリウレタンフィルムと膨張剤との接触によって形成されるポリウレタンヒドロゲルは、約1%~約95%の間、例えば、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%の膨張剤含有率を有し得る。いくつかの実施形態において、膨張剤含有率は、約45%、約50%、又は約55%、例えば、約54%である。いくつかの実施形態において、ヒドロゲルは、皮膚の含水率に近似する、又はこれと同じである膨張剤含有率を有する。皮膚の大まかな含水率は64%付近であり、したがって、いくつかの実施形態において、ポリウレタンヒドロゲルの膨張剤含有率は、約60%~約70%、例えば、約64%である。
【0123】
いくつかの実施形態において、膨張剤は、油又はシリコーン系である。これらの実施形態において、ポリウレタンフィルムとシリコーン又は油系膨張剤との接触によって形成されるポリウレタンヒドロゲルは、約0.1%~約30%の間、例えば、約1%、約2%、約4%、約8%、約10%、約12%、約14%、約16%、約18%、約20%、約22%、約24%、約26%、約28%、又は約30%の膨張剤含有率を好ましくは有する。例えば、ポリウレタンヒドロゲルは、膨張剤との24時間の接触後、約0.1%~約10%の間、例えば、約0.1%、約0.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%のシリコーン又は油系膨張剤含有率を有し得る。
【0124】
いくつかの実施形態において、膨張剤は、2つ以上のベースの膨張剤の混合物又はハイブリッドである。例えば、いくつかの実施形態において、膨張剤は、水:シリコーンのハイブリッドである。
【0125】
本明細書に開示されている方法によるポリウレタンヒドロゲル形態は、これをコンドームなどの用途における使用に好適にする多くの特質を有する。これらの特質には、好適な、線膨張特性、引張強度、モジュラス、実質的に破断する前に伸長するが生物学的因子についてなお不浸透性であり小分子について浸透性である能力が、含まれる。
【0126】
これらの特質は:各ポリマーについてのポリマータイプ、ポリマー分子量範囲、平均分子量、n:m範囲のうちの1つ以上の選択によって、又は2つ以上のポリマーをブレンドすることによって調節され得る。いくつかの実施形態において、より高分子量のポリマーは、より強いが、より堅く、より可撓性が低いヒドロゲルを生成し、より低分子量のポリマーは、より弱いが、より軟質で、より可撓性のヒドロゲルを生成する。したがって、ポリマーをブレンドし、特定の平均分子量、分子量プロファイル及びn:m比のうちの1つ以上を有するポリマーを選択することによって、ヒドロゲルは、特定の用途、例えば、コンドームに適切な、所望の範囲の特質(線膨張、引張強度、モジュラス、伸長、不浸透性)を有するように、本明細書に記載されている方法によって生成され得る。これらの特質は、ヒドロゲルにおける膨張剤の量及びタイプに加えて、使用者がどのようにヒドロゲルを体験するかに寄与し、すなわち、ヒドロゲルの「感触」に寄与する。
【0127】
一実施形態において、特質は、n及びmについての様々な値、又は特定のn:m比を有するポリマーを使用することによって調節され得る。例えば、n:m比は、ヒドロゲルの膨張量に影響し、ひいてはモジュラスに影響し、ひいてはヒドロゲルの感触に関連する。モジュラスはヒドロゲルの感触への重要な寄与因子であるが、他の特質及び因子、例えば、膨張剤含有率及びタイプもまた感触に寄与することに注意されるべきである。
【0128】
いくつかの実施形態において、n:m比は、1:0.1~1:75である。例えば、好適なn:m比として、1:21~26(実施例1におけるAに相当)、1:25~30(実施例1におけるBに相当)、1:6.67~13.33(実施例1におけるCに相当)、1:2.2~2.5(実施例1におけるDに相当)、1:4.59~5.25(実施例1におけるEに相当)、1:28.57~34.30(実施例1におけるFに相当)が含まれる。いくつかの実施形態においてn及びmが平均であることを考慮すると、n:m比はまた、平均n対平均mの比も表す。
【0129】
いくつかの実施形態において、n:m比は、約1:0.1~75の間の任意の数、例えば、1:0.1、約1:0.5、約1:1、約1:5、約1:10、約1:15、約1:20、約1:25、約1:30、約1:35、約1:40、約1:45、約1:50、約1:55、約1:60、約1:65、約1:70、又は約1:75である。
【0130】
「線膨張」は、材料の初期の長さに対する長さの変化の比を指す。実施形態において、ポリウレタンヒドロゲルフィルム又は材料は、約1%~100%の間、例えば、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の線膨張を有する。
【0131】
用語「引張強度」は、サンプル破壊の前にサンプルによって取り込まれる最大の力を指す。引張強度は、サンプルの最大の力及び初期の断面積の比である。実施形態において、ヒドロゲル材料は、約1MPa~約100MPaの間、例えば、約3MPa、約4MPa、約5MPa、約6MPa、約7MPa、約8MPa、約9MPa、約10MPa、約11MPa、約12MPa、約13MPa、約14MPa、約15MPa、約16MPa、約17MPa、約18MPa、約20MPa、約25MPa、約30MPa、約35MPa、約40MPa、約45MPa、約50MPa、約55MPa、約60MPa、約65MPa、約70MPa、約75MPa、約80MPa、約85MPa、約90MPa、約95MPa、又は約100MPaの引張強度を有する。
【0132】
用語「モジュラス」は、本明細書において使用されているとき、特定の伸び値における力を指し、材料の硬度に関する。実施形態において、ヒドロゲル材料は、約80kPa~約15MPaの50%モジュラス、約200kPa~約15MPaの100%モジュラス及び約700kPa~15MPaの300%モジュラスを有する。
【0133】
一実施形態において、50%モジュラスは、約80kPa~約15MPa、例えば、80kPa、100kPa、500kPa、750kPa、1MPa、2MPa、3MPa、4MPa、5MPa、6MPa、7MPa、8MPa、9MPa、10MPa、12MPa、13MPa、14MPa、又は15MPaである。
【0134】
一実施形態において、100%モジュラスは、約200kPa~約156MPa、例えば、200kPA、250kPa、500kPa、750kPa、1MPa、2MPa、3MPa、4MPa、5MPa、6MPa、7MPa、8MPa、9MPa、10MPa、12MPa、13MPa、14MPa、又は15MPaである。
【0135】
一実施形態において、300%モジュラスは、約700kPa~15MPa、例えば、700kPa、750kPa、1Mpa、2MPa、3MPa、4MPa、5MPa、6MPa、7MPa、8MPa、9MPa、10MPa、12MPa、13MPa。14MPa、又は15MPaである。
【0136】
用語「破断伸び」は、サンプル破壊に達する前の材料の最大線形伸長を指す。破断伸びは、初期の長さを超える、材料の増加の百分率(%)として定義される。
【0137】
図1及び2を参照して、破断伸びは、負荷対伸び曲線を使用して算出され得る。
図1及び2のそれぞれにおいて、本明細書に記載されている方法によって製造されるヒドロゲルコンドームの20mmのサンプルリング(ポリマーA又はBのいずれかを含む)を、実施例に記載のように試験した。
図1におけるコンドームは、0.125mmの二重壁厚さ及び58mmの幅を有し、
図2において、コンドームは、0.148mmの二重壁厚さ及び53mmの幅を有した。
【0138】
実施形態において、ヒドロゲル材料は、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、約1000%、約1100%、約1200%、約1300%、約1400%、約1500%、約1600%、約1700%、約1800%、約1900%、又は約2000%の破断伸びを有する。
【0139】
実施形態において、ヒドロゲルは、生物学的因子、例えば、ウイルス若しくはウイルスモデル(例えば、phiX174)又は細菌(例えば、大腸菌)について実質的に不浸透性である。phiX174は、30nm付近の平均直径を有し、したがって、ヒドロゲルは、30nm以上の平均直径を有する生物学的因子について実質的に不浸透性である。実施形態において、ヒドロゲルは、最大約10kPaの圧力がヒドロゲルに加えられたとき、30nm以上の生物学的因子について実質的に不浸透性である。圧力は、最大約1kPa、最大約2kPa、最大約3kPa、最大約4kPa、最大約5kPa、最大約6kPa、最大約7kPa、最大約8kPa、最大約9kPa、又は最大約10kPaであってよい。
【0140】
別の実施形態において、ヒドロゲルは、小分子、例えば、水溶性小分子について浸透性である。本発明者らは、ポリウレタンヒドロゲルがフルオレセインナトリウム(分子量376.275g/mol)及びローダミンB(分子量479.02g/mol)について浸透性であるということを実証した。したがって、ヒドロゲルは、約500g/mol以下の分子量を有する水溶性小分子について浸透性である。
【0141】
本明細書に記載されているポリウレタンヒドロゲルの1つの利点は、例えば、コンドームにおいて使用されるときには、視覚的に透明であるということである。これは、従来のラテックス又はポリイソプレンコンドームと対照的である。
【0142】
一実施形態において、ポリウレタンヒドロゲルから形成されるコンドームは、約40%の線膨張、約60%の膨張剤含有率、約15.2MPaの引張強度、約747%の破断伸び、並びに約2.8MPaの50%モジュラス、約3.6MPaの100%モジュラス及び約6.7MPaの300%モジュラスを有する。
【0143】
別の実施形態において、ポリウレタンヒドロゲルから形成されるコンドームは、約30%の線膨張、約50%の膨張剤含有率、約26.3MPaの引張強度、約591%の破断伸び、並びに約2.5MPaの50%モジュラス、約3.3MPaの100%モジュラス及び約6.6MPaの300%モジュラスを有する。
【0144】
コンドームの試験は、コンドームを空気で拡張させて、破裂する前にコンドーム内に含まれ得る空気の体積を試験することを含んでいてよい。破裂するときのコンドームに含まれる空気の体積は、空気破裂体積として知られている。好ましい実施形態において、本明細書に記載されているヒドロゲルコンドームは、約5L~40Lの空気破裂体積を有する。例えば、空気破裂体積は、約5L、約10L、約15L、約20L、約25L、約30L、約35L、約40L、約45L~約50Lであり得る。
【0145】
さらに、コンドームを空気で充填することによっても圧力を増加させ、破裂するときの最大の空気圧は空気破裂圧として知られている。好ましい実施形態において、本明細書に記載されているヒドロゲルコンドームは、約0.75kPa~約4kPaの空気破裂圧を有する。例えば、空気破裂圧は、約0.75kPa、約1kPa、約1.25kPa、約1.5kPa、約1.75kPa、約2kPa、約2.25kPa、約2.5kPa、約2.75、kPa、約3kPa、約3.25kPa、約3.5kPa、約3.75kPa、約4kPa、約4.25kPa、約4.5kPa、約4.75kPa、又は約5kPaであってよい。いくつかの実施形態において、空気破裂圧は、約1.3kPa~約3.6kPaであってよい。
【0146】
ポリウレタンヒドロゲルは、さらなる良好な特質を有しており、この特質としては、使用者が下記を報告することが挙げられる:ポリウレタンヒドロゲル材料が、皮膚のような感触である、湿った感触である、柔らかい感触である、使用者が感覚を失っていないような感触である(すなわち、何もないような感触である)、又はこれらの組み合わせ。いくつかの実施形態において、ポリウレタンヒドロゲルは、視覚的に透明であり、その結果、視覚的なアピール又は視覚的な刺激が損なわれないようになっている。
【0147】
いくつかの実施形態において、ポリウレタンヒドロゲル分は、他のコンドーム材料よりも効率的に熱を伝導し、その結果、体温の移動があまり損なわれないようになっている。
【0148】
ポリウレタンヒドロゲルは、臭い又は味覚に悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【0149】
いくつかの実施形態において、ポリウレタンヒドロゲルは、低刺激性であり、すなわち、アレルギー反応を誘発しない。
【0150】
いくつかの実施形態において、ポリウレタンヒドロゲルは、異なる物性(例えば、モジュラス、線膨張、破断伸び、空気破裂圧など)を有する複数の領域を有するように作製される。このことは、これらの複数の領域のそれぞれについて異なるポリマーを使用することによって達成される。例えば、コンドームは、堅い感触であり得る内面においてより高いモジュラスのヒドロゲル、及び、柔らかい感触であり得る外面においてより低いモジュラスのヒドロゲル、又はその逆で作製されてよい。代替的には又はさらに、異なるモジュラスのエリアがあってよく、例えば、コンドームは、柄部分とは異なるモジュラスを有する先端領域、複数の領域を有する柄部分、又は異なるモジュラス若しくは他の特質の輪を、有している。分子量、n:m比、又は両方が種々の値であるポリマーの使用によって、デバイスが、使用に関して仕上げのデバイスの異なる態様において明確な異なる感触を有するように、本明細書に記載されている方法を使用して作製され得;例えば、デバイスに沿って様々な感触を有するコンドームは、いずれのパートナーにも異なる感覚を引き起こす。特に、ヒドロゲルは皮膚様であり得る。
【0151】
表1に記載されているように、本明細書に記載されているポリウレタンヒドロゲルコンドームの特質を従来型のコンドームのものと有利に比較する。
【0152】
【実施例】
【0153】
実施例1:ポリウレタン溶液調製
溶媒:
エタノール:水は、比が、ポリウレタンに応じて60:40~95:5の範囲であり得る。90:10のエタノール:水を、以下のA~Fのそれぞれを含む)以下のポリマーが易溶性である比として選択した:
A:-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-[O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-(CH2CH2-O-CH2CH2)-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-NH-(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O]m-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2,-、nは、平均=5であり、mは、約105~130である;又は
B:-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-[O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-(CH2CH2-O-CH2CH2)-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-NH-(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O]m-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-、nは、平均=4であり、mは、約100~120である;
C:-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-[O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-(CH2CH2-O-CH2CH2)-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-NH-(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O]m-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-、nは、平均=1.5であり、mは、約10~20である;
D:-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-[O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-(CH2CH2-O-CH2CH2)-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-NH-(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O]m-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-、nは、平均=34であり、mは、約75~85である
E:-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-[O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-(CH2CH2-O-CH2CH2)-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-NH-(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O]m-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-、nは、平均=30.5であり、mは、約140~160である。
F:-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-[O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-(CH2CH2-O-CH2CH2)-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-NH-(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-OCHN(C6H10)CH2(C6H10)NHCO-O]m-CH2-(CH2-O-CH2)n-CH2-、nは、平均=7であり、mは、約200~240である。
【0154】
ポリマー溶液:
上記ポリマーを、溶媒(EtOH:W 90:10v/v)に別個に溶解させる。ポリマー濃度は、フィルムを形成するように1%w/v~最大10%w/vの範囲であり得る。6%w/vの濃度を選択して、全てのフィルムを作製した(表2を参照)。しかし、浸漬コーティングプロセスでは、濃度をさらに最適化して、フィルムの質、及び、所望の厚さに達するのに必要とされる浸漬回数を制御することができる。
【0155】
混合物を一晩中撹拌してポリマーを可溶化する。70℃(343.15K)に加熱することにより、可溶化の速度を増加させる。
【0156】
上記の例において調製したヒドロゲルの応力を、「ドッグボーン」形状のヒドロゲルサンプルを使用し、500mm/分の速度で伸ばした伸びの関数として、測定した。応力を、力と、ドッグボーンサンプルの初期断面積との比を見出すことによって算出した。伸びを、伸びた長さと初期の長さとの比として定義した。モジュラスは、50%、100%及び300%のサンプル伸びにおける応力を与えることによって算出する。
【0157】
【0158】
実施例2:膨張剤の適合性
ポリマーの膨張剤の適合性の1つの手段を調査するために、一連のパーソナルケア製品を調査した。ポリマーシートを、5mLの6%(w/v)ポリマー溶液を型に添加することによってキャストした。乾燥したシートを形状に切断し、長さを測定した。ポリマーを次いで市販の性関連製品である様々な膨張化合物に漬けた。ポリマーを膨張剤において24時間放置し、再測定して、対照乾燥材料と比較した即座の膨張を求めた。
【0159】
様々なポリマー、並びに、水系、シリコーン系、及び油系配合物を含む潤滑剤タイプを、表3に記載のように調査した。
【0160】
様々なパーソナルケア製品を用いて膨張したヒドロゲルの線膨張の測定を調査した。表3は、ポリマーA及びポリマーBからの例を示す。引張強度を各ベースタイプについて分析したところ、結果は、潤滑剤系膨張剤が引張強度を低減しなかったことを示した。結果は、ヒドロゲルコンドームが、油が材料を劣化させるため油系潤滑剤と共に使用することができない従来型のラテックス又はポリイソプレンよりも、潤滑剤の選択肢に対して広い適合を有することを示す。さらに、ヒドロゲルは、シリコーン玩具との使用について推奨されないシリコーン潤滑剤と適合する。
【0161】
【0162】
実施例3:コンドーム原型作製:
加熱したポリマー溶液に円筒形型を浸漬する浸漬コーティングプロセスを使用してコンドーム原型を作製した。型は、好ましくはガラス又は金属製である。本発明者らは、プラスチック型が、ポリウレタン溶液が浸漬後に型を不均一にコーティングする傾向があるため、理想的ではないことを見出した。
【0163】
一実験において、複数の原型コンドームを製造するために、複数のガラス又は金属型から型リグを組み立てる。
【0164】
ポリマー溶液を大きな容器に配置し、容器は、リグを収容するのに充分な幅であり、容器の高さは、全て、液体変位を占めるのに充分である。容器をリグの下に置く。
【0165】
容器中のポリマー溶液を、一定に撹拌しながら(25℃(298.15K))に加熱する。型をポリマー溶液に浸漬し、20~200mm/sの間の速度で引き抜き、型の除去後、溶媒蒸発を最小にするためにポリマー溶液をカバーした。
【0166】
型は、これらに適用されたポリマー溶液を有して、溶媒がコーティングから蒸発してポリウレタンフィルムが型上に形成されるまで少なくとも5~10分間室温で保持する。この時間は、乾燥が例えばオーブン又は脱水機において高温で行われるときには有意に短縮することができる。
【0167】
浸漬及び乾燥プロセスの繰り返しにより、コンドームを形成するポリウレタンフィルムの厚さを増加させる。ポリマーを典型的には1~6回浸漬して、コンドームを作り出した。
【0168】
いくつかの場合において、1つの分子量のポリマーによる一連の浸漬、及び別の分子量のポリマーによる浸漬又は一連の浸漬により、コンドームを作り出した。
【0169】
一例において、ポリマーAを含むヒドロゲルの第1層及びポリマーBを含むヒドロゲルの第2層を有するコンドームを製造した。別の場合において、ポリマーBを含むヒドロゲルの第1層及びポリマーAを含むヒドロゲルの第2層を有するコンドームを製造した。
【0170】
溶媒をコーティングされた型から完全に蒸発させたら、型リグを、過剰の膨張剤又は(水和溶液)で充填した容器に浸漬して、乾燥したフィルムを膨張させてヒドロゲルを形成することができる。
【0171】
実施例4:ISO標準コンドーム試験:
以下のデータは、コンドームに関する標準の従来型の国際試験からの結果である。試験は、ISO 23409:2011男性コンドーム-合成材料から作製されるコンドームのための要件及び試験方法並びにISO 4074:2015天然ゴムラテックス男性コンドーム-コンドームのバッチ試験資格に必要とされる要件及び試験方法からのものである。引張試験は、ISO又はASTMプロトコルにおいては現在見られないが、代替のコンドーム材料の開発において有用なガイドである。
【0172】
コンドームを、ポリマーA及びB(上記)の選択を使用して製造した。試験は、Enersolによって、並びに、ISO 17025:2017及びISO 9001:2015並びに試験した寸法、引張試験、空気破裂及び漏出試験の要件に適合すると公認されている独立する品質保証試験装置並びにサービスによって実施した。
【0173】
長さを測定するために、コンドームを僅かに(5パーセント~10パーセント)伸長させて、巻き上げられたことによって引き起こされるシワを伸ばし、目盛り付きマンドレル上に吊す。幅は、いずれの折り目もなく広げて平坦にしたときに、コンドームの長さに対して直角で測定する。典型的には、各サンプルコンドームから厚さを3回測定し、平均を求める。表4は、コンドームタイプA及びコンドームタイプBと表されるコンドームからの測定を付与する;各場合において、コンドームタイプを、コンドームの主要成分が表2からの対応するポリマータイプであった場合として定義した。
【0174】
【0175】
コンドームの引張強度を、コンドームの中央部から切断した20mm幅サンプルを使用して評価した。試験により、一定速度の円運動を使用してコンドームの全片に等しく圧力を加えて、材料のこの断面片(リング)を、破断するまで伸長させる。試験により、材料を破断するのにかかる力(破断力(ニュートン));材料片が破断するときのその長さ(パーセント伸び、最初から最終の円周のパーセント増加);並びに引張破断強度(メガパスカル)を測定し、材料の厚さ及び破断力のニュートンを使用して算出する。表5は、ポリマーA又はポリマーBを含むコンドームからの引張強度測定を付与する。
【0176】
【0177】
コンドームを風船のように拡張させ、これが破裂するのに必要とされる空気の体積及び空気圧を測定することによって、空気破裂圧及び体積を評価した。コンドームを広げてステムに固定し、約150mmで拡張させたままにした。試験装置により、特定の速度で、清浄な油不含/水分不含空気によってコンドームを拡張させる。表6は、ポリマーA又はポリマーBを含むコンドームからの空気破裂圧を付与する。
【0178】
【0179】
吊るし法を用いて、漏出試験を行った。この方法では、コンドームを、通常は垂直に吊しながら、水で充填し、漏出について、観察者がチェックする。さらに、水で充填したコンドームの端部を結び、次いで吸収紙を横断して転がし、紙上で水を探す。試験は、様々なコンドームバッチからの、ホール(漏出)無し試験にパスした例において、実施した。
【0180】
さらなるコンドームを、様々なポリマーの層を追加することによって作製した。一例において、ポリマーAから作製したコンドームにポリマーBを積層し、逆の場合も行った。これらの例において、コンドームは、表1に示す異なる特性を有した。コンドームを機械的特性に関して試験したところ、ISO基準を満たし又はこれを超え、上記の機械試験結果において見られたパラメータ内であった。
【0181】
実施例5:バクテリオファージバリア試験
ポリマーA及びBを生物学的バリア特性に関して試験し、課題粒子として使用したときの小さな細菌ウイルス(バクテリオファージΦ-X174)の拡散を防止した。Φ-X174の使用は、ウイルス侵入試験として知られており、典型的には、(ISO 23409:2011に基づいて)コンドームのバリア特性をチェックするために行われる。これらの試験において、サンプルコンドームを拘束し、コンドームをサロゲートウイルスバクテリオファージΦ-X174の懸濁液で充填する。サンプルを収集流体に沈めることにより、サンプルを通してのウイルス粒子の漏出を、ウイルス粒子の存在について流体を分析することにより検出することができる。
【0182】
ヒドロゲル材料A及びBを、フランツセルのドナーチャンバ及びレシーバチャンバ間に固定した。レセプタコンパートメントをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で充填し、ドナーチャンバにPBS中のΦ-X174バクテリオファージを投入した。サンプルをレセプタコンパートメントから引き抜いて分析し、プラーク形成アッセイによってファージを定量化した。陽性対照として、材料を25G針によって穴を開けることによって傷つけた。試験材料は、これらがΦ-X174を浸透しないことを示した。
【0183】
ポリマーA及びポリマーBから作製した、拘束して加圧したコンドームにおいても試験を実施した。コンドームはウイルス侵入試験にパスした。
【0184】
さらに、ヒドロゲルA及びBを、尿路感染を引き起こす細菌である大腸菌に暴露した。ヒドロゲル材料A及びBを、フランツセルのドナー及びレシーバチャンバ間に固定した。レセプタコンパートメントをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で充填し、ドナーチャンバにPBS中の大腸菌を投入した。サンプルをレセプタコンパートメントから引き抜いてLB寒天プレートにおける成長によって分析したところ、レセプタコンパートメントから採取したサンプルにおいて大腸菌の成長は観察されなかった。陽性対照として、ヒドロゲル材料を25G針によって穴を開けることによって傷つけた。試験材料は、これらが大腸菌を浸透しないことを示した。
【0185】
多数の変形及び/又は変更が、広範に記載されている本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、具体的な実施形態において示されている本発明に対してなされてよいことが当業者によって認識されよう。したがって、本実施形態は、あらゆる点において、制限的ではなく例示的であるとみなされるべきである。
【国際調査報告】