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特表2022-541154冷却素子を製造する方法およびそうした方法によって製造された冷却素子
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  • 特表-冷却素子を製造する方法およびそうした方法によって製造された冷却素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】冷却素子を製造する方法およびそうした方法によって製造された冷却素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20220914BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022501143
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2020069049
(87)【国際公開番号】W WO2021005024
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】102019118835.0
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515063390
【氏名又は名称】ロジャーズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Rogers Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Stadtwald 2, D-92676 Eschenbach, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】503342650
【氏名又は名称】トルンプ フォトニクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーゼント、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】マッハー、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァイガー、ヘイコ
(72)【発明者】
【氏名】ベサケ、ティロ
(72)【発明者】
【氏名】ゴッティーナー、マーク
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA10
5E322AB11
5E322EA11
5F136CB07
5F136CB08
5F136DA34
5F136FA01
5F136FA12
5F136FA16
5F136FA41
5F136GA40
(57)【要約】
本発明は、電気部品または電子部品(特に、半導体素子)用の冷却素子(1)を製造するための方法であって、完成した前記冷却素子(1)は、冷却流体が動作中に通ることが可能である冷却流体チャネルシステムを有する、方法に関する。前記方法は、1つ以上の第1金属層(11)を提供する工程と、1つ以上の凹部(21,22)を前記1つ以上の第1金属層(11)に提供する工程と、前記1つ以上の凹部(21,22)を用いて前記冷却流体チャネルシステムの1つ以上の部分的な区分を形成する工程と、を備え、前記1つ以上の第1金属層(11)における前記1つ以上の凹部(21,22)の1つ以上の第1部分(21)は、加工処理、特に放電加工処理によって製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品または電子部品用、特に半導体素子用の冷却素子(1)を製造するための方法であって、製造された前記冷却素子(1)は、動作時に冷却流体が通過することが可能である冷却流体チャネルシステムを有し、前記方法は、
1つ以上の第1金属層(11)を提供する工程と、
1つ以上の凹部(21,22)を前記1つ以上の第1金属層(11)に設ける工程と、
前記1つ以上の凹部(21,22)によって前記冷却流体チャネルシステムの1つ以上の部分的な区分を形成する工程と、を備え、
前記1つ以上の第1金属層(11)における前記1つ以上の凹部(21,22)のうちの1つ以上の第1部分(21)は、加工、特に放電加工によって設けられる、方法。
【請求項2】
1つ以上の第2金属層(12)を提供する工程と、
前記1つ以上の第1金属層(11)および前記1つ以上の第2金属層(12)を積み重ね方向(S)に沿って積み重ね、前記冷却流体チャネルシステムの1つ以上の前記区分を形成する工程と、をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の第1金属層(11)における前記1つ以上の凹部(21,22)のうちの1つ以上の第2部分(22)は、エッチングによって設けられる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の第1金属層(11)における前記1つ以上の凹部(21,22)のうちの前記1つ以上の第2部分(22)を形成するための前記エッチングは、前記1つ以上の第1金属層(11)における前記1つ以上の凹部(21,22)のうちの前記1つ以上の第1部分(21)を前記加工によって形成する前に行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
製造された状態における前記1つ以上の凹部(21)のうちの前記1つ以上の第1部分(21)が、その距離(A1)が第1の閾値以下である対向し合う側壁を有するか、前記製造された状態における前記1つ以上の凹部(22)のうちの前記1つ以上の第2部分(22)が、その距離(A1)が第2の閾値以上である対向し合う側壁を有するか、またはその両方である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
複数の第1金属層(11)は同時に加工される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の第1金属層(11)はクランピング要素(40)に固定されている、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の第1金属層(11)は0.3mmを超える、好ましくは0.4mmを超える、特に好ましくは0.8mmを超える厚さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の第1金属層(11)、前記1つ以上の第2金属層(12)、またはその両方は、下被覆層(14)と上被覆層(15)との間に配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
4つ以上、好ましくは6つ以上、特に好ましくは8つ以上の、厚さが0.3mmを超える、第1金属層(11)、第2金属層(12)、またはその両方が提供される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
すべての第1金属層(11)、第2金属層(12)、またはその両方は、0.3mmを超える、好ましくは0.4mmを超える、特に好ましくは0.8mmを超える厚さを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の凹部(21,22)の形状は、3つ以上、好ましくは5つ以上、特に好ましくは8つ以上の第1金属層(21)について異なる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の第1金属層(11)は、好ましくは焼結によって、前記1つ以上の第2金属層(12)に対しボンディングされる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
単一の第1金属層(11)が前記冷却素子(1)を形成するように用いられる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法によって製造された冷却素子(1)であって、前記1つ以上の第1金属層(11)における対向し合う側壁間の距離(A1)は、少なくとも、0.4mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満の範囲にある、冷却素子(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却素子を製造する方法およびそうした方法によって製造された冷却素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品および電子部品、特にレーザダイオードなどの半導体を冷却するための冷却素子は、先行技術からよく知られている。動作中、電気部品または電子部品は熱を発生させる。その熱は、電気部品または電子部品の永久機能を保証するように冷却素子によって散逸させられる。これは、特に、たった数℃の温度差によりすでに性能および/または耐用年数の損失を生じ得る、レーザダイオードに対し適用される。
【0003】
部品の冷却のため、通常部品に対し取り付けられている冷却素子は、典型的には、電気部品または電子部品から生じる熱を吸収するとともに散逸させるように、動作中に冷却流体が通過する、冷却流路システムを有する。好ましくは、冷却流体とのより大きい可能な接触面積を提供するように、複数のウェブ状要素が冷却流体チャネルシステムへと突出する、フィン構造が用いられる。これによって、冷却流体チャネルシステムを閉じる壁から冷却流体への熱伝達が向上する。
【0004】
したがって、フィン構造と流体との間の遷移における最適な冷却性能を保証にするように、可能な限りこれらのウェブ状要素の多くを最小の可能な空間において結合させることが望ましい。
【0005】
隣接するウェブ状要素の最も近い可能な配置は、2つの隣接するウェブ状要素間において製造処理によって達成されることが可能である最小可能距離によって制限される。
典型的には、ウェブ状要素は、電気部品または電子部品を、例えば、セラミック金属基板によって直接または間接的に支持する、金属層における凹部の対応するエッチングによって設けられる。その金属層および場合によっては異なった構造の金属層が、冷却流体チャネルシステムにより冷却素子を形成するように、積み重ね方向に沿って互いに積み重なって積み重ねられる。
【0006】
隣接するウェブ状要素間の比較的小さい距離は、最も薄い可能な金属層により達成されることが可能であり、その結果、積み重ね方向に沿った十分に大きい拡張を伴い、また同時に2つの隣接するウェブ状要素間の距離が小さい、ウェブ状要素を得るように、いくつかの、好ましくは2~3つの可能な限り薄い金属層を互いに積み重なって積み重ねるための確立したやり方となっていることが見出されている。しかしながら、そうしたアプローチでは、2つの隣接するウェブ状要素間の最小距離は、積み重ねられた金属層間の積み重ね方向に対し垂直な方向に生じるずれに起因して、0.3mm以上に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに基づいて、本発明は、先行技術から知られている冷却素子と比較して向上した冷却効果を有する冷却素子を提供する目的を設定する。本発明では、特に、冷却流体チャネルシステム用のより微細に構造化された凹部が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に係る方法、請求項8に係るその方法および請求項10に係る冷却素子によって解決される。本発明のさらなる利点および特徴が、従属請求項ならびに本記載および添付の図面から得られる。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、電気部品または電子部品(特に、半導体素子)用の冷却素子を製造するための方法が提供され、製造された前記冷却素子は、冷却流体が動作時に通過可能である冷却流体チャネルシステムを備える。
【0010】
前記方法は、1つ以上の第1金属層を提供する工程と、1つ以上の凹部を前記1つ以上の第1金属層に設ける工程と、前記1つ以上の凹部によって前記冷却流体チャネルシステムの1つ以上の部分的な区分を形成する工程と、を備える。
【0011】
前記1つ以上の第1金属層における前記1つ以上の凹部の1つ以上の第1部分は、加工、特に放電加工によって設けられる。
先行技術から知られている方法と比較して、本発明によれば、前記1つ以上の第1金属層における前記1つ以上の凹部の少なくとも一部は、加工、特に放電加工(例えば、ワイヤ加工または浸漬加工)によって設けられる。加工は、特に、非常に小さいまたは微細に構造化された凹部または凹部の区分を形成することを可能にする。特に、凹部の区分(すなわち、1つ以上の凹部のうちの第1部分)も設けられることが可能である。1つ以上の金属層における2つの対向し合う側面(例えば、隣接するウェブ状要素同士の)間の距離には、0.3mm未満の値が割り当てられることが可能である。対応して、凹部は、特に、いくつかの第1金属層を互いに積み重なって積み重ねる必要なく、非常に狭いチャネル区分、または続けて製造される冷却流体チャネルシステム(冷却流体が通過することが可能)における区分を形成する、単一の第1金属層に設けられることが可能である。結果として、冷却素子の冷却効果を大幅に改良することが可能であるように、先行技術から知られているものと比較して、遥かに小さく狭い冷却構造(例えば、冷却素子におけるフィン構造)が生成されることが可能である。
【0012】
好ましくは、放電加工または加工は、導体材料についての熱アブレーションである。その処理は、ツールとしての電極と1つ以上の第1金属層との間の電極放電処理(スパーク)に基づく。特に、DIN8580標準に従うアブレーションに従って、放電加工が行われる。1つ以上の第1金属層における1つ以上の凹部は、1つ以上の第1金属層全体を通じて広がる(好ましくは、ワイヤ加工によって生成される)ことが可能である。または、1つ以上の第1金属層における1つ以上の凹部は、ブラインドホール状に形成される(例えば、1つ以上の第1金属層における浸漬加工によって設けられる)。
【0013】
加工中、好ましくは、非導体媒質(例えば、オイルまたは脱イオン水)において機械加工が行われる。電極ツールは、次いで、製品の0.004~0.5mm内に(すなわち、1つ以上の第1金属層に)導かれる。続けて、スパークのフラッシュオーバーが、印加電圧の増加によって選択的に誘起されるとすぐに、発生したスパークは、材料を点状に融解し蒸発させる。その結果、1つ以上の凹部が、1つ以上の第1金属層において設けられる。さらに、好ましくは、冷却素子は、電気部品または電子部品が接続されることが可能である接続面を備える。1つ以上の第1金属層における1つ以上の第1凹部のうちの1つ以上の第1部分は、この接続面に隣り合う。すなわち、加工によって形成された1つ以上の凹部の第1部分は、接続面に隣接するおよび/または近接して形成される。
【0014】
特に好ましくは、半導体素子は、冷却効率が自身の電力効率および寿命にとって非常に重要であるレーザダイオードである。さらに、加工によって製造された第1部分は、後に製造される冷却素子におけるフィン構造の一部であることが想定される。たとえば、第1部分は、効果的な熱散逸のために冷却流体が通過するフィン構造の一部である、2つのウェブ状要素間の間隙を形成する。
【0015】
好ましくは、その方法は、
-1つ以上の第2金属層を提供する工程と、
-前記1つ以上の第1金属層および前記1つ以上の第2金属層を積み重ね方向に沿って積み重ね、前記冷却流体チャネルの1つ以上の前記区分を形成する工程と、をさらに備える。
【0016】
特に、1つ以上の第1金属層および/または1つ以上の第2金属層は、主面に沿って広がり、また主面に対し垂直な積み重ね方向に沿って互いに積み重なって積み重ねられる。
好ましくは、冷却素子は、1つ以上の第3金属層を備える。その第3金属層もまた、主面に沿って延び、1つ以上の第1金属層および1つ以上の第2金属層とともに積み重ね方向に垂直な方向に積み重ねられて配置される。特に、1つ以上の第1金属層、1つ以上の第2金属層および1つ以上の第3金属層は、1つ以上の凹部の位置および形状の点において互いに異なる。特に、積み重ねられた状態において上下に配置されている1つ以上の第1金属層、1つ以上の第2金属層および/または1つ以上第3金属は、熱を接続面から離れるように伝えるように冷却流体が動作中に通ることが可能である冷却流体チャネルシステムを形成する。
【0017】
特に、1つ以上の凹部の1つ以上の第1部分は、1つ以上の第1金属層、1つ以上の第2金属層および/または1つ以上の第3金属層における加工によって形成される。さらに、冷却流体チャネルシステムは、特に、供給領域および排出領域を備える。供給領域および排出領域は、例えば、1つ以上の第1金属層、1つ以上の第2金属層および/または1つ以上の第3金属層を通じて広がる。冷却流体チャネルシステムは、好ましくは、冷却流体が供給領域から排出領域まで移送されたときに、冷却流体が、加工によって作り出された凹部の第1部分を通過する必要があるように構成される。好ましくは、冷却流体は、供給領域から排出領域までの遷移中、フィン構造を通過する。特に、冷却流体が、積み重ね方向に沿って冷却流体チャネルを通過すること、特に、積み重ね方向に沿ってフィン構造を通過することが意図される。
【0018】
さらに、冷却流体チャネルシステムは、冷却流体チャネルシステムを通る流体が、1つ以上の第1金属層から1つ以上の第2金属層を通じて1つ以上第3金属層へと通るとすぐに、流体は1つ以上の第3金属層に逸れ、1つ以上の第2金属層および/または1つ以上の第1金属層へと戻って通るように設計される。ここで、冷却流体は再び、冷却流体チャネルシステムの排出領域に対するアクセスを有し、また、それに応じて冷却流体チャネルシステムから排出されることが可能である。これに代えて、第1金属層および/または第2金属層は、冷却流体が単一の流れ方向に沿って案内される流体チャネル経路へとフィンが突出する、フィン構造を形成することが想定される。主として、ウェブ状要素が加工によって生成される、冷却流体チャネルシステムの多様な設計が想定される。
【0019】
1つ以上の第1金属層、1つ以上の第2金属層および/または1つ以上第3金属層に加えて、さらなる対応する金属層および/または上被覆層および/または下被覆層が提供される。冷却素子と電気部品または電子部品との間に絶縁が必要である場合、好ましくは、上被覆要素および/または下被覆要素が、金属セラミック複合物として形成される。その金属セラミック複合物では、セラミック層は、対応する絶縁を提供するように、好ましくは、2つの金属層間に配置される。1つ以上の第1金属層、1つ以上の第2金属層、および1つ以上の第3金属層とは対照的に、上被覆部材および/または下被覆部材は、加工によって作り出された1つ以上の凹部のうちの第1部分を有しなくてよい。これに代えて、頂部被覆層および/または底部被覆層が、冷却流体チャネルシステムの供給エリアおよび/または排出エリア用の入力開口および/または出力開口として、および/または冷却素子用の締付手段およびロック補助として提供される、凹部および/またはさらなる凹部を有する。
【0020】
本発明の1つの実施形態によれば、1つ以上の第1金属層における凹部のうちの少なくとも第2部分はエッチングによって設けられる。このようにして、2段階にて1つ以上の凹部を形成することが、有利には可能である。大面積区分または凹部の第2部分が、第1準備工程において、例えばエッチングによって形成される。特に、大面積区分では、2つの対向し合う側壁間の距離が可能な限り小さい必要はないため、ここでは確立したエッチング処理を用いることが有利であると示される。一方、微細に構造化された凹部区分または凹部の第1部分は、加工によって、好ましくはエッチングに続く製造処理において生成される。このようにして、複雑な加工処理は、1つ以上の第1金属層における可能な限り小さい区分に限定されることが可能である。これは、製造時間および製造費用において良い効果を有する。
【0021】
好ましくは、前記1つ以上の第1金属層における前記1つ以上の凹部のうちの前記1つ以上の第2部分を形成するための前記エッチングが、前記1つ以上の第1金属層における前記1つ以上の凹部のうちの前記1つ以上の第1部分を形成する前に一時的に提供される。これによって、有利には、第2部分を作り出すことにより、続けて加工によって第1部分について所望の構造を生じるように、例えば、ワイヤが、すでにエッチングされた第2部分へと容易に挿入されることが可能であるため、第1部分の形成のための加工のためのアクセスが単純化される。
【0022】
本発明の1つの実施形態によれば、製造された状態における少なくとも第1部分は、その間隔が第1の閾値以下である対向し合う側壁を有するか、前記製造された状態における少なくとも第2部分は、その間隔が第2の閾値以上である対向し合う側壁を有するか、またはその両方である。好ましくは、第1の閾値は第2の閾値に対応する。したがって、1つ以上の凹部の少なくとも第2部分から1つ以上の第1凹部のうちの第1部分の範囲を定めることが可能である。また、それぞれの部分的な区分の必要とされる距離または寸法決定に従って、対応する処理を適用することが可能である。これは、一方では、第1部分における最小可能距離を保証し、他方、第2部分では、2つの対向し合う側壁間の大きい距離のため、費用がかかる加工処理に頼る必要がない。
【0023】
本発明の1つの実施形態によれば、いくつかの第1金属層は、同時に加工される。特に、互いに積み重なって積み重ねられるいくつかの第1金属層において各々、ワイヤ加工によって同時に、凹部の第1部分を設けられることが意図される。その結果、いくつかの第1金属層には、単一の加工工程において凹部の第1部分が提供される。特に、最大40個の金属層が同時に加工されることが可能であることが見出されている。特に、これは、約4cmの積み重ねられた第1金属層の総密度に対応する。したがって、最大40個の第1金属層が、次いで、1つの加工工程において設けられることが可能である。その第1金属層の各々は、後に冷却素子の一部となる。
【0024】
本発明の1つの実施形態によれば、いくつかの第1金属層は、クランピング要素に固定される。クランピング要素によって、積み重ねられた第1金属層を、ともに加工することができるように、ともに輸送することが有利には可能である。この目的のため、クランピング要素には、特に、複数の第1金属層に対するアクセスを保証する開口が提供される。その結果、複数の第1金属層の同時の加工が可能である。特に、いくつかの第1金属層は、クランピング要素の第1の半分の固定部と第2の半分の固定部との間に配置される。
【0025】
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも第1金属層は、0.3mmを超える、好ましくは0.4mmを超える、特に好ましくは0.8mmを超える、積み重ね方向において測定される厚さを有する。いくつかの薄い少なくとも第1金属層が重ねて置かれている先行技術から知られている処理とは対照的に、加工中に、第1金属層に比較的厚い(特に、0.3mmを超える厚さを有する)凹部を提供することが有利には可能である。これは、特に、1つ以上の第1金属層において、いくつかの第1金属層を互いに積み重なって積み重ねる必要なく、非常に狭いが深い構造化を実現することを可能にする。これは、製造処理を単純化し、1つ以上の第1金属層における1つ以上の凹部の第1部分によって形成されたフィン構造の安定性および弁別性を高める。
【0026】
好ましくは、1つ以上の第1金属層および/または1つ以上の第2金属層は、下被覆層と上被覆層との間に配置される。換言すると、1つ以上の第1金属層および/または第2金属層は、上被覆層および下被覆層を形成しない。特に、この場合、1つ以上の第1金属層は、0.3mmを超える、好ましくは0.4mmを超える、特に好ましくは0.8mmを超える厚さを有する。最後に、上被覆層と下被覆層との間に適切な厚さの第1金属層を有していても、個々の層の互いに対する側方方向のずれによって製造された流体チャネルにおける締付を生じる危険がなく組み立てることも容易である、動作可能に信頼性のある流体チャネルを作り出すことが可能であることが示されている。これは、特に、冷却構造内に設けられる狭い流体チャネルを可能にする。
【0027】
さらに、好ましくは、4つ以上、好ましくは6つ以上、特に好ましくは8つ以上の第1金属層および/または第2金属層が提供され、第1金属層および/または第2金属層の厚さは0.3mmを超える。換言すると比較的厚い第1金属層および/または第2金属層の使用は、外側被覆層または部分的な層などの個々の層に限定されない。
【0028】
本発明のさらなる実施形態によれば、すべての第1金属層および/または第2金属層は、0.3mmを超える、好ましくは0.4mmを超える、特に好ましくは0.8mmを超える厚さを有する。例えば、すべての第1金属層および/または第2金属層は、0.5mm+/-0.2、好ましくは1mm+/-0.4mm、特に好ましくは1.2mm+/-0.5mmの厚さを有する。
【0029】
好ましくは、1つ以上の凹部の形状は、3つ以上、好ましくは5つ以上、特に好ましくは8つ以上の第1金属層について異なる。複雑な冷却システムは、有利には、1つ以上の第1金属層および/または1つ以上の第2金属層が、特に比較的厚く、また薄い凹部を有する場合、それらを積み重ねることによって設けられることも可能であることが見出されている。
【0030】
さらに、好ましくは、1つ以上の第1金属層は1つ以上の第2金属層に対し、好ましくは焼結によってボンディングされる。特に、1つ以上の第1金属層は、1つ以上の第2金属層に対し、特に好ましくは1つ以上の第3金属層に対し、接着促進剤またはろう付け材料を使用することなく、ボンディングされる。例えば、それらの金属層は、冷却素子用のモノリシック基板本体が形成されるように、適切な加熱によって、ともに接合される。
【0031】
さらに、好ましくは、単一の第1金属層が冷却素子を形成するように用いられる。したがって、第1金属層についての第1区分におけるいくつかの薄い第1金属層の費用のかかる積み重ねを不要とすることが可能である。その結果、製造処理が大幅に単純化される。これは、特に、より薄い第1金属層が、1つ以上の凹部の第1区分において比較的非常に薄い構造化を実現するように用いられることが可能であるため、可能である。
【0032】
本発明のさらなる目的は、本発明に係る方法によって製造される冷却素子である。1つ以上の凹部の第1部分における対向し合う側壁間の距離は、0.4mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満である。方法について記載されるすべての特性および利点は、冷却素子と同様に転用されることが可能であり、また冷却素子について記載されるすべての特性および利点は、方法と同様に転用されることが可能である。
【0033】
さらに、本発明の1つの実施形態によれば、ウェブ状要素は、直線により、および/または、特に、1つ以上の第1金属層の中心軸に対し、ある角度にておよび/または曲がって、冷却流体チャネルシステムへと突出することも予想される。さらに、1つ以上の第1金属層におけるウェブ要素またはウェブ状要素の配向は、1つ以上の第3金属層および/または1つ以上の第2金属層におけるウェブ状要素の配向または整合位置とは異なることが想定される。好ましくは、ウェブ状要素の形状および設計は、それぞれの用途における必要に、またはそれぞれの電気部品または電子部品に合わせられることが可能である。好ましくは、対向し合う側壁間の距離は、0.10mmと0.3mmとの間、特に好ましくは0.15と0.28mmとの間の値、また特に好ましくは約0.2の値であることが想定される。2つの隣接するウェブ状要素間の距離の寸法決定に加えて、その距離を、冷却流体の経路についてのポンプ電力を対応して大幅に増加させないように、小さくしすぎないことが有利であることも見出されている。対応して、特定の距離が、最適化された冷却効率と冷却流体チャネルシステムを通じて冷却流体を通過させるのに必要なポンプ電力との間の驚くべき有利なトレードオフである結果となっている。
【0034】
さらなる利点および特徴が、添付の図面を参照して、本発明の主題の好ましい実施形態の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1の例示的な実施形態に係る冷却素子の概略的な分解図。
図2図1からの冷却素子用の第1金属層の概略図。
図3】本発明の第2の例示的な実施形態に係る冷却素子の概略図。
図4】本発明の好ましい実施形態に係る冷却素子を製造する方法のためのクランピング要素の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明の第1の好ましい実施形態に係る冷却素子1の分解図を概略的に示す。特に、冷却素子1は、電気部品または電子部品(図示せず)、特に半導体素子および特に好ましくはレーザダイオードを冷却するために提供されるものである。電気部品または電子部品を冷却するため、製造された冷却素子1は、冷却流体が動作時に電気部品または電子部品から生じる熱を吸収するとともに運び去ることが可能であるように、冷却流体が動作時に通ることが可能である冷却流体チャネルシステムを形成する。
【0037】
この目的のため、供給エリアおよび排出エリアが、好ましくは冷却素子1に、特に冷却流体チャネルシステム(図示せず)において提供される。冷却流体は、供給エリアを通じて導入され、排出エリアを通じて再び排出される。好ましくは、冷却流体チャネルシステムは、冷却流体1が、フィン構造25(特に、冷却流体チャネルシステムへと突出する)を供給エリアから排出エリアへの遷移において通過するように設計される。フィン構造25は、好ましくは、ウェブ状要素7または冷却チャネルシステムの壁から流体への効果的な熱の伝達が可能であるように、流体に最大可能接触面積を提供するように冷却流体チャネルシステムへと突出するウェブ状要素7である。
【0038】
好ましくは、冷却素子1は、1つ以上の第1金属層11、1つ以上の第2金属層12および/または1つ以上の第3金属層13を備える。冷却流体チャネルシステムを形成するため、1つ以上の第1金属層11、1つ以上の第2金属層12および/または1つ以上の第3金属層13は、それらが互いに積み重なって積み重ねられることによって、または積み重ね方向Sに沿って互いに積み重なって置かれることによって冷却流体チャネルシステムを形成するように、1つ以上の凹部21,22によって構造化される。
【0039】
特に、1つ以上の第1金属層11、1つ以上の第2金属層12および/または1つ以上の第3金属層13は、各々異なるように構造化されるか、または異なるように広がる凹部21,22が提供される。特に、1つ以上の第1金属層11、1つ以上の第2金属層12および/または1つ以上の第3金属層13は、特に、積み重ね方向Sに対し垂直に広がる主面HSEにおいて延びるウェブ状要素7を有する、1つ以上の凹部21,22における1つ以上の第1部分21を形成する。1つ以上の第1金属層11における1つ以上の凹部21,22のうちの第1部分21に加えて、好ましくは、1つ以上の第1金属層11における1つ以上の凹部21,22のうちの第2部分22が、冷却流体を第1部分21へと給送するもしくは第1部分21から排出するために提供され、または給送エリアおよび/または排出エリアの部分を形成する。
【0040】
冷却素子1は、好ましくは、上被覆層および下被覆層によって積み重ね方向Sにおいて閉じられる。1つ以上の第1金属層11、1つ以上の第2金属層12および/または1つ以上の第3金属13は、積み重ね方向Sにおいて見られるように、下被覆層14と上被覆層15との間に配置される。特に、1つ以上の第1金属層11、1つ以上の第2金属層12および/または1つ以上第3金属層13は、上被覆層15と下被覆層14との間に挟まれる。第1部分21および第2部分22からなる1つ以上の凹部21,22に加えて、好ましくは、冷却素子1または1つ以上の第1金属層11は、フィン構造25を有する冷却流体チャネルシステムの部分ではない、さらなる凹部24を有する。さらに、好ましくは、接続面30が、上被覆層15および/または下被覆層14に提供される。特に、電気部品または電子部品は、特に積み重ね方向Sにおいて見られるように、好ましくは積み重ね方向Sに対し垂直な方向に延びるフィン構造25の上下において、この接続面30に対し接続される。換言すると、フィン構造25、特にそのウェブ状要素7は、接続面30の下に、好ましくは接続面30に平行に延びる。端子エリア30の上または下におけるウェブ状要素7からなるフィン構造25の対応する配置によって、電気部品または電子部品は、フィン構造25によって効果的に冷却されることが可能である。
【0041】
図2は、例えば図1において設置された1つ以上の第1金属層11の概略図を示す。示される実施形態では、フィン構造25は、主面HSEにおいて見て、異なる程度に延びるウェブ状要素7から形成される。特に、ウェブ状要素7の長さは、1つ以上の第1金属層11の中心軸Mに向かって増加する。このようにして、有利な手法により、特に接続面30の中心領域では、可能な限り冷却効果を最大化することが可能である。さらに、ウェブ状要素は中心軸Mに平行および/または斜めに延びることが想定される。好ましくは、ウェブ状要素7の形状、特にウェブ状要素7の長さおよび/または主面HSEに沿った中心軸Mに対する傾斜は、対応する電気部品または電子部品を冷却するための対応する必要プロファイルによって決定されまたは指定される。
【0042】
2つの隣接するウェブ状要素7間の最小可能距離A1を達成するように、1つ以上の第1金属層11における1つ以上の凹部21,22のうちの第1部分21は、加工、特に放電加工によって作られる。特に、これはワイヤ加工によって製造される。
【0043】
さらに、1つ以上の凹部21,22のうちの第2部分22は、エッチングによって行われる。好ましくは、エッチングは、凹部21,22のうちの第2部分22の特に大面積領域において、すなわち、冷却流体の供給および排出用に形成された続く供給領域および/または排出領域において行われる。対照的に、加工は、凹部21,22の微細に構造化された形成(すなわち、凹部21,22のうちの第1部分21)のために提供されることが特に予想される。これは、2つのウェブ状要素7間の最小可能距離を実現するために重なるよう積み重ねられる必要がある、1つ以上の凹部21,22のうちのエッチングされた第1部分21を有するいくつかの第1金属層11に依存する必要なく、ウェブ状要素7同士の間の比較的非常に小さい距離を生成することを可能にすることが見出されている。好ましくは、2つのウェブ状要素7間の対向し合う側壁間の距離A1は0.4mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満である。これによって、可能な限り多くのウェブ状要素7がフィン構造25へと集約されることが可能となる。したがって、冷却流体と冷却流体チャネルシステムの転換部との間の接触面積が対応して増加することが可能であるため、冷却効果を増加させることが可能である。
【0044】
好ましくは、1つ以上の第1金属層11、1つ以上の第2金属層12、1つ以上の第3金属層13、上被覆層15および/または下被覆層14は、0.2mmと0.7mmとの間、好ましくは0.35mmと0.6mmとの間、特に好ましくは0.3mmと0.4mmとの間の、積み重ね方向Sにおいて測定される厚さを有する。好ましくは、1つ以上の第1金属層11、1つ以上の第2金属層12および/または1つ以上の第3金属層13は、各々同一の厚さを形成する。さらに、好ましくは、1つ以上の第1金属層11、1つ以上の第2金属層12および/または1つ以上第3金属層13の微細構造が対応する温度処理によって互いへと合体または融合するため、1つ以上の第1金属層11、1つ以上の第2金属層12および/または1つ以上の第3金属層13は、焼結処理の過程において集約冷却流体チャネルシステムへと形成される。さらに、上被覆層15および/または下被覆層14は、1つ以上の凹部21,22および/またはさらなる凹部24を各々有する。上被覆層15および/または下被覆層14には、好ましくは、ウェブ状要素7または続くフィン構造25の部品がない。さらなる凹部24は、好ましくは、冷却素子1を締め付けるまたは固定するために提供される。
【0045】
図3は、第2の好ましい実施形態に係る冷却素子1を示す。ここで、冷却素子1は、図1における冷却素子1に本質的には対応し、下被覆層14および/または上被覆層15が金属セラミック複合物として形成される点においてしか本質的に異ならない。特に、この場合は、上被覆層15および/または下被覆層14は、両面が、例えば、金属層(好ましくは、銅層)により覆われたセラミック層(好ましくは、窒化アルミニウムの)を各々有する。例えば、積み重ね方向Sにおいて測定される厚さが0.1mm~0.5mm、好ましくは0.2mm~0.4mm、特に好ましくはほぼ0.38mmの値を想定する窒化アルミニウムのセラミック層である。一方、セラミック層を覆う外側金属層は、0.05mmと0.4mmとの間、好ましくは0.1mmと0.3mmとの間、特に好ましくは0.15mmと0.25mmとの間の厚さを各々有する。
【0046】
特に、セラミック層の反対側に形成される金属層は異なる厚さを有することが意図される。例えば、1つの金属層は0.2mmの銅厚を有し、一方、反対の銅層は、銅層に対する金属層のボンディング処理後の特にダイヤモンド研削によって設けられる、0.12mmの厚さを有する。好ましくは、上被覆層15および/または下被覆層14は、DCB処理によって生成された金属セラミック複合物である。
【0047】
さらに、好ましくは、図3の冷却素子1は封止要素支持層17を有する。封止要素支持層17では、または封止要素支持層17により、冷却素子1の給送および排出領域用の接続領域における対応する封止を保証するように、例えば、Oリングが固定されることが可能である。好ましくは、封止要素支持層17は、対応する凹部21,22またはさらなる凹部24を有する金属層である。封止要素支持層17は、0.1mmと0.4mmとの間、好ましくは0.1mmと0.4mmとの間、特に好ましくは0.2mmと0.3mmとの間の、積み重ね方向において測定される厚さを有することが可能である。
【0048】
さらに、図3の実施形態は、冷却素子1が自身の上被覆層15にて閉鎖されている点、また冷却流体を供給するための入口開口および冷却流体を排出するための出口開口が下被覆層14にて排他的に形成されている点において、図1の実施形態とは異なる。その結果、下被覆層14を介して冷却素子1へと導入される冷却流体が、積み重ね方向Sに沿って冷却素子1を通過し、1つ以上の第3金属層13に逸れ、次いで再び反対方向にて冷却素子1を離れる。金属セラミック複合物から作られた上被覆層15および下被覆層14は、冷却素子1が、冷却素子1に対しまたは冷却素子1に対し取り付けられた部品から電気的に絶縁される必要があるそれらの応用にとって、特に有利であることが示される。
【0049】
図4は、本発明の好ましい実施形態に係る冷却素子1を製造する方法のためのクランピング要素40の概略図を示す。特に、ここでは、クランピング要素40は、複数の第1金属層11を収容するように設計されている。特に、複数の第1金属層11は、クランピング要素40において積み重ね方向Sに沿って上下に配置される。好ましくは、最大20個の第1金属層11、好ましくは最大30個の第1金属層、特に好ましくは最大40個の第1金属層11が、クランピング要素40において積み重ね方向Sに沿って上下に配置され、また第1の半分の固定部41と第2の半分の固定部42との間にサンドイッチ状にクランピングされる。
【0050】
この場合、特に、第1の半分の固定部41および第2の半分の固定部42は、互いに反対に配置されるプレート状部品として設計され、特に、好ましくは、第1の半分の固定部41と第2の半分の固定部42との間に配置された第1金属層11に対し認められるアクセスを可能にする開口46、特に窓状または床窓状の開口46を各々有する。これによって、第1の半分の固定部41と第2の半分の固定部42との間に配置された第1金属層11は、少なくとも第1金属層11における1つ以上の凹部21,22の少なくともそれぞれの第1部分21を形成するように、ともに加工されることが可能である。
【0051】
好ましくは、第1の半分の固定部41と第2の半分の固定部42との間にクランピングされる前に、第1金属層11には、第1金属層11の後の製造された状態において、冷却素子へと組み立てられる前に好ましくは1つ以上の凹部21,22のうちの第2部分21を提供する、エッチングイン構造またはエッチングオン構造がすでに提供される。したがって、これにより、大面積エッチングによって、1つ以上の第1金属層11における1つ以上の凹部21,22に大面積区間を設けることが可能となる。一方、微細な構造のウェブ状要素7は、通常のワイヤ加工によって設けられる。さらに、すでに予めエッチングされた第1金属層11を、クランピング要素40によるのと同時にEDMに提供すること、または第1金属層11をこのクランピング要素40において適切に輸送することが、有利には可能である。子の接続では、特に好ましくは、第1の半分の固定部41および第2の半分の固定部は、対応する固定手段44により互いに接続されるか、または、第1の半分の固定部41および第2の半分の固定部がその間に配置された第1金属層11を固定するように接続される。例えば、締付手段44はねじである。
【0052】
好ましくは、締付手段44は、一様に締めるためにクランピング要素40の各角部に提供される。この場合、特に、固定手段44は、可能な限り複数の第1金属層11を、第1金属層11の正確な数とは独立して、十分に固定することが可能である。すなわち、第1の半分の固定部41と第2の半分の固定部との間の距離は、特に対応する固定手段44によって、可変的に調整されることが可能である。その結果、第1金属層11の数における対応する偏差は容易に補償されることが可能である。ともに加工された複数の第1金属層11は、次いで、それぞれの冷却素子1(好ましくは、単一の第1金属層11しか必要としない)を形成するように、各々用いられることが可能である。1つ以上の第1金属層11についてここに記載される手順は、当然ながら、1つ以上の第2金属層12および/または1つ以上の第3金属層13に対して同様に転用されることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 冷却素子
7 ウェブ状要素
11 第1金属層
12 第2金属層
13 第3金属層
14 下面層
15 上面層
17 封止要素支持層
21 凹部の第1部分
22 凹部の第2部分
24 さらなる凹部
25 フィン構造
30 接続エリア
40 クランピング要素
41 第1の半分の固定部
42 第2の半分の固定部
44 固定手段
46 開口
A1 距離
S 積み重ね方向
M 中間軸
HSE 主面
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品または電子部品用、特に半導体素子用の冷却素子(1)を製造するための方法であって、製造された前記冷却素子(1)は、動作時に冷却流体が通過することが可能である冷却流体チャネルシステムを有し、前記方法は、
1つ以上の第1金属層(11)を提供する工程と、
1つ以上の凹部(21,22)を前記1つ以上の第1金属層(11)に設ける工程と、
前記1つ以上の凹部(21,22)によって前記冷却流体チャネルシステムの1つ以上の部分的な区分を形成する工程と、を備え、
前記1つ以上の第1金属層(11)における前記1つ以上の凹部(21,22)のうちの1つ以上の第1部分(21)は、加工、特に放電加工によって設けられ
前記1つ以上の第1金属層(11)における前記1つ以上の凹部(21,22)のうちの1つ以上の第2部分(22)は、エッチングによって設けられる、方法。
【請求項2】
1つ以上の第2金属層(12)を提供する工程と、
前記1つ以上の第1金属層(11)および前記1つ以上の第2金属層(12)を積み重ね方向(S)に沿って積み重ね、前記冷却流体チャネルシステムの1つ以上の前記区分を形成する工程と、をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の第1金属層(11)における前記1つ以上の凹部(21,22)のうちの前記1つ以上の第2部分(22)を形成するための前記エッチングは、前記1つ以上の第1金属層(11)における前記1つ以上の凹部(21,22)のうちの前記1つ以上の第1部分(21)を前記加工によって形成する前に行われる、請求項に記載の方法。
【請求項4】
複数の第1金属層(11)は同時に加工される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の第1金属層(11)はクランピング要素(40)に固定されている、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の第1金属層(11)は0.3mmを超える、好ましくは0.4mmを超える、特に好ましくは0.8mmを超える厚さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の第1金属層(11)、前記1つ以上の第2金属層(12)、またはその両方は、下被覆層(14)と上被覆層(15)との間に配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
4つ以上、好ましくは6つ以上、特に好ましくは8つ以上の、厚さが0.3mmを超える、第1金属層(11)、第2金属層(12)、またはその両方が提供される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
すべての第1金属層(11)、第2金属層(12)、またはその両方は、0.3mmを超える、好ましくは0.4mmを超える、特に好ましくは0.8mmを超える厚さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の凹部(21,22)の形状は、3つ以上、好ましくは5つ以上、特に好ましくは8つ以上の第1金属層(21)について異なる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の第1金属層(11)は、好ましくは焼結によって、前記1つ以上の第2金属層(12)に対しボンディングされる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
単一の第1金属層(11)が前記冷却素子(1)を形成するように用いられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法によって製造された冷却素子(1)であって、前記1つ以上の第1金属層(11)における対向し合う側壁間の距離(A1)は、少なくとも、0.4mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満の範囲にある、冷却素子(1)。
【国際調査報告】