(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】パネルを補強するための方法およびそのような方法を使用して複合パネルを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/54 20060101AFI20220914BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20220914BHJP
B29C 70/30 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B29C70/54
B29C70/68
B29C70/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501198
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2020069244
(87)【国際公開番号】W WO2021005107
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010624
【氏名又は名称】ソシエテ・アンテルナシオナル・ポア・ル・コメルス・エ・リンダストリエ
(71)【出願人】
【識別番号】522010635
【氏名又は名称】アスコデロ・プロダクティーク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・マルコヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・サジェ
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・クヴルー
(72)【発明者】
【氏名】シャルル・レストクワ
(72)【発明者】
【氏名】シリル・レーヌ
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AD17
4F205AD24
4F205AG03
4F205HA14
4F205HA22
4F205HA35
4F205HA44
4F205HB01
4F205HB11
4F205HF05
4F205HG04
4F205HT12
(57)【要約】
厚さEに従ってパネル(P)を補強するための方法は、-細長く、可撓性を有し、2つの長手方向端部(10、11)を有し、パネル(P)の厚さEの厳密に2倍以上の長さLを有する補強要素(1)を提供するステップa)と、-前記補強要素(1)をパネルの、挿入側(Ci)と呼ばれる一方の側に位置決めして保持するステップb)と、-挿入側の、その中間で、補強要素(1)を把持するステップc)と、-挿入ステップd)であって、中間で把持された補強要素は、補強要素を折り返すことによって、パネルを通過するボアに通されて、最終位置(Pf)へ引かれ、2つの長手方向端部(10、11)は、挿入側(Ci)上でボアから突出するか、または突出せず、補強要素のループ(12)は挿入側の反対のパネルの側でボアから突出するか、または突出しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さEに応じて、フラットまたは三次元においてプリフォームのパネル(P)を補強するための方法であって、
- 細長く、可撓性を有し、2つの長手方向端部(10、11)を有し、挿入点での前記パネル(P)の前記厚さEの厳密に2倍以上の長さLを有する補強要素(1)を提供するステップa)と、
- 前記補強要素(1)を前記パネルの、挿入側(Ci)と呼ばれる一方の側に位置決めして保持するステップb)と、
- 前記補強要素(1)を、前記補強要素の前記2つの長手方向端部の間の中間位置において前記挿入側で把持するステップc)と、
- 挿入ステップd)であって、前記中間位置で把持された前記補強要素は、前記補強要素を折り返すことによって、前記パネルを通過するボア(2)に通されて、最終位置(Pf)へ引かれ、前記最終位置(Pf)では、前記2つの長手方向端部(10、11)は、前記挿入側(Ci)で前記ボア(2)から突出するか、または前記挿入側での前記パネルの壁と同一平面上にあり、前記補強要素のループ(12)は前記挿入側(Ci)とは反対の前記パネルの側で前記ボア(2)から突出するか、または前記挿入側とは反対の前記パネルの前記側で前記パネルの外壁の付近の位置に設けられ、前記ループは、前記ループ(12)のセクションが前記補強要素を各々前記ボアを通って延在する2つの長さセクション(15、16)に分割し、前記2つの長さセクション(15、16)の端部(151、161)を前記挿入側(Ci)とは反対の前記側の前記パネルの前記外壁と同一平面に位置決めするように構成される、挿入ステップd)と、を含み、
前記補強方法は、前記挿入ステップd)の前に、前記ボアを形成するステップを有し、前記ボア(2)は、円形の切断縁(41)を基部に設けた円筒体(40)を備えるドリリングツール(4)を用いて前記パネル(P)にドリリングされ、前記ボアは、前記円筒体(40)の軸に沿った前進と前記円筒体(40)の前記軸の周りの回転とを組み合わせる運動によって形成され、前記円筒体の内部の、前記ボアの前記ドリリングから結果として得られるドリルコアを生成する、パネル(P)を補強するための方法。
【請求項2】
挿入のステップd)は、前記挿入側(Ci)とは反対の前記側から前記挿入側(Ci)の方向に前記パネルの前記ボア(2)を通過するように構成されているロッド(30)を備える挿入ツール(3)を使用することによって実行され、前記ロッドはその遠位端にフック(31)を備え、ステップc)で前記フック(31)が前記補強要素を把持するときに前記フック(31)が前記挿入側(Ci)から突出し、前記挿入ステップd)は前記フックが前記ボア(2)の前記軸に沿って、前記挿入側(Ci)から挿入側とは反対の前記パネルの前記側へ駆動されるときに、前記フック(31)の周りに前記ループ(12)が形成されることを確実にする、請求項1に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項3】
前記方法は、前記挿入ステップd)に続く切断ステップe)を有し、前記補強要素の前記ループ(12)は、前記補強要素(1)の前記最終位置(Pf)で切断され(1)、前記補強要素を各々前記ボアを通って延在する2つの長さセクション(15、16)に分割し、各長さセクション(15、16)の2つの端部(150、151、160、161)は、前記パネルの両側から突出して設けられるか、または前記パネルの両側と同一平面に設けられるか、または前記パネルの一方の側から突出し、前記パネルの他方の側とは同一平面に設けられる、請求項1または2に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項4】
前記切断ステップe)は、前記フック(31)に対して移動可能な、前記挿入ツール上に装着されたブレード(32)を備える前記挿入ツール(3)によって実行され、前記ループ(12)は、ステップe)において、前記ブレード(32)を、前記フック(31)から一定の距離にある引き込み位置から、前記ブレード(32)と前記フック(31)との間の剪断効果により、前記フック(31)上に静止している前記補強要素(1)の前記ループ(12)を前記ブレード(32)が切断する切断位置に切り換えるように構成されている作動機構を用いて切断される、請求項2を引用する請求項3に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項5】
前記挿入ツール(3)は前記ロッド(30)と前記フック(31)だけでなくチューブ(33)も備え、前記ロッド(30)およびフック(31)のアセンブリは前記チューブ(33)内に摺動可能に装着され、前記フック(31)はステップc)で前記補強要素を把持するときに前記チューブの開口部から突出するように設けられ、前記フック(31)は、前記フック(31)が前記挿入ステップd)において前記挿入側から挿入の側と反対の前記パネルの前記側へ、前記ボアの前記軸に沿って駆動されるときに、前記チューブ(33)内に引っ込められる、請求項2または4に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項6】
前記把持の前記中間位置は、前記補強要素の中間であるか、または前記中間に対して前記補強要素の前記長さLの約20%の距離にある、前記補強要素の前記中間に近い位置である、請求項1から5のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項7】
前記補強要素(1)はヤーン(13)のセットであり、前記ヤーン(13)のセットは前記補強要素(1)の前記長さLにわたって長さ方向に延在し、前記ヤーンは並置されている請求項1から6のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項8】
前記挿入ステップd)は、前記挿入側(Ci)とは反対の前記側から前記挿入側(Ci)の方向に前記パネルの前記ボア(2)を通過するように構成されているロッド(30)を備える挿入ツール(3)を使用することによって実行され、前記ロッド(30)はその遠位端に制御クランプ(34)を備えており、ステップc)で前記制御クランプ(34)が前記補強要素を把持するときに前記制御クランプ(34)が前記挿入側(Ci)から突出し、前記制御クランプ(34)は2つのジョー(340、341)を備え、前記2つのジョー(340、341)は、前記2つのジョー(340、341)の間に前記補強要素(1)の位置決めを可能にする開位置(Po)から、前記2つのジョー(340、341)が前記補強要素(1)を把持して閉じる閉位置(Pfe)に切り換わるように構成され、前記挿入ステップd)は前記制御クランプが前記ボア(2)の前記軸に沿って、前記挿入側(Ci)から挿入の側とは反対の前記パネルの前記側へ駆動されるときに、前記制御クランプ(34)の周りに前記ループ(12)が形成されることを確実にする、請求項1、3、6、または7のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項9】
前記挿入ツール(3)は前記ロッド(30)と前記制御クランプだけでなくチューブ(33)も備え、前記ロッド(30)および制御クランプ(34)のアセンブリは前記チューブ(33)内に摺動可能に装着され、前記制御クランプ(34)はステップc)で前記補強要素を把持するときに前記チューブ(33)の開口部から突出するように設けられ、前記制御クランプ(34)は、前記制御クランプ(34)が前記挿入ステップd)において前記挿入側から挿入の側と反対の前記パネルの前記側へ、前記ボアの前記軸に沿って駆動されるときに、前記チューブ(33)内に引っ込められる、請求項8に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項10】
前記制御クランプ(34)の前記2つのジョー(340、341)は、弾性的変形可能要素によって形成され、前記弾性的変形可能要素は、前記チューブ(33)の前記開口部から突出するときに、前記弾性的変形可能要素の弾性により、前記ジョー(340、341)が前記チューブ(33)の内半径を超えて半径方向に延在する前記開位置に前記ジョー(340、341)を強制的に付勢し、前記挿入ツール(3)は、前記ジョー(340、341)を前記開位置(Po)から前記閉位置(Pfe)に切り換えることが、前記チューブ(33)内に前記制御クランプ(34)が引っ込められる間に生じるように構成され、前記チューブ(33)内に前記制御クランプ(34)が引っ込められる間に前記2つのジョー(340、341)は、前記チューブ(33)内での前記ロッド(30)の摺動中に前記チューブ(33)によって互いに閉じられるように強制される、請求項9に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項11】
前記切断ステップe)は、前記制御クランプ(34)に対して移動可能な、前記チューブ(33)内に装着されたブレード(32)を備える前記挿入ツール(3)によって実行され、前記ループ(12)は、ステップe)において、前記ブレード(32)を、前記ジョー(340、341)の前記閉位置(Pfe)において前記チューブ(33)内の前記制御クランプ(34)から一定の距離にある引き込み位置から、前記ブレード(32)と前記制御クランプ(34)との間の剪断効果により、前記チューブ(33)内で前記制御クランプ(34)と係合している前記補強要素(1)の前記ループ(12)を前記ブレード(32)が切断する切断位置に切り換えるように構成された作動機構を用いて切断される、請求項9または10と組み合わされた請求項3に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項12】
前記ブレード(32)は、前記2つのジョー(340、341)の間の中間位置に摺動可能に配置され、前記補強要素(1)の前記ループを、前記制御クランプ(34)の前記2つのジョー(340、341)の間に配置された切断平面に沿って、次いで、前記閉位置(Pfe)で切断するように構成される、請求項11に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項13】
ステップe)は、前記ループ(12)が前記補強要素の前記最終位置(Pf)において前記挿入側(Ci)とは反対の前記パネルの前記側で前記パネルから突出して位置決めされている間に、前記挿入ツール(3)とは異なる切断ツール(6)で、一方では前記挿入ツールの前記フック(31)または前記制御クランプ(34)からなる把持器と、他方では前記パネルの前記壁と、の間の中間切断平面に沿って前記ループ(12)を切断することによって実行され、切断が、ループ折り畳み(12)によって形成されるスクラップ(120)を生成する、請求項2を引用する請求項3または請求項3を引用する請求項8に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項14】
前記ボアの前記ドリリングの結果得られた、前記円筒体の内部の前記ドリルコアは、前記円筒体をガスで加圧することによって排出される、請求項1から13のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項15】
前記位置決めおよび保持ステップb)は、2つのクランプ(50、51)を備える保持機構(5)を用いて実行され、前記2つのクランプ(50、51)は前記補強要素(1)をその長さに沿って前記補強要素(1)の中間の両側の、2つの位置に保持するように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項16】
ステップc)における前記補強要素の前記把持は、前記挿入ツールの前記フック(31)が前記挿入側から突出している状態で、前記補強要素と係合されている前記クランプ(50、51)を、前記補強要素が前記フックを通過しない位置から、前記補強要素の中間などの中間部が前記フックを通過する位置まで移動させることによって達成される、請求項2および15のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項17】
ロボットおよび/または自動化手段は、
- 前記パネルに対する前記挿入ツール(3)の異なる位置、
- 前記パネル(P)に対する前記挿入ツール(3)の異なる傾斜(α)であって、前記挿入点の構成可能な空間的分布に応じて、また調整可能な傾斜に応じて、複数の補強要素の前記挿入を可能にする、傾斜(α)を可能にするように提供される、単独の、または請求項3から16のいずれか一項と組み合わせた、請求項2または8に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項18】
パネル支持体が提供され、前記ロボット手段は、前記パネル支持体のいずれかの側に配設された、
- 前記挿入ツール(3)を取り扱う、第1のロボットアーム(R1)と、
- 保持機構の前記2つのクランプ(50、51)を取り扱う、第2のロボットアーム(R2)と、を備える、請求項15または17に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項19】
前記ドリリングツールの前記円筒体(40)の外径は、4mmから14mmの間であり、前記円筒体の内径は、3mmから12.5mmの間である、請求項1から18のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項20】
前記パネル(P)の前記厚さ(E)は、30mmから300mmの間にある請求項1から19のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項21】
補強要素(1)のパネル(P)内への挿入を達成するために、請求項1から20のいずれか一項に記載の厚さに応じたパネル補強方法(P)を実装する複合パネルを製造するための方法であって、各補強要素(1)は前記パネルの両側から突出するか、または前記パネルの両側と同一平面に設けられるか、または前記パネルの一方の側から突出し、前記パネルの他方の側とは同一平面に設けられ、前記パネルの両側に当たるように2つのスキン(17、18)が加えられ、各スキンの内面は前記補強要素の前記突出/同一平面部分と接触して前記パネルに面し、次いで樹脂が真空下で注入され前記スキンおよび前記パネル内の前記補強要素を含浸し、前記パネルの前記ボアを通る補強ブリッジが形成され、各補強ブリッジは樹脂を含浸された補強要素を備え、前記複合パネルは前記樹脂の重合後に得られ、2つのスキンが前記パネルの両側にそれぞれ内面によって接着され、前記2つのスキンを結合する樹脂を含浸された前記補強要素の形態の補強ブリッジが存在する、方法。
【請求項22】
補強要素(1)のパネル(P)内への挿入を達成するために、請求項1から20のいずれか一項に記載の厚さに応じて前記パネル(P)を補強するための方法を実装する複合パネルを製造するための方法であって、各補強要素(1)は前記パネルの両側から突出するか、または前記パネルの両側と同一平面に設けられるか、または前記パネルの一方の側から突出し、前記パネルの他方の側とは同一平面に設けられ、前記パネルの両側に当たるように2つのスキン(17、18)が加えられ、各スキンの内面は前記補強要素の前記突出/同一平面部分と接触して前記パネルに面し、前記補強要素および前記2つのスキンは、補強繊維、および熱可塑性繊維を含み、前記補強要素によって補強された前記スキンおよびパネルのアセンブリは、前記熱可塑性繊維が溶けるまで加熱され、前記複合パネルは、熱可塑性ポリマーを冷却することによって固化した後に得られ、2つのスキンはその内面によってそれぞれ前記パネルの両側に接着され、前記2つのスキンを結合する熱可塑性ポリマーを含浸された前記補強要素の前記補強繊維の形態の補強ブリッジが存在する、方法。
【請求項23】
補強要素(1)のパネル(P)内への挿入を達成するために、請求項1から20のいずれか一項に記載の厚さに応じて前記パネル(P)を補強するための方法を実装する複合パネルを製造するための方法であって、各補強要素(1)は前記パネルの両側から突出するか、または前記パネルの両側と同一平面に設けられるか、または前記パネルの一方の側から突出し、前記パネルの他方の側とは同一平面に設けられ、前記パネルの両側に当たるように2つのスキン(17、18)が加えられ、各スキンの内面は前記補強要素の前記突出/同一平面部分と接触する前記パネルに面し、次いで樹脂はモールド内の注入点における大気圧よりも高い圧力の下で注入され、注入圧力は3バール以下であり、前記モールドは大気圧よりも0.2バールから0.3バール低い真空下に維持され、前記樹脂は前記スキン(17、18)および前記パネル内の前記補強要素(1)を含浸し、前記パネルの前記ボアを通る補強ブリッジが形成され、各補強ブリッジは樹脂を含浸された補強要素1を備え、前記複合パネルは、前記樹脂の重合後に得られ、2つのスキン(17、18)が前記パネルの両側にそれぞれその内面によって接着され、前記スキン(17、18)を結合する樹脂を含浸された前記補強要素(1)の形態の補強ブリッジが存在する、方法。
【請求項24】
前記方法は、スキンの間に補強ブリッジを形成するステップを含み、補強繊維含有量は30体積%超、特に45体積%から89体積%まで、特に45体積%から70体積%までである、請求項21から23のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項25】
前記パネル(P)の両側にそれぞれその内面によって接着された2つのスキンを備える、請求項21から24のいずれか一項に記載の製造方法により得られる複合パネルであって、前記2つのスキンを結合する樹脂を含浸された前記補強要素の前記補強繊維の形態の補強ブリッジが存在し、前記複合パネルは、
- 30mmから300mmの間、特に50mmから300mmの間の、スキンを除くパネルの厚さE、
- 2.5mmから12.5mmの間の直径を有する円筒形補強ブリッジ、
- 30体積%から80体積%、特に45体積%から89体積%、特に45体積%から70体積%の、前記補強ブリッジ中の補強繊維の含有量を有する複合パネル。
【請求項26】
前記パネルは、異なる密度、および/または異なる材料の多層である請求項25に記載の複合パネル。
【請求項27】
金属表面仕上げシート(Par1、Par2)を有する請求項25または26に記載の複合パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルをその厚さに応じて補強するための方法、およびそのようなパネル補強方法を使用して複合パネルを製造するための方法に関する。
【0002】
本開示は、複合パネルとも呼ばれる、複合サンドイッチの製造の分野に関するものである。複合サンドイッチは、実質的に、その厚さに応じて、重ね合わされた、フラットな、または3Dプリフォームされた3つの要素、すなわち、2つのスキンと、従来はフラットな、または3Dプリフォームされ、2つのスキンに密に接着された、パネルの形状の、層間コア材料と、を含む。本開示の文脈において、1つ(または複数)の補強要素の挿入によって補強されるコア材料は、非限定的な例として、ポリエチレンフォーム(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)フォーム、ポリウレタン(PUR)フォーム、アクリルフォーム(PMI)、バイオソースフォーム(bio-sourced foam)、さらにたとえばコルクなどの様々な材料などのセルラーフォームのパネルであってよい。スキンは、従来、テキスタイル、すなわち、異なる織り方で織られた異なる材料(たとえば、ツイルもしくはサテン)、さもなければ一方向性もしくは多軸織物である。
【0003】
本発明は、より詳細には、コアの厚さ方向を通る、すなわち挿入点において、パネルの2つの外側表面の間の平均平面(もしくは平均表面)に垂直な方向に、または平均平面(もしくは平均表面)に垂直なこの方向に対して傾斜した方向に通る繊維状補強材を加えることによって機械的性能が改善される、複合サンドイッチの分野に関する。
【0004】
そのような従来技術では、「真空注入成形」、またはより単純に「注入」と呼ばれる変形の第1の可能性に従って、樹脂がスキン/コア材料プリフォームに塗布され、真空モールド内では、繊維状補強材が、モールドの中に形成される真空によって吸引される樹脂の到着とともに含浸される。重合された後、この樹脂はスキン/コア材料界面の間の固定を確実にし、コアの厚さに応じて孔のない繊維を被覆し、こうして複合補強材を取得する。
【0005】
本開示による補強方法は、変形のこの第1の可能性と適合している。
【0006】
しかしながら、本開示による補強方法は、変形のこの第1の可能性に限定されていない。たとえば、別の可能な実施形態として、また、変形の第2の可能性によれば、スキンの補強繊維および補強要素の補強繊維は、熱可塑性繊維と混合され得る。スキン/コア材料のアセンブリは、スキンおよび補強要素の熱可塑性繊維を溶融するために加熱され、重合後、サンドイッチが取得されるまで加熱される。
【背景技術】
【0007】
複合サンドイッチの従来技術では、スキン/コアプリフォーム上に可撓性ヤーンを挿入することによる補強技術が知られている。知られているヤーン挿入技術は、スキン/コアプリフォームの3つの材料を介したステッチング操作であり、同じラインの繊維補強材は、コアの厚さに応じて連続ヤーンを周期的に挿入する同じステッチングニードルで作業することによって取得される。次のラインの補強材を作るために、パネルは1ピッチ進められ、針は隣接するラインのステッチングの新しいサイクルを続ける。
【0008】
繊維補強材がニードリング技術によって取得され、挿入される補強技術も知られている。このような技術では、バーブを備えた一連の針が、コアの厚さに沿って繊維を引っ張るために使用される。従来、引っ張られた繊維は、スキンの一方から、またはパネルの2つの表面の一方に配設された繊維ウェブから来ることができる。
【0009】
ステッチング補強技術の主な欠点は、針の動作のせいで実装が非常に長くかかるという点にあり、より高速であるニードリング補強技術とは異なる。
【0010】
逆に、ニードリング技術の主な欠点は、針のバーブが繊維を実際に引っ張ることが保証され得ないという意味でのランダムな性質にあり、そのような場合、パネル内の繊維補強材の定量化された存在は保証され得ず、ステッチングによる補強技術とは異なる。
【0011】
いずれの場合も、これらの技術は、コア材料中の繊維補強材の任意の分布、または補強材の任意の傾斜をも許容しないという付加的な欠点を有するが、これはコア材料のパネルにこれらの繊維補強材を挿入するために使用される技術およびステッチング(またはニードリング)機器に起因する。
【0012】
特許文献1からも、個々のヤーンを挿入する技術が知られており、この技術は、
- パネル、さらには自由端を有する長手方向の挿入要素を提供するステップと、
- 糸巻きを用意し、(パネルの)第1の側に配設された、パネルに沿った、パネルの付近のヤーンの長さセクションを巻き戻すステップと、
- 前記挿入要素でパネルに穿孔するステップであって、このステップは前記挿入要素を、その長手方向の軸に沿って、パネルの前記第1の側から、パネルを通して移動させることによって実行され、それと同時にヤーンは、前記挿入要素の自由端のところで、前記挿入要素およびヤーンがパネルの第2の側から出てくるまで、そうして作成されたパネルの孔を通して、パネルの第2の側から出てくる前記ヤーンのループを基準にして、上流側のより糸と下流側のより糸とをレイアウトするように、ヤーンに対する前記挿入要素の押す動作によって運ばれる、ステップと、
- パネルの第1の側の上流のより糸、およびパネルの第2の側のループのところでヤーンを切断し、上流および下流のより糸から構成される、パネルの孔を通る一対の個別のヤーンを取得するステップと、を含む。
【0013】
本発明者らの知見によれば、このような方法は、ヤーンの2本のより糸によって形成された個別の補強要素の存在を確実にすることを可能にする。その一方で、特許文献1によるこの方法は、穿孔されたボアに対して補強要素のセクションが小さいサイズであるという点で改善できる。言い換えれば、このような方法では、補強ブリッジ内で十分な量の繊維を確保することができない。
【0014】
特許文献2からも、コアおよびテキスタイルスキンを含む複合パネルを補強する方法が知られており、この方法は、
- クランプを伴うツールを挿入し、ボアを形成することによって、パネルおよびスキンを同時に穿孔するステップと、
- 補強要素の長手方向端部をクランプによって把持するステップと、
- 補強要素の端部が2つのスキンから突き出るまで補強要素をボアを通して引っ張るステップと、を実行することを含む。
【0015】
本発明者らの知見によれば、補強要素の長手方向端部を引っ張ることによって補強要素の挿入を確実にする特許文献2によるこのような方法は、特に挿入時にボア内で補強要素とパネルとの間に著しい摩擦がある場合に、信頼性がない。本発明者らの知見によれば、このような方法は、穿孔されたボアとテキスタイル補強要素との間のクリアランスを最小に抑えながらテキスタイル補強材の信頼性の高い自動化された工業的手段による挿入を可能にしない。
【0016】
特許文献3、4または5からも、補強セルラー材料を製造する方法が知られており、この方法は
- セルラー材料の第1の表面からセルラー材料の第2の表面まで延在する貫通孔をセルラー材料内に形成するステップと、
- セルラー材料の第2の表面の反対側に、少なくとも1つの繊維束を用意するステップと、
- 第1の面から貫通孔を通過させて少なくとも1つの繊維束を把持するステップと、
- 少なくとも1つの繊維束を、セルラー材料内の貫通孔を通して引っ張るステップと、を含む。
【0017】
これら3つの特許文献3~5では、穴を貫通させるために使用されるツール、および繊維束を引っ張るための把持を可能にするツールは、その端部にフックを備える針からなる同じツールである。針のフックは、繊維束を把持し、引っ張り、ループを形成する。
【0018】
特許文献4の7ページ、または特許文献5の段落14において説明されているように、針の断面は意図的に可能な限り小さく選ばれており、特に生成された穴は、穴を通して引っ張られる繊維の束の直径よりも小さい断面を有する。
【0019】
本発明者らが実施した試験によれば、穿刺ツールとしての針の使用は、使用される針の断面(または直径)が大きくなるにつれて、特に以下のような欠点の強度が増大するという問題を生じる。
- 針の動作、および特に針がセルラー材料から出てくるときに、針によって材料に印加される応力に起因する、針の断面に応じて増大するセルラー材料の引き裂きの危険性があり、
- 穴が、(材料を除去することなく)セルラー材料を穿刺し変形させることによって得られる針によって形成され、この穿刺は穴のところのセルラー材料の密度を局所的に変化させ、穴から離れた場所にあるセルラー材料と比較して穴の付近の材料が圧縮され、この圧縮はセルラー材料の厚さに応じてさらには一定になり得ず、また、
- 厚さに応じたコア材料の局所的圧縮が厚さに応じた円筒形穴幾何学的形状を保証することを許さない内部張力を起こす。
【0020】
本発明者らによって実施された試験によれば、針の動作によってこの穴が作られた後、穴の最終的な幾何学的形状は、穴内の繊維のループの牽引力の影響をいぜんとして受け、これは特にポリウレタンフォームについては、厚さに応じて楕円化現象を引き起こす、すなわち、補強材内に樹脂を含浸させた後、補強材の幾何学的形状が保証され得ない。
【0021】
針の使用は、特に密度の異なる、異なる層を有する材料では、またはコア材料が金属表面仕上げシートで覆われている場合に、挿入方向が、局所的に層の平面に対して(垂直ではなく)傾斜しているときに、穿孔時に針の軌道がずれる現象を引き起こすこともあり得る。
【0022】
本発明者らの知見によれば、特許文献3~5によるこのような方法では、欠点を最小限度に抑えるために、したがって、補強材の表面密度(パネルの表面に対する繊維補強材の数)を高くするために、小さな断面の繊維補強材でパネルを補強することを必要とするが、これは、製造時間を延ばし、したがって、補強製品のコストを増大させるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】仏国特許第3029834号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0226876号明細書
【特許文献3】米国特許第3030256号明細書
【特許文献4】国際公開第2006/125562号
【特許文献5】欧州特許出願公開第3173216号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は、このような状況を改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
第1の態様によれば、フラットまたは3Dプリフォームパネルを、その厚さEに応じて補強するための方法が提供され、この方法は、
- 細長く、可撓性を有し、2つの長手方向端部を有し、挿入点でのパネルの厚さEの厳格に2倍以上である長さLを有する、補強要素を提供するステップa)と、
- 前記補強要素をパネルの、挿入側と呼ばれる一方の側に位置決めして保持するステップb)と、
- 補強要素を、補強要素の2つの長手方向端部の間の中間把持位置において挿入側で把持するステップc)と、
- 挿入ステップd)であって、中間位置で把持された前記補強要素は、補強要素を折り返すことによって、パネルを通過するボアに通されて、最終位置へ引かれ、最終位置では、2つの長手方向端部は、挿入側でボアから突出するか、または挿入側と同一平面となるようにされ、補強要素のループは挿入側とは反対側のパネルの側でボアから突出するか、または挿入側とは反対側のパネルの側でパネルの外壁の付近の位置に設けられ、ループは、ループのセクションが補強要素を各々ボアを通って延在する2つの長さセクションに分割し、2つの長さセクションの端部を挿入側とは反対の側のパネルの外壁と同一平面に位置決めするように構成される、挿入ステップd)と、を含む。
【0026】
方法は、挿入ステップd)の前に、ボアを形成するステップを含み、前記ボアは、円形の切断縁を基部に設けた円筒体を備えるドリリングツールを用いてパネルに開けられ、ボアは、円筒体の軸に沿った前進と円筒体の軸の周りの回転とを組み合わせる運動によって形成される。任意選択で、ボアのドリリングの結果得られた、円筒体の内部のドリルコアは、円筒体をガスで加圧することによって排出される。
【0027】
円形の切断縁を基部に設けた円筒体を備えるそのようなドリリングツールは、以下を確実に行うことができるという利点を有する。
- 材料を取り除き、円筒体の内部にドリルコアを生成し、パネルの材料の圧縮の現象、したがって穿孔されたボアの内部張力を最小にすることによる円筒形の幾何学的形状のボア(または穴)を形成すること。
- 針の動作によって形成されたものよりもかなり大きい直径であってよいボアの直径に制限を加えることなく、たとえば、2mm以上、さらには4mm以上、さらには6mm以上、さらには8mm以上、さらには10mm以上、および/またはさらには材料の厚さに制限を加えることなく、穴の直径に制限されることなく、内部張力を最小限に抑えて穴を形成すること。
- パネル材料が、異なる材料および異なる密度の異なる重ね合わされた層を含む、多層である場合であっても、またはパネルが、表面仕上げシート、たとえば金属シートを含む場合であっても、またドリリング角度が、穿孔されるべきパネルの表面に垂直なドリリング点に局所的にない、または異なる層の中間表面に局所的に垂直である場合であっても、内部張力を最小にして制御された直線的な軌道を有するボアを形成することを確実にすること。
【0028】
次いで、制御された円筒形の幾何学的形状を有するボアを保証し、内部張力を最小にすることは、制御されたライニング、特に補強要素の制御されたセクションを伴うが、樹脂の塗布中に補強ブリッジの最終形状を与える円筒形の幾何学的形状を失わないように過剰でなくステップd)に従って、特に繊維質である、補強要素を挿入することを可能にする。
【0029】
このときに、補強要素を中間位置で把持することで、ループが形成され、ループはステップd)においてパネルの挿入側から挿入側とは反対側のパネルの側にボアを通して引っ張られ、把持器によって把持されたこのループは、貫通ボアを通過する際に応力を発生させ得ることに留意されたい。
【0030】
このループの断面が穿孔ボアの幾何学的形状を変化させないように、特に特定の挿入ツールを選択することによって、特に注意が払われるものとしてよく、これは、ロッドと、このロッドの端部にある把持器(特にフックまたは制御クランプ)に加えて、チューブを備える。ロッドおよび把持器のアセンブリは、チューブ内に摺動可能に装着され、前記把持器はステップc)で補強要素を把持するときにチューブの開口部から突出するように設けられ、把持器は、把持器が挿入ステップd)において挿入側から挿入の側と反対のパネルの側の方向にボアの軸に沿って駆動されるときに、チューブ内に引っ込められる。
【0031】
チューブの外径は、ボアの直径に関して選択され、チューブの外径はボアの直径と等しいか、またはわずかに小さい。把持器(特に制御された把持器またはフック)をチューブ内に引き込むことにより、ループをチューブ内に強制的に押し込むことができ、したがって、挿入ツールがこのループを貫通ボアの長さにわたって引っ張るときの摩擦(または応力)を有利に回避することができる。
【0032】
一実施形態によれば、挿入のステップd)は、挿入ツールを使用して実行され、このツールは、挿入側とは反対側から、挿入側の方向に、パネルのボアを通過するように構成されたロッドを備え、このロッドはその遠位端にフックを備えており、ステップc)でフックが補強要素を把持するときにフックが挿入側から突出し、挿入ステップd)はフックがボアの軸に沿って、挿入側から挿入とは反対側のパネルの側へ駆動されるときに、フックの周りにループが形成されることを確実にする。
【0033】
一実施形態によれば、方法は、挿入ステップd)に続く切断ステップe)を有し、補強要素のループは、補強要素の最終位置で切断され、補強要素を、各々ボアを通って延在する2つの長さセクションに分割し、各長さセクションの2つの端部は、パネルの両側から突出して設けられるか、またはパネルの両側と同一平面に設けられるか、またはパネルの一方の側から突出し、パネルの他方の側とは同一平面に設けられる。
【0034】
一実施形態によれば、切断ステップe)は、前記挿入ツールによって実行され、前記挿入ツールは、フックに対して移動可能である、挿入ツールに装着されたブレードを備え、ループは、前記ブレードをフックから一定の距離にある引き込み位置から切断位置に切り換えるように構成された作動機構を用いてステップe)において切断され、切断位置では、前記ブレードは、ブレードとフックとの間の剪断効果により、フック上に静止している補強要素のループを切断する。
【0035】
一実施形態によれば、挿入ツールは、ロッドおよびフック、ただしチューブも備え、ロッドおよびフックのアセンブリはチューブ内に摺動可能に装着され、前記フックはステップc)で補強要素を把持するときにチューブの開口部から突出するように設けられ、フックは、フックが挿入ステップd)において挿入側から挿入の側と反対のパネルの側へ、ボアの軸に沿って駆動されるときに、チューブ内に引っ込められる。
【0036】
代替的に、挿入ステップd)は、ツールの使用によって実行され、このツールは、挿入側とは反対の側から、挿入側の方向に、パネルのボアを通過するように構成されたロッドを備え、前記ロッドはその遠位端に制御クランプを備えており、ステップc)で制御クランプが補強要素を把持するときに制御クランプが挿入側から突出する。
【0037】
制御クランプは、2つのジョーの間に補強要素の位置決めを可能にする開位置から、2つのジョーが補強要素を把持することで補強要素上で閉じる閉位置に切り換えるように構成された2つのジョーを備える。
【0038】
挿入ステップd)は、クランプがボアの軸に沿って、挿入側から挿入の側と反対のパネルの側へ駆動されるときに、制御クランプの周りにループが形成されることを確実にする。
【0039】
特に、挿入ツールは、ロッドおよび制御クランプ、ただしチューブも備えるものとしてよく、ロッドおよび制御クランプのアセンブリはチューブ内に摺動可能に装着され、前記制御クランプはステップc)で補強要素を把持するときにチューブの開口部から突出するように設けられ、制御クランプは、制御クランプが挿入ステップd)において挿入側から挿入の側と反対のパネルの側へ、ボアの軸に沿って駆動されるときに、チューブ内に引っ込められる。
【0040】
一実施形態によれば、制御クランプの2つのジョーは、弾性的変形可能要素によって形成され、この要素は、チューブの開口部から突出したときに、弾性的変形可能要素の弾性により、ジョーがチューブの内半径を超えて半径方向に延在する開位置にジョーを強制的に付勢し、挿入ツールは、ジョーを開位置から閉位置に切り換えることが、チューブ内にクランプが引っ込められる間に生じるように構成され、その間に2つのジョーは、チューブ内でのロッドの摺動中にチューブによって互いに閉じられるように強制される。
【0041】
有利には、切断ステップe)は、クランプに対して移動可能な、チューブ内に装着されたブレードを備える前記挿入ツールによって実行することができ、ループは、前記ブレードを、ジョーの閉位置においてチューブ内のクランプから一定の距離にある引き込み位置から切断位置に切り換えるように構成された作動機構を用いてステップe)において切断され、前記ブレードは、ブレードと制御クランプとの間の剪断効果により、チューブ内のクランプと係合している補強要素のループを切断する。
【0042】
有利には、ブレードは、2つのジョーの間の中間位置に摺動可能に配置され、補強要素のループを、クランプの2つのジョーの間に配置された切断平面に沿って、次いで、補強要素上で閉じられた位置で、切断するように構成され得る。
【0043】
代替的な実施形態によれば、ステップe)は、ループが補強要素の最終位置にある挿入側とは反対のパネルの側でパネルから突出して位置決めされている間に、挿入ツールとは異なる切断ツールで挿入ツールのフック(または制御クランプ)とパネルの外壁との間の中間切断平面に沿ってループを切断することによって実行され、切断が、ループの折り畳みによって形成されるスクラップを生成する。
【0044】
一実施形態によれば、把持の中間位置は、補強要素の中間であるか、またはその中間に対して補強要素の長さLの約20%の距離にある、補強要素の中間に近い位置である。一実施形態によれば、補強要素は、補強要素の長さLにわたって長さ方向に延在する並置されたヤーンのセットである。任意選択で、しかし必ずしもそうではないが、アセンブリのヤーンは、補強要素の長さに沿って一緒に撚られ得る。
【0045】
一実施形態によれば、前記位置決めおよび保持ステップb)は、2つのクランプを備える保持機構を用いて実行され、これは前記補強要素をその長さに沿って補強要素の中間の両側の2つの位置に保持するように構成されている。ステップc)における補強要素の把持は、挿入ツールのフックが挿入側から突出している状態で、補強要素と係合されているクランプを、補強要素がフックを通過しない位置から、前記補強要素の中間などの中間部がフックを通過する位置まで移動させることによって達成される。
【0046】
一実施形態によれば、ロボットおよび/または自動化された手段は、
- パネルに対する前記挿入ツールの異なる位置、
- パネルに対する前記挿入ツールの異なる傾斜であって、挿入点の構成可能な空間的分布および調整可能な傾斜に応じて複数の補強要素の挿入を可能にする、傾斜を可能にするように提供される。
【0047】
特に、パネル支持体が提供され、ロボット手段は、パネル支持体のいずれかの側に配設された、
- 挿入ツールを取り扱う、第1のロボットアームと、
- 保持機構の2つのクランプを取り扱う、第2のロボットアームと、を備える。
【0048】
第2の態様によれば、本発明は、パネルへの補強要素の挿入を達成するために本発明に従ってその厚さに応じたパネル補強方法を実装する複合パネルを製造するための方法にも関係し、各補強要素はパネルの両側から突出するか、またはパネルの両側と同一平面に設けられるか、またはパネルの一方の側から突出し、パネルの他方の側とは同一平面に設けられ、パネルの両側面に当たるように2つのスキンが加えられ、各スキンの内面は補強要素の突出/同一平面部分と接触してパネルに面し、次いで樹脂が真空下で注入されてスキンおよびパネル内の補強要素を含浸し、パネルのボアを通る補強ブリッジが形成され、各補強ブリッジは樹脂を含浸された補強要素を備え、複合パネルは、樹脂の重合後に得られ、2つのスキンがパネルの両側にそれぞれ内面によって接着され、2つのスキンを結合する樹脂を含浸された補強要素の形態の補強ブリッジが存在する。
【0049】
第3の態様によれば、本発明は、パネルへの補強要素の挿入を達成するために本発明に従ってパネル補強方法を実装する複合パネルを製造するための方法にも関係し、各補強要素はパネルの両側から突出するか、またはパネルの両側と同一平面に設けられるか、またはパネルの一方の側から突出し、パネルの他方の側とは同一平面に設けられ、パネルの両側面に当たるように2つのスキンが加えられ、各スキンの内面は補強要素の突出/同一平面部分と接触してパネルに面し、補強要素および2つのスキンは、補強遷移、および熱可塑性繊維を含み、補強要素によって補強されたスキンおよびパネルのアセンブリは、熱可塑性繊維が溶けるまで加熱され、複合パネルは、熱可塑性ポリマーを冷却することによって固化した後に得られ、2つのスキンはその内面によってそれぞれパネルの両側に接着され、2つのスキンを結合する熱可塑性ポリマーを含浸された補強要素の補強繊維の形態の補強ブリッジが存在する。
【0050】
第4の態様によれば、本発明は、パネルへの補強要素の挿入を達成するために本発明に従ってその厚さに応じたパネル補強方法を実装する複合パネルを製造するための方法にも関係し、各補強要素はパネルの両側から突出するか、またはパネルの両側と同一平面に設けられるか、またはパネルの一方の側から突出し、パネルの他方の側とは同一平面に設けられ、パネルの両側面に当たるように2つのスキンが加えられ、各スキンの内面は補強要素の突出/同一平面部分と接触してパネルに面し、次いで樹脂はモールド内の注入点における大気圧よりも高い圧力の下で注入され、注入圧力は3バール以下であり、モールドは大気圧よりも0.2バールから0.3バール低い真空下に維持され、次いで樹脂はスキンおよびパネル内の補強要素を含浸し、パネルのボアを通る補強ブリッジを形成し、各補強ブリッジは樹脂を含浸された補強要素を備え、複合パネルは、樹脂の重合後に得られ、2つのスキンがパネルの両側にそれぞれその内面によって接着され、スキンを結合する樹脂を含浸された補強要素1の形態の補強ブリッジが存在する。
【0051】
第5の態様によれば、本発明は、第2の態様、第3の態様、または第4の態様の対象である複合パネルを製造するための方法により得られる複合パネルにも関係し、複合パネルは2つのスキンを備え、これらのスキンはその内面によってパネルの両側にそれぞれ接着され、2つのスキンを結合する樹脂を含浸された補強要素の補強繊維の形態の補強ブリッジが存在し、前記複合パネルは、
- 30mmから300mmの間、特に50mmから200mmの間の、スキンを除くパネルの厚さE、
- 2.5mmから12.5mmの間の直径を有する円筒形補強ブリッジ、
- 30体積%から80体積%、たとえば40体積%から80体積%、さらに50体積%から70体積%の、補強ブリッジ中の強化繊維の含有量を有する。
【0052】
前述の段落で公開されている特徴は、任意選択で、実装することができる。これらは、互いに独立して、または互いに組み合わせて実装され得る。
【0053】
他の特徴、詳細、および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付図面を分析した後で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】一実施形態による、補強方法を実行するためのドリリングツールの概略を示す図であって、円筒体は円形切削端部をその基部のところに備え、ドリリングツールは、一方では、パネルの方向への切削端部の前進を引き起こす円筒体の軸に沿った並進と、他方では、ボアを形成するための円筒体の軸を中心とする回転と、を組み合わせた運動で移動され、ドリリングツールの軸は調整可能角度αで配向され、前記パネルは例により単一材料パネルとして例示されている、図である。
【
図1a】本出願によって開示される方法で補強され得る、2枚の表面仕上げシートを含む、複数の材料層を備える多材料パネルの断面の概略を、
図1の単一材料パネルの代替として示す図である。
【
図2】
図1に続く方法の図であって、ドリリングツールは、ボアの形成とともにパネルを通過し、圧縮ガスが円筒体に注入され、円筒体の内部のドリルコアの追い出しを引き起こす、図である。
【
図3】ボアがドリリングされた後の、
図2に続く方法の図であって、補強要素の中間の両側で2つの局所的位置におけるヤーンのより糸の形状の補強要素を保持する2つのクランプを備える保持機構、フックを備えるロッドを具備する挿入ツール、挿入側とは反対のパネルの側に位置決めされている、切断ブレードおよびチューブを用いて、挿入側と呼ばれる、パネルの一方の側に前記補強要素を位置決めし保持する前記ステップb)を例示する図である。
【
図3a】前記挿入ツールのロッド/フックおよびブレードアセンブリの分解図である。
【
図4】
図3に続く方法の図であって、フックが挿入側のパネルから突出するまで挿入ツールがパネルを通過している、図である。
【
図5】
図3に続く図であって、保持機構が、補強要素がフックを通過しない
図4による位置から、補強要素の中間がフックを通過する位置まで挿入要素を移動させたときの図である。
【
図6】フックがボアを通してその中間の補強要素を引っ張り、これにより補強要素を折り返してフックの周りにループを形成する、
図5の連続図である。
【
図7】
図6に続く図であって、フックが半分に折り畳まれた補強要素を引っ張り、補強要素の2つの長手方向の端部が挿入側から突出し、補強要素のループが挿入側とは反対の側から突出する最終位置に置く、図である。
【
図8】
図7の連続する方法を示す図であって、挿入ツールのブレードが、前記最終位置で、補強要素のループを切断した後(挿入ツールは図示されず)、補強要素は各々パネルのいずれかの側に2つの突出した端部を有する2つの長さのセクションに分割される、図である。
【
図9】補強方法を実装し、パネルの各側に、2つのテキスタイルスキンを追加することによって、
図8による、複数の補強要素1を含む補強パネルの図であって、各スキンの内面は補強要素の突出した端部と接触することを意図されている、図である。
【
図10】
図6に続く図であって(
図7の代替図として)、フックが半分に折り畳まれた補強要素を引っ張り、補強要素の2つの長手方向の端部が挿入側と同一平面にあり、挿入側とは反対のパネルの側において補強要素のループがパネルのわずかに内側のパネルに近い位置にある最終位置に置く、図である。
【
図11】
図10に続く方法を示す図であって、挿入ツールのブレードが、前記最終位置で、補強要素のループを切断した後(挿入ツールは図示されず)、補強要素は各々パネルの各側に2つの平坦な端部を有する2つの長さのセクションに分割される、図である。
【
図12】挿入ツールのブレードによって切断が行われる補強要素の前記最終位置(
図8の代替として)における
図7に連続する方法を示す図であって、挿入ツールとは特に異なる切断ツールが挿入ツールのフックとパネルの外側表面との間の中間位置において、挿入側とは反対の側でループを切断し、切断されたループによって形成されるスクラップを生成することをより具体的に例示している図である。
【
図13】把持ツールが選択されている代替的な実施形態による本開示による方法を示す図であって、把持ツールは、その端部に制御クランプを設けられているロッドを備え、クランプは、補強要素の把持を可能にする開位置から補強要素を把持する閉位置に切り換わるように構成されている2つのジョーを備える、図である。
【
図14】
図13による挿入ツールの制御クランプの詳細図であって、その2つのジョーは弾性的変形可能要素であり、その弾性は強制的にジョーを開位置に付勢する、図である。
【
図15】
図13による挿入ツールの制御クランプの詳細正面図であって、開位置にあるが、まだ背後にある2つのジョー、チューブを例示し、前記チューブの内側では、切断ブレードが2つのジョーの間の中間平面内に配置されている、正面図である。
【
図16】
図13の挿入ツールの断面図であって、チューブへの内部ロッド、ロッドの端部への弾性的変形可能要素の固定、切断ブレード、および2つのジョーのうちの1つを例示する、図である。
【
図17】
図13の挿入ツールの部分図であって、ロッド、ロッドの端部に固定された弾性的変形可能要素、切断ブレード、および2つのジョー(チューブは隠されている)を示す、図である。
【
図18】制御クランプのジョーを開位置(左から見た図)から閉位置(右から見た図)に切り換える様子の概略を例示する2つの図であって、これは、弾性的変形可能要素が互いに閉じられるチューブの作用によってチューブ内にクランプが引き込まれる間に得られる、図である。
【
図19】補強方法を実装するのに適したロボット装置の概略図であり、ロボット装置は、パネル支持体であって、ロボット手段はこのパネル支持体のいずれかの側に配設されている、パネル支持体と、挿入ツールを取り扱う第1のロボットアームと、保持機構の2つのクランプを取り扱う第2のロボットアームと、を備える、図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図面および以下の説明は、ほとんどの部分において、特定の性質を有する要素を含む。したがって、これらは、本開示をよりよく理解するために役立つだけでなく、必要ならばその定義に寄与することもある。
【0056】
また、本発明は、パネルPをその厚さEに応じて補強するための方法に関係し、この方法は、
- 細長く、可撓性を有し、2つの長手方向端部10、11を有し、挿入点でのパネルPの厚さEの厳格に2倍以上である長さLを有する補強要素1を提供するステップa)と、
- 前記補強要素1をパネルの、挿入側Ciと呼ばれる一方の側に位置決めして保持するステップb)と、
- 補強要素1を、挿入側Ci上の中間など、補強要素1の2つの長手方向端部の間の中間把持位置で、把持するステップc)と、
- 挿入ステップd)であって、補強要素の中間位置で把持された前記補強要素は、補強要素を折り返すことによって、パネルを通過するボア2を通して、最終位置Pfへ引かれ、2つの長手方向端部10、11は、挿入側Ciのボア2から突出するか、または挿入側Ciと同一平面となるようにされ、補強要素のループ12は挿入側Ciとは反対のパネルの側でボア2から突出するか、またはループ12は挿入側とは反対のパネルの側でパネルの付近の位置に、特にわずかに内部の位置に、設けられ、これは、ループの切断部(スクラップなし)が補強要素を各々ボアを通って延在する2つの長さセクション15、16に分割し、2つの長さセクション15、16の端部151、161を挿入側Ciとは反対の側のパネルの壁と同一平面に位置決めするように構成される、挿入ステップd)と、を含む。
【0057】
入力ステップc)における中間把持位置は、補強要素の中間であるか、または補強要素1の中間に近い位置であり、たとえば、その中間に対して補強要素の長さLの約20%の距離である。
【0058】
有利には、この挿入のモードは、半分に折り畳まれた補強要素1を(繊維を失うことなく)強く引っ張り、ステップd)においてループ12を形成し、例として
図7に例示されているようにその最終位置Pfまで引っ張ることを可能にし、このような挿入モードは、補強要素1の長さLにわたって長さ方向に延在する、並置されたヤーン13のセットから特に形成された補強要素の挿入を可能にする。任意選択で、しかし必ずしもそうではないが、アセンブリのヤーン13は、補強要素の長さに沿って一緒に撚られる。
【0059】
ヤーン13は、ガラス繊維ヤーン、炭素繊維ヤーン、アラミド繊維ヤーン、たとえばリネンなどの植物繊維ヤーン、またはポリエステル繊維ヤーンであってもよい。このリストは、例として与えられたものであり、ヤーンの繊維に対する可能な材料についての限定ではない。
【0060】
この点に関して、
図7は、ステップd)の引っ張りの終わりに、補強要素がパネルの両側から突出し、補強要素の2つの長手方向の端部が挿入側Ciから突出し、ループ12が挿入の側とは反対の側から突出する、例示的な実施形態を例示している。このような場合、補強要素1の長さLは、挿入点で、パネルの厚さEの2倍よりも厳密に大きくなる。
【0061】
他の可能性によれば、単独で、または組み合わせて、
- ステップd)の引っ張りの終わりに、長手方向の2つの端部が挿入側Ciのパネルの壁と同一平面になるように、必要なだけの移動量で補強要素を引っ張ることによって補強要素1を挿入側Ciと同一平面なるようにすることができる(
図10参照)。
- ステップd)の引っ張りの終わりに、補強要素のループ12は、挿入側とは反対のパネルの側のパネルの付近の位置に、特に、パネルのわずかに内側に設けることができ、パネルは、ループの切断部(スクラップなし)が補強要素を各々ボアを通って延在する2つの長さセクション15、16に分割し、挿入側Ciとは反対の側のパネルの外壁と同一平面である2つの長さセクション15、16の端部151、161を位置決めするように構成される(
図10および
図11参照)。
【0062】
図10および
図11に例示されているこの特定の場合において、パネルの平均平面または平均表面(中立表面)に対して実質的に垂直な方向に補強要素を挿入すると、挿入点で、補強要素の長さはパネルの厚さEの2倍に等しくなり得る。このような場合、補強要素の把持は、前記補強要素1の中間で実行される。
【0063】
補強方法の終わりに、各補強要素1は、
- ループ12が切断されると、
図8に例示されているように、パネルの両側から突出しているか、または
- ループが切断されると、
図11に例示されているように、パネルの両側と同一平面になるように設けられる、または
- それぞれ、挿入側と、挿入側とは反対のパネルの側(またはその逆)と、において、パネルの一方の側から突出し、パネルの他方の側と同一平面になるように(実施形態は図示せず)設けられ得る。
【0064】
端部150、151、160、161がパネルの両側と同一平面にある2つの長さセクション15、16が存在する
図11の結果は、挿入ツールとは異なる切断ツールを使用して、
図8の突出した端部と同一平面にすることによって、そのまま
図8の結果から得られるものとしてよい。
【0065】
たとえば、ヤーンのセットは、特徴として、
- 10から600の間のヤーンの本数、
- 200texから35000texの間のヤーンの1000メートル分のグラム単位の重量に対応するカウント(tex)を有する各ヤーン
を有し得る。
【0066】
複合パネルのコアを形成することを意図されているパネルは、
図1に例示されているように、単一材料とすることができる。1つ(または複数)の補強要素の挿入によって補強されるコア材料は、非限定的な例として、ポリエチレン(PE)フォーム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フォーム、ポリウレタン(PUR)フォーム、アクリルフォーム、バイオベースフォーム、ポリメタクリルイミド(PMI)フォーム、さらにたとえばコルクなどの様々な材料などのセルラーフォームパネルであってよい。
図1aにおける指示を用いて例示されている別の実施形態によれば、パネルPは、多層C1、C2、C3、もしくはさらには複数の材料であり得るか、またはさらには、たとえば、表面仕上げシートPar1、Par2を含み得る。パネルは、たとえば、異なる特徴を有する、2からN(3を超える整数)の数の、複数の層C1、C2、C3、たとえば、異なる密度および/または異なる材料(ポリエチレンフォームまたはポリウレタンフォーム、ポリウレタンフォーム(PUR)、アクリルフォーム、バイオソースフォーム、...)のプラスチックフォームを重ね合わせた複数の層C1からC3を有することができる。表面仕上げシートは、表面仕上げシート間のパネルの厚さ、またはさらには各層C1からC3の厚さよりもかなり小さい厚さ(たとえば100の比率)を有している。表面仕上げシートは、たとえば、金属シート、たとえばアルミニウムであってもよい。
【0067】
複合パネルのコアを形成することを意図されたパネルは、図に例示されているように、フラットパネルであるか、または、たとえば航空機先端部の形状、またはボートの湾曲した船殻の形状に3Dプリフォームされ得る。前述のステップa)、b)、c)、d)は、フラットパネルまたはプリフォームされたパネル(3D)上で実行され得る。
【0068】
3Dプリフォームパネルの場合、平均表面は、挿入点でパネルの外側表面に平行なパネルの厚さの中間部を通過する表面に対応する表面を意味する。フラットパネルの場合、この平均表面は、パネルの平面に平行な平均平面である。
【0069】
パネルの厚さPは、30mmから300mmの間、特に40mm以上、またはさらには50mm以上であってもよい。
【0070】
一実施形態によれば、挿入ステップd)は、たとえば、挿入側Ciとは反対の側から挿入側の方向にパネルのボア2を通過するように構成されているロッド30を備える挿入ツール3を使用することによって実行される。
図5に例示されているように、このロッド30はその遠位端にフック31を備えており、フック31はステップc)でフック31が補強要素を把持したときに挿入側Ciから突出する。
【0071】
次いで、ループ12の引っ張りを伴う挿入のステップd)は、フックがその軸に沿って、挿入側Ciから挿入の側とは反対のパネルの側へボア内に押し込まれるときに、フック31の周りのループ12の形成を確実にし、これは
図6および
図7、または
図6および
図10に例示されているとおりである。ステップd)の引っ張りの終わりに、ループ12は、
図7に例示されているように、挿入側とは反対のパネルの側に突出し得るか、または、
図10に例示されているように、挿入側とは反対のパネルの側の近くに、特にコア材料のわずかに内側に、位置決めされ得る。
【0072】
一実施形態によれば、方法は、挿入ステップd)の前に、ボアを形成するステップを有するものとしてよく、前記ボア2は、ドリリングツール4を用いてパネルP内にドリリングされる。したがって、好ましくは、ボアの形成は、挿入ツールでは得られず、挿入ツールとは異なる特定のドリリングツールで得られる。
【0073】
ドリリングツール4は、円形の切断縁41を基部に設けた円筒体40を含み得る。ボアは、円筒体40の軸に沿った前進と、円筒体40の軸を中心とした回転と、を組み合わせた運動によって、また
図1に示されているように、また
図2に例示されているように、ドリリングツールがパネルを通過するまで、形成される。
【0074】
円形の切断縁41は、ベベルによって形成されるものとしてよく、これは外側ベベルであってよく、
図1に見えているとおりである。外側ベベルは、ドリリング中に円筒体の中空内のドリルコアを圧縮することを許さず、内側ベベルとは異なる。これは、ドリルコアの取り外しをより容易にする。
【0075】
前進中に、ドリリングツール4は、パネルの平均平面(または平均表面)に対して実質的に垂直(α=90°)であるか、またはパネルの平均平面(または平均表面)に対して、厳密に90°よりも小さい角度α、たとえば非限定的な例として45°から90°の間の角度だけ傾斜させることができる。
【0076】
ドリリングステップの終わりに、円筒体の内部にある、ボアのドリリングの結果得られるドリルコアは、ガスGで円筒体を加圧することによって排出されるものとしてよく、これは
図2に例示されているとおりである。円筒体の内部のガスの加圧は、ドリルコアCaに加わる力を発生し、円形の切断縁を通して排出されることを確実にする。
【0077】
ドリリングツール4の円筒体40の外径は、典型的には、4mmから14mmの間であり、かつ/または円筒体の内径は、典型的には、3mmから12.5mmの間である。
【0078】
ツールの直径(円筒体の外径および内径)の範囲の定義は、コア材料、すなわちパネルの厚さEにも依存する。たとえば、次のように規定することが可能である。
【0079】
【0080】
パネルの厚さが大きければ大きいほど、ツールが移動する経路も大きくなり、斜め挿入の場合はなおいっそう大きくなる。また、コア材料への貫通に対する安定性および剛性を高めるために、芯加工ツールのチューブの増加もある。
【0081】
一実施形態によれば、前記位置決めおよび保持ステップb)は、2つのクランプ50、51を備える保持機構5を用いて実行され、2つのクランプ50、51は、前記補強要素1をその長さに沿って補強要素1の中間の両側の2つの位置で保持するように構成されている。
【0082】
次いで、ロッド30を備える挿入ツールは、パネルのボア2を挿入側Ciとは反対の側から挿入側の方向に、その遠位端のところのフック31が挿入側Ciから突出するまで通過するように作動され、これは
図4に例示されているとおりである。
【0083】
把持ステップc)における補強要素1の把持は、挿入ツールのフック31が挿入側から突出している間に、補強要素1と係合されているクランプ50、51を、補強要素がフックを通過しない位置(すなわち
図4)から、前記補強要素1の中間がフックを通過するような中間部(すなわち
図5)の位置まで移動させることによって得ることができる。
【0084】
一実施形態によれば、挿入ツール3は、ロッド30およびフック31だけでなく、チューブ33も備えてよく、ロッド30およびフック31のアセンブリは、チューブ33の中に、特にチューブに対して摺動可能に装着されている。チューブの直径は、ドリリングツールの直径に関して寸法を決められる、すなわち円筒体40の直径と実質的に等しいかそれ未満である。
【0085】
フック31は、ステップc)で補強要素を把持するときにチューブ33の開口部から突出するように設けられている。フック31およびロッド30がチューブ33に対して摺動するように装着されたときに、フック31はチューブ33内に引っ込められる、すなわち、フック31が挿入ステップd)においてボアの軸に沿って挿入側から挿入の側とは反対のパネルの側まで駆動されるときに、チューブ33内に引っ込められる。したがって、最終位置Pfでは、ループ12を引っ張るフック31は、
図7に例示されているように、それ自体が同一平面上のボア2の延長線上にあるチューブ33の内側にあるか、またはさらには挿入の側とは反対の側の、
図10に例示されているようにわずかに内側に位置決めされ、次いで、ループ12はチューブ33内に収納されることに留意されたい。
【0086】
把持器(フック)をチューブ内に引き込むことにより、ループをチューブ内に強制的に押し込むことができ、したがって、挿入ツールがこのループを貫通ボアの長さに沿って引っ張るときの摩擦(または応力)を有利に回避することができる。
【0087】
方法は、挿入ステップd)に続く切断ステップe)も有することができ、補強要素1のループ12は、補強要素1の最終位置Pfで切断される。切断時に、補強要素は、各々ボアを通って延在し、各々その端部150、151、160、161によってパネルの両側から突出している2つの長さセクション15、16に分割されるものとしてよく、これは
図8に例示されているとおりである。代替的に、切断の終わりに、
図11に例示されているように、2つの長さセクションは、パネルの両側でそれらの端部150、151、160、161によって同一平面上に設けられ得る。ここでもまた、図示されていない実施形態によれば、2つの長さセクションは、パネルの一方の側と同一平面上に設けられ、他方の側から突出しているものとしてよい。
【0088】
一実施形態によれば、切断ステップe)は、フック31に対して移動可能な挿入ツール上に装着されたブレード32を備える前記挿入ツール3によって実行されてよく、ループ12は、ステップe)において、前記ブレード32を、フック31から一定の距離にある引き込み位置から、ブレード32とフック31、必要ならば任意選択のチューブ33内に保持されたループ12との間の剪断効果により、フック31上に静止している補強要素11のループ12を前記ブレード32が切断する切断位置に切り換えるように構成された作動機構を用いて切断される。
【0089】
このような切断ステップe)は、挿入ツール3に装着された切断ブレード32によって実行されたときに、挿入ツール上で、有利には、
- 有利には、材料スクラップを生じることなく、補強要素1を2つに分割し、
- 任意選択で、挿入側Ciとは反対の側のパネルのわずかに内側に位置決めされたループ12を切断し、これにより2つの長さセクション15、16のこうして切断された端部151、161は挿入の側とは反対の側と同一平面になり、これは
図10および
図11に示されているとおりである、
ことを可能にする。
【0090】
結局、たとえば、補強要素1の長さLの半分に実質的に等しい寸法L/2の、長さLの補強要素のヤーンの数の2倍に等しい数のヤーンのセットによって構成される、ボア内の貫通補強材を存在させることが可能である。
【0091】
図12において例を用いて例示されている別の代替的実施形態によれば、ステップe)は、挿入ツール3とは異なる切断ツール6によって、補強要素1の最終位置Pfにおける挿入側Ciとは反対のパネルの側でループ12がパネルから突出するように位置決めされている間に実行され得る。
【0092】
この切断ツールは、挿入ツール3のフック31とパネルの外壁との間の中間切断平面に沿ってループ12を切断し、この切断は、
図12に点線で例示されているスクラップ120を生成し、スクラップ120は、こうして切断されたループ12の折り畳みによって形成される。この切断ツールは、電気カッター、回転ブレード、機械式ハサミ(たとえば空気圧式ハサミ)、電気式(または空気圧式)クリッパー、またはさもなければ超音波切断ツールであってよい。
【0093】
結局、たとえば、スクラップ120により、補強要素1の長さLの半分に実質的に等しい寸法L/2よりわずかに小さい寸法の、長さLの補強要素のヤーンの数の2倍に等しい数のヤーンのセットからなる、ボア内の貫通補強材を存在させることが可能である。
【0094】
図12に例示されているように、ツール6の切断平面は、挿入側Ciと反対の側のパネルの壁と実質的に同一平面上にあり、これにより端部151、161がこの側と同一平面上にある状態でボアを通過する2つの長さセクション15、16を得ることができ、これは
図11に例示されているとおりである。代替的に、ツール5の切断平面は、挿入側Ciと反対の側の外壁から離れる方向に移動され、これにより端部151、161がこの側から突出している状態で2つの長さセクション15、16を得ることができ、これは
図7に例示されているとおりである。
【0095】
図13から
図18において例を用いて例示されているフック付きの挿入ツールの代替的手段によれば、挿入ステップd)は、挿入側Ciと反対の側から挿入側Ciの方向にパネルのボア2を通過するように構成されているロッド30を備える挿入ツール3を使用することによって実行され、前記ロッド30はその遠位端のところで制御クランプ34を備える。
【0096】
この制御クランプ34は、制御クランプ34がステップc)で補強要素を把持するときに挿入側Ciから突出し、制御クランプ34は、2つのジョー340、341の間に補強要素1の位置決めを可能にする開位置Poから2つのジョー340、341が補強要素1を把持することによって補強要素1上で閉じる閉位置Pfeに切り替わるように構成された2つのジョー340、341を備え、挿入ステップd)は、クランプがボア2の軸に沿って、挿入側Ciから挿入の側とは反対のパネルの側まで駆動されるときに制御クランプ34の周りにループ12を形成することを確実にする。
【0097】
有利には、挿入ツール3は、ロッド30および制御クランプ34だけでなく、チューブ33も備え、ロッド30および制御クランプ34のアセンブリは、チューブ33内に摺動可能に取り付けられている。
【0098】
前記制御クランプ34は、ステップc)で補強要素が把持されたときにチューブ33の開口部から突出するように設けられており、制御クランプ34は、制御クランプ34が挿入ステップd)において挿入側から挿入の側と反対のパネルの側へ、ボアの軸に沿って駆動されるときに、チューブ33内に引っ込められる。
【0099】
把持器(制御クランプ)をチューブ内に引き込むことにより、ループ12をチューブ33内に強制的に押し込むことができ、したがって、有利には挿入ツールがこのループを貫通ボアの長さにわたって引っ張るときの摩擦(または応力)を回避することができる。
【0100】
有利な実施形態の特徴によれば、制御クランプ34の2つのジョー340、341は、弾性的変形可能要素によって形成されており、この要素は、チューブ33の開口部から突出しているときに、弾性的変形可能要素の弾性により、ジョー340、341がチューブ33の内半径を超えて半径方向に延在する開位置Poにジョー340、341を付勢する。
【0101】
挿入ツールは、ジョー340、341を開位置Poから閉位置Pfeに切り換えることが、チューブ33内にクランプ34が引っ込められるときに生じるように構成され、その間に2つのジョー340、341は、チューブ33内でのロッド30の摺動中にチューブ33によって互いに閉じられるように強制される。この実施形態は、単一のアクチュエータが、ロッドを引っ張ることによって、制御クランプをチューブ内に引き込むだけでなく、ジョーを閉じさせるか、またはロッドを押すことによって、チューブの開口部から突出する制御クランプを配備するだけでなく、ここでもまたジョーを開かせることを可能にするという点で優れている。
【0102】
一実施形態によれば、切断ステップe)は、制御クランプ34に対して移動可能なチューブ33内に装着されたブレード32を備える前記挿入ツール3によって実行され、ループ12は、ステップe)において、前記ブレード32を、ジョー340、341の閉位置Pfeにおいてチューブ33内の制御クランプ34から一定の距離にある引き込み位置から、ブレード32とクランプ34との間の剪断効果により、チューブ33内で制御クランプ34と係合している補強要素1のループ12を前記ブレード32が切断する切断位置に切り換えるように構成された作動機構を用いて切断される。
【0103】
剪断を最大化する構成によれば、ブレード32は、摺動可能に配置され、有利には、2つのジョー340、341の間の中間位置に摺動可能に配置され、補強要素1のループを、クランプ34の2つのジョー340、341の間に配置された切断平面に沿って、次いで、閉位置Pfeで切断するように構成される。特に大断面補強材については、誤切断のリスクが制限される。
【0104】
代替的に、ステップe)は、ループ12が補強要素の最終位置Pfにおいて挿入側Ciとは反対のパネルの側でパネルから突出して位置決めされている間に、挿入ツール3とは異なる切断ツール6で、一方では挿入ツールによって制御クランプ34からなる把持器と、他方ではパネルの壁と、の間の中間切断平面に沿ってループ12を切断することによって実行され、切断が(ループ12の折り畳みによって形成される)スクラップを生成する。
【0105】
一般に、ロボットおよび/または自動化手段を提供することが可能であり、それにより、
- パネルPに対する前記挿入ツール3の異なる位置、
- パネルPに対する前記挿入ツールの異なる傾斜αであって、調整可能な挿入点の空間的分布および調整可能な傾斜に応じて複数の補強要素の挿入を可能にする、傾斜αが使用可能になる。
【0106】
傾斜に関して、二重傾斜、すなわち、平均平面にまたはパネルの平均表面に平行な第1の方向の第1の回転軸に沿った第1の傾斜α、および平均平面にまたはパネルの平均表面に平行で第1の方向に垂直な第2の方向の第2の回転軸に沿った第2の傾斜とすることができることは理解される。
【0107】
この目的のために、方法は、パネル支持体Pを含む設置物において実装されるものとしてよく、ロボット手段は、パネル支持体のいずれかの側に配設された状態で、
- 挿入ツール3を取り扱う、特に6軸ロボットアームである、第1のロボットアームR1と、
- 保持機構5の2つのクランプ50、51を取り扱う第2のロボットアームR2、特に6軸ロボットアームと、を備える。ボアをドリリングする予備ステップは、ドリリングツール4を取り扱う第3のロボットアームによって、またはツールを変更することによって、第1のロボットアームR1または第2のロボットアームR2の、2つのロボットアームのうちの一方によって実行され得る。
【0108】
本発明には、複合パネルを製造するための方法の実装に対しても特定の用途があり、これは補強要素1のパネルP内への挿入を達成するために本発明によるパネル補強方法Pを実装し、各補強要素1は、たとえば
図8に例示されているように、ループ12が切断された後に、パネルの両側から突出するか、または
図11に例示されているように、ループが切断された後に、パネルの両側と同一平面にあるか、またはパネルの一方の側(挿入側Ciもしくは反対側)から突出し、パネルの他方の側(反対側もしくは挿入側Ci)と同一平面であるようにでき、これは例示されていない一実施形態によるものである。
【0109】
したがって、補強要素1の最終位置Pfにおいて、補強要素は、各々ボアを通って延在し、各々端部150、151、160、161によってパネルの両側から突出し、
図8に例示されているとおりであるか、または
図11に従ってパネルの両側と同一平面上にあるか、または図示されていない実施形態によりパネルの一方の側(挿入側Ciまたは反対側)から突出し、パネルの他方の側(反対側または挿入側Ci)と同一平面上にある、2つの長さセクション15、16に分割され得る。
【0110】
複合パネル製造方法によれば、パネルPの両側に対して2つのスキン17、18が追加され、各スキンの内面は補強要素1の突出/同一平面部分と接触してパネルPに面しており、これは
図9に示されているとおりである。スキンは、テキスタイルであってもよい。
【0111】
次いで、変形の第1の可能性によれば(「真空注入成形」またはより単純に「注入」の技術)、樹脂が真空下で注入されて、スキン17、18およびパネル内の補強要素1を含浸し、パネルのボアを通る補強ブリッジが形成され、各補強ブリッジは樹脂を含浸された補強要素1を備え、複合パネルは、樹脂の重合後に得られ、2つのスキン17、18がパネルの両側にそれぞれその内面によって接着され、スキン17、18を結合する樹脂を含浸された補強要素1の形態の補強ブリッジが存在する。
【0112】
変形の第2の可能性によれば、補強要素および2つのスキンは、補強繊維、および熱可塑性繊維を含み、補強要素によって補強されたスキンおよびパネルのアセンブリは、熱可塑性繊維融合を得るまで加熱され、複合パネルは、熱可塑性ポリマーを冷却することによって固化した後に得られ、2つのスキンはその内面によってそれぞれパネルの両側に接着され、2つのスキンを結合する熱可塑性ポリマーを含浸された補強要素の補強繊維の形態の補強ブリッジが存在する。
【0113】
「樹脂トランスファー成形(Resin Transfer Molding)」すなわちRTMという技術も知られており、この技術では、樹脂は、閉じられたモールド(モールドとカウンターモールドとを含む)の中でプリフォームが飽和するまで高圧(3バールから10バール)下で注入され、プレスを使ってモールドとカウンターモールドとのアセンブリを閉じた状態に保つ。
【0114】
また、大気圧より高いが、モールド内では3バール以下である、圧力の下での樹脂の注入、および典型的には大気圧より0.2バールから0.3バール低い圧力に、樹脂の注入前に真空下のモールドを置くことの両方を組み合わせ、より高い注入圧力で動作する従来のRTM法に比べて機器に関するコストが低いという利点を有する、「軽樹脂トランスファー成形(light resin transfer molding)」すなわちRTM Lightと呼ばれる技術も区別され得る。特に、カウンターモールドは半剛体であってもよく、厚膜の形状をとり、従来のRTMの場合のように必ずしも剛体でなくてもよい。
【0115】
RTM Lightには、35kg/m3から50kg/m3までのポリエチレンフォームなどの低密度フォームパネルの変形に対する特定の用途があり、そのセル構造は圧縮に対してあまり耐性がなく、高すぎる真空のせいで注入技術による変形を許さない。
【0116】
したがって、この第3の可能な変形技術によれば、樹脂がモールド内の注入点における大気圧よりも高い圧力の下で注入され、注入圧力は3バール以下であり、モールドは大気圧よりも0.2バールから0.3バール低い真空下に維持され、樹脂はパネル内のスキン17、18および補強要素1を含浸し、パネルのボアを通る補強ブリッジが形成され、各補強ブリッジは樹脂を含浸された補強要素1を備え、複合パネルは、樹脂の重合後に得られ、2つのスキン17、18がパネルの両側にそれぞれその内面によって接着され、スキン17、18を結合する樹脂を含浸された補強要素1の形態の補強ブリッジが存在する。
【0117】
利点
補強方法は、スキン間の補強ブリッジを得ることができるという点で注目すべきであり、有利であり、補強繊維含有量は30体積%超、さらには40体積%、特に40体積%から89体積%の間、またはさらには45体積%から89体積%の間、またはさらには40体積%から80体積%の間、またはさらには45体積%から75体積%の間、またはさらには45体積%から70体積%の間であり、すなわち、補強ブリッジの重合樹脂に比べてかなりの量の繊維含有量である。
【0118】
円形の切断縁を基部に設けた円筒体を備えるドリリングツールを使用する利点は、
- 材料を取り除き、円筒体の内部にドリルコアを生成し、パネルの材料の圧縮の現象、したがって穿孔されたボアの内部張力を最小にすることにより円筒形の幾何学的形状のボア(または穴)を形成すること、
- 針の動作によって形成されたものよりもかなり大きい直径であってよいボアの直径に制限を加えることなく、たとえば、2.5mm以上、もしくはさらには3mm以上、もしくはさらには4mm超、もしくはさらには6mm超、もしくはさらには8mm以上、もしくはさらには10mm以上、および/または30mmから300mmの間、特に50mmから200mmの間であってよいパネルの厚さEに制限を加えることなく、内部張力を最小限に抑えてそのようなボアを形成すること、
- パネル材料が、異なる材料および異なる密度の異なる重ね合わされた層を含む、多層である場合であっても、またはパネルが、表面仕上げシート、たとえば金属シートを含む場合であっても、またドリリング角度が、穿孔されるべきパネルの表面に垂直なドリリング点に局所的にない、またはパネルの異なる層の中間表面に局所的に垂直である場合であっても、内部応力を最小にして制御された直線的な軌道を有するボアを形成することを確実にすることを
確実にする点である。
【0119】
次いで、制御された円筒形の幾何学的形状を有するボアを保証し、内部張力を最小にすることは、制御されたライニング、特に補強要素の制御されたセクションを伴うが、樹脂の塗布中に補強ブリッジの最終形状を与える円筒形の幾何学的形状を失わないように過剰でなくステップd)に従って、特に繊維質である、補強要素を挿入することを可能にする。
【0120】
結局、複合パネルを製造するための方法は、パネルPの両側にそれぞれその内面によって接着された2つのスキンを備える複合パネルを得ることを可能にし、2つのスキンを結合する樹脂を含浸された補強要素の補強繊維の形態の補強ブリッジが存在し、前記複合パネルは、特徴として、
- 30mmから300mmの間、特に50mmから200mmの間の(スキンを除く)パネルの厚さE、
- 2.5mmから12.5mmの間、たとえば、4mmから12.5mmの間の、直径を有する円筒形補強ブリッジ、
- 30体積%から80体積%、特に45%から70%の、補強ブリッジ中の補強繊維の含有量を有する。
【0121】
特に、前記パネル(スキンを除く)は、異なる密度および/もしくは異なる材料の、ならびに/または金属表面仕上げシートPar1、Par2を有する多層体であってもよい。
【0122】
有利には、たとえば3mm超、またはさらには5mm、7mm、8mm、もしくは9mmの結果としての直径を有する補強ブリッジを提供する可能性は、補強ブリッジの数の表面密度を低減することを可能にするだけでなく、著しい厚さのパネル内にそのような補強を実現することも可能にする。
【0123】
(実施例)
複合パネルの3つの例が、パネルに対する3つの異なる材料を用いて以下で詳述される。
【0124】
しかしながら、これら3つの例は、共通の特徴として、
- それらは大気圧より0.9バール程度低い真空を用い、エポキシ樹脂を使用することで、真空注入成形技術によって得られること、
- 2つのスキンは、0/90°の双方向織りロービングガラスシートから作られること、
- コア材料-パネル-は、厚さEが50mmに等しいクローズドセルフォームであること、
- 補強要素のヤーンは、ガラス繊維から作られ、各糸は300テックスのカウントを有すること、を有する。
【0125】
(実施例1)
異なるコアリング直径に従って提示された方法によって補強され、そのボアが異なる充填率に従ってライニングされたアクリルコア材料(PMI)。
【0126】
【0127】
9本の補強線に沿って補強された厚さ50mmの同じアクリルフォームパネルに対して異なる試験が実行され、これはTable 2(表2)に提示されているとおり、以下で説明されるプロトコルに従うものである。
【0128】
パネルはフラットであり、ボアのドリリング軸および補強要素の挿入軸は、パネルの平面に対して垂直である。
【0129】
Table 2(表2)の各ラインN°1からN°9は、本開示による補強方法に従って、2つの補強要素の挿入(ライン毎)を提供する。挿入ステップd)の終わりに形成されたループは、切断されて、補強要素を両側のパネルから突出する2つの長さのセクションに分割する。
【0130】
各ライン(N°1からN°9)において、ドリリングツールのパラメータ外径(ΦExt)/ヤーンの数の組は変化する。表に記載されているヤーンの数は、ここでは、ステップb)で位置決めされたときの補強要素のヤーンの数の2倍である、すなわち、ステップd)の終わりにパネルにドリリングされたボア内で補強要素を折り畳んだ後のボア内のヤーンの数であることに留意されたい。
【0131】
0/90°双方向織りロービングガラスシートからなる2つのスキンは、補強パネルの2つの面に対して加えられ、次いで、補強パネル/スキンのアセンブリは、真空注入成形技術を実装する複合パネルを得るための方法に従って変形を受ける。真空は、大気圧より0.9バール低い真空であり、スキンを含浸しているエポキシ樹脂だけでなく、ドリリングされたボア内の補強ヤーンの移動も可能にする。補強ブリッジの測定は、エポキシ樹脂の重合後に実行される。
【0132】
各ラインN°1からN°9について、概ね円筒形のセクションの樹脂を含浸させたヤーンの形状での2つの補強ブリッジ(「補強ブリッジN°1」および「補強ブリッジN°2」)が得られる。
【0133】
補強ブリッジ(補強ブリッジN°1および補強ブリッジN°2)の直径の測定は、測定される補強ブリッジの周りのパネルのアクリルフォームを剥がした後、ノギスを用いて行われる。
【0134】
補強ブリッジ中の繊維含有量(%m)は、本質的に、以下に提示されているNF EN ISO 1172 - Determination of the textile glass and mineral filler content - Calcination methodsに開示されている焼成法に従って決定される。
【0135】
したがって
図2の表は、繊維含有量(質量%)を提示している。
【0136】
補強ブリッジに含まれる繊維質量含有量(%m)の繊維体積含有量(Vfiber)への変換は、式
【0137】
【0138】
によって容易に得ることができる。
ただし、ρfibersはここで2500kg/m3に等しく、ρresinは1130kg/m3に等しい。
【0139】
(実施例2)
異なるコアリング直径に従って提示された方法によって補強され、そのボアが異なる充填率に従ってライニングされたポリウレタン(PUR)コア材料。
【0140】
【0141】
Table 3(表3)は、パネルがクローズドセルポリウレタンフォームであるときの、実施例1と同じプロトコルによる、結果を示している。
【0142】
補強ブリッジに含まれる繊維質量含有量(%m)の繊維体積含有量(Vfiber)への変換は、体積密度の同じ値をρfibersおよびρresinとする実施例1の式によって容易に得ることができる。
【0143】
(実施例3)
異なるコアリング直径に従って提示された方法によって補強され、そのボアが異なる充填率に従ってライニングされたポリエチレン(PE)コア材料。
【0144】
【0145】
Table 4(表4)は、パネルがクローズドセルポリエチレンフォームであるときの、実施例1と同じプロトコルによる、結果を示している。
【0146】
補強ブリッジに含まれる繊維質量含有量(%m)の繊維体積含有量(Vfiber)への変換は、体積密度の同じ値をρfibersおよびρresinとする実施例1の式によって容易に得ることができる。
【0147】
測定
ガラス繊維に基づく補強材に関して、補強材に含まれる繊維の含有量を決定するための方法は、規格NF EN ISO 1172 - Determination of the textile glass and mineral filler content - Calcination methodsに提示されている焼成法である。この方法は、実施例1から3において%mを決定するために使用された。
【0148】
この方法の原理は、完全な複合補強材(ガラス繊維+熱硬化性または熱可塑性樹脂マトリックス)の質量と、焼成によってマトリックスが除去されたこの同じ試料のガラス繊維の質量と、の間の質量差に基づく。
【0149】
複合補強材を受けるるつぼまたは他の容器は、焼成のために選択された温度に10分間曝され、次いで、室温まで冷まされた後、その質量が測定される。この操作は、るつぼに対して一定の質量が得られるまで繰り返される。
【0150】
複合補強材は、予め準備されたるつぼの中に置かれ、アセンブリは、一定の質量が得られるまで105℃で乾燥させられる。試料が室温に戻った後、アセンブリ(るつぼ+複合補強材)の質量が測定される。
【0151】
次いで、複合補強材を焼成し、現在の残留繊維のみを得るために、アセンブリは、第1の温度設定点をサポートしていない材料(繊維またはフィラー)に対して625℃の温度、または500℃から600℃の間の温度を有する炉内に置かれる。試料は、一定の質量が得られるまでタンク内に保たれる。
【0152】
規格に規定されているように、材料が定期的に試験を受けるときに、一定の質量が確実に得られるように焼成および乾燥の最小時間を定めることが許される。これらの試験の場合、炉温度は3時間の間625℃である。
【0153】
室温になった後、アセンブリ(るつぼ+残留繊維)の質量が測定される。
【0154】
初期質量の%のガラス繊維の含有量(%m)は、式
【0155】
【0156】
によって直接計算される。
【0157】
ただし、式中、
- m1は、るつぼの、グラム単位の初期質量であり、
- m2は、焼成前の乾燥したるつぼおよび乾燥した補強材アセンブリの、グラム単位の、合計初期質量であり、
- m3は、焼成後のるつぼと残留物の、グラム単位の、合計最終質量である。
【0158】
規格では、複合積層体に対して試料の重量は2gから10gの間でなければならないとも規定しているが、これは実施例1から3の小径の補強ブリッジでは必ずしも可能ではない。また、実施例1から3では、測定は、最低2つの試料(ほとんど同一の可能な「補強ブリッジN°1」および「補強ブリッジN°2」)上で実行されるべきである。結果は、2つの測定値の間の差が5%未満であるという条件で2つの試験の平均値である。必要ならば、第3の測定が、最初の2つの試料に最も類似している第3の試料に対して実行され、3つの測定の平均値がとられる。
【0159】
炭素繊維または焼成(温度への曝露に関係する繊維の劣化)に対応できない他の補強繊維から作られた補強材に関しては、規格NF EN ISO 11667 - Determination of resin, reinforcing fiber and mineral filler content - Dissolution methodsに提示されているように、マトリックスを溶解して沈降させることによる別の方法が使用されなければならない。
【0160】
補強材に含まれる繊維質量含有量の繊維体積含有量への変換は、マトリックスの密度、補強繊維の密度、および任意選択で、複合材(繊維+マトリックス)の密度を伴う。
【0161】
コンポーネントの密度は、原料の供給者によって提供されるか、または要素の体積を定量化するための最適な測定手段(溶媒に浸漬した状態での秤量、比重瓶またはガス比重瓶(ヘリウム比重瓶)を使用しての体積の決定)によって決定されるかのいずれかである。さらに、要素の質量は、秤量によって得ることができる。
【0162】
複合材料の構成要素の各々の質量と体積分率との間の関係は、当業者に知られており、これから、実施例1で与えられた式[数式1]によって、補強材中の繊維の体積分率を%で表すことができる。
【符号の説明】
【0163】
1 補強要素
15、16 長さセクション
150、151 長さセクションの長手方向端部15
160、161 長さセクションの長手方向端部16
2 ボア
3 挿入ツール
30 ロッド
31 フック
32 ブレード
33 チューブ
34 制御クランプ
340、341 ジョー
4 ドリリングツール
40 円筒体
41 円形の切断縁
5 保持機構
50、51 クランプ
6 切断ツール(
図12)
17、18 スキン
P パネル
C1、C2、C3 層
Par 表面仕上げシート
Ca ドリルコア
Po 開位置(クランプ)
Pf 最終位置
Pfe 閉位置(クランプ)
E 厚さ
10、11 長手方向端部
L 長さ
Ci 挿入側
12 ループ
13 ヤーン
120 スクラップ
R1 第1のロボットアーム
R2 第2のロボットアーム
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さEに応じて、フラットまたは三次元においてプリフォームのパネル(P)を補強するための方法であって、
- 細長く、可撓性を有し、2つの長手方向端部(10、11)を有し、挿入点での前記パネル(P)の前記厚さEの厳密に2倍以上の長さLを有する補強要素(1)を提供するステップa)と、
- 前記補強要素(1)を前記パネルの、挿入側(Ci)と呼ばれる一方の側に位置決めして保持するステップb)と、
- 前記補強要素(1)を、前記補強要素の前記2つの長手方向端部の間の中間位置において前記挿入側で把持するステップc)と、
- 挿入ステップd)であって、前記中間位置で把持された前記補強要素は、前記補強要素を折り返すことによって、前記パネルを通過するボア(2)に通されて、最終位置(Pf)へ引かれ、前記最終位置(Pf)では、前記2つの長手方向端部(10、11)は、前記挿入側(Ci)で前記ボア(2)から突出するか、または前記挿入側での前記パネルの壁と同一平面上にあり、前記補強要素のループ(12)は前記挿入側(Ci)とは反対の前記パネルの側で前記ボア(2)から突出するか、または前記挿入側とは反対の前記パネルの前記側で前記パネルの外壁の付近の位置に設けられ、前記ループは、前記ループ(12)のセクションが前記補強要素を各々前記ボアを通って延在する2つの長さセクション(15、16)に分割し、前記2つの長さセクション(15、16)の端部(151、161)を前記挿入側(Ci)とは反対の前記側の前記パネルの前記外壁と同一平面に位置決めするように構成される、挿入ステップd)と、を含み、
前記補強方法は、前記挿入ステップd)の前に、前記ボアを形成するステップを有し、前記ボア(2)は、円形の切断縁(41)を基部に設けた円筒体(40)を備えるドリリングツール(4)を用いて前記パネル(P)にドリリングされ、前記ボアは、前記円筒体(40)の軸に沿った前進と前記円筒体(40)の前記軸の周りの回転とを組み合わせる運動によって形成され、前記円筒体の内部の、前記ボアの前記ドリリングから結果として得られるドリルコアを生成する、パネル(P)を補強するための方法。
【請求項2】
挿入のステップd)は、前記挿入側(Ci)とは反対の前記側から前記挿入側(Ci)の方向に前記パネルの前記ボア(2)を通過するように構成されているロッド(30)を備える挿入ツール(3)を使用することによって実行され、前記ロッドはその遠位端にフック(31)を備え、ステップc)で前記フック(31)が前記補強要素を把持するときに前記フック(31)が前記挿入側(Ci)から突出し、前記挿入ステップd)は前記フックが前記ボア(2)の前記軸に沿って、前記挿入側(Ci)から挿入側とは反対の前記パネルの前記側へ駆動されるときに、前記フック(31)の周りに前記ループ(12)が形成されることを確実にする、請求項1に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項3】
前記方法は、前記挿入ステップd)に続く切断ステップe)を有し、前記補強要素の前記ループ(12)は、前記補強要素(1)の前記最終位置(Pf)で切断され(1)、前記補強要素を各々前記ボアを通って延在する2つの長さセクション(15、16)に分割し、各長さセクション(15、16)の2つの端部(150、151、160、161)は、前記パネルの両側から突出して設けられるか、または前記パネルの両側と同一平面に設けられるか、または前記パネルの一方の側から突出し、前記パネルの他方の側とは同一平面に設けられる、請求項1または2に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項4】
前記切断ステップe)は、前記フック(31)に対して移動可能な、前記挿入ツール上に装着されたブレード(32)を備える前記挿入ツール(3)によって実行され、前記ループ(12)は、ステップe)において、前記ブレード(32)を、前記フック(31)から一定の距離にある引き込み位置から、前記ブレード(32)と前記フック(31)との間の剪断効果により、前記フック(31)上に静止している前記補強要素(1)の前記ループ(12)を前記ブレード(32)が切断する切断位置に切り換えるように構成されている作動機構を用いて切断される、請求項2を引用する請求項3に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項5】
前記挿入ツール(3)は前記ロッド(30)と前記フック(31)だけでなくチューブ(33)も備え、前記ロッド(30)およびフック(31)のアセンブリは前記チューブ(33)内に摺動可能に装着され、前記フック(31)はステップc)で前記補強要素を把持するときに前記チューブの開口部から突出するように設けられ、前記フック(31)は、前記フック(31)が前記挿入ステップd)において前記挿入側から挿入の側と反対の前記パネルの前記側へ、前記ボアの前記軸に沿って駆動されるときに、前記チューブ(33)内に引っ込められる、請求項2または4に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項6】
前記補強要素(1)はヤーン(13)のセットであり、前記ヤーン(13)のセットは前記補強要素(1)の前記長さLにわたって長さ方向に延在し、前記ヤーンは並置されている請求項1から
5のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項7】
前記挿入ステップd)は、前記挿入側(Ci)とは反対の前記側から前記挿入側(Ci)の方向に前記パネルの前記ボア(2)を通過するように構成されているロッド(30)を備える挿入ツール(3)を使用することによって実行され、前記ロッド(30)はその遠位端に制御クランプ(34)を備えており、ステップc)で前記制御クランプ(34)が前記補強要素を把持するときに前記制御クランプ(34)が前記挿入側(Ci)から突出し、前記制御クランプ(34)は2つのジョー(340、341)を備え、前記2つのジョー(340、341)は、前記2つのジョー(340、341)の間に前記補強要素(1)の位置決めを可能にする開位置(Po)から、前記2つのジョー(340、341)が前記補強要素(1)を把持して閉じる閉位置(Pfe)に切り換わるように構成され、前記挿入ステップd)は前記制御クランプが前記ボア(2)の前記軸に沿って、前記挿入側(Ci)から挿入の側とは反対の前記パネルの前記側へ駆動されるときに、前記制御クランプ(34)の周りに前記ループ(12)が形成されることを確実にする、請求項1、3
または6のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項8】
前記挿入ツール(3)は前記ロッド(30)と前記制御クランプだけでなくチューブ(33)も備え、前記ロッド(30)および制御クランプ(34)のアセンブリは前記チューブ(33)内に摺動可能に装着され、前記制御クランプ(34)はステップc)で前記補強要素を把持するときに前記チューブ(33)の開口部から突出するように設けられ、前記制御クランプ(34)は、前記制御クランプ(34)が前記挿入ステップd)において前記挿入側から挿入の側と反対の前記パネルの前記側へ、前記ボアの前記軸に沿って駆動されるときに、前記チューブ(33)内に引っ込められる、請求項
7に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項9】
前記制御クランプ(34)の前記2つのジョー(340、341)は、弾性的変形可能要素によって形成され、前記弾性的変形可能要素は、前記チューブ(33)の前記開口部から突出するときに、前記弾性的変形可能要素の弾性により、前記ジョー(340、341)が前記チューブ(33)の内半径を超えて半径方向に延在する前記開位置に前記ジョー(340、341)を強制的に付勢し、前記挿入ツール(3)は、前記ジョー(340、341)を前記開位置(Po)から前記閉位置(Pfe)に切り換えることが、前記チューブ(33)内に前記制御クランプ(34)が引っ込められる間に生じるように構成され、前記チューブ(33)内に前記制御クランプ(34)が引っ込められる間に前記2つのジョー(340、341)は、前記チューブ(33)内での前記ロッド(30)の摺動中に前記チューブ(33)によって互いに閉じられるように強制される、請求項
8に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項10】
前記切断ステップe)は、前記制御クランプ(34)に対して移動可能な、前記チューブ(33)内に装着されたブレード(32)を備える前記挿入ツール(3)によって実行され、前記ループ(12)は、ステップe)において、前記ブレード(32)を、前記ジョー(340、341)の前記閉位置(Pfe)において前記チューブ(33)内の前記制御クランプ(34)から一定の距離にある引き込み位置から、前記ブレード(32)と前記制御クランプ(34)との間の剪断効果により、前記チューブ(33)内で前記制御クランプ(34)と係合している前記補強要素(1)の前記ループ(12)を前記ブレード(32)が切断する切断位置に切り換えるように構成された作動機構を用いて切断される、請求項
8または
9と組み合わされた請求項3に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項11】
前記ブレード(32)は、前記2つのジョー(340、341)の間の中間位置に摺動可能に配置され、前記補強要素(1)の前記ループを、前記制御クランプ(34)の前記2つのジョー(340、341)の間に配置された切断平面に沿って、次いで、前記閉位置(Pfe)で切断するように構成される、請求項
10に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項12】
ステップe)は、前記ループ(12)が前記補強要素の前記最終位置(Pf)において前記挿入側(Ci)とは反対の前記パネルの前記側で前記パネルから突出して位置決めされている間に、前記挿入ツール(3)とは異なる切断ツール(6)で、一方では前記挿入ツールの前記フック(31)または前記制御クランプ(34)からなる把持器と、他方では前記パネルの前記壁と、の間の中間切断平面に沿って前記ループ(12)を切断することによって実行され、切断が、ループ折り畳み(12)によって形成されるスクラップ(120)を生成する、請求項2を引用する請求項3または請求項3を引用する請求項
7に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項13】
前記ボアの前記ドリリングの結果得られた、前記円筒体の内部の前記ドリルコアは、前記円筒体をガスで加圧することによって排出される、請求項1から
12のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項14】
前記位置決めおよび保持ステップb)は、2つのクランプ(50、51)を備える保持機構(5)を用いて実行され、前記2つのクランプ(50、51)は前記補強要素(1)をその長さに沿って前記補強要素(1)の中間の両側の、2つの位置に保持するように構成される、請求項1から
13のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項15】
前記ドリリングツールの前記円筒体(40)の外径は、4mmから14mmの間であり、前記円筒体の内径は、3mmから12.5mmの間である、請求項1から
14のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項16】
前記パネル(P)の前記厚さ(E)は、30mmから300mmの間にある請求項1から
15のいずれか一項に記載のパネル(P)を補強するための方法。
【請求項17】
補強要素(1)のパネル(P)内への挿入を達成するために、請求項1から
16のいずれか一項に記載の厚さに応じたパネル補強方法(P)を実装する複合パネルを製造するための方法であって、各補強要素(1)は前記パネルの両側から突出するか、または前記パネルの両側と同一平面に設けられるか、または前記パネルの一方の側から突出し、前記パネルの他方の側とは同一平面に設けられ、前記パネルの両側に当たるように2つのスキン(17、18)が加えられ、各スキンの内面は前記補強要素の前記突出/同一平面部分と接触して前記パネルに面し、次いで樹脂が真空下で注入され前記スキンおよび前記パネル内の前記補強要素を含浸し、前記パネルの前記ボアを通る補強ブリッジが形成され、各補強ブリッジは樹脂を含浸された補強要素を備え、前記複合パネルは前記樹脂の重合後に得られ、2つのスキンが前記パネルの両側にそれぞれ内面によって接着され、前記2つのスキンを結合する樹脂を含浸された前記補強要素の形態の補強ブリッジが存在する、方法
、または、
補強要素(1)のパネル(P)内への挿入を達成するために、請求項1から16のいずれか一項に記載の厚さに応じて前記パネル(P)を補強するための方法を実装する複合パネルを製造するための方法であって、各補強要素(1)は前記パネルの両側から突出するか、または前記パネルの両側と同一平面に設けられるか、または前記パネルの一方の側から突出し、前記パネルの他方の側とは同一平面に設けられ、前記パネルの両側に当たるように2つのスキン(17、18)が加えられ、各スキンの内面は前記補強要素の前記突出/同一平面部分と接触して前記パネルに面し、前記補強要素および前記2つのスキンは、補強繊維、および熱可塑性繊維を含み、前記補強要素によって補強された前記スキンおよびパネルのアセンブリは、前記熱可塑性繊維が溶けるまで加熱され、前記複合パネルは、熱可塑性ポリマーを冷却することによって固化した後に得られ、2つのスキンはその内面によってそれぞれ前記パネルの両側に接着され、前記2つのスキンを結合する熱可塑性ポリマーを含浸された前記補強要素の前記補強繊維の形態の補強ブリッジが存在する、方法、
または、
補強要素(1)のパネル(P)内への挿入を達成するために、請求項1から16のいずれか一項に記載の厚さに応じて前記パネル(P)を補強するための方法を実装する複合パネルを製造するための方法であって、各補強要素(1)は前記パネルの両側から突出するか、または前記パネルの両側と同一平面に設けられるか、または前記パネルの一方の側から突出し、前記パネルの他方の側とは同一平面に設けられ、前記パネルの両側に当たるように2つのスキン(17、18)が加えられ、各スキンの内面は前記補強要素の前記突出/同一平面部分と接触する前記パネルに面し、次いで樹脂はモールド内の注入点における大気圧よりも高い圧力の下で注入され、注入圧力は3バール以下であり、前記モールドは大気圧よりも0.2バールから0.3バール低い真空下に維持され、前記樹脂は前記スキン(17、18)および前記パネル内の前記補強要素(1)を含浸し、前記パネルの前記ボアを通る補強ブリッジが形成され、各補強ブリッジは樹脂を含浸された補強要素1を備え、前記複合パネルは、前記樹脂の重合後に得られ、2つのスキン(17、18)が前記パネルの両側にそれぞれその内面によって接着され、前記スキン(17、18)を結合する樹脂を含浸された前記補強要素(1)の形態の補強ブリッジが存在する、方法。
【請求項18】
前記方法は、スキンの間に補強ブリッジを形成するステップを含み、補強繊維含有量は30体積%超、特に45体積%から89体積%まで、特に45体積%から70体積%までである、請求項
17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記パネル(P)の両側にそれぞれその内面によって接着された2つのスキンを備える、請求項
17または18に記載の製造方法により得られる複合パネルであって、前記2つのスキンを結合する樹脂を含浸された前記補強要素の前記補強繊維の形態の補強ブリッジが存在し、前記複合パネルは、
- 30mmから300mmの間、特に50mmから300mmの間の、スキンを除くパネルの厚さE、
- 2.5mmから12.5mmの間の直径を有する円筒形補強ブリッジ、
- 30体積%から80体積%、特に45体積%から89体積%、特に45体積%から70体積%の、前記補強ブリッジ中の補強繊維の含有量を有する複合パネル。
【請求項20】
前記パネルは、異なる密度、および/または異なる材料
および/または金属表面仕上げシート(Par1、Par2)を有する多層である請求項
19に記載の複合パネル。
【国際調査報告】