(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断またはスクリーニングのための非侵襲的方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6886 20180101AFI20220914BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220914BHJP
G01N 33/72 20060101ALI20220914BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20220914BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220914BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20220914BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20220914BHJP
【FI】
C12Q1/6886 Z
G01N33/53 M
G01N33/53 D
G01N33/72 A
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
C12N15/11 Z
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502110
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2020069918
(87)【国際公開番号】W WO2021009184
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521559603
【氏名又は名称】インスティテュ ディンベスティガシオンス ビオメディクス アウグスト ピ イ スニェール(イデイベーアーペーエセ)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT D‘INVESTIGACIONS BIOMEDIQUES AUGUST PI I SUNYER(IDIBAPS)
【住所又は居所原語表記】C.Rossello,149-153,08036 BARCELONA(ES)
(71)【出願人】
【識別番号】513295630
【氏名又は名称】ホスピタル クリニック デ バルセロナ
(71)【出願人】
【識別番号】522007451
【氏名又は名称】コンソルシオ セントロ デ インベスティガシオン バイオメディカ エン レッド
【住所又は居所原語表記】C.Monforte de Lemos 3-5.Pabellon 11,MADRID(ES)
(71)【出願人】
【識別番号】514267962
【氏名又は名称】ウニベルシタ デ バルセローナ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カステル ガランゴウ,アントニ
(72)【発明者】
【氏名】ヒロネーリャ コス,メリチェル
(72)【発明者】
【氏名】デュラン,サンチョン サライ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CB04
2G045FB02
2G045FB03
4B029AA07
4B029BB20
4B029CC01
4B029DG10
4B029FA02
4B029FA10
4B029FA12
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4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断またはスクリーニングのための非侵襲的方法。本発明は、結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断のためのインビトロ方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸直腸癌および/またはその前癌段階を診断またはスクリーニングするためのインビトロ方法であって、
a)対象から得られた生体サンプル中の少なくともmiR-421の発現レベルを測定することを含み、前記生体サンプルが便サンプルであり、
b)健常な対照対象において測定された参照発現レベルと比較した場合のmiR-421の過剰発現が、前記対象が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患していることを示す、
インビトロ方法。
【請求項2】
a)前記対象から得られた生体サンプルにおける少なくとも[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の組み合わせの発現レベルを測定することを含み、
b)健常な対照対象において測定された参照発現レベルと比較した場合の、前記少なくとも[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の組み合わせの過剰発現が、前記対象が結腸直腸癌および/または前癌段階に罹患していることを示す、
請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項3】
50歳~75歳の対象において実施される、請求項1~2のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項4】
好ましくは前記miRNAの発現レベルを測定する前に、ヘモグロビンの存在または濃度を測定することをさらに含み、健常な対照対象と比較した場合のヘモグロビンの存在またはより高い濃度が、前記対象が結腸直腸癌および/または前癌段階に罹患していることを示す、請求項1~3のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項5】
前記生体サンプルが、5mg未満、好ましくは2.5mgの便サンプルである、請求項1~4のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項6】
前記miRNAの発現レベルの測定が、前記ヘモグロビンの存在または濃度の測定のために先に使用された残りの便サンプルにおいて行われる、請求項1~5のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項7】
前記結腸直腸癌の前癌段階が、進行性結腸直腸腺腫である、請求項1~6のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項8】
前記結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断が、画像技術、好ましくは結腸内視鏡検査によって確認される、先行請求項のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項9】
対象の便サンプルにおける、結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断またはスクリーニングのための、少なくともmiR-421のインビトロ使用。
【請求項10】
少なくとも[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の、結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断またはスクリーニングのための、請求項9に記載のインビトロ使用。
【請求項11】
a.ヘモグロビンの存在または濃度を測定するための手段または試薬と、
b.miR-421の発現レベルを測定するための手段または試薬と、
を含むキット・オブ・パーツ。
【請求項12】
a.ヘモグロビンの存在または濃度を測定するための手段または試薬と、
b.[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の発現レベルを測定するための手段または試薬と、
を含む、請求項11に記載のキット・オブ・パーツ。
【請求項13】
ヘモグロビンの存在または濃度の測定が、ヒトヘモグロビンに特異的な抗体を使用することによって行われ、miRNAの発現レベルの測定が、qRT-PCRによって行われる、請求項11または12のいずれかに記載のキット・オブ・パーツ。
【請求項14】
結腸直腸癌および/またはその前癌段階を診断またはスクリーニングするための、請求項11から13のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項15】
進行性結腸直腸腺腫を診断またはスクリーニングするための、請求項14に記載のキットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月15日に出願された欧州特許出願第19382597.3号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、医療分野に含まれ得る。具体的には、本発明は、結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断またはスクリーニングのためのインビトロ方法に関する。
【背景技術】
【0003】
結腸直腸癌(CRC)(結腸癌、直腸癌、または大腸癌としても知られている)は、結腸または直腸(大腸の一部)における癌の発症である。結腸直腸癌の大部分は腺癌である。これは、結腸が組織内に多数の腺を有するためである。これらの腺は、遺伝的レベルでいくつかの変化を受けると、良性から浸潤性の悪性結腸癌に移行するように、予測可能な様式で進行する。結腸の腺腫、特に進行性結腸直腸腺腫(AA)は、悪性腺癌の良性のバージョンであるが、除去されない場合には依然として悪性となる可能性を有する(それらは、悪性となり、結腸癌をもたらす傾向があるため、通常除去される)。
【0004】
スクリーニングは、結腸直腸癌による死亡を予防および減少させるための有効な方法であり、50~75歳から開始することが推奨される。結腸直腸癌において最もよく知られて、最も頻繁に使用されるスクリーニング検査は、糞便免疫化学検査(FIT)と呼ばれる。FITは、ヒトヘモグロビンに特異的な抗体を使用して便サンプル中の少量の血液を検出することによってCRCをスクリーニングするために使用される。FITは、前癌または癌の徴候であり得る便サンプル中の血液を検出する。異常な結果が得られた場合、通常、医師が結腸および直腸を内視して診断することを可能にする結腸内視鏡検査が推奨される。結腸内視鏡検査中に小さなポリープが見つかった場合は、それを除去することができる。大きなポリープまたは腫瘍が見つかった場合、それが癌性であるか否かを確認するために、生検を行い得る。胃腸科医は、結腸内視鏡検査を使用してこれらの腺腫およびポリープを発見して除去し、侵襲性腺癌につながる遺伝子変化をし続けることを防ぐ。
【0005】
上記で説明したように、FITは現在結腸直腸癌のスクリーニングに使用されているが、FITはAAに対する感度が低い(文献によると約20~30%)ことに留意する必要があり、これは、上記の種類の患者のほとんどが疾患を有さないと誤って分類され得ることを意味する。それゆえ、FITは、その感度が低いために腺腫を同定することができない。一方、結腸内視鏡検査は侵襲的技術であり、最も重篤な合併症は一般に消化管の穿孔である。さらに、結腸内視鏡検査は、今日では麻酔を伴う処置であり、結腸内視鏡検査のために腸を準備する際に通常投与される下剤は、いくつかの消化に関する問題を伴う。
【0006】
CRCまたはAAに罹患するリスクを有する一般集団をスクリーニングするために今日使用されている方法は、高い偽陽性率に関連することに留意する必要がある。その結果、今日では大量の不必要なフォローアップ結腸内視鏡検査が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、miRNAの発現レベルから出発して、結腸直腸癌または結腸直腸腺腫(特に進行性結腸直腸腺腫)に罹患するリスクを有するヒト対象を同定またはスクリーニングするためのインビトロ方法に焦点を当てているため、上記で引用した問題に対する明確な解決策を提供する。さらに、本発明の方法は、高い感度および特異性を提供し、これは、結腸直腸癌および結腸直腸腺腫の両方を検出するための強力かつ費用効果の高い方法であることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、便サンプルなどの非侵襲性サンプルから単離されるmiRNAの発現レベルから出発して、結腸直腸癌および/または進行性結腸直腸腺腫に罹患するリスクがあるヒト対象を診断、同定またはスクリーニングするためのインビトロ方法に関する。本発明の方法は、高い感度および特異性を提供し、これは、結腸直腸癌および結腸直腸腺腫の両方を検出するための強力かつ費用効果の高い方法であることを意味する。
【0009】
本発明の方法は、CRCまたはAAに罹患するリスクがある一般集団をスクリーニングするために今日使用されている方法(FIT)と比較し、より高い感度および特異度を有するため、偽陽性の割合の低さにつながる。その結果、本発明に記載される方法は、フォローアップの結腸内視鏡検査数を減らすのに明らかに役立ち、したがって、患者に対する今日のスクリーニングまたは診断方法が改善される。本発明の方法の実施において、患者が結腸直腸癌および/または前癌段階に罹患している可能性があると判定された場合、その結果は結腸内視鏡検査によって確認される。しかしながら、患者が結腸直腸癌および/または前癌段階に罹患している可能性があると判定されない場合、結腸内視鏡検査を行う必要はなく、以下に定義される本発明の方法を用いた日常的な検査が推奨される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
具体的には、その試験は、以下の4つの段階を含むものであった:
124対の正常腫瘍組織におけるゲノムワイドmiRNA発現プロファイリングによる発見段階(30CRC;32AA);
発見段階に含まれる患者のサブセット(n=39)、ならびに対照個人(n=39)からの糞便サンプルにおける、qRT-PCRによるmiRNA候補の技術的検証;
CRCスクリーニングプログラムにおける、FIT陽性参加者から得られた糞便サンプルの独立したセット(n=767)における、qRT-PCRによる最も顕著に上方制御されたmiRNAの臨床的検証;および
進行性新生物(すなわちCRCまたはAA)を有する患者を同定するためのmiRNAベースの予測モデルの開発。
【0011】
CRCおよびAA組織サンプルにおいてそれぞれ有意に脱制御された200個および324個のmiRNAのうち、7個および5個を、便サンプルにおいて技術的に検証した。そのうち、miR-421、miR-130b-3pおよびmiR-27a-3pは、進行性新生物を有する患者において上方制御されることが確認された。したがって、miR-421およびmiR-27a-3pを含む便中miRNAシグネチャーは、便中ヘモグロビン濃度よりも正確であり(AUC=それぞれ0.63対0.59)、これらの患者を正常な結腸内視鏡検査結果を有する個人と区別したが、両方のアプローチの組み合わせは、かかる目的のためには最も高い精度を提供するものであった(AUC=0.67)。
【0012】
したがって、本発明の第1の実施形態は、結腸直腸癌および/またはその前癌段階を診断またはスクリーニングするためのインビトロ方法(以下、「本発明の方法」)であって、
a)対象から得られた生体サンプルにおいて、少なくともmiR-421および/またはmiR-130bおよび/またはmiR-27aの発現レベルを測定すること、を含み、
b)健常な対照対象において測定された参照発現レベルと比較して、miR-421および/またはmiR-130bおよび/またはmiR-27aの過剰発現が、該対象が、結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患していることを示すものである、方法に関する。
【0013】
好ましい実施形態では、本方法は、
a)対象から得られた生体サンプル中の少なくとも[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の組み合わせの発現レベルを測定することを含み、
b)健常な対照対象で測定された参照発現レベルと比較した場合のmiRNAの組み合わせの少なくとも1つの過剰発現が、該対象が結腸直腸癌および/または前癌段階に罹患していることを示すものである。
【0014】
miR-421、または組み合わせ[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]もしくは[miR-421およびmiR-130b]を用いて得られたロジスティック回帰の統計的結果を表1にまとめる。
【0015】
好ましい実施形態では、本方法は、
a)対象から得られた生体サンプルにおいて、少なくとも組み合わせ[miR-130bおよびmiR-27a]、[miR-130bおよびmiR-25]、[miR-130bおよびmiR-221]、[miR-130bおよびmiR-34a]または[miR-130bおよびmiR-29a]の発現レベルを測定することを含み、b)健常な対照対象において測定された参照発現レベルと比較した場合のmiRNAの組み合わせの少なくとも1つの過剰発現は、該対象が結腸直腸癌および/または前癌段階に罹患していることを示すものである。
【0016】
miR-130b、または組み合わせ[miR-130bおよびmiR-27a]、[miR-130bおよびmiR-25]、[miR-130bおよびmiR-221]、[miR-130bおよびmiR-34a]もしくは[miR-130bおよびmiR-29a]を用いて得られたロジスティック回帰の統計的結果を表2にまとめる。
【0017】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、
miR-27aがmiR-27a-3pである、および/または
miR-25がmiR-25-3pである、および/または
miR-221がmiR-221-3pである、および/または
miR-34aがmiR-34a-5pである、および/または
miR-29aがmiR-29a-3pである、および/または
miR-130bがmiR-130b-3p、またはそれらのいずれかの組み合わせである。
【0018】
例えば、表1および表2に示されるように、好ましい実施形態では、本方法は、好ましくはmiRNAの発現レベルの測定の前に、対象の年齢および性別の判定をさらに含む。そのため、好ましい実施形態では、本発明の方法は、CRCまたはAAに罹患するリスクがある対象、好ましくは50歳~75歳の集団で実施される。
【0019】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意に上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本方法は、任意の年齢、例えば少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85または90歳の、男性または女性で実施される。
【0020】
好ましい実施形態では、本方法は、好ましくはmiRNAの発現レベルを測定する前にヘモグロビンの存在または濃度を測定することをさらに含み、健常な対照対象と比較して、ヘモグロビンの存在またはより高い濃度が、該対象が結腸直腸癌および/または前癌段階に罹患していることを示すものである。
【0021】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、生体サンプルは、便、血液、血清または血漿サンプルである。
【0022】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、生体サンプルは便サンプルである。
【0023】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、便サンプル、好ましくは10mg未満、好ましくは5mg未満、より好ましくは2.5mgの便サンプルで実施される。実際、本発明の方法の明らかな利点は、少量の便サンプルを使用することによって実施できることである。なお、Cologuard(登録商標)のような市販の試験は、典型的には約50grの大量の便サンプルの使用を必要とする。本発明の方法は、少量の便サンプルを使用して行うことができるので、miRNAの発現レベルの測定は、ヘモグロビンの存在または濃度の測定のために先に使用された残りの便サンプルにおいて行うことができる。
【0024】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本方法は、
a)対象から得られた便サンプル中の、少なくともmiR-421の発現レベルを測定し、ヘモグロビンの存在または濃度を測定することを含み、
b)健常な対照対象において測定された参照発現レベルと比較した場合の、miR-421の過剰発現、および健常な対照対象と比較した場合のヘモグロビンの存在または高い濃度が、該対象が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患していることを示すものである。
【0025】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本方法は、
a)対象から得られた便サンプル中の、少なくとも[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の組み合わせの発現レベルを測定し、ヘモグロビンの存在または濃度を測定することを含み、
b)健常な対照対象において測定された参照発現レベルと比較した場合のmiRNAの組み合わせの少なくとも1つの過剰発現、および健常な対照対象と比較した場合のヘモグロビンの存在または高い濃度が、該対象が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患していることを示すものである。
【0026】
好ましい実施形態では、結腸直腸癌の前癌段階は、進行性結腸直腸腺腫である。
【0027】
好ましい実施形態では、結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断は、画像技術、好ましくは結腸内視鏡検査によって確認される。
【0028】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本発明の方法は、当業者に公知の任意のアルゴリズム、例えば、Friedman JH,“Stochastic gradient boosting”Comput Stat Data Anal 2002 38:367-378で説明されているアルゴリズムを使用することにより、例えば、勾配ブースティングマシンアルゴリズム、Cツリー(C-tree)、ランダムフォレスト、線形識別分析、サポートベクターマシン、k近傍アルゴリズムまたはロジスティック回帰により実施される。
【0029】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、診断またはスクリーニングのための方法は、勾配ブースティングマシンアルゴリズムによって実施される。
【0030】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、結腸直腸癌および/またはその前癌段階を診断またはスクリーニングするためのインビトロ方法は、
a)対象から得られる生体サンプル(一例では、生体サンプルが便サンプルである)における少なくともmiR-421および/またはmiR-130bおよび/またはmiR-27aの発現レベルを測定することを含み、
b)健常な対照対象において測定される参照発現レベルと比較して、miR-421および/またはmiR-130bおよび/またはmiR-27aの過剰発現が、該対象が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患していることを示すものであり、
任意に、加えて、本方法は、該対象の年齢および性別を判定することを含み、
本方法は、勾配ブースティングマシンアルゴリズム、Cツリー、ランダムフォレスト、線形識別分析、サポートベクターマシン、k近傍法およびロジスティック回帰の群から選択されるアルゴリズムによって実施される。
【0031】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、結腸直腸癌および/またはその前癌段階を診断またはスクリーニングするためのインビトロ方法は、
a)対象から得られる生体サンプル(一例では生体サンプルが便サンプルである)における少なくともmiR-421の発現レベルを測定することを含み、
b)健常な対照対象において測定される参照発現レベルと比較した場合のmiR-421の過剰発現が、該対象が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患していることを示すものであり、
加えて、本方法は、該対象の年齢および性別の判定を含み、
本方法は、勾配ブースティングマシンアルゴリズムによって実施される。この実施形態は、任意に、ステップa)において、対象から得られた便サンプル中のヘモグロビンの存在または濃度をさらに測定することを含むことができ、ステップb)において、加えて、健常な対照対象と比較してヘモグロビンの存在またはより高い濃度が、該対象が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患していることを示すものである。
【0032】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本方法は、
a)少なくとも[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の組み合わせの発現レベルを測定することを含み、
b)miRNAの組み合わせの少なくとも1つの過剰発現が、健常な対照対象において測定される参照発現レベルと比較して、該対象が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患していることを示すものであり、
加えて、本方法は、該対象の年齢および性別を判定することを含み、
本方法は、勾配ブースティングマシンアルゴリズムによって実施される。この実施形態は、任意に、ステップa)において、対象から得られた便サンプル中のヘモグロビンの存在または濃度をさらに測定することを含むことができ、ステップb)において、加えて、健常な対照対象と比較してヘモグロビンの存在またはより高い濃度が、該対象が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患していることを示すものである。
【0033】
本発明の第2の実施形態は、結腸直腸癌および/またはその前癌段階をスクリーニングまたは診断するための、少なくともmiR-421および/またはmiR-130bおよび/またはmiR-27aのインビトロでの使用に関する。
【0034】
好ましい実施形態では、本発明は、結腸直腸癌および/またはその前癌段階をスクリーニングまたは診断するための、少なくとも[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]、[miR-421およびmiR-130b]、[miR-130bおよびmiR-27a]、[miR-130bおよびmiR-25]、[miR-130bおよびmiR-221]、[miR-130bおよびmiR-34a]または[miR-130bおよびmiR-29a]のインビトロでの使用に関する。
【0035】
好ましい実施形態では、本発明は、結腸直腸癌および/またはその前癌段階をスクリーニングまたは診断するための、少なくとも[miR-130bおよびmiR-27a]、[miR-130bおよびmiR-25]、[miR-130bおよびmiR-221]、[miR-130bおよびmiR-34a]または[miR-130bおよびmiR-29a]のインビトロでの使用に関する。
【0036】
本発明の第2の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本インビトロ使用は、便、血液、血清または血漿サンプル中で実施される。
【0037】
本発明の第2の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本インビトロ使用は、便サンプル中で実施される。
【0038】
好ましい実施形態では、本発明は、対象の年齢および性別の決定および/またはヘモグロビンの存在もしくは濃度の測定と組み合わせた、少なくとも上記で引用したmiRNAのインビトロでの使用に関する。
【0039】
本発明の第3の実施形態は、以下を含むキットに関する:
・ヘモグロビンの存在または濃度を測定するための手段または試薬、ならびに
・miR-421および/またはmiR-130bおよび/またはmiR-27aの発現レベルを決定するための手段または試薬。
【0040】
好ましい実施形態では、上記キットは、以下を含む:
・ヘモグロビンの存在または濃度を測定するための手段または試薬、ならびに
・[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]、[miR-421およびmiR-130b]、[miR-130bおよびmiR-27a]、[miR-130bおよびmiR-25]、[miR-130bおよびmiR-221]、[miR-130bおよびmiR-34a]または[miR-130bおよびmiR-29a]の発現レベルを測定するための手段または試薬。
【0041】
好ましい実施形態では、上記キットは、以下を含む:
・ヘモグロビンの存在または濃度を測定するための手段または試薬、ならびに
・[miR-130bおよびmiR-27a]、[miR-130bおよびmiR-25]、[miR-130bおよびmiR-221]、[miR-130bおよびmiR-34a]または[miR-130bおよびmiR-29a]の発現レベルを測定するための手段または試薬。
【0042】
好ましい実施形態では、ヘモグロビンの存在または濃度の測定は、ヒトヘモグロビンに特異的な抗体を使用することによって行われ、miRNAの発現レベルの決定は、PCRによって行われる。
【0043】
本発明の第3の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、いずれかのmiRNAの発現レベルを測定するための手段または試薬は、逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)のためのものである。
【0044】
本発明の第4の実施形態は、結腸直腸癌および/またはその前癌段階をスクリーニングまたは診断するための、上記で引用されたキットの使用に関する。
【0045】
本発明の第4の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本使用は、対象の便サンプル中におけるものである。
【0046】
本発明の方法によれば、上記のいずれかのバイオマーカーの組み合わせの発現レベルを測定した後、シグネチャーについてのスコア値が得られ、このスコア値が診断ルールを定義する閾値と比較される。このスコア値が閾値より高い場合、対応するサンプルは陽性試料として分類され、これは患者が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患している可能性があることの指標である。閾値は、感度および特異性の値を最適化するために定義される。したがって、好ましい実施形態では、本発明の方法は、
a)対象から得られた生体サンプル中の、上記で引用したいずれかのバイオマーカーの組み合わせの濃度レベルを測定することと、
b)発現値を処理してリスクスコアを得ることと、を含み、
c)上記で引用したいずれかのバイオマーカーの組み合わせついて得られたリスクスコアの値の偏差または変動が、参照値と比較して、同定された場合、これは、対象が結腸直腸癌および/または前癌段階に罹患していることを示すものである。
【0047】
本発明の第1の態様のすべての実施形態は、本発明の第2、第3および第4の態様の実施形態でもある。
【0048】
本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様または第4の態様の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、miRNA発現レベルがqRT-PCRによって測定される。
【0049】
本発明の最後の実施形態は、結腸直腸癌またはその前癌段階を治療する方法であって、
a)上記の実施形態のいずれかに従って結腸直腸癌またはその前癌段階を有する患者を診断することと、
b)結腸直腸癌の病変またはポリープを除去することを含み得る結腸内視鏡検査を実施することによって患者を治療することと、
を含む方法に関する。以下、この結腸直腸癌またはその前癌段階の治療方法を、「本発明の治療方法」と称する。
【0050】
本発明の第1、第2、第3および第4の態様の全ての実施形態もまた、本発明の治療方法の実施形態である。
【0051】
本発明の治療方法の一実施形態では、任意に、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ステップb)において、結腸直腸癌が診断された患者は、例えば、腫瘍ステージに応じて、内視鏡的ポリープ切除術、外科的切除術、化学療法(例えば、フルオロピリミジン、オキシプラチンおよび/またはイリノテカン)および/または放射線療法によって治療され、一方、進行性腺腫が診断された患者は、例えば、ポリープの大きさに応じて、内視鏡的ポリープ切除術または外科的切除術によって治療される。
【0052】
本発明の目的のための、以下の用語について定義する:
【0053】
・「結腸直腸癌」という用語は、小腸より下の腸管(すなわち、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸および直腸を含む大腸(結腸))の細胞の癌を特徴とする医学的症状である。
【0054】
・「結腸直腸腺腫」という表現は、腺腫性ポリープとも呼ばれる結腸の腺腫を指し、これは結腸直腸癌の良性および前癌段階であるが、依然として結腸直腸癌への進行のリスクが高い。
【0055】
・「進行性結腸直腸腺腫」という表現は、少なくとも10mmのサイズを有するか、または組織学的に高い悪性度の異形成もしくは20%を超える絨毛成分を有する腺腫を指す。
【0056】
・「非侵襲的生体サンプル」という表現は、患者から血液を採取するために使用される微細針以外の有害な器具を使用する必要なく、したがって患者に害を及ぼすことなく、患者の身体から採取された任意のサンプルを指す。具体的には、非侵襲的生体サンプルは、本発明においては、便、血液、血清または血漿サンプルを指す。
【0057】
・「健常な対照対象で測定された参照発現レベル」という表現は、バイオマーカーの発現レベルの「参照値」を指す。バイオマーカーの発現レベルの偏差が、上記「健常な対照対象で測定された参照発現レベル」に関して測定される場合、これは結腸直腸癌またはその前癌段階の指標である。特に、本発明のバイオマーカーまたはシグネチャーの発現レベルが上記「参照値」に対して有意に高いまたは低い場合、これは結腸直腸癌またはその前癌段階の指標である。
【0058】
・「リスクスコア」という表現は、1つ以上の濃度値を単一の値(またはリスク値)に処理した後に得られるリスク値を指し、個人についての疾患の可能性を表す。このリスク値を参照値と比較して、患者が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患している可能性があるか否かを評価する。
【0059】
・「参照値」は、閾値またはカットオフ値とすることができる。典型的には、「閾値」または「カットオフ値」は、実験的に、経験的に、または理論的に決定することができる。閾値はまた、当業者によって認識されるように、既存の実験条件および/または臨床条件に基づいて任意に選択することができる。閾値は、検査の機能および利益/リスクのバランス(偽陽性および偽陰性の臨床結果)に従って、最適な感度および特異度を得るために決定されなければならない。好ましくは、当業者は、本発明の方法に従って得られたバイオマーカーレベル(またはスコア)を、定義された閾値と比較し得る。典型的には、最適な感度および特異度(閾値も同様)は、実験データに基づく受信者動作特性(ROC)曲線を使用して決定することができる。例えば、参照群におけるバイオマーカーのレベルを決定した後、試験される生体サンプル中のバイオマーカーの測定濃度の統計処理のためのアルゴリズム分析を使用することができ、それにより、サンプルの分類にとって重要な分類基準を得ることができる。ROC曲線の正式名は、受信者動作特性曲線(receiver operation characteristic curve)としても知られる受信者動作者特性曲線(receiver operator characteristic curve)である。それは主に臨床生化学的診断試験に使用される。ROC曲線は、真の陽性率(感度)および偽の陽性率(1特異度)の連続変数を反映する包括的な指標である。それは、画像合成法により、感度と特異度の関係を明らかにする。一連の異なるカットオフ値(閾値または臨界値、診断試験の正常な結果と異常な結果の境界値)を連続変数として設定し、一連の感度および特異度値を計算する。次に、感度を垂直座標として使用し、特異度を水平座標として使用して曲線を描く。曲線下面積(AUC)が大きいほど、診断の精度が高い。ROC曲線において、座標線図上の最も左上に近い点は、感度と特異度の両方が高い臨界点である。ROC曲線のAUC値は、1.0~0.5の間である。AUC>0.5の場合、診断結果はAUCが1に近づくにつれてより良好になる。例えば以下のような当技術分野における既存のソフトウェアまたはシステムを、ROC曲線の描画に使用することができる:MedCalc9.2.0.1医療統計ソフトウェア、SPSS 9.0またはpROC Rパッケージ。
【0060】
・「を含む(comprising)」とは、「を含む」という単語に続くものを含むことを意味するが、これに限定されない。したがって、「を含む」という用語の使用は、列挙された要素が必要または必須であるが、他の要素は任意であり、存在してもしなくてもよいことを示す。
【0061】
・「からなる(consisting of)」とは、語句「からなる」に続く何らかのもの「を含み、以下に限定される(including,and limited to)」ことを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。
【0062】
明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という用語は、「からなる(consisting of)」の場合を包含する。本発明のさらなる目的、利点および特徴は、発明の詳細な説明を検討することにより当業者に明らかになるか、または本発明の実施によって習得され得る。以下の実施例および図面は例示として提供され、それらは本発明を限定することを意図するものではない。さらに、本発明は、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態のすべての可能な組み合わせを網羅する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】試験の概要。CRC:結腸直腸癌、AA:進行性腺腫、NAA:非進行性腺腫、FDR:誤発見率、FC:倍率変化。
【
図2】パネルA:miRNA発現プロファイルに基づくサンプルのクラスタリングを示す群間分析プロット。CRC:結腸直腸癌、AA:進行性腺腫、C:対になった正常組織。パネルB:124個の組織サンプルのNGS結果から作成されたベン図。内側の円は、偽発見率<0.05および倍率変化≧1.5または≦-1.5を有するmiRNAを示す。円と円との間の収束は、両方の新生物病変における共通の有意な脱調節miRNAである。赤色:上方制御されたmiRNAの数、緑色:下方制御されたmiRNAの数。
【
図3】GBMアルゴリズムによって計算された最良のmiRNA-糞便予測モデル(miR-421、miR-27a、年齢、性別)の受信者動作特性(ROC)曲線は、以下を区別する高い能力を示す: 1)進行性結腸直腸新生物(CRC+AA)対 非進行性結腸直腸新生物(NAA+健常対照) 2)進行性結腸直腸新生物(CRC+AA)対 健常対照 3)CRC 対 健常対照、および 4)AA 対 健常対照。曲線下面積(AUC)。X軸は、特異度を表す。Y軸は、感度を表す。
【実施例】
【0064】
発明の詳細な説明
実施例1 材料および方法。
実施例1.1 患者および方法。
【0065】
この試験では、以下の4つの主要な段階を含めた:
1)CRCおよびAAサンプルの組織セット、ならびにそれらの対になった正常粘膜における、次世代シーケンシング(NGS)によるmiRNA発見段階、
2)該発見段階に含まれる患者のサブセットならびに対照個人からの糞便サンプルにおける、定量的逆転写PCR(qRT-PCR)によるmiRNA候補の技術的検証、
3)BarcelonaのCRCスクリーニングプログラムの参加者から得られた糞便サンプルの独立したセットにおける、qRT-PCRによる最も有意に上方制御されたmiRNAの臨床的検証、
4)結腸内視鏡検査で関連性のない所見を有する患者のうち、進行性新生物(すなわちCRCまたはAA)を有する患者を識別するための、miRNAベースの予測モデルの開発。試験の概要を
図1に示す。
【0066】
miRNA発見段階のために、124個の新鮮な結腸直腸組織サンプルを、BarcelonaのHospital Clinicにおいて予め採集した。新生物および正常な粘膜サンプルのペアを、手術に供されたCRCを有する30人の患者から得たが、これらの患者のいずれも、ネオアジュバント化学療法または放射線療法のいずれも受けていなかった。さらに、新生物および正常な粘膜サンプルのペアを、内視鏡切除後のAAを有する32人の患者から得た。すべての組織サンプルを、RNAlater(登録商標)(Invitrogen、Carlsbad,CA)に保存し、RNA抽出まで-80℃で凍結した。
【0067】
糞便サンプル中のmiRNA候補の技術的検証のために、前の段階に含まれる39名の患者のサブセット(CRCを有する11名およびAAを有する28名)、ならびに正常な結腸内視鏡検査を有する39名の対照個人について解析した。
【0068】
最後に、選択されたmiRNAの臨床的検証を、2011年3月から2017年5月までの間に、BarcelonaのCRCスクリーニングプログラムにおけるFIT陽性参加者の間で集められた767の糞便サンプルにおいて実施した。各参加者は、キャップに取り付けられた鋸歯状プローブで10mgの糞便を2mLの緩衝液に収集する検体収集デバイス(OC-センサー、栄研化学株式会社、日本)を使用して、1つの糞便サンプルを提供した。すべてのサンプルを、RNA抽出まで-80℃で保存した。集団ベースの組織化されたスクリーニングプログラムの特徴は、他の箇所にも記載されている。
【0069】
本試験に含まれる全ての個人の臨床病理学的特徴を表3に示す。この試験は、バルセロナ・ホスピタル・クリニックの倫理委員会によって承認され、ヘルシンキ宣言に従ってすべての参加者から書面によるインフォームドコンセントを得て行った。
【0070】
実施例1.2 マイクロRNA抽出。
【0071】
miRNeasy(登録商標)ミニキット(Qiagen、Valencia,CA)を、製造者のプロトコルに従って使用して、組織または糞便(500μL緩衝液)から、miRNAを含む全RNAを単離した。組織サンプルについては、RNA抽出後、RNeasy MinElute Cleanup(登録商標)キット(Qiagen、Valencia,CA)を使用して混入物質の除去を確保し、12μLの最終溶出体積となるようサンプルを濃縮した。RNA組織サンプルの純度を、Agilent2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies、Palo Alto,CA)を用いて分析し、濃度をNanoDrop(登録商標)1000分光光度計(Wilmington,DE)によって測定した。糞便サンプル中に存在する総miRNAの濃度を、Quant-iT(登録商標)microRNAアッセイキット(Invitrogen、Carlsbad,CA)によって測定した。
【0072】
実施例1.3 NGSによるゲノムワイドmiRNAプロファイリング。
【0073】
製造業者のプロトコルに従って、TruSeq(登録商標)スモールRNAサンプル調製キット(Illumina,San Diego,CA)を用いて、組織由来の1μgの全RNAからスモールRNAライブラリーの作製を行った。最初に、3’および5’RNAアダプターを、スモールRNA末端にライゲーションした。その後、3’RNAアダプターに相補的な特異的プライマーを用いたSuperScript(登録商標)II逆転写酵素(Invitrogen、Carlsbad,CA)を用いた逆転写によって、cDNA構築物を合成した。cDNAを、キットに同封のインデックス付きアダプターを使用してPCRによってさらに増幅した。このステップは、両端にアダプター分子を有するRNA断片を選択的に濃縮する。最後に、ライブラリーからの増幅されたcDNA構築物を、6%Novex(登録商標)TBEゲル(Life Technologies、Carlsbad,CA)で単離した。ゲルから18塩基対~36塩基対(bp)のバンドサイズを示す領域を切り出し、DNAを沈殿させ、10μLの溶出緩衝液に溶出させた。生成したcDNAライブラリーを、Agilent High Sensitivity DNA(登録商標)キット(Agilent Technologies,CA)を使用して分析して、許容可能な量を確保し、サイズ分布を確認した。cDNAライブラリーのハイスループットシーケンシングを、1x50bpのシングルエンドリードを用いてHiSeq(登録商標)2000(Illumina、CA)で行い、サンプルあたり>15 Mのリードを得た。リアルタイム分析ソフトウェアによる画像解析および塩基の割り当てによって品質管理を行った。最初の25塩基において低い信頼値を有するリードを破棄した。品質管理リードを、GEMプログラムを用いて参照ゲノムとアラインメントした。配列決定前にサンプルに添加したPhiXのゲノムから計算した誤差パーセンテージは2.5%未満であった。
【0074】
実施例1.4 qRT-PCRによる糞便中miRNA発現の分析。
【0075】
qRT-PCRを、singleplex TaqMan(登録商標)microRNAアッセイ(Applied Biosystems Inc.,Foster City,CA)を使用して行った。簡潔には、5 ngの総miRNAを使用して逆転写を行った。その後、いくつかのmiRNAにおいては、糞便中のmiRNAレベルが低いために、定量的qPCRの前に前増幅ステップを行った。最後に、最終体積10μL中2μLのcDNAを使用して、Viia7(登録商標)リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems Inc.,Foster City,CA)でqPCRを行った。各点を3連で評価した。
【0076】
糞便miRNAを正規常化するための信頼できる内因性対照が存在しなかったため、絶対定量化を行った。したがって、既知量の各特異的合成miRNA(Integrated DNA Technologies、IA)の段階希釈によって作製した標準曲線を使用して、各サンプルについての平均Ctを、ng特異的miRNA/g総miRNAに変換した。
【0077】
実施例1.5 バイオインフォマティクスおよび統計分析。
【0078】
配列決定解析は、sRNAbenchパッケージを使用して行った。簡潔には、アダプタートリミングおよびユニークリードのグループ化の後、Bowtie1.1.2を使用して、1つのミスマッチを許容し、リードをヒトゲノム(UCSC hg19)にアラインメントした。ヒトゲノムにマッピングされるRNAエレメントについてのアノテーションを提供するために、成熟型およびプレmiRNA配列についてのmiRBase(バージョン21)を使用した。カウントデータを百万あたりのlog2-カウント(logCPM)にvoom変換し、循環レス(cyclic-loess)法によって正規化した。示差的に発現されるmiRNAを特定するために、緩和されたt検定を適用した。差次的発現、倍率変化および差のlog 2としての発現の平均を、結腸直腸新生物組織と、対をなす正常粘膜との間で解析した。BenjaminiおよびHochbergの方法による多重試験のためにp値を調整した。偽発見率<0.05のmiRNAを有意と見なした。主成分分析プロットを作成して、楕円で区切られた領域が第1および第2の軸上のサンプルスコアの二項分布の95%を表す2Dグラフに高次元データを視覚化した。有意なmiRNAを考慮したベン図も作成した。NGSの結果から得たmiRNA候補の選択を、以下の基準に基づいて行った:
【0079】
偽発見率<0.05、倍率変化≧1.5、平均発現>3.5、ならびにCRCおよびAAの両方における上方制御。
【0080】
定量的変数については、スチューデントのt検定を使用した。個々のmiRNAの識別能を、年齢および性別によって調整された多変量ロジスティック回帰によって評価した。P値≦0.05を有意とみなした。pROC Rパッケージを使用して、各miRNAを連続変数として考慮し、受信者動作特性の曲線下面積(AUC)およびそれに由来するカットポイントを計算した。最小誤差率に関連する最適カットポイントから、感度および特異度を計算した。
【0081】
実施例1.6 糞便miRNAに基づく予測モデリング。
【0082】
異なる個人群を識別するための予測モデルを、年齢および性別とともに、臨床検証段階において得られたmiRNA結果を考慮して行った。この分析の主要な評価項目は、結腸内視鏡検査(すなわち、NAAまたは正常検査)で関連性のない所見を有する患者のうち進行性新生物(すなわちCRCまたはAA)を有する患者を識別することとした。副次的な評価項目は、それぞれ、進行性新生物、CRCおよびAAを有する患者を、正常な結腸内視鏡検査を有する個人から区別することとした。
【0083】
予測モデル生成のために、サンプルを訓練セットと試験セットに、75%および25%の割合でランダムに分割した。次に、数値データをセンタリングおよびスケーリングによって前処理した。サンプル群の不均衡に対処するため、合成少数オーバーサンプリング(synthetic minority over-sampling)技術を使用した。訓練セットでは、10倍交差検証を行った。モデルの生成のために試験したアルゴリズムは以下の通りとした:Cツリー法、ランダムフォレスト法、線形判別分析法、勾配ブースティングマシン法、サポートベクターマシン法、およびK最近傍法。P値<0.05を有意とみなした。判別手段は、AUC、感度、特異度、ならびに正および負の予測値とした。15の予測確率ビン 対 観測確率ビンを用いて後処理較正を行い、予測モデルの誤差分布を分析した。全ての分析は、CARETパッケージでRを用いて行った。
【0084】
糞便miRNAベースの予測モデルで得られた結果を、ほとんどのCRCスクリーニングプログラムにおける標準的なケアを表す、年齢および性別によって調整された糞便ヘモグロビン濃度を使用することによって得られると考えられる結果と比較した。
【0085】
最後に、miRNAシグネチャーおよび糞便ヘモグロビン濃度の両方を組み合わせた予測モデルの性能も評価した。
【0086】
実施例2 結果。
実施例2.1 NGSによるmiRNA発見段階。
【0087】
結腸直腸サンプルの組織のセットにおいて、1640個のmiRNAの発現が検出され、637個のmiRNAが100個を超えるカウントを有していた。それらのうち、200個および324個のmiRNAは、それらと対をなす正常な粘膜と比較し、それぞれCRCおよびAAにおいて有意に調節解除され、倍率変化≧1.5であった。群間分析は、miRNA発現プロファイリングがCRCまたはAA組織サンプルを、それらと対をなす正常粘膜から区別でき(
図2A)、同様に、CRCをAAから区別できることを示した。さらに、本発明者らは、72個および56個のmiRNAが、両方の新生物病変部において、それぞれ共通に上方制御または下方制御されることを見出した(
図2B)。
【0088】
選抜基準(すなわち、偽発見率<0.05、倍率変化≧1.5、平均発現>3.5およびCRCとAAの両方における上方制御)に従い、21個のmiRNA候補(表4)を糞便サンプルにおける技術的検証のために選抜した。
【0089】
実施例2.2 qRT-PCRによる、糞便サンプルのmiRNA分析。
【0090】
結腸直腸組織におけるmiRNAパターンが糞便サンプルにおいて再現され得るか否かを明らかにするため、本発明者らは、最初に、発見段階に含まれる39名の患者のサブセット(11名のCRC患者および28名のAA患者)ならびに39名の正常な結腸内視鏡検査を有する対照個人における上記の21個のmiRNAをqRT-PCRによって解析した。
【0091】
この技術的検証段階の結果は、7つのmiRNA(miR-130b-3p、miR-21-5p、miR-221-5p、miR-25-3p、miR-27a-3p、miR-34a-5pおよびmiR-421)が、CRCを有する患者の糞便サンプルにおいて有意に上方制御されたことを示した。さらに、それらのうちの4つ(miR-130b-3p、miR-21-5p、miR-27a-3pおよびmiR-421)、ならびにmiR-335-3pは、AA患者由来の糞便サンプルにおいて有意に上方制御された。これらの8つのmiRNAを、同じくCRCおよびAAを有する患者の糞便サンプルにおいて上方制御されたmiR-29a-3p(それぞれ0.84および0.71のAUC、p値<0.1)と共に、CRCスクリーニングプログラムにおける参加者の独立コホートにおいて臨床的に検証するため選抜した。
【0092】
実施例2.3 miRNA候補の臨床的検証。
【0093】
上記の9つの上方制御されたmiRNAを、CRCを有する67名の患者、AAを有する347名の患者、NAAを有する136名の患者、および正常な結腸内視鏡検査を有する217名の個人を含む、767名のFIT陽性個人から念のために集められたコホートからの糞便サンプルを検証した(表3)。
【0094】
このサンプルのセットでは、対照群と比較して、CRC患者ではmiR-25-3p、miR-27a-3p、miR-29a-3p、miR-34a-5p、miR-130b-3p、miR-221-3pおよびmiR-421の上方制御が確認された(AUCは0.69~0.77の範囲)、一方、AA患者ではmiR-130b-3pおよびmiR-421の上方制御が確認された(AUCはそれぞれ0.69および0.71であった)。これらの7つの糞便miRNAのいずれも、NAAを有する患者および正常な結腸内視鏡検査を有する個人との間で有意差を示さなかったことに留意することが重要である(表5)。
【0095】
最後に、試験の主要な評価項目に関して、進行性新生物を有する患者を、結腸内視鏡検査で関連性のない所見を有する患者から区別するための、最も識別力のある糞便miRNAとして、特にmiR-421、miR-27a-3pおよびmiR-130b-3pを選抜した(表6)。
【0096】
結腸直腸癌スクリーニングのための、糞便中miRNAに基づく予測モデルの開発および検証
【0097】
進行性新生物を有する患者において有意に上方制御される糞便miRNAを、年齢および性別と共に考慮した、異なる患者群を識別するための予測的モデリングを行った。主なコンポーネント分析により、miR-421およびmiR-27aがこの目的のために最終的に選抜されたが、これは、それらが3つの最も識別力のある糞便miRNAの中で冗長でないことが示されたからである。モデル生成のために、個人を訓練セット(n=578)および試験セット(n=189)にランダムに分割し、開発段階で10倍の交差検証を行い、バイアスおよびばらつきを低減させた。前述のように、試験の主要評価項目に関してより良く適合したものを選抜するために、異なるアルゴリズムを試験し、その最高の精度に基づいて最終的に選抜されたのが、勾配ブースティングマシン(GBM)アルゴリズムであった。
【0098】
表7に示されるように、miR-421、miR-27a、年齢および性別を組み合わせて得られた予測モデルは、CRCスクリーニングプログラムにおけるFIT陽性参加者の中で、進行性新生物を有する患者を同定するために非常に正確性が高かった(AUC=0.63)。興味深いことに、この結果は、CRCを有する患者を認識するための高い精度(AUC=0.74、感度、96%)のみならず、AAを有する患者を対照個人から識別すること(AUC=0.64、感度、59%)によるものでもあった。
【0099】
糞便miRNAベースの予測モデル[miR-421およびmiR-27a]において得られた結果は、進行性新生物(結腸内視鏡検査で関連性のない所見を有する対象と比較した場合はAUC=0.62、結腸内視鏡検査を受けた正常な個人と比較した場合はAUC=0.59)、CRC(AUC=0.67)およびAA(AUC=0.59)の検出に関して、分類因子として糞便ヘモグロビン濃度を使用して得られた結果よりも優れていた(表7)。
【0100】
最後に、例えば
図3において認められ得るように、miRNAシグネチャー[miR-421およびmiR-27a]および糞便ヘモグロビン濃度の両方の組み合わせにより、進行性新生物(結腸内視鏡検査で関連性のない所見を有する対象と比較した場合はAUC=0.70、結腸内視鏡検査を受けた正常な個人と比較した場合はAUC=0.67)、CRC(AUC=0.93)およびAA(AUC=0.64)を有する患者を特定するための最も高い精度が可能になった(表7)。実際、組み合わせモデルの検量線は、糞便ヘモグロビン濃度のみを使用して得られた結果と比較しても、予測によるものが観察された結果によるものに近く、誤差分布がより低いことを示した。
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
完全を期すために、本発明の様々な態様を、以下の付番された項に記載する。
第1項.結腸直腸癌および/またはその前癌段階を診断またはスクリーニングするためのインビトロ方法であって、a)対象から得られた生体サンプル中の少なくともmiR-421の発現レベルを測定することを含み、前記生体サンプルが便サンプルであり、b)健常な対照対象において測定された参照発現レベルと比較した場合のmiR-421の過剰発現が、前記対象が結腸直腸癌および/またはその前癌段階に罹患していることを示す、インビトロ方法。
第2項.a)前記対象から得られた生体サンプルにおける少なくとも[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の組み合わせの発現レベルを測定することを含み、b)健常な対照対象において測定された参照発現レベルと比較した場合の、前記少なくとも[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の組み合わせの過剰発現が、前記対象が結腸直腸癌および/または前癌段階に罹患していることを示す、第1項に記載のインビトロ方法。
第3項.50歳~75歳の対象において実施される、第1~2項のいずれかに記載のインビトロ方法。
第4項.好ましくは前記miRNAの発現レベルを測定する前に、ヘモグロビンの存在または濃度を測定することをさらに含み、健常な対照対象と比較した場合のヘモグロビンの存在またはより高い濃度が、前記対象が結腸直腸癌および/または前癌段階に罹患していることを示す、第1~3項のいずれかに記載のインビトロ方法。
第5項.前記生体サンプルが、5mg未満、好ましくは2.5mgの便サンプルである、第1~4項のいずれかに記載のインビトロ方法。
第6項.前記miRNAの発現レベルの測定が、前記ヘモグロビンの存在または濃度の測定のために先に使用された残りの便サンプルにおいて行われる、第1~5項のいずれかに記載のインビトロ方法。
第7項.前記結腸直腸癌の前癌段階が、進行性結腸直腸腺腫である、第1~6項のいずれかに記載のインビトロ方法。
第8項.前記結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断が、画像技術、好ましくは結腸内視鏡検査によって確認される、先行する項のいずれかに記載のインビトロ方法。
第9項.対象の便サンプルにおける、結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断またはスクリーニングのための、少なくともmiR-421のインビトロ使用。
第10項.少なくとも[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の、結腸直腸癌および/またはその前癌段階の診断またはスクリーニングのための、第9項に記載のインビトロ使用。
第11項.
a.ヘモグロビンの存在または濃度を測定するための手段または試薬と、
b.miR-421の発現レベルを測定するための手段または試薬と、
を含むキット・オブ・パーツ。
第12項.
a.ヘモグロビンの存在または濃度を測定するための手段または試薬と、
b.[miR-421およびmiR-27a]、[miR-421およびmiR-25]、[miR-421およびmiR-221]、[miR-421およびmiR-34a]、[miR-421およびmiR-29a]または[miR-421およびmiR-130b]の発現レベルを測定するための手段または試薬と、
を含む、第11項に記載のキット・オブ・パーツ。
第13項.ヘモグロビンの存在または濃度の測定が、ヒトヘモグロビンに特異的な抗体を使用することによって行われ、miRNAの発現レベルの測定が、qRT-PCRによって行われる、第11または12項のいずれかに記載のキット・オブ・パーツ。
第14項.結腸直腸癌および/またはその前癌段階を診断またはスクリーニングするための、第11から13項のいずれか一項に記載のキットの使用。
第15項.進行性結腸直腸腺腫を診断またはスクリーニングするための、第14項に記載のキットの使用。
【国際調査報告】