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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】排出後処理
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/10 20060101AFI20220914BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20220914BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20220914BHJP
   F01N 3/30 20060101ALI20220914BHJP
   F01N 3/22 20060101ALI20220914BHJP
   F01N 3/18 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
F01N3/10
F01N3/08 B
F01N3/36 J
F01N3/30 B
F01N3/22 301B
F01N3/18 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502518
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2020070015
(87)【国際公開番号】W WO2021009238
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102019210415.0
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500242786
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト・スツォラク
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ズスドルフ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・リュメレ
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA01
3G091AB04
3G091BA03
3G091BA14
3G091CA01
3G091CA16
3G091CA17
3G091CA18
3G091CA19
3G091CA21
3G091EA18
3G091FA02
3G091FB02
3G091FC04
(57)【要約】
本発明は、a)窒素酸化物を含有する生排出ガスを供給するステップと、b)窒素酸化物を含有する生排出ガスを触媒蒸発器(1)に導入するステップと、c)還元剤を得るために、尿素溶液及び燃料を触媒蒸発器(1)に導入するステップと、d)還元剤を排出ガス後処理装置(8)に供給するステップと、を備えている方法に関する。また、本発明は、還元剤を製造するための装置、当該装置によって製造される還元剤、及び当該装置及び還元剤の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出ガスを後処理するための方法であって、
a)窒素酸化物を含有する生排出ガスを供給するステップと、
b)窒素酸化物を含有する生排出ガスを触媒蒸発器(1)に導入するステップと、
c)還元剤を得るために、尿素溶液及び燃料を前記触媒蒸発器(1)に導入するステップと、
d)前記還元剤を排出ガス後処理装置(8)に供給するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップc)において、酸化剤が触媒蒸発器(1)に導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記還元剤が、アンモニアを含んでいることを特徴とする請求項1又は2による方法。
【請求項4】
前記還元剤が、水素、一酸化炭素、及び/又は炭化水素を含んでいることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記尿素溶液が、32.5%尿素溶液であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記還元剤の組成が、尿素溶液、燃料、窒素酸化物を含有する生排出ガス、及び/又は酸化剤の導入を介して調整されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
排出ガス後処理が、熱分解、加水分解、及び選択的触媒還元を含んでいることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
排出ガス後処理が、約170℃以上の温度で動作されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記燃料と前記尿素溶液とが共に又は別々に、前記触媒蒸発器(1)に導入されることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法における触媒蒸発器(1)の使用。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法によって得られる還元剤。
【請求項12】
排出ガスを後処理するための還元剤を製造するための装置であって、
a)触媒蒸発器(1)、
b)前記触媒蒸発器(1)に至る生排出ガス供給配管(7)であって、窒素酸化物を含有する生排出ガスを前記触媒蒸発器(1)に導入するように構成されている前記触媒蒸発器(1)、
c1)前記触媒蒸発器(1)に至る燃料供給配管(3)であって、燃料を前記触媒蒸発器(1)に供給するように構成されている前記燃料供給配管(3)、及び、前記触媒蒸発器(1)に至る尿素供給配管(4)であって、尿素溶液を前記触媒蒸発器(1)に導入するように構成されている前記尿素供給配管(4)、
又は
c2)尿素と前記燃料から成る混合体を前記触媒蒸発器(1)に導入するように構成されている供給配管(41)、並びに
d)結果物である還元剤を内燃機関(9)の排出ガスシステム(2)若しくは排出ガス後処理システム(8)に導入するように構成されている配管(6)、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記装置が、前記触媒蒸発器(1)に至る酸化剤供給配管(5)であって、酸化剤を前記触媒蒸発器(1)に導入するように構成されている前記酸化剤供給配管(5)を含んでいることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記排出ガス後処理システム(8)が、加水分解装置(81)と選択的触媒還元装置(82)とを備えていることを特徴とする請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
選択的触媒還元を含む排出ガス後処理のための請求項12~14のいずれか一項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出ガスを後処理するための方法、当該方法における触媒蒸発器の使用、当該方法によって生成される排出ガス後処理のための還元剤、排出ガス後処理のための還元剤を製造するための装置、及び排出ガスを後処理するための当該装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
排出ガス後処理は、燃焼ガスが内燃機関の燃焼空間すなわち燃焼室から出た後に当該燃焼ガスを機械的方法、触媒的方法又は化学的方法で清浄化するための方法に用いられる用語である。選択的触媒還元(SCR)技術を介して窒素酸化物(NOx)を還元するために、例えばアンモニアのような触媒や還元剤が利用される。窒素酸化物(NOx)を還元するために、尿素水溶液が注入され、さらに排出ガス管を通じて輸送される過程において、熱分解や加水分解によって、当該尿素溶液からアンモニアが生成される。炭化水素及び一酸化炭素を還元するためには、三元触媒が利用される。
【0003】
触媒式排出ガス後処理の効果すなわち変換効率は、他の要因にも依存するが、動作温度に大きく依存する。約250℃を下回ると、事実上、何の反応も起こらない。これにより、現代の自動車両であっても、コールドスタート後の汚染物質排出量が多くなる。このような運転状態では、触媒が依然として動作温度に到達していないので、触媒による排出汚染物質の変換が不十分となる。
【0004】
排出ガスの温度を急速に上昇させるための方法が幾つか存在する。例えば、触媒は、排出ガスシステムの内部の内燃機関の近傍に配設される。しかしながら、少なくともガソリンエンジンの場合には、このような配置は、例えば定格出力の近傍のような他の運転状態において温度が過剰に高くなるという危険を伴う。1000℃の温度によって触媒が損なわれるからである。400℃~800℃の温度において、良好な変換効率と長い耐用年数とが得られる。代替的には、電気ヒータ又はやポスト噴射によって、内燃機関の内部及び/又は排出ガスシステムの内部において、排出ガスの温度を上昇させることができる。
【0005】
しかしながら、これら手段は、コールドスタート後の消費量をさらに増大させ、さらなる排出物を発生させるという弊害を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第102015120106号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、先行技術を端緒として、本発明は、低温で触媒変換を可能とする選択的触媒還元を含む場合がある排出ガス後処理のための還元剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、当該目的は、請求項1に記載の排出ガスを後処理するための方法、請求項10に記載の当該方法における触媒蒸発器の使用、請求項11に記載の還元剤、請求項12による排出ガスを後処理するための還元剤を製造するための装置、及び請求項15に記載の排出ガスを後処理するための装置の使用によって達成される。本発明の優位なさらなる発展例は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明では、排出ガスを後処理するための方法、特に窒素酸化物を除去するための方法が提案されており、当該方法は、
a)窒素酸化物を含有する生排出ガスを提供するステップと、
b)窒素酸化物を含有する生排出ガスを触媒蒸発器に導入するステップと、
c)還元剤を得るために、尿素溶液と燃料とを触媒蒸発器に導入するステップと、
d)還元剤を排出ガス後処理装置に供給するステップと、
によって特徴づけられている。
【0010】
当該方法は、特に排出ガスが窒素酸化物を含有する場合に利用される。この点において、制御システムが想定される。より多くの窒素酸化物が排出ガスに含まれている内燃機関マップポイント(engine map points)において、当該制御システムが接続されている。燃焼によって生成される窒素酸化物がほとんど存在しないか,又は許容量のである他の内燃機関マップポイントでは、当該制御システムは作動しない。当該制御システムが動作停止している場合には、空気及び排出ガスの供給が停止される。
【0011】
窒素酸化物を含有する生排出ガスは、未処理の生排出ガスである場合がある。また、窒素酸化物を含有する生排出ガスは、例えば粒子フィルタ及び/又はディーゼル酸化触媒で処理された処理済の生排出ガスである場合もある。
【0012】
ステップb)及びc)は、同時に実施可能とされる。ステップd)では、還元剤は、排出ガス後処理システムに直接供給されるか、又は内燃機関から排出ガス後処理システムに至る排出ガス配管に当該還元剤を導入することによって排出ガス後処理システムに供給される。
【0013】
本発明における方法は、それ自体既知の触媒蒸発技術に基づいて開発された。当該方法は、内燃機関からの窒素酸化物を含有する生排出ガス、液体燃料、及び尿素溶液を利用する。触媒蒸発器の内部において燃料を触媒変換することによって、当該排出ガス後処理システムにおいて熱が発生する。このように、エンジンの運転に依存しないシステムになっている。このようにして、内燃機関の動作、特に排出ガスの温度及び排出ガスの流量に依存しないで、尿素水溶液から還元剤が生成可能となる。さらに、本発明における方法は、適用された燃料から水素と例えばエテンのような炭化水素とを生成する。これらは、EGAのSCRシステムのための付加反応物すなわち還元剤として利用される。
【0014】
尿素溶液及び燃料の供給量は、それ自体既知の触媒蒸発器の運転で利用される通常量である。
【0015】
触媒蒸発器に適用される窒素酸化物を含有する生排出ガスは、通常の内燃機関の排出ガスの一部である。すなわち、内燃機関の排出ガス流の一部は、ステップa)において、触媒蒸発器に導入される窒素酸化物を含有する生排出ガスとして、分岐され提供される。このような分割は、排出ガス配管の内部の適宜駆動可能なフラップ又はスライドによって実現される。また、生排出ガスは、内燃機関から直接排出され、触媒蒸発器に供給される場合もある。
【0016】
本発明における方法では、先行技術に基づく排出ガス流全体の加熱とは対照的に、優位には、窒素酸化物を含有する生排出ガスの小さい部分流のみを加熱すれば良い。また、燃料の変換によって、電気的に導入する必要がない熱をさらに発生させることができる。触媒変換では、触媒のみを加熱すれば良い。反応は、反応物の流れを変化させることによって制御可能とされる。
【0017】
本発明における方法では、先行技術としてそれ自体既知の触媒蒸発器が利用可能とされる。当該既知の触媒蒸発器の動作原理は、当業者には既知である。本発明における方法で利用可能な触媒蒸発器は、詳細設計及び動作モードの全体に関して参照されている特許文献1に例示されている。
【0018】
本発明における方法で利用される触媒蒸発器は、支持体に適用可能とされる触媒を有している。触媒を具備する支持体は、反応容器の内面と触媒表面との間に中間空間が形成されるように、反応容器の内部に配置されている。
【0019】
触媒蒸発器の動作中には、例えば空気のような酸化剤を触媒側に供給しつつ、例えば液体燃料を触媒蒸発器の反応壁の内面に適用することができる。燃料の極一部が触媒を覆うように酸化し、当該過程で発生した熱によって燃料が完全に蒸発される。熱は、主に高温の触媒表面から燃料の表面に至る熱放射によって伝達される。ここで、燃料が適用された反応炉の壁の温度は、燃料自体の温度より低い。堆積物や付着物は形成されない。
【0020】
ステップa)において供給される窒素酸化物を含有する生排出ガスは、残留酸素を含んでいる。生排出ガス中に占める残留酸素の濃度が十分である場合には、当該残留酸素は、触媒蒸発器を動作させるための酸化剤として十分である。窒素酸化物を含有する生排出ガス中に占める残留酸素の濃度が低すぎる場合には、一の実施例では、ステップc)においてさらに酸化剤を触媒蒸発器に導入可能とされる。当該酸化剤は、生排出ガス中の残留酸素に対する追加の酸化剤である。このような酸化剤は、酸素又は酸素を含有する媒体、特に空気とされる。本発明では、酸化剤の量は、触媒蒸発器の内部に通常の酸化剤の量を実現するように選択される。空気は、外部環境からのものであり、任意には過給機によって充填される。
【0021】
一の実施例では、ステップc)において形成された還元剤は、アンモニア(NH)を含んでいる。さらなる実施例では、還元剤は、H、CO、及び例えばエテンのような炭化水素、並びにこれらの混合体をさらに含んでいる。
【0022】
反応物流れ、すなわち燃料、尿素溶液、及び窒素酸化物を含有する生排出ガス、並びに任意には酸化剤を変えることによって、一の実施例では、内燃機関マップの動作点に従って還元剤それぞれを提供することができる。本発明における方法のステップc)では、このような還元剤の提供が、SCRシステムの活性を高めるので、内燃機関の排出ガス中の窒素酸化物の還元を増加させる。当該利点は、低温の排出ガス後処理システムのコールドスタート時に、及び他の動作点において発揮される。
【0023】
幾つかの実施例では、ステップc)で利用される尿素溶液は、尿素水溶液、特に32.5%の尿素溶液とされる。当該尿素溶液は、排出ガス後処理システムに特に適している。
【0024】
一の実施例では、排出ガス後処理は、それ自体既知の熱分解処理及び加水分解処理と、それ自体既知の選択的触媒還元処理とを備えている。触媒蒸発器から得られた還元剤は、最初に加水分解処理された後に、選択的触媒還元処理される。さらなる実施例では、場合によっては選択的触媒還元処理を含んでいる排出ガス後処理は、170℃(場合によってはそれ以上の温度、例えば180℃、190℃、又は200℃)の温度で既に動作可能となっている。従って、このことは、本発明における方法では、排出ガス後処理が、既に開始可能とされ、先行技術に基づく温度より顕著に低い温度で実施可能とされることを意味する。
【0025】
本発明における方法は、NOx排出物を還元するためのSCRシステムで動作する任意のタイプの内燃機関のSCRシステムについて、窒素酸化物を変換させるために利用可能とされる。
【0026】
さらに、本発明の主題は、詳細に上述した本発明における方法において、同様に詳細に上述した触媒蒸発器を利用することである。
【0027】
さらに、本発明は、本発明における方法によって得られる還元剤を提供する。製造方法及び組成物に関しては、上記説明を参照されたい。特に、還元剤は、水素、特にエテンのような炭化水素、アンモニア、及び/又は一酸化炭素を含んでいる。
【0028】
さらに、例えばSCRを含む排出ガス後処理のための還元剤を製造するための装置について説明するが、当該装置は、
a)触媒蒸発器と、
b)窒素酸化物を含有する生排出ガスを触媒蒸発器に導入するように構成されている触媒蒸発器に至る生排出ガス供給配管と、
c1)燃料を触媒蒸発器に導入するように構成されている触媒蒸発器に至る燃料供給配管、及び、尿素溶液を触媒蒸発器に導入するように構成されている触媒蒸発器に至る尿素供給配管、又は
c2)尿素及び燃料から成る混合体を触媒蒸発器に導入するように構成されている供給配管と
d)蒸発器で生成された還元剤を内燃機関の排出ガスシステムに導入するように構成されている配管であって、排出ガスシステムが、該当する場合にはSCRを含むEGAに通じており、又は排出ガス後処理システムに、特に最初に加水分解装置に到達した後に選択触媒還元装置に直接通じている、前記配管と、
を備えている。
【0029】
上記で使用した“構成されている(adapted)”との用語は、対応する配管が、当該対応する配管に供給される物質が悪影響を受けることなく案内されるように、すなわち、当該対応する配管が案内される物質に対して不活性であるように構成されていることを示している。さらに、“構成されている”との用語は、対応する配管が、供給されるべき物質を含むリザーバに接続されていることを示している。
【0030】
特徴c1)及びc2)から、対応する溶液中の尿素が燃料とは別に触媒蒸発器に加えられること(特徴c1))、又は代替的に尿素溶液と燃料との混合体が触媒蒸発器に導入されること(特徴c2))が明らかである。混合体は、特に燃料が尿素溶液と混合可能である場合に導入可能とされる。このことは、例えばエタノールのようなアルコールが燃料として利用される場合に当て嵌まる。
【0031】
本発明における装置の一の実施例では、当該装置は、酸化剤を触媒蒸発器に導入するように構成されている触媒蒸発器に至る酸化剤供給配管をさらに備えている。例えば酸素や空気のような酸化剤のこのような供給は、生排出ガスが必要な残留酸素濃度を有していない場合に必要とされる。
【0032】
一の実施例では、排出ガス後処理は、それ自体既知の加水分解装置と選択的触媒還元装置とを備えている。例えば、加水分解装置は、加水分解触媒を備えている。選択的触媒的還元装置は、例えば選択的触媒的還元のための触媒を備えている。この点において、は、互いに異なるハウジングに配設されている場合がある。これにより、本発明における装置の異なる場所に、加水分解装置と選択的触媒還元装置とを互いから独立して据え付けることができる。
【0033】
さらに、本発明の主題は、選択的触媒還元を含む排出ガス後処理のための上述の装置を利用することである。
【0034】
上述した装置は、簡便且つ費用対効果に優れた方法で、本発明における方法によって得られる利点を実現することができる。
【0035】
本発明について、本発明の一般的概念を限定することなく、図面を参照しつつ、以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】排出ガス後処理ための触媒蒸発器を具備する本発明における装置の一の実施例の概略図である。
図2】本発明における装置のさらなる実施例の概略図である。
図3】本発明における装置の他の実施例の概略図である。
図4】本発明における装置の一の実施例の概略図である。
図5】例示的な利用可能な触媒蒸発器を表わす。
図6図2に表わす触媒蒸発器の動作原理を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、排出ガスを後処理するための、図4及び図5に関連して以下に詳述する触媒蒸発器1を具備する装置の概略図である。例えばディーゼルエンジンのような内燃機関9は、自動車両を運転するための通常の方法で利用され、この際には、燃料供給10及び空気供給11が実施される。結果物である窒素酸化物を含有する生排出ガスは、配管2を介して、内燃機関9から排出される。内燃機関9からの当該窒素酸化物を含有する生排出ガスが、排出ガス後処理装置8に供給される。排出ガス後処理装置8は、例えば加水分解触媒のような加水分解装置81と、選択的触媒還元装置82とを含んでいる。加水分解装置81と選択的触媒還元装置とは、別々のハウジングにおいて利用可能とされる。窒素酸化物を含有する生排出ガスの少なくとも一部は、配管7を介して分岐され、触媒蒸発器1に供給される。さらに、尿素溶液が、尿素溶液リザーバ13から尿素供給配管4を介して、触媒蒸発器1に供給される。加えて、燃料が、燃料リザーバ12から燃料供給配管3を介して、触媒蒸発器1に供給される。必要に応じて、例えば空気のような酸化剤が、酸化剤供給配管5を介して、触媒蒸発器1に供給される。触媒蒸発器1は、特にNH、H、炭化水素、及びCOを含有する還元剤を生成する。当該還元剤は、配管6を介して、内燃機関9の排出ガスシステム2へ導入される。
【0038】
図2は、本発明における装置のさらなる実施例の概略的に表わすが、構成の実施例及び動作モードに関して図1が参照されるように、図1に表わす構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号が付されている。図2に表わすように、尿素と燃料との混合体が空間131において生成された後に、当該混合体が供給配管41を介して触媒蒸発器1に導入される。燃料、例えばエタノールのようなアルコールが水と混合可能である場合には、尿素と燃料とを事前に混合することができる。
【0039】
図3は、本発明における装置のさらなる実施例を概略的に表わすが、構成の実施例及び動作モードに関して図1及び図2が参照されるように、図1及び図2に表わす構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号が付されている。図3に表わす装置では、最初に、触媒蒸発器1から得られた還元剤が、加水分解装置81に導入される。その後に、加水分解装置81から得られた物質が、排出ガスシステム2に導入され、その後に選択的触媒還元装置82に入る。
【0040】
図4は、本発明のさらなる実施例を表わす。尿素と燃料の混合体が空間131で生成され、当該混合体が供給配管41を介して触媒蒸発器1に導入される点において、当該実施例は、図3に表わす装置に対応している。
【0041】
図5は、本発明における方法で利用される触媒蒸発器1を表わす。触媒蒸発器1は、金属メッシュ113に適用されている触媒112を有している。従来技術から知られている材料が、触媒112として、及び金属メッシュ113として利用可能である。触媒112を具備する金属メッシュ113は、反応容器114の内部に存在している。概観を示すために、図5は、金属メッシュ113を具備する触媒112が反応容器114から引き出された状態で表されている。金属メッシュ113を具備する触媒112が反応容器に押し込まれた場合に、中間空間が、反応容器114の内面115と触媒112の表面との間に且つ金属メッシュ113上に形成される。
【0042】
図6は、図2に表わす触媒蒸発器の動作モードを概略的に表わす。燃料は反応容器114の下面に適用される一方、窒素酸化物を含有する生排出ガスと、必要に応じてさらなる酸化剤とが触媒側に供給される。燃料の極一部は触媒112で酸化し、当該プロセスで発生した熱によって、燃料が完全に蒸発される。当該熱の大部分は、熱放射によって、触媒112の高温の表面から燃料膜の表面に伝達される。当該実施例では、燃料が適用される反応容器114の壁は、燃料自体より低い温度を有している。従って、堆積物や付着物は形成されない。
【0043】
言うまでもなく、本発明は、図面に示された実施例に限定される訳ではない。従って、上述の説明は、限定的ではなく、制限的なものではなく、説明的なものとして捉えるべきである。特許請求の範囲に記載の特徴は、本発明の少なくとも1つの実施例に存在するものであることに留意すべきである。このことが、さらなる特徴の存在を排除することを意味する訳ではない。説明又は特許請求の範囲が“第1の”特徴及び“第2の”特徴を定義している場合には、このことは、順位付けを決定する訳ではなく、2つの類似する特徴を区別するために行われている。
【符号の説明】
【0044】
1 触媒蒸発器
2 配管
5 酸化剤供給配管
6 配管
7 配管
8 排出ガス後処理装置
9 内燃機関
10 燃料供給
11 空気供給
12 燃料リザーバ
13 尿素溶液リザーバ
41 供給配管
81 加水分解装置
82 選択的触媒還元装置
112 触媒
113 金属メッシュ
114 反応容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出ガスを後処理するための方法、及び排出ガス後処理のための還元剤を製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排出ガス後処理は、燃焼ガスが内燃機関の燃焼室から出た後に当該燃焼ガスを機械的方法、触媒的方法又は化学的方法で清浄化するための方法に用いられる用語である。選択的触媒還元(SCR)技術を介して窒素酸化物(NOx)を還元するために、例えばアンモニアのような触媒や還元剤が利用される。窒素酸化物(NOx)を還元するために、尿素水溶液が注入され、さらに排出ガス管を通じて輸送される過程において、熱分解や加水分解によって、当該尿素溶液からアンモニアが生成される。炭化水素及び一酸化炭素を還元するためには、三元触媒が利用される。
【0003】
触媒式排出ガス後処理の効果すなわち変換効率は、他の要因にも依存するが、動作温度に大きく依存する。約250℃を下回ると、事実上、何の反応も起こらない。これにより、現代の自動車両であっても、コールドスタート後の汚染物質排出量が多くなる。このような運転状態では、触媒が依然として動作温度に到達していないので、触媒による排出汚染物質の変換が不十分となる。
【0004】
排出ガスの温度を急速に上昇させるための方法が幾つか存在する。例えば、触媒は、排出ガスシステムの内部の内燃機関の近傍に配設される。しかしながら、少なくともガソリンエンジンの場合には、このような配置は、例えば定格出力の近傍のような他の運転状態において温度が過剰に高くなるという危険を伴う。1000℃の温度によって触媒が損なわれるからである。400℃~800℃の温度において、良好な変換効率と長い耐用年数とが得られる。代替的には、電気ヒータ又はやポスト噴射によって、内燃機関の内部及び/又は排出ガスシステムの内部において、排出ガスの温度を上昇させることができる。
【0005】
しかしながら、これら手段は、コールドスタート後の消費量をさらに増大させ、さらなる排出物を発生させるという弊害を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第102015120106号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、先行技術を端緒として、本発明は、低温で触媒変換を可能とする選択的触媒還元を含む場合がある排出ガス後処理のための還元剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、排出ガスを後処理するための方法、特に窒素酸化物を除去するための方法が提案されており、当該方法は、
a)窒素酸化物を含有する生排出ガスを提供するステップと、
b)窒素酸化物を含有する生排出ガスを触媒蒸発器に導入するステップと、
c)還元剤を得るために、尿素溶液と燃料とを触媒蒸発器に同時に導入するステップと、
d)還元剤を排出ガス後処理装置に供給するステップと、
によって特徴づけられている。
【0009】
当該方法は、特に排出ガスが窒素酸化物を含有する場合に利用される。この点において、制御システムが想定される。より多くの窒素酸化物が排出ガスに含まれている内燃機関マップポイント(engine map points)において、当該制御システムが作動される。燃焼によって生成される窒素酸化物がほとんど存在しないか,又は許容量のである他の内燃機関マップポイントでは、当該制御システムは作動しない。当該制御システムが動作停止している場合には、空気及び排出ガスの供給が停止される。
【0010】
窒素酸化物を含有する生排出ガスは、未処理の生排出ガスである場合がある。また、窒素酸化物を含有する生排出ガスは、例えば粒子フィルタ及び/又はディーゼル酸化触媒で処理された処理済の生排出ガスである場合もある。
【0011】
ステップb)及びc)は、同時に実施可能とされる。ステップd)では、還元剤は、排出ガス後処理システムに直接供給されるか、又は内燃機関から排出ガス後処理システムに至る排出ガス配管に当該還元剤を導入することによって排出ガス後処理システムに供給される。
【0012】
本発明における方法は、それ自体既知の触媒蒸発技術に基づいて開発された。当該方法は、内燃機関からの窒素酸化物を含有する生排出ガス、液体燃料、及び尿素溶液を利用する。触媒蒸発器の内部において燃料を触媒変換することによって、当該排出ガス後処理システムにおいて熱が発生する。このように、エンジンの運転に依存しないシステムになっている。このようにして、内燃機関の動作、特に排出ガスの温度及び排出ガスの流量に依存しないで、尿素水溶液から還元剤が生成可能となる。さらに、本発明における方法は、適用された燃料から水素と例えばエテンのような炭化水素とを生成する。これらは、EGAのSCRシステムのための付加反応物すなわち還元剤として利用される。
【0013】
尿素溶液及び燃料の供給量は、それ自体既知の触媒蒸発器の運転で利用される通常量である。
【0014】
触媒蒸発器に適用される窒素酸化物を含有する生排出ガスは、通常の内燃機関の排出ガスの一部である。すなわち、内燃機関の排出ガス流の一部は、ステップa)において、触媒蒸発器に導入される窒素酸化物を含有する生排出ガスとして、分岐され提供される。このような分割は、排出ガス配管の内部の適宜駆動可能なフラップ又はスライドによって実現される。また、生排出ガスは、内燃機関から直接排出され、触媒蒸発器に供給される場合もある。
【0015】
本発明における方法では、先行技術に基づく排出ガス流全体の加熱とは対照的に、優位には、窒素酸化物を含有する生排出ガスの小さい部分流のみを加熱すれば良い。また、燃料の変換によって、電気的に導入する必要がない熱をさらに発生させることができる。触媒変換では、触媒のみを加熱すれば良い。反応は、反応物の流れを変化させることによって制御可能とされる。
【0016】
本発明における方法では、先行技術としてそれ自体既知の触媒蒸発器が利用可能とされる。当該既知の触媒蒸発器の動作原理は、当業者には既知である。本発明における方法で利用可能な触媒蒸発器は、詳細設計及び動作モードの全体に関して参照されている特許文献1に例示されている。
【0017】
本発明における方法で利用される触媒蒸発器は、支持体に適用可能とされる触媒を有している。触媒を具備する支持体は、反応容器の内面と触媒表面との間に中間空間が形成されるように、反応容器の内部に配置されている。
【0018】
触媒蒸発器の動作中には、例えば空気のような酸化剤を触媒側に供給しつつ、例えば液体燃料を触媒蒸発器の反応壁の内面に適用することができる。燃料の極一部が触媒を覆うように酸化し、当該過程で発生した熱によって燃料が完全に蒸発される。熱は、主に高温の触媒表面から燃料の表面に至る熱放射によって伝達される。ここで、燃料が適用された反応炉の壁の温度は、燃料自体の温度より低い。堆積物や付着物は形成されない。
【0019】
ステップa)において供給される窒素酸化物を含有する生排出ガスは、残留酸素を含んでいる。生排出ガス中に占める残留酸素の濃度が十分である場合には、当該残留酸素は、触媒蒸発器を動作させるための酸化剤として十分である。窒素酸化物を含有する生排出ガス中に占める残留酸素の濃度が低すぎる場合には、一の実施例では、ステップc)においてさらに酸化剤を触媒蒸発器に導入可能とされる。当該酸化剤は、生排出ガス中の残留酸素に対する追加の酸化剤である。このような酸化剤は、酸素又は酸素を含有する媒体、特に空気とされる。本発明では、酸化剤の量は、触媒蒸発器の内部に通常の酸化剤の量を実現するように選択される。空気は、外部環境からのものであり、任意には過給機によって充填される。
【0020】
一の実施例では、ステップc)において形成された還元剤は、アンモニア(NH)を含んでいる。さらなる実施例では、還元剤は、H、CO、及び例えばエテンのような炭化水素、並びにこれらの混合体をさらに含んでいる。
【0021】
反応物流れ、すなわち燃料、尿素溶液、及び窒素酸化物を含有する生排出ガス、並びに任意には酸化剤を変えることによって、一の実施例では、内燃機関マップの動作点に従って還元剤それぞれを提供することができる。本発明における方法のステップc)では、このような還元剤の提供が、SCRシステムの活性を高めるので、内燃機関の排出ガス中の窒素酸化物の還元を増加させる。当該利点は、低温の排出ガス後処理システムのコールドスタート時に、及び他の動作点において発揮される。
【0022】
幾つかの実施例では、ステップc)で利用される尿素溶液は、尿素水溶液、特に32.5%の尿素溶液とされる。当該尿素溶液は、排出ガス後処理システムに特に適している。
【0023】
一の実施例では、排出ガス後処理は、それ自体既知の熱分解処理及び加水分解処理と、それ自体既知の選択的触媒還元処理とを備えている。触媒蒸発器から得られた還元剤は、最初に加水分解処理された後に、選択的触媒還元処理される。さらなる実施例では、場合によっては選択的触媒還元処理を含んでいる排出ガス後処理は、170℃(場合によってはそれ以上の温度、例えば180℃、190℃、又は200℃)の温度で既に動作可能となっている。従って、このことは、本発明における方法では、排出ガス後処理が、既に開始可能とされ、先行技術に基づく温度より顕著に低い温度で実施可能とされることを意味する。
【0024】
本発明における方法は、NOx排出物を還元するためのSCRシステムで動作する任意のタイプの内燃機関のSCRシステムについて、窒素酸化物を変換させるために利用可能とされる。
【0025】
さらに、本発明の主題は、詳細に上述した本発明における方法において、同様に詳細に上述した触媒蒸発器を利用することである。
【0026】
さらに、本発明は、本発明における方法によって得られる還元剤を提供する。製造方法及び組成物に関しては、上記説明を参照されたい。特に、還元剤は、水素、特にエテンのような炭化水素、アンモニア、及び/又は一酸化炭素を含んでいる。
【0027】
さらに、例えばSCRを含む排出ガス後処理のための還元剤を製造するための装置について説明するが、当該装置は、
a)触媒蒸発器と、
b)窒素酸化物を含有する生排出ガスを触媒蒸発器に導入するように構成されている触媒蒸発器に至る生排出ガス供給配管と、
c1)燃料を触媒蒸発器に導入するように構成されている触媒蒸発器に至る燃料供給配管、及び、尿素溶液を触媒蒸発器に同時に導入するように構成されている触媒蒸発器に至る尿素供給配管、又は
c2)尿素及び燃料から成る混合体を触媒蒸発器に導入するように構成されている供給配管と
d)蒸発器で生成された還元剤を内燃機関の排出ガスシステムに導入するように構成されている配管であって、排出ガスシステムが、該当する場合にはSCRを含むEGAに通じており、又は排出ガス後処理システムに、特に最初に加水分解装置に到達した後に選択触媒還元装置に直接通じている、前記配管と、
を備えている。
【0028】
上記で使用した“構成されている(adapted)”との用語は、対応する配管が、当該対応する配管に供給される物質が悪影響を受けることなく案内されるように、すなわち、当該対応する配管が案内される物質に対して不活性であるように構成されていることを示している。さらに、“構成されている”との用語は、対応する配管が、供給されるべき物質を含むリザーバに接続されていることを示している。
【0029】
特徴c1)及びc2)から、対応する溶液中の尿素が燃料とは別に触媒蒸発器に加えられること(特徴c1))、又は代替的に尿素溶液と燃料との混合体が触媒蒸発器に導入されること(特徴c2))が明らかである。混合体は、特に燃料が尿素溶液と混合可能である場合に導入可能とされる。このことは、例えばエタノールのようなアルコールが燃料として利用される場合に当て嵌まる。
【0030】
本発明における装置の一の実施例では、当該装置は、酸化剤を触媒蒸発器に導入するように構成されている触媒蒸発器に至る酸化剤供給配管をさらに備えている。例えば酸素や空気のような酸化剤のこのような供給は、生排出ガスが必要な残留酸素濃度を有していない場合に必要とされる。
【0031】
一の実施例では、排出ガス後処理は、それ自体既知の加水分解装置と選択的触媒還元装置とを備えている。例えば、加水分解装置は、加水分解触媒を備えている。選択的触媒的還元装置は、例えば選択的触媒的還元のための触媒を備えている。この点において、は、互いに異なるハウジングに配設されている場合がある。これにより、本発明における装置の異なる場所に、加水分解装置と選択的触媒還元装置とを互いから独立して据え付けることができる。
【0032】
さらに、本発明の主題は、選択的触媒還元を含む排出ガス後処理のための上述の装置を利用することである。
【0033】
上述した装置は、簡便且つ費用対効果に優れた方法で、本発明における方法によって得られる利点を実現することができる。
【0034】
本発明について、本発明の一般的概念を限定することなく、図面を参照しつつ、以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】排出ガス後処理ための触媒蒸発器を具備する本発明における装置の一の実施例の概略図である。
図2】本発明における装置のさらなる実施例の概略図である。
図3】本発明における装置の他の実施例の概略図である。
図4】本発明における装置の一の実施例の概略図である。
図5】例示的な利用可能な触媒蒸発器を表わす。
図6図2に表わす触媒蒸発器の動作原理を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、排出ガスを後処理するための、図4及び図5に関連して以下に詳述する触媒蒸発器1を具備する装置の概略図である。例えばディーゼルエンジンのような内燃機関9は、自動車両を運転するための通常の方法で利用され、この際には、燃料供給10及び空気供給11が実施される。結果物である窒素酸化物を含有する生排出ガスは、配管2を介して、内燃機関9から排出される。内燃機関9からの当該窒素酸化物を含有する生排出ガスが、排出ガス後処理装置8に供給される。排出ガス後処理装置8は、例えば加水分解触媒のような加水分解装置81と、選択的触媒還元装置82とを含んでいる。加水分解装置81と選択的触媒還元装置とは、別々のハウジングにおいて利用可能とされる。窒素酸化物を含有する生排出ガスの少なくとも一部は、配管7を介して分岐され、触媒蒸発器1に供給される。さらに、尿素溶液が、尿素溶液リザーバ13から尿素供給配管4を介して、触媒蒸発器1に供給される。加えて、燃料が、燃料リザーバ12から燃料供給配管3を介して、触媒蒸発器1に供給される。必要に応じて、例えば空気のような酸化剤が、酸化剤供給配管5を介して、触媒蒸発器1に供給される。触媒蒸発器1は、特にNH、H、炭化水素、及びCOを含有する還元剤を生成する。当該還元剤は、配管6を介して、内燃機関9の排出ガスシステム2へ導入される。
【0037】
図2は、本発明における装置のさらなる実施例の概略的に表わすが、構成の実施例及び動作モードに関して図1が参照されるように、図1に表わす構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号が付されている。図2に表わすように、尿素と燃料との混合体が空間131において生成された後に、当該混合体が供給配管41を介して触媒蒸発器1に導入される。燃料、例えばエタノールのようなアルコールが水と混合可能である場合には、尿素と燃料とを事前に混合することができる。
【0038】
図3は、本発明における装置のさらなる実施例を概略的に表わすが、構成の実施例及び動作モードに関して図1及び図2が参照されるように、図1及び図2に表わす構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号が付されている。図3に表わす装置では、最初に、触媒蒸発器1から得られた還元剤が、加水分解装置81に導入される。その後に、加水分解装置81から得られた物質が、排出ガスシステム2に導入され、その後に選択的触媒還元装置82に入る。
【0039】
図4は、本発明のさらなる実施例を表わす。尿素と燃料の混合体が空間131で生成され、当該混合体が供給配管41を介して触媒蒸発器1に導入される点において、当該実施例は、図3に表わす装置に対応している。
【0040】
図5は、本発明における方法で利用される触媒蒸発器1を表わす。触媒蒸発器1は、金属メッシュ113に適用されている触媒112を有している。従来技術から知られている材料が、触媒112として、及び金属メッシュ113として利用可能である。触媒112を具備する金属メッシュ113は、反応容器114の内部に存在している。概観を示すために、図5は、金属メッシュ113を具備する触媒112が反応容器114から引き出された状態で表されている。金属メッシュ113を具備する触媒112が反応容器に押し込まれた場合に、中間空間が、反応容器114の内面115と触媒112の表面との間に且つ金属メッシュ113上に形成される。
【0041】
図6は、図2に表わす触媒蒸発器の動作モードを概略的に表わす。燃料は反応容器114の下面に適用される一方、窒素酸化物を含有する生排出ガスと、必要に応じてさらなる酸化剤とが触媒側に供給される。燃料の極一部は触媒112で酸化し、当該プロセスで発生した熱によって、燃料が完全に蒸発される。当該熱の大部分は、熱放射によって、触媒112の高温の表面から燃料膜の表面に伝達される。当該実施例では、燃料が適用される反応容器114の壁は、燃料自体より低い温度を有している。従って、堆積物や付着物は形成されない。
【0042】
言うまでもなく、本発明は、図面に示された実施例に限定される訳ではない。従って、上述の説明は、限定的ではなく、制限的なものではなく、説明的なものとして捉えるべきである。特許請求の範囲に記載の特徴は、本発明の少なくとも1つの実施例に存在するものであることに留意すべきである。このことが、さらなる特徴の存在を排除することを意味する訳ではない。説明又は特許請求の範囲が“第1の”特徴及び“第2の”特徴を定義している場合には、このことは、順位付けを決定する訳ではなく、2つの類似する特徴を区別するために行われている。
【符号の説明】
【0043】
1 触媒蒸発器
2 配管
5 酸化剤供給配管
6 配管
7 配管
8 排出ガス後処理装置
9 内燃機関
10 燃料供給
11 空気供給
12 燃料リザーバ
13 尿素溶液リザーバ
41 供給配管
81 加水分解装置
82 選択的触媒還元装置
112 触媒
113 金属メッシュ
114 反応容器
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出ガスを後処理するための方法であって、
a)窒素酸化物を含有する生排出ガスを供給するステップと、
b)窒素酸化物を含有する生排出ガスを触媒蒸発器に導入するステップと、
c)還元剤を得るために、尿素溶液及び燃料を前記触媒蒸発器に同時に導入するステップと、
d)前記還元剤を排出ガス後処理装置に供給するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップc)において、酸化剤が触媒蒸発器に導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記還元剤が、アンモニアを含んでいることを特徴とする請求項1又は2による方法。
【請求項4】
前記還元剤が、水素、一酸化炭素、及び炭化水素のうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記尿素溶液が、32.5%尿素溶液であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記還元剤の組成が、尿素溶液、燃料、窒素酸化物を含有する生排出ガス、及び/又は酸化剤の導入を介して調整されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
排出ガス後処理が、熱分解、加水分解、及び選択的触媒還元を含んでいることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
排出ガス後処理が、約170℃以上の温度で動作されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
排出ガスを後処理するための還元剤を製造するための装置であって、
a)触媒蒸発器、
b)前記触媒蒸発器に至る生排出ガス供給配管であって、窒素酸化物を含有する生排出ガスを前記触媒蒸発器に導入するように構成されている前記触媒蒸発器、
c1)前記触媒蒸発器に至る燃料供給配管であって、燃料を前記触媒蒸発器に供給するように構成されている前記燃料供給配管、及び、前記触媒蒸発器に至る尿素供給配管であって、尿素溶液を前記触媒蒸発器に同時に導入するように構成されている前記尿素供給配管、及び
d)結果物である還元剤を内燃機関の排出ガスシステム若しくは排出ガス後処理システムに導入するように構成されている配管、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項10】
排出ガスを後処理するための還元剤を製造するための装置であって、
a)触媒蒸発器、
b)前記触媒蒸発器に至る生排出ガス供給配管であって、窒素酸化物を含有する生排出ガスを前記触媒蒸発器に導入するように構成されている前記触媒蒸発器、
c2)尿素と前記燃料から成る混合体を前記触媒蒸発器に導入するように構成されている供給配管、及び
d)結果物である還元剤を内燃機関の排出ガスシステム若しくは排出ガス後処理システムに導入するように構成されている配管、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項11】
前記装置が、前記触媒蒸発器に至る酸化剤供給配管であって、酸化剤を前記触媒蒸発器に導入するように構成されている前記酸化剤供給配管を含んでいることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記排出ガス後処理システムが、加水分解装置と選択的触媒還元装置とを備えていることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【国際調査報告】