(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】上部冷却方式バッテリーパック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20220914BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220914BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20220914BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20220914BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20220914BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220914BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20220914BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20220914BHJP
H01M 50/517 20210101ALI20220914BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20220914BHJP
【FI】
H01M50/271 Z
H01M10/613
H01M10/6556
H01M50/296
H01M50/249
H01M10/625
H01M50/507
H01M50/503
H01M50/517
H01M50/204
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502525
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 KR2020010355
(87)【国際公開番号】W WO2021025473
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】10-2019-0096284
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ホ-ジュネ・チ
(72)【発明者】
【氏名】キョン-モ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ハ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒ-ジュン・ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-オ・ムン
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK01
5H040AA01
5H040AA03
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040CC05
5H040CC13
5H040CC20
5H040CC36
5H040DD06
5H040DD07
5H040DD13
5H040DD28
5H040NN03
5H043AA09
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA15
5H043BA16
5H043BA18
5H043BA19
5H043BA20
5H043CA21
5H043FA08
5H043FA40
5H043JA26F
(57)【要約】
本発明の一態様によれば、バッテリーモジュールの下部を支持するパックトレイ、及びバッテリーモジュールを覆ってバッテリーモジュールの上端面に接触するように設けられたパックカバーを備えるパックケースと、パックカバーの上部に取り付けられるヒートシンクと、を含むバッテリーパックが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーモジュール、及び前記バッテリーモジュールを内部に固設可能なパックケースを備えるバッテリーパックであって、
前記バッテリーモジュールの下部を支持するパックトレイ、及び前記バッテリーモジュールを覆い、前記バッテリーモジュールの上端面と接触するように設けられたパックカバーを備えるパックケースと、
前記パックカバーの上部に取り付けられるヒートシンクと、
を含む、バッテリーパック。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、前記パックカバーと一体的に設けられる、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記ヒートシンクは、所定の外部構造物に前もって取り付けられるように設けられる、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記パックカバーは、前記バッテリーモジュールの電極端子を互いに電気的に接続する端子接続部が上端内面に設けられる、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記バッテリーモジュールは、
前記パックカバーによって上部が覆われるとき、一つの前記バッテリーモジュールの電極端子と隣接する他の一つの前記バッテリーモジュールの電極端子とがそれぞれ前記端子接続部に上下方向に接触して電気的に接続される、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記バッテリーモジュールはそれぞれ、バッテリーセル、及び前記バッテリーセルを収容するモジュールケースを含み、
前記電極端子は、方形板状であって、前記モジュールケースの一側面から突出して設けられる、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記モジュールケースは、前記電極端子の下部を支持するように一側面から突設されて垂直方向に貫通孔を備える端子支持部を含む、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記パックカバーは、上端内面に取付ナットをさらに備え、
それぞれの前記バッテリーモジュールは、前記端子支持部の貫通孔に挿入されて前記取付ナットに垂直に締結される取付ボルトによって前記パックカバーに固定される、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記取付ボルト及び前記取付ナットの少なくともいずれか一つは、絶縁素材からなる、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記端子接続部は、
前記電極端子と面接触し、前記取付ボルトが通過可能な締結孔を備えるインタ-バスバーと、
前記インタ-バスバーを支持し、前記パックカバーの内面に固設されるブラケット部材と、
を含む、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記ブラケット部材は、前記取付ナットと形状合わせられ、前記パックカバーの内面に取り付けられる、請求項10に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記複数のバッテリーモジュールは、2列に配置され、電極端子同士が前記パックケースの中心部を基準にして対向するように配置される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパックに関し、より詳しくは、バッテリーパックの冷却及び組み立て構造に関する。
本出願は、2019年8月7日付け出願の韓国特許出願第10-2019-0096284号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
充電が不可能な一次電池とは異なって、充・放電が自在な電池を二次電池と称する。このような二次電池は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコンなどの小型先端電子機器分野だけでなく、エネルギー貯蔵システム(ESS)、電気自動車(EV)またはハイブリッド自動車(HEV)の動力源としても使用されている。
【0003】
現在、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などの二次電池が広く使用されている。このような単位二次電池セル、すなわち、単位バッテリーセルの作動電圧は約2.5V~4.2Vである。したがって、これよりも高い出力電圧及びエネルギー容量が求められる場合、複数のバッテリーセルを直列に接続してバッテリーモジュールを構成するか、若しくは、バッテリーモジュールを二つ以上直列又は並列に接続し、その他の構成要素を付け加えてバッテリーパックを構成する。例えば、バッテリーモジュールは複数の二次電池を直列又は並列に接続した装置を意味し、バッテリーパックは容量及び出力などを高めるためバッテリーモジュールを直列又は並列に接続した構成を意味すると言える。
【0004】
バッテリーパックは、バッテリーモジュールの外にも、バッテリーモジュールの温度を適正に維持するための冷却装置、バッテリーモジュールの作動状態をモニタリングするための制御装置、及びこれらをパッケージングするためのパックケースなどをさらに含んで構成され得る。
【0005】
一方、電気自動車用バッテリーパックの場合、電気自動車の全長と全幅などによってバッテリーパックの取付空間が制限されるため、バッテリーモジュールを含めた構成品をパックケースの内部に最大限に空間効率的に載置することで、エネルギー密度を高めることが重要である。
【0006】
従来、バッテリーパックを組み立てるとき、
図1に示されたように、パックケースの底面に該当するパックトレイ1の上面にバッテリーモジュール2を配置し、パックトレイ1にボルト締結することでバッテリーモジュール2を機械的に固定している。一般的に、バッテリーモジュール2は前方と後方の角部位の合計4箇所に長ボルトを挿入してパックトレイ1の上面に固定される。また、バッテリーモジュール同士の電気的接続には、一側バッテリーモジュール2の正極端子2a及び他側バッテリーモジュール2の負極端子2bの上面に金属バー形態のインタ-バスバー3の両端を置き、二つのボルトを使ってこれらを固定する構造が多く採用されている。
【0007】
さらに、バッテリーパックの冷却構成としては、ヒートシンク4をパックトレイ1の底面に設け、そこに冷却水供給パイプを連結して、パックケースの内外で冷却水を循環させる構成が多く採用されている。
【0008】
しかし、近年、このような従来のバッテリーパックの組み立て構造に対して幾つかの問題が指摘されている。中でも、バッテリーモジュール及びインタ-バスバーを固定するために使用するボルトの個数が多過ぎて、組み立て工程の非効率、コストの増加、
図1の参照符号「O」で示された領域のような空間の損失、ヒートシンクを設けることによるエネルギー密度の低下、冷却水の漏れ、及びパイプ、冷却ポートなどのシーリング信頼性の確保などの問題が指摘されている。
【0009】
したがって、上記のような問題を解決可能な冷却及び組み立て構造が適用されたバッテリーパックの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、冷却水の漏れによる危険を解消し、エネルギー密度を改善し、組み立て工程の効率化を図ることができるバッテリーパックを提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、複数のバッテリーモジュール、及びバッテリーモジュールを内部に固設可能なパックケースを備えるバッテリーパックであって、
バッテリーモジュールの下部を支持するパックトレイ、及びバッテリーモジュールを覆い、バッテリーモジュールの上端面と接触するように設けられたパックカバーを備えるパックケースと、パックカバーの上部に取り付けられるヒートシンクと、を含むバッテリーパックが提供される。
【0013】
ヒートシンクは、パックカバーと一体的に設けられ得る。
【0014】
ヒートシンクは、所定の外部構造物に前もって取り付けられるように設けられ得る。
【0015】
パックカバーは、バッテリーモジュールの電極端子を互いに電気的に接続する端子接続部が上端内面に設けられ得る。
【0016】
バッテリーモジュールは、パックカバーによって上部が覆われるとき、一つのバッテリーモジュールの電極端子と隣接する他の一つのバッテリーモジュールの電極端子とがそれぞれ端子接続部に上下方向に接触して電気的に接続され得る。
【0017】
バッテリーモジュールはそれぞれ、バッテリーセル、及びバッテリーセルを収容するモジュールケースを含み、電極端子は、方形板状であって、モジュールケースの一側面から突出して設けられ得る。
【0018】
モジュールケースは、電極端子の下部を支持するように一側面から突設されて垂直方向に貫通孔を備える端子支持部を含み得る。
【0019】
パックカバーは、上端内面に取付ナットをさらに備え、それぞれのバッテリーモジュールは、端子支持部の貫通孔に挿入されて取付ナットに垂直に締結される取付ボルトによってパックカバーに固定され得る。
【0020】
取付ボルト及び取付ナットの少なくともいずれか一つは、絶縁素材からなり得る。
【0021】
端子接続部は、電極端子と面接触し、取付ボルトが通過可能な締結孔を備えるインタ-バスバー、及びインタ-バスバーを支持し、パックカバーの内面に固設されるブラケット部材を含み得る。
【0022】
ブラケット部材は、取付ナットと形状合わせられ、パックカバーの内面に取り付けられ得る。
【0023】
複数のバッテリーモジュールは、2列に配置され、電極端子同士がパックケースの中心部を基準にして対向するように配置され得る。
【0024】
本発明の他の態様によれば、上述したバッテリーパックを含む自動車が提供される。該自動車は、電気自動車(EV)またはハイブリッド自動車(HEV)を含み得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、ヒートシンクがパックケースの外部に設けられることで、冷却水の漏れの危険がなく、パックケース内部の組み立て構造の単純化、エネルギー密度改善効果を図ることができる。
【0026】
本発明の他の態様によれば、パックケース内のバッテリーモジュールの機械的固定構造と電気的接続構造とが統合されることで、組み立て工程の効率化を図ることができる。
【0027】
本発明の他の効果は後述する詳細な説明によって理解でき、本発明の実施形態からより明らかに分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来技術によるバッテリーパックの組立例を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの概略的な斜視図である。
【
図3】
図2のバッテリーパックの部分分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの概略的な斜視図である。
【
図5】
図2のI-I’に沿った概略的な断面図である。
【
図6】
図2のII-II’に沿った概略的な断面図である。
【
図7】
図2のIII-III’に沿った概略的な断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による端子接続部と取付ナットの概略的な斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの固定構造及び電気的接続構造を説明する図である。
【
図11】
図7に対応する図であって、本発明の他の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0030】
図2は本発明の一実施形態によるバッテリーパックの概略的な斜視図であり、
図3は
図2のバッテリーパックの部分分解斜視図であり、
図4は本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの概略的な斜視図である。
【0031】
これら図面を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパック10は、複数のバッテリーモジュール100と、バッテリーモジュール100を収容するパックケース200と、パックケース200の上部に取り付けられるヒートシンク300とを含む。
【0032】
図2及び
図3に示されたように、パックケース200は、相互結合するパックトレイ210とパックカバー220とを含む。パックトレイ210は、バッテリーモジュール100の下部を支持するように広い面積の板状体で設けられ、パックカバー220は、パックトレイ210と結合してバッテリーモジュール100全体を覆うように設けられる。
【0033】
特に、後述するが、それぞれのバッテリーセル110は、パックカバー220の上端内面に備えられている端子接続部221を介して電気的に接続すると同時に機械的に固定される。
【0034】
バッテリーパック10を構成する主要構成のうち、冷却構成に該当するヒートシンク300をまず説明し、続いてバッテリーパック10内部の組み立て構造を説明する。
【0035】
本実施形態のヒートシンク300は、冷媒が循環可能な流路(図示せず)を内部に備える。流路に流れる冷媒は、流路で流れ易く、冷却性に優れた流体であれば、特に限定されない。
【0036】
ヒートシンク300は、パックカバー220の上端外面に位置する。すなわち、本発明のバッテリーパック10は、ヒートシンク300をパックケース200の外部に設けることで、電気的要素と冷却的要素とが分離している。したがって、外部衝撃などによる冷却水の漏れの危険がない。また、ヒートシンク300がパックケース200の内部から除外されることで、組み立て構造の単純化及びエネルギー密度増大の効果を図ることができる。
【0037】
ヒートシンク300をパックカバー220の上端に設ける方法には、ヒートシンク300をパックカバー220と別途に製作し、それをパックカバー220の上に載置して固定する方法があるが、この場合、ヒートシンク300とパックカバー220との表面粗度の差のため、熱接触抵抗が大きくなって冷却効率が低下するおそれがある。
【0038】
そこで、本実施形態では、パックカバー220とヒートシンク300とを一体的に構成した。例えば、ヒートシンク300をパックカバー220の一部分として組み込んで、熱接触抵抗と熱伝導経路を最小化したものであると言える。このようなヒートシンク一体型パックカバー220でパックケース200内部の熱を吸収することで、ヒートシンク300がパックケース200の外部に位置しても冷却性能が低下しない。
【0039】
代案的な実施形態としては、パックカバー220の上端外面に熱伝導材料(Thermal Interface Material、以下「TIM」とする)を置き、その上にヒートシンク300を配置する例が挙げられる。TIMは、パックカバー220とヒートシンク300との間のギャップを埋めて熱接触抵抗を減らす機能をする。TIMとしては、熱伝導率の高いサーマルパッドまたはレジンを採用し得る。
【0040】
図4及び
図5に示されたように、パックケース200の内部に収納されるバッテリーモジュール100はそれぞれ、バッテリーセル110、バッテリーセル110を内部空間に収容するためのモジュールケース120、及びモジュールケース120の外側に露出するように設けられる電極端子150a、150bを含む。
【0041】
バッテリーセル110は、当業界に広く知られたパウチ型二次電池セルである。パウチ型二次電池セルは、モジュールケース120の内部空間に積層可能であるため、エネルギー密度の向上に有利である。勿論、バッテリーセル110が必ずしもパウチ型二次電池セルに限定されることはない。例えば、円筒型二次電池セルまたは角形二次電池セルなどに代替されてもよい。
【0042】
モジュールケース120は、バッテリーセル110の下部と上部をそれぞれ覆うベースプレート121とトッププレート122、バッテリーセル110の配列方向の最外郭に配置される一対のサイドプレート123、及びバッテリーセル110の前方と後方をそれぞれ覆う前面カバー124と後面カバー125を含んで構成され得る。
【0043】
モジュールケース120のトッププレート122は、パックカバー220の内面と面接触するように設けられ得る。トッププレート122とパックカバー220の内面との間に、サーマルパッドをさらに介在してもよい。
【0044】
前面カバー124と後面カバー125は、バッテリーセル110の前後方に位置し、バッテリーセル110の電極リードまたはインターコネクションボード(Inter Connection Board:ICB)のような部品が外部に露出しないようにする。電極端子150a、150bは、正極端子(電極端子150a)及び負極端子(電極端子150b)を含み、前面カバー124の上端外側に位置し、方形板状であって広い面が水平に置かれて、上下方向にボルトを挿入可能な孔を備えて設けられる。
【0045】
電極端子150a、150bは、端子支持部126上に置かれて支持され得る。ここで、端子支持部126は、前面カバー124から突出した部分であって、電極端子150a、150bの下部を支持し、バッテリーモジュール100のボルトを締結する場所として活用され得る。
【0046】
端子支持部126は、前面カバー124の幅方向に沿って延設され、正極端子150a及び負極端子150bが載置される箇所にはボルトを挿入可能な貫通孔が一つずつ垂直方向に形成され得る。貫通孔は、図示されていないが、電極端子150a、150bの孔と上下に一致するように形成され得る。
【0047】
参考までに、前面カバー124と端子支持部126とを区分して説明したが、これらは一体型に製作されてもよい。また、図示していないが、電極端子150a、150bが位置しない他の箇所にも取付ボルト201を挿入できるように貫通孔を設け、取付ボルト201をパックカバー220に締結してもよい。
【0048】
一対のサイドプレート123は、バッテリーセル110の配列方向の最外郭のバッテリーセル110の外側でバッテリーセル110を圧迫及び支持することができる。
【0049】
次いで、
図6~
図10を参照して、パックケース200の内部におけるそれぞれのバッテリーモジュール100の機械的固定構造及び電気的接続構造について詳しく説明する。
【0050】
本実施形態の場合、バッテリーモジュール100は合計で8個であり、4個ずつ2列でパックケース200の内部に収納され得る。このとき、第1列のバッテリーモジュール100群と第2列のバッテリーモジュール100群とは、それらの電極端子150a、150bがパックケース200の中心部を基準にして互いに対向するように位置し得る(
図3を参照)。このようなバッテリーモジュール100の配置は、バッテリーモジュール100同士の電気的接続距離を最小化するのに有利である。勿論、このようなバッテリーモジュール100の配置は一例であるため、バッテリーモジュール100の総個数や配置構造は限定されることなく変わり得る。
【0051】
8個のバッテリーモジュール100は、パックトレイ210の底面に載置されて支持され、パックカバー220の上端内面に備えられた端子接続部221とボルト締結されて固定され得る。さらに、隣接したバッテリーモジュール100の電極端子150a、150b同士は、端子接続部221に接触して互いに電気的に接続され得る。
【0052】
例えば、パックカバー220によってモジュールケース120の上部が覆われるとき、一つのバッテリーモジュール100の電極端子150a、150bと他の一つのバッテリーモジュール100の電極端子150a、150bとがそれぞれ端子接続部221に上下方向に接触し、電気的に接続され得る。
【0053】
図8及び
図9に示されたように、パックカバー220は、その上端内面に取付ナット225をさらに備え得る。取付ナット225は、溶接によってパックカバー220に予め付着され得る。端子接続部221は、取付ナット225と形状合わせられてパックカバー220に取り付けられ得る。
【0054】
端子接続部221は、取付ボルト201が通過可能な締結孔221cを備え、バッテリーモジュール100の電極端子150a、150bと面接触する金属バー形態のインタ-バスバー221b、及びインタ-バスバー221bを支持し、パックカバー220の上端内面に固設される絶縁性素材のブラケット部材221aを含み得る。
【0055】
ブラケット部材221aは、その後面部が取付ナット225と形状合わせられるように設けられる。また、ブラケット部材221aの前面部は、インタ-バスバー221bの締結孔221cが取付ナット225と上下に一致するように、インタ-バスバー221bを着脱可能に設けられる。
【0056】
ブラケット部材221aは、その後面部に両面テープ221dを貼り付けてパックカバー220に簡単に付着し得る。もちろん、ボルトとナットとの組合せなどの他の方式でブラケット部材221aを付着してもよい。
【0057】
このような構成により、
図10に示されたように、それぞれのバッテリーモジュール100は、取付ボルト201を端子支持部126の貫通孔から電極端子150a、150bの孔、インタ-バスバー221bの締結孔221cへと通過させて取付ナット225に締結することで、パックカバー220に固定され得る。このとき、隣接する二つのバッテリーモジュール100は、正極端子150aと負極端子150bが端子接続部221のインタ-バスバー221bにそれぞれ接触するようになるため、互いに電気的に接続できる。
【0058】
取付ボルト201及び取付ナット225の少なくともいずれか一つは、絶縁ボルトまたは絶縁ナットであり得る。絶縁ボルトまたは絶縁ナットを使用することで、パックカバー220にバッテリーモジュール100の機械的固定と電気的接続とが同時に行われても、短絡を防止することができる。
【0059】
以上のように、本発明のバッテリーパック10は、バッテリーモジュール100の機械的固定構造と電気的接続構造とが統合されているため、組み立て工程が非常に容易である。また、それぞれのバッテリーモジュール100をパックトレイ210上にボルトで固定する代わりに、パックカバー220に固定することで、パックトレイ210の空間活用率または自由度を向上させることができる。
【0060】
以下、本発明のバッテリーパック10の組立例を概略的に説明する。
【0061】
本発明のバッテリーパック10は、一般的なバッテリーパック10の組み立て方式とは異なって、パックカバー220を逆さまにした後、その中にバッテリーモジュール100を配置し、これらを固定することが望ましい。
【0062】
すなわち、パックカバー220を逆さまにしておき、バッテリーモジュール100の電極端子150a、150bをパックカバー220のクーリングパイプと端子接続部221にそれぞれ対面するように、それぞれのバッテリーモジュール100を位置させる。
【0063】
その後、取付ボルト201をそれぞれのバッテリーモジュール100とパックカバー220との間の締結部位に締結すればよい。すなわち、それぞれのバッテリーモジュール100を予め決められた位置に置いて取付ボルト201を締結することで、バッテリーモジュール100の機械的固定作業と直列及び/又は並列接続作業とを同時に且つ容易に解決することができる。
【0064】
その後、O-リング230を介在してパックカバー220の凹凸部をパックトレイ210の周縁部分に嵌め込めば、主な組み立て工程が終了する。
【0065】
以下、
図11を参照して、本発明の他の実施形態によるバッテリーパック10を概略的に説明する。
【0066】
本実施形態によるバッテリーパック10は、上述した実施形態によるバッテリーパック10と基本的な機械的、電気的組み立て構造は同一であるが、冷却構成が異なる。
【0067】
すなわち、上述した実施形態は、パックカバー220とヒートシンク300とが一体型であるが、本実施形態では、パックカバー220とヒートシンク300とが分離型で設けられる。
【0068】
ヒートシンク300は、所定の外部構造物に前もって取り付けられるように設けられ得る。例えば、ヒートシンク300の上部を自動車の車体20に取り付け可能な形態で設け、ヒートシンク300の下部をパックカバー220の上面に対面するように設ける。そして、自動車の車体20にヒートシンク300を先に取り付けた後、バッテリーモジュール100を収納したパックケース200をヒートシンク300の下方に取り付ける。このとき、パックカバー220の上面には、TIM400がさらに設けられ得る。
【0069】
本実施形態によれば、バッテリーパック10を構成する電気エネルギー構成品と冷却構成品とが完全に分離されるため、各構成品の構造をさらに単純化することができる。特に、ヒートシンク300を車両に前もって取り付けることができるため、冷却構成に必要な冷却水配管の連結及びシーリング性を確保する作業を容易に行うことができる。
【0070】
一方、上述した本発明によるバッテリーパックは、バッテリーモジュールの充放電を制御するための各種の装置、例えばバッテリー管理システム(Battery Management System:BMS)、電流センサ、ヒューズなどをさらに含むことができる。バッテリーパックは電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用できる。勿論、バッテリーパックは、電力貯蔵装置またはその他のIT製品群などにも適用できる。
【0071】
以上、本発明の望ましい実施形態を図示して説明したが、本発明が上述した特定の望ましい実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく当業者であれば多様に変形実施することができ、そのような変更が特許請求の範囲の範囲内にあることは言うまでもない。
【0072】
一方、本明細書において、上、下、左、右などのように方向を示す用語が使われたが、このような用語は説明の便宜上用いられたものに過ぎず、観測者の位置や対象の位置などによって変わり得ることは当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0073】
100 バッテリーモジュール
200 パックケース
210 パックトレイ
220 パックカバー
300 ヒートシンク
【国際調査報告】