IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特表-交通信号機の信号状態の判定 図1
  • 特表-交通信号機の信号状態の判定 図2
  • 特表-交通信号機の信号状態の判定 図3
  • 特表-交通信号機の信号状態の判定 図4
  • 特表-交通信号機の信号状態の判定 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】交通信号機の信号状態の判定
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20220914BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220914BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/16 D
G08G1/09 V
G08G1/09 F
G08G1/09 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502601
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2020069184
(87)【国際公開番号】W WO2021008953
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102019119084.3
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ハイツマン
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181DD01
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
交通信号機(12)の信号状態を判定するための方法によれば、自車両(7)のセンサシステムにより、少なくとも1つの別の車両の移動状態が判定される。前記自車両(7)の演算器(10)により、前記信号状態に関する確率が、判定された前記移動状態に応じて判定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-自車両(7)のセンサシステム(9)により、少なくとも1つの別の車両(13、14、15、16、17、18)の移動状態が判定されるステップと、
-前記自車両(7)の演算器(10)により、前記信号状態に関する確率が、判定された前記移動状態に応じて判定されるステップと、
を特徴とする交通信号機(12)の信号状態を判定するための方法。
【請求項2】
-前記センサシステム(10)により、および/または別のセンサシステムにより、少なくとも1つの別の交通信号機(25、26、27)の少なくとも1つの別の信号状態が判定されるステップと、
-前記演算器(10)により、相互関係データがデータベースから受信されるステップであって、前記相互関係データは、前記交通信号機(12)の前記信号状態と少なくとも1つの別の前記信号状態との相互関係を含むステップと、
-前記信号状態に関する前記確率が、前記相互関係データに応じて判定されるステップと、
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記演算器(10)により、前記相互関係データがマップデータベースから受信されるステップ、
を特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
-前記演算器(10)により、基本確率が、前記相互関係データに応じて判定されるステップと、
-前記信号状態に関する前記確率が、前記基本確率に応じて判定されるステップと、
を特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
-前記演算器(10)により、判定された前記移動状態に応じた補正値が算出されるステップと、
-前記演算器(10)により、前記信号状態に関する前記確率が、前記基本確率と前記補正値との和として判定されるステップと、
を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
-前記センサシステム(9)により、少なくとも1つの別の前記車両(13、14、15、16、17、18)の前記移動状態が、第1タイミングおよび第2タイミングにおいて判定されるステップと、
-前記演算器(10)により、前記第1タイミングで判定された前記移動状態の前記第2タイミングで判定された前記移動状態からの逸脱が判定されるステップと、
-前記信号状態に関する前記確率が、前記逸脱に応じて判定されるステップと、
を特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
-前記センサシステム(9)により、少なくとも1つの別の前記車両(13、14、15、16、17、18)の各車両(13、14、15、16、17、18)の個々の移動状態が判定されるステップと、
-前記演算器(10)により、個々の前記移動状態の整合性が分析されるステップと、
-前記信号状態に関する前記確率が、前記整合性の分析の結果に応じて判定されるステップと、
を特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
-前記演算器(10)により、整合性のある車両の台数が、個々の前記移動状態に基づいて判定されるステップと、
-前記信号状態に関する前記確率が、整合性のある車両の前記台数に応じて判定されるステップと、
を特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
-少なくとも1つの別の前記車両(13、14、15、16、17、18)の前記移動状態が、前記センサシステム(9)の連続的なフレームに関して繰り返し判定されるステップと、
-前記演算器(10)により、前記フレームに関して判定された前記移動状態の別の整合性が分析されるステップと、
-前記信号状態に関する前記確率が、別の前記整合性の分析の結果に応じて判定されるステップと、
を特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記演算器(10)により、情報信号が、前記信号状態に関する前記確率に応じて生成されるステップ、
を特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
自車両(7)を自動制御するための方法であって、
-交通信号機(12)の信号状態に関する確率が、請求項1~10のいずれか一項に従って判定されるステップと、
-前記自車両(7)の電子車両ガイドシステム(8)により、前記自車両(7)は、前記信号状態に関する前記確率に応じて制御されるステップと、
を特徴とする自車両(7)を自動制御するための方法。
【請求項12】
-前記演算器(10)により、前記信号状態に関する前記確率が所定の最小信頼値と比較されるステップと、
-前記電子車両ガイドシステム(8)により、前記自車両(7)は、前記比較の結果に応じて制御されるステップと、
を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
自車両(7)のセンサシステム(9)と、前記センサシステム(9)に連結された演算器(10)と、を備える電子車両ガイドシステムにおいて、
-前記センサシステム(9)は、少なくとも1つの別の車両(13、14、15、16、17、18)の移動状態を判定するように構成され、
-前記演算器(10)は、交通信号機(12)の信号状態に関する確率を、判定された前記移動状態に応じて判定するように構成される、
ことを特徴とする電子車両ガイドシステム。
【請求項14】
-前記演算器(12)は、少なくとも1つの別の交通信号機(25、26、27)の少なくとも1つの別の信号状態を受信するように構成され、
-前記電子車両ガイドシステム(8)は、前記交通信号機(12)の前記信号状態と少なくとも1つの別の前記信号状態との相互関係を含む相互関係データを記憶するデータベースを備え、
-前記演算器(10)は、前記信号状態に関する前記確率を、前記相互関係データに応じて判定するように構成される、
ことを特徴とする請求項13に記載の電子車両ガイドシステム。
【請求項15】
命令を備えるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが請求項13または14に記載の電子車両ガイドシステム(8)により実行されたとき、前記命令は、電子車両ガイドシステム(8)に請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号機の信号状態を判定する方法、自車両を自動制御する方法、自車両のセンサシステムとこのセンサシステムに連結された演算器とを備えた電子車両ガイドシステム、ならびにコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号機により制御される道路交差点では、センサシステムや自車両のドライバーにとって、交通信号機が、特に例えばトラック等の他の車両の障害物で遮られるという事態が生じ得る。
【0003】
文書DE 10 2017 203 236 A1は、画像センサデバイスにより実際の交通信号の位相を検出するシステムについて記載している。ここでは、画像センサデバイスにより撮影された画像のコントラスト値、カメラのパラメータ、および画像の彩度または輝度情報が、実際の信号位相を判定するために考慮される。
【0004】
しかしながら、既存のアプローチでは、カメラシステムに対して該当する交通信号機が障害物で遮られている場合、信号位相を判定することはできない。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、交通信号機が障害物で遮られている場合であっても、信号状態を自動的に判定することができる、交通信号機の信号状態を判定するための改良されたコンセプトを提案することである。
【0006】
改良されたコンセプトによれば、この目的は、独立請求項のそれぞれの主題により達成される。さらなる実施例および有益な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
改良されたコンセプトは、交通信号機の信号状態に関する確率を算出するために、他車両の移動の有無を自車両によって判定するというアイデアに基づいている。
【0008】
改良されたコンセプトの第1独立態様によれば、交通信号機の信号状態を判定するための方法が提供される。ここでは、自車両のセンサシステムにより、少なくとも1つの別の車両の移動状態が判定される。前記自車両の演算器により、前記信号状態に関する確率が、判定された前記移動状態に応じて判定される。
【0009】
自車両とは、交通信号機の信号状態に関与する車両として理解され得る。特に、交通信号機は、自車両に関与する交通信号機である。換言すれば、自車両の走行が許可されるか、または停止が要求されるかは、交通信号機の実際の信号状態に依存する。
【0010】
例えば、本方法は、自車両が交通信号機により制御される車線の道路交差点で停止している、またはそこに接近しているというような交通状況において採用され得る。
【0011】
交通信号機の信号状態とは、交通信号機の少なくとも2つの所定の信号状態のうちの1つとして理解され得る。信号状態は、例えば、交通信号機の赤色光状態、または青(緑)色光状態に対応し得る。また、信号状態は、交通信号機のオフ状態にも対応し得る。特に、改良されたコンセプトによる本方法は、同一の交通信号機の異なる可能な信号状態に関して実施され得る。例えば、確率は、本方法により、青色光状態および赤色光状態に関して互いに独立して判定され得る。
【0012】
ここで、および以下では、交通信号機の赤色光状態とは、自車両が停止すること、または走行しないことが要求される交通信号機の信号状態として理解され得る。さらに、交通信号機の青色光状態とは、自車両が交差点を走行すること、または通過することが許容される信号状態として理解され得る。
【0013】
少なくとも1つの別の車両の移動状態を判定するステップは、例えば、センサシステムの複数のサンプリングフレームについてのそれぞれの移動状態を判定するステップを含み得る。
【0014】
少なくとも1つの別の車両の移動状態とは、少なくとも1つの別の車両の各々の個々の移動状態を包含すると理解され得る。特に、少なくとも1つの別の車両の移動状態とは、少なくとも1つの別の車両にあたる全ての車両の、全体的な移動状態として理解され得る。
【0015】
センサシステムは、例えば、単数または複数のカメラを含むカメラシステムとして実現され得る。
【0016】
記載される方法のステップは、例えば、交通信号機の信号状態が、障害物で遮られているため、信号状態が、センサシステムにより直接的に判定できない、および/または交通信号機とセンサシステムの間、および/または交通信号機とドライバーの間にある物体を原因として車両のドライバーから視認できない場合に実施され得る。
【0017】
例えば、センサシステムにより、交通信号機の信号が障害物で遮られているかどうかが判定され得る。上述の本方法のステップは、特に、交通信号機が障害物で遮られていると判明した場合に実施され得る。
【0018】
車両は、特に、SAE J3016の分類のレベル1~5のいずれかに従って、部分的または完全な自動運転または自律運転のための車両として設計され得る。ここで、および以下では、SAE J3016は、2018年6月付のそれぞれの規格を指す。
【0019】
センサシステムにより少なくとも1つの別の車両の移動状態が判定されるとは、センサシステムが移動状態の判定に使用されることであると理解され得る。特に、他の部品や装置、特に演算器や別の演算器が、例えばセンサシステムにより生成されたセンサ信号または画像データに基づいて、移動状態を判定するために使用されることも、排除されない。
【0020】
別の車両のうちの1つの個々の移動状態とは、例えば、それぞれの別の車両が移動しているか静止している、または例えば加速しているか減速していることであると理解され得る。個々の移動状態には、交差点で曲がろうとしているそれぞれの別の車両に関する情報も含み得る。
【0021】
改良されたコンセプトによる方法について説明したように、車両のドライバーの視界および/またはセンサシステムの視野が障害物で遮られているために交通信号機の実際の信号状態が直接的にドライバーおよび/またはセンサシステムから見えない場合であっても、信号に関する確率を判定することにより、交通の流れ情報から、交通信号機実際の信号状態に関する表示が自動的に判定され得る。
【0022】
信号状態の確率により得られる情報は、例えば、完全または部分的な自立走行機能のために、または手動で制御されている車両の場合にはドライバー用の情報として使用され得る。
【0023】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記センサシステムにより、および/または別のセンサシステムにより、少なくとも1つの別の交通信号機の少なくとも1つの別の信号状態が判定される。前記演算器により、相互関係データがデータベースから受信される。前記相互関係データは、前記交通信号機の前記信号状態と少なくとも1つの別の前記信号状態との相互関係、特に相互関係に関する情報、または相互関係に関するルールを含む。前記演算器により、前記信号状態に関する前記確率が、前記相互関係データに応じて判定される。
【0024】
特に、少なくとも1つの別の交通信号機は、自車両に直接的に関与しない。これは、少なくとも1つの別の交通信号機は、自車両のドライバーまたは自車両に対して、通過してよいか停止すべきかどうかを直接的に合図することを意図していないということを意味する。
【0025】
少なくとも1つの別の交通信号機は、例えば、自車両に関与する交通信号機と同一の交差点における単数または複数の交通信号機に対応し得るが、自車両が走行しているか停止している交差点において別の道路に指示を出してもよい。
【0026】
別のセンサシステムは、例えば、自車両の外部のセンサシステムであって、自車両が備えるものではないセンサシステムであり得る。例えば、別のセンサシステムは、他の車両、特に別の車両のうちの1つのセンサシステム、または自車両の近傍にあるインフラ装置のセンサシステムに対応し得る。少なくとも1つの別の信号状態は、例えば、自車両の演算装置により、例えば、車両対車両すなわち車対車、C2C通信インターフェースを介して、および/または車両対車両環境または車対車環境、C2X通信インターフェースを介して受信され得る。
【0027】
データベースは、例えば、自車両の記憶媒体が備え得る。代替的または追加的に、データベースは、外部装置、クラウドコンピュータ等のコンピュータやサーバが備え得る。
【0028】
相互関係データは、例えば、自車両の演算器により、例えば、C2CまたはC2X通信インターフェースを介して、または別の通信インターフェースを介して受信され得る。
【0029】
相互関係データおよび別の交通信号機の別の信号状態を考慮することにより、判定すべき交通信号機の信号状態に関するより高い信頼値が得られ得る。特に、異なる情報源、すなわち、別の信号状態および別の車両の移動状態とともに相互関係データを考慮することにより、交通信号機の信号状態に関してより着実な判定が得られ得る。
【0030】
相互関係データは、例えば、交通信号機の信号状態が、少なくとも1つの別の信号状態によって一定の確率で間接的に与えられるようなルールを含み得る。
【0031】
例えば、4つの合流する車線がある交差点では、対応する対向する交通信号機は、通常またはほとんどの場合、同一の信号状態となるように構成され得る。同様に、交差点の残りの交通信号機は、例えば、通常またはほとんどの場合、当該交通信号機とは反対の信号状態となるように構成され得る。
【0032】
いくつかの実施例によれば、前記演算器により、前記相互関係データがマップデータベースから、特にHD-マップから受信される。
【0033】
HD-マップとは、1cm~数cmの精度を持つ地図データベースとして理解され得る。
【0034】
マップデータベースは、例えば、相互関係データ等の追加情報で拡張され得る。
【0035】
マップデータベースは、例えば、単数または複数の交通信号機がそれぞれの所定の信号状態にある場合の交通信号機の信号状態等の交通信号機に関する情報を含み得る。
【0036】
いくつかの実施例によれば、前記演算器により、基本確率が、前記相互関係データに応じて判定され、前記信号状態に関する前記確率が、前記基本確率に応じて判定される。
【0037】
基本確率は、例えば、固定の、すなわち時間に依存しない信号状態に関する確率の一部であり得る。これは、例えば、相互関係データが時間の経過とともに変化しない場合があるからである。
【0038】
いくつかの実施例によれば、前記演算器により、判定された前記移動状態に応じた補正値が算出される。前記演算器により、前記信号状態に関する前記確率が、前記基本確率と前記補正値との和として判定される。
【0039】
いくつかの実施例によれば、所定の定数係数と時間依存係数との積として算出される。時間依存係数は、判定された移動状態に応じて変化する。
【0040】
いくつかの実施例によれば、前記センサシステムにより、少なくとも1つの別の前記車両の前記移動状態が、第1タイミングおよび第2タイミングにおいて判定される。前記演算器により、前記第1タイミングで判定された前記移動状態の前記第2タイミングで判定された前記移動状態からの逸脱が判定される。前記信号状態に関する前記確率が、前記逸脱に応じて判定される。
【0041】
ここで、第1タイミングおよび第2タイミングは、それぞれの個々のタイミングフレーム、または連続した一連のタイミングフレームに対応し得る。
【0042】
特に、移動状態は、第1タイミングが演算器により保存されていることを判定する。特に、第2タイミングは、第1タイミングの後に存在する。
【0043】
例えば、少なくとも1つの別の車両の移動状態に変化がある場合には、移動状態の変化がない場合に比較して、信号状態に関する確率は異なり得る。例えば、任意の別の車両が第1タイミングでは静止しており、第2タイミングでは移動している場合、別の交通信号機のうちの1つが赤色光から青色光に変わったことを示していると解釈され得る。
【0044】
いくつかの実施例によれば、前記センサシステムにより、少なくとも1つの別の前記車両の各車両の個々の移動状態が判定される。前記演算器により、個々の前記移動状態の整合性が分析される。前記信号状態に関する前記確率が、前記整合性の分析の結果に応じて判定される。
【0045】
少なくとも1つの別の車両の全ての車両の個々の移動状態は、例えば、少なくとも1つの別の車両の移動状態を構成する。
【0046】
整合性とは、例えば、個々の移動状態が交通信号機の同一の信号状態を示すほど、整合性があるものとして理解され得る。
【0047】
特に、整合性の値が低いほど、交通信号機の所定の信号状態に関する確率が低くなり得る。
【0048】
整合性が最大である場合、例えば、全ての個々の移動状態が同一の信号状態を意味する場合、確率は、例えば、考慮される個々の移動状態の個数に依存し得る。例えば、個々の移動状態に整合性があればあるほど、それぞれの確率は高くなり得る。
【0049】
いくつかの実施例によれば、前記演算器により、整合性のある車両の台数が、個々の前記移動状態に基づいて判定され、前記信号状態に関する前記確率が、整合性のある車両の前記台数に応じて判定される。
【0050】
上述のように、整合性のある車両の台数は、全てが交通信号機に関する同一の信号状態を意味する個々の移動状態の個数に対応する。
【0051】
したがって、信号状態に関して判定された確率の信頼レベルがさらに向上し得る。
【0052】
いくつかの実施例によれば、少なくとも1つの別の前記車両の前記移動状態が、前記センサシステムの連続的なフレームに関して、特にセンサシステムにより、繰り返し判定される。前記演算器により、前記フレームに関して判定された前記移動状態の別の整合性が分析され、前記信号状態に関する前記確率が、別の前記整合性の分析の結果に応じて判定される。
【0053】
センサシステムのフレームとは、例えば、所定のサンプリング時間中に生成されたセンサデータまたはセンサ信号のセットとして理解され得る。換言すれば、フレームは、センサシステムの連続したサンプリング時間に対応する。
【0054】
移動状態の別の整合性とは、それが、連続するフレームの全てのフレームにおいて、移動状態が交通信号機に関して同一であるか、または同一の信号状態を示すかに依存するものとして理解され得る。
【0055】
別の整合性が取れているとすれば、交通信号機の信号状態に関する確率は、より高くなる。
【0056】
このようにして、判定された確率のより高い信頼レベルが得られる。例えば、自車両の演算器または電子車両ガイドシステムは、判定された確率が所定の最小確率よりも低い限り、交通信号機の想定された信号状態に対していかなる動作や反応をも起こさないように構成され得る。確率は、例えば、個々の移動状態が判定された別の車両の台数が増加する時間につれて、および/または整合性のあるタイミングフレームの個数につれて、増加し得る。
【0057】
特に、補正値、特に時間依存係数は、逸脱に応じて、および/または整合性の分析の結果に応じて、および/または整合性のある車両の台数に応じて、および/または別の整合性の分析の結果に応じて、判定され得る。
【0058】
いくつかの実施例によれば、前記演算器により、情報信号が、前記信号状態に関する前記確率に応じて生成される。
【0059】
情報信号は、例えば、車両のドライバーに出力され得る。このようにして、ドライバーの視野が障害物で遮られてドライバーが交通信号機を視認することができない場合であっても、自車両の手動運転が支援され得る。
【0060】
改良されたコンセプトの別の独立した態様によれば、自車両を自動制御するための方法が提供される。ここでは、交通信号機の信号状態に関する確率が、改良されたコンセプトによる交通信号機の信号状態を判定するための方法により判定される。前記自車両の電子車両ガイドシステムにより、前記自車両は、前記信号状態に関する前記確率に応じて制御される。
【0061】
特に、自車両は、SAE J3016の分類のレベル1~5に従って、部分的または完全に自律的な運転用に設計され得る。
【0062】
改良されたコンセプトによる自車両を自動制御するための方法により、自車両のセンサシステムが障害物で遮られた場合であっても、自車両の自動制御が可能とされ得る。
【0063】
演算器および/またはセンサシステムは、例えば、電子車両ガイドシステムの一部であり得る。
【0064】
いくつかの実施例によれば、前記演算器により、前記信号状態に関する前記確率が所定の最小信頼値と比較される。前記電子車両ガイドシステムにより、前記自車両は、前記比較の結果に応じて制御される。
【0065】
特に、確率が最小信頼値以上であると判明した場合、自車両は、走行を継続する、または交差点を通過するように制御され得る。確率が最小信頼値未満である場合、自車両は、停止する、または静止したままであるように制御され得る。
【0066】
特に、所定の最小信頼値は、交通信号機の信号状態のタイプに依存し得る。例えば、最小信頼レベルは、赤色光信号に比較して青色光信号の方が大きくてもよい。
【0067】
改良されたコンセプトの別の独立した態様によれば、特に自車両のセンサシステムと、前記センサシステムに連結された演算器と、を備える電子車両ガイドシステムが提供される。前記センサシステムは、少なくとも1つの別の車両の移動状態を判定するように構成される。前記演算器は、交通信号機の信号状態に関する確率を、判定された前記移動状態に応じて判定するように構成される。
【0068】
センサシステムによる移動状態の判定とは、移動状態が、センサシステムを使用するが、必ずしもセンサシステムのみを使用して判定されるわけではないと理解され得る。
【0069】
いくつかの実施例によれば、前記演算器は、少なくとも1つの別の交通信号機の少なくとも1つの別の信号状態を受信するように構成され、少なくとも1つの別の前記信号状態は、特に、センサシステムにより、および/または別のセンサシステムにより判定される。前記電子車両ガイドシステムは、相互関係データを記憶するデータベースを備え、前記相互関係データは、前記交通信号機の前記信号状態と少なくとも1つの別の前記信号状態との相互関係を含む。前記演算器は、前記信号状態に関する前記確率を、前記相互関係データに応じて判定するように構成される。
【0070】
データベースは、自車両のデータベースであってもよいし、自車両の外部にあってもよい。
【0071】
改良されたコンセプトによる電子車両ガイドシステムの別の実施例は、改良されたコンセプトによる信号状態を判定するための方法の種々の実施例から、および改良されたコンセプトによる自車両を自動制御するための方法から、直接的に続き、その逆もまたそれぞれ同様である。特に、改良されたコンセプトによる電子車両ガイドシステムは、改良されたコンセプトによる方法を実施するように設計またはプログラミングされ得る。あるいは、電子車両ガイドシステムは、改良されたコンセプトによる方法を実施する。
【0072】
改良されたコンセプトの別の独立した態様によれば、車両、特に部分的または完全に自律的に走行可能な車両であって、改良されたコンセプトによる電子車両ガイドシステムを備える車両が提供される。
【0073】
改良されたコンセプトの別の独立した態様によれば、命令を備えるコンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムが、改良されたコンセプトによる電子車両ガイドシステムにより実行された場合、前記命令は、電子車両ガイドシステムに改良されたコンセプトによる自車両を自動制御するための方法、および/または改良されたコンセプトによる交通信号機の信号状態を判定するための方法を実施させる。
【0074】
改良されたコンセプトの別の独立した態様によれば、改良されたコンセプトによるコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0075】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲、図面、および図面の説明から明瞭になる。明細書において上述した特徴および特徴の組み合わせ、ならびに下記の図面の説明および/または図面のみに示された特徴および特徴の組み合わせは、それぞれ特定された組み合わせのみならず、他の組み合わせにおいても本発明の範囲から逸脱することなく利用可能である。したがって、図面に明示的には示されていないが、説明された実施例から別個の特徴の組み合わせにより生じ得る実施例も本発明に包含されかつ開示されているものとみなされるべきである。また、当初に作成された独立請求項の特徴の全てを有しない実施例および特徴の組み合わせも開示されているものとみなされるべきである。さらに、特に特許請求の範囲に関して記載された特徴の組み合わせを超える、またはこれから逸脱する実施形態および特徴の組み合わせも、開示されているものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1図1は、改良されたコンセプトによる電子車両ガイドシステムの例示的な実施例を備える車両の概略図を示す。
図2図2は、改良されたコンセプトによる方法のさらなる例示的な実施例のフロー図を示す。
図3図3は、改良されたコンセプトによる方法のさらなる例示的な実施例に関する第1交通状況を示す。
図4図4は、改良されたコンセプトによる方法のさらなる例示的な実施例に関する第2交通状況を示す。
図5図5は、改良されたコンセプトによる方法のさらなる例示的な実施例に関する第3交通状況を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1は、改良されたコンセプトによる電子車両ガイドシステム8の例示的な実施例を備える車両7を示す。
【0078】
電子車両ガイドシステムは、自車両7の周囲環境における物体を描写し、かつそれぞれのカメラ信号を連続するサンプリングフレーム中に生成するように構成されたカメラシステム9を備えている。車両ガイドシステム8は、例えば自車両7の電子制御ユニット(ECU)として実現され得る演算器10を備えている。演算器10は、カメラシステム9に連結されてカメラ信号を受信する。
【0079】
演算器10は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体11を備え得る、またはこれに連結され得る。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体11は、例えば、HD-マップを含むデータベースを記憶し得る。
【0080】
選択的に、記憶媒体11は、改良されたコンセプトに応じて実現され、改良されたコンセプトによるコンピュータプログラムを備え得る。演算器10は、コンピュータプログラムを実行し得る。この結果、ガイドシステム8は、改良されたコンセプトによる方法を実行または実施するようになされ得る。
【0081】
電子車両ガイドシステム8の動作を、改良されたコンセプトによる方法の例示的な実施例に関して、特に図2図5について、より詳細に説明する。
【0082】
図2は、改良されたコンセプトによる例示的な方法のフロー図を示す。本方法について、図3図5に示す例示的な交通状況を参照して説明する。
【0083】
本方法のステップ1において、自車両7は、例えば図3に示すように、交差点20に到着するものとする。
【0084】
交差点20は、例えば自車車線21を含むものとする。自車両7は、自車車線21上で交差点20に接近している。交差点20は、自車車線の反対方向に沿った別の車線22を備えるものとする。さらに、交差点20は、互いに対して反対に配向された2つの別の車線23、24であって、自車車線21に垂直な車線23、24を備えるものとする。車線21、22、23、24の各々について、対応する交通信号機12、25、26、27が交差点に配置されている。特に、交通信号機12は、自車両7に関与している。残りの交通信号機25、26、27は、自車両7に関与していないか、または間接的にしか関与していない。
【0085】
さらに、トラック19が、自車車線21に存在するものとする。トラック19は、交通信号機12に対する障害物となっているものとする。これにより、自車両7のカメラシステム9またはドライバーは、交通信号12の信号状態を視認することができない。
【0086】
本方法のステップ2において、自車両7は、障害物となっているトラック19の隣において、交差点20で静止しているものとする。図4に示すように、数台の別の車両13、14、15が、交差点20に存在しているものとする。例えば、車両14が存在して車線23上を走行しているものとする。また、車両15は、例えば車線24から走行して来て車線22へと右折するものとする。別の車両16が、車線24上を走行し、例えば、交差点20を既に通過しているものとする。車線22では、別の車両13が、それぞれの交通信号25の前で静止しているものとする。障害物であるトラック19も静止しているものとする。
【0087】
本方法のステップ2において、例えば別の車両13、14、15、16の個々の車両、および/または他のインフラ装置の備える別のカメラシステムが、別の交通信号25、26、27の実際の信号状態を判定するものとする。これらの信号状態は、例えば、自車両7の演算器10に、自車両7のC2CまたはC2X通信インターフェースを介して提供されるものとする。
【0088】
また、演算器10は、交通信号12と別の交通信号25、26、27との相互関係をデータベースから検索するものとする。HD-マップは、例えば、交通信号12に関する相互関係データを含むものとする。これは、演算器10により検索されるものとする。例えば、図4に示す例示的な状況では、相互関係は、交通信号25および12は、通常同じ信号状態であるという情報を含むものとする。追加的に、相互関係データは、交通信号26および27は、通常、交通信号12および25とは反対の信号状態にあるということを含むものとする。例えば、交通信号12が赤であれば、交通信号25も赤であり、交通信号27および26は青(緑)である。反対に、交通信号12が青であれば、交通信号25も青であり、交通信号27および26は赤である。
【0089】
相互関係データから、演算器10は、例えば、本方法のステップ3において、交通信号12の信号状態の確率に関する基本値を計算するものとする。
【0090】
図4の例において、交通信号25は、例えば赤で、交通信号26および27は青であるとする。したがって、交通信号12が赤の信号状態である基本確率は、比較的高い。
【0091】
交通信号12の信号状態の評価を改善するように、カメラシステム9は、本方法のステップ4において、別の車両13、14、15の移動状態を判定するものとする。特に、移動状態は、全ての別の車両13、14、15、16の個々の移動状態を含むものとする。上述のように、車両13は静止しているものとし、車両14および16は直進しているものとし、車両15は右折しているものとする。
【0092】
この情報から、演算器10は、例えば、交通信号が赤の信号状態であるという確率に対する、例えば時間に依存した補正値を算出し得る。別の車両13、14、15、16の移動状態ならびに障害物であるトラック19の移動状態、すなわち静止した状態であることも、交通信号12が赤であることを示唆している。したがって、補正値は正である。
【0093】
補正値は、演算器10が、何台の別の車両13、14、15、16が観察され、それらの移動状態が赤の信号状態である交通信号12と一致しているか否かを判定するという点において、例えば時間に依存するものとする。別の車両の台数は変化し得るため、補正値も時間に依存し得る。さらに、カメラシステム9の連続したフレームの個数が増加する間に、個々の車両13、14、15、16の同一の移動状態が判定される場合、補正値は、例えば時間とともに増加し得る。
【0094】
この結果、時間の経過とともに赤信号に関する確率が高くなり得る。
【0095】
図5を検討すると、状況は図4の状況に対して変化している。特に、基本確率が変化したものとする。これは、演算器10が、別の交通信号25、26、27に関する異なる信号状態を取得したためとする。特に、交通信号25は、現在、青の信号状態にあるものとし、交通信号26および27は赤の信号状態にあるものとする。この結果、交通信号12が青の信号状態である確率は、比較的高い。
【0096】
さらに、カメラシステム9によって、別の車両13および新たに到着した別の車両17、18の移動状態が判定される。例えば、車両13が、車線22において交通信号25の前で静止していることが判明する。別の車両17は、例えば車線23上を走行しているものとし、車両18は車線24上を走行しているものとする。
【0097】
さらに、カメラシステム9により、現在トラック19が車線21上を走行しており、例えば車線24へと右折していると判定されるものとする。
【0098】
これらの更新された別の車両13、17、18、19の移動状態から、交通信号12が青であるという確率が高いということが推定され得る。したがって、交通信号12が青であるという補正値が正となり、実際の基本確率に加味されて、交通信号12が青色光であるという確率が判定されることとなる。
【0099】
青色光および赤色光の基本確率と補正値との和を意味する全確率が、一定の値になるということが言及される。
【0100】
本方法のステップ5において、交通信号12が青または赤の状態にあるという確率は、演算器10によって、それぞれの基本値とそれぞれの補正値とを合計することにより算出され得る。
【0101】
本方法のステップ6において、車両ガイドシステム8または演算器10は、情報信号を生成し得るとともに、この情報信号を視覚的または聴覚的または触覚的フィードバック信号の形態で車両7のドライバー、すなわち車両7のユーザに提供し得る。この情報信号は、交通信号12の最も確率の高い実際の信号状態を反映している。
【0102】
代替的または追加的に、特に車両7が自動運転車両、例えば、SAE J3016に基づくレベル5の自動運転車両として設計されている場合、ガイドシステム8は、交通信号12が赤または青である確率に応じて車両7を制御し得る。
【0103】
改良されたコンセプトにより、手動および/または自動で制御される車両は、交通信号がトラック等の何らかの物体が障害物となっており、車両の駆動装置および/またはセンサシステムが実際の信号機の状態を直接的に視認したり認識したりできない場合であっても、交通信号の信号状態に基づいて制御され得る。
【0104】
この目的のために、自車両は、シーン内の交通信号および車両を検出可能な単数または複数のカメラが装備されたセンサシステムを利用する。信号の特性を有するHD-マップも、いくつかの例示的な実施例において使用される。
【0105】
改良されたコンセプトにより、交通信号機の実際の状態に関する確かな情報が、実際の状態がそれぞれのセンサにより直接的に視認されなくても、モデル化され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】