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特表2022-541236電子写真印刷のためのアミンベースのプライマーコーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】電子写真印刷のためのアミンベースのプライマーコーティング
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/02 20060101AFI20220914BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20220914BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20220914BHJP
   C09D 133/14 20060101ALI20220914BHJP
   C09D 103/02 20060101ALI20220914BHJP
   G03G 7/00 20060101ALI20220914BHJP
   D21H 19/20 20060101ALI20220914BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
C09D201/02
C09D5/02
C09D5/00 D
C09D133/14
C09D103/02
G03G7/00 B
G03G7/00 101B
D21H19/20 A
B32B27/30 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502826
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020042067
(87)【国際公開番号】W WO2021011610
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】LU101319
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515286656
【氏名又は名称】マイケルマン,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ボスカン・ゲラ,フレディ・エンリケ
【テーマコード(参考)】
4F100
4J038
4L055
【Fターム(参考)】
4F100AJ07B
4F100AK01A
4F100AK12B
4F100AK15B
4F100AK25B
4F100AK26B
4F100AK29B
4F100AL01B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100CA18B
4F100CB00B
4F100EJ65B
4F100JA05B
4F100YY00B
4J038BA122
4J038CG141
4J038CH201
4J038KA09
4J038MA08
4J038MA10
4J038MA14
4J038NA12
4J038PB11
4J038PC08
4J038PC10
4L055AG47
4L055AG71
4L055AG97
4L055AH29
4L055AH37
4L055EA20
4L055EA31
(57)【要約】
電子写真印刷技術は優れた画質を提供するが、所望の基材への画像接着は多くの場合問題となり得る。基材への画像接着性を改善するためのプライマーコーティングは流体と、エマルジョンとして流体中に分散されたアミン官能化コポリマーとを含むプライマー組成物から形成され得、ここで、アミン官能化コポリマーは約10~約180mg KOH/ gコポリマーのアミン価を有する。流体は、水性であっても有機であってもよい。好適なアミン官能化コポリマーは、アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーとの乳化重合反応によって形成することができる。少なくとも1つのアミン基は、アミン官能化コポリマーの側鎖を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマー組成物であって:
水性流体中にエマルジョンとして分散されたエマルジョン重合アミン官能化コポリマーであって、約70~約140mg KOH/gコポリマーのアミン価および約0℃~約50℃のガラス転移温度を有するアミン官能化コポリマー;を含み、
ここで、アミン官能化コポリマーは:
アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマー;及び
少なくとも1つのアミン基を有し、少なくとも1つのアミン基がアミン官能化コポリマーの側鎖を含む、1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマー
の重合反応生成物を含む、前記プライマー組成物。
【請求項2】
前記水性流体が約7以上のpHを有する、請求項1に記載のプライマー組成物。
【請求項3】
さらに、水性流体中に分散された中性界面活性剤または陰イオン界面活性剤を含む、請求項1または2に記載のプライマー組成物。
【請求項4】
さらに、水性流体中に分散されたデンプンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
【請求項5】
さらに、水性流体中に分散されたアミン官能化コポリマーとは異なる接着促進剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
【請求項6】
プライマー組成物であって:
流体;および
流体中に分散されたアミン官能化コポリマーであって、約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマー;を含み、
ここで、アミン官能化コポリマーは:
アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマー;及び
少なくとも1つのアミン基を有し、少なくとも1つのアミン基がアミン官能化コポリマーの側鎖を含む、1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマー
の重合反応生成物を含む、前記プライマー組成物。
【請求項7】
さらに、流体中に分散されたアミン官能化コポリマーとは異なる接着促進剤を含む、請求項6に記載のプライマー組成物。
【請求項8】
アミン官能化コポリマーが、側鎖カルボン酸を有する少なくとも1つのモノマー単位をさらに含む、請求項6または7に記載のプライマー組成物。
【請求項9】
アミン価が約70~約140mg KOH/gコポリマーの範囲で請求項6~8のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項10】
アミン官能化コポリマーが、流体中にエマルジョンとして分散されている、請求項6~9のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項11】
さらに、流体中に分散された中性界面活性剤または陰イオン界面活性剤を含む、請求項6~10のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
【請求項12】
前記1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーが、アルキルまたはシクロアルキル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ジエン、1,3-ブタジエン、ビニルエステル、ニトリル、(メタ)アクリロニトリル、オレフィン性不飽和ハロゲン化物、臭化ビニル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、置換(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアミド、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含む、請求項6~11のいずれかに記載のプライマー組成物。
【請求項13】
1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーが、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含む、請求項6~12のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
【請求項14】
アミン官能化コポリマーが、プロトン化されているアミン基の第1の部分と、プロトン化されていないアミン基の第2の部分とを含む、請求項6~13のいずれか一項記載のプライマー組成物。
【請求項15】
さらに、流体中に分散したデンプンを含む、請求項6~14のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
【請求項16】
前記アミン官能化コポリマーが、約0℃~約50℃のガラス転移温度を有する、請求項6~15のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項17】
前記流体が水性流体を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
【請求項18】
被覆基材であって:
ベース基板;及び
ベース基板の表面上に配置されたプライマーコーティング;を含み、
ここで、前記プライマーコーティングは、約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを含み;
ここで、アミン官能化コポリマーは:
アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマー;及び
少なくとも1つのアミン基を有し、少なくとも1つのアミン基がアミン官能化コポリマーの側鎖を含む、1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマー
の重合反応生成物を含む、前記被覆基材。
【請求項19】
前記ベース基材がポリマー基材を含む、請求項18に記載のコーティングされた基材。
【請求項20】
ベース基材が紙基材を含む、請求項18に記載のコーティングされた基材。
【請求項21】
前記プライマーコーティングがデンプンをさらに含む、請求項20に記載のコーティングされた基材。
【請求項22】
下塗りコーティングが、約0.05g/m2~約1.5g/m2の範囲のコーティング量を有する、請求項18~21のいずれか1項に記載のコーティングされた基材。
【請求項23】
前記アミン官能化コポリマーが、約0℃~約50℃のガラス転移温度を有する、請求項18~22のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
【請求項24】
プライマーコーティングが、中性界面活性剤または陰イオン界面活性剤をさらに含む、請求項18~23のいずれか1項に記載のコーティングされた基材。
【請求項25】
さらに、プライマーコーティング上に付着したトナーを含む、請求項18~24のいずれか1項に記載のコーティングされた基材。
【請求項26】
前記プライマーコーティングが、
ベース基材上にコーティング組成物を堆積させるステップであって、コーティング組成物は、水性流体中にエマルジョンとして分散されたアミン官能化コポリマーを含む、ステップ;及び
水性流体を蒸発させて、下地基板上に配置されたプライマーコーティングを残すステップ;
を含むプロセスによって前記ベース基板上に配置される、請求項18~25のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
【請求項27】
方法であって:
アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーを、水性流体中に少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーと組み合わせるステップ:及び
水性流体中で行われる1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーおよび1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーの乳化重合反応において、約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを形成し、それによって、水性流体中にエマルジョンとして分散されたアミン官能化コポリマーを含むコーティング組成物を提供するステップ:
を含む、方法。
【請求項28】
ベース基板上にコーティング組成物を配置するステップ;及び
水性流体を蒸発させて、アミン官能化コポリマーをベース基板上にプライマーコーティングとして配置したままにするステップ
をさらに含む、請求項27記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、令和1年7月18日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、ルクセンブルグ特許出願101319による35 U.S.C. §119に基づく優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
液体電子写真システムに基づくオンデマンドディジタル印刷機は、現代のレーザ印刷およびコピー機システムで広く使用されている。電子写真システムは感光ドラム上に潜像を形成し、次いで、ドラム上の潜像に液体トナーを適用して、その後の転写のための物理的画像を形成する。エチレン/アクリル共重合体組成物であるHP ELECTROINKは、一般的に使用される液体トナー系の一例である。トナー露光に続いて、画像は次いで、紙またはポリマーフィルム基材などの繊維基材に印刷するために、中間転写ブランケットまたはベルト上に電気的に転写される。液体電子写真印刷では高画質を達成することができるが、転写された画像は通常、基材が適切な下塗りコーティングで予め処理されていない限り、繊維基材に良好に付着しない。プライマーコーティングは、通常、トナー中の相補的有機官能基との化学的相互作用を促進して、基材の表面へのトナーの強力な化学的接着を促進するのに適した官能基を含むように選択される。適切な基材接着はまた、プライマーコーティングの重要な要素である。
トナー付着不良は、多くの理由で起こり得る。一例では、基材の表面上でのトナー粒子の不完全な融合が接着不良につながり得る。さらに一般的には、転写された画像内のトナー粒子が基材またはその上のプライマーコーティングと弱くしか相互作用せず、その結果、表面接着性が悪くなる。トナー粒子とプライマーコーティングとの間の化学的相互作用が制限されている場合、トナー付着性が悪くなることがある。したがって、プライマーコーティング内に存在する官能基は、トナー内の相補的官能基との強力な化学的相互作用、例えば水素結合または塩架橋形成を促進するように選択することができる。カルボキシレート、アミン、およびアルコールのような官能基はこれらのタイプの官能基が水素結合を供与し、かつ受け取ることができるので、この点において特に好適であり得る。水素結合を供与または受容することができる過剰な官能基の存在のために、プライマーコーティングが過度に親水性である場合、プライマーコーティングは、水に対する耐性が乏しい場合がある。それらの乏しい耐水性に加えて、過剰量のアミン官能基を有するいくつかのポリマーは、穏やかに腐食性であり得、および/または経時的に変色(特に黄変)を受け得、それによって、多くの場合、良好なトナー接着性を提供するにもかかわらず、それらの適用性を制限する。
【発明の概要】
【0003】
詳細な説明
本開示は一般に、液体電子写真印刷のためのプライマー組成物に関し、より具体的には、特定のアミン含量を有するポリマーを特徴とするプライマー組成物およびプライマー被覆基材、ならびにその製造方法に関する。
上述したように、液体電子写真印刷は、非常に強力な画像形成技術である。しかしながら、特定の基材上への電子写真画像の転写は、基材の表面への不十分な画像付着のために問題となり得る。基板の接着は、場合によっては問題になることもある。プライマーコーティングは基材への画像接着性を改善するために使用され得るが、いくつかのプライマーコーティングは限定された耐水性を示すか、または経時的に変色を受け得、それによって、それらの実用的な使用を制限する。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示は、ポリマー基材および紙基材を含む種々の基材上にプライマーコーティングを形成するために使用され得るプライマー組成物を記載する。本明細書に開示されるプライマー組成物は、トナー付着を促進するのに十分な数のアミン基を側鎖上に有するアミン官能化コポリマー、特にHP ELECTROINKトナーを特徴とする。
同時に、プライマー組成物は、コーティングの堅牢性(過剰な水溶性による)または変色が経時的に問題となる負荷で、またはそれ未満でアミン基の量を制限する。特に、本明細書に開示されるプライマー組成物は、約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを特徴とする。アミン官能化コポリマーは2つ以上のエチレン性不飽和モノマーのコポリマーであってもよく、ここで、エチレン性不飽和は重合を受けて、各モノマーから誘導される飽和ポリマー骨格を生成し得、モノマーの少なくとも1つはアミン含有側鎖を有する。アミン数は以下に特定されるように、実験的に計算または決定され得る。
本明細書の開示において、「アミン数」はアミン官能化コポリマー中のアミン含有モノマーの重量分率をとり、アミン含有モノマーの分子量で割り、KOHの分子量で乗算し、最後に結果に1000を乗算することによって決定され得る。実験的アミン価は、例えば電位差滴定を行うことによって実験的に検証することもできる。アミン数の計算において、アミン含有モノマーの重量分率は、全てのアミンが遊離アミンとして存在するわけではないとしても、計算目的のために修正され得る。本明細書中で使用される場合、「遊離アミン」は、アミン塩ではなく、「アミン数」に寄与する
「遊離アミン」という語は結合していない孤立電子対が存在し、アミンがプロトン化または四級化されておらず、正の充電を有する、任意の第一級、第二級または第三級アミンを指す。すなわち、「遊離アミン」はその塩基性を維持する。遊離アミンの量が前述の範囲にアミン番号を配置するのに十分なままであるならば、遊離アミンに加えて本明細書に開示されるプライマー組成物中にプロトン化、四元化、及び/又は同様に官能化されたアミン基が存在してもよいことが理解されるべきである。アミンプロトン化は以下でさらに論じるように、外部から添加された酸から、および/または酸性側鎖を有するオレフィン性不飽和モノマーの存在から生じ得る。アミン数を低下させる際の酸または第四級化基の効果は存在する酸または第四級化基のモル数を計算し、存在するアミン含有モノマーのモル数から減算し、次いで上記のようにアミン数を計算することによって決定され得る。もはや塩基性ではないアミドのようなアミン誘導体は同様に、本明細書の開示においてアミン価に寄与しない。
非限定的な例として、約10mg KOH/gポリマー~約180mg KOH/gポリマーのアミン価は、約3重量の負荷に対応する。% アミン含有モノマージメチルアミノエチルメタクリレートを有するアミン官能化コポリマーについては、アミン基のいずれもプロトン化されていない(例えば、外部から添加された酸および/または酸性側鎖を有するモノマーから)という条件で、約52重量%まで。アミン基の塩基性度を排除する酸性側鎖および/または官能化を有するモノマーが存在しない場合、アミン基が実質的に脱プロトン化されたままであるためにpHが十分に高いという条件で、アミン数と存在するアミン含有モノマーの重量パーセンテージとの間に直接的な相関が存在し得る。
カルボン酸またはスルホン酸などの酸性側鎖を有するモノマーは、アミン官能化コポリマー中に存在してもよい
このことは、そのような酸性モノマーの量がアミン数が前述の範囲内に留まるように(すなわち、十分に少数のアミン基が酸性基によって内部的にプロトン化されるように)十分に少ないことを条件として、可能である。酸性モノマーの量が存在するアミン基の数に対して多すぎる場合、アミン数は、プライマーコーティングへの不十分なトナー付着が生じる程度まで減少し得る。アミン官能化コポリマーに制限された量のカルボン酸基を組み込んで、例えば、紙基材などの特定のタイプの基材へのプライマーコーティング自体の接着を促進することが望ましい場合がある。カルボン酸基はまた、印刷産業で従来使用されている添加剤との相溶性を改善することができる。同様に、変色および過剰な親水性を避けるために、アミン官能化コポリマー中のアミン基の総数を制限することが望ましい場合がある。したがって、基材接着とトナー接着との間のバランスをとることは、本明細書中の開示に提供されるように、適切なアミン価がどのように達成されるかを慎重に考慮することによって達成され得る。
本明細書に開示されるプライマー組成物は、HP INDIGOトナーを含む、トナー付着を促進するためにプライマーコーティング内で以前に使用されてきたポリエチレンイミンと比較して、いくつかの利点を提供することができる。本開示のアミン官能化コポリマーはポリエチレンイミンよりもかなり少ないアミン基を有するように配合することができ、それによって、水分解および/または時間の経過に伴う変色に対するプライマーコーティングの感受性を低下させる。さもなければ、アミン数が前述の範囲内にとどまるならば、本明細書に開示されるアミン官能化コポリマーにはかなりの構造許容性がある。
本明細書中に記載されるプライマー組成物は、アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を含む1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーとを組み合わせることによって、乳化重合技術によって容易に調製され得る。各タイプの単一のモノマーまたは各タイプの複数のモノマーは、本明細書の開示において重合を受けることができる。第1のエチレン性不飽和モノマーと第2のエチレン性不飽和モノマーとの間の比(モル比または重量比)は、非限定的な例として、プライマー組成物中で得られるコポリマーのアミン数および/または疎水性を調整するために容易に変えることができる。コポリマー中の親水性モノマーおよび疎水性モノマーの両方の存在は、非限定的な例において、トナー付着および耐薬品性を促進するのに役立ち得る。乳化重合以外の重合技術を使用して、本開示のコポリマーを調製してもよいが、製造したままのコポリマーエマルジョンは所望の基材上にプライマーコーティングを形成するために直接堆積されてもよく、場合によってはインクジェット印刷を容易にするために多価金属塩を組み合わせた後に、有利であり得る。コポリマーエマルジョンはまた、非限定的な例として、紙基材上へのプライマーコーティングの堆積を促進するために、種々のタイプのデンプンと適合性である。
本明細書に記載のプライマー組成物およびそれから形成されるプライマーコーティングは、HP INDIGOトナーの接着を促進するのに特に有効であり得る。接着は、ASTM F2252/F2252Mに明記され、本明細書中で改変された形態でさらに記載されるようなテープ引張試験を使用して、相対的にアッセイされ得る。有利には、本明細書中に記載されるプライマー組成物が多くの他のタイプのプライマー組成物とは対照的に、HP INDIGOトナーの異なる色間の非常に限定された接着可変性を実証する。すなわち、本開示のプライマーコーティングは、黒色トナーと着色トナーとの間に匹敵する接着性を与える。他のタイプの下塗りコーティングでは、両方のタイプのトナーでテープ引っ張り試験に合格することが困難な場合がある。
したがって、本開示のプライマー組成物は、流体、特に水性流体、および流体中に分散されたアミン官能化コポリマーを含み得る。アミン官能化コポリマーは少なくとも1つのアミン基がアミン官能化コポリマーの側鎖を含むように、アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含む。アミン官能化コポリマーは、約10~約180mg KOH/gコポリマー、または約30~約160mg KOH/gコポリマー、または約50~約60mg KOH/gコポリマーのアミン価をさらに有する。
アミン官能化コポリマーは、約60~約80mg KOH/gコポリマー、または約80~約100mg KOH/gコポリマー、または約100~約115mg KOH/gコポリマーのアミン価をさらに有する。
アミン官能化コポリマーは、約115~約130mg KOH/gコポリマー、または約130~約150mg KOH/gコポリマーのアミン価をさらに有する。このようなアミン官能化コポリマーの他の例は、約70~約140mg KOH/gコポリマーのアミン価を有し得る。アミン価の範囲は特に有効なトナーを提供することと、範囲の下限において基材接着との間の妥協を表し、一方、範囲の上限において過度に親水性のアミン官能化コポリマーを提供しない(すなわち、過度の水溶性に向かう傾向がある)。本明細書中に開示されるプライマー組成物は、液体電子写真印刷における使用に特に適切であり得る。
アミン官能化コポリマーは、水性流体中に溶解されてもよく、または水性流体中にエマルジョンとして分散されてもよい。本質的に有機媒体中で調製されるエマルジョン(例えば、油中水型エマルジョン)もまた、本開示の範囲内にある。有利には、アミン官能化コポリマーがエマルジョン重合反応混合物として直接プライマー組成物を形成するために、以下でさらに詳細に議論されるエマルジョン重合を使用して容易に調製され得る。本明細書の開示における使用に適した他の重合技術には、例えば、バルク重合または溶液重合が含まれる。任意の重合技術において、重合は適切なラジカル開始剤を用いて開始され得、その例示的な例は以下に提供される。
本明細書中に開示されるプライマー組成物のより具体的な例は、水性流体内にエマルジョンとして分散されたエマルジョン重合アミン官能化コポリマーを含み得る。アミン官能化コポリマーは、アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含む。少なくとも1つのアミン基はアミン官能化コポリマーの側鎖を含み、アミン官能化コポリマーは、約70~約140mg KOH/gコポリマーのアミン価および約0℃~約50℃のガラス転移温度をさらに有する。他の特定の例は、約10~約180mg KOH/gコポリマーの範囲のアミン価および約0℃~約50℃のガラス転移温度、または本明細書に開示される任意の他の適切な範囲のアミン価を有するアミン官能化コポリマーを含み得る。ガラス転移温度(Tg)は、DSC3+装置(メトラートレド(Mettler Toledo))を用いた示差走査熱量測定によって決定することができる。
これは、20℃/分ランプでの-60℃への最初の冷却、この温度での5分間の安定化期間、120℃/分の温度までの20℃/分のランプでの加熱、およびこの温度での5分間の第2の安定化期間からなるスキャニングサイクルを使用することによって決定され得る。
本開示での使用に適した水性流体は、アルコールまたはグリコールなどの水混和性有機溶媒と混合された水または水を含むことができる。
本開示における水性流体はアミン官能化コポリマーのアミン価を前述の範囲内に維持するために、非酸性pHを有する可能性がある。すなわち、水性流体は、本開示において、約7以上のpHを有する可能性がある。より具体的な例では、水性流体が約7~約10、または約7.5~約10、または約8~約10の範囲のpHを有する可能性がある。
pHは、約8.5~約10、または約9~約10、または約9.5~約10、または約7.5~約9.5、または約7.5~約9、または約7.5~約8.5、または約7.5~約8、または約8~約9.5の範囲であってもよい。
pHは、約8~約9、または約8~約8.5、または約8.5~約9.5、または約8.5~約9の範囲であり得る。前述のpH値では、アミン官能化コポリマー中のアミン基が完全に脱プロトン化されてもよく、それぞれアミン数に寄与する。本開示におけるpH値は、使用前にpH4、pH7およびpH10標準を使用して較正された1M KCl電解質溶液を使用するガラス電極を用いて室温で測定することができる。HachのSENSION+ PH3装置を使用した。
7未満のpH値では、アミン基の一部がプロトン化され、存在するアミン基の総数に基づいて理論的に可能な数未満にアミン数を減少させることができる。アミン価が上記で特定された範囲内に留まるならば、7未満のpH値もまた、本明細書中の開示において許容され得る。また、以下に特定されるように、酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーもまた、限定された量で存在し得、そして同様に、存在するアミン基の総数に基づいて理論的に可能なアミン数未満にアミン数を減少させる。
少なくとも1つのアミン基を含むエチレン性不飽和モノマーは、第一級アミン、第二級アミンまたは第三級アミンのいずれか1つ以上を適切に含み得る。少なくとも1つのアミン基はアミン基を欠くエチレン性不飽和モノマーとの一旦共重合が起こると、少なくとも1つのアミンがアミン官能化コポリマーの側鎖として組み込まれるように、エチレン性不飽和モノマーに付加されてもよい。本明細書の開示における使用に適し得る少なくとも1つのアミン基を含むエチレン性不飽和モノマーの特定の例には、以下が含まれる。
例としては、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(エチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(エチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(メチルアミノ)エチルメタクリレートが挙げられる。
例としては、3-(メチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(tert-ブチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミドが挙げられる。
例としては、2-(メチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3-(メチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2-(エチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3-(エチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3-(tert-ブチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、ビニルアミン、アリルアミン、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。対応するアシルアミド系モノマー、特に2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレートもまた、特定の状況において適切であり得る。したがって、本開示の任意の実施形態において、少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つのアミン基を有するアクリルアミドまたはメタクリルアミドモノマーを含み得る。特定の例において、1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーの全ては、アミン基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーであり得る。
アミン基を欠くエチレン性不飽和モノマーの好適な例は、特に限定されるとは考えられない。特定の例は例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレートを含み得る。
例としては、スチレンまたはその置換変異体;ジエン、例えば1,3-ブタジエンまたはイソプレン;ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルアルカノエートまたはそれらの誘導体;ニトリル、例えば(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
例としては、アクリルアミドまたはメタクリルアミド;塩化ビニルなどのオレフィン性不飽和ハロゲン化物;αオレフィン;またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
アミン官能化コポリマー中に存在し得るアミン基を欠く適切なエチレン性不飽和モノマーのさらに他の例は以下を含む。
例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ官能化モノマー;N-メチロール(メタ)アクリルアミドおよびジアセトンアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。
例としては、ポリビニルモノマー(例えば、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、および種々のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート)が挙げられる。
存在する場合、アミン官能化コポリマーに組み込まれ得る適切なαオレフィンとしてはエチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。偶数個の炭素原子を有する直鎖アルファオレフィンはそれらの容易な商業的入手可能性のために、特に適切であり得る。
アミン官能化コポリマーの特に適切な例は、少なくとも1つのアミン基を含むオレフィン性不飽和モノマーを約1重量%~約60重量%含有し得る。より具体的な例では、約5重量%~約45重量%、または約10重量%~約40重量%、または約10重量%~約25重量%、または約25重量%~約40重量%の 少なくとも1つのアミン基を含むオレフィン性不飽和モノマーが存在してもよい。
好適なアミン官能化コポリマーのさらにより具体的な例は、約60重量%~約100重量%のアクリレートまたはメタクリレートモノマー、およびアクリレートまたはメタクリレートモノマーではない約40重量%以下のエチレン性不飽和モノマーを含み得る。本開示のいくつかのアミン官能化コポリマーは全てのアクリレートまたはメタクリレートモノマーを含んでもよく、その場合、アクリレートまたはメタクリレートモノマーの第1の部分は少なくとも1つのアミン基を含有してもよく、アクリレートまたはメタクリレートモノマーの第2の部分はアミン基を欠いていてもよい。必要に応じて、アクリレートまたはメタクリレートモノマーの第3の部分は以下に特定されるように、すべてのアクリレートまたはメタクリレートモノマーを含むアミン官能化コポリマー中に側鎖カルボン酸またはスルホン酸を有し得る。
上述のように、アミン官能化コポリマーは側鎖カルボン酸またはスルホン酸を有する少なくとも1つのモノマー単位をさらに含み得るが、但し、このような酸含有モノマー単位の量は上記に開示された範囲でアミン価を残すことを条件とする。適切な酸含有モノマーは存在する場合、エチレン性不飽和を含み、前述の第1および第2のエチレン性不飽和モノマーと共重合可能である。例示的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸水素メチル、マレイン酸水素エチル、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸およびシトラコン酸が挙げられ得るが、これらに限定されない。スルホン酸基を含有する適当なモノマーは例えば、ビニル基で誘導体化されたスチレンスルホン酸または2-アミノメチルプロパンスルホン酸を含むことができる。加水分解性モノマーは、アミン官能化コポリマーに側鎖カルボン酸基を導入するために同様の様式で使用され得ることが理解されるべきである。適切な加水分解性モノマーは例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、フマル酸メチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリルアミド、メタクリロニトリル、フマロニトリルなどを含み得る。ポリマーのカルボン酸またはスルホン酸官能化は所望であれば、または合成的に実現可能であれば、重合に続くポリマー側鎖の合成変換を通して起こり得ることも理解されるべきである。
存在する場合、エチレン性不飽和を有する酸含有モノマーはアミン官能化コポリマー中に、約0.1重量%~約1重量%、または約1重量%~約5重量%、または約5重量%~約10重量%などの10重量%未満の量で存在し得る。いくつかの例では、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの任意の誘導体である酸含有モノマーを、すべてアクリレートまたはメタクリレートである他のモノマーと共重合させることができる。他の例では、アクリレートまたはメタクリレートではない酸含有モノマーを、全てアクリレートまたはメタクリレートである他のモノマーと共重合させることができる。さらに他の例ではアクリレートまたはメタクリレートではない酸含有モノマーを、すべてのアクリレートまたはメタクリレートではないが、好ましくは他のモノマーの少なくとも一部がアクリレートまたはメタクリレートである他のモノマーと共重合させることができる。
本開示のプライマー組成物は、界面活性剤または別の適切な湿潤剤をさらに含み得る。適切な界面活性剤は例えば、中性界面活性剤(双性イオン界面活性剤および非荷電界面活性剤を含む)および陰イオン界面活性剤を含み得る。対照的に、カチオン性界面活性剤は乳化重合中に合成的に困難であることが判明し、トナー粒子とプライマーコーティングとの間の接着を妨害することがある。しかしながら、特定の状況では、カチオン性界面活性剤でさえ、本開示において適切に使用され得る。
適切な中性界面活性剤には、例えば、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルエトキシレート、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、およびそれらの混合物が含まれ得る。存在する場合、これらのタイプの中性界面活性剤は本開示のプライマー組成物中に、全モノマーを基準にして約0.5重量%~約2.0重量%の範囲の量で存在し得る。本明細書中に開示されるプライマー組成物において使用するための他の適切な中性界面活性剤としては、例えば、ポロキサマー、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセロールエステル、脂肪酸ソルビトールエステルなどが挙げられる。他の中性界面活性剤としては、例えば、乳化剤(例えば、レシチンまたはグリセロールエステル)、またはポリマーコロイド(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、他のセルロース誘導体など)が挙げられ得る。本明細書中の開示における使用に適切であり得る双性イオン界面活性剤は例えば、ベタインおよびスルタインを含む。
本明細書の開示において使用するのに好適なアニオン性界面活性剤は例えば、アルキルエトキシレートスルフェートおよびスルホネート、アルキルフェノールエトキシレートスルフェートおよびスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、スルホコハク酸塩、およびそれらの混合物を含み得る。存在する場合、これらの型のアニオン性界面活性剤は本開示のプライマー組成物中に、全モノマーを基準にして約0.02重量%~約0.5重量%の範囲の量で存在し得る。本明細書中に開示されるプライマー組成物中での使用に適した他の陰イオン界面活性剤としては、例えば、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの長鎖脂肪酸のカルボン酸塩、または長鎖アルコールのリン酸エステルが挙げられる。
本開示のプライマー組成物はデンプンと適合性であり、デンプンは必要に応じて、紙基材へのトナー結合を促進するために、プライマー組成物に含まれてもよい。適切なデンプンは例えば、イオン性デンプン、酸化デンプン、エトキシル化デンプン、ヒドロキシルアルキル化デンプン、カルボキシル化デンプン、アミノ化デンプンなどのような変性デンプン、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。デンプンは、酸化、酸薄化、または官能化によって化学的に修飾されてもよく、または酵素的に修飾されてもよい。デンプンは、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、コムギ、コメ、サゴ、タピオカ、蝋質トウモロコシ、モロコシ、高アミロースコーンなどを含む任意の植物源に由来し得る。存在する場合、デンプンは、アミン官能化コポリマーよりも多量にプライマー組成物中に含まれ得る。例示的な実施例において、デンプンは、プライマー組成物中の全固形分の約50重量%~約95重量%の範囲の量でプライマー組成物中に存在し得る。特定のデンプンの選択は、プライマー組成物自体と無関係であってもよく、印刷プロセスに関連する他の変数によって決定されてもよい。特定のデンプンを選択するための考察は、当業者によく知られている。
アミン官能化コポリマーとは異なる他の接着促進剤もまた、本明細書中に開示されるプライマー組成物中に適切に存在し得る。デンプンに加えて、他の適切な接着促進剤は例えば、ポリビニルアルコール、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、グアー、天然ゴム、セルロースエーテル、尿素、ステアリン酸塩、水素化炭化水素ロジンまたはロジンエステル、アクリルポリマー分散液など、およびそれらの任意の組み合わせを含み得る。接着促進剤は、固形分基準で約10重量%~約90重量%の範囲の量で存在することができる。存在する場合、接着促進剤は、接着促進剤:アミン官能化コポリマー比が約1:5~5:1、または約1:1~5:1、または約1:5~1:1の範囲であるような量で存在し得る。理論に束縛されるものではないが、接着促進剤は下塗りコーティングの基材への接着を促進すること、および/または下塗りコーティングへのトナーの接着を促進することを助けることができる。
本明細書中に開示されるプライマー組成物中に存在し得るさらに他の添加剤としては、例えば、顔料、色素、蛍光増白剤、架橋剤、消泡剤、帯電防止剤、分散剤、増粘剤、ワックス、充填剤、殺生物剤、レオロジー調整剤、防腐剤およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
アミン数が上記の範囲内にあるならば、アミン基はプロトン化および非プロトン化アミンの両方を含むことができる。
および/またはアミンの少なくとも一部が官能化されて、四元化アミン基または孤立対または電子をもはや持たないアミン誘導体(例えば、アミド、ウレタン、ウレタンなど)を形成してもよい。特定の例では、アミン官能化コポリマーがプロトン化されているアミン基の第1の部分およびプロトン化されていないアミン基の第2の部分を含み得る。他の例では、アミン官能化コポリマーが四級化または官能化されたアミン基の第1の部分と、四級化されていないかまたは官能化されていないアミン基の第2の部分とを含むことができる。アミン基の総数は、ポリエチレンイミンのようなアミンリッチポリマーで一般的に生じる問題で水溶性および変色を避けるために制限され得る。
四元化アミン基を形成するための適切な試薬は例えば、ハロゲン化アルキルまたはスルホン酸アルキルなどのエポキシドおよび求電子剤を含んでもよい。いくつかの例において、適切なエポキシドは、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、およびアミン官能化コポリマーのさらなる架橋が起こることを可能にし得る類似の化合物などの二官能性化合物であり得る。例えば、グリシジルメタクリレートは、堆積したプライマーコーティングが放射線によって硬化可能であることをもたらし得る。さらに、四極化アミングループを形成する試薬は、特定の状況において、基質接着を改善する余裕がある。
本開示のアミン官能化コポリマーは特定のコーティング用途に合わせた特性を有することができ、調整は、重合を受けるモノマーおよびその量を変化させることによって実現することができる。変化させることができる特性には、例えば、疎水性/疎水性、分子量、ガラス転移温度などが含まれる。本開示の特に望ましいアミン官能化コポリマーは、約0℃~約50℃の範囲のガラス転移温度を有し得る。この範囲のガラス転移温度は、非限定的な例では良好なフィルム形成特性をもたらすことができる。ガラス転移温度が低すぎると、過剰な粘着性が生じることがある。ガラス転移温度は、上記の条件下で示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。
また、本開示における、約1x104~約1x107または約2x104~約1x106、または約1x105~約1x106までのいずれかである。架橋が起こる場合、さらに高い分子量が実現され得る。前述の範囲外のポリマー分子量もまた、本明細書の開示における使用に適切であり得ることが理解されるべきである。本開示におけるポリマー分子量は重量平均分子量(Mw)であり、屈折率(RI)検出を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定され得る。本明細書のGPC分析はポリマーエマルジョンを乾燥させ、ポリマーをTHFに再溶解し、0.45μmフィルターを通して濾過した後、3カラムを直列に含むShimadzu LC-20AD GPC装置(STYRAGEL HR2、STYRAGEL HR4、およびSTYRAGEL HR6、Waters)および屈折率検出器(Waters 2410)に注入することによって行った。THF流速1mL/分で35℃でクロマトグラムを得、ポリスチレン標準に対して分子量を計算した。
本開示のプライマー組成物から形成されるプライマーコーティングでコーティングされた基材もまた、本明細書に提供される。そのようなコーティングされた基板は、ベース基板、およびベース基板の表面上に配置されたプライマーコーティングを含み得る。プライマーコーティングは、約10~約180mg KOH/gコポリマー、または約70~約140mg KOH/gコポリマー、または約30~約160mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを含む。
プライマーコーティングは、約50~約60mg KOH/gコポリマー、または約60~約80mg KOH/gコポリマー、または約80~約100mg KOH/gコポリマー、または約100~約115mg KOH/gコポリマーを含む。
プライマーコーティングは、約115~約130mg KOH/gコポリマー、または約130~約150mg KOH/gコポリマーを含む。
この場合、アミン官能化コポリマーは、アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含む。少なくとも1つのアミン基は、アミン官能化コポリマーの側鎖を含む。上に特定されるアミン官能化コポリマーのいずれも、本明細書に記載されるプライマーコーティングおよびコーティングされた基材を形成する際に使用され得る。
プライマー組成物が適切な基板の表面上に堆積されたら、水性流体を除去して、表面上に適切な重量または厚さで配置されたアミン官能化コポリマーを含むプライマーコーティングを残すことができる。プライマー組成物の任意の不揮発性成分もまた、プライマーコーティング内に残り得る。堆積後にプライマーコーティング内に残存し得る他の成分の非限定的な例としては、例えば、界面活性剤、デンプン、または上記に列挙した他の添加剤のいずれかが挙げられる。
非限定的な例では、プライマーコーティングが本開示のコーティング組成物をベース基板上に堆積させることを含むプロセスによって、適切なベース基板上に配置されてもよい。
具体的には、アミン官能化コポリマーを含むコーティング組成物が水性流体内にエマルジョンとして分散され、水性流体を蒸発させて、下地基板上に配置されたプライマーコーティングを残す。場合によっては、水性流体の除去を促進するために、加熱および/または真空の適用が行われてもよい。場合によっては、基板の表面からの水性流体の除去を容易にするために、ガス流を使用することもできる。
本明細書中に開示されるプライマーコーティングでコーティングされ得る適当な塩基材は、特に限定されないと考えられる。適切にコーティングされ得る例示的なベースは例えば、ポリマーベース、不織ベースおよび紙ベースを含む。適当な塩基材の特定の例としては紙(例えば、美術紙、コート紙、板紙、プリンタ紙、厚紙など)、フィルム(ポリマーフィルムを含む)、不織材料などが挙げられ得るが、これらに限定されない。本明細書中で使用される場合、用語「フィルム」は例えば、ビスコース、アセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、またはポリエステル、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)もしくはポリ(ブチレンテレフタレート)などの有機ポリマー材料から作製される基板を指す。本明細書中で使用される場合、用語「不織」は、個々の繊維が少なくとも部分的に一緒に融合されている、木材セルロース、綿、レーヨン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレンなどの繊維材料から作製される基材を指す。
当業者によって理解され得るように、BOPPおよび他のポリオレフィン基材は低表面エネルギー材料であり、これは、それらを湿潤させることを困難にする。このような基材のコロナ処理は、プライマーコーティングの接着を促進するのに適した官能基を導入するためにしばしば行われる。本明細書中に開示されるプライマーコーティングは親水性モノマーと親油性モノマーとの間のバランスのために、このようなコロナ処理された基材に対して良好な接着性を示し得る。
基材表面上に堆積される場合、プライマコーティングは、約0.05g/m2~約0.7g/m2、または約0.1g/m2~約0.6g/m2、または約0.1g/m~約0.2g/m2の範囲のコーティング重量を有することができる。
重量は、約0.2g/m2~約0.3g/m2、又は約0.3g/m2~約0.4g/m2、又は約0.4g/m2~約0.5g/m2、又は約0.5g/m2~約0.6g/m2、又は約0.6g/m2~約0.7g/m2である。デンプンがプライマー組成物中に存在する場合、プライマーコーティングは、1.5g/m2までのさらに高いコーティング重量を有し得る。従って、スターチを含むコート重量は、約0.05g/m2~約1.5g/m2、または約0.1g/m~約0.5g/m2であり得る。
重量は、約0.5g/m2~約0.9g/m2、または約0.9g/m~約1.2g/m2、または約1.2g/m~約1.5g/m2である。デンプンを欠くプライマーコーティングもまた、これらのより高いコーティング重量で存在し得る。いずれかのタイプのコーティング厚さは、約0.1ミクロン~約5ミクロン、または約0.3ミクロン~約3ミクロン、または約0.5ミクロン~約2ミクロンの範囲であり得る。
本開示のコーティングされた基材は、例えば電子写真画像の形成でプライマーコーティング上に堆積されたHP INDIGOなどのトナーをさらに含んでもよい。プライマーコーティング上に形成され得る電子写真画像はテキスト、イラストレーション、写真画像などを含むが、これらに限定されない。トナーを含むコーティングされた基材は、非限定的な例では液体電子写真印刷によって形成されてもよい。
本開示のプライマー組成物を形成するための方法もまた、本明細書中で企図される。プライマー組成物を形成するための適切な方法は、特定のプロセス構成において乳化重合技術を特徴とし得る。この方法は、アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーを、水性流体中に少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーと組み合わせることを含み得る。
この方法は、約10~約180mg KOH/gコポリマー、または約70~約140mg KOH/gコポリマー、または約30~約160mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを形成することを含み得る。
アミン価は、約50~約60mg KOH/gコポリマー、または約60~約80mg KOH/gコポリマー、または約80~約100mg KOH/gコポリマー、または約100~約115mg KOH/gコポリマーである。
アミン価は、水性流体中で行われる1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーおよび1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーの乳化重合反応において、約115~約130mg KOH/gコポリマー、または約130~約150mg KOH/gコポリマーである。
それによって、水性流体中にエマルジョンとして分散されたアミン官能化コポリマーを含むコーティング組成物を提供する。アニオン性または非イオン性界面活性剤を水性流体中で使用することができ、非イオン性界面活性剤は、アニオン性またはカチオン性添加剤のいずれかとブレンドした後、プライマー組成物を使用することができる潜在的基質の範囲を延長する。
乳化重合に使用することができるラジカル開始剤には、例えば、過硫酸アルカリ、過硫酸アンモニウム、4,4’-アゾビス-シアノ吉草酸またはAIBNなどのアゾ開始剤、およびt-ブチルヒドロ過酸化水素などの有機(ヒドロ)過酸化水素が含まれる。アゾ開始剤は、アミン含有モノマーとの酸化還元反応に関与することなく重合を開始するそれらの能力のために特に望ましいことがある。ラジカルは、反応混合物を加熱することによって、またはとりわけアスコルビン酸またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムなどの還元剤を使用することによって形成することができる。重合反応は、約20℃~約90℃の範囲の温度で起こり得る。調節剤としても知られる有機連鎖移動剤、例えば、とりわけ、2-メルカプトエタノール、tert-ドデシルメルカプタンはまた、その調製中にコポリマーの分子量を制御するために実施され得る。
下地基板上へのプライマー組成物の堆積は下地基板の少なくとも1つの表面にプライマー組成物を適用し、乾燥して水性流体を除去することによって実現され得る。下地基板へのプライマー組成物の適用は例えば、浸漬などの種々の方法のいずれかを使用して達成され得る。
他の例示的な方法には、噴霧、ロッドもしくはローラー、またはサイズプレス、ウォーターボックス、ブレードコーター、キャストコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、フィルムプレスコーター、フレキソコーターなどのような装置を使用することが含まれる。プライマー組成物は印刷プロセス中にインラインで、またはオフラインで適用され得、コーティングされた基材はオフライン構成で印刷プロセスに続いて供給される。
本明細書に開示される実施形態には:
A. 約70~約140mg KOH/gのアミン価を有するプライマー組成物。プライマー組成物は、水性流体中にエマルジョンとして分散されたエマルジョン重合アミン官能化コポリマーを含む。
プライマー組成物は、約70~約140mg KOH/gコポリマーのアミン価および約0℃~約50℃のガラス転移温度を有するアミン官能化コポリマーを含む。
この場合、アミン官能化コポリマーは、アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含む。
この場合、少なくとも1つのアミン基は、アミン官能化コポリマーの側鎖を含む。
B. 約10~約180mg KOH/gのアミン価を有するプライマー組成物。プライマー組成物は流体;および流体中に分散されたアミン官能化コポリマーを含み、アミン官能化コポリマーは、約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有する。
この場合、アミン官能化コポリマーは、アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含む。
この場合、少なくとも1つのアミン基は、アミン官能化コポリマーの側鎖を含む。
C. コーティングされた基材。コーティングされた基材は、ベース基材と、ベース基材の表面上に配置されたプライマーコーティングとを含む。
この場合、プライマーコーティングは、約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを含む。
この場合、アミン官能化コポリマーは、アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含む。
この場合、少なくとも1つのアミン基は、アミン官能化コポリマーの側鎖を含む。
D. プライマー組成物の製造方法。この方法は、アミン基を欠く1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーを、水性流体中に少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーと組み合わせることを含む。
この方法はまた、水性流体中で行われる1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーおよび1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーの乳化重合反応において、約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを形成することを含む。
その結果、本方法は、水性流体中にエマルジョンとして分散されたアミン官能化コポリマーを含むコーティング組成物を提供する。
実施形態A~Dの各々は、任意の組み合わせで、以下の追加の要素のうちの1つ以上を有する可能性がある:
要素1:水性流体が約7以上のpHを有する。
要素2:プライマー組成物が、水性流体中に分散された中性界面活性剤または陰イオン界面活性剤をさらに含む。
要素3:プライマー組成物が、水性流体中に分散されたデンプンをさらに含む。
要素4:プライマー組成物が、水性流体中に分散されたアミン官能化コポリマーとは異なる接着促進剤をさらに含む。
要素5:プライマー組成物が、流体中に分散されたアミン官能化コポリマーとは異なる接着促進剤をさらに含む。
要素6:アミン官能化コポリマーが、側鎖カルボン酸を有する少なくとも1つのモノマー単位をさらに含む。
元素7:ここで、アミン価は、約70~約140mg KOH/gコポリマーの範囲である。
要素8:アミン官能化コポリマーがエマルジョンとして流体中に分散されている。
要素9:プライマー組成物が、流体中に分散された中性界面活性剤または陰イオン界面活性剤をさらに含む。
要素10:1つ以上の第1のエチレン性不飽和モノマーが、以下からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含む。
この基は、アルキルまたはシクロアルキル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる。
群は、スチレン、置換スチレン、ジエン、1,3-ブタジエン、イソプレン、ビニルエステル、酢酸ビニル、ニトリル、(メタ)アクリロニトリル、オレフィン性不飽和ハロゲン化物、塩化ビニル、臭化ビニル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレートからなる。
この群は、(メタ)アクリルアミド、置換(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびこれらの任意の組み合わせからなる。
要素11:1つ以上の第2のエチレン性不飽和モノマーが、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含む。
要素12:アミン官能化コポリマーが、プロトン化されているアミン基の第1の部分およびプロトン化されていないアミン基の第2の部分を含む。
要素13:プライマー組成物が、流体中に分散されたデンプンをさらに含む。
要素14:アミン官能化コポリマーが約0℃~約50℃のガラス転移温度を有する。
要素15:流体が水性流体を含む。
要素16:ベース基板がポリマー基板を含む。
要素17:ベース基材が紙基材を含む。
要素18:プライマーコーティングがデンプンをさらに含む。
要素19:下塗りコーティングは、約0.05g/m2~約1.5g/m2の範囲のコーティング量を有する。
要素20:プライマーコーティングが、中性界面活性剤または陰イオン界面活性剤をさらに含む。
要素21:コーティングされた基材が、プライマーコーティング上に堆積されたトナーをさらに含む。
要素22:プライマーコーティングがコーティング組成物をベース基材上に堆積させることを含むプロセスによってベース基材上に配置され、コーティング組成物が水性流体中にエマルジョンとして分散されたアミン官能化コポリマーを含む。
このプロセスは、水性流体を蒸発させて、下地基板上に配置されたプライマーコーティングを残すことを含む。
要素23:この方法はさらに、コーティング組成物をベース基板上に配置すること;および水性流体を蒸発させて、ベース基板上にプライマーコーティングとして配置されたアミン官能化コポリマーを残すことを含む。
要素24:アミン官能化コポリマーが、場合により約5重量%~約45重量%、または約10重量%~約40重量%、 または約10重量%~約25重量%、または約25重量~% 約40 重量%の少なくとも1つのアミン基を有する1つ以上の第2のオレフィン性不飽和モノマーを約1重量%~約60重量%含む。
要素25:アミン官能化コポリマーが約60重量%~約100%のアクリレートモノマー、およびアクリレートまたはメタクリレートモノマーではない約40重量%以下のエチレン性不飽和モノマーを含み、任意選択で、アミン官能化コポリマーが、すべてのアクリレートまたはメタクリレートモノマーを含む。
要素26:アミン官能化コポリマーが約10重量%以下の酸含有モノマー、任意選択で約0.1重量%~約10重量%の酸含有モノマーを含み、さらに任意選択で酸含有モノマーがアクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの任意の誘導体である。
非限定的な例として、Aに適用可能な例示的な組み合わせは、1と2;1と3;1と4;2と3;2と4;3と4;1-3;1-4;2-4;1と24;1と25;1と26;2と24;2と25;2と26;3と24;3と25;3と26;1-3と24;1-3と25;1-3と26;1-4と24;1-4と25;1-4と26;24と25;24と26;25と26;および24-26を含むが、これらに限定されない。さらなる非限定的な例として、Bに適用可能な例示的な組み合わせは、5と6;5と7;5と8;5と9;5と10;5と11;5と12;5と13;5と14;5と15;6と7;6と8;6と9;6と10;6と11;6と12;6と13;6と14;6と15;7と8;7と9;7と10;7と11;7と12;7と13;7と14;7と15;8と9;8と10;8と11;8と12;8と13;8と14;8と15;9と10;9と11;9と12;9と13;9と14;9と15;10と11;10と12;10と13;10と14;10と15;11と12;11と13;11と14;11と15;12と13;12と14;12と15;13と14;13と15;14と15が含まれ、これらのいずれも24、25および/または26とさらに組み合わせることができ;5と24;5と25;5と26;6と24;6と25;6と26;7と24;7と25;7と26;8と24;8と25; 8と26;9と24;9と25;9と26;10と24;10と25;10と26が含まれる。
組み合わせとしては、11と24;11と5;11と26;12と24;12と25;12と26;13と24;13と25;13と26;14と24;14と25;14と26;15と24;15と25;15と26;24と25;24と26;25と26;ならびに24-26が含まれるが、これらに限定されない。Cに適用可能なさらなる非限定的な例示的な組み合わせには16と19;16と20;16と21;16と22;14と16;17と18;17-19;17と19;17と20;17と21;17と22;14および17;18と19;18と20;18と21;18と22;14と18;19と20;19と21;19と22;14と19;20と21;20および22;14と20;21と22;14と21;14および22が含まれ、これらのいずれも、24、24および/または26とさらに組み合わせることができ、14と24;14と25;14と26;16と24;16と25;16と26;17と24;17と25;17と26;18と24;18と25;18と26;19と24;19と25;19および26;20と24;20と25;20と26;21と24;21と25;21と26;24と25;24と26;25と26;および24-26が含まれるが、これらに限定されない。Dに適用可能なさらなる非限定的な例示的な組み合わせに、6と23;7と23;9と23;10と23;11と23;12と23;14と23;6と7;6と9;6と10;6と11;6と12;6と14;7と9;7と10;7と11;7と12;7および14;9と10;9と11;9と12;9と14;10と11;10と12;10と14;11と12;11と14;ならびに12および14が含まれ、これらのいずれかは24、24および/または26とさらに組み合わせることができ、6と24;6と25;6と26;7と24;7と25;7と26;9と24;9と25;9と26;10と24;10と25;10と26;11と24;11と25;11と26;12と24;12と25;12と26;14と24;14と25;14と26;24と25;24と26;25と26;ならびに24-26が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書の開示のより良い理解を容易にするために、様々な代表的な実施形態の以下の例が与えられる。決して、以下の実施例は本開示の範囲を限定するために、または定義するために読まれるべきではない。
【実施例
【0005】
実施例1:例示的なポリマー合成およびエマルジョン調製手順。モノマー混合物の乳化重合によって生成物1kgを調製した。エマルジョン重合は、オーバーヘッド冷却器、撹拌機および窒素入口(20mL/分N 2流)を取り付けた温度調節二重壁ガラス反応器中で実施した。211gの脱塩水中のDOWFAX 2A1(Dow Chemical)乳化剤の7mM溶液を反応器に添加し、85℃に加熱した。別の容器中で、228gのアクリル酸n-ブチル、146gのスチレンおよび94gの2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートを含むモノマー混合物を、14gのDISPONIL A 3065(BASF)乳化剤の存在下、247gの水中で乳化した。アンモニアで1.5回中和した10重量%の4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)の水溶液5gを反応器に添加し、その後5分間、先に調製したモノマーエマルジョン25gを添加した。反応混合物を20分間重合させ、その後、残りのモノマーエマルジョンを4時間にわたって一定速度で反応混合物に供給した。この間、アンモニアで1.5回中和した4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)4重量%の水溶液24gを平行して一定速度での供給も反応混合物に加えた。 両方の供給物の添加が完了した後、反応器内容物を、撹拌条件下で85℃でさらに60分間維持した。重合条件下で80%を超える高いモノマー転化率が得られた。
得られたポリマー分散液を50℃に冷却し、4重量% のt-ブチルヒドロペルオキシド水溶液14gと6重量%のBRUGGOLITE(登録商標)FF6M還元剤(Bruggemann GmbH & Co)の水溶液14g、0.2重量%の硫酸鉄(II)七水和物および0.5重量%のエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムを、2時間にわたって並行して反応器に供給した。その後、反応混合物を50℃で30分間維持し、次いで室温に冷却した。室温に達したら、0.05gのBYK-016(BYK-Chemie)消泡剤を、高速撹拌下で反応混合物にゆっくりと添加した。得られたエマルジョンを、以下に特定するようにさらに改質しない限り、さらなる改質なしにコーティング用途に直接使用した。
以下の実施例における他のポリマーエマルジョンは、モノマー混合物中のエチレン性不飽和モノマーの特定の比率を置換することによって同様に調製した。
実施例2:ポリマー基材上のコーティングおよび接着試験。実施例1と同様に調製したポリマーエマルジョンを、105℃で1分間乾燥させた後、層重が0.5g/m2となるように48 gaのPETポリエステル基材上にコーティングした。以下の表1のデータについては、ホットニップラミネーターを使用して、未処理のBOPP基材から、上記のように下塗りされたPET基材にHPカラーブロックを転写した。この場合、下塗り組成物を基材表面上に送達するために、Meyerロッドを用いてハンドドローダウンを行い、その後、ホットニップラミネーションを行った。以下の表2のデータについてはプライマーコーティングをHP INDIGO 6000印刷機を用いて塗布し、印刷は標準的な印刷条件下でHP INDIGO ELECTROINKを用いて印刷装置を用いて行った。特に、印刷は、乾燥温度80℃、プライミングユニット上のコロナ出力強度800 Wで、4ショットモードで動作するHP INDIGO 6000プレスを用いて行った。
印刷直後にSCOTCH(登録商標)810(3M)テープを印刷表面に適用し、15分後にテープを除去することによって、プライマーコーティングへのインク接着性を評価した。試験手順はSCOTCH(登録商標)610テープの代わりにSCOTCH(登録商標)810テープを使用し、2kgローラーを4回通過させてテープをコーティングされた基材上に押圧することを除いて、ASTM 2252/2252Mに記載されているものと同様であった。印刷された画像の除去率を視覚的に評価した。
接着試験結果および選択された物理特性データを以下の表1および2に要約する。「なし」または0%の値は印刷された画像が完全に除去されたことを示し、100%の値は、画像除去が明らかでなかったことを示す。非アミン官能基を有し、同様の条件下で堆積されたポリマーの対照データを表1に示す。種々の量のアミン官能基を有するポリマーのデータを表2に示す。モノマーパーセンテージは、モノマーの総重量に対する個々のモノマーの重量による。ガラス転移温度(Tg)は、DSC3+装置(メトラートレド(Mettler Toledo))を用いた示差走査熱量測定によって測定した。スキャニングサイクルは20℃/分ランプで-60℃に最初に冷まし、続いてこの温度で5分間の安定化時間からなった。次に、試料を20℃/分の傾斜で120℃/分の温度まで加熱し、続いてこの温度で5分間の第2の安定化時間を行った。前述のサイクルのうちの2つは、それぞれのサンプルについて実行され、第1のサイクルはサンプルの熱履歴を除去し、第2のサイクルはTgを決定するために使用された。
【0006】
【表1-1】
【0007】
【表1-2】
【0008】
【表2-1】
【0009】
【表2-2】
【0010】
【表2-3】
【0011】
表1に示すように、カルボキシル、エポキシド、またはヒドロキシル官能基を含有する種々のコポリマーを用いて配合されたコーティングは積層後にインク転写を与えたが、テープ引張試験によって測定したところ、画像接着を促進しなかった。アミドまたは尿素官能基を含有するコポリマーはテープ引張試験によって測定されるように、おそらく、これらの官能基とトナー中のカルボキシル官能基との間のN-H水素結合または部分的な酸-塩基相互作用の形成に起因して、限られた量の画像接着を与えた。
表2に示すように、複数のアミン含有コポリマーはテープ引張試験によって測定されるように、良好な画像転写および強力な接着の両方を与えた。ほとんどの場合、接着パーセントは80%を超えた。強い接着性を示すがアミン含有モノマーを欠くものと同様の組成を有するコポリマー(エントリー13)は、テープ引張試験によって測定可能な接着性を示さなかった。2つの異なるタイプのアミン含有モノマーを有するコポリマー(項目33および34)は、単一タイプのアミン含有モノマーのみを有するものと同様の接着パーセント値を示した。
アミングループを内生化できるモノマーを含む共重合体を有するプライマーコーティング、または重合後にアミングループを完全または部分的にまたはプロトメーション化した共重合体は、アミン改変の閾値レベルに到達した後、より低いパーセントの接着を示した。閾値レベルを超えるカルボン酸基の取り込みは、画像接着を完全に遮断したが(エントリー36)、一方、より少ない量のカルボン酸官能基が存在する場合(エントリー35)、有意な画像接着がなお実現された。項目35のコポリマーについて観察された接着性は同様の量の他のモノマーを有するが、カルボン酸含有モノマーを欠くコポリマーについて観察された接着性と同様であるか、またはほんのわずかに低かった(項目15および17)。過剰のカルボン酸官能基の組み込みと同様に、無機酸での合成後の酸性化は画像接着を促進するコポリマーの能力を完全に破壊したが(エントリー37)、非酸性化コポリマーは非常に良好な画像接着を示した(エントリー15)。アミン基の部分エポキシド官能化は、良好な画像接着性を維持し(エントリー38)、非官能化対応コポリマー(エントリー22)と比較して最小限の減少しか観察されなかった。
実施例3:プラスチック基材上のコーティングのための追加の接着試験データ。実施例1のように調製したポリマーエマルジョンを、48 gaのPETポリエステル基材または80 gaのBOPP(二軸延伸ポリプロピレン)基材上にコーティングした。コーティングは、HP INDIGO 6000プレスを用いて実施例2と同様に行った。この実施例においても、コーティング重量を変化させた。接着試験結果および選択された物理特性データを以下の表3に要約する。
【0012】
【表3-1】
【0013】
【表3-2】
【0014】
示されるように、さらなる接着促進剤としてのポリエチレンイミンまたはポリウレタンのコーティングへの組み込みは、観察された画像接着に有意な影響を与えなかった(項目46~53)。ポリエチレンイミンまたはポリウレタンを添加して、BOPP基板への接着を促進した。
項目44および46からのコーティングの耐水性を、コーティングされたPET基材を30分間、1時間、3時間および24時間にわたって浸漬することによって試験した。コーティングされた基材を水から除去した後、毎回テープ引張試験を行った。比較的親水性のコポリマーコーティング(エントリー46)は水浸漬のちょうど30分後にかなりの層間剥離を示したが、より疎水性のコポリマー(エントリー44)は試験期間にわたって有意な層間剥離を経験しなかった。
実施例4:紙基材上のコーティングのための接着試験データ 8重量%デンプン水溶液を、溶液を少なくとも25分間90℃に保つことによって調製し、その後、1重量%水酸化カリウム溶液を使用して溶液のpHを8.5に調整した。各デンプン溶液を、固体に基づいて、75%デンプンおよび25%コポリマーのブレンド比で、実施例1のように調製したポリマーエマルジョンとブレンドした。ブレンドを60℃で1時間保持した後、約150g/m2のベース質量を有する市販のスターブリート不透明選択スムース100Tペーパー(Verity, Caliper 7.4, Brightness 96 and Opacity 97)上に塗布した。コーティングはマイヤーロッド#4を使用し、2g/m2の乾燥物質のコーティング量を目標として行った。ブレンドされたコーティングエマルジョンのコロイド安定性を決定するために、製剤化直後および60℃での24時間の貯蔵後に、ブルックフィールド粘度を決定した。全てのアミン含有コポリマーは、試験したデンプンとコロイド状に安定であった。すなわち、粘度は、24時間の観察期間にわたりあまり変化しなかった。
塗工紙シートは、4ショットモードで作動するHPインジゴプレスWS 5500シリーズ3を用いて、ブランケットおよび印象ドラム温度がそれぞれ110℃および42℃の標準スクリーニング手順に従い調製した。HP100%ブラック液体トナーおよびHP290%フォトブラックトナー(52%イエロー、66%マゼンタ、72%シアンおよび100%ブラック)をコート紙シート上に印刷した。10分後にSCOTCH(登録商標)234(3M)テープを用いてテープ引張試験を実施することによって、インク接着性を評価した。フラットベッドスキャナを用いて接着パーセントを評価し、走査画像を処理してテープによって除去された領域を決定した。コーティングされていない紙へのHP ELECTROINK接着性は、100%黒トナーで65%、290%フォトブラックトナーで39%であることが分かった。表4~7は、アミン含有コポリマーエマルジョンと、ヒドロキシエチル化トウモロコシデンプン(INGREDION PEN-COTE(登録商標))、酸化トウモロコシデンプン(Douglas 3040)、ヒドロキシエチル化タピオカデンプン(EXCELSIZE 22)、およびヒドロキシエチル化ジャガイモデンプン(WESCOTE 3070)とのブレンドについて得られた接着結果をそれぞれ示す。アミン含有コポリマーは試験したデンプンでコロイド状に安定であり、粘度は、観察期間にわたって感知できるほど変化しなかった。
【0015】
【表4】
【0016】
【表5】
【0017】
【表6】
【0018】
【表7】
【0019】
表4~7に示すように、アミン含有コポリマーへの画像接着は、アミン官能基を欠くコポリマーよりも有意に大きかった(項目54、60、66および72)。さらに、アミン含有コポリマーは、100%ブラックおよび290%フォトブラックトナーの両方について非常に高い接着性を与えた。対照的に、アミン官能性を欠くコポリマーは、290%フォトブラックトナーについてかなり低い画像接着性を与えた。
本明細書に記載された全ての文書は本文と矛盾しない範囲で、優先文書及び/又は試験手順を含む、そのような実施が許可される全ての管轄区域の目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。前述の一般的な説明および特定の実施形態から明らかであるように、開示の形態を図示し、説明したが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。したがって、本開示がそれによって限定されることは意図されていない。例えば、本明細書に記載の組成物は、本明細書に明示的に列挙または開示されていない任意の成分または組成物を含まなくてもよい。任意の方法は、本明細書に列挙または開示されていない任意のステップを欠いていてもよい。同様に、「含む」という用語は、「含む」という用語と同義であると考えられる。方法、組成物、要素、または要素の群が「含む」という移行語句の前にある場合はいつでも、組成物、要素、または要素の列挙の前に、「本質的にからなる」、「からなる」、「からなる群から選択される」、または「からなる」という移行語句を有する同じ組成物または要素の群も意図されており、その逆もまた同様であることが理解される。
特に断らない限り、本明細書および関連する特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。最低限でも、請求項の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
下限および上限を有する数値範囲が開示されている場合はいつでも、その範囲内に入る任意の数および任意の含まれる範囲が具体的に開示されている。特に、本明細書に開示される(「約a~約b」、または同等に「約a~b」、または同等に「約a~b」の形態の)すべての値の範囲は、より広い範囲の値内に包含されるすべての数および範囲を示すものと理解されるべきである。また、クレーム中の用語は特許権者によって明示的かつ明確に定義されていない限り、その平易で通常の意味を有する。さらに、特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」または「an」は、本明細書ではそれが導入する要素のうちの1つまたは複数を意味するように定義される。
本明細書では、1つまたは複数の例示的な実施形態を提示する。物理的実装のすべての特徴が明確にするために、本出願に記載または示されているわけではない。本開示の物理的な実施形態の開発において、システム関連、ビジネス関連、政府関連、および他の制約(これらは、実装によって、および時々変化する)の遵守など、現像剤の目標を達成するために、多数の実装固有の決定がなされなければならないことが理解される。現像剤の努力は時間がかかるかもしれないが、そのような努力はそれにもかかわらず、当業者にとって日常的な仕事であり、本開示の恩恵を受けるのであろう。
したがって、本開示は、記載された目的および利点、ならびにそこに固有のものを達成するように十分に適合される。本開示は当業者には明らかであり、本明細書の教示の恩恵を受ける、異なるが同等の方法で修正および実施することができるので、上記で開示された特定の実施形態は例示にすぎない。さらに、請求の範囲に記載された以外に、本明細書に示された構造又はデザインの詳細に限定する意図はない。したがって、上記で開示された特定の例示的な実施形態は変更、組み合わせ、または修正されてもよく、そのようなすべての変形は本開示の範囲および精神内にあると考えられることが明らかである。本明細書に例示的に開示された実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素および/または本明細書に開示された任意の要素の不在下で適切に実施することができる。
【誤訳訂正書】
【提出日】2022-04-14
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、米国特許法第119条の下で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年7月18日に出願されたルクセンブルク特許出願第1101319号からの優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]液体電子写真システムに基づくオンデマンドデジタル印刷機は、現代のレーザー印刷およびコピー機システムにおいて広く使用されている。電子写真システムは感光ドラム上で潜像を形成し、その後、液体トナーがドラム上の潜像に適用されて次の転写について物理的画像を形成する。エチレン/アクリルコポリマー組成物であるHP ELECTROINKは、共用の液体トナーシステムの一例である。トナー露光の後、画像は、紙またはポリマーフィルム基材などの繊維基材に印刷するために、中間の転写ブランケットまたはベルトに電気的に転写される。液体電子写真印刷で高品質の画像を達成することができるが、基材が事前に適切なプライマーコーティングで処理されていない限り、転写された画像は通常、繊維基材に良好に接着しない。プライマーコーティングは、通常、基材の表面にトナーの強力な化学的接着を促進するために、トナーにおいて、相補的有機官能基と化学相互作用を促進するのに適した官能基を含むように選択される。適切な基材の接着もプライマーコーティングの重要な要素である。
【0003】
[0003]任意の数の理由で、トナーの接着不良が生じる場合がある。一例において、基材の表面に対するトナー粒子の不完全な融合は、不十分な接着を導く場合がある。さらにより一般的には、転写画像内部のトナー粒子が基材またはその上のプライマーコーティングと弱くにしか相互作用することができず、それによって不十分な表面接着になる。トナー粒子とプライマーコーティングとの間の化学的相互作用が限定的である場合、トナーの接着が不十分になる場合がある。したがって、プライマーコーティング内部に存在する官能基は、トナー内部の相補的官能基と、例えば、水素結合または塩架橋形成などの強力な化学的相互作用を促進するように選択される場合がある。カルボン酸、アミンおよびアルコールなどの官能基は、このことに関して特に適している場合があり、これはこれら種類の官能基が水素結合の寄与と受け取りの両方をなすことができるためである。プライマーコーティングは、水素結合を寄与しまたは受け取ることのできる過剰な官能基の存在に起因して過度に親水性である場合、プライマーコーティングは、弱い耐水性を有する場合がある。弱い耐水性に加えて、過剰な量のアミン官能基を有するいくつかのポリマーは、経時的に穏やかに腐食する場合がある、および/または変色(特に黄色化)に供する場合があり、それによって、多くの場合において良好なトナーの接着を提供するにもかかわらず、これらのポリマーの適用性を限定的なものにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]本開示は、概して、液体電子写真印刷のためのプライマー組成物、より詳細には、特定のアミン含有量を有するポリマーを特徴とするプライマー組成物およびプライマー被覆基材ならびにこれらの製造方法に関する。
【0005】
[0005]上述で検討したように、液体電子写真印刷は、非常に強力な画像形成技術である。しかしながら、電子写真画像をある特定の基材に転写することは、基材の表面に画像が不十分に接着することに起因して問題となる場合がある。同様にいくつかの例において基材の接着が問題となる場合もある。プライマーコーティングは、画像の基材への接着を改善するために使用され得るが、いくつかのプライマーコーティングは、限定的な耐水性を示す、または経時的に変色を起こす場合があり、それによってこれらの実際の使用を制限している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本開示は、ポリマー基材および紙基材を含む様々な基材上にプライマーコーティングを形成するために使用することができるプライマー組成物を記載する。本明細書に開示のプライマー組成物は、コーティングの堅牢性(過剰な水溶性に起因する)または変色が経時的に問題となる場合、負荷量または負荷量未満にアミン基の量を制限しながら、トナー、特にHP ELECTROINKトナーの接着を促進するために、側鎖上に十分な数のアミン基を有するアミン官能化コポリマーを特徴とする。特に、本明細書に開示のプライマー組成物は、約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを特徴とする。アミン官能化コポリマーは、2つ以上のエチレン性不飽和モノマーのコポリマーであってもよく、エチレン性不飽和は重合を経て、各モノマーから生じた飽和重合体骨格を生成することができ、モノマーの少なくとも1つはアミン含有側鎖を有する。アミン価は、以下に特定されるように、計算または実験的に決定することができる。
【0007】
[0007]本明細書の開示において、「アミン価」は、アミン官能化コポリマーにおけるアミン含有モノマーの重量分率を取り、アミン含有モノマーの分子量で除算し、KOHの分子量を乗算し、最後にその結果を1000で乗算することによって決定することができる。経験的なアミン価は、例えば、電位差滴定を実施することによって、実験的に検証することもできる。アミン価を計算する際、アミン含有モノマーの重量分率は、全てのアミンが遊離アミンとして存在するわけではない場合、計算のために、修正することができる。本明細書で使用する場合、「遊離アミン」は、アミン塩ではないが、「アミン価」に寄与する。「遊離アミン」という用語は、電子の非結合の孤立電子対が存在する任意の第一級、第二級または第三級アミンを指し、アミンはプロトン化されず、または四級化され、正電荷を有する。すなわち、「遊離アミン」はその塩基性を維持する。但し、遊離アミンの量が前述の範囲のアミン価を指定するのに十分であり続けるならば、遊離アミンに加えて、プロトン化、四級化および/または同様に官能化されたアミン基が本明細書に開示のプライマー組成物に存在し得ることが理解される。アミンのプロトン化は、外部より添加された酸から、および/または以下にさらに検討されるように、酸性側鎖を有するオレフィン性不飽和モノマーの存在から生じてもよい。アミン価を低くする際の酸基または四級化基の効果は、存在する酸基または四級化基のモル数を計算し、存在するアミン含有モノマーのモル数から減算し、その後、上述のようにアミン価を計算することによって、決定することができる。アミドなどのアミン誘導体は、同様にもはや塩基性ではなく、本明細書に開示のアミン価に寄与しない。
【0008】
[0008]非限定的な例として、いずれのアミン基も(例えば、外部より添加された酸および/または酸性側鎖を有するモノマーから)プロトン化されないならば、約10mg KOH/gポリマー~約180mg KOH/gポリマーのアミン価は、アミン含有モノマージメチルアミノエチルメタクリレートを有するアミン官能化コポリマーについて、約3wt.%~約52wt.%の負荷量に対応する。酸性側鎖を有するモノマーおよび/またはアミノ基の塩基性を除去する官能化が存在しない場合、pHがアミン基について十分に高いために実質的にプロトンされないままであるならば、存在するアミン含有モノマーのアミン価と重量パーセンテージとの間に直接的な相関性が存在し得る。
【0009】
[0009]カルボン酸またはスルホン酸などの酸性側鎖を有するモノマーは、このような酸性モノマーの量が十分に少なく、アミン価が前述の範囲にあり続けるならば(すなわち、十分に少ない数のアミン基が酸性基によって内部的にプロトン化されるように)、アミン官能化コポリマーに存在することができる。酸性モノマーの量が存在するアミン基の数について多すぎる場合、アミン価は、プライマーコーティングに対して不十分なトナーの接着が生じるほどの程度にまで減少する場合がある。例えば、紙基材などの特定の種類の基材に対してプライマーコーティングそのものの接着を促進するように、制限された量のカルボン酸基をアミン官能化コポリマーに組み込むことが望ましい場合がある。カルボン酸基は、印刷業界において通常、慣習的に使用されている添加物との適合性も改善することができる。同様に、変色および過剰な親水性を回避するために、アミン官能化コポリマーのアミン基の全体数を制限することが望ましい場合がある。したがって、基材の接着とトナーの接着との間で調和を見出すことは、本明細書の開示において提供されるように、いかにして適したアミン価を達成するかを賢明に考慮することによって達成することができる。
【0010】
[0010]本明細書に開示されるプライマー組成物は、ポリエチレンイミンに比べていくつかの利点を提供することができ、ポリエチレンイミンは、以前からプライマーコーティング内部に使用されて、HP INDIGOトナーを含むトナーの接着を促進する。本開示のアミン官能化コポリマーは、ポリエチレンイミンを有するよりもかなり少ないアミン基を有するように配合することができ、それによって、プライマーコーティングの水劣化および/または経時的な変色に対する感受性が減少する。他に、但し、アミン価が前述の範囲にあり続けるならば、かなりの構造的耐性が本明細書に開示のアミン官能化コポリマーに存在する。
【0011】
[0011]本明細書に記載のプライマー組成物は、アミン基を欠く1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーを、少なくとも1つのアミン基を含む1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーと合わせることによる乳化重合技術によって容易に調製することができる。各種の単一のモノマーまたは各種の複数のモノマーは、本明細書の開示において重合を経ることができる。第1のエチレン性不飽和モノマーと第2のエチレン性不飽和モノマーとの間の比(モルまたは重量比)は、非限定的な例として、プライマー組成物において得られたコポリマーのアミン価および/または疎水性に適合させて容易に変えることができる。コポリマーにおける親水性モノマーと疎水性モノマーの両方の存在は、非限定的な例において、トナーの接着および耐薬品性を促進するのを補助することができる。乳化重合以外の重合技術を使用して本開示のコポリマーを調製することができるが、同じように製造されたコポリマー乳剤は、任意選択的にインクジェット印刷を促進するために多価金属塩を合わせた後に、所望の基材に直接的に付着してプライマーコーティングを形成することができるため、有利な場合がある。コポリマー乳剤は、また、非限定的な例として、紙基材上のプライマーコーティングの付着を促進するために、様々な種類のデンプンと適合性がある。
【0012】
[0012]本明細書に記載のプライマー組成物およびプライマー組成物から形成されるプライマーコーティングは、特に、HP INDIGOトナーの接着を促進するのに効果的であり得る。接着は、ASTM F2252/F2252Mに指定されており、さらに本明細書において改変された形態で記載されるテープ引張り試験を使用して相対的にアッセイすることができる。有利な点として、本明細書に記載のプライマー組成物は、多くの他の種類のプライマー組成物とは対照的に、異なる色のHP INDIGOトナー間で、かなり制限された接着の可変性を実証する。主に、本開示のプライマーコーティングは、黒色のトナーとカラートナーとの間で同等の接着を与える。他の種類のプライマーコーティングについては、両方の種類のトナーによるテープ引張り試験に合格することが困難な場合がある。
【0013】
[0013]したがって、本開示のプライマー組成物は、流体、特に水性流体および流体に分散されたアミン官能化コポリマーを含んでいてもよい。アミン官能化コポリマーは、少なくとも1つのアミン基がアミン官能化コポリマーの側鎖を構成する(comprise)ように、アミン基を欠く1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含む。アミン官能化コポリマーは、約10~約180mg KOH/gコポリマー、または約30~約160mg KOH/gコポリマー、または約50~約60mg KOH/gコポリマー、または約60~約80mg KOH/gコポリマー、または約80~約100mg KOH/gコポリマー、または約100~約115mg KOH/gコポリマー、または約115~約130mg KOH/gコポリマー、または約130~約150mg KOH/gコポリマーのアミン価をさらに有する。このようなアミン官能化コポリマーの他の例は、約70~約140mg KOH/gコポリマーのアミン価を有してもよい。アミン価の範囲は、この範囲の下端において特に効果的なトナーおよび基材の接着を提供することと、この範囲の上端において過度に親水性の(すなわち、過剰な水溶性になる傾向の)アミン官能化コポリマーを提供しないこととの間の折衷案を示す。本明細書に開示されるプライマー組成物は、特に、液体電子写真印刷に使用するのに適切であり得る。
【0014】
[0014]アミン官能化コポリマーは、水性流体に溶解することができるか、または水性流体における乳剤(emulsion)として分散することができる。本質的に有機媒体(例えば、油中水型乳剤)に調製された乳剤も本開示の範囲にある。有利なこととして、アミン官能化コポリマーは、以下にさらに詳細に検討されるように、乳化重合を使用して容易に調製して、乳化重合反応混合物としてプライマー組成物を直接的に形成することができる。本明細書の開示における使用に適した他の重合技術として、例えば、バルク重合または溶液重合が挙げられる。任意の重合技術において、重合は、本明細書の以下に提供される例示的な例である、適切なラジカル開始剤で開始することができる。
【0015】
[0015]本明細書に開示されるプライマー組成物のより特定の実施例は、水性流体内に乳剤として分散された乳剤重合アミン官能化コポリマーを含んでいてもよい。アミン官能化コポリマーは、少なくとも1つのアミン基がアミン官能化コポリマーの側鎖を構成するように、アミン基を欠く1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含み、アミン官能化コポリマーは、約70~約140mg KOH/gコポリマーのアミン価および約0℃~約50℃のガラス転移温度をさらに有する。その他の特定の例は、約10~約180mg KOH/gコポリマーの範囲のアミン価および約0℃~約50℃のガラス転移温度を有するか、または本明細書に開示される任意の他の適切な範囲のアミン価を有するアミン官能化コポリマーを含んでいてもよい。ガラス転移温度(T)は、DSC3+機器(Mettler Toledo)を使用し、20℃/分勾配における-60℃に初期冷却、この温度における5分間の安定期間、20℃/分勾配における120℃/分の温度までの加熱、およびこの温度における第2の5分間の安定期間から構成される走査周期を使用した示差走査熱量測定によって決定することができる。
【0016】
[0016]本開示における使用に適した水性流体は、水またはアルコールもしくはグリコールなどの水混和性有機溶剤と混合された水を含んでもよい。
[0017]本開示における水性流体は、前述の範囲内でアミン官能化コポリマーのアミン価を保持するために、非酸性pHを有してもよい。すなわち水性流体は、本開示において約7以上のpHを有してもよい。より詳細な例において、水性流体は、約7~約10、または約7.5~約10、または約8~約10、または約8.5~約10、または約9~約10、または約9.5~約10、または約7.5~約9.5、または約7.5~約9、または約7.5~約8.5、または約7.5~約8、または約8~約9.5、または約8~約9、または約8~約8.5、または約8.5~約9.5、または約8.5~約9の範囲のpHを有してもよい。前述のpH値において、アミン官能化コポリマーにおけるアミン基は、全くプロトン化されていなくてもよく、それぞれがアミン価に寄与する。本開示におけるpH値は、使用前にpH4、pH7およびpH10標準に較正された、1MのKCl電解質溶液を使用してガラス電極を用いて室温で測定することができる。Hach製のSENSION+ PH3機器を使用した。
【0017】
[0018]7未満のpH値において、アミン基の部分は、プロトン化され、存在するアミン基の総数に基づいて理論上可能な価未満のアミン価に減少し得る。但し、アミン価が前述に指定された範囲内にあり続けるならば、7以下のpH値も本明細書の開示において許容することができる。また以下に指定されるように、酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーは限定された量で存在することもでき、同様に、存在するアミン基の総数に基づいて理論上可能な価未満のアミン価に減少し得る。
【0018】
[0019]少なくとも1つのアミン基を含むエチレン性不飽和モノマーは、第一級アミン、第二級アミンまたは第三級アミンの任意の1つまたは複数を適宜含んでいてもよい。アミン基を欠くエチレン性不飽和モノマーとの重合がなされると、少なくとも1つのアミンがアミン官能化コポリマーの側鎖として組み込まれるように、少なくとも1つのアミン基がエチレン性不飽和モノマーに付加されてもよい。本明細書の開示において使用に適し得る少なくとも1つのアミン基を含むエチレン性不飽和モノマーの特定の例として、例えば、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(エチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(エチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(メチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(メチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(tert-ブチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2-(メチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3-(メチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2-(エチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3-(エチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3-(tert-ブチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、ビニルアミン、アリルアミンおよびこれらの任意の組合せが挙げられる。対応するアクリルアミドベースのモノマーも、ある特定の状況において、特に2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレートにおいて、適切な場合がある。したがって、本開示の任意の実施形態において、少なくとも1つのアミン基を有する1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つのアミン基を有するアクリルアミドまたはメタクリルアミドモノマーを含んでいてもよい。特定の例において、1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーの全ては、アミン基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーであってもよい。
【0019】
[0020]アミン基を欠くエチレン性不飽和モノマーの適切な例は特に限定されるとは考えられない。特定の例として、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレートなどのアクリルまたはメタクリル酸のエステル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;スチレンまたはその置換バリアント;1,3-ブタジエンまたはイソプレンなどのジエン;酢酸ビニル、ビニルアルカノエートまたはこれらの誘導体などのビニルエステル;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル;アクリルアミドまたはメタクリルアミド;塩化ビニルなどのオレフィン性不飽和ハロゲン化物;アルファオレフィン;またはこれらの任意の組合せが挙げられ得る。アミン官能化コポリマーに存在し得る適切なアミン基を欠くエチレン性不飽和モノマーのさらにその他の例として、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ官能化モノマー;N-メチロール(メタ)アクリルアミドおよびジアセトンアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド誘導体;アリルメタクリレート、ジビニルベンゼンおよび様々なアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリビニルモノマーが挙げられる。
【0020】
[0021]存在する場合、アミン官能化コポリマーに組み込むことができる適切なアルファオレフィンとして、限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセンまたはこれらの組合せが挙げられる。偶数の炭素原子を有する線形アルファオレフィンは、特に、それらが直ぐに入手可能なため適している。
【0021】
[0022]アミン官能化コポリマーの特に適した例は、約1wt.%~約60wt.%の少なくとも1つのアミン基を含むオレフィン性不飽和モノマーを含有することができる。より特定の例において、約5wt.%~約45wt.%、または約10wt.%~約40wt.%、または約10wt.%~約25wt.%、または約25wt.%~約40wt.%の少なくとも1つのアミン基を含むオレフィン性不飽和モノマーが存在することができる。
【0022】
[0023]適切なアミン官能化コポリマーのさらにより特定の例は、約60wt.%~約100wt.%のアクリレートまたはメタクリレートモノマーおよび約40wt.%以下の、アクリレートまたはメタクリレートモノマーではないエチレン性不飽和モノマーを含むことができる。本開示のいくつかのアミン官能化コポリマーは、全てのアクリレートまたはメタクリレートモノマーを含んでいてもよく、この場合においてアクリレートまたはメタクリレートモノマーの第1の部分は、少なくとも1つのアミン基を含有していてもよく、アクリレートまたはメタクリレートモノマーの第2の部分はアミン基を欠いていてもよい。任意選択的に、アクリレートまたはメタクリレートモノマーの第3の部分は、以下に指定されるように、全てのアクリレートまたはメタクリレートモノマーを含むアミン官能化コポリマーに側鎖カルボン酸またはスルホン酸を有してもよい。
【0023】
[0024]上述のように、アミン官能化コポリマーは側鎖カルボン酸またはスルホン酸を有する少なくとも1つのモノマー単位をさらに含んでいてもよく、但しこのような酸含有モノマー単位の量は、前述に開示された範囲のアミン価を残していることを条件とする。適切な酸含有モノマーは、存在する場合、エチレン不飽和を含み、前述で検討した第1および第2のエチレン性不飽和モノマーと共重合する。例示的な例として、限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸水素メチル、マレイン酸水素エチル、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸およびシトラコン酸が挙げられ得る。スルホン酸基を含む適切なモノマーとして、例えば、スチレンスルホン酸またはビニル基で誘導体化された2-アミノメチルプロパンスルホン酸が挙げられ得る。加水分解性モノマーを同様に使用して側鎖カルボン酸基をアミン官能化コポリマーに導入してもよいことを認識されたい。適切な加水分解性モノマーとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、フマル酸メチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロアミド、メタクリロニトリル、フマロニトリルなどが挙げられ得る。ポリマーのカルボン酸またはスルホン酸官能化は、望ましい場合または合成的に適している場合、ポリマー側鎖の合成形質転換、次に重合によって行うことができることが理解される。
【0024】
[0025]存在する場合、エチレン不飽和を有する酸含有モノマーは、10wt.%以下の量、例えば、約0.1wt.%~約1wt.%、または約1wt.%~約5wt.%、または約5wt.%~約10wt.%の量でアミン官能化コポリマーに存在することができる。アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの任意の誘導体である酸含有モノマーは、いくつかの例において、全てアクリレートまたはメタクリレートであるその他のモノマーと共重合することができる。他の例において、アクリレートまたはメタクリレートではない酸含有モノマーは、全てアクリレートまたはメタクリレートであるその他のモノマーと共重合することができる。さらに他の例において、アクリレートまたはメタクリレートではない酸含有モノマーは、全てアクリレートまたはメタクリレートではない他のモノマーと共重合することができるが、好ましくは、他のモノマーの少なくとも一部分はアクリレートまたはメタクリレートである。
【0025】
[0026]本開示のプライマー組成物は、界面活性剤または別の適切な湿潤剤をさらに含んでいてもよい。適切な界面活性剤として、例えば、中性界面活性剤(双性イオン界面活性剤および無電荷界面活性剤を含む)およびアニオン性界面活性剤を挙げることができる。対照的に、カチオン性界面活性剤は、乳化重合の間に合成的に困難があることが判明する場合があり、トナー粒子とプライマーコーティングとの間の接着を崩壊させる場合がある。しかしながら、ある特定の状況において、カチオン性界面活性剤であっても本開示において適切に使用することができる。
【0026】
[0027]適切な中性界面活性剤として、例えば、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルエトキシレート、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびこれらの混合物を挙げることができる。存在する場合、これらの種類の中性界面活性剤は、総モノマーに対して約0.5wt.%~約2.0wt.%の範囲の量で本開示のプライマー組成物に存在することができる。本明細書に開示されるプライマー組成物に使用されるその他の適切な中性界面活性剤として、例えば、ポロキサマー、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセロールエステル、脂肪酸ソルビトールエステルなどが挙げられる。その他の中性界面活性剤として、例えば、レシチンもしくはグリセロールエステルなどの乳化剤、またはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、他のセルロース誘導体などのポリマーコロイドを挙げることができる。本明細書の開示に使用される適切となり得る双性イオン界面活性剤として、例えば、ベタインおよびスルタインが挙げられる。
【0027】
[0028]本明細書の開示に使用される適切なアニオン性界面活性剤として、例えば、アルキルエトキシレート硫酸塩およびスルホン酸塩、アルキルフェノールエトキシレート硫酸塩およびスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸塩ならびにこれらの混合物を挙げることができる。存在する場合、これらの種類のアニオン性界面活性剤は、総モノマーに対して約0.02wt.%~約0.5wt.%の範囲の量で本開示のプライマー組成物に存在することができる。本明細書に開示されるプライマー組成物に使用されるのに適したその他のアニオン性界面活性剤として、例えば、長鎖脂肪酸例えば、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などのカルボン酸塩、または長鎖アルコールのリン酸エステルが挙げられる。
【0028】
[0029]本開示のプライマー組成物はデンプンと適合性があり、デンプンは、望ましい場合、トナーの紙基材に対する結合を促進するために、プライマー組成物に含まれてもよい。適切なデンプンとして、例えば、加工デンプン、例えば、イオン性デンプン、酸化デンプン、エトキシル化デンプン、ヒドロキシアルキル化デンプン、カルボキシル化デンプン、アミノ化デンプンなどまたはこれらの任意の混合物を挙げることができる。デンプンは、酸化、酸性薄化または官能化もしくは酵素変性によって化学的に変性することができる。デンプンは、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、コムギ、コメ、サゴ、タピオカ、モチトウモロコシ、ソルガム、ハイアミロースコーンなどを含む任意の植物源に由来し得る。存在する場合、デンプンは、アミン官能化コポリマーに含まれる重量よりも多くの重量でプライマー組成物に含まれ得る。例示的な例において、デンプンは、プライマー組成物の総固形物の約50wt.%~約95wt.%の範囲の量でプライマー組成物に存在することができる。特定のデンプンの選択は、プライマー組成物そのものには関係しなくてもよく、印刷プロセスに関連するその他の変数によって指定されてもよい。特定のデンプンを選択するための考慮は当業者に馴染みがある。
【0029】
[0030]アミン官能化コポリマーと異なるその他の接着促進剤も本明細書に開示されるプライマー組成物に適切に存在することができる。デンプンに加えて、その他の適切な接着促進剤として、例えば、ポリビニルアルコール、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、グアーゴム、天然ゴム、セルロースエーテル、尿素、ステアレート、水添炭化水素ロジンまたはロジンエステル、アクリルポリマー分散液など、およびこれらの任意の組合せを挙げることができる。接着促進剤は、固形物に対して約10wt.%~約90wt.%の範囲の量で存在することができる。存在する場合、接着促進剤は、接着促進剤:アミン官能化コポリマーの比が約1:5~5:1、または約1:1~5:1、または約1:5~1:1の範囲にあるように存在することができる。理論に縛られないが、接着促進剤は、基材に対してプライマーコーティングの接着を促進する、および/またはプライマーコーティングに対してトナーの接着を促進することを助けることができる。
【0030】
[0031]本明細書に開示されるプライマー組成物に存在することができるさらに他の添加物として、例えば、顔料、染料、蛍光染料、架橋剤、消泡剤、帯電防止剤、分散剤、増粘剤、ワックス、充填材、殺生物剤、レオロジー改質剤、保存剤およびこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0031】
[0032]但し、アミン価が前述の範囲にあり続けるならば、アミン基はプロトン化されたアミンとプロトン化されていないアミンの両方を含み得、および/またはアミンの少なくとも一部分は、官能化されて四級化アミン基または孤立対もしくは電子をもはや有していないアミン誘導体(例えば、アミド、尿素、ウレタンなど)を形成することができる。特定の例において、アミン官能化コポリマーは、プロトン化されたアミン基の第1の部分およびプロトン化されていないアミン基の第2の部分を含んでいてもよい。その他の例において、アミン官能化コポリマーは、四級化または官能化されたアミン基の第1の部分および四級化されていないまたは官能化されていないアミン基の第2の部分を含んでいてもよい。アミン基の総数は、水溶性および変色、ポリエチレンイミンなどのアミンが豊富なポリマーで一般的に生じる問題を回避するために限定することができる。
【0032】
[0033]第四級アミン基を形成するのに適した試薬として、例えば、ハロゲン化アルキルまたはスルホン酸アルキルなどのエポキシドおよび求電子試薬を含んでいてもよい。いくつかの例において、適切なエポキシドは、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルおよびアミン官能化コポリマーの架橋をさらに起こすことができる同様の化合物などの二官能化合物であってもよい。メタクリル酸グリシジルは、例えば、付着されたプライマーコーティングを放射によって硬化させることができる。さらに、第四級アミン基を形成するための試薬は、ある特定の条件において基材の接着を改善することができる。
【0033】
[0034]本開示のアミン官能化コポリマーは、特定のコーティングの適用に適合させた特性を有することができ、この適合はモノマーおよび重合を行うモノマーの量を変化させることによって実現することができる。変化させることができる特性として、例えば、疎水性/親水性、分子量、ガラス転移温度などが挙げられる。本開示の特定の望ましいアミン官能化コポリマーは、約0℃~約50℃の範囲のガラス転移温度を有してもよい。この範囲におけるガラス転移温度は、非限定的な例において、良好な膜形成特性を有することができる。ガラス転移温度が低すぎる場合、過剰な粘着性が生じる場合がある。ガラス転移温度は、上述に指定した条件下で示差走査熱量測定(DSC)によって決定することができる。
【0034】
[0035]重合条件およびその他の要因に依存して、本開示のポリマー分子量は、約1×10~約1×10、または約2×10~約1×10、または約1×10~約1×10の範囲にあってもよい。架橋を発生させた場合、さらに高い分子量を実現することができる。前述の範囲外のポリマー分子量も本明細書の開示における使用に適する場合があることを理解されたい。本開示のポリマー分子量は、重量平均分子量(Mw)であり、屈折率(RI)検出を使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。本明細書におけるGPC分析は、ポリマー乳剤を乾燥させ、THF中にポリマーを再溶解し、0.45μmのフィルターを通して濾過し、その後、連続した3つのカラム(STYRAGEL HR2、STYRAGEL HR4およびSTYRAGEL
HR6、Waters)を含むShimadzu LC-20AD GPC機器および屈折率検出器(Waters 2410)に注入することによって実施した。クロマトグラムは、1mL/分のTHF流速において35℃で得、分子量はポリスチレン標準に対して計算した。
【0035】
[0036]本開示のプライマー組成物から形成されたプライマーコーティングで被覆された基材も本明細書に提供される。このような被覆基材は、ベース基材およびベース基材の表面に配置されたプライマーコーティングを含んでいてもよい。プライマーコーティングは、約10~180mg KOH/gコポリマー、または約70~140mg KOH/gコポリマー、または約30~160mg KOH/gコポリマー、または約50~60mg KOH/gコポリマー、または60~80mg KOH/gコポリマー、または約80~100mg KOH/gコポリマーのアミン価、または約100~115mg KOH/gコポリマー、または約115~130mg KOH/gコポリマー、または約130~150mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを含み、アミン官能化コポリマーは、アミン基を欠く1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含む。少なくとも1つのアミン基は、アミン官能化コポリマーの側鎖を構成する。上述に特定されたアミン官能化コポリマーのいずれかは、プライマーコーティングおよび本明細書に記載の被覆基材を形成するときに使用することができる。
【0036】
[0037]プライマー組成物が適切な基材の表面に付着すると、水性流体が取り除かれて、表面において適切な重量または粘度で配置されたアミン官能化コポリマーを含むプライマーコーティングを残すことができる。プライマー組成物の任意の非揮発性の成分もプライマーコーティング内部に残り得る。付着後のプライマーコーティングに残り得るその他の成分の非限定的な例として、例えば、界面活性剤、デンプンまたは上述に挙げたその他の添加物のいずれかが挙げられる。
【0037】
[0038]非限定的な例では、プライマーコーティングは、本開示のコーティング組成物をベース基材上に付着させる工程、特にコーティング組成物は、水性流体に乳剤として分散されたアミン官能化コポリマーを含み、水性流体を蒸発させて、プライマーコーティングをベース基材上に配置した状態にする工程を含む方法によって、適切なベース基材に配置することができる。加熱および/または真空の適用は、水性流体の除去を促進するためにいくつかの例において実施することができる。いくつかの例において、基材の表面から水性流体の除去を促進するために、気体流を使用することもできる。
【0038】
[0039]本明細書に開示されるプライマーコーティングで被覆することができる適切なベース基材は、特に限定されることは考えられない。適切に被覆することができる例示的なベース基材として、例えば、ポリマー基材、不織基材および紙基材が挙げられる。適切なベース基材の特定の例として、限定されないが、紙(例えば、アート紙、コート紙、板紙、プリンター用紙、ボール紙など)、フィルム(ポリマーフィルムを含む)、不織材料などを挙げることができる。本明細書で使用する場合、「フィルム」という用語は、有機ポリマー材料、例えば、ビスコース、アセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、2軸配向ポリプロピレン(BOPP)ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネートまたはポリ(エチレンテレフタレート)もしくはポリ(ブチレンテレフタレート)などのポリエステルから作製された基材を指す。本明細書で使用する場合、「不織」という用語は、木材セルロース、綿、レーヨン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレンなどの繊維材料から作製された基材を指し、個別の繊維は少なくとも部分的に一緒に融合されている。
【0039】
[0040]当業者によって理解されるように、BOPPおよびその他のポリオレフィン基材は、低表面エネルギー材料であり、湿潤させることが難しい。このような基材のコロナ処理は、プライマーコーティングの接着を促進するのに適した官能基を導入するために実施されることが多い。本明細書に開示されるプライマーコーティングは、親水性モノマーと親油性モノマーとの間で均衡が取れているため、このようなコロナ処理された基材に良好な接着を示すことができる。
【0040】
[0041]基材表面に付着する場合、プライマーコーティングは、約0.05g/m~約0.7g/m、または約0.1g/m~約0.6g/m、または約0.1g/m~約0.2g/m、または約0.2g/m~約0.3g/m、または約0.3g/m~約0.4g/m、または約0.4g/m~約0.5g/m、または約0.5g/m~約0.6g/m、または約0.6g/m~約0.7g/mの範囲の被覆重量を有することができる。デンプンがプライマー組成物に存在する場合、プライマーコーティングは、1.5g/mまでのさらに高い被覆重量を有することができる。したがって、デンプンを含有する被覆重量は、約0.05g/m~約1.5g/m、または約0.1g/m~約0.5g/m、または0.5g/m~約0.9g/m、または0.9g/m~約1.2g/m、または1.2g/m~約1.5g/mの範囲にあってもよい。デンプンを欠くプライマーコーティングもこれらのより高い被覆重量に存在することもできる。いずれかの種類のコーティング厚さは約0.1ミクロン~約5ミクロン、または約0.3ミクロン~約3ミクロン、または約0.5ミクロン~約2ミクロンの範囲にあってもよい。
【0041】
[0042]本開示の被覆基材は、トナー、例えば、電子写真画像の形態などで、プライマーコーティングに付着されるHP INDIGOをさらに含んでいてもよい。プライマーコーティングに形成することができる電子写真画像として、限定されないが、テキスト、絵、写真画像などが挙げられる。トナーを含む被覆基材は、非限定的な例において、液体電子写真印刷によって形成することができる。
【0042】
[0043]本開示のプライマー組成物を形成する方法も本明細書において企図される。プライマー組成物を形成する適切な方法は、特定のプロセス構成において、乳化重合技術を特徴としてもよい。方法は以下を含むことができる:水性流体において、アミン基を欠く1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーを少なくとも1つのアミン基を有する1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーと合わせる工程、および水性流体において実施される1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーおよび1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーの乳化重合反応において、約10~約180mg KOH/gコポリマー、または約70~約140mg KOH/gコポリマー、または約30~約160mg KOH/gコポリマー、または約50~約60mg KOH/gコポリマー、または約60~約80mg KOH/gコポリマー、または約80~約100mg
KOH/gコポリマーのアミン価、または約100~約115mg KOH/gコポリマー、または約115~約130mg KOH/gコポリマー、または約130~約150mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを形成し、それによって、水性流体に乳剤として分散されたアミン官能化コポリマーを含むコーティング組成物を提供する工程。アニオン性または非イオン性界面活性剤は水性流体に使用することができ、非イオン性界面活性剤は、アニオン性またはカチオン性添加物のいずれかと混合した後、プライマー組成物が使用され得る潜在的な基材の範囲を広げる。
【0043】
[0044]乳化重合に使用することができるラジカル開始剤として、例えば、過硫酸アルカリ、過硫酸アンモニウム、4,4’-アゾビス-シアノ吉草酸またはAIBNなどのアゾ開始剤およびt-ブチルヒドロペルオキシドなどの有機(ヒドロ)ペロキシドが挙げられる。アゾ開始剤は、アミン含有モノマーと酸化-還元反応に関与せずに重合を開始する能力があるため特に望ましい場合がある。ラジカルは反応混合物を加熱することによって、またはなかでも、アスコルビン酸もしくはホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムなどの還元剤を使用することによって形成することができる。重合反応は、約20℃~約90℃の範囲の温度を発生させることができる。有機鎖移動剤も調節剤として知られており、なかでも、例えば、2-メルカプトエタノール、tert-ドデシルメルカプタンが、その調製の間、コポリマーの分子量を制御するために実行することもできる。
【0044】
[0045]ベース基材上にプライマー組成物を付着させることは、ベース基材の少なくとも1つの表面にプライマー組成物を適用し、乾燥させて水性流体を取り除くことによって実現することができる。ベース基材にプライマー組成物を適用することは、様々な方法のいずれか、例えば、浸漬、噴霧、ロッドもしくはローラーまたはサイズプレス、ウォーターボックス、ブレードコーター、キャストコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、フィルムプレスコーター、フレキソコーターなどの機器を使用することによって達成することができる。プライマー組成物は、印刷プロセスの間のインラインまたはオフラインで適用することができ、次に、被覆基材がオフライン構成において印刷プロセスに供給される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
[0046]本開示の実施形態は以下:
[0047]A.約70~約140mg KOH/gアミン価を有するプライマー組成物。プライマー組成物は以下を含む:水性流体に乳剤として分散された乳剤重合アミン官能化コポリマーであって、アミン官能化コポリマーが約70~約140mg KOH/gコポリマーのアミン価および約0℃~約50℃のガラス転移温度を有し、アミン基を欠く1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含み、少なくとも1つのアミン基が、アミン官能化コポリマーの側鎖を構成する、乳剤重合アミン官能化コポリマー。
【0046】
[0048]B.約10~約180mg KOH/gアミン価を有するプライマー組成物。プライマー組成物は以下を含む:流体;および約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有する、流体に分散されたアミン官能化コポリマーであって、アミン基を欠く1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含み、少なくとも1つのアミン基が、アミン官能化コポリマーの側鎖を構成する、アミン官能化コポリマー。
【0047】
[0049]C.被覆基材。被覆基材は以下を含む:ベース基材;およびベース基材の表面に配置されたプライマーコーティングであって、約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを含み;アミン官能化コポリマーが、アミン基を欠く1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのアミン基を有する1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーとの重合反応生成物を含み、少なくとも1つのアミン基が、アミン官能化コポリマーの側鎖を構成する、プライマーコーティング。
【0048】
[0050]D.プライマー組成物の作製方法。方法は以下を含む:水性流体において、アミン基を欠く1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーを、少なくとも1つのアミン基を有する1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーと合わせる工程;ならびに水性流体において実施される1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーおよび1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーの乳化重合反応において、約10~約180mg KOH/gコポリマーのアミン価を有するアミン官能化コポリマーを形成し、それによって水性流体に乳剤として分散されたアミン官能化コポリマーを含むコーティング組成物を提供する工程。
【0049】
[0051]実施形態A~Dのそれぞれは、任意の組合せの以下の追加の要素を1つまたは複数有してもよい:
[0052]要素1:水性流体は約7以上のpHを有する。
【0050】
[0053]要素2:プライマー組成物は、水性流体に分散された中性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤をさらに含む。
[0054]要素3:プライマー組成物は、水性流体に分散されたデンプンをさらに含む。
【0051】
[0055]要素4:プライマー組成物は、水性流体に分散されたアミン官能化コポリマーと異なる接着促進剤をさらに含む。
[0056]要素5:プライマー組成物は、流体に分散されたアミン官能化コポリマーと異なる接着促進剤をさらに含む。
【0052】
[0057]要素6:アミン官能化コポリマーは、側鎖カルボン酸を有する少なくとも1つのモノマー単位をさらに含む。
[0058]要素7:アミン価は、約70~約140mg KOH/gコポリマーの範囲にある。
【0053】
[0059]要素8:アミン官能化コポリマーは、流体において乳剤として分散される。
[0060]要素9:プライマー組成物は、流体に分散された中性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤をさらに含む。
【0054】
[0061]要素10:1つまたは複数の第1のエチレン性不飽和モノマーは、アルキルまたはシクロアルキル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、置換スチレン、ジエン、1,3-ブタジエン、イソプレン、ビニルエステル、酢酸ビニル、ニトリル、(メタ)アクリロニトリル、オレフィン性不飽和ハロゲン化物、塩化ビニル、臭化ビニル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、置換(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含む。
【0055】
[0062]要素11:1つまたは複数の第2のエチレン性不飽和モノマーは、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレートおよびこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含む。
【0056】
[0063]要素12:アミン官能化コポリマーは、プロトン化されたアミン基の第1の部分およびプロトン化されていないアミン基の第2の部分を含む。
[0064]要素13:プライマー組成物は、流体に分散されたデンプンをさらに含む。
【0057】
[0065]要素14:アミン官能化コポリマーは、約0℃~約50℃のガラス転移温度を有する。
[0066]要素15:流体は水性流体を含む。
【0058】
[0067]要素16:ベース基材はポリマー基材を含む。
[0068]要素17:ベース基材は紙基材を含む。
[0069]要素18:プライマーコーティングはデンプンをさらに含む。
【0059】
[0070]要素19:プライマーコーティングは約0.05g/m~約1.5g/mの範囲の被覆重量を有する。
[0071]要素20:プライマーコーティングは、中性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤をさらに含む。
【0060】
[0072]要素21:被覆基材は、プライマーコーティング上に付着されたトナーをさらに含む。
[0073]要素22:プライマーコーティングは、以下:水性流体に乳剤として分散されたアミン官能化コポリマーを含む、コーティング組成物をベース基材上に付着させる工程;および;水性流体を蒸発させて、プライマーコーティングをベース基材に配置した状態にする工程を含む方法によってベース基材上に配置される。
【0061】
[0074]要素23:方法は以下:コーティング組成物をベース基材に配置する工程;および水性流体を蒸発させてアミン官能化コポリマーをベース基材上のプライマーコーティングとして配置された状態にする工程をさらに含む。
【0062】
[0075]要素24:アミン官能化コポリマーは、少なくとも1つのアミン基を有する1つまたは複数の第2のオレフィン性不飽和モノマーを、約1wt.%~約60wt.%、任意選択的に、約5wt.%~約45wt.%、または約10wt.%~約40wt.%、または約10wt.%~約25wt.%、または約25wt.%~約40wt.%含む。
【0063】
[0076]要素25:アミン官能化コポリマーは、約60wt.%~約100%のアクリレートモノマーおよびアクリレートモノマーまたはメタクリレートモノマーではない約40wt.%以下のエチレン性不飽和モノマーを含み、任意選択的に、アミン官能化コポリマーは、全てのアクリレートモノマーまたはメタクリレートモノマーを含む。
【0064】
[0077]要素26:アミン官能化コポリマーは、約10wt.%以下の酸含有モノマー、任意選択的に、約0.1wt.%~約10wt.%の酸含有モノマーを含み、さらに任意選択的に、酸含有モノマーはアクリル酸、メタクリル酸またはこれらの任意の誘導体である。
【0065】
[0078]非限定的な例として、Aに適用可能な例示的な組合せとしては、限定されないが、1および2;1および3;1および4;2および3;2および4;3および4;1~3;1~4;2~4;1および24;1および25;1および26;2および24;2および25;2および26;3および24;3および25;3および26;1~3、および24;1~3、および25;1~3、および26;1~4、および24;1~4、および25;1~4、および26;24および25;24および26;25および26;および24~26が挙げられる。さらなる非限定的な例として、Bに適用可能な例示的な組合せとしては、限定されないが、5および6;5および7;5および8;5および9;5および10;5および11;5および12;5および13;5および14;5および15;6および7;6および8;6および9;6および10;6および11;6および12;6および13;6および14;6および15;7および8;7および9;7および10;7および11;7および12;7および13;7および14;7および15;8および9;8および10;8および11;8および12;8および13;8および14;8および15;9および10;9および11;9および12;9および13;9および14;9および15;10および11;10および12;10および13;10および14;10および15;11および12;11および13;11および14;11および15;12および13;12および14;12および15;13および14;13および15;14および15が挙げられ、任意の例示的な組合せは、24、25、および/または26;5および24;5および25;5および26;6および24;6および25;6および26;7および24;7および25;7および26;8および24;8および25;8および26;9および24;9および25;9および26;10および24;10および25;10および26;11および24;11および25;11および26;12および24;12および25;12および26;13および24;13および25;13および26;14および24;14および25;14および26;15および24;15および25;15および26;24および25;24および26;25および26;および24~26のさらなる組合せにあってもよい。Cに適用可能なさらに非限定的な例示的な組合せとして、限定されないが、16および19;16および20;16および21;16および22;14および16;17および18;17~19;17および19;17および20;17および21;17および22;14および17;18および19;18および20;18および21;18および22;14および18;19および20;19および21;19および22;14および19;20および21;20および22;14および20;21および22;14および21;14および22が挙げられ、任意の例示的な組合せは、24、24、および/または26;14および24;14および25;14および26;16および24;16および25;16および26;17および24;17および25;17および26;18および24;18および25;18および26;19および24;19および25;19および26;20および24;20および25;20および26;21および24;21および25;21および26;24および25;24および26;25および26;および24~26のさらなる組合せにあってもよい。Dに適用可能なさらに非限定的な例示的な組合せとして、限定されないが、6および23;7および23;9および23;10および23;11および23;12および23;14および23;6および7;6および9;6および10;6および11;6および12;6および14;7および9;7および10;7および11;7および12;7および14;9および10;9および11;9および12;9および14;10および11;10および12;10および14;11および12;11および14;および12および14が挙げられ、任意の例示的な組合せは24、24、および/または26;6および24;6および25;6および26;7および24;7および25;7および26;9および24;9および25;9および26;10および24;10および25;10および26;11および24;11および25;11および26;12および24;12および25;12および26;14および24;14および25;14および26;24および25;24および26;25および26;および24~26のさらなる組合せにあってもよい。
【0066】
[0079]本明細書の開示を容易により良く理解するために、様々な代表的な実施形態の以下の実施例が提供される。いかなる場合も、以下の実施例は、本開示の範囲を限定する、または規定するように読み取られるべきではない。
【実施例
【0067】
実施例1
[0080]例示的なポリマーの合成および乳剤の配合手順。モノマー混合物の乳化重合によって1kgの産物を調製した。塔頂凝縮器、スターラーおよび窒素導入口(20mL/分のNの流れ)を取り付けた温度制御された二重ガラス反応器において、乳化重合を実施した。211gの純水中のDOWFAX 2A1(Dow Chemical)乳化剤の7mMの溶液を反応器に加え、85℃に加熱した。別個の容器において、228gのn-ブチルアクリレート、146gのスチレンおよび94gの2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートを含むモノマー混合物を、14gのDISPONIL A 3065(BASF社)乳化剤の存在下で、247gの水に乳化した。アンモニアで1.5倍に中和した10wt.%の4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)の5gの水溶液を反応器に加え、その5分後、事前に調製された25gのモノマー乳剤を加えた。反応混合物を20分間重合させ、その後、残りのモノマー乳剤を、定速で4時間かけて反応混合物に供給した。この間、アンモニアで1.5倍に中和した4wt.%の4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)の24gの水溶液の並行定速供給物も反応混合物に加えた。両方の供給物の添加が完了した後、反応器の内容物をさらに60分間、撹拌条件下で、85℃で保持した。重合条件下で80%を超える高いモノマー変換を得た。
【0068】
[0081]得られたポリマー分散液を50℃に冷却し、4wt.%のt-ブチルヒドロペルオキシドの14gの水溶液および6wt.%のBRUGGOLITE(登録商標)FF6M還元剤(Bruggemann GmbH & Co)、0.2wt.%の硫酸鉄(II)七水和物および0.5wt.%のテトラナトリウムエチレンジアミン四酢酸の14gの水溶液を、2時間かけて、並行して反応器に供給した。その後、反応混合物を30分間、50℃で保持し、次いで、室温に冷却した。室温に到達したとき、0.05gのBYK-016(BYK-Chemie)消泡剤を高速撹拌下、反応混合物にゆっくりと加えた。得られた乳剤は、以下に指定されるようにさらに改変しない限り、さらに改変することなく被覆適用のために直接使用した。
【0069】
[0082]以下の実施例におけるその他のポリマー乳剤は、モノマー混合物におけるエチレン性不飽和モノマーの指定された比を置き換えることによって同様に調製した。
【0070】
実施例2
[0083]ポリマー基材上のコーティングおよび接着試験。実施例1において調製されたポリマー乳剤を48 ga PETポリエステル基材上に被覆し、105℃で1分間乾燥した後に、層の重量は0.5g/mになった。以下の表1のデータについて、hot-nipラミネーターを使用して、HPカラーブロックを未処理のBOPP基材から前述のようにプライミングされたPET基材に移した。この場合、Meyerロッドでハンドドローダウンを実施して、基材表面上のプライマー組成物を送達し、その後hot-nip積層を実施した。以下の表2におけるデータについて、HP INDIGO 6000プレスを使用してプライマーコーティングを適用し、標準的な印刷条件下で、HP INDIGO ELECTROINKを使用してプレス機器で印刷を実施した。特に、プライミングユニットにおいて、80℃の乾燥温度および800Wのコロナパワー強度で、4ショットモードで動作するHP INDIGO 6000プレスを使用して印刷を実施した。
【0071】
[0084]プライマーコーティングに対するインクの接着は、印刷直後にSCOTCH(登録商標)810(3M)テープを印刷表面に適用し、15分後にテープを剥がすことによって評価した。試験手順は、SCOTCH(登録商標)610テープの代わりにSCOTCH(登録商標)810テープを使用し、2kgのローラーを4回通過させて、テープを被覆基材にプレスしたことを除いて、ASTM2252/2252Mに記載の手順と同じであった。印刷画像の除去パーセンテージは視認によって評価した。
【0072】
[0085]接着試験の結果および選択された物理特性データは、以下の表1および2にまとめる。「なし(none)」または0%という値は、印刷画像が完全に除去されることを示し、100%という値は、画像の除去が明らかではないことを示す。非アミン官能基を有し、類似の条件下で付着されたポリマーについての制御データは、表1に示される。様々な量のアミン官能基を有するポリマーのデータは、表2に示される。モノマーのパーセンテージは、モノマーの総重量に対する個々のモノマーの重量による。ガラス転移温度(T)は、DSC3+機器(Mettler Toledo)を使用して示差走査熱量測定によって決定した。走査周期は、20℃/分のランプにおける-60℃に初期冷却、続いてこの温度における5分間の安定期間から構成された。試料をその後、20C/分のランプで120C/分の温度まで加熱し、続いてこの温度における5分間の第2の安定期間を経た。前述の周期のうちの2つは各試料に実施し、第1の周期は試料の熱履歴を除去し、第2の周期はT値を決定するために使用した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2-1】
【0075】
【表2-2】
【0076】
【表2-3】
【0077】
[0086]表1に示されるように、カルボキシル、エポキシドまたはヒドロキシル官能性を含む様々なコポリマーで配合されたコーティングは、積層後にインクの移動を与えたが、テープ引張り試験によって測定したとき、画像の接着は促進しなかった。アミドまたは尿素官能性を含むコポリマーは、テープ引張り試験によって測定したとき、限定的な画像の接着量を与え、これは、おそらく、トナーにおいて、これらの官能基とカルボキシル官能性との間でN-H水素結合または部分酸-塩基相互作用の形成によるものである。
【0078】
[0087]表2に示されるように、複数のアミン含有コポリマーは、テープ引張り試験によって測定したとき、良好な画像の転写と強力な接着の両方を与えた。多くの場合において、接着率は80%を超えていた。強力な接着を示すが、アミン含有モノマーを欠く組成物(エントリー13)と同様の組成を有するコポリマーは、テープ引張り試験によって測定可能な接着を実証しなかった。2つの異なる種類のアミン含有モノマーを有するコポリマー(エントリー33および34)は、単一の種類のアミン含有モノマーしか有しないコポリマーと同様の割合の接着価を示した。
【0079】
[0088]アミン基を内部でプロトン化することができるモノマーを含むコポリマー、または重合の後、完全もしくは部分的に四級化もしくはプロトン化されたアミン基を有するコポリマーを特徴とするプライマーコーティングは、アミン修飾の閾値レベルに到達すると、より低い接着率を示した。閾値レベルを超えるカルボン酸基を組み込むことは、画像の接着を完全に遮断したが(エントリー36)、より少ない量のカルボン酸官能性が存在する場合、画像の著しい接着を依然として実現した(エントリー35)。エントリー35のコポリマーに観察された接着は、他のモノマーの同様の量を有するがカルボン酸含有モノマーを欠くコポリマー(エントリー15または17)に観察された接着に類似した、またはそれより僅かに低いだけであった。過剰なカルボン酸官能性を組み込むことと同じように、鉱酸による合成後酸性化は、画像の接着を促進するコポリマーの能力を完全に崩壊させたが(エントリー37)、非酸性化コポリマーは良好な画像の接着を示した(エントリー15)。アミン基の部分的なエポキシド官能化は、良好な画像の接着を保持し(エントリー38)、非官能化した対照物のコポリマー(エントリー22)に比べて、最小限の減少しか観察されなかった。
【0080】
実施例3
[0089]プラスチック基材におけるコーティングについての追加の接着試験のデータ。実施例1のように調製されたポリマー乳剤を、48 ga PETポリエステル基材に、または80 ga BOPP(二軸延伸ポリプロピレン)基材に被覆した。被覆はHP INDIGO 6000プレスを使用して実施例2のように実施した。被覆重量は、この実施例において同様に異なっていた。接着試験の結果および選択された物理特性データは、以下の表3にまとめる。
【0081】
【表3-1】
【0082】
【表3-2】
【0083】
示されるように、さらなる接着促進剤としてポリエチレンイミンまたはポリウレタンをコーティングに組み込むことは、観察された画像の接着に著しくは影響しなかった(エントリー46~53)。ポリエチレンイミンまたはポリウレタンを加えてBOPP基材に対する接着を促進させた。
【0084】
[0090]エントリー44および46からのコーティングの耐水性を、被覆されたPET基材を30分、1時間、3時間および24時間浸することによって試験した。被覆基材が水から取り出した後に、各時間においてテープ引張り試験を実施した。比較的親水性のコポリマーコーティング(エントリー46)は、水への浸漬からちょうど30分後にかなりの層間はく離を示し、より疎水性のコポリマー(エントリー44)は、試験時間にわたって、著しい層間はく離を起こさなかった。
【0085】
実施例4
[0091]紙基材におけるコーティングについての接着試験のデータ。8wt.%の水性デンプン溶液を、90℃で少なくとも25分間溶液を保持し、その後、1wt.%の水酸化カリウム水溶液を使用して溶液のpHを8.5に調節した。各デンプン溶液を、固形物に対して75%のデンプンおよび25%のコポリマーのブレンド比で、実施例1のように調製されたポリマー乳剤とブレンドした。ブレンドを60℃で1時間保持し、その後、約150g/mの基準重みを有する市販されているStarbrite Opaque Select Smooth 100T紙(Verity、カリパス7.4、輝度96および不透明度97)のシートに適用した。Meyerロッド#4を使用し、2g/mの乾燥材料の被覆重量を目標にして被覆を実施した。配合直後および60℃で24時間保管した後に、ブルックフィールド粘度を決定して、ブレンドした被覆乳剤のコロイド安定性を決定した。アミン含有コポリマーの全ては、試験したデンプンとコロイド的に安定した。すなわち、粘度は、24時間の観察期間にわたって認識できるほど変化しなかった。
【0086】
[0092]被覆された紙シートは、4ショットモードで動作するHP Indigo press WS 5500 Series3を使用し、続いて、それぞれ、110℃のブランケットの温度および42℃の圧胴の温度で、標準スクリーニング手順で調製した。HP100%ブラック液体トナーおよびHP290%フォトブラックトナー(52%黄色、66%マゼンタ、72%シアンおよび100%ブラック)を被覆された紙シートに印刷した。インクの接着は、10分後にSCOTCH(登録商標)234(3M)テープでテープ引張り試験を実施することによって評価した。接着率は、フラットベッドスキャナを使用し、スキャンされた画像を加工して、テープによって除去された領域を決定して評価した。被覆されていない紙に対するHP ELECTROINKの接着は、100%ブラックトナーについては65%、および290%フォトブラックトナーについては39%であることが分かった。表4~7は、ヒドロキシエチル化トウモロコシデンプン(INGREDION PEN-COTE(登録商標))、酸化トウモロコシデンプン(Douglas
3040)、ヒドロキシエチル化タピオカデンプン(EXCELSIZE 22)およびヒドロキシエチル化ジャガイモデンプン (WESCOTE 3070)をそれぞれ有するアミン含有コポリマー乳剤のブレンドについて得られた接着の結果を示す。アミン含有コポリマーは、試験したデンプンとコロイド的に安定しており、観察期間にわたって粘度は認識できるほど変化しなかった。
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
表4~7に示されるように、アミン含有コポリマーに対する画像の接着は、アミン官能性を欠くコポリマーよりも著しく強力であった(エントリー54、60、66および72)。さらに、アミン含有コポリマーは、100%ブラックと290%フォトブラックトナーの両方について、非常に高い接着を与えた。対照的に、アミン官能性を欠くコポリマーは、290%フォトブラックトナーについて非常により低い画像の接着を与えた。
【0092】
[0093]本明細書に記載の全ての文献は、全ての管轄権のために、参照により本明細書に組み込まれ、このような実施が許容される場合、任意の優先権書類および/または試験手順は、本文書と矛盾しない範囲で含まれる。前述の概要および特定の実施形態から明らかなように、本開示の形態は、例示され記載される一方、本開示の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができる。したがって、本開示はそれによって限定されることは意図していない。例えば、本明細書に記載の組成物は、明示的に列挙されていないまたは本明細書に開示されていない任意の成分または組成物を含まない場合がある。任意の方法は、本明細書に列挙されていないまたは開示されていない任意のステップを欠く場合がある。同様に、「~を含む(comprising)」という用語は、「~を含む(including)」という用語と同義と考えられる。方法、組成物、要素または要素のグループが移行句「~を含む(comprising)」に先行する場合はいつでも、我々は、組成物または要素(1つまたは複数)の列挙に先行する「~から本質的に構成される」、「~から構成される」、「~からなる群から選択される」または「~である」を伴う同組成物または要素のグループも考慮しており、逆も真なりであることを理解されたい。
【0093】
[0094]他に示されていない限り、本明細書および関連の特許請求の範囲において使用される成分の量を表す全ての数、分子量などの特性、反応条件などは、「約」という用語によって全ての例において修正されることを理解されたい。したがって、反対のことを示されていない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメーターは、本発明の実施形態によって得られると考えられる所望の特性に依存して変化し得る近似値である。最低でも、請求項の範囲において等価物の教義の適用を限定しようとするのではなく、各数値パラメーターを、少なくとも、報告されている有効数字の数の観点から、通常の丸め技術を適用することによって解釈すべきである。
【0094】
[0095]下限および上限を有する数値範囲が開示されている場合はいつでも、任意の数およびその範囲にある任意の範囲は、明確に開示される。特に、本明細書に開示される値の全ての範囲(「約a~約b」または同等に「約aからb」または同等に「約a~b」の形態の)は、より広い範囲の値に包含される全ての数および範囲を記載していることを理解されたい。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって他に明示的に、明白に定義されていない限り、明白で普通の意味を有する。さらに、特許請求の範囲において使用される不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、それが紹介する要素の1つまたはそれより多いことを意味することが本明細書に規定される。
【0095】
[0096]1つまたは複数の例示的な実施形態が本明細書に提示される。簡潔さのために、物理的な実施の全ての特徴が本出願に記載され、または示されているわけではない。本開示の物理的な実施形態の開発において、例えば、システム関連の、ビジネス関連の、政府関連の順守およびその他の制約に従うなど、開発者の目標を達成するために、多数の実施特有の決定がなされなければならないこと、この決定が実施によって、時折変化することを理解されたい。開発者の努力は時間および手間のかかる場合があるが、それでも、このような努力は、当業者にとって日常的な仕事であり、本開示の利益を有する仕事であると思われる。
【0096】
[0097]したがって、本開示は、それらに本来備わっている目的および利点と同様に言及される目的および利点に到達するように十分適応している。本開示は、当業者および本明細書における教示の利益を有する者に対して明白な、異なるが等価な手法で修正され、実施することができるため、前述に開示されている特定の実施形態は、例示的なものに過ぎない。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されていること以外の、示されている本明細書の構造または設計の詳細に制限を設けることを意図していない。したがって、前述に開示されている特定の例示的な実施形態は、変更され、組み合わせられ、または修正されることは明白であり、このような全ての変形形態が本開示の範囲および精神にあると考えられる。本明細書に例示的に開示される実施形態は、本明細書に特に開示されていない任意の要素および/または本明細書に開示される任意選択的な要素が存在しないに場合において、適切に実施することができる。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項28】
前記コーティング組成物をベース基材上に配置する工程;および
前記水性流体を蒸発させて、前記アミン官能化コポリマーを前記ベース基材上にプライマーコーティングとして配置した状態にする工程
をさらに含む、請求項27に記載の方法。

【国際調査報告】