(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ボラン-アミン錯体を含む2成分接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 4/52 20060101AFI20220914BHJP
C09J 4/00 20060101ALI20220914BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220914BHJP
C09D 4/00 20060101ALI20220914BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20220914BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20220914BHJP
C08F 4/54 20060101ALI20220914BHJP
C08K 5/55 20060101ALI20220914BHJP
C08L 33/06 20060101ALI20220914BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
C08F4/52
C09J4/00
C09J11/06
C09D4/00
C09D7/63
C09D5/00 D
C08F4/54
C08K5/55
C08L33/06
C08L75/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502894
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 FR2020051238
(87)【国際公開番号】W WO2021009447
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】514058706
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】513277212
【氏名又は名称】アンスティチュ ポリテクニーク ドゥ ボルドー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミショー, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】コリン, ボリ
(72)【発明者】
【氏名】シモン, フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】フーカイ, ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】リアウタール, ビルジニ
(72)【発明者】
【氏名】プショール, マチュー
【テーマコード(参考)】
4J002
4J015
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4J002BG04W
4J002BG05W
4J002CK02X
4J002CK04X
4J002EY016
4J002FD146
4J002GJ01
4J015DA04
4J015DA33
4J038DF042
4J038DJ012
4J038FA111
4J038HA446
4J038JB01
4J038KA04
4J038PA07
4J038PC08
4J040EE051
4J040EE052
4J040EH012
4J040FA131
4J040GA14
4J040HA306
4J040HD39
4J040KA14
4J040KA26
4J040MA10
(57)【要約】
本発明は、
- ボランBH3とアミンとの錯体を含むA部と、
- ボランとアミンを脱錯化するための脱錯化剤を含むB部と、
少なくとも1つのエチレン性結合を含む少なくとも1つのラジカル重合性化合物であって、A部及びB部のうちの少なくとも1つに存在する化合物と
を含む2成分組成物;さらに、2つの基材を一緒に結合させるための接着剤としてのこの組成物の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ボランBH
3のアミンとの錯体を含むA部と、
- ボランとアミンを脱錯化するための脱錯化剤を含むB部と、
少なくとも1つのエチレン性結合を含む少なくとも1つのラジカル重合性化合物であって、A部及びB部のうちの少なくとも1つに存在する化合物と
を含む2成分組成物。
【請求項2】
- アミンが、式(I):
[式中、R
1、R
2及びR
3は、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択される。]
のものであるか;
- 又はアミンが、式(II):
[式中、R
4、R
5及びR
10は、水素原子又は1~10個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択され、R
i及びR
iiは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む飽和又は不飽和基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から選択され、t、x及びyは、0~90、優先的には0~70、優先的には0~50、さらにより優先的には0~30の数を独立して表す。]
のものであるか;
- 又はアミンが、式(III):
[式中、R
6は、2~60個の炭素原子、好ましくは2~40個の炭素原子を含む二価の基を表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、二価のアルキルラジカル、二価のシクロアルキルラジカル、二価のアリールアルキルラジカル又は二価のアリールラジカルから選択され、R
i、R
ii、R
iii及びR
ivは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から選択される。]
のものであるか;
- 又はアミンが、式(IV):
[式中、R
7、R
8及びR
9は、1~10個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択され、R
i、R
ii、R
iii及びR
ivは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から選択され、v、w及びzは、0~90、さらにより優先的には0~70の数を独立して表す。]
のものであるか;
- 又はアミンが、式(V):
[式中、R
i、R
ii、R
iii及びR
ivは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から選択され、a及びbは、1~20、好ましくは2~11の数を独立して表す。]
のものであるか;
- 又はアミンが、式(VI):
[式中、R
1
8、R
1
9、R
2
8、R
2
9、R
2
9、R
3
8及びR
3
9は、1~10個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択され、Rは、水素原子又は1~10個の炭素原子を含む基を表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基又はアリール基から選択され、R
i、R
ii、R
iii及びR
ivは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から選択され、nは、0~30、好ましくは0若しくは1に等しい数を表し、z
1+z
2+z
3の和、v
1+v
2+v
3の和及びw
1+w
2+w
3の和は、0~90、優先的には0~70、優先的には0~50、さらにより優先的には0~30の数を独立して表す。]
のものであり、
アミンは、好ましくはジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアニリン、ジイソプロピルアミン、tert-ブチルアミン、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ポリエーテルアミン及びこれらの組合せから選択される、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
脱錯化剤が、イソシアネート、ルイス酸、カルボン酸、鉱酸、スルホン酸、ホスホン酸、塩化アシル、無水物、アルデヒド、1,3-ジカルボニル化合物、エポキシド及びこれらの組合せから選択され、好ましくは脱錯化剤がイソシアネートである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ラジカル重合性化合物が、スチレン、ビニル、アクリル系又はメタクリル系モノマー及びこれらの組合せから選択され、好ましくはラジカル重合性化合物がアクリレート、アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリレート、メタクリル酸、メタクリルアミド、メタクリロニトリル及びこれらの組合せから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ラジカル重合性化合物が、組成物のB部のみに存在するか、又はラジカル重合性化合物が、組成物のA部のみに存在するか、又はラジカル重合性化合物が、組成物のA部及びB部に存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ラジカル重合性化合物が、組成物のA部及びB部の合計に対して10質量%~70質量%、好ましくは10質量%~60質量%の含有量を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
A部のB部に対する質量比が、0.05~20、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.1~1である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ボランBH
3とアミンとの錯体が、A部の合計に対して0.1質量%~100質量%、好ましくは1質量%~50質量%、より好ましくは1質量%~25質量%の含有量でA部に存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
脱錯化剤が、B部の合計に対して0.1質量%~70質量%、好ましくは5質量%~60質量%の含有量でB部に存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
2つの基材を一緒に結合するための接着剤としての、又は基材の表面へのコーティングとしての、又は基材の表面へのプライマーとしての、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
基材又は2つの基材のうちの少なくとも1つが、45mJ/m
2以下、好ましくは40mJ/m
2以下、より好ましくは35mJ/m
2以下の表面エネルギーを有する、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を架橋させることによって得られる少なくとも1つの層を含む物品。
【請求項13】
層が接着剤層である、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の物品を調製するための方法であって、
- 組成物のA部をB部と混合することと、
- この混合物を基材の表面にコーティングすることと、
- 任意選択で、この表面を追加の基材の表面と接触させることと
を含む、方法。
【請求項15】
請求項12又は13に記載の物品を調製するための方法であって、
- 組成物のA部又はB部のうちの1つを基材の表面にコーティングすることと、
- 組成物のA部又はB部のうちの2つ目を基材の表面にコーティングすることと、
- 任意選択で、この表面を追加の基材の表面と接触させることと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分組成物、さらに前記組成物の使用に関する。本発明はまた、この組成物を用いて製造される物品及び前記物品を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材の表面の性質は、その表面エネルギーによって特徴付けられる場合がある。ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリファルネセン、ポリミルセン、ポリジシクロペンタジエン及びこれらの共重合体)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの低表面エネルギー基材は、互いに又は他の種類の基材に結合することが困難であり、多くの場合結合前に表面処理を必要とすることが公知である。この処理は、基材を層でコーティング又は処理しなければならない場合にも必要でありうる。これは、基材の表面が、飽和炭素-炭素結合に起因して化学的に不活性であるためである。プラズマ若しくはコロナ処理、研磨処理、又は化学剤による処理などの処理は、基材の表面を化学的及び/又は物理的に改質し、その表面エネルギーを好都合に改質することからなる。
【0003】
しかし、この種類の処理は、プロセス費用が高い、結果が必ずしも再現可能ではない、及び効果が経時的に減少するなどのいくつかの欠点を有する。
【0004】
近年では、有機ボランを含む接着剤組成物の使用により、ラジカル経路によって重合可能な化合物の低エネルギー表面への接着を改善できることが発見されている。しかし、有機ボランの不安定かつ自然発火性の性質に起因して、酸化分解を回避するために、有機ボランはアミンと錯化されなければならない。この種類の組成物は、多くの場合組成物の使用及び塗布直前に混合される2部分の形態(2つの部分のうちの1つは有機ボラン-アミン錯体を含み、1つは脱錯化剤などの有機ボラン-アミン錯体と反応する薬剤を含む)である。
【0005】
文献US2,973,337は、ボラザン型触媒を使用した、1種又は複数のエチレン性結合を含む不飽和化合物の重合について記載している。
【0006】
文献US8,202,932は、重合性(メタ)アクリル系組成物、及びこれらの組成物から調製される接着剤系に関する。これらの組成物は、アルキル化水素化ホウ素、又はテトラアルキルボラン金属、又はアンモニウム塩及びアミノシランを含む。この文献によると、これらの組成物は、少なくとも1つの低エネルギー表面を含む結合用途に好適である。
【0007】
文献US6,632,908は、金属、プラスチック又はガラス基材を、同じ性質又は異なる性質の基材、例えば低エネルギー表面を有する基材に接着させるために使用される(メタ)アクリル系組成物に関する。この文献に記載される(メタ)アクリル系組成物は、(メタ)アクリレート化合物並びに有機金属化合物、過酸化物化合物、アジリジンに基づく化合物及び酸官能基を有する化合物を含む開始剤系を含む。
【0008】
文献US9,315,701は、有機ボラン-アミン錯体、ポリアミン、ラジカル重合性化合物及びポリイソシアネート化合物を含む2部接着剤組成物について記載している。これらの組成物は、低表面エネルギーを有する基材の接着に特に好適である。
【0009】
文献WO2016/077166は、有機ボラン-アミン錯体及び反応性希釈剤を含む第1の部分、並びに有機ボラン-アミン錯体を脱錯化するための脱錯化剤、及びエチレン性不飽和結合を含む少なくとも1種の重合性化合物を含む第2の部分を含む、2部組成物に関する。
【0010】
しかし、特定の場合、かつ有機ボランとアミンの錯化にもかかわらず、反応性モノマーに基づく接着剤組成物は、有機ボラン-アミン錯体の存在下で不安定な場合があり、またその貯蔵だけでなくその使用中にも問題を生じうる。さらに、有機ボラン-アミン錯体は反応性が高いため、接着剤組成物の架橋中のそれらの反応性の有効な制御は不可能である(言い換えると、非常に急速に架橋する)。
【0011】
したがって、特に低表面エネルギーを有する基材への、及び基材の間の良好な接着を可能にする組成物であって、長期間貯蔵可能であり、安全に使用でき、かつ制御可能な反応性を有する組成物を提供するための真の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、第1に、
- ボランBH3とアミンとの錯体を含むA部と、
- ボランとアミンを脱錯化するための脱錯化剤を含むB部と、
少なくとも1つのエチレン性結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物であって、A部及びB部のうちの少なくとも1つに存在する化合物と
を含む2成分組成物に関する。
【0013】
一部の実施形態では、
- アミンは、式(I):
[式中、R
1、R
2及びR
3は、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択される。]
のものであるか;
- 又はアミンは、式(II):
[式中、R
4、R
5及びR
10は、水素原子又は1~10個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択され、R
i及びR
iiは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から選択され、t、x及びyは、0~90、優先的には0~70、優先的には0~50、さらにより優先的には0~30の数を独立して表す。]
のものであるか;
- 又はアミンは、式(III):
[式中、R
6は2~60個の炭素原子、好ましくは2~40個の炭素原子を含む二価の基を表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、二価のアルキルラジカル、二価のシクロアルキルラジカル、二価のアリールアルキルラジカル又は二価のアリールラジカルから選択され、R
i、R
ii、R
iii及びR
ivは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から選択される。]
のものであるか;
- 又はアミンは、式(IV):
[式中、R
7、R
8及びR
9は、1~10個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択され、R
i、R
ii、R
iii及びR
ivは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から選択され、v、w及びzは、0~90、さらにより優先的には0~70の数を独立して表す。]
のものであるか;
- 又はアミンは、式(V):
[式中、R
i、R
ii、R
iii及びR
ivは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から選択され;a及びbは、1~20、好ましくは2~11の数を独立して表す。]
のものであるか;
- 又はアミンは、式(VI):
[式中、R
1
8、R
1
9、R
2
8、R
2
9、R
2
9、R
3
8及びR
3
9は、1~10個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択され、Rは、水素原子又は1~10個の炭素原子を含む基を表し、この基は線状又は分岐状であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基又はアリール基から選択され、R
i、R
ii、R
iii及びR
ivは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表し、この基は線状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から選択され、nは0~30の数を表し、好ましくは0若しくは1に等しく、z
1+z
2+z
3の和、v
1+v
2+v
3の和及びw
1+w
2+w
3の和は、0~90、優先的には0~70、優先的には0~50、さらにより優先的には0~30の数を独立して表す。]
のものである。
【0014】
特定の実施形態では、アミンは、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアニリン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルピペリジン、tert-ブチルアミン、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ポリエーテルアミン及びこれらの組合せから選択される。
【0015】
特定の実施形態では、脱錯化剤は、イソシアネート、ルイス酸、カルボン酸、鉱酸、スルホン酸、ホスホン酸、塩化アシル、無水物、アルデヒド、1,3-ジカルボニル化合物、エポキシド及びこれらの組合せから選択され、好ましくは脱錯化剤はイソシアネートである。
【0016】
特定の実施形態では、ラジカル重合性化合物は、スチレン、ビニル、アクリル系又はメタクリル系モノマー及びこれらの組合せから選択される。
【0017】
特定の実施形態では、ラジカル重合性化合物は、アクリレート、アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリレート、メタクリル酸、メタクリルアミド、メタクリロニトリル及びこれらの組合せから選択されるモノマーである。
【0018】
特定の実施形態では、ラジカル重合性化合物は、組成物のB部のみに存在する。
【0019】
特定の実施形態では、ラジカル重合性化合物は、組成物のA部のみに存在する。
【0020】
特定の実施形態では、ラジカル重合性化合物は、組成物のA部及びB部に存在する。
【0021】
特定の実施形態では、ラジカル重合性化合物は、組成物のA部及びB部の合計に対して10質量%~70質量%、好ましくは10質量%~60質量%の含有量を有する。
【0022】
特定の実施形態では、A部のB部に対する質量比は0.05~20、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.1~1である。
【0023】
特定の実施形態では、ボランBH3とアミンとの錯体は、A部の合計に対して0.1質量%~100質量%、好ましくは1質量%~50質量%、より好ましくは1質量%~25質量%の含有量でA部に存在する。
【0024】
特定の実施形態では、脱錯化剤は、B部の合計に対して0.1質量%~70質量%、好ましくは5質量%~60質量%の含有量でB部に存在する。
【0025】
特定の実施形態では、組成物はまた、モノアミン又はポリアミンから選択される少なくとも1種の追加的なアミンを、好ましくは0.01質量%~30質量%の含有量で含む。
【0026】
特定の実施形態では、組成物は、充填剤、可塑剤、粘着付与樹脂、溶媒、UV安定剤、吸湿剤、蛍光材料、レオロジー添加剤及びこれらの組合せから選択される1種又は複数の添加剤を追加的に含む。
【0027】
本発明はまた、2つの基材を一緒に結合させるための接着剤としての上述の組成物の使用に関する。
【0028】
本発明はまた、基材の表面へのコーティングとしての上述の組成物の使用に関する。
【0029】
本発明はまた、基材の表面へのプライマーとしての上述の組成物の使用に関する。
【0030】
特定の実施形態では、基材又は2つの基材のうちの少なくとも1つは、45mJ/m2以下、好ましくは40mJ/m2以下、より好ましくは35mJ/m2以下の表面エネルギーを有する。
【0031】
特定の実施形態では、基材又は2つの基材のうちの少なくとも1つは、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリファルネセン、ポリミルセンから選択されるポリオレフィン、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ二フッ化ビニル、ポリ三フッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン及びこれらの共重合体又はこれらの混合物からなる。
【0032】
本発明はまた、上述の組成物を架橋させることによって得られる少なくとも1つの層を含む物品に関する。
【0033】
特定の実施形態では、層は接着剤層である。
【0034】
本発明はまた、上述の物品を調製するための方法であって、
- 組成物のA部とB部を混合することと、
- この混合物を基材の表面にコーティングすることと、
- 任意選択で、この表面を追加の基材の表面と接触させることと
を含む、方法に関する。
【0035】
本発明は、上記で表された必要性を満たすことができる。本発明は、より詳細には、特に低表面エネルギーを有する基材への、及び基材の間の良好な接着を可能にする組成物であって、長期間貯蔵可能であり、安全に使用でき、かつ制御可能な反応性を有する組成物を提供する。
【0036】
これは、ボラン-アミン(すなわち、BH3-アミン)錯体を含む2成分組成物(又はキット)の使用によって達成される。ボラン-アミン錯体は、例えば有機ボランを含む錯体と比較して改善された安定性を組成物に付与し、その長期貯蔵を可能にする。さらに、有機ボラン-アミン錯体と比較して高いこれらの錯体の安定性により、ボラン-アミン錯体は架橋中の組成物の反応性のより良好な制御を可能にする。
【0037】
そのような錯体によって開始される重合機構は、先行技術で利用される有機ボラン錯体によって開始されるものとは必然的に異なるという点で、そのような錯体を良好に使用できることは全くの驚きである。
【0038】
より詳細には、組成物の第1の部分(A部)はボラン-アミン錯体を含み、一方で組成物の第2の部分(B部)は、ボランとアミンを脱錯化させ、重合を開始するボランを遊離させるための脱錯化剤を含む。したがって、組成物は、ポリマーと基材との間に共有結合を形成することによって基材で重合を開始することができる、少なくとも1つのエチレン性結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む。
【0039】
ボラン-アミン錯体の改善された安定性により、組成物の安全性又は貯蔵に危険を及ぼすことなく、ラジカル重合性化合物が組成物のA部に存在することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ここで、以下に続く記載でより詳細に、かつ非限定的な様態で本発明を説明する。
【0041】
本発明は、第1の部分(A部)及び第2の部分(B部)を含む2成分組成物に関する。
【0042】
ボラン-アミン錯体
2成分組成物、より詳細には2成分組成物のA部は、ボランとアミンとの錯体を含む。
【0043】
体系的命名法による「ボラン」又は「トリヒドリドボロン」という用語は、式「BH3」を有する分子を意味すると理解される。
【0044】
ボランは反応性の高い分子であるため、接着剤組成物のA部の良好な貯蔵安定性を確保するためにアミンと錯化する必要がある。
【0045】
アミンは、モノアミン(単一のアミン基を含む)又はポリアミン(1個より多くのアミン基、例えば2、3若しくは4個のアミン基を含む)であってもよい。主鎖を含むポリアミンの場合、アミン基は主鎖の末端に存在してもよく、及び/又は主鎖に沿って側基若しくはペンダント基の形態で存在してもよい。
【0046】
好ましくは、アミンはモノアミンである。
【0047】
アミンがモノアミンである場合、第一級、第二級又は第三級モノアミンから選択されてもよい。
【0048】
特定の実施形態によると、モノアミンは、式(I):
のものであってもよい。
【0049】
R1、R2及びR3は、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。この基は、線状又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい。
【0050】
特定の実施形態によると、R1、R2及びR3は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から独立して選択されてもよい。例として、R1、R2及びR3は、独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキルフェニルなどのアリール基(アリールアルキル)によって置換されているアルキル基、無置換であるか、又はアルキル基(アルキルアリール)若しくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基及びカルボニル基などの1個又は複数の基で置換されているフェニル基、無置換であるか、又はアルキル若しくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基及びカルボニル基などの1個又は複数の基で置換されているナフチル基、無置換であるか、又はアルキル若しくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基及びカルボニル基などの1個又は複数の基で置換されているヘテロアリール基であってもよい。ヘテロアリール基の例として、ピリジン、ピロール及びカルバゾールを挙げることができる。代替的に、R1、R2及びR3のうちの2つは、環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン又はこれらの高級ホモログのうちの1つの一部を形成してもよい。さらに代替的に、R1、R2及びR3のうちの2つは、例えば1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(又はキヌクリジン)などの複数の環の一部を形成してもよい。
【0051】
特定の実施形態によると、R1、R2及びR3は同一であってもよい。
【0052】
他の実施形態によると、R1、R2及びR3は互いに異なってもよい。
【0053】
特定の実施形態によると、R1、R2及びR3のうちの少なくとも2つは同一である。
【0054】
特定の実施形態によると、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは水素である。
【0055】
他の実施形態によると、R1、R2及びR3はいずれも水素ではない。
【0056】
好ましい実施形態によると、式(I)のモノアミンが第一級アミンである場合、モノアミンはtert-ブチルアミンであってもよい。
【0057】
好ましい実施形態によると、式(I)のモノアミンが第二級アミンである場合、モノアミンはジイソプロピルアミン又はジエチルアミン、好ましくはジイソプロピルアミンであってもよい。
【0058】
好ましい実施形態によると、式(I)のモノアミンが第三級アミンである場合、モノアミンはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又はジエチルアニリンであってもよい。
【0059】
他の実施形態によると、モノアミンは、ポリエーテルアミン、すなわち複数のエーテル官能基を含むアミンであってもよい。
【0060】
好ましい実施形態によると、モノアミンは第一級ポリエーテルアミンである。
【0061】
他の実施形態によると、モノアミンは第二級又は第三級ポリエーテルアミンである。
【0062】
したがって、ポリエーテルアミンであるモノアミンの場合、モノアミンは、式(II):
のものであってもよい。
【0063】
R4、R5及びR10は、水素原子又は1~10個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。この基は、線状又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい。好ましくは、R4、R5及びR10は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~7個、より好ましくは1~3個の炭素原子を含む線状又は分岐状の基を独立して表す。
【0064】
特定の実施形態によると、R4は、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基又はアルキルアリール基から選択されてもよく、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール及びアルキルアリール基は上述の通りである。
【0065】
好ましくは、R4は、好ましくは1~7個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0066】
特定の実施形態によると、R5は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択されてもよく、これらの基は上述の通りである。好ましくは、R5は、好ましくは1~2個の炭素原子を含むアルキル基である。より好ましくは、R5は、メチル基及びエチル基から選択される。
【0067】
特定の実施形態によると、R10は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択されてもよく、アルキル、シクロアルキル及びアリール基は上述の通りである。好ましくは、R10は、好ましくは1~2個の炭素原子を含むアルキル基である。より好ましくは、R10はメチル基及びエチル基から選択される。
【0068】
特定の好ましい実施形態によると、R4、R5及びR10は同一であってもよい。
【0069】
他の実施形態によると、R4、R5及びR10は互いに異なってもよい。
【0070】
好ましい実施形態によると、R5及びR10は互いに異なってもよい。例えば、R5及びR10のうちの1つはエチル基であってもよく、R5及びR10のうちの他方はメチル基であってもよい。
【0071】
好ましい実施形態によると、R4、R5及びR10のうちの少なくとも1つはメチル基である。
【0072】
Ri及びRiiは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。この基は、線状又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい。
【0073】
特定の実施形態によると、Ri及びRiiは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基から独立して選択されてもよい。例として、Ri及びRiiは、独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキルフェニルなどのアリール基によって置換されているアルキル基、無置換であるか、又はアルキル若しくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基及びカルボニル基などの1個又は複数の基で置換されているフェニル基、無置換であるか、又はアルキル若しくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基及びカルボニル基などの1個又は複数の基で置換されているナフチル基、無置換であるか、又はアルキル若しくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基及びカルボニル基などの1個又は複数の基で置換されているヘテロアリール基であってもよい。ヘテロアリール基の例として、ピリジン、ピロール及びカルバゾールを挙げることができる。代替的に、Ri及びRiiは、環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン又はこれらの高級ホモログのうちの1つの一部を形成してもよい。
【0074】
特定の好ましい実施形態によると、Ri及びRiiはいずれも水素原子である。この場合、モノアミンは第一級ポリエーテルアミンである。
【0075】
他の実施形態によると、Ri及びRiiのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。この場合、モノアミンは第二級ポリエーテルアミンである。
【0076】
他の実施形態によると、Ri及びRiiの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。この場合、モノアミンは第三級ポリエーテルアミンである。
【0077】
特定の実施形態によると、t、x及びyは、0~90、優先的には0~70、優先的には0~50、さらにより優先的には0~30の数を独立して表してもよい。したがって、t、x及びyは、0~10、又は10~20;又は20~30;又は30~40;又は40~50;又は50~60;又は60~70;又は70~80;又は80~90の数を独立して表してもよい。
【0078】
tが0以外である場合、数tは、式(II)のモノアミン中に存在する、基R10によって置換されているエトキシ基(好ましくは、R10がメチルである場合はプロポキシ基、又はR10がエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0079】
数tは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、tは、基R10によって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくは、R10がメチルである場合は平均プロポキシル化度、又はR10がエチルである場合は平均ブトキシル化度)に対応する。
【0080】
xが0以外である場合、数xは、式(II)のモノアミン中に存在するエトキシ基の数を表す。
【0081】
数xは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、xは平均エトキシル化度に対応する。
【0082】
yが0以外である場合、数yは、式(II)のモノアミン中に存在する、基R5によって置換されているエトキシ基(好ましくは、R5がメチルである場合はプロポキシ基、又はR5がエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0083】
数yは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、yは、基R5によって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくは、R5がメチルである場合は平均プロポキシル化度、又はR5がエチルである場合は平均ブトキシル化度)に対応する。
【0084】
t及びyが0以外である場合、t+yの和は、式(II)のアミン中に存在する、基R5及びR10によって置換されているエトキシ基(好ましくは、R5及びR10がメチルである場合はプロポキシ基、又はR5及びR10がエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0085】
特定の実施形態によると、tが0に等しい場合、yは0以外である。
【0086】
他の実施形態によると、yが0に等しい場合、tは0以外である。
【0087】
さらに他の実施形態によると、特にR5及びR10が異なる場合、t及びyはいずれも0以外である。
【0088】
特定の実施形態によると、y及び/又はtが0に等しい場合、xは0以外である。
【0089】
他の実施形態によると、xが0に等しい場合、y及び/又はtは0以外である。
【0090】
式(II)のモノアミンは、200~5500g/mol、好ましくは500~2500g/molの分子量を有してもよい。例えば、式(II)のモノアミンは、200~500g/mol;又は500~750g/mol;又は750~1000g/mol;又は1000~1250g/mol;又は1250~1500g/mol;又は1500~1750g/mol;又は1750~2000g/mol;又は2000~2250g/mol;又は2250~2500g/mol;又は2500~2750g/mol;又は2750~3000g/mol;又は3000~3250g/mol;又は3250~3500g/mol;又は3500~3750g/mol;又は3750~4000g/mol;又は4000~4250g/mol;又は4250~4500g/mol;又は4500~4750g/mol;又は4750~5000g/mol;又は5000~5250g/mol;又は5250~5500g/molの分子量を有してもよい。
【0091】
この種類のポリエーテルアミンは、例えば名称Jeffamine MシリーズでHuntsman社によって販売されている。
【0092】
アミンがポリアミンである場合、第一級及び/又は第二級及び/又は第三級ポリアミンから選択されてもよい。好ましくは、ポリアミンは第一級ポリアミンである、すなわちそのアミン基のすべてが第一級アミン基である。より好ましくは、ポリアミンはジアミンである。しかし、ポリエチレンイミン(PEI)などの2個より多くのアミン基(例えば、3個又は4個)を含むポリアミンが使用されてもよい。
【0093】
特定の実施形態によると、ポリアミンは、式(III):
のものであってもよい。
【0094】
R6は、2~60個の炭素原子、好ましくは2~40個の炭素原子、より好ましくは2~15個の炭素原子を含む二価の基を表してもよい。
【0095】
R6は、線状又は分岐状であってもよく、環式又は脂環式であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい。
【0096】
R6は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子又はハロゲンなどの1個又は複数のヘテロ原子を含んでもよい。好ましくは、単一のヘテロ原子がR6中に存在してもよい。
【0097】
さらに、R6は、二価のアルキルラジカル、二価のシクロアルキルラジカル、二価の脂環式ラジカル、二価のアリールアルキルラジカル又は二価のアリールラジカルから選択されてもよい。好ましくは、R6はアルキル基である。
【0098】
Ri及びRiiは、上記で詳述された通りである。
【0099】
Riii及びRivは、水素原子又は1~20個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。この基は、線状又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい。
【0100】
特定の実施形態によると、Riii及びRivは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基から独立して選択されてもよい。例として、Riii及びRivは、独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキルフェニルなどのアリール基によって置換されているアルキル基、無置換であるか、又はアルキル若しくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基及びカルボニル基などの1個又は複数の基で置換されているフェニル基、無置換であるか、又はアルキル若しくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基及びカルボニル基などの1個又は複数の基で置換されているナフチル基、無置換であるか、又はアルキル若しくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基及びカルボニル基などの1個又は複数の基で置換されているヘテロアリール基であってもよい。ヘテロアリール基の例として、ピリジン、ピロール及びカルバゾールを挙げることができる。代替的に、Riii及びRivは、環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン又はこれらの高級ホモログのうちの1つの一部を形成してもよい。
【0101】
特定の好ましい実施形態によると、Ri及びRii並びに/又はRiii及びRivは、すべて水素原子である。
【0102】
他の実施形態によると、Ri及びRiiのうちの少なくとも1つ並びに/又はRiii及びRivのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。
【0103】
他の実施形態によると、Ri及びRiiの両方並びに/又はRiii及びRivの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。
【0104】
好ましい実施形態によると、式(III)のポリアミンは、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’-メチレンジアニリン、2-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、ジエチレントリアミン、4,6-ジエチル-2-メチルベンゼン-1,3-ジアミン、4,4’-メチレンジシクロヘキサンアミン、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、及びナフタレン-1,8-ジアミンから選択されてもよい。
【0105】
より好ましくは、式(III)のポリアミンは、エチレンジアミン及び1,3-プロパンジアミンから選択されてもよく、好ましくは式(III)のポリアミンは、1,3-プロパンジアミンである。
【0106】
他の実施形態によると、ポリアミンは、2個のアミン基、好ましくは第一級アミン基を含むポリエーテルアミンであってもよい。代替的に、ポリアミンは、2個のアミン基を含む第二級又は第三級ポリアミンであってもよい。
【0107】
したがって、2個のアミン基を含むポリエーテルアミンである場合、ポリアミンは、式(IV):
のものであってもよい。
【0108】
R7、R8及びR9は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~2個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。これらの基は、線状又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい。
【0109】
R7、R8及びR9は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から独立して選択されてもよく、これらの基は上述の通りである。好ましくは、R7、R8及びR9のうちの少なくとも1つはアルキル基、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0110】
特定の好ましい実施形態によると、R7、R8及びR9は同一であってもよい。
【0111】
他の実施形態によると、R7、R8及びR9は互いに異なってもよい。
【0112】
好ましい実施形態によると、R7、R8及びR9のうちの少なくとも1つはメチル基であり、好ましくはR7、R8及びR9はメチル基である。
【0113】
好ましい実施形態によると、R8及びR9は互いに異なってもよい。
【0114】
他の実施形態によると、R8及びR9のうちの少なくとも1つはメチル基であり、R8及びR9の他方はエチル基である。
【0115】
Ri、Rii、Riii及びRivは、上記で詳述された通りである。
【0116】
特定の好ましい実施形態によると、Ri及びRii並びに/又はRiii及びRivは、すべて水素原子である。
【0117】
他の実施形態によると、Ri及びRiiのうちの少なくとも1つ並びに/又はRiii及びRivのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。
【0118】
他の実施形態によると、Ri及びRiiの両方並びに/又はRiii及びRivの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。
【0119】
特定の実施形態によると、v、w及びzは、0~90、優先的には0~70の数を独立して表してもよい。したがって、v、w及びzは、0~10、又は10~20;又は20~30;又は30~40;又は40~50;又は50~60;又は60~70;又は70~80;又は80~90の数を独立して表してもよい。
【0120】
特定の実施形態によると、zは0に等しく、vは0以外である。
【0121】
他の実施形態によると、zは0以外であり、vは0に等しい。
【0122】
また他の実施形態によると、z及びvはいずれも0以外である。
【0123】
z及びvが0以外である場合、z+vの和は、式(IV)のポリアミン中に存在する、置換されているエトキシ基(好ましくはプロポキシ基又はブトキシ基)の数を表す。
【0124】
z+vの和は、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、z+vは、R8及びR9によって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくはプロポキシル化度又はブトキシル化度)に対応する。
【0125】
vが0に等しい場合、数zは、式(IV)のポリアミン中に存在する、R8によって置換されているエトキシ基(好ましくは、R8がメチルである場合はプロポキシ基、又はR8がエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0126】
zが0に等しい場合、数vは、式(IV)のポリアミン中に存在する、R9によって置換されているエトキシ基(好ましくは、R9がメチルである場合はプロポキシ基、又はR9がエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0127】
数z及びvは、整数であってもなくてもよい。
【0128】
数wは、ポリアミン中に存在するエトキシ基の数を表す。
【0129】
数wは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なる分子の混合物が使用される場合、wは平均エトキシル化度に対応する。
【0130】
特定の実施形態によると、v及びwは0であってもよい。この種類のポリエーテルアミンは、例えば名称Jeffamine Dシリーズ及びJeffamine SDシリーズでHuntsman社によって販売されている。
【0131】
他の実施形態によると、wは0に等しくてもよいが、vは0より大きい。
【0132】
他の実施形態によると、v及びwは0より大きくてもよい。
【0133】
この種類のポリエーテルアミンは、例えば名称Jeffamine EDシリーズでHuntsman社によって販売されている。
【0134】
式(IV)のポリエーテルアミンは、100~5000g/mol、好ましくは200~4000g/mol、好ましくは200~2000g/mol、好ましくは200~1000g/molの分子量を有してもよい。例えば、式(IV)のポリエーテルアミンは、100~500g/mol;又は500~750g/mol;又は750~1000g/mol;又は1000~1250g/mol;又は1250~1500g/mol;又は1500~1750g/mol;又は1750~2000g/mol;又は2000~2250g/mol;又は2250~2500g/mol;又は2500~2750g/mol;又は2750~3000g/mol;又は3000~3250g/mol;又は3250~3500g/mol;又は3500~3750g/mol;又は3750~4000g/mol;又は4000~4250g/mol;又は4250~4500g/mol;又は4500~4750g/mol;又は4750~5000g/molの分子量を有してもよい。
【0135】
他の実施形態によると、2個のアミン基を含むポリエーテルアミンは、式(V):
のものであってもよい。
【0136】
Ri、Rii、Riii及びRivは上述の通りである。
【0137】
特定の好ましい実施形態によると、Ri及びRii並びに/又はRiii及びRivは、すべて水素原子である。
【0138】
他の実施形態によると、Ri及びRiiのうちの少なくとも1つ並びに/又はRiii及びRivのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。
【0139】
他の実施形態によると、Ri及びRiiの両方並びに/又はRiii及びRivの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。
【0140】
特定の実施形態によると、a及びbは、1~20、好ましくは2~11の数を独立して表してもよい。
【0141】
特定の好ましい実施形態によると、a及びbは同一である。好ましくは、a及びbは2又は3に等しい。
【0142】
他の実施形態によると、a及びbは異なる。この場合、a及びbのうちの少なくとも1つは、好ましくは2又は3に等しい。
【0143】
式(V)のポリエーテルアミンは、150~1500g/mol、好ましくは150~1000g/mol、好ましくは150~500g/molの分子量を有してもよい。例えば、式(V)のポリエーテルアミンは、150~160g/mol;又は160~170g/mol;又は170~180g/mol;又は180~190g/mol;又は190~200g/mol;又は200~300g/mol;又は300~400g/mol;又は400~500g/mol;又は500~600g/mol;又は600~700g/mol;又は700~800g/mol;又は800~900g/mol;又は900~1000g/mol;又は1000~1100g/mol;又は1100~1200g/mol;又は1200~1300g/mol;又は1300~1400g/mol;又は1400~1500g/molの分子量を有してもよい。
【0144】
この種類のポリエーテルアミン(式(V))は、例えば、名称Jeffamine EDRシリーズでHuntsman社によって販売されている。
【0145】
他の実施形態によると、ポリアミンは、3個のアミン基を含む第一級ポリエーテルアミンであってもよい。代替的に、ポリアミンは、3個のアミン基を含む第二級又は第三級ポリアミンであってもよい。
【0146】
したがって、3個のアミン基を含むポリエーテルアミンである場合、ポリアミンは、式(VI):
のものであってもよい。
【0147】
R1
8、R1
9、R2
8、R2
9、R2
9、R3
8及びR3
9は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~2個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。これらの基は、線状又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい。
【0148】
R1
8、R1
9、R2
8、R2
9、R2
9、R3
8及びR3
9は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から独立して選択されてもよく、これらの基は上述の通りである。好ましくは、R1
8、R1
9、R2
8、R2
9、R2
9、R3
8及びR3
9のうちの少なくとも1つは、アルキル基である。より好ましくは、R1
8、R1
9、R2
8、R2
9、R2
9、R3
8及びR3
9は、メチル基又はエチル基から選択される。
【0149】
特定の好ましい実施形態によると、R1
8、R1
9、R2
8、R2
9、R2
9、R3
8及びR3
9は同一であってもよく、例えば、これらはすべてメチル基である。
【0150】
他の実施形態によると、R1
8、R1
9、R2
8、R2
9、R2
9、R3
8及びR3
9は、互いに異なってもよい。
【0151】
特定の実施形態によると、R1
8は、R2
8及び/又はR3
9とは異なる。
【0152】
特定の実施形態によると、R1
9は、R2
9及び/又はR3
9とは異なる。
【0153】
好ましい実施形態によると、R1
8、R1
9のうちの少なくとも1つ、及び/又はR2
8、R2
9のうちの少なくとも1つ、及び/又はR3
8、R3
9のうちの少なくとも1つはメチル基であり、R1
8、R1
9及び/又はR2
8、R2
9及び/又はR3
8、R3
9の他方はエチル基である。
【0154】
Rは、水素原子又は1~10個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を含む基を表してもよい。この基は、線状又は分岐状であってもよい。
【0155】
特定の実施形態によると、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基又はアリール基から選択されてもよく、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル及びアリール基は上述の通りである。
【0156】
Rが1~10個の炭素原子を含む基である場合、Rは好ましくは、好ましくは1~3個の炭素原子、好ましくは1~2個の炭素原子を含む、アルキル基である。
【0157】
特定の実施形態によると、Rは水素原子である。
【0158】
他の実施形態によると、Rはエチル基である。
【0159】
Ri、Rii、Riii及びRivもまた、上記で詳述された通りである。
【0160】
特定の実施形態によると、z1、z2及びz3は、0~80、好ましくは0~70の数を表してもよい。例えば、z1、z2及びz3は、0~5;又は5~10;又は10~15;又は15~20;又は20~25;又は25~30;又は30~35;又は35~40;又は40~45;又は45~50;又は50~55;又は55~60;又は60~65;又は65~70;又は70~75;又は75~80であってもよい。数z1、z2及びz3は、整数であってもなくてもよい。
【0161】
特定の実施形態によると、w1、w2及びw3は、0~50、好ましくは0~40の数を表してもよい。例えば、w1、w2及びw3は、0~5;又は5~10;又は10~15;又は15~20;又は20~25;又は25~30;又は30~35;又は35~40であってもよい。数w1、w2及びw3は、整数であってもなくてもよい。
【0162】
特定の実施形態によると、v1、v2及びv3は、0~20、好ましくは0~10の数を表してもよい。例えば、v1、v2及びv3は、0~2;又は2~4;又は4~6;又は6~8;又は8~10;又は10~12;又は12~14;又は14~16;又は16~18;又は18~20であってもよい。数v1、v2及びv3は、整数であってもなくてもよい。
【0163】
特定の実施形態によると、z1、z2及びz3のうちの少なくとも1つは、0以外である。
【0164】
特定の実施形態によると、v1、v2及びv3のうちの少なくとも1つは、0以外である。
【0165】
他の実施形態によると、z1、z2及びz3のうちの少なくとも1つは0以外であり、v1、v2及びv3は0に等しい。
【0166】
特定の実施形態によると、w1、w2及びw3のうちの少なくとも1つは、0以外である。
【0167】
他の実施形態によると、w1、w2及びw3のうちの少なくとも1つは0に等しく、好ましくはw1、w2及びw3のうちの少なくとも2つ、好ましくはw1、w2及びw3の3つすべてが0に等しい。
【0168】
特定の実施形態によると、v1及びz1のうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/又はv2及びz2のうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/又はv3及びz3のうちの少なくとも1つは0に等しい。
【0169】
好ましい実施形態によると、v1及びz1のうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/又はv2及びz2のうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/又はv3及びz3のうちの少なくとも1つは0に等しく、かつw1、w2及びw3のうちの少なくとも1つは0に等しく、好ましくはw1、w2及びw3のうちの少なくとも2つ、好ましくはw1、w2及びw3の3つすべてが0に等しい。
【0170】
w1+w2+w3の和は、式(VI)のポリアミン中に存在するエトキシ基の数を表す。
【0171】
v1+v2+v3+z1+z2+z3の和は、式(VI)のポリアミン中に存在する、R1
8、R1
9、R2
8、R2
9、R3
8及びR3
9によって置換されているエトキシ基(好ましくはプロポキシ基又はブトキシ基)の数を表す。
【0172】
v1+v2+v3+z1+z2+z3の和は、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、この和は、R1
8、R1
9、R2
8、R2
9、R3
8及びR3
9によって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくはプロポキシル化度及び/又はブトキシル化度)に対応する。
【0173】
z1+z2+z3の和、v1+v2+v3の和及びw1+w2+w3の和は、0~90、優先的には0~70、優先的には0~50、さらにより優先的には0~30の数を独立して表してもよい。したがって、この数は、0~10;又は10~20;又は20~30;又は30~40;又は40~50;又は50~60;又は60~70;又は70~80;又は80~90であってもよい。
【0174】
特定の実施形態によると、w1、w2、w3、z1、z2及びz3が0に等しい場合、v1+v2+v3は、2~90、好ましくは4~90であってもよい。例えば、この和は、2~5;又は5~10;又は10~20;又は20~30;又は30~40;又は40~50;又は50~60;又は60若しくは70;又は70~80;又は80~90であってもよい。
【0175】
数nは、0~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10の数を表してもよい。例えば、nは0~5;又は5~10;又は10~15;又は15~20;又は20~25;又は25~30であってもよい。
【0176】
特定の好ましい実施形態によると、nは0又は1であってもよい。
【0177】
式(VI)のポリエーテルアミンは、300~6000g/mol、好ましくは300~5000g/mol、好ましくは300~4000g/mol、好ましくは300~3000g/molの分子量を有してもよい。例えば、式(VI)のポリエーテルアミンは、300~500g/mol;又は500~750g/mol;又は750~1000g/mol;又は1000~1250g/mol;又は1250~1500g/mol;又は1500~1750g/mol;又は1750~2000g/mol;又は2000~2250g/mol;又は2250~2500g/mol;又は2500~2750g/mol;又は2750~3000g/mol;又は3000~3250g/mol;又は3250~3500g/mol;又は3500~3750g/mol;又は3750~4000g/mol;又は4000~4250g/mol;又は4250~4500g/mol;又は4500~4750g/mol;又は4750~5000g/mol;又は5000~5250g/mol;又は5250~5500g/mol;又は5500~5750g/mol;又は5750~6000g/molの分子量を有してもよい。
【0178】
この種類のポリエーテルアミン(式(VI))は、例えば名称Jeffamine Tシリーズ及びJeffamine STシリーズでHuntsman社によって販売されている。
【0179】
上記の式のすべてにおいて、添え字t、x、y、v、w、z、vi、wi及びziを有する基は、分子に隣接してもしなくてもよい。例えば、エトキシ基は、同じ鎖に沿ってプロポキシ及び/又はブトキシ基とランダムに(特定の統計的分配に従って)交互になっていてもよい。
【0180】
代替的に、本発明の文脈で使用されてもよい他の種類のポリアミンは、ポリエチレンイミン(又はポリアジリジン)、つまりアミン基及びビラジカル「-CH2CH2-」基から構成される反復単位を含むポリマーである。これらのポリアミンは、線状、分岐状又はデンドリマーであってもよい。例として、テトラエチレンペンタミン、EPOMIN SP012、さらにBASF社から販売される名称Lupasol(登録商標)(特にLupasol(登録商標)FG)のポリエチレンイミンが挙げられる。
【0181】
本発明によると、ボランはアミン基と錯体を形成することができ、ボランのアミンに対するモル比は、0.1~10、好ましくは0.5~5である。好ましくは、この比は0.5~2である。この比は、特に0.1~0.5;又は0.5~1;又は1~2;又は2~4;又は4~6;又は6~8;又は8~10であってもよい。例えば、モノアミンが含まれる場合、この比は、好ましくはおよそ1である。しかし、ジアミンが含まれる場合、この比は、好ましくはおよそ2である。
【0182】
ボラン-アミン錯体は、組成物のA部の合計質量に対して0.1質量%~100質量%、好ましくは1質量%~50質量%、より好ましくは1質量%~25質量%の含有量で組成物のA部に存在してもよい。この含有量は、特に0.1%~1%;又は1%~2%;又は2%~3%;又は3%~4%;又は4%~5%;又は5%~6%;又は6%~7%;又は7%~8%;又は8%~9%;又は9%~10%;又は10%~11%;又は11%~12%;又は12%~13%;又は13%~14%;又は14%~15%;又は15%~16%;又は16%~17%;又は17%~18%;又は18%~19%;又は19%~20%;又は20%~25%;又は25%~30%;又は30%~35%;又は35%~40%;又は40%~45%;又は45%~50%;又は50%~55%;又は55%~60%;又は60%~65%;又は65%~70%;又は70%~75%;又は75%~80%;又は80%~85%;又は85%~90%;又は90%~95%;又は95%~100%であってもよい。
【0183】
より詳細には、ボラン-アミン錯体の含有量は、完全な反応を可能にするのに十分でなければならない。一方で、ボラン-アミン錯体の含有量が高い場合、急速な反応が生じる危険性があり、それによりA部とB部の有効な混合が妨げられる。
【0184】
特定の実施形態によると、ボラン-アミン錯体は、組成物のA部でin situで調製されてもよい。
【0185】
他の好ましい実施形態によると、ボラン-アミン錯体は、組成物のA部に導入される前に調製されてもよい。この調製は、特許EP2189463に記載される方法によって、又はP.Veeraraghavan Ramachandran et al.による論文(Amine-boranes bearing borane-incompatible functionalities:application to selective amine protection and surface functionalization、Chem.Commun.、2016、52、11885)に記載される方法によって、例えば上述のアミンを水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、又は水素化ホウ素リチウムなどの水素化ホウ素化合物と反応させることによって行われてもよい。この反応は、特に硫酸、メタンスルホン酸、塩酸、硝酸、ホウ酸などの無機酸などの酸の存在下、好ましくは硫酸の存在下で行われてもよい。
【0186】
脱錯化剤
2成分組成物、より詳細には2成分組成物のB部は、脱錯化剤を含む。「脱錯化剤」という用語は、ボラン-アミン錯体に存在するアミンと反応し、ボランを遊離させることができる化合物を意味すると理解される。次いで、ボランが組成物中に存在するモノマーの重合を開始させることができる。したがって、ボランは、組成物のA部とB部の混合後に遊離される。
【0187】
脱錯化剤の選択は、アミンの性質(第一級、第二級又は第三級アミン)に依存する。
【0188】
本発明の文脈では、脱錯化剤は、イソシアネート、ルイス酸、カルボン酸、鉱酸、ホスホン酸、スルホン酸、塩化アシル、無水物、アルデヒド、1,3-ジカルボニル化合物及びエポキシドから選択されてもよい。好ましくは、脱錯化剤はイソシアネートである。
【0189】
ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート及びオリゴマージイソシアネートなどのジイソシアネートに由来する化合物も、本発明の文脈における脱錯化剤として使用可能である。
【0190】
したがって、本発明の文脈で使用されるイソシアネートは、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のイソシアネート基を含む任意の化合物(ポリイソシアネート)を含んでもよい。
【0191】
例として、2成分組成物、より詳細には組成物のB部は、アルキレンジイソシアネート、シクロアルキレンジイソシアネート、並びに芳香族及び脂肪族-芳香族ジイソシアネートから選択される1種又は複数のイソシアネート化合物を含んでもよい。
【0192】
そのような種類のイソシアネートの特定の例として、エチレン-1,2-ジイソシアネート、プロピレン-1,3-ジイソシアネート、ブチレン-1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート(HDI)、トルエン-2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)、トルエン-2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI)、シクロペンチレン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(4,4’-MDI)、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート(2,4’-MDI)、ジフェニルメタン-2,2’-ジイソシアネート(2,2’-MDI)、ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート(DPDI)、m-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート(MPDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイソシアネート、フルフリレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリイソシアネートトリフェニルメタン、ベンゼン-1,3,5-トリイソシアネート、HDIイソシアヌレート、TDIイソシアヌレート、m-XDIイソシアヌレート、IPDIイソシアヌレート(Evonikによって販売されるVESTANAT(登録商標)T1890/100)、HDIアロファネート(Vencorexによって販売されるTolonate X FLO100)、HDIビウレット、HDIウレトジオン(Covestroによって販売されるDesmodurN3400)、グリセロール/TDI付加物、TDI/トリメチロールプロパン付加物、m-XDI/グリセロール付加物、m-XDI/トリメチロールプロパン付加物(三井化学によって販売されるTakenate(登録商標)D-110N、m-H6XDI/トリメチロールプロパン付加物(三井化学によって販売されるTakenate(登録商標)D-120N)を挙げることができる。
【0193】
好ましくは、脱錯化剤として使用されるイソシアネート化合物は、例えば上述のイソシアネート化合物のポリオール又はポリアミンとの反応後に得られる少なくとも1個のイソシアネート末端を有するプレポリマーであってもよい。少なくとも1個のイソシアネート末端を有するプレポリマーの使用が有利であり、これはイソシアネートモノマーを使用する場合より高い粘度を有する組成物のB部が得られるためである。
【0194】
プレポリマーは、特にポリウレタンであってもよい。
【0195】
脱錯化剤がルイス酸である場合、例えば塩化スズ又は塩化チタンから選択されてもよい。
【0196】
脱錯化剤がカルボン酸である場合、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ギ酸、酢酸、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、安息香酸、及びp-メトキシ安息香酸から、又はジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、フタル酸、フマル酸、グリコール酸、チオグリコール酸、乳酸、イソフタル酸及びテレフタル酸から選択されてもよい。
【0197】
脱錯化剤が鉱酸である場合、例えば塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)、亜リン酸(H3PO3)、次亜リン酸(H3PO2)及びケイ酸から選択されてもよい。
【0198】
脱錯化剤がホスホン酸である場合、例えばビニルホスホン酸、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸及びオクタデシルホスホン酸から選択されてもよい。
【0199】
脱錯化剤がスルホン酸である場合、例えばメタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸から選択されてもよい。
【0200】
脱錯化剤が無水物である場合、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水ヘキサン酸、無水デカン酸、無水ラウリン酸、無水安息香酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、2-オクテン-1-イル無水コハク酸、2-ドデセン-1-イル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、無水シクロヘキサンジカルボン酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、及び無水ピロメリト酸から選択されてもよい。
【0201】
脱錯化剤がアルデヒドである場合、例えばベンズアルデヒド、o-、m-及びp-ニトロベンズアルデヒド、2,4-ジクロロベンズアルデヒド、p-トリルアルデヒド、並びに3-メトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドから選択されてもよい。アセタール及びジアルデヒドも使用可能である。
【0202】
脱錯化剤が1,3-ジカルボニル化合物である場合、例えばアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸tert-ブチル、2-メタクリロイルオキシエチルアセトアセテート、ジエチレングリコールビス(アセトアセテート)、ポリカプロラクトントリス(アセトアセテート)、ポリプロピレングリコールビス(アセトアセテート)、ポリ(スチレン-コ-アリルアセトアセテート)、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N-メチルアセトアセトアミド、アセトアセトアニリド、エチレンビス(アセトアセトアミド)、ポリプロピレングリコールビス(アセトアセトアミド)、アセトアセトアミド、及びアセトアセトニトリルであってもよい。
【0203】
脱錯化剤は、組成物のB部の合計質量に対して0.1質量%~70質量%、好ましくは10質量%~60質量%の含有量で組成物のB部に存在してもよい。したがって、B部中の脱錯化剤の含有量は、特に0.1%~1%;又は1%~5%;又は5%~10%;又は10%~15%;又は15%~20%;又は20%~25%;又は25%~30%;又は30%~35%;又は35%~40%;又は40%~45%;又は45%~50%;又は50%~55%;又は55%~60%;又は60%~65%;又は65%~70%であってもよい。
【0204】
より詳細には、ボラン-アミン錯体及び脱錯化剤の含有量は、良好な重合速度を達成するために、配合物中に使用されるアクリル系モノマーに応じて調整されなければならない。
【0205】
ラジカル重合性化合物
2成分組成物は、少なくとも1つのエチレン性結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む。「ラジカル重合」は、活性種としてラジカルを含む連鎖重合である。ラジカル重合は、開始、成長、停止及び連鎖移動反応を含む。したがって、ボラン-アミン錯体からの脱錯化に続くボランの活性化後、ボランは重合性化合物の重合を開始させることができ、ポリマーのネットワークが形成される。
【0206】
この化合物は、組成物の2つの部分(A及びB)のうちの少なくとも1つに存在してもよい。
【0207】
特定の実施形態によると、ラジカル重合性化合物は、組成物のA部のみに存在する。
【0208】
他の好ましい実施形態によると、ラジカル重合性化合物は、組成物のB部のみに存在する。
【0209】
また他の実施形態によると、ラジカル重合性化合物は、組成物のA部、さらにB部に存在する。
【0210】
ボラン-アミン錯体が存在するにもかかわらず、ラジカル重合性化合物が組成物のA部に存在できるという事実は、有機ボラン-アミン錯体と比較して改善されたボラン-アミン錯体の安定性によって実現可能である。したがって、本発明は、ボラン-アミン錯体のみならずラジカル重合性化合物も含む安定した組成物のA部を提供できるという利点を有する。
【0211】
ラジカル重合性化合物は、オレフィン系不飽和を含み、ラジカル経路によって重合可能な任意のモノマー、オリゴマー又はポリマー、さらにこれらの混合物を含んでもよい。例えば、ラジカル重合性化合物は、スチレン、ビニル、アクリル系及びメタクリル系モノマーから選択されてもよい。これらは、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルエステル、例えばネオデカン酸ビニル及び酢酸ビニル、アクリル系及びメタクリル系モノマー又はオリゴマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド(又はアクリルアミド)、メタクリル酸アミド(又はメタクリルアミド)、アクリル酸エステル(又はアクリレート)及びメタクリル酸エステル(メタクリレート)を含んでもよい。
【0212】
好ましい実施形態によると、ラジカル重合性化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレート及びメタクリレートなどのアクリル系又はメタクリル系モノマーである。
【0213】
ラジカル重合性化合物は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー及びこれらの混合物から選択されてもよく、アクリル酸エステル(アクリレート)及びメタクリル酸エステル(メタクリレート)のアルキル基は、好ましくは1~22個の炭素原子を含み、飽和又は不飽和であり、線状、分岐状又は環式であり、場合により少なくとも1個のヘテロ原子(O、S)又は1個のエステル官能基(-COO-)を含み;アルキル基は、好ましくは1~12個の炭素原子を含み、線状、分岐状又は環式である。
【0214】
有利には、ラジカル重合性化合物は、アルキル及びシクロアルキルアクリレート並びにメタクリレート、例えばアクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、アリルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR440)、2-エチルヘキシルアクリレート、n-デシルアクリレート、イソデシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR395)、ラウリルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR335)、トリデシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR489)、C12~C14アルキルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR336)、n-オクタデシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR484)、C16~C18アルキルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR257C)、シクロヘキシルアクリレート、t-ブチルヘキシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR217)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR420)、イソボルニルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR506D)、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、n-デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n-ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート及びこれらの混合物から選択されてもよい。特に好ましい化合物は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及び2-エチルヘキシルメタクリレートである。
【0215】
さらに、ラジカル重合性化合物は、ヘテロ原子を含むアクリレート及びメタクリレート、つまりエステルのアルコール部分の基に炭素又は水素でない原子を少なくとも1個含有する(エステル基自体の原子を考慮に入れずに)アクリレート及びメタクリレートから選択されてもよい。好ましくは、原子は酸素である。したがって、ラジカル重合性化合物は、テトラヒドロフルフリルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR285)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(Sartomerによって販売されるSR203H)、グリシジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-及び3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-及び3-エトキシプロピルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR256)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(好ましくは2~8個の(エトキシ)反復単位を含む)、ポリプロピレングリコールアクリレート(好ましくは2~8個の(プロポキシ)反復単位を含む)、ポリカプロラクトンアクリレート(Sartomerによって販売されるSR495B)、2-フェノキシエチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR339C)、2-[2-[2-(2-フェノキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR410)、2-[2-[2-(2-ノニルフェノキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR504D)、環式トリメチロールプロパンホルマルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR531)、環式グリセロールホルマルアクリレート、2-[2-[2-(2-ドデシルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR9075)、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-及び3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-及び3-エトキシプロピルメタクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(好ましくは2~8個(エトキシ)の反復単位を含む)、ポリエチレングリコールメタクリレート(好ましくは2~8個(エトキシ)の反復単位を含む)、ポリプロピレングリコールメタクリレート(好ましくは2~8個(プロポキシ)の反復単位を含む)、環式トリメチロールプロパンホルマルメタクリレート、環式グリセロールホルマルメタクリレート(Evonikによって販売されるVisiomer(登録商標)Glyfoma)、並びにこれらの混合物から選択されてもよい。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチルプロパン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、及びペンタプロピレンのアクリレート及びメタクリレートも使用可能である。特に好ましい化合物は、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリカプロラクトンアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート及びポリカプロラクトンメタクリレートである。
【0216】
ジアクリレート及びジメタクリレート化合物も本発明の文脈内で使用可能である。そのような化合物として、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR238)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR341)、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR595)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR833S)、エステルジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR606A)、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、例えばジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR272)、ジプロピレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR508)、トリプロピレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR306)、テトラエチレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR268G)、エトキシル化及び/又はプロポキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エトキシル化及び/又はプロポキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシル化及び/又はプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR349)、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR602)、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(40)ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR259)、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR344)、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR610)、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、アルコキシル化脂肪族メタクリレート、例えばトリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化及び/又はプロポキシル化シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、エトキシル化及び/又はプロポキシル化ヘキサンジオールジメタクリレート、エトキシル化及び/又はプロポキシル化ネオペンチルグリコールジメタクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化(30)ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化(40)ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート、エトキシル化及び/又はプロポキシル化ネオペンチルグリコールジメタクリレート、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0217】
トリアクリレート及びトリメタクリレート化合物も本発明の文脈内で使用可能である。そのような化合物として、グリセロールトリメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、エトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerによって販売されるSR351)、エトキシル化及び/又はプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Sartomerによって販売されるSR444D)、エトキシル化及び/又はプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Sartomerによって販売されるSR368)、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、エトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロールトリメタクリレート、エトキシル化及び/又はプロポキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、並びにペンタエリスリトールトリメタクリレートが挙げられる。
【0218】
3個より多くのアクリレート又はメタクリレート基を含む化合物、例えばペンタエリスリトールテトラアクリレート(Sartomerによって販売されるSR295)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(Sartomerによって販売されるSR355)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Sartomerによって販売されるSR399)、エトキシル化及び/又はプロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、並びにエトキシル化及び/又はプロポキシル化ペンタエリスリトールテトラメタクリレートも使用可能である。
【0219】
さらに、ラジカル重合性化合物は、アクリル系及びメタクリル系オリゴマー、例えばウレタン-アクリレート及びウレタン-メタクリレート、ポリエステル-アクリレート、ポリエステル-メタクリレート、ポリブタジエン-アクリレート(Sartomerによって販売されるSR307)、及びポリブタジエン-メタクリレートから選択されてもよい。このカテゴリーで好ましい化合物は、例えばSartomerによって販売されるCN1963、CN1964、CN992、CN981、CN9001、CN9002、CN9012、CN9200、CN964A85、CN965、CN966H90、CN991、CN9245S、CN998B80、CN9210、CN9276、CN9209、PRO21596、CN9014NS、CN9800、CN9400、CN9167、CN9170A86、CN9761及びCN9165Aである。
【0220】
本発明の文脈内で使用されてもよいラジカル重合性化合物は、アクリルアミド及びメタクリルアミドも含んでもよい。例えば、これらのモノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N-(ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N-(3-メトキシプロピル)アクリルアミド、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’-メチレンジメタクリルアミド、N,N’-メチレンジアクリルアミド、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスメタクリルアミド及びN,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドから、さらにアクリル若しくはメタクリル酸(又はこの酸の塩化アシル)の、第一級及び/又は第二級(ポリ)アミン、例えば1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、ポリアミドアミン及びポリオキシアルキレンポリアミンとの反応後に形成されるアクリルアミド及びメタクリルアミドから選択されてもよい。
【0221】
特定の実施形態によると、単一のラジカル重合性化合物が組成物のA部及び/又はB部に存在する。
【0222】
他の実施形態によると、複数のラジカル重合性化合物が組成物のA部及び/又はB部に存在する。
【0223】
ラジカル重合性化合物は、組成物のA部及び/又はB部の合計質量に対して10質量%~70質量%、好ましくは10質量%~60質量%の含有量で組成物のA部及び/又はB部に存在してもよい。この含有量は、例えば10%~15%;又は15%~20%;又は20%~25%;又は25%~30%;又は30%~35%;又は35%~40%;又は40%~45%;又は45%~50%;又は50%~55%;又は55%~60%;又は60%~65%;又は65%~70%であってもよい。
【0224】
2成分組成物
2成分組成物はまた、少なくとも1種の追加的なアミンを含んでもよく、追加的なアミンは上記で定義された通りである。
【0225】
好ましくは、追加的なアミンは、組成物のA部に存在する。アミンが存在することにより(ボランに対して過剰量で)、ボランの時期尚早な脱錯化を回避すること、及びそれによりボラン-アミン錯体(及びしたがって組成物のA部)を安定化させ、その貯蔵寿命を増大させることができる。
【0226】
特定の実施形態によると、この追加的なアミンは、ボラン-アミン錯体に存在するアミンと同じである。
【0227】
他の実施形態によると、この追加的なアミンは、ボラン-アミン錯体に存在するアミンとは異なる。
【0228】
特定の実施形態によると、単一の追加的なアミンが2成分組成物中に存在する。
【0229】
他の実施形態によると、2種又は2種より多くの追加的なアミンが2成分組成物中に存在する。
【0230】
好ましい実施形態によると、追加的なアミンはポリエーテルアミンである。
【0231】
追加的なアミンは、組成物の合計質量に対して、好ましくは組成物のA部の合計質量に対して0.01質量%~30質量%、好ましくは0.01質量%~25質量%の含有量で、2成分組成物、好ましくは組成物のA部に存在してもよい。この含有量は、特に0.01%~0.5%;又は0.5%~1%;又は1%~5%;又は5%~10%;又は10%~15%;又は15%~20%;又は20%~25%;又は25%~30%であってもよい。
【0232】
2成分組成物はまた、充填剤、可塑剤、粘着付与樹脂、溶媒、UV安定剤、吸湿剤、蛍光材料及びレオロジー添加剤から選択される1種又は複数の添加剤を含んでもよい。
【0233】
そのような添加剤は、組成物の2つの部分のうちの1つに、又は代替的には組成物の両方の部分に存在してもよい。
【0234】
例えば、2成分組成物のA部は、充填剤、可塑剤、粘着付与樹脂、溶媒、UV安定剤、吸湿剤、蛍光材料及びレオロジー添加剤を含んでもよい。
【0235】
2成分組成物のB部は、例えば充填剤及び可塑剤を含んでもよい。
【0236】
充填剤は、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、硫酸バリウム、普通角閃石、角閃石、クリソタイル、カーボンブラック、炭素繊維、ヒュームド又は熱分解法シリカ、分子ふるい、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、ガラスビーズ、ガラス繊維及びこれらの組合せから選択されてもよい。
【0237】
可塑剤に関しては、コーティング又は接着剤産業の当業者に公知のものから選択されてもよい。例えば、フタレート、ポリオールエステル(例えば、Perstorpによって販売されるペンタエリスリトールテトラバレレートなど)、エポキシ化油、フェノールのアルキルスルホン酸エステル(Lanxessによって販売されるMesamoll(登録商標)製品)、及びこれらの混合物に基づく可塑剤が挙げられてもよい。
【0238】
粘着付与樹脂は特に、フリーデルクラフツ触媒の存在下でのテルペン炭化水素とフェノールの重合によって得られる樹脂、例えばモル質量がおよそ870Daである、DRTから入手可能なDertophene(登録商標)1510、モル質量がおよそ630Daに等しい、同社から入手可能なDertophene(登録商標)H150、モル質量がおよそ1200Daである、Arizona Chemicalから入手可能なSylvarez(登録商標)TP 95;α-メチルスチレンの重合を含む方法によって得られる樹脂、例えばフェノールの作用を伴わずにα-メチルスチレンの重合によって得られる、数平均モル質量が900DaであるCray Valleyから入手可能なNorsolene(登録商標)W100樹脂、モル質量がおよそ1740Daであり、その生成方法がフェノールの添加も含む、Arizona Chemicalから同様に入手可能なSylvarez(登録商標)510;天然起源又は変性ロジン、及び水素化、ダイマー化、重合、又はモノアルコール若しくはポリオールでエステル化されたそれらの誘導体、例えばArizona Chemicalから入手可能な、ロジンとペンタエリスリトールのエステルであり、モル質量がおよそ1700DaであるSylvalite(登録商標)RE 100樹脂;石油画分から得られる、およそ5、9又は10個の炭素原子を有する不飽和脂肪族炭化水素の混合物の水素化、重合又は共重合によって得られる樹脂;テルペン樹脂;天然テルペンに基づく共重合体;並びに100℃で100Pa.s未満の粘度を有するアクリル樹脂から選択されてもよい。
【0239】
溶媒は、常温(およそ23℃の温度)で揮発性の溶媒であってもよい。揮発性溶媒は、例えば常温で揮発性のアルコール、例えばエタノール又はイソプロパノールから選択されてもよい。揮発性溶媒は、例えば2成分組成物(A部及び/又はB部)の粘度を低減させ、組成物を塗布し易くすることができる。溶媒が揮発性の性質であると、組成物の架橋後に得られる生成物がそれ以上溶媒を含有しないことが可能になる。
【0240】
UV安定剤は、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、「ヒンダード」アミン、例えばビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、及びこれらの混合物から選択されてもよい。例えば、BASFによって販売される製品Tinuvin(登録商標)328又はTinuvin(商標)770を挙げることができる。
【0241】
蛍光材料は、例えば2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾキサゾール)(Uvitex(登録商標)OB)であってもよい。
【0242】
レオロジー添加剤に関しては、コーティング又は接着剤産業の当業者に公知のものから選択されてもよい。例えば、シリカ(特に熱分解法シリカ)、又は微細化アミドワックス(例えば、Arkemaによって販売されるCrayvallacシリーズなど)を挙げることができる。
【0243】
添加剤は、組成物の合計質量に対して0.01質量%~10質量%、好ましくは0.01質量%~5質量%の含有量で2成分組成物に存在してもよい。したがって、添加剤は、特に0.01質量%~0.05質量%;又は0.05質量%~0.1質量%;又は0.1質量%~0.5質量%;又は0.5質量%~1質量%;又は1質量%~1.5質量%;又は1.5質量%~2質量%;又は2質量%~2.5質量%;又は2.5質量%~3質量%;又は3質量%~3.5質量%;又は3.5質量%~4質量%;又は4質量%~4.5質量%;又は4.5質量%~5質量%;又は5質量%~5.5質量%;又は5.5質量%~6質量%;又は6質量%~6.5質量%;又は6.5質量%~7質量%;又は7質量%~7.5質量%;又は7.5質量%~8質量%;又は8質量%~8.5質量%;又は8.5質量%~9質量%;又は9質量%~9.5質量%;又は9.5質量%~10質量%の含有量で2成分組成物に存在してもよい。
【0244】
2成分組成物のA及びB部は、好ましくは組成物が使用されるまで分離したままであってもよい。したがって、ボランの脱錯化及び重合の開始は、組成物のA部がB部と接触する際に始まる。
【0245】
組成物のA部のB部に対する質量比は、0.05~20、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.1~1であってもよい。特定の好ましい実施形態によると、この比はおよそ1でありうる。したがって、組成物のA部のB部に対する質量比は、0.05~0.1;又は0.1~0.5;又は0.5~0.8;又は0.8~1;又は1~1.2;又は1.2~2;又は2~4;又は4~6;又は6~8;又は8~10;又は10~20であってもよい。
【0246】
組成物の使用
本発明による2成分組成物は、低表面エネルギーを有する基材の処理に使用されてもよい。より詳細には、本発明による2成分組成物は、45mJ/m2以下、好ましくは40mJ/m2以下、より好ましくは35mJ/m2以下の表面エネルギーを有する基材の処理に使用されてもよい。例えば、この表面エネルギーは、10~15mJ/m2;又は15~20mJ/m2;又は20~25mJ/m2;又は25~30mJ/m2;又は30~35mJ/m2;又は35~40mJ/m2;又は40~45mJ/m2であってもよい。低表面エネルギーを示す基材は、例えばポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリテトラフルオロエチレン、さらにこれらの共重合体である。これらの表面エネルギー値は、先行技術で周知である。
【0247】
特定の実施形態によると、組成物のA部は、2成分組成物(A部とB部の混合物)を基材の表面にコーティングする前にB部と混合されてもよい。したがって、ボランの脱錯化及び重合の開始は、2つの部分が混合される際に始まる。
【0248】
A部は、15~40℃、好ましくは20~25℃の温度でB部と混合されてもよい。
【0249】
次いで、15~40℃、好ましくは20~25℃の温度で2成分組成物の基材の表面へのコーティングが行われてもよい。
【0250】
他の実施形態によると、組成物の2つの部分A及びBのうちの1つが第1の段階で基材の表面にコーティングされてもよく、第2の段階で、2つの部分のうちの2つ目が2つの部分のうちの1つ目の上から基材の表面へとコーティングされてもよい。したがって、ボランの脱錯化及び重合の開始は、組成物のA部及びB部のうちの2つ目が基材の表面にコーティングされる際に始まる。
【0251】
基材の表面への2成分組成物の2つの部分のうちの1つ目のコーティングは、15~40℃、好ましくは20~25℃の温度で行われてもよい。
【0252】
次いで、基材の表面への2成分組成物の2つの部分のうちの2つ目のコーティングが、15~40℃、好ましくは20~25℃の温度で行われてもよい。
【0253】
特定の実施形態によると、第1の段階でA部が基材の表面にコーティングされ、次いで第2の段階でB部がA部の上から基材の表面にコーティングされる。
【0254】
他の実施形態によると、第1の段階でA部が基材の表面にコーティングされ、次いで第2の段階でB部がA部の上から基材の表面にコーティングされる。
【0255】
したがって、両方の実施形態において、2成分組成物が基材の表面で層を形成することができる。この層は、1μm~500mm、好ましくは10μm~100mm、より好ましくは10μm~10mmの厚さを有してもよい。
【0256】
特定の実施形態によると、本発明による2成分組成物は、2つの基材を一緒に結合させるための接着剤組成物として使用されてもよい。したがって、組成物は、2つの基材を固定して一緒に保持する接着剤層を架橋後に形成してもよい。より詳細には、2成分組成物を基材の表面にコーティングした後、コーティングされた表面に追加の基材の表面を接触させ、2つの基材を結合させてもよい。特定の実施形態によると、追加の基材をコーティングされた表面と接触させて、アセンブリを加熱プレス下に配置して2つの基材の結合を加速させてもよい。このプレスの温度は、例えば60~110℃、好ましくは80~100℃であってもよい。
【0257】
好ましくは、2つの基材のうちの少なくとも1つが低表面エネルギーを有する基材である。第2の基材もまた、低表面エネルギーを有する基材であってもよい。代替的に、第2の基材は、紙、アルミニウムなどの金属、低表面エネルギー基材以外のポリマー材料、例えばポリアミド、ポリスチレン、ビニルポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、及び天然又は合成ゴムから選択される材料であってもよい。
【0258】
他の実施形態によると、本発明による2成分組成物は、基材の表面のコーティングとして使用されてもよい。したがって、組成物は、例えば基材の表面の1種又は複数の特性を改質するために、基材の表面を覆う層を架橋後に形成してもよい。好ましくは、この基材は、上述の通り低表面エネルギーを有する。
【0259】
また他の実施形態によると、本発明による2成分組成物は、プライマーとして使用されてもよい。「プライマー」という用語は、プライマー層を含む基材にさらなる層が塗布可能になるように、基材にコーティングされ、この基材の1種又は複数の表面特性を改善する(例えば、基材の材料への接着を改善する)層を意味すると理解される。例えば、本発明による2成分組成物を低表面エネルギー基材にコーティングすることにより、その表面エネルギーを増加させることができ、別の接着剤組成物を2成分組成物の上に塗布することが容易になる。
【0260】
したがって、本発明による組成物の塗布後に製造される物品は、2成分組成物でコーティングされた少なくとも1つの表面を含む。
【0261】
2成分組成物がプライマー又はコーティングとして使用される場合、これは物品の外面である。
【0262】
2成分組成物が接着剤として使用される場合、これは物品の内面、つまり、例えば物品の別の表面と接触される物品の表面であり、2成分組成物はこれら2つの表面の間に配置される。
【0263】
架橋された2成分組成物は、30%以上の破断点伸びを示してもよい。この破断点伸びは、例えば30%~40%;又は40%~50%;又は50%~60%;又は60%~70%;又は70%~80%;又は80%~90%;又は90%~100%;又は100%より高くてもよい。破断点伸びは、規格ISO37によって測定されてもよい。
【0264】
架橋された2成分組成物は、100MPa以下、より好ましくは60MPa以下の弾性係数を示してもよく、弾性係数は、例えば1~100MPa、好ましくは3~50MPaであってもよい。弾性係数は、規格ISO37によって測定されてもよい。
【実施例】
【0265】
以下に続く実施例は、本発明を限定することなく例示する。
【0266】
8種の2成分組成物(A~H)を、A部とB部を混合することによって調製した。
【0267】
A部及びB部は、それぞれ100gの量で用意した。
【0268】
これら2つの部分を、比を1として混合した。
【0269】
組成物A~GのA部は、以下の表に示されるようにボラン-アミン錯体を2%~15%含む。組成物HのA部は、トリエチルボラン-アミン錯体を6%含む(比較例)。
【0270】
以下の表に詳述されるように、組成物A~HのそれぞれのA部は、
- メチルメタクリレート(MMA)、
- 2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、
- Jeffamine D2000、
- Jeffamine D230、
- 粘着付与樹脂(DRTによって販売されるDertophen T)、
- 親水性熱分解法シリカ(Evonikによって販売されるAerosil(登録商標)R202)
を含む。
【0271】
8種の組成物のそれぞれのB部は同一であり、メチルメタクリレートモノマー30%、イソシアネート末端を有するポリウレタン60%、及びウレタンジアクリレート10%を含む。
【0272】
実施例1
この実施例では、ポリプロピレン基材に各2成分組成物をコーティングして層を形成した。この層に、5分間にわたって30秒ごと、次いで15分間にわたって1分ごと、次いで2時間にわたって15分ごとにピペットの先端で触れ、ピペットが層に接着しなくなるとき、架橋が本質的に達成される時点を決定した。
【0273】
組成物A~Gは、組成物Hに要した時間よりも相対的に長い架橋達成までの時間を示し、そのためより長い作業時間窓が可能である。
【0274】
実施例2
この実施例では、2成分組成物をテフロン製金型に射出し、ダンベル型(H型)の試験標本を生成することによって各組成物の試料を生成する。周囲条件(温度23℃±1℃、湿度50%±5%)で14日間の架橋後、Instron製万能試験機(100mm/分)を使用し、規格ISO37に従って破断点伸び及び弾性係数を測定した。得られた結果を以下の表に示し、これらは5回の測定の平均に相当する。
【0275】
ボラン-アミン錯体を2%~6%含む組成物A~Eでは、結果は、得られた試料が組成物H(比較)を用いて生成した試料より良好な機械的特性(より良好な柔軟性及びより良好な可撓性)を有することを示す。組成物F及びGに関しては、試料中に気泡が存在することによって均一な結果が得られなかった。
【0276】
実施例3
この実施例では、各組成物(A~H)を、100mm×25mm×5mmの寸法を有するポリプロピレン基材の表面(25mm×12mm)にコーティングした。次いで、同じ種類の第2の基材を、2成分組成物を含む基材と接触させ、2つの基材を一緒に結合させる。2つの基材を、クランプを用いて14日間互いに対して保持する。次に、万能試験機を使用し、10mm/分の速度で製造品のせん断強度を試験する。得られた値は、3回の測定の平均に相当する。せん断強度を破壊モードとともに報告する。
【0277】
【0278】
せん断強度が組成物Hで得られたものよりわずかに低いにもかかわらず、組成物A~Gから製造された物品は、良好な接着特性を示すことが観察される。
【国際調査報告】