(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ロボット制御された外科用器具用のコンパクトな作動構成および拡張可能な器具レシーバ
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20220914BHJP
【FI】
A61B34/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503454
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020042671
(87)【国際公開番号】W WO2021011924
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522021963
【氏名又は名称】アセンサス・サージカル・ユーエス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ASENSUS SURGICAL US, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ペニー,マシュー・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ハフォード,ケヴィン・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シュナ,ポール・ヴィルヘルム
(57)【要約】
ロボットシステムアセンブリは、アクチュエータアセンブリを含むロボットマニピュレータと、アクチュエータアセンブリに取り付け可能なベース本体を有する外科用器具とを備える。ベースは、第1の制御入力端子および第2の制御入力端子を含み、第1の制御入力端子および第2の制御入力端子は、ベースの異なる側に配置される。アクチュエータアセンブリは、開位置と閉位置の間で移動可能であり、外科用器具の取り外しと交換を容易にする。閉位置にあるとき、アクチュエータアセンブリの駆動要素は、外科用器具の第1の制御入力端子および第2の制御入力端子を駆動して、エンドエフェクタの移動または作動を引き起こすように配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その遠位端にアクチュエータアセンブリを有するロボットマニピュレータであって、
前記アクチュエータアセンブリは、外科用器具のベースが前記アクチュエータアセンブリに導入され得る開位置と、ベースが解放可能に係合される閉位置とを有する、ロボットマニピュレータ。
【請求項2】
前記アクチュエータアセンブリは、第1の駆動要素を有する第1の面と、第2の駆動要素を有する第2の面とを含み、前記第1の面および前記第2の面は異なる面である、請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項3】
前記第1の面および前記第2の面が対向する面である、請求項2に記載のマニピュレータ。
【請求項4】
前記アクチュエータアセンブリは、旋回、回転、摺動、またはその他のいずれかによって拡張可能である、請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項5】
前記拡張および収縮は、前記器具と前記マニピュレータとの間の電気的または機械的相互作用のいずれかを介して制御される、請求項4に記載のマニピュレータ。
【請求項6】
前記ロボットマニピュレータが、器具またはカメラケーブル用のパススルーを含む、請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項7】
前記パススルーが前記アクチュエータアセンブリの一部を含む、請求項6に記載のマニピュレータ。
【請求項8】
前記駆動要素は、前記ベース上の駆動入力を前進させるために前記マニピュレータに対して移動可能である、請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項9】
ロボットシステムアセンブリであって、
アクチュエータアセンブリを含むロボットマニピュレータと
前記アクチュエータアセンブリに取り付け可能な本体を有する外科用器具と
を備え、
前記本体は、第1の制御入力端子および第2の制御入力端子を含み、前記第1の制御入力端子および前記第2の制御入力端子は、前記本体の異なる側に配置されるか、または前記本体から異なる方向に延びる、ロボットシステムアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の制御入力端子および前記第2の制御入力端子は、前記本体から反対方向に延びる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の制御入力端子および前記第2の制御入力端子は、前記本体から非平行方向に延びる、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の制御入力端子および前記第2の制御入力端子は、前記外科用器具が前記ロボットマニピュレータに取り付けられたときに、前記アクチュエータアセンブリの第1の駆動要素および第2の駆動要素と動作可能に関連付けられる、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記外科用器具が前記ロボットマニピュレータに取り付けられたときに、前記駆動要素と前記制御入力端子との間に滅菌バリアが配置される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記アクチュエータアセンブリは、前記アクチュエータアセンブリが前記本体を受け入れるように構成された開位置と、前記第1の制御入力端子および前記第2の制御入力端子が前記アクチュエータアセンブリの第1の駆動要素および第2の駆動要素に動作可能に関連付けられる閉位置との間で移動可能である、請求項9に記載のロボットシステムアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:Matthew Robert Penny、Kevin Andrew Hufford、Paul Schnur
本願は、2019年7月17日に出願された米国特許仮出願第62/874,988号および2018年12月31日に出願された米国特許仮出願第62/787,254号の利益を主張する2019年12月31日に出願された米国特許出願第16/732,307号の一部継続出願である。本願はさらに、2019年7月17日に出願された米国特許仮出願第62/874,988号、2019年7月17日に出願された米国特許仮出願第62/875,003号、2019年7月17日に出願された米国特許仮出願第62/874,985号、および2019年7月17日に出願された米国特許仮出願第62/874,982号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、電気機械的作動を使用するものを含む、外科用デバイスおよびシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
様々なタイプの外科用ロボットシステムが販売されており、または開発中である。一部の外科用ロボットシステムは、複数のロボットアームを使用する。各アームには、体内から画像を取得し外科用器具、またはモニタに表示するために使用されるカメラが搭載されている。一般的な構成では、2つまたは3つの器具とカメラをシステムで支持および操作できる。システムへの入力は、通常、入力ハンドルなどの入力デバイスを使用して、マスタコンソールに配置された外科医からの入力に基づいて生成される。外科用器具とカメラの運動と作動は、ユーザ入力に基づいて制御される。カメラによって取得された画像は、外科医コンソールのディスプレイに表示される。コンソールは、患者側、滅菌野内、または滅菌野の外側に配置できる。
【0004】
ロボットアーム/マニピュレータは、通常、アームの末端に、外科用デバイスアセンブリを支持および動作するように設計された部分を含む。外科用デバイスアセンブリは、シャフトおよびシャフト上の遠位エンドエフェクタを有する外科用器具を含む。エンドエフェクタは、患者内に配置可能である。
【0005】
通常、器具シャフトの近位ハウジングは、器具の機能を駆動するアクチュエータから伝達される運動を受け入れる作動機構を含む。エンドエフェクタは、以下の特徴の1つまたは複数を有するがこれらに限定されない、外科手術で使用される多くの異なるタイプの1つであり得る:開閉する顎、1つまたは複数の自由度で屈曲または関節運動するシャフトの遠位端のセクション、シャフトに対して軸方向に回転する先端、マニピュレータアームに対して軸方向に回転するシャフトである。モータまたは他のタイプのモータ(例えば、油圧/空気圧)であり得るエンドエフェクタの運動を駆動するための器具アクチュエータは、ロボットマニピュレータの末端部分に配置されることが多い。場合によっては、それらは外科用デバイスアセンブリの近位ハウジングに配置され、他の構成では、いくつかは近位ハウジングにあり、一方、他はロボットマニピュレータにある。後者の例では、エンドエフェクタのいくつかの運動は、マニピュレータの末端部分にある1つまたは複数のモータを使用して駆動され得、一方、他の運動は、近位ハウジング内のモータを使用して駆動され得る。
【0006】
器具は手順の過程で交換可能であり、1つの器具をマニピュレータから取り外して別の器具と交換することができる。近位ハウジングをマニピュレータでアクチュエータインターフェースに係合させるには、ロボットと患者の両方からの外力に抵抗するために、器具をマニピュレータにしっかりとドッキングする機械的スナップ、磁気係合、または摺動インターフェースの使用が含まれ得る。外科用器具と係合するための機械的インターフェースがある。このインターフェースでは、ロボットマニピュレータ内の器具アクチュエータを使用して生成された運動が近位ハウジングの1つまたは複数の機械的入力に伝達され、器具の自由度と、該当する場合はその顎開閉機能を制御する。この運動は、滅菌器具と非滅菌マニピュレータアームの間に配置されたドレープを介して伝達することができる。いくつかの現在のロボットシステムでは、機械的制御インターフェースは、器具の片側または平面にのみ配置されたアクチュエータを含む。例えば、米国特許第6491701号に示される構成では、機械的運動を受けるすべての被駆動要素118は、器具シャフト102の近位端にあるハウジング108の同じ面上にある。
【0007】
米国特許第9358682号に示されている実施形態では、横方向のスライダーピン314は、器具の近位端に取り付けられたケースの片側から横方向に延びる。器具の顎を開閉するために移動可能である(特許の
図18)。器具がマニピュレータアームに取り付けられると、スライダーピン314は、マニピュレータアーム内の対応する構成要素430(
図19)によって受け取られる。顎を開閉する必要がある場合、構成要素430は、マニピュレータアームの腹腔鏡器具アクチュエータ400内のモータによってキャリッジ上で移動され、それによって、スライダーピン314を前進させて顎を作動させる。米国特許出願第2016/20160058513号は、マニピュレータアームに取り外し可能に取り付けられたロボット制御の外科用器具も示しており、顎の作動にスライダーピンが使用される同様の構成について説明している。さらに、顎の作動だけでなく、関節運動や回転など、器具のエンドエフェクタの電気機械的に駆動される追加の移動を提供できるシステムについても説明する。しかしながら、それらの追加の移動のためのモータは、器具の近位端でハウジングに封入されており、したがって、アーム内のモータからハウジングの機械的アクチュエータへの機械的運動の伝達を必要としない。
【発明の概要】
【0008】
本願は、その近位端に複数の機械的アクチュエータを有するロボット制御された外科用器具を説明する。これらの機械的アクチュエータは、顎の作動、ピッチ、回転、および/またはヨーなどの様々なエンドエフェクタの機能または運動を駆動するために、マニピュレータアーム内の電気機械的アクチュエータから伝達される運動を受け入れるように構成されている。アクチュエータはコンパクトな構成に配置されており、マニピュレータアームを様々なサイズの器具やアダプタと係合することができる。記載された実施形態はまた、作動インターフェースが、互いに反対向きの表面を含む、器具またはアダプタの複数の表面上に存在し得るように、器具またはアダプタの構成を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書に記載の構成が含まれ得るロボット支援外科用システムの斜視図である。
【
図2】レシーバおよび器具アセンブリが取り付けられたロボットマニピュレータアームの斜視図である。
【
図3】
図2のレシーバおよびレシーバから分離された外科用器具を示す斜視図である。
【
図4】ベースが取り外された状態の外科用器具を示す。
【
図6】
図5と同様であるが、ハウジングの一部が取り外されていることを示している。
【
図7】
図6と同様であるが、上部キャリッジの一部が取り外されていることを示している。
【
図9】
図8と同様であるが、アームの一部が取り外されていることを示している。
【
図10】レシーバの一方のアームのキャリッジおよびモータセンブリの側面図である。
【
図11】器具ベース用のキャリッジの代替実施形態である。
【
図12】レシーバのアームの1つのためのキャリッジの代替の実施形態の斜視図である。
【
図13】レシーバのアームの1つのためのキャリッジの代替の実施形態の斜視図である。
【
図16】レシーバに取り付けられた器具を示す斜視図である。
【
図17】レシーバのレバーおよびリンケージを示す斜視図である。
【
図18】
図15と同様であるが、拡張機構が見えるようにするために取り外されているレシーバハウジングの一部を示している。
【
図19】
図17の器具およびレバーおよび関連するモータの側面図である。
【
図20A】ドレープされているときのレシーバを示す斜視図である。
【
図20B】
図16と同様であるが、ドレープが所定の位置にあることを示している。
【
図24】
図23と同様であるが、ハウジングの一部が取り外されていることを示している。
【
図25】
図23の実施形態のプーリー機構およびばねのうちの1つを示す斜視図である。
【
図26A】一体型EMIシールドを有するドレープの例を示す。
【
図26C】
図26Bと同様であるが、ドレープに組み込まれた電気コネクタおよび終端を含む実施形態を示している。
【
図27】
図16と同様であり、さらに、マニピュレータエンドエフェクタに配置されたグラフィカルユーザインターフェースを示している。
【
図28】
図27と同様であるが、マニピュレータの手動再配置中にユーザに提供される力フィードバックの特徴を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載の概念は、様々なロボット外科用システムで使用することができるが、実施形態は、
図1に示されるタイプのシステムを参照して説明される。図示のシステムでは、外科医コンソール12は、ハンドル17、18などの2つの入力デバイスを有する。入力デバイス12は、複数の自由度でロボット制御デバイスの運動を命令するために使用される信号を生成するためにユーザによって操作されるように構成される。使用中、ユーザは、2つのハンドル17、18を、ロボットマニピュレータ13、14、15のうちの2つに選択的に割り当て、外科医がいつでも作業現場(患者のベッド2にいる患者)に配置された外科用器具10a、10b、および10cのうちの2つを制御できるようにする。作業現場に配置された器具の第3のものを制御するために、次の段落で説明するように、2つのハンドル17、18の1つを、最初の2つの器具の1つから動作可能に切り離してから、第3の器具と動作可能にペアにするか、別の形式の入力で第3の器具を制御できる。
図1に示されていない第4のロボットマニピュレータは、追加の器具を支持および操作するために任意選択で提供され得る。
【0011】
器具10a、10b、10cの1つは、体腔内の手術野の画像を取り込むカメラである。カメラは、ハンドル17、18、コンソール上の追加の制御部、フットペダル、アイトラッカー21、音声コントローラーなどの1つを含むがこれらに限定されない、様々なタイプの入力デバイスからの入力を使用して、対応するロボットマニピュレータによって動かすことができる。コンソールはまた、カメラによって取得された画像を表示するように構成され、任意選択でシステム情報、患者情報などを表示するためのディスプレイまたはモニタ23を含み得る。
【0012】
制御ユニット30は、ロボットアームおよびユーザインターフェースに動作可能に接続されている。制御ユニットは、外科用器具の所望の移動に対応する入力デバイスからのユーザ入力を受け取り、それに応じてロボットアームが外科用器具を操作するようにされる。
【0013】
入力デバイス17、18は、システムによって処理される信号を生成するようにユーザによって操作されるように構成され、マニピュレータの運動を命令するために使用される命令を生成し、器具を複数の自由度で動かして、必要に応じて、器具のエンドエフェクタの運動および/または作動を駆動する電気機械式アクチュエータ/モータの動作を制御する。
【0014】
任意選択で、センサを使用して、使用中にロボット外科用ツールによって患者に加えられている力を決定することができる。例えば、外科用ロボットマニピュレータの力/トルクセンサを使用して、コンソールで外科医に力のフィードバックを提供するために必要な触覚情報を決定することができる。低侵襲ロボット外科用システムの力の推定と題された米国特許第9855662号は、使用中にロボット外科用ツールによって患者に加えられている力を決定するためにセンサが使用される外科用ロボットシステムを記載している。ユーザインターフェースで外科医に力のフィードバックを提供するために必要な触覚情報を決定する方法として、外科用ロボットマニピュレータに取り付けられた6自由度の力/トルクセンサの使用について説明する。現在開示されている実施形態では、このタイプのセンサは、任意選択で、レシーバ104上またはそのすぐ近位に配置することができる。外科用システムは、手術室のスタッフが、外科的必要性に基づいて、ロボットマニピュレータによって運ばれる外科用器具10a、b、cを取り外して交換することを可能にする。器具の交換が必要な場合、外科医は器具をマニピュレータアームから取り外し、別の器具と交換する。
【0015】
一般に、アセンブリは、その駆動部材(器具のエンドエフェクタの機能を作動させるための機械的駆動入力を受け取る)が、器具の近位端のベースの複数の側面、面、ファセット、または平面に配置されるように構成されたベースを有する外科用器具を含む。ベースは、使用中のアームによって受け取られるものであり、その中には、機械的出力を駆動する電気機械式または油圧式アクチュエータがある。外科用器具の無菌性を維持するために、システムは、外科用器具のベースとアームの対応する機械的駆動出力との間に配置された外科用ドレープの使用を容易にするように設計されている。器具のアクチュエータを器具の複数の側面、ファセット、面、または平面に配置すると、これらのアクチュエータによってドレープに加えられる力と偏向を分散させ、ドレープを維持しながら複数の機械的入力を器具に伝達できる。
【0016】
図2および3を参照すると、本明細書は、外科用器具102およびレシーバ104のアセンブリ100を説明する。レシーバ104は、器具102を取り外し可能に受け入れるように構成される。レシーバは、支持体またはマニピュレータ15に取り付けることができ、支持体またはマニピュレータは、処置中に1つまたは複数の自由度で器具102をロボットで操作するロボットマニピュレータ、またはロボット外科用システムのための外科用器具の手術実施形態の過程中に静止したままである支持体であり得る。外科用器具102およびレシーバ104が組み立てられるとき、レシーバは、レシーバ104またはアーム15内の電気機械的アクチュエータ(例えば、モータまたは油圧/空気圧アクチュエータ)によって生成された運動を器具の機械的アクチュエータに伝達して、器具の一部の運動を引き起こす。運動のタイプの例には、1つまたは複数の自由度(ピッチ、ヨー)での関節運動、1つまたは複数の自由度での曲げ、エンドエフェクタロール、顎の作動などが含まれるが、これらに限定されない。上記のように、外科医は入力デバイス17、18(
図1)を動かしてシステムに入力を提供し、システムはその情報を処理して、器具を動かし、必要に応じて、器具のエンドエフェクタを動作するために、関連する電気機械式アクチュエータのコマンドを展開する。
【0017】
外科用器具102は、細長いシャフト106を含み、これは、好ましくは剛性であるが、代替システムでは可撓性または部分的に可撓性であり得る。エンドエフェクタ108はシャフト106の遠位端に配置され、近位本体またはベースアセンブリ110は近位端にある。ベースアセンブリ110(これは「ベース」とも呼ばれる)は、ハウジングまたはボックスなどの囲まれたまたは部分的に囲まれた構造を含み得るか、またはそれはフレームまたはプレートであり得る。ベース110は、外科用器具102の外部に露出された機械的入力アクチュエータ112を含む。
図3では、2つのアクチュエータ112は、ベース110の第1の側面に露出している。第2の2つのアクチュエータ112は、ベース110の第2の反対側の側面で、好ましくは、しかし任意選択で、
図3に示される構成と同一または類似の構成で露出される。
図22に示すベース110の背面図を参照されたい。
【0018】
アクチュエータ112のそれぞれは、第1の位置と第2の位置との間でベース110に対して移動可能である。図面に示される特定の構成では、アクチュエータは、
図3に示されるような第1の(より遠位の)位置と第2の(より近位の)位置との間で、ハウジングに対して長手方向に移動可能である。しかし、運動の方向は長手方向である必要はなく、任意の方向に延ばすことができる。
【0019】
したがって、この構成では、ベースアセンブリは、その外部に露出された4つの駆動入力(入力端子、input)122を有する。この構成では、ベースには2つの平行な平面があり、これらの入力の2つが各面に配置されている。近位本体の両側に入力を含めることが好ましい場合があるが、代わりに、近位本体の複数の面に入力の他の配置を使用することができる。これらの構成のそれぞれは、制御入力間の距離を最大にする方法で駆動入力を有利に配置し、以下で説明するように、近位本体とレシーバ104との間に配置される滅菌ドレープの応力を最小にする。
【0020】
図4を参照すると、駆動ケーブル114は、シャフト106を通ってエンドエフェクタ108まで延びる。開示されたシステムでは、様々な機能のいずれかを有する多くの異なるタイプの器具を使用することができる。図面に描かれている器具は、2019年12月31日に出願されたArticulating Surgical Instrument(弁護士参照番号:TRX-12700R)と題された同一出願人が所有する同時係属中の出願番号16/732,306に記載されているタイプであり、参照により本明細書に組み込まれる。それは4つの駆動ケーブル114を利用し、そのうちの2つは一方の顎部材で終端し、他の2つは他方の顎部材で終端する。これは、エンドエフェクタでループされた2本のケーブル(したがって、各ケーブルループの2つの自由端のそれぞれが近位端にある)にすることも、4本の個別のケーブルにすることもできる。同時係属中の出願で説明されているように、ケーブルの張力は様々な組み合わせで変化し、顎部材のピッチとヨーの運動、および顎の開閉機能に影響を与える。システムで有用な他の器具には、他の数のケーブルがあり、特定の数は、器具の機能、器具の自由度、および器具の作動構成要素の特定の構成によって決定される。この説明では、「腱(tendon)」、「ワイヤー」、および「ケーブル」という用語は、説明された目的に使用できるあらゆるタイプの腱を包含するために広く使用されていることに留意されたい。
【0021】
4本のケーブルはベース110アセンブリまで延びている。ベースがハウジングを含むこの実施形態では、ケーブルは、シャフト106からハウジング内に延び、そこでアクチュエータ112に係合される。
図6は、アクチュエータ112のより明確な視界を可能にするためにハウジングの一部が取り外されたベースを示している。各アクチュエータ112は、レール120に沿って移動可能なキャリッジ118を含む。この実施形態では、これらの構造は、キャリッジの長手方向の移動のために配向されているが、他の実施形態では、運動は異なる方向であり得る。キャリッジ118の一部は、ベースの窓を通して露出され、キャリッジから横方向に延び、任意選択で窓の最も外側の平面を通って延びることができる駆動入力または部材122を含む(
図5を参照)。
図7では、上部アクチュエータのキャリッジは部分的に分解されており、ケーブル114の近位端がキャリッジ118に取り付けられていることを示している。ケーブルは、プーリーの周り、またはベースアセンブリの機能によって定義されたケーブルパスを通って延び得る。この構成では、第2のケーブル端は、同様に、
図7の下部アクチュエータのキャリッジ118に接続され、残りの2つのケーブル端は、ベース100の反対側の面(図示せず)でキャリッジに接続されている。このようにして、ベースアセンブリは、アクチュエータ112がベースの少なくとも2つの側面または面に露出するように配置される。各アクチュエータ112は、ケーブル114の1つに接続され、その結果、ベースに対してアクチュエータを第1方向に移動すると、対応するケーブルの張力が増加し、第2の異なる(または反対の)方向にアクチュエータを移動すると、そのケーブルの張力が減少する。図示の実施形態では、近位方向へのアクチュエータキャリッジ118の移動は、そのケーブル上の張力を(ケーブルの経路に応じて)増加または減少させ、遠位方向へのキャリッジの移動は、ケーブル張力に対して反対の効果をもたらす。
【0022】
この実施形態では、延長ばね124は、キャリッジ118とベースの支持構造との間に(この場合、外側ハウジング126またはハウジングの内部を2つの横方向に隣接する領域に分割する仕切り128に)接続される。キャリッジに力を加えて、キャリッジをばね力に反する方向(この場合は遠位方向)にアクティブに動かすと、対応するケーブルの張力が増加する。加えられた力が解放されると、ばね力によってキャリッジがホームポジションに戻るか、ホームポジションに向かって移動し、ケーブルの張力が減少する。他の実施形態では、代わりに、一方向の運動にばね力を使用する代わりに、キャリッジを両方向にアクティブに動かすことができる。
【0023】
図8を参照すると、図示の実施形態のレシーバ104は、略U字形の断面を有し、2つの細長い側面と、2つの側面の間にまたがるシートとを有する。「U」の側面は、遠位に延びる一対のアームセクション130a、130bによって形成され、システムが組み立てられるときにベース110が受け入れられる開口部をレシーバに提供する(
図3)。「駆動出力」とも呼ばれる駆動部材132は、アームセクション130a、bから内側に延びる。それらは、器具がレシーバ104に取り付けられたときに、器具の各駆動入力部材122(
図5および6)が、駆動出力部材132の対応する1つと接触するように配置される。
図8には、2つの駆動部材132が示されている。他の2つはアーム130bから延びているが、図面では図示されていない。
図9では、アーム130aの一部が取り外されて、駆動部材132がアーム130a、130b内に収容されたキャリッジ134によって運ばれることを示す。レシーバ104(
図10)内のモータ136は、キャリッジ134の線形移動を駆動し、したがって、駆動部材132を、それぞれのアームセクション132a、bに沿って駆動する。
【0024】
レシーバの駆動部材132と器具のそれらに対応する被駆動部材122との間の接触のタイプは、被駆動部材122に伝達される駆動運動の性質に基づいて選択される。示されている線形駆動構成では、構成要素は、レシーバの対応する駆動構成要素によって、器具のキャリッジを押したり、引っ張ったり、または押したり引っ張ったりすることができるように構成することができる。さらに、異なるキャリッジの構成が異なる場合があり、一部は押すのみ、その他は引っ張りのみ(または押す、引っ張る、双方向駆動のその他の組み合わせ)になる。
【0025】
運動が一方向に駆動される場合、駆動部材132と被駆動部材122との間の接触は、運動の方向でのみ必要とされる。
図3~10において、駆動部材132および被駆動部材122は、駆動部材132が被駆動部材を遠位方向に押すように構成されるが、
図7に関連して論じられたばね124の存在のために、被駆動部材を近位方向に引っ張る必要はない。したがって、運動方向(ここでは遠位方向)に面する各駆動部材132の面または領域は、被駆動部材122と接触する。したがって、この例では、駆動部材と被駆動部材を互いに嵌合させたり、他の方法で係合させたりする必要はないが、それらは可能である。代わりに、これらの部材122、132は、互いに接触する対向する表面(任意選択で平面であり得る)を有するように単純に構成することができる。この実施形態において、運動が遠位方向ではなく近位方向に駆動された場合、駆動部材の近位面は、被駆動部材に接触するであろう。
【0026】
他の実施形態では、被駆動部材の運動は2つの方向に駆動される。図面に示されているような線形駆動構成では、これは、駆動部材が被駆動部材を引っ張ることと押すことの両方ができることを意味し得る。そのような実施形態では、駆動部材および被駆動部材は、運動の方向に関係なく、係合、嵌合、または接触するように設計されるように構成される。例えば、
図11は、器具用の代替キャリッジ120aを示しており、これは、駆動部材132と嵌合するように成形された被駆動部材122aを含む(
図10)。
【0027】
図12は、駆動部材132aが、
図5に示されるタイプの被駆動部材122を受け入れるように成形された雌レセプタクルの壁から構成されるレシーバキャリッジを示している。
図13は、2つの異なる駆動部材設計を有するレシーバキャリッジを示している。上部キャリッジでは、駆動部材132は前述のものと同様である。下部キャリッジでは、駆動部材132aは、
図5に示されるタイプの被駆動部材122を受け入れるように成形された雌レセプタクルの壁から構成される。この構成では、上部キャリッジが対応する被駆動部材を一方向(押すまたは引っ張る)で駆動し、一方、下部キャリッジが対応する被駆動部材を押すおよび引っ張るの両方で駆動し得る。
【0028】
レシーバ104は、ベース110を受け入れるように拡張するものであり得る。この実施形態では、レシーバ104は、アーム130a、130bの間の間隔を大きくすることによって、閉位置から開位置に移動可能である。開位置に移動すると、レシーバによって保持されているすべての器具を取り外すことができ、第1の器具または交換用の器具のベースを受け入れることができる。レシーバはまた、アームが開位置から閉位置に移動するときにアーム間の離間を減らすように移動可能であり、閉位置では、ベースがレシーバ104によって捕捉される110。アーム130a、bの間にベース110がある閉鎖系では、ベースの駆動入力122は、レシーバの駆動出力(出力端子、output)132と動作可能に係合している(しかし、必ずしも上記のように物理的に係合しているとは限らない)。
【0029】
拡張は様々な方法で実現できる。図面に示されている例では、アーム130a、130bは、開位置(
図14)と閉位置(
図15)との間で旋回する。他の構成では、それらは並行して移動し得る。レシーバを閉じて器具のベースに係合すると、レシーバ104のアームは、ベース110の両側の周りに到達して、ベースを保持し、駆動入力を移動して、説明したように、器具の自由度または他の機能を作動させる駆動出力を配置する。
【0030】
レシーバは、手動または電気機械的に選択的に開閉することができ、アームを別のアームに近づけたり遠ざけたりすることができる。第1の実施形態では、アーム130a、130bは、それから外向きにらせん状になっているリンケージ140を有する回転可能なレバーまたはノブ138によって、それらの近位端に対して旋回される。レバー/ノブを手動で第1の方向に回転させると、リンケージ140は、アーム130a、bを開位置にカムする。レバー/ノブを反対方向に回転させると、アームが閉位置にカムする。さらに、または代替として、リンケージ140は、モータ142の作動によって回転させることができる。レシーバ104上のスイッチ144は、外科助手によって使用されて、モータ142を作動させて、器具交換中にレシーバを容易に開閉することができる。
【0031】
システムは、マニピュレータアームのアクチュエータアセンブリが開いている間、器具アダプタの位置合わせおよび保持を容易にする機能を含み得る。例には、レシーバ104またはベース110の対応するシート148(
図20)で受け取られるベース110またはレシーバ104上のタブ146が含まれる。ベース110の近位面は、位置合わせ機能をさらに含み得る。
図22は、以下のドレープに関連して論じられるように、雄部品150(
図21)を受け入れる雌部品150(例えば、窪み、ディボット、穴または同様の位置合わせ機能)を示す。したがって、この実施形態は、ベース110の3つの側面に係合および/または制御機能を有する。制御点(駆動入力)はベースの任意の側に存在し得、レシーバ/マニピュレータの電気機械式アクチュエータまたはベッドサイドの動作担当者のいずれかによって作動し得ることを理解する必要がある。さらに、これらの制御点は、軸を共有するか、平行な軸を持ち、同じ平面に沿って直線的に摺動するか、または関連しない(つまり、平面でも、平行でも、同じ軸を共有することもない)移動の組み合わせであり得る。
【0032】
最後に、ベースに平面またはインターフェースポイントが定義されている必要はない。例えば、アダプタ本体は本質的に球形または円筒形であり得、制御点は本体の表面全体に配置される。
【0033】
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様であり、「U」構造を有するが、「U」の2つの側面を角度付けして開位置に到達する代わりに、内面を平行に保ちながら側面を拡張する。この実施形態では、レバーまたはノブシステムまたはモータと協調して4バー機構を使用して、システムの開閉を駆動することができる。
【0034】
これらの各概念により、「U」側の間の空間を拡張でき、この機能により、器具、カメラ、またはその他のアダプタ用の様々な幅のベースを受け入れることができる(例えば、カメラまたは器具の近位端にある取り外し可能なアダプタ、様々なメーカーのカメラや器具をシステムで使用できるようにする)。異なる幅のベースを有する器具の場合、システムは器具を識別し、適切な量を閉じて、器具のベースまたはアダプタをしっかりと保持する。例えば、非接触リードスイッチボードを使用して、様々な幅の器具またはアダプタを識別することができる。1つのデジタル読み取りは、アーム130a、bの間の30mmの空間への閉鎖をもたらし、一方、別のデジタル読み取りは、40mmをもたらす可能性がある。機械的な解決策として、レバーシステムを使用して、器具がレバーシステムを様々な距離で押すことができる。例えば、レバーシステムでは、0~4mmの入力が可能で、0mmは完全に開いており、4mmは完全に閉じている。1つの器具は4mmを押してアーム130a、b間に30mmの空間をもたらす、または完全に閉鎖することができ、一方、別の器具は3mmを押すことにより40mmの空間をもたらすことができる。
【0035】
「U」の形状およびサイズ、ならびにアーム130a、bによって定義される空間において、多種多様な器具またはアダプタに対応するように調整できることに留意されたい。さらに、この用途には「U」形状が好ましい場合があるが、少なくとも2つの部分的に対向する側面を有する他の形状を使用することができ、側面は平行な対向する面を有さない場合がある。
【0036】
「U」形状の実施形態のさらなる利点は、器具がレシーバの軸を共有するようにいくつかの器具を係合するが、他の器具を係合する場合は器具が軸を共有しないようにすることができる能力である。例えば、カメラシステムと係合するレシーバは、カメラシャフトおよびレシーバ軸が互いに最大90度の角度になるようにカメラを保持することができる場合がある。これにより、カメラとライトコードがレシーバの周りを通過するのではなく、レシーバを通過できるようになる。高調波エネルギーデバイスやステープラーなどの他の器具もこの機能の恩恵を受ける可能性があるが、器具の質量を6自由度力センサにできるだけ近づけることができる。
【0037】
図20Aおよび20Bを参照すると、レシーバ104は、典型的には、滅菌外科用器具を取り付ける前に滅菌ドレープ154またはバリアによって覆われる非滅菌構成要素である。駆動要素と被駆動要素の間のインターフェースでは、上記の運動がドレープを介して伝達され、器具の自由度を制御する。ドレープ154の一実施形態では、ドレープ材料は、レシーバの形状に適合するように形作られ、開閉するアーム130a、bを覆うための2つの「指」を有する。ドレープがレシーバに対して適切に方向付けられていること、および器具が係合および除去されるために器具の領域が明確であることを確認することが最適である。この実施形態では、ドレープは、コネクタがドレープの両側に延びる形状を有するように接着された埋め込まれたプラスチックの「ドレープコネクタ」156を含む。ドレープコネクタの片側には、嵌合ピン、支柱、円錐要素などが含まれる。それらは、レシーバ104のシートの雌部品(例えば、窪み、円錐形のディボット、穴または同様の位置合わせ機能)と嵌合し、他方は、ベースの近位面の雌部品150と嵌合する。嵌合ピンは、マニピュレータと器具の両方に保持力を提供し、ドレープと器具の配向を提供し得る。
【0038】
この実施形態では、ドレープコネクタの中央の雄要素152は、2つの環状リングを有し、これにより、嵌合形状がスナップで留められ、保持力を提供することができる。この場合、嵌合形状は巻きばねであり得る。ドレーピングプロセス中、ドレープはレシーバのアーム130a、bの上に配置される。ドレープコネクタ156の内向きの面は、雄部材がレシーバのシートの雌部品に挿入されるように配置され、ドレープコネクタの外向きの面は、同様に、器具ベース110の近位面と係合するようにスナップで留められる。
【0039】
ドレープコネクタはドレープの両側を通って延びるため、様々な機械的、電気的、光学的、またはその他のタスクのための滅菌導管として使用できる。これらの機能またはタスクの包括的でないリストを以下に示す。
・ドレープコネクタは、電源、アース、通信などの電気信号を例えば、ロボットマニピュレータと器具の間に提供するために使用できる。
・この電気エネルギーは、RFIDトランシーバー、カメラ、近接センサ、またはスイッチ(ホールセンサやリードスイッチを含む)などの器具認識デバイスに電力を供給するために使用できる。これらのデバイスは、特定のベース/アダプタを様々な器具タイプに共通にする一方で、所与のベース/アダプタに取り付けられている器具シャフトを判別することができる。
・このエネルギーは、器具または器具アダプタ内の活動を測定する手段として、力やトルクなどのセンサや変位デバイスに電力を供給することもできる。これらの測定により、より優れた器具制御や、力のフィードバックや触覚応答などのユーザフィードバックが可能になる。
・この電気エネルギーは、単極/双極またはアドバンスドエナジーデバイスに使用できるため、マニピュレータを回転させたときにマニピュレータまたは器具に巻き付けるケーブルが不要になる。
・ドレープコネクタは、ロボットマニピュレータと器具の間で光信号または光伝送を提供するために使用できる。
・これらの光信号は、分光法または他の方法による器具の識別を含む通信目的に使用できる。
・これらの光信号をロッドレンズスコープと嵌合して、他の内視鏡のようにカメラヘッドを必要とせずに術中の視点を得ることができる。
・光信号は、例えば偏向を測定するために光ファイバーなどのセンサと結合することができる。この偏向は、器具またはアダプタにかかる力を解釈するために使用できる。
【0040】
ドレープコネクタは、他の機能にも使用できる。この実施形態では、例えば、ベースの近位面は、外科的処置後に器具アダプタおよび器具シャフトを洗浄するために使用されることを意図したフラッシュポートを有する。処置中に開いたままにすると、このフラッシュポートはCO2が手術部位から排出されるための漏れ経路になる。ドレープコネクタは、このフラッシュポートを塞ぐために使用され、漏れ経路を排除すると同時に、チェックバルブやエラストマーフラッシュポートカバーなどの器具アダプタの構成要素も排除する。
【0041】
第2の実施形態
説明したように、第1の実施形態では、アセンブリは、押す/引っ張るの種類の線形運動を駆動出力から駆動入力に伝達するように構成されるが、回転運動、または線形運動と回転運動の組み合わせを伝達できる他の実施形態を想定することができる。例えば、
図23~25の第2の実施形態を参照すると、代替ベース110bを示している。ここで、駆動要素122bのそれぞれは、ベース内の構造(例えば、仕切り)に回転可能に取り付けられたプーリー123から延びる。各ケーブルは、プーリー123の対応する1つに結合されている。駆動出力132(
図8)の線形運動は、対応するプーリー123の回転を引き起こし、したがってケーブルの張力の変化を引き起こす。これは、第1の実施形態に関連して説明されるように、エンドエフェクタの移動または作動に影響を与える。拡張ばね125は、第1の実施形態で説明したのと同様の方法で、駆動部材が被駆動部材に対する力を除去または低減するときに、プーリーを偏りのない位置に戻すのに役立つことができる。
【0042】
EMIシールドを組み込んだドレープ
マニピュレータおよび関連する構成要素は、外科的ドレープに適した様々な種類の材料を使用してドレープで覆うことができる。次に、使用することができるドレープの一例を、
図26A-26Cに関連して説明する。このドレープは、開示された構成要素をドレープするために、上記以外の代替の外科用ロボットシステムの構成要素をドレープするために、および(外科用ロボットシステム以外の)滅菌機器の他の多くの構成要素をドレープするために使用できることに留意されたい。
【0043】
ここに記載された実施形態と共に使用される場合、ドレープは、近位本体110をアクチュエータアセンブリに挿入する前に、その実施形態のレシーバ104上に
図20Aおよび20Bに示されるように配置され得る。
【0044】
ドレープ200は、導電性(または絶縁性)インク204で印刷された一体回路を含む伸縮性のある多層ポリマーで形成されている。プリント回路は、静電放電および/または電磁干渉から、収容されるデバイスをシールドするための可撓性ファラデーケージとして機能し得る。インクは、メッシュパターンまたはファラデーシールドを作成するのに適した他のパターンで印刷できる。プリント回路は、容量検知(ボタン)、抵抗検知(ひずみ測定)、アンテナ(RFID)などのパッシブ機能回路としても機能し得る。印刷されたトレースは、ドレープ材料の積層物202の間に挟まれてもよい。電気信号がドレープの一方の側から他方の側に転送される場合、印刷されたトレースは、電気信号をプリント回路に出し入れするために導電性パッド205に接続され得る。同様に、プリント回路は、コネクタ210およびビア208などの成形された構成要素および特徴に接続することができる。ドレープは、所望の任意の形態をとることができ、材料の平らなシート(またはロール)から形成することができる。
【0045】
ドレープ200は、器具ドライバに取り付けられ得る高エネルギー器具によって生成されるESDまたはEMIから器具ドライバをシールドするための低コストで効率的な手段を提供する。シールド用途では、この方法により、デバイス内の移動するインターフェース間の電気シール(ばねなど)の設計の複雑さが軽減され、外部カバーに導電性メッキを追加する必要がなくなる。また、シールドが困難になる可能性がある、密閉されたデバイスのギャップをスパンするために使用することもできる。また、外科用ロボットアームの遠位ドレープに機能を追加することもできる。
【0046】
マニピュレータのグラフィカルユーザインターフェース
グラフィカルユーザインターフェースをマニピュレータに配置できる。この機能は、任意の外科用ロボットマニピュレータに適用でき、上記の構成での使用には適しているが、他の外科用ロボットシステムの構成要素での使用にも同様に適している。
【0047】
一部のロボットシステムでは、外科医の便宜のために、各マニピュレータは、各マニピュレータの1つまたは複数の場所にある色分け、色分けされたテープ、番号、またはその他のマーキングを使用して個別に識別できる。さらに、各マニピュレータを支持するカートには、エラーメッセージを表示するための画面と、マシンの状態を示す一連のライトが含まれ得る。
【0048】
外科的処置の過程で、外科助手または他の手術室の職員がマニピュレータを再配置することが必要になる場合がある。これは、ロボットアームに手動の力を加え、ロボットアームを所望の方向または位置に物理的に動かすことによって行うことができる。これは、従来技術のシステムと同様に純粋に手動の活動である場合もあれば、電力を利用した活動である場合もある。いずれの場合も、ユーザが手動で駆動する動作を実行しているときに、器具にかかる力についてユーザに通知することは利点である。通常、外科医のコンソールからアクティブにテレオペレーションされていないときにマニピュレータを移動するには、ユーザは、マニピュレータのロックを解除するアクション(例えば、マニピュレータの2つのボタンを同時に押す)を実行して、マニピュレータのエンドエフェクタを手動で所望の位置に移動できるようにする。
【0049】
このセクションでは、器具の状態とエラーメッセージの通信、マニピュレータの識別、マニピュレータのエンドエフェクタの向きに関係なく、ユーザは簡単にアクセスできるマニピュレータアームの単一のサイトで、ユーザがアームを操作するための簡単にアクセスできるタッチポイントの機能を統合する実施形態について説明する。
【0050】
第1の実施形態は、少なくとも1つのマニピュレータアームを含む外科用ロボットシステムを含む。
図27に示されるように、マニピュレータアーム(例えば、
図1の13、14、15)は、マニピュレータアームの少なくとも1つの自由度の遠位にあるエンドエフェクタを有する。この特定の実施形態では、レシーバ104は、エンドエフェクタの一部である。使用中、上記のように、外科用器具106は、エンドエフェクタに取り外し可能に取り付けることができる。
【0051】
エンドエフェクタには、様々な情報を表示することができる容量性(capacitive)表示画面212がある。この実施形態では、表示画面212は円筒形であり、エンドエフェクタの本体の周りに延びる。画面は、機械の状態、アームの識別、器具の識別などをユーザに伝えるために、色を変更したり、テキストやアイコン、またはその他のGUIアイテムを表示したりするように構成できる。アイコンは、容量性画面に触れることで表示および選択でき、キャリブレーション、ホーミング、またはエンドエフェクタのトロカールへのドッキングなどのタスクを実行できる。
【0052】
さらに、容量性画面でのユーザによるタッチジェスチャは、マシンによる応答を引き出し得る。例えば、間隔を空けて配置された2つのポイントに触れると、自由度のロックが解除され、関節の周りでマニピュレータを操作または手動で移動できるようになる。スワイプはメニュー間で変更したり、マシンに特定の状態(ドレープなど)に移行するように指示したりし得る。ディスプレイとのジェスチャの相互作用を使用して、システムにマニピュレータを次の状態に配置させたり、マニピュレータのアクチュエータをアクティブにして、マニピュレータを様々なタスクの実行に適した位置または方向に構成したりすることもできる(器具のドッキング、器具の交換、キャリブレーション、ホーミング、保管、ドレーピングなど)。
【0053】
好ましい構成では、タッチ画面はエンドエフェクタを完全に包み込む。この構成では、容量性ポイントにいつでも簡単にアクセスできる。さらに、エンドエフェクタ上またはエンドエフェクタ内に慣性測定ユニット(IMU)を含めると、システムにフィードバックが提供され、エンドエフェクタの方向が示される。このフィードバックに基づいて、システムはGUIに表示されるメッセージとメニューの位置と方向を維持または変更し、オペレーターの視点から、オペレーターに対するエンドエフェクタの回転に関係なくメッセージング/メニューが常に特定の方向になるようにする。つまり、IMUはエンドエフェクタの方向を検出し、システムのプロセッサはその方向でユーザに表示される画面の領域を選択し、関連するメッセージングとメニューをその領域で、好ましくは、ユーザにとって読みやすい向きに表示する。
【0054】
この機能は、患者側で簡単にアクセスできる場所に表示されているシステムに関する利用可能なすべての情報を含めることにより、外科用システムの使用の利便性を高める。タッチポイントは、エンドエフェクタ全体に巻き付けることができる。つまり、エンドエフェクタの方向に関係なく、常にアクセス可能で、同じ場所にある(ユーザの視点から)。ディスプレイは、色を使用して異なる動作状態を示すこと、またはユーザに異なるアームを識別することを可能にする色を変えるディスプレイを含み得る。
【0055】
マニピュレータの手動駆動動作中の力通知
上記のセクションで説明したように、外科手術の過程で、外科助手または他の手術室の職員がマニピュレータを再配置する必要がある場合がある。これは、マニピュレータに手動の力を加え、マニピュレータを所望の方向または位置に物理的に移動することによって実行できる。これは、一部の市販のシステムのように純粋に手動の活動である場合もあれば、電力を利用した活動である場合もある。いずれの場合も、ユーザが手動で駆動する動作を実行しているときに、器具にかかる力についてユーザに通知すると有利である。
【0056】
本明細書でも説明されているように、6自由度力/トルクセンサであり得る力/トルクセンサをマニピュレータに取り付けて、ユーザインターフェースで外科医に力フィードバックを提供するために必要な触覚情報を決定するために使用できる。
図28は上記のエンドエフェクタを示す。マニピュレータ内の器具位置に近位領域には、6自由度の力/トルクセンサ214があり、これは、上記のように、外科用器具が受ける力を測定するために使用され、システムが触覚インターフェースを介しこれらの力をユーザに伝達できるようにする。センサ214の近位には、少なくとも1つの通知構成要素216があり、これは、振動変換器、および視覚的インジケータまたは発光体のうちの少なくとも1つであり得る。振動変換器が使用される場合、それをマニピュレータのセンサ214の近位の位置に配置することは、センサ214の力測定との干渉を回避するのに役立つ。視覚的インジケータは、ライト、LEDまたはLEDの集合、画像ディスプレイなどであり得る。前のセクションで説明したタイプのGUIが使用されている場合、それはそのGUIの一部であり得る。これらの構成要素は、システムが手動で再配置されている間、器具に対する力の存在をユーザに警告するために使用される。
【0057】
手動駆動動作(ユーザがアームに手を当ててアームの移動を制御する動作)中、アームに取り付けられた器具に力が加えられると、発光体からの振動と視覚的な警告が発せられる。これは、アームを動かしている人に、器具が組織または別の構造に接触していることを警告するため、必要に応じて追加の予防措置を講じることができる。これは、例えば、器具がアームに係合している間に、器具が切開部位に配置されたトロカールに挿入されている場合に特に有益であろう。
【0058】
視覚的インジケータは、外科医に助言するためにユーザに方向情報を提供するように構成され得る。例えば、それは、器具と組織または他の物体との間の力を軽減するためにアームが動かされる必要がある方向の視覚的表示を提供し得る。発光体がアームの一部を取り囲むライトまたはLEDのリングである場合、ユーザがアームを押し込む必要がある方向、または器具にかかる力の方向を示すために、これらのライトの四分円が点灯し得る。可撓性ディスプレイまたはGUIが使用されている場合は、1つまたは複数の矢印またはその他の記号、アイコン、テキストなどは、同じ目的で表示され得る。いくつかの実施形態では、システムは、振動の振幅/周波数および光の強度/点滅が、力センサ214で測定された力に比例するように構成され得る。
【0059】
リモート駆動運動(ユーザ入力デバイス17、18の1つを使用してアームをリモートで制御するユーザによって実行される運動)中、アームに取り付けられた器具に力が加えられると(または定義された閾値を超える力が加えられると)、発光体からの視覚的な警告が発せられ得る。
【0060】
この機能は、任意のロボットマニピュレータに使用でき、ここで説明する実施形態に限定されない。一般に、それは、力およびトルクセンサを含むマニピュレータアーム、マニピュレータアームに取り付け可能な外科用器具、触覚ユーザ入力デバイスを含む外科用ロボットシステムの一部となる。システムは、少なくとも1つのプロセッサ、および前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な少なくとも1つのメモリ記憶命令を含み、以下を行う。触覚ユーザ入力デバイスのユーザ操作に応答して、マニピュレータアームが外科用器具を動かす。触覚ユーザインターフェースのユーザ操作中のセンサからの信号に応答し、触覚ユーザ入力デバイスのアクチュエータが触覚ユーザ入力デバイスへの力フィードバックを適用し、マニピュレータアームの手動ユーザ移動中のセンサからの信号に応答し、アームの振動変換器をアクティブにする。命令は、センサからの信号に応答して、アームの視覚的警告をアクティブにするために、少なくとも1つのプロセッサによってさらに実行可能であり得る。
【0061】
振動変換器は、力のフィードバックに加えて、またはその代わりに、他のタイプのフィードバックをユーザに提供するために使用できることに留意されたい。例えば、米国特許第9855662号に記載されているように、力/トルクを使用して切開部を通過する器具の支点を決定するようにシステムが構成されている場合、振動警告をアクティブにして、支点決定プロセスが完了し、支点が設定されたことをユーザに通知することができる。
【0062】
特定の実施形態が上で説明されているが、これらの実施形態は、限定ではなく、例として提示されていることを理解されたい。関連技術の当業者には、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その中で形態および詳細の様々な変更を行うことができることが明らかであろう。これは、後で開発される可能性のある関連技術内の技術および用語に照らして特に当てはまる。さらに、開示された様々な実施形態の特徴を様々な方法で組み合わせて、様々な追加の実施形態を作製することができる。
【0063】
優先権の目的を含め、上記で言及された任意およびすべての特許、特許出願、および印刷された刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】