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特表2022-541278胃腸障害の治療のための方法および産物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】胃腸障害の治療のための方法および産物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/74 20150101AFI20220914BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20220914BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220914BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20220914BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220914BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220914BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALN20220914BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALN20220914BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20220914BHJP
【FI】
A61K35/74 ZNA
A61K35/741
A61P1/04
A61P1/00
A61P43/00 121
A61P31/04
C12Q1/04
C12Q1/6869 Z
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503461
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020042546
(87)【国際公開番号】W WO2021016083
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/876,358
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】517396180
【氏名又は名称】フィンチ セラピューティクス ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】スミス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヴォ,アイン-トゥー,エレイン
(72)【発明者】
【氏名】サドフスキー,ロテム
(72)【発明者】
【氏名】ヘンスキー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルディン,イレイン
(72)【発明者】
【氏名】ティンバーレイク,ソニア
【テーマコード(参考)】
4B063
4C087
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QQ06
4B063QQ54
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS10
4B063QS12
4B063QS32
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC30
4C087BC31
4C087BC55
4C087MA02
4C087ZA68
4C087ZB35
4C087ZC75
(57)【要約】
本明細書で記載されるのは、腸内菌共生バランス失調に関連する障害の治療に有用な微生物治療薬の送達のための組成物および方法である。本明細書で記載されるのは、対象のGIマイクロバイオームを保護するための組成物および方法である。種々の実施形態では、本明細書で提供されるのは、分離または精製された細菌分離株および/または分離または精製された細菌分離株の混合物(例えば、ヒト由来の、例えば、健康なヒトの便由来の)を含む医薬組成物である。
【選択図】図3D


【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療のための細菌分離株を調製する方法であって、
(i)
(a)健康な対象群、
(b)胃腸疾患または障害の患者群、および
(c)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の前記胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解を有する患者群、
由来の糞便物質からの細菌の調製物を用意すること、
(ii)前記細菌の調製物から16S rRNA配列を分析すること、および
(iii)
(a)前記胃腸疾患または障害の患者群に比較して健康な対象群で豊富である、
(b)前記便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の前記胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する、
前記細菌の調製物由来の菌株の16S rRNAと少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含むヒトドナーの便から細菌分離株を分離すること、
を含み、
前記細菌分離株の横断結合p値が、1x10-14未満である、方法。
【請求項2】
前記胃腸疾患または障害の患者群に比べて健康な対象群で豊富な前記菌株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Alistipes onderdonkii、Faecalibacterium prausnitzii、Eubacterium rectale、Blautia obeum、Bacteroides uniformis、Bacteroides vulgatus、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes finegoldii、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Phascolarctobacterium faecium、Subdoligranulum variabile、Blautia sp.、Alistipes putredinis、Alistipes putredinis、Alistipes putredinis、およびこれらの任意の2種以上から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記胃腸疾患または障害の患者群に比べて健康な対象群で豊富な前記菌株が、配列番号1、2、3、4、7、8、9、11、12、14、15、16、18、20、21、22、23、34、35、36、および37から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記細菌分離株が、Odoribacter splanchnicusおよびAlistipes shahiiの少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記細菌分離株が、配列番号2および配列番号18のヌクレオチド配列と少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記細菌分離株が、前記菌株の16S rRNA配列と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の前記胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する前記細菌が、
Alistipes finegoldiiを含むが、Alistipes shahiiまたはAlistipes putredinisを含まない、または
Alistipes putredinisを含むが、Alistipes shahiiまたはAlistipes finegoldiiを含まない、
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の前記胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する前記細菌が、
配列番号15のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含むが、配列番号18、35、36または37から選択されるヌクレオチド配列を含まない、または
配列番号35~37から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含むが、配列番号15および18から選択されるヌクレオチド配列を含まない、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
(iv)ヒト糞便試料由来の複数の細菌分離株を用意すること;および
(v)
(a)真核細胞の集団を前記ヒト由来細菌分離株と接触させること、
(b)真核細胞の集団中のサイトカインレベルを測定すること、および
(c)真核細胞の集団中のサイトカインのレベルの調節をできる細菌分離株を選択すること、
を含む機能的アッセイを実施すること、
により第2の治療のための細菌分離株を分離することをさらに含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法:
【請求項10】
前記真核細胞の集団が、PBMC集団を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記サイトカインが、IL-10、GM-CSF、IFNγ、TNFα、IL-23、およびIL-12から選択される、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第2の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Subdoligranulum variabile、Bacteroides uniformis、およびこれらの任意の2種以上から選択される、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
第2の細菌分離株が、配列番号1、2、3、7、11、16、18、20、22、および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
第1と第2の細菌分離株を含む微生物混合物を調製する方法であって、
(i)ヒト便由来の複数の細菌分離株を分離すること;
(ii)
(a)真核細胞の集団を前記細菌分離株と接触させること、
(b)IL-10:IL-12比およびIL-10:TNFα比を測定すること、および
(c)真核細胞集団と共にインキュベートされた場合少なくとも約50:1のIL-10:IL-12比または少なくとも約1:1のIL-10:TNFα比を誘導できる細菌分離株を第1の細菌分離株として特定すること;
を含む第1の機能的アッセイを実施すること、
(iii)
(a)前記細菌分離株により産生された短鎖脂肪酸(SCFA)のレベルを測定すること、および
(b)少なくとも約10mMの濃度でSCFAを産生する細菌分離株を第2の細菌分離株として特定すること、
を含む第2の機能的アッセイを実施すること、および
(iv)前記第1と第2の細菌分離株を混合して微生物混合物を製造すること、
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Bacteroides uniformis、Bacteroides vulgatus、Coprococcus comes、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Subdoligranulum variabile、およびこれらの任意の2種以上から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の細菌分離株が、配列番号1、2、3、7、11、12、16、17、18、20、22、および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記真核細胞の集団が、PBMC集団を含む、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記SCFAが、酢酸、酪酸、カプロン酸、ギ酸、ヘプタン酸、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソ吉草酸、プロピオン酸、吉草酸、およびこれらの任意の2種以上から選択される、請求項14~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記SCFAが、酪酸である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の細菌分離株が、Odoribacter splanchnicus、Eubacterium rectale、Coprococcus comes、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、Anaerostipes hadrus、Subdoligranulum variabile、およびこれらの任意の2種以上から選択される、請求項14~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の細菌分離株が、配列番号1、2、3、7、8、17、19、22、および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、請求項14~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
(i)
(a)健康な対象群、
(b)胃腸疾患または障害の患者群、および
(c)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の前記胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解を有する患者群、
の糞便物質由来細菌調製物から16S rRNA配列を分析すること:および
(ii)
(a)前記胃腸疾患または障害の患者群に比較して健康な対象群で豊富である、
(b)前記便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の前記胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する、
前記細菌調製物由来の菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含むヒトドナーの便からの細菌分離株を第3の細菌分離株として分離すること、
により微生物混合物中に組み込むための第3の細菌分離株を分離することをさらに含む、
請求項14~21のいずれか1項に記載の方法:
【請求項23】
前記第3の細菌分離株が、前記菌株の16S rRNA配列と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記胃腸疾患または障害が、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、C.difficile感染症(CDI)、C.difficile関連疾患(CDAD)、および抗生物質誘発性有害作用から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記IBDが、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)、および回腸嚢炎の1種または複数から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記胃腸疾患または障害が、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、C.difficile感染症(CDI)、C.difficile関連疾患(CDAD)、および抗生物質誘発性有害作用から選択される、請求項14~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記IBDが、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)、および回腸嚢炎の1種または複数から選択される、請求項26に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2019年7月19日に出願された米国特許仮出願第62/876,358号の利益および優先権を主張する。この仮出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、一部は、腸内菌共生バランス失調に関連する障害の治療に有用な細菌分離株および/または細菌分離株混合物の送達のための組成物および方法に関する。
【0003】
電子申請したテキストファイルの説明
本出願は配列表を含む。これは、「FIN-020PC_ST25」という名称のASCIIテキストファイルとしてEFS-Web経由で電子申請された。配列表は、61,430バイトのサイズで、2019年7月19日に、またはその前後に作成された。この配列表は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
ヒト消化(GI)管は、1000種を超える異なる細菌種および1x1014個を超えると推定される微生物の多様な微生物群を住まわせている。この微生物群は、微生物叢とも呼ばれ(および遺伝成分はマイクロバイオームと呼ばれる)、ヒトの健康にとって重要であることが明らかになった。例えば、健康なマイクロバイオームは、病原体感染に対する抵抗力、栄養素の生合成および吸収、ならびに免疫刺激を含む、複数の利益をヒト宿主に与える。ディスバイオシスまたはマイクロバイオームの破壊は、病原体に対する増大された感受性、代謝プロファイルの変化、および全身性炎症または自己免疫をもたらす。実際に、マイクロバイオームのディスバイオシス(すなわち、腸内菌共生バランス失調)は、ヒト宿主を、 炎症性腸疾患(IBD)および過敏性腸症候群(IBS)ならびにClostridium difficile(例えば、Clostridium difficile感染症(CDI))を含む病原体による感染症などの胃腸障害を含む種々の病的状態になりやすくし得る。
【0005】
IBDは、米国において毎年70,000もの新規症例の診断を伴う、160万人を超えるアメリカ人に影響を与えている。IBDは、消化管の慢性炎症を特徴とする。IBDの2種の最もよくある形態は、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含む。UCは結腸で起こり、CDは消化管全体に存在し得る。臨床症状は、下痢、腹痛、たまの直腸の出血、体重減、疲労および時々の発熱である。大抵の患者では、IBDは数ヶ月から数年にわたり続く症状を伴う慢性状態である。現時点では、IBDの治療法は存在しない。その代わり、現在の治療法は、炎症を低減することによるGI症状の抑制に向けられている。重症例では、結腸切除術、直腸結腸切除術、および回腸瘻造設術を含む外科手術が使用される場合がある。
【0006】
研究者は、これらの疾患を軽減または無くするために、このような患者の健康なマイクロバイオームを回復することを試みてきた。例えば、1つの手法は、腸に再び住みつかせるための、健康なヒトドナーの便由来の便細菌叢の移植(いわゆる便細菌叢移植(FMT))を含む。しかし、この治療は理想的でなく、特に不快である。従って、さらに最近の手法は、合理的に選択された、細菌の所定の混合物を開発することであり、これは、患者により摂取され、便移植に置き換わり得る。この「薬としての微生物」概念は、FMTの治療効果をより標準化された創薬可能な(druggable)系に変換することを試みるものである。残念ではあるが、当然のことながら、この手法は早期の失敗に遭遇した。例えば、CDI患者を治療するように設計された細菌胞子の混合物であるSER-109を用いた最近の臨床試験は、第2相試験で主目標を達成できなかった。この薬物は、プラセボと比較して、治療後8週まで、CDI再発の相対的リスクを減らすことができなかった。
【0007】
従って、健康な腸微生物叢を回復し、それにより、胃腸障害などの腸内菌共生バランス失調に関連する種々の障害に対し効果的治療を提供する有効な治療薬の必要性が残されている。
【発明の概要】
【0008】
本明細書で記載されるのは、対象のGIマイクロバイオームを保護するための組成物および方法である。種々の実施形態では、本明細書で提供されるのは、分離または精製された細菌分離株および/または分離または精製された細菌分離株の混合物(例えば、ヒト由来の、例えば、健康なヒト由来の)を含む医薬組成物である。
【0009】
本発明の態様は、治療のための細菌分離株を調製する方法であり、方法は、(i)(a)健康な対象群、(b)胃腸疾患または障害の患者群、および(c)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後に胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解を有する患者群、由来の糞便物質からの細菌の調製物を用意すること、(ii)細菌の調製物由来の16S rRNA配列を分析すること、および(iii)(a)胃腸疾患または障害の患者群に比べて健康な対象群で豊富である;および/または(b)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する、細菌の調製物由来の菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含むヒトドナーの便由来の細菌分離株を分離すること、を含み、細菌分離株の横断結合p値は、1x10-14未満である。
【0010】
いくつかの実施形態では、胃腸疾患または障害の患者群に比べて健康な対象群で豊富な菌株は、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Alistipes onderdonkii、Faecalibacterium prausnitzii、Eubacterium rectale、Blautia obeum、Bacteroides uniformis、Bacteroides vulgatus、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes finegoldii、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Phascolarctobacterium faecium、Subdoligranulum variabile、Blautia sp.、Alistipes putredinis、Alistipes putredinis、Alistipes putredinis、およびこれらの任意の2種以上から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸疾患または障害の患者群に比べて健康な対象群で豊富な菌株は、配列番号1、2、3、4、7、8、9、11、12、14、15、16、18、20、21、22、23、34、35、36、および37から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびAlistipes shahiiの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、配列番号2および配列番号18のヌクレオチド配列と少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、菌株の16S rRNA配列と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する菌株は、Alistipes finegoldiiを含むが、Alistipes shahiiまたはAlistipes putredinisを含まない;またはAlistipes putredinisを含むが、Alistipes shahiiまたはAlistipes finegoldiiを含まない。いくつかの実施形態では、便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する菌株は、配列番号15のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含むが、配列番号18、35、36または37から選択されるヌクレオチド配列を含まない;または配列番号35~37から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を有するが、配列番号15および18から選択されるヌクレオチド配列を含まない。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、(iv)ヒト糞便試料由来の複数の細菌分離株を用意すること;および(v)(a)真核細胞集団をヒト由来細菌分離株と接触させること、(b)真核細胞集団中のサイトカインのレベルを測定すること、および(c)真核細胞集団のサイトカインのレベルの調節をできる細菌分離株を選択すること、を含む機能アッセイを実施すること、により第2の治療のための細菌分離株を分離することをさらに含む。いくつかの実施形態では、真核細胞集団は、PBMC集団を含む。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-10、GM-CSF、IFNγ、TNFα、IL-23、およびIL-12から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2の細菌分離株は、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Subdoligranulum variabile、Bacteroides uniformis、およびこれらの任意の2種以上から選択される。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、配列番号1、2、3、7、11、16、18、20、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0016】
本発明の態様は、第1と第2の細菌分離株を含む微生物混合物を調製する方法であり、方法は、(i)ヒト便から複数の細菌分離株を分離すること;(ii)(a)真核細胞集団を細菌分離株と接触させること、(b)IL-10:IL-12比およびIL-10:TNFα比を測定すること、および(c)真核細胞とインキュベートした場合、少なくとも約50:1のIL-10:IL-12比または少なくとも約1:1のIL-10:TNFα比を誘導できる細菌分離株を第1の細菌分離株として特定すること、を含む第1の機能アッセイを実施すること;(iii)(a)細菌分離株により産生された短鎖脂肪酸(SCFA)のレベルを測定すること、および(b)少なくとも約10mMの濃度でSCFAを産生する細菌分離株を第2の細菌分離株として特定すること、を含む第2の機能アッセイを実施すること、および(iV)第1と第2の細菌分離株を混合して微生物混合物を生成すること、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の細菌分離株は、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Bacteroides uniformis、Bacteroides vulgatus、Coprococcus comes、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Subdoligranulum variabile、およびこれらの任意の2種以上から選択される。いくつかの実施形態では、第1の細菌分離株は、配列番号1、2、3、7、11、12、16、17、18、20、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、真核細胞集団は、PBMC集団を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、SCFAは、酢酸、酪酸、カプロン酸、ギ酸、ヘプタン酸、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソ吉草酸、プロピオン酸、吉草酸、およびこれらの任意の2種以上から選択される。いくつかの実施形態では、SCFAは、酪酸である。いくつかの実施形態では、第2の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicus、Eubacterium rectale、Coprococcus comes、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、Anaerostipes hadrus、Subdoligranulum variabile、およびこれらの任意の2種以上から選択される。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、配列番号1、2、3、7、8、17、19、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、(i)(a)健康な対象群、(b)胃腸疾患または障害の患者群、および(c)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後に胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解を有する患者群、の糞便物質からの細菌の調製物由来の16S rRNA配列を分析すること、および(ii)(a)胃腸疾患または障害の患者群に比べて健康な対象群で豊富である;および/または(b)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する、細菌の調製物由来の菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含むヒトドナーの便由来の細菌分離株を第3の細菌分離株として分離すること、により微生物混合物中への組み込みのために、第3の細菌分離株を分離することをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、第3の細菌分離株は、菌株の16S rRNA配列と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を含む。
【0021】
本明細書で開示のいずれかの実施形態では、胃腸疾患または障害は、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、C.difficile感染症(CDI)、C.difficile関連疾患(CDAD)、抗生物質誘発性有害作用から選択され得る。いくつかの実施形態では、IBDは、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)、および回腸嚢炎の1種または複数から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸疾患または障害は、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、C.difficile感染症(CDI)、C.difficile関連疾患(CDAD)、抗生物質誘発性有害作用から選択される。いくつかの実施形態では、IBDは、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)、および回腸嚢炎の1種または複数から選択される。
【0022】
本明細書で開示されるのは、細菌分離株の混合物を含む医薬組成物であり、少なくとも1種の細菌分離株は、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2種の細菌分離株は、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも3種の細菌分離株は、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも4種の細菌分離株は、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも5種の細菌分離株は、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも6種の細菌分離株は、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも7種の細菌分離株は、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも8種の細菌分離株は、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも9種の細菌分離株は、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNAと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも10種の細菌分離株は、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0023】
本明細書で開示されるのは、複数の細菌分離株を含む医薬組成物であり、この複数の細菌分離株は、Eubacterium rectale、Odoribacter splanchnicusおよびSubdoligranulum variabileからなる群より選択される少なくとも2種の細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、Subdoligranulum variabileは、配列番号22または配列番号23の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Odoribacterは、配列番号2に少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Eubacterium rectaleは、配列番号8と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2種の細菌分離株は、Eubacterium rectaleを含まない。いくつかの実施形態では、少なくとも2種の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusを含まない。いくつかの実施形態では、少なくとも2種の細菌分離株は、Subdoligranulum variabileを含まない。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも2種の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、およびBlautia obeumの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、およびBlautia obeumをさらに含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides cellulosilyticusは、配列番号14に少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiは、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiは、配列番号18に少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Blautia obeumは、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、Anaerostipes hadrus、Roseburia faecis、およびBlautia obeumの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Blautia obeumおよびAnaerostipes hadrusの少なくとも1種を含まない。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、Anaerostipes hadrus、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides cellulosilyticusは、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiは、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiは、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Anaerostipes hadrusは、配列番号3と少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Roseburia faecisは、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、Blautia obeum、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides cellulosilyticusは、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiは、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiは、配列番号18に少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Blautia obeumは、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Roseburia faecisは、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes shahii、およびRoseburia faecisの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes shahii、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides cellulosilyticusは、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Roseburia faecisは、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiは、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、およびAnaerostipes hadrusの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、およびAnaerostipes hadrusのそれぞれをさらに含む。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiは、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Roseburia faecisは、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Anaerostipes hadrusは、配列番号3と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Bacteroides cellulosilyticus、Blautia obeum、およびAlistipes shahiiの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Bacteroides cellulosilyticus、Blautia obeum、およびAlistipes shahiiのそれぞれをさらに含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides cellulosilyticusは、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Blautia obeumは、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiは、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、およびRoseburia faecisの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiは、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiは、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Roseburia faecisは、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Faecalibacterium prausnitzii、Blautia obeum、およびRoseburia faecisの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、Faecalibacterium prausnitzii、Blautia obeum、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiは、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Blautia obeumは、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Roseburia faecisは、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、少なくとも2種の細菌分離株は、Eubacterium rectaleおよびSubdoligranulum variabileを含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Eubacterium rectaleおよびSubdoligranulum variabileを含み、Faecalibacterium prausnitzii、Coprococcus comes、Anaerostipes hadrus、およびRoseburia faecisの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Eubacterium rectaleおよびSubdoligranulum variabileを含み、Faecalibacterium prausnitzii、Coprococcus comes、Anaerostipes hadrus、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiは、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Anaerostipes hadrusは、配列番号3と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Roseburia faecisは、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Coprococcus comesは、配列番号17と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes shahii、またはBlautia obeumの少なくとも1種を含まない。
【0034】
本明細書で開示されるのは、複数の細菌分離株を含む医薬組成物であり、この複数の細菌分離株は、Roseburia faecisおよびBacteroides cellulosilyticus、ならびにFaecalibacterium prausnitziiおよびAlistipes shahiiの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Eubacterium rectale、Anaerostipes hadrus、およびBlautia obeumの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Anaerostipes hadrusおよびBlautia obeumの少なくとも1種を含まない。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Roseburia faecis、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、Eubacterium rectale、およびAnaerostipes hadrusのそれぞれを含む。いくつかの実施形態では、Roseburia faecisは、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides cellulosilyticusは、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiは、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiは、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Eubacterium rectaleは、配列番号8と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Anaerostipes hadrusは、配列番号3と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Roseburia faecis、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、Eubacterium rectale、およびBlautia obeumのそれぞれを含む。いくつかの実施形態では、Roseburia faecisは、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides cellulosilyticusは、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiは、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiは、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Eubacterium rectaleは、配列番号8と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Blautia obeumは、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、上記医薬組成物中の複数の細菌分離株の1種または複数は、組成物を投与される対象の腸中で短鎖脂肪酸(SCFA)を分泌する。いくつかの実施形態では、SCFAは、酢酸、酪酸、カプロン酸、ギ酸、ヘプタン酸、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソ吉草酸、プロピオン酸、吉草酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、SCFAは酪酸である。いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルは、少なくとも5mMである。いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルは、少なくとも10mMである。いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルは、少なくとも15mMである。いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルは、少なくとも20mMである。いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルは、少なくとも25mMである。いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルは、少なくとも30mMである。いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルは、少なくとも35mMである。いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルは、少なくとも40mMである。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のSCFAを産生する1種または複数の細菌分離株は、表2で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0037】
本明細書で開示されるのは、複数の細菌分離株を含む医薬組成物であり、この複数の細菌分離株は、Parabacteroides merdae、ならびにAlistipes finegoldiiおよびAlistipes onderdonkiiの少なくとも1種を含む細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Alistipes finegoldiiおよびAlistipes onderdonkiiの両方を含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Alistipes finegoldiiおよびAlistipes onderdonkiiの1種を含まない。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Akkermansia muciniphila、Dorea longicatena、Blautia obeum、Blautia sp.、Bacteroides uniformisまたはBacteroides vulgatusの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Parabacteroides merdae、ならびにAkkermansia muciniphila、Alistipes finegoldii、Dorea longicatena、Alistipes onderdonkii、Blautia sp.、Bacteroides uniformisおよびBacteroides vulgatusのそれぞれを含む。いくつかの実施形態では、Parabacteroides merdaeは、配列番号5と少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Akkermansia muciniphilaは、配列番号20と少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes finegoldiiは、配列番号15と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Dorea longicatenaは、配列番号6と少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes onderdonkiiは、配列番号4と少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.は、配列番号34と少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides uniformisは、配列番号11および配列番号16の少なくとも1つと少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides vulgatusは、配列番号12と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Parabacteroides merdae、ならびにAkkermansia muciniphila、Alistipes finegoldii、Dorea longicatena、Blautia obeum、Blautia sp.、Bacteroides uniformisおよびBacteroides vulgatusのそれぞれを含む。いくつかの実施形態では、Parabacteroides merdaeは、配列番号5と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Akkermansia muciniphilaは、配列番号20と少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Alistipes finegoldiiは、配列番号15と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Dorea longicatenaは、配列番号6と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Blautia obeumは、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.は、配列番号34と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides uniformisは、配列番号11および配列番号16の少なくとも1つと少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides vulgatusは、配列番号12と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0039】
本明細書で開示されるのは、複数の細菌分離株を含む医薬組成物であり、この複数の細菌分離株は、Alistipes finegoldii、ならびにBacteroides uniformisおよびDorea longicatenaの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Bacteroides uniformisまたはDorea longicatenaの1種を含まない。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Akkermansia muciniphila、Bacteroides vulgatus、およびBlautia sp.の少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Alistipes finegoldii、Bacteroides uniformis、Dorea longicatena、Akkermansia muciniphila、Bacteroides vulgatus、およびBlautia sp.のそれぞれを含む。いくつかの実施形態では、Alistipes finegoldiiは、配列番号15と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides uniformisは、配列番号11と少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Dorea longicatenaは、配列番号6と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Akkermansia muciniphilaは、配列番号20と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides vulgatusは、配列番号12と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.は、配列番号34と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、上記医薬組成物のいずれかの複数の細菌分離株は、表3で与えられる細菌分離株の少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の細菌分離株は、真核細胞によるサイトカイン産生または放出を調節する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の細菌分離株は、真核細胞による炎症促進性サイトカインの産生または放出を低減する。いくつかの実施形態では、炎症促進性サイトカインは、IFNγ、IL-12p70、IL-1(例えば、IL-1α、IL-1β)、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IL-18、IL-23、MCP1、MIP1α、MIP1β、TNFα、TNF-γ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の細菌分離株は、真核細胞による抗炎症性サイトカインの産生または放出を高める。いくつかの実施形態では、抗炎症性サイトカインは、IL-10、IL-13、IL-4、IL-5、TGF-β、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、抗炎症性サイトカインは、IL-10である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の細菌分離株は、少なくとも500pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の細菌分離株は、少なくとも1000pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の細菌分離株は、少なくとも1500pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の細菌分離株は、少なくとも2000pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の細菌分離株は、少なくとも2500pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の細菌分離株は、少なくとも3000pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する。いくつかの実施形態では、真核細胞は、培養細胞である。いくつかの実施形態では、培養細胞は、末梢血単核球細胞(PBMC)である。いくつかの実施形態では、真核細胞は、組成物を投与される対象の細胞である。いくつかの実施形態では、対象の細胞は、上皮細胞、腸粘膜固有層細胞、内皮細胞、線維芽細胞、間質細胞、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、マスト細胞、および末梢血単核球(PBMC)からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、対象の細胞は、上皮細胞であり、上皮細胞は、腸内上皮細胞である。
【0041】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与用のカプセルとして処方される。いくつかの実施形態では、カプセルは、遅延放出コーティングを含む。いくつかの実施形態では、カプセルは、疎水性コーティングを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、微生物混合物の腸への送達用に処方される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、微生物混合物の小腸への送達用に処方される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、微生物混合物の大腸への送達用に処方される。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容可能な抗酸化剤、凍結保護物質、凍結乾燥保護剤、結合剤、崩壊剤、賦形剤、充填剤、防腐剤、酸抑制剤、制酸薬、H2拮抗薬、および/またはプロトンポンプ阻害剤の少なくとも1種をさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、腸内菌共生バランス失調に関連する障害を有する対象への投与用である。いくつかの実施形態では、障害は、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、C.difficile感染症(CDI)、C.difficile関連疾患(CDAD)、抗生物質誘発性有害作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0043】
本明細書で開示されるのは、それを必要としている対象において過敏性腸症候群を治療するまたは予防する方法であり、方法は、Bacteroides cellulosilyticusを含む細菌分離株を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、Bacteroides cellulosilyticusは、配列番号26と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、方法は、Odoribacter splanchnicusを含む細菌分離株および/またはSubdoligranulum sp.を含む細菌分離株を対象に投与することをさらに含む。
【0044】
本明細書で開示されるのは、細菌分離株の混合物を含む医薬組成物を製造する方法であり、方法は、第1の細菌分離株により産生される短鎖脂肪酸(SCFA)のレベルに基づいて第1の細菌分離株を選択すること;炎症性腸疾患を有する対象に対する、健康なヒト対象の対応する菌株の相対存在量に基づいて第2の細菌分離株を選択することであって、第2の細菌分離株が、対応する菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む、選択すること;および第1と第2の細菌分離株を混合し、細菌分離株の混合物を製造すること、を含む。いくつかの実施形態では、第1の細菌分離株は、表2で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、第2の細菌分離株は、表4で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、方法は、細菌分離株によるサイトカインのレベルの調節に基づいて第3の細菌分離株を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第3の細菌分離株は、表3で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0045】
本明細書で開示されるのは、第1の機能アッセイで真核細胞の集団と共にインキュベートされた場合に少なくとも50のIL-10:IL-12の比または少なくとも1のIL-10:TNFαの比の少なくとも1つを誘導する、第1のヒト由来細菌分離株:および第2の機能アッセイで測定して少なくとも10mMの濃度で短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する、第2のヒト由来細菌分離株、を含む医薬組成物であり、第1と第2の細菌分離株は、医薬組成物を対象に投与後に対象の腸中に生着できる。
【0046】
ある態様では、IL-10:IL-12の比は、少なくとも100である。ある態様では、IL-10:IL-12の比は、少なくとも500である。ある態様では、IL-10:IL-12の比は、少なくとも1000である。ある態様では、IL-10:IL-12の比は、少なくとも2000である。ある態様では、IL-10:TNFαの比は、少なくとも2である。ある態様では、IL-10:TNFαの比は、少なくとも5である。ある態様では、IL-10:TNFαの比は、少なくとも10である。ある態様では、IL-10:TNFαの比は、少なくとも20である。ある態様では、真核細胞集団は、PBMC集団を含む。ある態様では、第1のヒト由来細菌分離株は、真核細胞中断と共に約24時間にわたりインキュベートされる。ある態様では、SCFAは、酪酸である。ある態様では、SCFAは、少なくとも20mMの濃度で産生される。ある態様では、SCFAは、少なくとも25mMの濃度で産生される。ある態様では、SCFAは、少なくとも30mMの濃度で産生される。ある態様では、SCFAは、少なくとも35mMの濃度で産生される。ある態様では、SCFAは、酪酸である。
【0047】
ある態様では、第2の機能アッセイは、第2の細菌分離株を基質と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、基質は、オリゴ糖、サンファイバー、または大麦麦芽の少なくとも1種を含む。ある態様では、オリゴ糖は、フラクトオリゴ糖(FOS)およびキシロオリゴ糖(XOS)の少なくとも1種を含む。ある態様では、基質は、フラクトオリゴ糖(FOS)およびキシロオリゴ糖(XOS)の両方を含む。ある態様では、第2の細菌分離株は、表2で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。ある態様では、第2の細菌分離株は、Anaerostipes sp.を含む。ある態様では、Anaerostipes sp.は、Anaerostipes hadrusである。ある態様では、第2の細菌分離株は、配列番号3に対応する配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。ある態様では、第2の細菌分離株は、Roseburia sp.を含む。ある態様では、Roseburia sp.は、Roseburia faecisである。ある態様では、第2の細菌分離株は、配列番号19に対応する配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。ある態様では、第2の細菌分離株は、Eubacterium sp.を含む。ある態様では、Eubacterium sp.は、Eubacterium rectaleである。ある態様では、第2の細菌分離株は、配列番号8に対応する配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。ある態様では、第2の細菌分離株は、Coprococcus sp.を含む。ある態様では、Coprococcus sp.は、Coprococcus comesである。ある態様では、第2の細菌分離株は、配列番号17に対応する配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。ある態様では、第1の細菌分離株は、表3で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0048】
本明細書で開示されるのは、炎症性腸疾患を治療する方法であり、方法は、第1と第2のヒト由来細菌分離株を含む医薬組成物をそれを必要としている対象に投与することを含む。ある態様では、第1と第2の細菌分離株の少なくとも1種の投与量は、1010細胞/ml未満である。
【0049】
ある態様では、複数の細菌分離株を含む医薬組成物が提供され、複数の細菌分離株は、Bacteroides cellulosilyticus、ならびにOdoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Faecalibacterium prausnitzii、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabile、およびEubacterium rectaleの少なくとも1種を含み、複数の細菌分離株の少なくとも2種は、異なるドナーの便試料から分離される。
【0050】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusを含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Faecalibacterium prausnitziiを含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、種Faecalibacterium prausnitziiのそれぞれメンバーである2種の異なる細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Subdoligranulum variabileを含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleを含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleを含む。
【0051】
ある態様では、複数の細菌分離株を含む医薬組成物が提供され、複数の細菌分離株は、種Faecalibacterium prausnitziiのそれぞれメンバーである2種の異なる細菌分離株を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、2種の異なる細菌分離株は、異なるヒトドナーの便試料から分離される。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Bacteroides cellulosilyticus、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Bacteroides cellulosilyticus、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleのそれぞれをさらに含む。
【0053】
ある態様では、それを必要としている対象において過敏性腸症候群を治療するまたは予防する方法が提供され、方法は、対象に複数の細菌分離株を投与することを含み、細菌分離株の1種は、Bacteroides cellulosilyticusを含み、複数の細菌分離株の少なくとも2種は、異なる医薬組成物中で対象に投与される。
【0054】
いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの少なくとも1種をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleのそれぞれをさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Eubacterium rectaleのそれぞれ、および種Faecalibacterium prausnitziiのそれぞれメンバーである2種の異なる細菌分離株をさらに含む。
【0055】
ある態様では、製造の方法が提供され、方法は、Bacteroides cellulosilyticusを純粋培養として培養すること;およびB.cellulosilyticusの純粋培養物由来の細菌を凍結乾燥してB.cellulosilyticus凍結乾燥物を製造すること、を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、方法は、B.cellulosilyticus凍結乾燥物と第2の凍結乾燥物とを組み合わせることをさらに含み、第2の凍結乾燥物は、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの少なくとも1種の純粋培養物由来の細菌を凍結乾燥することにより製造される。
【0057】
ある態様では、複数の細菌分離株を含む医薬組成物が提供され、複数の細菌分離株の第1の細菌分離株の細胞の量は、複数の細菌分離株の第2の細菌分離株の細胞の量より少なくとも1%多く、複数の細菌分離株は、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Subdoligranulum variabile、Eubacterium rectale、Odoribacter splanchnicus、Alistipes shahii、およびAkkermansia muciniphilaからなる群より選択される。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の細菌分離株の細胞の量は、第2の細菌分離株の細胞の量より少なくとも10%多い。いくつかの実施形態では、第1の細菌分離株は、Eubacterium rectaleおよびFaecalibacterium prausnitziiの1種を含む。いくつかの実施形態では、第2の細菌分離株は、Alistipes shahii、およびAkkermansia muciniphilaの1種を含む。いくつかの実施形態では、第1と第2の細菌分離株は、Faecalibacterium prausnitziiを含む。いくつかの実施形態では、第1の細菌分離株は、配列番号7と少なくとも約95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、第2の細菌分離株は、配列番号1と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0059】
ある態様では、複数の細菌分離株を含む医薬組成物が提供され、複数の細菌分離株の第1の細菌分離株の細胞の量は、複数の細菌分離株の第2の細菌分離株の細胞の量より少なくとも1%多く、第1と第2の細菌分離株のそれぞれは、Faecalibacterium prausnitziiを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1の細菌分離株の細胞の量は、第2の細菌分離株の細胞の量より少なくとも10%多い。いくつかの実施形態では、第1の細菌分離株は、配列番号7と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、第2の細菌分離株は、配列番号1と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0061】
ある態様では、細菌分離株を含む医薬組成物が提供され、細菌分離株は、(i)潰瘍性大腸炎(UC)の患者群と比較して健康な対象の群で豊富である菌株、および/または(ii)便細菌叢移植患者群のそれぞれの患者の治療後患者群における1つまたは複数のUC症状の臨床的寛解と相関する菌株、の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含み、菌株の横断結合p値(cross-sectional combined p-value)は、1x10-10未満である。
【0062】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、菌株の16S rRNA配列と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、Odoribacter splanchnicus、Eubacterium rectale、Bacteroides cellulosilyticusおよびAlistipes shahiiの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、菌株の横断結合p値は、1x10-14未満である。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびAlistipes shahiiの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、菌株の横断結合p値は、1x10-20未満である。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、Alistipes shahiiを含む。いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiは、配列番号18と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む。
【0063】
いくつかの態様では、本明細書で記載の医薬組成物をそれを必要としている対象に投与することを含む、炎症性腸疾患を治療する方法が提供される。
【0064】
本明細書で記載のいずれの態様または実施形態も、本明細書で開示のいずれか他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1A】基質緩衝液中で24時間のインキュベーション後に種々の細菌分離株により分泌される酪酸濃度(mM)を測定する短鎖脂肪酸(SCFA)定量化アッセイの結果を示すグラフである。
図1B】は、炭素数に正規化した変換酪酸のパーセンテージを示す。
図2】種々の細菌分離株に対応する菌株の投与量と、対象への株を含む未培養糞便細菌の投与後の株の生着との間の相関を示す。
図3A-E】炎症誘導E.coliで処理したPBMCと共にインキュベートされた場合の、IL-23(3A)、TNFα(図3B)、IL-10(図3C)、IFNγ(図3D)およびIL-12p70(図3E)から生ずる8株細菌混合物の抗炎症効果を示す。
図4A-E】炎症誘導E.coliで処理したPBMCとインキュベートされた場合の、 IL-23(図4A)、TNFα(図4B)、IL-10(図4C)、IFNγ(図4D)およびIL-12p70(図4E)に対する7株細菌混合物の抗炎症効果を示す。
図5】分離株を含む医薬組成物の無菌マウスへの投与後の4種の細菌分離株の生着を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本明細書で記載されるのは、腸内菌共生バランス失調に関連する種々の障害の効果的予防および/または治療のために利用できる細菌分離株および細菌分離株混合物である。
【0067】
本明細書で別段の定義がない限り、用語は、当業者による通常の使用に従って理解されるべきである。
【0068】
本開示および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により別義が明示されない限り、複数形も同様に包含することが意図される。
【0069】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連リスト項目の可能な組み合わせのいずれかおよび全て、ならびに別の方法で解釈される場合(「または」)には組み合わせの欠如を指しかつ包含する。
【0070】
本明細書で使用される場合、「約(about)」および「約(approximately)」は、パーセンテージ、密度、体積などの測定可能な値を指すとき、約20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%あるいはさらに0.1%の指定量の変動を包含することを意味する。
【0071】
本明細書で使用される場合、「実質的に(substantially)」という用語は、性質を修飾するために使用される場合、その性質が失われることなく、ある程度の変動を通常許容する。例えば、特定の態様では、このような変動の程度は、0.1%未満、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、1~2%、2~3%、3~4%、4~5%、または5%超であり得る。
【0072】
本発明で使用する場合、用語「治療すること(treating)」は、(i)疾患、障害、もしくは状態の進行を、例えば、その発達を阻止して、完全にまたは部分的に抑制すること、(ii)疾患、障害、もしくは状態を、例えば、その疾患、障害、もしくは状態の退行を引き起こして、完全にもしくは部分的に緩和すること、または(iii)疾患、障害、および/もしくは状態になりやすいが、未だそれを有すると診断されていない患者において、疾患、障害、もしくは状態が発症することを完全にもしくは部分的に防ぐこと、を指す。同様に、「治療(treatment)」は、治療的処置と予防的または防止的処置の両方を指す。
【0073】
本発明で使用する場合、「治療有効量」、または「薬学的に活性な投与量」は、示された疾患、障害、または状態の治療に効果的である、組成物の量を指す。
【0074】
本発明で使用する場合、「微生物叢」および「細菌叢」は、真核生物、古細菌、細菌、およびウィルス(細菌ウィルス(すなわちファージ)を含む)を含む、持続的におよび一時的に、対象の体内または体上に生存する微生物の集団を指す。非選択の便細菌叢は、選択なしにドナーの糞便試料に由来し、かつこのような糞便試料に見出される微生物の成分および集団構造に実質的に類似している糞便微生物の集団または混合物を指す。
【0075】
本発明で使用する場合、「滅菌糞便濾液」または「非細胞糞便濾液」は、糞便物質の液体成分を指し、この液体成分は、細胞系の生物(例えば、細菌、真菌、またはそれらの胞子)を含まないかまたは実質的に含まないが、バクテリオファージおよび非細胞の生体物質を保持する。いくつかの実施形態では、非細胞または滅菌糞便濾液はまた、真核宿主細胞に対するウィルスも含まない。
【0076】
本発明で使用する場合、「真核生物」は、核および膜結合型オルガネラを含む細胞に属することを指す。
【0077】
本発明で使用する場合、「細菌(bacteria)」、「細菌(bacterium)」、および「古細菌(archaea)」は、膜結合核およびオルガネラを欠く単細胞の原核生物を指す。
【0078】
本発明で使用する場合、「コロニー形成単位」(cfu)は、与えられた試料中の生存可能な微生物細胞の数の推定値を指す。
【0079】
本発明で使用する場合、「生存可能」は、増殖する能力を有することを意味する。一実施形態では、細菌胞子は、生存可能である。別の実施形態では、増殖型細菌細胞は生存可能である。
【0080】
本明細書で使用される場合、「糞便細菌」は、糞便中で見出すことができる細菌を指す。
【0081】
本発明で使用する場合、「分離された(isolated)」または「精製された(purified)」は、(1)最初に産生されるとき(天然もしくは実験的環境において)にそれが結合された少なくともいくつかの構成要素から分離された、および/または(2)ヒトの手によって、産生、調製、精製、および/または製造された、細菌または他の実体または物質を指す。分離または精製された細菌は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%の、またはそれを超える、それらが最初に結合された他の構成要素から分離されてよい。
【0082】
本発明で使用する場合、「細胞傷害性」活性または細菌は、病原性細菌細胞などの細菌細胞を死滅させる能力を含む。「細胞増殖抑制」活性または細菌は、病原性細菌細胞などの細菌細胞の成長、代謝、および/または増殖を、部分的にまたは完全に、抑制する能力を含む。
【0083】
本発明で使用する場合、細菌または任意の他の生物または実体に関する用語「病原体(pathogen)」および「病原性(pathogenic)」は、生物または実体を含む宿主生物の疾患、障害、または状態を引き起こすか、または、それらに影響を及ぼすことのできる、任意の生物または実体を含む。
【0084】
本発明で使用する場合、「胞子」または「胞子」集団は、通常、生存可能であり、熱および殺菌剤などの環境の影響に対してその細菌の栄養型より耐性であり、通常、発芽および増殖できる、細菌(または他の単細胞生物)を含む。「胞子菌」または「胞子形成可能な」細菌は、好適な環境条件下で胞子を産生するための遺伝子および他の必要な能力を含むような細菌である。
【0085】
本発明で使用する場合、2つ以上の細菌の「組み合わせ」は、同じ物質もしくは生成物、または物理的に結合された生成物のいずれかにおける2種の細菌の物理的な共存在、および2種の細菌の一時的共投与または共局在を含む。
【0086】
本明細書で使用される場合、「細菌分離株」は、単一の先祖細菌細胞から二分裂を介して増殖により(例えば、細菌を培養することにより)生成された遺伝的にほぼ同一の細菌細胞の集団を指す。通常、細菌分離株は元々、遺伝的に純粋な細胞または細胞集団として、例えば、固体培地上で、もしくは液体培養での段階希釈を介して、単一コロニーとして分離され、その後、アーカイブに保管されて(例えば、凍結ストックとして)、分離株のための一貫性のある、安定な供給源を提供する。分離されると、いくつかの実施形態では、細菌分離株は、純粋な細胞集団として増殖できる;他の実施形態では、複数の細菌の分離株が同じ容器中で混合培養物として同時に増殖されてよい。用語の「実質的に遺伝的に同一の」は、共通の先祖からのそれらの増殖のために、混入のない混合物中の異なる細胞により共有されるが、比較的希な変異の蓄積が原因で集団内の軽微な遺伝的非類似度のある、極めて高い(>99%)遺伝的同一性を指す。一般に、細菌分離株は、培養細胞集団と同義である。通常、細菌分離株は、非病原細菌から構成される。
【0087】
本明細書で使用される場合、「微生物混合物」という用語は、「複合微生物系」または「合成細菌混合物」または「細菌混合物」と呼ばれることもあり、複数の細菌分離株の所定のコンソーシアムを含む設計された組成物(例えば、医薬組成物)を指す。用語「複数の細菌分離株の所定のコンソーシアム」は、微生物混合物が、2種以上の細菌分離株を含むこと、および混合物中の各細菌分離株の数と同一性が既知であり、それにより混合物は、別々のバッチ全体にわたり安定な特性を有する医薬組成物として一貫して製造できる(例えば、分離菌株を混合することにより)ことを意味する。本明細書では、細菌分離株の「同一性」は、分離株を1種または複数の他の分離株または菌株とは異なるとして、一意的に分離株を特定する分離株の任意の特性を指してよい。識別特性の例は、16S rRNA配列などのDNA配列、1つまたは複数のコーディングまたはノンコーディング領域および全体ゲノム配列、遺伝子発現レベル、生理学的または代謝形質、または染色パターンまたは細胞壁特性などの解剖学的形質を含む。
【0088】
本明細書で記載の微生物混合物またはコンソーシアム(例えば、糞便起源の菌株由来)は、「未培養便細菌叢」を含む組成物(例えば、医薬組成物)と区別でき、それは、培地中で株を培養することなく、便試料から少なくとも部分的に抽出または精製された複数の菌株の混合物を指す。便試料から微生物叢または糞便細菌の集団を抽出するために取るべきステップは、例えば、糞便細菌株を繊維および粗い粒子状物質、ならびに、例えば、真核生物の宿主細胞およびウィルスから糞便細菌株を分別するための、便試料のホモジナイゼーションおよび濾過を含み得る。未培養便細菌叢を含む医薬組成物の調製は、いくつかの実施形態では、微生物叢からの特定のタイプ(例えば、種)の細菌の除去、および/または1つまたは複数の菌株の微生物叢への添加を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、未培養便細菌叢と組み合わせた1つまたは複数の培養菌株(例えば、細菌分離株)を含み得る。
【0089】
本明細書では、「未培養糞便細菌」または「未培養糞便細菌の調製」は、株を培養することなく(例えば、培養培地中で)、1種または複数の便試料から回収され、抽出または精製された、複数の非病原性生存可能菌株を含む調製物を指す。このような未培養糞便細菌の調製物はまた、未培養糞便細菌の一群または未培養糞便細菌の集団とも呼ばれ得る。 特定の実施形態では、未培養便細菌叢は、未培養糞便細菌の調製物を含む。
【0090】
本開示は、細菌分離株(例えば、単一微生物分離株または微生物混合物)および未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の両方を含む組成物(例えば、医薬組成物)を意図する。例えば、特定の実施形態では、組成物は、実質的に完全な便細菌叢または1種または複数の細菌分離株を補充したまたはそれを「添加した」健康な個体の便試料から抽出または生成された未培養糞便細菌の調製物を含み得る。
【0091】
本明細書では、用語「微生物混合物」および「微生物治療薬」は、細菌分離株、微生物混合物、未培養糞便細菌の調製物および/または未培養便細菌叢を組み込んだ任意の組成物または治療薬を広範に包含すると意図される。
【0092】
本明細書では、16S rRNA配列に関連して使われる場合、「少なくとも95%」は、参照DNA配列に対し、少なくとも95%、少なくとも95.5%、少なくとも96%、少なくとも96.5%、少なくとも97%、少なくとも97.5%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、少なくとも99.5%または100%の同一性を共有する対象DNA配列を指す。
【0093】
本発明で使用する場合、「対象」は、ヒト、実験室動物(例えば、霊長類、ラット、マウス)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シチメンチョウ、ニワトリ)、およびペット(例えば、イヌ、ネコ、げっ歯類、など)を含む任意の動物対象を指す。いくつかの実施形態では、対象および/または動物は、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジ、または非ヒト霊長類、例えば、サル、チンパンジー、もしくはヒヒである。他の実施形態では、対象および/または動物は、非哺乳動物、例えば、ゼブラフィッシュなどである。好ましい対象は、ヒト対象である。ヒト対象は、小児、成人または老人の対象であり得る。いくつかの実施形態では、用語の「患者」および「対象」は、同義に使用される。
【0094】
本発明で使用する場合、「シャノンの多様度指数」は、与えられた集団に存在する種の豊富さおよび均等度を説明する多様度指数を意味し、これは、式
【数1】
を用いて、与えられた集団に存在する種の豊富さおよび均等度を指し、式中、Hは、シャノンの多様度指数であり、Rは、集団における種の全数であり、pは、i番目の種で構成されるRの割合である。より高い値は、多様でかつ均等に分布された共同体を示し、0の値は、1つの種のみが与えられた共同体内に存在することを示す。さらなる参考文献としては、Shannon and Weaver,(1949)The mathematical theory of communication.The University of Illinois Press,Urbana.117ppを参照のこと。
【0095】
本発明で使用する場合、「抗生物質」は、細菌を死滅させる、細菌の増殖を阻害する、または細菌の生存率を低減することにより細菌の感染を治療および/または防ぐために使用される物質を指す。
【0096】
本発明で使用する場合、「間欠投与スケジュール」は、治療用組成物が一定期間投与され(初期治療期間)、その後、このような治療的組成物による治療が差し控えられる第2の期間(休止期間)が続く、投与スケジュールを指す。休止期間に任意選択で、再度投与される(初期治療期間と同じまたは異なる投与量で)第3の期間が続き、これに、必要に応じて、さらなる休止および治療期間が続き得る。間欠投与レジメンは、日または週での治療期間/日または週での休止期間として表され得る。例えば、4/1の間欠投与スケジュールは、場合に応じて、治療期間が4週間/日であり、休止期間が1週間/日である間欠投与スケジュールを指す。
【0097】
本発明で使用する場合、「連続投与スケジュール」は、医薬組成物が休止期間なしで治療期間の間投与される、投与スケジュールを指す。連続投与スケジュールの治療期間全体にわたって、医薬組成物は、例えば、毎日、1日おき、または3日おきに投与され得る。医薬組成物が投与される日に、それは、その日全体にわたって、単回用量、または複数用量で投与され得る。
【0098】
本発明で使用する場合、「投与頻度」は、与えられた時間における医薬組成物の用量を投与する頻度を指す。投与頻度は、例えば、1日に1回、週に1回、または2週間に1回のように、与えられた時間当たりの投与回数として示され得る。
【0099】
本発明で使用する場合、「投与間隔」は、対象に投与される医薬組成物の連続投与量間に経過する時間の量を指す。
【0100】
本明細書で使用される場合、「腸内菌共生バランス失調に関連する障害」または「GIディスバイオシスに関連する障害」または「ディスバイオシス」は、例えば、特定の望ましくない菌株を含むおよび/または特定の望ましい菌株を欠く、非定型のまたは不健康なマイクロバイオームにより引き起こされる障害または疾患を指す。例としては、限定されないが、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、C.difficile感染症(CDI)、C.difficile関連疾患(CDAD)、抗生物質誘発性有害作用が挙げられる。IBDの例としては、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)、および回腸嚢炎が挙げられる。
【0101】
一態様では、対象は、腸内菌共生バランス失調に関連する障害と診断されている。別の態様では、治療される対象は、腸内菌共生バランス失調に関連する障害のリスクがある、またはその障害に罹りやすい。いくつかの態様では、治療される対象は、腸内菌共生バランス失調に関連する障害が予防されるべき対象である。
【0102】
細菌分離株および微生物混合物
本明細書で記載されるのは、腸内菌共生バランス失調、例えば、胃腸障害に関連する種々の障害の治療における細菌分離株および細菌分離株の混合物の医薬組成物、製剤、製造の方法、および使用である。
【0103】
いくつかの態様では、医薬組成物は、表1で与えられる細菌分離株の1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一(例えば、少なくとも95%同一、少なくとも95.5%同一、少なくとも96%同一、少なくとも96.5%同一、少なくとも97%同一、少なくとも97.5%同一、少なくとも98%同一、少なくとも98.5%同一、少なくとも99%同一、少なくとも99.5%同一、または100%同一)である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、単一細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2種の細菌分離株、少なくとも3種の細菌分離株、少なくとも4種の細菌分離株、少なくとも5種の細菌分離株、少なくとも6種の細菌分離株、少なくとも7種の細菌分離株、少なくとも8種の細菌分離株、少なくとも9種の細菌分離株、少なくとも10種の細菌分離株、またはより大きな数の細菌分離株、例えば、15、20、25、30種、またはそれを超える数の細菌分離株を含む微生物混合物である。いくつかの実施形態では、例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10種の細菌分離株のそれぞれは、表1で与えられる細菌分離株の1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0104】
一態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、糞便細菌を含む。一態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、健康なヒトドナーの便試料のから抽出、分離および/または培養された1種または複数の細菌分離株を含む。一態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、Akkermansia、Alistipes、Anaerostipes、Bacillus、Bacteroides、Blautia、Clostridium、Collinsella、Coprococcus、Dorea、Eubacterium、Faecalibacterium、Fusobacterium、Odoribacter、Parabacteroides、Phascolarctobacterium、Propionibacterium、Roseburia、Subdoligranulum、Lactobacillus、Ruminococcus、Escherichia、Gemmiger、Desulfomonas、Peptostreptococcus、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上の、分離、精製、または培養された微生物を含む。
【0105】
一態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Alistipes onderdonkii、Alistipes putredinis、Parabacteroides merdae、Dorea longicatena、Eubacterium rectale、Blautia obeum、Blautia sp.、Bacteroides uniformis、Bacteroides vulgatus、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes finegoldii、Coprococcus comes、Alistipes shahii、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Phascolarctobacterium faecium、Subdoligranulum variabile、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種の糞便微生物(例えば、細菌分離株)を含む。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusを含む。いくつかの実施形態では、Odoribacter sp.を含む細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusを含む。いくつかの実施形態では、Odoribacter sp.を含む細菌分離株は、Odoribacter Laneusを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia obeumを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia massiliensisを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia coccoidesを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia productaを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia schinkiiを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia hydrogenotrophicaを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia lutiを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia hanseniiを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia faecisを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia stercorisを含む。いくつかの実施形態では、Blautia sp.を含む細菌分離株は、Blautia wexleraeを含む。
【0106】
一態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、生存可能なBacteroides、Fusobacterium、Propionibacterium、Lactobacillus、Ruminococcus、Escherichia coli、Gemmiger、Desulfomonas、Peptostreptococcus、Bifidobacterium、Monilia、またはこれらの任意の組み合わせを含まない。別の態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、生存可能なBacteroides fragilis sp.vulgatus、Collinsella aerofaciens、Bacteroides fragilis sp.thetaiotaomicron、Peptostreptococcus productus II、Parabacteroides distasonis、Fusobacterium prausnitzii、Coprococcus eutactus、Collinsella aerofaciens III、Peptostreptococcus productus I、Ruminococcus bromii、Bifidobacterium adolescentis、Gemmiger formicilis、Bifidobacterium longum、Eubacterium siraeum、Ruminococcus torques、Eubacterium rectale、Eubacterium eligens、Bacteroides eggerthii、Clostridium leptum、Bacteroides fragilis sp.A、Eubacterium biforme、Bifidobacterium infantis、Eubacterium rectale III-F、Coprococcus comes、Pseudoflavonifractor capillosus、Ruminococcus albus、Dorea formicigenerans、Eubacterium hallii、Eubacterium ventriosum I、Fusobacterium russi、Ruminococcus obeum、Eubacterium rectale、Clostridium ramosum、Lactobacillus leichmannii、Ruminococcus callidus、Butyrivibrio crossotus、Acidaminococcus fermentans、Eubacterium ventriosum、Bacteroides fragilis sp.fragilis、Bacteroides AR、Coprococcus catus、Aerostipes hadrus、Eubacterium cylindroides、Eubacterium ruminantium、Eubacterium CH-1、Staphylococcus epidermidis、Peptostreptococcus BL、Eubacterium limosum、Tissirella praeacuta、Bacteroides L、Fusobacterium mortiferum I、Fusobacterium naviforme、Clostridium innocuum、Clostridium ramosum、Propionibacterium acnes、Ruminococcus flavefaciens、Ruminococcus AT、Peptococcus AU-1、Bacteroides fragilis sp.ovatus、-sp.d、-sp.f;Bacteroides L-1、L-5;Fusobacterium nucleatum、Fusobacterium mortiferum、Escherichia coli、Gemella morbillorum、Finegoldia magnus、Peptococcus G、-AU-2;Streptococcus intermedius、Ruminococcus lactaris、Ruminococcus CO Gemmiger X、Coprococcus BH、-CC;Eubacterium tenue、Eubacterium ramulus、Bacteroides clostridiiformis sp.clostridliformis、Bacteroides coagulans、Prevotella oralis、Prevotella ruminicola、Odoribacter sp.(e.g.Odoribacter splanchnicus and/or Odoriacter laneus)、Desuifomonas pigra、Lactobacillus G、Succinivibrio A、またはこれらの組み合わせを含まない。
【0107】
種々の実施形態では、本明細書で記載の細菌分離株は、ヒトから分離または精製された細菌分離株を含む。種々の実施形態では、本明細書で記載の微生物混合物中に組み込まれる細菌分離株の全てまたはサブセットは、ヒトから分離または精製される。例えば、1種または複数の細菌分離株は、感染病原体に関し事前にスクリーニングされた1人または複数の健康なヒトドナーの便試料から精製または分離できる。他の例では、細菌分離株はGI管中の流体の吸引物、またはGI管中の部位からの粘膜の生検材料から分離または精製できる。
【0108】
いくつかの実施形態では、医薬組成物または微生物混合物は、複数のヒトドナーの便試料から分離または精製された複数の細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物または微生物混合物は、単一のヒトドナーのみの便試料から分離または精製された複数の細菌分離株を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の医薬組成物に組み込まれる細菌分離株は、生存増殖型細胞を含む。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、胞子を形成できる細菌を含む。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、胞子、例えば、生存可能胞子の形態の細菌を含む。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、生存増殖型細胞および胞子の形態の細菌を含む。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、生存増殖型細胞を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、全微生物混合物は、生存増殖型細胞を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、胞子を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、全微生物混合物は、胞子を実質的に含まない。
【0110】
いくつかの態様では、医薬組成物は、表1で与えられる細菌分離株、または表1で与えられる細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株の少なくとも1種を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、表1で与えられる細菌分離株の少なくとも2種、または表1で与えられる細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株の少なくとも2種を含む微生物混合物を含む。表1のそれぞれの細菌分離株は、ラテン名、識別番号(ID番号)、およびその16S rRNA配列に対する配列識別子(配列番号)により識別される。
【表1】
【0111】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2~約50種の細菌分離株、約3~約50種の細菌分離株、約3~約45種の細菌分離株、約3~約40種の細菌分離株、約3~約35種の細菌分離株、約3~約30種の細菌分離株、約3~約20種の細菌分離株、約3~約15種の細菌分離株、約3~約10種の細菌分離株、および約3~約9種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約30種の細菌分離株、または約29種の細菌分離株、または約28種の細菌分離株、または約27種の細菌分離株、または約26種の細菌分離株、または約25種の細菌分離株、または約24種の細菌分離株、または約23種の細菌分離株、または約22種の細菌分離株、または約21種の細菌分離株、または約19種の細菌分離株、または約18種の細菌分離株、または約17種の細菌分離株、または約16種の細菌分離株、または約15種の細菌分離株、または約14種の細菌分離株、または約13種の細菌分離株、または約12種の細菌分離株、または約11種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は10種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は9種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は8種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は7種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は6種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は5種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は4種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は3種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は2種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、微生物混合物は、少なくとも2種の細菌分離株、少なくとも3種の細菌分離株、少なくとも4種の細菌分離株、少なくとも5種の細菌分離株、少なくとも6種の細菌分離株、少なくとも7種の細菌分離株、少なくとも8種の細菌分離株、少なくとも9種の細菌分離株、少なくとも10種の細菌分離株、またはより大きな数の細菌分離株、例えば、15、20、25、30種、またはそれを超える数の細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、3、4、5、6、7、8、9、または10種の細菌分離株のそれぞれは、表1で与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表1で与えられる、または表1で与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を有する、約6~約20種の細菌分離株、または例えば、約6~約15種の細菌分離株、約6~約10種の細菌分離株、約6~約9種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表1で与えられる、または表1で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を有する、30種の細菌分離株、または29種の細菌分離株、または28種の細菌分離株、または27種の細菌分離株、または26種の細菌分離株、または25種の細菌分離株、または24種の細菌分離株、または23種の細菌分離株、または22種の細菌分離株、または21種の細菌分離株、または20種の細菌分離株、または19種の細菌分離株、または18種の細菌分離株、または17種の細菌分離株、または16種の細菌分離株、または15種の細菌分離株、または14種の細菌分離株、または13種の細菌分離株、または12種の細菌分離株、または11種の細菌分離株、または10種の細菌分離株、または9種の細菌分離株、または8種の細菌分離株、または7種の細菌分離株、または6種の細菌分離株、または5種の細菌分離株、または4種の細菌分離株、または3種の細菌分離株、または2種の細菌分離株、または1種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表1で与えられる、または表1で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を有する、8種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表1で与えられる、または表1で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を有する、7種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表1で与えられる、または表1で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を有する、6種の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表1で与えられる、または表1で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を有する、1種の細菌分離株を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の医薬組成物に組み込まれた細菌分離株は、組成物を投与された対象の健康を改善できる。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、対象中で機能する1つまたは複数の生物学的機序を誘導するまたはそれに影響を与えることにより対象の健康に強い影響を及ぼす。代表的機序は、対象の腸中の細菌分離株によるSCFAの産生、または細菌分離株によるサイトカイン産生および/または対象の細胞(例えば、腸内細胞)による放出の調節を含む。別の例では、細菌分離株は、腸内菌共生バランス失調の患者に比べて、健康なヒト対象の腸または便細菌叢中でより豊富である、または腸内菌共生バランス失調の患者に比べて、腸内菌共生バランス失調からの寛解期にあるヒト対象中でより豊富である。健康な対象の腸中の細菌分離株の高められた存在量は、それにより細菌分離株がその効果をもたらす正確な作用機序が理解されなくても(すなわち、細菌分離株は、対象の健康に対し、特定の機序に依存しない効果を有する)、対象の健康に対する細菌分離株の良い影響の兆候であり得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1種または複数の菌株により、1種または複数のSCFAを産生する、またはSCFA産生を高める能力を有する1種または複数の細菌分離株を含む。本明細書で使用される場合、「SCFA」は、1~6個の炭素原子の脂肪族尾部を有する脂肪酸を指す。SCFAは、例えば、炭水化物、タンパク質、ペプチドおよび糖タンパク質前駆物質の発酵中などの細菌代謝中に細菌により産生され得る。代表的SCFAとしては、限定されないが、酢酸、酪酸、カプロン酸、ギ酸、ヘプタン酸、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソ吉草酸、プロピオン酸、吉草酸が挙げられる。理論に束縛されることを意図するものではないが、SCFAは、結腸粘膜の健全性維持に重要な役割を果たすと考えられており、腸SCFA産生細菌の存在は、UCなどの特定の腸ディスバイオシスの持続的臨床的寛解に関連する。従って、いくつかの実施形態では、本明細書で記載の医薬組成物に組み込まれた細菌分離株は、1種または複数のSCFAを産生できる。例えば、細菌分離株は、組成物(例えば、微生物混合物を含む)が対象(例えば、UCの対象)へ投与された後、対象の腸中で1種または複数のSCFAを産生できる。別の例では、細菌分離株は、細菌によりSCFA産生を検出および/または測定できるインビトロアッセイで、1種または複数のSCFAを産生できる。
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の細菌分離株は、酢酸、酪酸、カプロン酸、ギ酸、ヘプタン酸、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソ吉草酸、プロピオン酸、吉草酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるSCFAを産生する。
【0117】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、24時間にわたり少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも15mM、少なくとも20mM、少なくとも25mM、少なくとも30mM、少なくとも35mM、少なくとも40mM、少なくとも45mM少なくとも50mM、少なくとも60mM、少なくとも70mM、少なくとも80mM、少なくとも90mM、少なくとも100mM、少なくとも110mM、少なくとも120mM、少なくとも130mM、少なくとも140mM、少なくとも150mMの濃度、または150mMより高い濃度でSCFA(例えば、酪酸)を産生する1種または複数の細菌分離株を含む。ある実施形態では、SCFAは、機能アッセイ(すなわち、エクスビボで実施され、細菌分離株、微生物混合物、未培養糞便細菌の調製物、または未培養便細菌叢により産生されるSCFAの濃度または量を一定期間中(例えば、24時間)に測定するように設計された、アッセイ)で測定される。例えば、機能アッセイは、1種または複数の細菌分離株を基質とインキュベートすること(例えば、24時間);および基質の代謝後に1種または複数の細菌分離株により産生されたSCFA(例えば、酪酸)のレベルを測定すること、を含み得る。いくつかの実施形態では、基質は、オリゴ糖(例えば、フラクトオリゴ糖(FOS)またはキシロオリゴ糖(XOS))、サンファイバー/部分水解グアーガム)PHGG)、または大麦麦芽の少なくとも1種を含み得る。
【0118】
ある実施形態では、SCFAは、本明細書で記載の組成物を投与された対象の腸中で産生される。
【0119】
ある実施形態では、医薬組成物は、Odoribacter splanchnicusを含み、Odoribacter splanchnicusは、24時間の期間にわたり、少なくとも20mM、少なくとも21mM、少なくとも22mM、少なくとも23mM、少なくとも24mM、少なくとも25mM、少なくとも26mM、少なくとも27mM、少なくとも28mM、少なくとも29mM、少なくとも30mM、少なくとも31mM、少なくとも32mM、少なくとも33mM、少なくとも34mM、少なくとも35mM、少なくとも36mM、少なくとも37mM、少なくとも38mM、少なくとも39mM、少なくとも40mM、少なくとも41mM、少なくとも42mM、少なくとも43mM、少なくとも44mM、少なくとも45mM、少なくとも46mM、少なくとも47mM、少なくとも48mM、少なくとも49mM、少なくとも50mMの濃度で、または50mMより高い濃度でSCFA(例えば、酪酸)を産生する。ある実施形態では、Odoribacter splanchnicusは、配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0120】
ある実施形態では、医薬組成物は、Roseburia sp.(例えば、Roseburia faecis)を含み、Roseburia sp.は、24時間の期間にわたり、少なくとも20mM、少なくとも21mM、少なくとも22mM、少なくとも23mM、少なくとも24mM、少なくとも25mM、少なくとも26mM、少なくとも27mM、少なくとも28mM、少なくとも29mM、少なくとも30mM、少なくとも31mM、少なくとも32mM、少なくとも33mM、少なくとも34mM、少なくとも35mM、少なくとも36mM、少なくとも37mM、少なくとも38mM、少なくとも39mM、少なくとも40mM、少なくとも41mM、少なくとも42mM、少なくとも43mM、少なくとも44mM、少なくとも45mM、少なくとも46mM、少なくとも47mM、少なくとも48mM、少なくとも49mM、少なくとも50mMの濃度で、または50mMより高い濃度でSCFA(例えば、酪酸)を産生する。ある実施形態では、Roseburia sp.は、配列番号19と少なくとも95%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0121】
ある実施形態では、医薬組成物は、Eubacteria sp.(例えば、Eubacteria rectale)を含み、Eubacteria sp.は、24時間の期間にわたり、少なくとも20mM、少なくとも21mM、少なくとも22mM、少なくとも23mM、少なくとも24mM、少なくとも25mM、少なくとも26mM、少なくとも27mM、少なくとも28mM、少なくとも29mM、少なくとも30mM、少なくとも31mM、少なくとも32mM、少なくとも33mM、少なくとも34mM、少なくとも35mM、少なくとも36mM、少なくとも37mM、少なくとも38mM、少なくとも39mM、少なくとも40mM、少なくとも41mM、少なくとも42mM、少なくとも43mM、少なくとも44mM、少なくとも45mM、少なくとも46mM、少なくとも47mM、少なくとも48mM、少なくとも49mM、少なくとも50mMの濃度で、または50mMより高い濃度でSCFA(例えば、酪酸)を産生する。ある実施形態では、Eubacteria sp.は、配列番号8と少なくとも95%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0122】
ある実施形態では、医薬組成物は、Coprococcus sp.(例えば、Coprococcus comes)を含み、Coprococcus sp.は、24時間の期間にわたり、少なくとも20mM、少なくとも21mM、少なくとも22mM、少なくとも23mM、少なくとも24mM、少なくとも25mM、少なくとも26mM、少なくとも27mM、少なくとも28mM、少なくとも29mM、少なくとも30mM、少なくとも31mM、少なくとも32mM、少なくとも33mM、少なくとも34mM、少なくとも35mM、少なくとも36mM、少なくとも37mM、少なくとも38mM、少なくとも39mM、少なくとも40mM、少なくとも41mM、少なくとも42mM、少なくとも43mM、少なくとも44mM、少なくとも45mM、少なくとも46mM、少なくとも47mM、少なくとも48mM、少なくとも49mM、少なくとも50mMの濃度で、または50mMより高い濃度でSCFA(例えば、酪酸)を産生する。ある実施形態では、Coprococcus sp.は、配列番号17と少なくとも95%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0123】
ある実施形態では、医薬組成物は、Odoribacter splanchnicus、Roseburia sp.(例えば、Roseburia faecis)、Eubacteria sp.(例えば、Eubacteria rectale)、またはCoprococcus sp.(Coprococcus comes)を含む2種以上の細菌分離株を含む微生物混合物を含み、微生物混合物は、24時間の期間にわたり、少なくとも20mM、少なくとも21mM、少なくとも22mM、少なくとも23mM、少なくとも24mM、少なくとも25mM、少なくとも26mM、少なくとも27mM、少なくとも28mM、少なくとも29mM、少なくとも30mM、少なくとも31mM、少なくとも32mM、少なくとも33mM、少なくとも34mM、少なくとも35mM、少なくとも36mM、少なくとも37mM、少なくとも38mM、少なくとも39mM、少なくとも40mM、少なくとも41mM、少なくとも42mM、少なくとも43mM、少なくとも44mM、少なくとも45mM、少なくとも46mM、少なくとも47mM、少なくとも48mM、少なくとも49mM、少なくとも50mM、少なくとも60mM、少なくとも65mM、少なくとも70mM、少なくとも75mM、少なくとも80mM、少なくとも85mM、少なくとも90mM、少なくとも95mM、少なくとも100mM、少なくとも105mM、少なくとも110mM、少なくとも115mM、少なくとも120mM、少なくとも125mM、少なくとも130mM、少なくとも135mM、少なくとも140mM、少なくとも145mM、少なくとも150mMの濃度で、または150mMより高い濃度でSCFA(例えば、酪酸)を産生する。ある実施形態では、Odoribacter splanchnicusは、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。ある実施形態では、Roseburia sp.は、配列番号19と少なくとも95%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。ある実施形態では、Eubacteria sp.は、配列番号8と少なくとも95%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。ある実施形態では、Coprococcus sp.は、配列番号17と少なくとも95%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0124】
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書で記載の組成物中で投与された1種または複数の細菌分離株は、健康な個体のものより低いSCFA産生レベルを示した、機能性を欠く微生物群(例えば、IBD患者の微生物群)を以前に有する対象での健康な個体のものと同等のSCFAのレベルを産生できる。
【0125】
特定の実施形態では、本明細書で記載の細菌分離株は、細菌分離株と菌株が共通の微生物叢中に一緒に存在する場合に、1種または複数のSCFAを産生するように1種または複数の菌株を誘導できる。例えば、細菌分離株は、本明細書で記載の組成物中で対象への投与時に、対象の腸微生物叢に内在性の(すなわち、微生物混合物の投与の前に対象の腸中に存在する)1種または複数の菌株を誘導して1種または複数のSCFAを産生できる。別の例では、本明細書で記載の組成物中で対象に投与される細菌分離株は、対象に投与される第2の細菌分離株(同じまたは異なる組成物中の)を誘導して1種または複数のSCFAを産生できる。理論に束縛されることを意図するものではないが、第2の細菌分離株によるSCFA産生の誘導は、例えば、SCFAを生成するために第2の細菌分離株により利用され得る1種または複数の化合物の第1の細菌分離株による産生および放出(例えば、分泌による)を含み得る。一例では、SCFAを生成するために第2の菌株により使用される第1の細菌分離株により産生および放出される化合物は、コハク酸、乳酸または乳酸誘導体である。一実施形態では、第1の細菌分離株により産生される化合物(例えば、乳酸または乳酸誘導体)への曝露に応答して第2の細菌分離株により産生されるSCFAは、酪酸である。乳酸誘導体の非限定的例としては、イソステアロイル乳酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、乳酸アルミニウム、乳酸アンモニウム、乳酸カリウム、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、ステアロイル乳酸ナトリウム、ラクチド、乳酸ブチル、およびおよび乳酸エチルが挙げられる。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の医薬組成物中に含まれる乳酸産生細菌分離株(すなわち、第1の細菌分離株)は、Bifidobacterium属に属する。例えば、乳酸産生細菌分離株は、Bifidobacterium longumまたはBifidobacterium adolescentisに属し得る。いくつかの実施形態では、第2の細菌分離株(例えば、本明細書で記載の微生物混合物中または別の組成物中の第1の細菌分離株と共に含まれる)は、1種または複数のSCFAを生成するために、Bifidobacteriumにより産生された乳酸を使用できる。特定の例では、第2の細菌分離株は、表2で与えられる細菌分離株の1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、医薬組成物中に組み込まれた細菌分離株は、1種または複数のSCFAを生成するために、混合物の投与後に腸微生物叢により産生される乳酸を用いることができる。特定の例では、細菌分離株は、表2で与えられる細菌分離株の1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、対象への第1と第2の細菌分離株の投与時に(例えば、微生物混合物の形態で、または別の組成物中で)、第1の細菌分離株は、乳酸を産生および分泌し、第2の細菌分離株は乳酸を利用して1種または複数のSCFA(例えば、酪酸)を生成する。従って、対象に投与される複数の細菌分離株は、対象の腸内で相乗的に相互作用して、対象の腸内菌共生バランス失調(例えば、IBDまたは潰瘍性大腸炎)に対する治療効果(例えば、1種または複数のSCFAの生成)をもたらす。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の1種または複数の細菌分離株は、対象に投与されると、細菌分離株により使用されて1種または複数のSCFAを産生する化合物を産生および放出する1種または複数の菌株を含む、プロバイオティクスと共に投与できる。例えば、プロバイオティクスは、属Bifidobacterium(例えば、Bifidobacterium adolescentisまたはBifidobacterium longum)に属する1種または複数の菌株を含み得る。いくつかの実施形態では、プロバイオティクスは、細菌分離株と同時に、細菌分離株の投与の前に、または細菌分離株の投与の後で、対象に投与できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、プロバイオティクスおよび細菌分離株を含む。他の実施形態では、プロバイオティクスおよび細菌分離株は、別個の組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、細菌分離株の微生物混合物を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の1種または複数の細菌分離株は、細菌分離株により利用(例えば、代謝)されると、対象中で治療効果(例えば、SCFAの産生)を促進する栄養素を提供するプレバイオティクス(例えば、乳酸および/または高繊維を含む)と一緒に投与できる。いくつかの実施形態では、プレバイオティクスは、細菌分離株と同時に、細菌分離株の投与の前に、または細菌分離株の投与の後で、対象に投与できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、プレバイオティクスおよび細菌分離株を含む。他の実施形態では、プレバイオティクスおよび細菌分離株は、別個の組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、細菌分離株の微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、プレバイオティクスは、アミノ酸、乳酸、硝酸アンモニウム、アミロース、大麦マルチ、ビオチン、カーボネート、セルロース、キチン、コリン、フラクトオリゴ糖FOS)、フルクトース、ガラクトオリゴ糖(GOS)、グルコース、グリセロール、ヘテロ多糖、ヒスチジン、単一多糖類、ヒドロキシアパタイト、イヌリン、イソマルツロース、ラクトース、ラクツロース、マルトデキストリン、マルトース、マンノオリゴ糖、窒素、オリゴデキストロース、オリゴフルクトース、オリゴフルクトース強化イヌリン、オリゴ糖、ペクチン、リン酸塩、リン、ポリデキストロース、ポリオール、水酸化カリウム、カリウム、硝酸ナトリウム、デンプン、スクロース、硫黄、サンファイバー、タガトース、チアミン、トランスガラクトオリゴ糖、トレハロース、ビタミン、水溶性炭水化物、キシロオリゴ糖(XOS)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0131】
いくつかの実施形態では、1種または複数のSCFAを産生する能力を有する細菌分離株(例えば、表2に列挙した細菌分離株)は、実際に1種または複数のSCFAを産生することが実証された(例えば、実験室アッセイにより)細菌分離株を指す。クロマトグラフィー(例えば、液体またはガス)および/または質量分析を含む、任意の方法が、菌株により産生されたSCFAを検出するのに使用できる。他の実施形態では、1種または複数のSCFAを産生する能力を有する細菌分離株は、酪酸を産生すると予測される細菌分離株を指す。細菌分離株がSCFAを産生できるという予測は、例えば、分離株の分類(例えば、属および/または種)および/またはSCFA産生を媒介すると知られる細菌分離株の遺伝子またはポリペプチドの配列に基づいてよい。例えば、酪酸産生を媒介することが既知の遺伝子の例は、酪酸キナーゼである。ある実施形態では、細菌分離株は、細菌分離株のゲノム中の酪酸キナーゼ遺伝子の特定に基づいて酪酸を産生すると予測される。ある実施形態では、酪酸キナーゼ遺伝子は、タンパク質に翻訳されると、機能的な(すなわち、酵素的に活性な)酪酸キナーゼ酵素を生成すると予測される。
【0132】
SCFAを産生する能力を有する細菌分離株の例は、表2で与えられる。それぞれの細菌分離株は、ラテン名、識別番号(ID番号)、およびその16S rRNA配列に対する配列識別子(配列番号)により識別される。いくつかの態様では、医薬組成物(例えば、微生物混合物)は、表2で与えられる細菌分離株の少なくとも1種、または表2で与えられる細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株の少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表2で与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列をそれぞれ含む、少なくとも2種の細菌分離株、少なくとも3種の細菌分離株、少なくとも4種の細菌分離株、少なくとも5種の細菌分離株、少なくとも6種の細菌分離株、少なくとも7種の細菌分離株、少なくとも8種の細菌分離株、少なくとも9種の細菌分離株を含む。
【表2】
【0133】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、真核細胞によるサイトカイン(例えば、IL-10、GM-CSF、IFNγ、TNFα、IL-23、およびIL-12)の産生を調節する能力を有する1種または複数の細菌分離株を含む。本明細書では、「真核細胞」は、本明細書で記載の組成物を投与される対象の身体内に「インサイツ」配置される細胞(例えば、腸細胞)、ならびに生物の外側で、例えば、培地中で、「エクスビボ」増殖したまたは増殖している細胞の両方を指す。
【0134】
一例では、本明細書で記載の医薬組成物中の1種または複数の細菌分離株は、対象に投与されると、対象の細胞(本明細書においては、「宿主細胞」と呼ぶ)中のサイトカインの産生を調節できる。いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株は、対象の宿主細胞からのサイトカインの産生および/または分泌を調節し、サイトカインは、対象の組織(例えば、腸組織)に対し抗炎症作用を及ぼす傾向がある。組成物に入れて投与された細菌分離株存在に応答して宿主細胞で産生および/または分泌され得るこのような抗炎症性サイトカインの例としては、IL-10、IL-13、IL-4、IL-5、TGFβ、およびこれらの組み合わせが挙げられる。他の実施形態では、本明細書で記載の組成物中で投与された1種または複数の細菌分離株は、対象の宿主細胞からのサイトカインの産生および/または分泌を抑制し、サイトカインは、対象の組織(例えば、腸組織)に対し炎症促進性作用を及ぼす傾向がある。このような炎症促進性サイトカインの例としては、IFNγ、IL-12p70、IL-1(例えば、IL-1α、IL-1β)、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IL-18、IL-23、MCP1、MIP1α、MIP1β、TNFα、TNFγ、およびこれらの組み合わせが挙げられる。宿主細胞が抗炎症性サイトカイン抗炎症性サイトカインの産生または分泌するように誘導できるおよび/または炎症促進性サイトカインの宿主細胞による産生および/または分泌を抑制できる1種または複数の細菌分離株を含有する組成物を提供することにより、本明細書で記載の組成物(例えば、微生物混合物)は、対象の腸内菌共生バランス失調、例えば、炎症性腸疾患、に関連する炎症を治療、軽減、抑制および/または防止できる。本明細書では、宿主細胞によるサイトカイン産生および/または分泌を調節できる細菌分離株は、「免疫調節性」細菌分離株と呼ばれる。
【0135】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、医薬組成物を投与された対象の細胞からのサイトカインの産生および/または放出を直接的におよび/または間接的に調節できる。一実施形態では、免疫調節性細菌分離株は、例えば、細菌分離株により分泌されるまたは細菌分離株の表面上に提示される微生物関連分子パターン(MAMPS)を介して対象の宿主細胞に直接的に作用できる。このようなMAMPSは、特定の細菌種に対する宿主免疫応答において主要な役割を果たす。MAMPSは、細菌と接触しているほとんどの宿主細胞型上に発現されるパターン認識受容体(PRR)により検知される。本明細書で記載の細菌分離株のMAMPSの例としては、非メチル化2′-デオキシリボ(シチジン-リン酸-グアニン)(CpG)ジヌクレオチド、細菌性ペプチドグリカン(peptidoglycan)、細菌性リポ多糖類(LPS、共受容体MD-2、CD14、およびLPBと相互作用し、TLR-4に対する高親和性結合、およびこれに続けて、宿主細胞活性化を推進する)、細菌性リポタンパク質(LP)、リポテイコ酸、フラゲリン、膜小胞、およびエキソポリサッカライドが挙げられる。MAMPSとの相互作用を介してサイトカイン産生の調節を媒介できる腸中の宿主細胞および常在性腸免疫細胞により発現されるPRRの例としては、トール様受容体(TLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化領域(Nod)、NOD様受容体およびC型レクチンが挙げられる。腸細胞PRRと微生物リガンドとの相互作用は、免疫寛容および腸の健康の維持に必要とされる自然免疫系および適応免疫系に関連するシグナル伝達経路を作動させる。
【0136】
別の実施形態では、免疫調節性細菌分離株は、例えば、サイトカインを発現するように細胞を誘導することにより、例えば、対象の宿主細胞の活性を調節する代謝物を分泌することにより医薬組成物を投与された対象の細胞(例えば、免疫細胞)に直接に作用できる。
【0137】
サイトカインの産生および/または放出が本明細書で記載の細菌分離株により調節され得る宿主細胞の例としては、腸細胞、上皮細胞、腸粘膜細胞、腸上皮細胞、腸粘膜固有層細胞、内皮細胞、線維芽細胞、間質細胞、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、マスト細胞、および末梢血単核球(PBMC)が挙げられる。
【0138】
別の実施形態では、本明細書で記載の細菌分離株は、その細菌分離株が真核細胞と共培養される場合、培地中に位置するまたはその中で増殖している真核細胞(例えば、PBMC)によるサイトカイン産生および/または放出を調節できる(例えば、サイトカイン産生を増やす)。
【0139】
特定の実施形態では、本明細書で記載の細菌分離株は、少なくとも500pg/ml、少なくとも1000pg/ml、少なくとも1500pg/ml、少なくとも2000pg/ml、少なくとも2500pg/ml、または少なくとも3000pg/mlのレベルで真核細胞によるサイトカイン(例えば、IL-10)の産生および/または放出を誘導できる。ある実施形態では、サイトカインは、機能アッセイ(すなわち、エクスビボで実施され、細菌分離株、微生物混合物、未培養糞便細菌の調製物、または未培養便細菌叢と接触している真核細胞(例えば、PBMC)により産生されるサイトカインの濃度または量を一定期間中(例えば、24時間)に測定するように設計された、アッセイ)で測定される。ある実施形態では、サイトカインは、本明細書で記載の組成物を投与された対象の腸中で産生される。
【0140】
特定の実施形態では、本明細書で記載の細菌分離株は、抗炎症性サイトカインプロファイルを誘導できる。ある実施形態では、細菌分離株は、それが対照株に比べて増大されるIL-10のレベルをもたらす場合、抗炎症性サイトカインプロファイルを示す。ある実施形態では、細菌分離株は、それが対照株に比べて低減されるIL-12のレベルをもたらす場合、抗炎症性サイトカインプロファイルを示す。ある実施形態では、細菌分離株は、それが対照株に比べて低減されるGM-CSFのレベルをもたらす場合、抗炎症性サイトカインプロファイルを示す。ある実施形態では、細菌分離株は、それが対照株に比べて低減されるIFNγのレベルをもたらす場合、抗炎症性サイトカインプロファイルを示す。ある実施形態では、細菌分離株は、それが対照株に比べて低減されるTNFαのレベルをもたらす場合、抗炎症性サイトカインプロファイルを示す。ある実施形態では、細菌分離株は、それが対照株に比べて低減しているIL-23のレベルをもたらす場合、抗炎症性サイトカインプロファイルを示す。ある実施形態では、細菌分離株は、それが対照株に比べて低減されるIL-12のレベルをもたらす場合、抗炎症性サイトカインプロファイルを示す。ある実施形態では、細菌分離株は、それが対照株に比べて増大されるIL-10:IL-12の比をもたらす場合、抗炎症性サイトカインプロファイルを示す。ある実施形態では、細菌分離株は、それが対照株に比べて増大されるIL-10:TNFαの比をもたらす場合、抗炎症性サイトカインプロファイルを示す。
【0141】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、一定期間中(例えば、24時間)真核細胞(例えば、PBMC集団)と接触している場合、少なくとも1000pg/ml、少なくとも1500pg/ml、少なくとも2000pg/ml、少なくとも2500pg/ml、少なくとも3000pg/ml、少なくとも3500pg/ml、少なくとも4000pg/ml、少なくとも5000pg/ml、少なくとも6000pg/ml、少なくとも7000pg/ml、少なくとも8000pg/ml、少なくとも9000pg/ml、少なくとも10,000pg/mlの濃度、または10,000pg/ml超の濃度でIL-10の産生を誘導する1種または複数の細菌分離株を含む。ある実施形態では、細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、一定期間中(例えば、24時間)真核細胞(例えば、PBMC集団)と接触している場合、5pg/ml、10pg/ml、15pg/ml、20pg/ml、25pg/ml、30pg/ml、35pg/ml、40pg/ml、45pg/ml、50pg/ml、55pg/ml、60pg/ml、65pg/ml、70pg/ml、75pg/ml、80pg/ml、85pg/ml、90pg/ml、95pg/ml、100pg/ml、105pg/ml、110pg/ml、115pg/ml、120pg/ml、125pg/ml、130pg/ml、135pg/ml、140pg/ml、145pg/ml、150pg/ml、155pg/ml、160pg/ml、165pg/ml、170pg/ml、175pg/ml、180pg/ml、185pg/ml、190pg/ml、195pg/ml、または200pg/ml以下の濃度にGM-CSFの産生を制限する、1種または複数の細菌分離株を含む。ある実施形態では、細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、一定期間中(例えば、24時間)真核細胞(例えば、PBMC集団)と接触している場合、5pg/ml、10pg/ml、15pg/ml、20pg/ml、25pg/ml、30pg/ml、35pg/ml、40pg/ml、45pg/ml、50pg/ml、55pg/ml、60pg/ml、65pg/ml、70pg/ml、75pg/ml、80pg/ml、85pg/ml、90pg/ml、95pg/ml、100pg/ml、105pg/ml、110pg/ml、115pg/ml、120pg/ml、125pg/ml、130pg/ml、135pg/ml、140pg/ml、145pg/ml、150pg/ml、155pg/ml、160pg/ml、165pg/ml、170pg/ml、175pg/ml、180pg/ml、185pg/ml、190pg/ml、195pg/ml、または200pg/ml以下の濃度にIL-12(例えば、IL-12p70)の産生を制限する、1種または複数の細菌分離株を含む。ある実施形態では、細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、一定期間中(例えば、24時間)真核細胞(例えば、PBMC集団)と接触している場合、5pg/ml、10pg/ml、15pg/ml、20pg/ml、25pg/ml、30pg/ml、35pg/ml、40pg/ml、45pg/ml、50pg/ml、55pg/ml、60pg/ml、65pg/ml、70pg/ml、75pg/ml、80pg/ml、85pg/ml、90pg/ml、95pg/ml、100pg/ml、105pg/ml、110pg/ml、115pg/ml、120pg/ml、125pg/ml、130pg/ml、135pg/ml、140pg/ml、145pg/ml、150pg/ml、155pg/ml、160pg/ml、165pg/ml、170pg/ml、175pg/ml、180pg/ml、185pg/ml、190pg/ml、195pg/ml、または200pg/ml以下の濃度にIFNγの産生を制限する、1種または複数の細菌分離株を含む。ある実施形態では、細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、一定期間中(例えば、24時間)真核細胞(例えば、PBMC集団)と接触している場合、20pg/ml、30pg/ml、40pg/ml、50pg/ml、75pg/ml、100pg/ml、150pg/ml、200pg/ml、250pg/ml、300pg/ml、350pg/ml、400pg/ml、450pg/ml、500pg/ml、550pg/ml、600pg/ml、650pg/ml、700pg/ml、750pg/ml、800pg/ml、850pg/ml、900pg/ml、950pg/ml、1000pg/ml、1100pg/ml、1200pg/ml、1300pg/ml、1400pg/ml、1500pg/ml、1600pg/ml、1700pg/ml、1800pg/ml、1900pg/ml、2000pg/ml、2100pg/ml、2200pg/ml、2300pg/ml、2400pg/ml、または2500pg/ml以下の濃度にTNFαの産生を制限する、1種または複数の細菌分離株を含む。ある実施形態では、細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、一定期間中(例えば、24時間)真核細胞(例えば、PBMC集団)と接触している場合、5pg/ml、10pg/ml、15pg/ml、20pg/ml、25pg/ml、30pg/ml、35pg/ml、40pg/ml、45pg/ml、50pg/ml、55pg/ml、60pg/ml、65pg/ml、70pg/ml、75pg/ml、80pg/ml、85pg/ml、90pg/ml、95pg/ml、100pg/ml、105pg/ml、110pg/ml、115pg/ml、120pg/ml、125pg/ml、130pg/ml、135pg/ml、140pg/ml、145pg/ml、150pg/ml、155pg/ml、160pg/ml、165pg/ml、170pg/ml、175pg/ml、180pg/ml、185pg/ml、190pg/ml、195pg/ml、200pg/ml、250pg/ml、または300pg/ml以下の濃度にIL-23の産生を制限する、1種または複数の細菌分離株を含む。ある実施形態では、細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、一定期間中(例えば、24時間)真核細胞(例えば、PBMC集団)と接触している場合、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも325、少なくとも350、少なくとも375、少なくとも400、少なくとも425、少なくとも450、少なくとも475、少なくとも500、少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850、少なくとも900、少なくとも950、少なくとも1000、少なくとも1100、少なくとも1200、少なくとも1300、少なくとも1400、少なくとも1500、少なくとも1600、少なくとも1700、少なくとも1800、少なくとも1900、少なくとも2000、少なくとも2200、少なくとも2400、少なくとも2600、少なくとも2800、少なくとも3000、少なくとも3200、少なくとも3400、少なくとも3600、少なくとも3800、少なくとも4000の、または4000より大きいIL-10:IL-12の比を誘導する、1種または複数の細菌分離株を含む。ある実施形態では、細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、一定期間中(例えば、24時間)真核細胞(例えば、PBMC集団)と接触している場合、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または少なくとも100のIL-10:TNFαの比を誘導する1種または複数の細菌分離株を含む。ある実施形態では、細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0149】
宿主細胞によるサイトカイン産生を調節する能力を有する細菌分離株の例は、表3で与えられる。それぞれの分離株は、ラテン名、識別番号(ID番号)、およびその16S rRNA配列に対する配列識別子(配列番号)により識別される。いくつかの態様では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、表3で与えられる細菌分離株の少なくとも1種、または表3で与えられる細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株の少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表3で与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列をそれぞれ含む、少なくとも2種の細菌分離株、少なくとも3種の細菌分離株、少なくとも4種の細菌分離株、少なくとも5種の細菌分離株、少なくとも6種の細菌分離株、少なくとも7種の細菌分離株、少なくとも8種の細菌分離株、少なくとも9種の細菌分離株、少なくとも10種の細菌分離株、少なくとも11種の細菌分離株、少なくとも12種の細菌分離株、少なくとも13種の細菌分離株、または少なくとも14種の細菌分離株を含む。
【表3】
【0150】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、腸内菌共生バランス失調(例えば、UCなどのIBD)の患者に比べて健康なヒト対象中でより大きい相対存在量、または腸内菌共生バランス失調を有する患者に比べて腸内菌共生バランス失調からの寛解期にあるヒト対象中でより大きい相対存在量、を有する菌株に対応する少なくとも1種の細菌分離株を含む。本明細書では、用語「より大きい相対存在量」は、健康なヒト対象中(腸内菌共生バランス失調の患者に比較して)の、または腸内菌共生バランス失調からの寛解期にあるヒト対象中のより大きい数(腸内菌共生バランス失調の患者に比較して)の菌株(すなわち、細菌分離株に対応する)の生存細胞を指す。いくつかの実施形態では、用語「より大きい数の生存細胞」は、腸微生物叢またはその一部中(例えば、便試料中)の菌株の生存細胞の絶対数を意味し、一方、他の実施形態では、この用語は、腸微生物叢またはその一部(例えば、便試料)中の生存細胞のほぼ全数に対する菌株の生存細胞の比例数を指す。特定の例では、医薬組成物中に含まれる細菌分離株に対応する菌株は、複数の試験したヒト対象(例えば、健常者、または腸内菌共生バランス失調からの寛解期にある個体)の全体にわたり、例えば、少なくとも5人のヒト対象、少なくとも10人のヒト対象、少なくとも20人のヒト対象、少なくとも30人のヒト対象、少なくとも40人のヒト対象、少なくとも50人のヒト対象、少なくとも75人のヒト対象、少なくとも100人のヒト対象、少なくとも200人のヒト対象、少なくとも300人のヒト対象、少なくとも400人のヒト対象、少なくとも500人のヒト対象、少なくとも750人のヒト対象、少なくとも1000人のヒト対象、または1000人を超えるヒト対象でより大きい相対存在量を有し得る。追加して、または代わりに、細菌分離株に対応する菌株は、試験したヒト対象(例えば、健常者、または腸内菌共生バランス失調からの寛解期にある個体)に比例してより大きな相対存在量、例えば、試験した個体の少なくとも50%、試験した個体の少なくとも55%、試験した個体の少なくとも60%、試験した個体の少なくとも65%、試験した個体の少なくとも70%、試験した個体の少なくとも75%、試験した個体の少なくとも80%、試験した個体の少なくとも80%、試験した個体の少なくとも85%、試験した個体の少なくとも90%、試験した個体の少なくとも95%、または試験した個体の100%の相対存在量を有し得る。本明細書では、「細菌分離株に対応する」菌株は、対象の腸微生物叢中の菌株を指し、菌株は、細菌分離株の16S rRNA配列と、少なくとも97%の同一性(例えば、少なくとも97.5%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも98.5%の同一性、少なくとも99%の同一性、少なくとも99.5%の同一性、または99.5%より大きい同一性)を通常共有する16S rRNA配列を有する。同様に、「菌株に対応する」細菌分離株は、対象の腸微生物叢中の菌株の16S rRNA配列と、少なくとも97%の同一性(例えば、少なくとも97.5%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも98.5%の同一性、少なくとも99%の同一性、少なくとも99.5%の同一性、または99.5%より大きい同一性)を通常共有する細菌分離株を指す。
【0151】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、腸内菌共生バランス失調を有する患者に比べて、腸内菌共生バランス失調からの寛解期にあるヒト対象中でより大きな相対存在量を有する菌株に対応し得る。寛解期にある対象中の菌株の増大した存在量は、菌株に対応する細菌分離株を、UCなどの腸内菌共生バランス失調に関連する障害の治療のために潜在的に有利であるとして、認識する。ヒト対象の腸内菌共生バランス失調の寛解は、腸内菌共生バランス失調が活動期である間に対象に投与される介入に関連し得る、またはそれにより引き起こされ得る。例えば、寛解は、微生物治療薬による対象の治療後に生じ得る。微生物治療薬の例としては、未培養糞便細菌の調製物を含む組成物、未培養便細菌叢、培養便細菌叢、および/または細菌分離株が挙げられる。いくつかの実施形態では、腸内菌共生バランス失調から寛解を誘導する微生物治療薬は、実質的に完全な未培養便細菌叢である。例えば、対象は、腸内菌共生バランス失調の寛解を誘導するために便細菌叢移植(FMT)を投与され得る。特定の実施形態では、対象の腸内菌共生バランス失調は、潰瘍性大腸炎(UC)が原因である。
【0152】
ある実施形態では、細菌分離株を特定するためのこの特定の機序に依存しない手法は、潰瘍性大腸炎(UC)に関連するディスバイオシスを低減する。ある実施形態では、16SリボソームDNA(rDNA)およびショットガンメタゲノム配列が、健康な状態またはFMTに対する臨床応答に関連する予測的特徴を発生させるために、例えば、介入による(FMT)横断的および時系列データセットから取り込まれてよい。これらの特徴は、(i)UCと診断された患者と比べて健康な対象中で富化;および/または(ii)FMT治療後のUC患者におけるUC症状の臨床的寛解または応答との関連/相関、のために細菌性系統的クレードをランク付けおよび選択するのに使用できる。クレードは、健康な対象とUCの患者の間で、糞便物質中の菌株の存在および存在量を比較する「横断結合p値」に基づいてランク付けできる。p値が低いほど、クレード中の生物は、(i)UC患者中のその株の枯渇、および/または(ii)健康な対象中のその株の多い存在量、に基づき、UCの治療、抑制または予防に対し効果を有する可能性が高い。分離菌株はその後、ランク付けした系統的クレードに対する16S rDNA類似性により、または上述の基準に従って、それらの16S rDNAの直接的ランク付けを行うことにより、ドナー便試料から選択され得る。
【0153】
ある実施形態では、横断結合p値の値は、0.1未満、0.01未満、1x10-3未満、1x10-4未満、1x10-5未満、1x10-6未満、1x10-7未満、1x10-8未満、1x10-9未満、1x10-10未満、1x10-11未満、1x10-12未満、1x10-13未満、1x10-14未満、1x10-15未満、1x10-16未満、1x10-17未満、1x10-18未満、1x10-19未満、1x10-20未満、1x10-21未満、1x10-22未満、1x10-23未満、または1x10-24未満である。
【0154】
表4は、UCの患者に比べて健康な対象中に存在するおよび/またはより高度に豊富である対応する菌株を有する医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)中に含まれ得る細菌分離株の例を列挙する。それぞれの分離株は、ラテン名、識別番号(ID番号)、およびその16S rRNA配列に対する配列識別子(配列番号)により識別される。いくつかの態様では、医薬組成物は、表4で与えられる細菌分離株の少なくとも1種、または表4で与えられる細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株の少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表4で与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列をそれぞれ含む、少なくとも2種の細菌分離株、少なくとも3種の細菌分離株、少なくとも4種の細菌分離株、少なくとも5種の細菌分離株、少なくとも6種の細菌分離株、少なくとも7種の細菌分離株、少なくとも8種の細菌分離株、少なくとも9種の細菌分離株、少なくとも10種の細菌分離株、少なくとも11種の細菌分離株、少なくとも12種の細菌分離株、少なくとも13種の細菌分離株、少なくとも14種の細菌分離株、少なくとも15種の細菌分離株、少なくとも16種の細菌分離株、少なくとも17種の細菌分離株、少なくとも18種の細菌分離株、少なくとも19種の細菌分離株、少なくとも20種の細菌分離株、少なくとも21種の細菌分離株、少なくとも22種の細菌分離株、または少なくとも23種の細菌分離株を含む。
【表4】
【0155】
ある実施形態では、細菌分離株は、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、Morgan et al.,Genome Biology 13(2012)で報告されたデータセット中のUC患者に比べて、健康な個体で豊富な菌株に対するその対応関係に基づき、本明細書で記載の医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)中への包含に好適であるとして特定される。
【0156】
ある実施形態では、細菌分離株は、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、Papa et al.,PLOS ONE 7,no.6(June 29,2012)で報告されたデータセット中のUC患者に比べて、健康な個体で豊富な菌株に対するその対応関係に基づき、本明細書で記載の医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)中への包含に好適であるとして特定される。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の微生物混合物は、関連細菌分離株である2種以上の細菌分離株を含み得る。本明細書では、「関連細菌分離株」は、少なくとも95%の配列同一性を通常共有する16S rRNA配列を有する。特定の実施形態では、関連細菌分離株は、少なくとも97%の配列同一性を通常共有する16S rRNA配列を有し、従って細菌分離株は同じ種のメンバーである。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、2種以上の関連細菌分離株を含む。他の実施形態では、微生物混合物は、2種の関連細菌分離株を含まない。いくつかの実施形態では、第1の形態の微生物混合物は第1の細菌分離株を含み、第2の形態の微生物混合物は、第1の細菌分離株に対し関連細菌分離株である第2の細菌分離株を含む。
【0158】
本明細書で記載の微生物混合物中に含まれ得る表4で列挙されたものに対する関連細菌分離株を、表5に示す。表4の細菌分離株と同様に、表5中のものは、UCの患者に比べて、健康なヒト対象中により大きな存在量を有する菌株に対応する。表5は、細菌分離株の識別番号、表4の細菌分離株に対応するID番号、表4の細菌分離株に対応する配列に対する関連菌株の16S配列のパーセント同一性、およびその16S rRNA配列に対する配列識別子(配列番号)を列挙する。
【表5】
【0159】
いくつかの態様では、医薬組成物は、表1~4の少なくとも1つの細菌分離株の全てまたはサブセット、または表1~4の細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を有する細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)中の全ての細菌分離株は、表2~4の少なくとも1つに見出される、または表2~4の少なくとも1つで与えられる細菌分離株と、16S rRNA配列において少なくとも95%の同一性を共有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の全ての細菌分離株は、表2~4の1つで一緒に列挙される、または表2~4の少なくとも1つで与えられる細菌分離株と16S rRNA配列において少なくとも95%の同一性を共有する。ある態様では、医薬組成物は、表2~4の少なくとも1つ由来のいかなる細菌分離株も含まない、または2~4の少なくとも1つで与えられる細菌分離株と16S rRNA配列において少なくとも95%の同一性を共有する細菌分離株を含まない。
【0160】
ある態様では、医薬組成物は、表2由来の1種または複数の細菌分離株(例えば、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、または少なくとも9種の細菌分離株)、または表2で与えられる細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株を含み得る。本明細書で記載の微生物混合物は従って、酪酸などの1種または複数のSCFAを生成できる複数の細菌分離株を含み得る。混合物を投与された対象の腸中で酪酸などのSCFAを産生する複数の細菌分離株を含む微生物混合物を提供することにより、医薬組成物は、対象(例えば、SCFAが枯渇している)の腸中で酪酸の添加、上昇または「バースト」を誘導できる。表7、表8および表9は、全て表2で認められる細菌分離株を含む代表的微生物混合物を示す;それぞれの分離株は、ラテン名、識別番号(ID番号)、およびその16S rRNA配列に対する配列識別子(配列番号)により識別される。特定の実施形態では、組成物は、表7~9の1つの細菌分離株、または表7~9の1つの細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む細菌分離株、のそれぞれを含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表7で与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列をそれぞれ含む、少なくとも8種の細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表8~9の1つで与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列をそれぞれ含む、少なくとも6種の細菌分離株を含む。特定の実施形態では、組成物は、表7~9の1つに列挙された細菌分離株、または表7~9の1つの細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む細菌分離株、から基本的になる微生物混合物を含む。特定の実施形態では、組成物は、表7~9の1つに列挙された細菌分離株、または表7~9の1つの細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む細菌分離株、からなる微生物混合物を含む。
【表6】
【表7】
【表8】
【0161】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、表2中には存在しない細菌分離株の1種または複数(例えば、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種の、または15種より多い細菌分離株)を含み得る。いくつかの態様では、医薬組成物は、表2の細菌分離株の少なくとも1種を欠く、または表2の細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株を欠く。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、表2由来のいかなる細菌分離株も含まない。本明細書で記載の医薬組成物は従って、対象の腸中でSCFAを実質的に産生しない、および/または投与後に対象の腸中のSCFAの上昇を誘導しない、1種または複数の細菌分離株を含む、またはそれらからなってよい。表10、表11および表12は、表2で認められない細菌分離株を含む代表的微生物混合物を示す;それぞれの分離株は、ラテン名、識別番号(ID番号)、およびその16S rRNA配列に対する配列識別子(配列番号)により識別される。特定の実施形態では、組成物は、表10~12の1つの細菌分離株、または表10~12の1つの細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む細菌分離株、のそれぞれを含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表10~11の1つで与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列をそれぞれ含む、少なくとも8種の細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表12で与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列をそれぞれ含む、少なくとも6種の細菌分離株を含む。特定の実施形態では、組成物は、表10~12の1つに列挙された細菌分離株、または表10~12の1つの細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む細菌分離株、から基本的になる微生物混合物を含む。特定の実施形態では、組成物は、表10~12の1つに列挙された細菌分離株、または表10~12の1つの細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む細菌分離株、からなる微生物混合物を含む。ある実施形態では、微生物混合物は、表10~12の1つの細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む細菌分離株、ならびに追加の細菌分離株を含む。例えば、追加の細菌分離株は、属Blautiaのメンバーであり得る。
【表9】
【表10】
【表11】
【0162】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、表3由来の1種または複数の細菌分離株(例えば、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、または11種の細菌分離株)、および/または表3で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNAと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株(例えば、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種の、または15種より多い細菌分離株)を含み得る。本明細書で記載の微生物混合物は、従って、真核細胞(例えば、微生物混合物を含む組成物を投与された対象の細胞)からの1種または複数のサイトカインの産生および/または放出を調節できる複数の細菌分離株を含み得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、表3中には存在しない細菌分離株の1種または複数(例えば、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種の、または15種より多い細菌分離株)を含み得る。いくつかの態様では、医薬組成物は、表3の細菌分離株の少なくとも1種を欠く、または表2の細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株を欠く。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、表3由来のいかなる細菌分離株も含まない。本明細書で記載の医薬組成物は従って、真核細胞(例えば、微生物混合物を含む組成物を投与された対象の細胞)からの1種または複数のサイトカインの産生および/または放出を実質的に調節しない1種または複数の細菌分離株を含み得る、またはそれからなり得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表4で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、表4由来の1種または複数の細菌分離株(例えば、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種の、または15種より多い細菌分離株)を含み得る。本明細書で記載の微生物混合物は従って、UCの患者に比べて健康な対象中で高度に豊富な菌株に対応する、複数の細菌分離株を含み得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、表4中には存在しない細菌分離株の1種または複数(例えば、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種の、または15種より多い細菌分離株)を含み得る。いくつかの態様では、医薬組成物は、表4の細菌分離株の少なくとも1種を欠く、または表4の細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株を欠く。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、表4由来のいかなる細菌分離株も含まない。本明細書で記載の医薬組成物は従って、UCの患者に比べて健康な対象中で高度に豊富な菌株に対応しない、1種または複数の細菌分離株を含み得る、またはそれからなり得る。
【0166】
ある実施形態では、微生物混合物は、表2~4の2つ以上で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む細菌分離株を含み得る。このような微生物混合物は従って、複数の機序を介して混合物(例えば、医薬組成物の形態で)を投与された対象の健康に有利な影響を与えることができる。例えば、微生物混合物は、表2で与えられる細菌分離株の少なくとも1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株、および表3で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株を含み得る。このような場合、組成物中の少なくとも1種の細菌分離株は、1種または複数のSCFAを産生して対象の腸中のSCFA(例えば、酪酸)のレベルを高めることができ(すなわち、「表2の細菌分離株」)、および対象に投与された少なくとも1種の細菌分離株は、対象の宿主細胞によるサイトカインの産生および/または放出を調節できる(すなわち、「表3の細菌分離株」)。
【0167】
別の例では、微生物混合物は、表2で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株、および表4で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株を含み得る。このような場合、組成物中の少なくとも1種の細菌分離株は、1種または複数のSCFAを産生して対象の腸中のSCFA(例えば、酪酸)のレベルを高めることができ(すなわち、「表2の細菌分離株」)、および組成物中の少なくとも1種の細菌分離株は、UCの患者に比べて、健康な対象中で高度に豊富な菌株に対応する(「表4の細菌分離株」)。
【0168】
別の例では、微生物混合物は、表3で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株、および表4で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株を含み得る。このような場合、組成物中の少なくとも1種の細菌分離株は、対象の宿主細胞によるサイトカインの産生および/または放出を調節でき(すなわち、「表3の細菌分離株」)、および組成物中の少なくとも1種の細菌分離株は、UCの患者に比べて健康な対象中で高度に豊富な菌株に対応する(「表4の細菌分離株」)。
【0169】
別の例では、微生物混合物は、表2で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株、表3で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株、および表4で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株を含み得る。このような場合、組成物中の少なくとも1種の細菌分離株は、1種または複数のSCFAを産生して対象の腸中のSCFAのレベルを高めることができ(すなわち、「表2の細菌分離株」)、組成物中の少なくとも1種の細菌分離株は、対象の宿主細胞によるサイトカインの産生および/または放出を調節でき(すなわち、「表3の細菌分離株」)、および組成物中の少なくとも1種の細菌分離株は、UCの患者に比べて健康な対象中でより高度に豊富な菌株に対応する(「表4の細菌分離株」)。
【0170】
表13~21は、表2~4で見出される細菌分離株を含む異なる代表的微生物混合物を示し、それに従いまとめて微生物混合物中の細菌分離株は、対象に投与されると、(i)対象の腸中でSCFAのレベルを高めるように;(ii)対象の宿主細胞によるサイトカインの放出を調節するように;および(iii)UCの患者に比べて健康な対象中でより高度に豊富な菌株に対応する対象の腸中の細菌分離株を提供するように、作用する。各表では、分離株は、ラテン名、識別番号(ID番号)、その16S rRNA配列に対する配列識別子(配列番号)、および分離株が登場する上記表(すなわち、表2、3および/または4)により識別される。
【0171】
特定の実施形態では、組成物は、表13~21の1つで与えられるそれぞれの細菌分離株、または表13~21の1つで与えられる細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有する細菌分離株、のそれぞれを含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表13~15、15a、および15bの1つで与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列をそれぞれ含む、少なくとも8種の細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表16~18の1つで与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列をそれぞれ含む、少なくとも7種の細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表19~21の1つで与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列をそれぞれ含む、少なくとも6種の細菌分離株を含む。特定の実施形態では、組成物は、表13~21の1つで与えられるそれぞれの細菌分離株、または表13~21の1つで与えられる細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有する細菌分離株、から基本的になる微生物混合物を含む。特定の実施形態では、組成物は、表13~21の1つで与えられるそれぞれの細菌分離株、または表13~21の1つで与えられる細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有する細菌分離株、からなる微生物混合物を含む。
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の医薬組成物は、細菌混合物中に1種または複数の有利な表現型の冗長性を一緒に提供する複数の細菌分離株を含む細菌混合物を含み得、これは、例えば、組成物が対象へ投与されると、対象の腸中で特定の機序または経路を誘導する能力を含み得る。このような冗長性は、組成物が投与された対象が、細菌の「冗長な」分離株の間で共通の特定の有利な形質または表現型から恩恵を受ける可能性を高め得る(例えば、対象の腸中でSCFAのレベルを高める傾向)。理論に束縛されることを望むものではないが、これに対する理由は、特定の細菌分離株が各対象の腸中で生着する可能性における対象間での潜在的な変動であり、生着は通常、細菌分離株がその有益な効果を発揮するために必要である。それぞれが目的の同じ表現型(例えば、閾値を越える1種または複数のSCFAの産生)を示す遺伝的に明確に異なる分離株を含む組成物を処方することにより、組成物は、個体間で高められた有効性(すなわち、組み込まれた冗長性のない製剤に比べて)を示し得る。理由は、複数の冗長な細菌分離株の少なくとも1種が生着する可能性が、冗長な相手方のない単一細菌分離株の生着の可能性に比べて、増大されるためである。
【0173】
ある態様では、冗長性は、それぞれが次の表現型の少なくとも1種を有する複数の細菌分離株を細菌混合物中に含むことにより組成物中に組み込まれ得る:(i)複数の細菌分離株のそれぞれが閾値レベルを越えるあるレベルの1種または複数のSCFAを産生する(例えば、細菌混合物中に組み込むことにより、または表2から選択される複数の細菌分離株を対象に投与することにより);(ii)複数の細菌分離株のそれぞれが対象の宿主細胞によるサイトカインの放出を誘導する(例えば、細菌混合物中に組み込むことにより、または表3から選択される複数の細菌分離株を対象に投与することにより);または(iii)複数の細菌分離株のそれぞれが、UCの患者に比べて健康な対象中でより高度に豊富である菌株に対応する(例えば、例えば、細菌混合物中に組み込むことにより、または表4から選択される複数の細菌分離株を対象に投与することにより)。
【0174】
ある態様では、表現型の冗長性をもたらす複数の細菌分離株を含む細菌混合物が、表15bに示され、これは、有意水準SCFA(ここでは、酪酸;実施例2参照)を産生する少なくとも5種の細菌分離株(すなわち、Odoribacter splanchnicus、Eubacterium rectale、Roseburia faecis、およびFaecalibacterium prausnitziiの2種の分離株)、ヒト細胞(ここではPBMC;実施例3参照)による炎症促進性サイトカインの放出を誘導する少なくとも4種の細菌分離株(すなわち、Odoribacter sphlanchnicus、Alistipes shahii、およびFaecalibacterium prausnitziiの2種の分離株)、およびUCの患者に比べて、健康な対象中のより高度に豊富な菌株に対応する少なくとも7種の細菌分離株(実施例4参照)(すなわち、Bacteroides cellulosilyticus、Odoribacter splanchnicus、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Eubacterium rectaleおよびFaecalibacterium prausnitziiの2種の分離株)を含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、それぞれ特定の属のメンバーである複数の明確に異なる細菌分離株、またはそれぞれ特定の種のメンバーである複数の細菌分離株を含み得る。これは、例えば、冗長性を与えることにより有利であり得、ここで同じ属または種の複数の細菌分離株は、目的の特定の機序を最適に誘導できるまたはそれに影響を与えることができる(例えば、SCFAを産生すること、抗炎症プロファイルを誘導することにより)。同じ医薬組成物中に、それぞれが類似の最適な形質または表現型(例えば、高レベルのSCFAを産生する能力)を示す複数の分類学的に関連する細菌分離株を含めることにより、冗長性が、組成物を投与された対象がその形質または表現型から利益を得るより高い可能性を有するように、組成物中に組み込まれる。この理由は、対象の腸中で特定の細菌分離株が生着する能力における対象間での潜在的な変動であり、生着は通常、細菌分離株がその有益な効果を発揮するために必要である。例えば、医薬組成物は、それぞれ属Faecalibacteriumのメンバーである複数の(例えば、2、3、4、5種の、または5種を超える)細菌分離株、または複数の(例えば、2、3、4、5種の、または5種をこえる)それぞれ種Faecalibacterium prausnitziiのメンバーである細菌分離株を含み得る(例えば、表15b参照)。別の例では、医薬組成物は、それぞれ属Bacteroidesのメンバーである複数の(例えば、2、3、4、5種の、または5種を超える)細菌分離株を含み得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、特定の属のメンバーである1種のみの細菌分離株、または特定の種のメンバーである1種のみの細菌分離株を含み得る。これは、例えば、医薬組成物中の細菌分離株の総数を最小化するために(例えば、それぞれの細菌分離株の増殖および処方に関連するコストおよび資源を低減するために)有利であり得、同時に、組成物を投与された対象中の複数の治療関連機序の誘導(例えば、SCFA産生、または抗炎症性サイトカイン誘導)に対応し得る、細菌分離株により示される分類群の多様性を維持する。例えば、医薬組成物は、属Bacteroidesのメンバーである1種のみの細菌分離株を含み得る。ある実施形態では、属Bacteroides由来の単一細菌分離株は、B.cellulosilyticusである(例えば、表15aおよび15b参照)。別の例では、医薬組成物は、属Eubacteriumのメンバーである1種のみの細菌分離株、または種Eubacterium rectaleのメンバーである1種のみの細菌分離株を含み得る(例えば、表15aおよび15b参照)。別の例では、医薬組成物は、属Roseburiaのメンバーである1種のみの細菌分離株、またはRoseburia faecisのメンバーである1種のみの細菌分離株を含み得る(例えば、表15aおよび15b参照)。別の例では、医薬組成物は、属Coprococcusのメンバーである1種のみの細菌分離株、または種Coprococcus comesのメンバーである1種のみの細菌分離株を含み得る。
【0177】
別の例では、医薬組成物は、属Alistipesのメンバーである1種のみの細菌分離株を含み得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、Alistipes shahiiを含む細菌分離株を含むが、Alistipes finegoldiiまたはAlistipes putredinisを含まない(例えば、表15aおよび15b参照)。A.finegoldiiおよびA.putredinisと比較してA.shahiiの包含は、下記実施例と一致し、これは、A.shahiiが、(i)UCと診断された患者を上回る健康な対象中での富化;および/または(ii)FMT治療後のUC患者におけるUC症状の臨床的寛解または応答との関連/相関、について、A.finegoldiiおよびA.putredinisより小さい横断結合p値を有することを示す。他の実施形態では、医薬組成物は、Alistipes finegoldiiを含む細菌分離株を含むが、Alistipes shahiiまたはAlistipes putredinisを含まない(例えば、表15参照)。特定の実施形態では、医薬組成物は、Alistipes putredinisを含む細菌分離株を含むが、Alistipes shahiiまたはAlistipes finegoldiiを含まない。
【0178】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、腸ディスバイオシス(例えば、潰瘍性大腸炎を含むIBD)に関連する状態を治療するために有益でない可能性のある、または有害であり得る細菌属、種または株を除去または除外できる。例えば、医薬組成物は、属Escherichia(例えば、Escherichia coli)からの株または細菌分離株を除去または除外できる。下記例は、E.coliが、酪酸をほとんどまたは全く産生せず、かつ炎症促進性であるサイトカインプロファイル(すなわち、IL-10/IL-12および/またはIL-10/TNFαの低い比)により特徴づけられることを示す。
【0179】
他の例では、医薬組成物は、次の細菌性分類群の1種または複数を除外または除去できる:属Adlercreutziaのメンバー、Adlercreutzia equolifaciens、属Akkermansiaのメンバー、Akkermansia muciniphila、属Alistipesのメンバー、Alistipes finegoldii、Alistipes putredinis、Alistipes shahii、属Bacteroidesのメンバー、Bacteroides capillosus、Bacteroides cellulosilyticus、Bacteroides eggerthii、Bacteroides ovatus、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides uniformis、属Bacillusのメンバー、Bacillus circulans、Bacillus simplex、属Bifidobacteriumのメンバー、Bifidobacterium longum、属Blautiaのメンバー、Blautia hydrogenotrophica、属Brevibacillusのメンバー、Brevibacillus parabrevis、属Catabacterのメンバー、Catabacter hongkongensis、属Catenibacteriumのメンバー、Catenibacterium mitsuokai、属Clostridiumのメンバー、Clostridium coccoides、Clostridium aldenense、Clostridium asparagiforme、Clostridium celerecrescens、Clostridium hathewayi、Clostridium hylemonae、Clostridium inocuum、Clostridium lavalense、Clostridium leptum、Clostridium scindens、Clostridium staminisolvens、Clostridium sulfatireducens、Clostridium symbiosum、Clostridium thermocellum、属Collinsellaのメンバー、Collinsella aerofaciens、属Coprococcusのメンバー、Coprococcus catus、Coprococcus comes、Coprococcus eutactus、属Doreaのメンバー、Dorea formicigenerans、Dorea longicatena、属Eubacteriumのメンバー、Eubacterium biforme、Eubacterium callanderi、Eubacterium dolichum、Eubacterium eligens、Eubacterium fissicatena、Eubacterium rectale、Eubacterium siraeum、Eubacterium ventriosum、Eubacterium xylanophilum、属Faecalibacteriumのメンバー、Faecalibacterium prausnitzii、属Holdemaniaのメンバー、Holdemania filimormis、属Subdoligranulumのメンバー、Subdoligranulum variabile、属Microbacteriumのメンバー、Microbacterium schleiferi、Micrococcus luteus、属Odoribacterのメンバー、Odoribacter splanchnicus、属Oscillibacterのメンバー、Oscillibacter valericigenes、属Parabacteroidesのメンバー、Parabacteroides merdae、Parabacteroides gordonii、属Parasutterellaのメンバー、Parasutterella excrementihominis、属Phascolarctobacteriumのメンバー、Phascolarctobacterium faecium、属Roseburiaのメンバー、Roseburia faecalis、Roseburia faecis、Roseburia hominis、Roseburia intestinalis、属Ruminococcusのメンバー、Ruminococcus albus、Ruminococcus bromii、Ruminococcus lactaris、Ruminococcus luti、Ruminococcus obeum、Ruminococcus torques、属Staphylococcusのメンバー、Staphylococcus epidermidis、属Streptococcusのメンバー、Streptococcus mitis、Streptococcus thermophilus、属Synergistesのメンバー、および属Turicibacterのメンバー、Turicibacter sanguinis。
【0180】
いくつかの実施形態では、医薬組成物に組み込まれた細菌分離株は、対象の健康に有利な影響を与えるために複数の機序を介して作用できる。このような細菌分離株は従って、複数の機序を介して混合物(例えば、医薬組成物の形態で)を投与された対象の健康に有利な影響を与えることができる。例えば、医薬組成物は、対象に投与されると1種または複数のSCFAを産生して対象の腸中のSCFA(例えば、酪酸)のレベルを高めることができる(「表2の細菌分離株」)、かつまた対象の宿主細胞によるサイトカインの産生および/または放出を調節できる(「表3の細菌分離株」)、細菌分離株を含む。別の例では、医薬組成物は、対象に投与されると1種または複数のSCFAを産生して対象の腸中のSCFA(例えば、酪酸)のレベルを高めることができる(「表2の細菌分離株」)、かつまたUCの患者に比べて健康な対象中でより高度に豊富な菌株に対応する(「表4の細菌分離株」)、細菌分離株を含む。別の例では、医薬組成物は、対象に投与されると対象の宿主細胞によるサイトカインの産生および/または放出を調製できる(「表3の細菌分離株」)、かつまたUCの患者に比べて健康な対象中でより高度に豊富な菌株に対応する(「表4の細菌分離株」)、細菌分離株を含む。別の例では、医薬組成物は、対象に投与されると1種または複数のSCFAを産生して対象の腸中のSCFA(例えば、酪酸)のレベルを高めることができる(「表2の細菌分離株」)、また対象の宿主細胞によるサイトカインの産生および/または放出を調節できる(「表3の細菌分離株」)、かつまたUCの患者に比べて健康な対象中でより高度に豊富な菌株に対応する(「表4の細菌分離株」)、細菌分離株を含む。
【0181】
表22は、複数の機序(例えば、SCFAの産生、宿主細胞によるサイトカイン放出の誘導、またはUCの患者に比べて健康な対象中でより高度に豊富な菌株に対応する腸中の細菌の提供)を介して対象の健康により影響を与え得る代表的細菌分離株を示す。表22では、分離株は、ラテン名、識別番号(ID番号)、その16S rRNA配列に対する配列識別子(配列番号)および細菌分離株が登場する上記表2~4(表2は対象の腸中でSCFAを分泌する細菌分離株を表し、表3は宿主細胞によるサイトカイン産生を調節できる細菌分離株を表し、表4はUCの患者より健康な対象中でより高度に豊富な菌株に対応する細菌分離株を表す)で識別される。特定の実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物)は、表22で与えられる細菌分離株の1種または複数、および/または表22で与えられる細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を有する細菌分離株の1種または複数を含む。
【表23】
【0182】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、表1~表22で与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である16S rRNA配列を含み得る。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、表1~表22で与えられる細菌分離株の少なくとも1種の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、以前に特定されている少なくとも1種の細菌分離株を含み得る。例えば、特定の実施形態では、既知の基準株(例えば、ATCCまたはDSMアーカイブに保管されたコレクション由来の)は、表1~表22で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一(例えば、少なくとも97%同一)である16S rRNA配列を含み得る。本明細書で記載の微生物混合物中に含み得る代表的な公的に入手可能な株は、表23で与えられる。ある実施形態では、特定の医薬組成物について、表1~表22で与えられる1種または複数の細菌分離株は、表23由来の対応する代表的株(すなわち、同じ分類学上の名称を有する)で置換されてよい。
【表24】
【0184】
いくつかの実施形態では、医薬組成物または微生物混合物は、複数の異なるヒトドナーの便試料から分離または精製された複数の細菌分離株を含む。単一のドナーからではなく、複数のヒトドナーの便試料からの細菌分離株の調達の利点は、複数のドナーの便試料が、目的の特定の機序を最適に誘導する細菌分離株を特定するための機能的スクリーニングに供され得る菌株のより大きなプールを提供することである。例えば、1人のドナーの便が高い(最適な)レベルのSCFA(例えば、酪酸)を産生する1種または複数の菌株を有し得る一方で、同じドナーの便は、機能的スクリーニングに供される場合、抗炎症プロファイルを中程度にしか誘導しない(例えば、中等度のIL-10:IL-12比)細菌分離株を有し得る。あるいは、異なるドナーの便は、最適抗炎症プロファイル(例えば、高いIL-10:IL-12比)を誘導する1種または複数の菌株を有し得るが、高レベルのSCFAを産生する菌株を有しない。
【0185】
本明細書で記載の医薬組成物中に含めるための細菌分離株を特定する場合に、選択の基準として複数の異なるドナーからの便を使用することの別の利点は、複数のドナーからの微生物叢が、その中で(i)腸内菌共生バランス失調の患者に比べて、健康なヒト対象中でより大きな相対存在量、または(ii)腸内菌共生バランス失調の患者に比べて腸内菌共生バランス失調から寛解期にあるヒト対象中でより大きな相対存在量、を有する菌株に対応する細菌分離株(すなわち、表4で与えられる細菌分離株)を特定する、菌株のより大きなプールをもたらすことである。一般に、上記(i)または(ii)を有する菌株の16S rRNA配列と、選択された細菌分離株の16S rRNA配列との間の一致は、可能な限り近くなければならない(例えば、少なくとも97%、少なくとも97.5%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、少なくとも99.5%または100%)。所望の一致を特定する可能性は、複数のドナーからの便を調達することにより提供される選択用の菌株プールが大きくなるに伴い増大する。
【0186】
従って、通常、微生物治療薬を構築するための本明細書で意図される合理的な機序に基づく選択スキームは、治療薬を投与される対象における目的のそれぞれの機序の誘導のための最適な細菌分離株の選択を可能にするために、単一ドナーの菌株を越えて菌株のプールを大きくすることが好ましい。この複数ドナー選択過程は従って、単一ドナーの便の合成方式を再現することを試みる既知の手法より有利である。
【0187】
他の実施形態では、医薬組成物または微生物混合物は、単一のヒトドナーのみの単独または複数の便試料から分離または精製された複数の細菌分離株を含む。
【0188】
種々の実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、対象への組成物の投与後に、対象のGI管中に生着し得る1種または複数の細菌分離株を含む。本明細書では、「生着すること(engrafting)」または「生着(engraftment)」は、対象の腸管中での菌株または細菌分離株の細胞の一定の期間にわたる安定な存在を指す(例えば、本明細書で記載の組成物を、例えば、経口または直腸内で、投与することによる対象腸管中への菌株または分離株の導入後に)。通常、患者の腸中へ導入された(例えば、経口および/または直腸内投与により)細菌分離株の生着は、対象への細菌分離株の投与前後に対象の糞便試料中の細菌分離株の存在量を比較することにより、長期間にわたり、または経時的に測定される。ある実施形態では、対象の腸中に導入された細菌分離株は、投与の前に存在しない。別の実施形態では、対象の腸中に導入された細菌分離株は、投与の前に存在するが、投与後に存在量が増加する。特定の実施形態では、生着は、対象への菌株の投与後の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも14、日、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも5週、少なくとも6週、少なくとも7週、少なくとも8週、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、または6ヶ月超後に、対象の腸に投与された菌株の存在量の増加を確認することにより決定される。
【0189】
いくつかの実施形態では、対象の腸中での細菌分離株の生着は、細菌分離株が閾値投与量で、またはそれを超えて対象に投与される場合に、起こる。いくつかの実施形態では、対象の腸中への細菌分離株の生着は、細菌分離株が閾値投与量未満で対象に投与される場合、起こらないか、または比較的非効率的に(例えば、患者全体にわたり)起こる。例えば、対象の腸中への細菌分離株の生着は、細菌分離株が、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも1010個の細胞、少なくとも1011個の細胞、または少なくとも1012個の細胞の投与量で対象に投与される(例えば、本明細書で記載の医薬組成物中で経口または直腸内で)場合、起こり得る。
【0190】
いくつかの実施形態では、それを必要としている患者への1種または複数の細菌分離株の投与量は、細菌分離株の生着閾値に依存し得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、対象に投与される医薬組成物中の細菌分離株は、対象の十二指腸中で生着する。いくつかの実施形態では、対象に投与される医薬組成物中の細菌分離株は、対象の空腸中で生着する。いくつかの実施形態では、対象に投与される医薬組成物中の細菌分離株は、対象の回腸中で生着する。いくつかの実施形態では、対象に投与される医薬組成物中の細菌分離株は、対象の結腸中で生着する。
【0192】
いくつかの実施形態では、対象の腸中での細菌分離株の生着は、細菌分離株が閾値投与量で、またはそれ未満の投与量で対象に投与される場合に、起こる。いくつかの実施形態では、対象の腸中での細菌分離株の生着は、細菌分離株が閾値投与量を越える量で対象に投与される場合、起こらないか、または比較的非効率的に(例えば、患者全体にわたり)起こる。例えば、対象の腸中への細菌分離株の生着は、細菌分離株が、10個以下の細胞、10個以下の細胞、1010個以下の細胞、1011個以下の細胞、または1012個以下の細胞の投与量で対象に投与される(例えば、本明細書で記載の医薬組成物中で経口または直腸内で)場合、起こり得る。
【0193】
種々の実施形態では、本発明の医薬組成物(例えば、微生物混合物)は、相乗的にを含み、相互作用して、組成物を投与された対象の腸中に存在する病原性細菌の増殖および/または生存に対し抑制効果を有する、1種または複数の細菌分離株を含む。例えば、1種または複数の細菌分離株は、病原性細菌に対し細胞傷害性または細胞増殖抑制性効果を有し得る。種々の実施形態では、1種または複数の細菌分離株は、患者のGI管中に存在するまたはその中に侵入する病原性細菌に対し抑制効果を発揮する。種々の実施形態では、1種または複数の細菌分離株は、投与の前に患者のGI管中に検出可能な程度に存在しない少なくとも1つのタイプの細菌の増殖を強化する。
【0194】
種々の実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、相乗的に相互作用して、病原性細菌の増殖または生存に対し抑制効果を有する(例えば、細胞傷害性および/または細胞増殖抑制性作用を介して)、分離または精製された1種または複数の菌株を含む。本明細書で記載の1種または複数の細菌分離株の投与により影響を受け得る病原性細菌の例としては、C.difficile、Salmonella sp.、腸管病原性のE.coli、Klebsiella、およびE.coliなどの多剤耐性菌、カルバペネム耐性Enterobacteriaceae(CRE)、拡張型βラクタム耐性バンコマイシン耐性Enterococci(ESBL)、およびEnterococci(VRE)が挙げられる。さらなる細菌の例としては、Yersinia属、Vibrio属、Treponema属、Streptococcus属、Staphylococcus属、Shigella属、Salmonella属、Rickettsia属、Orientia属、Pseudomonas属、Neisseria属、Mycoplasma属、Mycobacterium属、Listeria属、Leptospira属、Legionella属、Klebsiella属、Helicobacter属、Haemophilus属、Francisella属、Escherichia属、Ehrlichia属、Enterococcus属、Coxiella属、Corynebacterium属、Clostridium属、Chlamydia属、Chlamydophila属、Campylobacter属、Burkholderia属、Brucella属、Borrelia属、Bordetella属、Bifidobacterium属、Bacillus属、多剤耐性菌、拡張型βラクタム耐性Enterococci(ESBL)、カルバペネム耐性Enterobacteriaceae(CRE)、およびバンコマイシン耐性Enterococci(VRE)が挙げられる。病原性細菌の例としては、Aeromonas hydrophila、Campylobacter fetus、Plesiomonas shigelloides、Bacillus cereus、Campylobacter jejuni、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、腸管凝集性Escherichia coli、腸管出血性Escherichia coli、腸管侵入性Escherichia coli、腸内毒素原性Escherichia coli(限定されないが、LTおよび/またはSTなど)、Escherichia coli 0157:H7、Helicobacter pylori、Klebsiellia pneumonia、Lysteria monocytogenes、Plesiomonas shigelloides、Salmonella sp.、Salmonella typhi、Salmonella paratyphi、Shigella sp.、Staphylococcus sp.、Staphylococcus aureus、バンコマイシン耐性enterococcus sp.、Vibrio sp.、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio vulnificus、およびYersinia enterocoliticaが挙げられる。
【0195】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、非病原性菌株である。いくつかの実施形態では、非病原性菌株は、病原性および/または毒性を引き起こす、遺伝子、またはその発現を欠くゲノムを含む。例えば、いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株を含む微生物混合物は、微生物混合物を投与された対象において疾患または障害を引き起こし得る生物または物質を実質的に含まない(例えば、病原性細菌を含まない)。
【0196】
いくつかの実施形態では、微生物混合物は、製造工程中で微生物混合物中に組み込まれる1種または複数の細菌分離株以外の細菌細胞を含まない。例えば、微生物混合物は、培養または未培養に関わらず、Bacteroides属、Bifidobacterium属、Desulfomonas属、Clostridium属、Escherichia coli、Eubacterium属、Fusobacterium属、Lactobacillus属、Monilia属、Peptostreptococcus属、Propionibacterium属、またはRuminococcus属を含む特定の種の細菌を不含であってよい。
【0197】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、元々は健康なヒトドナーの便試料から得られた菌株の実験室ストックまたは細菌細胞バンクから得ることができる。例えば、便細菌叢(例えば、本明細書で記載の方法を用いて便試料から精製された)を、本明細書で記載の医薬組成物中に組み込まれる細菌分離株の供給源として使用できる。特定の実施形態では、便試料の便細菌叢の全てまたは一部は、固体培地基材上で培養され、1種または複数の細菌分離株は、単一コロニーとして特定される。他の実施形態では、便細菌叢の全てまたは一部は、液体培養物中に接種されて、その後系列希釈されて細菌分離株の単一細胞を含む培養物を産生する、混合細菌培養物を産生し得る。いくつかの実施形態では、特定された細菌分離株はその後、既知の技術を使用して培養および増殖され得る(例えば、固体または液体培地中で)。菌株を分離、精製、および/または培養するための方法は、Sadowsky et al.,国際公開第2012/122478号に記載され、さらにBorody et al.,国際公開第2012/016287号に記載される。これらの国際公開特許のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0198】
未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物
一態様では、本明細書の医薬組成物は、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含む。例えば、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、実質的に完全な便細菌叢(例えば、健康なヒトドナーから精製された)を含み得る。
【0199】
いくつかの実施形態では、本明細書で使われる便細菌叢の調製物、または未培養糞便細菌の調製物の製造は、エタノール処理、洗浄剤処理、熱処理、照射および超音波処理からなる群より選択される処理を含む。別の態様では、本明細書で使われる便細菌叢の調製物または未培養糞便細菌の調製物の製造は、エタノール処理、洗剤処理、加熱処理、照射、および超音波処理からなる群から選択される処理を含まない。一態様では、本明細書で使用される便細菌叢の調製物、または未培養糞便細菌の調製物の製造は、密度勾配、ろ過(例えば、ふるい、ナイロンメッシュ)、およびクロマトグラフィーからなる群から選択される分離ステップを含む。別の態様では、本明細書で使用される便細菌叢の調製物、または未培養糞便細菌の調製物の製造は、密度勾配、ろ過(例えば、ふるい、ナイロンメッシュ)、およびクロマトグラフィーからなる群から選択される分離ステップを含まない。別の態様では、本明細書で使用される便細菌叢、または未培養糞便細菌の調製物は、ドナーの全便細菌叢を含む。別の態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、便細菌叢のドナー由来の真核細胞を実質的に含まない、便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含む。
【0200】
別の態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含み、本明細書で記載の1種または複数の細菌分離株を用いて、さらに補充、添加、または強化される。一態様では、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物に、表1で与えられる細菌分離株が添加される。一態様では、未培養便細菌叢、または未培養糞便細菌の調製物は、Clostridium属、Collinsella属、Dorea属、Ruminococcus属、Coprococcus属、Prevotella属、Veillonella属、Bacteroides属、Baccillus属、またはそれらの組み合わせの非病原性(または病原性弱毒化)細菌で補充される。別の態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含み、Veillonellaceae科、Firmicutes門、Gammaproteobacteria綱、Bacteroidetes門の種、またはこれらの組み合わせを用いて、さらに補充、添加、または強化される。別の態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含み、糞便細菌胞子を用いてさらに補充される。一態様では、糞便細菌胞子は、Clostridium胞子、Bacillus胞子、または両方である。
【0201】
ある態様では、医薬組成物は、ヒト、ウシ、乳用子牛、反芻動物、ヒツジ、ヤギ、またはシカからなる群より選択される対象からの未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含む。別の態様では、治療用組成物は、ヒト、ウシ、乳用子牛、反芻動物、ヒツジ、ヤギ、またはシカからなる群より選択される対象に投与できる。ある態様では、医薬組成物は、実質的に、またはほぼ無臭である。
【0202】
ある態様では、本明細書で提供または投与される医薬組成物は、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1.0以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.7以上、1.8以上、1.9以上、2.0以上、2.1以上、2.2以上、2.3以上、2.4以上、2.5以上、3.0以上、3.1以上、3.2以上、3.3以上、3.4以上、3.5以上、3.6以上、3.7以上、3.8以上、3.9以上、4.0以上、4.1以上、4.2以上、4.3以上、4.4以上、4.5以上、または5.0以上のシャノンの多様度指数を含む未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含む。別の態様では、医薬組成物は、0.1~3.0、0.1~2.5、0.1~2.4、0.1~2.3、0.1~2.2、0.1~2.1、0.1~2.0、0.4~2.5、0.4~3.0、0.5~5.0、0.7~5.0、0.9~5.0、1.1~5.0、1.3~5.0、1.5~5.0、1.7~5.0、1.9~5.0、2.1~5.0、2.3~5.0、2.5~5.0、2.7~5.0、2.9~5.0、3.1~5.0、3.3~5.0、3.5~5.0、3.7~5.0、31.9~5.0、または4.1~5.0のShannon多様度指数を含む便微生物叢を含む。一態様では、Shannon多様度指数は、門レベルで計算される。別の態様では、Shannon多様度指数は、科レベルで計算される。一態様では、Shannon多様度指数は、属レベルで計算される。別の態様では、Shannon多様度指数は、種レベルで計算される。さらなる態様では、医薬組成物は、健康なヒト糞便細菌叢に類似する比例含量で細菌叢の調製物を含む。
【0203】
さらなる態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10種の異なる科に由来する糞便細菌を含む。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20種の異なる科に由来する糞便細菌を含む。さらに別の態様では、医薬組成物は、少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30種の異なる科に由来する糞便細菌を含む。さらなる態様では、医薬組成物は、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40種の異なる科に由来する糞便細菌を含む。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50種の異なる科に由来する糞便細菌を含む。別の態様では、医薬組成物は、1~10、10~20、20~30、30~40、40~50種の異なる科に由来する糞便細菌を含む。ある態様では、本明細書で提供または投与される医薬組成物は、生体物質の重量当たり、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%以下の重量の非生物を含む未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含む。別の態様では、本明細書で提供または投与される医薬組成物は、生体物質の重量当たり、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の重量の非生物を含む未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含む。別の態様では、本明細書で提供または投与される医薬組成物は、2.0mm、1.0mm、0.5mm、0.33mm、0.25mm、0.212mm、0.180mm、0.150mm、0.125mm、0.106mm、0.090mm、0.075mm、0.063mm、0.053mm、0.045mm、0.038mm、0.032mm、0.025mm、0.020mm、0.01mm、または0.002mmのふるい、排除、または粒子フィルターサイズを有する、ふるい、カラム、または同様のフィルタリング装置を通過した、糞便試料の非生物および/または生体物質の粒子を含む、それらからなり、または基本的にそれらからなる。「非生物」は、処理された糞便物質に添加される、賦形剤、例えば、凍結保護物質などの薬学的に不活性な物質を含まない。「生体物質」は、糞便物質中の生体を構成する物質を指し、原核細胞などの微生物、例えば、細菌および古細菌(例えば、生きた原核細胞および胞子形成して生きた原核細胞になり得る胞子)、真核細胞、例えば、原虫および真菌、ならびにウィルスを含む。一実施形態では、「生体物質」は、健康なヒトの結腸に存在する、生体を構成する物質、例えば、微生物、真核細胞、およびウィルスを指す。ある態様では、本明細書で提供または投与される医薬組成物は、ヒト便の抽出物を含み、組成物は実質的に無臭である。ある態様では、本明細書で提供または投与される医薬組成物は、凍結乾燥した、粗製の、半精製の、または精製した製剤中の、糞便物質、または糞便細菌叢の調製物を含む。
【0204】
ある態様では、医薬組成物中の未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、高度に純化されたまたは精製された糞便細菌叢を含み、例えば、非細菌叢の糞便物質を実質的に含まない。ある態様では、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、例えば、精密濾過を受けるために、ふるい分けの前、その後、またはその前後に、さらに処理されることがある。別の態様では、高度に精製された便細菌叢生成物は、限外濾過されて、大きな分子を除去するが、治療用ミクロフローラ、例えば、細菌を保持する。
【0205】
別の態様では、本明細書で使用される医薬組成物中の未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、Sadowsky et al.,国際公開第2012/122478A1号に記載されるように、またはBorody et al.,国際公開第2012/016287A2号に記載されるように、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、もしくは99.9%分離されているかまたは純粋であるか、または、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、もしくは1.0%もしくはそれを越える程度の非糞便細菌叢の物質を有しない、または実質的に分離され、精製された、または実質的に全体の微生物叢である、糞便細菌叢の分離菌である(またはそれを含む)、実質的に分離されたまたは精製された糞便細菌叢または全体の(または実質的に全体の)微生物叢を含むか、基本的にそれらからなる。
【0206】
ある態様では、医薬組成物中の未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、ドナーのほぼ全体の、または非選択的な便細菌叢を含む。別の態様では、医薬組成物中の便細菌叢は、抗生物質耐性集団を含まない。別の態様では、医薬組成物は、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含み、外来の物質(例えば、残存繊維、DNA、RNA、ウィルスコーティング材料、生育不能物質などの無細胞物質を含む無生物、および糞便のドナー由来の真核細胞などの生物)をほとんど含まない。
【0207】
ある態様では、医薬組成物中の未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、ヒトドナーの疾患スクリーニング便試料由来である。ある態様では、便試料は、抗生物質耐性集団を含まない。例えば、糞便組成物は、抗生物質耐性集団を含まない健康なヒトの糞便細菌叢に、比例した含量で、類似し得る、生存可能な細菌叢の調製物を含み得る。細菌叢中の好適な微生物は、以下から選択され得る:Bacteroides属、Eubacterium属、Fusobacterium属、Propionibacterium属、Lactobacillus属、Ruminococcus属、Escherichia coli、Gemmiger属、Clostridium属、Desulfomonas属、Peptostreptococcus属、Bifidobacterium属、Collinsella属、Coprococcus属、Dorea属、およびRuminococcus属。
【0208】
ある態様では、本明細書で開示される治療に使用される医薬組成物は、無菌糞便濾液または非細胞糞便濾液を含む。一態様では、無菌糞便濾液は、ドナーの便由来である。別の態様では、無菌糞便濾液は、培養微生物由来である。別の態様では、無菌糞便濾液は、非細胞の非粒子の糞便成分を含む。一態様では、無菌糞便濾液は、2014年5月30日公開の国際公開第2014/078911号に記載のように作製される。別の態様では、無菌糞便濾液は、Ott et al.,Gastroenterology 152:799-911(2017)に記載のように作製される。
【0209】
一態様では、糞便濾液は、分泌された、排出された、もしくはさもなければ液体の成分または微生物叢、例えば、抗生物質または抗炎症剤であってよい、生物活性分子(BAM)を含み、これらは細菌叢抽出物中に保存され、保持され、または再構成される。
【0210】
一態様では、糞便の濾液を含む代表的医薬組成物は、所定のドナープールからのドナー由来の出発物質を含み、このドナーは、遠心分離され、その後、例えば金属ふるいもしくはMilliporeフィルターのいずれか、または同等物を用いる非常に高いレベルの濾過法を用いて濾過されて、最終的に、細菌起源の細胞、例えば、直径約5マイクロメートル未満の細胞のみが残ることを可能にする、便を提供する。初期の遠心分離の後、固体物質を液体から分離でき、固体を次いで、例えば、Millipore濾過を用いる、および任意選択でナノ膜フィルタリングの使用も含む、サイズ漸減ふるいおよびタンジェンシャルフィルターで濾過する。フィルタリングは、国際公開第2012/122478号に記載されるようなふるいによって、実施することもできるが、その一方で、0.0120mmより小さく、約0.0110mmまでサイズが漸減するふるいを用いることもでき、これは最終的に、細菌細胞のみを有することをもたらす。
【0211】
遠心分離中に分離された上清を、順次濾過(例えば、Millipore濾過または同等物で)して、約0.22ミクロンのフィルターを通して精密濾過された液体を得られる。これは、細菌およびウィルスなどの全ての生物を含む全ての粒子状物質を除去する。生成物はこのように無菌であるが、目的は、ツリシン(ドナーの便中の桿菌により分泌される)、バクテリオシン(コリシン、トロウデュリキシン(troudulixine)、プタインディシン(putaindicine)、またはミクロシンまたはサブチロシンAを含む)、ランティビオティクス(Lantibiotics)(ナイシン、スブチリン、エピデルミン、ミュータシン、メルサシジン、アクタガルジン、およびシンナマイシンを含む)、ラクチシンおよび他の抗菌性または抗炎症性化合物を含む、それらの分泌物、特に抗菌性バクテリオシン、細菌由来のサイトカイン様産物、および、全ての随伴する生物活性分子(BAM)を維持すること以外に細菌を除去することである。
【0212】
一態様では、本明細書で使用される医薬組成物は、精製された便細菌叢および非細胞の糞便濾液の組み合わせから基本的になる再構成された糞便細菌叢を含む。別の態様では、本明細書で使用される医薬組成物は、1種または複数の非細胞、非粒子の糞便成分を補充された精製便細菌叢を含む。一態様では、本明細書で使用される医薬組成物は、1種または複数の非細胞、非粒子の糞便成分を含む。一態様では、1種または複数の非細胞、非粒子の糞便成分は、合成分子、糞便微生物により産生される生物活性分子、またはそれらの両方を含む。別の態様では、1種または複数の非細胞、非粒子の糞便成分は、生物活性タンパク質またはペプチド、微量栄養素、脂肪、糖、低分子炭水化物、微量元素、鉱酸塩、灰分、粘液、アミノ酸、栄養素、ビタミン、ミネラル、またはそれらの任意の組み合わせを含む。一態様では、1種または複数の非細胞、非粒子の糞便成分は、バクテリオシン、ランバイオティクス、およびラクチシンからなる群から選択される1種または複数の生物活性成分を含む。別の態様では、1種または複数の非細胞、非粒子の糞便成分は、コリシン、トロウドゥリキシン、プタインディシン、ミクロシン、およびサブチロシンAからなる群から選択される1種または複数のバクテリオシンを含む。一態様では、1種または複数の非細胞、非粒子の糞便成分は、ツリシン、ナイシン、スブチリン、エピデルミン、ミュータシン、メルサシジン、アクタガルジン、およびシンナマイシンからなる群から選択される、1種または複数のランバイオティクスを含む。別の態様では、1種または複数の非細胞、非粒子の糞便成分は、抗胞子化合物、抗菌性化合物、抗炎症性化合物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。さらなる態様では、1種または複数の非細胞、非粒子の糞便成分は、インターロイキン、サイトカイン、ロイコトリエン、エイコサノイド、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0213】
別の態様では、本明細書において提供される治療方法は、両方の糞便場細菌細胞、例えば、ヒト消化管微生物叢の部分的または完全な再現物と、細菌叢(微生物叢)の分離された、加工された、濾過された、濃縮された、再構成された、および/または人工的な液体成分( 例えば、糞便濾液)とを含み、それは、他の成分の中でとりわけ、例えば、バクテリオシン(コリシン、トロウドゥリキシン、プタインディシン、またはミクロシンまたはサブチロシンAを含む細菌により産生されるタンパク質性毒素)、ランバイオティクス(ツリシン(ドナーの便中の桿菌により分泌される)、ナイシン、スブチリン、エピデルミン、ミュータシン、メルサシジン、アクタガルジン、およびシンナマイシンを含む、特徴的な多環式チオエーテルアミノ酸、ランチオニンまたはメチルランチオニン、および不飽和アミノ酸デヒドロアラニンおよび2-アミノイソブチル酸を含むペプチド抗生物質の部類である)、ラクチシン(ポア形成ペプチド毒素のファミリー)、および糞便の細菌または他の微生物により産生される他の抗菌性または抗炎症性化合物、および/または追加の生物活性成分(BAM)、ならびに/または「微生物叢」の「液体成分」中に見出されるものを含む。
【0214】
一態様では、糞便細菌に基づく医薬組成物は、糞便非細胞濾液に基づく医薬組成物と同時に使用される。別の態様では、患者は、第2の糞便細菌に基づく医薬組成物を投薬される前に、第1の糞便非細胞濾液に基づく医薬組成物により治療され、逆もまた同じである。さらなる態様では、治療方法は、3つのステップを含む:第1に、感染性病原体を非選択的に除去するための抗生物質前治療ステップ、第2に、選択された感染性病原体をさらに抑制するための糞便非細胞濾液に基づく処理ステップ、および第3に、機能性の腸管マイクロバイオームを再確立するための糞便細菌に基づく医薬組成物を患者に投与するステップ。
【0215】
ある態様では、治療方法は、腸内菌共生バランス失調に関連する治癒、症状の低減、または障害の症状の一定の割合の低減をもたらす。細菌叢の変化は可能な限り「ほぼ完全」であってよく、細菌叢は、全ての残存する元の細菌叢を押しのける生存可能な生物により置き換えられる。典型的には,腸内細菌叢における変化は、消化系中への一連の所定の細菌叢の導入を含み、したがって、ある態様では、治療の方法は、このような治療を必要とする患者における病原性の腸内細菌叢を実質的に、または完全に置き換えることを含む。
【0216】
ある態様では、医薬組成物中に組み込むための未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、Clostridium absonum、Clostridium argentinense、Clostridium baratii、Clostridium botulinum、Clostridium cadaveris、Clostridium carnis、Clostridium celatum、Clostridium chauvoei、Clostridium clostridioforme、Clostridium cochlearium、Clostridium fallax、Clostridium felsineum、Clostridium ghonii、Clostridium glycolicum、Clostridium haemolyticum、Clostridium hastiforme、Clostridium histolyticum、Clostridium indolis、Clostridium irregulare、Clostridium limosum、Clostridium malenominatum、Clostridium novyi、Clostridium oroticum、Clostridium paraputrificum、Clostridium perfringens、Clostridium piliforme、Clostridium putrefaciens、Clostridium putrificum、Clostridium sardiniense、Clostridium sartagoforme、Clostridium scindens、Clostridium septicum、Clostridium sordellii、Clostridium sphenoides、Clostridium spiroforme、Clostridium sporogenes、Clostridium subterminale、Clostridium symbiosum、Clostridium tertium、Clostridium tetani、Clostridium welchii、およびClostridium villosumからなる群より選択される1種以上、2種以上、3種以上、4種以上のClostridium種の非病原性胞子を含む。
【0217】
ある態様では、医薬組成物中に組み込むための未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、精製された、分離された、または培養された生存可能な非病原性のClostridium属と、Collinsella属、Coprococcus属、Dorea属、Eubacterium属、およびRuminococcus属からなる群より選択される1種または複数の属由来の、精製された、分離された、または培養された生存可能な複数の非病原性微生物とを含む。別の態様では、医薬組成物は、Clostridium属、Collinsella属、Coprococcus属、Dorea属、Eubacterium属、およびRuminococcus属からなる群より選択される1種または複数の属由来の、精製された、分離された、または培養された生存可能な複数の非病原性微生物を含む。
【0218】
ある態様では、医薬組成物中に組み込むための未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、Collinsella属、Coprococcus属、Dorea属、Eubacterium属、およびRuminococcus属からなる群より選択される2種以上の属を含む。別の態様では、医薬組成物は、Coprococcus属、Dorea属、Eubacterium属、およびRuminococcus属からなる群から選択される2種以上の属を含む。さらなる態様では、医薬組成物は、Coprococcus catus、Coprococcus comes、Dorea longicatena、Eubacterium eligens、Eubacterium hadrum、Eubacterium hallii、Eubacterium rectale、およびRuminococcus torquesからなる群から選択される1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、または5種以上の種を含む。
【0219】
一態様では、本明細書で記載の医薬組成物に組み込むための未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、少なくとも約10、10、10、10、10、1010、1011、1012、もしくは1013cfuまたは総細胞数を含む。別の態様では、医薬組成物は、最大で約10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013もしくは1014cfuまたは総細胞数を含む。
【0220】
別の態様では、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物は、少なくとも約10、10、10、10、10、1010、1011、1012、もしくは1013個の細胞または総細胞数を含む。別の態様では、医薬組成物は、最大で約10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013もしくは1014個の細胞または総細胞数を含む。
【0221】
便からの細菌の抽出および精製
本明細書で記載の医薬組成物は、ドナー、例えば、健康なヒトドナーの便試料由来の微生物、例えば、細菌を含み得る。ある態様では、組成物は、便試料の便細菌叢の全てまたは一部を組み込む。例えば、組成物は、健康なヒトドナーの便試料の実質的に完全な便細菌叢を組み込んでよい。ある態様では、組成物は、便細菌叢の細菌分離株を組み込み、細菌分離株は、便細菌叢の全てまたは一部から精製および/または培養されている。便試料由来の便細菌叢の抽出および/または精製は、このように行われて、便細菌叢(例えば、実質的に完全便細菌叢)または細菌分離株の少なくとも1種を含む組成物を調製する。
【0222】
一態様では、本明細書で記載の組成物の調製で使用するための代表的便細菌叢は、ヒトドナー由来の出発物質を含む。別の態様では、代表的便細菌叢は、1種または複数の健康なヒトドナー由来の物質を含む。さらに別の態様では、代表的便細菌叢は、既知の所定のドナーのプール由来の出発物質を含む。別の態様では、ドナーは、成人男性である。別の態様では、ドナーは、成人女性である。さらに別の態様では、ドナーは、青年男性である。別の態様では、ドナーは、青年女性である。別の態様では、ドナーは、女性幼児である。別の態様では、ドナーは、男性幼児である。別の態様では、ドナーは、健康である。一態様では、ヒトドナーは、約18、15、12、10、8、6、4、3、2、または1歳未満の子供である。別の態様では、ヒトドナーは、高齢者である。さらなる態様では、ヒトドナーは、約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95歳を超えるヒトである。別の態様では、ドナーは、約1~5、2~10、3~18、21~50、21~40、21~30、50~90、60~90、70~90、60~80、または65~75歳である。一態様では、ドナーは、前期高齢者(65~74歳)である。一態様では、ドナーは、中期高齢者(75~84歳)である。一態様では、患者は後期高齢者(>85歳)である。さらに別の態様では、ドナーは、注意深くスクリーニングされた、健康で神経学的機能が正常なヒトである。
【0223】
ある態様では、注意深くスクリーニングされたドナーは、完全病歴検査および身体検査を受ける。ドナーは、感染病原体のリスクがある場合には除外される。追加の除外基準は、下記を含む:
1.B、C型肝炎またはHIVウィルスによる既知の感染
2.時期に関係なく、HIVまたはウィルス性肝炎への既知の曝露
3.薬物またはお金のための性交渉、同性との性交渉のある男性、直近12ヶ月中の2人以上の相手との性交渉、静脈内薬物または鼻腔内のコカインの何らかの過去の使用、嵌頓症の病歴、を含む高リスク行動。
4.12か月以内の入れ墨、ボディピアッシング。
5.旅行者の下痢のリスクがUSより高い世界の地域への旅行。
6.流行中の伝染病、例えば、上気道ウィルス感染症。
7.過敏性腸症候群の病歴。具体的症状は、高頻度の腹部疝痛、過剰ガス、鼓腸、腹部膨満、腹部膨満、便意切迫、下痢、便秘を含み得る。
8.クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎などの炎症性腸疾患の病歴。
9.慢性下痢。
10.慢性便秘または下剤の使用。
11.胃腸悪性腫瘍または既知の結腸ポリープ症。
12.なんらかの腹部手術、例えば、胃バイパス、腸切除、虫垂切除術、胆嚢摘出、などの病歴。
13.消化調節の目的のための潜在的ドナーにより使用されるプロバイオティクスまたは任意の他の店頭助剤。ヨーグルトおよび馬乳酒製品は、栄養サプリメントではなく食品としてただ摂取されるならば許容される。
14.6週間以内での何らかの適応症のための抗生物質。
15.何らかの処方免疫抑制薬または抗悪性腫瘍薬。
16.既発のまたは新たに出現した代謝症候群。ここでの定義に使用される基準は、いずれかの確立された判定基準より厳格である。これらは、高血圧の病歴、糖尿病またはグルコース不耐性の病歴を含む。
17.既知の全身性自己免疫疾患、例えば、結合組織疾患、多発性硬化症
18.喘息または湿疹を含む既知のアトピー性疾患。
19.線維筋痛症、慢性疲労症候群を含む慢性疼痛症候群。
20.吸入器または局所クリームおよび軟膏を含む進行中の(間欠的であっても)何らかの処方薬物の使用。
21.自閉症、パーキンソン病を含む神経疾患、神経発達疾患、および神経変性疾患。
22.一般。肥満度指数>26kg/m2、ウエスト:ヒップ比(waist:hip ratio)>0.85(男性)、>0.80(女性)により定義される中心性肥満。
23.血圧>135mmHg(収縮期)、>85mmHg(弛緩期)。
24.皮膚-発疹、一年以内に配置された入れ墨またはボディピアッシング、または黄疸の存在。
25.肥大化リンパ節。
26.聴診時の喘鳴。
27.肝疾患の肝腫大または出血斑。
28.膨潤または圧痛関節。筋力低下。
29.異常神経学的検査。
30.PCRで試験される陽性便Clostridium difficile毒素B。
31.Salmonella属、Shigella属、Yersinia属、Campylobacter属、E.coli 0157:H7を含むいずれかの通例の病原体に対する陽性便培養物。
32.異常なovaおよび寄生生物試験。
33.陽性のジアルジア、クリプトスポリジウム、またはヘリコバクター・ピロリ抗原。
34.HIV-1および2型、ウィルス性肝炎A IgM、肝炎表面抗原およびコアAbを含む、何らかのウィルス性疾病に対する陽性スクリーニング。
35.異常RPR(梅毒スクリーニング)。
36.アルカリフォスファターゼ、アスパラギン酸アミントランスアミナーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼを含む、何らかの異常肝臓機能試験。
37.高血清トリグリセリド>150mg/Dl
38.HDLコレステロール<40mg/dL(男性)、<50mg/dL(女性)
39.高感度CRP>2.4mg/L
40.高い空腹時血糖値(>100mg/dL)
【0224】
本発明の態様は、治療のための細菌分離株を調製する方法であり、方法は、(i)(a)健康な対象群、(b)胃腸疾患または障害の患者群、および(c)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後に胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解を有する患者群、由来の糞便物質からの細菌の調製物を用意すること、(ii)細菌の調製物由来の16S rRNA配列を分析すること、および(iii)(a)胃腸疾患または障害の患者群に比べて健康な対象群で豊富である;および/または(b)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する、細菌の調製物由来の菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含むヒトドナーの便由来の細菌分離株を分離すること、を含み、細菌分離株の横断結合p値は、1x10-14未満である。
【0225】
いくつかの実施形態では、胃腸疾患または障害の患者群に比べて健康な対象群で豊富な菌株は、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Alistipes onderdonkii、Faecalibacterium prausnitzii、Eubacterium rectale、Blautia obeum、Bacteroides uniformis、Bacteroides vulgatus、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes finegoldii、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Phascolarctobacterium faecium、Subdoligranulum variabile、Blautia sp.、Alistipes putredinis、Alistipes putredinis、Alistipes putredinis、およびこれらの任意の2種以上から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸疾患または障害の患者群に比べて健康な対象群で豊富な菌株は、配列番号1、2、3、4、7、8、9、11、12、14、15、16、18、20、21、22、23、34、35、36、および37から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、Odoribacter splanchnicusおよびAlistipes shahiiの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、細菌分離株は、配列番号2および配列番号18のヌクレオチド配列と少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、菌株の16S rRNA配列と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する菌株は、Alistipes finegoldiiを含むが、Alistipes shahiiまたはAlistipes putredinisを含まない;またはAlistipes putredinisを含むが、Alistipes shahiiまたはAlistipes finegoldiiを含まない。いくつかの実施形態では、便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する菌株は、配列番号15のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含むが、配列番号18、35、36または37から選択されるヌクレオチド配列を含まない;または配列番号35~37から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を有するが、配列番号15および18から選択されるヌクレオチド配列を含まない。
【0229】
いくつかの実施形態では、方法は、(iv)ヒト糞便試料由来の複数の細菌分離株を用意すること;および(v)(a)真核細胞集団をヒト由来細菌分離株と接触させること、(b)真核細胞集団中のサイトカインのレベルを測定すること、および(c)真核細胞集団のサイトカインのレベルの調節をできる細菌分離株を選択すること、を含む機能アッセイを実施することにより第2の治療のための細菌分離株を分離することをさらに含む。いくつかの実施形態では、真核細胞集団は、PBMC集団を含む。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-10、GM-CSF、IFNγ、TNFα、IL-23、およびIL-12から選択される。
【0230】
いくつかの実施形態では、第2の細菌分離株は、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Subdoligranulum variabile、Bacteroides uniformis、およびこれらの任意の2種以上から選択される。いくつかの実施形態では、複数の細菌分離株は、配列番号1、2、3、7、11、16、18、20、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0231】
本発明の態様は、第1と第2の細菌分離株を含む微生物混合物を調製する方法であり、方法は、(i)ヒト便から複数の細菌分離株を分離すること;(ii)(a)真核細胞集団を細菌分離株と接触させること、(b)IL-10:IL-12比およびIL-10:TNFα比を測定すること、および(c)真核細胞とインキュベートした場合に少なくとも約50:1のIL-10:IL-12比または少なくとも約1:1のIL-10:TNFα比を誘導できる細菌分離株を第1の細菌分離株として特定すること、を含む第1の機能アッセイを実施すること;(iii)(a)細菌分離株により産生された短鎖脂肪酸(SCFA)のレベルを測定すること、および(b)少なくとも約10mMの濃度でSCFAを産生する細菌分離株を第2の細菌分離株として特定すること、を含む第2の機能アッセイを実施すること、および(iV)第1と第2の細菌分離株を混合して微生物混合物を生成すること、を含む。
【0232】
いくつかの実施形態では、第1の細菌分離株は、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Bacteroides uniformis、Bacteroides vulgatus、Coprococcus comes、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Subdoligranulum variabile、およびこれらの任意の2種以上から選択される。いくつかの実施形態では、第1の細菌分離株は、配列番号1、2、3、7、11、12、16、17、18、20、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、真核細胞集団は、PBMC集団を含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、SCFAは、酢酸、酪酸、カプロン酸、ギ酸、ヘプタン酸、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソ吉草酸、プロピオン酸、吉草酸、およびこれらの任意の2種以上から選択される。いくつかの実施形態では、SCFAは、酪酸である。いくつかの実施形態では、第2の細菌分離株は、Odoribacter splanchnicus、Eubacterium rectale、Coprococcus comes、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、Anaerostipes hadrus、Subdoligranulum variabile、およびこれらの任意の2種以上から選択される。いくつかの実施形態では、第2の細菌分離株は、配列番号1、2、3、7、8、17、19、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、方法は、(i)(a)健康な対象群、(b)胃腸疾患または障害の患者群、および(c)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後に胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解を有する患者群、の糞便物質からの細菌の調製物由来の16S rRNA配列を分析すること、および(ii)(a)胃腸疾患または障害の患者群に比べて健康な対象群で豊富である;および/または(b)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の胃腸疾患または障害の1種または複数の症状の臨床的寛解と相関する、細菌の調製物由来の菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含むヒトドナーの便由来の細菌分離株を第3の細菌分離株として分離すること、により微生物混合物中への組み込みのために、第3の細菌分離株を分離することをさらに含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、第3の細菌分離株は、菌株の16S rRNA配列と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を含む。
【0236】
本明細書で開示のいずれかの実施形態では、胃腸疾患または障害は、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、C.difficile感染症(CDI)、C.difficile関連疾患(CDAD)、抗生物質誘発性有害作用から選択され得る。いくつかの実施形態では、IBDは、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)、および回腸嚢炎の1種または複数から選択される。いくつかの実施形態では、胃腸疾患または障害は、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、C.difficile感染症(CDI)、C.difficile関連疾患(CDAD)、抗生物質誘発性有害作用から選択される。いくつかの実施形態では、IBDは、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)、および回腸嚢炎の1種または複数から選択される。
【0237】
一態様では、本明細書で提供されるのは、糞便細菌叢(例えば、全体(または実質的に全体)微生物叢)を調製するための方法であり、1人または複数の健康な(例えば、スクリーニングされた)ドナーからの収集を最初に含む。一態様では、新しい便が便採集器具を介して輸送され、この器具は、適宜無酸素(または実質的に無酸素)の適切な容器を提供または含み得る。一態様では、容器は、例えば、酸素除去メカニズム(例えば、米国特許第7,541,091号に記載のような、例えば酸素除去ペレット)を容器に組み込むこと、またはクリップで留めることにより、無酸素に作製され得る。別の態様では、容器自体が、酸素除去物質(例えば、O2BLOCK(商標)または同等物により特徴付けられるような酸素除去鉄)で作製され、これは、精製または変性された層状粘土を、酸素除去鉄の性能増強担体として使用し、活性な鉄が、ポリマー中に直接分散される。一態様では、酸素除去ポリマーは、例えば、酸素除去活性を示す、1種以上の不飽和オレフィンホモポリマーもしくはコポリマー、1種または複数のポリアミドホモポリマーもしくはコポリマー、1種以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマーまたはコポリマーを有するポリマーブレンドを記載する、米国特許出願公開第20110045222号に記載されるように、容器自体を作製するために、または容器をコートするために、または添加されるペレットとして使用される。一態様では、酸素除去ポリマーは、例えば、ポリエステル、コポリエステルエーテル、および酸化触媒を含み、コポリエステルエーテルが、ポリ(テトラメチレン-コ-アルキレンエーテル)を含むポリエーテルセグメントを含む、組成物を記載する米国特許出願公開第20110008554号に記載されるように、容器自体を作製するか、または容器をコートするために、または添加されるペレットとして使用される。一態様では、酸素除去ポリマーは、例えば、ポリマーマトリックス中に分散した鉄/塩粒子、および酸素除去粒子を有する酸素除去フィルムを記載する、米国特許出願公開第201000255231号に記載されるように、容器自体を作製するために、または容器をコートするために、または添加されるペレットとして使用される。
【0238】
あるいは、酸素除去機序に加えてまたはそれに代えて、容器中の空気を、窒素および/または他の不活性な非反応性ガスで置換(完全にまたは実質的に)できる。一態様では、容器は、部分的に、実質的にまたは完全に嫌気性環境を模擬(作成)する。
【0239】
一態様では、便(例えば、糞便試料)は、漏れも臭気もなくさらに嫌気性環境を維持する、審美的に許容可能な、容器中に保持される。一態様では、容器は、糞便細菌叢を受け取る前に、無菌である。
【0240】
一態様では、本明細書で提供される便試料は、その輸送および/または例えば、「便バンク」で貯蔵の大部分または全部の期間中、室温で維持される。例えば、「便処理バンク(processing stool bank)」に送達されると、それは、周囲温度で、例えば、室温で貯蔵される。一態様では、グリセロールなどの安定化剤が、回収されたおよび/または貯蔵される物質に添加される。
【0241】
一態様では、便は、上述の種々の病原体について試験される。一態様では、感染性薬剤を除去すると、便試料は、ホモジナイズされ、濾過されて大きな粒子の物質を除去する。一態様では、便は、例えば、5cc~3リットル以上であり得る所望の体積に細分される。例えば、一態様では、容器は、50グラム(g)の便を含み、これは、適切な酸素耐性プラスチック、例えば、金属化ポリエチレンテレフタレートポリエステルフィルム、または金属化マイラー(商標)中に保持されてよい。
【0242】
一態様では、便は、例えば、混合、かき混ぜ、撹拌または振盪によるホモジナイゼーションに供される。特定の態様では、便試料は、ホモジナイゼーションの前に、ホモジナイゼーション緩衝液で希釈される。ホモジナイゼーション緩衝液は、例えば、凍結保護物質(例えば、トレハロース)、抗酸化剤または還元剤(例えば、システイン)、および緩衝液(例えば、pH7.4で0.25X PBS)を含み得る。
【0243】
一態様では、便細菌叢から非細菌成分を分離するために、便は、粗い粒子状物質からホモジナイズおよび濾過されてよい。一態様では、顕微鏡的繊維/無生物がその後、細菌から分離される。例えば、典型的な細菌サイズまへと漸減的に小さくなる、フィルターサイズによる、例えば、反復濾過を含む、いくつかの方法が使用できる。
【0244】
一態様では、異なるフィルターを使用して、またはガーゼを用いて濾過する簡単な技術用いる、Williamsの国際公開第WO2011/033310A1号により使用された技術を使用して、細菌種を分離する。
【0245】
一態様では、全体の便を濾過するための濾過手順を適切に使用して、ほぼ100%の最高細菌濃度に達する。一態様では、濾過手順は、初期清澄化のためにグラスファイバーデプスフィルターを適切に使用する2段階手順である。一態様では、便は、陽圧下で濾過される。一態様では、これは、30ミクロンのPVDFフィルターとの組み合わせまたはサンドイッチ構造を使用するであろう。一態様では、このサンドイッチ法は、陽圧下で生成物を濾過する。後に、膜濃縮は、一態様では、濾液の体積を減らす別のステップとして使用できる。一態様では、これは、凍結乾燥またはスプレー乾燥の前に、窒素保護下で実施できる。
【0246】
濾過に使用できる代替膜としては、限定されないが、ナイロンフィルター、硝酸セルロースフィルター、ポリエーテルスルホン(PES)フィルター、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター、テフロン(商標)フィルター、混合セルロースエステルフィルター、ポリカーボネートフィルター、ポリプロピレンフィルター、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルターまたは石英フィルターが挙げられる。これらの様々な組み合わせを使用して、固体および液体が除去された高純度の細菌を得ることができる。
【0247】
一態様では、それを必要としている対象は、複数の注意深くスクリーニングされた健康なドナーの便細菌叢を含む医薬組成物を投与される。ある態様では、対象は、一定の投与期間にわたり医薬組成物を投与され、最初の投与は、単一ドナーの便細菌叢を含む少なくとも1種の医薬組成物を含み、かつ医薬組成物の第2の投与は、第1の投与のドナーとは異なる単一ドナーの便細菌叢を含む。別の態様では、第1の投与は、単一ドナーの便細菌叢を含む医薬組成物を含み、かつ第2の投与は、ドナープールの便細菌叢を含む。第1と第2の投与は、対象に対する投与の順番を示すものではなく、むしろ、別のドナー由来の便細菌叢が非混合形態で使用できることを示すものである。
【0248】
別の態様では、本開示は、単一ドナー由来の便細菌叢を含む医薬組成物を含むカプセルを用いてそれを必要としている対象を治療するための方法を提供する。別の態様では、カプセルは、複数のドナー由来の便細菌叢を含む医薬組成物を含む。一態様では、対象は、単一ドナーであるが異なるドナー由来の便細菌叢を含む2つ以上の丸薬を投与される。
【0249】
一態様では、本開示は、経口で、または大腸内視鏡、浣腸を介する注入により、または経鼻空腸チューブを介して、医薬組成物を投与することを含む、それを必要としている対象を治療するための方法を提供する。別の態様では、各投与は、治療期間における前の投与に類似のまたは異なる単一ドナーの便細菌叢を含む医薬組成物を含む。別の態様では、治療期間は、単一ドナーの便細菌叢を含む医薬組成物を含む第1の用量の投与および複数のドナーの便細菌叢を含む医薬組成物を含む第2の用量の投与を含む。
【0250】
医薬組成物、製剤、および投与
本明細書で記載されるのは、種々の製剤中に1種または複数の細菌分離株(および/または追加の治療薬、例えば、実質的に完全な便細菌叢)を含む医薬組成物である。本明細書で記載のいずれかの医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル剤、液体含有カプセル剤、複数粒子含有カプセル剤、散剤、溶液、乳剤、点滴剤、坐剤、乳剤、エアロゾル、噴霧剤、懸濁剤、遅延放出製剤、徐放製剤、制御放出製剤、または使用に適する任意の他の形態をとってよい。
【0251】
医薬組成物を含む製剤は好都合に、単位剤形で提示され得る。例えば、剤形は、1種または複数の補助成分を構成するキャリアと治療薬を結合させるステップを含む方法により調製されてよい。例えば、製剤は、液体キャリア、微粉化固相キャリア、または両方と治療薬を均一に、完全に結合させ、その後、必要に応じ、所望の製剤の剤形に生成物を成形(例えば、湿式または乾式造粒、散剤ブレンド、など、続けて、加圧錠剤化)することにより調製される。
【0252】
別の態様では、医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体と共に提供され得る。本発明で使用する場合、「薬学的に許容可能な担体」は、医薬組成物、例えば、患者に投与可能な剤形の形成を可能にするために生きた細菌と混合される、無毒の溶媒、分散剤、賦形剤、アジュバント、または他の物質を指す。薬学的に許容可能な担体は、液体(例えば生理食塩水)、ゲルもしくは固体形態の希釈剤、アジュバント、賦形剤、または酸耐性カプセル化成分であり得る。好適な希釈剤および賦形剤は、薬学的グレードの生理学的食塩水、デキストロース、グリセロール、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、マグネシウム炭酸塩など、およびそれらの組み合わせを含む。別の態様では、医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、安定化剤またはpH緩衝剤などの補助物質を含み得る。ある態様では、医薬組成物は、約1%~5%、5%~10%、10%~15%、15~20%、20%~25%、25~30%、30~35%、40~45%、50%~55%、1%~95%、2%~95%、5%~95%、10%~95%、15%~95%、20%~95%、25%~95%、30%~95%、35%~95%、40%~95%、45%~95%、50%~95%、55%~95%、60%~95%、65%~95%、70%~95%、45%~95%、80%~95%、または85%~95%の有効成分を含む。ある態様では、医薬組成物は、約2%~70%、5%~60%、10%~50%、15%~40%、20%~30%、25%~60%、30%~60%、または35%~60%の有効成分を含む。
【0253】
ある態様では、医薬組成物は、錠剤、水薬、ボーラス、カプセル、またはプレミックスに組み込まれ得る。これらの活性成分のそのような剤形への製剤化は、医薬製剤の技術分野に周知の方法により達成され得る。例えば、米国特許第4,394,377号を参照されたい。任意の所望の形態の有効成分をゼラチンカプセルに充填することにより、容易にカプセルが製造される。必要に応じ、これらの物質を、糖、デンプン、粉ミルク、精製結晶性セルロールなどの不活性の粉末化希釈剤により希釈して、カプセルを充填する便宜のために容積を増大できる。
【0254】
ある態様では、錠剤などの固体組成物を調製するために、有効成分は、薬学的担体、例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、またはゴムなどの従来の錠剤化成分、他の薬学的希釈剤、例えば水と混合されて、本明細書で記載の均質な混合物を含む固体の予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物を均質であるとして呼ぶとき、有効成分が組成物全体にわたって均等に分散され、それにより組成物が、錠剤、丸剤、およびカプセルなどの同等に効果的な単位剤形へと容易に分割できることを意味する。次いで、この固体の予備処方組成物は、所望量の有効成分(例えば、少なくとも約10、10、10、10、10、1010、1011、1012、または1013cfu)を含む、上述のタイプの単位剤形に細分される。本明細書で使用される医薬組成物は、風味を付けられてよい。
【0255】
一実施形態では、本明細書で記載の1種または複数の細菌分離株(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物は、本明細書で記載の投与方法に適合された組成物として処方される。
【0256】
種々の実施形態では、投与は、経口、静脈内、腹腔内、および非経口経由のいずれか1種である。例えば、投与経路としては、経口、腹腔内、静脈内、筋肉内、または直腸内が挙げられるが、これらに限定されない。種々の実施形態では、医薬組成物の投与は、経口、鼻腔胃、順方向胃腸、逆方向胃腸、内視鏡、または浣腸である。
【0257】
一実施形態では、本明細書で記載の医薬組成物は、経口投与に適合された組成物として処方される。経口送達用の組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、水性または油性懸濁剤、粒剤、散剤、スプリンクル、乳剤、カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤の形態であってよい。経口投与される組成物は、薬学的に美味な製剤を提供するために、1種または複数種の薬剤、例えば、ラクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味料、ペパーミント、冬緑油またはチェリー油などの調味料、着色料および保存剤を含んでよい。さらに、タブレットまたは丸薬形態では、組成物をコートして崩壊を遅延させて、長期間にわたり持続作用を提供できる。本明細書で記載のいずれかの細菌分離株(および/または追加の治療薬)を運ぶ浸透圧的に活性な薬剤を取り囲む選択的透過性膜も、経口投与組成物として好適する。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルの周りの環境からの液体が、運搬化合物により吸収され、この化合物は、膨潤して、開口部を介し薬剤または薬剤組成物を追い出す。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤の急上昇プロファイルとは対照的に、基本的に0次の送達プロファイルを提供できる。グリセロールモノステアレートまたはグリセロールステアレートなどの時間遅延物質も、有用であり得る。経口組成物は、標準的な賦形剤、例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、エタクリル酸およびこれらの誘導体ポリマー、ならびに炭酸マグネシウムを含んでよい。一実施形態では、賦形剤は、医薬品グレードのものである。懸濁剤は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロオキシド、ベントナイト、寒天、トラガント、など、およびこれらの混合物などの沈殿防止剤を含み得る。
【0258】
種々の実施形態では、医薬組成物は、錠剤、ペレット、分散性散剤、顆粒剤、およびカプセル剤などの固形剤形として処方される。一実施形態では、医薬組成物は、カプセルとして処方される。別の実施形態では、医薬組成物は、タブレットとして処方される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、軟質ゲルカプセルとして処方される。さらなる実施形態では、医薬組成物は、ゼラチンカプセルとして処方される。
【0259】
ある態様では、医薬組成物は、適切な希釈剤で再構成され得る浣腸組成物;腸溶コーティングされたカプセル;腸溶コーティングされたマイクロカプセル;酸耐性錠剤;酸耐性カプセル;酸耐性マイクロカプセル;経鼻栄養注入または結腸鏡検査注入のための適切な希釈剤による再構成のための散剤;経口摂取のための適切な希釈剤、香味剤および胃酸分泌抑制剤による再構成のための散剤;食品または飲料による再構成のための散剤;または組成物、散剤、ゼリー、または液剤の腸溶コーティングおよび/または酸耐性マイクロカプセルを含む食品または栄養補助食品、の形態である。
【0260】
種々の実施形態では、製剤は、薬学的に許容可能な担体または賦形剤をさらに含んでよい。当業者ならわかるように、製剤は、所望の用途および投与経路に適する任意の好適な形態であり得る。
【0261】
いくつかの剤形では、本明細書で記載の1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物(例えば、微生物混合物)は、少なくとも1種の不活性の薬学的に許容可能な、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの賦形剤または担体および/または、a)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸、微結晶セルロース、およびBakers Special Sugar、など、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびヒドロキシメチルセルロース、など、c)保水剤、例えば、グリセロール、など、d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋高分子、例えば、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロース)、グリコール酸ナトリウムデンプン、など、e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、など、f)吸収促進剤、例えば、第4級アンモニウム化合物、など、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、など、h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土、など、i)潤滑剤、例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリルベヘネート、など、およびこのような賦形剤の混合物と混合される。当業者なら、特定の賦形剤は経口剤形中で2つ以上の機能を有し得ることを理解するであろう。経口剤形、例えば、カプセルまたは錠剤の場合、剤形は、緩衝剤も含み得る。
【0262】
いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物は、薬学的に許容可能な凍結保護物質、凍結乾燥保護剤、結合剤、崩壊剤、賦形剤、充填剤、および/または防腐剤、酸抑制剤、制酸薬、H2拮抗薬、およびプロトンポンプ阻害剤、またはこれらの組み合わせの1種または複数と組み合わされる。
【0263】
ある態様では、医薬組成物は、胃における細菌の不活化を抑制するための制酸薬などの他の補助剤(例えば、ミランタ、ムカイン、ガストロゲル)と組み合わされる。別の態様では、胃中での酸分泌はまた、H2拮抗薬またはプロトンポンプ阻害剤を使用して薬理学的に抑制され得る。H2拮抗薬の例はラニチジンである。プロトンポンプ阻害剤の例は、オメプラゾールである。一態様では、酸抑制剤は、医薬組成物の投与前に、またはそれとの共投与で投与される。
【0264】
一態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、酸抑制剤、制酸薬、H2拮抗薬、プロトンポンプ阻害剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む。一態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、無生物を実質的に含まない。別の態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、残留繊維、DNA、ウィルスコート物質、および生育不能な物質からなる群から選択される無細胞性物質を実質的に含まない。別の態様では、投与される医薬組成物は、酸抑制剤、制酸薬、H2拮抗薬、プロトンポンプ阻害剤、またはこれらの組み合わせを含まない。さらに別の態様では、投与される医薬組成物は、酸抑制剤を含まない。別の態様では、投与される医薬組成物は、制酸薬を含まない。別の態様では、投与される医薬組成物は、H2拮抗薬を含まない。別の態様では、投与される医薬組成物は、プロトンポンプ阻害剤を含まない。別の態様では、投与される医薬組成物は、メトクロプラミドを含まない。
【0265】
いくつかの実施形態では、細菌混合物は、例えば、それが凍結乾燥細菌細胞/胞子を含む、または無水結合剤、充填剤、および分散剤を含む場合、無水である。あるいは、細菌分離株を含む微生物混合物は、例えば、それが非無水結合剤、充填剤、および分散剤を含む場合、水性である。
【0266】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の細菌混合物は、凍結乾燥に供され得る。本明細書で使用される場合、「凍結乾燥(lyophilization)」または「フリーズドライ(freeze drying)」は、最初にそれを凍結すること、およびその後、その中の氷を真空環境中で昇華させるように促すことによる、物質の乾燥方法を指す。本明細書で開示されるのは、微生物混合物を製造する方法であり、方法は、第1の細菌分離株を純粋培養として培養すること;第2の細菌分離株を純粋培養として培養すること;第1の細菌分離株を凍結乾燥すること;第2の細菌分離株を凍結乾燥すること;および第1と第2の凍結乾燥細菌分離株を微生物混合物中に混合すること、を含む。別の実施形態では、本明細書で開示されるのは、微生物混合物を製造する方法であり、方法は、第1の細菌分離株を純粋培養として培養すること;第2の細菌分離株を純粋培養として培養すること;および第1の細菌分離株を第2の細菌分離株と混合し、微生物混合物を形成すること、を含む。任意選択で、第1と第2の細菌分離株を含む微生物混合物は、凍結乾燥され得る。従って、微生物混合物は、凍結乾燥されてもよく、または凍結乾燥されなくてもよいこと、および凍結乾燥微生物混合物は、細菌分離株を混合する前または後で混合物を形成する細菌分離株を凍結乾燥により産生され得ることが理解されよう。
【0267】
一態様では、細菌混合物は、還元剤および/または抗酸化剤をさらに含む凍結乾燥製剤を含む。特定の実施形態では、還元剤は、D-システインおよびL-システインからなる群より選択されるシステインを含む。別の態様では、システインは、少なくとも約0.025%の濃度である。一態様では、システインは、約0.025%の濃度である。別の態様では、システインは、0.025%の濃度である。別の態様では、システイン以外の還元剤が、代わりに、またはシステインと組み合わせて使用される。ある態様では、別の還元剤は、アスコルビン酸、ナトリウムアスコルベート、チオグリコール酸、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、グルタチオン、メチオニン、チオグリセロール、およびαトコフェロールを含む群から選択される。
【0268】
一態様では、システインは、少なくとも約0.005%、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.015%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.025%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.035%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.045%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.055%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.065%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.075%、少なくとも約0.08%、少なくとも約0.085%、少なくとも約0.09%、少なくとも約0.095%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.12%、少なくとも約0.14%、少なくとも約0.16%、少なくとも約0.18%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.25%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約4%、少なくとも約6%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約12%、少なくとも約14%、少なくとも約16%、少なくとも約18%、少なくとも約20%、少なくとも約22%、少なくとも約24%、または少なくとも約26%の濃度である。
【0269】
いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物は、凍結保護物質または凍結保護物質の混合物を含む。本明細書で使用される場合、「凍結保護物質」は、凍結中に有効成分を保護するために、製剤に加えられる物質を指す。例えば、凍結保護物質は、ポリエチレングリコール、スキムミルク、エリスリトール、アラビトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、アラニン、グリシン、プロリン、スクロース、ラクトース、リボース、トレハロース、ジメチルスルホキシド(DMSO)もしくは同等物、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)もしくは同等物、またはアミノ酸(例えば、アラニン、グリシン、プロリン)を含み得る、これらから基本的になり得る、またはこれらからなり得る。本開示のいくつかの実施形態では、凍結保護物質は、5%スクロース;10%スクロース;10%スキムミルク;2.5%スクロース含有10%トレハロース;2.5%スクロース含有5%トレハロース;5%マンニトール;0.1%ポリソルベート80含有5%マンニトール;10%マンニトール;0.1%ポリソルベート80含有10%マンニトール;5%トレハロース;0.1%ポリソルベート80含有5%トレハロース;10%トレハロース;および0.1%ポリソルベート80含有10%トレハロース、を含む群から選択されてよい。
【0270】
いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物は、凍結乾燥保護剤を含む。本明細書で使用される場合、「凍結乾燥保護剤」は、凍結乾燥(フリーズドライとしても知られる)の段階中に有効成分を保護するために、製剤に加えられる物質を指す。いくつかの実施形態では、同じ物質または同じ物質の組み合わせが、凍結保護物質および凍結乾燥保護剤の両方として使用される。代表的凍結乾燥保護剤としては、スクロースまたはトレハロースなどの糖;一ナトリウムグルタミン酸またはヒスチジンなどのアミノ酸;ベタインなどのメチルアミン;硫酸マグネシウムなどの離液性の塩;三価またはより高い価数の糖アルコールなどのポリオール、例えば、グリセリン、エリスリトール、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトール;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニック、およびこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥保護剤は、トレハロースまたはスクロースなどの非還元糖である。いくつかの実施形態では、凍結保護物質または凍結乾燥保護剤は、このパラグラフまたは上記段落中で挙げた1種または複数の物質から本質的になる、またはそれらからなる。
【0271】
いくつかの実施形態では、凍結保護物質または凍結乾燥保護剤は、細胞内薬剤、例えば、DMSO、グリセロール、またはPEGを含み、これらは、細胞の内側に侵入し、膜破裂を生じ得る氷結晶の形成を防止する。いくつかの実施形態では、凍結保護物質または凍結乾燥保護剤は、細胞外薬剤、例えば、スクロース、トレハロース、またはデキストロースを含み、これらは、細胞膜中に侵入しないが、凍結中に起こる浸透圧アンバランスを改善するように作用する。
【0272】
一態様では、本開示は、少なくとも約12.5%のトレハロースを含む凍結乾燥製剤を含む凍結乾燥糞便微生物調製物を含む医薬組成物を提供する。
【0273】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、トレハロースを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、2%~30%、3%~25%、4%~20%、5%~15%、6%~10%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、または2%~10%のトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、少なくとも2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、または15%のトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、最大で2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、または15%のトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、約5%のトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、トレハロースおよびスクロースを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、約1.5%~3.5%のスクロースおよび約0.5%~1.5%のNaClを含有する約8%~12%のトレハロースを含む。
【0274】
一態様では、凍結乾燥製剤は、少なくとも約5%、少なくとも約7.5%、少なくとも約10%、少なくとも約12.5%、少なくとも約13%、少なくとも約13.5%、少なくとも約14%、少なくとも約14.5%、少なくとも約15%、少なくとも約15.5%、少なくとも約16%、少なくとも約16.5%、少なくとも約17%、少なくとも約17.5%、少なくとも約18%、少なくとも約18.5%、少なくとも約19%、少なくとも約19.5%、少なくとも約20%、少なくとも約22.5%、少なくとも約25%、少なくとも約27.5%、少なくとも約30%、少なくとも約32.5%、少なくとも約35%、少なくとも約37.5%、少なくとも約40%、少なくとも約42.5%、少なくとも約45%、少なくとも約47.5%、少なくとも約50%、少なくとも約52.5%、少なくとも約55%、少なくとも約57.5%、または少なくとも約60%のトレハロースを含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、ここで提供される医薬組成物は、周囲温度以下での少なくとも12週の貯蔵後、再発性または1次のC.diff.感染症、潰瘍性大腸炎、クローン病、および過敏性腸症候群からなる群より選択される1種または複数の障害の治療に有効である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4、8、10、16、20、24、30、40、50、60、70、80または100週の周囲温度以下での貯蔵後に、有効なままである。
【0276】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、凍結乾燥(lyophilized)またはフリーズドライ(freeze dried)されてよく、周囲温度で(例えば、室温)、凍結温度、または約2℃~8℃で貯蔵されてよい。いくつかの実施形態では、フリーズドライは、大部分の細胞を生き残らせ、ゆっくり粉砕して粉末にできる粉末化形態の産物を生成する。粉末、または凍結乾燥またはフリーズドライ組成物はその後、担体、例えば、錠剤、ジェルタブ、丸薬またはカプセル、例えば、腸溶性コートカプセル中に封入されてよく、または摂取用の油充填カプセル中に配置されてよい。あるいは、フリーズドライまたは凍結乾燥生成物、または粉末は、流体、例えば、生理食塩水などの無菌流体、緩衝液、または流体-グルコース-セロビオース寒天(RGCA)培地中で、個体に送達する前に周囲温度で再構成されてよい。
【0277】
フリーズドライのために、いくつかの実施形態では、細菌分離株は、解凍時に細胞の破裂を防止する液体中に保持される。これは、種々の安定剤、例えば、グリセロールおよび適切な緩衝液、および/またはエチレングリコールを含み得る。いくつかの実施形態では、凍結保護法は、使われる安定化剤に応じて、約10%~80%、20%~70%、30%~60%、または40%~50%の濃度の安定化剤を用いる。いくつかの実施形態では、これは、それ以外の方法ではタンパク質構造を破壊し得る氷結晶の形成を防止することにより、タンパク質の安定化を助ける。
【0278】
いくつかの実施形態では、生きている細菌の破壊の低減に役立つ安定剤としては、スキムミルク、エリスリトール、アラビトール、ソルビトール、グルコース、フルクトースおよび他のポリオールが挙げられる。デキストランおよびポリエチレングリコールなどの高分子も、細菌細胞を安定化するために使用できる。
【0279】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の製造は、次記のステップを含み得る:(1)分離カプセル(すなわち、カプセル本体とカプセルキャップを別々に含む)の外面を外面腸溶コーティングでコートするステップ、(2)カプセル本体に1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)を充填するステップ、および(3)カプセル本体をカプセルキャップで覆って閉じ、それにより外面を腸溶性コートしたカプセル中に組成物を封入するステップ。
【0280】
任意選択で、医薬組成物の製造は、次記のステップを含み得る:(1)分離カプセル(すなわち、カプセル本体とカプセルキャップを別々に含む)の外面を外面腸溶コーティングでコートするステップ、(2)分離カプセルの内側を内側コーティングでコートするステップ、(3)カプセル本体に1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)を充填するステップ、および(4)カプセル本体をカプセルキャップで覆って閉じ、それにより二重コートしたカプセル中に組成物を封入するステップ。
【0281】
あるいは、医薬組成物の製造は、次記のステップを含み得る:(1)分離カプセル(すなわち、カプセル本体とカプセルキャップを別々に含む)の内側を内側コーティングでコートするステップ、(2)分離カプセルの外面を外面腸溶コーティングでコートするステップ、(3)カプセル本体に細菌分離株を含む医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)を充填するステップ、および(4)カプセル本体をカプセルキャップで覆って閉じ、それにより二重コートしたカプセル中に組成物を封入するステップ。
【0282】
いくつかの実施形態では、1種または複数の追加の治療薬が、医薬組成物と組み合わされて、カプセルにより封入され得る。
【0283】
いくつかの実施形態では、ゼラチンカプセル(例えば、サイズ#00)の本体およびキャップは、分離される。外面腸溶コーティング懸濁液は、溶液中で他の成分と共に1種または複数の腸溶コーティング高分子を分散することにより調製される。外面腸溶コーティング懸濁液は、例えば、流動床ウルスターカラムコーター、流動床コーター、または同等物を用いて、分離されたカプセル本体とキャップの外面に塗布される。カプセルは、ボウル製品中で流動化され、外面腸溶コーティング懸濁液を噴霧して、対象物に対し約2mg/cm~6mg/cm、例えば、3mg/cmの外側コーティングを生成する。このステップの完了後に、カプセルは、例えば、約8時間~24時間にわたり、乾燥される。乾燥後に、代表的カプセルは、秤量されて外面腸溶コーティングからの重量増を計算する。カプセルは、でこぼこについて検査され得る。
【0284】
ある実施形態では、オイドラギット(登録商標)S100(ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート))、デンプン、クエン酸トリエチル、およびPlasACRYL(商標)T20が、水、エタノール、およびn-ブタノールの溶液中に溶解され、混合され、その後好適な噴霧装置に充填される。この溶液は次に、カプセル物およびカプセルキャップの外表面上に目標重量増まで噴霧コートされる。カプセル物およびカプセルキャップを約8時間~24時間、またはさらに長時間、例えば、1週間、1か月以上乾燥させた後、さらなる処理、例えば、細菌分離株含有微生物混合物の充填を行う。
【0285】
いくつかの実施形態では、カプセルの本体中の組成物の提供に加えて、一定量の医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)をカプセルのキャップに供給することが望ましい場合がある。この実施形態では、より多くの組成物がカプセル中に含まれ、および/またはより少ない空気が密閉カプセル中に含まれる。
【0286】
いくつかの実施形態では、カプセルの内面に内側コーティングが提供される。
【0287】
上述した組成物(例えば、微生物混合物)、内側コーティング、カプセル、および外側コーティングのいずれもが、本明細書で記載の医薬組成物中に組み合わされ得る。当業者なら、その人の当面の必要性に応じて内側コーティング、カプセル、および外側コーティングをどのように選択するか知っており、それは、例えば、特定の細菌分離株および/または細菌分離株が送達される対象における部位(例えば、結腸中)に基づくであろう。
【0288】
追加の関連する教示は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる、国際公開第2007/122374号に開示される。
【0289】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の製造の間に、薬学的に許容可能な凍結保護物質、凍結乾燥保護剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、防腐剤、酸抑制剤、制酸薬、H2拮抗薬、およびプロトンポンプ阻害剤、またはこれらの組み合わせが、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)へと混合されて、望ましい特性を促進できる。
【0290】
医薬組成物は、界面活性剤をさらに含み得る。使用に適した界面活性剤は、任意の薬学的に許容可能な非毒性界面活性物質を含むが、これらに限定されない。使用に好適な界面活性物質の種類としては、限定されないが、ポリエトキシ化脂肪酸、PEG脂肪酸ジエステル、PEG脂肪酸モノおよびジエステル混合物、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール-油エステル交換産物、ポリグリセリル化脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールエステル-グリセロールエステルの混合物、モノ-およびジグリセリド、ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン(polyoxypropylene)ブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、イオン性界面活性剤、およびこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、組成物は、限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、およびクエン酸トリエチルを含む、1種または複数の界面活性物質を含んでよい。
【0291】
医薬組成物はまた、柔軟性および硬度などの所望機械的性質を得るために、薬学的に許容可能な可塑剤も含む。このような可塑剤としては、限定されないが、トリアセチン、クエン酸エステル、クエン酸トリエチル、フタル酸エステル、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリソルベートまたは他の可塑剤が挙げられる。
【0292】
医薬組成物はまた、1種または複数の塗布溶媒を含み得る。遅延放出コーティング組成物用などの塗布するために使用できるいくつかのより一般的な溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、アセトン、塩化メチレンなどが挙げられる。
【0293】
医薬組成物は、1種または複数のアルカリ物質も含み得る。組成物中で使用するために好適なアルカリ物質としては、限定されないが、リン酸、炭酸、クエン酸などの酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩、および他のアルミニウム/マグネシウム化合物が挙げられる。加えて、アルカリ物質は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウムなどの制酸物質から選択されてよい。
【0294】
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、甘味料、風味料、および芳香剤などのアジュバントも含み得る。
【0295】
種々の実施形態では、医薬組成物は、全身送達または局所送達用に処方される。ある実施形態では、投与は、全身性である。別の実施形態では、処置を必要とする領域へ局所的に投与することが望ましい場合がある。
【0296】
様々な方法を使って、本明細書で記載の医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)を処方および/または目的の部位へ送達できる。例えば、医薬組成物は、GI管への投与用に処方できる。GI管は、口、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸および直腸などの消化器系の臓器を含み、その全ての細区分を含む(例えば、小腸は十二指腸、空腸および回腸を含んでよく、大腸は、横行結腸、下行結腸、上行結腸、S状結腸および盲腸を含んでよい)。例えば、組成物は、胃、小腸、大腸および直腸およびその全ての細区分(例えば、十二指腸、空腸および回腸、横行結腸、下行結腸、上行結腸、S状結腸および盲腸)の1つまたは複数への送達のために処方できる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の組成物は上部または下部GI管に送達するために処方できる。ある実施形態では、組成物は、例えば、GI管の粘膜組織に直接にまたは間接的に接触することにより、対象に投与できる。
【0297】
種々の実施形態では、医薬組成物の投与は、例えば、経口送達、経鼻胃管、腸内挿管(例えば、腸内チューブまたは栄養管、例えば、空腸チューブまたは胃空腸チューブ、など)、直接注入(例えば、十二指腸注入)、内視鏡法、結腸内視鏡法、または浣腸により、GI管中へ行われる。
【0298】
一態様では、方法は、経口、浣腸、または直腸座薬によって、医薬組成物を投与することを含む。一態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、腸溶コーティングされた(および/または酸耐性)カプセルもしくはマイクロカプセルとして処方されるか、または食品、食品添加物、乳製品、大豆製品、もしくはそれらの誘導体、ゼリー、風味付き液体、アイスキャンディー、アイスクリーム、もしくはヨーグルトの一部として、またはそれらと共に投与されるように処方される。別の態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、酸耐性腸溶コーティングカプセルとして製剤化される。医薬組成物は、食品または飲料と組み合わせて、販売するための粉末として提供され得る。食品または飲料は、乳製品または大豆製品であり得る。別の態様では、食品または栄養補助食品は、医薬組成物を含む腸溶コーティングおよび/または酸耐性のマイクロカプセルを含む。
【0299】
ある態様では、医薬組成物は、液体培養物を含む。別の態様では、医薬組成物は、ホモジナイズ、凍結乾燥、微粉砕、および粉末化されている。それは続いて、浣腸液として、生理食塩水などで溶解され、注入され得る。あるいは、粉末は、経口投与用の、腸溶コートされたおよび/または酸耐性の遅延放出カプセルとして封入され得る。ある態様では、粉末は、経口投与用の酸耐性のおよび/または遅延放出のカプセルで二重封入され得る。これらのカプセルは、腸溶コーティングおよび/または酸耐性の遅延放出マイクロカプセルの形態を取り得る。粉末は、飲料用の再構成のため、または食品添加物としての再構成のために口当たりの良い形態で提供され得る。さらなる態様では、食品は、ヨーグルトである。一態様では、粉末は、経鼻十二指腸注入により注入されるように再構成され得る。
【0300】
別の態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、液体、凍結、フリーズドライ、噴霧乾燥、泡乾燥、凍結乾燥、または粉末の形態である。さらなる態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、遅延放出または腸内徐放形態として処方される。別の態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、賦形剤、生理食塩水、緩衝液、緩衝剤、または液体グルコース-セロビオース寒天(RGCA)培地を含む。別の態様では、本明細書で投与される医薬組成物は、凍結保護物質を含む。一態様では、凍結保護物質は、ポリエチレングリコール、スキムミルク、エリスリトール、アラビトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、アラニン、グリシン、プロリン、スクロース、ラクトース、リボース、トレハロース、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0301】
種々の実施形態では、本明細書で提供されるのは、1種または複数の細菌分離株(および/または追加の治療薬)を含む放出調節製剤であり、製剤は、GI管の1つまたは複数の領域に実質的な量の細菌分離株(および/または追加の治療薬)を放出する。例えば、製剤は、胃の後部およびGI管の1つまたは複数の領域に少なくとも約60%の細菌分離株を放出し得る。
【0302】
種々の実施形態では、放出調節製剤は、胃の後部および腸の1つまたは複数の領域に少なくとも60%の細菌分離株(および/または追加の治療薬)を放出できる。例えば、放出調節製剤は、腸中で少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の細菌分離株(および/または追加の治療薬)を放出する。
【0303】
種々の実施形態では、放出調節製剤は、小腸中で少なくとも60%の細菌分離株(および/または追加の治療薬)を放出できる。例えば、放出調節製剤は、を小腸中(例えば、十二指腸、空腸、回腸、および回盲部の1つまたは複数)で少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の細菌分離株(および/または追加の治療薬)を放出する。
【0304】
種々の実施形態では、放出調節製剤は、大腸中で少なくとも60%の細菌分離株(および/または追加の治療薬)を放出できる。例えば、放出調節製剤は、大腸中(例えば、盲腸、結腸の上行、横行、下行またはS状部分および直腸の1つまたは複数)で少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の細菌分離株(および/または追加の治療薬)を放出する。
【0305】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、胃での放出用に処方される。他の実施形態では、医薬組成物は、胃中で細菌分離株を実質的に放出しないように処方される。
【0306】
特定の実施形態では、放出調節製剤は、特定のpHで細菌分離株(および/または追加の治療薬)を放出する。例えば、いくつかの実施形態では、放出調節製剤は、酸性環境で実質的に安定であり、中性近傍からアルカリ環境で実質的に不安定である(例えば、急速に溶解するか、または物理的に不安定である)。いくつかの実施形態では、安定性は、実質的に放出しないことの指標であり、一方で、不安定性は、実質的に放出することの指標である。例えば、いくつかの実施形態では、放出調節製剤は、約7.0以下、または約6.5以下、または約6.0以下、または約5.5以下、または約5.0以下、または約4.5以下、または約4.0以下、または約3.5以下、または約3.0以下、または約2.5以下、または約2.0以下、または約1.5以下、または約1.0以下のpHで実質的に安定である。いくつかの実施形態では、本製剤は、低いpH領域で安定であり、したがって、例えば、胃中では実質的に放出しない。いくつかの実施形態では、放出調節製剤は、約1~約4またはそれ未満のpHで実質的に安定であり、より高いpH値で実質的に不安定である。これらの実施形態では、放出調節製剤は、胃中で実質的に放出しない。これらの実施形態では、放出調節製剤は、小腸(例えば、十二指腸、空腸、および回腸の1つまたは複数)および/または大腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸の1つまたは複数)で実質的に放出する。いくつかの実施形態では、放出調節製剤は、約4~約5またはそれ未満のpHで実質的に安定であり、結果的に、より高いpH値で実質的に不安定であり、したがって、胃および/または小腸(例えば、十二指腸、空腸、および回腸の内の1つまたは複数)で実質的に放出されない。これらの実施形態では、放出調節製剤は、大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸の内の1つまたは複数)で実質的に放出する。種々の実施形態では、本明細書で記述したpH値は、対象の状態、例えば、空腹時または食後であるかどうかを考慮するために、当技術分野において既知のように調節し得る。
【0307】
いくつかの実施形態では、放出調節製剤は、胃液中で実質的に安定であり、腸液中で実質的に不安定であり、したがって、小腸(例えば、十二指腸、空腸、および回腸の1つまたは複数)および/または大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸の1つまたは複数)で実質的に放出される。
【0308】
いくつかの実施形態では、放出調節製剤は、胃液中で安定でありまたは酸性環境で安定である。これらの放出調節製剤は、約15分、または約30分、または45分、または約60分、または約90分で、約4~約5またはそれ未満のpHの胃液中で、または約4~約5またはそれ未満のpHの模擬胃液中で、放出調節製剤中の医薬組成物(例えば、微生物混合物の細菌分離株を含む)の約30重量%以下を放出する。本発明の放出調節製剤は、約15分、または約30分、または45分、または約60分、または約90分で、約4~約5またはそれ未満のpHの胃液中で、または約4~約5またはそれ未満のpHの模擬胃液中で、放出調節製剤中の組成物の約0重量%~約30重量%、約0重量%~約25重量%、約0重量%~約20重量%、約0重量%~約15重量%、約0重量%~約10重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%を放出できる。放出調節製剤は、約15分、または約30分、または45分、または約60分、または約90分で、5未満のpHの胃液中で、または5未満のpHの模擬胃液中で、放出調節製剤中の合計組成物の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%を放出できる。
【0309】
いくつかの実施形態では、放出調節製剤は、腸液中で不安定である。これらの放出調節製剤は、約15分、または約30分、または45分、または約60分、または約90分で腸液または模擬腸液中で、放出調節製剤中の細菌分離株および/または追加の治療薬の約70重量%以上を、放出する。いくつかの実施形態では、放出調節製剤は、中性近傍からアルカリ環境中で不安定である。これらの放出調節製剤は、約15分、または約30分、または45分、または約60分、または約90分で約4~5またはそれ超のpHの腸液中または約4~5またはそれ超のpHの模擬腸液中で、放出調節製剤中の細菌分離株および/または追加の治療薬の約70重量%以上を放出する。中性近傍またはアルカリ環境中で不安定な放出調節製剤は、約5分~約90分、または約10分~約90分、または約15分~約90分、または約20分~約90分、または約25分~約90分、または約30分~約90分、または約5分~約60分、または約10分~約60分、または約15分~約60分、または約20分~約60分、または約25分~約90分、または約30分~約60分で約5超のpHを有する体液(例えば、約5~約14、約6~約14、約7~約14、約8~約14、約9~約14、約10~約14、または約11~約14のpHを有する体液)中で、放出調節製剤中の医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)の70重量%以上を放出できる。
【0310】
模擬胃液および模擬腸液の例は、限定されないが、2005 Pharmacopeia 23NF/28USP in Test Solutionsの2858頁で開示されているもの、および/またはその他の当業者に既知の模擬胃液および模擬腸液、例えば、酵素なしで調製された模擬胃液および/または腸液を含む。
【0311】
種々の実施形態では、放出調節製剤は、キームス中で実質的に安定である。例えば、いくつかの実施形態では、投与から約10時間、または9時間、または8時間、または7時間、または6時間、または5時間、または4時間、または3時間、または2時間、または1時間で、細菌分離株の活性の約50%未満、または約40%未満、または約30%未満、または約20%未満、または約10%未満の喪失がある。
【0312】
種々の実施形態では、放出調節製剤は、即時放出(例えば、摂取時放出)用に設計できる。種々の実施形態では、放出調節製剤は、徐放プロファイル、すなわち、長期間にわたる体内(例えば、GI管)での有効成分(単一または複数)の持続放出プロファイルを有し得る。種々の実施形態では、放出調節製剤は、遅延放出プロファイル、すなわち、摂取時の有効成分(単一または複数)の即時放出ではなく、むしろ、例えば、小腸(例えば、十二指腸、空腸、回腸の1つまたは複数)または大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、結腸S字部分および直腸の1つまたは複数)での放出のために、組成物がGI管の下位に達するまで有効成分(単一または複数)の放出を遅延させるプロファイル、を有し得る。例えば、組成物は、腸溶コートされて、それが小腸または大腸に達するまで有効成分(単一または複数)の放出を遅延させることができる。
【0313】
種々の実施形態では、放出調節製剤は、1種または複数の遅延放出コーティングなどの放出調節コーティングを使用して、必要に応じ追加の治療薬と共に、細菌分離株のGI管への効果的な、遅延されるが十分な送達を提供する。
【0314】
一実施形態では、遅延放出コーティングは、酸性環境で実質的に安定であり、中性近傍からアルカリ環境で実質的に不安定である、腸溶剤を含む。ある実施形態では、遅延放出コーティングは、胃液中で実質的に安定である腸溶剤を含む。腸溶剤は、例えば、メタクリル酸コポリマー、セルロースアセタートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、およびオイドラギット(登録商標)型ポリマー(ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、シェラックまたは他の好適な腸溶コーティングポリマーから選択できる。オイドラギット(登録商標)型ポリマーは、例えば、オイドラギット(登録商標)FS30D、L30D-55、L100-55、L100、L12,5、L12,5P、RL30D、RLPO、RL100、RL12,5、RS30D、RSPO、RS100、RS12,5、NE30D、NE40D、NM30D、S100、S12,5、およびS12,5Pを含む。類似の高分子は、コリコート(登録商標)MAE30DPおよびコリコート(登録商標)MAE100Pを含む。いくつかの実施形態では、オイドラギット(登録商標)FS30D、L30D-55、L100-55、L100、L12,5、L12,5PRL30D、RLPO、RL100、RL12,5、RS30D、RSPO、RS100、RS12,5、NE30D、NE40D、NM30D、S100、S12,5、S12,5P、コリコート(登録商標)MAEおよびコリコート(登録商標)MAE100Pの1種または複数が使われる。種々の実施形態では、腸溶剤は、前述の溶液または分散液の組み合わせであり得る。
【0315】
特定の実施形態では、1種または複数のコーティング系添加物が、腸溶剤と共に使用される。例えば、1種または複数のPlasACRYL(商標)添加物が、粘着防止剤コーティング添加物として使用されてよい。PlasACRYL(商標)添加物の例としては、PlasACRYL(商標)HTP20およびPlasACRYL(商標)T20が挙げられるが、これらに限定されない。
【0316】
別の実施形態では、遅延放出コーティングは、溶液中のpHおよび/または酵素の存在と関係なく、水溶液中の場合、時間の関数として分解し得る。このようなコーティングは、水不溶性ポリマーを含み得る。その水溶液中の溶解度は、したがって、pHに無関係である。本明細書で使用される場合、用語の「pHに無関係」は、ポリマーの水透過性およびその薬剤成分を放出する能力が、pHの関数ではない、および/または極めてわずかにのみpHに依存することを意味する。このようなコーティングを使って、例えば、持続放出製剤を調製し得る。好適な水不溶性ポリマーは、溶液のpHにかかわらず水性媒体、例えば、水、に実質的に不溶性である薬学的に許容可能な非毒性ポリマーを含む。好適なポリマーとしては、セルロースエーテル、セルロースエステル、またはセルロースエーテルエステル、すなわち、セルロース骨格上のいくつかのヒドロキシ基がアルキル基で置換され、いくつかのヒドロキシル基がアルカノイル基で修飾されたセルロース誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。例としては、エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、などが挙げられる。不溶性ポリマーの他の例としては、ラッカー、およびアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルポリマー、低四級アンモニウム含量を有するアクリル酸もしくはメタクリル酸のポリマーもしくはコポリマーまたはこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。不溶性ポリマーの他の例としては、オイドラギットRS(登録商標)、オイドラギットRL(登録商標)、およびオイドラギットNE(登録商標)が挙げられる。不溶性ポリマーには、ポリビニルエステル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸エステル、ブタジエンスチレンコポリマー、などが挙げられる。一実施形態では、結腸送達は、ゆっくり侵食するワックスプラグ(例えば、PEG6000を含む、種々のPEGSなど)またはペクチンの使用により達成される。
【0317】
さらなる実施形態では、遅延放出コーティングは、腸管内菌叢中に存在する微生物酵素により分解され得る。一実施形態では、遅延放出コーティングは、小腸中に存在する細菌により分解され得る。別の実施形態では、遅延放出コーティングは、大腸中に存在する細菌により分解され得る。
【0318】
種々の実施形態では、放出調節製剤は、結腸中での放出用に設計できる。種々の結腸特異的送達手法を、利用できる。例えば、放出調節製剤は、例えば、Li et al.,AAPS PharmSciTech(2002),3(4):1-9に記載される結腸特異的薬物送達系(CODES)を使って処方し得る。この文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。このような系での薬物放出は、pH感受性ポリマーコーティングと組み合わせた結腸ミクロフローラにより引き起こされる。例えば、製剤は、3層のポリマーを有するコア錠剤として設計できる。第1のコーティングは、酸可溶性ポリマー(例えば、オイドラギットE)であり、外側コーティングは腸溶性であり、加えて、ヒドロキシプロピルメチルセルロースバリア層が中間に挿入される。別の実施形態では、結腸送達は、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)と、結腸中で分解する、例えば、ペクチンなどの特定のポリマーとを配合することにより実現できる。ペクチンはさらに、亜鉛カチオンなどのカチオンを使って、ゲル化または架橋されてよい。ある実施形態では、製剤は、イオン的に架橋されたペクチンビーズの形態であり、これはポリマー(例えば、オイドラギットポリマー)でさらにコートされる。さらなる結腸特異的製剤としては、圧力制御薬剤送達系(例えば、エチルセルロースで調製された)および浸透圧制御薬剤送達系(すなわち、ORDS-CT)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0319】
本明細書に記載のような、細菌分離株(および/または追加の治療薬)の結腸特異的送達のための製剤は、例えば、インビトロ溶出試験を使って評価できる。例えば、異なる緩衝液中での並列溶解調査を行って、異なるpHレベルでの製剤の挙動特性を明らかにできる。あるいは、インビトロ酵素試験を実施できる。例えば、製剤を、細菌に好適な培地を含む発酵槽中でインキュベートし、異なる時間間隔での薬物放出の量を測定できる。薬物放出調査は、酵素を含む緩衝培地またはラットもしくはモルモットもしくはウサギの盲腸内容物中で行うこともでき、特定の時間における薬物放出量が測定される。さらなる実施形態では、インビボ評価を、イヌ、モルモット、ラット、およびブタなどの動物モデルを使って実施できる。さらに、結腸特異的薬物送達製剤の臨床評価は、薬物送達インデックス(DDI)を計算することにより評価できる。DDIは、RSC(血液中の薬物の相対量、すなわち、薬物への相対全身暴露量である)に対するRCE(薬物への結腸組織の相対曝露量)の相対比を考慮する。より高い薬物DDIは、より良好な結腸薬物送達を示す。結腸からの薬物の吸収は、結腸内視鏡および挿管によりモニターできる。
【0320】
種々の実施形態では、本製剤は、GI管中の放出領域で細菌分離株(および/または追加の治療薬)の実質的に均一な送達を提供する。ある実施形態では、本製剤は、細菌分離株の不完全なまたは不均一な放出を最小限にする。
【0321】
種々の実施形態では、本製剤は、GI管に沿った細菌分離株の多数用量の放出を提供する。例えば、組成物および/または製剤は、腸に沿った異なる部位、異なる時間、および/または異なるpHで多数用量の細菌分離株を放出できる。このような製剤の全体放出プロファイルは、例えば、複数粒子タイプまたは多層を用いて調節できる。例えば、一実施形態では、細菌分離株の第1の投与量は、例えば、小腸中(例えば、十二指腸、空腸、回腸の1つまたは複数)での放出用に処方されてよく、一方、第2の投与量は、例えば、大腸中(例えば、盲腸、結腸の上行、横行、下行、もしくはS字部分、および直腸の1つまたは複数)での遅延放出用に処方される。別の例では、細菌分離株の第1の投与量は、例えば、小腸中(例えば、十二指腸、空腸、回腸の1つまたは複数)での放出用に処方されてよく、一方、第2の投与量は、例えば、小腸の別の部分(例えば、十二指腸、空腸、回腸の1つまたは複数)での遅延放出用に処方される。別の実施形態では、細菌分離株の第1の投与量は、例えば、大腸中(例えば、盲腸、結腸の上行、横行、下行またはS字部分、および直腸の1つまたは複数)での放出用に処方されてよく、一方、第2の投与量は、例えば、大腸中の別の部分(例えば、盲腸、結腸の上行、横行、下行またはS字部分、および直腸の1つまたは複数)での遅延放出用に処方される。種々の実施形態では、組成物および/または製剤は、少なくとも1種の投与量、少なくとも2種の投与量、少なくとも3種の投与量、少なくとも4種の投与量、少なくとも5種の投与量の細菌分離株を、腸に沿った異なる部位、異なる時間、および/または異なるpHで放出できる。
【0322】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の細菌分離株は、生存増殖型細胞の形態である。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の細菌分離株は、胞子の形態である。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の細菌分離株は、凍結乾燥される。非限定的例であるが、凍結乾燥は、米国特許第7,799,328号に記載のものを含む、当該技術分野において既知の方法により行うことができる。この特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の凍結乾燥細菌分離株は、腸溶性コート軟質ゲルまたはカプセル中に配置される。
【0323】
種々の実施形態では、製剤は、米国特許第8,535,713号および同8,9117,77号および米国特許出願公開第2012/0141585号、同2012/0141531号、同2006/001896号、同2007/0292523号、同2008/0020018号、同2008/0113031号、同2010/0203120号、同2010/0255087号、同2010/0297221号、同2011/0052645号、同2013/0243873号、同2013/0330411号、同2014/0017313号、および同2014/0234418号の1つまたは複数に記載の形態をとる。これら特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0324】
種々の実施形態では、製剤は、国際公開第2008/135090号に記載の形態を取り得る。この特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0325】
種々の実施形態では、製剤は、米国特許第4,196,564号;同4,196,565号;同4,247,006号;同4,250,997号;同4,268,265号;同5,317,849号;同6,572,892号;同7,712,634号;同8,074,835号;同8,398,912号;同8,440,224号;同8,557,294号;同8,646,591号;同8,739,812号;同8,810,259号;同8,852,631号;および同8,911,788号ならびに米国特許出願公開第2014/0302132号;同2014/0227357号;同2014/0088202号;同2013/0287842号;同2013/0295188号;同2013/0307962号;および同2013/0184290号の1つまたは複数に記載の形態を取り得る。これら特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0326】
投与および投与量
本明細書で記載の医薬組成物(例えば、細菌分離株および/または追加の治療薬を含む微生物混合物)の実際の投与量は、例えば、特定の剤形および対象への投与方法に応じて変わることは理解されよう。細菌分離株の作用を変え得る多くの要因(例えば、体重、性別、食事、投与時期、投与経路、排出速度、対象の状態、薬剤の組み合わせ、遺伝的素因および反応感度)は、当業者により考慮され得る。投与は、最大耐量の範囲内で連続的にまたは1種または複数の別々の投与量で実施できる。与えられた一連の条件に対する最適投与速度は、従来の投与量試験を使って、当業者により確認できる。
【0327】
種々の実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)の投与量は、患者のマイクロバイオームを生態学的均衡に好都合になるように、すなわち、本明細書で記載の腸内菌共生バランス失調に関連する障害(胃腸障害を含む)を治療または予防するように調節するために有効である。
【0328】
一態様では、腸ディスバイオシスに関連する障害の少なくとも1種の症状を治療するために、対象に投与される(すなわち、単回または複数回投与で)細菌分離株の薬学的に活性な量、または治療有効量は、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012、少なくとも1013、少なくとも1014、または少なくとも1015CFUの細菌分離株を含む。別の態様では、腸ディスバイオシスに関連する障害の少なくとも1種の症状を治療するために、対象に投与される(すなわち、単回または複数回投与で)細菌分離株の薬学的に活性な量、または治療有効量は、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で1010、最大で1011、最大で1012、最大で1013、最大で1014、または最大で1015CFUの細菌分離株を含む。さらなる態様では、腸ディスバイオシスに関連する障害の少なくとも1種の症状を治療するために、対象に投与される(すなわち、単回または複数回投与で)細菌分離株の薬学的に活性な量、または治療有効量は、10CFU~1014CFU、10CFU~1013CFU、1010CFU~1012CFU、1010CFU~1011CFU、10CFU~1014CFU、10CFU~1012CFU、10CFU~1011CFU、10CFU~1010CFU、1010CFU~1014CFU、1010CFU~1013CFU、1011CFU~1014CFU、1011CFU~1013CFU、1012CFU~1014CFU、および1013CFU~1014CFUの細菌分離株からなる群より選択される。
【0329】
ある態様では、薬学的組成物は、1種または複数の細菌分離株を含み、それぞれの細菌分離株は、約0.2、0.4、0.6、0.8、もしくは1.0グラムの単位重量で、または約0.2、0.4、0.6、0.8、もしくは1.0ミリリットルの単位容量で、前述の薬学的に活性な量または治療有効量のいずれか1つで、各単位用量中に存在する。
【0330】
一態様では、腸ディスバイオシスに関連する障害の少なくとも1種の症状を治療するために、対象に投与される(すなわち、単回または複数回投与で)細菌分離株の薬学的に活性な量、または治療有効量は、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012、少なくとも1013、少なくとも1014、または少なくとも1015個の細菌分離株の細胞または胞子を含む。別の態様では、腸ディスバイオシスに関連する障害の少なくとも1種の症状を治療するために、対象に投与される(すなわち、単回または複数回投与で)細菌分離株の薬学的に活性な量、または治療有効量は、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で1010、最大で1011、最大で1012、最大で1013、最大で1014、または最大で1015個の細菌分離株の合計細胞または胞子を含む。さらなる態様では、腸ディスバイオシスに関連する障害の少なくとも1種の症状を治療するために、対象に投与される(すなわち、単回または複数回投与で)細菌分離株の薬学的に活性な量、または治療有効量は、10~1014、10~1013、1010~1012、1010~1011、10~1014、10~1012、10~1011、10~1010、1010~1014、1010~1013、1011~1014、1011~1013、1012~1014、および1013~1014個の細菌分離株の細胞または胞子からなる群より選択される。
【0331】
ある態様では、細菌分離株の薬学的に活性な量または治療有効量の細胞数は、生細胞を対象とする。一態様では、医薬組成物は、1種または複数の細菌分離株を含み、それぞれの細菌分離株は、約0.2、0.4、0.6、0.8、もしくは1.0グラムの単位重量で、または約0.2、0.4、0.6、0.8、もしくは1.0ミリリットルの単位容量で、前述の薬学的に活性な量または治療有効量のいずれか1つで、各投与単位中に存在する。
【0332】
ある態様では、本明細書で記載の医薬組成物は、カプセルの形態であり、各カプセルは、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012、少なくとも1013、少なくとも1014、または少なくとも1015個の細胞または胞子を含む。ある態様では、本明細書で記載の医薬組成物は、カプセルの形態であり、各カプセルは、10~1014、10~1013、1010~1012、1010~1011、10~1014、10~1012、10~1011、10~1010、1010~1014、1010~1013、1011~1014、1011~1013、1012~1014、または1013~1014個の細菌分離株の細胞または胞子を含む。
【0333】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、複数の細菌分離株を含む微生物混合物を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2種の細菌分離株が、ほぼ同じ量(例えば、ほぼ同じ数の合計細胞および/またはほぼ同じ数の生細胞)で微生物混合物中に存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも3種の細菌分離株、少なくとも4種の細菌分離株、少なくとも5種の細菌分離株、少なくとも6種の細菌分離株、少なくとも7種の細菌分離株、少なくとも8種の細菌分離株、少なくとも9種の細菌分離株、少なくとも10種の細菌分離株、または10種より大きな数の細菌分離株が、医薬組成物中にほぼ同じ量(例えば、ほぼ同じ数の合計細胞および/またはほぼ同じ数の生細胞)で存在する。いくつかの実施形態では、微生物混合物の全ての細菌分離株は、ほぼ同じ量で存在する。
【0334】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の微生物混合物の少なくとも2種の細菌分離株が異なる量(例えば、異なる数の合計細胞および/または異なる数の生細胞)で微生物混合物中に存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、または10種より多くの細菌分離株が、微生物混合物中に異なる量で存在する。
【0335】
いくつかの実施形態では、微生物混合物の第1と第2の細菌分離株は、微生物混合物中に異なる量で存在し、微生物混合物中の第1と第2の細菌分離株の相互に対する相対的比率は、ヒトの糞便試料の微生物叢中の第1と第2の細菌分離株に対応する第1と第2の菌株の相対比率とほぼ同じである(例えば、1種または複数の第1と第2の細菌分離株のドナーの便細菌叢または第1と第2の細菌分離株を投与された対象の便細菌叢)。
【0336】
いくつかの実施形態では、微生物混合物の第1と第2の細菌分離株は、微生物混合物中に異なる量で存在し、微生物混合物中の第1と第2の細菌分離株の相互に対する相対的比率は、ヒトの糞便試料の微生物叢中の第1と第2の細菌分離株に対応する第1と第2の菌株の相対比率とは異なる、または類似していない(例えば、1種または複数の第1と第2の細菌分離株のドナーの便細菌叢または第1と第2の細菌分離株を投与された対象の便細菌叢)。
【0337】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細菌分離株の生着が対象の腸中で生じるために対象への投与に必要とされる細菌分離株の最小量または投与量で、またはそれを超える量または投与量で1種または複数の細菌分離株を含む。例えば、対象の腸中への細菌分離株の生着のために必要とされる細菌分離株の最小投与量は、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも1010個の細胞、少なくとも1011個の細胞、または少なくとも1012個の細胞であり得る。いくつかの実施形態では、微生物混合物の第1と第2の細菌分離株は、異なる最小限の投与量または量で対象の腸中に生着し、微生物混合物中の第1と第2の細菌分離株のそれぞれの投与量または量は、それぞれの細菌分離株の生着に必要とされるそれぞれの最小限の投与量または量に対応して変動する。
【0338】
いくつかの実施形態では、微生物混合物は、Odoribacter splanchnicusおよびFaecalibacterium prausnitziiを含み、O.splanchnicus細胞は、F.prausnitzii細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、O.splanchnicusおよびFaecalibacterium prausnitziiを含み、O.splanchnicus細胞は、F.prausnitzii細胞よりもこの微生物混合物中で少ない。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、O.splanchnicusおよびFaecalibacterium prausnitziiを含み、O.splanchnicus細胞は、F.prausnitzii細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、O.splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含み、O.splanchnicus細胞は、E.rectale細胞よりもこの微生物混合物中で少ない。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、O.splanchnicusおよびAkkermansia muciniphilaを含み、O.splanchnicus細胞は、A.muciniphila細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、O.splanchnicusおよびBacteroides cellulosilyticusを含み、O.splanchnicus細胞は、B.cellulosilyticus細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、O.splanchnicusおよびRoseburia faecisを含み、O.splanchnicus細胞は、R.faecis細胞よりもこの微生物混合物中で少ない。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、O.splanchnicusおよびAlistipes shahiiを含み、O.splanchnicus細胞は、A.shahii細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。
【0339】
いくつかの実施形態では、微生物混合物は、Eubacterium rectaleを含み、その細胞は、微生物混合物のいずれか他の単一の細菌分離株の細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である(すなわち、E.rectaleは、この微生物混合物中で最も豊富である)。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、E.rectaleおよびF.prausnitziiを含み、E.rectale細胞は、F.prausnitzii細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、E.rectaleおよびA.shahiiを含み、E.rectale細胞は、A.shahii細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、E.rectaleおよびR.faecisを含み、E.rectale細胞は、R.faecis細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、E.rectaleおよびA.muciniphilaを含み、E.rectale細胞は、A.muciniphila細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。
【0340】
いくつかの実施形態では、微生物混合物は、R.faecisおよびF.prausnitziiを含み、R.faecis細胞は、F.prausnitzii細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、R.faecisおよびF.prausnitziiを含み、R.faecis細胞は、F.prausnitzii細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、R.faecisおよびA.muciniphilaを含み、R.faecis細胞は、A.muciniphila細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、R.faecisおよびA.shahiiを含み、R.faecis細胞は、A.shahii細胞よりもこの微生物混合物中で豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、R.faecisおよびB.cellulosilyticusを含み、R.faecis細胞は、B.cellulosilyticus細胞よりも豊富である。
【0341】
いくつかの実施形態では、微生物混合物は、B.cellulosilyticusを含み、その細胞は、微生物混合物のいずれか他の単一の細菌分離株の細胞よりもこの微生物混合物中で少ない(すなわち、B.cellulosilyticusは、この微生物混合物中で最も少ない)。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、B.cellulosilyticusおよびA.shahiiを含み、B.cellulosilyticus細胞は、A.shahii細胞よりもこの微生物混合物中で少ない。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、B.cellulosilyticusおよびA.muciniphilaを含み、B.cellulosilyticus細胞は、A.muciniphila細胞よりもこの微生物混合物中で少ない。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、B.cellulosilyticusおよびF.prausnitziiを含み、B.cellulosilyticus細胞は、F.prausnitzii細胞よりもこの微生物混合物中で少ない。
【0342】
いくつかの実施形態では、微生物混合物は、A.shahiiおよびA.muciniphilaを含み、A.shahii細胞は、A.muciniphila細胞よりもこの微生物混合物中で少ない。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、A.shahiiおよびF.prausnitziiを含み、A.shahii細胞は、F.prausnitzii細胞よりもこの微生物混合物中で少ない。
【0343】
いくつかの実施形態では、微生物混合物は、F.prausnitziiに属する複数の細菌分離株を含み、その細菌分離株の1種の細胞は、この微生物混合物中の他の細菌分離株の少なくとも1種の細胞よりも豊富である。いくつかの実施形態では、微生物混合物は、F.prausnitziiに属する2種の細菌分離株を含み、その細菌分離株の1種の細胞は、この微生物混合物の他の細菌分離株の細胞よりも豊富である。
【0344】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でO.splanchnicusを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~10個の細胞の投与量でO.splanchnicusを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10個以下の細胞の投与量でO.splanchnicusを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でO.splanchnicusを含む。
【0345】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でB.cellulosilyticusを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~10個の細胞の投与量でB.cellulosilyticusを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でB.cellulosilyticusを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~10個の細胞の投与量でB.cellulosilyticusを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10個以下の細胞の投与量でB.cellulosilyticusを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でB.cellulosilyticusを含む。
【0346】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でA.shahiiを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~10個の細胞の投与量でA.shahiiを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10個以下の細胞の投与量でA.shahiiを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でA.shahiiを含む。
【0347】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でA.muciniphilaを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~10個の細胞の投与量でA.muciniphilaを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10個以下の細胞の投与量でA.muciniphilaを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でA.muciniphilaを含む。
【0348】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でR.faecisを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~10個の細胞の投与量でR.faecisを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10個以下の細胞の投与量でA.muciniphilaを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でA.muciniphilaを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~1010個の細胞の投与量でR.faecisを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1010個以下の細胞の投与量でA.muciniphilaを含む。
【0349】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でF.prausnitziiを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~10個の細胞の投与量でF.prausnitziiを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10個以下の細胞の投与量でF.prausnitziiを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でF.prausnitziiを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~1010個の細胞の投与量でR.faecisを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1010個以下の細胞の投与量でF.prausnitziiを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1010個の細胞の投与量でF.prausnitziiを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1011個以下の細胞の投与量でF.prausnitziiを含む。
【0350】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でE.rectaleを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~10個の細胞の投与量でE.rectaleを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10個以下の細胞の投与量のE.rectaleを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10個の細胞の投与量でE.rectaleを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10~1010個の細胞の投与量でE.rectaleを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1010個以下の細胞の投与量でE.rectaleを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1010個の細胞の投与量でE.rectaleを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1010~1011個の細胞の投与量でE.rectaleを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1011個以下の細胞の投与量でE.rectaleを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1011個の細胞の投与量でE.rectaleを含む。
【0351】
いくつかの実施形態では、約200mgごとの薬学的組成物は、薬理学的活性用量を含む。いくつかの実施形態では、約75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1000、1500、または2000mgごとの薬学的組成物は、薬理学的活性用量を含む。
【0352】
医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)の個々の用量は、例えば、単位剤形当たり、約0.01mg~約5,000mg、約0.01mg~約4,000mg、約0.01mg~約3,000mg、約0.01mg~約2,000mg、約0.01mg~約1,000mg、約0.01mg~約950mg、約0.01mg~約900mg、約0.01mg~約850mg、約0.01mg~約800mg、約0.01mg~約750mg、約0.01mg~約700mg、約0.01mg~約650mg、約0.01mg~約600mg、約0.01mg~約550mg、約0.01mg~約500mg、約0.01mg~約450mg、約0.01mg~約400mg、約0.01mg~約350mg、約0.01mg~約300mg、約0.01mg~約250mg、約0.01mg~約200mg、約0.01mg~約150mg、約0.01mg~約100mg、約0.1mg~約90mg、約0.1mg~約80mg、約0.1mg~約70mg、約0.1mg~約60mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約40mg、約0.1mg~約30mg、約0.1mg~約20mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約5mg、約0.1mg~約3mg、約0.1mg~約1mgの有効成分、または約5mg~約80mgの有効成分を含む単位剤形(例えば、錠剤またはカプセル)で投与されてよい。例えば、単位剤形は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1,000mg、約2,000mg、約3,000mg、約4,000mg、または約5,000mg(これらの間の全ての値および範囲を含む)の有効成分を含んでよい。
【0353】
一実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、毎日約0.01mg~約100mg、毎日約0.01mg~約5,000mg、約0.01mg~約4,000mg、約0.01mg~約3,000mg、約0.01mg~約2,000mg、約0.01mg~約1,000mg、毎日約0.01mg~約950mg、毎日約0.01mg~約900mg、毎日約0.01mg~約850mg、毎日約0.01mg~約800mg、毎日約0.01mg~約750mg、毎日約0.01mg~約700mg、毎日約0.01mg~約650mg、毎日約0.01mg~約600mg、毎日約0.01mg~約550mg、毎日約0.01mg~約500mg、毎日約0.01mg~約450mg、毎日約0.01mg~約400mg、毎日約0.01mg~約350mg、毎日約0.01mg~約300mg、毎日約0.01mg~約250mg、毎日約0.01mg~約200mg、毎日約0.01mg~約150mg、毎日約0.1mg~約100mg、毎日約0.1mg~約95mg、毎日約0.1mg~約90mg、毎日約0.1mg~約85mg、毎日約0.1mg~約80mg、毎日約0.1mg~約75mg、毎日約0.1mg~約70mg、毎日約0.1mg~約65mg、毎日約0.1mg~約60mg、毎日約0.1mg~約55mg、毎日約0.1mg~約50mg、毎日約0.1mg~約45mg、毎日約0.1mg~約40mg、毎日約0.1mg~約35mg、毎日約0.1mg~約30mg、毎日約0.1mg~約25mg、毎日約0.1mg~約20mg、毎日約0.1mg~約15mg、毎日約0.1mg~約10mg、毎日約0.1mg~約5mg、毎日約0.1mg~約3mg、毎日約0.1mg~約1mg、または毎日約5mg~約80mgの量で投与される。種々の実施形態では、細菌分離株(および/または追加の治療薬)は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1,000mg、約2,000mg、約3,000mg、約4,000mg、または約5,000mg(これらの間の全ての値および範囲を含む)の一日量で投与される。
【0354】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)の好適な投与量は、約0.01mg/kg~約100mg/(対象のkg体重)の範囲、例えば、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、1.9mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg体重、約20mg/kg体重、約30mg/kg体重、約40mg/kg体重、約50mg/kg体重、約60mg/kg体重、約70mg/kg体重、約80mg/kg体重、約90mg/kg体重、または約100mg/kg体重(これらの間の全ての値および範囲を含む)である。他の実施形態では、組成物の好適な投与量は、約0.01mg/kg~約100mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約90mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約80mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約70mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約60mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約50mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約40mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約30mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約20mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約10mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約9mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約8mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約7mg/kg体重の範囲、0.01mg/kg~約6mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約5mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約4mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約3mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約2mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約1.5mg/kg体重の範囲、または約0.05mg/kg~約1mg/kg体重の範囲である。
【0355】
特定の実施形態では、医薬組成物(例えば、微生物混合物を含む)は、例えば、1日2回以上、ほぼ1日1回、ほぼ1日おき、ほぼ3日おき、ほぼ週1回、ほぼ2週毎に1回、ほぼ月1回、ほぼ2ヶ月毎に1回、ほぼ3ヶ月毎に1回、ほぼ6ヶ月毎に1回、またはほぼ年1回投与できる。
【0356】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも2日の間、少なくとも1日1回、それを必要とする患者に投与できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日の間、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週の間、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週の間、少なくとも週2回、3回、4回、または5回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日または週の間、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週またはヶ月の間、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月またはヶ年の間、対象の全生涯にわたって長期的に、または無期限の間、少なくとも1回投与される。
【0357】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも2日の間、少なくとも1日2回、それを必要とする患者に投与できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日の間、少なくとも1日2回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週の間、少なくとも1日2回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日または週の間、少なくとも1日2回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週またはヶ月の間、少なくとも1日2回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月またはヶ年の間、対象の全生涯にわたって長期的に、または無期限の間、少なくとも2回投与される。
【0358】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも2日の間、少なくとも1日3回、それを必要とする患者に投与できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日の間、少なくとも1日3回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週の間、少なくとも1日3回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日または週の間、少なくとも1日3回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週またはヶ月の間、少なくとも1日3回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月またはヶ年の間、対象の全生涯にわたって長期的に、または無期限の間、少なくとも3回投与される。
【0359】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも連続する3日または3週の間、少なくとも1日1回または2回の投与スケジュールで、それを必要とする患者に投与できる。いくつかの実施形態では、1回分の用量が、2~12週、3~12週、4~12週、5~12週、6~12週、7~12週、8~12週、9~12週、10~12週、1~2週、2~3週、3~4週、4~5週、5~6週、6~7週、7~8週、8~9週、9~10週、または10~11週の期間にわたり、1日に少なくとも1回、2回、または3回、投与される。
【0360】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、週1回、週2回、または週3回の投与スケジュールで、それを必要とする患者に投与できる。「週1回」という用語は、1回分の用量が通常1週間に1回のみ、例えば、各週の同じ曜日に投与されることを意味する。「週2回」という用語は、1回分の用量が通常1週間に2回のみ、例えば、各週で同じ2つの曜日に投与されることを意味する。「週3回」という用語は、1回分の用量が通常1週間に3回のみ、例えば、各週で同じ3つの曜日に投与されることを意味する。
【0361】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、それを必要とする患者に投与でき、投与は、第1の投与スケジュールおよびそれに続く第2の投与スケジュールを含む。いくつかの実施形態では、第1の投与スケジュールは、治療用量または導入用量を含む。いくつかの実施形態では、第2の投与スケジュールは、維持用量を含む。例えば、第2の投与量スケジュールの薬学的に活性な維持用量は、第1の投与スケジュールの薬学的に活性な導入用量以下であり得る。他の例では、第2の投与量スケジュールの維持用量は、第1の投与スケジュールの導入用量よりも大きくてよい。
【0362】
医薬組成物を投与するための、第1と第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、少なくとも1日の間に1日1回の組成物の投与日を含み得る。いくつかの実施形態では、第1または第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、連続する少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日の間に少なくとも1日1回の組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、第1または第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週の間に少なくとも1日1回の組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、第1または第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、連続する最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の日または週の間に組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、第1または第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、連続する最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の週または月の間に組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、第1または第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の月または年の間、対象の全生涯にわたって長期的に、または無期限の間に組成物の投与を含む。
【0363】
いくつかの実施形態では、方法で使用される第1または第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、週1回、週2回、または週3回であり得る。
【0364】
いくつかの実施形態では、第1と第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、少なくとも約2、4、6、8、10、12、18、24、36、48、72、または96ヶ月の間持続できる。いくつかの実施形態では、第2の投与スケジュールは、治療される対象の全生涯、または無期限の間、恒久的に持続する。いくつかの実施形態では、第1と第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、連続投与スケジュールである。いくつかの実施形態では、第1と第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、間欠投与スケジュールである。いくつかの実施形態では、第1と第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日間の休止期間が後に続く少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日間の治療期間を含む間欠投与スケジュールである。いくつかの実施形態では、第1と第2の投与スケジュールの少なくとも1つは、1日おき、2日おきに、または3日、4日、5日、6日、7日、8日おきに、投与量を投与すること含む。いくつかの実施形態では、投与量は、用量設定を伴って、または伴わず(またはさもなければ投与量または投与スケジュールを変更して)、長期間投与される。
【0365】
いくつかの実施形態では、第1と第2の投与スケジュールの間の間隔は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、もしくは7日間、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間、または少なくとも約1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月間である。
【0366】
いくつかの実施形態では、第2の投与スケジュール(例えば、維持用量)は、第1の投与スケジュール(例えば、初期の導入用量)で使用される用量よりも、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、75、100、200、400、800、1000、5000倍の、またはそれを超える倍数低い投与量を含む。いくつかの実施形態では、第2の投与スケジュール(例えば、維持投与スケジュール)は、第1の投与スケジュール(例えば、初期の治療投与スケジュール)以下の投与頻度を有する。いくつかの実施形態では、第2の投与スケジュール(例えば、維持投与スケジュール)は、第1の投与スケジュール(例えば、初期の治療投与スケジュール)よりも長い投与間隔を有する。
【0367】
いくつかの実施形態では、用語の「患者」および「対象」は、同義に使用される。いくつかの実施形態では、対象および/または動物は、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジ、または非ヒト霊長類、例えば、サル、チンパンジー、もしくはヒヒである。他の実施形態では、対象および/または動物は、非哺乳動物、例えば、ゼブラフィッシュなどである。
【0368】
種々の実施形態では、本明細書で記載の方法は、ヒト対象の治療において有用である。いくつかの実施形態では、ヒトは、小児科のヒトである。他の実施形態では、ヒトは、成人のヒトである。他の実施形態では、ヒトは、老人のヒトである。他の実施形態では、ヒトは、患者と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、ヒトは、女性である。いくつかの実施形態では、ヒトは、男性である。
【0369】
特定の実施形態では、ヒトは、約1~約18ヶ月、約18~約36ヶ月、約1~約5才、約5~約10才、約10~約15才、約15~約20才、約20~約25才、約25~約30才、約30~約35才、約35~約40才、約40~約45才、約45~約50才、約50~約55才、約55~約60才、約60~約65才、約65~約70才、約70~約75才、約75~約80才、約80~約85才、約85~約90才、約90~約95才または約95~約100才の範囲の年齢である。
【0370】
一態様では、治療される対象は、ヒト患者である。一態様では、患者は、男性患者である。一態様では、患者は、女性患者である。一態様では、患者は、早産新生児である。一態様では、患者は、正期新生児である。一態様では、患者は、新生児である。一態様では、患者は、乳幼児である。一態様では、患者は、幼児である。一態様では、患者は、小児である。一態様では、患者は、子供である。一態様では、患者は、青年である。一態様では、患者は、小児患者である。一態様では、患者は、老人患者である。一態様では、ヒト患者は、約18、15、12、10、8、6、4、3、2、または1歳未満の子供患者である。別の態様では、ヒト患者は、成人患者である。別の態様では、ヒト患者は、高齢患者である。さらなる態様では、ヒト患者は、約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95歳を超える患者である。別の態様では、患者は、約1~5、2~10、3~18、21~50、21~40、21~30、50~90、60~90、70~90、60~80、または65~75歳である。一態様では、患者は、前期高齢者患者(65~74歳)である。一態様では、患者は、中期高齢者患者(75~84歳)である。一態様では、患者は、後期高齢者(>85歳)である。
【0371】
追加の治療薬および併用療法または共製剤
本明細書で記載の医薬組成物は、1種または複数の追加の治療薬を含んでよく、それは、本明細書で記載の方法において、それを必要としている対象に投与できる。追加の治療薬は、本明細書で記載の微生物治療薬(例えば、微生物混合物)と同時にまたは逐次に投与できる。さらに、本組成物および製剤は、追加の治療薬(例えば、共製剤により)を含み得る。例えば、追加の治療薬および1種または複数の細菌分離株を、単一の製剤へと組み合わせてよい。
【0372】
一実施形態では、追加の治療薬および微生物治療薬(例えば、1種または複数の細菌分離株)は、対象に同時に投与される。本明細書で使用される場合、用語の「同時に」は、追加の治療薬および微生物治療薬が約60分以下、例えば、約30分以下、約20分以下、約10分以下、約5分以下、または約1分以下の時間間隔で投与されることを意味する。追加の治療薬および微生物治療薬の投与は、単一製剤(例えば、追加の治療薬および1種または複数の細菌分離株を含む製剤)のまたは別々の製剤(例えば、追加の治療薬を含む第1の製剤および1種または複数の細菌分離株を含む第2の製剤)の同時の投与によってでよい。
【0373】
共投与は、もしその投与のタイミングが、追加の治療薬および微生物治療薬(例えば、1種または複数の細菌分離株)の薬理学的活性が時がたてば重なりあうようであれば、追加の治療薬が同時に投与される必要はない。例えば、追加の治療薬および微生物治療薬は、順次に投与され得る。本明細書で使用される場合、用語の「順次に」は、追加の治療薬および微生物治療薬が約60分を超える時間間隔で投与されることを意味する。例えば、追加の治療薬と微生物治療薬との逐次投与の間の時間は、約60分超、約2時間超、約5時間超、約10時間超、約1日超、約2日超、約3日超、約1週間超であってよい。最適投与時間は、投与される追加の治療薬および微生物治療薬の代謝、排泄速度、および/または薬力学的活性に依存するであろう。追加の治療薬または微生物治療薬(例えば、1種または複数の細菌分離株)のいずれかが、対象に最初に投与されてよい。
【0374】
さらなる実施形態では、追加の治療薬および微生物治療薬(例えば、1種または複数の細菌分離株)は、対象に同時に投与されるが、それらそれぞれの剤形(または同時に処方される場合は、単一単位剤形)からの追加の治療薬および微生物治療薬のGI管中での放出は、順次に発生する。
【0375】
共投与はまた、複数の追加の治療薬が同じ投与経路により対象に投与される必要はない。むしろ、それぞれの追加の治療薬は、任意の適切な経路、例えば、非経口的または非経口ではない経路で投与されてよい。
【0376】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、UCなどのIBDのための現在の標準治療誘導療法で使われる薬剤である。このような薬剤としては、5-アミノサリチル酸(5-ASA)、副腎皮質ステロイド、または生物製剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブまたはベドリズマブ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0377】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、ステロイド性抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)などの抗炎症剤である。ステロイド、特に副腎皮質ホルモン剤およびそれらの合成類似体は、当該技術分野においてよく知られている。副腎皮質ステロイドの例としては、ヒドロキシルトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、β-メチルβ-メタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、β-メタゾンベンゾエート、β-メタゾンジプロピオネート、β-メタゾンバレレート、クロベタゾールバレレート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラソンジアセテート、ジフルコルトロンバレレート、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルメタゾンピバレート、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)アセテート、フルランドレノロン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンブチレート、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびその残りのエステル、クロロプレドニソン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニソロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾンジプロピオネートが挙げられるが、これらに限定されない。使用可能な(NSAIDS)としては、限定されないが、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、グリコールサリチレート、サリチルアミド、ベンジル-2,5-ジアセトキシ安息香酸、イブプロフェン、スリンダク(sulindac)、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナメート、フェニルブタゾン、およびインドメタシンが挙げられる。追加の抗炎症剤は、例えば、米国特許第4,537,776号に記載され、この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0378】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、プロバイオティクスである。使用に好適なプロバイオティクスとしては、限定されないが、Saccharomyces boulardii;Lactobacillus rhamnosus GG;Lactobacillus plantarum 299v;Clostridium butyricum M588;Clostridium difficile VP20621(無毒のC.difficile株);Lactobacillus casei、Lactobacillus acidophilus(Bio-K+CL1285)の組み合わせ;Lactobacillus casei、Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus thermophilus(Actimel)の組み合わせ;Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium bifidum(Florajen3)の組み合わせ;Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus bulgaricus delbrueckii亜種bulgaricus、Lactobacillus bulgaricus casei、Lactobacillus bulgaricus plantarum、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium breve、およびStreptococcus salivarius亜種thermophilus(VSL#3)の組み合わせ、が挙げられる。
【0379】
ある態様では、本開示は、非選択便細菌叢を含む医薬組成物の投与の前の、プロバイオティクスの投与を提供する。別の態様では、本開示は、プロバイオティクスと非選択便細菌叢を含む医薬組成物の共投与を提供する。別の態様では、プロバイオティクスは、AkkermansiaまたはParabacteroides種の1種または複数からなる群より選択される。別の態様では、プロバイオティクスは、AkkermansiaまたはParabacteroides種の2種以上からなる群より選択される。別の態様では、プロバイオティクスは、AkkermansiaまたはParabacteroides種の3種以上からなる群より選択される。別の態様では、プロバイオティクスは、AkkermansiaまたはParabacteroides種の4種以上からなる群より選択される。別の態様では、プロバイオティクスは、AkkermansiaまたはParabacteroides種の5種以上からなる群より選択される。別の態様では、プロバイオティクスは、AkkermansiaまたはParabacteroides種の6種以上からなる群より選択される。別の態様では、プロバイオティクスは、AkkermansiaまたはParabacteroides種の1~3、3~5、5~8または8~10種からなる群より選択される。プロバイオティクスは、単一用量または複数用量で提供されてよい。単一組成物として提供される場合、単一組成物は、単一プロバイオティクスまたはプロバイオティクスの混合物を含み得る。複数組成物として提供される場合、各組成物は、単一プロバイオティクスまたはプロバイオティクスの混合物を含み得る。
【0380】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、プレバイオティクスである。プレバイオティクスは、対象の腸中の1種または複数の微生物(例えば、細菌)の成長、増殖、または活性を促進する(例えば、1種または複数の微生物により代謝される基質を提供することにより)ために対象に投与される化合物(例えば、1種または複数の栄養素を含む)である。理論に束縛されることを意図するものではないが、プレバイオティクスは、対象の内在性マイクロバイオーム中の、および/または医薬組成物それ自身中の細菌に栄養補給し、例えば、糞便細菌の未培養集団の1種または複数の株、および/または1種または複数の細菌分離株の増殖または活性を刺激するために医薬組成物に添加できる。さらに、1種または複数のプレバイオティクスを、例えば、糞便細菌の未培養集団の分離および/または精製の後で、または凍結、フリーズドライ、噴霧乾燥、溶液中での再構成などの前または後で、新しい環境にそれらの細胞を移行させる際に、細菌細胞への「ショック」を緩衝するために、組成物に添加できる。
【0381】
医薬組成物に添加できる、または対象に投与できるプレバイオティクスの非限定的例としては、アミノ酸、乳酸、硝酸アンモニウム、アミロース、大麦マルチ、ビオチン、カーボネート、セルロース、キチン、コリン、フラクトオリゴ糖(FOS)、フルクトース、ガラクトオリゴ糖(GOS)、グルコース、グリセロール、ヘテロ多糖、ヒスチジン、単一多糖類、ヒドロキシアパタイト、イヌリン、イソマルツロース、ラクトース、ラクツロース、マルトデキストリン、マルトース、マンノオリゴ糖、窒素、オリゴデキストロース、オリゴフルクトース、オリゴフルクトース強化イヌリン、オリゴ糖、ペクチン、リン酸塩、リン、ポリデキストロース、ポリオール、水酸化カリウム、カリウム、硝酸ナトリウム、デンプン、スクロース、硫黄、サンファイバー、タガトース、チアミン、トランスガラクトオリゴ糖、トレハロース、ビタミン、水溶性炭水化物、および/またはキシロオリゴ糖(XOS)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。プレバイオティクスの例としては、複合糖質、アミノ酸、ペプチド、または細菌性組成物の生存のための他の不可欠な栄養成分が挙げられる。
【0382】
ある態様では、対象は、医薬組成物で治療の前に、プレバイオティクス栄養素で前治療されない。別の態様では、医薬組成物は、プレバイオティクス栄養素を補充されない。
【0383】
いくつかの実施形態では、プレバイオティクスは、本明細書で記載の医薬組成物、例えば、1種または複数の細菌分離株を含む組成物中に添加(例えば、乾燥または液体形態で)されてよい。
【0384】
代わりに、または追加で、プレバイオティクスは、微生物治療薬を欠く別の医薬組成物中に含まれてよい(例えば、乾燥または液体形態で)。
【0385】
プレバイオティクスは、同じ医薬組成物中でまたは別の医薬組成物中でのいずれかで、微生物治療薬(例えば、1種または複数の細菌分離株)を含む医薬組成物の投与の前に、それと同時に、および/またはその後に、対象に提供されてよい。
【0386】
プレバイオティクスは、単一用量でまたは複数用量で提供されてよい。単一組成物として提供される場合、単一組成物は、単一プレバイオティクスまたはプレバイオティクスの混合物を含み得る。複数組成物として提供される場合、各組成物は、単一プレバイオティクスまたはプレバイオティクスの混合物を含み得る。
【0387】
例として、複数用量が提供される場合、プレバイオティクスを含む第1の組成物は、1種の特定のプレバイオティクス、例えば、イヌリンを含んでよく、第2の組成物は、第2の特定のプレバイオティクス、例えば、ペクチンを含んでよい。あるいは、第1の組成物は、プレバイオティクスの混合物、例えば、イヌリンとペクチンを含んでよく、第2の組成物は、プレバイオティクスの異なる混合物、例えば、イヌリンとFOSを含んでよい。第1の組成物は、プレバイオティクスの混合物を含んでよく、第2の組成物は、1種の特定のプレバイオティクスを含んでよい。
【0388】
対象/患者に提供される、および/または組成物中に含まれるプレバイオティクスの量は、特定のプレバイオティクス、有益な細菌の特定の菌株、および/または対象/患者の病状に依存する。
【0389】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、下痢止め剤である。使用のために好適な下痢止め剤としては、限定されないが、DPP-IV阻害剤;アヘン、パレゴリックおよびコデインのチンキなどの天然オピオイド;ジフェノキシラート、ジフェノキシンおよびロペラミドなどの合成オピオイド;次サリチル酸ビスマス、ランレオチド、バプレオチドおよびオクトレオチド;モチリンアンタゴニスト;セレコキシブなどのCOX2阻害剤;グルタミン、サリドマイド;およびカオリン、ペクチン、ベルベリンおよびムスカリン性薬物などの従来の下痢止め治療薬が挙げられる。
【0390】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、鎮痛剤であり得る。本明細書で記載の組成物および方法で有用な鎮痛剤としては、限定されないが、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、メサドンおよび関連化合物、テバイン、オルピアビン(orpiavine)、ならびにこれらの誘導体、ブプレノルフィン、ピペリジン、モルフィナン、ベンゾモルファン、テトラヒドロイソキノリン、チアンブタン(thiambutane)、ベンジルアミン、チリジン、ビミノール、ネホパム、カプサイシン(8-メチル-N-バニリル-6E-ノネンアミド)、「合成」カプサイシン(N-バニリルノネンアミド)、および関連化合物が挙げられる。
【0391】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、抗菌剤であり、それは、限定されないが、セファロスポリン系抗生物質(セファレキシン、セフロキシム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファクロール、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、およびセフトビプロール);フルオロキノロン系抗生物質(シプロ、レヴァキン、フロキシン、テクイン、アベロックスおよびノルフロックス);テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、およびドキシサイクリン);ペニシリン系抗生物質(アモキシシリン、アンピシリン、ペニシリンV、ジクロキサシリン、カルベニシリン、バンコマイシン、およびメチシリン);モノバクタム系抗生物質(アズトレオナム);およびカルバペネム系抗生物質(エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、およびメロペネム)を含む。いくつかの実施形態では、抗菌薬は、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、およびカルバペネム系抗生物質のいずれかであり得る。
【0392】
一態様では、方法は、治療用の細菌または微生物叢組成物の投与前に、抗生物質組成物で対象を前治療することをさらに含む。一態様では、本明細書で投与される抗生物質組成物は、リファブチン、クラリスロマイシン、クロファジミン、バンコマイシン、リファンピシン、ニトロイミダゾール、クロラムフェニコール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される抗生物質を含む。別の態様では、本明細書で投与される抗生物質組成物は、リファキシミン、リファマイシン誘導体、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、リファラジル、ビコザマイシン、アミノグリコシド、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、パロモマイシン、ベルダマイシン(verdamicin)、ムタマイシン、シソマイシン、ネチルマイシン、レティマイシン(retymicin)、カナマイシン、アズトレオナム、アズトレオナムマクロライド、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、アジスロマイシン、次サリチル酸ビスマス、バンコマイシン、ストレプトマイシン、フィダキソマイシン、アミカシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、トブラマイシン、アプラマイシン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される抗生物質を含む。別の態様では、対象は、治療用の細菌または微生物叢組成物の投与前に、抗生物質組成物で前治療されない。別の態様では、医薬組成物は、抗生物質組成物を補充されない。さらなる態様では、方法は、治療用の細菌または微生物叢組成物の投与前に、抗炎症薬で対象を前治療することをさらに含む。さらに別の態様では、対象は、治療用の細菌または微生物叢組成物の投与前に、抗炎症薬で前治療されない。別の態様では、治療用の細菌または微生物叢組成物は、抗炎症薬を補充されない。
【0393】
すべての追加の治療薬組成物および方法について、GI管の種々の部分に対する標的化を、本明細書で記載のように用い得る。
【0394】
治療の方法
本明細書で開示されるのは、それを必要としている対象において腸内菌共生バランス失調に関連する障害を予防するまたは治療する方法であり、方法は、本明細書で開示のいずれかの医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、障害は、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、C.difficile感染症(CDI)、C.difficile関連疾患(CDAD)、および抗生物質誘発性有害作用から選択される。いくつかの実施形態では、障害は、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)、および回腸嚢炎から選択されるIBDである。いくつかの実施形態では、方法は、院内感染症および/または二次新興感染症を治療または予防し、および/または対象のGI管中の1種または複数の病原微生物の異常増殖を治療および/または予防する。いくつかの実施形態では、方法は、正常な腸微生物叢の維持を含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象に少なくとも1種のプレバイオティクスを投与することをさらに含む。
【0395】
種々の実施形態では、本明細書で提供されるのは、生態学的均衡をもたらすまたは回復するために、それを必要としている対象のマイクロバイオームを調節する方法であり、方法は、本明細書で記載の組成物を対象に投与することを含む。例えば、種々の実施形態では、本明細書で記載の組成物を投与することにより1種または複数の病原性細菌を漸減させる、または阻害する方法が提供される。種々の実施形態では、本明細書で記載の1種または複数の細菌分離株の投与は、投与の前に、患者のGI管中に検出可能な程度に存在しない少なくとも1つのタイプの細菌の増殖を強化し、および種々の実施形態では、それは、非病原性である。
【0396】
種々の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で記載の組成物を対象に投与することを含む、それを必要としている対象において腸病原体または病原性共生生物に対する生態的管理を回復するまたは強化する方法である。
【0397】
種々の実施形態では、方法は、それを必要としている対象においてGIディスバイオシスに関連する疾患または状態を治療するために、本明細書で記載の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、炎症性腸疾患(IBD)、例えば、クローン病、大腸炎(例えば、UCまたは顕微鏡的大腸炎)、または回腸嚢炎を有する。IBDは、大腸の、いくつかの事例では、小腸の一群の炎症状態である。本明細書で記載の組成物、製剤および方法により治療できるIBDの例としては、限定されないが、クローン病、UC、回腸嚢炎、コラーゲン大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置腸炎、ベーチェット症候群、感染性腸炎、および分類不能大腸炎が挙げられる。ある実施形態では、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に本明細書で記載の組成物を投与することを含む、UCを治療する方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に本明細書で記載の組成物を投与することを含む、CDを治療する方法である。さらなる実施形態では、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に本明細書で記載の組成物を投与することを含む、回腸嚢炎を治療する方法である。
【0398】
種々の実施形態では、方法は、それを必要としている対象においてUCを治療するために、本明細書で記載の組成物を投与することを含む。UCは、IBDの1つの形態である。それは、結腸の慢性疾患であり、そこで結腸の内壁が炎症を起こし、膿および粘液を生成する小さな開口傷口または潰瘍を生じる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の方法は、UCに関連する炎症および/または潰瘍を回復、低減、または除去できる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の方法は、限定されないが、腹部不快感または疼痛、高頻度結腸空化、軟便および突然の排便、持続性下痢、血便、食欲不振、および体重減少を含む、UCに関連する1種または複数の症状を回復、低減、または除去できる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の方法は、UCに罹患した子供において成長および発達の遅れを減らすまたは防止できる。
【0399】
種々の実施形態では、方法は、それを必要としている対象においてUCを治療するために、本明細書で記載の組成物を投与することを含む。例えば、対象の治療の成功は、下記指数を用いて測定でき、例えば、本発明の方法は、対象活動性スコア閾値を、重度から中等度、軽度、または寛解に変化させる;または患者のスコアを中等度から軽度または寛解に変化させる;または患者のスコアを軽度から寛解に変化させる。
【表25】
【0400】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象においてIBSを治療するために本明細書で記載の医薬組成物を投与することを含む。IBSは、結腸に影響する一般的な障害であり、かつ筋痙攣、腹痛、腹部膨満、ガス、下痢および便秘を引き起こす場合がある。IBSは、最も多い症状に基づいて、下痢型(下痢が多いIBS、IBS-D)、便秘型(便秘が多いIBS、IBS-C)または混合症状型(便秘と下痢が交互するIBS、IBS-A)に分類される。本明細書で記載の方法は、IBS-D、IBS-C、および/またはIBS-Aの1種または複数を治療するのに効果的であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の方法(例えば、本明細書で記載の組成物を投与することを含む)は、IBS-D、IBS-C、および/またはIBS-Aの1種または複数に関連する1つまたは複数の症状を低減または除去できる。
【0401】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において異常な腸内ミクロフローラ(例えば、腸内菌共生バランス失調)を治療するために本明細書で記載の医薬組成物を投与することを含む。疾患/障害は、過敏性腸症候群または痙性結腸を含む胃腸障害;便秘型FBD、疼痛型FBD、上腹部FBDを含む機能性腸疾患(FBD);非潰瘍性消化不良(NUD)、胃食道逆流;クローン病、潰瘍性大腸炎、分類不能大腸炎、コラーゲン大腸炎、顕微鏡的大腸炎を含む炎症性腸疾患;慢性Clostridium difficile感染症、偽膜性大腸炎、粘液大腸炎、抗生物質関連大腸炎、特発性または単純な便秘、憩室性疾患、AIDS腸疾患、小腸細菌性異常増殖、セリアック病、大腸ポリポーシス(polyposis coli)、結腸ポリープ、慢性特発性偽性腸閉塞症、および毒性巨大結腸症から選択できる。
【0402】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において肝障害に関連する障害を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。肝障害の非限定的例としては、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎(PSC)、脂肪肝、および特発性肝硬変が挙げられる。いくつかの実施形態では、このような疾患/障害は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0403】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象においてリウマチ性疾患を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。リウマチ性疾患の非限定的例としては、関節リウマチ、非リウマチ性関節、非リウマチ性因子陽性関節、強直性脊椎炎、ライム病、およびライター症候群が挙げられる。いくつかの実施形態では、このような疾患/障害は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0404】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において免疫介在障害を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。免疫介在障害の非限定的例としては、糸球体腎炎、溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome)、若年性糖尿病、混合型クリオグロブリン血症、多発動脈炎、家族性地中海熱、アミロイドーシス、強皮症、全身性エリテマトーデス、およびベーチェット症候群が挙げられる。いくつかの実施形態では、このような疾患/障害は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0405】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において自己免疫疾患を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。自己免疫疾患の非限定的例としては、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、急性壊死性出血性白質脳炎、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性高脂血症、自己免疫性免疫不全、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、自己免疫性甲状腺疾患、自己免疫性じんま疹、神経細胞軸索型ニューロパチー、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡、クローン病、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、クレスト病;本態性混合型クリオグロブリン血症、脱髄性神経障害、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、実験的アレルギー性脳脊髄炎、エバンス症候群、線維性肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本脳症、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、低ガンマグロブリン血症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫調節性リポタンパク質、封入体筋炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、若年性特発性関節炎、若年性筋炎、川崎病候群、ランバート・イートン症候群、白血球破壊性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、線状IgA病(LAD)、ループス(全身性エリテマトーデス)、慢性ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎、混合結合組織疾患(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎(デビック病)、好中球減少症、眼瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ、PANDAS(小児自己免疫性溶連菌関連性精神神経障害)、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間血色素尿症(PNH)、パリー・ロンベルク症候群、パーソナージュ・ターナー症候群、毛様体扁平部炎(周辺性ぶどう膜炎)、天疱瘡、末梢神経障害、静脈周囲性脳脊髄炎、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、I、II、III型多腺性自己免疫症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、プロゲステロン皮膚炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎(PSC)、乾癬、乾癬性関節炎、特発性肺線維症、壊疽性膿皮症、赤芽球癆、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、再発性多発軟骨炎、下肢静止不能症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精液精巣自己免疫、全身硬直症候群、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、交感性眼炎、高安動脈炎、1型糖尿病、喘息、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病(UCTD)、ぶどう膜炎、血管炎、小水疱水疱性皮膚病、白斑症、およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。いくつかの実施形態では、このような障害は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0406】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において神経学的症候群を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。神経学的症候群の非限定的例としては、慢性疲労症候群、片頭痛、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群(Guillain-Barre syndrome)、パーキンソン病、アルツハイマー病、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、および他の変性疾患が挙げられる。いくつかの実施形態では、このような症候群は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0407】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において精神障害を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。精神障害の非限定的例としては、慢性うつ病、統合失調症、精神病性障害、躁鬱病;アスペルガー症候群、レット症候群、注意欠陥多動障害(ADHD)、および注意欠陥障害(ADD)を含む退行性障害;退行性障害;自閉症;乳幼児突然死症候群(SIDS);神経性食欲不振症が挙げられる。いくつかの実施形態では、このような疾患/障害は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0408】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において皮膚疾患を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。皮膚疾患の非限定的例としては、慢性じんま疹、アクネ、疱疹状皮膚炎および血管炎障害が挙げられる。いくつかの実施形態では、このような疾患/障害は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0409】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において心臓血管および/または血管障害を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、このような疾患/障害は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0410】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において血液感染(BSI)を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。このようなBSIのリスクがある患者としては、限定されないが、実質臓器移植患者;慢性腎疾患患者、例えば、血液透析の患者;および腫瘍学患者が挙げられる。いくつかの実施形態では、このようなBSIは、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0411】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象においてカテーテルまたは血管内感染(例えば、中心線感染)を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、このような感染症は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0412】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において皮膚または軟部組織感染を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、このような感染症は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0413】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において手術部位感染を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、このような感染症は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0414】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において尿路感染症(例えば、抗生物質耐性尿路感染症およびカテーテル関連尿路感染症)を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、このような感染症は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0415】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において創感染を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、このような感染症は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0416】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において感染症を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。感染症の非限定的例としては、抗生物質耐性感染症および抗生物質感受性感染症が挙げられる。いくつかの実施形態では、このような感染症は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0417】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の医薬組成物および方法は、髄膜炎を治療または予防できる。いくつかの実施形態では、髄膜炎は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0418】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において肺炎、例えば、人工呼吸器関連肺炎を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、肺炎は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0419】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の組成物、製剤および方法は、外来患者設定である、入院している、および/または長期療養施設に入っている患者集団において使用できる。このような患者集団は、院内感染症のリスクがある。いくつかの実施形態では、このような感染症は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0420】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において原発性硬化性胆管炎(PSC)を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。例えば、対象に投与される医薬組成物中の1種または複数の細菌分離株は、腸内菌共生バランス失調の腸マイクロバイオームを健康な集団で置き換えることができ、それにより、少なくとも、胆管炎症を低減し、および/または肝臓機能を改善する。
【0421】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において下痢性疾患を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。下痢性疾患の非限定的例としては、急性血性下痢(例えば、赤痢)、急性水様下痢(例えば、コレラ)、大腸炎関連チェックポイント阻害剤、食中毒による下痢、持続性下痢、および旅行者下痢症が挙げられる。いくつかの実施形態では、下痢は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0422】
種々の実施形態では、本明細書で記載の医薬組成物の投与は、本明細書で記載の状態、疾患、または障害に関連する1種または複数の症状を低減、回復または除去できる。代表的な症状としては、限定されないが、下痢、血便、口のびらん、肛門周囲疾患、腹痛、腹部疝痛、発熱、疲労、体重減少、鉄欠乏症、貧血、食欲減退、体重減少、食欲不振、成長遅延、青春期発育遅延、および皮膚、眼、接合、肝臓、および胆管の炎症、が挙げられる。いくつかの実施形態では、症状は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する。
【0423】
いくつかの実施形態では、方法は、病原性細菌による感染を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与すること、および/またはそれを必要としている対象のGI管中で病原性細菌の増殖を抑制すること、またはその数を減らすことを含む。ある実施形態では、病原性細菌は、Salmonella属などの腸内細菌である。種々の実施形態では、方法は、患者の腸において種々の大腸菌型(毒性および/または抗生物質耐性の大腸菌型を含む)の異常増殖を減らすまたは防ぐために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。大腸菌型の例としては、Citrobacter属、Enterobacter属、Hafnia属、Klebsiella属、および、Escherichia属が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の方法および組成物は、耐性生物による二次感染を防ぐかまたは減らす。
【0424】
さらに他の実施形態では、方法は、それを必要としている対象において腸の感染性疾患を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。腸の感染性疾患の非限定的例としては、CDIおよび/またはCDAD,院内感染症、二次新興感染症、アメーバ症、腸結核、または寄生虫炎が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、CDIおよび/またはCDADを治療または予防するための方法であり、方法は、それを必要としている対象または患者に本明細書で記載の医薬組成物有効量を投与することを含む。種々の実施形態では、CDIまたはCDADは、下記の1種または複数を含む:C.difficile下痢(CDD)、C.difficile炎症性腸疾患、大腸炎、偽膜性大腸炎、発熱、腹痛、脱水および電解質障害、巨大結腸症、腹膜炎、および結腸の穿孔および/または破裂。
【0425】
種々の実施形態では、本明細書で記載の組成物は、初期開始または再燃/再発(例えば、継続されたまたは再開された抗生物質療法による)の場合に、GIディスバイオシスに関連する疾患もしくは状態を治療または予防するために、それを必要としている対象に投与される。例えば、以前にGIディスバイオシスに罹患していた患者では、本発明の医薬組成物または製剤を、対象の最初の症状の再発時に投与し得る。非限定的例であるが、再発の症状は、軽度の症例では、1日当たり約5~約10回の水様便通があり、大きな発熱はなく、血液検査は白血球数の最大で約15,000(正常レベルは最大で約10,000)のわずかな上昇を示す場合があるが、軽度の腹部疝痛のみであり、および、重症例では、1日当たり約12回を超える水様便、悪心、嘔吐、高熱(例えば、約102~104°F)、直腸出血、重篤な腹痛(例えば、圧痛を伴う)、腹部膨満、および高白血球数(例えば、15,000~約40,000)を含む。
【0426】
いくつかの実施形態では、本明細書記載の方法は、GIディスバイオシスに関連する疾患または状態に罹患している、またはそれに影響を受けやすい対象または患者を治療するために使用できる。例えば、対象は、GIディスバイオシスに関連する疾患または状態の影響を対象に受けやすくする初期および/または補助的療法を受けているまたは受けたことがあり得る。いくつかの実施形態では、対象は、抗生物質による治療を受けているか、または治療を受けたことがある。例えば、対象は、過去約30日の間に抗生物質を服用したことがあり得る、および/または弱った免疫系を有し得る(例えば、慢性疾病により)。別の例では、患者は最近、集中治療室を含み、入院したことがあり得る。従って、いくつかの実施形態では、方法は、それを必要としている対象において院内感染症および/または二次新興感染症および/または医療関連感染(HAI)を治療または予防するために本明細書で記載の組成物を投与することを含む。
【0427】
種々の実施形態では、本明細書で記載されるのは、それを必要としている患者に微生物治療薬(例えば、1種または複数の細菌分離株)の有効量を投与することを含む、GI管中の抗生物質誘発性有害作用を治療するための方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、それを必要としている患者に微生物治療薬の有効量を投与することを含む、GI管中の抗生物質誘発性有害作用を予防するための方法である。
【0428】
別の態様では、本明細書で開示の医薬組成物または複数の医薬組成物は、例えば、それを必要としている対象における本明細書で記載の状態、疾患、または障害の治療のための、薬物の製造に使用できる。種々の実施形態では、本明細書で記載の細菌分離株は、抗生物質誘発損傷から腸マイクロバイオームを保護する。いくつかの実施形態では、本明細書記載の方法は、下痢、悪心、嘔吐、味覚異常、大腸炎、および偽膜性大腸炎疾患および/または症状を含むが限定されない抗生物質関連有害作用を治療または予防できる。ある実施形態では、本明細書で記載の方法は、抗生物質関連下痢(AAD)を治療または予防するために使用できる。
【0429】
GI管機能の変化および/または改善を測定する方法としては、限定されないが、上皮および粘膜の直接検査のための内視鏡;構造変化および/または免疫バイオマーカーの直接評価のための組織学的評価および/または組織採取;非吸収性糖およびLPSレベルによる浸透性の評価のための尿試験;炎症および/または微生物叢変化の評価のための便試験(例えば、PCRによる);および/またはCD4+細胞数、Th17細胞数、および/またはLPSレベルを含む特異的マーカーの評価のための血液検査を挙げることができる。
【0430】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要としている対象において障害(例えば、C.difficile感染症、自閉症スペクトラム障害(ASD)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、または本明細書でリストした別の適応症)を治療するための方法を提供し、方法は、本明細書で記載の医薬組成物の薬学的活性用量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要としている対象において障害(例えば、C.difficile感染症、ASD、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、またはクローン病)を治療するための方法を提供し、方法は、本明細書で記載の医薬組成物の薬学的活性用量を対象に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも2日の間、少なくとも1日1回、それを必要とする患者に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日の間、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週の間、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週の間、少なくとも週2回、3回、4回、または5回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日または週の間、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の週または月の間、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象の全生涯にわたって長期的に、または無期限の間、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の月または年の間、少なくとも1回投与される。
【0431】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも2日の間、少なくとも1日2回、それを必要とする患者に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日の間、少なくとも1日2回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週の間、少なくとも1日2回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の日または週の間、少なくとも1日2回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の週または月の間、少なくとも1日2回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象の全生涯にわたって長期的に、または無期限の間、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の月または年の間、少なくとも2回投与される。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも2日の間、少なくとも1日3回、それを必要とする患者に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日の間、少なくとも1日3回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週の間、少なくとも1日3回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の日または週の間、少なくとも1日3回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、連続する最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の週または月の間、少なくとも1日3回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象の全生涯にわたって長期的に、または無期限の間、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の月または年の間、少なくとも3回投与される。
【0432】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において障害(例えば、C.difficile感染症、ASD、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、またはクローン病)を治療する方法を提供し、方法は、本明細書で記載の1種または複数の生きた非病原性細菌分離株を含む医薬組成物の薬学的活性用量を対象に経口投与することを含み、用量は、連続する少なくとも3日または3週の間、少なくとも1日に1回または2回の投与スケジュールで投与される。いくつかの実施形態では、1回分の用量が、2~12週、3~12週、4~12週、5~12週、6~12週、7~12週、8~12週、9~12週、10~12週、1~2週、2~3週、3~4週、4~5週、5~6週、6~7週、7~8週、8~9週、9~10週、または10~11週の期間にわたり、1日に少なくとも1回、2回、または3回、投与される。
【0433】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要としている対象において障害(例えば、C.difficile感染症、ASD、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、またはクローン病)を治療する方法を提供し、方法は、併用治療または療法を含む。例えば、方法は、二重併用療法、三重併用療法、または四重併用療法を含み得る。
【0434】
さらに別の態様では、本明細書で開示されるのは、それを必要としている対象における状態、疾患、または障害の予防または治療での使用のための、複数の医薬組成物、例えば、本明細書で開示の2種以上の医薬組成物である。いくつかの実施形態では、第1の組成物は第1の特性を有する1種または複数の細菌分離株を含み、第2の組成物は第2の特性を有する1種または複数の細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、第1の組成物は第1の特性を有する1種または複数の細菌分離株を含み、第2の組成物は第2の特性を有する1種または複数の細菌分離株を含み、第3の組成物は第3の特性を有する1種または複数の細菌分離株を含む。本明細書で使用される場合、細菌分離株の特性は、例えば、組成物を投与された対象の腸中で少なくとも1種の短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する、またはその産生を高める細菌分離株の能力(例えば、表2で与えられる細菌分離株により表される);真核細胞(例えば、組成物を投与される対象の宿主細胞)中でサイトカイン産生を調節する細菌分離株の能力(例えば、表3で与えられる細菌分離株により表される);UCの患者と比較して、健康な対象中で高度に豊富な菌株との対応関係(例えば、細菌分離株はその菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%の同一性を有する16S rRNA配列を含む)(例えば、表4で与えられる細菌分離株により表される);およびこれらの組み合わせ、を含み得る。
【0435】
本明細書で記載されるのは、それを必要としている対象における状態、疾患または障害の予防または治療するための方法であり、方法は、本明細書で開示の1種または複数の細菌分離株を含む1種または複数の医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む。ある実施形態では、方法は、表1で与えられる細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株の1種または複数を対象に投与することを含む。ある実施形態では、方法は、表2、表3、または表4のいずれか1つで与えられる細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株の1種または複数を対象に投与することを含む。
【0436】
ある実施形態では、方法は、表7~21のいずれか1つで与えられる細菌分離株のそれぞれの16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む複数の細菌分離株を対象に投与することを含む。ある実施形態では、方法は、表22で与えられる細菌分離株の1種または複数の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株の1種または複数を対象に投与することを含む。
【0437】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の方法で対象に投与される複数の細菌分離株は、同じ医薬組成物中で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の方法で対象に投与される複数の細菌分離株は、別々の医薬組成物中で投与される。例えば、方法は、有効量の複数の医薬組成物、例えば、本明細書で開示の2種以上の医薬組成物を、それを必要としている対象に投与することを含み得る。複数の医薬組成物は、同時にまたは順次に提供されてよい。従って、対象が、例えば、3種の細菌分離株で治療される場合、第1の組成物は2種の細菌分離株を含み、第2の組成物は第3の細菌分離株を含み得る。異なる例では、対象が3種の細菌分離株で治療される場合、第1の組成物は第1の細菌分離株を含み、第2の組成物は第2の細菌分離株を含み、第3の組成物は第3の細菌分離株を含み得る。
【0438】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるのは、それを必要としている対象において腸微生物叢のディスバイオシスを含む障害、疾患、または状態を治療する方法であり、方法は、本明細書で記載の医薬組成物を対象に投与することを含み、医薬組成物は、1種または複数の細菌分離株を含み、1種または複数の細菌分離株はそれぞれ、特定の投与量(例えば、特定の数の細胞または特定の数の生細胞)で投与される。ある実施形態では、方法は、1種または複数の細菌分離株を投与することを含み、1種または複数の細菌分離株は、O.splanchnicus、B.cellulosilyticus、A.shahii、A.muciniphila、R.faecis、F.prausnitzii、E.rectale、およびS.variabileの1種または複数を含み、1種または複数の細菌分離株のそれぞれは、少なくとも107個の細胞、10~10個の細胞、10個以下の細胞、少なくとも108個の細胞、10~10個の細胞、10個以下の細胞、少なくとも109個の細胞、10~1010個の細胞、1010個以下の細胞、少なくとも1010個の細胞、1010~1011個の細胞、1011個以下の細胞、少なくとも1011個の細胞、1011~1012個の細胞、1012個以下の細胞、および少なくとも1012個の細胞の投与量で投与される。
【0439】
別の態様では、本明細書で開示されるのは、それを必要としている対象における状態、疾患、または障害の予防または治療における使用のための、複数の医薬組成物、例えば、本明細書で開示の2種以上の医薬組成物である。いくつかの実施形態では、第1の組成物は1種または複数の本明細書で記載の細菌分離株を含む。いくつかの実施形態では、第2の組成物は、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物(例えば、便試料から精製された実質的に完全な便細菌叢)を含む。対象は、障害を治療または予防するために、任意の順序で第1および第2組成物をにより治療され得る。例えば、一実施形態では、対象は、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含む組成物、続いて1種または複数の細菌分離株を含む組成物で治療される。別の実施形態では、対象は、1種または複数の細菌分離株を含む組成物、続いて未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含む組成物で治療される。さらに他の実施形態では、対象は、1種または複数の細菌分離株を含む組成物、および未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を含む組成物で同時に(例えば、細菌分離株および未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の両方を含む組成物で、または細菌分離株または未培養便細菌叢もしくは未培養糞便細菌の調製物の1種をそれぞれ含む複数の組成物で)治療される。
【0440】
ある実施形態では、対象の状態、疾患または障害を治療または予防するための方法は、(i)1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物;および(ii)未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物、の対象への投与を含む。例えば、1種または複数の細菌分離株は、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の前または後で、または同時に(例えば、異なる組成物中で、または同じ組成物中で一緒に)投与できる。別の実施形態では、対象の障害の治療方法は、(i)1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物;および(ii)1種または複数の抗生物質、の対象への投与を含む。例えば、1種または複数の細菌分離株は、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の前または後で、または同時に(例えば、異なる組成物中で、または同じ組成物中で一緒に)投与できる。通常、抗生物質は、細菌分離株由来の細菌の腸の補充の前に、有害なおよび/または病原性細菌の対象の腸をパージするために、1種または複数の細菌分離株の投与の前に対象に投与される。ある実施形態では、対象の障害を治療する方法は、(i)1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物;および(ii)プレバイオティクス、の対象への投与を含む。例えば、1種または複数の細菌分離株は、プレバイオティクスの前または後で、または同時に(例えば、異なる組成物中で、または同じ組成物中で一緒に)投与できる。上記例のそれぞれでは、治療方法のいずれかの所与の成分は、複数回投与されてよいことがさらに理解されよう。例えば、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を対象に投与でき、その後1種または複数の細菌分離株を投与し、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の2回目の投与が続く。
【0441】
ある実施形態では、対象の状態、疾患または障害を治療または予防する方法は、(i)1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物;および(ii)未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物;(iii)1種または複数の抗生物質、の対象への投与を含む。(i)~(iii)の異なる成分は、任意の順序で対象に投与できる。例えば、対象は、1種または複数の抗生物質、その後、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の投与に続いて、1種または複数の細菌分離株を投与されてよい。別の例では、対象に、1種または複数の抗生物質、その後、1種または複数の細菌分離株の投与に続けて、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を投与できる。上記例のそれぞれでは、治療方法のいずれかの所与の成分は、複数回投与できることがさらに理解されよう。例えば、抗生物質に続いて、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を対象に投与でき、その後、1種または複数の細菌分離株の投与に続いて、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の2回目の投与ができる。
【0442】
ある実施形態では、対象の状態、疾患または障害を治療または予防するための方法は、(i)1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物;および(ii)未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物;(iii)1種または複数のプレバイオティクス、の対象への投与を含む。(i)~(iii)の異なる成分は、任意の順序で対象に投与できる。例えば、対象は、1種または複数のプレバイオティクス、その後、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の投与に続いて、1種または複数の細菌分離株を投与されてよい。別の例では、対象に、1種または複数のプレバイオティクス、その後、1種または複数の細菌分離株の投与に続いて、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を投与できる。別の例では、対象に、1種または複数の細菌分離株および/または未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の片方もしくは両方の投与後に、1種または複数のプレバイオティクスを投与できる。上記例のそれぞれでは、治療方法のいずれかの所与の成分は、複数回投与できることがさらに理解されよう。例えば、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を対象に投与でき、その後、1種または複数の細菌分離株の投与に続いて、プレバイオティクス、続いて、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の2回目の投与ができる。
【0443】
ある実施形態では、対象の状態、疾患または障害を治療または予防するための方法は、(i)1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物;および(ii)未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物;(iii)1種または複数のプレバイオティクス;および(iv)1種または複数の抗生物質、の対象への投与を含む。(i)~(iv)の異なる成分は、任意の順序で対象に投与できる。例えば、対象は、1種または複数の抗生物質の投与、続いて、1種または複数のプレバイオティクス、その後、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の投与に続いて、1種または複数の細菌分離株を投与されてよい。別の例では、対象に、1種または複数の抗生物質、その後、1種または複数のプレバイオティクス、これに続く、1種または複数の細菌分離株の投与に続いて、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物を投与できる。別の例では、プレバイオティクスは、1種または複数の細菌分離株および/または未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の片方もしくは両方の後に投与できる。上記例のそれぞれでは、治療方法のいずれかの所与の成分は、複数回投与できることがさらに理解されよう。例えば、抗生物質を対象に投与でき、その後、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物に続いて、1種または複数の細菌分離株の投与後に、プレバイオティクス、続けて、未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の2回目の投与ができる。
【0444】
上記併用療法のそれぞれでは、異なる治療間の時間(未培養便細菌叢または未培養糞便細菌の調製物の投与と1種または複数の細菌分離株の投与の間の時間)は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも5週、少なくとも6週、少なくとも7週、少なくとも8週、または8週超であり得る。
【0445】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象の腸内菌共生バランス失調に関連する障害、例えば、GI障害を治療するための方法において使用される。
【0446】
キット
本明細書で記載されるのは、いずれかの本明細書で開示の医薬組成物および使用説明書を含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、少なくとも1種のプレバイオティクスを含む追加の医薬組成物をさらに含む(例えば、追加の医薬組成物は微生物治療薬を欠く)。
【0447】
説明書は、例えば、投与情報を記載できる。例えば、投与頻度および組成物の投与量、例えば、所与の時間に投与されるべき医薬組成物のカプセルの数、および1日/1週当りの投与回数を記載できる。キットが2種以上の組成物(例えば、微生物治療薬および微生物治療薬を欠く追加の医薬組成物)を含むいくつかの実施形態では、説明書は、各組成物の投与を記載できる。例えば、1種の組成物は、別の組成物の前に投与でき、例えば、2種の医薬組成物の、数分、数時間、数日、数週、数ヶ月、またはさらに長い期間の間隔を開けた逐次投与により投与できる。あるいは、2種の組成物は、同時に投与できる。
【0448】
製造の方法
本明細書で開示されるのは、微生物混合物を含む医薬組成物を製造する方法であり、方法は、2種以上の細菌分離株を混合して微生物混合物を形成することを含む。
【0449】
本明細書で開示されるのは、1種または複数の細菌分離株を含む医薬組成物を製造する方法であり、方法は、次の特性の少なくとも1つに基づいて1種または複数の細菌分離株を選択することを含む:(i)機能アッセイで測定される、特定の量またはレベルの1種または複数の酪酸などの短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する能力(表2で与えられる細菌分離株により表される);(ii)機能アッセイにおいて細菌分離株とインキュベートされた真核細胞によるサイトカイン産生または放出の特定の量またはレベルを誘導する能力(例えば、表3で与えられる細菌分離株より表される);および/または(iii)腸内菌共生バランス失調(例えば、潰瘍性大腸炎(UC))の患者に比較して健康なヒト対象中の細菌分離株のより大きな相対存在量、または腸内菌共生バランス失調の患者に比べて腸内菌共生バランス失調(例えば、UC)からの寛解期にあるヒト対象中の細菌分離株のより大きな相対存在量(例えば、表4で与えられる細菌分離株により表される)。方法は、1種または複数の細菌分離株を医薬組成物中に組み込むことをさらに含み得る。
【0450】
いくつかの実施形態では、特性(i)を含む1つの細菌分離株のみが選択され、医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、特性(ii)を含む1つの細菌分離株のみが選択され、医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、特性(iii)を含む1つの細菌分離株のみが選択され、医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は1種のみの細菌分離株を含む。
【0451】
本明細書で開示されるのは、複数の細菌分離株を含む医薬組成物を製造する方法であり、方法は、次の特性の少なくとも1つに基づいて複数の細菌分離株を選択することを含む:(i)医薬組成物を投与された対象の腸中で1種または複数の酪酸などの短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する細菌分離株の能力;(ii)医薬組成物を投与された対象の宿主細胞中のサイトカイン産生を調節する細菌分離株の能力;および/または(iii)腸内菌共生バランス失調(例えば、潰瘍性大腸炎(UC))の患者に比較して健康なヒト対象中の細菌分離株のより大きな相対存在量、または腸内菌共生バランス失調の患者に比べて腸内菌共生バランス失調(例えば、UC)からの寛解期にあるヒト対象中の細菌分離株のより大きな相対存在量。方法は、複数の細菌分離株を微生物混合物中に組み込むこと、およびその微生物混合物を医薬組成物中に組み込むことをさらに含み得る。
【0452】
いくつかの実施形態では、特性(i)を含む2種以上の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得る;特性(ii)を含む2種以上の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得る;および/または特性(iii)を含む2種以上の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得る。
【0453】
いくつかの実施形態では、特性(i)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得、および特性(ii)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、特性(i)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得、および特性(iii)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、特性(ii)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得、および特性(iii)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得る。
【0454】
いくつかの実施形態では、特性(i)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得、および特性(ii)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得、および特性(iii)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得る。
【0455】
いくつかの実施形態では、特性(i)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、医薬組成物中に組み込まれ得、特性(ii)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得、および特性(iii)を含む少なくとも1種の細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれ得る。
【0456】
いくつかの実施形態では、特性(i)を含む細菌分離株は、選択されない。いくつかの実施形態では、特性(ii)を含む細菌分離株は、選択されない。いくつかの実施形態では、特性(iii)を含む細菌分離株は、選択されない。
【0457】
いくつかの実施形態では、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種の、または20種より多い細菌分離株が、特性(i)~(iii)に基づいて選択され、微生物混合物中に組み込まれる。
【0458】
いくつかの実施形態では、微生物混合物中に組み込まれる全ての細菌分離株は、特性(i)~(iii)の少なくとも1つに基づいて選択される。いくつかの実施形態では、微生物混合物中に組み込まれる全ての細菌分離株は、特性(i)~(iii)の少なくとも2つに基づいて選択される。いくつかの実施形態では、微生物混合物中に組み込まれる全ての細菌分離株は、特性(i)~(iii)の3つ全てに基づいて選択される。いくつかの実施形態では、組成物中に組み込まれる全ての細菌分離株は、特性(i)に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、組成物中に組み込まれる全ての細菌分離株は、特性(i)のみに基づいて選択される。いくつかの実施形態では、組成物中に組み込まれる全ての細菌分離株は、特性(ii)に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、組成物中に組み込まれる全ての細菌分離株は、特性(ii)のみに基づいて選択される。いくつかの実施形態では、組成物中に組み込まれる全ての細菌分離株は、特性(iii)に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、組成物中に組み込まれる全ての細菌分離株は、特性(iii)のみに基づいて選択される。
【0459】
いくつかの実施形態では、Odoribacter sphlanchnicusを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、特性(ii)、および特性(iii)の少なくとも1つを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、Odoribacter sphlanchnicusを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、特性(ii)、および特性(iii)の少なくとも2つを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、Odoribacter sphlanchnicusを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、特性(ii)、および特性(iii)のそれぞれを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。
【0460】
いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、特性(ii)、および特性(iii)の少なくとも1つを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、特性(ii)、および特性(iii)の少なくとも2つを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、Faecalibacterium prausnitziiを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、特性(ii)、および特性(iii)のそれぞれを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。
【0461】
いくつかの実施形態では、Eubacterium rectaleを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、および特性(iii)の少なくとも1つを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、Eubacterium rectaleを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、および特性(ii)のそれぞれを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。
【0462】
いくつかの実施形態では、Roseburia faecisを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)を示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。
【0463】
いくつかの実施形態では、Akkermansia muciniphilaを含む細菌分離株が、選択され、特性(ii)、および特性(iii)の少なくとも1つを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、Akkermansia muciniphilaを含む細菌分離株が、選択され、特性(ii)、および特性(iii)のそれぞれを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。
【0464】
いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiを含む細菌分離株が、選択され、特性(ii)、および特性(iii)の少なくとも1つを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、Alistipes shahiiを含む細菌分離株が、選択され、特性(ii)、および特性(iii)のそれぞれを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。
【0465】
いくつかの実施形態では、Bacteroides cellulosilyticusを含む細菌分離株が、選択され、特性(iii)を示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。
【0466】
いくつかの実施形態では、Subdoligranulum variabileを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、特性(ii)、および特性(iii)の少なくとも1つを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、Subdoligranulum variabileを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、特性(ii)、および特性(iii)の少なくとも2つを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、Subdoligranulum variabileを含む細菌分離株が、選択され、特性(i)、特性(ii)、および特性(iii)のそれぞれを示す細菌分離株を基準にして医薬組成物中に組み込まれる。
【0467】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、機能アッセイで測定される、特定の量の酪酸などのSCFAの産生能力に基づいて(すなわち、特性(i)に基づいて)、本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。例えば、一連の細菌分離株は、一定期間中にSCFAに変換できる有機基質とインキュベートされた場合に、閾値濃度のSCFAを産生する能力でスクリーニングできる。いくつかの実施形態では、基質は、オリゴ糖(例えば、フラクトオリゴ糖(FOS)またはキシロオリゴ糖(XOS))、サンファイバー/部分水解グアーガム)PHGG)、または大麦麦芽の少なくとも1種を含み得る。細菌分離株は、基質のSCFAへの変換を可能にするのに十分な任意の時間、例えば、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、少なくとも13時間、少なくとも14時間、少なくとも15時間、少なくとも16時間、少なくとも17時間、少なくとも18時間、少なくとも19時間、少なくとも20時間、少なくとも21時間、少なくとも22時間、少なくとも23時間、少なくとも24時間、少なくとも25時間、少なくとも26時間、少なくとも27時間、少なくとも28時間、少なくとも29時間、少なくとも30時間、少なくとも35時間、少なくとも40時間、少なくとも44時間、少なくとも48時間、または48時間超にわたり基質とインキュベートできる。
【0468】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも15mM、少なくとも20mM、少なくとも25mM、少なくとも30mM、少なくとも35mM、少なくとも40mM、少なくとも45mM少なくとも50mM、少なくとも60mM、少なくとも70mM、少なくとも80mM、少なくとも90mM、少なくとも100mM、または100mM超のレベルでの一定時間(例えば、24時間)にわたるSCFA(例えば、酪酸)の産生に基づいて本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の包含のために選択される細菌分離株は、表2で与えられる、または表2で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0469】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、機能アッセイで測定される、細菌分離株とインキュベートされた真核細胞による1種または複数のサイトカインの産生および/または放出を調節するその能力に基づいて、すなわち、特性(ii)に基づいて)、本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。例えば、一連の細菌分離株は、それぞれの細菌分離株とインキュベートされた真核細胞由来の1種または複数のサイトカインの産生および/または放出を調節する能力についてスクリーニングできる。機能アッセイで使用できる真核細胞の例としては、腸細胞、上皮細胞、腸粘膜細胞、腸上皮細胞、腸粘膜固有層細胞、内皮細胞、線維芽細胞、間質細胞、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、マスト細胞、および末梢血単核球(PBMC)が挙げられる。いくつかの実施形態では、真核細胞は、ヒト細胞であり得る。
【0470】
細菌分離株は、サイトカイン発現の調節を可能にするのに十分な任意の時間、例えば、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、少なくとも13時間、少なくとも14時間、少なくとも15時間、少なくとも16時間、少なくとも17時間、少なくとも18時間、少なくとも19時間、少なくとも20時間、少なくとも21時間、少なくとも22時間、少なくとも23時間、少なくとも24時間、少なくとも25時間、少なくとも26時間、少なくとも27時間、少なくとも28時間、少なくとも29時間、少なくとも30時間、少なくとも35時間、少なくとも40時間、少なくとも44時間、少なくとも48時間、または48時間超にわたり真核細胞とインキュベートできる。
【0471】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、機能アッセイで測定される、一定期間(例えば、24時間)にわたり、細菌分離株とインキュベートされた真核細胞の集団(例えば、PBMC集団)によるIL-10の誘導に基づいて、本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。例えば、細菌分離株は、少なくとも1000pg/ml、少なくとも1500pg/ml、少なくとも2000pg/ml、少なくとも2500pg/ml、少なくとも3000pg/ml、少なくとも3500pg/ml、少なくとも4000pg/ml、少なくとも5000pg/ml、少なくとも6000pg/ml、少なくとも7000pg/ml、少なくとも8000pg/ml、少なくとも9000pg/ml、少なくとも10,000pg/ml、または10,000pg/ml超の濃度でIL-10を誘導できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の包含のために選択される細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0472】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、機能アッセイで測定される、一定期間(例えば、24時間)にわたり、細菌分離株とインキュベートされた真核細胞の集団(例えば、PBMC集団)によるGM-CSFの限定産生に基づいて、本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。例えば、細菌分離株は、GM-CSFの産生を、5pg/ml、10pg/ml、15pg/ml、20pg/ml、25pg/ml、30pg/ml、35pg/ml、40pg/ml、45pg/ml、50pg/ml、55pg/ml、60pg/ml、65pg/ml、70pg/ml、75pg/ml、80pg/ml、85pg/ml、90pg/ml、95pg/ml、100pg/ml、105pg/ml、110pg/ml、115pg/ml、120pg/ml、125pg/ml、130pg/ml、135pg/ml、140pg/ml、145pg/ml、150pg/ml、155pg/ml、160pg/ml、165pg/ml、170pg/ml、175pg/ml、180pg/ml、185pg/ml、190pg/ml、195pg/ml、または200pg/ml以下の濃度に制限できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の包含のために選択される細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0473】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、機能アッセイで測定される、一定期間(例えば、24時間)にわたり、細菌分離株とインキュベートされた真核細胞の集団(例えば、PBMC集団)によるIL-12の限定産生に基づいて、本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。例えば、細菌分離株は、IL-12の産生を、5pg/ml、10pg/ml、15pg/ml、20pg/ml、25pg/ml、30pg/ml、35pg/ml、40pg/ml、45pg/ml、50pg/ml、55pg/ml、60pg/ml、65pg/ml、70pg/ml、75pg/ml、80pg/ml、85pg/ml、90pg/ml、95pg/ml、100pg/ml、105pg/ml、110pg/ml、115pg/ml、120pg/ml、125pg/ml、130pg/ml、135pg/ml、140pg/ml、145pg/ml、150pg/ml、155pg/ml、160pg/ml、165pg/ml、170pg/ml、175pg/ml、180pg/ml、185pg/ml、190pg/ml、195pg/ml、または200pg/ml以下の濃度に制限できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の包含のために選択される細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0474】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、機能アッセイで測定される、一定期間(例えば、24時間)にわたり、細菌分離株とインキュベートされた真核細胞の集団(例えば、PBMC集団)によるIFNγの限定産生に基づいて、本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。例えば、細菌分離株は、IFNγの産生を、5pg/ml、10pg/ml、15pg/ml、20pg/ml、25pg/ml、30pg/ml、35pg/ml、40pg/ml、45pg/ml、50pg/ml、55pg/ml、60pg/ml、65pg/ml、70pg/ml、75pg/ml、80pg/ml、85pg/ml、90pg/ml、95pg/ml、100pg/ml、105pg/ml、110pg/ml、115pg/ml、120pg/ml、125pg/ml、130pg/ml、135pg/ml、140pg/ml、145pg/ml、150pg/ml、155pg/ml、160pg/ml、165pg/ml、170pg/ml、175pg/ml、180pg/ml、185pg/ml、190pg/ml、195pg/ml、または200pg/ml以下の濃度に制限できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の包含のために選択される細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0475】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、機能アッセイで測定される、一定期間(例えば、24時間)にわたり、細菌分離株とインキュベートされた真核細胞の集団(例えば、PBMC集団)によるTNFαの限定産生に基づいて、本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。例えば、細菌分離株は、TNFαの産生を、20pg/ml、30pg/ml、40pg/ml、50pg/ml、75pg/ml、100pg/ml、150pg/ml、200pg/ml、250pg/ml、300pg/ml、350pg/ml、400pg/ml、450pg/ml、500pg/ml、550pg/ml、600pg/ml、650pg/ml、700pg/ml、750pg/ml、800pg/ml、850pg/ml、900pg/ml、950pg/ml、1000pg/ml、1100pg/ml、1200pg/ml、1300pg/ml、1400pg/ml、1500pg/ml、1600pg/ml、1700pg/ml、1800pg/ml、1900pg/ml、2000pg/ml、2100pg/ml、2200pg/ml、2300pg/ml、2400pg/ml、または2500pg/ml以下の濃度に制限できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の包含のために選択される細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0476】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、機能アッセイで測定される、一定期間(例えば、24時間)にわたり、細菌分離株とインキュベートされた真核細胞の集団(例えば、PBMC集団)によるIL-23の限定産生に基づいて、本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。例えば、細菌分離株は、IL-23の産生を、5pg/ml、10pg/ml、15pg/ml、20pg/ml、25pg/ml、30pg/ml、35pg/ml、40pg/ml、45pg/ml、50pg/ml、55pg/ml、60pg/ml、65pg/ml、70pg/ml、75pg/ml、80pg/ml、85pg/ml、90pg/ml、95pg/ml、100pg/ml、105pg/ml、110pg/ml、115pg/ml、120pg/ml、125pg/ml、130pg/ml、135pg/ml、140pg/ml、145pg/ml、150pg/ml、155pg/ml、160pg/ml、165pg/ml、170pg/ml、175pg/ml、180pg/ml、185pg/ml、190pg/ml、195pg/ml、200pg/ml、250pg/ml、または300pg/ml以下の濃度に制限できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の包含のために選択される細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0477】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、機能アッセイで測定される、一定期間(例えば、24時間)にわたり、細菌分離株とインキュベートされた真核細胞の集団(例えば、PBMC集団)により生成されるIL-10:IL-12の比に基づいて、本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。例えば、細菌分離株は、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも325、少なくとも350、少なくとも375、少なくとも400、少なくとも425、少なくとも450、少なくとも475、少なくとも500、少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850、少なくとも900、少なくとも950、少なくとも1000、少なくとも1100、少なくとも1200、少なくとも1300、少なくとも1400、少なくとも1500、少なくとも1600、少なくとも1700、少なくとも1800、少なくとも1900、少なくとも2000、少なくとも2200、少なくとも2400、少なくとも2600、少なくとも2800、少なくとも3000、少なくとも3200、少なくとも3400、少なくとも3600、少なくとも3800、少なくとも4000、または4000超のIL-10:IL-12の比を生成できる。ある実施形態では、1種または複数の細菌分離株は表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0478】
いくつかの実施形態では、細菌分離株は、機能アッセイで測定される、一定期間(例えば、24時間)にわたり、細菌分離株とインキュベートされた真核細胞の集団(例えば、PBMC集団)により生成されるIL-10:TNFαの比に基づいて、本明細書で記載の医薬組成物中の包含のために選択できる。例えば、細菌分離株は、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または少なくとも100のIL-10:TNFαの比を生成できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の包含のために選択される細菌分離株は、表3で与えられる、または表3で与えられる細菌分離株の配列番号に対応する16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む。
【0479】
ある実施形態では、製造の方法は、表1で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株を選択すること、および1種または複数の細菌分離株を医薬組成物中に組み込むこと、を含む。ある実施形態では、表1で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種の、または20種より多い細菌分離株が、選択され、微生物混合物中に組み込まれる。
【0480】
ある実施形態では、製造の方法は、表2~4で与えられる1種または複数の細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む1種または複数の細菌分離株を選択すること、および1種または複数の細菌分離株を医薬組成物中に組み込むこと、を含む。
【0481】
ある実施形態では、製造の方法は、表7~21の1つで与えられる細菌分離株の全ての16S rRNA配列と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を含む細菌分離株を選択すること、細菌分離株を微生物混合物中に組み込むこと、および微生物混合物を医薬組成物中に組み込むこと、を含む。
【0482】
いくつかの実施形態では、1種または複数の細菌分離株は、分離菌により示される、または有される1種または複数の所望の形質または特性に基づいて、本明細書で記載の医薬組成物中に包含するために合理的に選択できる。合理的選択の基準を形成できる細菌分離株により有されるまたは示される形質の非限定的例としては、DNA配列コードまたは非コード配列;RNA配列;ポリペプチド配列;特定のRNAまたはタンパク質産物の産生または産生の欠如;代謝経路の活性または不活性;特定の代謝産物の産生または産生の欠如;特定のリガンドまたはリガンドセットの産生または産生の欠如;標的細胞(例えば、真核細胞)中の化合物または経路の生成の誘導または抑制の能力;株の存在または存在量と状態または徴候の存在または重症度との関連性(例えば、ヒト患者における);および株の属または種を含む特定の分類学上の分類、を挙げることができる。
【0483】
いくつかの実施形態では、製造の方法は、医薬組成物中に組み込まれるべき細菌分離株の投与量を選択すること、および細菌分離株を選択した投与量で医薬組成物中に組み込むこと、を含む。ある実施形態では、細菌分離株の投与量を選択することは、細菌分離株を投与される対象の腸中でのその細菌分離株の生着のために必要とされる閾値または最小投与量を決定すること、および閾値または最小投与量を越える細菌分離株の投与量を選択すること、を含む。
【0484】
実施形態
実施形態1:細菌分離株の混合物を含む医薬組成物であって、少なくとも1種の細菌分離株が、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含み、少なくとも2種の細菌分離株が、異なるドナーの便試料から分離される、医薬組成物。
【0485】
実施形態2:少なくとも2種の細菌分離株が、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態1に記載の医薬組成物。
【0486】
実施形態3:少なくとも3種の細菌分離株が、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態1または実施形態2に記載の医薬組成物。
【0487】
実施形態4:少なくとも4種の細菌分離株が、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0488】
実施形態5:少なくとも5種の細菌分離株が、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0489】
実施形態6:少なくとも6種の細菌分離株が、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0490】
実施形態7:少なくとも7種の細菌分離株が、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0491】
実施形態8:少なくとも8種の細菌分離株が、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0492】
実施形態9:少なくとも9種の細菌分離株が、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0493】
実施形態10:少なくとも10種の細菌分離株が、表1で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0494】
実施形態11:複数の細菌分離株を含む医薬組成物であって、複数の細菌分離株が、Eubacterium rectale、Odoribacter splanchnicusおよびSubdoligranulum variabileからなる群より選択される少なくとも2種の細菌分離株を含み、少なくとも2種の細菌分離株が、異なるドナーの便試料から分離される、医薬組成物。
【0495】
実施形態12:Subdoligranulum variabileが、配列番号22または配列番号23の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態11に記載の医薬組成物。
【0496】
実施形態13:Odoribacterが、配列番号2と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態11または実施形態12に記載の医薬組成物。
【0497】
実施形態14:Eubacterium rectaleが、配列番号8と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態11~13のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0498】
実施形態15:少なくとも2種の細菌分離株が、Eubacterium rectaleを含まない、実施形態11~13のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0499】
実施形態16:少なくとも2種の細菌分離株が、Odoribacter splanchnicusを含まない、実施形態11、実施形態12、実施形態13、または実施形態14のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0500】
実施形態17:少なくとも2種の細菌分離株が、Subdoligranulum variabileを含まない、実施形態11、実施形態13、または実施形態14のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0501】
実施形態18:少なくとも2種の細菌分離株が、Odoribacter splanchnicusおよびEubacterium rectaleを含まない、実施形態11~14または実施形態17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0502】
実施形態19:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、およびBlautia obeumの少なくとも1種をさらに含む、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0503】
実施形態20:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、およびBlautia obeumのそれぞれをさらに含む、実施形態19に記載の医薬組成物。
【0504】
実施形態21:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態19または実施形態20に記載の医薬組成物。
【0505】
実施形態22:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態19~21のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0506】
実施形態23:Alistipes shahiiが、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態19~22のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0507】
実施形態24:Blautia obeumが、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態19~23のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0508】
実施形態25:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、Anaerostipes hadrus、Roseburia faecis、およびBlautia obeumの少なくとも1種をさらに含む、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0509】
実施形態26:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、Anaerostipes hadrus、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む、実施形態25に記載の医薬組成物。
【0510】
実施形態27:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態25または実施形態26に記載の医薬組成物。
【0511】
実施形態28:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態25~27のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0512】
実施形態29:Alistipes shahiiが、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態25~28のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0513】
実施形態30:Anaerostipes hadrusが、配列番号3と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態25~29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0514】
実施形態31:Roseburia faecisが、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態25~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0515】
実施形態32:複数の細菌分離株が、Blautia obeumおよびAnaerostipes hadrusの少なくとも1種を含まない、実施形態25に記載の医薬組成物。
【0516】
実施形態33:複数の細菌分離株が、Blautia obeumを含まない、実施形態32に記載の医薬組成物。
【0517】
実施形態34:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、Blautia obeum、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0518】
実施形態35:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
【0519】
実施形態36:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
【0520】
実施形態37:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態34~36のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0521】
実施形態38:Alistipes shahiiが、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態34~37のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0522】
実施形態39:Blautia obeumが、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態34~38のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0523】
実施形態40:Roseburia faecisが、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態34~39のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0524】
実施形態41:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes shahii、およびRoseburia faecisの少なくとも1種をさらに含む、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0525】
実施形態42:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes shahii、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む、実施形態41に記載の医薬組成物。
【0526】
実施形態43:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態41または実施形態42に記載の医薬組成物。
【0527】
実施形態44:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態41または実施形態42に記載の医薬組成物。
【0528】
実施形態45:Roseburia faecisが、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態41~44のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0529】
実施形態46:Alistipes shahiiが、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態41~45のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0530】
実施形態47:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、およびAnaerostipes hadrusの少なくとも1種をさらに含む、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0531】
実施形態48:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、およびAnaerostipes hadrusのそれぞれをさらに含む、実施形態47に記載の医薬組成物。
【0532】
実施形態49:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態47または実施形態48に記載の医薬組成物。
【0533】
実施形態50:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態47または実施形態48に記載の医薬組成物。
【0534】
実施形態51:Roseburia faecisが、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態47~50のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0535】
実施形態52:Anaerostipes hadrusが、配列番号3と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態47~51のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0536】
実施形態53:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Blautia obeum、およびAlistipes shahiiの少なくとも1種をさらに含む、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0537】
実施形態54:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Blautia obeum、およびAlistipes shahiiのそれぞれをさらに含む、実施形態53に記載の医薬組成物。
【0538】
実施形態55:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態53または実施形態54に記載の医薬組成物。
【0539】
実施形態56:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態53または実施形態54に記載の医薬組成物。
【0540】
実施形態57:Blautia obeumが、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態53~56のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0541】
実施形態58:Alistipes shahiiが、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態53~57のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0542】
実施形態59:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、およびRoseburia faecisの少なくとも1種をさらに含む、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0543】
実施形態60:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む、実施形態59に記載の医薬組成物。
【0544】
実施形態61:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態59または実施形態60に記載の医薬組成物。
【0545】
実施形態62:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態59または実施形態60に記載の医薬組成物。
【0546】
実施形態63:Alistipes shahiiが、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態59~62のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0547】
実施形態64:Roseburia faecisが、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態59~63のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0548】
実施形態65:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Blautia obeum、およびRoseburia faecisの少なくとも1種をさらに含む、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0549】
実施形態66:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Blautia obeum、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む、実施形態65に記載の医薬組成物。
【0550】
実施形態67:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態65または実施形態66に記載の医薬組成物。
【0551】
実施形態68:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態65または実施形態66に記載の医薬組成物。
【0552】
実施形態69:Blautia obeumが、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態65~68のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0553】
実施形態70:Roseburia faecisが、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態65~69のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0554】
実施形態71:Roseburia faecisが、配列番号19と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態65~69のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0555】
実施形態72:少なくとも2種の細菌分離株が、Eubacterium rectaleおよびSubdoligranulum variabileを含む、実施形態11に記載の医薬組成物。
【0556】
実施形態73:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Coprococcus comes、Anaerostipes hadrus、およびRoseburia faecisの少なくとも1種をさらに含む、実施形態72に記載の医薬組成物。
【0557】
実施形態74:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Coprococcus comes、Anaerostipes hadrus、およびRoseburia faecisのそれぞれをさらに含む、実施形態72または実施形態73に記載の医薬組成物。
【0558】
実施形態75:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態72~74のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0559】
実施形態76:Anaerostipes hadrusが、配列番号3と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態72~75のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0560】
実施形態77:Roseburia faecisが、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態72~76のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0561】
実施形態78:Coprococcus comesが、配列番号17と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態72~77のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0562】
実施形態79:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes shahii、またはBlautia obeumの少なくとも1種を含まない、実施形態1~18のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0563】
実施形態80:複数の細菌分離株を含む医薬組成物であって、複数の細菌分離株が、Roseburia faecisおよびBacteroides cellulosilyticus、ならびにFaecalibacterium prausnitziiおよびAlistipes shahiiの少なくとも1種を含む、医薬組成物。
【0564】
実施形態81:複数の細菌分離株が、Eubacterium rectale、Anaerostipes hadrus、およびBlautia obeumの少なくとも1種をさらに含む、実施形態80に記載の医薬組成物。
【0565】
実施形態82:複数の細菌分離株が、Roseburia faecis、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahii、Eubacterium rectale、およびAnaerostipes hadrusのそれぞれを含む、実施形態80または実施形態81に記載の医薬組成物。
【0566】
実施形態83:Roseburia faecisが、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態80~82のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0567】
実施形態84:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態80~83のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0568】
実施形態85:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態80~84のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0569】
実施形態86:Alistipes shahiiが、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態80~85のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0570】
実施形態87:Eubacterium rectaleが、配列番号8と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態80~86のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0571】
実施形態88:Anaerostipes hadrusが、配列番号3少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態80~87のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0572】
実施形態89:複数の細菌分離株が、Anaerostipes hadrusおよびBlautia obeumの少なくとも1種を含まない、実施形態80~89のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0573】
実施形態90:複数の細菌分離株が、Roseburia faecis、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Alistipes shahiiのそれぞれ含み、およびEubacterium rectaleおよびBlautia obeumをさらに含む、実施形態80に記載の医薬組成物。
【0574】
実施形態91:Roseburia faecisが、配列番号19と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態90に記載の医薬組成物。
【0575】
実施形態92:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態90または実施形態91に記載の医薬組成物。
【0576】
実施形態93:Faecalibacterium prausnitziiが、配列番号1または配列番号7の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態90~92のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0577】
実施形態94:Alistipes shahiiが、配列番号18と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態90~93のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0578】
実施形態95:Eubacterium rectaleが、配列番号8と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態90~94のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0579】
実施形態96:Blautia obeumが、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態90~95のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0580】
実施形態97:複数の細菌分離株の1種または複数が、組成物を投与される対象の腸中で短鎖脂肪酸(SCFA)を分泌する、実施形態1~96のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0581】
実施形態98:SCFAが、酢酸、酪酸、カプロン酸、ギ酸、ヘプタン酸、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソ吉草酸、プロピオン酸、吉草酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態97に記載の医薬組成物。
【0582】
実施形態99:SCFAが、酪酸である、実施形態97または実施形態98に記載の医薬組成物。
【0583】
実施形態100:1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルが、少なくとも5mMである、実施形態99に記載の医薬組成物。
【0584】
実施形態101:1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルが、少なくとも10mMである、実施形態99に記載の医薬組成物。
【0585】
実施形態102:1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルが、少なくとも15mMである、実施形態99に記載の医薬組成物。
【0586】
実施形態103:1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルが、少なくとも20mMである、実施形態99に記載の医薬組成物。
【0587】
実施形態104:1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルが、少なくとも25mMである、実施形態99に記載の医薬組成物。
【0588】
実施形態105:1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルが、少なくとも30mMである、実施形態99に記載の医薬組成物。
【0589】
実施形態106:1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルが、少なくとも35mMである、実施形態99に記載の医薬組成物。
【0590】
実施形態107:1種または複数の細菌分離株により24時間にわたり産生される酪酸のレベルが、少なくとも40mMである、実施形態99に記載の医薬組成物。
【0591】
実施形態108:少なくとも1種のSCFAを産生する1種または複数の細菌分離株が、表2で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態99に記載の医薬組成物。
【0592】
実施形態109:複数の細菌分離株を含む医薬組成物であって、複数の細菌分離株が、Parabacteroides merdaeならびにAlistipes finegoldiiおよびAlistipes onderdonkiiの少なくとも1種を含む細菌分離株を含む、医薬組成物。
【0593】
実施形態110:複数の細菌分離株が、Alistipes finegoldiiおよびAlistipes onderdonkiiの両方を含む、実施形態109に記載の医薬組成物。
【0594】
実施形態111:複数の細菌分離株が、Akkermansia muciniphila、Dorea longicatena、Blautia obeum、Blautia sp.、Bacteroides uniformisまたはBacteroides vulgatusの少なくとも1種をさらに含む、実施形態110に記載の医薬組成物。
【0595】
実施形態112:複数の細菌分離株が、Akkermansia muciniphila、Dorea longicatena、Blautia sp.、Bacteroides uniformisおよびBacteroides vulgatusのそれぞれをさらに含む、実施形態111に記載の医薬組成物。
【0596】
実施形態113:Parabacteroides merdaeが、配列番号5と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態111または実施形態112に記載の医薬組成物。
【0597】
実施形態114:Akkermansia muciniphilaが、配列番号20と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態111~113のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0598】
実施形態115:Alistipes finegoldiiが、配列番号15と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態111~114のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0599】
実施形態116:Dorea longicatenaが、配列番号6と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態111~115のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0600】
実施形態117:Alistipes onderdonkiiが、配列番号4と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態111~116のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0601】
実施形態118:Blautia sp.が、配列番号34と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態111~117のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0602】
実施形態119:Bacteroides uniformisが、配列番号11および配列番号16の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態111~118のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0603】
実施形態120:Bacteroides vulgatusが、配列番号12と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態111~119のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0604】
実施形態121:複数の細菌分離株が、Alistipes finegoldiiおよびAlistipes onderdonkiiの1種を含まない、実施形態111~120のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0605】
実施形態122:複数の細菌分離株が、Alistipes finegoldiiを含まない、実施形態121に記載の医薬組成物。
【0606】
実施形態123:複数の細菌分離株が、Alistipes finegoldiiを含み、Akkermansia muciniphila、Dorea longicatena、Blautia obeum、Blautia sp.、Bacteroides uniformisおよびBacteroides vulgatusをさらに含む、実施形態109に記載の医薬組成物。
【0607】
実施形態124:Parabacteroides merdaeが、配列番号5と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態123に記載の医薬組成物。
【0608】
実施形態125:Akkermansia muciniphilaが、配列番号20と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態123または実施形態124に記載の医薬組成物。
【0609】
実施形態126:Alistipes finegoldiiが、配列番号15と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態123~125のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0610】
実施形態127:Dorea longicatenaが、配列番号6と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態123~126のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0611】
実施形態128:Blautia obeumが、配列番号9と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態123~127のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0612】
実施形態129:Blautia sp.が、配列番号34と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態123~128のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0613】
実施形態130:Bacteroides uniformisが、配列番号11および配列番号16の少なくとも1つと少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態123~129のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0614】
実施形態131:Bacteroides vulgatusが、配列番号12と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態123~130のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0615】
実施形態132:複数の細菌分離株を含む医薬組成物であって、複数の細菌分離株が、Alistipes finegoldii、ならびにBacteroides uniformisおよびDorea longicatenaの少なくとも1種を含む、医薬組成物。
【0616】
実施形態133:複数の細菌分離株が、Akkermansia muciniphila、Bacteroides vulgatus、およびBlautia sp.の少なくとも1種をさらに含む、実施形態132に記載の医薬組成物。
【0617】
実施形態134:複数の細菌分離株が、Bacteroides uniformis、Dorea longicatena、Akkermansia muciniphila、Bacteroides vulgatus、およびBlautia sp.のそれぞれをさらに含む、実施形態133に記載の医薬組成物。
【0618】
実施形態135:Alistipes finegoldiiが、配列番号15と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態133または実施形態134に記載の医薬組成物。
【0619】
実施形態136:Bacteroides uniformisが、配列番号11と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態133~135のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0620】
実施形態137:Dorea longicatenaが、配列番号6と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態133~136のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0621】
実施形態138:Akkermansia muciniphilaが、配列番号20と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態133~137のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0622】
実施形態139:Bacteroides vulgatusが、配列番号12と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態133~138のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0623】
実施形態140:Blautia sp.が、配列番号34と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態133~139のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0624】
実施形態141:複数の細菌分離株が、Bacteroides uniformisまたはDorea longicatenaの1種を含まない、実施形態133~140のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0625】
実施形態142:複数の細菌分離株が、表3で与えられる少なくとも1種の細菌分離株を含む、実施形態1~141のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0626】
実施形態143:少なくとも1種の細菌分離株が、真核細胞によるサイトカイン産生または放出を調節する、実施形態142に記載の医薬組成物。
【0627】
実施形態144:少なくとも1種の細菌分離株が、真核細胞による炎症促進性サイトカインの産生または放出を低減する、実施形態143に記載の医薬組成物。
【0628】
実施形態145:炎症促進性サイトカインが、IFNγ、IL-12p70、IL-1(例えば、IL-1α、IL-1β)、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IL-18、IL-23、MCP1、MIP1α、MIP1β、TNFα、TNF-γ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態144に記載の医薬組成物。
【0629】
実施形態146:少なくとも1種の細菌分離株が、真核細胞による炎症促進性サイトカインの産生または放出を増加させる、実施形態143~145のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0630】
実施形態147:抗炎症性サイトカインが、IL-10、IL-13、IL-4、IL-5、TGF-β、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態146に記載の医薬組成物。
【0631】
実施形態148:抗炎症性サイトカインが、IL-10である、実施形態147に記載の医薬組成物。
【0632】
実施形態149:少なくとも1種の細菌分離株が、少なくとも500pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する、実施形態148に記載の医薬組成物。
【0633】
実施形態150:少なくとも1種の細菌分離株が、少なくとも1000pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する、実施形態148に記載の医薬組成物。
【0634】
実施形態151:少なくとも1種の細菌分離株が、少なくとも1500pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する、実施形態148に記載の医薬組成物。
【0635】
実施形態152:少なくとも1種の細菌分離株が、少なくとも2000pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する、実施形態148に記載の医薬組成物。
【0636】
実施形態153:少なくとも1種の細菌分離株が、少なくとも2500pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する、実施形態148に記載の医薬組成物。
【0637】
実施形態154:少なくとも1種の細菌分離株が、少なくとも3000pg/mlのIL-10を産生または放出するように真核細胞を誘導する、実施形態148に記載の医薬組成物。
【0638】
実施形態155:真核細胞が、培養細胞である、実施形態142~154のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0639】
実施形態156:培養細胞が、末梢血単核球(PBMC)である、実施形態155に記載の医薬組成物。
【0640】
実施形態157:真核細胞が、組成物を投与された対象の細胞である、実施形態142~168のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0641】
実施形態158:対象の細胞が、上皮細胞、腸粘膜固有層細胞、内皮細胞、線維芽細胞、間質細胞、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、マスト細胞、および末梢血単核球(PBMC)からなる群より選択される、実施形態157に記載の医薬組成物。
【0642】
実施形態159:対象の細胞が、上皮細胞であり、上皮細胞が、腸内上皮細胞である、実施形態158に記載の医薬組成物。
【0643】
実施形態160:医薬組成物が、経口投与用のカプセルとして処方される、実施形態1~159のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0644】
実施形態161:カプセルが、遅延放出コーティングを含む、実施形態160に記載の医薬組成物。
【0645】
実施形態162:カプセルが、疎水性コーティングを含む、実施形態160または実施形態161に記載の医薬組成物。
【0646】
実施形態163:医薬組成物が、腸への混合物の送達用に処方される、実施形態160~162のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0647】
実施形態164:医薬組成物が、小腸への混合物の送達用に処方される、実施形態163に記載の医薬組成物。
【0648】
実施形態165:組成物が、大腸への混合物の送達用に処方される、実施形態163または実施形態164に記載の医薬組成物。
【0649】
実施形態166:混合物が、凍結乾燥される、実施形態1~165のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0650】
実施形態167:医薬組成物が、薬学的に許容可能な抗酸化剤、凍結保護物質、凍結乾燥保護剤、結合剤、崩壊剤、賦形剤、充填剤、防腐剤、酸抑制剤、制酸薬、H2拮抗薬、および/またはプロトンポンプ阻害剤の少なくとも1種をさらに含む、実施形態1~166のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0651】
実施形態168:それを必要としている対象における腸内菌共生バランス失調に関連する障害を治療または予防する方法であって、実施形態1~167のいずれか1つの医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
【0652】
実施形態169:障害が、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、C.difficile感染症(CDI)、C.difficile関連疾患(CDAD)、抗生物質誘発性有害作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態168に記載の医薬組成物。
【0653】
実施形態170:それを必要としている対象における過敏性腸症候群を治療または予防する方法であって、複数の細菌分離株を対象に投与することを含み、細菌分離株の1種が、Bacteroides cellulosilyticusを含み、複数の細菌分離株の少なくとも2種が、異なるドナーの便試料から分離される、方法。
【0654】
実施形態171:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号26と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態170に記載の方法。
【0655】
実施形態172:複数の細菌分離株が、Odoribacter splanchnicusをさらに含む、実施形態170または実施形態171に記載の方法。
【0656】
実施形態173:細菌分離株の混合物を含む医薬組成物を製造する方法であって、第1の細菌分離株により産生される短鎖脂肪酸(SCFA)のレベルに基づいて第1の細菌分離株を選択すること;炎症性腸疾患を有する対象に対する健康なヒト対象中の対応する菌株の相対存在量に基づいて第2の細菌分離株を選択することであって、第2の細菌分離株が対応する菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む、選択すること;および第1と第2の細菌分離株を組み合わせて細菌分離株の混合物を製造すること、を含む、方法。
【0657】
実施形態174:第1の細菌分離株が、表2で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態173に記載の方法。
【0658】
実施形態175:第2の細菌分離株が、表4で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態173または実施形態174に記載の方法。
【0659】
実施形態176:細菌分離株によるサイトカインレベルの調節に基づいて第3の細菌分離株を選択することをさらに含む、実施形態173~175のいずれか1つに記載の方法。
【0660】
実施形態177:第3の細菌分離株が、表3で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態176に記載の方法。
【0661】
実施形態178:第1の機能アッセイで真核細胞の集団とインキュベートされた場合少なくとも50のIL-10:IL-12の比または少なくとも1のIL-10:TNFαの比の少なくとも1つを誘導する第1のヒト由来細菌分離株:および第2の機能アッセイで測定される少なくとも10mMの濃度で短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する第2のヒト由来細菌分離株を含む、医薬組成物であって、第1と第2の細菌分離株が、対象への医薬組成物の投与後に対象の腸中に生着できる、医薬組成物。
【0662】
実施形態179:IL-10:IL-12の比が、少なくとも100である、実施形態178に記載の医薬組成物。
【0663】
実施形態180:IL-10:IL-12の比が、少なくとも500である、実施形態178に記載の医薬組成物。
【0664】
実施形態181:IL-10:IL-12の比が、少なくとも1000である、実施形態178に記載の医薬組成物。
【0665】
実施形態182:IL-10:IL-12の比が、少なくとも2000である、実施形態178に記載の医薬組成物。
【0666】
実施形態183:IL-10:TNFαの比が、少なくとも2である、実施形態178に記載の医薬組成物。
【0667】
実施形態184:IL-10:TNFαの比が、少なくとも5である、実施形態178に記載の医薬組成物。
【0668】
実施形態185:IL-10:TNFαの比が、少なくとも10である、実施形態178に記載の医薬組成物。
【0669】
実施形態186:IL-10:TNFαの比が、少なくとも20である、実施形態178に記載の医薬組成物。
【0670】
実施形態187:真核細胞の集団が、PBMC集団を含む、実施形態179~186のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0671】
実施形態188:第1のヒト由来細菌分離株が、約24時間にわたり真核細胞の集団とインキュベートされる、実施形態179~187のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0672】
実施形態189:SCFAが、酪酸である、実施形態178~188のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0673】
実施形態190:SCFAが、少なくとも20mMの濃度で産生される、実施形態178~189のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0674】
実施形態191:SCFAが、少なくとも25mMの濃度で産生される、実施形態178~190のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0675】
実施形態192:SCFAが、少なくとも30mMの濃度で産生される、実施形態178~191のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0676】
実施形態193:SCFAが、少なくとも35mMの濃度で産生される、実施形態178~192のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0677】
実施形態194:第2の機能アッセイが、第2の細菌分離株を基質とインキュベートすることを含む、実施形態178~193のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0678】
実施形態195:基質が、オリゴ糖、サンファイバー、または大麦麦芽の少なくとも1種を含む、実施形態194に記載の医薬組成物。
【0679】
実施形態196:オリゴ糖が、フラクトオリゴ糖(FOS)およびキシロオリゴ糖(XOS)の少なくとも1種を含む、実施形態195に記載の医薬組成物。
【0680】
実施形態197:基質が、フラクトオリゴ糖(FOS)およびキシロオリゴ糖(XOS)の両方を含む、実施形態196に記載の医薬組成物。
【0681】
実施形態198:第2の細菌分離株が、表2で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態178~196のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0682】
実施形態199:第2の細菌分離株が、Anaerostipes sp.を含む、実施形態178~198のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0683】
実施形態200:Anaerostipes sp.が、Anaerostipes hadrusである、実施形態199に記載の医薬組成物。
【0684】
実施形態201:第2の細菌分離株が、配列番号3に対応する配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態178~200のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0685】
実施形態202:第2の細菌分離株が、Roseburia sp.を含む、実施形態178~201のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0686】
実施形態203:Roseburia sp.が、Roseburia faecisである、実施形態202に記載の医薬組成物。
【0687】
実施形態204:第2の細菌分離株が、配列番号19に対応する配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態178~203のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0688】
実施形態205:第2の細菌分離株が、Eubacterium sp.を含む、実施形態178~204のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0689】
実施形態206:Eubacterium sp.が、Eubacterium rectaleである、実施形態205に記載の医薬組成物。
【0690】
実施形態207:第2の細菌分離株が、配列番号8に対応する配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態178~206のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0691】
実施形態208:第2の細菌分離株が、Coprococcus sp.を含む、実施形態178~207のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0692】
実施形態209:Coprococcus sp.が、Coprococcus comesである、実施形態208に記載の医薬組成物。
【0693】
実施形態210:第2の細菌分離株が、配列番号17に対応する配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態178~209のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0694】
実施形態211:第1の細菌分離株が、表3で与えられる細菌分離株の16S rRNA配列と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態178~196のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0695】
実施形態212:SCFAが、酪酸である、実施形態173~177のいずれか1つに記載の方法。
【0696】
実施形態213:第1の細菌分離株が、少なくとも20mMの酪酸のレベルの産生に基づいて選択される、実施形態198に記載の方法。
【0697】
実施形態214:それを必要としている対象に実施形態178~199のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与することを含む、炎症性腸疾患を治療する方法。
【0698】
実施形態215:第1の細菌分離株と第2の細菌分離株の少なくとも1種の投与量が、1010細胞/ml未満である、実施形態200に記載の方法。
【0699】
実施形態216:複数の細菌分離株を含む医薬組成物であって、複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、ならびにOdoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Faecalibacterium prausnitzii、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabile、およびEubacterium rectaleの少なくとも1種を含み、複数の細菌分離株の少なくとも2種が、異なるドナーの便試料から分離される、医薬組成物。
【0700】
実施形態217:複数の細菌分離株が、Odoribacter splanchnicusを含む、実施形態216に記載の医薬組成物。
【0701】
実施形態218:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitziiを含む、実施形態217に記載の医薬組成物。
【0702】
実施形態219:複数の細菌分離株が、種Faecalibacterium prausnitziiのそれぞれのメンバーである2種の異なる細菌分離株を含む、実施形態218に記載の医薬組成物。
【0703】
実施形態220:複数の細菌分離株が、Subdoligranulum variabileを含む、実施形態218に記載の医薬組成物。
【0704】
実施形態221:複数の細菌分離株が、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleを含む、実施形態219に記載の医薬組成物。
【0705】
実施形態222:複数の細菌分離株が、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleを含む、実施形態220に記載の医薬組成物。
【0706】
実施形態223:複数の細菌分離株を含む医薬組成物であって、複数の細菌分離株が、種Faecalibacterium prausnitziiのそれぞれのメンバーである2種の異なる細菌分離株を含む、医薬組成物。
【0707】
実施形態224:2種の異なる細菌分離株が、異なるヒトドナーの便試料から分離される、実施形態223に記載の組成物。
【0708】
実施形態225:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleの少なくとも1種をさらに含む、実施形態223に記載の組成物。
【0709】
実施形態226:複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleのそれぞれをさらに含む、実施形態223に記載の組成物。
【0710】
実施形態227:それを必要としている対象における過敏性腸症候群を治療または予防する方法であって、複数の細菌分離株を対象に投与することを含み、細菌分離株の1種が、Bacteroides cellulosilyticusを含み、複数の細菌分離株の少なくとも2種が、異なる医薬組成物中で対象に投与される、方法。
【0711】
実施形態228:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの少なくとも1種をさらに含む、実施形態227に記載の方法。
【0712】
実施形態229:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleのそれぞれをさらに含む、実施形態227に記載の方法。
【0713】
実施形態230:複数の細菌分離株が、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Eubacterium rectaleのそれぞれ、および種Faecalibacterium prausnitziiのそれぞれメンバーである2種の異なる細菌分離株をさらに含む、実施形態227に記載の方法。
【0714】
実施形態231:純粋培養としてBacteroides cellulosilyticusを培養すること;およびB.cellulosilyticusの純粋培養物由来の細菌を凍結乾燥してB.cellulosilyticus凍結乾燥物を製造すること、を含む、製造方法。
【0715】
実施形態232:B.cellulosilyticus凍結乾燥物を第2の凍結乾燥物と組み合わせることをさらに含み、第2の凍結乾燥物が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの少なくとも1種の純粋培養物由来の細菌を凍結乾燥することにより製造される、実施形態231に記載の方法。
【0716】
実施形態233:複数の細菌分離株を含む医薬組成物であって、複数の細菌分離株の第1の細菌分離株の細胞の量が、複数の細菌分離株の第2の細菌分離株の細胞の量より少なくとも1%多く、複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Subdoligranulum variabile、Eubacterium rectale、Odoribacter splanchnicus、Alistipes shahii、およびAkkermansia muciniphilaからなる群より選択される、医薬組成物。
【0717】
実施形態234:第1の細菌分離株の細胞の量が、第2の細菌分離株の細胞の量より少なくとも10%多い、実施形態233に記載の医薬組成物。
【0718】
実施形態235:第1の細菌分離株が、Eubacterium rectaleおよびFaecalibacterium prausnitziiの1種を含む、実施形態233または実施形態234に記載の医薬組成物。
【0719】
実施形態236:第2の細菌分離株が、Alistipes shahii、およびAkkermansia muciniphilaの1種を含む、実施形態233または234に記載の医薬組成物。
【0720】
実施形態237:第1と第2の細菌分離株のそれぞれが、Faecalibacterium prausnitziiを含む、実施形態233または実施形態234に記載の医薬組成物。
【0721】
実施形態238:第1の細菌分離株が、配列番号7と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態237に記載の医薬組成物。
【0722】
実施形態239:第2の細菌分離株が、配列番号1と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態237または実施形態238に記載の医薬組成物。
【0723】
実施形態240:複数の細菌分離株を含む医薬組成物であって、複数の細菌分離株の第1の細菌分離株の細胞の量が、複数の細菌分離株の第2の細菌分離株の細胞の量より少なくとも1%多く、第1と第2の細菌分離株のそれぞれが、Faecalibacterium prausnitziiを含む、医薬組成物。
【0724】
実施形態241:第1の細菌分離株の細胞の量が、第2の細菌分離株の細胞の量より少なくとも10%多い、実施形態240に記載の医薬組成物。
【0725】
実施形態242:第1の細菌分離株が、配列番号7と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態240または実施形態241に記載の医薬組成物。
【0726】
実施形態243:第2の細菌分離株が、配列番号1と少なくとも95%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態240~242のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0727】
実施形態244:細菌分離株を含む医薬組成物であって、細菌分離株が、(i)潰瘍性大腸炎(UC)の患者群よりも健康な対象の群で豊富である、および/または(ii)便細菌叢移植患者群のそれぞれの患者の治療後の患者群における1つまたは複数のUC症状の臨床的寛解と相関する、のいずれかである菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含み、菌株の横断結合p値が、1x10-10未満である、医薬組成物。
【0728】
実施形態245:細菌分離株が、菌株の16S rRNA配列と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態244に記載の医薬組成物。
【0729】
実施形態246:細菌分離株が、Odoribacter splanchnicus、Eubacterium rectale、Bacteroides cellulosilyticusおよびAlistipes shahiiの少なくとも1種を含む、実施形態244または実施形態245に記載の医薬組成物。
【0730】
実施形態247:菌株の横断結合p値が、1x10-14未満である、実施形態244~246のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0731】
実施形態248:細菌分離株が、Odoribacter splanchnicusおよびAlistipes shahiiの少なくとも1種を含む、実施形態244~247のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0732】
実施形態249:菌株の横断結合p値が、1x10-20未満である、実施形態244~248のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0733】
実施形態250:細菌分離株が、Alistipes shahiiを含む、実施形態244~249のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0734】
実施形態251:Alistipes shahiiが、配列番号18と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態250に記載の医薬組成物。
【0735】
実施形態252:それを必要としている対象に実施形態216~252のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与することを含む炎症性腸疾患を治療する方法。
【0736】
実施形態253:それを必要としている対象における炎症性腸疾患(IBD)を治療または予防する方法であって、複数の細菌分離株を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、ならびにFaecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの少なくとも2種を含み、複数の細菌分離株の少なくとも2種が、異なるヒトドナーの便試料から分離される、方法。
【0737】
実施形態254:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14および/または26のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16Sリボソームリボ核酸(rRNA)配列を含む、請求項253に記載の方法。
【0738】
実施形態255:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの2種を含む、実施形態253または実施形態254に記載の方法。
【0739】
実施形態256:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの3種を含む、実施形態253~255のいずれか1つに記載の方法。
【0740】
実施形態257:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの4種を含む、実施形態253~256のいずれか1つに記載の方法。
【0741】
実施形態258:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの5種を含む、実施形態253~257のいずれか1つに記載の方法。
【0742】
実施形態259:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの6種を含む、実施形態253~258のいずれか1つに記載の方法。
【0743】
実施形態260:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleのそれぞれを含む、実施形態253~259のいずれか1つに記載の方法。
【0744】
実施形態261:複数の細菌分離株が、配列番号1、2、7、18、19、20、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態253~260のいずれか1つに記載の方法。
【0745】
実施形態262:複数の細菌分離株が;(a)配列番号1および/または7のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA;(b)配列番号2のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA配列;(c)配列番号19のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA配列;(d)配列番号20のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA配列;(e)配列番号18のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%配列同一性である16S rRNA配列;(f)配列番号22および/または23のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%配列同一性である16S rRNA配列;および/または(g)配列番号8のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA配列、を含む、実施形態253~261のいずれか1つに記載の方法。
【0746】
実施形態263:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitziiを含む少なくとも2種の細菌分離株を含み、少なくとも2種の細菌分離株が、異なる16S rRNA配列を含む、実施形態253~262のいずれか1つに記載の方法。
【0747】
実施形態264:Faecalibacterium prausnitziiを含む少なくとも2種の細菌分離株が、配列番号1および/または7のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA配列を含む、実施形態263に記載の方法。
【0748】
実施形態265:複数の細菌分離株が、Anaerostipes hadrus、Subdoligranulum variabile、Bacteroides uniformisの少なくとも1種をさらに含む、実施形態253~264のいずれか1つに記載の方法。
【0749】
実施形態266:複数の細菌分離株が、配列番号3、11、16、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する少なくとも1つの16S rRNA配列をさらに含む、実施形態265に記載の方法。
【0750】
実施形態267:複数の細菌分離株が、凍結乾燥された細菌を含む、実施形態253~266のいずれか1つに記載の方法。
【0751】
実施形態268:複数の細菌分離株が、Escherichia coliを含まない、実施形態253~267のいずれか1つに記載の方法。
【0752】
実施形態269:医薬組成物が、便試料、またはその最小限処理バージョンでない、実施形態253~268のいずれか1つに記載の方法。
【0753】
実施形態270:複数の細菌分離株を含む医薬組成物であって、複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、ならびにFaecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabile、およびEubacterium rectaleの少なくとも1種を含み、複数の細菌分離株の少なくとも2種が、異なるヒトドナーの便試料から分離される、医薬組成物。
【0754】
実施形態271:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14および/または26のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16Sリボソームリボ核酸(rRNA)配列を含む、請求項270に記載の医薬組成物。
【0755】
実施形態272:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの2種を含む、実施形態270または実施形態271に記載の医薬組成物。
【0756】
実施形態273:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの3種を含む、実施形態270~272のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0757】
実施形態274:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの4種を含む、実施形態270~273のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0758】
実施形態275:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの5種を含む、実施形態270~274のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0759】
実施形態276:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの6種を含む、実施形態270~275のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0760】
実施形態277:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleのそれぞれを含む、実施形態270~276のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0761】
実施形態278:複数の細菌分離株が、配列番号1、2、7、18、19、20、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態270~277のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0762】
実施形態279:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitziiを含む少なくとも2種の細菌分離株を含み、少なくとも2種の細菌分離株が、異なる16S rRNA配列を含む、実施形態270~278のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0763】
実施形態280:Faecalibacterium prausnitziiを含む少なくとも2種の細菌分離株が、配列番号1および/または7のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA配列を含む、実施形態270~279のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0764】
実施形態281:複数の細菌分離株が、Anaerostipes hadrus、Subdoligranulum variabile、Bacteroides uniformisの少なくとも1種をさらに含む、実施形態270~280のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0765】
実施形態282:複数の細菌分離株が、配列番号3、11、16、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する少なくとも1つの16S rRNA配列をさらに含む、実施形態281に記載の医薬組成物。
【0766】
実施形態283:微生物混合物を含む医薬組成物であって、微生物混合物が、種Faecalibacterium prausnitzii由来の少なくとも2種の細菌分離株を含み、少なくとも2種の細菌分離株が、異なるヒトドナーの便試料から分離される、医薬組成物。
【0767】
実施形態284:種Faecalibacterium prausnitzii由来の2種の細菌分離株が、配列番号1および/または7のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA配列を含む、実施形態283に記載の医薬組成物。
【0768】
実施形態285:種Faecalibacterium prausnitzii由来の2種の細菌分離株が、異なる16S rRNA配列を含む、実施形態283または実施形態284に記載の医薬組成物。
【0769】
実施形態286:種Faecalibacterium prausnitzii由来の2種の細菌分離株が、配列番号1および/または7のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA配列を含む、実施形態283~285のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0770】
実施形態287:微生物混合物が、Bacteroides cellulosilyticus、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Faecalibacterium prausnitzii、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleの少なくとも1種をさらに含む、実施形態283~286のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0771】
実施形態288:微生物混合物が、Bacteroides cellulosilyticus、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Faecalibacterium prausnitzii、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabile、およびEubacterium rectaleの少なくとも2種、または少なくとも3種、または少なくとも4種、または少なくとも5種、または少なくとも6種、または少なくとも7種、またはこれらのそれぞれを含む、実施形態287に記載の医薬組成物。
【0772】
実施形態289:微生物混合物が、配列番号1、2、7、8、14、18、19、20、22、23、および26から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態287または実施形態288に記載の医薬組成物。
【0773】
実施形態290:微生物混合物を含む医薬組成物であって、微生物混合物が、(i)種Faecalibacterium prausnitzii由来の少なくとも2種の細菌分離株;および(ii)Bacteroides cellulosilyticus、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabileおよびEubacterium rectaleから選択される少なくとも1種の細菌分離株、を含む、医薬組成物。
【0774】
実施形態291:種Faecalibacterium prausnitzii由来の少なくとも2種の細菌分離株が、配列番号1および/または7のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA配列を含む、実施形態290に記載の医薬組成物。
【0775】
実施形態292:種Faecalibacterium prausnitzii由来の少なくとも2種の細菌分離株が、異なる16S rRNA配列を含む、実施形態290または実施形態291に記載の医薬組成物。
【0776】
実施形態293:種Faecalibacterium prausnitzii由来の少なくとも2種の細菌分離株が、配列番号1および/または7のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性である16S rRNA配列を含む、実施形態290~292のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0777】
実施形態294:微生物混合物が、Bacteroides cellulosilyticus、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabile、およびEubacterium rectaleの少なくとも2種、または少なくとも3種、または少なくとも4種、または少なくとも5種、または少なくとも6種、またはこれらのそれぞれを含む、実施形態290~293のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0778】
実施形態295:微生物混合物が、配列番号、2、8、14、18、19、20、22、23、および26から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態290~294のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0779】
実施形態296:複数の細菌分離株を含む医薬組成物であって、複数の細菌分離株の第1の細菌分離株の細胞の量が、複数の細菌分離株の第2の細菌分離株の細胞の量より少なくとも1%多く、複数の細菌分離株が、Bacteroides cellulosilyticus、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、Eubacterium rectale、Odoribacter splanchnicus、Alistipes shahii、およびAkkermansia muciniphilaから選択される、医薬組成物。
【0780】
実施形態297:微生物混合物が、配列番号1、2、7、8、14、18、19、20、および26から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態296に記載の医薬組成物。
【0781】
実施形態298:第1の細菌分離株の細胞の量が、第2の細菌分離株の細胞の量より少なくとも10%多い、実施形態296または実施形態297に記載の医薬組成物。
【0782】
実施形態299:第1の細菌分離株が、Eubacterium rectaleおよびFaecalibacterium prausnitziiの1種を含み、第2の細菌分離株が、A.shahii、Bacteroides cellulosilyticus、およびAkkermansia muciniphilaの1種を含む、実施形態296~298のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0783】
実施形態300:複数の細菌分離株が、凍結乾燥された細菌を含む、実施形態270~299のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0784】
実施形態301:複数の細菌分離株が、Escherichia coliを含まない、実施形態270~300のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0785】
実施形態302:医薬組成物が、便試料、またはその最小限処理バージョンでない、実施形態270~301のいずれか1つに記載の方法。
【0786】
実施形態303:細菌分離株を調製する方法であって、(i)(a)健康な対象、(b)潰瘍性大腸炎(UC)の患者、および(c)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後に1種または複数のUC症状の臨床的寛解を有する患者、由来の糞便物質からの細菌分離株を用意すること、(ii)細菌分離株由来の16S rRNA配列を分析すること、および(iii)(a)潰瘍性大腸炎(UC)の患者群に比べて健康な対象群で豊富である;および/または(b)便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の1種または複数のUC症状の臨床的寛解と相関する、菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を含む細菌分離株を調製すること、を含み、細菌分離株の横断結合p値が、1x10-14未満である、方法。
【0787】
実施形態304:細菌分離株が、菌株の16S rRNA配列と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を含む、実施形態303に記載の方法。
【0788】
実施形態305:細菌分離株が、Odoribacter splanchnicusおよびAlistipes shahiiの少なくとも1種を含む、実施形態303または304に記載の方法。
【0789】
実施形態306:微生物混合物が、配列番号2および18のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態303~305のいずれか1つに記載の方法。
【0790】
実施形態307:潰瘍性大腸炎(UC)の患者群に比べて健康な対象群で豊富な第1の菌株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Alistipes onderdonkii、Faecalibacterium prausnitzii、Eubacterium rectale、Blautia obeum、Bacteroides uniformis、Bacteroides vulgatus、Bacteroides cellulosilyticus、Alistipes finegoldii、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Phascolarctobacterium faecium、Subdoligranulum variabile、Blautia sp.、Alistipes putredinis、Alistipes putredinis、Alistipes putredinis、およびこれらの任意の2種以上から選択される、実施形態303~306のいずれか1つに記載の方法。
【0791】
実施形態308:潰瘍性大腸炎(UC)の患者群に比べて健康な対象群で豊富な第1の菌株が、配列番号1、2、3、4、7、8、9、11、12、14、15、16、18、20、21、22、23、34、35、36、および37から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態303~307のいずれか1つに記載の方法。
【0792】
実施形態309:便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の1種または複数のUC症状の臨床的寛解と相関する第1の菌株が、Alistipes finegoldiiを含むが、Alistipes shahiiまたはAlistipes putredinisを含まない;またはAlistipes putredinisを含むが、Alistipes shahiiまたはAlistipes finegoldiiを含まない、実施形態303~308のいずれか1つに記載の方法。
【0793】
実施形態310:便細菌叢移植を有する患者群の各患者の治療後の患者群の1種または複数のUC症状の臨床的寛解と相関する第1の菌株が、配列番号15のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含むが、配列番号18、35、36または37から選択されるヌクレオチド配列を含まない;または配列番号35~37から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を有するが、配列番号15および18から選択されるヌクレオチド配列を含まない、実施形態303~309のいずれか1つに記載の方法。
【0794】
実施形態311:(iv)糞便試料由来のヒト由来細菌分離株を用意すること;(v)(a)真核細胞集団をヒト由来細菌分離株と接触させること、(b)真核細胞集団中のサイトカインのレベルを測定すること、および(c)真核細胞集団中のサイトカインレベルの調節をできるとして細菌分離株を特定すること、を含む機能アッセイを実施することを含む第1の機能アッセイを実施すること、を含む第3の細菌分離株を選択することをさらに含む、実施形態303~310のいずれか1つに記載の方法。
【0795】
実施形態312:真核細胞集団が、PBMC集団を含む、実施形態311に記載の方法。
【0796】
実施形態313:サイトカインが、IL-10、GM-CSF、IFNγ、TNFα、IL-23、およびIL-12から選択される、実施形態311または実施形態312に記載の方法。
【0797】
実施形態314:第3の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Subdoligranulum variabile、Bacteroides uniformis、およびこれらの任意の2種以上から選択される、実施形態311~313のいずれか1つに記載の方法。
【0798】
実施形態315:第3の細菌分離株が、配列番号1、2、3、7、11、16、18、20、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態311~314のいずれか1つに記載の方法。
【0799】
実施形態316:微生物混合物を含む医薬組成物の調製方法であって、(i)糞便試料からのヒト由来細菌分離株を用意すること;(ii)(a)真核細胞集団をヒト由来細菌分離株と接触させること、(b)IL-10:IL-12比およびIL-10:TNFα比を測定すること、および(c)真核細胞集団と共にインキュベートした場合に少なくとも約50:1のIL-10:IL-12比または少なくとも約1:1のIL-10:TNFα比を誘導できる第1の細菌分離株を特定すること、を含む第1の機能アッセイを実施すること;(iii)(a)ヒト由来細菌分離株を培地とインキュベートすること、(b)培地中の短鎖脂肪酸(SCFA)を測定すること、および(c)少なくとも約10mMの濃度でSCFAを産生できる第2の細菌分離株を特定すること、を含む第2の機能アッセイを実施すること、および(iV)(a)第1の機能アッセイで真核細胞集団とインキュベートする場合、少なくとも約50のIL-10:IL-12比または少なくとも約1のIL-10:TNFα比を誘導できる第1の細菌分離株、および(b)第2の機能アッセイで測定される、少なくとも約10mMの濃度で短鎖脂肪酸(SCFA)を産生できる第2の細菌分離株、を含む微生物混合物を調製すること、を含み、第1と第2の細菌分離株が、医薬組成物の対象への投与後に対象の腸中で生着する、方法。
【0800】
実施形態317:第1の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Anaerostipes hadrus、Bacteroides uniformis、Bacteroides vulgatus、Coprococcus comes、Alistipes shahii、Akkermansia muciniphila、Subdoligranulum variabile、およびこれらの任意の2種以上から選択される、実施形態316に記載の方法。
【0801】
実施形態318:第1の細菌分離株が、配列番号1、2、3、7、11、12、16、17、18、20、22、および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態316または実施形態317に記載の方法。
【0802】
実施形態319:真核細胞集団が、PBMC集団を含む、実施形態316~318のいずれか1つに記載の方法。
【0803】
実施形態320:SCFAが、酢酸、酪酸、カプロン酸、ギ酸、ヘプタン酸、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソ吉草酸、プロピオン酸、吉草酸、およびこれらの任意の2種以上から選択される、実施形態316~319のいずれか1つに記載の方法。
【0804】
実施形態321:SCFAが、酪酸である、実施形態316~320のいずれか1つに記載の方法。
【0805】
実施形態322:第2の細菌分離株が、Odoribacter splanchnicus、Eubacterium rectale、Coprococcus comes、Faecalibacterium prausnitzii、Roseburia faecis、Anaerostipes hadrus、Subdoligranulum variabile、およびこれらの任意の2種以上から選択される、実施形態316~321のいずれか1つに記載の方法。
【0806】
実施形態323:第2の細菌分離株が、配列番号1、2、3、7、8、17、19、22および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態316~322のいずれか1つに記載の方法。
【0807】
実施形態324:それを必要としている対象における炎症性腸疾患(IBD)を治療または予防する方法であって、複数の細菌分離株を対象に投与することを含み、細菌分離株の1種が、Bacteroides cellulosilyticusを含み、複数の細菌分離株の少なくとも2種が、異なるドナーの便試料から分離される、方法。
【0808】
実施形態325:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleの少なくとも1種をさらに含む、実施形態324に記載の方法。
【0809】
実施形態326:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleの少なくとも2種、または少なくとも3種、または少なくとも4種、または少なくとも5種、またはこれらのそれぞれを含む、実施形態325に記載の方法。
【0810】
実施形態327:複数の細菌分離株が、配列番号1、2、7、8、18、19、および20から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態325または実施形態326に記載の方法。
【0811】
実施形態328:それを必要としている対象における炎症性腸疾患(IBD)を治療または予防する方法であって、対象にBacteroides cellulosilyticusを含む第1の細菌分離株を含む第1の医薬組成物を投与すること、および第2の細菌分離株を含む第2の医薬組成物を対象に投与すること、を含む方法。
【0812】
実施形態329:第1および/または第2の細菌分離株の少なくとも1種が、凍結乾燥される、実施形態328に記載の方法。
【0813】
実施形態330:第1の医薬組成物が、配列番号14および/または26のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、請求項328または実施形態329に記載の方法。
【0814】
実施形態331:第2の医薬組成物が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleの少なくとも1種を含む、実施形態328~330のいずれか1つに記載の方法。
【0815】
実施形態332:複数の細菌分離株が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、およびEubacterium rectaleの少なくとも2種、または少なくとも3種、または少なくとも4種、または少なくとも5種、またはこれらのそれぞれを含む、実施形態331に記載の方法。
【0816】
実施形態333:第2の医薬組成物が、配列番号1、2、7、8、18、19、および20から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態328~332のいずれか1つに記載の方法。
【0817】
実施形態334:純粋培養としてBacteroides cellulosilyticusを培養すること;およびB.cellulosilyticusの純粋培養物由来の細菌を凍結乾燥して、B.cellulosilyticus凍結乾燥物を製造すること、を含む、組成物を製造する方法。
【0818】
実施形態335:Bacteroides cellulosilyticusが、配列番号14および/または26のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、請求項334に記載の方法。
【0819】
実施形態336:B.cellulosilyticus凍結乾燥物を第2の凍結乾燥物と混合することをさらに含み、第2の凍結乾燥物が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabile、Eubacterium rectaleから選択される少なくとも1種の細菌分離株を含む、実施形態334または実施形態335に記載の方法。
【0820】
実施形態337:第2の凍結乾燥物が、Faecalibacterium prausnitzii、Odoribacter splanchnicus、Roseburia faecis、Akkermansia muciniphila、Alistipes shahii、Subdoligranulum variabile、Eubacterium rectaleから選択される細菌分離株の少なくとも2種、または少なくとも3種、または少なくとも4種、または少なくとも5種、または少なくとも6種、またはこれらのそれぞれを含む、実施形態336に記載の方法。
【0821】
実施形態338:第2の凍結乾燥物が、配列番号1、2、7、8、18、19、20、22、および23から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含む、実施形態330~337のいずれか1つに記載の方法。
【0822】
実施例
本明細書の実施例は、本発明の技術の利点と利益を例示し、当業者の本発明の技術の組成物の調製または使用をさらに支援するために提供されている。本明細書の実施例はまた、本発明の技術の好ましい態様をより完全に説明するために提示されている。これらの実施例は、いかなる観点からも、添付の特許請求の範囲により定められる本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。これらの実施例は、上述の本発明の技術のいずれの変形例、態様または実施形態も包含し、組み込むことができる。上述の変形例、態様または実施形態はまた、本発明の技術のいずれのまたは全ての他の変形例、態様または実施形態の変化をさらにそれぞれ包含するまたは組み込んでよいる。
【0823】
実施例1:細菌分離株の分離および増殖
候補ヒトドナーからの便試料を採取し、病原体の存在に関しスクリーニングした。便試料が病原体を含まなかった6人のドナーが選択された。ドナー便はその後、ワールパック(登録商標)フィルターバッグ中に集められ、緩衝液(12.5%グリセロールおよび0.9%PBS、pH7.4)中に懸濁され、ホモジナイズされた。濾液を、0.05%システイン含有PBSで約10xに希釈し、固体分離培地(IM;それぞれの株に関しては下記を参照)に播種、またはIMブロス中に接種し、嫌気性条件下で増殖させた。細菌分離株を、細菌コロニーから採取することにより培養皿から精製し、および限界希釈することによりIMブロスから精製した。精製すると、各細菌分離株を、さらなるキャラクタリゼーションのために、IMブロス中、嫌気性条件下で増殖させ、一定分量を、20%グリセロール中、-80℃で凍結して、ストックを作成した。
株のための分離培地(IM)
次のIMを使用して、この試験で使用する株を培養した。それぞれの場合で、ブロス中での培養のために、寒天を省いた。
1.複合腸培地(CGM)
CGMを使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Alistipes onderdonkii(例えば、配列番号4を有する細菌分離株、これは、疾患スクリーニングおよび健康なヒトドナー(「ドナーE」)の便から分離された)
-Bacteroides uniformis(例えば、配列番号11または配列番号16を有する細菌分離株;これらは、疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(それぞれ「ドナーK」および「ドナーE」)の便からそれぞれ分離された)。
配合(リットル当たり):
トリプトン 2g
カゼイン由来ペプトン 2g
酵母抽出物 1g
D-グルコース 0.4g
L-システイン 0.5g
D-(+)-セロビオース 1g
D-(+)-マルトース 1g
D-(+)-フルクトース 1g
肉抽出物 5g
MgSO・7HO 0.0025g
NaHCO 0.4g
NaCl 0.08g
リン酸緩衝食塩水 100mM
CaCl 0.8%
ビタミンK(メナジオン) 5.8mM
FeSO 1.44mM
ヒスチジンヘマチン 0.1%
ツイーン80 0.05%
ATCC ビタミン混合物 1%
ATCC微量鉱物混合物 1%
酢酸 30mM
イソ吉草酸 1mM
プロピオン酸 8mM
酪酸 4mM
レサズリン 4mM
寒天 1.5%
最終pH 7.0±0.2
2.最少ムチン培地(Min muc)
最少ブチン培地を使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Dorea longicatena(例えば、配列番号6を有する細菌分離株、これは、疾患スクリーニングした健康なヒト(「ドナーF」)の便から分離された)。
配合(リットル当たり):
5X最少塩培地(下記参照)11.28g
寒天 12g
ブタ胃II型由来ムチン 2.5g
最終pH 6.8±0.2
5X最少塩培地(HiMedia(登録商標)M1253(Min muc培地中で使用)
配合(リットル当たり):
リン酸二ナトリウム 33.9g
リン酸カリウム 15g
塩化ナトリウム 2.5g
塩化アンモニウム 5g
3.サプリメント添加Veggie脳-心臓浸出物寒天培地(vBHI3)
vBHI3培地を使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Odoribacter splanchnicus(例えば、配列番号2を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングおよび健康なヒトドナー(「ドナーG」)の便から分離された);
-Bacteroides cellulosilyticus(例えば、配列番号14を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングおよび健康なヒトドナー(「ドナーG」)の便から分離された);
-Blautia obeum(例えば、配列番号9を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングおよび健康なヒトドナー(「ドナーG」)の便から分離された);
-Blautia sp.(例えば、配列番号34を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングおよび健康なヒトドナー(「ドナーH」)の便から分離された);
-Parabacteroides merdae(例えば、配列番号5を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(「ドナーH」)の便から分離された)。
配合(リットル当たり):
HiVeg(商標)ペプトンNo.3(HiMedia(登録商標)RM005V) 10g
HiVeg(商標)Special Infusion(HiMedia(登録商標)RM188V) 7.5g
HiVeg(商標)Infusion(HiMedia(登録商標)RM191V) 10g
デキストロース 2g
塩化ナトリウム 5g
リン酸二ナトリウム 2.5g
寒天 12g
L-システイン 0.005g
ヘミン 0.05mg
ビタミンK 0.0025mg
最終pH 7.4±0.2
4.サプリメントおよびタウロコール酸ナトリウム添加Veggie脳-心臓浸出物寒天培地(vBHI3+NaTau)
vBHI3+NaTau培地を使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Anaerostipes hadrus(例えば、配列番号3を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(「ドナーG」)の便から分離された);
配合(リットル当たり):
サプリメント添加Veggie脳-心臓浸出物寒天培地(vBHI3)のための処方を使用
+タウロコール酸ナトリウム 1g
最終pH 7.4±0.2
5.0.2Xサプリメントおよびムチン添加Veggie脳-心臓浸出物寒天培地(vBHI3+ムチン)
vBHI3+ムチン培地を使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Alistipes finegoldii(例えば、配列番号15を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(「ドナーE」)の便から分離された)。
配合(リットル当たり):
HiVeg(商標)ペプトンNo.3(HiMedia(登録商標)RM005V) 2g
HiVeg(商標)Special Infusion(HiMedia(登録商標)RM188V) 1.5g
HiVeg(商標)Infusion(HiMedia(登録商標)RM191V) 2g
デキストロース 0.4g
塩化ナトリウム 1g
リン酸二ナトリウム 0.5g
寒天 12g
L-システイン 0.005g
ヘミン 0.05mg
ビタミンK 0.0025mg
ブタ胃由来ムチンII型 2.5g
最終pH 7.4±0.2
6.ルーメン添加Veggie強化クロストリジウム培地(vRCM+ルーメン)
vRCM+ルーメン培地を使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Coprococcus comes(例えば、配列番号17を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(「ドナーJ」)の便から分離された)。
配合(リットル当たり):
クロストリジウム用選択増菌HiVegブロス 29g
(下記を参照)。
ノーブル寒天 12g
ルーメン液 30%
L-システイン 0.005g
最終pH 7.2±0.2
クロストリジウム用選択増菌HiVeg(商標)ブロス(HiMedia MV549)(vRCM+ルーメン培地中で使用)
配合(リットル当たり):
HiVeg(商標)ペプトン 10g
HiVeg(商標)抽出物 10g
酵母抽出物 1.5g
デンプン 1g
酢酸ナトリウム 5g
グルコース 1g
L-塩酸システイン 0.5g
7.調理肉を含むWilkins-Chalgren嫌気性菌寒天培地(WCA+CM)
WCA+CM培地を使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Eubacterium rectale(例えば、配列番号8を有する細菌分離株、これは、疾患スクリーニングした健康なヒト(「ドナーF」)の便から分離された)。
配合(リットル当たり):
Wilkins-Chalgren嫌気性菌ブロス 33g
(下記を参照)。
ノーブル寒天 12g
粉砕調理肉顆粒 10g
L-システイン 0.005g
ヘミン 0.05mg
ビタミンK 0.0025mg
最終pH 7±0.2
Wilkins-Chalgren嫌気性菌ブロス(オキソイドCM0643)(WCA+CM培地中で使用)
配合(リットル当たり):
トリプトン 10g
ゼラチンペプトン 10g
酵母抽出物 5g
グルコース 1g
塩化ナトリウム 5g
L-アルギニン 1g
ピルビン酸ナトリウム 1g
メナジオン 0.0005g
ヘミン 0.005g
最終pH 7.1±0.2
8.炭水化物を含む酵母抽出物-カシトン-脂肪酸寒天培地(YCFAC)
YCFAC培地を使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Faecalibacterium prausnitzii(例えば、配列番号1または配列番号7を有する細菌分離株、これらは、疾患スクリーニングおよび健康なヒトドナー(それぞれ「ドナーE」および「ドナーF」)の便からそれぞれ分離された)。
-Alistipes shahii(例えば、配列番号18を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングおよび健康なヒトドナー(「ドナーE」)の便から分離された)。
-Bacteroides uniformis(例えば、配列番号11または配列番号16を有する細菌分離株;これらは、疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(それぞれ「ドナーK」および「ドナーE」)の便からそれぞれ分離された)。
-Bacteroides vulgatus(例えば、配列番号12を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングおよび健康なヒトドナー(「ドナーK」)の便から分離された)。
-Roseburia faecis(例えば、配列番号19を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(「ドナーE」)の便から分離された)。
培地は、Anaerobe Systemsから予め購入された(カタログ#AS-675)
配合(リットル当たり):
カシトン 10.00g
酵母抽出物 2.50g
重炭酸ナトリウム 4.00g
グルコース 2.00g
セロビオース 2.00g
マルトース 2.00g
リン酸カリウム、一塩基性 0.45g
リン酸カリウム、二塩基性 0.45g
塩化ナトリウム 0.90g
硫酸アンモニウム 0.90g
硫酸マグネシウム・七水和物 0.09g
塩化カルシウム 0.09g
ヘミン(0.1%溶液) 10.00mL
ビタミン混合物 10.00mL
L-システイン(25.0%溶液)4.00mL
レサズリン(0.025%溶液) 4.00mL
揮発性脂肪酸溶液 2.90mL
寒天 15.00g
最終pH 6.8±0.3
9.HiVeg(商標)ブルセラ血液寒天培地(vBBA)
vBBA培地を使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Phascolarctobacterium faecium(例えば、配列番号21を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(「ドナーK」)の便から分離された)。
培地は、脱水混合物として購入され(ブルセラHiVeg寒天ベース;HiMedia MV074)、その後、L-システインおよびウマ血清を添加できる。
配合(リットル当たり):
HiVeg加水分解物 10g
HiVegペプトン 10g
酵母抽出物 2g
デキストロース 1g
塩化ナトリウム 5g
重亜硫酸ナトリウム 0.1g
寒天 15g
ウマ血清 50mL
L-システイン 0.005g
最終pH 7.0±0.2
10.最少培地+精製ムチン
最少培地+精製ムチンを使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Akkermansia muciniphila(例えば、配列番号20を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(「ドナーF」)の便から分離された);
配合(リットル当たり):
リン酸一カリウム 0.4g
リン酸二ナトリウム 0.53g
塩化アンモニウム 0.3g
塩化ナトリウム 0.3g
塩化マグネシウム 0.047g
塩化カルシウム 0.11g
重炭酸ナトリウム 4g
亜硫酸ナトリウム 0.005g
L-システイン 0.005g
ATCC微量鉱物溶液 10mL
ATCCビタミン溶液 10mL
エタノール精製III型ムチン 2.5g
11.M10+ルーメン液+ムチン
M10+ルーメン液+ムチンを使用して次の属および種由来の細菌を培養した:
-Subdoligranulum variabile(例えば、配列番号22を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(「ドナーF」)の便から分離された);
-Alistipes putredinis(例えば、配列番号35を有する細菌分離株、これは疾患スクリーニングした健康なヒトドナー(「ドナー#」)の便から分離された)。
配合(リットル当たり):
一塩基性リン酸カリウム 1.3mM
塩化ナトリウム 0.76mM
二塩基性リン酸カリウム 1.7mM
ATCC微量鉱物溶液 10mL
重炭酸ナトリウム 1g
清澄化ルーメン液 300mL
II型ムチン 5g
ATCCビタミン溶液 10mL
酢酸 170μL
プロピオン酸 60μL
酪酸 40μL
イソ酪酸 10μL
n-吉草酸 10μL
イソ吉草酸 10μL
DL-α-メチル酪酸 10μL
L-システイン 0.005g
ヘミン 0.05mg
ビタミンK 0.0025mg
最終pH 6.8±0.2
【0824】
実施例2:短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する細菌分離株
酪酸の産生に関して細菌分離株をスクリーニングするための機能アッセイを、開発した。細菌分離株を、健康なヒトドナーの便から分離し、上述の液体培養液中で増殖させた。細胞を、遠心分離によりペレット化し、150μLの新しい培地および150μLのアッセイバッファー(フラクトオリゴ糖(FOS)、キシロオリゴ糖(XOS)、サンファイバー/部分水解グアーガム(PHGG)および大麦麦芽のそれぞれ2g/(200mLのリン酸ナトリウム緩衝液)を含む0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7))を入れた深いウェルプレート中に再懸濁した。プレートを、炭水化物の酪酸への発酵を可能にするために、200rpmのプレート震盪機で嫌気性チャンバー中、37℃で6時間または24時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を、ペレット化し、100μlの上清を、SCFA抽出のために新しいバイアルに移した。
【0825】
2mLのガラスバイアル中で、100μlの上清を、10μlの50%硫酸および5mMの2-メチルペンタン酸を含む500μlのジエチルエーテルと混合した。試料を、3,220gで10分間遠心分離して、明確な相境界を得た。次のパラメーターを使って、フレームイオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフ(GC)を用いてSCFAレベルを測定した:
-注入:1μLの試料を、高速プランジャ速度で、4回の試料洗浄を行って、8mmの試料深さで注入した。
-注入口:225℃でスプリットモード、20:1のスプリット比。
-キャリアガス:ヘリウム
-オーブン:140℃で5分間の恒温プログラム。
-カラム:ニトロテレフタル酸修飾/ポリエチレングリコール(PEG)キャピラリーカラム(直径0.25mm、約30m長さ、0.25μm膜厚)。カラムは、6.0mL/分の一定流量で保持した。
-フレームイオン化検出器(FID):温度を225℃に設定。水素の流速は30.0mL/分。空気の流速は400.0mL/分。ヘリウムのメイクアップガス流速は20.0mL/分。
【0826】
酪酸のレベルは、正味濃度(t24-t0、およびt6-t0)として、および総産生SCFAのパーセント(炭素基準)として決定された。
【0827】
図1Aは、基質緩衝液中で24時間インキュベーション後に細菌分離株により産生された酪酸の濃度(mM)を示す。これらの同じ細菌分離株に関し、図1Bは、基質緩衝液中で24時間インキュベーション後の、炭素当たりの、総SCFA産生に対する産生酪酸の%を示す。それぞれの分離菌に対する分類学上の情報、ならびに各16S rRNA配列に対応する配列番号は表2で見つけることができる。また、示されるのは、陽性対照株DSM 15176(Subdoligranulum variabile)、DSM 17677(Faecalibacterium prausnitzii A2-165)、およびATCC 27749(Gemmiger formicilis X2-56)のデータである。酪酸を分泌しない、E.coli ATCC 8739株は、陰性対照として使用した。表2に列挙された2種のS.variabile株(IS00007359およびIS00007357)も、それらの株DSM 15176に対するそれらの分類学上の類似性に基づいて、酪酸を産生すると予測される。
【0828】
これらの細菌分離株の酪酸を産生する能力(例えば、1種または複数の細菌分離株を投与された対象の腸中で)は、それらを、それを必要としている対象における腸内菌共生バランス失調(例えば、IBDまたは潰瘍性大腸炎)の治療のための本明細書で記載の医薬組成物(例えば、微生物混合物)中の包含のための優れた候補にする。
【0829】
実施例3:サイトカイン産生を調節する細菌分離株
例えば、ヒト末梢血単核球(PBMC)中の特定のサイトカイン産生に影響を与えることにより、ヒト免疫細胞の調節に関して、細菌分離株をスクリーニングするための機能アッセイを、開発した。
【0830】
宿主細胞から抗炎症性サイトカインの産生を誘導する一方で、炎症促進性サイトカインの産生を誘導しない(または場合によっては抑制する)菌株を特定する、スクリーニングを実施した。細菌分離株を、ヒトPBMCと共培養し、6種のサイトカインのレベルを、測定した。6種のサイトカインは:重要な抗炎症性サイトカインである、IL-10;証拠は腸免疫学に対する保護効果を有することを示唆する、GM-CSF;ならびに炎症促進性の効果を有すると考えられている、IL-12p70、IFNγ、TNFα、およびIL-23、であった。
【0831】
細菌分離株を、上述の培養液中で培養し、細胞を、洗浄し、1x10CFU/mLで再懸濁した(場合により、後での共培養ステップまで-80℃で貯蔵した)。ヒトPBMCを、24ウェルプレート中に播種し、5%CO中で一晩インキュベートした。細菌分離株を、0.4x、2x、または10xの感染多重度(MOI)でPBMCに加え、24時間共培養した。その後、培養上清を集め、サイトカインレベル(IL-10、IL-12、IFNγ、GM-CSF、TNFα、およびIL-23の)を、ルミネックスにより定量した。
【0832】
表24および24aは、3人のヒトドナー由来のPBMCを用いてアッセイした分離株についてのアッセイ結果を示す(pg/ml単位)。また、示されるのは、陽性対照株DSM 17677(Faecalibacterium prausnitzii A2-165)および陰性対照(E.coli ATCC 8739、PBMC単独、および細胞培地単独)のデータである。試験した分離株のそれぞれは、抗炎症プロファイルを誘導し、表24および24aのIL-10/IL-12およびIL-10/TNFαの比により示されるように、高レベルのIL-10産生および/または低レベルのIL-12、TNFα、IFNγ、および/またはIL-23産生により特徴付けられる。PBMCアッセイで免疫調節に有益であると特定された細菌分離株は、それらのそれぞれの16S rRNA配列に対する配列識別子(配列番号)と共に、それぞれ上記表3で特定される。
【0833】
これらの細菌分離株の宿主細胞から抗炎症性サイトカインプロファイルを誘導する能力(例えば、1種または複数の細菌分離株を投与された対象の腸中で)は、それらを、それを必要としている対象における腸内菌共生バランス失調(例えば、IBDまたは潰瘍性大腸炎)の治療のための本明細書で記載の医薬組成物(例えば、微生物混合物)中の包含のための優れた候補にする。
【表26】

【表27】
【0834】
実施例4:炎症性マーカーの減少
本明細書で記載の細菌分離株を含む微生物混合物の抗炎症活性を、試験した。実施例3で記載のPBMCアッセイを、生存可能E.coliと共にPBMCを共インキュベートして、炎症反応を誘導することにより変更し、これにより、細菌コンソーシアムの炎症を低減させる能力を測定するために、生理学的および疾患(IBD)関連PBMC細胞型を組み込んだ感作されたプラットフォームを生成した。
【0835】
細菌分離株を、上述の培養液中で培養し、細胞を洗浄し、1x10CFU/mLで再懸濁した(場合により、後での共培養ステップまで-80℃で貯蔵した)。ヒトPBMCを24ウェルプレート中に播種し、5%CO中で一晩インキュベートした。コンソーシアムアッセイのために、それぞれ個々の細菌分離株を、0.4の感染多重度(MOI)でPBMCに加え、24時間共培養した。E.coliのMOIを、全実験を通して0.4で保持した。その後、共培養上清を集め、サイトカインレベル(IL-10、IL-12、IFNγ、TNFα、およびIL-23の)を、ルミネックスにより定量した。
【0836】
図3A~Eおよび図4A~Eは、それぞれ、8株および7株微生物混合物を含むPBMC/大腸菌混合物のインキュベーションの抗炎症効果を示す。8株の微生物混合物は、Odoribacter splanchnicus(PI00000072)、Faecalibacterium prausnitzii(IS00006632およびPI00000329)の2種の分離株、Akkermansia muciniphila(IS00007180)、Bacteroides cellulosilyticus(PI00000316)、Eubacterium rectale(IS00006864)、Alistipes shahii)PI00000395)およびRoseburia faecis(PI00000404)で構成される。7株の微生物混合物は、B.cellulosilyticusを除いて、同じ株を含んだ。IL-23(図3Aおよび4A)、TNFα(図3Bおよび4B)、IL-10(図3Cおよび4C)、IFNγ(図3Dおよび4D)およびIL12-p70(図3Eおよび4E)の低下したレベルにより示されるように、それぞれの微生物混合物とのインキュベーションは、E.coliによる治療の抗炎症効果を低減させた。
【0837】
実施例5:健康な対象中で豊富な細菌分離株
潰瘍性大腸炎(UC)に関連するディスバイオシスの低減に関連する種を特定するために、特定の機序に依存しない経験的手法を、開発した。健康な状態またはFMTに対する臨床応答に関連する予測的特徴を開発するために、16SリボソームDNA(rDNA)およびショットガンメタゲノム配列を、介入による(FMT)横断的および時系列データセットから組み込んだ。これらの特徴を、細菌性系統的クレードを、(i)UCと診断された患者と比べて健康な対象中での富化;および/または(ii)FMT治療後のUC患者におけるUC症状の臨床的寛解または応答との関連/相関、のためにランク付けおよび選択するために使用した。クレードを、健康な対象とUCの患者の間で、菌株の存在および存在量を比較する「横断結合p値」に基づいてランク付けした。数値が低いほど、クレード中の生物は、(i)UC患者中のその株の枯渇、および/または(ii)健康な対象中のその株の高い存在量、に基づく、UCの治療、抑制または予防に対する効果を有する可能性がより高い。その後、分離菌株は、ランク付けした系統的クレードに対する16S rDNA類似性により、または上述の基準に従って、それらの16S rDNAの直接的ランク付けを行うことにより、選択された。
【0838】
23種の菌株が、UC患者に比べて、健康な対象で富化されているとして特定された。23種の菌株に対応する細菌分離株を特定するために、ドナーの便試料から抽出された微生物叢を、それぞれ特定された菌株の16S rRNA配列と少なくとも97%の同一性を有する細菌についてスクリーニングした。表25は、これらの分離菌の分類学上の情報、その16S rRNAの配列識別子(配列番号)および横断結合p値を示す。
【表28】
【0839】
表25の細菌分離株と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有する追加の10種の細菌分離株もまた、特性解析した。表26は、各分離株の識別番号、表25からの関連細菌分離株のID番号、表25の関連分離菌に対する分離株の16S配列のパーセント同一性、分離菌の横断結合p値、および分離菌の配列識別子(配列番号)を列挙する。これらのデータは、表25で特定された細菌分離株のUCの1種または複数の症状の除去における機能は、例示的なものに過ぎず、関連分離菌のより大きな集団(例えば、表25の細菌分離株と少なくとも95%の16S rRNA配列同一性を共有する集団)も同様の機能を有していることを示す。
【表29】
【0840】
実施例6:細菌分離株の生着
図2は、16S rRNA配列により細菌分離株に対応付けられる種々の菌株の投与量と、その株を含む実質的に完全な便細菌叢(すなわち、未培養糞便細菌の調製物)の対象への投与後の対象の腸中での株の生着の間の相関を示す。
【0841】
便細菌叢中の所与の株に対応するそれぞれの細菌分離株について、患者に投与される細胞数は、次の式により計算された:細菌分離株の16S配列に一致する16S配列を有する投与された組成物中の細菌の出現頻度x9x1010(投与された組成物のg当りの細胞の概略数)x患者に投与された組成物の累積投与量(g)。細菌の生着は、それぞれのユニークな16S配列に対し、投与された組成物、患者のベースライン集団、および患者の治療後集団における相対存在量を比較することにより測定された。患者のベースラインでの存在量が投与される物質の<20%であり、かつ治療後の存在量が少なくとも5倍増大した症例を、陽性生着とした。
【0842】
結果は、スクリーニングしたほとんどの細菌分離株(E.rectale分離株IS00006864を除いて)に対し生着を達成する最小投与量は1010個の細胞未満であることを示す。
【0843】
実施例7:細菌分離株の生着
微生物混合物の投与後の対象の腸中での細菌分離株の生着を評価するために、無菌C57BL/6マウスに、経管栄養経由で嫌気性条件下で増殖させた実施例4に記載の8株コンソーシアムを接種した。7、14、21および28日に糞便ペレットを集め、DNAを、16srRNA遺伝子の塩基配列決定のために単離した。16S rRNA遺伝子存在量に基づいて、株の相対存在量を決定した。
【0844】
図5は、分離株を含む微生物混合物の投与後の無菌マウスの腸中の4種の細菌分離株(Bacteroides cellulosilyticus、Akkermansia muciniphila、Odoribacter sphlanchnicus、およびAlistipes shahii)の生着を示す。
【0845】
実施例8:治療薬の製造
表7~22のいずれか1つの細菌分離株を、別々に培養し、投与の前に一緒に混合した。分離株を、実施例1に示すように、例えば、37℃、pH7で、支持培地中にて嫌気的に、別々に増殖させた。各分離株が十分なバイオマスに達した後、それは必要に応じて、1mlのクライオチューブ中で、15%のグリセロールを添加すること、およびその後-80℃で凍結することにより、バンキングのために保存される。
【0846】
次に、各細菌分離株は、約1010CFU/mLの濃度に培養された後、タンジェンシャルフロー精密ろ過により20倍濃縮される;使用済み培地は、2%ゼラチン、100mMトレハロース、および10mMリン酸緩衝液からなる保存培地、または他の好適な保存培地を用いた透析濾過により交換される。懸濁液を、粉末に凍結乾燥し、滴定する。
【0847】
乾燥後、粉末を、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムと混合し、10mgの凍結乾燥粉末(10~1011個の細菌)、160mgの微結晶セルロース、77.5mgのゼラチン、および2.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む250mgのゼラチンカプセルに処方する。
【0848】
実施例9:潰瘍性大腸炎の治療
内視鏡および診断と一致した組織学的検査により潰瘍性大腸炎(UC)と診断された患者は、本明細書で開示の医薬組成物で治療される。
【0849】
有効性は、1つまたは複数の次の指標を含む(それぞれの指標に関し、関連刊行物は、その全体が参照により組み込まれる)、Travis,et al.Aliment Pharmacol Ther.2011;34(2):113-124(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のようにモニターされる:
臨床的指標:
・TrueloveおよびWitts基準(Truelove SC,Witts LJ.Cortisone in ulcerative colitis.Final report on a therapeutic trial.BMJ 1955;2:1041-8)、
・パウエルタック指数(St.Mark’s指数;Powell-Tuck J,et al.Correlations between defined sigmoidoscopic appearances and other measures of disease activity in ulcerative colitis.Dig DisSci 1982;27:533-7)、
・臨床的活動指数(CAI;Rachmilewitz D.Coated mesalazine(5-aminosalicylic acid)versus sulphasalazine in the treatment of active ulcerative colitis:a randomised trial.BMJ 1989;298:82-6)、
・Lichtiger指数(S.Lichtiger,D.H.Present Preliminary report:cyclosporin in treatment of severe active ulcerative colitis Lancet,336(1990),pp.16-19)、
・Seo指数(Seo M,et al.An index of disease activity in patients with ulcerative colitis.Am J Gastroenterol 1992;87:971-6)、
・医師全般評価(Hanauer S et al.,Mesalamine capsules for treatment of active ulcerative colitis:results of a controlled trial Am J Gastroenterol.1993 Aug;88(8):1188-97)、
・治験責任医師による全般評価(Hanauer SB et al.,Budesonide enema for the treatment of active,distal ulcerative colitis and proctitis:a dose-ranging study.U.S.Budesonide enema study group Gastroenterology.1998 Sep;115(3):525-32)、
・簡易臨床的大腸炎活動度(Walmsley RS,et al.,A simple clinical colitis activity index.Gut 1998;43:29-32)、
・個別症状スコアによる改善(Improvement Based on Individual Symptom Scores)(Levine et al.,A randomized,double blind,dose-response comparison of balsalazide(6.75g),balsalazide(2.25g),and mesalamine(2.4g)in the treatment of active,mild-to-moderate ulcerative colitis Am J Gastroenterol.2002 Jun;97(6):1398-407)、および
・患者定義の寛解(Patient-defined remission)(Higgins P,et al.Is endoscopy necessary for the measurement of disease activity in ulcerative colitis.Am J Gastroenterol 2005;100:355-61)。
内視鏡指標:
・Truelove Witts S状結腸鏡検査評価(Seo M,et al.Evaluation of disease activity in patients with moderately active ulcerative colitis:comparisons between a new activity index and Truelove and Witts classification.Am J Gastroenterol 1995;90:1759-63)、
・Baronスコア(Baron JH,et al.Variation between observers in describing mucosal appearances in proctocolitis.BMJ 1964;1:89-92)、
・内視鏡指数(Rachmilewitz D.Coated mesalazine(5-aminosalicylic acid)versus sulphasalazine in the treatment of active ulcerative colitis:a randomised trial.BMJ 1989;298:82-6)、
・S状結腸鏡検査指標(Hanauer S et al.,Mesalamine capsules for treatment of active ulcerative colitis:results of a controlled trial Am J Gastroenterol.1993 Aug;88(8):1188-97)、
・S状結腸鏡検査炎症グレードスコア(Lemann M et al.,Comparison of budesonide and 5-aminosalicylic acid enemas in active distal ulcerative colitis Aliment Pharmacol Ther.1995 Oct;9(5):557-62)、
・Mayoスコア・フレキシブル直腸S状結腸鏡検査評価(Mayo Score Flexible Proctosigmoidoscopy Assessment)(Schroeder KW,et al.Coated oral 5-aminosalicylic acid therapy for mildly to moderately active ulcerative colitis.A randomized study.NEngl J Med 1987;317:1625-9)、
・修正Baronスコア(Rutgeerts P,et al.Infliximab for induction and maintenance therapy for ulcerative colitis.NEngl J Med 2005;353:2462-76)。
臨床的および内視鏡指標:
・Mayo臨床スコア(Schroeder KW,et al.Coated oral 5-aminosalicylic acid therapy for mildly to moderately active ulcerative colitis.A randomized study.NEngl J Med 1987;317:1625-9)、および
・Sutherland指数(Sutherland LR,et al.,5-Aminosalicylic acid enema in the treatment of distal ulcerative colitis,proctosigmoiditis,and proctitis.Gastroenterology.1987;92:1894-8)。
生活の質:
・IBD患者の主訴の評価表(Drossman DA et al.Health status and health care use in persons with inflammatory bowel disease.A national sample.Dig Dis Sci.1991 Dec;36(12):1746-55)、
・炎症性腸疾患質問票(Irvine EJ,et al.Quality of life:a valid and reliable measure of outcome for clinical trials in inflammatory bowel disease.Gastroenterology.1194;106:287-96)、および
・短縮版-36(Ware JE et al.The MOS 36-item short-form health survey(SF-36).I.Conceptual framework and item selection Med Care.1992 Jun;30(6):473-83)。
組織学的指標:
・Riley指数(Riley SA,et al.Microscopic activity in ulcerative colitis:what does it mean? Gut1991;32:174-8)、
・Geboes指数(Geboes K et al.A reproducible grading scale for histological assessment of inflammation in ulcerative colitis Gut.2000 Sep;47(3):404-9)、および
・Chicago指数(Rubin DT,et al.Increased degree of histological inflammation predicts colectomy and hospitalization in patients with ulcerative colitis.Gastroenterology 2007;132(Suppl.1):A-19(Abstract 103))。
【0850】
実施例12:マウスにおける治療薬のインビボ試験
表13、14、15、15a、および15bのいずれか1つの8種の分離株を含む組成物または各種組成物が、提供される。あるいは、表13、14、15、15a、および15bのいずれか1つの8種の分離株を含む、例えば、限定されないが、実施例8の方法により作成された、治療薬が、提供される。
【0851】
好適なUCマウスモデルが選択され、提供される。モデルの例としては、化学的モデル(DSS、TNBS、オキサゾロン、酢酸、およびスルフヒドリル阻害剤など)および遺伝子導入/ノックアウトモデル(TCRα-/-、WASP-/-、Mdr1a-/-、IL-2-/-、Gai2-/-、IL-7 Tg、TRUC、TGFβRIIDN、およびC3H/HeJBir、など)が挙げられる。World J Gastroenterol.2007 Nov 14;13(42):5581-5593およびDrug Des Devel Ther.2013;7:1341-1357(2013)を参照されたい。これらの全内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0852】
DSSを非限定的例として採用して、飲料水中の3~5%のDSSのマウスへの経口投与を行う。例えば、1サイクル3%~5%のDSSの投与を5~7日間、これに続けて、通常の水を投与し、完全な陰窩(例えば、基底陰窩)の喪失および比較的遅い結腸上皮の再生を伴う広範囲にわたる損傷を生じさせる。UC様症状を発症する動物は、表36~43のいずれか1つの9種の分離株を含む組成物もしくは各種組成物または治療薬で治療され(あるいは、細菌組成物がDSSと同時に投与されてよい)、比較を行って、治療効果が、決定される(例えば、体重変化、下痢、結腸直腸の出血および生存を含む、大腸炎の臨床スコアの測定などの、1種または複数のパラメーターを比較する;全体疾患の重症度を、臨床スコアリングシステムにより評価でき、および疾患活動性指数(DAI)スコアを、各動物に対し計算できる)。代替物手段は、内視鏡、組織分析、16S rRNA塩基配列決定による微生物叢分析、などを含む。さらに詳細なプロトコルは、Curr Protoc Immunol.2014 Feb 4;104:Unit-15.25で見つけられる。この文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本実施例は、治療効果の存在または非存在を決定するために、必要または所望に応じ、Curr Protoc Immunol.2014 Feb 4;104:Unit-15.25で見つかる詳細プロトコルにおける変更を認める。
【0853】
実施例13:UCの治療
表13、14、15、15a、および15bのいずれか1つの8種の分離株を含む組成物または各種組成物が、提供される。あるいは、表13、14、15、15a、および15bのいずれか1つの8種の分離株を含む、例えば、限定されないが、実施例8の方法により作成された、治療薬が、提供される。実施例9に記載のUCの試験が、このような組成物を治療薬として用いて行われる。
【0854】
等価物
本発明をその特定の実施形態と関連付けて説明してきたが、その実施形態はさらに修正が可能であり、本出願は、一般的に、本発明の原理に従った本発明の任意の変形、使用、または改変を包含することが意図され、本発明が属する技術内の既知のまたは日常的な実施の範囲に入る、および上に示されるおよび以下の添付の請求項の範囲に入る本質的な特徴に該当し得る本開示からの乖離を含むものと理解されよう。
当業者は、本明細書で具体的に記載された特定の実施形態に対する多数の等価物を、ルーチン実験のみを用いて認識し、確認できるであろう。このような等価物は、次の請求項の範囲内に包含されることが意図されている。
【0855】
参照による組み込み
本明細書で引用されている全ての特許および刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書で考察された出版物は、単に本出願の出願日に先行してそれらが開示されているという理由で提供されている。本明細書のいずれも、本開示が、先行発明の理由でこのような出版物に先行する権利がないことを容認すると解釈されるべきではない。
本明細書で使用されている全ての見出しは、単に構成上の理由によるものであり、どんな形にせよ、本開示を限定することを意図するものではない。任意の個別のセクションの内容は、等しく全てのセクションに適用できる。

図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2022541278000001.app
【国際調査報告】