(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】宿主細胞におけるフコシルラクトースの産生
(51)【国際特許分類】
C12P 19/18 20060101AFI20220914BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20220914BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220914BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220914BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220914BHJP
C12N 5/14 20060101ALI20220914BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
C12P19/18 ZNA
C12P21/02 C
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/14
C12N15/31
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503521
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2020070209
(87)【国際公開番号】W WO2021013708
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519232574
【氏名又は名称】インバイオス エン.フェー.
【氏名又は名称原語表記】Inbiose N.V.
【住所又は居所原語表記】Technologiepark 82,bus 41,9052 Zwijnaarde,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボープレ, ユーリ
(72)【発明者】
【氏名】ラノー, ナウシカー
(72)【発明者】
【氏名】ファンデワル, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ベルコーテレン, アナリス
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AF04
4B064AG01
4B064CA02
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA10
4B064DA20
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA42
(57)【要約】
本発明は、合成生物学および代謝工学の技術分野に属する。より具体的には、本発明は、代謝が操作された宿主細胞の発酵の技術分野に属する。本発明は、遺伝子改変された細胞を用いる発酵によってフコシルラクトースを産生する方法、および該方法において使用される遺伝子改変された細胞について記載する。遺伝子改変された細胞は、フコシルラクトース合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、より具体的には細胞は、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列および膜タンパク質を発現する少なくとも1つの核酸、より具体的にはフコシルラクトース輸送を可能にする膜タンパク質を発現する核酸配列を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法であって、
- フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、グアノシン-ジホスフェートフコース(GDP-フコース)のドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現、ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、i)それぞれ2019年7月4日にリリースされたInterPro75.0によって定義されるinterpro番号IPR001503およびIPR002516を有するGT10およびGT11フコシルトランスフェラーゼファミリーのゲノム近傍を探索することによって見出されたPFAMドメインのいずれか1つを含む膜タンパク質の群から選択され、前記ゲノム近傍の窓サイズが前記各フコシルトランスフェラーゼの前の14遺伝子と前記各フコシルトランスフェラーゼの後の14遺伝子であり、前記膜タンパク質がSETファミリーに属していないか、またはii)配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む膜タンパク質、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む前記膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む前記膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列の群から選択される、ステップと、
- 所望のフコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で前記細胞を培養するステップと、
- 好ましくは、前記培養から前記フコシルラクトースを分離するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記膜タンパク質が、
a)ポーター、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法であって、
- フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、GDP-フコースのドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、
a)ポーター(前記膜タンパク質は、SETファミリーに属していない)、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される、ステップと、
- 所望のフコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で前記細胞を培養するステップと、
- 好ましくは、前記培養から前記フコシルラクトースを分離するステップと
を含む、方法。
【請求項4】
前記ポーターが、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgで定義される、TCDBクラスの2.A.1.1、2.A.1.12、2.A.1.15、2.A.1.2、2.A.1.3、2.A.1.36、2.A.1.38、2.A.1.46、2.A.1.68、2.A.1.7、2.A.1.81、2.A.123、2.A.2、2.A.21、2.A.58、2.A.6.3、2.A.66および2.A.7.1の群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgによって定義される、TCDBクラスの3.A.1.1、3.A.1.2、3.A.1.10、3.A.1.11および3.A.1.5の群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記βバレル型ポリンが、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgによって定義される、TCDBクラスの1.B.3.1および1.B.18から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記補助輸送タンパク質が、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgによって定義される、TCDBクラスの8.A.3から選択される、具体的な請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記推定輸送タンパク質が、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgによって定義される、TCDBクラスの9.B.14および9.B.158の群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgによって定義される、TCDBクラスの4.A.1.1および4.A.4.1の群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポーターが、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの05BZS、05C0R、05C2C、05CT4、05CXP、05CZQ、05D94、05DXI、05E5M、05E5W、05E8G、05EAM、05EDR、05EGZ、05F9N、05JHE、05PSV、05W2Y、05W3H、05XJ5、070Q9、07CWC、07QF7、07QNK、07RBJ、07RJ1、07T5E、07VQ3、0814C、088QT、08H15、08N8A、08SC4、08Z4Qの群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの05BZ1、05CJ1、05EY8、05HAC、05DMK、05DFW、05MFV、07FKK、07R5U、07V1T、08IJ9、08JQ7、172T7の群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記βバレル型ポリンが、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの05DAY、08KDDの群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記補助輸送タンパク質が、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの07SYRの群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記推定輸送タンパク質が、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの05CRE、05GWF、06N3Aの群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの05CI1および05VI0の群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポーターが、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF00083、PF00474、PF00873、PF00893、PF01895、PF01943、PF02690、PF03083、PF04193、PF05977、PF07690、PF07690、PF13347、PF13440およびPF14667から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF00005、PF00532、PF00664、PF01061、PF08352、PF14524、PF13407、PF13416およびPF17912から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記βバレル型ポリンが、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF02264、PF02563、PF10531およびPF18412から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記補助輸送タンパク質が、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF13807およびPF02706から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記推定輸送タンパク質が、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF01578、PF03932、PF05140およびPF11045から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF00367、PF00358、PF02378、PF03829から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ポーターが、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR000390、IPR001036、IPR001411、IPR001734、IPR001927、IPR002797、IPR003663、IPR003841、IPR004316、IPR004633、IPR004638、IPR004734、IPR004812、IPR005275、IPR005828、IPR005829、IPR006603、IPR010290、IPR011701、IPR020846、IPR023008、IPR023721、IPR023722、IPR026022、IPR027417、IPR027463、IPR029303、IPR032896、IPR036259、IPR038078、IPR038377、IPR039672から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR000412、IPR001734、IPR001761、IPR003439、IPR003593、IPR005829、IPR005978、IPR005981、IPR006059、IPR006060、IPR006061、IPR008995、IPR011527、IPR011701、IPR013456、IPR013525、IPR013563、IPR015851、IPR015855、IPR017871、IPR019554、IPR020846、IPR025997、IPR026266、IPR027417、IPR028082、IPR029439、IPR033893、IPR036259、IPR036640、IPR038377、IPR039421およびIPR040582から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記βバレル型ポリンが、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR003192、IPR003715、IPR019554、IPR023738、IPR036998およびIPR040716から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記補助輸送タンパク質が、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR003856、IPR020846、IPR027417、IPR032807およびIPR036259から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記推定輸送タンパク質が、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR002541、IPR003439、IPR003593、IPR004316、IPR005627、IPR006603、IPR007816、IPR017871、IPR020368、IPR020846、IPR023648、IPR027417、IPR036259およびIPR036822から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR001127、IPR001996、IPR003352、IPR004716、IPR010974、IPR011055、IPR013013、IPR018113、IPR018454、IPR036665およびIPR036878から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ポーター膜タンパク質が、配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号40を含むB.longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むB.longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号58を含むChitinophaga sp. CF118、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)、または配列番号62を含むDyadobacter soli DSM 25329のwzx様タンパク質、または上記ポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号02、06、40、42、58、66、64もしくは62を含む前記MdfA、IceT、Blon_2331、Blon_2332膜タンパク質もしくはwzx様膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質が、配列番号28を含むLactococcus lactis株SRCM103457由来のlmrA、配列番号70もしくは74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875、配列番号68もしくは72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE膜タンパク質、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoliまたは配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、または配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、あるいは上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログまたは機能性断片、あるいはそれぞれ、配列番号28、70、74、68、72、76、82、84、206、208、214、216、または218を含む前記lmrA、LpsE、TolC、MsbA、malE、malK、araF、xylFまたはytfQ膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記βバレル型ポリンが、配列番号34を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzaまたは配列番号204を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のlamB、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号34もしくは204を含む前記WzaもしくはlamB膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記補助輸送タンパク質が、配列番号88を含むThermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzc、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号88を含む前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記推定輸送タンパク質が、配列番号90を含むClostridium sp. CAG:1013、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712、配列番号94を含むMitsuaria sp. PDC51もしくは配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、または前記CutC膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号90、92、94もしくは96を含む前記CutC膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、配列番号210を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のnagE、配列番号212を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のsrlB、または前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号210もしくは212を含む前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ポーター膜タンパク質が、配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号04を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、配列番号08を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、配列番号10を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、配列番号12を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、配列番号14を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、配列番号16を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、配列番号18を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、配列番号20を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、配列番号22を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、配列番号24を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のBcr、配列番号26を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のFucP、配列番号32を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、配列番号38を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、配列番号40を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号46を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、配列番号48を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、配列番号50を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、配列番号52を含むNeurospora crassa OR74A由来のCDT2、配列番号54を含むAspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、配列番号58を含むChitinophaga sp. CF118由来のWzx、配列番号60を含むEubacterium sp. CAG:581由来のWzx、配列番号62を含むDyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、配列番号86を含むBrachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、配列番号98を含むActinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、配列番号100を含むRuminococcus gnavus由来のNAm、配列番号102を含むCurtobacterium sp. 314Chir4.1由来のNAm、配列番号104を含むNiabella drilacis(DSM25811)由来のNap、配列番号106を含むSaccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、配列番号108を含むCitrobacter freundii MGH152由来のmdtD、配列番号110を含むCitrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、配列番号112を含むCitrobacter amalonaticus由来のmdtD、配列番号114を含むKlebsiella oxytoca由来のmdtD、配列番号116を含むEscherichia albertii B156由来のmdtD、配列番号118を含むSalmonella enterica subsp. Salamae由来のyegB、配列番号120を含むKlebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、配列番号122を含むKlebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、配列番号124を含むPseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、配列番号126を含むYokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、配列番号128を含むCronobacter muytjensii由来のMdfA、配列番号130を含むKlebsiella oxytoca由来のMdfA、配列番号132を含むCitrobacter koseri由来のMFS、配列番号134を含むEscherichia marmotae由来のMdfA、配列番号136を含むShigella flexneri由来のCmr、配列番号138を含むSalmonella enterica subsp. Salamae由来のMdfA、配列番号140を含むCitrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、配列番号142を含むCitrobacter freundii由来のMdfA、配列番号144を含むEnterobacter kobei由来のMdfA、配列番号146を含むEnterobacter sp.由来のMdfA、配列番号148を含むLelliottia sp. WB101由来のMdfA、配列番号150を含むEnterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、配列番号152を含むActinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、配列番号154を含むChitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、配列番号156を含むRhizobium sp. PDC82由来のSweet様タンパク質、配列番号158を含むKineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、配列番号160を含むMorganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、配列番号162を含むGeodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、配列番号164を含むBradyrhizobium sp. BTAi1由来のSweet様タンパク質、配列番号166を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、配列番号168を含むXanthomonas campestris pv. vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、配列番号170を含むHerbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、配列番号172を含むFlavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、配列番号182を含むSinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、配列番号184を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号02、06、04、08、10、12、14、16、18、20、22、24、26、32、38、40、42、46、48、50、52、54、58、60、62、64、66、86、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、182もしくは184を含む前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、配列番号28を含むLactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、配列番号30を含むEscherichia coli株K12 MG1655由来のOppF、配列番号36を含むHelicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、配列番号44を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、配列番号68もしくは72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE、配列番号70もしくは74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号78を含むButyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、配列番号80を含むRoseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoli由来のMsbA、配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号174を含むRhizobium sp. Root149由来のWzm、配列番号176を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、配列番号196を含むEscherichia coli 113303由来のWzm、配列番号178を含むRhizobium sp. Root149由来のWzt、配列番号180を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、配列番号194を含むEscherichia coli 113303由来のWzt、配列番号188もしくは190を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、もしくは配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号28、30、36、44、68、72、70、74、76、78、80、82、84、174、176、196、178、180、194、188、190、206、208、214、216もしくは218を含む前記LmrA、OppF、Wzk、Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、Wzt、Nodj、malE、malK、araF、xylFもしくはytfQ膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記推定輸送タンパク質が、配列番号56を含むHelicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、配列番号90を含むClostridium sp. CAG:1013由来のCutC、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、配列番号94を含むMitsuaria sp. PDC51由来のCutC、配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、配列番号190を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のybjM、配列番号192を含むEnterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号56、90、92、94、96、190もしくは192を含む前記CytC、CutCもしくはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法であって、
・ フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、GDP-フコースのドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
・ 前記細胞が、i)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、ポーター膜タンパク質である配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号04を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、配列番号08を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、配列番号10を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、配列番号12を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、配列番号14を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、配列番号16を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、配列番号18を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、配列番号20を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、配列番号22を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、配列番号24を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のBcr、配列番号26を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のFucP、配列番号32を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、配列番号38を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、配列番号40を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号46を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、配列番号48を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、配列番号50を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、配列番号52を含むNeurospora crassa OR74A由来のCDT2、配列番号54を含むAspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、配列番号58を含むChitinophaga sp. CF118由来のWzx、配列番号60を含むEubacterium sp. CAG:581由来のWzx、配列番号62を含むDyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、配列番号86を含むBrachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、配列番号98を含むActinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、配列番号100を含むRuminococcus gnavus由来のNAm、配列番号102を含むCurtobacterium sp. 314Chir4.1由来のNAm、配列番号104を含むNiabella drilacis(DSM25811)由来のNap、配列番号106を含むSaccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、配列番号108を含むCitrobacter freundii MGH152由来のmdtD、配列番号110を含むCitrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、配列番号112を含むCitrobacter amalonaticus由来のmdtD、配列番号114を含むKlebsiella oxytoca由来のmdtD、配列番号116を含むEscherichia albertii B156由来のmdtD、配列番号118を含むSalmonella enterica subsp. Salamae由来のyegB、配列番号120を含むKlebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、配列番号122を含むKlebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、配列番号124を含むPseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、配列番号126を含むYokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、配列番号128を含むCronobacter muytjensii由来のMdfA、配列番号130を含むKlebsiella oxytoca由来のMdfA、配列番号132を含むCitrobacter koseri由来のMFS、配列番号134を含むEscherichia marmotae由来のMdfA、配列番号136を含むShigella flexneri由来のCmr、配列番号138を含むSalmonella enterica subsp. Salamae由来のMdfA、配列番号140を含むCitrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、配列番号142を含むCitrobacter freundii由来のMdfA、配列番号144を含むEnterobacter kobei由来のMdfA、配列番号146を含むEnterobacter sp.由来のMdfA、配列番号148を含むLelliottia sp. WB101由来のMdfA、配列番号150を含むEnterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、配列番号152を含むActinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、配列番号154を含むChitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、配列番号156を含むRhizobium sp. PDC82由来のSweet様タンパク質、配列番号158を含むKineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、配列番号160を含むMorganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、配列番号162を含むGeodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、配列番号164を含むBradyrhizobium sp. BTAi1由来のSweet様タンパク質、配列番号166を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、配列番号168を含むXanthomonas campestris pv. vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、配列番号170を含むHerbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、配列番号172を含むFlavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、配列番号182を含むSinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、配列番号184を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号02、06、04、08、10、12、14、16、18、20、22、24、26、32、38、40、42、46、48、50、52、54、58、60、62、64、66、86、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、182もしくは184を含む前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質;およびP-P結合加水分解駆動性トランスポーターである配列番号28を含むLactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、配列番号30を含むEscherichia coli株K12 MG1655由来のOppF、配列番号36を含むHelicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、配列番号44を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、配列番号68もしくは72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE、配列番号70もしくは74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号78を含むButyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、配列番号80を含むRoseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoli由来のMsbA、配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号174を含むRhizobium sp. Root149由来のWzm、配列番号176を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、配列番号196を含むEscherichia coli 113303由来のWzm、配列番号178を含むRhizobium sp. Root149由来のWzt、配列番号180を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、配列番号194を含むEscherichia coli 113303由来のWzt、配列番号188もしくは190を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、もしくは配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、
配列番号28、30、36、44、68、72、70、74、76、78、80、82、84、174、176、196、178、180、194、188、190、206、208、214、216もしくは218を含む前記LmrA、OppF、Wzk、Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、Wzt、Nodj、malE、malK、araF、xylFもしくはytfQ膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質;およびβバレル型ポリン膜タンパク質である配列番号34を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzaまたは配列番号204を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のlamB、または前記WzaもしくはlamBタンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号34もしくは204を含む前記WzaもしくはlamB膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列;および補助輸送タンパク質である配列番号88を含むThermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzc、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号88を含む前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列;推定輸送タンパク質である配列番号56を含むHelicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、配列番号90を含むClostridium sp. CAG:1013由来のCutC、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、配列番号94を含むMitsuaria sp. PDC51由来のCutC、配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、配列番号190を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のybjM、配列番号192を含むEnterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号56、90、92、94、96、190もしくは192を含む前記CytC、CutCもしくはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質;およびリン酸基転移駆動性基輸送体である配列番号210を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のnagE、配列番号212を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のsrlB、または前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号210もしくは212を含む前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる膜タンパク質の群から選択される、ステップを含む、方法。
【請求項38】
前記膜タンパク質が、細胞壁の外膜を通過する化合物の輸送に関与するトランスポータータンパク質である、前記請求項のいずれか一項に記載のフコシルラクトースの産生のための方法。
【請求項39】
i)好ましくは連続的に、反応体積が250mL~10.000m
3の範囲である初期の反応器体積1リットル当たり少なくとも50、より好ましくは少なくとも75、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも120、より好ましくは少なくとも150グラムのラクトースを含むラクトースフィードを、培養培地に添加し、好ましくはその結果、前記培養培地の最終体積が、前記ラクトースフィードの添加前の前記培養培地の体積の3倍を超えない、好ましくは2倍を超えない、より好ましくは2倍未満となる、ステップ、
ii)連続的に、ラクトースフィードを供給溶液によって1日、2日、3日、4日、5日の間に、前記培養培地に添加するステップ、
iii)連続的に、ラクトースフィードを供給溶液によって1日、2日、3日、4日、5日の間に、前記培養培地に添加するステップであって、前記ラクトース供給溶液の濃度が、50g/L、好ましくは75g/L、より好ましくは100g/L、より好ましくは125g/L、より好ましくは150g/L、より好ましくは175g/L、より好ましくは200g/L、より好ましくは225g/L、より好ましくは250g/L、より好ましくは275g/L、より好ましくは300g/L、より好ましくは325g/L、より好ましくは350g/L、より好ましくは375g/L、より好ましくは400g/L、より好ましくは450g/L、より好ましくは500g/L、さらにより好ましくは550g/L、最も好ましくは600g/Lであり、好ましくは前記溶液のpHが、3から7の間に設定され、好ましくは前記フィード溶液の温度が、20℃から80℃の間に保たれている、ステップ
のうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記培養培地の前記最終体積において、少なくとも50g/L、好ましくは少なくとも75g/L、より好ましくは少なくとも90g/L、より好ましくは少なくとも100g/L、より好ましくは少なくとも125g/L、より好ましくは少なくとも150g/L、より好ましくは少なくとも175g/L、より好ましくは少なくとも200g/Lのフコシルラクトース濃度をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載のフコシルラクトースの産生のための方法。
【請求項40】
前記ラクトースフィードが、培養の開始から、少なくとも5mMの濃度、好ましくは30、40、50、60、70、80、90、100、150mMの濃度、より好ましくは300mMを超える濃度のラクトースを添加することによって達成される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ラクトースフィードが、前記培養培地に、培養の生産段階を通して、少なくとも5mM、好ましくは10mMまたは30mMのラクトース濃度が得られるような濃度で、ラクトースを添加することによって達成される、請求項39または40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
宿主細胞が、少なくとも約60、80、100、もしくは約120時間または連続的に培養される、請求項39、40または41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
炭素およびエネルギー供給源、好ましくはスクロース、グルコース、フルクトース、グリセロール、マルトース、マルトデキストリン、トレハロース、ポリオール、デンプン、スクシネート、マレエート、ピルベート、ラクテート、エタノール、シトレート、ラクトースも、好ましくは連続的に前記培養培地に、好ましくはラクトースと共に添加される、請求項39から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
指数関数的細胞成長の第1段階が、第2段階に前記ラクトースが前記培養培地に添加される前に、炭素ベースの基質、好ましくはグルコースまたはスクロースを前記培養培地に添加することによって提供される、請求項39から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
フコシルラクトースの混合物を生産する、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記フコシルラクトースが、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースおよび/またはジフコシルラクトースである、請求項1から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記遺伝子改変された細胞が、微生物、植物、または動物の細胞からなる群から選択され、好ましくは前記微生物が、細菌、真菌または酵母であり、好ましくは前記植物が、イネ、ワタ、ナタネ、ダイズ、トウモロコシまたは穀物植物であり、好ましくは前記動物が、昆虫、魚、鳥または非ヒト哺乳類である、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞が、Escherichia coli細胞である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
フコシルラクトースの産生のために遺伝子改変された宿主細胞であって、GDP-フコースのドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
i)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、i)それぞれ2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義されるinterpro番号IPR001503およびIPR002516を有するGT10およびGT11フコシルトランスフェラーゼファミリーのゲノム近傍を探索することによって見出されたPFAMドメインのいずれか1つを含む膜タンパク質の群から選択され、前記ゲノム近傍の窓サイズが各フコシルトランスフェラーゼの前の14遺伝子と各フコシルトランスフェラーゼの後の14遺伝子であり、前記膜タンパク質はSETファミリーに属していないか、あるいはii)配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む膜タンパク質、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む前記膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列の群から選択される、宿主細胞。
【請求項50】
前記膜タンパク質が、
a)ポーター、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される、請求項49に記載の宿主細胞。
【請求項51】
フコシルラクトースの産生のために遺伝子改変された宿主細胞であって、GDP-フコースのドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、
a)ポーター(前記膜タンパク質は、SETファミリーに属していない)、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される、宿主細胞。
【請求項52】
前記膜タンパク質が、請求項4から38のいずれか一項において定義される膜タンパク質の群から選択される、請求項50または51のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項53】
ポーター膜タンパク質が、配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号04を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、配列番号08を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、配列番号10を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、配列番号12を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、配列番号14を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、配列番号16を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、配列番号18を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、配列番号20を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、配列番号22を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、配列番号24を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のBcr、配列番号26を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のFucP、配列番号32を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、配列番号38を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、配列番号40を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号46を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、配列番号48を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、配列番号50を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、配列番号52を含むNeurospora crassa OR74A由来のCDT2、配列番号54を含むAspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、配列番号58を含むChitinophaga sp. CF118由来のWzx、配列番号60を含むEubacterium sp. CAG:581由来のWzx、配列番号62を含むDyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、配列番号86を含むBrachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、配列番号98を含むActinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、配列番号100を含むRuminococcus gnavus由来のNAm、配列番号102を含むCurtobacterium sp. 314Chir4.1由来のNAm、配列番号104を含むNiabella drilacis(DSM25811)由来のNap、配列番号106を含むSaccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、配列番号108を含むCitrobacter freundii MGH152由来のmdtD、配列番号110を含むCitrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、配列番号112を含むCitrobacter amalonaticus由来のmdtD、配列番号114を含むKlebsiella oxytoca由来のmdtD、配列番号116を含むEscherichia albertii B156由来のmdtD、配列番号118を含むSalmonella enterica subsp. Salamae由来のyegB、配列番号120を含むKlebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、配列番号122を含むKlebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、配列番号124を含むPseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、配列番号126を含むYokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、配列番号128を含むCronobacter muytjensii由来のMdfA、配列番号130を含むKlebsiella oxytoca由来のMdfA、配列番号132を含むCitrobacter koseri由来のMFS、配列番号134を含むEscherichia marmotae由来のMdfA、配列番号136を含むShigella flexneri由来のCmr、配列番号138を含むSalmonella enterica subsp. Salamae由来のMdfA、配列番号140を含むCitrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、配列番号142を含むCitrobacter freundii由来のMdfA、配列番号144を含むEnterobacter kobei由来のMdfA、配列番号146を含むEnterobacter sp.由来のMdfA、配列番号148を含むLelliottia sp. WB101由来のMdfA、配列番号150を含むEnterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、配列番号152を含むActinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、配列番号154を含むChitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、配列番号156を含むRhizobium sp. PDC82由来のSweet様タンパク質、配列番号158を含むKineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、配列番号160を含むMorganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、配列番号162を含むGeodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、配列番号164を含むBradyrhizobium sp. BTAi1由来のSweet様タンパク質、配列番号166を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、配列番号168を含むXanthomonas campestris pv. vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、配列番号170を含むHerbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、配列番号172を含むFlavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、配列番号182を含むSinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、配列番号184を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号02、06、04、08、10、12、14、16、18、20、22、24、26、32、38、40、42、46、48、50、52、54、58、60、62、64、66、86、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、182もしくは184を含む前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、請求項50または51のいずれか一項に記載のフコシルラクトースの産生のために遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項54】
前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、配列番号28を含むLactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、配列番号30を含むEscherichia coli株K12 MG1655由来のOppF、配列番号36を含むHelicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、配列番号44を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、配列番号68もしくは72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE、配列番号70もしくは74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号78を含むButyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、配列番号80を含むRoseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoli由来のMsbA、配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号174を含むRhizobium sp. Root149由来のWzm、配列番号176を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、配列番号196を含むEscherichia coli 113303由来のWzm、配列番号178を含むRhizobium sp. Root149由来のWzt、配列番号180を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、配列番号194を含むEscherichia coli 113303由来のWzt、配列番号188もしくは190を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、もしくは配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号28、30、36、44、68、72、70、74、76、78、80、82、84、174、176、196、178、180、194、188、190、206、208、214、216もしくは218を含む前記LmrA、OppF、Wzk、Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、Wzt、Nodj、malE、malK、araF、xylFもしくはytfQ膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、請求項50または51のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項55】
前記推定輸送タンパク質が、配列番号56を含むHelicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、配列番号90を含むClostridium sp. CAG:1013由来のCutC、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、配列番号94を含むMitsuaria sp. PDC51由来のCutC、配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、配列番号190を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のybjM、配列番号192を含むEnterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号56、90、92、94、96、190もしくは192を含む前記CytC、CutCもしくはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、請求項50または51のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項56】
前記βバレル型ポリンが、配列番号34を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzaまたは配列番号204を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のlamB、または前記WzaもしくはlamBタンパク質のいずれか1つに対する機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号34もしくは204を含む前記WzaもしくはlamB膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、請求項50または51のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項57】
前記補助輸送タンパク質が、配列番号88を含むThermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzc、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号88を含む前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、請求項50または51のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項58】
前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、配列番号210を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のnagE、配列番号212を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のsrlB、または前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号210もしくは212を含む前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、請求項50または51のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項59】
前記膜タンパク質が、細胞壁の外膜を通過する化合物の輸送に関与するトランスポータータンパク質である、請求項49から58のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項60】
培地中で安定的に培養される、請求項49から59のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項61】
微生物、植物、または動物の細胞からなる群から選択され、好ましくは前記微生物が、細菌、真菌または酵母であり、好ましくは前記植物が、イネ、ワタ、ナタネ、ダイズ、トウモロコシまたは穀物植物であり、好ましくは前記動物が、昆虫、魚、鳥または非ヒト哺乳動物である、請求項49から60のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項62】
Escherichia coli細胞である、請求項61に記載の宿主細胞。
【請求項63】
少なくとも部分的に不活性化され、単糖、二糖またはオリゴ糖が、フコシルラクトースの合成に関与するおよび/または必要とされる、選択された前記単糖、二糖またはオリゴ糖に関する異化経路を含む、請求項49から62のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項64】
前記フコシルラクトースが、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースまたはジフコシルラクトースである、請求項49から63のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項65】
フコシルラクトースの産生のための方法であって、
a)請求項49から64のいずれか一項に記載の細胞を提供するステップと、
b)前記フコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で前記細胞を培養するステップと、
c)前記フコシルラクトースを前記培養から分離するステップと
を含む、方法。
【請求項66】
フコシルラクトースの発酵産生において、フコシルラクトース輸送のための、請求項1から38のいずれか一項において定義される膜タンパク質の群から選択される膜タンパク質の使用。
【請求項67】
フコシルラクトースの産生のための、請求項49から64のいずれか一項に記載の細胞の使用。
【請求項68】
前記フコシルラクトースが、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースまたはジフコシルラクトースである、請求項67に記載の細胞の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、合成生物学および代謝工学の技術分野に属する。より具体的には、本発明は、代謝が操作された宿主細胞の発酵の技術分野に属する。本発明は、遺伝子改変された細胞を用いる発酵によってフコシルラクトースを産生する方法、および該方法において使用される遺伝子改変された細胞について記載する。遺伝子改変された細胞は、フコシルラクトース合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、より具体的には細胞は、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列および膜タンパク質を発現する少なくとも1つの核酸、より具体的にはフコシルラクトース輸送を可能にする膜タンパク質を発現する核酸配列を含む。
【背景技術】
【0002】
背景
今日、ヒト母乳オリゴ糖(HMO:Human Milk Oligosaccharide)のファミリーに属する80個を超える化合物が、構造的に特徴付けられている。これらのHMOは、プレバイオティクスとして機能する複雑なオリゴ糖のクラスである。加えて、HMOの上皮エピトープに対する構造相同性は、細菌性病原体に対する保護特性の原因となっている。乳児消化管内で、HMOは、選択された細菌株の増殖を選択的に育成し、したがって、母乳栄養乳児において独特な腸微生物叢の発達を刺激する。
【0003】
これらのヒト母乳オリゴ糖の一部は、特定の生物活性を示す可能性が高い特定のフコシル化構造の存在を必要とする。これらのフコシル化オリゴ糖の産生は、フコシルトランスフェラーゼの作用を必要とする。そのようなフコシルトランスフェラーゼは、グリコシルトランスフェラーゼの酵素ファミリーに属し、脊椎動物、無脊椎動物、植物、真菌、酵母および細菌において広く発現される。それらは、フコース残基の、ドナー、一般的にグアノシン二リン酸フコース(GDP-フコース)から、オリゴ糖、(糖)タンパク質および(糖)脂質を含むアクセプターへの移行を触媒する。このようにしてフコシル化されたアクセプター基質は、様々な生物プロセスおよび病理プロセスに関与する。
【0004】
フコシルラクトース(FL)の微生物発酵による産生では、FLは、工業的産生宿主において細胞内で産生される場合が多い。細胞内でオリゴ糖を産生する際に真に困難であると当技術分野において特定される1つの問題は、産生されたオリゴ糖とそれらの抽出物の細胞内濃縮である。細胞内濃縮は、所望のオリゴ糖の産生に関する産生阻害作用の原因であると考えられている。合成が緩慢になる場合があるか、または所望のオリゴ糖が、代謝停止もしくは細胞溶解さえももたらす細胞毒性濃度に達する場合がある。
【0005】
フコシルラクトースを効率的な、時間およびコスト効果の高い方法で産生することができ、所望の生成物を多量にもたらすツールおよび方法を提供することが、本発明の目的である。
【0006】
本発明によれば、この目的および他の目的は、細胞が、フコシルラクトースの産生のために遺伝子改変され、フコシルラクトース合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、より具体的には細胞が、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む、フコシルラクトースの産生のための方法および細胞を提供することによって達成される。さらに、細胞は膜タンパク質も発現し、より具体的には、細胞は本発明に従ってフコシルラクトース輸送を可能にする以前に知られていない膜タンパク質も発現する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
説明
驚くべきことには、ここで、本発明において使用される膜タンパク質が、新たに同定された膜タンパク質を提供し、より具体的には本発明が、フコシルラクトース輸送を可能にすることを以前に知られておらず、フコシルラクトースの発酵産生に関する正の作用を有し、フコシルラクトースを産生する宿主細胞を遺伝子操作するために使用される場合により良好な収率、生産性、特定の産生速度および/または成長速度を与える、新たに同定された膜タンパク質を提供することが見出された。
【0008】
本発明は、フコシルラクトースを産生するための方法も提供する。フコシルラクトースは、本発明の膜タンパク質を含む宿主細胞を用いて得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
本発明およびその様々な実施形態を説明するために本明細書において使用される単語は、それらの一般に定義される意味の語義においてのみではなく、一般に定義される意味の範囲を超える本明細書の特別な定義による構造、材料または作用も含むと理解されるべきである。したがって、要素が本明細書の文脈において2つ以上の意味を含むと理解され得る場合、特許請求の範囲におけるその使用は、明細書によって、および単語それ自体によって支持される全ての可能な意味について包括的であると理解されなければならない。
【0010】
本明細書で開示される本発明の様々な実施形態および実施形態の態様は、本明細書で具体的に説明される順序および文脈でのみではなく、その任意の順序および任意の組合せを含むと理解されるべきである。文脈が要求する場合は常に、単数形で使用される全ての単語は、複数を含むと考えられるべきであり、その逆も同じである。別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、一般的に、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に、本明細書で使用される命名法、ならびに本明細書で説明される細胞培養、分子遺伝学、有機化学および核酸化学およびハイブリダイゼーションにおける研究室手技は、当該技術分野において周知であり、一般に使用されている手技である。核酸およびペプチド合成に、標準技法が使用される。一般的に、酵素反応および精製ステップは、製造業者の仕様書に従って行われる。
【0011】
図面および明細書において、本発明の実施形態が開示されており、特定の用語が使用されているが、用語は、単に説明の語義において使用され、限定の目的のためではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲で示される。説明される実施形態は例の目的のためにのみ示されており、それは本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことが理解されなければならない。変更、他の実施形態、改善、詳細および使用は、本明細書中の本開示の文言および趣旨と一致して、本開示の範囲内で行うことができ、それは特許請求の範囲によってのみ限定され、均等論を含む特許法に従って解釈されることが当業者に明らかである。以下の特許請求の範囲において、特許請求の範囲のステップを示すために使用される参照符号は、説明の利便性のためにのみ提供され、ステップを行うための任意の特定の順序を意味することを意図しない。
【0012】
本発明に従って、「ポリヌクレオチド」という用語は、一般的に、非改変RNAもしくはDNAまたは改変RNAもしくはDNAであり得る任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指す。「ポリヌクレオチド」には、一本鎖および二本鎖DNA;一本鎖および二本鎖領域または一本鎖、二本鎖および三本鎖領域の混合物であるDNA;一本鎖および二本鎖RNA;ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA;一本鎖、またはより典型的には二本鎖もしくは三本鎖領域、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子が含まれるが、これらに限定されない。加えて、「ポリヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、RNAもしくはDNA、またはRNAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。そのような領域内の鎖は、同じ分子からの鎖、または異なる分子からの鎖であり得る。領域は、分子のうちの1つまたは複数の全てを含み得るが、より典型的には、分子のうちの一部の領域のみを含む。三本鎖ヘリックス領域の分子のうちの1つは多くの場合、オリゴヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、また、「ポリヌクレオチド」という用語は、1つまたは複数の改変された塩基を含有する上記に説明されるDNAまたはRNAを含む。したがって、安定性のためまたは他の理由のために改変された骨格を有するDNAまたはRNAは、本発明による「ポリヌクレオチド」である。さらに、イノシンなどの異常な塩基、またはトリチル化塩基などの改変された塩基を含むDNAまたはRNAは、「ポリヌクレオチド」という用語に包含されると理解されるべきである。当業者に公知の多くの有用な目的を満たす広範な改変がDNAおよびRNAになされていることが理解される。「ポリヌクレオチド」という用語は、それが本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドのそのような化学的、酵素的または代謝的に改変された型、ならびにウイルスおよび単純型および複雑型細胞を含む細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学型を包含する。また、「ポリヌクレオチド」という用語は、多くの場合オリゴヌクレオチドと呼ばれる短いポリヌクレオチドを包含する。
【0013】
「ポリペプチド」とは、ペプチド結合または改変されたペプチド結合によって互いに接合された2つまたはそれよりも多いアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質を指す。「ポリペプチド」とは、一般にペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーと呼ばれる短鎖、ならびに一般的にタンパク質と呼ばれるより長い鎖の両方を指す。ポリペプチドは、遺伝子をコードする20個のアミノ酸以外のアミノ酸を含有し得る。「ポリペプチド」は、プロセッシングおよび他の翻訳後修飾などの天然プロセスによって、また化学修飾技法によって改変されたポリペプチドを含む。そのような改変は、基本的な教本およびより詳細な研究書、ならびに多数の研究文献で十分に説明されており、それらは当業者に周知である。所与のポリペプチドのいくつかの部位において、同じ型の改変は、同じ程度または様々な程度で存在し得る。さらに、所与のポリペプチドは、多くの型の改変を含有し得る。改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含む、ポリペプチドのどこで起こってもよい。改変には、例えば、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋結合の形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマ-カルボキシル化、ヒドロキシル化およびADP-リボシル化、セレニル化(selenoylation)、アミノ酸のタンパク質へのトランスファーRNA媒介添加、例えば、アルギニル化およびユビキチン化が含まれる。ポリペプチドは、分岐または環式であってもよく、分岐を伴っても、伴わなくてもよい。環式、分岐および分岐環状ポリペプチドは、翻訳後天然プロセスから生じてもよく、全て合成法によって作製されてもよい。
【0014】
「単離された」とは、その天然状態から「人為的に」変更されたこと、すなわち、それが天然に存在する場合、それがその元の環境から変化もしくは除去されているか、またはその両方であることを意味する。例えば、この用語が本明細書で使用される場合、生存生物に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離されて」いないが、その天然状態の共存する材料から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは「単離されて」いる。同様に、「合成」配列とは、この用語が本明細書で使用される場合、合成生成され、天然源から直接単離されていない任意の配列を意味する。「合成された」とは、この用語が本明細書で使用される場合、任意の合成生成された、天然源から直接単離されていない配列を意味する。
【0015】
「組換え体」とは、ある種からの遺伝子を様々な種の宿主生物の細胞に移植またはスプライシングすることによって調製した遺伝子操作されたDNAを意味する。そのようなDNAは、宿主の遺伝子構造の部分になり、複製される。
【0016】
本開示の文脈内の「内因性」という用語は、細胞の天然部分であり、細胞染色体のその天然の場所に存在している任意のポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列を指す。
【0017】
「異種の」という用語は、ポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチドまたは酵素について使用される場合、宿主生物種以外の源からの、または宿主生物種以外の源に由来するポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチドまたは酵素を指す。対照的に、「同種の」ポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチドまたは酵素は、宿主生物種に由来するポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチドまたは酵素を示すために本明細書で使用される。遺伝子配列を維持または操作するために使用される遺伝子調節配列または補助的な核酸配列(例えば、プロモーター、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、ポリA付加配列、イントロン配列、スプライス部位、リボソーム結合部位、配列内リボソーム進入配列、ゲノムホモロジー領域、組換え部位など)について言及する場合、「異種の」は、調節配列または補助的配列が、構築物、ゲノム、染色体またはエピソームにおいて調節または補助的核酸配列が並置されている遺伝子と天然に関連付けられないことを意味する。したがって、プロモーターがその天然状態では(すなわち、非遺伝子操作生物のゲノムでは)作動可能に連結していない遺伝子に作動可能に連結したプロモーターは、プロモーターが、プロモーターが連結されている遺伝子と同じ種(または一部の場合、同じ生物)に由来し得る場合でさえも、「異種のプロモーター」と本明細書で呼ばれる。
【0018】
「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明のポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドを包含する。また、この用語は、ポリペプチドをコードする単一の連続領域または非連続領域を含むポリヌクレオチド(例えば、組み込まれたファージもしくは挿入配列または編集によって中断された)ならびにこれもまたコード配列および/または非コード配列を含有し得る追加の領域を包含する。
【0019】
遺伝子の「改変された発現」という用語は、フコシルラクトースの産生プロセスのいずれかの段階における前記遺伝子の野生型の発現と比較した発現の変化に関する。前記改変された発現は、野生型と比較してより低いかまたはより高い発現であり、「より高い発現」という用語はまた、内因性遺伝子の場合には前記遺伝子の「過剰発現」、または野生型株に存在しない異種遺伝子の場合には「発現」として定義される。より低い発現は、機能的な最終生成物を産生する能力が劣る(すなわち、野生型の機能性遺伝子と比較して統計的に有意に「能力が劣る」)かまたは完全に不可能である(ノックアウト遺伝子など)ように遺伝子を変化させるために使用される、当業者にとって一般的な周知の技術(siRNA、CrispR、CrispRi、組換え、相同組換え、ssDNA突然変異誘発、RNAi、miRNA、asRNA、変異遺伝子、ノックアウト遺伝子、トランスポゾン突然変異誘発、・・・の利用など)により得られる。過剰発現または発現は、当業者にとって一般的に周知の技術によって得られ、前記遺伝子は、プロモーター配列、非翻訳領域配列(リボソーム結合配列またはKozak配列のいずれかを含有する)、コード配列(例えば、膜タンパク質遺伝子配列)および必要に応じて転写ターミネーターが存在し、機能的に活性なタンパク質の発現をもたらすいずれかの配列に関する「発現カセット」の一部である。前記発現は、構成的であるか、または条件付きであるか、または調節されている。
【0020】
「構成的発現」という用語は、ある特定の成長条件下で、RNAポリメラーゼのサブユニット以外の転写因子(例えば、細菌のシグマ因子)によって調節されていない発現として定義される。そのような転写因子の非限定的な例は、E.coliにおけるCRP、LacI、ArcA、Cra、IclR、またはSaccharomyces cerevisiaeにおけるAft2p、Crz1p、Skn7、またはB.subtilisにおけるDeoR、GntR、Furである。これらの転写因子は、特異的配列に結合し、ある特定の成長条件下で発現を遮断または増強し得る。RNAポリメラーゼは、特定の配列に結合し、例えば原核生物の宿主におけるシグマ因子によって転写を開始する。
【0021】
「調節された発現」という用語は、ある特定の成長条件下で、RNAポリメラーゼのサブユニット以外の転写因子(例えば、細菌のシグマ因子)によって調節される発現として定義される。そのような転写因子の例は上記されている。一般的に、発現の調節は、非限定的に、IPTG、アラビノース、ラムノース、フコース、アロラクトースなどの誘導剤、またはpHシフト、もしくは温度シフトまたは炭素欠乏もしくは基質もしくは産生産物によって得られる。
【0022】
「野生型」という用語は、自然に生じるような一般的に公知の遺伝子または表現型の状況を指す。
【0023】
「バリアント」とは、この用語が本明細書で使用される場合、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが、本質的な特性を保持する、それぞれ、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。典型的なポリヌクレオチドのバリアントは、別の参照ポリヌクレオチドとはヌクレオチド配列が異なる。バリアントのヌクレオチド配列の変化は、参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変更する場合も、変更しない場合もある。ヌクレオチド変化は、以下に説明されるように、参照配列によってコードされるポリペプチドにおけるアミノ酸置換、付加、欠失、融合および切断をもたらし得る。典型的なポリペプチドのバリアントは、別の参照ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なる。一般的に、相違は限定的であり、そのため、参照ポリペプチドの配列とバリアントの配列とは、全体的に密接に類似し、多くの領域で同一である。バリアントおよび参照ポリペプチドは、任意の組合せの1つまたは複数の置換、付加、欠失によってアミノ酸配列が異なり得る。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによってコードされる残基であっても、そうでなくてもよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのバリアントは、対立遺伝子バリアントなどの天然に存在するものであってもよく、またはそれは天然に存在することが公知でないバリアントであってもよい。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの天然に存在しないバリアントは、変異誘発技法によって、直接合成によって、および当業者に公知の他の組換え法によって作製され得る。
【0024】
一部の実施形態では、本開示は、本発明において使用される膜タンパク質の構造を改変することによって機能的バリアントを作製することを企図する。バリアントは、アミノ酸置換、欠失、付加またはその組合せによって産生され得る。例えば、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンでの、アスパラギン酸のグルタミン酸での、トレオニンのセリンでの単独の置換、またはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸での同様の置換(例えば、保存的突然変異)は、得られる分子の生物活性に対して大きな効果を有しないと予測することが妥当である。保存的置換は、側鎖が関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置換である。本開示のポリペプチドのアミノ酸配列の変化が機能的ホモログをもたらすかどうかは、バリアントポリペプチドの、野生型ポリペプチドと同様の様式で細胞において応答をもたらす能力、本発明の場合、バリアントを有しない細胞よりも優れた収率、生産性および/または増殖スピードを提供する能力を評定することによって容易に決定することができる。
【0025】
「機能的ホモログ」という用語は、本明細書で使用される場合、配列類似性を有し、また生化学活性などの少なくとも1つの機能的特徴を共有する分子を説明する。より具体的には、「機能的ホモログ」という用語は、本明細書で使用される場合、配列類似性(言い換えれば、相同性)と、同時に生化学活性などの少なくとも1つの機能的類似性とを有するこれらのタンパク質について記載する(Altenhoff et al., PLoS Comput. Biol. 8 (2012) e1002514)。
【0026】
機能的ホモログは、オルソログと呼ばれる場合もあり、「オルソログ」とは、別の種の参照される遺伝子またはタンパク質の機能的同等物である同種の遺伝子またはタンパク質を指す。機能的ホモログは、典型的に、同様であるが、必ずしも同じではない程度まで同じ特徴を生ずる。機能的に同種のタンパク質は、1つのホモログによって産生される定量的測定値が、他方の少なくとも10パーセント;より典型的には少なくとも20パーセント、元の分子によって産生される測定値の約30パーセント~約40パーセントの間;例えば、約50パーセント~約60パーセントの間;約70パーセント~約80パーセントの間;もしくは約90パーセント~約95パーセントの間;約98パーセント~約100パーセントの間、または100パーセント超である同じ特徴を与える。したがって、分子が酵素活性を有する場合、機能的ホモログは、元の酵素と比較して上記に列挙されるパーセントの酵素活性を有する。分子がDNA結合分子(例えば、ポリペプチド)である場合、ホモログは、元の分子と比較して、結合した分子の重量によって測定される上記に列挙されるパーセンテージの結合親和性を有する。
【0027】
機能的ホモログおよび参照ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドであってもよく、配列類似性は、収束性または多様性の進化的事象のためであり得る。
【0028】
機能的ホモログは、ヌクレオチドおよびポリペプチド配列整列の分析によって特定することができる。例えば、ヌクレオチドまたはポリペプチド配列のデータベースについて照会を行うことにより、バイオマス調節ポリペプチドのホモログを特定することができる。配列分析は、バイオマス調節ポリペプチドのアミノ酸配列を参照配列として使用する非重複データベースのBLAST、Reciprocal BLASTまたはPSI-BLAST分析を含み得る。アミノ酸配列は、一部の場合、ヌクレオチド配列から推測される。典型的に、40パーセント超の配列同一性を有するデータベース内のそれらのポリペプチドは、バイオマス調節ポリペプチドとしての適合性についてのさらなる評価の候補物である。アミノ酸配列類似性は、保存的アミノ酸置換、例えば、1つの疎水性残基の別の疎水性残基への置換、または1つの極性残基の別の極性残基への置換を可能にする。所望の場合、さらに評価するべき候補物の数を狭めるために、そのような候補物の手動の検査を行ってもよい。手動の検査は、生産性調節ポリペプチドに存在するドメイン、例えば、保存された機能的ドメインを有するように見えるそれらの候補物を選択することによって行うことができる。
【0029】
ポリヌクレオチドについての「断片」とは、ポリヌクレオチド分子のクローンまたは任意の部分、特に使用可能な機能的特徴を保持するポリヌクレオチドの部分を指す。有用な断片は、ハイブリダイゼーションもしくは増幅技術において、または複製、転写もしくは翻訳の調節において使用され得るオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを含む。「ポリヌクレオチド断片」とは、典型的に、本明細書で提供される配列のうちのいずれかの少なくとも約9個の連続ヌクレオチド、例えば、少なくとも約30個のヌクレオチドまたは少なくとも約50個のヌクレオチドの、ポリヌクレオチドの任意のサブ配列を指す。例示的な断片は、加えて、またはあるいは、ポリペプチドの保存されたファミリードメインをコードする領域を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる断片を含み得る。例示的な断片は、加えて、またはあるいは、ポリペプチドの保存されたドメインを含む断片を含み得る。
【0030】
断片は、加えて、またはあるいは、ポリペプチドおよびタンパク質分子のサブ配列、またはポリペプチドのサブ配列を含み得る。一部の場合、断片またはドメインは、インタクトなポリペプチドが行うのと実質的に同じ様式で、または同様の程度まで、インタクトなポリペプチドの少なくとも1つの生物機能を行うポリペプチドのサブ配列である。例えば、ポリペプチド断片は、認識可能な構造モチーフまたは機能的ドメイン、例えば、DNAプロモーター領域に結合するDNA結合部位またはドメイン、活性化ドメイン、またはタンパク質-タンパク質相互作用のためのドメインを含んでもよく、転写を開始してもよい。断片は、わずか3個のアミノ酸残基からインタクトなポリペプチドの全長まで大きさが変動し、例えば、少なくとも約20個のアミノ酸残基の長さ、例えば、少なくとも約30個のアミノ酸残基の長さであり得る。優先的に、断片は、それが由来するポリペプチドの少なくとも1つの特性または活性を有する機能的断片であり、例えば、断片は、ポリペプチドの機能的ドメインまたは保存されたドメインを含み得る。ドメインは、例えば、Pfam(https://pfam.xfam.org/)(El-Gebali et al., Nucleic Acids Res. 47 (2019) D427-D432)またはConserved Domain Database(CDD)(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/cdd)(Lu et al., Nucleic Acids Res. 48 (2020) D265-D268)命名法によって特徴付けることができる。Pfamデータベースは、本明細書で使用される場合、2018年9月にリリースされたPfamデータベースPfam32.0を指し、CDDデータベースは、本明細書で使用される場合、2019年4月3日にリリースされたCDDデータベースv3.17を指す。
【0031】
「フコシルラクトース(fucosyllactose)」、「フコシルラクトース(fucosyl lactose)」および「FL」という用語は、本明細書で使用される場合、互換的に使用され、フコース残基およびラクトース残基を含むオリゴ糖を指す。そのようなフコシルラクトースは、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、もしくはジフコシルラクトースまたはこれらの任意の組合せを指し、フコシルラクトースは、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、またはジフコシルラクトースのうちの少なくともいずれか2つの組合せを指す。
【0032】
「アルファ-1,2’-フコシルトランスフェラーゼ」、「アルファ1,2’-フコシルトランスフェラーゼ」、「2’-フコシルトランスフェラーゼ」、「α-1,2’-フコシルトランスフェラーゼ」、「α1,2’フコシルトランスフェラーゼ」、「2’フコシルトランスフェラーゼ」、「2’-FT」または「2’FT」という用語は、本発明において使用される場合、互換的に使用され、ドナーの基質であるGDP-L-フコース由来のフコースの、アルファ-1,2-連結におけるアクセプター分子であるラクトースへの移行を触媒するグリコシルトランスフェラーゼを指す。「アルファ-1,2-フコシルトランスフェラーゼ」または上記用語のいずれかをコードするポリヌクレオチドは、ドナーの基質であるGDP-L-フコース由来のフコースの、アルファ-1,2-連結におけるアクセプター分子であるラクトースへの移行を触媒するそのようなグリコシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0033】
「2’-フコシルラクトース」、「アルファ-1,2’-フコシルラクトース」、「アルファ1,2’フコシルラクトース」、「α-1,2’-フコシルラクトース」、「α1,2’フコシルラクトース」、「Fucα1-2Galβ1-4Glc」、「2’FL」または「2’-FL」という用語は、本発明において使用される場合、互換的に使用される。好ましい実施形態では、これらの用語は、GDP-L-フコース由来のフコース残基をアルファ-1,2’-連結におけるラクトースに移行するアルファ-1,2’-フコシルトランスフェラーゼの触媒によって得られる生成物を指す。
【0034】
「アルファ-1,3-フコシルトランスフェラーゼ」、「アルファ1,3フコシルトランスフェラーゼ」、「3-フコシルトランスフェラーゼ」、「α-1,3-フコシルトランスフェラーゼ」、「α1,3フコシルトランスフェラーゼ」、「3フコシルトランスフェラーゼ」、「3-FT」または「3FT」という用語は、本発明で使用される場合、互換的に使用され、フコースの、ドナー基質GDP-L-フコースからアルファ-1,3-結合でのアクセプター分子ラクトースへの移行を触媒するグリコシルトランスフェラーゼを指す。「アルファ-1,3-フコシルトランスフェラーゼ」または上記の用語のいずれかをコードするポリヌクレオチドは、フコースの、ドナー基質GDP-L-フコースからアルファ-1,3-結合でのアクセプター分子ラクトースへの移行を触媒するそのようなグリコシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0035】
「3-フコシルラクトース」、「アルファ-1,3-フコシルラクトース」、「アルファ1,3フコシルラクトース」、「α-1,3-フコシルラクトース」、「α1,3フコシルラクトース」、「Galβ1-4(Fucα1-3)Glc」、「3FL」または「3-FL」という用語は、本発明で使用される場合、互換的に使用される。好ましい実施形態では、これらの用語は、フコース残基をGDP-L-フコースからアルファ-1,3-結合でラクトースへ移行するアルファ-1,3-フコシルトランスフェラーゼの触媒によって得られる生成物を指す。
【0036】
「ジフコシルラクトース」、「ジ-フコシルラクトース」、「ラクトジフコテトラオース」、「2’,3-ジフコシルラクトース」、「2’,3ジフコシルラクトース」、「α-2’,3-フコシルラクトース」、「α2’,3フコシルラクトース」、「Fucα1-2Galβ 1-4(Fucα1-3)Glc」、「DFLac」、「2’,3ジFL」、「DFL」または「ジFL」という用語は、本発明において使用される場合、互換的に使用される。好ましい実施形態では、これらの用語は、フコース残基を2’FLに移行して、2’,3-ジフコシルラクトースをもたらすアルファ-1,3-フコシルトランスフェラーゼの触媒によって得られる生成物を指すか、またはフコース残基を3FLに移行して、2’,3ジフコシルラクトースをもたらすアルファ-1,2-フコシルトランスフェラーゼの触媒によって得られる生成物を指す。
【0037】
「オリゴ糖」とは、この用語が本明細書で使用される場合、および一般的に最新の技術において理解されるように、少数の、典型的に、3~10個の単純な糖、すなわち、単糖を含有する糖ポリマーを指す。
【0038】
「SET」または「Sugar Efflux Transporter」は、本明細書で使用される場合、InterPro 75.0(リリース日が2019年7月4日)によって定義されるInterPROドメインIPR001214を有するタンパク質および/またはEggnogdb 1.0.2データベース(リリース日が2017年11月3日)によって定義されるeggNOGv4.5ファミリーのENOG410XTE9に属するタンパク質であるSETファミリーの膜タンパク質を指す。InterProドメインの同定は、デフォルト値を使用して、https://www.ebi.ac.uk/interpro/のオンラインツールまたはInterProScan(https://www.ebi.ac.uk/interpro/download.html)のスタンドアローンバージョンを使用することによってなされ得る。eggNOGv4.5のオルソログファミリーの同定は、eggNOG-mapperv1(http://eggnogdb.embl.de/#/app/home)のオンラインバージョンまたはスタンドアローンバージョンを使用してなされ得る。
【0039】
「膜タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞膜の一部であるかまたはそれと相互作用するタンパク質を指し、分子流および細胞にわたる情報を制御する。よって、膜タンパク質は、輸送に関与し、細胞に移入されるかまたは細胞から排出される。
【0040】
そのような膜タンパク質は、www.tcdb.orgにより利用可能なSaier Lab Bioinformatics Groupによって作動され、精選され、膜輸送タンパク質の機能的かつ系統発生的分類を与えるTransporter Classification Databaseによって定義されるポーター、P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、βバレル型ポリン(β-Barrel Porins)、補助輸送タンパク質(auxiliary transport protein)、推定輸送タンパク質(putative transport protein)またはリン酸基転移駆動性基輸送体であり得る。このTransporter Classification Databaseは、Transporter Classification(TC)系として公知の膜輸送タンパク質に関する包括的IUBMBに認可された分類系について詳述する。TCDB分類は、本明細書に記載されるように、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgに基づいて定義される。
【0041】
ポーターは、キャリヤー媒介性プロセスを利用するユニポーター、シンポーター、およびアンチポーターの総称名である(Saier et al., Nucleic Acids Res. 44 (2016) D372-D379)。これらは、電気化学電位駆動性トランスポーターに属し、二次キャリヤー型ファシリテーターとしても公知である。膜タンパク質は、キャリヤー媒介性プロセスを利用して、二次キャリヤーの、ユニポート(拡散の促進によって、または溶質が荷電される場合には膜電位依存性プロセスにおいて、単一種が輸送される場合);アンチポート(2種またはそれより多い種が密接に関連するプロセスの反対方向に輸送され、化学浸透圧性エネルギー以外のエネルギーの直接形態に関連しない場合);および/またはシンポート(2種またはそれより多い種が密接に関連するプロセスの同一方向に一緒に輸送され、化学浸透圧性エネルギー以外のエネルギーの直接形態に関連しない場合)を触媒する場合にこのクラスに含まれる(Forrest et al., Biochim. Biophys. Acta 1807 (2011) 167-188)。これらの系は、通常、立体特異的である。溶質:溶質対向輸送は、二次キャリヤーの特徴的な特性である。ポーターと酵素の動的会合によって、典型的には細胞外コンパートメントから得られる基質をそれらの細胞代謝へと直接的に運ぶ機能的膜輸送メタボロンが生じる(Moraes and Reithmeier, Biochim. Biophys. Acta 1818 (2012), 2687-2706)。このポーター系を介して輸送される溶質としては、非限定的に、カチオン、有機アニオン、無機アニオン、ヌクレオシド、アミノ酸、ポリオール、リン酸化解糖中間体、オスモライト(osmolite)、シデロホアが挙げられる。膜タンパク質は、溶質(1種または複数)の能動的取込みおよび/または押出しを駆動するために、無機ピロリン酸、ATP、または別のヌクレオシド三リン酸の二リン酸結合を加水分解する場合には、P-P結合加水分解駆動性トランスポーターのクラスに含まれる(Saier et al., Nucleic Acids Res. 44 (2016) D372-D379)。膜タンパク質は、一時的にリン酸化されてもされなくてもよいが、基質はリン酸化されない。P-P結合加水分解駆動性トランスポーターのクラスによって輸送される基質は、非限定的に、カチオン、重金属、ベータ-グルカン、UDP-グルコース、リポ多糖、タイコ酸を含む。
【0042】
βバレル型ポリン膜タンパク質は、通常、溶質のエネルギーに依存しない膜通過を可能にする膜貫通ポアを形成する。これらのタンパク質の膜貫通部分は、βバレルを形成するβ鎖から排他的になる(Saier et al., Nucleic Acids Res. 44 (2016) D372-D379)。これらのポリンタイプのタンパク質は、グラム陰性細菌、ミトコンドリア、色素体、およびおそらくは抗酸グラム陽性細菌の外膜に見られる。これらのβバレル型ポリン膜タンパク質を介して輸送される溶質としては、非限定的に、ヌクレオシド、ラフィノース、グルコース、ベータ-グルコシド、オリゴ糖が挙げられる。
【0043】
補助輸送タンパク質は、1つまたは複数の生体膜を通過する輸送を促進するが、それ自体は輸送に直接的に関与しないタンパク質であると定義される。これらの膜タンパク質は、常に、非限定的に、外膜因子(OMF)、多糖(PST)ポーター、ATP結合カセット(ABC)型トランスポーターなどの1種または複数の確立された輸送系と併せて機能する。これらは、輸送する、複合体形成において構造的役割を果たす、生体機能もしくは安定性機能を果たす、または調節機能を果たすためのエネルギーカップリングに関係する機能を与え得る(Saier et al., Nucleic Acids Res. 44 (2016) D372-D379)。補助輸送タンパク質の例としては、非限定的に、多糖輸送に関与する多糖コポリメラーゼファミリー、バクテリオシンおよび化学的毒素の輸送に関与する膜融合タンパク質ファミリーが挙げられる。
【0044】
推定輸送タンパク質は、膜の輸送機能が確立される場合にその他に分類されることになるか、または提案された輸送機能が誤りである場合に、Transporter Classification系から排除されることになるファミリーを含む。これらのファミリーは、輸送機能が示唆されるが、そのような機能に対するエビデンスが未だ説得力のないメンバー(1種または複数)を含む(Saier et al., Nucleic Acids Res. 44 (2016) D372-D379)。2019年6月17日にリリースされたTCDB系の下でこの群に分類された推定トランスポーターの例としては、非限定的に、銅トランスポーターが挙げられる。
【0045】
リン酸基転移駆動性基輸送体は、細菌のホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)のPEP依存性ホスホリル転移駆動性基輸送体としても公知である。細胞外の糖に由来する反応の生成物は、細胞質の糖リン酸である。糖リン酸化を触媒する酵素構成要素は、密接に関連するプロセスにおける輸送プロセスに重畳される。PTS系は、調節および走化性、バイオフィルム形成、ならびに発病を含む多くの異なる態様に関与する(Lengeler, J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 25 (2015) 79-93;Saier, J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 25 (2015) 73-78)。2019年6月17日にリリースされたTCDB系下でリン酸基転移駆動性基輸送体に分類された膜タンパク質ファミリーは、グルコース-グルコシド、フルクトース-マンニトール、ラクトース-N,N’-ジアセチルキトビオース-ベータ-グルコシド、グルシトール、ガラクチトール、マンノース-フルクトース-ソルボースおよびアスコルベートの輸送に関連するPTS系を含む。
【0046】
Pfam 32.0(2018年9月にリリースされた)、CDD v3.17(2019年4月3日にリリースされた)、eggnoddb 1.0.2(2017年11月3日にリリースされた)、InterPro 75.0(2019年7月4日にリリースされた)およびTCDB(2019年6月17日にリリースされた)を含む本明細書で使用されるデータベースについて、各データベースの内容が、各リリース時に固定され、変更されることはないことが、当業者に理解されるべきである。特定のデータベースの内容が変更される場合は、この特定のデータベースは、新たなリリース日を含む新たなリリース版を受理する。対応するリリース日とこれらの具体的なリリース日に注釈を付けられた特定の内容を含む各データベースに関するすべてのリリース版は、当業者にとって利用可能かつ公知である。
【0047】
「輸送を可能にする」という用語は、原形質膜および/または細胞壁を超えて溶質の輸送活性を導入することを意味する。前記輸送は、本発明において記載されるトランスポータータンパク質の発現を導入するおよび/または増加させることによって可能となり得る。「輸送を増強する」という用語は、原形質膜および/または細胞壁を超えて溶質の輸送活性を改善することを意味する。前記輸送は、本発明において記載されるトランスポータータンパク質の発現を導入するおよび/または増加させることによって増強され得る。トランスポータータンパク質の「発現」は、前記遺伝子が内因性遺伝子である場合には前記トランスポータータンパク質をコードする遺伝子の「過剰発現」、または前記トランスポータータンパク質をコードする遺伝子が野生型株には存在しない異種遺伝子である場合には「発現」として定義される。
【0048】
ハイブリダイゼーション
本明細書で定義される「ハイブリダイゼーション」という用語は、実質的に同種の相補性ヌクレオチド配列が互いにアニールするプロセスである。ハイブリダイゼーションプロセスは、全体的に、溶液中で起こり得る、すなわち、両相補性核酸は溶液中に存在する。ハイブリダイゼーションプロセスは、磁気ビーズ、セファロースビーズまたは任意の他の樹脂などのマトリックスに固定された相補性核酸のうちの1つと起こる場合もある。さらに、ハイブリダイゼーションプロセスは、ニトロセルロースもしくはナイロン膜などの固体支持体に固定されたか、または例えば、フォトリソグラフィーによって、例えば、ケイ酸ガラス支持体に固定された(後者は、核酸アレイもしくはマイクロアレイとして、または核酸チップとして公知)相補性核酸のうちの1つと起こる場合がある。ハイブリダイゼーションを生じさせるために、一般的に、核酸分子は、熱的もしくは化学的に変性されて二本鎖を解かれて2本の一本鎖となるおよび/または一本鎖核酸からヘアピン構造もしくは他の二次構造を除去する。「ストリンジェンシー」という用語は、ハイブリダイゼーションが起こる条件を指す。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、温度、塩濃度、イオン強度およびハイブリダイゼーション緩衝組成物などの条件によって影響を受ける。一般的に、低ストリンジェンシー条件は、規定のイオン強度およびpHにおける特定の配列に関する熱融点(Tm)よりも約30℃低いように選択される。中ストリンジェンシー条件は、温度がTmより20℃低い場合であり、高ストリンジェンシー条件は、温度がTmより10℃低い場合である。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、典型的には、標的核酸配列に対して高い配列類似性を有するハイブリダイズする配列を単離するために使用される。しかし、核酸は、配列を外れる場合があり、遺伝子コードの縮重により、実質的に同一なポリペプチドを依然としてコードし得る。したがって、中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、そのような核酸分子を同定するために必要とされる場合がある。
【0049】
Tmは、規定のイオン強度およびpH下で、標的配列の50%が、完全にマッチするプローブにハイブリダイズする温度である。Tmは、溶液条件ならびにプローブの塩基組成および長さに応じて変わる。例えば、より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。最大ハイブリダイゼーション率は、Tmより約16℃から最大32℃低い温度で得られる。ハイブリダイゼーション溶液中の一価カチオンの存在は、2本の核酸鎖の間の静電反発力を低減し、それによってハイブリッド形成を促進する;この効果は、最大0.4Mのナトリウム濃度について見られる(より高濃度では、この効果は無視され得る)。ホルムアミドは、DNA-DNAおよびDNA-RNA二重鎖の融解温度をホルムアミド1%ごとに0.6~0.7℃低下させ、50%のホルムアミドの添加によって、30~45℃でハイブリダイゼーションを行うことが可能となるが、ハイブリダイゼーション率は低下することになる。塩基対のミスマッチは、ハイブリダイゼーション率および二本鎖の熱安定性を低下させる。概して、大型のプローブでは、Tmは、塩基ミスマッチ1%当たり約1℃低下する。Tmは、ハイブリッドのタイプに応じて、以下の等式を使用して計算することができる:
1)DNA-DNAハイブリッド(Meinkoth and Wahl, Anal. Biochem., 138: 267-284, 1984):
Tm=81.5℃+16.6×(log10[Na+]a)+0.41×(%[G+Cb]-500×[Lc]-1-0.61×(ホルムアミドの%)
2)DNA-RNAまたはRNA-RNAハイブリッド:
Tm=79.8℃+18.5×(log10[Na+]a)+0.58×(%[G+Cb])+11.8×(%[G+Cb])2-820×[Lc]-1
3)オリゴ-DNAまたはオリゴ-RNAdハイブリッド:
<20ヌクレオチドについて:Tm=2/n
20~35ヌクレオチドについて:Tm=22+1.46/n
ここで、
a:または、他の一価カチオンに関するが、0.01~0.4Mの範囲においてのみ正確である。
b:GCの%については、30%~75%の範囲においてのみ正確である。
c:L=塩基対での二本鎖の長さ、
d:オリゴ、オリゴヌクレオチド、
n:有効なプライマー長=2×(G+Cの数)+(A+Tの数)。
【0050】
非特異的結合は、例えば、タンパク質を含有する溶液を含む膜を遮断すること、異種RNA、DNA、およびSDSのハイブリダイゼーション緩衝剤への添加、およびRnaseによる処置などのいくつかの公知の技法のいずれか1つを使用して制御することができる。非相同性プローブに対して、(i)アニーリング温度を進行的に低下させること(例えば、68℃~42℃)または(ii)ホルムアミド濃度を進行的に低下させること(例えば、50%~0%)のうちの1つを変更することによって、一連のハイブリダイゼーションが実施され得る。当業者であれば、ハイブリダイゼーションの間に変更することができ、ストリンジェンシー条件を維持するかまたは変化させる様々なパラメーターを知っている。
【0051】
ハイブリダイゼーション条件の他に、ハイブリダイゼーションの特異性は、典型的には、ハイブリダイゼーション後の洗浄の関数にも依存する。非特異的ハイブリダイゼーションから生じるバックグラウンドを除去するために、試料を希釈した塩溶液で洗浄する。そのような洗浄の重要な因子としては、最終的な洗浄溶液のイオン強度および温度が挙げられる:塩濃度が低く、洗浄温度が高くなるほど、洗浄のストリンジェンシーは高くなる。洗浄条件は、典型的には、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーで、またはそれより下で実施される。陽性のハイブリダイゼーションは、バックグラウンドのシグナルの少なくとも2倍のシグナルを与える。一般に、核酸ハイブリダイゼーションアッセイまたは遺伝子増幅検出手順に好適なストリンジェント条件は、上記に示される。より高いか、またはより低いストリンジェント条件を選択することもできる。当業者であれば、洗浄の間に変化させることができ、ストリンジェンシー条件を維持するか、または変化させる様々なパラメーターを知っている。
【0052】
例えば、50ヌクレオチドよりも長いDNAハイブリッドのための典型的な高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、1×SSC中65℃または1×SSCおよび50%ホルムアミド中42℃でのハイブリダイゼーション、次いで、0.3×SSC中65℃での洗浄を包含する。50ヌクレオチドよりも長いDNAハイブリッドのための中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は、4×SSC中50℃または6×SSCおよび50%ホルムアミド中40℃でのハイブリダイゼーション、次いで、2×SSC中50℃での洗浄を包含する。ハイブリッドの長さは、ハイブリダイズする核酸の予測される長さである。公知の配列の核酸がハイブリダイズされる場合、ハイブリッドの長さは、配列をアラインし、本明細書に記載の保存された領域を同定することによって決定することができる。1×SSCは、0.15MのNaClおよび15mMのクエン酸ナトリウムである;ハイブリダイゼーション溶液および洗浄溶液は、5×Denhardt試薬、0.5~1.0%のSDS、100μg/mlの変性断片化サケ精子DNA、0.5%のピロリン酸ナトリウムをさらに含んでもよい。
【0053】
ストリンジェンシーのレベルを規定するために、Sambrook et al.(2001) Molecular Cloning: a laboratory manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, CSH, New YorkまたはCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, N.Y.(1989年および毎年のアップデート)を参照することができる。
【0054】
「ストリンジェントな条件」という用語は、プローブがその標的サブ配列とハイブリダイズするが、他のいずれの配列ともハイブリダイズしない条件を指す。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる状況では異なることになる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHにおいて、特定の配列の熱融解点(Tm)より約15℃低いように選択される。Tmは、標的配列に対して相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である(規定されたイオン強度、pH、および核酸濃度下で)。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は以下の通りであり得る:50%のホルムアミド、5×SSC、および1%のSDSを42℃でインキュベートする、または5×SSC、1%のSDSを65℃でインキュベートし、65℃の0.2×SSC、および0.1%のSDS中で洗浄する。
【0055】
「精製された」という用語は、生体分子の活性に干渉する成分から実質的または本質的に遊離している材料を指す。細胞、糖、核酸およびポリペプチドについて、「精製された」という用語は、材料のそのネイティブの状態において見られる場合に普通、材料に付随する成分から実質的に遊離しているまたは本質的に遊離している材料を指す。典型的に、本発明の精製した糖、オリゴ糖、タンパク質または核酸は、銀染色ゲル上のバンド強度または純度を決定するための他の方法によって測定して、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%または85%純粋であり、通常少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%純粋である。純度または均一性は、当該技術分野で周知のいくつかの手段、例えば、タンパク質または核酸試料のポリアクリルアミドゲル電気泳動、および続く染色に際しての可視化によって示すことができる。ある特定の目的のために、高分解能が必要とされ、HPLCまたは精製のための同様の手段が利用される。オリゴ糖、例えば、3-フコシルラクトースについて、純度は、非限定的に、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、NMR、HPLC、キャピラリー電気泳動または質量分析などの方法を使用して決定することができる。
【0056】
2つまたはそれよりも多い核酸またはポリペプチド配列に関する「同一の」または「同一性」パーセントまたは「同一性」%という用語は、最大一致について比較および整列した場合、配列比較アルゴリズムを使用して、または目視検査によって測定して、同じであるか、または同じであるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの特定のパーセンテージを有する2つまたはそれよりも多い配列またはサブ配列を指す。配列比較のために、1つの配列が、参照配列として働き、試験配列をそれと比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列をコンピュータに入力し、必要な場合、サブ配列協調を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。その後、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列と比較した試験配列についての配列同一性パーセントを計算する。同一性パーセントは、BLASTおよびPSI-BLASTを使用して決定することができる(Altschul et al., 1990, J Mol Biol 215:3, 403- 410;Altschul et al., 1997, Nucleic Acids Res 25: 17, 3389-402)。本発明の目的のために、同一性パーセントは、MatGAT2.01を使用して決定される(Campanella et al., 2003, BMC Bioinformatics 4:29)。タンパク質についての以下のデフォルトパラメーターが使用される:(1)Gap cost Existence:12およびExtension:2;(2)使用されるマトリックスは、BLOSUM50であった。
【0057】
「制御配列」という用語は、宿主細胞転写および翻訳系によって認識され、ポリヌクレオチド配列のポリペプチドへの転写および翻訳を可能にする配列を指す。したがって、そのようなDNA配列は、特定の宿主細胞または生物において作動可能に連結されたコード配列の発現のために必要である。そのような制御配列は、プロモーター配列、リボソーム結合配列、シャイン・ダルガノ配列、コザック配列、転写ターミネーター配列であり得るが、これらに限定されない。例えば、原核生物に好適な制御配列は、プロモーター、必要に応じてオペレーター配列およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが公知である。プレ配列もしくは分泌リーダーについてのDNAは、それが、ポリペプチドの分泌に参加するタンパク質前駆体として発現される場合、ポリペプチドについてのDNAに作動可能に連結され得るか;プロモーターもしくはエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されるか;またはリボソーム結合部位は、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されるか;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置付けられる場合、コード配列に作動可能に連結される。前記制御配列は、さらに、非限定的に、IPTG、アラビノース、ラクトース、アロラクトース、ラムノースまたはフコースなどの外部化学物質によって、誘導性プロモーターを介して、または前記ポリヌクレオチドのポリペプチドへの転写もしくは翻訳を誘導もしくは抑制する遺伝子制御機構を介して制御され得る。
【0058】
一般的に、「作動可能に連結される」とは、連結されるDNA配列が連続しており、分泌リーダーの場合、連続し、読み出し相にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、連続していなくてもよい。
【0059】
本明細書で使用される場合、「細胞産生性指数(cell productivity index)(CPI)」という用語は、培養中に生じた組換え細胞の質量で除した組換え細胞によって産生された生成物の質量を指す。
【0060】
発明の詳細な説明
第1の実施形態では、本発明は、遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法を提供する。本方法は:
- フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、フコシルラクトース合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、より具体的には前記細胞が、グアノシン-ジホスフェートフコース(GDP-フコース)のドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)内因性膜タンパク質、より具体的にはフコシルラクトース輸送に関与する内因性膜タンパク質、さらにより具体的にはフコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現、ならびに/またはii)異種膜タンパク質、より具体的にはフコシルラクトース輸送に関与する異種膜タンパク質、さらにより具体的にはフコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、i)それぞれ2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義されるinterpro番号IPR001503およびIPR002516を有するGT10およびGT11フコシルトランスフェラーゼファミリーのゲノム近傍を探索することによって見出されたPFAMドメインのいずれか1つを含む膜タンパク質の群から選択され、前記ゲノム近傍の窓サイズが各フコシルトランスフェラーゼの前の14遺伝子と各フコシルトランスフェラーゼの後の14遺伝子であり、前記膜タンパク質がSETファミリーに属していないか、あるいはii)配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む膜タンパク質、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む前記膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列の群から選択される、ステップと、所望のフコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で細胞を培養するステップとを含む。好ましくは、フコシルラクトースは、本明細書で説明される培養から分離される。
【0061】
本発明の好ましい実施形態では、宿主細胞は、
a)ポーター、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される膜タンパク質を含む。
【0062】
別の実施形態は、遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法であって、
- フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、フコシルラクトース合成に関与する酵素、より具体的にはGDP-フコースのドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)フコシルラクトース輸送に関与する、より具体的にはフコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現、ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送に関与する、より具体的にはフコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、
a)SETを除くポーター、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される、ステップと、
- 所望のフコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で細胞を培養するステップと
を含む、方法を提供する。好ましくは、産生されたフコシルラクトースは、本明細書で説明される培養から分離される。
【0063】
本明細書に記載の本発明の方法では、膜タンパク質は、改変された発現を有する内因性タンパク質であり、好ましくは前記内因性タンパク質は過剰発現されているか;または膜タンパク質は、細胞によって異種性に発現され得る異種タンパク質である。異種性に発現された膜タンパク質は、次いで、導入および発現されることになり、好ましくは過剰発現されることになる。別の実施形態では、内因性タンパク質は、異種膜タンパク質も発現する細胞において改変された発現を有し得る。
【0064】
本明細書において使用される宿主細胞は、好ましくは、フコシルラクトースの産生のために遺伝子改変されている。さらに好ましい実施形態では、本明細書において使用される細胞は、ラクトースまたは中間体をフコシルラクトースへと改変することが可能な組換えフコシルトランスフェラーゼを含む。
【0065】
本明細書において使用される宿主細胞は、フコシルラクトースの産生のために必要に応じて遺伝子改変されており、前記宿主細胞は、GDP-フコースのde novo合成を発現するように改変されている。GDP-フコースの前記de novo合成は、酵素であるマンノース-6-リン酸イソメラーゼ、ホスホマンノムターゼをコードする遺伝子、マンノース-1-リン酸グアノシルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース合成酵素によって触媒される。好ましくは、前記宿主細胞は、GDP-フコースのde novo合成の酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子を発現するようにさらに改変されている。
【0066】
本明細書において使用される宿主細胞は、ラクトースパーミアーゼの導入および/または過剰発現によって、細胞内にラクトースを移入するよう必要に応じて遺伝子改変されている。前記ラクトースパーミアーゼは、例えば、lacY遺伝子またはlac12遺伝子によってコードされている。
【0067】
本発明のさらなる態様によれば、膜タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、各細胞または発現系のコドン利用に適応している。
【0068】
上記実施形態の好ましい態様では、ポーターは、TCDBクラスの2.A.1.1、2.A.1.12、2.A.1.15、2.A.1.2、2.A.1.3、2.A.1.36、2.A.1.38、2.A.1.46、2.A.1.68、2.A.1.7、2.A.1.81、2.A.123、2.A.2、2.A.21、2.A.58、2.A.6.3、2.A.66および2.A.7.1の群から選択されるか、P-P結合加水分解駆動性トランスポーターは、TCDBクラスの3.A.1.1、3.A.1.2、3.A.1.10、3.A.1.11および3.A.1.5の群から選択されるか、βバレル型ポリンは、TCDBクラスの1.B.18および1.B.3.1から選択されるか、補助輸送タンパク質は、TCDBクラスの8.A.3から選択されるか、推定輸送タンパク質は、TCDBクラスの9.B.14および9.B.158の群から選択されるか、またはリン酸基転移駆動性基輸送体は、TCDBクラスの4.A.1.1および4.A.4.1の群から選択される。前記TCDBクラスは、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgで定義されるように分類される。
【0069】
上記実施形態の別の好ましい態様では、ポーターは、eggnogファミリーの05BZS、05C0R、05C2C、05CT4、05CXP、05CZQ、05D94、05DXI、05E5M、05E5W、05E8G、05EAM、05EDR、05EGZ、05F9N、05JHE、05PSV、05W2Y、05W3H、05XJ5、070Q9、07CWC、07QF7、07QNK、07RBJ、07RJ1、07T5E、07VQ3、0814C、088QT、08H15、08N8A、08SC4、08Z4Qの群から選択されるか、P-P結合加水分解駆動性トランスポーターは、eggnogファミリーの05BZ1、05CJ1、05DMK、05DFW、05EY8、05HAC、05MFV、07FKK、07R5U、07V1T、08IJ9、08JQ7、172T7の群から選択されるか、βバレル型ポリンは、eggnogファミリーの05DAY、08KDDの群から選択されるか、補助輸送タンパク質は、eggnogファミリーの07SYRの群から選択されるか、推定輸送タンパク質は、eggnogファミリーの05CRE、05GWF、06N3Aの群から選択されるか、またはリン酸基転移駆動性基輸送体タンパク質は、eggnogファミリーの05CI1、05VI0の群から選択される。前記eggnogファミリーは、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb1.0.2によって定義されるように分類される。
【0070】
上記実施形態の別の好ましい態様では、ポーターは、PF00083、PF00474、PF00873、PF00893、PF01895、PF01943、PF02690、PF03083、PF04193、PF05977、PF07690、PF07690、PF13347、PF13440、PF14667のPFAMリストから選択される;P-P結合加水分解駆動性トランスポーターは、PFAMリストのPF00005、PF00532、PF00664、PF01061、PF08352、PF14524、PF13407、PF13416、PF17912から選択される;βバレル型ポリンは、PFAMリストのPF02264、PF02563、PF10531、PF18412から選択される;補助輸送タンパク質は、PFAMリストのPF13807、PF02706から選択される;推定輸送タンパク質は、PFAMリストのPF01578、PF03932、PF05140、PF11045から選択される;および/またはリン酸基転移駆動性基輸送体タンパク質は、PFAMリストのPF00367、PF00358、PF02378、PF03829から選択される。前記PFAMリストは、2018年9月にリリースされたPfam32.0によって定義されるように分類される。
【0071】
上記実施形態の別の好ましい態様では、ポーターは、interproリストのIPR000390、IPR001036、IPR001411、IPR001734、IPR001927、IPR002797、IPR003663、IPR003841、IPR004316、IPR004633、IPR004638、IPR004734、IPR004812、IPR005275、IPR005828、IPR005829、IPR006603、IPR010290、IPR011701、IPR020846、IPR023008、IPR023721、IPR023722、IPR026022、IPR027417、IPR027463、IPR029303、IPR032896、IPR036259、IPR038078、IPR038377、IPR039672から選択される;P-P結合加水分解駆動性トランスポーターは、interproリストのIPR000412、IPR001734、IPR001761、IPR003439、IPR003593、IPR005829、IPR005978、IPR005981、IPR006059、IPR006060、IPR006061、IPR008995、IPR011527、IPR011701、IPR013456、IPR013525、IPR013563、IPR015851、IPR015855、IPR017871、IPR019554、IPR020846、IPR025997、IPR026266、IPR027417、IPR028082、IPR029439、IPR033893、IPR036259、IPR036640、IPR038377、IPR039421、IPR040582から選択される;βバレル型ポリンは、interproリストのIPR003192、IPR003715、IPR019554、IPR023738、IPR036998、IPR040716から選択される;補助輸送タンパク質は、interproリストのIPR003856、IPR020846、IPR027417、IPR032807、IPR036259から選択される;推定輸送タンパク質は、interproリストのIPR002541、IPR003439、IPR003593、IPR004316、IPR005627、IPR006603、IPR007816、IPR017871、IPR020368、IPR020846、IPR023648、IPR027417、IPR036259、IPR036822から選択される;またはリン酸基転移駆動性基輸送体タンパク質は、interproリストIPR001127、IPR001996、IPR003352、IPR004716、IPR010974、IPR011055、IPR013013、IPR018113、IPR018454、IPR036665、IPR036878から選択される。前記interproリストは、2019年7月4日にリリースされたInterPro75.0によって定義されるように分類される。
【0072】
本発明の好ましい態様では、本明細書に記載される方法は、配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号40を含むB.longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むB.longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号58を含むChitinophaga sp. CF118、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)、または配列番号62を含むDyadobacter soli DSM 25329のwzx様タンパク質、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号02、06、40、42、58、66、64もしくは62を含む前記MdfA、IceT、Blon_2331、Blon_2332膜タンパク質もしくはwzx様膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択されるポーター膜タンパク質を発現する宿主細胞を使用する。別の好ましい態様では、本明細書に記載される方法は、配列番号28を含むLactococcus lactis SRCM103457由来のlmrA、配列番号70および74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875または配列番号68および72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE膜タンパク質、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoli、配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、または配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、あるいは上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログまたは機能性断片、あるいはそれぞれ、配列番号28、70、74、68、72、76、82、84、206、208、214、216、または218を含む前記lmrA、LpsE、TolC、MsbA、malE、malK、araF、xylFまたはytfQ膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択されるP-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質を発現する宿主細胞を使用する。
【0073】
なお別の好ましい態様では、本明細書に記載される方法は、配列番号34を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzaまたは配列番号204を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のlamB、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号34もしくは204を含む前記WzaもしくはlamB膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択されるβバレル型ポリンを発現する宿主細胞を使用する。
【0074】
代替の好ましい態様では、本明細書に記載される方法は、配列番号88を含むThermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzc、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号88を含む前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される補助輸送タンパク質を発現する宿主細胞を使用する。
【0075】
別の代替の好ましい態様では、本明細書に記載される方法は、配列番号90を含むClostridium sp. CAG:1013、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712、配列番号94を含むMitsuaria sp. PDC51もしくは配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、または前記CutC膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号90、92、94もしくは96を含む前記CutC膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される推定輸送タンパク質を発現する宿主細胞を使用する。
【0076】
別の代替の好ましい態様では、本明細書に記載される方法は、配列番号210を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のnagE、または配列番号212を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のsrlB、またはそれらの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号210もしくは212を含む前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択されるリン酸基転移駆動性基輸送体を発現する宿主細胞を使用する。
【0077】
なおさらなる代替の好ましい態様では、本明細書に記載される方法は、配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号04を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、配列番号08を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、配列番号10を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、配列番号12を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、配列番号14を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、配列番号16を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、配列番号18を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、配列番号20を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、配列番号22を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、配列番号24を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のBcr、配列番号26を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のFucP、配列番号32を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、配列番号38を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、配列番号40を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号46を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、配列番号48を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、配列番号50を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、配列番号52を含むNeurospora crassa OR74A由来のCDT2、配列番号54を含むAspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、配列番号58を含むChitinophaga sp. CF118由来のWzx、配列番号60を含むEubacterium sp. CAG:581由来のWzx、配列番号62を含むDyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、配列番号86を含むBrachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、配列番号98を含むActinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、配列番号100を含むRuminococcus gnavus由来のNAm、配列番号102を含むCurtobacterium sp. 314Chir4.1由来のNAm、配列番号104を含むNiabella drilacis(DSM25811)由来のNap、配列番号106を含むSaccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、配列番号108を含むCitrobacter freundii MGH152由来のmdtD、配列番号110を含むCitrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、配列番号112を含むCitrobacter amalonaticus由来のmdtD、配列番号114を含むKlebsiella oxytoca由来のmdtD、配列番号116を含むEscherichia albertii B156由来のmdtD、配列番号118を含むSalmonella enterica subsp. Salamae由来のyegB、配列番号120を含むKlebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、配列番号122を含むKlebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、配列番号124を含むPseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、配列番号126を含むYokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、配列番号128を含むCronobacter muytjensii由来のMdfA、配列番号130を含むKlebsiella oxytoca由来のMdfA、配列番号132を含むCitrobacter koseri由来のMFS、配列番号134を含むEscherichia marmotae由来のMdfA、配列番号136を含むShigella flexneri由来のCmr、配列番号138を含むSalmonella enterica subsp. Salamae由来のMdfA、配列番号140を含むCitrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、配列番号142を含むCitrobacter freundii由来のMdfA、配列番号144を含むEnterobacter kobei由来のMdfA、配列番号146を含むEnterobacter sp.由来のMdfA、配列番号148を含むLelliottia sp. WB101由来のMdfA、配列番号150を含むEnterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、配列番号152を含むActinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、配列番号154を含むChitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、配列番号156を含むRhizobium sp. PDC82由来のSweet様タンパク質、配列番号158を含むKineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、配列番号160を含むMorganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、配列番号162を含むGeodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、配列番号164を含むBradyrhizobium sp. BTAi1由来のSweet様タンパク質、配列番号166を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、配列番号168を含むXanthomonas campestris pv. vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、配列番号170を含むHerbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、配列番号172を含むFlavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、配列番号182を含むSinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、配列番号184を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号02、06、04、08、10、12、14、16、18、20、22、24、26、32、38、40、42、46、48、50、52、54、58、60、62、64、66、86、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、182もしくは184を含む前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択されるポーター膜タンパク質;配列番号28を含むLactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、配列番号30を含むEscherichia coli株K12 MG1655由来のOppF、配列番号36を含むHelicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、配列番号44を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、配列番号68もしくは72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE、配列番号70もしくは74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号78を含むButyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、配列番号80を含むRoseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoli由来のMsbA、配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号174を含むRhizobium sp. Root149由来のWzm、配列番号176を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、配列番号196を含むEscherichia coli 113303由来のWzm、配列番号178を含むRhizobium sp. Root149由来のWzt、配列番号180を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、配列番号194を含むEscherichia coli 113303由来のWzt、配列番号188もしくは190を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、もしくは配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号28、30、36、44、68、72、70、74、76、78、80、82、84、174、176、196、178、180、194、188、190、206、208、214、216もしくは218を含む前記LmrA、OppF、
Wzk、Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、WztもしくはNodj膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択されるP-P結合加水分解駆動性トランスポーター;配列番号56を含むHelicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、配列番号90を含むClostridium sp. CAG:1013由来のCutC、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、配列番号94を含むMitsuaria sp. PDC51由来のCutC、配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、配列番号190を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のybjM、配列番号192を含むEnterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つをコードするポリヌクレオチドの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号56、90、92、94、96、190もしくは192を含む前記CytC、CutCもしくはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される推定輸送タンパク質を発現する宿主細胞を使用する。
【0078】
本明細書で使用される場合、列挙された膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質は、その配列が、各膜タンパク質のアミノ酸配列の全長に対して80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、95,5%、96%、96,5%、97%、97,5%、98%、98,5%、99%、99,5%、99,6%、99,7%、99,8%、99,9%の配列同一性を有するものと理解されるべきである。
【0079】
そのような膜タンパク質のアミノ酸配列は、添付の配列表の配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、204、206、208、210、212、214、216もしくは218から選択される配列、または配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、204、206、208、210、212、214、216もしくは218のいずれか1つの全長アミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性、すなわち80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、95,5%、96%、96,5%、97%、97,5%、98%、98,5%、99%、99,5%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
【0080】
本発明のさらなる態様では、本明細書に記載される方法は、細胞壁の外膜を通過する化合物の輸送に関与するトランスポータータンパク質である膜タンパク質を発現する宿主細胞を使用する。
【0081】
さらに好ましい態様では、本明細書に記載されるフコシルラクトースの産生のための方法は、
i)好ましくは連続的に、総反応体積が250mL(ミリリットル)~10.000m3(立方メートル)の範囲である初期の反応器体積1リットル当たり少なくとも50、より好ましくは少なくとも75、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも120、より好ましくは少なくとも150グラムのラクトースを含むラクトースフィードを、培養培地に添加し、好ましくはその結果、前記培養培地の最終体積が、前記ラクトースフィードの添加前の前記培養培地の体積の3倍を超えない、好ましくは2倍を超えない、より好ましくは2倍未満となる、ステップ、
ii)連続的に、ラクトースフィードを供給溶液によって1日、2日、3日、4日、5日の間に、前記培養培地に添加するステップ、
iii)連続的に、ラクトースフィードを供給溶液によって1日、2日、3日、4日、5日の間に、前記培養培地に添加するステップであって、前記ラクトース供給溶液の濃度が、50g/L、好ましくは75g/L、より好ましくは100g/L、より好ましくは125g/L、より好ましくは150g/L、より好ましくは175g/L、より好ましくは200g/L、より好ましくは225g/L、より好ましくは250g/L、より好ましくは275g/L、より好ましくは300g/L、より好ましくは325g/L、より好ましくは350g/L、より好ましくは375g/L、より好ましくは400g/L、より好ましくは450g/L、より好ましくは500g/L、さらにより好ましくは550g/L、最も好ましくは600g/Lであり、好ましくは前記溶液のpHが、3から7の間に設定され、好ましくは前記フィード溶液の温度が、20℃から80℃の間に保たれている、ステップ
のうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記培養培地の前記最終体積において、少なくとも50g/L、好ましくは少なくとも75g/L、より好ましくは少なくとも90g/L、より好ましくは少なくとも100g/L、より好ましくは少なくとも125g/L、より好ましくは少なくとも150g/L、より好ましくは少なくとも175g/L、より好ましくは少なくとも200g/Lのフコシルラクトース濃度をもたらす。
【0082】
好ましくは、前記ラクトースフィードは、培養の開始から、少なくとも5mMの濃度、好ましくは30、40、50、60、70、80、90、100、150mMの濃度、より好ましくは300mMを超える濃度のラクトースを添加することによって達成される。
【0083】
別の態様では、前記ラクトースフィードは、前記培養培地に、培養の生産段階を通して、少なくとも5mM、好ましくは10mMまたは30mMのラクトース濃度が得られるような濃度で、ラクトースを添加することによって達成される。
【0084】
本明細書に記載される方法のさらなる実施形態では、宿主細胞は、少なくとも約60、80、100、もしくは約120時間または連続的に培養される。
【0085】
本明細書に記載される方法の別の実施形態では、炭素およびエネルギー供給源、好ましくはスクロース、グルコース、フルクトース、グリセロール、マルトース、マルトデキストリン、トレハロース、ポリオール、デンプン、スクシネート、マレエート、ピルベート、ラクテート、エタノール、シトレート、および/またはラクトースも、好ましくは連続的に前記培養培地に、好ましくはラクトースと共に添加される。
【0086】
好ましい実施形態では、炭素ベースの基質、好ましくはスクロースは、3日もしくはそれより長い日数、好ましくは最大7日間培養培地中で提供され、および/または連続的に、初期培養体積1リットル当たり少なくとも100グラム、有利には少なくとも105グラム、より有利には少なくとも110グラム、さらにより有利には少なくとも120グラムのスクロースの培養培地中で提供され、その結果、培養培地の最終体積は、培養前の培養培地の体積の3倍以下、有利には2倍以下、より有利には2倍未満である。
【0087】
好ましくは、本明細書に記載される方法を実施する場合、指数関数的細胞成長の第1段階が、第2段階に前記ラクトースが前記培養培地に添加される前に、炭素ベースの基質、好ましくはグルコースまたはスクロースを前記培養培地に添加することによって提供される。
【0088】
代替の好ましい実施形態では、本明細書に記載される方法において、ラクトースは、炭素ベースの基質と一緒に指数関数的成長の第1段階で既に添加されている。
【0089】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法は、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースおよびジフコシルラクトースからなる群の唯一のフコシルラクトースを産生する。
【0090】
代替の実施形態では、本明細書に記載される方法は、フコシルラクトースの混合物を産生する。
【0091】
そのような混合物は、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースおよびジフコシルラクトースからなる群のうちの少なくとも2種を含み得る。
【0092】
本明細書に記載される方法では、前記遺伝子改変された細胞は、すべて本明細書に記載されるとおりの、微生物、植物、または動物の細胞からなる群から選択され、好ましくは前記微生物が、細菌、真菌または酵母であり、好ましくは前記植物が、イネ、ワタ、ナタネ、ダイズ、トウモロコシまたは穀物植物であり、好ましくは前記動物が、昆虫、魚、鳥または非ヒト哺乳類である。
【0093】
特定の例示的実施形態では、本発明の方法は、高収率でフコシルラクトースの産生を提供する。本方法は、ラクトース、遺伝子改変された細胞、好ましくはE.coli、より好ましくは遺伝子lacZ、lacY lacA、glgC、agp、pfkA、pfkB、pgi、arcA、iclR、wcaJ、lonおよびthyAをノックアウトすることによって改変されたE.coli細胞を含有する水性培養培地または発酵培地中で、培養するまたは発酵させるステップを含む。さらにより好ましくは、さらに、E.coliのlacY遺伝子、Zymomonas mobilisに由来するフルクトースキナーゼ遺伝子(frk)およびBifidobacterium adolescentisに由来するスクロースホスホリラーゼ(SP)は、ゲノム内にノックインされ、構成的に発現され得る。構成的プロモーターは、De Mey et al.(BMC Biotechnology, 2007)によって記載されたプロモーターライブラリーに由来する。これらの遺伝子改変は、WO2016075243およびWO2012007481にも記載される。さらに、改変されたE.coli細胞は、例示的実施形態では、3-フコシルラクトース(3-FL)を産生するためにラクトースを改変することが可能である、α-1,3-フコシルトランスフェラーゼであり得る単一のフコシルトランスフェラーゼをコードする組換え遺伝子を有する。さらに、細胞は、本明細書に記載される膜タンパク質のいずれか1つの発現をコードする組換え遺伝子を含む。
【0094】
本発明の別の態様は、フコシルラクトースの産生のために遺伝子改変された宿主細胞であって、フコシルラクトース合成に関与する酵素、より具体的にはGDP-フコースのドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、i)フコシルラクトース輸送に関与する、より具体的にはフコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送に関与する、より具体的にはフコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含む、宿主細胞を提供する。膜タンパク質は、i)それぞれ2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義されるinterpro番号IPR001503およびIPR002516を有するGT10およびGT11フコシルトランスフェラーゼファミリーのゲノム近傍を探索することによって見出されたPFAMドメインのいずれか1つを含む膜タンパク質の群から選択され、前記ゲノム近傍の窓サイズが各フコシルトランスフェラーゼの前の14遺伝子と各フコシルトランスフェラーゼの後の14遺伝子であり、前記膜タンパク質はSETファミリーに属していないか、あるいはii)配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む膜タンパク質、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む前記膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列の群から選択される。
【0095】
あるいはまたは好ましくは、膜タンパク質は、
a)SETを除くポーター、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される。
【0096】
あるいはまたは好ましくは、前記膜タンパク質は、i)配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号04を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、配列番号08を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、配列番号10を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、配列番号12を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、配列番号14を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、配列番号16を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、配列番号18を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、配列番号20を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、配列番号22を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、配列番号24を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のBcr、配列番号26を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のFucP、配列番号32を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、配列番号38を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、配列番号40を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号46を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、配列番号48を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、配列番号50を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、配列番号52を含むNeurospora crassa OR74A由来のCDT2、配列番号54を含むAspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、配列番号58を含むChitinophaga sp. CF118由来のWzx、配列番号60を含むEubacterium sp. CAG:581由来のWzx、配列番号62を含むDyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、配列番号86を含むBrachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、配列番号98を含むActinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、配列番号100を含むRuminococcus gnavus由来のNAm、配列番号102を含むCurtobacterium sp. 314Chir4.1由来のNAm、配列番号104を含むNiabella drilacis(DSM25811)由来のNap、配列番号106を含むSaccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、配列番号108を含むCitrobacter freundii MGH152由来のmdtD、配列番号110を含むCitrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、配列番号112を含むCitrobacter amalonaticus由来のmdtD、配列番号114を含むKlebsiella oxytoca由来のmdtD、配列番号116を含むEscherichia albertii B156由来のmdtD、配列番号118を含むSalmonella enterica subsp. Salamae由来のyegB、配列番号120を含むKlebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、配列番号122を含むKlebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、配列番号124を含むPseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、配列番号126を含むYokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、配列番号128を含むCronobacter muytjensii由来のMdfA、配列番号130を含むKlebsiella oxytoca由来のMdfA、配列番号132を含むCitrobacter koseri由来のMFS、配列番号134を含むEscherichia marmotae由来のMdfA、配列番号136を含むShigella flexneri由来のCmr、配列番号138を含むSalmonella enterica subsp. Salamae由来のMdfA、配列番号140を含むCitrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、配列番号142を含むCitrobacter freundii由来のMdfA、配列番号144を含むEnterobacter kobei由来のMdfA、配列番号146を含むEnterobacter sp.由来のMdfA、配列番号148を含むLelliottia sp. WB101由来のMdfA、配列番号150を含むEnterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、配列番号152を含むActinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、配列番号154を含むChitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、配列番号156を含むRhizobium sp. PDC82由来のSweet様タンパク質、配列番号158を含むKineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、配列番号160を含むMorganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、配列番号162を含むGeodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、配列番号164を含むBradyrhizobium sp. BTAi1由来のSweet様タンパク質、配列番号166を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、配列番号168を含むXanthomonas campestris pv. vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、配列番号170を含むHerbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、配列番号172を含むFlavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、配列番号182を含むSinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、配列番号184を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号02、06、04、08、10、12、14、16、18、20、22、24、26、32、38、40、42、46、48、50、52、54、58、60、62、64、66、86、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、182もしくは184を含む前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択されるポーター膜タンパク質;ii)配列番号28を含むLactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、配列番号30を含むEscherichia coli株K12 MG1655由来のOppF、配列番号36を含むHelicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、配列番号44を含むBifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、配列番号68もしくは72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE、配列番号70もしくは74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号78を含むButyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、配列番号80を含むRoseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoli由来のMsbA、配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号174を含むRhizobium sp. Root149由来のWzm、配列番号176を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、配列番号196を含むEscherichia coli 113303由来のWzm、配列番号178を含むRhizobium sp. Root149由来のWzt、配列番号180を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、配列番号194を含むEscherichia coli 113303由来のWzt、配列番号186もしくは188を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、もしくは配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号28、30、36、44、68、72、70、74、76、78、80、82、84、174、176、196、178、180、194、188、190、206、208、214、216もしくは218を含む前記LmrA、OppF、Wzk、
Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、Wzt、Nodj、malE、malK、araF、xylFもしくはytfQ膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択されるP-P結合加水分解駆動性トランスポーター;iii)配列番号56を含むHelicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、配列番号90を含むClostridium sp. CAG:1013由来のCutC、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、配列番号94を含むMitsuaria sp. PDC51由来のCutC、配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、配列番号190を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のybjM、配列番号192を含むEnterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号56、90、92、94、96、190もしくは192を含む前記CytC、CutCもしくはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される推定輸送タンパク質;iv)配列番号34を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzaまたは配列番号204を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のlamB、またはそれらの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号34もしくは204を含む前記WzaもしくはlamB膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択されるβバレル型ポリン;v)配列番号88を含むThermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzc、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号88を含む前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される補助輸送タンパク質;vi)配列番号210を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のnagE、配列番号212を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のsrlB、またはそれらの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号210もしくは212を含む前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択されるリン酸基転移駆動性基輸送体の群から選択される。
【0097】
本発明のさらなる態様では、本明細書に記載される細胞は、細胞壁の外膜を通過する化合物の輸送に関与するトランスポータータンパク質である膜タンパク質を発現する。
【0098】
別の態様は、培地中で安定的に培養される細胞であって、前記培地が、最少培地、複合培地または例えば、非限定的に、ビタミン、微量元素、アミノ酸のような特定の化合物を豊富に含む成長培地を含むいずれかのタイプの成長培地であり得る、細胞を提供する。
【0099】
好ましくは、細胞は、ラクトーストランスポーター、フコーストランスポーター、ヌクレオチド活性化糖のためのトランスポーターからなる群から選択されるタンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列を含むように形質転換される。
【0100】
本明細書に記載の方法において、細胞は、任意の生物の細胞であってもよい。「生物」または「細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、細菌、酵母もしくは真菌からなるリストから選択される微生物を指すか、または植物細胞、動物細胞、哺乳類細胞、昆虫細胞およびプロトゾア細胞を指す。後者の細菌は、好ましくは、Proteobacteria門またはFirmicutes門またはCyanobacteria門またはDeinococcus-Thermus門に属する。Proteobacteria門に属する後者の細菌は、好ましくはEnterobacteriaceae科に、好ましくはEscherichia coli種に属する。後者の細菌は、好ましくは、Escherichia coli種に属する任意の株、例えば、非限定的に、Escherichia coli B、Escherichia coli C、Escherichia coli W、Escherichia coli K12、Escherichia coli Nissleに関する。より具体的には、後者の用語は、研究室環境に十分に適合され、野生型株とは異なり、腸内で繁栄する能力を失っている、培養されたEscherichia coli株(E.coli K12株と命名される)に関する。E.coli K12株の周知の例は、K12野生型、W3110、MG1655、M182、MC1000、MC1060、MC1061、MC4100、JM101、NZN111およびAA200である。したがって、好ましくは本発明は、具体的には、上記で示した変異したおよび/または形質転換されたEscherichia coli株であって、K12株であるE.coli株に関する。より具体的には、本発明は、上記で示した変異したおよび/または形質転換されたEscherichia coli株であって、前記K12株がE.coli MG1655である、E.coli株に関する。好ましくは、Firmicutes門に属する後者の細菌は、好ましくはBacillus種由来の桿菌に属する。後者の酵母は、好ましくは、Ascomycota門またはBasidiomycota門またはDeuteromycota門またはZygomycetes門に属する。後者の酵母は、好ましくはSaccharomyces、Pichia、Hansunella、Kluyveromyces、Yarrowia、Eremothecium、ZygosaccharomycesまたはDebaromyces属に属する。後者の真菌は、好ましくはRhizopus、DictyosteliumまたはAspergillus属に属する。「植物細胞」は、顕花および非顕花植物の細胞、ならびに藻類細胞、例えば、Chlamydomonas、Chlorellaなどを含む。好ましくは、前記植物細胞は、タバコ、アルファルファ、イネ、トマト、穀物、トウモロコシまたはダイズの細胞であり、前記哺乳類細胞は、CHO細胞またはHEK細胞であり、前記昆虫細胞は、S.frugiperdaの細胞であり、前記プロトゾア細胞は、L.tarentolaeの細胞である。
【0101】
好ましい実施形態では、細胞は微生物の細胞であり、より好ましくは、前記微生物は、細菌または酵母である。より好ましい実施形態では、微生物は細菌、最も好ましくはEscherichia coliである。そのようなE.coliを使用する例は、本明細書に記載される。
【0102】
別のより好ましい実施形態では、細菌は酵母である。フコシルラクトースの産生のために、および本発明において使用可能な酵母を使用する例は、例えば、Hollands et al.(Metabolic Engineering 52 (2019) 232-242)に記載される。
【0103】
選択された単糖、二糖またはオリゴ糖に関する細胞の異化経路は少なくとも部分的に不活性化され、単糖、二糖またはオリゴ糖は、フコシルラクトースの合成に関与するおよび/または必要とされることが一般的に好ましい。
【0104】
さらなる実施形態では、本発明は、フコシルラクトースの産生のための方法であって、本明細書に記載される細胞が、前記フコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で培養するために使用される、方法を提供する。次いで、フコシルラクトースは培養から分離される。本明細書で使用される場合、産生を許容する条件は、非限定的に、温度、pH、圧力、浸透圧および生成物/抽出物の濃度を含む、細胞の成長および生存を可能にする物理的または化学的パラメーターに関する条件であると理解されるべきである。好ましくは、そのような許容される条件は、30+/-20℃の温度範囲、7+/-3のpH範囲を含み得る。
【0105】
本発明による細胞はフコシルラクトースを産生する。フコシルラクトースは、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースおよびジフコシルラクトースからなる群から選択される。
【0106】
本発明の別の態様は、フコシルラクトースの発酵産生において、本明細書で定義される膜タンパク質の群から選択される膜タンパク質の使用を提供する。フコシルラクトースは、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースおよびジフコシルラクトースからなる群から選択される。
【0107】
さらなる態様では、本発明は、フコシルラクトースの産生のための方法における、本明細書で定義される細胞の使用を提供する。
【0108】
また別の態様では、本発明は、本明細書で定義される細胞の使用であって、前記フコシルラクトースが、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースおよび/またはジフコシルラクトースである、使用を提供する。
【0109】
さらに、本発明は、本発明による方法によって得られるフコシルラクトース、およびフコシルラクトースを産生するための、上記のポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、微生物またはポリペプチドの使用にも関する。フコシルラクトースは、ベビーフード、成人の食物もしくは飼料の栄養補助のための食品添加物、プレバイオティクス、シンバイオティクスとして、または治療的もしくは薬学的に活性な化合物として使用することができる。新規方法を用いて、複雑な、時間と費用を消費する合成プロセスを必要とせずに、フコシルラクトースを容易かつ効果的に提供することができる。
【0110】
本明細書で使用される場合、「分離する」という用語は、本明細書で説明されるように、フコシルラクトースを宿主細胞および/またはその成長培地から採取、収集または回収することを意味する。
【0111】
フコシルラクトースは、混合物が製造された培養物または水性培養培地から、従来型の様式で分離することができる。フコシルラクトースがフコシルラクトースを産生する細胞内にまだ存在している場合、細胞からフコシルラクトースを遊離または抽出するための従来型の様式、例えば、高pH、ヒートショック、超音波処理、フレンチプレス、ホモジナイゼーション、酵素加水分解、化学加水分解、溶媒加水分解、洗剤、加水分解などを使用する細胞破壊を使用することができる。培養培地、反応混合物および/または細胞抽出物は、共に、および別々に、フコシルラクトース含有混合物または培養物と呼ばれ、その後、フコシルラクトースを分離するためにさらに使用され得る。
【0112】
典型的には、オリゴ糖、およびオリゴ糖であるフコシルラクトースは、最初に、マクロ構成成分、すなわち第1に、細胞および細胞デブリ、次いでより小さい構成成分、すなわちタンパク質、エンドドキシンおよび1000Daから1000kDaの間の他の構成成分を除去することによって精製され、次いで、第1のステップにおいてナノ濾過膜または電気透析を用いてオリゴ糖を保持し、第2のステップにおいてイオン交換クロマトグラフィー(カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂からなり、最も好ましくは、カチオン交換クロマトグラフィーがアニオン交換クロマトグラフィーの前に実施される)としても公知のイオン交換によって、オリゴ糖を脱塩する。これらのステップは、重合の程度にわずかな差しかない糖を互いに分離しない。前記分離は、例えば、クロマトグラフィーによる分離によってなされる。
【0113】
これは、好ましくは、フコシルラクトース含有混合物を浄化して、懸濁された微粒子および夾雑物、特に、遺伝子改変された細胞を培養することおよび/または酵素反応を行うことによって産生された細胞、細胞成分、不溶性代謝物および細片を除去することを含む。このステップでは、フコシルラクトース含有混合物は、従来型の様式で浄化され得る。好ましくは、フコシルラクトース含有混合物は、遠心分離、凝結、デカンテーションおよび/または濾過によって浄化される。フコシルラクトースをフコシルラクトース含有混合物から分離する第2のステップは、好ましくはフコシルラクトース含有混合物が浄化された後に、好ましくは、実質的に全てのタンパク質、ならびに次の分離ステップに干渉し得るペプチド、アミノ酸、RNAおよびDNAおよび任意のエンドトキシンおよび糖脂質を、フコシルラクトース含有混合物から除去することを含む。このステップでは、タンパク質および関連する不純物は、従来型の様式でフコシルラクトース含有混合物から除去され得る。好ましくは、タンパク質、塩、副産物、色および他の関連する不純物は、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透法、精密濾過、活性炭もしくは炭素処理、接線流高性能濾過、接線流限外濾過、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、非限定的に、カチオン交換、アニオン交換、混床式イオン交換)、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよび/またはゲル濾過(すなわち、サイズ排除クロマトグラフィー)によって、特にクロマトグラフィーによって、より具体的にはイオン交換クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーまたはリガンド交換クロマトグラフィーによってフコシルラクトース含有混合物から除去される。サイズ排除クロマトグラフィーを除いては、タンパク質および関連する不純物は、クロマトグラフィー媒体または選択される膜によって保持され、一方で、フコシルラクトースはフコシルラクトース含有混合物中に残る。
【0114】
分子量が1000Da(ダルトン)を超える夾雑化合物は、1000Daを超え、およそ1000kDaまでのカットオフを有する限外濾過膜によって除去される。膜は、夾雑物を保持し、オリゴ糖を濾液へと通過させる。典型的な限外濾過の原理は当技術分野で周知であり、管型モジュール、ホローファイバー、渦巻型またはプレートに基づく;これらは、クロスフロー条件で、または全量濾過において使用される。膜の組成は周知であり、いくつかの供給メーカーから入手可能であり、PES(ポリエチレンスルホン)、ポリビニルピロリドン、PAN(ポリアクリロニトリル)、PA(Poly-アミド)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、NC(ニトロセルロース)、セラミック物質またはこれらの組合せから構成される。
【0115】
オリゴ糖より小さい構成成分、例えば、単糖、塩、二糖、酸、塩基、培地成分は、ナノ濾過または/および電気透析によって分離される。そのような膜は、100Daから1000Daの間の分子量カットオフを有する。2’-フコシルラクトースなどのオリゴ糖では、最適なカットオフは、300Daから500Daの間であり、濾液における損失が最小限になる。典型的な膜の組成は周知であり、例えば、ポリアミド(PA)、TFC、PA-TFC、ポリピペラジン-アミド、PES、酢酸セルロースまたはそれらの組合せである。
【0116】
フコシルラクトースは、エバポレーション、凍結乾燥、結晶化、沈殿、および/または乾燥、噴霧乾燥によるさらなる精製ステップを用いてまたは用いないで、培養培地および/または細胞からさらに単離される。前記さらなる精製ステップによって、フコシルラクトースを他のオリゴ糖および/または生成物と組み合わせた製剤化、例えば、非限定的に、噴霧乾燥、乾燥もしくは凍結乾燥による合剤化、または液体形態でのエバポレーションによる濃縮が可能になる。
【0117】
またさらなる態様では、また、本発明は、フコシルラクトースのさらなる精製を提供する。前記フコシルラクトースのさらなる精製は、例えば、(活性)炭もしくは炭素、ナノ濾過、限外濾過またはイオン交換の使用によって達成されて、任意の残留するDNA、タンパク質、LPS、エンドトキシンまたは他の不純物を除去し得る。また、アルコール、例えば、エタノールおよび水性アルコール混合物を使用してもよい。別の精製ステップは、生成物の結晶化または沈殿によって達成される。別の精製ステップは、フコシルラクトースを噴霧乾燥または凍結乾燥することである。
【0118】
分離され、好ましくは、また、精製されたフコシルラクトースは、調整粉乳中の栄養補助剤として、および新生児における様々な疾患を処置するために使用することができる。
【0119】
本明細書の実施例において示されるように、同一の遺伝的バックグラウンドを有するが、異種膜タンパク質の発現または内因性膜タンパク質のモジュレートされた発現を欠くフコシルラクトース産生宿主と比較した場合、本発明の方法および細胞は、本明細書で定義される膜タンパク質を使用する場合、以下の驚くべき利点のうちの少なくとも1つを提供する:
- より高いフコシルラクトース力価(増強された)(g/L)、
- より高い産生率r(フコシルラクトースのg/L/時)、
- より高い細胞性能指数CPI(フコシルラクトースのg/Xのg)、
- より高い特異的産生性Qp(フコシルラクトースのg/Xのg/時)、
- スクロースに関するより高い収率Ys(フコシルラクトースのg/スクロースのg)、
- より高いスクロースの取込み/変換率Qs(スクロースのg/Xのg/時)、
- より高いラクトースの変換/消費率rs(ラクトースのg/時)、
- 増強されたフコシルラクトースの分泌、および/または
- 増強された産生宿主の成長速度。
【0120】
さらに、本発明は、以下の具体的実施形態に関する:
実施形態1.遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法であって、
- フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、フコシルラクトース合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)内因性膜タンパク質の改変された発現、および/またはii)異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、それぞれinterpro番号IPR001503およびIPR002516を有するGT10およびGT11フコシルトランスフェラーゼファミリーのゲノム近傍を探索することによって見出されたPFAMドメインのいずれか1つを含む膜タンパク質の群から選択され、前記ゲノム近傍の窓サイズが各フコシルトランスフェラーゼの前の14遺伝子と各フコシルトランスフェラーゼの後の14遺伝子であり、前記膜タンパク質がSETファミリーに属していない、ステップと、
- 所望のフコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で細胞を培養するステップと、
- 好ましくは、培養からフコシルラクトースを分離するステップと
を含む、方法。
【0121】
実施形態2.前記膜タンパク質が、
a)ポーター、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、および
e)推定輸送タンパク質
の群から選択される、実施形態1に記載の方法。
【0122】
実施形態3.遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法であって、
- フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、フコシルラクトース合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)内因性膜タンパク質の改変された発現、および/またはii)異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、
a)ポーター(前記膜タンパク質は、SETファミリーに属していない)、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、および
e)推定輸送タンパク質
の群から選択される、ステップと、
- 所望のフコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で細胞を培養するステップと、
- 好ましくは、培養からフコシルラクトースを分離するステップと
を含む、方法。
【0123】
実施形態4.前記ポーターが、TCDBクラスの2.A.1.1、2.A.1.12、2.A.1.15、2.A.1.2、2.A.1.3、2.A.1.36、2.A.1.38、2.A.1.46、2.A.1.68、2.A.1.7、2.A.1.81、2.A.123、2.A.2、2.A.21、2.A.58、2.A.6.3、2.A.66および2.A.7.1の群から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
実施形態5.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、TCDBクラスの3.A.1.1、3.A.1.10、3.A.1.11および3.A.1.5の群から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
実施形態6.前記βバレル型ポリンが、TCDBクラスの1.B.18から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
実施形態7.前記補助輸送タンパク質が、TCDBクラスの8.A.3から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
実施形態8.前記推定輸送タンパク質が、TCDBクラスの9.B.14および9.B.158の群から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
実施形態9.前記ポーターが、eggnogファミリーの05BZS、05C0R、05C2C、05CT4、05CXP、05CZQ、05D94、05DXI、05E5M、05E5W、05E8G、05EAM、05EDR、05EGZ、05F9N、05JHE、05PSV、05W2Y、05W3H、05XJ5、070Q9、07CWC、07QF7、07QNK、07RBJ、07RJ1、07T5E、07VQ3、0814C、088QT、08H15、08N8A、08SC4、08Z4Qの群から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
実施形態10.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、eggnogファミリーの05BZ1、05CJ1、05EY8、05HAC、05MFV、07V1T、08IJ9、08JQ7の群から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
実施形態11.前記βバレル型ポリンが、eggnogファミリーの05DAYの群から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
実施形態12.前記補助輸送タンパク質が、eggnogファミリーの07SYRの群から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
実施形態13.前記推定輸送タンパク質が、eggnogファミリーの05CRE、05GWF、06N3Aの群から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
実施形態14.前記ポーターが、PFAMリストのPF00083、PF00474、PF00873、PF00893、PF01895、PF01943、PF02690、PF03083、PF04193、PF05977、PF07690、PF07690、PF13347、PF13440およびPF14667から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
実施形態15.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、PFAMリストのPF00005、PF00664、PF01061、PF08352、PF14524およびPF17912から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態16.前記βバレル型ポリンが、PFAMリストのPF02563、PF10531およびPF18412から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態17.前記補助輸送タンパク質が、PFAMリストのPF13807およびPF02706から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
実施形態18.前記推定輸送タンパク質が、PFAMリストのPF01578、PF03932、PF05140およびPF11045から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態19.前記ポーターが、interproリストのIPR000390、IPR001036、IPR001411、IPR001734、IPR001927、IPR002797、IPR003663、IPR003841、IPR004316、IPR004633、IPR004638、IPR004734、IPR004812、IPR005275、IPR005828、IPR005829、IPR006603、IPR010290、IPR011701、IPR020846、IPR023008、IPR023721、IPR023722、IPR026022、IPR027417、IPR027463、IPR029303、IPR032896、IPR036259、IPR038078、IPR038377、IPR039672から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
実施形態20.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、interproリストのIPR000412、IPR001734、IPR003439、IPR003593、IPR005829、IPR005978、IPR005981、IPR008995、IPR011527、IPR011701、IPR013525、IPR013563、IPR015851、IPR017871、IPR019554、IPR020846、IPR027417、IPR029439、IPR036259、IPR036640、IPR038377、IPR039421およびIPR040582から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態21.前記βバレル型ポリンが、interproリストのIPR003715、IPR019554およびIPR040716から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
実施形態22.前記補助輸送タンパク質が、interproリストのIPR003856、IPR020846、IPR027417、IPR032807およびIPR036259から選択される、実施形態2に記載の方法。
【0142】
実施形態23.前記推定輸送タンパク質が、interproリストのIPR002541、IPR003439、IPR003593、IPR004316、IPR005627、IPR006603、IPR007816、IPR017871、IPR020368、IPR020846、IPR023648、IPR027417、IPR036259およびIPR036822から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態24.前記ポーター膜タンパク質が、Escherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、Escherichia coli K12 MG1655由来のIceT、B.longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、B.longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、Chitinophaga sp. CF118、Prevotella ruminicola(AR32)、Lactococcus raffinolactis(ATCC 43920)、またはDyadobacter soli DSM 25329のwzx様タンパク質、または上記ポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記MdfA、IceT、Blon_2331、Blon_2332膜タンパク質もしくはwzx様膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
実施形態25.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質が、Lactococcus lactis subsp. lactis bv. Diacetylactis由来のlmrA、Sporomusa sphaeroides DSM 2875、Flavobacterium spartansii由来のLpsE膜タンパク質、Candidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、Pedobacter ginsengisoliまたはVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記lmrA、LpsE、TolCもしくはMsbA膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
実施形態26.前記βバレル型ポリンが、Escherichia coli K12 MG1655由来のWzaまたはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記Wza膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態27.前記補助輸送タンパク質が、Thermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzc、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態28.前記推定輸送タンパク質が、Clostridium sp. CAG: 1013、Odoribacter splanchnicus DSM 20712、Mitsuaria sp. PDC51もしくはPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、または前記CutC膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記CutC膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
実施形態29.前記ポーター膜タンパク質が、Escherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、Escherichia coli K12 MG1655由来のIceT、Escherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、Escherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、Escherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、Escherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、Escherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、Escherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、Escherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、Escherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、Escherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、Escherichia coli K12 MG1655由来のBcr、Escherichia coli K12 MG1655由来のFucP、Escherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、Escherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、Neurospora crassa OR74A由来のCDT2、Aspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、Chitinophaga sp. CF118由来のWzx、Eubacterium sp. CAG:581由来のWzx、Dyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、Lactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、Prevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、Brachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、Actinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、Ruminococcus gnavus由来のNAm、Curtobacterium sp. 314Chir4.1由来のNAm、Planctomycetes bacterium GWF2_42_9由来のNAm、Niabella drilacis(DSM25811)由来のNap、Saccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、Citrobacter freundii MGH152由来のmdtD、Citrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、Citrobacter amalonaticus由来のmdtD、Klebsiella oxytoca由来のmdtD、Escherichia albertii B156由来のmdtD、Salmonella enterica subsp. Salamae由来のyegB、Klebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、Klebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、Pseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、Yokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、Cronobacter muytjensii由来のMdfA、Klebsiella oxytoca由来のMdfA、Citrobacter koseri由来のMFS、Escherichia marmotae由来のMdfA、Shigella flexneri由来のCmr、Salmonella enterica subsp. Salamae由来のMdfA、Citrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、Citrobacter freundii由来のMdfA、Enterobacter kobei由来のMdfA、Enterobacter sp.由来のMdfA、Lelliottia sp. WB101由来のMdfA、Enterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、Actinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、Chitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、Rhizobium sp. PDC82由来のSweet様タンパク質、Kineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、Morganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、Geodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、Bradyrhizobium sp. BTAi1由来のSweet様タンパク質、Bradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、Xanthomonas campestris pv. vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、Herbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、Flavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、Sinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、Azospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態30.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、Lactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、Escherichia coli 株K12 MG1655由来のOppF、Helicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、Flavobacterium spartansii由来のLpsE、Sporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、Candidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、Butyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、Roseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、Pedobacter ginsengisoli由来のMsbA、Verrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、Rhizobium sp. Root149由来のWzm、Azospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、Escherichia coli 113303由来のWzm、Rhizobium sp. Root149由来のWzt、Azospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、Escherichia coli 113303由来のWzt、Bradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記LmrA、OppF、Wzk、Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、WztまたはNodj膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
31.前記推定輸送タンパク質が、Helicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、Clostridium sp. CAG:1013由来のCutC、Odoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、Mitsuaria sp. PDC51由来のCutC、Prevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、Escherichia coli K12 MG1655由来のybjM、Enterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記CytC、CutCまたはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態32.遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法であって、
- フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、フコシルラクトース合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)内因性膜タンパク質の改変された発現および/またはii)異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、ポーター膜タンパク質であるEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、Escherichia coli K12 MG1655由来のIceT、Escherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、Escherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、Escherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、Escherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、Escherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、Escherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、Escherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、Escherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、Escherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、Escherichia coli K12 MG1655由来のBcr、Escherichia coli K12 MG1655由来のFucP、Escherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、Escherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、Neurospora crassa OR74A由来のCDT2、Aspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、Chitinophaga sp. CF118由来のWzx、Eubacterium sp. CAG:581由来のWzx、Dyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、Lactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、Prevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、Brachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、Actinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、Ruminococcus gnavus由来のNAm、Curtobacterium sp. 314Chir4.1由来のNAm、Planctomycetes bacterium GWF2_42_9由来のNAm、Niabella drilacis(DSM25811)由来のNap、Saccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、Citrobacter freundii MGH152由来のmdtD、Citrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、Citrobacter amalonaticus由来のmdtD、Klebsiella oxytoca由来のmdtD、Escherichia albertii B156由来のmdtD、Salmonella enterica subsp. Salamae由来のyegB、Klebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、Klebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、Pseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、Yokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、Cronobacter muytjensii由来のMdfA、Klebsiella oxytoca由来のMdfA、Citrobacter koseri由来のMFS、Escherichia marmotae由来のMdfA、Shigella flexneri由来のCmr、Salmonella enterica subsp. Salamae由来のMdfA、Citrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、Citrobacter freundii由来のMdfA、Enterobacter kobei由来のMdfA、Enterobacter sp.由来のMdfA、Lelliottia sp. WB101由来のMdfA、Enterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、Actinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、Chitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、Rhizobium sp. PDC82由来のSweet様タンパク質、Kineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、Morganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、Geodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、Bradyrhizobium sp. BTAi1由来のSweet様タンパク質、Bradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、Xanthomonas campestris pv. vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、Herbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、Flavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、Sinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、Azospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質;P-P結合加水分解駆動性トランスポーターであるLactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、Escherichia coli 株K12 MG1655由来のOppF、Helicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、Flavobacterium spartansii由来のLpsE、Sporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、Candidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、Butyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、Roseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、Pedobacter ginsengisoli由来のMsbA、Verrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、Rhizobium sp. Root149由来のWzm、Azospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、Escherichia coli 113303由来のWzm、Rhizobium sp. Root149由来のWzt、Azospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、Escherichia coli 113303由来のWzt、Bradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記LmrA、OppF、Wzk、Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、WztまたはNodj膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質;およびβバレル型ポリン膜タンパク質であるEscherichia coli K12 MG1655由来のWza、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記Wza膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列;および補助輸送タンパク質であるThermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzc、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列;および推定輸送タンパク質であるHelicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、Clostridium sp. CAG:1013由来のCutC、Odoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、Mitsuaria sp. PDC51由来のCutC、Prevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、Escherichia coli K12 MG1655由来のybjM、Enterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記CytC、CutCもしくはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質
からなる膜タンパク質の群から選択される、ステップ
を含む、方法。
【0152】
実施形態33.
i)好ましくは連続的に、初期の反応器体積当たり少なくとも50、より好ましくは少なくとも75、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも120、より好ましくは少なくとも150グラムのラクトースを含むラクトースフィードを、培養培地に添加し、好ましくはその結果、培養培地の最終体積が、前記ラクトースフィードの添加前の培養培地の体積の3倍を超えない、好ましくは2倍を超えない、より好ましくは2倍未満となる、ステップ、
ii)連続的に、ラクトースフィードを供給溶液によって1日、2日、3日、4日、5日の間に、培養培地に添加するステップ、
iii)連続的に、ラクトースフィードを供給溶液によって1日、2日、3日、4日、5日の間に、培養培地に添加するステップであって、前記ラクトース供給溶液の濃度が、50g/l、好ましくは75g/l、より好ましくは100g/l、より好ましくは125g/l、より好ましくは150g/l、より好ましくは175g/l、より好ましくは200g/l、より好ましくは225g/l、より好ましくは250g/l、より好ましくは275g/l、より好ましくは300g/l、より好ましくは325g/l、より好ましくは350g/l、より好ましくは375g/l、より好ましくは400g/l、より好ましくは450g/l、より好ましくは500g/l、さらにより好ましくは550g/l、最も好ましくは600g/lであり、好ましくは前記溶液のpHが、3から7の間に設定され、好ましくは前記フィード溶液の温度が、20℃から80℃の間に保たれている、ステップ
のうちの少なくとも1つをさらに含み、
iv)前記培養培地の最終体積において、少なくとも50g/l、好ましくは少なくとも75g/l、より好ましくは少なくとも90g/l、より好ましくは少なくとも100g/l、より好ましくは少なくとも125g/l、より好ましくは少なくとも150g/l、より好ましくは少なくとも175g/l、より好ましくは少なくとも200g/lのフコシルラクトース濃度をもたらす、前記実施形態のいずれか1つに記載のフコシルラクトースの産生のための方法。
【0153】
実施形態34.前記ラクトースフィードが、培養の開始から、少なくとも5mMの濃度、好ましくは30、40、50、60、70、80、90、100、150mMの濃度、より好ましくは300mMを超える濃度のラクトースを添加することによって達成される、実施形態33に記載の方法。
【0154】
実施形態35.前記ラクトースフィードが、前記培養培地に、培養の生産段階を通して、少なくとも5mM、好ましくは10mMまたは30mMのラクトース濃度が得られるような濃度で、ラクトースを添加することによって達成される、実施形態33または34のいずれか一つに記載の方法。
【0155】
実施形態36.宿主細胞が、少なくとも約60、80、100、もしくは約120時間または連続的に培養される、実施形態33、34または35のいずれかに記載の方法。
【0156】
実施形態37.炭素およびエネルギー供給源、好ましくはスクロース、グルコース、フルクトース、グリセロール、マルトース、マルトデキストリン、トレハロース、ポリオール、デンプン、スクシネート、マレエート、ピルベート、ラクテート、エタノール、シトレート、ラクトースも、好ましくは連続的に前記培養培地に、好ましくはラクトースと共に添加される、実施形態33から36のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
実施形態38.指数関数的細胞成長の第1段階が、第2段階に前記ラクトースが前記培養培地に添加される前に、炭素ベースの基質、好ましくはグルコースまたはスクロースを前記培養培地に添加することによって提供される、実施形態33から37のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
実施形態39.フコシルラクトースの混合物を生産する、実施形態1から38のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
実施形態40.前記フコシルラクトースが、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースおよび/またはジフコシルラクトースである、実施形態1から39のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
実施形態41.前記遺伝子改変された細胞が、微生物、植物、または動物の細胞からなる群から選択され、好ましくは前記微生物が、細菌、真菌または酵母であり、好ましくは前記植物が、イネ、ワタ、ナタネ、ダイズ、トウモロコシまたは穀物植物であり、好ましくは前記動物が、昆虫、魚、鳥または非ヒト哺乳類である、実施形態1から40のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
実施形態42.前記細胞が、Escherichia coli細胞である、実施形態41に記載の方法。
【0162】
実施形態43.フコシルラクトースの産生のために遺伝子改変された宿主細胞であって、フコシルラクトース合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- i)内因性膜タンパク質の改変された発現および/またはii)異種膜タンパク質の発現の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、それぞれinterpro番号IPR001503およびIPR002516を有するGT10およびGT11フコシルトランスフェラーゼファミリーのゲノム近傍を探索することによって見出されたPFAMドメインのいずれか1つを含む膜タンパク質の群から選択され、前記ゲノム近傍の窓サイズが各フコシルトランスフェラーゼの前の14遺伝子と各フコシルトランスフェラーゼの後の14遺伝子であり、前記膜タンパク質がSETファミリーに属していない、宿主細胞。
【0163】
実施形態44.前記膜タンパク質が、
a)ポーター、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、および
e)推定輸送タンパク質
の群から選択される、実施形態43に記載の宿主細胞。
【0164】
実施形態45.フコシルラクトースの産生のために遺伝子改変された宿主細胞であって、フコシルラクトース合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)内因性膜タンパク質の改変された発現、および/またはii)異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、
a)ポーター(前記膜タンパク質は、SETファミリーに属していない)、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、および
e)推定輸送タンパク質
の群から選択される、宿主細胞。
【0165】
実施形態46.前記膜タンパク質が、実施形態4から32のいずれか1つにおいて定義される膜タンパク質の群から選択される、実施形態44または45のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0166】
実施形態47.ポーター膜タンパク質が、Escherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、Escherichia coli K12 MG1655由来のIceT、Escherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、Escherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、Escherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、Escherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、Escherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、Escherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、Escherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、Escherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、Escherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、Escherichia coli K12 MG1655由来のBcr、Escherichia coli K12 MG1655由来のFucP、Escherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、Escherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、Neurospora crassa OR74A由来のCDT2、Aspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、Chitinophaga sp. CF118由来のWzx、Eubacterium sp. CAG:581由来のWzx、Dyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、Lactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、Prevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、Brachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、Actinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、Ruminococcus gnavus由来のNAm、Curtobacterium sp. 314Chir4.1由来のNAm、Planctomycetes bacterium GWF2_42_9由来のNAm、Niabella drilacis(DSM25811)由来のNap、Saccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、Citrobacter freundii MGH152由来のmdtD、Citrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、Citrobacter amalonaticus由来のmdtD、Klebsiella oxytoca由来のmdtD、Escherichia albertii B156由来のmdtD、Salmonella enterica subsp. Salamae由来のyegB、Klebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、Klebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、Pseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、Yokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、Cronobacter muytjensii由来のMdfA、Klebsiella oxytoca由来のMdfA、Citrobacter koseri由来のMFS、Escherichia marmotae由来のMdfA、Shigella flexneri由来のCmr、Salmonella enterica subsp. Salamae由来のMdfA、Citrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、Citrobacter freundii由来のMdfA、Enterobacter kobei由来のMdfA、Enterobacter sp.由来のMdfA、Lelliottia sp. WB101由来のMdfA、Enterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、Actinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、Chitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、Rhizobium sp. PDC82由来のSweet様タンパク質、Kineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、Morganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、Geodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、Bradyrhizobium sp. BTAi1由来のSweet様タンパク質、Bradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、Xanthomonas campestris pv. vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、Herbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、Flavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、Sinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、Azospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、実施形態44または45のいずれか1つに記載のフコシルラクトースの産生のために遺伝子改変された宿主細胞。
【0167】
実施形態48.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、Lactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、Escherichia coli 株K12 MG1655由来のOppF、Helicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、Bifidobacterium longum subsp. Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、Flavobacterium spartansii由来のLpsE、Sporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、Candidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、Butyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、Roseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、Pedobacter ginsengisoli由来のMsbA、Verrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、Rhizobium sp. Root149由来のWzm、Azospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、Escherichia coli 113303由来のWzm、Rhizobium sp. Root149由来のWzt、Azospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、Escherichia coli 113303由来のWzt、Bradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記LmrA、OppF、Wzk、Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、WztまたはNodj膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、実施形態44または45のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0168】
実施形態49.前記推定輸送タンパク質が、Helicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、Clostridium sp. CAG:1013由来のCutC、Odoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、Mitsuaria sp. PDC51由来のCutC、Prevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、Escherichia coli K12 MG1655由来のybjM、Enterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記CytC、CutCまたはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、実施形態44または45のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0169】
実施形態50.前記βバレル型ポリンが、Escherichia coli K12 MG1655由来のWzaまたはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記Wza膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、実施形態44または45のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0170】
実施形態51.前記補助輸送タンパク質が、Thermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzcまたはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、実施形態44または45のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0171】
実施形態52.培地中で安定的に培養される細胞であって、フコシルラクトースの産生のために調整され、フコシルラクトース合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含むように形質転換され、さらに、i)内因性膜タンパク質の改変された発現および/またはii)異種膜タンパク質の発現を含み、前記膜タンパク質が、実施形態1から33のいずれか1つにおいて定義されている、細胞。
【0172】
実施形態53.微生物、植物、または動物の細胞からなる群から選択され、好ましくは前記微生物が、細菌、真菌または酵母であり、好ましくは前記植物が、イネ、ワタ、ナタネ、ダイズ、トウモロコシまたは穀物植物であり、好ましくは前記動物が、昆虫、魚、鳥または非ヒト哺乳動物である、実施形態43から52のいずれか1つに記載の細胞。
【0173】
実施形態54.Escherichia coli細胞である、実施形態53に記載の宿主細胞。
【0174】
実施形態55.少なくとも部分的に不活性化され、単糖、二糖またはオリゴ糖が、フコシルラクトースの合成に関与するおよび/または必要とされる、選択された前記単糖、二糖またはオリゴ糖に関する異化経路を含む、実施形態43から54のいずれか1つに記載の細胞。
【0175】
実施形態56.前記フコシルラクトースが、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースまたはジフコシルラクトースである、実施形態43から55のいずれか1つに記載の細胞。
【0176】
実施形態57.フコシルラクトースの産生のための方法であって、
a)実施形態43から56のいずれか1つに記載の細胞を提供するステップと、
b)前記フコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で前記細胞を培養するステップと、
c)前記フコシルラクトースを前記培養から分離するステップと
を含む、方法。
【0177】
実施形態58.フコシルラクトースの発酵産生における、実施形態1から31のいずれか1つにおいて定義される膜タンパク質群から選択される膜タンパク質の使用。
【0178】
実施形態59.フコシルラクトースの産生のための方法における、実施形態43から56のいずれか1つに記載の細胞の使用。
【0179】
実施形態60.前記フコシルラクトースが、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースおよび/またはジフコシルラクトースである、実施形態59に記載の細胞の使用。
【0180】
さらに、本発明は、以下の好ましい具体的実施形態に関する:
具体的実施形態1.遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法であって、
- フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、グアノシン-ジホスフェートフコース(GDP-フコース)のドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現、ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、i)それぞれ2019年7月4日にリリースされたInterPro75.0によって定義されるinterpro番号IPR001503およびIPR002516を有するGT10およびGT11フコシルトランスフェラーゼファミリーのゲノム近傍を探索することによって見出されたPFAMドメインのいずれか1つを含む膜タンパク質の群から選択され、前記ゲノム近傍の窓サイズが前記各フコシルトランスフェラーゼの前の14遺伝子と前記各フコシルトランスフェラーゼの後の14遺伝子であり、前記膜タンパク質がSETファミリーに属していないか、またはii)配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む膜タンパク質、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む前記膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む前記膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列の群から選択される、ステップと、
- 所望のフコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で前記細胞を培養するステップと、
- 好ましくは、前記培養から前記フコシルラクトースを分離するステップと
を含む、方法。
【0181】
具体的実施形態2.前記膜タンパク質が、
a)ポーター、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される、具体的実施形態1に記載の方法。
【0182】
具体的実施形態3.遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法であって、
- フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、GDP-フコースのドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、
a)ポーター(前記膜タンパク質は、SETファミリーに属していない)、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される、ステップと、
- 所望のフコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で前記細胞を培養するステップと、
- 好ましくは、前記培養から前記フコシルラクトースを分離するステップと
を含む、方法。
【0183】
具体的実施形態4.前記ポーターが、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgで定義される、TCDBクラスの2.A.1.1、2.A.1.12、2.A.1.15、2.A.1.2、2.A.1.3、2.A.1.36、2.A.1.38、2.A.1.46、2.A.1.68、2.A.1.7、2.A.1.81、2.A.123、2.A.2、2.A.21、2.A.58、2.A.6.3、2.A.66および2.A.7.1の群から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
具体的実施形態5.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgによって定義される、TCDBクラスの3.A.1.1、3.A.1.2、3.A.1.10、3.A.1.11および3.A.1.5の群から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
具体的実施形態6.前記βバレル型ポリンが、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgによって定義される、TCDBクラスの1.B.3.1および1.B.18から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
具体的実施形態7.前記補助輸送タンパク質が、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgによって定義される、TCDBクラスの8.A.3から選択される、具体的な具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
具体的実施形態8.前記推定輸送タンパク質が、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgによって定義される、TCDBクラスの9.B.14および9.B.158の群から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
具体的実施形態9.前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、2019年6月17日にリリースされたTCDB.orgによって定義される、TCDBクラスの4.A.1.1および4.A.4.1の群から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
具体的実施形態10.前記ポーターが、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの05BZS、05C0R、05C2C、05CT4、05CXP、05CZQ、05D94、05DXI、05E5M、05E5W、05E8G、05EAM、05EDR、05EGZ、05F9N、05JHE、05PSV、05W2Y、05W3H、05XJ5、070Q9、07CWC、07QF7、07QNK、07RBJ、07RJ1、07T5E、07VQ3、0814C、088QT、08H15、08N8A、08SC4、08Z4Qの群から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
具体的実施形態11.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの05BZ1、05CJ1、05EY8、05HAC、05DMK、05DFW、05MFV、07FKK、07R5U、07V1T、08IJ9、08JQ7、172T7の群から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
具体的実施形態12.前記βバレル型ポリンが、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの05DAY、08KDDの群から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
具体的実施形態13.前記補助輸送タンパク質が、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの07SYRの群から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
具体的実施形態14.前記推定輸送タンパク質が、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの05CRE、05GWF、06N3Aの群から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
具体的実施形態15.前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2によって定義される、eggnogファミリーの05CI1および05VI0の群から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
具体的実施形態16.前記ポーターが、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF00083、PF00474、PF00873、PF00893、PF01895、PF01943、PF02690、PF03083、PF04193、PF05977、PF07690、PF07690、PF13347、PF13440およびPF14667から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
具体的実施形態17.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF00005、PF00532、PF00664、PF01061、PF08352、PF14524、PF13407、PF13416およびPF17912から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
具体的実施形態18.前記βバレル型ポリンが、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF02264、PF02563、PF10531およびPF18412から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
具体的実施形態19.前記補助輸送タンパク質が、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF13807およびPF02706から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
具体的実施形態20.前記推定輸送タンパク質が、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF01578、PF03932、PF05140およびPF11045から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
具体的実施形態21.前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、2018年9月にリリースされたPfam 32.0によって定義される、PFAMリストのPF00367、PF00358、PF02378、PF03829から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
具体的実施形態22.前記ポーターが、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR000390、IPR001036、IPR001411、IPR001734、IPR001927、IPR002797、IPR003663、IPR003841、IPR004316、IPR004633、IPR004638、IPR004734、IPR004812、IPR005275、IPR005828、IPR005829、IPR006603、IPR010290、IPR011701、IPR020846、IPR023008、IPR023721、IPR023722、IPR026022、IPR027417、IPR027463、IPR029303、IPR032896、IPR036259、IPR038078、IPR038377、IPR039672から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
具体的実施形態23.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR000412、IPR001734、IPR001761、IPR003439、IPR003593、IPR005829、IPR005978、IPR005981、IPR006059、IPR006060、IPR006061、IPR008995、IPR011527、IPR011701、IPR013456、IPR013525、IPR013563、IPR015851、IPR015855、IPR017871、IPR019554、IPR020846、IPR025997、IPR026266、IPR027417、IPR028082、IPR029439、IPR033893、IPR036259、IPR036640、IPR038377、IPR039421およびIPR040582から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
具体的実施形態24.前記βバレル型ポリンが、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR003192、IPR003715、IPR019554、IPR023738、IPR036998およびIPR040716から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
具体的実施形態25.前記補助輸送タンパク質が、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR003856、IPR020846、IPR027417、IPR032807およびIPR036259から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
具体的実施形態26.前記推定輸送タンパク質が、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR002541、IPR003439、IPR003593、IPR004316、IPR005627、IPR006603、IPR007816、IPR017871、IPR020368、IPR020846、IPR023648、IPR027417、IPR036259およびIPR036822から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
具体的実施形態27.前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義される、interproリストのIPR001127、IPR001996、IPR003352、IPR004716、IPR010974、IPR011055、IPR013013、IPR018113、IPR018454、IPR036665およびIPR036878から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
具体的実施形態28.前記ポーター膜タンパク質が、配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号40を含むB.longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むB.longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号58を含むChitinophaga sp.CF118、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)、または配列番号62を含むDyadobacter soli DSM 25329のwzx様タンパク質、または上記ポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号02、06、40、42、58、66、64もしくは62を含む前記MdfA、IceT、Blon_2331、Blon_2332膜タンパク質もしくはwzx様膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
具体的実施形態29.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質が、配列番号28を含むLactococcus lactis株SRCM103457由来のlmrA、配列番号70もしくは74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875、配列番号68もしくは72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE膜タンパク質、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoliまたは配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、または配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、あるいは上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログまたは機能性断片、あるいはそれぞれ、配列番号28、70、74、68、72、76、82、84、206、208、214、216、または218を含む前記lmrA、LpsE、TolC、MsbA、malE、malK、araF、xylFまたはytfQ膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
具体的実施形態30.前記βバレル型ポリンが、配列番号34を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzaまたは配列番号204を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のlamB、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号34もしくは204を含む前記WzaもしくはlamB膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
具体的実施形態31.前記補助輸送タンパク質が、配列番号88を含むThermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzc、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号88を含む前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
具体的実施形態32.前記推定輸送タンパク質が、配列番号90を含むClostridium sp.CAG:1013、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712、配列番号94を含むMitsuaria sp.PDC51もしくは配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、または前記CutC膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号90、92、94もしくは96を含む前記CutC膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
具体的実施形態33.前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、配列番号210を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のnagE、配列番号212を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のsrlB、または前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号210もしくは212を含む前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
具体的実施形態34.前記ポーター膜タンパク質が、配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号04を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、配列番号08を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、配列番号10を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、配列番号12を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、配列番号14を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、配列番号16を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、配列番号18を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、配列番号20を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、配列番号22を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、配列番号24を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のBcr、配列番号26を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のFucP、配列番号32を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、配列番号38を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、配列番号40を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号46を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、配列番号48を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、配列番号50を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、配列番号52を含むNeurospora crassa OR74A由来のCDT2、配列番号54を含むAspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、配列番号58を含むChitinophaga sp.CF118由来のWzx、配列番号60を含むEubacterium sp.CAG:581由来のWzx、配列番号62を含むDyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、配列番号86を含むBrachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、配列番号98を含むActinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、配列番号100を含むRuminococcus gnavus由来のNAm、配列番号102を含むCurtobacterium sp.314Chir4.1由来のNAm、配列番号104を含むNiabella drilacis(DSM25811)由来のNap、配列番号106を含むSaccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、配列番号108を含むCitrobacter freundii MGH152由来のmdtD、配列番号110を含むCitrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、配列番号112を含むCitrobacter amalonaticus由来のmdtD、配列番号114を含むKlebsiella oxytoca由来のmdtD、配列番号116を含むEscherichia albertii B156由来のmdtD、配列番号118を含むSalmonella enterica subsp.Salamae由来のyegB、配列番号120を含むKlebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、配列番号122を含むKlebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、配列番号124を含むPseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、配列番号126を含むYokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、配列番号128を含むCronobacter muytjensii由来のMdfA、配列番号130を含むKlebsiella oxytoca由来のMdfA、配列番号132を含むCitrobacter koseri由来のMFS、配列番号134を含むEscherichia marmotae由来のMdfA、配列番号136を含むShigella flexneri由来のCmr、配列番号138を含むSalmonella enterica subsp.Salamae由来のMdfA、配列番号140を含むCitrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、配列番号142を含むCitrobacter freundii由来のMdfA、配列番号144を含むEnterobacter kobei由来のMdfA、配列番号146を含むEnterobacter sp.由来のMdfA、配列番号148を含むLelliottia sp.WB101由来のMdfA、配列番号150を含むEnterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、配列番号152を含むActinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、配列番号154を含むChitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、配列番号156を含むRhizobium sp.PDC82由来のSweet様タンパク質、配列番号158を含むKineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、配列番号160を含むMorganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、配列番号162を含むGeodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、配列番号164を含むBradyrhizobium sp.BTAi1由来のSweet様タンパク質、配列番号166を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、配列番号168を含むXanthomonas campestris pv.vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、配列番号170を含むHerbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、配列番号172を含むFlavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、配列番号182を含むSinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、配列番号184を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号02、06、04、08、10、12、14、16、18、20、22、24、26、32、38、40、42、46、48、50、52、54、58、60、62、64、66、86、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、182もしくは184を含む前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
具体的実施形態35.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、配列番号28を含むLactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、配列番号30を含むEscherichia coli株K12 MG1655由来のOppF、配列番号36を含むHelicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、配列番号44を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、配列番号68もしくは72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE、配列番号70もしくは74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号78を含むButyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、配列番号80を含むRoseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoli由来のMsbA、配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号174を含むRhizobium sp.Root149由来のWzm、配列番号176を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、配列番号196を含むEscherichia coli 113303由来のWzm、配列番号178を含むRhizobium sp.Root149由来のWzt、配列番号180を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、配列番号194を含むEscherichia coli 113303由来のWzt、配列番号188もしくは190を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、もしくは配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号28、30、36、44、68、72、70、74、76、78、80、82、84、174、176、196、178、180、194、188、190、206、208、214、216もしくは218を含む前記LmrA、OppF、Wzk、Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、Wzt、Nodj、malE、malK、araF、xylFもしくはytfQ膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
具体的実施形態36.前記推定輸送タンパク質が、配列番号56を含むHelicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、配列番号90を含むClostridium sp.CAG:1013由来のCutC、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、配列番号94を含むMitsuaria sp.PDC51由来のCutC、配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、配列番号190を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のybjM、配列番号192を含むEnterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号56、90、92、94、96、190もしくは192を含む前記CytC、CutCもしくはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、具体的実施形態2または3のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
具体的実施形態37.遺伝子改変された細胞によるフコシルラクトースの産生のための方法であって、
- フコシルラクトースを産生することが可能な細胞を提供するステップであって、前記細胞が、GDP-フコースのドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、ポーター膜タンパク質である配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号04を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、配列番号08を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、配列番号10を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、配列番号12を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、配列番号14を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、配列番号16を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、配列番号18を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、配列番号20を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、配列番号22を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、配列番号24を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のBcr、配列番号26を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のFucP、配列番号32を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、配列番号38を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、配列番号40を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号46を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、配列番号48を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、配列番号50を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、配列番号52を含むNeurospora crassa OR74A由来のCDT2、配列番号54を含むAspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、配列番号58を含むChitinophaga sp.CF118由来のWzx、配列番号60を含むEubacterium sp.CAG:581由来のWzx、配列番号62を含むDyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、配列番号86を含むBrachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、配列番号98を含むActinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、配列番号100を含むRuminococcus gnavus由来のNAm、配列番号102を含むCurtobacterium sp.314Chir4.1由来のNAm、配列番号104を含むNiabella drilacis(DSM25811)由来のNap、配列番号106を含むSaccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、配列番号108を含むCitrobacter freundii MGH152由来のmdtD、配列番号110を含むCitrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、配列番号112を含むCitrobacter amalonaticus由来のmdtD、配列番号114を含むKlebsiella oxytoca由来のmdtD、配列番号116を含むEscherichia albertii B156由来のmdtD、配列番号118を含むSalmonella enterica subsp.Salamae由来のyegB、配列番号120を含むKlebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、配列番号122を含むKlebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、配列番号124を含むPseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、配列番号126を含むYokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、配列番号128を含むCronobacter muytjensii由来のMdfA、配列番号130を含むKlebsiella oxytoca由来のMdfA、配列番号132を含むCitrobacter koseri由来のMFS、配列番号134を含むEscherichia marmotae由来のMdfA、配列番号136を含むShigella flexneri由来のCmr、配列番号138を含むSalmonella enterica subsp.Salamae由来のMdfA、配列番号140を含むCitrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、配列番号142を含むCitrobacter freundii由来のMdfA、配列番号144を含むEnterobacter kobei由来のMdfA、配列番号146を含むEnterobacter sp.由来のMdfA、配列番号148を含むLelliottia sp.WB101由来のMdfA、配列番号150を含むEnterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、配列番号152を含むActinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、配列番号154を含むChitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、配列番号156を含むRhizobium sp.PDC82由来のSweet様タンパク質、配列番号158を含むKineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、配列番号160を含むMorganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、配列番号162を含むGeodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、配列番号164を含むBradyrhizobium sp.BTAi1由来のSweet様タンパク質、配列番号166を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、配列番号168を含むXanthomonas campestris pv.vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、配列番号170を含むHerbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、配列番号172を含むFlavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、配列番号182を含むSinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、配列番号184を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号02、06、04、08、10、12、14、16、18、20、22、24、26、32、38、40、42、46、48、50、52、54、58、60、62、64、66、86、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、182もしくは184を含む前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質;およびP-P結合加水分解駆動性トランスポーターである配列番号28を含むLactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、配列番号30を含むEscherichia coli株K12 MG1655由来のOppF、配列番号36を含むHelicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、配列番号44を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、配列番号68もしくは72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE、配列番号70もしくは74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号78を含むButyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、配列番号80を含むRoseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoli由来のMsbA、配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号174を含むRhizobium sp.Root149由来のWzm、配列番号176を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、配列番号196を含むEscherichia coli 113303由来のWzm、配列番号178を含むRhizobium sp.Root149由来のWzt、配列番号180を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、配列番号194を含むEscherichia coli 113303由来のWzt、配列番号188もしくは190を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、もしくは配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号28、30、36、44、68、
72、70、74、76、78、80、82、84、174、176、196、178、180、194、188、190、206、208、214、216もしくは218を含む前記LmrA、OppF、Wzk、Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、Wzt、Nodj、malE、malK、araF、xylFもしくはytfQ膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質;およびβバレル型ポリン膜タンパク質である配列番号34を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzaまたは配列番号204を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のlamB、または前記WzaもしくはlamBタンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号34もしくは204を含む前記WzaもしくはlamB膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列;および補助輸送タンパク質である配列番号88を含むThermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzc、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号88を含む前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列;推定輸送タンパク質である配列番号56を含むHelicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、配列番号90を含むClostridium sp.CAG:1013由来のCutC、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、配列番号94を含むMitsuaria sp.PDC51由来のCutC、配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、配列番号190を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のybjM、配列番号192を含むEnterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号56、90、92、94、96、190もしくは192を含む前記CytC、CutCもしくはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質;およびリン酸基転移駆動性基輸送体である配列番号210を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のnagE、配列番号212を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のsrlB、または前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号210もしくは212を含む前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる膜タンパク質の群から選択される、ステップを含む、方法。
【0217】
具体的実施形態38.前記膜タンパク質が、細胞壁の外膜を通過する化合物の輸送に関与するトランスポータータンパク質である、前記具体的実施形態のいずれか1つに記載のフコシルラクトースの産生のための方法。
【0218】
具体的実施形態39.i)好ましくは連続的に、反応体積が250mL~10.000m3の範囲である初期の反応器体積1リットル当たり少なくとも50、より好ましくは少なくとも75、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも120、より好ましくは少なくとも150グラムのラクトースを含むラクトースフィードを、培養培地に添加し、好ましくはその結果、前記培養培地の最終体積が、前記ラクトースフィードの添加前の前記培養培地の体積の3倍を超えない、好ましくは2倍を超えない、より好ましくは2倍未満となる、ステップ、
ii)連続的に、ラクトースフィードを供給溶液によって1日、2日、3日、4日、5日の間に、前記培養培地に添加するステップ、
iii)連続的に、ラクトースフィードを供給溶液によって1日、2日、3日、4日、5日の間に、前記培養培地に添加するステップであって、前記ラクトース供給溶液の濃度が、50g/L、好ましくは75g/L、より好ましくは100g/L、より好ましくは125g/L、より好ましくは150g/L、より好ましくは175g/L、より好ましくは200g/L、より好ましくは225g/L、より好ましくは250g/L、より好ましくは275g/L、より好ましくは300g/L、より好ましくは325g/L、より好ましくは350g/L、より好ましくは375g/L、より好ましくは400g/L、より好ましくは450g/L、より好ましくは500g/L、さらにより好ましくは550g/L、最も好ましくは600g/Lであり、好ましくは前記溶液のpHが、3から7の間に設定され、好ましくは前記フィード溶液の温度が、20℃から80℃の間に保たれている、ステップ
のうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記培養培地の前記最終体積において、少なくとも50g/L、好ましくは少なくとも75g/L、より好ましくは少なくとも90g/L、より好ましくは少なくとも100g/L、より好ましくは少なくとも125g/L、より好ましくは少なくとも150g/L、より好ましくは少なくとも175g/L、より好ましくは少なくとも200g/Lのフコシルラクトース濃度をもたらす、前記具体的実施形態のいずれか1つに記載のフコシルラクトースの産生のための方法。
【0219】
具体的実施形態40.前記ラクトースフィードが、培養の開始から、少なくとも5mMの濃度、好ましくは30、40、50、60、70、80、90、100、150mMの濃度、より好ましくは300mMを超える濃度のラクトースを添加することによって達成される、具体的実施形態39に記載の方法。
【0220】
具体的実施形態41.前記ラクトースフィードが、前記培養培地に、培養の生産段階を通して、少なくとも5mM、好ましくは10mMまたは30mMのラクトース濃度が得られるような濃度で、ラクトースを添加することによって達成される、具体的実施形態39または40のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
具体的実施形態42.宿主細胞が、少なくとも約60、80、100、もしくは約120時間または連続的に培養される、具体的実施形態39、40または41のいずれかに記載の方法。
【0222】
具体的実施形態43.炭素およびエネルギー供給源、好ましくはスクロース、グルコース、フルクトース、グリセロール、マルトース、マルトデキストリン、トレハロース、ポリオール、デンプン、スクシネート、マレエート、ピルベート、ラクテート、エタノール、シトレート、ラクトースも、好ましくは連続的に前記培養培地に、好ましくはラクトースと共に添加される、具体的実施形態39から42のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
具体的実施形態44.指数関数的細胞成長の第1段階が、第2段階に前記ラクトースが前記培養培地に添加される前に、炭素ベースの基質、好ましくはグルコースまたはスクロースを前記培養培地に添加することによって提供される、具体的実施形態39から43のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
具体的実施形態45.フコシルラクトースの混合物を生産する、具体的実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
具体的実施形態46.前記フコシルラクトースが、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースおよび/またはジフコシルラクトースである、具体的実施形態1から45のいずれか1つに記載の方法。
【0226】
具体的実施形態47.前記遺伝子改変された細胞が、微生物、植物、または動物の細胞からなる群から選択され、好ましくは前記微生物が、細菌、真菌または酵母であり、好ましくは前記植物が、イネ、ワタ、ナタネ、ダイズ、トウモロコシまたは穀物植物であり、好ましくは前記動物が、昆虫、魚、鳥または非ヒト哺乳類である、具体的実施形態1から46のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
具体的実施形態48.前記細胞が、Escherichia coli細胞である、具体的実施形態47に記載の方法。
【0228】
具体的実施形態49.フコシルラクトースの産生のために遺伝子改変された宿主細胞であって、GDP-フコースのドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
i)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、i)それぞれ2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義されるinterpro番号IPR001503およびIPR002516を有するGT10およびGT11フコシルトランスフェラーゼファミリーのゲノム近傍を探索することによって見出されたPFAMドメインのいずれか1つを含む膜タンパク質の群から選択され、前記ゲノム近傍の窓サイズが各フコシルトランスフェラーゼの前の14遺伝子と各フコシルトランスフェラーゼの後の14遺伝子であり、前記膜タンパク質はSETファミリーに属していないか、あるいはii)配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む膜タンパク質、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号204、206、208、210、212、214、216、218を含む前記膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列の群から選択される、宿主細胞。
【0229】
具体的実施形態50.前記膜タンパク質が、
a)ポーター、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される、具体的実施形態49に記載の宿主細胞。
【0230】
具体的実施形態51.フコシルラクトースの産生のために遺伝子改変された宿主細胞であって、GDP-フコースのドナー由来のフコース残基をラクトースアクセプターに移行し、それによってフコシルラクトースを合成するフコシルトランスフェラーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
- 前記細胞が、i)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する内因性膜タンパク質の改変された発現ならびに/またはii)フコシルラクトース輸送を可能にするおよび/もしくは増強する異種膜タンパク質の発現をさらに含み、前記膜タンパク質が、
a)ポーター(前記膜タンパク質は、SETファミリーに属していない)、
b)P-P結合加水分解駆動性トランスポーター、
c)βバレル型ポリン、
d)補助輸送タンパク質、
e)推定輸送タンパク質、および
f)リン酸基転移駆動性基輸送体
の群から選択される、宿主細胞。
【0231】
具体的実施形態52.前記膜タンパク質が、具体的実施形態4から38のいずれか1つにおいて定義される膜タンパク質の群から選択される、具体的実施形態50または51のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0232】
具体的実施形態53.ポーター膜タンパク質が、配列番号02を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMdfA、配列番号06を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のIceT、配列番号04を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYnfM、配列番号08を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYhhs、配列番号10を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrD、配列番号12を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdhC、配列番号14を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYbdA、配列番号16を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYdeE、配列番号18を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のMhpT、配列番号20を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYebQ、配列番号22を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のYjhB、配列番号24を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のBcr、配列番号26を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のFucP、配列番号32を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzxE、配列番号38を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のEmrE、配列番号40を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2331、配列番号42を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2332、配列番号46を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0247、配列番号48を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0245、配列番号50を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_0345、配列番号52を含むNeurospora crassa OR74A由来のCDT2、配列番号54を含むAspergillus oryzae RIB40由来のCDT2、配列番号58を含むChitinophaga sp.CF118由来のWzx、配列番号60を含むEubacterium sp.CAG:581由来のWzx、配列番号62を含むDyadobacter soli(DSM 25329)由来のWzx、配列番号64を含むLactococcus raffinolactis(ATCC 43920)由来のWzx、配列番号66を含むPrevotella ruminicola(AR32)由来のWzx、配列番号86を含むBrachyspira hampsonii P280/1由来のNAPO、配列番号98を含むActinobaculum suis(DSM 20639)由来のNAm、配列番号100を含むRuminococcus gnavus由来のNAm、配列番号102を含むCurtobacterium sp.314Chir4.1由来のNAm、配列番号104を含むNiabella drilacis(DSM25811)由来のNap、配列番号106を含むSaccharicrinis fermentans(DSM 9555)由来のNap、配列番号108を含むCitrobacter freundii MGH152由来のmdtD、配列番号110を含むCitrobacter werkmanii NBRC 105721由来のmdtD、配列番号112を含むCitrobacter amalonaticus由来のmdtD、配列番号114を含むKlebsiella oxytoca由来のmdtD、配列番号116を含むEscherichia albertii B156由来のmdtD、配列番号118を含むSalmonella enterica subsp.Salamae由来のyegB、配列番号120を含むKlebsiella pneumoniae 30684/NJST258_2由来のmdtD、配列番号122を含むKlebsiella pneumoniae由来のTcr_1_D38215、配列番号124を含むPseudocitrobacter faecalis由来のmdtD、配列番号126を含むYokenella regensburgei(ATCC43003)由来のCmr、配列番号128を含むCronobacter muytjensii由来のMdfA、配列番号130を含むKlebsiella oxytoca由来のMdfA、配列番号132を含むCitrobacter koseri由来のMFS、配列番号134を含むEscherichia marmotae由来のMdfA、配列番号136を含むShigella flexneri由来のCmr、配列番号138を含むSalmonella enterica subsp.Salamae由来のMdfA、配列番号140を含むCitrobacter youngae(ATCC 29220)由来のCmr、配列番号142を含むCitrobacter freundii由来のMdfA、配列番号144を含むEnterobacter kobei由来のMdfA、配列番号146を含むEnterobacter sp.由来のMdfA、配列番号148を含むLelliottia sp.WB101由来のMdfA、配列番号150を含むEnterobacter ludwigii EcWSU1由来のMdfA、配列番号152を含むActinoplanes utahensis由来のSweet様タンパク質、配列番号154を含むChitinophagaceae bacterium PMG_246由来のSweet様タンパク質、配列番号156を含むRhizobium sp.PDC82由来のSweet様タンパク質、配列番号158を含むKineococcus rhizosphaerae(DSM 19711)由来のSweet様タンパク質、配列番号160を含むMorganella morganii IS15由来のSweet様タンパク質、配列番号162を含むGeodermatophilus obscurus(株ATCC 25078)由来のSweet様タンパク質、配列番号164を含むBradyrhizobium sp.BTAi1由来のSweet様タンパク質、配列番号166を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のSweet様タンパク質、配列番号168を含むXanthomonas campestris pv.vesicatoria str.85-10由来のSweet様タンパク質、配列番号170を含むHerbaspirillum aquaticum由来のSweet様タンパク質、配列番号172を含むFlavobacteria bacterium MS024-2A由来のSweet様タンパク質、配列番号182を含むSinorhizobium medicae WSM419由来のrnd様、配列番号184を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のアラビノース排出、または上記ポーター膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号02、06、04、08、10、12、14、16、18、20、22、24、26、32、38、40、42、46、48、50、52、54、58、60、62、64、66、86、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、182もしくは184を含む前記MdfA、IceT、YnfM、Yhhs、EmrD、YdhC、YbdA、YdeE、MhpT、YebQ、YjhB、Bcr、FucP、WzxE、EmrE、Wzx、Blon_2331、Blon_2232、Blon_0247、Blon_0245、Blon_0345、NAPO、NAm、Nap、mdtD、YegB、Tcr_1_D38215、cmr、MFS、CDT2、rnd、Sweet様もしくはアラビノース排出膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、具体的実施形態50または51のいずれか1つに記載のフコシルラクトースの産生のために遺伝子改変された宿主細胞。
【0233】
具体的実施形態54.前記P-P結合加水分解駆動性トランスポーターが、配列番号28を含むLactococcus lactis株SRCM103457由来のLmrA、配列番号30を含むEscherichia coli株K12 MG1655由来のOppF、配列番号36を含むHelicobacter pylori(株ATCC 700392/26695)由来のWzk、配列番号44を含むBifidobacterium longum subsp.Infantis(株ATCC 15697)由来のBlon_2475、配列番号68もしくは72を含むFlavobacterium spartansii由来のLpsE、配列番号70もしくは74を含むSporomusa sphaeroides DSM 2875由来のLpsE、配列番号76を含むCandidatus Planktophila sulfonica由来のTolC、配列番号78を含むButyrivibrio hungatei XBD2006由来のTolC、配列番号80を含むRoseburia intestinalis CAG:13由来のMsbA、配列番号82を含むPedobacter ginsengisoli由来のMsbA、配列番号84を含むVerrucomicrobia bacterium CG1_02_43_26由来のMsbA、配列番号174を含むRhizobium sp.Root149由来のWzm、配列番号176を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzm、配列番号196を含むEscherichia coli 113303由来のWzm、配列番号178を含むRhizobium sp.Root149由来のWzt、配列番号180を含むAzospirillum brasiliense LMG 04375由来のWzt、配列番号194を含むEscherichia coli 113303由来のWzt、配列番号188もしくは190を含むBradyrhizobium japonicum USDA 110由来のNodj、配列番号206を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalE、配列番号208を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のmalK、配列番号214を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のaraF、配列番号216を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のxylF、もしくは配列番号218を含むEscherichia coli K-12 MG1655由来のytfQ、または上記P-P結合加水分解駆動性トランスポーター膜タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号28、30、36、44、68、72、70、74、76、78、80、82、84、174、176、196、178、180、194、188、190、206、208、214、216もしくは218を含む前記LmrA、OppF、Wzk、Blon_2475、LpsE、TolC、MsbA、Wzm、Wzt、Nodj、malE、malK、araF、xylFもしくはytfQ膜タンパク質のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、具体的実施形態50または51のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0234】
具体的実施形態55.前記推定輸送タンパク質が、配列番号56を含むHelicobacter pylori由来のチトクロームCバイオジェネシスタンパク質、配列番号90を含むClostridium sp.CAG:1013由来のCutC、配列番号92を含むOdoribacter splanchnicus DSM 20712由来のCutC、配列番号94を含むMitsuaria sp.PDC51由来のCutC、配列番号96を含むPrevotella intermedia ATCC 25611(DSM 20706)由来のCutC、配列番号190を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のybjM、配列番号192を含むEnterobacteriaceae bacterium ENNIH1由来のybjM、または上記推定輸送タンパク質のいずれか1つの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ、配列番号56、90、92、94、96、190もしくは192を含む前記CytC、CutCもしくはybjM膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される、具体的実施形態50または51のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0235】
具体的実施形態56.前記βバレル型ポリンが、配列番号34を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のWzaまたは配列番号204を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のlamB、または前記WzaもしくはlamBタンパク質のいずれか1つに対する機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号34もしくは204を含む前記WzaもしくはlamB膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、具体的実施形態50または51のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0236】
具体的実施形態57.前記補助輸送タンパク質が、配列番号88を含むThermotoga maritima(株ATCC 43589/MSB8/DSM 3109/JCM 10099)由来のWzc、またはその機能性ホモログもしくは機能性断片、または配列番号88を含む前記Wzc膜タンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、具体的実施形態50または51のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0237】
具体的実施形態58.前記リン酸基転移駆動性基輸送体が、配列番号210を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のnagE、配列番号212を含むEscherichia coli K12 MG1655由来のsrlB、または前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれかの機能性ホモログもしくは機能性断片、またはそれぞれ配列番号210もしくは212を含む前記nagEもしくはsrlB膜タンパク質のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される、具体的実施形態50または51のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0238】
具体的実施形態59.前記膜タンパク質が、細胞壁の外膜を通過する化合物の輸送に関与するトランスポータータンパク質である、具体的実施形態49から58のいずれか1つに記載の細胞。
【0239】
具体的実施形態60.培地中で安定的に培養される、具体的実施形態49から59のいずれか1つに記載の細胞。
【0240】
具体的実施形態61.微生物、植物、または動物の細胞からなる群から選択され、好ましくは前記微生物が、細菌、真菌または酵母であり、好ましくは前記植物が、イネ、ワタ、ナタネ、ダイズ、トウモロコシまたは穀物植物であり、好ましくは前記動物が、昆虫、魚、鳥または非ヒト哺乳動物である、具体的実施形態49から60のいずれか1つに記載の細胞。
【0241】
具体的実施形態62.Escherichia coli細胞である、具体的実施形態61に記載の宿主細胞。
【0242】
具体的実施形態63.少なくとも部分的に不活性化され、単糖、二糖またはオリゴ糖が、フコシルラクトースの合成に関与するおよび/または必要とされる、選択された前記単糖、二糖またはオリゴ糖に関する異化経路を含む、具体的実施形態49から62のいずれか1つに記載の細胞。
【0243】
具体的実施形態64.前記フコシルラクトースが、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースまたはジフコシルラクトースである、具体的実施形態49から63のいずれか1つに記載の細胞。
【0244】
具体的実施形態65.フコシルラクトースの産生のための方法であって、
a)具体的実施形態49から64のいずれか1つに記載の細胞を提供するステップと、
b)前記フコシルラクトースの産生を許容する条件下で、培地中で前記細胞を培養するステップと、
c)前記フコシルラクトースを前記培養から分離するステップと
を含む、方法。
【0245】
具体的実施形態66.フコシルラクトースの発酵産生において、フコシルラクトース輸送のための、具体的実施形態1から38のいずれか1つにおいて定義される膜タンパク質の群から選択される膜タンパク質の使用。
【0246】
具体的実施形態67.フコシルラクトースの産生のための、具体的実施形態49から64のいずれか1つに記載の細胞の使用。
【0247】
具体的実施形態68.前記フコシルラクトースが、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースまたはジフコシルラクトースである、具体的実施形態67に記載の細胞の使用。
【0248】
以下の図面および実施例は、本発明のさらなる例示および明確化としての役割を果たし、限定的であることを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0249】
【
図1】TU2における配列番号58から配列番号96まで(配列番号90を除く)、TU3における配列番号90またはTU10における配列番号02から配列番号44までを含む膜タンパク質を発現し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼを発現する株を用いる成長実験において得られる相対パーセンテージ(%)でのCPI。配列番号04から配列番号34の膜タンパク質を有する株は、FT1から3-FLを産生し、一方、配列番号02および配列番号40から配列番号96までを含む膜タンパク質を有する株は、FT2から3-FLを産生する。CPIデータは、全ブロス試料における3-FLの測定値を指す。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0250】
【
図2】TU2における配列番号58から配列番号104まで(配列番号90を除く)、TU3における配列番号90またはTU10における配列番号02から配列番号34までを含む膜タンパク質を発現し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼを発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)での3-FL排出比。配列番号08から配列番号30までを含む膜タンパク質を有する株は、FT1から3-FLを産生し、一方、配列番号58から配列番号104までを含む膜タンパク質を有する株は、FT2から3-FLを産生する。配列番号02を含む膜タンパク質を有する株を、FT1またはFT2のいずれかと組み合わせて試験した。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0251】
【
図3】TU10における配列番号08、14、18または22を含む膜タンパク質を発現し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)での成長速度。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0252】
【
図4】TU10における配列番号28を含む膜タンパク質を発現し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)での3-FL排出比。3-FLに対する前駆体として45g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0253】
【
図5】TU10における配列番号28を含む膜タンパク質を発現し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)でのCPI。CPIデータは、全ブロス試料における3-FLの測定値を指す。3-FLに対する前駆体として90g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0254】
【
図6】TU10における配列番号10または16を含む膜タンパク質を発現し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1を発現する株を用いる成長実験において得られた相対パーセンテージ(%)での3FL排出比。3-FLに対する前駆体として90g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0255】
【
図7】TU10における配列番号10、16または28を含む膜タンパク質を発現し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)でのCPI。3-FLに対する前駆体として100g/Lのスクロースおよび90g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0256】
【
図8】TU10における配列番号28を含む膜タンパク質を発現し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)での成長速度。3-FLに対する前駆体として100g/Lのスクロースおよび90g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0257】
【
図9】TU10における配列番号22を含む膜タンパク質を発現し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)でのCPI。3-FLに対する前駆体として5g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0258】
【
図10】宿主のゲノム由来のTU10における配列番号02または28を含む膜タンパク質を発現し、プラスミド由来のFT1またはFT2のいずれかであるα1,3-フコシルトランスフェラーゼを発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)でのCPI。それによって、配列番号01を有する遺伝子をEcLdhA遺伝子座に組み込み、配列番号27を有する遺伝子をEcSetA遺伝子座に組み込んだ。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0259】
【
図11】宿主のゲノム由来のTU10における配列番号02または28を含む膜タンパク質を発現し、プラスミド由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)での3-FLの排出比。それによって、配列番号01を有する遺伝子をEcLdhA遺伝子座に組み込み、配列番号27を有する遺伝子をEcSetA遺伝子座に組み込んだ。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0260】
【
図12A】プラスミド由来の様々な転写単位(TU)における配列番号02、06、10、16、22、28、32、34、36、38、40、42、44または50を含む膜タンパク質を発現し、プラスミド由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)でのCPI。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【
図12B】プラスミド由来の様々な転写単位(TU)における配列番号02、06、10、16、22、28、32、34、36、38、40、42、44または50を含む膜タンパク質を発現し、プラスミド由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)でのCPI。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0261】
【
図13】プラスミド由来の様々な転写単位(TU)における配列番号02、06、10、16、22、28、32、34、36、38、40、42、44または50を含む膜タンパク質を発現し、プラスミド由来のα13-フコシルトランスフェラーゼFT2を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)での3-FLの排出比。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0262】
【
図14】TU10において単一の遺伝子としてクローニングされたか、または2つの膜タンパク質遺伝子を含有し、プラスミドに提示されるそれらの天然の転写オペロン構造においてクローニングされた、配列番号40、42、46または48を含む膜タンパク質を発現し、プラスミド由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)でのCPI(左のパネル)および3-FLの排出比(右のパネル)。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0263】
【
図15】TU10において配列番号02、06または28を含む膜タンパク質を発現し、EcSetA遺伝子座(配列番号28を含む膜タンパク質に関する)またはEcLdhA遺伝子座(配列番号02および06を含む膜タンパク質に関する)における宿主のゲノムに組み込まれ、プラスミド由来のα1,2-フコシルトランスフェラーゼFT3を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)での2’FL(パネルA)またはDiFL(パネルB)を産生する宿主に関するCPIおよびDiFL排出比(パネルC)。2’-FLおよびDiFLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0264】
【
図16】ゲノム由来の配列番号02を含む膜タンパク質およびプラスミド由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を過剰発現する3-FL E.coli産生宿主を用いて実施した8回の独立した発酵ランで測定したバッチ段階および流加段階(fed-batch phase)において増強された生産性パラメーター。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。膜タンパク質遺伝子の過剰発現カセットを欠如する同一の株を用いて参照発酵を実施した。発酵は実施例3に記載したように実施した。CPI、細胞性能指数(3-FLのg/バイオマスのg);br、全ブロス;sn、上清;Qp、比生産性(3-FLのg/バイオマスのg/時);Qs、比生産性(スクロースのg/バイオマスのg/時);Ys、スクロースの収率(3-FLのg/スクロースのg);Yx、バイオマスの収率(バイオマスのg/スクロースのg);rate、産生率(3-FLのg/L/時);lac_rate、ラクトース変換率(消費されたラクトースのg/時)。
【0265】
【
図17】第1のプラスミド由来の配列番号06を含む膜タンパク質および第2のプラスミド由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を過剰発現する3-FL E.coli産生宿主を用いて実施した発酵ランで測定したバッチ段階および流加段階において増強された生産性パラメーター。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。膜タンパク質遺伝子を欠如する同一の株を用いて特定の参照発酵を実施した。発酵は実施例3に記載したように実施した。CPI、細胞性能指数(3-FLのg/バイオマスのg);br、全ブロス;sn、上清;Ys、スクロースの収率(3-FLのg/スクロースのg);Yx、バイオマスの収率(バイオマスのg/スクロースのg)。
【0266】
【
図18】配列番号02、06、120、126、128、140、146または150を含む膜タンパク質を発現し、プラスミド由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1(配列番号02および配列番号06を含む膜タンパク質に関する)またはFT2(他の膜タンパク質に関する)を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)でのCPI。配列番号02および配列番号06を含む膜タンパク質をTU10においてクローニングした。配列番号126を含む膜タンパク質をTU2においてクローニングした。配列番号120、140および150を含む膜タンパク質をTU3においてクローニングした。配列番号128および配列番号146を含む膜タンパク質をTU2(バージョンv1)またはTU3(バージョンv2)のいずれかにおいてクローニングした。CPIデータは、全ブロス試料における3-FLの測定値を指す。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0267】
【
図19】TU2においてクローニングした配列番号126および配列番号128(バージョンv1)、TU3においてクローニングした配列番号128(バージョン2)ならびにTU10における配列番号02を含む膜タンパク質を発現し、プラスミド由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1(配列番号02を含む膜タンパク質を有する株に関する)またはFT2(配列番号126および128を含む膜タンパク質を有する株に関する)を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)での3-FL排出比。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0268】
【
図20】TU3において配列番号120および140を含む膜タンパク質を発現し、プラスミド由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)での成長速度。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0269】
【
図21】EcMdfAに関する実施例20のMATGAT表。
【0270】
【
図22】EcIceTに関する実施例20のMATGAT表。
【0271】
【
図23】TU1においてクローニングした配列番号54、TU2においてクローニングした配列番号62、66、70、76、84、92、96、104、TU3においてクローニングした配列番号58、64、72、74、94、TU11においてクローニングした配列番号184、204、208、TU12においてクローニングした配列番号52、56、60、80、82、88、90、98を含む膜タンパク質を発現し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)でのCPI。CPIデータは、全ブロス試料における3-FLの測定値を指す。3-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0272】
【
図24】TU11においてクローニングした配列番号204または214を含む膜タンパク質を発現し、α1,2-フコシルトランスフェラーゼFT4を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)でのCPI。CPIデータは、全ブロス試料における2’-FL測定値を指す。2’-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【0273】
【
図25】TU11においてクローニングした配列番号206、208、214、216、218を含む膜タンパク質を発現し、α1,2-フコシルトランスフェラーゼFT4を発現する株を用いる成長実験で得られた相対パーセンテージ(%)での2’-FL排出比。2’-FLに対する前駆体として20g/Lのラクトースを補充した最少培地中で、成長実験を実施した。破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。
【実施例】
【0274】
(実施例1)
膜タンパク質ファミリーの同定
HMMは、プロファイル隠れマルコフモデルと呼ばれる確率モデルである。これは、位置特異的スコアリングシステムにアラインされたタンパク質のセットを特徴付ける。アミノ酸は、それらが生じる頻度に従って、配列アライメントにおける各位置でのスコアを与えられる(Eddy, S.R.1998. Profile hidden Markov models. Bioinformatics. 14: 755-63)。HMMは、Pfam、InterPro、SMART、TIGRFAM、PIRSF、PANTHER、SFLD、SuperfamilyおよびGene3Dを含む、タンパク質分類のためにこの方法を使用する多数のデータベースから明らかであるように、広く利用されている。
【0275】
2019年6月13日にリリースされたHMMERパッケージ3.2.1(http://hmmer.org/)に由来するHMMsearchは、配列ホモログに関する配列データベースを検索するためにこのHMMを使用することができる。使用することができる配列データベースは、例えば、非限定的に、NCBI nr Protein Database(NR;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein)、UniProt Knowledgebase(UniProtKB、https://www.uniprot.org/help/uniprotkb)およびSWISS-PROTデータベース(https://web.expasy.org/docs/swiss-prot_guideline.html)である。
【0276】
2017年11月3日にリリースされたeggNOGデータベース1.0.2(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6324079/;http://eggnog.embl.de/#/app/home)、2019年6月17日にリリースされたTCDBデータベース(http://www.tcdb.org/public/tcdb)、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0(https://www.ebi.ac.uk/interpro/)、および2018年9月にリリースされたPfam 32.0(https://pfam.xfam.org/)を使用するPFAMドメインに基づいて、膜タンパク質ファミリーを分類した。eggNOGデータベースは、オルソロジー関係、遺伝子進化の歴史および機能予測についての公共のデータベースである。Transporter Classification DataBase(TCDB)は、酵素を分類するためのEnzyme Commission(EC)システムに類似し、機能情報と系統発生情報の両方を組み込んでいる。PfamおよびInterProデータベースは、タンパク質ファミリーの大きな集合である。SMART(http://smart.embl-heidelberg.de/)、TIGRFAM(https://www.jcvi.org/tigrfams)、PIRSF(https://proteininformationresource.org/pirwww/dbinfo/pirsf.shtml)、PANTHER(http://pantherdb.org/)、SFLD(http://sfld.rbvi.ucsf.edu/archive/django/index.html)、Superfamily(http://supfam.org/)およびGene3D(http://gene3d.biochem.ucl.ac.uk/Gene3D/)、NCBI Conserved Domains(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/wrpsb.cgi)のような他のタンパク質ドメインも使用することができる。
【0277】
2017年11月3日にリリースされたeggnogdb 1.0.2に基づいて、eggNOG-mapper(https://github.com/eggnogdb/eggnog-mapper)のスタンドアローンバージョンを使用することによってeggNOGファミリーの同定を行った。eggNOGファミリーのそれぞれについて、HMMを、eggNOGウェブサイトでダウンロードすることができ、タンパク質データベースに対するHMMsearchのために使用することができる。
【0278】
2019年6月17日にリリースされたTCDBデータベースに対してブラスティング(blastp)することによって、TCDBファミリーの同定を行った。得られたファミリーの新たなメンバーをウェブサイト(http://www.tcdb.org/download.php)で検索することができる。タンパク質データベースに対するblastpにおいて、Fastaファイルを入力に使用することができる。
【0279】
2018年9月にリリースされたhttps://pfam.xfam.org/search#tabview=tab1でのオンライン検索によって、PFAMドメインの同定を行った。得られたファミリーに関するHMMを「Curation & model」にダウンロードした。タンパク質データベースに対してこのモデルを用いるHMMsearchによって、新たなファミリーのメンバーを同定することになる。InterProのヒットを含む配列も、PFAMウェブサイトからダウンロードすることができる。
【0280】
いずれも2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0に基づいて、https://www.ebi.ac.uk/interpro/のオンラインツールまたはInterProScan(https://www.ebi.ac.uk/interpro/download.html)のスタンドアローンバージョンを使用することによって、InterPro(スーパー)ファミリー、ドメインおよびサイトの同定を行った。InterProは、タンパク質のモチーフおよびドメインの多くのデータベースの情報を組み合わせた複合データベースである。InterProドメインおよび/または(スーパー)ファミリーのHMMは、InterProScanから得ることができ、これを使用して、タンパク質データベースにおいて新たなファミリーのメンバーを同定することができる。InterProのヒットを含む配列も、InterProのウェブサイト(「Protein Matched」)からダウンロードすることができるか、またはUniProtのウェブサイト(https://www.uniprot.org)に問い合わせることができる。
【0281】
(実施例2)
本発明の方法において有用な膜タンパク質またはタンパク質配列の同定
フコシルトランスフェラーゼの近傍に見られる膜タンパク質のPFAMドメインを同定し、実施例1において例示したように、同定されたPFAMドメインのいずれか1つを有する膜タンパク質を選択することによって、膜タンパク質またはタンパク質配列の第1のセットを見出した。フコシルトランスフェラーゼファミリーのIPR001053(GT10)およびIPR002516(GT11)に属するタンパク質識別子を、2019年7月4日にリリースされたInterPro 75.0によって定義されるUniProtKB/tremblから抽出した。これらの識別子を、2019年6月19日にリリースされたゲノム近傍に関するツールhttps://efi.igb.illinois.edu/efi-gnt/における入力に使用した。EFI-GNT(EFI Genome Neighborhood Tool)は、ゲノム近傍の探索を可能にし、タンパク質のファミリーおよびスーパーファミリーをゲノムコンテキストに配置することに焦点を当てている。配列類似性ネットワーク(SSN)を入力に使用する。SSN内の各配列を、そのゲノム近傍の照合のための問い合わせとして使用する。EFI-GNTによって、機能の割当てを容易にするために、SSNクラスターの配列に対するゲノム近傍の探索が可能になる。
【0282】
近傍の窓サイズ14を選択した。近接する遺伝子をそれらのPFAMドメインに基づいて分類した。以下のPFAMドメインを有する膜タンパク質は、GT10(IPR001503)およびGT11(IPR002516)フコシルトランスフェラーゼの近くに存在する:PF00005、PF00006、PF00023、PF00083、PF00092、PF00115、PF00116、PF00122、PF00209、PF00213、PF00230、PF00231、PF00254、PF00359、PF00375、PF00381、PF00391、PF00401、PF00403、PF00474、PF00484、PF00520、PF00528、PF00529、PF00543、PF00571、PF00593、PF00625、PF00654、PF00664、PF00689、PF00690、PF00702、PF00860、PF00873、PF00892、PF00893、PF00902、PF00909、PF00916、PF00939、PF00999、PF01032、PF01061、PF01103、PF01203、PF01235、PF01384、PF01496、PF01544、PF01547、PF01554、PF01566、PF01578、PF01614、PF01618、PF01656、PF01699、PF01740、PF01741、PF01758、PF01810、PF01813、PF01891、PF01895、PF01899、PF01943、PF02026、PF02080、PF02133、PF02136、PF02225、PF02254、PF02277、PF02302、PF02321、PF02355、PF02378、PF02386、PF02417、PF02447、PF02501、PF02563、PF02632、PF02652、PF02653、PF02690、PF02706、PF02874、PF02896、PF03030、PF03083、PF03186、PF03222、PF03412、PF03459、PF03471、PF03544、PF03547、PF03548、PF03567、PF03605、PF03606、PF03610、PF03616、PF03814、PF03840、PF03865、PF03932、PF04193、PF04277、PF04389、PF04966、PF05134、PF05140、PF05524、PF05552、PF05977、PF06251、PF06826、PF06835、PF07264、PF07549、PF07660、PF07670、PF07685、PF07690、PF07715、PF07885、PF07969、PF08239、PF08279、PF08334、PF08352、PF08402、PF08479、PF10531、PF11356、PF11612、PF12156、PF12399、PF12796、PF12822、PF12848、PF12974、PF13306、PF13347、PF13409、PF13410、PF13416、PF13417、PF13440、PF13442、PF13462、PF13466、PF13473、PF13499、PF13505、PF13520、PF13531、PF13599、PF13609、PF13637、PF13807、PF13855、PF14524、PF14667、PF16327、PF17912およびPF18412。
【0283】
(実施例3)
材料および方法 Escherichia coli
培地
ルリアブロス(LB)培地は、1%のトリプトンペプトン(Difco、Erembodegem、Belgium)、0.5%の酵母抽出物(Difco)および0.5%の塩化ナトリウム(VWR.Leuven、Belgium)からなった。96ウェルプレートまたは振盪フラスコ中の培養実験によって使用した最少培地は、2.00g/LのNH4Cl、5.00g/Lの(NH4)2SO4、2.993g/LのKH2PO4、7.315g/LのK2HPO4、8.372g/LのMOPS、0.5g/LのNaCl、0.5g/LのMgSO4.7H2O、30g/Lのスクロース、または実施例で特定される場合、別の炭素源、1ml/Lのビタミン溶液、100μL/Lのモリブデート溶液、および1mL/Lのセレン溶液を含有した。各実施例において特定したように、20または45g/Lのラクトースを前駆体として培地にさらに添加した。1MのKOHを用いて、培地をpH7に設定した。ビタミン溶液は、3.6g/LのFeCl2.4H2O、5g/LのCaCl2.2H2O、1.3g/LのMnCl2.2H2O、0.38g/LのCuCl2.2H2O、0.5g/LのCoCl2.6H2O、0.94g/LのZnCl2、0.0311g/LのH3BO4、0.4g/LのNa2EDTA.2H2Oおよび1.01g/LのチアミンHClからなった。モリブデート溶液は、0.967g/LのNaMoO4.2H2Oを含有した。セレン溶液は、42g/LのSeo2を含有した。
【0284】
発酵のための最少培地は、6.75g/LのNH4Cl、1.25g/Lの(NH4)2SO4、2.93g/LのKH2PO4および7.31g/LのKH2PO4、0.5g/LのNaCl、0.5g/LのMgSO4.7H2O、30g/Lのスクロース、上記に説明されるのと同じ組成の1mL/Lのビタミン溶液、100μL/Lのモリブデート溶液、および1mL/Lのセレン溶液を含有した。各実施例で特定したように、20g/Lのラクトースを前駆体として培地にさらに添加した。
【0285】
複合培地はオートクレーブ(121℃、21分)によって、最少培地は濾過(0.22μm Sartorius)によって滅菌した。必要な場合、培地を、抗生物質(例えば、クロラムフェニコール(20mg/L)、カルベニシリン(100mg/L)、スペクチノマイシン(40mg/L)および/またはカナマイシン(50mg/L))を添加することによって選択的にした。
【0286】
プラスミド
pKD46(Redヘルパープラスミド、アンピシリン耐性)、pKD3(FRT隣接クロラムフェニコール耐性(cat)遺伝子を含有する)、pKD4(FRT隣接カナマイシン耐性(kan)遺伝子を含有する)およびpCP20(FLPリコンビナーゼ活性を発現する)プラスミドは、R.Cunin教授(Vrije Universiteit Brussel、Belgium、2007年)から譲渡された。
【0287】
膜タンパク質およびフコシルトランスフェラーゼ発現のためのプラスミドを、Golden Gateアセンブリーを使用して、それぞれpSC101 ori(Rep10-v3)およびpMB1 oriを含有するバックボーンベクターにおいて構築した。すべての膜タンパク質およびフコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子をTwist Biosciences(San Francisco、USA)において合成的に合成した。膜タンパク質および対応する膜タンパク質ポリペプチドのポリヌクレオチド配列を、配列番号1~196および配列番号204~218に示し、表1に列挙する。同封した実施例で使用したフコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号197および198の核酸およびタンパク質の配列を含む3-フコシルトランスフェラーゼFT1ならびに配列番号199および200を含む3-フコシルトランスフェラーゼFT2である。使用した2-フコシルトランスフェラーゼは、それぞれ、本明細書においてFT3と称される配列番号201および202を含むHpFutC、ならびに核酸およびタンパク質の配列である配列番号219および220を含むFT4である。膜タンパク質とフコシルトランスフェラーゼの遺伝子はいずれも、表2に列挙した特異的プロモーター、UTRおよびターミネーターの組合せを使用して、異なる転写単位(TU)で表した。遺伝子は、プロモーターMutalikP5(「PROM0005_MutalikP5」)、MutalikP12(「PROM0012_MutalikP12」)、apFAB146(「PROM0032」)およびMutalikP10(「PROM0010_MutalikP10」)(Mutalik et al.(Nat. Methods 2013, No. 10, 354-360)に記載される)ならびにプロモーターp22(PROM0015_p22)およびp14(PROM0016_p14)(いずれもDe Mey et al.(BMC Biotechnology 2007, 7:34)に記載される))を使用して表した。使用したUTRは、Gene10-LeuAB-BCD2(「UTR0002_Gene10-LeuAB-BCD2」)、BCD1(「UTR003_BCD1」)、Gene10_LeuL(「UTR0011_Gene10_LeuL」)、ThrA_BCD2(「UTR0013_ThrA_BCD2」)、GalE_LeuAB(「UTR0014_GalE_LeuAB」)、GalE_lptFG(「UTR0038_GalE_IptFG」)およびuspF_iptFG(「UTR0055_uspF_iptFG」)(Mutalik et al.(Nat. Methods 2013, No. 10, 354-360)に記載される)を含む。実施例で使用したターミネーターは、Dunn et al.(Nucleic Acids Res. 1980, 8(10), 2119-32)に記載されたTER0010_T7 Earlyである。表3は、上記プロモーターUTRとターミネーターの組合せによって、実施例で使用した転写単位の概要を示す。発現宿主のコドン使用頻度に対するコドン使用頻度を最適化することによって発現はさらに容易になるであろう。供給業者のツールを使用して遺伝子を最適化した。
【0288】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0289】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0290】
【0291】
Invitrogenから購入した宿主E.coli DH5alpha(F-、phi80dlacZdeltaM15、デルタ(lacZYAargF)U169、deoR、recA1、endA1、hsdR17(rk-、mk+)、phoA、supE44、ラムダ-、thi-1、gyrA96、relA1)においてプラスミドを維持した。
【0292】
株および突然変異
Escherichia coli K12 MG1655[lambda-、F-、rph-1]を、2007年3月にColi Genetic Stock Center(US)、CGSC株番号7740から取得した。Datsenko and Wanner (PNAS 97 (2000), 6640-6645)によって公開された技法を使用して、遺伝子破壊および遺伝子導入を行った。この技法は、ラムダRedリコンビナーゼによって行われる相同組換え後の抗生物質選択に基づく。次のフリッパーゼリコンビナーゼの触媒により、最終産生株における抗生物質選択カセットは確実に除去される。
【0293】
RedヘルパープラスミドpKD46を有する形質転換体を、アンピシリン(100mg/L)およびL-アラビノース(10mM)を含む10mlのLB培地中で30℃にて0.6のOD600nmまで増殖させた。細胞を、それらを最初に50mlの氷冷水で、次に1mlの氷冷水で洗浄することによってエレクトロコンピテントにした。その後、細胞を50μlの氷冷水に再懸濁した。50μlの細胞および10~100ngの直鎖状二本鎖DNA生成物で、Gene Pulser(商標)(BioRad)(600Ω、25μFDおよび250ボルト)を使用することによって電気穿孔を行った。
【0294】
電気穿孔後、細胞を、1mlのLB培地に添加し、37℃で1時間インキュベートし、最終的に25mg/Lのクロラムフェニコールまたは50mg/Lのカナマイシンを含有するLB寒天上に拡げて、抗生物質耐性形質転換体を選択した。選択した突然変異体を、改変された領域の上流および下流のプライマーによるPCRによって検証し、LB寒天中で42℃にてヘルパープラスミドの喪失のために増殖させた。突然変異体を、アンピシリン感受性について試験した。
【0295】
直鎖状ds-DNAアンプリコンを、pKD3、pKD4およびそれらの誘導体を鋳型として使用するPCRによって得た。使用したプライマーは、鋳型に相補的な配列の一部、および組換えが起こらなければならない染色体DNA上の側に相補的な別の部分を有した。ゲノムノックアウトのために、目的の遺伝子の開始および停止コドンの50nt上流および50nt下流に、ホモロジー領域を設計した。ゲノムノックインのために、転写開始点(+1)を、尊重しなければならなかった。PCR産物を、PCR精製し、DpnIで消化し、アガロースゲルから再精製し、溶離緩衝剤(5mM Tris、pH8.0)中に懸濁した。
【0296】
選択した突然変異体(クロラムフェニコールまたはカナマイシン耐性)は、熱感受性の複製およびFLP合成の熱による誘導を示すアンピシリンおよびクロラムフェニコール耐性であるpCP20プラスミドを用いて形質転換させた。アンピシリン耐性の形質転換体を30℃で選択し、その後、いくつかを42℃のLB中でコロニー精製し、次いで、すべての抗生物質耐性およびFLPヘルパープラスミドの喪失について試験した。遺伝子のノックアウトおよびノックインを対照プライマー(Fw/Rv-gene-out)を用いてチェックした。
【0297】
E.coli K12 MG1655に由来する突然変異株を、遺伝子lacZ、lacY lacA、glgC、agp、pfkA、pfkB、pgi、arcA、iclR、wcaJ、lonおよびthyAをノックアウトすることによって作出した。加えて、E.coli lacY遺伝子、Zymomonas mobilisに由来するフコースキナーゼ遺伝子(frk)、E.coli Wスクローストランスポーター(cscB)およびBifidobacterium adolescentisに由来するスクロースホスホリラーゼ(SP)をゲノム内にノックインし、構成的に発現させた。構成的プロモーターは、De Mey et al. (BMC Biotechnology, 2007)によって説明されるプロモーターライブラリーに由来する。また、これらの遺伝子改変は、WO2016075243およびWO2012007481で説明されている。これらに記載されたように、α1,3-またはα1,2-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、プラスミドから突然変異株に与えられた。すべての膜タンパク質遺伝子をE.coli K12 MG1655由来のこの突然変異株において評価した。プラスミドに存在するかまたは宿主のゲノム内(setAまたはldhA遺伝子座内)に組み込まれた膜タンパク質遺伝子を評価した。すべての株をクライオバイアル中で-80℃にて保存する(一晩、70%グリセロールと1:1の比で混合したLB培養)。
【0298】
代替の突然変異株は、遺伝子lacZ、rcsAおよびwcaJがノックアウトされたE.coli K12 JM109に由来してもよい。α1,3-またはα1,2-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、上記のようにプラスミドから前記突然変異株に与えられ、2’フコシルラクトース、3-フコシルラクトースまたは2’,3-ジフコシルラクトースの産生をもたらす。上記と同じように、膜タンパク質遺伝子を評価する。ラクトースパーミアーゼ遺伝子lacYを誘導するアロラクトースまたはIPTGによって、前記株はラクトースを内在化させることが可能となる。
【0299】
別の代替の突然変異株は、E coli BL21に由来してもよい。遺伝子lacZ、fucI、fucKおよびwzxC-wcaJは、前記株においてノックアウトされている。前記突然変異株におけるGDP-フコースの合成を改善するために、E.coli K12由来のホスホマンノムターゼ(manB)、マンノース-1-リン酸グアノシルトランスフェラーゼ(manC)、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼ(gmd)、およびGDP-L-フコース合成酵素(wcaG)をコードする遺伝子を上記と同様に過剰発現させた。遺伝子lgtBにコードされたベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子の過剰発現によって、細胞内ラクトース合成が達成される。UDP-ガラクトースの合成を増強するために、galETKMをコードするオペロンをノックアウトし、UDP-グルコースエピメラーゼをコードする遺伝子を過剰発現させる。α1,3-またはα1,2-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、上記のようにプラスミドから前記突然変異株に与えられ、2’フコシルラクトース、3-フコシルラクトースまたは2’,3-ジフコシルラクトースの産生をもたらす。上記と同じように、膜タンパク質遺伝子を評価する。
【0300】
別の代替の突然変異株は、E.coli K12に由来してもよい。遺伝子lacZ、fucI、fucKおよびwzxC-wcaJは、前記株においてノックアウトされている。前記突然変異株におけるGDP-フコースの合成を改善するために、E.coli K12由来のホスホマンノムターゼ(manB)、マンノース-1-リン酸グアノシルトランスフェラーゼ(manC)、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼ(gmd)、およびGDP-L-フコース合成酵素(wcaG)をコードする遺伝子を上記と同様に過剰発現させた。さらに、前記株を、E.coli由来のフコースパーミアーゼ(fucP)遺伝子およびBacteroides fragilis由来の二官能性フコースキナーゼ/フコース-1-リン酸グアニリルトランスフェラーゼ(fkp)遺伝子のゲノムノックインにより改変する。α1,3-またはα1,2-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、上記のようにプラスミドから前記突然変異株に与えられ、2’フコシルラクトース、3-フコシルラクトースまたは2’,3-ジフコシルラクトースの産生をもたらす。上記と同じように、膜タンパク質遺伝子を評価する。ラクトースパーミアーゼ遺伝子lacYを誘導するアロラクトースまたはIPTGによって、前記株はラクトースを内在化させることが可能となる。
【0301】
別の代替の突然変異株は、E.coli K12に由来してもよい。遺伝子lacZ、およびwzxC-wcaJは、前記株においてノックアウトされている。前記突然変異株におけるGDP-フコースの合成を改善するために、E.coli K12由来のホスホマンノムターゼ(manB)、マンノース-1-リン酸グアノシルトランスフェラーゼ(manC)、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼ(gmd)、およびGDP-L-フコース合成酵素(wcaG)をコードする遺伝子を、上記と同様に過剰発現させた。グリセロール、アセテート、ラクテート、エタノール、スクシネート、ピルベートなどの糖新生基質からのフルクトース-6-ホスフェートの形成を改善するために、ホスホフルクトキナーゼ(pfkAおよびpfkB)をコードする遺伝子をノックアウトし、フルクトース-1,6-ビスリン酸アルドラーゼ(fbaB)およびPisum sativum由来の異種のフルクトース-1,6-ビスリン酸ホスファターゼ(fbpase)を過剰発現させた。α1,3-またはα1,2-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、上記のようにプラスミドから前記突然変異株に与えられ、2’フコシルラクトース、3-フコシルラクトースまたは2’,3-ジフコシルラクトースの産生をもたらす。上記と同じように、膜タンパク質遺伝子を評価する。
【0302】
培養条件
96ウェルマイクロタイタープレート実験の前培養を、クライオバイアルから150μLのLB中で開始し、800rpmの軌道シェーカー上で37℃にて一晩インキュベートした。この培養物を、400倍希釈することによって、400μLの最少培地を有する96ウェル正方形マイクロタイタープレートのための種菌として使用した。生物学的反復として、各株を96ウェルプレートの複数のウェル中で成長させた。これらの最終的な96ウェル培養プレートを、その後、800rpmの軌道シェーカー上で37℃にて72時間またはそれより短い時間もしくはそれより長い時間インキュベートした。培養実験の終わりに、各ウェルから試料を取って、ブロス上清の糖濃度(細胞外糖濃度、細胞を5回スピンダウンした後)または細胞をスピンダウンする前に培養ブロスを90℃で15分間沸騰させることによる糖濃度(=全ブロスの測定、細胞内および細胞外の糖濃度の平均)を測定した。
【0303】
培養物の希釈も行い、600nmでの光学密度を測定した。全ブロス中で測定したフコシルラクトース濃度をバイオマスで除して、参照株と比較した相対的パーセンテージで、細胞性能指数またはCPIを決定した。バイオマスは、600nmで測定した光学密度のおよそ3分の1であることが経験的に決定される。上清において測定したフコシルラクトース濃度を全ブロスにおいて測定したフコシルラクトース濃度で除して、参照株と比較した相対的パーセンテージでフコシルラクトース排出比を決定した。
【0304】
バイオリアクターのための前培養を、ある特定の株の1mLのクライオバイアル全部から開始し、1Lまたは2.5Lの振盪フラスコ中の250mLまたは500mLの最少培地に接種し、200rpmの軌道シェーカー上で37℃にて24時間インキュベートした。その後、5Lのバイオリアクターに接種し(2Lの回分培地中に250mLの種菌);プロセスはMFCS制御ソフトウェア(Sartorius Stedim Biotech、Melsungen、Germany)によって制御した。培養条件を37℃および最大撹拌に設定し;圧力ガス流速は、株およびバイオリアクターに依存した。0.5M H2SO4および20%NH4OHを使用して、pHを6.8に制御した。排ガスを冷却した。発酵中に発泡する場合、シリコーン消泡剤の10%溶液を添加した。
【0305】
光学密度
培養物の細胞密度を、600nmでの光学密度を測定することによって頻繁にモニターした(Implen Nanophotometer NP80、Westburg、BelgiumまたはSpark 10Mマイクロプレートリーダー、Tecan、Switzerlandにより)。
【0306】
生産性
比生産性Qpは、典型的には時間単位当たりのバイオマスの質量単位当たりの生成物の質量単位(=フコシルラクトースのg/バイオマスのg/時)で表される、フコシルラクトース生成物の比産生率である。Qp値は、各段階の終了時および各段階が継続した時間枠に形成された生成物とバイオマスの量の両方を測定することによって、発酵ランの各段階、すなわちバッチ段階と流加段階で決定した。
【0307】
比生産性Qsは、典型的には時間単位当たりのバイオマスの質量単位当たりの基質の質量単位(=スクロースのg/バイオマスのg/時)で表される、基質、例えばスクロースの比消費率である。Qs値は、各段階の終了時および各段階が継続した時間枠に消費されたスクロースと形成されたバイオマスの総量の両方を測定することによって、発酵ランの各段階、すなわちバッチ段階と流加段階で決定した。
【0308】
スクロースの収率Ysは、基質から作製された生成物の分率であり、典型的には基質の質量単位当たりの生成物の質量単位(=フコシルラクトースのg/スクロースのg)で表される。Ysは、各段階の終わりに産生されたフコシルラクトースの総量と消費されたスクロースの総量の両方を測定することによって、発酵ランの各段階、すなわちバッチ段階と流加段階で決定した。
【0309】
バイオマスの収率Yxは、基質から作製されるバイオマスの分率であり、典型的には基質の質量単位当たりのバイオマスの質量単位(=バイオマスのg/スクロースのg)で表される。Ypは、各段階の終わりに産生されたバイオマスの総量と消費されたスクロースの総量の両方を測定することによって、発酵ランの各段階、すなわちバッチ段階と流加段階で決定した。
【0310】
比率は、典型的には時間単位あたりに作製された生成物の濃度(=フコシルラクトースのg/L/時)で表される、生成物が発酵ランで作製される速度である。比率は、流加段階の終わりに作製されたフコシルラクトースの濃度を測定し、この濃度を総発酵時間で除して決定する。
【0311】
ラクトース変換率は、ラクトースが、典型的には時間単位当たりのラクトースの質量単位(=消費されたラクトースのg/時)で表される、ラクトースが発酵ランで消費される速度である。ラクトース変換率は、発酵ラン中に消費される総ラクトースの測定値を総発酵時間で除すことによって決定される。
【0312】
成長率/速度の測定
最大成長率(μMax)は、Rパッケージgrofitを使用して、600nmの光学密度の実測値に基づいて計算した。
【0313】
液体クロマトグラフィー
2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトースおよび2’,3-ジフコシルラクトースの標準物質を社内で合成した。非限定的に、ラクトース、スクロース、グルコース、グリセロール、フルクトースなどの他の標準物質は、Sigmaから購入した。炭水化物をHPLC-RI(Waters、USA)法により分析し、それによって、RI(屈折率:Refractive Index)は、試料を含有する場合の移動相の屈折率の変化を検出する。糖を、X-Bridgeカラム(Waters X-Bridge HPLCカラム、USA)ならびに75mlアセトニトリルおよび25ml超純水および0.15mlトリエチルアミンを含有する移動相を使用して無勾配流中で分離した。カラムサイズは4.6×150mmであり、3.5μmの粒径であった。カラムの温度を35℃に設定し、ポンプ流速は1mL/分であった。
【0314】
データの正規化
すべてのタイプの培養条件について、突然変異株から得られたデータを、突然変異株と同一の遺伝子バックグラウンドを有するが膜タンパク質発現カセットを欠く参照株に関して同一の培養条件で得られたデータに対して正規化した。実施例において示される各プロットの破線の横線は、すべての適応を正規化した設定値を示す。すべてのデータは、その設定値に対する相対的パーセンテージで与えられる。
【0315】
(実施例4)
20g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主において3-フコシルラクトース(3-FL)産生を増強することが同定された膜タンパク質
膜タンパク質を、20g/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞のフコシルラクトース産生を増強するそれらの能力について評価するために、実験を設定した。配列番号02、04、06、18、20、22、26、28、30、32、34、40、42、44、58、62、64、66、70、72、74、82、84、90、92、94および96を含む膜タンパク質は、それらが、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1またはFT2を発現する3-FL産生宿主において産生される3-FL産生を増強することができることを示した。候補遺伝子を転写単位TU2、TU3またはTU10において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図1は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、これらの株のCPIを表す。
【0316】
(実施例5)
20g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主において3-FL分泌を増強することが同定された膜タンパク質
膜タンパク質を、20g/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞のフコシルラクトース分泌を増強するそれらの能力について評価するために、実験を設定した。配列番号02、08、10、14、16、18、20、22、24、26、28、30、34、58、62、64、66、70、72、74、76、82、84、90、92、94、96および104を含む膜タンパク質は、それらが、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1またはFT2を発現する3-FL細菌産生宿主において細胞内で産生される3-FLの分泌を増強することができることを示した。候補遺伝子を転写単位TU2、TU3またはTU10において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図2は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、これらの株の3-FLの排出比を実証する。
【0317】
(実施例6)
20g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主において成長速度を増強することが同定された膜タンパク質
膜タンパク質を、20g/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞の成長速度に影響を及ぼすそれらの能力について評価するために、実験を設定した。配列番号08、14、18および22を含む膜タンパク質は、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT1またはFT2を発現する3-FL産生宿主の成長速度を増強することができることを示した。候補遺伝子を転写単位TU2、TU3またはTU10において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図3は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、これらの株の成長速度を実証する。
【0318】
(実施例7)
45g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主において3-FLの分泌を増強することが同定された膜タンパク質
45g/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞によるフコシルラクトース分泌を増強する、ある範囲の同定された膜タンパク質の有効性を評価するために、実験を設定した。配列番号28を含む膜タンパク質は、α1,3-フコシルトランスフェラーゼ酵素FT1を発現する3-FL産生宿主における3-FL分泌を増強することができることを示した。配列番号27を含む遺伝子を転写単位TU10において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。45g/Lのラクトースを補充した最少培地を使用して、実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図4は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、この株のCPIを示す。
【0319】
(実施例8)
90g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主において3-FL産生を増強することが同定された膜タンパク質
90g/Lのラクトースを補充した最少培地においてフコシルラクトース産生を増強する、ある範囲の膜タンパク質の能力を評価するために、実験を設定した。配列番号28を含む膜タンパク質は、α1,3-フコシルトランスフェラーゼ酵素FT1を発現する3-FL産生宿主における3-FL産生を増強することができることを示した。配列番号27を含む遺伝子を転写単位TU10において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。90g/Lのラクトースを補充した最少培地を使用して、実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図5は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでのCPIを示す。
【0320】
(実施例9)
90g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主において3-FL分泌を増加させることが同定された膜タンパク質
90g/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞によるフコシルラクトース分泌を増加させる、ある範囲の膜タンパク質の能力を評価するために、実験を設定した。配列番号10および16を含む膜タンパク質は、α1,3-フコシルトランスフェラーゼ酵素FT1を発現する3-FL産生宿主における3-FL分泌を増強することができることを示した。候補遺伝子を転写単位TU10において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。90g/Lのラクトースを補充した最少培地を使用して、実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図6は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、3-FLの排出比を実証する。
【0321】
(実施例10)
100g/Lのスクロースおよび90/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主において3-FL産生を増加させることが同定された膜タンパク質
100g/Lのスクロースおよび90g/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞におけるフコシルラクトース産生を増加させるそれらの能力について、ある範囲の膜タンパク質の能力を評価するために、実験を設定した。配列番号10、16および28を含む膜タンパク質は、α1,3-フコシルトランスフェラーゼ酵素FT1を発現する3-FL産生宿主における3-FL産生を増強することができることを示した。すべての候補遺伝子を転写単位TU10において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。100g/Lのスクロースおよび90g/Lのラクトースを補充した最少培地を使用して、実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図7は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでのCPIを実証する。
【0322】
(実施例11)
100g/Lのスクロースおよび90g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養した場合のE.coli宿主の成長速度を増加させることが同定された膜タンパク質
100g/Lのスクロースおよび90/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞の成長速度に影響を及ぼすそれらの能力について膜タンパク質を評価するために、実験を設定した。配列番号28を含む膜タンパク質は、α1,3-フコシルトランスフェラーゼ酵素FT1を発現する3-FL産生宿主の成長速度を増強することができることを示した。配列番号27を含む遺伝子を転写単位TU10において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。100g/Lのスクロースおよび90g/Lのラクトースを補充した最少培地を使用して、実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図8は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでの成長速度を実証する。
【0323】
(実施例12)
5g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主の3-FL産生を増加させることが同定された膜タンパク質
5g/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞によるフコシルラクトース産生に影響を及ぼすそれらの能力について膜タンパク質の能力を評価するために、実験を設定した。配列番号22を含む膜タンパク質は、それが、α1,3-フコシルトランスフェラーゼ酵素FT1を発現する3-FL産生宿主の3-FL産生を増強することができることを示した。配列番号21を含む遺伝子を転写単位TU10において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。5g/Lのラクトースを補充した最少培地を使用して、実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図9は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでのCPIを実証する。
【0324】
(実施例13)
宿主のゲノムに組み込んだ場合に、20g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主における3-FL産生および/または分泌を増加させることが同定された膜タンパク質
20g/Lのラクトースを補充した最少培地において72時間培養した宿主細胞において/によるフコシルラクトース産生および/または分泌を増加させる、ゲノムに組み込まれた膜タンパク質の能力を評価するために、別のシリーズの実験を設定した。配列番号02および28を含む膜タンパク質は、それらが、α1,3-フコシルトランスフェラーゼ酵素FT1またはFT2のいずれかを発現する3-FL産生宿主において細胞内で産生される3-FL産生および/または3-FLの分泌を増強することができることを示した。配列番号01および27を含む遺伝子を転写単位TU10において組み合わせ、それぞれEcLdhAまたはEcSetA遺伝子座におけるゲノムKIとして3-FL産生宿主のゲノムに与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。両方とも各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、
図10はCPIを実証し、
図11は3-FL排出を示す。
【0325】
(実施例14)
それらがクローニングされる転写単位とは関係なく、E.coli宿主における3-FL産生および/または3-FL分泌を増強する膜タンパク質
宿主細胞の、フコシルラクトース産生および/または分泌に影響を及ぼす膜タンパク質の能力を評価するために、別のシリーズの実験を設定した。この実施例でも、いくつかの転写単位をクローニングに使用した。配列番号02、06、10、16、22、28、32、34、36、38、40、42、44および50を含む膜タンパク質は、それらが、α1,3-フコシルトランスフェラーゼ酵素FT2によって3-FL産生宿主において細胞内で産生される3-FL産生および/または3-FLの分泌を増強することができることを示した。排出遺伝子を異なる転写単位中にクローニングし、クローンベクター(pSC101 ori)として3-FL産生宿主に与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。両方とも各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、
図12はCPIを実証し、
図13は3-FL排出を示す。
【0326】
(実施例15)
それらの天然の転写オペロン構造にクローニングした場合に、20g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主における3-FL産生および/または3-FL分泌を増強することが同定された膜タンパク質
20g/Lのラクトースを補充した最少培地において72時間培養した宿主細胞のフコシルラクトース産生および/または分泌を増強する膜タンパク質の能力を評価するために実験を設定した。この時点で、膜タンパク質はそれらの天然の転写オペロン構造にクローニングされた。配列番号40、42、46および48を含む膜タンパク質は、α1,3-フコシルトランスフェラーゼ酵素FT2を発現する3-FL産生宿主において3-FL産生および/または3-FL分泌を増強することができることを示した。すべての候補排出遺伝子を、単一遺伝子としてTU10に、または2つの膜タンパク質遺伝子を含有するそれらの天然の転写オペロン構造にクローニングし、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図14は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、CPI(左のパネル)と3-FL排出比(右のパネル)を示す。
【0327】
(実施例16)
20g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養した2’-FL E.coli宿主における2’-FLおよび/またはDiFL産生、および/またはDiFL分泌を増強することが同定された膜タンパク質
20g/Lのラクトースを補充した最少培地において72時間培養した宿主細胞のフコシルラクトース産生および/または分泌を増強する、ある範囲の膜タンパク質の能力を評価するために実験を設定した。この時点で、膜タンパク質を2’-FLおよび/またはdiFLの産生について試験した。配列番号02、06および28を含む膜タンパク質は、α1,2-フコシルトランスフェラーゼFT3を発現する2’-FL産生宿主において2’FLおよび/またはDiFL産生および/またはDiFL分泌を増強することができることを示した。候補遺伝子を、異なるTUにおいてクローニングし、SetA遺伝子座(配列番号27を含む遺伝子のために)またはldhA遺伝子座(配列番号01および05を含む遺伝子のために)のいずれかを使用して、2’-FL産生宿主のゲノムに与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図15は、いずれの時点でも各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、2’FL(パネルA)またはDiFL(パネルB)産生を含む宿主に関するCPIとDiFL排出比(パネルC)を示す。
【0328】
(実施例17)
膜タンパク質MdfAは、(30Lの)発酵ランにおいて3-FL産生E.coli宿主の生産性を増強する。
TU1において発現し、EcldhA遺伝子座において宿主のゲノムに与えられた配列番号01を有する膜タンパク質遺伝子を有し、プラスミド由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を発現する、3-FLを産生するE.coli宿主を、バイオリアクターの設定においてその生産性について評価した。実施例3で提供した条件に従って、8回の発酵ランを実施した。また、3-FL産生宿主と同一であるが、膜タンパク質遺伝子を欠く参照株を、同一の発酵設定において分析した。
図16は、この参照株と相対的に比較した、8回の異なる発酵ランにおいて配列番号02を含む膜タンパク質EcMdfAを過剰発現する株の増強された生産性を実証する。
【0329】
(実施例18)
膜タンパク質IceTは(30L)の発酵ランにおける3-FL産生E.coli宿主の生産性を増強する。
膜タンパク質を発現する別の3-FL産生E.coli宿主を、30Lのバイオリアクターにおけるその生産性について評価した。3-FL株は、第1のプラスミド由来のTU3において発現した配列番号05および第2のプラスミドから発現したα1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を含む膜タンパク質遺伝子EcIceTを有した。3-FL産生宿主と同一であるが、膜タンパク質遺伝子構築物を欠く具体的な参照株を使用して、同一の発酵設定における3-FL生産性を分析した。
図17は、具体的な参照株と相対的に比較した、膜タンパク質を過剰発現する株の増強された生産性を実証する。
【0330】
(実施例19)
EcMdfAまたはEcIceTに対して相同な膜タンパク質は、20g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養した3-FL E.coli宿主における3-FL産生、および/または3-FL分泌、および/または成長速度を増強する
α1,3-フコシルトランスフェラーゼ酵素FT1またはFT2によって3-FL産生宿主において細胞内で産生される、3-FLの産生および/または3-FLの分泌を増強することができる、および/または3-FL E.coli宿主の成長速度を改善する、配列番号120を含む膜タンパク質(配列番号06を含むEcIceTと相同)、ならびに配列番号126、128、140、146および150を含む膜タンパク質(配列番号02を含む膜タンパク質EcMdfAと相同)を評価するために、実験を設定した。排出遺伝子を異なる転写単位中にクローニングし、クローンベクター(pSC101 ori)として3-FL産生宿主に与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。各時点で、各参照株と比較した相対パーセンテージで、
図18はCPIを実証し、一方、
図19は3-FL排出を示し、
図20は成長速度が上昇した株を表す。
【0331】
(実施例20)
ポリペプチド配列間での包括的な同一性パーセンテージの計算
比較のための配列のアライメントに関する方法は当技術分野で周知であり、そのような方法としては、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTAおよびTFASTAが挙げられる。GAPは、Needleman and Wunsch ((1970) J Mol Biol 48: 443-453)のアルゴリズムを使用して、マッチ数を最大化し、ギャップ数を最小化する2つの配列の包括的(すなわち、完全な配列に及ぶ)アライメントを見出す。BLASTアルゴリズム(Altschul et al. (1990) J Mol Biol 215: 403-10)によって、配列同一性のパーセンテージが計算され、2つの配列間の類似性の統計分析が実施される。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Centre for Biotechnology Information(NCBI)によって公共に利用可能である。ホモログは、例えば、デフォルトペアワイズアライメントのパラメーター、およびパーセンテージでのスコアリング方法を用いたClustalW多重配列アライメントアルゴリズム(バージョン1.83)を使用して容易に同定され得る。類似性および同一性の包括的パーセンテージはまた、MatGATソフトウェアパッケージ(Campanella et al., BMC Bioinformatics. 2003 Jul 10;4:29. MatGAT: an application that generates similarity/identity matrices using protein or DNA sequences.)において利用可能な方法の1つを使用して決定してもよい。わずかな手作業の編集は、保存モチーフ間のアライメントを最適化するために実施されてもよく、このことは当業者に明らかであろう。さらに、ホモログの同定のために全長配列を使用する代わりに、特定のドメインが使用されてもよい。配列同一性の値は、全核酸もしくはアミノ酸配列にわたって、または選択されたドメインもしくは保存モチーフ(複数可)にわたって、デフォルトパラメーターを使用する上述のプログラムを使用して決定されてもよい。局所的アライメントに関しては、Smith-Watermanのアルゴリズムが特に有用である(Smith TF, Waterman MS (1981) J. Mol. Biol 147(1);195-7)。
【0332】
本発明の方法を実施する際に有用な全長ポリペプチド配列間の類似性および同一性の包括的パーセンテージは、MatGAT(Matrix Global Alignment Tool)ソフトウェア(BMC Bioinformatics. 2003 4:29. MatGAT:タンパク質またはDNA配列を使用して類似性/同一性マトリックスを生成するアプリケーション。Campanella JJ, Bitincka L, S malley J:Ledion Bitinckaがホストするソフトウェア)を使用して決定した。MatGATは、データの事前アライメントを必要とすることなく、DNAまたはタンパク質の配列に関する類似性/同一性マトリックスを生じる。プログラムは、MyersおよびMillerの包括的アライメントアルゴリズムを使用する一連のペアワイズアライメントを実施し、類似性および同一性を計算し、次いで結果を距離行列に配置する。1.CYP704様ポリペプチド
【0333】
EcMdfA(配列番号2)およびEcIceT(配列番号6)に関するポリペプチド配列の全長にわたる包括的同一性について、例示的な分析の結果を
図21および22に示す。配列同一性は、対角分割線の上半分に示される。この比較で使用したパラメーターは、スコアリング行列:Blosum62、First Gap:12、Extending Gap:2であった。本発明の方法を実施する際に有用なEcMdfA膜タンパク質とそのホモログの間の配列同一性(パーセント)は、概して80%より高い。本発明の方法を実施する際に有用なEcIceT膜タンパク質とそのホモログの間の、パーセントでの配列同一性は、概して80%より高い。
【0334】
(実施例21)
20g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主において3-フコシルラクトース(3-FL)産生を増強することが同定された膜タンパク質
膜タンパク質を、20g/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞のフコシルラクトース産生を増強するそれらの能力について評価するために、実験を設定した。配列番号52、54、56、58、60、62、64、66、70、72、74、76、80、82、84、88、90、92、94、96、98、104、184、204および208を含む膜タンパク質は、それらが、α1,3-フコシルトランスフェラーゼFT2を発現する3-FL産生宿主において産生される3-FL産生を増強することができることを示した。候補遺伝子を転写単位TU1、TU2、TU3、TU11またはTU12において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて3-FL産生宿主に与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図23は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、これらの株のCPIを表す。
【0335】
(実施例22)
20g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主における2’-フコシルラクトース(2’-FL)産生を増強することが同定された膜タンパク質
膜タンパク質を、20g/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞のフコシルラクトース産生を増強するそれらの能力について評価するために、実験を設定した。配列番号204および214を含む膜タンパク質は、それらが、α1,2-フコシルトランスフェラーゼFT4を発現する2’-FL産生宿主において産生される2’-FL産生を増強することができることを示した。候補遺伝子を転写単位TU11において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて2’-FL産生宿主に与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図24は、各参照株と比較した相対的パーセンテージでの、これらの株のCPIを表す。
【0336】
(実施例23)
20g/Lのラクトースを補充した最少培地における成長実験で72時間培養したE.coli宿主における2’-FL分泌を増強することが同定された膜タンパク質
膜タンパク質を、20g/Lのラクトースを補充した最少培地において成長する宿主細胞のフコシルラクトース分泌を増強するそれらの能力について評価するために、実験を設定した。配列番号206、208、214、216および218を含む膜タンパク質は、それらが、α1,2-フコシルトランスフェラーゼFT4を発現する2’-FL細菌産生宿主において細胞内で産生される2’-FLの分泌を増強することができることを示した。候補遺伝子を転写単位TU11において組み合わせ、pSC101プラスミドにおいて2’-FL産生宿主に与えた。実施例3で提供した培養条件に従って、成長実験を実施した。
図25は、各参照株と比較した相対パーセンテージで、これらの株における2’-FLの排出比を実証する。
【配列表】
【国際調査報告】