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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】画像センサピクセル
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220914BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220914BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H01L27/146 D
H01L27/146 A
H04N5/369 600
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503875
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2020070072
(87)【国際公開番号】W WO2021013666
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】1908251
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】デュポイロン,カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118AB03
4M118BA07
4M118CA02
4M118CA14
4M118CA22
4M118CA40
4M118CB05
4M118CB14
4M118CB20
4M118EA14
4M118FA06
4M118FB23
4M118FB24
4M118GA10
4M118GC08
4M118GD04
4M118GD09
4M118GD10
4M118GD20
5C024CX43
5C024CY17
5C024CY47
5C024EX43
5C024EX52
5C024GY31
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、CMOS支持体(3) 及び少なくとも2つの有機光検出器(10A, 10B, 12A, 12B, 14A, 14B, 16A, 16B)を含むピクセルに関し、同じレンズ(18)が、有機光検出器と垂直に一列に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMOS支持体(3) 、及び
少なくとも2つの有機光検出器(10A, 10B, 12A, 12B, 14A, 14B, 16A, 16B)
を備えており、
同じレンズ(18)が、前記有機光検出器と垂直に一列に配置されている、ピクセル(10, 12, 14, 16)。
【請求項2】
請求項1に記載の複数のピクセル(10, 12, 14, 16)を備えている、画像センサ(1; 4)。
【請求項3】
請求項1に記載のピクセル又は請求項2に記載の画像センサを製造する方法であって、
CMOS支持体(3) を準備する工程、
ピクセル毎に少なくとも2つの有機光検出器(10A, 10B, 12A, 12B, 14A, 14B, 16A, 16B)を形成する工程、及び
前記ピクセル又は各ピクセルの前記有機光検出器と垂直に一列に同じレンズ(18)を形成する工程
を有する、方法。
【請求項4】
前記有機光検出器(10A, 10B, 12A, 12B, 14A, 14B, 16A, 16B)は同一平面上にある、請求項1に記載のピクセル、又は、請求項2に記載のセンサ、又は、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記有機光検出器(10A, 10B, 12A, 12B, 14A, 14B, 16A, 16B)は、誘電体(35, 350, 352, 354; 360') によって互いに分離される、請求項1若しくは4に記載のピクセル、又は、請求項2若しくは4に記載のセンサ、又は、請求項3若しくは4に記載の方法。
【請求項6】
各有機光検出器(10A, 10B, 12A, 12B, 14A, 14B, 16A, 16B)は、前記CMOS支持体(3) の表面(30)に形成されて、他の有機光検出器の第1の電極とは別個の第1の電極(102A, 102B, 122A, 122B, 142A, 142B, 162A, 162B)を有する、請求項1、4及び5のいずれか1つに記載のピクセル、又は、請求項2、4及び5のいずれか1つに記載のセンサ、又は、請求項3から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
各第1の電極(102A, 102B, 122A, 122B, 142A, 142B, 162A, 162B)は、読み出し回路(20A, 20B, 22A, 22B)に連結され、好ましくは接続されており、各読み出し回路は、好ましくは、前記CMOS支持体(3) に形成された3つのトランジスタ(200, 202, 210) を有する、請求項6に記載のピクセル、センサ、又は方法。
【請求項8】
前記有機光検出器(10A, 10B, 12A, 12B, 14A, 14B, 16A, 16B)は、飛行時間によって距離を推定することができる、請求項1、4から7のいずれか1つに記載のピクセル、又は、請求項2、4から7のいずれか1つに記載のセンサ、又は、請求項3から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
赤外線スペクトルの一部で、
構造化光で、
ハイダイナミックレンジイメージングHDRで、及び/又は、
バックグラウンド抑制で
動作可能な、請求項1、4から8のいずれか1つに記載のピクセル、又は、請求項2、4から8のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項10】
各ピクセル(10, 12, 14, 16)は、前記レンズ(18)の下に、可視スペクトル及び赤外スペクトルの周波数範囲の電磁波を通すカラーフィルタ(41R, 41G, 41B) を更に備えている、請求項2、4から9のいずれか1つに記載の画像センサ。
【請求項11】
カラー画像を取り込むことができる、請求項10に記載の画像センサ。
【請求項12】
各ピクセル(10, 12, 14, 16)は正確に、
第1の有機光検出器(10A, 12A, 14A, 16A)、及び
第2の有機光検出器(10B, 12B, 14B, 16B)
を備える、請求項1、4から9のいずれか1つに記載のピクセル、又は、請求項2、4から11のいずれか1つに記載のセンサ、又は、請求項3から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
ピクセル(10, 12, 14, 16)毎に、前記第1の有機光検出器(10A, 12A, 14A, 16A)及び前記第2の有機光検出器(10B, 12B, 14B, 16B)は矩形形状を有し、正方形内に共に内接する、請求項12に記載のピクセル、センサ、又は方法。
【請求項14】
ピクセル(10, 12, 14, 16)毎に、
前記第1の有機光検出器(10A, 12A, 14A, 16A)は、第2の電極(104A, 124A, 144A, 164A)に接続され、
前記第2の有機光検出器(10B, 12B, 14B, 16B)は、第3の電極(104B, 124B, 144B, 164B)に接続される、請求項6に従属する請求項12又は13に記載のピクセル、センサ、又は方法。
【請求項15】
前記第2の電極(104A, 124A, 144A, 164A)は、前記センサ(1; 4)の前記ピクセル(10, 12, 14, 16)の全ての前記第1の有機光検出器(10A, 12A, 14A, 16A)に共通であり、
前記第3の電極(104B, 124B, 144B, 164B)は、前記センサ(1; 4)の前記ピクセル(10, 12, 14, 16)の全ての前記第2の有機光検出器(10B, 12B, 14B, 16B)に共通である、請求項14に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像センサ又は電子イメージャに関する。
【背景技術】
【0002】
画像センサは現在、多くの分野、特に電子デバイスで使用されている。画像センサは、マンマシンインターフェースアプリケーション又は画像取込アプリケーションに特に存在する。このような画像センサの使用分野は特に、例えばスマートフォン、自動車、ドローン、ロボティクス、及び、仮想現実システム又は拡張現実システムである。
【0003】
ある用途では、同じ電子デバイスが、異なるタイプの複数の画像センサを有してもよい。従って、そのようなデバイスは例えば、デバイスに対するシーン又は対象などの様々な点の距離を推定することを可能にする、第1のカラー画像センサ、第2の赤外線画像センサ、第3の画像センサを備えてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同じデバイスに搭載されたそのような多数の画像センサは、本質的に、そのようなデバイスの小型化についての現在の制約とほとんど適合しない。
【0005】
既存の画像センサを改善する必要がある。
【0006】
実施形態は、既知の画像センサの欠点の全部又は一部を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態は、CMOS支持体、及び
少なくとも2つの有機光検出器
を備えており、
同じレンズが、前記有機光検出器と垂直に一列に配置されている、ピクセルを提供する。
【0008】
実施形態は、記載されているような複数のピクセルを備えている、画像センサを提供する。
【0009】
実施形態は、このようなピクセル又はこのような画像センサを製造する方法であって、
CMOS支持体を準備する工程、
ピクセル毎に少なくとも2つの有機光検出器を形成する工程、及び
前記ピクセル又は各ピクセルの前記有機光検出器と垂直に一列に同じレンズを形成する工程
を有する、方法を提供する。
【0010】
実施形態によれば、前記有機光検出器は同一平面上にある。
【0011】
実施形態によれば、前記有機光検出器は、誘電体によって互いに分離される。
【0012】
実施形態によれば、各有機光検出器は、前記CMOS支持体の表面に形成されて、他の有機光検出器の第1の電極とは別個の第1の電極を有する。
【0013】
実施形態によれば、各第1の電極は、読み出し回路に連結され、好ましくは接続されており、各読み出し回路は、好ましくは、前記CMOS支持体に形成された3つのトランジスタを有する。
【0014】
実施形態によれば、前記有機光検出器は、飛行時間によって距離を推定することができる。
【0015】
実施形態によれば、記載されているようなピクセル又は画像センサは、
赤外線スペクトルの一部で、
構造化光で、
ハイダイナミックレンジイメージングHDRで、及び/又は、
バックグラウンド抑制で
動作可能である。
【0016】
実施形態によれば、各ピクセルは、前記レンズの下に、可視スペクトル及び赤外スペクトルの周波数範囲の電磁波を通すカラーフィルタを更に備えている。
【0017】
実施形態によれば、記載されているような画像センサは、カラー画像を取り込むことができる。
【0018】
実施形態によれば、各ピクセルは正確に、
第1の有機光検出器、及び
第2の有機光検出器
を備える。
【0019】
実施形態によれば、ピクセル毎に、前記第1の有機光検出器及び前記第2の有機光検出器は矩形形状を有し、正方形内に共に内接する。
【0020】
実施形態によれば、ピクセル毎に、
前記第1の有機光検出器は、第2の電極に接続され、
前記第2の有機光検出器は、第3の電極に接続される。
【0021】
実施形態は、
前記第2の電極は、前記センサの前記ピクセルの全ての前記第1の有機光検出器に共通であり、
前記第3の電極は、前記センサの前記ピクセルの全ての前記第2の有機光検出器に共通である
センサを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の前述及び他の特徴及び利点は、添付図面に関連する特定の実施形態及び実施モードの以下の非限定的な記載で詳細に説明される。
【0023】
図1】画像センサの実施形態の部分的な簡略化分解斜視図である。
図2図1の画像センサの部分的な簡略化平面図である。
図3図1及び図2の画像センサの2つのピクセルの読み出し回路の実施形態の電気図である。
図4図3の読み出し回路を備えた画像センサの動作例の信号のタイミング図である。
図5図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの工程の部分的な簡略化断面図である。
図6図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図7図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図8図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図9図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図10図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図11図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの変形例の部分的な簡略化断面図である。
図12図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図13図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図14図1及び図2の画像センサの面AAに沿った部分的な簡略化断面図である。
図15図1及び図2の画像センサの面BBに沿った部分的な簡略化断面図である。
図16】画像センサの別の実施形態の部分的な簡略化断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
同様の特徴が、様々な図で同様の参照符号によって示されている。特に、異なる実施形態及び実施モードに共通の構造的要素及び/又は機能的要素は、同じ参照符号で示されてもよく、同一の構造的特性、寸法的特性及び材料的特性を有してもよい。
【0025】
明確にするために、記載された実施形態及び実施モードの理解に有用な工程及び要素のみが図示され、詳述されている。特に、以下に説明される画像センサが何に使用されるのかについては詳述されない。
【0026】
特に明記しない限り、共に接続された2つの要素について言及する場合、これは、導体以外のいかなる中間要素も伴わない直接接続を意味し、共に連結された2つの要素について言及する場合、これは、これら2つの要素が接続され得ること、又は、これら2つの要素が1つ以上の他の要素を介して連結され得ることを意味する。
【0027】
更に、第1の一定状態、例えば「0」と記された低状態と、第2の一定状態、例えば「1」と記された高状態との間で交互に生じる信号が「二値信号」と称される。同じ電子回路の異なる二値信号の高状態及び低状態は異なってもよい。特に、二値信号は、高状態又は低状態で完全に一定でなくてもよい電圧又は電流に対応してもよい。
【0028】
以下の説明では、特に明記しない限り、「絶縁性」及び「導電性」という用語は、「電気絶縁性」及び「電気伝導性」を夫々意味するとみなされる。
【0029】
以下の説明では、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」などの絶対位置を示す用語、又は、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を示す用語、又は、「水平」、「垂直」などの方向を示す用語に言及する場合、特に明記されていない限り、図面の向き、又は通常の使用位置にある画像センサを指す。
【0030】
特に明記しない限り、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、該当する値の10%以内、好ましくは5%以内を意味する。
【0031】
放射に対する層の透過率は、層から出る放射の強度対層に入る放射の強度の比に相当し、入射光線は層に垂直である。以下の説明では、層又は膜を通る放射の透過率が10%未満である場合、層又は膜は放射に対して不透明であると称される。以下の説明では、層又は膜を通る放射の透過率が10%を超える場合、層又は膜は放射に対して透明であると称される。
【0032】
以下の説明では、「可視光」は、400 nmから700 nmの範囲内の波長を有する電磁放射を示し、「赤外放射」は、700 nmから1mmの範囲内の波長を有する電磁放射を示す。赤外放射では、700 nm~1.7 μmの範囲内の波長を有する近赤外放射を特に識別することができる。
【0033】
画像のピクセルは、画像センサによって取り込まれる画像の単位要素に相当する。光電子デバイスがカラー画像センサである場合、光電子デバイスは一般に、取得するカラー画像のピクセル毎に少なくとも3つの要素を備える。3つの要素は、実質的に単一の色、すなわち、130 nm未満の波長範囲(例えば、赤色、緑色及び青色)の光放射を夫々取得する。各要素は、特に少なくとも1つの光検出器を有してもよい。
【0034】
図1は、画像センサ1の実施形態の部分的な簡略化分解斜視図である。
【0035】
画像センサ1は、同一平面上のピクセルのアレイを備えている。簡略化のために、画像センサ1の4つのピクセル10、ピクセル12、ピクセル14及びピクセル16のみが図1に示されており、実際には、画像センサ1はより多くのピクセルを備えてもよいことが理解される。画像センサ1は、例えば数百万又は数千万ものピクセルを備える。
【0036】
この実施形態によれば、ピクセル10, 12, 14, 16は、CMOS支持体3の表面、例えば集積回路(図示せず)がCMOS(相補型金属酸化物半導体)技術でその最上部及び内部に形成されている1つのシリコンウェハの表面に配置されている。これらの集積回路は、この例では、画像センサ1のピクセル10, 12, 14, 16に関連付けられている読み出し回路のアレイを形成している。読み出し回路は、各ピクセルに関連付けられている読み出しトランジスタ、アドレス指定トランジスタ及び制御トランジスタの集合体を意味する。
【0037】
画像センサ1では、各ピクセルは、添え字「A」が付いた第1の光検出器、及び添え字「B」が付いた第2の光検出器を有している。より具体的には、図1の例では、
ピクセル10は、第1の光検出器10A 、及び第2の光検出器10B を有しており、
ピクセル12は、第1の光検出器12A 、及び第2の光検出器12B を有しており、
ピクセル14は、第1の光検出器14A 、及び第2の光検出器14B を有しており、
ピクセル16は、第1の光検出器16A 、及び第2の光検出器16B を有している。
【0038】
光検出器10A, 10B, 12A, 12B, 14A, 14B, 16A, 16Bは、有機フォトダイオード(OPD) 又は有機フォトレジスタに相当してもよい。本開示の残り部分では、画像センサ1のピクセルの光検出器は有機フォトダイオードに相当するとみなされる。
【0039】
図1の簡略図では、各光検出器は、2つの電極間に介在する(又は「挟持された」)活性層を有している。より具体的には、有機光検出器10A, 10B, 14A, 14B, 16B の側面のみが見える図1の例では、
第1の光検出器10A は、第1の電極102Aと第2の電極104Aとの間の活性層100Aで形成されており、
第2の光検出器10B は、第1の電極102Bと第2の電極104Bとの間の活性層100Bで形成されており、
第1の光検出器14A は、第1の電極142Aと第2の電極144Aとの間の活性層140Aで形成されており、
第2の光検出器14B は、第1の電極142Bと第2の電極144Bとの間の活性層140Bで形成されており、
第2の光検出器16B は、第1の電極162Aと第2の電極164Bとの間の活性層160Bで形成されている。
【0040】
同様に、画像センサ1では、
第1の光検出器12A は、(図1に示されていない)第1の電極122Aと(図1に示されていない)第2の電極124Aとの間の(図1に示されていない)活性層120Aで形成されており、
第2の光検出器12B は、(図1に示されていない)第1の電極122Bと(図1に示されていない)第2の電極124Bとの間の(図1に示されていない)活性層120Bで形成されており、
第1の光検出器16A は、(図1に示されていない)第1の電極162Aと(図1に示されていない)第2の電極164Aとの間の(図1に示されていない)活性層160Aで形成されている。
【0041】
本開示の残り部分では、第1の電極は「下部電極」という表現で更に示される一方、第2の電極は「上部電極」という表現で更に示される。
【0042】
実施形態によれば、各有機光検出器の上部電極はアノード電極を形成する一方、各有機光検出器の下部電極はカソード電極を形成する。
【0043】
画像センサ1の各ピクセルの各光検出器の下部電極は、CMOS支持体3の読み出し回路(図示せず)に個々に連結され、好ましくは接続されている。従って、画像センサ1の各光検出器は、その下部電極を介して個々にアドレス指定される。従って、画像センサ1では、各光検出器は、他の全ての光検出器の下部電極とは別個の下部電極を有している。言い換えれば、ピクセルの各光検出器は、
同じピクセルの他の光検出器、及び
他のピクセルの他の光検出器
とは別個の下部電極を有している。
【0044】
画像センサ1では、全ての第1の光検出器の上部電極は相互に接続されている。同様に、全ての第2の光検出器の上部電極は相互に接続されている。従って、図1の簡略図では、
第1の光検出器10A, 12A, 14A, 16Aに夫々属する上部電極104A, 124A, 144A, 164Aは相互に接続されているか、又は第1の共通上部電極を形成しており、
第1の光検出器10B, 12B, 14B, 16Bに夫々属する上部電極104B, 124B, 144B, 164Bは相互に接続されているか、又は第1の共通上部電極とは別個の第2の共通上部電極を形成している。
【0045】
画像センサ1では、各ピクセルは、その寸法からマイクロレンズ18とも称されるレンズ18を有している。従って、図1の簡略図では、ピクセル10, 12, 14, 16はレンズ18を夫々有している。このように、各レンズ18は、画像センサ1の各ピクセルの第1及び第2の光検出器の全て又は一部を覆っている。より具体的には、レンズ18は、ピクセルの第1及び第2の光検出器の上部電極を物理的に覆っている。
【0046】
図2は、図1の画像センサ1の部分的な簡略化平面図である。
【0047】
この平面図では、第1及び第2の光検出器は矩形で表されており、マイクロレンズは円で表されている。より具体的には、図2では、
マイクロレンズ18は、ピクセル10の光検出器10A, 10Bの夫々の上部電極104A, 104Bを覆っており、
マイクロレンズ18は、ピクセル12の光検出器12A, 12Bの夫々の上部電極124A, 124Bを覆っており、
マイクロレンズ18は、ピクセル14の光検出器14A, 14Bの夫々の上部電極144A, 144Bを覆っており、
マイクロレンズ18は、ピクセル16の光検出器16A, 16Bの夫々の上部電極164A, 164Bを覆っている。
【0048】
実際には、以下の図面の説明から明らかな電極間の間隔のため、レンズ18は、レンズが関連付けられているピクセルの夫々の電極を完全に覆っているとみなされ得る。
【0049】
画像センサ1において、図2の平面図では、ピクセルは、実質的に正方形の形状、好ましくは正方形の形状を有する。画像センサ1の全てのピクセルは、製造ばらつきの範囲内で好ましくは同一の寸法を有する。
【0050】
画像センサ1の各ピクセルによって形成される正方形は、図2の平面図では、約0.8μmから10μmの範囲内、好ましくは約0.8μmから3μmの範囲内、より好ましくは0.8μmから3μmの範囲内の辺の長さを有する。
【0051】
同じピクセルに属する第1の光検出器及び第2の光検出器(例えば、第1のピクセル10の第1の光検出器10A 及び第2の光検出器10B )は両方とも矩形形状を有する。光検出器は実質的に同じ寸法を有し、光検出器が属するピクセルによって形成される正方形内に共に内接する。
【0052】
画像センサ1の各ピクセルの各光検出器によって形成される矩形は、各ピクセルによって形成される正方形の辺の長さに実質的に等しい長さ、及び各ピクセルによって形成される正方形の辺の長さの半分に実質的に等しい幅を有する。しかし、各ピクセルの第1の光検出器と第2の光検出器との間に空間が形成されるため、第1の光検出器及び第2の光検出器の夫々の下部電極は隔てられている。
【0053】
画像センサ1では、各マイクロレンズ18は、図2の平面図において、各マイクロレンズが属するピクセルによって形成される正方形の辺の長さに実質的に等しい、好ましくは等しい直径を有する。本実施形態では、各ピクセルはマイクロレンズ18を有している。画像センサ1の各マイクロレンズ18は、好ましくは各マイクロレンズが覆う光検出器によって形成される正方形に対して中心に置かれる。
【0054】
変形例として、各マイクロレンズ18は、別のタイプのマイクロメートル範囲の光学要素、特にマイクロメートル範囲のフレネルレンズ、マイクロメートル範囲の屈折率勾配レンズ、又はマイクロメートル範囲の回折格子と置き換えられてもよい。マイクロレンズ18は収束レンズであり、夫々が1μmから100μmの範囲、好ましくは1μmから10μmの範囲の焦点距離fを有する。実施形態によれば、全てのマイクロレンズ18は実質的に同一である。
【0055】
マイクロレンズ18は、シリカ、ポリ(メチル)メタクリレート(PMMA)、ポジ型レジスト、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマ(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)/シリコーン、又はエポキシ樹脂で形成されてもよい。マイクロレンズ18は、レジストブロックを変形させることによって形成されてもよい。マイクロレンズ18は更に、PET、PEN、COP、PDMS/シリコーン又はエポキシ樹脂の層上に成型によって形成されてもよい。
【0056】
図3は、図1及び図2の画像センサの2つのピクセルの読み出し回路の実施形態の電気図である。
【0057】
簡略化のために、画像センサ1の2つのピクセル、例えば画像センサ1のピクセル10及びピクセル12に関連付けられている読み出し回路のみが図3に示されている。この例では、各光検出器は読み出し回路に関連付けられている。より具体的には、図3では、
ピクセル10の第1の光検出器10A は、第1の読み出し回路20A に関連付けられており、
ピクセル10の第2の光検出器10B は、第2の読み出し回路20B に関連付けられており、
ピクセル12の第1の光検出器12A は、第1の読み出し回路22A に関連付けられており、
ピクセル12の第2の光検出器12B は、第2の読み出し回路22B に関連付けられている。
【0058】
ピクセル10の第1の光検出器10A の第1の読み出し回路20A 、及びピクセル10の第2の光検出器10B の第2の読み出し回路20B は、ピクセル10の読み出し回路20を共に形成している。同様に、ピクセル12の第1の光検出器12A の第1の読み出し回路22A 、及びピクセル12の第2の光検出器12B の第2の読み出し回路22B は、ピクセル12の読み出し回路22を共に形成している。
【0059】
この実施形態によれば、各読み出し回路20A, 20B, 22A, 22Bは3つのMOS トランジスタを有している。このような回路は現在、光検出器と共に「3Tセンサ」という表現で表されている。特に、図3の例では、第1の光検出器に関連付けられた各読み出し回路20A, 22Aは、2つの端子204 及び端子206A間にMOS 選択トランジスタ202 と直列に、フォロワとして組み立てられたMOS トランジスタ200 を有している。同様に、図3の例では、第2の光検出器に関連付けられた各読み出し回路20B, 22Bは、2つの端子204 及び端子206B間にMOS 選択トランジスタ202 と直列に、フォロワとして組み立てられたMOS トランジスタ200 を有している。
【0060】
読み出し回路のトランジスタがNチャネルMOS トランジスタである場合、各端子204 は、Vpixと記された高基準電位の供給源に連結されている。読み出し回路のトランジスタがPチャネルMOS トランジスタである場合、各端子204 は、低基準電位の供給源、例えば接地に連結されている。
【0061】
各端子206Aは、第1の導電性トラック208Aに連結されている。第1の導電性トラック208Aは、同じ列の全ての第1の光検出器に連結されてもよい。第1の導電性トラック208Aは、好ましくは画像センサ1の全ての第1の光検出器に連結されている。
【0062】
同様に、各端子206Bは、第2の導電性トラック208Bに連結されている。第2の導電性トラック208Bは、同じ列の全ての第2の光検出器に連結されてもよい。第2の導電性トラック208Bは、好ましくは画像センサ1の全ての第2の光検出器に連結されている。第2の導電性トラック208Bは、好ましくは第1の導電性トラック208Aとは別個である。
【0063】
図3の例では、第1の導電性トラック208Aは、画像センサ1のピクセル10, 12の読み出し回路20, 22の一部を形成しない第1の電流源209Aに連結されている。同様に、第2の導電性トラック208Bは、画像センサ1のピクセル10, 12の読み出し回路20, 22の一部を形成しない第2の電流源209Bに連結されている。言い換えれば、画像センサ1の電流源209A, 209Bは、ピクセル及び読み出し回路の外部にある。
【0064】
トランジスタ202 のゲートは、ピクセル10の読み出し回路20の場合、ピクセル10のSEL_R1と記された選択信号を受信するように構成されている。トランジスタ202 のゲートは、ピクセル12の読み出し回路22の場合、ピクセル12のSEL_R2と記された別の選択信号を受信するように構成されている。
【0065】
図3の例では、
ピクセル10の第1の光検出器10A に関連付けられたトランジスタ200 のゲートはノードFD_1A に連結されており、
ピクセル10の第2の光検出器10B に関連付けられたトランジスタ200 のゲートはノードFD_1B に連結されており、
ピクセル12の第1の光検出器12A に関連付けられたトランジスタ200 のゲートはノードFD_2A に連結されており、
ピクセル12の第2の光検出器12B に関連付けられたトランジスタ200 のゲートはノードFD_2B に連結されている。
【0066】
各ノードFD_1A, FD_1B, FD_2A, FD_2Bは、リセット電位Vrstが与えられる端子にリセットMOS トランジスタ210 によって連結されており、このリセット電位は電位Vpixと同一であってもよい。トランジスタ210 のゲートは、光検出器のリセットを制御するための信号RST 、特にノードFD_1A 、ノードFD_1B 、ノードFD_2A 又はノードFD_2B を実質的に電位Vrstにリセットすることを可能にするための信号RST を受信するように構成されている。
【0067】
図3の例では、
ノードFD_1A は、ピクセル10の第1の光検出器10A のカソード電極102Aに接続されており、
ノードFD_1B は、ピクセル10の第2の光検出器10B のカソード電極102Bに接続されており、
ノードFD_2A は、ピクセル12の第1の光検出器12A のカソード電極122Aに接続されており、
ノードFD_2B は、ピクセル12の第2の光検出器12B のカソード電極122Bに接続されている。
【0068】
更に図3の例では、
ピクセル10の第1の光検出器10A のアノード電極104Aが、基準電位Vtop_C1 の供給源に連結されており、
ピクセル10の第2の光検出器10B のアノード電極104Bが、基準電位Vtop_C2 の供給源に連結されており、
ピクセル12の第1の光検出器12A のアノード電極124Aが、基準電位Vtop_C1 の供給源に連結されており、
ピクセル12の第2の光検出器12B のアノード電極124Bが、基準電位Vtop_C2 の供給源に連結されている。
【0069】
画像センサ1では、電位Vtop_C1 は、全ての第1の光検出器に共通の第1の上部電極に与えられる。電位Vtop_C2 は、全ての第2の光検出器に共通の第2の上部電極に与えられる。
【0070】
本開示の残り部分では、
ノードFD_1A に存在する電圧についてVFD_1A、
ノードFD_1B に存在する電圧についてVFD_1B、
ピクセル10のトランジスタ202 のゲートに印加される電圧、すなわち、第1の光検出器10A のトランジスタ202 のゲートに印加される電圧、及び第2の光検出器10B のトランジスタ202 のゲートに印加される電圧についてVSEL_R1 、並びに
ピクセル12のトランジスタ202 のゲートに印加される電圧、すなわち、第1の光検出器12A のトランジスタ202 のゲートに印加される電圧、及び第2の光検出器12B のトランジスタ202 のゲートに印加される電圧についてVSEL_R2
の表記が任意に使用される。
【0071】
本開示の残りの部分では、電圧VSEL_R1, VSEL_R2の印加を、SEL_R1, SEL_R2と夫々記された二値信号によって夫々制御するとみなされる。
【0072】
他のタイプのセンサ、例えば、いわゆる「4T」センサが知られている。有機光検出器を使用すると、1つのトランジスタをなくして3Tセンサを使用することができるという利点がある。
【0073】
図4は、図3の読み出し回路を備えた画像センサ1の動作例の信号のタイミング図である。
【0074】
図4のタイミング図は、より具体的には「飛行時間」モードでの画像センサ1の動作例に対応する。この動作モードでは、画像センサ1のピクセルを使用して、画像センサ1の反対側に配置された又は位置する対象(物体、シーン、顔など)からピクセルを隔てる距離を推定する。本明細書では説明されない関連付けられたエミッタシステムを用いて対象に向かって光パルスを放射することにより、この距離の推定を開始する。このような光パルスは一般に、放射源からの放射、例えば、発光ダイオードからの近赤外放射で対象を一時的に照射することによって得られる。次に、光パルスは、対象によって少なくとも部分的に反射され、その後、画像センサ1によって取り込まれる。その後、光パルスが放射源と対象との間を移動して戻るのにかかる時間が計算又は測定される。画像センサ1は、放射源の近くに有利に配置されているため、この時間は、画像センサ1から対象を隔てる距離を光パルスが移動するのにかかる時間の約2倍に相当する。
【0075】
図4のタイミング図は、二値信号RST 及び二値信号SEL_R1、並びに画像センサ1の同じピクセルの2つの光検出器、例えばピクセル10の第1の光検出器10A 及び第2の光検出器10B の電位Vtop_C1, Vtop_C2, VFD_1A, VFD_1Bの変化の例を示す。図4は、画像センサ1の別のピクセル、例えばピクセル12の二値信号SEL_R2を点線で更に示す。図4のタイミング図は、ピクセル10の読み出し回路20のMOS トランジスタがNチャネルトランジスタであることを考慮して確立されている。
【0076】
時点t0で信号SEL_R1は低状態であるため、ピクセル10のトランジスタ202 はオフである。次に、リセット段階が開始される。この目的のために、信号RST は高状態に維持されるため、ピクセル10のリセットトランジスタ210 はオンである。その後、フォトダイオード10A 及びフォトダイオード10B に蓄積された電荷が、電位Vrstの供給源に向かって放電される。
【0077】
電位Vtop_C1 は、時点t0で高レベルにある。高レベルは、「ビルトイン電位」と称される電位を与えることによって生じる電圧より高い電圧下での第1の光検出器10A のバイアスに対応する。ビルトイン電位は、アノードの仕事関数とカソードの仕事関数との差と等価である。電位Vtop_C1 が高レベルにある場合、第1の光検出器10A は電荷を統合しない。
【0078】
時点t0に続く時点t1の前に、電位Vtop_C1 は低レベルに設定される。この低レベルは、負電圧、すなわち0V未満の電圧下での第1の光検出器10A のバイアスに対応する。従って、これにより、第1の光検出器10A が光生成電荷を統合することが可能になる。電位Vtop_C1 による第1の光検出器10A のバイアスに関して上に説明されたことは、電位Vtop_C2 による第2の光検出器10B のバイアスの動作の説明に置き換えられる。
【0079】
時点t1で、距離の測定が望まれる一又は複数の物体を含むシーンに向けて第1の赤外光パルスを放射し始め(IR光を放射する)、これによりシーンの深度マップを取得することができる。第1の赤外光パルスは、tON で記される持続時間を有する。時点t1で、信号RST が低状態に設定されるため、ピクセル10のリセットトランジスタ210 がオフになり、電位Vtop_C2 が高レベルに設定される。
【0080】
電位Vtop_C1 が低レベルにあるとき、時点t1で、ITA と記される第1の統合段階が、画像センサ1のピクセル10の第1の光検出器10A で開始される。ピクセルの統合段階は、ピクセルが入射放射の影響下で電荷を収集する段階を示す。
【0081】
時点t1に続く、時点t1からtDと記された期間だけ離れた時点t2で、ピクセル10までの距離の測定が望まれるシーンの物体又は物体の点による第1の赤外光パルスの反射から生じる第2の赤外光パルスを受け始める(IR光を受ける)。従って、期間tDは、物体からセンサ1までの距離の関数である。次に、CCA と記された第1の電荷収集段階が第1の光検出器10A で開始される。第1の電荷収集段階は、光検出器10A において入射光の強度に比例して、すなわち、第2のパルスの光強度に比例して電荷が生成される期間に相当する。第1の電荷収集段階により、読み出し回路20A のノードFD_1A で電位VFD_1Aのレベルが低下する。
【0082】
本例では時点t2に続く、時点t1から期間tON だけ離れた時点t3で、第1の赤外光パルスの放射が停止される。電位Vtop_C1 は同時的に高レベルに設定されるため、第1の統合段階、ひいては第1の電荷収集段階の終了を示す。
【0083】
同時的に、電位Vtop_C2 は低レベルに設定される。次に、画像センサ1のピクセル10の第2の光検出器10B において時点t3で、ITB と記された第2の統合段階が開始される。第2の光検出器10B が第2の光パルスから生じる光を受ける場合、CCB と記された第2の電荷収集段階が時点t3で開始される。第2の電荷収集段階により、読み出し回路20B のノードFD_1B で電位VFD_1Bのレベルが低下する。
【0084】
時点t3に続く、時点t2からtON に実質的に等しい期間だけ離れた時点t4で、第2の光パルスがピクセル10の第2の光検出器10B によって取り込まれることを停止する。その後、第2の電荷収集段階は時点t4で終了する。
【0085】
時点t4に続く時点t5で、電位Vtop_C2 は高レベルに設定される。従って、これは第2の統合段階の終了を示す。
【0086】
時点t5と時点t5の後の時点t6との間で、画像センサ1のピクセルのフォトダイオードによって収集された電荷の量を測定する、RTと記された読み出し段階が実行される。この目的のために、画像センサ1のピクセル行は、例えば順次、読み取られる。図4の例では、信号SEL_R1及び信号SEL_R2が連続して高状態に設定され、画像センサ1のピクセル10及びピクセル12が交互に読み取られる。
【0087】
時点t6から時点t6の後の時点t1’ まで、新しいリセット段階(リセット)が開始される。信号RST が高状態に設定されるため、ピクセル10のリセットトランジスタ210 がオンになる。その後、フォトダイオード10A 及びフォトダイオード10B に蓄積された電荷が、電位Vrstの供給源に向かって放電される。
【0088】
放射する第1の光パルスの開始を、受ける第2の光パルスの開始から隔てる期間tDは、以下の式によって計算される。
[数式1]
tD=(tON×△VFD_1B)/(△VFD_1A+△VFD_1B)
【0089】
上記の式において、△VFD_1Aと記された量は、第1の光検出器10A の統合段階中の電位VFD_1Aの低下に対応する。同様に、△VFD_1Bと記された量は、第2の光検出器10B の統合段階中の電位VFD_1Bの低下に対応する。
【0090】
時点t1’ で、第2の光パルスの放射によって新しい距離推定が開始される。新しい距離推定には、時点t2及び時点t4と夫々同様の時点t2’ 及び時点t4’ が含まれる。
【0091】
画像センサ1の動作は、同じピクセルの光検出器が非同期的に駆動される飛行時間モードでの動作例に関連して上記に示されている。画像センサ1の利点は、画像センサが他のモード、特に同じピクセルの光検出器が同期的に駆動されるモードでも動作し得ることである。画像センサ1は例えば、グローバルシャッタモードで駆動されてもよく、すなわち、画像センサ1は、ピクセルの統合段階の開始及び終了が同時的である画像取得方法を更に実施してもよい。
【0092】
従って、画像センサ1の利点は、異なるモードに応じて交互に動作し得ることである。画像センサ1は例えば、飛行時間モード及びグローバルシャッタ画像化モードで交互に動作してもよい。
【0093】
実施モードに応じて、画像センサ1の光検出器の読み出し回路は、他の動作モードで交互に駆動され、例えば、画像センサ1が、
赤外線スペクトルの一部で、
構造化光で、
ピクセル毎に2つの光検出器の一方の統合時間が他方の光検出器の統合時間より長いことを確実とする、ハイダイナミックレンジイメージング(HDR)で、及び/又は、
バックグラウンド抑制で
動作することができるモードで交互に駆動される。
【0094】
従って、画像センサ1によって実施することができる様々な画像化モードで同じ数のピクセルが使用されるので、画像センサ1を使用して、解像度を失うことなく異なるタイプの画像を形成してもよい。同じピクセルアレイ及び読み出し回路に複数の機能を一体化することができる画像センサ1の使用は、特に、電子デバイスの小型化の現在の制約、例えば、スマートフォンの設計及び製造の制約に対応することを可能にする。
【0095】
図5から図13は以下に、図1及び図2の画像センサ1を形成する方法の実施モードの連続する工程を示す。簡略化のために、図5から図13に関連する以下の説明は、画像センサ1の1つのピクセル、例えば画像センサ1のピクセル12の形成を示す。しかし、この方法は、画像センサ1と同様の画像センサのあらゆる数のピクセルの形成に拡張されてもよいことを理解されたい。
【0096】
図5は、図1及び図2の画像センサ1を形成する方法の実施モードの工程の部分的な簡略化断面図である。
【0097】
この実施モードによれば、この方法は、ピクセル12の読み出し回路(図示せず)を特に有するCMOS支持体3 を準備することによって開始される。CMOS支持体3 は、接触要素32A, 32Bを上面30に更に有する。接触要素32A, 32Bは、図5の断面図では「T」字形状を有し、
水平部分が、CMOS支持体3 の上面30に延び、
垂直部分が、CMOS支持体3 の上面30から下向きに延びて、読み出し回路(図示せず)に連結又は接続されたCMOS支持体3 の下側の金属化レベル(図示せず)に接触する。
【0098】
接触要素32A, 32Bは、例えば、CMOS支持体3 の上面30に形成された導電性トラック(接触要素32A, 32Bの水平部分)、及び導電性トラックに接触する導電性ビア(接触要素32A, 32Bの垂直部分)から形成される。導電性トラック及び導電性ビアは、金属材料、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、及びクロム(Cr)、又は窒化チタン(TiN)で形成されてもよい。導電性トラック及び導電性ビアは、単層構造又は多層構造を有してもよい。導電性トラックが多層構造を有する場合、導電性トラックは、絶縁層によって分離された導電層の積層体によって形成されてもよい。そのため、ビアは絶縁層を横切る。導電層は上記の金属材料で形成されてもよく、絶縁層は窒化ケイ素(SiN)又は酸化ケイ素(SiO2 )で形成されてもよい。
【0099】
この同じ工程の間に、CMOS支持体3 の表面30に存在する可能性のある不純物を除去すべく、CMOS支持体3 を清浄化する。清浄化を、例えばプラズマによって実行する。従って、清浄化によって、以下の図に関連して詳述される一連の連続的な堆積を実行する前に、CMOS支持体3 の十分な清浄度が得られる。
【0100】
本開示の残りの部分では、図6から図13に関連して説明される方法の実施モードは、CMOS支持体3 の上面30の上側で行う動作のみを含む。従って、図6から図13のCMOS支持体3 は好ましくは、本方法全体で図5に関連して説明したようなCMOS支持体3 と同一である。簡略化のために、CMOS支持体3 は、以下の図で再度詳述されない。
【0101】
図6は、図5に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ1を形成する方法の実施モードの別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0102】
この同じ工程の間に、接触要素32A, 32Bの表面に電子注入材料を堆積させる。接触要素32A, 32Bの表面に選択的に結合する材料を好ましくは堆積させて、自己組織化単層(SAM) を形成する。従って、この堆積物は、接触要素32A, 32Bの自由上面を好ましくは覆うか又は自由上面のみを覆う。従って、図6に示されているように、
ピクセル12の第1の有機光検出器12A の下部電極122A、及び
ピクセル12の第2の有機光検出器12B の下部電極122B
が形成される。
【0103】
変形例として、2つの隣り合う接触要素間に導電経路を形成しないように、十分低い横方向導電率を有する電子注入材料のフルプレート堆積を実行する。
【0104】
下部電極122A, 122Bは、電子注入層(EIL) 及び光検出器12A, 12Bを夫々形成する。下部電極122A, 122Bは、光検出器12A, 12Bのカソードとも称される。下部電極122A, 122Bを、好ましくはスピンコーティング又はディップコーティングによって形成する。
【0105】
下部電極122A, 122Bを形成する材料は、
金属又は金属合金、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、又はマグネシウムと銀との合金(MgAg)、
透明導電性酸化物(TCO)、特にインジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、ITO/Ag/ITO多層、ITO/Mo/ITO多層、AZO/Ag/AZO多層、又はZnO/Ag/ZnO多層、
ポリエチレンイミン(PEI)ポリマ、又は、エトキシル化ポリエチレンイミン(PEIE)ポリマ、プロポキシル化ポリエチレンイミンポリマ、及び/若しくはブトキシル化ポリエチレンイミンポリマ、
炭素、銀、及び/又は銅ナノワイヤ、
グラフェン、並びに
これらの材料の少なくとも2つの混合物
を含む群から選択される。
【0106】
下部電極122A, 122Bは単層構造又は多層構造を有してもよい。
【0107】
図7は、図6に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ1を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0108】
この工程の間に、第1の層120 の非選択的堆積をCMOS支持体3 の上面30側で実行する。堆積は、第1の層がCMOS支持体3 の上面30全体、並びに、接触要素32A, 32B及び下部電極122A, 122Bの自由表面を覆うので「フルプレート」堆積と称される。第1の層120 の堆積を、好ましくはスピンコーティングによって実行する。
【0109】
この実施モードによれば、第1の層120 は、ピクセル12の光検出器12A, 12Bの今後の活性層120A, 120Bを形成するように構成されている。ピクセル12の光検出器12A, 12Bの活性層120A, 120Bは、好ましくは第1の層120 の組成及び厚さと同一の組成及び厚さを有する。
【0110】
第1の層120 は、小分子、オリゴマ又はポリマを含んでもよい。これらは、特に量子ドットを含む有機材料又は無機材料であってもよい。第1の層120 は、両極性半導体材料を含んでもよく、又は、例えば積層の形態若しくはバルクヘテロ接合を形成すべくナノメートルスケールで均質な混合物の形態でN型半導体材料及びP型半導体材料の混合物を含んでもよい。第1の層120 の厚さは、50nmから2μmの範囲内、例えば300nm程度であってもよい。
【0111】
第1の層120 を形成することができるP型半導体ポリマの例は、
ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、
ポリ[N-9’-ヘプタデカニル-2,7-カルバゾール-alt-5,5-(4,7-ジ-2-チエニル-2’,1’,3’-ベンゾチアジアゾール](PCDTBT)、
ポリ[(4,8-ビス-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4,5-b’]ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン))-2,6-ジイル](PBDTTT-C)、
ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](MEH-PPV)、及び
ポリ[2,6-(4,4-ビス-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b’]ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)
である。
【0112】
第1の層120 を形成することができるN型半導体材料の例は、フラーレン、特にC60、[6,6]-フェニル-C61-メチルブタノエート([60]PCBM)、[6,6]-フェニル-C71-ブタン酸メチル([70]PCBM)、ペリレンジイミド、酸化亜鉛(ZnO)、又は量子ドットの形成を可能にするナノ結晶である。
【0113】
図8は、図7に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ1を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0114】
この工程の間に、第2の層124 の非選択的堆積をCMOS支持体3 の上面側で実行する。堆積は、第2の層が第1の層120 の上面全体を覆うので「フルプレート」堆積と称される。第2の層124 の堆積を、好ましくはスピンコーティングによって行う。
【0115】
この実施モードによれば、第2の層124 は、ピクセル12の光検出器12A, 12Bの今後の上部電極124A, 124Bを形成するように構成されている。ピクセル12の光検出器12A, 12Bの上部電極124A, 124Bは、好ましくは第2の層124 の組成及び厚さと同一の組成及び厚さを有する。
【0116】
第2の層124 は、第2の層が受ける光放射に対して少なくとも部分的に透明である。第2の層124 は、透明な導電性材料、例えば、透明導電性酸化物(TCO)、カーボンナノチューブ、グラフェン、導電性ポリマ、金属、又は、これらの化合物の少なくとも2つの混合物若しくは合金で形成されてもよい。第2の層124 は単層構造又は多層構造を有してもよい。
【0117】
第2の層124 を形成することができるTCOの例は、インジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、窒化チタン(TiN)、酸化モリブデン(MoO3 )、及び酸化タングステン(WO3 )である。第2の層124 を形成することができる導電性ポリマの例は、ポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン及びポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウムの混合物であるPEDOT:PSSとして知られるポリマ、並びにPAniとも称されるポリアニリンである。第2の層124 を形成することができる金属の例は、銀、アルミニウム、金、銅、ニッケル、チタン、及びクロムである。第2の層124 を形成することができる多層構造の例は、AZO/Ag/AZOタイプの多層AZO・銀構造である。
【0118】
第2の層124 の厚さは、10nmから5μmの範囲内、例えば30nm程度であってもよい。第2の層124 が金属である場合、第2の層124 の厚さは20nm以下であり、好ましくは10nm以下である。
【0119】
図9は、図8に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0120】
この工程の間に、3つの垂直開口部340, 342, 344 を、第1の層120 及び第2の層124 を通ってCMOS 支持体3 の上面30に至るまで形成する。これらの開口部を、好ましくは、保護する領域をマスクした後にエッチングによって形成し、例えば、レジストの堆積、マスクを介した露出、その後、ドライエッチング、例えば反応性イオンエッチング、ウェットエッチング、例えば化学エッチングによって形成する。変形例として、エッチングマスクの堆積を、例えばシルクスクリーン、ヘリオグラフィ、ナノインプリント又はフレキソ印刷によって局所的に行い、エッチングを、ドライエッチング、例えば反応性イオンエッチング、ウェットエッチング、例えば化学エッチングによって行う。
【0121】
図9の例では、
垂直開口部340, 342は、第1の接触要素32A の両側に(第1の接触要素32A の左側及び右側に夫々)配置され、
垂直開口部342, 344は、第2の接触要素32B の両側に(第2の接触要素32B の左側及び右側に夫々)配置されている。
【0122】
垂直開口部340, 342, 344 は、画像センサ1の同じ行に属する光検出器を分離することを目的とする。開口部340, 342, 344 を、例えばフォトリソグラフィによって形成する。変形例として、開口部340, 342, 344 を、反応性イオンエッチング又は適切な溶媒を使用した化学エッチングによって形成する。
【0123】
従って、図9に示されているように、
第1の接触要素32A 及び下部電極122Aの自由表面を完全に覆う、ピクセル12の第1の光検出器12A の活性層120A、
第2の接触要素32B 及び下部電極122Bの自由表面を完全に覆う、ピクセル12の第2の光検出器12B の活性層120B 、
活性層120Aを覆う、ピクセル12の第1の光検出器12A の上部電極124A、並びに
活性層120Bを覆う、ピクセル12の第2の光検出器12B の上部電極124B
が得られる。
【0124】
従って、図9の例では、
開口部340 は、一方ではピクセル12の第1の光検出器12A の活性層120A及び上部電極124Aと、他方では隣り合うピクセル(図示せず)に属する第2の光検出器の活性層及び上部電極との間に介在し、
開口部342 は、一方ではピクセル12の第1の光検出器12A の活性層120A及び上部電極124Aと、他方ではピクセル12の第2の光検出器12B の活性層120B及び上部電極124Bとの間に介在し、
開口部344 は、一方ではピクセル12の第2の光検出器12B の活性層120B及び上部電極124Bと、他方ではピクセル16の第1の光検出器の活性層160A及び上部電極164A(図9に部分的に示されている)との間に介在する。
【0125】
上部電極124A, 124Bは、光検出器12A, 12Bの正孔注入層(HIL) を夫々形成する。上部電極124A, 124Bは、光検出器12A, 12Bのアノードとも称される。
【0126】
上部電極124A, 124Bは、図8に関連して説明したように、上部電極が形成される層124 の材料と同じ材料で形成されることが好ましい。
【0127】
図10は、図9に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ1を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0128】
この工程の間に、開口部340, 342, 344 を第3の絶縁層35で充填する。第3の絶縁層35の一部350, 352, 354 のみが図10に示されている。この絶縁層35の一部350, 352, 354 は開口部340, 342, 344 を夫々充填する。
【0129】
第3の層35の一部350, 352, 354 は、画像センサ1の同じ行に属する隣り合う光検出器を電気的に絶縁することを目的とする。実施形態によれば、第3の層35の一部350, 352, 354 は、画像センサ1によって受ける光を少なくとも部分的に吸収して、同じ行の光検出器を光学的に隔離する。第3の絶縁層を、フォトダイオードの波長(可視波長及び赤外波長)を少なくとも網羅する吸収作用を有する樹脂から形成してもよい。そのため、黒色の側面を有するこのような樹脂は「黒色樹脂」と称される。図10の例では、一部352 は、第1の光検出器12A をピクセル12の第2の光検出器12B から電気的且つ光学的に隔離する。
【0130】
第3の絶縁層35を無機材料で形成してもよく、例えば酸化ケイ素(SiO2 )又は窒化ケイ素(SiN)で形成してもよい。第3の絶縁層35を窒化ケイ素で形成する場合、この材料を、物理蒸着法(PVD)又はプラズマ化学気相成長法(PECVD)によって得ることが好ましい。
【0131】
第3の絶縁層35を、フッ素化ポリマ、特にBellexによって商品名「Cytop」として商品化されたフッ素化ポリマ、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、パリレン、ポリイミド(PI)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フォトリソグラフィ樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で形成してもよい。
【0132】
変形例として、この絶縁層35を、別の無機誘電体、特に酸化アルミニウム(Al2O3) で形成してもよい。酸化アルミニウムを原子層堆積法(ALD) によって堆積させてもよい。第3の絶縁層35の最大の厚さは50nm~2μmの範囲内であってもよく、例えば100 nm程度であってもよい。
【0133】
その後、第4の層360を、CMOS支持体3 の上面30側で構造全体に亘って堆積させる。第4の層360 は、好ましくは、光検出器を封止する前に平坦な上面を有する構造を得ることができる、いわゆる「平坦化」層である。
【0134】
第4の平坦化層360 をポリマ系の誘電体材料で形成してもよい。平坦化層360 は、変形例として、窒化ケイ素(SiN)と酸化ケイ素(SiO2 )との混合物を含んでもよく、この混合物は、スパッタリング、物理蒸着(PVD)又はプラズマ化学気相成長(PECVD)によって得られる。
【0135】
平坦化層360 を更に、フッ素化ポリマ、特にBellexによって商品名「Cytop」として商品化されたフッ素化ポリマ、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、パリレン、ポリイミド(PI)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フォトリソグラフィ樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で形成してもよい。
【0136】
図11は、図9に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ1を形成する方法の実施モードの変形例の部分的な簡略化断面図である。
【0137】
この変形例は、主に、開口部340, 342, 344 を、第3の絶縁層35の一部350, 352, 354 で夫々充填せず、好ましくは第4の層360 の材料と同一の材料で形成された層360’で充填する点で図10に関連して説明した工程とは異なる。言い換えれば、図11に示されている変形例は、第3の絶縁層35を堆積させず、第4の層360 を直接堆積させて第5の層360’を形成することになる。この場合、図10に関連して説明したように第4の層360 について挙げられた透明材料のみが第5の層360’を形成することができる。特に、第5の層360’を黒色樹脂で形成しない。
【0138】
本開示の残り部分では、図11に関連して説明された変形例が、方法の実施モードで維持されないと仮定する。しかしながら、以下の工程を、第3の層35の一部350, 352, 354 及び第4の層360 の代わりに第5の層360’を形成する場合に適用することは、以下の内容に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0139】
図12は、図10に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ1を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0140】
この工程の間に、CMOS支持体3 の上面30側で構造全体に亘って第6の層370 を堆積させる。第6の層370 は、画像センサ1の有機光検出器を封止することを目的とする。従って、第6の層370 は、水、又は周囲空気中に含まれる湿気にさらされることによる、画像センサ1の光検出器を形成する有機材料の劣化を回避することを可能にする。図12の例では、第6の層370 は、第4の平坦化層360 の自由上面全体を覆う。
【0141】
第6の層370 を、原子層堆積法(ALD)によって得られたアルミナ(Al2 3 )、物理蒸着法(PVD)によって得られた窒化ケイ素(Si3 4 )又は酸化ケイ素(SiO2 )、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって得られた窒化ケイ素で形成してもよい。変形例として、第6の層370 を、PET、PEN、COP又はCPIで形成してもよい。
【0142】
実施モードによれば、第6の層370 は、マイクロレンズを形成する前に、構造の表面状態を更に改善することを可能にする。
【0143】
図13は、図12に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ1を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0144】
この工程の間に、ピクセル12のマイクロレンズ18を、光検出器12A, 12Bと垂直に一列に形成する。図13の例では、マイクロレンズ18は、2つの光検出器12A, 12Bを隔てる開口部342 に対して実質的に中心に配置されている。言い換えれば、マイクロレンズ18は、第3の絶縁層35の一部352 (図10)に対してほとんど一列に並んでいる。このようにして、画像センサ1のピクセル12が得られる。
【0145】
対象とする材料に応じて、画像センサ1の層を形成する方法は、例えば、特にはソル-ゲル形態で所望の位置に有機層を形成する材料の直接印刷によるいわゆるアディティブ処理、例えばインクジェット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン、フレキソ印刷、スプレーコーティング又はドロップキャストによるアディティブ処理に相当してもよい。対象とする材料に応じて、画像センサの層を形成する方法は、いわゆるサブトラクティブ法に相当してもよく、この方法では、有機層を形成する材料を構造全体に堆積させ、その後、例えばフォトリソグラフィ又はレーザアブレーションによって未使用部分を除去する。対象とする材料に応じて、構造全体に亘る堆積を、例えば液相成長法、カソードスパッタリング法又は蒸着法によって行ってもよい。スピンコーティング、スプレーコーティング、ヘリオグラフィ、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、フレキソ印刷又はシルクスクリーンなどの方法を特に使用してもよい。層が金属製であるとき、金属を、例えば支持体全体に蒸着法又はカソードスパッタリング法によって堆積させ、金属層をエッチングによって画定する。
【0146】
画像センサの層の少なくとも一部を印刷技術によって形成してもよいことが有利である。前述した層の材料を、液体の形態で、例えばインクジェットプリンタにより導電性の半導体インクの形態で堆積させてもよい。ここで「液体形態の材料」とは、印刷技術により堆積可能なゲル材料を更に指す。アニール工程を異なる層の堆積間に行ってもよいが、アニール温度は150 ℃を超えないことが可能であり、堆積及び場合によってアニールを大気圧で行ってもよい。
【0147】
図14は、図1及び図2の画像センサ1の面AA(図2)に沿った部分的な簡略化断面図である。断面AAは、画像センサ1のピクセル行に平行な断面に相当する。
【0148】
図14には、画像センサ1のピクセル12, 16のみが示されている。ピクセル12, 16は、画像センサ1のピクセルの同じ行に属する。図14の例では、ピクセル12の光検出器12A, 12B及びピクセル16の光検出器16A, 16Bは互いに分離されている。従って、各光検出器は、画像センサ1の同じ行に沿って隣り合う光検出器から絶縁されている。
【0149】
図15は、図1及び図2の画像センサ1の面BB(図2)に沿った部分的な簡略化断面図である。断面BBは、画像センサ1のピクセル列に平行な断面に相当する。
【0150】
図15では、ピクセル10, 12の夫々の第1の光検出器10A, 12Aのみが見える。図15の例では、
ピクセル10の第1の光検出器10A の下部電極102Aは、ピクセル12の第1の光検出器12A の下部電極122Aから分離されており、
ピクセル10の第1の光検出器10A の活性層100A及びピクセル12の第1の光検出器12A の活性層120Aは、同じ連続堆積によって形成されており、
ピクセル10の第1の光検出器10A の上部電極104A及びピクセル12の第1の光検出器12A の上部電極124Aは、他の同じ連続堆積によって形成されている。
【0151】
言い換えれば、画像センサ1の同じピクセル列に属するピクセルの全ての第1の光検出器は、共通の活性層及び共通の上部電極を有する。従って、上部電極は、同じ列のピクセルの全ての第1の光検出器をアドレス指定することを可能にする一方、下部電極は、各第1の光検出器を個別にアドレス指定することを可能にする。
【0152】
同様に、画像センサ1の同じピクセル列に属するピクセルの全ての第2の光検出器は、これら同じピクセルの第1の光検出器の共通の活性層及び共通の上部電極と、これら同じピクセルの第1の光検出器の共通の上部電極とは別個の別の共通の上部電極とを有する。従って、この別の共通の上部電極は、同じ列のピクセルの全ての第2の光検出器をアドレス指定することを可能にする一方、下部電極は、各第2の光検出器を個別にアドレス指定することを可能にする。
【0153】
図16は、画像センサ4の別の実施形態の部分的な簡略化断面図である。
【0154】
図16に示されている画像センサ4は、図1及び図2に関連して説明した画像センサ1と同様である。画像センサ4は、主に次の点で画像センサ1とは異なる。
画像センサ4のピクセル10, 12, 14, 16は、画像センサ4の同じ行又は同じ列に属する(画像センサ1のピクセル10, 12, 14, 16(図1)は、画像センサ1の2つの異なる行及び2つの異なる列に分散している)。
画像センサ4の各ピクセル10, 12, 14, 16は、マイクロレンズ18の下であってパッシベーション層43の上にカラーフィルタ41R 、カラーフィルタ41G 又はカラーフィルタ41B を有している。言い換えれば、図1の正方形に配置された4つの単色ピクセル10, 12, 14, 16は、図16では並べて配置されている。
【0155】
より具体的には、図16の例では、画像センサ4は、
ピクセル10のマイクロレンズ18とパッシベーション層43との間に介在する第1の緑色フィルタ41G 、
ピクセル12のマイクロレンズ18とパッシベーション層43との間に介在する赤色フィルタ41R 、
ピクセル14のマイクロレンズ18とパッシベーション層43との間に介在する第2の緑色フィルタ41G 、及び
ピクセル16のマイクロレンズ18とパッシベーション層43との間に介在する青色フィルタ41B
を備えている。
【0156】
この実施形態によれば、画像センサ4のカラーフィルタ41R, 41G, 41B は、可視スペクトルとは異なる周波数範囲の電磁波を通し、赤外線スペクトルの電磁波を通す。カラーフィルタ41R, 41G, 41B は着色樹脂ブロックに相当してもよい。各カラーフィルタ41R, 41G, 41B は、例えば700 nmから1mmの間の波長の赤外放射を通すことができ、カラーフィルタの少なくとも一部では可視光の波長範囲を通すことができる。
【0157】
取得するカラー画像のピクセル毎に、画像センサ4は、
赤外放射及び例えば430 nmから490 nmの波長範囲の青色光を通すことができるカラーフィルタ41B を有する少なくとも1つのピクセル(例えば、ピクセル16)、
赤外放射及び例えば510 nmから570 nmの波長範囲の緑色光を通すことができるカラーフィルタ41G を有する少なくとも1つのピクセル(例えば、ピクセル10及びピクセル14)、並びに
赤外放射及び例えば600 nmから720 nmの波長範囲の赤色光を通すことができるカラーフィルタ41R を有する少なくとも1つのピクセル(例えば、ピクセル12)
を備えてもよい。
【0158】
図1及び図2に関連して説明した画像センサ1と同様に、画像センサ4の各ピクセル10, 12, 14, 16は第1の光検出器及び第2の光検出器を有している。従って、各ピクセルは2つの光検出器を有し、夫々が図16に同じブロック(OPD) で非常に概略的に示されている。より具体的には、図16では、
ピクセル10は、2つの有機光検出器(ブロック90、OPD )を有しており、
ピクセル12は、2つの有機光検出器(ブロック92、OPD )を有しており、
ピクセル14は、2つの有機光検出器(ブロック94、OPD )を有しており、
ピクセル16は、2つの有機光検出器(ブロック96、OPD )を有している。
【0159】
各ピクセル10, 12, 14, 16の光検出器は同一平面上にあり、図3に関連して説明されているように読み出し回路に夫々関連付けられている。読み出し回路は、CMOS支持体3の最上部及び内部に形成されている。従って、画像センサ4は、例えば、赤外線画像の取り込み及びカラー画像の取り込みで飛行時間距離推定を交互に実行することができる。
【0160】
様々な実施形態、実施モード及び変形例が述べられている。当業者は、これらの様々な実施形態、実施モード及び変形例のある特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に想起される。
【0161】
最後に、記載されている実施形態、実施モード及び変形例の実際の実施は、上述されている機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。特に、例えば、追加光を伴う又は伴わない赤外画像の形成、バックグラウンド抑制を伴う画像の形成、及びハイダイナミックレンジ画像の形成(同時HDR)のために画像センサ1及び画像センサ4の読み出し回路の駆動を他の動作モードに適合させることは、上記の表示に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0162】
本特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる仏国特許出願第19/08251 号明細書の優先権を主張する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】