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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】電子注入層を堆積する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/42 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
H01L31/08 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503879
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2020069179
(87)【国際公開番号】W WO2021013537
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】1908248
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2003198
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】フラメイン,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】レボーニュ,ミレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】テスタール,エロディ
(72)【発明者】
【氏名】ギルマード,デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
5F849
【Fターム(参考)】
5F849AA03
5F849AB11
5F849BA28
5F849BB03
5F849CB05
5F849CB14
5F849CB20
5F849EA03
5F849FA02
5F849FA03
5F849FA04
5F849FA05
5F849GA02
5F849XA02
5F849XA54
5F849XA63
(57)【要約】
本開示は、スロットダイコーティングデバイスによるインクボリューム(13)の堆積、第1の乾燥、および第2の乾燥の各ステップを含んでおり、基板(11’)上にインク(13)から層(131)を形成する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(11’)上にインク(13)から層(134)を形成する方法であって、
スロットダイコーティングデバイスによるインクボリューム(13)の堆積、
第1の乾燥、および
第2の乾燥
の各ステップを備える、方法。
【請求項2】
前記基板(11’)は電極(11)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の乾燥は、真空チャンバ内で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記堆積ステップの前に、大気圧プラズマによる、真空プラズマによる、反応性イオンエッチングによる、またはコロナ処理による、前記基板(11’)の表面処理のステップを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記インク(13)は、溶媒およびポリマーを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒は、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、およびジメチルスルホキシドから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーは、ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、パーフルオロアントラセン、および1つまたは複数の共役チオールから選択される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーは、0.001%から0.1%の範囲、好ましくは0.01%から0.04%の範囲の前記インク(13)中の体積濃度を有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーは、1kg/molから1,000kg/molの範囲、好ましくは20kg/molから200kg/molの範囲のモル質量を有する、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記層(131)は、前記堆積ステップの終わりに、7μmから45μmの範囲のウェットと呼ばれる厚さを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記層(134)は、前記第2の乾燥の終わりに、1nmから3nmの範囲、好ましくは約1.5nmに等しい、ドライと呼ばれる厚さを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、光電子部品用のインク、より具体的には、そのようなインクの堆積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンイミン(PEI)およびエトキシル化ポリエチレンイミン(PEIE)からなるインクは、特に画像センサで、より具体的にはそのようなセンサの電極の表面で、前記電極の仕事関数を変更するために特に使用される。
【発明の概要】
【0003】
PEIまたはPEIEからなるインクの溶液、より具体的には、そのような溶液から層を形成する方法を改善する必要がある。
【0004】
一実施形態は、既知の方法の欠点の全部または一部を克服する。
【0005】
一実施形態は、基板(11’)上にインク(13)から層(134)を形成する方法であって、
スロットダイコーティングデバイスによるインクボリューム(13)の堆積、
第1の乾燥、および
第2の乾燥
の各ステップを備える、方法を提供する。
【0006】
一実施形態によれば、基板は電極である。
【0007】
一実施形態によれば、第1の乾燥は、真空チャンバ内で行われる。
【0008】
一実施形態によれば、方法は、堆積ステップの前に、大気圧プラズマによる、真空プラズマによる、反応性イオンエッチングによる、またはコロナ処理による、基板の表面処理のステップを備える。
【0009】
一実施形態によれば、インクは、溶媒およびポリマーを備える。
【0010】
一実施形態によれば、溶媒は、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、およびジメチルスルホキシドから選択される。
【0011】
一実施形態によれば、ポリマーは、ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、パーフルオロアントラセン、および1つまたは複数の共役チオールから選択される。
【0012】
一実施形態によれば、ポリマーは、0.001%から0.1%の範囲、好ましくは0.01%から0.04%の範囲のインク中の体積濃度を有する。
【0013】
一実施形態によれば、ポリマーは、1kg/molから1,000kg/molの範囲、好ましくは20kg/molから200kg/molの範囲のモル質量を有する。
【0014】
一実施形態によれば、層は、堆積ステップの終わりに、7μmから45μmの範囲のウェットと呼ばれる厚さを有する。
【0015】
一実施形態によれば、層は、第2の乾燥の終わりに、1nmから3nmの範囲、好ましくは約1.5nmに等しい、ドライと呼ばれる厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の前述および他の特徴および利点は、添付の図面に関連する特定の実施形態の以下の非限定的な説明において詳細に論じられる。
【0017】
図1】部分的簡略化断面図であり、透明電極を有するユーザインターフェースデバイスの例を示す。
図2】部分的簡略化断面図であり、層形成方法の実装モードのステップを示す。
図3】部分的簡略化断面図であり、層形成方法の実装モードの別のステップを示す。
図4】部分的簡略化断面図であり、層形成方法の実装モードのさらに別のステップを示す。
図5】部分的簡略化断面図であり、層形成方法の実装モードのさらに別のステップを示す。
図6】部分的簡略化断面図であり、層形成方法の実装モードのさらに別のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
同様の特徴は、様々な図において同様の参照符号によって指定されている。特に、異なる実施形態および実装モードで共通である構造的および/または機能的要素は、同じ参照符号で指定され得、同一の構造的、寸法的および材料的特性を有し得る。
【0019】
明確にするために、本明細書に記載の実施形態を理解する際に有用なステップおよび要素のみが図示され、詳細に説明されている。
【0020】
特に明記しない限り、一緒に接続された2つの要素と言及する場合、これは、導体以外のいかなる中間要素も伴わない直接接続を意味し、一緒に結合された2つの要素と言及する場合、これは、これらの2つの要素を接続できること、または、それらが1つ以上の他の要素を介して結合できることを意味する。
【0021】
以下の開示において、用語「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」等などの絶対位置を述べる用語、または、用語「の上」、「の下」、「上方」、「下方」等などの相対位置を述べる用語、または、「水平」、「垂直」等などの方向を述べる用語に言及する場合、特に明記されていない限り、図面に示された向きへの参照がなされる。
【0022】
特に明記しない限り、「およそ」、「約」、「実質的に」および「のオーダーで」という表現は、10%以内、好ましくは5%以内を意味する。
【0023】
以下の説明では、特に明記しない限り、層またはフィルムを通る放射の透過率が10%未満の場合、層またはフィルムは放射に対して不透明と呼ばれる。本開示の残りの部分において、層またはフィルムを通る放射の透過率が10%よりも大きく、好ましくは50%よりも大きい場合に、層またはフィルムは放射に対して透明と呼ばれる。一実施形態によれば、同じ光学系について、放射に対して不透明である光学系のすべての要素は、前記放射に対して透明である光学系の要素の最低透過率の半分よりも小さい、好ましくは5分の1よりも小さい、より好ましくは10分の1よりも小さい透過率を有する。本開示の残りの部分において、「有用な放射」という用語は、動作中に光学系を横切る電磁放射を指す。
【0024】
図1は、透明電極を伴うユーザインターフェースデバイス1の実施形態の部分的簡略化断面図を示す。
【0025】
デバイス1は、光検出器21(光検出器は図1にて点線でシンボル化されている)と呼ばれる光子センサのアレイを備え、好ましくは作動部材、例えば指23の影または画像の変化を検出することができる。光検出器21は、例えばガラスまたはプラスチックの透明または半透明の誘電体材料で製造された基板25上に形成される。
【0026】
一実施形態によれば、基板25は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を備える読み出し回路のアレイである。
【0027】
各光検出器21は、下から上に、
例えばインジウムスズ酸化物、ガリウム亜鉛酸化物、スズ酸化物、フッ素スズ酸化物(FTO)、亜鉛酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、インジウムカドミウム酸化物、窒化チタンTiN、インジウムスズ酸化物(ITO)などのTCO(透明導電性酸化物)材料、
例えば金、銀、鉛、パラジウム、銅、ニッケル、タングステン、またはクロムなどの金属、
炭素、銀、または銅のナノワイヤ、
グラフェン、または
これらの材料のうちの2つ以上の混合物で製造された不透明または透明な電極11と、
図2から図6に関連して説明される方法に従ってインクから得られる電子注入層EIL134と
有機材料で製造された活性層27と、
高濃度ドープ有機半導体ポリマー、例えばPEDOT:PSSとして知られるポリマーで製造された正孔注入層29(HIL)と、
PEDOT:PSSタイプのポリマー、または例えばITO(インジウムスズ酸化物)などのTCOで製造される、すべての光検出器に共通のカソードを形成する電極31と
を備える積層構成を有する。
活性層27は、両極性半導体材料、すなわち、例えば積み重ねられた層の形態でのN型半導体材料とP型半導体材料との混合物、またはバルクヘテロ接合を形成するためのナノメートルスケールの密接な混合物を備え得る。活性層27の厚さは、50nmから2μmの範囲、例えば200nmのオーダーであり得る。
【0028】
活性層27を形成することができるP型半導体ポリマーの例は、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[N-9’-ヘプタデカニル-2,7-カルバゾール-alt-5,5-(4,7-ジ-2-チエニル-2’、1’、3’-ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,8-ビス-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4、5-b’]ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン))-2,6-ジイル](PBDTTT-C)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](MEH-PPV)、またはポリ[2,6-(4,4-ビス-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b’]ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)である。
【0029】
活性層27を形成することができるN型半導体材料の例は、フラーレン、特にC60、[6,6]-フェニル-C61-メチルブタノエート([60]PCBM)、および[6,6]-フェニル-C71-メチルブタノエート([70]PCBM)である。
【0030】
光検出器21の光活性層27は、ここでは、カプセル化層33を通って、ならびに電極31および正孔注入層29を通って照射されることが意図されている。光放射は、矢印35によって概略的に表されている。
【0031】
正孔注入層29は、例えば、図示されていないフォトリソグラフィステップ中に構造化され得る。
【0032】
光検出器21のアレイは、パッシブアレイまたはアクティブアレイであり得る。パッシブアレイの場合、透明な電極31は、平行な直線状のストリップに対応し得、各ストリップは、同じ列のすべての光検出器21に接続され得る。アクティブアレイの場合、透明な電極31は、アレイのすべての光検出器21と接触している連続層に対応し得る。変形例として、透明な電極31は、互いに分離され得、光検出器21は、この場合、互いに独立している。
【0033】
図2図6は、電極11の表面に層134を形成する方法の実装モードのステップを示す。より一般的には、図2図6は、例えば電極とは異なり得る基板11’の表面に層134を形成する方法の実装モードのステップを示す。
【0034】
図2は、部分的簡略化断面図であり、層134を形成する方法の実装モードのステップを示す。
【0035】
より具体的には、図2は方法の初期構造を示す。初期構造は、基板11’(例えば、図1の電極11)を備える。
【0036】
一実施形態によれば、基板11’は、亜鉛酸化物ZnO、インジウムスズ酸化物ITO、亜鉛スズ酸化物ZTO、アルミニウム亜鉛酸化物AZO、チタン酸化物TiO、モリブデン酸化物MoO、ニッケル酸化物NiO、クロム酸化物CrO、銅酸化物CuO、コバルト酸化物CoO、鉄酸化物FeO、マンガン酸化物MnO、またはこれらの酸化物のうちの少なくとも2つの混合物から選択される金属酸化物で製造される。
【0037】
一実施形態によれば、基板11’は、金、銅、銀、モリブデン-タンタル、モリブデン-銅というリストから選択される金属または金属合金で製造される。
【0038】
一実施形態によれば、基板11’は、セラミック材料、すなわち、例えば炭化チタン(TiC)などの炭化物、ホウ化物、窒化チタン(TiN)、窒化アルミニウム(AlN)などの窒化物などで製造される。
【0039】
一実施形態によれば、基板11’、より具体的には基板11’の表面は、最初に大気圧にてプラズマで処理される。
【0040】
プラズマ処理は、例えば、基板11’の表面を親水性にするために使用される。プラズマ処理はさらに、基板11’の表面を官能化して(ヒドロキシル官能およびカルボニル官能の出現を引き起こす)、基板11’の表面エネルギーを増加させるために使用される。
【0041】
変形例として、基板11’の表面は、真空プラズマ、反応性イオンエッチング(RIE)、またはコロナ処理に供される。
【0042】
図3は、部分的簡略化断面図であり、層134を形成する方法の実装モードの別のステップを示す。
【0043】
より具体的には、図3は、層131を形成するために、基板11’の表面に溶液すなわちインク13のボリュームを堆積させるステップを示す。
【0044】
溶液13は、好ましくは、ポリマーおよび溶媒から製剤および製造される。
【0045】
溶液13の組成に使用される溶媒は、好ましくは、ポリマーを均一に溶解または分散させることができる溶媒である。
【0046】
溶媒は、例えば、約110℃を超える沸点を有する溶媒である。溶媒は、好ましくは、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはこれらの溶媒の組み合わせである。
【0047】
ポリマーは、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、エトキシル化ポリエチレンイミン(PEIE)、共役チオール、またはパーフルオロアントラセンの中から選択される。
【0048】
ポリマーは好ましくはポリエチレンイミンである。
【0049】
ポリマーは、例えば1kg/molから1,000kg/molの範囲、好ましくは20kg/molから200kg/molの範囲のモル質量を有する。
【0050】
ポリマーのモル質量は、例えば、光散乱検出器に特に結合されたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定される。この手法は、分子、ここではポリマーを、それらを異なるカラムにポンプで送ることにより、それらのサイズに従って分離することを備える。非常に小さな角度で散乱された光により、重量平均分子量を知ることができる。本開示で使用されるモル質量は、重量平均モル質量である。
【0051】
一実施形態によれば、ポリマーは、溶液13中で、0.001%から0.1%の範囲、好ましくは0.01%から0.04%の範囲の体積濃度を有する。
【0052】
溶液13の堆積は、スロットダイコーティングデバイスを用いて行われる。
【0053】
スロットダイコーティングデバイスは、所与の表面上に均一な溶液を送達することを備える。それは、特にスロット151を備えたヘッド15から構成される。
【0054】
溶液またはコーティング材料は、ヘッドのスロットを横切った後、前記表面に堆積される。基板は一般に、好ましくは直線的に動かされ始め、それにより、溶液は、選択された領域全体に堆積される。
【0055】
スロットダイコーティングデバイスは、
スロット内の溶液の流量を測定するためのサブシステム、
前記表面に対してヘッドを配置するためのサブシステム、
前記表面の全幅にわたって溶液の均一な分配を提供する分配サブシステム、および
基板の動きを決定するためのサブシステム
という一般に4つのサブシステムを備える。
【0056】
これらのサブシステムは相互作用して、均一なコーティングまたは層を形成することとなる。したがって、堆積された層の厚さは、ヘッドのスロットに対する前記表面の速度、および、溶液が分配される流量、すなわちヘッドのスロットを通る溶液の速度の関数である。
【0057】
図3に示される実施形態によれば、層131の堆積はフルプレートで行われる。すなわち、層131は、基板11’の上面全体を覆う。
【0058】
図1の適用例では、これは、下地層をエッチングして電極11を画定する前に、下地層を形成する材料上にインク13が堆積されることを意味する。
【0059】
このステップの間に、ポリマーは、ポリマーによる物理吸着または化学吸着によって、基板11’の表面に吸着し、単分子副層を形成する。溶媒は、1つまたは複数の連続する副層に堆積する。
【0060】
例として、PEIEおよびPEIは、基板11’の表面に物理吸着メカニズムを生成し、パーフルオロアントラセンおよび共役チオールは化学吸着メカニズムを生成する。
【0061】
一実施形態によれば、基板11’に対するヘッド15の変位速度は、約70mm/秒に等しい。
【0062】
一実施形態によれば、スロット151の出口での溶液13の流量は、約300μL/秒に等しい。
【0063】
図3に示されるステップの終わりに、ポリマーおよび溶媒で製造される層131は、基板11’の表面全体にウェットと呼ばれる実質的に一定の厚さAを有する。
【0064】
厚さAは、例えば7μmから45μmの範囲の値に等しい。
【0065】
図4は、部分的簡略化断面図であり、層134を形成する方法の実装モードのさらに別のステップを示す。
【0066】
より具体的には、図4は、図2および図3のステップの終わりに得られた構造を有する層131に存在する溶媒を部分的に蒸発させることができる第1の乾燥ステップを示し、これは蒸気17によって図4に示される。図4に示されるステップはさらに、ポリマーを基板11’の表面に固定することを可能にする。
【0067】
図4に示される構造は、基板11’と、図3の層131に由来する層132とを備える。層132は、図4に示されるステップ中にその組成が変化する層である。
【0068】
図4に示されるステップの開始時に、層132は層131に対応する。
【0069】
図4に示されるステップの間に、層132に存在する溶媒が蒸発すると、層132の組成の溶媒含有量が減少する。このステップの間に、層132の組成の溶媒含有量は、数十パーセント減少する。
【0070】
図4に示されるステップの終わりにおいて、層132の組成中の溶媒含有量は、例えば10%未満、好ましくは5%未満である。第1の乾燥の終わりでの層132の組成中の溶媒含有量は、より好ましくは1%未満である。
【0071】
第1の乾燥の終わりに、層132の厚さは、図3に示される層131の厚さよりもはるかに薄い。したがって層132は、例えば数ナノメートルから数十ナノメートルの範囲の厚さを有する。
【0072】
第1の乾燥は真空チャンバ(VCD)内で行われる。乾燥は例えば、約2分の持続時間を有する。
【0073】
このステップの間、チャンバは加熱されてもされなくともよい。
【0074】
図3および図4のステップは、好ましくは連続している。2つのステップの間の時間は、例えば10秒から20秒の範囲である。
【0075】
図5は、部分的簡略化断面図であり、層134を形成する方法の実装モードのさらに別のステップを示す。
【0076】
より具体的には、図5は、図2から図4のステップの終わりに得られた構造を有する層132に存在する溶媒の蒸発を継続することを可能にする第2の乾燥ステップを示す。
【0077】
第2の乾燥は例えば、炉19内で、例えば50℃から200℃の範囲、好ましくは50℃から150℃の範囲の温度で行われる。第2の乾燥の温度は、より好ましくは約100℃に等しい。
【0078】
第2の乾燥は、例えば1分から120分の範囲、好ましくは5分から20分の範囲の持続時間を有する。第2の乾燥の持続時間は、より好ましくは約10分に等しい。
【0079】
図5に示される構造は、基板11’と、図4の層132に由来する層133とを備える。層133は、図5に示されるステップ中にその組成が変化する層である。
【0080】
図5に示されるステップの開始時に、層133は層132に対応する。
【0081】
図5に示されるステップの間、層133に存在する溶媒の蒸発の継続は、層133の組成中の溶媒含有量の減少を生じる。このステップの間、層133の組成中の溶媒含有量は数パーセント減少する。
【0082】
第1の乾燥の終わりに、層133の組成中の溶媒含有量は、例えば1%未満、好ましくは0.1%未満である。第2の乾燥の終わりでの層133の組成中の溶媒含有量は、より好ましくは0.01%未満である。
【0083】
図6は、部分的簡略化断面図であり、層134を形成する方法の実装モードのさらに別のステップを示す。
【0084】
より具体的には、図6は、図2から図5のステップの終わりに得られた最終的な構造を示す。
【0085】
図6に示される構造は、基板11’と、図5の層133に由来する層134とを備える。層134は、図5に示されるステップの終わりでの層133に対応する。
【0086】
ポリマーと溶媒トレースとからなる層134は、基板11’全体にわたってほぼ均一な、好ましくは均一な、ドライと呼ばれる厚さBを有する。
【0087】
層134の厚さBは、例えば0.5nmから10nmの範囲の値に等しい。層134の厚さBは、好ましくは1nmから3nmの範囲である。好ましくは、基板11’全体にわたる層134の厚さの変化は、0.3nm未満であり、好ましくは、0.1nm未満である。
【0088】
記載された実施形態および実装モードの利点は、例えばセンサの電極などの基板11’上のポリマー堆積物(好ましい実施形態ではPEIまたはPEIE)の厚さの制御である。
【0089】
記載された実施形態および実装モードの別の利点は、それらが非常に薄い層を形成することを可能にし、それがセンサの性能向上を可能にすることである。
【0090】
記載された実施形態および実装モードのさらに別の利点は、それらが、基板の表面全体にわたる層厚均一性(10分の1ナノメートルのオーダー)の提供を可能にすることである。
【0091】
記載された実施形態および実装モードのさらに別の利点は、それらが、ある堆積から別の堆積への厚さの再現性の保証を可能にすることである。実際、所与のパラメータ(溶液の流量および基板の変位速度)について、厚さは、堆積中または次の堆積中、実質的に同じである。
【0092】
様々な実施形態および変更が記載されている。当業者は、これらの実施形態の特定の特徴を組み合わせることができ、他の変形例が当業者に容易に生じることを理解する。特に、記載された実施形態および実装モードは、例えば、上記の寸法および材料の例に限定されない。
【0093】
最後に、記載された実施形態および変形例の実際の実装は、上記で与えられた機能的指示に基づく当業者の能力の範囲内である。
【0094】
本特許出願は、参照により本明細書に組み込まれるフランス特許出願FR20/03198号の優先権を主張する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】