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特表2022-5413222型真性糖尿病及び中等度の腎障害を有する患者の治療に対するソタグリフロジンの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】2型真性糖尿病及び中等度の腎障害を有する患者の治療に対するソタグリフロジンの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7004 20060101AFI20220914BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
A61K31/7004
A61P3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504622
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 IB2020057016
(87)【国際公開番号】W WO2021014420
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】19188477.4
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508192566
【氏名又は名称】レクシコン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブレグマン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ハリリ アリ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA10
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、2型真性糖尿病及び中等度の腎障害を有する患者におけるソタグリフロジンの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2型真性糖尿病及び中等度の腎障害を有する患者において血糖コントロールを改善するための、400mgの用量のソタグリフロジンの使用。
【請求項2】
2型真性糖尿病及びCKD3を有する患者における、請求項1に記載の400mgの用量のソタグリフロジンの使用。
【請求項3】
2型真性糖尿病及びCKD3aを有する患者における、請求項1又は2に記載の400mgの用量のソタグリフロジンの使用。
【請求項4】
前記患者が十分な血糖コントロールを達成できていない、請求項1~3のいずれか一項に記載の400mgの用量のソタグリフロジンの使用。
【請求項5】
2型真性糖尿病及びCKD3を有する成人において血糖コントロールを改善するためのインスリン又はメトホルミン療法の補助剤としての、請求項1~4のいずれか一項に記載の400mgの用量のソタグリフロジンの使用。
【請求項6】
2型真性糖尿病及びCKD3aを有する成人において血糖コントロールを改善するためのインスリン又はメトホルミン療法の補助剤としての、請求項1~5のいずれか一項に記載の400mgの用量のソタグリフロジンの使用。
【請求項7】
前記患者が最適なインスリン療法にもかかわらず十分な血糖コントロールを達成できていない、請求項5又は6に記載の400mgの用量のソタグリフロジンの使用。
【請求項8】
ソタグリフロジンが1日1回投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の400mgの用量のソタグリフロジンの使用。
【請求項9】
ソタグリフロジンが1日の最初の食事の前に投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の400mgの用量のソタグリフロジンの使用。
【請求項10】
2型糖尿病を治療する方法であって、それを必要とする患者に、400mgの1日用量のソタグリフロジンを投与することを含み、前記患者が2型糖尿病及びCKD3を有する、方法。
【請求項11】
血糖コントロールを改善する方法であって、それを必要とする患者に、400mgの1日用量のソタグリフロジンを投与することを含み、前記患者が2型糖尿病及びCKD3を有する、方法。
【請求項12】
A1Cを改善する方法であって、それを必要とする患者に、400mgの有効1日用量のソタグリフロジンを投与することを含み、前記患者が2型糖尿病及びCKD3を有する、方法。
【請求項13】
ソタグリフロジンがインスリン又はメトホルミン療法の補助剤として投与される、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
最適なインスリン療法にもかかわらず、十分な血糖コントロールを達成できていない患者において、ソタグリフロジン投与を開始する、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
CKD3を有する患者における2型糖尿病の治療用の400mgの用量のソタグリフロジン。
【請求項16】
2型糖尿病及びCKD3を有する患者において血糖コントロールを改善するための治療用の400mgの用量のソタグリフロジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2型真性糖尿病及び中等度の腎障害を有する患者の治療に対するソタグリフロジンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、ソタグリフロジンは、ナトリウムグルコース共輸送体タイプ1及び2の二重阻害剤である(SGLT1及びSGLT2)。
【0003】
ソタグリフロジンは、下記式を有する:
【化1】
【0004】
ソタグリフロジンは、インスリン抵抗性の増加とベータ細胞機能障害との組合せから生じる高血糖を特徴とする代謝障害である2型糖尿病(T2D又は2型真性糖尿病)での使用に対して開発されている。
【0005】
最新の国際糖尿病連合糖尿病アトラス(International Diabetes Federation Diabetes Atlas)によると、2015年の推定値は、成人の11人に1人が糖尿病を患っており、これは4億1500万人を意味し、2040年までに6億4200万人に上ると推定されている。
【0006】
世界保健機関によると、欧州地域には約6000万人の糖尿病患者がおり、すなわち25歳以上の男性の約10.3%及び女性の9.6%にあたる。
【0007】
これらの数字にはT2Dと1型糖尿病(T1D)の両方の人々が含まれるが、糖尿病を有する成人の90%超がT2Dを有している。糖尿病は疾患による死亡の主な原因の一つであり、心疾患、脳卒中、失明、腎疾患、及び肢切断の主な原因である。糖尿病患者の人口が増加しているという事実にもかかわらず、現在の治療法はいずれも根治療法ではなく、治療結果は変わりやすい。
【0008】
特に、利用可能な治療選択肢が数多くあるにもかかわらず、単剤療法は、ベータ細胞機能が悪化し続け、高血糖の漸進的増加を招くことから、多くの患者において失敗する。
【0009】
現在利用可能な薬剤による血糖コントロールは、しばしば副作用、特に注目すべきは体重増加及び低血糖頻度の増加をもたらす。これらの懸念は、糖尿病患者においてグルコースレベルを効果的で安全に制御する新たな薬剤を開発する必要性を強調する。
【0010】
血糖の測定は血糖コントロールの評定に不可欠であるが、血糖値には日内変動がある。長期血糖コントロールの指標が必要である。糖化ヘモグロビン(HbA1c又はA1C)HbA1cは、過去8週間~12週間の平均血漿グルコースを反映することから、血糖コントロールの評定のための最も基準となる測定である(非特許文献1)。
【0011】
多くの場合、糖尿病は血糖コントロール不良に関係するだけでなく、様々な合併症も伴う。特に、糖尿病の微小血管合併症は良く知られており、腎機能障害、網膜症及び神経障害を生じる可能性があり、また大血管合併症は冠状動脈疾患、肢切断及び脳卒中をもたらす。
【0012】
特に、糖尿病性腎症は、糖尿病を有する患者における血糖コントロール不良の確立された合併症である。特に、進行性腎不全に直面している糖尿病の進行期間及びT2Dの治療中には、糖尿病性腎症は、医療提供者にとって特別な課題となる。T2DM患者の推定10%~36%は何らの腎障害を有し、慢性腎疾患(CKD)は糖尿病患者のおよそ40%に存在する。
【0013】
CKDは、eGFR(推定糸球体濾過率)レベルに応じて、5段階に分類される。
ステージ1は、90以上のGFR(mL/分/1.73m)を伴う正常な腎機能を持つ腎臓の損傷に相当し、
ステージ2は、腎臓機能の軽度の低下及び60~89のGFRを伴う腎臓の損傷に相当し、
ステージ3は、30~59のGFRを伴う腎機能の中等度の低下に相当し、ステージ3内で2つのステージが区別され、
ステージ3aは、45~60のGFRを伴う軽度から中等度の腎機能の低下に相当し、
ステージ3bは、40~45のGFRを伴う中等度から重度の腎機能の喪失に相当し、
ステージ4はGFRの大幅な減少(GFR15~29)に相当し、
ステージ5は、15未満のGFRを伴う腎不全に相当する。
【0014】
多くの抗糖尿病薬の使用は、スルホニル尿素、メトホルミン及びインクレチンベースのインスリン分泌促進物質を含むT2Dを治療するために使用される多くの薬剤が、腎不全の臨床背景では、もはや使用することができないか、又は注意して投薬されなければならないことから、腎障害を有する患者では制限されている。
【0015】
したがって、腎障害患者において血糖コントロールを改善する糖尿病治療のニーズは満たされていない。
【0016】
第II相試験において、ソタグリフロジンは、特にA1Cの減少を達成することにより、2型糖尿病患者において血糖コントロールを有意に改善する能力が実証されている(非特許文献2)。
【0017】
現在、ソタグリフロジンは、2型真性糖尿病及び腎障害、特に中等度の腎障害を有する成人における血糖コントロールを改善することが実証されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2008/10959号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Rinsho Byori. 2014 Jan;62(1):45-52
【非特許文献2】Lapuerta et al., Diabetes & Vascular Disease Research 2015, Vol. 12(2) 101-110
【発明の概要】
【0020】
したがって、以下に記載される主題は、2型真性糖尿病及び腎障害、特に中等度の腎障害を有する患者において血糖コントロールを改善するためのソタグリフロジン、特に400mgの用量のソタグリフロジンの使用に関する。
【0021】
特に、この主題は、2型真性糖尿病及びCKD3、特にCKD3aを有する患者におけるソタグリフロジン、特に400mgの用量のソタグリフロジンの使用に関する。
【0022】
特に、本明細書に記載する主題は、上記患者が十分な血糖コントロールを達成できていない場合のソタグリフロジン、特に400mgの用量のソタグリフロジンの使用である。
【0023】
特に、本明細書に記載する主題は、上記患者の血糖コントロールが不十分である場合の400mgの用量のソタグリフロジンの使用である。
【0024】
本明細書に記載する別の主題は、2型真性糖尿病及びCKD3、特にCKD3aを有する成人において血糖コントロールを改善するためのインスリン又はメトホルミン療法の補助剤としての、400mgの用量のソタグリフロジンの使用である。
【0025】
一態様において、上記患者は、最適なインスリン療法にもかかわらず十分な血糖コントロールを達成できていない。
【0026】
本明細書に記載する別の主題は、ソタグリフロジンが1日1回投与される、400mgの用量のソタグリフロジンの使用である。
【0027】
本明細書に記載する別の主題は、ソタグリフロジンが1日の最初の食事の前に投与される、400mgの用量のソタグリフロジンの使用である。
【0028】
本明細書に記載する別の主題は、2型糖尿病を治療する方法であって、それを必要とする患者に、400mgの1日用量のソタグリフロジンを投与することを含み、上記患者が2型糖尿病及び腎障害、特にCKD3、より詳しくはCKD3aを有する、方法である。
【0029】
本明細書に記載する別の主題は、血糖コントロールを改善する方法であって、それを必要とする患者に、400mgの1日用量のソタグリフロジンを投与することを含み、上記患者が2型糖尿病及び腎障害、特にCKD3、より詳しくはCKD3aを有する、方法である。
【0030】
本明細書に記載する別の主題は、A1Cを改善する方法であって、それを必要とする患者に、400mgの有効1日用量のソタグリフロジンを投与することを含み、上記患者が2型糖尿病及び腎障害、特にCKD3、より詳しくはCKD3aを有する、方法である。
【0031】
一態様において、ソタグリフロジンは、インスリン又はメトホルミン療法の補助剤として投与される。
【0032】
本明細書に記載する別の主題は、最適なインスリン療法にもかかわらず、十分な血糖コントロールを達成できていない患者において、ソタグリフロジン投与を開始する、いずれか1つに記載の方法である。
【0033】
本明細書で記載する別の主題は、腎障害、特にCKD3、より詳しくはCKD3aを有する患者における2型糖尿病の治療用の400mgの用量のソタグリフロジンである。
【0034】
本明細書に記載する別の主題は、2型糖尿病、腎障害、特にCKD3、より詳しくはCKD3aを有する患者において血糖コントロールを改善するための治療用の400mgの用量のソタグリフロジンである。
【0035】
別の態様において、400mgの投与量のソタグリフロジンは、200mg錠剤の2倍として投与される。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0036】
実施例1:
インスリン療法による血糖コントロールが不十分な1型真性糖尿病の成人患者における補助療法としてのソタグリフロジンのプラセボに対する有効性を、3つの治療群(ソタグリフロジン200mgの1日用量で治療した群、ソタグリフロジン400mgの1日用量で治療した群、及びプラセボで治療した群)の患者において無作為割り当て(random distribution)による多施設二重盲検臨床で評価した。
【0037】
この研究は北米で行われた。
【0038】
I.患者の選択
選択された患者は、T2D(薬物ナイーブ又は抗糖尿病療法中)を有する成人患者であり、30mL/分/1.73m以上かつ60mL/分/1.73m未満(CKD3A、3B)のeGFR(4変数の腎疾患における食事の修飾[MDRD](the 4 variable Modification of Diet in Renal Disease)式に基づく)によって定義される中等度の腎不全を記録した。
【0039】
患者は、研究の間インスリン(複数の場合もある)又はインスリンアナログ(複数の場合もある)による治療を継続した。
【0040】
患者の募集は、以下の組み入れ基準を考慮して実施された。
【0041】
組み入れ基準
T2Dを有し(薬物ナイーブ又は抗糖尿病療法中)、30mL/分/1.73m以上かつ60mL/分/1.73m未満(CKD3A、3B)のeGFR(4変数MDRD式に基づく)によって定義される中等度の腎不全を記録した患者。
患者から、現地の規制に従って研究に参加するための書面によるインフォームドコンセントを得た。
【0042】
除外基準:
1)研究方法論に関する除外基準
スクリーニングの時点で年齢が18歳又は法定成人年齢のいずれか大きい方に満たないこと。
スクリーニング時の肥満度指数(BMI)が20kg/m以下又は45kg/m超。
スクリーニング訪問前90日以内の10日を超える連続した全身性グルココルチコイド(局所、関節内、又は眼科用途、鼻スプレー若しくは吸入形態を除く)の使用。
スクリーニング前12週間以内の減量薬の使用、又はスクリーニング前12週間の5キロ以上の体重変化。
研究期間中に、研究プロトコルで許可されていない薬物(例えば、長期全身性グルココルチコイド)による治療を必要とし、代替治療を拒否しているか又はそれを受けることができない可能性。
ソタグリフロジンの臨床試験に過去に参加したことがある患者。
重度の貧血、重度のCV(鬱血性心不全、ニューヨーク心臓協会によるIV度を含む)、呼吸器の、肝臓の、神経学的、精神医学的若しくは活動性の悪性腫瘍若しくは他の主要な全身性疾患を有する患者、又は研究員により、プロトコルの実施若しくは研究結果の解釈を困難にするとされる平均余命が短い患者。
慢性肝炎、B型肝炎表面抗原陽性、C型肝炎抗体陽性、及び/又は治療を必要とする他の臨床的に活動性の肝疾患の現在の診断。
HbA1c評定の信頼性を損なう中央検査機関のHbA1c測定を妨げる因子(例えば、遺伝的Hb変異体)、又はHbA1cの結果の解釈に影響を与える病状(例えば、無作為化前最後の3ヶ月間の輸血又は重度の失血、赤血球生存を短縮する任意の状態)の存在が知られていること。
スクリーニング前6ヶ月以内の薬物又はアルコール乱用の既往歴。
患者が治験依頼者の従業員、又は研究員若しくは任意の準研究員、研究助手、薬剤師、治験コーディネーター、研究の実施に直接関与しているその他のスタッフ若しくはその関係者であること。
スクリーニング前の12週間又は5半減期以内(いずれかより長い方)にこの研究に関して他の治験薬又は禁止療法を受けた患者。
【0043】
2)糖尿病又はCKDの既往歴及び治療に関する除外基準
1型真性糖尿病。
スクリーニング時に中央検査機関で測定されたHbA1cが7%未満又はHbA1cが11%超。
用量が無作為化の前8週間にわたり安定していない場合の経口抗糖尿病薬又はインスリンの使用。
(すなわち、過去8週間の経口薬剤の変更、又は過去4週間のインスリンの1日総用量の20%を超える増加若しくは減少)。
試験前の12ヶ月以内の選択的SGLT2阻害剤(例えば、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、又はエンパグリフロジン)の使用。
スクリーニング訪問の前12週間以内のDKA又は非ケトン性高浸透圧性昏睡の既往歴。
スクリーニング訪問前6ヶ月以内の意識不明、昏睡又は入院を引き起こす重度の低血糖の既往歴。
過去12ヶ月以内に免疫抑制療法による治療を必要とした腎疾患、又はスクリーニング訪問前4週間以内の透析若しくは腎移植の既往歴、又は慢性透析の開始、又は研究期間中にその発生が予想されること。
先天性グルコース・ガラクトース吸収不良症又は原発性腎性糖尿の既往歴。
スクリーニングの6ヶ月以内の慢性透析、又は慢性透析を必要とするCKDステージ4若しくは5。
スクリーニングの6ヶ月以内の閉塞等の腎不全の可逆的原因。
【0044】
3)ソタグリフロジンの現在の知識に関する除外基準
妊娠中(スクリーニング時に血清妊娠検査で確認)又は授乳中の女性。
試験の間、避妊の非常に有効な方法(複数の場合もある)を使用する意思がないか、又は妊娠の検査を受けたくない若しくは検査することができない出産可能な女性(付録Aを参照されたい)。
3つの別々のBP測定の平均が180mmHg(SBP)超又は100mmHg(DBP)超(高血圧薬の有無にかかわらず)。
患者が降圧薬を服用している場合は、収縮期BPが120mmHg未満又はDBPが60mmHg未満。
スクリーニング前12週間以内の高血圧緊急症の既往歴。
スクリーニング訪問前3年以内の胃緊縛術の既往を含む胃の手術又は炎症性腸疾患の既往歴。
患者が治験薬(IMP)を服用できないような嚥下困難。
既知のアレルギー、過敏症、又はSGLT2阻害剤、又はソタグリフロジン若しくはプラセボの任意の不活性成分(すなわち、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム[崩壊剤]、タルク、二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウム[非ウシ(nonbovine)])に対する不耐性(反応が研究員によって本研究と無関係とみなされない限り)。
訪問1の際の中央検査機関の試験による検査室の所見。
ULNの3倍超のALT又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)
ULNの1.5倍超の総ビリルビン(ジルベール症候群の場合を除く)
好中球1500/mm未満(又は民族別)及び/又は血小板100000/mm未満
ULNの3倍超のアミラーゼ及び/又はリパーゼ。
患者が研究に入ることを妨げる、任意の関係国の特定の規制。
【0045】
4)無作為化する前の導入期間の実施中又は終了時の追加の除外基準
血糖自己測定(SMBG:self-monitoring of blood glucose)をする意思がないか、又は実施することができない患者は、患者日誌を完成するか又はプロトコルごとに必要に応じて、研究訪問及び他の研究手順に従う。
錠剤数(80%未満)又は研究員の意見に基づいて、導入期間中の準拠が不十分な患者。
無作為化前のインフォームドコンセントの撤回(継続を希望しない患者、又は戻らない患者)。
研究員又は任意の準研究員の判断において、研究の安全な完了を妨げるか、有効性の評定を制約する、スクリーニング時の身体検査、臨床検査、心電図(ECG)若しくはバイタルサイン、又はスクリーニング期間中の任意のAEで特定される任意の臨床的に重大な異常。
【0046】
II.期間及び治療
研究を以下のように行った:
スクリーニング期間-訪問1(2週間まで)
導入期間(訪問2)、2週間続けた。患者を、訪問2から始まる導入期間中、1日1回投与される2つのプラセボ錠(外観はソタグリフロジン200mgと同じ)により単盲検法で治療した
二重盲検治療期間(1日目~26週目):適格な患者を1日目(訪問3)に無作為化する。無作為化に続いて、患者を52週間二重盲検法で治療する。年齢18歳以上(又は法定成人年齢以上のいずれか大きい方)の合計787人の患者を以下の3つの治療群に1:1:1で無作為に割り当てた:
プラセボ、1日1回、その日の最初の食事の前に2錠のプラセボ錠(外観はソタグリフロジン200mgと同じ)で与えられる。
200mgのソタグリフロジン、1日1回、ソタグリフロジン200mgの錠剤1錠、及びプラセボ錠1錠(外観はソタグリフロジン200mgと同じ)の2錠で与えられる。
ソタグリフロジン400mg、1日1回、その日の最初の食事の前に2錠の200mg錠で与えられる。
二重盲検延長期間(27週目~52週目):
IMPの最後の投与後のフォローアップ期間:安全性及び幾つかの有効性情報を収集するための治療後4週目の訪問。
【0047】
この研究の主要評価項目は、不十分な血糖コントロール及び中等度の腎障害を有する2型糖尿病(T2D)患者において、26週目のヘモグロビンA1c(HbA1c)減少に関してプラセボに対するソタグリフロジン400mg及び200mgの優位性を実証することであった。
【0048】
III.結果
有効性分析は、治験薬(IMP)の中止又は救助療法の導入後に得られたものも含め、研究の間に得られた有効性の評定を用いて、治療意図(ITT:intent-to-treat)集団に基づいていた。ITT集団は、全ての無作為化患者で構成されていた。
【0049】
主要有効性評価項目を、共分散解析(ANCOVA)モデルを用いて分析した。ANCOVAモデルは、治療群(ソタグリフロジン200mg、ソタグリフロジン400mg、プラセボ)、HbA1cの無作為化層(8.5%以下、8.5%超)、SBPの無作為化層(130mmHg未満、130mmHg以上)、CKDステージの無作為化層(3A、3B)、及び国を固定効果として含み、またベースラインHbA1c値を共変数として含んだ。
【0050】
表1は、ソタグリフロジンが、コア治療期間後のプラセボと比較した場合に400mg用量について統計的に有意に低いA1Cレベルをもたらすことによって、その主要評価項目を達成したことを示す。
【0051】
【表1】
【0052】
HbA1cにおけるソタグリフロジン400mg群対プラセボの比較:
全集団に関して、ベースラインから26週目までのHbA1cの最小二乗(LS)平均変化は、ソタグリフロジン400mg及びプラセボにおいてそれぞれ-0.46%及び-0.22%であり、7.72%及び7.90%の平均HbA1cレベルに達した。LS平均差は統計的に有意であった(プラセボに対するLS平均差は-0.23%、95%CI:-0.382%対-0.082%;p=0.0024)
CKD3A集団に関して、ベースラインから26週目までのHbA1cの最小二乗(LS)平均変化は、ソタグリフロジン400mg及びプラセボにおいてそれぞれ-0.54%及び-0.23%であり、7.62%及び7.89%の平均HbA1cレベルに達した。LS平均差は統計的に有意であった(プラセボに対するLS平均差は-0.31%、95%CI:-0.522%対-0.100%;p=0.0039)
CKD3B集団に関して、ベースラインから26週目までのHbA1cの最小二乗(LS)平均変化は、ソタグリフロジン400mg及びプラセボにおいてそれぞれ-0.37%及び-0.22%であり、7.82%及び7.90%の平均HbA1cレベルに達した。LS平均差は統計的に有意ではなかった(プラセボに対するLS平均差は-0.15%、95%CI:-0.366%対0.059%;p=0.1577)
【0053】
これらの結果は、ソタグリフロジンが、特に400mgの1日用量で、腎障害患者、特にCKD3を有する患者、より詳しくはCKD3aを有する患者において血糖コントロールを改善したことを示す。
【国際調査報告】