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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ガスタービン用潤滑剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20220914BHJP
   C10M 133/12 20060101ALI20220914BHJP
   C10M 137/02 20060101ALI20220914BHJP
   C10N 40/12 20060101ALN20220914BHJP
   C10N 40/00 20060101ALN20220914BHJP
   C10N 30/10 20060101ALN20220914BHJP
   C10N 30/04 20060101ALN20220914BHJP
   C10N 30/08 20060101ALN20220914BHJP
【FI】
C10M169/04
C10M133/12
C10M137/02
C10N40:12
C10N40:00 A
C10N30:10
C10N30:04
C10N30:08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505311
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2020070943
(87)【国際公開番号】W WO2021018768
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】1908499
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514170019
【氏名又は名称】トタル マーケティング セルヴィス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】フロランス・ブルドン
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA07A
4H104BB31A
4H104BB41A
4H104BE07A
4H104BH02C
4H104CB14A
4H104DA02A
4H104DA06A
4H104EB05
4H104EB09
4H104EB10
4H104EB11
4H104EB13
4H104LA02
4H104LA04
4H104LA05
4H104PA07
4H104PA09
(57)【要約】
本発明は、潤滑剤組成物、特に、ガス又は蒸気タービン用潤滑剤組成物であって、- 少なくとも1種の基油と、- 少なくとも1種のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物、好ましくはアルキルフェニル-α-ナフチルアミン(APAN)化合物と、- 少なくとも1種のジフェニルアミン(DPA)化合物、好ましくはジアルキルジフェニルアミン化合物と、- 少なくとも1種の亜リン酸エステル化合物、好ましくはトリアリール亜リン酸エステル化合物とを含み、前記ジフェニルアミン化合物と前記亜リン酸エステル化合物との間の質量比が、厳密に1.0より大きい、潤滑剤組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑組成物、より特にガス又は蒸気タービン用潤滑組成物であって、
- 少なくとも1種の基油;
- 少なくとも1種のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物、好ましくはアルキルフェニル-α-ナフチルアミン(APAN)化合物;
- 少なくとも1種のジフェニルアミン(DPA)化合物、好ましくはジアルキルジフェニルアミン化合物;及び
- 少なくとも1種の亜リン酸エステル化合物、好ましくはトリアリール亜リン酸エステル化合物、
を含み、前記の1種又は複数のジフェニルアミン化合物と前記の1種又は複数の亜リン酸エステル化合物との間の質量比が、厳密に1.0より大きい、潤滑組成物。
【請求項2】
前記1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物が、式(I):
【化1】
[式中、
nは1~5の整数であり;かつ
は直鎖状又は分岐状のアルキル基、好ましくはC~C22、より特にC~C12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す]
のものであり、
より特に、以下の式(I-b):
【化2】
[式中、Rは上に定義した通りであり、Rは好ましくはC~C12アルキル基を表す]
のものである、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項3】
前記1種又は複数のジフェニルアミン化合物が、式(II):
【化3】
[式中、
及びnは互いに独立に、1~5の整数であり;かつ
及びRは互いに独立に、好ましくはC~C22、より特にC~Cの直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す]
のものである、請求項1又は2に記載の潤滑組成物。
【請求項4】
前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物が、以下の式(III):
【化4】
[式中、各R、R及びRは、互いに独立に、好ましくは1~24個の炭素原子を有する炭化水素基を表す]
のものであり、
より特に、以下の式(III-a):
【化5】
[式中、R基は、互いに独立に、C~C10、より特にC~Cの直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、かつ、nは、それぞれの出現において独立に、0、1、又は2、より特に1又は2を表す]
のものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項5】
前記1種又は複数のジフェニルアミン(DPA)化合物、より特に請求項3に規定の化合物、及び前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物、より特に請求項4に規定の化合物が、1.5以上、特に2.0以上、より特に2.0~3.0の間のDPA化合物(1又は複数)/亜リン酸エステル化合物(1又は複数)の質量比で用いられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
- 0.05質量%~5質量%、より特に0.1質量%~3質量%、好ましくは0.15質量%~1質量%、非常に特に0.2質量%~0.5質量%の、1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物、好ましくはアルキルフェニル-α-ナフチルアミン化合物、より特に請求項2に規定する化合物;
- 0.05質量%~5質量%、より特に0.1質量%~3質量%、好ましくは0.15質量%~1質量%、非常に特に0.2質量%~0.5質量%の、1種又は複数のジフェニルアミン化合物、好ましくはジアルキルジフェニルアミン化合物、より特に請求項3に規定する化合物;及び
- 0.01質量%~3質量%、より特に0.02質量%~1質量%、好ましくは0.05質量%~0.5質量%、非常に特に0.1質量%~0.3質量%の、1種又は複数の亜リン酸エステル化合物、好ましくはトリアリール亜リン酸エステル化合物、より特に請求項4に規定する化合物、
を含み、
前記の量は、潤滑組成物の総質量に対して表されたものであり、
但し、ジフェニルアミン化合物(1又は複数)/亜リン酸エステル化合物(1又は複数)の質量比が厳密に1.0より大きいことを条件とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1から4に規定する化合物以外の酸化防止剤、粘度指数(VI)向上剤、流動点降下剤(PPD)、消泡剤、増粘剤、腐食抑制剤、銅不動態化剤、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の添加剤を更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物の、ガス又は蒸気タービン用潤滑剤としての使用。
【請求項9】
少なくとも1種の基油を含む潤滑組成物、より特にガス又は蒸気タービン用の潤滑組成物における、少なくとも1種のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物、好ましくはアルキルフェニル-α-ナフチルアミン(APAN)化合物;少なくとも1種のジフェニルアミン(DPA)化合物、好ましくはジアルキルジフェニルアミン化合物;及び少なくとも1種の亜リン酸エステル化合物、好ましくはトリアリール亜リン酸エステル化合物の、当該組成物の熱安定性性能及び耐酸化性性能を強化するための使用であって、前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物が、厳密に1.0より大きいDPA/亜リン酸エステルの比で用いられる、使用。
【請求項10】
前記1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物が請求項2に規定する通りであり;且つ/又は前記1種又は複数のジフェニルアミン化合物が請求項3に規定する通りであり;且つ/又は前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物が請求項4に規定する通りである、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑組成物の分野、より詳細にはタービン用潤滑組成物の分野に関する。それは、より詳細には、3つのタイプの特定の酸化防止添加剤の特定の割合での組み合わせを用いる、タービン用潤滑組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス又は蒸気タービンは、典型的には、航空機、船舶、鉄道輸送、及び電力生産部門において使用される。
【0003】
より具体的には、ガス又は蒸気タービンは、軽量並びに単位質量及び単位体積当たりの高いパワーという利点を有し、そのため航空機の推進、より具体的には飛行機及びヘリコプターに特に適しているが、船舶の推進、特に高速船にも適している。更に、最近の電力生産プラントは、液化天然ガス等の高温燃焼ガスを使用するガスタービンを用い、さもなければ、エネルギー生産プラントは、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせている。
【0004】
「潤滑油」又は「潤滑剤」ともよばれる工業用潤滑組成物、より具体的には、ガス又は蒸気タービン用の潤滑剤は、極限条件、より具体的には250℃を超えることもある使用温度にさらされる可能性がある。これは、例えば、航空機リアクタータービン(aviation reactor turbine)用潤滑油の場合である。
【0005】
こうした高温条件にさらされると、潤滑油は分解され酸化され得る。この分解は、被覆物等の析出物の形成、スラッジの存在及び/又は組成物の粘度の上昇に現われ得る。潤滑油の酸化安定性は、上述の使用時の極限条件下で、これらの油の中へ金属が溶解することによって、更に低下する。これは、溶解した金属が、潤滑剤の酸化分解を触媒できるためである。
【0006】
こうした分解は、油の寿命を大幅に低下させ、排出間隔の短縮を必要とし、実質的な運転ロスを引き起こす。現時点では、したがって一部の製造業者は、特にガス又は蒸気タービンでの使用を意図する潤滑組成物の高温での酸化安定性及び熱安定性特性に関して、非常に厳格な規格を課している。
【0007】
酸化安定性を高めるために、大多数の潤滑剤は、潤滑剤の酸化を阻害するように意図された添加剤を含有している。したがって、潤滑剤における様々な酸化防止添加剤、例えば、立体障害性フェノール化合物、芳香族有機アミン、ジフェニルアミン(DPA)誘導体さもなければフェニルナフチルアミン(PAN)誘導体等が提案されてきた。
【0008】
例として、文献WO2008/009704は、潤滑組成物、より具体的には、防錆剤としてコハク酸エステル及びサルコシン酸(sarcosinic acid)を含むタービン用潤滑組成物を提案している。そこに記述されている組成物は、様々な芳香族アミン酸化防止剤、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン及びジアルキル-α-ジフェニルアミン化合物を更に含み得る。しかしながら、この文献で提案された潤滑組成物は、高温における熱安定性及び耐酸化性の点で、必要レベルの性能を達成していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2008/009704号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
その結果、熱安定性及び耐酸化性の点で強化された特性を示すと同時に、潤滑剤の使用中、特に高温条件での潤滑剤の使用中に、良好な耐食性特性を保持し、望まない析出物の形成を低減できる潤滑組成物、より具体的には、タービン用潤滑組成物に対する必要性が依然としてある。
【0011】
本発明は、この必要性を満たすことを特に目指している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
より具体的には、本発明は、その第1の側面によれば、潤滑組成物、より具体的には、ガス又は蒸気タービン用潤滑組成物であって、
- 少なくとも1種の基油と、
- 少なくとも1種のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物、好ましくはアルキルフェニル-α-ナフチルアミン(APAN)化合物と、
- 少なくとも1種のジフェニルアミン(DPA)化合物、好ましくはジアルキルジフェニルアミン化合物と、
- 少なくとも1種の亜リン酸エステル化合物、好ましくはトリアリール亜リン酸エステル化合物と
を含み、前記1種又は複数のジフェニルアミン化合物と前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物との間の質量比が、厳密に1.0より大きい、潤滑組成物を提供する。
【0013】
予想に反して、本発明者らは、3種の前述の特定の酸化防止添加剤、すなわち、少なくとも1種のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物、少なくとも1種のジフェニルアミン(DPA)化合物、及び少なくとも1種の亜リン酸エステル化合物の組み合わせを、厳密に1.0より大きいDPA化合物/亜リン酸エステル化合物の質量比で用いることによって、高温条件下での熱安定性、酸化安定性、及び耐食性の点で、強化された特性を有する潤滑組成物を得ることができることを発見した。
【0014】
より具体的には、実施例で説明するように、本発明によって想定される3種の酸化防止剤のうちの、単に1種又は2種を用いることによっては、熱安定性、酸化安定性、及び耐食性の点で、こうした性能を達成することはできない。
【0015】
したがって、本発明による酸化防止添加剤の特定の組み合わせが、潤滑剤の使用中、特に高温条件下で酸素の存在下での潤滑剤の使用中に起こる、酸化及び望まない析出物形成の現象を低減するという、優れた特性を潤滑剤に与えることができる。
【0016】
したがって有利なことに、本発明による潤滑組成物は寿命の伸びを示す。
【0017】
続く実施例で詳述するように、耐食性、酸化安定性、及び熱安定性性能は、様々な試験によって評価され得る。
【0018】
さらに特に、本発明による潤滑組成物は、有利なことに、2200分以上、有利には2500分以上の、規格ASTM D2272に従うRPVOT(回転圧力容器酸化試験)によって評価される酸化安定性を示す。
【0019】
有利なことに、それは、規格ASTM D7873に適合する、実施例において以下に詳述する「ドライTOST-1000時間」試験に従って測定して、70%以上、有利には75%以上、より特に80%以上の残留RPVOTを有する。
【0020】
本発明による潤滑組成物は、有利なことに、30mg/kg未満、好ましくは25mg/kg未満、より好ましくは20mg/kg以下の、180℃において48時間後の不溶性含有物量を示す。
【0021】
同様に、それは、ASTM D4636試験によって評価される、優れた耐酸化性及び耐食性を示す。
【0022】
熱安定性、耐酸化性、及び耐食性についてのこの強化された性能によって、補助的添加剤、より具体的には抗摩耗添加剤及び/又は極圧添加剤、そうでなければ流動点降下剤(pour point depressant)(PPD)の含有量を低減することができる、又は存在せずに済ますことさえできる。
【0023】
本発明は、少なくとも1種の基油を含む潤滑組成物、より特にガス又は蒸気タービン用の潤滑組成物における、少なくとも1種のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物、好ましくはアルキルフェニル-α-ナフチルアミン(APAN)化合物;少なくとも1種のジフェニルアミン(DPA)化合物、好ましくはジアルキルジフェニルアミン化合物;及び、少なくとも1種の亜リン酸エステル化合物、好ましくはトリアリール亜リン酸エステル化合物の、組成物の熱安定性性能及び耐酸化性性能を強化するための使用であって、前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物が、厳密に1.0より大きいDPA/亜リン酸エステルの比で用いられる、使用を更に提供する。
【0024】
したがって、本発明による潤滑組成物は、ガス又は蒸気タービンの潤滑剤として使用するのに特に好適であることが分かる。
【0025】
したがって、本発明の別の態様によれば、本発明は、上述の組成物の、ガス又は蒸気タービン用潤滑剤としての使用を提供する。
【0026】
本発明は、システムの少なくとも1つの機械部品、例えば、ガス又は蒸気タービンのブレードを潤滑する方法であって、前記機械部品を本発明による潤滑組成物と接触させる、少なくとも1つの工程を含む方法を更に提供する。
【0027】
本発明による潤滑組成物の他の特徴、変形及び利点は、以下に続く説明及び実施例を読むことからより明確に分かるが、実施例は例証の目的で提供されており、本発明を限定しない。
【0028】
本文の残りにおいて、「~と~との間」「~から~まで」及び「~から~まで変わる」という表現は等価であり、特に明記しない限り、終点を含むことを意味することを意図している。
【0029】
特にそれとは異なると示さない限り、単数形で表したものを「含む」という表現は、「少なくとも1つ含む」と理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明との関連で、特に異なると示さない限り、
- 「アルキル」は、飽和の、直鎖状又は分岐状の脂肪族基を指し;例えば、C~Cアルキルは、直鎖状又は分岐状であるx~z個の炭素原子の飽和炭素鎖を表し、
- 「アルケニル」は、不飽和の、直鎖状又は分岐状の脂肪族基を指し;例えば、C~Cアルケニル基は、直鎖状又は分岐状であるx~z個の炭素原子の不飽和炭素鎖を表し、
- 「シクロアルキル」は環状アルキル基を指し;例えば、C~Cシクロアルキルは、x~z個の炭素原子の環状炭素基、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルを表し、
- 「アリール」は、単環式又は多環式の香族基、より特に、6~10個の炭素原子を含む単環式又は多環式の香族基を指す。アリール基の例としては、フェニル基又はナフチル基が挙げられる。
【0031】
<フェニルナフチルアミン(PAN)化合物>
上に記載したように、本発明による潤滑組成物は、その本質的な特徴の1つによれば、少なくとも1種の、「PAN」と略記されるフェニルナフチルアミン化合物を含む。
【0032】
「フェニルナフチルアミン」化合物は、N-フェニル-α-ナフチルアミン、N-フェニル-β-ナフチルアミン、及び好ましくはフェニル環の置換基として1種又は複数のアルキル基を有する、それらの誘導体から選択される化合物を意味する。
【0033】
より具体的には、本発明により用いられる、フェニルナフチルアミン化合物、好ましくはアルキルフェニル-α-ナフチルアミン(「APAN」と略記)化合物は、以下の式(I):
【化1】
[式中、nは1~5の整数であり、かつ
は直鎖状又は分岐状のアルキル基、好ましくはC~C22、より特にC~C12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す]
に従う。
【0034】
フェニルナフチルアミン化合物、より特に、アルキルフェニル-α-ナフチルアミン化合物は、好ましくは以下の式(I-a):
【化2】
[式中、R及びnは、上に定義した通りである]
のものである。
【0035】
フェニルナフチルアミン化合物は、好ましくは、アルキルフェニル-α-ナフチルアミン化合物であり、より特に、上記式(I-a)[式中、nは1~3の整数、より特に、nは1である]に従う。
【0036】
特定の一実施形態によれば、フェニルナフチルアミン化合物は、以下の式(I-b):
【化3】
[式中、Rは上に定義した通りであり、Rは、好ましくはC~C12アルキル基を表す]
のものである。
【0037】
基は、好ましくはアミン基に対してパラに位置している。
【0038】
フェニルナフチルアミン化合物は、市販されているか、又は当業者に公知の合成方法によって調製され得る。
【0039】
本発明による潤滑組成物は、好ましくは、組成物の総質量に対して、0.05質量%~5質量%の間の1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物、より特に、0.1質量%~3質量%の間、好ましくは0.15質量%~1質量%の間、より特に0.2質量%~0.5質量%の間の1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物を含む。
【0040】
<ジフェニルアミン(DPA)化合物>
上に示したように、本発明による潤滑組成物は、少なくとも1種のジフェニルアミン(DPAと略記)化合物を更に含む。
【0041】
「ジフェニルアミン化合物」は、ジフェニルアミン及びその誘導体、好ましくは、少なくとも1つ又は更に両方のフェニル基が、直鎖状又は分岐状のアルキル基から選択される1種又は複数の基によって置換されている誘導体を意味する。
【0042】
本発明により用いられるジフェニルアミン化合物、好ましくはジアルキルジフェニルアミン化合物は、より特に、以下の式(II):
【化4】
[式中、n及びnは互いに独立して、1~5の整数であり、
及びRは互いに独立して、好ましくはC~C22、より特にC~Cの直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す]
に従う。
【0043】
本発明により用いられるジフェニルアミン化合物、好ましくはジアルキルジフェニルアミン化合物は、好ましくは以下の式(II-a):
【化5】
[式中、R及びRは、上に定義した通りである]
のものである。
【0044】
基及びR基は、好ましくはアミノ基に対してパラに位置している。
【0045】
したがって、特定の一実施形態では、ジフェニルアミン化合物は、p,p’-ジアルキルジフェニルアミン化合物から選択される。
【0046】
ジフェニルアミン化合物は、市販されているか、又は当業者に公知の合成方法によって調製され得る。
【0047】
本発明による潤滑組成物は、好ましくは、組成物の総質量に対して、0.05質量%~5質量%の間の1種又は複数のジフェニルアミン化合物、より具体的には0.1質量%~3質量%の間、好ましくは0.15質量%~1質量%の間、より具体的には0.2質量%~0.5質量%の間の1種又は複数のジフェニルアミン化合物を含む。
【0048】
1つの特に好ましい実施形態によれば、前記の1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物は、上記式(I-b)[より特に、式中、RがC~C12アルキル基を表す]の化合物から選択され、かつ、前記1種又は複数のジフェニルアミン化合物は、上記式(II-a)[より特に、R及びRが互いに独立して、好ましくはC~C12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す]の化合物から選択される。
【0049】
特定の一実施形態によれば、前記の1種又は複数のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物、より特に上で定義した化合物、及び前記の1種又は複数のジフェニルアミン(DPA)化合物、より特に上で定義した化合物は、0.8~1.0の間、より特に約1の、N-フェニル-α-ナフチルアミン化合物/ジフェニルアミン化合物の質量比で用いられる。
【0050】
<亜リン酸エステル>
上に示したように、本発明による潤滑組成物は、少なくとも1種の亜リン酸エステル化合物を更に含む。
【0051】
亜リン酸エステル化合物は、より特に、以下の式(III):
【化6】
[式中、各R、R、及びRは、互いに独立して、好ましくは1~24個の炭素原子を有する炭化水素基を表す]
のものであり得る。
【0052】
上記式(III)中の炭化水素基は、より特に、互いに独立して、
- 好ましくはC~C18の直鎖状又は分岐状のアルケニル基、
- 好ましくはC~C24のアルコキシアルキル基、
- 好ましくはC~Cのシクロアルキル基、
- 好ましくはC~C10のアリール基
から選択されることができ、前記の基は、それら自身が、1種又は複数の炭化水素基によって、より特に1種又は複数のアルケニル、アルコキシアルキル、シクロアルキル、及び/又はアリール基によって、任意選択によって置換されていてもよい。
【0053】
、R、及びRは、好ましくは、互いに独立に、好ましくはC~Cシクロアルキル基、及び好ましくはC~C10アリール基から選択され、前記のシクロアルキル基及びアリール基は、1種又は複数の直鎖状又は分岐状のアルキル基によって任意選択により置換されていることができる。
【0054】
特定の一実施形態によれば、本発明により用いられる亜リン酸エステル化合物は、上記式(III)[式中、R、R、及びRは同一であり、好ましくは上に定義した通りである]のものである。
【0055】
この実施形態によれば、本発明による亜リン酸エステル化合物は、有利には、トリアリール亜リン酸エステル、特にトリ(アルキル-アリール)亜リン酸エステルから、好ましくはトリフェニル亜リン酸エステルから、より特にトリ(アルキル-フェニル)亜リン酸エステルから選択され得る。
【0056】
本発明による亜リン酸エステル化合物は、好ましくは、以下の式(III-a):
【化7】
[式中、R基は、互いに独立に、C~C10、より特にC~Cの直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、nは、それぞれの出現において独立に0、1、又は2、より特に1又は2を表す]
に従う。
【0057】
好ましくはnは1又は2であり、好ましくはnは2である。
【0058】
好ましくはnは2であり、R基は、特にオルト及びパラ位の基、好ましくはC~Cの基、好ましくは分岐状アルキル基、例えば、tert-ブチル基を表す。
【0059】
本発明による亜リン酸エステル化合物は、好ましくは式(III-a)[式中、-(R)基は同一である]のものである。
【0060】
本発明による亜リン酸エステル化合物は、有利には、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS 31570-04-4)である。
【0061】
特定の一実施形態によれば、上記化合物はトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS 31570-04-4)である。
【0062】
亜リン酸エステル化合物は、市販されているか、又は当業者に公知の合成方法によって調製され得る。
【0063】
本発明による潤滑組成物は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.01質量%~3質量%の間の1種又は複数の亜リン酸エステル化合物、より具体的には0.02質量%~1質量%の間、好ましくは0.05質量%~0.5質量%の間、より具体的には0.1質量%~0.3質量%の間の1種又は複数の亜リン酸エステル化合物を含む。
【0064】
特定の一実施形態によれば、前記の1種又は複数のジフェニルアミン化合物は、上記式(II-a)[より特に、式中、R及びRが互いに独立に、好ましくはC~C12の、直鎖状又は分岐状アルキル基を表す]の化合物から選択され、前記の1種又は複数の亜リン酸エステル化合物は、上記式(III-a)[より具体的には、式中、nが2であり、R基は、特にオルト及びパラ位の、好ましくはC~Cの基、好ましくは分岐状アルキル基、例えば、tert-ブチル基を表す]の化合物から選択される。
【0065】
上に示したように、前記の1種又は複数のジフェニルアミン(DPA)化合物、より特に、上で定義した化合物、及び前記の1種又は複数の亜リン酸エステル化合物、より特に、上で定義した化合物は、厳密に1.0より大きい、より具体的には1.5以上、特に2.0以上、非常に特別には2.0~3.0の間のDPA化合物/亜リン酸エステル化合物の質量比で用いられる。
【0066】
前記1種又は複数のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物、より特に、上で定義した化合物、及び前記の1種又は複数の亜リン酸エステル化合物、より特に、上で定義した化合物は、有利には、厳密に1.0より大きい、より具体的には1.5以上、特に厳密に2.0より大きい、非常に特別には2.1~3.0の間のPAN化合物/亜リン酸エステル化合物の質量比で用いられる。
【0067】
特に前記の1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物、前記の1種又は複数のジフェニルアミン化合物、及び前記の1種又は複数の亜リン酸エステル化合物の性質に関して、異なる前述の実施形態のあいだの組み合わせが可能であることが認識される。
【0068】
より特に、本発明による潤滑組成物は、有利には、少なくとも、以下のもの:
- 1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物、より特にアルキルフェニル-α-ナフチルアミン化合物(上で定義したとおりである)、好ましくは上記式(I-b)[式中、Rは好ましくはC~C12アルキル基を表す]の化合物から選択される化合物;、
- 1種又は複数のジフェニルアミン化合物、より特にジアルキルジフェニルアミン化合物(上で定義したとおりである)、好ましくは上記式(II-a)[式中、R及びRは、互いに独立に好ましくは、好ましくはC~C12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す]の化合物から選択される化合物;及び
- 1種又は複数の亜リン酸エステル化合物、より特にトリアリール亜リン酸エステル化合物(上で定義したとおりである)、好ましくは上記式(III-a)[より特に、式中、nは2であり、R基は特にオルト及びパラ位の基、好ましくはC~Cの基、好ましくは分岐状アルキル基、例えば、tert-ブチル基を表す]の化合物から選択される化合物、
の組み合わせを含み、前記の1種又は複数のジフェニルアミン化合物及び前記の1種又は複数の亜リン酸エステル化合物は、厳密に1.0より大きい、ジフェニルアミン化合物/亜リン酸エステル化合物の質量比で用いられる。
【0069】
特定の一実施形態によれば、本発明による潤滑組成物は、以下のもの:
- 0.05質量%~5質量%、より特に0.1質量%~3質量%、好ましくは0.15質量%~1質量%、非常に特に0.2質量%~0.5質量%の、1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物、好ましくはアルキルフェニル-α-ナフチルアミン化合物、より特に上に定義したとおりであり、好ましくは、上記式(I-a)[式中、Rは好ましくはC~C12アルキル基を表す]の化合物から選択される化合物;
- 0.05質量%~5質量%、より特に0.1質量%~3質量%、好ましくは0.15質量%~1質量%、非常に特に0.2質量%~0.5質量%の、1種又は複数のジフェニルアミン化合物、好ましくは、ジアルキルジフェニルアミン化合物、より特に上で定義したとおりであり、好ましくは、上記式(II-a)[式中、R及びRは、互いに独立して好ましくは、好ましくはC~C12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表す]の化合物から選択される化合物;及び
- 0.01質量%~3質量%、より特に0.02質量%~1質量%、好ましくは0.05質量%~0.5質量%、非常に特に0.1質量%~0.3質量%の、1種又は複数の亜リン酸エステル化合物、好ましくはトリアリール亜リン酸エステル化合物、より特に上定義した通りであり、好ましくは上記式(III-a)[より特に、式中、nは2であり、R基は、特にオルト及びパラ位の基、好ましくはC~Cの基、好ましくは分岐状アルキル基、例えば、tert-ブチル基を表す]の化合物から選択される化合物、
を含み、但し、ジフェニルアミン化合物/亜リン酸エステル化合物の質量比は、厳密に1.0より大きく、前記量は、前記潤滑組成物の総質量に対して表すものである。
【0070】
<基油(1又は複数)>
上で示したように、本発明による潤滑組成物は、少なくとも1種の基油を含む。
【0071】
本発明による潤滑組成物中に存在する前記の1種又は複数の基油は適切に、特に、本発明により用いられるフェニルナフチルアミン、ジフェニルアミン、及び亜リン酸エステル化合物との相容性に関して適切に選択される。
【0072】
基油は、2種以上の基油の混合物-例えば2種、3種、又は4種の基油の混合物を含んでもよい。
【0073】
これらの基油は、潤滑油の分野で従来から使用されている基油、例えば、鉱油、合成若しくは天然油、動物若しくは植物油、又はこれらの混合物から選択され得る。
【0074】
本発明による潤滑組成物において使用される基油は、より具体的には、API分類(表1)に定義されるクラスによるグループI~Vに属する鉱物若しくは合成由来の油、あるいはATIEL分類に従うそれらとの等価物、又はそれらの混合物であり得る。
【0075】
【表1】
【0076】
鉱物基油には、原油の常圧蒸留及び減圧蒸留、続いて精製操作、例えば、溶媒抽出、脱アスファルト、溶媒脱パラフィン(solvent deparaffining)、水素化処理、水素化分解、水素化異性化(hydroisomerization)、及び水素化仕上げ(hydrofinishing)によって得られる、全てのタイプの基油(bases)が含まれる。
【0077】
合成基油は、カルボン酸とアルコールとのエステル、ポリアルファオレフィン(PAO)、さもなければ、2~8個の炭素原子、より特に2~4個の炭素原子を含むアルキレンオキシドを重合又は共重合することによって得られるポリアルキレングリコール(PAG)であり得る。基油として使用されるポリアルファオレフィンは、例えば、4~32個の炭素原子を含むモノマーから、例えば、デセン、オクテン、又はドデセン等から得られ、規格ASTM D445に準拠して100℃において1.5~15mm/s-1の粘度を有する。それらの平均分子量は一般に、規格ASTM D5296に準拠して250~3000の間である。
【0078】
合成油と鉱油の混合物も、用いることができる。
【0079】
本発明による潤滑組成物を製造するために様々な潤滑基油を使用することに関して、それらが、特に粘度、粘度指数、硫黄含有量、及び耐食性の点で、ガスタービン及び/又は蒸気タービンに使用するのに好適な特性を有しなければならないという事実以外に、一般に制約はない。
【0080】
基油は、好ましくは、API分類のグループII及びIIIの油、並びにこれらの混合物から選択される。グループII及びIIIの基油は、有利なことに、潤滑組成物の酸化安定性特性を更に改善することを可能にする。
【0081】
基油は、好ましくはグループIIIの油から選択される。
【0082】
規格ASTM D445に準拠して40℃において測定した、基油又は基油の混合物の動粘度は、有利には、20mm/s~100mm/sの間、好ましくは25mm/s~50mm/sの間であり得る。
【0083】
本発明による潤滑組成物は、有利には、組成物の総質量に対して、少なくとも40質量%の1種又は複数の基油、より特に少なくとも50質量%の1種又は複数の基油、特に60質量%~99.5質量%の間、非常に特に70質量%~99質量%の間の1種又は複数の基油を含む。
【0084】
<追加の添加剤>
本発明による潤滑組成物は、タービン、例えば、ガス及び/又は蒸気タービン用の潤滑剤で使用するのに好適な、追加の添加剤を更に含んでもよい。本発明による潤滑組成物は、有利には、本発明との関連で用いられる化合物以外の酸化防止剤、粘度指数(VI)向上剤、流動点降下剤(PPD)、消泡剤、増粘剤、腐食抑制剤、銅不動態化剤、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数の添加剤を含む。
【0085】
用いられる添加剤の性質及び量は、潤滑組成物の特性、より特に、本発明によって用いられる3種の酸化防止剤の組み合わせによって付与される、上で論じた性能特性に悪影響を及ぼさないように選択されることが、理解されるであろう。
【0086】
本発明による潤滑組成物は、1種又は複数の腐食抑制剤を更に含んでもよい。
【0087】
腐食抑制剤は、潤滑剤、特にタービン用潤滑剤の当業者に公知である。
【0088】
腐食抑制剤は、より特に、有機酸エステル、トリアゾール誘導体、N-アシルサルコシン。さもなければイミダゾリン誘導体から選択され得る。
【0089】
特定の一実施形態によれば、本発明による潤滑組成物は、トリアゾール誘導体及び有機酸エステル、より特にアルキル化有機酸エステルから選択される1種又は複数の腐食抑制剤を含む。
【0090】
トリアゾール化合物は、好ましくはベンゾトリアゾール又はその誘導体、好ましくはベンゾトリアゾール誘導体、より好ましくはトリルトリアゾール誘導体である。
【0091】
トリルトリアゾール誘導体は、より特に以下の式(IV):
【化8】
[式中、
- R及びRは、互いに独立に、水素原子又はC~C14、好ましくはC~C12の、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは分岐状のアルキル基を表し;かつ
- -A-は、C~C、好ましくはC~Cの、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状のアルキレン基、より好ましくはメチレン基(-CH-)を表す]
のものであることができ、前記トリルトリアゾール誘導体は、より特に、2-エチル-N-(2-エチルヘキシル)-N-[(4-メチルベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]ヘキサン-1-アミンである。
【0092】
特定の一実施形態によれば、トリアゾール化合物は、式(IV)[式中、R及びRは、C~C12分岐状アルキル基を表し、-A-は、C~Cアルキレン基、好ましくはメチレン基を表す]のものである。
【0093】
アルキル化有機酸エステル腐食抑制剤の例としては、コハク酸のエステルが挙げられる。
【0094】
1種又は複数の腐食抑制剤添加剤、より特にトリルトリアゾール誘導体及び/又はアルキル化有機酸エステル腐食抑制剤は、本発明による潤滑組成物中、潤滑組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、より特に0.1質量%~3質量%、非常に特に0.1質量%~2質量%で用いることができる。
【0095】
本発明による潤滑組成物は、少なくとも1種の消泡剤を更に含んでもよい。消泡剤は、例えば、極性ポリマー、例えば、ポリメチルシロキサン又はポリアクリレートから選択され得る。より特に、本発明による潤滑組成物は、潤滑組成物の総質量に対して、0.01質量%~3質量%の1種又は複数の消泡剤を含み得る。
【0096】
本発明による潤滑組成物は、上述したフェニルナフチルアミン化合物、ジフェニルアミン化合物、及び亜リン酸エステル化合物とは異なる、1種又は複数の酸化防止添加剤を更に含んでもよい。
【0097】
追加の酸化防止添加剤の例としては、例えば、立体障害性フェノール(ヒンダードフェノール)、立体障害性フェノールエステル、及びチオエーテル架橋を含む立体障害性フェノールが挙げられる。立体障害性フェノールは、好ましくは、アルコール官能基を有する炭素に隣接する少なくとも1個の炭素が、少なくとも1個のC~C10アルキル基、好ましくはC~Cアルキル基、好ましくはCアルキル基によって、好ましくはtert-ブチル基によって置換されているフェノール基を含む化合物から選択される。立体障害性フェノール及び脱酸素剤添加剤の例としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、2,6-及び2,4-ジ-t-ブチルフェノール、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、ピロガロール、及びオクチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメートが挙げられる。
【0098】
特定の一実施形態によれば、本発明による潤滑組成物は、上述したフェニルナフチルアミン、ジフェニルアミン、及び亜リン酸エステル化合物以外のいかなる酸化防止添加剤も含まない。
【0099】
本発明による潤滑組成物はまた、少なくとも1種の流動点降下剤(PPD)も含み得る。パラフィン結晶の形成を遅くすることによって、流動点降下剤は、一般に本発明による潤滑組成物の低温挙動を強化する。流動点低減剤(pour point reducing agent)の例としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアリールアミド、ポリアルキルフェノール、ポリアルキルナフタレン、及びアルキル化ポリスチレンが挙げられる。
【0100】
本発明による潤滑組成物は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~2質量%、好ましくは0.2質量%~1質量%の1種又は複数の流動点降下剤を含み得る。
【0101】
特定の一実施形態によれば、本発明による潤滑組成物は、200質量ppm未満、より特に100質量ppm未満、特に50質量ppm未満、非常に特に10質量ppm未満の1種又は複数の流動点降下剤を含むか、又は全く含まない。
【0102】
本発明による潤滑組成物は、少なくとも1種の粘度指数(VI)向上剤添加剤を含んでもよい。粘度指数向上剤、より具体的には粘度指数向上剤ポリマーは、良好な低温安定性及び高温での最低限の粘度を確実にする。粘度指数向上剤ポリマーの例としては、ポリマー性エステル;スチレン、ブタジエン及びイソプレンの水素化又は非水素化ホモポリマー又はコポリマー;オレフィンのホモポリマー又はコポリマー、例えば、エチレン又はプロピレンのホモポリマー又はコポリマー、並びにポリアクリレート及びポリメタクリレート(PMA)、好ましくはオレフィンのホモポリマー又はコポリマー、例えば、エチレン又はプロピレンのホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。
【0103】
本発明による潤滑組成物は、より特に、潤滑組成物の総質量に対して1質量%~15質量%、好ましくは5質量%~10質量%の1種又は複数の粘度指数向上剤添加剤を含み得る。
【0104】
本発明による潤滑組成物は、有利には、200質量ppm以下、より特に100質量ppm以下、特に50質量ppm以下、非常に特に10質量ppm以下の量の、リン酸エステル抗摩耗添加剤及び/若しくは極圧添加剤、例えば、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)を含むか、又は全く含まない。
【0105】
本発明による潤滑組成物は、有利には、200質量ppm以下、より特に100質量ppm以下、特に50質量ppm以下、非常に特に10質量ppm以下の量の、アミンホスフェート塩抗摩耗添加剤及び/若しくは極圧添加剤を含むか、又は全く含まない。
【0106】
本発明による潤滑組成物は、より好ましくは、200質量ppm未満、より特に100質量ppm未満、特に50質量ppm未満、非常に特に10質量ppm未満の、硫黄又は亜鉛を含有するリン抗摩耗添加剤及び/若しくは極圧添加剤を含むか、又は全く含まない。
【0107】
実際、本発明者らは、硫黄又は亜鉛を含むこうしたリン化合物の存在は、潤滑組成物がタービンに使用される場合に、析出物の望まない形成を誘発しやすいことを観察した。
【0108】
本発明による潤滑組成物は、より好ましくは、200質量ppm未満、より特に100質量ppm未満、特に50質量ppm未満、非常に特に10質量ppm未満の、リン及び/若しくは硫黄の抗摩耗添加剤及び/若しくは極圧添加剤を含むか、又は全く含まない。
【0109】
本発明による潤滑組成物の配合に関して、本発明により想定される酸化防止剤である、上述したフェニルナフチルアミン化合物、ジフェニルアミン化合物及び亜リン酸エステル化合物を基油又は基油の混合物に添加することができ、その後に、他の補足的添加剤が添加される。
【0110】
本発明により想定される酸化防止剤である、フェニルナフチルアミン化合物、ジフェニルアミン化合物及び亜リン酸エステル化合物は、あるいは、特に1種又は複数の基油及び任意選択により場合によっては追加の添加剤を含む、これまでに存在する潤滑配合物に、添加してもよい。
【0111】
本発明により想定される酸化防止剤である、フェニルナフチルアミン化合物、ジフェニルアミン化合物及び亜リン酸エステル化合物は、1種又は複数の補足的添加剤と組み合わせてもよく、このように形成された添加剤「パッケージ」は基油又は基油の混合物に添加される。
【0112】
本発明による3種の酸化防止剤化合物である、1種又は複数のN-フェニルナフチルアミン化合物、1種又は複数のジフェニルアミン化合物、及び1種又は複数の亜リン酸エステル化合物を用いることによって、抗摩耗添加剤及び/又は極圧添加剤を使用せずに済ませることができる。
【0113】
したがって、特定の一実施形態によれば、本発明による潤滑組成物は、200質量ppm未満、より特に100質量ppm未満、特に50質量ppm未満、非常に特に10質量ppm未満の抗摩耗添加剤及び/若しくは極圧添加剤を含むか、又は全く含まない。
【0114】
1つの特に好ましい実施形態によれば、本発明による潤滑組成物は、以下のもの:
- 基油又は基油の混合物、好ましくはグループII及びIII、好ましくはグループIIIの基油から選択される、基油又は基油の混合物;
- 1種又は複数のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物、より特にアルキルフェニル-α-ナフチルアミン化合物、上で定義したとおりのもの、好ましくは、上記式(I-a)[式中、Rは、好ましくはC~C12アルキル基を表す]の化合物から選択される化合物;
- 1種又は複数のジフェニルアミン(DPA)化合物、より特にジアルキルジフェニルアミン化合物、上で定義したとおりのもの、好ましくは上記式(II-a)[式中、R及びRは、好ましくは、互いに独立に、好ましくはC~C12直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す]の化合物から選択される化合物;
- 1種又は複数の亜リン酸エステル化合物、より特にトリアリール亜リン酸エステル化合物、上で定義したとおりのもの、好ましくは上記式(III-a)の化合物[より特に、式中、nは2であり、R基は基、特にオルト及びパラ位の、好ましくはC~Cの基、好ましくは分岐状アルキル基、例えば、tert-ブチル基を表す]の化合物から選択される化合物(ここでDPA化合物/亜リン酸エステル化合物の質量比は、厳密に1より大きい);及び
- 任意選択により場合によって1種又は複数の補足的添加剤、好ましくは腐食抑制剤添加剤から、より特にトリルトリアゾール誘導体から、及びアルキル化有機酸エステル、並びに消泡剤から選択される、1種又は複数の補足的添加剤、
を含むか、又はこれらのみからなる。
【0115】
本発明による潤滑組成物は、より特に、以下のもの:
- 50質量%~99.5質量%、好ましくは70質量%~99質量%の1種又は複数の基油、好ましくはグループII及びIII、好ましくはグループIIIの基油から選択される1種又は複数の基油;
- 0.05質量%~5質量%、より特に0.1質量%~3質量%、好ましくは0.15質量%~1質量%、非常に特に0.2質量%~0.5質量%の1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物、より特にアルキルフェニル-α-ナフチルアミン化合物、上で定義したとおりのもの、好ましくは、上記式(I-a)[式中、Rは好ましくは、C~C12アルキル基を表す]の化合物から選択される化合物;
- 0.05質量%~5質量%、より特に0.1質量%~3質量%、好ましくは0.15質量%~1質量%、非常に特に0.2質量%~0.5質量%の1種又は複数のジフェニルアミン化合物、より特にジアルキルジフェニルアミン化合物、上で定義したとおりのもの、好ましくは上記式(II-a)[式中、R及びRは、互いに独立に、好ましくは、好ましくはC~C12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す]の化合物から選択される化合物;及び
- 0.01質量%~3質量%、より特に0.02質量%~1質量%、好ましくは0.05質量%~0.5質量%、非常に特に0.1質量%~0.3質量%の1種又は複数の亜リン酸エステル化合物、より特にトリアリール亜リン酸エステル化合物、上で定義したとおりのもの、好ましくは、上記式(III-a)[より特に、式中、nは2であり、R基は基、特にオルト及びパラ位の、好ましくはC~Cの、好ましくは分岐状のアルキル基、例えば、tert-ブチル基を表す]の化合物から選択される化合物;
- 任意選択により場合によっては、0.01質量%~5質量%、より特に0.1質量%~3質量%、非常に特に0.1質量%~2質量%の、1種又は複数の腐食抑制剤添加剤、より特にトリルトリアゾール誘導体及び/又はアルキル化有機酸エステルタイプのもの;
- 任意選択により場合によっては、0.01質量%~3質量%の消泡剤添加剤、
を含むか又はこれらのみからなり、但し、ジフェニルアミン化合物/亜リン酸エステル化合物の質量比は、厳密に1.0より大きく、
上記の量は、潤滑組成物の総質量に対して表されている。
【0116】
本発明による潤滑組成物は、規格ISO3104に準拠して40℃で測定して、20mm/s~100mm/sの間、より特に25mm/s~50mm/sの間の動粘度を有し得る。
【0117】
本発明による潤滑組成物は、有利には、規格ASTM D2270-93に準拠して測定して、100~300の間、より特に100~150の間の粘度指数を有する。
【0118】
本発明による潤滑組成物は、より特に、規格ASTM D664に準拠して測定して0.08~0.2の間の酸性指数を有する。
【0119】
上に記載したように、本発明による潤滑組成物は、酸化安定性、熱安定性、及び耐食性の点で優れた特性を有する。
【0120】
本発明による潤滑組成物は、したがって有利なことに、長くなった寿命を有する。
【0121】
より特に、本発明による潤滑組成物は、有利なことに、規格ASTM D2272に準拠して測定して、2200分以上、有利には2500分以上の、RPVOT酸化安定性を有する。
【0122】
そのような組成物は、有利なことに、規格ASTM D7873に適合した方法による、「ドライTOST-1000時間」試験に従って測定して70%以上、有利には75%以上、非常に特に80%以上の残留RPVOTを有する。
【0123】
本発明による潤滑組成物は、有利なことに、30mg/kg未満、好ましくは25mg/kg未満、より好ましくは20mg/kg以下の、180℃において48時間後の不溶物含有量を有する。
【0124】
本発明による潤滑組成物は、ASTM D4636試験により評価した、優れた耐酸化性及び耐食性も有する。
【0125】
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、それらは説明の目的で示すものであり、本発明を限定しない。
【実施例
【0126】
<測定手順>
耐食性の評価
耐食性は、規格ISO7120Bに準拠して、塩水存在下、60℃において24時間後に、鋼(スチール)の腐食を測定することによって定量化することができる。
【0127】
この方法の目的は、水の存在下での鉄金属の腐食に対する、組成物の保護能力を確認することである。この方法は、300mLの試験油と30mLの合成塩水との混合物を、油中に浸漬した円筒状の鋼試験片の存在下で、60±1℃の温度において撹拌することを含む。油水混合物との接触の後に、試験片を検査して、錆の有無を確認する。試験は一般に24時間続く。
【0128】
耐酸化性の評価-RPVOT(ASTM D2272)
組成物の酸化安定性を測定する第1の方法は、規格ASTM D2272に準拠して実施されるRPVOT(回転圧力容器酸化試験)である。この方法は、水及び銅触媒が存在する酸素圧力下で、50gの油の試料を回転チャンバー内に入れて、その耐酸化性を評価することを含む。
【0129】
条件は、以下のとおりである。
- 温度:150℃;
- 酸素圧力:620kPa;
- 回転速度:毎分100回転;
- 回転角:30°
【0130】
結果は、分で表される試験油の寿命を示す。
【0131】
このように決定された油の寿命が大きいほど、その耐酸化性は大きい。
【0132】
耐酸化性の評価-「ドライTOST-1000時間」試験(規格ASTM D7873に適合する)による残留RPVOT
組成物の酸化安定性を測定する第2の方法は、「ドライTOST-1000時間」とよばれ、規格ASTM D7873に適合した、1000時間の期間にわたって行われるドライタービン酸化安定度試験に基づいて、油の人工老化の後に残留RPVOTを評価することを含む。
【0133】
この方法は、360mLの油試料を含有する管を、酸素下、Fe/Cu触媒の存在下で合計1000時間の継続時間にわたって120℃に加熱することを含む。
【0134】
続いて、RPVOTの測定(上述のASTM D2272法)による分析のために、その管を取り出す。
【0135】
残留RPVOTは、ドライTOST-1000時間老化を受けた油のRPVOT値を、「未使用」油、換言すれば、老化を受けていない油に対する同じ値で割ることによって計算され、上に定義した第1の方法に従って決定される。
【0136】
残留RPVOTが高いほど、油の耐酸化性は大きい。
【0137】
高温での酸化安定性及び腐食安定性(ASTM D4636-手順25及び標準化(規格化)されていない試験)
酸化及び腐食を測定するためのこの方法を、より具体的には油圧油、航空機タービン油、より一般的には高温にさらされる油に適用する。規格ASTM D4636-手順25に準拠して、潤滑組成物の酸化及び腐食の測定を可能にする、標準化された方法が存在する。
【0138】
この方法は、体積100mLの油を、5L/時の空気流、並びに銅、鋼、アルミニウム、マグネシウム、及びカドミウム金属の試験片の存在下で、175℃で72時間酸化させることを含む。
【0139】
試験の開始と終了の間で、下記パラメーターを評価する。
- 40℃における動粘度の変化量、
- カドミウム試験片の質量損失、及び
- マグネシウム試験片の質量損失
【0140】
こうして評価した変化量が小さいほど、酸化及び腐食に関して油の性能は良好である。
【0141】
本出願人は、高温における潤滑組成物の酸化及び腐食の定量化を可能にする方法も開発した。
【0142】
この標準化(規格化)されていない方法は、体積40mLの油を、5L/時の空気流並びに銅及びカドミウム金属の試験片の存在下で、175℃において24時間酸化させることを含む。40℃における動粘度の変化量を、試験の開始と終了の間で評価する。
【0143】
熱安定性
油の熱安定性は、180℃において48時間後の不溶物含有量を測定することによって、評価され得る。
【0144】
油中の不溶物質量は、0.45μmの孔径を有するメンブレンフィルター上で100gの試料をろ過することにより、重量測定法で決定される。
【0145】
不溶物含有量が高いほど、油の熱安定性は小さい。
【0146】
(実施例1)
<潤滑組成物の調製>
本発明に従って必要とされる添加剤、すなわちアルキルフェニル-α-ナフチルアミン、アルキルジフェニルアミン、及び亜リン酸エステルの組み合わせを含み、アルキルジフェニルアミン/亜リン酸エステルの比が厳密に1.0より大きい、本発明による潤滑組成物(I1)、並びにこの種の特定の組み合わせ物を含有していない比較組成物(C1~C4)を配合した。
【0147】
潤滑剤組成物を、下記成分を下の表2及び表3に示す質量割合で、室温において単純に混合することによって調製した。
【0148】
【表2】
【0149】
このように調製した組成物の物理化学的な特性を、下の表3にまとめてある。
【0150】
【表3】
【0151】
(実施例2)
<潤滑組成物の特性の評価>
実施例1によって調製した潤滑組成物の様々な特性を、上に詳述した測定手順に基づいて評価した。
【0152】
結果を、以下の表4に集めた。
【0153】
【表4】
【0154】
これらの実施例から、本発明に従って特に考慮された3種の酸化防止剤の組み合わせを含まない組成物(C1、C2、及びC4)、及び/又は厳密に1.0より大きいジフェニルアミン/亜リン酸エステルの質量比に従わない組成物(組成物C3)と対照的に、本発明に基づく組成物(組成物I1)が、高温における耐酸化性、熱安定性及び耐食性の点で優れた特性を兼ね備えていることは明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑組成物であって、
- 少なくとも1種の基油;
- 少なくとも1種のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物;
- 少なくとも1種のジフェニルアミン(DPA)化合物;及び
- 少なくとも1種の亜リン酸エステル化合物、
を含み、前記の1種又は複数のジフェニルアミン化合物と前記の1種又は複数の亜リン酸エステル化合物との間の質量比が、厳密に1.0より大きい、潤滑組成物。
【請求項2】
前記1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物が、式(I):
【化1】
[式中、
nは1~5の整数であり;かつ
は直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す]
のものである、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項3】
前記1種又は複数のジフェニルアミン化合物が、式(II):
【化2】
[式中、
及びnは互いに独立に、1~5の整数であり;かつ
及びRは互いに独立に、直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す]
のものである、請求項1又は2に記載の潤滑組成物。
【請求項4】
前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物が、以下の式(III):
【化3】
[式中、各R、R及びRは、互いに独立に、炭化水素基を表す]
のものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項5】
前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物が、以下の式(III-a):
【化4】
[式中、R基は、互いに独立に、C ~C 10 の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、かつ、nは、それぞれの出現において独立に、0、1、又は2を表す]
のものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項6】
前記1種又は複数のジフェニルアミン(DPA)化合物、及び前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物が、2.0~3.0の間のDPA化合物(1又は複数)/亜リン酸エステル化合物(1又は複数)の質量比で用いられる、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
- 0.05質量%~5質量%の、1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物;
- 0.05質量%~5質量%の、1種又は複数のジフェニルアミン化合物;及び
- 0.01質量%~3質量%の、1種又は複数の亜リン酸エステル化合物、
を含み、
前記の量は、潤滑組成物の総質量に対して表されたものであり、
但し、ジフェニルアミン化合物(1又は複数)/亜リン酸エステル化合物(1又は複数)の質量比が厳密に1.0より大きいことを条件とする、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1からに規定する化合物以外の酸化防止剤、粘度指数(VI)向上剤、流動点降下剤(PPD)、消泡剤、増粘剤、腐食抑制剤、銅不動態化剤、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の添加剤を更に含む、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の組成物の、ガス又は蒸気タービン用潤滑剤としての使用。
【請求項10】
少なくとも1種の基油を含む潤滑組成物における、少なくとも1種のフェニルナフチルアミン(PAN)化合物;少なくとも1種のジフェニルアミン(DPA)化合物;及び少なくとも1種の亜リン酸エステル化合物の、当該組成物の熱安定性性能及び耐酸化性性能を強化するための使用であって、前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物が、厳密に1.0より大きいDPA/亜リン酸エステルの比で用いられる、使用。
【請求項11】
前記1種又は複数のフェニルナフチルアミン化合物が請求項2に規定する通りであり;且つ/又は前記1種又は複数のジフェニルアミン化合物が請求項3に規定する通りであり;且つ/又は前記1種又は複数の亜リン酸エステル化合物が請求項4又は5に規定する通りである、請求項10に記載の使用。
【国際調査報告】