(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】空間の汚染の品質監視と量定のための方法と装置
(51)【国際特許分類】
G01W 1/06 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
G01W1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550317
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2020070408
(87)【国際公開番号】W WO2021018647
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521380720
【氏名又は名称】クレンタ ゲーエムベーハー ウント コムパニー オーハーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】マルク アンドレ アルトホフ
(72)【発明者】
【氏名】アクセル フォン シュトゥムベルク
(57)【要約】
【課題】空間の汚染の品質監視および量定のための改善された方法および改善された装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、空間の汚染の品質監視と量定のための方法、および、空間の汚染の品質監視と量定のための装置に関し、方法は、センサシステムを用いて空間における複数の品質パラメータ実値を測定するステップであって、少なくとも1つの品質パラメータの前記実値が複数の測定場所で測定され、前記センサシステムが複数のセンサを含む、ステップと、前記それぞれの測定場所で測定された前記品質パラメータ実値を、それぞれの測定場所のためのデータ処理システムに保存されている望ましい値と比較するステップと、少なくとも1つの可動センサを、制御システムを用いて前記少なくとも1つの可動センサの以前の測定場所から離間した測定場所へ移動させるステップと、を含み、誤動作が起きた場合、前記制御システムを用いて、少なくとも1つの可動センサが、保存された移動計画から逸脱して移動され、前記データ処理システムは、空間の特定の汚染の空間的広がり、汚染の種類および/または濃度を決定する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間の汚染の品質監視と量定のための方法であって、空間は空間座標によって決定できる体積であり、流体を有するかまたは実質的に流体で満たされており、
a)センサシステムを用いて空間における複数の品質パラメータ実値の測定するステップであって、空間は空間座標によって決定できる体積であり、流体を有するか、または実質的に流体で満たされており、前記実値は少なくとも1つの品質パラメータにより複数の測定場所で測定され、前記センサシステムは複数のセンサを含み、前記センサは可動センサであるか、または少なくとも1つのセンサは固定センサであり、少なくとも1つのセンサは可動センサであり、各センサは空間座標を使って決定される前記測定場所の位置で前記少なくとも1つの品質パラメータを測定するステップと、
b)複数の測定場所で測定された前記品質パラメータ実値のデータ処理システムへの送信するステップと、
c)前記それぞれの測定場所で測定された前記品質パラメータ実値と前記それぞれの測定場所のための前記データ処理システムに保存されている目標値との比較するステップと、
d)制御システムを備えた前記少なくとも1つの可動センサの前記少なくとも1つの可動センサを前記以前の測定場所から離間した測定場所へ移動させるステップと、を含み、
前記少なくとも1つの可動センサが、前記データ処理システムに保存された移動計画に従い、異なる測定場所を制御し、
前記少なくとも1つの実値が前記それぞれの測定場所に定義された前記目標値から逸脱する誤動作の場合、前記制御システムを備えた少なくとも1つの可動センサが、前記保存された移動計画から逸脱して移動され、前記検出された実値の偏差を有する前記測定場所の位置の周囲の空間を巡り、付加的な品質パラメータ実値を付加的な測定場所で測定し、前記データ処理システムに送信し、前記データ処理システムは空間のそれぞれの汚染の空間的広がり、汚染の種類および/または濃度を決定することを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップa)でさらなる付加的なパラメータ、特に風向、風の強さ、気温、湿度および/または気圧が測定され、ステップb)で前記データ処理システムに送信される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの品質パラメータの実値が、流体、特に空気中の物質の濃度、特に危険物質および/または汚染物質の濃度である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記データ処理システムにさらなる環境データ、特にありうる排出源に関する情報が提供される請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
品質パラメータ実値の測定がサンプル採取を含む請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記移動計画がそれらの空間座標を有する固定物体を有し、それらに前記可動センサの接近の最小距離および/または最大距離が保存される請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
a)前記移動計画で測定場所が定義され、それらが少なくとも1つの可動センサを所定の順序でまたは統計的に制御し、および/または
b)少なくとも1つの可動センサ/複数の可動センサが前記監視されるべき空間内の前記測定場所をランダムに選択する請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの可動センサが誤動作の場合に空間中の目標値を超える物質の最高濃度の場所を決定する請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記単数/複数の固定センサおよび/または可動センサによって前記データ処理システムに送信される品質パラメータ実値が前記データ処理システムによって偽色カラーマップの作成のために目標値を考慮して処理される請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記データ処理システムが、少なくとも1つの品質パラメータ実値およびさらなるデータに基づき、時間および/または場所に関して品質パラメータ実値を推定する請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記データ処理システムが、実値が目標値を超えた場合、および目標値からの実値の超過の程度および種類に応じて自動警告を発し、前記単数/複数の品質パラメータ実値が、前記それぞれ前記単数/複数の固定センサおよび/または可動センサを使って検査される空間のための前記データ処理システム中に保存された単数/複数の目標値に相応するとき、前記データ処理システムが再び警告を解除する請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記データ処理システムが、実値が目標値を超えた場合、それに関して前記データ処理システムに保存された対策計画に従い、特に考えうる排出源の閉鎖および/または危険領域の遮断などの危険防止対策を提案および/または実行する請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記可動センサが前記それぞれの測定場所に関連して、測定された品質パラメータ実値に基づき、これらのデータを前記データ処理システムに、の様々な測定場所のための目標値プロファイルを作成するために送信する請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
空間汚染の品質監視と量定のためのシステムであって、空間は空間座標によって決定することができる体積であり、本質的に流体で満たされており、センサシステム、データ処理システムおよび制御システムを有し、
前記センサシステムは複数のセンサを有し、前記センサは可動センサであるか、または少なくとも1つのセンサは固定センサであり、および少なくとも1つのセンサは可動センサであり、前記センサシステムは、空間中の複数の品質パラメータ実値を測定するように設定され、前記空間は空間座標によって決定することができる体積であり、流体を有するか、または本質的に流体で満たされており、少なくとも1つの品質パラメータの実値は複数の測定場所で測定され、各センサは空間座標によって決定された前記測定場所の位置で前記少なくとも1つの品質パラメータ実値を測定し、
前記センサシステムは前記複数の測定場所で測定された品質パラメータ実値を前記データ処理システムに送信するように設定され、
前記データ処理システムは、前記複数の測定場所で測定された品質パラメータ実値を前記それぞれの測定場所に提供された目標値と比較するように設定され、
前記制御システムは、前記少なくとも1つの可動センサを、前記少なくとも1つの可動センサの前記以前の測定場所から間隔を置いた測定場所に移動するように設定され、
前記少なくとも1つの可動センサが前記データ処理システムに保存された移動計画に従って様々な測定場所を制御し、
前記少なくとも1つの実値が前記それぞれの測定場所に定義された目標値から逸脱する障害が発生した場合、前記制御システムを備えた少なくとも1つの可動センサが、前記保存された移動計画とは逸脱して移動され、実値の偏差が検出された測定場所の位置の周りの空間を巡り、付加的な測定場所で付加的な品質パラメータ実値を測定し、前記データ処理システム送信し、前記データ処理システムが、空間のそれぞれの汚染の空間的広がり、汚染の種類および/または濃度を決定することを特徴とする空間汚染の品質監視と量定のためのシステム。
【請求項15】
前記可動式に配置されたセンサは、地上車両、鉄道車両、ケーブルカー、船舶および/または航空機であり、前記システムは特に少なくとも2つの可動センサを有し、1つの可動式に配置されたセンサは地上車両、鉄道車両、ケーブルカーまたは船舶であり、別の可動式に配置されたセンサは航空機、特に無人機である請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記地上車両、鉄道車両、ケーブルカー、船舶、および/または航空機を自律的に、特に自律レベル4または5で操縦することができる請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
空間が空間座標によって決定することができる体積であり、流体を有するか、または本質的に流体で満たされた請求項1~13のいずれか一項に記載の空間汚染の品質監視および量定のための方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空間の汚染の品質監視と量定のための方法ならびに空間の汚染の品質監視と量定のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空間中の流体、例えば都市や工業施設上の空気空間の空気は、多くの要因に関連して様々な品質を有しうる。大気質の侵害は例えば、多数の様々な物質の局所的な放出、または風によって運び寄せられる可能性がある。そのような侵害は人間にとって臭いを介して知覚可能になるか、または視覚的に認識可能になる。しかし人間は大抵そのような事象を、空気の質がすでに強く侵害されて初めて認識する。人間はある種の侵害は自分では気づくことができず、その他の侵害は非常にはっきりと認識可能ではあるが、それらは危険ではない。さらにそのような侵害は局所的に非常に狭く限定されているため、侵害は僅かな場所でしか観察できない。
【0003】
そのため、いくつかの領域で住民を保護するためには、空間の品質を継続的に、かつ空間全体を包括して監視する必要性がある。
【0004】
品質管理のためのシステムそれ自体は公知である。
【0005】
例えば特許文献1は空気汚染監視のためのシステムおよび空気汚染監視のための方法を説明し、様々な高さの空気空間に拡散する気団の化学成分の赤外線スペクトルデータを収集するため、監視装置の多くは異なる高度と段階で配置され、監視装置の赤外線を反射する設計が異なる高さに設備される。気団に含まれる汚染要因および各要因の汚染レベルは、特定の地域での継続的な監視を可能にする汚染要因の定性的および定量的分析のための赤外線スペクトルを使用して検出される。
【0006】
高レベルの感度と精度で品質を監視するために、通常、多数のセンサが使用される。ただしこれらの一部は非常に高価であるため、空間全体をカバーするように、または少なくとも十分な密度では設置されない。様々なセンサを様々な位置に取り付け、または適切な位置を特定することすら困難な場合がある。さらに、慎重に位置付けしても、センサが空間中の一部の場所および物質を認識せず、またはセンサが十分に分布されないことが欠点となりうる。品質を特に正確に判定するには、局地的にしか測定できないセンサが必要になる。従って、空間の品質を監視するための公知の方法と装置は、依然として潜在的な改善の可能性を有する。
【0007】
特許文献2は、物質の汚染が監視される場面の視覚化のためのシステムおよび方法を説明する。有害な化学物質または生物学的物質などの物質を検出するために、場面が物質検出器でスキャンされる。物質の位置が判明する。場面内で認識された物質を表すグラフィック要素データが作成される。検出された物質を場面表示で表示し、ユーザに検出された物質の場所とタイプを環境に関連させて示すために、場面の示された表示はグラフィック要素データにより検出された物質の位置に基づいて補完される。
【0008】
特許文献3は環境空気中の汚染についての情報を取得するための方法およびシステムを説明する。複数の検出システムは環境空気の汚染を実時間で測定する。複数の検出システムはそれぞれ汚染物質の危険物質を分析する。複数の検出システムは、危険物質に関する情報を衛星監視システムに送信する。衛星監視システムは、送信された情報を受信する。衛星監視システムは、各検出システムから送信された情報をパッケージ化し、パッケージ化された情報を分析する。衛星監視システムは、分析された情報を司令ステーションのコンピュータ機器にインストールされたコンソールに送信する。コンソールは衛星監視システムから送信された情報を受信し、衛星監視システムに送信された情報に基づいてユーザインタラクションと通信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0113445号
【特許文献2】米国特許第7383129号
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/018780号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、空間の汚染の品質監視および量定のための改善された方法および改善された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明でこの課題は、請求項1に記載の方法および請求項14に記載のシステムによって達成される。有利な発展形態は、従属請求項に明記されている。文脈から明らかな逆が生じない限り、それらは任意の方法で組み合わせられうる。
【0012】
本発明は、空間の汚染の品質監視および量定のための方法を提案し、空間は空間座標により決定されうる体積であり、流体を有するかまたは実質的に流体で満たされている。
【0013】
方法は以下の方法段階を有する。
a)センサシステムを備えた空間での複数の品質パラメータ実値の測定。空間は空間座標によって決定されうる体積であり、流体を有するかまたは実質的に流体で満たされており、少なくとも1つの品質パラメータの実値は、複数の測定場所で測定され、センサシステムは複数のセンサを含み、センサは可動センサであるか、または少なくとも1つのセンサが固定センサであり、少なくとも1つのセンサは可動センサであり、各センサは、空間座標によって決定される測定場所の位置で少なくとも1つの品質パラメータ実値を測定する。
b)複数の測定場所で測定された品質パラメータ実値のデータ処理システムへの送信。
c)それぞれの測定場所で測定された品質パラメータ実値とそれぞれの測定場所のデータ処理システムに保存されている目標値との比較。
d)制御システムを備えた少なくとも1つの可動センサの少なくとも1つの可動センサの以前の測定場所から離間した測定場所への移動。
少なくとも1つの可動センサは、データ処理システムに保存された移動計画に従い、または新たに算出された移動計画に従い、異なる測定場所を制御し、少なくとも1つの実値がそれぞれの測定場所に定義された目標値から逸脱する障害が発生した場合、制御システムを備えた少なくとも1つの可動センサは、保存されている移動計画とは逸脱して移動され、実値の偏差が検出された測定場所の位置の周りの空間を巡り、追加の測定場所で追加の品質パラメータ実値を測定し、データ処理システムに送信し、データ処理システムは、空間のそれぞれの汚染の空間的拡大、汚染の種類および/または濃度を決定する。
【0014】
本発明の文脈で、空間は空間座標によって決定されうる体積として理解されるべきである。空間は例えば床、壁、および/または天井によって部分的または完全に包囲されうるが、境界を持たないこともできる。空間については、ここでは空間が少なくとも1つの流体を有するか、または空間が実質的に流体で満たされていると理解されるべきである。
【0015】
一実施形態によれば、空間は少なくとも1つの流体を有することができる。さらなる実施形態によれば、空間は少なくとも実質的に1つの流体で満たされうる。
【0016】
実質的に本発明の文脈で、流体は空間の最大の体積分率を占めるか、または空間の50体積%を超える流体を有することを意味する。
【0017】
本発明の文脈で、流体は、気体、液体または気体と液体を含む混合物である。有意には流体は、水、水蒸気および/または空気を有しうる。本発明によれば、流体は例えば実質的に水または空気を含みうる。空間に空気空間があり、および/または空間に水域、有意には空気空間があり、および品質パラメータが空気品質パラメータおよび/または水質パラメータ、有意には空気品質パラメータであることが好適に企図されうる。特に空間内の流体が空間外の流体と物質交換していることが企図されうる。
【0018】
本発明の文脈で、数は少なくとも1として理解されるべきである。本発明の文脈で、複数は少なくとも2として理解されるべきである。
【0019】
本発明の文脈で、品質パラメータは空間に配置された媒体の品質について直接的または間接的に結論を引き出すことを可能にするパラメータとして理解されるべきである品質パラメータが空気品質パラメータであり、空間が空気空間であることが特に好ましく企図されうる。代替的または付加的に、品質パラメータが水質パラメータであり、空間が水域であることが企図されうる。好ましくは品質パラメータが、物質および/または物質の群、流体を介した電磁放射の吸収および/または透過、および/または電磁放射の流体および/または強度からなる群から選択されることが企図されうる。例えば品質パラメータは、空気中の特定の気体、液体または固体の濃度であると理解できる。品質パラメータの測定は、濃度が直接測定されるのではなく、別の測定可能なパラメータ、例えば吸収、抵抗率、容量などが生データとして濃度に換算されることも意味する。換算されていない生データも品質パラメータとして理解されるべきである。本発明の文脈で、品質パラメータは、空間の品質に間接的にのみ影響を与えるパラメータとしても理解されることができる。例えば、濃度範囲内の物質の濃度も、それらが空間の品質に直接には影響を与えない品質パラメータでありうる。従ってそれは、例えば起爆物および爆発物、化学的、生物学的または放射性物質(戦学材料)などのテロ攻撃の準備/実施のため、しかしまた薬物または少量で精神医薬に使われる物質の探知も含まれると理解される。汚染は本発明の文脈で、すなわち健康上危険な濃度という意味の汚染のみとしてではなく、正常な状態からの特定可能な逸脱と理解される。
【0020】
本発明の文脈で、実値は、実際に測定された値または生データから換算された測定値として理解されるべきである。本発明の文脈で、目標値は、実値に対して与えられた許容可能な値として理解されるべきである。それによると目標値は上限値および/または下限値に限定されうる。適用可能な限界値は例えばERPG[Emergency Response Planning Guidelines、緊急時対応計画ガイドライン]、MAK[Maximale Arbeitsplatzkonzentration、職場最高濃度]、IDLH[Immediately Dangerous to Life and Health、生命または健康に対する差し迫った危険]、TEEL[Temporary Emergeny Exposure Limits、一時的な緊急暴露の限度]、AGW[Arbeitsplatzgrenzwert、職場制限値]、AEGL[Acute exposure guideline levels、急性暴露ガイドライン濃度]、BAT[Biologischer Arbeitsplatztoleranz、生物学的職場耐性]、爆発限界値、放射線限界値、致死量、または致死濃度でありうる。
【0021】
本発明の文脈で、測定場所は、流体が測定される場所として理解されるべきである。従って、測定場所は相応の測定体積を有しうる。
【0022】
品質パラメータ実値は、本発明の文脈で、品質パラメータが測定された測定場所での品質パラメータの実値として理解されるべきである。
【0023】
従って複数の品質パラメータ実値は、本発明の文脈で、少なくとも2つの品質パラメータ実値として理解されるべきである。少なくとも2つの品質パラメータ実値は、本発明の文脈で、測定された品質パラメータそれ自体および/または測定場所によって十分に区別が可能である。複数の品質パラメータ実値は、例えば2つの異なる測定場所で品質パラメータを測定することによって達成されうる。代替的または付加的に、複数の品質パラメータ実値は、1つの測定場所で異なる品質パラメータを測定することによって達成されうる。複数の測定場所で少なくとも1つの品質パラメータの実値を測定することにより、本発明の文脈に従い、複数の品質パラメータ実値がすでに測定されている。
【0024】
本発明の文脈で可動センサは、その空間に関する位置が変更されうるセンサとして理解されるべきである。可動センサは常に動いているわけではなく、少なくとも一時的にその位置を保持することもできると企図しうる。本発明の文脈で固定センサは、その空間に関する位置を通常は変更することができないセンサとして理解されるべきである。例えばこれは、例えば壁、マスト、塔、煙突または街灯などの場所に固定された物体に設けられたセンサとして理解される。固定は例えば、固定センサの保守または交換を可能にするために解除可能にすることができる。
【0025】
従ってステップa)の空間汚染の品質監視および量定のための方法では、複数の品質パラメータ実値がセンサシステムを備えた空間で測定され、空間は空間座標によって決定できる体積であり、流体を有するか、または実質的に流体で満たされている。少なくとも1つの品質パラメータの実値は、複数の測定場所で測定される。つまり1つの測定場所で少なくとも1つの品質パラメータのためのそれぞれ1つの実値が測定され、全体でそれぞれ異なる測定場所で実値が測定され、各測定場所で異なる品質パラメータも測定されうる。センサシステムは複数のセンサを含み、センサは可動センサであるか、または少なくとも1つのセンサは固定センサであり、少なくとも1つのセンサは可動センサである。各センサは、空間座標を使って決定された測定場所の位置で、少なくとも1つの品質パラメータ実値を測定する。本発明の文脈で、複数のセンサは少なくとも2つのセンサを意味すると理解されるべきである。
【0026】
複数のセンサは、例えば≧2から≦50、有利には≧3から≦40、さらに好ましくは≧4から≦35、さらに好ましくは≧5から≦30、その他に好ましくは≧6から≦25、さらに好ましくは≧7から≦20の可動センサを含みうる。しかし複数のセンサは、例えば≧5から≦45、有利には≧8から≦42、さらに好ましくは≧9から≦38、さらにより好ましくは≧10から≦36、その他に好ましくは≧12から≦32、さらに好ましくは≧15から≦18の可動センサも含みうる。
【0027】
複数のセンサは、例えば≧1から≦50、有利には≧2から≦40、さらに好ましくは≧4から≦35、さらにより好ましくは≧5から≦30、その他に好ましくは≧6から≦25、さらに好ましくは≧7から≦20の固定センサを含みうる。しかし複数のセンサはまた、例えば≧3から≦45、有利には≧8から≦42、さらに好ましくは≧9から≦38、さらにより好ましくは≧10から≦36、その他に好ましくは≧12から≦32、さらに好ましくは≧15から≦18の固定センサも含みうる。
【0028】
複数のセンサは例えば:
-≧2から≦50、有利には≧3から≦40、さらに好ましくは≧4から≦35、さらにより好ましくは≧5から≦30、その他に好ましくは≧6から≦25、さらに好ましくは≧7から≦20、または≧5から≦45、有利には≧8から≦42、より好ましくは≧9から≦38、さらにより好ましくは≧10から≦36、その他に好ましくは≧12から≦32、さらに好ましくは≧15から≦18の可動センサを含むことができ、
-≧1から≦20、有利には≧2から≦18、さらに好ましくは≧4から≦16、さらにより好ましくは≧5から≦14、その他に好ましくは≧6から≦12、さらに好ましくは≧7から≦10の固定センサを含みうる。
【0029】
さらなる実施形態では、固定センサと可動センサの比は、1:3から1:100、有利には1:4から1:60、さらに好ましくは1:5から1:50、さらにより好ましくは1:10から1:30、特に好ましくは1:15から1:20、さらに好ましくは0:200から0:20000となりうる。例えば100の可動センサ群を、監視のために30×100km、好ましくは2×4kmの大きな領域に発信できる。
【0030】
方法段階b)では、複数の測定場所で測定された品質パラメータ実値がデータ処理システムに送信される。送信とは、体系的な送受信を意味すると理解される。品質パラメータ実値は、データ処理システムによって受信、割り当ておよび解釈されうるようにセンサシステムによって送信されることは明白である。データ処理システムは、例えば車両、航空機、船舶のような可動式および固定式のセンサキャリアシステムに、有利には自律的に結合された、またはデータネットワーク内で体系的な送受信によって互いに通信し、総計で1つのデータ処理システムを形成する、複数のデータ処理システムから成る。データ処理システムは、特に品質パラメータ実値を、空間座標によって決定された測定場所の位置に割り当てることができる。センサが測定場所の位置をデータ処理システムに直接送信することを企図しうる。代替的にセンサがそのアイデンティティをデータ処理システムに送信し、制御システムが関連する位置をデータ処理システムに送信することを企図しうる。固定センサの場合、センサはそのアイデンティティのみを送信し、測定場所の位置はデータ処理システムに保存されるように企図しうる。
【0031】
方法段階c)では、それぞれの測定場所で測定された品質パラメータ実値が、それぞれの測定場所のデータ処理システムに保存されている目標値と比較される。それによって品質パラメータ実値が目標値から逸脱しているかどうかが検出される。
【0032】
次に方法段階d)で、制御システムを有する少なくとも1つの可動センサが、少なくとも1つの可動センサの以前の測定位置から離間した測定位置に移動される。それによって各方法段階d)の後、少なくとも1つのセンサが、もう1つの測定場所で少なくとも1つの品質パラメータ実値を測定することができる。
【0033】
データ処理システムに保存された移動計画に従い、少なくとも1つの可動センサが様々な測定場所を制御することが企図される。つまり移動計画は、各方法段階d)における少なくとも1つの可動センサの移動を決定する。監視されるべき空間および可動センサの数および固定センサの数に適合された移動計画が保存されうる。
【0034】
少なくとも1つの実値がそれぞれの測定場所に定義された目標値から逸脱する障害が発生した場合、制御システムを備えた少なくとも1つの可動センサは、保存されている移動計画とは異なる方法で移動され、実値の偏差が検出された測定場所の位置の周囲、または有利にはデータ処理システムの拡大予測に応じて濃度雲の周囲の空間で、追加の測定場所で追加の品質パラメータ実値を測定し、それらをデータ処理システムに送信し、データ処理システムは、空間汚染の空間的拡大、汚染の種類および/またはそれぞれの濃度を決定し、有利には気象データに従って改めて拡大を予測する。つまり誤動作とは方法段階c)で、品質パラメータの実値の目標値からの逸脱が検出された場合である。このようにして汚染を正確に量定することができる。
【0035】
誤動作とは、少なくとも1つの実値がそれぞれの測定場所に定義された目標値から逸脱している場合である。誤動作は危険に応じて分類されうる。例えば誤動作は危険なまたは危険ではない誤動作でありうる。誤動作の危険レベルに応じて、逸脱に関する情報のみがデータ処理システムによって提供され、移動計画から逸脱した移動は可動センサからは発生しないと企図しうる。例えば中央ヨーロッパでのサハラからの砂塵、肥料(肥料、液体肥料)の適用、または草刈り/干し草の臭いは、誤動作の動作を引き起こさないことを企図しうる。
【0036】
上記の方法により、比較的少数のセンサで空間全体にわたって空間を監視することを有利に達成されうる。上記の方法により、品質パラメータを超過したとき、特に多数のセンサに依存することなく、システム自体によって超過をより正確に検査できることを有利に可能にする。
【0037】
複数のセンサが、いくつかの固定センサおよびいくつかの可動センサを含み、少なくとも1つのセンサが固定センサであり、少なくとも1つのセンサが可動センサであることが好ましく企図されうる。それによって可動センサおよび固定センサの相互作用が有利に達成されることができ、そのためこの方法は特に柔軟であり、同時に費用効率が高い。
【0038】
複数のセンサが少なくとも3つのセンサを含むことが好ましく企図されうる。複数のセンサが、空間汚染の品質監視および量定の要件に適応するいくつかのセンサを含むことが好ましく企図されうる。例えば、複数のセンサが、少なくとも4、5、6、7、8、9、または10のセンサを含むことが企図されうる。例えば監視されるべき空間が特に大きい場合、または品質が特に厳密に監視される場合、複数のセンサが少なくとも20、30、40、50または100のセンサを含むように企図されうる。
【0039】
好ましくは少なくとも2つのセンサが可動センサであることが企図されうる。特に好ましくは少なくとも3、4、5、6、7、8、9または10のセンサが可動センサであることが企図されうる。一実施形態では、少なくとも20、30、40、50、または100のセンサが可動センサであることが企図されうる。
【0040】
好ましくは少なくとも1つのセンサが固定センサであることが企図されうる。特に好ましくは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10のセンサが固定センサであることが企図されうる。一実施形態では、少なくとも20、30、40、50、または100のセンサが可動センサであることが企図されうる。
【0041】
一実施形態では、可動センサの数は、固定センサの数よりも少なくてよい。それによって監視されるべき空間が特に簡単かつ一定的に大まかにカバーされることが有利に達成されうる。さらにわずかな労力で既存の方法を本発明によるに修正できることも達成されうる。代替実施形態では、可動センサの数が固定センサの数より多いか、または同数でもよい。それによって、特に少数のセンサで特に柔軟な監視が可能であることが有利に達成されうる。それによって例えば固定センサは少数のみか、または設置される必要がないため、方法の最初の実施は、特に安価かつ迅速に行われうる。
【0042】
一実施形態では、可動センサが品質パラメータの実値を測定する測定場所が、可動センサの移動経路に沿って延びる測定体積を有することが企図されうる。これは可動センサが移動中に測定を実行することを意味する。例えば可動センサは、移動中に特定の時間の測定値を検出できる。それにより可動センサが測定中に停止する必要がないことが有利に達成されうる。これにより、より高速な測定が可能になる。有利なことにこれによってより広い測定範囲の平均値ももたらされるため、空間を良好にカバーするために必要な測定が少なくなりうる。
【0043】
好ましくは少なくとも1つの品質パラメータが、流体、特に空気中の物質、特に汚染物質および/または有害物質の濃度であることが企図されうる。物質は、流体、特に空気中に溶解および/または分散される気体、液体または固体でありうる。従って品質パラメータはエアロゾルまたは煙にも関連しうる。品質パラメータは、個々の物質または個々の粒子の濃度、または物質クラスの濃度に関連しうる。品質パラメータは、特定の物質とは無関係に、流体、特に空気の品質パラメータを表すこともできる。例えば空気の光吸収は、特に物質の濃度に向けられることなく、品質パラメータになりうる。品質パラメータは、それぞれセンサの測定値にもなりうる。
【0044】
センサが分光センサであることを企図できる。これはセンサが電磁放射、例えば放射性放射、X線、紫外線放射、可視光、赤外線放射、および/またはマイクロ波放射の吸収、放出、散乱または回折を測定することを意味する。例えばセンサはラマン、赤外線、またはUV/Vis分光計[紫外可視分光光度計]でありうる。そのようなセンサは有利には、流体あるいは空気または測定されるべき物質または粒子と直接接触する必要がない。
【0045】
さらにセンサが化学センサであることを企図することもできる。これはセンサが少なくとも部分的に測定されるべき物質と接触し、物質の化学的および/または物理的特性の影響を受けることを意味する。例えばそのようなセンサの測定層の抵抗および/または容量は、測定されるべき物質によって影響を受けうる。そのようなセンサは有利には、特定の物質に対して特に選択的でありうる。特に有利にはセンサは、金属酸化物半導体ガスセンサ、固体イオン伝導体および/または光イオン化検出器でありうる。代替的または付加的に、センサが水素炎イオン化検出器、窒素リン検出器、熱伝導度検出器および/または原子発光検出器を含むことが企図されうる。
【0046】
センサが付加的に分離装置を有することを企図しうる。分離装置は、測定された流体、特に測定された空気を、品質パラメータ実値を測定する前に成分中で分離するのに役立ちうる。例えば空気はクロマトグラフィー、特にガスクロマトグラフィーを介して分離されうる。空気は代替的または付加的にイオン移動度分光計を使用して、または代替的または付加的に質量分析計を使用して、特に磁場または四重極質量分析計を使用して分離されうる。それによっていくつかの物質は、センサによって互いからより容易に区別されることが達成されうる。
センサが個々の分析を実行するように設定されており、すなわち個々の物質の観点から品質パラメータを決定するように設定されており、および/またはセンサが例えばTOC、総有機物含有量材料などの合計パラメータの観点から品質パラメータを決定するように設定されていることを企図しうる。
【0047】
品質パラメータが蒸発する可能性のある有機液体および有機ガスに関する場合、センサがガスクロマトグラフであり、質量分析計の群(MSおよび/またはMS/MS)水素炎イオン化検出器、窒素リン検出器、熱伝導度検出器、電子捕獲型検出器および原子発光検出器から選択された少なくとも1つと結合されていることが特に好ましく企図されうる。品質パラメータが液体に関連する場合、センサがDAD[ダイオードアレイ検出器]および/またはUV-Vis検出器を備えたHPLC[高速液体クロマトグラフィー]-MS/MSであることが特に好ましい。有機物質、無機化合物および/または液体の場合、センサがNMR分光計、赤外分光計および/またはラマン分光計であることが企図されうる。有機および無機の溶液およびガスの場合、センサがUV-Vis分光計であることが好ましく企図される。品質パラメータが芳香族化合物、オレフィン、臭化物およびヨウ化物、硫化物およびメルカプタン、有機アミン、ケトン、エーテル、エステルおよびアクリレート、アルデヒド、アルコール、アルカン、硫化水素、アンモニアおよび/またはホスファンに関係する場合、センサは、光イオン化検出器を含むことが特に好ましく企図される。品質パラメータが有機および無機ガス、爆発物、薬物、および/または化学兵器に関連する場合、センサがイオン移動度分光計であることが好ましく企図される。無機ガスおよび有機ガスの場合、センサは、電気化学セル、試験管、熱センサ、導電率センサ、電気化学拡散センサおよび/または金属酸化物センサを含むことが好ましく企図されうる。アルファ線、ベータ線、ガンマ線および中性子線を測定するために、センサが放射線測定装置を含むことが企図されうる。さらに風速測定および位置決定のために、センサが超音波および/または超低周波音測定装置を含むことが好ましく企図されうる。エアロゾル、粉塵、オゾン、窒素酸化物、メタン、二酸化硫黄、風速の測定および/または物体検出/環境検出のために、センサがLIDAR[光検出と測距]を含むことが企図されうる。物体の認識および/または環境の検出のために、センサがRADAR[レーダー]を含むことが好ましく企図されうる。品質パラメータが粉塵、生体分子および/または花粉に関係する場合、センサが粒子カウンタ管を含むことが好ましく企図される。有害物質およびハロゲン化合物、例えば塩素化炭化水素の場合、センサが熱触媒表面イオン化センサ(TKOI)を含むことが特に好ましく企図されうる。酸素含有量のためのセンサは好ましくはExセンサでありうる。湿度のためのセンサは好ましくは湿度センサおよび/または静電容量センサでありうる。風速のためのセンサは好ましくは風センサおよび/または風速計でありうる。液体または気体中の粒子ためのセンサは濁度計および/または光学センサを含むことができる。液体または気体の屈折率を決定するために、センサは屈折計を含むことができる。さらに温度を決定するためのセンサは、温度計を含むことができる。空気圧を決定するためにセンサは圧力センサを含むことができる。pH値を決定するためにセンサはさらに好ましくはpHメータを含むことができる。塩分を決定するためにセンサは好ましくは導電率計を含むことができる。品質パラメータが生物学的エアロゾル粒子および/または胞子に関連する場合、センサは好ましくは蛍光測定装置を含むことができる。品質パラメータが有機ガスに関連する場合、センサは好ましくはVOC[揮発性有機化合物]センサを含むことができる。品質パラメータが無機ガス、例えば、Li、Na、K、Caなどに関連する場合、センサは好ましくは炎光光度計を含むことができる。品質パラメータが二酸化炭素および/または他のIR活性ガスに関連する場合、好ましくはセンサが固体ガスセンサ(NDIR[非分散赤外線])を含むことができる。
【0048】
その他、センサが光学イメージセンサであることを企図しうる。これによって付加的に空間の画像を撮影することもできる。イメージセンサは、空間の画像および特に測定場所の画像を継続的に記録することもできる。
【0049】
1つのセンサで1つの測定場所における様々な品質パラメータが測定されることが企図されうる。これは、様々な品質パラメータを測定するようにセンサを設定できることを意味する。そのためセンサは、好ましくは異なる測定システムを含むことが企図されることができ、各測定システムは、少なくとも1つの品質パラメータを測定するように設定される。例えばセンサは、分光センサおよび/または化学センサでありうる。これは、センサが分光測定を実行するように設定された測定システムおよび、化学測定を実行するように設定された測定システムを備えることを意味する。
【0050】
好ましい実施形態によれば、センサシステムは移動計画に従わず、制御システムによって制御されない追加の可動センサを有することを企図できる。例えばセンサシステムは、人が携行するセンサ、例えば個人線量計または職場監視用のセンサ、例えばガス警告装置、または制御システムによって制御されない車両に取り付けられたセンサを含むことができる。これらのセンサは、位置決定装置を装備することができ、測定値に加えて、関連する測定位置も示すことができる。
【0051】
好ましい実施形態によれば、品質パラメータの実値の測定は、サンプル採取を含むことが企図されうる。サンプル採取は、サンプル収集、特にサンプルを集め持ち込むことと理解されうる。サンプル採取はパッシブコレクタを使用して実行することが企図されうる。これは露光時間が比較的長いため、システムの検出限界を下げることができる。パッシブコレクタは固定的であり、可動センサによって収集、測定および評価されることが企図されうる。すると固定システムは、新しいまたは「リセットされた」パッシブコレクタを有する可動センサによって装備される。本発明の好ましい実施形態によれば、可動センサがサンプルを採取し、それを分析のために別のセンサに転送することが企図されうる。例えば飛行可動センサがサンプルを採取し、地上を移動するセンサまたは固定センサに転送することが企図されうる。すると床上を移動するセンサまたは固定センサは、サンプルを分析し、品質パラメータ実値をデータ処理システムに送信できる。それにより複雑な測定方法もまた好ましく使用されうる。特に可動センサはそれによって小さく保たれることができる。さらに複数の可動センサが流体サンプルを単一のセンサに送ることができるため、特に高価なセンサの数を減らすことも達成できる。
【0052】
サンプル採取は固相マイクロ抽出ファイバー、「ガスマウス」、活性炭チューブ、Tenax(登録商標)チューブ、ガスおよび/または液体用のリザーバ容器から成る群から選択された収集システムを使用して実行されることが好ましく企図されうる。
【0053】
サンプル採取は好ましくは未知の物質が検出されたとき、あるいは追加測定なしではどの物質にも割り当てることができない特定の品質パラメータ実値が増加したときに導入されうる。代替的または付加的にパッシブコレクタを使用した、定期的に収集/測定される永続的なサンプル採取が企図されうる。サンプルを可動センサユニットによって測定することが有利に企図されうる。代替的または付加的に、サンプルが可動センサとともに分析の場所、例えば危険区域の外に輸送されることが企図されうる。可動センサを使用した空中輸送経路により、結果の受取にかかる時間を大幅に短縮できる。特に好ましい実施形態では、輸送が中央のおよび/または特殊なセンサによって実行されることが企図されうる。パッシブコレクタは、発生の可能性が低い場所にセンサの代わりに設置されることが特に好ましい。
【0054】
好ましい実施形態によれば、サンプル採取は、予備サンプルの収集も含むことが企図されうる。可動センサがサンプルを採取し、それらを貯蔵システムに転送することが特に好ましく企図されうる。それによって場合により、空間の品質、特に空気空間の品質の証拠が提供されうる。
【0055】
移動計画は各可動センサの一連の測定場所のために企図されうる。測定位置は、それらが可能な限り均一に空間をカバーするように有利に選択されうる。測定場所は、例えば危険源などの空間の特定の領域で互いに近くに選択できる。可動センサが特定の時間間隔で様々な測定場所に移動されるように、移動計画を時間計画にすることもできる。移動計画は一日の特定の時間に応じたスケジュールを提供することも企図しうる。例えば空間の特定の領域は1日の特定の時間に、他の時間帯でよりも間隔が小さい測定場所を提供できる。さらに移動計画では、可動センサの数および/または固定センサの数に配慮することができる。移動計画では、各可動センサに同じ測定場所を設定でき、可動センサは、時間差を設けて目的の測定場所に移動される。代替的に移動計画では、異なる可動センサに異なる測定場所を設定しうる。例えば移動計画では、各可動センサに個別の移動計画を設けることができる。
【0056】
そのため移動計画は、空間およびセンサシステムの所与の条件に特によく適合されることができる。従って空間の効率的な監視が特に簡単に達成されうる。さらに監視はセンサシステム、空間および/または空間の周囲の変化に特に簡単に適合されうる。
【0057】
誤動作が発生した場合、制御システムを備えた少なくとも1つの可動センサが、保存されている移動計画から逸脱する。誤動作が発生した場合、それぞれの測定場所に対して定義された目標値から逸脱する実値から最も少なく離れた可動センサが、検出された実値偏差を有する測定場所の位置の周りを移動することが特に企図されうる。好ましい実施形態では、いくつかのまたは全ての可動センサが、検出された実値の偏差を有する測定場所の位置の周りを移動することを企図しうる。品質パラメータの種類および偏差の大きさに応じて、誤動作に緊急性を割り当てることができる。緊急度に応じて、使用する可動センサの数を選択でき、緊急度が最も高い誤動作が発生した場合には、全ての可動センサが使用され、緊急度が最も低い誤動作が発生した場合には、少なくとも1つの可動センサが使用される。さらにセンサシステムには、移動計画に従わなかった追加の可動センサ、例えば呼び出しで利用可能なセンサを含めることもできる。誤動作が発生した場合、これらの追加の可動センサを使用することもできる。付加的に誤動作が発生した場合、固定センサの測定頻度を上げることが企図されうる。例えば特定の時間間隔で測定を実行する固定センサが、誤動作が発生した場合に、より短い時間間隔で測定を実行することが企図されうる。固定センサがスタンバイモードにあり、誤動作が発生した場合に初めて測定を実行することも企図されうる。
【0058】
このようにして、誤動作の場合に空間の汚染を正確に量定することができることが有利に達成されうる。既存の可動センサが使用されることにより、一方では空間の汚染に非常に迅速に対応することが可能であり、汚染を量定するための追加の緊急システムを省くことができるため、資源を節約できる。
【0059】
偏差が検出された測定場所の位置の周りの移動は、局限計画に従って1つのステップで実行できる。使用される可動センサは、検出された偏差のある測定場所の周りを体系的に移動できる。別のステップでは、測定場所の位置の周りの運動を、測定された品質パラメータ実値に相応に調整することができる。例えばセンサは、品質パラメータ実値の増加に沿って、または一定のまたは減少する品質パラメータ実値に沿って移動できる。
【0060】
それによって汚染の正確な広がりを決定しうることが達成できる。さらに汚染の経過を経時的に特定することができ、場合により汚染の原因を特定することができる。
【0061】
方法の好ましい実施形態によれば、ステップa)で、付加的に流体パラメータ、特に空気パラメータ、特に風向、風強、気温、湿度および/または気圧が測定され、ステップb)でデータ処理システムに送信されることが企図されうる。移動計画がさらなる流体パラメータ、特に空気パラメータに適合されることが好ましく企図されうる。例えば測定された風向および風の強さに応じて移動計画の測定位置が移行されることが企図されうる。
【0062】
これにより測定場所を特に効率的に選択しうることが達成できる。
【0063】
従って特に効率的な空気監視を達成できる。
【0064】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの品質パラメータ実値は、流体中、特に空気中の物質の濃度、特に危険物質および/または汚染物質の濃度であると企図されうる。
【0065】
例えば品質パラメータ実値は、アンモニア、メタンを含まない揮発性有機化合物(NMVOC)、一酸化炭素、二酸化硫黄、粉塵(PM10およびPM2.5の割合を特に考慮)、窒素酸化物、残留性有機汚染物質(POP)および重金属の空気中の濃度であることが企図されうる。品質パラメータ実値は、測定値の周囲でより頻繁に発生する物質の濃度である場合もある。例えば対応する工業施設周辺の品質パラメータ実値は、工業施設で使用される物質、特に工業施設によって放出される可能性のある排気ガス、排出物および/または有害物質の濃度でありうる。
【0066】
好ましい実施形態によれば、データ処理システムにさらなる環境データ、特に可能な排出源に関する情報が提供されることが企図されうる。
【0067】
それによって移動計画を相応に適合させることができる。さらに誤動作が発生した場合、環境データを使用して、目標値の偏差のより的を絞った原因を探すことができる。
【0068】
好ましい実施形態によれば、さらなる環境データが自動、半自動および/または手動でデータ処理システムに提供されることが企図されうる。自動的に提供されるさらなる環境データは、例えば外部ソースからデータ処理システムに継続的に利用可能にすることができる。例えば気象または周囲の交通状況に関する情報が、データ処理システムに継続的に利用可能にされることを企図しうる。半自動で提供されるさらなる環境データは、特定の場合にのみ自動または手動で解除されデータ処理システムで利用できる情報でありうる。例えば誤動作は自動または手動でデータ処理システムに送信されうる。手動で提供されるさらなる環境データは、好ましくは事前に分類されていないさらなる環境データでありうる。例えば居住者の観察をデータ処理システムに提供することができる。例えば匂いや煙は居住者に認識され、センターの電話を通じてデータ処理システムに伝達される。そのためにデータ処理システムは、それを介してデータ処理システムにさらなる環境データに関する情報を手動でも伝達できる入力インターフェースを有することが企図される。
【0069】
提供される環境データは特にリアルタイムの動的な環境データでもありうる。例えば道路、船、または航空交通に関するデータが提供されうる。動的環境データは特に、変更できる想定可能な排出源に関する情報として理解される。例えばそれらは品質に影響を与える自然または技術的な事象に関する情報として理解される。例えば近くの道路の渋滞、道路標示作業、建設現場、火山の噴火および/または砂嵐に関する情報は、動的な環境データである可能性がある。代替的または付加的に、例えば対応する工業施設からの製造計画に関するデータが提供されることができる。これには排出される可能性のある物質に関する情報が含まれうる。このため環境データに応じて移動計画を変更できる。例えば可動センサ、監視されるべき品質パラメータおよび測定場所は予想されるべき排出物の種類と位置に応じて選択できる。
【0070】
好ましい実施形態によれば、移動計画は空間座標を備えた固定された物体を有し、それに対して最小距離および/または最大距離が可動センサの接近のために保存されることが企図されうる。これは、移動計画が移動回廊、または可動センサがいかなる状況でも移動されるべきではない、あるいは移動されてはいけない領域が設けられうることを意味する。
【0071】
こうして特に可動センサの動きを制御システムによって単純化できることを達成しうる。特に固定された物体を考慮できるため、これらの物体との衝突を大きな手間なしで防止できる。さらに保護が不十分な可動センサが例えば爆発の可能性のある場所に移動することを防ぐことができる。そのため方法の安全性を向上することができる。
【0072】
好ましい実施形態によれば、移動計画において測定位置が定義され、それが少なくとも1つの可動センサを所定の順序でまたは統計的に制御し、および/または少なくとも1つの可動センサが監視されるべき空間内の測定場所をランダムに選択することを企図しうる。
【0073】
所定の順序により、最小限の監視を簡単に保証できることが達成されうる。ランダムに選択された測定場所により、統計エラーを最小限に抑えることが達成されうる。特に複数の可動センサを用いる場合、一部のモバイルセンサは、定義された測定位置を所定の順序で制御し、他の可動センサは、監視されるべき空間内の測定位置をランダムに選択するできることが企図されうる。
【0074】
複数の可動センサを用いる場合、移動計画が可動センサの可能な限り大きい空間分布を提供することが企図されうる。これは、センサが監視されるべき空間全体に特に均等に分散されていることと理解される。
【0075】
好ましい実施形態によれば、移動計画が動的に適応されることが企図されうる。このようにして、任意の位置で移動計画が品質パラメータの最適な監視を許可することが達成できる。移動計画の動的適応は好ましい実施形態では、環境データへの適応でありうる。移動計画は、空間のいくつかの場所でより高い測定頻度またはより高い測定密度を提供することが企図されうる。例えば移動計画が、誤動作の可能性がより高い場所でより高い測定頻度を提供することを企図しうる。好ましくは移動計画が、潜在的な誤動作がより大きな危険をもたらしうる場所で、より高い頻度の測定を提供することも企図する。さらに移動計画を環境データに適合させることは、風向および/または天候に適応することを含むことが企図されうる。適応は時刻、曜日、月、および/または季節への適応でもありうる。
【0076】
好ましい実施形態によれば、移動計画の適応は、方法の履歴測定データおよび環境データに基づいて行われることが企図されうる。空間の特に効率的な監視を得るために、好ましくは履歴測定データおよび環境データから移動計画を適合させるように設定された人工知能が使用されうる。例えば誤動作があった場合、または誤動作の頻度が特に高い場合に特に危険性が高い領域を同定し、これらの領域の時間的および空間的に特に緊密な監視を保持するために、移動計画を自動的に変更することができる。これにより方法が使用期間にわたり、空間の状態にますます良好に適応し、変化に対応することもできることが達成されうる。例えば移動計画は、例えば新しい、または古くなった製造施設などの新しい危険源に自動的に適合されることができる。
【0077】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの可動センサが誤動作の場合に、流体、特に空気中の目標値を超える物質の最高濃度の場所を検出することが企図されうる。
【0078】
これにより特に放出が持続するかどうかを量定できる。さらに最大の危険が存在する場所、およびこの場所が移動する可能性のある方向を追跡できる。従って相応の安全措置が特に合目的的に実行できる。
【0079】
好ましい実施形態によれば、単数/複数の固定センサおよび/または単数/複数の可動センサによってデータ処理システムに送信された品質パラメータ実値が、データ処理システムによって目標値を配慮した偽色カラーマップの作成のために処理されることが企図される。
【0080】
これにより空中監視を通じて得られた情報を十分に理解し、報告し、さらに処理できることが達成できる。
【0081】
好ましい実施形態によれば、データ処理システムは少なくとも1つの品質パラメータ実値およびさらなる空気データに基づき、時間および/または場所に関して品質パラメータ実値を推定することが企図されうる。
【0082】
これにより放出源を簡単に見つけうることが達成される。さらに保護措置を特に事前に見極め、迅速に開始できることが達成される。システム自体が保護措置を開始することが特に好ましく企図される。
【0083】
好ましい実施形態によれば、誤動作の場合にマーカー物質が適用されることが企図されうる。マーカー物質は、センサによって定性的におよび有利には定量的にも測定されうる実質的に無害な物質として理解される。マーカー物質は誤動作の際、品質パラメータ実値のように測定されうる。これにより超過した品質パラメータ実値を測定するために装備されていないセンサも、マーカー物質を介して広がりを追跡できることが達成されうる。マーカー物質は例えば人間にも知覚可能で、特に可視的でありうる。
【0084】
好ましい実施形態によれば、データ処理システムは、目標値が実値を超えた場合に目標値による実値の超過の程度および種類に応じて自動警報を発し、品質パラメータの単数/複数の実値が、それぞれ単数/複数の固定センサおよび/または単数/複数の可動センサにより検査される空間のために、データ処理システムに保存された目標値に相応するとき、データ処理システムが再び警報を解除することが企図されうる。
【0085】
例えばデータ処理システムが警告を警報アプリに転送するように企図しうる。さらにデータ処理システムは消防隊または災害管理などの補助サービス、または所轄の民間セキュリティサービスに通知することができる。
【0086】
これによって場合により援護がより迅速に提供されうることを達成できる。
【0087】
好ましい実施形態によれば、データ処理システムは目標値が実値を超えた場合に、データ処理システムに保存されたこれに対する措置計画に従い、特に考えうる排出源のスイッチを切るおよび/または危険領域を遮断するといった危険防止措置を提案および/または実行することが企図されうる。
【0088】
これは特に危険で制御が容易なソースのために企図される。例えば特定の製造設備が誤作動の場合に特定の汚染物質を排出する可能性があることをデータ処理システムに保存することができる。保存された措置計画では、特定の汚染物質の目標値を超えた場合に製造施設がシャットダウンされることを保存できる。
【0089】
さらなる措置は、換気口の閉鎖、排気設備の入力、警告システムの解除、圧力逃がし装置、逃し弁、緊急弁および緊急フラップの作動、特に閉鎖でありうる。これらにより特に危険な放出を可能な限り迅速に阻止できる。
【0090】
好ましい実施形態によれば、可動センサがそれぞれの測定場所に応じて、および測定された品質パラメータ実値に基づき、このデータをデータ処理システムに、空間内の異なる測定場所のための目標値プロファイルを作成するために、送信することが企図されうる。
【0091】
ここでは、目標値が通常の制限値を下回ることもあることが理解される。従ってこの方法により、誤警報の数を過度に増やすことなく、逸脱をより迅速に特定できる。特に目標値プロファイルを作成することにより、目標値プロファイルからの非常に小さな偏差もすでに測定されうることが達成される。するとこのような逸脱は例えば個別に調査できる。わずかな逸脱でも、すでに材料の疲労または放出が近いことを示している可能性がある。従って目標値プロファイルから逸脱した場合に予防措置が開始されることが企図されうる。
【0092】
さらに本発明により、空間汚染の品質監視および量定のためのシステムが提案され、空間は空間座標によって決定された体積であり、流体を有するか、または実質的に流体で満たされている。
【0093】
システムはセンサシステム、データ処理システムおよび制御システムを有し、センサシステムは、複数のセンサを有し、センサは可動センサであり、または少なくとも1つのセンサは固定センサであり、少なくとも1つのセンサは可動センサであり、センサシステムは空間中の複数の品質パラメータ実値を測定するように設定され、空間は空間座標によって決定できる体積であり、流体を有するか、または実質的に流体で満たされており、少なくとも1つの品質パラメータの実値は複数の測定場所で測定され、各センサは、空間座標によって決定された測定場所の位置で少なくとも1つの品質パラメータ実値を測定し、センサシステムは、複数の測定場所で測定された品質パラメータ実値をデータ処理システムに送信するように設定され、データ処理システムは複数の測定場所で測定された品質パラメータ実値をそれぞれの測定場所に提供された目標値と比較するように設定され、制御システムは、少なくとも1つの可動センサを少なくとも1つの可動センサの以前の測定場所から離間した測定場所に移動するように設定され、少なくとも1つの可動センサは異なる測定場所をデータ処理システムに保存されている移動計画に従って制御し、少なくとも1つの実値がそれぞれの測定場所に定義された目標値から逸脱する誤動作の場合、制御システムを備えた少なくとも1つの可動センサが、保存された移動計画とは逸脱して、検出された実値の偏差を有する測定場所の位置の周りの空間中を移動し、追加の測定場所で追加の品質パラメータ実値を測定し、それらをデータ処理システムに伝達し、データ処理システムはそれぞれの空間汚染の空間的な広がり、汚染の種類および/または濃度を決定することを特徴とする。
【0094】
上記のシステムにより、空間を特に有利な方法で効率的に監視することができ、空間の汚染を特に精密かつ迅速に量定することができる。従ってこのシステムは上記の方法の実行に役立つ。
【0095】
好ましい実施形態によれば、データ処理システムは、互いに通信することができるコンピュータまたはデータ処理装置を有することが企図でき、コンピュータあるいはデータ処理装置は少なくとも1つの可動センサに配置されることが企図されうる。データ処理システムは、例えば車両、航空機、船舶、有利には自律型などの可動式および固定式のセンサキャリアシステムに結合された、またはデータネットワーク内で体系的な送受信により互いに通信し、全体としてより効率的なデータ処理システムを形成する複数のデータ処理システムから構成されうる。
【0096】
好ましい実施形態によれば、可動式に配置されたセンサは、地上車両、鉄道車両、ケーブルカー、船舶および/または航空機であることが企図されることができ、システムは特に少なくとも2つの可動式に配置されたセンサを有し、1つの可動式に配置されたセンサは地上車両、鉄道車両、ケーブルカーまたは船舶であり、別の可動式に配置されたセンサは航空機、特に無人機である。センサが特定の車両であるということは、相応のセンサが相応の車両に配置されていることを意味する。つまり本発明の文脈で、可動センサは、固定的に配置されたセンサを有する車両でもある。
【0097】
地上車両によりシステムは特に簡単に使用されうる。地上車両はそれ自体公知であり、通常は機能障害が発生した場合、単に停車するため、特に安全である。ただし空間を網羅する空気の監視のためには、測定場所も明白に地上に配置されることが望ましい。従って地上車両は、例えば伸縮式アームなど、異なる高さの測定場所に到達するように設計された上部構造を有することが企図されうる。
【0098】
可動センサには車両も含まれる。好ましくはこれらの車両には、安全な距離で新規の測定を実行し、または危険領域から離れるために、事象が発生した場合にドライバーに運転指示を出すナビゲーションシステムが装備される。事象が発生した場合に、改善された伝播の予測を作成し、状況画像で危険ゾーンに関するより詳細な情報を提供するために、危険エリアに導入されることができ、測定値を検出する自律運転車も有利である。
【0099】
様々な高度の測定場所には、航空機で特に簡単に到達できる。例えば選択的に異なる高度でロープ上にセンサが吊り下げられた航空機、マルチコプターおよび/または飛行船が特に好ましい。そのような航空機は有利に容易に制御されることができ、特に空中に留まることができる。それによって測定がほとんど任意の測定場所および測定高さで実行できることが有利に達成されうる。
【0100】
船舶により水域と海の様々な深さの測定場所に特に簡単に到達でき、長期間にわたってエネルギーを供給することができる。例えば異なる深さでロープ上にセンサが取り付けられた船舶が特に好ましい。そのような船舶は有利に容易に制御されることができ、特に水中に留まることができる。それによってほとんど任意の測定場所および測定深度で、例えば、酸素含有量、CO2濃度などが測定されうることが有利に達成されうる。
【0101】
好ましい実施形態によれば、地上車両、鉄道車両、ケーブルカー、船舶および/または航空機は、特に自律レベル4または5において自律的に操縦されうることが企図されうる。例えば車両はUAV[無人航空機]、UGV[無人地上フリーライド車両]、UWV、UUV[無人水中車両]、AUV[自律型無人潜水機]、USV[無人表面車]でありうる。
【0102】
それによって地上車両、鉄道車両、ケーブルカー、船舶、および/または航空機は特に小型になる可能性がある。さらに車両は有利には中央制御することができる。自動制御も企図できる。従ってセンサが自動的に移動計画に従うようにすることを企図しうる。
【0103】
好ましい実施形態によれば、航空機は地上車両、鉄道車両、ケーブルカーおよび/または船舶によって輸送されうることが企図されうる。地上車両または船舶も同様に可動センサであることができる。従って航空機は地上車両または船舶から発進することができる。それによって車両から到達が困難な、または不可能な領域、または遮断された領域を探索し、測定を実行できる。これにより可動センサの制御の複雑さが簡素化されうる。
【0104】
可動センサがナビゲーションセンサを有することが企図されうる。特に可動センサは、GPS、レーダーシステム、LIDAR、レーザ、および光学センサのうちの少なくとも1つを備えていることが企図されうる。これによりセンサがナビゲーションに必要なデータ自体を提供できる。センサにナビゲーションデータを提供することが企図されうる。センサは提供されたナビゲーションデータおよびナビゲーションセンサをナビゲーションに使用できる。
【0105】
可動センサが防爆型であることが企図されうる。それによって可動センサが爆発の危険性のある領域でも使用されうる。
【0106】
本発明はさらに空間汚染の品質監視および量定のための方法の使用を提案し、空間は空間座標によって決定される体積であり、流体を有するか、または実質的に流体で満たされている。この方法を、以下を監視するために使用することが企図されうる:
-化学および工業用地および施設/企業/装置(例:製油所、倉庫、下水処理プラント、パイプライン(地上、地面に埋設、水域に敷設)
-交通インフラ(例えば道路、港、空港、駅、線路システムなど)
-都市部、公的機関(官庁、幼稚園、学校、大学、研究センター、病院など)
-重要なインフラ、供給施設(例えばパイプライン、運河、水路)
-軍事施設、放射線防護領域
-文化財、自然保護区、景観保護地域、世界文化遺産、動物保護地域、例えばセンサシステムは動物に装着されうる、例えば地下炭層火災、油流出、火山などの自然排出源。
-人間と動物の居住地域、沿岸地域、イベント(スポーツ、文化など)
-肥育農場、畜産農場、牧草地、
-水域(油流出、マイクロプラスチック)
-大晦日の活動、火を使用する遊び、火を使用するパフォーマンス、火山活動、森林火災、砂漠の嵐、侵食現象を伴う嵐、吹雪、花粉数(アレルギー患者)、砂塵汚染、例えば農薬からの噴霧。
【国際調査報告】